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密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの大望』

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  1. 1 : : 2015/09/14(月) 14:16:32
    密めき隠れる恋の翼たち~『エルヴィン・スミス暗殺計画』           
    (http://www.ssnote.net/archives/2247)           

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスとの1週間』           
    (http://www.ssnote.net/archives/4960)           

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの苦悩』           
    (http://www.ssnote.net/archives/6022)           

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの審判』          
    http://www.ssnote.net/archives/7972)          

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの否応』         
    (http://www.ssnote.net/archives/10210)         

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの溜飲』         
    (http://www.ssnote.net/archives/11948)         

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの流転』        
    http://www.ssnote.net/archives/14678)         

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの渇望』           
    http://www.ssnote.net/archives/16657)        

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの血涙』           
    http://www.ssnote.net/archives/18334)        

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの証明』        
    http://www.ssnote.net/archives/19889)        

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの慕情』        
    http://www.ssnote.net/archives/21842)        

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの天命』        
    http://www.ssnote.net/archives/23673)        

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの微睡』        
    http://www.ssnote.net/archives/25857)        

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの再陣』        
    http://www.ssnote.net/archives/27154)        

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの謀反』        
    http://www.ssnote.net/archives/29066)       

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの杞憂』       
    http://www.ssnote.net/archives/30692)       

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの勇敢』      
    http://www.ssnote.net/archives/31646)      

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの挽回』      
    http://www.ssnote.net/archives/32962)     

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの慈愛』    
     (http://www.ssnote.net/archives/34179)    

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの青天』    
     (http://www.ssnote.net/archives/35208)   

  2. 2 : : 2015/09/14(月) 14:17:24
    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの夢想』    
     (http://www.ssnote.net/archives/36277) 

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの愛念』    
     (http://www.ssnote.net/archives/37309)

    密めき隠れる恋の翼たち~『番外編・エルヴィン・スミスの咆哮』    
     (http://www.ssnote.net/archives/38556)

    ★巨人に右腕を喰われたエルヴィンと最愛のミケを失うが、エルヴィンに仕えることになった隠密のイブキとの新たなる関係の続編。         
    『進撃の巨人』の最新話に私の想像(妄想)を書き足したオリジナルストーリー(短編)です。    

    オリジナル・キャラクター     

    *イブキ    
    かつてイヴと名乗りエルヴィンの命を狙っていた隠密の調査兵 。     
    生前のミケ・ザカリアスと深く愛し合っていた。     
    ミカサ・アッカーマンの年の近い叔母。 

    ※SSnoteのルールに則り感想等を書いていただくグループコミュニティを作りました。 
    お手数ですが、コメントがございましたら、こちらまで 
    お願いします⇒http://www.ssnote.net/groups/542/archives/2
  3. 3 : : 2015/09/14(月) 14:20:18
     トロスト区壁上の遥か彼方――。藍と橙の色味が境目が曖昧な暮れゆく大空の下、調査兵団団長、エルヴィン・スミスの命を削るような咆哮が周囲に立つ兵士達の耳を劈いた。
     壁下の住人たちがエルヴィンの咆哮に叫んで返す声援には期待の熱がこもり、いつまでも止むことはなかった。

     何もかも失った領土、ウォール・マリアに向かって100人余りの希望の翼を背負った兵士達が各々の愛馬で駆けてゆく。絶望から這い上がれると信じ、すべてを最終奪還作戦に賭けていた。
     エルヴィンの右後方で、暗殺者から調査兵に生まれ変わったイブキが団長を見守るように駆けていた。エルヴィンが背負う自由の翼は片翼だとは感じさせないほど力強く羽ばたいている。
     西の大地に夕日が完全に落ちた頃、藍色だけが大空を染めていた。ちょうどそのとき、調査兵団はシガンシナ区に迫る森を目前に控えていた。正面だけを眺めていたエルヴィンは肩越しにイブキを見やった。

    「イブキ、作戦通り、この森に入れば君の出番だ。頼んだ」

    「了解――」

     森に近づくにつれ、調査兵団の兵士達は各々の愛馬の腹部を蹴って扶助を送り、大人しくさせていた。ただ一人、イブキだけが森に入り、立体機動を操作せず、森の中では気配を消しながら、手前の木から木へ飛び移る。  
     誰よりも鋭い感覚を持つイブキを先遣として侵入するよう、エルヴィンは命じ、冷静に彼女は任務に応じていた。
     木々の枝に音もなく足先を着地させ、イブキが耳を澄ましても、怪しい空気の動きは感じない。振り向いて、エルヴィンに問題ない、と手を上げ合図を送る。イブキを眺めるエルヴィンの眼差しは険しい。
     彼女への気持ちは心の奥底へ秘めて奪還作戦の最中、それが顔を出すことは今のところはない。
     愛馬の手綱を引いて、調査兵たちは慎重に森の中を歩いていた。巨人の活動範囲が読めない真夜中の状況下では、経験豊富な精鋭でも足元をより注意して歩かなければならない。

     足元を滑らす兵士がいても、調査兵団兵士長、リヴァイは咎めることなく、ただ冷静に忠告する。これ以上、誰一人も失いたくない彼なりの思いのこもった注意を促す声が掛けられた。
     イブキは引き続き、木から木へただ一人、人知れず駆け抜ける。気配はない、と浸っていた安堵感に前触れもなく緊張感が割り込んできた。人肌ではあっても、人間とは思えない大きな背中を闇夜に発見していた。
     緊張の面持ちでイブキが振り返り、兵士の傍に音も立てず降り立つと、ジャン・キルシュタインがコニー・スプリンガーに人を名前で呼ぶな、と注意を促している最中だった。

    「――周りには常に敵だらけと、あれ? イ…」

     突如現れたイブキの名を呼ぼうとしても、彼女の顔が妙に強張っていて、その理由をジャンは瞬く間に気づいた。
     ジャンがイブキの背後の巨人に視線を向けたと同時にハンジ・ゾエ分隊長が冷静に命令を下す。
     
    「左に巨人!! 全体停止!! 周囲を照らせ!!」

     崖を背にし、睡眠をとっているであろう巨人に向け、兵士達は手持ちのライトをいっせいに照らし出す。ハンジは左手で巨人を照らすも、右手のブレードは背後のエレン・イェーガーを庇う。
     ミカサ・アッカーマンとコニーも外敵からエレンを守るように彼の前に立ちはだかる。イブキも自然とエレンの背後に周り、敵が攻めてこないか、耳を澄まし、あたりを見渡す目は鋭く輝いていた。

    「…大丈夫、ぐっすり寝てる。この子も夜に動くっていう新種ではないようだね……残念だな、ほっといてやろう――」

     どうして残念なのか、という意味が理解できずとも、上官であるハンジの命令通り、皆は照らしていたライトを静かに下げ、引き続き目的地に向かい歩き出す。
     安堵感の深いため息をつくハンジの傍らをイブキは歩調を合わせて歩く。更に彼女の隣を歩くエレンとの会話に耳を傾けていた。満月の夜に活動的になる巨人が存在するのか、とイブキの脳裏に想像を巡らせば、壁の中でも長年、王政に囲われた生活をしてきたとはいえ、巨人に対して無知であったと思い知らされる。

    「ねぇ、私ももっと巨人のこと、勉強しなければいけないね」

    「あぁ、そうだね…あの子が『月光の巨人』だったかもしれないし、まずは捕獲から手伝ってもらおうかな――」

    「捕獲するって……!」

     フードで顔を隠して、メガネの向こう側のハンジの本心は見えない。張り詰めた緊張感の真っ只中、分隊長の冗談さえ、皆が和むことはない。
  4. 4 : : 2015/09/14(月) 14:22:01
     特にエレンは作戦を実行する中心人物が故、心臓の鼓動は激しく、フードの中で隠れる額からいくつもの汗の雫が流れていた。その気配を感じ、イブキは何も言わず、彼女の姪であるミカサの肩を軽く抱き寄せ、エレンの傍らに立たせた。イブキの行動にやや戸惑うもエレンの引きつる顔を見やって、ミカサは彼女の意図を理解する。ミカサがエレンの傍らで歩く姿を眺めては、イブキは密やかに皆から離れ、再び木々に飛び移って闇夜に身を隠した。


     ハンジが周りの兵士たちを見渡すと、真夜中に歩き続け、眠さよりも腹をすかせ、また疲弊も重なり足並みが疎らになりつつあると気づく。一気にシガンシナへ攻め立てたくても、逸る気持ちを抑える。
     硬質化実験の際、自分の発想に夢中になり、エレンの『巨人の力』を酷使し過ぎて、彼が鼻血を出して、めまいから倒れこむ瞬間をハンジは思い返していた。そのため、多くの新兵もこの作戦には含まれるため、ハンジは小休憩を取ると決める。手始めに闇夜に向かってライトを照らし合図を送る――。

    「ハンジ、どうした…?」

     木々の中で姿は見せずとも、イブキは声を押し殺し、ハンジに話しかける。

    「……さっきみたいな巨人の子がさ、またいないか、この先あたりまで確かめに行って欲しいんだ! もちろん、慎重に慎重を重ねて…」

    「了解…」

     囁くような口ぶりの命令に、イブキも語尾が小さく聞き取れないような声で答えるも、調査兵団の分隊長と隠密は互いの意図を理解していた。 
     またハンジは巨人討伐の経験がないイブキが、木から木へ飛び移る途中、新月でも活動可能の巨人がいた場合、彼女の体が鷲づかみされるのでは、と懸念する。再びハンジがライトで森を照らし出すと同時に目の前にイブキがひらりと降り立った。がぶりを振って巨人はいなかった、と合図した。
     ハンジは頷いて、兵士達に命じる。

    「……みんな! ここらで少し腹ごしらえだ。だだし、10分だけ! その間、しばしの休憩だ」

     背後に続く100名の兵士達にもハンジの命令は瞬く間に伝わり、僅かな休憩時間に体を休ませることになった。もちろん、皆が完全に一人ひとりがその時間通りに休めるわけでもない。警戒に抜かりはなく、交互に休んでは立体機動をいつでも操作できる状態で、水を飲んだり、野戦食を口にし、または用を足すものもいた。
     森の闇夜に戻ろうとするイブキをハンジは阻止する。

    「それから、あなた…この先頭にいて。もう目的地に近い。だから、彼を…頼む――」

     イブキは静かに頷いて、再び闇夜に消えるが、それはエルヴィンの傍へいち早く向かうため、近道と称し、森を駆け抜けていた。イブキがエルヴィンの自由の翼を見つけた途端、彼は自然と振り返る。イブキが声を出さずとも、エルヴィンは彼女の気配を勘付いた。
     エルヴィンの存在を認め、イブキはふーっと大きく息を吐いた。エルヴィンは強張る顔をイブキに向ける。

    「君の隠密の力、だいぶ役立っているっているな……」

     イブキを目前にしても、労うエルヴィンの顔は険しい。

    「そうね、私の力は特に暗闇でも慣れてても……生き物って気がしない巨人……不気味で…」

     寝ていた巨人を思い出し、ことのほか戸惑いが胸に広がるようだが、エルヴィンの前では気丈に振舞おうとする。
     イブキがこれまで、巨人の脅威を目の当たりにしたのはエレンと巨人化したロッド・レイスだけである。
     寝ていたとはいえ『通常種』は初めてで、生物としての気配を感じない巨人に、更なる用心さをその目に滲ませ、落ち着きなく宙を彷徨わせた。イブキの瞳の動きを眺めながら、エルヴィンは彼女を咄嗟に抱きしめたくても、ただ左手に持つライトで周囲を照らし、あたりを注視するだけだった。
     
    「ねぇ、これ飲んで…」

     布製の水筒を持参してきたイブキがエルヴィンに手渡そうとするが、彼は無意識に右手を伸ばそうとした。声に出さずとも、頬を引きつらせ、エルヴィンは目を大きく見開いた。それは手負いの兵士だと改めて自覚し、戸惑いを覚えたからだ。イブキは何も言わず、エルヴィンの左手で握るライトをやんわりと手に取り、水筒をエルヴィンに手渡した。エルヴィンが喉を潤し、また二人の自然な動作を見ていたのはハンジである。
  5. 5 : : 2015/09/14(月) 14:24:07
    「――今度はさ、イブキが口移しで、エルヴィンに水を飲ませてもいいんじゃない?」

     兵士達に指示を与えながら、二人の傍を通り過ぎるハンジが小声でからかう。ハンジに言われ、イブキは少しだけ頬を紅潮させた。エルヴィンは表情を変えず、平静を装う。かつての作戦でエルヴィンはイブキに口移しで睡眠薬を飲ませた経験がある。緊張感漂う二人を和ませるため、いつもの茶目っ気で接するも、森閑とする空気の中ではさらにイブキの鼓動がエルヴィンに伝わるようだ。
     またイブキはそのかつての作戦の後に亡きミケ・ザカリアスと関係が深まったことを思い出し、今では自分の心で生きる彼に願う。

    (ミケ…あなたの仇と対峙するかもしれない…私達を…見守って――)

     イブキが自分の胸に手を添えながら、温もりが広がると感じていた。それがミケが見守っているのだと自覚させる。緊張で強張っていた表情は次第に妖しく美しい笑みを湛えていた。その笑顔に気づいたエルヴィンが咄嗟に触れたくなっても、あえて堪える。

    「どうした、イブキ?」

    「ううん…! 何でも。私達は見守られている…。大丈夫、無事にこの森を抜けられる」

     囁く声は力強い。巨人だけでなく潜んでいるであろう、敵に注視しながら伝える小声でも、エルヴィンにはその意味が理解される。 

    「ミケか…」

     イブキはゆっくりと頷いた。木々の合間から夜空を見上げても、その夜は星さえ見えない。目を凝らしながら眺め、エルヴィンは願う。

    (ミケ…みんな……我々を見守ってくれ、頼む)

     自分の命令で命を落とした仲間たちに想いを馳せる。抱いていた揺ぎ無い大望は妄想ではない。現実になりつつある、とその心で感じていた。


     調査兵団の一行は休憩を終え、再びその歩みを進める。麓や街道跡を見つけたことにより、皆はシガンシナへさらに近づいたのだと確信し、騎乗せず引いていた手綱を操り、再び各々の愛馬に跨いだ。
     エルヴィンの傍で駆けるイブキは廃墟化したシガンシナの街並みを敢えて見ないようにして、正面だけに焦点を合わせていた。この場所からエルヴィンを支える本番だと思えば、シガンシナを奪還したい願いも合わさり、手綱を握る力には更なる強さが込められる。

     朽ち果てた屋根の端から、運命を照らすような朝日が差し始める。希望の光なのか、兵士達にはわからない。だが、それがシガンシナへ攻め込む合図となった――。

    「――物陰に潜む巨人に警戒せよ! これより作戦を開始する!! 総員立体機動に移れ!!」

     団長の怒号と同時に兵士達は立体機動を操作し、馬上から飛び立つ。ガスを噴かせながら、補修とは無縁のシガンシナの壁に向かい我先に、と競うような兵士達が壁上に降り立ち、または超大型巨人が壊したままの外門を潜った。
     エルヴィンも部下に続いて、飛び立つと、やはりイブキも彼の右側を飛んでいた。エルヴィンが立体機動でその身のバランスを崩すようであれば、支えるつもりだった。もちろん飛びながら、見つめあうことはせずとも、同じ正面を眺め、前進するだけだった。
     エルヴィンは手負いだと感じさせないほどの見事な立体機動で空(くう)を翔る。イブキは彼が背負う自由の翼を尻目に改めて感じていた。右腕を失ってなお、知りたいという真実への情熱が知恵を絞り、エルヴィンを躍動させるのだと――。

     古びた壁上に膝を突いたエルヴィンの眼差しは険しい。イブキはほんの少しの時間差で彼の右側に降り立ったとき、フードを目深に被った。策のひとつである、顔を隠すことをイブキは従順に守る。

    「イブキ…行くぞ…。俺から離れるな」

    「了解…」

     エルヴィンは右後ろに顔を傾け、視線は正面に向けたままイブキに囁くように命ずる。奥ゆかしく自分を支えるイブキの存在を感じても、冷静にエルヴィンは任務に集中する。男としての気持ちはもちろん隠したままだ。その声にイブキは頷いて、エルヴィンに伴われるように外門へ駆け出した。健気にエルヴィンについて行くのは、闇からミケに救われ、エルヴィンに生かされた命を調査兵団のため、人類のために賭す決意に変わりはないからだ。
     例え、エルヴィンが見たい真実を共に見られなかったとしても――。
  6. 6 : : 2015/09/14(月) 14:24:42
     エルヴィンが壁上でも兵士達が見渡せる位置に立ったときだった。イブキはフードが風に飛ばされそうになって、咄嗟に指先で捕まえた。前触れもなく、背筋が凍てつく感覚が駆け抜けた。壁上の風は早朝とはいえ、陽も昇り始めていて、氷のような冷たい空気が漂うことはない。イブキはミケを死に追いやったあの得体の知れない視線を感じていた――。

    「エルヴィン……」

     少し戦慄く唇で、久方ぶりにその名を呼ぶ。震えるイブキの声を聞いたと同時にアルミン・アルレルトが団長に向かって、腕を上げる。兵士として体力不足と言われようと、聡いアルミンが素早く何かを察知し、合図を送るのだとエルヴィンは気づく。二人の間に立って、辺りに巨人を見かけなくても、想像を超えるような異変が起きているとエルヴィンは確信する。
     続行を知らせる数本の信煙弾が上るのを眺めやる。エルヴィンは自ら立案した作戦が実行されていると目の当たりにしても、不穏な空気には細心の注意を払う。足元は無意識にイブキの傍へにじり寄った。
     慌しく作戦が遂行される最中、エレンがこの作戦最大の任務のため、立体機動を操作させ、壁上から上空へ向かい飛び立った。

    「エレン…頼んだ」

     エルヴィンはエレンに切に願う。エレンと年齢差はあっても、互いに父親に扇動されてるような人生を歩んできたとエルヴィンは心のどこかで感じていた。

    (父さん、僕らは真実のドアを開くよ……)

     張り詰めた空気に包まれても、エルヴィンは亡き父に想いを馳せる。
     エレンは登り始めた朝日を背に抱え、自ら手の甲を傷つけ、兵士達たちだけでなく、壁の中の人類の憧憬の的となる変貌を成し遂げようとしていた。
  7. 7 : : 2015/09/14(月) 14:24:54
    ★あとがき★

    いつもありがとうございます。
    今回の原作は幼馴染の3人の懐古があったり、
    また展開が一気に進むような気配を感じさせる内容でした。
    エルヴィンは手負いとは感じさせないような立体機動ですが、
    個人的には傍にはイブキがいるのでは、って感じます。
    また、エルヴィンの険しい眼差しはエルヴィン愛の激しい私にとっては
    どれだけ、素敵に仕上げようか、と想像すると思わずニヤけてしまいます。。
    今回は淡々とした展開となりましたが、イブキとエルヴィンはどう活躍して
    いくのでしょうか?また伝わりやすく、楽しんでもらえる(もちろん私も楽しむ)
    文章を心がけたいです。
    引き続きよろしくお願いいたします。
         
    お手数ですが、コメントがございましたら、こちらまでお願いいたします!     
    http://www.ssnote.net/groups/542/archives/2      
    ★Special thanks to 泪飴ちゃん(•ㅂ•)/♡love*  

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著者情報
lamaku_pele

女上アサヒ

@lamaku_pele

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