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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

エレクリな中学校

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  1. 1 : : 2018/04/02(月) 00:34:39
    エレクリな人生シリーズ、3作目です!


    「エレクリな幼稚園」「エレクリな小学校」の続きとなります。
    未読の方はそちらをお読みください。

    エレクリな小学校 http://www.ssnote.net/archives/57400


    前半はクリスタ視点、後半はちょくちょく視点が変わります。


    ※2018 8/9以降
    しつこく荒らしをする方が居たため、私以外の書き込みは制限させて頂きました。
  2. 2 : : 2018/04/02(月) 00:37:37
    待ってました!
    物凄く期待です!!
  3. 3 : : 2018/04/02(月) 00:51:36
    続編が以外と早かった!嬉しい!
  4. 4 : : 2018/04/02(月) 02:15:51
    続編来たーーー
    凄く期待
  5. 5 : : 2018/04/02(月) 22:36:59
    楽しみ!!
  6. 6 : : 2018/04/02(月) 22:45:20
    期待だーー!!
  7. 7 : : 2018/04/03(火) 04:57:26
    期待
  8. 8 : : 2018/04/03(火) 09:10:30
    まってました!!
  9. 9 : : 2018/04/03(火) 09:24:57
    期待!!!
  10. 10 : : 2018/04/03(火) 12:30:54
    期待すぎる!!!
  11. 11 : : 2018/04/03(火) 14:59:47
    前回同様に、期待です!
  12. 12 : : 2018/04/03(火) 15:15:23
    期待すぎる!!!
  13. 13 : : 2018/04/03(火) 18:46:44
    やっと追いついた...
  14. 14 : : 2018/04/03(火) 18:47:11
    あ、、、はじめまして
  15. 15 : : 2018/04/03(火) 18:47:38
    期待してます!!!!!
  16. 16 : : 2018/04/03(火) 19:00:57
    スレ建てておいて更新遅れてごめんなさい!
    明日の夜には書き始めます!
  17. 17 : : 2018/04/03(火) 20:14:02
    たのしみにまってます!!
  18. 18 : : 2018/04/04(水) 15:39:26
    すごく期待してます!頑張ってください!
  19. 19 : : 2018/04/04(水) 19:41:16
    まだ?
  20. 22 : : 2018/04/04(水) 22:50:10
    …変わらなきゃ


    そう決意したのは、小学校の卒業式の時である


    レイスという忌み嫌われた性を持っている私は、このままの性格ではダメだと思った


    『エレン君』


    それは、私の最も大切な人の名前である


    …いや、違う


    その日から、『エレン』と呼ぶと決めたのだ


    これからは、明るい自分を演じなくてはならない


    そう、気持ちを切り替えるのだ


    エレン「おーい!クリスタ!おはよー!!」


    優しい声、その声を聞くと、私は一日頑張れる


    クリスタ「うんっ!おはよ!エレンっ!」


    私の名前はヒストリア・レイス。6年前までこの国の王であったレイス家の娘である


    そして彼はエレン・イェーガー。レイス家を倒したグリシャ・イェーガーの息子である


    これだけ聞くと私達は複雑な関係に思えるが、全く持ってそんなことは無い


    何故ならば、彼にとって私は王家のヒストリア・レイスではなく、ただのクリスタ・レンズであるからだ


    そう、私達は単なる友達………


    …………友達…なのかな?


    エレン「今日から俺達も中学生だな、なんつーか、実感が無いんだよな」ハハハ


    クリスタ「それはエレンが成長してないって事だよ」アハハ


    エレン「う、うるせっ!これから成長するんだよ、これから!!」


    クリスタ「さー、どーだろねぇ?」


    …なんて他愛ない会話をしながら2人で歩いて登校するのは、実に1ヶ月ぶりだ


    そう、今日はシガンシナ中学校の入学式なのだ


    ――――――――――――――――――――――――――――


    入学式後


    オルオ「えー、とりあえずー、入学おめでとうございまーす」


    オルオ「今日からこのクラスの担任の、オルオ・ボサドです、よろしくー」


    オルオ「んじゃま、廊下の方から自己紹介してって、はい」


    …なんだかテキトーな先生だなぁ


    グンタ先生は良い人だったけど、この先生はあまり好感を持てないな…


    モブ「~です!よろしくおねがいします!」


    アルミンは別のクラスになっちゃったか…


    オルオ「はい、つぎー」


    エレン「シガンシナ小から来ました!エレン・イェーガーです!」


    エレン「好きな食べ物は…ちょっと恥ずかしいんですけど、チーハンです!」


    アハハ、カワイイー アレ?イェーガーッテモシカシテ


    エレンは同じクラスだ!やった!


    オルオ「イェーガー?もしかしてお前、総理大臣の…」


    エレン「あ、はい!グリシャ・イェーガーは俺の父親です!」


    ヘースゲーナー チョットカッコヨクナイ?


    エレンがカッコいいのは当たり前なんだけどな…


    ――――――――――――――――――――――――――――


    オルオ「んじゃ、次」


    私の番が来た、明るく…明るく…


    クリスタ「シガンシナ小学校から来ました!ヒストリア・レイスです!」


    クリスタ「好きな食べ物はイチゴですっ!よろしくお願いしますっ!」


    マッテメッチャカワイクネ? テンシダー メガミダー


    な、なんか変な事言われてるけど…明るく喋れたかな?


    オルオ「お前、王家なのか?」


    クリスタ「あっ、はい…と言っても…今は…」


    オウケ? レイスケ!? ザワザワ…


    オルオ「ふーん…じゃあ次」


    …今ので悪いイメージ持たれちゃったかな


    ううん!しょうがない!レイス家の悪い印象をカバーする為に明るくならないと!


    ――――――――――――――――――――――――――――


    結局、ミカサも別のクラスか…


    でも、エレンがいるのはホントに嬉しい…


    早速、エレンの所に遊びに…


    男子1「ねぇヒストリアちゃん!俺もイチゴ好きなんだけど良かったら…」


    男子2「あっ、俺も俺も!」


    ライナー「俺も俺も!」


    あ…エレンの所行きたかったのになぁ…


    クリスタ「そうなんだ!私はケーキのイチゴは絶対最後に食べちゃうんだ~」


    ヘェー! ア、ワカルー! ウッホウホウホ!!


    あ、エレンの周りに女の子が…


    …しょうがないよね、また後で話しかけに行こう


    クリスタ「あっ、それでね~~~…」


    女子「………」


    女子「…レイス家、ねぇ」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  21. 24 : : 2018/04/04(水) 23:01:32
    放課後


    結局色んな男子が話しかけてきたせいでエレンの所行けなかった…


    でも、この後はエレンやミカサ達と部活を見学しに行く約束だしね…ふふっ


    男子1「ヒストリアちゃん!一緒に部活見学しに行かないかな?」


    男子2「俺も一緒にー!!」


    クリスタ「えっ、あっ」


    どうしよう…断りにくい…


    クリスタ「え、えと…」


    エレン「悪いなお前ら」


    クリスタ「あっ、エレン…」


    エレン「ヒストリアは俺と行く約束なんだ、他を当たってくれ」


    男子1「ん…そうなのか、ヒストリアちゃん、また今度ね」


    男子2「じゃーねー」


    クリスタ「あっ、ごめんね!またね」


    エレクリ「…」


    クリスタ「え、エレン…んと、ありがと…」


    エレン「いや別に…クリスタが断れなくて困ってたもんだから、な?」


    クリスタ「うん…ホント、助かったよ、ありがとね」


    エレン「いーって、それより、ミカサやアルミンと合流して見学いこーぜ!」


    クリスタ「うんっ!」


    あぁ…やっぱりエレンは優しいなぁ…


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレン「あ、おーいアルミンー!!」


    アルミン「あっ、エレン!クリスタ!やっほー!」


    クリスタ「…ひさしぶり、アルミン」


    アルミン「小学校の卒業式ぶりだねー!元気だった?」


    エレン「元気元気、それより、ミカサは?」


    アルミン「僕も違うクラスなんだよね…」


    クリスタ「そうなんだ……きゃあっ!?」


    ???「だーれだ?」


    クリスタ「え、ええ…!?」


    クリスタ「…み、ミカサ…?」


    ミカサ「ふふ、当たりー!」


    エレン「おお、久しぶりだなミカサ!」


    ミカサ「エレンもアルミンもクリスタも、久しぶりー!」


    アルミン「うん、ミカサも元気そうだね」


    クリスタ「も、もう…びっくりしたよ…」


    ミカサ「ふふっ」


    …やっぱり、この4人でいると安心するなぁ


    ――――――――――――――――――――――――――――


    ミカサ「…そっかぁ、エレンとクリスタ以外はバラバラになっちゃったのか」


    エレン「まあ、しょうがないよな、こればっかりは」


    アルミン「僕がD組、エレン達がB組、ミカサがA組だね」


    エレン「部活はどーする?皆同じ部にするのか?」


    ミカサ「うーん、皆が入りたい部があれば…」


    クリスタ「わっ、私は皆一緒が良いな…」


    エレン「…ま、クラスが別だし出来れば一緒が良いよな」


    アルミン「そうだね…って、なんか聞こえない?」


    パパンパンッ バシッ!


    エレン「…なんの音だ?」


    アルミン「行ってみようか」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  22. 25 : : 2018/04/07(土) 07:35:56
    期待
  23. 26 : : 2018/04/08(日) 00:29:03
    アルミン「あの~すいません」


    ハンジ「ん?やあ、入部希望かい?」


    エレン「あーいえ、ちょっと気になったので見学を…」


    ハンジ「お、そうかい、ゆっくり見ていってくれ」


    クリスタ「ここは…」


    ミカサ「…剣道部?」


    リヴァイ「ふっ」パパパパンッ!!


    モブリット「ぐ、ぐぐぐ…」


    リヴァイ「そこだっ!」バァン!!


    ハンジ「一本!!」


    モブリット「う…参りました」


    エレアル「か、カッコいい…」


    リヴァイ「ふぅ…ん、なんだお前ら」


    ハンジ「見学だってよ!こんな部を見に来てくれるなんて、ありがたいねぇ」


    リヴァイ「…そうか」


    ミカサ「…!!」


    エレン「え、えと…剣道って初めて見たんですけど、すっごいカッコいいですねっ!」


    ハンジ「そうかい?興味があるなら、やってみると良いよ」


    ハンジ「私はハンジ・ゾエ、2年生だよ」


    ハンジ「あの負けた方がモブリット、2年生だけど誰にでも敬語を使う変な奴さ」


    モブリット「はぁ、はぁ…私じゃ、部長の相手はキツいですって…」


    ハンジ「んであっちが部長のリヴァイ、同じく2年生さ」


    アルミン「あれ?2年生なのに部長なんですか?」


    ハンジ「ああ、この部活、3年生が居ないどころか、私達3人しかいなくてね、廃部になりそうでさ」アハハ


    エレン「…なんで廃部にならないんですか?」


    ハンジ「そこの部長が偉く強くてねー、全国大会に何回も行ってるおかげで廃部は免れてるのさ」


    ミカサ「…」


    エレン「そうなんですか…面白そう」


    ハンジ「お、興味ある~?どう?入部しちゃう?」


    アルミン「楽しそうだけど…剣道部って、男子だけですよね?」


    ハンジ「いや、この部活は男女混合だよ?私は女だしね」


    エレン「男じゃないんですか!?」


    ハンジ「よく間違えられるけどね…正真正銘、女だよ」


    ミカサ「…一本、お願いします」


    クリスタ「ミカサっ!?」


    ハンジ「お、やってみるかい?なら私が相手に…ミカサ「いえ」


    ミカサ「そこの…部長さんでお願いします」


    エレアルクリ「えっ」


    ハンジ「…驚いたねぇ、部長を指名とは、剣道は経験あるの?」


    ミカサ「…少しだけ」


    エレン「お、おいミカサ!相手は全国レベルの人だぞ!?」


    ミカサ「関係ない…」


    リヴァイ「…ふん」


    リヴァイ「ハンジ、こいつに道着を貸してやれ」


    ハンジ「ああ、わかったよ」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  24. 27 : : 2018/04/09(月) 22:58:01
    エレクリな〇〇シリーズ凄い面白いです!
    期待です!
  25. 28 : : 2018/04/10(火) 19:24:40
    期待だーー!!!!!
  26. 29 : : 2018/04/12(木) 22:48:40
    ハンジ「一本勝負、はじめっ!!」


    ミカサ「…ふっ」ダッ


    リヴァイ「…」パァン


    ミカサ「…」パンッパンッパンッ


    リヴァイ「…」


    ハンジ「へぇ…あの子、かなりの腕を持ってるねぇ」


    エレン「す、すげぇミカサ…」


    ミカサ「…そこっ」ヒュッ


    リヴァイ「…」パァン


    ミカサ「ぐ…」


    アルミン「でも、リヴァイさんも強い…」


    リヴァイ「…こんなものか」


    リヴァイ「…」パパパパンッ


    ミカサ「ぐ、うう…」パパパパンッ


    モブリット「部長の今の連撃を防ぎ切った!?」


    クリスタ「ミカサ…」


    ミカサ「ふっ、やあっ!」ブゥン


    リヴァイ「…はぁっ!!」バシーン


    ミカサ「…っ!?」


    エレン「ミカサの竹刀が…飛ばされた」


    リヴァイ「…」ポスッ


    ハンジ「一本!」


    ミカサ「う、また、負けた…」


    エレン「え…」


    アルミン「また…?」


    リヴァイ「まだまだだな…ミカサ」


    ミカサ「ぐ…リヴァイめ…」


    クリスタ「ど、どういうこと!?」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  27. 30 : : 2018/04/12(木) 22:53:32
    帰り道


    エレアルクリ「い、いとこぉ!?」


    ミカサ「…そう、あの部長の本名は、リヴァイ・アッカーマン、私の…父の兄の息子…」


    ミカサ「昔から、よく剣道で勝負してて…一回も勝てなかったの」


    アルミン「それで…あんなムキになって…」


    ミカサ「…決めた、私、剣道部に入る」


    ミカサ「絶対に…リヴァイを倒す」


    アルミン「ぼ、僕も剣道部にしようかな!」


    アルミン「リヴァイさんやミカサが凄くカッコよかったしね、僕もあんな風になりたい!」


    エレン「俺もちょっと興味あるかな、リヴァイさんはカッコよかったし」


    エレン「…クリスタは?」


    クリスタ「わ、私…運動あんまり得意じゃないから…マネージャーとしてなら…」


    エレン「マネージャーか、それも良いと思うぜ」


    エレン「よし、じゃあ皆で剣道部に入ろう!」


    クリアルミカ「おー!!」


    こうして私達は、4人仲良く剣道部に入部することとなった

    ――――――――――――――――――――――――――――
  28. 31 : : 2018/04/17(火) 20:09:23
    期待です!
    このスレ来るまで幼稚園と小学校の方を何回も読んでました( ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ
  29. 32 : : 2018/04/22(日) 01:42:50
    翌日 入学後学力テスト


    あ、そういえば今日はテストだったっけ


    そうだ、この学校、入学してすぐに学力を測るテストがあるんだった


    中学校からは、テストの順位が張り出されるんだよね、私何位ぐらいになれるだろ…


    エレン「おっ、ちょうど良かった、おはよ、クリスタ」


    クリスタ「あっ、おはようエレン!」


    エレン「ちゃんと勉強してきたか?」


    クリスタ「それが…今日がテストだってさっき気づいたの…」


    エレン「え、全く勉強してないのか!?大丈夫なのかそれ!?」


    クリスタ「うーん、小学校の授業はちゃんと聞いてたから、あとは私の記憶力次第かな」


    エレン「マジかよ…忘れてる部分だって結構あるだろ?特に社会とか」


    クリスタ「まあ…出来るだけ頑張るよ」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    テスト後


    エレン「…なあクリスタ、一つ聞きたいんだが」


    アルミン「僕も…」


    ミカサ「私も…」


    クリスタ「なあに?」


    エレン「勉強…してなかったんだよな!?」


    クリスタ「…うん、全然」


    エレアルミカ「…」


    ヒストリア・レイス 得点400/400 順位1/115


    エレン「それで…満点で学年1位だと…?」


    クリスタ「…?結構簡単だったよ?」


    エレン「…マジか」


    エレン・イェーガー 得点378/400 順位5/115


    アルミン「…天才」


    アルミン・アルレルト 得点393/400 順位2/115


    ミカサ「いや、あんたらも充分天才だから…はぁ…」


    ミカサ・アッカーマン 得点328/400 順位26/115


    エレン「いや、俺とアルミンはちゃんと勉強してコレだからな?努力の結果だ」


    アルミン「でもクリスタは…授業以外は勉強せず満点…」


    ミカサ「うんまあ、次元が違うのはわかった」


    クリスタ「…?」キョトン


    ――――――――――――――――――――――――――――
  30. 33 : : 2018/04/22(日) 01:45:23
    数日後 教室


    クリスタ「…あっ!○○君!おはよー!」


    クリスタ「△△君も、おはよっ!」


    クリスタ「□□君、今日は早いんだね~」


    クリスタ「ライナー君、おっはよー!」


    ウホウホゴッホ


    クリスタ「エレンっ!おはよっ!」ニコ


    エレン「お、おお…おはよ」


    ヒストリアチャーン!!


    クリスタ「あっ、なーにー?」タッタッタ


    エレン「…」


    エレン「…あいつ」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    部活後 


    エレン「んじゃあこの辺で、またなー!」


    クリスタ「ばいばい、アルミン!ミカサー!!」


    エレン「あ、そういえばアルミンとミカサの事も呼び捨てで呼ぶようになったんだな」


    クリスタ「うん…中学からは、変わんなきゃって思ってね」


    エレン「クラスでも小学校の時と比べて、明るくなってたよな、あのライナーとも普通に話しててさ」


    クリスタ「あ…気づいてたんだ」


    エレン「そりゃあな、いつも一緒に居るんだし」


    クリスタ「そっか…そうだよね…///」


    嬉しい、この当たり前の日常が、すっごく嬉しい


    エレン「…」


    クリスタ「…エレン?」


    エレン「クリスタ…」


    クリスタ「ん…?」


    エレン「…無理すんなよ」


    クリスタ「えっ、突然どうしたの…!?」


    エレン「いや…なんでもない、また明日な」フリフリ


    クリスタ「あ…」


    クリスタ「うん…また…ね」


    『無理すんなよ』


    …エレンが言った言葉の意味を、この時の私はまだ理解してなかった


    しかし、のちに私は知ることになる、エレンに全て見透かされてた…って…


    ――――――――――――――――――――――――――――


    翌日


    エレン「おはよー」


    女子1「あっ、おはようエレン君っ!」


    女子2「ねぇねぇ、そういえばさー、エレン君ってどこの部活入ったの?」


    女子3「気になる~」


    エレン「ん?ああ、剣道部に決めたんだ、小学校の時の友達と一緒に」


    エレン「このクラスで言えば…ヒストリアとか?」


    女子達「…」


    女子1「へぇ~そうなんだね~」


    女子2「…あいつか」ボソ


    エレン「ん?どしたお前ら」


    女子3「な~んでもないよっ!!」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    ふぅ、今日は洗濯物を干すのに時間かかっちゃったから、エレンは先に行ってるはず…


    …2人で登校したかったけど、しょうがないよね


    クリスタ「…」ガララ


    エレン「あ、クリスタおは…女子1「おはようヒストリアさん!」


    クリスタ「あ、おはよ!」


    エレン「クリスタおh…女子2「おはようヒストリアさん!」


    クリスタ「おはよー!」


    エレン「クリスタお…女子3「おはようヒストリアさん!」


    クリスタ「おはよ、皆早いんだね」


    エレン「…」


    クリスタ「エレンも、おはよ」ニコ


    エレン「お、おう…」


    良かった、男子とばかり仲良くなってたからちょっと心配だったけど、女子とも仲良くなれそう


    女子達「…」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  31. 34 : : 2018/04/25(水) 01:22:25
    女子怖~
  32. 35 : : 2018/04/25(水) 22:50:30
    期待
  33. 36 : : 2018/04/25(水) 23:57:43
    期待です
  34. 37 : : 2018/04/26(木) 21:46:26
    期待
  35. 38 : : 2018/04/30(月) 10:34:21
    遅れたけど期待です
  36. 39 : : 2018/05/01(火) 22:49:10
  37. 40 : : 2018/05/03(木) 00:35:21
    また更新空いてしまいごめんなさい!4月からずっと忙しくて…
    期待コメはありがとうございます!
  38. 41 : : 2018/05/03(木) 00:37:26
    男子1「ヒストリアちゃんおはよっ!」


    クリスタ「うん、おはよ!」


    男子2「今日は遅かったね~!」


    クリスタ「ちょっと洗濯物干しててね」アハハ


    男子3「え、ヒストリアちゃん家事とか自分でやってるんだ~!」


    クリスタ「うん、一人暮らしだからねっ」


    男子4「へぇ~!良いお嫁さんになれそうだね~」


    クリスタ「そんな、これぐらい普通だって」アハハ


    男子5「今度遊びに行っても良い?」


    クリスタ「あ、うん、時間あるときね!」


    はぁ、次から次と男子が話しかけてきて休めないなぁ…


    …読書したいんだけどな


    いやいや!読書してて暗い人って思われたら嫌だしここは我慢!!


    でも、自分の好きな事が出来ないって辛いなぁ…


    ――――――――――――――――――――――――――――


    授業中


    先生「したがってこの~…」


    あ、この部分大事な所だ、ちゃんとノート取っておかないと


    男子1「ねぇねぇ、ヒストリアちゃん」ヒソヒソ


    クリスタ「ん、何?」


    男子1「ここの問題難しくてわからないんだけど、教えてくれない?」ヒソヒソ


    クリスタ「え…でも今大事な…」


    男子1「頼むよ!ここの問題わかんないと今やってるところも全然理解出来なくて…」


    どうしよう、今は先生の話を聞きたいのに


    でも、断ったら嫌な人と思われちゃうかもしれない


    …それはダメなんだ


    クリスタ「うん、わかったよ、そこは~…」


    私は、良い人を演じなくてはならない


    ――――――――――――――――――――――――――――


    授業後


    男子1「ありがとうヒストリアちゃん!また頼むわっ!!」


    クリスタ「う、うん…どういたしまして」


    出来れば、もう授業中には頼んで欲しくない


    結局、重要な部分をノートに纏めることが出来なかった


    あ、エレンなら纏めてるかもしれない


    クリスタ「おーい、エレー……ン…」


    エレンは、クラスの女子と話していた


    クリスタ「…」


    …今は良いか、今度見せて貰えれば


    うん、今は………


    ――――――――――――――――――――――――――――
  39. 42 : : 2018/05/03(木) 01:02:17
    放課後


    エレアル「きゅうじゅなな…きゅうじゅはち…きゅうじゅきゅー、ひゃーっく!!」


    エレン「ふぅ…素振り100回終わりっと」


    アルミン「はぁ、はぁ…」


    エレン「アルミン体力無いな…」


    アルミン「はぁ、はぁ…僕運動苦手だから…」


    エレン「まあかくいう俺も、結構疲れたんだよな」


    クリスタ「二人ともお疲れ、水とタオルだよ」


    エレン「おう、サンキュ」


    アルミン「ありがとう…」


    クリスタ「んじゃあ私用具入れの掃除してくるから、ゆっくり休んでてね」


    エレン「おう」


    アルミン「…ミカサはもう先輩方と練習してるんだよね…」


    エレン「仕方ないさ、あいつは経験者な上に相当強いんだから」


    エレン「俺達は、ちゃんと基礎と体力を積み重ねていこうぜ」


    アルミン「うん…そうだね、頑張るよ」


    エレン「うっし、あと5分休憩したら筋トレ、始めますか」


    アルミン「おっけー」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタ「…」


    なんだろうな…この胸の中のもやっとした気持ちは…


    …部活の時は、凄く楽しい


    エレン達とは仲が良いからなのかな?気楽に過ごせる


    先輩もみんな良い人だからなのかな…?


    ………じゃあ、クラスはどうなのかと考えると…


    …クラスの皆も良い人たちばっかりだ。女子とはあんまり喋れてないけど


    エレンもいるし、楽しいはずなのだ………なのに


    なんで…こんなにも苦しい思いをしているのだろうか


    ――――――――――――――――――――――――――――


    1週間後


    クリスタ「皆おはよー!!」


    演じなくては…


    2週間後


    クリスタ「皆おはよ!」


    …良い人を


    3週間後


    クリスタ「皆おはよ…!!」


    嫌なイメージを持たれない…


    1ヶ月後


    クリスタ「お、おはよ…!!」


    …明るい人を


    2ヶ月後


    クリスタ「おはよ…」


    …自分を、押し殺してでも


    ――――――――――――――――――――――――――――
  40. 43 : : 2018/05/05(土) 11:09:55
    めっちゃ期待してます
  41. 44 : : 2018/05/06(日) 09:13:46
    期待!
  42. 51 : : 2018/05/06(日) 22:08:33
    期待です
    頑張ってください
  43. 52 : : 2018/05/07(月) 12:19:48
    ダイヤさんのSS久し振りに見た。
    やっべぇ!めっちゃおもしれぇーーーーーー!
    期待!支援!頑張れ~!(≧▽≦)goodしかねぇー!(≧▽≦)goodボタンポチットナ
  44. 53 : : 2018/05/07(月) 20:26:38
    期待!
  45. 54 : : 2018/05/07(月) 22:01:03
    期待でぇす!(^-^)
  46. 55 : : 2018/05/08(火) 06:57:43
    期待でぇす!(^-^)
  47. 56 : : 2018/05/08(火) 22:21:37
    期待ですぇ
  48. 57 : : 2018/05/10(木) 00:41:23
    3ヶ月後


    男子1「あれ?今日ヒストリアちゃん休み?」


    男子2「風邪かな?」


    男子3「最近元気なかったよねー」


    男子4「もうちょっとで夏休みなのにねー」


    エレン「…」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタ家


    …頭がくらくらする


    熱も38℃あったし、吐き気も凄い…


    風邪とかの病気じゃないはずなのに、なんでこんなにも具合が悪いんだろう…


    病院行く気力も無いし、私もしかしたらこのまま…


    ああ…心細いなぁ…家族が居ないって、こんなにも…


    ……………エレン君


    ――――――――――――――――――――――――――――


    放課後


    アルミン「あ、エレン、おーい!」


    ミカサ「早く部活行こっ!」


    エレン「あ、アルミンとミカサか、ちょうど良かった」


    エレン「リヴァイさんにさ、今日は部活休みますって伝えといてくれねぇか?」


    ミカサ「…何か用事?」


    エレン「クリスタがな、体調崩して休んでるんだ。不安だから様子見に行ってくる」


    アルミン「えっ、本当!?じゃあ、クリスタによろしくね」


    ミカサ「お大事にって伝えといて」


    エレン「おう、そっちも先輩方によろしくなー!!」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    …どのぐらい経っただろうか


    寝る事すらままならない私は、ただずっと布団で横になっているだけだ


    相変わらず、気分は良くならない


    …今、何時なんだろ


    まともに立てそうもない、視界もぼんやりしている


    ピンポーン


    …誰だろうか、宅急便だろうか


    だとしたら悪いけど、今だけは居留守を使わせて…


    エレン「おーい!クリスタ!大丈夫か!?」


    …!エレンだ、お見舞いに来てくれたのだろうか


    私はなんとか立ち上がり、ドアを開けに行こうとする


    今ある気力を振り絞り、なんとか鍵を開けることが出来た…


    …と、同時に、私は倒れてしまった


    エレン「あっ、おい!クリs~~~~~~」


    …声がはっきりと聞こえなくなり、私の意識はそこで途切れた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  49. 58 : : 2018/05/10(木) 00:46:38
    …エレン


    …………エレン


    …………………エレン君


    クリスタ「…!」パチリ


    エレン「クリスタ!大丈夫か!?」


    クリスタ「………ここは」


    エレン「シガンシナ病院だ」


    クリスタ「病院…」


    クリスタ「…エレンが…運んでくれたの?」


    エレン「いや、流石に運ぶことは出来なかったけど…救急車呼んでな、大変だったぜ」


    クリスタ「…ありがと、迷惑かけてごめんね」


    エレン「気にすんな」


    エレン「…先生の話じゃ、体調が悪くなったのは過度なストレスが原因だと」


    クリスタ「過度な…ストレス…」


    クリスタ「そっ…かぁ………私、だいぶ無理しちゃってたのか…」


    エレン「正直、クリスタが頑張ってるから止めないであげようとしてたけど…こんなに追い詰められるとは思いもしなかった」


    エレン「本当にごめん、俺、気づいてたはずなのに…支えてあげられなくて…」


    クリスタ「…エレンが謝る事じゃないよ、私の…自業自得」


    エレン「…クリスタ」


    エレン「なぁ…なぁ、クリスタよぉ…」


    エレン「中学に入ってから、ずっと思ってた、クリスタが変わろうと頑張ってるって」


    エレン「きっとクリスタは、レイス家のせいで皆から悪く思われるのを防ぐために、明るくなろうと思ったんだよな…」


    クリスタ「うん…」


    エレン「変わりたいって思うのは凄いと思う……でもさ」


    エレン「俺は…俺達はさ、昔の静かなクリスタも大好きだったんだよ」


    エレン「アルミンやミカサも、クリスタが変わっても変わらなくても大切な人だと思ってるよ」


    エレン「だからさ…無理して、変わろうとしなくて良いんだよ」


    エレン「俺達は、ずっとクリスタの味方だ、あの気弱だった幼稚園の時から、ずっと」


    エレン「…それでも皆の前では明るく振る舞いたいと思うだろうよ」


    エレン「ならアルミンやミカサ…いや、せめて俺の前だけはいつものクリスタでいてくれよ!」


    クリスタ「え、れん…………君」ポロポロ


    エレン「誰がクリスタを酷く言ったって、俺は絶対にクリスタの味方でいる!」


    エレン「俺の前では、何も遠慮しなくて良い!ありのままのクリスタでいて欲しい!」


    クリスタ「…エレン…君っ!!」


    クリスタ「私、私ぃ…自分を無理やり抑え込んで…」ポロポロ


    クリスタ「あの日、小学校の卒業式の日に『エレン』って呼んだ時からずっと、変わらなきゃって抱え込んでて…」ポロポロ


    エレン「…やっぱ、その時から無理してたんだな」


    エレン「お前が親に受けたトラウマは、そう簡単に忘れられるもんじゃねぇよ」


    エレン「…だからさ、焦るな。ゆっくりでいい、少しずつ、前に進めばいい」


    エレン「…小学生の時に言ったろ?お前の辛いことは、俺も一緒に背負ってやるって…」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    …嬉しかった


    …ただただ、嬉しかった


    『変わらなくても良い、一緒に背負う』


    この言葉が、私をどんなに救ってくれただろうか


    クリスタ「エレン君…ありがとう」


    エレン「ん、やっぱ俺、クリスタには『君』付けで呼ばれた方が良いな」


    クリスタ「私も…やっぱり無理してたみたい、エレン君の方が好きかな」


    あの日…『エレン』と呼んでから、変わろうと決意したが


    他ならぬエレン君が、変わらなくても良いと言ってくれた


    なら…もう私を縛り付けるものは何も無い


    クリスタ「私…前みたいにエレン君にだけ甘えちゃっても良いかな?」


    エレン「ま、まあ…良いよ、恥ずかしいけど、それでクリスタが安らげるなら」


    クリスタ「…とは言っても、クラスの人とは頑張って話そうと思うよ、自分を抑え込まない程度にね」


    エレン「おう、頑張れよ!!」


    クリスタ「うん…あ…りがと…ね……………」ウトウト


    クリスタ「ん………」カクン


    エレン「おっととと、疲れ果てて寝ちゃったか」


    エレン「………クリスタ…いや、」


    エレン「…おやすみ、クリスタちゃん………なんてなっ」フフッ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  50. 59 : : 2018/05/13(日) 19:13:41
    超期待です!
  51. 60 : : 2018/05/16(水) 20:51:04
    萌える
  52. 61 : : 2018/05/16(水) 20:51:12
    期待です
  53. 62 : : 2018/05/18(金) 00:20:30
    エレクリ好きなんで本当に期待してマース
  54. 63 : : 2018/05/18(金) 23:15:29
    翌朝


    クリスタ「………ん」


    クリスタ「んん~!!!」ノビー


    クリスタ「んぅ…」ボー


    クリスタ「………………はっ!今何時!?」


    クリスタ「8時だ!どうしよう、遅刻しちゃう!!」


    クリスタ「…って、コレは………手紙…かな?」


    クリスタ「あっ、エレン君からだ…えーっと…」




    クリスタへ


    おはよう、クリスタが何時に起きたかはわからないけど、俺はもう学校に行っていると思う


    心配だから、クリスタは今日も学校は休んでくれ、これは俺からのお願いだ


    学校には俺が連絡しておくし、昨日の分も含めてノートはちゃんと取っておくから安心してくれ


    体調が大丈夫そうなら、家に戻ってゆっくり休んでいてくれ


    財布持ってきてないだろうしな、医療費は俺が出しておいたから、心配するな


    学校が終わったら、クリスタの家に寄るよ、大事な話がある


    それじゃまた、お大事に


    エレンより




    クリスタ「…エレン君」


    クリスタ「…ありがとね」


    幸せ者だ、私は


    こんなに優しい人、そうそういないよ


    やっぱり私…昔から、エレン君のこと………


    ――――――――――――――――――――――――――――


    キーンコーンカーンコーン


    やっと終わった、昨日といい今日といい、学校がとても長く感じる


    …やっぱり、あいつが居ないからだよな


    体調は大丈夫かな…ちゃんと家に帰れたかな…


    そんな心配をしながら、俺は教室を出た


    エレン「ふぅ、とりあえずアルミンに…」


    ミカサ「やっほーエレン、部活行こー!」


    エレン「お、ちょうど良かった、ミカサで良いや」


    ミカサ「私で良いやって…なんかムカつく」


    エレン「わりぃわりぃ、ホントはアルミンに伝えて貰おうと思ってたんだけどな」


    エレン「今日もクリスタの見舞い行ってくるから、部長達に伝えてくれないか?」


    ミカサ「ん、おっけー、クリスタちゃんの様子はどうだった?」


    エレン「昨日倒れちゃったんだけどな、きっと今日はもう大丈夫さ」


    ミカサ「無理はしないようにって伝えといてね」


    エレン「おうよ」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  55. 64 : : 2018/05/18(金) 23:24:58
    クリスタ家


    …ちゃんと帰って来れたかな、あいつ


    ピンポーン


    エレン「クリスター!俺だー!」


    タタタタタ ガチャ


    クリスタ「エレン君、待ってたよ」


    エレン「おう、とりあえず上がらして貰ってもいいか?」


    クリスタ「もちろんだよ」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレン「体調は?もう大丈夫なのか?」


    クリスタ「うん、今日一日休んだから平気だよ」


    クリスタ「それより…ホントにありがとね、エレン君…」


    クリスタ「私…エレン君が居なかったら大変な事になってたかも」


    エレン「クリスタが無事なら何よりだって」


    クリスタ「あっ、医療費返すよ!!」


    エレン「良いって、あそこ元々父さんが勤めてた病院で、俺も顔見知りが多くてさ、事情が事情だし特別に安くして貰ったんだよ」


    クリスタ「でも…」


    エレン「気を使わなくていいってば」


    クリスタ「でも…でも…」


    エレン「…」


    エレン「………はぁ」


    クリスタ「エレン…君?」


    エレン「…頭」


    クリスタ「え?」


    エレン「頭を撫でられて医療費を払わないのと、頭を撫でられないで医療費を払うの、どっちが良い?」


    クリスタ「な、何をいきなり…!?」


    クリスタ「そ、そんなの、最初に言った方にメリットしかないじゃん…」


    エレン「そういうことだ、頭撫でてやるから、医療費は払うな、おーけー?」


    クリスタ「え、無茶苦茶だよ!」


    エレン「おーけー?」イアツ


    クリスタ「う、うん…」


    エレン「良い子だ」ナデナデ


    クリスタ「こ、子ども扱いしないでよ…///」


    エレン「んじゃあ、これでやめるか?」


    クリスタ「………続けて///」


    エレン「…」ナデナデ


    クリスタ「…ずるいよ///」ボソッ
  56. 65 : : 2018/05/18(金) 23:29:29
    期待ですよ!
  57. 66 : : 2018/05/18(金) 23:44:10
    クリスタ「それで、エレン君?手紙に書いてあったけど、大事な話があるって…」


    エレン「ん、ああ、そうだったな」


    エレン「………クリスタ」


    クリスタ「………はい」


    エレン「俺と………」




    エレン「一緒に住んでくれ」




    クリスタ「…?」


    クリスタ「……………っ!?」


    クリスタ「えっ、えええええええええ!!?!?」


    クリスタ「い、いきなり何をっ!?」


    クリスタ「いっ、いいいい一緒に住む!?」


    クリスタ「わ、わわ私と、え、えええエレン君がっ!?」


    エレン「落ち着けって、病み上がりなんだから」


    エレン「あ、ちなみに住むのは俺の家な」


    クリスタ「な、なんで…///」


    エレン「今回みたいなことがまた起きたら大変だからだよ」


    エレン「一緒の家に居れば、すぐに気づけるだろ?」


    クリスタ「…確かに、そうだけど」


    エレン「だろ?」


    クリスタ「…エレン君は、良いの?」


    エレン「まあ、俺も基本一人だし寂しいからな」


    エレン「特に風邪引いたときとか、不安が押し寄せてくるんだよな」


    エレン「一緒に住めば、お互いに支えあえると思うし…どうだ?」


    クリスタ「…エレン君が良いなら、私は全然なんだけど」


    クリスタ「お父さんとお母さんには…」


    エレン「大丈夫だ…っていうか、父さんと母さんの提案なんだよな、コレ」


    クリスタ「そうなんだ…」


    クリスタ「まあ、エレン君の家には幼稚園の頃から何回も泊めて貰ってるから慣れてるし…」


    クリスタ「それじゃあ、お言葉に甘えて…ふつつか者ですが、よろしくね、エレン君」ニコ


    エレン「おうよ!」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  58. 67 : : 2018/05/20(日) 14:07:56
    いつの間にッ!期待です!
  59. 68 : : 2018/05/24(木) 07:23:00
    いつの間にッ!期待です!
  60. 69 : : 2018/05/25(金) 18:17:21
    ん?
  61. 70 : : 2018/05/26(土) 13:27:20
    きたいです
  62. 71 : : 2018/06/02(土) 20:40:37
    続きが気になります!
  63. 72 : : 2018/06/03(日) 01:06:35
    まだっかなーー?
  64. 73 : : 2018/06/03(日) 23:43:32
    遅れてごめんなさい!
    毎度の如く忙しい為なかなか更新できませんでした。
    今後も亀更新になりますがどうぞよろしくお願いします。
  65. 74 : : 2018/06/03(日) 23:44:34
    エレン家


    エレン「うっし、着いた…クリスタの大きな家具とかはまた今度業者に頼んで運んでもらおうぜ」


    クリスタ「うん、それじゃ…お邪魔しまーす」


    エレン「おいおい、違うだろ?」


    クリスタ「えっ、あっ、そっか…」


    クリスタ「それじゃ改めて、ただいま…」


    エレン「おかえりクリスタ」


    クリスタ「ふわぁ…なんだか、おかえりって言って貰えるのが感動だよ…」


    エレン「あはは、俺もおかえりって言える人がいるって嬉しいよ」


    そう、俺達は互いに孤独だったのだ


    これからは、家族のように支えあっていきたい


    いや、そういえば幼稚園の頃からクリスタはずっとうちの家族だったな


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタ「…えぇっと、荷物はどうしたら良いのかな?」


    エレン「あ、俺の隣の部屋、空き部屋になってるから今日からそこがクリスタの部屋な」


    クリスタ「あ、うんわかったよ」


    エレン「布団もそっち持っていくか?小学生で泊まった時のが俺の部屋にあるんだけど」


    クリスタ「えっと…その…」モジモジ


    クリスタ「エレン君さ…この前病院で、『俺には遠慮しなくていい』って言ってくれたよね?」


    エレン「おう」


    クリスタ「それで…私が甘えても良い?って聞いたら、受け入れてくれたよね?」


    エレン「…おう」


    クリスタ「…」


    エレン「…」


    クリスタ「………つまり、そういうことです///」モジモジ


    エレン「お、おう…なんとなく伝わったよ」


    エレン「布団は俺の部屋に置いといて良いって解釈で良い…か?///」


    クリスタ「うん…///」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  66. 75 : : 2018/06/04(月) 00:04:44
    エレン「それでさ、家事の役割とか分担したいんだけど」


    クリスタ「まずは料理どうしよっか」


    エレン「んー、クリスタの作る料理美味しいしなぁ…」


    クリスタ「エレン君の料理もすっごく美味しかったよ!!」


    エレン「じゃあ…今日の夜と明日の朝は俺が作るよ、一日ごとに交代していこうぜ!」


    クリスタ「うん、それが良い!」


    エレン「食器洗いは料理してない方がすることにするか」


    クリスタ「おっけー!」


    エレン「あとは…洗濯は?」


    クリスタ「あっ、それは私がするよ!」


    エレン「良いのか?」


    クリスタ「う、うん…流石に…ブラジャーとかは恥ずかしいし…///」


    エレン「く、クリスタ、もう付けてるのか…///」


    クリスタ「う、うん…///」


    突然の事で驚いたが、納得した…


    クリスタは…その、身長の割に…け、結構あるから…


    エレン「…///」


    クリスタ「あっ!エレン君今エッチな事考えてたでしょ!!」


    エレン「べっ、別にっ!!」


    クリスタ「嘘だぁ…顔真っ赤だもん…」


    エレン「そっ、それよりっ!風呂とかトイレの掃除は俺がするなっ!」


    クリスタ「あ、うん…お願いね」


    エレン「ゴミ捨ても俺がするよ、重いときあるしな」


    クリスタ「んー、じゃあ私他にすることは…」


    クリスタ「あっ、洗濯物畳むのも私やるからねっ!」


    エレン「おう、後は各自やるべきこと見つけてやっていこうぜ」


    エレン「今決めた自分の役割じゃなくても、時にはお互い助け合ってやっていこう」


    クリスタ「うんっ!私、エレン君となら上手くやっていけそうだよっ!」


    エレン「んじゃ、早速夕食作るかな、クリスタは適当にテレビでも見て待っててくれ」


    クリスタ「楽しみにしてるっ!」ワクワク


    エレン(ワクワクしてるクリスタ可愛いな…)


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレクリ「ご馳走様でした」


    クリスタ「ふぅ…エレン君の料理美味し過ぎだよ…」


    エレン「それは良かった、でも、クリスタの料理も美味いぞ?」


    クリスタ「えへへ、ありがとね」


    クリスタ「さて、じゃあ洗い物済ませちゃおうかな」


    エレン「その間に風呂焚いておくな」


    クリスタ「うん、お願いね~」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタ「洗い物終わりっと」


    エレン「ちょうど風呂も焚けたぞ」


    クリスタ「どっちが先に入る?」


    エレン「クリスタ先で良いぞ、食器洗って疲れたろ」


    クリスタ「エレン君だって料理したから疲れてるでしょ?」


    エレン「俺はいーんだよ、入って来いって」


    クリスタ「何なら…幼稚園の時みたく一緒に入る?」


    エレン「…バカ、洗濯物で恥ずかしがってんのに、風呂なんか一緒に入れるわけねーだろ」


    クリスタ「あはは、ごめんね、冗談だよ。じゃあお言葉に甘えて先に入ってくるね」


    エレン「…」


    エレン「………ほんっと、バーカ…///」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  67. 76 : : 2018/06/07(木) 23:43:01
    新婚みたいで好きだわぁ((´艸`*))
  68. 77 : : 2018/06/08(金) 23:12:41
    クリスタ激かわ('_')
  69. 78 : : 2018/06/09(土) 13:47:48
    期待期待期待!
  70. 79 : : 2018/06/10(日) 07:05:30
    何だよこのクソスレは















    と思ってたらこの神スレに出会えた!本当にありがとう!!!
  71. 80 : : 2018/06/10(日) 22:50:46
    期待せざるを得ない
  72. 81 : : 2018/06/11(月) 22:49:54
    初めまして!キラッと輝くダイヤと申します!以後、お見知りおきを!

    続きに期待しています!

    あと、今みたいに登録していない場合としている場合かあります!名前は一緒で同一人物なので、よろしくお願いします!

    長文失礼しました
  73. 82 : : 2018/06/11(月) 23:59:54
    その夜


    エレン「ふぅ、歯も磨いたし、今日も色々疲れたしそろそろ…」


    エレン「あ、クリスタの布団、今出すからな」


    クリスタ「あ、待って!良いよ出さなくて…」


    エレン「え?なんで…」


    クリスタ「…///」モジモジ


    エレン「あー、うん、わかった、ごめんな」


    エレン「…来いよ」ポンポン


    クリスタ「ふふっ、エレンくーん」バフッ


    エレン「わっちょ、飛び込んでくんなー!!」


    クリスタ「ふっふー」


    エレン「ったく………んじゃ、電気消すな」


    エレン「…おやすみクリスタ」パチッ


    クリスタ「お、おやすみエレン君」


    エレン「…」


    クリスタ「…」


    エレクリ「…」


    クリスタ「…今日一日寝てたから、全然眠くないんだけど」


    エレン「…だろうと思ったよ」


    エレクリ「…」


    エレン「…クリスタ」


    クリスタ「ん…なあに?」


    エレン「恥ずかしい話なんだけどさ、小学生の…お前が父さん、母さんと再会した日の夜の事、覚えてるか?」


    クリスタ「えと…久しぶりに二人きりの部屋で寝た時のことだよね?」


    エレン「…ああ、そうだ」


    エレン「あの時、結局お前は別の布団で寝たよな」


    クリスタ「そう…だったね、一緒の布団では寝なかったね、それがどうかしたの?」


    エレン「…寂しかった」


    クリスタ「…!!」


    エレン「正直、あの時はクリスタが変わっちまったような気がして…怖かった」


    エレン「多分…お前はあの時から既に、俺に対して遠慮してたんだよな…」


    クリスタ「そう…だね、変わろうと決心したのは卒業式の時だけど、その前から…」


    エレン「…あの時も、今みたいに一緒に寝たかったよ、俺は」


    クリスタ「そっ…か…、ごめんね、勝手に遠慮しちゃってて」


    エレン「いや、良いんだ、こうして今、幼稚園の時のように一緒に寝れてるから」


    クリスタ「エレン君…///」


    クリスタ「………あったかい///」


    ……………可愛い


    ――――――――――――――――――――――――――――
  74. 83 : : 2018/06/12(火) 00:23:36
    次の日 学校


    ガララッ


    エレクリ「おはよー」


    男子1「あっ、ヒストリアちゃんおはよ!具合大丈夫だったのー?」


    男子2「心配したよー!」


    ライナー「うっほ!」


    クリスタ「っ…」オドオド


    エレン「クリスタ、大丈夫だ、無理せず、ありのままのお前で話せ」ボソッ


    クリスタ「…っ!」


    クリスタ「…お、おはよ、体調は大丈夫、心配してくれてありがとう」


    男子1「なら良かったー」


    男子2「また後でねー!」


    クリスタ「あっ、うんー!」


    エレン「大丈夫か、クリスタ」


    クリスタ「うん…なんとか、頑張るよ」


    男子1「なんか…ヒストリアちゃん前と比べて静かになった?」


    男子2「確かに…」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタは、なんとか無理の無い程度でコミュニケーションを取ろうと頑張っていた


    少しずつ、少しずつ、クリスタは努力し続けた


    そんなクリスタを、俺はずっと応援し続けた


    学校では、心の中で応援して、部活の時は逆に応援して貰う


    そして家では、心の支えとなるよう、なるべく一緒に居た


    こうしてクリスタの悩みは解消されたのであった


    そんな毎日を過ごしていると、中学1年生はあっという間に終わってしまった


    ――――――――――――――――――――――――――――
  75. 84 : : 2018/06/12(火) 20:23:09
    なるほど、この作品も3年分をひとまとめでございますか
    期待です
  76. 85 : : 2018/06/12(火) 22:16:07
    いよいよ中2編……期待です!
  77. 86 : : 2018/06/16(土) 10:32:04
    »84あなたもこの作品を読んでいたのですね。
  78. 87 : : 2018/06/16(土) 22:47:29
    設定がちゃんとしてて好き
    話の構成とか丁寧に考えられてるのがわかる
  79. 88 : : 2018/06/16(土) 22:48:44
    最近は雑なの多いからなぁ
  80. 89 : : 2018/06/18(月) 03:08:45
    はよ
  81. 90 : : 2018/06/21(木) 06:52:08
    早くして~
  82. 91 : : 2018/06/22(金) 00:23:58
    楽しみー!きたい!
  83. 92 : : 2018/06/26(火) 23:07:31
    前回の更新から随分と経ってしまいました。ごめんなさい。
    毎度の如く忙しくてなかなか時間が取れません。

    多くの期待コメは嬉しいです。催促コメに対しては申し訳ないです。
    今後も更新が遅くなると思いますが、失踪だけはしないのでどうか気長に待っていただけると幸いです。

    今日は少しだけ更新させて頂きます。
  84. 93 : : 2018/06/26(火) 23:15:25
    春休み中


    4月…


    それは、学年が1つ上がる時期…


    つまり、クラス替えがあるのだ


    なんとなく、俺は嫌な予感がした


    俺とクリスタが離れることで、また疲労が溜まってしまうのではないか…と


    また前みたいに倒れても、俺は一緒の家にいるから対応は出来る


    だが、だからと言って倒れては困る


    そんな不安を抱えていると、クリスタが起きてきた


    クリスタ「おはよぉエレン君…」


    エレン「おう、おはよ、朝食準備してあるから、早くトイレとか済ませて来いよ」


    クリスタ「んぅ…今日って何か用事あったっけぇ…?」


    エレン「クラス発表!アルミンやミカサと一緒に学校まで見に行く約束だろ!」


    クリスタ「あぁ…そうだったねぇ………トイレ」


    エレン「おう、早く行ってこい」


    全く、こんなんで俺とクラスが離れたら大丈夫なのか…


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタ「あっ、アルミン!ミカサ!おはよー!」


    アルミカ「おはようエレン、クリスタ」


    エレン「おう、待ったか?」


    アルミン「5分ぐらいだよ」


    エレン「わりぃな、クリスタがなかなか準備できなくて」


    クリスタ「むうぅ、エレン君がもう少し早く起こしてくれなかったからー!!」


    エレン「仕方ねーだろ!お前があまりにも気持ち良さそうな寝顔で寝てたから…」


    クリスタ「それでも起こしてよー!!」


    ミカサ「…そういえば少し前から気になってたけど、ホントに一緒に住んでるんだね」


    アルミン「しかもエレンにだけ幼稚園の頃のような呼び方に戻ってるし…何かあったの?」


    エレン「いや、まあ…色々とな」


    クリスタ「アルミンとミカサも一緒に暮らしてみたら?」


    アルミン「ええっ!それは…///」


    ミカサ「…なんで私とアルミン?」


    クリスタ「いや、その…仲良いから…」


    ミカサ「…?」


    クリスタ「…はぁ」(ミカサの方はてんでダメか…)


    アルミン「~///」


    エレン「あ、学校見えて来た…って、おぉ~すっげー人が…」


    アルミン「あ、あそこに貼られてるね!」


    エレン「どれどれ……………あ」


    そこに書かれていたのは、運命様に嫌われてるかのようなクラス分けだった


    2-A エレン アルミン ミカサ


    2-D ヒストリア


    アルミン「僕達三人は同じクラスだけど…」


    ミカサ「クリスタだけ一人になっちゃったね…しかも教室も遠い」


    この中学校はクラス替えがもう無い


    2年生から3年生に上がる時はクラスはそのままで学年が上がるのだ


    つまり…クリスタとはこの先2年間同じクラスにはなれない


    エレン「クリスタ…大丈夫か?」


    クリスタ「………うん、平気!頑張るよ!」


    …震えてる


    …部活や家で会えるとはいえ、かなり心配である


    心配をかけさせないように振る舞っているだけだ、俺にはわかる


    ここにいる俺達は、この先何が起きるかなんて知る由もない


    そして案の定、このクラス分けによってクリスタは心に忘れられない傷を負うことになってしまった


    ――――――――――――――――――――――――――――
  85. 94 : : 2018/06/27(水) 00:24:49
    きた!神!期待してます!
    忙しいなら無理しないでください!気長に待ってま〜す(*ˊ艸ˋ)
  86. 95 : : 2018/06/27(水) 16:26:28
    期待してます!
  87. 96 : : 2018/06/28(木) 17:44:08
    うわー!!クリスタァァァ(´;ω;`)
    頑張れ!!
  88. 97 : : 2018/07/01(日) 01:24:29
    新年度


    どうしよう、エレン君の前では強がってたけど、やっぱり知らない人ばかりなのは怖いなぁ…


    ううん、それでも!エレン君にこれ以上心配させたくないから頑張らないと!


    ガララ…


    う…案の定知らない人がいっぱいいる…


    どうしよう、ここは思い切って挨拶するべきなのかな…


    そんな不安をかき消すように


    ???「ヒストリアちゃん、おはよう!」


    クリスタ「えっ、あっ」


    誰かから挨拶されたのだ


    それは、意外な人物であった


    アニ「…?」


    アニちゃんだった


    アニちゃんとは、小学校の頃から同じクラスだった


    いや、正確には、幼稚園の時も同じだった


    修学旅行の泊まる班が同じだったこと以外は、特に仲が良い訳じゃなかった


    普段は口数が少なくて、正直、何考えてるかもわからなかったミステリアスな子だった


    中学に入ってからも、1年の時はクラスが違って全く関わらなかった


    だからこそ、この場で挨拶をしてきたのがとても意外だった


    クリスタ「あっ、あぁ、えーと…おはよう、アニちゃん!」


    アニ「小6ぶりだねー、こうして話すのは」


    …正直、小学校の時にもそんなに話しては居なかったけど


    クリスタ「うん、そうだね、これから1年…じゃなかった、2年間か、よろしくね!!」


    私は、知り合いが居たことが嬉しくて、細かいことは考えないようにした


    アニ「担任の先生誰かなー?」


    クリスタ「うーん、誰だろうな…優しい先生が良いな…」


    …などと普通の友達同士の会話をしながら、私は心底ホッとしていた


    アニちゃんが居るなら、教室で独りぼっちにはならないだろうと


    女子達「…」


    女子達「…」ニヤリ


    ――――――――――――――――――――――――――――


    オルオ「おら、席に付けー」


    うわ、まさかのオルオ先生が3年間担任になるとは…


    この先生、あんまり優しくないから嫌なんだよなぁ…


    うぅ、ペトラ先生とかグンタ先生が恋しいよ…


    オルオ「えー、今日から2年間担任のオルオ・ボサドだ、よろしく」


    オルオ「んじゃまめんどくせぇけど廊下から、自己紹介やれ」


    オルオ「なるべく完結に、長引かせないよーに」


    やっぱりこの先生のこの態度、嫌だなぁ…


    ――――――――――――――――――――――――――――
  89. 98 : : 2018/07/03(火) 00:51:11
    部活


    エレン「あっ、クリスター!!大丈夫だったか!?」


    クリスタ「大丈夫だってー」


    アルミン「エレンったらずっとクリスタの事気にかけてて落ち着きが無かったんだよ」


    エレン「そっ、そんなことねーしー?」


    ミカサ「…嘘ばっかり」


    クリスタ「ふふっ、そんなに私の事心配してくれたの?」


    エレン「ん、ああ、ちょ、ちょっとだけな!ちょっとだけ!!」


    クリスタ「ふふっ」


    これは相当心配してくれたんだなぁ…すっごい嬉しいや…


    クリスタ「でも大丈夫っ!実は知り合いが居て、その子とお友達になったから!」


    エレン「おお、それは良かった良かった」


    ミカサ「ちなみに、誰なの?」


    クリスタ「アニちゃんだよ!」


    エレン「アニ?ああ、幼稚園から一緒だったな…あんまり話した事ないけど、結構視界に入ってたよ」


    エレン「何気に小学校の時は6年間クラス一緒だったし」


    ミカサ「アニねー、中学校でクラス別れてから全然喋らなくなったなぁ…」


    アルミン「今は確か柔道部の部長やってるんだっけ?ほら、柔道部の部室は剣道部の隣だよ」


    エレン「へぇ…あいつそんなに強いのか、って2年生で部長!?」


    アルミン「ほら、柔道部って一つ上の学年が居ないのさ、だから去年の中体連で3年生が抜けた時から部長やってたよ」


    エレン「へ、へぇ~」


    クリスタ「あっ、もう練習始まる時間だよ!リヴァイさん達待ってるかも!」


    エレン「おっといけねぇ!早く準備しようぜ!」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    部活後


    アルミン「ふぅ…終わった終わった」


    リヴァイ「…そういや、新入生の入部希望者は居ないのか?」


    エレン「あ、どうもメジャーなスポーツの部活にいっぱい入ったみたいで、全然来てないです…」


    リヴァイ「そうか…なら、俺らが引退したら、もしかしたら…」


    ミカサ「廃部の危機もあるって事だよね…」


    クリスタ「ええっ!?廃部!?」


    エレアル「どうして!!」


    ハンジ「…本来この学校で部活動は5人以上の正式な部員が必要なのさ」


    ハンジ「私達が去年まで続けられていたのは、リヴァイが1年生の頃から全国にも出場するほど強かったから特別に継続させて貰ってたのさ」


    ハンジ「でも、私達が抜けたら部員は4人、そのうち1人はマネージャーだから2人足りない」


    ハンジ「3人ともとても強くなったけど、まだまだ全国に出れるほどじゃない…だから」


    エレン「…」


    アルミン「…」


    ミカサ「…っ!」


    クリスタ「…」


    モブリット「…まだ廃部が決まったわけじゃないので、引き続き勧誘を続けましょう」


    エレアルミカクリ「…はい」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  90. 99 : : 2018/07/03(火) 01:07:08
    次の日


    クリスタ「ってことになっちゃって…」


    アニ「あー、確かにねー、柔道部も1年生入ってこないんだよ」


    クリスタ「えっ、じゃあ柔道部も…」


    アニ「いや、うちは2年生が7人いるから大丈夫なんだ」


    クリスタ「そっかぁ…」


    クリスタ「…何とか出来ないかな」


    アニ「んー、一番強いのってミカサなんでしょ?ミカサが中体連で全国行けば…もしかしたら」


    クリスタ「…そうだね」


    言ってしまうと悪いが、正直、今のエレン達が全国に行けるほどの力を持っているとは思わない


    エレン達の1年間の頑張りを間近で見てきたからこそ、とても辛い


    …私が、何か力になれることは無いだろうか


    そんな風にあれこれ必死に対策を考えていたのだが、ついに私達は絶望のどん底に叩き落とされてしまった


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレン「え…ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」


    クリスタ「そんな…」


    ある日の昼休み、顧問のキース先生に話があると突如集められた剣道部の7人


    その内容は、あまりにも残酷で、耐え難いことだった


    アルミン「そんな…剣道部が、中体連をもって廃部が決定…!?」


    リヴァイ「…」


    キース「…あぁ、君たちには本当に申し訳ないと思っている」


    キース「入部届提出期間が過ぎたにも関わらず、新入生の入部希望者は0人」


    キース「中体連により3年生が引退し、残った選手としての部員は3人…5人を満たしてない上、2年生の中で満足な結果を出している者はいない」


    キース「私も非常に残念だが、上からの命令でな、すまない」


    ハンジ「…」


    ミカサ「…なんでっ!!」


    ミカサ「なんで!まだそんなのわからないじゃない…新入生だって!これから入ってくれる人が居るかもしれない!」


    キース「…そう思って、1年生の部活に加入していない生徒全員にアンケートを取らせて貰ったんだ」


    キース「…剣道部に入る予定の者は、誰も居なかった」


    ミカサ「…なら!なら私が中体連で全国に行けばっ…!」


    キース「…確かにそれならば廃部は免れるかもしれない」


    キース「だが、これまでのミカサ・アッカーマンの成績を見ても、全国に行けるとは思えない」


    キース「全国への壁は、そう簡単に…1ヶ月程度で乗り越えられるとは思わない」


    ミカサ「っ!…しかし…」


    ミカサ「…まだ、わからないでしょう」


    キース「…」


    キース「…わかった」


    キース「2年生のうち誰かが中体連で全国大会に出場すれば、退部の件は無かった事にして貰えるように上に取り合ってみる」


    エレアルミカ「…はい」


    クリスタ「…」


    ミカサのおかげで首の皮一枚繋がった剣道部


    だが、その皮もかろうじて繋がっただけであり、状況は何にも変わっていない


    私達4人の顔は暗く、ひしひしと伝わってくる絶望を感じることしか出来なかった


    ――――――――――――――――――――――――――――
  91. 100 : : 2018/07/03(火) 19:21:32
    暗くもなって明るくもなるそんな展開がかけるのは神作を作れる人!

    そうだ!ダイヤさんはそれだw


    期待!
  92. 101 : : 2018/07/04(水) 23:35:02
    >>100
    ごめんなさいこの先暗い展開ばっかりです。
  93. 102 : : 2018/07/05(木) 00:49:35
    疲れを残さないように早めに部活を終わらせて帰ってきた俺達


    そう…明日は、中体連地区予選である


    この予選で2年生がベスト4に入れば、全国へ行ける…と同時に、廃部を阻止することが出来る


    正直、男子の一枠はリヴァイさんで決まりだろう


    あの人が地区予選で負ける訳がない


    ならば、男子は実質三枠…そこに、俺とアルミンが入れるかどうか


    …正直に言うと、一番全道に行ける可能性があるのはミカサだ


    ミカサはハンジさんより若干劣るものの、技術は3年生レベルである


    …女子に頼るってのも恥ずかしいが、そんな事を言っている場合でもない


    だからと言って俺達が諦めているわけではn…「エレン君、エレン君ってば!」


    エレン「えっ!あっ!す、すまんクリスタ…ちょっと考え事を」


    クリスタ「もう…夜ご飯出来たよ?」


    エレン「えっ、あれっ?今日の担当って俺じゃなかったっけ…?」


    クリスタ「エレン君は明日大事な試合でしょ?…今日ぐらい、休んでよ」


    エレン「…ありがとう」


    クリスタ「…いーえ、さ、食べよう」


    エレン「ああ…頂きます」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレン「…」パクパク


    クリスタ「…」モグモグ


    エレン「…」


    クリスタ「…エレン君?それ、苦手な味だったかな?」


    エレン「あっ、いや…すっげぇ美味いよ…」


    エレン「美味いんだけど…」


    エレン「…」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…あんまり思い詰めない方が良いよ?」


    エレン「わかっては、いるんだけど…」


    クリスタ「…大丈夫、エレン君は、この一年間物凄く頑張って来たもん!」


    クリスタ「エレン君の頑張りをずっと見てきた私が保証する!」


    エレン「…あぁ、ありがとな、クリスタ」


    エレン「…」


    そうだ、クリスタは、俺の頑張りを見てきてくれたんだ


    …惚れてる女の子に、カッコ悪いとこ、見せらんねぇよなぁ


    エレン「よーしっ!絶対勝って!全国行って!部活も続けてやる!!」


    クリスタ「うん、私も全力で応援するよ!」


    エレン「…それは嬉しいんだけど、それとは別に、ちょっとお願いが」


    クリスタ「なあに?エレン君の力になれるなら、マネージャーとして、何でもするよ!」


    エレン「えーっと…今日は、ゆっくり落ち着いて眠りたいから、別々の部屋でもいいか…?」


    クリスタ「…うっ…………」


    クリスタ「…むぅ」


    クリスタ「…」


    クリスタ「うん、わかった…」


    クリスタは、少し…いやかなり不満そうな顔をしながら了承してくれた


    すまんな、お前と寝るのは嫌じゃ無いけど、いつも緊張して寝にくいんだよ


    などと心の中で思いつつ、クリスタの膨れた頬を眺めながら、俺は食器を片付けた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  94. 103 : : 2018/07/05(木) 22:57:51
    頑張って下さい!期待していマウス!
  95. 104 : : 2018/07/13(金) 15:09:31
    期待ちんこ
  96. 105 : : 2018/07/16(月) 03:51:12
    期待!
  97. 106 : : 2018/07/18(水) 23:22:02
    大会当日


    エレクリ「おはようございます」


    ハンジ「おお、おはようエレン、クリスタ」


    リヴァイ「おはよう」


    モブリット「おはようございます」


    エレン「…ミカサとアルミンはどちらに?」


    ハンジ「アルミンはまだ来てないね、ミカサはあっち」


    エレン「あっ…おーいミカサ、おはよう」


    ミカサ「………」


    クリスタ「…ミカサ?」


    ミカサ「……あっ!ごめん!おはよう二人とも…」


    クリスタ「大丈夫?ぼーっとしてた?」


    ミカサ「い、いや…ちょっと考え事を…」


    エレン「…」


    そうだ、ミカサは2年の中で一番強い


    そのミカサが背負っているプレッシャーは凄まじい物だろう


    …少しでも、それを軽減してやらないと


    エレン「…ミカサ、自分一人でどうにかしようとしないでくれよ」


    エレン「俺だって全国を目指している、もちろん、アルミンもだ」


    エレン「だから、自分が絶対全国に行かなきゃって張りつめなくていい、お前は、お前らしくいつも通りの剣道をしてくれ」


    ミカサ「…エレン」


    ミカサ「…うん、ありがと、ちょっと楽になった」


    クリスタ「ミカサ!私も精一杯応援してるよ!もちろん、エレン君やアルミンも!」


    ミカサ「…ありがとう」


    ミカサ「よーっし!!皆で全国行って!部活存続させるぞー!!!」


    エレクリ「おー!!!」


    エレン「って、アルミンは?」


    クリスタ「あ、今来たみたい」


    エレン「締まらねぇな…ったく」


    クリスタ「ふふっ」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    少しだけほぐれたものの、やはり緊張は無くならない


    開会式を終えた俺達は、各学校に割り当てられた席に座り自分達の順番を待つ


    刻一刻と迫ってくる時間が、恐怖でならない


    エレン「…すいませんリヴァイさん、ちょっと飲み物買ってきます」


    リヴァイ「おう」


    エレン「…」


    チャリンチャリン ガコンッ


    エレン「…ふぅ」


    クリスタ「緊張してる?」


    エレン「うわぁっ!?クリスタ!?ついてきてたのかよ…」


    クリスタ「ふふ、だってエレン君があんまりにも思い詰めた感じだったからさ」


    エレン「…」


    エレン「…わかっちまうか、クリスタには」


    エレン「ミカサにあんなこと言っておいてさ、ホントは俺が一番緊張してる」


    エレン「この一年頑張って来たことが無駄になるかもしれないって思うと、やっぱ怖くてさ」


    クリスタ「…緊張することは悪いことじゃないよ」


    クリスタ「それだけ、エレン君達が一年間頑張って来た証拠なんだから」


    クリスタ「それに………」


    クリスタ「…それに、エレン君達が勝とうが負けようが、この一年間は無駄にはならないよ、絶対」


    エレン「…」


    エレン「…ありがとな、昨日の夜といい今といい、励ましてくれて」


    そうだ、君が応援してくれるんだ


    ならば、怖い物なんてないじゃないか


    ――――――――――――――――――――――――――――
  98. 108 : : 2018/07/18(水) 23:56:09
    試合が始まってから少し経つ


    俺はなんとか1回戦を突破することが出来た


    相手は同じ2年生、同じように中学から剣道を始めたようだ


    俺は自分の席へ戻ろうとした時、突然話しかけられた


    エレン「ふぅ………ん?」


    男子「なぁ、イェーガー君っ!!」


    エレン「あ…えーっと、さっき試合した人…だよな?」


    男子「うん!なぁ、君2年生だろ?いやぁ、強いなぁ、悔しい!」


    エレン「あ、あぁ、ありがとな」


    男子「俺もこれからまだまだ練習して強くなるからな!来年の中体連までには勝ってやる!!」


    エレン「あ、あぁ…お互い頑張ろうぜ」


    男子「おうよ!」


    …来年の中体連、か


    いいよなぁ…あと一年練習出来るなんて


    俺達は…この大会で負ければ…


    …なんて、自分の置かれてる状況を皮肉に思いながら、俺は皆の待つ席に戻る


    ――――――――――――――――――――――――――――


    席に着くと、何やらアルミンが泣いている


    クリスタ「あっ、エレン!1回戦突破おめでとう…」


    エレン「ああ、ありがと…アルミンは…」


    クリスタ「アルミン…1回戦で負けちゃったんだ」


    エレン「…そっか、アルミン、お疲れ様」ナデナデ


    アルミン「うっ、えぐっ…」ポロポロ


    アルミンの相手は同じ2年生、だが、技術が足りていなかったらしい


    アルミンは努力家だから、きっと、あと1年練習すればかなり強くなると思う


    エレン「…大丈夫だアルミン、俺とミカサに任せてくれ」


    アルミン「…ぐすっ」ポロポロ


    クリスタ「あ!ミカサも戻って来たみたいだよ!おーい!ミカs…」


    エレン「っ!?」


    俺達は、声が出なかった


    ハンジさんと帰ってきたミカサが、泣いていたからだ


    クリスタ「…ミカサ」


    ハンジ「ミカサ……負けちゃったんだ、1回戦で」


    エレン「ミカサが…!?」


    ハンジ「ああ、正直私も驚いたよ、1回戦は大丈夫だと思っていたから」


    ミカサ「ごめん、皆っ!ごめんっっ!!」ポロポロ


    エレン「相手は…これまでの大会で何回か戦った3年生ですよね?」


    ハンジ「ああ、その全試合でミカサは相手の3年生に勝ってる…だが」


    ハンジ「相手だって、2年間必死に練習してきた3年生なんだ…簡単に倒せるような敵じゃなかったってことだね」


    クリスタ「ミカサ…」


    ミカサ「うっ、うぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ボロボロ


    アルミン「……うっ」ポロポロ


    エレン「…」


    エレン「…ミカサ、アルミン、辛いよな、悲しいよな、悔しいよな」


    ミカサ「え…れん」ポロポロ


    アルミン「…ひぐっ」ポロポロ


    エレン「でもさ、俺はまだ、負けてない」


    アルミカ「…っ」ポロポロ


    エレン「俺を信じろ、必ず、全道へ行って部活を存続させてやる」


    アルミカ「え、れん……………」ポロポロ


    そう言って、俺は二人の頭をポンと叩いて2回戦への準備を始めた


    クリスタは、二人の頭を撫でていた


    ――――――――――――――――――――――――――――


    俺の2回戦目の相手は3年生だったが、そこまで強くなかったので勝つことが出来た


    エレン「…」ペコリ


    3年「…」ポロポロ


    3年「…」ペコリ


    エレン「…」


    …泣いてる


    そりゃそうだ、あの人もこれで引退なんだから


    だからと言って、罪悪感を感じたりはしない


    強いて言うなら…同情かな、気持ちはよくわかる


    俺だって、引退を賭けた試合なのだから


    ―――――――――――――――――――――――――――


    とにもかくにも、これで3回戦へ進出することが出来た


    あと2回勝てばベスト4…全国に行けるのである


    そうすれば、俺達は部活を存続させられる…


    最後まで、やり切ることが出来る…


    …だが、


    次の相手はトロスト中の副部長、かなり強い


    今までの大会で、何度も負けている…


    …勝てるだろうか


    ………いや、勝たなければならない


    アルミンの為にも、ミカサの為にも…


    そして何より…クリスタの為にも


    ――――――――――――――――――――――――――――
  99. 109 : : 2018/07/19(木) 00:30:59
    エレン「…」ペコリ


    副部長「…」ペコリ


    落ち着け、落ち着け、集中するんだ


    そう言い聞かせ、心を鎮める


    お互いに蹲踞をする、会場が静かになる


    審判「はじめっ!」


    お互いに立ち上がり、間合いを取る


    エレン「………」


    副部長「…」


    竹刀の先がぶつかり合い、互いに攻めるタイミングを見計らう


    …すると


    副部長「やぁぁぁぁぁ!!!」


    エレン「っ!」


    相手が攻め込んできた


    集中はしていたものの反応に遅れた


    なんとか初手を受け堪え、再び間合いを取ろうとする…と思った矢先、


    ビシッ


    エレン「っ!!」


    …同時に白旗が上がる


    今の一手は有効、つまり、1本取られてしまった


    小手…あの一瞬で打たれるとは…


    相手選手の落ち着いた様子が見られる


    …やっぱり強い、このまま、負けてしまうのか


    …ふと、誰かの顔が思い浮かんだ


    他でもない、クリスタだ


    …なんで俺は、アルミンでもミカサでもなく、あいつの為に勝ちたいと思ったのだろうか


    クリスタは直接剣道をしている訳ではない、マネージャーとしてサポートをしてくれているだけだ


    言っちゃ悪いが、俺やアルミン、ミカサと比べると、クリスタは剣道部が無くなる事に対して『悔しい』という気持ちは少ないだろう


    だが、1年間クラスも一緒だったからわかる、あいつは、この学校で部活をしている時が一番楽しそうな顔をしてた


    皆に必死に振る舞っていた笑顔より、数倍も輝いて見えた


    きっと、この部活はあいつが小学校…いや、幼稚園の時と同じように、何も気にせずに心から笑える場所なんだ


    …ただでさえ俺達とクラスが離れて不安なはずだ、その依り所となる場所を、奪いたくない


    決意をした、その瞬間、2本目が始まる


    1本目とは違い相手がいきなり攻めてくる、虚を突き冷静さを失わせるつもりだったのか、だが


    ビシッ


    相手も焦っていたのだろうか、隙のある手に小手が決まる


    冷静に対処されたのが意外だったのか、驚いた様子で相手の息が少し荒くなる


    それも束の間、すぐに3本目が始まる


    今回は1本目同様、お互いに間合いを取る


    流石、強豪校の副部長なだけある、さっき荒ぶった息ももう鎮められてる


    こればかりは、経験の差だ


    などと嘆いている暇もない、睨み合いが続く


    相手の出方を伺って、動けずにいる、だが


    永遠にも続くように思えた睨み合いも、すぐ終わる事になる


    …仕掛けてきた


    面狙いでくる相手の竹刀を、冷静に受ける


    鍔迫り合いになり、緊張が走る


    …刹那


    強引に面に持っていかれる…と、同時に、俺の竹刀も相手の面を狙いすましていて


    パパァンッ!!


    会場に音が鳴り響いた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  100. 110 : : 2018/07/24(火) 10:15:48
    期待です(^.^)
    どっちなんだ…!?
  101. 111 : : 2018/07/30(月) 10:28:09
    期待
  102. 112 : : 2018/07/30(月) 10:29:13
    はやく続きを‼︎
  103. 113 : : 2018/08/02(木) 19:58:23
    互いの頭に竹刀が当たる


    両者有効の面である


    …判定は


    俺の方に白旗が上がっていた


    一瞬呆気にとられたが、すぐに強敵を倒した喜びが込み上げて来た


    …が、剣道は神聖な競技、相手の前で声を上げる事をぐっと堪えて


    蹲踞をし、一礼をする


    …相手の副部長は、泣いていなかった


    ――――――――――――――――――――――――――――


    俺が戻ると、クリスタが真っ先に走ってきて俺の手を取る


    クリスタ「エレン君!おめでとう!凄いよ!!あのトロスト中の副部長に勝つなんて!!」


    エレン「おお、ありがとな!ほんっとに、ヤバ…嬉しい…」


    アルミン「エレン!すっごいよ!良い試合だった!!」


    ミカサ「うん…うん、ホントに!」


    泣き止んだ二人も、お祝いの言葉をかけてくれる


    ハンジ「いやーっ、見てるこっちが緊張したよ!正直、勝てるとは思ってなかったし…」


    エレン「ちょ、ハンジさん酷いですって…」


    ハンジ「あはは、ごめんごめん」


    リヴァイ「エレン…成長したな」


    エレン「あっ、ありがとうございますっ!!」


    嬉しかった


    ただただ、目の前の勝利が嬉しかった


    …ただ、気づくべきだった


    エレン「よっしゃ!これであと1勝すれば全国!剣道部も存続でk…」


    その一言を発した時


    …急に、皆の様子が変わった


    ――――――――――――――――――――――――――――
  104. 114 : : 2018/08/02(木) 20:55:51
    …ちゃんと見ていなかった


    本来、気づくべきはずだが…何故だろうか、頭からすっぽりと抜けていた


    いや、気づいていた所でどうしようもなかったのだが


    エレン「…次の試合の相手」


    エレン「……………リヴァイさん」


    …今まで、憧れ、追いかけて来ていた最強の背中


    それが今から…最強の壁となる


    リヴァイ「エレン…」


    エレン「…」


    エレン「…リヴァイさん」


    リヴァイ「…」


    エレン「…間違っても、手加減する…ましてや、わざと負けるなんてこと、しないで下さいよ」


    リヴァイ「……………あぁ」


    リヴァイ「元々………そのつもりだ」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    その時間はあっという間にやってくる


    一礼、蹲踞、1年間試合前にやってきた、当たり前の動作だ


    違うことと言えば、相手が未だ負けたのを見たことの無い最強の先輩ってこと


    そして、お互いに引退がかかっている、ということだ


    そうだ、ただそれだけだ


    緊張?萎縮?そんなものはない、ただ、自分の持っている力を出し切り、勝つだけだ


    審判「はじめっ!」


    俺は今出せる全身全霊をもって、先輩に立ち向かった


    ――――――――――――――――――――――――――――


    …本当に一瞬の事だっただろう


    俺の全身全霊に答えるように、先輩も全身全霊を出した


    …結果は面を2本決め、リヴァイさんの圧勝


    ………わかってはいた


    ………だが、勝つ気もあった


    だからこそ、こんなにも、悔しいんだ


    終わった。俺の敗北と同時に、シガンシナ中剣道部の、廃部が決定した


    だが、涙は流さなかった


    1つ前の試合、トロスト中の副部長と同じように


    最後まで、相手に敬意を払って………


    ――――――――――――――――――――――――――――


    帰った俺は、クリスタにお疲れ様、と一言だけ言われ


    その後は互いに何も口にせず、ただリヴァイさんの応援をした


    リヴァイさんとトロスト中の部長が勝ち進み、決勝戦


    トロスト中の部長もかなり強く、リヴァイさんであろうと圧勝は出来ない


    けれども、リヴァイさんは勝ってくれた、流石だ


    モブリットさんはベスト4、女子の方は、ハンジさんが準優勝


    …ホント、うちの先輩方はかっこいいなぁ


    …俺も、あんなふうに


    ――――――――――――――――――――――――――――
  105. 115 : : 2018/08/02(木) 21:34:57
    1ヶ月が過ぎ、中体連の全国大会


    モブリットさんは1回戦、ハンジさんも2回戦で敗退


    そんな中、皆が送る大歓声の中で、リヴァイさんは優勝した


    『全国優勝』


    廃部が決まっているシガンシナ中剣道部に、最後の大きな思い出を残してくれた


    本当に、あの先輩は凄い


    ――――――――――――――――――――――――――――


    ハンジ「えー、それでは、リヴァイ全国優勝記念&みんなお疲れ様って感じの打ち上げを、始めまーすっ!!!」


    ハンジ「湿っぽいのは無しだ!飲め~!食え~~!!歌え~~~!!!」


    エレン「ちょ、歌うのは不味いですって!ここ飲食店!」


    そんな訳で、打ち上げとしてバイキング形式の焼き肉店に来ているのだが…


    ハンジ「あははははははははははは/////」


    アルミン「あれ…酔ってないですよね?僕らまだ未成年…」


    モブリット「大丈夫です、コーラで酔うだけなんで」


    クリスタ「酔ってはいるんですか!?」


    リヴァイ「ちっ、静かにしろ…肉を焼くのに集中できないだろうが…」


    ミカサ「リヴァイ…昔っからこーゆーのめちゃくちゃ綺麗に焼くよね…」


    エレン「はは、ははは…」


    その後も騒いだせいでハンジさんだけ出禁になった


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレン「ふぅ…」


    リヴァイ「よっと、食ってるか?エレン」


    エレン「リヴァイさん…はい、それなりには」


    リヴァイ「…」


    エレン「…」


    エレリヴァ「………」


    エレン「…あのっ!」


    エレン「改めて、優勝、おめでとうございます!やっぱり、リヴァイさんは最高の先輩です!」


    リヴァイ「…ああ」


    リヴァイ「…」


    エレン「…」


    エレン「っと、飲み物が切れてたんだった、失礼しますっ」


    リヴァイ「…」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    ハンジ「えー、それではっ!そろそろ打ち上げも終わりなので、各々から皆に向けた一言を言って貰います!」


    ハンジ「はい、左から!モブリット!」


    モブリット「えっ、あっ…えーと、本当に、この2年間は楽しかったです。3年生も2年生も、皆大切な仲間です!」


    ハンジ「普通、はい次っ!」


    モブリット「えぇ…」


    アルミン「えと…運動が苦手な僕でも、丁寧に教えてくれて嬉しかったです。結果は出せませんでしたが、それ以上の物を得れた…と、思います。ありがとうございました」


    ハンジ「んぅ~、アルミンらしくてGood!!じゃあ次!」


    ミカサ「えと…湿っぽいのは無しですよね…じゃあ」


    ミカサ「最後に負けた悔しさ、一生残ると思います。その悔しさと、皆と学んだことを活かし、これからの人生で活用していこうと思います!」


    ハンジ「ミカサは伸びる子だからね…期待してるよっ!次っ!」


    クリスタ「そうですね…えと、こんな私だから、皆のマネージャーとして支えてあげれてたか不安なんだけど…凄く、すっごく楽しかったです!ありがとうございましたっ!!」


    ハンジ「うん!可愛いっ!ヒストリアは私達の癒しの天使だったよ!ありがとね!次っ!」


    エレン「んーと、そうだな…最初はリヴァイさんに憧れて入った感じだったけど、剣道を好きになれてよかったです!」


    エレン「結局最後まで3人とも憧れの先輩でした!2年生3人も、一緒に居てくれてありがとなっ!!」


    ハンジ「エレンらしくて爽やかっ!!じゃあ次のリヴァイは…最後にして、私からっ!!」


    ハンジ「みんな頑張った!お疲れ様っ!!大好きだよっ!!!」


    アルミン「シンプルですね…」


    ハンジ「シンプルイズザベストッ!!では最後は部長のリヴァイからの一言で締めて貰いましょう!!」


    リヴァイ「…」


    リヴァイ「………」


    リヴァイ「…お前ら」


    リヴァイ「ありがとな」


    こうして、シガンシナ中学校剣道部は、幕を閉じた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  106. 116 : : 2018/08/03(金) 00:54:15
    その夜 エレン家


    クリスタ「ふぅ…良いお湯でした」


    エレン「あ、クリスタあがったか、もう眠いよ俺は…」


    クリスタ「先に寝てても良かったのに!」


    エレン「い、いや…先に風呂入らして貰っといて先に寝るのは悪いなって思って…ふわぁ…」


    クリスタ「気を使わなくていいのに…それじゃ、早く寝ようか」


    エレン「ああ」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレンの部屋


    エレン「よいしょ…なんか一緒に寝ることが当たり前になっちゃったな…」


    クリスタ「良いじゃない、幼稚園の頃だって毎夜一緒だったし」


    エレン「いや、もう俺ら中学生………まあいいか」


    クリスタ「どうしよ、私もうエレン君無しじゃ寝られないかも」クスクス


    エレン「子供みたいなこと言うなよ……まあ、気にしないけどさ」


    エレン「…寝るぞ、おやすみ」


    クリスタ「おやすみエレン君…の、前に」


    エレン「…なんだよ、俺はもう眠いんだが」


    ナデナデ


    エレン「くっ、クリスタ!?///」


    クリスタ「…」ナデナデ


    エレン「ちょっ、ちょっ、なんで撫でて…///」


    クリスタ「無理してるでしょ」


    エレン「え…」


    クリスタ「わかるよ、ここ1ヶ月エレン君が無理をしてるって」


    クリスタ「廃部が決まったあの中体連の日から、ずっと」


    エレン「な、なに言って…」


    クリスタ「エレン君が無言でいる時、心に穴が開いたような表情してる、私には、わかるんだって」


    クリスタ「ずっと、ずっと我慢してたんでしょ、良いんだよ………泣いても」


    エレン「…」


    エレン「い、いや…その…確かに、クリスタの言う通り少し無理をしてたかもしれない…けど、泣くってのは、恥ずかしいというか、カッコ悪いっていうか…」


    ギュッ


    エレン「く、クリスタ!?」


    クリスタ「エレン君、私が前に無理をして倒れた時、言ってくれたよね」


    クリスタ「俺の前ではいつもの私でいて欲しいって…」


    エレン「あ、あぁ…」


    クリスタ「だから、私も同じ」


    クリスタ「私の前でくらい、素直になって良いんだよ?全部、受け止めてあげるから」


    エレン「え、いや…その」


    クリスタ「…」ナデナデ


    エレン「ちょっ、待っ…」


    クリスタ「…」ナデナデ


    エレン「ちょ、クリ…」


    クリスタ「…」ナデナデ


    エレン「…」


    クリスタ「…」ナデナデ


    エレン「………………ひっ、えぐっ」


    クリスタ「…」ナデナデ


    エレン「うっ、あ、ああああああ!!!あああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!」ポロポロ


    クリスタ「…」ナデナデ


    エレン「…お、俺っ、俺っ!!頑張ったんだよ…一年間…ずっと…ずっと」ポロポロ


    クリスタ「…うん」ナデナデ


    エレン「いつかっ!先輩、たちみたいになれるようにっ!目指、して…」ポロポロ


    クリスタ「…うん、うん」ナデナデ


    エレン「ずっと…ずうっと…」ポロポロ


    クリスタ「…うん、わかってるよ、エレン君達が頑張って来たこの1年は、私がちゃんと見てた」ナデナデ


    エレン「なのにっ!なのに俺っ!その、全部を無駄に、してっ!!!」ポロポロ


    クリスタ「…んーん、エレン君が頑張った一年間は、決して無駄になんかならないよ」ナデナデ


    クリスタ「きっと、その経験が、いつか役に立つから」ナデナデ


    クリスタ「…」ギュッ


    エレン「クリ、スタ…」ポロポロ


    俺は、泣いて泣いて、泣きまくった。子供のように


    その間、クリスタはずっと頭を撫でてくれていた


    そしていつの間にか、静かに眠りへとついていった


    エレン「すぅ…」


    クリスタ「…寝ちゃったかな」


    エレン「…く、りすた…ちゃ…ん」


    クリスタ「…っ!」


    クリスタ「…ふふ、その呼ばれ方、久しぶりだなぁ…寝言でも、嬉しいよ」


    クリスタ「…例え、エレン君がどんなにカッコ悪い姿を見せても、私は嫌いなんかならないよ」


    クリスタ「………」


    エレン「…すぅ」


    クリスタ「……おやすみ、エレン君」ナデナデ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  107. 117 : : 2018/08/03(金) 01:02:31
    一応ここまでで大体半分ぐらいに到達しました

    この先の展開、結構ヘビィな内容になっているのでご注意ください

    幼稚園、小学校よりかなり長めになりますが、最後まで呼んで頂けると幸いです
  108. 118 : : 2018/08/03(金) 09:47:00
    期待してます
  109. 119 : : 2018/08/03(金) 20:49:10
    期待してるz!
  110. 120 : : 2018/08/04(土) 00:44:00
    翌朝、目が覚めると大好きな人をずっと抱きしめていた事に気付く


    私はちょっと恥ずかしくなったが、今この幸せを逃さないように彼の胸の中に顔をうずめる


    彼の眼は赤く腫れていた、昨日の涙のせいだ


    声変わりして低い声、小学生の頃より圧倒的に差がついた身長、男らしく全身についた筋肉


    などと、大人びてしまった彼だったが


    昨夜だけは、幼稚園の頃を思い出させてくれるような一面を見せてくれて、安心していた


    クリスタ「…泣き虫で可愛いエレン君も好きだよ」


    自分で言ってちょっと頬を赤らめながら、起こさないように静かに部屋を出ていく


    ――――――――――――――――――――――――――――


    数日後 昼休み


    アニ「へぇ…それで無くなっちゃったんだ、剣道部」


    クリスタ「うん…本当に残念だよ」


    アニ「確かに剣道部の部室、今は野球部の用具入れになってるしね、メジャーなスポーツってのは人数が多いから」


    クリスタ「…ホント、あと一年あれば男女全国行けるほど強いのに、惜しいなぁ」


    クリスタ「特にね、エレン君なんか凄いんだよっ!あのトロスト高校の副部長に勝っちゃったの!!」


    アニ「へぇ……………エレンが」


    クリスタ「うんっ!!もう私すっごく感動しちゃって!!!」キラキラ


    アニ「……ヒストリアちゃん、エレンの話だとすっごい楽しそうだね」


    クリスタ「えっ、あっ、そ、そうかな!?」


    アニ「……………………」


    クリスタ「…アニちゃん?」


    アニ「ん、別になんでも」


    クリスタ「…?」


    女子1「ねぇねぇヒストリアさーん」


    クリスタ「えっあっ、何か用?」


    女子1「ちょーっと一緒に来てくれないかなぁ??」


    クリスタ「…?いいよ?」


    女子1「やったぁーありがとーぅ」


    クリスタ「アニちゃんごめんね、ちょっと行ってくる」


    アニ「………」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  111. 121 : : 2018/08/04(土) 00:57:51
    クリスタ「…で、来てほしいって、体育館裏?」


    女子1「うん、あたし達の話聞いて欲しいんだぁ」


    女子2「あー!遅いよ!」


    女子3「私達5分も待ったんですけどー」


    女子1「ごめんごめんー!」


    クリスタ「…それで、どうしたの?」


    女子1「あーそれでね、あたしら放課後カラオケ行きたくてさぁー」


    クリスタ「え…でも帰り道にそういう所に行くの、校則で禁止されてるハズじゃ…」


    女子2「固いこと言わないでよー、そんな、誰かに迷惑かける事してるわけじゃないんだしー」


    クリスタ「そう、だけど……それで?」


    女子1「それでさぁ、カラオケ行くためのお金、持ってきてないんだよねぇ」


    クリスタ「そりゃあ、それも校則で禁止されてるし、結構抜き打ちで持ち物検査されるからね」


    女子1「そ・こ・で!!ヒストリアさん、お金持ってきてるよね?貸してくれない?」


    クリスタ「え…まあ、うん…そうだけど、これは…」


    女子3「知ってるよー?ヒストリアさんち、親居ないんだもんねぇ、帰り道に買い物する為に持ってくるの、特例で認められてるんでしょ?」


    女子2「A組のエレン君だかもそうだよねぇ、ホント、頭が良い人達は特例とか認められて、ズルいわぁ」


    女子1「だからさぁ、貸してくれない?」


    女子1「頼むよぉー、クラスメイトのよしみでさぁ」


    クリスタ「…」


    正直、あんまり貸したくはないけど、断ったら嫌なやつに思われちゃうかもしれない


    …エレン君には周りからの好感度なんて気にすんなって言われたけど、やっぱり嫌われるのは嫌だよ


    クリスタ「…いいよ、いくら?」


    女子1「ありがとぉー!とりあえず5000円で!」


    クリスタ「……はい」スッ


    女子1「どーもどーもー」


    女子2「さんきゅー」


    女子3「マジ助かったわー」


    女子1「んじゃねっ!」


    トコトコトコ


    クリスタ「…」


    いい、よね…これくらいなら


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタ「…」スタスタ


    アニ「ヒストリアちゃん?なんだったの?」


    クリスタ「…あっ、ううん!なんでもないよっ!」


    アニ「…教えてくれないの?」


    クリスタ「大したことじゃないから!あっ、もうそろそろ昼休み終わっちゃうよ!」


    アニ「…」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    放課後


    アニ「あっ、私そろそろ部活の時間だ」


    クリスタ「そうなの?頑張ってね!」


    アニ「うん」


    エレン「あっ、おーいクリスター!」


    クリスタ「エレン君!」


    アニ「エレン…」


    エレン「お、アニ久しぶりー、元気してたか?中学入ってから全然喋らなくなったよなー、まあ小学の時もそんな喋ってないけど」アハハ


    アニ「そだね…うん、久しぶり」


    エレン「クリs…ヒストリアと仲良くしてくれてありがとな!こいつ人見知りだからクラス離れて心配でよー」


    クリスタ「ちょ、ちょっとエレン君!!」


    恥ずかしかった、だけど、実際アニちゃんが居なかったらクラスで独りぼっちだったかもしれない


    だから、アニちゃんにはすっごく感謝してる


    アニ「…」


    アニ「…少し前から気になってたんだけど、その…クリスタってのはなんなの?」


    エレン「あっ、んー、なんていうか…ヒストリアのニックネームっていうか…愛称?みたいな…」ハハハ


    アニ「愛…称、ね…そっか」


    アニ「………私、もう行くね」


    クリスタ「あっ!ばいばい!また明日ね!」


    エレン「またなっ!!」


    アニ「…」フリフリ


    クリスタ「…」


    なんだか、さっき少しだけアニちゃんの表情が曇った気がした


    ――――――――――――――――――――――――――――
  112. 122 : : 2018/08/04(土) 22:40:19
    お、応援します頑張ってください!
  113. 123 : : 2018/08/05(日) 00:55:09
    クリスタ「えと、アルミンやミカサは?」


    エレン「確か今日は委員会って言ってたかな、ほら、あいつらまた学級委員長と副委員長なんだよ」


    クリスタ「よく進んでそういうの出来るね…尊敬するよ」


    エレン「ああ、だから今日は先に帰って良いよってさ」


    クリスタ「そっか、じゃ、二人で帰ろっ♪」


    エレン「いやぁ、やっぱ部活が無いと暇になっちゃうよな…」


    クリスタ「…エレン君は、別の部活に入る気は無いの?」


    エレン「…今更入っても中途半端だしな、それに、剣道以外はやる気が無いよ」


    クリスタ「…そっか」


    エレン「そういうクリスタは入らないのか?無理に俺に合わせたりしなくても良いんだぞ?」


    クリスタ「わ、私は良いよ!剣道部だって皆が入るから入ったし…」


    クリスタ「…エレン君と一緒に帰りたいし」ボソッ


    エレン「ん?後半なんて言った?」


    クリスタ「なんでもっ!」


    エレン「まー、俺ら家の事もやんなきゃいけないしな、そういう意味じゃ早く帰れるのはありがたい」


    エレン「どうする?今日はスーパー寄ってくか?」


    クリスタ「あっ、え、えーと…今日ちょっとお金持ってくるの忘れちゃって」


    エレン「そうなのか?まあ俺が持ってきてるから行こうぜ、今日はクリスタが料理担当だから楽しみなんだよな」


    クリスタ「うん…ありがとね」


    …流石に、エレン君に言えない


    クラスの子にお金貸しちゃったって…怒られそうで、怖い


    ――――――――――――――――――――――――――――


    次の日


    クリスタ「あっ、おはよ、アニちゃん」


    アニ「おはよ、今日はいつもより早いんだね」


    クリスタ「…ちょっと用事があってね」


    …早めに返して貰おう


    そうだ、なるべく問題が起きる前に、早く…


    あの子たちは…まだ来てない


    でも、教室でお金返してなんて言えないし…


    呼び出すってのも…ちょっと怖い、なんて切り出そう…


    アニ「ヒストリアちゃん?なんか考え事?」


    クリスタ「あっ、ちょ、ちょっとねっ!」


    …結局、その日は言い出すことが出来なかった


    放課後は三人ともすぐに帰ってしまった


    …今度、今度ちゃんと返して貰おう


    ――――――――――――――――――――――――――――


    数日後 昼休み


    女子1「ヒストリアちゃーん、ちょっと来てほしいんだけどぉー」


    クリスタ「えっ、ああ…うん、わかった」


    女子2「…」スタスタ


    女子3「…」スタスタ


    アニ「…」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  114. 124 : : 2018/08/05(日) 00:56:58
    体育館裏


    女子1「ごめんねぇ、また呼び出しちゃってぇ」


    クリスタ「別に大丈夫だよ、私もちょうど言いたいことあったし」


    クリスタ「…この前貸したお金、返してくれる?」


    女子1「あー、その件なんだけどぉ…返そうと思って持って来たら先生に見つかって没収されちゃったんだよねぇ」


    クリスタ「え…」


    女子1「流石にさぁ、ヒストリアちゃんに返す為に持って来たんです!なんて言えないじゃん?貸してるヒストリアちゃんも指導されちゃうし」


    女子2「…」クスクス


    女子1「私もヒストリアちゃんの為を思って没収されたのさー、しょうがないよね?」


    クリスタ「………それは、まあ…しょうがないよ、うん」


    クリスタ「でも、お金はちゃんと返してよ?」


    女子1「わかってるぅってー、今度休日に返すからさぁ、ほらコレ、私の連絡先」


    女子1「ヒストリアちゃんのも教えて?連絡するからさぁ」


    クリスタ「…わかった、紙に書いて渡すね」


    女子1「うん、ありがとぉ、それでー、すっごい言いにくいんだけどぉ、今日もお金、貸してくれない?」


    クリスタ「えっ、今日も!?前の返して貰ってないのに…」


    女子1「纏めて返すってぇ、頼むよー、ヒストリアちゃん経由でお金借りたら、朝の持ち物検査にもひっかからないしさぁ」


    女子1「ここは人助けだと思って!お願い!」


    クリスタ「……………わかったよ」


    クリスタ「……5000円でいいの?」


    女子1「うん、ありがとぉ!」


    女子2「さんきゅーなー」


    女子3「感謝してるよー」


    クリスタ「…」


    私は、なんで強く拒否することが出来ないんだろうか


    ――――――――――――――――――――――――――――


    その後、返すという連絡は一切来なく、


    それどころか…


    プルルルル


    クリスタ「はい、もしもし」


    女子1「あー、ヒストリアちゃん?悪いんだけど、明日1万円持ってきて貸してくれない?」


    クリスタ「なっ、なんで!!それにまだ、前の返して貰ってな…」


    女子1「明日はカラオケの後に皆でご飯食べに行くんだよぉー、お願いねぇー!」


    プツリ


    クリスタ「…」


    さらにお金を貸して欲しいという電話がかかってくるようになった


    ――――――――――――――――――――――――――――


    毎回毎回エレン君が居ないときに電話をかけてくる、何故だろうか


    日を増すごとに貸して欲しいという金額も上がってきて…


    …ついには


    女子1「あっ、ヒストリアちゃん?明日はぁー、5万円持ってきてほしいんだけどぉ」


    クリスタ「ごっ、5万円!?なんでそんな大金…」


    女子1「先輩方とパーティするのさぁー、ねっ、良いでしょ?」


    クリスタ「…っ、いい加減に」


    女子1「そんじゃよろしくねー」


    プツリ


    クリスタ「し、て…よ…………」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  115. 125 : : 2018/08/05(日) 11:27:27
    これってある意味少年院行きになりそう
  116. 126 : : 2018/08/05(日) 12:47:19
    これはマジで最高のssやわw
    もし荒らしとかあっても無視でマジで書き続けてw
    最高すぎ
  117. 127 : : 2018/08/07(火) 00:32:13
    次の日 昼休み 体育館裏


    女子1「あっ、来た来た、ヒストリアちゃん」


    女子2「ちゃんと持ってきてくれた?」


    クリスタ「………………」


    クリスタ「……持ってきて、無いよ」


    女子3「へぇ、なんで?」


    クリスタ「いい、加減にしてよっ!!」


    流石に私も、堪忍袋の緒が切れた


    クリスタ「なんでいつもそんな大金を貸してあげないといけないのっ!!」


    クリスタ「今まで貸したお金もっ!一度たりとも返してくれないしっ!!」


    クリスタ「そんなことならもう先生n…ガフッ」


    女子1「へぇ…そんな態度取るんだぁ…酷いなぁ」


    クリスタ「ぐっ、げほげほっ」


    一瞬、何をされたか理解出来なかった


    が、痛みで自分に起きたことを悟る、そう、殴られたのだ、お腹を


    女子2「私達がこーんなに頼んでるのに、ねぇ」


    クリスタ「けほっ、けほっ…」


    女子3「いーや、わかったよ、こんな反抗的な態度取るんだもん」


    女子1「ヒストリアちゃんさぁ、これから、覚悟してね?簡単に許してなんてあげないからぁ」


    女子1「あー、言っとくけどぉ、この事先生とか他の人に言ったらぁ…」


    女子1「あんたの大事な大事なイェーガー君を…殺しちゃうからぁ!」


    クリスタ「っ!?」


    女子2「ヒストリアちゃんさぁ、1年の時、意味もなく話しかけてる女子3人が居たでしょ?」


    女子2「あの3人、私達の親友なんだよねぇ、で、今はイェーガー君と同じA組…」


    女子3「後ろからぁ、ナイフを刺すことだって簡単に出来ると思うしー」


    女子1「仮にイェーガー君にそれを伝えて回避されたとしてもぉ、知り合いの高校生のこわーい先輩に復讐して貰うよう言っておくからぁ」


    女子1「たとえー、私達が先に先生に掴まったとしてもぉ、ぜーったいに、ねぇ?」


    女子1「だからぁ、もう理解してると思うけど一応言っておくよぉ」


    女子1「この事は、誰にも言うんじゃねーぞ」ボソリ


    そう、耳元で呟かれた


    クリスタ「…」ガクブル


    女子1「それじゃあねぇー」


    私は、どうすることも出来ず、


    ただ、呆然と、過ぎていく3人の姿を眺めることしか出来なかった


    ――――――――――――――――――――――――――――


    …それからと言うもの


    私が学校に来ると、上履きが無くなっていたり


    机の中に虫が入っていたり


    授業中に消しゴムか何かが飛んで来たり


    昼休みに連れていかれ、お金を請求されたり


    憂さ晴らしに殴られたり


    …そんな毎日を送っていた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  118. 128 : : 2018/08/07(火) 01:32:15
    職員室


    クリスタ「…失礼します」


    トコトコトコ


    クリスタ「あの、先生…授業後に集めたプリント届けに来ました」


    オルオ「おう、さんきゅ」


    クリスタ「…」


    オルオ「どうした?もう行っていいぞ」


    クリスタ「………あの、先生…」


    オルオ「ん?」


    クリスタ「いえ、ごめんなさい、なんでも…ありません」


    オルオ「そうか」


    クリスタ「…失礼しました」ペコリ


    ガララッ


    教師「オルオ先生、良いんですか?」


    オルオ「何が?」


    教師「あの生徒、何か悩み事があるように見えましたよ、聞いてあげなくて良いんですか?」


    オルオ「そんなもんあいつが言いたくなった時に言ってくるだろ、言いたくないならそっとしてやるのが教師ってもんよ」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    …言えなかった


    言いたかった…私が、いじめられているって


    でも…でも、話したら…エレン君が…エレン君が………


    ――――――――――――――――――――――――――――
  119. 129 : : 2018/08/08(水) 21:32:38
    女子1「あー、きたきた」


    クリスタ「…」


    女子1「ちゃんと昨日電話した通り10万円持ってきたぁ?」


    クリスタ「そんなに、持ってないよ」


    女子1「はぁ?何言ってんの?元王族の娘なんだからそれぐらい安いもんでしょ?」


    クリスタ「私は…王族として扱って貰ったことなんて…一度m…ガフッ」


    女子2「うるせぇよ、黙って金出してりゃ痛い目合わなかったのによぉ」


    女子3「あーあ、今日はパーッとお金使って遊びたかったんだけどなぁ」


    バキッ


    クリスタ「くっ、うぅ…」


    クリスタ「…なんで」


    女子2「あぁん?」


    クリスタ「なんで…私にこういうことするの?私…何にも…」


    女子1「…」


    女子1「はぁ…最初はさぁ、ある人に頼まれていじめるようにしたんだよ」


    クリスタ「ある…人?」


    女子1「その人がさぁ、レイス家に恨み持ってんの、だからあんたに復讐するよう頼んできたのよ」


    女子1「私達も最初は命令されてやってたけどさぁ、だんだん私達もうざく思えてきて、今は自分の意志でやってるよぉ」


    女子2「あんたと1年の時クラス一緒だった女子達から聞いたけど、男にばっか愛想よく振る舞ってモテてたとか?うぜーわ」


    クリスタ「っ!?ちがっ…」


    違う、女の子に対しても愛想よく接してた、男の子がいっぱい話しかけてくるから必然的に話すのが多くなるだけで


    女子3「いーよねぇ、いかにも男が好きそうな顔しちゃってー、それ使って可愛い子ぶって?腹立つわー」


    クリスタ「違うよ!そんな事!!」


    女子1「あーうざっ、話してたらマジでイライラしてきた」


    チャキッ


    クリスタ「っ!?そ、それ…」


    女子1「見りゃわかるでしょ、カッターだよ?」


    クリスタ「いや…いや…やめて…離して」


    女子1「心配しなくても痛み与えるだけで浅く切るし、見えるよーな位置にはやらないって」


    女子2「周りのやつらにバレたら面倒だしねー」


    クリスタ「いや…いやっ!いやっ!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    女子3「あースッキリした、んじゃねー」


    女子2「明日はちゃんと10万、持って来いよ?」


    女子1「じゃないと今度は右腕だからねぇ?」


    クリスタ「…ひっく、ひっく」ポロポロ


    痛い、痛い、切られた傷は浅いけど、それでも凄く痛い


    左腕から血が流れてる、ティッシュで押さえれば止まるくらいの少量だけど


    私に、恐怖を植え付けるには、充分過ぎた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  120. 130 : : 2018/08/08(水) 22:27:17
    放課後


    エレン「今日はどうする?買い物してくか?」


    クリスタ「………今日は、家にある物ですませるよ」


    エレン「そっか」


    クリスタ「…」


    エレン「…」


    エレン「…なんかお前、最近元気が無さすぎじゃねぇか?」


    クリスタ「そ、そうかな?これが普通だよ…」


    エレン「あっおまっ、信号っ!!」グイッ


    急にエレン君が私の左手を掴んで引っ張る


    クリスタ「いっ、」


    エレン「お前…下向いてたらあぶねぇだろ…って、どした?」


    傷跡が痛む、思わず傷跡を抑えて座り込む


    クリスタ「…っ」


    エレン「左腕、痛いのか!?見せてみろ!」


    クリスタ「なんでもっ、なんでもないよっ!」


    エレン「いいからっ!!」


    エレン君が強引に私の袖をまくる


    エレン「お前…なんだよコレ、切り傷…」


    クリスタ「いや…これはっ……その、金具にひっかけちゃってさ、切れちゃったの!」


    エレン「…ホントか?前は腕が青くなってたじゃねぇか」


    クリスタ「あ、あれは思いっきりぶつけちゃったんだって、前にも言ったでしょ?私がドジなだけだよ」


    エレン「…」


    エレン「…お前、本当のこと言ってるか?嘘、ついてないよな?」


    エレン「…言ったよな?一年前、俺の前では無理しなくて良いって」


    クリスタ「うん…わかってるって、嘘じゃないよ、無理もしてないよ」


    エレン「…」


    クリスタ「…」


    エレン「…早く帰って処置するぞ」


    クリスタ「………うん、ありがと」


    ごめんね…本当にごめんねエレン君…


    だって…話してしまったら…あなたが…


    ――――――――――――――――――――――――――――


    そんな生活が半年以上も続いた


    気付けばもう年をまたぎ1月


    夏休みも冬休みも頻繁に呼び出され、痛めつけられ、お金を取られて


    学校が始まってからも、同じように…


    そんな生活、流石に私も精神的に耐えられなかったのだろうか


    私は一度、反撃してしまった


    女子1「いっっつ………こいつ、私が殴ってる最中に殴り返してきやがった」


    クリスタ「はぁっ、はぁっ…」


    女子2「大丈夫か?」


    女子1「ああ、大したことないけど…反撃されたのが気に食わねぇ」


    女子1「もう許さねぇわ、おい、あそこ連れてけ」


    女子3「はいよ、あの人に連絡もしとくねー」


    クリスタ「っ!?やめ、離してっ!!」


    こうして私は、学校じゃない、どこか別の場所に連れていかれてしまった


    ――――――――――――――――――――――――――――
  121. 131 : : 2018/08/08(水) 23:06:01
    クリスタが可哀想だけど続きがホントに気になる神作
  122. 139 : : 2018/08/09(木) 09:43:02
    >>138
    二次創作のSSにどこまでリアリティ追求してんの
    不快ならもう見なきゃ良いじゃん
  123. 196 : : 2018/08/09(木) 21:59:34
    荒らしは、どっか行け
  124. 197 : : 2018/08/09(木) 22:35:38
    しつこく荒らしてくる方が1名居る為、私以外は書き込みが出来ないように設定しました。荒らしコメントも非表示にしました。

    なるべくこのような手段は使いたくなかったので、関わらないように無視していたのですが、無視できないレベルで連続書き込みをしてきたため、この機能を使わせて頂きました。

    期待や応援コメントをしてくれていた方々はごめんなさい。執筆する上で励みになっていたのですが、ネットマナーも守れない子供のせいでこのような処置を取らせて頂きました。

    更新は遅いですがシリーズは完結させるまでちゃんと書くので、今後ともよろしくお願いいたします。
  125. 198 : : 2018/08/10(金) 01:04:04
    学校から少し離れた廃ビル


    クリスタ「こ、ここ…は…」


    手足を拘束されて身動きが取れない私は、薄暗い建物に連れ込まれて戸惑う


    女子1「廃ビルだよ、気に入らないやつがいたらここに連れてくるよう、先輩に教えて貰ったんだぁ」


    女子2「言っておくけど、叫んだりしても助けなんて来ないから、うるさいだけだから叫ばないでね」


    クリスタ「…こんなところに連れて来て、何するつもり」


    女子3「おー、怖い怖い、こんな状況でまだ私達を睨む余裕があるんだ」


    女子1「ぶっちゃけさぁ、半年間お前のこといじめてたけど、全然気持ちよくないんだよね」


    女子1「何故かって、お前、抵抗はするけど屈しないじゃん?身体に攻撃できても、精神に攻撃出来て無いんだよねぇ」


    女子1「今までいじめたやつらは3ヶ月もすれば精神が壊れてたんだけどさぁ、何?お前昔もっと酷いことでもあったの?」


    クリスタ「…」


    …確かにそうだ


    あの監禁されていた2年間、それに比べれば、こんなもの痛くも痒くもない


    誰にも頼る事の出来ないあの2年と、大切な人に毎日会えている今、どちらが幸せかなんて明白


    むしろ、その大切な人を守るために耐えている、そう思えばいくらでも耐えれる


    クリスタ「……あなた達なんかに、屈してなんか、あげないんだから」ベー


    女子3「………」イラッ


    女子2「あーはいはいわかった、あんたは他のやつらより強いよ」


    女子1「…もう身体に攻撃しててもあんたの精神は壊せないってわかったからさぁ」


    女子1「直接精神に攻撃してあげるぅ♪」


    女子2「…来たようだね」


    ガチャリ


    クリスタ「………え」


    それを見て、私はとてつもなく混乱した


    入って来たのは、中1の時に同じクラスだったあの3人


    だが、そんなことなどどうでも良い、あの3人が仲間だったことなんて、知ってたのだから


    私が、驚きを隠せない理由、それは一緒に入って来たもう一人が


    アニ「…」


    私の、親友だったからだ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  126. 199 : : 2018/08/10(金) 01:13:36
    クリスタ「どう…して、アニ、ちゃんが………」


    嘘だ


    嘘だ嘘だ嘘だ、私の、唯一クラスで話せた、心を許せたお友達が、なんで…


    女子1「お待ちしてましたぁ~、アニさんっ!!」


    クリスタ「アニ、さん…!?」


    アニ「…全く、ホントはあと半年はバラさないつもりだったのに」


    女子1「いやぁ、こいつ想像以上にタフで、私達だけじゃもう手に負えませんよぉ」


    クリスタ「…」


    アニ「…」


    アニ「やぁ、ヒストリアちゃん、元気?」


    クリスタ「…」


    言葉も出なかった


    ただ、目の前の状況を受け入れられず、呆然としていた


    アニ「…無視は酷いなぁ、せっかくクラスで唯一の友達である私が話しかけてんのに」


    クリスタ「…」


    アニ「ほら、なんとか言えよ」ドゴッ


    クリスタ「ぐっ…げほっ、げほげほっ」


    …殴られた、親友に


    それでもまだ、真実を受け入れることが、信じることが出来ない


    クリスタ「………」


    女子1「あっははははは!!!そう!その絶望した表情が見たかったのぉ!!」


    女子1「唯一信頼できたクラスのお友達が、いじめのリーダーだったなんて、今の気持ちはどう??」


    クリスタ「………」ポロポロ


    クリスタ「…なん、で」ポロポロ


    アニ「…わかんないかぁヒストリアちゃんには………仕方がないから教えてあげる」


    アニ「………ずっと、あんたの事が憎かった、小学校の時に転校してきた時から、ずっと」


    アニ「あんたは…私の大切な物をことごとく奪ったから!!!」


    クリスタ「っ…!!」


    アニ「…」


    アニ「…私の親は昔、自営業をしていたの、レイス家の独裁であったあの時代に自営業をするのはとても難しい」


    アニ「何故って、会社のほとんどがレイス家が営業していたから、国からの支援金なんてないし、税金は多くとられる」


    アニ「…それでも、私の両親は頑張っていたわ、少ない稼ぎながら、一生懸命」


    アニ「でも、私が5歳の頃………ある日、レイス家が直々に訪れたの、と言っても分家の方だけど」


    アニ「…その頃、頭の良いあんたなら何が起こったかわかるわよね?歴史の教科書にも載ってるんだもの」


    クリスタ「………自営業潰し」


    アニ「そう、レイス家はパラディにある全ての自営業をしている会社を潰したわ、自分達の支配下に無いのが気に食わないからって、ただそれだけの理由で」


    アニ「会社は潰れ、たいていの職は国の方針に従って一から資格を取らなければいけない時代、中卒から自営業をしていた両親が新しい職を見つけるのは困難だった」


    アニ「母は風俗で働き始めていたけど、生活に耐えられなくなった父が自殺」


    アニ「朝昼晩働き続ける母には会えなく………私は、5歳にして独りになったわ」


    アニ「…これが、あんたを最初に憎んだ理由」


    クリスタ「……………」


    知っていた、レイス家が行って来たことで、多くの人が不幸になった事


    クリスタ「…でもっ、聞いて!私は…レイス家にとって邪魔な存在で…私も、レイス家の被害者なの!!」


    クリスタ「確かに私の親は…血族は!憎まれてもしょうがないことをたくさんしてきた…でも!」


    クリスタ「私は、何もやってない!!」


    必死に叫ぶ、必死に弁明する


    クリスタ「……はぁ、はぁ」


    アニ「………」


    アニ「………そんなの、とっくに知ってるわよ」


    クリスタ「…え?」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  127. 200 : : 2018/08/10(金) 01:28:36
    アニ「…わかってたよ、私の両親が奪われたのは、あんたのせいじゃない、レイス家への恨みを、あんたにぶつけてもしょうがないって」


    クリスタ「……じゃ、じゃあ、なんで…」


    アニ「…言ったでしょ、今のは、最初にあんたを憎んだ理由。今の私にとっては、滅びたレイス家なんてどうでも良いわ」


    アニ「………あんたは」


    アニ「私のっ!!大事なっ!!!エレンを奪ったっっっ!!!!!」


    クリスタ「っ!!」


    クリスタ「え、エレン君…!?」


    アニ「そう!エレンよ!私は…私は、エレンの事がずっと好きだったの」


    アニ「レイス家が倒されて、母はまともな仕事に就けたけど、それでも家計は苦しかった…」


    アニ「自分が幸せだと感じられない私は、ずっと無口でいて、小学校に入学しても友達が全然出来なかった」


    アニ「唯一幼稚園で話せていたライナーとベルトルトは別のクラス…教室では、独りぼっちだった」


    アニ「そんな時、エレンが声をかけてくれた…、そして、エレンがクラスの友達に私を紹介してくれた」


    アニ「その時から、私は少しだけクラスメートと話せるようになった…両親を奪われた日から初めて、幸せを感じられた…」


    アニ「…私の初恋は、エレンだった。初恋ながら、もうこの人以外はありえないとすら思った」


    アニ「エレンとは緊張して全く話せないけれど、女子とは話せた。だから、エレンといつも一緒にいるミカサと友達になって…」


    アニ「…エレンとたまに挨拶が出来るようになった。毎日じゃないけど、たまに」


    アニ「…私は、そんな小さな事だけで幸せだった。いつか、普通に話せるようになることを夢見ながら」


    アニ「………でも、そんな時に、あんたが転校してきた」


    アニ「最初はレイス家であることに憎しみを覚えた、でも、さっき話した通りあんたにぶつけてもしょうがないと理解した」


    アニ「むしろ無口で喋れないことに親近感を覚え、友達になれるとも思った」


    アニ「………でも、そんな幻想はすぐに壊され」


    アニ「…あんたは、どんどんエレンと仲良くなっていった、私には緊張して話しかけることも難しいのに」


    アニ「修学旅行の班決めの時も、真っ先に私のエレンを奪った。ミカサと同じ班になって、エレンとも同じ班になる予定だったのに」


    アニ「そして、修学旅行から帰って来てからは、いっそう仲良くなっていた、クリスタとか言う妙な愛称で呼ばれるようになって」


    アニ「卒業式の後もずっと一緒、私の付け入る暇もなく」


    アニ「中学でもクラスが同じ、部活も同じ、私は剣道部の部室に近い柔道部に入って、放課後に姿を見るので精いっぱい」


    アニ「しまいには同棲とか…?もう、流石に私の堪忍袋の緒が切れたよ」


    クリスタ「…」


    アニ「…わかった?これが、あんたを憎む理由、あんたは私の大切なエレンを、奪った」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  128. 201 : : 2018/08/10(金) 01:41:12
    クリスタ「………そんなの」


    クリスタ「そんなのっ!勝手すぎるっ!!」


    アニ「何が勝手なんだよっ!!」バキッ


    クリスタ「げほっ……え、エレン君は、あなたの物じゃ、ない…」


    アニ「いーや、エレンは私の物、私を不幸の中から救い出してくれた、王子様」バキッ


    クリスタ「げほげほっ、うぅ………え、エレン君は、皆に優しい……エレン君にとって特別な、人は……エレン君が、決める……」


    アニ「だからなんだって言うんだよ!あんたが来なけりゃ、私達は順調だったんだ!!」バキッ


    クリスタ「がふっ…」ポロポロ


    アニ「……わかるかい?小1の頃から5年間、片思いしていた男の子を、突然現れた女狐に奪われる気分を」


    クリスタ「…あ」ポロポロ


    クリスタ「あ、なただって知らないでしょっ!!…ずっと、好きだった男の子と、無理やり引き離される想いを!!」


    悲しさと同時に、怒りが込み上げてきた。何も知らないくせに、好き勝手言ってくる親友に対して


    アニ「…はぁ?そんな事、知るわけないだろうがっ!!」バキッ


    クリスタ「…ぐっ、げほっ」


    アニ「………私の方が、先にエレンを好きになったのに、なんで、なんで…なんでだよぉ!!」バキッドゴッ


    クリスタ「うっ、がはっ、げほぉっ!!!」


    クリスタ「………そ、んなの」


    クリスタ「わ、たしの方が先にっ!!」


    クリスタ「私は…幼稚園の頃からっ!!ずっと!ずっと!エレン君が好きだったんだから!!!」ポロポロ


    クリスタ「…はぁ、はぁ」ポロポロ


    アニ「……はぁ?」


    アニ「テキトーな嘘ついてんじゃねぇよ!!お前は小6の時に転校してきただろうが!!」バキッ


    クリスタ「くぅうっ………」


    やっぱり、覚えてないんだ、私もシガンシナ幼稚園に居たことは


    クリスタ「うっ、ひっく…えほっ、えほっ…」ポロポロ


    アニ「…」


    アニ「…もうわかった、不毛だ、ストレスが溜まるだけだ」


    女子2「あ、アニさん!今来たようですよ!」


    アニ「ずいぶん遅かったね」


    アニ「ちょうどいい、身体も精神も、ボロボロにしてやるから」


    クリスタ「…!?」ポロポロ


    ガチャリ


    高校生「やっほー、アニちゃんとその仲間たち~」


    クリスタ「っ!?」


    入って来たのはエレン君たちよりも体が一回り大きい、高校生の男であった


    アニ「遅いですよ先輩、私がイライラしちゃったじゃないですか」


    アニ「お前らは入口塞いどいてくれ、万が一にでも逃げられたら困るし、誰か来ても困る」


    女子1「はぁ~い」


    女子4「わかったよー」


    スタスタ…


    高校生「遅くなってごめんねアニちゃん~、今日も可愛いから怒らないでね?」


    高校生「…それでぇ?ヤッて欲しい奴が居るって言うから来たけど…うわっ!めっちゃ可愛いじゃん!!」


    クリスタ「っ、や、やだ…」フルフル


    …悟る、私がこれから、何をされるかを


    アニ「そいつは私の中で特に一番憎いやつなんですよ~」


    アニ「思う存分、犯して、一生消えない傷を作ってあげてください」ニヤリ


    クリスタ「いやっ!いやっ!いやっ!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  129. 202 : : 2018/08/10(金) 01:48:14
    男が近づいてくる、必死に叫ぶ


    だが、止まるはずもなく、私の前に立つ


    もがく、逃げようとする…もちろん、拘束された手足は解放されない


    クリスタ「いや…いや…」


    高校生「ねぇねぇ、君すっごく可愛いね!名前なんて言うの?」


    クリスタ「いや…いや…」


    高校生「嫌じゃ無くて…うーん、困ったなぁ、アニちゃん?」


    アニ「ヒストリアって名前ですよ、ついでに言うとあのレイス家の生き残りです」


    高校生「ヒストリアちゃん…レイス家…へぇ~、じゃあお嬢様なんだねぇ!…やっべぇ興奮してきた」


    クリスタ「いやぁ!!」


    クリスタ「お願い…やめて…やめて…」


    高校生「うわぁ、声も可愛いねぇ!こんな子をヤれるなんてホントに運が良いわぁ、ありがとね、アニちゃん」


    アニ「いえいえ、礼には及びませんよ、その代わり、たっくさん楽しんでくださいね?」


    高校生「はーい!じゃあそろそろ…」


    男の手が近づいてくる、必死に抵抗する


    クリスタ「やだぁ!お願いですっ!やめてください!」


    高校生「良い声で泣くねぇ…そんなヒストリアちゃんに良いこと教えてあげるよ」


    クリスタ「…っ?」ポロポロ


    高校生「俺はねぇ…嫌がられるほど興奮するのさっ!」ビリィ


    クリスタ「っあ…」


    クリスタ「いやああああああああああ!!!!!」


    破られた、服をいともたやすく


    強引に服を脱がされ、下着があらわになる


    クリスタ「いや…いや…」


    高校生「うわやっば…小柄なのに胸でけぇなぁ…」


    高校生「めっちゃ可愛いし、肌も綺麗、声も可愛い、おまけに巨乳?完璧すぎない?」


    アニ「…腹立たしいことに、頭も良いんですよ、そいつ…いじめられてんのに関わらず毎回テストは満点」


    高校生「へぇ…学力も良し…ホントに完璧美少女じゃないか…」


    高校生「…きっと今まで良い人生を送って来たんだろうねぇ…でも」


    高校生「そんな君を、俺が今から台無しにしてやんよぉ!!」


    クリスタ「やっ、やだ…ぁ…ぁ……あぁ………」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    男が下着を脱がそうとしてくる、もう、抵抗する力も残ってない


    …完璧な美少女?良い人生を送って来た?


    あなた達にはわからない、私が、どんな人間で、どんな人生を送って来たのか…


    血筋…レイス家であるだけで、忌み嫌われる人間


    人と話す事も苦手、笑顔を見せることも苦手…


    王様になる器でもないのに、子供の頃から礼儀、作法を嫌というほど教えられ…


    かけがえのない人と切り離され、監禁されて…


    ようやく再開しても、覚えてくれてなどおらず、ずっと胸が苦しいのを必死に堪え…


    思い出してくれて、ようやく、ようやく幸せな日々を送る事が出来ると思えば


    いじめられ、お金を取られて、親友と思っていた人物にも裏切られ


    最後は、気持ちの悪い男に犯されて、消えない傷を負う…


    …この世で、私より不幸な人が居るだろうか


    高校生「…」ハァハァ


    ブラのフックが外れた、もう…諦めるしかない…


    …………………エレン君


    私は、最愛の人を思い浮かべる…すると、何もかも投げ捨てようとしていた私に、最後の力が湧いてきた


    クリスタ「…助けてっ、エレン君っっっ!!!!!」


    最後の力を振り絞り、叫んだその瞬間


    バァァァァァン!!!


    エレン「…クリスタっ!!!」


    クリスタ「…」ジワッ


    クリスタ「…エレン、君」ポロポロ


    …最後の力だった


    本当に最後の悪あがきだった、来てくれる可能性なんてほとんどない…それでも


    …私の最愛の人は、英雄の如く、駆けつけてくれた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  130. 203 : : 2018/08/11(土) 00:26:56
    間に…あったのか?


    くそっ、本当に馬鹿だ俺は!違和感は何度も感じてたハズなのに…


    なんて自分の行動を悔いている暇はない


    俺はすぐに、周囲の状況を確認する


    アニとクリスタ…その上に覆いかぶさるように高校生が居る


    エレン「クリスタぁっ!!!」


    アニ「え、エレン…なんで…ここにっ!!」


    エレン「…アルミンが、連れていかれるクリスタを偶然見かけて、後を追ってくれた」


    エレン「そして、大急ぎで伝えに来てくれたよ」


    アニ「あ…あいつらはっ!!?入口にいた…」


    エレン「一緒に駆けつけてくれたミカサが食い止めてくれている…6人相手だから、流石に苦戦してるが」


    アニ「くっ、くそっ!!あいつらめぇ…」


    クリスタ「え、れ…」


    大急ぎで俺達の元へ来たアルミンは、先生方にも助けを求めに行った


    元 剣道部の部室の隅に残っていた竹刀を取り、俺達は駆けつけた


    エレン「…てめぇら、許さねぇからな」


    アニ「…っ!」


    アニ「っ!そ、そうだ先輩!!エレンを…止めて下さいっ!」


    高校生「言われなくてもそうするけどよぉ…」ゴキ


    高校生「…お前、せっかく人が気持ち良いことしようとしてんのに、邪魔しやがって」


    高校生「…覚悟は出来てんだろぉな?」


    エレン「…俺の」ボソッ


    高校生「あぁ?聞こえねぇよ」


    エレン「俺の、大切な家族を傷つけやがったな!!!」


    激昂する、本気でキレたのは初めてかもしれない


    高校生「へぇ…家族、ねぇ…勘違いして貰っちゃ困るが、まだ手を出してねぇよ、出そうと思ったら、てめぇが来たんだよ」


    エレン「もう充分傷ついてんだよ!!てめぇらのせいで!!」


    高校生「ふーん、生意気だなぁ、おめぇ」


    高校生「中坊が、いきってんじゃねぇよ、病院送りにしてやらぁ!!」ダッ


    エレン「…」


    相手は一回り大きい高校生、まともにやっても力でねじ伏せられる


    …だが


    ドウッ!!!


    一年間の経験だろう、体に染みついた技術で高校生の横腹を捉える


    高校生「っが、はぁ…」


    ドサッ


    エレン「…これでも一応元剣道部だ、剣があれば不良程度に負けるかよ」


    アニ「つ、つよ…」


    アニ「……っちぃ!!使えない奴め!!」


    エレン「…おい」


    アニ「っ!!」ビクッ


    エレン「…正直さ、ここに来たとき、お前が居たことが一番驚いたわ」


    エレン「…」


    エレン「…クリスタはなぁ!毎日、毎日!お前との事を楽しそうに話してたんだんだよ!!」


    再び、激昂する


    エレン「お前がクリスタと仲良くしてくれてて、俺、すっげー嬉しかったよ…こいつにも、俺やミカサ達以外で良い友達が出来たんだなぁって…」


    エレン「…それなのに!お前は…お前はぁ!!!」


    アニ「い、いや…その…」


    エレン「うるせぇ、何があろうと、お前だけは許さねぇ」


    アニ「わっ、私は柔道部の首相だぞ!?簡単に勝てるとても…」


    エレン「………で?」


    アニ「ひっ!?」


    アニ「け、剣道部なんかが、剣も持ってない相手を痛めつけて良いのかよ!?」


    エレン「俺はもう剣道部じゃねぇ…そして、これは剣道なんかじゃねぇ…ただの制裁だ」


    アニ「あっ…ひっ………や…め…」


    エレン「…はぁっ!!!」バシーン!!!


    アニ「がっ…はぁ………」


    容赦のない面が、アニの顔面を叩く


    アニ「ぐっ…うぅ…」フラフラ


    アニ「なん、で…なん、で…わた、しは…」フラフラ


    アニ「わ、たしは…ずっと、ずっと…エレンの事が…」フラフラ


    エレン「っ!!」


    エレン「…」


    アニ「…好」


    エレン「…」バシッ


    アニ「…がっ」バタリ


    エレン「お前から、そんな言葉聞きたくもねぇよ」


    アニ「」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  131. 204 : : 2018/08/11(土) 01:02:23
    エレン「はぁ、はぁ…」


    アニは気を失い倒れ、その場に俺の呼吸音だけが鳴り響く


    エレン「っ!!」


    クリスタ「」グッタリ


    クリスタの意識は途切れ、今もなお手足を拘束された状態で横たわっている


    一刻も早く、彼女を救出しなければ…


    エレン「…クリスタっ!!」


    エレン「待ってろ!!今ほどいて…」


    エレン「っ!?」ガッ


    高校生「ふーっ、ふーっ!!中坊のくせに調子に乗りやがって…」


    いつの間にか意識を取り戻した高校生が、息を荒くしながら俺の首を掴む


    エレン「くっ、そぉ…」


    高校生「ぜってぇ許さねぇからなぁ!!殺してやる!!」グググ


    エレン「ぐっ…うぅっ!!」


    ダメだ、力勝負になると流石に勝てない


    苦しい、息が出来ない、ヤバい…


    高校生「死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」グググググ


    バキッ


    高校生「がっ…なに、が…」


    リヴァイ「…わりぃ、遅くなった」


    エレン「げほっげほっ!!」


    ミカサ「ふぅ…エレン!クリスタ!大丈夫!?」


    エレン「み、かさ…リヴァイさん…」


    高校生「くそがっ、次から次と…」


    リヴァイ「…エレン、竹刀借りるぞ」ヒョイ


    高校生「この…くそがぁぁぁぁぁぁ!!!」


    リヴァイ「…黙れ」


    ドウッ!!


    俺のよりも数倍は威力のある胴が、横腹を捉える


    高校生「」


    リヴァイ「俺の後輩たちをいじめやがって…雑魚が」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    リヴァイ「…時期に先生も警察も来る、ミカサ、拘束するのを手伝え」


    ミカサ「わかった!!」


    エレン「げほっ、はぁ、はぁ…リヴァイさん、ありがとうございました」


    リヴァイ「お礼はいい、早くあいつの元へいってやれ」


    エレン「っ!…はい!」


    タッタッタ


    エレン「…クリスタ!しっかりしろ!クリスタっ!!」


    クリスタ「」グッタリ


    エレン「クリスタぁっ!!!」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  132. 205 : : 2018/08/12(日) 21:53:45
    その後、先生方や警察が来て事は収まった


    高校生は逮捕され、これまでにも暴力沙汰などがあったのだろう、しばらくは出てこれない


    アニや女子生徒6人は、少年院へと送られた


    あれから3日経つ


    クリスタは…命に別状はないし、意識も取り戻し病院へ入院していた


    クリスタ「…はぁ、はぁ」


    クリスタ「……いや、いや…いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


    ギュッ


    クリスタ「…っ!!」


    エレン「クリスタ、大丈夫だ、落ち着いてくれ…」サスサス


    クリスタ「…はぁ、はぁ………夢」


    目覚めてからと言うもの、クリスタは誰とも会話をしようとしない


    それどころか、俺以外の人間と会うとパニックを起こしてしまう


    医者が言うには、極度の人間不信だそうだ、あんなことがあったから仕方がない


    それに加え、毎夜、悪夢にうなされて苦しみだす


    俺は学校を一時的に休学し、病院に泊まり込みながら1日をずっとクリスタと過ごしている


    クリスタ「…はぁ、はぁ」


    エレン「気にするな、今はゆっくり休んでくれ、心配しなくても、俺はずっと一緒にいるから」ナデナデ


    クリスタ「…ふぅ、ふぅ」


    クリスタ「…」


    クリスタ「……すぅ」


    そうやってクリスタはまた眠りにつく


    ギィィ


    看護師「イェーガー君…毎夜落ち着かせてくれるのはありがたいけど、あなたも休まないと…」


    エレン「大丈夫です、俺も、少しでもクリスタの隣にいてやりたいんで」


    エレン「俺の体力なら心配いりませんよ、ちゃんと、休める時は休んでるんで」


    看護師「…そう、わかったわ、おやすみなさい」


    エレン「ええ、おやすみなさい」


    エレン「…」


    ああは言ったものの、ホントはほとんど不眠不休である


    正直、かなり辛い…だが、


    クリスタが受けた辛さは、こんなものじゃない…俺の為に、ずっと耐えててくれていたんだから


    そのクリスタの為ならば、俺はどんな辛さにも耐えられる


    ――――――――――――――――――――――――――――
  133. 206 : : 2018/08/12(日) 22:05:40
    …一週間が経過した


    つきっきりで傍にいたおかげか、悪夢はもう見なくなったみたいだ


    しかし、人間不信は一向に良くならない、看護師はおろか、知り合いである先生方ですら会うとパニックを起こす


    そこで今日は、少しでも信頼における人たちを呼んでみた


    またパニックを起こしてしまうかもしれない、その時は、俺が責任を持って安心させてあげる


    エレン「…来たか、ゆっくり、静かに入ってきてくれ」


    アルミカ「…」ソーッ


    クリスタ「…っ!!」ビクッ


    エレン「…」


    クリスタ「…っあぅ………」ビクビク


    エレン「…大丈夫だ、大丈夫だ、落ち着け」


    クリスタ「…!」


    クリスタ「…」


    良かった、やっぱりこの二人なら混乱しないで済んだ


    ミカサ「…大丈夫?クリスタ」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…」コクリ


    アルミン「…心配してたよ、ずっと」


    アルミン「…無事で良かったよ、本当に」


    クリスタ「…」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  134. 207 : : 2018/08/12(日) 23:10:07
    その夜


    エレン「んじゃ、そろそろ消灯時間だ、おやすみクリスタ…」


    グイッ


    突然、服を引っ張られた


    エレン「っ!?」


    クリスタ「………え、エレン…君」


    エレン「クリスタ!?お前…喋れて…」


    アルミン達と会ったのが良い影響を与えたのだろうか、クリスタは1週間ぶりに会話をし始めた


    クリスタ「…ごめん、なさい」


    クリスタ「わた…私の…せいで」


    エレン「…クリスタ」


    周りに怯え切っているようなか細い声、コミュニケーションが苦手と思わせる拙い喋り方


    それはまるで、幼稚園の頃のクリスタのようだった


    クリスタ「…エレン君に、これ以上迷惑はかけられない、学校、行って」


    エレン「っ!!いや、でも…クリスタが…」


    クリスタ「このままじゃ、エレン君まで…留年、しちゃう…」


    クリスタ「…私は、大丈夫」


    エレン「…っ!!」


    エレン「…そんなのっ、信用できるかっ!!」


    クリスタ「っ!」ビクッ


    エレン「あ…すまん、いきなり怒鳴ったりして…」


    クリスタ「…」フルフル


    エレン「…」


    エレン「…もう、お前が大丈夫って言っても、不安で仕方ねぇよ」


    エレン「…お前がいじめられていた期間、何度も違和感を感じたよ」


    エレン「何かクリスタは隠してるんじゃねぇか、辛いことがあるんじゃねぇかって…」


    エレン「ホントは、尾行でもしようか迷ったよ、でも…お前が、何にもない、平気だって何度も言うからさ…」


    エレン「…一年の時のあの事件があって、お前は俺には正直に何でも話してくれるって信じてたからさ…結局、何にもしなかった」


    クリスタ「…」


    エレン「心の中で、お前を信じてやりたいって気持ちがあったんだろうな」


    エレン「…でも、こんなに後悔する羽目になるなんて、思わなかった」


    エレン「俺だって出来る事なら信じてあげたい…でも、信じた結果がこれだからさ…」


    クリスタ「…」


    エレン「…」


    エレン「俺ってこんなに心配性だったかな…」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…今までは、私が本当に馬鹿だった」


    クリスタ「エレン君が…信用出来ないのはわかる、それでも」


    クリスタ「…信じて」


    エレン「…無理だ」


    クリスタ「…お願い」


    エレン「…ダメだ」


    エレン「…もう、お前に辛い思いをして欲しくないんだよ」


    クリスタ「…っ」


    クリスタ「…ご、めんなさい」ポロポロ


    エレン「…!」


    クリスタ「…ごめんなさい…私、エレン君を裏切るつもりなんてなくて…」ポロポロ


    クリスタ「エレン君を…殺すって言われて…私、私、どうしたら良いかわかんなくなって!!」ポロポロ


    エレン「…!そんなこと、言われたのか…」


    初耳だ。なにせ事件の後クリスタと話し合いが出来なかったからな


    クリスタ「本当はエレン君を頼って全部打ち明けたかった!…でも、打ち明けたらエレン君が…」ポロポロ


    エレン「…」


    エレン「…そんなの」


    そんなの、俺に打ち明けた後すぐに警察を呼んで守って貰えば、どうにか出来たんじゃないか


    …いや、その時のクリスタには、そんな事を考える余裕も無かったのかもしれない


    エレン「…っ」


    …クリスタは悪くない、悪いのは、何かを隠しているのに気付いてたのに動かず、何も知らず怒鳴った俺だ


    クリスタ「…ひっ、えぐっ」ポロポロ


    エレン「…ごめんな」ギュ


    クリスタは、考える余裕が無いほど追い詰められた中でも、俺の安全だけを考えて頑張ってくれてたんだな…


    クリスタ「…ひぐっ」ポロポロ


    エレン「…本当にごめん、クリスタの気持ちも考えず、怒鳴ったりして」


    エレン「…俺、ホントに1年の頃から何にも変わってねぇなぁ…」


    クリスタ「…」グスッ


    エレン「…信用出来ないなんて言って悪かった、だが…やっぱり心配なのは消えない」


    クリスタ「…」


    エレン「…でも」


    エレン「…心配なのは消えねぇが、信じるよ、お前の事」


    クリスタ「エレン…君」


    エレン「…ただし」


    エレン「…今度何かあったら、俺は俺を恨むからな、一生」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…うん」ニコ


    エレン「っ!!」


    クリスタは、涙目の状態で、久しぶりに笑顔を見せてくれた


    本当に、幼稚園時代を思い出させてくれるような、不器用な笑顔だった


    ――――――――――――――――――――――――――――
  135. 208 : : 2018/08/14(火) 00:40:41
    次の日から、俺は学校へと行き始めた


    もちろん、クリスタも一緒に行けるハズなどなく


    心配な気持ちをどうにか抑えて、クリスタを病院に残して行く


    部活の無い俺は、学校が終われば寄り道せずにまっすぐに病院へ向かう


    病院へ泊まる事は変わらず継続してる。本音を言えば、一緒にあの家へ帰りたいのだが


    クリスタの精神面を考慮した結果だ。文句は無い


    このような生活が続く中、俺はクリスタのこれからの事を考えるようになった


    そして3ヶ月が過ぎ、学年がさらにひとつ上がり、俺達は受験生となった


    クリスタは相変わらず学校には行けないものの、少しずつ俺以外の人ともコミュニケーションが取れるようになってきた


    …そして俺は


    エレン「…行かねぇよ」


    アルミン「どうして!!中学校で1度限りのイベントだよ!!」


    ミカサ「エレン、もう一度考え直して」


    俺はアルミン、そしてミカサと揉めていた


    エレン「…行っちまったらあいつが独りになるだろ」


    そう、学生の最大のイベント、修学旅行である


    エレン「学校に来てるだけで不安でしょうがないんだ、3日も離れたとしたら…俺の身も持たねぇよ」


    アルミン「…クリスタだって!最近は色んな人と話せるようになってる…もう少し、あの子を信用してあげなよ!!」


    エレン「信用した結果が今の状態なんだろ!!!」


    アルミン「っ!!」ビク


    エレン「はぁ、はぁ…すまん」


    違う、この前、聞いたじゃないか…クリスタは俺の為を思って話さなかったんだって


    エレン「わりぃ…今のは、つい勢いで言っちまった」


    エレン「わかってる、今だってあいつの事は信用してる…心配事も最近はめっきり少なくなった」


    エレン「でもさ…俺…俺、は………………」


    アルミカ「…」


    エレン「…っ」


    エレン「…すまん、今日は帰るわ」


    スタスタ


    アルミカ「…エレン」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    病院


    クリスタ「…お帰り、エレン君」


    エレン「ただいま、なんか無かったか?大丈夫か?」


    クリスタ「…うん、平気」


    エレン「そっか、良かった…それじゃあ今日の授業の説明するな」


    クリスタ「うん…いつも、ありがとね」


    エレン「良いって良いって、あ、俺先にトイレしてくるな!用意しててくれ」


    クリスタ「…うん」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  136. 209 : : 2018/08/14(火) 00:54:40
    エレン「お待たせ………クリスタ?」


    クリスタ「…」


    エレン「クリスタっ!その紙っ!!」


    クリスタ「………修学旅行」ボソリ


    エレン「…っ、ああ…修学旅行があるんだってよ」


    クリスタ「………」


    エレン「…心配すんな!俺は行かねぇ!ちゃんとお前の傍にいる!」


    クリスタ「…やっぱり」


    エレン「…へ?」


    クリスタ「ダメ、エレン君…行って…」


    クリスタ「エレン君なら…絶対、行かないって言うと思った…!」


    クリスタ「わ、私は大丈夫…だから、お願い、ちゃんと、行って…」


    クリスタ「エレン君、前に、すっごく楽しみにしてた…これ以上、私のせいで…無理を、するのはやめて…」


    エレン「…」


    エレン「アルミン達にも、そう言われたよ」


    エレン「3か月前に比べれば、心配事は減ったし、お前も次第に明るくなってきた」


    エレン「でも…そういう問題じゃねぇんだよ…」


    エレン「…なぁ、俺さ、小学校の修学旅行、すっげー楽しかったんだよ」


    エレン「なんでだかわかるか?」


    クリスタ「…?」


    エレン「……お前が居たからだよ」


    クリスタ「っ!!」


    エレン「お前が一緒だったから、最高に楽しかった。前に楽しみって言ってたのも、またお前と一緒に行けるから楽しみだったんだ」


    エレン「…なのに、お前が居なくて楽しめる訳ねぇだろ………」


    クリスタ「…っ」


    クリスタ「…っ!!」パチーン


    エレン「…へっ!?」


    突然、クリスタが両手で俺の頬を挟む


    クリスタ「…思い、出して」


    クリスタ「…あなたが、小学校の時に楽しかったのは、私が居たから…ただ、それだけなのっ!!?」


    エレン「…」


    久しぶりに見る、クリスタが叫んでいる姿


    クリスタ「…違う、でしょ?思い出して、私が転校してくる前、誰と一緒に居たのか」


    エレン「…」


    エレン「………ぁ」


    エレン「アル…ミン、ミカサ…」


    クリスタ「…そう、私を心配してくれるのは、凄く嬉しい、でも、あの二人の気持ちも…考えてあげ、て…」


    エレン「………」


    エレン「…あぁ、すまねぇ、クリスタ」


    クリスタ「…謝る、相手が…違うよ?」


    エレン「…あぁ、そうだよな」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    次の日


    エレン「すまねぇ!!アルミン!ミカサ!お前らの事、何にも考えて無くて…」


    エレン「俺、やっぱり行くよ、お前らと、一緒に行きたい」


    アルミン「えええっ!!?ホントにいいの?だって…だってクリスタ…が…」


    ミカサ「…私達も、昨日話し合ったの、やっぱり、エレンとクリスタの気持ちを尊重しようって」


    エレン「…恥ずかしい話、その事を話したら両手で叩かれちゃったよ…二人の気持ちを考えてって」


    エレン「…改めてごめんな、お前らの…親友の気持ち、蔑ろにしてた」


    アルミカ「エレン……っ!!」


    エレン「さて、そうと決まれば早速準備だ!!あいつに最高の土産話を持って帰るために!!」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  137. 210 : : 2018/08/15(水) 00:40:22
    時は流れて修学旅行の朝


    クリスタ「エレン君…忘れ物ない?大丈夫?」


    エレン「大丈夫だって!…お前は大丈夫なのか」


    クリスタ「平気だよ…………ちょっと、寂しいけど」


    エレン「…」


    クリスタ「…ね、手ぇ繋いで」


    エレン「…あぁ」ギュ


    クリスタ「…これで私、3日間頑張れるよ」


    エレン「…俺も、元気出たよ、ありがとな」


    クリスタ「…ふふ」


    エレン「っとやべぇ時間だ!クリスタ!!」


    エレン「…行ってきます」ニコ


    クリスタ「…えぇ、行ってらっしゃい、エレン君」ニコリ


    ――――――――――――――――――――――――――――


    その後、修学旅行から帰った俺は真っ先にクリスタの元へ駆け寄り抱き着いた


    その姿を看護師さんに見られて顔を赤くしながら、「ただいま」と一言放つ


    クリスタにお土産と、土産話を話す


    幸せな日常、そして時はあっという間に過ぎていく


    クリスタの容体は少しずつ回復し、他人とも何とか話せるようになった


    …そのタイミングで、クリスタをいじめていた生徒の母親達が面会したいと連絡してきた


    俺はやめた方が良いと言ったが、クリスタは大丈夫だと言って面会をした


    謝罪、ひたすら、謝罪である


    そして、アニの母親が盗られていたお金を返金すると言ってきた


    実の所、盗られていたお金はほとんどアニに渡されていたらしい


    それを聞いたクリスタは、少し思い詰めた後


    お金は要りません、と答えた


    何故…とクリスタに言ったが、ただ微笑んでいるだけで理由は教えてくれなかった


    …そしてクリスタは6月頃にようやく退院、が、まだ学校には行けない


    学校に行くと…色々思い出して不安になってしまうかもしれない


    …今は家の中でせっせと家事をしてくれている。それはそれでありがたいんだが


    …俺はひとつ、思い悩んでいた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  138. 211 : : 2018/08/16(木) 00:17:11
    7月 学校


    先生「えー、なので、今配った用紙に最終的な進路を書いて、来週の金曜日までに提出してください」


    エレン「…」


    エレン「…進路、かぁ」


    アルミン「エレンはさ、高校何処に行くの?」


    エレン「俺の第一志望は…一応、東シガンシナ高校なんだけど…」


    アルミン「本当!?僕もミカサもそこだよ!!」


    ミカサ「ここら辺でなら一番頭が良い高校だしね、エレンやアルミンは余裕だろうけど…私は」


    アルミン「ミカサも成績は上位でしょ?ちゃんと勉強すれば大丈夫だって!!」


    ミカサ「そう、かなぁ…不安だなぁ…」


    エレン「…」


    アルミン「…エレン?」


    エレン「…あいつさ、、高校行けないのかなぁ…ってずっと思ってたんだ」


    ミカサ「…クリスタ?」


    エレン「ああ…今年の1月から不登校、出席日数は圧倒的に足りないからさ」


    エレン「…しょうがないのかな」


    アルミン「…」


    ミカサ「…人間不信が治るかはわかんないし、もしかしたら中退して職業に就けないかも知れない」


    ミカサ「…そしたらさ、エレンが養ってあげなよ」クス


    エレン「ばっ、ばか言えっ!!///」


    エレン「……………」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレン「…ただいま」


    トコトコ


    クリスタ「…お帰り、エレン君」


    家に帰ると不器用な笑顔で出迎えてくれるクリスタが居た


    エレン「悪いな、先生と進路相談してて遅くなった」


    クリスタ「ううん、ちょっと心配しちゃった…けど、無事でよかった」


    エレン「…今度からは遅くなりそうなら連絡するよ」


    クリスタ「…平気、大丈夫だよ」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…」モジモジ


    エレン「…?」


    何か言いたそうである、というか、明らかにクリスタのではない靴があるのだが


    エレン「…どうした、誰か来てるのか」


    クリスタ「…エレンっ、君…」


    クリスタ「…今日、は…大切なお話があるそうです」


    エレン「…?」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  139. 212 : : 2018/08/16(木) 00:41:10
    居間


    エレン「…父さん」


    グリシャ「やぁ、エレン、久しぶり」


    エレン「…久しぶり、だな」


    エレン「どうしたんだよ、こんな連絡もくれずにいきなり」


    グリシャ「…要件はまあ、察しの通り、クリスタちゃんの件だ」


    クリスタ「…」


    エレン「…聞かせろよ」


    グリシャ「…あぁ」


    グリシャ「まず1つ目だ、お前、この先の進路…どこの高校へ行くつもりなんだ?」


    エレン「…一応、第一志望は東シガンシナ高校だよ」


    グリシャ「そうか、やっぱりお前はそこだろうと思ってたが」


    グリシャ「えー、おほん、で、だ」


    グリシャ「…わかっているとは思うが、クリスタちゃんは、進学するには3年次の出席日数が足りない」


    クリスタ「…」


    グリシャ「このままでは、クリスタちゃんは高校に進学は出来ない、留年だ」


    グリシャ「…その事については、どう考えてた?」


    エレン「…」


    エレン「…最初は、クリスタと一緒が良いと思ってた」


    エレン「クリスタが留年するってんなら、俺も一緒に留年して支えてあげたい」


    エレン「クリスタを置いていくなんて…辛くて、考えられなかった」


    エレン「…でも」


    エレン「…でも、今は…クリスタの為に立ち止まりたくないと思っている」


    エレン「正直、クリスタの…その、人間不信も、治るとは限らない、最悪、高校はおろか社会に出れるかすら不安だ」


    エレン「だから、ちゃんと勉強してちゃんとした所に就職して、ちゃんと自分のお金で守ってあげたい」


    グリシャ「そう、か…それが、お前が考え抜いて出した結果か」


    クリスタ「…エレン、君」


    グリシャ「…」


    グリシャ「…………本音を言えよ、エレン」


    エレン「っ!!!」


    グリシャ「…私にはわかるよ、お前が無理して納得した結果を出したように振る舞っている事ぐらい」


    エレン「…なん、で」


    グリシャ「なんでって…私がお前の父親だからだよ、親ってのを舐めるなよ?子の嘘ぐらいすぐわかる」


    エレン「…っ!!」


    エレン「本、音…」


    エレン「俺のっ…本音はっ…!!」


    言って、良いのだろうか、この状況で


    言いたい、けど、言えない


    思うように声が出ない、口が動かない


    エレン「…っ」


    グリシャ「…」


    グリシャ「実はだな、一つ、とある高校が3年次の出席日数が足りなくても特別な条件で入学させてくれるみたいなんだ」


    エレン「え…それは、どこの高校なんだ?」


    グリシャ「…オルブド区にある、北オルブド高校だ」


    エレン「オルブド区…って、確かマリアとローゼの真ん中にあって…王都…じゃなかった、今は首都のシーナを挟んで…」


    エレン「………シガンシナ区と真逆の方向じゃねぇか!!」


    クリスタ「…」


    グリシャ「そうさ、それが問題なんだ…」


    グリシャ「順を追って説明するよ、なんでも、その高校だけが行ってる早期推薦ってのがあってな」


    グリシャ「その推薦内容が、2年次までの充分な成績、出席日数を見て判断するみたいなんだ」


    グリシャ「つまり、3年次の成績も出席日数も不問とするって話だ」


    グリシャ「クリスタちゃんにうってつけだろ?何せ2年までは学年トップの成績だったんだから」


    グリシャ「…出願期間は今月末、面接日は9月の頭でその末には結果が出る」


    グリシャ「…ただし、さっき言った通り、場所が遠過ぎる。ここから通うなんて不可能、当然、引っ越して住んで貰う」


    エレン「…」


    クリスタ「…」


    グリシャ「…クリスタちゃんには、これ以外の選択肢は無いんだ。すまない」


    エレン「……………」


    クリスタ「…えっ、エレン、君は…頑張って東シガンシナに行ってよ、エレン君ならきっと合格でk…エレン「俺も行くよ」


    クリスタ「っ!!」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…エレン君なら、そう言ってくれると思った…けど」


    クリスタ「だめ、だよ?これ以上、エレン君に…迷惑はかけられない」


    クリスタ「…エレン、君は、ここで生まれ育った、ここにはたくさんの、大切なお友達がいる」


    クリスタ「…私なんかの為に、これ以上」


    ペシッ


    クリスタ「っ!?!?」オロオロ
  140. 213 : : 2018/08/16(木) 00:59:48
    軽く頭を叩くと、状況を飲み込めずおろおろしている


    エレン「…っばーか」


    エレン「ったく…父さん、ちょっとコンビニ行ってこい」


    グリシャ「…え?」


    エレン「良いから!!10分は帰ってくんなっ!!」


    グリシャ「え?え?…あぁ…わかったよ」


    ギイィィィィ バタン


    エレン「…ふぅー」


    エレン「良いか、クリスタ…」


    クリスタ「…?」


    エレン「…お前以上に大切な物なんて、あるわけねぇだろ」


    クリスタ「…ぇ」


    エレン「そりゃあ修学旅行の時に言われた通り、アルミンとミカサだって大切な親友だ、あいつらと離れんのは寂しいよ」


    エレン「でもな、俺はあいつらよりも、お前とずっと離れ離れになるのが嫌だ」


    エレン「お前の為だけじゃねぇ、俺の為でもある」


    エレン「ずっと、考えてた、この気持ちがどういう物かって」


    エレン「小学校を卒業する頃、初めてわかった」


    エレン「わかった所で、口にする勇気もねぇヘタレな俺だったけど」


    エレン「言わないで離れ離れになって後悔するなら、今言うよ」


    エレン「…当時の記憶はうろ覚えだし、曖昧だけど」


    エレン「…幼稚園の頃から、ずっと」




    エレン「………好きだ、クリスタ」




    クリスタ「…っ!!」ポロポロ


    エレン「友達としてじゃねぇ、家族としてでもねぇ、異性としてだ」


    エレン「お前と居たい、もう二度と、離れたくない」


    クリスタ「…エレン、君」ポロポロ


    クリスタ「…」グスッ


    クリスタ「…わ」ポロポロ


    クリスタ「…私はさ、今までの記憶全部覚えてる……胎児の頃から、全て」


    クリスタ「…楽しい思い出もあれば、それ以上に辛い思い出もたくさんあった」


    クリスタ「本当に辛くて、死にたいと思った事さえあった」


    クリスタ「でもね、エレン君と会う事を考えれば、私、どんなことでも耐えられる」


    クリスタ「…楽しい思い出以上に辛い思い出がたくさんあったけど」


    クリスタ「その差が埋まるぐらい、あなたと二人でいる時間は幸せだったの」


    クリスタ「エレン君が曖昧でも、私ははっきり覚えてる」


    クリスタ「…幼稚園の頃から、ずっと」




    クリスタ「………好きだよ、エレン君」




    エレン「…っ!!クリ…スタ」


    クリスタ「…だから、もう二度と、あんな思いしたくない、離れたくない」


    クリスタ「…一緒に、居てくれますか?」ソッ


    小さな、弱々しい手を差し伸べてきた


    答えはもちろん―――


    エレン「…!!」


    エレン「…あぁ、絶対、離れるもんか!!」ギュ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  141. 214 : : 2018/08/19(日) 23:23:56
    グリシャ「…ただいま、意見は纏まったかい?」


    エレン「ああ、俺も行くよ…2人で、一緒に、な」


    クリスタ「…うん」


    グリシャ「そうか、それは良かった」


    グリシャ「…もう一つ話すべきことがあったんだが、それはまた今度にするよ」


    エレン「なんでだ?気になるから今話してくれよ」


    グリシャ「いや、辞めておく、いきなり過ぎて今は混乱するだろうし」


    グリシャ「…それに」


    エレン「…それに?」


    グリシャ「…」ソッ


    父さんが静かに指をさす


    エレン「…?………あっ」


    クリスタ「…」ウトウト


    そこには、今にも眠ってしまいそうなクリスタが、俺の手を必死に掴みながら立っていた


    エレン「…」


    グリシャ「…安心して力が抜けたのかな?なんにせよ、今は寝かせてあげよう。だからまた今度、ちゃんと言うよ」


    エレン「ああ、わかったよ」


    俺はクリスタを優しく引っ張りながら誘導する


    クリスタ「…っ」ウトウト


    エレン「…ったく、ちゃんと歩かないと怪我するぞ」


    エレン「…ただでさえ、傷ついてるってのに」


    クリスタの体には、いじめを受けた時の傷跡が残ってしまった


    クリスタ「……う…ん」


    エレン「…ふぅ、やれやれ」


    俺は優しくクリスタをお姫様抱っこする


    クリスタ「…あ…ぅ…///」


    …軽いな


    エレン「それじゃ、俺らは部屋に戻るよ、おやすみ父さん」


    グリシャ「ああ、おやすみ」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    翌朝目を覚ますと、居間には書き置きがあった



    エレンへ、仕事があるので行かせてもらうよ。母さんに全部任せておくのも可哀想だからね。


    クリスタちゃんをちゃんと守ってやれよ、息子よ。 父より



    エレン「…朝飯ぐらい食ってけばいいのに」


    エレン「……言われなくても、もう二度と、クリスタをあんな目に遭わせねぇよ」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  142. 215 : : 2018/08/20(月) 00:01:50
    クリスタ「…おはよぅ」


    エレン「おはよ、クリスタ、ご飯出来てるぞ」


    クリスタ「…ありがとね」


    エレン「っし、準備おっけー」


    クリスタ「…」ストン


    エレクリ「いただきます」


    エレクリ「…」パクパクモグモグ


    エレクリ「…」


    クリスタ「…」モグモグ


    エレン「…」チラ


    クリスタ「っ!!けほっ!けほっ!!」


    エレン「わ、わ、わ、クリスタすまん!!」


    クリスタ「~っ///」


    エレン「…///」


    やばい、昨日の事があってかなり気まずい


    …俺、告白したんだよな、クリスタに


    エレン「…すまん///」


    クリスタ「…大丈夫///」


    エレン「…」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…ね、エレン君」


    エレン「…なんだ?」


    クリスタ「…わ、私たちって、その…つ、付きあ…」


    クリスタ「――っ///」ボッ


    エレン「っ!!///」


    全て言い終わる前に、クリスタがショートする


    そういえば、気持ちを伝えただけでそこら辺は曖昧だったな


    ………でも


    エレン「あ、あー…クリスタ?一つ提案があるんだが…」


    クリスタ「…?」


    エレン「その…昨日は、想いを伝えたけどよ…付き合う…ってのは、受験が終わってからにしないか?」


    エレン「そ、その、なんだ…ちゃんと、一緒の高校に行けるって決まってから…じゃ、ダメか?」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…」コク


    クリスタ「…エレン君が、そういうなら」


    エレン「お、おう…サンキュな」


    クリスタ「…」ニコ


    エレン「…あ、そうそう、言い忘れてた」


    エレン「北オルブド高校の推薦の出願、俺は出さねーから」


    クリスタ「っ!?」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    学校 昼休み


    エレン「…よう、一緒に食おうぜ」


    アルミン「…珍しいね、エレンから誘うなんて」


    ミカサ「どういう風の吹き回し?ま、もちろん一緒に食べるけど」


    エレン「…ちょっと、話があってな」


    アルミカ「…?」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  143. 216 : : 2018/08/20(月) 00:14:47
    エレン「―――という訳だ」


    俺は、クリスタの進路に関することを全て二人に話した


    アルミン「…そっか、遠くになっちゃうけど、クリスタが行ける高校があって良かったよ」


    ミカサ「これで留年とか中退しちゃうよりはよっぽど良いよね」


    ミカサ「…良かった、本当に」


    エレン「…あぁ、俺も心の底から良かったと思っている」


    エレン「…ただ、ここからが本題だ」


    アルミカ「…」


    親友である二人の表情が曇る


    エレン「……………すぅー、はぁ~~~」


    エレン「………」


    エレン「…俺も、クリスタと一緒に、北オルブド高校に行くよ」


    アルミカ「…」


    アルミカ「…そっか」


    凄く悲しそうな表情になる二人、こっちまで辛くなってくる


    アルミン「…クリスタが行ける高校あったって話を聞いた時点で、なんとなくは予想してたよ」


    ミカサ「………うん」


    ミカサ「…ありえないことだけどさ、私達4人がずっと一緒に居れたらなって…そう思ってた」


    ミカサ「…でも、いつかはこんなふうに別れちゃうんだよね」


    エレン「…」


    エレン「…ごめんな、俺も、本当はお前らとも一緒に居たかった」


    エレン「…お前らだってクリスタと同じ、幼稚園からの親友だ」


    エレン「…でも、でもごめん」


    …言うべきか


    エレン「クリスタは…クリスタだけは、その…特別、なんだ」


    …言ってしまうべきか


    アルミカ「…」


    …言わなきゃ、二人も納得できないだろう


    エレン「俺、は………」


    エレン「………クリスタの事が好きなんだ」


    …言ってしまった


    エレン「…っ」


    …後悔は、しない、絶対に


    エレン「…」


    アルミカ「…」


    アルミカ「…ぷっ」


    アルミカ「あはははははははははは!!!!」


    エレン「っ!?」


    エレン「なん…で、笑って…」


    アルミン「っはぁ~…全く、エレンってば」


    ミカサ「ばーっか!!私達が気づいてないとでも思ったの?」


    エレン「えっ、ええっ!?///」


    エレン「い、いつから…?///」


    ミカサ「小学校の修学旅行辺りから、ずーっと!!」


    エレン「…嘘だろ?」


    その時期は、俺ですら好きだという気持ちに気づけていなかったのに


    そんなに顔や行動に出てたか!?俺!?


    エレン「っ~~~///」シュー


    ミカサ「あははっ、顔真っ赤!まさか隠せてると思っていたなんてね!!」


    アルミン「仮に小学校の時に気づかなくても、中学校のを見てれば僕達じゃなくても気づくよ」


    エレン「…あ、ぅ…///」


    アルミン「…そーゆー事だから、僕達は文句なんて何にもないよ」


    ミカサ「…うん、もう二度と、クリスタを悲しませたらダメだからね?」


    エレン「っ!…ああ!!」


    本当に、良い親友を持ったものだ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  144. 217 : : 2018/08/23(木) 00:59:15
    放課後


    先生「…事情はわかった、イェーガーもレイスも北オルブド高校を受けるんだな」


    エレン「…はい」


    先生「…で?レイスは早期推薦、お前は…一般入試で良いのか?」


    先生「…お前の成績なら、一般を受けずとも余裕で推薦合格できると思うんだが」


    エレン「ええ、もう決めました」


    エレン「…北オルブド高校は、大学の学費免除のような、特待生の学費を免除してくれるシステムがあるんです」


    エレン「…条件は、一般入試の点数が3番以内である事」


    エレン「推薦じゃあ、貰えないんですよ」


    エレン「…クリスタは、例のあの件でお金を多く失っている」


    エレン「…あいつの為にも、少しでもお金が必要なんです」


    先生「…はぁ、わかったよ」


    先生「…今月末、レイスを学校に連れて来てくれ、保健室登校で良い」


    先生「そこで本人の意見もちゃんと聞き、北オルブド高校の願書を書かせる…いいな?」


    エレン「はいっ!!」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  145. 218 : : 2018/08/23(木) 01:13:50
    不安な事を乗り越え、そして時間は過ぎていく


    クリスタは、無事に早期推薦で内定を貰い、春から北オルブド高校の生徒である


    まだ人見知りするものの、ちゃんと喋れるようにはなってきた。推薦の面接練習が良いリハビリになったのだろうか


    俺は入試に向けて勉強に励む、家事は今はクリスタがほとんどやってくれているので、ありがたい


    …まるで、専業主婦のような…って、主婦…///


    クリスタ「…どうしたの?顔赤らめて」


    エレン「へっ!?い、いや…なんでもねーよ///」


    クリスタ「…熱あるんじゃないの?勉強、根詰め過ぎなんじゃ」


    エレン「…」


    クリスタ「…願書書いた時、エレン君の担任から聞いたよ…学費免除の為に頑張ってるんでしょ?」


    エレン「へっ!?あ、あの先生…クリスタには言うなって言ったのに…」


    クリスタ「…やっぱり、本当なんだ」


    エレン「え…?」


    エレン「あっ、お前…!カマかけやがったな!!」


    クリスタ「ごめんね、どうしても知りたかった」


    クリスタ「エレン君の成績なら、余裕で推薦で入れる高校だもん、おかしいと思ったよ」


    エレン「…」


    クリスタ「…それは、私の為なの?」


    エレン「…っ」


    クリスタ「…私が、お金をたくさん失ってしまったから?」


    エレン「っああ、そうだよ…少しでもお金を貯めておきたかった」


    クリスタ「…そっか、ありがとね」


    クリスタは微笑んでいる、だが、俺は心の中にあった疑問を聞かずには居られなかった


    クリスタ「…結果的に、またエレン君に迷惑かけちゃった」


    エレン「…!迷惑なんて、思う訳…」


    クリスタ「うん、わかってる、エレン君はそういう人だって」


    クリスタ「だから、ごめんじゃなくてありがとうって、さっき言ったの」


    エレン「…っ」


    エレン「…なぁ、教えてくれよ、なんで…アニの親からお金を受け取らなかったんだ?」


    エレン「言っとくけど!怒ってるわけじゃないからな!受け取らないって判断したのはお前だから、文句は無い」


    エレン「…でも、頭の中で、何故なのか…ずっと引っかかってる。無理強いはしない。言いたくないなら、それでいい」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…知っちゃたんだ、アニちゃんの家の事情」


    クリスタ「アニちゃんの家、お父さんが自殺しちゃってね」


    クリスタ「…今はお母さんが一人で働いて生活してて、家計が厳しいらしいの」


    エレン「…同情、したのか?それに」


    クリスタ「ううん、同情じゃないよ…罪滅ぼし、かな…」


    エレン「…罪滅ぼし?」


    クリスタ「元は自営業だったらしいんだ、アニちゃんち」


    エレン「…っ!!」


    その一言だけで、クリスタとアニがどんな関係であったのか気づく


    エレン「…自営業潰し」


    クリスタ「…そう、レイス家が犯した、過ちの一つ」


    エレン「…っでも、お前は、関係無いじゃねぇか…悪いのは」


    クリスタ「…うん、わかってるけど、どうあがこうと私はヒストリア・レイスなの」


    クリスタ「家族が犯した罪は、私が拭わないと」


    エレン「っ!」


    エレン「お前のせいじゃねぇ!お前が全部背負う義務なんてどこにもねぇ!!」ギュッ


    感情のままに、クリスタの細い体を抱き寄せる


    クリスタ「…ありがとね、そうやってはっきり言ってくれるの、エレン君とお父さんお母さんだけだよ」ポロポロ


    クリスタ「…でもね、レイス家のせいで苦しんだ人たちを見ると、心が痛くなるんだ」


    クリスタ「少しでも、罪滅ぼしをしないと…」


    クリスタ「…じゃないと、私、耐えられないんだ」ポロポロ


    エレン「…っ」


    エレン「…お前は、ホントに、優しい奴だよ」


    エレン「…わかったよ、お前が思ってる事、ちゃんと理解した」


    エレン「だから、その苦しみは俺も背負う、ちゃんと学費免除するよう、頑張るからさ」


    クリスタ「…うん、ありがとう、頑張って」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  146. 219 : : 2018/08/28(火) 00:55:07
    こうして俺はより一層勉強に励む


    時間は止まらない。受験の日はあっという間に訪れる


    正直、受験をするために現地へ行くのが大変であった、何しろ北オルブド高校は遠い


    だからと言って、その疲れを言い訳になんかしたりしない


    俺は今まで培ってきた知識を思う存分駆使して、入試の問題を解いた


    そして、待望の合格発表の日


    確認のためだけにもう一度高校を訪れるのは厳しい、よって合否の紙が入った通知書が中学校に届けられた


    皆が各高校へ合否を確認しに行っている中、俺は1人学校に呼び出され、少し緊張しながら担任の元へ


    言ってしまえば、合格であることはまず間違いないほど、自信はあった。問題は、成績が3番以内かどうかなのだが


    その心配もすぐに消えた。通知書の中には、合格であることが示された紙、そして学費免除のお知らせの紙が同封されていた


    …喜びが込み上げてきたが、恥ずかしいのでぐっと堪える


    …これで春から俺は北オルブド高校の生徒……クリスタと一緒に


    ちなみに成績はトップ、首席であった。…もしクリスタが一般受験をしてたら、クリスタであっただろうとしみじみ思う


    …家に帰ると玄関前でクリスタが待っていた、今は3月、外は寒いだろうに


    不安そうな顔で駆け寄ってくるクリスタに俺が笑顔を見せると、嬉し泣きをしてしまった


    涙を流しながら何度もお祝いの言葉をかけてくるクリスタを、両手で包み込む


    家に入り、即座に電話をかける、もちろん、父さんと母さんに


    合格の報告と一通り話をして、今度は親友2人に電話をかける


    どうやら2人とも東シガンシナ高校に合格したみたいだ


    俺達は互いに祝いのメッセージを送り、電話を切った


    とにもかくにも、皆それぞれの進路が決まって本当に良かった。特にクリスタは


    …色々な事が起こった中学校


    その3年間は、もうすぐ終わりの時を迎える


    ――――――――――――――――――――――――――――


    卒業式の朝


    ???「…」ユサユサ


    エレン「…んぁ」ボー


    クリスタ「…ん」ボー


    ???「起きて、エレン、クリスタちゃん」


    エレン「…ん、誰………」


    カルラ「おはよ、エレン、クリスタちゃん、久しぶりね」


    エレン「って母さん!?」


    クリスタ「…お母さん?」ウトウト


    クリスタ「っ!お母さんっ!!」ダキッ


    カルラ「元気だったかしら?体調は大丈夫?」ナデナデ


    クリスタ「…平気、エレン君が、ずっと一緒に居てくれたから」


    カルラ「あらあら」


    カルラ「それにしても…あなた達いつも一緒に寝てるの?変な事してないでしょうね?」


    エレン「してねーよっ!!」


    クリスタ「へ、変って…///」


    カルラ「そうね、エレンにそんな度胸ないもんね」


    エレン「うるせぇっ!!」


    エレン「…で、久しぶりに来たと思えばこんな朝早くに起こしに来て、何の用だよ」


    エレン「…それに、卒業式の日は仕事が忙しいから来れないって聞いてたけど」


    カルラ「それについては居間で話すわ、お父さんが待ってるし」


    クリスタ「…!」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  147. 220 : : 2018/08/28(火) 01:13:03
    グリシャ「おはよう、二人とも」


    エレン「おはよ、父さん」


    クリスタ「…おはよう、お父さん」


    グリシャ「早速だが時間が無いんだ、大切な話をするよ」


    エレン「…時間ないのか?」


    カルラ「ええ、何とか時間を作って来たけど、今日も大事な会議とかがあるから、早く戻らないと」


    エレン「…わかった」


    本当は二人に俺達の料理をゆっくり食べて貰いたかったのだが


    グリシャ「…クリスタちゃん、落ち着いて聞いてくれ」


    クリスタ「…」


    グリシャ「…シガンシナ小学校に入れる時から、ちゃんと考えておけば良かったと、後悔してる」


    グリシャ「それは、クリスタちゃんの真名だ」


    クリスタ「…」


    エレン「…クリスタの、真名?」


    グリシャ「『ヒストリア・レイス』」


    グリシャ「この名前が、パラディの国民にとってどのような感情を持たせるか、ちゃんと考えるべきだった」


    グリシャ「…大抵の人はもう気にしてないのかもしれない、だが、確実にレイス家に恨みを持っている人間が存在するんだ」


    グリシャ「現に、例のいじめの件、あれは一人の女生徒の持った恨みによって起こった事件だ」


    クリスタ「…」


    エレン「…」


    グリシャ「…このままではこの先、また同じことが起きる可能性がある」


    グリシャ「だから、国として新しく法律を作ったんだ、その名も…」


    グリシャ「姓名改定法」


    クリスタ「…っ!!」


    カルラ「簡単に説明すると、何らかの事情がある場合、国に申請して通れば姓名を変更できるって法律よ」


    エレン「…ってことは」


    グリシャ「…ああ、クリスタちゃんには、生まれ持った名前を捨てて貰う」


    クリスタ「…」


    グリシャ「クリs…いや、ヒストリアちゃん」


    グリシャ「君は、『ヒストリア・レイス』の名を改め、『クリスタ・レンズ』としてこれから生きて欲しい」


    クリスタ「…っ!!」


    グリシャ「もちろんこれは強制ではなく、本人の同意が必要だ…が、どう、だろうか」


    カルラ「…」


    クリスタ「…っ」


    エレン「…」


    クリスタ「………ふぅ」


    クリスタ「…悩む必要なんかありません、その話、受けさせて貰います」


    エレン「クリスタ、良いのか?生まれ持った名前を捨てるなんて…」


    クリスタ「…うん、願ってもない話だよ」


    クリスタ「…これで、レイス家を恨む人を不快にさせなくてすむし」


    クリスタ「…エレン君に迷惑かけなくて済むよ」


    クリスタ「そして何よりさ、小学校の修学旅行の後、言ってくれたこと、覚えてる?」


    エレン「…」


    エレン「…お前は、王家のヒストリア・レイスだ………だが」


    エレン「俺達にとっては…ただのクリスタちゃんだ…」


    クリスタ「…そう、私は、あの時の言葉が凄く心に残ってる」


    クリスタ「…エレン君達は、私を王家としてじゃなく、友達として見てくれてるんだなぁ…って」


    クリスタ「…凄く、嬉しかったよ」ニコ


    エレン「…クリスタ」


    クリスタ「それほど、私にとってクリスタと言う名前は、大切な意味を持っている。だから」


    クリスタ「…お父さん、いえ、イェーガー総理」


    クリスタ「私、『ヒストリア・レイス』は、これから『クリスタ・レンズ』として生きていくことを申請します」


    グリシャ「…」


    グリシャ「…わかった」


    グリシャ「手続きは、こっちでしておく。受理されるまで少し時間がかかるだろうから…4月から、『クリスタ・レンズ』を名乗ってくれ」


    クリスタ「…わかりました」


    カルラ「…それじゃ、私達はそろそろ行くわね」


    カルラ「…エレン、クリスタちゃん、少し早いけど、卒業おめでとう」


    グリシャ「おめでとう」


    エレクリ「…!」


    エレクリ「…ありがと」ニコ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  148. 221 : : 2018/08/30(木) 00:31:06
    お父さんとお母さんは出発し、ご飯を作る為にキッチンへ行く


    そこには、お母さんの料理が置いてあった


    クリスタ「…エレン君、これ」


    エレン「…それ、母さんの料理か?」


    クリスタ「…お母さん」


    私はとても多くの感謝をして、エレン君と一緒に朝食をとる


    …そして、卒業式が始まる


    ――――――――――――――――――――――――――――


    エレン「…美味かったな、久しぶりの母さんの手料理」


    クリスタ「…うん、美味しいのもそうだけど、凄く暖かった」


    エレン「…あぁ、そうだな」


    と、エレン君と雑談をしながら、私は中学校において久しぶりで、そして最後の登校をしている


    アハハ ソレデー?


    クリスタ「っ!!」ビク


    エレン「…大丈夫か?」


    クリスタ「…うん、平気、びっくりしちゃっただけ」


    …だいぶ慣れてはきたものの、やっぱり他人が居ると最初は身構えてしまう


    エレン「…無理すんなよ、辛かったら言ってくれ」


    クリスタ「…ありがと」


    やっぱり、優しいよ


    エレクリ「…」トコトコ


    アルミン「あっ、エレンー!クリスター!」


    ミカサ「おっはよー!」


    エレン「アルミン!ミカサ!」


    クリスタ「…お、おはよ」モジモジ


    ミカサ「…外で会うのは久しぶりだね、クリスタ」


    クリスタ「…うん」


    アルミン「…いよいよ僕らも卒業かぁ、長いようで、短かったな、ホント」


    エレン「今日は湿っぽいの無しだからな!涙なんか流したらくすぐってやる!」


    ミカサ「はいはい、とか言ってエレンが泣いたりして」クスクス


    エレン「なっ、泣かねーよっ!!」



    アハハハハハハ…


    ――――――――――――――――――――――――――――
  149. 222 : : 2018/08/30(木) 00:41:46
    学校に着き、それぞれの教室で待機する


    エレン君はホントに心配して私を離そうとしなかったが、なんとか説得して離れてきた


    …3年D組と書かれた教室が、目の前にある


    一度も入ったことの無い教室、けれどクラスメートは変わってない


    …仲の良かったあの子は居ないけれど


    私は勇気を振り絞り、教室のドアを開ける


    クリスタ「…っ」ガララッ


    ワイワイガヤガヤ………シーン


    私が入って来たと同時に、教室内が静かになる


    クリスタ「…ぅ」


    声が詰まる、どうしたら良いのだろうか


    クリスタ「…ぁ」


    委員長「…ヒストリアちゃん、久しぶり」


    クリスタ「…ぇ」


    驚いた、まさか話しかけられるとは思いもしなかった


    それは、このクラスの委員長であった女子


    前に少しだけ、話した事がある、本当に、少しだけだけれど


    委員長「本当はあまり思い返すような事は…言わない方が良いんだろうけど…」


    委員長「本当にごめんなさい!!」


    ゴメンナサイ!! ゴメン!! ゴメンヨ!!


    クリスタ「…???」


    突然委員長が謝りだしたかと思えば、クラスの皆が一斉に謝りだした


    クリスタ「…何?どういう…」


    委員長「…あなたがいじめられてたことは、わかってたわ…わかってたのに、見て見ぬふりをしてた」


    クリスタ「…!」


    委員長「…あの子たちは昔から誰かをいじめてて、標的になった人は皆辛い思いをしてた」


    委員長「バックには怖い高校生が居て、皆標的にならないように怯えてることしか出来なかった」


    委員長「知ってたのに、助けられなかった、皆、自分が大切で…守ってあげられなかった」


    委員長「…ごめんなさい」


    クリスタ「…っ、そ、そんな…皆が悪いんじゃないよ…」


    クリスタ「…誰だって、自分は大切だよ…怖い気持ちは、私にだってわかる」


    クリスタ「私は平気だったから大丈夫なんて言えないけど、結果的に事は収まったから…」


    委員長「…!結果だけ良ければ良いってものじゃないでしょ!!あなたには心にも体にも、消えない傷が…」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…確かに、私は悪い人達にたくさんいじめられた…けど」


    クリスタ「それ以上の良い人達のおかげで、高校にも受かれたし、未来は閉ざされなかった」


    ふいに…エレン君の顔が思い浮かぶ


    クリスタ「だから…私はもう充分救われたんだ…」


    クリスタ「…それに、こうして優しいクラスの皆が、私に謝ってきてくれてる」


    クリスタ「…それだけで、私は許せるよ」


    委員長「ヒストリアちゃん…」


    委員長「…ありがとう」


    アリガトナ! アリガトウ! テンシー! ヒストリアチャーン!


    委員長「…長らくあなたが居なかったけれど、ここにいる皆は、あなたの事をちゃんとクラスメートだと思ってる…だから」


    委員長「…今日は、一緒に…卒業しましょう」


    パチパチパチパチ


    クリスタ「…っ!」


    周りから拍手や、感謝の言葉が送られてくる


    クリスタ「…」


    クリスタ「私…こそ、あり…がとぉ…」


    ――――――――――――――――――――――――――――
  150. 223 : : 2018/08/30(木) 23:21:18
    そして、卒業式が始まった


    先生「卒業証書、授与、3-A アルミン・アルレルト」


    アルミン「はいっ!!」


    アルミンが一番最初だ、来賓の方々や先生方に丁寧にお辞儀をしていく


    ふふっ、きっといっぱい練習したんだろうなぁ…


    エレン君やミカサも呼ばれ、3-Aの授与は全員終わった


    続いて3-B、3-Cと終わり、残りは3-Dだけとなった


    私は2年から3年に上がる時も不登校だったため、出席番号は一番最後になっている


    故に、小学校の時と同じく、全体の一番最後となってしまった


    オルオ「3-D、○○~」


    クリスタ「…」


    本来、2-Dの出席番号1番は、私の親友だった


    しかし、あの子を含めた7人は現在も少年院、3年に上がる時に生徒から消去されてしまった


    …私は危うく未来を奪われかけた、実際、遠くの高校に行かなければならないし、人生を狂わされたことは確かだ


    …なのに、なんで私は、罪悪感を感じているのだろうか


    あの子たちの人生も狂った。それは自業自得であり、私が責任を感じる必要なんてない


    頭ではわかっているのに、心が納得してくれない


    レイス家が無ければもしかしたら…なんて考えてしまう


    …きっと、何が悪かったのか、誰が悪かったのかなんて、一生わからないだのと思う


    ただ、今は前を向いて歩いていくしかない、希望をくれる、エレン君のためにも


    そんなことを考えていると、私の番が回ってくる


    オルオ「…ヒストリア・レイス」


    クリスタ「…はいっ!!」


    私の名前を呼ぶとき、オルオ先生が何やら思いつめた表情をしているのが見えた


    ザワザワ…


    保護者の方々がざわつく、それは小学校の卒業式と変わらない


    忌み嫌われた名前、だけれど、私はもうすぐこの名前を捨てる


    ようやく、この国から、レイスという名は消えてくれる


    …その方が、私も、皆も、嫌な思いをしなくて済む


    クリスタ「…」


    …ごめんね、アニちゃん


    そう思いながら、私は壇上に上がる


    校長「卒業証書、ヒストリア・レイス」


    本来、私はこの場に居られる人間ではない


    なにせ3年次は全て欠席、留年するのが当たり前なのだけれど


    エレン君が勉強を教えてくれ、充分過ぎるほどの成績を身に付けれられた


    そして、お父さんのおかげで進学する高校も決まった


    その2つの条件のおかげで、学校からも、国からも特例が認められた


    きっと、国の方はお父さんが頑張ってくれたんだと思う


    …私は、あの家族に感謝しきれない程救われている


    私は卒業証書を受け取り、校長、先生方、来賓の方々にもう一度礼をし、席に戻った


    ――――――――――――――――――――――――――――
  151. 224 : : 2018/08/30(木) 23:33:48
    教室


    卒業式が終わり、教室で担任による話がされる


    …あのオルオ先生が、まともに、しっかりと為になる話をしてくれている


    …この先生、こんなんだったけ?もっとやる気のなさそうな感じだったのに


    オルオ「…以上です」


    あ、終わっちゃった、最後の方聞いて無かった


    オルオ「…最後に………レイス」


    クリスタ「…ぇ?」


    急に私の苗字が呼ばれる、唐突だったので、掠れた声が出る


    クリスタ「…な、何…ですか」


    オルオ「俺はお前が不登校になるまで、あまり生徒と関わろうとしなかった」


    オルオ「その結果、お前をあんな目に遭わせた。クラスの皆は気付いてたみたいだが、俺は…全く気付かなかった」


    オルオ「気付くハズが無かった…生徒と、必要以上に関わろうとしなかったのだから」


    オルオ「ただ、お前が入院して、一度病院へ見舞いに行ったんだ」


    クリスタ「…!」


    初耳だ。というか、会っていない


    オルオ「…そこでお前の目が、まるで生気を感じてないように見えて、怖くなって帰ってしまったんだ」


    オルオ「…恐怖と同時に、後悔したよ」


    オルオ「あんな目をしてしまうぐらい、追い詰められてしまっていたなんて」


    オルオ「自分の弱さを、未熟さを…後悔した」


    オルオ「…人を導くはずの職業なのに、今まで何やってたんだろう…って」


    オルオ「…本当に、すまなかった」


    クリスタ「…そ、そんな」


    クリスタ「…私は、気にしてません」


    クリスタ「なんて言っても…先生の中には多分、罪悪感が消えてくれないのでしょう」


    オルオ「…」


    クリスタ「だから…その罪悪感を…今後教える生徒の為に、しっかりと胸に刻んでください」


    オルオ「…」ジワッ


    オルオ「…すまない!ありがとぅ………」ポロポロ


    クリスタ「…」


    嫌な人だ、苦手な人だと思っていたけど、今目の前で泣き続ける先生を見て


    世の中には、色んな人が色んな想いを持って居るんだと感じた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  152. 225 : : 2018/08/30(木) 23:45:00
    …最後の挨拶をして、私は完全に中学生を卒業した


    A組はまだ終わっていなかったので、校門で待つことにした


    すると、見覚えのある人が話しかけてきた


    クリスタ「…あなたは」


    ライナー「…ヒストリアちゃん」


    クリスタ「…ライナー君」


    久しぶりに見た、ライナー君、B組だったかな


    ライナー「ひ、久しぶり…その、具合、大丈夫なのか?」


    クリスタ「う、うん、完全に平気…って訳じゃないけど、ある程度は」


    ライナー「…そっか」


    クリスタ「…」


    ライナー「…」


    ライナー「そっ、そのっ!!」


    クリスタ「…?」


    ライナー「ヒストリアちゃんは…ここら辺の高校じゃないんだよな?」


    クリスタ「…うん、すっごく、遠い所」


    ライナー「…っ」


    ライナー「っ!!」


    ライナー「おっ、俺!小学校の頃から、ヒストリアちゃんの事が好きだったんだっ!!」


    クリスタ「…!」


    …まだ、好きで居てくれていたんだ


    ライナー「…その、遠距離になっちゃうけど、付き合って下さいっ!!」


    クリスタ「…」


    …好意を寄せられていたことは、昔から知っていた


    …何せ、あんなにわかりやすくアピールしてくるものだから


    …そのグイグイくる姿勢が何とも苦手で、関わりたくなかった


    中学校に入ってからは、周り皆に優しくしようと振る舞ったため、ライナー君とも普通に話してた


    だけれど、それはただ、表面上仲良くしていただけで、ちゃんと仲良くしようと思っていなかった


    …疲労で倒れてからは、また小学校の時みたいにあまり関わろうとしなくなっていた


    ライナー君とオルオ先生を重ねる


    苦手な人なんて、誰にだっている


    でも、その人だってその人固有の考え方があるんだ


    …それを理解しようとせず、勝手に関わりたくないと思うのは傲慢だ


    …だからちゃんと、答えてあげなくちゃ


    クリスタ「…気持ちは嬉しいよ」


    クリスタ「…でも、ごめんね、私には…大切な人が居るから」


    ライナー「…っ」


    ライナー「…そっか」


    ライナー君は、わかっていたかのような表情をした


    ライナー「…それじゃあまたね、いつか…またどこかで会えたらよろしく」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…ライナー君っ!!」


    ライナー「…?」


    クリスタ「…ありがとね」ニコ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  153. 226 : : 2018/09/02(日) 01:21:34
    彼を見送る、その背中は少し寂しそうに見える


    少し思い詰めていると、彼らがやってきた


    ミカサ「クッリスタ~!!」ダキッ


    クリスタ「わわわ、ミカサ…」


    ミカサ「ふふ~、クリスタ柔らか~」


    クリスタ「ちょ、ちょっと…ど、どうしたの?」


    ミカサ「…いやぁ、最後にクリスタの感触を…って思ってね」


    ミカサ「…ほら、見てあっち」


    クリスタ「…あ」


    そこには、肩を組んで歩いてくるエレン君とアルミンの姿が


    二人とも身長が合わず、歩きづらそうにしている


    クリスタ「…何やってんだか」クス


    ――――――――――――――――――――――――――――


    やっぱり、この4人でいる時が一番楽しい


    …ずっと一緒だと思っていた、でも、いつかは別れてしまう


    …その別れの時は、もうすぐ訪れる


    アルミン「あっ、親が呼んでる、そろそろ行かなくちゃ」


    ミカサ「…私も」


    エレン「…そっか」


    アルミン「…エレン達は、明日もう出発するんだよね」


    エレン「ああ、早いとこ荷物の整理して、新しい街に慣れないとな」


    ミカサ「…じゃあ、ここでお別れだね」


    クリスタ「…うん」


    エレン「…えと、照れくさいけど、お前らが親友で良かったわ、ありがとな」


    エレン「向こう行っても絶対連絡する、また、いつか会おうな」


    アルミン「…うん、絶対だよ!」


    ミカサ「私も楽しかったよ!エレン!クリスタ!大好きだよ!!」


    エレクリ「っ!!」


    アルミン「…!」


    アルミン「…」


    アルミンが、僕は…?見たいな目でミカサを見ている


    ミカサ「…?」


    あはは…アルミン、頑張ってね


    アルミン「…はぁ」


    クリスタ「…」


    …私からも何か言わないと…でも、上手く言葉が出てこないや


    …なら


    クリスタ「…っ」ギュ


    二人を思いっきり抱きしめる


    アルミカ「っ!?」


    アルミン「く、クリスタ…?」


    クリスタ「あ、ありがと……ね?///」


    アルミカ「…!」


    アルミン「…クリスタ」


    ミカサ「あーもう!クリスタ可愛いなぁ!!」


    エレン「…」ジトー


    ミカサ「でもエレンが嫉妬してるから!そろそろ離して!」


    エレン「なっ!べ、別に嫉妬なんかしてねーし!!///」


    クリスタ「…///」テレッ


    ミカサ「…私からもありがとう、色々大変だろうけど、頑張ってね、クリスタ」


    アルミン「…ありがとう、楽しかったよ」


    クリスタ「…」コク


    アルミン「それじゃあ、またいつか会おうね」


    エレン「…ああ」


    ミカサ「ばいばーい!!」


    クリスタ「…」フリフリ


    こうして私達は、アルミンとミカサとお別れをした


    エレン君の顔が、ちょっと涙目になっているのが見えた


    ――――――――――――――――――――――――――――
  154. 227 : : 2018/09/02(日) 02:34:07
    エレン君と歩く、中学校最後の下校


    入学時よりもさらに差がついてしまった身長、並んで歩くとよくわかる


    クリスタ「…」


    エレン「俺達、もう高校生になるのか…」


    エレン「…なんつーか、中学を卒業したっていう実感が無いんだよなー」


    クリスタ「…」


    クリスタ「…ぷっ、あはは……」


    エレン「な、なんで笑う!?」


    クリスタ「…エレン君は変わらないなぁって」


    中学校に入学する時、初めての登校で似たようなセリフを言っていた


    エレン君は覚えてないかもしれないけど、私は鮮明に覚えてる


    変わってしまったものもあるけど、変わらないものもあるよね


    エレン「…あっ、クリスタあそこ寄って行こうぜ!」


    クリスタ「え?あそこって…」


    そこにあったのは、懐かしき思い出の場所


    クリスタ「………シガンシナ…幼稚園」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタ「ね、ねぇ…勝手に入っていいのかな?」


    エレン「良いんじゃねぇか?俺達ここの卒園児だし…」


    クリスタ「…卒園は、してないよ」


    エレン「あっ…そうだったよな……すまん」


    クリスタ「ううん、気にしてない」


    ???「…あら、あなた達どなた?ここは幼稚園なのだけれど」


    クリスタ「っ!!」サッ


    驚いてしまい、咄嗟にエレン君の後ろに身を隠し服を掴む


    エレン「…あっ」


    エレン「ペトラ先生!!」


    ペトラ「…?私を知ってるって事は…卒園生よね…えーっと…」


    ペトラ「…あっ!思い出した!エレン君よね!?」


    エレン「そうです!お久しぶりです!!」


    ペトラ「うわぁ~!!すっごい成長して…良い男になったわねぇ~!!」


    ペトラ「今や偉大な総理の息子だもんね!カッコいいわぁ~!!」


    エレン「あ、ありがとうございます…」アハハ


    ペトラ「後ろの子は………」


    クリスタ「っ!!あ、え…えと…」チラ


    ペトラ「……っ!!」


    ペトラ「あ、あなた…もしかして…」


    ペトラ「…クリスタ、ちゃん…?」


    クリスタ「…!は、はい…そう、です」


    クリスタ「お、覚えていらしたんです…か?」


    ペトラ「ええ…クリスタちゃん…いや、ヒストリアちゃんの方が正しいのかな?」


    クリスタ「っ!!」


    クリスタ「し、知っていたんですか」


    ペトラ「…あなたがここを去る時、初めてあなたの保護者が現れて愕然としたわ」


    ペトラ「まさか、ロッド・レイスとアルマ・レイスが来るなんて思いもしなかったもの」


    ペトラ「…話こそしなかったものの、車の中に居たロッド・レイスのあの冷たい視線は、今でも脳裏に焼き付いてるわ」


    クリスタ「あ、あの…その時の事は、本当に……ごめんなさい」ペコリ


    ペトラ「良いのよ、あなたが悪いことじゃないし」


    ペトラ「それより、あなたの安全が気がかりだったのよ…レイス家が倒されてから、あなたの事は全く報道されなかったから」


    クリスタ「…その後は、イェーガー総理に保護されて、またシガンシナに戻ってくることが出来ました」


    ペトラ「そう…本当に、良かったわね」


    ペトラ「…今のあなた達を見ていると、あの頃を思い出すわ」


    ペトラ「エレン君が外に遊びに行って、そのエレン君の服を掴みながら必死についていくクリスタちゃん…懐かしいなぁ」


    ペトラ「今まで色んな園児を見て来たけど、あんなに毎日が楽しそうだったのはあなた達くらいよ」


    ペトラ「…」


    ペトラ「……再会、出来たのね…二人とも」


    エレン「…ええ」


    ペトラ「今は幸せそうな二人を見て、安心したわ」


    ペトラ「…幸せそうで嫉妬しちゃうくらい」ボソッ


    エレン「…え?何か言いましたか?」


    ペトラ「私なんてまだ結婚どころか彼氏も居ないのに」ボソッ


    ペトラ「何でもないわ、それじゃあ私は戻るわね、今は園児たちがお昼寝中なの」


    エレン「…はい、また…いつか」


    クリスタ「…さよなら、ありがとうございました」ペコリ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  155. 228 : : 2018/09/02(日) 02:42:55
    エレン「…懐かしかったな」


    クリスタ「…うん、ホント」


    エレン「…どうせなら、アルミンやミカサとも一緒に来ればよかったな」


    クリスタ「…もう、遅いよ」アハハ


    クリスタ「…」


    そうだ、もう、遅いんだ


    もう、離れ離れになっちゃったんだから


    クリスタ「…」


    エレン「…」


    エレン「く、クリスタ、俺…ちょっと行きたい場所があるんだが」


    クリスタ「…?いいよ、私は…」


    ――――――――――――――――――――――――――――


    クリスタ「…ここは」


    クリスタにお願いをしてたどり着いた場所は、幼稚園とは別の方向にある、懐かしき場所


    …そう、シガンシナ小学校


    そして、俺が一番行きたかった場所は


    エレン「…ここだ」


    エレン「…無理言って連れてきてごめんな、どうしても、ここで言いたかった」


    クリスタ「…懐かしい」


    そう、ここは小学校を卒業した後、クリスタと二人で話をした場所


    クリスタに『エレン』と呼ばれ、クリスタへの想いに気づいた場所


    エレン「…すぅ……はぁ」


    エレン「クリスタ、改めて言うよ」


    エレン「…俺は、クリスタの事が好きだ。友達としてではなく、家族としてでもなく」


    エレン「幼稚園の頃から、ずっと…ずぅっと…好きだ」


    エレン「…付き合ってくれっ!!」


    もう一度、クリスタに告白をする


    集中すべき受験も終わった。ここまで待たせたクリスタに、交際を求める


    約束していた。受験が終わったら付き合おうって


    …だが


    クリスタ「…どう、して?」ジワッ


    エレン「…!」


    返って来たのは、意外な返事であった


    ――――――――――――――――――――――――――――
  156. 229 : : 2018/09/02(日) 23:54:03
    私が涙目でそう告げると、エレン君が驚いた顔で戸惑う


    エレン「ど…どうしてって…受験が終わったから…交際を、求めて…」


    クリスタ「…違う、そういう事じゃないの」ポロポロ


    クリスタ「…わ、私、あの日告白されてからずっと考えてた」ポロポロ


    クリスタ「…なんでエレン君は、私をそんなに好きで居てくれるんだろうって」ポロポロ


    クリスタ「愛想も良くなくて、話す事も苦手で、明るく振る舞おうと頑張ったら過労で倒れて迷惑かけて」ポロポロ


    クリスタ「泣き虫だし、ネガティブだし、何でも抱え込んじゃうし」ポロポロ


    クリスタ「…皆から忌み嫌われる、レイス家なのに」ポロポロ


    エレン「…」


    クリスタ「…エレン君、さっき凄く辛そうな顔してた」


    クリスタ「…エレン君にとって、アルミンとミカサは12年間、いつも一緒だった大切な友達」


    クリスタ「…そんな3人を、引き裂いてしまった」


    私という、存在の為に


    エレン「…」


    クリスタ「…いったい、私にそれだけの価値があるのかなって」


    クリスタ「きっとエレン君は優しいからそんな事すら考えてない…」


    クリスタ「…でも私は、そんな事も考えるほどネガティブなの」


    クリスタ「…こんなめんどくさい人なの……私」


    クリスタ「…それでも、あなたは私の事が好きなの?」


    エレン「…」


    エレン「………クリスタ」


    クリスタ「…?」グスッ


    エレン「…愛してる」ギュ


    クリスタ「…っ!!」


    エレン「確かにさ、クリスタにも短所はいくらかある」


    クリスタ「…」


    エレン「でもな、俺はそんな所も好きなんだ」


    クリスタ「っ!!」


    エレン「何でも1人で溜め込む、会話が苦手、ネガティブ」


    エレン「…そういうのを全部含めて、それでも好きだってことが、『人を愛する』ってことなんだよ」


    エレン「…だから、俺はお前を愛してる」


    エレン「…手のかかる所も、めんどくさい所も、ネガティブな所も、全部ひっくるめて、クリスタを愛してる」


    クリスタ「…え、れん君」ポロポロ


    エレン「…ずっと傍に居てくれ」ギュッ


    クリスタ「~っ!!」


    そんな風に言われては、もう言い返すことが出来ない


    私のダメな部分も含めて好きだと言ってくれるのだから


    クリスタ「…!」


    クリスタ「わ、私も…」


    クリスタ「頑固な所があって、カッコつけたがりで、表情を隠せなくて」


    クリスタ「心配性で、意外と泣き虫で、子供っぽくて」


    クリスタ「…こんな私なんかを、愛してくれる」


    クリスタ「そんな、エレン君を全部纏めて、愛しています…」ポロポロ


    ――――――――――――――――――――――――――――
  157. 230 : : 2018/09/03(月) 00:18:27
    クリスタ「…」グスッ


    エレン「…いつまで泣いてんだ、湿っぽいのは無しだって言っただろ」


    クリスタ「…悲しいんじゃないもん、嬉しいんだもん」グスッ


    エレン「だからって泣くのはダメだ!それっ!!」コチョコチョ


    クリスタ「あっ、やっ、あははっ、やめ、やめ…ってエレンっ、君っ!!」


    エレン「…」ピタッ


    クリスタ「ひぃ、ひぃ…ど、どうしたの…?」


    エレン「…ヒストリア」


    クリスタ「っ!!」


    クリスタ「ど、どうしたの…いきなり」


    エレン「…別に、これがお前の名前だろ?」


    クリスタ「…そうだけど、もうその名前は捨てるんだから」


    エレン「…ホントはさ、今朝ちょっと戸惑ったろ」


    クリスタ「…え」


    エレン「…いきなり名前を変えろなんて言われたんだもんな、そりゃあ戸惑う」


    エレン「…どれだけ忌み嫌われた名前であったとしても、生まれ持った名前を捨てるってのは辛いことだ」


    エレン「…世間が許すなら、お前はヒストリアであり続けたかったのだろうな」


    クリスタ「…」


    クリスタ「……なんでもお見通しなんだね、エレン君には」


    クリスタ「…あんな、酷いことをしたお父様やお母様だったけれど」


    クリスタ「…それでも、私に与えてくれた、ただ一つのプレゼントが、ヒストリアという名だったから」


    クリスタ「…出来る事なら、捨てたくなかったよ」


    エレン「…だよな」


    エレン「…よし、じゃあ3月が終わるまで、お前の事をヒストリアって呼ぶよ」


    エレン「…出来るだけ長く、お前の名前を呼んであげたい」


    クリスタ「…エレン君」


    エレン「俺は、『ヒストリア・レイス(クリスタ・レンズ)』を愛してる」


    クリスタ「…!」ジワッ


    クリスタ「…ありがとう、私も…『エレン・イェーガー』を愛しています」


    クリスタ「…心の、底から!!」
  158. 231 : : 2018/09/03(月) 00:56:44
    これでエレクリな中学校は終わりとなります。
    今までと比べてかなり長くなってしまいました。(幼稚園よりも長くなるとは)
    途中迷惑な荒らしに邪魔されましたが、なんとか最後まで続けられました。
    エレクリな人生シリーズはまだ続きますが、個人の事情で半年ほど更新を休ませて頂きます。申し訳ありません。
    かなり長い間休むことにはなりますが、失踪はしないので気長に待って頂ければ幸いです。

    コメントも解除したので、今までの感想等頂ければ嬉しいです。
    それではまた。

  159. 232 : : 2018/09/03(月) 01:13:57
    感想かけて嬉しい
    次も楽しみにしてます
  160. 233 : : 2018/09/03(月) 01:14:36
    最高です
  161. 234 : : 2018/09/03(月) 01:37:43
    最高
    次が楽しみです!
  162. 235 : : 2018/09/03(月) 02:15:46
    は…半年もですって!?
    わあああんこの素晴らしい続きがそれまで読めないなんてえええ

    でも、待ってます。ダイヤさんのエレクリずっと読ませていただいてますが、放置されることはなかったので首を長くして待たせていただきますとも!

    中学生編の執筆お疲れ様でした。今回のお話を読み、描写がえぐくて辛くもなりましたがエレンとダイヤさんを信じ読み続けました。最後まで読んでよかったです。すばらしいエレクリをありがとうございました
  163. 236 : : 2018/09/03(月) 18:15:18
    お疲れ様でした!
    最初から見させてもらっている身ですが、個人的に一番好きなエレクリssです!

    上の方が仰ってるように、今回は今までよりも展開がキツくて(特に高校生のとこ)ハラハラしながら読んでました!

    幼稚園、小学校とかの伏線?みたいなのも張られてて凄いと思いました!(アニとか)

    途中から感想が書けなくてもどかしかったのですが、書けるようになって嬉しいです!

    半年更新されないのは残念ですが、楽しみに待ってます!
    長文失礼しました。
  164. 252 : : 2018/09/03(月) 22:13:47
    俺は好きだけどなぁこの作品
  165. 253 : : 2018/09/03(月) 22:40:18
    >>247 作者にも都合ってもんがあるだろお前みたいにニートじゃないんだから
  166. 254 : : 2018/09/04(火) 01:01:04
    受験生かなダイヤさんは
  167. 259 : : 2018/09/07(金) 23:42:16
    次は高校編ですかね?楽しみに待ってます!(^^)
  168. 261 : : 2018/09/13(木) 21:26:52
    めっちゃ面白かった
  169. 262 : : 2018/10/31(水) 16:51:21
    3日前から一気に読んだけどめちゃくちゃ面白かったです!
  170. 263 : : 2018/10/31(水) 22:46:45
    なんか大抵のエレクリってミカサ悪役って感じだから不快感なく読めた。
    代わりにアニが悪役だったけど、アニの気持ちもクリスタとの関係もなるほどなぁってなったし良いSSだったと思う。
  171. 264 : : 2019/01/30(水) 19:29:15
    高校編も見てみたいなぁ
  172. 265 : : 2019/02/03(日) 05:33:52
    半年か…てことは今年の3月くらいかな?
    でも、ずっと待たせていただきます!
    楽しみにしてます!
  173. 266 : : 2019/02/20(水) 23:49:11
    このシリーズ好き
    続きみたいです
  174. 267 : : 2019/03/09(土) 15:51:09
    3月?マジか!
    期待です
  175. 268 : : 2019/03/14(木) 14:01:17
    主さん覚えてるんかなぁ
  176. 269 : : 2019/03/14(木) 17:48:01
    まだかなぁ
  177. 270 : : 2019/03/14(木) 23:04:15
    ダイヤさん生きてんのか?
  178. 271 : : 2019/03/15(金) 13:05:30
    生きてて欲しいですね...w
  179. 272 : : 2019/03/17(日) 10:32:22
    お久しぶりです。生存しています。ダイヤです。
    多くの期待、待望コメントがあって嬉しい限りなのですが、
    現在まだ少し用事があってもうしばらく更新出来ません。ごめんなさい。

    失踪する気は無いので安心してください。
  180. 273 : : 2019/03/17(日) 10:53:17
    >>272了解
    期待してます‼
  181. 274 : : 2019/03/17(日) 22:32:19
    >>273
    Me toooooo
  182. 275 : : 2019/04/14(日) 08:12:49
    ちょっと待って、Lialさんどこいちゃったの?マジで?
  183. 276 : : 2019/04/14(日) 22:46:33
    まだかな

  184. 277 : : 2019/04/14(日) 23:48:20
    >>276まぁダイヤさんもリアルの方で忙しんだと思います
    失踪しないって言ってたんで気長に待ちましょう
    あと、更新されたら伝えに行きますね
  185. 278 : : 2019/04/15(月) 16:12:21
    サイコロステーキさん。その通りですね。更新されたら伝えてください。お願いします

  186. 279 : : 2019/04/16(火) 16:27:42
    >>278了解
  187. 280 : : 2019/04/29(月) 18:59:59
    ん~まだかな~? 結構遅いっすねぇ~
    ゴールデンウィーク中には更新されるかな?
  188. 281 : : 2019/05/02(木) 01:23:07
    まだ更新来ないですねぇ

  189. 282 : : 2019/05/04(土) 01:39:51
    お待たせしました。続きになります。
    http://www.ssnote.net/archives/79682
  190. 283 : : 2019/05/04(土) 10:36:45
    >>278野獣先輩さん 更新されてますよ!!

    ↓エレクリな高校生編です
    http://www.ssnote.net/archives/79682
  191. 284 : : 2019/05/06(月) 01:35:02
    続編はシリーズの方からどうぞ
    http://www.ssnote.net/series/3562
  192. 285 : : 2020/06/12(金) 03:16:21
    エレクリ好きだし、見ていて面白いけど
    アニに関してはアニ一家はレイス家によって辛く大変な目に遭った事は確かだろうし
    アニがクリスタが幼稚園の頃にもいた事を思い出せないのは仕方ないにしてもやった事は胸糞悪くてクズでしかないなと

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ダイヤ

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