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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

アニ「二人きりの夏祭り?」 アルアニ

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  1. 1 : : 2018/03/04(日) 21:30:29

    前回の続きです。

    前回↓
    アニ「つまらない学校生活」
    http://www.ssnote.net/archives/57738

    注意は前と一緒で。



    どうぞー
  2. 2 : : 2018/03/04(日) 22:11:56


    第二章


    二人の時間。




    午後3時



    ピーンポーン


    …誰、こんな時間に…。




    ガチャ


    クリスタ「やっほー」


    アニ「…なんの用?」


    クリスタ「今日夏祭りでしょ?アニを可愛くしないと」


    アニ「は?言ってる意味がわかんないんだけど」


    クリスタ「とにかく、中入っていい?」


    アニ「はぁ、どうぞ」


    クリスタ「お邪魔しまーす」


    アニ「はいはい」


    クリスタ「何着てくつもりなの?」


    アニ「私服」



    結局昨日、浴衣を見つけれなかった。

    本当は面倒だからすぐ探すのをやめたんだけど。




    クリスタ「浴衣じゃないと駄目!」



    そう言って私の部屋を見渡す。




    クリスタ「んー、ここかな」



    昨日は見てなかった押入れを開けて背伸びをしながら漁っている。

    と思ったら動きが止まった。



    クリスタ「これじゃない?浴衣」


    アニ「え?」



    クリスタが手に持っていたのは濃い青の浴衣。

    一瞬で見つけて出てきた。


    捜し物を探す才能ありそう。




    クリスタ「浴衣はこれでいいね」


    アニ「え?着るの?」


    クリスタ「当たり前じゃない」


    アニ「…そう」


    クリスタ「んー、まぁ調整はいっかな」


    アニ「私自分で着れるか解らない」


    クリスタ「私がやってあげるよ」


    アニ「…出来るの?」


    クリスタ「うん、任せて!」


    アニ「…わ、かった…」


    クリスタ「ついでに髪も結ってあげるよ」


    アニ「普通でいいんだけど」


    クリスタ「駄目だよ!折角二人で行く約束したんだから、いつもとは違う雰囲気を出さなきゃ!」


    アニ「…雰囲気、ね…」




    クリスタの考えてる事が丸わかり。


    一つ目は私の雰囲気って言えばいいのかな。

    もう一つは、私とあいつの中に生まれる空気。


    クリスタの笑顔が時々怖く見える。


    …小悪魔って所かな。
  3. 3 : : 2018/03/04(日) 22:46:33


    クリスタ「お菓子持ってきたんだ。一緒に食べよ?」


    アニ「いいの?」


    クリスタ「勿論!まずはシュークリーム!私これ好きなんだ」


    アニ「私も。甘いの美味しい」


    クリスタ「いただきまーす」


    アニ「いただきます」


    クリスタ「美味し!でも意外だな、アニが甘いの好きだなんて」


    アニ「失礼だね。私だって好き嫌いあるよ」


    クリスタ「そうなの?じゃあ私は好き?」


    アニ「…ん、このシュークリーム美味しい」


    クリスタ「無視!?」


    アニ「……嫌いではないよ」


    クリスタ「好きか嫌いかって言われたら?」


    アニ「………好き…」


    クリスタ「ふふ、ありがとう」


    クリスタ「ここで嫌いって言われたらどうしようかと思ったよ」


    アニ「こんな状態で嫌いっていう人の方が少ないと思うけど」


    クリスタ「まぁそうだよね」


    クリスタ「待ち合わせって何時?」


    アニ「七時」


    クリスタ「三時間以上あるし、まだいっか」



    時計を見ながら言う。

    クリスタは まだ って言ってるけど、私にとっては もう三時間しかないのか だった。


    クリスタ「もう一個持ってきたんだ」


    アニ「…太る」


    クリスタ「太らないから気にしないで!」



    いや、気にするんですけど。

    っていうか、そのお菓子…。


    クリスタ「じじゃーん!マカロン!」


    アニ「……今度こそいいの?」


    クリスタ「いいから持ってきたの!」


    アニ「え、でも…」


    クリスタ「ほらほら、遠慮しないで!」



    そう言ってマカロンを一つ貰った。

    こういうお菓子は殆ど食べない。

    小さく齧ってみる。


    …美味しい。

    当たり前だけど、美味しい。




    クリスタ「んん~、ほっぺた落ちそう…」


    アニ「うん、美味しいね」



    二人で一緒に頬張る。

    こんなことなかなか無い。

    私でいいのかな、なんて考える。


    それを知ってか知らないでか、もう一つと勧めてくる。

    今度は遠慮なく貰う。





    そんな事してるとあっという間に時間が過ぎていった。

  4. 4 : : 2018/03/04(日) 23:33:16


    午後5時


    クリスタ「そろそろ着替えよっか」


    アニ「うん」


    クリスタ「寒いかな」


    アニ「どうだろうね」


    クリスタ「…あ、まず先に髪結わなきゃ」


    アニ「それもクリスタがやってくれるの?」


    クリスタ「うん!」



    頷いて私の後ろに来る。

    バッグから髪ゴムとピンが入ってるポーチを取り出した。


    そして私が結んでる髪を解いて櫛で撫でる。



    クリスタ「アニって髪長い方だね」


    アニ「そう?」


    クリスタ「うん、もうちょっと短いかと思った」



    そう言いながら横から編み込み始める。

    手が器用なクリスタは、止まることなく進んで行く。


    勉強が出来たら完璧なんだけど。






    20分から30分で飾りまで付けてくれて、髪が出来上がった。

    早いと思ったけど、丁寧でしっかりと編み込まさってる。


    凄い。

    全部地毛だ。

    私の髪でこんなに出来るなんてね。

    でも少し派手じゃないかな…。



    クリスタ「よし、今度こそ浴衣だね」


    アニ「よろしく」


    クリスタ「中になんか履く?」


    アニ「寒いなら」


    クリスタ「寒いとは思うよ?」


    アニ「なら履く」


    クリスタ「あんまり厚着出来ないから、半袖短パンのジャージで我慢してね」


    アニ「ん」


    クリスタ「着るか着ないかで結構変わるから」


    アニ「そうなの?」


    クリスタ「らしいよ」


    アニ「じゃああっち向いてて」


    クリスタ「はーい」



    クリスタは言われた通りに反対側を向く。

    そしてジャージを取り出して着る。

    今は涼しいけど、暗くなると肌寒いだろうな。





    アニ「いいよ」


    クリスタ「じゃあこれ着て」


    アニ「うん」



  5. 5 : : 2018/03/05(月) 07:06:46


    ーーーーーー
    ーーー


    クリスタ「わぁ~、可愛い!」


    アニ「…っ…………」



    クリスタに鏡で見てって言われたから見てみたけど、これ本当に私…?

    髪形が違うとかもあるんだけど、ちょっと顔にもメイク?してたし。


    なんていうか、私じゃないみたい…。




    クリスタ「アニ可愛いよ!こんなに変われるんだね」


    アニ「そ、そう…?」


    クリスタ「うん!私もこんなに上手に出来たのなんて初めて!」



    私よりもクリスタの方がテンション上がってる。

    私もいつもよりは、浮いてるかも。




    アニ「あんたは誰かと行かないの?」


    クリスタ「行くよ、私の友達と」


    アニ「そう」


    クリスタ「まぁ私は私服だからねぇ」


    アニ「えっ?」


    クリスタ「ん?」


    アニ「あ、いや…」


    クリスタ「私服で行くって約束しちゃったし」




    なんで私だけって思ったけど、約束なら仕方が無い。…よね。

    私だけ浴衣ってのも、あれだけど…。

  6. 6 : : 2018/03/05(月) 17:34:08


    クリスタ「ほら、もう行かないと遅れちゃうよ?」


    アニ「えっ?」




    クリスタが着付けも髪もやってくれて早いなとは思ったけど、時計を見ると六時二十分すぎを示していた。

    ここから神社までは早くても十五分すぎに着く。

    遠いからな。


    毎年行かなかったのも、これが原因の一つなんだけど。





    クリスタ「途中まで一緒に行こうよ」


    アニ「うん」



















    神社前


    アニ「私ここだから」


    クリスタ「そっか。じゃあまたね」タッタッタッ



    クリスタが走っていくところを見届ける。

    まだアルミンは来ていない。

    っていっても、まだ五分ぐらい前だからね。



    いつもの癖でバッグからスマホを取り出す。

    ラインが来ていた。

    …クリスタ…?


    クリスタが行ったあとすぐに来たらしい。

    内容を見る。




    クリスタ『告白、頑張ってね!』






    …告白?

    告白、するつもりじゃなかったけど。

    勘違いしてる。


    私は誘われただけ。

    一緒に見て回るだけ。



    それしか目的がない。





    アニ『何言ってんの?』



    返事を返すと、すぐに既読の文字がついて新しいメッセージが来た。




    クリスタ『告白しないの?』


    アニ『するために来たんじゃない』


    クリスタ『ちぇー…』





    …よし、これ以上は無視しよう。

    そう思って画面を閉じようとした時、


    「なにやってるの?」




    その声が聞こえた途端、スマホを隠してばっと後ろを見る。

    アルミン…。



    アルミン「ごめん、待った?」


    アニ「いや、そうでもない」


    アルミン「良かった」




    謝るのそこじゃないよ。

    なに勝手に見てんのって言いたかったけど我慢。


  7. 7 : : 2018/03/05(月) 21:47:01


    アルミン「アニ浴衣なんだね。珍しい」


    アニ「…変だったら言って」


    アルミン「ううん、可愛いよ」


    アニ「…っ//」




    か、可愛いって…。

    普通はそんなストレートに言えないよ。

    恥ず…。





    アニ「い、行こう」


    アルミン「うん」








    アルミン「どこから見る?」


    アニ「どこでもいいけど」


    アルミン「お腹は?」


    アニ「…ちょっと空いた」


    アルミン「じゃあ焼きそばでも食べよっか」


    アニ「うん」



    下駄だから歩きずらい。

    しかも人が多いからはぐれそう。




    アルミン「ん?」


    それに気づいたのか、アルミンが手を差し伸べる。

    手、繋ぐってことかな…。



    アニ「…大丈夫、だから」


    アルミン「本当?」


    アニ「うん」


    アルミン「無理しないでね」


    アニ「うん…」



    また歩き出す。

    でもさっきよりもゆっくりになった。

    合わせてくれてるんだと思う。



    なかなか焼きそばを売ってるところが見つからない。

    足が少し痛くなってきた。

    でもこれぐらい我慢しないと。





    ふっと手が温かくなった。

    と思ったら、アルミンと手を繋いでた。

    えっ?って顔で見たら、



    アルミン「…僕がはぐれそうだったから」




    って。


    嘘が下手…。

    私に気遣ってくれたんでしょ?

    さり気なくこんな事してくれるから、こいつは優しい。


  8. 8 : : 2018/03/05(月) 23:02:05


    アニ「…あ、あそこじゃない?」


    アルミン「あ、本当だ」



    やっとで見つけた。

    屋台も沢山出てるけど、焼きそば屋がなかった。

    逆にすごいと思う。




    アルミン「並んでるね」


    アニ「うん」


    アルミン「他に食べたいのある?」


    アニ「…ある」


    アルミン「なら買ってきていいよ」


    アニ「でも…」


    アルミン「僕が並んでるから」


    アニ「…うん、解った」


    アルミン「あ、買ったらあの公園で待ってて」


    アニ「うん。じゃあ行ってくるね」



    あの公園ってのは、ここから少し外れた所にある小さな公園。

    そこには殆ど人がいないからゆっくり出来ると思う。


    たこ焼きを食べたいから、来た道を戻って探す。

    今度はすんなりと見つけれた。


    何分か並んで買って、公園に向かう。





    公園の入口のちょっと前からもう人がばったりいなくなった。

    公園を見渡す。

    誰もいない。

    …当たり前か。


    ベンチに腰をかけてアルミンを待つ。

    バッグの中が薄ら光ってたから見てみると、またクリスタから来てた。




    クリスタ『どう?楽しい?』



    楽しい、か。

    まだ少ししか時間が経ってないけどね。

    まぁ、



    アニ『楽しいよ』





    クリスタも楽しんでるだろうから、さっきみたいに既読がすぐつかない。

    なんとなく画面を見つめる。


    遠くから足音が近ずいてきた。

    顔を上げて相手を見る。

    アルミンだけど。




    アルミン「はい。遅くなってごめんね」


    アニ「しょうがないよ」



    アルミンは焼きそばのパックを渡しながら隣に座る。

    私はたこ焼きのパックを一つ渡す。




    アルミン「いいの?」


    アニ「うん」


    アルミン「ありがとう」



    にこっとした顔に思わず目を逸らす。

    私もアルミンも最初に焼きそばを食べ始める。



    美味しい。


  9. 9 : : 2018/03/06(火) 21:06:20


    たこ焼きも食べ終わった。

    喉が渇いたから買ってくる と言って、自動販売機に向かう。





    あった、自動販売機。

    サイダーは…、やめておこう。

    アクエリアスを買って戻る。



    アニ「ただいま」


    アルミン「お帰り」


    アニ「行こっか」




    アクエリアスを飲みながら歩きだそうとする。



    アルミン「ねぇ、一口頂戴?」


    アニ「…は?」


    アルミン「僕も喉渇いた。駄目?」


    アニ「駄目。あんたも買ってきなよ」


    アルミン「えぇー、じゃあかき氷で我慢する」


    アニ「そうしな」




    これをあげるってなったら、間接キス…。

    ペットボトルをしまいながらそんな事を考える。





    アルミン「ね、アニ」



    そう言って手を出す。

    ちょっと迷ったけど手を握った。



    アルミン「そうじゃなくて…」



    こうじゃない?

    手を離された。


    と思ったら手を絡めてきた。


    …恋人繋ぎ。




    アニ「えっ?」


    アルミン「ジュース貰えなかったら、これで我慢する」


    アニ「…何それ。かき氷で我慢するんじゃなかったの?」


    アルミン「我慢出来なかった」


    アニ「……………」




    ちょっと恥ずかしくなって俯く。

    アルミンが笑ったのがわかった。

    笑い事じゃないよ…。



    アニ「い、行こ…」




    少し強引に手を引いて歩き出す。

    ぐっと距離が縮まる。


    周りから見ればもう恋人と思われてもおかしくはない。

    …クリスタに見られたら終わりだよ。


  10. 10 : : 2018/03/06(火) 22:27:27


    結局、最後まで手を繋いで歩いた。

    肩が偶に触れてほわっとアルミンの香りがする。

    今は、家まで送ってってもらってるところ。

    いらない って言ったんだけど、危ないから って。




    歩いてたら、空からポツっと冷たいのが頬に当たった。

    雨だ。

    一瞬のうちにザーザー降ってきた。



    アルミン「うわっ、雨だ」


    アルミン「走るよ!」


    アニ「うん。……あ」



    走ろうとしたら、足の親指の付け根のところが痛くなってた。

    走るにも足が痛いせいで走れない。

    これじゃあ迷惑がかかるだけだ…。




    アニ「ねぇ、先に帰って」


    アルミン「駄目だよ!アニを置いて帰れないよ」


    アニ「でも…」


    アルミン「僕よりアニの方が大事なんだから」


    アニ「……………」


    アルミン「ね?掴まってよ」


    アニ「うん…」




    掴まるって言っても、手を繋いで少し体重をかけただけなんだけど。

    だから普通に歩いてるのとあまり変わらない。



    アニ「あそこ、私の家だから」





    家に着いてアルミンを玄関に入れる。

    家に上がってタオルを二枚持ってくる。

    床が濡れたけど、どうってことない。


    アニ「はい、タオル」


    アルミン「ありがとう」


    アニ「…ごめん、私のせいで結構濡れたね」


    アルミン「しょうがないよ、足痛かったんでしょ?」


    アニ「…うん」


    アニ「…取り敢えず、上がって」


    アルミン「いいよ、そのまま帰れるし」


    アニ「もう時間遅いよ。しかも冷えたでしょ?」


    アルミン「…じゃあ、ちょっとだけ。お邪魔します」


    アニ「どうぞ」




    リビングに行って椅子に座らせる。


    私がコーヒー飲めないからココアしかない。

    だからココアを二人分作る。

    勿論、温かいの。

  11. 11 : : 2018/03/07(水) 17:20:13


    アニ「ほら、これ飲みなよ」


    アルミン「ありがとう」



    椅子に座る。

    ちょうどアルミンと向き合うかたちで。




    アルミン「ごめんね、僕が迷惑かけちゃった」


    アニ「いや、助かったよ」


    アルミン「殆どなにもしてないんだけどね…」


    アニ「でも、…嬉しかった」


    アルミン「そう?なら良かった」




    私を女の子扱いしてくれて、さり気なくリードしてくれて…。

    本当に、嬉しかった…。


    今日一緒に祭りに行って確信した。




    私、アルミンの事が好きだ。







    そう言いきれる。

    嘘なんかじゃなかった。



    私の、本音だ。





    アニ「…着替えてくる」


    アルミン「あ、うん」


    アニ「あんたは風呂に入ってきて。お湯ためておくから」


    アルミン「ありがとう」


    アニ「ん」




    風呂場に行って適当に洗う。

    お湯を出してから自分の部屋に行った。



    帯を外して浴衣を脱ぐと、中に着ていたジャージの肩が少し湿っていた。

    結構な雨降ってたしね、当たり前か。


    部屋着に着替えてまたリビングに行く。

    アルミンは居なかった。

    風呂だろうね。


    この前押入れで見つけたお父さんの服を風呂場の前に置いておく。

    これで着なかったらただの馬鹿だな。



    髪もはずして軽く結ぶ。

    数分後、ココアを飲んでたらアルミンが風呂からあがった。




    アルミン「アニありがとう。温まったよ」


    アニ「そう。良かったね」


    アルミン「うん」


    アニ「私も入ってくるから。…覗き見しないでよ」


    アルミン「しないよ」


    アニ「じゃ」



    冗談で言ったら普通に返された。

    もっと慌てるかと思ってたのに。

    …つまらない反応。


  12. 12 : : 2018/03/07(水) 22:31:50


    ーーーーーー
    ーーー


    アニ「あがった」


    アルミン「うん」


    アニ「今日どうする?」


    アルミン「アニに迷惑かけるだろうし、帰るよ」


    アニ「…もう十時近いよ」


    アルミン「それでもだよ」


    アニ「家どこなの?」


    アルミン「…少なくとも、ここら辺じゃない」


    アニ「そう…。なら泊まっていきな、雨も強いし」


    アルミン「…でも…」


    アニ「無理、しないで」


    アルミン「…じゃあ、お言葉に甘えて」


    アニ「うん」


    アニ「使ってない部屋あるから、そこ貸してあげる」


    アルミン「ありがとう。…迷惑じゃない?」


    アニ「…迷惑なんかじゃないから泊めてあげるんだよ」


    アルミン「そっか…」


    アニ「…うん」




    アルミンが家に泊まる。

    よく考えたら私の”好きな人”が家に来ているだけでもすごい事だ。

    それに泊まるんだ。


    違う部屋で、だけど…。



    アニ「…私、もう寝る」


    アルミン「なら僕も」


    アニ「着いてきて、部屋わからないでしょ」


    アルミン「うん」





    階段を上がって私の部屋の隣の空いてる部屋に入れる。

    お休み と一言だけ言って私の部屋に行く。


    枕に顔を伏せた。

    目を閉じたら急に眠気が襲ってきて、一瞬のうちに寝てしまった。


  13. 13 : : 2018/03/07(水) 23:24:41
    期待!
    そして楽しみ!
  14. 15 : : 2018/03/08(木) 17:35:49


    翌朝


    アニ「…ん……」



    窓から差す光で起きた。

    昨日いつもより早く寝たから、その分早く起きてしまった。

    別に早く起きるのが嫌なわけじゃないけど。


    あ、隣の部屋にアルミンが居たんだった。

    起きてるかな。







    アニ「…入るよ」ガチャ



    隣の部屋に行ってみた。

    アルミンはまだ寝てる。


    静かにアルミンに近寄る。

    壁の方を向いてるから寝顔が見れない…。


    ベッドにあがってアルミンが向いてる方に行った。

    起こさないようにって思っててもギシッて音が小さくなってしまう。

    壁に寄り掛かって座る。

    ちょうど顔が見えるようになった。



    …寝顔、可愛いんですけど。


    本当に男の子?ってぐらいの可愛さ。

    けど、可愛いだけじゃない。

    やっぱり男の子って感じがする。

    男だけどさ。




    アニ「ねぇ…」


    頬に手を置いて少し距離を詰める。

    寝てるから今なら”好き”って言えそう。


    考えていたらグイッと腕を引っ張られた。



    アニ「うわっ…」


    アルミン「アニ、おはよう」


    アニ「…おはよう」



    腕を引っ張られてバランスを崩した。

    そしたら、アルミンの隣に横になってしまって今は近距離。

    向かい合ってて、見つめられてるから恥ずかしくなってきた。





    アルミン「ここに来て、どうしたの?」


    アニ「…いや、別に?」


    アルミン「何でもない?」


    アニ「うん」


    アルミン「そっか…」



    良かった、”好き”っていう前に。





    アニ「いつから起きてたの?」


    アルミン「アニが頬に手を置いたら気がついた」



    そう言って頬から離してなかった私の手に、アルミンの手が重なった。




    アニ「起きてたんなら、言ってよ…」


    アルミン「ごめん、アニが何するか見たかったんだけど…、やっぱり無理だった」


    アニ「なに、それ…」




    そっと手を戻して起き上がる。


    けど、その手をまた握られた。

    私の手の甲に額が当てられて甘えられる。




    アルミン「アニ…」



    ぎゅっと握られた手。

    手首に当たる髪。

    私を呼ぶ声。


    全部の仕草が私の心を動かす。



    アニ「…ちょっと……」


    アルミン「ねぇ…」



    アルミン「僕が好きって言ったら、どうする?」





    アニ「…え?」



    アルミン「…急に困るよね。ごめん、今のは冗談だから」


    アニ「…そう」




    冗談、か…。

  15. 16 : : 2018/03/08(木) 19:46:21


    アニ「パンあるけど、食べる?」


    アルミン「うーん、そんなにお腹空いてないから大丈夫」


    アルミン「あと僕もう帰るよ」


    アニ「え?」


    アルミン「雨もやんでるし、これ以上いたらアニが嫌でしょ?」



    なんでそんな事言うの?

    帰らないでよ。

    もっとそばに居てよ…。




    アニ「嫌じゃ、ないよ…」


    アニ「まだ…、帰らないで…」


    アルミン「えっ?」


    アニ「……お願い…」


    アルミン「…そんなに僕と一緒にいたいの?」



    俯いてた顔を上げてアルミンを見る。

    ちょっと意地悪な、でも照れくさそうな笑顔を浮かべていた。




    アニ「…うん」



    真っ直ぐ目を見て伝える。

    アルミンは一瞬驚いた顔したけど、小さな声を上げて笑った。

    そして、近づいてくる。

    目の前に来たと思ったら頭を軽く撫でられて、 素直なアニが可愛いよ って。



    アニ「へ、変な事言わないでよ…」


    アルミン「変だった?」


    アニ「…変だよ」




    可愛くなんてないのに。

    こんな近くで言われたら、勘違いしちゃうじゃん…。


    真っ正面からストレートに言われると凄く恥ずかしいんだからね。



    …でも、恋人じゃないのにこんな事して許されるのかな…?

    こう思ってても、今の時間を大切にしたい。



    二人だけの、時間…。

  16. 17 : : 2018/03/08(木) 22:26:35


    その後、アルミンに質問攻めされた。



    アルミン「アニって親いるの?」


    アニ「…なんで?」


    アルミン「見ないなと思って」


    アニ「一応、いる」


    アルミン「一応…?」


    アニ「そう、一応」



    説明が面倒だから簡単に言った。


    親が離婚した事。

    お母さんについて行った事。

    小学校最後くらいからひとり暮ししている事。

    元のお父さんが死んだ事。



    自分でも言いすぎたかなとは思った。

    こんなの聞いても得することなんてないし。




    アルミン「そう、なんだ…」


    先生や近所の人に知られると、”可哀想”とか”大変だね”とか言われる。

    別にそんな大した事じゃないのに。

    アルミンもそんなふうに言うんだろうなと思ったけど、違った。



    アルミン「僕、アニの事もっと知りたい。一番分かってあげれる人になりたい」


    アルミン「だから、教えて…。アニだって本当は暗い性格じゃないよね?」


    アニ「え…」


    アルミン「話してるうちに解ってきた。アニは明るくて素直な人だって」


    アニ「そんな事…」


    アルミン「そんな事あるよ」


    アニ「っ………」


    アルミン「アニが心を閉ざしてるんだったら、僕がその心を開いてあげる」


    アニ「アルミン…」


    アルミン「…初めて、名前呼んでくれたね」


    アニ「…え?」


    アルミン「いっつも”あんた”って言われてたから」


    アニ「そう、だね…」



    心の中ではアルミンの事を呼んでるのに、声にした事はなかったんだ…。


    ずっと呼び続けてた名前。

    私を変えてくれようとする人。



    アルミン。


    何度でも呼びたい。

    そして、私を何度でも呼んでほしい。



    私の、初恋の人…。


  17. 18 : : 2018/03/09(金) 17:14:15


    アルミン「だから、全部聞かせてよ、アニの事」


    アニ「……うん」


    アルミン「…ありがとう」




    私の過去を全部話した。

    勿論、ミーナの事も。

    クリスタが聞いてくれたように、アルミンも口出ししないで聞いてくれる。


    全部話し終わって、ひと息ついた。




    アルミン「…これで、全部…?」


    アニ「…うん」


    アルミン「そっか…」


    アルミン「…悲しい過去だね」


    アニ「…そうだね」


    アルミン「じゃあさ…」


    アニ「…ん?」



    アルミン「その分、今を楽しく過ごそうよ」




    アニ「楽しく…?」



    アルミン「そう、高校が一番楽しい時期なんだ。楽しくなかったら後悔するよ」


    アニ「別に、それでもいいよ…」


    アルミン「僕が駄目」


    アニ「は?」


    アルミン「アニがよくても、僕が駄目なんだよ」


    アニ「…あんたに関係ないでしょ、私の事なんか」


    アルミン「…あるよ」


    アルミン「言ったでしょ?僕がアニの心を開いてあげる」


    アニ「…何それ……」



    確かに、私は心を閉ざしていた。と、思う。

    あまり人と関わらないようにしてきて、表情には出さないようにって。

    でも、アルミンとクリスタとだけは、喋ったり一緒に帰ったりしていた。



    アルミンは一緒に居るだけで嬉しい。

    私、一人で舞い上がっていたかもしれない。


    昨日は手を繋いでくれて、今日は甘えてきて。




    いつからなんだろう、こういう気持ちになったのは。


    こんなにも愛おしいよ。



    大変なくらいに。


  18. 19 : : 2018/03/09(金) 19:16:25


    アルミン「よし、なら今から遊びに行こう!」


    アニ「い、今から…?」


    アルミン「そう、いいでしょ?」


    アニ「う、うん」


    アルミン「決まり!」


    アニ「どこ行くの?」


    アルミン「どこがいい?」


    アニ「どこでもいい。あんたは?」


    アルミン「僕もどこでもいいよ」


    アニ「だったら家にいよう」


    アルミン「えぇ?どこか行こうよ」


    アニ「……なら、散歩に行こうか」


    アルミン「うん!」









    アニ「気持ちいいね」


    アルミン「そうだね」



    前まで強かった日差しが、今ではもう柔らかい光になっていた。

    暖かい風が優しく吹いていて、もう夏が終わるなと改めて実感する。


    今の季節の自然が私を落ち着かせてくれる。



    ゆっくり歩いて数分後。

    特に話をするわけでもなく歩き続けて、気づけば昨日来た公園に寄っていた。


    なんとなくベンチに座る。




    アルミン「昨日とは違う所みたいだね」


    アニ「…うん」



    夜に行ったから暗かった。

    でも昼間だと日当たりも良く、雨が降って出来た水溜りが微かにキラキラしてる。


    周りには人が居ない。

    これは昨日と変わらない。

    でも此処は意外とお気に入りの場所。

    私は好きだな。




    アルミン「ねぇアニ」


    アニ「ん?」


    アルミン「好きな子、いる?」


    アニ「…なんで変な事言うのかな」


    アルミン「さっきまでその変な事言ってたから、今なら応えてくれると思って」


    アニ「応えると思う?」


    アルミン「うん。アニは優しいし」


    アニ「…どうも」



    そんなふうに見られてるんだ、私…。

    アルミンの方が優しいのに。




    アルミン「それで、どうなの?」


    アニ「…いると思う?」



    今まで前を見ていたアルミンが、静かに私の方に向きを変えた。


    そして、私の長い前髪を撫でるように掻き分けて頬に手を置かれる。

    透き通るような青い目で見つめられた。


    何が起きたのかすぐに解ったけど、この現実を受け入れていない。



    きっと今の私の顔は真っ赤だ。





    アニ「な、何…?」


    アルミン「朝の仕返し」


    アニ「仕返し?」


    アルミン「うん」



    仕返しならずっとやられっぱなしだったと思うけど…。


    でも、少し冷たかった私の頬に温かいアルミンの手が添えられたから、私の心の氷が溶けていきそうだった。

    ……例え、だよ。
  19. 20 : : 2018/03/09(金) 19:58:44


    朝の仕返しって言ってもまだ手を離してくれない。



    アニ「あの、手…」


    アルミン「ん?」


    アニ「もういいでしょ?」



    手を取ろうとして自分の手を重ねた。

    けどそれが逆効果だったみたい。



    アルミン「そんな事言わないでよ…」


    アニ「…は?」


    アルミン「寂しいじゃん」




    そう言って近づいてきた。

    思わずぎゅっと目を瞑る。



    コツン。



    額と額がぶつかった。

    痛くなかったけど。


    これから何されるのか…。

    鼓動が速まって心臓が飛び出そう。


    今どんな状況か。

    そんなの考えてる暇なんてなかった。

    だって、一瞬のうちに、



    唇が重なったから。





    そっと離され、目を開ける。

    今、キスをされた…。

    触れるだけの、キス…。



    アルミン「…ごめん」


    アニ「え…?」


    アルミン「アニを見てたら、止まらなくなった…」



    その言葉がきゅうっと胸を締め付ける。


    目を逸らされ、手も離された。

    前に向き直ったアルミンの横顔を見つめる。

    その表情には罪悪感が残っていた。



    アニ「…なんで、こんなことしたの…?」




    アルミン「……………。…遊び」


    アニ「…っ…………」





    あそ、び…?



    最低…。




    じゃあさっき言った”止まらなくなった”ってのは、嘘だったの…?



    アニ「…馬鹿……」


    アニ「私、もう帰る…」




    立ち上がって、その場から逃げるように走った。

    いろんな思いがこみ上げてくる。



    今までのは全部、遊び。

    祭りに行ったのも、ただの付き添い。

    可愛い って言ってくれたのも関係ない。

    私のことを知りたい って言ったのも、あいつの興味。

    心を開いてあげる って言ったのだって、本当はそんな事思っていない。



    全部が嘘。


    全部が遊びだったんだ。



    いきなり私情が込み上げてくる。





    好きな人にこんな事されて、振り回されてただけで…。







    もう、誰も信じられないよ…。




  20. 21 : : 2018/03/09(金) 20:11:19


    なんで…。


    遊び……。




    …私は本気だったのに。



    今までなら騙されても虐められても何も思わなかったのに、なんで…。




    こんなに、辛いの…?


    私が悪かったの…?



    もしそうだったら、謝るよ…。




    だから、お願い…。





    私を、見捨てないで…。







    …アルミンがこんな人とは思ってなかった。



    でも、そんな人って知ったけど…、好きなんだよ…。






    だって、あの横顔…。



    今まで嘘ついてたって感じがしなかった。




    すべてが嘘ならあんな顔、できないと思う。







    ……あんなこと言われたのに、アルミンを庇ってる私って…、




    ホント、馬鹿…。



  21. 22 : : 2018/03/10(土) 07:19:12


    翌日



    アニ「……………」



    休日も終わって今は昼休み。


    アルミンは、居ない…。

    当たり前だよ、昨日あんな事があったんだし。

    結構寂しいけど来なくて良かったっていう気持ちもいる。




    クリスタ「はぁ、はぁ、アルミン!アニ!また私の危機が迫ってきたよ〜!」


    そう言いながらドアを開け、私に飛び込んでくる。

    前よりもヤバそうだ。



    クリスタ「…あれ、アルミンは?」


    アニ「……いないよ」


    クリスタ「え、そうなの?珍しい…」


    アニ「…そうだね」


    クリスタ「…アニ、何かあったの?」


    アニ「何も、ないよ」


    クリスタ「嘘。私は騙せないよ」


    アニ「………本当に何でもない」


    クリスタ「なんでいつも一人で抱え込むの!?」


    アニ「っ!」



    急に叫ばれた。

    私はもう、誰も信じたくないのに…。




    クリスタ「アニは前と変わったんだよ?」


    アニ「…変わった…?」


    クリスタ「そう。冷静だけど考えてる事がわかりやすくなった」


    アニ「どういう事…」


    クリスタ「悲しい時は辛そうな顔して、恥ずかしい時は顔を赤くして…」


    クリスタ「感情が面に出るようになったんだよ」



    嘘…。

    私ってそんなにわかりやすいの?

    偶に恥ずかしい時は体温が上がるのを感じてるけど。

    でも…。


    ならこれは、アルミンとクリスタのせいだ。

    嫌だ。

    でも、やっぱり嬉しいの方が多い。



    クリスタ「ねぇ、話して?」


    アニ「………裏切られた」


    クリスタ「え?」


    アニ「アルミンに、遊ばれてた…」


    クリスタ「アルミンが…?」


    アニ「自分の口で、言ったから…、間違いない…」


    クリスタ「え…。あ、アルミンはそんな事しないよ…?」


    アニ「でも実際、”そんな事”をした」


    クリスタ「なんで…?裏切られてるっていつ知ったの?」




    ガチャ





    アニ「っ!」ビクッ



    エレン「あれ?ここにも居ねーぞ」


    ミカサ「全部探したと思ったんだけど」


    エレン「…あ、お前」


    アニ「…どうも」



    アルミンの友達。

    黒髪の女の子もそうなのかな。




    エレン「て、クリスタ…!?」


    ミカサ「ちょっと落ち着いて」


    エレン「はぁ?女王になるって言われてる人が目の前にいて驚かねぇのかよ?」


    ミカサ「確かに、そうだけど」


    エレン「この学校だったって知ってたけど、なかなか会えなかったんだよな」


    ミカサ「そうね」


    クリスタ「あのー…?」


    エレン「はいっ?」


    クリスタ「えっと、敬語じゃなくていいよ?」


    エレン「本当か!?」


    クリスタ「私はクリスタ。貴方達は?」


    エレン「俺はエレン・イェーガー」


    ミカサ「私はミカサ」


    クリスタ「よろしくね、エレン、ミカサ」


    エレン「おう!」

  22. 23 : : 2018/03/10(土) 07:40:34


    クリスタ「それより、誰か探してたの?」


    エレン「ちょっとな」


    クリスタ「誰?」


    ミカサ「アルミン」


    アニ「…っ」


    エレン「いっつも昼休みになるとどっかに行くんだよな」


    ミカサ「だから最近、一緒にお昼を食べてない」


    エレン「まぁそういう理由で探してるって訳だ」


    エレン「…あ、お前は知らないか?」


    アニ「…私?」


    エレン「ああ、お前、アルミンと一緒にいた子だろ?」


    アニ「…まぁ」


    ミカサ「そうなの。どこにいるか知らない?」


    アニ「先週までは、この屋上に来てた」


    エレン「先週までは…?」


    アニ「そう」


    ミカサ「今日は?」


    アニ「…一回も来てない」


    エレン「なんでだよ?」


    アニ「……………」


    ミカサ「どうしたの?」


    アニ「……………」


    エレン「アニ…?」


    アニ「…なんで、名前知ってんの」


    エレン「やっぱりな。アルミンからいろいろ聞いてたんだよ」


    アニ「…私の事を?」


    エレン「ああ」


    ミカサ「私にもよく話してくれる」


    アニ「……なんで…」


    アルミン、なんで…?

    なんで裏切ったの?

    私の事、嫌いになったの?


    だったらそう言ってよ。

    私、まだ変な期待しちゃうから…。



    エレン「なぁミカサ、言っちゃっていいのか?」ボソッ


    ミカサ「駄目。ちゃんとアルミンの口から言わないと意味が無い」コソッ



    クリスタ「ねぇエレン、ミカサ」


    ミカサ「ん?」


    クリスタ「今ね、アニの悩みを聞いてるところだったんだ」


    エレン「おう…?」


    クリスタ「それが丁度、アルミンの話」


    アニ「っ!ちょっ、クリスタ…!」


    クリスタ「アルミンの友達なんでしょ?」


    ミカサ「そう、幼馴染」


    エレン「小さい頃からの親友だぜ?」


    クリスタ「だったら尚更聞いてもらった方がいいって」


    アニ「…うん」



    クリスタは私を救ってくれようとしている。

    でも、いつか裏切られそうで怖い…。

    クリスタだって忙しいはずだ。


    …でも今は、頼れるのがクリスタだけ。


  23. 24 : : 2018/03/10(土) 12:51:36


    アニ「…土曜日、夏祭りに行ったでしょ?」


    クリスタ「うん」


    アニ「その帰りに雨が降ってきて、家が近くだったからアルミンも入れたんだけど…」


    エレン「は?アルミン?」


    ミカサ「もしかして一緒に行ったの?」


    アニ「そうじゃなかったらアルミン出てこないでしょ」



    話してるとエレンとミカサがいろんなところに突っ込んでくる。

    正直疲れるけど、クリスタがなんとか説いてくれた。


    特にエレンは興味深々らしくて、少し話せば疑問が降ってくる。



    やっとで話し終わると、エレンとミカサはぽかんとしていた。




    エレン「アルミン…、もうそこまで大人になったんだ…」


    ミカサ「私も一回甘えられてみたい…」


    エレン(俺、ミカサに甘えたことも甘えられたこともねぇ)


    アニ「問題はそこじゃないよ」


    エレン「すまん」


    ミカサ「でも、アルミンがそんな事するとは思えない」


    エレン「まぁ確かにな」


    ミカサ「アルミンは人で遊ばない。好きになった子には本気」


    エレン「そこアルミンらしいよな」


    ミカサ「そう。アルミンは偉い」


    エレン「あいつ、もしかしたら俺よりも男前なんじゃないか?」


    ミカサ「それは思う。けどエレンもかっこいい…」


    エレン「照れるんだったら最初から言うなよ」


    エレン「でもアルミンは頭いいし、バスケだってすぐできるようになったんだから凄ぇと思う」


    ミカサ「うん。天才」


    アニ「…話がズレてきてるんだけど」


    ミカサ「ごめんなさい、つい…」


    エレン「アルミンの話になると結構盛り上がんだよ」



    この二人はアルミンが好きなんだ。

    …友達として。


    幼馴染って言ってたよね。

    だからエレンとミカサはアルミンの事をよく知ってるんだ。


  24. 25 : : 2018/03/10(土) 16:16:56


    クリスタ「ね、アルミンの好きな人って誰?」



    今まで黙っていたクリスタが聞いた。

    ミカサが言った、”好きになった子には本気”って言葉が気になったらしい。




    ミカサ「言ったら、駄目だと思う」


    エレン「俺も知ってる。けど秘密って言われてるんだよ」


    クリスタ「えぇー?教えてよ…」


    エレン「あいつ、怒ると結構怖ぇから」


    ミカサ「ちょっとした事では怒らないけど、本当に怒った時は凄く怖い」


    ミカサ「私もエレンと一緒に怒られた事がある。本当にアルミン?て思うぐらい」


    クリスタ「へー、あの見た目でねぇ」


    エレン「でも優しいんだからな!?そこは覚えておけよ?」


    クリスタ「解ってるって」


    エレン「まぁ昔は泣き虫で怖がりで…、大変だったんだけどな」


    ミカサ「今は私達よりも成長してるんだと思う」


    エレン「早いなぁ」



    なんかエレンとミカサ、アルミンの親みたい。

    ずっと近くに居ても成長ってちゃんと解るんだな。


    …いいな、そういう仲。




    エレン「…なぁアニ」


    アニ「ん?」


    エレン「言っとくが、アルミンは人を騙すような事をしない。絶対だ」


    アニ「……………」


    エレン「さっきお前が話してた事がアルミンの単純な気持ちでやったって言ったら、俺はあいつと縁を切る。それぐらい言える」


    エレン「…アルミンは絶対遊んでなんかいなかったよ」


    アニ「っ……」


    エレン「俺があいつと一緒に過ごしてきた時間が一番長い。だからこんな事言えるんだ」


    エレン「だから…、頑張れよ?」



    そうだよ…。

    アルミンがあんな酷いことするわけない。



    昨日の夜あたりから諦めかけてたんだけど、


    やっぱりアルミンが好き。




    好きな人を諦めるなんて、好きな人を疑うなんて…、


    私の方が、もっと…もっと最低だよ。

  25. 26 : : 2018/03/10(土) 18:08:19


    放課後、アルミンに会いに行ってみよう。

    そして私の…、気持ちを伝えるんだ。


    アニ「エレン、ありがとう…」


    エレン「おう!」


    エレン「ミカサ、戻ろうぜ」


    ミカサ「うん」


    エレン「じゃあ、またな」


    クリスタ「うん、またね」



    バタン





    ミカサ「…さっき、エレンの割にはいい事言った」


    エレン「なんだよ、割りにはって」


    エレン「でもまぁアルミンに関わってるからな、ほっとけねーよ」


    ミカサ「それもそうね」


    ミカサ「でもエレン、かっこよかったよ…」


    エレン「だから照れるんなら言うなって」


    ミカサ「そんな事言わなくても…」


    エレン「はいはい、ごめんな?」





    ミカサ「…多分アニは、アルミンが好きなんだと思う」


    エレン「ああ、俺もそう思う」


    ミカサ「なら頑張ってもらわないと」


    エレン「そうだな」









    アニ&クリスタside



    クリスタ「…どうするの?」


    アニ「私、放課後アルミンと話してくるよ」


    クリスタ「偉い」


    アニ「うまく話せないかもしれないけど、…私はこのままじゃ嫌だ」


    クリスタ「うん…。そうだよね。頑張りなよ」


    アニ「勿論…!」


    クリスタ「私はいつでもアニの味方だからね?」


    アニ「……!」


    アニ「…うん」




    絶対逃げない。

    怖くてもちゃんと気持ちを伝える。

    そうしないと、私が壊れちゃいそうだから。


    何言われてもいい。

    だから、私の想いを正直に言おう。


  26. 27 : : 2018/03/11(日) 10:26:37
    期待‼‼
  27. 29 : : 2018/03/11(日) 11:33:43


    続き↓
    http://www.ssnote.net/archives/58193


    次もよろしくです。

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著者情報
02100330

祐陽

@02100330

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アニ「もう一度」 アルアニ&現パロ シリーズ

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