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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

エレン「最後の」 グリシャ「聖戦」 ④ ※進撃×インディ・ジョーンズ

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  1. 1 : : 2016/06/22(水) 16:59:08
    進撃×インディ・ジョーンズ、最後の聖戦、第4話になります。


    よろしくお願いいたします<m(__)m>
  2. 2 : : 2016/06/22(水) 17:00:21








    エレンがアニから手帳を取り戻した、その翌日。
    エレンとグリシャはベルリン空港にいた。







    空港の中は鉤十字の垂れ幕とヒトラーの大きな肖像画が掲げられており、いかにも第三帝国の玄関口といった趣。
    そして、イェーガー父子を捜索する兵士たちが小走りして物々しい雰囲気であった。


    そんな中、黒のロングコートを着込んだエレンは、同じくロングコートを着込み、顔を隠すように新聞を読んでいる男に近づいた。






    エレン「チケットを買ってきたぞ。今朝一番の飛行船でドイツを出る便だ。」
    グリシャ「よし。」





    グリシャは新聞を畳み、取っ手に傘を差しこんであるバックの中にそれをしまうと、エレンの後をついていった。
    空港の建物から外に出ると、巨大な飛行船が芝生の上につながれていた。






  3. 3 : : 2016/06/22(水) 17:01:25







    さて、飛行船に乗り込み、丸いテーブルに向かい合わせに座ると、エレンはほっとしたような声を上げた。





    エレン「ようやくこれでドイツとおさらばだな。」
    グリシャ「飛行船が無事に飛び立って、ドイツの国境を越えたら私も同じことを言おう。」





    両手に新聞を広げたグリシャも、どこかほっとしたような様子でほほ笑む。






    エレン「まぁ・・・・・・・・・・・・ここまでくりゃ大丈夫だろ。」



    椅子に深く座り込んで外の風景を眺めるエレン。
    とそこに。








    ベルトルト「ちょっと待ってくれ!! 船内をチェックするッ!!」



    因縁のナチス将校であるベルトルトが検問をしに芝生の上を走ってくるのが見えた。







    エレン(ったく、次から次へと・・・・・・。)


    エレンはため息をついて立ち上がると、船内で飲食物を提供している従業員の男に対し、親しげに肩を回してトイレへと連れ込んだ。






  4. 4 : : 2016/06/22(水) 17:02:13







    船内に入ってきたベルトルトは新聞を読んでいる男がいると、手に持ったロッドで新聞を下へと下げ、一人一人の男の顔を確認していった。
    違うと見るや手配書を見せ、見覚えがないかを確認していた。





    ベルトルト「この男の顔を?」

    乗客「いえ、知りません。」
    乗客「見たことがないわ。」




    従業員「チケットを拝見。」




    給仕がチケットを確認する中、ベルトルトは一番端の席に座って新聞を読む男へと近づいていった。
    ロッドでその男の新聞をゆっくりと下げて顔を確認すると、ベルトルトは慇懃な態度であいさつをした。






    ベルトルト「どうも、イェーガー博士。」
    グリシャ「お、お元気そうで。」


    従業員「チケットを拝見。」





    あっけにとられたような表情をするグリシャ。
    そんな中、従業員はベルトルトに声をかけた。




    従業員「チケットを拝見。」
    ベルトルト「今忙しいんだけど・・・・・・お、お前は!?」




    バキッ!!


    ベルトルト「へぶっ!! おうわあぁあぁぁッ!!」





    この前の仕返しとばかりにエレンはベルトルトの顔面を思いっきり殴ると、服をつかんで窓の外へと放り出した。
    呆然とする乗客たちに、従業員の格好をしたエレンは一言つぶやいた。





    エレン「あいつはタダ乗りだ。」



    乗客「チ、チケットです!!」
    乗客「私もチケットを持ってますわ!!」

    乗客「チケットだ!!」






    恐怖した乗客たちは我先にとチケットを掲げた。
    それからまもなく、飛行船はゆっくりと浮き上がり始めた。






    ベルトルト「うぐ・・・・・・いてて・・・・・・。」


    地面にまとめて置かれていた荷物の山に突っ込んだベルトルトは、起き上がるとこぶしを振り上げて怒鳴った。







    ベルトルト「覚えてろ、悪魔の末裔が!! 絶対に捕まえてやるッ!!」







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  5. 5 : : 2016/06/22(水) 17:50:50








    飛行船が飛び立ってからしばらくして、二人のテーブルの上へウィスキーが運ばれてきた。
    グリシャは取り戻した手帳を丹念に眺めながら、エレンとたわいもない話をしていた。







    グリシャ「――――・・・・・・で、このサインを貰ってしまったと。」


    エレン「アメリカ人がヒトラーのサインをもらうなんて皮肉なもんだな。」
    グリシャ「くく、確かにそうだ。」





    グリシャにつられてエレンもふっと笑みを漏らす。
    こうやって向かい合って話をするなんてことは、俺達には絶えてなかったことだ。






    グリシャ「お前との冒険は実に楽しいものだ、ジュニア。」
    エレン「だからジュニアって・・・・・・――――」

    グリシャ「実に刺激に満ちている。」



    エレン「ほかにも共に(・・)しただろ?」
    グリシャ「私だって人間だ。」


    エレン「父子そろって同じ女と寝るなんて・・・・・・。」
    グリシャ「縁とは不思議なものだな・・・・・・。」







  6. 6 : : 2016/06/22(水) 17:51:51








    それは不思議な感覚だった。
    妙にぎくしゃくしているのに、どこか・・・・・・心地良かった。






    エレン「・・・・・・・・・・・・最後に一緒に飲んだ飲み物を覚えてるか?」
    グリシャ「・・・・・・・・・・・・何だったかな?」


    エレン「牛乳だよ、親父。俺たちはこうして話をしたことなんかなかった。」


    グリシャ「話し相手になるときには、お前は家を出て行ってしまっただろう。」
    エレン「それ以来俺たちは20年も顔を合わせなかった。」





    グリシャ「それは、私に対する非難か?」





    グリシャは相も変わらず手帳を見つめながら話しかけてくる。


    エレンは少し困ったような顔を浮かべた。
    ウィスキーを少し傾け、それから、そっとつぶやくように話し始めた。






  7. 7 : : 2016/06/22(水) 17:52:58






    エレン「いや、俺の・・・・・・・・・・・・後悔だ。」
    グリシャ「後悔?」


    エレン「父一人、子一人なのに、断絶状態だった・・・・・・。」




    グリシャ「私はいい父親だった。」
    エレン「・・・・・・。」



    グリシャ「“早寝早起きをしろ”“宿題は忘れずにやれ”“歯を磨くことを忘れるな”・・・・・・・・・・・・私はお前の自由を尊重し、自立心を植え付けた。」

    エレン「父さんは目の前の人間より、文献の中に記されている500年前の人間のほうが大切だった。俺は、普通の父子が羨ましかった。」



    グリシャ「・・・・・・・・・・・・よし、分かった。」






    グリシャはぱたんと手帳を閉じると、まっすぐにエレンを見つめた。





    グリシャ「何でも話してみるんだ。」
    エレン「え? あっ、その・・・・・・。」





    突然のことに戸惑うエレン。



    そう、俺は父さんと語り合うことを、心のどこかで望んできたのだ。
    けれど、いざとなると・・・・・・・・・・・・




    エレン「はは、何も、ない・・・・・・かな。」


    グリシャ「じゃあなんで私を非難したんだい?」
    エレン「はは・・・・・・。」





    どうすればいいのか、よく分からない。
    エレンとグリシャは、お互いに当惑したような笑顔を浮かべた。







  8. 8 : : 2016/06/22(水) 19:39:13
    この親子は…w
    敵がナチスなのに主人公勢もドイツ系とはこれ如何にw
  9. 9 : : 2016/06/22(水) 20:51:16
    >>8
    ダメ親子ですねw

    主人公勢も本来ドイツ系なんですが、そこは仏のような御心でお願いいたします(;^ω^)
  10. 10 : : 2016/06/23(木) 00:33:32







    グリシャ「それよりも、だ。ジュニア、このページを見てくれ。」


    エレン「親父の言ってた三つの試練についてか。」
    グリシャ「ああ、試練を無事に切り抜けるための三つのヒントだ。」






    話題を変えるようにグリシャがページを開き、エレンにそのページを見せた。
    エレンも懐から眼鏡を取り出し、書かれている内容を確認する。






    グリシャ「まず一つ目は・・・・・・・・・・・・“神の息”だ。
    “悔い改めて通れ”とある。


    次に・・・・・・・・・・・・“神の言葉”、
    “神の名をたどれ”。


    最後に・・・・・・・・・・・・“神の道”、
    “獅子の頭より飛び降りて、勇気を示せ”。




    この三つが、古文書に書いてあったヒントなんだ。」






    エレン「で、具体的にはどういう意味なんだよ?」


    グリシャ「そこは・・・・・・さすがに行ってみなくては分からないな。」
    エレン「はは、違いない!」






    少し困った顔をするグリシャに対し、エレンは眼鏡をはずしながら笑った。
    少し前の俺なら考えもつかなかったなと思いつつ、ウィスキーのグラスに手を伸ばす。


    と、ここでエレンは、グラスの影が回転しているのに気が付いた。






    グリシャ「どうした? 深刻な顔をして?」


    エレン「・・・・・・・・・・・・飛行船が、旋回してる。」
    グリシャ「何だってッ!?」






    エレン「くそ、このまんまじゃドイツに逆戻りだッ!!」






  11. 11 : : 2016/06/23(木) 22:11:14









    アルプスの山々の上空にある飛行船がゆっくりと、ドイツに向かって旋回していく。






    エレン「くそ、無線機をぶっ壊したのがこんなに早くばれるなんてな! 急げッ!!」
    グリシャ「あ、ああッ!!」







    鉄骨だらけの飛行船の底部を走り抜け、梯子を下りて、エレンとグリシャは飛行船の底に取り付けられた複葉機へと乗り込む。
    操縦席へと乗り込むエレンに、後ろの台座に座ったグリシャが大声で問いかけた。





    グリシャ「お前、これを操縦できるのか!?」
    エレン「ああ! 操縦はオッケーだ!! で、着陸はダメだッ!!」





    そういうとエレンは操縦席の上にあるバーを引き、複葉機を飛行船から切り離す。
    機体のプロペラが回転し始め、複葉機はまっすぐ飛び始めた。





    エレン「うし、これで一安心・・・・・・・・・・・・。」



    エレンは押し黙って遥か後方を見つめ、一瞬固まった。
    グリシャがエレンの視線の先を追うとそこには。





    グリシャ「せ、戦闘機だッ!!」
    エレン「次から次へとッ!!」





    ピタラスP-2戦闘機が二機、猛スピードで接近。
    エレンとグリシャが乗る複葉機に機銃掃射を仕掛けてきた。


    機体を左右に揺らし、何とか猛攻を躱すエレン。



    機体はそのまま二人を追い抜き、旋回してまたエレンたちのところへと接近してきた。






  12. 12 : : 2016/06/23(木) 22:12:27







    エレン「遊んでないで銃で応戦しろよ!」
    グリシャ「き、機関銃なんて初めてでね。」


    エレン「11時の方角だッ!!」
    グリシャ「じゅ、11時に何かあるのか!?」



    エレン「そうじゃねえよ!! 方角だ!! 12時が真北で11時はあっちだッ!!」






    あまりにも軍事に疎いグリシャにエレンは癇癪を起こしつつ、身振り手振りで方角を示す。
    その間にも戦闘機は近づいてきて、機銃を掃射してくる。


    ようやくグリシャは機関銃をつかんで飛び回る戦闘機へと銃撃した。









    が・・・・・・・・・・・・




    ドガガガガガガガガッ!!
    ガクンッ!


    エレン「!? なんだ!?」







    突然、機体の高度がガクンと下がり始めた。
    というのも、グリシャは。





    グリシャ(ヤバい・・・・・・・・・・・・間違って尾翼を撃ってしまった。)



    戦闘機を追って銃撃しているうちに自らの機体の尾翼をボロボロにしてしまったのである。






    エレン「親父、撃たれたのか!?」
    グリシャ「・・・・・・・・・・・・そんなところだ。」


    エレン「!? マジかよ!?」


    グリシャ「すまない。この通りだ。」






  13. 13 : : 2016/06/23(木) 22:13:08








    みるみる機体の高度が下がっていき、アルプスの高原の地面が近づいてくる。






    エレン「不時着するぞッ! 掴まってろッ!!」



    大声でエレンは叫び、着陸の態勢に入った。








    ガクンッと大きな衝撃が機体に走る。
    機体はそのまま高原を走っていき、ヤギの群れへと近づいていき、そして。





    ドゴォンッ!!



    山小屋にぶつかってようやく止まった。







    グリシャ「見事な着陸だったな。」
    エレン「ありがとよ・・・・・・ぐっ、戦闘機が来るぞ!!」





    すぐさま機体から降りて、走り出すエレンとグリシャ。
    その後を上空から追い、機銃を掃射する戦闘機。


    二人は高さのある段差の下へと身を隠し、ようやく掃射から逃れた。






    グリシャ「まずいぞジュニア。奴ら、私たちを殺す気だ!」
    エレン「んなこたわかってんだよッ!!」


    グリシャ「す、すまん・・・・・・初めてのことでね。」


    エレン「俺はいつもどおりだ、チクショウ。こっちだ!!」







    内心頭を抱えながら、エレンはグリシャを引っ張って走り出した。







  14. 14 : : 2016/06/23(木) 22:13:55












    「それにしても、空が騒がしいのう。」




    アルプスの山小屋にてひっそりと酪農を営むおじいさんは、ようやく車のタイヤ交換を終えようとしていた。
    長年使いこんできた車を磨き上げ、タイヤを交換し、ナットをしっかりと締めた。


    おじいさん自慢のオープンカー。





    おじいさん「よし、あとはタイヤにカバーを取り付けて・・・・・・。」


    と、突然に車が走り出した。






    おじいさん「えっ?そ、そんな・・・・・・?」



    呆然とするおじいさんを残して、車は爆走していった。








  15. 15 : : 2016/06/23(木) 22:14:31







    エレン「くそ、しぶとい奴らだ。」



    盗み出した車のバックミラーを見ながら爆走するエレン。
    高度を低く下げた戦闘機が車めがけて機銃を撃ち下してくる。



    全速力で逃れるエレンたち。






    エレン「あそこに逃げ込むぞ!!」



    猛スピードでトンネルの中へと入っていく車。
    と、後ろからついてきていた戦闘機が上昇しきれず、トンネルに突っ込んだ。






    ドゴォンッ!!




    両翼をもがれた戦闘機がトンネルの中を、火を立てながら猛スピードで駆け抜けていく。
    そのまま機体はエレンとグリシャの車のわきを通り過ぎていく。



    一瞬、エレンとグリシャは困惑しているパイロットと目が合った。






    パイロット「・・・・・・・・・・・・。」


    エレン「・・・・・・。」
    グリシャ「・・・・・・。」





    無言のまま通り過ぎていった機体はトンネルの出口で爆発した。
    その炎をかき分けて、車がトンネルの中から飛び出した。







  16. 16 : : 2016/06/23(木) 22:15:37









    エレン「ふう。何とか出し抜いてやったな。」



    と、エレンがほっとしていたのもつかの間。









    ヒュルルルルル・・・・・・ドゴォンッ!!



    もう一機の戦闘機が爆弾を落とし、二人の行く先に大穴を開けた。
    車は大穴に落ちてしまい、身動きが取れなくなってしまった。






    エレン「いてて・・・・・・・・・・・・親父、早く!! 引き返してくるぞ!!」




    急いで車を降り、道のそばの斜面を下りていくエレンとグリシャ。
    だが、降りた先は海岸となっており、二人はいよいよ逃げ場を失ってしまった。






    エレン「クソッ!!」



    やけくそになったエレンはリボルバー銃を取り出すも、なんと弾が入っていなかった。








    くそ・・・・・・・・・・・・ここまで、だな。
    万事休すだ。
















    と、ここで突然、グリシャがエレンに荷物を押し付けると、カバンの取っ手の部分に差し込んでいた傘を手に取った。







  17. 17 : : 2016/06/23(木) 22:17:25







    エレン「!? 親父!?」



    どうするつもりかと思っていると、グリシャは傘を開くと前に突き出して、浜辺にとまっているカモメの大群へと突っ込んでいった。






    グリシャ「コケ~~~~ッ!! コッコッコ~~ッ!! コケ~~~~ッ!!」



    グリシャ渾身のニワトリの鳴き声に驚いたカモメたちは、一斉に空を飛び始め。







    パイロット「うわあぁああぁぁぁッ!!」



    旋回して近づいてきた戦闘機へと突っ込んでいき。











    ドゴオォオンッ!!




    鳥がプロペラに詰まってコントロールを失った戦闘機は、斜面に激突して爆発、炎上した。








    信じられない出来事にエレンがぽかんとしていると、傘を差したグリシャはゆっくりと近づいて語った。







    グリシャ「シャルルマーニュの詩を思い出したんだ。“我が軍隊は岩と木々、そして、空を飛ぶ鳥だ”。」
    エレン「父さん・・・・・・・・・・・・。」








    悠々と海岸を歩いていくグリシャの背中を見つめ、エレンは、湧き上がってくる感情に困惑していた。
    それは・・・・・・・・・・・・










    父親に対する、尊敬の念であった。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  18. 18 : : 2016/06/28(火) 15:48:21










    トルコ南部
    ハタイ共和国






    ハタイ共和国の宮殿では、到着したエルヴィンがナチスの幹部と共にこの共和国の支配者である、ターバンにひげを蓄えたスルタンに掛け合っていた。





    エルヴィン「聖杯の価値は計り知れません。」
    スルタン「ふむ。」


    エルヴィン「陛下の土地を捜索させていただくため、許可をいただきに来たのです。」






    エルヴィンは恭しい態度でスルタンに頭を下げた。





    エルヴィン「むろんタダでとは言いません。土産物があります。」
    ベルトルト「持ってくるんだ!!」




    ベルトルトが合図を出すと、将校二人が箱を持ってきた。
    開けると中には、様々な宝物が納められていた。






    ベルトルト「我が国の名家が涙を呑んで提供したものです。これらを全て陛下のものに・・・・・・。」







  19. 19 : : 2016/06/30(木) 16:34:46







    スルタンは、しかし、宝物には興味を示さず、中庭に駐車してある車に近づいていった。






    スルタン「これは・・・・・・・・・・・・ロールスロイス・ファントムⅡか。」



    車に詳しいスルタンは、ナチスの幹部たちにそのうんちくを披露し始めた。






    スルタン「4.3リットル、30馬力、6気筒エンジン、キャブはストロンバーグ製。
    時速100キロまでの加速時間は12.5秒。しかも、この艶やかな黒色が最高だ。」

    エルヴィン「鍵はついたままになっております、陛下。」





    スルタンは上機嫌になって早速エルヴィンに約束した。





    スルタン「何でも用意させよう。ラクダに馬、警護隊、食料、砂漠用車両、そして・・・・・・・・・・・・戦車も。」
    エルヴィン「お気遣いありがとうございます。」



    ダズ「・・・・・・・・・・・・。」





    スルタンの護衛の一人に扮していたダズは、そっと宮殿を出て行った。
    彼と入れ替わるように、アニが宮殿へと入ってくる。





    ベルトルト「アニか。」
    アニ「急いだほうがいい。イェーガー博士は追撃から逃れた。」


    エルヴィン「つくづく悪運の強い男だ。」







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  20. 20 : : 2016/06/30(木) 16:35:31








    ぷっぷ~!! ぷ~!!




    ライナー「こっちだ!! おい、ラクダをどけろッ!!」





    さて、イスケンデルンの町に到着したエレンとグリシャは、エレンの旧友であるライナーと合流した。
    日干し煉瓦でできた町の中を車で走りながら、ライナーはしきりにクラクションを鳴らしては町中のラクダをどかしていた。






    エレン「で、キースはどうなったんだよ!?」
    ライナー「すまねぇ。ナチスの奴らが今朝キースを連れて砂漠へ出て行っちまったんだ。」


    バシッ!


    エレン「いてっ! なにしやがんだクソ親父!!」
    グリシャ「地図は奴らが持っている。二等賞では褒美もないぞ。」



    エレン「追いつけるか!? ライナー!?」


    ライナー「しっかりつかまってろよ!?」






    ナチスがついに聖杯獲得に向けて動き出した。
    なんとしても先に見つけなくては。



    町を抜け、ライナーはアクセルを思いっきり踏んだ。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







  21. 21 : : 2016/06/30(木) 16:37:48









    アレクサンドレッタから南の方角。
    険しい山間部の切通し。










    その山中の先頭を、ベルトルトが地図を見ながら歩いてくる。




    その背後を、ナチスの戦車が地鳴りを立ててついてくる。
    キャタピラはむき出しで、正面の主砲と側面に二つの砲台を備えた、963 Mk VII タンク、通称、タイタニウムビークル。



    https://pbs.twimg.com/media/CibhoWtUUAArTrh.jpg






    その後ろを、砂漠用車両に乗ったエルヴィンとアニ、キース。
    さらにその後ろには兵士を乗せた車両やトラック。


    そのほかにハタイ共和国の警護隊が、ラクダや馬に乗って移動している。






    ローマを出発した十字軍よろしく、エルヴィンの一隊は聖杯を求めて、切通の中を行軍していた。







  22. 22 : : 2016/06/30(木) 16:38:45







    エルヴィン「一口飲むか? キース?」



    車の前列に乗ったエルヴィンが、後列に座るキースに水筒を差し出す。
    すると、キースはエルヴィンに皮肉をぶつけた。




    キース「そうだな。貴様にかけるつばもはけんほど喉が渇いているからな。」




    そういって受け取ろうとすると、前を歩いていたベルトルトが横取りし、グイッと水を飲みほした。
    苦い顔をするキースを無視し、ベルトルトはアニとエルヴィンに話しかけた。




    ベルトルト「この地図だと、あと3~4マイルで着くようです。」
    エルヴィン「人類に残された最大の宝が、今や目の前にある。」




    上機嫌でベルトルトから水筒を受け取るエルヴィンに対し、キースはボソッとつぶやいた。







    キース「貴様は・・・・・・あの宝の本当の力を分かっておらん。」







  23. 23 : : 2016/06/30(木) 18:12:22














    エレン「戦車か・・・・・・よりによって、戦車だ・・・・・・。」




    さて、ライナーの車に乗って先回りしたエレンは、崖の上から双眼鏡を通して敵を覗いていた。
    ため息をつきつつ、エレンは、キースがまだ息をしているかどうかを確認していた。





    エレン「親父、キースは無事なようだ。」
    グリシャ「エレン・・・・・・あれは、戦車、だよな?」


    エレン「だいじょぶだって・・・・・・いくら戦車でもこの距離は――――――・・・・・・・・・・・・






    ドォンッ!!




    エレン「うおっ!?」
    ライナー「か、隠れろ!!」




    そそくさと岩の後ろに隠れる三人組。
    砲弾は弧を描いてヒュルヒュルヒュルと落ちてきて。




    ドゴオォオォォンッ!!



    見事命中。
    ライナーの車は木っ端みじんとなってしまった。






    ライナー「そ、そんな・・・・・・・・・・・・マルセルから借りた車なのに・・・・・・・・・・・・。」







  24. 24 : : 2016/06/30(木) 18:36:18







    ベルトルト「ここからじゃ、見えないな・・・・・・。」



    双眼鏡をのぞくベルトルトが呟く傍らで、アニは確信をもって呟いた。






    アニ「双眼鏡の光が見えた。イェーガー父子は間違いなくここに来てる。」
    エルヴィン「噂にたがわずしつこい男のようだ。」


    ベルトルト「キースを戦車の中に入れるんだ。」






    崖の向こう側を睨み付けるエルヴィンたち。
    と、次の瞬間。



    突然、銃声が多数聞こえ、エルヴィンやナチスの兵士たちは慌てて車両の陰に隠れた。






    エルヴィン「ぐっ!! イェーガーか!?」
    アニ「いや、これは違う!」





    アラブ人の民族衣装を着た一団が、突如として切通しの左右の斜面から現れて、銃を撃ってきたのである。







  25. 25 : : 2016/06/30(木) 21:28:21








    グリシャ「!? あれはいったい!?」
    エレン「分からねぇが、助かったのは確かだ。よし、俺とライナーは足を拾ってくる。ここを動くなよ。」


    グリシャ「あ、ああ。」


    エレン「よし、ライナー。馬を拝借するとするか。」
    ライナー「あとラクダもな。」


    エレン「あっ!? ラクダなんかいらねえよ!!」


    ライナー「だが・・・・・・。」
    エレン「いらないからな!? いくぞッ!!」







    ナチスとアラブ人たちが激しい銃撃戦を繰り広げている中、エレンとライナーはこっそりと近づいていく。







    ベルトルト「グレネードで応戦するんだ!!」




    ベルトルトの合図で兵士たちが一斉にグレネードを斜面の上、アラブ人たちが隠れている岩の裏めがけて投げつける。







    ドゴオォオォンッ!!
    ドゴオォオォォンッ!!

    ドオォオォンッ!




    「ぐああっ!!」
    「うわあぁっ!!」

    「ああぁうッ!!」





    何度か起こった爆発で数名の兵士が吹き飛ばされて斜面を転げ落ちた。
    残ったアラブ人たちが不利を悟り、斜面の上へと逃走を図るも、ナチスは執拗に追撃し。






    ベルトルト「撃てぇ!!」



    銃弾を雨あられのように浴びせて、一人残らずアラブ人を殲滅していった。







  26. 26 : : 2016/07/01(金) 00:21:18
    ライナーww
    前も同じ俳優の演じたキャラになってた気がww
  27. 27 : : 2016/07/01(金) 00:24:03
    ジョン・リス・デイヴィスさんですねw
    私の中でイメージがピッタリなんですもんwww
  28. 28 : : 2016/07/01(金) 16:01:11







    斜面から転がってきた死体を調べるベルトルト。




    彼らは胸に十字架の入れ墨を入れたもの――――――聖杯の秘密を守護する十字剣兄弟団の構成員であった。






    エルヴィンとアニも血だらけで倒れている別の男へと近づく。
    アニは、その男に見覚えがあった。


    間違いない――――――ヴェニスで襲撃してきた男だ。




    男のそばにしゃがみ込み、エルヴィンは淡々とダズを問いただした。







    エルヴィン「随分なご挨拶だったじゃないか? 君たちは何者かな?」



    すると、ダズは息も絶え絶えに話し始めた。






    ダズ「神、からの・・・・・・使い、だ・・・・・・。」

    エルヴィン「ほう? それで、神は何と仰せかな?」








    ダズ「・・・・・・せい、はいは・・・・・・あしき、もの・・・・・・に・・・・・・・・・・・・永遠の、のろ、いを・・・・・・・・・・・・もたらす・・・・・・・・・・・・」



    そのまま、ダズは、こと切れた。







  29. 29 : : 2016/07/01(金) 16:28:54








    エレン(奴らはまだアラブ人の集団に気を取られてるな・・・・・・・・・・・・よし。)




    斜面をこっそり移動していたエレンは、後列の馬に乗った警備隊に近づき。






    エレン「はあッ!!」
    警備隊員「ぐあッ!!」





    段差からジャンプして馬に乗っている警備隊員に襲い掛かった。
    警備隊員を馬から殴り落とし、エレンは馬を乗っ取ると、馬を取り戻そうとした警備隊員を再び殴って気絶させた。







    さて、エレンから動くなと言われていたはずのグリシャはというと。





    グリシャ「キース! キース!!」
    キース「ぅおうッ!?」




    十字剣兄弟団掃討のために人の出払った戦車の中に入ってきた。
    ベルトルトによって戦車の中に移されたキースと、グリシャは久しぶりに再会し。




    グリシャ「われらは学究の徒!」
    キース「学問こそわが主! よく来てくれた、グリシャ!!」




    学友同士の楽し気な挨拶を交わした。
    そんなことをやってたものだから。





    グリシャ「よし、逃げ・・・・・・・・・・・・―――――ぐおっ!?」



    戦車の中へ、ベルトルトをはじめとするナチスの兵士たちが次々と戻ってきてしまった。
    グリシャ流に言うなら、ミイラ取りがミイラになってしまったというわけである。







  30. 30 : : 2016/07/01(金) 16:30:08









    ベルトルト「身体検査を。」



    ベルトルトの部下によって、体を隅々まで検査されるグリシャ。
    それからベルトルトは、グリシャの頬をひっぱたきながら詰った。






    ベルトルト「そのオンボロの手帳がそんなに大事なのかい?」

    バシンッ! グリシャ「ぐっ。」



    ベルトルト「わざわざ取り戻しにベルリンまでやってくるとはね。」

    バシンッ! グリシャ「ぐっ!」



    ベルトルト「答えろ!」

    バシンッ! グリシャ「ぐっ!!」



    ベルトルト「あの手帳には、一体何が書いてあるんだ!?」






    と、グリシャはひっぱたこうとしたベルトルトの手を受け止め、ぐっと握りしめた。







    グリシャ「貴様らナチでも、本を燃やさずに読み込めば、少しは利口になれると、書いてあるのだ!」

    ベルトルト「!? 小癪な・・・・・・。」







    すると操縦席の外から、中を覗き込むエルヴィンの声が聞こえてきた。






    エルヴィン「ベルトルト!! イェーガーが逃げたぞッ!!」

    ベルトルト「イェーガーはここに―――――・・・・・・・・・・・・エルヴィン「そっちのイェーガーじゃないッ!!」







    エルヴィンがそう叫んだ瞬間、戦車の外から高笑いする声が聞こえてきた。







    エレン「あ~~~っはっはっはっ!! はぁッ!!」



    エレンは満面の笑みを浮かべて4頭の馬の手綱をひき、ナチスの隊列を颯爽と駆け抜けていった。








    ベルトルト「くそ! 追うぞ!!」



    出し抜かれたことに気が付いたベルトルトは戦車のハッチから顔を出し、大声で部下に命じた。







  31. 31 : : 2016/07/02(土) 19:56:21








    エレン「!? ライナー!! ラクダはいらねぇって言っただろうがッ!!」





    大声で怒鳴るエレン。
    それもそのはず、ライナーは足手まといになるラクダを四匹も集めて、エレンと同じように手綱をひいていたのである




    ライナー「マルセルの車をパァにしちまったんだ! ラクダで弁償する!!」

    エレン「お前なぁ・・・・・・・・・・・・で、親父は!?」




    ライナー「捕まっちまった! 今はあの鉄の車の中だ!!」

    エレン「はぁッ!?」






    何やってんだよと言わんばかりに声を荒げるエレン。
    と、その後ろから戦車が、砂漠用車両が、兵士たちを乗せたトラックが追ってくる。





    エルヴィン「イェーガー博士を捕まえろ!!」



    エルヴィンとアニを乗せた車が隊列から離れていく中、ベルトルトが指揮を執る戦車がエレンへと近づいてくる。






    エレン「クソッ!! ライナー、馬を頼むぞッ!!」
    ライナー「お、おうッ!!」




    ライナーに三頭の馬を預けたエレンは、まるで獲物を誘い込むかのように、戦車の前を走りだした。







  32. 32 : : 2016/07/02(土) 19:57:26








    ベルトルト「撃てッ!!」



    ベルトルトが戦車の中で叫び声をあげる。






    ドゴオォオンッ!!


    エレン「くっ!!」






    手法から砲弾が放たれ、切通しの斜面へと着弾する。


    正面を走り続けるのはどうも具合がよくないと判断したエレンは減速して、戦車の左側面へと回っていく。





    ドゴオォオォォンッ!!


    エレン「うおっ!? あぶねっ!!」





    左側面の砲台が火を噴き、危うく帽子を吹き飛ばされそうになるエレン。
    何とか右手で帽子を押さえると、戦車の中から声が聞こえてきた。





    グリシャ「ジュニア!? ジュニア!!」
    エレン「親父ッ!!」





    側面ののぞき窓から、エレンは銃を突き付けられている父親とキースの姿を認めた。







    エレン「今助けてやるからな!? そこで待ってろッ!!」



    エレンは手綱を握る手に力を込めて、戦車の後方へと回っていった。







  33. 33 : : 2016/07/02(土) 19:58:10








    ベルトルト「逃がすものか! 戦車を旋回させるんだ!!」

    操縦士「アイアイサ~ッ!!」







    ベルトルトが大声で命じ、操縦士がレバーを操作する。
    途端にがくんと機体に衝撃が走り、戦車が旋回していく。





    エレンを追って旋回する戦車。
    と、次の瞬間、ベルトルトと操縦士は驚愕の悲鳴を上げた。







    操縦士「うわあぁああぁぁぁッ!!」
    ベルトルト「なああぁあぁぁッ!?」




    旋回していた戦車は、後ろを走っていた砂漠用車両と正面衝突し、車両がでんぐり返って主砲の上に覆いかぶさった。








    エレン「ははっ!! ざまあみやがれッ!!」



    主砲をうまく塞いだエレンは得意そうに、戦車の正面を再び走り出した。






  34. 34 : : 2016/07/03(日) 00:19:46
    レイダースではライナーの奥さんが出るはず。
    果たしてあの娘なのか、ライナーの願望が叶うのか?それとも…w
  35. 35 : : 2016/07/03(日) 00:40:44
    >>34
    コメントありがとうございます<m(__)m>

    もしレイダースを書く機会がありましたら、ご期待ください(∩´∀`)∩
  36. 36 : : 2016/07/03(日) 00:45:58






    ベルトルト「くそ、主砲が・・・・・・。」




    出し抜かれて切歯扼腕するベルトルト。
    正面の車両からはナチスの兵士たちが何とか抜け出そうとあがいている。


    が、ベルトルトはそんなことお構いなしに命令を下した。





    ベルトルト「撃てぇッ!!」


    ドゴオォオォォンッ!!






    主砲が勢いよく火を噴き、塞いでいた車両を思いきり前へとぶっ飛ばした。
    吹き飛ばされた車両は、そのまま戦車にひかれて押しつぶされていく。






    その隙にエレンは体を大きく傾け、右手で石を拾うと、戦車の左側面へと再び近づき始めた。



    出窓から見えないように、戦車に近づいていき。






    エレン「・・・・・・良し。」



    砲身に石を詰めると即座にそこから離れていく。







  37. 37 : : 2016/07/03(日) 00:47:59





    砲手「!! よぅし・・・・・・。」



    ようやくエレンの姿を捉えた左側面の砲台の砲手が、にやけながらエレンに狙いを定める。

    標準を合わせ、引き金に指をかけ。




    ドゴオォオォォンッ!!




    砲手「うあぁああぁぁぁッ!!」


    操縦士「なぁっ!?」
    ベルトルト「ぐぅッ!!」





    突如左側の砲台が爆発し、砲手が後ろへと吹き飛ばされた。
    操縦室は煙に包まれ、グリシャやキースも激しくせき込んだ。




    キース「ゲホッ! ごほッ!!」
    グリシャ「ゲホッ!! まったく、なんて無茶を!?」


    ベルトルト「ゲホッ! よくも・・・・・・ここまで僕をコケにしてくれたな!?」






    怒り狂ったベルトルトは煙だらけの操縦室のハッチを開け、エレンに向けて銃を構えた。







  38. 38 : : 2016/07/03(日) 00:57:06







    バァンッ!!


    ベルトルト「おっとッ!?」





    先に撃ってきたのは、エレンだった。

    エレンは馬上から、ハッチから身を乗り出しているベルトルトと激しい銃撃戦を繰り広げる。




    ・・・・・・・・・・・・なかなか当たらない。





    とここで、エレンは大きく左へ曲がり、斜面を駆け上って、戦車の左わきの段差の上を駆け抜けていく。


    それからエレンは馬上から、段差の下を走る戦車――――その機体の上へと飛び乗った。






    エレン「っと!!」




    戦車にしがみつき、ゆっくりと立ち上がるエレン。


    その目の前にベルトルトが、まるで巨大な壁のように立ちふさがった。







  39. 39 : : 2016/07/03(日) 01:08:21
    期待です!!
  40. 40 : : 2016/07/03(日) 01:16:59
    ありがとうございます(^^)
  41. 41 : : 2016/07/03(日) 12:32:37








    戦車の上でにらみ合う両者。





    とそこへ、ナチスの兵士たちが突如乱入してきた。

    トラックが戦車の右側につけて、中に乗っていた兵士たちが乗り込んできたのである。






    エレン「くそっ! じゃますんじゃねえ!!」

    兵士「ぐあッ!!」
    兵士「ぐおッ!!」





    狭い戦車の上で取っ組み合い、
    殴り殴られ、蹴っては蹴られ、



    バァンッ!!


    兵士「ぐおッ!!」
    兵士「うあッ!!」
    兵士「うあッ!!」




    三人を一気に撃ち抜き、われながらちょっと驚くエレン。




    そんなエレンへ、ナイフを持った兵士が飛びかかる。
    再び取っ組み合いになって、兵士を蹴り倒す。


    その直後。





    ギリッ!!


    エレン「あがッ!?」





    ベルトルトが背後から、鎖でエレンの首を締めあげた。

    その拍子にエレンは銃をとり落とし、銃が操縦室の中へと落ちてしまった。







  42. 42 : : 2016/07/03(日) 12:33:17







    エレン「くそ・・・・・・あがぁ・・・・・・。」



    必死にあがきながら、襲い掛かってくる兵士をエレンは蹴り倒す。







    兵士「ぐあッ!! うああぁあぁぁぁ・・・・・・・・・・・・!!」



    蹴り倒された兵士の一人がキャタピラの上部に倒れ、そのまま流されて地面に落ち、戦車にひき殺される。
    そんな中、操縦室の兵士の一人が、スコープを覗いてエレンとベルトルトの戦いをのんきに楽しんでいた。





    兵士「あのアメリカ人、マヌケ面をさらしてやがるぜ?」



    へらへらとした笑顔で上の様子を語る兵士。
    と、次の瞬間、エレンはスコープを蹴り飛ばした。





    バコンッ!!


    兵士「うがッ!!」





    スコープの取っ手が兵士の頭を直撃し、グリシャやキースに銃を突き付けていた兵士に倒れ掛かる。





    グリシャ(!! 今だッ!!)



    その隙にグリシャはエレンが落っことした銃を拾おうとし、中の兵士と取っ組み合いになった。







  43. 43 : : 2016/07/03(日) 12:36:05







    ベルトルト「うおおぉおぉぉッ!!」
    エレン「あだだッ!! ぐああッ!!」



    エレンを押し倒し、ベルトルトはキャタピラへエレンの顔面を押し付ける。
    あまりの激痛に悲鳴を上げるエレン。


    とそこへ、もう一台のトラックが接近してくる。







    戦車の中では銃を巡っての取っ組み合い。




    銃を拾おうとするグリシャの背中に兵士がつかみかかり、何とか右手の銃をグリシャの顔面へとむけようとする。
    兵士の右手を左手でつかんで、何とか顔面からそらすグリシャ。


    それからグリシャはゆっくりと、胸ポケットにある万年筆に手を伸ばし。





    ビュッ!!


    兵士「うああぁッ!!」




    インクを飛ばして兵士の目をつぶし、思いっきり足を踏ん張って兵士を後方へと吹き飛ばした。
    飛ばされた兵士は後頭部を強打して気を失った。




    キース「やったじゃないか、グリシャ!」
    グリシャ「ふう、何がだ!?」

    キース「昔から言うだろう。ペンは剣よりも強しとな。」


    グリシャ「のんきな奴めッ!」





    グリシャはそうぼやくとすぐさま右側の大砲の引き金に手をかけ。





    ドゴオォオォォンッ!!



    兵士「うわあぁッ!!」
    兵士「ぐああッ!!」





    戦車に近づくトラックを吹き飛ばした。







  44. 44 : : 2016/07/03(日) 12:36:47







    ベルトルト「うわッ!!」
    エレン「ぐああッ!!」




    爆発の衝撃でエレンとベルトルトも吹き飛ばされ、エレンは左側面から地面へと転げ落ち。





    ガクンッ!!


    エレン「!? 嘘だろッ!? おいいぃぃッ!!」





    肩にかけるカバンの紐が破裂した砲台の砲身に引っかかってぶら下がった状態になってしまった。


    しかも、そのすぐわきには段差の壁。
    すぐに砲身が段差に接触し、大量の土がエレンに降り注いだ。





    ベルトルト「これで君もおしまいだね。」




    にやけた表情で戦車の上からエレンを見下ろすベルトルト。
    必死に戦車の側面から這い上がろうとするエレン。



    そのエレンの手を、ベルトルトは思いっきり踏みつけ、果てにはシャベルで強打した。





    エレン「い゛ッ!! あだッ!!」




    まっすぐ段差と平行に進む戦車。
    なかなか這い上がれないエレン。


    その先に、巨大な岩が見えてきた。





    エレン「うああぁああぁッ!! ヤバいってッ!!」
    ベルトルト「よし、まっすぐ進んで押し潰せッ!!」






  45. 45 : : 2016/07/03(日) 12:49:06








    キース「よし、脱出しよう。」
    グリシャ「ああ。」




    さて、キースとグリシャは戦車のハッチから這い出ようとするところであった。
    が、後から出ようとするグリシャに。





    兵士「行かせるかッ!!」
    グリシャ「ぐあッ!!」




    目にインクをかけられた兵士が再び襲い掛かった。
    今度こそグリシャは床へと押し倒され、兵士がグリシャの頭めがけて銃を突き付けた。




    が・・・・・・・・・・・・




    バコ~ン!


    兵士「ぐあッ!!」





    キースが鉄の棒で兵士の頭を強打。
    そのはずみで兵士が銃弾を一発発射した。


    弾は操縦室内を跳弾し・・・・・・・・・・・・




    バシュッ!


    操縦士「う゛ッ!!」




    操縦士の額に命中。
    額から血を流した操縦士はレバーに倒れ掛かり、戦車が大きく右に旋回。




    ベルトルト「うおあッ!?」



    ベルトルトがバランスを崩して横転し、その隙にエレンはようやく側面から戦車の上へと這い上がった。






    エレン「この野郎! おらあッ!!」
    ベルトルト「がはぁッ!!」




    立ち上がったエレンはベルトルトを思いっきり殴り、ベルトルトはでんぐり返って倒れこんだ。







  46. 46 : : 2016/07/04(月) 17:29:34







    ようやくエレンが一息つくと、キースとグリシャがひょっこりハッチから顔を出した。





    グリシャ「ふう、これが考古学というものかな?」
    エレン「いいから早く出ろ!」




    エレンにせっつかれて戦車から出てくるキースとグリシャ。





    ベルトルト「ぐぅッ!! 逃がさないぞッ!!」



    起き上がったベルトルトは手にシャベルを握り、エレンたちに襲い掛かった。
    すでにボロボロなエレンはしゃがんでシャベルをかわし。






    バコンッ!


    キース「うがッ!!」




    ベルトルトのシャベルはキースに直撃して、キースは戦車の後方の地面へと落っこちた。






    エレン「このヤロッ!!」
    ベルトルト「このぉッ!!」



    エレンがシャベルをつかみ、ベルトルトと取っ組み合いになる。
    が、そのはずみでシャベルがグリシャに直撃。






    グリシャ「ぐあッ!! おわあぁぁッ!!」


    転倒したグリシャは上部のキャタピラに流されていく。




    エレン「親父ッ!?」


    とっさにベルトルトを蹴り飛ばし、エレンは鞭でグリシャの右足を捕らえる。







  47. 47 : : 2016/07/04(月) 17:30:23







    グリシャ「あだだだだッ!!」
    エレン「ぐぅッ! 踏ん張れッ!!」




    キャタピラでお尻がこすれて悲鳴を上げるグリシャを、必死に鞭で引っ張るエレン。
    このまま手を離せば、グリシャは戦車の下敷きになってしまう。


    とそこへ、ベルトルトが殴り掛かってきた。




    エレン「ぐあッ!! がああッ!!」



    ベルトルトに殴られつつも、鞭を放すまいと必死のエレン。
    すると、戦車の右後方からライナーの叫ぶ声が聞こえてきた。


    エレンとグリシャが顔を向けると、馬にまたがったライナーが戦車に近づいてくるところだった。





    ライナー「つかまってくれッ!! エレンの親父さんッ!!」

    グリシャ「い゛だだだだッ!! た、助けてくれッ!!」




    その瞬間、エレンは鞭を手放し、ライナーはグリシャの体をつかむと、一気に馬上へと引き寄せた。







  48. 48 : : 2016/07/04(月) 17:33:16








    何とかグリシャをライナーに預けたエレンは、再びベルトルトと取っ組み合った。



    操縦士が死んで、当てもなく走っていく戦車の上で取っ組み合う二人。

    その先に・・・・・・・・・・・・巨大な崖が見えてきた。





    エレン「うおおぉおぉぉッ!!」
    ベルトルト「がはッ! ぐあッ!!」




    ベルトルトの頭を後ろからつかみ、ハッチの蓋へと何度も打ち付けるエレン。





    ライナー「エレン!! 早く逃げろッ!!」
    グリシャ「ジュニアッ!!」






    戦車の目の前に迫る崖。

    帽子が風で飛ばされ、正面を見たエレンの目の先に、あるべき地面がない。


    そして、







    戦車は勢いよく、崖へと飛び出した。










  49. 49 : : 2016/07/04(月) 17:34:48










    ベルトルト「うわああああぁあああああぁああぁぁあぁぁぁぁぁッ!!」








    ベルトルトの叫び声の後に、雷のごとき轟音。


    それから、

    巨大な爆発音が崖の下から谺する。






    グリシャ「ジュニア! ジュニアアァアァァッ!!」



    馬から降りたグリシャが叫びながら、崖の下を覗き込む。









    深い深い谷の底からには・・・・・・・・・・・・炎上する戦車の残骸。












    キース「・・・・・・・・・・・・なんということだ。」

    ライナー「グリシャさん・・・・・・。」






    グリシャの後ろから崖を覗き込み、呆然とつぶやくライナーとキース。

    吹き付ける風の轟音が、三人の耳に、ことさらに大きく聞こえる中、それ以上誰もしゃべろうとせず、ただただ呆然と立ち尽くした。


    しばらくの沈黙ののち、グリシャは、焦点の合わない目でつぶやき始めた。







    グリシャ「神よ・・・・・・・・・・・・あの子が、逝ってしまった・・・・・・・・・・・・。」

    キース「グリシャ・・・・・・。」





    声をかけようとするキースの肩に手をポンと置き、ライナーは静かに首を振った。

    せめて、泣かせてやれと、ライナーの目は、そう語りかけていた。







  50. 50 : : 2016/07/04(月) 17:35:41









    グリシャ「ろくに話もしないまま・・・・・・カルラ・・・・・・・・・・・・お前の元へ・・・・・・・・・・・・。」




    キース「・・・・・・・・・・・・。」
    ライナー「・・・・・・・・・・・・。」

    エレン「・・・・・・・・・・・・。」←





    全員が、静かに崖の下を見下ろす。
    それからグリシャは、ふと、隣に立った男を見つめた。





    グリシャ「・・・・・・・・・・・・ジュニア? ジュニアッ!!」



    グリシャは、しがみつくように必死にエレンを抱きしめた。
    初めてのことに困惑するエレンにかまわず、必死にエレンを抱きしめた。






    グリシャ「死んでしまったとッ! もう会えないのかとッ!!」
    エレン「た、たまたま・・・・・・崖に生えてた、植物に、掴まれた・・・・・・・・・・・・奇跡だ・・・・・・。」


    ライナー「ったく、お前にはいつもヒヤヒヤさせられるぞ、死に急ぎめ。」






    ようやく、彼ら4人に笑顔が戻った。



    と、次の瞬間、ボロボロのエレンをグリシャはぱっと放して、意気揚々と馬へと歩き出した。







    グリシャ「何を休んでるんだ!? 聖杯の寺院はもうすぐなんだぞ!?」

    エレン「・・・・・・・・・・・・ちっ。感動したのが間違いだ。」






    がっくりと膝をつき、腹立たし気にぼやくエレンの元に、さっき脱げてしまったテンガロン・ハットが風に乗って戻ってきた。








    エレン「・・・・・・・・・・・・行くか、聖杯の寺院へ!!」



    声を出して自らを一喝すると、エレンは帽子をかぶって立ち上がった。







  51. 51 : : 2016/07/04(月) 17:39:21
    以上で、第四話が終了になります


    次回でいよいよ最終話、聖杯の寺院へと四人は到着します。
    どうぞ、最終話もよろしくお願いします<m(__)m>
  52. 52 : : 2016/07/04(月) 22:54:24
    キースが色々と抜けてるのがw
  53. 53 : : 2016/09/15(木) 02:53:02
    ひょっとしてこの話のエルヴィンはヅラだったりします?
  54. 54 : : 2020/10/26(月) 14:20:20
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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hymki8il

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進撃×インディ・ジョーンズ ~最後の聖戦~ シリーズ

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