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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

 烈ノ瞬キ    ※❕百合エロ注意❕※

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  1. 1 : : 2015/11/09(月) 02:26:28



          ~~前書き的な物~~


    どうも、皆さま御久しぶりです、夢馬です。(゜-゜)


    一つ何か区切りを見つけてしまうと更にその抜け落ちた穴を
    埋めてしまうように・・・別の話を書き始めてしまう癖が祟り、
    今回も気づいたらやってしまっていました。


    ううん・・・そうこうしている内に本シリアスなんぞは
    終らせる予定を宣言していた頃から一年経とうとしている..!


    正直真面目な話を楽しんで書くには纏まった時間が欲しくなるので
    あれを終わらせるにあたってはやはり今年の年末に掛けるしか
    ありません(`・ω・´)

    ・・・・等と、心底どうでもいい話は置いて置きまして・・・


    前書かせて頂いたミカ×アニ(若しくはその逆)ものの↓続きです。


    http://www.ssnote.net/archives/29166



    ※百合です。※


    例によって今回はミカサ視点だったりアニ視点に替わったり
    すると思いますが・・・まあ、基本的には前回と同じ風に・・・


    出来る限りSSにありがちで、原作の彼女らの影も形も
    見て取れないような・・・そんなデレデレな関係に成り下がって
    しまっているので・・ツンツンなアニは期待できません。
    ご容赦ください( ;∀;)




    以下、簡易注意点は前回掲げたものと近い(細部に違いあり)モノを
    貼り付けて置く事に致しますが・・正直私の書くおバカで
    独り善がりなどうしようもないこれらに関して
    必要な注意喚起であるかどうかは微妙な所。


    ついでに、またまたタイトルは何の脈絡も無しに
    ミカっさん本人とのイメージの近かった楽曲のタイトルに御座います。

    原作の彼女も大好きですが・・テレビ版・・それも特に、
    巨大樹の森で女型に切りかかる彼女等、可憐にして
    精悍な装いをしている彼女が時にその美しさをそのままに剥きだす
    野性的かつ熾烈なる激情というのがとても好イメージだったためつい。

    ・・・曲目からしますと寧ろメタな意味ではハンジさん話でも良かったのですが。


  2. 2 : : 2015/11/09(月) 02:27:11









              ❕❕注意❕❕






           ※エロいぞッッ!!!!※



    未だかつて私が書いたものの中では寧ろエログロ描写を
    付けなくて済むモノの方が圧倒的少数にある最中、
    タイトルに態々注意喚起するくらいなので、
    全キャラ性欲を持て余すことになりそうです。
    もういっそキモいでもいいかもしれません。

    ・・・ただ、前回よりは幾らか大人しめになるか。

    やると決めたらまっすぐ☆



    更に今回のコレは終始助平なだけでなく、
    身の毛がよだつほど幼稚な描写でネチネチと
    そういった物を書き綴ります。威力倍増。

    端的に言ってしまって、70%のエロ、後の25:5はギャグ、
    シリアスらしきもの、といった比率で構成される予定。


    むしろ楽しい楽しいと言いながら自分の書いたもので
    ダメージを同時に受けながら書いてます。
    一種の“毒の沼地”の様なものですね。

    ・・ので、そういうのが駄目な人(&女性にもキツいかも)は
    本当申し訳有りませんが、読まない方が絶対に良いと
    思います。





        ※すごく・・・キマシです・・※


    カップリングっておまっ・・・!どっちも女じゃぁ
    ねーかッ!!....な、方、申し訳有りませんが、
    読まない事を強くお勧め致します。バックスペースキーを
    押して頂く手間を取らせてしまい、本当に申し訳
    ありません。登場キャラ、そして事に及ぶのは大体
    女性兵です。百合毒純度90%






      ※改行形態の一時変更・セリフ等の一時改変※


    改行を少し伸ばしてあります。
    ・・ので、PCの人にとっては幾らか読みやすくなるか。


    非常に読み辛い話で読みやすさを考慮するのも
    おかしな気配りですが・・^^;

    あと、台詞括弧の前に、キャラ名を入れない方式で
    今回は試しにやってみています。話の説明が常に
    アニ.ミカサ視点で進みますので、これはちょっと面倒くさい
    かもしれませんが・・・頑張りますので許して下さい。



      ※いつも通りの、原作、TV、スピンオフ全話
       ネタバレ、そしてそこかしこに転がる矛盾と、
       深刻なキャラ崩壊。そしてパロディ要素※




    ~以下、大まかなキャラ解説。



    先ずキャラ崩壊です。アニは完全にミカサにやられて
    しまっていますので従来のツンデレサービスは美味い事
    機能してくれないと思います。ミカサに首ったけ。



    次にサシャ。所謂ドM。被虐趣味全開の変態です。
    ・・・ただただ、変態です。済みません。


    ミーナ。此方もドMではあるもののサシャとは違い、
    メンタル面での鞭を好物として悶える、自称家畜以下。
    好きな物は言葉攻めと放置プレイ。ハンズフリー。



    クリスタ。原作でも度々ユミルによる嫁発言からそういう
    間柄なのでは・・・と疑いの眼差しを向けられる事はあるようですが、
    こちらでは完全にそっちサイドに。(というか全員ですが)
    意外とアグレッシブ。




    ユミル。女子同士の“そういった”交流を自らが主軸となって
    部屋中に広めたという立場もあり、文句無しのキマシ。
    実を云うと性欲が旺盛なだけでそこまで変わった
    性癖の持ち主と言う訳でも無い。・・打倒ミカサに向けて色々と
    画策中...



    そしてミカサ。このお話ではアニの正ヒロイン的な立ち位置。
    しかし、きちんとエレン命設定も活きています。

    現時点ではキマシ的な行為に際し、彼女自身の発奮は殆ど見受けられない
    ものの、その際に発揮される女泣かせっぷりは女子会中随一。

    ...幼少期にミカサ・オッカーサンから何やら特殊な訓練でも受けていたのか、
    その床上手っぷりは既に本業レベル。


    少しずつ、やはり同じルームメイトとして過ごすアニには
    何らかの心境の変化を感じ取っているご様子。









    中途半端に、しかし長くなってしまいましたが、
    一応注意喚起は以上となります。色々と
    問題のある内容になると思うので何かあったら
    その都度書き記しますので。

    こんな糞の様な覚書全てに目を通してくださった貴方は
    私にとって神にも等しき存在であります。
    お手数をお掛けしました事を心よりお詫び申し上げます。






  3. 3 : : 2015/11/09(月) 02:30:37









     ―――――私は自分が普通ではないと知っている。





     ――――髪の色や目の色の事ではない。





     ―――性格やものの考え方でもない。・・・もっと直接的な事だ。







     ――他の皆と違う世界が、私の目には常に見えている。





     ―これは恐らく皆にはない私の身にのみ起こっている・・身体的な間違い。





    「っ・・・・・・・ッッ!!!!」


     ヒュオッ......!!!




     私の目の前で、力強く踏み込んできた右足を軸に
     全身の体重移動を巧みに操って舞踊るアニの姿がゆっくり動いて視える。




     しかし実際にこのような早さでアニが動いて居る訳ではない。




    「っ・・・・・・・・・」




     ブンッ・・・・




     私の"身体"がそう見せているのだ。


     

     この黒い瞳がそうさせているのか。




     それとも瞳が捉えたこの景色を頭がそのように歪めて見せるのか



     
     ・・・・・そこまでは理解できない。



     ただ私自身、どうやら他の人よりも大分・・・



     


     自分自身の動かし方、それだけに関して言うなら





     ―――きっと私は・・誰より自分に無茶をさせることができる。

     



     アニの回し蹴りは最も体重の乗った一撃目から、
     その回転の勢いを持たせたままもう一振りあった。




     一発目の後ろ回し蹴りはとりあえず避けろと告げる。




     ・・・私の本能が。



     そして二発目。幾ら勢いを殺さずとは言っても軸足が
     入れ替わるその一瞬だけ速度が落ちるアニを捉える。




     これ(▪▪)は止められる。いや、止めなければそこで私は―――・・・・!





     そう考えた瞬間に、私の目から頭、全身にかけて。普段と違う瞬きがはしる。





     ――私の目に見える程眩しい閃光が、幾重にも駆け抜ける。





     あの日私が初めて生きる為に刃を振るった時に見た光。





     今過ぎ去るこの瞬間、この刻を、私はよく知っている。





    「っっーーーー!!!!!」



    「!!!!!?????」






     この烈の瞬きが・・・・・





    ゴッッ・・・・・・!!!




     私の命をあの日繋いだ瞬きが。





    「なっ・・・・・・??!!!!!」




     通常ならば不可能とされる事を、いとも容易く押し通す。




     私がしたことは至って単純な一つの挙動。




     左足の蹴りから軸足を変え、同時に変わった身体の向きに
     併せてアニが放ってきた右足による足刀を・・・



     ――――左手で受け止めた。



     私の取った行動に相当肝を冷やしたと見え、

     アニが見せた一瞬の躊躇いが、蹴りの威力と重さを大幅に減衰させる。










    「アニ・・・・途中までは良かったのだが、これでは
     訓練にならない。手心は不要・・・・・・」





    「ばっ・・・・・・!!!バカっ!!あんたバカだろ!!!?私は手加減なしで
     蹴ってるんだよ?!もしあんたの腕が折れたりしたら一体どう....





    「折れない。私がそう判断したなら大丈夫。

     ――――・・だから、もう一度お願い」 スッ・・・




     そう。もし私の腕を簡単に折れるほどの力をアニが
     振るえるというのなら・・・それは私にとってこれ以上無い鍛錬となる。

     
     この"瞬き"は...命懸けの緊張感に近い物がそこになければ
     その切れ味が、極端に落ちてしまう。


     

     獣が牙や爪を研ぐのにそれよりも柔らかいものでは
     どうにもならないのと同じ・・・・。

     

     ここまで練度の高い格闘術を身につけているアニは・・・
     私にとってこれ以上無い練習相手だ。




    「ッ・・・・冗談止してよ、鍛錬で骨折なんてしたら
     馬鹿馬鹿しいじゃないか。・・・なによりあんたがいいと
     言っても・・・・私が気にするんだって。


     ・・・・いいかな。たとえあんたの腕が私の蹴りを受けられるほど
     丈夫だったとして。それを支える可動域が決まってるあんたの
     “肩”や、“手首”の方は簡単に脱臼する。

     ・・・そこまでわかっててそんな無茶言ってるの?」






    「・・・・・・?外れたら戻せばいいだけでは」





    「・・・・・・・・・・・・・」




  4. 4 : : 2015/11/09(月) 02:32:52








     ・・・・しかし最近どうにもアニの様子がおかしい。




    「・・・・分かったよもう・・・。あんたに普通の意見を持ち出した私がバカだった。

     ・・・・今日の組み手はこれでおしまい。

     ・・・私はあんたを怪我させたくてやってるわけじゃないんだ」





     何となく・・・。私に対して以前より気を遣う様になった。・・いや、大分遣うようになった。






    「・・・・・そう。そこまで気を遣わせる気は無かったのだが・・・」
     



     

     ついでというべきか。女子同士の集まりで
     部屋において行われる"触れ合い"が関係しているのか・・・

     またはしていないのか。やはり以前のアニとは大分その物腰が
     変わってきた様に思える。



     ・・・・・別段、悪い変化ではない。寧ろ・・・同期として会話の機会も増え、
     今まで話すことの無かった事を話し合うようにもなった。

     
     私は・・・・今までなら考え辛かったこんなアニとの毎日を、
     そこまで不便には思っていない。



     ・・・・不便には思っていないが・・・やはり実力者である
     アニにこそ全力でぶつかってほしい鍛錬においては・・・


     先程のような手心や、加減が生じてしまうようになったのは、残念で仕方がない。





    「・・・・・ライナー・・・空いている?」

     ヌッ....




    「ファッ・・・・?!?!」

     ビクッッ




     仕方がない。本来なら身体の捌き方、そして全身の柔軟性から見ても
     動きに全く無駄のないアニが格闘の練習相手には最適なのだが・・・
     アニがやめようと言うのに無理強いする事は出来ない。



     ・・・・こうなれば男子の中で最も単純な重量を有する
     ライナーを相手取るしかない。



     ・・・・でないと 力の加減 が 難しいから 。




    「オイみろよサシャ!!またライナーがミカサに捕まったぞ!!(せせら笑い)」




    「プッフフフ??今日は一体何回あの巨体が宙を舞う光景が
     拝めるのでしょうか???ww」

     ソワソワ



    「(何故だ・・・・!!?なぜ俺にだけこんな調子で毎回毎回
     特に意味のない暴力が・・・・?!なんかミカサがアニと
     組めないときは殆ど俺にぶつかって来てないか・・?!)」
     ブルブル・・・・





    「・・・・・全く手加減は必要ない・・・ので、ライナーがもてる
     全力でぶつかってきてほしい。・・・・では、たのもう」

     スッ・・・



    「・・・・・;(いつもそうしてる・・・・!!!それなのに何で
     その細身からあんな化け物みたいな力が発揮されるんだ
     コイツは・・・・・!!?;)」

     スッ・・・・





    それから対人格闘訓練が終了するまでの十数分間。



    身体が丈夫そうだからと言う理由だけを除けば・・・



    特に理由のない暴力が、一切の容赦なくライナーを襲った。



  5. 5 : : 2015/11/09(月) 02:35:33





    ~数時間後~





    ―水浴び場・女子風呂―




    「いや~~、今日も愉快な舞踏を見せてもらいました。
     本日のライナーは、何回お尻を地面に叩きつける羽目に?」
     
     ニヤニヤ・・・



    「・・・・7回。最近は投げられる事を前提で受け身を重点的に行っているようだ。
     ・・なので、前ほど露骨に痛がるような事も無くなったが
     ・・・・・やはり及び腰になってしまわれては鍛錬の意味が無い・・・・」ジッ・・・・





    「・・・・・・・・・」

     モショ・・・モショ・・・・・・




     先程のライナーを面白がって好奇の表情で聞いてくるサシャをあしらって、
     私はアニの方を見る。



     アニはこちらを向こうともせずにやはり黙って体中泡だらけになっている。



     ・・・・・先程のやりとりで少し機嫌を損ねてしまったのだろうか。


     

    「・・・・・・・・・・・・」





     ――そこまで考えたところで・・・やはり私は思い出す。





     最近その心境が変わったのは..なにもアニだけではない。



     ―――私も変わった。以前はこのように・・・私とアニは
     同室のつき合いがありながらも互いに接することなく過ごすのは
     今までならそれが当たり前だった。



     ・・・しかしこのところやはり私も・・・事実こうして
     アニの様子を伺ってその様子について思案しているのだから。




     誰に対してでもなく、私自身に認めよう。私の中でも・・・少し――





     ――アニの存在はその姿形を変えつつあるのだと。





    「・・・・・アニ、先程は迷惑をかけた。

     まだ気にしているなら、どうか気を取り直してほしい」




     自分の変化を潔く受け入れたなら・・・それに伴って、
     少し歩みを変えてみるのも大事。そう考えた私は・・・・・
     いつもなら口にしない様な事を・・少し、踏み込んで伝えてみることにした。





    「・・・・・・・・・、、」




     いつもの私ならまず口にしないような事を突然言ってきたからだろうか。
     アニは目を見開いたまま黙ってじっとしている。




     ・・・しかしその目は相変わらず私の目に視線を合わせず、
     浴場の石畳へと落とされたままだったけれど。






    「や・・・・・;別にさ・・・謝られる程の事でもないんだけど。」





    「・・・・そう。気のせいでなければ・・・

     少しアニの機嫌が良くない様に見えたから・・・・」





    「・・あんたが私の機嫌を気にするなんて・・・珍しいね。
     ・・・・何かあったの・・・・?」




     このように問いかけてくるアニ。よく観察してみれば・・
     やはりその口調に以前のような距離間を感じない。



     ・・・なんといえばいいのか・・・少し、明るくなった・・



     ・・・そんな気がする。


  6. 6 : : 2015/11/09(月) 02:39:42






    「・・・・・特に何もないが。それから・・・アニ。

     あなたの機嫌がそこまで損ねられていないと分かった所で・・
     一ついいだろうか?」





    「・・・・・・何?」





    「私自身、アニを躊躇させるような動きを今後はできるだけ控えるので・・

     また是非明日以降の対人格闘訓練は・・・相手を頼めないだろうか?」






    「・・・別に・・・いいんだけどさ・・・・・

     あんた、大好きなエレンとはやらないの?格闘訓練。」





    「・・・・確かにエレンの相手をして出来るだけ対人格闘の
     技術も身につけて貰いたい所だけれど・・・・

     私は・・・技術面の指導があまり得意ではない」





    「・・・・・・・・・・」




     そう。私は・・・自分を鍛える事は淡々とこなせるが、
     関節を巧みに組みに行ったり、相手の力を巧妙に運ぶような・・・・



     端的に言って"アニの得意とするようなこと"はあまり向きではない。




    「・・・・不本意ではあるが・・エレンの対人格闘成績が上がっているのも・・
     アニ、あなたの助力によるところが大きい。」






    「私は助力とか・・・特に何もしてる意識ないけど。
     エレン(あいつ)が勝手にふっかけてくるんだよ(溜息)」

     



    「・・・それでも何でも。結果・・・エレンはあなたから動きを学んで
     確かに成績を伸ばしている。・・・とても感謝している。
     出来ることならば私が・・・代わってあげたいくらいだ」





     私も・・・出来ることならアニの様に、エレンが自主的に
     覚えようとしてくれる位、理にかなった動きができるなら。

     ・・・・力任せに頼らずにライナーやアニを相手取ることができたら。



    「・・・・要するに私の方がエレンの練習相手には適役って事かい?

     でもそれだと・・あんたの相手をする時間も減っちゃう
     気がするけど・・・?」




    「私の本懐はあくまでエレンを守ること。

     ・・・エレンの技量を伸ばすためにアニがその相手をしてくれている間・・・

     その間くらいなら私は何とかライナーで我慢する...

     ..ライナーでは体格はよくても技量があまりあるとは
     言えないので・・・正直物足りないが。」





    「・・・・・そう;」





    「そう考えてしまうとやはりアニ・・・・」





    「・・・・うん?」






    「私はあなたでないとダメだ。」





    「・・・・・・っ」





     私の言葉の何に面食らったのか、アニがその身を引きつらせるのと




    「何だ何だ!!?なんだよおうぃ~~↑↑♪
     最近おまえらなんか妙にくっついてると思ったらそういうことか!!?」

     ガバッ



     突然割って入ってきたユミルがアニの両肩を背後から
     鷲掴みにして、人をおちょくるような笑い声を上げるのが
     丁度同時の事だった。その浮かれ方は明らかに何かを
     大きく勘違いしている。




     一方、私の言葉に驚いて不意に崩した表情を、さらにユミルの
     追い打ちによって煽られるアニ。





    「うっ・・・・うるさいよ!!!!!!あんたと一緒にしないでくれる!!///

     ・・・・・・・あとさっさと肩離しなって」




  7. 7 : : 2015/11/09(月) 02:42:06








     ・・・・本当に・・・アニは最近一層表情が豊かになった。


     以前なら彼女のこんな顔は中々見られなかった。

     ・・・つまりユミルがこういったちょっかいを出してくれて
     初めてアニの感情にも起伏が現れているわけだけど。



     このからかい方とアニの反発の仕方から考えられる事は・・・・おそらく・・・・





    「・・・・・・・・」





     アニの中に、ユミルがクリスタへ常時抱くような
     感情があるのではないかと、そういう類の挑発なのだろう。


     引き合いに出されているのは・・・当然この状況では私しかいない。



     アニはアニで、一応反発はしているものの、
     あまりムキになってもユミルに蜜を与える結果にしかならないと
     理解しているのか・・あまり多くを口にしないで居る。




    「(私とアニが・・・・もしも本当にそのような関係へと互いに
     のめり込む事があったとして。そうなった場合・・・

     エレンは私をどんな目で見るようになるだろうか。)」

     ジィ・・・・・・





     クリスタに常に密着しているユミルに対しても別段嫌悪感を
     示したりもしていないことだし、特に何も言われないだろうか?




    「最近夜の方はどうよ??ずいぶんいろいろ試したりもしてんだろ・・??!
     なぁなぁ、ムッツリしてないで教えろって・・・!中々やり慣れると
     やめられなくなってきたり・・・・・」ジリジリジリ





    「ぁああ....もう、、!

     いいかげん鬱陶しいと蹴っとばすよ...!?(イライラ)
       
     ・・それにあんたの言いたい事ははっきり
     口に出てないから分かんないよ。何がやめられないだって・・??」






    「ナニってお前そりゃ・・・・一々言わないと分からないか?!
     女と女(▪ ▪)だよ・・・・!!

     ネタは上がってんだぞ・・!?(ハァハァ///) 
     お前等二人で仲良く朝シャンしてるって情報もこっちは
     入手済みだ・・・・・・!最近随分とお楽しみみたいじゃ
     ねーか・・・・・・!!!ぅうん・・・??(ニヨニヨ..)」






     ユミルはアニをからかって楽しんでいる・・と言うよりも、寧ろ
     同好の士が増えたと思って浮き足立っている様に見える。




    「だ  か  ら!!! ミカサがそれなりに良かったのは
     正直に認めるし、悦ばせ方も相当上手だってのは事実だけど!!////

     私はまだアンタほど思いっきりソッチにはイっちゃってないの!!!

     分かったらおんなじ感覚で話を振ってこないで!//」





    「ぁにそんな気にする必要があるんだよ~...!

     どうせ兵団の規則で男とよろしくできねえんだからよ~~
     もう諦めてこっち来ちまえよ~~な~ぁ~~」
     ベッタラベッタラ...





    「ちょっっ・・・・!!ひっつかないでよ!!アンタはクリスタだけなんだろ!!!」






     本当に・・・アニは・・・変わった。





     まずユミルがこんなちょっかいをかけに行くこと自体
     以前からは考えられなかったし、いままでのアニならば
     このような嫌がらせにはなびくことすらせず、



     それでもしつこく纏わりつかれたら、
     いよいよ足が飛んで行くのみだった筈。





     ・・・それが今ではすっかり・・・






    「別に男で気になる奴が居るって訳でもないんだろ?

     だったらもうこの際ミカサでいいじゃねーかよ。

       
     一体何を恥ずかしがる必要があるんだ...」







    「いや!!?意味分かんないから!!!」




  8. 8 : : 2015/11/09(月) 23:09:24






    「・・・ユミル。流石の私も今のはアニに同感だ。」

     ノシ.....





    「んんっ???;」↩ビクッ




     私がこのような会話に入ってきたのが相当珍しいと思ったのか、
     ユミルというより寧ろアニの方が不思議な声を発して
     挙手した私の方に振り返る。




    「先程の言葉を・・・ユミル、あなたがどういった意味で発言したのか
     正確に把握していなかったら申し訳ないが。

     それがもし互いに手を取り合ってこの先も暮らして行く相手として
     アニに私を推薦するような趣旨の発言と考えるなら・・・」





    「ああ?」






    「"それ"では成立しない。女同士では・・・"子"を残せないでしょ....?」







    「    」






    「うん・・・?ああ・・普通ならそうだろうな。そう考えるよ。大体の奴なら」





    「・・・・あなたは違うの?ユミル。」




    「当たり前だろ!私は本気でクリスタの事をどこまでも愛してるし、
     その気になれば(▪▪▪▪▪▪▪)クリスタの子供だって産める自信がある」






    「―――――」





    「(だめだこいつ・・・はやくなんとかしないと)」





     今・・・ユミルが真顔で何かとてもおかしな事を口走った気がしたが。

     多分。―――多分気のせいだろう。

     いや、
     言葉自体はしっかりと聞こえたからきっとこれは
     聞き間違いではない。・・・つまりそれくらいに自らが
     クリスタに傾倒しているという一種の・・比喩表現か、
     冗談とかの一種だろう。


     でなければ女と女で子を残そうだなんて正気の沙汰とも思えない事を
    「もう一度言うぞ、私はクリスタとドロドロに
     溶け合うまで愛し合い、そして必ずクリスタの子供を(ry...


     「ちょっ....!!!!何口走ってるのユミル!!!!!!///」




     ゴッッッ!!!!




     どうやらあれは本気で言っているらしい・・・・



     顔を真っ赤にしたクリスタが聞き捨てならない発言を聞きつけ、
     間髪居れずにユミルのわき腹へと全身の勢いをのせた頭突きを叩き込む。



    「おふぅっっ/////;」
        グフッ



     何も身に纏っていないこの状況では、幾ら衣服数枚の微々たる防備といえど
     それが無い為にいつもより大げさなのけぞり方をするユミル。



    「グフッ・・・、、はっ・・・腹はよしてくれよクリスタぁ・・・///!
     ココ(▪▪)はいずれ私達二人の大事なガキが収まる収納なんだから..」

    「ユミルは少し頭がおかしいと思うんだ!!!私の勘違いじゃないよね!!!??///」






    「安心してほしい・・・クリスタ。あなたは正常。・・・ユミルはおかしい」






    「・・・しかも百歩譲ってそれができたとして・・

     クリスタじゃないんだ;お腹が膨らむ方は...;」





    「そういう問題!!??///」




    「へへ・・・;見ただろ、今の頭突きを・・??見た目はお嬢様でも、
     内面で見たらコイツの方がよっぽど攻撃的なんだぜ・・・?

     、、・・ほらベッドの上でも結構こいつの方が押してくるし」

     カワイイゼ....




    「ぃぃゃぁぁああああああ!!!!!//////」
     ボフンッ!!!




     クリスタの顔が、瞬時にして真っ赤に茹で上がる。


     "そういった"事に没頭している間は当のクリスタも
     ここまで恥ずかしがったりはしないが流石に皆の目がある前では
     そうもいかないらしい。




    「さて・・・盛り上がってる人達はともかく私らはあがらないと。
     給仕の当番もあることだしね・・?(イソイソ)」ザパッ・・・




    「アニの言う通り・・・。ではユミル、クリスタ、私達は先に上がるが・・・
     もう夏場のように表でも裸で快適に過ごせる気温ではない。

     ・・・・ので、あまり盛り上がりすぎて体に障る事が無い様に。」





    「ミカサまでそんな!!!(泣)」




  9. 9 : : 2015/11/09(月) 23:12:47






            ~数十分後~





             ―調理場―
     

    グツグツグツグツ.....



       タンタンッ・・トントン



    「,,,」




    「食べられるだけ贅沢なんだってのは分かるけどさ・・・やっぱり何かこう・・・
     もっと日々バリエーションというか食べ物に変化が欲しいよね・・・・」

     コトコトコト・・・




     傍らでミーナが鍋の中で煮立つシチューをかき混ぜながら
     項垂れてそう呟く。・・・当然、私もその意見には同意だ。


     他の誰もが分かっていても口にはしない事だが・・・


     ミーナが先程言っていた通り、食糧が確保されているだけでも
     確かに贅沢ではある。・・・しかしこうも芋野菜シチュー続きでは
     少々動物性の脂肪やタンパク質が足りない。

     ・・・エレンの身体にとっても、鍛錬の苛烈さと摂取栄養分の
     釣り合いが取れていない。・・・もう少し重量の足しになる食事を
     取らせてあげたいというのが実情だ・・・。

     前に卵をあげた時などは“こんなの生で食えるか”と
     押し返されてしまったし....



     アニは躊躇しながらも一口に食べてくれたのに。。






    「、――ミカサ、??ねえちょっと。」





    「申し訳ない。少し考え事をしていた。」





    「そう・・・。一応火も使ってるんだし
     気をつけてね。・・・あとこれ、そっちの鍋にお願い」




    「・・・承知した。」





    グツグツグツグツ・・・・・  バチャボチャ・・・・ポチョム






     あらかたの具材を鍋に放り込み・・・後は火が通るのを待つのみ。



     ここまで来ると各々調理器具や野菜の切り屑の片づけとを
     行いつつ、前掛け等を外して火を落とすまでの時間つぶしに
     談話を開始する。





     ・・・ここで、普段なら大体話の議題というか、方向性を決めるのは
     ミーナなのだが・・・今日は私からアニに聞いてみたいことも
     是非あったので、自らその口火を切ってみる事にした。



     ・・・その後に待つミーナの絨毯爆撃がどれほど凄まじい事に
     なるとも知らずに。






    「・・・・アニ。さっきの話を聞いていて思ったのだけど、

     ・・・・一つ聞いていいだろうか?」






    「何だろう・・・・・。さっきの話・・・?って。」






    「??」

     ヒョイッ



     後ろから何事かと覗き込んで来るミーナを気にせず




    「アニには・・・本当に誰か男子の中で気になる人は居ないの?」






     私はアニにそう問いかけた。





    「   」
     (石化)






    「・・・・・うん。今は・・・居ない・・・けど?それが何か;」





    「アニは憲兵団に入団して・・・そこから先の事は何か考えてたりする?」





    「そこから先って・・・たとえば具体的にどういう事なの」





    「誰か気の合いそうな男性と知り合えたなら・・・そんな人と
     家庭を持ってみたい・・などといった事を考えた事は無い?」






    「やっぱりあんた・・・最近何か大分変わったよ・・・・。
     前はそんな事考えても無さそうな顔してたくせに・・・」






    「・・・・それは素直に認めよう。私は・・・ここ最近あなたと
     “触れ合う”機会も増えて、かなり物の見方が変わった。

     ・・・しかし、それはあなたもだ。」






    「・・・・・・・」


  10. 10 : : 2015/11/09(月) 23:16:00



    「アニ・・・あなたも私に対する接し方が以前とは大きく変わってきている。
     私は・・・そんなあなたと一緒に居て時々説明が難しい感覚に襲われる事がある。

     ・・・・その理由と、答えを知りたい。あなたの返答からそれが
     少しでも汲み取れると思って・・・」




    「・・・・・ごめん、ちょっと何言ってるのか分からなくなってきた。
     ・・・・できるだけ簡単に言ってくれないかな?

     ううん、本当、嫌味とかじゃなくて私の理解力が
     足りないだけだと思うんだけど」






    「・・・・・できるだけ・・簡単に。」





    「ああ。できたらでいいよ。」





    「ではアニ・・・。先程のユミルの話を思い出して答えて欲しい。
     ・・・できれば性別云々といった条件を考慮せずに」




    「・・・・うん、・・・・・って何?ユミル????・・・・に、性別・・・?;;」




     その名を確認し直して元々半目開きであるアニの瞼が
     更にその隙間を狭める。ユミル、という固有名称に気を捉われる余り
     その後私が口にした言葉の意味を半分噛み砕く頃にはさらに
     その表情にさしかかった陰りは増していた。





    「 アニ・・・・私のことは好き・・・・・? 」






    「―――――――」





    「ブッッッ!????
              ゲホッ!!ゴホ!!? 」

     (ビクッ!!!!)






     できるだけ簡潔に伝える一言でアニに質問を向けた私だが・・


     アニは私の問いかけに全身の動きを止めて私の目から
     その、微震する視線を外せずに固まっている。

     その目だけを注視しなければ等身大の人形と区別が付かないほど、
     それは見事な固まり方だった。


     ミーナに関しては相当私の一言が衝撃的だったのか、
     何を口にしていた訳でもないのに突然咳き込み始めた。
     



    「ミーナのその様子を見た限りでは・・・きっと私やアニにまでも、
     ユミルのような性癖が芽生えてしまったのかと勘違いして・・・
     そんな挙動を抑えられぬほどに動揺させてしまったんだろう。」






    「(・・・・しかし・・・・・)」






    「・・・・・・・・うん、い、いや・・・・///」








    「!!?・・・・?!??!?/////」









    「しかし私は・・・その様な単純かつ性的な情動による
     好意だけをさしてこのような質問をあなたに投げかけた訳ではない。
     もっと、・・・もっとこの感情には別の見方があるはず。

     
     ・・・それを・・私は知りたい。アニにもそれを聞けば・・・
     少しはその答えに近づけるかと思って。」

  11. 11 : : 2015/11/09(月) 23:18:33




    「あんたは・・・・なんでそんな質問を私にしたの?」





    「多分・・・あなたと変わらない。あなたが私に対して接し方を変えたのと同様に・・・

     私にも、あなたの近くに居ると自分の中に何か説明の難しい
     安心感があるのを・・・最近感じていたものだから。


     アニ、あなたが傍に居ると・・・私も何故か“暖かい”。
     今まで・・エレン以外の人で感じた事の無かった感覚だ。私の中でこれは・・・・
     この感情は“好意”であると、そういう結論に行き着いた。・・・つまり、」





    「・・・・・・・;;;;;;」
     ダラダラダラダラ・・・・・・






    「エレンに向ける感情とこの感情は同じものではないが・・・

     私はあなたに、友人、仲間といった括りからも外れる・・
     ある種の好意を抱いているらしい。

     ようするに私はアニ、あなたの事が好(ry...
    「っァアああ!!!?何,何!?!?ホント今日のあんた一体どうしちゃったの!??!」

     ガバッ!!!




    「ムグ....」




    「アニ・・・!!アニ・・・・・!?聞こえたよ・・・!??

     急いで口押さえたけどしっかり聞こえたからね???///

     ・・・で、アニの返事はどうなのかな・・・?!ミカサの気持ちにアニはどう答えるの!!!??

     そこんところ是非ここで聞かせて欲しいんだけど!!??」
     ズイッ・・・・・!!!




    「ひィッ・・・・?!!」ビグッ
     ゾゾッ




     この手の話しに喰いついてきたミーナは飢えた野犬以上に
     しぶとく喰らい付いて離さない。アニには気の毒だけれど
     どの様な答えでも良い。私はとにかく私自身の考え方よりも
     アニの意見を聞きたい。



     私の考え方は・・・少々他の人と異なる様だから。





    「ミーナが居る前でこのような誤解を招く質問をして済まない。

     ・・だが。それでも私はあなたの気持ちを聞きたい。


     アニは・・・私にそういった好意と呼んでもいい様なものを・・
     持っているのか、どうか。それだけでも聞いて置きたくて」

     ゴトッ・・・
                ガコッ




     そこまで言って、私は既に火の通りが充分と判断できた鍋を
     持ち上げて、火元から下ろしていく。







    「・・・・・まあ・・・分かってるよ。あんたが・・・こんなところで
     私をおちょくってそんなことを言うなんて性格じゃないのは・・
     言われなくたってわかる。

     それを頭に入れた上で言わせて貰うけど・・・。

     ・・・・まあ、悪い気はしてないよ・・・・。事実ミーナも知ってる通り…
     あんたが寝床に入ってくれる様になってからは・・・
     寝つきも夢見も段違いに良くなった。・・・いや、見たくもない夢を
     見ないで済む様になった」





    「~~~~////~~~~///」
     フンフンフン・・・・・!!






    「・・・・・・・・・・・」





     ミーナはまるで空腹時に給餌の準備を察知した犬のように
     落ち着き無く鼻息を荒げてアニの言葉に聞き入っている。



     ・・・・ユミルもたまにクリスタの前でこういった態度に
     豹変する場合があるけれど・・・一体何が彼女達をここまで
     落ち着けない状況へと駆り立てるのだろうか。






  12. 12 : : 2015/11/09(月) 23:23:08





    「そんな風に一緒に居る時間が前より増えて・・・
     接し合う機会も同じように増えたらそれは・・・・・・まあ・・・

     そういう意識を全くしないと言えばウソになっちゃう
     ・・・・って・・・・言うか・・・・・////

     そもそも普通の同期としての付き合いだけじゃなくって・・

     最近じゃ・・あっち(▪▪▪)の触れ合いもユミル主催で
     どんどん増えてるじゃないか・・・・:私だって流石に・・
     こんな状況が続けば・・・相手が男で無くたって。。。。。..」





    後半に向うにつれてどんどん言葉に抑揚が無くなり、
    風邪に伴う高熱に苛まれるような表情でぼそぼそと告げるアニ。


    見る見るうちにしぼんで行く彼女と引き換えにミーナは
    更に鼻息を荒くしながらその身を乗り出してアニに
    詰め寄ろうとしている。







    「分かる分かる!!!/// ミカサ、スッごく上手だし、見た目に反して
     腕とかスッごく締まってるから・・・・この腕に抱かれてると
     女同士だって忘れちゃいそうになる時あるよ!!//あと、腹筋も凄いし!!」
     ミカサッテ スッゴイ イケメン!//




     ユミルと全く同じような趣向ではないようだが・・・最近、時々
     ミーナも似たような事を言う様になってきた。



     ・・・私としては・・・・。



     兵団の規則で男子との接触を厳禁とされる事で皆が感じる
     堅苦しさを・・・私との“触れ合い”で片時でも忘れられるというなら。





     ―――それは大変喜ばしい事だと思える。




     ・・・・こんな私でも日々燻らせてしまう鬱憤の解消に役立てるというのであれば。






    「・・・ミーナはどっちかって言うとなじられて興奮してる
     クチじゃないか・・・;それも言葉攻めだけであんなに何度も・・・・。。

     よくイけるよね・・・・・。あんたいつもミカサに耳元で
     何囁かれてるの・・・・??;


     私はいつもそれが凄く気になって仕方ないんだけど」
       チラッ







    「っっ////;  そ、っそれは・・・・ちょっ・・・と、!!」
       ダラダラダラ・・・・・・・







    「・・・・ミーナは・・・私に理想の男性像を勝手に重ねているから。

     その上で何故か色々と卑下される事に悦びと快楽を見出すという
     変わった趣向の様なので、不本意ながらも前もってユミルに教わった
     口汚い罵詈雑言の数々を、手淫に交えて(ry....
    「そこまで言ったらもうアウトっぽいけど!!!!!もうそこでストップ!!
     本当に勘弁してミカサ!!!!!!!;」
     キィィヤァァァアァ↑↑↑!!!!!!





    「・・・・流石に言葉の内容まで言うつもりは無かった・・・・。。

     ユミルに教わった文句は難解な物も相応に多かったけれど、酷いものは
     本当に酷い。よくこのような誹謗、中傷的な表現が次々と述べ上げられる物だと
     かえって感心してしまうほど。

     ・・・・同時にそれらを浴びせられて、更に昂れるミーナ.....あなたも相当だ」
     (物凄く特殊な生き物を発見してしまった冒険家の様な目..)

  13. 13 : : 2015/11/09(月) 23:27:33










    「ふ~~~~ん・・・・・・じゃあミーナは・・・・

     サシャと似たような生き物なのか・・・。あいつは乱暴にされるのがイイんだもんね」
     (生暖かい目.....)




    「・・・・サシャは激しければ何でもいいだけ。細かい事を何も考えなくても
     いいのは楽でいいが・・・、少々此方も骨が折れるので、いつも手っ取り早く
     絶頂の最中、間を置かずに追いやってしまわないと体力的にキリが無い。」




    「・・・まあ、そりゃそうだよね・・・芋泥棒の罰として飯抜きの一日マラソンを
     何度も経験してる体力バカじゃ・・・イッた後のインターバル挟んでたら
     どれだけ時間あっても足りなさそう・・・・・。。


     ・・・ってことはやっぱりミーナは少しサシャ(アレ)とは違うって事になるか・・
     ミーナはフィジカル面というよりメンタル的なアレだし.....」
     (再び生暖かい(ry..)





    「何か私のこと、すっごぃ変態的な趣味の持ち主だと思ってない!??(泣)

     私、別にそんな変じゃないよね!? 私自身割と本心から
     こういう趣味がおかしいと思ってないから否定しなかったけどさ!;;」
     ブワワッ....






    「そんな力強く語りながら泣かれてもね・・・・・。


     うん・・・まあ、おかしいって事は・・・・無いんじゃないの。

     私だって男子連中からはエレンとの対人格闘の第一印象で冷徹な
     サド女とかそんな風に決め付けられてるけど・・・・


     実際ミカサに,,その、してもらうんだったら・・・・


     私がしてやりたいっていう気持ちも勿論あるけど..どっちかって言うなら
     まだ・・・・やっぱりミカサに責めて貰う方が気持ちが楽になるというか・・・」





    「何かアニ・・・・ユミルとか居ないからかな・・・今のあなたっていつもと
     話のノリ大分違うよね・・!////

     いや、、うん!大歓迎なんだけどね!!!?」モット カタリ アイタイ!!

     ガバッ・・・・





    ユミル(あいつ)いると・・・・話がごちゃごちゃするだろ。
     賑やかなのは悪くないけど・・・掻き回されるのはあんまり好きじゃないんだ。」







    「・・・・・・・・・・・・・・・・・」





     ・・・・いつになくこういった話題に積極的に乗っかって来てくれるアニに、
     ミーナもすっかり気を良くしている。・・・良かった。

     私の質問が原因でアニに迷惑が掛かってしまわないかと若干
     憂慮する部分はあったが・・・そんな事は無かったようで。




     ・・・・しかし





    「・・・・二人とも・・・、というか主にミーナ。

     話が盛り上がっている所悪いが・・・食事の準備はこれで大方揃った。
     談笑は一先ず後にまわして・・・済ませるべき仕事を終えないと」

     ガコッ・・・・   ガチャ・・・・・  ギシ・・ギシ・・・




    「あっ・・・・うん!!そうだよねっ・・・・て、ミカサ!!?
     一人で鍋三つは流石に持ち過ぎだって・・・・・!!」

  14. 14 : : 2015/11/09(月) 23:32:37



            ~夕食時間~




             ―食堂―


             ―女子エリア―




    「ィやっほほーーい!!!お野菜!!お野菜!!!!

     ミカサの作った美味しいお野菜です!!!」

     イッタダッキマ~ス!!




    「なあミカサ・・・・。このサラダに輪切りで入ってるコレ・・・・
     どの辺りのヤツが・・サシャに“喰わせた”ヤツだ・・・?;」




    「すまないが良く覚えていない・・・・。だが、当然入念な洗浄は
     怠っていない。この際過度に気にせず食べてしまって欲しい。

     ・・・・無論花壇で態々栽培してまで増やした農作物を廃棄などに処すれば
     教官の逆鱗に触れる事必至なので・・・残さず食べていただきたい」

     シャクシャク・・・・



    「ぅぉぃマジかよ....;ど・・・どいつだ・・?!どいつがそう(▪▪)だ・・・?;

     輪切りだから・・外径寸法を見りゃ大体予測が付くか・・・?!」ジロジロ・・

     エット、"アルミン"クライノヤツ・・・・・・・



    「・・・・あ、私今食べてるの“エレン”かもしれない・・・」シャクシャク

     オイシイ・・・





    「ナッ・・・・!?おい、クリスタ!!私のととっかえようぜ!!!?なんかこの辺りのヤツ
     どうにも“アルミン”っぽいんだけど・・・・!;;;;;」






    「ッ・・・?!//  ゃだよ!!!!///ユミルのお皿に乗ってるものは
     ユミルが責任を持って食べなよ!!//」

     "エレン"ハ アゲナイ!!






    「・・残念だが、“エレン”はすべて私が独占している・・・」

     ムフー・・・=3






    「ぁッ・・・!!!!?ずっこいぞミカサてめぇ・・・!!!!」

     ガバッ





    「係の・・・・特権・・・・・・!」シャクシャクシャク・・・・モグモグ



  15. 15 : : 2015/11/09(月) 23:34:34





             ―男子エリア―
        




    ギャァギャァ・・・・・





    「・・・・・(モグモグ・・)」




    「何だ・・・、いつにもまして女子連中が騒がしい様子だな・・・

     しきりにお前の名前を皆して口にしてるが。何かあったのか、エレン」




    「いや・・・何も心当たりはねーよ」





    「何故かよく聞いてると僕の名前も聞こえてくるんだけど・・・」




    「おいおいアルミン・・・ちゃんと食えよ・・・?特に今日出てる緑のソレは・・
     お前とも昔から仲の良いあのミカサのお手製だろ・・・珍しいじゃないか、
     お前が好き嫌いだなんて」




    「ぅ・・ううん、それがどうも今日は体調が優れないのかな・・・
     鼻か喉が腫れててよく分からないのかもしれないけど・・・・何かこれ、 
     変な味がする気がして・・・ライナー、良かったら食べるかい・・?」





    「勿体ねえな、オレが全部食ってやる。」ガラリ




    「まあ・・・俺よりもエレンが沢山食って、更に身長を伸ばせるなら
     そっちのほうが理にかなってるか・・・・本来アルミンが残さず食べるのが
     一番なんだがな・・・・」




    「ぅうん・・・・ご、ごめん・・・・」






    「これのどこが不味いんだ・・?全然旨いんだが・・・」シャキシャキ・・





    「どれ・・・俺も一切れだけ・・・・(ポイッ・・)

     ん・・ぉう・・・、(シャクシャク...)そうだな、、こりゃ寧ろ何故かは分からんが
     アルミンが残したこっちのほうが旨く感じるくらいだ。。

     やっぱりアルミン、お前少し具合が悪いのかもしれないぞ」





    「そう・・・・なのかなぁ・・なんだか味というよりも・・・・

     それ、口に入れた途端何か食べてはいけないモノを口にしてる様な
     変な感じがしてきちゃって・・・・;」





    「・・・・・・奇遇だね・・・・何故かは分からないけど、僕もだ・・・・;

     僕も、この・・ミカサが出してくれたでっかい輪切りの漬物を食べてたら・・
     とても上手く表現できないんだけど、喉を通らなくて・・・。。

     変だな・・・。前回はこんな事なかったのに(汗)」





    「ベルトルト・・お前までか??・・・・マズイな・・・こりゃ風邪でも流行りだしたか・・
     ・・・・エレンもコニーも無事なところを見ると相当その疑いが強いぞ」






    「おい・・・そりゃ遠まわしに言ってオレは風邪にかかる心配がない位
     座学成績が壊滅してるって言いてーのかライナー・・・」

     ムシャコラムシャコラ・・・・




    「他にどんな意味があるんだ死に急ぎ野郎・・・・」
     ボソッ





    「てめぇ!!!」

     ガバッ!!



    「ぁああ!!!?」

     ガタッ!!



    「ちょっ・・・止しなよ二人とも!!どうせ明日は対人格闘からなんだから、
     せめてその時にでも思う存分お互いにどつき合えばいいじゃないか!!

     ここで食べ物を吐いちゃったら汚いだろ!せめて表で吐いてよ!!」




    「ぁあ!!?知らねーよ!!!オレは打倒アニの特訓で忙しいからな!!
     訓練中にこんな馬面にカマってる暇なんてねーんだ!!!」





    「ぉうおう、女と組み合うのに必死すぎて男とは怖いから
     喧嘩(どつきあい)もでけへんってか!!ソレでよく巨人駆逐(ぼてくりまわ)したるとか言うたなヘレン!!!」






    「ヘレンちゃうわッ!!!パチキかますぞコラ!!!!!!」





       イイゾーーー!  ヤレヤレ!!!   ヒャッハハハハ・・!





    「まったくもう・・・・・;」

     ゲンナリ・・・



    「まあ・・教官が来ない事を祈るか・・・・」




  16. 16 : : 2015/11/11(水) 23:56:33




            ~~翌日~~






           ――屋外訓練場――







    「「「私はあなたでないとダメだ。」」」





    「(・・・・・か。)」



     私の中で・・・・ミカサ(あいつ)のその言葉が幾度も反響する。



     何だろう。私自身、心のどこかで望んでいたのは間違いないはず。
     “どんな形でも良いから”・・・ミカサ(あいつ)にとって『傍に居てほしい』と思われる
     人間になりたくて・・・、そいつがどうすれば叶うかとずっと考えて
     居たのが・・・結構あっさりと叶ってしまったんだから。




    「(・・・・しかし何だろう・・・まだ心の中にこうして残る、
     僅かな蟠りの正体は。)」





    「ぅぉおおおおおおァァァ!!!!!!」
     ダダッッ・・・





    「(ミカサにそこまでの事を言って貰った今、私の中には充足感や
     達成感こそあったとしても・・・こんな、何か物足りない感情が
     拭いきれない気持ちになる理由が理解できない...)」

     ヒョイッ





    「ッ・・・・・・っへへ!!!!甘い・・・・ッぜ、!!アニィ!!!!」





    グルンッ・・・・!!  ガバッ!!!!!!




    「っ・・・・・・!」
     ドッ・・・・




     今の時間は・・丁度木剣を使用した対人格闘訓練の真っ最中。



     結局昨日は・・・連日ミカサに添い寝を依頼するのも
     気が引ける為一人で寝る道を選択した。・・・だから若干瞼が重い。

     おととい見た夢は、幾ら程度の軽い方とはいえ・・・
     自分で自分の頭ん中の夢を司る部位を疑いたくなるくらい
     酷い夢だったけど・・・・まだそれでもミカサの体温のお陰で寝覚めの後も
     楽ではあった。・・・・けれど昨日は。ミカサの助力も無かった事で
     久々に“色の無い(ヤツ)”を見てしまった。



     お陰で全身が重い・・・・・・だるい・・・・。




     この感覚ばかりは・・・たかが夢だろうと口にする人間には決して
     理解できないだろうけど。これは冗談抜きに相当しんどい。


     前日の晩に自分は瞼を伏して床に着いた筈なのに....

     死に物狂いで得体の知れない“何か”からやっと逃げ延びた先、
     寝汗をかいてベッドから飛び起きるとそこは・・・しっかり
     時間だけは過ぎ去った翌日の朝なんだ。


     体が休まった気なんて全然しないし、寧ろ
     前日より疲弊している気がする時すらある。




    「ッっしゃ・・・・・!!!!   とうとうとったぞ!!!!」



     しかしそんな私の都合など、目の前の“コイツ”には、
     さしてお構い無いようで。


     ・・・結果いつも通り私に息巻いてぶつかって来るエレンの挑戦を、
     こうしていつも通りに受けている私。流石に疲労困憊で
     考え事なんてしながらでは・・・こうなって当然か。




     私は恐らく初めてとなる馬乗り(マウント)への移行を、エレンに許してしまう。



     
     しかし、何故か、私の中にはこれまでほど・・・不覚を取られた事に
     対しての悔しさは無かった。

     油断していたとはいえ・・・これまでのコイツの動きなら、
     それでもここまでしっかりとした拘束を貰う事はなかったから。

     
     
     ・・・・エレンも・・・・着実に“身体の捌き方”に
     磨きを掛けてきている。もし訓練兵科の修了年数がもう一年
     先の話であったなら・・・その頃にはひょっとしたら。


     ――私は追い抜かれて居たかも知れない。


     それ程までにエレン(こいつ)の鍛錬への熱意は狂気じみたものであり・・・

     それ程までに凄まじい勢いで上位者の技術を吸い尽くす。



     ――努力の天才ってヤツだと思う。 



     そう言った意味ではミカサとは全く真逆・・・そして、
     その本質はどちらかと言えば私の方に近い。



     私も・・・何も知らなかった頃は目の前のコイツみたいに、
     只々、父さんの構えるミットに向って自身の魂の全てを
     ぶつける事でしか、自分の成長を実感できなかった。




  17. 17 : : 2015/11/12(木) 00:00:38






     まあ・・・私の昔の事なんてこの際どうでも良い話で・・・・


     
     確実にこの三年間でエレン(こいつ)は強くなった。



     それがミカサの要望でもあるから・・・。。・・今日の私の中には
     こんな感情も芽生えるようになっていた。



     しかし実際のところ今の私の中には最早・・・・



    「油断したな!!! どうした!!?こんなにあっさりオレにマウント
     取らせるなんて、お前にしちゃ随分甘くないか...!

     それともその余裕ッぷりからしてまさかこの体勢から・・・」
     ギリギリ・・・


     目前で、してやったりという顔をしているエレンの動きに


     一杯食わされてしまう位・・・今、私の中には抑えきれない
     ミカサへの想いがはち切れんばかりに溢れるのみだった。




    「・・・・・・あのね。まだ“ならず者(わたし)”は・・・刃物を手離してない。
     おまけに抑えてるのはその片腕だけ・・・・。。よくこんな状況であんた
     余裕かましてられるもんだね・・・・・(溜息)」

     スッ・・・・




    「ッ・・・・?!?!」
     ビクッ



     それだけいうと・・・私はエレンに抑えつけられているのとは反対側の、
     つまり木剣を握っていない方の掌を伸ばし、エレンの顔に静かに添える。



     不意に差し伸べられた私の手に・・何か形勢逆転の布石となる打撃を
     一瞬警戒したエレンだったが・・・まるでなんの勢いも力も込められずに
     自分の頬の辺りに添えられたそれに、かなり戸惑う様子を見せる。




    「・・・・・あ・・?おいアニ・・・お前なに・・・・」




    「なんで私があんたに組まれる直前に木剣の持ち手を咄嗟に変えたのか・・・
     まずそこで気が付かなきゃダメ。」

     グイッ.....




    「 イギッ・・・・?!?!?  」

     ガグンッ....!!!!





     それだけ言って私は・・・エレンに押し倒されたその体勢のまま・・・
     躊躇なくエレンの“耳”を掴んで、逆に引き倒した。


     自衛本能・・・というより生理的な逃避反射で、
     自身の耳を引き千切られる事に成らないよう、そうしたくなくても
     反射的に引かれた方向へその身体を寄せてしまう原理を利用した。


     エレンと私の位置関係はあっさりと逆転する。



    「・・・・まだまだ甘いね。・・あんたの言うとおり・・・私は今、
     あんたに一泡吹かされる寸前に追いやられるくらい・・・考え事に夢中で
     全身お留守になってたのかもしれない。

     ・・それでも・・・・そんな私にここまであっさり逆転されるあんたはもっと甘い。」
     スッ・・・・



     私の太腿に抑え付けられ、心底悔しそうにしているエレンの鼻先に・・・
     私は切っ先を突きつけながら言い綴る。





    「いいかい・・・・・?技術や力だけじゃない。

     相手が当たり前にこっちの命を狙ってくるような“ならず者”で、
     あんたが秩序の担い手としてそいつらをどうにかしなきゃいけないなら・・・

     “こういう”手段も覚えておくに越した事はない。当然相手が
     “コレ”をしてこない保証もないし・・・・。なにより実戦に、、
     『もう一本』は無いんだ。殺されちゃえばそこで全て終わり。」
     スッ・・・・



  18. 18 : : 2015/11/12(木) 00:06:07



    「ッチ・・・!!...まだまだ・・・・お前に教わる事は山程ありそうだな・・・・」





    「訓練だから私も此処で剣を引いたけど・・・

     私があんただったら、その状態でもまだ挽回の手立てはあったよ。
     それくらいで諦めるのもどうかと思うけどね・・・」




    「この状況でどうしろってんだよ・・・オレが同じように
     耳掴もうとしたって・・・仕掛けた本人であるお前がそんな
     あっさり掴ませる訳ねぇだろ・・・・;」





    「私だったらどうしたか・・・・

            ―――――聞きたいかい?」 




     切っ先を引きはしたものの・・・未だに馬乗りのまま、
     その背を曲げてエレンの顔に鼻先を迫らせる私―――





    「ッ・・・・・・(ゴクッ・・)」





    「・・・・―――目に・・()を入れるんだ・・・・・!普通それをされて
     躊躇もせず、武器を握ったまま即座に襲い掛かれる人間は居ない。
     

     必ず・・・・必ず一瞬以上の隙が生まれる。」



    「っ・・・お、おいアn....

    「親指を深く入れられたなら指を眼窩にかけてそのまま
     引き倒し・・・・そうでなければ相手が怯んだ瞬間に体勢を立て直してから・・

     そこを――・・・・・!!!!」






    「よし――――!!全員そこまでだ!!!!土汚れが酷い者だけ座学に移る前に
     着替える時間位はくれてやる!!! とっとと次の準備を済ませること!!!」









     しかし、改めてミカサにはこいつのお守りを任されたんだ・・。


     今までは教える気が無かった事・・・どんなにえげつない手段でも。
     不意打ち、闇討ち、遺恨の傷跡を残す凶手であろうとも・・・・

    “本当の命のやりとり”で 活きる戦い方を。
     全て教える積りで徹底的に鍛えてやる


     それで私があいつにとって少しでも“いい人”になれるなら。





    「・・・・悪いね、ちょっと熱が入り過ぎた。・・・・だけど・・・・エレン?」






    「・・・・あ、ああ?」






    「あんなに非の打ち所の無い幼馴染があんたを護るって
     言い張って聞かない位の気持ちを示してるんだから・・・・

     あんたも男なら護られっぱなしなんてダメ。
     あいつは・・・暇さえあればいつもトレーニングしてるよ。

     ・・・“あんたの為”、それしか言わずにね」






    「・・・・・・・・・」








    「あいつがあんなに若い身空を棒に振ってるのに

     あんたがあんまり不甲斐ない様だと私・・・・・」






     ――いつか勢い余ってあんたを殺してしまうかも






    「・・・・・ああ、分かってる・・・・分かってるそれ位は・・・・!

     そもそもそんな事、こっちからお願いしたつもりはこれっぽっちも
     無えんだけどな・・・・・。あいつの世話焼きは普通じゃねえ。」

     ポリポリ






    「(―――なんて、いきなり言える筈も無い――か。

     本当に突然・・・何考えてるんだろうね・・・私も・・・・・・)」




     何だろう・・・昨日見た夢が相当マズかったのか・・?
     思考が・・・視界が安定しない。空気の味もなんだかおかしい。



     何故今こんな事を考えたのか、自分でも全く理解できない。




     そもそもそんな事をすれば間違いなくこの私がミカサの手によって・・・・・





    「(・・・まさか・・・それを望んで・・・・・?)」





     まずいねコレは・・・・とうとう私も色々伸し掛かってくる重圧に背を押されて・・・

     誰かさんみたいに心が“割れそう”になってきちゃったかな。



     今日はいつもより早いとこ仮病を使って医務室に駆け込んで
     横になった方が良さそうだ・・・。



     ここまでミカサ(あいつ)を好きになってしまった挙句・・・・


     ミカサの手によってこんなうんざりする程鬱屈な毎日から
     解放される事まで望んでしまうなんて。




  19. 19 : : 2015/11/12(木) 00:08:49







     本当・・・今日の私・・・どうか・・・・して・・・??  ??






     ――――-―――----- 






     ―――ッ・・!  ・・ニッ!!  ぉいアニッ!!??」



     ドッ.......



     ?????



     
     ピントの定まらない視界が側転するのと同時に・・・・

     私の耳から世界が遠ざかるのを感じた。



     河に飛び込んで素潜りした時の・・・あの感じに近い。




     脇腹に重苦しく走る大きな衝撃――――・・・・・。。そうか・・・






     私は・・・・倒れたのか・・・・・・。まったく、何で今更コレくらいで・・・・・







     耳元でやかましく、しかし徐々に遠のく叫び声を響かせてるのは・・・








     ――――エレン・・・?―――いや・・・コレは・・・ベル・・・...t...






    ―――――

    ――――

    ―――

    ――








    ~夕刻~




    ―医務室―






     『気絶』と『睡眠』は――



     その原理も働きも、殆ど別の物である、といって良い。

     ・・・前に誰かがそう言っていた。



     混同して勘違いし易い例としては・・・・・



     冬場、カンカンに沸かした風呂釜の湯に漬かっている内に心地よくなって
     落ち込んでいくあのまどろみは・・・・暖められて全身の血管が
     拡がる事による血圧の低下が引き起こす、“意識の喪失”であり・・・ 



     つまり、れっきとした“気絶”である。





     ―――この場合・・・それが私にとっては良い方向に働いたんだろう。






    「――――-・・・・ぁっ・・・・・・・・」

     ムクッ・・・・




     重苦しい意識の中、しかし屋外で意識が途切れる前までより
     大分軽くなった身体を起こす私。



     ―――ここは・・・医務室か。



    ズル・・・   パサッ・・・




    「・・・・・・・・・、、、?」




     上体をゆっくり起こした私の額から擦り落ちる、
     折り畳まれた一枚の濡れ布巾の様な物。


     いつも利用してる部屋だから直ぐに分かった。その布地は・・・

     
     医務室に常備されてる熱冷まし用の手拭とは違うものだった。






    「これは・・・・」

     スン.......





    「・・・・・・エレンか・・・・・・。」



     ――匂いで分かってしまった。
     何もそういう趣味がある訳じゃない。ただ・・・・

     
     あれだけ毎度対人格闘の度に・・・仮にも女子である私めがけて
     汗だくになって全力でぶつかって来るあいつが悪い。


     あんな接し方が常日頃から続いていれば・・・当然その体臭くらいは
     体が覚えてしまう。


  20. 20 : : 2015/11/12(木) 00:11:24








    「・・・・・・・・・・」








     いや・・・・ちょっと待った・・・・。


     うん。誰にかける待ったなのかはこの際置いといてだね・・・

     当然の事だけどそうなると・・・あっちも・・・
     エレン(あいつ)も同様に私の匂いを・・・・・・??




    「(やばい・・・・そう考えたら何か急に恥ずかしく)」





    ガチャッ・・・・・




    「!!!ぁっ!!おいアニ!!!?お前やっと・・・・・・!!体の方は大丈夫か!!?」

     ダダッ・・・・



    「アニ・・・・・意識はしっかりしている・・・?!どこか変に感じる所などはない・・!?」




     医務室の戸が開け放たれ、ベッドの上の私を見るなり
     急いで駆け込んできたのは・・・エレンとミカサだった。




    「ああ・・・大丈夫・・・もう、・・・平気。

     随分気を失ってたみたいだけど・・・それが“かえって良かった”みたいだ」




     ―――そう、“気絶”している間なら・・大体『夢』を見ないで済むから。




    「しかし・・・・アニ・・・!その様子ではまだ熱が・・・・!」
     カオガ・・マッカ・・・!



    「あっ・・・おい、オレのタオル・・・もうこんなじゃねえか・・!
     今絞りなおすから貸せって・・・・!」ガシッ・・・





    「いや・・・・この熱は・・・そういうアレじゃないよ・・・・;

     ちょっと考え事をしてて。。」イイカラ。。


     マズイ・・・。さっきまでそんな事を考えてたせいか・・・
     明らかに今この場で考えなくて良いような事まで頭の中で
     グルグルと渦を巻いてしまう。


     ・・・――今このタオルをあっさり手渡せば・・・
     私の汗を十分に吸ってしまった・・・、、エレンからすれば
     私の匂いしかしないタオルが・・・!一時とはいえこいつの手元に・・!?





    「ぁ・・・?;考え事でこの熱ってお前・・・知恵熱じゃねえんだぞ、
     ・・・・ッ、、とにかく貸せって!」




    「だっ・かっ・ら・・・・・イイって言ってるだろ!!////

     ちゃんと洗って返すから・・・・!今は・・・・いいの!!!」



    「は・・・・はァ!!???いや・・・・!意味が分かんねぇって...

    「エレン。。」ギュムッ・・・




    (いで)ッ!!!」



     隣からミカサがエレンの耳を摘んで引っ張る。


     さっき私が掴んだのと同じ方の耳だ。身体が感覚を覚えていた様で
     その牽引に即座にあいつの防御本能が働いた。




    「アニは・・・・嫌がっている。あなたのタオルが足りないなら
     私が代わりを貸してあげる。だから今はアニの言う通りに・・・」




    「ちっがッ・・・・!;そういう意味で言ったんじゃねえっつの・・・!

     ま、、、、もういいって!!わかったから離せ!!

     そんなに引っ張ったら耳が千切れちゃうだろうが!!」




    「・・・・・・」スッ・・・・






     エレンの言葉にやっとその万力のような指圧力を緩めて
     拘束を解くミカサ。先程私自身がエレンに対して行った
     ものと殆ど変わらない制圧手段だけれど・・・



     ミカサがやってるのを見ると数段恐ろしいものに感じる。



     こっちの出方次第では本当に“うっかり”耳を千切られてしまっても
     おかしく無さそうなので・・・私なら絶対に喰らいたくはない。





    「それはそうと・・・・悪かったね。・・・・いきなりぶっ倒れちゃった
     ・・・・んだよね?私。・・・それすらも良く覚えてないんだけど・・・


     あの状況じゃまず相手をしてたあんたが、何か勢い余って
     私を昏倒させちゃったとか・・・誤解を招く事に・・・・」





    「・・・・ああ。それなら問題ねえよ。


     ・・・・何故か知らねえが、随分遠くで対人のペアにあぶれてたハズの
     “ベルトルト”が・・・真っ先にすっ飛んできてお前を揺さぶりに
     駆けつけてきたんだけどよ・・・・」




    「(あンの馬鹿.....!;)」




    「それ自体にもかなり驚いたんだが・・・あいつが全てオレと
     アニの組み手を見てたから・・・っつって、教官に証言してくれた
     お陰でな・・・。別にオレの方が何か勢い余って変な投げ方を
     しちまったんじゃないかとか・・・そういう目が向けられる事も
     無かったんだ」

  21. 21 : : 2015/11/12(木) 00:14:43




    「・・・・・・」



     後で説教だ――・・・・・!


     これ位の事で冷静さを欠いてもらってたんじゃ・・・


     “いざ”って時に困るなんてもんじゃ無い。


     そんな事でちゃんと“使命”を全う出来るとでも・・・・




    「しかし・・・・私も少し驚いた。


     普段から同じ男子同士ですらライナー以外とは殆ど快活に
     話す事のないベルトルトが・・・・。あれだけ心配してくれる仲間が
     居る事に・・・あなたも少し感謝をするべき」




    「・・・・・・感謝・・・・・・?」ピク





    「・・・・・・そう、感謝。・・・アニ、あなたの顔を・・・
     私も同室の仲間としてこれまでわりと身近に見続けて来た。


     ・・・ので。今しがたあなたがエレンの言葉からベルトルトの
     取った行動を理解して・・・、まるで“余計なお世話”として
     煙たがるような顔をしていたと感じたのは・・・

     ・・・私の思い違いでは無い・・・。ハズだ」








    「(しまった・・・・・)」



     ―――そう、不覚にも思ってしまった。



     そうだ・・・人の事をどうこう言えた立場じゃなかった。。


     ミカサ(こいつ)は・・・・私が思っている以上に・・・

     私の事をよく見てくれていた。


     ついでに言ってしまえば、ベルトルト(あいつ)に関しても。
     

     あいつは“ただ”倒れた私を心配して駆けつけてくれただけだ。


     
     もしもこの立場が逆だったら・・・・?


     私だって・・・私だって少し位は冷静さを失っていたかもしれない。




    「(普段から必要以上にジロジロ見てきて・・・・本当に周囲に
     私達の繋がりを本気で隠し通すつもりがあるのかと
     腹を立てる事も少なからずあったけど・・・・)」





     ―そんなアイツだって・・・・つまり私を“良く見てくれていた”
     ・・そういう事なんだろうからね・・・・。




    「・・・・・悪かったよ。少し・・・慣れない気を遣われて
     反応に困っちゃっただけ。・・・・あとでアイツにもちゃんと・・・


     礼を言って置かなきゃね・・・」




    「・・・・いい。私にはアニに謝られる理由は何一つ存在しない。」




    「(考えてみりゃ・・・アニとミカサ(こいつ)がこんなに
     普通に会話してんの・・・オレは初めて見る気がするな・・・・;

     こいつらって・・・実は結構仲良い方なのか・・・??)」


    彼女ら二人が同室の仲でありながらそこまで仲が良いとは
    伝え聞いていないエレンにとって・・・目の前の二人が何となしに
    その会話を紡いでいく情景は・・・


    やはり先程初めて目にしたベルトルトの慌て様と同じ位に珍しい光景でもあった。



    特に、女子達の間では、男子(彼ら)の想像の及びも付かない域として・・・



    “夜の営み”という触れ合いの場がある為、その認識の違いは思いのほか大きい。




    「それはそうと・・・・今一体何時くらい・・・・?


     あれからどれくらい経ってるのかな。・・・窓からカーテン越しに
     外を見る分には・・・・もう夕方って感じだし、あんた達二人が
     一緒に入ってきたって事は・・・・」




    「ああ。午前の対人格闘からお前が気を失って・・・

     午後の座学が一通り終わって、飯の時間も終わって・・・

     もう後は皆水浴び済ませて宿舎に戻るだけ・・・って時間だが。
     その前にお前の様子だけこうして見に来たんだ。」





    「・・・・なるほどね」



  22. 22 : : 2015/11/12(木) 00:18:32







    「一応アニの分の夕食は私が保管しているが・・・

     言わずと知れた事で、飢えたけだものの様な唸り声を上げて、
     サシャがあなたの夕飯を探して回っている。

     意識が戻ったのなら・・・早く一緒に部屋に戻って欲しい。

     そして夕食を・・・・」





    「いい。   要らない」





    「あ・・・・!?おいアニお前・・・・!」





    「アニ・・・一々言わなくても分かってると思うけれど」





    「ああ・・・・心配してくれて・・・有難う。


     でも本当に・・・駄目そうなんだ。今何か食べたら・・・

     もどして余計に体力を消耗しそう。。」





    「・・・・そういう・・・事じゃ仕方ねえ・・・のか・・・?:」




    「当然仕方ないなどとは言っている場合ではない。アニには・・・・

     出来るだけ何か口にしておいて欲しい。大体昨日の明け方にもあなたは…」




     言いかけた所で、この場にエレンという第三者が居る事に配慮し、
     口を噤むミカサ。



    「・・・ごめん。心配を掛けるようだけど。本当に」




    「ッ・・・;」



     普段の私と大分違う物腰に毒を抜かれたような顔をしたエレンが、
     場の空気に耐え切れなくなって退室という退路に飛び込むのに・・・

     それほど時間は要らなかったみたいだ。



    「悪ぃ・・・・、ミカサ、じゃあ後は頼んでいいよな・・・?
     (。。こんな張り合いの無いアニと・・・これ以上話してたら
      こっちの調子まで狂っちまう・・・・)」




    「・・・・・いい。 しかし・・・アニに代わって・・・
     
              私からも言わせて。―――エレン。。」




    「・・・ああ?;」





    「アニを心配してここまで来てくれて・・・・有難う。」





    「いや・・・・そんなの・・・それこそお前がさっき言ったみたいに・・

     オレが礼を言われる立場じゃねえよ。・・・それにアニには
     いつも対人格闘で世話になってるんだしな・・・。」






    「――――ふ~ん.....」

     
     何だろうね。やっぱりアレだ・・・


     面と向って言われると・・・照れ臭く感じずには居られない





    「今日だって・・・アニに教わんなきゃ後々
     命に関わってたかも知れない知識を教えて貰った。

     オレの方こそアニには感謝してる・・・。 それだけだ」






    「・・・・だ、そうだ。」クルッ





    「・・・・・・・・。」




     そんな顔をして一々見なくたって良いじゃないか。


     やっぱりコイツには・・・“エレン”の存在は何より大きい物なんだと・・・
     

     改めてそう実感させられた。




    「・・・分かったよ・・・。まあ・・・お互い様だ。


     あんたが気にする事は何も無いし・・・私も今日はこうして
     あんたに迷惑掛けた。 持ちつ持たれつって事でさ・・・・

     変に意識しないでくれればそれでいい。」



    「ぁあ・・・・・。今日は有難うな。


              ――――早く良くなってくれ。」




     まったく・・・・おもいっきり耳引っ張って張り倒されたのに
     “有難う”ときた。本当に変わったヤツだよ





    「“有難う”。・・・・おやすみ」





    ガチャ・・・・   
            バタン・・・・・






    「・・・・・~~~~、、、、」




     搾り出される溜息。


     肩から抜ける力。


     同時に・・・・




    バフンッ・・・・




     後方の枕へと、背中から身を投げる私。





  23. 23 : : 2015/11/12(木) 00:22:40







    「・・・・・アニ。申し訳ない。あなたが多少無理をしながら
     普段通りの調子を維持していたのは気が付いていたが」




     女子って言う生き物は・・・男子の前では、


     皆少なからず・・・絶対に。。


     自分を“造って”見せるモノだ。



     それは人によって・・・相手の気を惹く為でもあるだろうし、

     どうでもいい自尊心を守る為でもあるだろうし、
     
     単にカッコ悪いところを見せたくないからでもあると思う。



     ―――私の場合は・・・弱さを見せたくないからだ。



     つまりカッコつけたいというのと、理由としてはそう違い無い。



     もう充分そんな所は見せてしまった気もするけど・・・


     本当なら、ミカサの言う通り、このまま朝まで
     寝ていたい位だった。




    「・・・構わないよ別に。あの状況で・・・・

     折角心配してここまで足を運んでくれたアイツに・・・・

     “邪魔だからとっとと帰れ”・・・なんて言える訳ないし。」





    「・・・・そう。それなら一先ずは安心だが・・・アニ。」





    「・・・・・・何だい?」




    「昨日・・・・何故私に頼まなかったの」




    「・・・・・頼まなかったって・・・?・・・・何が」




     ・・・・驚いた。まさかそっちから聞いてくるなんて




    「一緒に寝て欲しいと・・・あなたは昨日口にしなかった。

     寝起きに飛び起きて吐き気を催す位寝つきの悪さに
     苛まれていたあなたが・・・・なぜ?」




    「なぜってそれは・・・・悪いと思ったからだよ。」




    「悪い?」




    「あんただって一人でのびのびと寝たいと思う時がある筈だ。
     それを・・・私だけの都合で邪魔したくない。

     ・・・そう考えたから頼まなかった・・・それだけ」




     私の言葉に暫く無言で顎に手を当てて聞き入っていたミカサは・・





    「・・・アニ。それはあなたの思い違いだ・・・・」




    「・・・・・???」




     私の目を真っ直ぐ見据えて諭すようにそう言った。







    「ひょっとするとあなたは・・・前に私が寝起きに布団から出るように
     促したのを、その様に勘違いしたのかもしれないが。

     ―――私は別にその状況に窮屈さを感じて居た訳ではない」




    「・・・・・・・え・・・・・・・?」






    「言った筈だ・・・・私も・・・・・誰かと一緒に寝られて、
     “温かさ”を感じられるのは・・・大分心の助けになっている。

     あなたが寝つきに困っているのなら添い寝(それ)は・・・私にとっても
     好都合な提案だ。」





    「・・・・でも・・・・あの・・・/////;」






    「後は・・・・あなたが“それ”を恥ずかしいと思うかどうか。

     残る問題はそれだけだ。」





    「・・・・・・・・・・・」





     静かにその両目で・・・、、

     物言わぬその静かな両目で。



     “どうする?”と聞いてくるミカサ。



     そんな風に言われちゃったら・・・・それは・・・・勿論




    「・・・・じゃあ・・・今夜は・・・お願いしようかな」




    「・・・・今夜・・・は?」ズイッ...




    「…」




    「――――今夜から・・・で。。」




    「・・・・喜んで。」ギュッ・・・


  24. 24 : : 2015/11/12(木) 21:38:40





     そう言って・・・、“喜んで”いながら無表情で
     その顔を迫らせるミカサに気圧される私だったが・・



    「っ・・・」ピクッ



    「・・・・(?)」



     そのミカサの限りなく無表情に近い笑顔に・・・・一瞬、
     何か予想外の異変を感じ取る。


     ミカサの眉根が引き攣り、それに伴って黒と茶色で縁取られた
     瞳孔が僅かに跳ねるのを・・・・しっかり見逃さなかった私。




    「(何・・・だ・・・・・?今・・・・私の顔に近づいた途端・・・ミカサが・・・)」




     一瞬その身を退いた気がした。



    「(気のせいか・・・?いや・・・気のせいなんかじゃない・・・!)」



    「・・・・・・・・・」




     同室の仲間を長い事見てきたのは・・・向こうだけではない。


     それは私だって同じ。




     今・・・確かにミカサは・・・・何かに躊躇するように・・・



     “私の顔に(▪▪▪▪)慄いた(▪▪▪)




    「・・・・・ミカサ?」




    「・・・・・何?」




    「・・・・ごめん、何か・・・私、さっきまで気絶してたからかな・・・
     何かとても“その気になっちゃう様な”夢を見てたみたいなんだ。

     ほら、顔が赤かったのは・・・そのせいで」ジリ・・・



     適当なウソをでっち上げて・・・とにかく“その場”を
     創り上げようとする私。

     ミカサが今しがた見せた反応の真意はまず置いておくとして。


     残る問題は・・・・




    「・・・・・アニ。あなたが言いたい事はとりあえず分かった。


     あなたの意思を尊重しよう・・・だが流石に此処では(いまは)ダメだ」
     


     明らかにこの場をやり過ごそうとしてるミカサを、
     この場に確実に繋ぎ留めること。



    ガバッ



    「!!!」




     次の瞬間・・・・私は即座に行動に移った。

     体の不調から考慮して・・・そこまで急な動きに出る事は
     無いだろうという・・・ミカサのほんの僅かな虚を突いて。



     私は、ミカサを、床の間に組み伏せた。




    「っ・・・・ぁ、アニ!?」ビクッ



     しかし、組み伏せるといってもそこまでしっかりとした拘束を
     掛けることが目的ではない。そもそもミカサ相手で、もしも
     本気を出して抵抗されればかなりキツイ極め方をしなければ、
     抑えることは叶わないだろう。

     もっと急を要する事態であったなら・・・此間のミカサの言い分では
     肩を外して抜け出すくらい平気でやるだろうしね。





  25. 25 : : 2015/11/12(木) 21:41:50




     ・・・ここで私がミカサを取り押さえた理由は、
     その身動きを強引に封じて何かしようという意図に基づいた物じゃない。



     
     しかし、ここまで私が急な動きを見せるとは思ってなかったのか…
     ミカサの肩が、驚きに跳ねる。


     後ろ向きでも充分伝わってくる。


     


     ――ミカサが・・・あのミカサが。




     
     慌てている(▪▪▪▪▪)





    「アニ・・・・離して・・・・・・、、」
     



     抵抗はせず・・・対話で私に拘束の解除を求むミカサ。



    「・・・・分かった。一旦離すよ。」

     

     “話せば分かる”。..そんな目で見てくれるようになった
     事が少し嬉しくて、私はあっさりとその申し出通り組んで軽く
     抑えていたミカサの後ろ手を離す。

     
     常に包帯の巻かれている右手首が・・・じっとりと汗ばんでいるのが
     たった一瞬の肉薄でも確認できた。その腕の動きだけを見ても、
     あっさり自分を解放した私の意図が理解できない、
     という感じだ。


    「.....、、、、アニ・・・?」



     自分の手首と私の顔とを交互に見やり、怪訝そうに
     見つめてくるミカサ。自分を拘束する為にしてはやけに
     力が入っていなかった事にも不信感を抱いている様子だった。

     けれど、最初こそは急に組み伏せられた直後という事もあって
     未だ警戒態勢に入っていたミカサも・・・、
     至って落ち着いてみせる私を認めて少しその動揺の波長を鎮める。



    「・・・・なんであっさり離したのかって顔してるけど・・・。

     私は別にミカサに無理矢理何かしたかったわけじゃない。
     ・・・・ただ、あんたが今、ここから。・・・何故か移動したい
     理由があったみたいだから・・・それが私は凄く気になってさ」

     

     ズズッ・・・・   ギシッ・・・




     組み伏せた直後はベッドに腹ばいになって私に圧し掛かられていた
     ミカサだったけど・・・今はその体の向きだけを逆転させて、
     私の下で仰向けになっている状態だ。


     私は・・・とりあえずミカサにこの場から即時脱却されない状況を
     維持できればそれでいい。



    「・・・・そう。  私は・・・・あの。


     アニが・・・・この医務室(この部屋)で・・・その。。そういった・・・
     ふれあいを行おうとしているのではないかと。。思って・・・

     それで、」



    「(この焦り方と言葉の詰まり方は・・・確実に落ち着きのある時の
     ミカサじゃない・・・・)・・・・・“それで”???」





    「そ・・・、それで、、もしそうなら、場所を移してからでないと・・・
     色々まずいと・・・・思って・・・!・・・しかし、違うならいい..!

     誤解も解けたなら・・・一緒に部屋まで行って、出来れば
     夕食を・・・・!」

     アタフタ・・・・



     何で・・・・!何でこんなに焦ってるの・・・!?

     
     いや・・・なんでもいい。・・・・これは間違いなくチャンスだ。


     目の前で肉薄しているからよく分かる。今目の前に居る、
     このミカサらしからぬミカサは・・・あの、クリスタとの手合わせで
     見せたような…"造られた"物腰でこうして狼狽して見せている訳ではない。



     本気で・・・・。本気で今こいつは、私に迫られる状況から
     逃れようとしている・・・・。拒絶、というのとはまた違った色で。




     ・・・・その頬を僅かに紅潮させている





     思えばコイツがこの状態に陥る特定条件を・・・・


     
     私は何故かこの時すっかり失念してしまってた。





    「・・・・残念。言ったでしょ。今何か口にしたら・・・・
     ダメそうだって・・・・。


     ああ、でも何か・・・・今のあんたを見ていたら・・・・

     何だか無性に“食べたく”なってきちゃったかも・・・・・・」


     ズズッ・・・




    「ッ・・・・・・・・・!!!」フルフル・・・





  26. 26 : : 2015/11/12(木) 21:46:21




     無理矢理ってのは良くない。


     もう一昨日みたいに自分の欲求にハシってミカサにだけ辛い思いを
     させたくは無いから。・・・・だから私は・・・・とにかくミカサ自身の
     抵抗の意思を、どんなに少しずつでもいいので削ぎ落としていく
     手段で行く事にする。


     何故かはまだ理解できないけれど・・・この場で行為への発展を
     良しとしない筈のミカサは・・・詰め寄る私に力ずくでの解決を
     図ろうとしていない。


     ・・・・つまりそれは、追い詰めていけば“折れてくれる”可能性が
     そこにあることを意味している。



    「ねえ・・・なんで、ただ首を横に振ってるだけなんだい・・・?
     理由を聞かせてくれたらせめて私もあんたの言い分に頭を傾ける余地が
     生まれるかもしれないんだけど・・・・・」


     顔をミカサの肩口に(うず)め....、首筋を一舐めして
     片手を太腿へと這わせる。とても新鮮な感覚だ。

     今まで・・・陰部を直接触りに行っても殆ど手応えが感じられなかった
     というのに。こんな手段では眉1つ動かすはずの無いミカサが。


     私の顔が自分の顔の真横に寄せられた事で更に激しく震えてる。







     「(――――--・・・・いや、まさか・・・・・・?!)」






     ミカサの後ろ髪に顔を埋めて・・・そこで初めて私はこの状況に
     1つの心当たりを見つけ出す。ソレ(▪▪)は・・・・今まで気が付かなかったのが
     おかしい位に真っ先に疑うべき可能性の1つだった。




    「(――――エレン(▪▪▪)か・・・・・・??!)」



     先程アイツに手渡すまいとしていたタオルが・・・今丁度、
     ミカサの後頭部の下敷きになっていた。

     ついでにソレが元々乗っていたのは私の額だ。


     ・・・・つまり・・・・



    「どうしたのさ・・・・?そんなに震えて・・・・??大丈夫なの?」

     スッ・・・・



    「っ・・・・//////!!」ゾクゾクンッ・・・・



     私が額からミカサの顔に自らの顔を寄せ付けた途端・・・・


     その背に走る情動のざわめき。




    「そんなに・・・・“エレン”の匂いがキく・・・・・??」



     これはもう間違いない。


     私そのものに対してこういった反応を見せていた訳ではない、
     ・・・というのは少し残念でもあるけど・・・そこはやはりミカサだ。

     急にそんな風に豹変されても何があったのかと逆に
     心配になっちゃうから・・・・今はとにかくエレンのお陰とはいえ
     こんな不安定なミカサを抱ける僥倖に預かろうと・・・

     ・・・私は思った




    ズズッ・・・

             パサッ・・・・



    「っ!!!!!!」




     枕元から引き摺りあげたそのタオルを・・・・私は




    「そんなにイイなら・・・・直にいってみたらどう?」



     ミカサの顔に優しく被せた。顔全体を覆うのではなく・・・
     目だけはちゃんと見えるようにして、鼻と口、
     どちらで呼吸をしようともエレンの存在感が、その脳にしっかりと
     突き刺さるように。・・・・はたしてこんなものでどれ程ミカサに
     普段との違いが見られるか・・・やるまで半信半疑の私だったけど




  27. 27 : : 2015/11/12(木) 21:50:47






    「ッ!!!~~~~~~~」




     ビグンッ・・・・ブルブルッ・・・・・





     ―――瞬殺。





    「う・・・・・ウッそ・・・・・!!!?でしょ・・・・・//////」





     思わずそう口にしてしまったのは仕方が無いと思う。


     何せあの(▪▪)ミカサが・・・・。

     “エレンの匂い”を吸入した勢いだけで・・・その背を思い切り(しな)らせて
     気をやってしまっているのだから。

     未だ私は・・・ミカサの秘所すら刺激していない。


     恐る恐るズボンの上からその隙間に指を差し込んでみると・・・


     

    「(っわ・・・・///もう絶対すごい事なってるってコレ・・・!!)」



     ズボン、そして下着を隔てている上、股間の稼動部というだけあって
     他の部位より生地の重なり合いで厚手になっているその部分に
     触れただけでも・・・・

     その生地の奥底、ミカサの地肌から放たれる蒸気が感じられるようだった。



    「っ・・・・・///フゥッ・・・・ッハ...  ハぁ....ェレン・・・////」
     ゾクゾクン・・・・



     またたびをぶち込んだ麻袋を抱かせてやった子猫の様に。

     タオルで覆われていない双眸を潤ませて恍惚に浸るミカサ。

     小刻みに腰が震えているところを見るに・・・どうやら小さめの
     波ではあっても確実に・・・今この瞬間さえもミカサは気をやっている。



    「(こんなに覿面(テキメン)だなんて・・・・!!)」



     こんなまたとない機会に密室で立ち会えた事には
     正直心が躍るけど・・・私達女子部屋の誰が何をしてもミカサを
     ここまで乱れさせる事なんて出来なかったというのに、

     そこに“エレン”という要素が介入すれば・・・


     たかが残り香(▪▪▪)だけでこの有様だなんて・・・・





    「(もし・・・・こんなので・・・・・タオルくらいでこんな事になってるなら)」




     ここまで衝撃的なものを見てしまったら・・・当然そういった
     仮想を頭の中に描いてしまうのは私だけじゃないはずだ。









     ――――もっとストレートなモノをぶつけられたとしたら・・・?






    「(そう・・・・例えるならホラ・・・・、、、
     想像するのも生々しいけど・・・ねぇ・・・・・?////;)」




     ・・・しかしそんな仮想を頭の中で予行演習しようにも
     当然問題が発生する。




    「(ソレ(▪▪)をどうやって手に入れる・・・・??!)」




     口に出すのも憚れるほど、今、私の頭の中には・・・・

     常人からしたら軽蔑の対象とされても文句の言えない位
     非常識な目標物がロックオンされている。
  28. 28 : : 2015/11/12(木) 21:54:11

     この痴態を見るに、充分タオルだけでも楽しめるだろうけど、
     これより上があるなら是非見てみたいと思うのは当然の事だ。
     ミカサの乱れる姿なんて・・・滅多に見られるモノじゃない。 



    「すっごいじゃないか・・・・あんた本気でこんな顔も出来るんだね・・///」

     ズッ・・・ヌチュッ・・・・・


    「ヒッ・・・・あ、、!!!ヤメっ・・・・アニ・・・エレンが・・エレンが・・・・!!
     (パフン・・・・)ムフゥッ"""・・・・・・!!!!!」
     バタバタ・・・・・



     折角なので・・・時間を無駄にしないよう、考えながらでも
     ミカサのズボンに手を突っ込み、その内部の熱を確かめる私。

     
     同時にミカサの顔からずれたエレンのタオルを、再び口に優しく
     押し付けて吸気させる。面白いほど・・・簡単に骨抜きにされていく
     ミカサが目の前に居る。



    「(そうだ・・・・まずは“ソレ”をどうやって手に入れるか・・!
     そこから考えなければいけない)」



     “ソレ”を本気で手に入れようというなら・・・
     間違いなくこのタオルのように簡単にはいかない。

     
     そもそも持ち運びが困難で・・・状態の維持も困難。


     おまけに何の危険も冒さずに採取(▪▪)の目処が立つとは
     到底思えない。必ずどこかで犠牲(イケニエ)を用意しなければいけない事になる・・・!




     最も波風立てずに手に入れる方法を挙げるなら・・・

     やはり自然と排出されたものをどれだけ鮮やかに掠め取るか。

     これしかないだろうね・・・・。噂に聞いた感じだと・・“アレ”は
     相当匂う(▪▪)らしい。定期的に自分でなんとか
     体の外に出す場合は・・、態々屋外まで移動する事もあるとか。



     何でこんな事を知ってるかって・・・・・?



     そんなのは簡単な話。



     今は『色々』あって兵団に居られなくなってしまった同期達に
     そう聞いたからだ。主に皆男子の性欲解消に迂闊に関わって
     しまったが為に兵団に居られないような身の上になって
     しまったのが・・・つまりそいつらだった。


     兵団の規則からすれば禁断ともいえる関係を一度持ってしまえば・・・
     そこから面白いほど色々と男子連中の発散事情も流れ込んできたらしい。




    「っ・・・・・・っ・・・・・・っ・・・・・//////////」




     更に深く考え事にのめりこもうとする私を他所に・・・

     ミカサはその全身を規則正しいリズムで震わせ続けている。



     そろそろ私も一緒に愉しみたくなってきてしまった。

     手だけで感触を確かめたところ・・・もうミカサのほうは相当
     スゴい事になっている。・・・・まあ、責任は私にあるんだし、

     明日の服の洗濯は私がやってあげる事にしようか。




  29. 29 : : 2015/11/15(日) 01:31:01






    未だ小刻みに押し寄せる絶頂の波に呑まれるまま、
    幸せそのものといった表情で悶え続けるミカサ。


    ・・・・まあ表情といっても顔に被せたタオルがあるから
    目元しか見えてないけど。





    「ンフーーー・・・・ ムフゥ・・・・/////」





    「っ....・・・////」ゴクッ・・




     さて、いざこれから事に及ぼうと目前にて伸びきったミカサをよく眺めてみる。

     

     流石に圧巻にして壮観だ・・・・。運動で心肺機能がピークに達した
     隙をなどを突いてここまで辿り着いた前回とは全然違う。



     エレンという起爆材がなければここまでミカサの平常心を破壊する事は
     叶わなかったのは言うまでもないけど・・・

     
     結果として、今、私の前にはこうして・・・・



     思いを寄せる異性との性行為を想像して悶えるこいつの姿が横たわっている。



     こんな所を・・・・ユミルあたりが目にしたらどんな事に
     なるか・・・・想像するまでもなくすぐ目に浮かぶ。





     これまで散々部屋中の女子をぶつけても拝むことが出来なかった
     こいつの絶頂に喘ぐ姿を見るためにどこまでも執拗な
     ちょっかいを出すことだろう。




     ・・・これまで見たことのないこいつの顔を見てみたいって意味じゃ・・・

     私もそんなにユミルと違いはない。ーーけど。



     私はあくまで自分がこいつに抱かれる際に味わう事が出来る
     心地よさってやつを・・・


     同時に同じように感じて貰いたいだけなんだ。




    「(・・・・となればやっぱりここからは・・・)」

     ズルッ・・





     もはや抵抗の意志を欠片も見せなくなったミカサの下履きと・・・


     私自身の下履きをずりおろす。







     刺激の手段として、手や口より極端に効率は落ちるものの、
     

     性的な感覚としては寧ろ・・・相手を意識しやすい接触手段として

     私はミカサとの素股・・・いわゆる"貝合わせ"を行おうとする。




    「ぅっ・・・・・  ...ふぅ・・・・」



     相変わらずエレンの匂気にあてられて全身脱力しきっているミカサは
     私がその姿勢をずらそうと働かせる力にさえ
     一切抵抗を見せない。まさかこの状態はタオルを退かして
     こちらから与える刺激を中断しなければずっと続くのだろうか?



     ・・・ともかく、私はこれから初めて、
     今までミカサ相手には到底有効とは思えなかったそれを行う為・・・、

     ベッド上で息も絶え絶えとなっているミカサへと覆い被さるようににじり寄る。







     「・・・・ぁ・・・・アニ・・・・・?//」

      ボソッ・・



     タオルに隠された半面から辛うじて動かせる視線を下目使いで
     私に向け・・・力なく溜息と一緒に言い絞るミカサ。



     「―――何かな...?一応言っておくけどやめ
     「違う。来て....欲しい」





     ッ――――――


     

     ちょっと前にも感じた事のある・・・私にしか聞こえないその“音”が
     私の脳から全身に弾け渡る。




     ――私の中の“何か”が切れるその音が。




  30. 30 : : 2015/11/15(日) 01:32:52




     「・・・・・最初からそのつもりだったけど・・・何か嬉しいね、
     まさかあんたの口からそんな言葉が聞けるなんて」

     グイッ・・・・



    「・・・・・・・っ」



     先ずは姿勢を確かめる。―――私は最初にミカサの
     左足のみを持ち上げ、その両足を開かせる。

     持ち上げたミカサの左足を抱くようにして、伸ばされたままの
     右足を尻下に敷く形で跨り、自らの秘所を、ミカサの同じ場所へ
     そっと近づけ・・・・身を寄せる。前にミカサが言っていたが・・・

     この姿勢にも何か固有の名前があるらしい。
     何て言ったか・・・なんか植物か何かの呼び名みたいな感じだった。



     「んっ・・・・/////」



     足に重点を置いて体を鍛えている私と違い、
     ミカサの肉付きは、全身が偏り無く筋肉質でとても締まっている。だから
     今私が抱えるようにして抱いているこの左足にも・・・まるで伐採した
     細めの丸太のような密度を感じる。


     ・・・・しかしここで、その部位に触れ合おうかどうかという位置で
     少し、互いに噛み合いの悪さを感じる。



    「・・・ちょっ・・・と、きついかぃ・・・?///」


     私とミカサだと、鍛え方による肉付きが全く違う・・・

     ・・・というのもあるけど、それよりも根本的な問題として、身長、体型、
     骨盤の大きさ、性器の付き位置、・・・更にもっと砕いて言えば

     “人種の違い”によって、その身体の造りが大分異なる。


     私は“壁の中の人種と比較しても”この通り悲しくなるほど
     低身長で・・・、ミカサは特別長身というほどでもないけど、
     “東洋人”の血を引くという特殊な生い立ちから、
     大まかにも体つきがそもそも違う。


     この場合上手く行くと思っていたこの姿勢だと・・・

     私とミカサの“その”最も敏感であるとされる部分を
     擦り合わせる為には・・・、ミカサの大腿部に私の体重がモロにかかる
     姿勢を余儀なくされてしまう事に気付いた。  




     「・・・・いい。構わない。・・・その方が・・・アニの気が昂るなら。

      私の事はこの際気にする必要は無い・・・・」






     ・・・・・まだこいつはこんな事を。。





     「・・・だからね、そういうのを私は一番気にしてるんだって。
      私一人が良くったってそんなんじゃ何の意味も無いの。

      いい加減分かりなって・・・・」



     ミカサがいくら構わないと言っても、この姿勢では確実に
     ミカサの内腿に私の全体重が掛かる都合上、
     行為が長引くに伴って確実に血の巡りが悪くなって足が
     痺れたりするはずだ。
  31. 31 : : 2015/11/15(日) 01:37:04






     ・・・そうと分かれば・・・






     「っ・・・っしょっと・・・・、、」




     私はミカサの足を降ろし、その両足を正面で開脚させて、
     自分の両脇に担ぐ様にしてミカサに組みかかった。


     そこからミカサの肩へと手を載せて・・・“私の位置”を確かめる。


     何を基準にして“正”としているのかは分からないけれど、
     おそらくこの場合は“正対”という意味からの・・・


     よく言う“正常位”というヤツだ。


     先程の姿勢の方が単純に接し易い気がしていたけど、
     思ったより今のこの姿勢の方が・・・、割と上付きの私と
     その逆に下付きであるミカサとで・・・不思議と触れ合いやすくなった。




     ....しかしこの姿勢に1つ問題を挙げるとするなら・・・


     


     「・・・・・///////」

      カァァァ・・・・・




     「・・・・珍しいね・・・ミカサ・・・あんたひょっとしてこの格好が・・・

      ・・・・そんなに恥ずかしいの・・・・??///」ゾクゾクゾク・・・



     されるがままになる方にとって自身の両穴、それから
     全身のあられもない姿を存分に辱められてしまう・・・・・


     ――この眺望の良さだろうと思う。

     
     野生動物の一部は、降伏のしるしに仰向けに地べたへと身を投げ、
     その腹を見せるという話を聞いたことがあるけど・・・
     

     その感覚に近い恥辱が・・・今ミカサにも襲い掛かっているのだろうか。






    「・・・・・・・・・//////」
     モジモジ・・・




     今や男子・女子共に104期の皆が一目置くミカサの代名詞ともいえる、
     歪み無く鍛え上げられたゴツゴツの腹筋は勿論言うまでも無く・・・・


     本当に私のそれと同じ材質で造られているのか怪しい位に
     重くて芯の詰まった鉄棒のような脛骨と、その脛の後ろに
     ずっしりと纏わり付いた、これまた見事な脹脛(ふくらはぎ)の腓腹筋。


     こんなに惚れ惚れする程綺麗な足だけど・・・・
     ミカサくらいの身長で更に私に迫るくらいの技術と
     柔軟さを身に着けてしまったら・・・恐らくハイキック一撃で
     当たり所によっては人を簡単に殺めてしまいかねない。

     
     そんな事を深々と考察しながらも・・・
     ミカサの表情を再び慈しむようにして見やる。


     ――そこにはエレンの存在以外にも自らの頬を緩ませて
     そっぽを向く稀有なミカサの顔が。






    「クリスタとあんたがやってた時と・・・今同じような顔に
     なってるけど。別にあの時は本当に恥じらいがあって

     あの顔をしてたって訳じゃないんでしょ?・・今、その顔は・・?」




    「・・・・あの・・・時は・・・・。。 そうした方がクリスタがすぐに
     その気になってくれると分かっていたから・・・そうしただけだ。


     今は・・・少し、、いや・・・;この格好は流石にかなり恥ずかしい...」






     「っ/////」ゾクゾク





     まだ・・・まだ、ミカサはその顔はおろか視線すら此方に向けようとはしない。





  32. 32 : : 2015/11/15(日) 01:39:48





    「良かったらさ・・・、具体的に??どこがどう恥ずかしく感じるのか・・・

     私に教えてよ・・・・ ,,,ねえ?」

     スッ・・・   ツツッ・・・・―――、、





     そう言って依然そっぽを向き続けるミカサの首筋から頬にかけてを
     ゆっくりとナメクジの様に舌でなぞる。



    「(ゾクゾクッ)ッ!?・・・・・///何故・・・;?必要
    「                  無いはずだ・・・・って言いたいの・・・?」




    「・・・・・・・・・」




    「何故ってそれは・・・あんたがそう(▪▪)して恥ずかしがってくれるからだよ。

     でも私は・・・ユミルみたいにあんたに恥をかかせる事に悦びを
     見出してる訳じゃないんだ。ただ・・・・・」





    「・・・・・・・???////」




    「あんたは普段から口数も少なくて、おまけに表情にも変化が無いし・・

     何考えてるか分からないだけじゃなく、エレン(あいつ)が目の前に居なきゃ
     殆ど“自分の気持ち”ってヤツを表に出さないじゃないか」





     ―――だから





    「だから・・・・、今あんたが見せてくれてる“その”恥ずかしさの
     理由をさ・・・、私に向けてくれるあんたの貴重な感情の理由を・・・

     ただ聞きたいだけだよ。―――もっとわかり易く言うなら..さ」




    「もっと私に、“あんた”っていう人間を教えて欲しいだけ」

     グニッ・・・



     そう言いながら吐息を頬にぶつけ、目に付いた耳に
     苦痛を感じない程度の甘噛みを()える。 




    「ィッ・・・・///ハフぁッ・・・///」ビクンッ


     
     私の犬歯がミカサの軟骨を優しく穿つ。
     その刺激に呼応する様に、全身を震わせて嬌声を上げるミカサ。



     とても・・・とても艶のある良い声で鳴いてくれる。。



     
     この声を聞きたかった。辱めに悶える声じゃなく、
     押し寄せる快感から逃れる事も叶わず、肺から思わず零れて
     しまう様な・・・この甘い蜜の様な吐息を。
     



    「ッン・・・!!  いや・・・・あまり清潔でない方の穴まで、、

     今、アニ(あなた)には丸見えだから・・・...!


     だから・・・恥ずかしいと・・・・言った・・・・///」





     なるほど・・・そういう羞恥基準か・・・・。


     ことミカサに関しては・・・こんな事をはぐらかす理由も無いし
     嘘でその場をやり過ごそうという性格でもない。



  33. 33 : : 2015/11/15(日) 01:41:39







    「・・・・そうかぃ。..//素直なあんたがどうしようもなく可愛いんだけど
     ・・・それを聞いたらますます止めらんなくなっちゃったよ。

     イジワルしてごめんね。」






    「・・・・いい。やはりどうしても恥ずかしいが・・・許そう。」






    「私の為に・・・・って?だからあんた・・・そういうのは・・・!」



     ヌ"ルッ・・・・・  クチュ ッ ・・・・・



    「ヒぐッ・・・・ !!!」



     私の体重を乗せた腰使いが、ミカサの淫核へと陰唇を擦り付ける。

     私達二人の性感を代弁するかのような瑞々しい水音が・・・・
     ついに二人だけの空間に響き渡る。


     押す方(わたし)押される方(ミカサ)もその昂り様に違いは無く・・・
     組し迫ってくる相手が異性ならば・・・・いつでもその準備が出来ている
     折を、全身でもってアピールしなきゃいけない段階だ。



     ――けれど言うまでも無く私の下で震えるミカサも・・・



     その姿に言い知れない高揚感を覚える私も。



     目の前の肉体からはどんなに絡み合っても互いの本能が求めるモノは
     得られないと“理性(こころ)”では理解できている。




     ・・・・しかし・・・・





    「じゃあ・・・・そろそろ激しくするよ。あんたは・・ここ、特に痛かったりは・・・

     しないんだよね・・・・・?/////」




    「問題ない・・・・・。私もその..、かなりイイ..ので...////

     そのまま思い切りお願いしたい・・・・」フルフル・・・・




    「・・・・ありがと・・・・・///」





     そんな“理性(こころ)”で抑えられるほど・・・

     この“愉悦(よろこび)”は生易しいモノじゃない。


     無益な情動と・・・、無為な葛藤と分かっていても・・・。いや、だからこそ。


     無意味なせめぎ合いに全身を波打たせるようにくねらせて・・・
     上の黒髪に引けを取らないくらい艶やかなミカサの恥部へと
     ぶつかりに行く私。


     部屋中に糸を引くような水音を粘着質に響かせて・・・、
     さてこれからミカサとの濃密な一時を過ごそうとしていた私は、
     途中水音に混じって部屋に響いた音に気が付いていなかったらしく…



     


     ―――私にとって初めてミカサと互いに感じ合える悦びの時は・・・


     


     あまりに場違いなヤツの手によってぶち壊しにされた。 



  34. 34 : : 2015/11/15(日) 01:45:44









     ――――ッバタァン!!








     「ッッッ!!!!!!??」×2

     ビクンッッ!!!!!






     ミカサと組み合う事に無我夢中になっている私の背後から、
     突然響き渡る大音響の物音。勿論医務室という都合からして
     部屋に鍵などかけてはいない。


     流石にこれには心臓が止まりそうになった・・・・・・


     恐る恐る振り返った私の視界に飛び込んできたのは・・・・・




    「ぉっ・・・・ワ・・・・・!!!悪いッ・・・・!!気にせず続けてくれッ・・・!!??
     俺は今ぶっ倒れたコイツをイムッ・・・イム・・・医務室にッッ・・・・!

     ッてここがそうか・・・!いや・・・あの、うおっ」
     ガタガタブルブル・・・・・!!




     ――顔面蒼白で傍らにぶっ倒れてるノッポ(ベル)を起こそうと
     慌てふためく・・・・一匹のライナー(ゴリラ)の姿だった・・・・・・




     



     「ッ・・・・・・・・!」
      ザワッッ・・・・!! 








     ・-――口封じ。。








     真っ先に頭に浮んだのはこの一言だった。




     「ッッ!!!!!」ドッ!!  ババッ



     
     「わッ・・・・!?!お、お、オイ!!!オイッッ!!!!!!!
      ちょっと待て!!!!!まず下を隠せアニィィィ!!!!!」



     その場で、一瞬にしてミカサに向けられていた熱気が全て
     頭に上っていた血と一緒になって引いていったのを感じた私は
     バネ人形のような勢いでベッドから跳躍し・・・・、

     気を失った“随伴者(ベルトルト)”を背負って退室しようとした
     そいつを本気で蹴り墜としに行った。狙うは、高確率で
     意識を飛ばせる顎か、首筋。容赦は、要らない。


     ブンッ!!!    ダダンッ!!!



    「つべこべ言ってないでさっさと喰らって死にな!!!ꐦ°᷄д°᷅)」



     フオッ・・・・・  ヒャンッ!!!



    「クッ・・・・・・!!!!!   あぶッ・・・危っ・・・!!アブッ・・・・・・!!」





     靴を履いていないから踏み込みと加速に普段より足応えが
     無いけど、その分半裸という身軽さから繰り出す私の
     連続回し蹴りを、流石にベルトルトを一旦床に
     置きながらも器用に躱すライナー。





  35. 35 : : 2015/11/15(日) 01:47:42









    「何しに来た!!!!っていうか何でノックもせずに入ってきた!!?」
     ムッカァァァ......!!!!




    「ご、、!!誤解だッ!!!ノックならしたぞ!!!??三回もだ!!!!

     しかし部屋の中からはなにやら手拭でも絞りなおしてる様な
     水音しか聞こえてこないモンだからっ・・・・・!!

     コリャおかしいと思って扉を開けてみれば・・・・

     まさかお前がミカサを“ノック”してる音だったなんて・・・・」
     ベルトルト ハ コノトオリ オナクナリダ!




    「ッっぁぁぁああああああ!!!!!!」ブチブチブチꐦ

     ダンッ!!   グオァッ!!!





    「ギャーーーーーーーー!!!!!ッもう止せアニ!!!
     それ以上足技を惜しげもなく繰り出すな!!!!

     言っとくがさっきからお前モロだぞ!!!!!!」
     ヒョイッ



     ッ・・・・!身軽なゴリラだ・・・!退路の無い
     壁際に追いやってからの、渾身の延髄斬りも躱された。




    「喰らって堕ちる気が無いならとっとと出てけーーーーッ!!!!!!」


     ダダッ!!!


    「だから待て!!待てってお前っ・・・ぅおわっ!!!(ブンッ)

     ベルトルトだけでも回収させッ・・・・・・」




    「いいよ!!!!!!//////ꐦ 失 ・ せ ・ ろ !!!!!!!」
    ドドッ・・・・・!!!  ダンッ




    「ひっ・・・・・!!ヒイィィィイイイ!!!!」

     バタンッ・・!ダダダダダダ......




    ライナーはにげだした.....




    「ハァーーーッ・・・////;ハァーーーーッ・・・・・;」

     ゼェ、、ゼェ・・・・・



    「・・・・アニ、・・・・済まない。。私もあなたに加勢できていれば
     ライナーを取り逃がす事も無かったはず・・・・

     しかし、足がどうしても動かなくて・・・・」ガクガク・・・・




    「・・・・イイよ。あんたは気にしないで・・・・・いい。」
     フゥ・・・・ハァ・・・・・



     せっかく腰砕けで嬉しい事を言ってくれるミカサが目の前に
     居るって言うのにそんな余韻に浸っている暇さえない。

     折角興が乗り始めたところだったのに・・・・・


    「ッ・・・・・」ギリッ



     私は黙って歯軋りしながら、そこで何故か伸びている
     ソイツを睨みつける。



  36. 36 : : 2015/11/16(月) 23:58:33







    「それで・・・・これからどうするつもり・・?アニ・・・」

     ズル・・・・




    「っ・・・・・」




     ようやく体の自由も利くようになってきたのか
     エレンのタオルを握り締めながら上体を起こし、そう聞いてくるミカサ。




    「どうって言われてもね....正直ここまでいい気分だったのを
     邪魔されるのは癪だし、あんたさえその気なら私だってまだまだ
     ここで続けたい気分だったんだけど・・・・」



     ...まあ当然、




    「コイツがいつ意識を取り戻すかも分かんないし、
     そうも言ってられないから・・・一先ず服着てコイツを起こすよ....

     さっきあんたに言われた通りこいつには一応
     心配して貰った礼もしとかなきゃだしね」




    「そう・・・・、、それがいい」フッ・・




     無表情にそう相槌を打つミカサだけど・・・その顔はどこか
     ・・・本当に少しだけ微笑んでいるようにも見えた。



     互いに少し距離を置いて下穿きを履き直す途中




    「あの・・・・さ、ミカサ。」





    「・・・・何?」




    「中途半端で邪魔されちゃったけど・・その,,,

     あんたも少しは良かった・・・・のかな。。さっきは」




     どうしても聞いて置きたかったことをミカサに問いかける。



    「―――――。」




     私の問いに対して・・・考え込むという訳でもなく
     少し面食らったような顔をして間を空けたミカサだったけど




    「上手くは言えないが・・・

     私にも・・・・ユミルやクリスタの気持ちが少し理解できるような・・

     そんな気がした。アニが・・・こんな感情を私に対して
     持ってくれているのだとすれば・・・私も嬉しい。」





    「・・・質問の答えになってないんだけど..;」





    「それは済まなかった。・・・では」ギシッ・・・



     ギュッ・・・



    「!」





    「・・私も、とても良かった。もしミーナが気にならないと
     言うのであれば・・今晩直ぐにでも続きをお願いしたい位に。」




     これには・・驚いたなんてものじゃなく本当に心臓が止まりそうに
     なったかもしれない。素面に戻ってるはずのミカサが、
     自分から私を抱きしめに来てくれただけでなく・・・こんな言葉を
     聞かせてくれるとは思っても見なかったから。



    「勿論その時は・・・・」





    「??//????」




    「・・・・・“タオル(エレン)”抜きで、あなたを感じさせて欲しい」





    「―――――」






  37. 37 : : 2015/11/17(火) 00:00:26



     ・

     ・

     ・





     暫くの間、私は思考を停止させて・・、ミカサの腕の中で
     抱かれたままその身動きもとれずに固まっていたらしい







    「アニ・・・・?大丈夫・・・?聞こえている・・・・?」
     ユサユサユサ






    「――っ・・・・!  ああ、う、ウン!!?大丈夫;聞こえてる...!」







    「う....ううっ・・・・あれ・・・・・ここは・・・」ヨロッ・・・






     その時私達の背後から、意識が戻ったのかうめき声を上げて
     立ち上がるベルトルトの声が。





    「あ」




    「!」ビクッ





    「…」





     ミカサと私が抱き合っている所を思い切り目撃してしまった為か、
     随分と気の抜けたマヌケな第二声と、その視線が私の背に突き刺さる。






    「やあ・・・お早う」
     ギヌロッ




    「ひっ・・・・・!」




    「そんな露骨に驚く事ないんじゃない。
     別に捕って喰ったりしないよ。それより・・・


     この様子を見てもその位で済んでるって事は
     さっきの私とミカサの“アレ”も思いっきり見られてて、
     その記憶もあんたにはちゃんと残ってる・・・って事でいいのかな・・・・」
     ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・




    「いっ・・・・?!?いいい・・・・言わないッ!!!(ブンブンブン!!)
     誰にだってこんなッ・・・こんな事言うモンか・・・・!!!

     僕やライナーは違うけどっ・・・・!男子の中にだって
     結構“アルミン”でそういった 欲求を処理してる人だって居る!!

     だからッ・・・そういうのは僕だっておかしい事だなんて思ってない!!
     寧ろ健康な女子だったらそんなの当然だ!!!....と、思う、、、、、!」
     アタフタ・・・・!





     こいつがこんなに喋るところ見るのは何年ぶりだろう





    「そう・・・・・。まああんたがどうするかなんて別に
     どうでも良いんだけど。・・・私はあんたに言っておかなきゃ
     いけない事があったからね。ソレを言う為だけに・・・・

     アイツを追い返してこうしてあんただけこの場に残した訳だけど」






    「・・・・?////??、、; 僕に・・・?言う事・・・・・?」






    「ああ。って言っても大した事じゃないさ。

     こうして医務室に来てくれたのも・・・・そういう事なんでしょ。

     今日は・・・悪かったね。訓練中気を失った私を此処まで運ぶのを
     手伝ってくれたんでしょ。」





    「・・・・・・・!」




    「エレンの話じゃ・・・随分不自然なくらい真っ先に
     駆けつけてくれたって話だったけど・・・・」ジロリ・・・・





    「ご、ゴメン・・・・・!!迷惑にはなるだろうと頭では解っていたんだ・・!
     しかし君があんなに唐突に卒倒する姿を見てしまったら・・・

     とても“後先考える”頭が働かなくて・・・・・」




    「・・・・・・・?」




     傍らで話を聞いているミカサもこいつの言葉に疑問符を浮かべながら
     首を傾げている。・・・反省や弁解も良いけど、もう少し自然に
     流す事は出来ないものかな。。



    「いいよ。あんたが私を心配してくれてたからそうしたってのは
     動かない事実なんだから・・・私はそれにお礼が言いたいだけ。


     まあ・・・その。・・・・――ありがとう。」





    「・・・そんなっ・・・あの・・・」オタオタ・・・





    「――ベルトルト。」ヌッ・・・




     ミカサののっぺりとした顔が慌てふためくこいつに圧を掛ける。
     声にならない言葉となって...主に“空気読めよ”と言う意味で。





    「っ・・・じゃぁ・・・その・・・・、どういたしまして...。」





    「――――。。」




     やっと、胸がすっとした気分だ。

     やっぱり貸しを作りっぱなしにしたり、
     礼を言いそびれたままにするっていうのは
     精神衛生上あまり宜しい事じゃない。



  38. 38 : : 2015/11/17(火) 00:03:19






    「・・・・やるべき事を済ませたところで・・・アニ、私達はどうする?
     もう・・・・これ以上時間が掛かるようなら水浴びに行くには
     若干時間が足りないし、だからといって部屋にそのまま戻っても
     その分の時間が無駄になってしまいそうだ」



    「・・・・・・・そう。」




     ミカサの言葉を暗に深読みするなら・・・

     “急いで風呂に行けば何とか身体を流す時間くらいは
      確保できるが、ここでこれ以上のんびりしていれば
      その時間も露と消える事になる”  ・・・・こんな所だ。



    「このまま部屋に戻って…ミカサ(あんた)の大好きな筋トレに時間を割くのも
     良いと思ったんだけど・・・さっきの今で少し汗かかせちゃった
     って事もあるから・・・出来る事なら私があんたの背中を流してやりたい
     っていうのもあるし・・・」




    「気持ちは有り難いが・・・・それには及ばない。
     私一人でも・・・充分背中まで洗い流せる。」ムフン。




    「確かにそうかもしれないけどさ・・・あんたの背筋じゃ、
     いくら柔軟に力入れててもやっぱり背中に手を回すのは
     少し辛そうじゃないか。いつも見てる感じだとさ。

     私がやりたいって言ってるんだから大人しく頷いてくれればいいの。」





    「・・・・・承知した。それではアニに私の背中を預けよう」





    「・・・・なんかそこだけ聞くと謎のカッコ良さを感じるんだけど....」






    「・・・・・・・/////」






    「・・・・・何さ、さっきからボーっと他人の会話を盗み聞きして・・・」





    「っ・・・・ゴメン!!!いや、あの・・・・思ってた以上にその・・・

     アニと・・・ミカサってこんなに・・仲が良かったんだな・・・って。。

     君達二人は・・・ほら、対人格闘の時間に当たったりすると
     まるで命のやり取りをしてるかのような緊迫感で
     打ち合ってるじゃないか・・・・。。。アニは・・・・
     普段エレンと当たる時以外殆ど上手くペアに当たらないように
     (というか大体皆がアニを避けているというのもあるけど)
     立ち回ってるし・・・・。」





    「・・・・どうでもいいけどあんたのその、謝るところから
     会話に入る癖何とかした方がいいって・・・。図体がデカイのに
     なんでそんなにオドオドしてるの?(溜息).....

     それに...私が訓練に真面目に打ち込む事がそんなにおかしいかな」




    「おかしい・・・とまでは言わないけど・・・
     (いや・・・正直に言ってかなり不自然だけど)

     それにしても君達二人の手合わせは最近半端じゃない位
     気が張り詰めてた。特にミカサの方なんて・・・・
     アニの足技の間合いに飛び込んで行ったかと思えば
     腕でそれを捌こうなんて無茶をやらかすし・・・・

     とてもじゃないが…見ている僕からしてみてもアレは
     正気の沙汰じゃなかった・・・本当に君達二人は・・・仲が悪いとか・・・
     そういった事は無いのか・・・・?」





     久々に口を開くところを見たと思ったら・・・
     今日は随分と良く喋るなこいつ・・・・。




    「・・・それはあなたの先入観から産まれた誤解だ・・・ベルトルト。

     私は自分が求める最良の練習相手としてアニには一切手加減を
     しないようにお願いしているだけ。

     …そうしなければ…“私の全力”は訓練で磨く事が出来ないから」






    「・・・・・・・そう・・・なのか・・・」








    「そういった意味では・・・先程見て貰った通り、
     私達二人は寧ろ他の女子同士より仲が良い位だと自負している。」ウン。







    「っ――――‐」ゲフッ




     ミカサが言い放つ言葉としては・・・この不意打ちはあまりにも
     反則技だった。何も口に入れていないのに謎の咳き込み衝動が
     私の喉を襲う。




    「――・・・答えたくなければ聞き流して欲しいんだけど・・・
     その・・・ミカサと・・アニは・・・、、、、!結構深いところまで
     ああいった関係・・・・で・・・・;???(ゴクッ..)」ダラダラダラ・・・・




    「ちょ....!!!!!!//////」





     調子に乗るな・・・・!...と、続けようとした私の出鼻を挫くように
     隣に居たミカサの返答がベルトルトへと返されるのを耳にしてしまい・・・
     思わず私もそれに聞き入ってしまう。




  39. 39 : : 2015/11/17(火) 00:07:17







    「残念ながら・・・これまで(▪▪▪▪)私からアニに対してそういった
     感情を抱く機会は無かった・・・・何より女同士では幾ら好き合っても
     その行為が実りを結ぶ事はないから....」






    「――――(ゴクッ・・・)///;;」
    (言う事が一々直球だな・・・・ミカサは・・・・)




    「――――。。。」





     その言葉を聴いた瞬間、何だかほっとしたような・・・それでいて


     何故か同時に両肩に掛かる重力が数倍に増したかのような・・・
     所謂“ガッカリ”せざるを得ない奇妙な感情が・・・私を襲った。

     
     この後に続くことになるミカサの爆弾発言を予期していれば
     精神的にこんな無防備な状態に陥る事もなかったんだろうけど。






    「・・・・だからこそ今日はアニに組み伏せられてみて、深々とこう思った。




      “アニが男子に産まれていれば良かったのに”・・・・・・・・・と」








    「――――――――ッッ」




    「    !?    」





     多分今この時の私達は、ミカサの榴弾発言を受けて全く同じ顔をして
     大口を開けながら固まっていたと思う。

     背後には私達の顔のすぐ横を掠めて飛んでいった榴弾が着弾し――

     度派手な土煙を爆ぜ上げながら・・・私達の驚きを演出した。






    「・・・・物の・・・例え・・・・。。そんなに驚かなくても...」




     この驚きの前には・・・・普段あまり見ることの出来ない
     ミカサの焦り顔に物珍しさを感じる(いとま)すら流石に許されない。





    「そんなに驚くよっ・・・・・・!!!あんた、いきなり何て事を・・・・??!!

     変な誤解を招いたらどうす.....」

    「・・・誤解?・・・・誤解・・・とは。」
     ハテ・・・・




    「・・・・・・・・・・・・・」プシュゥゥゥ・・・・・







    「それくらい・・・・私はアニに好意と呼べるものを抱くようになった、
     という例えを口にしただけ。何も誤解を与える要素は無い・・・はず」





    「ぁっ・・・・・うっ・・・・・!!!いや!!ちょっと、それじゃあんた・・・!

     “エレン”はどうするのさッ・・・・・!??私が男だったとして
     エレンに想いを寄せて私にもそういう気持ちを抱いちゃったら・・・
     それって二股じゃないか!!!!!!」





     ・・・・まずい、自分でも段々何を言えばいいのか解らなくなってきた。





    「・・・・・そうか。それでは、私が“男”で・・・エレンとアニが“女”なら
     全て、、、、丸く収まる・・・・・?(ポン=3)」ォオ・・・・





     そんなぶっ飛んだ事を疑問系で聞かれても。







    「何で“エレン(あいつ)”までそこで女子にされちゃってるの??!!!!」







    「何でと言われても・・・私が男になれば今よりもっと力が付くはずで・・・
     エレンが可憐で胸の大きい女子なら私が一生護ると言っても
     皆に笑われる事もない。そしてエレンが女子なら流石に幾ら
     そりが合わなくてもジャンと無為な諍いを起こす事も無くなる。


     ――私はアニともエレンとも子を遺せる身体を得る。
     
     
     ・・・・・この通り。寸分の隙も無く素晴らしい、夢のような例え話..」





    「色々突っ込みどころ満載だよ!!!!!////

     女として生まれ変わったエレンの胸が大きいのが
     なんであんたの中で鉄板なのかも気になるし!!!それに最後にあんた、

     ついでとばかりにさらっとトンでもない事言ってない!!?!」




    「飛んでもない事・・・ではない。私の血筋として遠い故郷にあたる
     東洋という国では・・・それは通常考えられない事ではあるが。

     この世界には一夫多妻制という・・・子を増やす上で中々
     理にかなった考え方も存在すると聞く・・・。」
     ハーレム トモイウラシイ✧




    「・・・・・・・・・・・・・・」





     もう隣にいるベルトルトに関しては意識の有無はともかくとして・・
     全く私達二人の会話について行けない状況に陥っている。

  40. 40 : : 2015/11/17(火) 00:10:39







    「・・・・ほ、ホラ!!もうこんなに時間ばっかくっちゃって・・・!
     風呂に行く時間が足りないんだってあんたが
     教えてくれたんじゃないか・・・!早く行くよ!!!////」グイグイ・・・






    「・・・・解った・・・・それでは早急に水浴び場へ向うとしよう・・・

     ・・・・・あ。」ピタ





    「何・・・・?!何か忘れ物・・・?タオルならエレンのがあるんだし
     それで絞りながら私達二人で使い回せば良いでしょ・・・?///」





    「それは妙案・・・・なのだが。身体洗い用の・・・・お気に入りの
     へちまが部屋に置いたままだ・・・・・・・」ドンヨリ・・・・
      



    「別にそれ身体洗うのに必要じゃ無いよね!!?」クワッ





    「・・・・そんな事は無い・・・。あの程よい太さと硬さと
     大きさが・・・私の入浴時間に心地よい快感を与えてくれる」
     ホドヨク コスレテ///




    「あんた至って真顔で言ってるけどそこだけ聞くとトンでもなく
     卑猥な聞こえ方しかしないから・・・、気をつけなよ・・・・・;」
     ドタドタドタ・・・・




    「分かった・・・気を付けよう・・・」





     ガチャ・・・・   バタン・・・・





    「・・・・・・・・・・・」






    「・・・・・・・・・・・」







    「(・・・・アニがもし男子だったら・・・?・・・・それでも僕は
     こんな感情を変わらずアニに抱いて居たのだろうか・・・・・・?

     ・・いや・・・どちらにしても・・・・・・・)」






    「(女子同士ってあんなに過激な話を割と普通にしてるのか・・・・!!)」
     チョット・・・ウラヤマシイ・・・・!







    ――存外そんなものである。








  41. 41 : : 2015/11/17(火) 00:13:32




               ~数十分後~




         ―女子訓練兵宿舎・ミカサ部屋・戸口前―






    「結局・・・ささっと身体流すだけだったね・・・・」
     カミバッサバサ・・・・


    「それでも・・・汗を流せただけでも良しとしよう・・・」
     ヘチマ.......



    「まだあんたへちまに未練たらたらなの・・・??;」




    「アレがあるのと無いのとでは全然違う。サシャだって
     野菜の有無であれだけ気のやり方に違いがあった。

     野菜は食べる以外でも身体に良い影響を与えてくれる・・・大事な夜のお友達。。」




    「だから“そういうの”を引き合いに出さないでってば!!

     何!!?!まさかワザと言ってるのかなそれ!!!!/////
     あんたってそんなキャラじゃなかったと思ったのに!!!」




    「・・・私も、アニがそこまで大声で訴えかけてくれる程、快活な
     性格だとは思っていなかった・・・。こういう愉しみ方も・・・・

     百合という変質ジャンルでしか味わえないものでは」
     ワタシハ タノシンデイル





    「あんたの口からそういうメタ発言が出てくると
     凄くやり辛いから・・・・ホント止めてくれるかな////;」




     ガチャッ・・・・





    「・・・・心得た。次回からは・・・・気をつけようと思う」
     シュン.....






    「っ・・・・・・・?!」





     どうでも良い事を言い争いながら部屋に入った私達を待ち受けていた
     “その”惨状は・・・・実に目を覆いたくなる程惨憺(さんたん)たるものだった。




    「ぃよ~~~~..↑随分と遅かったじゃねぇ→か。。

     あんまり遅いから・・・・もうお前ら以外全員喰っちまったょ...」
     フヘッ・・・





    「っ・・・・・!!」




     ミーナのベッドにまるで戦死者の屍のように積まれて、
     時々体をヒクつかせながらうめき声を上げる無惨な三人の亡骸と・・・


     部屋中に漂う、その三人分の物であろうと予想される、
     汗の気化から転じた熱気と、汗以外の“何か”が同じ様に部屋中に
     気化して充満する事でその存在感を誇示する・・・饐えた匂い。



     これには私も思わず鼻を抑えて後退(あとずさ)ってしまう。


     しかも、直ぐには気付かなかったけど、この空気の中には・・・他にも。

     私の本能が鼻腔を閉ざすよう命令を下す原因となる
     揮発性物質が漂っている気がした。



  42. 42 : : 2015/11/17(火) 00:39:12




    「もうこいつ(ミーナ)のベッドだけじゃ置きっぱが足りなくなっちゃってな・・・

     ・・・・私もまだまだ収まり付かないし・・・見ればどうやら
     そっちも・・・一汗かいてきた帰りみたいじゃねーの・・・・///?」
     ヘヘヘッ・・・・・





     そう言うところだけは必要以上に目ざといヤツだ・・・・
     っていうかなんで汗流してさっぱりしてきた後なのに
     そういうところに目が行くんだろう・・・・





     相変わらず3年近い付き合いになっても・・・・・
     この、どこまで見透かされてるのか時々わからなくなる様な
     鋭い目つきが苦手に感じるのは・・・別段おかしい事ではないと思う。



     ミーナのベッドの端っこ、辛うじて空いている部分に腰かけながら、
     討ち取った3名の獲物の上に、背中からもたれかかり、
     両腕を広げて仰々しい座り方をして見せるユミル。
     おまけにユミル自身、そして無残な屍達も(クリスタのみ着衣)
     同様に全裸。ユミルは珍しく行為に際しても滅多に外さない髪止めを
     外している。




     ・・・・・なにこの状況。。




    「髪まで解いてヤル気マンマンになってるところ悪いんだけどね・・・・

     私達、折角風呂でその汗を流してきた後なんだけど。

     教官の巡回時間も気にしなきゃいけないこの段階でまさか
     ユミル(あんた)の気まぐれに付き合わなきゃいけないの・・・?」





     咄嗟にそう口にしてしまったのは・・・・正直に面倒くさいという
     感情が当然半分ほどを占めていたが・・・



     もう半分の感情としては・・・・素直に“おっかない”と思ったからだった。




    「・・・馬っ鹿・・・だからこそだろ・・・・?///折角私もこのとおり
     暖気運転まですっかり済んでるんだ・・・

     連日相手を出来なかった不手際を今日此処で払拭してやろうかと思って・・・・
     なぁ??・・・・覚悟しとけよ・・・今日の私は・・・凄いから」





     ―――ぬるり。。。....





     そんな擬音が良く似合いそうな不気味な体重移動でもって・・・
     ベッドから此方へ歩み寄ってきたユミルがその手を掛けたのは
     ミカサの肩だった。その手つきと物腰が・・・言葉にせずとも
     語りかけているようだった・・・・





     ―――″ お前は逃げないよな・・・・? ″と。




     しかしやはり注視してみると・・・何やら若干
     ユミルの様子も普通じゃない。


     のらりくらりとした身の運び方からは次の動きが
     まるで読めなくて・・そうした部分に私は何か得体のしれない
     不気味さを感じていたのかもしれないが・・・・、、


     ・・・・しかし、私達がここに辿りつくまでに
     ユミルのテンションを上げる為の哀れな子羊として骨の髄まで
     しゃぶられたであろうサシャ、ミーナ、クリスタ(いけにえたち)の様子も・・・何かひっかかる。





    「私は・・・別に構わないが。・・・・あくまで教官の
     巡回に間に合うまでに“事を済ませられれば”」




    「ちょっ・・・・別に付き合う必要ないって・・・・!

     只でさえあんたさっき・・・・・・・・!」ハッ・・・・





     言いかけてから・・・しまったと思ったけど・・・言うまでも無くもう遅い。。





    「ぁぁああ??///何だ何だ・・・・?ひょっとしてお前らホントに
     医務室で仲良くいい汗かいちゃった後なのか・・・・???」
     エヘラァ・・・・////





     ・・・・しまった・・!!!!;与えなくていい情報(エサ)を・・・・!!





    「しかもお前のその言い分じゃまさかとうとうミカサ(おまえ)・・・・///」





    「・・・・・・・・」




     旅人の身包みを剥がす直前に品定めをする追い剥ぎの様に・・・
     ミカサの全身をねめつけながら徘徊するユミル。



     対して、そんな牽制をまるで気にも留めず、ユミルの事を
     自身に身を摺り寄せる野良猫くらいにしか認識していないような
     下目使いで一瞥するミカサ。






  43. 43 : : 2015/11/19(木) 23:14:21







    「(まずい・・・・・!)」







     気づけば私は・・・心の中で無意識にそう考え、震えながら
     頭を抱えてしまっていた。



     この時私は本気でそんな心配に心を奪われかけていたんだ。



     “このままじゃミカサが・・・ユミルに喰われてしまう”・・・と。




     ―――事実・・・今のユミルは、何処かおかしい(▪▪▪▪)・・・というか“普通じゃない”。



     これだけ後ろで声高に話し合っているのに全く此方の会話に
     混ざろうという気配すら見せない・・・・その三人にしても。


     余程酷い追い詰め方をされて気を失っているのか・・・・
     その容体にも・・・・非常に言い知れない不安を覚えた、。



     サシャやミーナはともかく・・・いつものクリスタならどんなに激しく
     気をやったってそろそろ動き出して良いはず・・・・。
     



     ・・・・数々の不安要素を頭に浮べ、緊張に胸を躍らせる
     私を静かに諭したのは・・・他ならぬミカサだった。





    「・・・・・アニ。心配は要らない。ユミルも・・・
    “あなたと少し似ているので”そこまでやり辛いという事は無いはず。」






    「そうは言うけどね・・・、もう結構いい時間なんだよ・・・
     もし教官が来たらこんなの庇いきれないって・・・」







    「 ・・・・大丈夫。。。。  『負け』ない 」






    「・・・――――」




     そう言ってユミルの方へと歩み寄るミカサの表情は・・・・

     やはり無表情でありながらも、私の目には何処か頼もしく見えた。





    「ッフフへへ...やっとハラも決まったか...いいぜいいぜ、

     そうこなくっちゃな・・・///クリスタをあれだけ手際よく制圧しちまった
     お前とは・・・勝ち負け以前に是非とも一緒に寝てみたかったんだ」




    「腹も何も・・・あなたとの触れ合いは何度も持ち越しに
     なってしまっている。・・・私が主催している催し事ではないので
     うやむやになるのも先延ばしにされるのも構わないが・・・

     これはユミルが言い出したようなモノなのだから、
     私も是非あなたには知っておいて貰いたいと思っていた...」
     ――ファサッ・・・



    「・・・・・?」




    「一方的に責められる者が受ける快楽と・・・・・・


     幾ら止めてと懇願してもその手を止めて貰えない
     

     ・・・・・・・・・“恐怖心”を――――」スッ・・・・




  44. 44 : : 2015/11/19(木) 23:17:13





     うん・・・その言葉を聴くと先日同じ事をしてしまった者として
     ミカサには本当に申し訳ない気持ちになってくるけど・・・

     ソレについてはもう本人に謝ってあるんだし、
     別に今私が気にする事でもないか・・・・ 





    「っははぁ・・・・、そいつは楽しみだなぁ・・・///

     そいつをお前が教えてくれるって言うのか??」

     ニヤニヤニヤ



     カットシャツのボタンを全て外してから胸元をはだけ、
     静かな口調に強い語気を込めて歩を進めるミカサ。


     そんなミカサのプレッシャーをものともせず、
     相変わらず赤らんだ顔でヘラヘラとにやけっぱなしのユミル。



     一々分析するまでも無いけど・・・・今、間違いなくミカサは・・・


     


            ――怒っている。





     いや、そこまでの怒りではないから・・精々プチ切れてる、
     くらいの軽い怒りゲージで済んではいそうだけど・・・


     ..まあ、とりあえずユミルのやんちゃが過ぎた事に対して・・・


     ちょっとしたお仕置きモードへとその心を燃やしている
     真っ最中なんだと思う。



     何故なら・・・・これまでこういった女子同士の“触れ合い”に際して・・・


     ミカサ(あいつ)が、『勝ち・負け』といった言葉を持ち出す事は無かったから。

     
     あいつの中でこの“女子同士の触れ合いの場”というのは所詮・・・
     日々の訓練にすっかり凝り固まった皆の緊張、鬱憤、そして不満の類を・・・・
     如何に自分が性感マッサージという手段で解消してあげられるか・・・・という
     催し物の場でしかなかった。



     ・・・・・そのミカサが・・・今初めて、ユミルを競合相手と見なした。
     つまりこれからミカサがユミルに行おうとしている事は・・・・



     相手に悦びを与える為の性的接触ではなく・・・・



     ある種の“制裁”であると見てもいい。






     ――ついにミカサが・・・本気で攻める。





    「――・・・ユミル。私があなたに教えてあげよう。


     ・・・・・・・未知の快楽(きょうふ)を、教えてあげよう・・・・・。」





     ユミルの直前まで歩み寄ると、その手を取って自分のベッドへと
     静かに手を引くミカサ。・・・その動作自体には特別過剰な握力や
     腕力で引っ張っているような印象は見受けられない。




     けれどその黒い瞳の奥底には・・・・嵌った者を決して逃さず
     呑み込んでしまう底なし沼のような・・・言い知れぬ暗闇が垣間見えた気がした。






    「・・・・ぁ?いいのか・・・・?お前のベッドで・・・?」






    「いいも何も。ミーナのベッドは既にあの有様で・・・

     まさか私とユミルの汗やその他でアニのベッドを汚す訳には行かない」





    「成る程、ご尤もだな。・・・それじゃあ・・・まあ、悪いな?

     きっと“事が盛り上がるにあたっては”私も全くの無事って
     訳にいかないだろうし・・・最終的にお前がそこの
     そいつらみたいになるとしても・・・」
    「要らない心配だ。サシャの粗相で一度洗濯したばかりだが・・
     これがいい“躾”となるなら・・・まだ前回より“やり甲斐”もある。

     ―――あなたは安心して私に身を任せていれば良い。」




    「・・・・・言うねぇ・・・・・・・!!こりゃ益々愉しみになってきちまったじゃ
     ねえかよ・・・・!!!こうしちゃいられねー、。

     教官なんかに邪魔されたんじゃ不完全燃焼もいいところだ。
     そんな幕引きだけはマジで無しにしようぜ。

     ....ってな訳で・・・・・乗っけからトばしてくぜ・・・・?」

     ギッ・・・・   ゴソゴソ・・・




     そう言うなり・・・此処へ来て、自身の手を引いていた
     ミカサの腕を一旦振り払い、ミーナのベッドの枕元から何かを
     取り出すような素振りを見せたかと思うと・・・此方に背を向け、

     “何故か”そこから取り出した髪留めで今になって自身の後ろ髪を
     結い始めるユミル。





    「・・・・何でも良い。準備が出来たら来て。」





    「・・・・・・・・・」


  45. 45 : : 2015/11/19(木) 23:19:32







     ミカサはユミルの身支度に何の違和感も感じていない様子だったが・・・・





    「(なんか・・・おかしくない・・・・かな)」





     私は・・・ユミルのその素振りに瞬間的に凄まじい違和感を感じた。






    「(そもそもユミルがいつも使ってるのは挟み込むタイプの
     髪留めだったはずだけど・・・今まで髪を解いて3人相手してたのに
     ・・・ここで態々時間をかけて一々紐で結ってる・・・・?)」




     普段使い慣れていない結い紐で留めようとしているからなのか、
     口で咥えてから縛るまで・・・と、明らかにてこずっている様にも
     見て取れるが・・・・その謎の身支度も今漸く終わり、

     寝床の上で自身を待ち受けるミカサに歩み寄るユミル。



     さて、どんな形で二人の接触は開始されるのかと見守ろうと
     していた私の横で・・・・





    「ぅうッ・・・・・――っ・・・・・...!

         ぃつつッ・・・・ なんっ・・・・・―――...」





     不思議な呻き声を上げながら、クリスタがよろめきながら
     なんとか立ち上がった。その眉間には深い皺が寄っていて、
     折角の美人が台無しだった。かなり険しい顔になってる。




     ・・・・・そうとう頭が痛むのか、気分が悪いのか、そのどっちかって顔だ。




    「・・・・やあ、お目覚めだね。何があったのかまず
     あんたらの誰かに聞きたかったんだけど・・・今それどころじゃなくてね・・・」
     フイッ



    「・・・・・・~~~? 、、、、??


                  ・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」



     私が顎で示す先、今正にミカサが脚を崩して待つ(とこ)の上に近寄るユミルを見るなり・・・



     微かな視界に目を凝らすような顰めっ面を造っていたクリスタは、
     次の瞬間、直ぐにその顔を崩した





    「――っいけない!!!!!ダメ!!!  止めてミカサ!!!!!!」




    「  !?  」



     ガバッ!!!!!




     ドフンッ・・・・



    「ッ!?!」




     クリスタがそう叫ぶのと同時に、飛び込むようにミカサに
     組みかかったユミルの唇が・・・ミカサの口を逃さず抑え込む。


     互いの口をしっかりと組み合わせた事を確認すると
     ミカサの後頭部に艶かしい手つきで両手を回し、
     まるで捉えた獲物を逃さず丸呑みにしようとする蛇のように・・・・

     ユミルの濃密な接吻が始まった。




    「ぁあ・・・・・!!!お・・・・遅かった・・・・・・・!!(ガクッ・・・)


       ぁイッつ、、....痛っッ・・・・!!!!」ズキズキ・・・・




     その場に愕然と膝を突いたかと思うと、しきりに
     頭を押さえて苦悶の表情を見せるクリスタ。




     まさか・・・・・





    「ねえ・・・・・まさか・・・・まさかとは思うけどユミル(あいつ)・・・・・・!」






    「に・・・匂いで何となく分かる・・・でしょっ・・・・?

     どこから持ち込んだのかしらないけど・・・私達全員、
     ユミルと始める前に口移しで無理矢理呑まされて・・・・っそれで」
     ズキズキ・・・・





    「・・・・・それは・・ちょっと・・・・洒落じゃ済まないんじゃないかな」





     ・・・・間違いない。さっきユミルが枕元から何やら取り出したのは
     ・・・・髪留めだけじゃなかった。恐らくあの一瞬で、
     今ミカサに口移しで盛っている一口分のそれを含ませていたんだろう。





    「さすがに(ソレ)()っちゃったのが教官にバレたりでもしたら・・・」





     ―良くて罰走。   ・・・・悪くて独房。。





     まあ、間違いなく何らかのキツいお仕置きが待っているというのは
     想像に難くない。

  46. 46 : : 2015/11/19(木) 23:24:28







    「・・・・っていってももう手遅れだと思うけど・・・・。 どうしたものかね・・・・;」








    「ムフッ・・・・・/////ンゴッ」




    「っ――・・・・・っ・・・・・」





     自分の口内にユミルの舌と共にソレが押し寄せてくる感覚に
     一瞬だけ身を仰け反らせるミカサ。


     本気で抵抗すればミカサなら何とかできるはず・・・・

     そう思って見守っていた私の想像を裏切るように・・・




    「っ――――!」



    「えっ・・・・」




     寧ろ自ら口による攻めの勢いを強め、絡みつくミカサの舌。



     ピチャッ・・・  クチュッ・・・・・



     口の隙間から、僅かに頬を伝って、双方の顎へ滴っていった
     僅かなものを除けば、殆どミカサの口内へと、
     ユミルの毒酒は流し込まれ、そのまま嚥下された。




    「っ――――プハッ・・・・
     

     フハッ・・・  っはは・・・・!やるねぇ・・・・!


     てっきり吐き出されるかと思ってたし、最悪それでも
     クリスタくらい耐性がなければ充分イけると思ってたが・・・!」




    「フ―――ッ・・・・   フ――ッ・・・・・・・・・ ,,,(ゴシッ・・・)

     (そういう・・・・ことか・・・。何となく部屋の空気がいつもより
     淀んでいる事には気付いていたが...そうか・・・・・


     ・・・・・・これが・・・・“その”感覚か・・・・・・)」




    そこまで直接的に鼻に突き抜ける感覚は、勿論彼女にとって
    初めて襲い来る衝撃であったため、多少の動揺もあるにはあった。



    ・・・しかし、やはりその感覚も、既に彼女は知っていた。



    脳裏に思い浮かべられるのは・・・幼少期、幼馴染をよくからかっては
    昼間から顔を赤らめて仲間達と駄弁ることしかしていなかった
    馴染みの門兵の顔・・・・・・。。



    その吐息から放たれる酒気に、幼き日の自身が感じた、
    鼻を刺されるような“あの”感覚。




    「(モロに飲んじまったじゃないか・・・・!)
     だ、大丈夫・・・・!?ちょっと・・・!!!それは流石に
     まずいでしょ!!?バレたらこれもう、私達全員・・・・・・!」




    「フヘッ・・・///だからっ・・・いったらろ・・・??

     教官が来る前に“全て”・・・終わらせようってよ・・・?///」
     ヘラヘラ・・・・




    「っ・・・・・・・!!!!!」




     ダメだ・・・!




     こいつ・・・・!!!こいつら3人を潰す前に
     こいつ自身、もう完全にできあがってる・・・・・!!!


     まるで判断力といえる物もその頭に残っては・・・・!




     ミカサには悪いけど・・・・これは無理矢理にでも
     止めないとこの部屋に居る全員の素行を問われかねない。



     そう考えながら、早速ユミルの方から手っ取り早く
     寝かせてしまおうと身を乗り出した私を・・・・





    「いい・・・・・!アニ、ここは・・・私が」




     既にユミルに先制を許してしまっている状態のミカサが制する。




    「・・・・そうは言うけどね・・・!これはちょっとばかり
     危なすぎるって・・・・!あんただって知らない訳じゃないだろ・・?

     半年前男子宿舎の1棟で大規模な酒盛りがあって・・・その結果
     教官の怒りがどんな悪魔を呼び寄せたのか・・・・!

     洒落にならないよ・・・・・!」




    「・・・・だからこそだ・・・・!ユミルには規則で禁止されている
     酒類(これ)を悪戯に持ち込んだ罰を・・・しっかり受けて
     貰わなければならない。その為には・・・・ここで私が抵抗する
     意識すら失うまでユミルを追い詰める必要が・・・・ある・・・!///」
     フッ・・・・フッ・・・・・・―!!!!




    「・・・・・・・・・!」




     ダメだ・・・・これ・・・・多分ミカサもクリスタ程ではないにしても・・・
     早くも冷静な判断が効かなくなってきてる・・・・!


  47. 47 : : 2015/11/19(木) 23:27:23





    「余所見してる暇ァあんのかなッ・・・・!!っと(はムッ・・・)」




    「!!!」




     既に若干目が据わり始めたミカサの耳に、ユミルが素早く
     齧り付くと・・・・その犬歯を耳たぶに食い込ませる。




    「ッ・・・ア...!!」ビクッ



     突然の刺激に表情を歪ませるミカサ。


     ・・・しかし、酒を盛られたにしたって流石に一口に収まる量でしかないし
     未だ最も性感を与えられるであろう部位にユミルの手が這わされている
     様子は無いというのに・・・・どうにもミカサの吐息が荒く感じる。



     まさか、先程の私とのアレも影響して・・・・・



     そこまで考えた私の目に・・・それまで目に留まることの無かった
     ユミルの左手が映り込み、その手がミカサの“どこ”を弄っていたのか、
     その答えが明らかになる。




     ―ミカサの右手首・・・何故か常に巻かれている包帯の位置だ。



     見れば・・・ユミルは、他の部位には殆ど触れに行かず
     左手でミカサの手首の辺りを執拗に擦るように撫でまわし、
     耳や首すじに時折甘く噛みつきながら、反対の右手を背中に回し、
     抱き寄せる様な姿勢をとっている。


     ミカサの服装は上がはだけたカットシャツのみ、下はパンツしか
     履いていない。一っ風呂浴びて来て後は寝るだけという事情から
     胸にも肌着を着けて居なかった。


     ベッドの一番端、壁際までぴったりユミルに追い詰められる形で
     長座して、先述のような組み付き方でユミルの攻めを
     受けるがままになっているミカサ。




    「ァっ・・・・・ ぁぐっ///・・・・・  くッ・・・・・///!!!」




     明らかにその、右手首への刺激で・・・・普段のミカサの平静さが
     失われているというのが分る。



     未だ性器を刺激されてる訳ではないのでそこまで際どい
     感覚が本人に襲い掛かっては居ないんじゃないかと思って居たけど・・・


     見てる限りじゃ手首(そこ)を刺激される事に関しては、どうしても
     リアクションを隠しきれないでいる。


     むず痒さか・・・、若しくは痛みに悶える様な、そんな感じに見える。

     
     ・・・・見えるけど、あまりミカサが痛みを口や態度に表す事なんて無いので
     それがどのような感覚であるのかはやはり見て居るだけでは想像がつかない。




     ただ間違いなく言える事があるとすればそれは・・・・





    「ぉいおぃ・・・・(ピチャ・・・)

     そんなに良かったか・・・・?///いや、てっきり私これ・・・・
     手の平側かと思ってたが・・・手の甲の方が効いてるみたいだな・・・?

     何があるのか・・スッごい気になるんだけど・・・・・取っちまってもいいかな
     ・・・・?包帯(コレ)....///」

     グッ・・・




    「ッ・・・・・・!!!」ビクンッ!!!!





     右手首(そこ)はミカサの身体の中でも恐らく最も特殊な位置だという事。

  48. 48 : : 2015/11/23(月) 00:46:44






    「・・・・ん? 何だ・・・?今の反応は・・・・、、

     何か・・・こいつを捲られると困る理由でも・・・?」
     
     ピチャッ・・・  レルッ..





    「ッっ////」ゾクゾクッ...!




     いやらしい事この上ない笑みを浮かべ、ミカサが初めて
     見せたエレン以外の弱みを逆手に取ろうとするユミル。


     余程度数が強い奴を盛られてしまったのか、強気を装って
     一切ユミルの問いかけには応じない姿勢を貫いては
     いるけど・・・完全にミカサの調子はいつも通りではない。

     ミカサの性格なら今迄そんなものに興味を覚えた事も無いはずだから・・・
     やはり酔いという未知の感覚がその身体に働きかける影響は大きい。
     


     ・・・・こんな時に申し訳ないことかもしれないけれど・・・
     普段見られないミカサの意地が表れているその赤ら顔は。

     

     ・・・・不本意にも少し、可愛いと思ってしまった。



     しかし、先程からユミルが積極的に攻めてるのは、
     よくよく観察してみればさっき私がミカサを追いやった際に
     集中的に愛撫していた首周りと左耳だ。


     


    「(あいつまさか私のつけちゃった跡に気付いて・・・・??!)」



     そうだとしても不思議ではない。先程は昂る気持ちを
     抑えられないあまり、相当強めに吸ったり、耳を咥えたり
     してしまっていた・・・・。




     キスマークや歯形の幾つかくらいは残っている筈だ。



     ・・だとすれば間接的にとはいえ今、この状況は・・・





    「(わ・・・・私の・・・せいでも・・・あるのか・・・・?)」






     ミカサに悪いと思う気持ちも大きかったけど、
     それ以上に大きく膨張したこの感情は・・・・





    「(私の方が先にいかせてあげられると思ってたのに)」




     どうしようもない位の・・・“悔しさ”だった。








    「(折角あそこまでミカサといいところまでいってたってのに
     不完全燃焼で中断されて・・・先に私が連れて行くはずだった
     “その場所”には・・・ユミルが手を引いて全て美味しいところを
     掻っ攫って行っちゃうの・・・?  そんなの・・・・!)」





     悔しくない、、筈がない。





    「ちょっと、ユミル・・・・!
    ミカサ相手に張り切るのは結構だけどさ・・、
    その手の包帯は・・・やめてやりな。」




     ―咄嗟に割り込んでしまう私。




    「///?んぁ?」





    「・・・それ位露骨な反応見れば幾らなんでも分かるでしょ・・・・?
     
        本気で嫌がってるじゃないか」
     
     ギロッ・・・・・




    「~~~///妬くな妬くな♪ 何、それ位幾ら私だって
     気が付いちゃいるさ。そもそも私とこいつが腕相撲すれば
     結果がどうなるかなんて分かりきった事なんだし・・・」






    「・・・ならいいけどね」


  49. 49 : : 2015/11/23(月) 00:48:09





    「そう考えれば抵抗されればそこまでなんだ。
     ・・・だから別に、こいつが私の攻めに崩される事なく・・・
     ずっと正気を保っていられれば何の問題もない。・・・だろ?」
     ニヘニヘ....




     随分と良く喋る酔っ払いだ。さっきより落ち着いてきてるのか?
     活舌も段々良くなってきてる・・・・





    「、まああくまで・・・・・ 平気で居られたら、の話だけどな。

     もし抵抗も出来ないくらい派手に飛んじゃったりした時には・・
     私もうっかり気分が盛り上がって、目の前のこいつを
     正真正銘産まれたままの姿にひん剥いちゃうかもしれないな」

     ニヤニヤニヤ////



    「っ・・・・!!」




     どこまでも・・・・どこまでも粘着質に攻めて来るユミル。



     ミカサはミカサで、完全に力関係では勝っている筈なのに、

     酔いによる判断力の低下、それから的確かつ集中的な
     頭部付近の性感帯への刺激、ついでに包帯というあまりに
     脆弱な防護しか纏っていない“その弱所”への物理的、
     及び精神的な牽制・・・・これらが足枷(あしかせ)となってか


     やはり思うように主導権(イニシアチブ)を掴みにいけなくなっている。


     きっと今、攻められるがままの状態をユミルに許してしまっている
     ミカサは演技でユミルの攻めに喘いでいる訳ではない・・・・





    「(イヤだ・・・・!このままミカサの本格的な絶頂をユミルに
     持ってかれちゃうなんて・・・・!そんなの・・・!)」





    「っ・・・・・!」ガバッ・・・



    「おおっ//?」




     その時、二人の形勢に動きが見えた。

     執拗なユミルのホールド姿勢を何とか力技でミカサが
     振り切り、その勢いのまま・・・




    「ッ・・・・・ぉっ・・・・とうとうヤル気を見せたか・・・?...ンッ・・・//」



     その指がとうとうユミルの秘所へ届いた。


     体中の熱気が伝播し、ユミルの愛撫によって高められた
     性的欲求で震えるミカサの指が。




    「・・・~、、やっと攻めに回ってくれたのは結構なんだが・・

     まさか、この程度の攻めが・・・お前の言ってた“未知の快感(きょうふ)”って
     奴に繋がるのか・・・・?なんか・・・全く“響いて”こないんだけど」



     しかしミカサの体力を相当に削りながら、ある程度のところまで
     その性感を昂らせる事ができた現状に自身の優位性を
     全く信じて疑わないユミル。



     攻守を交代された現時点にあっても、その物腰は至って冷静だ。



     しかしここから先・・・間違いなくどっちかに状況は大きく傾く。
     
     
     
     というのも、時間的に言って本当にそろそろ
     何とかしないと教官の巡回とバッティングしてしまう危険性が
     大きい。そうなってくれなければ他所の部屋に
     お邪魔しているこいつらだけでなく・・・


     持ち込み厳禁の趣向品で盛大にやってた事実が
     明るみに出た場合、最悪私達全員、


     明日はサシャの先導に着いてお外を楽しくピクニックする羽目になる。

     
     ・・・・死ぬ寸前まで。ご飯抜きで。。



  50. 50 : : 2015/11/23(月) 00:51:36





    「っ・・・・ほ、ほら、クリスタ・・・・あんたもっ・・・
     意識戻ったならそこの二人起こすの手伝って・・・??;」

     ユッサユッサ・・・




    「ぅ・・・、ぅうん、、すっっっごい頭痛ぃぃ・・・;; けど、

     頑張ル・・・・・ね。。。」Σズッキン..ズッキン・・・

     フラフラ・・・



     “あの”クリスタが真っ先に人助けに動こうとしないなんて。
     ・・・これは相当強い(どく)を盛られたに違いない。
     



    「ホラ!!起きなってば!!  おい!サシャ・・??!」

     ギッシギッシ・・・・




    「んへぇ・・・・・???///   むにゃむにゃ....

     今食事中らんれすぅ・・・後にしへ.....Zzzzzzzzz・・・・・」





    「そういう屁に似た寝言は今、いいから!!!!兎に角起きな!!!!!」

     ペチッ!!ペチン!!!



    「ヒャヘッ・・・  ヘぶッ・・・///」



     締りのない顔で寝ぼけるサシャに往復ビンタを見舞う私。



     ・・・・・・しかし





    「 閉まるドアに御注意下さい↗↗↗(゚Д゚)!!!!! 」
     ガバッ・・・             




    「......むにゃむ.....(zzzzz)」パタン・・・




    「・・・・・・・・・・・・・」
     イラッ..☆



     だめだ・・・これは完全に頭だけどっか別のところに
     イっちゃってるね・・・・・。。


     いや、普段からこいつはいつもそんな感じだけど・・・




    「ミーナ....!起きて~~,,,!!教官来ちゃうっ・・・よ・・・!」
     ユサユサ・・・



    「・・・ぇえ・・・?? 起きてるよ~~...

     起きてるけど・・・・けど...ケド...
                       (ケド....)

     私みたいな豚小屋の肥やしに沸いた蛆虫以下の女なんて・・・

     
     いっそ懲罰用の独房で生涯暮らしてるのがお似合いだよ.....↓↓」
     
     イジイジイジイジイジ・・・・・・・・




    「・・・・・・・・」



     ミーナ(こいつ)そういう(▪▪▪▪)方に入るタイプか・・・・・



     ・・・・仕方ない。そこまでしてやる義理は正直ないけど、
     こいつらだって言っちゃったらユミルの毒牙に晒されてしまった
     哀れな被害者なんだし・・・


     ここは背負ってでもサシャだけは自分の部屋に運んどくべきか・・・。
     

     まあ、ミーナは元々私達の部屋だし起こすまでも無いとして。


     今からでも部屋の換気を頑張れば、最悪ユミル一人だけなら
     どうとでも言い訳できる。今最も隠し通さなきゃいけないのは・・


     あの二人をあそこまでヒートアップさせてる(それ)だ。





    「(さて、しかしあっちは・・・本当に大丈夫かな。あまり長引くと・・・)」
  51. 51 : : 2015/11/23(月) 01:01:09




     一抹の不安と共に其方に向いた私の目に飛び込んできたのは・・・



     先程までと一転して、体勢的にも完全に攻勢へと転じた
     ミカサの姿だった。ユミルの方も・・・・先程のミカサ程ではないが
     やはり“その気”になったミカサの攻めに対しては、無反応で
     澄ましても居られない様だ。


     

     ・


     ・



    「(っへへ..頑張るね・・・・、、こりゃ本当に医務室で
     アニの奴としっぽり仲良くやってたみてーじゃねえか//

     東洋人ってのがそれほど酒に免疫がない人種だったとしても・・
     酒だけでこいつがここまで乱れるとは到底思えねえし。


     ・・・やっぱ最初の首手柄はアニ(あいつ)に持ってかれちまった
     みてえだが・・・この様子じゃまだまだイけるな・・・!


     足腰立たなくなるまで徹底的に・・・・・・・)」





    「(可愛がってやる....!)」




     ススッ・・・・




    「っ。。。」




     ミカサの身体が不意に這い寄る私の指先に緊張する。



     先程までミカサの攻めにそれなりの反応を見せてた私だが・・・


     何のことはない。結論から言ってしまえば私が今まで見せていた
     ミカサの愛撫に対する反応は・・・然程感じないはずの場所に
     注意を差し向ける為の、フェイク・・・つまり演技でしかない。




    「っ・・・・・/////;ハッ・・・・・」


     

     ミカサは普段から黙って女子連中(わたしら)の様子を
     観察しているようでいて・・・実際かなり深いところまで個々の
     性質を分析してる。



     だから芋やミーナ、そしてクリスタ・・・それから“あの”
     年中不機嫌そうな目をしたアニを相手にした際でも・・・
     
     直ぐにその最善策と最適解に的を絞ってすんなりオとす
     ・・・・なんて芸当が可能な訳だ。



     しかし私もそういった“人を見る目”に関してだけなら・・・
     こいつには負けない自身がある。何つっても“人生の経験値”が
     まるで異なるし・・・人間の本音なんていう吐き気すら催すものは
     今まで飽き飽きするほど目の当たりにしてきた。




    「(そんなところに来て・・・・こいつは・・・・


      ・・・・・・・・いや・・・・こいつの目は・・・・・・)」




     とても真っ直ぐな目なんだよな・・・・
     汚い感情も感じられなければ、そもそも自分が快楽を得るための
     欲というか・・・そういうものが一切感じられない。

     クリスタの場合とはまた別の系統の・・・献身姿勢・・・とはいえないが、
     ともかく相手を如何に“愉しませるか”、こいつは本当にソレしか
     考えていない・・・・・




    「(だったら私も・・“連れてって”やりたい)」




     互いに感じ合うことでしか辿りつけない“その場所”に・・・・!


     そんでやっぱり・・・・


     この顔をどんな表情に歪めて、そこに達するのか・・・・
     そいつが一番・・・・




    「気になるよなぁ・・・・・!!!」


    ガバッ・・・



    「っ!!」



     ミカサの攻めを受けながらも・・・先程と同じ位置への反撃を
     再び開始する。


     無言で攻め続けてはいるものの・・・分かってる、
     気付かないはずがない。今お前は相当・・・・、

     私の弱い所(▪▪▪)がどこだか、それすら分からない程に・・・
     動転してる真っ最中な筈だ。身体をこうして重ね合ってれば
     そんな事は手に取るように分かる。





    「悪いけど・・・そっち(▪▪▪)じゃねえ//私はな」




     私の反応から確かな手応えを感じ取ってか
     さっきから内部ではなく女の身体の中で一番敏感だとされる
     その部位を積極的に擦りに来ているミカサだったが。


     私は“そっち派”ではなく・・・・一人でするとしてもどちらかといえば
     “ナカ”でなければ達する事が出来ない方だ。だから必然的に
     素股等を多用するクリスタ相手には後れを取る事もない。



     私の“フリ”を充てにしてここまでとばしてくれた
     こいつには悪いが・・・・そろそろ締めに移らせて貰おう。











  52. 52 : : 2015/11/23(月) 01:03:11


                ~数分後~



    「(何とかサシャとクリスタは部屋に押し込んできたけど・・)」





    「ハファッ・・・・  ンフッ・・・・・」




    「ッ・・・・  ぉッ・・・やっとギャラリーがッ・・・帰ってきたか・・・///」




     まだやってるのか・・・・




    「余所見までして随分余裕じゃないか・・・」




     何だろう・・・形勢としては今まさにミカサの方がユミルを
     追いやってる最中のように見えるのに・・・

     この余裕しか感じられない物腰は・・・



    「フッ・・・・はハッ・・・  んっ... 馬鹿・・・
     待ってた(▪▪▪▪)んだよ・・・!ギャラリー無しだ(みられてない)と・・・・・

     燃えないだろ・・・・・!!」



     グッ・・・・ドサッ   



    「ぇっ」



     今までミカサの愛撫を受けながらも
     その押しに甘んじる姿勢のままミカサの首すじと手首、
     それから耳とを継続的に攻めていたユミルがとうとう
     上に乗っかっていたミカサを逆に押し倒す。


     ミカサは本気で驚いているようだった。


     コレだけ勢いのある攻めたて方をしていれば簡単に
     形勢をひっくり返されるとは思ってなかったからだろう。

     “今までの経験”ではそうだったんだろうし・・・
     横で見ていた私ですらユミルの押され気味な雰囲気には
     完全に騙されていた位だから。



    「悪ぃな・・・・私はそっち(▪▪▪)じゃイケないんだ・・・・お前と一緒(▪▪▪▪▪)でな。

     でも まあ・・・・上手くやれてただろ・・・・??

     それだけ驚いて貰えたって・・・事はよ・・・・・!」


     グッ・・・・  ズズッ・・


    「だから・・・安心してイッていいぞ///」
     
     ヌ゛チッ・・・



     素早くミカサの下着をずらすと、今まで一切触れに来なかった
     “その場所”へ、いきなり深々と中指を突き立てるユミル。
     ・・・そしてそのまま・・・



    「っあ"ァ"....!!!!!」



    お前は私に安心して身を任せていればいい(▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪▪)
     
     ボソッ・・・


     その侵入に堪らず肩を縮こまらせ、顎間接を軋ませるミカサの
     耳元で、先程自らに差し向けられたミカサの言葉を意趣返しの様に囁いた。



     アレは中々に効くハズ。今まで全く“そこ”に手を
     伸ばさなかったのは恐らく其方に一切注意を向けさせない為だ。


     ・・・・そう、対人格闘において執拗に至近距離からの下段蹴り(ロー)の連発
     という嫌みったらしくも張り付かれると最早どうしようもない
     小技連発でじらしておき・・・、相手のスタミナと忍耐を適度に
     削りきったところで、ここぞとばかりに中段蹴り(ミドル)に見せかけた
     ハイキック(必殺)で刺しにいくような・・・そんな攻め。

  53. 53 : : 2015/11/23(月) 01:05:45





    「ぁぅ゛ッ・・・・・  !!」 ビクッ・・・



    「ホラ・・・もっと///」

     グニュッ..


    「ぁっ・・・・!!!!!」 ガクン



    「遠慮すんなって、まだ大きいのはキて無いだろ??//」





     軽い絶頂の入り口に震えるミカサをしっかりと捕まえ、
     逃す積りもないという勢いで攻め続ける。

     絶頂の合間に、さらなる追い討ちを掛け、休む暇を与えない。

     ミカサがサシャの相手をする時の手法と同じ様に見えるが・・・

     

     ユミルのは、“技術”が伴っているから更に凶悪だ。

     
     あれだけクリスタに攻められても揺るがなかったミカサが、
     長時間の消耗と酔いという要素を考えてもあそこまで悶える様を
     見せているっていうのがその証拠みたいなものだ。


     恐らく事前に当たりをつけていたのか、挿入の直後から
     素早く“その場所”を見つけ出したのか知らないけど・・・
     既にユミルはミカサの“弱い場所”を見つけ出してしまった。


     ――こうなってしまったらもう詰みだ。






    「ッ・・・・・ッ・・・・・・・!!!!//////」




     ・・・“エレン”という要素がない分・・その恍惚の度合いには
     幾らかさっき私とした時より温度差があるように見えるけど、
     それでも純粋な快感のみに弾むミカサの肉体は・・・



     ・・・とても。―――とても綺麗だった。



     ユミルの攻めから意識だけでも逃そうと右往左往する黒い瞳も。


     そんな逃げすら許されず、時折与えられる快感と・・・・
     ・・・瞼を塞がずにいられない程の“何か”から逃げ惑う姿も。



     “これでもし・・・・”



     そこまで考えた私の目の前で・・・ユミルは更に予想外の行動に出る。



    「もう充分かと思ったが・・・・・お前があいつ(アニ)と医務室でよろしくヤってたんだと
     仮定して・・それでも気になって仕方が無い事が一個あってな・・・

     ホラ、前にお前らがシた時の事を考えれば・・・
     普通に考えてアニがミカサ(おまえ)をイかせられるなんて思えない」





    「悪かったね。下手っぴで」
     ムスッ・・・

  54. 54 : : 2015/11/23(月) 01:11:08






    「・・・ハハ/// ・・しかし、そんなミカサ攻略の糸口も掴めてない
     お前相手に何故ミカサ(こいつ)がそこまでいい汗をかける程に追い詰められたのか・・・。

     それってのはつまり・・・・」ゴソッ・・・・




    「・・・・・・!」





    こいつ(エレン)だろ・・・・・・!どう考えても・・・・!」



     ユミルが枕の下から引き摺り出したのは・・・・
     いつくすねたのか定かじゃないが・・・間違いなく、
     “あの”エレンのタオルだった。まだ私達二人が風呂上りに
     使った際の水気が抜けきらないのかしっとりと濡れている。




    「あんた・・・・!それをいつの間に・・・・!」



    「っ・・・・・・ッ・・・!!//////」
     ゾクゾクゾクゾク



     取り出されたそのタオルが自らに働きかける効力を
     思い出し、その布地を目にした途端表情の質を急変させるミカサ。



    「“この反応”を見る限り・・・・ドンピシャみたいだな・・・ぇえ?//」

     ヒラヒラ~・・・・



    「ぇっ...ェレン・・・・・////あグッ・・・・////」
     ハァ・・・ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・・・・・



     私達二人の身体を拭く前に、洗って絞ったりした事で
     その匂いも若干薄れているはずだけど・・・・

     ミカサの嗅覚にとってはその程度で感じられなくなるほど
     “エレン”という存在は弱いものではなかったみたいだ・・・・


     これでは最早ミカサに欠片も勝ちの目を見出せは
     しないだろうと私が諦めて・・・・


     そのタオルをはためかせて、目の前のソレより酷い
     ミカサの乱れっぷりをユミルが期待していたその時に・・・





     ――魔物は目醒めてしまった




    「 エ レ ン ッッ/////////」


     ガバァッ




    「っな...」ドサッ


     バサッ!


    「エレン...!!エレン....!!!!エレンエレンエレンエレンエレンエレンエレンエレン!!!」
     ビクッ・・・ビクンッ・・・




    「ミ・・・ミカサ・・・・!!?」




     突如その身を跳ね起こし、ユミルの手にしていたタオルを
     噛み千切るように奪い取るミカサ。よく見ればその腰は
     未だ続けられているユミルの愛撫に対して迎え腰になり、
     大きく前後運動を行っている。


     ・・・・つまりミカサは今・・・・




    「(イキながらユミルを押し倒して・・・る・・・・?!)」

     ゾクッ・・・・




    「ッこっいっつ・・・・・・!!;」グイグイ・・・・




    「ハッ・・・・ハァッ・・・・・  ハァ・・・・!!!

     スハッ・・・・・ ハフッ・・・・・・・・//////」ブルブルブル・・・


     
     組み伏せたユミルの抵抗もなんのその、
     顎の力で強引に奪い取ったその“エレン”の残り香に
     体中を奮い立たせるミカサ・・・・・。。。




    「((けもの)だ・・・・・・!サシャとは感じ全く違うけど・・・これは間違いなく)」



     目の前で背筋に幾重もの緊張を走らせて吐息を荒くする
     ミカサの姿は・・・、捉えた人間をいままさに捕食しようとする
     奇行種が可愛く見えるほどの・・・・

     見紛うこともない、(けだもの)の姿をしていた。



  55. 55 : : 2015/11/23(月) 22:49:34






    「んっの......!舐めンなよ....!!!ここまで押してんだ・・!

     幾らお前でも流石にここからこの私が・・・ッ//」



     未だ諦めてなど居ないユミルを他所に・・私は悟った。




     対人格闘の最中など、たまにミカサの“目”に宿る事がある
     いつもと違うその“光”。それは瞬きの間にしか感じ取れない程、
     ほんの僅か、一瞬の内の輝きだが・・・しかし、

     そんな一瞬の間であっても相対している此方に否応無しに
     伝わってくる強烈な気迫。


     そいつが今・・・・、“あの”ミカサからもヒシヒシと伝わってくる。




     ――ああなったらもう、ミカサがひっくり返される事なんてない。



     あと可能性があるとすれば教官に見つかるまでユミルがミカサの
     攻めに耐えきれた場合とかだけど・・・・



     “あの状態”のミカサに・・・基本的に私達の常識は一切通じない。

     
     多分・・・人間の体が定めた限界を、自らの意思で、もしくは
     緊張の度合いという条件付で・・・一時的に“外す”術を・・・
     ミカサは会得しているんだと思う。



     ちょっと考えづらい事ではあるけれど・・それしか説明がつかない。


     幾らガチガチに鍛えてると言っても、あの細い片腕でライナーの巨体を
     まるで赤ん坊を放り投げるような勢いでほっぽってみせたり・・・

     私の体重が目一杯乗った回し蹴りを手で止めようとしたり。


     ・・・そんな離れ業を平然とした顔で行える理由に関しては。



     そんな限定解除が日常的に続けば勿論・・・身体は自壊を防ぐ為、
     より強靭な腱、筋力、骨密度を求めるようになる。

     動きの要となる間接は脱臼を繰り返し、そうしたクセによる
     炎症をも克服して・・・その姿形を変えていく。


     先程医務室でミカサの脚が異様に重く感じたのも、恐らく骨密度と
     筋繊維の密度が既に常人のソレではないからだ。


     事実同じ身長の『男子』であるエレンよりミカサの体重は5キロも重い。

     
     見ての通り、全く肥満体でもなく、手足の長さが特別
     目に付く訳でもない。・・・・当然妊娠していてもう一人分の体重を
     その腹部に抱えている訳でもない。



     ・・・・そんなミカサが理性を失うほどの勢いで
     覆いかぶさってきて果たして・・・・振り払える人間なんて・・・
     私達同期の中では男子まで含めて本当に存在するだろうか??



  56. 56 : : 2015/11/23(月) 22:51:54




    「ちっくしょッ・・・・・離せって・・・・オイッ!!!」




    「ンハッ・・・・  ハフッ・・・   フシュッ・・・・」





     未だミカサはユミルに対してなにか自発的に愛撫を行ったりと
     いった事をせず・・・、とにかくその奪い取ったエレンの僅かな
     匂いの渦中に顔をうずめて、その吸入を繰り返している。



     段々と、ユミルの指に対しての反応が薄れてきているが、
     その只ならぬ発奮の度合いは寧ろ留まる様子を見せていない。



     この状態で自らに一切ミカサの牙が迫ってこないのが
     ユミルにとって唯一の救いとなっているが・・・
     既にあいつもそんなのんきで居られる心境ではないと思う。


     例えるならいつ破壊されるか分からない張りぼての檻に
     詰め込まれて・・・餓死寸前まで絶食された猛獣の目の前に
     放置されたようなものだ。私なら絶対に御免被りたい。




    「ッ・・・フぅ・・・。。。。ユミ・・・ル・・・・...///?」




    「・・・・・ぁあ・・・・?な、なんだよ・・・・」グッ・・グイッ・・・




     と、ここでついにミカサの口から“エレン”以外の名前が
     零れ落ちる。・・・私も少し驚いた。酒も入ってる事だし、
     さっきの乱れっぷりから考えても、まるっきり正気を失って
     居るものとばかり思ってたのに・・・きちんと自分が組み伏せている
     相手がユミルであると認識できているみたいだ。



    「・・・・あなたは・・・そんなつもりで..私にその手腕を振るった訳では・・・

     無いのかもしれないが・・・ ハァッ・・・・///」




    「(くそッ・・・・何なんだこの馬鹿力はよッ・・・・!
     全然ビクともしねぇし、そもそも持ち上げようにも
     石像みてぇに重ぇしっ。。。。!!ナニで出来てんだこいつマジで!!!!)」



    「・・・そんなにっ・・・・焦らなくていい・・・///

     ここまで私を昂らせてくれた礼を・・・全力であなたに
     お返ししよう。教官の巡回も・・・気にしなくて良い。


     もしも教官が事の最中訪れても・・・・・・私はあなたを責めるこの手を

     決して弛めない(▪▪▪▪)。止めろと言われても止めない。



     明日は罰走まで・・・共に付き合おう・・・・///////」
     ニッコォォォ・・・・・・・・・・





     「       」

               ソ"ソ"ソ"ソ"ッ.....!!!!!

     「       」




     全く違う位置に居ながら、私とユミルの背筋のど真ん中を・・・
     ほぼ同時に凄まじい勢いでフォーリングダウンするその怖気。



     それがどれ位のモノかと言えば、正にそういった怖気という
     感情そのものが背筋を転落していき・・・失墜してしまう程のものだった。




     当たり前だ。・・・・・あの(▪▪)ミカサが(わら)ったのだ。


     満面の笑みで・・・・、それもエレンを前にした際などの明るさが一切
     織り交ざっていない・・・暗黒面(ダークサイド)全開の・・・・教官の纏う
     覇気と同系色のそれだ。




    「これでもう・・・・明日の朝まであなたを護るものは“何も”ない」

     ジリッ・・・・



    「ぁっ・・・・ああッ・・・・;  ぅあ・・・・」

     ガクガクガク・・・・




     今この時ばかりはユミルの気持ちに同情することが出来た。
     ・・・というより横で見ているだけなのにユミルに同調せざるを得ないほどの・・
     それくらい凄まじい気迫がミカサから伝わってきた。

     見ているだけなのに私の全身も命の危険に近い戦慄に震えているんだ。





  57. 57 : : 2015/11/23(月) 22:54:40






    「わっ・・・・・悪かったって・・・!な、、、な!?

     そんな・・・お前、流石のお前だって教官の....」







    「 問  答  無  用  」



     グヌッ・・・グチッ,,,



    「いッ・・・ぐァ・・・/////  おまッ・・・ミカっ・・・・・・


       ぁ?!  ぁっ ぁぁあああああ"あ"あ"あ"!!!!!!!」

      ガグッ・・!!!  ビクンッ!!!  ギシギシギシッ!!!!!




    「っ...;(ぅっ・・・何って声ッ・・)」




     とうとうミカサによる地獄の折檻が始まってしまった。





     
    直後、自身の下半身をのた打ち回る未知の感覚に
    全身を暴れさせるユミル。

     
    その悲鳴は・・・徐々に局部から込み上げてきたかと思ったその、
    稲妻が・・・脳に達する直前でいきなり爆ぜたかのような
    その未知の感覚をそのまま体現したかのような断末魔だった。

    勿論、あらん限りの悲鳴が上げられた結果、宿舎の窓ガラスには
    それ相応の衝撃が走ってしまう。



     
     ・・・これでもう、数分以内に悲鳴を聞きつけた教官がその戸を
     開け放つのは確定事項になっちゃった訳だけど・・・


    「本当に・・・・!!本気なのミカサ・・・・!まずいって!
     もうユミルも充分懲りた!!今ならまだ狸寝入りすれば
     間に合わない事も・・・・・・!;(ワタワタ・・・)」



    「 私は・・・・本気。

         絶 対 に 止 め な い 。」キッパリ

     グチュグチュ




    「ッ・・・・ぁがっ・・・・・ やめ゛...ッ わるかっ・・・・」

     ビグンッ・・・・ヒ"グッッ






    「謝ってもだめ。朝までイッて....」





    「ィヒィィィッ・・・・・・!!!!!!!!////」




     なんか・・・すごく可哀想になって来た!!!

     イヤ!!自業自得なんだけど!!本当にユミルのイき狂いっぷりが・・・

     とにかく尋常じゃない。ナニをどうしてるのかと良くその手元を
     見てみると・・・・どうやらミカサは最初からユミルの“前”と“後ろ”
     その両方の穴に・・・中指と親指を同時に突っ込み、

     侵入を果たしたその二指で、ユミルの内部を強烈に摘むように
     蹂躙しているのだ。膣壁とその向こう側、本来そういった用途に
     使われないはずの“トンネルの開拓”を・・・今ミカサは容赦なく
     ユミルに行っていることになる。


     
     丁度・・・サシャが野菜で受けた責苦と同じような形ではあるが、
     更に酷い事に、今そのユミルの大事な両方の穴に潜り込んでいるのは・・・・



     意思と目的を持って、それぞれ別の生き物の如く蠢く、、、


     ―――ミカサの指。どちらの指にも常人のそれとは比較にならない
     握力が備わっていて、決してその掌握から逃れる事は敵わないし、
      

     その上どこまでも・・・どこまでも、そう、明日の朝日をユミルが拝めるその時まで、
     どこまでも追い詰めると宣言しているミカサの悪魔の手指(デビルフィンガー)が。


     今まさに宣言通りに未知の恐怖をユミルへと刻み込んでいる最中だ。




  58. 58 : : 2015/11/23(月) 22:57:23





    「朝までって・・・・ミカサ、あんたそれは流石に!!!!!」
     シンジャウヨ!!!!!






    「・・・・・死にはしない。・・・・・大丈夫だ。                
                           (たぶん。)






    「最後にすごく小っさい声で言うの止めて?!!!(焦)」




    「・・アニ、ユミルは例えふざけ半分とはいえ・・踏み越えては
     いけない一線を越えた。私は暫定首位の模範兵として・・・本位ではないが

     ユミルのこうした粗相を見逃す訳にもいかない。教官にもきちんと
     そう説明するつもり。

     ここで私が独断による処断にはしれば・・・・ユミルに向くはずの厳罰の目も、
     私に向くかもしれない。・・・・それしか・・・今この場を丸く治める手は
     無いでしょ・・・・・?」






    「・・・・・・・・・・」




     ・・・・それって・・・・・・

     


    「(やっぱり・・・やっぱりあんた・・・・)」





    「あんた・・・普通じゃないよ・・・・・。」




    「大丈夫、その自覚はある。不快な思いをさせたなら済まない。
     アニ、あなたまで巻き添えを受けることも無い・・・、教官が来る前に
     あなたは直ぐ自分の寝床に」
     ボフッ・・


    「っ」



     ユミルの領地侵略に蠢く指を休ませることなく淡々と告げる
     ミカサを・・・私は思わず抱き締めてしまっていた。



    「アニ・・・・・?」





    「ッ・・・・・  何だよ、もう・・・・・!」




    「何であなたは今・・・・・??  泣いているの?」




    「知らないっ・・・知らないよ・・・・!!こっちが聞きたいよ・・・!」



     あそこまでされて・・・危なくあのタイミングで教官が
     この部屋に辿りついていれば、自身ももれなく隊規違反者として
     しょっぴかれてたって言うのに・・・そんな謀の首謀者を
     懲らしめこそしても、実質的な罰と罪は全て自分が被ろうとするなんて。


     
     どう考えたって・・・普通じゃない。



    「もう・・・・充分だよ。止めてあげな・・・・。

     あんたは・・・自分だけに厳しすぎるって言ってるの...」




    「・・・・・・でも・・・・・。」




    「でもじゃなくって。この通り。私からあんたへの
     ・・・同じ部屋の仲間の、切実な願いだ。だから・・・・」




    「・・・・・いや、折角だからせめてこの“へちま”をユミルに
     試してからでも止めるのは遅くないかと・・」スッ・・・
     イイキカイ ダシ タメシテミタカッタ......



     

       (「オイ」)




    「ソレを一体ユミルにどうやって(▪▪▪▪▪)使う気だったの!!!?」




    「いや・・・それは勿論・・・アノ・・・(insert..)」





        (「 オ イ 」)
      



    「それ馬よりヤバいでしょ!!!」




    「ぇ・・、でも子供はここから出てくるとお母さんが....」
     コドモ ヨリハ..イケルハズ・・・





    「あんたの母さん生理学ばっか専攻しすぎだよ!!!!」





        (「お い」)




    「し、しかし間違ってはいないはず・・・!」




    「なにちょっと焦ってるの?!まさかあんたソレ、本気で
     そこのユミル(そいつ)に容赦なくぶち込む積りだったの・・・?!」






     「   お  い   」






        ッガシリ....





     「           」




     つい先日味わった世界が凍結するその感覚を、再び味わう私。





     ま た や っ て し ま っ た。



     ・・・ミカサとの掛け合いに必死なあまり、
     気配を殺して戸口から入室した教官に全く気が付けなかった。


     ・・・見ればミカサはしっかり気が付いていた様子だ。

     ・・・教えてくれたっていいだろうに...!



  59. 59 : : 2015/11/23(月) 23:01:41






    「・・・・今がどういう時間かは・・・言わなくとも
     分かるな。レオンハート。しかも前科一犯だったか貴様・・・
     仮釈放の恩義を仇で返すとはな・・・・・・

     
     ・・・・・何か言いたい事は有るか」


     ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・・・!!!!!!!!!!





    「・・・・ィェ。ありません、、、、」((プルプル))





    「・・・・そしてよりにもよって今晩は貴様が“そっち側”か・・・

     ・・・・・・・アッカーマン・・・・・。」




    「・・・・・私の方も・・・特に意見はありません。

     罰則なら幾らでも、他の隊規違反者同様に受ける所存です。」
     バッ・・・・




    「・・・・・・・・貴様がそのような罰則対象に進んで身を投じる際には・・・
     それが必ず裏に何かある事例で有るという事は識っている。

     正直に話せばこの場の全員の処罰は免れるぞ。どうする」




    「(そんなの・・・言っても言わなくても結局は
     全員処罰されるって事じゃないか・・・・・!?)」




    「・・・・それなら、それも致し方無し、です。

     この状況以上に・・・・現状を説明する根拠はありません・・・ので。」





    「・・・・・・・・」




     暫く無言で目を細めていた教官だったが・・・・




    「・・・恩赦だ。・・・・ここまで甘い対応を他の兵士に知られてしまっては
     示しが付かんが、、幸いこの場で意識があるのは・・・

     貴様等二人だけのようだ。レオンハート、貴様は何も見なかったし、
     そこで何故か全裸で転がっている奴は寝ぼけてここまで
     徘徊して辿りついた。明日の朝目覚める頃にはそいつが居るのは
     自室のベッドの中だ。・・・・・  分 か っ た か 。」ズィッ・・・・



    「ハ、..ハッ。。(ッ・・・・マジで・・・・・・:)」
     ドンッ・・




     ミカサの点数なら・・・・意地を張ってみせるだけで
     教官を折る事が可能だなんて・・・・・




    「・・・・それから。“こっち”は間違いなく貴様とは無関係だと
     知った上で忠告しておくが・・・・この部屋のどこぞにある“違反物”は・・・・
     一両日中に処分しろ。明後日の昼までに抜き打ちの持ち物検査を
     実施するからな。・・・・心得ておくように」





    ギッ・・・・  ギッ・・・・    ギッ・・・・・・・






             バタン・・・・・




     この数分間で・・間違いなく私の寿命とおなかの中の臓器いくつかが
     小さくなった気がした。ついでに貴重な身長も失われた気がする。




  60. 60 : : 2015/11/24(火) 23:36:48






    「っ・・・・・・~~~~~、、、、、、」



    ッボフン・・・・・・・・・・




     否応無しに全身へと襲い来る倦怠感に負け、その身を
     自らの寝床へと放り投げる。本当に・・・生きた心地がしなかった。


     枕に顔を埋めて外界の全てを遮断し、安堵に浸る私の背中に・・・・



    ・・・・トン=3



    「 、、」



     誰かの手、、イヤ。この状況で私の背に触れに来る人物が
     この部屋の中に居るとすればそれは意識の有無等からいって
     間違いなくその一人しか居ない筈なので顔を上げる事もなく
     私はその名前を呼ぶ。



    「・・・・どうしたの。・・・もう随分落ち着いたと思ってたけど・・・
     手、震えてるじゃないか・・・・・・ミカサ。」


    「っ―」


     ギシッ・・・


     背中への接触に続いて私の横にミカサが腰掛けると・・、
     当然同時に沈み込むベッドの軋みが私の体を揺する。


     ・・・ミカサが自分から他人に接触でアプローチを
     行うという動作そのものが・・・私にとってとても新鮮だった。

     なので、ただこれだけの挙動を感じ取るのに、私の全身は
     高感度でミカサの体重の移ろいや、直接触れに来たその手の
     感触を分析してしまう。

     ・・・その手は微かではあるが確かに震えていた。



    「・・・・少し・・・緊張していた。教官にここまで露骨に張り合ったのは
     ・・・実は初めてだったから・・・」




    「・・・・驚いた・・・・あんたでも緊張とか・・・するんだね」





    「当たり前だ。エレンが傍に居る時など私は常に全身を
     緊張に張り詰めさせている。表には極力出さないようにしているが」




    「うん。それは知ってるけど」





    「・・・・でも、よかった。飲酒の形跡なども教官には当然
     見抜かれてしまっていたが・・・悪質な違反とまでは
     判断されなかったようで。・・・・結果皆が無事で済んだ」





    「・・・その意見には頷くしかないけど・・・

     ・・・けどこれ、本当にとんでもない事だよ。
     教官が罰するべき対象を認めつつ見逃すなんて・・・

     本当、もしこんな話が流れれば他の違反者に示しが付かないし」



     ・・・つまり、それだけ私の隣に居る、この
     ミカサ・アッカーマンという今期最優秀の成績を誇る模範兵は・・・
     稀代の秀才として先行きを大きく買われているという事だ。


     あの厳格無比かつ非情なる教官の制裁すら回れ右させてしまう程に。




    「結果が全てとは言いたくない・・・。しかし、
     今回はこれで済んだという事実に正直ホッとしている...。

     ・・・・・本当に良かった。」

     ノシッ・・・・



    「......////////」




     そう言いながら、何と私の背に圧し掛かってくる重圧・・・

     言うまでも無くその重量はミカサの上体が私の背中に
     寄りかかってきた際の重みに他ならない。



     とても・・・・居心地の良い一瞬。。


     
     細くても締まっているミカサの半身は、圧し掛かってくるだけで
     当然私の肺や、その他を圧迫してくるけど、そんなのは全く
     気にならないくらいに・・・・・、

     その息遣いを、体温を、心肺に応じた脈動を感じる事が出来るから。

     今この瞬間が息苦しく感じたりなんて事は・・・
     本当、これっぽっちもなかった。



  61. 61 : : 2015/11/24(火) 23:41:36





    「・・・・本当に最近・・あんた変わったよね」




    「それは・・・私もアニに言ったと思う。

     変わったのは私だけではない。あなたもだ。・・・アニ。」




    「いや・・・・あんた程じゃないよ・・・・絶対;

     前のあんたなら・・・こんな・・・理由もなく私に寄りかかって
     くるなんて事・・・絶対しなかっただろうし」




    「・・・・す、すまない、迷惑だった、、??直ぐに退く、、ので、、」
     アタフタ
     


    「ww、、本当、あんた変わりすぎ・・・・いいんだって、
     そのままで。」グイッ・・・



    「あっ」



     枕に埋めた顔はそのままに・・・私は後ろ手で
     身を引こうとしたミカサを繋ぎ留める。




    「私も・・・あんたとこうしてると落ち着くの。
     
     ・・・・・そう言ったでしょ」





    「・・・・・・・・ありがとう、、アニ。」





    「何もお礼を言われる様なことはしてないけど」






    「・・・そうではない。少し話は前後するが・・・

     先程ユミルにあのタオルをチラつかされた時の事・・・。」






    「ぁあ・・・・;アレね。相変わらずあんた・・・
     そういう気分が少しでもノってる時にエレンの匂い嗅ぐと
     サシャ以上にすごい事になるよね・・・・・・・・って、それが何・・・・・?」




    「それは・・・生き物として仕方が無い事だ///。。

     私だって身体的には既にそういった周期も順調に迎えているから・・・
     身体がエレンを欲しがってしまうのは人として当然の反応...」
     (エレンホシイ エレンホシイ)





    「・・・にしても流石に限度があると思う;普段は完全に
     そんな欲求をおくびにも出さないのにね、、、。」
     




    「当たり前だ。エレンにだらしない姿を見せたくない」





    「そういうところはしっかりあんたも乙女なんだよね..(遠い目)


     ・・・けどさっきは・・・その匂いを嗅ぎながらも随分と急に
     落ち着きを取り戻せてたみたいだけど・・・・・?」





    「・・・・だから、それはあなたのおかげ」




    「・・・・何ていった・・?今、、」




    「先程私と共に水浴びに行った際・・・、二人で身体を拭いたから。

     あのタオルには・・・エレンと、あとどちらかといえば強く
     あなたの匂いが残っていた」




    「ちょっ・・・・!!!!あんたまさか私のニオイまでじっくり
     嗅いでたの!!?!///////」




    「・・・・否定しない。あなたを感じられたら・・・・
     
     とても心が落ち着いた。“エレン”に騒ぎたつ全身を・・・・

     “あなた”が落ち着かせてくれた。だからあなたにこうして
     お礼を言いたかった。」




    「・・・・・・・・・・」





    「ありがとう、アニ。。」









     その一言は・・・私の背中に埋められたミカサの唇から、
     衣服越しに篭った吐息と共に私に浸透した。



     ――――“暖かい”。





     ―――――今私はとても・・・暖かい。





     それはきっとミカサも同じはず。




     交わって何をしなくたって良い。
     只こうして居るだけで・・・・・・・・



     こんなにも暖かい。




  62. 62 : : 2015/11/24(火) 23:47:49





    「・・・・・もう、このまま寝たいんだけど・・・」



    「一緒に寝るという約束だ。・・・・それもいいのでは。

     ランプの油も補充していないのでじきに勝手に消える。」
     
     ギュッ・・・・




    「・・・・ダメだよ。忘れたの、、

     まだ別棟に運ばなきゃならないお荷物(ユミル)が居るんだ。

     このままあんたとこの眠気に身を任せて寝られたら・・・それは最高の
     入り口だと思うんだけど・・・。。。

     教官が見過ごしてくれた以上これをそのままにする訳にいかない」

     ギッシッ・・・・・


    「アニにしては・・・珍しく真面目。。。。

     ユミルは今回の騒動の発端でもあるのだし、
     そこまで世話を焼かずとも良いと私は思ったが・・・・・」
     ズルリ...



     重い腰を上げた私からずり落ちるミカサ。

     
     自分から動いといてなんだけど、もっと長いことこの感覚を
     味わっていたかった・・・。本当、このまま寝られたら
     至福の一睡になっただろうに・・・・。



     少し歩を進めた所で・・・・ミカサのベッドに先程の姿勢のまま
     失神しているユミルを見下ろす私。、

     

          ・・・・相変わらず・・・・



     こ  れ  は  ひ  ど  い  。





     何が酷いって・・これだけ時間が経っているのに
     まだ先程ミカサに攻められていた際の開脚姿勢のままで
     固まって微動だにしていないというこのビジュアルが酷い・・・・


     壁に投げつけられて絶命したヒキガエルのような姿を晒しているユミル。




     性欲を持て余す男子がこれを見たとして、そいつははたして迷わず
     そんな気持ちを抱けるかどうか、その瀬戸際という位の・・・

     かつての壮絶なイき様を、そしてミカサの責苦の凄まじさをその身で体現している。

     その凄惨極まる有様は、、既に一個の芸術作品に近い。。
     

     ・・・・かなりの前衛芸術だけど。






    「(…なんかまだ小刻みに所々痙攣してるし…ホント、大丈夫かなこれ・・・・)」



     微動だにしてないと思ってよく見ると微動していたユミル。

     よかった、一応息はあるみたいだ。




    「・・・・・確かにコレ・・・・一々服着させてから部屋まで運ぶのか・・・面倒臭いね・・・・。。」
     (心底嫌そうな溜息)




    「・・・構わない。アニ、あなたが手を焼く事は無い。

     私が散らかした始末は当然私がつける。・・・ので」 ギシッ



     自身のシャツのボタンを締めつつ、
     下穿きを履き直してそういうミカサ。


  63. 63 : : 2015/11/24(火) 23:51:10




    「ぇえっと。。。まず・・・・あれっ・・・・

     下着どこだろ・・・・っていうか胸のほうはコイツ着けてきたのかな・・?
     それとも外して・・・・?(ミアタラナイヨ)」



    「ユミルは・・・基本胸の方は着けない。

     必要ないからと常に自分で言っている。クリスタには
     常に着ける様に口うるさく言っているが。」




    「・・・・・・将来垂れる心配しなくて良いのはホント羨ましいよ。
     肩凝りとも無縁だしね・・・・。冬場の風呂釜に入る瞬間だけが
     私にとって天国だ・・・・・・・・」ムスン....



     きっと・・・無ければ無いで。私にそんなコンプレックスがあったなら、
     この身長と同じような物で・・・・・

     背なんて高くても良いこと無いのにと嘆くベルトルト(あいつ) を蹴り倒したくなる
     この気持ちと同じような物で。



     一種の無い物ねだりなんだろう。



     人は常に足りない何かを他人に見出し、
     それを欲しがって生きている。・・そういう生き物だ。




    「・・・・垂れるのを恐れているなら・・・、アニ。
     大胸筋を鍛えるべき。私は常にソレを怠っていないからこの通り」
     ドヤァ・・・・・・



    「・・・・(確か鍛えすぎるのも硬く見えるようになって良くないって
     聞いた気がするし・・・、垂れに影響するのって胸の筋肉もそうだけど
     確かそれに直結した靭帯の方が原因なんだよね・・・。)」
     




    「・・・・、まあいいや・・・とにかく、じゃあ胸の方はいいのか・・・
     ぃっ・・・よっ・・・・・っ・・・・ミカサ、ちょっとそっち、そう。
     脚持ってて・・・・・」ググッ・・・・




    「アニとは勿論鍛え方やウェイトの配分が全く異なるが・・・

     ユミルもこれでなかなか悪くない鍛え方をしている。」マジマジ




    「・・・かもね。これだけ身体もしっかり成ってて
     判断力も申し分無さそうなのに・・・なんでかコイツ・・・いつも成績
     は伸びないんだよね。・・・まあ、私にはどうでもいい・・・っけどね」

     グイッ・・・  グッ



     よし、とりあえず着せるモノは全て着せた。


     しかしコレだけ身体を持ち上げて揺すっても起きないなんて。




    「・・・・相当苦かったが・・・酒というものは皆こんなに
     不味いものなのだろうか。初めて口にした」ガサッ・・・コロッ




    「ぅわっ・・・・・!」




     そう言いながらミカサが枕元から引っ張り出した小瓶を
     見た私は・・・顔を引き攣らせて思わずそう口にした。



     〝ウンダーベルグ"


     紙に包まれた小瓶の状態で売られて居るのが特徴的な薬酒で、
     説明するまでも無くとてつもなく苦く、そして度が強い事でも
     良く知られている。




    「・・・・やはり度数の高いものなのだろうか。・・・体には良さそうな
     薬草じみた香りが強かったが・・・とても体が温まった。」ハァッ・・



    「高いも何も・・・!普通のウィスキーよりずっと強いよ・・・・!
     あんた、いくら一口とはいえ、初めてなのによく平気だったね・・!」
     ウァッ、、イグスリ クサイ!!!



     どれくらいだったかな・・・強めのウイスキーが40度ない位の
     所へ来て・・・確かソレは40~50度の中間位だったって記憶してる。

     そのままじゃどうか分からないけど、紙とか布に沁み込ませて
     気化しやすくすれば火が付く位だと思う。




    「こいつ・・・そんな酒をあの人数分口に含んで残りを
     全部飲んでたのか・・・・・・;」



     それなら気を失うくらい当然だったのかもしれない・・・・
     おまけにミカサの追い打ちまで喰らったんだし。







  64. 64 : : 2015/11/24(火) 23:54:52




    「・・・アニ、あなたもよく知っている様だけどひょっとして・・・」




    「・・・私だって飲んだことない。親に教えて貰っただけだよ」




    「・・・・そう、」




     まあ、兵団に申告してる年齢は正しくないし、
     もっと言えば出身だって大幅に虚偽があるから・・・。
     それを考えればこんな事は誤魔化してる内にも入らないけど...



    「よし、とっとと運んじゃおう...」
     オモイナ・・・・ケッコウ




    「私一人の方が楽に運べるかもしれないが...、、」




    「一応酒入ってるんだからあんたはじっとしてて。
     ・・・すぐ戻ってくるから。。」グッ・・  ギシッ





    「・・・・申し訳ない、それではお言葉に甘えて、、頼もう・・・・。
     気を付けて行って来て」




    「・・・ありがと。行って来るよ」




     ギッ・・・  ガチャッ・・・




     ・・・・バッタン。。








    ~数分後~






    ―女子訓練兵宿舎周辺―






     結局クリスタ達の部屋まで辿り着いた時には二人とも
     泥の様に眠っていたので適当にベッドに放り込んで戻って来たけど・・・





    「(一度良い所まで来た眠気を覚ましちゃうと・・・・今度は妙に目が
     冴えて来ちゃうんだよね・・・・。)」



     季節柄、未だ冷たくは感じない心地良い夜風。


     雲の流れからして風そのものは強いみたいだけど、

     この、月の光と共に全身を洗い流してくれるかのような
     何とも形容し辛い心地良さは....“暖かく”は無いけど嫌いじゃない。





    「(少しだけ・・遠回りして帰ろうか)」



     私は少し足を動かす目的も兼ねて自らの部屋と反対方向へ
     向けて歩き出した。






  65. 65 : : 2015/11/26(木) 23:11:28






               ―小高い丘―





     ここは・・・・女子の宿舎があるのとは逆方向・・・つまり
     何方かと言えば男子宿舎に近い位置にある眺望のいい場所だ。

     
     中々傾斜のキツイ道を通って、途中バリケードを超えたりする必要があるし、
     普段からの教官の巡回をやりすごそうとすると、同時に女子達の部屋からの距離を
     考えても夜間足を向ける機会は殆どない。・・・と言っていい場所。


     

     少し急な勾配を上ったりしないと辿りつけないが、
     湖を一望できたりしてなかなか眺めは良い場所。。



     ・・・・一説には男子が何やら他言し辛い用事を済ませる際に
     使われると噂されていた場所。。。



     ――まあ、噂はあくまで噂だし、私自身散歩やジョギングで
     普段から要らない体力を削る趣味も無いから・・

     此処へ足を運ぶ頻度そのものが少ない理由も手伝って、
     そのような現場を目撃した事もない。


     ・・・そもそもその情報源だって既に隊規違反の末に身重になって
     兵団を去る事になった様な女子達だから・・・本当にそれが
     信憑性のある情報かどうかすら定かじゃない。




    「っ・・・・・・ふぅ....」




     手近な場所に見つけた樹に寄りかかり、
     眼下に揺らめくもう一つの月を内包する水面を眺める私。


     脳裏に過ぎるのは言うまでも無く......





    「(何でかな・・・・。もう、本当に嫌になっちゃうくらいに・・・
     少し考え事をすればミカサの顔だ。)」




     いつか必ずこんな日常とは辛い決別に踏み切らなければならないのに。



     最も悪く、最悪とされる事態に陥った場合・・・・
     私()はミカサだけでなく・・・・全人類に弓引く存在として
     全てを蹂躙しなければならない運命(さだめ)であるというのに。






    「(それなのに何故・・・・・・)」






     ――何故。こんなにまで“使命”の邪魔にしかならない感情が
     膨れ上がってしまったのだろう。







    「(結局私も・・・何かに依存し(よりそっ)ていなければとても身体が、
     心が保たなかった・・・・それだけの事なのか・・・・)」




     つい先日ユミルにもしつこくミカサとの仲について言及されたけど・・・
     最早私の中にあるこの感情は・・・“そっち側じゃない”とか偉そうに
     突っぱねられたものじゃない。私は・・・ミカサに対してとても普通とは
     言えない感情を抱いてしまっている。


     とはいってもユミルの様に・・・本気でクリスタの子供をどうとか
     言うようなちょっとイっちゃってるアレではなく・・・・



     そうだね、愛してる、、とまで言うと少し重いし、この感情を
     抱くまでに掛かった日数からしても早計に過ぎるから・・・・

     これは、精々ミカサ風に言って、“好いている”・・・・くらいの感情なんだと思う。





     ・・・・そんな言い訳を何の為か自分に言い聞かせてみても・・・結局私は。







     『 ミカサを好きになってしまった。』この事実だけは否定できない。






    「(こんな有様じゃ・・・ベルトルト(あいつ)に偉そうな事言えたモンじゃないよ・・・・)」





     しかしそこで、沈み込んでいく意識を湖面に向け続ける私の耳に、
     丘の麓から此方に向けて地面を踏みしめる足音が、
     夜風の音に混じって紛れ込んでくる。






    「(今の位置関係だと・・・こっちからじゃ逆光なのかな・・・・
      気付かれてはいないみたいだ・・・)」

     サッ....




     音も無く更に二つほど離れた木陰に身を隠す私の覗き込む先に
     やって来たのは・・・・・・
  66. 66 : : 2015/11/26(木) 23:15:46




    「(・・・・アルミンか・・・・。)」




     月明かりしか頼りの光源が無い中、確実にそうとは言い切れないけど・・・
     どことなく浮かない顔をしたアルミンの姿だった。恐らく部屋着と思われる
     アンダーシャツとズボン姿で・・・何故か左手には手拭か何かが
     握られていた。

     手拭とはいってもそれは乾燥したものではなく、捻れ固まった
     状態から見るに濡らして絞った後の状態なんだろう。


     


    「・・・・・・~~・・・・・~~」




     そして先程私が寄りかかっていた木の辺りで落ち着くなり、
     キョロキョロと麓の方向へ向けて視線を往復させている。


     ・・私もあんまり目が良い方じゃないから樹の影から
     大分身を乗り出してアルミンの挙動をこうして覗き込んでいる
     形になるけど・・・向こうは全く此方に向けては警戒の意識をとばして来ない。


     多分だけどもし誰か此処へ来る者が居るとしても、
     先客は居ないという頭がすでにあるのだろう。その動きは
     間違いなく“これから”誰かと鉢合わせないかどうか、
     それだけを気にしている動きだった。




    「(も、、、もしかしてコレ・・・本当に・・・・・??;)」




     流石にそういった情報源があると少し位ドキドキしてしまう。
     ・・・・当然私だってそういった経験は皆無なんだ。


     年齢を少し位誤魔化していても・・・・


     産まれや育ちが皆と違えども・・・・




    “そういう事”に対する興味なら、他の奴同様に
     年頃相応のモノが備わっている。




    「(“あの”ミカサだって自身の性的欲求については認めてたんだ。
     私のコレだって別に全然おかしいって事は無いはず。)」




     どれどれ・・・・・・




     一人、誰に向けてしているのか分からないような言い訳を
     済ませた私は再び出歯亀行為に身を乗り出す。




     ・・・・・そこに出来上がっていたのは・・・ほぼ予想通りでありながら

     ・・・・予想できていたとは言っても初めて見る心境を考えると
     中々に衝撃的な光景だった。





    <「っ・・・・・・・・/////」ゴソゴソ....>





    「(ほ・・・・本当にやってる....!;)」




     噂に聞く、男子の自慰行為という奴だ。
     


     いや、更なる噂話としては男子同士の間でも私達女子が
     割とそうしているように、同姓同士でも事に及ぶケースが
     あるという話だし・・・・


     そこの所、男子は女子と違って一度絶頂を迎えてしまえば
     大体の場合はそれで落ち着くって話だけど・・・・・それが
     事実だとすれば・・・・




    「(こうして一人で外まで来て一人で行ってるって事は・・
     あいつは誰か男子とそういう関係を持ってるって訳じゃないのか・・)」




     私にとってはアルミンがこうして一人で自分を鎮めに来る事よりも
     そっちの方が意外だった。あいつは・・・見ての通り顔も整ってて
     女顔だし、体型も声色も充分作ればソッチで通りそうだから・・・
     絶対引く手数多だと思ってた。



     ・・・・クリスタとの関係が周知のモノになるまでは・・・
     何とあのユミルですら『女子』の告白を受けた事があるらしいし。

     かくも同性愛というものは・・・こういう兵団の中ではありきたりだったりする。

  67. 67 : : 2015/11/26(木) 23:18:02






    「(しかし・・・・・//////)」





     距離にしてそこまで離れていない樹にもたれ掛かり、
     膝まで下げた下穿きと下着に束縛されたその姿勢にも
     最早慣れたような手つきで必至に腰の辺りで握り手を
     往復させるアルミン。


     そこまで力を入れていないように見えてその動きは
     思ってたよりもずっと早い。モノを直接よく見たことは
     ないけれど・・・馬などの“アレ”と同じような形だとすれば、
     きっとあの手の動きで“アレ”する所を想像して性感を
     高めていくんだろう・・・・、、、





    「//////(マジマジと見てるとこれは結構・・・・)」

     ゴクッ・・






     当然あてられて(▪▪▪▪▪)しまいそうになる。





     それはそうだ・・・。兵団の規則という壁があるから
     私達は仕方なく“同じ身体”にはしったり、一人で行ったりして
     持て余した性欲(それ)を解消してきたけど・・・・




     本来なら、目の前の“アレ”こそが・・・・

     

     今この私の身体が火照っている最大の理由にして、
     最も優先される位置に来る・・“原初的欲求”なんだから――――







    「(・・・・・ヤバい。)」






     その光景を見るまで、私の中にあった考えといえば


    『あいつがこれをする為に態々此処まで来るという事は・・・
     うまくこの情報を利用すればそこから本命の目的である
     “エレンのアレ”の入手に繋がるんじゃないか?』


     なんて位の事でしかなかったのが・・・・




    「(アルミンのアレ見てたら・・・ちょっと・・・いや、かなり・・・・・)」


     パチンッ!!!!



     ――危ない危ない。。


     私は自身の中に芽生え始めていた、生き物として至極真っ当な
     その本質的欲求を、瞬間的な痛覚で打ち払う。


     我ながら何をしているのだろうと思ってしまうけど・・・
     ソレくらい、今私にとって・・・。。


     “ミカサ”という存在は、その程度の単純な性的欲求に
     上書きされていい存在ではなくなっていたというだけの事。



     例え生き物として間違っていても・・・この気持ちを簡単に
     忘れたくなかったから。




     結構な音で頬を打ち据えた気がしたけど・・・
     まだアルミンは何かこちらの気配に気付いたような様子は無い。




    「(しっかし・・・本当に一心不乱だな.....)」



     見れば相当な汗を額から鼻先に掛けて滴らせたりしてるのに。

     
     纏わり付く汗すら気にしない程、全ての意識は此処ではない
     どこかに向いてしまっている。



     何ていうか・・・あれだよ。何か、気持ち良さそうで
     やっているというより長距離マラソンやスクワットみたいに・・・

     辿り着こうと目指すその場所に・・・とにかく必至に詰め寄ろうと
     してる感じがすごい。・・・・そんなに必至にならないと
     男子の場合は一人じゃ達する事ができないんだろうか。



  68. 68 : : 2015/11/26(木) 23:20:33





    <「,,,。。。。。。~~~」>




     
     「・・・・・!」





     ここで、何と今まで特に声らしい声も発していなかった
     アルミンが嗚咽のように微かな声を漏らすのを耳にする私。

     
     単なる呻き声や喘ぎ声ではないようで、それが何らかの
     言葉であると察することが出来た私は、思わず其方に全神経を
     傾けて聞き入ってしまう。





    <「....っぃ・・・・・ぁ・・・・・・・」>




    「~~~~~・・・・・・」





    <「っに・・・・・・,,,」>




     耳に掛かった髪を掻き分け、手で形作った集音板に
     その微かな声色を集め、更に耳を澄ませる....

     意外な事に、たったコレだけの事で結構小さな音まで
     拾えるようになる。一度試してみる価値はある。





    <「ァニッ・・・・・///」ハァハァ・・・>






    「   !!??   」Σビクッ





     ――私!?!?





     「(落ち着け・・・!まず落ち着くんだ・・!
      き・・・聞き間違えかも知れないじゃないか・・・?!

      もっと心を落ち着けて、・・・・・)」フーーッ・・・フーーッ・・・

      スッ・・・



     既に平静を保てたものじゃない程に高鳴る鼓動を抑えつけ・・・
     再びアルミンの一人仕事に注意を向ける,,,



     すると



    <「....ぁっ・・・ッカ・・・・・カサ・・・!!!!ミカッ・・・・」>





    「 ! ! ? ? 」





     今度はミカサって聞こえたんだけど!!?





     ―――どういう事なの・・・・・・





     どっちも聞き間違えだって事にしてしまえばそれでも
     いいけど・・・真相が分からないのは凄くモヤモヤする。


     ・・・・ここは覚悟を決めて行ってしまうべきだろうか。



     ・・・・?それもそうだ....!相手はあの(▪▪)アルミンなんだ。
     何をどう間違ったとしても・・・私が襲われて不覚を取るなんて事が
     ある訳無いんだし・・・・。直接聞いちゃえば良いんじゃないか・・・!



     やはり私も何だかんだいってそういう所は
     同期の女子と同じで・・・少し未知のそれに対して過剰な警戒心が
     産まれてしまっていたようだ。・・しかしそれさえ決心が
     ついてしまえば。――なんということも・・・・無い・・・!


     ザッ・・・ザッ・・・・・・



     私は先程までの木遁の構えをあっさりと解いて、
     必至に背を丸めて何かを磨き上げるような動きを繰り返す
     アルミンに歩み寄っていった。




    「ぁあっ・・・ぁっ・・・にィ・・・・・・!!!」ガクガクッ・・・!!





    「  やあ。  ・・・何か呼ばれた気がしたんだけど」




    「  っっ   」ガクンッ



     急に樹の横から語りかけた私の声に丸めていた背筋を
     ピンと伸ばし、まずは自分以外の人間の声がした事、
     ソレのみに対して全身での驚愕を露にするアルミン。


     ―それと同時に、声がした方向・・・つまり私が今居る
     アルミンから見て左手の方角に、反射的に首を捻って
     飛び退ろうとしたけど・・・よほど慌ててたんだろう。

     自分の両足が今どうなってるのか、アルミン程の
     情報把握能力を有する頭でも、そこまで理解が及ばない位だから。




     「・・・・・ッッッアニ!!!!???  ぅぁっ」ズルッ・・・



     ドシャッッ・・・・



     「うぁッ・・・・・!!!!!!///////」



     膝まで下げた下穿きと下着の拘束に足をとられ、
     全身のバランスを崩して捻るように横倒しになると・・・
     倒れて腰部を強く打った事による暴発なのか・・・

     それとも余程私との想定外な遭遇によって肝を冷やした為か、
     直後に全身を引き攣らせて小さな悲鳴を上げるアルミン。




     どうやらイッてしまったようだ。
     

  69. 69 : : 2015/11/26(木) 23:22:54






    「っ・・・・///  ッ・・・・!!!ゥぐッ・・・」

     パパッ・・・・・・ポトポト




     パタパタ、と、乾いた音を立てながらも
     結構な勢いを伴って、ごく少量のみ地べたに飛び出す
     アルミンの“ソレ”。




    「初めて見た・・・・・。こんな勢いあるんだ・・・。」



     当然“その”分泌物というか・・・排泄物というか・・・
     とにかく“ソレ”は・・・・直ぐに地面の土に吸い尽くされてしまい、
     本来白濁しているというその色味を確認するまでも無く、
     土中に消えていってしまう。しかし色と同時によく言われている
     その“臭い”だけは――――




    「(・・・・なるほど、コレはかなり。

     ・・・うん、一度嗅げばまず忘れない匂いだね。。)」スンッ・・

     


     私とアルミンが相対することになったこの場に、
     まだほのかに残っていた。





    「ッ・・・・ハァ・・・・はぁ・・・・・////はぁ・・・・・」ブルブル・・・




    「・・・・で、大変そうなところ悪いんだけど・・・質問があるんだ。いいかな。



     ・・・・ああ、その為に手拭持ってたんだね。

     いいよ、手、拭いてからで・・・・。終わるまで待ってるからさ」




     地べたに転がりながらも、朦朧とした目で絶頂の余韻に
     短絡的な排気を繰り返すアルミンに、私は出来るだけ
     平静を装って、そう促した。

     濡れ手拭は・・・きっとこのように、刺激に用いていた自らの
     手指に“汚れ”が付いてしまった時に拭き取る目的があって
     持って来たんだろう。そうだと理解した上で見ると準備が良い。




    「っ・・・??;・・・ぁ、う、うん・・・・?;」オタオタ・・・・

     ズズッ・・・ ジャリッ・・・



     全く現在の状況が掴めないことに対して
     混乱する頭を抱えながらも・・・やはり流石はアルミン。

     混乱に手元を支配される事もなく、白っぽい
     ベトベトなそれに(まみ)れた局部と、自身の右手とを・・・
     体勢を立て直してから順番に拭き取っていく。



     ・・・こいつは・・・・前々から思ってたけど、
     

     戦場とかにおいて、駒として動く分にはとことん危なっかしい
     兵士にしかならないだろうけど、

     しかしその半面、参謀や指揮官の補佐としてなら・・・
     かなり戦局を左右する司令塔になり得るんじゃないかと思う。




     それくらい頭の切り替えと、回転が速いヤツだ。



     こういう(ヤツ)は・・・嫌いじゃない。




     おっと、今は私の趣味とかそういうのはどうでも良いんだった。




    「っ・・・・・・・・・」ゴシゴシ・・・・



     私の視線を脇目で気にしながらもそこを念入りに拭くアルミン。

     私は私で・・・勿論アルミンのその、“男の部分”にも
     興味はあったわけだけど・・・

     生憎今本当に気になって仕方が無いのはそっちじゃない。



  70. 70 : : 2015/11/26(木) 23:25:17






    「・・・・・落ち着いたかな」





    「ぅ・・・・ウン・・・・まあ、何とか・・・・」
     ギンギン・・・・




    「・・・まだなんかスゴい事になってるみたいだけど。

     大丈夫・・・・?もう一回あんたがし終わる(▪▪▪▪)まで待ってようか・・・・?」



    「こっ・・・これは・・・大丈夫だよ!!! 緊張ッ・・してるだけだと思うから!」




    「・・・そうかい。なら良いんだけど・・・じゃあ、早速
     私が今一番気になってた事を・・・・聞いても良いかな」




    「・・・・何・・・だろう?・・・アニが気になることって・・・;;;」
     カタカタカタ・・・...・・・...



     
     やだ、ちょっとかわいい。




     ――っなんて考えてる場合か。




    「そんな怖がらないでよ。私はあんたに対してこれっぽっちも
     怒ったり不快に思ったりしてないから。

     ・・・・それは男子が発散しないといけない感情の一つなんだろ..?
     私がしたい質問って言うのは・・・まずソレそのものに対してじゃなくて」






    「・・・・;???、、」





    「なんか・・・気のせいでなければ私の名前を・・・あんた
     しきりに呼んでなかった・・・??正直に言って欲しいんだけど」





    「・・・・・・よ、呼んでました・・・・・」
     ガクガクガク・・・・




    「(・・・・やっぱり聞き間違いじゃなかった・・!)
     だから・・・・、なんでそんな縮こまってんのかな・・・・;

     それって、私があんたにとってそういう対象に入ってたって
     事なんでしょ・・?恋愛感情とかはともかく・・・あんたは私を
     ちゃんと“女”扱いしてくれてた訳だよね・・・・。。。何か間違ってる?」





    「間違って・・・ないけど・・・・/////」






    「・・・・なら、ありがとう。嬉しいよ。」





    「えッ・・・・・」





    「私も・・・本当、恋愛感情とかは別にして・・・

     ちょっと、何ていうか…疼いちゃったから。あんたがしてるの見てね。」




     一方的に恥ずかしい思いをさせるのも何だか悪い気がする。
     続いて聞きたい質問にすんなり答えて貰えるように・・・

     ここは少し私も自分の気持ちを素直に伝えといた方が
     良いと思った。多分だけど・・・こう言われて悪く思う(ヤツ)は居ないと思う。



     ・・・まあ、それだけで深い意味は無いんだけど。




    「ぁあ、;あの・・・うん、それは・・・なんて言うか・・・

     ・・・・・・ごめん・・・・」




    「・・・・(溜息)...あんたもアイツみたいな事言うの・・・;

     その、とにかく謝ろうっていう姿勢はあまりいただけないよ。
     そこだけは直した方がいい。あんたも男ならもっと
     しゃんとしなって」




    「・・・・;う、うん・・・(アイツ(▪▪▪)・・・?)」



  71. 71 : : 2015/11/26(木) 23:27:06






    「・・・・で、質問その2。」





    「っ?」





    「その直後に何故か・・・今度は“ミカサ”の名前も聞こえた
     気がするんだけど・・・これは気のせいじゃなかったと思うんだ。」






    「ッ・・・・・・」ギクッ




     咄嗟に突かれた不意打ちに・・・アルミンの表情が強張る。
     “何とか誤魔化せないか”・・・そんな色が漂ったように見えたのは
     一瞬の事で・・・・


     早くも、先の言質を取った私が、コレに関してだけは
     勘違いではすまないくらいしっかり聞き取ったとして

     言い逃れが出来ない様、釘を打ち付けてしまっているのを
     冷静に反芻すると。。。




    「・・・・うん、確かに・・・口走ってた・・・かも・・・;」




    「そんなに自分を追い詰める様な顔しないでよ。

     ・・・別に性欲を発散するのに一人しか想像しちゃいけないって
     縛りは無いでしょ・・・?その辺は別にあんたの勝手だと
     思ってるんだけど・・・・・・」




    「ぁっ・・・・??う、ウン!!そう、、、そうだよね!!」





    「・・・・でも、そこでそんな反応を見せるって事はあんたソレさ・・・


     何かある(▪▪)でしょ・・・・?理由とかがさ。」





    「     」




     
     そう。私の名前と・・・その直後にすかさずミカサの
     名前を口ずさんでいた事には・・・何か単純に意識を向けていただけ
     というのではなく・・・・きっと何か関連性がある筈だ。





     ・・・・少なくとも今、私の目の前で固まってるアルミンの
     墓穴を()っちまった顔は素直にそう物語っている。





    「・・・・・・・誰にも・・・言わないでくれる・・・・?」






    「・・・・あんたもね。私があんたがアレ(▪▪)してるの見てそういう気分に
     なったって黙っててくれれば私も黙ってるよ...(溜息)

     ・・・だから、手っ取り早く理由を話してくれないかな。
     私も・・・寝る時間は大事にしたいんだ」



     ――主に今も部屋で私を待っててくれるミカサ(あいつ)と寝る為の時間を。





    「っ――わ、分かったよ;/// 絶対だよ・・・・?
     一応僕、男子の中ではそこそこ口が堅いって事になってるんだ・・。

     もし他言したって事がばれたら流石のライナーにも軽蔑されちゃ..

    「・・・・・待って。。今ライナーっつった?」




    「いっ・・・・言った・・・ケド・・・・・;」オロオロ・・・





    「―-・・・ごめん、続けて?」







    「え、えっとね・・・夕方・・というよりついさっきの事だけど・・・

     、キミが訓練中にいきなり気を失ったってのが気がかりになって、
     ベルトルトとライナーが医務室に具合を見に行くって言って
     出かけたんだけど・・・何故か帰りにはライナー1人になってて..


     それで,,,,



  72. 72 : : 2015/11/26(木) 23:29:50






    ~~以下回想~~






    ・・

    ・・・

    ・・・・




    バタンッ!!!!!




    「ゼェッ・・・・ハァッ・・・・   ハヒッ・・・・!!!」ドサァッ




    「どッ・・・どうしたのさライナー―・・・・!!!?

     そんなに落ち着きを無くして・・・・・まだ教官にお叱りを受けるような
     時間にもなってないはずだろ・・・・・!!?」

     バタバタ・・





    「ちっ・・・・違うッ・・・・・・そうじゃ・・・・無くてだな・・・・

     アニにッ・・・・殺されっ・・・・ハァ・・・ ゲホッ」





    「ライナーがここまで怯えるってのは・・・・普通じゃねえな・・・
     ほら、水だ・・・まず落ち着けって。腹に力入れて・・・

     呼吸をまず整えようぜ」ホラ、オチツイテ、1,2、、、




    「ぁあ、わ、悪いなエレン・・・・。(ゴクゴクゴクッ・・・・)」






    ~数十秒後~




    「・・・・・はぁ・・・・、、有難うな。大分楽になった。漸く・・・
     自分の家に帰ってこれたって気分だ・・・・オレは・・・今生きてるんだな・・・」
     シミジミ・・・・





    「・・・・・一体何がキミをそこまで追い詰めたのか・・・もしよければ
     聞かせて欲しいんだけど・・・・・」ヒョコッ・・・





    「・・・・・・・・・・」ジッ・・・・





    「・・・・なんだよ・・・なんかオレの顔についてるか・・・?」
     サワサワ・・・・





    「・・・・スマン、エレンは・・・・ちょっと外して貰っていいか。
     万一って事もある。・・・というか、アルミンの方が
     こういった事情を聞く分には話が拗れなくて済みそうだ・・・」





    「ぁ・・?何だよソレ・・・・まあ・・・そういうことなら別に
     構わないけどよ・・・・難しい話なら・・・アルミンだけに任せるが」
     
     スゴスゴ...




    「・・・・物分りが早くて助かる。・・・是非そうしてくれ(脂汗)」





    「(・・・・一体何事さ・・・・?キミがそこまで何かに怯えてる様を
     僕は随分久しぶりに見る気がするんだけど・・・っていうか
     ベルトルトはどうしたの・・・・?(小声))」




    「(そいつは追って話す・・・。それより、まず・・・エレンを
     一先ずこの場から遠ざけた理由だが・・・単刀直入に言う。

     アルミン、お前に聞きたい質問の内容は・・・“ミカサ”についてだ(小声))」




    「(うん・・・・?ミカサが・・・・?(小声))」


  73. 73 : : 2015/11/26(木) 23:34:38




    「(最近良く見てないと判らない位なんだが・・・どうもあの“二人”・・・
     以前より距離が近づいたと思わないか・・・・?(小声))」





    「(二人・・・・?ごめん、二人ってミカサと・・・誰?(小声))」





    「(ミカサと・・・アニだ・・・!ホラ、同じ部屋でもある訳だしな(小声))」





    「(・・・・?そうかな・・・?そこまでは・・・流石に僕もちょっと。
     そもそも部屋が同じならそこまで表立って常にギスギス
     してるって訳にも行かないと思うけど(小声))」




    「(なら質問の内容を変えるが・・・・;ミカサ(あいつ)は・・・・!
     アルミン、お前の目から見て・・・エレン以外の人間に、好意とかを
     抱いてる場面を目にした事はあるか・・・・?(小声))」




    「(ちょっと・・・待ってくれないかな。質問には
     その答えでもって返すのがせめてもの礼儀だと・・・・頭で
     分かってはいるんだけど。・・・すまない、ライナー。

     僕は・・・どうしてもキミが、そんな事を質問する理由が気になって
     仕方が無いんだ・・・・・!:(小声))」




    「(・・・・そりゃそうだろうな・・・・!お前くらい頭の回転が速くて、
     先を読むことに長けてるヤツなら・・寧ろソレを先に言った方が
     話は早いかもしれないな・・・(小声))」ガタガタガタ・・・・





    「(キミはその怯えきった眼差しに・・・何を見てここまで
     必至に逃げ帰って来たって言うの・・・?;(小声))」ソワソワソワ・・・
     





    「(――いいか、落ち着いて聞けよ・・・!!嘘でも冗談でも、
     見間違いでもない・・・・!オレが目撃した直後、口封じに首を
     へし折られる寸前まで行きかけたんだ・・・アレはつまり
     その証拠でもある・・!(小声))」




    「(く、口封じ・・???;;それって・・・・・(小声))」





    「(アニだ・・・・・!!!アニとミカサのヤツが・・・その・・・・!;


     ベッドを揺らしてお盛んになってやがったんだ・・・・(戦慄)!!!


     俺は・・・・!!俺は何か見てはいけない悪魔降誕の儀式でも
     目撃しちまったって言うのか・・・・?!あの二人が本気を出せば
     まさか女同士でも身籠ったりなんて事が・・・・・!!!!(小声))」





    「(おッ・・・落ち着いてよライナーー!!!女同士では・・・いくらミカサが
     常識はずれな身体能力を有していても・・・そ、その、
     両性具有とかで無い限りは・・・・そんな事が起きる可能性は・・・(小声))」





    「(・・・だからお前に聞いたんだ・・・・!!なあ・・・!!!お前はあいつの
     幼馴染なんだよな・・・・!!まさかミカサ(あいつ)は・・・ミカサ(あいつ)は俗に言う・・・・

     両性具有(ふたなり)ってヤツじゃないのか・・・・・?!!!!(小声))」



  74. 74 : : 2015/11/26(木) 23:36:21


    「      」


     ・

     ・


    「(い・・・・いや・・・・あのさ・・・いくら幼馴染とはいっても・・・

     そんな、ミカサの局部を見た事なんてある訳無いじゃないか//

     ていうかそれ以前の問題だよライナー・・・・女子に通常
     ついてないはずのモノが着いてたりしたら・・・普通に考えて
     女子宿舎の中でも相当浮いた存在になるはず・・・・(小声))」ハタ・・・




    「(思い当たるフシが・・・無いわけじゃ無いだろう・・・・!最近どうだ・・!
     間違いなく・・・サシャも、ミーナも、挙句にはあのユミルや
     〔〔クリスタ〕〕までもが・・・・・!ミカサの周囲に集まって何やら
     和気藹々と語り合っている事が多くは感じないか・・・・?!(小声))」

     ゴゴゴゴゴ・・・・・




    「(ま・・・・まさかぁ・・・・;いくら腹筋が八つに分かれてるからって・・


     ・・スクワットを一日5万回してるって噂があるからって・・・。
     (※調整日など一日空く日には10万回)


     ・・・片手指立て伏せを壁の補助無くできるからって・・・・・・・


     ・・・・・・・・・・・・・(小声))」




    「(もしアイツが男としての側面もあり・・・尚且つ精力旺盛と噂される、
     伝説の“両刀使い”であると言うなら・・・・!あの超人的な体力にも
     薄々納得が行くだろ・・・・・!俺の体を、ほぼ手首のスナップだけで
     放り投げる事が出来るんだぞ・・・・!ヤツは・・・・・!(小声))」




    「(っちょっ・・・待とう!!一先ず冷静になろうライナー!

     そもそもキミが見た・・・その光景が本当に現実の物だったのか、
     その確認の方が先だ・・・・・!その場に一緒に居たベルトルトは
     そもそもどうしたの・・・?もしそれが本当だとするなら・・・!(小声))」




    「(ベルトルト(あいつ)は・・・その光景を部屋に入って
     目の当たりにした瞬間、気を失って卒倒した!!!!今頃・・・
     恐らく気絶前に見たことすら思い出せない制裁を受けている
     事だろう・・・・・!!!俺だって他人事じゃない・・・・!こうして
     無事逃げおおせてしまった以上・・・・本当にこの先・・・!!!(小声))」
     ガタガタブルブル・・・!



    「(だから落ち着いてよライナー・・!;まず・・・

     アニとミカサが重なってたっていうけど・・・キミは
     その光景をしっかりその目で・・・・??////(小声))」




    「(ああ・・・・!アニは・・・間違いなく下がすっぽんぽんで・・・
     何も履いちゃいなかった。その状態で躊躇いも無く
     連続してハイキックを振りかざしてきたんだぞ・・・・!
     一切の躊躇も無く・・・!首を狙ってだ・・・・・!!(小声))」




    「(何て・・・・何て羨ましいんだライナー・・・・!
     僕だったらそのまま蹴られて死んでもいいよ!!!
     その死の間際にアニの立派な御花が拝めるっていうなら・・!

     それでおめおめ生きて逃げ帰って来たって言うのに
     それ以上僕に何を自慢したいって言うの・・?(小声))」チィッ!!!

     ギリギリギリ・・・~!




    「(そんなキレかたされるとは思ってなかった!!!(小声))」




    「(挙句にはミカサがふたなりなんじゃないかなんて・・・
     キミがそんな人間だったなんて、僕も少し買い被りすぎてた
     みたいだ・・・・!(小声))」プンプン=3





    「(ま、待ってくれアルミン!!!こんな事を相談できるのは
     この部屋でもお前くらいしか―――(小声))」





    「ちょっと僕出てくるから――――!教官の巡回に被っちゃったら
     上手く誤魔化しておいて・・・・・!(フンスッ・・)」

     ガチャンッ・・・・・




    「・・・・・・お、おう・・・・・?」




    「あ、アルミン―――――ッ!!!」カムバック!!!!



     バッタン!!




    「・・・・・ライナー・・・・お前・・・一体あいつに何言ったんだ・・・?;」



    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





    ・・

    ・・・

    ・・・・
  75. 75 : : 2015/11/26(木) 23:39:00



    ~~以上・回想終わり~~









    「・・・・・・・まあ、色々言いたい事はあるんだけど」




    「包み隠さず事実を話したよ・・・・だからどうか命だけは・・・・!」
     ブルブルブル・・・・



    「あんたは見逃してあげる・・・けどライナー(ゴリラ)、、アイツはダメ。

     明日対人格闘で初っ端から砂にしてやらないと気が済まない」




    「・・・・お、お手柔らかにしてあげてね・・・・;」




    「・・・ていうかさ、そんなあいつのトチ狂った仮説に
     憤慨して部屋を飛び出したあんたが・・・どうしてここで
     私達(その二人)の名前を口ずさみながら必至にナニかしてた訳・・・?」




    「い、いや・・・僕も外の空気を吸いながら、
     頭に上った熱を冷まして・・・きつく言いすぎたかなって
     反省してたら・・・ライナーの言葉が何度も何度も頭の中を・・・//」
     モジモジ・・・




    「・・・それで、手拭を取りに戻ってまで態々ここまで
     自己処理しに来たって訳・・・・・(呆)」ゲンナリ・・・・




    「あ・・・あのさ、アニ・・・まさかとは思うけど・・・・
     その・・・ミカサって本当に・・・・本当に・・・・・???」ゴクッ・・・





    「・・・・・明日の重負傷者をもう一人増やしたいのかい・・?」
     ギロッ・・・・・




    「ひっ。。。。。。(タマヒュン)」
     




    「(ミカサが・・・・ねぇ・・・・・・....)」





                (「・・・・本当にそうだったらよかったのに」)
     ボソッ・・・・・




    「・・・・・え・・・・・?」





    「何・・・・?何か聞こえた・・・・?」
     キッ・・・



    「何も!!何も聞こえてないから!!!」
     ブンブンブン!!!



  76. 76 : : 2015/11/28(土) 02:00:27





     さて・・・聞きたい事も聞けたし、
     そろそろ私は自分の部屋に戻るとしようか・・・



    「っ・・・・・・」ピタッ・・・




    「・・・・・..///」



     ようやくその場から戻ろうかという私を見ながら
     未だ動こうとしないで何やらもぞもぞしているアルミン。




    「・・・・どうしたの?あんたも・・・戻らないの?」




    「あっ・・・その、僕はちょっと、、もう少し・・・,,,」
     モジモジ・・・



     驚いた。普通は一回とかで充分な筈だって
     聞いてるけど・・・さっき見せてたように、アルミンのソコは
     まだまだヤル気充分みたいだ






    「・・・・・・まだ・・・やってくの?」





    「うん・・・・まあね、、明日の講義中に悶々としても嫌だし//
     (それにアニとこんな話をする事が出来たんだから、
     普段滅多に無いこの経験を無駄にしたくないし・・・)」





    「・・・・そう・・・・か。正直者だね・・・あんた」




     ・・・そう聞いてしまうと少し・・・、少しではあるけどやっぱり・・・。


     早く部屋に帰りたいと煽っておきながらも今更な感じは
     あるけれど・・・・




    「・・・ねえ、それ・・・折角やるなら・・・もう一度私に良く見せてくれないかな・・・・?」






    「   え   」ビクッ





    「ああ・・、でもそうか。。さっきの様子だとあんた・・・
     出すまで結構時間も掛かるだろうし、辛そうだったから・・・
     別に無理してお願いしなくてもイイか・・・・」





    「みっ・・・・見ててくれるっ・・・んだったら、
     いつもより・・・・、、早くイけるかもしれない・・・!」





    「・・・・あんた、見られて興奮するタイプなの・・・・?
     (まあ、私達の女子部屋にもそういうタイプは居るけど・・)」




    「まあ・・・そう言ってしまえばそう・・・なのかな。

     ・・・でも、誰でもって訳じゃないと思うよ・・・・。こういうのは
     気の持ち様だからさ。いつもとシチュエーションが違う、
     って言うのが大事なんだ・・・多分///」




    「へえ・・・   なるほど。。」




    「うん・・・そんな感じ・・・」





    「・・・・・・」



    「・・・・・・」




    「じゃ、じゃあ、そのッ・・時間も勿体無いし、始めよう・・かな・・」
     ゴソゴソ・・・・




    「ああ、うん。やり易いようにやってよ。」


     ・・・と、そこまで促して・・・・やはりここまでしておきながら
     ただ見ているだけというのも何か気が引けた私は・・・・



  77. 77 : : 2015/11/28(土) 02:01:39


    「・・・・・よく考えてみたら・・・あんたにはさっきから
     根掘り葉掘り聞いてばかりだし・・・随分と気まずい所を、
     不意にとはいえ私に見られちゃってる訳だから・・・・

     これってあまり公平(イーブン)とは言えないよね・・・」
     グッ・・・ ズズッ・・





    「ん・・?・・・・・えっ・・・・う、うわっ!!!!!アニ!!?!?」




     その場でおもむろに下履きを脱ぎだした私に
     相当面食らったような顔をするアルミン。




    「いや・・・あのさ、私ばっかりあんたの見ちゃって悪いかなって。
     それに・・・さっきの話じゃあんた・・私のが見られたら死んでも
     未練無いとか、ライナー(あいつ)には面と向っていったそうじゃないか」
     


     ・・・まあ、それが本心から出た言葉かどうかは別として。



    「い、いいい、いった・・・・確かに言ったけどさ・・・・!///

     でもわざわざキミがそんな・・・・・!!!」




     何だろう、その反応は・・人が折角勇気を出して
     一肌脱いでやってるって言うのに






    「・・・・・・・・ヤなの?」ジロリ







    「 滅 相 も あ り ま せ ん !!!!」ガバッ!!!!



     ..ッ相もありません!

     
     ..ソウモアリマセン


         (・・・モアリマセン) 


     ・・

     ・



     屋外にこだまするアルミンの力強い叫び声。




    「・・・分かった・・・、うん///;そこまで正直な気持ちを
     ぶつけてくれるのは素直に嬉しいんだ、嬉しいんだけど・・・

     もうちょっと声抑えてくれないかな。。」キンキン...



    「(ゴ、ゴメンッ・・!(小声))」




    「(溜息)・・・・じゃあ、そうだね・・・私もあんたが見せてくれる
     お返しに、下着を脱いで見せてあげるくらいはするから・・
     それなら、いつもと違う感じがして少しは楽できそう・・?」
     ヌギヌギ・・





    「イヤ・・!それどころかさっきの時間の半分以下で2回は堅いね・・・・・・!」グッΣb




    「・・・・どんだけ...;」



     そんなこんなで・・・深夜の屋外、
     見晴らしもいいこんな場所で・・・私とアルミンの、
     実に奇妙な観察会(?)が行われようとしていた。

     こんな提案をしたら、流石に一見草食動物に見える
     アルミンでも目の前の私を襲いに来てしまうんじゃないかと・・・・
     言ってしまってから我ながら身構えていたけれど。




    「~~~~~/////」=3
     フンフン・・・・



     
     ・・・なんていうか・・拝めるだけで本当に充分イケるって顔だ・・・




  78. 78 : : 2015/11/28(土) 02:03:08




    「あ、あのね・・・そこまで興味津々に見てくれるのは
     悪い気しないんだけど・・・流石に私も恥ずかしいよ・・・;

     もっと距離空けてくれないかな,,,;」





    「ご・・・ごめん!!でもその・・・初めて見るものだからさ・・・!」
     マジマジマジ・・・・
     


     すっごい集中力だ・・・・まるで今見ているモノを
     絶対に忘れない様に・・・その両目に、そして脳裏に
     焼き付けようとするかのような・・・・



    「あの・・・・そろそろ・・・・いいかな?;」




    「ぁ、ああ!!ウン!!す、すぐだと思うけど・・・・それじゃ・・・
     始めようかな・・・・・!」ゴソッ・・・




     そう言うと既に露出していたその部分を
     やおら掴みに掛かるアルミン。目がマジだ・・・・・。。


     ・・・・よく言えば紳士的にも・・・・ここまでの事をして
     私に手を出さないでいてくれるのは有難いんだけど・・・





    「アルミン・・・・さ、もしも・・・・」




    「////・・・っ・・・ぁ・・・??ん?何・・・?」





    「ここがこんな表じゃなくって、私がしよう(▪▪▪)っていったら・・・
     あんただったら相手になってくれる・・・・・?」




    「・・・・?何・・?えっと・・・・見せあいっこって事・・?
     アニも僕に何か・・・そういう所を・・・?////」




    「違うよ.....!そうじゃなくってだね、あの・・・・ほら、」




    「?」




    「本番・・・って言えばいいの?そういう・・・アレ。。」




    「・・・・・」




    「それって・・・・・それって・・・・・!!!??」ガクガクガク・・・・!!!





    「・・・いや、もしもの話ね。」




    「それは勿論・・・大歓迎というか、寧ろ僕なんかがアニの・・
     その・・・なんかそんな所を想像する事すら難しいけど・・・

     ともかく僕に断る理由なんて無いよ。勿論経験も無いしね・・・。


     けど・・・アニ?」



    「なに?」



    「失礼な意味で聞きたい訳じゃないんだけど・・・キミも・・・その・・・
     “それ”に関しては経験とかは無いんだよね」




    「そうだね。・・・あんたの思ってる通り。

     だから・・・“ソレ”が痛いことなのかどうかとか・・、
     直ぐに気持ちよくなるのかどうかとか・・・そういうのが
     結構気になって仕方ないってのはあるよ・・・・だから・・・」




    「・・・・やっぱりね・・・、それで僕にそんな事を聞いたんだろ?」




     流石だ。その辺の男子ならこんな話の持ち掛け方をすれば
     後先考えずに私を押し倒しに来て次の瞬間には・・・・

     たった二つしかないそいつの人生至上心臓の次位には
     大事な宝物を踏み潰される事になるのは必至だろうに・・・・



     ソコをこいつは、今にも一人で処理を始めようというくらいに
     ヒートアップした頭に自分を振り回される事も無く、
     ここまで看破してみせる。



  79. 79 : : 2015/11/28(土) 02:05:14



    「・・・ごめんね、変に期待なり、誤解を招いちゃったりしたなら」




    「ぅうん。大丈夫さ。。考えてみれば・・・“あの”アニが僕なんかに
     そんな風に性交渉を持ちかけてくれるなんて・・・・何か裏にそういった
     理由がなければおかしいと考えちゃうからさ。」クスクスッ




     ・・・・それは・・・・




    「・・・なら・・・“僕なんか”でそんな大事な初めてを棄てるべきじゃない。
     キミ位に素敵な人なら・・・もっと理想的な相手を探そうと思えば
     幾らだって・・・」




    「・・・・それは少し心外だね・・・・。・・・・・・・・あのね、アルミン。」




    「・・うん?」



    「私はね・・・あんただったら良いと思ってる。

     割と・・・悪くないってね。・・・恋愛感情とかがあるかどうかって
     さっき言ったのは・・・、あくまで“今は”ってだけの事だよ。」




    「・・・・エ・・?いやあの・・・なんかキミの言ってる事が難しくて
     段々分からなくなってきたんだけど・・・」




    「今は・・・あんたより“気になっちゃってる人”が・・・私には
     居るんだ・・・。ただそれだけの事。。」



     ―アレ・・・私・・・なんでこんな事言ってるんだろう。。 





    「それって・・・・」




    「まあきっと、あんたが考えてる通り。

     一々言わなくてもいいけどね・・・・。普通じゃ・・・無いと思うし」





    「・・・・・・・・・・・」




    「本当・・・私・・・何なんだろうね・・・・、、最近・・・
     何かおかしいんだ・・・・  ゴメン。。。

     やっぱもうヤメにしよう。生殺しにしちゃったなら
     謝ろうかと思ったけど・・・ほら、今話してる間にあんたも
     すっかり萎んじゃってるみたいだし・・・。


     今日はコレで御開きにしよう・・?」スルスル・・ッ,,




    「おかしい事なんて・・・無いんじゃないかな・・。」






    「・・・・何て言った?」





    「キミが言うその・・・“その人”に向ける気持ちって言うのは・・
     別におかしい物なんかじゃないと思う。」





    「どうしてそう言い切れるのかな。私はそいつの名前も
     まだ教えてないって言うのに」




    「・・・簡単な事さ。今の君の“目”は・・・僕が良く知っている昔の
     “その人”と殆ど変わらない色をしてたからね」





    「・・・・うそ。」





    「・・・ホントさ。」





    「・・・・・・そういう『うそ』じゃない。
     本当に・・・“ミカサ”が・・・・・・?私と?」





    「やっぱりミカサか・・・・w//;」




     ――やられた。・・いや、今のは私が迂闊だったか。

     まあ別に隠してるつもりもないし、この“アルミン”相手では
     そんな事をしても意味が無い。そもそも分かった上で
     こういう話を持ちかけているんだし・・私もね。




  80. 80 : : 2015/11/28(土) 02:09:50





    「じゃあやっぱりライナーが見たって言うのは・・・」ソワソワ・・・



    「・・・・信じる信じないはあんたの勝手だけど・・・まあ、
     否定はしないよ・・・。出来れば他の男子には言わないで貰えると
     助かるけどね。」



     男子にまでこんな事を真面目に話してしまう程・・・
     私は今、こんなにアイツを想ってしまっている。これはもう
     充分病気と言ってしまっていいだろう。



     もう・・それでも私は構わない。




    「・・・・ううん・・、ここでお開きにすることに関しては・・・
     僕も時間的に賛成なんだけど。。。ミカサに関しての話は
     正直君にもっと聞きたいことが色々あるんだよね・・・」




    「・・・・そうかい。・・・私もあいつの事・・・
     昔から知ってるあんたなら色々聞けるかなって思ったけど・・・
     そうだね。時間が時間だ。」





    「・・・もし良かったらさ。次の調整日でも・・・ゆっくり会って
     話がしたいなぁ。・・・ああ、勿論、ミカサが一緒でも僕はいいけど」




    「・・どうだろうね。私もそういうのは嫌いじゃないけど・・・
     あいつは筋トレの方を取るんじゃないかな。」



    「・・・・アニ、僕は・・・ライナーに言われるまでキミと
     ミカサの関係について・・・ピンポイントで気が付く事こそできなかったけど」




    「・・・・・?」




    「最近のミカサが・・・何かいつもと違う事くらいには流石に気が付いてた。
     それも全て・・・・キミとの間に何かがあったからだと考えれば
     納得できる。最近のミカサは・・・やっぱりこれまでと何か違うと思ってたよ」




    「何か・・・適当に言ってないかな。」




    「適当じゃないよ。割とマジメにね。」




    「そう・・・?まあ別にどうでもいいけど...」スクッ・・・




    「そうそう・・・。ミカサだけど・・・アレで結構彼女も寂しがり屋だから。
     一緒に寝てあげたりすれば結構まんざらでもないかも・・・」



    「もう何度か一緒に寝てるよ」



    「っ・・・・(Oh///)」



    「・・・意外だった・・・?」




    「い、意外と意外だった・・・・!」
     (;゚Д゚)




    「それっておかしくないかな、言葉の使い方。」



    「・・・僕の驚きを現す上では・・そんなのは瑣末な問題だよ・・」





    「・・・まあいいや・・・それじゃあ・・・悪かったね、
     余計に引き留めちゃった上にその上中途半端にやりかけで
     手を止めさせちゃって。

     ・・・・明日は対人格闘から・・・座学か・・・・。

     ・・・ソレ。疲れるんでしょ?あんまりやりすぎると。」




    「・・・うん。というより体力的な消耗を気にする人は
     そもそも自己処理そのものを限界ギリギリまでしないように
     期間を空けたりするよ。・・・・エレンとか特にね。」




     ・・・・。それはサラッとだけど・・・大分重要な情報を聞けたな・・・


  81. 81 : : 2015/11/28(土) 02:12:24



    「・・・そんなに疲れるんだ??」



    「う~ん・・・疲れる・・って言っちゃって良いのかな。
     何て言うのか、身体が次の日少し重く感じるんだ」



    「・・・・そう。・・・それで・・・その・・・・例えば今あんたが言った様な・・
     “エレン”くらい?少ないヤツの場合は・・・どれくらいの頻度で
     こうして外まで出てきて処理したりするのかな」



     流石に私の目的を説明した上で・・・アルミンにその頻度を
     仔細に確認する訳にも行かない。ここは勤めて平静に
     聞きに行かないとね・・・



    「・・・・どれくらいだろう・・ちょっと正確には分からないんだ。

     大体皆・・・自分以外の全員が部屋で寝てる時を見計らって
     コッソリ出て行くものだからね」




    「・・・・・・そうかい・・・、、」




    「(何だろう・・・アニ、少しガッカリしてる・・・のかな)
     そうだね、でもエレン本人の談ではね、我慢が効く効かないに
     関わらず・・・3週間以上は放置できないって言ってたから・・・
     いくら少なくても月一回は必ずする必要があるって事になるかな。

     それを無視しちゃうと寝てる間に勝手に出てしまうから
     シーツの洗濯が大変になっちゃうし。」




     一月に・・・一回。。 それじゃあまりにも待ち伏せするには
     現実的な回数じゃないな・・・・・




    「・・・・因みにあんたはどれ位の頻度でこうして表に・・」




    「・・・・////」モジモジ・・・




    「・・・今更そんな恥ずかしがる必要とかってあるのかな」




    「・・・・に、二回目・・・・です・・・・;」ダラダラ・・・






    「その恥ずかしがり様じゃ・・・あんたまさか、エレンが
     一月一回のところに来て“週2回”も・・・・?;」
     ぅゎァ・・・



    「イェ.....;本日・・・二回目で・・・・↓↓」




    「・・・・・・マジで言ってんの・・・・?」スザッ



     ヤバい、ちょっと引いちゃった

  82. 82 : : 2015/11/28(土) 02:13:37




    「ゴメン!!引かないで!!!!・・・でもホラ!!それはあの・・・!

     今日はライナーとそんな話をしちゃったから
     こんな風に第2ラウンドに赴いちゃっただけで・・・

     いつもなら精々一日一回だから・・・・!・・・ね!!?」
     
     オタオタ・・・



    「寧ろ毎日やってるんだね・・・・」
     ォオ、コワイコワイ・・・・ (ヒュッ・・ヒュッ・・・)




    「どんどん引いてくの傷つくな!!!!(涙)」





    「冗談だよ。生理的な物なんだからそんな気にする事無いんじゃない。


     ・・・・・・私だってたまにそういう気分になる時は有るし、
     誰とは言わないけど・・女子にだってそういう奴は居るよ」





    「そ、そう・・・・お気遣い有難う。。」





    「ゴメンゴメン。そんな気にしないでよ。・・・助かった。
     色々男子相手に聞きづらい事を教えてくれて。

     
     ・・・・・・ありがと。アルミン?」ニチッ...



     ・・・・そう言って軽い会釈をして、せめて殆ど見せない
     笑顔を見せて場の空気を和ませてやろうと・・・

     そう思って笑顔を見せた積もりが




    「ッ!!!!」ビクッ



    「なんでそんな驚くの?!」



    「(しッ・・・心臓が止まるかと思った)
     い、いや・・・アニの笑顔なんて珍しいから・・・
     つい驚いちゃったって言うか・・・;」

     アハ、アハハハ・・・




     ・・・・今のだって特別意識してみた作り笑いって訳ではないけど・・・


     考えてみればそうだ・・・私って・・・心から面白いと思って・・・
     いや、楽しい、でもいいか。つまりそんな感情を抱いて
     大笑いした事って・・・思い出せる記憶の範囲の中であったかな・・・・



     ・・・・駄目だ。そういうのは・・・私自身ではまず思い出せる気がしない。


     
     私に限った事じゃない。こいつらだって・・・・



     こんなご時世で、こんな世界だから。


     皆・・・・そもそも心から笑えるような心境に立たされる事も無いだろう。




    「じゃあ・・・夜遅くまで・・・・悪かったね。
     明日は朝から対人格闘だけど、頑張ってね。

     ゴリラには覚悟しとけって言っといて・・・・・(首ポキ)」
     
     クイッ..クキッ。。




    「(やり慣れてないのか小さい音しかしないのが何かカワイイな)
     ぅ、うん・・・分かったよ・・・出来る限り腰を低くして謝る様に
     言っておくからさ・・・アニも出来るだけ早めに怒りを鎮めてくれないかな;」





    「・・・・さぁね。それはその時の気分次第かな」
     ザッ・・ザッ・・・・・





    「~~~~、、;」




  83. 83 : : 2015/11/30(月) 23:46:45





                  ~数分後~




              ―女子訓練兵宿舎・ミカサ部屋―




    ガチャ・・・





    「おかえり・・・・アニ。随分と遅かったようだが(正座)」





    「・・・・・・・あんた、ずっと寝ないで待ってたの・・・?;」





    「アニとは添い寝の約束をしている。それにユミルの後始末に関しては
     一応私があなたに任せた形になっている。それなのにアニが
     帰ってくるのを待たずに一人で寝てしまうのは・・・とても失礼だ」




    「・・・・それは・・・悪い事しちゃったね・・・、いや、幾らなんだって
     ユミル置いてくるだけにしては遅すぎると思わなかった・・?

     別にそんなの気にせず寝ちゃって良かったのに。」




    「・・・そういうわけにも行かない。・・それに待つこと自体、
     私にとって何の苦痛でもない。・・僅かな空き時間は全て
     トレーニングに活用される....ので。」




     ランプが消えているので目で見ただけではよく分からないけど、
     喋ってる声を良く聞いてみれば少しミカサの息が
     上がっている様にも聞き取れる。




    「・・・それに、もう少し遅くなる様なら・・私自らアニを探しに
     出るつもりだった。」






    「・・・・・そこまですることないでしょ・・・あんたが」





     空き時間でどの程度の運動を行ったのか定かじゃないけど、
     すっかり体に取り込まれた異物(おさけ)は飛んでしまった様だ。





    「・・・しかしその必要も無くなった。

     さあ、時間も勿体無い、、ので、早く寝てしまおう。」

     ギッ・・・・




    「・・・・・ん。」




     そう言うと自分のベッドから私のベッドへとその身を移すミカサ。
     私も促されるままに床に着く。






     ・・――触れ合えるほどの距離まで近寄れば直ぐに感じ取れる
     ミカサのその体温。挙動の度に漏れる吐息は随分と熱っぽい。



    「すまない。あまり汗をかかない様にペースは落として行った
     積りだが・・・気になる・・?」



    「・・・・ううん。全然気にならないから・・・平気だよ。」



     何より・・・・・




    「寧ろ暖かくていい。」




    「・・・・そう。」




     そういえば・・・サシャほど獣じみたレベルではないけれど
     ミカサに関しても聴覚、嗅覚、視覚に関しては・・・かなり
     鋭いものを持ってた筈だ。


     
    「(アルミンの匂いとか・・・普通にバレないかな・・・こんなくっついて)」




     一抹の不安が脳裏を過ぎるが・・・




    「(いや・・・考えすぎか。そもそもよく考えてみれば
     別に悪い事をした訳でもないんだ。
     
     男女の一線を超えちゃった訳でもないし・・、もし何だったら
     アルミン本人に確認を取って貰っても構わないんだし)」




     それは流石に考え過ぎだろうと思った。


  84. 84 : : 2015/11/30(月) 23:48:23






    「・・・・こんなに遅くなっちゃったのに・・・聞かないの・・?

     何かあったのかとか・・・・」ススッ・・・



     何も口にせずそうするのはまだ何か気恥ずかしいので、
     当たり障りの無い会話を持ちかけながらその身を寄せに行く。





    「・・・聞かない。誰だって・・・“何かある”から。

     自分から話すのでなければ、聞かれたくない事だってあるはず。」

     ギュッ・・・



    「。。。//」





     そう返しながら私の体を・・細く、しなやかで、
     それでいて逞しいという、言葉で表現する際にはなんとも
     不思議で矛盾のある質感をしているその腕で包み込んでくれるミカサ。





    「・・あんたの口からそんな言葉が出てくるなんて・・・少し意外だ」




     あったかい・・・・。



     ぁあ。とてもあたたかい。



     単純に運動直後でミカサの体温が上がっていたからというのも
     理由の一つとしては大きい。しかしこれは・・・・



    「(それだけじゃ・・・ないかな。)」



     抱きしめてくれるその腕からも、
     

     語りかけてくれるその言葉からも。


     以前より距離を感じない。・・・いや、距離という感覚よりは寧ろ。。



     ―――――“体温を感じる”




    「っ――...///」ググッ・・・



     そんな事を考えていたら・・私は無意識の内に抱き締めている
     ミカサの首元に顔を埋めていた。

     ・・・続いてやはり無意識の内に、触れた唇から感じた
     脈動に舌を這わせる私。


     ツツー・・・


    「ッ。。」ビクッ



     場所が場所なので、当然急に与えられた刺激に
     肩を跳ねさせるミカサ。




    「アニ・・・・、、したい(▪▪▪)の?」




     あくまで、拒絶の色は一切見せず、
     疑問の色だけを強く見せてそう聞いて来る。




    「・・・・なんというか・・軽く。これ以上汗を
     かく様な感じでしたい訳じゃ・・・ないけど。 ・・・・ダメかい・・・?」




     いきなりなんでこんな気分になったのかは・・・まあ、
     そんなに深い意味は無いんだと思う。


     けどこれは確かに感じた感覚として・・・身を寄せた時より
     ミカサの呼吸とその脈動が、間違いなく高まるのを感じられたから。


     そう言う意味でも私は今こうしてミカサに求める自らを
     抑え切れなかったんだろう。



  85. 85 : : 2015/11/30(月) 23:50:20





    「・・・・・・構わない。私が気にしていたのは・・・

     先程ユミルとああした事があった上に、適度に身体を動かした事で
     汗をかいてしまっているから・・・折角水を浴びたあなたには
     悪いと思ってしまっていた。それだけの事」





    「・・・まあ、私があんたに少し戯れつきたいだけだから。
     あまり気を遣わなくていいよ。じっとしたまま何もしないでいい」



     そう。今の私は・・・ミカサとのそういった応酬を期待して
     こうしている訳じゃない。私は・・・ミカサを単に感じたくて
     こうしているだけ。



     ――頚動脈まで波及するその鼓動を。


     ―――首筋(くびすじ)にじっとりと滲んでくるその微かな塩分を。


     ――――私の舌先に神経を撫でられる度に肩と共に蠢くその鎖骨を。


     ―――――そういった彼女(ミカサ)の全てを・・・できるだけ近くでこうして感じる為に。



    「・・・・いい。私も・・・少しあなたのその気持ちに・・・昂揚に応じよう。

     理由は上手く説明できないが・・・少し私も落ち着かなかった。
     アニ・・・あなたから・・・・」




    「・・・・・?」






    「いつもなら感じない、不思議な感じがした。」





    「・・・・いつもなら感じないって・・・具体的にどんな感じ・・・?」




     これは少し気になる。まさか・・・・




    「言ったとおりだ。・・上手くは説明出来ない。

     ・・・・ただ・・・。」





    「・・・・・ただ・・・何?」ツツ.....






    「ッ...///;・・・・アニ・・・・、あなたに抱く感情としては
     これは全く場違いな感情であるというのに・・・・・

     とても身体の芯から滾ってくる“この気持ち”が抑えきれなかった。」



     私の舌に喉元を這い回られる感覚に声を震わせながらも
     熱っぽい声を絞ってくれるミカサ。


     本人にそんな狙いは勿論無いんだろうけど・・・
     普段周囲に見せようとすらしない揺らぎに、私の平常心は
     いとも簡単に崩れ去る。少し前まで辛うじて残っていた
     冷静な思考も・・・今この瞬間に少しずつそんな熱気に
     支配されていくのが分かる。

     
     軽い愛撫で抑えきれるかどうか・・・自分で言っておきながら
     自信が無くなって来た。・・・・寝る時間がどうとか・・・
     
     考える頭も、既にこの場に持ち込む余地なんて無い。



    「・・・・ユミルとの先程のやりとりが相当堪えたのか、、
     あなたとこうして身体を寄せ合った途端に・・・・

     あなたからとても“同姓同士で抱く筈の無い”感情を感じた」




    「・・・・前もそんな事言ってたね・・・あんた。そういえば..

     何だったっけ・・・、“私が男だったら”・・・だっけ?何かそんな事を・・・」




    「・・・その感覚。あなたと行う事が出来ないはずの・・・
     交わりを行いたい欲求が、湧き上がってしまった。」




    「・・・・それって」




    「・・・・・。私も相当どうかしているんだと思う・・・・

     あなたから・・・本当に微かにだが・・男子からしか感じる筈の無い
     匂いを感じてしまった。まだ酔いが・・・抜けていないみたいだ」




     ――私の中の“心の留め具”が外れ落ちた。



  86. 86 : : 2015/11/30(月) 23:52:35






    「・・・・案外・・・それって勘違いでも何でもないかもしれないよ」





    「・・・・?アニ・・?」




     閃いてはいけない類の天啓と共に。
     この状況を最大限活かして・・・ミカサを揺さぶりに行く、
     その為だけに。




    「・・それに酒の酔いも・・・ユミルとのあれこれも・・・関係ないよ」




     凄い嗅覚だな・・・。私が直接“ソレ”に触れたわけでもないし
     身体の一部に浴びたりした訳でもないのに。


     それもあれだけ強い薬臭のする酒を飲まされた後で。


     でも・・・流石に・・・そこまでわかったとしても・・・
     




    「私・・・見ちゃったんだ。表で」ズイッ・・・




    「・・・・見た・・・?何を、、、」



     詰め寄る私の顔に只ならぬ何かを感じ取り、
     少し気後れした様子を見せるミカサの表情。。ではなく吐息。

     これだけ部屋が暗いと・・やはりどれだけ肉薄していても
     その表情すら読み取れはしない。

     
     そんな(とばり)に包まれたような闇の中で・・・





    「あんたの・・・大事な人(▪▪▪▪)が、自分で自分を慰めているところをさ」




    「  っッッ―――――  」



     その一言を囁いた。



     私の一言に・・・その背筋に一筋の稲妻を落とされたかのように
     全身を緊張させるミカサ。――これだけ身を寄せていても
     その表情が見て取れないというのはとても残念な事だけど・・・


     見えないなら、肌で、舌先で感じにいけばいい。


     少し身を寄せればそこには――――、、、



    「んっ・・・・・/// ヌチュ・・・」



     こうして熱に震えるミカサの唇が確かにあるのだから。



    「ンフッ・・・・  プハッ・・・ 」



     触れた瞬間に確信する。未だ私の言葉の真偽に確信を
     持てないで居る様子ではあるけど・・・


     自分が感じた“ソレ”の匂いに関しては勘違いでも
     何でもないと私の言葉から理解できたからなのか・・

     ミカサは未だ何も口に出せずに私の舌に
     押し寄せられるままになっている。



    「・・・・・・・ッ・・」



    「・・・・・まあ、見ちゃったってだけなんだけど。
     私に“その匂い”が付いてたのも・・きっと近くで
     確認したからってだけの事だと思う。

     ・・だから安心してよ。別に私が“アイツ”に何かした訳じゃないし・・・

     何だったら確認してくれてもいい。私がこれをダシにして
     何かしようって訳でもない。」



    「・・・・・////,,,,」



     まだ何も言葉を発する事ができずに俯くミカサ。

     折角大人しくされるがままのミカサを弄ぶことができる
     貴重な機会でもあるから・・・・指先をその腹筋や、胸元の膨らみに
     沈み込ませてみる。




    「・・・・アニ・・・。あなたの言っていることはウソだ....///」ピクッ



     ペロッ・・・



    「ッ!!!!」



     背筋が凍えるようなこの感覚。


     とうとう反撃の狼煙とばかりに私の首を舐め返してくるミカサ。


     ・・・・まさか本当に汗の味から対話相手のウソを見抜く術でも
     身に着けているんじゃ・・・・。。それともこれほど微かな
     残り香でありながら、、ソレの製造元が“自身の最愛の人”ではないと
     見抜けるほどの・・・ハイイロオオカミ並みの嗅覚を持っているのか。




  87. 87 : : 2015/11/30(月) 23:54:29





    「・・・・“エレン”の処理頻度で言えば・・・今晩行うのは
     時期が尚早だ。本来なら・・来週くらいにならなければ
     エレンは一人で行う事は・・・・ない・・・・はず....!」



     別の意味で驚いた・・・・;

     

    「(エレンのそういった・・女子風に言えば“周期”まで
     把握してるのか・・・。ミカサ(こいつ)は・・・・。)
     あんた、そんな事までお見通しなの・・・・;」




    「エレンの事なら・・・・何だって知っている・・・・!

     私は・・・・“それだけなら”この世の誰にだって負けない。」ムゥ・・・!



     ・・・・成る程、しかし安心した。別に残り香だけでも
     エレンか、そうでないかの判別がつくって訳じゃないんだな。
     ・・・まあ、当たり前だ。そこまで行ったらホンモノの変態だと思う。


     それなら・・・・・



    「・・・でも残念。あんたが何て言おうと・・・これは事実。

     おまけにあんたの大事なそいつ(▪▪▪)は・・・何を想像して
     立派におっ立たせていたそいつを扱いてたと思う・・・・?」




    「何っ・・・アニ、あなたは何を・・・・」
     ドキドキドキドキ・・・



     よし・・・、イイ感じ。“このミカサは”・・・
     
     もう“完全にエレンのスイッチ”が入ってしまった状態のミカサだ。

     辛うじて言葉を搾り出してはいるけど・・・脈はスゴい事になっている。
     互い合わせた胸からは・・・最も皮下脂肪の集中した箇所同士で
     心臓が隔てられている状態でありながら、狂ってしまった様な
     リズムで踊る臓腑の躍動を感じる。
     




    ()と・・・・・・ミカサ(あんた)だよ・・・・・」




    「・・・・・・・・ウソだ・・・・・・!!!!//だって、あなたは
     ・・・あなたは見ただけだと言っていた・・・・・!

     あなたの証言には矛盾がある・・・・!見ただけなのになんで
     そんな事まであなたが・・・・!!」ハァ・・ ハァ・・・・ !!



     この征服感、堪んないね・・・・。。口上では辛うじて私の
     言葉に喰らい付いて意見してくるミカサだけど・・・

     自分でももう気が付けないんだろう。

     完全に・・・私の口にする言葉を全て自分の頭の中で妄想して
     昂ってしまっている自分に。


     
     ―――そもそも思い違いをして貰っては困るけど・・・




    「ウソなんかじゃないよ。口ずさむ声まで聞こえたんだ・・・
     場所もしっかり覚えてるし、出したモノだって部屋に
     処理の痕跡を残したくないから態々表で打ちっぱなしに
     してたんだ。。 ・・・雨が降ったりしてないなら・・・
     
     まだ地面にその跡が残ってるかも。。今から見に行くかい・・・?」
     ボソッ・・・・



     ――私はミカサの大事な人(▪▪▪▪)とだけしか言ってない。
     ミカサにとって家族同様に大事な人間と言うのは・・・エレン一人ではなく、
     その中に、同様の肩書きで間違いなく“アルミン”だって含まれている。


     ・・・故に私は何の気後れも無くこうして勘違いするミカサを
     揺さぶりにいく事が出来る。




    「ッっっ・・・・・・ンッッ!!!」ゾグッ・・・・・!!!!




    「・・・あんたのその鼻の良さなら・・・・私の言う事がウソじゃないって
     直ぐ分かるんじゃないかな・・・・?」

     ススッ...


     
     ここで先程ユミルが発見したその部分(じゃくてん)に触れに行く。
     私がした事は包帯の表面を擦る、ただそれだけの事なんだけど。

     ・・これは凄い・・・。何か、反応が大きすぎて流石に直接触れるのは
     悪い気さえする。・・・・この反応は・・・何か大きな傷でも隠す為に
     巻いている包帯なのかもしれない。

     
     一度負って癒えたように見える傷でも、
     特に一生消えない傷跡の残る傷と言うのは・・

     度々何かの拍子にじくじくと痛んだり、何故か分からないが
     雨が降る日などには疼く事があるらしい。

     天候と何の因果関係があるのかは定かじゃないけど。


  88. 88 : : 2015/11/30(月) 23:57:45





    「・・・・・っ・・・・ッ・・・・・・」




     その息遣いは・・・それでもまだ、
     自分の中にある“エレン像”を覆されたくないミカサの意地を
     分かり易い程に露骨に表していた。無言で駄々をこねる
     子供のようなそのいじらしい反骨心。



    「(もっと・・・///、もっとその息遣いを・・・)」ゾクゾク・・・・



     背筋が・・・踊る。


     思い通りに鳴いてくれないからこそ・・・、
     半分疑わざるを得ないその迷いが・・・・とてもいじらしい。


     ミカサ(こいつ)は・・・・そういう女子だ。


     エレンの事なら何でも知っていると嘯くコイツは.....


     ・・・しかし、エレンの事をどこまでも妄信的に信じて疑わない。

     ・・・それを“エレン以外の誰か”に覆されそうになるとあっては尚更に。




    「・・・・ねえ、まだあんた・・・私の言葉を信じきってくれては
     居ないみたいだけど・・・・嬉しく感じてくれたりは・・・しないの?」




    「・・・・・・・どういう・・事・・・・?・・ッ」



     微かに食いしばる歯軋りの音と首の強張りが同時に感じられる。
     肌を通じて感じられるそれら全てが・・・
     今のミカサの心中を全て教えてくれる。



    あいつ(▪▪▪)は・・・・私とあんたを想像しながら・・・
     一人でシてたんだよ・・・?それって・・・女としては凄く
     鼻が高い事じゃないか。」




    「・・・・・分からない。 あなたの言いたい事は・・・...!」




    「分からない...かなァ....? だって、嬉しい事じゃないか・・・

     本人が見てるわけでも、まして想いが伝わる訳でもないのに
     “あいつとそういう関係になれたらいいのに”って想像して
     一人で頑張ってくれてたんだよ・・・・?

     あんたにも見せてやりたかったよ・・・・・・////」

     ピチャッ・・・ヌチュ・・・



    「ゥッ・・・・ンフッ・・・・・;」



     会話の最中でも互いの熱気を冷ます暇さえ
     与えぬように絡みつかせに行く舌先・・・そして双唇。




    「“アイツ”が必死にそこまで登り詰めようと頑張る顔を・・・・」
     

    「ぁニッ・・・・もう、ちょっと、少しそこで止めっ・・・」ハァ・・・///


     おっと、とうとう待ったが入った。
     これはつまり・・・・



    「・・・・何で?」




    「何で・・・と言われても。。///とにかく、少し・・・その・・・!;」



     つまりもう自分の意識の上ではエレンに対する確固とした
     イメージを保ち続ける自信が無いという一種の・・・・・



    「・・・・降参なの・・・・?」ニヤッ・・・



    「・・・・どういう意味・・・・?」ギッ・・



     おぉ、怖い怖い。この歯軋りには少し、最近のこいつからは
     久しく感じてなかった・・・殺気めいた意地(もの)を感じた。



    「・・・・いや。そのままの意味だよ。

     “綺麗なエレン”を否定し続けるあんたの意思が・・・
     折れそうだからそう言ったのかなと。」




    「・・・・どの様な形でも構わない・・・エレンは・・・
     私の意識やあなたの意識に関係なく、唯一無二の存在だ。

     あなたがどの様に考えようと・・・・」



     もう多分、何を口走っているのか自分でもよく
     理解出来てないんだろうね。



    「・・・・忘れちゃってないかな、“アイツ”は・・・・一人で達する前に、、

     あんたの名前と同時に・・・私の名前も呼んでたんだけど」




    「     」





    「・・・・流石の私も・・・・疼いちゃった(▪▪▪▪▪▪)から..


     だから・・・つい・・・」ペロッ・・・・




    「ッ!!!!!!」 



     ガバッ・・・!!




    「っあ。。」




     私の言葉を耳にするなり、途端に何か抗いようの無い命令に
     従うようにして・・・・ベッドの布団の中へ潜りこみ、私の最も
     深く、熱気の篭る渓谷へと鼻先を潜りこませるミカサ。


  89. 89 : : 2015/12/01(火) 00:01:50





    「・・・・・安心してよw;襲ったりなんてしてない。」



    「ッ・・・・・/////  ッ・・・・・////」フスッ・・・・フゥッ・・・・・


     下腹に感じたその荒い吐息からは・・・流石にミカサの
     常軌を逸脱した何かを感じてしまった。

     今にも臓物を食い千切られてしまいそうな気迫すら感じかねない。



    「・・・・・ね?そんな匂いは・・・・しないでしょ」



     流石にこれ以上騙すのは悪いか・・・・


     ミカサに嫌われるのは何より避けたい。



    「・・・・・ごめん。そこまであんたが焦ると思ってなかったから・・・。

     私が一人でしてるのを見たって言うのは・・・・ホラ、
     
     “アルミン”の方だよ。

     ・・・・別にウソをついてる積りは無かったんだけど」





    「・・・・・・――――--、、、、・・・・!」



     張り詰めた緊張が一気に抜けていくように・・・・


     覇気を失い、弱弱しく萎縮していくミカサの全身と、
     伸びていく筋繊維。


     その長い溜息で、全身の空気すら失われて行く様だ。



    「・・・・・アニ・・・・・。。。。あなたの冗談はとても・・・・とても心臓に悪い。。。。」

     ハァァァ..........,,,,




    「・・・・だから、本当ゴメンって。。
     それに冗談と言うか何というか・・・私は一度も“エレン”とは
     言ってない筈なのに、、あんた、一人でそう思い込んでる
     みたいだったから、、流石に悪いかなと思って・・・・」




    「分かっていたくせに・・・・、、分かっていて私を・・・、、」
     イジイジイジイジ・・・・・




     なにこれ、かわいい・・・・・・




    「そんな怒らないでよ・・・・、私もあんたにそう思われるのが
     嫌だったから・・・今改めて誤解を解く為にそう言ったんだ。

     因みに・・・安心してるところ悪いけど」




    「・・・・・なんだろうか」ムスッ




     ミカサがむくれてる・・・・・・・!



    「(やばい・・・・!なんでよりによってこんな暗いところで・・!)

     アルミンが一人でシてたっていうのは・・・誤解でも何でもなく
     事実なんだけど。」




    「――――---・・・」




    「うん・・・・、私とあんたを必死に想像して、
     名前まで呼びながら一生懸命になってたのはね。

     ・・・・・それについては・・・・・どう思う・・・・・・?」




    「-――――////////」カァァァァ.......





     何も、言葉を発したわけではない。ただ黙って、
     その首を俯かせただけだったけど・・・・

     その顔が今、どんな色で・・・どんな表情を作っているのか、
     それ位なら・・・・手に取るように分かった。

     何しろこの腕の中だから。



  90. 90 : : 2015/12/01(火) 00:04:02





    「・・・・・どうと・・・・言われても」




    「・・・・・私は・・・正直嬉しいと思ったかな。喜ぶべき事だとも思ったよ。

     エレン(あいつ)を容赦なく対人格闘で叩きのめしたり
     してるからかな・・・普段から私、ユミルやあんた程じゃないけど
     女として見られない事が多いから・・・」



    「・・・・それは自分を低く見すぎだ・・・アニ。あなたは・・・・
     充分兵団の女子の中でも男子の間で高く評価されている。」




    「・・・・そうかい・・?それはどうも。

     でも私が今聞きたいのは・・・・私の事じゃなくて・・・

     エレンにではなくアルミンにそんな想いを向けられてた
     事実について・・・なんだけどね」


     自らの鼻先をミカサの同じ箇所へ寄せ、
     心の奥底を覗き込むような意識を向ける私。




    「・・・・・・聞きたいと言われても・・・私に・・・どんな返答を・・・」




    「難しい事なんて言ってないよ。・・・・そうだね、もしもの話だけど」




    「・・・・・・・」




    「もしも・・・“エレン”より先に“アルミン”に・・・
     本当の家族になってくれって求められたら・・・

     あんたなら・・・・どうする・・・・・?何て応える・・・?」



    「・・・・・・・・・・・・・・・」





     意地悪したい気持ちから聞いている訳じゃない。

     
     と言うのも何というか目の前のミカサ(こいつ)からは・・・
     エレンに対する猛執こそ感じられることはあっても、
     何故か・・・肉体的な(そういった)アピールに関しては・・・・一歩
     自粛しているような節が感じられたから。

     ここまでエレンの事しか考えてないんだから、
     当然将来的には二人で家族の輪を培っていこうと・・・
     そう思っているのだと。最初は私もそう思っていた。・・・けれど



    「・・・・・何故・・・・そんな事を聞くの?・・・アニ・・・?」



    「・・・・何故って・・・気になって仕方が無かったからさ。

     あんたって・・・何故かエレンしか見てない癖に・・・・
     将来的にアイツと一緒になる自分っていうモノを・・・全然想像してなさそうっていうか。

     そもそもそういう自分を全く表に出そうとしないから・・・・・」



    「・・・・・・・・・」




    「・・・・あんた、エレンと結ばれたいとは思ってないの・・・?」



    「・・・・・・・・・」



    「いや・・・、。大事に想うって気持ちの表れが人それぞれなのは
     認めるし・・・“ソレ”が全てとは言わないけどさ・・・・

     私なら・・・そこまで大事に想ってる人なら・・・・・

     “その人にも大事な人”として見て欲しいと思う。・・・・もっと
     分かり易く言うなら・・・こんな言い方はゲスな言い方かもしれないけど」




    「・・・そいつのモノ(▪▪)にされたいと思う。」 




    「・・・それは・・・意外な事を聞いた。私はてっきり・・・・
     普段からの物腰を見るにアニにはそのような考えが有るとは
     想像もしていなかったから。きっと私と同じような考え方を
     しているか・・・若しくは男子そのものが眼中に無いのかと」




    「それは心外だね・・・私だって一応か弱い女の子なんだ、

     そんな欲求だって人並みにあるし・・・あんたみたいに
     心に決めた相手が“まだ”決まってないだけで、
     いつの日かそんな日が来てくれるってのを諦めては居ないんだけど・・。」





    「それは失礼な事を言ってしまった。・・・許してほしい」
  91. 91 : : 2015/12/01(火) 00:08:19



    「いや、それはこの際良いんだけど・・・・その、
     『私と同じような考え方』って言うのは・・どんな考え方なのかな。
     良ければ聞かせてくれない?」






    「私は・・自分にとって大事な人が・・・・つまりエレンが
     無事でいてくれる事が何より。・・・だから・・・私自身は、
     意識的にエレンを“求めようとは”しない。

     ・・・尤も貴方の場合は・・・そういった相手をまだ見つけて居ないと
     先日確認しているので、私と同じ考えを持っているとは言っても
     状況が異なるが」




    「・・・・・いや・・・・そもそもあんたさ・・・・・、、」





    「・・・・・?」





    「求めようとはしないって言うけど・・・・・

     タオルの匂いだけでスッごい事になっちゃってたじゃないか;
     “求めないように”どころか・・・・獣の様な勢いで
     “求め”まくってたって・・・・・・;」




    「・・・・・だから、私は意識的(▪▪▪)にと前置きして言った。

     身体が本能のままに求めてしまう事については・・・・残念ながら
     私の意識ではどうしようもない。そこは・・見なかった事にして欲しい」





    「・・・・私はそれでもいいけど・・・ゴメン、
     あんた多分・・・“あの状態”であんたの手の届く位置にエレンが居たら・・・
     間違いなくあんたが正気に戻った時にはエレンとの既成事実が
     出来上がってると思うよ・・・・・」




    「持て余してしまう性欲(モノ)は・・・仕方がない。」





    「・・・・話がずれてたね。・・・・アルミンの事だったけど」




    「・・・・・・」



    「そんなむくれないでよ。悪かった。アルミン(あいつ)から実際にあんたがそんな風に
     言われた訳じゃないもんね。・・・私もつい意地悪な聞き方をしちゃった。
     ・・・ごめんね。・・・・ミカサ。」





    「・・・・・分かった。理解した。・・・誠意を感じたのであなたを許そう。
     本当に悪いと思っているのなら・・・そのまま静かに寝てくれると助かる。」




    「・・・・そうだね。邪魔して悪かった。」



     チュッ..



     その額に、愛撫としての目的は含まない口づけを施す。




    「っ・・・・・」



     少しの間だけ無言で居たミカサだったけど、私が
     教えたそれをちゃんと思い出してくれたのか



     チュッ


     
     すぐにその返事(おやすみのキス)を同じ様に返してくれた。




    ・・・・・

    ・・・・

    ・・・

    ・・


     
  92. 92 : : 2015/12/03(木) 22:32:59




                ~翌日~

           ―南方訓練兵団・屋外訓練場―






    「いいか良く聞け豚共!!! 普段貴様らにやらせている
     対人格闘はあくまで“ならず者”相手を前提とし、哨戒・または
     巡回の最中に“武装無し”での襲撃を受けた場合を想定している!!!

     だが しかし!!  実際武装していない兵士を襲う
     ならず者などほぼ皆無に等しい!!!何故か!!!?

     ・・・・・・、アルレルト!!!貴様に分かるか!!その理由が!!」





    「、、はッ!!!! それは・・・態々身の危険を冒してまで
     襲う程の見返りが・・・丸腰の兵士一人とは到底釣りあわないからだと
     ・・・考えます!!」





    「・・・・、“見返り”か・・・・それは貴様の主観から見て
     一体何だ?具体的に答えてみろ。」





    「・・・・、、一概には言い切れませんが・・・!大体の野盗や追い剥ぎ、
     等といった、盗奪を生業としている者達からすれば・・・

     その兵士が何か“とても高値で売れる物”を身に着けていなければ・・
     到底理に適いません・・・・。そう、例えるなら・・・“立体機動装置”など・・・。」





    「・・・・ほう。」






    「勿論、例外は他にもあります。あまり例えに出したい
     可能性では有りませんが・・・。人買いの目を引きそうな位に外見的
     容姿の整った者であれば、逆に丸腰であった方がそのような
     不当の輩の目を引く可能性は・・・あり得るかと...」







    「(((・・・・クリスタだ・・・・・)))」




    「(絶対クリスタとかだな・・・・)」
     ソッコーサラワレルナ



    「(・・・・アニ。)」
     アニ。



    「(野盗に攫われたクリスタを助けに駆けつけたら・・・
     クリスタは結婚してくれるだろうか)」
     ケッコンシタイ....



    「(立体機動装置・・・?アルミンは少し頭が固いですね・・・
     私が盗賊なら絶対食べ物を持ってそうな人間しか狙いませんが)」
     オイモタベタイ


    「(そもそも憲兵なら見廻り中は銃の携行が許可されてんだ・・
     銃持ってる兵士に襲い掛かる馬鹿がそうそう居るかよ・・・)」
     イルカヨ ソンナバカ


    「(いや・・・そうだな・・・この質問を対人格闘の時間にする理由・・
     まさか今日は・・・・)」マジマジ・・・・



    「(あーー・・飯まだかな・・・・今日も適当にサシャと組むかぁ)」
     ボケーー・・・・・





    「・・・・回答は概ねアルレルトが済ませたな。

     ・・・ではアルレルトの説明に欠けていた理由と共に・・・・
     貴様らに本日行う対人格闘の応用訓練、その内容を説明する!!!

     今日貴様らにやってもらうのは・・・
     “立体機動装置を装備した状態”での対人格闘訓練だ!!!」






              ざわっ・・・・・・






    「・・・・まじか」
                「着けたまま・・・・やんのか・・?」

     
        「これって採点にはどう響くんだ・・?;」



     「か・・・かったりィ....!; 」  「これは・・・;」




    「なるほど・・・・!」 「やってやる・・・!」  「これ、結構重いよな・・」







    「説明をすると言ったはずだ!!黙らんか豚共!!!!!」



     ピタッ・・・

  93. 93 : : 2015/12/03(木) 22:35:57





    「・・・まずこの訓練を行う意義についてだが・・・・!
     当然の如く、これだけ腰まわりの場所を取る装備、それも
     幾ら軽量化の限りを尽くされた設計とはいえ通常行動中は
     丸腰に比べて重量の関係もあって著しく運動性に制限がかかる。

     しかし、兵士たるもの・・・如何なる状況に不測の事態が
     襲い掛かってくる可能性を看過する訳にもいかない!!!

     そこへ加えてアルレルトが説明した通り!!これを狙って
     盗みを働こうと一計を講じる輩は少なくない!!!」

     ガチャッ・・・・・




    「無論、訓練で高価な装置を破損する訳にいかないので
     今回の様な訓練は特例中の特例だ!!!各自、あまり派手な
     転倒をしないように心がけつつ訓練に臨む様に!

     尚、“アンカーの使用”及び“ブレード”の装填・着用は、
     事故防止の為、禁止事項とする!!!」



     ド ヨ ド ヨ...




    「(・・・・・なるほどね)」



     今日は・・・折角だからライナー(ゴリラ)のヤツに昨日の報復として
     たんまり締め上げにいってやろうかと思ったけど・・・“装置があるんじゃ”
     寝技は殆ど使えないな・・・・一応使えない事も無い間接極め(サブミッション)は・・・無い事も無いけど。。


     ここは“打撃”で行こう。“私なら”この訓練―――、、
     足回りへの干渉にそこまで気を向ける事も無い。それに・・・

     
     恐らくこの場に居る全員はきっとこの訓練のもう一つの目的・・
     いや、デメリットばかりに目が行っていて、
     装置を纏っている状態での“メリット”の方に気が付いていない。




    「・・・・・・・」チラッ・・・・




    「(これは・・・いい練習になりそうだ・・・!
     普段から気になっていることではあったけど・・・
     
     立体機動の装着が前提になる訓練は・・・模擬戦闘訓練等が
     殆どだったから・・・勉強になるぞ・・・・!)」グッ・・・




    「(・・・・まあ、一部“ソレ”に気付いてる勤勉なヤツも
     居るみたいだけどね・・・・・。・・・・さて、)」グッ・・・グイッ・・・・






    「・・・・・では各自、自分の装置を装着でき次第相手を決めて
     組み手を行うように・・・・!

     、、・・・・言い忘れていたが・・・・、この訓練は、

     “兵士”を相手とした訓練をも兼ねている。故に・・・
     木剣を用いた攻守の取り決め等は無い・・・・。その分判定が
     曖昧になるが・・・あまり派手にやり過ぎないように・・・・!」




     ざわっ・・・・   ざわ・・・・




    「(・・・まあ、普通に考えりゃ・・・野盗よりも身内の乱心の方が・・・
     緊急事態にはありがちだよな・・・。その考えは分からなくもねえ

     ・・・。だが“アンカーとブレード”・・・・抜きか。。成程な)」ハッ...



    「(だ・・・誰と組もう・・・・今日はアニがライナーの方に
     行くって言ってたから・・・エレンにしようかな・・?

     あ・・・でもマルコ・・・・)」ソワソワ・・・・




    「・・・・・ベルトルト!!!ちょっといいか・・・?」
     ガッチャガッチャ



    「・・・・ど、、どうし・・・ああ、いや、何だろうか・・・マルコ・・?」
     (珍しいな・・・マルコが僕になんて・・・・一体・・・)ガチャガチャ・・・






    「・・・相手をお願いしたいんだ、、、いいかな・・・!?」ソワソワ・・・・





    「(なッ・・・・マルコ・・・・お前・・・・?!(小声))」





    「(ジャン、君もだ!…“君なら”この訓練を通して・・・教官が
     何を僕らに学ばせようとしてるのか、薄々感づいてる筈だろ
     ・・・?“そう言う目”をしてた!なら今日は・・・出来るだけ
     自分の精一杯をぶつけられる相手を選ぶべきだ!(小声))」グッ




    「(成程・・・一理あるか....!(小声))」パシッ・・








  94. 94 : : 2015/12/03(木) 22:39:04


    「(おいエレン!!!珍しいな!!あのマルコがベルトルトに
     格闘で相手を申し出るなんて!お前は・・・どう見る!?(小声))」




    「(ぁあ・・・しかし、成績が地味に感じるかもしれないが・・・
     それはあくまでオレみたいに突出した何かが無いってだけの事で
     マルコ(あいつ)、結構全体的に成績にバラつきが無くって優秀だぞ。

     体格だって・・・ベルトルト程じゃないが縦にも横にも程よくあるしな。

     何より・・・あいつは何事にも絶対手を抜かない。オレは・・・
     結構な強敵だと思うけどな。ベルトルトでも舐めてかからない方が
     いいだろ。(小声))」




    「(ぉお・・・するとお前はマルコか・・・!じゃあ俺は・・・
     同郷のよしみでベルトルトにひとつ入れるか・・・!(小声))」




    「(・・・・何だよそれ・・・・賭け事ならやらねーぞ..(小声))」ジトッ・・・



    「ハハハ・・・まあ安心しろ。何も賭けはしない。…それよりどうだ?エレン。
     久々にこんな滅多にできない訓練だからな・・・俺も全力を振るえる相手が・・・」




    「・・・・・・・・;」ジィ・・・・




    「・・・・ん>?何だ・・・どうした、俺の顔に何か・・・・」




     ポンッ=3



    「ウホッッっ・・・・・・!!!!!?」ビグッ
     ゾクッ




    その時、不意にライナーの肩・・というより、
    身長の関係でそこまで手を上げるのが億劫だったのか、
    ほぼ肩甲骨に近い辺りにかけられる掌。


    その手に特別何か強い握力がかけられていたわけでも、
    過剰な打撃で強打されたわけでもないが・・・


    瞬間的にライナーの背に、凄まじい怖気がはしる。




    ・・・・やあ、昨日はどうも色々と・・・。((※副音声=やぁ・・・ゴリラ君・・・・)

     “お礼”がしたいんだけど・・・((※副音声=昨日のお礼参りに来たよ)

     ニチィッ・・・・



    「っ・・・・・!!・・・・・・!!!;」
     ガタガタガタガタ・・・・・




    「 や ら な い か ? 」
    ( 満 面 の 笑 み )



    「 . . . . . . ;  」
    (頷く以外の選択肢無し)

     ブルブルブル・・・・・











    「おお・・・・どういう風の吹き回しだ・・・。アニが
     いつに無くヤル気満々じゃねえか・・・アレ。

     ・・・じゃあ、オレ・・・・これ誰とやれば・・・・・」キョロキョロ




    「ぁっ、エレっ・・・・良かったら僕と・・・・!(グイッ

     、、、、っ??
    「よう・・・・・死に急ぎ野郎。折角の特別訓練ってヤツだ・・・・
     今日は俺とやろうぜ・・・」ゴキッ・・・



    「・・・・・あ?」




    「(ジゃっ・・・・ジャンが・・・・?!?!対人格闘で・・・・)」
     ッテイウカ ボク ダレトヤレバイイノ!?




    「(おいおいマジかよ!!!)」
     ナニガオキテンダ!?



    「あ、コニー空いてるなら僕と一緒に..(ry





    「・・・・・珍しい事もあったもんだな・・・・いや、ちょっと待ってくれ。」
     グイッ・・・・




    普段の彼のノリからは信じられない申し出を一先ず制して、
    自らの頬を抓るエレン。



  95. 95 : : 2015/12/03(木) 22:41:48





    「・・・・何やってんだお前・・・・;とうとう死に急ぎの境地を極めすぎて
     頭だけ先に壁外へ行っちまったのか?」
     




    「・・・ああ、やっぱ痛ぇな・・・・それにそのつまらねえ安い挑発・・・
     するとこりゃ夢じゃねえのか・・・」
     ヒリヒリ・・・・




    「・・・・・おい、するのかしねーのか、それだけ応えてくれよ。

     お前が俺から逃げるってんなら俺は違う相手を探さなきゃ
     なんねんだからよ」ニヤァ・・




    「・・・・・・・・・」ジッ・・・・・




    「・・・・おい、聞いてんのかヘレン」



    「・・・・・一体どういう風の吹き回しだかは分からねえし、
     どうして今日この段になって…よりによって“お前が”
     訓練に精を出す気になったのかは知らねえが・・・

     ああ、いいぜ・・・!荷物(▪▪)が増えたくらいで
     どんな風に普段と勝手が変わるのか・・見せてみろよ・・・・」スッ・・

     ガチャ・・・カチャ・・・



    「へっ・・・・荷物(▪▪)・・・・か。」チキッ・・・
    (やっぱりな・・・・・!)












    「うわぁ・・・皆普段と違うからか・・・凄い気迫だなぁ・・・;」




    「そーか・・?何故か・・・女子の方は皆して随分ヤル気なさそうに
     見えるんだけどな・・・・」



    「珍しいじゃないか、コニーがサシャと組まないなんて」



    「・・・ハァ?・・・いや・・・・俺はそんなあいつと釣り合いが取れるほど
     アホじゃないしな・・・・。いつも組んでるように見えるのは
     偶々だ・・・・・」グデェ・・・・



    「(つまり結局サシャと波長が合う程のアホの子は
     コニー位しかいないから最終的に余った二人が組む事になる・・
     って認識でいいんだろうか・・・・)」



    「何か・・今日はあの芋女、頭痛がひどいっつって、
     対人格闘は珍しくあまり動き回りたくないとか言ってたんだ」
     ダカラ アブレタ..




    「なるほど・・・・・(そういえば今日は・・・ミカサも何だか・・)」



     こうして改めて見て見ると。



     サシャ、ミーナ、クリスタの3名は・・・・
     何故か全員据わりかけの目をしている。

     ミカサについては・・・・普段からアニのように、
     あまりクリスタの様に目をパッチリと見開かずに
     居る事が多いので分かり辛いけど・・・、


     それでも永年の付き合いになる僕ならその違和感に
     気が付く事ができる。何か・・・今日のミカサからは・・・・


     寝不足、とまでは行かないものの、あまり本調子では
     無さそうな印象を受ける。


     ――これは噂に聞く・・・女の子の日と言うものなのだろうか。


     っていうか・・・アレ・・・?クリスタが一人で・・・・・って事は・・・・


     ―――ユミルが・・・居ない。


  96. 96 : : 2015/12/03(木) 22:44:22



       ―女子・訓練兵エリア ミーナ・サシャ サイド―





    「あ、あれぇ・・・・、、珍しいね・・・、サシャが私となんて...」ウグゥ・・・






    「・・・・別に何が珍しいという事でも無いと思いますよ。。」ウググ・・






    「・・・・や、やっぱりサシャも・・・・?(Σガンガンガン・・・)」





    「私だけじゃないですよぅ....クリスタも相当苦しんでいる
     様子でしたし・・・・、、っ;ぁああ...!

     立体機動装置のぶつかる音が頭にガンガンと響きます,,,;」
     イタイデス.....




    「・・・・・そりゃあれだけ口移ししたユミル本人もダウンするよ・・・;;
     私達の後にミカサまで襲ったって話でしょ・・?ユミル・・・」
     ~ヨロヨロ..




    「ぇえ。。。。そう..みたい・・・で...いツッ・・!;

     痛ッ・・・!!痛い!!!頭が・・・・・・!!」ギンギンギン





    「その後の結果については聞いてなかったけど・・・
     結局ユミルがこうなってるって事はやっぱりミカサの
     牙城は崩せなかったんだね・・・・・」




    「さぁ・・・・;その辺はどうなのでしょうね・・・。

     私が朝起きたときに気が付いたのは・・・無惨な姿で横たわる
     ユミルをクリスタが必死に揺すってる所でしたから...」イテテ




    「あんなドーピング使ってもダメだなんて・・・・
     本当、ミカサを気持ちよくさせる事ができる女子なんて
     居ないんじゃないかな・・・・・;」














    ―男子訓練兵 アルミン・コニー サイド―





    「何だろう・・・サシャの様子が変だっていうから
     注視して見てたけど・・ミーナもサシャも妙に前傾姿勢で
     辛そうだ・・・・。普段から対人格闘の組手時間を適当に流して
     、それを貴重な休憩時間として活用する人は
     少なくないけど・・・」



     今日の彼女達は何か、本気で辛そうだ。





    「・・・・なんか変な感じするよな。
     あいつらはあいつらで久々にヤル気0ってカンジなのに対して・・・
     “何故か”そんな今日に限って・・・・ジャンの奴はサボりどころか
     “あの”エレンに名乗りを上げたんだからな・・・・(ウズウズ)

     ・・・・そっちはいったいどんな風に・・・・・」フイッ





     そっちは僕も正直気になってた所だ。
     
     今までエレンに付けられた泥を落とす機会を逃さないため・・・
     前よりは大分訓練に身が入るようになったジャンでは
     あったけど・・。それでも、確実にエレンと当たっても
     意趣返し(リベンジ)が行えるといった手応えが掴めない以上は・・・・

     ジャンの性格なら下手に仕掛けたりはしないはず。

     

     ・・・で、あるならば。



     今それを実行に移したジャンには・・・“何か”。

     打倒エレンの足がかりになる“何か”が切り札として
     その手に握られている事になる。

     何の希望への公算も無く壁外へと臨むエレンを鼻で笑う
     普段の様子からも分かる様に・・・

     彼は自らに確固とした勝算が見出せない以上は決して
     態々喧嘩を売りに行ったりはしないはず・・・・




         (((ぉおっ・・・・・・・・!?)))





     そこまで考えたところで・・・僕の耳に届いたのは一つの・・・


     大きな“どよめき”だった。

  97. 97 : : 2015/12/03(木) 22:54:10





    「なっ・・・・・なんだよオイッ・・・・!?えっ・・・!?
     そんなのアリ(▪▪)なのか・・・・!?だって教官は・・・ぇっ・・!?;」

     オロオロ...




    「・・・・??」



     急いで其方を向いた僕の視界に飛び込んできたのは・・・
     直ぐ傍で、狼狽しながら、周囲の皆同様に現状を呑み込めずに
     うろたえるコニーと・・・・


     その少し、向こうで・・・注目の人だかりの中・・・、
     高々と宙を舞ってから、その身を地面に放り投げる・・・・



     ――――エレンの姿(▪▪▪▪▪)だった。













    ―男子訓練兵 エレン・ジャン サイド―





    「ッ・・・・・;(ゴホッ・・・)ペッ」

     ピチャッ




    「よぅ・・・・・、大丈夫だったか?モロに入ったな・・・・?
     成程、コイツは俺にうってつけな訓練だ・・・・・

     ・・・・どうした?『そんなのありか』ってツラしてるな?
     ・・・だがそりゃ教官の言葉をちゃんと理解してなかった、
     お前の“座学成績”の問題だろ・・?きちんと要点を理解できた
     ところで・・・・ホレ、来てみろよ・・・・?遠慮は一切要らねえんだぜ?」

     ニヤニヤ・・・・




    「・・・・・そういう事か・・・・,,,ぁあ、よく分かったぜ・・・!

     お前が何で今日この時に雨を得たカエルみてえに
     良く鳴いてたのかがな・・・・!ならこっちも遠慮なく
     行かせて貰うぜ・・・・・・!覚悟しとけよ・・・・・?!」ギリギリ・・・・

     チャキッ・・・













    ―男子訓練兵 アルミン・コニー サイド―





    「・・・・・・・・!」





     ジャンが行った事は・・・とても単純な事だった。




     エレンに殴りかかる、先駆けの一撃に・・・・



     “立体機動装置の排気による推力を利用した”



     ・・・だたそれだけの事だった。



     確かに教官は、『アンカー』と『ブレード』を使用しない様にとは
     口にしたが、『ガス』に関しては一切触れていなかった。




    「(ただそれだけの事だ・・・・、しかし・・・・)」




     言うまでも無い事だけど、“それ”によって僕達兵士に
     与えられる運動能力の向上は・・・最早説明するまでも無い。


     人一人、場合によっては二人を軽々牽引できる程、高回転の
     トルクを生み出す動力機構から発せられるその排気は・・・・・


     排出孔から巻き起こるガスの噴射力のみで人体の自由落下に
     一時的な揚力をもたらす事さえ不可能ではない。


     幾ら対巨人戦に向けて地獄の修練を積んだからといっても・・・
     “この機構”がなければ、流石の僕らだって、
     特殊な受身も取らずに10~15mの高所から無事に着地出来るはずもないし、

     アンカーによる牽引を行わない状態で家屋から家屋へと
     飛び移るような全力疾走を行う事だって不可能だ。


     城壁都市での訓練を行った時には移動のみに用途を限られた
     “この”使用方法だが・・・・近接格闘に持ち込むとなれば・・・・
     その制御にはかなりの理解が求められる。




  98. 98 : : 2015/12/03(木) 22:56:32





    「何だよ!ソレ使っていいなら俺だって使うって!!(ガチャチャッ)
     ってかすっげー面白そうじゃねえか!!おい、アルミン!!
     やって見ようぜ!!」ワクワクワク

     チャキッ




    「いや・・・コニー、君とかはちょっと・・・止した方がいい・・・・かも・・
     (・・・、それには・・・・相当シビアな吹かし加減が
     要求される・・・・!少しでも排気圧の加減を誤れば・・・・・・!)」




     バフォッッ!!!!




    「ぅおぁっ!!!??」グラッ




     ドゴッ!!!!!




    「こっ・・・コニー!!!!大丈夫か!!?」
     (うわっ・・・モロに頭から・・・・!)




     自身の全力の跳躍に合わせていつもの感覚で急に吹かした
     排気の威力に重心の移動が追いつかず・・・・、
     
     その、あまりにも軽い自身の身を宙に舞わせるコニー。


     かなり不自然な舞い踊り方をしたと思ったのも束の間・・・・
     すぐに重心の偏り易い頭部から、大地に吸い込まれていく
     コニーの身体。



    「(そう。こうなる(▪▪▪▪)・・・・!装置への理解が一定の値を上回っていない者が
     下手に手を出せば・・・例外なくコニーの二の轍を踏む事になる・・・・!;

     コニーはそもそも小柄で、立体機動の実戦訓練中にも
     度々ジャンの上を奪ったりと・・・・その技術も中々兵団の中で
     高い様に見受けられるけど・・・・)」



     それはあくまで自身の身軽さと、一定の距離を移動する際に
     コニーが直感的に自身の身の運び方に最適な移動法を独自に
     見出しているからであり・・・・・


     その移動技術は、ジャンのような理詰めの機動とはかなり
     造詣が異なる。・・・どちらかと言えば・・・直感便りなその
     機動はサシャのそれに近いから。




     ・・・・しかし問題はまだある。もう一つの最大の要因の中に・・・




     “体型”と“重心”の問題が挙げられる。



     コニーの体格では・・・体重が単純に軽いのはまだいいとして、
     それでもまだ、“軽すぎる”んだ。・・・足の長さと、
     全体重の重心を、急激な推力にふらつかせないで
     持ちこたえるのに必要な体重が・・・・コニーには不足している。



     ではどういった体型がこの用法と併さる好条件と
     成り得るのか・・・・それは・・・・・





         ((((ぉおッ・・・・・・・!))))




     ・・・・今度は全く別の方向から聞こえてくる賞賛交じりの
     ざわめき。・・・その奇異なる視線を一手に集めていたのは・・・・





     「おい!!マルコが押してるぞ!!!」
                  

                 「あいつ、こんな強かったのか!!!」
         

       「うぉッ、すげぇ!!」         

                      「ベルトルト本気出せよ!!」

    「マジかよ!!!ベルトルトが!!!?」


                   「なんッ・・・だよあの動き・・!!」



     ドヨ・・・    
         ドヨドヨ・・・      ドヨ・・・・





     やはり、ジャンと同様の戦法でベルトルトの巨体を確実に
     打ち据えに行く、マルコの姿だった。ジャン程の正確無比な
     物ではないとはいえ、充分に熟慮されたその操作感覚。

     急激にもたらされる推力にも自身の姿勢制御を揺さぶられる事無く
     踏ん張りを利かせる事の出来る・・・、それでいて
     “ベルトルトのように”急旋回に対応するのが極めて難しい
     体型ではなく、足の長さも、その重心も、非常に安定している。


     こうなると最早・・・人間の動きではない。流石のベルトルトも
     防戦一方な様子だ。


     
     ・・・・・・しかし・・・・・



  99. 99 : : 2015/12/03(木) 22:59:12


     ――――――――――――




     その一方で・・・・コレだけ観客のどよめきを引き起こしながら
     注目されている一戦とはまるで真逆に・・・・


     周囲で見ている者達でさえその空いた口を塞げずに立ち尽くす
     のみといった正真正銘の修羅場が・・・・・・

     もう一方では出来上がりつつあった・・・・・。。









    ―男子エリア・女子エリア境界付近 アニ・ライナー サイド―







    「ッ・・・・・!!!!」ブンッ  ブォッ!!!!


     ギュァッ!!!


    「っっつ・・・!!!!!!」ガヅッ!!!


            フ"ォンッッ↩


    「ァッ!!!!!」ゴッ!! ドシュッ!!!! ヒュンヒュンッ!!!



     ジャリ"ッ...!!!




     上段蹴り、後ろ回し蹴り、更に繋げてその連撃を
     辛くもダメージ覚悟で捌いたライナーの胸板に、


     空中を舞い踊るかの様な回転(スピン)の勢いが乗せられた
     アニの超近接ソバットが叩き込まれる。




    「ごッ・・・・ぁッ!!!!!!」ゴフッ・・・・




    立体機動の推力など用いなくとも既に、本気を出した彼女の猛攻は・・・・

    常人にはとても捌ききれない凶撃の嵐となるが・・・・・
    そこへ更に人類の叡智の結集体が翼を授ける形となった今。



    その暴風雪のような容赦の無い攻めには…

    受け流すだけで命懸けのライナーからすれば一切反撃の(いとま)もありはしなかった。





    「逃げてばっかりかい・・・・??立派な成り(ナリ)して・・・情け無いね・・・・・!」
     
     ジャリッ・・・・




    最早流麗なる乱舞と言うよりも、その身一つが
    呻りを立てながら回転する、長大な凶器である。




    「ごっ・・・・ホっ・・・!!!ガハッ!!!・・・・ハァ・・・!ハァ・・!」
     ゼェ・・ゼェ・・・



  100. 100 : : 2015/12/08(火) 05:30:35









    「・・・・・・コレは惨い・・・・。。と言うかライナーったら・・、
     一体何をすればあそこまでアニを怒り心頭に燃え上がらせる事が
     できるんだ・・・??:」

     イタタ・・・;


    「・・・・・また身長絡みで何か言ったんじゃねえか??;」

     アリャ イテェナンテ モンジャネエ・・・;



    「・・・・・」



     ・・・どうでもいい話かもしれないけれど、あの立体機動装置の
     活用法には、身長の低さも大きく関係してくる。


     単純にコニーも低身長ではあるけど・・・・
     体重の配分がアニとは全く異なる上に、普段殆ど鍛錬の素振りを
     見せないながらもアニは独自の格闘技術の研鑽を相当重ねている。


     そしてそれらは殆ど足回りからがっちりと固められたものだ。


     結果的に小柄な身体を充分に加速させる事ができる
     猛烈な追い風と、いかなる高回転にも崩されないボディバランスから…
     殺人的な威力が乗った連続蹴りが放たれる事になる。




     ・

     ・



    「(マズいな・・・!!此処までお怒りとなると、最早謝って
     どうこうなる物でもない、、、、。此方からも一撃カウンターを
     狙って見るか・・・・?これは、女だからと手を抜いていれば・・
     万一という事も充分有り得るしな。)」 チラッ、、


    「(しかし成程・・・・――ガスか。盲点だったな・・・・・

     それなら確かにジャンやマルコなど・・・技術面、
     体格面で限られた人間には・・・この条件は最大限活かされる物になる。

     ・・・現にベルトルトが手も足も出てないしな・・。

     これは一本取られた。俺やベルトルトのような・・・長身かつ
     急旋回にバランスを崩しやすい体型ではほぼ使い物に
     ならないから・・・同じ条件で反撃に移り辛いと言う難点もある。)」




    ゴゥッ!!!!




    「ッ!!!!!」ババッ





    間一髪、首元を刈り取るような勢いで放たれた回し蹴りを
    屈んで躱すライナー。





    「余所見する余裕はあるんだ・・・。少しは打ってきたらどうなの」

     タッ・・トトン・・・




    「・・・・・・」



    「(少しはそう考えもしたが、今の状態では相当良いタイミングで
     カウンターを狙わなければ・・・とてもじゃないが更なるカウンターの
     餌食だ。コイツの返しは・・・足でも全く機敏さに
     劣るって事が無いからな。)」




    「だんまりかい・・・・。まあ、別に何か喋って欲しい訳じゃないから
     それでもいいけど」



    「(・・・・おまけに破壊力に関しては足技従来の重みを
     ちゃんと備えてやがる上に、今に至っては『加速装置』つきだ。

     迂闊に飛び込めば怪我じゃ済まない)」


  101. 101 : : 2015/12/08(火) 05:32:37




    「・・・・なあ、アニ。昨日の事でそんなにお前が怒る理由も・・・
     まあ分からないでもない。普段感情を率先して表に出さない
     お前がそこまでダイレクトにぶつかって来るくらいだ。

     俺がどんなに頭を下げても許せはしないんだろう」




    「・・・・・・」トンッ・・・トン・・・・




    「・・・・それはちゃんと俺も理解できた。

     だがそれなら、何か打開案を共に考えるなり・・・
     持ち掛けるなりしてくれてもいいんじゃないのか」




    あくまで紳士的かつ、理知的に場を収めようと
    両手を開け放しながら対話の意思を表明するライナーに対し、
    それでも尚、依然としてファイティングスタイルを解かずに
    軽やかなステップを刻み続けるアニ。




    「・・・・・打開案・・・・?だって・・・?」ピクッ・・





    「・・・・そうだ。お前の怒りは尤もかも知れん。
     
     その様子を見るには・・・きっとアルミンから俺が
     持ちかけた問いかけの内容までお前の知るところに
     なってしまったんだろう。

     まあ、アルミンにどうこう言うつもりはない。
     そもそも俺があんな突拍子も無い質問をしてしまったのが
     いけないんだからな」





    「・・・アイツはちゃんと自分で情報を秘匿する意思を
     見せてたよ。・・・私が脅して聞きだしただけ。」





    「脅したってお前・・・;一体アルミンに何を・・・・・;」





    「・・・・あんたには教えてやんない」





    「・・・・・・そうか。ぁあ、それはもういい。
     だがアニ・・・・・どうだ、少しは考えて見てくれ。
     こんな・・・ただの暴力に頼ったところで何の解決になるって言うんだ。

     人間は・・・話し合うことが出来る生き物のはずだ」




    ライナーの目には、保身にむけた物などではなく、
    あくまで真面目にこの場を論理的に収めるべく
    歩み寄る意思が現れていた。   ・・・・・だが。





    「・・・・却下だね。そもそもあんたは霊長類に見えるってだけで
     実際の所はゴリラのはずだし。

     私は・・・その、ただの“暴力”でもなんでもいい。
     とにかくあんたをギャフンと言わせられれば
     それで充分だと思ったから・・・こうしてるだけだし」
     ムスッ・・・・




    「・・・・成程・・・どうあっても引いてはくれないっていうんだな」




    「・・・・・くどい。」




    「・・・・ギャフン。」




    「・・・・・――-っ」トンッ・・



    ビュオッ!!!



    「うおっ・・!!危っ・・・・」



    「――ッ()っ!!!!!」

     ヒュァッ!!!



    バシュッッ!!!!!



    「何故だッ・・・!!、、抑揚が足りないのか!?それとも
     感情が篭ってないのか!!?ギャフンッーーーー!!!(かなり気合の入った棒読み)」
     ドウスリャイイ!!?



    「あんたはもうそれ以上喋んなくていいから・・・―――!!」
     ゴウッ!!


  102. 102 : : 2015/12/08(火) 05:40:22


     ・

     ・

     ・





       ―アルミン・コニー サイド―





    「・・・・なんか・・・凄い事になってるな・・・・」



    アルミン、コニーが視線を向ける先ではマルコ、ベルトルトの
    組み合わせの勝敗が決していた。




    「おー・・・ ベルトルトが投降したな。しかしあいつが
     全く反撃できずに押されっぱなしだなんて・・・・普段そんな使い方を
     考えた事もなかったけど・・・・やっぱ立体機動(コレ)ってトンでも無ぇ代物なんだな」



    「・・・・それは勿論だよ・・・・巨人の脅威に決して心を折られなかった
     偉大な先人達が・・・人類の反撃の刃として作り出した装置を
     今日までの仕様変更を行いながら、幾度もの試行錯誤を重ねて・・・

     そうして出来上がった人類最高の技術力。それこそこの装置の
     礎になっている物なんだから」チラッ・・・




     更にその向こうでは・・・未だに勝敗の決していない泥試合と
     なっている組み合わせも見受けられた。




            ―ジャン・エレン エリア―




    「はぁ・・・・っ!!!  ゼェ・・・・!!!」




    「はーーーッ・・・ハァ・・・・・!!」





    互いに満身創痍と成り果てても尚、決して降参などという
    意思表明を行うつもりは微塵も感じられない意地の張り合いが、そこにはあった。






    「(畜っ生・・・・!!もう何発ブチ込んでやった・・・??!なんでコイツは
     ぶっ倒れねえ・・・!!!もう立ってるのだってやっとなハズだ・・・!)」




    「(・・・チッ・・感覚を掴むまで・・・・相当・・・ガスを消費しちまったが・・!

     癪な事にこの馬面の動きを至近距離で長時間眺められたのは
     かなりの収穫になった・・・・!次で決めにいける・・・・、、!

     代わりに相当な数の打撃を貰っちまったが・・・
     所詮は装置を頼りにして掛かって来る程度の腰抜けの蹴り・・・・!
     こんなモン、アニの下段(ロー)に比べれば屁も同然だぜ・・・!)」
     フラフラ・・・・




    「とっとと・・・・負けを認めてお寝んねしちまえよこの死に急ぎ野郎が―――ッ!!!」

     チキッ・・・ バシュゥッ!!!



    「寝言は・・・・寝て言えっつってんだろ・・・・!!この森男(ブッファルト)が!!!」

     カチャッ・・・   ボフっ!!!!


  103. 103 : : 2015/12/08(火) 05:46:52






          ―アルミン・コニー エリア―





    「(溜息).....」




     ぶつかり合う二つの意地を呆れながらも遠めに眺める僕。。



    「(二人とも・・・マジメに訓練に身が入ってるんだって見方をすれば
     まあまあマシなんだけど。あれじゃただのケンカだよ・・・・)」



    バフッ・・・・   ボシュッ・・・・・!!!




    「っ・・・・;、クッそ・・・・これ・・・・結構難しいな・・・・!
     
     よっ・・・、こうか・・・・?おっ・・・・・っとととと!!!」ブフォッ・・・

     ッタタ・・・・



    「凄いじゃないか、コニー。もうそこまで動けるようになるなんて。

     ・・・でも無理に真似する事ないと思うよ・・・・あくまでアレは
     教官が暗にこういう使い方もあるぞ、って言ってた事に気が付いた人だけが
     試しにやって見ればいいってだけの話で・・・、別に必修科目って
     訳でもないんだし。」




    「そう言われると逆にやりたくなって来るもんだろ!フツーは!!」
     ムググ・・・!




    「(つまり、それって押すな押すなと言われると確実に押したくなる
     人種って事だよね・・・・・(呆))」





    ―無論その場で装置の排気に着目した者だけではなく、
    あくまで装置を身に着けたまま、どこまで動けるかを純粋に
    突き詰める者も居る事はいた。






          ―ミカサ・クリスタ エリア―




    「・・・大分良くなってきた。・・・・ただそれでもやはりクリスタ、

     あなただと・・・体格の問題もあるから、真っ向からぶつかって来る
     そのやり方では少し戦術的に難がある。

     もう少し卑屈な攻めを心がけるといい。」





    「ハァッ・・・・・ ハァッ・・・・・・!!!み、ミカサ・・・・あなたって本当に・・・・!!
     立体機動装置を着けてるからとか・・・前日にあんなに強いお酒を飲まされたから
     とか・・・そういうの全然響かないんだね・・・・!」スゴイヨホント・・!!;




    「・・・そういったものが響かない訳ではない。

     お酒に関しては・・・その後少しでも抜けるのが早いように、
     効果が望めるかどうか分からない運動も行った。・・結果
     経過は良好だったが・・・・アニとも寝る前に少し行った(▪▪▪▪)ので・・・。

     それらがどう今の状態に影響を及ぼしているのか、定かではないが。」




    「うそっ・・・・・!ユミルをあそこまで追い込んで・・・・!まだアニと
     何かやってたのミカサ・・・!!??(信じられないモノを見る目)」





    「・・・・そこまで激しい運動ではなかったが・・・・少しだけ。。//」





    「はぁ~・・・・、、///」




    そう言いつつも、うっすらと頬に朱の色を浮かべて俯くミカサに
    見入るクリスタ。



    「(本当・・・ミカサって変わったよね・・・・。前までだったら・・・
     ミカサがエレン以外の話をしてて赤くなるなんてとても
     考えられなかったのに・・・・)」




    「・・それはそうと、クリスタ。ユミルは・・・・その後大丈夫だっただろうか?」
     オソルオソル




    「・・・・ん?え・・・ああ、ユミルね・・・・」




    「昨日は・・・お酒のせいもあってか、私も・・少し“やりすぎて”しまった。
     今日の午後の講義が終わったら・・・是非様子見に行かせて
     貰いたいのだけれど」




    「大丈夫だと思うよ! ほぼ自業自得だと思うけど・・・ 、
     私達と一緒で、やっぱり一番お酒の影響大きかっただろうから
     頭痛が一番酷くってね^^;おまけに何か・・・・
     足の付け根あたりとか・・・肉離れ起こしてるらしくて;」





    「・・・・・・肉離れ?」





    「・・・・・うん^^;よく分からないんだけどね。
     (相当壮絶なイき方を繰り返したからだろうと思うけど;)

     医務室に居ると思うから・・・後で皆で行こうよ」




    「そうしたい。」






        ―アニ・ライナー エリア―





     ドガっ!!!!      ゲシッ!!!!!




       
          ドゴッッ!!!






    「グボアッ!!! ギャッ・・ギャフン!!!」





    「まだ減らず口を叩くか!!!!!!!」

     



    ドギャッ!!




    ゲシッ!!!




    ボグッ!!



    ドゴッ!!(\1up★/)
  104. 104 : : 2015/12/12(土) 22:16:29




               ~夕刻~



               ―医務室―



    ガチャッ・・・・・




    「ユミル~・・、具合はどうかな・・?」




    「・・・そんなおそるおそる入る必要ないでしょ・・・。
     別に訓練中の事故とかで怪我を負ったわけじゃないんだし。」
     ジゴウジトクダロ



    「・・・・・・・・・・・」




    「ぁ~~・・・・頭ガンガンする・・・・・何だお前ら・・・揃って寝たきりの
     私を笑いに来たのか??ぁあ、クリスタは嫁だからゆっくりしてって
     いいぞ。なんなら医官も不在だしベッドにはいって来てくれても・・・」
     チラチラ





    「ばっ・・・変なこと言わないでよユミル!!//////」





    「いや・・・、今更そんな事で顔赤くする必要あるのかな・・・
     あれだけ色々ヤっておきながら。。」




    「・・ユミル。昨日は少し・・・本当に少しだけやりすぎた。
    一応見舞いの意味もかねてこうして見に来たが・・・そこまで酷くない
    ようなら・・・何より」




    「ケッ」フイッ




    「・・・無事が確認できたところで・・・私は部屋に戻って
     連日できなかった分トレーニングを行いたいと思う・・・・(チラ見)」




    「っ・・・、ああ、分かった(腹筋の足抑えか・・)私も・・・すぐ行く。
     少し・・・ユミル(こいつ)と話すことあるからさ・・」




    「理解した。それでは先に行っている・・・・・」ガチャ・・・・




    バタン・・・





    「・・・・・・もう目と目で話し合える仲にまでハッテンしてるとは。
     澄ました顔して流石だな。」





    「・・・澄ました顔ってのは誰の事かな」





    「お前ら二人、どっちでも間違ってないな。この場合」
     ニヤニヤ




    「ミカサにあれだけこっぴどくやられてまだ懲りてないようだね・・・」




    「馬っ鹿・・・!もう散々だぜあんなヤツの相手・・・!

     ・・・と、
     言いたいところだけどな・・・生憎私はやられっぱなしで
     黙って引き下がってやるほどお人よしじゃねぇ。

     やられたらやり返す・・・・倍返しだ・・・・・!(ニヘァ・・・)」




    「・・・・・随分と厭らしいしたり顔で消費期限のとっくに
     切れたネタをぶっ放してくるのは良いけど。

     ここまで完膚なきまでに叩きのめされて・・・まだ何か縋れる希望が
     アンタにはあるの??;」



    「・・・・とりあえずヤツの“弱点”はおおよそ理解できた・・・・
    『エレン』であいつの平常心を大きく揺さぶれるのも分かった。

     私がやらかしたヘマは・・・ヤツが充分に正気を保てていない
     “あの”状況で中途半端な『エレン』をチラつかせた所にある」




    「・・・・・・・・・」




    「・・・・なら・・・・今度は(ズル)無しで程よく正気も残しながら、 
     もっと効き目の強い『エレン』をぶつけるか・・・・或いは


     ・・・・・間接的でなく、そのもの(▪▪▪▪)をぶつけるって手もある・・・・!」




    「・・・・・強い酒のやりすぎで最早正常な考え方も出来なくなっちゃった
     みたいだね・・・・。そんなにミカサの攻めはキツかったのか・・・・」




    「あっはは・・・・^^;」

  105. 105 : : 2015/12/12(土) 22:18:04






    「お前・・・・ありゃキツイなんてモンじゃねえぞ・・・!(汗)

     危なくもう少しでクリスタをヨがらせるのに必要不可欠な
     S属性を全てMの方に取っ替えられちまう所だった・・・・!

     ついでに後ろの穴の空きスロットまで増設されかけたしな」
     マジ アブナカッタゼ




    「・・・そのままミカサに品種改良されちゃえば面倒が無くてよかったのに..」




    「すっかり従順な子猫ちゃんにされたお前が言うと洒落にならねえから止してくれ」




    「(完全に受身になったユミルかぁ・・・・)/////」
     ポケーー・・・・・



    「あ”っ!!!?クリスタお前その目はッ・・・・!

     まさか“この私”がよりにもよってあんなヤツの手で
     M豚に人格改造されちまうところを想像してるんじゃないだろうな!!」
     ヤッ・・ヤメロ!!ソンナメデ ワタシヲミルナ!!



    「ぇっ、ぇえw;でも、別に・・・ねえ、いいんじゃないかな・・・・?_
     乱暴にされてそれでも悦んじゃうユミっていうのも・・・・それはそれで。」
     ゾクゾクッ・・・・




    「止めろクリスタ!!お前はそっち側の人間じゃぁ無いハズだッ!!!
     戻ってきてくれ――――!!」Noooooooo!!




    「(・・・・茶番だ・・・・;)それじゃ・・・私は部屋戻るから・・・・・。」




    「ああ、早く行ってやれよ。ご主人様が待ってるぞ」シッシッ




    「・・・・・ꐦ°᷄д°᷅)」




    「そう怖い顔すんなって。それから・・・・」




    「・・・・・・・?」




    「お前も対して変わらない事を考えてるんだろうけど・・・
     近く、私も“例のアレ”を手に入れる為に動くつもりだからな・・・・
     精々その時は互いに助け合える事を願ってるぜ。

     目的は一緒なんだ。・・・なら力を併せずにいくより足並みそろえて
     行った方が理に適ってるだろ」




    「例の・・・アレ・・???;」
     ンン・・??




    「・・・・・・さあね。」






    「しっかし“タオル”でアレだからな・・・・どうなるんだ一体・・・
     ッてカンジだよな・・・・!間違いなく理性はぶっ飛ばせるハズだ。」
     ワクワク・・・・




    「・・・・・・・・・」



     私も・・・・いや、私だって。ミカサのそれについて何も
     興味が湧かない訳じゃない。けどそれはあくまで、
     私の知らないミカサの貌をみたいからってだけの話だ。

     別に目の前でリベンジに燃えるユミル(コイツ)みたいに、あいつに一泡吹かせたい・・・
     なんて願望がある訳でもない。・・・・ただ・・・・
     
     あいつのもっと淫れた貌を見てみたい。


     ・・・私の存在だけであいつをそこまでの色に
     変えることが出来ないのは受け入れよう。

     それでも・・・ミカサにどこまでの変わり様があるのか、
     それを見る為だったら私は・・・・




    「・・・まあ私一人じゃ入手が難しいモノではある。

     せめてもう一人・・・鼻と耳の効く増援が欲しい所だけど」




    「・・・・そう来なくっちゃな・・・・・!しかしそりゃお前・・・
     その条件なら勿論芋しか適任は居ないだろ・・・・!」




    「え・・・!?何々・・・?!二人して何の話・・・・!」キョロキョロ




     悪魔(ユミル)の囁きにだって少しくらい耳を貸してやろう。

  106. 106 : : 2015/12/12(土) 22:21:22




    「まあ・・・私はそろそろ失礼させて貰うよ。ミカサも部屋で
     待ってる事だしね・・・・」






    「・・・・・ちょっと待った。・・・・なあ、お前あの後・・・・
     
     アイツと“やった”のか・・・・?」ニヨニヨ....




    「・・・・・・・・・・・」ピタッ・・・・



     振り返らなくたって手に取るように分かる。
     きっとユミルは今、凄まじく意地の悪そうな顔で
     にやけてる事だろう。私の反応を楽しみにしているのが半分、
     自分があれだけミカサを追い詰めた後、私がどの様にして
     その後釜を拝借したのか・・・それが気になって仕方がない、
     というのがもう半分だと思う。





    「・・・・気になるかい?」ニヤァ・・・・





    「っ・・・・!!!!」ゾクッ





     だから私は・・・そいつが期待する全てのパターンに
     当て嵌らない顔でそう返す。





    「私はさ・・・もうなんか、ミカサ(あいつ)の事しか頭に無いみたいだから
     どう説明した所でアンタにこの感覚は上手くは伝わんないだろうけど・・・

     ・・・・・まあ、凄かったよ。

     アンタが前言ってた・・・、クリスタと溶けるまでなんとかって
     言ってた言葉が・・・・今になって何となく理解できたかもしれないね。」
     
     ズイッ・・・・





    「ぇっ・・・・あの・・・・いや・・・;おまっ・・////」





     そしてこの上なく素直に・・・思ったままの言葉を返す。 

     予想外の返しに慌てふためくユミルの鼻先に・・・
     これでもかと言うほどに満面の笑みを近づけて。




    「・・・・だからさ。アイツがもっと凄い事になる姿を見られるなら・・
     私は素直に“ソレ”に興味がある。あんたにもそういう意味では
     この先まだ少し手を借りる事になると思うんだ」





    「お・・・・おぅ・・・・(冷汗);」





    「・・・・・・・」ガタガタガタ・・・・





     何に怯えているのか・・・私とユミルのやり取りを
     真隣で震え上がりながら見ているクリスタ。

     私は至って朗らかな笑顔を向けているだけなのに何なんだろうね、
     アルミンといい、ユミルといい、クリスタといい。この理不尽な反応は。






    「・・・・その時は是非宜しく」




    「・・・・・・。。;」コクリ






    ガチャッ....    バタン・・・・






    ~アニ退室後の医務室~




    「・・・・ビビッたな・・・マジで。」




    「・・・・うん。ちょっと・・・・;いや、アニが心から喜んで
     笑ってるって言うのは分かるんだけど・・・
     かなり・・・迫力あるよね・・・・」バクバクバク・・・




    「・・・大丈夫だったか?チビッて無いよな・・・;?」




    「そんな訳無いでしょ!!//」プンスカ=3





    「しかしまあ・・・・アイツがあそこまで素直に認めるとはな・・・
     私は絶対恥ずかしがりながら否定するとばかり思って
     たんだが・・・。―――もしかしてあいつら本当にデキてんのかな」




    「ミーナの話だと・・・・ミカサがそんな事をアニに対して
     チラッと漏らしたのを確かに聞いたらしいけど・・・」




    「マジかよ!!!!アニじゃなくて・・・あのミカサがか!?!」
     ガバッ



    「そう・・・、らしいんだけど、でもやっぱり“ミカサ”だから。
     言葉の上ではどんな風に言ったのか良く聞いてないけど・・・

     多分私達の感覚とミカサの感覚じゃその辺大分違って
     くるんじゃないかな・・・・・」



    「・・・・それは言えてるかもな。なんたってアイツは・・・
     相当な変わりモンだからな。いや、この際変人でも通る。

     あいつの場合、多分・・・“あのエレンですら”私達で言うところの
     恋愛対象としては見ていない可能性もある。」




    「・・・・それは・・・なんとなく分かるね。。」


  107. 107 : : 2015/12/12(土) 22:24:55


    「アニの奴に関しては・・・好きな男子すら居るのかどうか、
     それすら分かってない訳だから・・・私は例え女同士であっても
     アイツが仲良くできる相手とくっつくところを見てみたいって
     願望は結構あるんだが・・・。」




    「ユミルがマジメな顔してそんな事言うなんて珍しいね」
     ポケ~・・・



    「お前・・・、アイツの笑ってる顔っていったら、さっきみたいな
     おっかねえ顔しか見た事無いだろ・・・・?」



    「ぅっ・・・・;、、そもそもアニの笑顔自体さっきのが
     初めてって気がするけど・・・・・何?その言い方じゃユミルは
     見た事があるって言うの・・・・?」




    「・・・・あるわけ無いだろ。・・・・だからだよ。」




    「・・・・・?」





    「普段からあんな、重いの(▪▪▪)が中々終わらなくて機嫌の悪そうな
     面してる奴が・・・好きな奴に向けるような自然な流れで笑える様に
     なって見ろ。・・・・絶対可愛いぞ。」




    「・・・・・・・・・ごめん、ユミルの口からそんな言葉が出てくるなんて、
     私も色々頭が追いついていかないって言うか・・・・」




    「・・・私は可愛いもの好きだからな。・・つまりこれ以上無い
     位に愛らしいクリスタこそが私にとって一番愛おしい嫁な訳だが・・・」





    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」キョトン...
    (何言ってんだこいつ・・という目)





    「アイツはアイツで、普段決して笑顔(そんな顔)を見せる機会も
     無いからな。・・・・卒業までに一回くらい・・・アイツのそんな顔が
     見てみたいって気がした。それだけだ」





    「ユミルは・・・・ミカサをどうこうする事しか考えてないのかと
     思ってたんだけど。そんな事も一応考えてたんだね・・・・。 意外。。」




    「勿論それも込みだ。・・・だからあいつ等二人をくっつけられれば
     それが一番面白いと思った。」




    「・・・・・・・・・」





    「・・・別に私は何もおかしい事言って無いよな?どうだ・・・?
     お前も見てみたいとは思わないか?あいつら揃って・・・
     今まで見た事もない顔で笑ってるところってのを。

     それが並んで見られりゃ言う事無しだ」ニッ・・・




    「・・・・ユミルって・・・・本当何考えてるのか全然読めなさ過ぎだよ・・・」





    「はは、、。まあ反対に私はお前の事は何だってお見通しだけどな?

     例えば、、食事の後の講義で丁度いい塩梅に消化が進んで来た所で
     唐突に屁をこきたくなっても、周囲を見渡して半径10メートル以内に
     人が居るところでは絶対にぶっ放そうとしないし」




    「      」





    「それどころか部屋の中で催した時は一々外まで出て....





    「それ今してる話と全然関係ない話だよね!!!!???/////;」
     カァァァァァ・・・・・!!






    「・・・・・別にそんな真っ赤になる事ないだろ・・・此処にゃ
     私とお前しか居ないんだからよ・・・・(溜息)」






    「ぅうん!?!二人しか居なくても恥ずかしい話は恥ずかしい話だよ!!?
     というよりどうしてそんな事まで正確に把握してるのユミル!!?;」
     




    「どうしてってお前・・・・自己申告が無いのに消音機でも通してるんじゃ
     ないかって位サイレントノイズなお前の放屁を私が察知できる手段なんて
     一つっきゃ無いだろ・・・・・(スンスン)」
     





    「っなッッ・・・・・!!!!!!///////;;」
     ダラダラダラ.....




    「・・・・冗談だよ(笑)

     お前、力んでる時、無表情装ってても面白いくらい顔に
     出るからな・・・・遠めに見てても直ぐ分かるっつの。」クシャクシャッ




    髪クシャ(それ)やめッ・・・・!!」ウワァッ
     ババッ!!!


  108. 108 : : 2015/12/12(土) 22:27:37







    バタンッ!!!




    「!!!!」



    「!!!?」





    その時唐突に開け放たれた医務室に駆け込んできたのは・・・・、





    「大丈夫っ??ライナー??!痛むのは最初にモロに入った鎖骨か?!
     それとも踏みつけられた尺骨か!!!?」シッカリスルンダ!!!



    「い、医務室に着いたよ・・・・!ほら、ベッドに・・・・!」




    ぐったりとしたライナーに両脇から肩を貸すベルトルトとアルミンだった。



    ・・・が、身長の関係からか、大分アンバランスな保持姿勢となっており、
    立て付けのわるい案山子のように、当のライナーは歩を進める度に
    その身体を前後左右に不規則に揺すられている。 




    「・・・・・・どうしたんだ、そいつ。」




    「ら、、ライナー!!?大丈夫??!?!そういえば午前の講義で何か
     ものすっごいアニに・・・・・!」アタフタ・・・!





    「や、やあ・・・・・、、先客が居たのか・・・・隣のベッド、悪いけど
     少しライナーがお邪魔するよ・・・・。。
     (ユミル・・・今日は一日姿を見かけなかったけど・・・こんな所に・・・)」




    「何だ・・・・?話が見えないんだが・・・午前の対人格闘で負傷したってんなら
     今頃担ぎ込まれるってのは一体何事だよ・・・・」




    「午後の講義は座学で座ってるだけだからって・・!無茶をしてたんだ・・・!;
     本当なら直ぐにでも冷やさないといけない打撲箇所の
     目白押しだったのに!講義が終わってから変な汗を流したまま
     椅子から立ち上がろうとしないからおかしいと思って・・・」





    「・・・・・アニの残機が増える位の勢いで蹴られまくってたしね・・・(汗)」
     キノコデテタ....






    「....グヌゥゥ。。。。。。す、済まないな・・・・アルミン・・・ベルトルト・・・・;
     久々に本気で怒ったアイツにぶつかったが・・・ありゃ無茶苦茶だ・・・!
     いくら装置の補助有りとはいえ・・・・」





    「(しかしライナー....!無茶を承知の上で聞くけど・・・!
     何とか人目につかないように治せなかった(▪▪▪▪▪▪)のか・・・・!?これは本当に折れてるぞ・・・!?(小声))」






    「(心配をかけて悪かったと言いたい所だが・・・!
     こいつは俺自身の・・・ケジメみたいなものだ・・・・。。
     アニ(あいつ)があそこまで怒るのも尤もだからな・・・せめてその怒りの証が
     少しでも長く残る様にと・・・あえて治さなかった(小声))」




    「(ライナー・・・キミはやっぱりどこか普通じゃ無いよ・・!(小声))」




    「(今更だな・・・w;そんなのお前が一番良く知ってると思ってたが(小声))」




    「ほらライナー!!水袋をあてるから・・・!どこが一番痛むか教えてよ!
     場合によっては上を脱がないと・・・・」ワタワタ・・・




    「気持ちは嬉しいがなアルミン・・・・!

     それは出来ん相談だ・・・!クリスタ((女神))の前で無神経にも男子の
     半裸など晒せるか・・・・!(グヌヌ・・・・!)横になれれば・・・それで充分だ・・・!」



     

    「ううん!!!?無理しちゃダメだよライナー!私、それくらい全然平気だから・・・!
     アルミンの言う通りちゃんと教えて!?私も手拭あててあげるから!!!」
     バチャバチャ・・・・ ギュッ・・・・






    「    っッ(女神の手拭・・・だと・・・・・!!!?)」
     ガクッ・・・・・・






    「・・・・ライナー・・・・? ちょっとライナーー・・・!??!(ガクンガクン)

     い、痛みが限界に達しちゃったの・・?!意識が・・・!」アセアセアセ






    「(ライナー・・・なんて幸せそうな顔で失神してるんだキミは・・・)」



  109. 111 : : 2015/12/12(土) 22:41:54





     
              ~丁度その頃~



           ―女子訓練兵宿舎・ミカサ部屋―





    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




    ギッ・・・・・   ギッ・・・・・・    ギシッ・・・・・




    「シッ・・・・   フッ・・・・・!    ッ・・・・・!!」





     これまでそうしていたのと同じように・・・、腹筋を起こす
     ミカサの脚を胡坐を組んで押さえつける私。

     


    「フゥッ・・・・・  ハッ・・・・・・ ッ・・・・・」





     前半の内は全くの無音で空気を切るだけの音しかしない
     こいつの反復動作に・・・ここまで力む声が混じるようになるのに
     どれだけ掛かるのか・・・それすら忘れそうになるくらい、
     目の前で動き続けるミカサ(そいつ)の姿を見る私。




    「・・・・っ・・・・・・っ、、・・・・・・、」



     ・・・・無意識の内に行ってた凝視だったけど・・・・ミカサも
     普段の私と何処か違うそれに気が付いたのか、起こした上体を再び
     後方に倒すまでの一瞬、私の視線にその目を合わせてくる。


     ・・・・何を語りかけてくるわけでもなく、しかし、確実に何らかの意思を
     その目に宿して私を見てくるミカサの眼。




     ただそれだけのことが・・・・・・




    「・・・・・・・・・・」




     どうしてこんなにも嬉しいんだろうか。
     いつもより身体がすっきりしてるのは・・・・午前にあれだけ
     思いっきり運動に没頭できたからだと思ってた。 




    「・・・・・・・!」




     不意に横から感じる・・・・ミカサ以外の熱視線。。



    「・・・・何かな・・・・?;(忘れてた・・・。そういえば普通にミーナも居るんだった・・・・)」



     同じ部屋に居るんだからそんなの当たり前のことなのに・・・
     そんな事すら一時的に頭の片隅から忘れ去って、ミカサと二人きりの
     世界に入り込んでしまっていた私。・・・これはいよいよ末期だ....





    「い、いや・・・ジロジロ見ちゃってごめん・・・ね・・・??
     でもなんか今アニ・・・・あなた・・・・・・」




    「・・・・・だから、、、何・・・・・?;」




    「何か・・・・少し笑ってなかった・・・・・????」ダラダラ・・・・




    「は・・・・・?笑ってた・・・・・?何かそれが珍しいの・・・?
     私が笑う顔のどこが・・・・・」ニチッ・・・・



    「( その(▪▪)笑顔じゃないよ!! )あっ、、、ぅウン!!

     なんでもないの!!きっと私の気のせい!!!;」ア、アハハッ、、;














    「・・・・・・・・・・ッ・・・・・・・・ッ(気のせいでは・・・無い。)」




     アニは・・・今確かに笑っていた。私も・・・・こんなアニの顔を
     見られるようになったのはとても嬉しい。



     ただ、本人にそういう自覚は全く無いみたいだけど・・・・


     それでも・・・・・



     アニの“その顔”には・・・とても。とても心が揺すられる。




     私は・・・前よりアニ(あなた)に近づく事が出来ただろうか?




     それについて、確かな事は分からないが。

     こうして今、近づいては離れてという運動を繰り返しながら度々
     交わるこの瞬きの内には・・・・・





     間違いなく今迄と違うあなたが感じられる。







     ――――――それだけはきっと間違いではないはず。









     そう・・・・・信じたい。













        ――――-・・・・to be continued !








  110. 112 : : 2015/12/12(土) 22:45:29









             ~後がきてきななにか~





    はい、どうも、、この度もこんなぐでぐでなssと呼んでいいのかどうかも
    分からないほどの駄文に目を通して下さっている閲覧者様方には
    溢れ出し、滲み出る感謝の気持ちで溺死寸前の駄目人間こと、夢馬です。


    惰性で書きはじめたこのシリーズもやはりもっともっと書きたい事を
    残しつつ、あまりに忙しくなり過ぎた近況に焦りを覚えつつ、
    ここいらで一旦次回に持ち越そうかと思いまして御座います。


    それはそうと別マガでもアニメインのスピンオフなど絶好調で、
    これからもアニ人気は上昇していきそうで個人的にほっこりしております。


    ・・・アニに限った事ではなく・・・本当に進撃キャラ全員が持つこの不思議な
    魅力は・・・・今迄知ってきた作品の中でも一味ニ味違った物と感じます。

    どれだけ自身の生活が忙しくなっても、新しいゲームが売りだされて
    其方に着手したくても、こうして趣味として駄文を綴る手間を
    手放したくない気持ちがその証拠だと思っています。

    願わくば、このどうしようもない趣味をどこまでもいつまでも
    続けられる事を祈って。


    今日もこんなものを読んで頂いただけでなく、あまつさえこの場においては
    こんな私の心境報告などと言うどうでもいいものまで
    読んでいただき、誠に有難う御座います!!!



    最近は大好きな甘味に含まれる添加物、それのみに
    摂取毒物を留める為、とうとう自分で小規模な畑を耕し始めた上に
    無農薬野菜にこだわる域にまで到達した脅威のお馬鹿、
    夢馬がお送りしました。(誰に送ったの?とか訊かないで下さい(ノД`)・゜・。)
  111. 113 : : 2015/12/13(日) 08:55:30
    お疲れさまでした!


    相変わらずの面白さに感服です…


    来年から進撃の巨人アニメ二期始まるみたいですね…


    自分は原作既読でも声とモーションが入るだけでアニメは
    ある意味原作とは別物として楽しめる人間なので


    今から楽しみで仕方ありません


    何よりssへの熱に対しての燃料投下になりそうですし…


    それでは次回作楽しみにしています!
  112. 114 : : 2015/12/13(日) 17:58:28
    >>まだまだお さん

    閲覧&ご感想有難う御座います!!

    お、面白さに、、感服、、ですと、、!?(゚o゚;;

    い、いえ、きっと原作、
    及びアニメの進撃に対する作品評価ですよね!
    いけないいけない、最近昼夜勤逆転のせいでたまに
    見えるはずのないものまで見えたりしてしまって。。

    兎も角、労いのお言葉!感謝感激です!
    ss的なものを書ける時間の中に限って、
    私のHPは徐々に回復する仕組みですので
    これに関しては全くお疲れではないのですが、
    いかんせん仕事はつかれますね!( ^ω^ )
    しかし仕事が辛いほどss的な何かが捗る
    という謎のハイブリッド仕様車こと夢馬。
    かく言う私も二期は楽しみです。

    まだまだおさんが書くアルミンの
    透明度高めなゲスい活躍にも期待しております故!
  113. 115 : : 2016/01/04(月) 19:56:34
    面白かったです!
  114. 116 : : 2016/01/05(火) 01:54:15
    >>ヴァイス・イェーガー さん

    ご感想、有難うございます!!

    当初単純な百合要素のみで書き進めようとしてたモノが、
    色々と楽しんで書き殴ってる内に、雑多な要素が入り混じって
    しまいました。・・・・が、お蔭でそのような有難き
    お言葉を頂けたので、この際結果オーライと致します(*‘∀‘)
  115. 117 : : 2016/01/13(水) 10:49:29
    お疲れ様です!

    夢馬さんの書く進撃のキャラ達はみんな原作のキャラを守りつつオリジナリティがあってとても楽しませてもらいました

    お疲れ様です!
  116. 118 : : 2016/01/14(木) 04:53:54
    >>蒼電さん

    ご感想、ありがとう御座います!m(__)m

    好き勝手やっていながら極力そういった部分だけはせめて、、
    と思っているため、そんな風に
    感じて貰えたとあっては、これほど
    嬉しい事もありません!(( _ _ ))

  117. 119 : : 2016/02/03(水) 07:04:41
    1000PVもありがとう御座います|д゚)

    と、いうことで、前回アニだったので次はミカサを・・・
    と思っていたのが、すっかり忙しくて遅くなってしまいました。

    大したものではなくて済みませんが落書きをさせて
    いただきました。素敵な腹筋を隠したい訳では断じてないのですが
    水着のチョイス上こういう構図にしちゃいました。


    http://fast-uploader.com/file/7010276097907/


    パスは mikasa02 となっております。


    いつもいつも、
    こんなおバカが綴った駄文をご覧になってくださり、
    誠にありがとうございます(´・ω・`)

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著者情報
ne5716

夢馬

@ne5716

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ミカ×アニ シリーズ シリーズ

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