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エレン「『駆逐』すべき敵は…」

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  1. 1 : : 2014/03/11(火) 22:19:36

    エレン「これが…真の『駆逐』だっ!!」
    http://www.ssnote.net/archives/11223

    の続編です。


    前作読んでくれた方はありがとうございます。
    読んでない方もありがとうございます。
  2. 2 : : 2014/03/11(火) 22:46:21

    ~調査兵団本部・地下牢~

    エレン「」パチッ

    ライナー「気が付いたか」




    エレン「ここはどこだ…?何でお前らがここにいる!?」

    ベルトルト「…」

    アニ「…」
  3. 4 : : 2014/03/11(火) 22:51:21

    ライナー「俺達からすれば、お前がここにいることの方が不思議なんだがな」

    エレン「あれ…ここは…地下牢!?」




    エレン「何で俺がこんなところに!?また俺が知らないところで、巨人の力が暴走でもしたのか!?」

    ライナー「安心しろ。俺達は見ての通りガッチリ拘束されてるが、お前は自由だ。つまり、お前は拘束目的でここに入れられたわけではない」

    エレン「じゃあ…何で…」
  4. 5 : : 2014/03/11(火) 22:57:24

    エルヴィン「この場所がこの施設内で、一番安全だからだ」

    エレン「エルヴィン団長!?」




    エルヴィン「すまない、こんな措置を取らせてもらって。君は今、何かしらの方法で匿っておかなければいけないのでね」

    エレン「俺を匿う…?一体どうして…」

    ハンジ「詳しい理由は後で話すよ。結構長くなっちゃうしね」
  5. 13 : : 2014/03/12(水) 20:47:34

    ハンジ「それよりも!あの絶体絶命のピンチの中で、突然巨人達が離散した謎の現象。あれについて、教えてくれるんでしょ?」

    エレン「いや…それについては…俺もサッパリ…」



    ハンジ「いや、エレンに教えてくれとは言ってないよ。私が聞きたいのは、そっちの子たちさ」

    ライナー「…」

    ベルトルト「…」
  6. 14 : : 2014/03/12(水) 20:57:48

    エレン「やっぱお前ら、アレについて何か知ってるんだな!?」

    ライナー「まぁな。何せ、あの力こそが、俺達が壁内に来た理由。『探し物』の正体だからな」

    エレン「何だって…!?」



    エルヴィン「君たちがある『探し物』のためにこちらへ来たという話は、先日君たちの口からしてもらったね」

    エルヴィン「その『探し物』とエレンの関係は、一体どういうことなのかな?」
  7. 15 : : 2014/03/12(水) 21:07:14

    ライナー「エレン、巨人が一斉にいなくなる時、何か感じたことはなかったか?」

    エレン「えっと…確か、頭の中に何かが入り込んできたんだよな…」



    エレン「何て言うか…言葉…って言うワケじゃないんだけど、声みたいな…」

    ライナー「その声みたいなもの、それはおそらく巨人の意思だな」

    エレン「巨人の…意思!?」

    ライナー「って言っても、巨人に知性はないからな。声なき声として、お前の頭の中に入っていったんだろう」
  8. 16 : : 2014/03/12(水) 21:17:12

    ハンジ「え!?え!?つまりあの時エレンは、巨人の頭の中を覗いていたって事!?」

    ライナー「まぁ、簡単に言えば。同時に、あの時エレンは、エレンの意思を巨人の頭の中に送り込むことをやりのけていたはずだ」



    ライナー「そうだな…確か…『お前ら全員、どっか行きやがれ』だったか?」

    エレン「なっ…!?ライナー、何でお前がそれを!?」

    ライナー「何を言ってやがる、俺だって巨人なんだぞ?」

    エレン「な…」



    エルヴィン「つまりエレンは、巨人と相互に意思を通わせたという事なのか…?」
  9. 17 : : 2014/03/12(水) 21:27:19

    ハンジ「でもそれっておかしくない?巨人に『どっか行け』って言ったって、素直に言うこと聞くわけないと思うけど…」

    ライナー「そう、ただ命令しても巨人には通じない。奴らには理解能力がないからな」



    ライナー「エレンの能力はただ意思を通わせるのとは少々違う。巨人の本能を『書き換える』と言った方が正しいな」

    エレン「本能を…書き換える!?」

    ハンジ「巨人の本能…つまり、人間を捕食するというこの一点を書き換えたということ…?」
  10. 18 : : 2014/03/12(水) 21:37:17

    ライナー「そう。巨人というのは、ある『一つ』の本能の下に行動している。人間を捕食すると言う行動は、その本能に基づくものだ」

    ライナー「その本能を、エレンの能力で『どこかへ行く』ことへと書き換えたため、奴らはあの時、俺達のもとから立ち去った」



    ライナー「当然、その能力は俺とベルトルトにも伝わっていたが、俺達はあんな無知性の奴らとは違う」

    ライナー「自身の意思でそれを拒否した。それが俺達と通常巨人との大きな違いだ」

    ハンジ「驚いた…。じゃあつまり、エレンが巨人と意思を通わせ、奴らの本能を書き換える能力、それが君たちの探していたもの…?」
  11. 19 : : 2014/03/12(水) 21:47:17

    ライナー「そうだ。そしてその能力を、俺達の故郷ではこう呼んでいる…」



    ライナー「巨人を統率する、王座の標(しるべ)。すなわち『座標』と」

    エレン「座標…」



    ライナー「巨人を操るのとは少々違う。奴らの行動原理を書き換えることで、ある程度のことは可能になる」

    ライナー「例えば…特定の場所に巨人を寄り付かせなくすることとか、な…」
  12. 20 : : 2014/03/12(水) 21:57:25

    エレン「特定の場所…お前らの故郷か!?」

    エルヴィン「それを使えば、『人間を捕食する』という行動を掻き消せる。即ち…」



    エルヴィン「我々の天敵であった巨人を、完全に掌握することができる!!」

    ハンジ「すごいね…」

    エレン「俺に…どうしてそんな力が…」
  13. 21 : : 2014/03/12(水) 22:07:23

    ライナー「何でお前がそれを持っていたか、理由までは知らん。もともとその力は、俺達の故郷の先祖が持っていたものとされている」

    ライナー「座標とは、受け継がれる力だと言われている。何らかの経緯で複数の人物へと受け継がれ、お前の下へたどり着いたとみていいだろう」



    エルヴィン「しかし、何故今になって、我々にその情報を開示した?」

    ライナー「エレンが座標であると確信した以上、俺達の要望はただ一つ…」

    ライナー「エレンの力で、故郷を守ってもらいたい!ただそれだけだ!」
  14. 22 : : 2014/03/12(水) 22:17:19

    ライナー「本当ならこんなこと、言える立場じゃないことは分かってる!けど…」

    ライナー「俺達はどうなっても構わん!せめて、故郷の連中だけは助けてくれ!あいつらに罪はない!!」

    アニ「あんたは本当に…」

    ライナー「…?」




    アニ「あそこの連中の言う事を全て鵜呑みにしているの?連中の目的が、座標で故郷を守るためだけだと、そう思ってるの?」

    ベルトルト「アニ、一体何を言い出すんだ…?」
  15. 23 : : 2014/03/12(水) 22:27:21

    ライナー「それ以外に目的はないはずだろう?お前だって、そのくらい分かっているはずだ」

    アニ「…そうだね。ちょっと不安になっただけさ。もう言わないよ」

    エレン「アニ…」




    エルヴィン「君たちの目的、情報を開示した意味、全て理解した。その上で…」

    エルヴィン「交換条件という事にはできないか?エレンの力を、君たちの故郷を守るために使うという件については、条件を飲むかどうかで判断する」

    ライナー「条件とは…?」
  16. 24 : : 2014/03/12(水) 22:37:05

    エルヴィン「なに、我々調査兵団が行う作戦に、全身全霊をかけて協力すること」

    ライナー「それが…条件…?」

    エルヴィン「そうだ。もちろん、必要であれば君たちの巨人の力も役立ててもらう。異論はあるか?」

    ベルトルト「そんな…異論なんて…」






    ライナー「なんでだよ…」

    エルヴィン「ん?」
  17. 25 : : 2014/03/12(水) 22:40:29

    ライナー「何で…だって俺達は、この壁内に災いをもたらした張本人だぞ!?」

    ライナー「なのにそんな条件、寛大すぎるだろう!こんな俺達の故郷を守ることに、本当に協力するなんて!!」

    エルヴィン「嘘は言わない。君たちの目的は殺戮ではなく、故郷のためだと知ったからな」

    エルヴィン「確かに、君たちのしたことは到底許されることではない。本来であれば、極刑は免れないだろう」
  18. 26 : : 2014/03/12(水) 22:47:35

    エルヴィン「しかし、それでは意味がない。憎い相手を殺すだけなら、動物にだってできる」

    エルヴィン「だが、我々は違うだろう?自らの意思を持ち、律し、行動できる。だって我々は…」






    エルヴィン「人間なのだからな」

    ライナー「…っ!」ブワッ!

    ベルトルト「う…うぅっ!!」ポロポロ…



    エレン「何泣いてんだよ、お前ら…」

    アニ「…」
  19. 27 : : 2014/03/12(水) 22:50:15

    ライナー「故郷では…壁内の連中は悪魔だって…散々教え込まれてきた…」

    ベルトルト「それが、文字通りふたを開けてみれば…僕らと何一つ変わらない人達だった…」

    ベルトルト「正直戸惑った!自分達の行いを激しく後悔した!でも…後戻りはできないと…そう思っていた…」



    エルヴィン「その通りだ。後戻りはできない。いや、する必要もない」
  20. 28 : : 2014/03/12(水) 22:55:07

    エルヴィン「君たちにその意思があるのなら、我々と一緒に、前に進まないか?」

    エルヴィン「壁外に住む人間達にもぜひ会ってみたい。彼らも我々も、共に生きて行く権利を有している」

    エルヴィン「いがみ、憎しみ、殺し合うだけの時代は終わる。これからは、ともに切り拓いていく時代だ」



    エルヴィン「まぁ、それを教えてくれたのは、そこにいるエレンなのかもしれないがな」

    エレン「え…俺が…?」
  21. 29 : : 2014/03/12(水) 23:00:10

    エルヴィン「君が立てた巨人の存在理由の考察、実に面白く、感銘を受けた。我々も、今一度考えを改めなければならないのかもしれないな」

    エレン「団長…」



    エルヴィン「君が望む、巨人を殺さずとも済む時代は、もうすぐそこまで来ている」

    エルヴィン「何の因果か、そのための一番のキーとなる力を君が手に入れた。これも決して偶然ではないだろう」

    エルヴィン「さすがにそっちの二人は無罪放免とはいかないだろう。だが…」

    エルヴィン「君たちが望むなら、我々と一緒に、時代が移り変わる様を見てみたいとは思わないか?」
  22. 30 : : 2014/03/12(水) 23:05:32

    ライナー「あ…あぁ…もちろん…いや!」



    ライナー「俺達こそ!是非、その時代を見させてほしいと思います!!」

    ベルトルト「お願いします!!」





    エルヴィン「…そっちの君は?」

    アニ「…それじゃ、私も」
  23. 31 : : 2014/03/12(水) 23:10:21

    エルヴィン「決まりだな。とりあえず、こっちの問題は片付いたとみていいか」

    ハンジ「そうだね。それじゃこれからは、もっと重大な問題に取り組みますか…」

    エレン「重大な問題…?」




    ライナー「エレンをわざわざ地下牢で匿っていることと、何か関係が…?」

    ハンジ「まぁ…エレンを狙っているのは、君たちだけではなかったという事なんだよね…」

    エレン「え…!?」
  24. 32 : : 2014/03/14(金) 20:49:24

    ~調査兵団本部・会議室~

    コンコン…



    リヴァイ「入れ」

    エルヴィン「失礼する。エレン達を連れて来た」

    エレン「どうも…」

    ライナー「失礼します…」

    ベルトルト「…」

    アニ「…」
  25. 34 : : 2014/03/14(金) 20:54:20

    ミカサ「…」ジロ…

    アルミン「ダメだよミカサ…」



    コニー「なぁ、ライナー、ベルトルト、お前らも本当に…」

    ハンジ「今はそれについて言及するのはよしてくれ。議題は別のところにあるからね」

    コニー「すみません…」
  26. 35 : : 2014/03/14(金) 21:00:23

    ジャン「よぉエレン、久しいな。お前がいない間、こっちは大変だったんだぞ」

    エレン「そうらしいな。その…悪かったよ」

    ジャン「そう謝られれば済む話でもねぇけどな。まぁ、座れ」



    エレン「お前らも一緒なんだな」

    サシャ「そうですね。同期として、話を聞く義務があると」

    ユミル「…」
  27. 36 : : 2014/03/14(金) 21:06:14

    ハンジ「それじゃ、そろそろ始めようか。お願いしてもいいかな…」

    ハンジ「…クリスタ」

    クリスタ「はい…」




    エレン(なんでクリスタが…?いったい今から、何が始まるってんだ?)
  28. 37 : : 2014/03/14(金) 21:11:57

    クリスタ「今から私がお話しするのは、ウォール教、ニック司祭より伺った壁の秘密についてです」

    ニック「…」

    エレン(壁の秘密…?それに、何であの司祭までここにいるんだ…?)



    クリスタ「最初に、皆さんに謝らなければならないことがあります」

    クリスタ「私は今まで、名前を偽って生きていました。クリスタ・レンズは偽名であり…」

    クリスタ「本名はヒストリア・レイス。壁の秘密と世界の歴史を公に公開する権利を持った、内地の貴族の一員です」

    エレン「なっ…!?」ガタッ
  29. 38 : : 2014/03/14(金) 21:24:09

    クリスタ「私はさきほど、ニック司祭から壁の秘密、そして世界の歴史についての情報を聞きました」

    クリスタ「そして、その聞いた情報を皆さんに公開するという判断を下し、今現在に至ります」



    クリスタ「で、よろしいんですよね、司祭…」

    ニック「その権利を持つのは君だけだ。君が判断したのなら、私は何も言う事はない」
  30. 39 : : 2014/03/14(金) 21:30:12

    エレン「ちょっ…待ってください!いきなり何なんですか!?壁の秘密とか、歴史とか…」

    ハンジ「聞いての通りだよ、エレン。今から話してもらうのは、この世界の謎の一端である壁について」

    ハンジ「そして、なぜ巨人が誕生し、人類がこの壁の中に追いやられることになったのか。その真実についてだ」

    ハンジ「これらの情報は、ある団体の圧力によって揉み消され、一部の人間にのみ知らされてきた」

    ハンジ「ウォール教もその一員。そして、クリスタ…いや、ヒストリアは、その秘密を公に公開する権利を持った人間」



    ハンジ「話が唐突過ぎてついてこられないと言うのは分かるよ。でも、これを知っておくのは我々の義務だ」

    エレン「はぁ…」
  31. 40 : : 2014/03/14(金) 21:36:22

    ハンジ「質問は話が終わった後にね。それじゃヒストリア、お願い」

    クリスタ「分かりました。では、まずは壁の成り立ちの経緯について…」



    クリスタ「そもそもなぜ、この世界には3つの巨大な壁が存在するのか。それは他でもなく、人間の天敵である巨人の脅威から身を守るためです」

    クリスタ「ではなぜ巨人などというものが存在するのか」

    クリスタ「話は100年以上前にさかのぼります。その時代には壁など存在せず、巨人ももちろん存在しませんでした」
  32. 41 : : 2014/03/14(金) 21:42:05

    クリスタ「私達と同じ人間達が生活し、平和な日々を送っていたそうです」

    クリスタ「しかしある時、その集団の自治権を巡り、人間達の間で大きな抗争が勃発しました」

    クリスタ「争いによって人間達は3つの勢力に分かれ、それぞれ自分達の居場所を守るために戦ったそうです」



    クリスタ「仮にその3つの勢力をA、B、Cと仮定しておきましょう」

    クリスタ「当初はA勢力とB勢力の抗争が盛んで、C勢力は主にその二つの争いを見守っているだけでした」
  33. 42 : : 2014/03/14(金) 21:48:09

    クリスタ「A勢力は圧倒的な力を用いて、B勢力をたちまち壊滅寸前まで追い込みました」

    クリスタ「しかし、B勢力のとある科学者が、恐るべきものを開発してしまった」

    クリスタ「それが『巨人の力』だと言われています」

    ハンジ「巨人の力…!?あれは人の手で生み出されたものだって言うのか!?」

    クリスタ「言い伝えではそのようです。そうですよね?」

    ニック「私の口からは何も言えない。君が話したことが脚色されていようがいまいが、君が話したことはすべて真実という事になる」



    クリスタ「私は嘘など言いません。正真正銘、司祭から聞いたことだけをお話しします」

    エルヴィン「信じるよ。続けてくれ」
  34. 43 : : 2014/03/14(金) 21:54:11

    クリスタ「巨人の力を投与されたB勢力の人間は、知性を有していなかったものの、兵器として機能させるには十分でした」

    クリスタ「そしてその科学者の作り出した恐るべき力は、今度はA勢力の人間をたちまち追い詰めました」

    クリスタ「恐怖に震え、どうすることもできずに逃げ惑うだけのA勢力」



    クリスタ「しかし、その力に恐怖を覚えていたのは、A勢力の人間に限りませんでした」

    クリスタ「科学者と仲間であるはずのB勢力の人間達も、その力の存在を危惧するようになったのです」
  35. 44 : : 2014/03/14(金) 22:00:37

    クリスタ「その上その科学者は、巨人に自分の意思を自由に伝えられる力を持っていました」

    エレン「もしかして…それが…」



    クリスタ「王座の標、『座標』。この力によって、B勢力は巨人の魔の手から免れることができていたのです」

    クリスタ「しかしB勢力は考えました。あの科学者が、今度は自分達を標的に変えるのではないか、と」

    クリスタ「もともとその科学者はあまり評判のいい人物ではなく、巨人の力を生み出したのも、B勢力のためではなく私怨のためだと言われています」

    エレン「私怨…つまり、憎しみが原因ってことか…」
  36. 45 : : 2014/03/14(金) 22:06:18

    クリスタ「そのため、あろうことかB勢力の人々は、A勢力の人間諸共その科学者を追放してしまったのです」

    クリスタ「激怒した科学者は、こんどはA勢力に取り入って、B勢力を滅ぼそうと企みましたが…」

    クリスタ「当然、もともとは敵同士。すんなりと受け入れてもらえるはずがありません」



    クリスタ「そこで科学者は、今度はC勢力の人間に特殊な巨人の力を与えました」

    ハンジ「特殊な巨人の力…?」
  37. 46 : : 2014/03/14(金) 22:12:34

    クリスタ「知性を持った状態で巨人に変身し、その力を操る能力です」

    ライナー「つまり、俺達と同じ能力という事か…」



    クリスタ「しかし科学者の目的は別にありました。今度はその能力を得たC勢力の人物を、次々と壁に変えていったのです」

    エレン「え…!?」

    ハンジ「人間を…壁に!?」
  38. 47 : : 2014/03/14(金) 22:18:17

    ライナー「ちょっと待て、俺もよく分からんぞ!じゃああの壁は、巨人化能力者が姿を変えれたものだと言うのか!?」

    クリスタ「詳しい経緯は分かりません。ただ、あの壁はその科学者の『座標』によって姿を変えられたC勢力の人々。それだけは揺るがぬ事実です」



    クリスタ「科学者は作り出した壁の中にA勢力の人間を招き入れ、B勢力の人間達を巨人の脅威にさらすことで、たちまちA勢力の人間と友好関係を築き上げました」

    ライナー「という事は…A勢力は今の壁内人類、B勢力は俺達の故郷を含めた壁外の人類という事なのか…」

    クリスタ「おそらくは。生き残ったC勢力の人間達の末裔も、今はどこかで暮らしていると聞きます」
  39. 48 : : 2014/03/14(金) 22:24:04

    クリスタ「さらにA勢力から壁外へと分かれた『果ての守人』と呼ばれる人たちもいるそうなんですが、詳細は不明なので置いておきます」

    クリスタ「A勢力に取り入り、壁の中で地位を築いた科学者は、後にその壁内で『王』として君臨することとなりました」

    クリスタ「この人物こそ、現在の王の先祖に当たる人物だそうです」

    ハンジ「王の先祖…!?初めて聞いた…」

    ジャン「ろくでもねぇ奴だな!」
  40. 49 : : 2014/03/14(金) 22:30:12

    クリスタ「当初は壁外と自由に行き来できるよう、前門を開け放っていたと言われています」

    エルヴィン「確かに。巨人を統率できる能力があるのなら、わざわざ前門を閉めておく必要などないからな」



    クリスタ「しかし…その科学者は、失っていたのです。座標の力を…」

    ハンジ「座標を失った!?どうして!?」

    クリスタ「原因は不明ですが、座標とは本来『受け継がれる力』。誰かしらに受け継がれ、時代を超えて今、エレンの下へ辿り着いたとしか言えないでしょう」
  41. 50 : : 2014/03/14(金) 22:35:08

    クリスタ「巨人を統率できなくなった科学者は、壁内の人間達に命令して前門を作り出し、現在の壁と同等の姿にしたと言われています」

    ハンジ「なるほど…門は人間の手で作り出されたものだったんだね」

    クリスタ「しかし、壁の真実を知らないA勢力の人間達は、壁内に閉じ込められたと感じ、科学者に対して激しく反発しました」
  42. 51 : : 2014/03/14(金) 22:40:17

    クリスタ「秘密を知られれば、確実に反乱がおこり、自分は失脚する」

    クリスタ「そう考えた科学者は権力にかこつけて民衆を支配し、外の世界へ興味を持つことを禁止」

    クリスタ「さらには壁の秘密、壁内の歴史についてももみ消し、信頼に足る一部の人物にのみ託し、そして現在の状況に至ります」
  43. 52 : : 2014/03/14(金) 22:45:27

    エルヴィン「やはり歴史を握っていたのは、王政だったか…」

    ニック「今の話が、この世界の真実。我々ウォール教の先祖から代々受け継いできた秘密の情報だ」



    ハンジ「ウォール教の先祖が、さっきの話で言う『信頼に足る一部の人物』ってことだったのか…」

    リヴァイ「何てことだ…。壁も人間、巨人も人間、この世界をハチャメチャにした奴も、結局は人間ってことか…」

    エレン「座標で…壁を…」
  44. 53 : : 2014/03/14(金) 22:50:10

    アルミン「その話からすると、エレンも同じように座標で壁を作り出せるという事になるのか…?」

    ハンジ「方法はともかく…それが事実なら、破壊されたシガンシナ区の前門を修復することも可能なんじゃ…!?」

    ジャン「確かに…!」



    エレン「いや、ちょっと待ってください!それは、巨人化能力者を壁に変えるって事ですよね!?」

    ライナー「何も問題ない。適任ならここにいる」

    エレン「それって…」
  45. 54 : : 2014/03/14(金) 22:54:15

    ベルトルト「まぁ…当然だよね」

    ライナー「故郷さえ助けてくれるのなら、俺は何もいらない。壁でも何でも、喜んで引き受ける」



    エレン「ちょっと待てよ…!それじゃ、お前らは死んじまうんだぞ!!」

    ライナー「ついこの間、俺達に死ねと言ったのはどこのどいつだ?」

    エレン「あの時は…!」

    ライナー「自分で引き起こしたことのケジメは、自分でつける。もちろん、この程度で俺達の罪が消えるわけではないがな」
  46. 55 : : 2014/03/14(金) 22:58:10

    ハンジ「ちょっと待って。そもそも、エレンの座標があれば、壁なんか作る必要はないでしょ?」

    ライナー「さっきの話からだと、座標は前触れなく突然消える可能性があります。エレンとて、例外じゃないでしょう」

    ベルトルト「僕達は座標の存在は知らされていましたが、今の話のように詳細な情報までは知りませんでした」



    ライナー「巨人の正体はともかく、発生源については今でも分かっておらず、奴らはいまだにどこからともなくやってくる」

    ライナー「座標ですぐに全ての巨人を統率できるとは思えない以上、シガンシナを塞ぐことは必須だと思われます」
  47. 56 : : 2014/03/14(金) 23:02:19

    ハンジ「しかし…」

    リヴァイ「構わねぇ。そいつらがやると言ってるんだ、やらせてやればいい」

    リヴァイ「それよりも、もっと重要な問題が目の前にあることを忘れるな」

    ハンジ「あぁもう、そうなんだよなぁ…。頭が痛くなっちゃうよ…」

    アルミン「そう言えば、ずっとそんな話をしていましたね。一体何なんですか?」
  48. 57 : : 2014/03/14(金) 23:06:20

    ハンジ「地下で少し話したよね。エレンを狙う人たちがいると。それが他でもなく、王政府だ」

    エレン「王政府が俺を!?何で!?」



    ハンジ「今のヒストリアの話を聞くまでは、壁内に存在する脅威を取り除くことが目的なんだと思っていたけど、どうやら違うようだ」

    ハンジ「おそらく、君という巨人化能力者が存在することにより、過去の歴史が露呈する可能性を危惧したものと思われる」

    エルヴィン「王政府はエレンと、同時にクリスタとウォール教も消しにかかって来た。ニック司祭がここにいるのはそのためだ」
  49. 58 : : 2014/03/14(金) 23:10:19

    ニック「私以外の教徒は、ほとんど消されてしまった。もうウォール教は機能していない」

    ニック「クリスタについても、歴史を公開する権利を持った人間という事で狙っているのだろう」

    クリスタ「…」



    アルミン「じゃあ…それは…王政府は…」

    アルミン「壁内に起きている危機などには目もくれず…ただ単に…自分の立場が危うくなる要素を排除しにかかっているという事ですか…」

    ニック「そう言う事になるな。考えても見ろ。王政府が一度だって、壁内の危機を救おうと動いたことがあったか?」

    アルミン「それは…」

    アルミン(王政府のせいで、僕の両親は…)
  50. 59 : : 2014/03/14(金) 23:13:15

    ニック「そればかりか、エレンが最初に巨人化したときも、憲兵団やウォール教を通じてエレンを消しにかかってきた」

    ニック「エレンが壁内の希望になるであろうという事は、私だって当然分かっていた。だが、王政府に逆らえばタダでは済まない。やむを得なかった」

    ニック「今だからこそ言える。エレン・イェーガーよ、審議所では本当にすまなかった…」

    エレン「いえ…俺は別に…」
  51. 60 : : 2014/03/14(金) 23:16:16

    エルヴィン「何とか今は調査兵団で匿えているような状態だが、はっきり言って長くは持たないだろう」

    エルヴィン「王政府の脅威を避け、人類の安泰のために行動するためには、我々はどうするべきか…答えは一つ」



    エルヴィン「今までは見えなかった『敵』の正体が、今の話ではっきりした」

    エルヴィン「『敵』は紛れもなく『王政府』!奴らが中央に君臨する限り、壁内に平和など訪れるはずがない!」

    リヴァイ「その通りだ。もともと王政府の豚野郎共は好きじゃなかった。ドブの臭いがキツくてな」

    リヴァイ「だがこのままじゃ、俺達は壁外と壁内、両方から板挟み状態だ。一方を警戒すれば、もう一方から背中をグサリだろう」
  52. 61 : : 2014/03/14(金) 23:19:16

    エレン「でも…今の話を壁内全部に公開すれば、王政府を倒すには十分な情報じゃないですか?」

    エルヴィン「確かに、本来であればそうだっただろう。だが…」



    ハンジ「この間のストヘス区での女型捕獲、そしてトロスト区での鎧出現、住民達は、完全に兵団への信頼を無くしている」

    ハンジ「そんな状態で我々が情報を公開しても、聞き入れる人はいない。馬鹿な妄言だと言われて、笑われるのが関の山だ」

    ハンジ「そればかりか、逆にこちらが消される可能性もある。壁内を混乱に陥れようと企む反逆者だとして、王政府から直々に」

    エレン「そんな…」
  53. 62 : : 2014/03/14(金) 23:22:30

    ジャン「じゃあ…一体どうしろって…」

    ハンジ「難しく考えることはない。最初にやるべきことは、失った信頼を回復させること」

    ハンジ「シンプルに考えてごらん。どうすれば、壁内人類が我々を信頼してくれるか」

    エレン「俺達を…信頼…」




    ハンジ「壁内人類は今、何を求めているか。巨人の絶滅もそうだけど、それよりも他に求めるものがあるはずでしょ…」

    アルミン「…あっ!」

    エレン「シガンシナの…ウォール・マリアの奪還!!」
  54. 63 : : 2014/03/14(金) 23:25:09

    ハンジ「ご名答。我々がマリアを奪還し、さらにエレンの座標で巨人すらも支配下に置けることを民衆が知れば、一体どうなるか?」

    ハンジ「危機的状況で何も手を差し伸べてくれない王政府と、領地と巨人を手中に収めた調査兵団。どちらが民衆にとって利があるか、答えは明確だ」

    エレン「そうか!その上でさっきの情報を公開すれば!!」



    エルヴィン「間違いなく、民衆は王政への不満を爆発させ、たちまち滅びるだろう」
  55. 64 : : 2014/03/14(金) 23:28:43

    エルヴィン「こうなれば事実上、壁内人類の実権は我々調査兵団が握ることとなる。そうなれば後は単純だ」

    エルヴィン「エレンの座標の力で、可能な限り巨人の本能を書き換える。一度書き換えてしまえば、後は問題ないのだろう?」

    ライナー「えぇ、そのはずです」



    エルヴィン「後はライナー達の故郷を救い、その後は壁外を拠点とした調査を行う。いずれ、この世界全体の謎を明らかにする日も遠くないだろう」

    エレン「すげぇ…」
  56. 65 : : 2014/03/14(金) 23:31:22

    ハンジ「これが、今掲げている我々のプラン。当然、皆は賛同してくれるよね?」

    一同「はいっ!!」



    ハンジ「ありがとう。そうと決まれば、まずはシガンシナ区の壁を塞ぐ手はずを整えないとね」

    エレン「その件なんですけど…」

    ハンジ「何だい?」
  57. 66 : : 2014/03/14(金) 23:34:19

    エレン「そもそも、座標でどうやって壁を塞ぐかも分からないですし、何より犠牲を払わないといけないって言うのが気に食わないです」

    エレン「可能であれば、トロスト区を塞いだ時みたいに、どこからかデカい岩を運んでくるのがベストなんじゃないかと…」

    ハンジ「うーん…。正直、あのサイズの岩が都合よく転がっているとは思えないんだよねぇ…」



    ハンジ「ベルトルトの意見を聞きたい。君は、普通の前門とあのような大岩、どちらが蹴破りにくい?」

    ベルトルト「えぇ…」

    コニー「当事者にそれを聞くのか…」

    サシャ「まぁ、ベルトルトにしか分からないでしょうけど…」
  58. 67 : : 2014/03/14(金) 23:37:19

    ベルトルト「どちらかと言えば…岩のほうが難しいですかね。硬度も重量もケタ違いですし…」

    ハンジ「決まりだ。まずは大岩を優先的に探そう。無かった場合は、やむを得ないけど…」

    ライナー「分かっています」

    ハンジ「どうせ、エレンの力があれば巨人を近づけないことも可能だしね。現場でもある程度余裕はあるさ」
  59. 68 : : 2014/03/14(金) 23:40:05

    ハンジ「そうと決まれば、行くメンバーを募りたい。ぞろぞろと大所帯で行く必要もないから、せめて10人前後かな」

    エルヴィン「当然、私が行く」

    リヴァイ「俺もだ。エレンが万が一暴走でもした時に、止める人員が必要だ」

    ハンジ「私も行くからね。後はエレンと…」

    ライナー「俺、ベルトルトも確定でしょう」
  60. 69 : : 2014/03/14(金) 23:43:42

    アニ「私も行くよ」

    ベルトルト「アニも?座標で壁を塞ぐとなった場合、僕とライナーでも十分だし、何より君を犠牲にするわけには…」

    アニ「万が一ってこともあるでしょ。それに、場合によっちゃ、あんたらじゃ見せられない事もあるし…」

    ベルトルト「見せられない事…?」

    ライナー「最近、アニが突然おかしなことを言い出すようになったな。一体どうした…?」



    アニ「別に…。見たくないものまで見てしまうと、ただ辛いだけでしかないって事さ…」

    ライナー「見たくないもの…?」
  61. 70 : : 2014/03/14(金) 23:46:13

    アルミン「…」

    アルミン(アニのあの雰囲気は何だろう…。まるで、僕らより一段高いところから、全てを見渡しているかのような…)




    ミカサ「私も行く。エレンとライナー達を一緒にするのには、まだ安心できない」

    ライナー「信用ねぇなぁ…。まぁ、当然か」

    アルミン「僕も行くよ。エレンに何かあった時、徹底的にサポートしてあげたい」
  62. 71 : : 2014/03/14(金) 23:49:10

    ユミル「私も行こう。そう言った歴史が変わる瞬間ってのは、興味があるんでね」

    エレン「ユミルも?珍しいな、お前が来るなんて」



    クリスタ「ユミルが行くなら、私も」

    ユミル「ダメだ、お前は来るな」

    クリスタ「えっ!?でも…」
  63. 72 : : 2014/03/14(金) 23:52:04

    ユミル「お前が仕事をする場所は、壁外じゃない。万が一巨人に食われでもしたら、この後の事はどうするんだ?」

    クリスタ「それは…」

    ユミル「エレンの力があれば問題ないさ。お前はゆっくり、紅茶でも飲んで私らの帰りを待ってればいいさ」

    クリスタ「ユミル…」
  64. 73 : : 2014/03/14(金) 23:54:40

    ハンジ「それじゃ、決まりかな。出発は早い方がいい。明日にでも行きたいんだけど…」

    リヴァイ「構わん。目的は決まっている。今更、何かを準備する必要もねぇ」

    エレン「分かりました!」
  65. 74 : : 2014/03/14(金) 23:58:03

    エルヴィン「我々のこれからの行動の成否が、人類の未来に直結すると言っても過言ではない」

    エルヴィン「失敗は許されない。何としても、どんな犠牲を払っても、必ず成功させねばならん」

    エルヴィン「最後にもう一度問う。この作戦に、全てを捧げる覚悟がある者のみこの場に残ってくれ」




    シーン…




    エルヴィン「…ありがとう。やはり君たちは優秀な兵だ」
  66. 75 : : 2014/03/15(土) 00:01:21

    エルヴィン「ヒストリアは引き続き、この場にいない調査兵にも先ほどの話を頼む」

    クリスタ「分かりました」




    エルヴィン「我々はこれより、人類の…『尊厳奪還作戦』を行う!一同、心してかかれ!!」











    エルヴィン「心臓を捧げよっ!!!!!!」

    一同「はっ!!!!!!!」バッ!!!!!!
  67. 80 : : 2014/03/15(土) 11:20:13

    ~そして、翌日…~



    エレン「…ふぅ」

    アルミン「夢みたいだね…。もう一度シガンシナ区に戻って来られるなんて…」

    ミカサ「街はあの日のまま…何も変わっていない」

    ハンジ「エレンのおかげで、こんなにあっさりとたどり着けるなんてね」

    エルヴィン「私も驚いた。この力があれば、巨人を掌握することなど容易いだろう」
  68. 81 : : 2014/03/15(土) 11:47:17

    ライナー「正直…座標を持ったのがエレンで安心した。座標を持っちまえば、悪用しようと考えるのが普通の奴だろうからな」

    ベルトルト「故郷でもずっとそう教えられてきたからね。座標は絶対に壁内の奴らに持たせてはならない。ずっとそう言い聞かされて…」

    アニ「…」



    ユミル「こいつが殺人衝動に駆られた奴じゃなく、ただの駆逐バカだったからこそだろうな。感謝するんだな、あんたら」

    エレン「何でお前が偉そうにしてんだよ…」
  69. 82 : : 2014/03/15(土) 11:53:06

    リヴァイ「ウダウダしてるヒマはねぇ。さっさと穴を塞いで壁内に戻るぞ」

    ハンジ「そうだね。それじゃ私達は手筈通り、この近辺で岩を探してくるよ。エレンはここで、最終手段に備えていて」

    エルヴィン「この辺り一帯の巨人は座標で退けたが、万が一の場合には援護を頼むぞ、エレン」

    エレン「了解しました。お気をつけて」

    ミカサ「…」
  70. 83 : : 2014/03/15(土) 11:59:10

    アルミン「ミカサ、行こう…」

    ミカサ「分かっているとは思うけど、万が一エレンに手出ししようものなら、その時は…」

    ライナー「んなことするか、今更!お前に削がれるくらいなら、おとなしく地下牢で拘束されていたほうがマシだ!」

    ミカサ「ならばいい…」






    スタスタ…
  71. 84 : : 2014/03/15(土) 12:05:19

    ライナー「…ふぅ、相変わらずミカサは恐ろしいな。首を刎ねられてもおかしくない雰囲気だ」

    エレン「ミカサもああ言ってるけど、なんだかんだでお前と敵同士にならなくて安心してんだよ」

    ライナー「ならいいんだがな…」

    エレン「誰が好き好んで人なんか殺したいと思うんだよ。お前らがそうだったようにな」

    ベルトルト「エレン…」






    アニ「あんたは…随分とお人よしだね。こいつらをそんな簡単に許していいの?」

    エレン「アニ…?何言ってんだ?」
  72. 85 : : 2014/03/15(土) 12:11:12

    アニ「普通に考えれば、壁を壊したこいつらは紛れもない人類の仇敵。こいつらが来なければ、あんたもこの場所を追い出されることもなかったでしょ」

    エレン「…随分と他人事みたいに言うんだな。お前だって、こいつらと一緒に壁内に来たクチだろうが?」

    アニ「確かにこいつらと一緒に来たのはその通りだけど…」



    アニ「…だからって、根底までこいつらと一緒にしてもらっちゃ困るよ。私はこいつらとは違う」
  73. 86 : : 2014/03/15(土) 12:16:38

    ライナー「アニ…お前何を?」

    ベルトルト「まぁ確かに、アニは壁破壊に携わっていないからね。そう思うのも無理はないよ」

    アニ「別にそう言う意味で言ったわけじゃない。何も知らずに、大人たちにいいように踊らされてるだけのあんたらとは違うってことさ」

    ユミル「随分と訳知り顔だな、アニ。まるでライナー達とは違う場所に立ってるみたいに…」
  74. 88 : : 2014/03/15(土) 12:22:07

    アニ「どうせ…ここまで来たんだ。今更黙ってる理由もないね」

    ライナー「黙ってる…?さっきからお前の言ってる意味が分からんぞ…?」

    アニ「こう言う事さ…」スッ…

    エレン「えっ…」





    ズバアァァァァァァァッ!!!!!





    ベルトルト「う…うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

    ライナー「ベルトルトっ!?」
  75. 89 : : 2014/03/15(土) 12:31:44

    エレン「アニっ!!お前何してんだ!!」

    アニ「安心しな。そいつも巨人だから、この程度じゃ死にはしないよ」

    エレン「そう言う問題じゃないだろ!!何で仲間のベルトルトを斬り付けたりしたんだ!?」

    アニ「仲間…ね。本当にそう思ってたら、きっとこんなマネはしなかっただろうね」




    ライナー「つまり…俺達は仲間じゃないと!?」
  76. 90 : : 2014/03/15(土) 12:37:25

    ライナー「冗談にもほどがあるぞ!!俺達は一体、何年一緒にいたと思ってる!?」

    ライナー「故郷にいたときから、一緒に苦楽を共にしてきたじゃないか!!辛いこともたくさんあったが、それでも3人で乗り越えてきた!!」

    ライナー「途中でマルセルが食われたり…クソ寒い中、開拓地で仕事をさせられたり…」



    ライナー「あの日々を思い出しても尚、俺達が仲間じゃないと言うのか!?」

    アニ「この際だからハッキリ言わせてもらうよ。私は、あんたら二人を仲間だと思ったことは…」





    アニ「…ただの一度もない!寝言は寝て言いな、この悪魔!!」

    ライナー「そんな…」フラ…
  77. 91 : : 2014/03/15(土) 12:43:12

    エレン「ライナー、しっかりしろ!アニも謝れ!!」

    アニ「別に許してもらおうなんて思っちゃいないし、仮にそいつらが謝ったとしても、私は絶対に許さない」



    エレン「一体何があったんだ!?喧嘩でもしたのか!?」

    アニ「喧嘩程度の問題なら、どれだけ楽だったろうね」

    ライナー「アニ、お前…」
  78. 92 : : 2014/03/15(土) 12:49:51

    ユミル「こいつは面白くなってきたな。アニ、もしかしてお前、そう言う事か?」

    アニ「あんたもワケ知りってことか。いいよ、教えてあげる」



    アニ「昨日のクリスタの話、覚えてる?過去に人間達が3つの勢力に分裂した話を」

    エレン「あ…あぁ、覚えてる。それがどうかしたのか?」

    アニ「A勢力は現在の壁内人類、B勢力は壁外の人類に分かれた。それじゃ…」






    アニ「…C勢力の人間達は、一体どこに行ったんだろうね?」
  79. 93 : : 2014/03/15(土) 12:55:13

    エレン「そう言えば…クリスタもはっきりとは言わなかったな」

    ライナー「全員が壁にされた…という事じゃないのか?」



    アニ「確かに、相当な人数が壁にされた。けど、全員じゃない。確かに生き残った人達は居たよ」

    アニ「そしてその人たちは現在も尚、壁内に存在している。ごく少数だけどね」

    ユミル「へぇ、生き残りがね。そいつは興味深い」
  80. 94 : : 2014/03/15(土) 13:02:14

    アニ「C勢力の人間達は、座標で壁に変えた科学者、それと壁の中で何も知らずに過ごすA勢力を激しく憎んでいる。そして…」

    アニ「…その座標でもう一度悪夢を引き起こそうと企むB勢力を、何よりも憎んでいるのさ。これは、その2勢力への『復讐』だよ」

    ライナー「もう一度悪夢を…?俺の故郷の連中が、座標で何かを始めようとでも言うのか?」



    アニ「これだから何も知らない奴は…。あんたは故郷の連中に、いいようにパシられてるだけの下っ端に過ぎないんだよ」

    ライナー「なっ…!お前だって、俺達と一緒に任務に当たっていただろうが」
  81. 95 : : 2014/03/15(土) 13:08:11

    アニ「私が本心であんたらと一緒にいたとでも?そもそも、私とあんたらの出会いで、疑問を抱いたりしなかったの?」

    ライナー「出会い…?」

    アニ「馬鹿みたいにホイホイ大人の言うこと聞いてさ。少しは疑うという事も知ったほうがいいよ」



    アニ「もっとも、そっちのノッポは、私のことを薄々感付いていたようだけどね…」

    ライナー「ベルトルトが…?」
  82. 96 : : 2014/03/15(土) 13:14:29

    ベルトルト「…」シュウゥゥゥゥ…




    アニ「だいぶ治ったようだね。口はきける?」

    ベルトルト「…やはりアニ、君は僕らの故郷とは別の人間だったんだね」

    ライナー「なっ…!?」



    アニ「訓練所にいたとき、こいつはやたらと私を見てくると思っていたけど…」

    アニ「なんとなく感付いていたんだろうね。私が、あんたらとは違うものを見ていることに」
  83. 97 : : 2014/03/15(土) 13:20:12

    ベルトルト「思い返せば、最初に会った時からおかしいとは思っていた。今まで見たことない子が、どこからともなく突然現れたんだからね」

    ベルトルト「さっきの話から察するに、君はC勢力の末裔なんだろう?」

    エレン「なっ…!?」

    ライナー「アニが…」



    アニ「ご名答。私の出身は正真正銘、この壁内。C勢力の生き残りの末裔さ」

    アニ「そして9年前、あんたらの故郷の人物が座標を使って悪巧みをしていると聞きつけ、お父さんと共に潜入したのさ」
  84. 98 : : 2014/03/15(土) 13:26:09

    ライナー「じゃあ…あの時からお前は…」



    アニ「ずっと情報を探っていた。お父さんは大人たちから、私はあんたらから情報を集めていた」

    アニ「そして尻尾を掴んだ。あいつらは座標を使って巨人を統率し、自分たちを苦しめたA勢力の、即ち壁内の人間を破滅に追い込もうとしていると」

    アニ「そして座標を得るため、あんたら二人にあることないことを吹き込んで探しに行かせた。この壁内にね」
  85. 99 : : 2014/03/15(土) 13:32:10

    アニ「まったく、大人ってのは卑怯だよね。自分の手を汚さず、子供にこんな汚れ役をさせるなんて」



    ライナー「それじゃ…俺達は…壊さなくてもいい壁を壊し、殺さなくてもいい人間達を殺したという事なのか…」

    ライナー「純粋に故郷を守りたくてあんなことをした俺達は…一体何だったんだ…」



    ベルトルト「壁内の人間が悪魔だと聞かされていたらから、壁を壊すことに何のためらいもなかったのに…」

    ベルトルト「それすらも!!故郷の大人たちが僕達を良いように使うために吹き込んだ狂言だって言うのか!!」



    アニ「…そう言うこと。だからあんたらに、座標の可能性であるこいつを渡すわけにはいかなかった」
  86. 100 : : 2014/03/15(土) 13:38:43

    エレン「もしかして、この間の壁外調査の時、俺を狙ってきたのも…」

    アニ「とりあえずあんたを攫って、私の故郷に連れていくつもりだった。勿論その時は、全ての事情を話したうえでね」

    アニ「まぁ結局ストヘス区で捕まって、話すに話せない状況になってしまったけど…」

    ライナー「あの時、お前はそんなことを考えていたのか…」
  87. 101 : : 2014/03/15(土) 13:44:09

    エレン「ちょっと待て、じゃあソニーとビーンを殺した奴は…」

    アニ「悪いけど、それは私じゃない。別に私も、巨人の謎が人類に知れたところで困るようなことは何もないからね」

    アニ「だとしたら、犯人は決まってるでしょ。私達の『敵』が何だったか、思い出しな」




    エレン「…王政府か!!」

    アニ「おそらくそうだろうね。見つかるリスクを冒してまで巨人を殺すような奴は、それしか考えられない」
  88. 102 : : 2014/03/15(土) 13:50:12

    アニ「そして王政府は隠している。どうやって、座標を使って壁を作り上げるのか」

    エレン「それも…王政府は知ってるのか!?」

    アニ「当然。王自体が、壁を作った張本人の子孫だ。知らないはずがない」

    エレン「じゃあ…どうやって!?」











    アニ「…食べるのさ。巨人化能力者を」

    エレン「…は!?」
  89. 103 : : 2014/03/15(土) 13:56:35

    アニ「何度も言わせないで。巨人と化した座標持ちの奴が、力を持つC勢力の人間を食べる」

    アニ「そうすると肉体から壁の素…というべき材質の物体を生成する」

    アニ「人一人で大体幅10メートルほどの壁が作れる。後は、どうやったかは知らないけど、現在の壁の形に成形したんだろうね」



    ライナー「という事は…最初に壁を作ったB勢力の科学者も、巨人化能力を…」

    エレン「それが本当なら…俺はお前らを…」






    アニ「残念ながら、『お前ら』じゃない。私じゃないとダメだよ」

    エレン「は…!?」
  90. 104 : : 2014/03/15(土) 14:02:12

    アニ「巨人化能力者なら誰でもいいってわけじゃない。力を与えられたC勢力の人間じゃないとダメなんだ…」

    アニ「過去に科学者がC勢力に与えた力は、あくまで壁の素を作り出すためのものに過ぎない」

    アニ「そして私達の一族は、代々その力を受け継いできた。来るべき日に備えてね」

    エレン「来るべき日…」
  91. 105 : : 2014/03/15(土) 17:10:07

    アニ「本当は、私は座標を葬るために壁内に戻ってきた。悪用されるのを防ぐために。だけど、その必要はなさそうだね」

    アニ「ライナーがさっき言ったように、座標があんただったから、脅威が脅威でなくなった。むしろあんたなら、正しい方向に力を使ってくれる」

    アニ「だったら、私の存在理由はもう決まっている」

    エレン「おい…まさか…」
  92. 106 : : 2014/03/15(土) 17:14:26

    ライナー「馬鹿な考えはよせ!団長達が岩を見つけてくるかもしれんぞ!!」

    アニ「そんな岩で塞いだところで、巨人が束になって向かって来たら防げる保証はない。今のトロスト区も、十分危険だよ」




    アニ「それに…座標がこいつだけなら岩でも何でも十分だったろうけど、そうはいかない。だからこそ、今一度完全に塞ぐ必要がある」

    エレン「座標が…俺だけじゃない!?」
  93. 107 : : 2014/03/15(土) 17:19:24

    ライナー「薄々そんな気がしていたが、奴も…あの猿巨人もそうだと言うのか!?」

    アニ「おそらくね。と言っても、奴のはあくまで座標の複製品。だけど、その能力は本物」

    アニ「奴が本気で壁内に攻撃を掛ければ、壁があったって無事で済むとは思えない」

    エレン「そんな…」



    アニ「だからこそ、あんたがいるんでしょ。奴に対抗できるのはあんただけ」
  94. 109 : : 2014/03/15(土) 17:24:27

    アニ「それに、民衆の信頼を得るためには、ただ『巨人を掌握できました』じゃ、説得力に欠ける。あんたもそう思うでしょ?」

    エレン「そりゃ…だけど…!」



    アニ「最期くらい、私に良いカッコさせてくれてもいいでしょ。『壁を塞ぐこと』、これが今回の作戦の最重要課題」

    アニ「あんたも男ならハラ括りな。作戦はいかなる犠牲を払っても成功させる。団長の言葉を忘れたの?」

    ライナー「アニ、お前最初からそのつもりで…」

    ユミル「でなきゃ、お前がわざわざこんなところに来る理由はねぇもんな」
  95. 110 : : 2014/03/15(土) 17:29:06

    アニ「勘違いしないで。別にあんたらのためじゃない。壁を塞ぐのは、私の一族のため」

    アニ「お父さんが壁内に戻って来た時に、安全な場所で過ごしてほしいから。だから、私が…」

    エレン「でもよ…それじゃ…お前を…」




    アニ「綺麗事だけで皆を救えると思ったら大間違いだよ。それとも、自分の手を一切汚すことなく、壁内が平和になるとでも思った?」

    アニ「ライナー達だって、騙されていたとはいえ、故郷のためを想って汚れ役を引き受けた。あんたが本当に壁内のことを想ってるなら…」

    アニ「…一思いにやりな。私は、何も未練はない」
  96. 111 : : 2014/03/15(土) 17:32:09

    ユミル「そう言う事だ。こいつの覚悟を無駄にするな。万が一、お前の座標が消えちまうかもしれない、その前にさっさとやれ」




    エレン「俺は…」

    ライナー「エレン…」

    ベルトルト「…ごめん、アニ」
  97. 112 : : 2014/03/15(土) 17:37:19

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ハンジ「…駄目だ、やっぱりなかったねぇ」

    アルミン「あのサイズの大岩なんて、そうそうある物ではないと思ってましたけど…」

    ミカサ「こうなると、やはり最終手段しか…」

    リヴァイ「その最終手段とやらも、方法が分からねぇんじゃ意味ねぇだろ」
  98. 113 : : 2014/03/15(土) 17:38:22

    エルヴィン「待て…あれを見ろ…」

    アルミン「あれは…」











    ハンジ「前門が…塞がってる!?」
  99. 114 : : 2014/03/15(土) 17:48:03

    アルミン「おーいエレン!!一体何があったんだ!?」




    エレン「…」シュウゥゥゥゥ…




    アルミン「蒸気…?巨人化でもしたのか…?」

    ミカサ「エレン!聞こえてるんでしょ!?今、私達も壁上に行くから!」

    エルヴィン「…待て、何故ライナーとベルトルトがいる?」

    アルミン「本当だ…。最終手段を行うためには、彼らが犠牲になると言っていたのに…!?」
  100. 115 : : 2014/03/15(土) 17:52:18

    ハンジ「いや、確かに一人いなくなっている…」

    リヴァイ「まさか、あいつが…」

    アルミン「そんな…ねぇ…エレン…」











    アルミン「アニは…?アニはどこ?エレン、アニは一体どこへ行ったの!?」

    エレン「…っ!」
  101. 116 : : 2014/03/15(土) 17:58:09

    アルミン「エレン!答えてくれ!!アニは一体どこへ行ったんだ!!」

    ユミル「やめろアルミン。親友なら、こいつの心中を察してやれ」

    アルミン「そんな…」




    ミカサ「これは、本当なの…?」

    ライナー「あぁ、本当だ。アニは…」

    ベルトルト「…」









    エレン「クソ…」





















    エレン「クソォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
  102. 118 : : 2014/03/15(土) 20:00:06

    ~同日夜・調査兵団本部~

    サシャ「そんな…」

    コニー「アニが…」

    ライナー「今話したことが全ての真相だ。嘘偽りなどない」




    クリスタ「ユミル…」

    ユミル「お前のせいじゃない。お前が話そうが話すまいが、あいつの覚悟は決まってたはずだ」
  103. 119 : : 2014/03/15(土) 20:06:07

    ジャン「エレンの奴はどこ行った…?」

    ライナー「部屋に戻った。かなり憔悴している。無理もない、今まで掲げてきた『不殺』を、望まない形で破ってしまったんだからな」



    クリスタ「仕方ない…なんて、到底割り切れないよ…」

    ベルトルト「座標で巨人を統率すれば壁を直す必要もなかったのに…」
  104. 120 : : 2014/03/15(土) 20:12:36

    ライナー「座標自体、不安定な力だ。いつエレンから消えるかも分からんし、別の悪人の手に渡る可能性もある」

    ライナー「マリアを奪還するためには、あの方法がベストだとアニが判断した。それだけだ」



    ガチャ…



    リヴァイ「お前ら…ここにいたか」

    ジャン「リヴァイ兵長…」

    クリスタ「内地に向かったエルヴィン団長から、何か連絡は…?」

    リヴァイ「死んだ」
  105. 121 : : 2014/03/15(土) 20:18:18

    クリスタ「…え?」

    リヴァイ「エルヴィンは死んだ。内地に向かう際、『不慮の事故』に遭遇したそうだ」

    ジャン「不慮の…事故!?」



    ライナー「そんなワケあるか!これはきっと王政府が!!」

    リヴァイ「だろうな。奴ら、いよいよ本格的に俺達を消すつもりらしい」
  106. 122 : : 2014/03/15(土) 20:21:39

    リヴァイ「エルヴィンが消えた今、まだ壁内の人間はシガンシナ奪還の事実を知らねぇ」

    リヴァイ「そればかりか、本格的に王政府が攻撃をかけてくれば、俺達とて一瞬で消されるだろう」

    ベルトルト「そんな…」
  107. 123 : : 2014/03/15(土) 20:27:15

    リヴァイ「…エレンはどこ行った?」

    ジャン「部屋にいるそうです…」

    リヴァイ「そうか…。何があってもあいつだけは、王政府に渡すわけにはいかねぇ。死んでも守れ」

    リヴァイ「何か進展があれば追って伝える。それまではここで待機だ」

    一同「はい…」





    スタスタ…






    ガチャ…
  108. 124 : : 2014/03/15(土) 20:33:27

    クリスタ「団長…」

    ジャン「これから俺たち、どうなっちまうんだろうな…」

    ユミル「さぁな。ライナー達の故郷の人間も敵だと分かり、さらには王政府からも狙われてる。詰んだんじゃねぇか?」

    サシャ「冗談じゃないですよ!せっかくシガンシナを奪還して、さぁこれからって言う時に!」
  109. 125 : : 2014/03/15(土) 20:39:24

    コニー「この場に張本人がいねぇのはどうかと思うぜ?」

    クリスタ「そうだね。私、部屋に行って呼んでくるよ」

    ジャン「頼む。ついでにミカサとアルミンも見つけたら、ここへ呼んできてくれ」

    クリスタ「分かった」タタタッ




    ガチャン…











    ベルトルト「…これからどうなるんだろう」
  110. 126 : : 2014/03/15(土) 20:42:16

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    コンコン



    クリスタ「エレン、いる?ちょっとみんなで話したいことがあるの、出てきてくれない?」



    シーン…



    クリスタ「…寝ちゃってるのかな?入るよ、エレン…?」ガチャ…
  111. 127 : : 2014/03/15(土) 20:48:10

    クリスタ「…エレン?」



    シーン…



    クリスタ「…いない?」

    「こいつは驚いた。獲物が向こうから来てくれるとは…」



    ガシッ!



    クリスタ「!?」
  112. 128 : : 2014/03/15(土) 20:51:06

    「おとなしくしろ。エレンはすでにこちらの手中だ。抵抗しなければ、痛めつけたりはしない」

    クリスタ「~~~~~っ!!!」ジタバタ





    クリスタ(この人…まさか王政府の!?何で調査兵団本部に!?)

    クリスタ(そんなことより、エレンを捕まえたって…!?何とかしないと…)
  113. 129 : : 2014/03/15(土) 20:54:15

    クリスタ「む~~~~~っ!!!」ジタバタ

    「こいつ!おとなしくしろと言っただろ!!」




    ドゴッ!




    クリスタ「うっ…」フラ…

    クリスタ(意識が…)
  114. 130 : : 2014/03/15(土) 21:00:18

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ジャン「おい、いたか!?」

    ユミル「ダメだ!クリスタはおろか、エレンすらどこにもいねぇ!!」

    ミカサ「私達もずっとエレンを探していた!だけど、どこにも…」

    アルミン「この建物内のどこにもいないなんておかしいよ!もしかして…」

    ジャン「そんなワケあるか!きっと…」
  115. 131 : : 2014/03/15(土) 21:08:34

    リヴァイ「常に最悪の事態を想定して行動しろ。エレンとクリスタは、奴らに拉致されたとみていいだろう」

    ジャン「兵長!そんな!」



    リヴァイ「まったく…俺達はとことん見放されてるみてぇだな。このまま二人を失えば、俺達の勝機は間違いなく潰える」

    リヴァイ「エルヴィンの言葉を思い出せ。どんな犠牲を払ってでも、作戦を成功させろ」

    ジャン「どんな犠牲を払ってでも…」
  116. 132 : : 2014/03/15(土) 21:14:09

    ライナー「しかし!中央に連行されたとなると、奪還はもはや絶望的では…!?」

    リヴァイ「まぁ待て、そう悲観するな。冷静になってよく考えろ」



    リヴァイ「この暗い夜道を馬で、しかも中央まで駆けるなんてマネ、お前らならするか?」

    ライナー「いや…いくらなんでも危険すぎます」

    ベルトルト「でも、奴らは一刻も早くエレン達を中央に連れていきたいはず!強引にでも向かうのでは!?」

    リヴァイ「そう思えば奴らの思うツボだ。焦って中央に向かった俺達を、待ち伏せていた奴らの仲間が襲撃をかけてきてチェックメイトだ」
  117. 133 : : 2014/03/15(土) 21:17:10

    リヴァイ「奴らは俺達の裏をかくはずだ。俺達がすぐにエレンを追いかけようと行動する、その裏をな…」

    コニー「裏…」




    リヴァイ「ライナー、ベルトルト、よく思い出せ。お前らが最初にエレンを攫った時、どんな行動をとった?」

    ベルトルト「どんな…?」
  118. 134 : : 2014/03/15(土) 21:23:23

    ライナー「えっと…まず壁外に出て、全力でシガンシナを目指して…」

    リヴァイ「違うだろう。確かにシガンシナを目指しただろうが、その前に何をした?」

    ライナー「その前…巨大樹の森で…」






    ライナー「…そうかっ!!」

    アルミン「どこかに潜んで…夜が明けるのを待つつもりという事ですか!?」

    リヴァイ「そうだ。自分達が行動可能になる時間まで待機する。視界の利く夜明けまでな」
  119. 135 : : 2014/03/15(土) 21:29:11

    リヴァイ「そのためには当然、人目に付かない場所が条件だ。お前らならどうする?」

    ミカサ「人目に付かない場所…危険な場所…」






    アルミン「…トロスト区の廃倉庫…?」






    ライナー「そうか!あの倉庫は、俺の手で半壊した!普通の奴なら、危険だから近付こうとはしない!」

    リヴァイ「お前らが見かけ以上に冴えていて助かる。俺が余計な事を言わなくても済むからな」

    リヴァイ「そこまで気づいたんならさっさと準備しろ。目的地は、トロスト区の廃倉庫だ」

    一同「はいっ!!」
  120. 136 : : 2014/03/15(土) 21:35:12

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    クリスタ「…ん」パチッ

    エレン「気が付いたか?」

    クリスタ「ここは…」ギシッ!




    クリスタ「!?」

    エレン「無駄だ。ロープで縛られて動けねぇ」
  121. 137 : : 2014/03/15(土) 21:41:12

    クリスタ「まさか…本部に敵が侵入してるなんて…」

    エレン「どうやら調査兵に変装して紛れ込んだみたいだ。さっき、脱ぎ捨ててあったジャケットを見た」

    クリスタ「私達…これからどうなるんだろう…」

    エレン「さぁな。そのうちいずれ、王都に連れていかれるんだろうけど…」




    エレン(最悪、俺が巨人化すれば何とかなるな。奴ら、俺がどうやって巨人になるのか知らないみたいだし…)
  122. 138 : : 2014/03/15(土) 21:47:26

    クリスタ「みんな…」

    「おっと、お二人さんお目覚めかい?」




    ゾロゾロ…




    エレン「てめぇら…」

    中年男「狙われてるって自覚があるのなら、いくら本部内とはいえ、もっと慎重に行動するべきだったな」

    エレン「あぁ…その通りだったぜ…」
  123. 139 : : 2014/03/15(土) 21:53:08

    中年男「夜明けとともにここを出発し、お前らを王都に引き渡す。それまではもう少し眠っていてもらおうか…」



    エレン「その前に答えろ!お前らは一体何者だ!!憲兵か!?政府の人間か!?」

    中年男「悪いが、答える義理はない。お前らがこの先どうなろうが、俺達の知ったことではないからな」

    エレン「…あ?何を言っている?お前らは、俺達を消すのが目的じゃないのか?」

    中年男「消す?悪いが俺達が依頼されたのは、お前らを拉致するところまでだ。その先は知らん」
  124. 140 : : 2014/03/15(土) 21:59:13

    エレン「依頼…ってことは、お前らは王政府の連中とは違うってことか!?」





    エレン「なら…俺達の話を聞いてくれ!あんたらも、俺達の味方になってほしいんだ!!」

    中年男「悪いが、何も聞くつもりはない。余計なことを聞いて、俺達まで王政府に消される羽目になったら堪ったもんじゃないからな」

    中年男「お前らを王政府に渡して、俺達の仕事は終わり。俺の口から言えるのはそれだけだ」

    エレン「頼む!聞いてくれ!力を貸してくれっ!!」

    クリスタ「エレン…」
  125. 141 : : 2014/03/15(土) 22:02:08

    中年男「これ以上面倒事に関わるのはゴメンだ!さっさと眠っちまえ!」スッ…

    エレン「あっ…」
















    ミカサ「老体で夜更かしはいけない。あなたこそ眠るべき…」

    一同「!?」
  126. 142 : : 2014/03/15(土) 22:05:07

    ドゴッ!!





    中年男「ぐ…あぁぁっ!!!」ドサッ!

    エレン「ミカサ!?」

    部下「この女っ!!」ダッ!
  127. 143 : : 2014/03/15(土) 22:11:06

    リヴァイ「目障りだ…」




    ライナー「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」

    ベルトルト「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」



    ドゴッ!バキッ!



    部下達「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

    エレン「兵長…ライナー…ベルトルト…」

    クリスタ「みんな…助けに…」
  128. 144 : : 2014/03/15(土) 22:17:07

    ユミル「待たせたな、クリスタ」

    クリスタ「ユミルっ!!」





    アルミン「エレン、良かった、無事だったんだね」

    エレン「アルミンっ!お前も来てくれたのか!」

    アルミン「当たり前じゃないか!親友のピンチなんだからね!」
  129. 145 : : 2014/03/15(土) 22:23:32

    ユミル「見ろよ、さすがウチの精鋭たちだ。もうカタがついたみたいだ」




    部下達「」チーン…




    中年男「な…何でお前ら、ここが分かった…」

    リヴァイ「てめぇらの考えそうなことは、手に取るようにわかる。観念しろ」

    中年男「ひいぃぃぃぃ…」ガタガタ
  130. 146 : : 2014/03/15(土) 22:29:13

    ミカサ「ん…?」

    中年男「あ…?」




    ミカサ「…あぁ。あの時の」

    リヴァイ「どうした?」




    ミカサ「こいつはトロスト区奪還作戦の時、自己中心的な行動で住民の避難を遅らせた張本人です」

    ミカサ「商会のボスと言っていました。名前は確か…」

    リヴァイ「あぁ、リーブス商会のディモ・リーブスか。有名な商会の豚だ」
  131. 147 : : 2014/03/15(土) 22:35:05

    リーブス「まさかあの時の女にここで会うとはな…」



    ミカサ「どうしてエレンを攫った…と言っても、答えは明白だろうけど」

    リヴァイ「なぜおまえらがこいつらを拉致する必要があった?てめぇらの意思か?それとも、王政府との取引か?」

    リーブス「取引…ね。そんな生易しいモンだったら、どんなに楽だったか」
  132. 148 : : 2014/03/15(土) 22:41:05

    リーブス「俺達は、一方的に命令されただけだ。エレンとクリスタを王都まで連れて来い、できなければ、『不慮の事故』でリーブス商会の奴らは死ぬと」

    ライナー「また『不慮の事故』か…」

    ベルトルト「王政府はとことん腐ってるね…。『悪魔の末裔』というのも、あながちウソじゃなさそうだ」




    リヴァイ「お前らは、この二人についてどこまで知っている?」

    リーブス「どこまでって…エレンは巨人化がどうこうって話は聞いたが、クリスタのほうはよく知らん。攫って来いとだけ言われたからな」
  133. 149 : : 2014/03/15(土) 22:47:22

    リヴァイ「そうか。ならばお前らも、十分に知る義務があるな」

    リーブス「知るって…やっぱり、そいつらには俺達が聞いちゃいけねぇ事情があるんだろ!?やめてくれ、これ以上俺達を危険に巻き込むな!!」

    リヴァイ「本当に危険なことは何か…お前らは知らねぇ。それを知る義務があると言っているんだ」

    リーブス「やめてくれ!俺達はただ、この壁内で安全に暮らしていければそれでいい!何も自分から波風立てるようなことはしなくてもいいだろ!!」
  134. 150 : : 2014/03/15(土) 22:53:09

    リヴァイ「今までは…壁内の奴らが現状維持に満足するような家畜であろうと、別に俺は構わないと思っていた」

    リヴァイ「だがな…今は違う。今後は壁内の連中が徒党を組んで王政を打破し、世界を本来あるべき姿に戻すべきだと…そう考えている」

    リーブス「王政を…打破するだと!?」



    リヴァイ「そうだ。そして、そのためのピースも揃いつつある。これらが完成すれば、確実に王政府は滅びる」

    リーブス「そこまで自信を持って言えるほどのピースって…」

    リヴァイ「さっきから言ってるだろ。お前らは、それを知る義務があると。お前らだけじゃない、壁内で暮らす全ての人間に、この義務がある」

    リーブス「…」
  135. 151 : : 2014/03/15(土) 22:59:30

    クリスタ「リーブスさん…怖いのは分かります。でも、ここから一歩踏み出さなければ、何も変えることはできません」

    クリスタ「横暴な要求を突きつける王政府と、資金を食いつぶす兵団。信頼度は似たようなものかもしれませんが…」






    クリスタ「どうか…私達を…信じて…」

    リーブス「…」
  136. 152 : : 2014/03/15(土) 23:05:12

    リヴァイ「さっさと決めろ。時間が惜しい」

    リーブス「お前らのその話を聞けば、俺達も王政府から命を狙われるようなことになるのか?」

    リヴァイ「もちろんだ」

    リーブス「少しは否定しろよ…。あんたら、交渉のノウハウを何も分かっちゃいない」







    リーブス「だから…俺達が教えてやるよ。あんたらに必要なもの、俺達が力を貸してやる」

    エレン「本当に…!?」
  137. 153 : : 2014/03/15(土) 23:11:21

    リーブス「ただし、俺達は商人だ。タダでとはいかねぇな」




    リーブス「あんたらの知ってる情報を全てよこせ。そして王政打破がうまくいった暁には、リーブス商会を兵団御用達の商会とし、安定した取引を約束すること」

    リヴァイ「…いいだろう。約束する」

    リーブス「エレンとクリスタの拉致が失敗した以上、俺達の行く末は決まってる」

    リーブス「だったら、あんたらと一緒に地獄まで相乗りするのも悪くない」
  138. 154 : : 2014/03/15(土) 23:17:39

    リヴァイ「賢い判断だ。だが、安心しろ。俺達の船は、地獄までは行かねぇ。その手前で泊めてやる」

    リーブス「そいつはありがたいね。んじゃ、話しとやらを聞かせてもらおうか」

    リヴァイ「おいクリスタ、コイツに例の話を。後お前ら、向こうでノビてる連中を叩き起こせ」







    リーブス「さて…驚きすぎて心臓が止まらなきゃいいがな…」
  139. 155 : : 2014/03/15(土) 23:23:11

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    クリスタ「…というのが、この世界の歴史の一端です」

    リーブス「な…本当なのか…」

    クリスタ「これらが住民に露呈すると、王政府にとって不利益が生じる。そのため、これらの事実を知る人間を次々と消そうと企んでいます」

    クリスタ「そしてエレンは座標を保有し、私は今の話を壁内の人間に公開する権利を持ちます。王政府にとって、最も都合の悪い人間達という事です」
  140. 156 : : 2014/03/15(土) 23:29:18

    リーブス「そんなことのために…そこまでして、あいつらは王座を守りたいと言うのか!?」

    リヴァイ「そうだ。あいつらは、こんな壁の端で暮らす人間達のことなど意に介していない。あるのは、自分達の保全だけだ」




    リヴァイ「だからこそ、俺達が先陣を切って住民をたきつけて王政を打破し、いよいよもって壁外へと繰り出す必要があるわけだ」
  141. 157 : : 2014/03/15(土) 23:35:47

    リーブス「エレンと言ったな…」

    エレン「はい…」




    リーブス「お前の持つ座標とやらで…本当に巨人の恐怖から、人間達を救うことができるんだな…?」

    エレン「俺がこの力を持っているうちは、間違いなく…」

    リーブス「…ならよかった。今の話を聞いたこと、後悔せずに済みそうだ」
  142. 158 : : 2014/03/15(土) 23:41:08

    リヴァイ「物分かりが良くて助かる。さすが商会のボスというだけのことはあるな」

    リーブス「褒めても何も出ないぜ。さて、俺は一体何をすればいい?」

    リヴァイ「お前の商会の取引先に、内地または各地方の有力者はどれくらいいる?」

    リーブス「一応、それなりの数はいると思うが…それがどうした?」





    リヴァイ「分かる範囲で、王政と繋がりがなさそうな奴ら。そいつらを明日の夕方、トロスト区の壁上に集めたい」

    リーブス「明日だって!?無理だ!時間が無さすぎる!その上、簡単に集まってくれるはずがないだろう!!」
  143. 159 : : 2014/03/15(土) 23:47:59

    リヴァイ「可能な限りで構わん。責任はすべてウチで引き受ける。狂言でもなんでも用いて、頭数を揃えてほしい」

    リーブス「一体何をおっぱじめる気だ…」

    リヴァイ「強いて言うなら…ちょっとした『人間ショー』とでも言うべきか」




    リーブス「今聞いた話を餌に釣ると言うのは…?」

    リヴァイ「極力避けたい。が、人数が集まらなければやむを得ん。ただし、王政府の連中に感付かれんようにな」

    リヴァイ「…と言っても、おそらく完璧に隠し通すのは不可能だろう。最悪、それも想定内だ」
  144. 160 : : 2014/03/16(日) 00:00:26

    リヴァイ「むしろ、連中が覗きに来てくれるのなら逆にありがたい。こっちの手札をちらつかせて、牽制を掛けられる」

    リーブス「…あんたらの考えはよく分からんが、末恐ろしいな」

    リヴァイ「半端な策じゃ奴らを到底出し抜けない。俺達調査兵団は昔から、地獄に片足突っ込んでるくらいがちょうどいいんだ」

    リーブス「へっ、笑えねぇな、そいつは…」




    リヴァイ「…それじゃ、手筈通り頼んだ」

    リーブス「…引き受けた!」

    エレン「…」







    エレン(いよいよ明日…)
  145. 162 : : 2014/03/16(日) 12:24:22

    ~翌日・トロスト区壁上~

    「一体何をする気なんだ、リーブス?」

    「私は忙しいのよ。わざわざこんな場所に呼びつけて」



    リーブス「申し訳ありません。ですが、今から皆さんにお見せする物は、世界をひっくり返すほどの衝撃を与える物である事をお約束します」



    「世界をひっくり返すだって…?」

    「ほう、興味深い…」
  146. 163 : : 2014/03/16(日) 14:14:09

    ハンジ「…人数はそこそこ集まったようだね」

    リヴァイ「エレン、聞こえるか!?始めろ!!」

    エレン「はいっ!」






    リーブス「それでは皆さん、壁の下をご覧ください」

    「下って…少年が立ってるだけじゃないか?」

    「いや!危ないっ!!巨人が近くにいるぞ!!」
  147. 164 : : 2014/03/16(日) 14:57:53

    巨人「ウゥゥ…」ズゥゥゥン…

    エレン「…」





    「ひっ…!!」

    「おい少年!!早く逃げろ!!喰われちまうぞ!!」





    エレン「…お手」

    一同「!?」







    巨人「」ポンッ
  148. 166 : : 2014/03/16(日) 15:25:18

    「巨人が…少年の言う事を聞いた…?」






    エレン「…壁上の皆さんに手を振って」

    エレン(…人間を見たら手を振れ!)バリバリ…




    巨人「」ブンブンッ




    「こっちに向けて手を振っている…?」

    「どういうことだ…?巨人は、我々を捕食する天敵ではなかったのか?」
  149. 168 : : 2014/03/16(日) 16:57:36

    リーブス「どうですかみなさん?」

    「すごい…すごいが、一体どういうカラクリなんだ!?」

    「あの巨人が特別なのか!?それとも、あの少年が!?」



    リーブス「興味を持っていただけましたか?それじゃ、今度は彼女の方から…」

    クリスタ「」スタスタ…






    「今度は女の子?」

    「何がどうなってやがるんだ…?」
  150. 169 : : 2014/03/16(日) 17:58:53

    クリスタ「…私の名は、ヒストリア・レイス。壁の秘密と世界の歴史の真実を皆さんに公開する権利を持った、レイス家の人間です」

    「レイス家だと!?」

    「なんでここに!?しかも、調査兵団だと!?」













    クリスタ「あっ…!」

    ロッド「…」
  151. 170 : : 2014/03/16(日) 18:46:48

    「レイスさん、あの子は一体…?」ボソッ

    ロッド「…知らない。少なくとも、私の知り合いにあんな子はいない」






    クリスタ(お父さん…)






    リヴァイ「クリスタの様子が…。どうやらあいつらしいな」

    リーブス「あぁ、あの方がレイス様だ。それにしても、あの子がレイス家の人間だったとはな」

    リヴァイ「あいつにはいろいろと詮索されたくねぇ事情があるらしい」

    リーブス「へぇ…」
  152. 171 : : 2014/03/16(日) 19:18:58

    クリスタ「…」グッ!






    クリスタ「今から皆さんに聞いて頂く話は、ハッキリ言ってこの壁内で禁忌とされてきた情報です」

    クリスタ「これを知ってしまうと、王政府から命を狙われる可能性もあります」

    「政府から…!?」

    「冗談じゃない!そんな恐ろしい話が聞けるか!!」
  153. 172 : : 2014/03/16(日) 19:21:16

    ロッド「一つ聞かせてくれるか…?」

    クリスタ「…何でしょうか」

    ロッド「なぜ今、わざわざ我々を集めてそんな話をしようと思ったのだ?」
  154. 173 : : 2014/03/16(日) 19:27:20

    クリスタ「…皆さんは、この壁内の王政に疑問を抱いたことはありませんか?」




    クリスタ「辺境の街では、いつ巨人の脅威にさらされるか分からない。現にこのトロスト区は、一度巨人の手に落ちています」

    クリスタ「にもかかわらず中央の王政府は、何も手を差し伸べてくれないばかりか、自分達の保全のために他の人間達のことは意にも介しません」



    クリスタ「こんな事を続けて、果たしてこの壁内に平和など訪れるでしょうか?答えは否!」

    クリスタ「私達調査兵団の目的は、王政の打破!そして、この壁内の人間達の実権を握り、さらには壁外へと人間達の領域を広げることです!」
  155. 174 : : 2014/03/16(日) 19:33:08

    クリスタ「あの少年、エレン・イェーガーの力で、壁外の巨人達も我々が掌握することに成功し、さらにはシガンシナ区の破壊された前門を塞ぐことにも昨日成功しました!!」



    「シガンシナ区を…!?」

    「馬鹿な!だってこれまでの5年間、一度だってあそこに辿り着けたという話は聞かないぞ!」

    「だが…あの少年がいれば、不可能ではないのではないか…」
  156. 175 : : 2014/03/16(日) 19:39:13

    クリスタ「そもそも人類がなぜ、この狭い壁内に閉じ込められる羽目になったのか。大本の原因は、王の先祖にあります」

    クリスタ「王政府がひた隠しにしている歴史にこそ、全ての真実があるのです!」




    クリスタ「どうか私の話を聞き、王政打破に皆さんの…いや、全ての壁内人類の力を貸していただきたいのです!」

    クリスタ「各地方の有力者である皆さんになら、私から聞いた情報を各地で広め、住民同士で団結させることも可能なはず!」

    クリスタ「そうなれば、王政打破など容易い事でしょう!」
  157. 176 : : 2014/03/16(日) 19:45:34

    「本気…なのか…」

    「そりゃ…こんな場所でわざわざ嘘をつく理由などないが…」




    ロッド「とりあえず…話してもらおうか。この世界の真実とやらを。我々が判断するのは、それからでも遅くはない」

    クリスタ「分かりました。ではまず、壁の成り立ちから…」













    パァンッ!!

    一同「!?」
  158. 177 : : 2014/03/16(日) 19:51:09

    クリスタ「うっ…」バタッ…

    「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

    「何!?突然どうしたの!?」







    リヴァイ「何が起きた!?」

    ハンジ「狙撃!?どこから!?」
  159. 178 : : 2014/03/16(日) 20:01:09

    憲兵「」ダダダダダ…





    リヴァイ「あいつだ!逃がすな、追え!!」

    ジャン「待てコラっ!!」





    ダダダダダ…
  160. 179 : : 2014/03/16(日) 20:07:11

    ハンジ「ヒストリア!ヒストリア、しっかりして!」

    クリスタ「う…ぁ…」

    リーブス「血が止まらねぇ…。このままじゃこの子は…」



    リヴァイ「油断した…。こうなる可能性もあると警戒していたはずだったが…」

    ハンジ「まさかこの群集の中で、なりふり構わず狙撃してくるとは誰も思わないって!」
  161. 180 : : 2014/03/16(日) 20:13:10

    リーブス「あの憲兵はおそらく捕まる。きっと俺達と同じように、何も知らずに王政府に使われてるだけのコマなんだろう」




    リーブス「あんたら!これが王政府のやり方だ!あいつらは、自らの保全のためならこんな子供までも平気で手を掛ける!」

    リーブス「この子が話しそびれたことは、俺達から話す!だからどうか、王政打破に力を貸してくれ!!」

    「これが…王政府…」

    「確かに以前から信頼できないとは思っていたが、これほどとは…」

    「いよいよ俺達も、ハラくくる時が来たのか…」
  162. 181 : : 2014/03/16(日) 20:19:24

    ロッド「」スタスタ…




    「ロッドさん、どちらへ!?」

    ロッド「帰る。仕事があるのでね」

    「んな!?仕事って…子供が一人撃たれたんですよ!?あなたと同じレイス家の!!」

    ロッド「私の知ったことではない。あの子が勝手にレイスの名を名乗っているだけかもしれないしな」

    「だとしても…」




    ロッド「私は内地に戻り、やらねばならないことがある。帰らせてもらう」

    「ロッドさん…」
  163. 182 : : 2014/03/16(日) 20:22:22

    ロッド「」スタスタ…







    ロッド「…」ポロッ…





















    ロッド「…すまない、ヒストリア」ポロポロ…
  164. 183 : : 2014/03/16(日) 20:28:11

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    エレン「そんな…クリスタ…」




    クリスタ「」




    ハンジ「完全に私達のミスだ。申し訳ない…」

    リヴァイ「おいジャン、狙撃犯はどうなった?」

    ジャン「それが…余程焦ったのか、壁から足を踏み外し、そのまま下へ…」

    リヴァイ「そうか…。奴をとっ捕まえて、いろいろ吐き出させるつもりだったんだがな…」
  165. 184 : : 2014/03/16(日) 20:34:11

    エレン「こんなことになるなんて…俺はどうしたら…」

    リヴァイ「…確かに、俺達に取っちゃ大きすぎる犠牲だ。だが、あれを見ろ…」



    「よし、俺は早速このことを伝える。クソッタレな王政を、一気にぶっ潰すぞ!」

    「私も!巨人を掌握して、シガンシナも取り返せた!ならばもう、私達の敵は王政だけ!!」



    エレン「…」

    リヴァイ「匙は確かに投げられた。あと俺達にできるのは、こいつらを先導し、行く末を見守るだけだ」
  166. 185 : : 2014/03/16(日) 20:37:39

    リヴァイ「いったん本部に戻る。同時に壁外へ進むための計画も練らなくちゃならねぇからな」

    エレン「はい…」




    クリスタ「」











    エレン「お前の意思は、確かに俺達が受け継いだぞ…」
  167. 186 : : 2014/03/16(日) 20:43:24

    ~調査兵団本部~

    ユミル「なっ…おい…嘘だろ…」




    クリスタ「」




    サシャ「そんな…クリスタ!目を開けてくださいよ!!」

    ライナー「まさか…こんな事態になるとは…」

    ベルトルト「アニ、団長に続いて、クリスタまで…」

    アルミン「どうして…犠牲を止めることができないんだ…」

    ミカサ「それが、この世界の理だからでは…」
  168. 187 : : 2014/03/16(日) 20:49:10

    コニー「それで…作戦のほうはうまくいったのか?クリスタの犠牲に見合うだけの成果はあったのか…」

    エレン「あぁ…間違いなく。後は、時が来るのを待つだけだ…」




    ユミル「はは…ははは…」

    エレン「ユミル?」






    ユミル「こんな最期ってあるかよ…こいつは…昔から…ずっと…」
  169. 188 : : 2014/03/16(日) 21:00:15

    ライナー「ユミル、落ち着け…」

    ユミル「こいつは!昔っからそうだ!!人のために自分を投げ打って!結局損するのは、いつも自分だってのによ!!」

    ユミル「ずっと警鐘を鳴らしてきた!こいつに何度も注意した!その結果がこのザマだ!!」




    ユミル「こいつは幸せだったと思うか!?なぁお前ら、どう思ってんだよ!!」
  170. 189 : : 2014/03/16(日) 21:05:19

    ジャン「それは…」

    サシャ「もちろん、クリスタは幸せで…」

    ユミル「んなわけあるかっ!お前らの目は節穴かよ!!」




    ユミル「おいエレンっ!!なんでお前らがいながら、クリスタを守れなかったんだ!答えろっ!!」

    エレン「それは…悪かったと…思ってる…」

    ユミル「悪かった!?そんな一言で済ませられると思ってるのか!?あぁ!?」

    エレン「思ってはいないけど…」
  171. 190 : : 2014/03/16(日) 21:10:30

    ユミル「エレン、お前は座標で巨人の脅威を退けられるのかもしれねぇけど…」



    ユミル「人一人守れねぇんじゃ、誰もお前に命を預けようとは思わねぇ」

    エレン「それは…その通りだ…」




    ユミル「まぁ…クリスタ本人は、薄々こうなることを感付いていたみたいだけどな…」

    エレン「クリスタが…!?」

    ユミル「…昨日の夜、あいつはこんなことを言ってたんだ」
  172. 191 : : 2014/03/16(日) 21:15:28

    ~昨晩~

    クリスタ「…というワケなの。明日、私がみんなに話すことになった」

    ユミル「いくらなんでも危険すぎるだろ!政府の連中が、どこからお前の口を封じようとしてくるか分からねぇのに!!」

    クリスタ「でも、これはやらなきゃいけない事なの。いわば、これが私の義務であり、生まれた意味」




    クリスタ「私、嬉しいんだ。今までは何で生まれたのかも分からずに、ただ漠然と生きてきた」

    クリスタ「そんな時代に比べたら、これほどやりがいのあることはないでしょ?」

    ユミル「そりゃ…そうだが…」
  173. 192 : : 2014/03/16(日) 21:20:11

    クリスタ「まぁでも…万が一ってこともあるしね。だからこうして、ユミルとお話してるの」

    ユミル「馬鹿なこと言ってんじゃねぇ!エレンにも兵長にもキツく言っといてやるよ!何があっても、クリスタを死守しろってな!!」

    クリスタ「大げさだよ。でも、ありがとう。本当に死ぬかもしれないって思うなら、わざわざこんな話はしないよ」

    ユミル「クリスタ…」







    ユミル「…絶対死ぬな!以上だ!!」

    クリスタ「…うんっ!!」
  174. 193 : : 2014/03/16(日) 21:23:10

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    エレン「あいつが…そんなことを…」

    ユミル「私と約束したのに、結局あいつは死んだ。誰にも守ってもらえずに、死ぬべくして死んだんだ」




    ユミル「当然、一番悪いのはその狙撃手だ。だが、お前らに人心ってもんがあるなら、もう少し違う結果になったのかもな」

    エレン「俺は…そんな…」
  175. 194 : : 2014/03/16(日) 21:25:20

    ユミル「…後で来い。話がある」

    エレン「分かった…」






    スタスタ…






    ガチャン…
  176. 195 : : 2014/03/16(日) 21:30:17

    ミカサ「エレン…」

    エレン「ユミル直々に俺をご使命だ。お前らは来るなよ」

    アルミン「ユミルの事だから、手荒な真似はしないだろうけど…」

    エレン「当たり前だ。あいつもきっと、現実が受け入れられなくて混乱してるだけなんだよ」




    エレン「うまく励ましてやれるか分からないけど…とりあえず行ってくるよ」

    アルミン「分かった。気を付けて…って言うのはおかしいよね、いってらっしゃい」

    エレン「おう!」
  177. 196 : : 2014/03/16(日) 21:35:18

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ユミル「…来たか」

    エレン「お前、わざわざ裏の森まで呼び出しやがって…。部屋でよかっただろうが…」

    ユミル「まぁ、いろいろとな。さっきは悪かったな」

    エレン「いや、いいよ。お前が怒るのも当然だ」




    ユミル「いや、怒ったことを謝ったわけじゃない。お前に対して怒りをぶつけたことを謝ったんだ」

    エレン「まぁ…そりゃそうだが…」
  178. 197 : : 2014/03/16(日) 21:40:10

    ユミル「お前の夢は、いつか壁外を冒険して、海とやらを見つけに行くことだったよな」

    エレン「あぁ、そうだ。そしてその夢は、もうすぐ現実になろうとしてる」

    エレン「けど、いきなりどうしたんだ?そんな話をするなんてよ…」







    ユミル「お前はこの世界に…『先』があると思うか」

    エレン「は…?何言ってんだ?意味が分かんねぇぞ…?」
  179. 198 : : 2014/03/16(日) 21:44:16

    ユミル「言葉通りの意味だ。どう思う?」

    エレン「意味はよく分かんねぇけど…」




    エレン「壁外に出られれば、『先』もちゃんとあるんじゃねぇのか?」

    ユミル「そうか…」




    ユミル「悪く思うな…。世界は必ずしも、人が望む通りにできてねぇってことをな…」

    エレン「は…?」
  180. 199 : : 2014/03/16(日) 21:48:26

    ユミル「エレン、単刀直入に言う。お前の座標を私によこせ」

    エレン「いや、いきなり何言ってんだ!?よこせって言われて、『はいそうですか』って渡せるわけねぇだろ!!」

    ユミル「いや、私ならできる。お前から座標をもらう事も…」






    ユミル「強引に奪い取ることもな!」

    エレン「お前…何を!?」
  181. 201 : : 2014/03/16(日) 21:52:07

    ユミル「お前…クリスタの話を覚えてるか?A勢力から分裂して壁外へと散っていった、『果ての守人』の話を」

    エレン「あ…あぁ、そう言えば、そんな話もしてたな…」



    ユミル「『果ての守人』ってのは、簡単に言えば、世界の端っこに住んでる連中のことだ」

    エレン「世界の…端!?」

    ユミル「そう。この世界に端、即ち『果て』が存在する。その場所を守っているのが、『果ての守人』だ」
  182. 202 : : 2014/03/16(日) 21:56:19

    エレン「考えたこともなかった…。じゃあ、海はどうなんだ!?存在するのか!?」

    ユミル「そうだなぁ…。存在すると言えばするし、しないと言えばしないな」

    エレン「どっちなんだよ!お前は一体、何を知ってるっていうんだ!!」



    ユミル「お前が素直に協力してくれるなら、教えてやってもいい。『果て』の真実について」

    エレン「協力…?一体、何をすればいい?」






    ユミル「なぁに、その座標を使って、壁内の連中を滅ぼしてくれればそれでいいさ」

    エレン「冗談言ってんのか!?そんなこと、できるワケがねぇだろうが!!」
  183. 203 : : 2014/03/16(日) 22:00:14

    ユミル「そう言うと思ったよ。残念だが、交渉は決裂だな」

    エレン「決裂って…じゃあ、どうするんだ?俺から座標を奪い取るって言ったか?」

    ユミル「まぁな。でないと、私の『復讐』が成り立たない」

    エレン「お前も復讐かよ!アニも復讐、ライナーの故郷の奴らも復讐って…」




    エレン「復讐なんて、また次の復讐を生み出すだけだ!そんなもの成し遂げたって、後には何も残らない!」

    ユミル「構うか、そんな事。元はと言えば、過去に戦争をおっぱじめたご先祖たちが悪い。文句ならそっちに言え」
  184. 204 : : 2014/03/16(日) 22:02:06

    エレン「一体…お前の復讐の理由は何だってんだよ…」

    ユミル「まず教えてやる。さっき言った『果ての守人』、私もその一員だ」

    エレン「お前が…!?じゃあお前も、壁外から…!?」



    ユミル「まぁ、そうなるな。ちょっとばかり、昔話をしてやろう」
  185. 205 : : 2014/03/16(日) 22:06:08

    ユミル「80年近く前になるな。『果て』で生を受けた私は、『果ての守人』となるために、日夜厳しい教育を受けていた」

    エレン「80年前!?嘘だろ、だってお前は!!」

    ユミル「話は黙って最後まで聞け」




    ユミル「その場所にはいろいろと細かいしきたりがあってな。ひねくれ者の私は、そんな日々にウンザリして、ある日しきたりを破った」

    ユミル「当時の私は、しきたりを破るという事がどれほど大きな罪かなんて、考えもしなかった」

    ユミル「その事を分かっていれば、あんなことにはならずに済んだってのにな…」

    エレン「ユミル、お前…」
  186. 206 : : 2014/03/16(日) 22:08:28

    ユミル「話がそれちまったな。しきたりを破った物は、死を持って償うべし。これが『果ての守人』たちの掟だ」

    ユミル「私も例外なく、死罪が適用されるところだった。あいつがいなければな」

    エレン「あいつ…?」
  187. 207 : : 2014/03/16(日) 22:12:22

    ユミル「金髪碧眼の少女。名をクリスタ」

    エレン「クリスタだって!?」

    ユミル「勘違いするな、同名の別人だ。あのクリスタが80年前にいるわけねぇだろ」




    ユミル「本来なら死罪になるはずの私を、そいつは身を挺して庇ってくれた。『殺しは絶対にダメだ』ってな」

    ユミル「そいつの必死の説得により、私は『果て』から追放される程度の罪で済んだ。本当に感謝してるよ」
  188. 208 : : 2014/03/16(日) 22:15:17

    ユミル「条件としては、私は『死んだ』こととし、金輪際『果て』に近付かないことを言い渡された。まぁ、その辺はどうでもよかった。が…」

    ユミル「『果て』の外には、とんでもない脅威が待ち受けていた。今から60年以上前の話になるな」

    エレン「60年前ってことは、巨人が…」

    ユミル「そうだ。当時は外の世界なんざ知る由もなかった私は、毎日必死に巨人から逃げた」




    ユミル「だが、そんな日々も長くは続かない。とうとう音を上げて、『果て』に戻っちまった」

    ユミル「大っぴらに戻ったわけじゃない。ただ、私を助けてくれたクリスタに会いたかった。その一心だったんだ」
  189. 209 : : 2014/03/16(日) 22:18:28

    ユミル「しかし…そこで私は信じられない事実を知った」

    エレン「事実って…?」

    ユミル「私の刑。本当は、全く別の内容だったんだ」




    ユミル「私を追放し、さらに私の身代わりとしてクリスタを死罪とすること。これが本当の刑の内容だ」

    エレン「なっ…それじゃ…」

    ユミル「クリスタは…すでに死んでいた。私の身代わりになってな…」
  190. 210 : : 2014/03/16(日) 22:21:27

    ユミル「私とさほど面識があるわけでもなく、ただ単に『人が人を殺すこと』を嫌って私を庇ってくれたクリスタ…」

    ユミル「なのにその本人が、人によって殺されちまった。こんな馬鹿な話があるか?」

    エレン「…」




    ユミル「そこからのことは、正直あまり覚えていない。ただ、激しい怒りと憎しみを抱いたことは覚えてる…」

    ユミル「そして次に見た光景は…『果て』の奴らによって作られた血の海だった…」

    エレン「それって…お前が…」

    ユミル「殺っちまったんだろうな。他に誰がいる」
  191. 211 : : 2014/03/16(日) 22:24:10

    ユミル「『果て』の連中を滅ぼし、行く当てもなく放浪している私は、いつ巨人に食われてもおかしくなかった」



    ユミル「だがそんな時、ある集落に辿り着いた。おそらく、ライナー達が故郷と呼んでいる集落だろうな」

    ユミル「そこで私は、その集落から『巨人の力』を盗んだ。だが当然、ただでは済まなった」

    エレン「巨人の力…ってことは、お前も…!?」

    ユミル「自らに投与した途端、肉体の制御が全く効かなかった。記憶も意識もはっきりせず、もう何が何だか分からなくなった」
  192. 212 : : 2014/03/16(日) 22:27:17

    ユミル「私は巨人態のまま、壁外を彷徨い続けた。60年程な」

    ユミル「もう…終わらない悪夢を見ているようだった。いっそ殺してほしい。そう思っていたかどうかも定かじゃない」




    ユミル「だがある時、悪夢は終わった。気が付いたら、私は壁内にいた。5年前の話だ」

    ユミル「そこから紆余曲折あり、私は出会った。クリスタにな」

    ユミル「最初見たときは驚いた。『果て』のクリスタと容姿が似ているばかりか、名前まで一緒。こいつは運命だと思ったね」
  193. 213 : : 2014/03/16(日) 22:30:19

    ユミル「まぁ結局、あいつはクリスタじゃなくヒストリアだったわけだが…そんなことはどうでもいい」




    ユミル「私にとって、クリスタは希望だった。自分の存在を肯定してくれる、唯一の存在と言っても過言じゃなかった」

    ユミル「そのクリスタを!一度ならず二度も殺された!これが憤らずにいられるか!!」

    エレン「確かにお前の気持ちは分かる!だからと言って、壁内の人間を滅ぼしていい理由にはならねぇ!!」

    ユミル「いいや、なるね!!私自身がクリスタの復讐を望む!理由はこれだけで十分だ!!」




    ユミル「過去にも同じようにして『果て』の人間を滅ぼした!今更、何もためらう必要はねぇ!!」
  194. 214 : : 2014/03/16(日) 22:33:11

    エレン「いい加減にしろ!大体にして、どうやって俺から座標を奪うってんだ!?」

    ユミル「簡単だ…お前を食えばいいんだよ…」

    エレン「は…?」




    ユミル「さっき話した通り、私も巨人になれる力を持っている。その状態で座標を食っちまえば、おのずと座標は私の物になるのさ」

    エレン「それって…」

    ユミル「悪く思うな。すべてはクリスタのためだ…」
  195. 215 : : 2014/03/16(日) 22:36:19

    リヴァイ「勝手な真似するな、ガキが」

    エレン「兵長!?」




    ユミル「ずっと聞いてたのか…。それに、ガキ呼ばわりは聞き捨てならねぇな、兵長さんよ」

    リヴァイ「こいつの力を、私怨のためだけに使われるのは困るんでな。やりたけりゃ、全てのカタが付いてからにしろ」

    ユミル「つまり…あんたらの作戦が全部終わった後なら、こいつの座標を奪っても構わねぇと?」

    リヴァイ「そうだ。その前に事を起こそうってんなら…俺が容赦なく削ぐ」
  196. 216 : : 2014/03/16(日) 22:39:12

    ユミル「おーおー、相変わらずおっかねぇな。だが、私が大人しく引き下がるとでも?」

    リヴァイ「立場をわきまえろ。お前がたとえ巨人になろうが、こっちにはエレンがいる。座標もある。勝ち目はねぇと思うが?」

    ユミル「…」




    エレン「そうだぞユミル!それに、そんなことをしたって、クリスタは…どっちのクリスタも、絶対に喜ばねぇ!!」

    エレン「本当にクリスタの事を考えるんなら…そんな馬鹿げた復讐なんてやめるんだ!!」
  197. 217 : : 2014/03/16(日) 22:42:41

    ユミル「そういや…一つ聞かせてくれ。クリスタを撃った馬鹿野郎は、今どうなってる?」

    リヴァイ「死んだ。壁から転落して、無残な最期を遂げた」

    ユミル「そうか…それだけ聞けりゃいいか」




    エレン「ユミル…考え直してくれたか…?」

    ユミル「勘違いするな。別に復讐を諦めたワケじゃない」

    ユミル「兵長さんの言う通り、まずはあんたらの作戦を遂げることを最優先にしてやる。話はその後だ」

    エレン「ユミル、お前…」
  198. 218 : : 2014/03/16(日) 22:45:33

    リヴァイ「理解が早くて助かる。もっとも、お前の場合は俺達に屈したわけじゃねぇだろうが」

    ユミル「私の気が変われば、見逃す可能性もありますけどね。何はともあれ、先にやることはやりますよ」



    リヴァイ「よし。お前ら、出て来い」

    エレン「?」







    ライナー「…」ザッ

    ベルトルト「…」ザッ
  199. 219 : : 2014/03/16(日) 22:48:54

    エレン「お前ら…いつからそこに?」

    リヴァイ「俺が呼んだ。万が一の事態に備えてな」



    ユミル「へっ…私には最初から勝ち目はなかったわけか」

    リヴァイ「あのまま暴れていれば、お前は確実に死んでいた。賢い選択をしたな」

    ユミル「そいつはどーも」
  200. 220 : : 2014/03/16(日) 22:51:24

    リヴァイ「さて、俺がこいつらを呼んだのは、他に目的がある。お前ら、馬車を用意しろ」

    エレン「えっ…どうしてですか?」

    ライナー「俺達は今から…俺達の故郷へ行く。エレン、お前にも当然来てもらう」

    エレン「は…!?」
  201. 221 : : 2014/03/16(日) 22:54:12

    リヴァイ「リーブスから連絡があった。壁内では、王政への不満を募らせた住民達が、今にも爆発寸前だそうだ」

    リヴァイ「明日、一致団結して大規模なクーデターを行うらしい。思ったより行動が早くて助かる」

    エレン「明日…」




    ベルトルト「壁内で事を起こしている隙に、僕らは壁外に出て故郷へ行き、脅威を退ける」

    ベルトルト「それに…故郷の大人たちに、真相を確認しないといけないしね。あと、アニのことも伝えないと…」

    エレン「そうか…」
  202. 222 : : 2014/03/16(日) 22:57:26

    リヴァイ「お前が座標であることは、最初は伏せておけ。奴ら、それを得るために何をしでかすか分からねぇからな」

    エレン「分かりました。しかし…」

    リヴァイ「どうした?まだ何かあるのか?」






    エレン「…うまくいきますかね」

    リヴァイ「…結果は誰にも分からねぇ。いつだってそうだ。だから俺達は、必死こいて足掻くしかねぇんだ」
  203. 223 : : 2014/03/16(日) 23:04:29

    リヴァイ「無駄話はここまでだ。ライナー、ベルトルト、案内は頼んだぞ」

    ベルトルト「分かりました」

    ライナー「決して近いとは言えない距離です。心してかかってください」









    ユミル「…60年ぶりか、あそこに行くのは」
  204. 224 : : 2014/03/16(日) 23:05:55
    というワケで、ここで一旦終わります。

    全ての決着は、完結篇の次スレで↓
    http://www.ssnote.net/archives/12314


    長々となってしまいましたが、もう少し、もう少しだけお付き合いください。


    最後にここまで支援くださった方、読んでくださった方、ありがとうございました。
  205. 225 : : 2017/07/26(水) 01:36:03
    始粗の巨人、進撃の巨人、女型の巨人、鎧の巨人、超大型巨人、獣の巨人、車力の巨人、顎の巨人、戦槌の巨人(エレン・イェーガー、エレン・イェーガー、アニ・レオンハートライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバー、ジーク・イェーガー、ピーク・???、ポルコ・ガリアード、???・???)ネタバレ注意
  206. 226 : : 2018/11/12(月) 21:01:35
    エレン最高だ。マーレ政府は裏切り者がいっぱいいますねー。
  207. 227 : : 2020/10/06(火) 10:23:23
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986

    http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=18
  208. 228 : : 2020/10/26(月) 13:55:31
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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