ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

この作品は執筆を終了しています。

エレン「これが…真の『駆逐』だっ!!!」

    • Good
    • 16

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/03/01(土) 20:30:12

    ~845年~

    エレン(どうしてこんな目に…)

    エレン(人間が弱いから…?)

    エレン(弱い奴は、泣き喚くしかないのか…?)





    エレン「…」





    エレン(だが、だからと言って奴らを殺していいのか?いや、そうじゃないだろ!)

    エレン(憎しみは、また新たな憎しみしか生まない!そんなんじゃダメだ!)

    エレン(かと言って、奴らと共存するなんてことは不可能だ。だって、奴らと意思を通わせることができないんだから!)







    エレン(だったら、どうすればいい。どうすれば…)
  2. 3 : : 2014/03/01(土) 20:40:10

    エレン「…」







    エレン「そうだ…」

    エレン「『駆逐』…してやる…」







    エレン「この世から…」
















    エレン「一匹…残らずっ!!!」
  3. 4 : : 2014/03/01(土) 20:50:12

    ~850年・第57回壁外調査~

    巨人「ウアァァァ…」ドシンドシン…

    アルミン「右後方から巨人接近!!」




    エレン「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」

    ミカサ「エレンっ!!」

    オルオ「待てエレン!!勝手な行動は許さねぇぞ!!」

    エレン「」ガリッ!




    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ…




    エレン巨人「ウ…」








    エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!!!!」

    オルオ「あいつ、勝手に巨人化しやがって…。後で兵長にどやされるのは俺なんだぞ…」
  4. 5 : : 2014/03/01(土) 21:00:10

    エレン巨人「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」

    巨人「!?」



    巨人「」イヤァァァァァァッ!






    ダダダダダ…






    オルオ「巨人が逃げて行っちまった…。あれが例の特殊音波か…」

    アルミン「はい。どうやらあの音波は巨人が嫌がる物らしく、ああやって逃げて行ってしまうんです…」



    アルミン「エレンは巨人化する際、強い目的意識を持った状態で自傷行為を行います」

    アルミン「その時に、『駆逐する』ことを目的に巨人化すると、あのような特殊音波を発することができるようなんです」
  5. 6 : : 2014/03/01(土) 21:10:07

    オルオ「『駆逐』…ねぇ。難しい言葉を知ってるようだが、それってどういう意味なんだ?」

    アルミン「…」

    ミカサ「…」

    オルオ「…おい、お前ら」













    アルミン「…『追い払う事』です」

    オルオ「…え?」
  6. 7 : : 2014/03/01(土) 21:20:39

    1か月前、5年ぶりに出現した超大型巨人によって、トロスト区の前門が破壊され、巨人が大量になだれ込んできた。



    エレン達訓練兵も戦場に駆り出されたが、その際、エレンがアルミンを庇って巨人に捕食されてしまう。



    巨人の侵入は止まるところを知らず、絶望に打ちひしがれる人類であったが、突如として謎の巨人が出現。



    その巨人の発する特殊な音波によって、巨人達は前門からすべて逃走。



    以前からトロスト区内に存在していた大岩を謎の巨人が前門まで運び、破壊された前門を塞いだことによって、
    人類は初めて、巨人から領土を奪還することに成功する。
  7. 8 : : 2014/03/01(土) 21:30:26

    そして謎の巨人の正体。それは、巨人の体内で『駆逐すること』を目的として巨人化したエレンであった…



    エレンの巨人の力を巡って、三兵団に加え、政府やウォール教を巻き込んだ論争が繰り広げられたが、
    最終的に、その力を最も有効に活用できると判断された調査兵団に身柄を預けることに落ち着く。









    そして…
  8. 9 : : 2014/03/01(土) 21:40:16

    ~調査兵団本部~

    リヴァイ「だから何度も言っているだろう。巨人は駆逐するものではなく、絶滅させるものだと」

    エレン「それじゃ駄目なんですよ!殺せばいいってものではないでしょう!!」

    リヴァイ「現実的に考えて、マリア領内の巨人を全て駆逐するなんてのは不可能だ。殺したほうが手っ取り早い」

    エレン「巨人を殺そうとするから、こちらにも被害が出るんですよ!!」




    リヴァイ「じゃあどうしろと?」
  9. 11 : : 2014/03/01(土) 21:50:33

    エレン「俺の巨人化の力を使って、シガンシナの穴から巨人を駆逐するんです!トロスト区でやったように!」

    リヴァイ「マリア領内などれだけ広いか分かってるのか?お前が駆逐している間にも、その穴からどんどん巨人が入ってくるだろうが」

    エレン「それは…」




    リヴァイ「マリアを奪還するために最優先にすべきことは、シガンシナの穴を塞ぐことだ」

    リヴァイ「当然、穴を塞いじまえば、お前の能力を使って駆逐することもできなくなる」

    リヴァイ「つまり、どの道巨人は絶滅させるしかねぇんだ」
  10. 12 : : 2014/03/01(土) 21:58:26

    エレン「しかし!いくら巨人だからと言って、むやみに殺していいってわけではないでしょう!!」

    リヴァイ「じゃあ、黙って喰われろとでも言うのか?」

    エレン「このままじゃ、巨人と人間は永遠に殺し合うだけです!そんなのは、悲しすぎるでしょう!」



    エレン「確かに巨人は、俺達の平穏な日常を奪っていきました…」

    エレン「だけど!だからと言って、ただ憎しみだけで巨人を殺し続けていても、また別の憎しみを生み出すだけです!」

    エレン「この負の連鎖を、ここで止めずにいつ止めるっていうんですか!?」
  11. 14 : : 2014/03/01(土) 22:10:26

    リヴァイ「奴らが俺達に憎しみを持つと?馬鹿なことを言うな」



    リヴァイ「そもそも、そのくらいの知性がある奴なら、話し合いで何とかなる可能性もあるんだがな」

    リヴァイ「そうじゃねぇから、お互いに殺して殺され合うんだよ。殺生無くして、人類の平和などありえん」

    リヴァイ「それに俺は、死んでいった兵達に誓っているんだ。巨人を、必ず絶滅させると」



    リヴァイ「てめぇみたいな平和主義者と言い争っている暇はねぇ。さっさと部屋に戻れ」

    エレン「ですが兵長!」




    リヴァイ「さっさと俺の前から失せろ!削がれたくなかったらな!」

    エレン「…っ!」






    エレン「…失礼します」



    スタスタ…






    ガチャン…
  12. 15 : : 2014/03/01(土) 22:20:18

    リヴァイ「…チッ!」




    ハンジ「随分とヒートアップしていたようだね、リヴァイ」

    リヴァイ「呆れたガキだ。あんな甘い考えで、巨人に勝とうなんてな」

    ハンジ「でも、彼が言う事も一理あるよね。できることなら、殺さずに済ませたいじゃない」



    リヴァイ「そもそも、何故人間が奴らに食われるのかすら分からねぇんだ」

    リヴァイ「理由もなく殺されて行くって言うのに、それを黙って見過ごすばかりか、奴らをただ駆逐しろと来たもんだ」

    リヴァイ「俺だって、できることならあんな汚ねぇ奴らに触りたくなんかねぇ。返り血なんざ浴びたくねぇからな」
  13. 16 : : 2014/03/01(土) 22:30:09

    ハンジ「…彼の巨人の力なら、案外そんな夢物語も、現実になるかもね」

    リヴァイ「俺の知ったことか」



    ハンジ「何で彼が、あそこまで頑なに殺すことを嫌うのか、気にならない?」

    リヴァイ「…」



    ハンジ「そう言えばさ、エレンの右腕に、大きな傷があったのに気付いた?」

    リヴァイ「知るか。俺はお前みたく、奴の体を調べ上げてるわけじゃねぇからな」

    ハンジ「気になるよね。もしかして、彼の過去に何かヒントがあるのかも」




    リヴァイ「俺の知ったことじゃねぇ。何度も言わせるな」
  14. 17 : : 2014/03/01(土) 22:40:14

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    エレン「…はぁ」

    エレン(分かってはいるんだけど、どうしても熱くなってしまう。きっと兵長にも嫌われたよな…)

    エレン(でも、やっぱり巨人だからと言って、殺すのはダメだ!絶対に…!)




    アルミン「エレン」

    エレン「アルミン、脅かすなよ…」

    アルミン「そんなつもりはなかったんだけど、なにやら言い争う声が聞こえてね」
  15. 18 : : 2014/03/01(土) 22:51:46

    ミカサ「またリヴァイ兵長と喧嘩していたの?」

    エレン「喧嘩…って言うワケじゃないけど、ちょっと意見の相違が…」



    アルミン「過去にあんなことがあったから、エレンが無闇に巨人を殺すことを嫌っているのは知ってるよ」

    アルミン「でも、相手は巨人なんだよ。やらなきゃ、こっちがやられる。理由もなく、ただ無差別にね」

    エレン「分かってる。分かってるけどよ…」



    エレン「だからこそ、俺はこの巨人を駆逐する力を手に入れたんだ。この力を使えば、巨人を殺すことなく、壁内から追い出せるのに!」

    ミカサ「エレン、やはりあの日のことを…」

    エレン「…当たり前だろ」
  16. 19 : : 2014/03/01(土) 23:00:12

    ミカサ「ごめんなさい、私が“おかあさん”についていながら…」

    エレン「お前のせいじゃねぇ!元はと言えば、原因を生み出しちまったのは俺なんだよ…」

    アルミン「エレン…」









    エレン「6年前のあの日は、思い出したくもねぇな…」
  17. 20 : : 2014/03/02(日) 19:59:10

    ~844年・ミカサがイェーガー家に来て間もないころ~

    グリシャ「じゃあ行ってくる。カルラ、ミカサ、留守番を頼んだよ」

    ミカサ「うん。行ってらっしゃい」



    カルラ「エレンも気を付けるのよ」

    エレン「何に気を付けるって言うんだよ。父さんに付いてくだけだっつ―の」

    カルラ「はいはい。それじゃあなた、お願いね」

    グリシャ「任せてくれ。それじゃエレン、行こうか」

    エレン「うん!」







    スタスタ…
  18. 21 : : 2014/03/02(日) 20:10:30

    エレン「それにしても、アルミン大丈夫かな。足の骨が折れちゃったんでしょ?」

    グリシャ「幸い、綺麗に折れていたおかげで、完治まではさほどかからないだろう」

    グリシャ「エレンがお見舞いに行けば、きっとアルミンもすぐに元気になるさ」

    エレン「へへっ。ミカサも来ればいいのにな」



    グリシャ「ミカサの風邪もまだ完治したわけではないからね。うつしてしまっては大変だ」

    エレン「そっかー。ま、それもそうだね」
  19. 22 : : 2014/03/02(日) 20:20:05

    グリシャ「…」

    エレン「ミカサ、だいぶ元気になったよね。あの日に比べたら、だいぶ…」

    グリシャ「そうだな。時々さみしそうな顔を見せるが、エレンがそばにいると安心するようだ」



    エレン「あいつ、俺のあげたマフラーを、ずっと離さないんだぜ。たまには洗濯しないとダメだろうが…」

    グリシャ「それだけ、ミカサにとってあのマフラーは大事なものなんだ。大目に見てやってくれ」

    エレン「…へへっ」
  20. 23 : : 2014/03/02(日) 20:30:43

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ミカサ「…」

    カルラ「ミカサ、体調はどう?」

    ミカサ「だいぶ良くなった…と思う」



    カルラ「今夜、何か食べたいものはある?」

    ミカサ「えっと…」

    カルラ「何でもいいのよ。ミカサが食べたいものを教えてちょうだい」
  21. 24 : : 2014/03/02(日) 20:40:47

    ミカサ「じゃあ…シチュー。お母さんの…」

    カルラ「え…」

    ミカサ「あ…ごめんなさい…」

    カルラ「い…いいのよ!シチューね、分かったわ!楽しみにしてて」





    パタパタ…





    ミカサ「…」









    ミカサ「お父さん…お母さん…」グスッ…

  22. 25 : : 2014/03/02(日) 20:47:28

    コンコン…




    カルラ「はーい!どなたかしら…」

    ミカサ「!!」






    ミカサ「開けちゃダメ!!!」

    カルラ「え?」







    ガチャ…

    ミカサ「!!!!!」
  23. 26 : : 2014/03/02(日) 20:56:14

    郵便屋「どうも、お手紙をお届けに参りました」

    カルラ「あら、ご苦労様」

    ミカサ「」ホッ…

    郵便屋「では、失礼します」




    ガチャン…




    ミカサ「おばさん、誰かが来ても、簡単に扉を開けちゃダメ。そうじゃないと…」

    カルラ「…そうね。開ける前に、誰が来たのかを確認しないとね。覚えておくわ」

    ミカサ「お願い…」
  24. 29 : : 2014/03/02(日) 21:04:28

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ミカサ「」ウトウト…

    カルラ「ふふっ、食べたら眠くなっちゃったのかしら。かわいいわね…」





    ミカサ「」スヤスヤ…

    カルラ「…」




    カルラ(あんなつらい出来事があった直後だものね、心身ともに、まだまだ相当弱っているはず…)

    カルラ(せめて、私達がミカサのそばにいてあげることで、少しでも悲しみを和らげてあげられれば…)
  25. 30 : : 2014/03/02(日) 21:10:54

    コンコン…




    カルラ「はーい!今出ます…」




    カルラ「…いえ、どちら様でしょうか?」



    「郵便です」



    カルラ「郵便屋さん…?」

    カルラ(変ね、さっきも来たのに。もしかして、さっき渡しそびれた物でもあったのかしら?)
  26. 31 : : 2014/03/02(日) 21:16:17

    カルラ「今開けますね」




    ガチャ…




    男「…」

    カルラ「あれ?さっきの方とは違う…」

    男「イェーガー家はこちらでよろしいでしょうか?」

    カルラ「えぇ、ウチがイェーガーですけど…」



    男「やっと見つけた…」

    カルラ「え…?」












    ドスッ…!
  27. 32 : : 2014/03/02(日) 21:22:33

    カルラ「…え!?」

    男「仲間の仇だ。死ね…」




    カルラ「あ…あぁ…」

    カルラ(何コレ…血!?私の…お腹から出ているの…?)






    カルラ「あぁっ…」ドサッ…






    男「…ガキがいるな。あいつが俺の仲間を殺ったガキか?」

    ミカサ「」スヤスヤ…



    男「呑気に寝てやがる。馬鹿なガキだ」
  28. 33 : : 2014/03/02(日) 21:28:21

    男「悪く思うなよ。元はと言えば、お前が俺の仲間を手に掛けちまったのがいけねぇのさ…」スタスタ…

    男「あの世で後悔しな…」ギラッ…






    カルラ(ミカサ…!)

    カルラ「逃げ…て…」









    カルラ「逃げてミカサっ!!」

    ミカサ「!?」パチッ

    男「チッ!まだ息があったか!!」
  29. 34 : : 2014/03/02(日) 21:34:23

    ミカサ「おば…さん…?」




    ミカサ「どうして…倒れて…」

    男「騒ぐなよガキ!!二人まとめてあの世に送ってやるからよ!!」ギラッ!

    ミカサ「あっ…」

    カルラ「ミカサ…!」グググ…




    ミカサ(逃げないと…。このままじゃ、あの時と一緒…)

    ミカサ(でも、身体が動かない…。早く逃げないといけないのに…)
  30. 35 : : 2014/03/02(日) 21:40:10

    男「死ね…」

    カルラ「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」ガバッ!

    男「うわっ!まだこんな力が!?この女めっ!!」




    カルラ「この子はダメ!この子に手を出すなっ!!」

    ミカサ「あ…」




    カルラ「早く逃げてミカサ!私がこいつを抑えつけていられる間に!!」

    男「逃がさねぇよ!てめぇらを殺したら、父親ともう一人のガキも殺してやる!!仲間の仇だ!!」
  31. 36 : : 2014/03/02(日) 21:46:32

    ミカサ「仲間の…かたき…?」

    ミカサ「もしかして…!?」



    バタンッ!




    ハンネス「おい!何の騒ぎだ!?」

    ドスッ!






    ハンネス「…カルラ?」




    ドスッ!ドスッ!!




    カルラ「う…」











    ドサッ…
  32. 37 : : 2014/03/02(日) 21:57:56

    ハンネス「カルラ!おいカルラ!!しっかりしろ!!!」

    男「はぁ、はぁ、やっと離れたか…。ゴキブリみたいな生命力の女だぜ…」

    ハンネス「…ゴキブリはてめぇだろ!なぜカルラを刺した!!」

    男「仲間の仇だよ!部外者は引っ込んでろ!!」ダッ!

    パリーンッ!

    ハンネス「窓から!?逃がすかよ!!」

    ミカサ「ハンネスさん行かないで!!このままじゃおばさんがっ!!」

    ハンネス「…っ!」
  33. 38 : : 2014/03/02(日) 22:10:30

    カルラ「」ヒュー、ヒュー…




    ハンネス「カルラ!気をしっかり持て!!お前はこんなところで死んだら駄目だ!!」

    カルラ「ハン…ネ…」



    ハンネス「お前が死んだら、イェーガー先生や残された子供たちはどうするんだ!?」

    ハンネス「ミカサは!また親を失うことになっちまうんだぞ!!」

    カルラ「ミ…カ…サ…」ゼェ、ゼェ…
  34. 39 : : 2014/03/02(日) 22:22:07

    ミカサ「イヤ…」




    ミカサ「嫌だよおばさん!!死んじゃ嫌だ!!もう私を置いていかないで!!」

    カルラ「だいじょうぶ…あなたを…エレンを…置いて行ったりしないわ…」

    ハンネス「無理して喋るな!!今、止血してやるからな!!」




    カルラ「だいじょうぶ…だから…私は…ミカサ…」







    カルラ「笑ってちょうだい…」









    カルラ「まだ…ウチに来てから…一度も笑ってくれないから…」









    カルラ「ミカサの…笑う顔を……かおを………みせてほしいの……」
  35. 41 : : 2014/03/02(日) 22:30:35

    ミカサ「そんな…そんな…」

    ミカサ「こんな状況で…笑えって…」

    ハンネス「カルラ…」









    カルラ「おねがい…みかさ……」









    カルラ「“おかあさん”のおねがい……きいて……ちょうだい………」




    ミカサ「おかあさん…」
  36. 42 : : 2014/03/02(日) 22:45:49

    ミカサ「えへ…」





    ミカサ「えへへ…」グスッ…







    ミカサ「私、笑ってるよ。えへへへへ…」ポロポロ…









    ミカサ「どう、おかあさん?これでいい…?」ポロポロ…

    カルラ「とっても…かわいい…」









    カルラ「あり…がとう……」











    カルラ「み…か…さ…」





















    カルラ「」ガクッ…

    ミカサ「あっ…」

    ハンネス「…っ!」
  37. 43 : : 2014/03/02(日) 23:04:32

    バタンッ!




    フーゴ「おい、今この家から変な男が飛び出してきたが、何があった!?」






    フーゴ「…ハンネス?」

    ハンネス「…あぁ、すまん、今はそっとしておいてくれないか?」




    カルラ「」




    ミカサ「う…うぅ…」






    ミカサ「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!!!」











    ミカサ「うわあぁぁぁんっ!!!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!!!」
  38. 44 : : 2014/03/03(月) 21:05:38

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    エレン「…」ポロポロ…

    ミカサ「…」

    グリシャ「…」



    カルラ「」



    ハンネス「申し訳ないです、イェーガー先生。俺がもう少し、早く駆けつけていれば…」

    グリシャ「いえ。むしろ、ミカサを助けていただいて感謝していますよ」
  39. 45 : : 2014/03/03(月) 21:14:10

    ハンネス「ミカサを助けたのは、俺ではなくカルラです」

    ハンネス「カルラは、自分が重傷なのもお構いなしに、犯人に飛びかかってミカサを助けたんです」

    ミカサ「…」コクン…



    ハンネス「あの犯人、『仲間の仇』だと叫んでいましたが、何のことやら…」

    グリシャ「!?」

    エレン「仇…?」
  40. 46 : : 2014/03/03(月) 21:24:39

    ハンネス「心当たりでも…?」

    グリシャ「何という事だ…」

    エレン「あぁ…あぁぁぁっ!!!」ガクッ…




    エレン「俺のせいだ…!俺が…!俺があいつらを殺したから!!その復讐で!!母さんは殺された…!」

    エレン「俺の…!俺のせいで…!おれ…おれ…」










    エレン「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

    グリシャ「落ち着けエレン!!お前のせいじゃない!!悪いのは、全てあの犯人だ!!」ガバッ!

    エレン「父さん…!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!!!」







    ミカサ「…」ポロポロ…
  41. 47 : : 2014/03/03(月) 21:36:54

    グリシャ「エレン…分かったろう…?」

    グリシャ「憎しみは…新たな憎しみしか生まない…」

    グリシャ「殺意は…次なる殺意への布石でしかない…」



    グリシャ「あの人攫いたちを殺したことによって、あの場は解決したかもしれない」



    グリシャ「しかし、結果的にあの行為は、今回の事件への引き金だったのだ…」



    グリシャ「あの時私がお前を咎めたのは、そう言った意味もあったからなんだよ…」

    エレン「父さん…ごめんなさい…」




    エレン「ごめんなさい…母さんっ!!!!」
















    エレン「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!!!」

    カルラ「」
  42. 49 : : 2014/03/03(月) 21:47:14

    ~数日後~

    アルミン「そう…。そんなことが…」

    エレン「笑っちまうよな…。馬鹿みたいだよな…」



    エレン「結局、俺が母さんを殺したようなもんだ。ほんと、何やってんだろうな、俺…」

    アルミン「エレンのせいじゃないよ!元はと言えば、その人攫いがミカサ…ちゃんの家族を殺したのがいけないんだ!」

    アルミン「なのに、どうしてカルラおばさんが殺されなきゃならないの!?おかしいよ!!」
  43. 50 : : 2014/03/03(月) 21:57:26

    エレン「理屈で言えばそうだけどさ。結局、その通りにはいかねぇのがこの世の中ってことだよ」




    エレン「何だか…残酷だよなぁ…」

    アルミン「エレン…」



    エレン「もう…こんな思いをするのはこりごりだなぁ…」



    エレン「冷静に考えるとさ、巨人ってのも、大きく言えば『人』だよな」

    アルミン「うん…まぁ、そうだね…」




    エレン「あいつらにも、親がいて、兄弟がいて…そんな風に家族がいたりするのかな…?」

    アルミン「どう…だろうね?巨人の生態なんて、分からないことだらけだからね」
  44. 51 : : 2014/03/03(月) 22:07:05

    エレン「もし…もしもだぞ?」

    エレン「巨人が無差別に人間を襲うようになった理由が、人間への復讐心だとしたら、どうする?」

    アルミン「どういうこと…?」



    エレン「巨人が人間を襲うようになって、大体100年だよな?」

    エレン「もしその100年前に、人間が巨人の先祖を大量虐殺、またはそれに匹敵する何かをしていたとする」

    エレン「その事に怒り狂った巨人達が、今度はその復讐として人間を殺し始めた」

    アルミン「うーん…。僕には何とも言えないなぁ…」
  45. 52 : : 2014/03/03(月) 22:17:13

    エレン「そのうち、人間を殺すことだけを考えるようになり、他の思考はすべて放棄した」

    エレン「奴らの行動理由が人間への復讐心のみだとしたら、これほどまでに俺達人間が追いつめられるのも、納得いかないか?」

    アルミン「エレンはすごいことを考えるね。他の人達じゃ、絶対にそんなことを考えないよ」




    エレン「今まではずっと、巨人を退治して外の世界に出ることだけを考えていたけど…」

    エレン「もしそう言う理由なら、巨人を殺し続けても、終わらない負の連鎖を作り続けるだけだよな」

    エレン「だから俺はもう、誰も殺さない。人間は勿論、巨人だって一匹も」
  46. 54 : : 2014/03/03(月) 22:26:20

    アルミン「人だけ殺さないって言うのは、エレンの、いや、人間の勝手なエゴだよ」

    エレン「…そうだな。他の動植物を殺していい理由にはならねぇな」

    エレン「かと言って、何も殺さないとなると、食いモンを含めたいろいろなものが成り立たなくなっちまうから…」



    エレン「せめてこれからは!すべての物に感謝して生きることにする!!」

    エレン「俺に食い物を提供してくれる動物!植物!その他のいろんな生物!!」

    アルミン「なんだか大きな話になって来たね…」ハハハ…



    エレン「だけどな!巨人の存在理由を知るためには、やっぱり巨人を近くで見なきゃならねぇ!」

    エレン「だから俺は…」









    エレン「…調査兵団になるっ!!」
  47. 55 : : 2014/03/03(月) 22:36:04

    アルミン「エレン…正気なの!?調査兵団なんて…」

    エレン「正気だ!お前も言ってただろう!人類はいずれ、壁の外へ出るべきだって!」

    エレン「そのためには、巨人の事を知り、あいつらの事を知らなきゃならねぇ!」



    アルミン「調査兵団は、別名巨人殺し集団だ。エレンの意思とは反することになるよ?」

    エレン「俺が…調査兵団を変えてやる!」

    エレン「巨人を殺さず、徹底的に調べる!本当の意味での“調査兵団”にしてやるんだ!!」



    アルミン「すごいや…。やはり君は、僕の想像もつかないような次元を見据えているんだね…」
  48. 56 : : 2014/03/03(月) 22:42:10

    フーゴ「よぉ、悪ガキ共。こんなところにいたか」

    エレン「フーゴさん。ってか、悪ガキは余計だよ」

    フーゴ「はっはっは、まぁそう言うな。ミカサは居ねぇのか?」

    エレン「家にいるよ。今は外出できるような状態じゃない」

    フーゴ「そうか…そうだよな。でも、ちょっとだけ頼みたいことがあるんだが」




    エレン「頼みたいこと?」
  49. 57 : : 2014/03/03(月) 22:50:43

    フーゴ「実は、捕まえたんだ。例の犯人を」

    エレン「本当に!?」



    フーゴ「正確には、『犯人らしき人物』をな。顔の確認が済んでねぇんだ」

    エレン「顔…?フーゴさんは、家から逃げる犯人を見たんじゃないの?」

    フーゴ「見たには見たが、顔までは見れてねぇよ。ハンネスもローゼに出払っちまってるし、顔を知ってるのはミカサしかいねぇんだ」

    フーゴ「当の本人は黙秘しやがるし、このままじゃ堂々巡りだ。どうにかミカサに顔の確認をお願いしたいんだがなぁ…」
  50. 58 : : 2014/03/03(月) 22:59:13

    エレン「そう言う事ならわかったよ。どうにかミカサを連れてくる」

    フーゴ「すまねぇな。本当なら、顔も見たくねぇ相手のはずなんだろうけどよ」

    エレン「仕方ないよ。ハンネスさんが戻ってくるまで、放っておくわけにもいかないしね」



    フーゴ「悪いな。それじゃ、駐在のところで待ってるからよ」

    エレン「分かった。行こう、アルミン」

    アルミン「あ、うん」







    タッタッタ…
  51. 59 : : 2014/03/04(火) 20:47:43

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    フーゴ「…」

    男「…」

    エレン「フーゴさん!連れて来たよ!」

    ミカサ「…」



    フーゴ「おぉ、ご苦労。ミカサ、すまねぇな」

    ミカサ「いえ…」
  52. 60 : : 2014/03/04(火) 20:56:03

    フーゴ「それで、どうだ?お前の家に押し入ったのは、この男で間違いねぇか?」

    ミカサ「…」ジー…

    男「…」






    ミカサ「間違いない…です」

    フーゴ「そうか、分かった。ありがとな」
  53. 61 : : 2014/03/04(火) 21:04:17

    エレン「…」

    エレン(もっと取り乱すかと思ったけど、意外と冷静で安心した)

    エレン(尤も、俺だって自分でも不思議なほど冷静なんだけどな。あの時、顔を見てないからか…?)



    男「お前らか、俺の仲間を殺ってくれたガキ共は」

    エレン「…あぁ、そうだよ」

    男「こんなガキにやられるとは、あいつらも情けねぇなぁ。だけどよ…」



    男「それでも、あいつらは俺の大事な仲間だったんだ!これが憤らずにいられるかっ!!」

    フーゴ「ふざけたことを抜かすな!お前らが最初にミカサの家族を殺したんだろうが!!」
  54. 62 : : 2014/03/04(火) 21:12:07

    男「その復讐に仲間を殺したってか?じゃあ俺がその仇として、こいつらを殺すことには正当性は認められるよな!?」

    フーゴ「馬鹿かお前は!!なんで最初にやった奴がやり返してるんだよ!?それじゃ…」

    ミカサ「あなたが仲間の仇として…」

    一同「!?」




    ミカサ「仲間の仇として“おかあさん”を殺したのなら、そしてそれが正当な理由として認められるのなら…」

    エレン「おい、ミカサ…?」

    フーゴ「何言ってるんだ、お前…?」
  55. 63 : : 2014/03/04(火) 21:20:22

    ミカサ「これから私が取る行動も、正当性があると理解してもらえるだろう」ギラッ…

    男「ひっ!?」

    エレン「包丁!?お前、いつの間に!?」



    フーゴ「やめろミカサ!そんなことをしても、カルラさんは喜ばねぇっ!!」ガシッ!

    ミカサ「邪魔しないで…」




    ザシュッ…




    フーゴ「ぐ…あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」バタバタッ!

    エレン「フーゴさんっ!!右脚をっ!!」

    ミカサ「次に私の邪魔をしたら、脚だけでは済まさない」
  56. 64 : : 2014/03/04(火) 21:28:19

    男「おい…やめろ…」




    男「そんなことをしてみろ!また俺の仲間が、復讐としてお前を殺しに行くぞ!!」

    ミカサ「来たいのならば、来ればいい。私が返り討ちにしてあげる」

    ミカサ「力が無いから、殺される。力があれば、いくら復讐に来ようと、全て返り討ちにすることができる」

    ミカサ「この世は力。弱い者は死ぬだけ。私は、力ですべてをはね返す」



    スタスタ…



    男「あ…あぁ…」ガタガタ…
  57. 65 : : 2014/03/04(火) 21:36:46

    エレン「やめてくれミカサっ!!」

    ミカサ「エレンは悔しくないの?“おかあさん”が殺されたのに…」

    エレン「悔しいさ!!悔しくてたまらないっ!!けどなっ!!」



    エレン「だからと言って相手を憎んでいても、何も始まらない!この間、それを理解したんじゃなかったのか!?」

    ミカサ「私には到底理解できない。私に力があれば、誰でも守れた。ただそれだけ」
  58. 66 : : 2014/03/04(火) 21:44:12

    ミカサ「もう誰も私の前からいなくならないように、今ここでこいつを…」スッ…

    男「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!」

    エレン「やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!」ダッ!





    ザクッ!!!





    男「…あぁ」ガタガタ…

    フーゴ「おい…」





    ミカサ「…え!?」
  59. 67 : : 2014/03/04(火) 21:52:28

    ポタ…ポタ…






    エレン「ぐ…いってぇ…」ガクッ…

    ミカサ「エレンっ!!どうして!?」

    エレン「どうしてもこうしてもあるかよ…。お前はまた、同じことを繰り返すつもりか…」



    ミカサ「同じこと…」
  60. 68 : : 2014/03/04(火) 22:00:28

    フーゴ「エレンっ!早く右腕の止血を!!」

    エレン「俺は大丈夫だから…」



    エレン「ミカサ。こいつは最低のクズ野郎だ。俺だってこいつを許すことなんか、到底できない」

    エレン「でもよ、こんな奴にだって家族がいる。仲間がいる…」

    エレン「俺達がそうだったように、こいつにだって死を悲しむ奴がいるんだ」

    ミカサ「だから…そいつらを私が…」
  61. 69 : : 2014/03/04(火) 22:06:13

    エレン「みんなが復讐心を持って襲ってくるわけじゃねぇだろ…」

    エレン「悲しみに打ちひしがれて、呆然とするだけの奴もいる。この間のお前みたいにな…」

    ミカサ「それは…」

    エレン「だから…」フラッ…

    ミカサ「エレンっ!!」






    エレン「この右腕の傷に誓ってくれ…。二度とこんなマネはしないと…」

    エレン「俺達みたいな思いをする人を、俺達の手で作り出さないと!!」
  62. 70 : : 2014/03/04(火) 22:12:48

    ミカサ「あ…あぁ…」



    ミカサ「誓う…誓うよ、エレン…」ポロポロ…

    エレン「ありがとよ、ミカサ…」




    エレン「」ガクッ…

    ミカサ「エレンっ!!」

    フーゴ「心配するな、気を失っただけだ」




    男「なんつーガキだ…」

    エレン「」
  63. 71 : : 2014/03/04(火) 22:15:39

    ミカサ「エレン、フーゴさん、私はなんてことを…」

    フーゴ「気にするな。おかげで、大切なことに気付けたろ?」

    ミカサ「うん…うんっ…!」




    男「…おい、ミカサって言ったな?」

    ミカサ「…」

    男「今更、こう言う事を言っても仕方ねぇとは思うが…その…」









    男「…悪かった」

    ミカサ「!!」
  64. 72 : : 2014/03/04(火) 22:24:29

    フーゴ「へぇ、お前みたいな奴にも良心があったとはな」

    男「別に…そんなのじゃねぇよ。ガキの猿芝居に当てられて、一時的におかしくなってるだけだ」

    フーゴ「へいへい、そう言う事にしておいてやるよ」

    ミカサ(あの凶悪犯が、謝罪を口にするなんて…。エレン、あなたは…)




    エレン「」

    ミカサ「エレン…」
















    ミカサ「ありがとう…」
  65. 73 : : 2014/03/04(火) 22:30:08

    ~現在・調査兵団本部~

    エレン「そう言う事があって、あの時ミカサは、この傷に誓ってくれたんだ」

    アルミン「久々にその話を聞いたよ」

    ミカサ「エレンがいてくれなければ、私はとんでもない過ちを犯すところだった」

    ミカサ「改めてお礼を言わせてほしい。ありがとう、エレン」

    エレン「気にすんな。お前の気持ちだって、痛いほど理解できるからな」




    「へぇ、そんなことがあったの」

    エレ・ミカ・アル「!?」
  66. 75 : : 2014/03/04(火) 22:36:39

    ハンジ「ごめん、盗み聞きするつもりはなかったんだけど、ついね」

    エレン「ハンジさん…」



    ハンジ「エレンがそこまで頑なに不殺にこだわる理由が知りたくてね。納得したよ」

    ハンジ「それにしても面白い考察を立てるんだね。巨人の行動原理が、人間への復讐心だなんて」

    エレン「あくまで想像です。でも、可能性としてはゼロじゃないかもしれないと思って」



    ハンジ「とすると、私達調査兵団が行っていることも、憎しみの種を増やしているだけに過ぎないという事になるね」

    エレン「それは…」
  67. 76 : : 2014/03/04(火) 22:42:28

    ハンジ「確かに、エレンの力を使えば、巨人を殺さずともマリアを奪還できるかもしれない」

    ハンジ「けど、現実的に考えると、それは限りなく厳しい。マリアの広大な領土を考えると、尚更ね」



    ハンジ「効果的な作戦としては、まずエレンの能力を駆使しながらシガンシナへ到達、穴を塞ぐ」

    ハンジ「その後、エレンの能力でどこか一か所に巨人を集め、まとめて討伐」

    ハンジ「それを繰り返していけば、マリア内から巨人を全滅させることができる、そう考えているよ」



    エレン「やはり、殺すしかないんでしょうか…」

    ハンジ「残念だけど、現段階ではそう言う事になるね」
  68. 77 : : 2014/03/04(火) 22:52:56

    アルミン「エレンの考えは大いに賛同できるよ。けど、相手は話の通じない巨人」

    ミカサ「残念ながら私達には、せめて殺されないように戦うしか道はない」

    エレン「そうか…」




    エレン「じゃあせめて!いつか巨人を駆逐する方法を見つけたとき!これ以上、巨人を殺さないって約束してくれますか!?」

    ハンジ「いいよ、約束する。私達だって、可能ならあんなのと戦いたくはないからね」

    ハンジ「誰しもが、好き好んで巨人を殺しているわけじゃないという事は、理解していてほしい」

    エレン「分かりました…」
  69. 78 : : 2014/03/04(火) 23:06:35

    ハンジ「…いつまで隠れてるの、リヴァイ」

    エレン「え!?」




    リヴァイ「…気付いてやがったか」

    ハンジ「バレバレだよ。ずっと聞いてたんでしょ?」

    リヴァイ「まぁな。ただの脳内花畑野郎だと思っていたが、どうやらそんなマヌケな奴でもねぇと言うことが分かった」

    リヴァイ「エレン、どうやらお前は他の奴とは少々違うらしい。思考を含め、人として全般に、な」



    リヴァイ「来い。連れの二人も構わねぇ。少々、大人の話を聞かせてやる」

    エレン「大人の話…?」

    ハンジ「先日の第57回壁外調査、その際に起きた事件、そして今後の我々の動きをね」
  70. 79 : : 2014/03/05(水) 21:11:47

    ~会議室~

    リヴァイ「入れ」

    エレン「失礼します」

    ミカ・アル「失礼します」



    エルヴィン「ん?君たちは104期の新兵か?」

    リヴァイ「俺が呼んだ。こいつらにも、例の話を聞かせるべきだと判断した」

    エルヴィン「そうか。お前がそう判断したのならいいだろう」
  71. 80 : : 2014/03/05(水) 21:15:58

    ミケ「空いてる場所に座れ」

    エレン「はい…」




    エレン(すげぇ…。エルヴィン団長にリヴァイ兵長、ミケ、ハンジ両分隊長か)

    エレン(この面子の中に俺達が混ざるなんて、嘘みたいだ…)
  72. 81 : : 2014/03/05(水) 21:27:01

    ハンジ「それじゃ始めようか。まずは、先日の第57回壁外調査、その際の『謎の巨人』事件について」

    エレン「謎の巨人…?」



    ハンジ「君たちは、陣形の右翼側が壊滅的被害を受けたと言う話は知っているよね?

    エレン「はい、そう聞かされています」

    ハンジ「うん。だけどそれが、突如として現れた謎の巨人によるものだとは知らないよね?」

    エレン「えっ!?」



    ハンジ「そいつのせいで右翼側はほぼ壊滅。索敵がほとんど機能していなかったんだ」

    アルミン「そんな…知りませんでした」
  73. 82 : : 2014/03/05(水) 21:36:23

    ハンジ「本当はみんなに伝えるべきだったんだろうけどね。そうすべきでないとエルヴィンが判断した」

    エルヴィン「前回の壁外調査は、シガンシナまでの新ルート模索、そして新兵達の初陣と銘打っていた…」




    エルヴィン「…表向きはな」

    エレン「表向き…!?」

    アルミン「という事は、何か別の目的が他に存在したと…?」
  74. 83 : : 2014/03/05(水) 21:46:58

    ハンジ「君たちは、この間の惨殺事件を覚えているだろうか…」

    エレン「惨殺事件…?」



    ハンジ「ソニーとビーンが何者かに殺された事件だよっ!!!うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

    リヴァイ「騒ぐな、クソ眼鏡」

    ハンジ「これが騒がずにいられるかぁぁぁぁっ!!!なぜ罪もない巨人を殺す必要があったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

    ミケ「とりあえず静まれ。話が進まん」

    ハンジ「うぅ…」
  75. 84 : : 2014/03/05(水) 21:56:27

    リヴァイ「さっさと続きをガキ共に話せ」

    ハンジ「分かったよ…。その惨殺事件なんだけどね…」

    アルミン「知っています。夜明けとともに、何者かが見張りの目をかいくぐって2体の巨人を殺してしまった事件ですよね」

    ミカサ「犯人は訓練兵にいるとされ、私達は憲兵団の調査を受けました」



    ハンジ「その節は災難だったねぇ。たった一人の身勝手な行動のせいで、君たちまで巻き込まれて」

    エレン「一人…?」

    ハンジ「あ、言っちゃった」
  76. 85 : : 2014/03/05(水) 22:07:33

    アルミン「複数犯の可能性もあるとのことでしたが、一人だと断定されたんですか?」

    ハンジ「断定…ってほどでもないけど、まぁ一人だろうという見解には達したね」



    ハンジ「考えても見なよ、ただでさえ見つかるリスクが高いのに、複数で犯行に及んだとしたら、尚更その危険性は増すんだよ」

    ハンジ「ましてや、その場から動けない巨人を殺す程度の作業だ、一人でだって十分できる。複数で行う必要性は感じられない」

    アルミン「確かにそうですが…。それが向こうの狙いでは?複数犯ではないとあえて思わせるために…」

    ハンジ「それならそれで構わないよ。こちらとしては、人数は重要じゃない」




    ハンジ「大事なのは、『敵』が存在するのか、そしてそれが何であるか、ということさ」

    エレン「『敵』…!?」
  77. 86 : : 2014/03/05(水) 22:15:10

    ハンジ「例の惨殺事件、普通に考えれば、巨人に強い憎しみを持った者の犯行だと考えるのが自然だ」

    ハンジ「だが!こうは考えられないだろうか?」



    ハンジ「『壁内に巨人の仲間、もしくはそれに相当する何かがいて、巨人を調べられることでそいつらにとって不利益が生じる』と…」

    アルミン「巨人の仲間…!?」

    ハンジ「そう。巨人を調べられると困るから、あえて消すという選択を取った」

    ハンジ「常識的に考えれば、いくら巨人が憎いとはいえ、見つかれば軍法会議物の重罪を犯すわけだ」
  78. 87 : : 2014/03/05(水) 22:23:58

    ハンジ「そんなリスクを冒してまで、自己満足を果たそうとする馬鹿な奴が果たして居るのか。否、いないと思うね」

    ハンジ「となると、犯人には、そんなリスクを背負ってでも巨人を殺さなければいけない理由があった」

    アルミン「それが、巨人の秘密の解明…」



    リヴァイ「あくまで推測でしかないが、理には適っていると思う」

    ミケ「謎の巨人が出現し、エレンを狙っているという裏付けも説明できるしな」

    エレン「え…?俺を狙う…?どういうことですか!?」
  79. 88 : : 2014/03/05(水) 22:35:03

    ハンジ「生き残った右翼側担当の兵の話では、その謎の巨人は、女性のような体つきをしていたそうだ」

    アルミン「女性型の巨人…?本当に存在するんですね…」



    ハンジ「私も、実際に存在するという話を聞いたのは初めてだ。実に興味深い」

    ハンジ「その…『女型の巨人』は、明らかに知性を持って行動していたそうだ。例えるなら…」



    ハンジ「エレン、君が巨人化して行動するときと同じようにして、ね」

    エレン「俺と…同じ!?」

    ミカサ「巨人になれる人間が、エレン以外にも…?」
  80. 89 : : 2014/03/05(水) 22:44:28

    リヴァイ「以前であれば、そんなことは微塵も考えたりしなかっただろう」

    リヴァイ「しかし、今ここにエレンという存在を目の当たりにしたからには、その可能性を完全に捨て去ることはできなくなった」

    ハンジ「5年ぶりに超大型巨人の出現、巨人化する人間、この1か月で、我々の想像を凌駕する事態が立て続けに発生している」

    ハンジ「もしかしたらこれは、人類の命運をかけた戦いが始まるきっかけなのかもしれないね…」



    エレン「待てよ…!俺が壁上で超大型と対峙した時、奴は明らかに固定砲を狙って攻撃していた!」

    エレン「俺がうなじを攻撃しようとしたら、突然蒸気を発して姿を消しました!」

    ハンジ「なるほど。となると、そいつも同じように知性を持った巨人、つまり人間が変化した巨人である可能性が高いね」
  81. 90 : : 2014/03/05(水) 22:54:21

    エルヴィン「我々の見立てでは、その2体の巨人に加え、5年前に出現した鎧の巨人も、同じように知性を持つ巨人だと断定している」

    ミケ「奴も、内門を的確に狙って攻撃してきたと言うしな。間違いないだろう」



    エレン「じゃあその3体は、全て何者かが変身した巨人という事ですか…」

    アルミン「それで!!右翼側に出現した女型の巨人は、その後どうなったんですか!?」

    ハンジ「突然、逃げ出したんだ。まるで、何かから避けようとするみたいにして、ね」

    エレン「もしかして…」
  82. 91 : : 2014/03/05(水) 23:02:10

    リヴァイ「そうだ。てめぇが勝手に巨人化して周りの巨人を追い払ったせいで、ヤツも一緒になって逃げちまった」

    リヴァイ「奴もお前と同じなら、きっとうなじに中身がいたんだろう。そんな貴重な機会を、お前は無駄に潰したというワケだ」

    エレン「すみません…」




    エルヴィン「巨人の情報が奴らに不利益となるなら、奴らは、巨人化のできるエレンを拉致、もしくは殺害を企てると踏んでいたんだ」

    エルヴィン「まさか知性巨人を使って襲撃するのは想定外だったが、これではっきりした…」







    エルヴィン「『敵』は、壁内に間違いなく存在する!」

    エルヴィン「そして我々はその正体を暴きだし、壁内に危機をもたらす奴らを、排除せねばならない!」
  83. 92 : : 2014/03/06(木) 21:03:27

    エレン「…」

    エレン(すげぇ…。ほとんど予想や推察が多いけど、ここまでハッキリと目的を見据えているなんて…)





    リヴァイ「そう言うワケだ。『敵』は、確実にお前を狙ってくる。今この瞬間にも、確実にな」

    エレン「俺は…どうしたらいいですか…」

    ハンジ「エレンの巨人の力については、まだまだ不確定な部分が多い。いろいろと実験をさせてもらいたいんだけど…」
  84. 93 : : 2014/03/06(木) 21:13:06

    リヴァイ「奴らがエレンを調べることを恐れているなら、とことんやっちまえばいい」

    リヴァイ「エレンを餌に奴らを釣ることができるかもしれねぇしな」

    ミカサ「…」ギロ…

    アルミン「ミカサ…!」ボソッ…



    ハンジ「まずはエレンの出す、特殊な音波だよね。これを聞いた巨人は、みんな逃げて行ってしまう」

    ハンジ「画期的な能力ではあるけど、音が聞こえるわずかな範囲でしか効果がない。こればかりはどうにもねぇ…」

    ハンジ「女型の巨人が逃げ出すくらいだから、きっと相当嫌な音なんだろうけど…」
  85. 94 : : 2014/03/06(木) 21:19:16

    アルミン「あれ…」

    ハンジ「どうしたの、アルミン?」

    アルミン「そう言えば…ひとつ思い出したことがあるんですが…」

    ハンジ「何だい、言ってみて」






    アルミン「あれはトロスト区で戦っているとき、最初にエレンが巨人態として暴れているときの事でした…」
  86. 95 : : 2014/03/06(木) 21:29:31

    ~1か月前・トロスト区攻防戦~

    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!






    エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」






    コニー「見ろ!あいつは巨人を追い払う奇行種だ!!俺達を見ても反応しねぇ!!」

    ミカサ「信じられないかもしれないけど…あいつが出す変な声で、巨人が遠くへ逃げて行ってしまう」

    ジャン「マジかよ…!本当にそんなことが…!?」

    アニ「変な声…。にわかには信じがたいね…」

    サシャ「もしかしたら、私達は助かるんでしょうか…」
  87. 96 : : 2014/03/06(木) 21:39:40

    エレン巨人「」スゥゥ…

    アルミン「来る!!」






    エレン巨人「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!」

    巨人「」イヤァァァァァァ!

    巨人「」ヤメテェェェェ!





    ダダダダダ…





    ジャン「…すげぇ、ホントに逃げて行きやがった」

    コニー「うまくあいつの力を使えれば、空けられた穴から巨人を追い払うことができるかもしれねぇのに!」
  88. 97 : : 2014/03/06(木) 21:49:18

    アニ「…っ!」




    サシャ「アニ、どうしたんですか?顔色が悪いですよ!?」

    アニ「大丈夫…大丈夫だから…」

    コニー「奴の迫力にビビったか?意外だな」

    アニ「これでも…か弱い乙女なのさ…」




    アルミン「…」チラッ…
  89. 98 : : 2014/03/06(木) 22:00:17

    エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ…」フラ…

    ミカサ「あっ…」




    エレン巨人「」バターンッ…!!




    ジャン「どうした!?力尽きたのか!?」

    サシャ「そんな…!」



    シュウゥゥゥゥ…



    アルミン「蒸気が…」
  90. 99 : : 2014/03/06(木) 22:15:18

    アルミン「…あれ!?」

    コニー「おい、あそこにいるのって…」

    ジャン「そんな…嘘だろ…」

    アニ「ちょっと…あいつは巨人に食われたんじゃなかったの…?」

    アルミン「そのはず…だったんだけど…」





    シュウゥゥゥゥ…





    エレン「」ダラン…






    ミカサ「…エレンっ!!!!!」
  91. 100 : : 2014/03/06(木) 22:30:17

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ハンジ「なるほど。突如謎の巨人が現れ、その中身が巨人に食われたはずのエレンだったと」

    アルミン「その後、僕達はエレンの巨人の力を使い、トロスト区を奪還したんです」

    ミケ「だからどうした?今の話の中に、怪しい部分でもあったというのか?」



    ミカサ「まさか…あの時の…」

    アルミン「うん、そう。あくまで可能性の段階ですが、巨人化能力者の可能性がある人物が一名…」

    エルヴィン「ふむ、なるほどな。探りを入れてみる価値はありそうだ」




    エレン「おい…まさかアルミン…疑ってる奴って…」
  92. 101 : : 2014/03/06(木) 22:45:07

    ~翌日・憲兵団ストヘス区支部~

    コンコン




    ヒッチ「は~い、どうぞ~」

    ナイル「失礼する」

    ヒッチ「いっ!?師団長っ!?」

    ナイル「何をそんなに慌てている。別に取って喰おうなどはせん」

    ヒッチ「あ、あははは…」
  93. 102 : : 2014/03/06(木) 23:01:00

    ナイル「用件はただ一つ」




    ナイル「…アニ・レオンハートは居るか?」

    アニ「何でしょうか?」

    ナイル「面会希望者がいる。調査兵団団長、エルヴィン・スミスだ」

    アニ「え…!?」

    ヒッチ「調査兵団の団長さん!?何だってそんな人が、アニに面会を…?」



    ナイル「私が知るか。あの気持ち悪い野郎のことだ、何かろくでもない考えを持っているんだろう」

    ナイル「とにかく、お前に会うまではテコでも動かんそうだ。さっさと行って用件を済ませてきてくれ」

    アニ「…はい」
  94. 103 : : 2014/03/07(金) 21:31:17

    ~面会室~

    ガチャ…




    エルヴィン「やぁ、待っていたよ。君がアニ・レオンハートだね?」

    アニ「どうも」

    エルヴィン「噂通りの美人だね。惚れ惚れするよ」

    アニ「用件は何ですか?」

    エルヴィン「そう構えなくていい。私に呼び出されたという事は、君も薄々感付いているのではないか?」
  95. 104 : : 2014/03/07(金) 21:38:21

    アニ「…何のことだか、分かりませんね」

    エルヴィン「あくまでシラを切る気か」

    アニ「私とあなたには、何の接点もないはずです。呼び出された理由が分かりません」

    エルヴィン「これ以上話をしていても無駄だろうから、単刀直入に言わせてもらおう」







    エルヴィン「…君は巨人だね?」

    アニ「…」
  96. 105 : : 2014/03/07(金) 21:45:18

    エルヴィン「君もエレンと同じ、巨人になれる人間なのだろう?」

    アニ「どうしてそう言う見解に至ったのかは知りませんが、何の根拠もなしに、何故そんなことが?」



    エルヴィン「君はトロスト区で、謎の巨人からエレンが出てくる瞬間を見ているね?」

    アニ「えぇ…」

    エルヴィン「つまり、エレンが巨人化能力者であることを知っている。これがまず一つ目の理由」
  97. 106 : : 2014/03/07(金) 21:51:18

    アニ「何故それだけで?他にも大勢の兵士が見ているはずですが?」

    エルヴィン「二つ目。君は憲兵団であって調査兵団ではない」

    アニ「だから?」




    エルヴィン「これは何かな?」ペラッ…

    アニ「!?」

    エルヴィン「そう、第57回壁外調査の、作戦指示書だ。右翼側にエレンが配置してあると記載してある」

    アニ「それは…」
  98. 107 : : 2014/03/07(金) 21:57:29

    エルヴィン「おや、どうしたのかな?なぜそんなに狼狽えている?」

    アニ「…」



    エルヴィン「これは、私の持ち物だ。調査兵団団長が、壁外調査の指示書を持っていて何かおかしいかね?」

    アニ「…っ!」




    エルヴィン「それとも?君もどこからか同じものを入手し、必要な情報を手に入れた後、処分した」

    エルヴィン「しかし、処分したはずの指示書を目の前に提示されて、『なぜ!?』と動揺した。そんなところかな?」
  99. 108 : : 2014/03/07(金) 22:00:12

    アニ「…拾ったんです。必要ない物だったので、処分しました。それだけです」

    エルヴィン「その割には尋常じゃない同様の仕方だったけど、まぁいい。他にも理由はあるからね」



    エルヴィン「3つ目。そろそろかな…」

    アニ「何が…」











    「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!」

    アニ「!?」
  100. 109 : : 2014/03/07(金) 22:05:05

    ガチャンッ!!




    ナイル「何の騒ぎだ!?」

    エルヴィン「ナイル、済まない。少々問題を起こさせてもらう」

    ナイル「は…!?どういう意味だ!?」




    アニ「ぐ…うぅ…!」

    エルヴィン「随分と苦しそうだね、アニ。この音が、そんなに嫌いかい?」
  101. 110 : : 2014/03/07(金) 22:10:14

    アニ「ぐ…これは…」

    エルヴィン「エレンが巨人化して、特殊音波を放っている」

    ナイル「エレン…エレン・イェーガーだと!?まさか、ストヘス区の町中で巨人化だと!?」



    ナイル「正気かエルヴィン!!そんなことをしたら、住民達はたちまちパニックになるぞ!!」

    エルヴィン「だから最初に謝っただろう。少々問題を起こすと。後処理はすべて任せる」

    ナイル「ふざけるな!いくらお前とて勝手が過ぎるぞ!!こんなことをして、タダで済むと思うな!!」

    エルヴィン「この行動が、結果的には『こんなこと』で済まない大きな成果を生み出す。黙ってみていろ」



    ナイル「何をわけの分からないことを…!」
  102. 111 : : 2014/03/07(金) 22:15:14

    「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!」




    アニ「う…あぁっ!!」

    ナイル「レオンハート…?何が起きている!?」

    エルヴィン「これは…クロと見ていいか。お前たち!!」



    ガチャンッ!



    モブリット「待ってました!!」

    ハンジ「アニちゃ~ん、おとなしくお縄についてね~」ガシッ!

    エルヴィン「そのまま両腕を抑えていろ」
  103. 112 : : 2014/03/07(金) 22:20:10

    アニ「こんな…ところで…」スッ…

    エルヴィン「…!?」



    アニ「」シャキンッ!



    エルヴィン「マズい!離れろ!!」

    ハンジ「え…」






    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!






    女型の巨人「」ズウゥゥゥゥゥゥゥゥン…
  104. 113 : : 2014/03/07(金) 22:25:21

    ナイル「は…!?」

    エルヴィン「一歩遅かったか…」

    ハンジ「まさか指輪に刃を仕込んでいたとは…迂闊だった!!」




    女型の巨人「」ドシンドシン…




    エルヴィン「奴が逃げる!第二次作戦に切り替えろ!!」

    ハンジ「エレン!よろしくねっ!!」









    エレン(分かりました!!)
  105. 114 : : 2014/03/07(金) 22:30:04

    エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」




    ダダダダダ…




    エルヴィン「やはり逃走を図ったか」

    ハンジ「捕まりたくない、というよりは、あの音波から逃げたいと言う思いの方が強そうだったね」

    モブリット「やはりあの音は、巨人にとっては苦痛以外の何物でもないという事でしょうか…」

    ハンジ「私達には分からないね。ただ、やるべきことはただ一つ」




    ハンジ「今ここで、アニを捕獲すること!そうすればきっと、人類は滅亡の危機を回避することに近付ける!!」
  106. 115 : : 2014/03/07(金) 22:35:09

    ドシンドシン…




    女型の巨人「」ドシンドシン…

    エレン巨人「」ドシンドシン…




    エレン(クソっ、速ぇな!さすが、下半身の鍛え方が違うな、アニ…)

    エレン(だけど、お前が本当に巨人だったとはな…。いまだに信じられない…)

    エレン(お前が鎧や超大型と仲間かどうかは知らねぇ。けどな!)






    エレン(せめて!お前を捕まえて情報を吐かせ、とことん罪を償わせてやるっ!!)
  107. 116 : : 2014/03/07(金) 22:40:13

    エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」




    ミカサ「…来た!」

    ミケ「準備はいいか、みんな!」

    調査兵一同「おう!!」

    ナナバ「チャンスは一瞬、ミスは許されないよ…!」



    ドシン…





    ドシンドシン…







    ドシンドシンッ!!!











    女型の巨人「」ドシンドシン!
  108. 117 : : 2014/03/07(金) 22:45:20

    ミケ「今だ!!!!!!」









    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!!!!!

    女型の巨人「!?」













    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!!!!!














    シュウゥゥゥゥ…













    女型の巨人「」ギシッ…
  109. 118 : : 2014/03/07(金) 22:50:27

    ミケ「やったか…」

    ナナバ「これで身動きはできないよ。と言っても、装置を固定する建物の強度のほうが心配だ。長くは拘束できないかも」

    アルミン「エレンっ!!」



    エレン巨人「」ドシンドシン…



    ミカサ「女型が動けない今のうちにっ!!」




    エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」ブオッ!

    女型の巨人「」ピキピキピキ…

    ミカサ「皮膚を…硬化!?」
  110. 119 : : 2014/03/07(金) 22:55:07

    エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」ブオンッ!!




    ガキィィンッ!!




    エレン巨人「!?」

    エレン(硬ぇ…!なんだコレ、全然拳が効かねぇぞ!!)



    ミケ「強度は半端ではないようだな…。こっちの刃も通るかどうか…」

    ナナバ「この期に及んで往生際が悪いね。もう逃げ場はないってのに」
  111. 120 : : 2014/03/07(金) 23:05:17

    ミカサ「ふっ…!」ガキィンッ!!



    刃「」ボロッ…



    ミカサ「ダメか…」

    アルミン「参ったね。アニ、お願いだ!!そこから出て来てくれっ!!」

    女型の巨人「…」
  112. 121 : : 2014/03/07(金) 23:15:13

    アルミン「アニが情報を開示する意思を示してくれれば、悪いようにはしない!!敵意がないことを証明してくれるだけでいいんだ!!」

    女型の巨人「…」

    アルミン「アニ…」




    ミカサ「不毛。これ以上続けても、きっと状況は変わらない。逃げられる前に、こちらから手を打つべき」

    アルミン「やむを得ないか…。本当はこんなことしたくないけどね…」
  113. 122 : : 2014/03/07(金) 23:25:11

    アルミン「巨人が嫌がる音波を、至近距離で浴びせ続けたら、一体どうなるんだろうね、アニ…」

    女型の巨人「…」




    アルミン「エレン、お願い…」

    エレン巨人「」コクン…

    エレン(やるしか…ねぇか!)
  114. 123 : : 2014/03/07(金) 23:33:35

    エレン巨人「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!」

    女型の巨人「ア…アァァァァッ!!!!」ギシギシッ!






    エレン巨人「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!」

    アルミン「この距離で聞いても、僕らには少々うるさい程度にしか感じないけど」

    女型の巨人「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!」

    ミカサ「きっとアニは、地獄のような苦しみを感じているはず。そのうちきっと…」







    エレン巨人「フォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!!」

    女型の巨人「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ……」











    女型の巨人「」ガクンッ…
  115. 124 : : 2014/03/07(金) 23:40:08

    ミケ「女型の意識が途絶えた!!」

    ナナバ「今だ!!うなじを削いで中から取り出せっ!!」



    ミカサ「ふっ…」パシュッ!




    ミカサ「…はあっ!!」



    ズバアッ!!!



    アニ「」ダラン…

    アルミン「アニ…」
  116. 125 : : 2014/03/07(金) 23:48:46

    ミケ「アニを拘束しろ!自傷行為が行えないよう、手袋と猿轡を忘れるな!!」

    エレン巨人「…」







    エレン(これで、『敵』の尻尾を掴むことができれば…)
  117. 126 : : 2014/03/08(土) 20:30:27

    ~翌日・調査兵団地下牢~

    エルヴィン「やぁ、気分はどうだい?」

    アニ「…」




    エルヴィン「そんな顔をしないでくれ。別に、拷問しようと言うつもりはない。こちらとしても穏便に済ませたいのでね」

    アニ「…」
  118. 127 : : 2014/03/08(土) 20:36:14

    エルヴィン「我々が知りたい情報はただ一つ。壁内に存在するであろう『敵』の存在」

    エルヴィン「君自身が『敵』、もしくはその仲間だとみているのだが、合ってるかな?」

    アニ「さぁ…」



    エルヴィン「質問を変えよう。鎧の巨人、超大型巨人、こいつらも同じように人間が変身する巨人。間違いないかな?」

    アニ「どうだか」



    エルヴィン「こいつらも、君の仲間という事でいいのかな?」

    アニ「知らない」
  119. 128 : : 2014/03/08(土) 20:42:14

    ハンジ「おとなしく答えたほうが身のためだよ…。さもないと、ハンジさんの『恐怖の実験ショー』が幕を開けることに…」

    エルヴィン「余計な口出しはするな、ハンジ。今、俺がアニと話しているんだ」

    ハンジ「はーい…」



    エルヴィン「君たちの…いや、君の目的は何なんだ?やはり、エレンの拉致、もしくは殺害か?」

    アニ「殺す気は無いよ。少なくとも、私はね」

    エルヴィン「となると、君以外の誰かは、エレンを殺す可能性があると?」

    アニ「さぁね」
  120. 129 : : 2014/03/08(土) 20:48:21

    リヴァイ「埒が明かねぇな。やはり、拷問でも何でもして情報を即座に吐かせるべきだ」

    リヴァイ「いつ、コイツの仲間が襲撃してくるかも分からん。こいつがこのままおとなしくしてると言う保証もねぇしな」

    エルヴィン「という事なんだが?」

    アニ「勝手にすればいいでしょ」

    エルヴィン「そうか…」




    アニ「あんたらが何を持って『敵』と断定しているのかは知らないけど…」

    アニ「『敵』が一つだと思ってるなら、後で痛い目を見るから…」
  121. 130 : : 2014/03/08(土) 20:54:17

    ハンジ「一つ…?」

    エルヴィン「なるほど、ありがとう。今はそれで十分だ」



    エルヴィン「行こう、リヴァイ、ハンジ。今日の追及はここまでだ」

    リヴァイ「チッ…」

    ハンジ「一つ…」






    ハンジ(『一人ではない』ではなく、『一つではない』と言った。これが意味することは…)
  122. 131 : : 2014/03/08(土) 21:02:23

    ~調査兵団本部・とある一室~

    エレン「はぁ…」

    アルミン「どうしたのエレン?」

    エレン「何か…まだ信じられねぇよ。アニが人類の敵だったなんて」



    エレン「きっと鎧と超大型の正体も知ってて、一緒になって壁内を滅ぼそうと企んでたんだろうなぁ…」

    アルミン「それは…どうだろうね…」

    ミカサ「まだアニとそれらが仲間であるという証拠はない」

    アルミン「2体の巨人殺しの犯人もアニだとされているけど、それも本当かどうか…」
  123. 132 : : 2014/03/08(土) 21:06:33

    エレン「アニ以外の、別の勢力がいるってことか?」

    アルミン「巨人の情報が人類に知れて、不利益を被るというのがアニ側だったとして…」

    アルミン「鎧や超大型は、それとは別の目的、もしくは勢力である。その可能性も捨てがたいという事さ」

    エレン「なるほどねぇ…」
  124. 133 : : 2014/03/08(土) 21:12:11

    アルミン「…そう言えば」

    ミカサ「どうしたの?」



    アルミン「訓練兵時代なんだけどね、ちょっと思い出したことがあって」

    エレン「何を思い出したんだ?」

    アルミン「大したことじゃないんだけど、ちょっと気になることが…」



    アルミン「…」
  125. 134 : : 2014/03/08(土) 21:18:16

    アルミン「…ごめん、ちょっと行くところができちゃった。夕飯は先に食べてていいから」

    ミカサ「え…アルミン?」

    アルミン「ごめんね、二人とも…」




    タッタッタッ…




    アルミン「…」

    アルミン(今回のアニ捕獲の件、当時の『あの事』と関係があるのなら…)
  126. 135 : : 2014/03/08(土) 21:24:22

    ~訓練兵時代~

    アニ「」モグモグ…




    ベルトルト「」ジー…

    ライナー「おいベルトルト、どこ見てるんだよ」

    ベルトルト「え…あ…ごめん…」




    ライナー「…」チラッ…

    アニ「」モグモグ…
  127. 136 : : 2014/03/08(土) 21:30:09

    ライナー「…あまりチラチラ見過ぎだ。要らん噂を立てられたら、お互いに困るだろう」

    ベルトルト「ごめん…気を付けるよ…」

    アルミン「…」






    アルミン(ベルトルトは…アニを…?)
  128. 137 : : 2014/03/08(土) 21:36:31

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    アルミン(当時の『要らん噂』というのは、てっきりベルトルトがアニを想っているという事だと思っていたけど…)

    アルミン(もしかしたら、ベルトルトがアニを見ていたのは、また別の理由が存在していたのかもしれない…)

    アルミン「本人に確かめなくちゃ…!」




    ライナー「よぉアルミン、どうした?」

    アルミン「あっ、ライナー…」
  129. 138 : : 2014/03/08(土) 21:42:10

    ライナー「そんなに慌ててどうした?誰か、探してる奴でもいるのか?」

    アルミン「まぁ、ちょっとね…」



    ライナー「…」

    アルミン「ライナー…?」




    ドゴッ…!



    アルミン「あっ…」

    アルミン(意識が…)
  130. 139 : : 2014/03/08(土) 21:48:14

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    アルミン「」パチ…

    ライナー「気が付いたか?」



    アルミン「ここは…」ギシッ

    アルミン「!?」



    ライナー「トロスト区の廃倉庫だ。すまないな、少々手荒な真似をさせてもらった」

    アルミン「どうしてこんな!?何か僕が、気に障るようなことでもしたの!?」
  131. 140 : : 2014/03/08(土) 21:54:08

    ライナー「昨日、内地で調査兵団が何やら作戦を遂行したらしいな」

    アルミン「それは…」



    ライナー「俺みたいな新兵ならともかく、ほとんどの先輩兵士、さらには憲兵団すらそれを知らされていなかった」

    ライナー「そして、突如ストヘス区に出現した2体の巨人。これらは、その作戦と無関係じゃないんだろう?」

    アルミン「…箝口令を敷いていたところで、やはり住民全員の口を塞ぐのは無理があったか」

    ライナー「答えろアルミン、お前なら知っているはずだ。その作戦で、一体何をした?」
  132. 141 : : 2014/03/08(土) 22:00:34

    アルミン「…幻滅したよ、ライナー。君ともあろう人が、わざわざ一番非力な僕を拉致するなんてね」

    ライナー「勘違いするな。お前だから連れてきた。エレンやミカサじゃ、まともな話し合いができるとは思えんからな」

    アルミン「あぁ、そう言う事…」



    ライナー「話をそらそうとしても無駄だ。答えろアルミン、お前らは一体、内地で何をした?」

    アルミン「わざわざこんなマネに走るという事は、君たちも気付いているんでしょ…?」



    ベルトルト「やはり、か…」

    アルミン「ベルトルト…」
  133. 142 : : 2014/03/08(土) 22:06:09

    ライナー「アニが地下に幽閉されていると言うのは本当らしい」

    ベルトルト「まさかああも容易く正体が露見するなんてね。あれも君の入れ知恵の成果なのかい、アルミン?」

    アルミン「ライナー、ベルトルト、やはり君たちはアニの…」



    ライナー「今更隠すつもりも、はぐらかすつもりもない。この際だ、正直に話してやるよ」

    ライナー「お前らも薄々感付いているだろうが、例の超大型巨人、鎧の巨人、共に人間が姿を変えたものだ」

    ライナー「そしてその正体だが…」



    アルミン「君たちなんだね…」
  134. 143 : : 2014/03/08(土) 22:12:24

    ライナー「俺が鎧、コイツが超大型、アニは正真正銘、俺達の仲間だ」

    アルミン「アニが仲間…」

    アルミン(だとすると、『敵』は…)




    ベルトルト「あまり変な考えは起こさないようにね。君の命は今、僕らが握っている」

    アルミン「わざわざこんな暴露大会を開いたという事は、僕を殺すつもりなんだろう?」

    ライナー「安心しろ、殺しはしない。ただ、お前には人質として仕事をしてもらう」
  135. 144 : : 2014/03/08(土) 22:18:11

    ライナー「俺達の要求は二つ。アニの解放、そしてエレンの身柄の引き渡しだ」

    アルミン「エレンの?やはり君たちにとって、巨人の謎を解明されることは不利益につながるという事か?」

    ライナー「巨人の謎?何のことだ?」



    ライナー「俺達がエレンを必要とするのは、エレンが俺達の探し物である可能性が高いと言う理由でしかない」

    ライナー「…いや、違うな。仮に探し物ではなかったとしても、エレンは欲しい。それだけだ」
  136. 145 : : 2014/03/08(土) 22:24:19

    アルミン「…どういう目的なのかは知らないけど、エレンは渡せない。殺すならさっさと殺せ」

    ライナー「あいつのことだ、お前のピンチとあれば、間違いなく身代わりになるだろう。お前の意思とは関係なく、な」

    アルミン「だとしても、随分と焦り過ぎじゃないかい?黙っていれば、誰も君たちの正体が巨人だとは思わないはずだ」

    ライナー「俺もそう思ったんだがな…」

    ベルトルト「残念ながら、アニが捕まってしまっている以上、いつ僕らの正体に辿り着かれるかも分からない」
  137. 146 : : 2014/03/08(土) 22:30:17

    ライナー「アニがそんなに簡単に口を割るとは思えんがな…」

    ベルトルト「そうだね。仲間ならばきっと、僕らの事は口が裂けても喋らないだろうね…」

    ライナー「…?」



    ベルトルト「とにかく、何としてもアニとエレンを連れ帰らせてもらう。僕らの故郷へ」

    ベルトルト「もうすでに種はまいてある。後は…」



    ガチャンッ!



    エレン「アルミンっ!!」
  138. 147 : : 2014/03/08(土) 22:36:32

    アルミン「エレンっ!!どうしてここへ!?」

    エレン「ここでお前が待ってるっていうからよ、急いで来て見たんだが…」

    ミカサ「やはり…ただ事ではなかった!」

    ライナー「ミカサまで来ちまったのか…」

    ベルトルト「想定の範囲内だ。どの道、アルミンがこちらにいる以上ヘタに手出しはできない」



    ミカサ「…ライナー、ベルトルト、これはどういう事?」

    ライナー「見ての通りだ。アルミンを人質にしている」

    アルミン「くっ…!」
  139. 148 : : 2014/03/08(土) 22:42:15

    エレン「おい、何の悪ふざけだ?さっさとアルミンを解放しろよ。まさか、お前には噂通りの性癖が…?」

    ライナー「安心しろ。アルミンの貞操は無事だ。これまでも、これからもな」



    ライナー「俺達の要求は簡単だ。エレン、お前は今から俺達と一緒に故郷へ来い」

    エレン「は…?言ってる意味が分からねぇぞ?」

    ライナー「意味なら道中で教えてやる。とにかく今は時間が惜しい」

    ベルトルト「君が大人しくついてきてくれるなら、アルミンを解放するよ」
  140. 149 : : 2014/03/08(土) 22:48:31

    アルミン「エレン、付いて行っちゃだめだ!!僕なら大丈夫だから!!」

    エレン「だけどよ!!」



    アルミン「君がライナー達について行ったら、今度は君の命を人質にアニの解放を要求するはずだ!!」

    ライナー「そこまで感付いていたか…」

    ベルトルト「アルミン一人では、二つの要求を満たすことは難しいと判断して…」
  141. 150 : : 2014/03/08(土) 22:55:38

    エレン「お前ら…どうしてこんなことを…」

    ミカサ「アニの解放を要求するという事は、あなたたちはアニの仲間なの?」

    ライナー「仲間であり、幼馴染さ。お前ら3人と同じようにな」

    アルミン「えっ…」







    ライナー「アニと俺たち二人は、俺が8歳の時に故郷で知り合った…」
  142. 151 : : 2014/03/08(土) 23:00:11

    ~9年前~

    アニ「…」チョコン



    ライナー「えっと…」

    ベルトルト「君は…?」

    アニ「アニ…」



    ライナー「この辺じゃ見ない顔だな」

    ベルトルト「どこか、違うところから来たの?」

    アニ「…分かんない。お父さんに付いてきただけ」

    ベルトルト「そうなんだ…」
  143. 152 : : 2014/03/08(土) 23:06:53

    ライナー「お前、他に友達は?」

    アニ「いない。この辺に来たことないから…」

    ライナー「じゃあさ…」



    ライナー「…俺達と友達になろうぜ!」

    ベルトルト「うんっ!僕からもお願いするよ!」

    アニ「…」



    ライナー「…あれ?」

    ベルトルト「アニ…?」



    アニ「…別にいいよ」

    ライナー「そ…そうか!それはよかった!」

    ベルトルト「よろしくね、アニ!」

    アニ「…よろしく」
  144. 153 : : 2014/03/08(土) 23:12:13

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ライナー「昔からそっけない奴だったが、それでも大切な仲間であり、友達だ」

    ライナー「俺達はある任務のため、5年前の事件を引き起こし、騒ぎに便乗して壁内へ侵入したんだ」

    エレン「引き起こし…?おい、何を言ってんだ…?」



    アルミン「エレン、落ち着いて聞いて。この二人が、それぞれ鎧、超大型両巨人の正体なんだよ!」

    エレン「は…!?」
  145. 154 : : 2014/03/08(土) 23:18:05

    ミカサ「アニと仲間だという事は、その話も頷ける。そして、それを知ったからには…」

    ミカサ「…ここで散ってもらう。人類の仇敵として、私が引導を渡す!!」ジャキッ!

    ベルトルト「動かないで。アルミンがどうなっても…」



    アルミン「ふ…ふふふっ…」

    ベルトルト「何が可笑しいの?」



    アルミン「仮にミカサが君たちに危害を加えようとしたとして、果たして君たちは僕を手に掛けることができるの?」

    ベルトルト「どういうことだ…」
  146. 155 : : 2014/03/08(土) 23:23:13

    アルミン「君たちが僕を手に掛けるという事は、同時に貴重な人質を失うという事になる」

    ベルトルト「だから?エレンとミカサは、そういう事態を避けたいに決まっているだろう?」

    アルミン「エレンはともかく、ミカサは非情で勇敢な兵士だ。状況に応じて、何を優先するか的確な判断ができる」



    アルミン「僕の命一つで人類の敵を滅ぼすことができるなら、ミカサの取る行動は一つしかないよね…」

    ベルトルト「まさか…」
  147. 156 : : 2014/03/08(土) 23:27:19

    ライナー「ベルトルト、避けろっ!!」

    ミカサ「」ビュッ!!

    ベルトルト「しまっ…」




    ズバアァァァァァァァッ!!!!!!




    ベルトルト「うぁっ…」ドサッ…

    ライナー「ベルトルトっ!!」
  148. 157 : : 2014/03/08(土) 23:33:08

    ミカサ「次はライナー…覚悟っ!!」ビュッ!

    ライナー「くっ…」

    エレン「やめろミカサっ!!」

    ミカサ「…っ!」ピタッ…




    エレン「お前は!あの日の誓いを破る気か!?」

    ミカサ「だけどエレンっ!!こいつらをここで野放しにするわけには!!」
  149. 158 : : 2014/03/08(土) 23:45:12

    ライナー「甘いな…」ダッ!

    ミカサ「!?」



    ドゴッ!!



    ミカサ「うっ…」ドサッ!

    エレン「ミカサっ!!」




    ライナー「もうこうなった以上、なりふり構っていられねぇな…」

    ライナー「ベルトルト!今、ここでやるぞ!!」

    ベルトルト「…仕方ないか。分かったよ、ライナー!」シュウゥゥゥゥ…
  150. 159 : : 2014/03/08(土) 23:49:18

    アルミン「マズい!!エレン、逃げてっ!!」

    エレン「この距離じゃ…」

    ライナー「」ガリッ!




    カッッッッッッッッッッ!!!!!




    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!




    ガラガラガラ…




    アルミン「うわっ!崩れるっ!!」
  151. 160 : : 2014/03/08(土) 23:52:31

    ミカサ「う…」



    鎧の巨人「」ズウゥゥゥゥゥゥゥン…



    ミカサ「あっ…」

    エレン「やば…」



    ガシッ!



    エレン「うぐっ…!」

    アルミン「エレンっ!!」
  152. 161 : : 2014/03/08(土) 23:56:15

    ベルトルト「ライナー急げ!兵団が集まってくる前に!!」




    鎧の巨人「」ドシンドシン…




    ミカサ「くっ…待て!!」

    アルミン「無茶だミカサ!迂闊に近づいても、踏みつぶされる!!」

    ミカサ「しかし…!!」
  153. 162 : : 2014/03/09(日) 11:56:53

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ドシンドシン…




    エレン「…」

    エレン(そんな…本当にライナーまで巨人だったのか…)

    エレン(なんだか…信じていたはずの仲間が、次々に敵になっていくな…)

    エレン(…いや、最初から敵だったのか。こいつらは壁を破壊しておきながら、何食わぬ顔で俺達と一緒に生活していた)

    エレン(俺は…そんなこいつらが…!!)
  154. 163 : : 2014/03/09(日) 12:06:24

    エレン「…」

    エレン(…いや、ダメだ、憎しみを持っちゃいけない。こいつらにだって、きっと故郷に家族がいるはず)

    エレン(殺さないにしても、せめて自分の罪を償わせなきゃならねぇ。そのためにも…)






    エレン「ここでこいつらを逃がすわけにはいかねぇなっ!!」
  155. 164 : : 2014/03/09(日) 12:18:12

    ベルトルト「おとなしくしていろ、エレン。君が黙ってついて来るだけで、余計な犠牲が出ずに済むんだ」




    住民「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

    住民「巨人だっ!!トロスト区に、また巨人がっ!!」




    エレン「…クソッ!!」
  156. 165 : : 2014/03/09(日) 12:28:52

    ベルトルト「それに、理由は道中で話すと言ったはずだ」

    ベルトルト「僕らの話を聞いた後で、黙ってついて来るか、抵抗した挙句にねじ伏せられてついて来るか、選んでくれ」

    エレン「選択肢はねぇようなもんじゃねぇか…」

    ベルトルト「ごめんよ…」







    ドシンドシン…
  157. 166 : : 2014/03/09(日) 12:40:51

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ハンジ「…エレンが攫われた!?」

    アルミン「すみません、僕が簡単に捕まってしまったばっかりに…」

    ハンジ「トロスト区で巨人騒ぎがあったと言うから駆けつけてみたけど、まさかこんな事態になっているとは…」



    ハンジ「少々、ウォール教や王政府との間で厄介な問題が発生してるってのに、勘弁してほしいなぁ…」

    アルミン「厄介な問題…?」

    ハンジ「あぁ、それについては後から話すよ。今はエレンのことが先決だ」
  158. 167 : : 2014/03/09(日) 12:50:12

    モブリット「『故郷に行く』と、そう言ったんだね?」

    アルミン「はい、確かに。その故郷がどこを指しているのかはわかりませんが…」

    ハンジ「一応彼らの出生リストによると、ウォール・マリアの山奥の村となっているみたいだけど…」



    ハンジ「どうも怪しいな。本当にその村が故郷だとしたら、自分達の手で故郷を巨人に明け渡したことになる」
  159. 168 : : 2014/03/09(日) 12:59:29

    アルミン「しかし、故郷を目指すと言って壁外へ飛び出したとすると、考えられる場所は一つ…」

    ハンジ「壁外。しかもマリアのさらに外。信じがたいけど、可能性は高いね」

    アルミン「5年前の事件に乗じて壁内へ侵入したと言っていましたので、おそらく間違いないかと」

    ハンジ「壁外の人間か。今まで考えもしなかったけど、じゃあ何故奴らはエレンを?」

    モブリット「共通点としては、巨人化能力者という点くらいしかありませんが…」



    ミカサ「何だって構いません。今大事なのは、一刻も早くエレンを取り返すことです」
  160. 169 : : 2014/03/09(日) 13:09:53

    ミカサ「早くしないと、奴らが手の届かない場所まで行ってしまいます。今すぐにでも壁外へ行きましょう」

    ハンジ「そうしたいのはやまやまだけどね。壁外に行きたいからと言って、はいそうですかと許可はできない」

    ハンジ「一歩外に出れば、そこは地獄も同然。先日の壁外調査で、君達も見ただろう?」

    ミカサ「それは…」




    ハンジ「馬と装備と、あと一定数の兵がいなければ陣形は組めない。今私達にできるのは、彼らの到着を待つことくらいだ」

    ミカサ「…っ!」

    アルミン「エレン…」
  161. 170 : : 2014/03/09(日) 20:30:18

    ~壁外~

    ドシンドシン…




    ベルトルト「ライナー、巨大樹の森が見えた。あそこで夜を待とう」



    鎧の巨人「」コクン



    エレン「このまま目指さなくていいのか?」

    ベルトルト「故郷はマリアのさらに外だ。このまま走り続けるには、体力が持たない」

    ベルトルト「調査兵団がすぐに追って来れるとは思えないし、何より昼間は巨人の脅威にさらされる」
  162. 171 : : 2014/03/09(日) 20:36:56

    ベルトルト「本当は君に巨人を追い払ってもらえればベストなんだろうけどね」

    エレン「やっぱお前らも…?」



    ベルトルト「トロスト区で君の雄たけびを聞いた時は、頭が割れるかと思った。二度と勘弁してほしいね」

    エレン「へっ、アニに少し悪いことしちまったかな…」

    ベルトルト「アニはまた後から迎えに行かないとね。さ、到着だ」
  163. 172 : : 2014/03/09(日) 20:43:32

    シュウゥゥゥゥ…




    ライナー「…ふぅ、何とかたどり着けたな」

    ライナー「それにしてもエレン、攫っておいてこう言うのもなんだが、よくおとなしくついてきたな」

    エレン「別に好きでついてきたわけじゃねぇよ。お前らの話を聞くまでは、暴れるに暴れられないからな」

    エレン「だが、話し終わった後は覚悟しろ。今度は容赦しねぇぞ…」

    ライナー「望むところだ。お前には、どうあっても故郷に来てもらう必要があるからな」
  164. 173 : : 2014/03/09(日) 20:49:01

    エレン「それじゃ、教えてもらおうか。何故俺が必要なのか、お前らの目的は何なのか」

    ライナー「まず最初に。俺達の故郷はマリア山奥の村だと言ってきたが、あれは嘘だ」



    ライナー「正確には、マリアの外のとある場所にある、小さな集落だ」

    エレン「マリアの外だって…!?外には巨人が大量にうろついているだろ!?」

    ライナー「まぁな。そのために、集落を守る奴がいる。俺達と同じ、巨人化能力者がな」

    ベルトルト「村には戦士と呼ばれる能力者が複数いる。彼らに手によって、集落を巨人の魔の手から守っているんだ」

    エレン「そんな場所が、壁外に…」
  165. 174 : : 2014/03/09(日) 20:54:30

    ライナー「だが、当然そんな物だけで守り通せるほど、壁外は甘くない。おまけに今、ある脅威によって、集落はさらに危機を増している」

    エレン「ある脅威…?」



    ライナー「お前は『猿』という生物を知っているか?」

    エレン「さる…?」

    ライナー「全身が深い体毛に覆われた、まぁある意味人間と酷似した獣のことだ」

    ライナー「その猿の姿をした巨人が存在してな。そいつの手によって、集落はいつ壊滅してもおかしくない状況に陥っている」
  166. 175 : : 2014/03/09(日) 21:02:09

    エレン「集落が壊滅だって?何だよ、そいつは戦士よりも強いのか?」

    ライナー「強さの問題じゃない。そいつには、厄介な能力があってな」



    ライナー「どうやら、巨人に命令を出し、意のままに操ることができるらしいんだ」

    エレン「巨人を…操る…!?」

    ライナー「どういう理屈なのかは知らないが、確かに奴は巨人に命令を出し、あっという間に戦士を全滅に追い込んでしまったんだ」
  167. 176 : : 2014/03/09(日) 21:07:08

    ベルトルト「残っているのは一般の人と、『戦士候補』として巨人化能力を有する一部の者だけ」

    ベルトルト「言うなれば、僕らもその『戦士候補』の一人にすぎないわけさ」

    ライナー「今、集落の連中はその猿巨人に従う事で、壊滅をかろうじて免れているが、いつまで持つか…」



    ライナー「そこで集落の大人たちは状況を打開すべく、俺達に『ある物』を探すことを依頼し、壁内へと送り込んだんだ」

    エレン「ある物…?それが俺と何か関係あるのか?」

    ライナー「いや…今のところは関係があるとは思えん。あくまでその可能性の段階だ」
  168. 177 : : 2014/03/09(日) 21:12:29

    ライナー「だが、お前の能力を持ってすれば、集落を襲う巨人達を退けられる。お前の力さえあれば…」



    ライナー「だから!どうか頼む!せめて、探し物を見つける間だけで構わない!!」

    ライナー「どうか!俺達の故郷をその能力で守ってほしい!この通りだ!!」ガバッ!

    ベルトルト「僕からもお願いするよ」ガバッ!

    エレン「おいやめろ、頭を上げろ!そんなことされたって、俺は…」
  169. 178 : : 2014/03/09(日) 21:18:13

    ライナー「分かってる!俺達の行動が、とても許されるようなことではないことくらい!」

    ライナー「処刑されても構わん!何なら、お前ら壁内人類が望むような方法で、いくらでもいたぶってもらって構わん!」

    ライナー「だがどうか!故郷の奴らだけは助けてやってほしい!あいつらは、ずっと俺達が持って来るであろう『希望』を待ちわびているんだ!」

    ベルトルト「お願いだ、エレン!」
  170. 179 : : 2014/03/09(日) 21:24:55

    エレン「…話は分かった。だが、一つ聞かせてくれ」



    エレン「お前らがただ壁内で探し物をしたいのなら、壁を壊す必要がなかったと思えるんだが…?」

    エレン「まさか、ただのウサ晴らしで壁を破壊したわけでもないだろ?いったいどういう理由があるんだ?」

    ライナー「…その理由を離したうえで、お前が故郷へ来てくれるのなら、話そう」

    エレン「それを決めるのは、話を聞いてからだ。でなけりゃ、俺はここを一歩も動かねぇ」



    ベルトルト「…やむを得ないね。ライナー」

    ライナー「あぁ、分かった。俺達も腹を括ろう」
  171. 180 : : 2014/03/09(日) 21:30:07

    ライナー「まず、俺達が壁を破壊した理由は二つある。一つ目は、探し物を見つけるためだ」

    ライナー「さっきお前が言ったように、ただ探し物を見つけるためなら壁を壊す必要がないんじゃないかという事についてだが…」



    ライナー「俺達の探し物というのは、大雑把にいえば『巨人化能力者』だ」

    エレン「能力者を…!?俺のほかにも、壁内の能力者がいるってのか!?」

    ライナー「詳しい理由は俺も知らん。集落の大人が言うには、存在するはずなんだと」
  172. 181 : : 2014/03/09(日) 21:35:20

    ライナー「壁内に巨人を入れることで、その能力者に身の危険が生じれば、おのずと巨人化でその危機を回避するだろう」

    ライナー「そいつを発見し、故郷に連れていくことが目的だった。だから、壁を破壊する必要があった」



    エレン「つまり、お前らの探し物を炙り出すために壁を破壊したってことか…」

    ライナー「すまん…。こればかりは、謝っても許されるようなことでない」

    エレン「正直、今の話だけでも腹ワタが煮えくり返りそうだけどな。一応、二つ目も聞いてやるよ…」
  173. 182 : : 2014/03/09(日) 21:40:20

    ベルトルト「二つ目は…」

    エレン「どうした…?早く喋れよ…」




    ベルトルト「巨人の生態として、人間の数が多いほうに向かって行きやすいという事は知っているよね?」

    エレン「あぁ、そうらしいな。トロスト区の前門を岩で塞ぐときも、その方法で俺をできるだけ巨人から遠ざけたらしいしな」

    ベルトルト「それと一緒さ。少しでも故郷に近付く巨人を減らすために…人間が多い方へ巨人が行くように、壁を破壊した。それだけだ」
  174. 183 : : 2014/03/09(日) 21:45:10

    エレン「おい…ちょっと待てよ…」



    エレン「冗談じゃねぇぞ…!お前らの故郷がヤバいのは分かった!だが、なんでそのために壁内人類を巻き込むんだ!?」

    エレン「ふざけるなよ!!お前らが壁を破壊したせいで、どれだけの人が死に、どれだけの人が明日も知れずに苦しんでると思ってる!?」

    ベルトルト「それについては…」




    ベルトルト「気の毒だったと…思うよ…」

    エレン「気の毒だと!?お前、自分が何を言ってるか分かってるのか…!?」
  175. 184 : : 2014/03/09(日) 21:50:11

    エレン「お前らは、俺が出会った中で最低の人間だ。いや、すでに人間ですらねぇのかもしれねぇな…」

    エレン「6年ぶりだよ、こんなクソ見てぇな気分になったのは…。今まで抑えていた感情が、一気に噴き出してくるようだ…」




    エレン「そうだ…あの時のミカサは正しかったんだ…」




    エレン「こんなクズ野郎を生かしておくなんて、馬鹿な奴の考えだ。そう、こいつらみたいなのは、徹底的に殺さなきゃならねぇ…」

    エレン「お前らみたいなのと比べても、母さんやミカサの親を殺した連中が、人間の最底辺だって事には変わらねぇ…」

    エレン「だってお前らは、生命体の最底辺なんだからな…。もうお前らに、生きて行く権利も資格もねぇよ…」
  176. 185 : : 2014/03/09(日) 21:54:12

    ライナー「だったらどうするんだ、エレン?俺達をこの場で殺すのか?」

    エレン「あぁ死ね。お前らの故郷なんか知ったことじゃねぇ。お前らみたいなクズ野郎共は、まとめて死んじまえ…」

    ライナー「確かに俺達がここで死ねば、故郷は壊滅するだろう。お前の望みどおりな」



    ライナー「だがな、例の猿巨人が、今度は壁内を標的に変えないとも言い切れないんだぞ」

    ライナー「そうなれば、少しでも奴らの情報を持っている俺達や故郷の奴らを死なせることは、お前らにとってもマイナスになるとは思わないか?」
  177. 186 : : 2014/03/09(日) 21:58:40

    エレン「たしかに、そいつはマイナスかもな。だけど…」




    エレン「今ここで、人類の仇であるお前らが消えてくれることによって、俺達にとっちゃ大きすぎるプラスだ…。猿巨人の件を差し引いたとしてもな…」

    エレン「ここでお前らをぶっ殺して、壁内に帰ったらそのままアニもぶっ殺す…。楽に死ねると思うなよ…」

    ベルトルト「待ってくれ!アニは壁の破壊には携わっていない!あくまで、僕らと一緒に任務を遂行しに来ただけだ!!」

    エレン「それがどうした…?どの道、お前らと同じ故郷の奴なら同罪だ…。ちゃんと死んでもらわないと困るんだよ…」
  178. 187 : : 2014/03/09(日) 22:02:21

    ベルトルト「やめろ…やめてくれ…それだけは…」ガクガク…

    ライナー「ベルトルト!気を確かに持て!!」

    エレン「死ねよ…まとめて…」ガリッ!




    カッッッッッッッッッッ!!!!




    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!!







    エレン「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
  179. 188 : : 2014/03/09(日) 22:06:20

    ライナー「チッ…!やむを得ないか!ベルトルトっ!!」

    ベルトルト「やるしか…無いんだね」

    ライナー「やはりあいつは、何らかの力で押さえつけてなければならない奴だった!俺の失態だ!!」

    ベルトルト「力づくでも、故郷に連れ帰らせてもらうぞ!!」




    カッッッッッッッッッッ!!!!!




    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!!




    鎧の巨人「」ズウゥゥゥゥゥゥゥゥン…

    超大型巨人「」ズウゥゥゥゥゥゥゥゥン…







    エレン(ぶっ…殺す…!!)

    エレン巨人「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!」
  180. 189 : : 2014/03/09(日) 22:10:13

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




    エレン「」パチッ

    ライナー「目が覚めたか」

    エレン「」モガモガ



    エレン(何だコレ!?拘束されてる…!?)
  181. 190 : : 2014/03/09(日) 22:14:14

    ライナー「悪いな、暴れられると敵わんのでな」

    エレン「ううぅ…うああっ!!」モガモガ



    ライナー「まったく、お前のあの能力は本当にしんどいな。今だに頭が痛ぇ」

    ベルトルト「死に物狂いで押さえつけさせてもらったよ。こっちは一人じゃ無理だったね、あれは」



    エレン(俺は…負けたってのか!?クソ、思い出せねぇ…)

    エレン(人類の敵が目の前にいるってのに、何もできねぇのか!!クソっ!!)
  182. 191 : : 2014/03/09(日) 22:18:05

    ライナー「しかし、あのエレンがここまで明確に殺意を向けてくるとはな。正直焦った」

    ベルトルト「それだけ、僕らがやったことが憎いんだよ。誰だってきっとそうさ」



    ライナー「お前…故郷に無事に戻れたら、アニに想いを伝えろ」

    ベルトルト「は…?何を言ってるんだ?」

    ライナー「見過ぎだ。何度か注意したこともあったろ」

    ベルトルト「あぁ、その事か…」

    ライナー「その事かって何だよ…。後悔するくらいなら、言うだけ言っておくべきだと思うぞ」
  183. 192 : : 2014/03/09(日) 22:29:56

    ライナー「どうせ先の短い殺人鬼同士なんだ。少しくらい惚けたって、バチは…」

    ライナー「…!?」

    ベルトルト「どうしたの?」




    シュウゥゥゥゥ…




    ライナー「煙弾だ。おそらく、調査兵団が追って来たんだ!!」

    ベルトルト「そんな、いくらなんでも早すぎる!!陣形を展開できるだけの兵と馬を、この短時間で揃えられるはずが!!」

    ライナー「理由なんか知るか!とにかく、調査兵団が来ているのは事実だ!急いでここを離れるぞ!!」
  184. 193 : : 2014/03/09(日) 22:51:20

    ライナー「このまま森を南に抜け、一気に進むんだ!!」

    ライナー「まだ少々しんどいが、巨人化できないほどではない!行くぞ!」パシュッ!

    ベルトルト「さぁエレン、おとなしくしてくれよ」ガッ!

    エレン「うぅぅぅっ!!!」モガモガ
  185. 196 : : 2014/03/10(月) 21:00:08

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    ヒュウゥゥゥゥン…



    ライナー「…正直、故郷まで逃げ切るには厳しいか。俺の巨人では、きっと追いつかれるだろう」

    ベルトルト「それでも、前に進む以外に道はない。このまま森の外へ…」

    「そうはいかないんだよねぇ」

    ライ&ベル「!?」
  186. 197 : : 2014/03/10(月) 21:10:38

    バッ!



    ライナー「なっ!?」

    ベルトルト「捕獲網!?」



    バサッ!



    ドサッ…



    ライナー「ぐっ…!」

    ベルトルト「重っ…!金属製の網か!!」

    エレン「…」
  187. 198 : : 2014/03/10(月) 21:20:16

    ハンジ「北側から馬が来れば、当然森の南側から逃げたくなるよね。まんまと引っかかってくれました♪」

    ライナー「どういうことだ…。それに、いくら何でも追跡が早すぎるだろう…」

    ハンジ「なぁに、君たちを南側に追い込めばいいだけなんだから、そんなに兵はいらないさ」



    ハンジ「無人の馬と、それを引き連れる少しの兵さえいてくれれば、遠目には集団で向かってきたと思うでしょ?」

    ベルトルト「それじゃ…北側からやって来たのは…」

    ハンジ「君たちを森の南側に追い込むための、ダミー部隊」

    ハンジ「本命は、私達率いる少数精鋭隊。遠回りして、森の南側に陣取っていたのさ」
  188. 200 : : 2014/03/10(月) 21:30:16

    ライナー「やられたな…!追跡は北からやってくるという先入観がアダとなったか…」

    ハンジ「そう言う事だよ、鎧君。このままおとなしくしててくれると助かるね」

    ベルトルト「くっ…」



    ハンジ「君達に取って、アニは大事な人なんでしょ?ここで無駄な抵抗をするようなら、アニを容赦なく殺すよ?」

    ライナー「それはやめてくれ!分かった、おとなしく捕まる!」

    ハンジ「物分かりが良くてよろしい。ミカサ、アルミン、こいつらを拘束するとともに、エレンを解放して」
  189. 201 : : 2014/03/10(月) 21:40:21

    ミカサ「エレンっ!!」

    エレン「…ぷはっ!助かったぜ、ミカサ!」



    ミカサ「怪我はない!?あいつらにひどいことをされたりしてない!?」

    エレン「まぁ、とりあえずはな。それに、あいつらからいろいろと情報を聞き出せたしな…」スクッ…

    ミカサ「エレン…?どこへ?」

    エレン「ちょうど身動きも取れねぇみたいだし、やるなら今だよな…」ジャキ…
  190. 202 : : 2014/03/10(月) 21:50:56

    アルミン「エレンっ!?何をする気だ!?」

    ミカサ「まさか、その二人を!?」

    ハンジ「ちょっと、勝手な行動はよすんだ!!」




    エレン「知ってますか?こいつらは、自分の故郷さえ無事なら、壁内人類はどうなってもいいんだそうですよ」

    エレン「故郷に寄り付く巨人を減らすために、壁を破壊してこっちに向かいやすくしたんだと。最低のクズ野郎ですよね…?」

    エレン「そんな奴らを1秒たりとも生かしておいてはいけません。俺が今ここで、こいつらを…!!」
  191. 203 : : 2014/03/10(月) 22:00:38

    ミカサ「ダメ、エレン!!あなたは忘れたの!?その傷に誓ったことを!!」

    エレン「傷に誓ったのはお前であって、俺じゃない。それに、気付いたんだよ」



    エレン「相手を殺さずに憎しみを消すなんて、不可能だ。お前が昔に言ったように、向かってくる敵を力でねじ伏せれば済む話だ」

    エレン「ははっ、何で今まで気づかなかったんだろうな。これからは、巨人もクズ人間も、片っ端からぶっ殺してやるよ…」

    アルミン「エレン、そんな…!」
  192. 204 : : 2014/03/10(月) 22:10:15

    ミカサ「どうして…!?あなたはそんな人ではないはず!!思い出して!!」

    エレン「思い出したからだよ。憎しみの連鎖は止めることができない。誰かがやられたのなら、他の誰かがやり返すべきだってな」




    エレン「さぁ、別れの時間だ。せめて、お前らができるだけ苦しんで死ねるように努力してやるよ…」

    ライナー「ぐっ…」

    ベルトルト「ここまでか…」

    アルミン「やめろっ!エレンっ!!」
  193. 205 : : 2014/03/10(月) 22:20:06

    ミカサ「…っ!」ダキッ!



    エレン「おいミカサ!?離せよ!!」

    ミカサ「離さないっ!!あなたがその刃を収めるまで、絶対に!!」

    エレン「お前だって、トロスト区ではこいつらを殺そうとしただろ!!」

    ミカサ「誰かがやらなきゃならないのなら、私がすべて引き受ける!降りかかる憎しみも、汚れ役でもなんでも!だから!」



    ミカサ「エレンは!あの日の誓いを破ってはダメ!でないと、絶対に後悔する!!」

    エレン「ミカサ、お前…」
  194. 206 : : 2014/03/10(月) 22:30:23

    ミカサ「エレンが私の家族と関わらなければ、恨みを買って“おかあさん”が死ぬこともなかった!すべて私のせい!」

    ミカサ「だから!もうあの時と同じ悲しみをエレンに繰り返してほしくないから!!」



    ミカサ「だから…やめて…エレン…!」

    エレン「ミカサ…」

    ハンジ「エレン、君は…」











    エレン「…分かったよ、ミカサ」
  195. 207 : : 2014/03/10(月) 22:40:08

    エレン「ミカサに泣いて頼まれたんじゃ、断るわけにもいかねぇ。命拾いしたな、お前ら!」

    アルミン「エレン…」ホッ…




    エレン「だがな!お前らの罪をあっさり帳消しにすると思うな!死んだほうがマシだと思えるほどの苦痛を与えてやるからな!!」

    ライナー「…」

    ベルトルト「…」
  196. 208 : : 2014/03/10(月) 22:51:08

    ミカサ「エレン、あなたがそれをやってはダメ。然るべき人物に任せるべき」

    エレン「…分かったよ」

    ハンジ「何はともあれ、一件落着かな」







    ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ…

    一同「!?」







    ハンジ「何だこの音は!?」

    アルミン「巨人です!!僕らがここで集まっているうちに、いつの間にか巨人に囲まれて…」
  197. 209 : : 2014/03/10(月) 23:01:01

    ミカサ「森の奥からも!!ダミー部隊の人達は…!?」



    巨人「」ムシャムシャ…



    ハンジ「そんな…!」

    エレン「いくらなんでも多すぎる!どうしてこんなに!?」

    ミカサ「急いで樹上へ!このままでは、全滅してしまいます!」

    ハンジ「よし!いったん樹上へ退避!」







    パシュッ…
  198. 210 : : 2014/03/11(火) 20:30:56

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



    巨人「」ウジャウジャ…



    ハンジ「まいったね…。これじゃ下に降りられないよ。どうしようかな…」

    アルミン「エレン、巨人化して追い払う事はできないの?」

    エレン「いや、やろうとしたけどダメだ。多分、さっき巨人化した影響が残ってるんだろう」
  199. 211 : : 2014/03/11(火) 20:34:18

    ミカサ「こいつらに頼るわけにも、当然いかない」チラッ

    ライナー「…」

    ベルトルト「…」



    エレン「どうせこいつらも似たようなもんだよ。俺と一緒で役立たずだ」

    ハンジ「こらこら、喧嘩しないの。今はここからどうやって脱出するかを考えるのが先決でしょ」
  200. 212 : : 2014/03/11(火) 20:38:08

    アルミン「どうせ巨人はここを登って来られないので、夜まで待機するか、エレンが巨人化できるくらい回復するのを待つのがいいかと」

    ミカサ「私もそう思います。できれば、エレンに負担をかけないためにも夜まで待機してもらえれば…」




    ドーンッ!!

    一同「!?」




    岩「」ズーン…




    ハンジ「岩…?どこから飛んできたんだ!?」
  201. 213 : : 2014/03/11(火) 20:42:32

    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

    一同「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」




    アルミン「樹に何かぶつかりましたっ!!」



    巨人「」ワラワラ…



    ハンジ「今度は巨人が飛んできた!?一体どうなってるんだ!?」
  202. 214 : : 2014/03/11(火) 20:46:21

    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!!




    アルミン「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」グラッ…

    エレン「あぶねぇっ!!」ガシッ!

    アルミン「あぅ…助かったよ…」



    ミカサ「早く別の樹へ!でないと、いずれ私達に直撃する!!」

    ライナー「いや、それもダメだ…」

    ミカサ「!?」
  203. 215 : : 2014/03/11(火) 20:50:16

    巨人「」ユサユサ

    巨人「」ユサユサ





    ベルトルト「周りの樹一帯を揺らしている。僕達が他の樹へ移動できないように…」

    ハンジ「何だって巨人にそんなことが!?」

    アルミン「これじゃまるで、考えて行動しているみたいじゃないか!!」

    エレン「そんな馬鹿な…!」
  204. 216 : : 2014/03/11(火) 20:54:19

    ライナー「ベルトルト、こいつは…」

    ベルトルト「うん、僕もそう思う…」



    ミカサ「何を二人で話しているの…!?」

    ライナー「エレン、こいつはきっと『ヤツ』が近くにいる可能性が高い」

    エレン「ヤツって…さっきお前らが言ってた猿巨人か!?」

    ベルトルト「おそらくね。でなければ、巨人がこんな行動をとれるはずがない」

    ベルトルト「いきなりたくさん集まって来たのも、奴が仕向けた可能性が高い」
  205. 217 : : 2014/03/11(火) 21:02:49

    ハンジ「君たちは一体何の話を…?」

    エレン「詳しいことは後です!今はこの状況を何とかしないと…!」




    ドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!






    メキメキ…

    一同「!?」






    樹「」メキメキ…






    エレン「やべぇ!樹に岩が直撃した!!折れちまうぞ!!」
  206. 218 : : 2014/03/11(火) 21:06:14

    アルミン「周りの樹は揺らされていて移動できない!!このままじゃ、僕達は巨人の群れに飛びこんで全滅だ!!」

    ミカサ「何か手は…」




    メキッ…




    ベルトルト「あっ…」グラッ…

    ライナー「ベルトルト!!」ガシッ!







    グラッ…
  207. 219 : : 2014/03/11(火) 21:10:08

    ライナー「うっ…」グラッ…







    ライ&ベル「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」ヒュウゥゥ…

    アルミン「ライナー!!ベルトルト!!」



    グラッ…



    ハンジ「うわっ!!」フラッ…
  208. 220 : : 2014/03/11(火) 21:14:12

    アルミン「うっ!!!くそっ!!」パシュッ!



    スカッ…



    アルミン「そんな…!樹が揺れてアンカーが…定まらない…!」



    ヒュウゥゥゥゥ…



    エレン「アルミンっ!!ハンジさんっ!!」
  209. 221 : : 2014/03/11(火) 21:17:11

    巨人「」ガシッ

    ベルトルト「うわっ!!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」







    巨人「」メキメキ…

    ライナー「ぬぅ…うぁぁぁぁぁぁっ!!!」
  210. 222 : : 2014/03/11(火) 21:20:08

    グラッ…





    ミカサ「あっ…」フラッ…

    エレン「ミカサっ!!」ガシッ!

    ミカサ「エレンっ!!」プラーン…







    エレン「く…そ…」グググ…
  211. 223 : : 2014/03/11(火) 21:24:12

    ミカサ「エレン、その手を離して!私はあなたより重い、支え続けるのは不可能!!」

    エレン「出来ようができまいが、離すわけにはいかねぇよ!!お前を助けて、アルミンたちも助けなきゃならねぇんだ!!」







    巨人「」アーン…







    アルミン「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

    ハンジ「く…これまでか…」
  212. 224 : : 2014/03/11(火) 21:28:19

    エレン「く…そぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」グググ…

    ビキッ!



    エレン「ぐっ…!」ズキッ

    ミカサ「エレン!やはりその右腕で支え続けるのは…!」

    エレン(こんな時に…あの時の傷が痛みやがる…!よりによってこんな時に…!!)



    ミカサ「その腕に傷をつけてしまったのは私!私が今この状況なのはその報い!だからエレン、その手を離して!!」

    エレン「離す…かよっ…!」グググ…
  213. 225 : : 2014/03/11(火) 21:32:14

    ミカサ「…」

    エレン「ミカサ…?」





    ミカサ「このままでは、あなたまで道連れにしてしまう。どうしても離さないのなら…」

    エレン「ミカサ…?何する気だ!やめろっ!!」
  214. 226 : : 2014/03/11(火) 21:36:11

    ミカサ「エレン…」




    ミカサ「こんな…一生消えない傷をつけてしまってごめんなさい…」




    ミカサ「あなたを最後まで守り切れないまま死ぬことになって、ごめんなさい…」

    エレン「何馬鹿なこと言ってんだ!!やめろ!!」
  215. 227 : : 2014/03/11(火) 21:40:07

    ミカサ「でも…」

    ミカサ「あの時、マフラーを巻いてくれてありがとう…」





    ミカサ「そして…」







    ミカサ「この傷で、私をもう一度この世界に導いてくれて…」











    ミカサ「…ありがとう、エレン」











    パッ…











    エレン「あっ…」
  216. 228 : : 2014/03/11(火) 21:44:18

    ミカサ「」ヒュウゥゥゥゥ…

    エレン「ミカサ…」




    巨人「」ガシッ

    ミカサ「うっ…」




    アルミン「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

    ハンジ「ダメ…か…」

    ライナー「うぐ…」

    ベルトルト「あ…あぁ…」





    巨人「」アーン…
  217. 229 : : 2014/03/11(火) 21:48:12

    エレン「やめろ…お前ら…そいつらは…俺の仲間なんだよ…」

    エレン「俺は…そいつらと一緒に…壁内に帰らなくちゃならねぇんだよ…」




    エレン「だから…だから…」







    エレン「…お前ら全員、どっか行きやがれっ!!!!!!!!」











    エレン「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!」バッ!!!
  218. 230 : : 2014/03/11(火) 21:52:17

    カッ…






    バリバリバリバリ…!!






    エレン「うわっ!?何だ、頭の中が…!!」

    ライナー「!?」

    ベルトルト「え!?」



    巨人「」ピクッ…
  219. 231 : : 2014/03/11(火) 21:56:14

    パッ…



    ミカサ「う…」ドサッ

    アルミン「うわっ!!」ドサッ

    ハンジ「何だ急に…?」スタッ…






    巨人「」ダダダダダ…







    シーン…
  220. 232 : : 2014/03/11(火) 22:00:24

    エレン「…巨人がいなくなった?」スタッ






    ミカサ「エレンっ!!」ダッ!

    エレン「おわっ!ミカサ!?」



    エレン「そうだお前!勝手なことしやがって!!冗談じゃねぇぞ!!」

    ミカサ「エレンっ!ごめんなさい!!ごめんなさいっ!!」
  221. 233 : : 2014/03/11(火) 22:05:10

    エレン「謝るくらいなら、最初からこんなことすんなっての!」

    アルミン「まぁ、無事だったからよかったじゃない、許してあげてよ」

    エレン「まぁ…別にいいけどよ…」




    ハンジ「それより、一体何が起きたんだ?巨人達が一斉にどこかへ走り去ってしまったようだけど?」

    エレン「それに、俺の頭の中に、いきなり何かが…」
  222. 234 : : 2014/03/11(火) 22:10:21

    エレン「…何だったんだ、あれは?」

    ライナー「…」

    ベルトルト「…」

    エレン「おい、もしかしてお前らなら何か知って…」フラッ…







    エレン「」バタンッ!

    ミカサ「エレンっ!?」
  223. 235 : : 2014/03/11(火) 22:16:20

    アルミン「いきなりどうしたの!?エレン、しっかりして!!」

    ハンジ「気を失っているだけのようだ。相当疲労がたまっていたんだろうね」




    ハンジ「さぁ、巨人がいなくなった隙に、私達も帰ろう」

    ハンジ「トロスト区でも言ったけど、壁内では少々厄介な問題が発生している。そっちも片付けないとね」
  224. 236 : : 2014/03/11(火) 22:20:14

    …はい、突然ですがここでいったん終了です!
    諸事情により申し訳ない…


    本当はあまりスレを分けたりしたくないんですが、今回はご容赦ください<m(__)m>


    次スレ↓
    http://www.ssnote.net/archives/11990


    今作は割とおとなしめの展開でしたが、次作ではいろいろブッ飛ばします
  225. 238 : : 2020/10/06(火) 09:08:43
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986

    http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=12
  226. 239 : : 2023/07/04(火) 09:36:27
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
    toyama3190

    oppai_jirou
    catlinlove

    sukebe_erotarou
    errenlove

    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
harumav2

神宮の燕³

@harumav2

この作品はシリーズ作品です

真の駆逐 シリーズ

「進撃の巨人」カテゴリの人気記事
「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場