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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

見えないナイフ

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  1. 1 : : 2017/11/03(金) 20:23:16
    っしゃぁ!ssのお時間です(´・ω・`)!どうも、ルカでございます(´・ω・`)

    今回は『秋のコトダ祭』に参加させていただきます(´・ω・`)

    それぞれ、各週でお題が変わることになってます(´・ω・`)!よろしくおねがいしますm(_ _)m


    1週目のお題は『ナイフ』でございます!


    それではスタートです(っ´ω`c)
  2. 2 : : 2017/11/03(金) 20:29:59
    シャッ……シャーッ……


     戦刃は希望が峰学園の校庭でナイフを研いでいた。


    シャッシャッ…………シャーッ……


     リズムの変わる研ぎ石とナイフがこすれる音が校庭に響いた。

     ある程度研ぎ終えると彼女はナイフをあげて刃先を見た。刃先には刃こぼれ一つなかった。そのナイフを見て彼女は小さく頷き……


    「うん……完璧……」


     と呟いた。彼女が二本目に手をかけたとき、そこに1人の少年がやってきた。

     彼は苗木誠。頭のアンテナヘアが特徴だ。ここには超高校級の幸運として入学し、この学舎で学んでいた。


    「あ、戦刃さん!何してるの?」

    「ナイフ研いでる……」

    「あの、見ててもいい?」

    「……うん」


     この短い会話の中で、戦刃は苗木と目を合わさなかった。それだけナイフを研ぐのに集中していたのだろう……
  3. 3 : : 2017/11/03(金) 20:34:20
     苗木は戦刃のとなりに腰をかけてその動きをじっと見ていた。二人の間にしばらく軽快な音が響いた。

    シャッシャッ……シャッシャッシャーー……

     ある程度その音を聞いたのち苗木が戦刃に話かけた。その間も校庭に音は鳴り響いた。


    「流石軍人だね……ナイフはよく使うの?」

    シャッシャッ……

    「……うん」

    シャーッ……

    「そうか……」

    シャッシャッシャッ……

    「どうしたの?」

    シャシャシャー……

    「いや、僕がナイフを使うのを想像していたんだけど、想像できないやって思って……」

    シャッ……


     戦刃の手が止まった。そして、戦刃は握っていたナイフを離し、前傾姿勢だった背筋を伸ばした。手は膝の上に置かれ目線はまえを向いていた。

     苗木は戦刃の手を見ていたが、彼女が手を止めると彼女の顔を見た。彼女の美しい肌に日の光があたっているのをみて少し目を細めた。
  4. 4 : : 2017/11/03(金) 20:43:39
    「苗木くんは見えないナイフって知ってる?」


     戦刃の突然の質問に苗木は首をかしげていた。


    「見えないナイフ?」

    「そう……」


     苗木は少し考えてみたがナイフは見えるものだと思い、戦刃に向けて首を横に振った。

     その様子を戦刃は横目で確認して話を続けた。


    「人間はね……1本のナイフを常に持ってるの……」

    「それが見えないナイフ?」

    「そう……その見えないナイフをどう使うかはその人次第……」

    「どういうこと?ナイフって人を傷つけるものじゃないの?」


     そういう苗木の質問を聞くと戦刃は苗木にナイフを渡した。


    「……苗木くん……今から私に本気で斬りかかってくれる?」

    「は!?む……ムリだよ!!そんなの!!」

    「大丈夫……私は怪我なんてしないから……」


     苗木の目は泳いでいた。それもそうだろう。いきなり人に本気でナイフを振れと言われて振れるわけもない。下手したら自分が死ぬかも……

     だけど、早くしろと言わんばかりにナイフを構えた戦刃が居た。

     戦刃は真剣な表情で苗木を見る。


    「安心して……私は怪我をしないし、あなたにも怪我をさせない……」


     苗木は少し混乱していたが、戦刃の問に答えないわけにはいかない……


    「(もう……どうにでもなれ!!)」


     苗木は大きく息を吸い込むと息を止め、思いっきり戦刃に突っ込み、戦刃にナイフを突き刺した……はずだった……

     苗木の渾身の突きを見た戦刃はナイフを振り払い軌道を変えた。すると、その勢いで苗木の持っていたナイフは弾かれた。
  5. 5 : : 2017/11/04(土) 11:00:00
     戦刃はすぐにナイフをしまい苗木の落としたナイフのもとへと歩いていった。一方の苗木は開いた口がふさがらなかった。戦刃の予言どおりに彼女に傷一つつけられなかったショックが大きかったからだ。

     戦刃はナイフを拾い上げ、苗木のほうを見て話を続けた。


    「苗木君は今、私を殺しにきていた。無意識のうちに出ていた殺気でわかったよ。だけど、私にはそれは通用しなかった。それは、私と苗木君でナイフの重みが違ったから」

    「ナイフの……重み?」

    「そう……苗木君は最初、ナイフは人を傷つけるものだといった。確かにそう……戦場ではナイフは基本その扱いなんだよ」


     戦刃の話を苗木は真剣な表情で聞いていた。苗木も戦刃も、お互いの目をしっかりみて話をしていた。戦刃がゆっくりと苗木に近づいた


    「そこで一つ質問……なんで、私の体には傷がついてないんだと思う?」

    「わからない……戦刃さんのナイフ術が素晴らしいから?」

    「違う!!」


     苗木の回答を聞いた戦刃は苗木に思いっきり顔を近づけてその答えを否定した。あまりに勢いよく顔を近づけられたので、苗木は思わずたじろいだ。しかし、それに気を留めず戦刃は、一言一言かみしめるように答えた。


    「『誰かを守るため』にナイフを振っているからだよ」

    「だれかを……守るため……」

    「そう……ただ、この答えを聞いたら矛盾してるんじゃと思うかもしれないけど、少なくとも私はそのためにナイフを振っている。盾子ちゃんや苗木君……みんなが生きている日常を守るために……」


     苗木は戦刃の話に納得していた。だが、ひとつ見えないものがあった。戦刃のいっていた見えないナイフの正体だ。
  6. 6 : : 2017/11/04(土) 11:01:18
     苗木は戦刃にその答えを訪ねた。すると戦刃は静かに微笑みこう答えた。


    「それは……言葉……私たちが発する言葉こそ見えないナイフなの……」

    「言葉……それが見えないナイフの正体……」


     苗木が驚きを隠せない中、戦刃は話を続ける。


    「例えば、苗木君が誰かに誹謗中傷を受けたらどう思う?」

    「それは……腹が立つ……と思う」

    「深く考えなくていいよ。当然の反応だから……」


     そういうと戦刃は近くにあったベンチに座った。苗木も隣に腰を掛けた。


    「苗木君の反応は間違えてない。私でも腹が立つ。ただ、それは人によって大小が違うの。同じ言葉でもただの切り傷みたいに感じる人もいれば致命傷に感じる人もいる。」

    「そう……かも……」

    「だからね……言葉は使い道を誤れば人を殺めてしまうの……」


     戦刃はそういうと天を仰いだ。苗木も同じように天を仰ぐ。空には大小の雲が我先にとゴールのない競争をしているところだった。


    「だけどね……言葉は人を傷つけるだけじゃないんだよ……その人を守ることができる。だから、自信を持って」


     そういうと戦刃はヒョイッと立ち上がるともともといた場所に戻り荷物をかたづけ帰り支度をしていた。


    「それじゃぁね……」


     戦刃はそういうと苗木に手を振り部屋へと戻った。その後姿はどこか寂しそうだった。

     残された苗木はその言葉の意味を考えながら自室へと戻った。まさか、その言葉の意味を痛感させられる出来事が起きるとはこのころ苗木自身は知る由もなかった。








  7. 7 : : 2017/11/04(土) 11:05:42
    以上になりますm(__)mこれから行われるコロシアイの前にこのようなやり取りがあればいいんじゃないかなと思い、書き始めました(^^)/

    今回のお題でもあるナイフは回収できたかなと思います(^◇^)


    まだ作品を投稿するのでとりあえずあとがきはこれぐらいに……

    僕以外にもたくさんのコトダ祭り作品が投稿されていく予定ですので、それらもぜひ読んでほしいと思います(´っ・ω・)っ

    それでは、また次回の作品でお会いしましょう(´っ・ω・)っ

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