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王馬「恋愛って戦争だよねー!」

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  1. 1 : : 2017/10/01(日) 10:43:53
    ・しばらくスレは建てないと言ったな、あれは嘘だ。
    ・このSSは『かぐや様は告らせたい』のネタを多分に含んでいます
    ・ネタの大元はリスペクトしていますが、話の展開はダンガンロンパ上であっても無理のないようにしますので、『かぐや様は告らせたい』を見たことがなくても見れる、と思います
    ・ダンガンロンパ、かぐや様は告らせたいのネタバレ注意
    ・最初はV3勢メインで書きますが、1・2とかでも書くと思います

    以上をご了承ください。
  2. 2 : : 2017/10/01(日) 10:44:40
    それはとある嘘つきの発言から始まった。


    王馬「恋愛って戦争だよねー!」

    最原「…え? い、いきなりどうしたの?」

    王馬「恋愛って恋とか愛とか謳っても、なんだかんだ言って、相手に好きって言った奴の負けだよねってこと。恋人って言っても明確な力関係があるし、尽くす側と尽くされる側…つまり勝者と敗者がいるわけ。相手に好きって思われて告白されたほうが勝者。わかる?」

    最原「言ってることはわかるけど、なんでそんなことを言い始めたのかがわからない」

    王馬「これから恋多き最原ちゃんのために恋愛とはなんたるかをレクチャーしようかなって思って!」

    最原「……王馬君は恋愛をしたことがあるの?」

    王馬「ないよ?」

    最原「何言ってんの? みたいな顔してるけど、僕がしたい顔だよ」

    王馬「まぁとにかく、いくら好きな相手でも自分のほうが下ってなるのは嫌だよね!」

    最原「そ、そう……」



    ちなみにこのやり取りは朝の食堂で行われたさりげないやり取りであるが……当然これを聞いてた者は多くいる。

    むしろ、王馬がこの会話を始めた直後から不自然に静かになったことからほとんどの者が聞いていたはずである。


    キーボ「…あ、あの、皆さんなぜ急に静かに…」

    春川「うるさい黙って」


    というやり取りもあったが、静かだったのである。


    ゴン太「……? みんな、何かあったの?」

    白銀「ゴン太君、コーヒー淹れてきてくれるかな?」

    ゴン太「うん! わかったよ!」


    静かだったのである!



    『相手に告白したほうが負け』

    王馬が言ったこの一言がなぜか彼らの心に深く刺さった。

    いつも嘘を吐く王馬の言葉がなぜこんなにも響いたかはその話題が恋愛関係だったからだろう。

    いつしか彼らは相手のことを思いつつ、自分に告白するように仕向ける…ということをしだした。

    こうして…後に『恋愛頭脳戦』と名付けられる彼らの戦いが始まるのであった。
  3. 3 : : 2017/10/01(日) 10:47:18
    赤松「はい、最原君。コーヒー」

    最原「ありがとう。どうしたの、急にコーヒーを淹れたいだなんて」

    赤松「ちょっと話したいことがあってさ」

    最原「赤松さんが話したいこと…うん。悩みがあるなら聞くよ」

    赤松「な、悩みとかじゃないんだけど……」

    赤松は昨晩手に入れた恋愛映画のチケットを思い出しながら、最原の顔を見る。

    赤松(くっ…相変わらずきょとんとして…)

    『告白したほうが負け』。

    つまり、相手に好意を伝えたほうが負けなのであるが、この場合それに準ずる行為、もしくは、連想させる行為も負けを意味する。

    もし、赤松が何も考えずに最原を映画に誘ったらどうなるか。




    最原「……赤松さんって僕とこういう映画をみたいって思うほど僕のこと好きだったんだね。かわいいところもあるんだね」



    なんてことになりかねない!


    赤松(そうなると私の負け……だから…ここは最原君に誘ってもらう…!)



    一方最原も思考を巡らせていた。


    最原(赤松さんがあの話題の映画のチケットを春川さん経由でもらっていることはリサーチ済み…。つまり、この相談事…というのは映画の誘い……)


    と、普段の最原なら思ったであろう。


    最原(だけど、そんな相手に『好きです』とモロに言うような愚かな行為を彼女がするか…いや、絶対にしない。彼女はそんなに馬鹿じゃない。ここは…何かある…)


    これらの思考、二人はどうでもいい雑談をしながら繰り広げていたが、それは打ち切られることになる。


    アンジー「あ、終一に楓だー。何してるのー? 何してるのー?」

    赤松「あ、アンジーさん。お話してるだけだよ」

    アンジー「ふーん。あ、二人が仲いいならちょうどいい神ったアイテムがあるよー?」

    じゃーん、とアンジーはポケットから何かを取り出した。


    最原(あ、あれは…! 映画のチケット(×2)! しかも、赤松さんがもらっていたもの……つまり、アンジーさんは…)


    赤松の友軍…!


    アンジー「仲がいい二人ならこの映画でも見に行ったらいいんじゃないかなー? どうかなー?」


    赤松がちらと最原を見る。


    赤松(さぁ、どうする最原君。こういうのって普通は男の子から誘うもの。私からは絶対に誘わないよ?)


    最原(くっ…ここで赤松さんに…



    最原「へぇ、チケット2枚あるんだね。せっかくだし、行こうか赤松さん」

    赤松「へぇ、私と一緒に行きたいんだね……。最原君もかわいいところがあるんだね」



    なんてことになりかねない! できることなら赤松さんの方から誘って欲しいけど……)


    二人はチケットを前に固まってしまう。

    赤松は誘い待ち。最原も誘い待ち。

    これがデッドロックである。



    アンジー「あれれー? 二人は一緒に行きたくないのかなー?」

    赤松「え、えっと…」

    最原「その…」

    アンジー「じゃあ、終一。アンジーと一緒に行こうよー!」



    赤松(な……何……!?)

    まさかの裏切り。

    友軍に背後から撃たれるかの如く、突然の裏切り。


    最原「え、えっと……」


    最原も戸惑う。

    最原は赤松がチケットを春川経由からもらっていることを知っている。

    故にこれが友軍(アンジー)の裏切りであることはわかっている。

    だからこそ戸惑う。

    どうするのが正解なのか…。


    赤松「……もん……」

    アンジー「んー? 楓、何か言ったかなー?」

    赤松「そ、その映画すっごく見たいから私と行こうよアンジーさん!?」

    アンジー「えー? いいのかなー? いいのかなー? でもアンジーはそれでもいいよー?」

    赤松「よ、よーし、予定空けておくね!」



    勝敗
    両者敗北



    アンジー「うーん、終一も楓もさっさと誘えるようにってー思ってーああいったのになー?」

    アンジー「アンジーに協力させておいてー? 何やってるのかなー? 楓ー?」

    赤松「う、うぅぅ…ご、ごめん……」


    その後、アンジーにネチネチと言われ続けた赤松であった。
  4. 4 : : 2017/10/01(日) 13:00:39
    春川「………」

    百田「おう、ハルマキ。何やってんだ?」

    春川「…前にも言ったけど、ハルマキ言うなし」

    百田「いいじゃねえか別に。んで、何やってんだ?」

    春川「別に…何も…」

    否、嘘である。

    ここ(いつものトレーニング場所)で待っていれば百田が話しかけてくれるかも、と期待していた。

    実際話しかけれたので、春川に尻尾でもあればブンブンと振られていただろう。

    そして、春川のポケットには映画のチケットが2枚ある。



    赤松に頼まれて購入したとき、春川も購入していたのだ。

    全ては目の前の百田(ばか)と一緒に行くために。



    百田「あー…にしても暇だ。ハルマキ、なんかねえか?」

    春川「……なら、ちょうどトランプがあるからババ抜きでもどう?」

    百田「おう、いいな。やろうぜ」

    春川「…せ、せっかくだし、罰ゲームでも付ける?」

    百田「罰ゲーム?」

    春川「勝者は敗者になんでも一つ命令ができる…とか」

    百田「な、なんでも?」

    春川「……今、エロいこと想像した」

    百田「し、してねえ!」

    春川「あくまで……可能なことと……紳士的なお願い事に限るよ」

    百田「そ、そうか。まぁいいぜ。暇だしな」

    こうしてババ抜きが始まった。




    勝負開始5分後。


    百田(ハルマキがあと3枚。オレがあと4枚かジョーカーはオレが持っているが……ハルマキのやつ、勝つ気あるのか?)

    ここまで春川は百田がした策略にことごとく…むしろわざとではないかというくらいジョーカーを引いている。

    例えば、ジョーカーのみを手札から突出させたり、わかりやすくジョーカーを左手側(春川から見て右手)に設置して、引かせやすいようにしたり…。

    結果今、百田の手にジョーカーは戻ってきているが、恐らく何かすれば、春川は再びジョーカーを引くのではないか。

    百田(……むしろ負けたがってる…? なんでだ?)
  5. 5 : : 2017/10/01(日) 13:00:50
    が、百田。春川の狙いに全く気づかず!

    むしろ、百田にとって王馬の発言などいつもどおり聞き流していた。

    だから、春川は純粋に暇でババ抜きを提案してきたと思っている…。


    春川(…やっぱり気づいてない。まっ、わかってたけど…)


    百田が引いてひと組揃い、春川も引いてひと組揃ったため、いよいよ勝負も佳境になってきた。


    春川1枚、百田2枚。

    本来なら春川はここでジョーカーを引きたくない。


    が、春川は赤松と練りに練った作戦がある。

    もし、春川が勝負に負けた後にチケットを落としたとする。

    百田『なんだこりゃ、映画のチケット?』

    春川『……別に。たまたま持ってただけだし。2枚あるけど……一人で見に行くし』

    百田『……ならよ。これ、一枚くれよ。んで一緒に見に行こうぜ!』

    春川『……それがお願いなら仕方ないね』


    と言った感じになる(はず)。


    この完璧な計画を前にさすがの百田も春川を映画に誘わざるを得ない!


    春川「あ……ジョーカー…」


    春川は狙い通り、ジョーカーを引けた。


    百田が本気で勝とうとしていることはわかっているし、単純なトラップで本来なら引っかからないものであろうと、この場合はわかりやすくて助かる。


    春川の狙い通りに事は進んでいた。


    百田「……ハルマキ、ついにオレが勝つときがきたみたいだが、何か言うことはあるか?」

    春川「…勝ってからいいなよ。そういうことは」

    百田「いいや、ここでジョーカーを引いちまうようじゃあ、テメーに勝目はねえ。オレの勝ちは決まったようなもんだぜ」

    そして、百田。引く。


    百田「って、何ィィィィ!! ジョーカーだとぉ!?」

    春川(なにやってんのこの馬鹿…!)

    十分に作戦を練ったこの状況でも百田の気まぐれ一つで瓦解する。

    春川にはそれが計算外…!


    春川「…ほら、早くしてよ」

    百田「お、おう。くっそー、今のオレが勝つ流れだったろ…」

    春川(またジョーカーを引かないと…)

    百田、懲りずにシャッフルした2枚のカードの1枚を突き出す。


    春川(こっちがジョーカーか)

    春川も何のためらいもなくその1枚を引いた。


    春川「え…?」

    百田「……だーッ! 負けちまった!」

    春川が引いたのはハートの3…。手持ちのスペードの3とで、上がりである。


    春川「な、なんで…」

    百田「なんでも何も、突き出したほうがジョーカーって思わせておいて、逆だってってのを狙っただけだぜ?」

    春川「………」

    百田「んじゃあ、なんでも一つ。オレにできること命令しろ! ボスだからたまには助手の願いも叶えてやらねえとな!」

    春川「………」


    春川は口元をパクパクさせてどうすればいいかわからなくなっていた。

    A案、B案…なんていう気の利いた腹案はない。

    そもそも素直に誘えるならこんな状況を作り出していないし…。



    春川(くっ…)

    ポケットのチケットを握りしめそうになるが、抑える。

    百田「……何もねえのか?」

    春川「えっと……」

    百田「今思いつかねえなら後でいいぜ! まっ、そこまでの無理難題は勘弁な! 次は終一の様子でも見に行くぜ」

    百田はそう言って去っていった。



    勝敗
    春川の負け(百田をコントロールできなかった)




    春川「……あいつのこと、舐めてたよ。今度はヤる」

    赤松「…何があったの…?」

    春川の殺気しか感じない視線にドン引きの赤松だった。
  6. 7 : : 2017/10/02(月) 20:23:17
    ところ変わって、食堂。

    最原は東条にお茶を淹れてもらい、ゆっくりと過ごしていた。

    東条「…あら、うっかり」

    最原「東条さん? 何か落とし……ハッ…!」

    東条「あら、私としたことが偶然手に入れたはいいけれど、行く暇がなくて持て余している今話題の恋愛映画のチケットを落として最原君に拾われてしまったわ」

    最原「と、東条さん…?」

    東条「私はもう忙しくて忙しくて行く暇がないから、最原君が偶然拾ってしまったことだし、最原君に献上するわ。楽しんできて」

    最原(この不自然なやり取りは一体…それにこれ…赤松さんが持っていたものじゃ…)


    東条「それはそうともう一枚あるのだけれど…あー、またついうっかり落としてしまったわー」


    ひらひらとチケットは地面に落ちて、それを…。

    赤松「あ、あー、ぐ、偶然チケットを拾っちゃったー…」

    赤松が拾った。


    最原(…なるほど。東条さんに協力してもらって、偶然を装って僕にチケットを渡し、そして自分もチケットを得る…)


    最原「…あ、あれ。赤松さん、この映画はアンジーさんと見に行くんじゃないの?」

    赤松「い、いや、アンジーさんは急用で行けなくなっちゃったんだってさー。い、いやー、私も見たかったからラッキーだなぁ…」

    最原「こ、公開日が指定されているし……も、もしかしたら偶然会うこともあるかもね…」

    赤松「そ、そうだね!」


    東条(…ふぅ、やれやれ……手間がかかるわね…)

    東条はため息をつきながら仕事の続きに取り掛かった。
  7. 11 : : 2017/10/05(木) 23:31:07
    最原と赤松の二人が握るチケット……その公開日になった…。



    赤松「え、えっと、ど、どうかな…?」

    赤松は入間が開発した無線機に向かって声を掛けた。

    白銀『バッチリだよ! 白いワンピースで清楚アピールしつつ、胸元を強調して女の子アピールもできて完璧!』

    東条『油断は禁物よ。さぁ、ランデブーポイント(東条命名)まで3…2…1…』



    赤松「あ……さ、最原君。奇遇だね!」

    最原「あ、赤松さん…き、奇遇だねぇ?」

    最原は声が裏返ってしまった。



    最原(くっ……なんだこの清楚系ヒロインが物語から飛び出してきたような子は……)

    最原の心臓は爆発しそうだった。

    最原「じ、時間ぴったりで場所も同じだなんて、も、もしかして待ち伏せでもしてた!?」


    赤松「えあ!? そ、そ、そんなわけないじゃない! 何言ってるの!?」

    東条『落ち着いて、赤松さん。キャラがぶれてるわ』


    最原「と、とりあえず入ろうか?」

    赤松「そ、そうだね」


    中は若干薄暗く、壁には映画のポスターが貼られている。


    赤松「わー…結構いい雰囲気…あ、こっちが入口…?」

    最原「あ、赤松さん。そっちじゃないよ」

    赤松「あ、そうなんだ…?」

    最原「僕たちが持ってるのは前売り券だから、あっちで入場券と交換してもらわないと」

    赤松「あ、あはは……見られる側には慣れてるけど、観る側は慣れてないから……」

    超高校級のピアニストである彼女は人前で演奏することはあっても、チケットを自ら購入して何かを見に行くことはない。

    仮に何か見に行きたい場合は、マネージャーや関係者からチケットが手に入ったりして、さらに入場が優遇されたりするため、尚の事こういった場には慣れていない。

    赤松(映画館って思ったより複雑なシステムなんだ…でも、ほかの人みたいに入場券に変えてもらえばいいだけなんだから…大丈夫だよね!)


    そして、最原の番になり、最原が受付に行く。


    最原「あ、あれ?」

    最原は後ろにいた赤松がその場から動かず、自分についてきていないことに気づいた。

    最原(赤松さん…? どうしたんだ。なんで動かない……。一緒にチケットを貰わなくていいのか…? ま…まさか…)

    最原、一つの可能性に気づく。
  8. 12 : : 2017/10/05(木) 23:31:59
    「はい。券の確認は取れましたので、座席をお選びください」

    赤松「……座席…?」

    「はい。いまですと真ん中の辺りが空いているので見やすいと思いますよ」

    赤松(……座席を指定するって……何…?)

    そういった概念に縁遠かったゆえの悲劇だった。




    最原(やっぱり…座席指定のこと知らなかったんだ。どうする……東条さんが気を使ってくれたのにここで無駄にするのは…)

    ここでどちらかが「あっちの人と隣り合うようにしてください」なんて言えればどんなに話は簡単だったか。

    だが、ここでそんなことを言ってしまえば、相手に気がある、もしくは告白しているも同然である。

    そんなことになってしまえば……。




    赤松『最原君ってそんなに私と映画みたいんだね。…かわいいなぁ』



    最原『赤松さん…僕のことをそんなに想ってくれてたんだね。かわいいところあるんだね』




    赤松・最原(ということになってしまう! それだけはダメ!)



    最原(どうする。僕たちはあくまで偶然ここに居合わせた身。ここで伝えようとしたらどうしても必死さがでてしまう…。どうにかして赤松さんの席を知るか…こちらから何とか伝えるか…)

    そこで最原、あるものが目に入る。

    最原「ここでお願いします」

    最原は入場券を手に入れ、素早く赤松のところに近づく。


    赤松「あ、最原君…。もう交換したんだ…」

    最原「うん。あそこにある映画のポスターが目に入ってね。すぐに決められたよ」

    赤松「……ポスター…?」


    そこには『ABCの進め方』という恋愛映画のポスターがあった。

    最初は意味がわからなかった赤松もすぐに気づいた。

    赤松(……なるほど。ABCのどれかで取った、ということ。そして、前側はほとんど埋まっていることからABは選択肢から消える。つまり、C席! そして、番号は……公開日が11月15日…。C11かC15…隣が空いているのは、C11! つまり私は…!)

    赤松「C12でお願いします!」




    ここで一つの悲しい勘違いがあった。

    最原は分かりやすいように『D13』というホラー映画のポスターを指さしたつもりだった。

    これでD13の席を取ったと意思表示をしたつもりで……。

    まさか赤松が見たポスターがその隣りのポスターであるとは思っていなかった。



    最原「……ポップコーン…食べる?」

    赤松「…ありがとう……」

    最原が後ろの一つずれた席から赤松にポップコーンを差し入れる。

    その時のポップコーンは普通以上に塩味が強めな気がした。



    結果
    両者敗北(コミュニケーション不足)



    東条「……どうしようもないわね」

    白銀「うーん、あの映画作画はいいけど、話は微妙だったなぁ」

    東条「……まぁいいわ。依頼は完遂したということにしましょう」

    二人はそのまま適当に買い物をして帰った。
  9. 13 : : 2017/10/06(金) 01:02:39
    【霧切響子誕生日特別編】

    霧切「……苗木君?」

    霧切が超高校級の探偵の研究教室に戻ってくると、超高校級の幸運であり、友人の苗木誠が机に突っ伏して寝ていた。

    ちなみに”まだ”友人である。

    霧切は苗木の瞳に手を当てて、「意外とまつげが長い…」ということを若干ドキドキしながら……


    全く考えてはいない。


    霧切「ふむ、眼球運動が確認できるわね。つまり、苗木君の眠りは浅い…」


    人が眠ったときの眠りの深さをレム睡眠とノンレム睡眠で分けて区別する。

    その区別の仕方は簡単で、眼球が動いているか否か。

    苗木は現在眼球運動が確認できることから浅い眠りであり、夢を見ていることが推察できた。

    大したことはできない。と霧切は少し落胆する。

    が、それはそれでできることはある。


    霧切「苗木君。こっちよ。ついてきなさい」


    夢への介入。

    聴覚より音の刺激を与え、苗木の夢に介入するという荒業…。


    苗木「う……ん……きり……ぎ……さん……」


    霧切(…うまくいっているようね…)


    さて、ここからどうするか。

    どうせ苗木に夢を見てもらっているのだ。

    普段はできない…してもらえないようなことでも夢の私は受け入れられる……


    霧切「…ほら、苗木君。私はここよ。手を伸ばせば届くわよ…」


    霧切「……私は…苗木君のことが……」



    ガチャ!



    朝日奈「なっえぎー! きりぎりちゃーん! いるー?」

    霧切「…あら、朝日奈さん。どうかしたの?」

    朝日奈「あ、霧切ちゃん! おいしいドーナツがあったからみんなと分かち合おうと思って探してたんだー!」

    霧切「そう…」

    朝日奈「…苗木は寝てるんだね。メモだけ残して、教室に行こう? 霧切ちゃん!」

    霧切「ええ…そうね…」

    簡単なメモを残して、二人は去っていった。







    苗木「……はぁ…朝日奈さん。タイミング悪いよ……まったく…」



    苗木「あとちょっとだったのに…」


    苗木誠。人畜無害な顔をしておきながら、彼もまた策士であった。
  10. 17 : : 2017/10/07(土) 17:50:23
    ~20の質問~

    赤松「…私たちが出会って結構経ったね」

    最原「どうしたの薮から棒に…でも、確かにそろそろ一年だね」

    赤松「…こうやって一年一緒に過ごしてきたし、そろそろお互いのこともわかってきたと思うんだよね」

    最原「最初の頃よりはわかってきただろうね。本当にどうしたの?」

    赤松「それで……ちょっとテストをしてみたいなって思ってね」

    最原「テスト……?」

    赤松「最原君が私のことをどれだけわかっているか……簡単なテストだよ。20の質問って知ってる?」

    最原「確か、思い浮かべた物を20回質問して特定するっていう遊びだよね」

    赤松「そう。そして、質問はYESかNOで答えられるものに限る…。いいかな?」

    最原「面白そうだし、やってみよっか」

    赤松「じゃあ、私が思い浮かべたものを当ててみてよ」

    赤松はあらかじめ思い浮かべたものを紙に書いて、それをテーブルの上に伏せた。


    最原「まず…それは触れられるもの?」

    赤松「YES。言葉や概念じゃないよ」

    最原「それは電化製品?」

    赤松「NO」

    最原「それは、温かいもの、もしくは、冷たいもの?」

    赤松「YES」

    最原(触れられるもので、電化製品ではなく、温かいものか冷たいもの……生き物や温度調節器具…に限られるな…。ただ、赤松さんのことをどれだけわかってきたか、をテストしているわけだから……)

    最原「それは今日赤松さんが触れたもの?」

    赤松「NO」

    最原「それは赤松さんが所持してるもの?」

    赤松「NO」

    最原「それは赤松さんの家にあるもの?」

    赤松「NO」

    最原(連続NO…。赤松さん関連のものであるなら、所有しているものかと思ったんだけど…)
  11. 18 : : 2017/10/07(土) 17:50:39
    最原「……それは赤松さんが好きなもの?」

    赤松「………はい…」

    最原(え!? 何その反応!? ちょっと照れてるような、はずがしがっているような……)

    赤松は少し顔を赤くしながらモジモジとしている。


    最原「えっと、それは…どういう意味での好きなの? 人間として? 友達として…」

    赤松「YESとNOで答えられないので無回答だよ」

    最原(しまった。慌てすぎて無駄打ちしてしまった…!

    慎重に行かなくては…と最原は自分を戒めた。


    最原「そ、それは……生き物?」

    赤松「………はい…」


    最原(……こ、これはまさか……僕!? い、いや、まだ結論には早い…! でもまさかひょっとしてもしかすると……)


    最原「そ、それは……黒くて……弱々しくて…目元が時々きりっとなるもの…?」

    赤松「…………」

    赤松は一度だけ小さく頷いた。



    最原(僕だ…! これは完全に僕! 弱々しいもので連想される自分が情けないけど! でも今までの条件に合致している! ま、まさか20の質問なんていう体を取っておいて…実は遠まわしな告白!?)

    最原は一気に自分の体温が上がっていることを自覚した。


    赤松「……そろそろ…わかっちゃったんじゃないかな…?」

    赤松は顔を赤くしながらチラチラと最原を見ている。


    最原(20も質問できていないけど……た、確かにここまででほとんど分かってしまっている……。どうする答えを言うか…)

    と、ここで最原一つのことに気づく。



    赤松がこんなにわかりやすく、告白と取られかねない行動を取るのか。

    答えはすぐに”否”と出る。


    最原(これは赤松さんの連想したもの…今回に限って言えば、好きなものを当てる遊び。僕から告白しているわけでもなく、当てれば遠まわしな告白に取られるかもしれないというこの状況で答えが僕になるのか……)

    仮に答えが最原でない場合……。




    赤松『ふふ…私は全然違うものを思い浮かべてたのに、最原君は自分のことだと思ったんだね…。それほど意識してくれてたんだ…。かわいいところもあるんだね』




    最原(となりかねない…。つまりこの20の質問……答えは……)





    最原「答えは犬…。正確に言うなら田中君のところについ最近来た漆黒の雷神ボルノ…」


    赤松「せいかーい……」


    赤松は不機嫌そうに紙を最原に紙を見せた後に、ゴミ箱へと紙を丸めて捨てた。




    テスト結果
    合格(赤松の狙いを見抜いた上、正解したため)




    赤松「………」

    春川「…理解されてて嬉しいけど、正解されてそれはそれで悔しい…っていう表情だね」

    赤松「……むー…!」

    春川「…はいはい。東条にお茶入れてもらおう」

    その後春川は赤松をなぐさめるために尽力することになる。




    田中「どうした漆黒の雷神よ…」

    漆黒の雷神ことボルノ「クゥーン…」

    田中「……どことなく誰かに似ているな…」
  12. 20 : : 2017/10/08(日) 13:51:01
    ~コスプレ編~


    白銀「唐突だけど、このネコミミを見てくれ。これをどう思う?」

    赤松「えっと…可愛いと思うよ?」

    白銀「違う! けど、いいよ! これを最原君と赤松さんにつけて欲しいんだ!」

    最原「この付けミミに何かあるの?」

    白銀「私のインスピレーションが言ってるの。二人にこれを付けたら面白いことになるって!」

    最原「そ、そう……でも、こんなの付けてもなにも……」

    白銀「まぁまぁ、やってみたら意外と楽しいから!」

    最原「うーん、どうする赤松さ…」





    赤松「にゃ、にゃあ……こ、こんな感じかな…?」




    白銀「おー、いいよいいよ! 似合ってるよ赤松さん! ね? 最原君!」

    最原「……うん。白銀さんは赤松さんの頃に僕はネコミミだね」

    白銀「え…?」

    最原「つまり、事件の発端は僕が赤松さんに白銀さんだよ」

    白銀「さ、最原君がエラー起こしてる……」



    相利共生。


    この世には組み合わせるべくして存在すると言ってもいいような組み合わせがある。

    このような組み合わせは互いのポテンシャルを最高に引き出す…!

    猫が嫌い、という人間は希少であり、最原も猫は嫌いではない。
    むしろ好きな方である。



    ここに赤松楓という純真巨乳美少女に猫という要素が組み合わさることで………





    最原(か、可愛いいいいいいいいいいいい!!!!!)


    奇跡的相性(マリアージュ)


    最原(ちょ、ダメダメダメ…ただでさえかわいいのにこんなの……ダメダアアアア!!!!)


    結果、最原。キマる。


    最原(ダメだ。このままじゃ顔がにやけて不審者一直線だ。ここは平常心…無表情を保たなくちゃ…)



    赤松「よくわかんないけど……似合ってるか…にゃん?」



    最原「ま、まぁいいんじゃないかな」

    最原(ぎゃああああああああああ!! かっわあああ!!)


    白銀「ふふーん。最原君もこれには骨抜き…顔こわっ!?」

    最原「え? 何が?」

    最原は顔に力が入りすぎて表情が険しくなっていた。



    赤松(…むー…あんまりいい反応しないなぁ…。やっぱり私にこんなの似合わないよね…)

    赤松は手鏡で自身を映しながら、やっぱりやめておけばよかった、とため息を吐いた。

    赤松はネコミミを手に持った。
  13. 21 : : 2017/10/08(日) 13:51:59

    赤松「私だけが付けてさらし者にするのはずるいよ。最原君も付けて?」

    最原「あ、ちょっと…」

    白銀「わー、最原君も似合ってるねー。いいよいいよー」

    最原「いや、僕にこんなの似合ってるわけが……」






    赤松(か、かかかかか、かっわわわわわわわわ!!!)


    奇跡的相性(マリアージュ)

    他者にとってはともかく、彼女にとって最原×ネコミミは最高の組み合わせだった。


    赤松(ま、待って。ダメ、そういうのダメ。いつもの3倍可愛く見える! ダメダメダメ…顔がにやける…!)


    最原「ん…? どうしたの赤松さん」


    赤松(にやけてるのがバレたら、可愛いなんて思ってるのがバレル…! こうなったら…!)


    赤松「…な、なんでもな……いたぃ…」

    最原「ちょ、ちょっと、口から血が…!」


    舌を噛んで誤魔化そうとしたが、それはそれで痛みに耐えきれずに赤松は涙目になっていた。


    白銀「あ、そうだ。せっかくだし写真撮らない?」


    赤松「え…えっと…」

    最原「い、いいんじゃないかな…?」

    最原、赤松双方、顔がにやけるのを堪えている状態である。

    そうするとどうなるか…。


    最原(…赤松さんに笑われている…? そんなにこの格好は滑稽ってことなのか…!?)

    赤松(最原君の表情が険しい……。そんなに見てられない姿ということ…!?)

    この思考からわかるとおり、二人はいつの間にか互いににらみ合ってるような状態になっていた。


    最原(くっ、誰がどう思うが今の赤松さんは最高にかわいい。どうなってるんだ。神は二物を与えたのか!)

    赤松(それにしてもなんて可愛いの……。だ、ダメ、またにやけちゃう…!)


    白銀「え、えっと……なんでメンチ切ってるの……? コスプレは喧嘩の道具じゃないんだよ! 喧嘩するならこれは没収だよ!」


    白銀が二人からネコミミを取り上げると……最原と赤松は鼻先数センチの位置まで互いの顔が近づいていたことに気づいた。


    ぱっと、二人同時に顔を逸らす。


    最原(な、何だろう。何かにとり憑かれていたような気分だ…)

    赤松(わ、私なんてことを……どうかしてた…)



    結果
    白銀の敗北(布教失敗)



    白銀「うーん、初心者だし簡単なコスプレってことでネコミミだったけど、別のもののほうがよかったかなぁ…。そうか、わかったよ! 今の二人の姿をあまり変えずにできるコスプレにすればいいんだ! 私頑張るよ!」


    へこたれない白銀だった。
  14. 23 : : 2017/10/10(火) 21:33:26
    ~お見舞い編~

    百田「あ? ハルマキが風邪?」

    東条「ええ。何でも、昨日の大雨の中、誰かを待っていたらしくって」

    百田「はぁ。何やってんだあいつ…」

    東条「それで、ぜひ百田君にお見舞いに行って欲しいのだけれど」

    百田「ああ。助手がピンチってんならボスが何とかするもんだよな! いいぜ」

    こうして、百田は春川のお見舞いに行くことになった。






    時間は少し巻き戻る。

    春川「はぁ…はぁ……」

    東条「…春川さん。大丈夫かしら」

    東条はメイドとして、友人として体調を崩した春川の看病に来ていたのだが……。


    春川「東条……」

    東条「何かしら? 何でも言ってちょうだい」

    春川「…絵本読んで…」

    東条「……あら。それが依頼であるなら」

    戸惑いはしたが、東条はすぐに対応した。

    東条(体調不良になって幼児退行するタイプだったのかしら? まぁいいわ。依頼されれば遂行するだけ)


    その後、幼児退行した春川は色々な依頼を春川にした。


    春川「もものゼリーが食べたい……」


    春川「手…ぎゅってして…」


    春川「花火しよ…」

    東条「それはダメよ」



    こんな感じに看病していた東条だが、ふと思いついた。


    百田を看病に来させられれば、仲が進展しない二人にとっていいきっかけになるかもしれない。


    春川は今甘え全開…。この機会を逃すわけにはいかない。


    東条「春川さん。大人しく寝ていてね」


    春川「………わかった」


    涙目で布団を深く被った春川にキュンとした東条だった。





    そして、冒頭に戻る。


    百田「ハルマキー。大丈夫かー?」

    百田が春川の部屋の扉を開けると、春川はクローゼットから服を大量に出して、並べていた。

    東条「…何をしているの?」

    春川「あ…東条……見つからないの……」

    東条「一体何を探しているの?」

    春川「はなび…」

    東条「そこに花火はないと思うわ」

    春川「東条もはなびする?」

    東条「しないわ。さ、ベッドで寝なさい」

    春川「うん………あれ?」

    春川がベッドに戻り視線をずらしたところでやっと百田を認識した。


    春川「ももただ! なんでももたがいるの?」

    百田「おう、オレはテメーのお見舞いに」

    春川「きょうからいっしょにすむの!?」

    百田「住まねえよ!?」

    超鈍感の百田でもさすがに春川がおかしいと気づいた。

    百田「東条、どうなってんだこれ…」

    東条「…推測になるけれど……ジークムントフロイト曰く、人間の行動は欲望と理性によって決定されるらしいわ」

    百田「…あ? いきなり何の話だ?」

    東条「最後まで聞いて。人間の本能は欲望を生み出し続け、理性がそれを抑える。しかし、何らかの原因で理性が失われてしまうと人は欲望のみで動く獣同然……」


    東条「つまり、アホになるのよ」


    百田「……なるほどな」


    百田はとりあえずわかったフリをした。

    東条「春川さんはあまり自分を出さない人だから、人よりも理性が強いのでしょう。だからこういった時に押さえつけてた欲望の反動が大きくてこうなってしまったと考えられるわ」


    百田「はぁー…そんなやつもいるんだな」


    東条「……さて、私はしばらく席を外すわね」


    百田「何か用事か?」


    東条「ええ。他にも依頼があるわ。……話は変わるけれど、私は3時間ほどは戻らないし、この部屋には誰も入ってこないわ。さらにこの部屋は完全防音で、春川さんもこの様子だと記憶が残るか怪しい。そんな状態だけれど、何かしてはいけないわよ? いいわね。絶対よ?」


    百田「何かってなんだ? 心配しなくってもハルマキはオレが面倒みてやるぜ!」


    東条「…じゃあ、頼んだわよ」


    東条は少し心配になりつつ、部屋を出て行った。
  15. 24 : : 2017/10/10(火) 21:35:47
    百田「…大丈夫かよ。ハルマキ」

    春川「うん……」

    百田「飲みモンいるか?」

    春川「…はなび?」

    百田(会話が通じねえ…)


    百田「…にしても、テメーも誰かを待ってて大雨の中待ってたんだって? 全くよ…テメーがぶっ倒れたら意味ねえだろ…。誰を待ってたんだ?」


    春川「……わかんない。なにをいってるかわかんない…」


    百田「………」


    春川「…だけど……わたし……しらないから……どうすればいいかなんて…やりかたをしらないから……だから……」


    百田「……物事の確実なやり方なんて誰もわかんねえよ。100%ってのやり方ってのはありえねえ。正解は一つでもそれに至る道ってのはたくさんあるはずだ。…だから、テメーが考えて導き出したやり方も、きっと…間違ってねえ」


    春川「………?」


    百田(…らしくねえこと言っちまったな)


    春川「……そっか……じゃあ……ももた…」


    百田「なんだ?」


    春川「いっしょにねよ…?」


    百田「おう……あ? いや、それは…」


    春川「はずかしいの…?」


    百田「恥ずかしいとかってより、後々痛い目に遭う気がするんだが…」


    春川「ももたもはずがしがるんだね……かわいい……」



    春川はガバッと百田の頭を抱え込むとベッドへ倒した。



    春川「へへ…あたたかい…」


    百田「…はぁ。寝るまで一緒にいてやる。だから、安心して眠れ」


    春川「うん……」



    しばらくして春川が寝息を立て始める。



    百田「……ん…」


    百田(やべ……オレも……)


    春川の気持ちよさそうな寝顔に誘われてか、いつの間にか百田も眠りに落ちていた。






    2時間後。



    春川「………ん……」

    目覚めた春川は一度伸びをして、少しだるさを感じつつも回復していることを確認した。

    春川「はぁ…喉渇いた…………え…?」


    そして、気づく。


    ベッドの違和感……。


    自分の隣りに眠っている存在がいることを…。


    春川「きゃ、きゃああああああ!!??」

    百田「うぐぉ!? な、なんだぁ!?」


    春川に蹴り飛ばされてベッドから落ちた百田もさすがに目を覚ました。

    春川「あ、あ、あ、あ、アンタ! な、なんで私のベッドに!?」


    百田「ん? お、おお、ハルマキ。元気になったのか」


    春川「それはいい! なんで私のベッドにアンタがいるのかって聞いてんの…!」


    百田「なんでって…テメーが一緒に寝ようって誘ってきたからだが…」


    春川「……そんなことするわけないでしょ?」


    百田「事実だ!?」


    春川「……と、とにかく出て行って!」


    春川に部屋を追い出された百田はハルマキ、寝起きで機嫌悪かったのか? と思いながら自分の部屋へと戻っていった。







    東条「…あら。おはよう」

    春川「…と、東条……」

    東条「百田君と何か進展はあったかしら?」

    春川「……あの…私…一体なにを…」

    東条「一応、調べるわね」


    東条がベッドを調べるが、特に何か(・・)したという痕跡はなかった。


    東条「大丈夫よ春川さん。なにもされていないわ」

    春川「………」

    喜んでいいやら悲しんだらいいやら…複雑な春川だった。
  16. 25 : : 2017/10/14(土) 11:35:36
    ~恋愛相談編~


    最原「恋愛相談…?」

    日向「……ああ。頼む」

    最原「それは一向に構わないけど……なんで僕? それに…」

    桑田「恋愛相談なー。オレってば経験豊富っすからその選択は正しいぜ! どーんと来い!」

    最原「……僕必要かな?」

    日向「いや、百戦錬磨の桑田と日頃から純愛をしている最原なら力になってくれると思ったんだ」

    最原「何その印象…」

    桑田「んでよ。何に悩んでんだ? 確か日向って七海ちゃんと付き合ってたよな?」

    日向「……ああ、そうだ。……まぁその七海のことなんだが…」


    最原(実はうまくいってないのかな…?)


    日向「まぁその……まぁまぁ上手くやってるんだよ。俺たち」


    桑田「……なぁ、こいつ悩み相談とか言いながら自慢しに来ただけじゃね?」

    最原「お、落ち着いて。未来への不安っていうのは誰しもが持つものだし、真剣に聞いてあげようよ」



    日向「……だけど…不安なんだ…この先……」

    桑田「何がだ? まさかこの先どうなっていくのかが不安、なんて言うんじゃねえだろうな」

    日向「…確かにそれが不安だ……。……今、これだけイチャイチャラブラブしてる状況でこれから先どうなるんだって……不安なんだ…!」



    桑田「やっぱり自慢しに来てんじゃねえか」

    最原「落ち着いて桑田君! そのトイレットペーパーで何をする気!?」




    最原「……そ、それで? 次のステップに行くにはどうしたらいいか、とかそういう話?」

    日向「えっと…そう、なのかな?」



    桑田「……傷が浅いうちにここで仕留めるか?」

    最原「だから落ち着いて! そのトイレットペーパーで何をする気なの!?」

    桑田「つーか、こいつら次のステップもなにもねえんじゃねえか!? もう行くところまで行ってんじゃねえ!?」 

    最原「いや、二人は付き合って4ヶ月くらいのはず……まだそこまで…」

    桑田「いや、あれはもうアンジーちゃんの言葉を借りるなら……神ってるぜ!」

    最原「いやいや、まだ神ってないないない……」


    恋のABC。

    一般に恋人たちがCに至るには成人が1ヶ月、高校生くらいの年代だと3ヶ月半から半年と言われている。

    つまり、日向と七海がそうなっている可能性は十分ある。


    日向「最原もここ最近赤松といい感じじゃないか? 遊びに行ったりとかしてるんじゃないか?」

    最原「……い、いや…一度映画に行ったくらいだけど…」

    日向「え…? あ……? ごめん…俺だけ上手くいってて…」



    桑田「落ち着け最原。そのトイレットペーパーで何をする気だ」



    コンコン……と、ノックの音が響いた。

    記載していなかったが、ここは超高校級の相談窓口、日向の研究教室だ。

    相談窓口が自分のテリトリーで相談を受けるというよくわからない状況であるが、最原と桑田は気にしていなかった。



    七海「日向くーん……あ、最原君と桑田君…オッスオッス」

    七海は相変わらず少し眠たげなトロンとした眼差しに男子高校生にとっては凶器にしかならないものを揺らしながら相談室に入ってきた



    桑田「エッッッロ!!」

    最原「ちょっと、違う。そういう目で見るからそう見えるんだよ…!」



    日向「七海、どうしたんだ?」

    七海「うーん。特に用事があったわけじゃないんだけど……何となく…かな?」

    日向「そうか…」

    言葉は少ないが、日向と七海の二人の間に確かに信頼関係が結ばれていることを二人は感じ取った。



    桑田「おいぃぃぃぃ! これでこの先不安とか言ってやがんのか!? 処分するか!?」

    最原「だから、そのトイレットペーパーでどう処分するのさ!?」

    桑田「……この様子ならやっぱり神ってる可能性高いんじゃねえか?」

    最原「いや、あの二人はまだそこまで……」

    桑田「だったら、確かめてみようぜ」

    最原「確かめる?」
  17. 26 : : 2017/10/14(土) 11:35:47
    桑田「あー…日向。七海ちゃんも来たし、ちょっと考えたいこともあっから外に出るわ。また、後で戻ってくる」

    日向「ああ。そうか。わかった。」

    そう言って桑田と最原は部屋を出ていった。



    最原「で、どういうことなの?」

    桑田「まだわかんねえのか。高校生で恋人が密室に二人きりになんかしたらなぁ……アホな行動取るもんなんだよ!」

    桑田「見てろよ……」




    赤松「……何してるの?」

    舞園「…あの、通して欲しいんですが」

    最原「いや、い、今は…ダメ…!」

    舞園「何してるんですか?」

    桑田「日向と七海ちゃんが神ってるから調べてんだ」

    舞園「え!? あの二人そこまで!?」

    最原(なんで伝わった…!)


    赤松「え? え? どういうこと?」

    舞園「えっと…つまりですね…」

    舞園がゴニョゴニョっと説明して赤松も顔を赤くしながら理解した。



    桑田「あ! いきなり膝枕! 日向が七海ちゃんに膝枕してる!これは神ってるだろ!」

    最原「い、いや、膝枕くらい2回目くらいのデートでするでしょ!」

    赤松(2回目のデートでするんだ…)


    舞園「あ、あ! 膝枕しながら恋人つなぎ! こ、これは…!?」

    最原「いや、これくらい3回目のデートでする…!」

    赤松(3、3回目で…)



    桑田「あ、七海ちゃんが日向の首筋にキスしたぞ! そのまま抱き合ってる! こ、これは神ってるだろ!」

    最原「い、いやこれは4回目のデートでするよ!」

    桑田「じゃあ何回目でヤルんだよ!」

    最原「5回目だよ!」



    赤松、脳が処理を追いつかず……


    赤松「……」キュー


    気絶!


    舞園「わ、あ、赤松さん!?」

    最原「ど、どうした……」



    七海「…あー…やりすぎちゃったね」

    最原「!? な、七海さん…?」

    七海「みんなが見てるのわかったからちょっとイタズラしちゃったんだけど……赤松さんには刺激が強かったみたいだね」

    七海「……みんなが考えてるようなことはまだしてないから……」

    最原「そ、そう……」

    七海「安心していい……と思うよ?」


    最原(どっちなんだ…?)


    結局真相は謎のまま。



    結果
    七海の勝利(イタズラ成功)



    ※七海→音ゲー・DDR的なゲーム
     舞園→ダンス・音楽
     赤松→音楽関係
    で仲良くなった、ということで

    ※あと1話分お気に入りのお話を書いたらこのスレは閉じます
  18. 27 : : 2017/10/15(日) 23:30:27
    ~褒め殺し合い~

    客観性。

    意味としては、だれもがそうだと納得できる、そのものの性質。

    つまり、第三者から見たときの物事の印象である。

    しかし、往々にして「自分で思う自己」と、「他人から見た自己」は大きな隔たりがあるという。

    彼らにとって真剣でも、他人から見たらどう見えるか……。

    今回は白銀の視点でそれを見てみよう。





    私は超高校級のコスプレイヤー、白銀つむぎ!

    その称号通り、毎日如何に再現性高くコスプレをするかを考えてるオタクだよ。

    そんな私だけど、意外と友達はいる。



    白銀「あ。最原君だ」

    超高校級の探偵、最原終一。

    彼は気が弱いこと、雰囲気が暗いことから普通の人は避けがちだけど、私は最原君がとてもいい人だと知ってる。

    そして、笑うと結構可愛いことも…。

    あぁ、あのキャラのコスプレをしてにこって笑ってほしい……。



    最原「あ、赤松さん」

    赤松「最原君! どうしたの?」

    超高校級のピアニスト。赤松楓。

    理想の女性を体現したような明るく巨乳で社交性があって笑顔が可愛くて巨乳な女の子。

    彼女がいるせいで、普通サイズである女の子も貧乳扱いされているといっても過言ではない。



    私はそんな彼らと友人の立場であるが……傍から見ていてなぜ彼女たちが付き合っていないのかが不思議なくらい仲がいい。


    まさか、前王馬君が言っていた告白したほうが負け、なんてことを実践しているわけがないし、本当にただの友達同士なのかな?


    …いいね。そういう男女の友情。

    本能から劣情に負けそうになるけど、友情を優先したい気持ちもあって葛藤する……いいね!



    最原「白銀さん? どうしたの?」

    白銀「あ。最原君に赤松さん。ちょっと今度イベントで使うイベントのポスターについて相談に乗ってくれないかな?」

    とっさのフォローも出来る女だよ私は。


    赤松「うん! いいよ!」

    最原「じゃあ、教室でやろうか」


    教室に移動した私たちはポスターを見ながら、雑談をする。


    白銀「そういえば、犬と猫ならどっちが好き?」

    ふと、ポスターの隅っこに書いてある犬と猫のイラストが目に付いた。

    雑談のネタとして、犬がいいか、猫がいいか、なんてものはよっぽどのこだわりがない限り両方かわいい、という結論に落ち着く。

    が、この時は違った。
  19. 28 : : 2017/10/15(日) 23:30:53
    最原「犬」

    赤松「猫」

    あらら。割れた。二人ともどっちかというと逆なイメージなんだけど…。

    最原君は猫、赤松さんは犬という印象を持っていただけに今回の二人の回答は意外だった。


    最原「はぁ…わかってないよ赤松さん。犬は心根が真っ直ぐで見返りを求めずに、相手に愛情を注げる尊い生き物だよ! そこが可愛いし、愛おしいじゃないか!」

    赤松「それは違うよ! 猫の方が可愛い! 一見冷たくいっつもツンツンしてるように見えるけどね……それはただ少し臆病で恥ずがしがり屋なだけなんだよ! それがとっても可愛いんだよ!」


    最原「パッチリとした目になでたくなるような毛並み! 犬の方が可愛い!」

    赤松「きりっとした黒目にスラっとした華奢なライン! 猫よりかわいいものはないよ!」





    白銀「………」


    あれ…何だろう…この…違和感は……。


    二人は…猫と犬の話をしてるんだよね…?


    断じて…お互いの好きなところを言い合ってるわけじゃないよね…?


    最原「犬は優しくて困ってる人を放っておけないんだよ!」

    赤松「猫は賢くて孤高で、一種の美しさを持つ存在なんだよ! 猫より素敵な生き物はいない! こればっかりは譲れないからね!」

    最原「…そ、そこまで……いいかい、赤松さん。一度しか言わないからよく聞いてよ…」

    赤松「な、何……」




    最原「僕は他の何者でもなく赤松(ねこ)を愛してる!」



    赤松「わ、私も…ほかの誰よりも…最原君(いぬ)を愛してるよ!」





    あああああ、どう聞いても互いに愛してると告白し合ってるようにしか聞こえないィィィィ!!!


    最原「ねぇ、白銀さん!?」


    赤松「どっちがかわいいいと思う!?」


    白銀「え…えっと……どっちも可愛い…よ」


    最原「どっちもだなんて!」


    赤松「答えになってないよ!」


    もう勘弁して……。



    結果

    白銀、惨敗(目の前でイチャイチャを魅せられ血の涙を流す)



    白銀「…はぁ……」

    ゴン太「白銀さん! ため息なんてどうかしたの?」

    白銀「…ゴン太君…何も言わずにこれを着て紅茶を入れてくれる…?」

    ゴン太「うん! わかったよ!」




    ゴン太「はい、どうぞ。お嬢様」

    白銀「あぁ…執事服ゴン太君尊い……」


    存分に癒された白銀だった。
  20. 29 : : 2017/10/15(日) 23:35:58
    あとがき的な。

    ひっそりと終わっておきます。
    かぐや様のネタをダンロンでやる必要がなぜあったのかと言われると、組み合わせたら面白そう、というのもあったんですが、これをきっかけにかぐや様を見たよー!という人が増えたらいいなーと。

    かぐや様の本筋のネタをつぶさないようにダンロンキャラを活躍させるのは思ったより大変でしたが、何とか形にはなってるかと思います。

    こんな感じの話がかぐや様は告らせたいの本編では見られる(はず
    ので、気になった方はぜひ見てみてください。

    では、また別の作品等で出会う日までさらば!
  21. 30 : : 2017/10/16(月) 17:23:42
    かぐやさま好きだから楽しかったー
    また、気が向いたらよろしくお願いいたします!
  22. 31 : : 2020/10/26(月) 15:02:42
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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