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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

『廃病院』

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  1. 1 : : 2015/03/30(月) 20:28:33
    春のコトダ祭特別企画と言うことでホラーモノです!

    ホラーをうまく書けるか分かりませんが頑張りたいと思います!
  2. 2 : : 2015/04/02(木) 22:06:26
    ─夕方─

    苗木「舞園さん! 早く帰ろ!」

    舞園「あっ 待ってください! 苗木くん!」

    不二咲「…………」

    ─1週間前─

    苗木「えぇ… 宿舎が?」

    舞園「はい… なんでも防災のための大規模な改修みたいで…」

    苗木「その間 ボクたちは?」

    舞園「旧宿舎に泊まるみたいです。希望ヶ峰学園の元宿舎みたいですが…」

    桑田「あのぼろっちい宿舎のことだろ?一応、掃除はしてあるみて~だけどよ…」

    桑田「『出る』らしいぜ。」

    舞園「で…出る?」

    桑田「あぁ。なんでもあそこは元々小さな病院だったらしくて…」

    苗木「やめようよ! 桑田くん!」
  3. 3 : : 2015/04/05(日) 19:47:03
    桑田「なんだよ?ビビってんのか? 苗木」

    苗木「そ…そんなこと…!」

    舞園「桑田くん?当分黙っててくださいね?」

    桑田「アポォ…」


    ─現在─

    苗木「ついたね。」

    舞園「えぇ。」

    少し町から外れた希望ヶ峰学園旧宿舎。

    「元」病院。

    苗木「みんなー? いないの?」

    舞園「静かですね。」

    空はまるで、塗りつぶしたみたいな橙色の空が広がっていた。

    不二咲「苗木…くん?」

    苗木「不二咲さん?」

    不二咲「みんな… まだ帰って来てないの?」

    苗木「そうなんだ… たった今帰ってきたんだけどやけに静かで…」

    不二咲「…………」

    不二咲(今日も舞園さんと一緒なんだ…。)
  4. 4 : : 2015/04/13(月) 01:43:14
    不二咲「なんだか暗いね…」

    苗木「もうじき日が暮れるし…北側にしか窓がないからね…」

    舞園「じゃあ電気つけましょうか。」

    舞園「んしょっと…」

    舞園さんは薄暗い部屋の中を手探りでスイッチを押した。

    しかし…

    苗木「あれ…?」

    不二咲「点かないね…」

    舞園「電球が切れてるんでしょうか…?」

    苗木「じゃあ…どこかに電球を買いに…」

    不二咲「でも…一番近くのコンビ二でもここから二時間はかかっちゃうよ…?」

    舞園「そうですね…わたしたちを送ってきた送迎バスももういませんし…」

    苗木「じゃあ…換わりにロウソクでも立てておこうか…」

    舞園「それしかありませんね…」

    暗くてほとんど視界が効かないなか、ようやく1本のロウソクを見つけ出した。

    そして、そのころにはすでに太陽は山の向こうに隠れ、空は赤紫色にそまっていた。

    不気味なほど綺麗に…
  5. 5 : : 2015/04/15(水) 16:32:50
    しばらく無言の時間が流れた。


    ロウソクの小さな炎が頼りなさげに揺れていた。

    苗木「なんだか…静かだね。すごく…」

    不二咲「そうだね…」

    舞園「桑田くんはミュージシャンのライブ… 大和田くんはチームと流してるみたいですし……

    他には…」

    苗木「今夜はボクたちしか居ないってことか…」


    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・。


    苗木「な…なんか…テレビでもつけようか。」

    特に見たい番組があったワケではない。

    ただ。耐えられなかったのだ。ロウソクだけが頼りのこの暗闇の中での静寂が。


    苗木「っと…」ポチ

    しかし、テレビにはアイドルも芸能人も悪者を蹴散らすヒーローも映らない。

    苗木「あれ…?」

    ただ、灰色の砂嵐がざぁざぁいっているだけだった。

    苗木「あれ? おかしいな… なんで??」

    舞園「おかしいですね… 昨日はここでみんなでテレビ見てたのに…」

    不二咲「アンテナのコードが抜けてるのかも…」

    苗木「コードか… どれ?」

    ホコリだらけのテレビの裏に手を伸ばした。

    その時。


    ガンッ! ガリガリガリガリッ!!

    苗木「うわ!」

    舞園「きゃあ!」

    不二咲「ひゅぁああ!?」

    苗木「なんだろう今の… 天井からだけど…」


    ガシャン!!


    舞園・不二咲「キャアアッ!!」

    ガァーーッ!! ガァーーッ!!

    苗木「か…カラス?」

    舞園「ふ…不吉ですね…」

    不二咲「それより… 今、落ちたのなんだったんだろう…?」

    苗木「ボクが見てくるよ。」

    庭先の窓を開けると…

    苗木「あ…アンテナだ…!」

    テレビアンテナが足元からポッキリ折れ、庭先に寝そべっていた。
  6. 6 : : 2015/05/10(日) 23:42:00
    う、わぁぁぁぁぁぁ!
  7. 7 : : 2015/06/28(日) 20:14:01
    期待です!(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
  8. 8 : : 2015/08/09(日) 23:01:12
    舞園「これでテレビもナシ… ですか。」

    苗木「そ…そうだね…。」

    不二咲「これじゃあお風呂にも入れないね…」

    苗木「仕方ない…今夜はロウソクでしのぐしかないよ」

    ロウソクの心許ない灯りの中、夕食会となった。


    なんとかガスが使えた事が幸いだった。レトルトのカレーを手早く調理して食べる事になった。




    苗木「今日はこれ食べて早く寝よう。」

    不二咲「そうだね…」

    舞園「明日が休日で助かりましたね…」

    苗木「うん。あと、廊下も暗いから気を付けて…」



    そして、始まろうとしていた。

    彼ら3人の長い長い夜が。




    ー苗木家ー

    こまる「さーて ご飯も終わったことだし。お風呂屋お風呂~」

    こまる「あっ! そうだった… お兄ちゃんに届け物があるのすっかり忘れてた…」

    こまる「うーん… ちょっと遅いけど…まぁ、大丈夫だよね。」

    こまる(いざとなったらお兄ちゃんの部屋に泊めてもらえばいいや。)


    彼女は何も知らずに「廃病院」へと足を伸ばした。

  9. 9 : : 2015/08/10(月) 03:16:29


    ~夜~

    苗木「…………」

    苗木(眠れない…)



    弱い風がカタカタと古くさい窓を叩く。


    苗木(ボクが泊まってる部屋も病室だったらしいけど…)


    トントントン

    扉をノックする音が聞こえた。


    苗木「!!」

    なぜか身を縮めてしまった。

    苗木「はーい……」

    こまる「あ、お兄ちゃ~ん」
  10. 10 : : 2015/08/10(月) 03:43:59
    苗木「こまる!? なんでこんな所に!?」

    こまる「お母さんから差し入れだよ!」

    苗木「あぁ…いつもありがとう。」

    苗木「それはいいけど帰りはどうするんだよ?」

    こまる「今日はお兄ちゃんの部屋に泊まるよ!」

    苗木「えぇ…」

    こまる「それよりなんでこここんなに暗いの? もう、ここに来るだけで何回つまずいたか…」

    苗木「ちょっとよく分からないけど電気が復旧しないんだ…」

    こまる「そうなんだ…ま、上がるね~お兄ちゃん」

    苗木「あ、こら!」



    廊下の向こうから慌てて駆けてくる音が響く。


    すると……

    不二咲「はぁ…はぁ…はぁ…」

    苗木「不二咲さん!?」

    血相を変え、パジャマ姿のままの彼女が飛び出してきた。

    苗木「不二咲さん どうしたの!?」

    不二咲「あ…あぁ…あわ…」


    パニックに陥り、言葉も支離滅裂。

    苗木「落ち着いて! 何があったの!?」


    不二咲「だ…誰か……いる…」

    苗木「誰か……?」



    不二咲「この建物のどこかにボクたち以外の『何か』がいるんだよぉおっ!!」




  11. 11 : : 2015/08/10(月) 04:04:58
    苗木「え?」

    こまる「そ…それって…わたしじゃなくて?」

    不二咲「ち…ちがうよ…… だって…あ…あれは……」


    不二咲「人間じゃないもん!!」

    こまる「え…ちょ…ちょっと…なんなの?」

    苗木「とにかく…落ち着いて。ね?」

    不二咲「怖い…」


    不二咲「だって… ここって元は病院だったし…それに…それに………」


    不二咲「その人影は4cmぐらいの隙間からボクを睨み付けてたんだよ!!!」

    不二咲「目をギョロギョロさせてこっちを睨んできて…」





    彼女はその場に泣き崩れた。

    よほど、恐ろしい物を見たらしい。



    不二咲「こわい………」


    不二咲「苗木くん… 」

    不二咲「お願い……側を離れないで………!」
  12. 12 : : 2015/08/10(月) 20:20:45
    苗木(やっぱりここって…)

    不二咲「……」ガタガタ

    こまる「何が…起こってるの…?」

    苗木「あれ? そういえば舞園さんは?」



    ~舞園の個室~

    苗木「い…いない…!」

    もぬけの殻。 まさにその言葉通りの状態。


    不二咲「殺される………」

    不二咲「ボクたち… 殺される………!」

    苗木「とにかく…舞園さんを探そう!」



    寮のあちこちを探し回るが…



    影すら見当たらない。

    こまる「どうしよう… トイレにもいなかったよ…」

    苗木「もしかして…外に出たんじゃ…」

    苗木「玄関を調べてみよう。」


    3人で玄関の前に集まり、玄関のドアノブに手をかけた。





    ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ!!




    苗木「あれ?」

    苗木「開かない…! なんで…」


    すると、突然手応えがなくなった。



    こまる「ウソでしょ…」

    ドアノブが抜け落ちた。

    苗木「ご……ゴメン…」

    不二咲は相変わらず怯えている。
  13. 13 : : 2015/08/10(月) 20:43:53
    苗木「もう一度探そう…!」

    来た道を引き返し、もう一度、彼女を探すことを試みる。


    こまる「な…何これ…!」

    苗木「ひ…ッ!」

    不二咲「イヤァアアアアアアアアアアッ!!」

    床面、壁にまで伸びる足。足足足足足足足足。

    赤黒い足跡と何かを引きずったような跡がそこに残されていた。

    苗木「なんなんだよコレは…!」



    そして、奥でモゾモゾと蠢く

    「影」がひとつ、ふたつ


    いや、数えられないほど。


    輪郭を留めないぐねぐねとした影がいるだけであった。

    苗木「ボク…わ…悪い夢でも見てるのかな…?」

    こまる「あ…あり得ないよ…こんな夢…!」

    苗木「ま…舞園さんはどこへ…!」



    流石にもう、認めざるを得ないかもしれない。





    此処には得体の知れぬ「何か」が住み着いていると。
  14. 14 : : 2015/08/10(月) 22:01:51

    苗木「舞園さん! 舞園さぁん!」


    「アガガガ………」

    「ギギギギィ…」


    影はユラユラと蠢く。

    苗木「こまるは不二咲さんといて。」


    苗木「舞園さん! どこ!!」


    人「のような」影を振り分け、奥へと進む。




    「にく…いぃ………」

    「カオ……ぎれ…いな… 」



    とうとう、この世から抜け出してしまった…

    そんな気さえした。


    苗木「クソッ!」

    ぬらぬらと影がまとわりついてくる。



    影の集団の中に彼女を見つけ出した。

    彼女は手術台の上で静かに、仰向けで寝ていた。


    苗木「舞園さん!」









    一方……

    こまる「不二咲さん…? 大丈夫 だから…」

    不二咲「だ…だって……あんな…」


    こまるは不二咲の背中を撫でた。

    こまる(お兄ちゃん…早く帰ってきて…!)


    ヒタ…

    ヒタ…




    何かが此方へ近づいてくる。



    こまる「だ…だれ…? お兄ちゃん?」
  15. 15 : : 2015/08/10(月) 22:27:50
    こまる「ね…ねぇ…! 答えてよ! お兄ちゃんなの?」



    足音はじょじょに近づいてくる。


    薄暗闇の向こうから現れたのは…





    こまる「イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

    不二咲「キャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


    顔が「ぐちゃぐちゃ」になった女のようなものであった。


    「カオ… カオ………キレイな……………」



    うわ言のような事を並べて「女」は忍び寄る。

  16. 16 : : 2015/08/10(月) 22:39:54




    その頃、苗木は。


    苗木「うぅっ! クソッ!! 寄るな!!」

    ぬらぬらと揺れる影を振り切り、手術台に横たわる彼女の元へたどり着いた。



    「 キエロ!! キエロォオオオオ!!!! 」

    「邪魔ダ!!」





    聞こえるはずのない幻聴が次々と聞こえてくる。

    苗木「舞園さん! しっかり!!」

    しかし、深い眠りについたかのように、返事すらしない。


    苗木「あぁ、もう!!」

    苗木は彼女を担いで走り出した。



    途端に背後からは怒号が響く。


    「カエセ……! カエセ!!!!」

    「オレノ…」


    「ワタシのカオォオオオオ!!!!」


    苗木「もう、なんなんだよ……!! ワケわかんないよ!!」


    とにかく、影を振り切りって走る。






    手術室を飛びだし、廊下を駆けずり、ただ、ただ、逃げた。



    舞園「ん…んぅ…」

    舞園「な…苗木くん?」

    苗木「舞園さん……!よかった…」

    舞園「わたし…一体ここで…っ! 」



    彼女は絶句した。当たり前だ。 もはやこの世にいるという確信すらもてない。


    舞園「な…なに…!? これ………!」


  17. 17 : : 2015/08/10(月) 23:17:14
    「カオ…カオヲカエセ!!!!」

    先ほどから酷く血生臭い臭いが鼻腔を突く。


    舞園「一体…なにがこんな……」

    苗木「下手するともう、二度と帰れないかも…」


    苗木「とにかく今はこまると合流しよう。」













    その頃、こまるは。

    不二咲「い…いや………来ないで…」

    こまる「あ…あぁ…ああぁ」


    ぐねぐねとした「女」は一歩一歩歩み寄る。




    「ちょうだいぃ… カオ……キレイな…」


    不二咲はすっかり、腰を抜かしていた。

    こまる「な…何か…何か………」

    こまる(そうだ…!)


    何かを思い付いたらしいこまるは不二咲の手を引き、立ち上がった。




    こまる(えっと… 前に来たときに確か…!)

    不二咲「ど…どこいくの…?」


    ~調理場~

    こまる「確か…この辺に……っ…!」

    こまる「あった!」

    不二咲「ああぁ…う…うし……うしろ…!」





    「ちょうだいぃ… ちょうだいぃ… 」

    こまる「わ…わたしの顔なんてあげられないよ…!!」

    こまる「このッ!」


    こまるが投げつけたものは…



    「ギギャアァアアアアァアアアッ!!!」


    粗塩であった。


    こまる「この! 消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!!」



    「アァアアアッ! ァアアアアアアアッ!!!」


    「ドウシテ………? ドウシテ!!!」


    こまる「あ…う……うそ…」




    「ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!」




    「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!」



    苦しみ、泣き叫ぶような声が狭い調理場にこだまする。


    不二咲「も…もしかして………」

    こまる「ふ…不二咲さん!?」



    今まで怯えていた彼女が立ち上がった。

    不二咲「もしかして…泣いてるの…?」



    彼女は「女」の元へと歩み寄る。


    こまる「あ…あぶないよ!!」

    「ァァアアアアアアア!! グゥウウウウ!!」



    「ニクイ!! ウラメシイ!! 」

    「この顔…! こんな美しい顔!! わたしだって…!! わたしだって!!!」
  18. 18 : : 2015/08/10(月) 23:31:03





    苗木「医療ミス…?」

    舞園「えぇ。前にいた事務所で聞いたことがあるんです。」

    舞園「格安の料金と手頃な期間を売りにしていた整形外科があったんです。」

    舞園「でも… そこにいた医者が無免許だったらしくて…」

    舞園「大量の患者が顔を滅茶苦茶にされて…酷いと感染症で亡くなられたり…」

    苗木「ひどい………」


    舞園「そうすると1つの仮説が浮かびませんか?」

    苗木「もしかして…ここにいる何かって…」

    舞園「整形の医療ミスで亡くなられた方々のなれの果て……」

    舞園「なんて事を考えたんですけど…」


    苗木「いや… もしかしたらそうなのかも…」

    苗木「現に、常識じゃ考えられない事になってるわけだし…」

    苗木「だけど…そうだとしたら一体どうしたら…?」
  19. 19 : : 2015/08/10(月) 23:37:34


    不二咲「あなたは…∥醜くなんてない>です。」

    「ウソをつくな!!!」



    「こんな……こんなバケモノみたいな…」

    不二咲「あなたはバケモノなんかじゃありませんよ。」

    「ウソだ! ウソだ!!ウソだ!!ウソだ!!ウソだ!!ウソだ!!」


    彼女は怯むことなく「女」に歩み寄る。
  20. 20 : : 2015/08/10(月) 23:52:55

    いつまにか彼女の周りにはゾロゾロと「異形」の者たちが群がって来ていた。


    しかし、それでも彼女は怯まない。


    こまる「か…囲まれちゃった………」


    「ふざけるな!!」

    「綺麗事を…!!」


    「顔の皮剥いでやる!!」

    恐ろしい罵倒の前にも彼女は屈しない。

    先ほどまで怯えていた彼女とは見違える程だ。
  21. 21 : : 2015/08/11(火) 00:19:25
    不二咲「あなたたちは…みんな大切な人の前で
    ∥綺麗な姿でいたい>って思ったんですよね……」

    不二咲「ボクは…その気持ち自体は全然
    ∥間違った事じゃない>と思うんです。」


    「綺麗事抜かすな!!」

    不二咲「あなたたちだって…
    ∥元は優しい普通の人>だったんだって…思います。」

    こまる「不二咲さん………」

    不二咲「理不尽な目に会わされて…本当に悔しかったと思います……。」



    不二咲「だけど… こんな風に人から顔を奪うなんて……やっぱりどう考えても∥間違って>ます…!」


    不二咲「みんなを元の場所に帰してください。」



    影の集団は動揺を隠せないようだ。


    不二咲「どうしても納得できないなら…」

    不二咲「ボクの顔だけ使ってください。」

    こまる「不二咲さん! ダメだよ! そんな……!」
  22. 22 : : 2015/08/11(火) 00:28:55


    影の集団はガヤガヤと蠢き出した。





    「ゴメンなさい…」

    影は1つ、また1つと消えていく。



    「ゴメンよ…怖がらせて………」



    あの「女」もまた、消えようとしていた。



    「ごめんなさい…あなた達に怖い思いさせて…」

    「悔しかった…顔が変わっただけでバケモノ扱いする周りの人間も…なんでわたしがこんな目に会わされなきゃならなかったのか…」

    「だけど…貴方に気づかされたわ…」

    「他人の顔を奪っても所詮、それは他人の顔。わたし自身を愛してくれてるわけじゃないわ………」


    「貴方のお陰で気付けたわ。本当にありがとう…」





    「今度生まれ変わるなら…貴方みたいな人の隣がいいな………」






    彼女の言葉を最後に、全ての「影」は消え去った。


  23. 23 : : 2015/08/11(火) 00:34:51




    苗木「こまる!不二咲さん!!」


    遅れて彼らが調理場に駆け込んできた。


    苗木「あれ? あの黒いのは…」

    こまる「みんないなくなったよ。」

    こまる「ぜんぶ不二咲さんのお陰だよ…」

    苗木「不二咲さんが?」


    不二咲「ボクなんて…大したことないよ…」

    不二咲「ただ… なんとなく…あの人たちが苦しむのも分かるし…」

    不二咲「甘い考えだって思われるかもしれないけど…かわいそう…だと思って………」


    苗木「いや、不二咲さんのお陰で本当に助かったよ…」

    苗木「妹を…みんなを守ってくれて…本当にありがとう!」


    不二咲「ど…どういたしまして………」///









    大和田「お~~い!こんな所で何やってんだお前ら! 」

    舞園「大和田さん!?」

    大和田「ここはもう、取り壊しになるって言われただろ! 早く出るぞ!」

    苗木「えっ? あぁ…うん!」
  24. 24 : : 2015/08/11(火) 00:38:18
    その後、僕達の頼みで霊の供養がされ、

    ボクたちもお祓いを受けた。



    あれ以来、あの「廃病院」から悪い噂は聞かなくなった。









    ~朝~


    不二咲「さ…ってと。 早く朝の支度しなきゃ…」





    もし、今度生まれ変わるなら…




    『貴方の隣に。』






    貴方の中に。









    不二咲「うふふっ…」


    END
  25. 25 : : 2015/08/11(火) 03:05:56
    怖いのにいい話!衝撃のラストでした!
    お疲れさまでした!
  26. 26 : : 2015/08/11(火) 03:19:37
    っていい話なのは途中だけ!?最後そういう意味でしたか…
    連投すみません!企画に参加してくださってありがとうございました!またやりましょう!
  27. 27 : : 2015/08/21(金) 00:35:47
    え?え?どういう意味?! お疲れ様です
  28. 28 : : 2016/03/01(火) 17:01:12
    貴方の中に=取り憑かれた?
  29. 29 : : 2016/05/26(木) 02:19:13
    モヤモヤが残る感じがホラーの醍醐味感ありますね!!
    お疲れ様でした!

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jun

シャガルT督

@jun

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