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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

エレン、恵まれる

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  1. 1 : : 2020/02/09(日) 00:26:21
    俺は恵まれている。



    生まれつきそうだった。そう思っていた。実際そうだった。



    少し裕福な家庭に生まれた。何でも父方が医者で、街を救ったらしい。



    親友と呼べる者も出来たし、何より家族がもう一人増えた。



    後ろで前をボーっと見ているだけで良かった。



    俺は、頭も良くないし、運動も出来ない。元々体が弱かったから。



    だから、突然ミカサが放った一言には旗を翻し、猛反対した。



    「自分が何言ってるのか分かってるのか」



    それは、矢面に立ち、小石の礫を喰らってもビビひとつ入らない強靭な心臓だからこそ言える一言。




    「意見は曲げない。私は、調査兵団になる」



    家族が死体に冷たい刃を入れる。



    「………じゃあ、僕も行くよ」



    親友が死体を切り刻んだ。



    四分休符置いた。心臓が跳ね上がった。家族が危ない目に合うという心配はとっくに無い。



    親友が賛成した時点で、俺の負けだ。



    「だったら、俺も行くよ。お前らを心配な目に合わせられねぇ」



    言った。言ってしまった。



    人生の節目。また合わせた。足元から恐怖と焦燥が這い上がってきた。



    恥の多い生涯を送ってきました、とは比べものにはならないと自分を鼓舞する。



    比較し、嘘を付いて、自分すら騙した。



    目が眩む。世界が反転しているような気さえする。



    ミカサに手を引かれた。



    凄く嬉しそうな顔をしている。



    大丈夫だ。あんな単細胞とは違う。



    罪悪感。家族を貶すという事が日課だったが、そこに殺が入ってくるとどうしてこうなるのだろうか。



    とりあえず、明日から考えよう。先送りにした。








    遠くで何か鳴った。






    ヘタレエレンくんが頑張る話です。初投稿なんで多目に見てください。
  2. 2 : : 2020/02/10(月) 00:29:31
    それ迄が頭にある記憶。フェードアウトしていた。今自分は何故だかスペースデブリが脇に見えるような感覚。

    「貴様は何者だ!!」

    スウィープサウンドが耳に直接鳴った。先の血走った目を向けている男に目を向けられない。

    「シガンシナ区出身、アルミン・アルレルトです!」

    親友と教官が向かい合い、大きな声で受け答えを繰り返している。自分じゃあんなの無理だと卑下し、落胆の思想に染る。

    ふと意識が戻った。

    「エレン、何してるの。兵舎へ行こう」

    隣に立っているミカサとどこか呆けた目で南西を見ている自分との差に酷く逸脱した。

    窓から見える夕日と草木を斟酌する。ポニーを揺らして走っている彼女が少し鬱陶しかった。

    どの時代にもああいう者は居る。ただテンプレートの才能を持っているだけ。

    「それで、超大型巨人、見たのか?」

    「あ……あぁ。見たよ。でっかくて…壁を超えてた」

    吃り乍の返事。濁音が発音しにくい。同じ意味の言葉を二回タンギングした。

    一通り終わった。今日も何も出来ずに終わった。

    深夜、何気なく便所へ行こうとする道中、食堂の一室の明かりがついていた。

    音楽が聞こえた。この時代に音楽とは、中々にハードな趣味だ、とドアを押し開けた。

    そこにはターンテーブルが並べられ、質素な作りだった。二秒ほど音楽の証人が分からなかった。

    派手な金髪に訓練兵の証とされるレザーのジャケットを羽織り、白色の無地のシャツ、遠くからでもわかる程に強ばった筋肉質の体躯には合っていない。

    その男には、少し昔のバロック紛いの産物の様な雰囲気があった。その様がこの食堂に溶け込んでいる。

    同時に奇妙だった。

    「寝ないのか」と男は尋ねた。

    男の手に持っているカップから湯気が出、やがて少し上に行った後に消えた。

    「便所に行く途中だった。アンタは、同じ訓練兵だよな」

    不思議といつもの吃りも消え失せた。人と一緒に居るというのに、妙に険しさが逸脱している。

    「ライナー・ブラウン」

    二分休符置いて、

    「そう呼んでくれ」

    ライナーは目を閉じ、椅子の背にもたれかかった。音楽を流しているレディオが少し傾く。

    男が男の目の前にあるボール程度の機械のボタンを押し、新しいカップに設置すると、横目で「飲むか?」と俺の前に差し出した。

    かぶりを振った。男はゆっくりと瞬きをすると、カップを下げ、軽く頷いた。

    「暇なんだ」とライナーは言った。

    「時間、もう遅いけど」

    「そう」

    薄く笑って、その体格には似合わないカップを人差し指と中指だけで持っている。独特な癖だ。

    「お前は何してるんだ。普段」

    ライナーは尋ねた。

    「ライナーと、そんなに変わりないよ。訓練して、飯食って、寝る。暇な時は勉強したり…いろいろだ」

    ライナーはため息をつくように長く息を吐くと、「そうか」と言った。

    「いい暇つぶしだな」

    ライナーの目じりがわずかに下がった。

    「あんたは…ライナーは、何してるんだ」

    「俺か?俺は時間を潰してる。こうやって」

    「いつもこうしてるのか?」

    ライナーの方を見た。照明が明るいのにも関わらず、その姿は陽炎を見るようなぼやけがあった。

    顔を覗き込もうとしたが、それはある種の禁忌の様な気がした。刃を眼前に向けられているような感覚がした。

    「全ては」

    そこでライナーが言葉を止めた。俺はライナーの方を向いた。

    「俺のやることは、全てが暇つぶしなんだ」
  3. 3 : : 2020/02/10(月) 23:58:02
    「というと?」

    俺は尋ねた。

    「お前は将来"何をしていく"つもりなんだ?」

    ライナーの目が細くなる。

    その質問は何となく癪に触った。

    しばらく休符を置き、「わからない」と答えた。

    わからないからだ。

    「でも、何かしらの団に入って、何かしらの仕事をするんだろ。そうだろ?」

    俺は「そうだ」と答えた。

    「良い功績を残して、良い収入を得て、良い家庭を持って、周りから持て囃されて…そうだろ?」

    「それは誰もがそう望むものだと思う」

    「そして誰もが目指す」

    俺はその言葉から少し遅れて反射的に「ほとんどの人間は」と付け足した。

    ライナーの視線がわずかに俺の方を向き、コーヒーを一啜りし、しばらくすると目は獲物にやり過ごされた蛇のようにどこかへさまよっていった。

    「お前は」とライナーが言った。

    「お前は今まで、時間の無駄について考えたことはあるか?」

    ライナーは尋ねた。

    「時々、ある。俺は今まで無益な時間をあまりに過ごしてきたと思うことがある。惰性に任せて、遅くに起きて、食っては寝て、やるべき事をやらずに生きてきた」

    「悔やんでるか?」

    ライナーは視線を俺に向け、尋ねた。

    「多少は。でも無駄になった時間はもう戻らない。だからその分、これからの時間を無駄にはしないようにはしてる」

    「お前の言う、無駄とは」

    ライナーは言った。その言葉には計算式では表せないようなとてつもない重みが感じられた。

    「何もしないこと。何もしないから何も得られない。自分を磨くことなく、自分にカビを生やすことだ。」

    「つまり、お前は」

    ライナーは言った。

    「つまり、自分が何かを得られなかった時間を無駄と呼ぶのか」

    「そうかもしれない。暇である時は、時々漠然とした恐怖を感じる。計り知れない何かを、無駄にしている気がするんだ。焦りかもしれない。例えばもしこのまま死んだとしたら、俺は大したことも、何も達成せずに、何も得られずに終わるんじゃ無いかって。それが怖いんだ。」

    「俺には、時間って奴がよく分からない」

    俺は答えた。

    「俺にもわからない。誰にもだ。」

    ライナーはカップを置いた。

    何か納得したような、何か求めていた答えとは違ったような、複雑な気持ちがかき混ぜられたような表情をしていた。
  4. 4 : : 2020/03/04(水) 18:33:02
    こういう雰囲気の作品好き。
  5. 5 : : 2020/03/04(水) 20:03:33
    おちんぽー
  6. 6 : : 2020/05/29(金) 02:06:24
    望月冬夜は殺す
  7. 7 : : 2020/05/29(金) 02:06:44
    こんのスマホ太郎めが!
  8. 8 : : 2020/05/30(土) 15:27:32
    エレン逆チート か

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