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いとこで幼馴染のあの娘 ※エレクリ、現パロ

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  1. 1 : : 2017/05/26(金) 20:59:31
    現パロです。そしてエレンとクリスタは幼馴染でいとこという設定です。キャラ崩壊注意ですがよろしくおねがいしますっ。
  2. 2 : : 2017/05/26(金) 21:03:30



    とある夏の日の夜。俺は自分の部屋で電話越しに彼女の声を聞いていた。
    俺の知ってる彼女とは全然違う、今にも壊れていきそうな少女のか弱い震えた声。
    聞いてるこっちが泣きたくなるような、弱弱しい声音。
    普段明るいあいつが泣くと、こんな声になるのか。彼女は今までこんな悲しい事実を隠して、俺にあんな明るい笑顔を振る舞っていたのか。
    知りたくもなかった情報が、さっきからずっと耳と脳を反芻していた。

    「……」

    俺からは何か喋ることはなく、ただ黙って彼女の声を聞いていた。何か言って、どうにかなるものではない。
    世界は残酷だった。開いたカーテンから射し込む白い月の光は、窓際の透明な花瓶を突き刺してこの部屋を幻想的に照らしている。それはあまりにも美しかった。
    だけど、彼女に起こっていた現実はあまりにも残酷だった。こんなにも世界は美しく見えるのに、こんなにも世界は輝いて見えるというのに。
    だから……、見た目通りの綺麗な世界がどこまでも広がっていればいいのに、なんでこうも人生は上手くいかないのだろうか。
    俺は歯を食いしばって、彼女にばれないように涙をこぼした。




  3. 3 : : 2017/05/26(金) 21:06:06





    六月のとある日。


    「ひさしぶり!」

    明るい表情で彼女はそう言った。
    綺麗な金髪に大きな瞳。まるで俺とは正反対の、明るい性格。
    俺より一つ年上なくせに、まだ幼さの抜けきらない声と姿。彼女と一緒に歩いていたら絶対に俺が年上と間違われる自信があるくらいに彼女は幼く見えた。
    そしてそんな彼女を見て、俺を首を傾げるしかなかった。なぜここにいるのだろうか。
    小学生の時に俺は父親の仕事のせいでここに引っ越してきて、その際に彼女とは離れたのだ。いとこで幼馴染の彼女、クリスタと。
    にも関わらずクリスタはここにいる。そして俺と同じ高校の制服を着ている。だから俺は思った。クリスタは両親の仕事の影響でここへ引っ越してきたのだろうか、と。

    「……そんな浮かない顔してどうしたの?」

    玄関の前で待ち伏せしていたクリスタは、俺の無言の不愛想な挨拶に首を傾げた。もはやそれは挨拶とは言えないが。

    「別に……いつものことだ」

    「ひさしぶりの再会なのにエレン冷たいぞ~」

    俺の返事にクリスタは笑いながらも不満そうに口を膨らませ言った。
    確かにクリスタの言うとおり久しぶりの再会ではあるが、別に俺は嬉しくない。
    もとからそんなに俺はクリスタのことは好きではなかったのだ。嫌いではないが、少し早く生まれただけなのに変に俺に対してお姉さんぶったり大人ぶったりするところが小学生時代からあまり好きではなかった。昔からクリスタに対してはそっけなかったが、ここまでそっけなかったわけではない。だから、表情とは裏腹にクリスタの声音には少し不安そうな霧がかかっていた。

    「エレン……大丈夫?」

    「うっせーよ、別になんでもねーよ」

    昔はこうじゃなかった。それは自分でもわかっていた。俺は変わってしまったのだ。傷ついたから、傷つきたくないから、俺は変わった。ただそれだけだった。
    不愛想な返事に軽く罪悪感を感じながらも、俺はクリスタの横を通って玄関へ入ろうとした。
    しかし、高校二年生とは思えないほど幼いクリスタの手と腕によって遮られた。

    「まだ通さないよっ」

    「なんだよ」

    俺のつまらなさそうな表情とは裏腹に、クリスタは得意の笑顔で言った。

    「なんで私がここにいるか聞きたくないの?」
    「どうせ仕事の転勤とかで引っ越してきたんだろ?」

    俺は興味のなさそうに答えて、横目でクリスタを見た……瞬間。

    「……」

    一瞬だけ、クリスタの見たことのないような表情が見えた気がした……が、一度瞬きして目を開けるとひまわりのような可愛い笑顔で俺を見ていた。

    「正解だよっ」

    「……ほらな」

    先ほどクリスタが見せた表情は恐らく気のせいだろう。俺は特に気にすることなく、これまた不愛想に彼女の言葉に答えた。
    仕事の転勤は分かるが、なんで俺と同じ地域なのだろうか。もはや奇跡としか思えない。
    ふとクリスタを見ると、未だニコッと笑って俺を見ていた。

    「エレンすっかり大人になったね~、お姉ちゃんビックリだよ」

    俺のことを下から上へと眺めて、嬉しそうに、そして少しだけ寂しそうに言うと、唐突に俺の腕に抱きついてきた。
    その瞬間跳ねるように胸がドキリとした。

    「ってお前! 急になんだよ!」

    「やっとエレンらしい反応してくれたね」

    クリスタはまるで夕方の太陽の光を味方につけたかのように、心底嬉しそうに笑顔を輝かせて言った。昔を懐かしむように。




  4. 4 : : 2017/05/26(金) 21:07:22


    クリスタは気にしてないようだが、しかし俺はれっきとした思春期真っ盛りの高校生男子だ。今まさに俺の腕に密着するクリスタの身体から、彼女の柔らかさと匂い、温もりが生々しく伝わってくる。一見幼くは見えるのだが、しかし昔と比べると彼女はちゃんと成長していた。昔から俺の腕に抱きつくのが好きだったクリスタだが、感触が昔と比べ明らかに違う。

    「いい加減放せよ!!」

    耐えられなくなった俺は声を荒げ、強引に彼女から腕を振りほどいた。
    俺は露骨にイラついた態度を見せながら舌打ちをすると、彼女に背を向け歩き出した。
    恥ずかしさと日々身に積もっていたストレスが俺をそうさせたのだ。
    明らかに今のは酷いと理解してはいたが、変わってしまった俺はこういうことをしてしまうような、そういう人間になってしまったのだった。
    だけど罪悪感は感じていた。だから言った後のクリスタの顔を見ることが出来なかった。

    「……」

    だけどあのクリスタなら諦めることなく、てこてこと寄ってきてまた俺にちょっかいを出してくるだろう。昔からそうだった。機嫌の悪い俺がいくらそっけなくあしらっても、彼女は俺に近づいてくる。
    だから今も、後ろから俺にちょっかいを出すタイミングを見計らっているのだろう。
    そう思っていたのだが……。

    「……」

    玄関に入ってすぐの階段に差し掛かったところまで歩いても、クリスタの足音もなく、近づいてくる気配もなかった。

    「……」

    成長した俺の怒声に驚いたのだろうか。だから俺は気になって、少しだけ振り返るように彼女の様子を窺った。
    彼女を見ると、俺の予想とは大違いの様子だった。
    クリスタはそもそもこっちへ近づいてもなく、俺が腕を振りほどいた場所からも動いていなかった。
    こちらを見ることなく彼女はただただ小さな背中をこちらに向け、ただただぽつんと立っていた。
    その背中は、何故か寂しそうに見えた。


  5. 5 : : 2017/05/27(土) 01:16:28
    期待してます
  6. 6 : : 2017/08/02(水) 01:11:28
    SSじゃなくて小説だな…苦手
    放置乙
  7. 7 : : 2017/08/25(金) 17:14:35
    面白いのに放置かぁーー残念

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