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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

アニ「瞬きのように短い人生だった」※ネタバレ注意

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  1. 1 : : 2017/04/27(木) 11:30:55
    初めまして、華蓮といいます。
    SSを書くのは2年ぶりなので、文が変なところとかあったり、ストーリーが変だったり、面白くなかったりするかもしれませんが、アドバイスとかくれると助かります!よろしくおねがいします!
  2. 2 : : 2017/04/27(木) 12:19:37
    Annie -1-

    あぁ…もう、どれだけとの年/月/日/時間が経っただろうか。
    毎日毎日、目の前に配置される、または見張りを終えて通り過ぎていく憲兵団の元同期/元後輩/元先輩を眺める日々。嗚呼、なんて退屈な日々。この窮屈で身動き一つできない、巨人の硬化能力を使って作り出した透き通った青色の水晶…と言うにはあまりにも凸凹しすぎている、硬い殻のような石…の中に閉じこもってから、一体どれだけの時が経ったのか、私は覚えていない。少なくとも数ヶ月は経過しているだろう。こんな長い時間閉じこもっているのに、もしまだほんの1週間しか経っていないとしたら、気が狂いそうだ。否、人を殺したことによる罪悪感がだんだん薄れてきている時点で正気とは言い難いだろう。まぁそんなことは置いておいて、昔話…私にとっては当の昔に起こったような話をしよう。

    あの日、私がこの「殻」に閉じこもるきっかけとなることが起こった。
    元はと言えば、私が座標かもしれない人物、エレン・イェーガーの捕獲に失敗し、同期の調査兵団の頭脳とも言えるアルミン・アルレルトに正体を暴かれてしまうという失態を犯してしまったからだ。言い忘れていたけど、私は女型の巨人になれる巨人化能力者の一人。金髪で、青い目をしていて、桃色、赤色等赤系の色の身体をした巨人になれる、醜い醜い殺人鬼。第…何回だっただろうか…数十回目の調査兵団の壁外調査に紛れてたくさんの人間を殺した挙句、目標を達成できず、意味なく沢山の人をこの手で殺めた、恐ろしい殺人鬼。一人を足で踏み潰し、一人の立体機動装置のワイヤーをつまんで振り回した後遠くへ放り、一人を噛みちぎり、一人を握り潰し、一人を蹴り飛ばし…覚えていられないほどの方法で数えようとすれば気が狂いそうになる数の人を、私が葬った。その後巨人化したエレン・イェーガーと格闘技を交え、最終的に相手の項からエレン本人を巨人体から噛みちぎり、口に含めて撤退しようとした。これでやっと、仲間達と故郷に帰れる…お父さんに会える…罪悪感を一瞬だけ頭から消し去って、溢れ出す高揚感を体感していた。


    甘かった。


    まだ、喜ぶには早すぎた。エレンを口に含んだ時、背後からミカサ・アッカーマンが追ってきたことに気づいていた。こんな小蠅、そこまで警戒せずとも、先程殺めたリヴァイ班なる精鋭班の四人に比べればなんともない。そう思っていた。あの時、彼女を殺さずただひたすらに走った自分を、呪い殺してやりたい。あの後、班長のリヴァイが追ってきていたということに気付いていれば、私は今こんな結晶の中に閉じこもってなんかいない。
    人類最強の兵士リヴァイに、危うく仕留められる所だった。もしあの時、ミカサを振り払おうと手を伸ばしていなかったら、きっと私はもうこの世にはいない。…いや、生きていなかった方が楽だったかもしれない。今悔やんでも仕方ないことだけど。まぁとにかく、命はあったが、口の中のエレンをリヴァイに奪還されてしまった今、故郷に帰ることなんてできない。仕方なくわたしは、溢れだしそうな想いを噛み締めて、もう一生合わないと思っていた同居人のヒッチの待つウォールシーナの憲兵団支部に戻った。
  3. 3 : : 2017/04/27(木) 13:07:41

    アルミン、ミカサ、エレンに助けて欲しいと声をかけられたのは、壁外調査の数日後だった。その日は、エレンの王都への収集が決まり、調査兵団の馬車の護衛任務をしていた。その時、家と家の間の、人一人が通れるか通れないかくらいの裏道から、聞き覚えのある声が聞こえてきた。最近聞いたような声…でも、何故かとても懐かしく聞こえる声。男っぽい女…いや、女っぽい男のような、少しばかり高い声で、私もの名前を小さな声で叫ぶ。

    「アニ!」

    その瞬間から、何か身に触る違和感を感じていた。

    「…アルミン…?」

    思わず問う。何故ここに?どうして?その格好は?エレンは王都に収集されるはずでは?じゃあ護衛していた馬車に乗っていたのは誰?頭の中で様々な疑問が浮かび上がると同時に、額から首筋を伝って冷や汗が流れるのを感じる。

    「久しぶりだね。」

    アルミンが言う。後ろに待機しているミカサは、そわそわしているのを抑え込むように眉間にしわを寄せ、敵意を丸出しにしないように必死に気を紛らわせているようにも見える。エレンは、疲れたような困惑したような目を少しだけ細めてこちらを見つめている。あぁ、気付かれてしまったのだろう。こっちを見据えて返事を待つアルミンの目を見れば、すぐにわかる。

    「…久しぶり。」

    驚きの感情や疑問、パニック、すべての感情を抑えて平常心を保ったままの表情で返事を返す。冷や汗は止まらない。

    「少し見ない間に、一気に憲兵団らしくなったね。」

    お世辞すぎるにも程がある。

    「…あぁ。」

    いつも通り、やる気のない返答をする。少しでも違和感をもたせれば、きっとすぐに巨人化しなければならなくなるだろう。平常心を保つ。
    アルミンが話しかけてくる。聞く。


    話を聞けば、なんと三人は王政から身を隠そうと言うではないか。なんて透き通った嘘をつくのだろう、と思った。怪しまれないように警戒しながらも問いかけを投げ、最終的に納得する。振りをする。歩き出す前に、話しながら誰にも…いや、恐らくミカサ以外には誰も気付かないように、ちょっとした仕掛け付きの指輪をはめる。ついていけば、地下トンネルを潜れと言う。断る。頼まれる。口論になる。この時点で、もう戦う覚悟はできていた。何回も断ると、ミカサの我慢が吹っ切れたように、本性を表す。

    「今度こそは仕留める。アニ…不毛、女型の巨人」

    そう言って羽織っていた雨具を投げ捨て、巨人討伐時に使用されるブレードを私に向けてくる。ひどいなぁ、「か弱い乙女」にそんな物騒な物を向けて。そんなことを言っていたような気がする、あまりよく覚えていない。最後の悪足掻きのつもりだった。すべてを投げ捨てるように笑い、嗤い、わらった。そして、手を噛み巨人化のトリガーを引こうとした瞬間ー

    街のどこかしこに散らばり住民の変装をして隠れていた調査兵団の兵士、あるいは本当に街の住人だったかもしれない、が、私の身体を取り押さえる。強く。身動きなんてできなかった。まだ遅くないうちに、指輪の仕掛けを発動させる。小さく鋭い刃が飛び出す。それに親指を近付け、親指に切り傷を入れる。たちまち上空から眩しい光が降ってきて、莫大な爆発音を発して、身が分厚い肉や皮で包まれて、視界が高くなっていく。巨人の骨が生成され、十秒も経たないうちに私は巨人になっていた。

    この時、もう覚悟は決めていた。



  4. 4 : : 2017/04/27(木) 13:07:54



    短いはずだったのにとても長く感じられた時間の中、私は追ってくる黒髪の巨人から逃げ続け、兵士や街の住人を殺め、戦い、戦い、戦い続けた。疲れた。体力の消耗が激しかったことは覚えている。気付いた時には黒髪の巨人、巨人化したエレンに追いつかれそうになっていた。この時頭にあった想いは一つ…

    すべて諦めて、すべてやめて、故郷に帰りたい。

    もう、私は頑張った。たくさんの人を殺して、座標を奪おうとして、でも失敗して。精神的に麻痺し始めていた。もう、故郷に戻って殺されてもいい。ただ、もう一度、父親に会いたい。私に戦う術を教えてくれた、男手ひとつで私を育ててくれた、私を抱きしめて見送ってくれた、厳しく哀れな私の父親に。

    壁を登ろう。指の先だけ硬質化して、壁を超えて、故郷に帰ろう。そう決心し、すぐに実行するため、壁を登る、登る、登る。

    気付いた時、私の目の上にいたのは1人の少女だった。ツヤのある短髪の黒い髪。血に染まった赤いマフラー、冷酷に相手を見据える獣のような目。彼女は、冷たく私に言い払った。

    「アニ、堕ちて。」

    あれ、何故、指が千切れているの?何故私は、堕ちてーーー



    強い衝撃。ドシンと響く音。うるさい。
    次の瞬間、項が噛みちぎられ、外の光で瞼の裏が赤くなっていた。
    目の前にいるのは、エレン。巨人の、座標の、黒髪の、エレン。あぁ、私は、殺されるのかな。


    …嫌だ。故郷に帰るんだ。

    最後に頭に浮かんだのは、父が私に言った言葉。

    「例えどんなに重い罪を重ねても、世界がお前を敵に回しても、父さんはお前の味方だ。」

    「一つだけ約束してくれ…帰ってくると…」




    次の瞬間、視界は青白い光に包まれた。


  5. 5 : : 2017/04/27(木) 13:10:22
    今日はここらへんでやめときますね!
    今のところ25話までの物語をアニ視点で語っているだけですが、もうすぐオリジナル(?)が入ってくるので、もう少しだけ待っていてほしいです!←
    たくさんの人が読んでくれればと祈ってます
  6. 6 : : 2017/04/27(木) 14:44:48
    期待です❗
  7. 7 : : 2017/04/27(木) 14:44:57
    すごい!


    期待です!
  8. 8 : : 2017/04/27(木) 23:07:45
    >>6 >>7
    ありがとうございます!
  9. 9 : : 2017/04/28(金) 01:06:55
    そこから先はあまりよく覚えていない。
    感情に任せて身体を動かしていた、と言うよりも、無意識のうちに脳が動いていたのかもしれない。もしくは、その時の記憶を都合よく忘れているだけなのかもしれない。とにかく、あまりよくは覚えていないけれど、その後に疲れ果てて長い眠りについたことは覚えている。

    目が覚めた時、目の前は薄く青いガラスのようなものから見える、地下牢のような場所だった。薄く青いこの個体の外側は、立体機動装置のワイヤーと同じ物質で出来ていると思われる、または本物の立体機動装置のワイヤーを使用して作られた頑丈なネットで包まれている。エレンから逃走していた時に調査兵団分隊長のハンジ・ゾエが私に使った発破型の巨人捕獲装置に用いられていたワイヤーだろうか。ひどいな、あんな鉄の棘が付いた固く頑丈なネットを「か弱い乙女」に向かって使うなんて。
    被害者面なんてできないほどたくさんの殺人を犯してきた私にだって、感情くらいはある。それに、こんな残酷なことしたくてしてるんじゃない。もし、あの時もし託された使命なんて受け入れていなかったら今頃私はこんな壁の中になんか来ずに故郷で普通の女の子としての人生を送れていたはず…いや、毎日1分も休まずに格闘技の稽古をしていた時点で普通とは言い難いけど…せめて、巨人なんかになれなく人も殺さない、普通の女の子としての暮らしを送ることができたはず。嗚呼、思い出す度に胸がチクチクと痛む。こんな後悔を人生で何回したことだろうか…

    忘れよう。こんな辛い話を聞いてもなんの得もないでしょう?それに、このまま話し続けたら私の中の何かが崩れてしまうような気がする。



    話題を変えよう。最近、この地下牢を監視しにくる憲兵が同じ人間のことが多い。前よりも、同期を見ることがへったような気がする。そういえば一度だけ、同居人のヒッチとクソ真面目のマルロが2人で地下牢を訪問に来たっけ。二人ともとても驚いたような、恐ろしい化け物を見るような目で冷や汗をかいていた。やっぱり傷つくよ、その目。一体どれだけの人からその目を向けられてきたのだろう。もう覚えていない。

    まぁ、仕方ないことだ。




    私は、恐れられるべき化け物なのだから。
  10. 10 : : 2017/04/28(金) 01:09:32
    あ、↑のは私ですw
  11. 11 : : 2017/04/28(金) 11:21:21
    何かを考えようとすると、悪いことしか浮かんでこない。こんなことになったのは、一体何歳の頃からだろうか。幼少期...4歳前後のころの私はまだ明るく素直で元気な子供だったはず。



    頭に浮かぶのはまだ幼く華奢な体をした私。この三重の壁から遠く離れた場所にある、マーレという国に住んでいた頃の私。私の父親は、名誉マーレ人というマーレ戦士の一族の人間だった。父はマーレで自由に暮らす権限を持っていた。その時私は、きっと将来こんな結晶のなかで眠りにつくことになるなんて思っていなかっただろう。私は、周りが森林で囲まれた地域で密かに平和な日常を送っていた。朝起きて、森で木の実を拾ったり動物と戯れたり、毎日変わらないけど、私にとっては充実した幸せな日々を送っていた。

    5歳になってから、世界ががらっと変わった。ある日唐突に朝早く父親にたたき起こされて、いきなり稽古をすると告げられた。それは本当に唐突でなんの前触れもなかった。その日、一日中稽古が続いた。毛布がまかれた木の柱を蹴り、殴り、また蹴り、父親の足に巻かれた毛布を蹴り、蹴り、蹴り...少し体制が違うと父親に注意され、怒鳴られて、くじけて泣きそうになると父親に叱られ、怒られ、怒鳴られ...泣きたい気持ちを我慢して、父親に喜んでもらえるように稽古に専念した。足が腫れても、息切れしても、蹴って、蹴って、殴って、蹴り続けた。食事の時も、どうやったら相手に協力なダメージを与えられるか話した。父が私に問いかけ、私が答えた。あっていれば褒めてもらえた。まちがっていれば叱られ、訂正されて頭に叩き込まれた。そんな日々がどれだけ続いたのだろう...ある日、私はほんの一度だけ父親に反抗した。木の柱を蹴っていた時だった。油断していた父親の足首に協力な蹴りを入れ、地面に倒れこんだ父の腹や足をただひたすらに蹴った。父は吐血したが、なんの反抗もせずただ私の攻撃を食らっていた。私が父親への攻撃をやめたとき、父親は笑顔で嬉しそうにこういった。

    「アニ、強くなったな」

    と。私は内心呆れていたと共に、とても複雑な気持ちだった。そしてなによりも、悲しかった。ここまで娘に格闘技を叩き込むことに熱心な父親がかつていただろうか。自分に攻撃してきた娘を怒りもせず、ただ娘が強くなったことを嬉しそうに褒めたたえる父親のことが、とても哀れだった。そして、もう前のように格闘技以外の会話を交わすことができる父親は、もうこの世のどこにもいないことを悟った。

    反抗をしてから、父は脚をひきずって歩くようになった。それからも、父親からの稽古は続いた。どれくらいの間続いたのかは記憶していないが、とてもとても長く短い時間だった。

    稽古をはじめたころに比べて、私は随分と成長していた。戦う術を身につけたことで成長した、という意味ではなく、単純に身体が成長していた。身長が伸び、胸部が少しづつふくらみはじめ、顔立ちが少しだけたくましくなっていた。それに気づいてからしばらくしたある日の朝食時。父親が私にすべてを話した。私の先祖はマーレの戦士であったこと、その為私たちは子孫であるがためだけにこのマーレ国の中で自由に暮らす権利が与えられていること、ほとんどの人間が自由に暮らす権利を与えられていないこと、マーレの戦士のこと、それぞれ特殊な能力を持つ七つの巨人のこと。ここまでついていくのにも大変だったのに、その上私がその七つの巨人の力の一つを継承する者の一人に選ばれたという。この最後の説明で私の頭の中は真っ白になった。なんと継承方法は元の能力者の脊髄液を体内へ吸収しなければならなくて、それを行う方法は巨人化して能力者の一人を喰うことだという。そんなことできるわけがない。それに、私は人を殺したくなんかない。何度も拒んで、嫌がって、抗おうとした。それに逆らって、父親もなんども頼んだ。父親はとうとう涙を流した。私が生きてきた中で初めて見た父親の涙。その涙には私を突き動かす何かがあった。その時、玄関からノックの音が聞こえた。扉の外には、三人の警備服を着た警官が立っていた。

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karen20031101m

華蓮

@karen20031101m

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