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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

エレン「ゴジラ・・・・・・。」 ゴジラ×進撃の巨人

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  1. 1 : : 2016/07/06(水) 10:53:02
    どうもこんにちは、進撃のMGSです。


    いよいよ今月29日より、『シン・ゴジラ』が公開されます(∩´∀`)∩
    それを記念して、ゴジラと進撃の巨人のコラボ作品を執筆していきたいと思います。



    まずはゴジラ第一作、ゴジラ(1954年公開)とのコラボをお送りしたと思います。




    相変わらずの見切り発車ですが、どうぞよろしくお願いします<m(__)m>
  2. 2 : : 2016/07/06(水) 10:56:41














                  ゴ ジ ラ


                    ×


                進 撃 の 巨 人










  3. 3 : : 2016/07/06(水) 11:02:36










    1954年


    その年、ウォール公国のラガコ島は、例年にない不漁に悩まされていた。











    『猛烈なサイクロンが現在、ローゼ地方に時速25kmの速さで接近しています。
    今晩にはラガコ島に上陸する見込みです。


    住民の皆さんは猛烈な雨と風に警戒してください。』







    外は強い雨がざあざあと降っている。


    ローゼ地方の沖にある孤島、ラガコ島は、それはそれは目立たない、小さな漁村であった。
    住民たちはみんな顔見知りで、多少のいさかいもあるにはあったが、それぞれ仲もよかった。








    この、小さな二階建ての家も、何の変哲もない一軒家の一つであった。









    「なあ父ちゃん? 今日も魚取れなかったのか?」


    「ああ、まったく・・・・・・今年はどうなってんだかな?」
    「大丈夫ですよ、あなた。今度はきっと、うまくいきますよ。」


    「それだけじゃない・・・・・・この前出た漁船が行方不明になっただろう?」

    「え、ええ。」



    「それを探しに行った漁船まで行方不明になったんだ。」



    「それは恐ろしいわ。」

    「ああ、村の長老も恐ろしがってたよ。」






    コニー家の食卓では、父親が息子のコニーや母親に愚痴を漏らしていた。





    コニー家は父親と母親。
    そして、妹のサニーと弟のマーティンの5人家族であった。


    つつましい漁師としての暮らし向きは楽ではなかったが、それでも、不足するところのない幸せな生活を送っていた。







  4. 4 : : 2016/07/06(水) 11:04:00







    コニーも父親の話を不思議に思ったのか、首をかしげる。
    すると、マーティンとサニーはクスクスと笑い始めた。






    「あんちゃんそんな頭良くないじゃん。」
    「マーティン!? おまっ・・・・・・。」

    「ふふっ、マーティンあんちゃんの言うとおりだね!」


    「サニーまで馬鹿にしやがって! このぉ!」






    弟や妹に突っ込まれて、それでも幸せそうに笑うコニー。
    これから彼に待ち受ける、過酷な運命も知らずに・・・・・・・・・・・・。




















  5. 5 : : 2016/07/06(水) 18:29:23
    期待!!!!!!
  6. 6 : : 2016/07/07(木) 06:52:10
    >>5
    期待ありがとうございます(∩´∀`)∩
  7. 7 : : 2016/07/07(木) 06:57:01
    期待ですフォローありがとうございます!(T_T)
  8. 8 : : 2016/07/07(木) 06:57:56
    >>7
    ありがとうございます(∩´∀`)∩
    これからよろしくお願いしますね<m(__)m>
  9. 9 : : 2016/07/07(木) 07:02:18

















    風が轟々と戸を叩き、横殴りの雨が吹き付ける。
    深い闇に沈んだラガコ島を、激しい豪雨が包み込む。






    「あんちゃん・・・・・・。」
    「こわいよぅ・・・・・・。」


    「だいじょぶだって・・・・・・俺がついてっからよ。」




    コニーは雨風に怯える弟や妹を、優しく宥めていた。





    コニーは幼い弟や妹と一緒に横になることが多く、よく兄弟を可愛がる兄貴であった。
    とはいっても、コニーにも恐怖心がないわけではなかった。


    こんなに雨が強く降ったことはなかったし、ここまで家がギシギシと軋むことなんて、これまでなかった。





    それに、こんなに地面が揺れるような感覚も・・・・・・・・・・・・








  10. 10 : : 2016/07/07(木) 07:03:17











    (ズシン・・・・・・)








    (ズシン・・・・・・・・・・・・)












    「!? な、なんだ!?」




    と、ここでコニーはようやく異変に気が付いた。
    轟くような、爆発するような、大きな音が近づいてくるたびに、家が揺れ、天井からぱらぱらとほこりが落ちてくる。







    「あ、あんちゃん!!」
    「こわいようッ! コニーあんちゃん!!」








    三人は恐怖に竦んで、お互い身を寄せ合った。
    その間にも音はますます大きくなり、振動はますます大きくなっていく。










    ドシンッ!












    ドシンッ!!












  11. 11 : : 2016/07/07(木) 07:05:02












    次の瞬間、壁が吹き飛び、激しい嵐がすべてを蹂躙した。



    その刹那の一瞬、コニーの目に映ったのは・・・・・・・・・・・・










    巨大で真っ黒な塊――――――・・・・・・・・・・・・それが、ドシンッ、ドシンッと、通り過ぎていく姿だった。







    ――――




    ―――

    ――――――





    ―――




    ―――――










  12. 12 : : 2016/07/07(木) 07:06:40












    「・・・・・・・・・・・・うぅっ。」




    しばらくして、コニーが目を覚ますと、周りには瓦礫の山と、打ち付ける雨風と闇ばかりがあった。







    「・・・・・・・・・・・・サニー!? マーティンッ!? うぐッ・・・・・・。」



    頭から血を流していることに気が付いて、ふらつくコニー。
    それでも、コニーは大声で叫んだ。




    さっきまで両腕の中にいた二人を探して・・・・・・・・・・・・。










    ・・・・・・・・・・・・嘘だ。


    信じない。
    信じないぞ。




    「サニーッ!! マーティン!! 父ちゃん!! 母ちゃんッ!!」






    瓦礫を必死にかき分けて。
    手が血だらけになって。


    とここで、コニーの手が、何かにあたった。






    瓦礫の中から現れたのは・・・・・・・・・・・・サニーの、右手だった。












    「あぁ・・・・・・あ・・・・・・ああああぁあぁぁ、うあああぁあぁぁぁッ!!」



    右手を握りしめ、コニーは悲痛な叫び声をあげて、涙を流した。











    その悲鳴は、嵐の闇の中に、かき消されていった――――――・・・・・・・・・・・・











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  13. 13 : : 2016/07/07(木) 18:32:31
    期待です!

    自分もゴジラ大好きです!!
  14. 14 : : 2016/07/07(木) 19:24:17
    コニー主人公なのかな?

    期待!!
  15. 15 : : 2016/07/08(金) 14:27:44
    >>13
    ありがとうございます(∩´∀`)∩
    シン・ゴジラ楽しみですね!

    >>14
    期待ありがとうございます(∩´∀`)∩
  16. 16 : : 2016/07/08(金) 14:27:59



















    嵐が過ぎ去り、やがて光が差し込んでくると、前代未聞、空前絶後の被害状況が明らかになってきた。










    民家という民家が押しつぶされ、
    多くの瓦礫が散乱しているさまは、


    到底サイクロンのものとは思われないほど凄惨なものであった。







  17. 17 : : 2016/07/08(金) 14:28:25









    一晩にして多くの死者、行方不明者を出したラガコ島――――――そこへ、一艘の船が近づいてきた。








    「博士、もうすぐ着きます。」
    「おお、済まないね。ミカサ君。」



    船の中で座っていたアルレルト博士は、立ち上がると船のデッキへと出た。





    ※アルレルト博士
    http://elbowroom.web.fc2.com/gazou5/2013/note-2013-04-14-05h45m56s174.jpg





    カモメが飛び交う空を見て、それから、海に浮かんで見えるラガコ島を見据えるアルレルト博士。







    本当にあの島に、古生物が上陸したのだろうか?


    アルレルト博士は不安と恐怖の中に、かすかな期待をにじませていた。







    ◇◇◇◇







  18. 18 : : 2016/07/08(金) 14:29:17








    __________ラガコ島壊滅のニュースは、すぐさまウォール公国の王都、ミットラスに伝わった。





    そのため、政府はその日のうちに調査団の派遣を決定。
    古生物学者のアルレルト博士に白羽の矢を立て、彼を調査団の団長に任命した。






    アルレルト博士には、娘ほどに年の離れた助手が一人いた。



    ミカサ・アッカーマンのことをアルレルト博士は実の娘のように可愛がり、ミカサもまたアルレルト博士を実の父親のように慕っていた。






  19. 19 : : 2016/07/08(金) 14:30:21








    __________調査団出港の日。






    ミットラス湾にはたくさんの人が詰めかけ、華々しい出発式が執り行われた。
    アルレルト博士や助手のミカサ、その他大勢の調査団のメンバーたちが、まぶしいくらいの花吹雪をくぐって、船へと乗り込んでいく。


    そんな中、歓喜に沸く人ごみの中に紛れて、右目に黒のアイパッチを付けた男が一人、静かにミカサを見つめていた。









    船が汽笛を鳴らし、港から出港し始める。






    湾岸からゆっくりと離れていく船から、ミカサは王都ミットラスを眺める。
    と、その時、ミカサは黒髪の精悍な顔つきをした男を見つけた。


    左目の鋭い眼光はいつもと変わらず、しかし、どこか寂しげに見える。







    右目を負傷し、戦傷者として帰ってきた幼馴染みはその日以来、変わってしまった。


    かつてのミカサの婚約者、エレン・イェーガーは若くして有能な科学者であったが、何人をも寄せ付けない冷たいオーラをまとっていた。







    不意の再会に、ミカサは言葉が出てこなかった。




    何か声をかけようとして、かける言葉が見つからない。
    そうこうしているうちに、幼馴染みはくるりと背を向けて、人ごみの中へと消えていった。







  20. 20 : : 2016/07/08(金) 14:31:37








    『どうしたのかね? ミカサ君?』



    すると、ミカサの様子を感じとったアルレルト博士が声をかけてきた。
    ミカサは暗い表情で、博士に呟いた。






    『私・・・・・・エレンに声を、かけられなかった。』
    『・・・・・・・・・・・・そうか。』





    博士はこれ以上何も言わなかった。


    博士もまたエレンを息子のように可愛がっていたし、
    戦傷者として帰国し、ミカサと結ばれなかったことを誰よりも案じていたのもまた、アルレルト博士であった。







    ◇◇◇◇◇







  21. 21 : : 2016/07/08(金) 15:33:47
    アルレルト博士が見れません(´・ω・`)
    でも期待してます!!
  22. 22 : : 2016/07/08(金) 15:39:16
    >>21
    画像修正しました(^_^;)
    期待ありがとうございます(∩´∀`)∩
  23. 23 : : 2016/07/09(土) 19:28:11
    期待だじぇ(∩´∀`)∩
  24. 24 : : 2016/07/09(土) 21:45:11
    アルレルト博士って帽子の人?
  25. 25 : : 2016/07/10(日) 10:49:02
    >>23
    ありがとうございます(∩´∀`)∩

    >>24
    はい。
    アルミンのおじいさんですね。
  26. 26 : : 2016/07/10(日) 11:42:39







    島の惨状は、アルレルト博士が想像していた以上に悲惨なもので、あちこちに散らばった瓦礫からは、死臭が漂っていた。
    助手のミカサも思わず両手で口を覆い、被害の惨状をゆっくりと確認していると、一人の少年が虚ろな目をして座っているのが目に入った。


    アルレルト博士はゆっくりと腰を下ろし、少年のそばに座ると、優し気に話しかけた。







    「少年・・・・・・名前は何というのじゃ?」

    「・・・・・・・・・・・・コニー、スプリンガー・・・・・・。」



    「・・・・・・・・・・・・家族は、無事じゃったのか?」





    「・・・・・・・・・・・・みんな死んだ。」







    焦点の合わない目でぼそりとつぶやくコニー。


    ややあって、肩を震わせたかと思うと、コニーは双眸からポロポロと、涙をこぼし始めた。







    「ちくしょう・・・・・・ちく、しょう・・・・・・・・・・・・。」




    何もかも奪われた一人の少年は、小さな嗚咽を上げた。








    ミカサはそっと、コニーの隣に座ると、肩を回して抱き寄せた。
    ミカサの腕の中で、コニーはしばらくの間、泣き続けていた。






    ◇◇◇◇◇







  27. 27 : : 2016/07/10(日) 11:43:06








    しばらくして、アルレルト博士は、とある場所へと向かった。







    「これは・・・・・・・・・・・・なんとも・・・・・・。」










    アルレルト博士は絶句した。





    こんな足跡(・・)など、今まで見たことがなかったし、恐竜などの古生物学が専門のアルレルト博士でさえ、驚きのあまり言葉に詰まっている。

    四本の巨大な爪を持つその足跡は、大きさが5m程にも達していた。







    梯子を使って足跡に降り立ち、地面を調べ始めるアルレルト博士。
    すると、この時代ではありえないものを博士は見つけ出し、あっと声を上げた。


    びっくりしたミカサが博士を尋ねる。





    「博士?」

    「見るのじゃ・・・・・・・・・・・・これは、三葉虫じゃ。」






    博士が手に取っていたのは、まぎれもなく三葉虫であった。







    「三葉虫は、もう、絶滅してるはず?」

    「うむ。これは、これは大変に貴重な発見じゃぞ!?」






    つかの間に博士は喜んだが、その時、調査団の一人が声を上げた。







    「博士! この足跡から離れてください! 放射能反応が出ています!!」







  28. 28 : : 2016/07/10(日) 11:53:59








    「!? な、何じゃと!?」



    博士は驚き、急いで梯子を昇って足跡から離れる。
    すると、この村の長老と思しき老人が、博士に近づいてきた。



    フリッツ長老がアルレルト博士に挨拶をすると、ミカサも博士も深く頭を下げた。







    「わしらの村には、こんな言い伝えがあるのです。」




    すると、長老はおもむろに、この島の伝説について語り始めた。








    「昔から、この島には、“ゴジラ”という巨大な怪獣が住み着いております。」


    「ゴジラ?」




    「はい。漁が不作になるのはゴジラのせいだと固く信じられ、そのたびに村人は、若い娘を船に乗せて生贄としてささげてきたのです。」


    「そんな伝説が・・・・・・。」







    「お気を付けくだされ。今までゴジラは姿を現されたことはないそうですが、もしかすると・・・・・・。」







  29. 29 : : 2016/07/10(日) 11:54:51









    それから調査団は、数名の案内役の村人とともに、足跡をたどって山道を登り始めた。






    「大丈夫? コニー?」

    「確かめたいんだ! 俺の家族を奪ってった・・・・・・・・・・・・ゴジラってやつを!」





    ミカサのそばには、コニー少年の姿もある。


    どうしても連れて行ってほしいとアルレルト博士に頼み込み、博士はミカサのそばを離れないという条件で、この話を呑んだ。
    博士は首からカメラをかけ、夏の真昼の熱い山道を、汗をかきながら上がっていった。







    「年寄りには、堪えるのう・・・・・・。」
    「頑張ってください。お茶を。」


    「おお、すまんね。ミカサ君。」





    差し出された水筒のお茶を飲みながら、山道を登っていく博士。
    調査団や村民の人間たちもまた、汗をだらだらと流しながら、草の生い茂る山道を登っていく。










    と、その時だった。



    突然、地面が揺れて、人々は不意の大揺れに倒れこんだ。






    「!! 博士!」
    「大丈夫か!? じいさん!?」


    「だ、大丈夫! 大丈夫!!」






    尻もちをついた博士に駆け寄るミカサとコニー。
    何とか気丈にふるまうアルレルト博士。



    そして、三人はついに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・目撃した。













    山道の向こう側から、ごつごつとした黒い皮膚を持つ巨大な怪獣―――――――ゴジラは、頭部だけを覗かせて、咆哮した。




    http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/004/981/16/N000/000/000/119730442229816118144.jpg








  30. 30 : : 2016/07/11(月) 17:06:20








    「・・・・・・・・・・・・ゴジラ!!」


    「ご、ゴジラだぁッ!!」

    「うわああぁあぁぁッ!!」






    恐怖に駆られた島民たちが叫び声をあげて散り散りになっていく中、コニーは怒りの形相で、ゴジラを睨み付けた。






    「あいつが・・・・・・あいつがッ!!」






    憎しみのこもった声に応ずるように、ゴジラは再び咆哮した。


    その咆哮は重く引きずるような、
    ズシンと大地を揺るがすような、



    コニーの怒りを押しつぶしてしまうほどの、重い怒りが込められていた。







  31. 31 : : 2016/07/11(月) 17:06:52







    アルレルト博士はこの時、とっさに首にかけていたカメラを握った。

    怒りの咆哮を上げるゴジラを、博士は、震える手に力を込めて写真に収めた。







    と、その時、コニーが一人飛び出そうと走り出した。





    「コニー! ダメっ!」



    とっさにコニーの腕をつかみ、取り押さえようとするミカサ。





    「なにすんだよ! 放せ!!」



    大声でコニーは怒鳴っている間に、ゴジラは山の向こうへと姿を消していった。

    まるで、大きな嵐の前触れのように、静かにゴジラは山の向こうへと消えていった。








    「くそぉ!! 逃げちまったじゃねえかよッ!!」

    「コニー!」






    大声を上げたミカサは、コニーの頬をパンと引っ叩いた。


    突然の出来事に驚いたアルレルト博士が、「み、ミカサ君?!」と素っ頓狂な声を上げる中、ミカサはコニーの前にしゃがみ込むと、キッとした目でコニーの顔を見据えた。







  32. 32 : : 2016/07/11(月) 17:07:16








    「命は、大切にしなきゃダメ・・・・・・。」

    「ぐっ・・・・・・。」



    「コニー・・・・・・・・・・・・あなたは、あの夜助かった。でも、こんなところで死んでしまったら、死んでしまったものが報われない。

    死んだあなたの家族だって、こんな事、望んでない。



    ので、あなたは、生きなきゃいけない。

    死んでいった・・・・・・・・・・・・あなたの家族のためにも。」





    「くそぉ・・・・・・くそぉぉ・・・・・・・・・・・・。」






    コニーはがっくりと膝をついて、大粒の涙を流した。


    アルレルト博士はそっと、コニーの右肩に手を置くと、ミカサにコニーを預け、ほかの調査団メンバーとともにゴジラの後を追った。






  33. 33 : : 2016/07/12(火) 14:33:40









    「ゴジラは、ゴジラは・・・・・・・・・・・・どこに!?」





    アルレルト博士は息を切らせ、恐怖の中にわずかな好奇心をにじませていた。


    古生物学者として、ゴジラを何としても研究したい。
    そんな気持ちが、アルレルト博士の頭の片隅には存在した。





    が、山を登り切って見下ろすと、その先は崖となっており、崖の下には砂浜があった。







    「ゴジラの・・・・・・・・・・・・足跡だ・・・・・・。」



    砂浜には、確かに巨大な足跡がいくつか残され、それらは海のほうへと向かっていた。







    __________ゴジラはすでにラガコ島を去り、海底の奥底へと姿を消したのだった。







    「博士・・・・・・。」


    「うむ。これは、世紀の発見じゃ。だが、これは・・・・・・・・・・・・人類最大の危機にも、なりえるだろう。」







    そうつぶやくアルレルト博士の表情は、期待と恐怖とが、複雑に入り混じっていた。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  34. 34 : : 2016/07/12(火) 16:14:20








    __________それから人類は、しばらくの間、ゴジラの姿を見なかった。






    アルレルト博士は、孤児となってしまったコニーをそのままにしておくことはできず、彼を伴ってラガコ島を出発し、王都ミットラスへと戻ってきた。


    派手な見送りに対し、出迎えてくれたのは、ごく少数の役人だけであった。






    それもそのはずで、ラガコ島の壊滅の詳細はすでに政府に伝わっており、政府内部でも混迷を極めていたからである。






    港には数台の黒い車が止まっており、車の中から役人が数人降りて来た。



    その中でも異彩を放つ男―――――――変人として知られる軍の司令官、ドット・ピクシスは博士に近づくと、にこやかな挨拶を交わした。





    「なぁ、そのはげたおじさんは誰なんだよ?」

    「!? こにーッ!!」





    後ろにいたコニーが爆弾発言をして、ミカサが思わず声を上げるも、彼女も顔が笑っていた。
    むしろ、アルレルト博士のほうが驚いた表情をして、おどおどする始末で。


    すると、ピクシスは笑って、コニーの前にしゃがみ込んだ。





    「どうじゃ? 毎晩磨きこんでおるからのう。まぶしいじゃろう? ん?」


    「ぷっ、ほんとかよ!?」

    「もちろんじゃとも。」






    ピクシスはそういうとニカッとした笑顔を見せ、それまで暗い表情をしていたコニーはようやく笑顔を取り戻した。







  35. 35 : : 2016/07/12(火) 16:57:35







    「さて、アルレルト博士。」

    「ええ、電報は受け取っておりますぞ。準備はできております。」





    立ち上がったピクシスは急にまじめな態度で博士に話しかけ、アルレルト博士もキッと気を引き締める。
    やや皮肉のかかった口調で、ピクシスは博士に語り掛けた。






    「議会は混迷を極めておるのう。」

    「無理もないことだろうと思われますぞ。」



    「うむ。博士の報告が正しければ、人類の歴史が始まって以来のことじゃ、今回のことはのう。」






    ピクシスがそうつぶやくと、アルレルト博士もゆっくりとうなずき、促されるまま車に乗り込んだ。






    「なあ、ミカサ? 博士はどこ行くんだよ?」

    「博士は・・・・・・・・・・・・議会にゴジラのことを報告しに行くの。」



    「俺たちは、行かなくていいのか?」







    すると、ミカサはふっと・・・・・・・・・・・・少し悲しそうな、愁いを湛えた表情を見せた。





    「私には、行くところがある・・・・・・。先に、博士の家に送るから、コニーはそこで待ってて。」








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  36. 36 : : 2016/07/12(火) 17:51:29








    アルレルト博士のゴジラに関する報告書(通称:アルレルト・レポ-ト)






    その巨大生物は、ジュラ紀に生息していた恐竜の生き残りであると思われる。
    それが証拠に、その足跡の中から、ジュラ紀に生息していた三葉虫が発見された。


    また、足跡からは放射能が検出されている。



    要約すると、繰り返される原水爆実験の結果、海底に住処のあったと思われる恐竜の生き残りがそこを追われ、放射能によって巨大化してしまったものと思われる・・・・・・・・・・・・







    初めて巨大生物が出現したラガコ島の伝説から、この生物をこう呼称する―――――――“ゴジラ”と。








    この、前代未聞の報告書の存在に、ウォール公国の議会に設置された委員会は揺れていた。


    会議室の中でアルレルト博士が、プロジェクターを使い、撮影したゴジラの写真を映し出すと、途端に議員たちはざわめきだした。





    ラガコ島の詳しい被害状況を聞くにつけ、
    博士が持ち帰った三葉虫の標本などを見るにつけ、


    もはや、あり得ないと思っていた現実に直面するしか道は残されていないことが明白になってきた。






  37. 37 : : 2016/07/13(水) 03:23:57







    「この通り、私はラガコ島において・・・・・・・・・・・・古代生物であるゴジラと遭遇したのであります!」






    アルレルト博士は、マイクの前で熱弁をふるった。






    「これは古生物学上の大発見であり、世紀の大発見ともいえるものです!



    私たちはいま、まさしく生きた化石と目の前で向き合っております!


    ゴジラの生態系を解き明かし、しっかりと向き合うことこそ、私たちに課せられた使命ではないでしょうか!?」






    アルレルト博士の願いは、古生物学者としての悲願でもあった。



    それに、彼の中にはもう一つ・・・・・・・・・・・・ゴジラに対する別の思いも存在していた。








    __________ゴジラは、人間のエゴによって生み出されてしまった、怪獣だ。



    ゆえに、人間はゴジラを駆逐するのではなく、ゴジラをもっと理解しなければならないのではないのか、と・・・・・・・・・・・・。









    だが、博士の願いは虚しいものであった。


    議会はゴジラの情報を公開するか否か・・・・・・・・・・・・そのことばかりに汲々としていて、博士の願いなど、一顧だにされなかった。







    与党の議員が、世間に無用な刺激を与えないように、公表を避けるべきだと答弁すると、血気盛んな野党の女性議員がヤジを飛ばす。






    「何を言ってるんだ! 政府は直ちにこの事実を国民に公表すべきだッ!!」


    「そうだそうだッ!!」

    「公表しろッ!!」
    「隠蔽工作なんかするなッ!!」





    あちこちからヤジが飛び、
    拍手喝さいが起こり、

    同じくらいの音量で罵声も飛び交う。








    (誰も、ゴジラを・・・・・・脅威の対象としてしか見ないのか・・・・・・。)




    そんな議会の様子を、アルレルト博士は、ただただ暗澹たる思いで見つめることしかできなかった。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  38. 38 : : 2016/07/13(水) 06:52:49









    『ラガコ島に世紀の怪獣“ゴジラ”出現』

    『漁船十七艘、既に行方不明』


    『都市部、再び疎開開始』







    __________翌日になり、各新聞にはこのような見出しが躍った。









    「はあ、戦争が終わったってのに、また疎開しなくちゃならないのか。」

    「せっかく拾った命ですもの。こんなところで死にたくないわ。」


    「疎開先を探さなくちゃな・・・・・・。」







    朝の満員電車はある種の悲惨なムードに満ち、このようなささやきも聞こえてくる。




    そんな満員電車の中に揺られて、ミカサは友人である新聞記者と話をしていた。







    「本当に恩に着るよ、ミカサ! でも不思議ね・・・・・・あのエレン・イェーガー博士とミカサが幼馴染だったなんて!」






    ローゼ新聞の記者であるミーナは、ミカサの友人の一人であり、腕の立つ記者であった。



    ミーナは記者として、若くして有能な科学者として期待されているエレンを取材していたのであるが、その過程で偶然にも、ミカサがエレンの幼馴染であることを突き止めた。

    それで、ミーナはミカサにエレンとの仲立ちを頼み込んだというわけである。









    「エレンは・・・・・・私の、大切な人・・・・・・。」

    「私も早く会ってみたいなぁ・・・・・・だって、ミカサがそう思う人なんでしょ?」






    ズキンと、心が小さく傷んだ。


    そうだ・・・・・・・・・・・・エレンは、私の、想い人・・・・・・。





    その想いは、今も変わらない。




    どれだけそれを拒まれても、私は・・・・・・・・・・・・







    「ミカサ? ミ~カ~サ~ッ!?」

    「えっ?」



    「えっ? じゃない! もう着くよ!?」







    ミーナの一言で現実に引き戻された私は、人ごみをかき分けるようにして電車を降りた。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  39. 39 : : 2016/07/13(水) 07:25:37









    「ふあぁ~ぁ・・・・・・・・・・・・もう朝になっちまったのか・・・・・・。」






    時計を見ると、既に9時を指していた。


    ・・・・・・・・・・・・夢中になって研究するうちに、いつの間にかこんな時間になってしまったらしい。






    白衣を着こみ、右目に眼帯をしている男は、眠たげな左目をこすった。








    「全く、地下室じゃいつ朝になったんだかわかりゃしねぇよな・・・・・・。」





    あくびをしながら、水槽の中を泳いでいる魚たちを見つめる。

    椅子から立ち上がり、大きく背伸びをする。



    それからエレンは朝食を作りに、地下の研究室を出て階段を上り始めた。







  40. 40 : : 2016/07/13(水) 21:59:44
    すげえ面白いです!

    頑張ってください♪
  41. 41 : : 2016/07/14(木) 23:17:23








    コンコンッ


    「はぁ・・・・・・・・・・・・だれだろうな? こんな時間に?」








    扉を叩く音に気が付き、キッチンに立ったエレンは少しうんざりしたような声を上げる。





    __________基本的に、エレンは取材という取材をすべて断っていた。





    戦争という恐怖に直面した彼は、自分の殻に閉じこもりがちになり、

    さらに、研究に邪魔だと判断したものは、切り捨てるようになっていた。


    幼馴染みのミカサとの婚約も破棄してしまったエレンはますます研究にのめりこんだ。






    それに、今の研究を、まだ世間に公表すべきじゃない。





    こうした理由から、彼を訪ねた記者たちは、軒並み門前払いを喰らっていた。

    こういったエレンの行動が、科学者としての有能さと相まって、ある種人を引き付けるような魅力となって記者を呼び込んでいたのは皮肉としか言いようがなかったが・・・・・・。






  42. 42 : : 2016/07/14(木) 23:17:43
    >>40
    ありがとうございます(∩´∀`)∩
  43. 43 : : 2016/07/15(金) 00:00:45








    ガチャリとドアが開くと、中から不機嫌そうなエレンが姿を現した。






    「・・・・・・・・・・・・エレン。」

    「み、ミカサ・・・・・・?」




    幼馴染みの不意の訪問に面食らって、エレンは少しの間呆然とした。
    が、後ろに新聞記者ミーナの姿を認めると、また元の不機嫌そうな顔に戻った。






    「こんな朝からいったい何しに来たんだよ?」

    「エレン、実は―――――「そいつは新聞記者だろ!?」





    けんもほろろに、エレンは険しい表情でミカサやミーナを睨み付ける。

    少しタジタジになるミーナに対して、ミカサは毅然としていたが、それは火に油を注ぐ結果となった。







    「・・・・・・・・・・・・帰ってくれよ。」


    「エレン・・・・・・私の話を―――――「帰れよッ!!」






    エレンは大声で怒鳴るとバタンと戸を閉めた。







  44. 44 : : 2016/07/15(金) 00:01:47








    「昔は、こんなんじゃなかったのに・・・・・・。」



    たまらなく悲しい気持ちになったミカサが、ぼそりとつぶやいた。








    「ミカサ・・・・・・・・・・・・ごめんね。こんなになるなんて、思っても、なかったから。」

    「ミーナが謝ることはない。私も、エレンに会いたかった・・・・・・。それだけ。」






    そうは言いつつも、ミカサは俯いたままだった。

    居たたまれなくなったミーナは、ミカサに謝りつつ、エレンの家のドアの前から去っていく。







    __________昔はよく遊びに来ていた家の、なんと遠く離れてしまったことだろう・・・・・・。







    ややあって、ミカサもエレンの家の前から立ち去ろうとした。


    すると・・・・・・・・・・・・







    ガチャリと音がして、振り返ると、そこにはエレンが立っていた。








  45. 45 : : 2016/07/15(金) 00:02:49
    がんばってください
  46. 46 : : 2016/07/15(金) 00:09:47
    >>45
    ありがとうございます(∩´∀`)∩
  47. 47 : : 2016/07/15(金) 00:09:56








    エレンは少し目線をそらしつつ、多少まごついた口調で話しかけてきた。







    「・・・・・・・・・・・・さっきは、悪かった、な。」


    「えっ?」

    「・・・・・・・・・・・・新聞記者には、見せたくねえんだ。けど、お前になら・・・・・・お前になら見せてやる。」







    そういうとエレンは、ミカサを家の中に案内した。


    家の中は、アルレルト博士が親しくしていたグリシャさんやカルラさんが生きている頃とあまり変わっていない。





    ただ、地下室へ続く階段、その先の部屋へは入ったことがなかった。





    エレンは胸元からカギを取り出すと、ガチャリと開けてミカサを自分の研究室へと入れた。







    ミカサは思わず息を呑んだ。



    部屋の中には、高級そうな機材がいくつも並び、魚の泳ぐ大きな水槽がいくつか用意されていた。







    そういえばミカサは、エレンが何を研究しているのかはてんで知らなかった。


    エレンは酸素の利用法を研究している学者であり、学者仲間のうちでは、若くしてその権威と知られていた。







  48. 48 : : 2016/07/18(月) 12:44:22







    エレンはおもむろに、皿の上に乗せられたいくつかの小さなカプセルを取り出すと、これを魚がたくさん泳いでいる水槽のひとつに入れた。




    「いいか、ミカサ・・・・・・・・・・・・この研究は絶対に秘密だからな?」





    ―――――

    ―――




    ―――――



    ――――――――




    ―――――




    ――
    ――――――









    数刻の後、ミカサは研究室を飛び出した。




    体が激しく震え、
    呼吸が激しく乱れている。


    エレンが見せてくれたものは、まさしく、ミカサをしてここまで追い込む様な・・・・・・・・・・・・悪魔の発明。





    ややあって、研究室から出てきたエレンを、ミカサは見つめた。





    「分かっただろ・・・・・・・・・・・・なんで俺がこうまで取材を断るか・・・・・・。」

    「エレン・・・・・・・・・・・・分かった。私、このことは、話さない。絶対に・・・・・・・・・・・・。」






    顔面を蒼白にしたミカサは、小さく頷きながら、エレンと約束を交わした。

    後に、ミカサを苦しめることとなる、重き鎖のような約束を、エレンと交わした・・・・・・・・・・・・。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇









  49. 49 : : 2016/07/18(月) 15:26:12
    うっほぉぉ!!!!続き期待ですぅぅぅ!!!!
  50. 50 : : 2016/07/19(火) 15:20:19
    期待&お気に入り登録ありがとうございます(∩´∀`)∩
  51. 51 : : 2016/07/19(火) 15:50:07









    『本日午前11時48分。我が国のフリゲート艦隊は、海中のゴジラに対して爆雷攻撃を実施。ゴジラに打撃を与え――――・・・・・・・・・・・・』







    「・・・・・・・・・・・・ただいま。」



    ミカサが暗い表情で家に戻ってくると、リビングではコニー少年とアルレルト博士が静かにテレビを囲んでいた。

    ミカサは助手として博士の家に居候しており、アルレルト博士はミカサをまるで本当の家族のように扱っていた。






    さて、博士とコニーはテレビを囲んでいたが、二人の表情はまるで違っていた。





    コニーのほうはゴジラの名前を聞くだけで、憎しみに染まり切った表情を浮かべていた。
    これはもう仕方のないことだろう。


    一方の博士は、何やら・・・・・・・・・・・・無力感といったような、やるせない表情を浮かべていた。






    「・・・・・・・・・・・・。」



    アルレルト博士は無言で立ち上がり、帰ってきたミカサの顔も見ずに部屋の奥へと立ち去って行った。





    「アルレルトのじいちゃん、どうしたんだ?」



    博士の異変にようやく気付いたコニーに、ミカサは静かに語りかけた。






    「博士は・・・・・・・・・・・・悲しんでる。」

    「悲しんでる? なんで?」



    「博士は・・・・・・・・・・・・ゴジラを、ほんとは殺したくない。」






    途端に、コニーは怪訝な表情を浮かべた。






    「殺したくない!? 何言ってんだよ!?」

    「・・・・・・・・・・・・今日はもう寝たほうがいい、コニー・・・・・・。」






    ミカサがふっと疲れた表情を浮かべたのに気が付き、コニーは押し黙った。

    それでも、釈然としないといった表情を浮かべ、コニーは彼のために用意された部屋へと戻っていった。







  52. 52 : : 2016/07/19(火) 15:50:46










    コンコンッ



    「博士・・・・・・。」







    ミカサが博士の部屋に入ると、博士は暗い部屋の中で椅子に座り、窓の外を見つめていた。

    博士の机の上には、大きなブラキオザウルスの骨格模型が飾ってあった。






    ミカサが部屋の明かりをつけると、博士は静かに語りだした。







    「誰も・・・・・・・・・・・・ゴジラを、見ようとはしていない。あれは、生物学上の奇跡だ。なのに・・・・・・。」

    「博士・・・・・・。」







    博士の学者としての憂いは、おそらく万民には理解しがたいものだろう。

    博士は自分が孤独だと知っているのだ。





    だからこそやるせないし、学者としての良心が疼く・・・・・・。







    「ミカサ・・・・・・・・・・・・しばらくわしを、一人にしてくれないか?」



    博士はそうつぶやき、ため息をついた。









    「・・・・・・・・・・・・はい。」

    「それと、部屋の電気は・・・・・・・・・・・・消していってくれ。」






    ミカサは部屋の電気を消し、闇の中に沈むアルレルト博士を残して部屋を出て行った。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  53. 53 : : 2016/07/21(木) 20:35:22









    王都ミットラスは、ミットラス湾に面した湾岸都市である。






    ミットラスは中央区と東西南北四つの区―――――北のオルブド区、東のストヘス区、西のヤルケル区、そして、南のエルミハ区。

    以上の地区から構成された都市で、エルミハ区がミットラス湾に面していた。








    闇に沈んだミットラス湾。


    黒々とした海水の広がる大海原が、不気味な揺動を始めたのは、ちょうど、夕食の時間が過ぎた午後八時過ぎであった。






    海面が裂け、巨大な咆哮が湾岸を揺り動かす。



    __________ついに王都ミットラスの沖に姿を現したゴジラは、その黒くてごつごつとした巨体を、ゆっくりと王都へと近づけていた。








    王都じゅうに空襲が来たかのような警報が鳴り響く。






    「!? 空が・・・・・・・・・・・・泣いてる?」



    研究室にいたエレンは、かすかに聞こえてくる警報に気が付いて、そのまま部屋を飛び出し、着の身着のまま家から飛び出した。






  54. 54 : : 2016/07/21(木) 20:35:58









    「近づいてくる! 近づいてくるぞぉ!!」

    「構え! 構えッ!!」





    陸へ近づいてくるゴジラに対して、強力なスポットライトが当てられる。

    あらかじめゴジラの襲撃を予測していた軍により、海岸線にはガトリング銃が配備されていた。





    部隊を指揮するキッツ少尉は、目の前に迫りくる巨体に怯えながらも、勇敢に声を張り上げた。







    「・・・・・・・・・・・・撃てぇッ!!」




    激しいマズルフラッシュが海岸線に一筋の光を描き、ゴジラに銃弾の雨が襲い掛かる。


    が、ゴジラは大地を揺るがすような怒号を上げ、海岸の底を踏みしめ、ますます近づいてくる。







    「ひ、ひるむな! ひるむなぁッ!!」




    必死に声を張り上げるキッツ。


    だが、銃弾を何発撃ち込んでも死なない怪獣に、軍の前線部隊はもはや散り散りになっていた。








    「う、うわああぁあぁぁッ!!」



    断末魔の悲鳴を上げ、哀れなキッツは上陸したゴジラに踏みつぶされ、無残な最期を遂げた。







  55. 55 : : 2016/07/21(木) 21:11:32









    エルミハ区に上陸した50m級のゴジラは、民家を踏みつぶしながら、夜の闇の中を進撃していく。

    その巨体が通った後からは火の手が上がり、エルミハの夜を赤く染め上げていく。






    街中で非難する人間たちの悲鳴が上がり、橋を渡って逃げ惑う人間たちに交じって、一人の老人とその助手が、人々の流れに逆らって橋を渡ってきた。






    「ここから先は危険です! 一般人はお通しできません!!」


    「わしはアルレルト博士です! 通してください!!」

    「!! いくら博士でもここから先は危険です! お通しできません!!」






    避難を誘導し、危険な地域に行かせまいとする軍人たちと、アルレルト博士は口論となった。

    どうあっても博士は先へはいけない――――――アルレルト博士は代わりに大声を上げた。







    「ゴジラに強い光を当てないでくだされ! そんなことをすれば・・・・・・・・・・・・ゴジラをますます怒らせるばかりですッ!!」







  56. 56 : : 2016/07/21(木) 21:23:49








    怒りの咆哮が、街の中を響き渡る。


    博士の言う通り、強いスポットライトを浴びせられて逆上したゴジラは、家という家を踏みつぶし、
    文字通り、エルミハの街を蹂躙していった。






    その巨大な足音は、川を隔てて反対側の岸にいたミカサやアルレルト博士の耳にも届いていた。





    「ミカサ!! 博士!!」


    と、そこへ、一人の青年の呼ぶ声が聞こえてきた。






    「こんなとこで何やってんだよ!」


    「エ、エレン!?」

    「エレン君!? どうしてここに!?」






    エレンはミカサに対して、怒ったような口調で話しかけると、強引にミカサの右手を引っ張りはじめた。

    博士も慌ててミカサとエレンの後を走ってついていく。






    「とりあえず、高台へ逃、げよう! エレン君!」

    「ったく、心配させないでくださいよ! アルレルト博士!!」





    ミカサの手を引っ張るエレンは、とても頼もしく見えた。




    戦争から帰ってきて、エレンは変わってしまったかと思っていた。

    でも、今私の手を握っているのは確かにエレンで・・・・・・。






    ミカサは目頭が少し熱くなり、泣くのをこらえて一生懸命に走った。







  57. 57 : : 2016/07/22(金) 17:29:40







    ゴジラは街の中をゆっくり、ゆっくりと進んでいき、あたりを火の海へと変えていく。






    その日、エルミハ区を走る電車には、回線の混乱のため、情報が行き届いていなかった。

    夜の闇の中をまっすぐに走っていく電車の車列。






    と、突然に運転手が悲鳴を上げた。






    「うわああぁあぁぁッ!!」




    目の前に突如現れた黒い塊―――――――ゴジラに気が付いて急ブレーキをかけるも、既に遅すぎた。







    ガシャアンッと大きな音を立てて電車はゴジラの足に衝突。


    車内が大きく揺れ、乗客たちの悲鳴がこだまする中、ゴジラはゆっくりと車両のうちの一台を持ち上げた。






    「わああぁあぁぁッ!!」

    「逃げて逃げてッ!!」


    「早くッ!!」






    残された車両から人々が必死に逃げ惑う中、車両を咥えたゴジラは、そのまま車両を真下へと落とす。


    ドォンという巨大な地鳴りと、ゴジラの咆哮とが、炎上するエルミハ区へと響きわたった。







  58. 58 : : 2016/07/25(月) 05:56:05







    「博士! ミカサ!!」



    エレンとミカサ、アルレルト博士が高台の上に駆け上がると、コニーが心配した様子で声をかけてきた。

    ミカサはコニーに駆け寄り、何とか無理に笑顔を作ったが、無茶をしているのは明らかであった。







    それから、四人は高台からエルミハ区を見下ろした。






    赤々と燃える街の中を移動する黒い塊。



    ゴジラは、エルミハの街を一通り破壊しつくすと、さっきエレンたちがいた川の中へと入り始めた。
    人々が命がけで渡ってきた橋を破壊し、ゴジラはそのまま、川を下っていく。






    ゴジラという脅威に対して、人々はあまりにも無力であった。

    ただただなすすべもなく破壊されていく様を見たコニーは、こぶしをぎゅっと握って、震える声でつぶやいた。






    「ちくしょう・・・・・・ちくしょう・・・・・・・・・・・・。」



    ミカサやアルレルト博士もまた、呆然と炎に飲まれる街を見つめている。

    そんな中、エレンただ一人が、暗澹たる苦悩の色をその顔に滲ませていた。








    やがて、ゴジラは海へと出てそのまま、大海原の中へと姿を消していった。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  59. 59 : : 2016/07/25(月) 06:33:30







    翌日。



    未曽有の大惨事から一夜明け、エルミハ区の凄惨な被害状況がようやく把握され始めた。





    王都ミットラスの中央区の病院はけが人であふれ、放射能測定装置がジジジ・・・・・・と音を立て続ける。

    あまりの人手不足にボランティアも駆り出され、ミカサやコニーもけが人の手当てに追われていた。







    「・・・・・・。」



    あまりの死人の多さに、ミカサもコニーも言葉にできないほどの悲しみを抱えたが、それを感じている余裕などなかった。

    それほどに手当ての必要なけが人が多く、二人とも一人でも多くの人間を救うために必死になっていた。







    一方、アルレルト博士は古生物学者の権威として、議会の内部に設けられた災害対策本部に招かれていた。

    委員会のメンバーに交じり、軍の司令官を務めるピクシスが、博士に尋ねた。






    「単刀直入に聞こうかの。アルレルト博士は、あのゴジラをこの世から駆逐できるとお考えかな?」



    ピクシスのまっすぐな問いに、アルレルト博士は目をそらし、それから、まっすぐに見つめて答えた。







  60. 60 : : 2016/07/25(月) 06:34:17







    「・・・・・・・・・・・・通常の方法では不可能でしょう。」

    「やはりそう思われるかの。」


    「ゴジラは、水爆の洗礼を受けてなお生き延びた生物です。これはまさに、生物学上の神秘としか言いようがない。」


    「うむ、今の人類にあっては・・・・・・それは脅威じゃ。」





    ピクシスの声は、鋭かった。





    普段は酒瓶を持ち歩き、飄々として捉えどころのない男が、鋭い目つきで作戦を思案する姿は、周りの軍人たちや政治家たちの気を引き締めるには十分すぎた。

    まるで葬式のような重苦しい沈黙。





    その空気を破ったのもまた、ピクシスであった。







    「アルレルト博士は、巨人伝説をご存知かの?」

    「巨人伝説ですか。三重の壁を築いて巨人から人類を守ろうとしたという。」



    「うむ。その時の壁の高さは50m・・・・・・・・・・・・奇しくも、あのゴジラと同じ高さというわけじゃ。

    そこでわしは、進撃の巨人伝説から、“ウォール・シーナ作戦”を展開しようと思う。」







  61. 61 : : 2016/07/25(月) 06:35:13








    「ウォール・・・・・・シーナ作戦?」


    ピクシスの提案に、委員会室にいる人間たちの目線が一気に集まる。







    「つまりじゃ。わしらはこれから、ゴジラの再度の上陸を阻む電気の壁を作る。

    高さ50mの高架線じゃ。
    これを、ミットラス湾を取り囲むように敷設する。

    そこに、5000万ボルトの電流を流し込んで、ゴジラを感電死させるというものじゃ。」







    それは、実にピクシスらしい、突拍子もない作戦であった。


    ミットラス湾を囲むように作るとなれば、その長さも計り知れない。
    しかも、沿岸から50mの住人たちを避難させなければいけない。





    が、ゴジラの進撃をこれ以上許すわけにもいかない。




    委員会のメンバーから次々と拍手が送られ、軍はこの突拍子もない作戦にすべてをかけることを決定した。








  62. 62 : : 2016/07/25(月) 06:35:43








    数日後から、早速ミットラス湾の沿岸沿いに、高架線が突貫工事で作られ始めた。




    昼と夜とを問わず、いつ現れるかわからないゴジラの進撃を食い止めるために。

    人々は懸命になって働き、高架線は異例なほどの速さで建設されていく。






    幸いにもその間にゴジラは姿を見せず、人類はとうとう短期間のうちに、自らを守るための電気の壁を築き上げた。






    「第一管区、通電開始!」

    「第二管区、通電開始!」





    高架線の電気制御を一手に司るストヘス区の変電所で、ピクシスは全部で五つのブロックに分けた電気の壁の最終点検を行っていた。

    突貫工事で作ったにもかかわらず、順調にそれぞれの区画の高架線に高圧電流が流れていく。



    そして・・・・・・・・・・・・






    「第五管区にも、電流が流れました!!」

    「うむ! みな・・・・・・・・・・・・よく頑張ってくれたのう!!」




    「よし!!」
    「人類の反撃はこれからだッ!!」

    「人類の力を、思い知らせてやる!!」





    ピクシスのねぎらいの言葉に、作戦に関わった人間たちが快哉を叫んだ。

    万が一のために戦車隊の配備も済ませ、ついにゴジラを迎え撃つ体制が整ったのである。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  63. 63 : : 2016/07/25(月) 07:53:43







    その日の夜・・・・・・。




    ミーナは久しぶりに、ミカサの家を訪れていた。







    「エレンは、私を助けてくれた。でも、そのあとはなかなか会ってくれない。」

    「あっちゃ~・・・・・・ミカサも奥手だけど彼もなかなかね・・・・・・。」






    ミーナはため息をつき、俯くミカサを何とか動かそうと必死に頭を動かしていた。


    無論、ミーナの頭の中には、ミカサを通してエレンに近づきたいという思惑も頭をかすめてはいたが、
    それよりも、親友の悩みを解決して、何とか元婚約者とくっつけてあげたいという気持ちが強かった。




    とはいえ、どうも取り付く島もない・・・・・・。


    ミーナがほとほと困り果てていると、ミカサはどんどんと暗い顔になっていって、もう居たたまれないという気持ちにもなってくる。





    と、そこへ、アルレルト博士がようやく帰ってきた。



    ミカサは帰ってきたアルレルト博士へと声をかけようとした。

    だが、博士は・・・・・・ミカサよりも暗い表情を浮かべており、はたから見ているミーナの気まずさはいや増すばかりであった。







  64. 64 : : 2016/07/25(月) 07:54:31








    互いに何も言わないまま、アルレルト博士はゆっくりと椅子に腰を下ろす。

    ややあって、博士はおもむろに話し始めた。







    「・・・・・・・・・・・・今、災害対策本部には、世界中から学者が集まっておる。」

    「博士・・・・・・。」


    「じゃが、誰もゴジラを・・・・・・・・・・・・研究の対象として見ようとはせんのじゃ。」






    博士は、古生物学者としての失望をますます募らせていた。



    ゴジラを止められないことはもちろんのこと、
    ゴジラという貴重な古生物を前に誰も研究に手を付けようとしない。

    そのことに、博士は大きな失望を感じていた。




    するとミーナは(彼女もまた、アルレルト博士とは古い付き合いがあった)、静かに博士に反論した。






    「ゴジラは、駆逐されるべきだと思います。」

    「む?」


    「人類は今存亡の危機に立たされてるんです。ですから――――――「君までそんなことを言うのか!!」







    アルレルト博士は穏やかな紳士であり、古生物学の研究に情熱を傾ける、まさに高潔な学者であった。

    その博士が、声を荒げて椅子から立ち上がった。


    ミーナが驚く暇もなく、アルレルト博士はものすごい剣幕でミーナに迫った。






    「帰り給え!! ミカサ、今日の夜はわし一人だけにしてくれ!!」


    博士はそういうなり、ずかずかと自分の部屋の中へと引きこもってしまった。







    「・・・・・・・・・・・・ごめん、ミーナ。」



    取り残されたミカサは、深く沈んだ顔で謝ってきた。

    傷ついた親友の顔を見るに忍びなくて、ミーナは努めて明るく振舞った。







    「気にしなくていいのよ! 博士もきっと、虫の居所が悪かっただけだよ!」


    とはいっても、ミカサの表情が晴れるはずもなく、ミーナは博士の家をお暇するよりほかに選択肢がなかった。







    「・・・・・・・・・・・・ごめんね、ミカサ。」



    一人暗く沈んだ表情を浮かべるミカサを残して、ミーナは博士の家を後にした。








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  65. 65 : : 2016/07/26(火) 20:17:38







    時刻は夜。





    人類が壁を築き上げるのを待っていたかのように、その巨大な黒い塊は、深いわだつみの底から再び姿を現す。

    巨大で重苦しい咆哮がミットラス湾に鳴り響き、災害対策本部にすぐさま情報が入った。








    『第三管区にゴジラ出現! 第三管区にゴジラ出現!』






    『ピクシス司令!!』

    「うむ、いよいよ来たようじゃな・・・・・・。」






    副官のアンカの言葉に、ピクシスはこぶしを静かに握りしめ、ややあって立ち上がり、通信機に向かって命令を下した。






    「アンカ! リコ! 高圧電流の壁を準備!!

    イアン、ミタビ両名は戦車隊をミットラスに展開させよ!!」





    ピクシス傘下の兵士たちが一斉に通信機越しに敬礼をし、直ちに動き出す。

    ゴジラはゆっくりと、再びエルミハ区の湾岸へと近づいてくる。




    岸上から強烈なスポットライトを浴びせ、高射砲がゆっくりと標準を合わせる。





    「撃てッ!!」




    高射砲が火を噴き、水面から体を半分以上出しているゴジラを迎撃する。

    だが、高射砲をもってしても、ゴジラに致命的なダメージを与えるに至らない。


    それはいたずらにゴジラを怒らせ、退却していく兵士たちを追うように、ゴジラは再びエルミハ区へと上陸した。







  66. 66 : : 2016/07/26(火) 20:18:19









    『ゴジラ、第一次防衛線突破。エルミハ区に上陸しました。』

    「ここまでは予想通りじゃが、無傷とは堪えるのう。」






    ピクシスは緊張の面持ちでつぶやいた。


    いよいよ、作戦の決行の時が迫っている・・・・・・。

    高圧電流の壁にゆっくりと近づいてくるゴジラ。






    心臓が早鐘を打つのを感じながら、ピクシスは大声で叫んだ。







    「今じゃ!! 第三管区の壁に電流を流せッ!!」







    次の瞬間、高架線に火花が走り、5000万ボルトもの高圧電流が電線の中を流れた。


    電線を倒して通過しようとしたゴジラに、容赦なく高圧電流が襲い掛かり、激しい火花が散る。





    苦痛のうめき声を上げ、一瞬、ゴジラは動きを止めた。





    「よし! 効いておるぞ!!」




    無駄ではなかった。

    確かにゴジラには、電気系統の攻撃は有効だった。






    だが・・・・・・。




    怒り狂ったゴジラは背びれを青白く光らせはじめ、そして・・・・・・・・・・・・口から青白い色の放射能熱線を高架線に向かって発射した。







    『ゴジラ! 口から青白い炎を発射!! 高架線が・・・・・・!!』

    「なんじゃとっ!?」






    熱線を浴びた高架線は高熱でぐにゃりと曲がり、火花を再び散らす。

    この時、ピクシスは・・・・・・・・・・・・とうとうゴジラを本気で怒らせてしまったことに気が付いた。









    『第二次防衛ライン。高圧電流の壁・・・・・・・・・・・・突破されました・・・・・・。』



    通信機の向こうでアンカが、がっくりと肩を落としながら、つぶやいた。






  67. 67 : : 2016/07/26(火) 20:38:35








    青白い炎を口から吐き出しながら、エルミハ区のまだ残っていた建物を炎で焼き払っていく。



    人々は恐怖に逃げ惑い、悲鳴を上げ、のたうち回り、

    そんな人間たちにさえ、ゴジラは容赦なく放射能熱線を浴びせた。





    蒼白い炎にさらされて、人間たちは燃え上がって、消し炭となって消え失せていった。







    「急げ!! 戦車隊、迎撃準備!!」

    「何としてもゴジラをエルミハ区で食い止めるんだ!!」





    イアン、ミタビ両名が率いる戦車隊がエルミハ区の建物の間をすり抜けてゴジラの前に姿を現す。


    並んだ戦車がゴジラを食い止めようと、必死に銃弾を撃ち込む。



    だが、ゴジラにとってそれはもはや、子供が大人にちょっかいを出している程度の効果しかもたらさなかった。






    「だめだ! 戦車じゃゴジラを倒せない!!」

    「ぐ、どうすれば・・・・・・・・・・・・ぐああぁあぁぁッ!!」






    ゴジラの青白い放射能熱線が炸裂し、戦車が次々と炎上していく。







    「イアン・・・・・・ミタビ・・・・・・・・・・・・。」




    通信機の前で、ピクシスは力なく椅子に座った。

    最後の防衛線も突破され、文字通り・・・・・・軍は壊滅状態となってしまったのだ。







  68. 68 : : 2016/07/26(火) 21:28:40








    イアンとミタビはゴジラの放射能熱線の前に灰となり、ゴジラはついにエルミハ区から、王都ミットラスの中央区へと進撃した。




    人口密集地帯の中央区から火の手が上がり、
    人々の悲鳴やうめき声が谺し、


    ゴジラは青白い炎でそれらすべてを灰に変えながら、低い唸り声で咆哮する。





    中央区は瞬く間に炎上し、まるで空襲にでもあったかのような地獄絵図に、高い電波塔の上からテレビ中継をするハンネスは息を呑んだ。






    「信じられません。全く、信じられません・・・・・・。今お茶の間に流している光景は、映画のワンシーンではありません!」



    極度の緊張で汗だくになりながら、ハンネスは目に映る光景を克明に伝えた。







    「私たちは、200万年前の時代に戻ってしまったのでしょうか!?

    赤々と燃えるミットラスの中央を進撃する黒い塊―――――それが、ゴジラです!!」







  69. 69 : : 2016/07/26(火) 21:31:36








    『こちら本部本部。中央区南はほぼ壊滅状態。火災被害はなおも拡大中。』

    『こちら本部本部。中央区南東の火災。消火の見込みなし。』





    災害対策本部に、被害状況がひっきりなしに届いてくる。

    その絶望的な状況を聞くにつけ、ピクシスの表情は暗く沈んでいった。





    もはや人類に、反攻する術は、残されていないのか―――――・・・・・・







    (ドシン・・・・・・・・・・・・)





    (ドシン・・・・・・・・・・・・)








    徐々に、ゴジラの足音が聞こえてくる。

    ゴジラの咆哮が、迫ってくる。






    「むっ! 総員!! 地下へと退避せよ!!」



    我に返ったピクシスがすぐに指令を出す。

    急いで必要な書類を持ち出し、地下壕へと人々が避難した直後―――――ゴジラの巨大な足が災害対策本部を踏みつぶした。







  70. 70 : : 2016/07/26(火) 21:32:14







    そのままゴジラはミットラスの中央にある王宮を、素手で破壊した。

    王宮の壁がガラガラと崩れ、石が地面へと轟音を立てて落ちていく。






    その様をハンネスは電波塔から、冷や汗をかきながら中継していた。






    「たった今! たった今王宮が崩壊しました!!



    信じられません!




    ゴジラが、ゴジラが・・・・・・・・・・・・ゆっくりと電波塔に近づいてきています!!

    私たちの命もどうなるか!?」






    王宮を破壊したゴジラは、今度はハンネスたちのいる電波塔に近づいてきた。

    取材陣のカメラのフラッシュに逆上したゴジラが、両手を電波塔にかけ、塔に噛り付いた。



    ギギギという不気味な音とともに、塔がぐにゃりと折り曲げられていく。






    「物凄いパワー!! 電波塔が折り曲げられていきます!!

    いよいよ最後です!! さようならみなさん! さようなら!!」







    ついに電波塔が真っ二つに折れ、ハンネスをはじめとするTV中継班は電波塔から投げ出された。






    「うわああぁあぁぁッ!!」



    はるか上空から体を投げ出され、ハンネスたちTV中継班は、その命を散らしていった。







  71. 71 : : 2016/07/26(火) 23:17:56








    もはや、人類にゴジラの進撃を止める術など残されていなかった。




    中央区を通り過ぎたゴジラは、商業施設の多く立ち並ぶ、西のヤルケル区へと移動していく。

    巨大なデパートや劇場を、ゴジラは放射能熱線で焼き払っていく。






    そこから少し離れた高台から、ミカサとコニー、アルレルト博士とミーナは、息を呑んでこの惨事をただただ見つめていた。



    コニーが自分の無力さにこぶしをぎゅっと握りしめ、
    ミカサとミーナが、自分の目が信じられないとばかりに呆然とし、

    アルレルト博士は、学者としての良心が悲しく疼くのを感じ取っていた。






    __________わしの、古生物学者としての願いは、果たして間違っておったのか・・・・・・。






    デパートの建物の上に取り付けられた時計を破壊し、
    別のデパートへと放射能熱線を放ち、


    繁華街は瞬く間に炎の渦の中に巻き込まれ、黒冥々とした煙が濛々と夜空へと昇っていく。







  72. 72 : : 2016/07/26(火) 23:18:48








    やがてゴジラはヤルケル区をも破壊しつくすと、ようやく体を海のほうへとむけて歩きはじめた。



    途中の建物を破壊しながら、ゴジラは移動を続け、海の中へと体を沈めていく。

    巨体が海の中に沈み、発生した波が沿岸に打ち寄せる。






    すると、上空から空気が切り裂かれるような、鋭い音が響いてきた。

    スクランブル発進した戦闘機がゴジラの元へと飛来してきたのだ。






    「ゴジラを補足!!」

    『よし、ミサイルで攻撃せよ!!』





    ピクシス司令の命を受け、戦闘機3機が、次々とゴジラめがけてミサイルを発射していく。






    「いいぞぉ!!」

    「ゴジラを駆逐してやれッ!!」





    沿岸に集まった人々が、ミサイルをゴジラに打ち込んでいく光景に、拍手喝采で応える。

    そんな中にあって、アルレルト博士をはじめとする四人は、やはり・・・・・・・・・・・・暗く沈んだ表情を浮かべていた。





    当のゴジラといえば、ミサイルの攻撃など、まったく、意にも介していなかった。

    直撃を喰らっても、少し石をぶつけられた程度にしかダメージを与えられないゴジラである。







    やがてゴジラは、深いわだつみの中へと、再びその姿を消していった―――――・・・・・・・・・・・・








    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  73. 73 : : 2016/07/27(水) 00:23:33

















    ゴジラによる二度の襲撃は、王都ミットラスに・・・・・・凄惨な爪跡を残した。



    病院という病院ではけが人であふれかえり、
    放射能測定装置はひっきりなしに音を立てた。




    そして、ゴジラの襲撃を受けたエルミハ区、ヤルケル区、中央区は・・・・・・・・・・・・








    瓦礫の山と化し、そこかしこから死臭の漂う、死の街と化していた。








    瓦礫の中を一人、白衣を着た男が歩いている。


    右目にアイパッチを当てたその男は、少しばかり虚ろな表情を浮かべて、病院を目指して歩いていた。






    「この病院か?」



    エレンはミカサを探して、中央区の病院を訪ねた。

    この前は運よくミカサを見つけ出すことができたが、二度も幸運は続かなかった。




    二度目の襲撃の混乱で、エレンはついにミカサの消息をつかめなかった。




    そのため、エレンは一縷の望みをかけて、病院を訪ねて回っていたのである。







  74. 74 : : 2016/07/27(水) 00:23:58








    人があふれた病院は、ベッドが足りず、椅子の上や床の上で治療を受けるけが人が大勢いた。

    この中にもし、ミカサが横たわっていたら・・・・・・・・・・・・。




    こびりつく不安が、エレンの頭から離れない。




    と、エレンの視界の中に、必死にけが人たちを看病する女性の姿が飛び込んて来た。






    「ミカサ? お前か!? ミカサ!!」

    「!! 無事だったの!? エレン!!」





    ミカサは思わず、エレンに抱き着いた。

    良かった、良かったと体を震わせるミカサを、エレンも、そっと抱きしめた。





    ミカサもやはり、エレンの行方を心配していた。

    でも、エレンならきっと大丈夫。





    ミカサは、エレンの無事を信じていた。
    ミカサは、ひたすらにエレンがやってくるのを待っていた。


    それと、エレンには・・・・・・・・・・・・話しておかなくてはならないことがある。







  75. 75 : : 2016/07/27(水) 00:24:29









    しばらくたって、エレンがミカサを放すと、ミカサは、一瞬のためらいの後に、エレンを見据えた。








    「エレン。あなたに、話したいことがある。」

    「・・・・・・。」





    エレンは、まるでこうなることを知っていたかのように沈黙していた。








    「ゴジラを、私はこれ以上野放しにはできない・・・・・・。ので――――「ダメだッ!!」






    突然に大声を上げるエレン。

    まるで身を割くような大声で、エレンは怒鳴った。






    「約束しただろうが!! 誰にも話さねぇって・・・・・・・・・・・・それだけは! それだけはダメだッ!!」

    「でも!! このままじゃ・・・・・・・・・・・・人類は、負ける。」






    二人は沈黙し、重苦しい空気がのしかかる。

    とそこに、ミカサと同じようにけが人の看病をしていたミーナが歩み寄ってきた。







    「エレンさん。私、ミカサから聞きました。あなたの研究のことも・・・・・・。」

    「!!」







    驚いたエレンがミカサを睨み付けたが、ミカサは屈しなかった。

    決然とした口調で、ミカサはエレンに迫った。







    「エレン。ゴジラを倒す力を持っているのは、あなただけ・・・・・・。」







    ―――


    ――――――
    ――





    ――――




    ―――――
    ――――――





    ―――






  76. 76 : : 2016/07/27(水) 00:25:17






    数日前。








    エレンはおもむろに、皿の上に乗せられたいくつかの小さなカプセルを取り出すと、これを魚がたくさん泳いでいる水槽のひとつに入れた。




    「いいか、ミカサ・・・・・・・・・・・・この研究は絶対に秘密だからな?」





    そういうとエレンは、水槽に接続されている電源のスイッチを入れた。

    その瞬間に、小さなカプセルから、細かい気泡が噴き出し始めた。




    その気泡はゴポゴポと音を立てながら、瞬く間に水槽の中を満たしていく。







    すると、水槽を泳いでいた魚たちが・・・・・・・・・・・・一斉に溶け出し始めた。






    「!!」


    あまりの恐怖に、ミカサは声を出すこともできなかった。

    やがて魚たちは無残にも、骨も残らず水の中に消えていった。







    「・・・・・・・・・・・・偶然、俺は酸素の研究をしてて、これを生み出しちまったんだ・・・・・・。」

    「偶然・・・・・・。」



    「ああ。最初にこの実験をした後、2、3日は食事ものどを通らなかったからな・・・・・・。」






    エレンが生み出してしまったもの。

    それは、原子爆弾や水素爆弾のように、大量殺戮を可能にする、極めて危険な物であった。






    「これは、水中酸素破壊剤―――――オキシジェン・デストロイヤー・・・・・・。


    今のカプセルはかなり小さかったけどな。

    仮に、砲丸大の大きさのこいつを使えば・・・・・・・・・・・・ミットラス湾を死の海に変えちまう。」




    「エレン・・・・・・・・・・・・。」







    「悪魔の発明だ。だから、俺はこいつを世間には明かせない・・・・・・。

    下手したら、俺は・・・・・・・・・・・・大量殺戮兵器を作り出した汚名を着なくちゃいけなくなる。




    分かってくれよ、ミカサ。



    俺は、こいつを平和に利用できるまでは、誰にも話すつもりはないんだ。」







    ―――――
    ―――



    ――――――


    ―――




    ――――――






    ―――――







  77. 77 : : 2016/07/27(水) 16:35:30








    「お前・・・・・・自分が何をしたか、分かってんのか?」





    これ以上ないくらいに、エレンは青筋を立てて、激昂の表情を浮かべていた。

    その表情には、しかし、どこか陰りのようなものも同時に感じられる。






    「ごめんなさい、エレン。でも・・・・・・・・・・・・。」


    ミカサは後ろめたさから、一瞬顔をそらしたが、決意を新たにしてエレンと向き合うと、決然として言った。






    「私は、ゴジラを止めたい・・・・・・。そして、それができるのは・・・・・・・・・・・・エレンだけ。」

    「ぐっ・・・・・・。」





    怒りに満ちたエレンの表情に、苦悶の色がありありと浮かんできた。

    絞り出すように、エレンは言葉を継いだ。







    「ミカサ、それに・・・・・・ミーナっていったか? お前らは・・・・・・何もわかっちゃいない!!


    オキシジェン・デストロイヤーは・・・・・・・・・・・・悪魔の発明だ。
    たとえ俺が望まなくても、原爆や水爆みたいに利用される。


    そうなりゃ・・・・・・・・・・・・俺はゴジラと何ら変わらない!!」



    「エレン! あなたはゴジラとは違う!!」


    「違わないさ! いや・・・・・・・・・・・・ゴジラ以上に残虐だ。いつだって人類はそうだっただろ?」







  78. 78 : : 2016/07/27(水) 16:36:34







    そう言われて、ミカサははっとした。






    原子爆弾や水素爆弾は、いったい何人の犠牲を生んできたのだろう・・・・・・。

    考えてみればゴジラでさえも、水素爆弾によって生み出された落としだねだというのに、私はそれさえも抹殺しようとしている。




    それも、原水爆と同じような、大量殺戮兵器によって・・・・・・・・・・・・。







    自分がしでかそうとしていたことの恐ろしさに、ミカサはようやく気が付いた。





    恐ろしかった。


    原爆や水爆を作った人間は、このような理屈で使うことを認めてしまい、結果として、世界を恐怖で覆ってしまったのだろうか。






    私は今一度エレンを見つめた。



    恐ろしいほどの苦悶と、恐怖の色を、エレンはにじませていた。

    ミーナもそれを悟ったのか、三人とも一言も発しないまま、沈黙の中に沈んでいった。










    その沈黙を破ったのは、一人の少女であった。








  79. 79 : : 2016/07/27(水) 16:37:20








    「うわああぁあぁぁぁぁッ!! ママあぁあぁぁぁぁッ!!」


    少女の激しい慟哭に、三人は気が付いた。







    まだ10歳にも満たない少女は、母親の亡骸の傍でくずおれ、張り裂けんばかりの泣き声を上げていた。

    そして、その慟哭は、戦争によって両親を亡くしたエレンに重くのしかかった。






    「・・・・・・。」



    孤児となってしまった少女の慟哭が、エレンの心を・・・・・・・・・・・・折った。






    「ミカサ・・・・・・・・・・・・一回だけだ・・・・・・。」

    「!!」






    「・・・・・・・・・・・・駆逐してやる。ゴジラを、この世から・・・・・・・・・・・・。」







    悲壮な決意をその目に宿し、エレンは病院を抜け出した。




    取り残されたミカサは、エレンにかけるべき言葉が見つからず、そのまま立ち尽くしていた。






    ここで、エレンを止めるべきだったかもしれない。

    でも、エレンのあの澄んだ瞳が、ミカサに反論を許さなかった。






    そして、ミカサはこの日のことを・・・・・・・・・・・・














    永遠に後悔することになる。










    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








  80. 80 : : 2016/07/27(水) 19:52:59









    数日後。





    さざ波立つ穏やかなミットラス湾の海の上を、数隻のフリゲート艦が通り過ぎていく。

    一隻の船の上には、TVやラジオの取材陣が乗船しており、その瞬間を今か今かと待ち構えている。







    「空は一点の雲もなく晴れ渡っています。



    この晴天の日に、いよいよ世紀の大怪獣、ゴジラにエレン・イェーガー博士が挑みます。

    博士の開発したというオキシジェン・デストロイヤーとはいかなるものなのか。



    関係者はみな、固唾をのんで見守っています。」








    別のフリゲート艦の甲板では、エレンとミカサ、ミーナとコニー、アルレルト博士が、海面に向けられている放射能測定装置を見守っていた。




    ふと、アルレルト博士はエレンの表情を覗く。

    その透き通る瞳が気にかかり、博士はエレンに声をかけた。







    「エレン君・・・・・・。」

    「心配は必要ないですよ、アルレルト博士。自分はきっと、ゴジラを駆逐して見せます。」





    そういってエレンは穏やかにほほ笑むばかりだった。








  81. 81 : : 2016/07/27(水) 19:53:34








    やがて、放射能測定装置がジジジという音を立てて反応を示し始めた。

    装置の反応に気付いたコニーが、急いでエレンに話しかけた。






    「エレンあんちゃん! 反応があったぜ!」

    「いよいよか・・・・・・。」





    そういうとエレンは、銀色のアタッシュケースの中から、大きな筒状の兵器を取り出した。

    中に銀色の砲丸のようなものが入ったそれは、エレンの作り出した例の兵器――――――――オキシジェン・デストロイヤー。






    http://jin-koubou.up.n.seesaa.net/jin-koubou/image/CIMG6212.JPG?d=a0







    ゴジラの潜む海の真上に来て、いよいよ最後の作戦の実行されるときが迫っていた。







  82. 82 : : 2016/07/27(水) 19:53:58








    「ミカサ、潜水服を用意してくれ。」


    おもむろにエレンがそういうと、ミカサは強硬に反対した。






    「その必要はない。遠隔操作でもできるはず。」

    「おいおい、この兵器のことは俺が一番よくわかってる。水中での微妙な操作が必要だ。」



    「でも、エレンは潜水に関しては素人。違わない?」



    「・・・・・・・・・・・・俺は潜る。その意志は変わらない。」






    エレンとミカサはしばらくじっと睨み合ったが、やがてミカサが一つの提案をした。





    「・・・・・・・・・・・・エレン。私も一緒に潜る。」

    「!!」





    驚いたエレンやアルレルト博士がミカサを止めに入る。

    だが、ミカサがエレンを止められなかったように、エレンもまたミカサを止めることはかなわなかった。






    「誰が何と言おうとエレン、私があなたを先導する。」



    ミカサの強い決意に、とうとうエレンも折れざるを得なかった。







    「コニー、博士・・・・・・・・・・・・潜水服を二着準備してくれ。」



    エレンはそういうと、ミカサの肩をポンとたたき、それから、オキシジェン・デストロイヤーの準備に取り掛かった。







  83. 83 : : 2016/07/27(水) 19:54:40


















    「よし、潜水開始!!」




    銀色の潜水服を着込んだエレンとミカサが海水の中へと飛び込み、いよいよ――――“オキシジェン・デストロイヤー作戦”は開始された。








    潜水服につながれた送気管とロープを、アルレルト博士とコニーが甲板の上から、慎重に降ろしていく。







    潜水服の中から見る海は、それはそれは美しかった。

    多くの魚の群れが、優雅に泳ぐ姿を見て、ミカサは罪悪感に苛まれ始めていた。






    __________この魚の群れの命も、まもなく・・・・・・・・・・・・終わる。




    エレンの言葉の重みが、今更のように圧し掛かる。


    ふとエレンを見ると、その後ろ姿は、まるで・・・・・・・・・・・・圧し掛かる罪の意識に耐えているかのようであった。






    やがて、二人は海底へと着床し、ミカサが先導して海底の中をゆっくりと歩き始めた。

    潜水服からごぽ、ごぽと、小さな気泡が水面に向かってゆっくりと昇っていく。







    起伏のある海底の山々の、その向こう・・・・・・・・・・・・






    エレンとミカサは、ついに、その姿を視界に捉えた。








  84. 84 : : 2016/07/27(水) 19:55:19









    (ここまで間近で見れるとはな・・・・・・・・・・・・。)






    恐怖を感じながらも、エレンはミカサに導かれて、ゆっくりとゴジラに近づいていく。

    そして、潜水直前に・・・・・・・・・・・・細工を施しておいたスイッチを押した。






    甲板では、海底からの信号を確認したコニーが叫んだ。






    「ミカサねえちゃんから救援が出てるぞ!!」

    「何じゃと!? すぐに引っ張り上げるんじゃ!!」








    その瞬間、ミカサの潜水服にガクンと衝撃が走った。


    気づいた時には、体が海底から離れはじめ、ミカサは精一杯叫んだ。






    「エレンッ!! エレエエェエェエンッ!!」







    銀色の筒を片手に持った潜水服が、だんだんと小さくなっていく。

    それが、ミカサの見たエレンの・・・・・・・・・・・・・・・・・・













    最後の姿になった。









  85. 85 : : 2016/07/27(水) 19:56:33










    やがてエレンは、両手で銀色の筒を、まるで捧げるかのように持ち上げて、スイッチを押した。

    筒の中の銀色の球が二つに割れ、中からたくさんの気泡は溢れ出し始めた。








    バシャアッ!!


    海底から引き揚げられたミカサは、気も狂わんばかりに叫んだ。







    「どうして私を引き揚げた!? どうして!? どうしてッ!?」

    「だ、だって、救援信号が・・・・・・・・・・・・。」


    「ま、まさか!?」







    博士がはっとしたその瞬間、海面が気泡で泡立ちはじめ、まもなくブクブクと激しい気泡で覆われた。

    同時に、海底から、通信が入った。















    『やったぞ、ミカサ・・・・・・・・・・・・上手くいった。

    ミカサ、お前は生きて幸せに暮らすんだぞ?





    じゃあな・・・・・・・・・・・・・・・・・・ミカサ。』

















    それっきり、海底からの通信は途絶えた。








  86. 86 : : 2016/07/27(水) 19:57:20









    「エレン君!! 急いで引っ張り上げろッ!!」




    アルレルト博士が大声で怒鳴り、急いでロープと送気管を引っ張り上げる。

    引っ張り上げたそれは、しかし・・・・・・・・・・・・すでにナイフによって断ち切られていた。






    博士は、すべてを悟った・・・・・・。



    これだけの兵器が世間に公になった暁には、必ず利用される。

    だから、自らの死をもってオキシジェン・デストロイヤーを・・・・・・・・・・・・永遠に葬ったのだと。








    と、その時、激しく泡立つ海面から、ゴジラが顔をのぞかせた。












    ゴジラは、弱弱しい断末魔のうめき声を上げると、再び、わだつみの底へと沈んでいった。


    沈んでいったゴジラはやがて、海の中へと呑まれていき、その骨さえも、残すことなく消え去っていった・・・・・・・・・・・・










    「エレン・・・・・・。」



    アルレルト博士は静かに、泡立つ海面を見つめながらつぶやいた。







  87. 87 : : 2016/07/27(水) 19:58:15









    「イェーガー博士がやりました!!


    オキシジェン・デストロイヤーによってゴジラは駆逐され、人類はついに勝ったのです!!」







    取材陣を乗せたフリゲート艦やほかの船が歓喜に包まれる中、エレンの乗っていたフリゲート艦だけが悲しみに深く沈んでいた。










    力なく甲板に座り込み、アルレルト博士はつぶやいた。








    「あのゴジラが、最後の一匹だとは、わしにはどうしても思えない・・・・・・。



    人類が、原爆や水爆の実験を繰り返す限り、

    第二、第三のゴジラはきっと・・・・・・・・・・・・現れるじゃろう・・・・・・。」










    その瞬間、ミカサは両手で顔を押さえ、声を上げて涙を流した。










    流れた涙は、風に乗って、


    元の穏やかさを取り戻した海へと、注がれていった。











                      完












  88. 88 : : 2016/07/27(水) 20:01:24
    以上で、ゴジラ×進撃の巨人は終了になります。


    執筆のために映画を見直して、改めて初代ゴジラの素晴らしさに心を打たれた次第です。


    次回は1991年の作品である、ゴジラVSキングギドラとのコラボをお送りいたしますので、よろしくお願いします<m(__)m>
  89. 89 : : 2016/07/27(水) 20:30:29
    執筆お疲れ様です!
    本当に素晴らしい作品だと思います。
    とても楽しませていただきました!
    次回作も期待してます!
  90. 90 : : 2016/07/27(水) 20:49:50
    感想ありがとうございますo(`ω´ )o

    次回作は打って変わって、一気にSFチックな作品になる予定ですw

    またのコメントをお待ちしておりますm(__)m
  91. 91 : : 2016/07/28(木) 16:28:22
    次も頑張ってください
  92. 92 : : 2016/07/29(金) 05:24:53
    科学は決して兵器の仲間入りをしてはいけない。
    芹沢博士はそれを身をもって僕たちに教えてくれました。

    執筆お疲れ様でした!

    残りも頑張ってください!「VSデストロイア」に期待してます!
  93. 93 : : 2016/07/29(金) 12:17:06
    ありがとうございます(≧∇≦)

    ゴジラvsデストロイアは初代ゴジラとリンクした作品になっていたのが熱かったですo(`ω´ )o

    芹沢博士の最後は、胸に突き刺さりましたよね……


    次作も、よろしくお願いいたしますm(__)m
  94. 94 : : 2016/07/29(金) 12:20:35
    ゴジラヨクワカランの僕も最後には感動しました:q:

    ゴジラの面白さをこれで感じ取れることができました

    こういうssもっと増えろ!


    お疲れ様ですた~q~
  95. 95 : : 2016/07/29(金) 12:28:11
    ありがとうございますo(`ω´ )o


    本日はシン・ゴジラの公開日でもありますので、合わせて楽しんでいただけたら幸いですw
  96. 96 : : 2016/07/29(金) 12:37:06
    いつも楽しませてもらってます
  97. 97 : : 2016/07/29(金) 12:38:52
    >>96
    ご愛読ありがとうございます(∩´∀`)∩
  98. 98 : : 2016/08/08(月) 18:52:27
    68がなんだかファーストガンダムに似ている・・・
  99. 99 : : 2016/08/09(火) 17:34:50
    もしかするとゴジラのオマージュがあったのかもしれませんねw

    この映画があったからこそ、怪獣という概念が出来上がったようなものですから
  100. 100 : : 2016/08/28(日) 21:00:30
    進撃の巨人のキャラが活きていて、ゴジラの恐怖も巧みに描写されており画面をスクロールする手が止まりませんでした!
    文章力の高さに脱帽です。

    お疲れ様でした!
  101. 101 : : 2016/08/29(月) 12:03:53
    >>100
    ふじやまさんにここまでのお褒めの言葉をいただけるなんて(ノД`)・゜・。

    ありがとうございます(∩´∀`)∩
    お気に入り登録までいただけてうれしい限りです!!!
  102. 106 : : 2016/09/23(金) 13:24:52
    執筆お疲れ様でした! ゴジラ知識は全くないまま読ませていただきました!!

    キャラの個性とMGSさんの文章力が上手くマッチしていて、とても読みやすい作品で面白かったです!
  103. 109 : : 2017/10/15(日) 23:13:09
    ゴジラはつよいぞ。在日米軍も助けてやる。
  104. 110 : : 2017/10/19(木) 18:28:43
    横田基地に輸送するのはエレンクリスタライナーベルトルトコニーキースだ。エレンは警視庁本部に送った。
  105. 111 : : 2017/10/27(金) 18:03:02
    ゴジラ負けるなゴジラファンクラブ
  106. 112 : : 2017/10/29(日) 10:09:20
    ゴジラのすごさは東京タワーを壊すところや電車を噛み砕くところです。
  107. 113 : : 2018/09/17(月) 00:45:46
    大岡越前大野城大阪市ウイスキー遊撃隊中国北九州委員長東京消防庁警察航空自衛隊熊谷基地
  108. 114 : : 2018/11/04(日) 21:13:20
    SS見張り中に変な男を発見しました。

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hymki8il

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