このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
アルミン「マンハッタン沖タンカー沈没事件」 進撃×MGS2
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                  - 1 : : 2016/04/11(月) 08:12:07
- どうもこんにちは、進撃のMGSです。進撃の巨人とMGS2をコラボさせていきたいと思います。
 
 前作、シャドーモセス事件から2年後、2007年のニューヨークが舞台です。
 
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                  - 2 : : 2016/04/11(月) 08:21:26
 2年前のハドソン川・・・・・・
 俺たちは、新型メタルギアが極秘裏に輸送されるという情報をつかんだ。
 今思えば――――
 疑うべきだった・・・・・・・・・・・・
 
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                  - 3 : : 2016/04/11(月) 08:29:38
 2007年。
 ニューヨーク、ジョージ・ワシントン橋
 外は激しい嵐だった。
 鉄骨で出来た橋を雨風が叩き、雷の咆哮が眠らない摩天楼の夜を照らし出す。
 橋の上の車の往来は、いつも通り激しく、車のライトがせわしなく近づいては去っていく。
 _________そんな橋の上を今、一人の男が歩いていた。
 男は黒いポンチョのような雨具を着込み、黒いフードを被っている。
 こんな大雨にも関わらず、ゆっくりとタバコを吸いながらその男は歩いている。
 (さて、そろそろ時間だな・・・・・・。)
 タバコをポイと投げ捨て、その男は、助走をつけて走り出した。
 ばさぁと黒い雨具を脱ぎ捨て、ヒュンという音を立てて透明になる――――――ステルス迷彩だ。
 そして、次の瞬間、男は橋の中央から真っ直ぐ下へと飛び降りた。
 
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                  - 4 : : 2016/04/11(月) 09:09:49
 _______周りの時間が、全て止まった。
 ゆっくりと流れていく時間の中で、男の眼下には、橋の下を通過していくタンカー――――――ディスカバリー号の姿が見えた。
 男の体に括りつけられた紐がぴんと張り、反発して一瞬、男の体を空中にふわりと浮かせる。
 男は勢いをつけ、雨音に紛れて船を蹴り上げ、そして・・・・・・・・・・・・
 タンカーの船尾へと降り立った。
 その瞬間、透明な男の体に電流が走る。
 (ちっ、遂に壊れちまったか・・・・・・。)
 今まで酷使してきたステルス迷彩装置が遂に故障し、電流を流しながら船尾に男は姿を現す。- 潜入任務 の専門家。
 かくれんぼの名人。
 _______エレン・イェーガーは嵐の中、メタルギアを極秘裏に輸送するタンカーへと潜入を果たした。
 METAL GEAR TITANS 2
 Sons of Liberty
 
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                  - 5 : : 2016/04/11(月) 12:07:45
 「奴が来たようだ。」
 同刻、タンカーへと向かうヘリの中から、一人の男が双眼鏡を右手に呟いた。
 「予定通りだな。」
 その男は白い口髭に長い銀髪の先を束ね、赤い手袋を嵌めている。
 ベージュ色のダスターコートを羽織り、左腕には黒い腕章。
 その左手には- リボルバー拳銃 を持ち、慣れた手つきでクルクルと回転させていた。
 その男――――――――――リボルバー・“シャラシャーシカ”・オセロット。
 http://img2.wikia.nocookie.net/__cb20150215173829/metalgear/images/5/5b/MGS2-SOL_-_Revolver_Ocelot_(Tanker).jpg
 「待ってろよ・・・・・・。」
 嵐の中を進むヘリの中で、オセロットはにやりと笑いながら呟いた。
 
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                  - 6 : : 2016/04/11(月) 13:39:03
 「アルミン、聞こえるか?」
 『うん、聞こえるよ、エレン。』
 タンカーへと降り立ったエレンは、しばらくあたりを感慨深そうに眺めていたが、ややあって相棒であるアルミン・アルレルトに通信を入れた。
 「待たせたな・・・・・・。無事ジョージ・ワシントン橋から潜入ポイントに到着したぞ。」
 『上手くやったみたいだね?』
 「いや、着地の衝撃でステルス迷彩が壊れちまった。」
 『仕方ないよ・・・・・・随分こき使ってきたからね。悪いけど我慢してくれ。』
 「大丈夫だ。ステルスに頼りっぱなしってのも性に合わないしな。」
 通信機の向こうでアルミンが苦笑いをする。
 シャドーモセス事件以降、エレンとアルミンはずっとコンビを組んで戦ってきた。
 『でも、民間のいいところもあるでしょ? プライバシーは守られるし。』
 「変な薬も盛られずに済むしな。」
 『ああ、それってペトラのこと?』
 「口うるさい監視役がいないってのも気が楽だ。」
 『はは、ミーナのことだね?』
 ミーナは今回の作戦には参加してはいないものの、影からいつも協力してくれていた。
 NATICKの新兵器を陸軍システムセンターから横流ししてくれる。
 要するに、危ない橋を渡ってエレンたちへ強力な武器を仕入れてくれるのだ。
 「ああ、だがいつまでも危ない橋を渡るなってあいつに伝えといてくれよ?」
 『それもそうだね・・・・・・・・・・・・。じゃあ本題に入るよ、エレン?』
 
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                  - 7 : : 2016/04/12(火) 19:45:37
- やっとこさ塾から帰還しましたwwwww
 期待です!(`・ω・´)ゞ
 
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                  - 8 : : 2016/04/12(火) 20:00:53
- mgs2だああぁぁーー!
 初めてmgsやったのがこれです!
 知識0で見つかりまくった記憶がw
 期待です!
 
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                  - 10 : : 2016/04/14(木) 13:37:49
 アルミンの声が俄かに厳しくなる。
 『シャドーモセス事件の後、メタルギアの技術が- 闇市場 で密売されたよね。』
 「あの- サディスト野郎 の仕業だ。」
 『それで、メタルギアの亜種が全世界に広まったんだ。』
 「核武装国にとって、今やメタルギアは特別な兵器でもないからな。」
 『うん。今回の新型は、それらに対抗するために設計されたらしい―――――――水陸両用の対メタルギア兵器・・・・・・。』
 「それで新型は海兵隊の所属って訳か・・・・・・。」
 アルミンはかつて、メタルギアREXと呼ばれたメタルギアの開発のチーフだった。
 その時に培われた技術が流失し、世界中で争いの火種になっている・・・・・・。
 話しながら、アルミンは臍を噛む気持ちで目の前のモニターを見つめていた。
 『いいかい、エレン・・・・・・・・・・・・今回の目的は、新型メタルギアを調査、その証拠映像をカメラに収めることだ。
 でもまずは、船橋最上階にある操舵室に向かってくれ。
 その偽装タンカーがどこに向かっているのかを調べて欲しいんだ。』
 「情報収集って訳か・・・・・・。」
 『その通りだ。新型メタルギアには分からないところが多い―――――――詳しい性能、運用方法、完成度。
 演習場所が分かればそのいくらかを推測することが出来るからね。』
 
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                  - 11 : : 2016/04/14(木) 13:38:41
 「分かった、先に操舵室を調べてくる。」
 そう言うとエレンは懐からM9ピストルを取り出した。
 出発前にアルミンから持たされた麻酔銃―――――――実は武装はこれだけしか持っていない。
 『いいかい、エレン。戦闘はなるべく避けるんだ。』
 「分かってるよ。俺たちはテロリストじゃないからな。」
 『ふふ、僕らは反メタルギア財団『フィランソロピー』――――――――国連にもNGOとして登録されてる。』
 「NGOの中では過激な方だとは思うけどな。」
 双眼鏡を片手に艦橋を覗き込むエレン。
 見張りの海兵隊は、どうやら武器を持っていないようだ。
 「ところでアルミン、お前のその情報、正確なんだろうな?」
 『間違いないよ。ペンタゴンの極秘ファイルにハッキングしたんだ。』
 「痕跡は残してないだろうな?」
 『僕がそんなヘマをすると思う?』
 エレンはそのほかにも罠の可能性や兵士たちの警戒網が薄いこと。重油を降ろしているはずなのに喫水が妙に深いことを指摘した。
 空のはずの船が沈んでいるとなると、考えられることは一つ・・・・・・・・・・・・
 『やっぱり新型がこの船に積まれているんだろう。』
 「・・・・・・。」
 『衛星ビジネスも繁盛してるからね。考えられるとすれば甲板の下、船倉だ。』
 
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                  - 12 : : 2016/04/14(木) 13:39:44
 さて、見たところ、居住区への入り口はいくつかある。
 そこからまずは操舵室へと潜入、それから船倉へと潜入しよう。
 エレンが頭の中で進入路を確認している、丁度その時だった。
 エレンの耳に、ここでは滅多に聞かれないヘリのローター音が聞こえてきた。
 「ヘリ?」
 警戒して身を隠すエレン。
 見張りの海兵隊の背後に迫る影。
 「ウグッ!!」
 軍服を纏い、暗視ゴーグルやアサルトライフルで武装した兵士たちが、突如として背後から海兵隊を襲った。
 次々と喉をナイフで掻っ切られては、血飛沫を上げながら倒れていく。
 予想だにしなかった緊急事態。
 エレンは慎重に、アルミンに連絡を取った。
 「アルミン、どうやらメタルギアを狙っているのは俺たちだけじゃないようだ。」
 『!? さっきのヘリの音!?』
 「ああ、どうやら船を乗っ取る気らしい・・・・・・。アルミン、この規模のタンカーを乗っ取るには最低何人必要か分かるか?」
 『コンピューター制御だから、18人もいれば十分だよ。』
 「!! マジか・・・・・・。」
 事態はどんどんと悪い方向に転がっていく。
 たったそれだけの人数で巨大タンカーを制御できるなら、タンカーは間もなく乗っ取られるだろう。
 
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                  - 13 : : 2016/04/14(木) 13:40:35
 「アサルトライフルの型は・・・・・・AKS-74U。ん?」
 双眼鏡で敵を偵察するエレン。
 すると、双眼鏡の中に、指揮を執る年老いた兵士の姿が見えた。
 「ロシア人か・・・・・・。」
 『間違いないかい?』
 「ああ、海兵隊にあんな長い髪の奴はいないからな。」
 その男は白髪に眼鏡をかけ、口髭と顎ひげを蓄えた年配の男性だった。
 エレンはこっそり、その男の顔写真を撮った。
 「写真を送るから、身元を調べてくれ。」
 『任せといてよ。』
 それからエレンは、物陰に隠れながら、慎重に進み始めた。
 上空から響いてくるヘリのローター音に、注意を払いながら。
 「船の制御を奪われたようだ。この音・・・・・・・・・・・・- Ka-60 か。」
 『カサッカ? カモフ設計局の輸送ヘリのことかい?』
 「そんなもんを飛ばしてるなんて・・・・・・はぁ、奴らはいったい何者なんだかな。」
 エレンが思わずため息をつくのと同時に、アルミンも頭を抱えた。
 『やれやれ、いずれにしても、僕らにとって、こんなにも――――――』
 「最悪のタイミングは―――――――」
 「ないな。」
 『ないね。』
 考えていることがあまりにも同じなので、二人は無線機越しに笑いあった。
 エレンは慎重に、左舷後方にある居住区の入り口を目指し始めた。
 
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                  - 14 : : 2016/04/14(木) 19:06:11
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 パシュッ!
 
 「はうッ!!」
 
 
 
 
 
 「よし、こんなもんだな。」
 
 
 
 手際よく麻酔銃を頭に打ち込み、敵を眠らせていくエレン。
 気の毒ではあるが、眠らせた敵を海へと捨てていく。
 
 
 
 
 
 
 『腕は衰えていないね。』
 
 「はぁ、今回は写真を撮るだけの簡単な仕事だと思ったんだが・・・・・・。」
 
 
 
 
 
 
 雨風にうたれながら愚痴をこぼす。
 まあ今更こんなことを言っても始まらない。
 
 
 
 
 
 『運がないのは今日に始まったことじゃないでしょ?』
 
 「お前なぁ・・・・・・ったく、通信サポートとは良いご身分だ。」
 
 『はいはい、無事に帰ったらいくらでも愚痴は聞いてあげるから。』
 
 
 
 
 
 何だか最近はアルミンにいいようにあしらわれてる気がする。
 少し悔しいのだが、口げんかでアルミンに勝てたためしがエレンにはなかった。
 
 
 少しぶすくれながらも、エレンは居住区への入り口に到達し、ハンドルを回す。
 重いハンドルを引くと、ガコンという音と共に扉が開いた。
 
 
 
 
 
 
 
 「船内に入るぞ。」
 
 『気を付けて、エレン。』
 
 
 
 
 
 
 
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                  - 15 : : 2016/04/15(金) 13:22:49
 「ふう、狭いな・・・・・・。」
 居住区の中には、狭い廊下に敵兵が数多く配置されており、力ずくの突破は困難だった。
 エレンはロッカールームに飛び込み、狭いロッカーの中に身を隠していた。
 向こうから足音が聞こえてくる。
 自分の心臓の音も聞こえてくる。
 流石のエレンも、敵に囲まれて銃弾を浴びればただでは済まない。
 敵を何とかやり過ごそうと必死だった。
 それに・・・・・・・・・・・・
 「グラビアアイドルのポスターか・・・・・・・・・・・・悪くない。」
 『はぁ、全く君は元気だねぇ・・・・・・。』
 ロッカーの扉の裏にグラビアアイドルの水着姿のポスターが貼ってあったので、隠れただけでも得した気分だった。
 出来ればずっと隠れていたいんだが。
 「敵は、ロッカールームの前を通り過ぎてったみたいだな。」
 鼻息を荒くしたエレンがロッカーから出てくる。
 無線機の向こうでアルミンが少し呆れた様子で応答した。
 『全く・・・・・・気を付けて進んでよ、エレン。』
 
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                  - 16 : : 2016/04/15(金) 14:31:03
 廊下にある監視カメラの死角を抜け、
 吹き抜けになっているリフレッシュルームにいる兵士たちを出し抜いて先へと進むエレン。
 「食堂に入ったが・・・・・・・・・・・・酷い有様だ・・・・・・。」
 食堂のテーブルの上には、射殺された海兵隊の兵士たちが突っ伏して血を流していた。
 テーブルの周りにはロシア人と思われる兵士たち。
 息を殺し、足音を殺して、エレンはテーブルの下に潜った。
 死体の足元を張って進んでいくエレン。
 と、ここで、兵士たちの通信機に連絡が入った。
 『艦橋左舷の兵士からの連絡が取れない。付近の兵士は至急捜索せよ。』
 食堂にいる兵士たちが、左舷へと向かっていく。
 エレンのいる場所の警戒網が薄くなる。
 ・・・・・・・・・・・・今だ。
 エレンはこっそりとテーブルの下から這いだし、食堂を抜ける。
 漸く階段を見つけ、エレンは最初の目標である操舵室へと潜入した。
 
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                  - 17 : : 2016/04/15(金) 14:31:51
 「アルミン、操舵室へと潜入した。・・・・・・・・・・・・乗組員は殺されてる。運転は自動操縦になってるみたいだ。」
 『エレン、船の行き先はどうなってるの?』
 「今調べてる・・・・・・少し待ってくれよ。」
 モニターを見つめながら、船の行き先を調べるエレン。
 「アルミン、行先は・・・・・・・・・・・・北緯35度、西経58度のあたりになってる。」
 『バミューダ島の沖、800キロのあたり・・・・・・・・・・・・大西洋のど真ん中だね。』
 「大西洋のど真ん中・・・・・・。」
 『うん、推測できることとしてはそうだね・・・・・・・・・・・・新型メタルギアは単独演習が可能なほど完成しているという事。
 それと、その海域は海軍第二艦隊の作戦海域からも外れている―――――――完全に海兵隊独自のプロジェクトだと言えそうだよ。
 結論としては・・・・・・・・・・・・新型メタルギアは海軍の支援なしに単独作戦行動を行うことが出来る性能を持っているという事になる。』
 それはそれはありがたくない推論だった。
 アルミンの推論が正しければ、対メタルギア用メタルギアとして、これ以上ないくらいの性能を誇っているという事になる。
 
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                  - 18 : : 2016/04/15(金) 14:32:55
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 「流石は元メタルギアの開発者だ・・・・・・よくこれだけの情報で、こんなにも説得力のある推論が出来るな?」
 
 『よしてくれ、エレン。』
 
 「これでも誉めてんだぞ?」
 
 『もう少し言葉を考えてよ? 君の悪い癖だよ、もう。』
 
 
 
 
 
 
 さて、後は船倉の中にあると思われるメタルギアを撮影して・・・・・・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 「ん?」
 
 
 その時、窓の外に、通信機を片手にもつ一人の女性の姿が見えた。
 そのロシア人と思しき女性は彼女の父親と通信を取っていた。
 
 
 
 
 
 
 『シャラシャーシカ達が降下した。これから私も船倉へと向かう。そっちの首尾は?』
 
 「上部構造物は制御室、通信室、機関室も含め、すべて制圧。船倉への出入り口もすべて確保した。赤外線センサーも設置済み。」
 
 『そうか、よくやった・・・・・・。爆薬のセットは?』
 
 「完了したわ・・・・・・。」
 
 
 
 
 
 
 やれやれ、船倉に行くためにはことのほか苦労しそうだ。
 出入り口は全て敵に押さえられ、しかも赤外線センサー付き・・・・・・・・・・・・引っかかれば恐らく船は、爆薬でドカン。
 
 
 
 
 
 
 
 
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                  - 19 : : 2016/04/15(金) 14:35:03
 『いいか、アレを奪ったら爆薬でタンカーを沈める。』
 「誰が操縦を?」
 『VR訓練を受けたのはあいつだけだ。奴しか出来ん。』
 「あいつを信じて、大丈夫なのね?」
 『お前たちの任務は完了した。早くここを立ち去れ!』
 「まだ終わってないわ!」
 『嵐なのに月が蒼く見える・・・・・・悪い予感がする。』
 通信機の向こうで娘の気遣いをする父親、ダリス・ザックレーは、娘を叱責し始めた。
 『約束したろう!? この作戦が終われば、部隊を去ると!? ここは自由の国だ。』
 「いやよ! 隊は家族も同然――――――どこにも行くとこなんてない! 親父・・・・・・私も一緒に戦う。」
 『聞き分けを持つんだ、リコ!! お前は身重なんだぞ?』
 「・・・・・・・・・・・・。」
 『いいか、今すぐヘリで離脱するんだ。』
 通信を切った女性――――――リコ・ザックレーはいらだった様子で舌打ちをした。
 リコは上空を飛ぶカサッカに立ち去るよう、銃を持った手で合図を出すと、カサッカは渋々と言った様子で向こうへと飛んでいった。
 
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                  - 20 : : 2016/04/15(金) 14:35:49
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 「動くな!」
 
 
 
 と、そこへ、一人の男が少し離れた距離からリコへと銃を向けた。
 
 
 
 
 
 
 
 「両手を上げろ・・・・・・。」
 
 
 
 威嚇するように、凄みを効かせた声でエレンが命じると、リコは笑みを浮かべて両手を上げた。
 ゆっくりとエレンの方に振り向き、少し嘲りを含んだ調子で話しかける。
 
 
 
 
 
 
 
 「アメリカ人は女にも銃を向けるのか。」
 
 「銃を海へ捨てろ。」
 
 
 
 
 
 
 
 こちらに選択権はない。
 聞く耳を持たないエレンに対し、リコはふんと鼻を鳴らしながら銃を海へと捨てる。
 
 
 
 
 
 
 
 「そのナイフもだ。」
 
 
 
 エレンは慎重に、腰に収められているナイフも捨てるように迫る。
 二人はにらみ合い、リコはナイフに手を添える。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 刹那、嵐がやんで、蒼い月の光が差し込んだ。
 
 
 その瞬間、大きな波がタンカーを襲った。
 一瞬大きくぐらつくタンカー。
 
 
 
 
 
 
 
 
 次の瞬間、二人の頬を、お互いの銃弾が掠めた。
 
 背中に差し込んであった銃を抜き、手放したナイフが地面に落ちる前にリコは銃弾を撃った。
 
 
 
 
 
 
 (この仕込みナイフ・・・・・・・・・・・・スぺツナズか?)
 
 
 
 
 
 
 ロシアの特殊部隊のものと思われるナイフが、カチャンと音を立てて落下する。
 と同時に二人は貨物の後ろに身を隠し、隙を伺う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「私はこの隊で生まれ育った。隊のほかには家族もいない。
 隊は私のすべて・・・・・・。
 
 
 あんたが誰であろうと、私たちの邪魔はさせない!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 再び嵐が舞い戻り、雷鳴が摩天楼の間に鳴り響く。
 雨風に晒されながら、リコはグレネードのピンを抜いてエレンの隠れた貨物のほうへと投げ込んだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
- 
                  - 21 : : 2016/04/15(金) 17:32:25
 ドゴオォオンッ!!
 グレネードが炸裂し、爆風がエレンを襲う。
 「ぐっ!!」
 誘き出されるようにエレンは貨物の物陰から飛び出さざるを得ず、そこを銃で狙われた。
 「喰らえッ!!」
 「くそッ!!」
 咄嗟にスタングレネードを投げるエレン。
 パンッという音と共に激しい閃光が走り、二人の視界を一瞬鎖した。
 「ぐぅ・・・・・・。」
 銃弾の中を駆け抜けるように走ったエレンだったが、右肩に銃創を負った。
 激痛と共に血が右腕に滴っていく。
 あの女、ただの兵士とは一味も二味も違う・・・・・・・・・・・・とても妊婦とは思えない動きだった。
 心の中で称賛しつつ、エレンは気を引き締めた。
 攻撃のチャンスは、彼女が弾切れを起こして弾倉を交換するその瞬間。
 物陰に隠れ、激しい銃撃戦を繰り広げながら、エレンは執念深くその時を待った。
 
- 
                  - 22 : : 2016/04/15(金) 19:15:09
- 最初のボス戦キターーーーー!
 オルルガだっけ?
 原作のそいつの名前忘れてしまった…
 とりあえず期待です!
 
- 
                  - 23 : : 2016/04/15(金) 22:46:07
- オルガですねw
 ご期待ありがとうございます!
 
- 
                  - 24 : : 2016/04/15(金) 22:48:01
- ボス戦と聞いて
 頑張ってください!
 
- 
                  - 25 : : 2016/04/15(金) 23:06:56
- ありがとうございます!
 
- 
                  - 26 : : 2016/04/15(金) 23:08:24
- 
 
 
 
 
 
 
 
 (・・・・・・弾切れね。)
 
 
 
 
 
 
 
 その時が訪れたとき、リコはエレンに向かって再びグレネードを投げつけた。
 
 
 リコの計算では、ここでエレンが身を引いている間に弾倉を交換し、戦いを続けるつもりだった。
 グレネードで威嚇している以上、下手に出てはこない、そう考えていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 だが、エレンの動きは、リコの予測を超えていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「なっ!?」
 
 
 
 グレネードが手から離れた瞬間に、エレンは飛びだしてきたのだ。
 完全に不意を突かれたリコは無防備だった。
 
 
 
 
 
 
 
 パシュッ!
 
 
 「あっ!!」
 
 
 
 
 
 
 この隙を逃すエレンではなかった。
 素早くM9を構えたエレンは、リコの額に、麻酔銃を撃ちこんだ。
 
 
 麻酔針が額に刺さり、フラフラとぐらついた後、リコはその場に仰向けに倒れた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「こんなもんだな。」
 
 『銃声を数えていたんだね? エレン?』
 
 「ああ、弾倉を交換するタイミングを狙ってた。グレネードで時間を稼ぐつもりだったんだろうが、銃の種類を見れば装填できる弾の数も分かる。甘く見られたもんだな。」
 
 
 
 
 
 
 
 そう言うとエレンはリコの使っていたSOCOMピストルを手に取った。
 
 
 かつてシャドーモセス事件でも使っていたSOCOMピストル・・・・・・。
 エレンは少し懐かしそうに銃を構えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
- 
                  - 27 : : 2016/04/15(金) 23:40:17
- ク…ルが多かったか…惜しかった…
 しかしオルガ瞬殺ですな…
 やっぱりエレン(ソリッド)は強かった
 あ!それと期待です!
 
- 
                  - 28 : : 2016/04/16(土) 01:57:20
- >>27
 ありがとうございます!
 
- 
                  - 29 : : 2016/04/16(土) 01:57:36
 カシャッ!
 その時、エレンの頭上から、カメラを切る音が聞こえてきた。
 フッと見上げると、そこには、カメラを搭載した小型の無人偵察機「サイファー」が宙を浮いていた。
 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/5/5e/Cypher-UAV.JPG/250px-Cypher-UAV.JPG
 と、次の瞬間にはサイファーは飛び去って行き、撃墜する暇もなかった。
 何だか嫌な流れだ・・・・・・。
 そう思いながらエレンは眠っているリコの兵装を調べる。
 あの身のこなし、ただの軍人じゃなかった。
 「アルミン・・・・・・船はあいつらの手に落ちたみたいだ。あいつら、兵装はロシア製だが身元が全く分からない。」
 『僕のほうでは掴めたよ。』
 「!? マジか!?」
 『うん。さっき君が写真を送ってくれたあの男―――――――ダリス・ザックレーだ。』
 その名前には、聞き覚えがあった。
 「ザックレーって・・・・・・オセロットが手を組んでた?」
 『うん。シャドーモセスでオセロットが合流しようとしていた元GRUの大佐だ。』
 「となると・・・・・・・・・・・・背後にはオセロットがいるってのか?」
 『もう事態は単純にいきそうにないよ。』
 「確かに・・・・・・・・・・・・俺もサイファーらしき無人偵察機を見た。」
 『それって、海兵隊のサイファーT?』
 「いや、陸軍のものだった。」
 『海兵隊にロシア兵に陸軍・・・・・・。』
 エレンはうんざりといった様子でため息をつき、呟いた。
 「お前の言う通り、単純じゃなくなってきたようだ、アルミン・・・・・・。」
 
- 
                  - 30 : : 2016/04/16(土) 01:58:36
- 
 
 
 
 
 
 
 
 『ねえ・・・・・・エレン。』
 
 
 
 すると、アルミンが急に、申し訳なさそうな口調で話しかけてきた。
 
 
 
 
 
 
 
 「なんだよ?」
 
 『実は、今回の情報は、いつものような独自調査のものじゃないんだ。』
 
 「!? どういうことだよ?」
 
 『タレこみだったんだ・・・・・・・・・・・・僕の元にメールが届いてね。』
 
 「そんなのを信じ込むお前じゃないだろ? 何で今回に限って?」
 
 
 
 
 
 
 
 エレンが問い詰めると、アルミンはきまりが悪そうに、おずおずと話し始めた。
 
 
 
 
 
 
 『・・・・・・・・・・・・エレン、僕にはね、血のつながらない妹がいるんだ。』
 
 「初耳だぞ?」
 
 『一緒に暮らしていたのはたった二年ちょっとだったけど。そのメールの差出人が“クリスタ”になっていたんだ。』
 
 「クリスタ・アルレルトか。」
 
 『うん、懐かしい響きだったよ・・・・・・。』
 
 「妹とは?」
 
 『もう十何年も会ってない・・・・・・・・・・・・。妹の存在を知る人間はほとんどいなかった。だから、気になって・・・・・・。』
 
 「・・・・・・。」
 
 
 
 
 
 
 
 気まずい沈黙が二人の間に流れる。
 ややあって、エレンが先に沈黙を破った。
 
 
 
 
 
 
 「これが罠である可能性はあるのか? 俺たちをおびき寄せる。」
 
 『分からない・・・・・・・・・・・・一応、ペンタゴンの極秘ファイルにハッキングして裏は取ったんだけど・・・・・・。』
 
 「・・・・・・・・・・・・分かった。」
 
 
 
 
 
 
 
 不器用ながらも気遣うそぶりを見せるエレン。
 再びの沈黙の後、アルミンは小さな声で呟いた。
 
 
 
 
 
 
 
 『ごめん、エレン・・・・・・・・・・・・気を、付けてね。』
 
 
 
 
 
 
 
 
- 
                  - 31 : : 2016/04/19(火) 13:47:49
 元来た道を、下っていくと、先ほどと様子が違う。
 先ほど左舷に行っていた兵士たちは、警戒の度合いを増して戻ってきていた。
 気が付かれないように気絶させた兵士を海に捨てたのだが、やはり効果は万全ではなかったといったところか。
 (もっと慎重に・・・・・・・・・・・・くそ、苦手なんだけどな。)
 そう考えつつも、足音に細心の注意を払って下へと降りていくエレン。
 リフレッシュルーム、居住区を降っていき、そっとエレンは、タンカーの機関室へと入っていった。
 『エレン、機関室の奥に船倉への入り口があるよ。』
 「ああ、分かってんだが、見張りの兵が多すぎる・・・・・・。」
 潜入に関して百戦錬磨のエレンでさえ苦戦そうな警戒網。
 細心の注意を払い、冷や汗をかきながら、エレンは兵士の死角を突いて進んで――――――・・・・・・・・・・・・- \!/ 
 「HQ! HQ!」
 『こちらHQ!』
 「侵入者を発見! 排除する!!」
 ――――――――しまったッ!!
 『了解! 動けるものは直ちに機関室へと応援に向かえ!!』
 網の目のように敷かれた警戒網に、エレンは遂に引っかかった。
 絡めとられた獲物に向かって、銃弾が容赦なく浴びせられた。
 
- 
                  - 32 : : 2016/04/19(火) 14:02:25
 『エレン! 逃げてッ!!』
 「分かってる! 今やってる!!」
 広い機関室の中に、銃弾が飛び交う。
 こっちはSOCOMピストルなのに対して、相手はAK-47Uアサルトライフル・・・・・・。
 分が悪いってもんじゃない。
 一人二人ならどうにかなっても、束になっては敵わない。
 激しい銃撃から逃れるように、物陰に隠れたエレンは懐からスモークグレネードを取り出し、敵に向かって投げ付ける。
 「!!」
 「グレネードだ!!」
 慌てて飛びのく兵士たちの間で、スモークグレネードが大量の煙を吐き始めた。
 瞬く間に兵士たちの視界を奪い、咳き込ませる。
 「ゲホッ! ゲホッ!!」
 「くそッ!! ゴホッ!!」
 「ど、どこだッ!!」
 漸く煙が晴れた頃には、エレンは文字通り、煙のように姿を消していた。
 
- 
                  - 33 : : 2016/04/19(火) 18:20:07
- エレン見つかっちゃった…
 けど対処うますぎだなw
 流石エレン!
 期待です!
 
- 
                  - 34 : : 2016/04/21(木) 15:56:37
- 期待ありがとうございます(∩´∀`)∩
 
- 
                  - 35 : : 2016/04/21(木) 15:57:07
 「まだ近くにいるはずだ!」
 「探し出せ!!」
 敵が簡単に警戒網を解くことはなかった。
 エレンの容姿が全体に伝えられ、いよいよ潜入が簡単ではなくなった。
 「くそ、いよいよ難しくなってきやがったぞ。」
 『君でも苦戦することがあるんだね?』
 「バカ。俺だって人間だぞ? それに・・・・・・少しずつ・・・・・・。」
 『? 少しづつ?』
 「いや・・・・・・何でもない。」
 物陰から様子を窺いつつ、アルミンと交信を取る。
 勢い慎重になって、敵兵の死角を突きつつ、機関室を漸く抜けると、船倉へと続く扉の前に、とある装置が設置してあった。
 一旦立ち止まり、タバコに火を点けて煙を吹きかけると、赤い光が浮かび上がった。
 「・・・・・・・・・・・・赤外線センサーか。」
 『さっき君と戦った女の人が言っていたものだね。』
 「ああ、触れたら船内の爆弾がドカン。はぁ、俺はタイタニックごっこに付き合ってやるつもりはねぇ。」
 タバコの火を消し、エレンはあたりを見渡す。
 案の定、赤外線センサーを動かしている装置が、扉の左端、爆弾の影に隠れるように置いてあった。
 「あったぞ、アルミン。センサーを制御してる装置なんだけどよ、センサーの向こう側だ。」
 『そう。このゲームを作った人は相当にイジワルなんだね。』
 「!? 何の話だよ!?」
 『いや、こっちの話さ。破壊して進んでくれ。』
 「簡単に言ってくれるよな。」
 隣においてある爆弾を撃たないよう、慎重に・・・・・・。
 サイトを覗き込むように慎重に銃を構え、そして。
 引き金を引いて、銃声が一発。
 銃弾は見事に装置に命中し、赤外線センサーは停止した。
 
- 
                  - 36 : : 2016/04/21(木) 16:00:05
 薄暗い廊下を、一人進んでいくエレン。
 波に揺られて、ギギギと船体が軋む音が聞こえてくる。
 (よし、ここから先が船倉だな。)
 漸く船倉に入る扉を見つけ、エレンは最大限警戒しながら扉を少し開け、銃を構える。
 誰もいないことを確認すると、扉の向こうへと進んでいった。
 その後ろから、一人の男につけられていたとも知らずに・・・・・・。
 エレンが船倉へと潜入していった後、敵兵士の一人は、開けっ放しになっていたドアを閉めた。
 エレンが侵入したことを、通信にて知らせようとする兵士。
 その時だった。
 闇の中から、カシャン、カシャンという足音が聞こえてきた。
 「!! だ、誰だ!!」
 驚いた兵士が音のする方へと銃を構える。
 闇の奥から現れたのは、足にまるで西部劇のような拍車をかけた男だった。
 「ああ、あなたでしたか、シャラシャーシカ。大佐と一緒ではないのですか?」
 ホッとした声を上げて構えを解く兵士。
 と、次の瞬間、オセロットは銃を構え、一瞬で兵士の眉間を撃ち抜いた。
 血を吹き出しながら倒れる兵士に目もくれず、エレンが通り過ぎていったドアを閉めるオセロット。
 去り際に、彼は一言、呟いた。
 「同志よ。大佐と共に沈め・・・・・・。」
 
- 
                  - 37 : : 2016/04/21(木) 16:00:33
- 頑張ってください!
 期待です!
 実写版進撃の巨人見に行きましたか?w
 
- 
                  - 38 : : 2016/04/21(木) 16:05:55
- 期待ありがとうございます!
 実写版は怖くて見てないですw
 
- 
                  - 39 : : 2016/04/22(金) 16:37:58
 『エレン。まだ船倉につかないかい?』
 「今到着した。予定より手間取ってる・・・・・・・・・・・・悪い、ベラザノ橋は通り過ぎちまった。」
 『止むを得ないね・・・・・・合流地点を変更しよう。』
 想定外の事態が立て続けに起き、アルミンは合流地点の変更を余儀なくされていた。
 それと、潜入が遅れたおかげで、もう一つ厄介な事態を招いていた。
 「アルミン・・・・・・・・・・・・これから海兵隊の司令官による演説が始まるみたいだ。船倉に海兵隊の連中が整列してやがる。」
 『!? 海兵隊は上で起こってることに気が付いていないのか?』
 「どうもそうらしいな。とはいっても、この中を潜入すんのは俺でも大変だぞ?」
 入り口がある遥か上の足場から、エレンは船倉内部を見下ろした。
 目の前の巨大なスクリーンに映し出された禿げ頭の海兵隊司令官を見つめる、大勢の兵士たち――――――――彼らの注意を引かないようにやり過ごさなければいけない。
 
- 
                  - 40 : : 2016/04/22(金) 16:39:28
 『世界は再び核抑止の時代を迎えようとしている!!』
 しっかし、あの司令官、よく声が通るもんだな。
 まあ、中身は無いに等しいんだが。
 そっと梯子を下りていき、息を殺す。
 目標としているメタルギアは、どうやら、演説している海兵隊の司令官の真後ろにあるようだ。
 『メタルギアREXの技術情報が流出して以来、世界中にメタルギアの亜種が広まった!
 その抑止力となる対メタルギア用メタルギアこそ、この――――――――メタルギアRAYなのだ!!』
 「・・・・・・・・・・・・メタルギア、RAY。」
 『どうやら、新しいメタルギアのコードネームがそれみたいだね。覚えてる? 僕が開発したメタルギアのコードネーム?』
 「ああ、REXだな?」
 『あのコードネームは、日本の戦闘機『強風』からとって名付けたんだ。どうやらそのRAYとやらも、その意匠を受け継いでいるみたいだね。』
 「RAY・・・・・・アメリカにおける『零戦』のコードネームって訳か。成程な。」
 
- 
                  - 41 : : 2016/04/22(金) 16:41:46
 取りあえず人の目につかないところを進んでいこう。
 そう思ったエレンは、床下の通気口へと潜り込んだ。
 三つに分かれている船倉の、真ん中の部屋に通気口は通じていた。
 ガコン・・・・・・
 通気口の蓋を少し開けてあたりを見渡すと、左奥に一番奥の部屋へと通じる扉が見えた。
 司令官の長い演説に、兵士たちはうんざりしてるようだ。
 挙句の果てには一人こっそり、芋なんか食べてる輩もいる。
 兵士たちは気が散ってるので、こっちは気を使わなければならなかった。
 全く、海兵隊ともあろうものが芋食ってるなんて前代未聞だ。
 慎重に、
 慎重に・・・・・・・・・・・・
 一度発見されているだけあって、エレンは嫌ほど慎重に、奥の扉へと近づいていった。
 
- 
                  - 42 : : 2016/04/22(金) 16:43:08
 「アルミン、着いたぞ。」
 『いよいよだね。』
 「ああ、あれが・・・・・・・・・・・・メタルギアRAYか。」
 さて、二つ目の部屋を抜け、一番奥の部屋へと潜入した俺の目に飛び込んできたのは、広い船倉の天井にも届かんばかりの巨体を誇る、メタルギアRAYの姿。
 ごつごつとした先代とは違い、流線型の滑らかなデザインは、水陸両用の兵器であることを思いださせると同時に、次世代のメタルギアであることを強く印象付けた。
 https://i.ytimg.com/vi/RZp63CvUiUY/maxresdefault.jpg
 「じゃあ今から写真撮ってくる。」
 『エレン・・・・・・・・・・・・必要な写真は4枚だ。正面からと、左右斜め下から。それと、海兵隊のマークが入った写真もね。』
 「分かってる。」
 『頼んだよ・・・・・・。』
 
- 
                  - 43 : : 2016/04/22(金) 22:17:23
- 期待❗
 
- 
                  - 44 : : 2016/04/23(土) 19:20:05
- 写真撮る所か…
 ここが一番苦戦したなあw
 
- 
                  - 45 : : 2016/05/01(日) 20:59:10
- 遅くなりました、期待ありがとうございます!
 
- 
                  - 46 : : 2016/05/01(日) 21:01:13
 気付かれないように写真を撮る。
 抜き足差し足忍び足。
 日本には忍者という諜報に特化した部隊があったと聞くが、今の俺はまさしく忍者だな。
 冗談抜きに写真を撮る音で気付かれてはいけない。
 ああ、フラッシュなんか焚いてしまった日にはもう目も当てられないことになる。
 「よし、あと一枚だな。」
 取りあえず、左右斜め下。それから正面の写真を撮り終えた。
 後は機体の後方についている海兵隊のマークを収めるだけ・・・・・・。
 海兵隊が整然と整列しているそのわきを、音を立てないようにエレンは移動していく。
 「よし、もう少しだぞ。」
 『うん、慎重にね。』
 「ああ・・・・・・。」
 息を殺してカメラを構え、海兵隊のマークが入った機体をカシャリ。
 しっかりと写真の中に収めたエレンは懐にカメラをしまった。
 
- 
                  - 47 : : 2016/05/01(日) 21:02:07
 『よく頑張ったね、エレン。この船倉の中にコンピューターがある。そこにハッキングしたから、写真を送ってくれ。』
 「よし、今から送信する。」
 船倉の中にあるコンピューターを操作し始めるエレン。
 カメラの中からメモリーカードを抜いて、パソコンへと差し込んだ。
 「よし、じゃあ一枚目の写真を送るぞ。」
 『うん・・・・・・・・・・・・って何これ!?』
 「いいもんだろ?」
 『さっき君が見てたグラビアアイドルのポスターの写真じゃないか!? こんな時に何やってるの!!』
 叱責しつつも、保存ボタンをクリックしたアルミンであった。
 さて、気を取り直して写真を送ってもらう。
 すると・・・・・・・・・・・・
 『・・・・・・・・・・・・エレン、そんなのを僕が信じるとでも?』
 「いやいや、偶然取れたんだって! 心霊写真!!」
 『とっとと目的の写真を送らんかい!!』
 「冗談の分からないやつだなぁ。」と愚痴交じりに写真を送るエレン。
 漸く任務が完了し、後は脱出するだけ。
 それだけだった。
 だが、事態は予想外の方向へと動き出した。
 
- 
                  - 48 : : 2016/05/01(日) 21:04:12
 海兵隊司令官の演説がやっと終わり、兵士たちが一斉に敬礼をする。
 するとどこからか、拍手をする音が聞こえてきた。
 「流石は海兵隊司令官・・・・・・・・・・・・- 演説 が上手い。だが、それだけだ。アメリカ人は自分の話に酔うあまり真実を語れない。」
 「!! 何者だ!?」
 司令官の後方、メタルギアの影から、ダスターコートに身を包んだ男が現れた。
 白い髪を右肩のほうに結い、足に拍車をかけている。
 腰には、二丁のリボルバー拳銃――――――シングル・アクション・アーミー。
 「俺の名はシャラシャーシカ。またの名を・・・・・・・・・・・・リボルバー・オセロット。」
 オセロットが名乗った瞬間、司令官の側にいた兵士たちが銃を向ける。
 が、オセロットは余裕を崩さずに懐からスイッチのようなものを取り出した。
 「おっと、撃つなよ? この船にはセムテックス爆弾がたんまりと仕掛けられている。俺を撃てば船はドカンだ。」
 
- 
                  - 49 : : 2016/05/02(月) 19:57:50
- ちょww
 スネークさんwwww
 ふざけすぎですよww
 
- 
                  - 52 : : 2016/06/11(土) 23:24:32
- 暫く放置してしまって申し訳ありません。
 少しずつですが、更新いたします<m(__)m>
 
- 
                  - 53 : : 2016/06/11(土) 23:33:46
 「・・・・・・・・・・・・あのサディスト野郎。」
 物陰に隠れているエレンは内心驚いていた。
 どうして奴がここにいる!?
 船倉の空気がピンと張り詰める中、突如として司令官の首に腕がまわされ、こめかみに銃が突きつけられた。
 「ごきげんよう、キース・シャーディス司令官。」
 「!! お前は・・・・・・・・・・・・ダリス・ザックレー大佐!?」
 もう一人の侵入者、ダリス・ザックレーは憎しみに染まった表情でキースに挨拶をした。
 その瞬間に、天井からロープが降りてきてザックレーの私兵たちが一斉に降りてきた。
 怒りの表情で、キースは侵入者に言葉をぶつけた。
 「ぐっ、貴様ら・・・・・・このメタルギアを奪いに来たのか!?」
 「奪う? 返してもらうのだよ。」
 対するオセロットのこの余裕はどこから来るのだろう。
 そうエレンが疑問に思うほど、オセロットは冷静そのものであった。
 一方のザックレー大佐の表情は怒りに満ちていた。
 宥めるように、キースはザックレーに話し始めた。
 「こんなことをして、どうするつもりだ?」
 「黙れ。貴様にわかるか・・・・・・・・・・・・アメリカに故郷を金で買われたこの私の気持ちが!」
 「ぐっ、メタルギアを奪って・・・・・・何をするつもりなのだ!?」
 ザックレーは腕に力を籠め、キースのこめかみに銃を突きつけると、怒りの混じった声で宣言した。
 「これで・・・・・・・・・・・・ロシアを再建する。」
 
- 
                  - 54 : : 2016/06/11(土) 23:34:16
- 
 
 
 
 
 
 
 
 「・・・・・・・・・・・・残念ながら、それは違う。大佐。」
 
 
 
 
 とここで突然、割って入るようにオセロットがしゃべりだした。
 突然の発言に困惑するザックレーや彼の部下たちをよそに、オセロットは語り続けた。
 
 
 
 
 
 「返してもらうといっただろう・・・・・・・・・・・・『愛国者達』にな。」
 
 
 「なっ!? 『らりるれろ』だとッ!?」
 「オセロット!? 貴様、この私を裏切るのか!?」
 
 
 
 
 
 裏切りに気が付いたザックレーも驚いていたが、
 それよりも、キースの驚き方は並み一通りではなかった。
 
 そんな二人の驚きをよそに、オセロットは悠々と話をつづけた。
 
 
 
 
 
 
 「ふん、私のボスは、貴様ではない。」
 
 
 
 「オセロット・・・・・・・・・・・・いつからだ!?」
 「鈍いな同志。まだあの連邦が存在したころからだ。」
 
 「!! 貴様ッ!?」
 
 
 
 
 「娘と共に死ね。」
 
 
 
 
 
 次の瞬間、ザックレーはキースを前に突き飛ばし、銃を構えた。
 刹那、オセロットは羽織っていたダスターコートを脱ぎ捨て、彼の愛銃であるシングル・アクション・アーミーを抜いた。
 
 
 
 
 三発の銃声が、船倉内に響く。
 
 
 
 まず最初に膝を折って倒れたのは、キース・シャーディス。
 続いて、ダリス・ザックレーが苦悶の声を上げながら、ゆっくりと仰向けに倒れていった。
 
 
 
 
 
 「その腕では現役引退だな、ダリス?」
 
 
 
 オセロットはそう呟きながら、右手に握ったシングル・アクション・アーミーを離した。
 それが床に落ちないうちにオセロットは左手でもう一丁のシングル・アクション・アーミーを抜き、リング・ハンマーに右手を当て、
 
 
 
 「ぐあっ!?」
 「なっ!?」
 「がはぁ!?」
 
 
 
 一瞬のうちに放たれた6発の弾丸は、全てがザックレーの部下の心臓を貫いた。
 あまりにも素早い早打ちは、まだ手放したシングル・アクション・アーミーが床に落ちる前に終わっていた。
 
 
 
 
 
 
 
- 
                  - 55 : : 2016/06/15(水) 08:42:14
- 
 
 
 
 
 
 
 くるくるとリボルバー拳銃を回し、ホルスターに収めるオセロット。
 それからオセロットは懐からセムテックス爆弾の起爆装置を取り出し、こう宣言した。
 
 
 
 
 
 「さて、諸君。この船はまだロウアー・ニューヨーク湾だ。必死に泳げば助かるかもしれんぞ。
 最も、俺だったら今すぐにでも逃げ出すがね。」
 
 
 
 
 
 
 次の瞬間、船の各所に仕掛けられた爆弾がさく裂した。
 
 
 
 
 「うわああぁあぁッ!!」
 「ぎゃああぁあぁッ!!」
 
 「た、たすけてくれえぇッ!!」
 
 
 
 
 船倉の中にまで海水が勢いよく入り込み、海兵隊たちの悲鳴を飲み込んでいった。
 そんな中、勇敢な海兵たちはオセロットに銃を向けるも、銃弾が一発も当たらない。
 
 
 弾丸が飛び交う中、オセロットは悠々と足場を上り、メタルギアの操縦席へと近づいていく。
 
 
 
 
 
 と、そこへ、一人の男が怒鳴りながら近づき、銃を向けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
- 
                  - 56 : : 2016/06/15(水) 08:43:40
 「オセロット!!」
 「む、貴様は・・・・・・エレン・イェーガー?」
 その瞬間、オセロットの様子が変わった。
 「うぐッ!? ぐうおおぉおぉッ!!」
 右腕が痙攣をはじめ、それを抑えようとして左手で右手首をつかみ始めるオセロット。
 やがて、右腕の布が破れてその太い腕がむき出しになり、オセロットはすっと立ちふさがるようにエレンを足場の上から見下ろした。
 「久しぶりだなぁ、兄弟!」
 「!! その声は・・・・・・・・・・・・ッ!?」
 とっさに、エレンはオセロットの発する彼ならざる声に聞き覚えがあった。
 まさか、そんなはずは・・・・・・・・・・・・
 「お前、まさか!?」
 「そう、俺だよ!」
 「・・・・・・・・・・・・エルヴィンか!?」
 
- 
                  - 57 : : 2016/06/15(水) 08:44:20
 ありえない・・・・・・。
 あいつは、二年も前に死んだはず。
 フォックス諸島沖の孤島、シャドーモセス島で・・・・・・。
 「歳を取ったな、エレン。」
 「ぐっ、お見通しってわけか。」
 「お前は俺だ。お前にも急激な老化が始まってきたようだな。」
 エルヴィンの言うとおりだった。
 ここ二年の間に、エレンの肉体は急激に衰え始めていた。
 俺の年齢はまだ33歳だったが、肉体的な年齢は既に50歳前後・・・・・・。
 それは、エレンがビッグボスと呼ばれた伝説の戦士のクローンであることと関係があるのは明白であった。
 「ペトラがFOXDIEの対象プログラムに俺たちを入れなかったのも頷ける。うぐっ!!」
 「!?」
 と、ここで再びエルヴィンが苦しみ始めた。
 まるで、肉体の中にいるオセロットの精神が、エルヴィンの精神を追い払おうとしているかのように。
 「下がれッ! エルヴィンッ!!」
 そのまま右腕に噛り付くオセロット。
 ややあって、エルヴィンは再び肉体の主導権を握ると、そのまま何事もなかったかのように話をつづけた。
 「親父のクローンであるがための宿命。貴様もあと生きて数年・・・・・・。」
 「!! あと、数年?」
 「ビッグボスの体細胞を使って生み出された俺たちは、生まれながら既に老いている。が、俺はこいつの腕になって生きながらえる!」
 そういうとエルヴィンは、右腕を前に差し出した。
 かつてサイボーグ忍者に切り落とされたオセロットの右腕には、明らかに別人の右手が移植されていた。
 「あれは、エルヴィンの、腕・・・・・・。」
 エレンはすべてを理解した。
 右腕を切り落とされたオセロットは、おそらく早撃ちの名声を守らんがため、エルヴィンの右腕を移植した。
 が、その為にエルヴィンの精神がオセロットの肉体を、精神をむしばんでいるのだ。
 まるで、毒蛇の毒が体をむしばむがごとくに・・・・・・。
 
- 
                  - 58 : : 2016/06/15(水) 08:44:54
 その時、船体が大きく揺れた。
 不意の揺れにバランスを崩すエレン。
 その一瞬のスキをついて、エルヴィンはメタルギアのコクピットに乗り込んだ。
 「!! しまった!!」
 電源を起動するエルヴィン。
 唸り声をあげ、流線型のメタルギアRAYはまるで鳴き声のような、ギイイという軋み音を上げ始めた。
 「エレン! やはり貴様は馬鹿だな!」
 「くそッ!!」
 「タンカーとともに沈めッ!!」
 エルヴィンはそう叫ぶと、RAYの口からまるでレーザーのような水圧カッターを発射した。
 ドゴオォオォォンッ!!
 さく裂した水圧カッターの爆発に吹き飛ばされ、エレンは頭を手すりに打ち付けて気を失ってしまった。
 生き残った海兵隊の兵士たちは、何とかRAYを止めようと必死だった。
 あるものはハンドガンで、
 あるものはアサルトライフルで、
 あるものはグレネードランチャーで、
 それぞれRAYに攻撃を仕掛けたが、どれもまるで歯が立たなかった。
 巨大な機体にもかかわらず、RAYは俊敏な動きを見せた。
 その両足で悉く海兵たちを蹴り飛ばし、船倉が血で染まっていく。
 
- 
                  - 59 : : 2016/06/15(水) 08:45:32
- 
 
 
 
 
 
 
 
 『しっかりしてくれ! エレン! エレン!!』
 「う、うぐ・・・・・・。」
 
 
 
 
 
 アルミンの必死の通信に、エレンはようやく目を覚ました。
 そんなエレンの目に飛び込んできた光景。
 
 
 それは・・・・・・・・・・・・二発目の水圧カッターが、船倉の壁を切り裂く瞬間であった。
 
 
 
 
 
 
 バシャアアァアァッ!!
 
 
 「!! ぐああぁあぁッ!!」
 
 
 
 
 
 『!! エレン!! 応答してくれッ!! エレンッ! エレエェエェェンッ!!』
 
 
 
 
 
 
 
 船倉に入り込んだ大量の海水はエレンを飲み込み、アルミンとの通信は、それきり途絶えてしまった・・・・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 真っ二つに割れ、沈没していく巨大なタンカー。
 
 
 
 
 その中から、RYAの巨体は海面の中から姿を現した。
 俊敏な小動物のように水面から跳ね上がると、タンカーの上へと着地し、RYAは再び軋み音を鳴き声のように上げた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 「すべて順調、予定通りです。」
 
 
 コクピットの中で、オセロットはつぶやいた。
 オセロットが再び操縦桿を握ると、RAYは機体を仰向けにそらせて飛び上がり、嵐の海中へと姿を消した。
 
 
 
 
 
 
 
 
- 
                  - 60 : : 2016/06/15(水) 08:46:37
 
- 
                  - 61 : : 2016/06/15(水) 08:46:59
 ええ、例のポイントです。
 はい。
 サイファーでエレンの絵も抑えました。
 明日のニュースが楽しみです・・・・・・。
 海兵隊の計画も、海の藻屑と・・・・・・。
 ええ。
 大統領。
 
- 
                  - 62 : : 2016/06/15(水) 08:49:12
- 以上で、マンハッタン沖タンカー沈没事件は終了となります。
 文章のアイディアが浮かばず、いったん放置してしまって申し訳ありません。
 次回はMGS2の本編。
 ビッグ・シェル占拠事件を執筆してまいりますので、よろしくお願いします<m(__)m>
 
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