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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

さよならは いわないで  ⚠グロテスク注意⚠

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  1. 1 : : 2015/11/18(水) 01:03:06



              ~前書き的なもの~


              ※ WARNING ※

            のっけからテレビシリーズ、及び
            原作のネタバレ少しありです。
               ご注意ください。



     まず始めに今回書いてみたこの突発的かつ極めて短く
     終わるであろう当文章群に関してなのですが・・・・・



     超絶的な鬱展開 かつ、グロ描写 有々の、もはや読む事に対する
     メリットすら頭を抱え無ければ見出せないないくらいに・・・・暗いお話です。


     最初は、まず滅多にSSという場でもなければ主役としての
     スポットが当てられることもないであろう“彼”に光を当ててみた・・・

     そんな話を書いてみよう!!という意気込みで書き始めていた
     このお話が・・・結局どうしてこうなったという流れに
     なってしまいました。

     …とは言いつつも、創作が8割とはいえ一応事実関係は原作準拠です。


     “彼”に関してはその後、フルネームまで発覚となった彼の
     “馬鹿夫婦”ことハンナ×フランツの様に、没描写が描かれていない為、
      アニメでその声まであてられている以上充分後付でなにか
     描かれる可能性はありますが・・・・・



     まあ、その時はその時で。



     まずこのカップリング(とは言えないですね・・この場合)を
     かねてより書きたかった理由ですが・・・・


     結局は私の単純な憶測でしかありません。


     ・・・というのも、アニメ版で、壁上にて超大型の壁叩き(蹴り)
     シーンにおいて・・・・コマ送りでないと分からない程の一瞬ですが、

     なんと“彼”は“彼女”を庇おうとして真っ先に衝撃の余波に
     その身を晒されている描写が確認できます。


     誰もがあのシーンで、“サシャかっこいい・・・”とか、

     “速攻脚怪我して退場なんてツいてなさ杉サムエルん”・・・・とか

     “あんな痛い思いする位なら私ならサパっと死にたい”


     ・・・・・とか。誰もが初見時にはそう思った筈。



     ・・・・しかし、蓋を開けてみれば“彼”の様な、所謂
     お世辞にも準レギュラーとすら呼べない兵士にも・・
     物語的な描写がきちんとなされていたこと。

     ・・・・・それこそが今回私がこういう鬱な方向で強行しながらでも
     彼のお話を書きたいと思った理由に御座います。



     ・・・・などと、真面目ぶったことを言ってはいても・・・・
     やはり読んでいて大分胸糞悪くなって来ること請け合いな
     糞の様なお話であると存じます。


     なので、人の生き死にに関する話で少しでも忌避感を
     覚える方にとっては・・・ココから先は本当に理解に苦しむ
     内容であること必至ですので・・・迅速なブラウザバック、
     若しくはウィンドウ閉鎖をおススメいたします。


     お手数をおかけして済みません;
     

     因みに・・・やりかけの話を途中にしながら書きましたが、
     其方の脚を引っ張るのもイヤでしたので、一日で書き終えました。
     なので誤字脱字、文法の崩壊など凄まじいと思います。

     所謂殴り書きという奴ですね。
     
     追記
    ※タイトルの重複に関しまして※

     正直な話、ありきたり過ぎなタイトルだと思い、
     3〜4つのダブりは覚悟の上でしたが、
     ほぼ同型のタイトルでの重複は、
     検索の結果何と1個しか有りませんでした。

     内容的にまったく関連性もないので、
     ひとまずこのまま使わせてもらう事と致します。(゚o゚;;
  2. 2 : : 2015/11/18(水) 01:03:40




             以下、簡易注意点

     


            ※ 口調の違和感等 ※

      特にサムエル君に関しては・・・ご存知の通り殆どキャラ立ちが
      確立してませんので、そこはもうほぼオリキャラという事で。




         ※ 設定の曖昧さと創作要素の同居 ※

     書いている私ですら段々なにを言ってるのか分からなくなる位
     ノンストップで書きましたので、色々おかしいところあるかも
     しれません。




           ※   死生観描写   ※

      原作を知ってる人にとっては冒頭で直ぐにどんな
      話であるか察する事が出来ると思いますが・・・・まあ、
      凄惨なお話ですので先だって言いました様にご注意下さい。

      

         ※ 一応原作・及びテレビの序盤ネタバレ ※

     流石にこの辺までを見てない人は居ないと思いますが・・・一応。。


     




  3. 3 : : 2015/11/18(水) 01:05:01










     ―――――初めて“彼女”を見た時に抱いた印象は・・・・・








            “愛らしさ”だった。








     「 貴様は何者だ!!!?何しに此処に来たッ!!!!???? 」






     「ッぅ、ウォールローゼ南区、トロスト区出身!!!ミー(ry,,
     「違うぞ!!!貴様は豚小屋出身!!!!“家畜以下”だ!!!!!」







    「っはッ!!!  自分は家畜以下であります!!!!」
     ドンッ!!!





     それがどれだけ今後のオレ達にとって重要な通過儀礼となるのか
     その時のオレには当然分かりはしなかったし、いくら志願者に
     男女の贔屓や蔑視など公平に欠く当たり方は出来ないとはいえ・・・



     あんな女の子相手に随分容赦の無い事だと思った。



     まあ・・・今となってはそんな考えすら遥かに甘いものだったんだと
     痛感させられているが。




     何せ訓練兵として地獄の三年間をやっと修了して・・・
     さあ明日から自分も晴れて一端の兵士だ、と


     
     解散式の夜に、オレ達のなかでも一番ヤル気に満ち溢れてた
     班長の名演説に皆で感化されて



     馬鹿が上官の食糧庫からくすねてきた肉を、
     皆で卒業の前祝に山分けして喰ってやろうと息巻いて・・・・。。



     それまでさして行ってみたいとも思えなかった
     壁の外に僅かな希望すら抱き始めてた“その矢先”に。





     ――――まさかあんな形で






     ――――――おまけに初の巨人遭遇でありながら。




     
     一切何の前触れも、心の準備も出来ないまま“目前に降って湧いてきた”のが、
     よりにもよって正真正銘の人類領域侵略者である・・・・






            “あいつ”だなんて。




     

     そんな馬鹿げた話の筋書きが、ろくに読み物もしてないこのオレに
     予見できる筈も無い。
  4. 4 : : 2015/11/18(水) 01:06:06




     オレは、本当に何の前触れも無く突然目の前に降って湧いた
     としか形容できないそいつを目にするなり・・・・




     


     何を考える暇も無く “彼女” に向って跳んでいた。





     しかしその手は空しくも届くことは無く・・・直後にその場にいる全員を
     凄まじい衝撃が襲った。―――続いて押し寄せる、爆風。





     オレはその衝撃の煽りを受け、成すすべもなく意識を失い、
     今ようやくこうして意識を取り戻した訳だ。





     ・・・・・ここは・・・臨時に仮設された野戦病院だろうか。


     オレの他にも負傷したと思しき奴らがちらほら呻き声を上げて
     そこらにうずくまっている。





     同期からの言伝で知ったことといえば、


     
     あの時オレ達、砲整備4班を襲った衝撃は
     “いきなり現れた”超大型巨人が開閉扉を蹴破った際に生じた
     破壊の余波であり・・・・当のオレはといえば、その衝撃の煽りで


     
     壁の内側に吹っ飛ばされただけでなく、同時に宙を舞っていた
     瓦礫で頭部を強打しており、立体機動に移る暇さえ
     無かったという事。



     そして、何故高さ50mもの壁からダイブしたオレが
     あの世ではない場所で目を覚ましたのかといえば・・・・

     

     今104期訓練兵中、最大最強の馬鹿と目される、“あの”サシャに
     命を救われたからだそうで、この足に負った重度の裂傷こそが
     その際に得た小さな代償なのだという。



     あの一瞬で使い物にならなくなったこの足でさえ、ここまで
     鍛え上げるのに三年という気の遠くなる年月を
     耐え抜いたって言うのに・・・・・・、



     ・・・・その片足をこうして失い、
     最早オレに残された兵士生命が絶望的なのは明らかな訳だが、
     それで何故小さな代償だなんて平気で言えるのかって?



     そんなの当たり前の事だろう。結果としてオレはあの状況から・・




     どう考えたって何も出来ず、死ぬしかなかったあの状況から
     こうして生還を果たしたのだから。






     オレはこの恩をあの馬鹿に対して一生忘れる訳にはいかない。




     何せ、“オレもその肉食う”とか言ってたアレが危なく
     オレの遺言になる所だったんだからな。


     コレばかりは芋女には幾ら感謝をしてもし足りない。
  5. 5 : : 2015/11/18(水) 01:08:56





     しかしこの際・・・オレが今一番気になって仕方が無い、

     それこそ自分の命なんかよりあの時よっぽど優先したかった
     『それ』に比べれば今、そんな色々は心底どうだっていい。






    「そっ・・・・それでっ・・・・・?!!あのっ・・・・!自分と同じ整備班
     所属の同期は・・・・!!!誰か此処へは搬送されて来て無いんですか!」





     オレは・・・居てもたっても居られず、激痛に張り裂けそうな足を
     引き摺りながらも傍らの衛生兵に、半ばがなりたてるように
     問いかける。




    「おッ・・・・落ち着け新兵・・・・・!!自分の足を良く見てじっとして居ろ!!

     全く痛まない訳では無いんだろう!!!・・・まだ鎮痛剤すら投与していないんだ!!!」





    「そんな事よりッ・・・・誰も・・・誰も自分以外で此処には・・・・?!」





    「一通り説明した通りだ!お前を担いできた訓練兵以外に・・・
     壁上で“奴”との接近遭遇を報告してきた班員は・・・・!皆無事だ!!

     今は超大型巨人出現時の手筈通り・・・・!トロスト区の
     所定配置について万一の事態に備えている段階だろう・・・!

     そもそも我々駐屯兵団の先遣隊がそこに至るまでの巨人共の
     掃討の任に当たっている!!お前は余計な心配に駆り立てられて
     自分の怪我を悪化させずに・・・・仲間の武運を祈る事に全力を尽くせ!!!


     ・・・・いいな!!!!」







     ――――生きてた







     ――――――生きてた....!




     
     

     全員って事は・・・・“彼女”も当然生きてるはずだ....!!!




     その言葉を耳にした瞬間・・・それまで足から全身へと
     広がっていた激痛を押さえ込むべく溢れ出ていた脳内麻薬が
     瞬時に打ち止めとなり・・・・



     そのあまりの痛みに、、、。



     ―――オレの意識は再びその居場所を暗闇の中へと移す事になった。





     再び目覚める時、オレがその耳にする戦死者報告が・・・・・



     オレの世界の全てを変えてしまう事になるとも知れずに。



     オレは・・・・深い深い眠りに堕ちた......




  6. 6 : : 2015/11/18(水) 01:11:16





               ~数(?)日後~




     負傷直後、あれだけの剣幕でわめき散らすことが出来たのが
     まるで嘘のように・・・オレはあれから数日もの間意識不明に
     陥っていたらしい。日数に関しては定かでないが、
     ひょっとしたら1、2日しか経過していないのかもしれない。


     
     当然オレが居たはずの一時的な野戦病院として機能していた
     宿舎の一室からは・・・オレ自身その居場所も移され・・・周囲には
     隊服でない部屋着姿の負傷兵も数人床に伏しているのが
     見受けられた。・・・要するに戦いは既にあれから収束を向え、


     今オレが居るここは・・・・一時手当てを施した負傷兵を再び
     戦場へと舞い戻らせる為の辺獄(リンボ)ではなくなっているという事だ。



     同時にやはりあの世でも無さそうだという事は・・・・



     “どうやって”かは知らないが・・・我らが人類は、なんとあの

     超大型巨人の残した侵略の穿穴を封殺し・・・・“史上初”となる

     奪われた壁の奪還、という快挙を成し遂げたらしい。



     こうして床に伏していながらも・・・つい昨日ほど前まで窓を微かに
     震わせていた断続的な轟音の正体は・・・・


     報告の通りなら、塞いだローゼの壁上固定砲台が、昼夜休まず
     火を噴き続けていた、その証だったのだという。




     てっきりオレは壁の内側に攻めて来た巨人共の足音だと思って・・
     そのまませめて出来るだけ楽に死ねたらと願い続けていた訳だが。



     オレはともかく、戦力として動ける兵士に至っては
     そいつが訓練兵だろうが何だろうがそんな弱音を吐く事も
     当然許される事は無く。




     壁を塞いだ後に待っていたその仕事は・・中に入ってきた
     害虫共の掃滅・駆除という訳だ。

     砲台の激発以外では残存する兵士総出で巨人共を
     壁際に集める囮役をやらされたらしい。








     ご愁傷様だな。










     まあ・・・今となっては・・・どうでもいい話だが.......






     ドッ・・・ドッ・・・ドッ・・・・・・・






     その時、急ぎ足で病室へと駆け込むブーツの音がオレの鼓膜を叩いた。








    「おい!・・・・サムエル!!サムエル・リンケ≂ヤクソンはいるか!!
     意識が戻ったとの報告を受けて状況を伝えに来たが・・・・!

     意識があるならその場で挙手しろ!!!」






    「・・・・ハッ・・・・・、此処に」



    「・・・・どうだ・・・・傷の具合は。まだ痛むか・・・」




    「杖一本でもあれば・・・歩けます。それより・・・・・」





    「ああ。お前にはさぞ辛い報告だったかもしれんがな・・・・

     つい先程だ。トロスト区界隈の巨人掃討が漸くひと段落付き・・・

     安全確認の後、交戦区画の一斉捜索が開始された・・・・・。

     証言通りの地区にてお前の所属第四班1個分隊分の亡骸も..

     巨人に飲み込まれて外見に大きな腐敗を起こしていないものは
     身元確認も容易に済んだので収容されたそうだ」





    「そう・・・・・ですか・・・・・・」



     まあ、どうでもいいことだが作戦の場が市街地へと移ったなら
     そこにいた面々は第四班そのままの面子では無いはずだが。

     そんなことはこの際どうでもいいか。

  7. 7 : : 2015/11/18(水) 01:14:20




    「丁度・・・無事事なきを得たお前の同期達も、それ以外の
     未発見である遺体をみつけるべく・・・・アルレルト訓練兵の
     報告通りの区画を重点的に捜索している筈だ」







    「・・・・・・・・・・」





    「お前が可能だというのならば・・・・本日中の外出には・・・

     特別に許可が下りる。・・・・どうする?」





    「・・・・・・・・・・」






    「・・・・・・(溜息)辛い選択だと言うのは言っている此方も
     重々承知の上だが・・・・ここで躊躇すればこの先、一生悔やむ事になるぞ。

     だから・・・・・会いに行ってやれ・・・・・・・・」






    「・・・・・・・・・・」







    「こんな言い方は好き好まないが・・・・


     名誉の戦士を遂げた――戦友の下へ....。。。

        せめて最後の見送りくらいにはな・・・・。」






     ――戦友だなんて言われてもな・・そもそも
     これから“戦おう”という初陣でこのザマだったんだ。



     戦友もクソも無い。






    「お前は・・・・“まだ”報われた方なんだ。俺を含め、
     仲間を失った奴の大半はな・・・・。


     巨人の吐瀉物で原型の無い一塊にされちまったりなんかして
     ・・・身元の特定すら困難な亡骸として見つけ出されたソレを・・

     今も吐き気を抑えながら“どれがどいつか”
     泣きながら仕分けしてる真っ最中なんだぞ・・・・」





    「・・・・・・」





    「お前があの日あれだけ気にかけてた同期の少女とやらは・・・・


     “顔面の欠損”だけで済んでいたらしい。・・・無論程度がどうあれ
     還らぬ者となった仲間に抱く悲哀の念に変わりなど無い・・・・


     だがな・・・、“未だ”お前の仲間は・・・・あの日の姿のままでお前を
     “待ってる”んだ・・・・・。火葬は・・・日没と同時に全て行われる。。」





    「・・・・」






    「戦死したお前の仲間に代わって俺から頼む・・・・。


      どうか・・・最後の別れくらい言いに行ってやってくれ・・・・」






     当然オレに、その場で何か言葉を発する余力なんて・・・・
     残っては居なかった。しかし、その上官の熱意に負けて
     オレもとうとう“そこ”へ足を向ける覚悟を決める。





     今夜送り出される彼女がその刻を待ちながら安置される・・・・






     『臨時遺体安置所』へ.......。『それ』とは別の決意も固めて。




  8. 8 : : 2015/11/18(水) 01:16:08




            ― 臨時遺体安置所(教会) ―






     当然こんな所に来るにあたって・・・・・生前想い入れの深かった
     戦友の顔を一目見ておきたいと思って面会に訪れる奴の方が
     圧倒的多数を占めている訳だが・・・・


     臨時の安置所として使われているこのウォール教の礼拝堂に
     辿りついて気付いた事、それは...戦死者として弔われているその大半が・・・


     誰も彼も、嫌がらせのように、ほぼ全て頭部丸ごと、
     若しくはその一部を欠損したものばかりという惨状であった。 


     ―――この有様では、せめてその顔を一目・・・と言いたい所が、
     その肝心の死に顔すら満足に拝めはしない。



     しかもこれらが、大別すれば“まだ”マシな状況で発見された方の・・・、
     言うなれば“綺麗な遺体”だと言うのだからやりきれない。



     一体巨人共ってのは何の恨みがあってこんな凄惨な
     喰い方を本能的に行うというのか。






    「・・・・・・・・・・・・・・」




     そんな事を考えるのも束の間・・・・・
     オレはとうとう、その一人の前に慣れない杖を抱えながらも
     やっとのこと歩み寄った。


     首から上...とまでは行かないが、恐らく掛けられた布の
     起伏から見て、残っているのは精々鼻か、下顎からその下・・・・



     という変わり果てた姿となった・・・・“彼女”の前に。 




    「・・・・っはは・・・・、、本当に・・・・本当にか・・・・・、、、

     大体“顔が分らない”んじゃ本当にそうだって言い切れるのかよ・・・」



     勿論、名入れのしてある隊服や衣服が完全な状態で発見されている以上
     既にそんな段階では無いのは言うまでもない。



     周囲を見渡せば絶命時に纏っていたであろう隊服を
     そのまま身に着けているものも多く見られる中・・・・


     “何故か”・・・目の前の“彼女に関してだけ”は隊服の上着を
     そのままに・・・・、下半身のみズボンとブーツを履いていない、
     所謂半裸の状態に大布がかぶせられているのみという、奇妙な状態だった。


     ...こんな形で“彼女”の腰部から脚にかけてのシルエットを
     目の当たりにしなければならないなんて。
  9. 9 : : 2015/11/18(水) 01:21:00





     ・・・・・いや・・・・・、、“だけ”ではない・・・・?。



     どうやら・・・周囲を良く見まわしてみれば、
     遺体の“男女を問わず”そうした状態のものはまばらに見受けられた。



     “男女問わず”という部分から、即座に否定は出来たものの、


     不覚にも一瞬、殺意と共に湧き上がってしまった吐き気も催す程の・・・・

    “凄まじく下卑た想像”の一つに。――思わず自分を殴りたくなってしまった。




     地獄と呼ぶにも生ぬるいこの惨状の中で・・・そんな狂気の沙汰に
     及ぼうという奴が居る場面そのものを想像した自分は・・・

     やはり既にどうかしている。




     ・・・・つくづく思う。



     此処ヘは来るべきじゃなかった。





    「ごめんな・・・・・  あの時救えなかっただけでなく・・・・


     こんな正気とも思えない想像を目の前でしちまって・・・・


     本当に・・・・本当にッ・・・・・・・・・」




     頭部に被せられた布の下・・・丁度“彼女”の胸元で組まされた
     両手の辺りに添えられた、隊服ワッペンの名入れ部分と・・・

     申し訳程度にその名が複写された紙の名札を見やり、
     オレはその場に泣き崩れた。




     そもそもあの場でオレがどうこうしていたからと言って
     この状況を変える事が・・・・果たして出来ただろうか。




     オレが生き残っていたら・・・・



     
     果たしてそれで“彼女”を救えただろうか



  10. 10 : : 2015/11/18(水) 01:22:43










    「・・・・出来る事なら一緒に・・・・!!!一緒にいってやりたかった・・」








     ――そうだろう。結局ソレが本音って奴だ。




     
     “あの”トーマス、そしてエレンですらあっけなく戦死したと
     伝えられる程の極限状態・・・・。


     オレ如きが生き残って作戦に参加できていたところで・・・・


     今頃こうして眠る“彼女”の隣にでも横になっているのが
     良くて関の山だったんだ・・・・・




     所詮・・・・




     所詮此処に足を向けたオレが心に抱いていた
     最後の後悔とやらは・・“彼女”と共に死ねなかった事だった。




    「 ・・・・・・っ・・・・グッ・・・フグッ・・・・・ 」




     抑えきれない位に溢れ出る嗚咽に腕を震わせて・・・・
     オレの指先が、恐る恐る、“彼女”の肩に触れる。



     息を引き取って幾日経っているだろうか。
     何しろ戦死者を目前にするのも初めての経験で・・・

     発見当時には既に身体の硬直も終わっているくらいの段階である
     筈だが・・・・この姿勢に整えられているという事は、
     あの上官の言う通りそこまで酷い状態では無かったのだろう。
     



    「・・・・・・っ・・・・・――――」




     彼女の笑顔が、




    「―――せめてあの日ッ・・・・お前もオレの様に負傷兵として
     担ぎ込まれていればッ・・・・・・」 




     彼女の肩に揺れるトレードマークのおさげが、




    「――――ッぁああ・・・・・・!!!!! グッ・・・・」




     入団式当日、精一杯に教官の恫喝に応じたあの敬礼姿が。




     オレの脳裏に去来する―――




     トンッ・・・・・




     「・・・・・・・!!?」





     「意識が戻ったんだな・・・・・サムエル・・・・。

      よくここまで来てくれた。こいつも・・・・きっと
      お前に感謝してるはずだ。見送りは・・・少しだって多い方がいい」




     悲しみに暮れるオレの右肩を掴んだこの掌は・・・・・



     声を聞くまでもなく分かった・・・・どんな時でもオレ達104期の
     心の支えとなり続けた・・・・ライナーの手だ。

  11. 11 : : 2015/11/18(水) 01:24:40








    「・・・・済まねえ・・・っ・・・こんな・・・見苦しい・・・・っ

     ザマを・・・
          ぅグッ・・・


     こんな・・・・・こんなっ・・・・・・・!!!」






    「・・・・・・・・・・・・止せ。この状況で・・・

    “例え誰であろうと、誰か”を責められる権利なんて有りはしない。」





    「・・・・・・・・・・・・・・」





    「お前はどんな形であれ・・・仲間の“死”にこうして直面しに来た。
     自力で歩くのも困難なその脚を引き摺ってな・・・・。


     それだけで、弔われる側からすれば充分救われる・・・筈だ」





    「買い被りだ・・・・、、、オレはそもそも・・・・

     怪我の手当てをしてくれた駐屯兵団の上官の言葉が無けりゃ・・・

     此処に来ることすらできなかった・・・・・・」





    「・・・・・・それでもだ。・・・ほれ、今のうちだけだ・・・・
     別れの挨拶に手ぐらい握ってやれ。

     腐敗の程度によっては伝染病蔓延を防ぐ為に、・・・それすら
     自粛するべきだって呼びかけがなされてるが・・・・

     幸い“そいつ”は綺麗に逝く事が出来た。手くらいなら平気だろ....



     ぁあ、幾ら布の下が気になってもそれだけは勘弁してやれ。
     人間として・・・・いや、男としてそれくらいはな」




    「お前のしょうもない冗句に殺意を覚えたのは・・・・正直これが
     初めてだ・・・・って言いたい所だが・・・オレも人のことは言えない。


     此処へ来て“こいつ”を見つけた時・・・オレもどうしても
     気になっちまって・・・・。どうしてこの姿なんだ・・・?


     見れば他にも同じ格好のが居るじゃねえか」






    「・・・・・・・・・・・。息が出来なくなったとはいえ仮にも
     女子だからな・・・せめてもの情けで言わないで置いて
     やりたかったが・・・・お前が妙な思い違いをしたままだと色々問題がある。

     だからその問いには真面目に答えてやる事にするが・・・・」





    「・・・・・・・・・?」







    「簡単な事だ。人間、普段の行動は全て脳から指令が送られてて・・・

     全身の筋肉の駆動も、収縮も、制御も・・・・すべてココから
     送られる指令で行われてる。寝てる時も・・起きてる時もな。


     ・・・だが、これが・・・脳酸欠に陥って唐突に気絶したり・・・
     “何らかの理由”で中枢神経と呼ばれるとこからの制御が
     効かなくなった場合・・・・

     “普段出ないように制御されていたもの”が全ての括約筋の
     弛緩と共に・・・・排出される場合がある。」



  12. 12 : : 2015/11/18(水) 01:28:20





    「・・・・・・・・・・・・・・・」





    「・・・・つまりそういう事だ。そのままにしておいては・・・“本人”にも
     当然良くないし・・虫が寄ってきてしまうしな」





    「済まない・・・・、、、」





    「気にするな。俺だって最初から知ってた訳じゃない」





    「いや、“こいつ”に言ったんだ・・・...まあ、ライナー・・・

     お前にも悪いとは思ってる・・・。
     
     ・・・・・・・だがあの冗句は流石に無いと思うぞ」




    「・・・・悪いな。どうしたらお前が少しでも前の明るさを
     取り戻してくれるか・・・俺も必死に考えて、結局それくらいしか
     思いつけなかったんだ。本当に済まなかった。


     しかしお前・・・・“そいつ”の事が好きだったんだろう?」






    「――――ッッ!!!!?」






    「何だ・・・・・、、おい、オイオイ・・・・・

     まさかサムエルお前・・・気付かれて無いと本気で思ってたのか!!」





    「おいおい・・・オイオイオイオイ流石に俺達も・・・こんな場所だから
     空気読んで黙って後ろから見てたけどよ・・・サムエルお前、
     幾らなんでもそりゃねえだろ・・・・」




    「“あのエレン”ですら気付いてたんだぞ」




    「いや・・・・寧ろこの際もう両想いだったんじゃ」





     オレとライナーのやり取りを流石に見かねたかのような口ぶりで・・

     口々に勝手な事を抜かしながらオレの肩に手を置きに来るそいつら。

     104期の中でも運良くトロスト区で死なずに生き残った面々だ。



     その中には・・・解散式翌日には散々な目に逢ったと嘆いていたジャンの姿もあった。


     こいつだって気の毒にもマルコという親友を
     失ったばかりだってのに・・・それが今ではこんなオレに気遣って
     声を掛けに来てくれている。


     こんな言い方は失礼かもしれないが・・・・



     あの解散式の夜、エレンに横槍を入れてた時とは・・・

     

     こいつもどこか風格が少し変わった気がする。




    「別れの挨拶どころじゃなくなっちまったな・・・

     済まない、二人で静かにさせてやりたかったんだが・・・・」




     ライナーの奴が先程より更に申し訳無さそうにその背を
     丸めてバツの悪そうな顔をする。





    「いや・・・構わねえ。かえって・・・助かったのかもしれないからな」






    「  ?  」







     そうだ・・・オレはそもそも“彼女”にさよならを
     言いに来た訳ではなかったんだった・・・






     こいつらが今ここへ来なければ・・・
     その目的すらすっかり忘れてしまう所だった。







     オレは黙って・・・・懐に隠していたナイフをシースに収め・・・
     上着のポケットへと仕舞い直し、改めて“彼女”に告げた―――










    「今までお疲れ様・・・・どうか安らかにな・・・・・」













        「  またいつか、必ず逢おう・・・ ミーナ  」
















                 -end-
  13. 13 : : 2015/11/18(水) 01:46:46











            ~あとがき的ななにか~









    はい、このように、単発的ではありながらもずっと書いて
    おきたいと思って居た物を出来るだけ手短に纏めてみました。


    ・・・・・やはり短く終わるのはさっぱりして・・・イイですね・・・・。( ;∀;)


    これまでこんなに短い話で〆にしたことは無かったので、
    こういうスタンスも是非培っていきたい所。



    ともあれ、サムエル君です。・・驚くべきは、SSという
    世界では、割と彼を主役に据えた、というかタイトルに名を
    冠したりしている話も結構あるという事。


    ・・・・まあ、恐らく私が書くような何だかよく分かんない物では
    無く・・・もっと読みやすく、明るいギャグものだとかって
    感じだと思うのですがね。



    さてさて、明日のお弁当も作らねばならない為
    本日はこの辺りで....


    それでは、本当にいるかどうかはさておき・・・・
    このようなくら暗ったい、しめっぽい、それでいて
    無難な〆を狙ってみたしょうも無いお話に目を通して頂き、
    誠に有難うございます(`・ω・´)



    おやすみなさい。
  14. 14 : : 2019/08/11(日) 00:58:37
     すっごい。非常によく出来た世界観でしたよ。とにかくその一言に尽きます。
     原作、アニメにおいても殆ど描写(当たり前といえば当たり前ですが)されていない「亡くなった兵士達が火葬されるまで」のシーン、特にこれが表現としてはかなり逸脱した素晴らしいものでした。原作の設定等にとても忠実に描かれていてなんの違和感も覚えませんでした。

     サムエルは原作でもそのあとどうなったのか全く定かで無いので普通に原作の裏側で「有り得た」シーンだな、と感じました。

     お疲れ様でした、ほかの作品もぜひ見させていただきますね。これからもファイトです。
  15. 15 : : 2019/08/12(月) 06:44:28
    コメント、本当に有り難う御座います!!(>人<;)

    よもやこのような、
    内容が暗いだけでなく非常に誰得なssのようなものにまでお目を通して頂けただけでなく
    お気に入りにまで入れて頂けるなんて,,,,;

    最早喜びの度合いが異次元過ぎて未だに何かの間違いではと疑ってしまいそうです^;

    テレビ、原作共々、よほどしっかりとそれらの内容に目を通していないと、
    サムエルはもちろんの事、下手をするともう一方の彼女に関して聞いて見ても
    「進撃だよね、、、そんなキャラいたっけ^^;」
    となるのが目に見えてる程ニッチな内容であるだけに、驚きを隠せません;
  16. 16 : : 2019/08/13(火) 01:22:02
    いえいえ、俺は好きな作品は積極的に応援も込めてお気に入りしちゃうんです!ふぁいとですよっ(*`・ω・´)

     まあライトなアニメ勢はそもそも、SS見るかも怪しいですからね、仕方ないですね( ˊᵕˋ ;)
  17. 17 : : 2020/08/05(水) 19:18:46
    この作品大好きです
  18. 19 : : 2020/10/12(月) 04:02:13
    いつの間にやら書き込みの通知機能が以前と異なる仕様になっていた為
    気が付くのにこれほどのラグが掛かってしまいました!(>人<;)
    こんなに年月経ったなんだかよく分からんモノにまでレスを頂けて、
    感無量でございます!

    くしくも原作では「あの様な」形で彼が再登場し(ついでにダズも)
    あれだけの装備を与えられてたという事は辛うじて兵士生命は
    断たれていなかった事も判明して一安心でした!(しかしその後の展開は.....)

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ne5716

夢馬

@ne5716

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