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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

『ヌベスコ(՞ةڼ◔)』

    • Good
    • 46

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  1. 1 : : 2015/07/16(木) 21:18:19



    ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwww













    レベル1:調整中………

    データを取得中














    レベルMAX:調整完了














    CODE:NUBESUKO









    覚醒します……………………………………







































    朝、携帯のアラームとともに起きた。

    眩しさに目を閉じたまま、手触りで携帯の位置を確認、アラームを止める。



    苗木「……よし」



    僕は今日から、『希望ヶ峰学園』の生徒となる。

    卒業すれば一生勝ち組の人生が約束される、高校生たちの憧れ……

    ……何か特別な才能があるわけではない、というのが少し気が引けるが。

    「早く行きたい」という衝動を抑えて、準備のために寝間着のままリビングへ。

    朝食は大して摂らない方だ。
    トーストと牛乳。毎日そんな感じ。



















    だが、今日はトーストも牛乳も無かった。

    代わりといってはなんだが、リビング全体をトーストに見立てるかのごとく、真っ赤な(ジャム)が床一面壁一面に塗られていた。

    ソファに眠るように倒れている血塗れの父さん。

    台所から聞こえる、グチャッという生々しい音。

    僕は台所を覗いた。
    こまる()は寝坊助だから、殺されているのは母さんだろうか。
    そんなことを考えられるくらいに僕は何故か冷静だった。














    だが、僕の予想は外れた。

    台所にいたのは、母さんとこまるの2人。



    苗木「…………こまる…………………?」



    血を流して横たわる母さんを串刺しにするこまるの手が止まった。




























    こまる「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwww(՞ةڼ◔)」










    ピンク色のパジャマを赤黒く染め、包丁を振り回すこまるの目に光は無かった。
  2. 2 : : 2015/07/16(木) 21:25:28
    (゜ロ゜;ノ)ノひッ!!期待……です…ガクガク
  3. 3 : : 2015/07/16(木) 22:00:22

    苗木「こ…………ま…………る?」






    こまる「イヒーwwwwwヒーwwwww(՞ةڼ◔)」






    こまるはどんどんこちらへ近づいてくる。






    や………






    苗木「やめろ!!!」









    コンロのフライパンを掴んで思いっきり殴った。

    こまるは頭から血を流し、その場に倒れて、



    こまる「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwwww(՞ةڼ◔)」



    普通に立ち上がった。

    両親を殺したのは、どう考えてもこまるだ。

    けど………今僕の目の前にいるのは、こまるなのか?








    こまる「ヌベヂョンwww」



    苗木「うわぁ!!!」






    皿を掴んで思いっきり僕に投げつけてきた。
    間一髪で躱したが。



    こまる「ヌベスコ(՞ةڼ◔)」



    包丁を振り回すこまる。
    僕は彼女から逃げるしかない。



    苗木「く、来るな!!!」



    狭い台所に逃げ場なんてものは無く、僕は結局追い込まれた。

    これだけは、嫌だった。絶対に嫌だった。

    でも、今はこれしかない……!!










    こまる「ベルミッティスモゲロンボョwwww」









    包丁を振り上げた。

    と同時に僕は流し台の横から別の包丁を取り出し、こまるの喉を切り裂いた。



    こまる「ヌベヂョ…………」



    その場に倒れ、こまるは動かなくなった。

    ……………僕が殺したのだ。



    苗木「何が………何がどうなってるの………」



    こまるを殺した包丁を新聞紙に包んで部屋に隠し、僕は制服に着替えた。

    何が、どうなっている。

    こまるに何があった?

    何が始まるんだ?僕はどうすればいい?

    携帯と財布を持って外に出た。



    苗木「え……」



    まず苗木が見たのは、向かいの燃える家だった。

    玄関に車が突っ込み、車ごと炎上している。

    向かいの家のおばあさんは、よく僕の家に育てた野菜を持ってきてくれる。
    学校に行く時間に大体外で作業しており、毎朝挨拶を交わしていた。
























    「( ՞ةڼ◔)アツイアツーーーーーーイwwwwwww水くれ水wwwいや沝wwwwwwwくれや㴇wwwwwwwはやく淼wwwwww㵘wwwww水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘wwwwww」









    ……そのおばあさんが、車の主と思われる男の死体を引きずって家から出てきた。

    僕には気づかなかったのだろうか?
    こちらには一切目もくれず、血塗れのスコップを持って畑がある方へ向かった。

    周りを見渡すと、傾いた電柱、横転したトラック、その下敷きになった死体。

    頭が回らなくて聞こえなかったのか、サイレンが鳴っている。
    遠くからも煙が上がっているのが見える。

    比較的まともに形を残してるのは僕の家(うち)くらいだろう。



    苗木「何だ……本当、何だ?テロ?」



    その時だ。











    「ヌベスコwww(՞ةڼ◔)」










    後ろからの声。









    僕は玄関を出て一歩しか歩いていない。




    つまり、その、僕の後ろというのは………









    苗木「うわあああああ!!!!!!!」











    僕は走り出した。

    振り向いたその一瞬、血塗れになった三人組(・・・)を見て足が勝手に動き出したのだ。



    何処に?知らない。とにかく逃げるんだ!



    本当に『何が起きている?』しか考えることができない。



    その答えを考えることすらできない。



    バイオハザード?サイコブレイク?



    そんなものが現実になるわけがない。



    倒壊したビル、乗り捨てられた車の数々、割れた道路、折れ曲がった信号、立ちのぼる炎と煙。


















    僕の街は、地獄と化した。










    ※キャラ崩壊注意
  4. 5 : : 2015/07/16(木) 22:47:54

    苗木「あっ………」



    追ってくる者たちから逃げ、必死に走ってたら辿り着いた。

    何度も見たとこがある。
    都会の中心にそびえ立つ、大きな建物。

    そして、今日のこの時間、僕が入学するはずだった校舎。



    苗木「希望ヶ峰学園……」



    これも、『超高校級の幸運』の賜物なのだろうか。

    門は閉じているが、簡単に開いた。
    周りに豹変した人たちもいない。
    僕はくぐった門を閉じて、玄関を開いた。










    ???「動くな!!」

    苗木「ひいっ!」



    玄関を開けた瞬間、白ランを着た男に竹刀を突きつけられた。



    ???「こいつは人間じゃ。大丈夫じゃろう」



    隣にいた筋骨隆々の男が僕を見て言う。



    ???「うむ、そうだ。失礼した少年!」

    ???「……ったく、どうなってやがるんだ」



    少し離れた場所にいた男が不満を漏らす。

    長ランにもろこしヘッド。一昔前のヤンキーそのものだ。



    ???「俺が晴れて希望ヶ峰学園の仲間になる日だったってのによぉ……」



    苗木「え!?君も…?」

    ???「ん?もしかしてオメーもそうなのか…?」

    ???「これで16人目か…となると、こやつが毎年一般人から抽選してる『超高校級の幸運』じゃろう」



    え?16人目?

    まるで僕が16番目にここに逃げ込んだような言い方だ。



    ???「ふむ、つまりこれで希望ヶ峰学園の入学生徒が全員集まったというわけだな!!」



    苗木「全員!?」



    僕は聞きたいことがたくさんあったが、とりあえず皆が僕の仲間だということがわかったので、自己紹介をしてもらうことになった。

    白ランの男は石丸清多夏。

    長ランの男は大和田紋土。

    筋骨隆々の男は弐大猫丸。

    後からやってきた長身の男は十神白夜。



    十神「とりあえず食堂に集まるぞ。こっちだ」



    食堂に行くと、沢山の人がいた。
    ネットやテレビで見た顔ぶれ。



    まず1人目は、近寄りがたいオーラを放つ巨漢、『超高校級の格闘家』大神さくら。
    食堂の見張りをしているのか、椅子には座らずに辺り(と僕)を警戒している。


    2人目は整った顔立ちにテレビで見たジャージ姿、『超高校級のスイマー』朝日奈葵。



    そして……



    「苗木君!!」





    知らない人はいないだろう。

    『超高校級のアイドル』でもあり僕の中学時代の同級生でもある、舞園さやか。

    なんと、何の表彰も関わりもなかった僕の名前を覚えていた。



    ???「え、えーと、舞園ちゃん、知り合い?」

    舞園「はい!中学の同級生なんです!」



    ライオンのように髪を逆立てた男。

    イメージは全然違うが、この目つきはテレビで見たことがある。

    『超高校級の野球選手』、桑田怜恩だ。

    それから僕は自己紹介を済ませた。
    今日入学予定だった僕らの他に、その一つ上の学年の生徒たちがこの学園に逃げ込んだらしい。



    ……偶然か?
  5. 6 : : 2015/07/17(金) 00:19:41
    ヒエエエエ………期待しております…!
  6. 7 : : 2015/07/17(金) 19:16:21
    おおお…これはまた…期待です!
  7. 8 : : 2015/07/17(金) 19:20:02

    とりあえず僕らは、今起こっていることをまとめた。

    街中の人々が豹変したこと。

    理由は不明である。

    警察や自衛隊が機能していないこと。

    理由は……言うまでもない。



    霧切「……この学園の教師たちはどうしたの?」

    日向「ああ、それが……」

    西園寺「教師共なら全員外の連中みたいになったよ」



    吐き捨てるように言う彼女の着物は肩の部分が少し破けている。












    ─────外の連中みたいに。












    彼らがそれをどう対応したのかは、今朝の自分を思い出せばなんとなくわかった。



    霧切「……そう」

    豚神「ソニア、母国と連絡はとれたか?」



    丸々と太り白いスーツに身を包んだ、十神とは正反対といえる男が透き通るような肌の少女に話しかける。



    ソニア「あ!そういえば…」

    豚神「やってみてくれないか?国外なら無事かもしれん」





    僕の家族がああなっていたんだ。

    少なくともこの近辺に住んでいた人たちの家族は同じ状態だろう。

    だが、国外ならわからない。

    もしかしたら僕らは逃げられるかもしれない…。



    ソニア「…………」



    スマホを手に取り、不安そうな顔で耳に当てる。



    ソニア「! あ、あの、お父様!そちらは……」

























    瞬間。

















    ソニア「嫌あぁああああぁぁあぁあああ!!!!!!!!!」



    彼女は顔を真っ青に染め、持っていたスマートフォンを触れてはいけないものを掴んでしまったかのように投げ飛ばした。



    日向「ど、どうした!?」



    日向がそれを拾い、耳にあてる。



    日向「…あ……あぁー………」



    スマートフォンごと、肩を落とした。



    苗木「ひ、日向君?」



    苗木がそばに駆け寄ると、聞かないほうがいいぞと言わんばかりの顔で弱々しく彼にソニアのスマートフォンを渡した。














    苗木「も、もしm」
    『……ゲロンボョwwwwwイヒーwwwwwイヒヒヒwwwwwwヌベヂョンヌゾジョンベルミ……』
















    苗木「…………」














    ソニア「も、もう……嫌……どうして、こんな………」

    小泉「ソニアちゃん……」














    その時だった。



















    1人だけ明らかに歓喜に近い声が聞こえたのだ。















    花村「お、お母ちゃん!?僕だよ!」



    全員の視線が花村に集まる。



    花村「……うん、うん!こっちは大丈夫!そっちは!?」







    会話ができている!
    花村君の親は無事だったんだ…!








    花村「…うん、うん!じゃあこっちから………も、もしもし!?お母ちゃん!?お母ちゃん!!!」









    花村「……お、お母………ちゃ………」










    電話越しに明らかに聞こえた騒音。

    花村とその母の会話が途切れた。









    全員の顔が再び絶望に染まる。
  8. 10 : : 2015/07/17(金) 21:06:18
    予想してても、やはりヌベスコで笑ってしまいます!これからの展開も期待して待ってます!
  9. 11 : : 2015/07/17(金) 23:27:33

    小泉「は、花村……」

    花村「行かないと…」

    苗木「……え?」



    花村「お母ちゃんのところに……行かないと……!!」

    ペコ「無茶を言うな、冷静になれ!」

    石丸「そうだぞ!外に安全な場所はない、ここにいる方が賢明だ!」

    豚神「いや、わからん」

    霧切「もし急げば……助けられるかもしれないわ。お勧めしないけれど」



    皆が焦る中、この2人は冷静だった。 



    戦刃「あの……外に出る流れ?なら少し提案があるのだけど」



    地図を広げていた『超高校級の軍人』・戦刃むくろが口を開く。

    思っていたより声が高い。



    戦刃「真っ直ぐ東……と言っても直線ではないけど、千葉の自衛隊基地に行けないかな」



    地図にマジックでキュッと丸を書き、そこを示す。



    十神「……なるほどな。『兵力』が欲しいわけだ」



    彼女はうん、と無言で頷いた。



    朝日奈「兵力って……自衛隊に守ってもらうの?」

    十神「馬鹿か。警察も自衛隊も機能していないのを全員で確認しただろう」

    九頭龍「兵士はいねぇが、武器はいくらでも眠ってる。いざって時に身を守れるだろ」



    九頭龍の発言に十神は薄く笑みを浮かべ、朝日奈もなんとなく納得したようだ。



    日向「……どうするんだ?」

    西園寺「私は絶対嫌」



    西園寺が空気を濁す。
    外に出るのは危険だし当然といえば当然だが。



    西園寺「ここから出て県外まで行こうって?馬っ鹿じゃないの?死にたい奴だけ勝手に行ってろ!」

    田中「世は混沌に満ちている。危険だぞ」

    ペコ「武器が手に入るならいいが、命には換えられまい。どうするんだ?」

    苗木「僕は……行った方がいいと思う」



    苗木に視線が集まる。



    小泉「か、考え直しなさいよ。危険じゃない!」

    苗木「うん。だから僕が行く」

    舞園「な、苗木君!?」

    大和田「苗木…」









    大和田「わかった。俺も行こう」

    小泉「アンタまで…」

    大和田「教員の車があるはずだ。免許は無ぇが、運転なら自信あるからよ」



    なぜ自分が行くと言いだしたのかはわからない。

    だけど僕は、ここにずっと閉じこもってるよりは可能性のあると思ったんだ。



    霧切「……私も同行するわ」



    情報は一切無かったが、『超高校級の探偵』として入学した霧切響子。




    感情を表に出さず、さっきから豚神以上に冷静である。

    一旦食堂に集まろうと指示を出したのも、元々学園(ここ)にいたメンバーではなく彼女らしい。



    大和田「おし!これくらいで大丈夫だろ!バケモノ共に気付かれないうちに出発しようぜ」









    大和田、霧切、苗木、戦刃、花村で玄関へ。



    豚神「気をつけてな。全員無事で帰ってこい」

    苗木「……約束する」

    舞園「苗木君!」








    舞園「……必ず、帰ってきてくださいね」

    苗木「……約束するよ。絶対!」



    僕は玄関を開けた。
  10. 12 : : 2015/07/18(土) 02:06:26

    大和田「さすが世の希望にもの教えるだけあって、すげぇ金貰ってんだな」



    駐車場にはまあまあ高級そうな車が並んでいた。



    大和田「カムリにスカイライン、おいこっちはフーガだぜ…走り屋の集会みてぇだ」

    花村「おい、早くしてくれよぉ!」

    大和田「おう、そーだったわ…アンタの家、どっちなんだ?」

    花村「真っ直ぐ……北だ」

    苗木「え、北?」

    霧切「北なら……熊谷の駐屯地から拝借した方が早いんじゃないかしら?」

    戦刃「でも、陸自の方が個人で扱える武器は多いはず。弾薬の貯蔵量も」

    大和田「しゃーねぇや。北行って下がりゃいいんだろ?おし、出発しようぜ」

    花村「…………」





    車を走らせること2時間。






    大和田「バケモン共、俺らが大通り走ってても全然シカトだったな」

    苗木「自我があるのかな……車は危ないから近づけなかった的な」

    霧切「どうかしら……あれらがゾンビの類だったら車なんて御構い無しに突っ込んでくるわ」

    戦刃「じゃあ…ゾンビよりは安全なんだね」

    大和田「かもしんねぇな……ん、ここらへんほとんど人いねぇな。アンタの家食堂だろ?」

    花村「…うん。暖簾ですぐわかるはずだよ」





    しばらく走ってると、『はなむら』と書かれた暖簾が見えてきた。






    霧切「乗用車が突っ込んでるわ。電話中の騒音はきっとあれのせいね」

    花村「お母ちゃん……!!」

    大和田「行ってきな。玄関見張ってっからよォ」



    車を停車し、見張りに苗木と霧切が降りた。



    苗木「無事だといいね、花村君の母さん」

    霧切「どうかしら。こういう場合、普通は外で救助を待つものじゃない?」

    苗木「いや、バケモノが近くにいたかもしれないし……」







    確かに、そうかもしれない。

    駐車場が開けてるんだから普通は安全な方へ避難するはず……。

    だが、僕の疑問は花村君の声でかき消された。




    花村「お母ちゃん!!」

    花村母「輝々…!本当に無事だったんね……」



    苗木(良かった……生きてた!!)






    思わずニヤけてしまう。

    霧切さんも少し安心したような顔を……

    ……してない。



    花村「よかった……本当に良かった……!!」

    花村母「ふふふ……私こそアンタが無事で…」












    霧切「な、苗木君」

    苗木「?」

    霧切「おかしいわ……」

    苗木「な、何が?」



    霧切「衝突した車の持ち主が………どこにもいない」

















    花村「希望ヶ峰学園はみんなもいるし安全だよ」



    花村母)「ほ、本当かい?助かるのかい?」



    花村「勿論だよ!食料もあるし、これから奴らに対抗するための武器も取りに行くんだ!」



    花՞村母)「そうかい…ふふ、見ないうちヌ立派になったじゃないか」

     

    花村「当然さ……花村食堂は僕が継ぐんだから」



    (花՞村母ڼ)「嬉ジいよ……お前が立派になっティくれて」



    花村「僕が立派なのはお母ちゃんが立派だからさ。迷惑かけてられないよ」








    苗木「花村君!!お母さんから離れて!!」











    (花՞ة村ڼ◔母)「この子達がお友達モゲロンボョかい?」

    花村「え…?う、うん。苗木君、どうしt……」


















    ブシュッ。
    ただその音ひとつ。
















    花村「……え?」


















    花村は首から大量の血を流した。

    叫ぶ苗木の方へ振り返ったその時、母親に首を喰い千切られたのだ。


















    (花՞ةڼむr◔)はh「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwww」
  11. 14 : : 2015/07/18(土) 11:37:07
    コメントありがとうございます。
    返信はしませんが全て読ませていただいております。
  12. 15 : : 2015/07/18(土) 11:43:02

    苗木「あ………あ…あぁ………」



    花村輝々は何が起きたかわからないまま死んでしまった。



    花村母「イヒーwwwwwwイヒヒヒヒヒwwwwwww(՞ةڼ◔)」

    苗木「そんな……どうして」

    霧切「悲しんでる場合でもないわ、苗木君」



    そう言って霧切は厨房の包丁を苗木の分まで取り出した。



    苗木「殺すの!?花村君のお母さんを…?」

    霧切「もうあれを母親と思わないことね。息子を喰い殺す母親がどこにいるのよ」

    花村母「イヒヒヒヒヒwwwwww」



    真っ直ぐ覆い被さろうとする母を躱し、霧切は後ろから躊躇いなく心臓を刺す。



    霧切「終わりよ」



    根元まで刺した包丁を抜くと大量の血が噴き出した。
    そこで苗木は気づく。いや、思い出した。



    苗木「まだだ…!」


    霧切「……まだ?」


    苗木「喉を切っても普通に歩き出して僕を追ってきたんだ……きっとまだ完全に倒したわけじゃない…!!」

    霧切「何ですって…」

    花村母「ヌベヂョンwww」



    吐血しながら平然と起き上がった。



    苗木「うわあ!!」

    霧切「……脳」



    霧切は食堂の椅子を台にして上に飛ぶ。

    上から母にのしかかり、脳天に思いっきり包丁を刺した。



    霧切「……………」

    苗木「……………」



    霧切「止まった……ようね」

    苗木「………そう…だね」












    花村君……。

    こんな状況の中お母さんが生きていてしかも再会できたっていうのに…。

    こんな終わり方なんて……。

    僕は2人の顔に布を被せ、手を繋げた。

    せめて天国でちゃんと再会してほしい。

    こんなの、あんまりだ。



    霧切「………行きましょう」

    苗木「…うん」







    ……べヂョンヌ







    苗木「?」




       




    花村「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwww(՞ةڼ◔)」












    苗木「!!」

    霧切「苗木君?どうしt」



    花村輝々は生きていた。

    いや、復活した。

    『奴ら』の仲間となることで、命をもう一度取り戻したのだ。

    顎の外れた口を大きく開け、こちらに向かってくる。



    花村と霧切の距離は─────ほとんどゼロだった。



    苗木「ああああ!!!!」



    苗木は、自分がまだ霧切から渡された包丁を持っていたことを思い出した。

    花村のこめかみの部分を思いっきり突き刺す。



    霧切「……………」



    あまりに唐突すぎて霧切さえ硬直していた。


    苗木「霧切さん!」

    霧切「…あっ……」

    苗木「霧切さん!怪我はない!?」

    霧切「え、ええ、大丈夫よ」

    苗木「そ、そっか……良かった……」




    色々と考えたいことはあったが、まずは車に戻って状況を説明した。



    大和田「ま、まじかよ……」

    戦刃「………」

    苗木「……行こう、花村君のためにも」
  13. 16 : : 2015/07/18(土) 15:38:08

    あっけなさすぎる。

    花村輝々とは今日出会ったばかりだが、彼はいわゆる『母親想いの優しい人間』。

    文字にするとそれだけだが、この約3時間の間に苗木たちは彼のことを理解した。

    それがまさか、母親に会いに行ったことによってこのような結末を迎えるなんて。

    まだ心が落ち着かない苗木、顎に手を当てて考え事をしてる霧切、2人と花村の気持ちにかける言葉が見つからない大和田と戦刃。

    車内の空気は重かった。



    霧切「花村さんの母親は『噛み付いてきた』」

    大和田「噛み付いてきた?おいそりゃもう本当にゾンビか何かなんじゃねぇのか?」

    苗木「行動が違う…?」

    大和田「ん?どういうことだ?」

    苗木「僕の妹は刃物で父さんと母さんを殺した……」

    苗木「僕を見ても噛み付いてくることはなく、持ってた包丁で殺そうとしてきた。朝と今では行動が違う」

    霧切「人によって違うのかもしれないわ。それか、理性が残ってるかどうかかも」

    戦刃「とりあえずこちらに危害を加えようとした場合は殺してもいいと考えるべきじゃない?」



    そうだ。
    僕は花村君を、霧切さんはそのお母さんを殺した。

    そうしなければ僕らが死んでいた。



    大和田「ん、おいちょっとあそこ寄ってこうぜ」



    車は左折、運搬車の出荷所に入った。
     


    霧切「なるほど……この車では武器は運べない」

    大和田「そういうこった」



    休憩室と思われる場所には1人だけ室内をフラフラと歩き回る者がいた。



    「ヌベヂョンwwww(՞ةڼ◔)」



    まあ当然そうだろう。
    大和田がコンクリートで思いっきり殴打、噛まれないよう頭を踏みながら男の作業着のポケットを探る。



    大和田「あったぜ」



    大型トラックの鍵。全員がトラックに乗り込む。



    苗木「…………」



    左右を女の子に密着されている。
    不謹慎だが、これも『超高校級の幸運』の賜物なのだろうか。



    苗木「ここか…」



    もう昼を過ぎた頃、千葉の自衛隊基地に到着した。



    大和田「チッ…どいつもこいつもヌベスコしてやがる」

    戦刃「ここからは二手に分かれて探しましょう」



    僕は戦刃さんと武器を探すことに。



    戦刃「苗木君、気をつけて。相手は私たちを狙ってくる」

    戦刃「けど、噛み付いてくるだけなら個人装備は使わないはず。二人掛かりで押し倒して個々の装備も奪ったほうがいいと思う」

    戦刃「掛かるのは私がやる。苗木君は武器の奪取をお願い」

    苗木「うん、わかった」



    『超高校級の軍人』……頼りになるなぁ。








    霧切「………」



    霧切たちは既にナイフと小銃は奪っていた。



    大和田「相手が多いな……何だっけあれ、ダダダダーンって撃つやつ」

    霧切「突撃銃(アサルトライフル)?」

    大和田「そう、それだ。そいつがありゃあいいんだがよ…」

    霧切「どちらにせよ相手にするのは最小限にしたほうがいいわ。私たちが弾薬を使ってしまったらわざわざここまで来た意味がないでしょう?」

    大和田「お、そうだったな…悪ィ」
  14. 17 : : 2015/07/18(土) 16:02:47
    不覚にも「ヌベスコしてる」で笑ってしまいましたw

    期待です!
  15. 18 : : 2015/07/18(土) 17:46:56
    同じく期待です!
    (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
  16. 19 : : 2015/07/18(土) 21:17:03
    のびハザっぽいスタート、あたらしいな

    それにしても苗木クン妹殺して包丁隠したりと冷静だな、流石は希望
  17. 20 : : 2015/07/19(日) 01:45:48

    戦刃「ふんっ!」



    口を開けぬよう、顎を抑えて自衛官の1人を倒す。



    戦刃「苗木君、今!」

    苗木「うん!」



    胸のナイフを抜き取る。

    これを数回繰り返し、小銃も手に入れた。



    戦刃「小銃と手榴弾はトラックに積んでおこう。このまま移動するのも億劫だし」

    苗木「うん……?」



    トラックの近くで誰かがうろうろしている。
    豹変した人達のゆらゆらした動きではない。

    身長高めで髪が長い。



    戦刃「あの人……生きてる?」

    苗木「……かもしれない!」



    銃と手榴弾を持ってトラックへ走る。



    「……ん?」




    その人もこちらに気づいて振り返った。

    長髪だが、髭を蓄えた男だった。



    ???「このトラック、君たちのか?」

    苗木「はい。武器を運ぶために…」

    苗木「あの……あなたも『あいつら』から逃げてきたんですか?」

    ???「ああ、そうだ。俺の周りの奴らは…みんなおかしくなっちまった」

    ???「塔和シティのみんなもここと変わらん状況だ」

    苗木「塔和シティ……」

    ???「ああ。俺は塔和灰慈。命からがら逃げ延びて……俺も武器を取りに来たんだ」

    灰慈「君たちも武器を取りに来たんなら、俺と協力して生き残らないか?」

    苗木「本当ですか!」

    戦刃「大丈夫?あの2人に相談しなくて」

    苗木「仲間が増えるんだから、きっと賛成してくれるよ!学園まで送れば安全だし」

    灰慈「………『学園』?」

    苗木「あ、はい。僕らは…今日希望ヶ峰学園に入学するはずだったんです」

    戦刃「こんなことがあって、入学式も何もやってられない事態だけど」

    灰慈「…………」



    苗木も戦刃も回収した分をトラックに積み、自分が使う分の小銃に弾を交換していく。









    灰慈「………すまない、今のは無かったことにしてくれ」

    苗木「え?」

    灰慈「すまないが、やっぱり俺は俺で武器を回収することにするよ」



    苗木の乗ってきたトラックの後ろには灰慈が乗ってきたと思われる軽トラが停まっている。



    苗木「で、でも…」

    灰慈「安心してくれ、君たちから奪おうとは考えていない。お互い、生きて自分の場所へ帰ろうじゃないか」



    灰慈は荷物を積む苗木たちに背を向けて基地へ歩いていく。



    戦刃「……どうしたのかな?」

    苗木「わからない……けど」



    『学園』という言葉に反応し、『希望ヶ峰学園』と言った瞬間態度を変えた。



    苗木「……塔和シティ…うーん、なんだろうな」



















    その時。

    パァン、と銃声が鳴った。



    苗木「……え?」



    塔和灰慈が、倒れていた。

    彼の頭を中心に、地面に血が広がっていく。

    その先に立っているのは……




















    「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョ(՞ةڼ◔)」



    豹変した自衛官だった。

    銃を……使った?



    戦刃「どいて!苗木君!」



    腰を落とし、銃を構えて即座に撃つ。
    見事相手の頭に命中した。



    戦刃「ど、どういうこと……?銃の使い方が分かるの!?」

    苗木「わからない……一体何が………」



    2人、同時に上を見上げて絶句した。

    屋上に均等に間隔をあけて並んだ人影。
















    戦刃「苗木君、陰!!」



    同時にトラックの陰にスライディング。
    銃声が連続で鳴り響き、トラックが少し揺れる。

    明らかに、屋上の人影は僕らを狙撃してきた。



    戦刃「ど、どうして!?何、進化したの!?」

    苗木「僕もわからないよ!!とりあえず霧切さんに連絡………はできない」



    普通に入学式を執り行って普通に自己紹介をして普通に過ごしていたら、今頃みんなのアドレスやら電話番号やらLINEやらがこの携帯に入っていただろう。

    だけど……今この携帯に、まともに会話ができる『人間』のプロフィールは入っていない。



    苗木「ど、どうしよう……このままじゃあの2人も……」

    戦刃「……苗木君、しばらくここに隠れてて」

    戦刃「上の奴らは……『超高校級の軍人』の名にかけて私が片付ける」
  18. 21 : : 2015/07/19(日) 12:48:29
    うわぁ
    あげぴよさんハザードだぁ\(^o^)/
    期待です!
  19. 23 : : 2015/07/20(月) 15:00:30

    苗木達、無事だろうか。

    学園内を巡回しながら日向創は考えていた。

    突然の騒ぎ。
    何がなんだかわからないまま俺たちは教員を殺しまくった。

    今日入学予定だった生徒達によると、やはり外は悲惨な状況だそうだ。

    ここだっていつまで安全かわからない。












    「……そう!そっちは無事ですか!」

    日向「……ん?」



    教室を覗くと、女子生徒が電話をしている。

    あれは……舞園さやか。



    舞園「うん!こっちも希望ヶ峰学園に着きました!」

    日向「ま、舞園?誰と電話してんだ…!?」



    身内に無事だった人間がいるのか……?



    舞園「あ、日向さん!ほら、私のグループのメンバーですよ!」

    日向「な、何!?」



    舞園さやかが所属するアイドルグループ。
    メンバーが生きているということは、事務所にいたのだろうか?
    だとしたらマネージャーやら何やらも…?



    舞園「え?うん、今は大丈夫、こんな状況だけれど、」



    舞園、その人たちも救助できないかな。と話しかけようとしたとき。

    確かに聞いた。



    日向「舞園!」



    俺はスマートフォンを強引に奪うように電話を替わる。
    ……やっぱり、そうだった。





































    『イヒーwwwwイヒヒヒwwwwwwヒーwwwwww』


    『君とヌベヂョンwwwwwあなたとヌゾジョンwwwwwww』

    『ベルミッティスモゲロンボョwwwwwモゲロンボョwwwwwww』




















    日向「ま、舞園………どういうことだ?これは…」

    舞園「元気そうじゃないですか、全員」

    日向「元気そうだと!?これがか!?」

    舞園「ええ。無事で何よりですよ」














    舞園「早く助けに行きましょうよ。ね?」
  20. 24 : : 2015/07/20(月) 21:43:54
    がっこうぐらしですねわかります!
  21. 26 : : 2015/07/21(火) 02:04:30

    >>24
    見たことないので分かりませんが、パクリだと言いたいのであれば言葉を濁さず素直にパクリだと言ってくれても構いませんよ。










    日向「舞園お前、どうかしてるぞ!!」

    日向「聞こえるだろ……?グループのメンバーはもう、外の奴らと同じに……」



    震える手でスマートフォンを舞園の手元へ返す。



    舞園「いやいや、日向さん」



    飽くまで笑顔のまま日向に言葉を返す。























    舞園「うちのメンバーは、醜く豹変してしまった外の人たちとは違うんですよ。
    アイドルなんですよ?ああやって人を襲ったりなんかしませんよ。
    きっと何か、ウイルスみたいなものに感染したんですよ。ほら、最近風邪流行ってるし。

    そう、インフルみたいなものですよ。
    ね?インフルエンザ。分かりますよね?今は猛威を振るうかもしれませんが、お医者さんに診断してもらえばきっとすぐに治ります。すぐに元の皆にもどりますよ。
    そう!罪木さんは『保健委員』でしたよね?なら罪木さんにちょっと診てもらいましょうよ。
    もしかしたら治るかも知れませんし。そうなれば外の人たちも救えるし一石二鳥ですよね?
    ね?簡単な話ですよ。だから助けに行きましょうよ。ここに連れて来ましょう。ね?」












    日向は何も言えなかった。開いた口が塞がらない。
    もうすでに舞園の目から光は消えていた。

    苗木、頼む。早く帰ってきてくれ。






















    戦刃「くっ……」
    苗木「戦刃さん!!」




    『超高校級の軍人』の技巧(スキル)は、屋上の狙撃手たちを全滅させた。

    だが、戦刃もダメージを受けてしまった。

    左肩を銃弾が貫いたのだ。
    どんどん出血している。

    苗木は自分のシャツをナイフで切り、即席のガーゼを作って戦刃の傷口に当てる。



    戦刃「……ありがとう、苗木君」



    2人は立ち上がり、敵がいないことを確認する。



    戦刃「よし、行きましょう」












    同時期、学園内では別の問題が起きていた。





    小泉「ひ、日寄子ちゃん!?」
    澪田「ど、どうしたっすか!」

    西園寺「あ……ああ……あがっ……」



    『超高校級の日本舞踊家』、西園寺日寄子。
    頭を抑えて苦しんでいた。



    罪木「ど、どうしたんですか!?さ、西園寺さぁん!」
    西園寺「ち………ちがっ………」
    罪木「え、えっと、血?血ですか…?」

    西(園寺「ちがう………ちがう………」

    )西園՞寺「わ、わた………わたワタしは、ちがつ、アイツらなンかとは、ちがっ、うのっ」

    (西おnڼヂ՞ة「い、嫌っ、だめ、ちがっ、ワタわたし違ちが、嫌だっ、助け、私あいつらじゃな違う、あんな奴らじゃな、待ってやめて嫌だ」






    罪木「あわわ、す、すごい高熱ですぅ!待っててください、今氷と担架持ってきまs」

    西園寺「ヌベヂョン」

    罪木「はい?」







    血飛沫。
    西園寺は自身を支える罪木の腕に噛み付いた。






    罪木「ひっ……!!」
    澪田「蜜柑ちゃん!!」

    西園寺「( ՞ةڼ◔)アツイアツーーーーーーイwwwwwww水くれ水wwwいや沝wwwwくれや㴇wwwwwはやく淼wwwwww㵘wwwww水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘」

    小泉「そ……そんな…………」

    弐大「あ、あのとき感染でもしたっちゅうんかぁ!?」

    ペコ「どいてろ、皆!!」



    辺古山が刀を取り出す。
    模造刀を鋭利に研いで実際に斬れるようにした物だ。



    澪田「え、ちょ、ちょっとペコちゃん?」

    小泉「こ……殺すの!?」

    ペコ「それ以外に何がある」

    小泉「ま、待ってよ!!だめ、日寄子ちゃんは…」

    ペコ「ならどうしろと言うんだ」

    小泉「ほ、他に何か、方法」

    ペコ「あるわけないだろうが!!」

    葉隠「き、来たああ!!」
  22. 27 : : 2015/07/21(火) 07:56:06
    葉隠ならその頭で刺し殺しそうだな
  23. 29 : : 2015/07/21(火) 17:31:46
    ヌベスコ…怖ひですね…
  24. 30 : : 2015/07/21(火) 18:08:10

    大神「ふん!!」



    大神が思いっきり西園寺を吹き飛ばす。



    西園寺「ギャアアアア鼻打撲眼球破裂脳挫傷頬骨骨折脊椎損傷wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(՞ةڼ◔)」



    何事もなかったかのように起き上がる西園寺。



    大神「くっ……効かぬか。とうに内臓破裂しているはずだが」

    大神「我が止める!誰か罪木を保健室まで運ぶんだ!」

    石丸「了解した!急ごう!!」
    山田「りょ、了解しましたぞ!」

    西園寺「オビョョョョビョビョビョwwwwww」

    大神「さぁ来い……返り討ちにしてくれる!」

    西園寺「ヌベヂョオオヲヲヲヲヲwwwww」

    朝日奈「え……」





    西園寺は高く跳んだ。
    その先は……大神ではない。



    山田「ん…?こ、こっちが狙いだとぉ!?逃げろジャイロォォ!!」

    西園寺「鬮鬱聾籖襲鬣魑鼈艝蠊wwwwwww(՞ةڼ◔)」

    ペコ「伏せろ!」



    紫電一閃。
    西園寺の脚をスッパリ切断した。



    澪田「ひっ」

    西園寺「ボョ……( ՞ةڼ◔)」

    ペコ「………?」



    西園寺の動きは止まった。



    山田「い、今の内に我々は行きますぞ」
    山田と石丸は保健室へ急ぐ。



    西園寺「ヌボボボ……ヌベロンボョ……(՞ةڼ◔)」



    匍匐(ほふく)のまま自身の脚が落ちてる場所へゆっくり進んでいる。



    セレス「まさか……脚をくっ付けようとするのでは……」

    九頭龍「できん……のか?」

    葉隠「は、はやく殺しちまった方がいいんじゃ……」

    西園寺「ヌベスコ(՞ةڼ◔)」



    自身の脚を手に取る西園寺。

    次の瞬間…
















    西園寺「イヒーwwwwwwwwwwイヒヒヒヒヒwwwwwwwwwヒヒヒヒーwwwwwwwwwww」














    グチャグチャと生々しい音を立てながら西園寺は自身の脚を喰い出した。



    ペコ「なっ……!?」

    桑田「うへ……マジかよ…?」

    小泉「ゔっ…おえっ……」



    皮膚を喰いちぎり、筋肉を貪り、骨をガリガリと歯で削る。





    西園寺「( ∩՞ټ՞∩)ンフ~」







    どこか満足そうな表情で片足だけで立ち上がった。








    ペコ「おおお!!!」



    しびれを切らした辺古山が再び西園寺を斬る。
    今度は首を撥ねた。



    ペコ「…………っ」
















    西園寺「ヌベヂョ」
    ペコ「おおおおおおおおお!!!!!!!」



    脳に研いだ摸擬刀を突き刺す。

    しばらく食堂に静寂が流れる。
    西園寺はついに動かなくなった。



    ペコ「はぁ………はぁ…………」

    九頭龍「ペコ!!」



    辺古山も腰を落としてしまう。
    摸擬刀を杖にしてなんとか立ち上がった。



    弐大「ぬうぅぅ……とりあえず……死体を片付けるぞ」

    豚神「ああ……そうだな」

    桑田「…………」

    セレス「………そういえば、彼女はなぜ感染したのです?」

    豚神「あの時だろうな……感染した教師に襲われたとき」

    田中「だが、間一髪で救出したはずだ」

    九頭龍「あのとき先公が何かしやがったのか?」

    豚神「あのときは……確か……口を大きく開けていなかったか…?」

    七海「噛み付こうとした……のかな?」



    『噛み付こうとした』

    これを聞いたとき、そこにいる全員の頭に先ほどの光景が浮かんだ。








    西園寺が…………罪木に……………。
  25. 31 : : 2015/07/21(火) 18:16:06
    ……嘘………だろ…(゜o゜;)……
  26. 32 : : 2015/07/21(火) 20:58:31

    桑田「くそ!」



    イインチョーとブーデーが危ねぇ!!

    俺は走り出した。

    保健室……保健室…………あそこか!



    桑田「お前ら!!」



    引き戸を勢いよく開く。



















    石丸「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwww(՞ةڼ◔)」

    山田「螻蛄蜥蜴蛞蝓蟷螂蜉蝣蜚蠊wwwww(՞ةڼ◔)」

    桑田「だろうと思ったけど早ぇ!!」



    扉を閉めて来た道を全速力で戻る。




    日向「桑田?」

    桑田「お、センパイ…」

    日向「一体……なんの騒ぎだ!?」

    桑田「西園寺が感染したんだ!石丸と山田もだ!」

    日向「な、何!?」

    桑田「やべえぞ…罪木ちゃんも感染して……ん?」






    そうだ、罪木ちゃんが感染したから石丸と山田も感染したんだよな?

    あの保健室……罪木ちゃんがいなかった。



    桑田「センパイ、罪木ちゃん見なかった?」


























    苗木「ふぅー……」

    大和田「思ってたより重いぜ……」



    貯蔵庫を発見し、4人は武器をトラックへ運んでいた。



    霧切「中にあったのはこれで最後よ」

    大和田「おし!帰るぞ!」



    見張りをしていた戦刃も最後にトラックに乗り、自衛隊基地を後にする。



    霧切「………ん?」

    苗木「霧切さん?」

    霧切「聞こえる」



    戦刃も頷く。



    苗木「……………」









    ……………ボョ





    …………ヂョンヌゾジョンベルミッ





    ……ロンボョヌベヂョンヌゾジョン










    そして、その声の正体はトラックの前を横切った。

    豹変した大量の、元人間たち。

    大名行列のようにゾロゾロと並んでいる。






    苗木「今まで……こんな行動とってなかったよね?」

    霧切「側に私たちがいるのに襲ってこない……つまり、彼らには何か目的がある。いや、目的ができたと言うべきね」

    戦刃「やっぱり……司令塔がいるのかな」

    霧切「どうかしら……大和田君、試しに轢き殺してもらえる?どうせそうしなきゃ進めないんだし」

    大和田「さりげなくエグいこと言ってんじゃねぇよ……」



    そう言いながら大和田はトラックを発進させた。


    轢いても跳ねても特に反応はない。

    立ち上がって行列の中に戻るだけ。





    戦刃「なんか…不気味だね」

    大和田「ああ……何つーか、デカいこと始めようとしてるみてぇで気味悪ィぜ」



    大和田は学園に向けてトラックを飛ばして走った。
  27. 33 : : 2015/07/21(火) 22:01:19
    久しぶりに素で「ヒッ」なんて声をあげました。
    期待です!
  28. 34 : : 2015/07/21(火) 23:25:38
    罪木はまだしも石丸とひふみんの変化早くないか?期待です
  29. 35 : : 2015/07/22(水) 22:39:45

    罪木さんのターン、か
  30. 36 : : 2015/07/23(木) 02:48:42

    日向「澪田、いたか?」

    澪田「こっちにゃいなかったっす」

    田中「上の左右田にも聞いたが…やっぱり存在を感知できなかったそうだ」

    弐大「おう日向、どうじゃ」



    弐大、大神、豚神の3人が体育館のある方向から姿を現した。



    日向「だめだ…そっちは終わったのか?」

    大神「感染した2人は我々が口を塞いで縛っておいた」



    体育館に隔離したのだろう。
    教員の死体とともに。



    日向「……そうか」

    弐大「やはりワシにゃあ……仲間を殺すなんちゅうことはできんからな。辺古山はようやったわ」

    大神「ああ……しかしあの罪木という者、一体どこへ行ったのだ?感染した者を野放しにしておくのはまずいぞ…」

    豚神「だから今探しているんだ。俺たちも分かれて捜索に移るぞ」

    澪田「唯吹たちは纏まって行動した方がいいっすかね?」

    日向「そうだな……何かあればまずい」



    1階はもう全ての部屋を調べた。

    上から降りてきた澪田と田中も見ていないとすれば、学園の外まで移動した?



    葉隠「おーい!遠征組が帰ってきたべ!」














    玄関前に奴らがいないことを確認し、校門を開ける。



    日向「無事だったか!苗……」



    全員が、同じ表情だった。
    まるで遠足の帰りのような………『道に迷って6〜7キロ以上彷徨ってやっと目的地についた』というような生気と元気の無さだ。



    九頭龍「……どうしたんだよ、おめーら」

    大和田「山だ」

    九頭龍「あ?」

    大和田「バケモノ共の、山だ。あいつらが集まって集まって、山を築いてやがったんだ。この世のものとは思えねぇモンだった……」

    戦刃「私たちの車をものともしなかった……。ぶつかっても轢かれても跳ねられても立ち上がってその山に歩いていくの……」

    大和田「工事現場に積んだ砂山のような比じゃあねぇ。人間で富士山作ってるって言われても違和感無ぇくらいだったぜ……」



    全体が不安と未知への恐怖に包まれる。



    澪田「そういえば……輝々ちゃんは?親元に帰したっすか?」

    霧切「花村さんは感染して死んだわ」







    「「「「…………………。」」」」













    苗木たちと学園に残った皆。

    それぞれの状況や出来事を把握し合った。

    そして、全員にナイフと拳銃を配布した。

    その他の武器は全て食堂で管理している。



    苗木「そんなことが……」

    十神「花村とやらも噛まれて感染したんだったな?どうやら奴ら、仲間を増やしたいらしいな」

    江ノ島「仲間増やすって……そんな知能高そうに思えないんだけど」

    十神「仲間や子孫を残す、増やすといった行為に知能は関係ない。寧ろ本能的なものだ」

    十神「奴らで言う噛み付く行為が人間で言う生殖行為にあたる……と思ってくれ」

    九頭龍「……よくわかんねーな」

    日向「苗木…」



    日向は小さく話しかける。



    苗木「何?」

    日向「……舞園が1階の教室にいる。ちょっと話を聞いてやってほしい」

    苗木「……わかった。後でね」
  31. 37 : : 2015/07/24(金) 01:43:01

    1階の空き教室。

    舞園さんが真ん中あたりの席に座っている。






    『……べヂョンヌwwwwオビョビョwwww』

    舞園「そっか……みんなに会えないの、ちょっと寂しいです」

    『ヌベッテョヌンジョョベリンスオッピョーwwwwww』

    舞園「ふふふ……そっちは楽しそうですね」

    苗木「………舞園さん」

    舞園「あ、苗木君おかえりなさい!疲れましたよね!コーヒー用意しますね!」

    苗木「日向君から聞いたよ」










    苗木「目を覚ましてよ……舞園さん」

    舞園「……………」







    舞園「苗木君まで、そう言うんですね」

    苗木「だって……舞園さんの親友(メンバー)はもう…………」

    舞園「違う!違う!!違いますよ!!!」




    舞園「私の仲間は……!グループのメンバーは、あんな奴らの仲間なんかじゃない!!!人を喰い殺すような化け物になんて成り下がってません!!!ちょっと治療を受ければすぐに治ります!!すぐに……すぐに元に戻ってまたファンの皆に笑顔を届けるんです!!!どうしてわかってくれないの!!?」






    苗木「………………」









    舞園「本当は……わかってる。私のグループの仲間は……今もどこかで人を喰いながら彷徨ってる。不気味な笑い声を上げながら……」

    舞園「けど……認めたくなかった。私が認めてしまったら……もう、本当に何もかも戻ってこなくなってしまいそうで……」

    苗木「……………」






    舞園さやかはボサボサになった髪のまま泣き崩れた。

    それは中学時代の苗木も全く見たことがない表情(かお)だった。

    きっと、自分が朝起きたくらいの時間、彼女はすでに真実を知って絶望していたのかもしれない。

    ずっと認められなくて……現状を受け止められなくて………平気なふりをしていたのだ。

    苗木は下唇を噛み締めた。

    気の利いた言葉をかけることもできない。
    そんなものはとうに彼女自身が自分に言い聞かせていただろう。



    苗木「………ごめん。僕、もう食堂に戻るよ」

    苗木「元に戻れるように……集まって会議しないと」



    それだけ言って苗木は教室を後にした。









    日向「そうか……」



    食堂に戻り、日向に小さく報告する。



    ペコ「そういえば、予備学科の連中はどうした?」



    食堂にいる全員にコーヒーを持ってきた辺古山が話題を振る。



    ソニア「そういえば……別校舎にかなりの人数がいたそうですが」












    予備学科、か。

    つい一週間ほど前まで俺は予備学科にいた。

    自分にできることを精一杯やってるうちに『超高校級の相談窓口』として本科に編入が認められた。

    廊下に普通にゴミが転がってるような状況のボロ校舎に詰められ、ボロ雑巾のような生活を共にしていた当時の同級生たちは、どうしたんだろうか。
    教員から感染してしまったのだろうか……。

    その時、俺の携帯が鳴った。
    今となっては古い扱いをされてしまうフィーチャー・フォンを開く。

    発信者は、左右田和一。

    左右田は終里と一緒に最上階で広範囲レーダーを使った見張りをしている。
    彼にはナイフと拳銃以外にスナイパーライフルを一丁配備した。



    日向「俺だ、どうした?」

    左右田『ま、まずいぞ日向!!』

    日向「まずい?何があった?」

















    左右田『バケモン共が、この学園に集まってきてやがるんだ!!』
  32. 38 : : 2015/07/25(土) 09:26:11

    日向「なんだって!?」

    左右田『四方八方からすげぇ数が来てんだ!!動きは鈍いが…とにかくやべぇって!!』

    日向「…ちょっと待ってろ!!」

    狛枝「……一体、何が?」

    日向「バケモンたちがこの学園に集まってる!!」

    小泉「え!?」

    霧切「……!!」

    日向「くそっ!!」

    苗木「ひ、日向君!!」




    俺は走った。

    廊下を駆け、階段を上がる。

    苗木が後ろから追いかけてくる。

    俺が辿り着いたのは……屋上。

    いつもと変わらず平和に頭上を覆う青い空と白い雲。
    それと対称的に街は火を炊き煙を上げ、どうせ何の意味もないサイレンがうるさく重なり合う。



    終里「おう来たか!見てみろよ……アレ」



    左右田の言うとおりだった。
    デモのように学園に向かってゆっくり移動する黒い群れ。



    苗木「あわわわわわ………ど、どうして学園(ここ)に」

    日向「……何でだ?おかしい……何故この学園が…」

    ペコ「日向!大変だ!」



    バンと大きい音が鳴り、日向たちが来た扉が開かれた。



    日向「今度は何だ!!」

    ペコ「予備学科の生徒も暴れ出した!しかも奴ら様子がおかしくて……とにかく、その、大変なんだ!」



    日向と苗木は全速力で降り、玄関を出る。



    日向「あ、あれ…誰もいないぞ」
    ペコ「違う、体育館の方だ!今戦刃たちが応戦してる!」



    校舎の外からグラウンドへ。
    すると、予備学科の生徒たちが体育館へ押し寄せていた。






    「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwww(՞ةڼ◔)」

    「イヒーwwwwwイヒヒヒwwww」






    大和田「クソが!オラオラオラオラ!!」

    十神「くっ……数が減っていないように思えてきたぞ」



    突撃銃(アサルトライフル)で撃退するも、彼の言うとおりあまり意味のないように思える。



    日向「何だ……あれ」

    戦刃「わからない……だけど、撃っても撃っても体育館へ行こうとするのをやめないの」



    体育館の壁をバンバンと叩いている。
    そんなことをしても壊れるはずがないのだが。



    大和田「クソ……あれだ!!苗木、パス!!」
    苗木「え!!僕!?」



    大和田は走り去って行った。



    苗木「日向君、体育館に何か奴らを惹きつけそうなものは……」

    日向「教員の死体と……そうだ、石丸と山田がいる」

    ペコ「もしかして……食事でもしにきたのか?」



    日向も苗木も知らないが、ペコはそれを間近で見ていた。吐き気を堪えながら。

    西園寺が切り落とされた自分の脚にがっついていた、あの光景。



    大和田「オラオラオラオラ!どきな!」



    大和田がトラックを飛ばす。

    体育館前に群がる予備学科を思いっきり轢き殺した。

    グラウンドで旋回し、また突進。

    ………が、しかし。






    「ヌベヂョンwww」

    大和田「……は?」







    無心に体育館に群がってた人々は向きを変え、全員でトラックを止めた。

    その何人かはトラックの下に潜り込む。




    大和田「お、おいおいおい!冗談だろ!?」

    「ゲロンボョwwwwwww」



    トラックは逆さになった。



    十神「なん…だと……?」

    苗木「大和田君!!」

    大和田「クソ……マジかよ!!」

    日向「大丈夫か!?」

    大和田「なんとかな……それより体育館だ。こいつらの目的は体育館の中にあるはずだ。それを処理しにいくぞ!」

    十神「俺たちは引き続き外から撃退するか」

    戦刃「うん。辺古山さんも手伝って」

    ペコ「よかろう。苗木」



    大和田が使っていた銃を苗木から受け取る。



    大和田「体育館だ!急ぐぞ!」
  33. 39 : : 2015/07/26(日) 00:40:20

    朝日奈「苗木!な、何がどうなってるの!?」

    小泉「アタシたちはどうすればいい!?」

    日向「落ち着いてくれ、今予備学科の奴らが体育館に向かってる、その、体育館に何かあるはずなんだ!」



    それだけ言って日向たちは走っていく。



    小泉「ちょ、ちょっと!待ってよ!」



    角を曲がり、扉を開く。






















    山田「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwwww」

    日向「なっ……!?」

    苗木「や、山田君……」



    山田が教員の死体を貪り喰っていた。
    頭から口に入れ、ミシミシと音を立てて頭蓋骨を噛み砕く。

    顎がぶらんと垂れており、口を大きく開けると余った肉がブルドックのように頬側に垂れ下がる。



    山田「イヒヒヒヒヒwwwwwwww」

    石丸「ギャアアアア鼻打撲眼球破裂脳挫傷頬骨骨折脊椎損傷wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww(՞ةڼ◔)」



    両脚を喰い千切られて身動きが取れなくなっていた石丸もついに頭を噛み砕かれる。



    山田「( ∩՞ټ՞∩)ンフ~」



    口周りを赤黒く染めて満足気に寝っ転がる山田。



    豚神「集合フェロモン……?」

    大和田「何?」

    豚神「蜚蠊(ゴキブリ)は危険を察知すると集合フェロモンを出して仲間を呼ぶ。奴らが倒しても倒してもいなくならないのはそのためだ」

    九頭龍「山田がバケモノを呼ぶ集合フェロモンを出したから皆体育館に押し寄せてきたってのか…?」

    豚神「おそらくな……でなければ奴らは俺たちに襲いかかるはず」

    腐川「ひっ!?みんな、前!前!!」



    後ろに立つ豚神の言葉に集中していたため、『前』に気付かなかった。

    仰向けでくつろぐ山田の腹が風船に空気を入れるように膨らんでいく。

    丸々と太ったボールのような体型の山田だが、これは『元からだろ』とかそういう冗談ではなかった。
    山田の腹は本人の体積の2倍以上まで膨張している。

    身構える大神と後からやってきた霧切以外の全員が無意識に耳を塞ぐ。
    バラエティ番組の罰ゲームで頭上で風船がどんどん膨らんでいくようなアレを連想してしまっているのだ。



    澪田「ひ〜!ダメダメダメダメダメダメダメダメ……………………………」



    そして山田の腹は、見た目より小規模な破裂音とともに割れて飛び散った。

    血色の肉片や内臓、どちらとも言えぬ肉塊、ワイシャツのボタン、割れた後の風船のように縮んだ皮膚。
    黄色い体育館の床も水色のベンチも灰色の壁も一気に赤黒く染まる。



    葉隠「ひ、ひえぇ〜!!」

    桑田「んだよ……コレ……」



    逃げ出す葉隠、後ずさる桑田とセレス。
    気絶する腐川、同じく倒れそうになる朝日奈、嘔吐しまいと口をおさえる小泉。

    苗木も日向も腰を抜かし、大和田や九頭龍でさえ全く見たことのない恐怖を前に身体が動かなかった。



    霧切「何か………来るわ」



    山田の腹の中から真っ赤な手が姿を現した。

    血を帯びた手は貞子のように這いつくばって、同じく血を帯びた全身を山田の体内から出すとゆっくり立ち上がった。

    布一つ纏わず、異様に浮き出た全身の血管をピクピクと痙攣させるその姿は、肉付きの良い身体をした女性。
















    罪木「ヌベスコォ……(՞ةڼ◔)」
  34. 40 : : 2015/07/26(日) 13:40:42
    罪木イイイイイ!?
  35. 42 : : 2015/07/28(火) 08:22:10
    怖いなこれ でも期待
  36. 43 : : 2015/07/28(火) 20:51:02

    日向「つ、罪木………」

    罪木「ヌベ……ヌベヂョン?」



    辺りをキョロキョロ見回している。

    しばらくして、山田の死体に目を止めた。






    罪木「イヒーwwwwwwwwwイヒヒヒヒヒヒwwwwwwwwww」



    山田の頭を床に何度も叩きつけて割り、脳を直接喰らう。



    桑田「な、何だよ……今度は」

    豚神「直接脳だけを喰っている……いや」

    豚神「『不必要なものを摂取しなくなった』のか……?」

    罪木「ヌベ………?」



    こちらに気が付いたようだ。
    ドッと冷や汗が溢れる。



    小泉「ひっ…」

    罪木「ヌベヂョヲヲヲwwww」



    人間とは思えないほどの速度でこちらに突進すると……



    九頭龍「小泉!!!」

    小泉「嫌ああああ!!!!」



    物凄い速度のまま小泉を連れ去って消えていった。



    霧切「しまった…!!」
    豚神「追うんだ!!もはや何をしでかすかわからんぞ!!」



    大神、霧切、九頭龍がすぐに追う。

    そのとき、日向の携帯に電話がかかる。



    ペコ『日向!応戦!してくれ!!』

    ペコ『奴らが門前まで押し寄せてきた!!』
  37. 44 : : 2015/07/28(火) 22:22:27
    あぁぁ……罪木ちゃん……
  38. 45 : : 2015/07/29(水) 18:55:43
    これ外の奴らもやばくないか・・・?期待です!


  39. 46 : : 2015/07/29(水) 22:49:58

    豚神「銃を取れ!至急救援に行くぞ!!」



    食道で管理しているライフルを各自手に持って玄関へ向かう。


    弐大「ぬうう…殺らねばならんのか……」

    豚神「つべこべ言うな、行くぞ!澪田!」

    澪田「はい!」



    澪田と江ノ島で両側から扉を開く。



    ペコ「くそ、しつこいぞ!」



    門の塀を登って来る者を次々に撃ち落としていく。



    弐大「大丈夫か辺古山ァ!助太刀じゃあ!」

    豚神「俺は体育館側へまわる!弾薬(たま)を無駄にはするなよ!!」

    日向(こんな量がこの学園に向かって………一体何なんだ?)



















    同時刻、体育館側ではさらなる異変が起きていた。




    戦刃「……ねぇ」

    田中「……ああ」

    十神「何だ……アレは………」



    例えるなら、塔だ。
    50メートルくらいの塔ができている。

    バケモノにバケモノが積み重なり、塔のようになっているのだ。

    さらに下から数を増やして、どんどん塔から山のような形になっていく。



    苗木「大和田君、アレは………」

    大和田「俺たちが見た……山じゃねぇか」

    豚神「奴ら、何をする気だ……?」

    戦刃「わからない………あっ」



    山がさらに形を変えていく。

    山の下にいたバケモノが上に登り、中間あたりで膨らんでちょうど漢字の『中』のような形状に変化した。

    そして、その膨らみがどんどん上へ上へと登り、漢字の『甲』のような形状になった。



    豚神「学園のより高いところまで登っていく……?しまった!上の窓を破る気か!?」



    77期生、いわゆる日向たちの学年は、朝に学校の4階までの窓を鉄板で封鎖した。
    奴らが登ってこれないようにするためである。

    しかし、ただ発狂しながら追いかけるだけの彼らがこれほどまでの運動能力を持っているとは誰が予想しただろう。

    上の階でカメラとレーダーを監視する左右田、プログラムで何とかできる方法を探す不二咲、屋上を見張る終里。

    上階にいるから安全だと思われた彼らが危険に晒されることに。



    田中「……ん?いや待て、さらに上へ上がって行くぞ」



    4階も5階も通り越し、外観にへばりつくバケモノたち。

    屋上から終里と思われる銃声が鳴っている。






    次の瞬間、理解した。

    窓を割ることも屋上を見張る終里を襲うこともなく、彼らが何故上へと登ったのか。









    豚神「まずいぞ!!逃げろ、ここを離れるんだ!!!」



    ジャンプ。
    いや、この場合ダイブと言った方が適切だろう。

    ダイブ。またダイブ。

    どんどん、ダイビング。

    スカイダイビング。



    高所にへばりついたバケモノ達は次々に上から降ってきて地上の者たちを襲い始めた。
  40. 47 : : 2015/07/30(木) 21:28:31
    うわぁぁぁ!!!ヤバすぎやろ!
  41. 48 : : 2015/07/31(金) 22:42:52

    苗木「うわぁ!」

    「ベヂョンヌwwww(՞ةڼ◔)」



    逃げる苗木の目の前に落ちて、何事もなかったかのように立ち上がる。
    苗木も脳めがけて銃弾を撃ち込む。



    苗木「なんて数だ!!大和田くn……」



    大和田君と言いながら彼が振り向いたとき、大和田紋土は既に肩を食い千切られていた。



    苗木「あ……あああ…」

    豚神「何をしている!!走れ!!」

    田中「ぐああああ!!!」



    田中は5人のバケモノに一斉に囲まれ、なす術なく身体中を噛み付かれた。



    戦刃「………くっ!」

    十神「走れ!!決して後ろは振り返るな!!」



    空から降るバケモノ、連続で鳴り響く銃声、不気味な笑い声。

    僕らはまるで、戦火から逃げる民衆のようだ……。







     




    九頭龍「こ、こい………ずみ…………」




    九頭龍によって頭を滅多刺しにされた死体が大量に横たわる保健室の、一番奥のベッドで小泉真昼は眠っていた。

    まるで必死に抗う小泉を逃げられぬようにしたかの如く四肢を千切られて永眠している。

    九頭龍は怒りに任せて天井に短機関銃(スコーピオン)をぶっ放す。



    九頭龍「出てきやがれ!!!!ぶっ殺してやる!!!クソが…!!」



    九頭龍「ああああああクソ野郎があぁぁあぁあああああ!!!!!!」



    死体の山に撃ち込んで保健室はさらにゴチャゴチャになった。

























    ソニア「ど、どうなってるんでしょうか…?」

    舞園「……わかりません。けど、ここにいた方が安全と思われます」

    七海「うん。いざとなったら撃てばいい……と思うよ」

    朝日奈「やっぱり…身を守るにはコレ撃たなきゃいけないんだね……」



    豚神に危険だと言われ、食堂に待機していた4人が保健室の銃声を聞いてそれぞれ身構える。



    ソニア「私たち……本当に助かるのでしょうか」

    舞園「私も…もう希望が見えません」

    朝日奈「だ、大丈夫だって!皆で力を合わせればなんとかなるって……多分」

    七海「…………」



    皆で協力していても西園寺さんは豹変した。
    罪木さんも白ラン君も山田君も。



    七海「……あれ?」

    ソニア「ど、どうされました?」

    七海「えーっと……誰だっけ、あの人はどうしたのかな?あのなんか根暗な人……」

    舞園「ええと……腐川さんですか?」

    七海「あー…うん、そう。そんな感じの名前」

    朝日奈「そういえば……どこ行ったのかな……」
  42. 50 : : 2015/08/02(日) 11:47:00

    日向「撃っても撃ってもキリがないな…!」



    正門とその周りの塀から登ってきては撃ち落とす、という作業になってしまっていた。



    ペコ「くっ……弾切れか!」

    弐大「ぬう……わしもじゃあ」

    日向「……俺もだ」

    桑田「伏せろお前らぁ!!」



    後ろからの大声と凄まじい投球。

    豪速球は柵の網目を抜けてバケモノの群れにめり込むと、激しい音をたてて炸裂した。



    日向「……手榴弾か!」

    桑田「へっ……投擲なら任せな」

    「ヌベジョwwww(՞ةڼ◔)」

    ペコ「絶え間ないな…!」

    桑田「へっ…来やがれ!まとめて吹き飛ばしてやる!!」










    同時刻、食堂は戦慄していた。



    腐川「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwww(՞ةڼ◔)」


    朝日奈「そ、そんな……なんで………」



    ハサミをカチカチと鳴らしながら近づいてくる。



    腐川「イヒーwwwww」

    七海「………!!」



    静かにショットガンを構える七海。

    ハサミを鳴らしながら銃口まで歩いてきた腐川の頭に思いっきり撃ち込む。



    腐川「オビョビョオビョビョビョビョwwwwwww」

    ソニア「………!?」



    腐川の頭は、背中にあった。
    詳しく言うと、七海が発砲した瞬間首だけを思いっきり後ろに折って頭をやられるのを防いだのだ。



    腐川「( ∩՞ټ՞∩)ンフ~」



    ベキッゴキッという不気味な音をたてて自らの頭を所定の位置に戻していく。



    朝日奈「ひっ……」

    腐川「ム、ムョンヌゴルスコンダ……?」

    舞園「……?」

    腐川「ムョンヌゴルスコンダ!!!!(՞ةڼ◔)」



    腐川は走ってどこかへ行ってしまった。



    ソニア「な、何でしょう?今の……」

    七海「わからない……けど、嫌な予感はする…かも」

















    十神「くそっ!あいつら、徐々に知能が高くなっているぞ!」

    苗木「もうわけがわからないよ……何がどうなってるの!?」

    豚神「奴ら…司令塔がいるとしか思えんな。知能の高い個体が」

    戦刃(だからそれ私さっきから言って……ん?)



    長い三つ編みの少女が走ってくる。
    今どき古くさい長いスカートと丸メガネ。



    戦刃「あれ……腐川さん?こっちに向かってくるけど……あっ、後ろにも」



    腐川のすぐ後ろを、彼女を追いかけるように日向が走っている。

    こちらに向かって何か言っているが、走りながらの声であることと距離が遠すぎて聞き取れない。



    豚神「何だってー!?」

    日向「……っ!……っ…ろ!!」

    日向「…ら逃…ろ!!そいつ……離れ……っ!!」


    日向「腐川から逃げろおお!!感染してるぞ!!!」

    豚神「な、何!?」

    腐川「イヒーwwwwwイヒヒヒヒヒwwwwwwww」



    後ろに伝えようとしたときには既に腐川は人間とは思えないほどの跳躍力を見せ、十神に噛み付いていた。



    十神「馬鹿……な……………な、何故……………?」

    苗木「十神君!!」



    撃つか逃げるか迷ったが、全員が目を疑った。

    なんと腐川は自身の身体を捻じ曲げて、武器のランスのような鋭い円錐型の肉塊になって既に事切れている十神の身体に入り込んでいった。

    十神の身体が半分破裂する。



    腐川「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwオビョビョビョビョwwwwオビョオオオオwwwwwww」



    苗木は、絶望と恐怖に満ちていた。

    こんな生物は、ゲームの中でも稀だろう。

    腐川の身体は左腕が無くなって、そこには十神の上半身が付いた。

    右脚が十神の長さになり、アンバランスだ。

    髪にも十神の色が少しだけ混ざっている。

    腐川は十神を中途半端に取り込んだような恐ろしい姿になった。
  43. 51 : : 2015/08/02(日) 18:27:20

    腐川「ヌベヂョン」

    苗木「う……あ………」

    十神「ヌベヂョン」



    左半身の十神が血管の浮き出た腕を伸ばす。



    豚神「なっ……!?」

    十神「ヌベスコwww(՞ةڼ◔)」



    豚神の頭を掴み、身体をさらっと持ち上げて、頭を握り潰した。

    頭を失った巨体が地面にドスッと落ちる。



    戦刃「…………っ」

    腐・十「「イヒヒヒヒヒヒヒwwwwwwwwwwww(՞ةڼ◔)」」

    苗木「あああああああああああ!!!!!」



    何も考えられず、身体だけが無意識に動いていた。



    突撃銃(アサルトライフル)をただただ腐川の頭に撃つ。

    十神に頭を掴まれても撃つのをやめない。



    腐川「ベルミッティスモゲロンボョ(՞ةڼ◔)」



    あれ……?

    腐川さんの頭が……無い。

    吹き飛ばした?

    いや、違う。首ごとおかしい位置まで移動してる。

    照準が……合わせられない。



    十神「オビョビョオビョオビョwwwwwwwwwww」



    終わった………………。

    十神の頭は苗木を掴む腕ごと吹き飛ばされた。



    霧切「へぇ……ちゃんと当たるものなのね」



    ショットガンを担いでこちらに歩く霧切。



    苗木「霧……切さん。あ、ありがとう……今、本当に……死んだかと…………」

    戦刃「…………あ」



    戦刃も我にかえる。



    日向「ん?おい、あれ……」

    霧切「!」



    グラウンドのバケモノ達が倒れていく。

    そしてまた起き上がると、ふらふらと彷徨いはじめた。

    先程までの、獲物を狩るような動きは見せていない。



    日向「どういうことだ……?」

    霧切「……コレが気絶してるから、かしら」



    吹っ飛んだ腐川(と十神)は意識がないようだ。



    霧切「……今のうちに脳を破壊しておきましょうか」



    側に近づいて躊躇いもなく2つの頭にショットガンを放った。



    弐大「日向ァー!バケモノ共の動きがおさまったぞぉー!」

    日向「ああ、こっちもだ!」

    霧切「しばらくは襲ってくることもないはずよ……私たちも食堂に戻りましょう」











    終里「おう左右田!あいつら、大人しくなったぜ!」

    左右田「マジか………危なかったぜ。何だって学園(ここ)に集まって来やがったんだ……」

    終里「さあ?食料(メシ)の匂いでも嗅ぎつけたんじゃねぇの?」

    左右田「オメーは……。不二咲、どうにかなりそうか?」

    不二咲「う〜ん……ダメかも……」

    左右田「そうか……やっぱウイルス的な何かなのかもな。機械じゃどうしようもねぇか……」
  44. 52 : : 2015/08/06(木) 16:30:02
    大丈夫ですよあげぴよさん!!!(ゝω・´★)
    がっこうぐらしって言ったのは
    多分がっこうぐらしで現実逃避して
    もういない友達と誰もいない教室で
    話しているシーンがあってそれと似てた
    からですよ!!!だからパクりと言おうとしてたんじゃないと思います( ^∀^)
  45. 54 : : 2015/08/07(金) 08:30:41
    そういえば狛枝もいない...?
  46. 55 : : 2015/08/08(土) 17:47:31

    一旦全員で食堂に集まり、各々の状況を把握した。



    ソニア「そうですか……田中さんが」

    左右田「だ、大丈夫ですよソニアさん!あいつの分までちゃんとソニアさんが生きましょう!」

    ソニア「そう……ですね」

    九頭龍「小泉の遺体は俺が処理した」

    九頭龍「……とても、見られるもんじゃあなかったんでな」



    思い出すのも嫌だと言うように後頭部を掻きながら話す九頭龍。



    朝日奈「ねぇ、学園内(この中)に居れば安全なの?」

    日向「いや、そうでもない」

    戦刃「うん。罪木さんがまだどこかにいるからね」

    狛枝「罪木さんを誰かが操ってる可能性もあるね」

    朝日奈「ええ!?」

    終里「黒幕ねぇ……何処の誰なんだ」

    九頭龍「あの野郎……どこ行きやがった」



    苛立つ九頭龍。貧乏揺すりが激しくなる。

    九頭龍はもう罪木をクラスメートとして見ていなかった。

    七海千秋は、何よりもそれに悲しみを感じた。

    この一年でいろんなことをした。
    イベントもくだらないことも、15人で何でもやってきた。
    新しい仲間を迎え入れて、さらに活発になった私たち。
    そして今日、また新しい希望ヶ峰学園の仲間たちを迎えようというときに……この悲惨さだ。

    どうして、こうなったのかな?

    みんなが今日も無事で、平和で、楽しい一日を過ごす。
    ただそれだけが私の望みだったのに。



    セレス「焦ってますね?」

    七海「……私?」

    セレス「ええ。目を見ればわかります」

    セレス「今は……いや、今こそ冷静になりましょう。焦っていては次のカードは視えません」



    セレスはブレないギャンブラーっぷりを見せ、七海をはじめ周りの皆を落ち着かせる。



    日向「とにかく……罪木を探して捕らえよう。このままじゃ俺たちは永遠に恐怖に翻弄されたままだ」

    苗木「そうだよね……少しでも前に進まないと」

    左右田「そもそも学園ん中にいんのか?俺が最後に降りてきたけど、レーダーには迷子っぽい反応は無かったぜ?」

    ペコ「罪木が外の奴らとは少し違うとしたら我々を襲ってくる危険性は充分にある。どこかに隠れてその隙を伺ってるかもしれんな」

    澪田「隠れて………あっ」

    澪田「そういえば冬子ちゃんって……」



    澪田が何か言いかけたそのとき、学園は激しい爆音を立てて揺れた。



    日向「な、何だ!?」

    狛枝「地震じゃ…なさそうだね」

    左右田「上だ!上から爆音がしたぞ!!」



    日向は二階へ駆け上る。



    弐大「なんじゃこりゃあ!?」

    桑田「教室が……ぶっ壊されてやがる」



    二階の教室の一つが半壊して、窓側には青空と悲惨な街が広がっている。

    日向は恐る恐る窓側まで歩み寄り、下を覗く。

    そこには……地獄があった。

















    人の腕がある。

    人には腕が2本、脚が2本。

    昆虫は脚が6本で、腕はない。

    その生物は人間の手足を持ちながら、左右非対称でその本数もバラバラだった。

    まるでクモやサソリのように手足を何本も動かして前進している。

    それだけではなかった。

    右胸にもろこし頭(・・・・・)の顔が付いており、腹の部分には片方だけ赤い目をした男の顔、左肩からわき腹にかけては整った顔立ちの肥満体が付着している。

    首の後ろからも一本腕が生えているようだ。

    上半身は人間的で下半身は完全に化け物。例えるなら『サソリ人間』といったところか。

    そう、『ハムナプトラ』のスコーピオンキングのような…………。

    何よりの絶望は、そのサソリ人間の本体はあの見覚えのある女性(・・・・・・・・)だった。




























    罪木「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwwwww(՞ةڼ◔)」



    こちらにロケットランチャーを構えて、背後には戦車を連れていた。
  47. 56 : : 2015/08/15(土) 17:11:22

    日向「せ、戦車……?あんなもの、どこから……」

    弐大「……学んだんじゃ。ワシらが銃器を使っとるのを見て」

    桑田「そ、そんなのアリかよ……?」



    ふと、日向は戦車のさらに後ろに目をやった。

    筋骨隆々な『奴ら』が数え切れない人数並んでいる。



    「ヌベスコ(՞ةڼ◔)」



    そのうちの一体が人間とは思えぬ跳躍力で日向たちのいる教室に進入してきた。

    上半身は裸で、下は黒いズボン。

    そのズボンに日向は見覚えがあった。

    本科の生徒とはデザインの違う、『予備学科』の制服。

    つまりこいつは……下にいる連中は…………



    弐大「ぬおおおおおお!!!」



    弐大が支給したサバイバルナイフを手にバケモノにかかっていく。

    次の瞬間、そいつのチョップで弐大の上半身は吹き飛んで散った。

    血を噴き出す下半身がその場に力なく倒れる。



    「ヌベヂョン(՞ةڼ◔)」



    弐大が、あっけなくやられた。



    桑田「な、何なんだよ……」

    桑田「テメェら一体何なんだよおおお!!!!」



    手榴弾のピンを抜いて投球する桑田。

    見事命中し、臓物と筋肉を撒き散らしてそいつは消滅した。



    桑田「何だってんだよ……何しにこんなアホみてぇに進化してんだよ!?」
















    そしてまた問題は起きる。

    筋骨隆々になった予備学科たちが玄関を破って校内へ進入したのだ。




     

    ソニア「あ………ああ……ぁが…………」



    首を掴まれるソニア。

    下半身は既に失い、だらしなく腸を垂らしている。



    「ゲロンボョ(՞ةڼ◔)」



    首から手が離れ、ソニアの上半身は床へ落ちた。



    ソニア「たっ…………助け…………t」

    「イヒヒヒヒヒヒwwwwwwwww(՞ةڼ◔)」



    思いっきり顔を踏み潰され、頭蓋と肉片が辺りに散る。



    左右田「こ……こ、この野郎ォォォォ!!!!!」



    怒りに任せて機関銃を放つ。

    少しずつダメージを与えているように見えるが、バケモノはどんどん左右田に向かって前進している。



    左右田「ぐっ……おおおおお…!!!!」



    ついに左右田の目の前に立つバケモノ。
    ゼロ距離の機関銃がまるで効いていないようにも思える。

    左右田の両肩を掴むと、自分の胸を開くようにして彼の両腕を引きちぎった。



    左右田「うがあああああああ!!!!!」



    痛みと恐怖に錯乱し、腕を失くした肩をバタつかせる左右田。

    彼もまた、頭を踏み潰されて死んだ。



    ペコ「いい加減にしろ貴様らああ!!!!」



    物凄いエンジン音とともに筋骨隆々なバケモノの身体は血を噴き出した。

    辺古山の振りかざすチェーンソーが巨大な筋肉の塊を真っ二つに切り裂く。



    「ヌベッ」

    大神「ぬん!!」



    すかさず大神が杭打ち用のハンマーで頭をかち割る。



    セレス「終わった……?」

    九頭龍「いや……まだ次が来るぜ」



    食堂の入り口には既に三体のバケモノが立っていた。
  48. 57 : : 2015/08/17(月) 04:36:34
    期待です!
  49. 58 : : 2015/08/20(木) 23:08:42
    期待ですー
  50. 59 : : 2015/08/26(水) 14:55:15
    期待
  51. 63 : : 2015/09/03(木) 20:12:39
    メチャクチャ面白いです!
    期待です!
  52. 64 : : 2015/09/03(木) 21:25:33
    久ログインです。
    やばい鳥肌立つ…期待です。
  53. 65 : : 2015/09/06(日) 18:32:10

    「ヌベヂョン(՞ةڼ◔)」



    入り口から三体。ゆっくりとこちらに歩いてくる。






    澪田「そ、そんな……」

    葉隠「も、もうお終いだああ!!」

    セレス「あれはさすがに……」

    朝日奈「何で……こんな……」

    九頭龍「戦えねぇ奴は奥に行け!こいつらはここでブッ殺す!!」



    鶴の一声、といったところか。

    絶望を前に自由に反応を示していた各々は九頭龍の声で完全に残るか逃げるかに分かれた。

    澪田、七海、舞園、セレス、葉隠、朝日奈、不二咲、江ノ島は奥へ逃げる。

    大神、戦刃、霧切、苗木、九頭龍、辺古山、終里、狛枝が構えた。



    「ンべべべべwwwww」



    正面から手を伸ばして襲いかかる一体。

    その攻撃に合わせて辺古山はチェーンソーの刃を指と指の間に食い込ませ、腕を縦に真っ二つにしていく。

    もう片方の腕が来る前には、すでにショットガンを構える霧切が懐に入っていた。



    霧切「……召されなさい」



    何の躊躇いもなく引き金をひく。
    脳を吹き飛ばされると機能しなくなるという点はやはり変わらないようだ。

    自分の顔や衣類に血が付着するのを気にも留めず、2人は流れるように次の行動に移る。



    「ベヂョンヌwww」

    九頭龍「オラァ!!」



    九頭龍は迷うことなく両眼を突く。



    「ギャアアアアwwwww(՞ةڼ◔)」



    苗木がすかさず機関銃を撃ち込む。



    九頭龍「頭だ!頭撃ちぬけ!!」

    苗木「わかってるよ!」

    大神「ふん!」



    ハンマーを振り回す大神が最後に頭を潰してカタをつける。



    終里「こっちも終わったぜ!」

    狛枝「急所さえ壊せばこっちのものだね」







    その時。



    苗木「……え?」



    凄まじい轟音が鳴り響く。

    それは先程の音と似通っていた。

    それも、舞園たちが逃げた先から……。



    「ヌベヂョン(՞ةڼ◔)」



    朝日奈の頭を掴んで現れたのは、先程の奴らよりさらに一回り大きく、腐川と十神の顔が左肩と腹に付いている(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

    無論、朝日奈の胴体はそこには無い……。



    戦刃(あの2人を……吸収した!?)



    大神「き、貴様……!!」





     


    絶望去って、また絶望。

    全員がまた恐怖と絶望に襲われる。

    それだけではない。

    外にはまだ、大量のバケモノがいるのだ。



    セレス「まずい…………ですわ」



    破壊された壁から大量にバケモノたちが流れ込んでいく!



    澪田「に、逃げるっす!!とにかくここから離れて!!」

    「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwww(՞ةڼ◔)」

    「イヒーwwwwヒーwwwww(՞ةڼ◔)」

    葉隠「な、何なんだ……何なんだべこれはあああ!!!」

    桑田「おい何だ!?どうした!!」

    葉隠「桑田っち!!今バケモン共がすげぇ量襲いかかってきて、朝日奈っちがデカいのに殺られてそれで……とにかくやべぇ!!」

    桑田「ああ、俺たちもやべぇんだ!罪木センパイのバケモノが襲いかかってきて……」

    「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwww」

    葉隠「ひぃ!来たぁぁぁ!!」

    桑田「話は後だ!逃げるぞ!!」
  54. 66 : : 2015/09/06(日) 20:03:02
    いつも更新楽しみにしています。
  55. 67 : : 2015/09/12(土) 18:46:57

    葉隠(ちくしょう……なんでこんなことに!!)



    葉隠康比呂は、超高校級の『占い師』というかなり特殊なタイプの才能の持ち主だ。

    それも、危険な商売に手を伸ばして客から荒稼ぎしているような人間だ。
    借金取りからヤクザまで追われに追われている始末である。

    そんな彼が見つけた逃げ口がこの希望ヶ峰学園だ。
    ここにいればいろんな意味で誰からも追われなくなる。

    『やっと安心して過ごせる』……と思った矢先に、これだ。

    母親が突然笑いながら自分に襲いかかってきた光景はしっかり脳に焼きついている。

    自分を追っていた借金取りが奇声をあげながら仲間の死体を車で何度も轢いていた。

    街も人も世紀末状態で、昨日まで自分がそこに住んでいたとは思えなかった。

    さらには、唯一安全だった学園もこの始末だ。



    葉隠(くそ……俺はまだやり残したことが沢山あんだぞ!こんなところで死ねないべ!)



    何としても、生き延びねば。

    何としても………。



    桑田「げっ……なんだここ」



    どれくらい走っただろうか。
    階段を登り、廊下を曲がって行き止まりの先の扉。



    葉隠「扉の上に……物理準備室って書いてたべ」

    桑田「なんだそりゃ…とにかく、戻って逃げr……」



    自分たちが入ってきた扉が破壊され、バケモノたちがなだれ込んでくる。



    葉隠「うぎゃあああ!!!」

    桑田「ま、まじかよ……!?」

    「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwww」

    葉隠「く、桑田っち!手榴弾だ!」

    桑田「アホか!この距離で使ったらオレらまでぶっ飛んじまうぞ!」



    バケモノたちはそれぞれバラバラの行動を取ってはいるが、角に追い詰められた桑田と葉隠に確実に近づいてきている。

    窓はバケモノが入り込まないよう、鉄板で塞がれている。

    物理室への扉には、部屋の中という限られた空間を通らなければ辿り着けない。

    その限られた空間に、2人を遮るようにバケモノがいるのだ。



    桑田「だ……だめだ……どうしようもねぇよ……」



    死がバケモノたちと共に近づいてきている。
    死へのカウントダウンは確実に始まっていた。
    いや、そもそもこのイカれた世界で『死ぬだけ』で済むならどれほどいいことか……。



    葉隠「いや、まだ諦めるのは早いべ!アレだ!」

    桑田「え?」



    葉隠は右にいる桑田のさらに奥の壁を指差す。

    学校では見慣れた、それでいてほとんど使われない赤いスイッチとランプ。



    桑田「………消火栓!」

    葉隠「アレでなんとかヤツらを撃退しようぜ!」

    桑田「よし……やってやる!」



    桑田は消火栓の扉を思いっきり開き、しゃがんでまとまったホースを伸ばす。



















    瞬間、彼は背中に一瞬だけ物凄い重みを感じた。

    見上げるそこには、バケモノを飛び越えて華麗に奥へと着地する葉隠がいた。

    しゃがみこんだ桑田をジャンプ台に、バケモノを飛び越え、逃げる。
    最初からそのつもりだったのだ。



    桑田「は、葉隠……?」

    葉隠「悪いな桑田っち……俺は死ぬわけにはいかねぇんだ!!」



    それだけ言って、彼は二度と振り返ることなく物理準備室を脱出した。










    桑田「は……がく……れ?」



    桑田「ふざっけんじゃねぇぞてめえ!!!!!この………あがっ……!!!」



    「(՞ةڼ◔)」








    バケモノたちに掴まれる桑田。

    その表情は絶望そのものだった。












    桑田「最悪だ…………最悪……………」



    握りしめた最後の手榴弾を、力無く手放した。
  56. 68 : : 2015/09/18(金) 22:44:20
    葉隠ェェェ!?
  57. 69 : : 2015/09/19(土) 23:19:10
    何をしているんだ葉隠
  58. 70 : : 2015/09/21(月) 22:17:51
    追いついた・・・
    これ面白いですw
    次に期待
  59. 72 : : 2015/09/22(火) 12:57:44
    何してんだ!?
  60. 76 : : 2015/10/03(土) 23:19:42
    ヌベスコ嫌いになりそう…
  61. 82 : : 2015/10/10(土) 00:47:20

    私の仲間はもういない。

    私の仲間はバケモノに、私の居場所はバケモノの巣窟の一部と化した。

    電話などできるわけがない。
    会話などできるわけがない。
    そんなことはわかっている。




    けど、私は認めてなどいない。

    私がそれを認めてしまったら、もう本当に何もかも無くなってしまう。
    私の信じた希望が失くなってしまうのだ。

    『超高校級の保健委員』がいなくなってしまい、どうしようもないこともわかっている。
    病院、ましてや医者など機能していないことも。
    警察や自衛隊や消防がこの有様なのだから。



    だけど……嫌だ。
    それでも認めたくない。
    私だけでも……信じなければ………。

    舞園さやかは唇をぎゅっと噛み締めた。



    舞園「ここは………」

    セレス「教室……ですわね」



    2階に逃げた舞園とセレスが辿り着いたのは、2階にある教室のひとつ。

    何もなく、普通である。
    大きな衝撃があった場所とは違うようだ。

    舞園は入ってきた扉の鍵を閉める。



    舞園「……ここにいましょう」

    舞園「ここで……助けを……」

    セレス「助けなんて、どこから来るのです?」

    舞園「それは……」

    セレス「まぁ、我々には武器もあります。多少バケモノ達を追い払うことはできるでしょう……ここで待機です」



    幸い窓は厳重に閉鎖している、というように立てつけられた鉄板を見ながら喋る。















    その瞬間、鉄板を破壊してバケモノがなだれ込んでくるなんて誰が予想しただろうか。



    「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwww」

    セレス「なっ…!?」



    セレスは咄嗟に拳銃を構えるが、身体が硬直して上手く照準を合わせられない。

    何とかしなければ……そう考えていたとき。
    横目で、ただ呆然と立ち尽くす舞園をとらえた。



    セレス「舞園さん!何をしているのです!?あなたも」

    舞園「………みんな?」
















    セレス「………えっ」





















    舞園さやかの目の前にいるバケモノ達は、アイドルがコンサートで着るような可愛らしい衣装を身に付けていた。

    サイリウムやら紙袋を持った者たちもいる。















    舞園「みんな……迎えに来てくれたんだ……!!」

    セレス「ま、舞園さん!?何を……舞園さっ……」







    彼女は、バケモノの群れに向かってゆっくり前進した。

    迎え入れるように両手を広げながら。

    手を噛まれようが首筋に噛みつかれようが気にしない。

    まるで心が通じ合ってるかのように会話しながら、彼女は静かにバケモノの仲間になっていった。
  62. 83 : : 2015/10/10(土) 09:20:55
    更新待ってました!いつも楽しみにしてます
  63. 84 : : 2015/10/12(月) 18:35:07
    舞園さぁぁぁぁん!!(泣)
  64. 88 : : 2015/10/22(木) 17:53:00
    期待っす!頑張ってください!
  65. 89 : : 2015/11/01(日) 19:02:47

    日向(考えろ……俺はどうすればいい)



    罪木はもう罪木ではない。

    もう、殺さなくちゃいけない。

    しかし……あの生物をどうやって……。



    九頭龍「くそ!しつけぇな!!」



    機関銃を撃っては手榴弾を投げる。
    九頭龍冬彦は2階の教室からその作業を繰り返していた。



    霧切「まだ生きているかしら?」

    九頭龍「お前!何処行ってやがった!」

    霧切「いいから、ちょっとどきなさい」



    霧切が籠に詰めて持ってきたのは、アルコール。



    九頭龍「お前それ……理科室から?」

    霧切「ええ。やはりあっちにも凄い数がいたわ」



    凄い数がいたといいつつ彼女はほとんど無傷だ。

    それに、新入生(こいつら)にゃ一階以外は案内していない。一階も案内というほどのことはしていないが。

    それなのにこの女は、ものを取りに行ってくると言って僅か数分で戻ってきた。

    コイツ………何者だ?

    九頭龍がそう思ってる間に、霧切は破壊された壁からの侵入を図るバケモノ達に近づいていく。



    九頭龍「お、おい!気でも狂ったかオメェ!」

    霧切「狂ってないわ。狂ったのは世界の方よ」



    霧切は持ってきた容器の蓋を開け、中の液体を登ってくるバケモノの群れに注いでいく。

    そしてマッチを擦ると、アルコール臭が充満するその群れの中に静かに落とした。



    「( ՞ةڼ◔)アツイアツーーーーーーイwwwwwww水くれ水wwwいや沝wwwwwwwくれや㴇wwwwwwwはやく淼wwwwww㵘wwwww水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘水沝淼㴇㵘www」

    「( ՞ةڼ◔)暑いから暖房付けるかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwギャハハハハハハハハハハハハハ暑いwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」



    一気に火が上がり、バケモノ達は一匹残らず焼き尽くされていく。



    九頭龍「お……おおお………」

    霧切「ここを離れましょう。バケモノ(彼等)を動かしてるのはきっと罪木さんのはず。彼女を止めないとまた同じことの繰り返しよ」































    とても、仲が良かった。

    いつもおどおどしているが彼女はとても可愛らしく、そのあざとさがさらに澪田唯吹の心をくすぐった。

    今となっては、それは『昔のこと』となってしまったが。



    澪田「み……蜜柑………ちゃん?」











    『ハウルの動く城』。

    城というよりも要塞に近い、建物同士を貼っつけ合わせたような謎の巨大な物体。

    今の罪木蜜柑は、言うなればその()だった。

    人体を何十人分も貼っつけ合わせた肉塊に罪木蜜柑がくっ付いているような……。







    罪木「(՞ةڼ◔)」

    澪田「み、蜜柑ちゃん?唯吹っすよ、唯吹……」

    罪木「(՞ةڼ◔)」

    澪田「あ、あれ?ねぇ、踏んだりしないっすよね?」

    罪木「(՞ةڼ◔)」

    澪田「ね、ねぇ、蜜柑ちゃ、みかっ、ねぇ、ちょっ」



    少し前までは、人間だったかもしれない。

    だが、今はもう人間ではないだろう。

    ヤツらに、人間の言葉や心は通用しないのだ。













    罪木「( ՞ةڼ◔)ヌベヂョンw」









    潰された虫の如くぐちゃぐちゃになった澪田唯吹を気にも留めず、それは体育館をゆっくり歩く。
  66. 91 : : 2015/11/19(木) 23:29:23

    終里「おい、何ボサっとしてんだ?」

    ペコ「ん……ああ、すまん」



    何か、変わった。
    辺古山ペコはバケモノを排除していてそれを感じた。

    まず初めは、ただ辺りを彷徨い、目の前に人間がいればそれを襲うだけだった。

    次に、何か宗教的な意思を持ち始めた。
    我々には見向きもせず、教員の死体を安置した体育館に一心不乱に入りたがっていたこと。
    罪木のエサ、というか生贄にでもなるかのようにバケモノ達は彼女の元へ集まってその糧になっていった。

    そして、知性。
    彼らは銃器などの道具を使うようになった。
    戦えない者を避難させたら、今度はそっちを襲い始めた。

    ……気のせいだろうか?

    何か変わっている気がする。

    だが、別に進化しているわけでもなければ退化しているわけでもなく、変化がバラバラなのだ。



    終里「おい何だよ、考え事か?」

    ペコ「あぁ、まあな」

    ペコ(こいつに話しても理解してくれるだろうか……)















    葉隠「変化ぁ?」

    セレス「ええ。まぁ貴方は分からないでしょうけどね」

    葉隠「まぁ……確かに行動がいきなりおかしくなったりはしてると思うべ」

    セレス「ええ。ですから私はこう思うのです」

    セレス「司令塔が定期的に変わっている、と」









    終里「あ?司令塔?」

    ペコ「ああ。奴らの行動はいきなり変わったりしている」

    ペコ「私は、司令塔がコロコロ変わっていて、奴らはそれの指示を受けているだけだと思うんだ」

    ペコ「しかも法則性がない。その時の気分で司令塔を交代しているのかもしれない」

    終里「んだそりゃ……結局誰をぶっ飛ばしゃあいいんだか分かんねーじゃねぇか」

    ペコ「だからこうして地道にやっているんだろう…」



    『罪木を強くしろ』
    『人間を襲え』

    司令塔は複数いる。そして、それぞれが与えられた指示をバケモノ共に出している。

    そうでなければ気紛れのようにコロコロ変わる奴らの行動がわからない。

    何か……ないのか?



















    戦刃「私が?」

    霧切『ええ。お願いできるかしら?』

    戦刃「……わかった」
  67. 92 : : 2015/11/20(金) 00:44:30

    葉隠「うお……」

    セレス「ほら……また変わったようです」



    一階の廊下で一匹のバケモノとすれ違った2人。
    だが、特に襲ってくることはなかった。



    葉隠「本当だ…………けど、司令塔が複数いるとしたらまたいつ襲われるか分かんねぇってことだべ?」

    セレス「ええ……安心はできません」



    今は何か別の指示が与えられている?
    あの方向……体育館?



    セレス「………追いましょう」

    葉隠「へ?」

    セレス「体育館に何かあるはずです」

    葉隠「確かに……体育館から嫌な音が聞こえてくるべ」












    日向「……俺たちも行くのか?」

    七海「うん、そうだね」

    七海「霧切さんの考えは理解できないよ。けど……彼女には彼女の考えがある……と思う」

    日向「そりゃあそうだけど、みんなを置いて一度学園を離れるってのはなんかな……」























    どれだけ、死んだのだろう。

    どれだけ、バケモノに成り下がったのだろう。

    人々は自分が本当に正常なのかどうかを疑うだろう。

    安堵の息もつけぬ、この絶望感。












































    江ノ島「最高ね、マジで」
















    全ては絶望のため。面白そうだから協力しただけの話さ。

    それがまさかこんなフィーバーになるなんてね。
    想定外の反響についつい口元が緩んでしまう。



    江ノ島「およ?こいつらは……」



    監視カメラの映像は体育館を映していた。



    江ノ島「ふぅ〜ん。ちょっとからかってやるか」































    葉隠「なっ………何なんだべ…………これ」

    セレス「化け物……というレベルではありませんわ」

    罪木「(՞ةڼ◔)」



    バケモノ達が一直線に彼女に向かっていく。

    どんどん吸収されていく。



    罪木「ヌベ……?」

    葉セレ「「あっ」」



    罪木と目が合った。
























    罪木「バヌルディルスヌルコベヌリホャンゴベーーーーーwwwwwwwwww(՞ةڼ◔)」



    バケモノ達は急に動きを止め、葉隠達の方を向いた。



    葉隠「げっ…こ、これヤベェんじゃ……」

    「ンダバジャドボケゴベンソンゴババババwwwwwゴバババババwwwwww」

    「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwww(՞ةڼ◔)」

    「イヒーwwwwイヒヒヒヒwwwww」

    葉隠「に、逃げろおおお!!」

    セレス「くっ……」




    追いかけてくるバケモノ達。

    このまま逃げていてもおそらくキリがない。



    セレス(ならば………)

    葉隠「くそ!!セレスっち、二手に分かれ……あれ!?」



    セレスは葉隠に足をかけた。
    逃げることに集中していた葉隠は壮大に転ぶ。



    葉隠「セ、セレ……」

    セレス「さようなら、葉隠君」

    セレス「(わたくし)の為に、死んでくださいまし」



    彼女は同情の眼差しもなく階段を駆けていった。



    葉隠「嫌だ、待っ………あがっ」

    桑田「イヒーwwwイヒヒヒヒヒwwwww」



    因果応報、と言うべきか。

    葉隠はかつて自分が生贄にした者に喰い殺された。


























    セレス「ふっ…………ふふふふ。ここまで来たら……大丈夫でしょう」



    更衣室の扉を開ける。



    舞園「ヌベヂョン(՞ةڼ◔)」

    セレス「え!?な、何で……」

    舞園「イヒーwwwイヒヒヒヒヒwwww」

    セレス「そ、そんな………がっ、わ、私が……私がこんなところで……………」














    ………これも因果応報と言うべきだろうか。
  68. 94 : : 2015/11/22(日) 15:49:35

    苗木「ん?」



    携帯が鳴り響き、足を止めた。

    発信者は霧切響子。
    そういえば全員で電話番号の交換をしたのを忘れていた。



    苗木「もしもし、霧切さん?」

    霧切『苗木君、私達が乗ってきたトラックの中にガスボンベがあったでしょう?』

    苗木「え?う、うん、そうだね」

    霧切『あれ取ってきてもらえるかしら?場所は─────』

    苗木「うん、わかった!」



    ガスボンベか……。

    トラックは外で横転してるけど無事かな…?













    九頭龍「……派手に人動かしてっけど、大丈夫なのかよ?」

    霧切「これしか方法がないわ。バケモノ達が少なくなった今が行動の時よ」

    九頭龍「まぁ……弾も減ってくるし、仕方ねぇか………。」













    某所。
    監視カメラの映像を見ていた少女は嗤う。





    ─────アハハッ、絶望的じゃん!



    ─────そうだね。



    ─────さて、もう一押し絶望を与えてやりますか。アタシに代わりな。



    ─────いいけど、何処へ?



    ─────まぁ後に分かるさ。






    彼女は笑いながら部屋を出た。






    ─────いいのかい?これで。



    ─────いいわけないじゃないか。



    ─────彼女はただ『絶望させたい』だけ。それは僕が目指す理想とは違う。



    ─────理想、かぁ。君の理想って?



    ─────さぁ、ね。言えばまた、今度は君と意見が食い違うかもしれない。



    ─────ふぅん。まぁいいよ。



    ─────うん。 ……それよりも、さ。やることは分かってるね?



    ─────ああ、まぁね。


















    ─────『裏切り者は始末せよ』って言いたいんでしょ?
  69. 95 : : 2015/12/06(日) 12:17:40
    期待
  70. 96 : : 2015/12/07(月) 20:24:54
    期待

    題名みたとき、異常ヶ峰学園の葉隠のことかと思いましたw
  71. 97 : : 2015/12/15(火) 23:07:57

    この世界は、間違っている。

    誰かが直さなくてはならない。

    言葉だけの、上辺だけの口約束なんかじゃない。

    行動に示さなくてはならない。

    意識を、植え付けるんだ。

    行動を、始めるんだ。















    大神「これか……どうにか無事のようだ」



    横転したトラックから軽々とガスボンベを出す大神。



    苗木「よかった……とにかく、言われた通りに運ぼう」

    終里「結構重いな、こんなもんどーすんだよ?」

    ペコ「体育館が近くてよかったな……ん?」



    その女は、まるで舞台の主役のように両手を広げながら現れた。



    江ノ島「ご機嫌よう、諸君」



    その様子が今の状況に合ってないのは一目瞭然である。



    大神「………何の用だ?」

    江ノ島「ん〜いや……なんかこう、都合良すぎるって言うかさ?」

    江ノ島「ことが上手くいき過ぎてる、みたいな?」

    ペコ「それはどっち(・・・)のことだ?」

    終里「んだオイ、ちょっかい出そうってのかよ?」

    江ノ島「まぁ、そんなとこかな」

    終里「………」

    江ノ島「なんかさぁ……足りないんだよね、絶望感が」

    苗木「江ノ島さん……」











    苗木「君が、黒幕なのかい?」










    静かな声とは裏腹に、その表情は怒りに満ちている。








    江ノ島「んー……ちょい待って、この場合なんて言えばいいんだろうね」



    下を向きながら顎に手を当ててしばらく考えていた。



    江ノ島「まぁそうだね、ハイともイイエとも言えるんだよなぁ。ただ『黒幕』と言われるとコレちょっと違う気が」

    ペコ「お前はハイかイイエかで答えることもできないのか?」

    江ノ島「んー……わかった。『今は』私が黒幕だy」



    言い終わると同時に、短い銃声とともに一発の弾丸が彼女の顔のすぐ横を掠めた。















    苗木「今のはまだ『脅し』だ。次は撃つ」



    突き刺さるほど真っ直ぐな目で、苗木は言い放った。
  72. 98 : : 2015/12/15(火) 23:42:46
    期待(o>ω<o)
  73. 99 : : 2015/12/18(金) 18:56:39

    大神「貴様が化物共を操っているのか?」

    江ノ島「『今は』ね。話は最後まで聞いてほしいワケよ」



    銃を構える苗木から目を離さないように彼女は語り出す。



    江ノ島「私はね、後押ししてやっただけさ。腹ン中にドス黒い恨みや憎しみを蓄えた人間をね」

    江ノ島「まぁ……ここまで面白いことになるとは思わなかったからさ、正直テンション上がっちゃってるところもあるわ」

    終里「オメーを殺せば全部終わんのか?」

    江ノ島「全部……は終わらない。けど、ある程度アンタらが求めてる真実には近づくんだろうね。まぁそもそも……」



    先の読めない不気味な笑みのまま、目をカッと見開いた。



    江ノ島「殺せたらの話だけどな!」



    右手を高く上げ、指をパチンと鳴らす。



    「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwww(՞ةڼ◔)」
    「イヒーwwwwイヒヒヒヒヒwwww」
    「オビョョョョビョビョビョwwwwヌベッテョヌンジョョベリンスオッピョーwwww」
    「ンダバジャドボケゴベンソンゴババババwwwwwwwwwゴバババババwwwwww」
     

    ペコ「なっ……!?」



    バケモノは苗木達を囲むように地中から姿を現した。
    野菜を収穫するかの如く次々と姿を現していく。

    江ノ島に照準を合わせていた苗木もバケモノの群れで視界をブロックされてしまった。



    江ノ島「『殺れ』」

    「「「イヒーwwwww(՞ةڼ◔)」」」

    終里「この量はさすがにキツイな……どうする」

    大神「我が引きつけよう。皆はその隙に体育館へ行くのだ!」



    雄叫びをあげ、バケモノに一直線に走る大神。



    ペコ「今だ!」

    終里「おし!みんなガスボンベは持ったな!行くぞ!」



    大量のバケモノとすれ違いながら校舎に入る。
    都会の交差点のように、関係ない顔たちはお互い目も合わせない。

    彼らの頭には目には耳には、『殺れ』の一言しか無いのだから。



    江ノ島「さて……まだだな。まだ足りない」

    江ノ島「もっと絶望を与えなきゃね。もっともっと絶望してもらわなきゃさあ」








    ─────この世界を絶望で染める。



    ─────コントローラーを握るのは私だ!!


























    「絶望を与えて、その後どうするのかな?」




















    癪に障る声。

    ………の前に、異変に気が付いた。












    自分がバケモノ達に囲まれているのだ。

    一瞬すれ違うだけの関係は、今度は確実にこちらを見つめて一定の距離を保っている。

    指示を……待っている?

    ………どういうつもりだ?






















    江ノ島「……狛枝凪斗」

    狛枝「……ふふ」
  74. 100 : : 2015/12/18(金) 20:52:49

    狛枝「もう分かるよね……今キミに『権限』は無い」

    江ノ島「へぇ……ここまで順調だったってのに、今更私達を裏切ろうってんだ?」



    狛枝は一瞬ぽかんとした後、すぐまた気味悪い笑みを浮かべる。
    そして顔を伏せると同時に、堪え切れなくなったと言わんばかりに笑い出した。



    江ノ島「……何だよ?」

    狛枝「いやぁ……自分の立場を理解してないってダメだなぁと思ってね」



    言葉をわざと遠回しにしてくる狛枝の態度に江ノ島は段々腹が立ってくる。



    江ノ島「言いたいことわかんないんだけど?」

    狛枝「別に何も、簡単な話さ」

    狛枝「『裏切ったのは君の方でしょ?』ってだけの、簡単なハナシ」

















    罪木「ヌベヂョン(՞ةڼ◔)」

    苗木「あ、あれ……随分大きくなったね?」

    ペコ「こ、こんなになるまで人間を吸収していたのか……!?」

    終里「ば、馬鹿野郎オメーら、気づかれたらどーすんだ」

    罪木「ヌッツォロネゴスヨンヌ!!ヌッツォロネゴスヨンヌ!!(՞ةڼ◔)」

    「イヒーwwwwwヒーwwwwwwww」

    「ヌベッテョヌンジョョベリンスオッピョーwwwwww(՞ةڼ◔)」

    苗木「くっ……気付かれてたんだ!!」



    咄嗟に銃を構える苗木。
    その手を抑えた辺古山がバケモノを斬り伏せる。



    ペコ「馬鹿!ガスボンベが近くにあるのを忘れるな!!下手すりゃ私達ごとお陀仏になるんだぞ!!」

    苗木「あっ……ご、ごめん」

    終里「やべ、罪木のヤロー直接オレらを潰す気だ!!逃げんぞ!!」

    罪木「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwwww(՞ةڼ◔)」









    大神「くっ………」



    その拳で倒したのであろうバケモノ達は既に山のように積み重なっていた。



    大神「おのれ……まだ来るか!!」

    「ムョンヌゴルスコンダ( ՞ةڼ◔)」

    「( ՞ةڼ◔)ヌベヂョンw」

    「ヌベーwww(՞ةڼ◔)ヌベスコwww(՞ةڼ◔)」



    次々と現れるバケモノ達は川の如く大神に向かって流れていく。



    大神「くっ……おおおお!!!」

    大神「………ん?」



    疲労する身体に力を入れて立ち上がった大神は足を止めた。

    自分を殺さんと向かってくる者たちが後方から次々に吹き飛ばされていく。

    川に放たれたサメのようにバケモノ達を掻き分けて現れたのは……タンクローリー車だった。



    日向「うおおおお!?」

    七海「ひ、日向君……そっちアクセルだよ」

    日向「こ、こっちか!?わからん!!」



    タンクローリー車は大神の目の前で急停止。
    というか、大神の筋肉がブレーキの手助けをした。





    大神「………」

    七海「日向君、湾岸と同じ感覚だって」

    日向「だからやったことないんだって!!」

    大神「これは……何だ?」



    額の汗を拭って呼吸を落ち着かせる日向。



    日向「これな……霧切に頼まれたんだ」
  75. 101 : : 2015/12/22(火) 18:09:53
    日向君の
    こ、こっちか!?わからん!!
    で吹いたww
  76. 102 : : 2016/01/03(日) 12:34:19
    今更ですが期待です!
    頑張ってください!
  77. 103 : : 2016/01/31(日) 13:41:10

    九頭龍「くっそ……」



    ─────おそらく、最後の命令が下される。



    九頭龍「何だよ、ソレ……」



    ほんの5分前のことだった。



    九頭龍「これ……大丈夫なんだろうな?」

    戦刃「うん。私も危険物の専門知識があるわけではないから100%とは言えないけれど」

    九頭龍「とにかく、設置してくりゃいいんだろ?」

    戦刃「ガスボンベが置いてある場所、わかる?」

    九頭龍「ああ。アイツらが上手くやってんならな。お前はタンクローリーだったか?」

    戦刃「うん。日向さん達が運んできたみたい。」

    九頭龍「おし……とにかく急ぐぞ!」



    苗木達が霧切の命令で動かしたガスボンベ。

    日向が運んできたタンクローリー。

    もはや花火大会とかそんなレベルじゃねぇ。



    九頭龍「……ん?」



    食堂を通ったとき、ソレに気がついた。

    血塗れの、新しい死者。



    九頭龍「江ノ島!!」



    もはや誰のものなのかわからない血溜まりを踏みながら一直線に傷だらけの彼女の元へ向かう。



    江ノ島「く……くくく……絶望的だね」

    九頭龍「生きてるか……おい何があった!?」

    江ノ島「狛枝……奴さ」

    九頭龍「何!?」

    江ノ島「バケモノ共は……今アイツが動かしてる。おそらく、最後の命令が下される」

    九頭龍「最後の……命令?」

    江ノ島「いや……もしくは……うぐっ」



    内臓まで傷だらけのようで、江ノ島は大量に吐血した。



    九頭龍「お、おい分かったもう喋るな!狛枝の奴を止めりゃいいんだろ?それなら俺たちが……お、おい江ノ島?おい!おい!!」



    彼女は動かなくなった。
    完全に死亡している。



    九頭龍「…………クソッタレが!!!」















    苗木「よし……これでいい」

    狛枝「へぇ、何の催しかな」



    振り返ると、淡く白い髪をチカチカ揺らしながら狛枝が歩いてきた。
    ゆっくりと壁に寄りかかって不気味な笑みを浮かべる。



    苗木「君は……」

    狛枝「こちらからも挨拶しなきゃ、と思ってさ」



    ……挨拶?



    狛枝「五階で待ってるよ。なんだったら他のお仲間も連れておいで」



    それだけ言って彼は立ち去った。



    苗木「…………」











    霧切「!」



    自分の携帯が鳴ったことに気付き、画面を覗く。



    霧切「……五階?」
















    日向「五階……なんだ?」

    七海「狛枝君が呼んでるって、
    どういうことだろう」

    大神「とにかく……ここに用はない以上行くしかあるまい」






    ペコ「苗木!」

    苗木「……辺古山さん」

    終里「どういうこった?狛枝が呼んでるって何だよ」

    苗木「……僕も、よくわからない。けれど…」

    終里「んー……とにかく、行きゃあわかるっつー感じだろ?」



    面倒くさいと言わんばかりに後ろ髪をかく終里。
    苗木はただ頷くことしかできなかった。













    霧切「……来たようね」



    最初に『そこ』に居たのは霧切だった。

    次に苗木、辺古山、終里。その次に日向、七海、大神。
    ここは……たしか、監視カメラの……。



    苗木「………開けるよ」



    苗木が扉を開くと、液晶の灯りだけの薄暗い部屋には2つの人影があった。








    狛枝「………ようこそ、『真実』へ」

    狛枝「君たちの希望のためにもボク()は全てを話さないと、さ」

    苗木「………そっか」



    なんとなく、理解できた。

    世界を動かすほどの力は、宗教ではない。
    総理大臣でも、大統領でもない。
    ウイルス……はあるかもしれないけど。

    でも、答えはここにあった。

    いや、ここに居た。
    1人だけずっと安全圏にいた人物。


























    苗木「…………不二咲さん」
  78. 104 : : 2016/02/05(金) 19:06:49
    まさかの展開…
    期待です!
  79. 105 : : 2016/03/01(火) 00:28:19
    一気に読んでしまった、期待
    ここから狛枝が不二咲に裏切られると予想するがどうだろう
  80. 122 : : 2016/10/23(日) 14:44:17
    狛枝にしてはなんか喋らねえなと思ってたけどお前かよおおおおおwwwww
    面白いww応援してます!!
  81. 129 : : 2016/11/13(日) 12:50:56
    期待です!
  82. 137 : : 2017/01/08(日) 18:26:25
    タイトルのあのバグり方はどういう原理なんだ
  83. 138 : : 2017/03/19(日) 11:00:54
    ダンガンロンパでヌベスコとかなんという俺得└(՞ةڼ◔)」キタイ
  84. 142 : : 2017/05/29(月) 19:23:11
    更新楽しみに待ってます!
  85. 173 : : 2017/12/19(火) 23:03:36
    待たせるという絶望感を味わさせながらの更新という名の希望が……
  86. 177 : : 2018/01/10(水) 22:39:03
    お前ら普通に待ちなよ。
  87. 182 : : 2018/02/11(日) 16:17:00
    お待たせいたしました。

    もう何レスかではありますが、最後までお付き合いください。







    霧切「超高校級のプログラマー、ね。なるほど」



    霧切は納得した様子。
    一歩前に出て説明し始める。



    霧切「にわかには信じがたいけれど、このバケモノ騒ぎの元凶はあなたが作ったプログラムのようね」

    日向「は!?いやいやいや」



    何が何だかチンプンカンプンな終里を除けば、今更そんな反応を見せるのは日向だけだった。



    霧切「数列を少しずつ変えることで彼らに細かい指令を与えていた」

    霧切「簡単なプログラムであれば素人(だれ)でも操作することが可能」

    霧切「端末でも操作が可能なら、アカウントを作成してログインさえすれば……誰でもね」

    日向「…………」



    拍手。
    ゆっくりと余裕のあるクラップで狛枝が「正解」と呟く。



    狛枝「勿論、まだ『彼ら』になってない者はいるだろうさ。世界のどこかにはね」

    狛枝「この国を中心とした世界の人口の約3割……そして、彼らが感染を拡大させてどんどん数を増やしていった」

    苗木「江ノ島さんがバケモノを操っているひとりだった」

    霧切「九頭龍君によると江ノ島さんは狛枝君、貴方に殺されたと」

    狛枝「さすが探偵だね。まぁ結論から言うと全部正解さ。だってボクらと目的(ノリ)合わないんだもん」

    狛枝「絶望を乗り越えた希望……それこそが、ボクの望むものだよ」

    狛枝「絶望自体を望んでるわけじゃない。それじゃあ、何の意味もないんだからさ」

    苗木「それで……江ノ島さんを消したのか」

    狛枝「まぁね。てかそれが『此処』でのボクの仕事みたいなモンだし、さ」



    淡々と話す狛枝の後ろ、ずっとパソコンを操作していた不二咲が静かにこちらを向く。


























    と、同時に狛枝の胸から血が噴き出した。























    狛枝「あれっ」

    不二咲「それが君の目的なら君も消すしかないね」

    不二咲「最初からこうなるだろうとは思ってたけどさ」



    拳銃を今度はこちらに向けて、不二咲は続ける。

    日向は不二咲の目を見つめる。

    学園に逃げ込んできたときの怯えた泣き顔と、今の不二咲の、翅をもがれて苦しむ蜻蛉を見るような顔。

    虫も殺せぬような女だと思っていた彼女と、仲間の命を指一本で奪った彼女は、まるで別人のようだ。















    不二咲「僕の目的はこの世界をゼロに戻すことだよ」

    苗木「ゼロに……?」
  88. 183 : : 2018/02/11(日) 16:18:17


    不二咲「僕のお父さんはね、飲酒運転する車に轢き殺されたのさ」

    不二咲「相手は未成年で無免許。死刑までは行かなくとも極刑は必須のはず」



    思い出したくないかのようにときどき目を伏せながら話している。



    不二咲「そうして最終的に加害者に与えられた結末は何だったと思う?」

    苗木「えっ?」

    霧切「無罪……だったわね」

    日向「は!?そんなことあるわけ……」

    不二咲「いいや、その通りさ」



    不二咲「未成年飲酒、無免許運転、飲酒運転。挙げ句の果てには轢き逃げ。再審までしたんだよ?それなのに、未成年だからと無罪だった」

    不二咲「こんなクズの人権は尊重して、何の罪もないお父さんは死人に口無しなの?おかしいよね」

    不二咲「おかしいよね、こんな世の中」



    霧切「裁判の一週間後、加害者だった男性と裁判を担当した裁判官が二人揃ってバラバラ死体で発見された」

    霧切「……あなたの犯行だったのね」



    顎に手を当てて話す霧切。
    その視線は不二咲を捕らえて離さない。



    不二咲「死んでいい奴……というか、死ななきゃいけない奴だったからね」

    不二咲「そいつがのうのうと生きてる間僕は悔しんで苦しんで全身を焼かれるような痛みを感じながら生きてきたんだ」

    不二咲「そのツケを払わせただけの、当然のことさ。悪い?」

    不二咲「近年でも、集団強姦事件で加害者が不起訴になるばかりか何故か被害者に対して非を探し始めたり、ボケ老人の運転が学生の未来を奪うような信じられない話が後を絶たない」

    不二咲「被害者が最終的に損をするような国だ」

    不二咲「クズな犯罪者共の人権は守って被害者や遺族のことなんて微塵も考えないような国だ」

    不二咲「国民の生活を保証せず目先のイベントに気を取られて無駄な大金を使うような国だ」

    不二咲「将来ある若者から金を搾り取って、将来もクソもない老害共のために充てるような国だ」

    不二咲「自分たちより良い思いをするのが許せない政治家たちが、自分らの給料は減らさないで各企業や国民の負担ばかりを増やしていくような国だ」



    不二咲「この国の関節は外れちゃったんだ。歯車がイカれちゃったんだよ。僕がそれを直すために、まずは世界をゼロに戻してやるんだ」



    邪悪だけれど、それでいて強い意志のある顔だった。



    日向「ゼロに戻すって……罪のない人まで無惨に殺しておいて何言ってんだ!?」

    不二咲「罪がない、なんてどうして言えるの?その人たちがどんなことして生きてきたかなんて、君にはわからないのに」

    不二咲「物事の表面しか見えてないんじゃないの?テレビの報道を鵜呑みにしちゃいけないよ」

    日向「…………」

    霧切「それで、『自分にできること』を探した結果が現状(これ)というわけね」

    ペコ「さすがに……狂っているとしか言いようがないな」

    不二咲「狂っているのは、この世界の方だよ」



    不二咲「世界を壊すのはテロリストじゃない。大統領の暗殺でもない。『これくらいなら軽いだろう』という小さな犯罪の積み重ねさ」

    不二咲「それを見て見ぬフリしてきた、この世界への仕返しだ」








    身体に見合わぬほど、声は怒りに満ちていた。
  89. 184 : : 2018/02/11(日) 16:21:07


    終里「よくわかんねーけど……ゼロに戻して、それからどーすんだよ?」

    不二咲「そうしたら、またイチから作り直すだけだよ」

    終里「いや、そんなブロックみてえに言われてもよ……」

    不二咲「同じさ。壊すのは簡単でいいけど、作り直すのは繊細に、綿密に」

    七海「そんなの、間違ってるよ」


















    何も言わなかった七海が口を開いた。












    不二咲「何が」

    七海「世界を直すなんて、誰にもできない」

    七海「あなたが主観で動いている限り、無理だよ」

    七海「世界をゼロにして、それでお父さんが戻ってくるの?違うでしょ?」

    不二咲「そういうことを言いたいんじゃない」

    七海「そういうことでしょ」

    七海「あなたのお父さんは、こんなこと望んでないと思うよ」

    不二咲「五月蝿い!!!!」



    デスクを思いっきり叩きつける不二咲。

    叩きつけた部分から血が滲み始めるほどの強さだったようだ。



    不二咲「誰が望んでるとか望んでないとか、関係ないんだよ!!僕がこの世界を許せないから壊すんだ!!!それ以上も以下もない!!!」

    ペコ「何だそれは!!結局お前の主観で世界を否定してるだけじゃないか!!」

    不二咲「黙れよ!!!お前等に何が分かる!!!」

    七海「わかるよ」



    皆の注目が七海に集まる。



    七海「私も、同じことがあったから」

    不二咲「えっ」

    七海「全く同じ。それで私は両親を失った」

    不二咲「…………」

    七海「もちろん、犯人に対してちょっとは恨みや怒りはあったよ。だからこそあなたの気持ちはわかる」

    七海「でも、復讐しようとか世界を壊そうとは思わなかった。そんなことしたって、私の両親は戻ってこないんだから」

    七海「それどころか、私まで手を汚したら加害者と一緒になっちゃう」

    七海「どんなに許せなくても……自分が一番嫌いな人間と同じになるのは、嫌だった」

    七海「私は、あなたにはそうなってほしくないと思う」












    不二咲「………………」

    不二咲「じゃあ……どうすればよかったんだよ?」



    不二咲の瞳から雫がこぼれだす。



    不二咲「僕は……この許せない世界で……どうすればよかったんだよ?」

    不二咲「友達もみんなバケモノになった。迷いも躊躇いもあった。けど、それでもいいと思った。この歪んだ世界を壊せるなら、それで……」

    不二咲「なのに……何なんだよ?普段は加害者に極刑を受けるべきだとか言うくせに、なのに、なんでやっとの思いで極刑を下したらみんな僕を怒るんだよ……?」

    不二咲「この世界は狂ってるんだ……誰かが、誰かが直さないと……だから僕は…………」

    七海「まだ、やり直せるよ」

    七海「私たちと一緒に、戦おう」



    七海「外のバケモノたちと、そしてこの社会と」


















    不二咲「…………」

























    不二咲「……ハハッ」
  90. 185 : : 2018/02/11(日) 16:27:13


    不二咲「やっぱり、解ってなんかいないじゃないか」

    不二咲「それらしいこと言って、結局は綺麗事じゃないか」

    不二咲「それで丸く収まると思ってるなら、あの裁判官と同じだ!!」



    掻き毟って舌打ちする不二咲。
    年相応の少女の行動とは思えないほど荒々しい。



    不二咲「外に出て、戦うって?あの人数相手に?」

    不二咲「社会と戦うって!?どうやって!?」

    不二咲「そんなに綺麗事で括りたいんなら……!!」

    大神「! 気をつけろ皆!!」



    不二咲が再び銃を構える。

    辺古山は刀を構えた。

    大神は直ぐにでも体当たりできる態勢をとる。

    七海は正面に立って、自分の身を守ろうともせずただ不二咲を見つめていた。


























    不二咲「やってみせろ!!!この世界で!!!!」





































    破裂音。
    パァン、とひとつだけ銃声が鳴った。

    一瞬目を瞑る、苗木、日向、終里、七海。
    撃たれたのは、誰だ? 



    日向「み、みんな、大丈夫……か?」

    霧切「…………」



    頭から血を流して倒れていたのは、不二咲だった。



    苗木「なっ……」

    終里「おい、これ……終わったのか?こいつが死んだら……誰がバケモん共のボスなんだよ?」

    ペコ「司令塔がいなくなったら……まずい!司令塔がいなくなったら、奴らはまた無差別に人を襲うんじゃないのか!?」

    日向「何!?早くここから出ないと……おい、霧切?」



    不二咲の死体を除けて、霧切は彼女の使うパソコンの前に立つ。



    大神「霧切よ、どうしたのだ?」

    霧切「考えていたのよ。不二咲さんはプログラムでこの大惨事を招いたならば」

    霧切「この大惨事を治す(・・・・・・・・)プログラムもあるんじゃないかと」

    日向「はぁ!?」

    ペコ「そんなのあるのか?」

    霧切「幸い、彼女が死んでも強制ログアウトはしていない。何かひとつでも……」



    その時、霧切の携帯が鳴る。

    霧切は無言で苗木に渡した。
    苗木はその意図を読み取り、音量最大にして電話にでる。

    画面の文字は、『九頭龍』。




    苗木「はい!今霧切さんの代理で……」

    九頭龍『苗木か、まぁ誰でもいい聞け!爆薬と燃料の設置が全て終わった!俺も戦刃と合流したし、あとは皆で外に出るだけだ!』

    霧切「タイムリミット」

    苗木「九頭龍君、爆弾のタイムリミットとかってある!?」

    九頭龍『最初に仕掛けたやつが……いくつだ?』

    戦刃『あと8分』

    九頭龍『8分!一番早くて8分だ!急いでくれ!!』

    霧切「8分……!」



    さすがの霧切も苦悶の表情だ。



    ペコ「霧切、どうだ!できそうなのか!?」

    霧切「…………」



    結論から言うと、無かったのだ。プログラムが。
    だが、不二咲はプログラムひとつを屋上のアンテナで莫大に拡散させた。
    同じ要領で、できるはず。

    霧切は何も言わなかったが、皆彼女の表情を見て悟った。
    道具は揃っている。なのに……。



    七海「プログラムがないなら、作ればいいと思うよ」

    日向「七海!?何言ってんだ!!」

    苗木「8分で……できるの?」

    七海「『どんな不可能も、やり遂げちまえば可能に変わる!』。そうでしょ?」

    ペコ「何……ゲーム……の台詞?」

    七海「私も手伝う。そんなに役には立たないけど、今は少しでも状況を変えたい」

    七海「理由なんてそれでいいと思うんだ。私は可能性があるならそれに全てのチップを賭けたい」

    苗木「僕も、残るよ」

    霧切「!」

    苗木「僕も可能性が少しでもあるなら、それに賭けたい」

    苗木「3人揃えば何とやらってね……不可能だって何だって、そうやって可能に変えられると思うんだ」

    苗木「そのための、『超高校級』でしょ?」










    なんて、ただの『幸運』の言うことじゃ説得力皆無だよな。
    苗木は心の中で自分に突っ込んだ。
  91. 186 : : 2018/02/11(日) 16:32:14

    霧切「じゃあ、頼めるかしら」



    霧切は、少しだけ微笑んだ。
    七海も、少しだけ笑った。
    苗木も、笑顔だった。

    日向は顔が引きつっていた。



    苗木「日向君、僕らは最後まで頑張ってみる」

    苗木「だから……皆を頼むよ」

    日向「お……お、おう!!」

    終里「よォし!こっちは任せろ!」



    戸惑いながらも日向は武器を構える。



    日向「行くぞ!!」
    ペコ・大神「「応!!」」



    廊下を疾走、階段を降りていく。

    はぐれないように、置いて行かないように。

    誰も死なないように、皆で生ききるように。



    「( ՞ةڼ◔)イヒーーーーーwwwwww」

    「(՞ةڼ◔)ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwww」

    「└(՞ةڼ◔)」オビョョョョビョビョビョビョビョビョビョョョョョwwwwwwwwww」

    「アオーーーーーンwwwwwwwwオウオウアオーー( ՞ةڼ◔)ーーーンwwオウオウアオーーー( ∩՞ټ՞∩)ーーーーーンwwwwwww」



    九頭龍「いた!ペコ!!」

    ペコ「坊っっ九頭龍!よし合流だ……!!」

    終里「おォし!!蹴散らすぞ!!」

    九頭龍「戦刃は先に外に行かせた!俺たちも続くぞ!」

    日向「もうすぐだ!!行くぞ皆!!」

    「└(՞ةڼ◔)」ギャアアアア鼻打撲眼球破裂脳挫傷頬骨骨折脊椎損傷wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

    「( ՞ةڼ◔)ギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョギョwwwwwwwwwwwww」

    「(՞ةڼ◔)アボボボアバババ怪我怪我怪我怪我怪我怪我死亡ーーーーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

    「人生ってなんでこう、儚いんでしょうかね……( ՞ةڼ◔)」

    九頭龍「おい、霧切は!?」

    日向「あとで話す!!!」



    こちらに向かってきていたのか、夥しい数のバケモノがまた学園内に押し寄せていた。

    それでも励まし合って支え合って進む。

    ひたすら撃つ。斬る。殴る。蹴る。飛ばす。



    大神「うおおおお!!!!」
    終里「オラオラオラオラ!!!」



    生きるために、足掻く。不可能も可能に変える。

    希望に賭ける友のためにも、狂気に負けない!



    日向「戦刃!!」



    玄関まで辿り着いた日向たち。
    戦刃は軽トラックでバケモノを蹴散らしながら同時に銃で応戦していた。



    戦刃「乗って!少し離れるよ!!」



    トラックの荷台に乗り込む。荷台には既に武器がいくつか積んであった。



    罪木「ヌベーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」



    バケモノを取り込みすぎて、既に体育館に収まらなくなっていた罪木が接近してくる。



    大神「そうだ!!奴がいた……!!」
    ペコ「これ使えないか?」



    辺古山が取り出したのは、ロケットランチャー。



    ペコ「三丁ある、同時に撃ち込めば足止めくらいならできるはず…………多分」

    九頭龍「……やるか」



    バケモノの塊が片足上げたときを見計らい、一斉掃射。
    爆発、転倒、更には180度回転。



    戦刃「あれなら暫く動けないよ。行こう!」

    九頭龍「そうだ!!日向、七海たちはどうしたんだ!?」

    日向「それが……」



    日向はことの顚末を説明する。



    九頭龍「おい、大丈夫なのか?残り4分だぞ、大丈夫なんだよな!?」

    終里「大丈夫だ!根拠ねーけど!」

    九頭龍「何だよそれ!」

    終里「信じろってことだ!よくわかんねーけど!!」

    九頭龍「よし分かった信じよう!」

    終里「早ぇな!!!!」
  92. 187 : : 2018/02/11(日) 16:34:07

    希望ヶ峰学園の近く、すこしだけ高い位置にあるほぼ公園扱いになっている空き地。

    ここからは学園の校舎がよく見えるのだ。

    軽トラックを停車し、皆が固唾を飲んで校舎を見つめる。



    ペコ「大丈夫なんだろうな……?」



    辺古山が不安そうな声を漏らす。

    戦刃も大神も下唇を噛んで校舎から目を離さない。

    日向、九頭龍はチラチラと何度も時計を確認する。

    残り3分。

    自分の誕生日の前日に日付が変わるのを待つときのように落ち着かない。



    戦刃「ねえ、やっぱり無理だったんじゃ……」

    大神「(いや)、もし無理なら霧切はおそらく早急に脱出という判断をするはず……」

    九頭龍「けど出てくる気配ねぇぞ……?」

















    残り2分。

    心臓がツインペダルのように高速で鼓動を鳴らす。
    冷や汗が止まらない。

    七海……大丈夫だよな?

    大丈夫なんだよな……!?



























    残り、1分。

    誰も言葉を発せなくなった。

    無言でキョロキョロする終里、時計と校舎を交互に見る九頭龍、腕組みが祈りに変わった大神。

    日向は、目を瞑る。



    九頭龍「……時間だ」











































    地は揺れ、轟音とともに希望ヶ峰学園が光に包まれる。
    その後、黒い煙と赤い炎を拡散して大爆発。

    皆が設置した大量の燃料と爆薬が生み出した地獄のセレモニー。

    花火大会のようにドンと厳つい音が何度も鳴り響き、爆発が日向たちのいる空き地まで強風を運んでくる。
    都会の中心にそびえ立つ校舎は跡形無く崩壊し、アニメのように煙が上がった。



    戦刃「すごい爆発……」

    日向「な、七海たちは……」



    その時、日向たちの後ろで大きい音がした。



    ペコ「な、何だこれ?」



    クマの顔がついた、大きな鉄の塊。
    小さいが、ロケット……に見えなくもない。

    正面の扉が開き、中から出てきたのは……。











    苗木「いててて……二人とも無事?」

    霧切「ゲホッ……ええ、なんとか」

    七海「HP1しか残ってない……」




    終里「おおお!!生きてたじゃねえか!!」

    苗木「なんとかね……霧切さんがこれを見つけてギリギリ脱出できたんだ」

    七海「何のために作られたのかわかんないけど、これのお陰だよね」

    日向「大丈夫……だったのか?」

    霧切「ええ、大丈夫よ」

    霧切「ちゃんと作ったわ。プログラム」

    大神「なんと!?」

    七海「エクストラハードだったけどね」

    霧切「残り2分ってところでアンテナに送信、拡散できたわ。もし全部成功してるなら……元に戻る人は元に戻るはずよ」

    戦刃「『元に戻る人は』って??」


    霧切「狛枝君が言っていたわ。プログラムでバケモノ化できた人間は世界の3割程度だと。国内でもまだ無事な人は居る筈だし、感染された者でも早ければ元に戻ると思うわ」



    霧切「ああ、ちなみに狛枝君だけど生きてたわ。何をするかわからないから置いてきたけど。今頃あの大爆発で木っ端微塵かしら」
  93. 188 : : 2018/02/11(日) 16:36:52

    日向「えーと……つまり、戻らなかったら……?」

    霧切「今まで通りよ。殺すしかないわ」



    今まで通り。
    その言葉にまた緊張感が走る。



    霧切「彼女が……不二咲さんが作っていたのは脳を支配するプログラムのようだったわ。宗教の洗脳と同じ。行くところまで行ってしまえばもう元には戻れない」

    ペコ「洗脳が浅いうちは説得すれば正気に戻れるだろうが……思想に浸かってしまうともう手の施しようがないからな」

    終里「……???」

    九頭龍「……まぁ、要するに感染してから時間が経ってる奴らは治らねえって話だろ。そりゃそうか……そうだよな」



    終里はやっと納得したような顔になった。



    日向「今まで通り……」



    誰が向かってきても、生きるために殺す。

    戦争に駆り出されるアフリカの子供のように、慣れない銃を撃って、腕が疲れて目が眩んで耳が痛くて。

    仲間が何人も戦死して。

    戦争が終わったかのように安心したら、その末に突きつけられた答えは『今まで通り』。

    まだ、終わっていない。
    まだまだ終わらない。



    日向「まだ……まだ戦わなくちゃいけないのか」



    日向は拳の力が抜けてしまう。



    苗木「僕は戦うよ。そうしなければならないと思う」

    日向「苗木」

    苗木「不二咲さんは……歪んだ形でも自分なりに社会と戦おうとしていた」

    苗木「だから何というか……彼女を知った僕らも、戦わなくちゃならないと思う。彼女の代わりにってワケじゃないけれど……まだ終われないんだ。彼女が残したこの世界の責任を取るために戦わなくちゃ」

    苗木「それだけじゃない。この騒ぎで死んだ全ての人たちのためにも、だよ」

    苗木「バケモノ騒ぎで歯車の狂った世界を、僕らが治そう」



    希望ヶ峰学園の跡地を見つめながら苗木は言う。



    日向「まるで、苗木が不二咲に洗脳されたみたいだな!」



    日向は苗木の背中を叩いて少しだけ笑った。

    苗木もつられて笑った。

    まだ終わらない。
    でもゴールは確実に見えているんだ。

    そこに辿り着くまでは、戦う。

    この、歪んで、狂って、軋んだ社会と─────戦う。

    日向は拳をぐっと握りしめた。








































    ───────────────────






    ───────────────






    ──────────





































    女「ねえ、サイハラくん」



    サイハラと呼ばれる男がその声に反応する。



    男「何?アカマツさん」

    女「知ってる?私たちの学校、昔はすごい才能のある人たちを集める学校だったんだって」
  94. 189 : : 2018/02/11(日) 16:38:03

    男「ああ、うん、知ってるよ。確か『バイオプログラム事件』のときに崩壊したんだよね。その跡地に今僕らが通う学校が建てられて現在に至る、と」



    アカマツと呼ばれる女の問いにサイハラはすらすらと答える。



    女「『バイオプログラム事件』か……。なんだか、現実味ないよねー。20年前なんて私たち生まれてすらいないけど、バイオハザードみたいな事件が実際に世界各地で起きてたなんて」

    男「そうだね。僕は事件そのものよりも、そんな世界的大事件が20年で完全復興にまで至ってるのが不思議だよ」

    男「当時はどこの国も大惨事だったはずなのに、今はこの通り。道も土地も街も店も、全部平和さ。けど、いくらなんでも世界中が全て元どおりなんておかしくないかと思って」

    女「確かに!しかも事件自体は1日で終わったらしいじゃん」

    男「そう、そこもアレだよね。何があったんだかわけがわからないよ」



    サイハラとアカマツはそんな話をしながら帰路を歩いていた。



    女「あ、シロガネさんから……うーん」



    スマートフォンの画面を見つめるアカマツは少し不満そうな顔だ。



    男「どうしたの?」

    女「いや、これからカラオケ行かないかって誘われたんだけどさ……どうしよっかなと思って」

    男「シロガネさんかぁ。なんか、独特だよね」

    女「そうそう。見てこの文面もさあ」



    アカマツはシロガネとの会話をちらっとサイハラに見せる。
    クリーチャーのような独特な顔文字が使われていた。



    男「あはは、何これ」

    女「ねー、どうやったらこんな顔文字使おうと思うんだろうね」

    男「ハルカワさんがカラオケって珍しいね?」

    女「あー、前行ったことあるよ」

    男「へー……なんか聴いてみたいような」

    女「すっごい不慣れな感じして面白かったよ!今度一緒に行こっか!」

    男「そうだね」



    たわいのない会話は歩数とももに弾んでいく。



    男「この間またモモタ君オウマ君と揉めてたよ」

    女「へえ」

    男「オウマ君ももうちょっとどうにかしたらいいのにね」

    女「確かにぬ」

    男「いつもアマミ君が介入するんだけどお互い引き下がらなくてさ」

    女「べべべ」

    男「アカマツさん?」

    女「ん?どうかした?」

    男「いや、なんでも。集中してた?」

    女「ああ、ごめんごんめ。ところどころ聞いてなかった」

    男「ははは。いいよ、生産性のないことしか言ってないしさ」

    女「お腹減ったね」

    男「そうだね、何処か寄ろうか?」

    女「うーん、何がいいかな、政治?」

    男「この辺はいろいろあって迷っちゃうよね。喫茶店はどう?」

    女「ああ、いいね、いいねねいねいねね。インスタ蠅クソ死ね」

    男「ドトール、あっち行けばスタバ……アカマツさんはどっちがいいかな?」

    女「お腹減ったね」

    男「アカマツさん、大丈夫?」

    女「うーん、お腹減ったね」

    男「あ、そうだ、向こうのレストランに……」



    サイハラが背を向けた瞬間。




































    男「………えっ」





    彼は首筋を喰われた。

    何をされたのか、何故か一瞬で解った。

    必死に振り返るように倒れこんだその目線の先、ボーっと立っていたのは。



    男「あ、アカマツさん………?」


































































    女「ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョwwwwwww(՞ةڼ◔)」


















































    レベル1:調整中………



    データを取得中



    レベルMAX:調整完了









    CODE:NUBESUKO







    再生します……………………………………






    END
  95. 190 : : 2018/02/11(日) 16:47:11
    ほぼ2年間、多忙と文章力想像力の欠如でやっとあと少しで完結ってときに更新が停滞してしまいました。
    楽しみにされていた方には深くお詫び申し上げます。

    ただのゾンビパニックの勢いで書いたつもりが自分の中で展開があっちこっちと迷走してしまったのも原因でした。



    新作は……無いと思います、多分。
    これからは既存の作品の完結に努めることにします。


    長くなりましたが、今後ともよろしくお願いします。






    セ ՞レスة「それでは皆様、ご機嫌ヨヨヨ」


    (セ՞ةڼレ)スة「また、次ボボボボボボボボボボボボボボボwwwwwwwwwwwww」
  96. 191 : : 2018/02/11(日) 19:06:11
    お疲れ様でした

    おもしろかったよ
  97. 192 : : 2018/02/14(水) 22:30:39
    お疲れ様でした!
  98. 193 : : 2018/05/15(火) 23:12:54
    面白かったです!

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