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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

リヴァイ「王の帰還」 進撃×ロード・オブ・ザ・リング

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  1. 1 : : 2015/06/20(土) 15:58:34
    進撃×ロード・オブ・ザ・リングシリーズ。最終章「王の帰還」です。



    今までで一番長い作品になると思いますが、よろしくお願いします<m(__)m>
  2. 2 : : 2015/06/20(土) 15:59:47






















    ―――――――――――人殺しは、夢を見る。




  3. 3 : : 2015/06/20(土) 17:18:17







    小船の上に乗って、釣りをしているのはデアゴルと、彼の親友・・・・・・・・・・・・スメアゴル。


    今日はスメアゴルの誕生日とあって、二人で川釣りに来たのである。









    バシャッ!


    浮きが沈む。







    デアゴル「スメアゴル! かかったぞッ!」


    興奮気味に語るデアゴル。








    スメアゴル「ゆっくりだッ! ゆっくり竿を引くんだよッ!!」


    スメアゴルも興奮気味だ。








    グイッ!


    デアゴル「うわぁッ!!!」










    バシャアァアンッ!!!







    川の主と思しき魚に引っ張られ、デアゴルは小舟から落ちてしまった。



    スメアゴル「デアゴルッ!!!」








  4. 4 : : 2015/06/20(土) 17:19:02







    川の主に引っ張られたデアゴルは、そのまま川底まで引きずられていった。









    ――――――息が・・・・・・苦しい。












    ふとそのとき、デアゴルは、川底に光るものを見つけた。


    手を伸ばし、その光るものを手に入れるデアゴル。

















    バシャアッ!!! デアゴル「ゲホッ! ゲホッ!」



    何とか岸辺に上がることが出来た。













    そして、彼は掴んだものを確認すべく、その手を拡げた。









    デアゴル「・・・・・・・・・・・・指輪か。」



    そこには、まじりっけなしの純金で出来た指輪があった。





  5. 5 : : 2015/06/20(土) 17:19:30








    スメアゴル「デアゴルッ! デアゴルッ!!!」


    岸辺に船をつけ、スメアゴルがほっとした様子で近づいてくる。












    と、スメアゴルの視界の中に、純金製の指輪が飛び込んできた。


    文字通り、飛び込んできたように思えたのだ。












    スメアゴル「わしら(・・・)におくれ。」










    突然の発言に、ゆっくりとスメアゴルを見やるデアゴル。


    デアゴル「・・・・・・・・・・・・どうして?」






    スメアゴル「どうしてって、今日はわしらの・・・・・・・・・・・・誕生日だからだよ。」




  6. 6 : : 2015/06/20(土) 17:20:20






    いきなり手を伸ばすスメアゴル。


    手を後ろにまわして渡すまいとするデアゴル。








    そのまま二人は取っ組み合いになり、指輪は地面に落ちた。










    スメアゴル「ぐああぁああぁぁぁッ!!!」


    デアゴルに顔を掴まれ、悲鳴を上げるスメアゴル。だが・・・・・・・・・・・・










    ガブッ! デアゴル「がああぁああぁぁッ!!!」


    その手を噛みつかれ、今度はデアゴルが悲鳴を上げた。




  7. 7 : : 2015/06/20(土) 17:21:05







    ―――――――この隙を、スメアゴルは逃さなかった。


    そのままデアゴルを組み伏せ、その首を締め上げていく。











    デアゴル「ぐあぁ・・・・・・があぁ・・・・・・・・・・・・あ”ぁ”あ”ぁ”ぁ”・・・・・・・・・・・・ぁ”・・・・・・・・・・・・」












    渾身の力で首を締め上げ、スメアゴルは親友を、絞め殺した。















    親友が動かなくなったことを確認したスメアゴルは、ゆっくりと指輪を拾い上げた。



    スメアゴル「わしらの・・・・・・・・・・・・愛しいしと・・・・・・・・・・・・。」













    恍惚の表情で指輪を嵌め、スメアゴルは姿を消した。











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  8. 8 : : 2015/06/20(土) 19:37:36








    スメアゴル「うわああぁああぁぁぁッ!!!」








    奴らは罵ったッ!!!


    村の奴らはわしらを追い出し、人殺しだと罵ったッ!!!








    わしらは泣いた・・・・・・。


    雨の降る中―――――何日も・・・・・・。






    スメアゴル「ゴラムッ! ゴラムッ!」


    このころに、わしらは喉をうちならすようになったのよ。





  9. 9 : : 2015/06/20(土) 19:38:21







    髪は抜け落ち、歯は何本かを残して抜け落ち、皮膚の色は青白くなり、背は曲がっていったよ。








    自分の名前なんてとうに忘れちまった。











    ゴラム「わしらが好むのは・・・・・・ぴちぴちの・・・・・・魚・・・・・・。」


    魚を捕まえては、生のまま齧り付いて貪り食った。











    パンの味なんか忘れちまった。

    風のそよぐ音、水のせせらぎもね。












    わしらは洞窟の中に入っていった。


    ずっとずっと、ひたすらわしらは愛でてきたのよ。


















    ――――――――わしらの、愛しいしと。










    ――――――







    ――――








    ――











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






  10. 10 : : 2015/06/20(土) 20:01:35




















    ――――――――ここ最近は、全く眠れなかった。


    休憩の度に横になっても、意識を手放せずにいた。









    何故なら・・・・・・俺の意識は・・・・・・。









    指輪に、向かっていたから。










    エレン「・・・・・・はぁ。」





    横になりながら、俺は左手のひらに指輪を乗せ、右手でそれを撫でるように愛でていた。


    愛しい指輪・・・・・・・・・・・・最近はそう感じることに、ためらいを覚えなくなっていた。





  11. 11 : : 2015/06/20(土) 20:03:59







    パラパラ・・・・・・




    エレン「!!!」

    咄嗟に指輪を胸元に隠す。










    スメアゴル「起きてよッ! 出発の時間だよ!?」








    休息を取っていたエレンとアルミンを、スメアゴルが起こしに来たのだ。


    ――――――やれやれ、危なかったな・・・・・・。








    アルミン「ん・・・・・・・・・・・・まだ暗いじゃないか・・・・・・。」


    寝ぼけまなこのアルミンがその目をこすりながら愚痴をこぼす。








    エレン「いや、違うぞ、アルミン・・・・・・・・・・・・もう昼前なのに、ここはこんなにも暗いんだ。」




  12. 12 : : 2015/06/20(土) 20:04:31









    ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・



    ドゴオオォオオォォォオオンッ!!!






    アルミン「うわぁッ!!!」


    エレン「なッ!?」







    あたり一面が赤く染まった。


    休むことなく活動する滅びの山が、大きな噴煙を上げて爆発したのだ。








    アルミン「全く・・・・・・・・・・・・これからキリス・ウンゴルを超えなくちゃいけないのに、先が思いやられるね・・・・・・。」


    エレン「そうだな・・・・・・・・・・・・朝食にしようぜ、アルミン。」












    全く眠れていない疲れを隠し、俺はアルミンと朝食をとる。


    影の山脈を超えれば、そこはいよいよモルドール。











    目の前に迫る闇が、徐々に、エレンの首へとまとわりつき始めた。









    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





  13. 13 : : 2015/06/20(土) 21:27:36
    スメアゴル…期待です!
  14. 14 : : 2015/06/20(土) 21:31:54
    いつもご期待ありがとうございます。


    本当にスメアゴルは、いつみても可哀相になります。
  15. 15 : : 2015/06/20(土) 21:32:20








    ガンダルフを先頭に、リヴァイ、ライナー、アニ、ピクシスがファンゴルンの森の中を、馬に乗って進んでいく。


    先の戦いで移動した森は、アイゼンガルドのすぐそばの城壁まで続いていた。












    アイゼンガルドの城壁の上では、既に酔っ払っているホビットが二人。楽しそうに会話をしていた。






    ジャン「何だか緑龍館に帰った気分だ。」


    ビールを左手に持ち、右手でパイプを吹かしながら、マルコに話しかけるジャン。






    マルコ「はは、ここは緑龍館だ、次は何食べよっかッ!?」


    同じく左手にビール、右手にパイプを持ったマルコが陽気に切り返す。






    ジャン「ようしッ! 今日はよく働いたからなッ! 七面鳥でも食うとするかッ!」



    マルコ「君がよく働いたッ!? サボってばっかだったよね!?」








    完全に出来上がった二人は、大声を上げて笑い合った。





  16. 16 : : 2015/06/20(土) 21:33:20







    するとそこに、ガンダルフの一行が到着した。







    マルコ「はっは~~~ッ!!!」*かなり酔ってます。


    ジャン「ようこそッ! 殿さま方ッ! アイゼンガルドへッ!!!」







    ガンダルフ「ホビットめ・・・・・・。」


    呆れたガンダルフがボソッと呟く。







    ライナー「お、お前らッ!? 俺たちに散々心配かけさせといて、いざ見つけてみりゃ、たらふく飲んで食って、しかも、パイプ草だとッ!?」


    少し怒った様子のライナー。






    アニ「やれやれ・・・・・・。」


    リヴァイ「心配するだけ損だったな。」


    こちらも呆れた様子のアニとリヴァイ。






    ジャン「いいじゃねえか、しっかり俺たちは働いて、こうやってアイゼンガルドを陥落させたんだぜ?」


    マルコ「そうそう、俺たちはその戦利品に酔ってるって訳なんだ。塩漬け豚は美味しかったなぁ~。」








    ライナー「塩漬け豚・・・・・・。」


    アニ(・・・・・・・・・・・・おいしそう。)









    ――――――久しぶりの再会は、ホビットの酔っ払いのせいで、なんとも間の抜けたものとなった。





  17. 17 : : 2015/06/21(日) 10:17:49




    しばらくして、少し酔いがさめてきたジャンは、ようやく真面目に話を始めた。



    ジャン「でだ、アイゼンガルドは木の髭によって管理されてる。あの魔法使い様はオルサンクの塔の中に引きこもっていらっしゃるぜ。」












    オルサンクの塔の前まで移動してきたガンダルフの一行を待っていたのは、エントの最長老、木の髭。



    木の髭「おお、ガンダルフの旦那。このアイゼンガルド、今はわしらが管理しておる。じゃが、塔の中の魔法使いは管理できん。」








    リヴァイ「そうだろうな、クソはクソでも魔法使いには違いねぇ。」



    ガンダルフ「ふむ、言葉に気を付けるのじゃ。」



    リヴァイ「あぁッ!?」



    ガンダルフ「そうではない。サルマンの言葉に気を付けるのじゃ。」







    ――――――サルマンの武器の一つは、その声にあった。

    余程意志の強い人間でない限り、彼の言葉に動かされないことはまれであった。




  18. 18 : : 2015/06/21(日) 10:19:37





    すると、オルサンクの塔の屋上に、サルマンは姿を現した。


    サルマン「ローハンとわしは、かつては膝を折って親しく過ごしてきた仲・・・・・・・・・・・・今一度和平を結び、かつての旧交に復すことは出来ないじゃろうか?」









    「和平に応じようぞ。」








    答えたのはローハンの王であるピクシスだった。


    ピクシス「お前に殺されたローハンの民の無念が晴らされたとき、和平を結ぼうぞ。」







    怒りに顔を歪めた様子で、言葉を続けるピクシス。


    ピクシス「死んでいったつわものたちの怒りが和らげられたとき、和平を結ぼうぞ。」










    最後にピクシスは、こう付け加えた。


    ピクシス「お前がカラスの慰みに、絞首台に吊るされた時・・・・・・和平を結ぼうぞ。」






  19. 19 : : 2015/06/21(日) 19:25:50






    サルマン「カラスの慰みに・・・・・・絞首台だと・・・・・・ふざけおって!」


    ピクシスの言葉に対し、あっという間に本性を現すサルマン。


    サルマン「お前など高貴な先祖の不肖な息子にすぎん! ピクシス・・・・・・馬の国の王よ!」









    すると今度は、ガンダルフに食ってかかり始めた。


    サルマン「望みは何だ、ガンダルフ。エルフの三つの指輪に九つの人間の王冠か? ドワーフの七つの王冠に五人の魔法使いの杖もかッ!?」









    ガンダルフ「お前の知っていることを話すのじゃ。」


    落ち着き払って応じるガンダルフ。







    サルマン「情報が望みか・・・・・・いいだろう。」


    そういうと、サルマンは懐から丸くて黒瞑々とした石を取り出した――――――遠くの物事を見ることが出来るパランティアの石。



  20. 20 : : 2015/06/21(日) 19:31:00






    サルマン「中つ国の中心で、ある人物が堕落した・・・・・・偉大なる御目様は御存じだ。」


    不敵な笑みを浮かべて石を覗き込み、せせら笑うサルマン。


    サルマン「その野伏が再び王位に就くことなどあり得ん。教えてくれ、ガンダルフ。どのような甘言を用いて、あのホビット二人を破滅へと送り出したのだ?」










    サルマンの指摘に、少し目を背けるガンダルフ。


    リヴァイ「ちっ、クソがクソッて言いやがって。」


    ライナー「もう十分だろ? アニ、あいつの口に矢を射かけてやれ!」


    ガンダルフ「ならんッ!」









    少し前に進み出たガンダルフが、サルマンに呼びかける。


    ガンダルフ「降りてくるのじゃ、サルマン! そうすれば命だけは助けてやろうッ!」


    サルマン「お前の慈悲など無用だッ!!!」




  21. 21 : : 2015/06/21(日) 19:34:13





    次の瞬間、サルマンは杖の先から火球を発射。


    ガンダルフに命中し、彼は炎にくるまれた――――――ように見えたが、炎はガンダルフの周りを廻るだけで、彼を傷つけなかった。









    サルマン「・・・・・・・・・・・・バカなッ!?」


    ガンダルフ「サルマン・・・・・・・・・・・・お前の杖は折れた。」







    サルマン「!!!」


    いきなりひび割れる音が響き、サルマンの杖は砕かれた。


    ――――――ガンダルフを妬み、サウロンを模倣してきたサルマンは、今や物事を捻じ曲げることしかできなくなり、気付かぬうちにその力は大きく減じていたのである。



  22. 22 : : 2015/06/21(日) 21:15:45
    ジャンとマルコ視点が唯一の癒しww
    期待です!
  23. 23 : : 2015/06/21(日) 22:26:20
    ルカさん、書き込みありがとうございます。


    二人を楽しく書いている間は本当に癒されますw
  24. 24 : : 2015/06/21(日) 22:26:31







    サルマンが杖を失い、呆然と立ち尽くしていると、その後ろに一人の男が現れた。


    その男―――――――グリマ。ピクシス王の相談役でありながら、サルマンに屈しその間者に成り果てた男だった。









    ピクシス「・・・・・・グリマか。」


    顔色の悪いその男に、ピクシスはすぐに気が付いた。








    ピクシス「・・・・・・・・・・・・もうその男にはついていくな。お主もかつては・・・・・・・・・・・・ローハンの男じゃった。」


    裏切り者であるグリマに、戻ってくるよう説得するピクシス。


    その言葉は、しかし、サルマンに遮られた。







    サルマン「ローハンの男じゃと? 馬と共に寝転がる下賤の輩ではないか!」


    ピクシスはサルマンの声を無視し、グリマに戻ってくるよう語り掛ける。




  25. 25 : : 2015/06/21(日) 22:26:56





    サルマン「無駄じゃ。こやつはわしに使える奴隷じゃ。」


    グリマ「・・・・・・・・・・・・違う。」


    弱弱しくつぶやくグリマに、サルマンは怒りの形相で振り返った。







    サルマン「黙れ・・・・・・・・・・・・この犬がッ!」


    バキッ! グリマ「ぐあッ!」


    拳で殴られ、仰向けに倒れるグリマ。


    と、殺意のこもった表情で、グリマはナイフを抜いた。








    ガンダルフ「降りてくるのじゃ、サルマンッ!」


    サルマン「お前がわしを自由にするというのなら降りて―――――――ぐはッ!!!







    背中から肺を一突き。


    サルマンは間者にしていたはずのグリマに背中を何度も刺された。







    ヒュンッ!


    ドスッ! グリマ「ぐあッ・・・・・・あああぁ・・・・・・・・・・・・」


    アニがグリマを止めるために放った矢は彼の心臓を貫き、哀れなグリマは息絶えた。



  26. 26 : : 2015/06/21(日) 22:27:31





    サルマン「ああ・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・」


    体から力が抜けたサルマンは、オルサンクの塔の屋上から落下。













    グシャッ!





    マルコ「う・・・・・・。」


    ジャン「マジかよ・・・・・・。」





    水車についた大きなとげに突き刺さり、仰向けの体勢で串刺しになって息絶えた。









    第1話


    サルマンの最後










    ギギギギギ・・・・・・


    ゆっくりと水車は周りだし、サルマンの遺体はゆっくりと水の中に沈んでいった。








    リヴァイ「皮肉だな・・・・・・・・・・・・テメエの作ったもので、テメエ自身が死ぬとはな。」


    アニ「後味の悪い結末だね。」











    木の髭「サルマンの悪しきものは、これで、洗い流された。」




  27. 27 : : 2015/06/21(日) 22:30:45





    ジャン「・・・・・・・・・・・・ん?」






    サルマンが沈んでいったあたりに、ジャンは何か光るものを発見。


    そのままジャンは光っている何かを水中から取り出した。








    木の髭「!!! それは・・・・・・。」


    ガンダルフ「わしにそれをよこすのじゃ! ジャン!」






    ガンダルフはジャンが拾った球状のそれをひったくると、すぐに自分の白いマントで覆った。



















    ジャン(あの黒々とした石・・・・・・ありゃ一体なんだ?)











    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





  28. 28 : : 2015/06/22(月) 18:22:44









    サルマンが死亡し、王都エドラスに戻ったピクシスは、先の戦いで死亡した兵士たちを悼み、宴を開いた。







    ピクシスは玉座から立ち上がると、杯を捧げる。


    ピクシス「先の戦いで亡くなった者たちのために・・・・・・。」







    全員が杯を上げ、黙祷をささげる。


    ただし、しめやかなのはここまでで、後はいかにもローハンの騎士たちらしい、豪快な宴会―――――――肉とビールが豪快に振る舞われ、男たちが声を上げて笑い合う、痛快な酒宴となった。









    ライナー「おいアニ・・・・・・ここにあるのはなんだか分かるか?」


    少しにやけた表情でアニにしゃべりかけるライナー。






    アニ「馬鹿にしているのかい? ビールだろ?」


    ライナー「あぁそうだ。どうだアニ・・・・・・・・・・・・ビールの飲み比べといこうじゃねえかッ!」


    アニ「・・・・・・乗った。」







    「おい見ろよッ!」

    「飲み比べが始まるみたいだぜッ!」

    「いいぞいいぞッ! イッキ! イッキ!」






    お互いテーブルに向かって座り合い、アニとライナーが杯に手をかける。


    そのまま二人はグイッと口にビールを流し込み、ビールの討伐競争の火ぶたが切って落とされた。





  29. 29 : : 2015/06/22(月) 18:42:05





    リコはリヴァイに近づき、黙ってその杯を捧げた。


    リヴァイは何も言わず、その杯を受け取って会釈をすると、ゆっくりと酒を飲み干した。








    ハンネス「っぷはぁあぁぁぁぁッ! いや全くビールは最高だぁ!!!」


    イェエエェェェェッ!!!


    コニー「い、いてぇよ、ハンネスさん!!!」





    杯のビールを一気に飲みほし、すっかり出来上がったハンネスがコニーの頭をバシバシ叩いては豪快な笑い声をあげた。


    コニー「ったく、俺はまだ未成年なんだぜ?」


    仕方なくコニーはオレンジジュースを飲んでいた。



  30. 30 : : 2015/06/22(月) 18:42:37





    そして、ジャンとマルコのいるテーブルは、二人の宴会芸で大いに盛り上がっていた。


    テーブルの上に乗ったジャンとマルコが杯を片手に、ローハンの陽気な音楽に乗って歌を披露していた。









    ジャンマル「「町から町を歩き♪


    ビールを飲み干しても♪


    故郷で飲むような濃いビールはない♪


    大ジョッキにあふれる飲みつけたビール♪


    でも勇者と忠義者には~~~~♪」」










    ジャンマル「「"緑龍館"のビール!」」


    歌い終わって乾杯し、一気にビールを飲み干す二人に周りは拍手喝采。






    マルコ「もうビール最高ッ!!!」


    ジャン「よし、どんどんビール持ってきやがれッ!!!」


    ホビット二人も浴びるようにビールを飲みまくった。



  31. 31 : : 2015/06/22(月) 21:29:37
    コニーのオレンジジュースが可愛いw
    期待です!
  32. 32 : : 2015/06/23(火) 01:49:08
    いつもありがとうございます。


    飲めない人は何かジュースを頼む。お約束ですねw
  33. 33 : : 2015/06/23(火) 01:49:40





    そんな彼らを遠巻きから、ガンダルフは微笑ましく見守っていた。








    リヴァイ「楽しそうだな・・・・・・あいつら。」


    アニとライナーが飲み比べ、ジャンとマルコが上機嫌になってもう一曲披露しているのを見ながら、リヴァイがガンダルフに話しかける。










    リヴァイ「・・・・・・エレンとアルミンを二人で行かせたことを後悔しているのか?」


    ガンダルフ「・・・・・・うむ。」


    ゆっくりとガンダルフが頷く。









    リヴァイ「遅かれ早かれそうなる運命だった・・・・・・あいつらは二人で行くことを選択した。この選択が次につながる。そうだろ?」


    ガンダルフ「・・・・・・そうじゃな、悔いなき選択の、なんと難しいことよ。」


    ガンダルフはそう呟くと、ジャンやマルコたちに混じり、自分もビールを飲み始めた。











    リヴァイ「ガンダルフでも、悩むことがあるとはな・・・・・・。」


    リヴァイもボソッと呟くと、酔っぱらって陽気になっているピクシスの元へと歩き出した。



  34. 34 : : 2015/06/23(火) 01:50:42





    ライナー「がははははッ!!!」


    もう何杯飲んだだろうか・・・・・・豪快な笑いを立ててライナーは杯をまた飲み干した。








    アニ「やれやれ、少し手が痺れてきたね。」


    酔いを自覚するアニ―――――――ライナーと張り合って、ついつい飲み過ぎた。








    ライナー「だははははッ!!!」


    ゲェエエェェエェェップッ!!!


    豪快なゲップをかますライナー。







    ライナー「この勝負、俺の勝ちだな、この程度で酔っちまうなんざ――――・・・・・・


    グルン!  バターーン!!!









    ライナーはそのまま見事に後ろに倒れ、お尻を天に突き出すあの格好になった。


    アニ「私の勝ちだね。」


    飲み比べの軍配は、アニに上がった。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





  35. 35 : : 2015/06/23(火) 03:06:18







    宴が終わり、夜になると、ほぼ全員が酔いつぶれて、王の広間で揃いも揃って雑魚寝するという事態になった。


    皆が寝静まる中、リヴァイは起き上がり、夜風を浴びに外に出た。











    アニ「あんたも、眠れないのかい?」


    そこには既にアニがいた―――――――モルドールのほうを見やっている。








    リヴァイ「そうか・・・・・・おまえもエレンとアルミンが気になるのか。」


    その問いかけに、アニは無言で答えなかったが、遠くを見やるそのまなざしは、二人を心配するそれだった。








    アニ「・・・・・・あそこには、眠らない悪意が赤々と燃えている。」



    リヴァイ「あぁ、分かってる。」





  36. 36 : : 2015/06/23(火) 03:06:51
















    マルコ「・・・・・・・・・・・・ジャン? 何やってるの?」


    雑魚寝している王の広間でコソコソ動くジャンに、マルコは気が付いた。










    ジャン「なにって、お前は気にならねえのか? あの光る石の正体をよぉ?」


    石の正体が気になって仕方のないジャンは、眠っているガンダルフからその石を盗み見ようとしていたのである。








    マルコ「だ、ダメだよ、ジャン!」


    ジャン「しっ! 大声出すなよ! みんな起きちまうだろ?」









    こっそりジャンは、ガンダルフに近づいていく。


    ジャン「!!! うおッ!?」








    そこには・・・・・・・・・・・・半目を開けて眠るガンダルフがいた。


    懐に布で包まれた何かを抱えている―――――これだ。




  37. 37 : : 2015/06/23(火) 13:43:38






    ジャン「よっと。」


    近くに置いてあった花瓶とすり替えるジャン。









    ジャン「さてと・・・・・・いよいよ御開帳ってな。」


    ゆっくりと、包んであった布を取る。







    マルコ「ダメだよッ! ジャン!!!」


    すかさずマルコがその石を両手で取り上げた。


    ジャン「あッ! お前ッ!!!」




















    ボゥ・・・・・・・・・




  38. 38 : : 2015/06/23(火) 13:44:18





    マルコ「な、何・・・・・・・・・・・・石が光って・・・・・・うわああぁああぁぁぁッ!!!」


    急に悶え苦しみ始めたマルコ。


    ジャン「おい、一体どうしちまったんだよ!?」









    ―――――パランティアの石にはそれぞれ通信機能が存在する。


    オルサンクのパランティアはミナス・イシルのパランティアと通信が繋がった。


    それはつまり・・・・・・・・・・・・サウロンと通信が繋がったことを意味していた。


    そして、その瞼のない燃える瞳が、マルコを捉え、これを苦しめ始めたのだ。









    マルコ「ぐああぁあぁ・・・・・・あああぁあぁぁぁッ!!!」


    マルコの悲鳴に、眠っていたガンダルフも飛び起きる。


    丁度その時、サウロンの力を感じ取ったアニが、リヴァイと一緒に戻ってきた。








    マルコから石を引き剥がそうと、リヴァイが右手で石を掴む。


    リヴァイ「ぐ・・・・・・うぐうぅぅ・・・・・・。」


    マルコから石を取り上げたリヴァイが今度は悶絶―――――したものの、石を床に投げ捨てた。


    すかさずガンダルフは布をかぶせ、パランティアの通信を遮断した。



  39. 39 : : 2015/06/23(火) 13:45:51




    ガンダルフ「退けッ!」


    ジャン「うおッ!」


    マルコのそばにいたジャンを押しのけ、ガンダルフは倒れ込んだマルコの額に手を当て、呪文を唱えた。


    マルコ「・・・・・・・・・・・・はぁ、はぁ。」


    何とか正気を保っているマルコ。


    ガンダルフ「ゆっくりと、息をするのじゃ。」










    やがて、少し呼吸の落ち着いたマルコに、ガンダルフは尋ねた。


    ガンダルフ「一体何を聞かれたのじゃ? 言えッ!」


    マルコ「・・・・・・・・・・・・指輪のこと・・・・・・聞かれました・・・・・・。」


    ガンダルフ「話したのか?」














  40. 40 : : 2015/06/23(火) 13:46:27















    マルコ「・・・・・・・・・・・・話しませんでした。後、燃えている白い木が見えました・・・・・・。」







    ガンダルフ「白の木・・・・・・・・・・・・ミナス・ティリスか!」





    ミナス・ティリス―――――ゴンドールの王都の庭に生えているのは、ゴンドールの紋章にもなっている白の木。

    マルコはパランティアの石を通じ、炎上する白の木のヴィジョンを見たのである。







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





  41. 41 : : 2015/06/23(火) 14:00:18





    翌日、ガンダルフはこのことを、ピクシスやリヴァイに相談した。







    ガンダルフ「石を覗いたマルコから、どうやらエレンのことは漏れなかったようじゃ。むしろこれは怪我の功名というべきじゃろう。敵の計画の一端を掴むことが出来たのじゃ。」


    ガンダルフの隣では、ジャンとマルコが非常に気まずそうな顔をして立っていた。







    ピクシス「計画とな?」


    ガンダルフ「うむ。サウロンはゴンドールの王都、ミナス・ティリスを攻撃するつもりじゃ。リヴァイ、イシルドゥアの末裔であるお前が、王位につく前にゴンドールを潰してしまおうという腹じゃろう。」


    リヴァイ「・・・・・・ミナス・ティリスはベルトルトの故郷だ。そう簡単には潰させねえ。」


    拳に力を込めるリヴァイ。



  42. 42 : : 2015/06/23(火) 14:01:12






    ガンダルフ「無論じゃ。それ故わしは、お供を伴ってミナス・ティリスへ早馬を走らせよう。」


    リヴァイ「マルコを連れてか?」


    ガンダルフ「そうじゃ・・・・・・今となっては、ゴンドールの王都が一番安全なところじゃからのう。」









    ピクシス「ひとつ、よいかの?」


    ガンダルフ「なにかの?」







    ピクシスは無表情でしゃべりだした。


    ピクシス「わしらの危急の際に、何もして来なかったゴンドールを、どうして救援しなければならんのじゃ?」









    リヴァイ「ちっ、随分と悠長なことを言ってくれるじゃねえか。」


    ガンダルフ「そんなことを言っている場合ではない。ゴンドールが滅びれば、ローハンもまた滅びるのじゃからな。」







    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




  43. 43 : : 2015/06/23(火) 14:11:55







    ガンダルフ「いたずら好きのホビットの中でもジャン・キルシュタイン! お前は最悪じゃッ!!!」


    馬小屋に向かう途中、イライラした様子でジャンに毒づくガンダルフ。







    ジャンはいたたまれない表情をしていた。
    自分の失態のせいで、友人を危険な目に晒してしまった。




    このことがジャンにとっては何よりも堪えたのだ。









    マルコ「・・・・・・。」


    マルコはずっと黙っていた。
    少し不機嫌そうな顔をして、ジャンと顔を合わせないようにしていた。




  44. 44 : : 2015/06/23(火) 14:12:54






    ジャン「・・・・・・・・・・・・悪かったな、マルコ。」


    マルコ「ホントに分かってるの!? サウロンは俺が指輪を持ってると思ってるんだよッ!?」





    顔を背けたままジャンに告げるマルコ。

    意識はしていたものの、マルコの言葉にジャンは胸を抉られるような気持ちであった。







    ―――――俺の失態でマルコは窮地に立たされた。

    俺が、マルコを守らなくちゃならねぇ。









    ガンダルフは飛蔭に跨り、自分の目の前にマルコを乗せた。


    すると、これまで目を合わせようとしなかったマルコが、ジャンと顔を合わせた。







    マルコ「ごめん・・・・・・今回は、一緒に行けない・・・・・・・・・・・・これが、最後になるかも。」






















    ・・・・・・・・・・・・えっ!?




  45. 45 : : 2015/06/23(火) 14:13:29






    ガンダルフ「さぁ飛蔭よ・・・・・・お前の名前の由来を見せるのじゃ!!!」


    ジャン「マルコッ!!!」








    飛蔭が風のように走り出した。
    ローハンの都エドラスを駆け降り、門をくぐって、草原の上を駆け抜けていく。












    ジャン「絶対に迎えに行くからなッ!!! 死ぬんじゃねえぞッ!!!」


    物見やぐらの上に立って精一杯叫ぶジャン。











    マルコ「・・・・・・・・・・・・ジャン。」


    飛蔭の上に跨るマルコの頬に、涙がひと筋、零れ落ちた。


















    ―――――ジャンとマルコ。


    いつも一緒にいた幼馴染みが、それぞれの試練に向かって進み始めた。








    第2話


    別離






  46. 46 : : 2015/06/23(火) 16:28:36
    以上で第1話と第2話が終了になります。

    遂にジャンとマルコが離れ離れになる時が来ました。




    次回はペトラの話の後にマルコ、そしてエレンとアルミンの3話立てでお送りする予定です。
  47. 47 : : 2015/06/23(火) 21:11:04
    この別れのシーンはいつ見てもつらいですね……期待です
  48. 48 : : 2015/06/24(水) 00:14:19
    今までコメディリリーフだった二人に訪れる試練ですからね。


    続きも一生懸命書いていきますので、よろしくお願いします<m(__)m>
  49. 49 : : 2015/06/24(水) 07:06:59
    別れの時か…可哀想
  50. 50 : : 2015/06/24(水) 16:19:01
    コメントありがとうございます。


    親友同士の別れは胸に迫るものがあります。
    これから二人は試練に晒られますので、見守ってあげてください。

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hymki8il

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進撃×ロード・オブ・ザ・リング ~王の帰還~ シリーズ

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