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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

モノクマ「うぷぷぷ…能力コロシアイ南国生活の幕開けだよ!」

    • Good
    • 32

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  1. 1 : : 2015/03/15(日) 11:30:43
    能力コロシアイ『第二部』です‼

    いいや‼ 限界だッ‼ 書くね‼ というわけで、頑張っていきたいで候。

    前作を読んでからだと、1.5倍楽しめます。

    http://www.ssnote.net/archives/28957
  2. 2 : : 2015/03/15(日) 11:34:01




    プロローグ 『動き出す物語』







    春。



    それは始まりの季節。



    俺は今、憧れの希望ヶ峰学園の前に立っている。


    圧倒的な威圧感に気圧されながらも、俺は希望を胸に秘め、校門をくぐろうとした。





    ???「はぁ……緊張する……」


    日向「けど、進まなきゃ何も変わらないよな!!」





    俺の名前は『日向 創』。

    至って平凡な普通の高校生だ。


    そんな俺が、何故この学園に招待されたのかは理解しかねるが、平凡で退屈な自分を変えるいいきっかけだと思い、入学する事にした。





    日向「待ってろよ……希望ヶ峰学園!!」






    決心を固め、俺は校門へと一歩を踏み出した。








    ……希望に満ちた筈のその一歩が、後に絶望に変わる事など、





    その時はまだ知らない……。



  3. 3 : : 2015/03/15(日) 11:37:35


    ーーー
    ーーーー

    ーー

    ーーーーーー



    ーー




    ーーーーー









    ……あれ? ここは、何処だ?








    日向「は……?」





    俺はゆっくりと起き上がる。


    そこには、見慣れない景色が広がっていた。




    満点の青空。


    澄んだ蒼色が、見渡す限りに広がっている。




    日向「……」



    降りかかる強い陽射しに、思わず顔に手をかざした。




    日向「何なんだよ……一体」





    俺は、自分に起こっている不可解な状況を、取り敢えず整理してみる事にした。






    日向「そうだ」



    日向「俺は希望ヶ峰学園に入ろうとして、それから……」




    日向「……」






    俺は黙り込む。




    そう、『それから』の記憶がない。いつの間にか、俺はここに連れてこられたってわけだ。



  4. 4 : : 2015/03/15(日) 11:41:18



    しかも、ここは何処なんだよ。


    いかにも南の島のような雰囲気は漂っているのだが。



    途方に暮れる俺に、話しかけてきた奴がいた。





    ???「ねぇ……大丈夫?」


    ???「だいぶ参ってるみたいだけど」



    日向「うおァッ!?」



    ???「あはは、そんなに驚かなくても大丈夫だって」


    ???「取って食ったりしないよ」


    狛枝「僕の名前は狛枝 凪斗」


    狛枝「よろしくね!」




    日向「ああ、俺は日向 創だ」


    日向「こちらこそよろしく頼む」





    そう言って俺たちは手を交わす。


    『狛枝 凪斗』、悪い奴ではなさそうだった。

  5. 5 : : 2015/03/15(日) 12:18:46
    待ってました!
  6. 6 : : 2015/03/15(日) 12:19:46



    狛枝「うーん、君も気づいたらここに?」



    日向「ああ、お前もか?」


    狛枝「うん、実を言うとそうなんだよね……困ったものだよ」




    狛枝は深く溜め息をついた。





    これから、俺たちはどうなるのだろうか?


    まさか、ここは無人島で、食糧を巡ってサバイバル生活なんかが始まったりするのだろうか。




    日向(勘弁してくれよな……)




    俺は、自分自身の考えに苦笑の笑みを浮かべた。








    後に、俺は気づく。



    『サバイバル生活』の方がどれだけ良かったかと。


  7. 7 : : 2015/03/15(日) 12:20:38
    >>5
    前作よりも面白いって言ってもらえるように頑張ります!!
  8. 8 : : 2015/03/15(日) 12:21:18
    期待
  9. 9 : : 2015/03/15(日) 13:16:03
    意外!それは超期待!
  10. 10 : : 2015/03/15(日) 13:20:47
    >>8>>9
    期待に応えられるよう書きます!!
  11. 11 : : 2015/03/15(日) 13:22:59




    狛枝「で、どうする? 日向くん」

    狛枝「ここを探検してみる?」


    日向「……」




    『そうだな』と、狛枝の意見に賛成を示そうとすると、近くにあったスピーカーから、謎の声が聞こえてきた。




    『あー、あー』


    『マイクテス、マイクテス』





    日向「何だ……!?」



    俺たちは、近くにあったスピーカーに駆け寄る。

    何故かはわからないが、嫌な汗が流れているのを感じた。






    『……やあ、モノクマです』


    『希望ヶ峰学園生徒の皆さん、取り敢えず、中央の島にお集まり下さ〜い』





    そうスピーカーから聞こえてきたかと思うと、それは直ぐに終わりを告げ、辺りには静寂が訪れた。




    狛枝「中央の島……か」


    狛枝「行くしか選択肢はないっぽいね」



    日向「そうだな、行くしかないよな」




    俺は、薄々勘付いていた。

    そこに行ってしまえば、もう日常には戻れないと。



    それでも進むしかなかった。

    そこにしか、道はなかったのだから。




    日向「……何が始まるんだ?」





    俺は不安を胸に押し込め、拳を強く握り、中央の島へと向かった。






  12. 12 : : 2015/03/15(日) 13:25:28





    【中央の島】




    左右田「……」




    俺の名前は左右田和一。


    内気な自分を変える為に、国内でも有名な高校、『希望ヶ峰学園』に入学することにしたのだが。



    今俺は、何故か南国にいる。





    澪田「うおー!! 南国ってテンション上がるっす!!」


    弐大「水分補給はこまめにするんじゃぞ!!」




    左右田(何であいつらは、あんなに楽しそうにはしゃげんだよ……)




    『ここに集まれ』と、謎の人物に命令され、俺たちは渋々ここに足を運んだ。



    そして先程、この南国にいる奴がおそらく全員揃っただろうということで、俺たちは自己紹介を始めた。



  13. 13 : : 2015/03/15(日) 13:31:35
    澪田と田中に期待です。

  14. 14 : : 2015/03/15(日) 13:51:53
    >>13
    乞うご期待下さい。
  15. 15 : : 2015/03/15(日) 13:52:41



    聞くところによると、ここにいる全員が、希望ヶ峰学園の校門をくぐり抜けたところで意識を失ったらしい。



    つまりここが何処で、どう脱出すればよいか、誰にもわからないという訳だ。






    俺たちをここに連れてきた、黒幕以外は。




    左右田(大丈夫だ……、黒幕さえ見つければ、俺の『能力』でぶっ殺してやる!!)





    俺は殺意を、心の中に強く燃やした。



    それと同時に、



    緑の葉が深く生い茂っている木の枝に掛けられていたスピーカーから、不気味なノイズ音が発せられる。




    『ザー・・ザー・・』


  16. 16 : : 2015/03/15(日) 14:26:43



    日向「くっ!! 何なんだよ……」



    日向がスピーカーに身構える。




    狛枝「シッ、静かに……何か言ってるみたいだ」




    狛枝が人差し指を自分の唇に当て、日向をなだめる。




    『皆さん、こにゃにゃちわ』


    『それじゃ、早速、君たちがここに連れてこられた理由を話そうかな』



    『その理由とは、君たちに能力コロシアイ南国生活をおくってもらう為です!』





    九頭龍「能力コロシアイ……南国生活だと!?」




    九頭龍がそう詠唱する。



    左右田(おいおい、マジかよ……ってことは、ここにいる奴ら全員が能力者ってことか!?)




    冗談じゃない。能力者とコロシアイなんて、そんなの生き残れるわけがない。


    だが、俺の切実な思いなどお構いなしにモノクマは続ける。




    『でも、普通にコロシアイやってもツマラナイでしょ?』


    『だから……今回のコロシアイには、特別なテーマを設けました!!』





    『そのテーマとは、








    【犯罪者 vs 市民】







    です!!』


  17. 17 : : 2015/03/15(日) 14:51:41




    七海「犯罪者 vs 市民……?」





    『えー、ルールは単純』


    『ランダムで選ばれた犯罪者3人が、その他の市民を全員殺せば、犯罪者側の勝利です!!』


    『けれど逆に、市民側が犯罪者を見つけだし全員殺せば、今度は市民側の勝利です!!』



    『……で、勝った方のチームをこの南国から出してあげましょう!!』



    終里「なるほど!! つまり全員殺せば言い訳だな!!」



    ちげーよ。何を聞いていたんだこいつは。



    小泉「でもさ……それって、犯罪者側が圧倒的に不利じゃない!!』


    辺古山「確かにな」



    小泉が不満を口にした。

    俺もその意見に賛成だった。犯罪者側は3人しかいないという。ということは、市民側は12人になる訳だが。





    『……とまあ、ここまで聞いたら犯罪者側が不利じゃないかと思うでしょ?』

    『ところがどっこい、実はそれを補う為に、犯罪者側には特別な能力を与えています!!』


    『まあ、能力っていっても、このゲームに関してって意味だからね』

  18. 18 : : 2015/03/15(日) 14:59:15



    『じゃあ、まずは一人目の犯罪者の能力からいってみようか!!』



    『【犯罪者:放火魔】……能力は、自分以外の犯罪者が誰かを知れるというものだよ!!』





    日向「なるほどな、それで、【犯罪者】とがお互いに連携を取り易くなるって訳か」




    日向が解説を語る。

    このゲームは、なかなか奥が深いものになりそうだ。




    『そして二人目』


    『【犯罪者:通り魔】……能力は、ここにいる全員の『能力』を知れるというものだよ!!』




    モノクマのその言葉を聞いた時、文字通りその場が氷ついた。



    『能力』を知れる……だと?



    俺の『能力』も、【通り魔】にはバレてしまうのか!?

    だったら、いち早く殺さなきゃいけない。



    汗ばむ両手を、ゆっくりと握りしめ、深く息を吐き出した。


    落ち着け、俺。


    そうやってコロシアイに乗せられてどうする。

    冷静にいかなければ……直ぐにパニックに陥るのが俺の悪い癖だ。






    俺の呼吸が整ったのと同時に、モノクマがまた語り出した。



    『じゃ、最後の【犯罪者:殺人鬼】なんだけど……』





    『こいつは、何の能力も持ってません!!』




    『うぷぷぷ……可哀想だよね!!』

    『自分だけ仲間外れだなんてさ!!』




    左右田(ホッ……なら、【殺人鬼】はあまり警戒しなくても良さそうだな)



  19. 19 : : 2015/03/15(日) 15:02:33
    まさか日nおっと誰か来たようだ
  20. 20 : : 2015/03/15(日) 15:35:42



    『では以上で、ルール説明を終わります‼』





    『……と、言いたいところですが、物事には例外があります』





    『【市民:神父】』


    『市民側で、唯一能力を持った人物です』



    『で、その能力とは、ゲーム終了時に生き残っていたら、その勝ったチームと一緒に、ここから出られるというものなのです‼!』



    『つまり、犯罪者側が勝っても市民側が勝っても、生きてさえすれば、ここから出られるという訳だぜ‼!』






    何だよ……それ。


    めちゃくちゃ優遇されてるじゃねえか。






    罪木「ふゆぅ……【神父】さんは強いんですねぇ」


    七海「ゲームでいうところのチートキャラかな?」





    『はい、それじゃあ、電子生徒手帳を開いて下さい!!』





    左右田「電子生徒手帳……あ、あった」





    ポケットを探っていると、何か固いものに触った気がした。


    それが電子生徒手帳だった。いつの間にか俺のポケットに入れられていたらしい。





    『それではルーレットを開始します!!』





  21. 21 : : 2015/03/15(日) 16:06:19
    2キャラ版とか超期待
    キャラ達の神父に関する認識が甘すぎてにやにやしてしまう
    >>1は分かって書いてるんだろうが、神父の恐ろしさは優遇とかチートとかそんなところじゃないよなw
  22. 22 : : 2015/03/15(日) 16:49:44
    待ってました!
    人狼っぽい要素を取り入れた感じなのですね…期待です!(ृ°͈꒳​°͈ ृ )ु
  23. 23 : : 2015/03/15(日) 16:51:07
    おお、スーダンの方も来たか、期待です。
  24. 24 : : 2015/03/15(日) 17:54:56
    >>21>>23
    期待あざっす!!


    >>22
    そうですね!! 人狼です‼
  25. 25 : : 2015/03/15(日) 17:56:18




    田中「フッ……いよいよ、運命の針が死をもたらすのか」


    ソニア「運命の針……!!」





    電子生徒手帳には、【?】と書かれたカードが映し出されていた。


    俺はそれを、震える指でタップする。


    すると、そのカードはペラッとめくれ、そこには俺の役職が示されていた。









    【市民】





    左右田「……」





    安堵と不安、その両方の気持ちが一気に押し寄せてきた。


    【市民】……数が多いので、確かに勝ちやすいだろう。


    だが、何の能力も持っていない。





    つまり、生き残りにくい。





    『それでは、解散!!』


    『頑張ってコロシアイだよ!!』





    そのモノクマの言葉と共に、俺たちはそこから解散した。






    誰一人として、同じ道を行くものはいなかった。






    左右田「はぁ……取り敢えず、コテージとやらに行ってみるか」





    電子生徒手帳に表示されていた、これからの拠点になるであろうコテージ。



    別にやることもないし、俺はそこに向かうことにした。


  26. 26 : : 2015/03/15(日) 18:00:59



    が、




    その時、思った。



    生き残れる方法がある……。



    頭の中に、最高とも感じられる案が思い浮かんだ。




    左右田「生き残れる……生き残れるぞ!!?」




    俺は直ぐに走り出した。


    とにかく行動だ。待っていても何も変わらない。



    俺はこみ上げてくる希望を原動力にし、目的の場所に向かった。






    【日向のコテージ】





    左右田「……!!」





    俺はチャイムを連打する。よく聞く呼び出し音が心地よく、何度も響いた。


    その直ぐ後、中から日向が出てくるのを確認する。




    日向「ん……左右田か」


    日向「どうしたんだよ?」




    左右田「俺を中に入れてくれ!! ここから生きて出られる方法を見つけたんだよ!!」

  27. 27 : : 2015/03/15(日) 19:10:30



    日向「……わかった」




    そう言うと、日向は俺に背を向け、中に入っていった。




    左右田「サンキュー!! 恩に着る!!」




    そして、俺もその後に続く。


    中に入ると、日向はそこら辺の椅子に適当に座るように言った。




    日向「……」




    日向が無言でこちらを見つめる。




    左右田「ああ、わかってる。俺の名案を聞きたいんだろ!!」


    左右田「今、教えてやるよ!!」




    日向「……で、その名案とは?」





    左右田「俺たちが運命共同体になるんだ」




    日向「運命共同体……?」



    左右田「ああ、俺たちで『能力』を共有し助け合う」


    左右田「そうすれば、必ずここから生きて出られる筈だ!!」



    左右田「俺の『能力』は『分解』」


    左右田「ありとあらゆる物体を、原子レベルで『分解』する能力だぜ!!」



    日向「……」



    俺の名案に唸ったのか、日向はまた黙り込んだ。


    が、


    直ぐに口を開いた。





    日向「なるほど、お前の案は確かに正論だ。一人よりも二人で協力した方が生き残りやすい」



    左右田「だろ!?」





    日向「……ただ」





    日向「その案には、二つの誤算がある」



  28. 28 : : 2015/03/15(日) 19:30:45



    左右田「な!? 二つの誤算!?」



    日向「やっぱり気づいてなかったか……」



    日向「まず一つ目だが、俺が【犯罪者側】だったらどうする気だ」




    左右田「……あ!!」



    日向「お前に先に『能力』を喋らせ、油断したところで殺す」


    日向「まあ、【通り魔】だったらお前に『能力』を喋らせる必要はないけどな」




    左右田「クソッ!! 日向お前、【犯罪者】か!!」



    日向「何でそうなるんだよ……」


    日向「俺は【市民】だ。運が良かったな。左右田」





    左右田「そ、そうか……」





    日向「じゃあ、二つ目の誤算だが……その前に、何で俺を運命共同体に選んだんだ?」


    日向「他の奴でも別に良かったじゃないか」




    左右田「うーん……理由かぁ。多分、俺と似てたからかな?」



    日向「似てる? 俺とお前が?」




    左右田「ああ、雰囲気が似てると思った。つまり直感だ!!」





    日向「……今度から、その直感を信じるのは止めろよ」




    左右田「は? どういう事だ?」





    日向「……」






    ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!






    日向「俺は能力者じゃない」


    日向「だから、何でここに俺が連れてこられたのか、わからない」




    俺の運命共同体から発せられた言葉は、俺の希望を、そのまま絶望へとひっくり返した。




    プロローグ END



  29. 31 : : 2015/03/15(日) 19:45:02
    このモブ的浅はかさが左右田の魅力
    だから応援したいのに真っ先に死にそうで心臓に悪い
    日向のコテージに向かった時点で最悪の事態を想定したぞ。生きててよかった
  30. 32 : : 2015/03/15(日) 19:55:42
    ワクワクする 期待
  31. 33 : : 2015/03/15(日) 20:01:56
    >>31
    左右田は死ぬのか!? それとも、生きてここを出られるのか!?

    >>32
    最後までワックワクにしてやんよ。
  32. 36 : : 2015/03/15(日) 20:17:36





    ー役職説明ー



    【市民】市民側


    ・特別な能力はない。数は11人。


    【市民:神父】中立?


    ・この戦いの決着の時まで生き残っていれば、ここから出られる。




    【放火魔】犯罪者側


    ・能力は、他の【犯罪者】が誰かを電子生徒手帳で把握できるというもの。連携を取り易い。



    【通り魔】犯罪者側


    ・能力は、電子生徒手帳で、コロシアイメンバーの『能力』を全て確認出来るというもの。



    【殺人鬼】犯罪者側


    ・能力はない。



  33. 37 : : 2015/03/15(日) 20:24:34
    >>35
    あ、相手の頭近くに生成すれば多分角ぶつけて倒せますよ、多分








          多分
  34. 38 : : 2015/03/15(日) 20:33:57
    日向が能力持ってないとか……
    作者は日向の良さをわかっている期待
  35. 39 : : 2015/03/15(日) 20:42:07



    能力者ファイル.24



    左右田 和一


    能力『分解』


    ありとあらゆる物体を、原子レベルで『分解』出来る能力。

    一度に『分解』出来る物体は一つだけ。(つまり、林檎を『分解』しようと思ったら、皮→中身 の順に『分解』する必要がある。)


    『分解』にかける時間はとても短い。



  36. 40 : : 2015/03/15(日) 20:45:38
    林檎を『分解』しようと思ったら、皮→中身 の順に『分解』する必要がある。
    とありますが、中身→皮の順序でおこなえますか?
  37. 41 : : 2015/03/15(日) 21:08:11
    >>40
    それは行えません。
  38. 42 : : 2015/03/15(日) 21:10:38



    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    Chapter1『運命共同体』

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





    左右田「能力者じゃない……!?」




    日向の言葉は、一瞬、俺の頭の思考回路を停止させた。




    日向「ああ、俺は非能力者だ」




    何だよ。


    俺の『能力』を教え損じゃねえか。



    日向「けど、協力はするよ」


    日向「わざわざお前の『能力』も教えてもらった訳だしな」



    左右田「……ありがとな」




    俺は心の中で日向を嗤った。


    確かに、お前は頭が良いのかもしれない。実際に、俺の案の誤算を指摘していたし。




    けど、そんなもの、能力者との戦いの中では、何の役にもたたない。


    だからこそ、非能力者……つまり人は、俺たち能力者を恐れ、差別する。


    自分たちの安全を守る為。



  39. 43 : : 2015/03/15(日) 21:58:03





    左右田「……」



    俺は椅子から立ち上がり、日向のコテージから出ようとした。



    日向「おい、何処に行くんだよ」



    すると、そんな俺に非難の目を向け、日向が話しかけてきた。



    左右田「腹が減ったし、近くの食堂に行くんだよ……悪いか?」



    俺は素っ気なく返す。



    日向「……わかった、俺もついていく」





    「好きにしろ」と日向に言い、俺は日向に視線を合わせることなく、食堂へと向かった。


  40. 44 : : 2015/03/15(日) 22:24:18
    期待ですっ!!
  41. 45 : : 2015/03/15(日) 22:27:25
    >>44
    あざっすッ‼
  42. 46 : : 2015/03/15(日) 22:28:15




    【食堂 in ホテル】




    ホテルの中の食堂には、先客がいた。




    花村「あ、左右田くんに日向くんじゃない!!」


    花村「どうしたのさ?」




    左右田「いや……別に」


    左右田(チッ、こいつはどっちだ? 【市民】か? それとも【犯罪者】か?)




    そんな疑心暗鬼が生じてしまう。


    会う奴会う奴に、こうやって神経を擦り減らしながら過ごしていかなきゃいけないのが、このコロシアイ生活の辛いところだな。





    花村「そう、ならいいけど……」



    左右田「!?」





    僅かだったが、一瞬、花村から殺気が放たれた気がした。



    だが別に変わったことはなかったので、俺は特に気にも止めなかった。

  43. 47 : : 2015/03/15(日) 22:32:15



    日向「……花村こそ、何でここにいるんだ?」




    花村「ああ、それはね……」





    花村が俺の方をジロリと見つめる。


    そして、怪しい笑みを浮かべたかと思うと、口を開いた。





    花村「君たちに僕の『能力』を教えてあげようと思ってね」



    左右田「は!?」





    花村から発せられた言葉は、意外なものだった。




    左右田「お前が俺に『それ』を言って、お前に何のメリットがあるんだよ!?」




    俺がそう返すと、少し残念そうな顔をして、花村がまた言葉を発する。




    花村「……うん、僕の『能力』を君たちに教えることで、君たちの『能力』も僕に教えて欲しいんだ」


    花村「そしてお互いに協力し合う、言わば『運命共同体』ってやつだよ!!」


  44. 48 : : 2015/03/15(日) 22:37:38




    驚いた。


    まさか、俺と同じ考えを持っている奴がいたとは。





    日向「……」






    もしかすると、これが普通の判断なのではないか。


    日向の方が間違っている。


    仲間を欲しいと思う方が正しいんだ。


    そう思うと、急に日向が情けない奴のように見えてきた。





    左右田「花村……お前を信用してもいいんだな?」



    花村「ああ、もちろんだよ!!」



    左右田「そうか……なら」




    自分の『能力』を花村に話そうとした時。花村の額に、何か『文字』が書かれているのがわかった。


    だが、対した問題ではないと考えた俺は、そのまま喋ることにした。





    左右田「……俺の『のうりょ』」





    『能力』、そう言おうとしたが、それを日向に遮られる。





    日向「ちょっと待て、左右田」


    日向「俺の『能力』の方から先に喋る」


  45. 49 : : 2015/03/15(日) 23:02:18
    期待!
  46. 50 : : 2015/03/15(日) 23:12:49

    日向に能力が無いと知った途端上から目線になる感じがまた左右田っぽいww

    左右田が準主人公的な位置にいるのが他にはない新しさだと思います!とても期待です
  47. 51 : : 2015/03/15(日) 23:30:06
    >>49
    もっともっと僕に期待s

    >>50
    今回はW主人公でいこうと思ってたんですよねー。
  48. 52 : : 2015/03/15(日) 23:30:50




    左右田「ハァ!!?」


    左右田(お前は、『非能力者』じゃないのかよ!!?)



    俺はそれを指摘しようとしたが、日向に目で制された。



    左右田(何を考えてんだコイツは!?)




    俺の疑問などお構いなしに、日向は口を開く。



    日向「花村……俺の『能力』はな」






    日向「無いんだ」




    花村「へっ!!?」




    日向「俺は『非能力者』、つまり『能力』は持ってない」



    左右田(言った……!! けど、だからってどうなるんだよ!?)




    花村「……んな」





    花村「そんな『話』、信じられるかよォォォ!!?」






    花村が激昂する。



    当たり前だ。




  49. 53 : : 2015/03/15(日) 23:35:02



    だが、それを見た日向は笑みを浮かべ、花村へとゆっくり人差し指を向けながら、こう言った。









    日向「花村、お前それ禁句(タブー)だぜ……!?」





    花村「なああああああああ!!!?」





    花村は自分の顔を両手で覆い、自分の額へと視線を向けようとする。


    が、位置的に、自分の額を見ることは出来ない。





    左右田「あ……!!」





    今わかったが、花村の額にあったのは、『話』と書かれた『文字』だった。



    そして、その『文字(話)』は光出したかと思うと、大きな音を立て爆発し、花村は跡形もなく消え去った。



    爆風が吹き荒れる中、日向は表情一つ崩してはいなかった。






    日向「やっぱりな……」





    左右田「ど、どうなってやがるんだ!!?」




    日向「あいつの『能力』は『禁句(タブー)』だったんだよ」



    日向「『能力』を発動するとその周りにいる人間の額に、『禁句』が現れる」



    日向「そしてその『禁句』を指定された本人が喋ると、さっきの花村みたいになるんだろう」



  50. 54 : : 2015/03/15(日) 23:41:15




    左右田「で、でも、何でそんなルールに気づけたんだよ!!?」



    日向「それは簡単だぜ」


    日向「実を言うと、お前の額には『能力』と書かれていたんだ」



    日向「で、花村は露骨に『それ』をお前に言わせようとしてただろ?」




    左右田「あ、ああ……」




    俺は先ほどの出来事を思い出す。




    ーーー
    ーー




    花村「君たちに僕の『能力』を教えてあげようと思ってね」



    左右田「は!?」


    左右田「お前が『それ』を言って、お前に何のメリットがあるんだよ!?」



    俺がそう返すと、少し残念そうな顔をして、花村がまた言葉を発する。




    ーー
    ーーー
    ーー




    だが、対した問題ではないと考えた俺は、そのまま喋ることにした。



    左右田「……俺の『のうりょ』」



    『能力』、そう言おうとしたが、それを日向に遮られる。





    ーー
    ーーー




    左右田(あ、危ねえ……!!)



    嫌な汗が、頬を伝わって地面にポトリと落ちた。




    日向「……ってな訳で、俺はこれが、あいつの『能力』だということに気づけたんだけど」


    日向「まあ、あいつの敗因は、誘導が露骨過ぎたことかな」



  51. 55 : : 2015/03/15(日) 23:45:15





    そう言って日向は、先ほどの戦いを自己分析し始める。




    俺は今、素直にこの男のことを尊敬していた。



    『禁句』を自分が喋ってしまうかもしれないというリスクを顧みず、俺を助けるために花村の発言を誘導した。



    自分の勝利に慢心せず、ただひたすらに次の戦いに備える。


    もう、情けない日向のイメージは、俺の中では消し飛んでいた。





    左右田「……生き残れる」



    日向「え?」




    左右田「俺の能力が『肉体』……日向が『頭脳』、俺たちは無敵の運命共同体だ!!」




    日向「……ああ、そうだな!!」




    そう言って俺たちは微笑み合う。


    その時、微かにだが、希望という名の光が俺と日向に降り注いでいる気がした。




    Chapter1 END



  52. 56 : : 2015/03/15(日) 23:49:54





    能力者ファイル.34


    花村 輝々


    能力『禁句(タブー)



    能力を発動すると、自分を含め、半径20M以内にいる全員の額に、『禁句』が表示される。


    その『禁句』を指定された本人が喋ってしまうと、その『禁句』は本人ごと爆発する。


    殺傷確率は、100%である。




  53. 57 : : 2015/03/15(日) 23:51:47




    詳細:花村 輝々 【死亡】




    戦闘の後、日向たちは花村が消え去った場所を捜索していた。


    すると、そこで花村の電子生徒手帳を発見出来た。


    左右田曰く、「何て頑丈な生徒手帳だ」とのこと。


    その電子生徒手帳には、【市民】と書かれていたそうだ。


    花村はとにかく人を無差別に殺していくという戦法を取ったのだろうと、日向は語った。



  54. 58 : : 2015/03/16(月) 01:34:10
    第二部来ましたか!超期待です!
  55. 59 : : 2015/03/16(月) 04:36:09
    これはなんという俺得なタッグ
    左右田に応えた日向の気持ちは、打算と友情、どちらがどの程度を占めてるんだろうな
    友情多めであってほしいが…
  56. 60 : : 2015/03/16(月) 09:40:26
    >>58
    めっちゃ頑張るよ‼

    >>59
    日向の感情にご期待下さい‼
  57. 61 : : 2015/03/16(月) 09:52:50







    ザッ……







    ザッザザザ……





    ーーChapter1裏物語

    『九頭龍の見聞録』ーーーー









    クソッ……。



    やっと争いの絶えない日々から解放されたと思ったらこれだ。



    あのモノクマとかいう奴の憎たらしい声が、脳裏に蘇る。





    『能力コロシアイ南国生活を送ってもらいます!!』





    九頭龍「ハァ……ついてない」




    俺は苛立ちを近くの小石にぶつける。

    小石は少々転がった後、ゆっくりと止まった。




    九頭龍「……」





    平和に暮らしたい。


    それは、血で血を洗う生活をずっと続けている俺だからこその、願いだった。




    九頭龍「厄日だな」




    俺はボソッと何処かに呟き、ぶらぶらと海へ向かった。




  58. 62 : : 2015/03/16(月) 10:17:00





    【ビーチ】




    潮の爽やかな香りが、俺の鼻先をくすぐる。

    そして、波が泡を立てそこら中に散る音が、俺の耳にこだました。




    九頭龍「ああ、いい音だ」





    海は果てしなく広い。


    中坊の頃に習ったが、地球の面積比は、 海:陸=7:3 らしい。


    つまり俺ら人間が細々と暮らしている陸の、倍以上の世界が、そこには広がっているのだ。





    九頭龍「……っていっても、今の現状が変わるわけじゃねーけどな」





    俺は近くにあったシャワールームを訪れ、水着に着替えることにした。



    九頭龍(水着くらい用意してるだろ……)




    手ぶらでここに来た俺は水着が置いてあることを祈り、そこに入っていった。


  59. 63 : : 2015/03/16(月) 10:32:44




    ガチャリ





    ドアを引き、中に入った後、閉める。






    九頭龍「ん……そういや、喉が渇いたな」







    俺は様々な種類の飲料水が並べられている棚に近寄る。






    九頭龍「……」




    俺は、手前にあったミネラルウォーターに手を伸ばす。










    が、途中でそれを引っ込めた。




    あることに気付いたのだ。







    九頭龍「ドアが開いている……!?」






    そう、確かに閉めた筈のドアが開いていたのだ。


    だが、それは直ぐにぱたりと閉まった。


  60. 64 : : 2015/03/16(月) 10:42:27




    九頭龍「風か……?」




    そう思ったが、自分でその意見を早々に否定した。




    九頭龍(あのドアを外から開けるには、引かなきゃいけない)


    九頭龍(つまり風じゃ、絶対に開けることは出来ない)





    九頭龍「……」





    俺は近くの窓に目を向け、外の砂場を覗く。


    するとそこには、『2種類の足跡』があった。





    九頭龍「なるほどな……」




    俺は頭の中でロジックを組み立てる。



    まず一つ目、ドアが人知れず勝手に開いた。

    そして二つ目、砂場に残された『2種類の足跡』




    九頭龍(砂場にあった『足跡』の内、一つは俺のものだろう)


    九頭龍(だがもう一つは、俺ではない誰かのものだ。きっと、そいつがドアを開けた)


    九頭龍(だが、俺はそいつがドアを開けた姿を確認出来ていない)





    九頭龍「……」





    九頭龍「あ、そうか」







    九頭龍「『確認』出来ないっていうか、『見えない』のか……!!」



    九頭龍「つまり、相手は『透明』になる『能力』ってわけだな……!!」



  61. 65 : : 2015/03/16(月) 11:05:19





    ???「正解だ」





    九頭龍「!!?」






    ???「全く……一発で見抜かれるなんて思ってなかったぞ?」




    九頭龍(この声は、確か『十神』って奴のだ)





    九頭龍「……何の用だよ」




    俺は『見えない』十神に、質問を投げかける。




    ???「……お前の役職を知りにきた」


    ???「もしお前が【市民側】なら、俺は危害を加えない」


    ???「だが、【犯罪者側】なら容赦はしない……!!」





    十神の声に、威圧感がこもる。





    九頭龍「……」




    九頭龍(なるほど。つまり、こいつは【市民】ってわけか)


    九頭龍(こうやって奇襲を仕掛け、【市民】と【犯罪者】を炙り出す戦法って感じだな)




    九頭龍「……じゃあ俺は、どうやってお前に役職を示せばいい?」




    ???「簡単だ、お前の電子生徒手帳を見せろ」


    ???「そうすれば役職を確実に確認出来る」




    九頭龍「了解だ」


    九頭龍「けど、電子生徒手帳を出す必要はないな」















    九頭龍「だって俺が【犯罪者】だからよ……!!」


    九頭龍「ビンゴだぜ、十神」




  62. 66 : : 2015/03/16(月) 17:26:03
    期待
  63. 67 : : 2015/03/16(月) 18:42:32





    能力者ファイル.26



    十神 白夜(仮)


    能力『透明』



    自分自身と、身につけているものを『透明化』し、他人から見えなくする『能力』。


    『能力』の継続時間はかなり長い。




  64. 68 : : 2015/03/16(月) 18:49:10






    ???「……確かに、それなら示す必要はないな」



    ???「どっちにしろ、この俺に殺されるんだからなァァ!!」







    九頭龍「いや」






    九頭龍「殺されるのは、お前の方だろッ!!」





    俺は取り敢えず拳を空中に突き出す。




    だが、それは空を切っただけだった。






    ???「ハハッ!! 何処を狙っている!!」





    何か長い物体が、空気を切り裂く音。

    それが俺の神経を迅速に働かせ、脳に命令を出させる。





    九頭龍「!!?」





    俺はその場から、直様飛び退いた。




    ???「ククク、惜しい」

    ???「後少しでお前の頭をかち割れていたものを」





    九頭龍「ハァハァ……」





    九頭龍(この野郎……何か、『金属バット』とか『鉄パイプ』とかいった棒状の武器を持っていやがる!!)


  65. 69 : : 2015/03/16(月) 19:02:51




    九頭龍「……リーチのハンデキャップってわけだな」




    俺は呼吸を整え、その場に構える。そして五感を研ぎ澄ます。

    微かな音でさえ、俺の耳で捉えられるように。





    九頭龍「……」





    緊迫した空間が、肌をひりひりさせる。


    俺は、その空間の些細な変化を確かに感じとった。





    九頭龍「そこだッ!!」





    俺は右腕で、思いっきり目の前を殴りつけた。






    ???「残念、後ろだ」





    九頭龍「!!?」





    しかし、俺の右腕はただ、周りの空気を振動させただけだった。



    十神は俺の真後ろにいる。




    そして……。






    ???「喰らえッ!!」





    奴は何かを振り下ろした。



  66. 70 : : 2015/03/16(月) 19:31:34





    九頭龍「……予想通りだぜ」




    俺は残っている左手を、そっと頭部に添える。




    ???「なっ!? どうやって俺が攻撃する箇所を見抜いた!!?」



    九頭龍「人間を一撃で殺すには、ここしかねーだろ?」



    ???「クハハ!! なるほど!!」




    ???「ならば、その左手ごと殴り抜かせてもらうッ!!」





    九頭龍「……!!」





    俺は前を見つめていた。


    理由は、十神の方に振り向く余裕がなかったから。




    十神はきっと俺の後頭部目掛け、何かを振り下ろしている。





    俺の左手は、その何かに、触った……。





    その瞬間。


    俺と十神の間に、烈風が吹き荒れる。


    髪が、その荒々しい風によって逆立った。





    ???「な、何だこれはッ!!?」



    ???(『風』……こいつの『能力』は『風』ッ!!?)




    ???(いや、俺が持っていた金属バットも今の瞬間に消えている……!!)





    ???(『風』、そして『消える』)







    ???「ま、まさかこいつの『能力』はッ!!」







    ???「触れた物を『気体』に変える能力かッ!!?」



  67. 71 : : 2015/03/16(月) 20:02:22
    SSの作者に批判を期待へと変換する能力を与えてほしいですね・・・
  68. 72 : : 2015/03/16(月) 20:04:08
    >>71
    批判された数以上に僕たちが期待すればいいんだ!
    期待です!
  69. 73 : : 2015/03/16(月) 20:12:55
    九頭竜強くね!
  70. 74 : : 2015/03/16(月) 21:00:59
    期待
  71. 75 : : 2015/03/16(月) 21:10:16
    九頭龍めっさ強いですよ。
    期待ありがとうございます。
  72. 76 : : 2015/03/16(月) 21:12:29





    九頭龍「……!!」





    俺はそのまま、俺の真後ろを右腕で殴り飛ばす。




    ???「クッ!!」







    が、手応えはない。


    きっと避けられたのだろう。





    ???「なんて事だ……」






    ???(かなりまずいぞ。こいつに、一回でも触れられたら、それだけでゲームオーバーだ)




    ???「けど」


    ???「ここで諦めるわけにはいかないッ!!」




    九頭龍「ガハッ!!?」





    俺は、どこからともなく放たれた拳によって腹部を強打される。




    九頭龍「そこかッ!!」





    俺はすかさず反撃に移す。



    しかし、





    ???「当たらないなァ!!」





    九頭龍「ッ!!?」




    逆に、顔面を思いっきり殴り飛ばされてしまった。



    俺はその場を転がるようにして離れ、飲料水が置いてある棚に身体を打ち付けた。





    九頭龍「グフッ……」





    ???「フフフ、やはり、『見えない』というアドバンテージは大きい」


    ???「いくらお前の『能力』が強くても、攻撃が当たらないと意味ないもんなァ!!」




  73. 78 : : 2015/03/16(月) 21:40:36





    九頭龍「『見えない』か」







    九頭龍「……ならよ、『見える』ようにしてやるぜ」





    俺は立ち上がり、直ぐ近くにあった同じ種類の飲料水を沢山抱え込む。





    九頭龍「一つ言っとくとな、お前に殴り飛ばされたのは、自然にここに近づく為なんだよ……!!」




    ???「ハッ!! その抱え込んだものをどうする気だ!!」





    九頭龍「『こうする』」





    俺は、中の液体を覆っているペットボトルを『気体』に変え、辺りの床に液体をぶちまけた。




    ???「着様ッ!!?」




    すると床のある部分が、不自然に液体を避けているのが見て取れた。




    九頭龍「お前が『見えない』ってだけで、『実体』があるんなら、液体はそうやって、お前がいる場所を避ける筈だよな……!!」



    九頭龍「お前が『見えた』ッ!!」


    九頭龍「お前の居場所は、液体が不自然に避けている場所だッ!!」




    俺はその場所目掛け、突き進む。



  74. 79 : : 2015/03/16(月) 22:04:26





    ???「クソッ……だが、十神の名にかけて、俺は『絶対』に勝つんだ!!」






    十神が激昂する。


    その迫力に俺も一瞬、気圧された。




    だが、





    九頭龍「それ……間違ってるぞ」




    ???「は?」





    九頭龍「『絶対』の後にくる付属語は、『ない』なんだ……」


    九頭龍「つまり、さっきのお前の言葉を正しく直すと




    【俺は『絶対』に勝て『ない』】




    になるってわけだ」



    九頭龍「という訳で、お前は『文法的』に間違ってるって言ったんだよ」





    ???「だからどうしたッ!!」





    九頭龍「ある意味正解だと思ってよ」



    九頭龍「お前はこの俺に『絶対』に勝て『ない』っていう」



    九頭龍「『現実的』な意味じゃあなァ!!」





    ???「ほざけッ!!」




    液体がばしゃばしゃっと音を立てる。そしてその音はドアの方へと移動していった。



    逃げる気か。



    俺が【犯罪者】であることを他の奴にバラされれば、俺は集中砲火を喰らうだろう。


    それはなんとしても阻止しなければならない。





    九頭龍「俺自身の平和のためにも……!!」


  75. 80 : : 2015/03/16(月) 23:26:56
    期待
  76. 81 : : 2015/03/17(火) 03:05:38
    豚が周りを透明化できるのなら最強だっ・・・・あれ?
    武器が透明になるということは
    身につけているものの透明化ですよね?
    地球透明化できるんじゃね?
  77. 82 : : 2015/03/17(火) 07:53:18
    >>81
    地球を身に付けるってどういう状態のことですか。ってわけで無理です。
  78. 83 : : 2015/03/17(火) 07:54:26




    液体が俺自身には触れていない事を確かめ、俺はその場にしゃがみ込む。



    そして、液体に少し触れ、能力を発動した。






    九頭龍「『液体』は『固体』に変わる……!!」




    ???「なっ!!?」




    液体は固くなっていき、十神の足を床に固定した。




    ???「え、液体が固まっている……!!?」




    なんとかしようと十神は力を込めているようだが、『固体』となった『液体』はビクともしなかった。




    九頭龍「まあ、死人に語っても問題はないし教えてやるよ」


    九頭龍「俺の『能力』は『変化』だ」


    九頭龍「今のは、『液体』を『固体』に『状態変化』させた」





    ???「……『気体』に変えるだけじゃなかったのか」





    九頭龍「まあ、そういうわけだな」



    九頭龍「で、この『能力』の特にいいところは、死体を遺さずにすむってところだよなぁ……!!」





    九頭龍「じゃあな十神」





    俺は床に固定されている、『見えない十神』に近寄り触れ、『気体』に変えた。




    そして跡形もなく、奴は消えたのだった。





    九頭龍「ハァ……今日は帰るとするかな」


    九頭龍「泳ぐって気分じゃねえし」







    俺はドアを開け、外に出た。






    Chapter1裏物語 END



  79. 84 : : 2015/03/17(火) 07:55:41




    能力者ファイル.31



    九頭龍 冬彦



    能力『変化』



    触れた物体の『状態』や『形状』を『変化』させる能力。


    例えば『液体』なら、『気体』や『固体』に『状態を変化』させる事が可能である。

    もちろん、単純に『形状』を変化させることも出来る。


    この『能力』において、温度や体積とは無関係に『状態を変化』出来る。



  80. 85 : : 2015/03/17(火) 08:54:38
    九頭竜は本当に犯罪者なの?
  81. 86 : : 2015/03/17(火) 09:01:30
    >>85
    そうですよ。
  82. 87 : : 2015/03/17(火) 12:43:49
    一作目から読んで追いつきました!!すごく面白いです!!更新待ってます!!!
  83. 88 : : 2015/03/17(火) 18:42:48
    期待
  84. 89 : : 2015/03/17(火) 19:26:30
    >>87
    もっと面白くなるよう頑張ります!!



    たくさんの期待コメありがとうございます!! それを励みにドドドドっと更新していきたいと思います。

  85. 90 : : 2015/03/17(火) 19:28:43




    Chapter2『強い奴』








    花村との闘いから一晩が明けた。



    窓から暖かい陽射しが、穏やかに俺を包み込む。


    俺は目をこすりながら、自室のベッドから起き上がった。




    日向「ふあぁぁぁ……」




    口を大きくあけ、足りていない酸素を吸い込み、脳へと運ぶ。




    日向「やっぱ、夢じゃないよなぁ」




    少々がっかりはしたが、人の死を生で見た時の衝撃はリアルにしか感じれなかったので、最初から夢だとは思っていない。



    ほんの冗談、もとい妄想だ。


  86. 91 : : 2015/03/17(火) 19:30:52




    日向「……ん?」





    俺はあることに気づく。



    テーブルの上に置いていた俺の電子生徒手帳が、何故か光っていたのだ。


    俺は、それに向けて手を伸ばす。






    日向「通知……?」





    そのアイコンをタッチすると、画面が切り替わった。





    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    【通知】 一日目



    死亡 : 花村 輝々 【市民】

    死亡 : 十神 白夜 【市民】



    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





    日向「花村は知ってたけど、十神もか……」






    自己紹介の時にいた奴で、『十神』というより『豚神』といった名前が似合いそうなやつだった。



    落ち着いていて、幾つもの修羅場をくぐり抜けているように感じられていたのに。



    十神を殺した相手もまた、強者という訳か。






    日向「……強者か」







    俺は辺りを見回しながら、慎重に外へと足を運んだ。







  87. 92 : : 2015/03/17(火) 19:43:33







    【食堂】






    左右田「でな、やっぱり一番はハンバーグなんだよ!!」


    日向「俺は……餅とか好きだな」






    左右田と駄弁りながら、朝食をとる。


    俺たちに許された平和な時間。



    雑談に夢中になっていると、とある人物が俺たちに話しかけて来た。







    ???「あ、あのぉ……」


    ???「もしよろしければ、一緒に朝食を……なんて」



    日向「え?」


    罪木「ひぃっ⁉ すみませんすみません!!」


    日向「あ、いやいや、そういう意味での『え?』じゃないよ」


    日向「勿論歓迎だぜ」


    罪木「……」






    罪木「ふゆぅぅぅ……」




    何故か、罪木は急に泣き出してしまった。

    大粒の涙が、目からぽろぽろとこぼれ落ちている。



  88. 93 : : 2015/03/17(火) 20:56:45




    日向「えっ!?」


    日向「ど、どうしたんだよ……」




    罪木「グスッ……生まれてきて、初めて人に優しくされたんです……!!」





    日向「そ、そうか……」





    罪木の身体をよく見ると、足には煙草を押し付けられたかのような痕があったり、固いもので殴られ、少し腫れたりしているような箇所もあった。


    ここに来るまでに、様々な暴力を受けていたのだろう。

    俺は罪木の境遇を思い、彼女の周りにいる奴等に怒りを覚えた。





    日向「……取り敢えず俺は、お前を意味もなく傷つけたりしない」


    日向「それに、お前が『何かしたい』って思ったことに、俺は駄目だとは言わないさ」






    日向「だから座れよ。食べようぜ、朝食」




    罪木「は、はい……!!」



    罪木「と、隣、よろしいでしょうか!?」




    日向「ああ、別に構わないけど」



    罪木「で、では失礼します!!」





    そう言って、罪木は俺の隣に腰掛けた。




    少しでも、彼女の心の傷を取り除きたい。





    日向「罪木は、どんなものが好きなんだ?」


    罪木「あ、お薬さんが大好きです!!」



    日向「薬か……」





    『会話』、それがきっと、人を知らない彼女を変えられると俺は信じている。





    左右田「……」



    左右田(ハハハ、俺、ここにいる必要あるのかな)







    ーー
    ーーー
  89. 94 : : 2015/03/17(火) 21:01:07
    ーー






    【中央の島】





    太陽は一番高いところに昇ったあと、今は少しずつその高度を下げていっている。




    罪木と朝食をとった後、俺と左右田はあいつと別れ、中央の島のベンチに座り、のんびり過ごしていた。



    自然のいい香りとのどかな雰囲気に、俺は満足している。





    日向「罪木も来れば良かったのになぁ」



    左右田「そだな」


    左右田(お前に惚れてるから、恥ずかしくて来れなかったんだろうな)

    左右田(今わかった、こいつ賢いけど馬鹿だ)




    日向「……」


    日向「さて、どうする?」


    左右田「え、何が?」


    日向「ここからどうやって脱出するかだよ」


    日向「このままのんびりしてても、何も進展しないだろ」




    日向「まず、動く」


    日向「じゃないと何も変わりやしない」

  90. 95 : : 2015/03/17(火) 21:18:08



    左右田「そりゃそうだけどよ……」


    左右田「何の手掛かりもないんだから、無闇に動く訳にもいかねえだろ」



    日向「だったらその手掛かりを探す」



    そう言って、俺はベンチから立ち上がる。




    日向「手掛かりは『ある』もんじゃない」


    日向「『見つける』もんだ」


    左右田「……わかったよ」




    そして左右田も渋々立ち上がった。

    なんだかんだ言って、俺の提案に付いてきてくれる。根は凄くいい奴なんだろう。


  91. 96 : : 2015/03/17(火) 21:30:45
    田中は敵かな?
  92. 97 : : 2015/03/17(火) 21:44:54

    毎度ながら能力が細部までしっかり考えられていて面白いです!
  93. 98 : : 2015/03/17(火) 21:53:34
    >>96
    それはどうかな(´・Д・)」ーーー▷

    >>97
    今回も頑張りました‼
    あざっす‼
  94. 99 : : 2015/03/17(火) 21:58:35




    左右田「じゃあ、どこから探索するよ?」


    左右田「軍事施設とかあるらしいし、行ってみたいけど‼」




    そう言うと左右田は、目をキラキラと輝かせた。




    日向「ハハハ、観光じゃねーんだからさ、今日はなるべく俺らのコテージに近いところを探索しようぜ」


    左右田「え? 何でだよ?」

    左右田「行こうぜ‼ 軍事施設‼」





    日向「……いいか、これからどんどん陽が沈んで暗くなる」


    日向「だからその暗くなった分、闇に乗じての奇襲の成功率は高くなってしまうんだ」



    日向「となると、俺たちは無闇に出歩くべきじゃない」



    左右田「なるほど、つまり……『奇襲がかけられ易くなる夜は、あまり出歩くな』ってことだろ!?」




    日向「ああ、グッド、そういうことだ」


    日向「てなわけで、コテージに戻りながら探索をしよう」








    ???「ならば、今殺すしか他あるまい……!!」





    日向・左右田「「!?」」







    ドドドドドドドド……!!!








    左右田「おい……日向」


    左右田「お前、今何か言ったか!?」



    日向「悪いけど、何も言ってない」


    日向「この不可思議な現象……これも『能力』ってやつなのか!!?」


  95. 100 : : 2015/03/17(火) 22:11:26





    ???「正解だ」






    怪しげな声が俺の直ぐ後ろで聴こえたかと思うと、左右田が物凄い形相で叫んだ。






    左右田「日向‼ その影から離れろ‼」




    日向「え?」





    俺がおもむろに振り向くと、平面にしか存在しないはずの木の影が、立体的に盛り上がっていた。




    そして、そこから黒い拳が放たれる。






    日向「グッ!!?」






    俺は木の影から飛び退き、日が照らしている場所に倒れ込む。


    すると黒い拳は影と陽の境目で止まり、日の方には入ってこなかった。





    日向「……拳は飛んでこない」


    日向「影の方で止まってるってことは、あいつの弱点は光ってことか?」




    ???「まあ、そうだな」


    田中「なかなか賢いじゃないか、日向創」




    左右田「お前は……田中‼」




    立体的な影が少しずつ人の形になり、人間になった。




  96. 101 : : 2015/03/17(火) 22:44:39




    田中「ふぅ……」


    田中「さて、コロシアイといこうか」



    日向「ちょっと待てよ‼」


    日向「俺たちは【市民】だし、お前と争う気もない‼」



    田中「フン、確かに俺も【市民】だが、お前の意見など関係ないわ」


    田中「ならば逆に尋ねよう」


    田中「なぜお前は『左右田と一緒にいる』?」




    左右田「え、お、俺!?」




    日向「……」




    日向(こいつ、なかなか鋭いな‼)


    日向(この『能力コロシアイ南国生活』において、普通、【市民】が協力することはありえない‼)


    日向(何故なら【市民】は、相手の役職を知る手段がそいつの電子生徒手帳を見ることしかないからだ‼)


    日向(それでもし、協力しようとした相手が【犯罪者】だったら……?)


    日向(そいつの電子生徒手帳を見る前に、隙を突かれ殺されてしまうだろう‼)


    日向(つまり手を組む際のリスクを考えたら、【市民】と【市民】がお互いに協力することはないけど……!!)






    左右田「?……意味がわからないぜ」




    日向(左右田と俺の出会いは『偶然』なんだ!!)




  97. 102 : : 2015/03/17(火) 23:16:16
    面白い!!(確信)期待です!!
  98. 103 : : 2015/03/17(火) 23:35:15
    >>102
    確信あざすw‼
  99. 104 : : 2015/03/17(火) 23:35:52






    日向(『偶然』、左右田がこのコロシアイのルールをよく理解していなかった)


    日向(『偶然』、左右田は運命共同体に俺を選んだ)


    日向(『偶然』、俺が【犯罪者】ではなく【市民】だった)






    日向(まさに『偶然』が作り出した産物‼)




    日向(だからこそ、俺と左右田が組んでいる理由を田中には説明出来ない‼)


    日向(何故なら『偶然』だから‼)







    田中「……」







    左右田「おい、どうする日向?」




    左右田が田中を見つめ、小声で囁く。






    日向「……逃げよう」




    俺は即答した。




    日向「分が悪過ぎる。きっとあいつの『能力』は、自分が『影』に変身することで影の中を自由自在に動き回るというものだろう」


    日向「つまり田中が『影』に変身している間は、俺たちはあいつに手を出せない」


    日向「影を攻撃しても意味はないだろ?」


  100. 105 : : 2015/03/18(水) 12:29:07




    左右田「マジかよ!?」




    日向「……けど」



    左右田「け、けど?」






    日向「あいつが『影』になってる時に、光で照せばどうなるんだろうな……!!」



    日向「お前も見ただろ?」









    ーー
    ーーー






    日向『グッ!!?』






    俺は木の影から飛び退き、日が照らしている場所に倒れ込んだ。


    すると黒い拳は影の所と陽が照らしている所の境目で止まり、日の方には入ってこなかった。





    日向『……拳は飛んでこない』


    日向『影の方で止まってるってことは、あいつの弱点は光ってことなのか?』





    ーーー
    ーー








    左右田「あ、ああ……」


    日向「つまりあいつが『影』に変身している時は、奴にとって光が弱点になるんだろう」











    日向「『つけ入る隙はそこにある』」




  101. 106 : : 2015/03/18(水) 17:12:36






    待ちくたびれたのか、田中がこちらに話しかけてきた。





    田中「……さっきから何かやっているようだが、生憎俺の気は短い方でな」



    田中「そろそろガチに殺させてもらう‼」





    そう怒鳴り散らし、田中は俺たちめがけて拳を振り上げ向かってくる。





    日向「クッ、いいか左右田、あいつが『影』の時は光に弱い……ってことで任せたぞ‼」




    左右田「ええっ!!?」






    俺は迫り来る田中に対し、あえて突っ込んだ。





    日向(『影』になる『能力』ってことは、それ以外の身体能力は普通なはずだ‼)





    日向「オラッ‼」





    俺は拳を目の前の田中に突き出す。




    田中「フッ‼ その突き出した拳の影に交わるだけだ‼」




    だが、田中は不敵な笑みを浮かべ、俺の影に侵入していった。


    もちろん拳は当たっていない。





    日向「やられた……!!」





    俺が自分の失態を悔やんでいると、俺の影から黒い脚が突き出されてきた。


    それは俺の胸を蹴り上げ、近くの木までぶっ飛ばす。





    日向「ガハッ‼」






    俺の身体は木の根元に打ち付けられた。ジンッとした鈍い痛みが、腰から全体に拡がる。





    田中「フハハハ‼」


    田中「そこは俺のテリトリーだぞ‼ 日向創‼」





    どこからともなく、田中の声が聞こえた。





    日向「……」





    俺が今いる場所は、木の影のど真ん中だった。

    光は一切入ってこない。




    俺が吹き飛ばされていた時、もちろん俺の影も移動していた。


    その影に侵入することで、『影』のままここまで来たのだろう。




  102. 107 : : 2015/03/18(水) 17:40:47







    日向「……!!」





    田中「クハハ‼ まずはお前の血で俺の勝利に祝福をあげるぞ‼」







    田中の姿は未だ確認出来ない。












    日向「……『確認出来ない』ってことはだ」







    日向「つまり、お前は今、『影』になってるってことだよなァ!!」






    田中「!!?」







    田中はあることに気づいた。




    それは、左右田が木の側に立っていること。



    そして、その木に『触れて』いること……!!







    左右田「なるほど。影を作っている木を取り除きさえすれば、そこにある影は消えるよなぁ……!!」



    左右田「この木を『分解』するッ‼」



    左右田「影は跡形もなく消え去るぞ‼」






    左右田の『分解』が発動した。



    木は塵になり、そこに強烈な夕陽が射し込む。







    田中「グアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」





    『影』だった田中は、断末魔のような呻き声をあげ、もがき苦しむ。



    逆光でよく見えなかったが、左右田と目を合わせ、勝利できたことにお互いを称えた。
















    勝った。




    そう思った。






    だが理不尽なことに、夕日は水平線上にちょうど沈んでいく。






    日向「なっ!?」








    そして、徐々に光の強さは弱まっていき、光は閉ざされた。



    辺りを暗闇が支配する、完全な『夜』が訪れた。







    田中「……日は没した」





    田中「お前たちの命は、ここに沈む‼」




  103. 108 : : 2015/03/18(水) 18:26:06
    田中死なないでくれー
  104. 109 : : 2015/03/18(水) 19:43:58






    能力者ファイル.31




    田中 眼蛇夢




    能力『影』





    『影』になっている時は、あらゆる影に侵入できる。


    影に侵入している際には、外部からの影響を受けることはない。


    だが、『影』になっている時に光を数秒当てられると、消滅する。








  105. 110 : : 2015/03/18(水) 19:56:49








    日向「こんなにも、夜が恐ろしいと思ったことはない……」






    日向「あいつはこれを待ってたんだ、最初から‼」


    日向「『光』のない世界、つまり『影』が全てを覆いこむ世界」



    日向「田中はここでは無敵なんだ‼‼」





    田中「フ……日向創よ」


    田中「お前のその頭の回転の早さには驚かされるな」


    田中「だがそんなもの、能力者の前では何の意味をなさないことを身体に覚え込ませてやるッ‼」







    田中が喋り終わると同時に、奴は影に侵入し消えた。




  106. 111 : : 2015/03/18(水) 20:17:20






    日向(どこから攻撃してくる……!?)




    左右田「日向‼ 逃げろ‼」






    左右田は俺に向かって、声を荒げる。






    日向「……それは出来ない」


    日向「今、ここで田中を殺すしか未来はないんだ」






    もしこの戦いが長期化し、争いの火種が周りの奴らに移ったら、本当にコロシアイの連鎖が起こってしまう。



    その未来は避けなければ。






    日向「さあ田中‼ 来るならこい‼」






    田中「……もう来ているさ」














    田中「左右田の方にな」



  107. 112 : : 2015/03/18(水) 20:54:25
    田中待ってくれよ!殺すのだけは〜
  108. 113 : : 2015/03/19(木) 06:40:48
    期待
  109. 114 : : 2015/03/19(木) 07:25:55
    田中の能力って苗木の加速と相性悪そう
    苗木は影になるものの枯れる・朽ちる速度を加速させたり、(出来るのなら)地球の自転速度を加速させて太陽を持ってきたりするから、影を遮る方法はいくらでもあるし
  110. 115 : : 2015/03/19(木) 11:41:25
    田中死ぬなー
  111. 116 : : 2015/03/19(木) 11:51:41
    >>114
    苗木の体力が吹っ飛ぶ方が早そうですけど。
  112. 117 : : 2015/03/19(木) 12:00:34





    田中の声が、左右田の両耳を刺激したのだろうか。


    左右田は素早く後ろを振り向く。





    左右田「!?」



    田中「フハハハ‼」







    田中が振り下ろした拳が、左右田の顔面を縦に殴り抜く。



    バキッという鈍い音が、俺のいるここまで響いた。

    左右田は朧げな目をし、ゆっくりと地面に跪く。





    日向「左右田ァァ!!!?」







    左右田「日向……すまねえ」






    そして左右田は、うつ伏せになり倒れ込んだ。






    田中「弱いくせに逃げようとせず、俺と闘おうとしたからそうなったのだ、日向創」



    田中「強くなければ、闘う資格すらないのだッッ‼」





    倒れている左右田を踏みつけ、田中は足を退けようとはせず、さらに踏み続ける。


    左右田の呻き声が聴こえてくるようだった。



  113. 118 : : 2015/03/19(木) 12:04:08





    日向「お、俺は……」






    俺に力があれば、左右田を護れていたのに。







    日向「俺が……強ければ……」






    憎い。


    あいつが憎い。





    田中「ハハハハハハ‼ 清々しい気分だ‼」






    強さが欲しい。



    『仲間を護れる強さが』










    俺は地面を拳で殴りつけ、田中は高笑いをした。





    その瞬間、真っ暗な世界に、一筋の光が見えた。


    比喩でもなんでもない。


    本当に見えたんだ。






    日向「あれは……?」





    その光は徐々に集合していき、人の形を紡ぎ出していった。





    ???「・・・」






    田中「何だ、そいつは!!」








    日向「お前は一体何なんだよ……?」





    俺は光の集合体に、おそるおそる話かける。



    すると、生気の宿っていない目をしたそいつは俺の質問にこう応えた。












    ???「…………ザ・ドール」







    ザ・ドール「……」







    そいつは、『ザ・ドール』とだけ応えた。







  114. 119 : : 2015/03/19(木) 16:23:36




    能力者ファイル



    日向 創



    能力『ザ・ドール?』



    物凄いスピードとパワーを持つ人形を動かすことが出来る。

    人間型能力ともいう。


    射程距離は不明。





  115. 120 : : 2015/03/19(木) 16:25:39







    田中「それがお前の『能力』なのか?」


    田中「なかなか面白そうではあるが、俺に敵うとでも思うか!?」



    田中「影の中では、俺に敵はいない‼ 全てが無駄なのだ‼」






    日向「……」





    俺には田中の話が、全然耳に入ってこなかった。

    今は、ザ・ドールのことしか俺の意識の中にはない。



    そっと拳を握る。





    日向「‼」




    まるで力が溢れ出てくるようだった。




    日向(これが『ザ・ドール』の『パワー』……!?)





    俺はザ・ドールを深く見つめる。





    日向(これなら……いける)









    日向「思い描いた想像を、現実に創り出せるッ‼」



  116. 121 : : 2015/03/19(木) 16:29:09





    俺は感覚的にザ・ドールを動かす。


    すると、ザ・ドールは物凄いスピードで近くの木に詰め寄った。


    その動作で、突風が吹き荒れるほどだった。


    そして手刀を振り下ろし、木の枝をへし折る。木の枝はまるで菓子のように簡単に割れた。






    ザ・ドール「・・・」





    ザ・ドールはそれを固く握り締める。






    田中「何をする気だ……!?」




    田中(どうする、ここにいる左右田を人質に取るか!?)


    田中(それとも、俺がじきじきに奴を殺すか!?)




    田中(……奴の『能力』は、おそらくあの人間のようなものだ)



    田中(つまり、『日向創自身は何の強みもない』ッ‼)






    田中「答えは、『俺がじきじきに殺す』だッ‼」





    田中「『影への侵入(シャドーダイブ)』」





    田中「……やはり、影はいつ侵入しても暗いな」


    田中「だがこの影を移動し、安全に奴を殺す‼」





  117. 122 : : 2015/03/19(木) 16:47:42





    俺が奴の方に目を向けると、田中はそこにはいなかった。





    日向「……田中が消えたということは、影に潜ったか」





    俺は、ザ・ドールにある命令をする。






    ザ・ドール『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッッ!!!!』





    するとザ・ドールは手に持った枝を、何度も何度も木に突き立てた。


    目にも留まらぬ速さで。




    すると徐々に、突き立てられた部分がほのかに光を発し始めた。






    日向「木と木が擦れたことによって生じた『摩擦熱』だ……」





    ザ・ドールは手を止めようとはしなかった。


    それどころか、さらにスピードが増しているようにも思える。





    ザ・ドール『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッッ!!!!!!』





    ザッザッザッザという、木が擦れ合う鈍い音がそこら中に響いた。




    そして、ついに、『摩擦熱』は『炎』を生み出す。


    『炎』はあっという間に木々へ燃え拡がり、巨大な光が闇を照らし出した。








    日向「闇を照らす、炎の光を喰らいやがれ!!!」






    俺の後ろから、強烈な光が降り注ぎ、辺りの闇を退けていく。





    田中「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!?」





    『影』だった田中は、炎の光をもろに喰らい、絶叫の雄叫びを上げた。








    田中「忘れて……いた……」





    田中「日向創自身には、『頭脳』という『強み』があったッ……!!」



  118. 123 : : 2015/03/19(木) 17:00:11
    期待
  119. 124 : : 2015/03/19(木) 19:58:52
    田中死なー
  120. 125 : : 2015/03/19(木) 21:10:05





    田中は『影』の状態を解き、その場に倒れ込む。





    日向「俺の怒りをぶち込むッ‼」





    『ザ・ドール』は田中をめがけ突き進み、拳の嵐を田中にお見舞いしてやった。





    ザ・ドール・日向『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァッッッ!!!!!!』






    田中は顔面や肉体をぐちゃぐちゃに歪めながら、飛んでいった。


    正真正銘の“死”だろう。




    俺は死ににゆく田中に近づき、一言言った。






    田中「ウグ……」






    日向「『強さ』ってのは、『弱さ』を克服した先の到達点なんだと思う」


    日向「けど、最初から『強かった』お前には、それを理解出来なかったみたいだな」






    Chapter2END







    詳細




    田中 眼蛇夢:市民 【死亡】





    左右田はダメージを負いはしたものの、そこまでの深い傷はなかった。

    ドラッグストアで治療するとのこと。






  121. 126 : : 2015/03/19(木) 22:15:51
    殺す時は殺します‼
  122. 127 : : 2015/03/19(木) 22:18:41








    Chapter2裏物語
    『平和に過ごしたい奴と平和を守りたい奴』








    九頭龍「……」





    十神を死へと導いてから一日目が、何事もなく過ぎようとしていた。


    ということは、どうやら俺が十神を殺したことはまだ周りの連中にはばれていないらしい。




    日は完全に没し、辺りが黒色で覆い隠されている中、天空には黄金色の月が昇っている。


    腹の減りを感じていた俺は、とりあえずホテルに行ってみることにした。






    九頭龍(……ペコ)




    九頭龍「生き残るぞ、必ずな」







    俺は今ここにはいない辺古山に、誓いの念を捧げた。






  123. 128 : : 2015/03/20(金) 07:39:12
    期待
  124. 129 : : 2015/03/20(金) 09:17:43








    【ホテル】





    中に入ると、ゲームセンターにあるようなゲーム機が目に止まったが、気分ではないし無視した。





    九頭龍「……飯飯」






    ホテルの中にある棚を漁ってみるが、食料は全く無い。




    九頭龍(ここより、スーパーマーケットみたいな所の方が食料もあるかもしれないな)






    そう思った俺は踵を返し、ここから出ようとした。





    が、





    10M先くらいの物陰から声がした。






    ???「動くな」


    ???「動くと攻撃を始めるぞ……!!」





    九頭龍(チッ、待ち伏せられてたのか……)


    九頭龍(何で俺って奴はこうも奇襲をかけられるんだろうな)




    苛立つ感情を抑え込み、頭を落ち着かせ口を開いた。







    九頭龍「……この声は、罪木か?」







    罪木「ええ、貴方を殺す人物です……!!」


  125. 130 : : 2015/03/20(金) 12:15:05




    九頭龍「……じゃあついでに教えてくれよ、何故俺を襲おうとした?」


    九頭龍「俺が【犯罪者】に見えるのか? それともお前が実は【犯罪者】だったりするのか?」




    俺の質問に対して、罪木は少し黙り込んだ後、おもむろに話始めた。





    罪木「……お昼に、私のコテージの郵便受けに手紙が入っているのを見つけたんです」


    罪木「それには、『九頭龍 冬彦は【犯罪者】だ』とだけ書かれていました」




    九頭龍「おいおい、その変な手紙だけで俺は【犯罪者】扱いかよ」




    罪木「この情報が嘘だろうと何だろうと、どうでもいいです」

    罪木「強いて言うのなら、無実を証明したければ、貴方の電子生徒手帳を見せて下さい」




    九頭龍「……へっ」




    罪木「私は危険なものを少しでも取り除きたいんですよ」


    罪木「私と日向さんの、平和な生活の為に……!!」




    罪木はそう言うと、どこか別のところに視線を向け、頬を赤らめ少し涎を垂らした。





    九頭龍(凄く不気味だな……)




    罪木「というわけで、貴方には死んでもらいますッ‼」




    罪木は腰に隠し持っていたメスを4つほど、俺へと目掛けて投げ込んだ。


    あまりに素早いその動きに、俺は完全に不意を突かれた。



  126. 131 : : 2015/03/20(金) 12:31:09





    九頭龍「クッ……避けることは無理っぽいな」


    九頭龍「じゃあこうだッ‼」





    俺はメスを止める為に、両腕を突き出す。





    罪木(甘いですよぉ……)


    罪木(そのメスの鋭さは、人間の皮膚や骨を軽く切り裂きます‼)


    罪木(これで、貴方のその両腕は再起不能ですね……!!)






    九頭龍「!!?」




    4本のメスが俺の手のひらに撃ち込まれる。


    チクリとした鋭い痛みが、俺の手のひらを包み込んだ。






    九頭龍「これは……予想外だ……!?」





    罪木「フッ、手で受け止めるなんて、とても愚かですね‼」


    罪木「これで、その両手は使えない‼」





    九頭龍「……」





    九頭龍「と、思うだろ?」




    俺はメスをきちんと握り締め、罪木に投げ返した。




    罪木「なっ!?」




    罪木は咄嗟に反応し、その場から飛び退いた。


    だが、4つのメスの内1つが、罪木の肩を斬り裂く。


    そこから血が吹き出した。


    あとの3つは、壁に打ち付けられたり、床に転がったりした。







    九頭龍「『状態変化』ッ‼」



    九頭龍「触れていた空気を『気体』から『固体』に変えて手のひらを覆い、メスを防いだ……!!」


    九頭龍「メスが鋭過ぎた所為で、空気の盾が少しばかり貫通して、ちょっとチクッとしちゃったけどな」




  127. 132 : : 2015/03/20(金) 15:31:55
    罪木ちゃんが日向と会ってからのわずかな時間でヤンデレと化している…(恐怖)
  128. 133 : : 2015/03/20(金) 18:47:16
    前作から見ています、罪木の能力が気になる
    期待です!!
  129. 134 : : 2015/03/20(金) 20:34:58
    >>132
    まあ、日向に話しかけてきましたし、最初から友達にはなりたいと思ってたんじゃないかと。

    >>133
    前作から‼ 期待あざっす‼


  130. 135 : : 2015/03/20(金) 20:40:06






    罪木「クッ……傷を負ってしまいました」





    罪木はよろめき、数歩後退りした。


    俺は好機だと感じ、一気に罪木へと詰め寄る。


    床を蹴って、前へと進んだ。





    九頭龍「触りさえすれば、俺の勝ちだ……!!」





    自然に、拳を握る力が強くなっていた。





    罪木「ふゆぅ、九頭龍さんが近づいて来ます!?」







    罪木「……凄くラッキーですねぇ」



    九頭龍「!?」




    罪木は不敵な笑みを浮かべ、不気味に嗤う。




    罪木「だって最初から、私は貴方に近づきたかったんですよぉ!!」



    罪木「私の『能力』の射程距離内に入って下さって、ありがとうございます‼‼」




    九頭龍(しまった……こいつの『能力』は、トラップ系なのか!?)




    俺は踏みとどまり、とにかく、そこから逃れようとした。


    だが、俺のその一歩が踏み出される前に、罪木の『能力』は発動した。




    罪木「悶え、苦しめ……!!」




    九頭龍「グオッッ!!!?」




    身体中に、斬り割かれたような筋が入ったかと思うと、ぱっくりと開き、そこから鮮やかな色をした血液が飛び出した。


    そしてさらに、何故か俺の歯や唇も傷を負っていった。




  131. 136 : : 2015/03/20(金) 21:33:54



    たまらず俺は、罪木から距離を取る。




    九頭龍「クソッ……血が……」




    出血が酷い部分を素手で抑え、悔しがる俺を見て、罪木は楽しそうに微笑む。






    罪木「ふふふ、どうしたんですかぁ……九頭龍さん?」






    九頭龍「調子に乗るなよ……!!」


    九頭龍「お前が調子に乗れるのも、後5秒だけだ!!」




    俺はさっき、こっそり拾っておいたメスを罪木目掛けて投げつけた。


    メスは回転しながら、空気を巻き上げ突き進む。






    罪木「本当に抜け目がないですねぇ……けど、それ位の速さなら私にだって避けれますよ!!」





    罪木はその言葉通り、飛んできたメスを紙一重で楽々と避けた。




    罪木「ね?」


    罪木「で、何でしたっけ、九頭龍さん」



    罪木「確か、『私が調子に乗っていられるのも後……』」





    九頭龍「『5秒だけだ』」




    九頭龍「そして今がちょうどその『5秒』だぜ、罪木」






    罪木「!!?」





    ザクッ‼




    罪木は何かを感じ取り、直様、自らの脚に注目する。


    そこには、避けた筈のメスが、罪木の足に深々と突き刺さっている光景があった。




    罪木「痛ッッッッ!!!?」


    罪木「こっ、このメス……!!」





    罪木「『ブーメラン』状になっているッ‼!?」





    罪木は激痛に顔を歪め、膝をついた。




    九頭龍「『形状変化』……メスの『形状』を、投げる前に『ブーメラン』状に変えておいた」


    九頭龍「お前が避けた後、ブーメランは元の軌道を描き戻ってきたッ‼」

    九頭龍「そしてお前の脚を斬りつけたって訳だが」


    九頭龍「脚をやられたお前は、動けなくなったな……!!」




    罪木「クッ」


    罪木(まずい……足を上手く動かせない!?)


    罪木(何とかしないと‼)



  132. 137 : : 2015/03/20(金) 22:19:25
    罪木の能力は自分の受けた傷を数倍にして反射するのかな?
    それなら瀕死の時は最強だな
  133. 138 : : 2015/03/20(金) 22:42:58
    罪木の能力…範囲内の敵を鎌鼬みたいので斬るみたいな?
  134. 139 : : 2015/03/20(金) 23:50:55
    やばいやばい続きが気になって眠れないぞ(((;゚д゚;)))
  135. 140 : : 2015/03/21(土) 08:51:50
    >>137>>138
    さあ、どうでしょうっ‼

    >>139
    いい夢見てね‼

  136. 141 : : 2015/03/21(土) 08:57:49






    九頭龍「でも、お前には近づかない」


    九頭龍「さっきみたく、射程距離に入った瞬間にやられちまうなんて理不尽な攻撃、喰らいたくはないしな」




    九頭龍「……てなわけで」





    九頭龍「お前に近づかずに殺す」




    俺はメスが刺さっている壁に歩み寄り、それを引き抜いた。




    九頭龍「こいつでな」




    俺は鋭く光るメスを見つめ、ほくそ笑む。







    罪木「……やるしかないみたいですね」






    九頭龍「あ?」





    罪木「私の『能力』が作用するのは、人間だけじゃないんですよ‼」






    罪木がそう糾弾すると、部屋の大黒柱が酷い音を立て軋み、へし折れた。





    九頭龍「ハァッ‼?」



    九頭龍(確かに、大黒柱と罪木の位置は近かったけど……!!)





    建物が激しく揺れ動き、あたりの机や椅子が吹っ飛ぶ。


    そして、鼓膜が割けるんじゃないかと思えるほどの爆音と共に、天井が崩れ落ちてきた。





    九頭龍「……!!?」





    落下物は俺と罪木の間を隔て、壁を作り出す。


    最後に見えたのは、こちらを見て苦しそうに微笑んでいる罪木の姿だった。






    そして、奴は見えなくなった。

  137. 142 : : 2015/03/21(土) 08:59:31
    日向のザドールがプラチナでしか脳内再生できません
    期待です!
  138. 143 : : 2015/03/21(土) 09:15:02
    >>142
    ストーンフリーかもよ‼ 期待あざっす‼
  139. 144 : : 2015/03/21(土) 09:16:17



    このホテルから外に出るための扉は、罪木の方にある。


    いくらあいつが脚に怪我をしているからといって、もたもたしていては逃げられてしまうだろう。






    九頭龍「……落ち着け、まずはロジックを組み立てるんだ」



    九頭龍「何事も、過程と結果は繋がっている……!!」


    九頭龍「そこから、罪木の『能力』を探り当てなければッ!!」





    過程❶


    ・俺への攻撃


    過程❷


    ・大黒柱への攻撃






    九頭龍(この2つの攻撃の共通点は……)





    九頭龍「……」






    九頭龍(……駄目だ、お手上げだな)






    俺は、出血した箇所を見つめ呟く。





    九頭龍「クソッ、この間転んだところが、折角治ってきたと思ってたのにやられちまった」


    九頭龍「それに歯だって、先月治療にいっ……た……ばかり……」




    俺の頭脳に、様々な可能性が流れ込んでくるのを感じた。





    九頭龍「もしかして、これが答えなのか!?」





    俺は、自分の腕を隅々まで観察する。






    九頭龍「やっぱりあった。俺が小さい頃に銃弾で撃たれて出来た傷が、あの時とほぼそっくりに出来ている……!!」






    敵対している組の奴に俺が撃たれた時、ペコは、俺を護れなかったと言ってずっと泣いていた。


    当時の俺にとって、その時のペコの印象が強かった所為で、今もあの光景を覚えている。


    負った傷についても鮮明に。





    九頭龍「あいつの『能力』は、『治ったものを、破壊し直す能力』ッ‼」


    九頭龍「おそらく大黒柱も、一度壊れて、修理し直されたんだろうな」




    俺は自分の推理に確信を得た。


    後は、俺の目の前に立ち塞がる瓦礫の壁を、どうにかするだけである。


    おそらくそれが最も難しい。







  140. 145 : : 2015/03/21(土) 14:32:16









    罪木「フフフ……」


    罪木(このブーメラン状のメスを見る限り、九頭龍さんの『能力』は物体の『形状』を『変化』させるもの……!!)


    罪木(流石に、彼の『能力』ではこの瓦礫の山を除けることは不可能でしょう)




    罪木「待ってて下さいね……日向さん‼」






    私は足を引きずりながら、少しずつ前へと進む。

    彼と会った時のことを想像して、満ち足りた気分になった。



    私の人生の中で、唯一、私を人として見てくれた人。







    ーー
    ーーー
    ーーーー





    罪木蜜柑は、友達がいなかった。


    罪木蜜柑は、親がいなかった。




    いつも一人ぼっちの彼女。




    学校で、虐めの標的になるのに、それほど時間はかからなかった。





    「近寄るな」



    「こっちを見るな」





    日々、浴びせられる罵声。


    さらには、暴力をふるわれる日もあった。



    彼女の精神は限界に達していた。






    だが、そんな時、彼女は医学に興味を持ち始めていた。





    人を治療している時だけ、彼女はは他人よりも上に立てた。


    人を治療している時だけ、彼女は他人から必要とされた。






    『……けど、治療が終われば、人は私から離れていく』




    『どうしたらいいんでしょうか?』








    『そうだ。もう一度ぶっ壊せばいいんですよ‼』






    『治して壊す』


    『壊して治す。治して壊して治して壊して……!!』








    それが、彼女の『能力』の起源である。







    ーーーー
    ーーー
    ーー









    能力者ファイル.30



    罪木 蜜柑




    能力『破壊』




    『治ったもの』を、『再び破壊し直す能力』。


    射程距離は5Mほどである。



    この『能力』は生まれつきのものでなく、彼女の境遇により生み出されたものだ。





  141. 146 : : 2015/03/21(土) 15:30:45
    罪木ほぼチートwww
    誰でも怪我なんて何回もしてるよ、しか九頭龍は極道…相性わりぃ
    ゆっくりでいいので頑張ってください
  142. 147 : : 2015/03/21(土) 17:19:16
    >>146
    罪木と不二咲を戦わせてみたら面白いと思います。じわじわと頑張りますよ‼
  143. 148 : : 2015/03/21(土) 17:21:01







    外まで後少し。


    私は這ってでも、日向さんのところにたどり着く所存だ。


    斬られた脚を引きずりながら、前へと進んだ。





    罪木「後少し……」



    罪木「後少し……!!」








    だが、忌々しいあいつの声が聴こえてくる。







    九頭龍「なあ、罪木……」



    九頭龍「まだそこにいるのか?」






    私は苛立ちを表に出し、叫んだ。






    罪木「ええ、いますよ‼ 後で日向さんと殺してあげますからね‼」




    罪木「どうせ貴方じゃ、その瓦礫の壁は破れない‼」


  144. 149 : : 2015/03/21(土) 17:29:00
    破壊して直能力ってクレイジーダイアモンドの
    十八番じゃね?
  145. 150 : : 2015/03/21(土) 17:35:47
    >>149
    違うよぉ。罪木の『能力』は、治ったものを破壊し直す能力だね。クレイジー・Dの逆っちゃ逆。
  146. 151 : : 2015/03/21(土) 20:01:57





    少しの沈黙があった後、壁の向こうから声が届いた。





    九頭龍「……いいか罪木」







    九頭龍「ドイツを東西に分けたベルリンの壁や、決して破れないだろうと言われた100Mの世界記録の壁」





    九頭龍「これらの『壁』は全部、越えられてきた‼」




    九頭龍「人に、破れない『壁』なんてないッ‼」




    九頭龍「もしそんなものがあるとすれば、それは自分の限界を認めた時だけだ」




    罪木「フッ‼ 現実と理想は違うんですよ‼ どんなに頑張っても、越えれない『壁』はある‼」






    九頭龍「ああ、確かに現実と理想は違うさ。現に俺の『能力』じゃこの壁は破れない」


    九頭龍「だからこそ、『視点』を変えるんだ……!!」


    九頭龍「壁は上から見たら、ただの平面だろ?」





    九頭龍「『状態変化』ッ‼」



    九頭龍「『床の状態』を『液体』に変えた……!!」





    罪木「!?」





    私の身体が、一気に床に吸い込まれていく。


    一瞬にして床が柔らかくなった。


    いや、柔らかいというより、まるで液体のようだ。





    罪木(あいつの『能力』は……『変化』!?)


    罪木(『形状』だけでなく、『状態』も変化出来る能力‼)




    私はとにかく腕を動かし、がむしゃらに泳いだ。


    そして、何か固いものを掴み、身体を液体から引き上げた。





    罪木「外に……出れた」






    ホテルから外は普通に歩くことが出来た。


    どうやら、あいつの能力が作用するのは、触れた物体全体にだけらしい。




    私は辺りを見渡す。


    満天の星空。


    透き通る夜風。



    まさしく私が待ち望んでいた光景だ……だが、例外があった。






    九頭龍「……!!」






    瓦礫の壁は液体に沈み、その沈んだ瓦礫の上に九頭龍が立っていたのだ。







    九頭龍「な? 上から見れば、ただの平面だろ?」


  147. 152 : : 2015/03/21(土) 22:26:26
    いとも容易く行われるえげつない(九頭龍の)行為
  148. 153 : : 2015/03/21(土) 22:52:42
    >>152
    まだ7部読んでない……ってなんかデジャヴ
  149. 154 : : 2015/03/21(土) 23:04:19




    九頭龍「そしてもういっちょ『状態変化』」





    彼は『液体』となった『床』に触れると、平気な顔をしてその上を歩いていった。





    九頭龍「『液体』を『固体』に戻した……」





    そして、私と同じ地面に立つ。






    罪木「……」





    九頭龍「言い残すことはあるか?」




    彼は持っているメスをちらつかせながら、私にそう尋ねた。





    罪木「……貴方の『能力』は『変化』なんですよね?」



    九頭龍「ああ、合ってるぜ」



    罪木「ッ、何で答えを言うんですか‼」



    九頭龍「死人に語っても、意味はねーからだよ」







    罪木「……じゃあ、それです」






    九頭龍「何がだ?」


    九頭龍「さっきから、変わった遺言だな……!!」









    罪木「貴方の死因は、その慢心だって言ってるんですよ!!」






    私は、服から取り出した注射器を九頭龍へと撃ち込む。





    九頭龍「ハッ‼ その程度、『気体』に変えて消し飛ばすッ‼」





    彼は投げつけられた注射器に触れ、そう叫ぶ。



    すると『予想通り』、注射器は跡形もなく消え去った。






    罪木「ええ、貴方なら『気体』に『変化』させると思ってました」


    罪木「そして、本当に良かったです」





    罪木「アンモニア水を、常日頃から携帯しておいて……!!」







    アンモニア水は、気付け薬や消毒液としてもちいられる。


    私は何時でも応急手当てが出来るよう、それを持ち歩いていたのだ。






    罪木「注射器が『気体』に変われば、中の『物体』は外に放たれるッ‼」






    九頭龍「ッ‼? これは……!!!?」





    アンモニア水の性質は、




    罪木・九頭龍『『刺激臭ッ‼‼』』






    九頭龍「グォ……!!?」





    彼は顔を背け、苦しみだした。


    私は注射器の中に、アンモニア水を仕込んでいたのだ。



    九頭龍が注射器を『気体』に変えたことで、それが飛び出した。





    罪木「貴方ですよ、自分の『能力』を敵にバラした大馬鹿野郎はね……!!」






    私は歯を食いしばり、足に力を込めることで九頭龍に詰め寄った。





    罪木「これで貴方の古傷は、完全に『破壊』されるッ‼」





    そう、さっきの『破壊』は九頭龍が咄嗟に飛び退いた所為で、深いところまで抉れなかった。




    だが、今回の『破壊』で、それは完成するだろう。




    そうすれば奴は、身体中の古傷を元に戻らされた際の出血、『大量出血』で死に至るッ‼





    罪木「勝ったッ‼ 私の射程距離、5Mに入ったぞッ‼」







    そして、私は能力を発動する。



  150. 155 : : 2015/03/21(土) 23:54:36
    期待っす
  151. 156 : : 2015/03/22(日) 07:29:23
    7部読んでなかったんですね、スミマセン(; ̄ェ ̄)
    罪木ノ死亡フラグガ完成シマシタ
  152. 157 : : 2015/03/22(日) 14:51:21





    ……のだが、








    九頭龍「フゥ……‼」







    奴からは、一滴の血さえも出なかった。







    罪木「な、何で……!!?」





    九頭龍「『状態変化』だ」


    九頭龍「あらかじめ、出血部分を……出血したところの『血』をッ‼」




    九頭龍「『固体』に変えたッ‼」




    九頭龍「だから、『破壊』されても血は出ない」


    九頭龍「『血』を固めて、止血したからなぁ……!!」




    罪木「そんな……」




    九頭龍「で、今度言うのはこっちの番だぜ罪木ィ‼」



    九頭龍「近づいてきてくれて、ありがとな」





    彼は私にそっと触れた。







    日向さん……ごめんなさい。



    私は先に逝きます。




    貴方ともう少し、一緒にいたかった……。












    ……。





  153. 158 : : 2015/03/22(日) 21:32:56
    この書き方だと罪木は死なないな(確信)
  154. 159 : : 2015/03/22(日) 21:34:12







    九頭龍「……消えたか」



    九頭龍「ったくよ、愛ってのは怖えな」




    九頭龍「……」



    九頭龍(一つ、気になったことがある)


    九頭龍(罪木に、俺の役職を教えたやつのことだ)



    九頭龍(俺の役職は、十神以外は誰も知らないはず……)









    九頭龍(いや、一人いたな)







    九頭龍「【放火魔】ッ……!!」




    九頭龍「俺を売りやがったな……!!」







    九頭龍(【犯罪者】が、誰か知ることの出来る【放火魔】)



    九頭龍(役職では仲間同士だが……)






    九頭龍「俺の敵になるなら、誰であろうと容赦はしねぇ……!!」








    Chapter2裏物語 END




    詳細:

    【死亡】

    罪木 蜜柑 『市民』





  155. 160 : : 2015/03/22(日) 22:04:37
    殺人鬼かな?
  156. 161 : : 2015/03/23(月) 00:11:53
    面白いです!超期待!
  157. 162 : : 2015/03/23(月) 06:24:43
    やっぱスゴいなぁ…
    自分もこんなss書きたい、というか書く!
  158. 163 : : 2015/03/23(月) 17:45:03
    このssマジ神wwww
  159. 164 : : 2015/03/23(月) 17:46:32
    あ、あと犯罪者たちの裏切りはOKなんですか?
  160. 165 : : 2015/03/23(月) 19:52:12
    >>161
    あざす‼

    >>162
    そう言っていただけるとありがたい。

    >>163>>164
    僕は覚悟を作ってみせます‼ 全然OKですよ。

  161. 166 : : 2015/03/23(月) 19:55:10






    Chapter3『不規則』











    俺の朝は、普通に始まる。








    日向「……」








    4日前の朝、罪木が死んだことを通知で知った。




    まるで、自分の足元が崩れ落ちていくかような絶望感を味わったのを憶えている。






    その日からずっと捜索はしているのだが、罪木の死体は見かけられなかった。








    日向「どこに行ったんだよ……罪木」







    幸い、あれから犠牲者が出ていないのが救いだが、このこう着状態がいつ破られるかはわからない。






    日向「……けど、しょげてばかりじゃいけないよな」








    俺は左右田を起こすために、自分のコテージから出た。



  162. 167 : : 2015/03/24(火) 13:19:08
    ぼっちゃんが気体にした人って戻らないんですか?
  163. 168 : : 2015/03/24(火) 19:12:24
    期待
  164. 169 : : 2015/03/25(水) 11:18:12
    期待
  165. 170 : : 2015/03/25(水) 13:06:29
    果たして放火魔は誰なのか…期待です!
  166. 171 : : 2015/03/25(水) 15:55:37
    >>167
    直ぐになら、坊ちゃんは元に戻せます。ですが時間が経つと、気体が拡散し過ぎて、坊ちゃんでも元に戻せなくなります。よってもう無理です。

    >>170
    誰でしょうかねぇ^ ^
  167. 172 : : 2015/03/25(水) 21:53:08



    そして外に出て、あることに気づく。



    俺のコテージの郵便受けに、手紙が一通入っていたのだ。



    俺はそれを手に取り眺める。



    そこには、『本日8:30より、【犯罪者】の情報を教えよう、旧館にて待つ』






    とだけ記されていた。






    日向「今は7:30か……」







    電子生徒手帳の時計の機能を活用し、そうつぶやく。



    好奇心がくすぐられるのがわかったが、時間もあるし、とりあえずは朝食を取ることにした。







    日向「良し、左右田を起こしに行こう」



  168. 173 : : 2015/03/25(水) 23:09:00
    そういや大和田が九頭龍に気体にされたらどうなるんですか?
  169. 174 : : 2015/03/25(水) 23:12:38
    >>173
    気体になって、もう戻れなくなった(死んだ)時点で蘇ります
  170. 175 : : 2015/03/25(水) 23:49:33
    ありがとうございます!
  171. 176 : : 2015/03/26(木) 01:11:50
    大和田ヤベェ…
    期待です!!
  172. 177 : : 2015/03/26(木) 15:25:03
    大和田は強いというより、マリオ(死なない兵士)って感じですかね。
  173. 178 : : 2015/03/26(木) 15:26:41





    【左右田コテージ】





    ガチャリ






    日向「不用心にもほどがあるだろ……」







    鍵は開いていた。



    俺は左右田が寝ているベッドに近寄り、拳をお見舞いする。





    左右田「フゲッ‼?」



    日向「おー、起きたか」


    日向「良かったな。起こしに来たのが俺で」


    日向「他の奴だったら二度と起きられなかったかもな」




    左右田「不吉なこと言うなよ……」





    日向「へいへい、以後気をつけな」





    そう言って、俺は左右田に手を差し伸べる。





    左右田「……」





    左右田は何故か俺の手を見つめ、動かなくなった。






    日向「どうした?」




    左右田「え……いやよ……」





    そして、左右田の目から涙がこぼれ出したのを俺は確かに見た。


    「何で泣いてんだよ」と追求しようかと思ったが、涙はすぐに止まったようなので、俺は何も言わないことにした。




    左右田は俺の手を握りしめ、立ち上がる。






    左右田「……さ、行こうぜ」






    左右田はこちらを振り向くことなく、外へ向かう。



    その背中には、寂しさと暖かさが混ざったような感情が漂っていた。






    日向「……変なやつ」






    俺もすぐに後を追った。






  174. 179 : : 2015/03/26(木) 20:14:54






    【ファストフード店】





    いつもならホテルの食堂で適当に料理を作って食べるのだが、4日前の朝、ホテルは何故か崩壊していた。




    4日前。罪木が死んだ日と重なる。






    日向「……」





    左右田「なあ、日向」





    考え込んでる俺に、左右田が声を潜めて尋ねてきた。





    日向「何だよ?」



    左右田「あっちを見てみろ」






    左右田が軽く顎で指した方向をじっと見つめると、店のすぐ外に七海千秋が立っていた。







    七海「あ、おーい」






    七海は俺たちの視線に気づいたのか、少し離れたところから手を振り、こちらに駆け寄ってきた。





    左右田「日向……お前、あいつはどっちだと思う?」



    日向「どっち……って、【市民】か【犯罪者】かってことか?」


    日向「それなら【市民】だと思うぜ」



    左右田「なんでわかんだよ」




  175. 180 : : 2015/03/27(金) 00:11:23
    大和田って 治る? 戻る? 復活する? のどれですか?
  176. 181 : : 2015/03/27(金) 07:08:08
    僕は七海好きだから死んでほしくないなぁ… あっ、期待です!
  177. 182 : : 2015/03/27(金) 11:15:18
    >>180
    元に戻るっていうのが一番しっくりですかね。

    >>181
    当たり前のように、全てのキャラの運命は決まっているんです^ ^
  178. 183 : : 2015/03/27(金) 19:34:45






    日向「勘」






    左右田「勘かよッ‼?」






    まあ、実際にはもっとちゃんとした理由がある。


    理由、【犯罪者】なら2人以上いる奴らに近づかないから。


    物理的に考えて2人以上を1人で相手にするのは、容易ではない。


    しかも、もし片方を逃がしてしまうと、自分の役職を他の連中にバラされる恐れがある。




    だから【犯罪者】は、不特定多数を目の前にして、自ら歩み寄りはしない。



    というのが俺の結論だが、所詮は憶測に過ぎないので、左右田には勘だと答えた。





    七海「おじゃましまーす」



    日向「……」






    七海は扉を開け、入り、俺たちの近くのテーブルに座った。



  179. 184 : : 2015/03/28(土) 00:25:11
    そうだ!大和田爆弾を持って特攻
    苗木大和田を加速
    ボーン…最強きたな(確信)

    七海の能力なんだろう2では七海が好き!
    七海よ生き残ってくれ
  180. 185 : : 2015/03/28(土) 02:15:27
    七海は携帯ならぬコントローラーで操る力かな?
  181. 186 : : 2015/03/28(土) 19:48:26
    >>184
    爆弾を無力化する奴結構いますよ!

    >>185
    どうでしょうか?
  182. 187 : : 2015/03/28(土) 19:49:44






    左右田「で、何のようだ?」





    左右田が質問すると、七海はむぅーっと頭を悩ませた後、こう答えた。





    七海「目的はない……と思うよ?」



    七海「強いて言うなら、朝食を食べにきたってところかなぁ?」





    日向(……)


    日向(田中の時も、こんな風に言えば良かったのかな)


    日向(『理由なんてない』、『偶然なんだ』って)





    七海「……」




    左右田「……」


    日向「……」






    七海「寝みぃ」





    そう言うと七海は、寝息を立てて眠りについた。





    日向・左右田「「ええええええええええええええええええええ!!?」」



    左右田「あり得ねえだろ……!?」



    日向「こいつマジか!?」





    七海「……zzz」





    日向「マジっぽいな」


    日向「……放っておく訳にもいかねえし、コテージまで運んでやるか」



    左右田「そうだな」



  183. 188 : : 2015/03/28(土) 20:21:41
    でも七海さん犯罪者だったとしたら2人以上のやつらって確実に市民だろうからなおさら近寄れないんだろうなぁ
  184. 189 : : 2015/03/29(日) 07:59:44
    期待
  185. 190 : : 2015/03/29(日) 13:08:17
    >>188
    そうでしょうね‼
  186. 191 : : 2015/03/29(日) 13:08:57





    俺は七海を背負う。すると、柔らかくて温かい弾力が俺の背中と触れ合った。





    日向「……」




    左右田「どうしたよ」




    日向「いや、何でもない……」



    そして、ファーストフード店から外に出た。









    【七海のコテージ】





    ガチャガチャ




    日向「……やっぱり、鍵は掛かってるな」




    俺は左右田に、勝ち誇ったような笑みを見せた。





    左右田「じゃどうするよ?」



    日向「多分、七海が持ってるだろ」




    俺は七海の服を漁ってみた。





    七海「んっ……」



    日向「……」



    甘い吐息が聞こえたが気にしない。無心で探り続ける。





    左右田「はたから見たら、ただの変態だよなぁ」




    日向「……あった‼」




    俺は鍵を天高く振りかざし、達成感を味わう。


    そして、鍵の掛かった扉を開き、そのまま七海のコテージへと入っていった。




  187. 192 : : 2015/03/30(月) 09:15:55






    左右田「おー、意外に綺麗な部屋だな」





    左右田の感想をしり目に、俺は七海をベッドに寝かせた。


    ベッドのそばには彼女の電子生徒手帳があった。





    七海「……zzz」




    日向(七海は、俺たちを『信頼』して寝たんだ……多分)


    日向(だったらその『信頼』を、電子生徒手帳を見るっていう形で、崩しちゃいけないと思う)




    日向「……おーい左右田、帰るぞ」



    左右田「了解だぜ」





    俺たちは七海のコテージから立ち去った後、時計を確認し、旧館へ向かった。







    左右田「え? コテージに戻るんじゃねえの?」



    歩くスピードを速める俺に、歩幅を合わせて左右田がついて来る。




    日向「これを見な」




    俺はポケットに突っ込んでいた手紙を、左右田に差し出した。




    左右田「えーっと……『【犯罪者】の情報を教える』!?」


    左右田「絶対に罠じゃねえか!!?」




    日向「例えそうだとしても、それをする理由が気になる」


    日向「【市民】が4人連続で殺されている今、そろそろ危機感を持って【犯罪者】と戦わなければならない」



    日向「てなわけで、旧館に行くぞ!!」




    左右田「もう着いてるよ……近えよ旧館……」





  188. 193 : : 2015/03/31(火) 02:45:06
    まさかの展開…期待…!
  189. 194 : : 2015/03/31(火) 07:03:50
    >>193
    頑張りますよ‼
  190. 195 : : 2015/03/31(火) 07:04:21







    【旧館】







    コテージのすぐ近くに設置されている、旧館。


    木材で作られており、如何にも南国風の豪華なパーティーが行われそうな風貌である。





    日向「……」


    左右田「ひぇぇ……」





    俺たちは慎重に、その中へと足を運んだ。


    緊張感が俺の身体を激しく包み込み、進もうとするその足を躊躇させる。







    ギィ






    左右田「ヒェッ‼?」



    日向「……軋んだだけだ」





    ところどころ年季が入っているのか、不気味なきしみ音を立てる場所もあった。




  191. 196 : : 2015/03/31(火) 15:25:17
    なんか霊的な能力持ってるやついそう…
    期待です!!
  192. 197 : : 2015/03/31(火) 15:49:18
    >>196
    おっと、面白い考えですね‼
    期待ありがとうございます‼
  193. 198 : : 2015/03/31(火) 15:49:32






    日向「……ん」




    さらに数歩前へと進むと、今度は人の気配が感じとれた。




    日向「このドアの先には……人がいるな」


    左右田「で、何故それを俺に言うんだよ」




    左右田の質問に、俺は微笑みながら応える。





    日向「いつでも戦えるように準備させる為だよ」



    左右田「だよな……」




    俺はドアにそっと触れ、力をだんだんと込めていく。




    扉が開かれると、光と共にまず目に飛び込んできたのが、その部屋の大きさだった。



    おそらく、ここでパーティーが行われていたのだろうが、今はここを本来の目的で使おうとする奴はいない。




    日向「……」




  194. 199 : : 2015/03/31(火) 22:54:53




    俺たちが入口付近で立ち止まっていると、中にいた数人がこちらに話しかけてきた。





    小泉「ッ‼ 日向!?」


    弐大「それに……左右田もいるのぉ」





    日向「それはこっちの科白なんだがな」


    日向「もしかして、小泉、弐大、お前らが【犯罪者】なのか?」





    ソニア「ひかえおろー‼ それは違いますよ、日向さん‼」




    日向「ソニアもいたのか……!!」



    日向(今、想定される最悪のパターンは、こいつら全員がグルってことなんだが……)



    左右田「ソニアさん‼」




    何故か嬉しそうな顔をしてソニアの名前を呼ぶ左右田を、とりあえず置いておき、俺は彼女に質問した。




    日向「違うってどういうことだ?」



    ソニア「ほら‼ これです‼」




    ソニアは服から何らかの紙を取り出し、俺に見せつけてきた。





    日向「……『本日8:30より、【犯罪者】の情報を教えよう、旧館にて待つ』か」




    日向「……俺のとほぼ内容が一致してるな」






    ソニア「私はこの手紙で呼び出されただけですからね‼」


    小泉「私もよ」


    弐大「ワシもじゃな」




    そう言うと、小泉と弐大も同じような手紙を取り出した。





    日向(だからと言って、【犯罪者】じゃないという理由にはならないけど……まあ、今は信用しておこう)


  195. 200 : : 2015/04/01(水) 11:53:44
    期待
  196. 201 : : 2015/04/01(水) 21:26:46





    日向「わかった、お前らを信じるよ」



    ソニア「わかれば良いのです‼」



    左右田「ソニアさんを疑うなんておこがましいぜ」


    日向「お前はどっちの味方だよ」





    俺たちが談笑していると、何者かが扉を乱雑に開け、部屋に入ってきた。




    日向「ッ‼?」





    俺は警戒しながら、その人物に視線を向ける。





    ???「……」



    九頭龍「……ん、お前ら、何でこんなところにいるんだよ」






    その人物とは九頭龍だった。




  197. 202 : : 2015/04/01(水) 22:57:25
    えっここで!?
  198. 203 : : 2015/04/01(水) 23:36:23
    今さらですがなんで日向くんがザ・ドールを……
  199. 204 : : 2015/04/02(木) 06:34:02
    江ノ島がザ・ドールのデータをもうひとつもっていて
    カムクラくんにインプット
    とか?
  200. 205 : : 2015/04/02(木) 18:44:09
    アルターエゴがやったんじゃないですか?
  201. 206 : : 2015/04/02(木) 20:08:30
    考察してくださるとこちらもモチベがあがってきます!! あざす!!
  202. 207 : : 2015/04/02(木) 20:08:39






    日向「お前が俺たちに手紙を送りつけたのか?」






    俺は九頭龍に当然の疑問を投げかける。





    九頭龍「……いや、逆だな」



    九頭龍「俺もその『送りつけられた方』だ」




    日向「……そうか」







    九頭龍(『【犯罪者】の情報を教える』ってことは、【放火魔】の可能性があるからな……)






    九頭龍(罪木の件について、尋ねる)


    九頭龍(もし返答を濁したり逃げ出すようだったら……)




    九頭龍(殺してやる)





  203. 208 : : 2015/04/03(金) 01:36:38
    今更だけど九頭龍の能力超強くないですか?使い方もだけど……
    まぁ期待です!
  204. 209 : : 2015/04/03(金) 04:53:29
    期待
  205. 210 : : 2015/04/03(金) 12:33:35
    九頭龍の能力使えばジュース凍らせてアイス作れますね
    あと湖とかに氷の道作れそう
  206. 211 : : 2015/04/03(金) 17:49:48
    九頭龍強いですよ。0515さんの言うように氷とかも簡単に作れますし。
  207. 212 : : 2015/04/03(金) 17:54:15
    無人島行っても平気で生き残りそうですね九頭龍!
  208. 213 : : 2015/04/03(金) 21:58:08







    小泉「それよりさ、手紙の差出人はまだ来ないのかしら」




    日向「……」





    俺は電子生徒手帳をポケットから取り出し眺める。





    そこには『8:30』と表示されていた。






    日向「もうそろそろだとは思うんだが……」






    俺がそう喋ったのと同時に、テーブルの下からベルのようなせわしい音が聞こえた。






    ソニア「えーっと……ここです!!」





    ソニアはテーブルの下に潜り、中から音の元凶であった目覚まし時計を取り出した。





    ソニア「えいっ」





    彼女はテーブルから抜け出すとそれを弄り、そのけたたましい音を止めた。






    弐大「なんじゃったのかのぉ……」




    九頭龍「……」






    九頭龍がその問題のテーブルに無言で近寄り、布を捲って中を確認する。







    左右田「何やってんだ?」




    九頭龍「俺らの意識を、目覚まし時計まで使ってわざわざここに集めたってことは、何かがここにあるはず……」






    九頭龍「……あった」







    九頭龍はテーブルの下へと少し入った後、すぐに立ち上がる。





    その手には、薄いノートパソコンが握られていた。



  209. 214 : : 2015/04/04(土) 08:52:07
    期待
  210. 215 : : 2015/04/04(土) 22:19:37






    小泉「何よそれ……?」





    小泉は恐る恐る質問する。





    九頭龍「わからない……が、何もないってことはないだろう」




    九頭龍「開けてみよう」






    九頭龍がおもむろにそれを開く。



    すると、そこにとある人物が映し出されていた。




    そいつは-----。










    ???『ザザッ……ザァァ……』





    ???『やあ、ご機嫌よう』





    狛枝『希望のみんな……僕が【放火魔】だよ』







    画面に映っているそいつは、屈託のない笑顔で微笑んだ。






    日向「お前が……!!」


    日向「狛枝ッ‼ お前がッ!!」




    俺は拳を握りしめ、パソコンをぶっ壊したい欲求を我慢した。





    この島で最初に俺に話しかけてくれたお前が……!!


    優しい言葉をかけてくれたお前が……!!





    日向(【犯罪者】だなんてッ‼)






    歯をくいしばり、殺意を燃やす。





    どういう訳かはわからないが、こんな手紙を出してまで自分の役職を教えたってことは、狛枝は完全に、このコロシアイにのったってことだ。





  211. 216 : : 2015/04/04(土) 22:21:19







    狛枝『因みに、僕は録音だからさ……君たちがどんなリアクションをとってもわからないんだよね』







    狛枝『じゃあ、手短に要件を話そうか』







    狛枝『弐大くん、小泉さん、ソニアさん、九頭龍くん、日向くん、おそらく日向くんに付いてきたであろう左右田くん……』








    狛枝『君たちには希望の生贄になってもらう』




    狛枝『そして』



    狛枝『君たちはここから出られないよ、一生ね』







    そこで映像は途絶えた。



  212. 217 : : 2015/04/04(土) 22:36:01
    狛枝が…?犯罪者なんて…嘘だろ…
    期待です
  213. 218 : : 2015/04/05(日) 00:04:13
    狛枝、お前・・・
    でもなんか納得してしまう配役だ
  214. 219 : : 2015/04/05(日) 12:05:43
    どんな能力になるんでしょ・・・
    でも分解する人と状態変化させちゃう人が居るから出られないなんて事はないと信じたい・・・
  215. 220 : : 2015/04/05(日) 13:06:20
    九頭龍犯罪者だから協力しないかも…
  216. 221 : : 2015/04/05(日) 14:58:36





    それと同時に、後ろの扉の方で人が動く気配がした。







    九頭龍「狛枝だッ‼」




    九頭龍「あの野郎……奥の部屋に隠れてやがったな‼」






    九頭龍が一気に扉まで駆け寄り、部屋から飛び出した。



    俺たちもそれに続こうと、九頭龍に少し遅れをとり、足を踏み出す。







    バギッッッッッ








    頭の上に浮かぶのは、大きなクエスチョンマーク。




    そして、畏怖。








    圧倒的恐怖を目の前にした人間は自分の行動を制限できないというが、まさにそれだった。






    日向「あああああああああああああああああああああああ!!!?」





    俺は悲鳴を抑えられなかった。



    九頭龍が俺の視界から一瞬にして消えたのだ。



    『何か』が、九頭龍を廊下の端まで吹っ飛ばしたというのが、辛うじて理解できた。





    廊下の端はこの部屋からでは見えない。



    つまり、九頭龍の状態はわからない。






    弐大「何が起こったんじゃあああああああああああ!!?」











  217. 222 : : 2015/04/05(日) 17:44:51












    ギィ







    ギィ







    徐々に扉の方に、『何か』が移動する音が近づいてきた。







    左右田「九頭龍……なのか!?」



    日向「違うな……」



    日向「おそらく、九頭龍を吹っ飛ばしたやつだろう」







    俺は扉の方を見つめる。



    無意識に足が、後退りしているのがわかった。









    そして、そいつが現れるのと同時に、消えたはずのパソコンの電源がまた点いた。







    狛枝『ああ、言い忘れてたよ……』



    狛枝『そいつの名前は【不幸(アンラッキー)】』






    狛枝『君たちを殺す【能力】さ』




  218. 223 : : 2015/04/05(日) 18:55:22
    狛枝の役職ねぇ……
    この作品の日向ってすごく慎重だから、生徒手帳も見てないのに狛枝の役職を断定してるのが違和感あるんだよなぁ
    狛枝の行動の意図も読めないし
    ・真放火魔
    ・市民による放火魔騙り
    ・神父による放火魔騙り
    どれも可能性あると思ってるが、はてさて
  219. 224 : : 2015/04/05(日) 19:35:08
    通り魔による放火魔騙りの可能性を見落としてた
    狛枝は自陣営の勝利(自分の生存)を目的として行動するというゲームの前提をガン無視できるリアル狂人だからな
    物語を引っ掻き回して面白くしてくれるから目が離せない
  220. 225 : : 2015/04/05(日) 22:11:05
    >>223>>224

    おぉ…こうしてみると本当に人狼みたいですね…
  221. 226 : : 2015/04/05(日) 22:35:51
    背徳で自分の能力に圧倒的自信があるなら
  222. 227 : : 2015/04/06(月) 13:55:31
    市民と神父が犯罪者を騙る理由がないですね。村人の役職騙りは禁じ手です。
    まあ狛枝だから何考えてるかわかりませんが。
  223. 228 : : 2015/04/06(月) 13:55:52






    不幸『アガ……』






    『不幸』は、真っ黒い目をし、こちらを見据えている。



    口をだらしなく開け、そこから緑色の唾液が溢れ出ていた。




    身体中がぬめり気のある液体で覆われており、人間の形はしていたが、人間には見えなかった。






    小泉「何なのよ……」





    小泉の顔は青ざめ、絶望の色を出していた。





  224. 229 : : 2015/04/06(月) 15:25:38

    さすが狛枝……いいトコ持っていきますね
    そして能力はザ・ドールと対になっている???
  225. 230 : : 2015/04/07(火) 13:00:58
    期待
  226. 231 : : 2015/04/07(火) 15:09:07
    >>229
    いいとこ突いてきますね‼w
  227. 232 : : 2015/04/07(火) 15:09:46






    アンラッキー『アガ……ゴ』







    刹那。





    『不幸』は小泉に飛びかかった。


    小泉との距離は少なからずあったはずだが、『不幸』の凄まじいスピードにより、その距離は一気に消し飛んだ。







    小泉「キャ……」




    不幸『アガガガ……』




    小泉が叫び声を発する間もなく、『不幸』は彼女に襲いかかる。




    『不幸』の重い拳が、小泉に振り下ろされた。










    バギッッッッッ











    ザ・ドール『ッッ‼‼‼』



    不幸『グガガ‼?』






    両者の拳が交わり、火花を散らす。





    小泉「た、助かった……!?」





    『不幸』の拳が小泉に当たる前に、『ザ・ドール』の拳がそれを防いだのだ。










    日向「ギリギリ射程距離内だ……」




    日向「このまま殴り殺すッ‼」



  228. 233 : : 2015/04/07(火) 18:29:35
    対になってるってことは射程距離も!?狛枝近くにいるのか?
  229. 234 : : 2015/04/07(火) 19:57:27
    対になってるってことは射程距離がある=射程距離が無いとも考えられるよね...そうじゃなくても強い(確信)
  230. 235 : : 2015/04/08(水) 07:10:57
    期待
  231. 236 : : 2015/04/09(木) 21:01:45





    ザ・ドール『オラオラオラオラオラオラオラァッッ!!!!』




    ザ・ドールの鋭い拳が、『不幸』の全身を殴り抜く。





    日向「吹き飛べッ‼」



    ザ・ドール『オラッッッ!!!!』





    ザ・ドールの渾身の一撃が、『不幸』の腹部へと命中した。



    奴はうなだれながら、壁を破り抜け、飛んでいった。







    ソニア「す、凄いです……!!」





    ソニアは驚いた顔をして、そう一言俺に向かって言う。





    日向「まあな」






    日向「さて、狛枝を追いかけよう」



    日向「俺たちのことを近くで見てるはずだからな……!!」



  232. 237 : : 2015/04/10(金) 20:26:51
    能力ばれたな
  233. 238 : : 2015/04/11(土) 18:05:55





    小泉「あ、それなら私に任せてよ」


    小泉「もう『能力』がどうとか言ってられないしね」


    小泉「私の『能力』は『念写』」




    小泉「他人の事を頭の中に想い浮かべて写真を撮ると、何故かそいつの現在の写真が写るっていう素敵な『能力』よ」









    能力者ファイル.20



    小泉 真昼



    能力『念写』




    頭の中に人物を想い浮かべ、カメラのシャッターをきると、その人物の現在の姿が写真に写し出される『能力』。


    射程距離の制限はない。








    小泉「想い浮かべるのはもちろん狛枝‼」


    小泉「現在(いま)を『念写』するッ‼」





    小泉は掛け声と共にシャッターをきり、写真を撮った。



    俺たちはそれに視線を向ける。







    それに写し出されていたのは、牧場の近くを爽やかに歩いている狛枝の姿だった。








    日向「なっ……!?」




    日向「おかしいぞ!? 何でこいつは『牧場』の近くにいるんだよ!?」



    日向「俺たちを見ていないのに、何で『正確な攻撃』が出来るんだよッ‼?」



  234. 239 : : 2015/04/11(土) 19:29:11
    なん…だと…ッ!?
  235. 240 : : 2015/04/12(日) 08:41:53
    どういう事だ!説明しろ苗木!
  236. 241 : : 2015/04/12(日) 17:05:06
    自律稼働(オートパイロット)っていうこと?
  237. 242 : : 2015/04/12(日) 18:25:25





    弐大「クソッ‼ 意味がわからんぞ!!!」






    弐大がそう叫ぶと、バキッと、床が破壊される音が響き渡った。



    俺たちが瞬時に振り向くと、弐大の真後ろに、床から飛び出した手が、禍々しい雰囲気を放っているのがわかった。





    そしてそれは、弐大の足首を思いっきり掴んだ。





    弐大「何ッッッ!!?」




    左右田「弐大!!!?」





    床の割れ目から、その手の持ち主がおぼろげに目撃できた。







    日向「アンラッキー……!!」





    不幸『アガ……』






  238. 243 : : 2015/04/15(水) 17:13:36
    期待
  239. 244 : : 2015/04/16(木) 19:17:16
    はよ
  240. 245 : : 2015/04/16(木) 20:44:53
    >>244
    急かさずにゆっくり待ちましょうやァ
  241. 246 : : 2015/04/16(木) 22:24:37




    弐大「グヌヌヌヌ!!?」




    弐大の顔がどんどん青ざめていく。このままでは、足が握り潰されてしまうのも時間の問題だろう。





    日向(どうする!? ザ・ドールで『不幸』の手を殴り飛ばすか!?)




    いや、リスクが大きい。


    もし殴った際の衝撃が弐大の足に伝わってしまったら、それこそ完全に弐大の足は壊れてしまう。





    俺が頭を抱えていると、弐大は雄叫びをあげ出した。




    弐大「ウオオオオオオオォォ‼」





    左右田「まっ、まずいぞ!?」


    ソニア「弐大さんは限界です‼」





    いや、違う。





    日向(弐大のあれは……あれは戦うことを決意した奴の目だッ‼)





  242. 247 : : 2015/04/18(土) 07:38:32





    一瞬、弐大の右手に、青色の電流が迸ったかのように見えた。



    そして弐大はその右手で、自分の足を全力で殴り抜く。






    小泉「えっ!?」





    するとその右手から電流が放たれ、それは弐大の足を駆け巡っていった。





    不幸『アガッ‼?』





    『不幸』は思わずその手を離した。


    電流がやつに感電したのだろうか?






    弐大「ワシの『能力』は『電流』ッ‼」


    弐大「青色の『電流』が『弾く電流』ッ‼」


    弐大「黄色の『電流』が『くっつく電流』じゃああッ‼」





  243. 249 : : 2015/04/19(日) 09:45:54







    能力者ファイル.21



    弐大 猫丸




    能力『電流』




    青色の『弾く電流』と、黄色の『くっつく電流』の二種類の電流を使い分けることが可能である。


    『電流』は、自身の両手から放たれる。

    電流を帯びた物体は、その電流の性質を持つ。








    日向(なるほど、弐大の足を『弾く電流』が駆け巡ったから、『不幸』の手が弾かれたってわけか‼)








    弐大「日向ァァ‼ 今じゃああ‼」




    弐大は俺を見つめ、そう叫ぶ。






    日向「ああッ‼ 言われなくてもッッ‼」





    不幸『ガガガガッ‼』






    『不幸』は床を突き破り、俺たちと同じ平面に立つ。

    そして、すぐさま弐大に襲いかかる。





    ザ・ドール『オラオラァッッ!!!』





    ザ・ドールの拳が『不幸』へ向けて、空気を切り裂くようにして放たれる。





    だが、それは奴に掴まれてしまった。






    不幸『ガガ……』



    ザ・ドール『……!!』



  244. 250 : : 2015/04/19(日) 11:20:21
    ていうか、さわだは日向の能力に何か言わないの?
  245. 251 : : 2015/04/19(日) 12:13:37
    >>250
    田中戦から4日間空いてるんですわ。で、その時に教えてるって設定です。描写してなかったけどね。すんまそん。
  246. 255 : : 2015/04/19(日) 14:54:56
    そういえば九頭龍…
  247. 257 : : 2015/04/19(日) 18:36:00
    >>255
    九頭竜は何処へ!
  248. 258 : : 2015/04/19(日) 19:03:44





    日向(クッ‼ 力を込めてもビクともしない‼)







    弐大「ちょいと我慢するんじゃあああああああああ‼」



    日向「ッ‼?」




    右手に青色の『電流』を纏うと、弐大はそう激昂しザ・ドールを殴りつけた。



    その弾く電流は、『不幸』が握っているザ・ドールの拳まで駆け巡っていく。





    不幸『ガァッ‼?』





    再び『不幸』の手がはじき返され、離れる。








    日向「ザ・ドールッ!!!」



  249. 259 : : 2015/04/19(日) 22:04:53
    九頭龍まさか死んだ?w
  250. 260 : : 2015/04/21(火) 22:39:37





    俺の呼びかけに応じて、ザ・ドールが拳を構える。





    だが『不幸』は怯みもしなかった。

    逆にザ・ドールに向かって拳を放ってきたのだ。




    不幸『ヴァララッ‼』





    日向(ガードは間に合わないッ‼)



    日向(ザ・ドールの拳が奴に到達するのが速いか、『不幸』の拳がザ・ドールに襲いかかるのが速いか……!!)







    若干『不幸』の方が、ザ・ドールの拳よりも奥に踏み込んでいるように思えた。




    ザ・ドール『……!!』
















    左右田「『能力』って『分解』出来るかわかんねーけどよぉ……!!」



    左右田「『分解』ッ‼」






    いつの間にか『不幸』の後ろに回り込んでいた左右田は、腕を振り回し、奴の顔面を弧を描くように『分解』する。





    不幸『アガ……』





    奴は視覚を失い、慌てふためいてるようだった。





    日向「助かったぜ、左右田ァァッ‼」








    ザ・ドール『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァッッ!!!!!』





    ザ・ドールの連打が空気を斬り裂き、『不幸』の身体中に撃ち込まれる。





    ザ・ドール『オラオラァッッ!!!!!』




    不幸『ガヴォッ‼?』





    顎に強烈な一撃を喰らい、『不幸』は、出口と正反対の方向へとぶっ飛ばされ、さらに壁を突き破っていった。




  251. 261 : : 2015/04/22(水) 20:37:22
    左右田って結構強いなぁ!
  252. 262 : : 2015/04/23(木) 23:02:22






    日向「逃げるぞッ‼」




    俺がそう叫ぶと同時に、みんなが扉へ向かって全力で走り出す。









    その時、俺はあることを閃いた。






    日向「……」






    『不幸』の攻撃方法。









    『小泉「何なのよ……」』


    『弐大「クソッ‼ 意味がわからんぞ!!!」』





    この後だ、あいつらはこの後に襲われた。









    共通していることは、






    ──────────音。







    『不幸』は、『音』を目掛けて攻撃しているのか?




    だとしたら辻褄が合う。




    狛枝が『見えていなくても正確な攻撃が出来るのは』、『不幸』が自ら『音』に向かって攻撃しているから。






    九頭龍が最初に襲われたのは……。







    『ところどころ年季が入っているのか、不気味なきしみ音を立てる場所もあった。』






    廊下に出た瞬間、床を軋ませてしまったからだ‼


    その『音』に反応した『不幸』が九頭龍を襲ったんだ‼




    だとするとまずい。



    今、一番廊下に近いのは……!!









    小泉「ハァハァ……!!」









    日向(小泉ッ‼)
















    ギィ







    無情にも音が部屋に響く。




    そして、大きく空いた壁の穴から絶望が飛び出した。





  253. 263 : : 2015/04/24(金) 22:08:30
    うわあああああ真昼ちゃんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん





    面白いです!引き込まれます…!続き期待です!
  254. 264 : : 2015/04/25(土) 06:16:56
    期待
  255. 265 : : 2015/04/28(火) 21:07:28







    能力者ファイル.33



    狛枝 凪斗



    能力『不幸(アンラッキー)





    ザ・ドールと同じく人型の能力である。


    スピードではザ・ドールに劣るが、その凶暴性はザ・ドールのパワーを上回るだろう。


    ただ精密な動きが出来ないのが玉にキズ。



    射程距離は200Mで、『音』目掛け攻撃を開始する。







    日向(もっと早くから気付くべきだった……!!)




    『狛枝「君たちはここから出られないよ、一生ね」』




    日向(この言葉が指すものは『この部屋から出られない』、つまり、『この部屋を出られない理由がある』ってことだったんだ‼)






    その理由であり、元凶が、『廊下に出た瞬間に軋む床』。






    日向「小泉ッ‼ 逃げろッ‼」





    俺は必死になって叫ぶ。



    『不幸』は小泉目掛けて、真っ直ぐに突き進んだ。


    『分解』されたはずの奴の顔面は、元どおりに戻っている。




  256. 266 : : 2015/04/29(水) 00:59:35
    真昼ちゃーーーん
  257. 267 : : 2015/04/29(水) 21:23:06
    期待
  258. 268 : : 2015/05/01(金) 19:19:44
    舞園の能力アンラッキーと相性最高じゃん…
  259. 269 : : 2015/05/02(土) 01:49:01
    期待☆
  260. 270 : : 2015/05/02(土) 13:10:05
    >>268
    せやね!
  261. 271 : : 2015/05/02(土) 13:27:23






    小泉「何で……!?」






    ここからでは遠すぎる。


    ザ・ドールの射程距離はおそらく10Mくらいだ。


    少しばかり届かない。





    日向「けど、助けないと……!!」







    俺は未だかつてないほど、脳細胞をフル回転させた。



    あらゆる全身の気官を考えることに使い、見つけ出した一筋の光。






    日向「ソニアッ‼ お前が持ってる目覚まし時計をこっちに向かって投げろッ‼」





    俺が要求したのは、ソニアが先ほど止めた目覚まし時計だった。





    ソニア「で、でも……!!」


    ソニア「ここからじゃ届かないです……‼」





    日向「いいからッ‼ 『命』が掛かってるんだッ‼」






    俺のその言葉を聞いてか、自信がなかったソニアの顔は、見違えるほど引き締まった。





    ソニア「『命』が掛かってるんですね……この『目覚まし時計』に‼」




    日向「ああッ‼ 頼む、時間がない‼」





    『不幸』は今にも、小泉に襲いかかりそうだった。






    ソニア「ハッ‼」





    ソニアの手から『目覚まし時計』が放たれる。





    しかし宙を勢い良く舞うそれは、俺の数歩手前で失速していった。





    日向(クッ‼ 拾い直す時間はないぞッ‼?)





    俺は限界まで腕を伸ばすが、届かない。





    ソニア「……!!」






    目覚まし時計は床に打ち付けられたと同時に、俺の手元まで大きく跳ねた。





    日向「なっ……!?」






    そして俺の手の中に、それはすっぽりと収まった。





    日向(仕組みはわからないけど、助かった……!!)




  262. 272 : : 2015/05/02(土) 13:41:40






    だが安堵するのも束の間、『不幸』と小泉の間はほぼゼロに等しい。






    日向「クッ‼」





    不幸『ヴァラッ‼』




    奴は飢えた獣のような目をし、小泉を鋭く見つめる。


    あれは、獲物を狩る時の動物の視線……。







    弐大「行かせんわあああああああああああ!!!!」





    弐大は自らの咆哮と共に、『不幸』へと腕を伸ばす。


    小泉と『不幸』の間を、弐大の手が遮った。





    そしてその手は、突っ込んで来た『不幸』に触れる……!!

















    バチッ!!!!







    一瞬にしてはじき返された。




    弐大の手など、『不幸』にとっては紙切れ一枚と変わらなかったようだ。





    小泉「あぅ……」





    小泉は恐怖のあまり、呼吸すらままならない様子だった。


    目には涙を浮かべ、唇を強く噛んでいる。



  263. 273 : : 2015/05/02(土) 13:50:29





    『不幸』は後一歩で、小泉へと到達するだろう。







    少し、間に合わなかった。



    少し……一瞬の大切さを、改めて思い知らされた。






    不幸『ガアッ‼』





    『不幸』は、小泉に死をもたらすための一歩を踏み出そうとする。












    が、『不幸』の足は、思いとは裏腹に床から離れなかった。









    不幸『ガガ……!?』







    弐大「さっきの接触の時、『くっつく電流』をお前さんに流しておいたッ!!」



  264. 274 : : 2015/05/02(土) 13:56:14





    弐大の言葉通り、奴の体を良く観察してみると『不幸』の身体を『黄色の電流』が帯びているのがわかった。






    弐大「お前さんの全身を『くっつく電流』が駆け巡ったことにより、足と触れ合っている床とがくっつき、そこから離れられんのじゃ……!!」






    弐大が稼いだ時間は一瞬だろう。




    『電流』など気にもせず、『不幸』は足に力を込める。


    今にも『不幸』の足は、床から離れそうだった。






    だが、






    弐大「一瞬じゃが、時間は稼いだぞ……日向ッ‼」




    日向「礼を言う……!!」







    その一瞬が、命を救った。






    俺は音量を最大にし、分針をある時刻に合わせる。




    『8:30』





    目覚まし時計が鳴った時刻。






    日向「『音』に目掛けて攻撃するんならよ……!!」







    日向「お前の意識を誘導(変えて)やるッ‼」







  265. 275 : : 2015/05/02(土) 14:57:38
    あれ、全員で一斉に大声出せばいいんじゃ……?
  266. 276 : : 2015/05/02(土) 15:23:56
    >>275
    そして不幸はそいつらのうちどれかに向かって行きます。もしソニアとか弐大に向かっていったら詰むね。ドーユーアンダッスタン。
  267. 278 : : 2015/05/02(土) 18:09:42
    >>276 アンダースタンドだぜ!
  268. 280 : : 2015/05/04(月) 07:57:49
    期待
  269. 281 : : 2015/05/05(火) 08:47:07
    期待
  270. 282 : : 2015/05/05(火) 15:09:55
    マジ期待 楽しみー
  271. 283 : : 2015/05/05(火) 17:44:55









    そしてもう一度、目覚まし時計は音を鳴らした。







    部屋中を、ベルの高い音、もとい爆音が轟かせる。







    不幸『ギエェッ‼』





    奴は踵を返し、こちらに突っ込んできた。



    いや、正確には『目覚まし時計』にだ。







    日向「ほれっ‼」






    俺はその『目覚まし時計』を、宙へと放る。


    すると奴もそれ目掛けて、まるで釣り上げられた魚のように飛び跳ねた。







    俺の目の前に、奴の無防備な腹部が晒しだされ、視界がそれで埋めつくされる。







    日向「一瞬で叩き込むぜッ!!!!」





    ザ・ドール 日向『「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッッ!!!!!』」






    ザ・ドールは拳を天高く振り上げ、『不幸』に全身全霊で連打を叩き込む。



    痛々しく鈍い音が辺りに響くが、俺は気にも留めなかった。



    むしろ、清々しくもあった。






    日向「終戦のゴングを鳴らすぞッ‼」



    日向「お前の断末魔でだッ‼」





    ザ・ドール『オラァァッッッ!!!!』






    ザ・ドールの一撃が、奴の顔面を打ち砕く。






    不幸『ギャアアアアア!!!!?』





    叫びながら、奴は天井へと飛ばされていく。

    そして、疾風と共に激しく激突した。



    天井から幾つもの落下物がぽろぽろと落ちて来たが、『不幸』が落ちてくることはなかった。




  272. 284 : : 2015/05/06(水) 17:35:42
    期待
  273. 285 : : 2015/05/10(日) 10:46:08
    期待
  274. 286 : : 2015/05/10(日) 13:04:04






    日向「ハァ……ハァ……」




    俺は肩で呼吸する。


    熱い吐息が蒸気のように、塊となって昇っていく。





    ソニア「やりましたね‼」



    日向「ハァハァ……いや、おそらく奴にダメージは『残っていない』」




    小泉「そ、そんな……!?」





    日向「俺のザ・ドールもそうだが、あいつらは自分の意志で行動してるわけじゃないからな」


    日向「まあ、それが『人間型能力』の利点であり……」





    日向「弱点でもある」















    日向「良し、俺と小泉で狛枝をぶっ飛ばしてくるからな」



    ソニア「私は他の皆さんにこのことを伝えてきます‼」





    左右田「俺と弐大は……」







    不幸『ガァッ‼』






    廊下から『不幸』が怒りを露わにし、床を踏みしめながら入って来る。






    弐大「またかのぉ」




    弐大「それっ」





    弐大は手に持っている木の破片の一つを、廊下へと投げ込む。





    その破片は床に打ち付けられると共に、音を立てた。





    不幸『ガガガガッ‼』





    その音に向かって、『不幸』が攻撃を開始するが、そこには誰もいない。






    左右田「……こんな風に、あいつを引きつけておけばいいんだな?」



    日向「ああ、申し分ないぜ」





    小泉「じゃ、現在(いま)を写し出すッ‼」





    小泉が写真を撮り、俺はそれに注目する。





    小泉「背景には、海とやしの木が写ってる‼」

    小泉「狛枝の現在地は、一の島の『浜辺』ッ‼」



    日向「良しッ‼ いくぞ‼」











  275. 287 : : 2015/05/13(水) 23:12:43
    期待
  276. 288 : : 2015/05/14(木) 22:47:42
    期待Deす!
  277. 289 : : 2015/05/16(土) 19:38:50
    たっはぁぁぁあっ!
    Deさん流石です!
    前作はお疲れ様でした!
    時間ができたので今日一気読みしました!

    前作からファンです!
    読んでいて本当にワクワクします!
    期待せずにはいられないッ!
  278. 290 : : 2015/05/16(土) 21:11:39
    きったい!
  279. 291 : : 2015/05/17(日) 19:42:39
    期待
  280. 292 : : 2015/05/18(月) 19:41:38
    期待です!
    結構面白いので勉強させてもらってますw
    すみません(・ω<)
  281. 293 : : 2015/05/19(火) 19:39:46
    これ、考えたくないけど小泉が敵だったらなかなかにピンチだよな……

    期待!これからもがんばって下さい!
  282. 294 : : 2015/05/20(水) 00:33:28
    >>1
    もしかしてめだかボックス好きだったりします?
  283. 295 : : 2015/05/20(水) 13:38:45
    期待っす
  284. 296 : : 2015/05/20(水) 16:30:18
    うぇーいたくさんの期待コメありがとうございます^ ^ 頑張ります^ ^

    >>294
    ジャンプで一応読んでましたよ。
  285. 297 : : 2015/05/20(水) 16:42:05







    【浜辺】






    波の音は飛沫を上げ、心地良く俺の中でその音を反響させている。




    だが、俺の鬱憤は晴れなかった。




    むしろ、波の音に近づくにつれ、激しい怒りが募ってくる。







    狛枝「……」







    狛枝は海の方をぼんやりと見つめていた。






    日向「……」





    俺が砂の上をゆっくりと歩く音が、辺りに伝わる。









    狛枝「……やあ」






    狛枝はおもむろに振り向き、俺たちは対峙した。







    ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!









    狛枝「さすが日向くんだね」


    狛枝「『不幸』の弱点を見破ってそれに打ち勝つなんて、並大抵の芸当じゃないよ」






    狛枝「ずっと見張っておいて良かったと、今、ここで実感した」







    日向「……そりゃ、どういう意味だ」





    狛枝「そのままの意味だよ、頭脳明晰の日向くん」


    狛枝「僕は初めから、この日の為に君を観察してきた」



    狛枝「最初はただの好奇心だったんだけどね」


    狛枝「非能力者でありながら、花村くんの『禁句』を逆に利用して勝つ」


    狛枝「謎の力に目覚め、田中くんの『影』を炎の光で照らす」


    狛枝「友人の死を乗り越えようと、日々精進する」




    狛枝「君こそ、真の希望になれるんじゃないかと、君を見て行く内にそう思った……」





    日向「おい、ちょっと待てよ」

    日向「『友人』の死?」


    日向「それって『罪木』のことか?」





    狛枝「もちろんだよ‼」


    狛枝「君の為に、彼女は生贄にしたんだ‼」






    日向「……は?」





    狛枝「僕が、彼女と【殺人鬼】が戦うように仕向けたんだよ‼」


    狛枝「日向くんが、罪木さんの死の悲しみを乗り越え、真の希望に輝く為にさ‼」


    狛枝「ハッハッハッハ‼」






    日向「……」





    狛枝「まあ、という訳でさ」


    狛枝「君には僕と勝負してもらう」


    狛枝「僕を乗り越え、さらに上の希望を持って欲しい‼」




    狛枝「……だからさ、僕をがっかりさせないでくれよ?」


    狛枝「罪木さんのように、惨めに死なれるなんて御免だか」


    ザ・ドール『オラァァァッッッ!!!!』


    狛枝「ゴフッ‼?」





    ザ・ドールが狛枝の腹部を強打し、殴り抜く。


    狛枝の口から血反吐が飛び出し、辺りにぶちまけられた。













    日向「てめえを殺すと、今、ここで決意したッ‼」




  286. 298 : : 2015/05/22(金) 21:13:24
    期待
  287. 299 : : 2015/05/25(月) 16:09:41
    うわー
    日向くんかっこいー
    そして期待
  288. 300 : : 2015/05/28(木) 19:30:18
    期待
  289. 301 : : 2015/05/30(土) 18:33:20






    狛枝の身体は、少し離れた場所に思いっきり打ち付けられた。


    その衝撃で砂がいくらか巻き上げる。






    狛枝「フフフ、いいパンチだねぇ……」





    狛枝は足をふらつかせながら立ち上がった。


    木の側に隠れていた小泉が、それを見た瞬間に声を荒らげ叫ぶ。





    小泉「いけっ‼ 日向‼」






    日向「あのなぁ……狛枝ァ」


    日向「お前の『能力』は、今、ここにはねーんだぜ?」


    日向「丸腰で俺と戦う気かよ、てめーはよぉ‼」














    狛枝「それは違うよ」






    狛枝のねっとりとした不気味な声が、俺の神経を逆撫でする。





    狛枝「見せてあげよう、僕の『凶器』をッ‼」






    狛枝の手の内に、何かしらのエネルギーが集中していく。


    奴の目から、禍々しい殺気が放たれているように思えた。





    日向(何かまずい気がするッ‼)



    ザ・ドール『……‼』




    ザ・ドールは身体を捻り、鋭い一撃を放つための構えをとる。



    そして放つ。






    が、






    拳は当たらなかった。




    いや、『当たらなかった』というよりも、『殴ろうとしたら殴り終わっていた』といった表現の方が正しいのかもしれない。






    日向「なんだと!?」






    狛枝「ククク……」





    怪しげな引き笑いを起こす狛枝。


    手には、漆黒の刀が握られていた。


    まるで狛枝の負の部分を凝縮させたかのような、その圧倒的な黒色。







    狛枝「これが僕の『狂斬(クレイジー・デリート)』」



    狛枝「さあ、日向くん……僕と勝負してくれるよね?」




  290. 302 : : 2015/05/31(日) 08:57:30
    期待
  291. 303 : : 2015/06/02(火) 07:54:45
    期待
  292. 313 : : 2015/07/09(木) 12:55:01
    やっと追いついた…期待です!
  293. 314 : : 2015/07/10(金) 14:07:17
    文法の誤りと単語の意味の間違いが気になります……。

    でもテンポと展開が最高です!
  294. 316 : : 2015/07/15(水) 13:45:41
    期待
  295. 317 : : 2015/07/16(木) 05:07:43
    七海が犯罪者で

    七海「日向くん、お願い」

    ってのが見えた気がしたけど気のせいか?

    うん、気のせいだ


    期待でぇす
  296. 318 : : 2015/07/17(金) 19:31:52
    続きをお願いします!
  297. 319 : : 2015/07/18(土) 01:54:55
    期待あざっす!
  298. 320 : : 2015/07/18(土) 01:57:05



    狛枝「さあ、日向くん……僕と勝負してくれるよね?」














    ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!














    日向(クッ、『能力』は一人一つまでじゃないのか!?)




    狛枝が持つ謎の刀に恐怖を感じつつも、俺の決意は揺るがない。



    いや、揺るがしちゃいけない。







    日向「俺は……怯まないッ‼」






    俺は覚悟を決め、狛枝を見据える。









    その瞬間。




    奴は俺の視界から消えた。





    いや、逆だ。




    はっきりと、大きく現れた。





    奴の吐息から、奴の表情まで、手に取るように理解できた。





    狛枝「さて、ここからどうする?」





    狛枝は俺との距離『0』で、刀を振りかざす。




    日向「速いッ‼?」


    日向(いや、『速い』とかそんな次元の話じゃない‼)


    日向(まるで『瞬間移動』ッ‼)



  299. 321 : : 2015/07/18(土) 06:43:31
    パルキアかな?
  300. 322 : : 2015/07/18(土) 22:50:23




    ザ・ドールはさっき狛枝がいた位置にいるため、この刀の攻撃を防がせることは出来ない。





    日向「俺が何とかするしかッ!!」



    狛枝「……‼」





    俺は迫り来る刃を腕で防ごうとしたが、怪しげな光りを放つ刀の姿に気圧され、その考えを断念した。





    日向(殴っても攻撃が当たらないなら……‼)





    日向「オラッ‼」





    俺が繰り出したのは、蹴り。



    ただし蹴ったのは狛枝ではなく、地面の砂だ。





    狛枝「ウッ!?」




    砂が巻き上げられ、幾つもの砂の粒が狛枝の視界を潰す。


    思わず顔を手で覆う狛枝。



    俺はその隙に、狛枝の背後にザ・ドールを近づけた。





    ザ・ドール『オラッッ‼‼』





    いつも通りの鋭い拳。



    当たれば致命傷は避けられないだろう。




    が、




    当たらない。





    拳を放ったと思えば、ザ・ドールは殴り終えた時のフォームを取らされる。





    ザ・ドールの動きの中間が失くなっているのだ。




    殴り始めると、殴り終える。





    日向「……」







    小泉(日向……大丈夫なの!?)












    小泉「勝って……」








  301. 323 : : 2015/07/18(土) 22:56:34
    キングクリムゾン!?(◎_◎;)
  302. 324 : : 2015/07/18(土) 23:01:51
    シアーハートアタックもどき+キングクリムゾンって強すぎぃ!!!
  303. 325 : : 2015/07/21(火) 21:32:05
    期待
  304. 326 : : 2015/07/27(月) 00:32:52
    十神と同じような能力かな?
  305. 327 : : 2015/07/28(火) 16:01:57
    だんだんジョジョっぽくなってきたw
    あいかわらずおもしろい作品です!超期待!
    九頭竜くんが犯罪者ならペコちゃんは市民で
    片方しか生き残れない的な葛藤がありそうww
    先が気になるゥーーー!!
  306. 328 : : 2015/07/31(金) 02:10:46
    追いついたぁ
    期待です
  307. 329 : : 2015/08/01(土) 11:48:40






    狛枝「砂で目潰しとはね、全く驚かされるよ」




    日向「ああ、俺も驚いてるぜ」


    日向「『能力』は一人一つじゃないのかよ?」





    俺は『狂斬』についての疑問を、狛枝に投げかけた。





    狛枝「……まあ、『狂斬(クレイジー・デリート)』は人から奪ったものだからさ」




    日向「人から奪った……!?」


    日向(ということは、『能力』は『狂斬』自身のものッ‼?)






    狛枝「そう言うこと、さ、無駄話は終わりにして戦闘に戻ろう」





    日向「……おいおい、『戦闘に戻る』だと?」


    日向「俺はさっきの会話中も、ずっと闘ってたつもりだぜ?」



    日向「無駄話に意識を取られてたみてーだなッ‼」


    ザ・ドール『オラッッッ‼‼』




    ザ・ドールは狛枝の目を盗んで拾っていた石を、奴に向かって投げ込んだ。





    狛枝「チッ、人が親戚に話してあげたのに……」



    狛枝「『恩を仇で返す』ってこういうことなんだろうねッ‼」





    石は、狛枝へと直線を描くように飛んでいく。


    このまま行けば、奴の脳天を貫くことが出来るだろう。




    だが残り5Mのところで、石は跡形も無く一瞬で消滅した。





    狛枝「……」






    狛枝はこちらをにらめつけ、黙り込んでいる。



    俺は攻撃が失敗したことに、落ち込んでなどいなかった。


    むしろ、謎が解けたことによる喜びの方が大きかった。




    日向「やれやれ、今の『消滅』でやっとわかったぜ」



    日向「お前の『能力』……」



    日向「いや、正しくはお前の『狂斬(クレイジー・デリート)』の『能力』かな」


    日向「武器自身が『能力』を持つなんて驚愕だけどよぉ……‼」





    日向「『消去』だろッ‼」




    日向「投げ込まれた石を、『消去』した‼」



    日向「……まあ、ここからはにわかには信じられないけど」



    日向「『瞬間移動』は、俺とお前の間の空間を『消去』したんだ‼」



    日向「『ザ・ドールの不可思議な現象』は、ザ・ドールの攻撃の軌道(中間の動作)を『消去』したッ‼」



    日向「まさに、『狂気』を『凶器』に具現化したような能力だなッ‼」







    狛枝「……大正解」


    狛枝「『狂斬』の『能力』は『消去』で合っている」




    狛枝「さて、ここからが本番だ」




    狛枝「僕って結構、感情の波が激しいからさ」



    狛枝「大切にしてたものでも、突然ぶっ壊したくなる……」



    狛枝「だから、何度も言うけど、僕をがっかりさせないでよね」




    狛枝「『クレイジー・デリート』ッ‼」


    狛枝「空間を『消去』するッ‼」








    狛枝は怒りを込めた言葉を俺に吐き捨て、『瞬間移動』を行う。









    俺の斜め後ろにーーーーー



    鋭い物が空気を切り裂く気配が、俺の首裏を刺激した。





  308. 330 : : 2015/08/02(日) 22:21:23
    罪木が死んだのは、日向と俺の精神にクリティカルヒットしたからね......
  309. 333 : : 2015/08/04(火) 19:13:05
    期待
  310. 334 : : 2015/08/04(火) 21:07:27
    武器に能力があるとは期待です!そういえば前作の生き残りもまた出るんですか?
  311. 335 : : 2015/08/06(木) 05:40:10
    期待
  312. 336 : : 2015/08/08(土) 22:24:31
    (<●>ω<●>)期待です!

    (狛枝が…物凄くコマエダしてる…!)
  313. 338 : : 2015/08/11(火) 22:38:01
    >>327
    激しくその意見に同意するッ!
  314. 340 : : 2015/08/20(木) 07:59:28
    やっと追いついた…期待。
    ロンパっていつ好きなキャラ死ぬかわからないから、ファンはある意味精神強いよね。
  315. 342 : : 2015/09/06(日) 00:11:54
    期待
  316. 343 : : 2015/09/06(日) 00:12:52
    >>334
    果たしてどうなるのか乞うご期待ですよ!
  317. 344 : : 2015/09/06(日) 00:32:47








    ーー
    ーーー
    ーーーー
    ーーーーー




    【狛枝凪斗】の誕生。








    狛枝が幼い頃の話。


    ある日、彼は父親と一緒に、旅客機に乗り込んだ。






    凪斗「わー‼ 飛んでるよ‼ お父さん‼」



    父親「ははは、あまりはしゃぐなよ‼」





    二人は仲睦まじく、空の旅を楽しむ。




    だが、いくら会話を交わしても、父親の沈んだ気持ちは晴れなかった。





    父親(……二日前、【お前の『能力』である『狂斬』を渡せ。さもなければ息子を殺す。】という脅迫状が届いた)



    父親(『狂斬』は世界を変えるほどの力を秘める、【通称『四大武凶器』】の一つだ。おいそれと他人に渡せない)







    通称『四大武凶器』



    出現は所有者の自由で、出現させた凶器は『特殊な能力』を持ち、所有者の意思でそれを使いこなせる。



    古より伝えられる古文書には、『悪魔からの贈物』と記されており、不可思議な現象を引き起こす武器と言われている。



    そして、この『武器』は、他人に『受け渡す』ことで代々受け継がれてきた。



    ……50年前、『四大武凶器』の持ち主全員が何者かにより暗殺された。


    この事件により、持ち主を失った『四大武凶器』は世界から滅んだとされてきた。




    しかし、『能力の原型』が生まれた際、その影響の所為か、『四大武凶器』は『能力』として、世界の何処かで蘇ったとの可能性がある。




    ー 希望ヶ峰学園 能力者ファイルより一部抜粋 ー






  318. 345 : : 2015/09/09(水) 00:00:01








    そして狛枝の父は、『四大武凶器』の一つである『狂斬』を司る能力者であったッ‼







    父親(……にわかには信じ難いが、凪斗を危ない目に合わせるわけにはいかない)



    父親(ほとぼりが冷めるまで、海外で暮らそう)






    父親の考えは、脅迫状を送られた人間とは思えないほど冷静だった。



    この状況では、一番ベストな選択であったであろう。





    だが不運は、人間の考えを超越し、人生を狂わす。















    ハイジャック犯「おい‼ この飛行機は俺たちがのっとった‼」


    ハイジャック犯2「死にたくない奴はおとなしく拘束されろ‼」




    乗客A「うわあああああああああああああああ!!?」


    乗客B「こっ、殺さないでくれぇ!!?」





    まさに不幸(アンラッキー)






    父親「クッ……何故、こんな時に」



    凪斗「お父さん……」




    涙を目に浮かべながら、父親の方をジッと見つめる幼き狛枝凪斗。






    父親(ああ、凪斗だけは護らなくてはッ……!!)





    決心を固めた父は、『狂斬』をそっと握った。



  319. 346 : : 2015/09/09(水) 00:03:16





    そして、おもむろに立ち上がる。





    父親(ハイジャック犯は二人……なんとかなるさ‼)






    ハイジャック犯「そこのお前‼ 何をしている!?」


    ハイジャック犯「撃たれたいのか!?」





    ハイジャック犯は、父親に向け銃を突きつけそう叫んだ。





    父親「撃ちたいのなら、撃てばいい」




    ハイジャック犯2「ケッ‼ お前、これを映画かなにかと勘違いしてないか!?」


    ハイジャック犯2「撃たれたら、死ぬほど痛えぞ!! それこそ、『死んだ方がマシ』ってくらいになぁ!‼」







    父親「……お前達に、子供はいるのか?」





    ハイジャック犯「は? いるわけねーだろ‼ あんな邪魔なもん‼」





    父親「なら、私の気持ちもわからないだろうな」




    父親「それこそ、心が、『死んだ方がマシ』ってくらいに痛むんだ……!!」



    父親「自分が無力なばっかりに、子供の涙する姿を見るのはな‼」





    彼はそう雄叫びをあげ、『狂斬』を振りかざす。





    ハイジャック犯2「そこから、俺たちにそのチャチな刀が届くと思うか!?」






    父親「ああ、思わないさ。だからッ‼」





    父親「『クレイジー・デリート』ッ‼」






    父親「お前と私の間に存在する『空間』を『消去』したッ‼」






    父親は『瞬間移動』で一気にハイジャック犯2へと詰め寄り、即座に切り捨てる。





    ハイジャック犯2「ギャアアアアアアアアアアア!!?」





    辺りに鮮やかな血が撒き散らされ、ハイジャック犯2は赤く染まった床に倒れ込んだ。


  320. 347 : : 2015/09/09(水) 00:06:47





    ハイジャック犯「し、死ねえ‼」






    ハイジャック犯は自暴自棄にでもなったのか、狛枝の父親へ向かって発砲する。


    鼓膜が裂けるほどの破裂音が、飛行機の内部を包み込む。





    乗客「「キャーーーーー‼」」





    悲鳴をあげ、慌てふためく乗客達。





    だが、






    父親「『クレイジー・デリート』ッ‼」





    この男だけは、冷静でいた。


    愛する息子を護るために。






    銃弾は彼の身体を通り抜け、後ろの壁に音をたて激突した。






    ハイジャック犯「やったか!?」




    父親「いや、やってないな」




    ハイジャック犯「えっ!!?」






    父親「銃弾は、本来なら私の身体を貫き通すだろう」


    父親「だからこそ、私はその『身体を貫き通す動き』を『消去』したッ‼」



    父親「残ったのは、『私から去って行く』という動きのみッ‼」


    父親「よって、私の身体が銃弾を貫き通すことはないッ‼」





    ハイジャック犯「うわああああああああああ‼!!?」





    ハイジャック犯の握る銃から、さらに火花が散らされる。





    父親「まあ、動きを消去しなくても、普通に『銃弾』を『消去』すれば済む話だがな」



    父親「『クレイジー・デリート』ッ‼」



    父親「撃ち込まれた弾丸を、『消去』したッ‼」





    徐々にハイジャック犯へと近寄る凪斗の父親。


    それに怯えてか、ハイジャック犯はさらに銃を暴発した。





    撃ち込まれる度、『消去』される銃弾。




    永遠に続くかと思えたその行為は、あっさりと終わりを迎える。







    ハイジャック犯「……クッ‼」





    拳銃が情けない音をたて震える。


    それを聞いた父親は、顔に笑みを浮かべた。





    父親「お前の拳銃は弾ぎれだッ‼」





    そして、忌々しい敵へと刀を振り下ろす。


    肩から切り抜かれたそいつは、倒れながら、苦しそうに一言放った。





    ハイジャック犯「俺は死ぬが……」



    ハイジャック犯「『俺たち』の勝利には変わりない……!!」




    父親「!?」




    父親はあることに気づき、咄嗟に振り向く。



    振り向いた先には、拳銃を強く握りしめて立っている、一人の男がいた。





    父親(ハイジャック犯は『3人』いたのかッ‼?)





    銃弾は、既に放たれていた。




  321. 348 : : 2015/09/10(木) 19:09:34
    期待です!
  322. 349 : : 2015/09/20(日) 07:59:28
    おいついた!
    期待です!
  323. 350 : : 2015/10/19(月) 00:07:20




    父親「グッ‼?」





    彼の額へと、恐るべき回転を持った銃弾が撃ち込まれた。


    皮膚を抉り、奥まで達したその弾丸が、骨を削る音が聞こえる。



    堪らず、父親は床に倒れ込んだ。






    ハイジャック犯3「クソォ‼ あいつらはよぉ……いい奴だったんだ‼」


    ハイジャック犯3「周りから見下されてたニートだった俺に、この計画を持ちかけてくれたッ‼」



    ハイジャック犯3「『世間を見返すぞ』って……‼」




    ハイジャック犯3「なのによぉ‼ こんなのあんまりだぜッ‼」




    ハイジャック犯3「てめえは絶対許さねえ‼」





    涙を溢れ出しながら、ハイジャック犯3は感情をぶちまける。





    ハイジャック犯3「予定が変わった‼ お前ら全員皆殺しだ‼」




    乗客C「い、嫌……!?」



    乗客D「死にたくねえよぉ‼」




    ハイジャック犯3「そのためにッ‼ まずは、あいつをあの世に送りつけるッ‼」





    ハイジャック犯3は、凪斗の父親に早歩きで近寄り銃を構えた。





    ハイジャック犯3「死ねぇッ‼」




    奴の引き金を握る力が強くなっていくのが、見て取れた。






    父親(まずい……意識が朦朧としている)







    凪斗「……や、止めろ‼」


  324. 351 : : 2015/10/19(月) 00:11:23





    自分の父親と犯罪者との間に、幼き凪斗は割って入る。


    なんと勇敢な少年であろうか。





    父親(な、凪斗……!?)


    父親(クッ‼ まずいぞ。私の体力的に、『クレイジー・デリート』が使えるのは後一回かぎり‼)






    凪斗「……」





    恐怖のあまり目を瞑る凪斗。


    だが、父親だけは護ろうとしたのか、小さい両腕で道を遮った。





    ハイジャック犯3「ああ、もういいや」



    ハイジャック犯3「お前から逝けや」





    奴の握る拳銃から、火花が撒き散らされる。


    放たれた弾丸は、そのまま凪斗の額を捉えようとしていた。




    父親(グッ……ちょうど、凪斗の位置がここから5Mだから、『銃弾』を、撃ち込まれる前に『消去』出来ない‼)



    凪斗「‼?」





    『銃弾』が凪斗を貫く。









    が、幸運にも凪斗は無事だった。









    だが、幸運の後には不運がやってくる。後にそれは彼の教訓となった。







    凪斗「お、お父さん……!?」





    『銃弾』は、父親の身体を撃ち抜いていたのだ。





    父親「凪斗の位置なら、射程距離内だ……」


    父親「『クレイジー・デリート』……『銃弾』の、凪斗を貫く動きを『消去』した」




    『銃弾』は凪斗の身体を通り抜け、そしてそのまま、後ろにいた彼の父親へと向かっていったのだった。





    凪斗「ああッ……!!」






    思わず父親に駆け寄る、凪斗。



    父親はゆっくりと、優しく口を開いた。





    父親「凪斗……、私はこれから、どこか遠いところに旅立つ」



    父親「だが、お前は生きろ」




    父親「お前が生きることが私の『生きる意味』なんだ……!!」




    凪斗「で、でも僕は……」




    父親「お前なら出来るさ」


    父親「『狂斬』を、お前に託す」





    父親の手から、『狂斬』が凪斗の小さな手へと移った。





    父親「フフ……似合ってるぞ」



    父親「それじゃあ、『さよなら』だ」



    凪斗「……『さよなら』」





    満足そうな顔をし、彼の父親は旅立っていった。




  325. 352 : : 2015/10/19(月) 00:14:16






    ハイジャック犯3「ハハハハハ‼ 清々しいぜぇ‼」




    凪斗「……」




    凪斗はおもむろに立ち上がり、父親を殺した敵を見つめる。





    ハイジャック犯3「あ? 俺と戦うってのか?」


    ハイジャック犯3「あいつから貰った黒い刀でよぉ‼」






    凪斗「違う……」






    凪斗「奪ったんだ」


    凪斗「僕がお父さんの命を」


    凪斗「僕の弱さ故に」


    凪斗「だからこの刀は貰ったものなんかじゃない。僕が奪ったものなんだ……」




    ハイジャック犯3「ふーん、で?」




    凪斗「……あと、戦う気なんて最初からない」




    ハイジャック犯3「へッ‼ 怖気付いたかッ‼」




    凪斗は首を横に振る。





    凪斗「だって……」





    凪斗は剣先を、敵へと向けた。





    凪斗「これから行うのは」




    凪斗「ただの一方的な虐殺だからッッ‼‼」





    そして腕を振り抜く。





    ハイジャック犯3「防いでやるよッ‼」




    敵は拳銃でそれを止めようとする。





    凪斗「『クレイジー・デリート』」




    凪斗「僕の攻撃を、一部『消去』した」






    ハイジャック犯3「ググッ……!?」





    ハイジャック犯3の首筋に、漆黒の刀が射し込まれる。





    凪斗「僕の攻撃の、『君に到達するまでの動作』を『消去』したおかげで、君へと早く攻撃出来た」





    ゆっくりと刀を抜いていく凪斗のその眼差しは、悲しみに満ち溢れていた。




    おもむろに膝をつき、首から血を垂れ流し、倒れこむ敵へと、凪斗は何も語らなかった。





    思ったのは、『自分の生きる意味』。


    人の命を奪ってまで、自分が『生きる意味』とは何だろうか。






    答えは案外直ぐに出た。










    凪斗「『希望』を作り出すんだ……!!」



    凪斗「どんな不運が襲ってきても、世界を照らし出せるような『希望』をッ‼」






    それが彼の『生きる意味』であり、『償い』。







    狛枝「ハーッハッハーァッハ‼」






    この時から、『狛枝 凪斗』が誕生したのだった。







    ーーーーーー
    ーーーーー
    ーーーー
    ーーー
    ーー








  326. 353 : : 2015/10/19(月) 00:17:14








    狛枝「フンッ‼」






    狛枝が振り下ろす刀は、きっと俺へと襲いかかってきている。






    ザ・ドール『オラァッッ‼』





    衝突した際の火花が激しく飛び散る。間一髪で、ザ・ドールが攻撃を防いだ。




    狛枝「へえ、今のを止めるんだ?」


    狛枝「けど、それで終わりかな?」




    日向「……お前の『能力』の弱点は既に見切ってるッ‼」




    狛枝「なら見せてみろよッ‼」





    狛枝は再び刀を高く振り上げる。


    若干、奴の身体は宙に浮いていたため、斬撃は重力を味方にして繰り出された。





    日向「オラァッッ‼」





    俺は腕から、さっき狛枝とザ・ドールがぶつかり合った際に拾っておいた石を、今度は『2つ』放る。





    狛枝「‼?」





    日向「お前は……『砂』での目潰しだけは『消去』しなかったよなぁ‼」


    日向「いや、『しなかった』んじゃあない‼」





    日向「『出来なかった』ッ‼」



    日向「一度に『消去』出来るのは、どうやら『一つ』までらしいッ‼」




    狛枝「さすが……と、言いたいところだけど、それじゃ僕には届かないッ‼」



    狛枝「『クレイジー・デリート』‼」





    狛枝「『石』を一つ『消去』した」




    先ほどまで存在していた『石』は、空中で、何事もなかったように消え去った。




    狛枝「そして、斬るッ‼」





    漆黒の刀は、飛んできた石をいともたやすく切り捨てた。






    日向「……‼」






    俺は、少し狛枝から距離を取る。



    『石』を『消去』した際の距離から見ると、奴の射程距離はおよそ5メートルくらいらしい。






    日向「それと、お前の刀は、『能力』と『生物』は消去できねーみたいだな」




    狛枝「……まあね。それが出来たらとっくに君を『消去』してるよ」





    狛枝「……」





    狛枝「ここらが君の限界かな?」




    日向「は?」





    狛枝「君の攻撃は僕に通じてないし、さっきから、ギリギリで避けてばかりじゃないか」





    狛枝「所詮、君は希望にはなれないんだよ」



    狛枝「‼」バチッ






    狛枝は指を綺麗に鳴らす。






    日向「……何をした?」





    狛枝「『不幸』をここに呼び戻した」





    日向「なッ!?」





  327. 354 : : 2015/10/19(月) 00:20:18




    【旧館】





    不幸『ガガ……ガッ‼』





    『不幸』は、突如、奇妙な鳴き声を発したかと思うと、壁を突き破り、外へと出て行った。




    弐大「クッ!!?」



    左右田「なっ‼ あいつ、何処に行く気だ!!?」












    狛枝「『不幸』はぶっちゃけ言うと、能力者自身である僕すら制御不能な『能力』でね」




    狛枝「……だけど、『出現』と『呼び戻し』くらいなら出来る」


    狛枝「流石に『不幸』自身は僕を襲わないしね」


    狛枝「僕の攻撃を避けながら、『不幸』の方にも気をつけなきゃいけないってわけさ」




    狛枝「……ちょこまかと逃げ回っている君も、これでゲームオーバーだ」

  328. 355 : : 2015/10/19(月) 00:24:09













    日向「ふーん、あっそ」




    狛枝「……やけに無関心だね」


    狛枝「これから死ぬのがわかったら、やっぱり考えることを止めたくなっちゃうのかな?」




    日向「まあ、よくよく考えてみるとだな」


    日向「お前が『不幸』を呼び戻そうが呼び戻さまいが、俺には関係ねえって思ってよ」




    狛枝「は? 遂におかしくなっちゃったの?」


    狛枝「君は今から、その『不幸』に殺されるんだよ?」




    日向「だーかーらー、思い出したんだよ」








    日向「左右田たちに『不幸』を任せてたことをな」


    日向「あいつらが任せろって言ったんだから、大丈夫だろ」






    狛枝「クックック……いや、凄く面白いね」




    狛枝「そういうのを何ていうか知ってる?」





    狛枝「『他人任せ』って言うんだよ」



    狛枝「信じられるのは、自分自身だけだろ」


    狛枝「変な希望に酔ってんじゃねえよ」






    日向「……」



    日向「人間ってのは、ずっと独りなんだぜ」


    日向「それこそ、生まれてから死ぬまで」



    日向「仲が良さそうに見えても、向こうが何を考えているのか自分では見当もつかない」


    日向「協力してくれるように見えても、実際に手を貸してくれているのかは、最後までわかりやしない」



    日向「結局のところ、人は誰とも理解し合えない」






    日向「……けど、それでもそいつと居たいんだよ」





    日向「だからこそ、『信じる』んじゃねえか」




    日向「『信じる』っていうのは、『裏切られることを信じない』という強い意志だッ‼」






    日向「……お前はただ怖がってるだけだろ」



    日向「裏切られることをな」






    狛枝「ふざけるなッ‼ 父が死んでから、僕は人を信頼したことなんて一度もないッ‼」



    狛枝「僕は最強の希望を創り出したいだけだ‼」


    狛枝「それこそが僕に託された使命ッ‼」



    狛枝「そのためなら、多少の犠牲は仕方がないんだッ‼」







    日向「……人を殺した罪を、『使命』っていう言葉を使って逃げんなよ」







    日向「俺は背負う」



    日向「花村を殺した罪も、田中を殺した罪も……」


    日向「全部、俺がしたことだ」



    日向「それを『使命』っていう言葉で片付けたら、その時の俺の気持ちが嘘になる」



    日向「俺は、仲間を助けたい一心で拳を振るったんだ……!!」



    日向「決して『使命』なんかじゃないッ‼」







    日向「俺がやると決断したッ‼」









  329. 356 : : 2015/10/21(水) 18:48:06
    日向カッコいい~!期待ぃ~!
  330. 357 : : 2015/10/22(木) 17:05:20
    最高です!期待しています。
  331. 358 : : 2015/11/09(月) 23:09:47
    期待!
  332. 359 : : 2015/11/10(火) 19:26:15
    面白すぎです!期待!!
  333. 360 : : 2015/12/09(水) 23:34:09
    期待ありがとうございます! 少し更新スピードあげます!
  334. 361 : : 2015/12/09(水) 23:34:31






    狛枝「……!!」




    狛枝「ならッ、その『意志』で僕(使命)を殺ってみろよ‼」






    狛枝は激昂すると共に、刀の柄をきつく握りしめた。



    それに応じて、俺はザ・ドールを空中に出現させる。





    そして、ザ・ドールは威力のある一撃を放つため、拳へとパワーを集中させていった。






    狛枝「僕を殴る気か……!!?」



    狛枝(いや、『あれ』かッ‼)







    ザ・ドール『オラァァァッッッ‼』






    ザ・ドールは地面へと拳を思いっきり叩きつける。



    その衝撃で、大量の砂が舞い上がり、辺りの景色を隠していく。



    完全に視界は閉ざされた。



  335. 362 : : 2015/12/09(水) 23:35:41



    が、俺は方向感覚だけは見失っていない。





    俺は目的の場所を思い浮かべ、そこに到達するために走り出す。






    狛枝「……」



    狛枝(なるほど、視界を奪うことで、『クレイジー・デリート』のタイミングをずらそうというわけだね……!!)





    狛枝(けれど、僕の領域に死角はない)





    狛枝(僕から半径2メートル以内……つまり、刀の間合い)




    狛枝(そこは僕の領域だッ‼)


    狛枝(入ってきた瞬間、刃を身体に叩き込む……!!)








    砂が少しずつぱらぱらと地面に積もっていき、視界が開けだした。









    日向「ハァハァ……!!」






    その時の俺は、狛枝から数十メートル離れていた。




  336. 363 : : 2015/12/09(水) 23:37:34





    狛枝「なっ!? 逃げているのか!?」



    狛枝(……日向くんの先には、『ボート』があるッ‼?)






    日向「目的の場所は、狛枝じゃねえ、最初っからこの『ボート』だぜ」






    前を見つめ、そこだけを目指して突き進む。



    砂に足をすくわれながらも、俺は倒れはしなかった。





    日向「残り、30メートルくらいか……‼」










    狛枝「……マジで怒ったよ」



    狛枝「君のような臆病者に、戦いを語る資格なんてないッ‼」


    狛枝「今すぐ殺すッ‼」





    狛枝「『クレイジー・デリート』ッ‼」





    狛枝「空間を消し去った‼」








    日向「……!!」





    後ろを振り向くと、狛枝が一気に近づいてきたのがわかった。






    狛枝「『ボート』で海に逃れようが、君の “死” という結果は依然変わりはないぞ‼」




    狛枝「さらに、『クレイジー・デリート』ッ‼」



    狛枝「言わずもがな、空間を『消去』するッ‼」








    徐々に、だが、激しく。



    俺と奴との距離は縮まってゆく。







    日向「差をつけねえと……!!」






    俺は足のピッチを上げるが、焦燥感からか、砂が舞い上がるだけで、思うようにスピードにのれなかった。








    狛枝「あと少しでお前を殺せるッ‼」






    真後ろで声がした。


    次の『消去』で追い付かれてしまう。


    そう確信した俺は、ザ・ドールを俺のすぐ後ろに配置した。






    狛枝「フン‼ 言ったはずなんだけどね‼」


    狛枝「僕に対する攻撃は、『消去』できるってさ‼」










    日向「……別によ」





    日向「お前を攻撃するとは言ってないぜ?」






    ザ・ドール『オラァッッッ‼』





    日向「グ……フッ……!!」






    ザ・ドールが殴り飛ばしたのは、俺自身だった。



    背中を、強い痛みが襲い、一瞬だけ頭の中が真っ白になる。





    そして、次に味わったのは『開放感』。









    俺は今、宙を飛んでいる。



  337. 364 : : 2015/12/09(水) 23:39:01





    日向「うぉぉ……!?」





    風が俺を包み込み、俺の肌を凄まじい速さで駆けて行く。








    狛枝「まさか……殴られた衝撃で、スピードを加速させただと!?」






    日向「加速っていうか、思いっきり殴り飛ばされてるだけだけどな……!!」







    ぐんぐんと狛枝からの距離が離れていき、『ボート』の近くへと俺はカッコ悪く着地した。







    日向「痛てて……けど、『Simple is the best (単純こそ一番である)』だな」





    日向「さて、やるとするか……!!」





  338. 365 : : 2015/12/09(水) 23:40:52



    四大武凶器 ファイル①




    名称:【狂斬】






    美しいほど艶のある黒刀。



    『クレイジー・デリート』により、何かを『消去』する。


    射程距離は5メートル。


    一度に『消去』できるのは、一個まで。


    『能力』や『生命』を消去することは出来ない。





  339. 366 : : 2015/12/11(金) 21:08:18



    狛枝「やられた……!!」







    日向はザ・ドールを出現させ、何やら『ボート』を漁りだした。



    おそらく、砂浜から海に向かって、『ボート』を押し出す気だろう。









    狛枝「……ちょっと待てよ?」






    僕はある可能性に気づき、それを頭の中で審議する。



    そして直ぐに、それは確信へと姿を変えた。







    日向「えーっと……」






    身体を屈め、何かを探している日向に向けて、僕は言葉を放った。







    狛枝「その『ボート』に、エンジンはついていないぞ‼」


    狛枝「つまり、君は僕から逃れられないッ‼」






    日向「……え?」







    狛枝「だってさ、『ここから出たい』って欲求を叶える為に、人と人とが戦ってるわけだよね」




    狛枝「それが、このゲームの大前提であり、黒幕の目的なんだけど……」






    狛枝「『ボート』にエンジンなんか付けてたら、その前提が崩れる恐れがあるッ‼」



    狛枝「単純にいこうよ‼ それこそ『Simple is the best (単純こそ一番である)』だッ‼」




    狛枝「『ボート』にエンジンなんか付けてたら、ここから『逃げられる』恐れがあるッ‼」



    狛枝「黒幕はきっとそれを考えているはずだ‼」









    日向「……!!」






    日向は僕に向けて、驚愕の表情を示し、その後口を開いた。







    日向「……おいおい、俺は逃げることは考えてすらいないぜ」



    日向「最初っから‼」






    日向は掛け声と共にボートから飛び降り、落下中にザ・ドールを繰り出す。





    空中に浮く彼を眩いほどの太陽光が照らし出し、そしてザ・ドールの表情にある影は畏怖的に思えた。







    ザ・ドール『オラッッ‼』






    ザ・ドールから放たれる右腕の『動きの軌道』を『消去』すべく、僕は『狂斬』を突き立てる。







    狛枝「『クレイジー・デリ……』ッ‼?」






    日向「……!!」






    ザ・ドールの拳が刀の間合いに入った瞬間、理解出来た。





    『こいつは何かを握っているッ!!』








    ザ・ドール『!!!!』







    狛枝(自分の攻撃のリーチを伸ばすことで、『クレイジー・デリート』のタイミングをずらす気かッ‼)







    狛枝(だが、関係ない)


    狛枝(刀の間合いは、僕の領域)


    狛枝(攻撃の『軌道』は手に取るようにわかる)





    狛枝(つまり、タイミングはずれはしないッ‼ コンマ数秒もッ‼)







    狛枝「『クレイジー・デリート(消滅への道筋)』ッ‼」




    狛枝「君の攻撃の軌道を『消去』した」




    日向「ッ‼?」






    ザ・ドールの拳は瞬時に、地面の砂へとめり込んだ。



    もちろん、僕は無傷である。






    狛枝「ハッハッハーァッハ‼」



    狛枝「これで証明出来た‼ 『意志』じゃ『使命』には勝てないと‼」






    僕は地面に足をついた日向を切り捨てるため、刀を振りかざす。








    日向「……最初っからだ」





    日向「最初っから、俺はこの時を待っていたッ‼」






    日向が叫び声を上げると、砂にのしかかっていただけのボートが、ゆっくりと舞っていった。








    狛枝「な、何をしたッ‼?」







    ボートはさらに高く上昇し、太陽の同一直線上と重なり、その光を遮る。








    日向「ザ・ドールの握っている物をよく観察するんだな」







    僕がザ・ドールの手へと視線を向けると、そこにはボートの『錨』があった。








    狛枝「ま、まさかッ……!!」






    日向「ああ、その『まさか』だ」




    日向「ザ・ドールはお前を殴ろうとしていない。正確には、そう見せただけだ」




    日向「ザ・ドールは『引っ張った』ッ‼」



    日向「『錨』の先に付いている、ボートをなッ‼」



  340. 367 : : 2015/12/11(金) 21:09:57




    日向「お前がザ・ドールの動作を『消去』しようが関係ない」




    日向「だって、引っ張る途中の動きを消去しても、『引っ張り終えた』っていう結果は残るだろ?」









    ボートは、徐々に高度を下げ、僕目掛けて落下してくる。







    狛枝(『消去』しなくてはッ‼)







    日向「……で、俺の攻撃はここからだ」






    日向「お前、どっちを消す?」





    ザ・ドール『!!!』






    ザ・ドールは僕の真後ろで、おもむろに拳を握りしめている。




    僕の真正面には、それなりの速度を持ったボートが迫って来ている。









    日向「俺ならよ、やっぱりボートかなぁ?」




    日向「だって重そうだもんな」






    狛枝「クッ‼」




    狛枝「『クレイジー・デリートォォォォ』ッッ‼」






    『狂斬』の射程距離に入った瞬間、ボートは消え去った。



    そして、同時に。






    僕の顔面に、ボートよりも重い拳が撃ち込まれる。







    狛枝「グフッ……!!?」






    日向「『一度に消せるものが一つまで』だっていうのなら、こうやって二箇所に同時攻撃を仕掛ければいいわけだな」








    日向「どちらか一つは、必ずお前に到達できる」






    日向「そして、このままぶん殴らせてもらうぞ」







    ザ・ドール『オォォォォッッラァァァァァァッッッ‼‼』







    ザ・ドールが身体を回転させ撃ち込む拳は、僕の顔面を粉々に破壊し、木々の中へと吹っ飛ばした。








    日向「悪いな狛枝。俺は夢を見ていたい」



    日向「独りで見る夢は幻想だが、仲間と見る夢は現実になるッ‼」







  341. 368 : : 2015/12/11(金) 21:12:06






    小泉「日向っ……!!」






    小泉が俺に駆け寄ってき、そのまま抱きついてきた。





    日向「おっと」




    小泉「うぇ、グスッ……」






    顔をくしゃくしゃにしながら泣く小泉の頭に手を置き、抱きしめ返した。




    日向「……勝ったぞ」







    勝利。




    得たものはないが、失ったものは大きい。



    ある意味、罪木もこの戦いの犠牲者である。






    俺は拳を握りしめ、決意を胸に燃やす。






    日向(……必ずここから生きて出るんだッ‼ 全員で‼)







    そう誓った直後、林の中から飛び出してきた人影がいた。








    不幸『ガガガ……』





    日向「!?」



    小泉「キャ……!!」






    声が出そうになった小泉の口を、俺は慌てて手で塞いだ。



    小泉は震えながら俺に抱きつく。






    日向(まだ、やれてないってことか……!?)




    日向「……!!」






    俺がザ・ドールを出現させようとした次の瞬間、林の中から、またもや人影が飛び出す。







    ……そいつは、左右田だった。





  342. 369 : : 2015/12/11(金) 21:16:24



    左右田「待たせたな‼」



    左右田がこちらに笑顔で話しかけてきた。



    日向「馬鹿ッ‼ 声を出し……!!」






    不幸『アガッ‼』




    俺が言い終わる前に『不幸』は既に、左右田目掛け、行動に移っていた。



    それを感じとった左右田は腕を振り上げ、そして、





    左右田「ダラッ‼」






    振り下ろした。



    その圧倒的な速度に、風圧が呼び起こされる。




    日向(なっ!? なんだあの速さはッ‼? )


    日向(下手すりゃザ・ドール並みだぞ!?)





    その振り下ろされた手刀は、突っ込んできた『不幸』の頭に触れ、『不幸』の身体を縦に切り裂いていく。






    不幸『アガガガガァ!!!?』






    そして、切断され、宙に舞った部分から『分解』されていき、空中に塵となって消え去った。





    左右田「ダッラァァッ‼」






    左右田の手刀が奴の全体を切り裂き、『不幸』の全てが消失していく。



    もう、『不幸』が再生することはなかった。






    左右田「ん? 再生しないのか?」





    日向「……俺の『ザ・ドール』も再生はするはずなんだ」



    日向「原子レベルで『分解』されようが、鉛をも燃やす『炎』を喰らっても、修復する」








    日向「能力者本人が死なないかぎり……な」





    小泉「今度こそ、終わったんだね」




    日向「……狛枝凪斗は、死んだ」



  343. 370 : : 2015/12/11(金) 21:22:32



    日向「あいつは自分の『使命』に命を使った」


    日向「確かに、あいつが許し難い屑だったことに変わりはない」




    日向「……けど、最初に会った時のあいつは、優しかった」



    日向「純粋に、俺を心配してくれた……!!」


    日向「きっと心の底では、俺たちと普通に過ごしたいと思っていたんだ」



    日向「けど俺は、この手で奴を……!!」





    左右田「日向……それでも」





    日向「それでも、殺らなきゃ誰も護れなかった」





    左右田「……分かってんじゃねえか」





    日向「もう……後悔はしない」



    日向「ここからは、俺が正しいと思ったものが『正義』だ」


    日向「そしてその『正義』こそ、俺が正しい道を進むための『大義』なんだッ……」



    日向「仲間は俺が護るッ‼……」





    左右田「日向……俺たちは友達だ」



    左右田「だからよ、手を汚す時も、俺たちは一緒だ」


    左右田「お前が苦しむなら、俺も苦しもう」






    日向「……」




    その左右田の言葉を聞いて、俺の心の碧雲が少し晴れた。


    殺人を犯した俺が、赦された気がした。





    けど、雨が降り出す。




    日向「……あれ?」





    俺の顔に、雨が。





    日向「泣いてるよ、俺……」





    日向「ありがとう……左右田」





    左右田「いいんだよ……」



    左右田「……俺たちが、友達だから」






    Chapter3 END




  344. 371 : : 2015/12/11(金) 21:33:41






    【旧館】<<5分前の事件>>






    左右田『クッ‼ このまま【不幸】が、日向のところに向かったらやばいぞ‼』



    弐大『左右田……ちょっと、我慢せい』




    左右田『え?』




    弐大『電流マッサージッ‼』



    電流を纏った弐大の指が、左右田の身体に打ち込まれる。





    左右田『グオッ……!?』




    弐大『お前さんのツボや筋肉を電流で刺激することで、力を引き出したッ‼』



    左右田『ち、力が溢れてくるぞ……!!』




    弐大『さあいけ、左右田』


    弐大『今のワシの足じゃ、足手まといになるだけじゃ』





    弐大は『不幸』に握られた足を摩りながら、そう言った。





    左右田『わかった、俺が日向を助けてくる』





    そう叫ぶと左右田は、目にも留まらぬ速さで旧館を飛び出した。





    弐大『フフ……それでいい』














    弐大「やれやれ、日向は助かったかの?」





    ワシは壁に必死にすがりながら、そう呟く。




    すると後ろで、冷血な声がし、それはワシの耳に届いた。





    九頭龍「てめえはそれを知る前に、死ぬがな」




    弐大「九頭龍……!?」


    弐大「お前、【犯罪者】かッ‼?」



    弐大「だが、着様は『不幸』に吹き飛ばされて死んだはずなのに!?」






    九頭龍「人を勝手に殺すなよ」




    九頭龍「……俺の『能力』は『変化』」


    九頭龍「殴られる瞬間、空気の状態を固体に変化させたッ‼」



    九頭龍「空気の壁で、拳の威力を抑えたのだッ‼」





    弐大「フンッ……自分の能力を敵に教えるとは慢心の深い奴じゃ」





    九頭龍「慢心か、罪木にも言われたな」


    九頭龍「だがな、慎重と逃走は紙一重だと思わないか?」






    九頭龍「俺は、退路を自ら断っているんだ」




    九頭龍「受験とかスポーツ、勝負に対面している奴らで、よくこう言う奴らがいるだろ?」



    九頭龍「『落ちるかもしれない』」


    九頭龍「『まあ、俺なんか駄目だろうけどな』」


    九頭龍「こいつらは慎重なのか? いや、自ら退路を作っているんだ」


    九頭龍「予防線を張っているともいえるな」



    九頭龍「必ず勝たなきゃいけないっていう決意が、そこにはないッ‼」



    九頭龍「あるのは、負けた時の自分を逃がすための退路ッ!!」




    九頭龍「だからこそ俺は、自ら能力を話そう」



    九頭龍「自分の能力を他人に話すことで、退路を捨てるッ‼」



    九頭龍「退路を失った人間に沸き起こるのは、前に進もうとする強い意志だッ‼」





    弐大「ならば、ワシに突っ込んでくるんじゃな‼」





    ワシは左腕を、九頭龍に目掛けて振り抜いた。


    ワシは最後の力を振り絞り、この一撃に全てを賭ける。






    九頭龍「動きが鈍いぞ」






    左足を捻り、身体を逸らすことで九頭龍はワシの拳を躱す。



    そしてそのまま、捻りを回転に変え、ワシの顔面へと殴りかかった。



    奴の拳が命中する。




    痛みはない。




    何故なら、ワシは既に死んでしまったから。





    九頭龍「“状態変化”……お前の身体を気体に変えた」







    弐大(……ワシもここまでか)



    弐大(やれやれ、死ぬのは嫌じゃな)



    弐大(……けど、ここであいつらに会えたことはワシにとっての財産じゃ)






    ただ一つ言うとするなら、もっと一緒に居たかった。







    弐大(…………)








    九頭龍「ふぅ、とりあえずは計算通り殺せたな」



    九頭龍「多分今頃、日向は狛枝と戦闘中のはずだ」



    九頭龍「その間に狛枝の電子生徒手帳を消し去っておこう」


    九頭龍「俺の推測が正しければ、奴の電子生徒手帳はコテージの中にあるはずだ」






    推測:電子生徒手帳を他人に見せるきっかけを断つため、【犯罪者】は、それをコテージの中に置いている。









    狛枝「グフッ……身体が寒い」


    狛枝「視界もぼやけてきた……」



    狛枝「僕は、これから死ぬんだね」





    狛枝「……嫌だ」



    狛枝「希望を作り出すために、まだ死ねない」






    ???「狛枝……」





    狛枝「君は、●●●さん……?」



    狛枝「あ、そっか」


    狛枝「幸運の次には不運が訪れ、不運の次には幸運が訪れる……」




    狛枝「僕にとっての不運が死ぬことなら、君に出会えたことは、幸運なんだ……!!」



    狛枝「きっと、君の能力は、僕の願いを叶えてくれるはず」




    狛枝「頼む、●●●さん、僕の『使命』を果たしてくれ」




    ???「……」








  345. 372 : : 2015/12/11(金) 21:35:28





    ーーーーー
    ーーー



    ーーーーーー


    ーーー





    弐大 猫丸【市民】“死亡”




    狛枝 凪斗【犯罪者,放火魔】“死亡”






    残り、9人




    日向 創【市民】


    左右田 和一【市民】


    小泉 真昼【市民】


    ソニア・ネヴァーマインド【市民】


    澪田 唯吹【???】


    西園寺 日寄子【???】


    九頭龍 冬彦【犯罪者,殺人鬼】


    七海 千秋【???】


    終里 赤音【???】






    ーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーー

    Chapter3 続 『対峙』


    ーーーーーー
    ーーーーーーーーーーーー


  346. 373 : : 2015/12/15(火) 23:37:46
    前作からやっと追いつきました!               Deさん これからもがんばってください!
  347. 374 : : 2015/12/16(水) 00:50:08
    >>373
    コメントありがとうございます!更新速度上げるって言ったのに上がらないので本当申し訳ありません!まとまった休みが出来たら一気にします!
  348. 375 : : 2015/12/20(日) 13:24:02




    【狛枝のコテージ】





    日向「……あるか?」



    左右田「いや、ないな」




    左右田「ったく、狛枝の野郎、何処に自分の電子生徒手帳を隠してんだろな」





    そう、俺たちは狛枝の電子生徒手帳を探しに、わざわざここまで足を運んでいるのだ。



    面倒ではないと言えば嘘になるが、狛枝の役職は【放火魔】らしいから多少のうっとおしさは我慢しよう。



    【犯罪者】の情報を少しでも知るためには、【放火魔】の生徒手帳を見るのが一番手っ取り早い。





    というわけで、かれこれ一時間近く日向と共に捜索しているが、一向にそれが見つかる気配はなかった。






    日向「……もしかしたら、他の奴が既に持っていったのかもな」



    左右田「ハァ!? そんなことしてもそいつの得になんねぇだろ!?」



    日向「いや、そうとも言い切れない」




    日向「他人の『能力』を知ることのできる【通り魔】だったら、残った【殺人鬼】との連携をとるために、狛枝の生徒手帳を必要とするかもしれない」



    日向「その逆もまたしかり」



    日向「まあ、無難に推測すると、自分の正体を知られたくない【犯罪者】が起こした行動だろうな」




    日向「それに最初から、ここの鍵が開いていたことも不自然だった」



    左右田「た、確かに……」





    日向「良し、無いと分かれば帰ろうぜ」



    左右田「そうだな!! 軍事施設行くか!?」



    日向「いやだよ」




  349. 376 : : 2015/12/20(日) 13:25:36





    狛枝の生徒手帳を探すことを諦め、俺たちはコテージの外に出た。




    透き通る風が、俺たちの間を駆け抜ける。


    思わず髪を手で抑え、風圧に逆らった。





    何か嫌な予感がする。


    それを暗示させるかのような突風。





    左右田「……弐大?」






    何故か、弐大の名前が口から零れ落ちた。



    風の中に、弐大の気配を感じとったのだ。







    日向「ん? どうした?」



    左右田「……弐大と九頭龍、旧館にいなかっただろ?」



    左右田「何処に行ったのかと思ってよ……」




    日向「うーん、一緒に治療でもしに行ったんじゃないか?」




    左右田「……そうだよな」





    俺は心の底に蔓延る不安を拭い、日向の方を見つめる。




    左右田「じゃあ、何処に行く?」



    日向「俺は別に何処でもい……ん、あれって七海じゃないか?」



    左右田「あ、本当だ」





    俺たちから、少し距離があるところを歩いている七海。


    相変わらず眠たそうだ。


    霞んだ瞳をこすって、何とか睡魔を避けている感じである。



  350. 377 : : 2015/12/20(日) 13:27:15




    日向「おーい、七海!!」




    七海「え? 日向くん?」





    日向の呼びかけに反応し、七海がおもむろに振り向く。


    そして、駆け寄ってきた。





    七海「今朝はごめんね。なんか寝ちゃったみたいで」


    七海「それに、わざわざ部屋に運んでもらっちゃって……」



    日向「お礼なんていいよ」


    日向「俺がしたいと思ったからしたことだしな」



    七海「……うん、ありがとう」





    申し訳なさそうに謝る七海を、笑顔で日向が慰める。




    左右田(ハハハ、俺ってここにいる意味あるのかな……って、なんかデジャヴ)




    左右田「じゃあよ、3人で夕食でも食いに行くか?」





    あえて『3』を強調した俺の提案に、日向たちは頷いた。




    日向「そうだな、まだ夕食まで時間はあるけど、俺は構わないぜ」


    七海「私もいいよ」



    左右田「良し、じゃ、近くのロケパンで飯を漁ろう」





    そして、俺たちはそこに向かうことになった。



  351. 378 : : 2015/12/20(日) 13:29:37






    が、






    左右田(ッ‼? か、身体が動かねえ!!?)






    新手の奇襲。



    いくら力を振り絞っても、筋肉はピクリとも動かなかった。






    日向「おい? どうした左右田」



    七海「置いてっちゃうよ?」





    左右田(クッ‼? こ、こいつらは平気っぽいな!!?)



    左右田(何とかして、俺の危機を知らせねえと!!!)





    左右田「あ、悪い。今行くよ」



    左右田(なッッッッ!!!?)





    俺の身体は、自分の意思とは無関係に動き、日向たちに歩み寄る。





    左右田(駄目だ!! 思ったことが口に出せねえ!!)



    左右田(誰だ⁉ 俺をこんな状態にした奴はッ‼)






    俺は視線だけは何とか動かせることに気づき、辺りを見渡す。



    すると、コテージとコテージの間、そこの死角になっている部分に、二つの人影を捉えた。






    左右田(あ、あいつらは!?)



    左右田(西園寺と澪田ッ‼?)






    ドドドドドドドド……!!!






    澪田「唯吹の『能力』、『操縦』で和一ちゃんを操ってェ‼」



    西園寺「私の『能力』と一緒に、あいつらを殺すんだよね?」



    澪田「正解っす‼ まずは、確実に殺っていくっすよォ‼」



    西園寺「うん‼ ここから出るのは、澪田おねぇと私だけ‼」





  352. 379 : : 2015/12/20(日) 13:31:03







    能力者ファイル.21



    澪田 唯吹



    能力『操縦』




    射程距離20M以内にいる人物を一人、操ることの出来る能力。


    澪田は人を操る際にギターで演奏をするが、別に能力の発動にギターを使う必要はない。


    おそらくこれは、能力者のコンディションによるものである。


    能力は、能力者自身のイメージによって働くため、イメージが強ければ強いほど、強い能力を引き出すことが出来る。





  353. 380 : : 2015/12/20(日) 14:46:03








    [状況]




    日向 &七海『夕食にしよう‼』

    ↑攻撃?

    左右田『やばい‼? 身体が操られてる‼』

    ↑操縦

    澪田&西園寺『あいつら全員、皆殺しだッ‼』










    左右田(非常にまずいぞ……!!?)


    左右田(俺の身体が操られているッ‼?)






    日向「でさ、そいつの名前が『ピカチュウ』っていうんだけど」



    七海「ピカチュウかぁ、漢字でどうやって書くの?」



    日向「えーっと確かだな……」






    左右田(多分、あいつらは俺たちを殺る気だッ‼)


    左右田(仲間である俺を利用して、日向たちに不意打ちをかますッ‼)


    左右田(クソォ‼ 卑怯な奴らだ‼ とてもじゃないけど許せねえ‼)




    左右田(……いや待てよ、よくよく考えてみりゃ、日向には『ザ・ドール』があるわけだ)


    左右田(不意打ちの一発目は仕方ないとしても、二撃目は防がれるはず‼)




    左右田(ハッハ‼ 馬鹿め‼ お前らの計画は失敗に終わるぞ‼)


    左右田(異変に気づきさえすれば、後はこっちのもの……)







    左右田(お前……“ら” ?)





    俺は精一杯の力を振り絞り、辺りに視線を飛ばす。



    すると、俺の直ぐ横を、ラジコンの戦車がおもむろに進んでいったのに気づいた。






    左右田(そのための二人かッ‼?)




    左右田(まず一撃目で日向たちの意識を俺に持ってこさせ、その隙に他の能力者が二撃目を放つ‼)





    俺の足は自然に歩く速度を上げ、前にいる日向たちとの距離を縮めていく。






    左右田(クッ‼ 弐大のおっさんにやってもらったマッサージも、効果が切れてる‼ パワーでこれをどうにかすることは出来ないッ‼)



    左右田(どうすればいい……!?)





  354. 381 : : 2015/12/20(日) 15:09:03






    日向「思い出した。光に宙で、ピカチュウだ」



    七海「へー、世の中には変わった名前もあるんだね」






    残り、2M。




    俺は拳を強く握りしめさせられ、日向の真後ろに立たされる。






    左右田「……!!」



    左右田(クッ‼ 気づけ‼)








    心の中で何回念じても、意味はなかった。




    俺の拳が振り下ろされる。





    鈍い音をたて、それは日向の頭部に激突した。






    日向「ガハッ……左右田……?」





    疑問を抱いている表情を見せたまま、日向は地面に倒れる。







    左右田(すまない‼ けど、今はそれを謝っている暇はないんだ‼)



    左右田(二撃目を防がないと‼?)






    『二撃目』を探して、俺は注意を様々な場所に張り巡らせる。



    すると、戦車の大砲の筒が、日向へと照準を合わせていくのを見つけた。





    左右田(ま、まさかッ‼?)






    そして、そこから砲弾が放たれる。




    スケールは小さいとはいえ、相手は能力者だ。




    生み出される攻撃の威力は、桁外れのものになる。







    左右田(俺の予想が正しければ、奴らの『能力』は、操作系の能力と……)






    放たれた砲弾は、鋭い破裂音を上げて俺の聴覚を麻痺させる。


    俺の視界が一瞬だけ、真っ白く染まった。




    左右田(もう一つの『能力』は『爆発』ッ‼)



    左右田(今のは日向に直撃したのかッ‼?)




    俺はおそるおそるそこに視線を向けるが、俺の目には何も映らなかった。





    七海「こっちだよ……左右田くん」





    俺は声のした方、もとい俺の足元に、視線を合わせる。






    七海「やれやれ、何とか日向くんを助けれたけど……」





    七海は日向を抱きかかえていた。





    七海「とってもまずいよね」



    七海「だって戦車の筒が、こっちに向いているんだもん……」





    七海の言うとおり、戦車はこちらを見つめ、今にも発砲しそうだった。



    日向はさっきの攻撃のショックで、意識が途絶えている。





    左右田(……駄目だ!? 身体が一ミリも動かない‼‼)



    左右田(このままじゃ、次の砲弾で全員が爆死しちまう‼)





    七海「……」







    七海は目をつむり、半分生きることを諦めているようだった。




    俺の感覚が研ぎ澄まされる中、筒から砲弾が飛び出す。



    真っ直ぐ正確に、俺と七海と日向の方に撃ち込まれた。






    左右田(クッ‼ 爆発するぞ!!?)



    左右田(身体さえ、身体さえ動けば‼)




    左右田(身体さえ……!!!)





    砲弾が、俺たちを巻き込む爆発の範囲内に入った。








    西園寺「今だッ‼」







    後ろで西園寺が叫ぶ。


    きっと、砲弾を爆発させるつもりだろう。







    が、砲弾は爆発せず、俺の胴体に当たってポトリと落ちた。






    西園寺「ええっ‼?」


    西園寺「左右田が何かしたの!!?」




    澪田「でも、和一ちゃんは身体を動かせないはずっす!!」


    澪田「どうやって……!?」






    左右田「……」





    左右田(疑問があった……)



    左右田(『第一撃目に、なぜ、俺の能力を操縦して日向を襲わなかったのか』という疑問がッ!!)


    左右田(ひょっとして奴の『操縦』は『相手の身体を操る』ことしか行えないんじゃないか考えたが、俺の『能力』が使えたところをみると、どうやら正解だったようだな……)









    左右田(空気を、俺たちの周りだけ『分解』したッ‼)





    左右田(空気っていうのには、操られてること関係なしに、俺は常に『触れて』いる)


    左右田(いくら『爆発』の能力者でも、空気がなけりゃ爆発は起こせねえよなァ‼‼)



  355. 382 : : 2015/12/20(日) 15:13:29
    忘れてたけど左右田って頭いいんだよな…
  356. 383 : : 2015/12/20(日) 18:32:37
    >>382
    基本馬鹿ですが、科学的なことについてはめちゃ賢いと思います!
  357. 384 : : 2015/12/20(日) 18:35:38









    澪田「と、とにかく、もう一発撃ち込むっすよ‼」



    西園寺「りょ、了解‼」






    ???「ん、お前ら何やってんだ?」




    澪田「ッ‼?」



    西園寺「く、九頭龍……!?」





    九頭龍(あ、もしかしてこれって戦闘中だったか?)


    九頭龍(チッ、ほっときゃよかったぜ)




    九頭龍(折角、日向たちを殺す手間が省けたのによぉ……!!)



    九頭龍(弐大が死んだことを知れば、あいつらは一緒にいた俺が生きていることを怪しむだろう)



    九頭龍(ならば、先に殺しておくべきだ)




    九頭龍(ってわけで探してたら、見つけれたけど何か面倒なことになってるな)






    西園寺「ち、近づいたら殺すぞ‼」




    九頭龍「……殺すか」



    九頭龍「本当に殺す気がある奴は、そんなことは口に出さない」



    九頭龍「何故なら、その発言は相手を警戒させるだけだからだ」





    九頭龍「ガチでその気なら、無言で殺れ」





    澪田(こいつッ‼? やばい‼)



    澪田「『操縦』ッ‼」





    九頭龍「……!?」



    九頭龍(身体が動かせないだと!?)





    澪田「こいつは私が引き止めるッ‼」


    澪田「日寄子ちゃんは、あいつらをお願いするっすッ‼」




    西園寺「……わかった、骨の髄まで遺さない」




  358. 385 : : 2015/12/20(日) 18:41:11






    能力者ファイル.19




    西園寺 日寄子



    能力『爆発』




    触れたものを爆弾に変えることが出来る。


    爆弾は、彼女がそれを見て、『爆発』しろと念じることで『爆破』される。


    ただ、『爆破』は一つずつしか出来ない。


    触れた物が大きければ大きいほど、爆発は威力の高いものになる。






  359. 386 : : 2015/12/20(日) 19:18:27
    期待です
  360. 387 : : 2015/12/20(日) 20:32:40
    >>386
    期待ありがとうございます!!
  361. 388 : : 2015/12/20(日) 20:35:05














    左右田「かっ……」




    左右田「身体が動くぞ!!!?」




    日向「へっ、そりゃ良かったな」



    左右田「だからあれはわざとじゃねえって」



    左右田「とにかく、『爆発使い』が西園寺で、『操作使い』が澪田だ」


    左右田「身体が動く内に、あいつらを叩くぞ」



    七海「うん、そうだね!!」






    戦車は動けるようになった瞬間に、中身ごと『分解』しておいた。




    何故動けるようになったかはわからないが、このチャンスをみすみす見逃すのは馬鹿げている。






    日向「……」






    日向「……何か上にいるぞ?」



    左右田「あ、ああ」


    左右田「戦闘機みたいな形をしているが……?」





    突如現れたその小さい戦闘機は、俺たちの危機感を高めさせるのに、十分な働きをした。






    日向「あれもラジコンで操作されてんのか?」


    左右田「多分な」



    七海「私の予想が当たったら、まずいことになるなぁ」



    日向「……」


    左右田「……」





    戦闘機はいくらか旋回した後、胴体から何かを落とし始めた。





    俺はこの光景を何回か見たことがある。



    映画とかで。




    これは、






    日向・左右田「「空襲だァァァァァ!!!?」」





    降り注ぐ、数多もの球体。


    おそらくBB弾だろう。



    凄まじい速度で落下しているその物体たちは、広範囲に分解して放たれている。





    左右田「『分解』ッ‼ 空気を消し去った‼」







    空気を『分解』することで、爆発を防ぐ。



    俺たちの周りに落ちてきた球体には、何の変化も見られなかった。



    だが、俺たちから少し離れた場所では、爆発による粉塵が舞い上がっている。





    まさに無差別攻撃。





    左右田「クソッ‼ 迂闊に動けねえ!!?」




    七海「……」



    七海「左右田くんは西園寺さんを倒して」




    七海「日向くんは私が守るから‼」



    左右田「お、おう?」






    七海「早く行ってッ‼」




    左右田「りょ、了解ッ‼」







    七海「さあ、日向くんは私の後ろに来て」



    日向「いや大丈夫だぜ?」


    日向「俺だって戦えるから」





    七海「……日向くんの気持ちもわかる」





    七海「けど、これは能力者の戦いなの」





    七海「君じゃ、駄目なの……」







    日向「……」







    日向「やっぱりそうなのかよ」





    七海「え?」





    日向「お前のその口ぶりは、俺を非能力者だって思っている奴のそれだ」




    日向「『能力コロシアイ生活』なんだから、普通は能力者だって思うはずだぜ」


    日向「現に左右田もそうだったしな」








    七海「……何が言いたいの?」





    日向「俺のことを非能力者だと思っているやつは、2人だけだ」



    日向「一人目は、最初の頃の黒幕」


    日向「だって、俺の『能力』が目覚めたのは最近だからな」


    日向「きっとその時は、俺のことを非能力者だと思っていただろう」




    七海「……」




    日向「で、黒幕は、『日向 創 には能力がない』って書いたはずなんだ」








    日向「……お前の電子生徒手帳にな、七海」




    日向「お前が【通り魔】なんだろ」


    日向「だから、俺を非能力者だと思っていた」




  362. 389 : : 2015/12/20(日) 22:37:49
    やっと追いついた~
    応援してます
  363. 390 : : 2015/12/20(日) 22:48:39
    期待!!
  364. 391 : : 2015/12/21(月) 06:26:12
    七海が通り魔とは意外な展開です
  365. 392 : : 2015/12/22(火) 20:31:37
    な、七海は死なないよな?
  366. 393 : : 2015/12/23(水) 03:04:06
    ザ・ドールは七海の力だったりして
    日向の力はまた別にあるとか
  367. 394 : : 2015/12/23(水) 17:10:54
    ザ・ドールと左右田の分解合わせて
    ザ・ドールと敵の空気を分解したら最強じゃない?

                                       
  368. 395 : : 2015/12/24(木) 16:56:32
    期待
  369. 396 : : 2015/12/26(土) 00:44:53
    >>389 >>390 >>395
    期待ありがとうございます! 頑張ります!

    >>391
    そう言っていただけると嬉しいです!

    >>392 >>393
    それは言えないよ!

    >>394
    『能力』を合わせるという行為は、さすがに通常では無理です!
  370. 397 : : 2015/12/26(土) 00:48:11










    七海「……正解」







    何でだよ、七海。







    何で俺を守ろうとしたんだよ。







    その行為には、打算的な感情は一切含まれていない。



    あるのは、非能力者である俺を守ろうとした、慈愛の念。







    何で俺を守ろうとしたんだよ。




    殺しにかかってくれた方が、まだ良かった。





    どうやればいいんだよ。





    どうやったら、自分を守ろうとしてくれた奴に拳を振るえるんだよ。






    日向「モノクマァァァァァ!!!‼」





    俺の激昂と共に、戦いの幕は切って落とされた。






  371. 398 : : 2015/12/26(土) 00:51:08








    七海「……」





    七海「『分裂』」





    七海のその言葉と同時に、七海が重なって見えた。七海と空間の境界線が揺らぐような感覚。





    日向「う? 目の錯覚か!?」





    目を擦る俺を嘲笑うかのように、七海は言い放つ。





    七海「大丈夫だよ、ただの『能力』だから」




    日向(ま、まさか、『分裂』ってそういうことかよ!!?)





    気づくと七海は4人になり、8人になり、16人になっていく。



    俺の周りは、あっという間に七海たちに囲まれてしまった。






    七海「この感覚、ゲームの残機が増えていく感じに似ているよね?」








    能力者ファイル.17



    七海 千秋



    能力『分裂』




    自分の身体を二つに『分裂』することの出来る能力。


    因みに『分裂』したものも『七海 千秋』であり、記憶を共有している。



    オリジナルの『七海 千秋』は、その他の『七海 千秋』に『命令』することが出来る。





  372. 399 : : 2015/12/26(土) 00:59:18








    七海「日向くん」

    七海「日向くんは私のこと好き?」

    七海「日向くんの匂い」

    七海「日向くん日向くん」

    七海「一緒にデートしない?」

    七海「日向くん、あっちに行こ」

    七海「ねえねえ、もっとお話しようよ」

    七海「大好きだよ日向くん」

    七海「私、日向くんならいいよ?」

    七海「逃げないで、日向くん」






    日向「おわあああああああああああああああああ!!!?」






    日向くんは、私の『分身』がとり囲んでいる。


    もう逃げられない。


    『分身』の数はとっくに100を越えていた。







    七海「私なら、日向くんの好きにしていいよ?」




    『分身』の一人が、自分の胸を日向くんの腕に押し付ける。




    七海「貴方が思うようにしていいんだよ?」




    『分身』の一人が、日向くんの耳元で甘く囁く。






    七海(さあ、君の欲望のままに動いてよ、日向くん)


    七海(私を求めてくれれば、それでいいから)





    突然、セパレート色で描かれた光景が次々と脳裏に映し出される。




    七海(……ん!?)



    激しい頭痛が私を襲い、耳鳴りが頭の中で響き、轟く。私はどうしようのない痛みを堪えながら、強く眉間を押さえつけた。




    七海(クッ‼ ハァハァ……なんでこんな時に昔のことなんか‼)





  373. 400 : : 2015/12/26(土) 01:01:05








    ーーー


    ーー


    ーーーーー





    七海 千秋がこの世に生を授かった二週間後。





    彼女は路上に捨てられた。





    生きていくことすらままならない。



    日々、空腹との戦い。


    言葉は、生きていく手段として、勝手に見についた。




    夏にはあまりの暑さに、熱中症で死にかけた。


    冬にはその寒さを防ぐため、段ボールで作った我が家に住んでいた。





    地獄とも言える日々を繰り返し、彼女は8歳になった。




    その頃気づいた、自分の才能。







    千秋「貴方は誰?」





    ???「私は……」





    七海「貴方だよ、千秋」




    千秋「貴方は……私?」






    自分自身は『分裂』ができ、その『分身』は自分で操れることに気づいた。




    そして彼女は、生きていくために『分身』の身体を男たちに売った。




    自分と瓜二つ、いや、同一人物が玩具のように犯されているのを見るのは辛かった。



    けれど、自分自身は綺麗なままであるという事実が、彼女の心を支えていた。






    だが皮肉なことに、その事実が彼女の心を崩壊させるきっかけともなる。







    男たちは『分身』との性行為を終えると、その『分身』に必ず何か一声かけた。




    『楽しかったよ』



    『また今度ね』





    といった感じで。



    声をかけられるということは、必要とされているということ。






    『私は必要ないから棄てられた』



    『私よりも分身の方が必要とされている?』




    『でも、私がいなければ、分身はいない』



    『けど、分身がいなければ、私は必要とされない』



    『誰も私を見ていない』








    『……私はどこにいるの?』



    『あの七海が私?』



    『ここにいる七海が私?』







    千秋「私は……………」






    七海「誰なの?」










    ーーーー



    ーーー



    ーーーー




  374. 401 : : 2015/12/26(土) 01:04:32







    七海「さあ、一緒にしよ?」





    七海「私を必要として」






    日向「……」




    日向「嫌だね」





    日向くんから発せられたのは、拒絶を表す言葉。





    七海「なんで?」

    七海「私のことが嫌いなの?」

    七海「あ、私より罪木さんの方が好き?」

    七海「どうしてどうして?」





    日向「……俺だって男だし、そりゃ嬉しいけど」




    七海「だったら!‼ 私を必要としてよ!!!」





    日向「……だったら」





    日向くんは強引に、『私』の群を突き進む。


    数多の『私』は、日向くんを押さえ込もうと必死にすがりついた。彼の足を引っ張り、服を後ろに引く。




    けど、日向くんは止まらない。




    歯を食いしばり、血眼になりながら、一歩一歩進んでいる。




    徐々に、ゆっくりと。





    そして、








    私の目の前に立った。






    日向「……だったら、何でお前はそんな哀しそうな顔をしてんだよ」




    七海「ッ‼?」




    七海「な、何で、私が『私』だってわかったの……?」





    日向「お前が一番、見つけて欲しそうだったから」






    ああ、やっぱり日向くんにはかなわないや。



    鈍いようで、鋭いところが。



    とっても日向くんらしい。



    そして馬鹿みたいに優しいところ。


    私のコテージに入った時。


    日向くんと左右田くんは、私の電子生徒手帳を見なかった。



    私のことを信頼してくれていたから。







    七海「私が……誰だかわかる?」







    日向「七海 千秋だろ、俺たちの仲間の」





    七海「そっか……」




    千秋「私が千秋だったんだね」






    私はポケットから、ナイフを取り出した。



    そしてそれを自分の首元に当て、斬りつける。






    日向「千秋ッ‼?」







    千秋「これで……いいの……」






    日向くんは、私を殺さない。



    むしろ、私を他の市民から守ろうとするだろう。





    でも私を殺さなきゃ、日向くんはここから出られない。





    だったら、私から命を棄てよう。






    私を見つけてくれた、彼の為に。







    日向「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!?」







    日向くんの叫び声が、私の耳に心地良く響いた。





    『ありがとう、日向くん』




    『もっと早く出会えてたら、変わってたのかな?』









    「おーい、七海」




    「むにゃむにゃ……どうしたの?」




    「どうしたのじゃねえよ‼」



    「かくれんぼやってたろ!!?」




    「あ、ごめん、寝ちゃってた」





    「……ったく」













    「千秋、みーつけた」








    幻影の中、私は息を引き取った。





  375. 402 : : 2015/12/26(土) 01:08:15




    ーーーーーーー

    ーーーーー

    ーーーーーー

    ーーーーーーーーー










    爆煙の中を、俺は駆け抜ける。




    七海の言動は少し気になったが、それは日向に任せよう。




    俺の責務は、西園寺を倒すこと。



    今はそれだけを考えろ。






    左右田「……あの人影がそうなのか?」





    砂埃などでよく見えないが、その中に西園寺らしき人影を捉えた。








    西園寺「……‼」



    西園寺(えっ!? なんで左右田がこっちに向かってくるの!?)




    西園寺「嫌だ、怖い……!?」






    私は身体の震えを、抑えることができないでいた。


    戦いが怖い。死ぬのが怖い。







    澪田「日寄子ちゃん!? 和一ちゃんが来るっすよ!!?」






    後ろから澪田おねえの声が聞こえ、私の高鳴る心臓を少し正常にする。



    爆煙をかき分け、左右田が煙の中から飛び出してきた。






    左右田「喰らえッ‼」






    移動をそのまま攻撃に繋げようとしているのか、左右田は全力疾走で私に突っ込んでくる。



    同時に、左手を大きく伸ばし、私に触れようとしていた。






    西園寺「ッ‼」






    恐怖の対象が迫ってくる緊迫感に耐えかねて、思わず地べたに座ってしまう。



    闘志を奮いたたせようとしたが、絶望が身体を支配し、立ち上がれない。







    澪田「『操縦』ッ‼」


    澪田「左右田の動きを封じたッ‼」





    左右田「あれ……!?」





    澪田「日寄子‼ 今っす‼」





    西園寺「澪田おねえ……」







    相変わらず私に甘い。




    けど、その優しさを守りたい。







    西園寺「……いや、唯吹ッ!!」



    西園寺「急に闘志が湧いてきたよッ‼」





    私は立ち上がり、動けない左右田に襲いかかる。



    誰かを守りたいという気持ちは、人に勇気を与えてくれる。





    その勇気を与えてくれたのは、他の誰でもない 澪田 唯吹。




    私なりにそれに応えたい。





    その応え方は、







    西園寺「お前を殺すことだッ‼ 左右田和一ッ‼」










  376. 403 : : 2015/12/26(土) 01:12:42





    こいつの周りで爆発が起きない理由。



    きっとそれは、こいつが空気を消し去っているから。




    こいつの能力の前では、私の能力は意味をなさない。






    けど、体内で爆発を起こせば関係ないはずだ。



    こいつは私を攻撃しようと手を伸ばしてきた。


    つまり、こいつの能力の基盤は手。


    動きを封じた今、体内で起こる爆発を防ぐ手段をこいつは持っていない。






    西園寺(狙うは、喉‼)


    西園寺(口から手を突っ込む‼)





    左右田「……ググ」






    左右田との身長差は確かにあるが、跳躍するタイミングを間違えなければ、きっと私の拳を奴の口の中にぶち込める。






    西園寺「今だッ‼」





    私は思いっきり地面を蹴り上げ、腕を振り上げる。



    そして、拳を奴の口の中にねじ込もうとした瞬間。




    左右田は動いた。





    私の攻撃を躱すために少し退き、重いアッパーを私の顎に撃ち込んだ。





    西園寺「な、何で……!?」






    消えゆく意識の中、私は質問をした。




    だが、返答を聞く前に、私はバラバラになって此の世から消えた。










    左右田「……西園寺は『分解』した」






    心残りがないと言えば嘘になる。



    しかし、殺るしかなかった。



    西園寺を殺した数秒後、俺は既に前を見ていた。






    左右田「気になるのは、何故、俺が動けるようになったかということだな」







    俺が頭を悩ませていると、爆煙を切り裂き、現れた人物がいた。







    九頭龍「……」



    九頭龍「……澪田 唯吹には誤算があった」







    左右田「く、九頭龍?」








    ーーーーーーChapter3 続 END

    Chapter4『対峙』ーーーーーー





  377. 404 : : 2015/12/26(土) 07:19:00
    この世界が何なのかわかんなくなってきた…
    期待です
  378. 405 : : 2015/12/26(土) 22:21:48
    ルール忘れてた
  379. 406 : : 2015/12/26(土) 23:40:49
    今の生き残りって誰なの?
  380. 407 : : 2015/12/27(日) 00:07:59
    >>404
    この世界はダンガンロンパのパラレルワールドなんじゃないかと思います。期待ありがとうございます!

    >>405
    ざっくり言うと、犯罪者全滅で市民の勝利、市民全滅で犯罪者の勝利、どちらかが全滅で神父の勝利です!更新してなくてすみません!

    >>406
    死んだ描写があるのは、弐大 猫丸 、十神 白夜 、 花村 輝々 、田中 眼蛇夢 、罪木 蜜柑 、 西園寺 日寄子、狛枝 凪斗(犯)、七海 千秋(犯)です!
  381. 408 : : 2015/12/27(日) 11:03:57
    今能力が判ってないのがソニアと終里か・・・
  382. 409 : : 2015/12/30(水) 14:21:58
    >>408
    辺古山「呼んだか?」
  383. 410 : : 2015/12/30(水) 20:57:09
    >>409
    忘れてた
  384. 411 : : 2015/12/30(水) 22:31:23







    九頭龍「その誤算とは、俺に殺されないと思っていたことだ」







    左右田「‼?」




    左右田(ああ、なるほど)




    左右田「お前が澪田を殺したから、俺が動けるようになったわけか」




    左右田「……で」





    左右田「お前は敵と味方のどっちなんだ?」








    九頭龍「お前には……」





    左右田「は?」





    九頭龍「罪木と弐大を殺した男が、お前には味方に見えるのか?」







    ドドドドドドドド……!!!








    左右田「お前が、殺ったのか」



    左右田「あいつらを……!!」




    左右田「だとしたら、許せねえ!!」





    九頭龍「ああ、別に許してもらう気もない」


    九頭龍「どうせ、これからお前は死ぬんだからな」






    左右田「いや、違うな」





    左右田「死ぬのはお前の方だッ‼」






    俺は奴に一気に詰め寄り、拳を突き出す。


    それに対して九頭龍は、何やら言い放ち出した。





    九頭龍「『状態変化』ッ‼」


    九頭龍「空気の壁を作り出すッ‼」





    俺が突き出した拳は、何か固いものに触れ、一瞬、スピードを落とした。





    左右田「……!?」




    九頭龍「喰らえッ‼」






    九頭龍から蹴りが繰り出され、それは俺の胴体を捉えようとする。



    左右田「しゃらくせえ‼ 『分解』ッ‼」


    九頭龍「ッ‼?」




    俺は拳の目の前にある謎の塊を分解し、奴に一撃を撃ち込む。



    後少しで拳が触れるというところで、九頭龍は退いた。





    九頭龍「危ねえ……」




    左右田「……」





    お互いに距離を取り、次の攻防に備える。





  385. 412 : : 2015/12/30(水) 22:33:07




    最初に動いたのは九頭龍だった。



    近くの爆煙の中に紛れ込み、身を隠したのだ。






    左右田「誘ってやがるのか……?」




    左右田(だとしても、退けねえ‼)


    左右田(俺がやっているのは、殺された奴らの弔い合戦‼)



    左右田(退いたら、背負っている大切なものが無くなっちまう‼)





    左右田(……けどだ)





    左右田「背負っているものが、俺に力を与えてくれるッ‼」


    左右田「戦う意味を、与えてくれるッ‼」






    俺は自ら爆煙の中に飛び込んだ。






    左右田「……」






    爆煙の中、ほとんど何も見えないが、自身の神経が研ぎ澄まされているのがわかった。



    煙の動きから、やつの動きがわかる気がした。





    左右田「……ッ」







    後ろで、俺を見ている。





    徐々に、その距離を縮めてきている。



    やつの動きが、煙の動きとなって俺の肌を刺激していた。






    左右田「……」







    俺と奴の距離は、




    残り3メートル……!!







    左右田「ダラッ‼」






    俺は振り向きざまに、裏拳を九頭龍にかます。




    せわしく巡る俺の目が、確かに捉えた映像。




    それは、人の形をした何かを俺の拳がぶん殴る映像だった。






    左右田「やった‼ ぶんか……」





    能力を発動させる途中で、あることに気づいた。





    手を包み込む感触がおかしい。





    この感触は、人の感触ではない。







    左右田「ッ!?」






    俺が殴ったものは飛散し、その中から勢いよく九頭龍が出てくる。






    九頭龍「『形状変化』……煙の形を人の形に変えた」







    フェイクだったのだ。



    俺が殴ったそれは、九頭龍が作り出した偽物。



    本体は、その偽物の後ろで準備していたんだ。




    俺が体制を整える前に殺る、その準備を。





    九頭龍「ヴォラッ‼」





    九頭龍から突き出された鋭い拳は、正確に俺の胸元へと向かってくる。






    左右田(駄目だ!? 避けらんねえ‼)






    それよりも身体が動かない。


    罪木のように消されるという恐怖が、俺の身体を硬直させる。





    左右田(死ねない‼ 俺はまだ‼)


    左右田(友達がいるんだ‼)




















  386. 413 : : 2015/12/30(水) 22:35:18
























    『……』



    これは夢だが、どうやら自分の意思では起きられないらしい。



    俺が幼い頃の嫌な夢だ。



    俺は、悪魔のような扱いを受けていた。


    理由は単純、俺が『分解』を使用する能力者だったから。






    場面が一転し、辺りを森林が覆いかぶさっている。


    どうやら、俺は小学校のクラスメイトと山へ遠足に行っているようだ。



    急斜面だった足場は心ともなく、足を滑らすと転げ落ちてしまいそうだった。


    最後尾を一人で歩いていると、前のはしゃいでいる奴が木の根につまずき大きく転ぶ。



    俺は心配になり、そいつに手を差し出す。



    だが、たった一言。




    『俺に触れるな。化物』




    と言い放ち、俺から走り去っていった。


    クラスメイトは知っていたのだ。


    俺の能力が手からきていることを。







    純粋に寂しかった。


























    「フゲッ‼?」





    いきなり殴られ、俺は悪夢から叩き起こされる。





    「おー、起きたか」


    「良かったな。起こしに来たのが俺で」


    「他の奴だったら二度と起きられなかったかもな」




    「不吉なこと言うなよ……」





    なんだ日向か。



    普段ならキレて襲いかかるかもしれないが、確かに俺の不用心なところは悪かった。





    「へいへい、以後気をつけな」





    そう言って、日向は俺に手を差し伸べる。



    その姿が、俺の手を跳ね除けた同級生と重なった。




    『俺に触れるな。化物』







    「……」





    俺は日向の手を見つめ、動けなくなった。






    「どうした?」





    日向は疑問に思ったのか、それを質問してくる。




    「え……いやよ……」





    駄目だ。


    俺の目から幾らか涙がこぼれ出していく。




    こいつは、一人で、怪物呼ばわりされた俺に、手を差し伸べてくれた。






    俺は日向の手を握りしめ、立ち上がる。






    「……さ、行こうぜ」





    今は言えないけどよ。



    ここから出たら絶対に、お前にありがとうって言うんだ。






















    左右田(ああ、俺の友達にもう一度会うために‼)



    左右田(死んでも負けらんねえ‼)






    九頭龍「若干……俺の方が早くとどくっ……!!」












    『能力』ってのは、何だろう。



    俺は魂が持つエネルギーだと思う。








    『何故か、弐大の名前が口から零れ落ちた。



    風の中に、弐大の気配を感じとったのだ。』










    あの時、多分、九頭龍が気体に変えた弐大の、あいつの魂のエネルギーがあの風の中にあって、


    それが、俺の中に僅かに残っていた弐大の能力と結びついて、











    マッサージの効果を再び引き出したんだ……!!








    左右田「馬鹿、遅えよ……‼」






    九頭龍「なっ……!? 電流を纏って……!?」






    ただの偶然か、おっさんの意思かはわかんねーけどよ。





    左右田「最後の最後で……!!」






    左右田「本当に頼りになったッ‼」





    身体捻り、その回転のまま九頭龍へと拳を叩き込む。


  387. 414 : : 2015/12/30(水) 22:37:10









    だが九頭龍は足を止め、その場で踏みとどまった。




    左右田(ど、どういうことだ!?)


    左右田(そこなら確かに俺の拳はとどかねえが、お前だって俺に触れられないはず!?)







    いや、触れている。






    俺の首を九頭龍の腕が握っていた。





    だが、その腕の本体は俺から少し距離がある場所に立っている。


    腕だけが俺に襲いかかってきたのだ。





    左右田「えっ……!?」






    九頭龍「『状態変化』……腕の関節を気体に変えて、腕を身体からぶっ飛ばした‼」





    九頭龍「で、俺と腕の間には、気体となった俺の身体があるから、問題なく能力を使えるッ‼」







    俺は『分解』するために、九頭龍の腕を掴もうと喉に右手を伸ばす。







    九頭龍「遅いッ‼ お前の身体を気体に変えたッ‼」





    左右田「あぐっ!?」








    「泣いてるよ、俺……」





    「ありがとう……左右田」




    馬鹿野郎。


    礼を言わなきゃいけないのはこっちだよ。





    「いいんだよ……」



    「友達だから」







    友達でいてくれて、ありがとう。



    そして……一番言いたくない言葉だけど、言わなきゃいけないから。




    さようなら。




    また会おうぜ。






    「…………」



















  388. 415 : : 2015/12/30(水) 22:38:48











    九頭龍「左右田を気体に変え、俺の身体を再び元に戻す‼」




    俺は拡散しつつある俺の身体を固体に戻し、落ちている腕を拾いに行った。






    九頭龍(ケッ、服がボロボロじゃねえか)




    そんなことを思いながら、俺は腕を身体の千切れた場所に押し付け、接合部を液体に変え、固体に戻すことでくっつけた。






    九頭龍(接着剤を作ってくっつけた感じに似てるな)





    俺の場合は超瞬間接着剤だけど。





    九頭龍「……さて、ついでに左右田の服も気体に変えとくか」





    俺が気体に変えたのは、あくまでも左右田の肉体だけ。


    持ち主を無くした左右田の服は、そこにただ置かれている。





    九頭龍「流石に、服だけってのも不信がられるしな」





    服を気体に変えようとその場にしゃがもうとしたところで、止みつつある爆煙を掻き分け、こちらに近づいてくる人影に気づいた。





    九頭龍「チッ、一旦引くか」




    俺は爆煙に身を隠すため、早々とそこから去った。









    日向「……左右田?」




    七海の死は間違いではないことを俺は実感していた。


    そして、それに覆いかぶさるように左右田の服が残酷な現実を突きつける。





    日向「おい……どこに行ったんだよ?」







    日向「左右田ァァァァァァ!!!?」




  389. 416 : : 2015/12/30(水) 22:39:55





    俺は左右田の服がある場所にひざまずき、大声で泣き叫ぶ。




    日向「あぐっ……あが……」




    目から熱いものが大量に零れ落ちていき、それが膝下の乾いた地面を湿らせていく。





    日向「何でっ……!?」




    俺は左右田の服を手元に引き寄せ、抱きしめた。



    俺の友達。





    日向「……」





    服の中からゴツゴツとした変な感触が伝わってきた。


    この中に何かがあるのだ。





    日向「……どうでもいいや」




    もう考えることが面倒だった。





    お前のところに行くよ。


    左右田。










    九頭龍(爆煙に身を隠して正解だったな)


    九頭龍(あいつは俺が犯罪者だということを微塵も知らない)





    九頭龍(手を差し伸べるよ……)




    九頭龍(無論、殺るために‼)










    日向「……」





    きっと左右田も一人で逝くのは寂しいだろう。



    それに罪木。




    安心しろ、俺もすぐに行くよ。





    向こうでまた会おう。








    九頭龍「……おい、どうした日向?」






    日向「え、九頭龍……?」






    声がしたので、おもむろにその方向へと視線を変えた。



    視界に映ったのは心配そうな表情でこちらを見つめる九頭龍の姿。





    九頭龍「……とりあえず、立てよ」






    そう言って九頭龍は俺に手を差し伸べてくる。





    日向「……」




    九頭龍(いたぶるのは趣味じゃねえし、これで終わりにしてやんよ)





    俺はそれをジッと眺めた後、応じようとその手を掴もうとする。



    残り数ミリで、俺と九頭龍の手は触れ合うだろう。









    『……なあ左右田』



    『多分、もうすぐそっちに行くよ』





    『そうか』





    『なんだよ、そっけないな』



    『ほら、言ってくれただろ』



    『また会おうって』





    『これから会えるんだ、俺たち』






    『……』




    『なあ……日向』







  390. 417 : : 2015/12/30(水) 22:42:21









    日向「……」




    九頭龍(所詮はカタギだな、死に動揺し過ぎている)





    九頭龍(このゲームは俺の勝ちだッ‼)



    九頭龍(お前らの死に意味なんてねえんだよ……!!)



    九頭龍(弱者は強者に従え‼)

















    バキッ‼










    ザ・ドール『……!!』





    ザ・ドールは、九頭龍の顔面がめり込むほどの拳を放った。





    九頭龍「!?!?!?」





    困惑の表情を浮かべる九頭龍は殴り飛ばされ、近くの地面に打ち付けられる。






    九頭龍「ガフッ!!?」





    九頭龍「アガッ……血が……」




    九頭龍「何でっ!? 俺が犯罪者だと!?」





    鼻は変な方向に曲がっており、前歯もへし折れている。


    それでも、納得いかないといった感じで九頭龍は叫び散らした。








    日向「……これだよ」





    俺はそっと、左右田の服からあいつの右手を取り出して九頭龍に見せた。






    九頭龍「左右田の手……!?」




    九頭龍(そうか、あの野郎!!)



    九頭龍(気体に変えられる前に、もう一方の手で右手を分解し身体から切り離したのか‼)




    九頭龍「でもっ‼ それが俺が犯罪者ってことに繋がるわけがない‼」





    俺は九頭龍をジッと見据え、ゆっくりとその手を開いていく。




    左右田の手が握っていたものは、黒白の破片だった。








    九頭龍「あっ……!!」



    九頭龍(まさかあの時のあいつの動作の目的は、あれを分解するため!?)






    日向「これはお前の服の切れ端だろ、九頭龍」




    日向「左右田は分解し、お前の服の一部を切り離したッ‼」



    日向「この切れ端は、左右田が俺に遺したダイイングメッセージだッ‼」











    『なあ……日向』






    『こっちに来るのはまだ早えよ』





    『焦らず、ゆっくりと、時間をかけて来いや』




    『へへっ、安心しろ』



    『幽霊として、ずっとお前に憑きまとってやるからな‼』


    『怖くてトイレに行けな〜い、って言わせてやんよ‼』






    『だから……安心しろ』








    『日向……今のお前さんは一人じゃない』



    『ワシたちがついとる』





    『日向さんが九頭龍を殴り飛ばした時、私、凄くスッキリしましたぁ‼』


    『私の仇、とってください‼』








    『日向くんはさ、前向きでもなければ、決して強くもないよ』



    『けどね、遅れても立ち上がれるってのが君のいいところだ……と思うよ?』





    『ううん、そう思う』



    『断言出来る』






    『だから、立ち上がって』




    『しょげてばかりじゃ、君らしくないよ』







    『このまま殺されていいの?』



    『いいわけないだろッ‼』


    『戦え‼ 日向 創‼』








    お前らがそう望むなら。




    戦うよ、俺は。








    日向「スタンドアップだぜ……九頭龍ッ‼」



    日向「俺はもう、立ってるぞ‼」





  391. 418 : : 2015/12/31(木) 07:30:05
    ここで九頭竜が死んだら、市民側の勝ち?
  392. 419 : : 2015/12/31(木) 08:48:12
    >>418 犯罪者全滅だからそうなるのかな…そう思うと九頭竜にも頑張ってほしい
  393. 420 : : 2016/01/02(土) 20:41:09
    >>418
    市民側の勝利です!!

    >>419
    九頭龍目線も書いてきたので、九頭龍応援されると嬉しいです!
  394. 421 : : 2016/01/02(土) 23:54:51






    九頭龍「ハァー……ハァー……」




    九頭龍(グググッ……舐めやがってこの糞餓鬼がッ!)


    九頭龍(俺はもう立っているゥ? そんな青臭えセリフ二度と言えねえように、口にドブ水突っ込んでやりてえが……!)











    ゴゴゴゴゴゴ……!!!




    ザ・ドール『……!』





    日向「……ッ!どうした! こないのなら俺から行くぜ!」











    九頭龍(あいつの『ザ・ドール』、心底厄介だッ!)


    九頭龍(俺を殴った際のパンチを捉えられなかった!まともな戦闘じゃ近づくことすら叶わないだろうな……!)






    九頭龍(……ここは退くか)









    日向「まあ……!」



    日向「最初からッ! 俺から攻める気だったけどなァッ!」






    俺はザ・ドールを、数メートル先に倒れこんでいる九頭龍へと差し向ける。






    九頭龍「チィッ!」



    ザ・ドール『……!!』






    ザ・ドールが近距離で拳を振り上げると、九頭龍は地面へとつっ伏せた。











    九頭龍「『液体』だ……!ここら周囲の道を全部ッ!」


  395. 422 : : 2016/01/03(日) 00:00:54




    日向「しまッ!? ザ・ドール戻れッ!!」




    何かの支えが切れたかのように、地面が俺を一気に吸い込んでいく。



    日向「俺を引っ張れ!!」




    下半身が既に地面に沈んでしまった俺の手を握り締め、宙に少し浮いているザ・ドールがそれを瞬時に引き上げる。





    日向「クッ……!」





    急いで九頭龍がいた場所に視線を向けるが、そこにはもう何も無かった。






    日向「逃げられたか……!」





    ザ・ドールに宙に吊るされながら、俺は悪態をつく。



    左右田の死体も、七海の死体も……みんなの死体はどうやら今ので地面に消えてしまったようだ。





    吊らされたまま、恐る恐る地面に足を触れさせてみると、小さな衝撃が反発してきた。







    日向「元に戻ったか……?」






    俺はおもむろに着地し、鼻から大きく息を吸い込んで吐き出した。


    少しだけ気が楽になる。





    日向「……とりあえず、あそこに向かおう」






    九頭龍を逃がしてしまったことは今はいい。


    あの場所に。


    きっと何も無いだろうけど、行かなきゃ清算できない気がした。







  396. 423 : : 2016/01/03(日) 00:02:26





    ーーーー

    ーーー

    ーーーーーー







    九頭龍「グフッ……クソォ……!!」





    ヤシの木が生い茂っている場所に身を隠し、あいつに対しての怒りを表に出す。


    その度に殴られた箇所が、頭に直接響くようにジンジンと痛みだし、俺の怒りをさらに根深いものにした。







    九頭龍「この俺を逃がしたこと……後悔させてやる……!」






    ヤシの木にすがりながら、やっとの思いで立ち上がろうとする。







    そこで気づく。

















    九頭龍(……この木の後ろに誰かいるッ!?)







    ゴゴゴゴゴゴ……!!!







    ⚫︎⚫︎⚫︎「……」








    気配や呼吸を感じ取ったのだ。


    この木の後ろから……!







    九頭龍「誰かわからないが……とにかく殺すッ!」





    俺はすぐさま背後のヤシの木目掛け、拳を繰り出そうとする。







    が、俺の拳は届かなかった。




    いや、正確には目標のヤシの木が吹き飛ばされたのだ。







    皮膚が震えるほどの音が聞こえたと思うと、ヤシの木が根元からボックリと抉り出され、なぎ倒されていた。


    無惨に倒れこんでいるヤシの木はまるで、そこに、瞬時に巨大な力が働いたことを証明しているようだった。






    九頭龍(な、なんなんだ……!? 誰がやったんだ……!?)






    今の出来事に乗じて、その木の後ろに隠れていたやつは逃げたらしい。




    そして……










    九頭龍(力が溢れてくる……!? さっきのやつの『能力』!?)






    九頭龍(まさか、木をなぎ倒したのはッ……!?)









    九頭龍(俺自身……!?)










  397. 424 : : 2016/01/03(日) 23:12:14











    【軍事施設】








    日はとっくに沈み、辺りは暗闇の支配下に置かれている。


    けど、決して真っ暗ってわけでも無い。



    俺は空を仰ぎ見る。








    日向「綺麗だ……」






    一面の空に拡がる、星の数々。


    闇の中で照らされるそれは、まるで希望そのもののように思えた。








    日向(皆んなとも見たかった……)





    何に対しても後悔が募る。



    あの時、こうしていれば、ひょっとして、違う未来もあったんじゃないかって。











    日向「けど、俺が生きてるのは間違いなく今だから」









    日向(ここに来たのは決別のため)






    日向(左右田が行くことを望んでた軍事施設)


    日向(左右田……お前、幽霊になってでも俺に憑いて回るって言ったんだからな)




    日向(満足したか……?)










    日向(そして俺も……)







  398. 425 : : 2016/01/03(日) 23:15:11







    ザッ






    雑木林の方から、足音のようなものが聞こえ、俺はその方向をジッと見つめた。




    日向「来やがったか……九頭龍」



    俺の呼びかけに返事は無い。しかし、雑木林での足音はだんだんと大きく、そして近くなっていく。



    日向「お前をぶっ殺せば。いや、ぶっ殺せれば全部終わりだ」


    日向「……だが、復讐は何も生まない」


    日向「お前がもうこのくだらない争いを止めるってのなら、俺は歯をくいしばってお前を赦す」


    日向「……さぁ、どうする?」




    足音が止まる。沈黙が波のように辺りに広がっていき、夜風の冷たさを強めた。


    風で髪が靡き、身体の表面が冷やされる。しかし内は熱っぽさを帯びていた。













  399. 426 : : 2016/01/03(日) 23:16:12














    瞬時、雑木林から人影が飛び出す。


    目を見開き、そいつをフレーム毎にズームで捉えていく。その人影の正体は……!













    不幸『ガァァアアアアッ!!』



    雄叫びを上げ、宙を舞うそいつの正体は、狛枝の『能力』だった。



    日向「なっ……何ィィーーーッ!!!!?」


    日向(どういうことだッ!? 狛枝は……あいつはッ! 俺が殺したはずッ!!)


    しかし、そんなことを考えてる余裕は今、全く無い。今考えなければならないのは、この危機を斥けることッ!



    日向「『ザ・ドールッ』!」


    ザ・ドール「オラァッ!」



    俺の背後から横に飛び出したザ・ドールは、拳を固め不幸を見据える。


    不幸もまた、ザ・ドールを見据えていた。


    そして両者、同時に拳を放つ。






    両者の顔面に拳が叩き込まれる。若干身体が浮き上がるほどの衝撃。


    相打ち、そう思った俺は不幸の本体を探すために瞬間的に視線を辺りに飛ばす。



    それが間違いだった。




    不幸『ガカ……』




    不幸はよろよろと立ち上がり、俺を圧倒的殺意を含んだ目で見つめる。


    ザ・ドールは……










    いない。



    俺が少し目を離した隙に、どこかに消えていた。



  400. 427 : : 2016/01/03(日) 23:17:39





    日向「えっ……!?」



    不幸『ガァァガッ!』




    不幸は好機と言わんばかりに、俺に飛びかかる。


    日向(ザ・ドール……は、出そうと思えば出せるッ!何かそういう確信があるッ!けど不幸との距離がもう近過ぎたッ!ザ・ドールでの防御は不可能ッ!かと言って、ザ・ドールが消えた理由もわからない今、ガードするわけにもいかないッ!)






    日向「ーーーーだからァッ!」



    俺はベルトに掛けてあった拳銃を指をかけ、不幸に銃口を向ける。



    不幸『ガァッ……!?』


    日向「ここが『軍事施設』じゃ無かったら、お前も俺を殺せたのになァ!」


    日向「ぶち込んでやるぜッ!オラァッッ!!」




    引き金を指で弾くと、銃弾が数発、破裂音を轟かせながら不幸へと突き進んでいく。


    顔面、特に目に重点的に銃弾を喰らった奴は、少し退き下がる。




    日向「0距離の弾丸は痛いか? まあ知ったこっちゃねえがな。ザ・ドールッ!蹴り飛ばせッ!」



    ザ・ドールは、顔を抑えうずくまる不幸の腹部へと熱烈な蹴りを入れ、身体ごと十数㍍ぶっ飛ばした。



    日向(ラッキー……銃も拾っといて助かったぜ)


    日向(しかしどういうことだ? ザ・ドールが出せるってことは、つまり能力封印の類いじゃないってことだ)


    日向(考えるとそう……何か『消失系』の能力)



    脳裏に浮かぶのは、九頭龍の能力。


    しかしそれを頭を振って否定する。能力はひとり一つだ。




    日向「誰かは知らねえが……不幸との決着は俺がつける」



    不幸が立ち上がる前に、俺はその場から全力疾走で遠ざかる。




    日向(不幸の射程距離はおよそ200M……!それの利点は本体と能力とで別行動が取れることッ!)


    日向(さっきの不幸の攻撃は、俺が喋って『音』を出したからだ)



    どういうことかはわからないが、『不幸』と何らかの力とが混ざり合った結果がザ・ドールの消失だと考える他ない。


    だったら、それも含め対処方を検討しよう。



    一見無敵に思える不幸の能力、しかしそれには弱点がある。


    それは『音』に関して見境なく攻撃すること。これのせいで、風の音や波の音に向かって永遠に攻撃し続けることもあり得る。


    だから能力者は、一旦標的に近づいておき、そこで不幸を発動させなければならない。



    日向(本体は限りなく俺に近づいていたはずッ! 狛枝もそうだったッ!)


    日向(とにかく本体は軍事施設にいるッ! しかし明確な位置がわからないッ! )


    日向「だから目的地は小泉の個室だッ!!」



    目指す場所は小泉の個室。『念写』で能力者本体の現在地を特定して叩く。不幸への攻撃は直接的な問題の解決にならないため、それがベストだと判断した。







  401. 428 : : 2016/01/03(日) 23:20:39








    ーーーーーーー


    ーーー


    ーーーーー


    ーーーーーーーー







    長く長く走った。


    中央の島を走ると、田中との戦闘が蘇る。


    波の音は狛枝との戦いを彷彿とさせる。


    ホテルが視界に入ると、花村の姿が浮かび上がる。


    そしてコテージでは、七海との……






    決着をつける。俺が。


    粗い息を整え、汗ばむ両手を強く握りしめ、小泉の個室の前に立つ。


    そして、チャイムを鳴らす。


    返事はない。不思議に思いドアノブに手を掛けると、扉は簡単に開いた。


    地面が崩れ落ちる感覚と共に、俺はその部屋へと足を踏み入れる。


    真っ暗な部屋の中、目を凝らし、ベッドの上に腰掛ける人影を見つめる。









    九頭龍「よお」



    そいつは九頭龍だった。そしてその隣に、横たわる小泉の姿。


    小泉の手は俺が軍事施設にいる写真を握りしめていた。



    九頭龍「ここで待ってたら来ると思ってたが!正解だったわけだなァ!」


    九頭龍「……そう怒るなよ?クッククク」


    九頭龍「『天は二物を与えず』って諺があるが……ありゃ嘘っぱちだな」


    九頭龍「何故なら!!! 俺は手に入れたぞ!『変化』と『不幸』の両方の能力をなァ!! クハハハハハァ!お前を襲ったのは俺だッ!!!」


    九頭龍「……そして、お前はこう思ってる。『何故、本体がこんなところに!? 本体は軍事施設にいるはずだろ!?』」


    九頭龍「違うなぁ。まずお前が知らない情報を一つ」





    九頭龍「『不幸』は進化した」





    九頭龍「狛枝がこれを持っていた時の射程距離がどうかは知らねえが……! 今の射程距離は2000㍍だ」


    九頭龍「おそらく化学変化が起きたッ! 不幸と俺の変化が混ざり合う際にッ!能力の革命が起きたッ! おそらく、これは誰も予測出来てないッ!」


    九頭龍「()づけて」


    九頭龍「『ザ・ドリーム(因果を捻じ曲げる者、そして人形との対比)


    九頭龍「まあ、その所為で俺自身はお前と同じ非能力者になっちまったが、リターンを考えれば納得だ」


    九頭龍「能力はひとり一つの定義も破ってねえしな。俺の能力は『ザ・ドリーム』だけだ」





    九頭龍「そして二つ目、小泉はお前を売った」





    九頭龍「クフッ……クハハ、『お前は助けてやるから日向の位置を教えろ』って言ったらよ、簡単に教えてくれたぜ?まあ、約束は反故にしたけどよォ!」


    九頭龍「そして俺の能力になった『ザ・ドリーム』は、完全に俺の支配下にある」


    九頭龍「だから、お前が人形を操る感覚で、俺は『ザ・ドリーム』を操って軍事施設にいるお前を殺そうとしたのさッ!」


    九頭龍「『音への撃墜と俺の操縦だ』。残念だったなぁ、お前のことだから頭を振り絞っていろいろ考察したんだろうが……無駄だったな! ククフッ!」


    九頭龍「……で、謎が解けたか? 何故、本体がここにいるのか。そして今、どんな気持ちだよ? ククク、決して『謎が解けてハッピー』って気分じゃあねえだろ?」




    日向「……一個、嘘だな」


    九頭龍「あ"?」


    日向「小泉の身体……痣だらけだ」


    日向「『邪魔者を始末した』、ってだけには多過ぎる」


    日向「無理やり『念写』を使わせたんだろ? 嬲って、罵倒して、心を挫かせて」


    日向「お前は最悪だよ……そして俺も」


    日向「小泉は握りしめている、俺の写真を」


    日向「自分が死ぬその最後の一瞬まで、俺の助けを待っていた……それを、俺は救ってやれなかった」


    日向「復讐はくだらないこととか言って……俺は間違ってたんだ」





    日向「けどやっぱりそれでも、最悪はお前だよ、九頭龍」




    日向「なぁ小泉、苦しかったよな……憎かったよな……怒りが募るよな……!!」


    日向「この『九頭龍(クソ野郎)』をぶっ殺したいって!!」



    九頭龍「さっきからゴチャゴチャ五月蝿えなぁオイ!! 結局、何が言いてえんだ!!?」



    日向「お前が死ぬってことだろッッ!!」



  402. 429 : : 2016/01/03(日) 23:22:42





    ザ・ドール『オラァァッ!』


    日向「うおおおおおおッ! テメェは絶対許さねええッ!!」




    九頭龍の頭上に出現したザ・ドールは、奴の顔面目掛け拳を放つ。



    九頭龍「すっトロいぞォ!」


    Dream『ガガギィッ!』



    『THE・Dream』はザ・ドールの拳を肘を曲げて防ぐ。鈍い衝突音が響き渡った。


    攻撃をガードされたザ・ドールはDreamの反撃を予測し、さっと身を引く。しかし奴はそれでも尚、拳を繰り出した。


    ザ・ドール『オラァァ!!』


    飛んでくる拳を、両手を使い上手くいなし、ザ・ドールは再び攻撃に移ろうとする。



    九頭龍「今、微かだが……『触れていた』ッ!」


    日向「……ッ!」



    その言葉通り、ザ・ドールの身体は一瞬にして分子レベルの単位で飛散し、消え去った。



    日向(俺には触れていたことさえ分からなかった……そんな僅かな接触でも、消失してしまうのか……!)


    九頭龍「クククク! 確かに消えたとはいえ、修復は出来ると思うだろう!? だがしかし、能力は魂の『エネルギー』だッ!飛散した『エネルギー』を集めるのに数秒はかかるッ!」


    九頭龍「そして戦いにおいてその数秒は、即ち死を表すッ! 死ねィ!」




    Dreamは床を駆け、俺の方向へと猛スピードで突っ込んでくる。さっきから試しているが修復は間に合わない。


    出せそうだが、出せない。



    日向(軍事施設の時は数秒の間隔があった! けど今はそれがないッ!)


    日向(拳銃を使うか……!? いや、今のDreamは九頭龍の操縦ッ! 精密な動きをされたらお終いだッ!)


    日向「だが、どうにか稼ぐッ!時間をッ!」



    俺は脚を蹴り上げ、靴を思いっきり相手の方向へと飛ばす。



    九頭龍「クハハハハハァッ! ぬるすぎるぞォ! お前そこまで馬鹿だったかァッ!?」


    Dream『ァァァァァッ!!!』



    Dreamは向かってくる靴に触れ、一気にそれを消し飛ばす。


    そして靴が消え去った場所から、何かが飛び出す。丸い固形物だった。



    日向「いーや、馬鹿はテメェだろ」


    日向「俺が『あそこ』で拾っておいたのは拳銃だけじゃないぜ」





    九頭龍「こいつは……! 手榴弾ッ!」


    九頭龍「もう一度消し飛ばせ『THE・DREAM』ゥゥーッ!!」





    今度はDreamが触る前に、それが空中で炸裂した。

  403. 430 : : 2016/01/03(日) 23:23:53



    一瞬光ったかと思うと、爆発音が鼓膜を鋭く突き、俺は身体を強張らせる。


    しかし前だけを真っ直ぐ見つめていた。


    爆発が収まると辺りは煙に支配され、何処からかパチパチと火が燃え滾る音が聞こえる。



    日向(奴が一種類の物体しか消せないのは、左右田の服が教えてくれていた、だからこそ靴の中に手榴弾を紛れ込ませておいた)


    日向(そして……!)



    手を強く握りしめる。さっきまでとは明らかに違う。力が漲ってくるのがわかる。



    日向(ザ・ドール……修復完了……!)


    ザ・ドール『……!』



    煙に身を隠しながら近づこう。そう思った矢先に、九頭龍は声を荒げる。



    九頭龍「しゃらくせぇぜッ!全部ぶっ飛ばすッ!!!」


    Dream「GAAAAAAAAAAAッッ!!」



    九頭龍はDreamに何かを命じた。俺はその命令内容を考察する。しかし、結論が出る前に結果が起こった。



    足元が消える。いや、俺の肉体が宙を舞っているのだ。


    突風によって吹き飛ばされていると理解出来たのは、俺の身体がコテージの外に持っていかれ、地面に打ち付けられてからだった。


    地面と肉体が短い間隔を開けながら接触し、吹っ飛ばされる度に肉が抉られていく。


    痛みはアドレナリンの所為か、全くない。


    感覚だけが鋭くなっていく。



    高速で回転していた視界がやっと止まった。そして、俺の周りに真紅の液体が流れていく。


    俺は、ただただ、絶望し、奥の手も使い果たした事を思い出し、この強敵を倒せるのかと思い、そして次の瞬間に足に力を込め、立ち上がった。



    日向「ハァハァ……!」



    九頭龍は小泉のコテージがあった場所に立ち、ぼんやりとどこかを眺めている。



    九頭龍「小泉のコテージそのものを全部……『気体』に変えた」


    九頭龍「クククク! 言ったろ、能力の革命だって! 不幸だけじゃなく、俺の変化も進化しているッ!!」


    九頭龍「とにかく突風の正体はそれだ……!」


    九頭龍「そして俺が吹き飛ばなかった理由は、俺の周りの煙を固体に変えて突風を防いだから……!」




    九頭龍(最強だ……!俺の『ザ・ドリーム』! もう俺に敵はいねえ……!運命は俺に味方していると確信しているッ!)







  404. 431 : : 2016/01/03(日) 23:27:00








    能力者ファイル. 31β


    九頭龍 冬彦


    能力『The・Dream』



    狛枝の『アンラッキー』と九頭龍の『変化』が混ざり合って出来た、能力の革命。

    『アンラッキー』の身体能力や射程距離、『変化』のスピードや規模が格段に向上している。

    現時点では、おそらくどの能力も敵わない。












    九頭龍(運命は俺に味方しているからこそ、きっとペコは『神父』だッ! 残りのカスを殺してここから一緒に出る……! )



    九頭龍「いや……ペコの役職なんて最早どうでもいい。今の俺なら、おそらく『黒幕』にも勝てる。そんなエンディングも悪くねぇ」




    ズサァッ




    九頭龍「……?」



    俺は九頭龍の直ぐ先の足元に、ザ・ドールを走らせ、流れるような蹴りを地面に打ち込ませた。


    地面が抉られ、そこに線が描かれる。




    九頭龍「なんのつもりだ……これは?」




    日向「……それは、『ザ・ドール』の射程距離ギリギリのラインだ」


    日向「俺は今まで、仲間を守るために闘ってきた……だがもう、その目的はない」


    日向「お前を殺す『大義』がない」






    日向「だが、お前を殺せる理由、絶対的な『理由』はある」





    日向「それが Dead Line への侵入、つまり正当な防衛だ」


    日向「お前からそのラインを越えれば……俺は、お前を殺せる法的な権利を持つ。それが理由……復讐と相反する絶対的な……」






    日向「『理由』だ」




    日向「越えてみろよ、殺人鬼……!」






    九頭龍「『理由』……か」



    九頭龍はDreamを出現させ、線に向かって拳を数発当てさせた。



    九頭龍「線は越えていない……! そして線の周りを液体に変え、再び元に戻した……!つまり、少し凹みはあるがほぼ見えないッ!『理由』は消えたぞッ!」


    九頭龍「どうする? 降りるか?」






    日向「……降りる気なんてサラサラない」


    日向「最初から! テメェを許す気もサラサラないッ!!」





    日向「復讐は絶対的に『理由』だッ!!」





    ザ・ドール『オラァァッ!!』



    俺はザ・ドールを九頭龍の目の前に出現させ、一発だけ拳を打ち込ませる。



    九頭龍(クッ!やっぱり射程距離ギリギリのラインなんて嘘じゃあねえかッ!)


  405. 432 : : 2016/01/03(日) 23:28:11


    Dream『ガァァッ!!』



    ザ・ドールの拳が九頭龍にあと数センチで届くという直前で、『Dream』がそれを阻んだ。


    ザ・ドールは辺りに飛散し、跡形もなく消え去る。


    それを見た俺は拳銃を取り出し構えた。



    九頭龍「お前の能力が消失している今ここの数秒でッ!! 全ての決着をつけるッ!」



    『Dream』は地面を強く蹴り、瞬時に俺との距離を詰めていく。


    俺は祈り、二回だけ引き金を引いた。



    火花が大きく散り、『二発の弾丸』が発射され、空気を切り裂き飛んでいく。しかし、『一発』はDreamから逸れてしまった。


    おそらく『Dream』に命中するのは『残りの一発だけ』。



    九頭龍「悪いな、戦う理由は俺にもある」


    九頭龍「あいつとのッ! 平和な人生だッ!」



    『Dream』は無言で、触れた弾丸を気体に変え、スピードを緩める事なく突っ込んでくる。



    日向「全体を修復しようと思うから時間がかかる……だから、一点だけに集中して、『ザ・ドール』のエネルギーをかき集めた」




    日向「一点だけ、修復は完了したッ……!」




    九頭龍「一点だけだとォ!? その程度では『Dream』の攻撃は防げないッ!」


    九頭龍「そして俺はお前から十数メートル離れているッ! 完全に射程距離圏外だッ! 俺自身を『ザ・ドール』で攻撃することも不可能ッ!」


    九頭龍「今度こそ完璧に殺ったッ!」



    『Dream』が俺の正面で拳を振り上げ、そのまま振り下ろしてくる。



    日向「ああ、防げないだろう……だが、防ぐ気なんてサラサラない」


    日向「右手の修復完了……丁度、」




    日向「『逸れた弾丸』の向かう直線上にッ!!」






    俺がワザと『Dream』から逸らしておいた弾丸が向かう先に、『ザ・ドール』の右手が出現していた。


    そして、それは向かってきた弾丸を指で弾き飛ばし、『ある方向』に狙いを変えて突っ込ませる。



    加速する弾丸の最終目標到達点は……!






    日向「お前だッ……九頭龍ッ!!」





    九頭龍「うおおおおおおおおおッ!!?」




    九頭龍は『Dream』を自分の元に戻そうとするが、その前に弾丸が脳天を貫いた。


    肉を抉る不快な音と、ゴリゴリと骨を削り取る音が俺の耳に届く。


    力が一気に抜けたのか、九頭龍はその場に崩れ落ち、そしてDream(夢)は儚く消えていった。




























    夜風がやけに冷たく感じる。



    満点の星の下では、俺の涙は輝いていた。







    終わった。


    全てを……失った。



    能力コロシアイ南国生活は……12人の犠牲者を出しながら終わったんだ。





    何故かはわからないが、ザ・ドールを出すことはもう叶わなかった。


    それがやけに、非日常の終わりを告げているような気がした。









    Chapter4 END




    市民


    左右田 和一 、 弐大 猫丸 、小泉 真昼 、十神 白夜 、 花村 輝々 、田中 眼蛇夢 、罪木 蜜柑 、 澪田 唯吹 、西園寺 日寄子 【死亡】





    犯罪者【殺人鬼、放火魔、通り魔】


    九頭龍 冬彦 、狛枝 凪斗 、 七海 千秋 【死亡】


    【GAME OVER】



  406. 433 : : 2016/01/03(日) 23:29:20


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    ーーーーーーーーーーー
    Chapter5 『最終回は間近』
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    ーーーーーーーーーーーーー


  407. 434 : : 2016/01/04(月) 07:32:33
    生存者はソニア、終里、ペコ、日向、か……
    神父は誰なんだろ…?
  408. 435 : : 2016/01/04(月) 20:22:22
    >>434
    もう死んでるかもしれませんね! 乞うご期待です!
  409. 436 : : 2016/01/04(月) 20:22:37










    日向「……」


    辺古山「……」


    ソニア「……」


    終里「あー! クッソ! せっかく面白そうだったのに、寝てたら終わっちまってた!」




    生き残った俺たちはアナウンスの指示通り、2の島の遺跡前にやってきた。


    潮のいい香りと、波の穏やかな音が、俺の気分をさらに落ち込ませた。




    ソニア「今から何が起こるんでしょう……」


    日向「さあな、遺跡の調査でもするんじゃないのか」




    左右田たちが死んだこと、そして【犯罪者】たちとの戦闘。全てをこいつらに話した。


    話さずにはいられなかった。



    俺とソニアの他愛ない会話に、辺古山が混ざる。




    辺古山「別にこれからのことを考える必要はないんじゃないか?」


    辺古山「お前らはこれから死ぬのだし」




    殺気。俺は隣にいたソニアの腕を掴み一気にそこから飛び退く。


    同時に、辺古山の手に純白の太刀が握られ、奴は辺りをそれで一刀両断した。




    日向(謎は残ってた……九頭龍の能力の革命。これは奴の『能力』じゃない。つまり、九頭龍の協力者はまだいる……! その考察があったからこそ今のを避けれたが)



    日向「すまない終里、助けられなかった」




    ソニアを抱え、砂浜を疾走しながら振り向くと、終里の首が刀に跳ねられる光景が視界に飛び込んできた。




    日向「……どういうことだ?」



    そう、確かに首を跳ねられた。


    しかし、終里の身体の切断面から血という血が全く出ていない。



    日向(……今は考えることはよそう、大切なのは逃げることだ)





  410. 437 : : 2016/01/04(月) 20:23:18






    終里「おいおい! お前なんだぁ!? やる気じゃねえか!」


    終里「そういうことなら、そういうことでいいんだな!?」



    俺は首だけになりながら、そこらへんの地面に打ち付けられる。


    それを首無しの俺の身体が拾い、ギュッギュッと切断面に押し付けてくっつけた。



    辺古山「お前の『能力』……なるほどな」


    辺古山「『分断』か」










    能力者ファイル.49


    終里 赤音


    能力『分断』


    身体を自由自在に『分断』し、各パーツごとに別行動をとらせることが出来る。

    射程距離は20Mで、それ以上パーツ同士が離れると『分断』の能力が衰え、切断面から血や臓器が噴き出る。






    終里「正解だぜー! 残念だったな辺古山! お前のその剣と俺の『能力』じゃ相性が悪いかもな!!」


    辺古山「そうでもないさ」




    辺古山が不気味に微笑み、俺は警戒する。その僅かコンマ数秒後、地面の無数の砂粒がゆらゆらと上昇していった。




    終里「なんだッ!? これがお前の『能力』かッ!?」


    辺古山「いや、私はただの『非能力者』だ」


    終里「ケッ!しらばっくれんじゃねえぜッ! 喰らいなッ!!」



    俺は自慢の脚のバネを使い、人並み外れたスピードで辺古山に襲いかかる。



    辺古山「その程度か?」



    ただ宙を舞っていた砂粒は、辺古山の呼びかけで、まるで意志を持ったかのように、俺の周りをまとわりつき、動きを拘束してきた。


    俺の動きが止まると、砂粒がさらに増加し、圧迫してくるため、今度は呼吸することすら危うくなっていく。



    終里「ウググ……!?」



    辺古山「これが私の『越穿の劔(エツガノツルギ)』のその『能力』ッ!!」






    四大武凶器ファイル②


    名称:【越穿の劔】



    何かを操作し、自由自在にコントロールすることの出来る能力。


    ある程度の容量があり、それを超える、もしくは『能力』や『生命』を操作することは出来ない。


    射程距離はおよそ20〜30M。






  411. 438 : : 2016/01/04(月) 20:24:06






    とある昔の物語。


    ヤクザの家に拾われた身寄りのない少女は、その組の若頭の護衛を任される。


    しかしその際、若頭は「お前なんかに守られるまでもねえ」と、その少女を突き放した。


    それっきり少女は、若頭から距離を置くようになる。若頭には『能力』があった。だから自分の護衛が必要のないことも、少女は理解出来た。


    しかし納得は出来なかった。


    月日は流れ、若頭は希望ヶ峰学園に入学することになった。少女は、このまま若頭が自分から離れていけば、もう恩を返す機会は永久に失われるのではないかと思った。


    盾でもなんでもいい。恩を返したい、その一心で、少女は組の長を訪ねた。


    組の長はその少女をたいそう気に入り、組の最高戦力を渡したのだった。





    ……しかし、若頭は本当は少女を突き放したのではなかった。ただ、少女に普通の人生を生きて欲しかっただけ。


    そのことに気づかなかった少女は、健気に、若頭と深く関わらないように、今回のコロシアイの護衛に専念することにしたのだった。




  412. 439 : : 2016/01/04(月) 20:25:08








    終里「へへ……! 痛えな……!」


    辺古山「痛いのに笑っているのか? 頭の螺子が飛んだか?」



    終里「いや、俺の勝ちともなりゃ、そりゃ笑わずにはいられねぇよ! 」



    辺古山「ッ!?」




    辺古山の背後から、俺の右腕が飛び出し、そのまま奴の首をキツく握り、締め付ける。




    終里「『分断』だ……完全に拘束される前にッ!! 右腕を『分断』して、背後に回り込ませ、テメェを掴んだッ!!!」


    終里「俺を殺すのに夢中で気づかなかったようだなァー!! お前の砂も、いい感じに視界を曇らせたッ!! 言っとくが、お前の力じゃ振りほどけね」

    次の瞬間、メキメキと何かをすり潰すような音が聞こえた。


    終里「ぐああああああァァッ!?」



    辺古山「何が……だ?」


    辺古山「何が振りほどけないんだ?」


    その音源の主は辺古山だった。辺古山が俺の手を握り潰しているのだ。



    終里「何つー怪力ッ……! つーかッ、能力は1人1つまでだろ……!?」


    辺古山「1人1つなのか? 詳しいことは知らないが、まあ合ってるんじゃないのか」





    辺古山「私のは『凶器』が二つだッ!」




    目を凝らしてよく見ると、辺古山の両目が僅かだが紅色に輝いて見えた。



    辺古山「組長が私に託した凶器は二つだった……1つは『越穿の劔』」



    辺古山「そして『弾眼』」






    四大武凶器ファイル③


    名称:【弾眼】



    身に付けた者の身体能力を、限界を超えて底上げする。


    発動中は両目が紅色に輝き出す。




  413. 440 : : 2016/01/04(月) 20:26:09





    辺古山「私は無能だ……任されておき、守れなかった」


    辺古山「今からの戦いに『大義』はない。あるのは『償い』だけだッ……!」


    辺古山「なあ終里、そんな私をお前はどう思っ……」




    終里は辺古山の問いに答える前に、口から泡を吹いて、白目を向いて地面に跪いた。


    その光景を雑木林の陰から眺めていた俺は、恐怖し慄く。




    日向「圧倒的だ……勝てない」



    歯をカチ合わせ、身体の震えを止めるのに精一杯だった俺は、背後から迫ってくる気配に気づかなかった。



    ソニア「……日向さん」


    日向「ッ!?……ああ、ソニアか。よし、逃げるぞ。相手の手の内を確認出来たのは大きい」


    ソニア「逃げるんですか? もう、私たちしか残ってないのに?」


    日向「そりゃそうだろ!!?馬鹿か!!あいつの役職がなんだろうと、もうゲームは終わってるんだよ!!!」


    日向「遺跡で何が始まるかはわからないが、その何かが始まった時に、奴を撒いてここから脱出する方法を考えよう!!」


    ソニア「そのくらいで彼女から逃げれますかね……?」


    日向「知らねえよ!! あいつが何故俺たちを恨んでいるかはわからないが、私怨にまで付き合ってやれる程、俺は強くねえ!!!」


    日向「それにもう……『ザ・ドール』は使えないんだッ……!! 何度か試してみたけど、一向に出せる気配がないッ!!」


    ソニア「……」




    俺の言葉が届いてないのか、ソニアは、いまいち危機を実感出来ていないような、淋しげな表情をしていた。


    いや、この顔は、自分の言葉が届いてないことへの哀しみの表れかもしれない。





    ソニア「……私は1つ、貴方に謝らなければならないことがあります」


    日向「……?『 謝らなければならないこと』だと?」


    ソニア「九頭龍さんの能力の『革命』、ご存知ですよね?」


    日向「能力の『革命』ッ……!? ああ、知ってるさ!! なんせアレと戦ったわけだしなッ!!!」







    ソニア「アレを生み出したのは、他でもない……私なんです」





  414. 441 : : 2016/01/04(月) 20:26:56





    その言葉が、何度も俺の耳で反芻される。ただ、心にはなかなか届かなかった。


    そして、砂時計の砂が徐々に下に積もっていくように、俺の心にもソニアの言葉が実感とし募っていく。





    日向「お……」


    日向「お前がッ……あれをッ……!!!」





    拳を強く握りしめ、歯が折れそうになるほどに食いしばった。


    脳裏にフラッシュバックしていく、小泉の姿。


    強気で取っつきにくいと感じていた彼女の性格。


    それは、仲間を守るために、自分を追い込むためのものだったのだと、彼女を抱きしめて気づいた。





    ……そして、痣だらけで、冷たくなった小泉の身体が目に映し出される。




    日向「お前のせいで小泉がッ!!?」



    目から無数の涙が溢れ出し、そして俺は涎を撒き散らしながらソニアを非難する。体裁を保っている余裕などなかった。



    日向「人殺しッ……! 死ねッ……!! お前が死ねよッ!!! なんで小泉なんだッ!!!」



    俺の思いを受け止め、それでも尚、ソニアは口を開く。



    ソニア「そう言われても仕方ありません……ですが私にも『理由』があったのです」


    ソニア「王女である私は、少しでも早く『国』に帰るため、こうするしかなかったのです」


    日向「『理由』……? 少しでも早く……」






    日向「〜〜ッ!!?」



    疑問の点が線で結ばれる。


    そうだそうだそうだ。


    そうだ……。










    日向「お前が『神父』……か」




    ソニア「……はい」





  415. 442 : : 2016/01/04(月) 20:27:38





    なるほど、つまりこいつは、王女としての自分が早く『国』に帰るために、【犯罪者】である九頭龍に協力したってことだ。


    【神父】は、どちらが勝っても勝利だから。


    確かに、九頭龍が俺との戦闘でただ退いていただけでは、さらにコロシアイ南国生活の期間は延びていただろう。


    こいつの協力で、九頭龍は能力の革命に成功し、自信満々に俺に襲いかかってきたわけだ。





    何故か、この時に出た俺の表情は、引き攣った泣き顔でも、顔を真っ赤にした怒りでもなく、全てを悟った冷ややかな笑顔だった。



    日向「……最悪だな」


    日向「あー……最悪だ」





    ソニア「ええ、それは私も自覚しています。そして……自覚しています」





    ソニア「南国コロシアイ生活の決着をつける『権利』は、最も戦い、最も傷つき、最も生き切った貴方だけにある……と」








    日向「……は?」


    日向「おいおい、どういうことだよ?決着? 権利? 」


    ソニア「そのままの意味です……『権利』は、貴方だけにあるのです」


    ソニア「そして、全てを任せました」



    ソニアは優しく俺の肩に触れ、その手を離すと、よろよろと揺れ動きながら立ち上がる。




    日向「……ッ!?」



    俺は、何故か無性に力が湧いてくるのを感じていた。まるでエネルギーを注入されたみたいだ。



    不意に視線を向けた先にあったソニアの顔色は青白く、今まで見た中で最悪だった。


    ソニアは俺に背を向け、そのまま雑木林を抜けていく。その歩みの先には……





    砂浜に佇む辺古山の姿があった。






    日向(!? どういうことだ……!? ソニアには、帰るべき国があるんじゃないのか!?)






  416. 443 : : 2016/01/04(月) 20:28:26







    ーーーーーーーーー

    ーーーー


    ーーーーーーーーーーー






    私は、砂浜に佇む辺古山さんだけを見つめて、朧げな足元を大切に、一歩ずつ踏み出していった。





    ソニア(私の『能力』は『運命』……託された物や、託したい物を、相手に1つだけ確実に届けることの出来る『能力』……)


    ソニア(私は旧館の際には、それで日向さんに目覚まし時計を届けたり、瀕死だった狛枝さんから託された『不幸』を九頭龍さんに届けたりしました)


    ソニア(『運命』は必中……だからこそ、何が起ころうと相手に100%渡る……)






    ソニア(そしてたった今、日向さんに私の『体力』をありったけ届けてきました……)


    ソニア(『国』に帰りたくないと言えば嘘になりますが……私にはわかってしまったのです)






    『この世には二種類の人間がいる』



    『戦える人間と、傍観することしか出来ない人間』



    『私は圧倒的に後者』








    ソニア(旧館の時も、何も出来なかった。私には王女の才能がないのです)


    ソニア(そもそも『能力』自体、傍観者向けですしね)


    ソニア(こんな私が『国』を引っ張っていけるのか……多分、無理でしょう)


    ソニア(だったらこのクソくだらない命を大切にするより……私は償いたいッ!!)


    ソニア(『国』を棄てる覚悟がなかった、中途半端な私が彼を苦しめたことをッ!!)


    ソニア(決着をつける権利は、彼にだけあるッ!! 仲間を信じ、殺され、殺してきた彼にだけッ!!! 決着をつける権利があるッ!! 前に進む権利があるッ!!!)







    ソニア(最後に選ぶのは彼ですが、こんな私でも、彼に選択させることが出来るのが心の底から嬉しいのです)







    ソニア(そしてさようなら……永遠に……)








    能力者ファイル.22



    ソニア・ネヴァーマインド



    能力『運命』




    託された物や、託したい物を、1度に1つだけ預かることができ、それを、ソニアに託した人物やソニアが託したい人物に届けることが出来る能力。


    どんなことが起ころうと、運命の力で100%届けることが出来る。






    ーーー

    ーー


    ーーーーーーーー




  417. 444 : : 2016/01/04(月) 20:29:28






    ソニアは雑木林から砂浜に出ると、こちらへと無理して作った笑顔で振り向いた。


    そんなソニアに気づいてか、辺古山はノロノロと身体を揺らしながら近寄っていく。生気は宿っていないようだった。




    ソニア「……日向さん、私の夢は、運命が私の国民に対して、常に正当な評価を行うことです」


    ソニア「仲間を裏切った私が狡猾に生き残り、苦しんで、心を挫かれて、それでも立ち上がった貴方が殺されたら、それは正当な評価とは言えません」


    ソニア「だから、私は誰より貴方に幸せになって欲しいのです。私の夢を叶えてください」



    ここで声を出せば、辺古山に居場所がバレるとか、そんなことは一切考えてなかった。



    日向「ふざけんなよ!!!? 何が夢だッ!! 今さら善人面しやがってッ!!!」


    日向「俺はッ……!!!」














    俺も心の底ではわかってた。




    ソニアも辺古山も弱いのだ。



    そして俺も。



    だから軸がブレる。



    志とその時の思いが交わらなくなる。



    だから、行動に一貫性がなくなる。














  418. 445 : : 2016/01/04(月) 20:30:30




















    それが人間だった。





















  419. 446 : : 2016/01/04(月) 20:31:30








    ここからみんなを出すと決意し、戦い抜くと心に誓いを立てても、大事な仲間が【犯罪者】だとわかれば、その決意はいとも容易くへし折れる。








    でも、それでいい。



    そうだよ、それでいいじゃないか。





    確かに、ソニアが小泉を間接的に殺した事実はあるが、それはその時の気の迷いでもある。


    それもまた事実だ。






    俺は怒気に身を任せられないでいた。


    ソニアは悪いが、悪くない。


    俺もこうしていたかもしれない。


    ソニアを否定するならば、人そのものを否定しなければならない。


    間違うのが人間だからだ。




    九頭龍も……というか、俺が殺してきた奴ら全てが……










    日向(『悪』じゃないんだッ!!!)










    でも、俺は奴らを殺してきた。それは奴らが許せなかったから。


    ではソニアはどうだろうか。
































    俺の答えは出た。






    だから……











    日向「俺をひとりに……しないでくれッ……」




  420. 447 : : 2016/01/04(月) 20:33:29



    俺はソニアに向けて、腕を伸ばす。


    空間が滑らかに動いていき、ソニアは背後から切り捨てられた。


    真っ赤な花が空中に咲く。


    ソニアは最後まで、笑顔を絶やさなかった。





    そして、こう呟いた気がした。







    『貴方が戦うのなら、きっと祝福されるでしょうーーーーーーー。』








    意味がわからなかった。


    いや、わかったところで、どうも出来ないだろう。



    戦う? 馬鹿馬鹿しいにも程がある。


    『ザ・ドール』は使えない。ソニアから受け取ったこの『力』だって、辺古山にとっては道端の虫ケラと同じようなちっぽけな存在だろう。






    辺古山「そこにいるのかぁー……日向 創ぇー……」





    掠れた声を出し、ギラギラと渇いた光を発する辺古山の目は、辺りを模索していた。




    日向(よかった……まだ見つかってないんだ……)



    高鳴る心臓の鼓動を抑え、俺はしゃがんだまま少しずつ後退していく。地面に散乱する枯れ木を踏まないよう、神経を擦り減らし、慎重に移動していった。




    辺古山「何処だぁー……!!」



    辺古山は刀を振り回し、木を斬りつけ、ワザと音を立てながら徘徊し出す。月夜が射し込み、奴の姿が木の間から少し覗けた。奴の影が獣のように見えた。


    俺はそれに伴い、四つん這いになり、さらに身体の高さを低くする。柔らかい土の感触が、手を包み込んだ。落ち葉の滑らかさは、俺の幼少時代の記憶を呼び起こした。




    日向「……ッ!?」



    その落ち葉のお陰で辺古山の思考の到達の前に、俺は俺の詰みに気づく。











    辺古山「……そうだ。私の『越穿の劔』の能力を使えばいいじゃあないかぁ!!」


    辺古山「木は生きているから無理だが、落ちた葉や枝は死んでいるッ!! ただの物体だッ!!! ならば操れるッ!!!」



    辺古山「半径20メートルを荒らし尽くせッ!!!」





    辺古山のその言葉通りに、地面に横たわっていた落ち葉や枯れた枝が、空間を猛スピードで飛び交い出した。


    夜の空気を切り裂く音が、あちらこちらから響いてくる。


    宙を直線的に移動するそれらは、生きた木の根元を鋭く傷つけ、草木に身を隠し、安眠していた小動物たちを攻撃した。



    俺の視界に映った1匹のリスは、戸惑いながら辺りを見渡し、逃げようとしたその瞬間に、木の枝が喉に突っ込み、もがきながら地に伏した。





    日向(あのリスは……俺だったかもしれないな)





    俺は木の上から無差別攻撃を眺め、安堵の溜め息をつく。辺古山も俺が咄嗟に木を登ったとは考えなかったようだ。




    日向(ソニアの『能力』……おそらく人に何かを分け与えるものだ。ソニアから受け取った『力』のお陰で、瞬時に高い位置まで木を登れた)




    俺は今、地表から二、三十メートル離れた枝の上に足を置いていた。木の乾燥した感触が手に伝わり、妙にくすぐったい。




    日向(そして俺は今……)









    辺古山の真上にいる。




  421. 448 : : 2016/01/04(月) 20:34:08






    下の方で混雑している葉と葉の間を見つめると、呼吸の荒い、辺古山の後頭部を確認出来る。


    こちらには微塵も気づいていないようだった。


    木を登った際に残っていた『ソニアの力』を使って、とりあえず木を飛び移り、辺古山の位置の真上の木を選択したのは無謀では無かったようだ。





    日向(……どうする? 戦うか?)




    武器になる物はないかと辺りを探っていると、隣の木の枝が、丁度、手の届く位置にあることに気づく。


    その先端を、音を立てないように慎重に折った。



    折れた箇所はやけに鋭く尖っており、その枝の太さは驚くほど手に馴染んだ。



    日向(……馬鹿か俺は、こんなもので戦える訳がない)



    溜め息をつき、もう一度その武器をへし折る。またもや容易に折れたそれを、不思議に思い観察すると、中身が腐っているのがわかった。



    日向(危なかった……こんなので攻撃しても、不意打ちすら通らなかっただろうな)














    日向(……さっきから何だ? 俺は何かを言い聞かそうとしている?)



    自分の中で浮かんできた言葉が、自分のものではない気がして、不意にそんな疑問を抱えた。


  422. 449 : : 2016/01/04(月) 20:34:39


    そして数秒後、少し前に考えたことと照らし合わせて結論が出る。



    日向(人は弱い……だからブレる。意志を持って行動が出来なくなる)


    日向(俺が今、『決着』をつけたいと思ってるのは気の迷いなんだ。それを理解しているからこそ、俺は俺に言い聞かそうとしている)


    日向(『戦うな』……と)



    そう、俺はこの時、辺古山と戦いたいと思っていた。


    一種の現実逃避でもある。何故かこの時、無性に仲間の顔や言葉が心から溢れてきていた。


    こいつらとの思い出は終わらない。だからこそ、ここに『決着』をつけたい。


    そんな漠然とした願いが、俺の中にあった。



    日向(でも、そう、それは気の迷い……人間は弱いから……)









    日向(弱さ故のーーーーか?)





    人間は時に、思いがけない行動をする。


    見知らぬ人を助けるために、家族や恋人の『気をつけてね』の言葉や約束を無視して、車道に飛び込む。


    それは『悪』だろうか?


    いや、そうじゃない。


    人間の脳に刻まれた『生存本能』に打ち勝ち、相手を救おうとする『強さ』だ。








    日向「なるほど……人間の弱さは強さだった……ッ」





    俺は気持ちに身を委ね、木の枝から身を乗り出す。ここまで踏み出したらもう後戻りは出来ないというところで、武器を持っていけばよかったなと感じた。










  423. 450 : : 2016/01/04(月) 20:36:09







    刹那、辺古山がこちらを禍々しい眼つきで、首を捻り振り向く。そしていやらしい笑みを浮かべた。





    日向(なんつー勘だよッ……!?)




    筋肉が硬直する。緊張から吐きそうになりながらも、俺は心に『意志』を持っていた。





    辺古山「シシシシ死ねェーーーーッ!!!」





    奴はそう叫び、剣を構える。それと同時に、辺りを飛んでいた枯れた葉や枝が、俺へと狙いを定めて向かってきた。


    俺の腹部に、太い木の枝が突き刺さる。俺は歯を食い縛りそれを耐え、そのまま落下しようとするが、無数の落ち葉が下から突っ込み、身体を押し上げていく。


    唇を鋭い葉が斬りつけ、そこから血が流れた。鉄の味がしっかりと感じ取れる。




    辺古山「今度こそ完璧に殺すッ……無数の枝に貫かれ死ねェーーーッ!!!!」





    文字通り、幾つもの枝が俺を空中で囲み、その鋭い矛先を向けていた。


    その中にさっき、俺が折った枝も見つける。





    日向(あれに貫かれるのは……嫌だな)





    そんなことを思いながら、俺は必死に落ち葉の拘束から抜け出そうと暴れた。とにかく、このまま枝に貫かれて死ぬのは御免だ。


    葉によって数十メートルは押し上げられているが、ここから落ちて死ぬとは限らない。ならばそっちに賭けたい。





    しかし俺の願い届かず、俺が拘束を解く前に、枝は空気を切り裂いて動き出した。










    枝と枝が擦れ、ぶつかり合う音を、遠くから聞いているような気がする。


    ああ、クソ……







    辺古山「カカカカ勝ったァーーーーッ!!!」













    俺を押し上げいた葉の固まりが、崩れ落ちていく。














    でもこれは、勝利を確信した辺古山が起こした行動じゃない。














    俺が葉を斬りつけたんだ。


    俺は漆黒の色をした刀を両手で握りしめながら、葉の隙間からその身体をのぞかせる。
















    日向「……お前の右目に到達する光を『消去』した」


    日向「俺はお前の距離感を狂わしたッ……片目しか使えないお前が木の枝を放った場所は、俺から少し離れていたぞッ!!」














    さっきソニアは託したんだ。





    『力』と、













    『狂斬』を、俺に。










    『四大武凶器』は、受け継がれていた。

















    誰かから、狛枝に。










    『貴方が戦うのなら、きっと祝福されるでしょうーーーーーーー。』






    誰が祝福してくれるのかがわかった。













    狛枝はソニアに渡した。受け継がれるのが『四大武凶器』の特質。















    ああ、クソ……1番借りたくない奴の力を借りちまったぜ。





    日向「……礼を言う、狛枝ッ!!」


  424. 451 : : 2016/01/04(月) 20:37:40




    宙に放り出される俺の身体は、徐々にスピードを増して落下していく。


    俺の身体は、地表から約30M離れていた。落下するまでの時間を求める式は



    TIME(時間)=√2h(高さ)/g(重力加速度)



    であるため、約2.5秒……!





    そんな短い時間で全ての決着がつく。


    こんなに短かったからこそ、俺はもちろん、辺古山も『物体を操作する能力』を使う暇がなかったようだ。


    俺は振り上げた剣を、そのまま落下に合わせて辺古山へと打ち込む。


    辺古山は既に守りの態勢に入っていた。


    俺の剣が持つ衝撃と、辺古山が持つ『身体能力』を底上げする能力。


    どちらが上回るかは予想出来なかった。


    金属音が高らかに鳴り響く。






    俺の剣が与えた衝撃は、辺古山のガードを弾き飛ばし、奴の首から下を一刀両断していく。


    断末魔が夜の森を駆け抜けていった。


    とてつもない衝撃が刃から柄に伝わり、俺の手を痺れさせ『狂斬』を離させた。





    俺は優しく地面に打ち付けられ、激しく宙を舞った『狂斬』は、その刀身を俺の目の前に突き刺さす。




    日向「……俺の落下速度を『消去』した」




    俺はその場に仰向けになったまま、夜空を見上げた。手を空に向けると、赤い血で染まっているのに気づく。


    雑木林を吹き抜ける風が、火照った俺の頬を丁寧に触れて抜けていった。


    肩で呼吸をし、心臓の鼓動を感じ、そっと目を閉じた。





    南国コロシアイ生活は今度こそ、終結した。


    俺にもう何かをする『権利』はない。







    これからをどう生きよう。



    このまま眠り、全てを抱いて向こうに行くのもそれもいいかもしれない。



    それも人間だ。









    日向「……けど、俺はみんなに生かされてここにいるんだよ」




    俺が立ち上がると、パラパラと砂が服から零れ落ちる。払おうとはもう思わなかった。


    身体中は傷や痣だらけて、出血個所もひとつや2つではない。




    日向「俺は、死ぬまでに10……いや、『100万回』……はみんなに『ありがとう』って言わなきゃいけない」


    日向「だからまだ死ねないや……」




    日向「だからまずは1回目」




    日向「……ありがとう」















    日向「……そして」



    日向「愛してる……いとしき戦友達。」











    Chapter5 END




  425. 452 : : 2016/01/04(月) 20:40:37





    ーーーーーーーーー

    ーーーーー

    エピローグ(プロローグ)『交差点のど真ん中で』

    ーーーーー

    ーーーーーーーーーーーーーーーー










    俺は脚を引きずりながら、再び、遺跡の前に立つ。ここまで歩くのに、やけに時間がかかってしまった。


    朝日は既に昇り、南国よろしく強烈な陽射しが射し込んいた。


    しかし、辺古山との戦闘の前から、遺跡自体は何も変わってはいない。




    日向「……どういうことだ? まだ何か充していない条件があるのか?」




    俺は苛立つ気力があればいいなと思いながら、暫くそこにジッとしていた。


    潮風が傷に染みる。涙がそーっと顔を流れ落ちるが、痛みだけが理由ではなかった。



    不意に、遺跡が地響きを立てながら揺れ出す。


    遺跡のドアが重苦しく、おもむろに開かれていく。









    そして、俺は見た。



    眩しそうに目を半分閉じながら、こちらを見つめてくる少年を。




    ???「……キミは誰なの?」


    日向「……」



    俺はゆっくりと口を開いた。




    日向「俺の名前は 日向 創 だ。お前は?」



    ???「ボク……? ボクの名前は」


































    苗木「苗木 誠だ」









    エピローグ(プロローグ) END












  426. 453 : : 2016/01/04(月) 20:43:09
    GAAAAAAAAAAAAAッ!! 第2部完結ですッ!!次で正真正銘最後になりますッ!!
    ぶっちゃけこのラストシーンから構想が始まりました!! 見てくださった方ありがとうございました!!待たせてしまった方は本当にすみませんでした!!次は春から書きます。






















    残された2つの謎、


    『日向 創 のザ・ドールの謎』


    『黒幕の正体の謎』


    最終決戦編で全てが終わる。




  427. 454 : : 2016/01/04(月) 20:47:31
    乙でした!
  428. 455 : : 2016/01/04(月) 20:49:27
    >>454
    ありがとうございます!! お受験頑張ってください!!
  429. 456 : : 2016/01/04(月) 22:22:14
    お疲れ様でした!
    まさか苗木と日向の戦いが同時進行だったとは!
    というかもう面白いですね、はい
    それしか言う言葉が見つからない

    再びですが、お疲れ様でした!!!
  430. 457 : : 2016/01/04(月) 22:33:46
    >>456
    最終決戦が異様に短くなったり、異様に長くなったりしました!!同時進行を書きたかったための二部です!閲覧ありがとうございました!!
  431. 458 : : 2016/01/05(火) 00:54:16
    同時にザドールは現れないのかな?
  432. 459 : : 2016/01/05(火) 01:03:16
    Deさんは絶対HUNTER×HUNTERとジョジョを
    リスペクトしてるんと思うんです、弾眼と緋の目とか、
    不幸とノトーリアスBIGとか、似てますよね!ね!
  433. 460 : : 2016/01/05(火) 01:28:51
    >>458
    お前鋭いな(ガクト感)

    >>459
    弾眼は全く意識していませんでした!! ですがジョジョは物凄く意識してます!!なんでも、SSを書く上での参考にしてしまいます!!
  434. 461 : : 2016/01/05(火) 06:47:23
    とっても面白かったです!
    同時進行とは>>456がおっしゃるまで気付かなかった(汗)
    四大武凶器がまだ3つしか出てなかったと思うので、それも謎かな?
    最後に、お疲れさまでした!
  435. 462 : : 2016/01/05(火) 08:03:36
    面白かったです!ここまで練られた構成と、熱い戦闘は滅多に読めるものではありません。能力バトルのお手本のようなssだったと思います。続きも楽しみにしています!
    お疲れさまでした!
  436. 463 : : 2016/01/05(火) 09:39:34
    >>461
    そうですね!! ラストの凶器の謎も最終章で明かすつもりですよ!!乙ありです!!

    >>462
    一応、ストーリー性のあるバトルロイヤルを目指したので、noコロの風邪さんにそこまで言っていただけると嬉しいです!!ありがとうございました!!
  437. 464 : : 2016/01/05(火) 13:07:29
    お疲れ様でした!苗木と日向がラストで出会うとは…最終作にも期待です!
  438. 465 : : 2016/01/05(火) 14:36:19
    >>464
    ありがとうございます!! 次回作まで空白がありますが、待っててくださると嬉しいです!!
  439. 466 : : 2016/01/05(火) 18:26:52
    学園の方は生き残りが三人、南国は日向だけでOK?

  440. 467 : : 2016/01/05(火) 22:07:55
    前作から一気読みさせて頂きました。
    本当に素晴らしいss…さすがはDe様です!
    お疲れ様でした!
  441. 468 : : 2016/01/05(火) 22:43:25
    >>466
    おーるおーけー!!

    >>467
    ありがとうございます!!そう言って頂けると感無量でございます!!
  442. 469 : : 2016/01/07(木) 02:07:12
    日向能力なし説を推しているから次回が楽しみで仕方ない
  443. 470 : : 2016/01/07(木) 06:58:58
    >>469
    答え合わせをお楽しみください!!
  444. 471 : : 2016/01/07(木) 07:34:43
    >>466
    >>468
    私様は?
  445. 472 : : 2016/01/07(木) 13:25:25
    最終章期待してます

  446. 473 : : 2016/01/07(木) 19:15:13
    >>471
    私様は生き残りっていうか……うん……なのでスルーしました!!

    >>472
    ありがとうございます!! 次は途切れないように更新頑張ります!!
  447. 474 : : 2016/07/10(日) 19:39:02
    あるぇ…完結してからまだ6ヶ月しかたっていないッ!!

    どういうことだ、体感的には一年以上だというのに!!どういうことなんだッ!説明しろ苗木ィ!!



    このssの執筆速度は…加速するッ!←

    何度か読み返し組ですがやっぱ面白いですね!妄想が止まりません!
  448. 475 : : 2016/09/19(月) 00:10:02
    今さらだけど九頭龍の(変化)なら多少時間をかければ錬金術ができるんじゃ···?
  449. 476 : : 2016/09/19(月) 21:20:07
    次章楽しみです
  450. 477 : : 2016/09/19(月) 22:06:13
    >>474
    何回も読んでくださるなんて嬉しさ満点です! 頑張ります!!

    >>475
    ダイヤモンドと鉛筆の芯は構造が違うだけって言われてますが、さすがにそこまでの精密な能力の使用は難しいかもしれません。すっごい顕微鏡使えばワンチャンあるかも……!?

    >>476
    マジで頑張ります!!ごめんなさい!
  451. 485 : : 2016/11/09(水) 04:02:28
    面白すぎる作品!
  452. 486 : : 2016/11/20(日) 23:02:44
    お疲れ様です!

    続編楽しみにしてますね!
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