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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

◆自由の社畜◆⑥~異界再逢のシックザール~

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  1. 1 : : 2015/02/12(木) 03:55:53




       ~前書き的な何か~




    はい、お久しぶりです。
    またまた趣味全開で書かせて頂いている

    (というか考えてみたら当然それしか
    ないですね、実際の所は・・・)

    物の第六弾目となります。


    この度、先に挙げて来たシリーズも
    併せまして、登場作品のカテゴリ分けを
    子細に行ってしまうと、かえって
    このシリーズのカテゴリ分けに括る事が
    不可能になってしまうため、一律で
    このシリーズは進撃×未分類の
    括りにしてしまう事にしました。


    ・・・分かり辛いかと存じますが、
    きっと各カテゴリのみで見に来てくれる
    という奇特な方もそれほど居ないと
    思いますし、そもそも私の趣味全開な
    これらの書物にそこまで過敏に神経を
    尖らせる方も居ないと思いますので
    (ここまで子細なカテゴリ分けを
    できるよう取り計らってくれた
     namusyakaさんには申し訳ないですが)

    そこは自由にやってみようかと思います。


    今回は舞台が池袋、そして秋葉原と
    都内へのお出かけがメインと
    なりますので各々世界観的にデュラララ、
    シュタインズ・ゲートと、それからなぜか
    バカとテストと召喚獣等+etc..と若干干渉が
    有ると思います。ネタが分からない
    方々にはすみませんm(__;)m


    以下、恒例の簡易(?)注意点となります

  2. 2 : : 2015/02/12(木) 03:56:29



      ※物凄くふざけた内容です※



    もうキャラクター崩壊を通り越し、
    作品キャラ、世界観、ジャンル、
    全ての垣根をお構いなく取り払った
    結果、本当に何が何だか
    分からないものができ始めました。



    ※エログロ描写について※

    若干のそう言ったジョークや表現も
    ありますので何かあっても困るため
    一応タグはついています。


    ・・つまりその程度であって、
    露骨なエロはありません(と、思います)




    ※一応転生現パロという形になります※


    一応です。何だかよく分からないもの
    ですので何とも言えませんが・・



    ※原作ネタバレも思いっきりあります※

    主人公の名前が一応そうなると
    思いますので一応原作全巻
    (但しガセネタ説が有力。現在15まで)
    及び、限定版付属DVD


    TVシリーズ、
    突然の来訪者・困難・悔いなき選択


    それから、リヴァイさんがメインである
    都合上各種スピンオフもその括りに
    入ります。悔いなき選択全巻等ですね。


    見ていない人は留意お願いします。








    ※コメントに関して※

    あまりにふざけた内容ですので、
    一読closeは最早当然の反応と言えます。
    ・・ですが稀有な事にそれでもコメントを
    頂ける事が稀にあります。私はそれは
    非常に嬉しいので必ずそれを確認次第
    レスを返させて頂きますが、
    SSNOTEの方針に基づき、これらの
    コメント、及び自身のレスに至っても
    一定時間で、非表示に切り替えさせて
    頂くと思います。

    何かありましたら、グループの方にも
    是非どうぞm(__)m



    ※複雑怪奇かつ難解な世界観※


    ことSSというジャンルに関してあまり
    こういう事を気にしてはいけないのかと
    思いますが・・

    まあ、ここまでのお話を見ていない方にとっては
    どの登場人物もオリキャラ同然に見える程の
    キャラ崩壊を起こしているというのと
    話自体も入り組んだ物語構成になっている為

    非常に分かり辛い惨状になってしまっています。

    ごめんなさい(;´Д`)



    ※行数に関して※


    ここまで見て来て直ぐにお気づきに
    なられると思いますが、私の書くものは
    ほぼ全てにおいてレス時を除き、
    携帯画面幅に合わせた改行を行って
    おります。・・ので、

    パソコンで読んで頂いている方には
    すこぶる不快な改行ペースだと存じますが、
    それもご容赦頂けると助かります。
    (ノД`)・゜・。



    以上で一応思いついた事は全て書いた
    形になりますが・・まだ何か
    かき忘れた事が無い訳でも
    無い気がしますので・・随時書き足して
    行くことになるやもしれません。



    それが誰かの役に立つのかどうか、
    それ自体は度外視するにしても( ;∀;)




  3. 3 : : 2015/02/12(木) 03:57:51









    ―都内某大通り―





    喧騒―――


      喧騒―――


                人混み―――




    ――そしてやはり喧騒。






    リヴァイ「・・・・・」





    ペトラ「(*'∀')」
       ワクワク ワクワク





    リヴァイ「(最後にココ来たのは果たして
         いつだったか…。電車一本で
         最後の駅にして、山の手に
         乗り換えるのに最も
          使いそうな駅だってのに・・


         もう半年は降りた記憶がねえ。


         その前まで遡ったら高校か
         中学の時だぞ・・。流石に
         出不精にも程があるのか・・?
         )」ウムゥ




    ――そう、ここが・・ウォール・チチブ
    近隣最果ての駅というド田舎から
    対極に位置する・・・しかし
    昨今の感覚ではさして大都会という
    程でもない・・都会の入り口。





    ・・・・東京都豊島区・池袋。


  4. 4 : : 2015/02/12(木) 04:02:30





    ペトラ「ど、どうしたんです?先輩?
        頭抱え込んで・・(デート!デート!)」






    リヴァイ「お前はまたえらくご機嫌だな。
         そんなに書店に置いてない
         本が楽しみなのか?」





    ペトラ「ぇえ、そりゃあもう・・///
        って!!それもそうですが、

        そ、その、ほら!!!これって
        アレじゃないですか!!
        デ・・デ・・・」ゴニョゴニョ




    リヴァイ「ああ、デートな。」アッサリ





    ペトラ「そ、そんな抵抗も無く
        あっさりと!!?

        な、なんかそれはそれで
        相手にされてないっぽくて
        そこはかとなく悲しくなって
        来るんですが!!

        へ・・、あ、いえ
        先輩!!これってたしかにその、
        でゅ、デートなんですよね!!?」
        ガバッ




    リヴァイ「だからさっきからそう言ってる
        だろう・・。お前の希望だろ?

        ・・・何だ、実は嫌なのか?」




    ペトラ「い、イヤな訳無いじゃない
        ですか!!それなら態々一緒に
        お買い物に同伴なんて
        お願いしません!!ワクワクですよ!!
        ウキウキですよ!!!」




    リヴァイ「・・なら何故さっきから
        一々どもってる・・・。
        お前・・“デート”って単語を
        一度たりとも噛まずに言えて
        ねえじゃねーか・・・(溜息)

        何か不満があるのか・・?なら、
        言って貰えるとそれで随分俺も
        気を揉まずに済むんだがな」




    ペトラ「えと、じゃああのその、
       不満って程の事じゃないんですが
       折角デートなら・・、て、
       手とか・・繋いじゃったり」





    リヴァイ「――別に構わねえが」
         グッ




    ペトラ「ひっ!!!?!?」ドキッ!!!
         




    リヴァイ「お前は一々大変だな・・・」






    ペトラ「心臓に悪すぎます!!もっと、
        カウントダウンとか挟んで
        下さいってば!!!」ドキドキドキ




    リヴァイ「手なんざ繋ぐために何の
         数を数えるって言うんだ;

         そもそもこの往来でそんな
         変な事してたら田舎者(おのぼりさん)
         丸出しだろうが・・少しは
         人目を気にしろ・・・」



    ペトラ「はひっ・・・!!!
        す、すみません////」




     そう言ってペトラは周囲の喧騒を
     今一度再認識すると、すっかり
     萎縮して静まる。・・・俺の手よりも
     奴の手の方が体温が明らかに高い。
     



     ・・・と、その喧騒の中、
     都内で有るというのに明らかに
     背後から俺めがけて何者かが早足で
     接近してくる気配を捉える。




    リヴァイ「(・・・何だ・・?大分大柄な
         奴が明らかにこっちに
         向かって来てやがるな)」



  5. 5 : : 2015/02/12(木) 04:05:51





    ――そして次の瞬間




    ガッ





    リヴァイ「!!?」
       (いきなり肩を掴んでくるか・・
        一体どういった用向きだ・・?
        まさかキャッチセールスか…??
        しかし今時そんなのは
        もう居ねえって話を聞いた事が
        有るが・・・)」




    ペトラ「へっ・??」






    ???「オー、シャチョサン。
      
      その隣のカワイコサン
      ダレ???マタ何かイケナイ事企んデル、
      違うカ??

      ダメよーダメダメ。
      日本、ヘイワノ国ネー。
      平和とスシの国ネー。寿司食いネィ?」




    ギリッ・・・




    リヴァイ「・・・・・
         (何だ・・・コイツは)」




     突然片言で一方的に捲し立てられ
     唖然としちまったが・・当然の事ながら
     ・・・俺は目の前のコイツに
     全くと言っていいほど見覚えが無い。

     そもそもここは知り合いが居る筈も
     無い都内であるし、・・そいつの
     外見というのがまず、
     一度顔見知りにでもなれば・・


     ・・まあ南米やアフリカ方面にでも
     移住しなければ一生忘れる事は
     無いであろうという位に特徴的な
     外見であったからだ。


     朗かな笑顔を造ってはいるが、
     肩にかかった握力からは尋常ではない
     プレッシャーを感じる。




    リヴァイ「・・・・・・?」





     目の前のソイツと目が合い、
     一瞬・・本当に一瞬だけソイツの表情が、
     目の奥の光が、別の物に変わったのが
     感じ取れた。


     ・・普通はこの巨体に肩を掴まれれば
     誰だって物怖じするだろうな・・。




     だがそれとは別に・・・



     コイツの目を見て・・・




     俺は明らかに堅気では無い奴の光を
     その奥に見た。




     いや・・・“元”堅気では無い・・か。




     コイツは・・明らかに“実戦”経験者だ。




     それも紛争地域か・・悪けりゃ
     御法に触れる別方面か。


     とにかく見かけ倒しやポッと出の
     傭兵経験者とかの程度では無い。


     しかしそれはそれとしてだ。


     ・・・何で俺が最近出会う奴はこう・・



    『コイツ・・出来る・・!!』・・みたいな奴
     ばかりなんだ。




     これは別にバトル物のSSでも無かった
     筈だし・・俺自身、強ぇ奴を見て
     ワクワクする人種でもないから・・・・

     正直こんな出会いがホイホイあっても
     無駄に身構えてしまうだけで何の
     お得感も無いのだが




     しかしそんな物騒な思惑が
     交錯したのもつい一瞬前の事。
     今はと言えば・・




    ???「オウ!!コレ、沢山失礼ね!!;

      声モ後ろ姿モそっくりクリソツ
      だったかラついネ!!!
      顔見てナットク、十徳!!」




     力強く肩を握っていた手を離し、
     精一杯の謝辞を壊滅的なカタコトで述べる
     デカブツ。そのあまりの
     外見的な異様さに呆気にとられ、
     暫くフリーズしてしまう俺。


  6. 6 : : 2015/02/12(木) 04:08:01



     その出で立ちは・・・
     どこからどう見ても・・・


     僅かに端から覗く銀髪の上から
     被った青ニット帽に、絞められた
     ねじり鉢巻き・・そして板前服。



     そう、寿司屋の人間にしか見えない
     格好をした、2メートルは余裕で
     有りそうな・・


     浅黒い肌からも瞬時にそうだと
     断ずることができる外国籍の男だった。




     アフリカ・・・・?いや、
     イントネーションや発音の感じから
     して・・・・?



     男のもう一方の腕に抱えられていた
     チラシの束を見て・・紙面末端に
     デカデカと踊るその店名を目にした時、

     口から出かかっていた国名を
     思い出した。





       “露西亜寿司”





    リヴァイ「(ロシア・・・寿司・・だと?)」





     思わず二度見してしまった。




     ロシアと言やあ・・昨今日本食が
     大ブームらしく、そうとくれば
     御国の料理、その筆頭とも目玉とも
     言える寿司などはそういった注目を
     浴び無い筈もない。

     ・・が、しかし、ちょっとググれば
     たちまち分ると思うが・・・
     
     最近は大分マシになったとはいえ
     その認識の間違いっぷりもブームの
     大きさに比例して相当なものらしい。

     まあそれは仕方ない事だ。どの国にも
     その郷土でしか味わえない味と、
     受け入れられない拘りがある。


     しかし・・ここでチラシ配りを
     しているという事は・・・
     この池袋で店を構えているという事だ。



    リヴァイ「(色々と大丈夫なのか・・?)」



     と、思わず気になってしまう。



     ・・・そんな俺の心中とチラシに
     向けられる視線を感じ取ったのか、
     固まる俺、そして狼狽するペトラへ
     向かって




    ???「まあデモコレモ何かの“縁”ネ!
      ココ、ニッポン(エン)の国!
      エンムスビの国ネ!¥がアッタラ、
      ウチノ店、来る、いいヨ~♪
      ヤスクスルヨ~↑」



     明朗快活な、しかしどこまでもおかしい
     カタコトを放ちながら、その束のうちの
     2枚を手渡してくるデカブツ。





    ペトラ「、?!・・・、?!」パサ


    リヴァイ「・・・・」カサ・・・






    『安心料金!! オール時価!!』




    リヴァイ「・・・・・・・・・」


     ホントに大丈夫な店なのか・・?
     ヤバイ店とかじゃねえんだろうな・・。
     
     しかしそんな危険な類の店なら、
     この往来でビラ配りなどを、それも
     これだけ目を引く奴に任せる
     広告宣伝担当者も通常の神経では
     ないし、何より・・・



    リヴァイ「(地元民的な通行人は視線
         位しか寄越さねえところを
         見るに・・顔は結構知れてる
         奴なのか・・・・?)」
        パサ・・・



     そうなれば、この露西亜寿司とやら、
     そこまで危険な店でもないのかも
     しれない。


     ・・・・だが。


  7. 7 : : 2015/02/12(木) 04:11:10







    リヴァイ「・・そうか。まあ覚えてたら
         また後でな。」



     一応割引券のもぎり部分も見えるには
     見えたそのチラシを懐にしまう俺。




     ・・当たり前だ。




     ・・・寿司だぞ?




     幾らすると思ってる。・・いや、
     この場合それ以前の問題だ。



     幾ら何でも外人経営(?)店で
     “オール時価”の謳い文句を見て、
     


    『折角だから俺はこの寿司屋に入るぜ』


     等と言える奴が居たらそいつは
     大した博徒だ。若しくは10年後の
     自分の生活に何の不安も見いだせない
     位に私財に満ちた富裕層の人間だろう。



     ・・・言うまでも無く俺はその
     どちらでも無え。 



     しかしビラだけ受け取り、未だに
     此方にむけて笑顔で手を振っている
     ソイツを後に残して大通りを行く
     俺に向けて・・・・・・




    ペトラ「あ・・でも何かロシアと
        お寿司って・・なんか
        美味しそうじゃないですか!?
        
        ねね、先輩!?」



     ペトラが随分と好奇心に満ちた
     顔で俺を正面下方から覗き込んでくる




    リヴァイ「お前の食の趣向について
        とやかく言う気は更々ないが
        ・・・寿司だぞ・・オイ・・?
      

        寿司って言う食べ物が一体
        この国でどういうポジションに
        居るか、お前は知ってるよな?
        ・・ペトラよ。」




     ・・そう、しかも間違いなく
     回転ではない。ゲタに乗って来る
     所謂本式だ。露西亜なのに本式も
     何もあったもんじゃないと思うが、

     『おすすめを』と注文して、ひょいと
     出されるのがウン万円したって
     おかしくは無い。そういう世界だと

     ・・俺は寿司屋と言う物については
     幼少時より教育を受けている。


  8. 8 : : 2015/02/12(木) 04:13:52



    ペトラ「せ、先輩まさか銀座の
        お寿司屋さんとかと一緒だと
        思ってるんじゃ・・・^^;」




    リヴァイ「寿司なんてどこも同じだろ」

        


    ペトラ「いえ、そもそも昨今銀座だって
        本当に一握りしかそんな店
        無いですし、いきなり店の
        価格設定知らない人が来てそれ
        あるとお互いに困りますから、

        そう言うところは大体一見さん
        御断りですよ・・?^;」




    リヴァイ「ちょっと待て、それだ。

         そもそも、その
         “一見さん”システムとは
         何なのか、俺はかねてより
         気になってたんだ、

         誰だって最初はあるだろ。
         そのシステム自体に
         異を唱えるつもりは無ぇが
         ・・どうにもそこが
         腑に落ちねえ」



    ペトラ「ああ・・・、馴染みのお客さん
        しか入れないのに、じゃあ
        その“馴染みのお客さん”は
        最初にどうやって馴染むの?
        って事ですか・・?」



    リヴァイ「その通りだ。大体その
        システムを貫徹するなら・・
        確実に店の収益は衰退の一途を
        辿る事になる」
         
      

    ペトラ「・・意外です・・、先輩、
        いろんなお仕事やってるから
        てっきりこういう事も
        知ってるかと」



    リヴァイ「そんな敷居の高い場所で
         働く機会は無かったからな

         ・・それより、お前はその
         原理を知ってるのか?
         その様子だと。」



    ペトラ「ええ。知ってますよ。

        実に簡単な事で悪いですけど。」








    リヴァイ「・・簡単なのか?」








    ペトラ「ええ(笑顔)。

        その、“馴染みの人”が
        連れてくる分には一見さんでも
        入店出来るんですよ。

        ・・つまり紹介って事に
        なるんでしょうか。

        ・・サロンなんかだと、
        最近結構あるんですよ。
        ・・ほら、知らない人とか
        いきなり待合室に居ると
        落ち着かないですし」




    リヴァイ「・・・・・・
         そういう解釈か・・・」




    ペトラ「・・で、先輩が想像するような
        料亭とか敷居の高そうなお店
        だと・・、その同伴という形で
        数回お店に来て貰って、
        “この人なら大丈夫”って
        なったら晴れて一見さんでは
        無くなるんですよ!」



    リヴァイ「・・・成程・・・
         確かに単純極まりない話だ。
         ・・だが勉強になった。

         ・・さて、老舗トリビアは
         これくらいにして先ず俺達は
         どこに向かえばいいんだ?

         先にお前の用とやらを
         済ませちまった方が
         良いんじゃねえのか?」





    ペトラ「あ・・!そ、そうでしたね!!」



     そう言いつつも、慌てて俺と繋いで
     居ない方の手で自身の前髪を
     “慣れない”手付きで払いのける
     ペトラ。

     繋いでいる方の手は・・汗でベタベタに
     なっている。・・随分汗をかく
     体質なのか、これなら新陳代謝も
     相応に良さそうだ。



     俺はと言えば・・故あって普段より
     若干“歩き慣れない”その歩調に
     戸惑いながらもペトラの足取りに
     併せ、共にこの池袋の路を歩いている
     訳だが・・・




    話がここに至るまで、その時間軸は
    今朝にまで遡ることになる。








  9. 9 : : 2015/02/12(木) 23:34:36



    ―今朝7時:海月荘202号室
     リヴァイ部屋にて・・・―




     前回の携帯入手の段から凡そ2か月。
     


     ・・相変わらず作中時系列と実経過
     時間の兼ね合いは滅茶苦茶であるが
     取り敢えずそれだけの日数が
     俺達の間では流れていた。


     俺は既にミスドから書店へと
     勤め先を乗り換えて、元々何度も
     他のバイトで身に着けたスキルとして
     即応力となるレジ打ちだけはほぼ
     完璧にこなせるレベルに到達した
     今日この頃。

     前以てペトラと約束していた通りに
     都内まで俺の誕生日プレゼント
     とやらを買いに行く、という目的と・・・
     
     野郎相手にしたことのないデート
     という経験を積み、

     コイツの致命的なアガリ症の改善に
     一役買ってやれ、という
     ハンジの意向も合わさった外出
     イベントの決行予定日・・・


     それが今日だった。


     尤も誕生日などはとっくに過ぎて
     いるのだが、ペトラの奴はどうしても
     何かしないと気が済まないらしい。

     本来ならこの外出イベントに
     ハンジは不参加の意向を表明していた
     筈だが・・・





    リヴァイ「オイ・・・どうしてお前も
        此処に居る?・・メガネ」





    ハンジ「・・でたよ久々のメガネ!
        私にはハンジ・ゾエという
        素敵な名前があるんだからさ、

        そんなそっけない呼び方
        辞めて欲しいもんだよ。

        一体何年の付き合いだと
        思って・・」




    リヴァイ「来るなら来るで前以て
         言っておけと言ってるんだ。

         こっちはペトラ一人しか
         来客は頭に無いから
         茶の準備もそれだけしか
         してねえんだよ。」
         パカッ・・カコン



    ハンジ「なぁんだwそんな事で
        苛ついてたのかリヴァイはぁw

        いいよ!気にしないさ、
        お茶が出ないくらい。
        私が来たのはそもそもお茶
        目当てじゃないんだしね」
        ゴソゴソ・・ガサ




    そう言うと、後ろ手に隠し持っていた
    紙袋の中身を引っ張り出すハンジ。




    リヴァイ「・・・・?」




    ハンジ「ハイ!コレは私とペトラからって
        形だけど・・、お誕生日、
        おめでとう!!リヴァイ!!」
        ガサッ



    手渡されたのは大きめのラッピングが
    施された紙袋に入った何か。



    ・・感触から察するには布等の類だった。




  10. 10 : : 2015/02/12(木) 23:37:03





    リヴァイ「(服か・・?ソレにしちゃ大きい
         気もするが・・・)・・・・・」
         ガサッ・・・




    空港の検閲にて、シュマグを顔に巻いた
    上に楽器ケースを背負った人間が
    おもむろに怪しい小包を渡して来たら・・

    明らかにそれを渡された検閲官は
    こういう心境になるであろう・・



    というリヴァイの心情が明確に
    見て取れる、一目瞭然の警戒態勢で
    無言のままその包みを受け取るリヴァイ。


    その細められた目に宿る光は
    どこまでも猜疑心に満ちていた




    ハンジ「ちょ・・無言かよ><;
        せめて何かリアクションを
        とってくれないかな!」




    リヴァイ「・・・・・」
        ガサガサ・・・(手探り)





    ハンジ「わ・・私だけの贈り物じゃないって
       所で安心しては貰えないかな;

       一応ペトラの選定眼も加わってる
       って事でさ・・変な物とかじゃ
       ないんだから」


       



    リヴァイ「成程・・そういう事なら・・
         この中から上下揃いの
         赤いフェルト生地の服と
         三角帽が出てくるなんて
         事も・・無い筈だな」
         ジロリ・・・




    ハンジ「(ギクリ)」





    リヴァイ「オイ、なんだ今の明らかに
         ひきつった笑顔は。
         まさかお前ら・・・・!」
         



    ペトラ「あの・・違いますよ先輩?;
        違うんですけど・・その。」






    リヴァイ「・・・・?」




    ハンジ「アッ!!バカ言うなペト(r



    ペトラ「“(ペトラ)も一緒に選んだって
         いうならきっと大目に見て
         くれるに違いないから、ここは
         是非サンタセットをぶつけて
         みたい・・!*”

        ・・・と、嬉々として
        語りまくって居た挙句に、
        私の猛反対が通って、コレを
        買いに行くまで・・ずっと
        トンキにいく気マンマンだったん
        ですよハンジさんってば・・」
        ジトリ・・


  11. 11 : : 2015/02/12(木) 23:39:01




    ハンジ「(別にここでいう事無いだろ!?
         アイツ、マジでクリスマスネタで
         弄られるとおっかない事に
         なるんだからな!!?(小声))」




    ペトラ「(なら最初から真面目に贈り物位
        一緒に選んでください!

        私だって流石に誕生日に
        トンキの仮装セット渡されたら
        どうリアクション取っていいか
        分からなくなりますよ!(小声))」




    リヴァイ「やはりな・・・。
         そんな事だろうと思った。

         ・・・オイ、・・ハンジ(▪▪▪)




    ハンジ「・・は、はい・・・?!;
        (アレ、“クソ眼鏡”じゃない・・)」




    リヴァイ「まだ中身を見ちゃいねえが
         ・・・気を遣わせて悪いな。
         ペトラもだ。
         
         ・・もう時系列的に表の
         時間じゃチョコがどうの
         こうので騒ぎ出す時分だって
         いうのにな。」カチャ・・





    淹れ終わった二人分の紅茶と、
    出涸らしに淹れた自分の分の紅茶を
    ティーカップに注ぎながら礼の言葉を
    述べるリヴァイ。





    ペトラ「それはそれ、これはこれです!
        あ、あとソシャゲで新しく出た
        先輩のイラストもカッコイイですね!
        (包み開けようとしてる奴!)

        チョコも追って渡しますので
        楽しみにしててください!」ムフフン
        イタダキマス!
        




    ハンジ「お・・・?お、オウ・・
        ど、どういたしまして!?」
        (意外とあっさり済んだ・・?)
        イタダキー





    リヴァイ「あとどうせ嫌がらせを
        するならトンキの安物でなく
        もっと金のかかった生地でやれ。

        あんな薄手のボロじゃ
        防寒着にもなりゃしねえよ」




    ハンジ「も、もういいだろ!?

       それに・・そのプレゼントはもっと
       立派な防寒着になるって!ペトラも
       コレが良いって言ったんだから!」






    リヴァイ「百聞は一見に何とやらだ・・」
         ガササ・・・バサ





    袋から取り出されたのは・・・
    首元のフード淵、袖周り、裾周りに
    やたらと温かそうなファーが誂えらえた
    黒く、タイトな末広がりのコートだった。




    リヴァイ「・・・こりゃ防寒着としちゃ
         有難い限りなんだが・・
         このボアボアは・・こんなに
         いるものなのか?」モフモフ



    ハンジ「ほら見ろ!!ペトラ!!
       コイツの性格じゃ絶対こういうの
       煙たがるぞって忠告したのに!」
       




    リヴァイ「いや・・煙たがるって程の
         事でもないんだが・・・

         如何せんコレだと流石に
         30過ぎが着られるデザインと
         違うんじゃねえのか・・?」
         (一昔前ならホストが着てて
          おかしくない意匠だな)




    ペトラ「だ、だって、此間先輩の部屋に
        お邪魔した時、鴨居に掛けて
        あったコート・・定年まで
        着られそうなシックデザイン
        のコートだったんですよ!?
        (あえて古いとは言わない)

        折角先輩見た目も若いん
        ですからこういう今時の形状を
        した奴も一着は持っておくべき
        なんですよ!!(熱弁)」ガッ!!




    リヴァイ「・・・・・」


  12. 12 : : 2015/02/12(木) 23:41:48




    ハンジ「それ、結局ペトラの趣味だろ~?
        
        何か若干BLっぽいしなぁ・・」





    ペトラ「なんですかBLっぽいって!?!」
        (;゚皿゚)ムキィ//!!





    リヴァイ「それは先入観だろ・・
        俺が着たって身長の関係で
        そうは見えねえ。

        いや寧ろ・・・・」




    リヴァイが危惧したのはその丈だった。





    リヴァイ「この丈だと・・普通の身長の
         野郎が羽織る分には腰下まで
         余裕をもって被さる程度かも
         しれねえが・・俺だと」




    袖を通したリヴァイの姿は・・
    すっかりロングコート一歩手前の
    衣服に身を包んだ格好になってしまった。



    ハンジ「ぅうん・・、。そうだな・・
        
        流石に付き合いの長さからして
        リヴァイがどれだけ身長を
        気にしてるか知ってるから
        単純には笑えないけど・・・

        これは少し長すぎるかな・・?」




    ペトラ「や・・やっぱりもう少し丈
        短い方が良かったですかね・・?」






    ハンジ「仕方ないって。このデザインの
        奴じゃこれしか無かったんだし」





    リヴァイ「・・・気にするな。少々の
         動き辛さはあっても、反面
         防寒の観点から言えば
         防護面積の拡大は利点にも
         なる。・・・このボアボアは
         気になるがな」モショモショ..





    ペトラ「す、すみません・・それ
        取り外し出来ないタイプ
        ですよね・・・;」




    リヴァイ「・・・どうやらそのようだな。
         しかし気にするな。これが
         お前らの選んでくれた
         服だって言うなら俺が文句を
         言うのはおこがましい事だ。

         生地の感じとラッピングから
         言ってこりゃあ・・・
         シマ○○は疎かユニ○○とも
         違う店で買ったヤツだろう」




    ハンジ「その二店もちゃんとこっちじゃ
        固有名称あるから!ちゃんと
        名前で呼んだげて!!」
        ユニシロ ト シマモリ ネ!!





    リヴァイ「名前なんざどうだっていい」
         ズズ・・・




    ハンジ「・・・・・・」





    リヴァイ「・・・?」
         ピク





    ハンジ「・・・・・・・」




    リヴァイ「何だ・・・おかしい。」



    自らの淹れた冷めかけの紅茶に若干の
    違和感を覚えるリヴァイ。


    その研ぎ澄まされた舌先が感じ取る
    些細な違和感に眉根が吊り上がる様を・・
    ハンジの不自然な無表情はしっかり
    見据えていた・・・

  13. 13 : : 2015/02/12(木) 23:44:16





    リヴァイ「ザラメの味がすんぞ・・・!
         いつものトレハ入りシュガーの
         味じゃねえ・・・!

         おいお前ら・・!それ以上口を
         付けるんじゃ・・・(ハッ



    ハンジ「・・・・」ジィィ・・・




    リヴァイ「・・・おい、メガネ」




    ハンジ「何かな?怖い顔して」
        ニャニャ





    リヴァイ「俺の紅茶に何を盛った」
         ガシッ!!!




    ハンジ「ウファッ!!?ヒョ、ヒョッホ!?(ちょ、ちょっと)




    ゴト・・コロン・・・



    静かに血相を変えてハンジの頬に
    アイアンクローを掛けながら詰問
    しようとしたリヴァイの目に飛び込んで
    来たのは・・つい今しがた自らが
    実力行使を以てしてでも聞き出そうと
    した・・リヴァイが感じ取った
    違和感の原因だった。



    ハンジのコートのポケットから
    零れ落ちたそのビンに入っていたのは
    色とりどりの・・・・





     ――金平糖(コンペイトウ)・・・。








    リヴァイ「――――!!!」
         ざわっ・・・!!








    そのビンの中身を見た途端、
    リヴァイの血相の変化に更に
    拍車がかかった。既にその顔色は
    先程までの落ち着いた状態のそれでは
    無く・・

    まるで自らに盛られた毒薬の解毒剤
    の在り処を聞き出そうとするかのように
    ハンジの首元を容赦なく締め付ける。





    リヴァイ「おいペトラ・・・!
         まさかとは思うが
         お前、コイツからここに
         来るまでにそれを・・・!」



    ペトラ「え、ええ・・何粒か
        食べましたけd(ry...
    リヴァイ「出せ・・・・!解毒剤を
         今すぐにだ・・・!
         俺の分とペトラの分、
         今すぐ出さなければ」
        ギリギリギギギギ



    ペトラ「へっ!!え!?ちょっ、
        何ですか解毒剤って?!
        ちょっと先輩!?;」




    リヴァイ「こいつがおふざけの
        現パロ設定よろしく不可解かつ
        摩訶不思議な薬学スキルを
        身に着けてるのはお前も
        知ってるだろ.....!」





    ペトラ「ちょっとまさか・・!
        あの金平糖が・・・?!」
       




    リヴァイ「コイツが市販品以外の菓子を
        薦めてきたら最大限の警戒で
        もってあたれ。
        特に金平糖(コイツ)みてえなカラフルなのは
        殊更危険な奴だ。年齢逆行程度で
        済めばいいが・・最悪コレと同形の
        ヤツで・・・イザベルの奴が二人に
        分裂した事がある。」





    ペトラ「ふたっ・・?!分裂””!!?」
        (先輩が分裂するならそれも
        アリだけど!!)





    ハンジ「いやぁ・・、コレはあれとは違う
        奴だから大丈夫だよwただ、
        作用が不安定だから個人個人で
        効能に大分ばらつきが大きい
        んだけ。。。フギュ!!!?






    頬を両サイドから鷲づかみにされ、
    ひょっとこの面とムンクの“叫び”の
    合いの子のような表情に整形される
    ハンジ。冗談抜きに口が痛そうである




  14. 14 : : 2015/02/12(木) 23:46:49





    リヴァイ「御託はいい・・・早く
         ソイツを帳消しにするブツを
         出しやがれ。

         ・・・・知ってんだぞ、
         お前が変なモンを作るときは
         必ず解毒薬か、対の効能を持つ
         薬を準備してるって事はな」

    ギリギリギリギリ・・・・・!



    ハンジ「おひょ・・おほほ!!(ちょと、痛いて)



    パッ



    とりあえず情報供述の猶予を与える為に
    一旦は拘束を解くリヴァイ。




    リヴァイ「簡潔かつ簡明に答えろよ。
         それからお前に一切の
         拒否権は無ぇ。この状況が
         今すぐ打開できねえと
         分かったら即座にその場で・・

         残りのビンに入ったコレを
         お前が素直にゲロするまで
         食わせ続けるからな」




    ハンジ「そっ・・!それはマジで
        勘弁して!!?一粒二粒なら
        何とも無いけど・・!それ、
        一応は身体細胞の作り直しと
        新陳代謝に働きかける類のヤツ
        だからさ・・!過剰摂取は
        寿命縮んじゃうんだよね!!」
        テヘペロ!!




    リヴァイ「てメッ・・・!そんな危ないもん
         本人の了承も無しに何
         さらっと盛ってんだ・・!?

         人為変態「M・O手術」(モザイクオーガンオペレーション)並みの
         副作用持ちじゃねえか!!!

         流石に洒落になってねえ!」






    ペトラ「わ、私なんてすっごい軽いノリで
       “はい、甘くておいしいよ”って
        口に放り込まれましたよ?!」



        

    リヴァイ「待て・・そもそもコイツの
         効能ってのはなんなんだ・・!

         今お前・・気のせいでなきゃ
         身体に働きかけるって言った
         気がするが・・・!」




    ハンジ「時間的に・・先に食べたペトラ
       にはその効果が出る頃だと
       思うんだけど・・ズバリ
       言ってしまうとね・・

       “服用した人にとっての
        身体的コンプレックスに
        概ね解消方向に働きかける”

       ・・こんなところかな。
       本来なら飲んでから最初に
       手を握った相手の事しか
       考えられなくなる薬を
       作ってたんだけど・・・・」
       ウマクイカナイネ♪;



    リヴァイ「それはそれで何気なく物騒で
        けったいな代物じゃねえか・・!

        一時の思いつきでそうホイホイと
        某ドタバタ中華漫画にいかにも
        出てきそうなホレ薬みたいな物
        作ろうとするんじゃねえ・・!」




    ペトラ「そうですよ!!もしそれが
        思い通りに出来てたとして・・

        それを一体何に使うつもり
        だったんですか!!?
        ハンジさん!!?」(;゚Д゚)




    ハンジ「ッムフフフ//分かってるクセに
        このこのぅ♪」ツンツン

        ドスッ




    ペトラ「グフッ・・!Σ(;´ω`)

        ちょっと!肘でつつくの
        止めてください!鎖骨が!!」
  15. 15 : : 2015/02/12(木) 23:49:38



    ハンジ「おっとすまないね!もし
        狙いがずれてその慎ましやかな
        お胸に当たってしまったら
        貴重な資源が目減りして
        しまう所だった!!><;」
        コリャシッケイ!



    ペトラ「なッ・・!!///」








    ハンジ「けど大丈夫!さっき言っただろ?
        この金平糖の効能は・・
        各々のコンプレックスに
        作用するってね・・・!!
        
        実験の結果が正しければ
        きっともうじき・・・・(ソワソワ)」
        ジィィィ・・・・





    ペトラ「どこ見てんですか!!!
        勝手に人のコンプレックスを
        決めつけないで下さい!!」
        ババッ!!!////

        



    ガシッ・・・!





    ハンジ「っお・・・・?;」
    ガクッ・・・



    後ろから突然リヴァイに
    羽交い絞めにされるハンジ。






    リヴァイ「ペトラ・・・こいつにも
         お前が喰わされたのと
         同じ個数口に放り込んでやれ。

         放り込んだら口を押えて
         鼻を抓め。そうすりゃ一気に
         全部入っていく」グググ・・





    ペトラ「了解です・・先輩・・・!」
        グフフフ・・・・!







    ハンジ「ちょ・・!やめ・・・!!
        いヤだ・・・!!!」フルフル
        ジタバタ・・・!






    ソレを自らが服用した際にどのような
    作用が巻き起こるか知っているから
    なのか、往生際悪く抵抗を続けるハンジ。






    しかし抵抗も空しく・・・・





    ペトラ「ハンジさんがくすぐり耐性の
        マイナススキル持ちなのは
        周知の事実です!」


    コチョコチョコチョコチョ・・・♪







    ハンジ「ギャッ・・!!!!ぶはっは!!ヒョは!!!
        やめーーーーーー!!!!」
        ガバッ!

    ジタバタ ジタバタ!!


    ペトラ「それっ」コロ×2




    ハンジ「っんグ!?!」






    ―――――投薬完了。






    ハンジ「ぅゎああああ・・・!!

        わ、私はもう一回自分で
        試してるから知ってるのに!」




    リヴァイ「そうか。そいつは災難だったな。
        だが俺達が同じ目に遭ってる中
        お前だけが無事だっていうのも
        正直癪だしな・・。まあ、

        勝手に他人に薬を盛った罰
        としちゃ大分軽い仕置きだろ。
        我慢するんだな。

        ・・・・・・しかし」





    ペトラ「え、ええ・・ハンジさんが
        ここまで嫌がる程明らかな
        効果が出るような薬・・・
        一体どんな効果が・・・?!」
        チョットフアン・・;

  16. 16 : : 2015/02/12(木) 23:51:40






    ハンジ「・・・・おや?二人ともまだ
        気づいて無いの・・・?

        私は・・・何か、もう
        今気づいちゃったけど・・・」
        ニマニマ





    ペトラ「ファッ!!?な、な、
        何ですか?!?!?一体どこが
        普段の私と・・・!?」
        ペタペタ




    ハンジ「(ソコ)じゃないってwああでも・・
       目にかかってないから流石に
       気付かないか・・・w」チョイチョイ





    そう言いながら、薄ら笑いを浮かべて
    自らの前髪を指差すハンジ。






    ペトラ「・・・・ぁ・・・あ・・・!!?」
        サラ・・・





    自身の前髪に触れ、その違和感に
    ついに気付くペトラ。

        



      右分け――→左分け





    その他身体的変調・・・・特になし。








    ペトラ「ぁっ・・?!私の・・!!
        私の前髪がぁぁあああ!!!!」
        (ノД`)・゜ギャァァァアア






    ハンジ「っつかそこだけかよ!!」





    ペトラ「真ん中分けが良かった!!!
        真ん中分けが良かった―――!!」
        (;´Д`)ァァアアア!!!

        ダン!!!ダン!!!





    悔しさのあまりその場で
    床を叩き伏せ、泣き崩れるペトラ。




    リヴァイ「!おいペトラ!朝早くから
         下の住人に迷惑だ!止せ!」



    ペトラ「ぅう・・ずびません・・;」
        グズグズ・・・





    リヴァイ「大体お前・・前髪程度なら
        ちょっと弄れば真ん中で分ける
        くらいはできねえのか」




    ペトラ「私みたいにこの位置につむじが
       ある人は絶対無理なんですよぅ
       ・・・;(グス)
       しかもハンジさんのヘンテコな
       薬の作用でその位置も
       こうして鏡写しに・・・!;」
       ゥアア・・・・・;




    リヴァイがピカピカに磨き上げた
    洗面所の鏡面を覗き込み、その中に映る
    普段他人視点から見えるそのままの姿の
    自分の顔を悲惨な表情に歪めるペトラ。





    リヴァイ「・・・何にせよその程度で
         済んで良かったじゃねえか・・」





    ペトラ「全然良くないですよ・・!
        今日は待ちに待った先輩との
        デ、デェトだと言うのに・・!!

        セットした髪型も左右反転
        しちゃったんですよ!?」




    リヴァイ「・・スマン。どこがどう
         問題なのか・・・俺には
         さっぱり理解できねえ」




    ペトラ「まっ・・・?!?」




    リヴァイ「それよりも・・俺の方だ。

        ペトラはこれだけで済んだ
        みてぇだが・・俺は一体
        どの程度のとばっちりを・・」




    ペトラ「“だけ”って先輩ィィ;!!!!」

  17. 17 : : 2015/02/12(木) 23:54:06





    ハンジ「いや・・もう出てるじゃん。
        症状。っていうかリヴァイの
        コンプレックスなんて言ったら
        一々試さなくても分かるし」
        (淡々)
        




    リヴァイ「・・・・・・あ?」





    ハンジ「さっきリヴァイ・・フツーーに、
        私を羽交い絞めしてたけどさ。

        私達の身長差にしては随分
        あっさりと拘束出来てた事に・・
        全然気が付いて無かった・・?
        ひょっとして」





    リヴァイ「・・・・?!?」

    ダダッ・・・!



    大急ぎでサランラップの箱を
    キッチンから持ち出すと、居間の柱に
    直立姿勢で背を密着させ、自身の身の丈を
    簡易計測するリヴァイ。







    リヴァイ「身長が・・・5センチ以上
         伸びてやがる・・・!」
         ワナワナ・・・!






    ハンジ「(この歳で自分の身長を柱に
        罫書きしてるんだ・・・;)」





    リヴァイ「オイ・・・メガネ・・・・」
         (静かなる高揚感)




    ハンジ「残念だけど効果は丸々一日
        だよ。持続性は無い。

        繰り返しの服用で効果が
        固定されるって事も無い
        だろうし・・何よりペトラと
        違って明らかに体組織への
        影響もデカそうな感じだ。

        骨粗鬆症とかになっても怖い
        だろうからこれっきりに
        しといた方が無難かもね」






    リヴァイ「(ッチ)・・当たり前だ。
        こんなモンに頼って身長を
        伸ばそうなど・・
        とてもじゃねえがおっかなくて
        できやしねえ・・・・」
        ソワソワ キョロキョロ





    ハンジ「(今なんか舌打ちが
         聞こえたような・・・)」        




    そっけない態度をとっているように
    見せながらも普段より大分高所に
    移動した自らの視点を・・・心行くまで
    周囲を見渡しながら実感するリヴァイ。




    ハンジ「・・・・」
        コソコソ・・




    リヴァイ「・・・オイ、どこへ行こうと
         しているクソメガネ」
         ガッ!




    ハンジ「い、いやは・・;

        渡すものも渡したし、
        お二人の邪魔をしちゃ
        悪いかな~・・と思ってね;」




    リヴァイ「それでこの期に及んで
         とんずらかまそうってか。

         ・・・そう簡単にさせると
         思うか?

         ・・・そういえば
         この携帯電話・・驚く事に
         写真が撮れるんだってな。

         記念すべき一枚目にお前の
         変わり果てた姿を収める
         ってのも悪くねえ・・」
         ニィ・・・




    ハンジ「リヴァイの貴重な笑顔が
        ちっとも嬉しくねーーー!!;」
        (;´Д`)




    ペトラ「安心してくださいハンジさん!
        先輩だけだとデジカメでも
        フォーカスぼけそうですから
        私もちゃんとスタンバって
        ますので!!」スチャッ☆pironn
        (●LEC...)




    ハンジ「よせ!!!ムービーだけは
        勘弁してくれ!!!!!
        静止画だけでも屈辱なのに!!」


        
  18. 18 : : 2015/02/12(木) 23:56:33





    リヴァイ「まあそう慌てるな・・。

         お前の方に(ヤク)の影響が
         現れるまでこうして扉は
         死守しておいてやるからな。

         それから、
         写真は充分面白ければ
         待ち受けにしてやる。」
         カチャ


    ハンジ「NOOOO"""!!!!!!!!」





    戸口のチェーンロックまでかけて
    リヴァイが本格的にハンジを自室に幽閉
    しようと行動を起こしたその時。





    knock!knock!!





    リヴァイ「・・・・・?」



    玄関の戸を叩くノック音。





    リヴァイ「・・誰だ・・・?まさかさっき
         ペトラが壁ドンならぬ床ドン
         したから苦情が来たのか・・?」
         




    ペトラ「ア・・アワワ・・・;;スミマセン・・?!」
        キョドキョド・・





    リヴァイ「気にするな・・過ぎちまった
         事だ。もしそうだとしても
         誠意をもって詫びれば
         無下にもされねえだろ。

         少々堅物っぽいイメージは
         あったが・・そこまで
         融通の利かない人間という
         感じでも無かった」
         パタパタ・・






    ガチャ・・・




    リヴァイ「・・・どちらで」




    チェーンを外し、施錠も解除しつつ
    戸を少し開けるリヴァイ。

    するとそこには・・・








    ミカサ「リヴァっち・・久し振り。

        ・・・急で悪いが、近くまで
        来ていたので折角だから
        遊びに来た。

        ・・・“エレン”も一緒・・」





    ペトラ「(・・・・・雌!!!!??!?)」
       ざわわっ...!!

    ペトラ、ビーストモード(モード反転・裏コード)起動準備。





    ハンジ「あれっ・・・!?その声は・・
        ってか“リヴァっち”って
        まさか・・!」





    ミカサ「・・・ハンジさんも居たの?
        すごい・・久しぶりだ・・・」
        ヒョイッ







    ハンジ「おお!!?
        やっぱりィ~!久し振りだねぇ
        ミカサ!!!!すっかり
        大きくなっちゃってもぅ~~!
        だっこして良い!?☆」キラキラ






    ペトラ「え??え!!?なんですか!?
        誰なんですか、その子は!?
        っていうか今先輩を随分
        フレンドリーな渾名で・・!」





    ハンジ「何とリヴァイの従姉妹さ!
        全ッ然・似てないだろ!!w

        いや、私も会うの10年ぶり
        くらいだけどね?
        本当に久しぶりだ!」




    ペトラ「い!?従姉妹・・ですか!?」
        ウワ、スッゲービジンデス!!



  19. 19 : : 2015/02/12(木) 23:59:39



    ハンジ「いやぁ~!懐かしいな!
       すっかり大きくなったけど
       ミカサは昔から美人だから
       今もあんまり前と変わらないな!」
       ハッハハハ(*´ω`*)


        
    ミカサ「・・・・ありがとう。

        ・・でも昔と言ってもあの頃では
        私はまだ5歳程度だ・・
        まだ美人とかそういう・・・//」





    ハンジ「それはそうとミカサと言えば
        アレだ・・・」チラ



    リヴァイ「・・・?」



    ハンジ「今なんかチラッと、“あの”
        名前が聞こえた気が
        するんだけど。

        キミが寝ても覚めても
        口にしていた“あの”想い人の
        ・・・名前がさ・・・!?」ニヤニヤ
        
        ワクワク・・!



    リヴァイ「つい此間・・といっても2ヶ月程
        前になるけどな。ついに
        見つけたらしい。

        ・・・・俺もその場にはいたが
        事情があってまだ顔は
        合わせてなかった」




    ハンジ「マジでか!!ミカサ!

        早く逢わせておくれよ!!
        いつもキミから名前だけ
        何度も何度も聞かされて、
        それはそれはどんな顔した
        子なのか気になってたんだよ!?

        それが今やっと明らかに
        なるんだよね・・・・?!!その・・」






    ハンジ「“エレン”の姿が!!!」






    半信半疑、なれど全身に期待感を滲ませて

    その追憶の名を口にするハンジ――






    リヴァイ「・・・こんな事言っちゃ何だが
         お前・・・どっちかというと
         信じてねえ側だったじゃ
         ねえか・・・(溜息)

         幾らお前が詰め寄って
         その、エレンって奴に
         会わせろと言っても・・・

         ・・・当のミカサが
         “まだ見つからない”の
          一点張りなもんだから
         すっかりおとぎ話か何かの
         見えないお友達って結論に
         勝手に帰結してやがった
         クセに・・・・」





    ハンジ「何でもいいだろ!?
        それでもこうしてやっと
        今になってそれを見せてくれる
        って言うんだからさ!!ほら、
        早く早く!!」ソワソワワクワク(*‘∀‘)




    ペトラ「??・・・???;」
       (話が全然見えない・・;)







    リヴァイ「お前・・そのテンションは
         未だふざけてやがるな
         (とはいえ俺にしても
         ソイツに会うのは初めて
         だがな・・“あの中”に
         居た奴が・・今ここに
         来てるって訳か・・)」




    その場の3人が玄関に注目を集める中・・・




    その戸は静かに・・




    静かにミカサの脇から引かれ――





    ギィ・・・








    エレン「へ・・・兵長・・・?!!?!」






    リヴァイ「・・・・?」




    そこに立っていたのは精悍な顔つきに、
    本来なら力強いしっかりとした眼差しを
    携え、更にその目元をより際立てる眉が
    整った顔に並ぶ・・・一人の少年だった。



    背丈は隣に立つミカサと同じくらいで
    着ている服は上がワイシャツに
    下がレギンス。女物であるため、
    恐らくはミカサの物を身に纏って
    いるのか。
  20. 20 : : 2015/02/13(金) 00:02:03

    その顔色は・・その場の全員には
    知り得ない事だが、

    平時の彼のそれと比べると余りにも悪く、
    まるで狐につままれて呆然としている
    最中に今度は狸に化かされて
    混乱が入り乱れている状態・・という
    くらいに驚愕に満ちた顔になっており、



    発する言葉すらたどたどしくなって
    しまっている始末。



    そしてリヴァイの後方にて
    何事かと此方を伺うその顔を見て、
    遂に混乱が爆発し、何を考える余裕も
    無いままにその肩口を掴みに
    飛び込んでしまうエレン。




    エレン「っ・・・ぇ、!い、イヤ・・・!!


        ぺ、ペトラさん!!!!!!?


        ペトラさんじゃないですか!!!」




    ダダダッ!!!

           ドンッ・・・・!!

      



    エレン「無事だったんですかッ?!!!
        内臓は!!!?間違いなく
        致命傷に近いダメージを
        女型に・・・・・!!!」
        ガタガタ・・・・・!




    ペトラ「ぇ・・・!?え?!あの・・
        ちょっ・・君・・は・・

        ・・・あの?;」
        ビクビク.....!!



    あまりに鬼気迫る表情で両肩を掴みに
    掛かってきたその初対面の少年に
    流石に物怖じしてしまうペトラ。

    しかしその混乱に震える表情で、
    素直に疑問に思った事を目の前に居る
    少年へと投げかける。





    ペトラ「なんで・・私の名前を・・・?」





    エレン「忘れる訳が無いでしょう!!
        例え短い間でも共に兵長の
        班で命懸けで戦った仲間じゃ
        ないですか!!

        あの時は・・・・!

        あの時は本当に
        スミマセンでした!!!!」



    ガバッ!!!!!!







    その場で床に頭を垂れ、土下座に近い
    姿勢で悔恨の念と謝罪の意を露わにする
    エレン。





    ペトラ「ちょと・・・え?!
        何?!どうしたのちょっと!」



  21. 21 : : 2015/02/13(金) 00:04:50




    エレン「オレがあの時・・・!
        兵長の言葉を真に理解して、
        状況の変化に対応して自分で
        動いてれば・・・!!エルドさんも
        オルオさんも・・・!!

        ペトラさんだって・・・・!!!!」
        ギギギ・・・・!!




    ペトラ「・・・?・・・;
       
        ・・・・・・・!!」



    尋常ではない程の気迫が籠った
    その独白に・・



    途中までは心底心当たりの無い謝罪に
    狼狽するばかりのペトラであったが
    床に伏せて涙を零す彼が握る拳を見て
    言葉を失う。



    エレン「ぅう・・・・!!!」
        ギリギリ・・・・



    自身の握力にて掌に喰いこんだ爪先から
    滲み出る・・・鮮血。




    ペトラ「ちょっと!君・・・!手から
        血が!!!ホラ!!開いて見せて!」


    エレン「こんなの・・・!噛みつくのに
        比べれば何でも・・・!



    ペトラ「いいから!ホラ・・・!」
        ババッ・・ゴソゴソ




    エレンの手を取り、自らのバッグから
    簡易救急セットを取り出し、その中から
    治癒促進タイプの特殊な大判絆創膏を
    摘み上げるとエレンの掌にあてがう
    ペトラ。




    ペトラ「ぅぅん・・ちょっと面積が
        足りないか・・!;

        君ね・・・!何でそこまで
        取り乱したか知らないけど
        ここまでする事ないでしょぅ?!
     
        爪痕4つ分切創が出来てる
        じゃない・・・!;どれだけの
        力で・・・・・」



    エレン「・・・・?・・・・??;」



    しかし、そんな説教を垂れるペトラの
    言葉の内容は耳に入らないといった
    様子でその顔だけを訝しげな表情で
    見つめるエレン。




    ペトラ「・・・・・ちょ、ちょっと
        聞いてるかな・・;君」




    エレン「いや・・あの・・ペトラさん・・
        気のせいだったら済みませんが
        ・・・・・・

        髪型・・変えました・・?
        何か・・いつもと前髪が」





    ペトラ「・・・・え・・・・?」





    リヴァイ「・・・・・!」




    ハンジ「え・・・・」





    その言葉を耳にして、
    あまりの急展開の連続に置いてけぼりに
    なっていた二人も流石に眉根を上げる。






    リヴァイ「ペトラ・・・コイツとお前は・・・
        本当に初対面なのか」





    ペトラ「そのはず・・です・・・!
        でも・・・でも・・・!!!」




    エレン「それに兵長も・・・・
        失礼を承知で言いますが・・
        その・・背丈が若干・・」
        (リヴァイの足元から頭上眺め)



    リヴァイ「・・・その様だな。
         俺も・・・コイツとは
         間違いなく初対面だ・・・

         ・・・・ミカサ・・?」
         フイッ




    そう言って未だ土間で俯き加減になり、
    マフラーに顔を埋めるミカサを
    一瞥するリヴァイだが・・




    ミカサ「・・・違う。私は何も
        “エレン”に教えてはいない。
        こんな事を言われても困るだけ

        だと思うけど・・・・

        “この世界で”エレンと
        リヴァっち達が会うのは初めて」



    その問いかけをも既に
    予想していたかの様に、即答で返すミカサ





    リヴァイ「・・・・・」



    ハンジ「え・・・?この・・何?

        世界???」




    リヴァイ「・・・・・」




    ミカサ「しかし・・彼は・・・
       “エレン”は・・・・

       ここにいる全員を“知っている”」



  22. 22 : : 2015/02/13(金) 00:07:59



    それだけ言うと今度はエレンの方へ
    悲しげな顔を向けながらもこう促す





    ミカサ「エレン・・・。
        もう大体分かった筈だ。

        前もって説明した通り・・。
        ここは・・“私達”が
        巨人を相手に心臓を捧げて
        戦いに明け暮れていたあの
        世界とは・・・・違う。



        ・・・“違う世界”だ。」








    エレン「違う・・世界だと・・・・・!?
        そんなの・・・見りゃぁ分る!!!
        
        どこを見たって壁なんてねえ!
        代わりにワイヤーがそこら中に
        張られた路に、建物も道も
        見た事のない平たい物だけで
        できてるこの景色を見りゃ
        イヤでも分かる!

        ・・・けど・・けどよ!!」
        ググ・・・・!!;




    ペトラ「あっ・・・!コラ!!折角
        貼ったのにまた握っちゃダメ!!」




    エレン「オレやミカサの知ってた
        “この人達”は間違いなく
        ここにいるだろ!!!」




    ミカサ「・・・・エレン。」





    エレン「クソッ・・!!何だってんだよ・・・!
        一体何がどうなって・・・・!!」




    ミカサ「私達がこの世界にこうして
       存在しているように・・彼らは
       間違いなくエレンが言うように、
       他人でも何でもない・・エレンが
       知っていた彼ら、そのものだ。

       けれど・・・“あちらの世界”に
       居た頃の記憶は・・“ある時”
       だけを除けば常に忘れたまま
       思い出すことが出来ない。

       私達“だけ”がこの世界では
       何かが違うんだ・・・・」





    エレン「ちょっとまて・・その、
        “ある時”って何だよ・・?」





    ミカサ「主に巫山戯(ふざけ)た趣旨の話を
        している間だけ・・彼らは
        元居たあの世界の事を無意識に
        思い出すことができる。

        ・・・エレン、きっと
        あなたの事も。」スッ・・・




    エレン「・・・・??;」




  23. 23 : : 2015/02/13(金) 00:10:01




    そう言うと無言でハンジを指差すミカサ





    ミカサ「アレ・・・?ハンジさん・・
        何か顔が・・・」


    指差したまま淡々とそう告げる。
    対照的に指摘を受けたハンジ本人は




    ハンジ「げっ・・・・!??
        コンペイトウ(ふしぎなくすり)が効き始めたのかっ!!?」
        ワタワタワタ..。。。!;





    酷く狼狽した様子で右往左往する。
    ・・・しかし時すでに遅し。





    リヴァイ「・・・メガネお前・・」



    ペトラ「・・・・(;´Д`)」




    身長のみ、もしくは前髪のみの変調に
    留まっていたリヴァイやペトラとは
    違い・・・そこには元の彼女の姿を
    知っている者なら誰もが言葉を失う
    光景が出来上がっていた。



    ・・・先ずは身長及び外見年齢。それらが
    何と本来のハンジのものより共に10歳程
    若返った“様なもの”になっている。


    ・・この“様なもの”というのは・・・


    本来その位の歳の頃の状態を知っている
    リヴァイの目から見て・・明らかに
    身長と体型の兼ね合いが、実際の彼女の
    物ではないと一目瞭然であるが故の
    表現である。

    次に顔付き。


    鼻元が大分コンパクトに収まり、
    視力はメガネが邪魔になっている
    所を察するに大幅に改善され、
    目元が若干強調されている。
    ・・つまりより女性らしい顔つきに
    全体的に変貌を遂げている事になる。

    その変わりぶりたるや、本来の彼女を
    知る者でなければ、どんな格好を
    していても一目で女性であると
    判断できるほどのものである。


    ――そして体型。


    身長の縮小は先述の通り・・
    おおよそ7~8センチの下降。

    それに追い打ちをかけるかのような
    肩幅の縮小、胸囲の増大、
    ウエストの収縮、据え置きの臀部全周。




    ――――早い話が、その姿はまるで
    二次イラストでこれでもかという程に
    美化された様な・・




    典型的な“誰だお前”状態である。




    リヴァイ「お前・・誰だよ・・・!!

         コンプレックスしかねえじゃ
         ねーか・・・・・・!!」
         ゲンケイガネエ・・・・!!
         (カシャッ!!☆)




    ハンジ「止せッ!!!!撮るなッ!!」
        ババッ!!



    ペトラ「ハンジさん・・・もうなんか
        私、かける言葉が見当たらない
        んですが・・取りあえず・・
        ドンマイです....(●LEC)」
        ジィィィ・・・・


  24. 24 : : 2015/02/13(金) 00:13:15



    ハンジ「だからッ!!録画はホント勘弁して
        くれって言ってるだろ!!!//;」




    心なしか中の人の演じ方も違っている
    せいか声色もトーンが高くなっており、
    その姿で泣き出しそうになるハンジ。





    ペトラ「・・・やだかわいい(●LEC)」





    リヴァイ「これじゃお前・・・
        折角こうして“エレンと再会”
        出来てもお前が誰だかなんて
        解りやしねえよ・・(溜息)」





    エレン「・・・・?!」





    ミカサ「・・・気が付いた?」




    エレン「・・・・ああ・・・?
        今兵長確かに・・・・」





    ミカサ「こういった団欒状態でのみ・・
       世界観の“抑止力”が緩和される
       仕組みになっているらしい。

       ・・つまり元の世界の事を
       無意識の内に思い出せるのは・・

       こうして巫山戯半分の話題に
       なっている間だけ・・という事」




    エレン「何なんだよおい・・・!
        じゃあなんで俺達だけ・・?

        ミカサは・・お前は何とも
        無いのか・・?」




    ミカサ「既に説明した通り。
        私とエレンとでは・・・
        この“世界に来た”刻が違う。

        エレン・・あなたの記憶は、
       “巨大樹の森で巨人と化した時”
        を境にして途切れている・・
        そう聞いたが」



    エレン「そうだよ・・あの女型を
        殺してやることだけを考えて
        無心で暴れてたら・・

        目が覚めてみりゃお前に
        こんな訳の分からない世界の
        説明を聞かされる羽目に
        なってた・・・・」





    ミカサ「・・・そう。私は・・・
        もっと先の“未来”から此処へ
        飛ばされた。」




    エレン「・・・・は?」





    ミカサ「私がこの世界に飛ばされた
        時点でエレンは・・複雑な理由も
        あって私達と一緒に行動できて
        居なかった。

        ・・・いや、助け出せるかどうかも
        危うい状態だった。」



    エレン「何だ・・・?“助ける・・?”
        私・・“達”だって・・?

        そりゃ一体何を言って・・・!?」



    ミカサ「細かい話は後でゆっくりしよう。
        今は・・・彼らに此処に来た要件を
        伝えたい。」スック・・・




    エレン「ぁ、ああ・・・;その辺は
        任せるが・・でもオレだって
        兵長達には聞きたい事が
        山程・・・!!」
        



    ミカサ「・・・・リヴァっち。」




    リヴァイ「・・・話は済んだか?
        そっちがひと段落したなら
        俺からもお前に聞きたい事が
        有るんだが・・少し良いか?」



    そう言って、ミカサを一瞥しながらも、
    その後ろに居るエレンを見るリヴァイ。

  25. 25 : : 2015/02/13(金) 00:16:06






    ミカサ「、、」スッ・・




    エレン「お、オレ・・ですか?!」





    リヴァイ「・・そうだ・・お前だ。

        お前はどうも俺を・・いや、
        俺達の事を良く知ってる
        らしいな。しかし申し訳が
        立たねえ事にこっちは
        どうも心に思い当たる
        “フシが見つからない”
        
        そこでお前に一つ聞きたい」
     




    エレン「何でしょう・・・」






    リヴァイ「お前の知ってる“俺”は・・
         どういう人間だった。

         分かり易く言ってみろ」




    エレン「えっ・・と・ど、どういうって」




    ハンジ「・・・・・・」



    ペトラ「・・・・・・・・!」





    リヴァイ「・・・・気にしねえから
         思うままを言ってみろ。
         それが事実に沿った物なら
         俺もそれなりに受け止める
         心構えだ」





    エレン「・・・・・・・;」






    エレン「け・・潔癖症で・・・
        食事の時間よりも掃除してる
        時の方が活き活きしてて・・

        ぶっきらぼうで・・・

        絵があまりお上手では無くて・・」



    リヴァイ「・・・・・・・」




    エレン「最初は無口な印象ありましたが
        実は喋り出すとコマを
        埋め尽くさんばかりの台詞を
        並べ立てる饒舌な方で・・・・」




    リヴァイ「・・・・・・・・」ジロ・・・




    エレン「ヒィッ・・・?!(超怖ぇぇ!!!)

        でも・・あの・・その!!」




    リヴァイ「・・・・・あ?」



  26. 26 : : 2015/02/13(金) 00:18:58








    エレン「オレが見て来た“兵士”の中で
        誰よりも仲間想いな・・・
        仲間の死を・・犠牲を・・・・

        本当の意味で自分の力に
        変えることのできる・・・

        尊敬の対象でした。」






    リヴァイ「・・・・・・・」





    ハンジ「ん。間違いない。リヴァイだな」
        ウンウン




    ペトラ「(微笑)そうですね。
     
       1日3度の食事より掃除を楽しみに
       生きてる人なんて先輩の他に
       そうそういませんってw」
       






    リヴァイ「俺は・・お前の上司か何か
         だったのか。・・兵士とか
         言ったが。」




    エレン「・・・はい。その通りです、」




    リヴァイ「・・・・」




    正面からリヴァイの目を捉え、
    寸分も焦点をずらさずに
    頷く強い眼差し。


    その力強さは・・・既に先程まで
    自分達を目の当りにした際に
    狼狽えていた彼の物では無かった。





    リヴァイ「そうか・・・・。

         確かお前さっき・・ペトラに
         随分と申し訳が立たない
         顔をして詫びてたな。

         まるでキレの悪すぎるクソが
         今になってもまだスッキリ
         しねぇ様な・・そんな面だ」



    エレン「・・・・・はい;」
        グッ・・・・



    その目に宿した光はそのままに、
    悔やみきれぬ悔恨を噛み殺さんとする
    表情で・・やはり目を真っ直ぐ此方に
    向けているエレン。
  27. 27 : : 2015/02/13(金) 00:20:33




    リヴァイ「・・・つまりお前は
         自らの判断ミスか何かが
         祟って・・・。どうしても仲間に
         詫びをいれなければ済まない
         ・・・・
         
         そんな何かをやらかした訳だ」




    エレン「・・・・・・・!!」




    今度は返す言葉も無く、
    眼をきつく閉ざし、ただ頷くエレン。





    リヴァイ「・・お前が俺の元で
        働いてたってんなら・・・
        一度は必ず言われた筈だ。

        “何が正しいか”なんて
        誰にも分りゃしねえ。

        その時自分で判断して歩みを
        決めた先で泣きを見る事に
        なろうが笑って事を
        済ませる結果に辿り着こうが・・

        それを判断するのはお前自身だ」





    エレン「へ・・兵長・・・・」




    リヴァイ「お前は・・間違っていたのか?

        まるでお前のさっきの様子を
        見る限りじゃ・・ペトラの奴が
        此処に居るのが不思議で
        ならねえって面にしか
        見えなかったんだが。

        生憎あいつはああして元気に
        やってるぞ。

        首の長い男同士が絡む
        キラキラしたマンガを
        嬉々として読み漁りながらもな」
        (溜息)





    ペトラ「ちょ・・・!!?へいちょっ!!

        余計なこと言わないでくださっ
        ・・・・!??・・・・あ??」




    リヴァイ「(ハッ・・・)  何だ、お前も
         こいつの呼び方が感染ったか」



    ハンジ「ぅおっ・・・?!?」ビクッ



    エレン「へ、兵長がっ・・・!!!!」



    ペトラ「わ、わ、わ!!!!
        笑った!!!!ちょっ!!!!
        先輩!!今の笑顔を!!!
        今のナウい笑顔をワンモア!!!」



    リヴァイ「ナウいとか言うんじゃねえ。
         年季というよりもなんか
         悍ましい感じがするだろうが」




    ペトラ「そ、そんな事どうでも
        いいですから!!ホラ!!ハイ!!
        今再びの、笑顔!!!(●LEC)」
        ピロン♪




    リヴァイ「人類の内に眠る奈良への
        潜在帰巣本能を煽るCMみたいな
        言い方してんじゃねえよ・・
        言われてホイホイ笑うか。」
        (録んな)フン。


  28. 28 : : 2015/02/16(月) 00:28:51





    エレン「はっ・・・ハハ・・」





    もう二度と会えないと思って居た
    上官と、頼れる班長に出会えた
    充足感からか、不意に和んだその空気に
    釣られて笑顔を零すエレン。




    ミカサ「・・・・・・」




    傍にいたミカサは、その様子を
    さも自分の事の用に朗かな笑みで以て
    嬉しそうに見つめていた。




    ミカサ「(此方へ来てから笑顔はおろか
        欠片も安心した顔を見せて
        くれなかったエレンが・・・
        やっと・・・笑顔をみせてくれた)」



    ミカサ「・・リヴァっち。今日
        ここに寄った用だけど。」





    リヴァイ「・・・ああ、何か
         用事があったのか・・?」




    ミカサ「実は今日、叔父さんの御遣いを
        頼まれている。丁度いい
        機会なので私はエレンを連れて
        都内まで出かける所だ。」





    リヴァイ「・・・そうなのか。
        丁度俺達二人もだぞ。
        池袋までちょっとな・・・。

        ・・何を買いに行くんだっけか?」






    ペトラ「えっと、コートはもう
        私達二人からって形で
        プレゼントしましたから・・

        ええとその・・・、」
        ゴニュゴニョ




    ハンジ「アレだよな!」






    ペトラ「そ、そうです、アレです!!」
        ウンウン!




    リヴァイ「・・・?アレじゃ
         分からねえよ。変な御幣を
         生むからそういう事は
         キッチリ明言した方が互いの
         為だぞ・・・・」





    ハンジ「(溜息)・・・あんた、本ッ当に
       分かってないなぁ・・・・!

       そういうとこ、せめてヒミツに
       しときたい乙女の心意気ってのが
       分かんないのかね」
       ワカンネェカナ?ワカンネェダロナァ;



    リヴァイ「・・・分かった。
         ならそれでいい。

         ・・・・まあそういう事だ。
         俺達は池袋が一応の目的地
         だが・・お前らは都内のどこ
         行くつもりなんだ...?」




    ミカサ「東京外神田・・・要するに
        秋葉原と呼ばれる界隈だ。

        叔父さんの知り合いに何かの
        部品を届けに行く任がある。

        それから・・・あの街なら
        エレンに色々説明するのにも
        手っ取り早いから。」



    リヴァイ「何がどう手っ取り早いのか
         分からねえが・・・まあ
         お前がそう言うんだ。

         色々あるんだろうな」


  29. 29 : : 2015/02/16(月) 00:33:07



    ミカサ「(頷き)・・それと。
        叔父さんがコレを渡して
        おいてくれって・・・
        リヴァっちに・・・」
        カチャ・・・


    そう言ってリヴァイに手渡したのは
    刀の柄(ガンツソード)だった。
    前回のミッション時に散々命を救われた
    物品でもあるが、それとは別に
    調理用の牛刀や固過ぎるカボチャの
    調理に重宝するという理由でケニーに
    一本寄越せと無心していたのだが、

    一つ大きな問題点にリヴァイが
    気が付いたので、その改善の為に
    ケニーに預けていたのがそれだった。



    リヴァイ「仕上がったのか・・
        丁度いい。おい、メガネ、
        これのここにあるスイッチを
        押してみろ。ここに向けてな」
        ガラッ



    窓を開け放ち、外を指差して
    ハンジにそう促すリヴァイ。    




    ハンジ「・・・ナニコレ。何か・・・
        うん。。サムライ!って
        感じだな・・wどれどれ・・」
        カチカチ

    シーン・・・・


    リヴァイ「・・・・・・」




    ハンジ「・・で、?押して何かあるの?」
        ハイ、



    リヴァイ「。。いや、上手く行った
         様だな。」カチャ・・




    ハンジがスイッチを押下しても何の
    挙動も起こさなかった柄を受け取り、

    今度は自分の手元でその場の“3人”
    に背を向け、ほんの僅かな時間だけ
    自らスイッチを押してその動作を
    確認するリヴァイ。

    その鍔部分からは鈍く輝く黒刃が
    切っ先のみを覗かせていた。




    ハンジ「な?!なんだよなんだよ!!
        気になるなもう!!なんだ!?
        私にはフォースがないから
        何も出なかったとか
        そういうオチか!?」



    リヴァイ「・・・その可愛らしい(笑)面で
         あまり喚き散らすんじゃねえ。
         見慣れてないだけに不気味で
         仕方ねえ・・」




    エレン「ほんと・・誰だか一瞬
        分りませんよハンジさん;」




    ハンジ「ふ、フンッ!!!でも私は
        前回試験的に投薬してるぶん
        復帰まで早いもんね!半日も
        かからず元通りさ!!」





    リヴァイ「・・・・・」






    ミカサ「・・大丈夫そう?動作の方は。」





    リヴァイ「ああ。問題ない。
        どういう仕掛けかは知らねえが
        ジジイに付けさせた生体認証は
        有効になってる様だ。

        こうでもしなきゃもし何かの
        弾みでお巡りの世話にでもなる
        事があれば刀剣類不法所持で
        あっという間に豚箱行きだ。

        これで安心して台所に
        コイツを置いておける」


  30. 30 : : 2015/02/16(月) 00:35:20



    ミカサ「・・・そう。ならよかった。

        それじゃあ私とエレンは・・
        そろそろお暇しようかと思う。
        リヴァっち達もどうか
        道中気を付けて」




    ハンジ「ん・・待てよ・・?、ねえミカサ??」






    ミカサ「・・・・なに?ハンジさん」





    ハンジ「そのお出かけさ・・・私も
        ご一緒しちゃダメかな??」




    ミカサ「???別に構わないが・・」
        (エレンと二人っきり・・・↓)



    リヴァイ「ミカサ(こいつ)が良いって言ってるから
         深くは追及しねえが・・

         お前が付いてって邪魔に
         ならねえか・・?(ジトリ・・)
         年齢加味してもお前の方が
         厄介になりそうな立場だぞ」




    ハンジ「私をどんだけ落ち着きのない
       人間だと思ってるのリヴァイは!?」




    リヴァイ「見たまんまだろうが・・・」





    ミカサ「それは別に構わないのだけど。
        ・・なにか理由が?」



    ハンジ「いや・・それがね、ちょっと
        こっちの話も絡んでくるん
        だけど・・(ゴニョゴニョ)」
    ミカサ「・・??」ナニナニ



    ミカサに耳打ちするハンジ(変体)




    ペトラ「・・・?」




    ハンジ「・・・という訳なんだけど、
        どうかな?」
    ミカサ「・・それなら・・確か
        あの辺りに免税店でそれなりに
        並べて居る店があった筈。」



    ハンジ「やっぱね!じゃあ、決まりだ!!
        ペトラ?!」




    ペトラ「は、ハイなんでしょ!?」





    ハンジ「リヴァイへのプレゼントは
       秋葉原で一緒に買おう!勿論、
       これはあんたからって形でね!

       だからそれまでだ!
       昼過ぎまであんたら二人で
       池袋デートしてきなよ」






    エレン「ッツッ!!!?!?
        兵長っ・・と・・ペトラさんが
        で、デートですかっ!!!!?」
        ガバッ!!(;゚Д゚)ノシ ウォォオ!!!!





    ペトラ「ファッ・・・?!//////」
        (顔真っ赤)




    ハンジ「何真っ赤になってんのペトラw
        事実だろ~~?胸を張って
        そうだと言ってやればいいのに」




    エレン「・・と、いう事はへ、兵長・・
        (ゴクリ)兵長とペトラさんはその
        ・・・・!!その・・・!!」





    リヴァイ「・・・その?」




    エレン「その・・・!所謂恋仲って
        言う間柄に・・なっているので
        しょうか・・・!!!

        この世界では・・・・!」
        ゴゴゴゴゴ・・・




    汗だくになって問いかけるエレン。
    目がマジである。


  31. 31 : : 2015/02/16(月) 00:37:13


    ペトラ「恋・・・!乞ィッ・・・・?!?////」
        カタカタカタ・・・




    リヴァイ「・・因みになぜそこまで
        狼狽えているんだ?>(エレン)
        その態度は・・お前の認識では
        何か腑に落ちない事でも・・?」



    エレン「・・・・え!?あ、いや
        あのですね・・・!
        (咄嗟に否定しない?!)
        
        腑に落ちないなんて事は
        無いですし、むしろペトラさん
        ならペトラさんおめでとう
        ございますって心境なのですが
        ・・・!」





    リヴァイ「ペトラ・・なら?」





    エレン「え、えっとですね・・俺が
        元居た世界では・・・

        付き合いの長さもあってか
        ハンジさんとも、周囲からは
        “もう結婚しちゃえよ!”

        ・・という野次が陰ながら
        飛ばされるくらいだったので
        ソレが意外というか・・!」





    リヴァイ「・・・・・・・」





    ハンジ「ファッ!!?」




    リヴァイ「・・・だ、そうだ。

         ・・・どう思う?お前ら」(クルッ)





    ハンジ「(そういう振り方するか?!)」
        アセアセ(;゚Д゚)アセアセ


    ペトラ「(ど、どどど、どうしろと!?)」
        アタフタ(;´・ω・)アタフタ










    リヴァイ「・・・・無言だな。

         まあこういう事だ・・・
         ・・理解できたか・・?

         どうやらまだそういう
         認識はこいつらには
         無い様だぞ」




    ハンジ「(アッ・・・!ペトラお前、
        なんでここですかさず、
        “そうです!”って挙手
        しないんだ!!この場の
        ノリだったら・・・!(小声))」




    ペトラ「(ハンジさんにその姿で
        言われたくありません!(小声))」






    エレン「あ・・・な、成程・・
        理解しました・・!(察し)
        (兵長も・・大変なんだな)」



  32. 32 : : 2015/02/16(月) 00:39:28





    ミカサ「では・・・取り敢えず
        そういう事で、私とエレンは
        ハンジさん同伴で一足先に
        秋葉原まで行ってしまおう。」




    リヴァイ「・・一足先に?

         どうせ駅まで行くんだろ。
         ならメガネの車で
         全員で行った方が良いだろ。
         軽じゃねえんだ、5人は
         乗れるぞ」


    ハンジ「ああ・・・それもそう..
    ミカサ「・・・・・、」


    コツン



    ハンジ「・・・・?」



    無言で間隣に詰めて来たミカサの肘が、
    ハンジの脇腹を突く。


    ハンジ「!、(成程)」
        (ニヤァ)




    ミカサ「叔父さんが“転送”で
        送ってくれるというので
        私達は行きはそれで直接現地に
        向かう。・・交通費の・・節約」





    ハンジ「・・ん?いや・・転送って何だ?」
        (;^ω^)





    リヴァイ「いや・・真面目な話いいか;

        恐らくだが・・“アレ”を
        作動させるのに間違いなく
        電車賃の何十倍で利くか
        どうかって電力を消費してる
        と思うぞ・・・」





    ミカサ「ともかく・・邪魔者は
        居ないのでお二人はゆっくり
        目的地までいけばいいと思う」






    ペトラ「・・・・・/////」




    リヴァイ「・・・成程。そういう事か」




    ハンジ「(そこであえて言っちゃう所が
        やっぱミカサだなぁ・・;)」



    リヴァイ「・・良かったな。アガリ症
         克服訓練の時間が伸びたぞ
         ペトラ。」



    ペトラ「・・・・あ、はい」
        (゜-゜)



    ハンジ「(そしてやっぱりリヴァイ(こいつ)
        こうくるか・・・;)」
       ムゥ・・・;(;´・ω・)



  33. 33 : : 2015/02/16(月) 00:43:29


    ―時は戻り午前11時・東池袋3丁目付近―


    ―通称・腐女子の聖域(サンクチュアリ)乙女ロード―





    リヴァイ「・・・随分と荷物が増えたな」






    ペトラ「あ・・あはは・・そ、その、
        新刊が思いのほか大漁でして
        ・・・・////あ、違いますよ!!?
        私個人の分だけで無くて
        当然これは知り合いに頼まれた
        分もふくめてなので!!だから
        こんな・・・!」ズッシリ・・




    リヴァイ「趣味についてはとやかく
         言わねえ。俺自身どちらかと
         言えば生活より趣味優先
         だからな。・・ただ」



    ペトラ「・・・(;^ω^)」
        ズッシリ・・



    リヴァイ「そんなに買うならババ車か
        旅行用キャリーでも
        持ってきた方が良かったんじゃ
        ねえのか・・・?

        入店前はポーチ以外
        手ブラだったのに、やっと
        済んだと思ったら・・

        殴って人を殺せそうな重量の
        薄い本を抱えて出てきやがって
        ・・・・(溜息)」



    ペトラ「ぅっ・・す、すみません;;」




    リヴァイ「(溜息)・・だから謝る必要は
        無いと言っただろ。・・寄越せ」


    ガシッ・・・!



    ペトラ「へっ・・?!?
        い、いいですってこんな!」
        ズシリ・・・




    リヴァイ「っ・・ペトラお前・・
         本当に女にしては腕力
         あるな・・・!片腕ずつで
         この書籍の束を・・お前
         いま軽々と抱えてやがったな」




    ペトラ「え・・?い・・いや・・
        どうでしょう・・フツー
        じゃないでしょうか//;」




    リヴァイ「いいや・・フツーじゃない。

         少なくともハンジの素の
         腕力より若干上だぞ
         これだと・・・。」



    ペトラ「・・いえでも、先輩には
        敵いませんって!!」





    リヴァイ「・・・それは性別が違うからな。」



     いや・・・女で俺以上の化け物も
     確かにこの世界には存在するが。


  34. 34 : : 2015/02/16(月) 00:45:21





    ペトラ「あ・・そ、そうだ!私先輩に
       聞いてみたい事あったんです!!」




    リヴァイ「何だ突然。
         ・・聞いてみたい事・・?」




    ペトラ「先輩が・・・今までで
        一番大変だったお仕事って
        一体なんですか?」




    リヴァイ「・・今までで一番大変だった
         仕事・・・・だと」




    ペトラ「あ・・ハイ。先輩ってホラ、
        かなり色々な仕事やってる
        じゃないですか・・?

        その中で特に先輩の印象に
        残っている重労働など・・・
        もし教えて貰えたら・・なんて」



    リヴァイ「・・・・・あまり
         お前には参考にならないと
         思うが・・。」



    ペトラ「あ、いえいえ!全然構わない
        んです!先輩が個人的に

        これキツかったなぁ!って
        奴を教えて欲しいだけなので!
        どんなパターンであっても
        きっと後学の助けには
        なりますし!」





    リヴァイ「・・なら意外過ぎて拍子抜け
         するかも知れないが・・
         
         杉屋(牛丼屋)だ。俺の場合はな」




    ペトラ「え・・!?ぎゅ、牛丼屋さん
        ・・・・ですか?!

        いや・・だって、マグロ漁船とか
        そう言うもっとキツそうなの
        やってたじゃないですか
        先輩!?」




    リヴァイ「そりゃあ体力的な事だけ言えば
        あれ以上って仕事は中々
        ねえだろうが・・・俺にとっては
        そこまで堪える重労働という
        訳でもなかった。

        ・・そういう単純な労力じゃねえ」

        



    ペトラ「・・・・?」





    リヴァイ「まず一番分りやすい
         例を挙げて言うが・・
         一番参ったのは・・・

         ・・・強盗だ。」





    ペトラ「あーー・・・・;」






    リヴァイ「券売機を導入しない弊害とも
         言えるが・・そもそもアレを
         導入するくらいなら

         度々強盗に入られるのを
         我慢してたほうが安く
         上がるらしい」




    ペトラ「で・・・あの・・」





    リヴァイ「3回だ」





    ペトラ「・・マジですか;
        本当に入る人って居るンですね
        ・・・・;っていうかそれ、
        全部先輩が居る時にご来店
        されたんですか?」



    リヴァイ「・・そうだ。全く以て
        勘弁してほしい。
        俺が居ない間には一回も
        入られてねえってのに・・
        

        勿論入ってきた奴等は
        全員普通にお巡りに
        引き渡したけどな」



  35. 35 : : 2015/02/16(月) 00:47:30




    ペトラ「あの・・普通ならお金を
        大人しく渡すか怯えて何も
        出来ないかだと思うんですが;」





    リヴァイ「何故そうなる?
        向こうは武装しているとはいえ
        どうせ脅し目的でしかない上に
        相手は単騎でこっちは二人
        居るんだ。おまけに厨房には
        武器になるものが幾らでもある」





    ペトラ「・・カラーボールっていう
        備品は使わないんですか・・」






    リヴァイ「あんなモン防犯用の飾りだろ。
         本当に投げて堪るか。

         お前、アレが炸裂した後の
         後片付けがどれだけ大変か
         知らないで言ってるだろう?

         ・・汚ぇなんてモンじゃねえぞ。
         二度と落ちねえ汚れが
         残っちまう。」



    ペトラ「(後片付け>怪我の危険性)
        なんだ・・・・;)」



    リヴァイ「おまけに杉屋は24時間営業
        年中無休。店員や客に
        流血沙汰が無い限りは
        強盗が入ろうが何しようが
        普通に営業は続行するんだ・・

        そうなったらいつ落ち着いて
        床なり入口なりに付着した
        汚ぇ塗料の掃除をすれば
        いいんだ」




    ペトラ「(やっぱり何か心配の着眼点が
        おかしいです先輩・・)

        あ・・でも先輩??

        さっき二人って言いましたけど
        ・・先輩のいた杉屋はワンオペじゃ
        無かったんですか・・?」




    リヴァイ「良く知ってるな。
         そういうのもあってか
         深夜の一人回しが出来ない
         とこに限って今は24時間
         営業じゃ無くなってる店舗が
         殆どだが・・当時はちゃんと
         俺含めもう一人従業員がいた。

         入ってくる不届き者共は
         皆一人しか居ないと思って
         入ってきたらしいが・・・」




    ペトラ「(まさか・・身長の関係で
        厨房にいた先輩が見えて
        無かったんじゃ・・;)」




    リヴァイ「今挙げたのはあくまで
         分りやすい例のみの話だ。

         杉屋のバイトがキツいと
         思った最大の理由は・・
         ・・接客だ。」




    ペトラ「先輩の人柄的には完全に
        裏方向きだって言うのは理解
        できるんですけど・・

        そんなに接客苦手でしたっけ?
        焼肉屋でも普通に注文とりに
        いってましたし・・
        此間までだってミスドで・・」




    リヴァイ「“駅前の牛丼屋”だぞ。
         
        ただでさえ人格破綻者や
        せっかち者のメッカとして
        定番の店舗だってのに

        そこに駅最寄という立地条件が
        合わさりゃ・・そりゃあ
        我の強いリピーターも
        集まろうってモンだ」




    ペトラ「・・・そんなに酷かった
        んですか・・・?」




    リヴァイ「客対店員での面倒もあるが
         客同士でUの字テーブル
         向かいに座ってる奴と
         いつケンカが始まっても
         おかしくない・・、
         位の事は日常茶飯事だ。

         実際に酔っ払い同士で
         おっぱじめた事もあった」

  36. 36 : : 2015/02/16(月) 00:56:06



    ペトラ「八頭身の吉○家じゃ
        無いんですから・・;」




    リヴァイ「昔は本当にそんなモン
         だったんだ・・。

         それから偏屈者も相応に居た。

         ソイツは毎日夕方5時
         きっかりに入って来るんで
         店員内では“五時に夢中”
         もしくは“奇行種”
         って渾名がつけられてたが」



    ペトラ「どこかで聞いたことありますね
        ・・・それ」




    リヴァイ「入ってきても注文も何も
         しねえで、出されたお冷にも
         手をつけず、ただじっと
         してやがるんだ。」




    ペトラ「・・・・え。・・・そ、
        それで・・・?その人は・・」




    リヴァイ「何もしないで居ると
        一分きっかりしてから
        やはりお冷も飲まずに
        出ていっちまう。

      
        ・・・で、その客の奇行は
        それからも毎日続いたが
        ・・ある日、一番最初に
        そいつの来店時に一度だけ
        牛丼の並を注文されたって
        のを覚えてるバイトがいてな。

        モノは試しって事で次回来店時
        牛丼並盛りを出したら、
        その日は普通に代金まで
        置いていった」




    ペトラ「ぁぁあ~・・。

        まったく同じじゃ無いですけど、
        薬局でもたまにそういう人
        居ます・・;

        タバコ買うときに“いつもの”
        って言ってきたり、通称で
        注文してきたり・・・;」



    リヴァイ「明らかに同系統だな・・・

         しかもアイツの場合は
         入店から時計の長針が一周
         し終わるまで・・つまり

         五時一分を回るまでに
         並盛を出せないと問答無用で
         即退店御免だからな。」





    ペトラ「眠狂四朗の円月殺法ですか;」




    リヴァイ「ペトラお前・・歳幾つだ」
         (゜-゜;)









    リヴァイ「そんなこんなでな・・
         体力的なモノより面倒な
         客が多かったのが一番
         大変だと思った要因だ・・

         あと言わずもがなだが、
         飲食店の宿命として
         じょうじ(ゴキ共)の存在もな。」





    ペトラ「なんか・・色々あるんですね」




    リヴァイ「仕事なんざそんなもんだ。
         ましてそれが客商売
         だとすれば客と働き手の
         好環境がうまい事揃う・・
         なんて事も稀だ。

         どっちかが快適に
         思うときはどちらかが眉間に
         皺を寄せてる場合が多い。」


  37. 37 : : 2015/02/16(月) 00:59:42


    ペトラ「ふむ・・・」




    リヴァイ「そこいくとさっきの異国籍の
         デカブツなんかは笑顔で
         仕事してる方だ。まあ、

         ビラ配りの基本は・・
         何と言っても笑顔だからな。
         当然と言えば当然だが」




    ペトラ「(先輩が笑顔でビラ配りしてる
        顔だけは何をどうやっても
        想像できないけど・・)」




    ピンポロパンポン ピンポロパンポン♪ 



    不意にリヴァイの懐より鳴動する
    携帯電話の着信音。


    リヴァイ「っ!!?」ビクッ!!

    ババッ



    まったく馴染みのない音と振動に
    思わず懐に手をやり、その場で
    瞬時に屈むリヴァイ。

    ・・・遠目からもし
    巡査にでも見られていれば
    即職質されるであろうというくらいの
    普通ではない速さで最寄りの路地に立つ
    立て看板へと身を隠す。



    ペトラ「・・・・せんぱい;」



    リヴァイ「・・・悪いな。だが
         いきなりこんな聞きなれない
         音と振動が心臓に近い位置で
         鳴れば誰だって驚く」




    ペトラ「驚き方が尋常じゃないですって
        ・・それにもう2か月は
        使ってるじゃないですか;;」




    リヴァイ「・・・いや、電話は殆ど
        かかってきた試しがない。
         
        考えても見ろ、今まで
        携帯電話無しで生きてこれた
        奴が・・いきなりそれを
        手に入れたからとて急に
        電話ばかりするように
        思えるか?」スッス・・・




    ペトラ「そ、それはそうですけど・・
        だからって何もそんな、
        殴り込み(カチコミ)をくらった直後の
        ヤクザみたいな身のこなしで
        物陰に隠れなくても;

        って、先輩、今の電話・・」





    リヴァイ「ああ・・これは・・メガネ(ハンジ)だな」
         (通話)



  38. 38 : : 2015/02/16(月) 01:22:00



        
    《やぁやぁリヴァイ!出るまでに随分と
     かかってたみたいだけど・・
     ひょっとしてペトラとお楽しみの
     真っ最中だったかな?!だとしたら
     悪い事しちゃったかな!!》



    リヴァイ「・・・・・・」

    (ハンズフリー通話、オン)



    ペトラ「・・・・・?;」




    《いくら元気が有り余ってるから
     とはいっても昼間っからのご休憩は
     ハンジさんあんまり関心しないな!
     運動するなら若者は元気に
     外歩かなきゃ!ねえ!?》
     



    ペトラ「は、はは、ハンジさんッ!!!?
        何をいきなり!!??!////」
        BONGっ!!!




    《おっ?この声は・・ペトラ!?》




    リヴァイ「まだ何も言ってねえんだが
        ・・・冷静に突っ込ませて
        貰ってもいいか。

        俺に昼間の休憩ごときに
        3~4千浪費する経済的余裕が
        あると思ってんのかお前・・・。

        それだけじゃねえ。
        そういった事に及ぶに当たって
        当然必要になってくる備品の
        買い揃えにこれまた1000円
        そこらの出費・・・

        備え付けの石鹸が肌に
        合わない事を見越して
        それも買わなきゃならねえ
        から更に1000円・・・後..



    ペトラ「・・・・・・//////」
        シュゥウウゥゥ・・・




    《お、おい!分かった!悪かったから!!
     これ今スピーカーで話してるんでしょ!!?
     テレビ電話じゃなくてもペトラが
     どんな状態に陥ってるか頭に浮かぶ!!
     、、もうその辺にしてやって!!》
     ペトラノライフハ ゼロヨ!!


  39. 39 : : 2015/02/16(月) 01:23:15



    リヴァイ「冗談半分とはいえお前が
        突っついて来たんだろうが。

        途中で切り上げるくらいなら
        軽はずみなジョークは止せ。」




    《わ、悪かったって!!しかし
     ソレにしたって反論が一々具体的で
     生々しいよ!!まるでそういう施設に
     行き慣れてる風な返しだなリヴァイ!》





    ペトラ「な、なにを言い出すんですか
        ハンジさん!!

        先輩を不当に貶めようとする
        発言は流石にこの私が
        見過ごせませんよ!!?」
        ムキャーー!!!!///// 




    リヴァイ「行き慣れてるも何もそういった
        宿泊施設の清掃員もやってた
        経験がある。全てそういった
        事に基づいた発言だ。」




       《(;゚Д゚)ゑ》
    ペトラ「(;゚Д゚)ゑ」





    リヴァイ「結構居るんだ・・備え付けの
        石鹸が怖くて使えねえって
        客はな。俺もその考えには
        共感を覚えるが・・流石に

        ボトルを買ってきて
        一回しか使わずに風呂場に
        置いていく程、豪気には
        なれねぇ・・」





    《アンタ、わたしも把握してない場所で
     どんだけの職種を経験してんの・・?》
     ガタガタ・・ブルブル・・




    リヴァイ「どれだけ仕事をかえて来たか
        なんて一々数えてない。


        ・・それより何の用だ。
        電話を掛けて来たって事は
        何か聞きたい事があるんだろ

        ・・・あと一応聞いとくが
        この電話っていうのは・・例え
        携帯でも、かけてきた方持ちで
        通話料が発生してるって
        認識でいいんだな・・・?」





    ペトラ「え、ええ、そうです」





    リヴァイ「・・ならいい。」




    《チャッカリしてんなぁ、もう・・・》



    リヴァイ「どうでもいい。
         要件を早く言え、メガネ。」




    《よ、要件って程のことじゃないんだよ!
     ってか、ここ来る前にミカサに
     目隠しされたと思って気が付いたら
     ・・もう秋葉原に着いてたんだけど
     ・・なんなのアレ!!?》



    リヴァイ「・・・俺に聞くな。
        ジジィが地球外から持ってきた
        技術だかなんだかって話だが。

        どういう弊害があるかまだ
        分かったもんじゃねえ。

        そもそもアレを使うのにも
        アパートで引いてる電線からの
        電力供給でなんとかしてる
        らしいからな。その間
        掃除機が使えなくて大いに
        不便な思いを強いられてるんだ。

        あんまり多用して欲しくも
        ねえんだが・・」





    《(エレェェエエエエン!!!!)》






    リヴァイ「・・?!」



    その時、ハンジの物では無い声、
    それも遠方からマイクが拾った様な
    叫び声を響かせるリヴァイの携帯スピーカー




    《うぉわっ!!?な、なになに!??
     ちょっ・・!!!空から女の子が!!?》




    リヴァイ「おい・・どうした?なんか
        デカい音がしなかったか」




    《ご・・ごめん!!ちょっと切るね!!
     ひょっとしたら119番かもしれないし!
     ちょっと君大丈夫っ!!?オイ・・・!》




    ――――通話終了。




    リヴァイ「・・・・・・」

    ペトラ「・・・・・」





    リヴァイ「何事だ・・?」


    ペトラ「さ・・・さあ・・;」

  40. 40 : : 2015/02/16(月) 02:22:15



    ~現在公開可能な情報㉘~






    エレン・イェーガー





    言わずと知れた原作主人公。
    巨人の駆逐こそが彼にとっての
    全てであり、駆逐に生き、
    世の全ての巨人を(みなごろし)にするという大望の
    元(だがどうあがいても討伐数は一体。)
    毎日を生き抜いていた彼であったが・・

    とうとうそんな彼にもこの世界への
    片道切符が渡ってしまった。

    しかも、後述で説明はされるが
    その現界経緯はリヴァイ達とは事なり、

    原作世界中途離脱といった異例の物で
    ある為、リヴァイ達の様にこの世界で
    生き抜く為の生き甲斐も何もかもを・・
    彼は突然失ってしまった事になる。


    果たして彼の運命や如何に。



    因みに住まいは、此方の世界に
    飛ばされた経緯の都合も有るため、
    ミカサの住居に居候という形に
    なっているが、当のミカサは
    現在親元を離れ、一人暮らしである。


    学校的な物にはどうやら通っている
    様子だが、平日にもかかわらず
    エレンの介抱につきっきりになれる
    所からしても特殊な在学形態である様子。


    財力面に関してもケニー同様に、
    某研究機関への情報提供料の
    報酬に多額の収入もあるため、
    最早バイトも就職も必要が無い程の
    貯蓄がある。


  41. 41 : : 2015/02/17(火) 20:08:37




    ――時は一時間ほど前――





    ―秋葉原裏通り―






    ジ・・・・

       ジジ・・・ジ・・・・




    ジ・・・・





    路地の一画。
    既にその地点の人通りの少なさは
    ケニーの鷹の目(スパイ衛星)によって確認済みで
    あったのか・・同時にそこへ
    転送されるミカサ、エレン、ハンジの三名。


    頭頂部、爪先を始点として身体の
    中心に向かって徐々に書き出される3人の
    身体。その身体構成風景は、さながら
    人間を等身大で再現できる3Dプリンターが
    あればおそらくこのような形で
    出力されるだろうと言った具合だ。




    しかし当の場所は裏通りとはいえ
    街中の路地、その片隅である。

    誰かに目撃されれば無論、事も無し
    ・・とは行く筈も無い。



    相変わらず全身が転送先に
    書き出されるまで身体の自由が
    利かない為、転送されている最中も
    何が何だか分からない、といった様子の
    エレン、ハンジ両名。







    ミカサ「・・もう大丈夫だ。目隠しは
        外していい・・・」





    ハンジ「な・・・なにコレ・・・。」
        (汗だく)キョロキョロ





    エレン「 ∑(゜Д゜; ≡;゜Д゜)」







    ミカサ「・・・イリュージョン。」



    ハンジ「いや・・・いやいやいや!!!

        視覚的な騙しならともかく、
        これ、明らかに違う場所に
        飛ばされてるよね!?」バッ





    携帯の時計を急いで確認するハンジだが




    ハンジ「・・・・でも時間はまったく
        さっきまでのままだ・・・
        意識を失った記憶も無ければ
        乗り物に乗った形跡も・・・」
        ブツブツブツ・・・・(;゚△゚)



    エレン「すげえ・・・!!これが
       壁の外の技術だってのか・・・!!?

       それにあっちの通り・・・人の
       多さがミカサの住んでる場所の
       比じゃねえぞ・・!」
       ゥオオ・・・




    ハンジ「いや・・君の境遇をあまり理解
        出来てない私がこういうのも
        何なんだけど・・今私達の身に
        起こった事はこの世界の
        文明レベルから考えても・・・

        かなり普通の事じゃないよ;
        明らかな超常現象だって・・・」



  42. 42 : : 2015/02/17(火) 20:11:44




    続いて携帯のGPSで現在地を視覚的に
    確認するハンジ。




    ハンジ「東京都・・外神田・・間違いない・・
        もうココ秋葉原だ・・・;」
        (;゚Д゚)  




    ミカサ「じゃあ・・取りあえず私に
        付いてきてほしい。
        
        ハンジさんも・・別行動を
        とるならそれでも構わないけど
        もし私達と一緒に来るなら
        最初は此方の用事を優先して
        貰っても・・・・?」





    ハンジ「ぜ~んぜん!♪寧ろ私は
        引率みたいなモンなんだし、
        こっちの事は気にしないで!

        ミカサとキミ・・あ、っと
        “エレン”か!・・とにかく
        お二人で心行くまでデートを
        楽しめばいい!お邪魔なら
        別行動でも全然構わないよ!」





    ミカサ「デッ・・!デートッ・・・とか・・・
        私がエレンをここに連れて
        来たのは・・そういうものでは」
        イジイジ・・・・(///..)φ


      


    エレン「おいミカサ!すげえぞ!!
        肉が!!でっけえ肉が回しながら
        焼かれてる!!!!」
        (サシャが見たら発狂するぞ!!?)



    エレンが好奇の目を向けたのは
    ドネルケバブサンドを専門に扱う
    出店であった。




    ハンジ「うわっ!!!超美味そう!!!
        そう言えばここって祭りとか
        無くても何故かケバブ屋の
        密集地なんだよね!

        エレン、一緒に食べるか!!?」
        (財布OPEN)




    エレン「い、いいんですかハンジさん!!?」





    ミカサ「ぁっ・・私が・・・」





    ハンジ「ほらほら、じゃあ3人で
        食べよう!!私が出すからさ!!

        ん~・・・えっと・・
        ええい面倒だ!全部BIG SIZEで
        いいよね!!」





    ~間食タイム~




    エレン「うぉ・・・受け取った時は
        こんなものかって思いましたが
        ・・食ってるとコレすごく
        ボリューム有りますね・・
        ・・・というか・・・・;」
        モグモグ・・・(ジワ・・・・・)





    ハンジ「ん?!オイぉぃエレン?!
        嬉し泣きか!!?そんなに
        美味かったのか!!?
        
        いやこれは確かに美味いけどさ」
        ムグムグ




    エレン「こんなしっかりした肉
        食ったの久しぶり・・どころか
        初めてかも知れません・・
        (ウマイ....)

        しかもこれ豚肉じゃ
        ないですよね・・・・」
        ポロポロ・・・




    ハンジ「そうだよ!一応牛100だ。
        やっぱり肉々しさが違うね。

         
        しかしエレンが元居た世界って
        そんなに肉にありつけない
        ような生活だったの・・?」
        モグモグ




    バッサバッサ・・・

           バタタ・・・



    エレン「え、ええ・・・
        それに一部の上官に食用が
        許可されている肉ですら
        燻されたハムとかですから。

        こんな・・生から味付けして
        直接火を通したようなのは・・」
        ハフハフ・・・




    ミカサ「・・・エレン。肉に夢中になるのは
        良いが・・。一緒に挟まっている
        トマトをいつまでも齧ろうと
        しないのは何故。。」
        ジトリ・・・・





    エレン「ぅっ・・・」ギク
        ボロボロ・・





    ミカサ「それにキャベツの千切りも
        さりげなく零して鳩の餌として
        隠滅しようとしている。

        町内美化の妨げだ・・・
        鳩に餌をあげてはだめ。」





    ハンジ「おっとぉエレン?w
        好き嫌いはいけないなぁw
        ほら、ちゃんと見てて
        あげるからきちんと
        トマトを食べるんだ。」




    エレン「ム…ぬぐぅ・・・!!」
        (; ・`д・´)
       

  43. 43 : : 2015/02/17(火) 20:14:35


    ~ケバブ完食~






    ハンジ「ップフゥ~~~・・・
        ぁ~喰った喰った!!」




    エレン「間食の積もりが、これで
       十分昼飯になっちゃいましたね」





    ミカサ「・・食べる物も食べた所で・・・
        今度こそ私についてきて
        欲しい・・エレン。

        これは結構エレンにとっても
        大事な事だ。エレンの感じ方
        次第ではこれからの貴方の
        生き方にも関わってくる。」



    エレン「これだけ突拍子も無い
        体験を続けざまにさせられて
        この上まだ何かあるのかよ。

        ・・・まあそれがオレにとって
        重要な事だって言うなら・・

        ついて行くしかねえだろ・・」





    ハンジ「色々と大変なんだねぇ・・・
        いや、事情はさっぱりだけど」





    エレン「ハンジさん・・元に
        戻りましたね・・・姿が。」





    ハンジ「え?あ!本当だ!!
        いやぁ・・まったく・・・

        早く元に戻ってくれたのは
        良かったけどリヴァイ達には
        おちょくられるし散々な
        目にあった。」ウンウン。




    エレン「・・・・・」ジィィ・・・・





    ハンジ「・・・ところでさ・・え~と、
        “エレン?”」




    エレン「・・はい、何でしょう?
        ハンジさん??」




    ハンジ「君の様子を察するには・・
        どうやら私の事も君は良く
        知ってる風な感じだったけど・・・

        君の言う“世界”での私達
        二人の関係っていうのは
        いったいどんな感じだったの?」




    エレン「えっと・・・兵長、と
        同じで上官です。・・ただ
        大本の組織は一緒ですが直接の
        班内の上官、という感じでは
        無くって・・別の分隊の
        上官でした。」




    ハンジ「兵長っ・・ていうと・・それは
       リヴァイの事なのかな・・?」




    エレン「ハイ。・・・そうです。

        正式には兵士長ですけど」




    ハンジ「フハッwwあの身長で
        兵士の長なんてやってたんだw
        ・・・いや、人の上に立つ
        器では有るけど流石にそれはw」




    エレン「ァッ・・・!バカにしてますね・・!?

       兵長は本当に凄い兵士なんですよ!!
       4000人の兵士と天秤にかけて
       拮抗するだけの戦力を持つとの
       実力を認められてるんですから!!」




    ハンジ「・・その4000人力の兵士様は
       売れ残りの小魚を毎晩ひっそりと
       自室で炭火調理して野菜の漬物を
       ご飯のお供に慎ましやかな
       食事を摂る毎日を送ってるよ。

       ・・・少なくとも
       こっちの世界じゃぁねw」




    エレン「食事風景とかは
        関係ありません!!」
        (; ・`д・´)





    ハンジ「それよりもホラ、話の内容は
       君と私の間柄についてだったろ?

       ・・・で、結局部署やら班やらが
       違ったって事はそんなに私は君と
       仲が良くなかったとか・・・

       関わり合いが薄いとかそういう
       間柄だったのかな?」




    エレン「いえ・・そんな事は・・・
       無かったと思います。

       寧ろ話す機会は断然多かったです
        
       ・・けど、オレの体質が色々と
       関係してて・・・オレ自身は
       ハンジさんの研究対象・・って
       感じでしたが(苦笑)」


  44. 44 : : 2015/02/17(火) 20:20:18



    ハンジ「え・・?け、研究・・?
        エレン、それって一体」







    エレン「っあ・・・!?」







    ・・・と、ミカサについて行く形で
    通りを歩いていたエレンが
    目を奪われたのは・・・・





    エレン「お、おい!ミカサ!!?
        あそこに調査兵がいるぞ!
        
        立体機動なんか使えるのかって
        くらいの体型してるがありゃ
        間違いな・・・く・・・?」



    自らが良く知る隊服をその身に纏い、
    同伴者らと和気藹々な空気で
    会話しながら通りを行く一人の男性で
    あった。大分恰幅が良い体格である。




    そしてその目に次々と留まる違和感に
    歩みを止めて固まる。





    エレン「いや・・・支持ベルトの本数と
       位置が・・何より材質が
       全く違う・・・・!?

       それどころか隊服も近くで見ると
       生地からして造りがまるで・・・!」
       ブーツモ 違ウ・・・・!





    ハンジ「エレン。あれはね、“コスプレ”
        って言うんだよ。」






    ミカサ「・・・・・・・」






    エレン「コス・・・ぷれ?ですか?」





    ハンジ「ああ。・・お話の中の人の
        恰好を忠実に真似た・・・
        いわゆる仮装の事さ。

        この街は比較的そういう風潮に
        大らかな街だから結構な頻度で
        見かけるけど・・まああまり
        他の街では大手を振って
        歩いてるって事は無いよ」
        ォウ・・パツンパツン ダナ





    エレン「え・・・あの・・お話って」






    ミカサ「着いた。ここだ・・・・」




    ハンジ「・・・お・・?ここは・・・」




    ミカサが出入り口で立ち止り、
    進入を促すのは・・通りからでも
    店内にクレーンゲームなどが所狭しと
    並ぶ様が確認できる・・

    ゲームセンターであった。



  45. 45 : : 2015/02/17(火) 20:22:51





    エレン「何だ・・??
        随分騒がしい所だな・・!

        そ、それよりもミカサ、
        今ハンジさんが言ってた事と
        さっきお前が言ってた事で
        一つどうしても聞きたい事が
        ・・・・・!!」



    ミカサ「エレンが聞きたい事が何なのか
       ・・・私には何となく分かる。

       ・・・だから私についてきて欲しい。

       ・・・そうすれば・・・・あなたの疑問も
       恐らくそれで幾らかは解決する」




    ミカサに案内されて辿り着いたのは
    ゲームセンターの一角。



    一機のクレーンゲーム機の前であった。




    エレン「こ・・・これ・・は・・・!?」



    景品として鎮座している紙箱の中身は・・
    先程、次元の狭間を超えての再会を
    果たした・・・他でもない敬愛なる
    自らの班長の姿だった。



    『リヴァイフィギュア立体機動ver』



    エレン「・・・・・・・」




    そして箱正面など、または
    クレーンマシン内部、背景を
    彩るタペストリー等にも所々に
    目立つ形で踊る、未知の世界の文字で
    したためられた大きな字体の単語。





    エレン「しんげきの・・巨人・・・?」





    ミカサ「・・やはり文字は問題なく
        読めるのね・・?」




    エレン「い、いやミカサ!!そうだよ!!
        さっきからずっと変だと
        思ってたんだ・・!

        これはっ・・・これはモロに
        兵長じゃねえか!!

        兵団のケープも、立体機動も
        そのままの格好だ!!!
        コレを見てもハンジさんは
        ・・・・!(バッ)」



    脂汗を流しつつも真横を振り向いた
    エレンの目に飛び込んで来た光景は・・





    ハンジ「うっは~~!!wナニこれウケる!

       リヴァイのちみキャラじゃん!!
       コレ取れたらペトラ絶対喜ぶぞ!?」
       ヤッベ、チャレンジシヨ!(チャリン♪)





    そのすぐ真横に設置されていた
    クレーンゲーム内に複数体並べられ・・・

    機内照明の蛍光灯の光を受け、
    台座に内臓された太陽光発電機構から
    得た電力で頭部を左右に揺らしている・・・

    2頭身デフォルメで造形された
    尊敬する上官の姿であった・・・





  46. 46 : : 2015/02/17(火) 20:25:27








    『ゆらゆらソーラーリヴァイお掃除ver』



    エレン「ぁあ・・・!?へ、兵長が・・!
        なんてお姿に・・・・!!」ベタリ・・
        (;´Д`)ノ



    ハンジ「ちょっ!エレン!
        狙いが付け辛いだろ!
        ガラスからちょっと離れて!」
        チョイチョイ;




    ミカサ「・・・理解できた?」



    エレン「・・・何がだよ・・。」



    ウィンドウ内にて尚も心無き機械の動きで
    その首を揺らし続ける上官の姿を
    死んだ魚の様な目で見つめながら
    うわの空で返すエレン。





    ミカサ「この世界においては・・
       私達のいた世界であった出来事は
       全て・・作り話の物語という事に
       なってしまっている。

       そしてそれに関しての疑問も、
       指摘も・・“彼ら”が受ける事は
       無いし、また自分達で気が付く事も
       不可能ということになっている。


       ・・しかし今見ている通り、
       その対象がああしてくだけた 
       形のモノだったり、シリアス
       要素を一切含まない形式でなら・・
       彼らは普通に元居た世界の記憶を
       思い出すこともできる」



    ハンジ「っあ!!ックッソ!!惜しい!!
       ってかアームの力弱すぎない!?」
       ツメモ マガッテルシ!!




    エレン「どうでもいいが・・この機械は
        何をするための物なんだ・・?」



    ミカサ「“クレーンゲーム”という。

        簡単に言ってしまえば賭博の
        一種だ。硬貨と引き換えにして
        ああして二つのボタンを
        一回ずつ押す権利を買い取る。」



    ハンジ「アッーーーー!!!」
        (ノД`)・゜・。




    ミカサ「その操作でうまくあの箱を
        落とすことができれば
        その景品は晴れて自らの物に」





    ハンジ「もうぁったま来たぞ・・!
        倍プッシュだ・・・・!!

        ここにいるちみキャラリヴァイ
        全部捕獲してリヴァイん家の
        窓際に並べてやる・・・・!」
        チャリン...(五百円硬貨投入)



    ミカサ「ハンジさん・・・あまり
        ムキにならない方が良い。

        それくらいなら私でも
        取れるから・・良ければ
        代わる。」




    ハンジ「え・・?!い、いいのミカサ!?」




    ミカサ「いい・・。それに6回も
        トライできるのに一個も
        落とせなかったら勿体ない」
        スッ・・・



  47. 47 : : 2015/02/17(火) 20:29:22



    エレン「・・・しかしミカサ。

        百歩譲ってその話が本当だと
        すると・・じゃあそのお話
        ってのは・・やっぱり兵長が
        主役の話なんだな。これだけ
        幅広い形で使われてるって
        事は。」




    ミカサ「いや・・・主人公は・・・
        ・・エレン。あなただ」
        カチ・・・・
              ググ・・・



    エレン「は・・・?」



    ミカサの操作するロボットアームの
    爪先が景品引っかけ部分の支点、
    その僅かな狭間に突き刺さる。


    そのまま支持力も何も関係なく、
    差し込まれた景品を取り出し口まで
    つりさげながら運んでいくアーム。



    ハンジ「ぅ・・ぉお・・おお・・!」





    ゴトン





    ハンジ「ぅおおおお!!!よっしゃ――!
        チビリヴァイゲットだぜ――!!

        すっげーよミカサ!!一発とか!!」
        \(^o^)/(\コロンビア――!!/)





    エレン「な・・・何でオレなんだよ・・?
        普通に考えて兵長の方が
        腕も立つし格好もつくだろ・・?!

        それにこんなに精密な人形が
        作られるまでの人気や知名度が
        あるんなら・・・」




    ミカサ「それは私に言われても困る。
        ・・・色々と他にも細かい部分で
        説明するところはあるが・・・
        とりあえずはそういう事だ。」




    エレン「だから、どういう事だよ!!

        オレに元居た世界の事は
        さっぱり忘れろと!!お前は
        そう言いたいのか・・?!」



    ミカサ「そうでもあるし・・
        違うとも言える。・・エレン。
        思い出して。私が・・さっき
        兵長をどう呼んでいたか
        覚えている?」




    エレン「そうだ・・それもだ・・・・!
        なんで・・・お前、あんな
        呼び方するほど兵長とは
        仲が良くなかった筈だし、

        下手をすれば兵長の性格じゃ
        例え女でも蹴られるだろ・・!
        あんなふざけた呼び方したら;」




    ミカサ「この世界で私は・・・兵長の
        従妹として存在している。

        ・・・だから苗字も同じ。」




    エレン「ダメだ・・!もう今はこれ以上
        何も考えたくねえ・・・!

        とりあえず、ここが元居た世界の
        壁の外とかそんな次元じゃ無く
        まるっきり“違う世界”だって
        事は・・理解できた。」
  48. 48 : : 2015/02/17(火) 20:33:00




    ミカサ「それさえ受け止めて貰えれば
        今は充分だ・・・エレン。」
        ガシッ・・・



    エレン「な・・なんだよ」



    真剣な眼差しを己に向け、
    両肩を掴んでくる幼馴染の顔に
    たじろぐエレン。




    ミカサ「これから私と一緒に・・
        “アルミン”を探すのを
        手伝ってほしい・・・・」





    エレン「・・・・・・!」




    ミカサ「エレンの感覚ではまだ良く理解
        出来ないと思うけど・・

        この世界まで、エレンの様にして
        記憶を留めたままやってきた
        人間は・・もう一人いる。

        ・・それがアルミン。
        そのほかの人は・・・先に説明
        した通り。私達の様に常に
        元居た世界の記憶を思い出せる
        訳では無い。」




    ハンジ「っくしょ~~~!!!##
        残りの5回は全部外した・・!!!
        でもまぁ・・・・一個
        手に入ったんだからいっか;」
        アハハ、カワイイ;(ユラユラ)




    エレン「お前・・・オレはさっきから
        お前の説明を受けるままでいる
        しかないんだが・・どうして
        そこまで詳しく色々と
        知ってるんだ・・?」





    ミカサ「私には・・何となく分かるから」




    エレン「(溜息)・・オレが何言ったって
       この状況が解決する訳じゃ
       ねえしな・・・;いい。もう分かった。

       オレだってこんな誰も彼もに
       忘れられた世界には正直かなり
       参ってた所だ。

       ミカサ・・・お前だけがオレを
       憶えててくれてた。
       その時点でオレにはお前しか
       頼れる奴がいねえ。

       ・・一緒にアルミンを・・・
       ・・・必ず見つけ出すぞ」






    ミカサ「わ・・わた・・わたし・・
        わたししか・・・?」ヘナヘナ・・
        ボロボロボロ・・・・






    ハンジ「わっ・・?!?!え、エレン!!?
        あんた何言ったの!?!?

        女の子泣かすなよ~~!!」
        ナ~イチャッタ~ナイチャッタ!




    エレン「なっ・・?!?い、いえ!!!
        オレなにも酷い事なんて!!!」
        オロオロオロ・・・;




    ミカサ「ぅっ・・フグ・・・・;;」
        (号泣)





    ハンジ「って・・マジ泣きだぞこりゃ・・
        エレン、ホントに何言ったんだ
        ・・・・?(ジロ~・・・)」




    エレン「本当に何にも言ってませんよ!!」
        (;゚Д゚)
  49. 49 : : 2015/02/19(木) 02:06:37





    ミカサ「(グズ・・・・ッスン....)」
        メソメソ//;



    エレン「ほ、ホラ・・!!お前も
        何で泣きだしたか知らねーけど
        いつまでも泣いてんじゃねえよ!

        オレがなんか悪いこと
        したみてぇじゃねえか!」
        (;´・ω・)



    ハンジ「と、取り敢えず用は済んだ・・
        んだよね?一応ここから
        出ようか。」




    ―裏通り―




    エレン「・・・しかしハンジさん。
        あの・・コスプレっていう
        やつ、物凄く一杯立ってますね。
        なんか紙配ってますけど」




    ハンジ「ああ・・アレはさっき
        言ったのとは違う感じのヤツ
        かな。・・・彼女達は皆
        仕事でああいう格好してる
        だけだから。メイドさんて
        言うんだよ。」(携帯チェック)




    エレン「仕事・・ですか・・色々あるんですね
       仮装にも・・・・」
       メイドサン・・ ハデダナ・・






    ハンジ「・・・ごめんね、ちょっと
        電話良いかな。あっちが
        どうしてるかどうにも
        気になっちゃってw」
        ニヤニヤ




    エレン「・・・ハイ?(デンワ?)」





    ミカサ「大丈夫だ・・エレン。(グス)

        どうぞ、ゆっくり歩くので。」




    ハンジ「サンキュー、ミカサ!」
        (発信PUSH)




    エレン「なぁおい、ミカサ?
        ・・・デンワって何だ」




    ミカサ「まだ説明したことが無かった・・

        こういう形をした機械の事。
        この世界の人間では殆どの
        人が持っていて・・
        コレを持っている人間
        同士であれば・・・

        どんなに離れた場所にいる
        人とも大体会話ができる。」
        (スマホ取り出し)






    エレン「・・・・おい、それは流石に
        オレをバカにしてるだろ・・

        そんな冗談に引っかかって
        驚くオレを見て何か
        楽しい事でもあるのか?」
        ジト・・・・




    ミカサ「なっ・・!!?冗談などでは
        ない・・!みっ・・見てて、
        え、えっと・・・(アセアセ)

        ぁ・・・・」



    固まるミカサ。





    ミカサ「(そもそも誰にかければ
        エレンを納得させられる・・?;

        リヴァっちの番号は知らないし、
        今リヴァっちにはハンジさんが
        かけている・・;)」
        フイッ・・・・



    エレン「・・・・・・・?」
        ジロジロ



    ミカサ「(それにエレンを知っていて
        尚且つ私が電話番号を
        知っている人間なんて・・
        まだこの世界には・・・;)」




  50. 50 : : 2015/02/19(木) 02:10:24






    エレン「なんだよ、できねーのか・・?」
        シラーー・・・・





    ミカサ「で、できるけど・・!
        でもその・・・・!」




    エレン「別にいいって無理しなくても。
        苦しい冗談じゃ笑いも満足には
        とれないぜ」フイッ



    意地の悪そうな顔でソッポを向くエレン。




    その偶然行った動作が・・彼らの運命の
    引き合わせの一つであるとも自覚せずに。


    彼は送った視界の先に一つの既視感を
    認め、ミカサに告げた 





    エレン「あ、おいミカサ!!あそこの
        メイドサン、見てみろよ!!」




    ミカサ「・・・・・?
        どこ・・?」





    エレンが指差す先は路地の角、丁度
    建物の2階バルコニー部分がメイド喫茶の
    宣伝スペースとなっている場所。

    そこには見栄えのする宣伝要員として
    選定され、客引きの為か絶えず掌を
    ひらひらと道行く人々に向けて
    振っている、コスプレ衣装を身に纏った
    客引きの呼び子が立っていた。




    エレン「アルミンのコスプレ?じゃねえか
        アレ・・・?!よく似てるぜ!?」



    ミカサ「・・・・??」
        ジィィィ・・・



    先程まで涙でぐずついていた視界を
    精一杯凝らして2階バルコニー部分を
    凝視するミカサだったが・・・


    その反応は、意外な事にエレンの
    示唆した先から起こったのだった。




    ???「っ、お、おい、お主
      何をしておる!?ちょっ・・
      
      危なっ・・あ、うわっ!!」




    バッ





    エレン「っ・・・あ・・・・!!???」




    瞬間、思わず上を向いたまま固まって
    しまうエレン。その目はあまりの驚きに
    見開かれていた。



    ・・無理も無い。



    エレンの指差した先に居た内の一人が
    ・・・自らを指差すエレンに気付いた
    途端に、信じられない行動に出たからだ。



    何と地上二階部分から、丁度エレン達の
    居るど真ん中へ向けての・・




    ――――・・・一切の躊躇無い身投げ。






    たったそれだけの距離と言えば
    それまでなので、身投げを行った
    本人にとっても落ちるまでの時間は当然
    一瞬であったし、逆の立場である
    エレン達にとってもそれは一瞬の
    出来事の筈だった。


    しかし、その光景は・・とりわけ真下に
    居ながらにして身投げを命懸けで
    受け止めなければならないエレンに
    とって・・・恐ろしくゆっくりとした
    映像になって彼の瞬間記憶領域に踊った。



    だが、最もエレン達(彼ら)が驚かされたのは
    建物の2階から人が降ってきた
    という事実そのものではなく・・・







    その本人の姿と叫び声だった。










    アルミン「エレェェエエエエン!!!!」









    旧知の幼馴染捜索の決意から実に
    数分足らずの・・それはあまりにも早い
    突然の邂逅であった。

  51. 51 : : 2015/02/19(木) 02:14:16




    ~現在公開可能な情報㉙~






    アルミン・アルレルト







    遂に、というより思ったよりも全然早く
    ミカサ、エレンとの合流を果たした
    幼馴染3人衆最後の一人。



    “此方の世界”へ飛ばされるに至っては
    上野公園にて現界。原作世界での
    その時のアルミンの格好は、丁度13、14巻
    辺り、つまり

    此方の世界でもし装備でも
    していようものなら、浮きまくって
    しまうこと請け合いな隊服も
    立体機動装置も身に着けておらず、


    おまけにこれぞ神が味方したかと
    言いたくなる程幸運な事に、
    逃亡用の食糧を目一杯に詰めた
    バックパックがその背にはあった為、

    驚異的に頭の回るアルミンにとって
    自らが置かれた状況を理解するまで
    餓死せずに食い繋ぐのに、それは
    充分すぎる量であった。



    理解する事は出来るが、明らかに
    自らが元居た世界で使われていた物とは
    異なる言語。

    そして読むことはできるが
    自らが書き起こすことは出来ない
    文字にも、持ち前の貪欲な
    学習力でもって
    日常生活に支障が無いレベルにまで
    己の身に独学で詰め込んでいった。



    公園界隈に暮らしている先人とも直ぐに
    打ち解け、逞しくも生来の特化技能とも
    言える・・その“生き残る術”を
    発揮しながら・・・

    戸籍も、住居も無い状態から
    アルミ缶潰し、チラシ配り、靴磨きと
    手を出せるものには全て挑戦していき、


    暫くの食費が要らなかった事も
    助けとなってか、身分証明無しで可能な
    まっとうな仕事のみをこなしながらも、
    週3回は銭湯で入浴を行っても何とか
    食費を確保出来る段までに
    生活が安定した時期・・・




    ついに彼に一つの転機が訪れた。




    11月は月末より上野にて開催された・・・



    あの“進撃の巨人展”である。



    情報収集源が、殆ど公園内部に留まって
    居た上、原作タイトルの名称を知らない
    アルミンにとっては作中の固有名称を
    何か口にしたとてこの世界では、
    その切っ掛けを掴む糸口すらなく、

    (極身近な周囲にいたのは年配者ばかりで
    その上そのような娯楽には殆ど
    縁の無い人間ばかりであった為)

    もはや諦め半分となってこの世界での
    生き方を模索していたアルミン。



    しかし、そんな彼を導く
    天啓となるものが・・そこにはあった。



    人気の多さに誘われ、散歩がてらに
    足を踏み入れた、上野の森美術館周辺
    ・・そして


    長蛇の列が吸い込まれていく建物に
    これでもかという程に巨大に描かれた・・



    今最もこの世で逢いたい昔馴染みの
    咆哮する姿だった。

  52. 52 : : 2015/02/19(木) 02:18:31



    その場で午後の仕事の予定なども全て
    忘れる程の衝撃に撃たれたアルミンは
    入場料1400円という
    当時の生活サイクルから考えれば
    どう考えても衝動的には手放せない
    生活費の要を即手放す事を決断し・・

    代わりにあと数十分後にはただの
    紙切れに等しい半券となってしまう
    チケットを胸に抱いたまま、
    その長蛇の列に並んでいた。



    『もう・・・これしかない。』



    その時アルミンはそう思った。
    もっと彼がこの世界の事、そして
    娯楽に通じる情報を得ていれば、
    電車で往復2~300円・・・否、

    充分歩きで行ける距離に・・・


    運さえ良ければ自らが
    毎日身に纏っていたものと
    同じ意匠の衣服を身に纏った人間すら
    うろついている事もある・・

    娯楽特化型の街がある事に
    気付く事も出来たのだろう。



    しかし、そうはならなかった。



    寧ろ・・・それが彼にとって幸いした
    のかもしれない。単行本や映像作品
    等に辿り着けるだけでは漠然と理解
    する事が出来なかった・・・



    “自らの生い立ち”という軌跡が・・




    そこには確かな形であったからだ。





    ――彼は全てを“識った”





    自らの真なる産みの親を。





    自らのこの世界での在り方を。




    自らの居た世界が・・・
    この世界にとっての何であるかを。




    そう、彼は確かに真実に辿り着けはした。




    ・・・しかし、その心はこの世界に
    流れ着いた時以上の闇に囚われて
    しまっていた。




    「もうエレンには・・ミカサには。

     ・・この先何をどう頑張って、

     何をしても逢えないのかもしれない」




    それだけだった。




    彼の中に行っては戻って、そうして
    繰り返し駆け巡っていた感情は。




    ――ただそれだけ。




    そんな状態でどれ程の間・・・
    物販エリアを抜けた出入り口付近で
    呆けていただろうか。


    明るかった筈の周囲は完全に真っ暗に
    なっていた為、季節的な陽の落ちる
    早さを考慮しても1時間以上はその場に
    抜け殻のようにして立っていたのだろう。


    おまけに天気も崩れ出し、徐々に肩に
    穿たれる水滴の感覚も彼は
    確かに感じていた。



    しかし何を考えようと身体が
    動いてはくれなかった。



    途中、整理入場の区切りの為に邪魔に
    なってしまうため、流石に
    屋外まで移動させられていた事にすら
    気付けず、

    全身を穿ち、衣服を重くしていく
    雨粒すら気にも留めず・・・


    貼り付いた前髪の隙間から覗く、
    光の無い眼差し。


    鉛色の曇天を樹木の枝葉越しに
    眺め続けるその姿。





    誰がどう見ても只事ではないと
    一見して理解できる状況では
    あったのだが、

    しかしそれだけに誰もが
    強引にそこから彼を引き剥がそうとは
    出来ないでいた。



    待機列監視スタッフによる
    体調を慮る呼びかけにも生返事しか
    返せないその惨状に・・・



    流石に同スタッフ達も


    “そろそろ警察でも呼んで保護して
    もらうべきか”と案じかけていたその時。



    次なる整理入場一発目の退出者である
    一組の女子が彼に声を掛けた事により





    ・・再び彼の運命は動き出す。






  53. 53 : : 2015/02/19(木) 02:22:14






    ~現在公開可能な情報㉚~





    抑止力






    壊滅的な設定概念を持つ
    しっちゃかめっちゃかな現パロの
    矛盾を支える様に作用する一つの力。


    即ち、非常に分りやすく言うなら
    “進撃の巨人”というメディアが
    普通に周囲に浸透している世界で
    暮らしているにも関わらず、

    何故その世界から名称も容姿も
    そのままに抜け出して来たかのような
    リヴァイ達が周囲から何の指摘も
    受けないのか。


    ・・等と言ったごく当たり前の矛盾を
    強引に通さんとする、ある種の
    認識阻害効果。



    これらもリヴァイ達の原作記憶設定と
    同様に、極度のギャグに突入している
    場合等には効果が薄れる傾向にあるが、

    少しでもその場にシリアスな属性が
    匂っている状態では最大限の効力を
    発揮する。



    ・・但し、先述の情報で触れた様に、
    エレン・ミカサ・アルミンの三人に
    限ってはその影響を殆ど受けない。


    それに似た形ではあるが・・どうやら
    そうでない者であっても、
    素の人格にして、現実と虚構の境界が
    非常にあいまいになってしまっている
    者に関しては・・この阻害効果が
    幾らか薄れる傾向にあるらしい。


  54. 54 : : 2015/02/19(木) 02:23:36




    ~現在公開可能な情報㉛~






    現界




    この世界での進撃キャラの
    現界方法、つまりどのような位置付けで
    その世界にやって来たかは大別して
    2つに分けられる。



    1.

    通常転生型

    リヴァイ達の様に、此方の世界での
    産まれてから今に至るまでの記憶も、
    戸籍も、家族も存在する、
    ほぼ完璧な形での此方側の人間扱い。



    2.
    世界線跳躍型

    エレン・ミカサ・アルミン が
    これに該当する。

    原作世界の“ある時間軸”から
    突如として此方に飛ばされた形であり
    そのタイミングはそれぞれ違う。が、
    その為原作世界でのその時までの
    記憶を完全に有しており、

    例えばエレンなら巨大樹の森にて、
    女型の巨人との戦闘中にその煽りを
    喰らった為、巨人化状態のまま現界を
    果たしていた。



    一方アルミンの場合は新生リヴァイ班
    結成後、追っ手よりの逃亡の最中、
    突然の現界。


    ・・・しかしミカサの場合が最も
    特殊であり、ミカサはこのパターンに
    該当して居ながらにして、
    この世界でもリヴァイとの親縁関係
    として戸籍も有しており、
    両親も存命である。


    詳しい事は不明であるが、どうやら
    アルミン同様の経緯で現界は果たした
    ものの、この世界の住人としての
    “自分”が無ければエレンの捜索は
    絶望的であると判断したミカサが・・


    自らの意思で、その世界での自分の
    出自を“最初からやり直す”何かを
    行ったらしい。

    端的に言って“自らの転生”を
    行った可能性が最も高いとされる。


  55. 55 : : 2015/02/19(木) 02:32:10






    ――3か月程前、上野の森美術館前――







    アルミン「・・・・・・」






     雨が降っている・・・


     冷たいはずなのに・・・不思議と
     気にならないけれど。



     ・・このまま立っていたらきっと
     風邪をひいてしまうな・・・



     薄々とは分かっていた。

     見知らぬ土地、見知らぬ街の中の
     緑地帯とも遊園スペースともとれる
     あの公園に突然目が覚めたら僕は居た。

     
     周囲の人々が何故か僕にも
     “理解できる”言語を・・・
     とはいえ、僕等の話していた
     言葉とは違う言葉を話している事、

     そして、理解はできるけど
     やっぱり僕自身が書く事は出来ない
     言葉に溢れているこの世界を目にして
     今まで生き延びてきて・・・


     何か途方も無い事に巻き込まれて
     しまったのではないか・・。
     そう、薄々とは。



    アルミン「・・・・・・」







     もう諦めろ・・って事なのかな、
     これは。その為に誰かが僕に・・
     教えてくれたのかもしれない。






    ――――この世界は・・残酷だ





    アルミン「(ミカサの言っていた
       通りだったなぁ・・)」






    彼はその場で昔馴染みがいつも
    言っていたその言葉を思い出した。

  56. 56 : : 2015/02/20(金) 01:58:17





     もう・・・二人には会えないのかな



     頑張れば・・・いつまでも耐えて
     生きていればどこかで・・、

     そう、心の何処かでは信じて
     いられたんだけどなぁ・・・


     “アレ”では流石に何も言葉が出て
     来ないや・・・・






    アルミン「はは・・・」






    大体、その世界の自分達への認識を
    それらの展示物をすべて目の当りにして
    正しく認識できたアルミンではあったが
    ・・それにしては不可解な点も
    相応にあった。



    それは、展示の中にも所狭しと
    飾られている・・“自分”と同じ顔が
    そこに居るにも関わらず・・・

    周囲の人間が此方に一切の奇異な
    視線も向けてこないという事。

    向けられる視線と言えば精々
    “国籍が違うな”、くらいの奇異の
    視線でしかなかったのだ。





    アルミン「(何か・・・何か普通じゃない
       事に僕が巻き込まれたのは
       疑いようがない。しかし
       これは・・・)」





    お手上げだ。





    彼は心底そう思い、それ以上
    考えるのをやめてしまった。



    勢いを徐々に増して降り注ぐ雨足
    を気にも留めず・・・・



    そうしてどの位その場に立ち尽くして
    居ただろうか



    監視スタッフ以外の人間で
    最初にソレを目にし、そして一切の
    ためらいも無く声を掛けにいったのは


    ・・同展示会より次の時間帯の
    組として一番に退出してきた・・




    ・・二人一組の少女のうちの一人だった。



  57. 57 : : 2015/02/20(金) 02:02:26













    フェイリス「いやぁ・・凄かったニャン..

       初っ端からのリサさんの
       アレには度肝を抜かれたけど・・
       その後の展示も全てがハイクオリティ
       だったニャ・・・」
       ズッシリ・・・



    まゆり「すっごい一杯買ったねぇー
        フェリスちゃん。

        ・・重くない??」
        (持とっか?)



    フェイリス「心配はご無用ニャン。
       これでも一応はメイドの
       端くれニャ。メイドたるもの
       どのような雑役にも笑顔で
       徹するものニャ!

       ・・・ってアレ・・」




    まゆり「・・・ん~?」





    フェイリス「ニャ・・ニャ・・・?!
       アレは・・・」




    アルミン「・・・・・」



    そこには普通に見るだけには
    どうみても心に何か重い物を
    抱えている様にしか見えない、


    只々その場で空を仰ぐのみといった
    金髪碧眼の少年の姿があった。


    降り注ぐ雨を気にも留めず
    ぼんやりとした顔つきで
    既に全身が濡れてしまっている。



    フェイリス「ニャニャ・・!び・・美少年ニャ・・!

       水も滴る金髪ショタっ子ニャ・・!」
       ォォォ・・・!;



    まゆり「ぁあ・・雨降ってる・・・
        傘もってきてよかったぁ・・
        はい、フェリスちゃん。」
        トトト・・




    フェイリス「にゃ・・・?マユシィ、
       どこ行くニャ?」




    まゆり「どこって・・
        聞いてみるんだよ・・?
        なんでカサも刺さないで
        そこにいるの?って・・・

        雨降ってるのに・・・
        あんなところに居たら
        風邪をひいちゃうのです」




    フェイリス「そ・・それはもっともだけどニャ
       ・・見るからに何か重い理由が
       ありそうニャ・・・;大丈・・」





    しかし、既に彼女は彼に話しかけていた。




  58. 58 : : 2015/02/20(金) 02:04:19





    まゆり「こんにちわぁ」




    アルミン「・・・・・・?」

     同じくらいの歳だろうか・・?
     いや・・少し年上の人・・?



    そこでアルミンに声を掛けて来たのは・・
    青いクロシェ帽に青いワンピース、
    膝丈上デニムパンツを履き、
    ワンピースの上にコートを羽織って、
    ブーツを履いた若干年上と思われる
    少女だった。

    帽子の際から外跳ねするボサボサの
    黒いショートヘア、見る者の警戒心を
    全て削ぎ落としてしまうかのような
    穏やかな顔つきと目つきが特徴的である。



    その隣にはピンクの髪をツインテールに
    結って冬物メイド服の上にケープを
    羽織っている同い年位の少女が。


    体つきや身長などは充分年上に
    見えるものの、両者ともに
    幼さの残る顔をした女性を前に
    内心でのみ首を傾げるアルミン。





    まゆり「濡れちゃうよ・・?
        誰かを待ってるの?

        お友達と一緒にきたの?
        それとも・・家族の人かな」




    アルミン「・・・・・・」





    まゆり「あ・・ごめんなさい、
        ソーリぃ・・?言葉、
        分んなかったかなぁ」





    アルミン「待っている人とかは・・・
      別に居ないんです」





    深く俯きながらも短くそう返すアルミン




    まゆり「あ・・、よかった、
        言葉、分るんだ・・・
        わからなかったらどうしよう
        かって・・まゆしぃ少し
        焦ってしまったのです」
        (・ω・;)



    困り顔をつくりながらもそう
    弁解する彼女を尻目にアルミンは
    それをたいして気にする様子も無く・・




    アルミン「仲の良い友達も・・・
      家族も・・・もう多分会えないと・・・

      いえ・・・・

      “居ない”んだと思います」






    そう続けた。



  59. 59 : : 2015/02/20(金) 02:06:42







    まゆり「・・・・・・?」








    アルミン「僕にも何が何だか・・分からない
      んですけど・・・。

      僕が知っていた友達も・・・
      家族も・・仲間も・・・・」




    まゆり「・・・・・・」




    アルミン「なんか・・“この世界”では
      “無かったこと”になっている
       みたいで・・・・。だから・・

       だからもう・・僕には何も・・」
       フルフル・・・・





    まゆり「・・・そんな事無いよ?」



    ギュッ・・・



    アルミン「・・・・?」



    不意に片手を包み込むその両掌。



    まゆり「キミがどこからどういう
        風にしてここに来たのか
        まゆしぃは知らないけど・・・

        キミが今まで“居た”と
        思っているならその人たちは
        ・・・・」


    アルミン「、、」



    まゆり「“無かったこと”になんて
        ならないのです。

        キミがそこにいるのは・・

        その人達のお蔭なんだよね。
        それなら・・きっと
        そうに違いないよ」
        ニコッ・・・




    アルミン「・・・・」




    徐々に涙腺も緩もうかという言葉では
    あるが、しかしそれでもやはり
    先程心に受けた衝撃は未だ消えていない。

    そんな励ましの言葉を、
    自分の様な見ず知らずの人間に
    かけてくれた事に対する陳謝のみを
    述べようとするアルミンだったが。





    まゆり「キミがそうして生きて
        居られるのはキミをこの世界に
        生んでくれたお母さんお父さん、

        ・・そして今も“逢いたい”
        って・・そう言う気持ちを
        キミに芽生えさせてくれた
        友達のお蔭なんだよ?

        ・・だから、きっと・・・・」




    ギュッ・・・




    アルミン「・・・・・!!」





    まゆり「“無かったこと”になんて、
        したらいけない・・・・って。

        まゆしぃは・・そう思うのです」


  60. 60 : : 2015/02/20(金) 02:12:03



    優しいその眼差しから感じられた光は、
    適当に宥めるような誤魔化しの類でも、

    事情を何も察していない類の人間が
    見せるものでも無かった。



    そもそも、普通ならこの状況を一見して、
    先刻のようなアルミンの言葉を聞けば、


    “何か身内に不幸でもあったのだろう”



    ・・そう想起するほうが自然である。



    ・・そしてそうなのであれば、
    たった今彼女が言った言葉はそういった
    立場の人間からしたら寧ろ心に
    重石を乗せる類の助言でしかない。


    幾ら“無かったことにはならない”
    とはいえ・・・死んでしまった人間に
    会う事は出来ないのだから。




    しかし彼女は。


    そのような軽薄な心情から
    助言を呈して居る訳では無かった。




    まゆり「とりあえずここにこのまま
        居たら風邪をひいちゃうよ?

        お家は・・近いのかなぁ?」




    アルミン「家・・というかはい。
       拠点はすぐそこですけど。
       でも・・
       もうなんか・・もう・・(俯)」




    まゆり「・・きょてん?」
        ・・ハテ?




    フェイリス「ニャ・・マユシィ??
       どうするニャ??予定ニャら
       このまま一番楽しみにしていた
       “360°哮”でトロスト区を共に
       奪還しにいく予定ニャ??」




    アルミン「っ?!」ビクッ



    フェイリス「ファッ!?」ビクッ






    まゆり「ぅう~ん・・でも見てフェリスちゃん?

       あの行列・・多分それのチケット
       待ちだよ・・?一番後ろは
       分断されちゃって見えないし・・

       あ、200分待ちだって~,..」




    フェイリス「ニャニャ!!!?に、、200!!?
       3時間以上この天気で
       待つ気かニャ!?正に心臓を捧げた
       兵士達ニャ・・・!」ゴクリ....!
       DSヤリナガラ マッテルニャ・・・!




    まゆり「まゆしぃはいくらでも待てるけど
       ・・・・・・

       フェリスちゃん、その荷物と傘を
       差して200分耐久は厳しいと
       まゆしぃは思うのです。

       チケットの購入に必要な半券は
       最終日までなくさないで
       持ってれば使えるみたいだし」



    アルミン「・・・・」

  61. 61 : : 2015/02/20(金) 02:15:22






    まゆり「・・・キミは?」




    アルミン「・・・え?」




    まゆり「キミも入場券の半券はまだ
        持ってるのかなぁって」




    アルミン「ぁ・・、ハイ、。
        濡れちゃってますけど・・」
        クシャ・・



    その手に握られてクシャクシャに
    拉げた半券を見せるアルミン。




    まゆり「、じゃあそれね、?
        なくしたらダメだよ・・??」




    アルミン「あの・・コレは・・
         また何かに使えるんですか?」




    まゆり「まだあっちの右側の列には・・
        キミも並んでないんだよね?」




    アルミン「は・・・ハイ・・」



     このチケットを購入したのは・・
     たしか左側だったハズ・・・




    まゆり「じゃあ・・また私とフェリスちゃん、
       それからキミの三人で
       近い内に見に来よう?

       今日はキミも雨に降られちゃって
       びしょ濡れみたいだし・・

       ・・とりあえずまゆしぃと
       一緒に来て欲しいのです」





    アルミン「あっ、え、あの・・・?;」




    フェイリス「マ、マユシィ?!ホントに連れてく
       ニャ!?親御さんに連絡とか
       したほうが良くないかニャ?!;」




    まゆり「ぅん・・よくわからないけど・・
        多分そういうの・・・
        
        無理そうかなって
        気がするのです。洋服・・
        ひょっとしてそれしか
        持ってない・・

        とかじゃない・・かな?」





    アルミン「わ、分かるの・・?!」





    まゆり「(動くたびにポケットから
        小銭の音がするし・・
        お財布ももっていないみたい)」



    まゆり「あの・・疑ってる訳じゃ
        ないんだよ・・?でももう一回
        聞いていいかなぁ?」




    アルミン「あ、ハイ・・どうぞ何でも・・」





    まゆり「本当にあの・・お父さんお母さんは
       ・・・・?」





    アルミン「・・、うん・・・。

       勇気づけて貰って悪いんだけど
       ・・本当に居ないんです・・、あ、
       
       いえ;物凄く遠くに居て、とても
       会いに行ける距離じゃ・・・・」
       シュン・・・




    先程のまゆりの言葉を気にしてか、
    あても付かぬ仲間や、友、そして
    元居た世界ですら存命では無い両親を
    思い浮かべて深く俯くアルミン。





    まゆり「そっかぁ・・なら決まりだね!」

    グイッ


  62. 62 : : 2015/02/20(金) 02:18:26



    アルミン「ぁ、え、でも!!一応荷物とか
       置いてある場所も・・・」






    まゆり「でも・・そこにも御着替えは
        ないんだよね・・・?」





    アルミン「、・・はい・・;
       服を洗う時に着る為の
       コートが一着あるだけで・・」





    フェイリス「ニャ・・ニャンと・・!」
       ニャニゴト・・?!





    まゆり「そっかぁ・・・じゃあ
        とりあえず急ごうか・・?

        少し急げば20分くらいで
        着くかもだから。

        あんまり濡れたままでいると
        風邪をひいちゃうのです☆」
        ギュッ・・




    そう言うと少し屈みながら
    すっかり水を吸って額に貼りついた
    アルミンの前髪を掻き分けつつ
    もう一方の手を肩に載せて
    微笑みかけてくる彼女。




    アルミン「っは・・?//ハイ....//」




    その距離感に思わず
    赤面してしまうアルミン




    フェイリス「ニャニャン・・?w少年、お顔が
       真っ赤だニャン。マユシィに
       ヒトメボレかニャン??w」




    アルミン「エッ・・・!?///いや、あの、

       そんなっ・・・!!」
       ブンブン((//'△'))




    まゆり「ほらほら~、フェリスちゃんも
        早く帰ろう?

        その荷物で傘さしながらは
        大変でしょ~・・?」





    アルミン「あ、僕持ちますから!荷物だけ
       濡れないように少しだけ
       傘の下に入れて貰えれば・・!」




    フェイリス「遠慮せず少年も入るニャン!」
       ウリウリ♪




    アルミン「いやあの、面積的に全部は
       入りませんって。。;

       僕はどうせもう濡れてしまって
       るんだし・・」オドオド





    まゆり「じゃ~とりあえず・・
        秋葉原まで歩こっか~」




    フェイリス「ニャ?!電車じゃないのかニャン!?」
       ビクーン!!



    まゆり「そんなに変わらないよ~☆
       20分も歩けば着いてしまうのです」
       (超健脚)



    フェイリス「そ・・・それはマユシィ式
       ウォーキングフォームでの
       移動時間ニャ...;フェイリスだと
       30分以上はかかるニャ・・・」




    アルミン「あ・・、でも切符買うお金とか
       無いから・・歩きだと正直
       僕も助かります」
       (兵站行進に比べれば)



    まゆり「決まりだね~☆」




    フェイリス「ニャン....」
        (;´・ω・)
  63. 63 : : 2015/02/21(土) 02:05:10




    ―その約40分後―






    ―秋葉原某雑居ビル―




    アルミン「みらい・・ガジェット・・
       けん・・きゅうじょ・・?」



    目的地へと着いた所で、まゆりが中身を
    確認している金属ポストにガムテープで
    粗末に貼り付けられた貼紙。そこに
    デカデカと踊る字を読み上げるアルミン。





    まゆり「そぅだよ~。ここの二階にある
        部屋がオカリン達の拠点に
        しているラボラトリィなのです☆」




    アルミン「(オカリン・・?)」ハテ・・・




    タン・・タンタン・・・・



    ガチャ・・・・



    階段を登り、その戸を開け放つ
    まゆりだが・・




    まゆり「トゥットゥルー♪ただいまぁ~
        ・・・って、やっぱりまだ
        誰も帰って来てないや~..」
        ノソノソ(´・ω・)ノソノソ



        バサ・・・・


    ガサガサ・・    





    アルミン「お、おじゃまします・・・・」





    まゆり「でもその方が丁度良かった
        のかなぁー・・今のうちに
        洗って来れそうだし・・・」







    アルミン「・・・・?洗う??」






    まゆり「そうだよ~。キミの服。

        濡れたままじゃ寒いでしょ?」
        キョトン





    アルミン「え・・・」





    まゆり「じゃあ・・・お風呂、
        入っちゃおうか~。洋服、
        脱いでもらっちゃってもいい?」





    アルミン「・・・え?・・・・え!!!??

       お、お風呂ですか!?いや、
       悪いですよ!!それに昨日
       入ったばかりで・・また入るなんて
       勿体ないですって!」アタフタ...!




    まゆり「普通は毎日入るんだよ~?☆

       ほら、サイズはちょっと合わない
       かもだけど、着替えは一応ここに
       置いておくので・・・早めに入って
       着替えておいてほしいのです。

       オカリン達が帰ってくるまでに
       まゆしぃはキミの服を洗いに
       行かないとだし。。」
  64. 64 : : 2015/02/21(土) 02:05:48



    アルミン「い、っ、いえあのちょっと!

       そもそも言おうと思ってたん
       ですけど、あなたは何でその・・
       見ず知らずの僕に、いきなり
       ここまでしてくれるんですか?!

       流石になんか・・・;」




    訳も分からぬうちに連れられて
    シャワーまで借りる成り行きに
    なっている自身の境遇を今再び問い質す
    アルミン。






    まゆり「キミの歳はいくつくらいなのかな?」





    アルミン「え・・・?と、歳ですか・・?
       1・・5ですけど・・・?」




    まゆり「じゃぁ・・・私と一つしか
        ちがわないよ~。・・だから、
        そんなにかしこまらなくて
        いいんだよ?それから・・・」




    アルミン「はい・・?;」




    まゆり「私の名前は、椎名まゆり。

       まゆしぃ☆と呼んで欲しいのです」


    そう言うと取り出したバスタオルを
    アルミンに手渡し、その背を
    シャワールーム戸口前まで押していく。




    アルミン「え・・?あの・・?
       本名が・・シーナ・・マユリ
       さんって言うんですよね?!

       なんでその略称になるんですか!?」
       マユシー・・・?




    まゆり「また敬語だよ~・・
        かしこまらなくて
        いいのに。。とにかく、
        まゆしぃはランドリーへ
        行って来るから・・・キミは
        先にお風呂でシャワーを浴びて
        着替えておいてほしいのです。

        一時間ちょっとあれば洗って
        乾くと思うから・・・あ、」
        ピタ・・・・



    アルミン「??;」





    まゆり「忘れてたぁ・・

        キミの名前を・・まだ聞いて
        無かったよね。。?

        名前・・、何て言うのかな??」




    アルミン「アル・・アルミン・・・
       アルレルトって言います・・・」




    まゆり「ぁ・・?アルみん☆?

        ああ、アル君って言うんだねぇ」
        (*´ω`*)



    アルミン「あのっ・・違っ・・!(;゚Д゚)」
       ハッ・・・・!



    呼称の誤りを訂正しようとして、
    ふと一つの違和感に気付くアルミン。




    アルミン「(いや・・!そもそもさっきから
       思って居た事だけどこの世界は
       何かおかしいんだ・・・!

       あの建物の中には展示品として
       僕の顔や名前は所狭しと
       並べられていたのに・・
       それどころか最初の部屋で
       流れていたのは正真正銘
       僕の声だったのに・・

       其処から出て来た筈のこの
       シーナさんは・・僕の顔を見ても、

       今こうして名前を聞いても、
       何も気に留めなかった・・!)」

  65. 65 : : 2015/02/21(土) 02:10:37





    アルミン「じゃ・・じゃあ、あの・・
       ・・それで・・;
       (ここは・・・・あえて追及
        しない方が良い気がする・・)」








    まゆり「うん~、じゃあこれからは
        アル君って呼ぶねぇ。
        ・・なんかダル君と
        被っちゃいそうだけど・・

        それじゃあ、お洋服ここに
        置くまで向うで待ってるので
        石鹸とかシャンプーは適当に
        使ってね~?」
        ヒラヒラ~



    そう言い残すとキッチンの方に移動する
    まゆり。冷蔵庫内の貯蔵物を
    整理している様子だ




    アルミン「(・・これから?;)」



    それ以上断り続けても埒が明かないので
    この際仕方ないと割り切り、その場は
    好意に甘えてシャワールームを
    借り受けることに決めたアルミン。



    羽織ったジャケットにシャツ、
    ズボンと順に脱いで行き・・、
    それらを脱衣スペースに畳み置き、
    流石に下着だけは自分で洗うため
    シャワールームへ持ち込む。




    アルミン「(全然悪い人では無さそう・・・
       というか底抜けに人が好さそう
       なんだけど・・・どうも掴みどころが
       無い人だなぁ・・・)」




    アルミン自身、当然彼女には過去に出会った
    筈も無いし、よく似た人間を知っている
    訳でも無かったが・・・・



    彼女の佇まいやその人柄にどこか
    懐かしさを憶えた様子だった。



    頭に載せたクロシェ帽や、全体的に
    おっとりとした雰囲気が、
    遠い日に分かたれた祖父の人柄等を
    脳裏に連想させたのかも
    しれない。





  66. 66 : : 2015/02/21(土) 02:12:52







    ~30分後~






    ガチャ・・





    岡部「今日も熾烈な逃走劇であった・・
       まゆり!ィ今帰ったぞ!!(ッバ!)

       キンキンに冷えたドクペを
       持てぃ!!」フゥ~~ハハハ!!




    ダル「っつか、そんなところで
       キマってないでさっさと
       靴脱ぐべきだろ常考。

       この大荷物を先に入れさせて
       ほしいお。」ガッサガサ・・・・





    岡部「ッたく・・またこんなに
       買ってきおって・・・!!

       少しは節制をしようという
       頭は無いのか・・・!
       まゆりはともかくお前は
       摂った分だけ増大していく
       んだからな・・・、
       少しは危機感を持て・・;」



    ダル「御纏めの購入に限り3割引という
       罠についカッとなって購入した。
       反省はしていない(キリッ)」



    岡部「見事に在庫処分の抱き合わせ
       商法に釣られているではないか。

       先月お徳用チョコで大外れを
       引いたあの黒歴史をもう
       忘れたのか・・!?

       少しは学習したらどうだ?
       “もうこんな激マズ
       お徳用チョコには釣られない
       クマーー!”・・・とほざいていたのは
       一体どの口だ・・・?!;」





    ダル「オカリンに言われたくないお。

       知的飲料かなにか知らないけど、
       季節柄よく考えて発言するべき。

       今11月だお(´・ω・`)
       キンキンに冷えた炭酸を
       暖房も効かせてない室内で
       欲しがるなんて常識を
       疑わざるを得ない。」


       
    牧瀬「お前がいうな。この季節にも
       Tシャツ一枚でうろつくあんたが
       言っても説得力まるで無いわよ」




    岡部「ヌぉっ!!?助手!!?

       何時の間に我が背後に!!?」
       ババッ!!!




    牧瀬「玄関のドア開けた所で
       ごちゃごちゃやってたら
       そりゃ邪魔でしょ。早くどいて
       くれない?」

  67. 67 : : 2015/02/21(土) 02:14:47





    岡部「クッ・・腕を上げおったな・・・!
       流石はザ・ゾンビ・・・!((蘇りしもの))
       面白い・・・!・・だが
       まだまだ甘いな!!これが
       機関の諜報部員クラスなら
       目標が尾行に感づく前に
       全て事は済んでいる所だ・・!!」
       ヌフフフハハ....!



    牧瀬「諜報部員が事を済ますって
       何を済ます気よ。暗殺者じゃ
       無いんだから背後まで接近する
       メリット皆無でしょ」バカナノ?アホナノ?




    ダル「いっ!異議あり!!」バッ!




    牧瀬「あんたはあんたでいきなり
       何を言い出すのよ橋田。」
       ナニニタイシテ??



    ダル「この服装に関してだお!!

       マジレスすると本編の時間軸が
       都合上ほぼ夏の3週間しかないから
       立ち絵もこのTシャツのみの
       一張羅なんだお!!別に暑くて
       こんな格好してる訳じゃ無い
       っつーの!!デブだからって
       寒さに強いと思うなよ!!?」
       (キリッ!)




    牧瀬「力一杯自慢する事か!!!」




    ダル「大体ジャケット着用なのはまだ
       いいとしても、この季節に
       そんなスタイリッシュな着こなし
       してる牧瀬氏が既に、
       “お前が言うな”状態だろ。常考」




    岡部「(カチャッ)ぁあ・・俺だ(携帯取り出し)
       この俺とした事が今日一日の
       疲労が祟ってか、助手の
       疑似追跡に気が付いて
       いなかったようだ。

       ・・・問題ない。少々気を
       抜いていたが幸い奴等に
       感づかれては居ない様だ。

       ああ・・そのように。
       エル..プサイ..コングルゥ..」
       (パタン!)   



    牧瀬「・・・ねえ岡部。只開いて閉じる
       だけじゃ退屈じゃない?
       今度から待ち受け画面じゃなくて
       03●●●●0946に掛けて
       みなさいよ。・・・大丈夫、
       何を話しかけてもきっと
       親身になって聞いてくれる
       筈だから。(生暖かい目)」 




    ダル「...ググってみた。

       メンタルケア協議会・・だってさ。

       やったね!オカリン!!
       心が癒えるお!!(*´ω`*)」





    岡部「ッフン・・・;。凡人から見れば
       我が崇高なる野望の事など
       与太話と区別する事すら
       不可能だ・・・・!精々そうして
       自らの都合の良いように
       毎日を生きる事だな・・!」
       フフッ・・フハハ・・(若干のダメージ)





    ダル「自己完結・乙」Σb(´・ω・`)






    岡部「・・にしてもダルよ。
       お前には立派なMEAT TECH(肉の鎧)
       あるではないか。まだ11月の寒気
       程度であれば案外Tシャツのみで
       事足りるのではないか」
       アツイアツイト トナエレバ




    ダル「松岡○造とかと一緒にしてほしく
       ないお!!!(#;^ω^)
       体温がどんだけあっても
       薄着してたら寒いに決まってるっ
       ての。シジミがトゥットゥル
       とか言ってる場合じゃないんだお」



    牧瀬「どうでもいいから
       いい加減部屋に入ってよ!!
       何時までたっても靴が脱げない
       じゃない!!」




    ダル「牧瀬氏・・・、その、
       “脱げないじゃない!”ってとこ、
       もっと顔を赤らめながら、
       恥ずかしそうに言って貰える?
       (真剣)」




    牧瀬「変態!! 変態!! 変態!!」





    ダル「イイ・・・・もっと罵って・・・(*´Д`)」




  68. 68 : : 2015/02/21(土) 02:19:58




    岡部「・・・して、助手よ。
       楽しんでいるところ悪いが
       俺が突然背後に現れたお前に
       驚いたのはだな・・」



    牧瀬「楽しんどらんわ!!」
       (川#゚Д゚)




    岡部「・・・・この靴、
       貴様のでは無いのか・・?」



    岡部が指差す先には・・・・雨で
    濡れているのかすっかり水を吸って
    重くなっている様子の年季の入った
    革靴が。




    牧瀬「・・違うわよ。私は自分の靴を
       他にラボに持ってきたり
       してないし、当然・・・・」




    岡部「まゆりはブーツだしな・・・」



    ダル「ちょっと待った。僕ら来た時
       鍵あいてたんだけど」



    岡部
    牧瀬 「・・・・・・」
    ダル




    牧瀬「・・・けどちょっとまって・・?
       この靴・・・・何か違う・・・」



    岡部「何の事だ・・?助手よ」




    牧瀬「まるでアンティーク屋にしか
       置いてないような靴よ。
       この国で手に入れようとするなら。
       
       縫合の感じも何か・・・凄く
       手縫いっぽいし・・・」




    トトン・・・・




    全「!!!?」




    その時、部屋の奥で不意に響く足音。




    牧瀬「ちょっ・・誰なの・・!?ほんと
       勘弁よ・・!?」アタフタ




    岡部「ふっ・・フフ・・・!落ち着け
       我が助手よ・・!きっとまゆりに
       しては珍しいサプライズの
       つもりであろう!!ここは
       どっしり構えて受け止めて
       やろうではないか・・・!」
       ビクビク・・・



    牧瀬「とかなんとか言いながら何故
       私の後ろにさり気なく回る!!?」
       アンタオトコデショ!?



    しかしそんな一行の前に





    アルミン「しっ・・シーナさんこれッ・・!
       どこからどう見ても女物の
       服じゃないですか!!////」
       フワフワ




    丈の短いスカートタイプで
    フリル満載のメイド服をその身に
    纏った・・金髪碧眼の美少年(アルミン・アルレルト)が突然
    姿を現したではないか

  69. 69 : : 2015/02/21(土) 02:23:10




    牧瀬「っ!?!?????!///」
       



    ダル「きっ・・・きっ・・!ktkr(キタコレ)ェェェ!!!!!」
       フゥォォオオ!!



    岡部「なっ・・・!??
       な・・・!?!???!何事だ!!?」



    アルミン「あっ・・・?!!///
       あの、お邪魔・・してます!!!?」



    岡部「(ババッ!!)おッ・・・俺だ!!!

       大変な事になった・・・!!
       事は一刻の猶予を争うぞっ・・!!
       機関の精神攻撃だ!!!

       奴等、とうとうハニートラップに
       『男の娘』を投入して
       きた・・・!!!
       連中は本気だ・・・・!!」
       (生唾)



    ダル「籠絡に男の娘使って来るとか
       そんな組織あったらマジ
       末期だろ・・・いや、褒め言葉
       だけど。」




    牧瀬「取り敢えず餅つけ!!!HENTAI共!!
       状況を!状況を整理するのよ!」
       (;゚Д゚)




    岡部「いや、!お前が一番落ち着け
       クリスティーナ!!ねらーが
       顔を出してるぞ!!」





    まゆり「トゥットゥル~♪二度目の
        ただいまなのです☆

        どうしたの??みんなで玄関で
        集まっちゃって・・・・あ!
        そうそう!今ねぇ、
        ちょっとお客さんが・・・」




    牧瀬「まゆり!!?一体この状況はッ・・!?」
    ダル「今北産業!!」
    岡部「機関の刺客をみすみすラボに
       招き入れるとは正気かまゆり!?」




    まゆり「一度に皆で言われても、
        まゆしぃは聖徳太子さんじゃ
        ないから困るのです(困惑)
       
        って・・わぁ☆
        すっごく似合ってるね、
        アル君~☆」




    岡部「あ・・・アル・・・?いや・・
       色々と聞きたい事は山ほどある
       訳だが・・・・

       まゆりの・・知り合いなのか?」
       ルカ子並ニ ニアッテルナ・・・!




    まゆり「今日知り合いになったんだよー。
        
        ・・・でもねー。。
        色々と難しい事情があるみたい
        でね・・?アル君は現在絶賛
        路頭に迷い中みたいなのです・・」
        シュン...(;´・ω・)




    ダル「はィぃ???!」
       (;゚Д゚)
        
    牧瀬「えっ、な、何て!!?」
       ヽ(; ゚д゚)ノ



    アルミン「(・・・間違いじゃ無いけど・・
       でもこればかりはどうしようも
       ないよ・・。どうやらこの・・

       僕らが居た街と比べるのも
       難しい程に発展した国では・・

       家を借りるにも
       戸籍謄本とかなんとかっていう
       証明書類が必要みたいだし・・
       当然ここで産まれた訳では無い
       僕には・・そんなものは無いし)」
       ズゥゥン・・・




    岡部「な・・何と・・・?!
       こ・・この歳で・・?!」
       ヌゥ・・?!;
  70. 72 : : 2015/02/25(水) 00:43:05




    ===詳細説明中===







    まゆり「・・と、いうことでアル君には
        こうしてまゆしぃと一緒に
        来てもらった訳なのです。

        もう少ししたら今度は
        乾燥機を回しに行かないと
        いけないのでそろそろ
        まゆしぃは出掛けなきゃ」
        ガタガタ



    ダル「そうかぁ~・・ってまゆ氏、
       上野の巨人展フェイリスたんと
       行って来たんよね?

       どうだったの??話題の
       オキュラスリフトは。やはり
       ヘッドセット萌え及び
       バーチャル萌えにも興味がある
       僕としては実際にやってみた人の
       意見ってヤツを・・・!」
       (*´Д`)ハァハァ



    牧瀬「ヘッドセット萌えって何属性よ
       この変態・・・(溜息)」



    まゆり「ん~ん。(首振り)

        それがねぇ・・あまりに列が
        凄すぎたのもあるし・・
        フェリスちゃんの荷物も
        多かったし何よりアル君の事も
        あったから・・まだ行って
        ないんだー。」200分マチダッテ☆




    ダル「にひゃッ・・?!?!!?」
       (;゚Д゚)ファッ!!?





    アルミン「ご、ごめんなさいっ・・なんか、
       僕のせいで楽しみにしてた物を
       一つ見られなくなってしまった
       みたいで・・・!;」オドオド;



    まゆり「いいんだよ~。半券有れば
        また行けるんだからー。

        あ、そうだー!そんなに
        気になるならダル君も一緒(ry
    ダル「ッだが断るッッ!!!」
       ブンブン((;´・ω・))ブンブン




    まゆり「なんで??あんなに待ってる
        って事はきっと・・・」




    岡部「・・・まゆりよ。
       ダルのこの積載量でそんな
       長期戦に出撃できると思うか?;

       強化人間ではないダルの事だ。

       それだけ待たされたら移動すら
       ままならずにそのまま撃沈して
       しまいかねないぞ・・」




    牧瀬「巨人のうなじと一緒に
       削いでもらえばいいのに」




    ダル「口惜しいけど流石に3時間以上とか
       ・・・ないわーー(ノД`)

       てってーランドじゃないんだしぃ」


  71. 73 : : 2015/02/25(水) 00:43:57




    岡部「・・・して、少年よ・・
       確か・・アルとか言ったか。」
       ンッンー・・??




    アルミン「あ・・・、ハ、ハイ・・・」




    岡部「・・・そうか・・・
       その若さで組織に追われる運命に
       身構えながらも・・・

       更に無宿者としてこの大都会の
       ど真ん中・・現代の荒波に揉まれ、
       生き抜かねばならんとは・・・」
       ゥムムゥ・・・;




    まゆり「そう!そうなのです!
        だからね??オカリン・・・
        まゆしぃはどうしても一つ
        オカリンにお願いしたいことが
        あって・・・」



    岡部「言わずとも分る。
       まゆりが言い出しそうな事
       くらいはな・・・だがしかし・・」
       ム~ン・・・




    ・・と、そこへ



    タンッタン・・タン!!



    軽快な足音と同時に
    ラボ入口まで階段を駆け上がって
    きたのは・・・




    フェイリス「ニャニャーー!キョーマ~!!
       凶真はいるかニャ!!?」
       ババッ



    岡部「フェイリス!?貴様バイトでは
       ないのかこの時間!?」
       イヤ、バイトジャナイノカ!ココデハ;




    フェイリス「ニャニャー・・そうだったんだけどニャ..

       どうしても気になる事が
       あった・・もん・・・ニャ・・・」
       ボテ・・・・




    アルミン「あ、先程はどうもでした・・///」




    アルミン・メイドverを
    目の当りにして、思わず持っていた
    ポーチを取り落とすフェイリス。



    フェイリス「・・・・・・・・・・・」
          ▲ ▲
       マジマジ( ↀωↀ )✧



    ・・・ガン見である。





    アルミン「ぁ・・あの・・・///」
  72. 74 : : 2015/02/25(水) 00:46:58


    フェイリス「結論だけ先に言うニャ!!!

       少年っ、ウチで働いては
       みないかニャっ!!??」ガバッ!!
       (੭ु´͈ ᐜ `͈)੭ु⁾⁾


    ガシッ・・・!



    考えるより先に身体が動いた・・・
    という様な勢いでアルミンの両手を
    しかりと握りしめて力強く
    勧誘の言葉を述べるフェイリス。


    その目は若干熱気に我を失いつつ
    あるものの、至って直線的に
    アルミンの目を見据えていた。


    相手が冗談を言っていないのだと
    その態度から察したアルミンは
    内心その申し出に心からの
    歓喜を覚えるものの・・、



    アルミン「ぇっ・・??!い、ぃぇあの!

       ・・・僕、“戸籍”っていえば
       いいんでしょうか・・?

        それ、ありませんよ・・・!?

       それどころか、住所不定・・
       っていうもので・・・」
       アタフタ;



    すんでの所で冷静な斬り返しで
    応対した。





    アルミン「つ、つまり皆さんからしたら
       不審者で浮浪者という括りに該当
       する・・・危険人物なのでは」
       アワワワ・・ヾ(゚Д`;≡;´Д゚)ノ゙




    フェイリス「問題なしニャ!!それだけ
       メイド服が似合ってれば
       問答無用でイケるニャ!!」
       Σb(*‘∀‘)グッ




    アルミン「え・・・?メイド・・服って
       この服が・・?ですか・・?


       っそ、それよりもその・・!!
       本当に戸籍っていうのが
       無くても・・・・・?!」


    フェイリス「フェイリスに任せるニャ!!
       それから少年・・少年は、
       本当にその・・住む家が・・
       帰る家が無い身の上なのかニャ?

       ・・・もしそうなら・・!」




    アルミン「え・・、はい・・・
       テント以外では特に
       家と呼べるような拠点は・・;」





    フェイリス「ならもう決まりニャ!!?

       もしウチで働いてくれる事に
       なるなら・・駅前のマンションを
       一室・・このチンチラ星よりの使者、
       フェイリス・ニャンニャンがなんとかして
       あげるのニャ!!」ドンッ





    岡部「おっ・・おいフェイリス!!?

       幾ら貴様の御家が元々の大地主
       だからとはいえ随分な
       大盤振る舞いだな・・・・?!!

       そんな雇用で大丈夫か?!?」




    フェイリス「大丈夫ニャ!問題ニャい!!

       当面は通勤手当代わりという事で
       うまいこと丸め込むニャ!✧」




    牧瀬「いや・・ちょっと待ってよ・・;

       岡部もフェイリスさんもフツーに
       話通してるけど・・・

       この子・・・男の子でしょ;;」
     



    ダル「牧瀬氏!!牧瀬氏!!!!

       字が違うってばよ!

       男の“娘”!!、分る!!?
       ・・“男の娘”ね!!!

       大事な事だから
       二回言いますた!!!


       こんなに可愛い子が女の子な訳(ry
    牧瀬「黙れ ☆HENTAI☆!!!! 」
       (ꐦ°᷄д°᷅)




    アルミン「(ソワソワ)////」



    フェイリスの申し出に浮き足立ちながらも
    自らが従事させられる業務内容が一体
    どの様な物であるかなど一切気にも
    留めず、働き手にありつけるかも
    しれないこの好機にその場の誰よりも
    いろめきだつアルミン。



  73. 77 : : 2015/02/27(金) 03:43:21





    岡部「そこは心配いらんぞ助手よ。
       すでにメイクイーン+ニャン2には
       先月から2名同様のパターンで
       バイトとして紛れ込んで
       いるからな。・・・貴様は
       気付かなかったのだろうが

       ・・・しかしフェイリスよ。
       これではまるで男の娘喫茶だぞ」




    牧瀬「はっ・・・!??
       えっ・・ちょ、嘘でしょ!?
       そんなマジマジと見てないけど・・!

       明らかにあの中に二人も
       それらしい子なんて・・・!」




    ダル「ロングヘアの子とショートの子で
       同じくらいの背丈のが居たっしょ?
       割といつも一緒に客引きとか
       してるから主に外出組だけど。

       片方は古風な喋り方する子で
       もう片方は基本無口な。
       あの二人だお。」




    牧瀬「うっ・・・嘘よ!!!

       顔ハッキリ覚えてるけど絶対
       どっちもシッカリ女の子だった
       筈よ!!?声だって・・・!

       あ、いや、片方はそう言えば
       殆ど喋った所見た事が・・・」




    ダル「だから言ってるだろ~~?
       あんなに可愛い子が女の子な
       訳が・・・(溜息+首振り)」
       (´<_`  )‐3




    牧瀬「アンタはそれしかいう事無いの!?」




    岡部「まあ、そんなに気になるなら
       次回来店時にでも確認して
       見ればいい。“ヨッシー”に
       “アッキー”・・とかいったか。

       まあどちらも正直ルカ子と
       張り合えるレベルだからな。

       ・・下手をしなくとも
       充分女子で通る外見かもしれん」





    まゆり「そうだよー。あの二人は
        メイクイーンの期待の新人
        なのです☆

        ・・・・・、(時計確認)
        あ、とりあえずまゆしぃは
        ランドリー行ってくるねー」
        タッタッタ・・




    牧瀬「あ、ま、まゆり!私も行くわ!
       ちょっと話したい事が・・!」
       ワタワタ・・



    岡部「何はともあれ良かったではないか
       ・・少年よ。まゆりの申し出では
       恐らくここに住まわせては・・
       という提案だったのであろうが。

       フェイリスのマンションと同一の
       間取りならそこは一人で住むには
       広すぎる位だぞ(笑)」




    アルミン「そんなに広いんですか・・;」





    岡部「ああ。見晴らしの方も申し分ない。
       通りを征く人々を毎日直下に
       見下ろしては"人がゴミの様だ"と
       叫ぶがいい。得も言えぬ快感を
       味わえる事請け合いだぞ」ククク・・





    牧瀬「下らない事を幼気な少年に
       吹き込むな馬鹿!!いいから
       岡部もちょっと来い!!」ギリ




    岡部「ァッ..ちょ、!!狂気の科学者の
       耳を引っ張るな!!ッ千切れる!!

       割けるチーズみたいにびりっと
       イくっ!!!!」イギギギ!!




    アルミン「(;^▽^)」


  74. 78 : : 2015/02/27(金) 03:49:45



    岡部「で、ではまた後程会おう少年よ!!;

       お互い精々追っ手に脚を掬われぬ
       よう尽力しようではないか!!」
       フゥーーーッ(ノ゚Д゚)ノハハハハ!!!
      (耳を引っ張られ引き摺られながら)






    天王寺「ゴルァ!!!!(ꐦ゚Д゚)ノ
        ぉ岡部ェェア!!!!

        お前また綯に変な事
        吹き込みやがったな!!
        
        後二日遅れの今月分家賃
        とっとと持って来い!!!!」



    ズン・・・!ズン・・!!!ズン・・!!!!



    階下より響き渡る怒声と
    地鳴りを伴う足音。それはまさしく
    大家のミスターブラウンが
    二階のラボへと迫り来る音だった。



    牧瀬「・・・ホラ、追っ手が来たわよ。

       どうやって足元掬われない様に
       逃げ切るの?もうすぐ
       そこまで足音が・・・」





    岡部「すっ・・・
       すいませんッしたぁああ!!

       い、っ、いまここに月謝袋を..!」
       ヘコヘコ....




    牧瀬「・・・・こいつは普段はああでも
       基本的にこんな風にヘタレだから。
       
       ・・あんまり変な事言われても
       気にしちゃダメよ?」ネ?




    アルミン「は・・はい・・あ・・、でも
       なんかその・・・」




    牧瀬「・・・ん?」




    アルミン「全然・・悪い人では無いって事は
       ・・・何故かわかります。

       あの人と話している時の顔は・・
       シーナさんも貴女も・・凄く
       安心しているような・・
       そんな感じに見える・・ので・・」




    牧瀬「ま・・・まあ//悪い奴では
       無いわね・・・バカではあるけど」




    アルミン「ところであの・・貴女の
       名前は・・?」




    牧瀬「私は・・牧瀬・・牧瀬紅莉栖(まきせくりす)
       
       アイツは勝手に(ひと)の事を
       クリスティーナとか
       助手とかゾンビとか17歳とか
       ねらーとか呼んでるけど全部
       根も葉もない勝手な呼び方だから
       気にしないでね」




    アルミン「渾名・・・多いんですね・・・;」
       マキセ、サンデスネ




    牧瀬「渾名としても不本意な物が
       殆どだから私は認めてないけどね」




    岡部「おい、行くぞ助手よ!
       貴様が来いと言ったのでは
       なかったか!

       ・・済まんがフェイリス、少々外すぞ。
       ・・・だが直ぐに戻ってくる。
       奴等の追跡を撒いたらいずれ
       頃合いを見計らってな・・!」
       ハッフーーン!(゚Д゚)⁼3



    フェイリス「ハイハ~イ、
       行ってらっしゃいニャ!!」
       ブンブン




    まゆり「帰りにジューシーからあげ
        買って来なきゃー。

        オカリン覚えててもらえるかな」



    牧瀬「ハイハイ、今行くわよ!...っだから
       助手って言うな!!初対面の人間
       全員に勘違いされるじゃない!」
  75. 79 : : 2015/02/27(金) 03:53:08





    ‐岡部・まゆり・牧瀬 左記三名外出‐





    アルミン「(凄く賑やかな人達だな・・・

       そこまで僕と年齢が違うって
       感じもしないんだけど・・・・
       やっぱり住む世界が違うなぁ・・)」


    フェイリス「ニャァ・・!さてさて少年!!
       凶真達が帰ってくるまでに
       簡単にだけではあるけど、
       フェイリスがお仕事の内容を説明
       していくニャ!」





    アルミン「そ、それですよね・・!(ゴクリ)

       何と言っても賃金を貰うために
       固定のお仕事に着くというのは
       ・・この世界では初めてなので・・
       どうかお手柔らかにお願い
       いたします」m(__)m




    フェイリス「フム・・・✧
       バイトは初めてニャ・・・!?
       でも大丈夫、問題ないニャ!

       とりあえずはそのルックス!
       そして御帰りなさる"ご主人様"を
       おもてなし出来るだけの笑顔が
       あれば仕事は半分うまくいったも
       同然ニャ!」Σb( ↀωↀ )グッ




    アルミン「御主人・・さま?
       
       ・・・お帰り・・・?」
       ハテ・・・?



    フェイリスの口より述べられた単語から今一
    業務内容が見えないのか首を傾げるアルミン




    フェイリス「今少年がその門扉を叩こうと
       しているメイクイーン+ニャン2
       こそは・・今秋葉原でも
       1,2を争うご主人様帰還率を誇る
       メイド喫茶なのニャ!」




    アルミン「メイド・・喫茶・・・・!」
       (ゴクリ・・・;)




     聞いた事だけならある・・・
     その名の通り喫茶店の一種として
     基本的にはコーヒーなどの
     軽い飲食物を提供する一種の
     小規模な街酒場の様な物ではある
     らしいが・・・

     その特徴として他の類似店舗との
     大きな違いが・・・

     酒場娘の着ているような意匠の
     ディアンドルを更に派手にしたような
     衣服で着飾った、雑役女中を
     イメージコンセプトとした接客形式を
     とっているという事。

     当然これらはパフォーマンスの一環
     らしいから、本格的な女中さんが
     一人前になる為に行う地獄の様な
     修行や長期訓練は必要では
     ないのだろうけど・・・



    アルミン「(女中(メイド)・・・さんか・・・;)」


     僕に・・務まるだろうか・・・?


     というよりも今現在こんな
     フリフリな服を着ながら
     恥ずかしげも無く言える事でもなく
     本当に今更な言い分なんだけど・・




    アルミン「(僕・・・男なんだけどな・・)」




    しかし当然ここまで話が進んだ段階で
    アルミン本人にもその話を蹴る意思は
    皆無であった為、その後も業務に
    携わるにあたっての説明をフェイリスから
    真剣な態度で受け続けたのであった・・


  76. 80 : : 2015/02/27(金) 03:54:58



    ―コインランドリー―




    まゆり「わー。やっぱり
        2着しか入れないと乾くの
        早いよ~」パッサパサ ナノデス☆



    牧瀬「・・・・(アルミンの服を凝視)」




    岡部「・・・?そんなに顔を近づけて
       何をしている助手よ・・?

       ......ッハ!!?(;゚Д゚)

       き、貴様まさか・・・!!
       金髪碧眼少年の衣服をクンカクンカ
       する、その為だけにまゆりへの
       同伴を急いだというのか・・・!?

       な・・なんと己の欲望に
       忠実な奴だ・・・・!」
       フォォ・・・?!(;゚Д゚)(チョイ引き)





    牧瀬「んな訳あるか!!!あんた人を
       普段からどういう目で見てるの!?」
       (ʘ言ʘ╬)




    まゆり「クリスちゃんも気が付いたー?

        まゆしぃは洗う前に思った
        んだけど・・凄いよねー。

        タグがどこにもついてないから
        売り物じゃないのはすぐ
        分かったんだけどー・・
        どの縫い目を見てもミシンは
        使ってるけど手縫いみたい。」



    牧瀬「生地は・・厚手のモールスキンに
       近いわね。これは随分長く
       着てる感じよ。というより
       傷み方が現代の縫製と洗い方で
       使われる衣服と全然違うもの・・」




    岡部「・・・?つまり・・??」





    牧瀬「あの子・・・本当にこの国とは
       また別の・・どこか遠い異国から
       来たのかもね。」




    岡部「・・・・まあどう見てもこの国の
       人種で無い事は確かだが」




    牧瀬「私はそういう事を言いたいんじゃ
       無い。この服やさっきの靴を
       見てから考えるとどうしても・・

       これが現代に流通してる
       衣類には見えないのよ・・
       国外だったとしても。

       顔立ちや苗字の感じから言って
       国籍は多分独国圏で
       間違いないと思うけど・・」




    岡部「そこは我々が深入りしても
       どうなることではない。

       ホレ、服が乾いたならとっとと
       買い出しを済ませてラボに帰還
       するぞ・・・。

       幾ら似合っているとはいえ
       あんな服を着せたままダルの
       同室する閉所に閉じ込めて
       おくのは少々酷だろう」





    まゆり「ぇえ~・・あんなにお似合い
       なのにーー。ずっと着ていれば
       いいとまゆしぃは思っちゃったり
       しているのです」





    岡部「確かに・・・確かに
       これ以上無い程に似合っては
       居たぞ・・・?!だがッ・・・!

       ・・・・だが・・男だ・・・!」
       (ノД`)グッ・・・!
  77. 81 : : 2015/02/27(金) 03:58:51

    ~現在公開可能な情報㉜~





    未来ガジェット研究所




    アルミンの生活を大きく変えた二人組、
    うち一人である“椎名まゆり”の
    在籍サークルのメンバー共有拠点的スペース。

    電気街秋葉原は、裏通りともいえる
    区画に並立する小規模な雑居ビルの2階に
    そのラボラトリは存在する。

    運命探知(リーディングシュタイナー)なる邪眼の一種を有すると
    自称する、日々見えない敵と戦い続ける
    18歳の厨2、、・・もとい

    自称マッドサイエンティストである
    鳳凰院凶真なる人物が率いる
    このサークルに彼女もその身を
    置いており

    曰く、詳しい事情は
    分からないが、自身を指して

    「まゆしぃはオカリンの人質なのです」

    とだけアルミンには説明している様子。




    元はと言えば上野の森美術館で
    彼に声を掛けたのも、また、
    そうするべきだと無意識に
    その身を動かしていたのも彼女であり、

    彼女の温情に対しては未だにどれだけの
    感謝をしても、し足りないというのが
    アルミンの本音でもあるが・・

    彼女からすれば自分は何か特別な
    事をした訳では無く、全ての希望を
    亡くして空を仰いでいた彼の姿に

    かつての祖母を亡くして
    同様の境遇に陥っていた自分の姿を
    重ねてしまっただけに過ぎないので、

    そこまで感謝をされるのも何か違うと
    思っている。

  78. 82 : : 2015/02/27(金) 04:03:18




    ~現在公開可能な情報㉝~






    メイクイーン+ニャン2





    外神田は秋葉原、言わずと知れた
    メイド喫茶のひしめくメッカに
    店構えを貫く老舗メイド喫茶。


    老舗とはいえ知っての通りメイド喫茶
    そのものの出自と流行が最近
    産まれたものでもあるのでそういう
    ところも含めての揶揄である。


    アルミンの現在の職場(爆)にして
    アルミンの巨人展帰還からのその後を
    大きく変えた、


    フェイリス・ニャンニャン、及び
    椎名まゆりの勤め先でもある。


    原作でどうかはともかくとして
    この世界ではフェイリス自らが同店の
    店長を務めており、自らが店の
    経営者としての切り盛りをこなしつつも

    在籍メイドの中でも名実ともに
    人気NO.1メイドとしてその手腕を
    遺憾なく振るっている。


    彼女の意向、そして椎名まゆりの
    思慮深さがあってこそ、
    この様な恵まれた働き場所と、
    駅前一等地の高級マンション一室を
    借りられているという経緯があるので、
    アルミンは彼女達に一切頭が上がらない。


    また、メイクイーン+ニャン2自体は
    通常のメイド喫茶であり、
    別に“男の娘”喫茶では無いのだが、
    『可愛いから全然いける』との理由で
    アルミンの他にも2名ほど女装した
    男子が在籍している模様。



    ・・・尚、その全員が高指名率を
    キープし続けているとのこと。
        (――だが男だ)



         ‐追記‐
    実際のメイクイーン+ニャン2の
    モデルとなる店舗には通りに面した
    二階バルコニー部分の宣伝スペースは
    無く、此方の描写は別店舗がモデル。


  79. 83 : : 2015/03/04(水) 01:21:13



    ―時は戻り・・・






    ――メイクイーン+ニャン2店内――






    アルミン「ぅう・・・・エレン・・!
       本当にエレンなんだね・・・!

       ミカサも・・・!本物のミカサだ・・!!
       CGじゃない・・・!!!」
       グジ・・グズ・・・




    エレン「ッッつつ・・・・・(サスサス)
        
        信じられねえ・・首がもげてねえ
        ・・・・!;ってオイ!!

        アルミンお前ッ・・!!人の服を
        手拭い代わりにしやがって
        ・・・!」ウァァ...!!!;






    ミカサ「・・・そのシャツは私の物なので
        別に構わない。(・・CG?)」
        ムギュゥ・・・




    並んだエレンとミカサを両腕で
    纏めるようにして抱きしめるアルミン。
    溢れ出る涙も鼻水も気にせず、
    続ける抱擁の力を緩めようとしない。




    ハンジ「いや~・・マジでビックリだよ
        ・・なんたって空から突然
        ダイビングダイビング♪だもん。

        ってかエレン本当よく
        平気だったね、首。。」
        スッゲーオト シタケド




    再会の嬉しさのあまり二人の後方に
    控えるハンジの存在には
    未だ気が付いていない様子の
    アルミンだが・・

    その出で立ちは何故か
    メイド喫茶の中にあって一人だけ
    女性用ディーラー服である。




    エレン「ってー...;段々痛み

        退いてきた・・・・;」
        サスサス・・・



    二階よりの身投げでエレンの頭上に
    降ってきたアルミンの身体は
    正直首を捻転してもおかしくないほどの
    衝撃と荷重をエレンの頸部に
    与えたわけだが・・・


    持ち前の頑丈さと巨人化由来の
    治癒能力も助けとなってか
    早くも復帰しかけている様子だ。



  80. 84 : : 2015/03/04(水) 01:22:09



    ヨッシー「まったく・・たまげたぞ。
       いきなり上の空になったかと
       思えば・・・・

       何の迷いも無く手摺を乗り越えて
       身を投げ出すんだからのう」
       (溜息)




    アッキー「でも良かったじゃない。
       お互い怪我も無かったんだろ?」



    その様子を後ろから眺め、
    先程の仰天シーンを振り返りつつ
    冷や汗を流しながら大事に至らなかった
    アルミンの幸運に安堵する
    同僚と思しきメイド姿の二人。



    片方はショートヘアに整った顔、
    何処からどう見ても女子にしか見えない
    顔立ちと声色から紡ぎだされる
    妙に時代劇染みた口調が違和感と
    ギャップを感じさせる茶髪のメイドと、


    もう一方は長髪のウィッグに
    リボン付きカチューシャを差した、

    ヘアスタイルまで加味して見た外観は此方も
    前者同様にどう見ても女子にしか
    見えない・・・、がしかし声は普通に高めの
    男子の声であるメイドが立っていた。






    エレン「・・・・・・・」
        ジィィィ・・・・





    アッキー「(スッゲー見られてる・・・?;)」
       ビクッ





    エレン「なあアンタ・・いや・・

        お前・・・・・??」
        ズイッ・・





    アッキー「・・・・・!?;(何だ何だ!??!)」
       ガクガク(;゚Д゚)ブルブル・・ 




    エレン「コニーじゃねえか!!
        アルミンだけじゃ無くお前まで
        こっち来てたのか!!?

        っていうか気持ち悪ぃくれぇに
        女装似合ってんなお前!!?」
        ダレダカ ワカンネーヨマジデ!!




    アッキー「ぁ・・?え・?いや・・
       コニー・・??誰それ」
       (;´・ω・)





    エレン「あ、そうか・・確か
        ミカサの話じゃ俺達以外の奴は
        皆記憶がどうとか・・・」






    アルミン「ぇ・・えレン・・(グシュ)

      彼は違うよw;確かに声色が
      とても似ているし、頭の回転速度も
      瓜二つだけど・・・別人だ」






    アッキー「アレ。なんか今僕すっげー自然に
       バカにされた?」



    ヨッシー「いいや。バカになぞ
       されておらんぞ。至って妥当な
       言い表し方じゃ。・・・その
       “こにー”なる者のバカさ加減は
       よく知らぬが・・・アルミンがそう
       言うのなら瓜二つなのじゃろうな。

       ・・・うむ・・・、瓜二つの・・
       バカさ加減なのじゃろう・・・・」




    アッキー「・・・・」



  81. 85 : : 2015/03/04(水) 01:25:03



    バタバタバタ・・




    フェイリス「ニャーー!?大丈夫かニャ!!?
       ベランダから落ちたんニャって!!?

       身体は無事かニャ―――!?!」
       ワサワサワサ




    裏手より大急ぎでアルミンに詰め寄り
    その身体に大事が無いか安否を
    慮るフェイリス。




    アルミン「あっ・・はヒ・・;(グス・・)
         身体の方はなんとも・・」
         ズルズル





    まゆり「それはそうと、御新規
        ご主人様3名、おかえり
        なさいませだよー。」
        オカエリナサイマセー♥




    フェイリス「ニャ!?おかりなさいませニャ!!
       ご主人様っ・・て・・」




    未だ泣きじゃくるアルミンと、
    その両腕に抱きしめられる
    一組の男女にただならぬ事情を
    察するフェイリス。




    フェイリス「こ・・これは一体・・?!
       ニャニャ・・・?!」




    まゆり「なんかねー、
        良くは分らないんだけど・・・
        やっと大切な人に逢えた
        みたいだよー?アル君。」
        ニッコニコ☆




    フェイリス「ニャ・・・・ニャんと・・・!?」






    アルミン「あ、・・ああ・・すみません!!
      どうしてもっ・・ グス・・

      また逢えたのが嬉しくって・・!
      頭がまっ白になっちゃって//;」
      グシグシ




    ヨッシー「ホレ、鼻紙じゃ」
       ノシ 




    アルミン「あ、ありがとうヒデヨシ。。」
      ッチーーン!!・・ズズッ・・









    アルミン「紹介します・・、僕の幼馴・・・

      いえ・・・・僕の“大事な家族”の
      二人で・・エレンと・・ミカサです」





    まゆり「わぁーー。そうだったんだ!
        じゃあやっぱりやっと・・
        やっと逢えたんだねアル君ー!

        まゆしぃニャンニャンもなんだか
        自分の事の様に嬉しいのです」




    フェイリス「ほほう・・?このお二人の
       ご主人様がアルみんニャンニャンの
       友達・・いや、家族とニャ!?」ウムム
       マジマジ





    エレン「あ・・?ああ、どうも・・?
        っていうかお前・・
        この状況は一体何事だよ・・

        この人たちは・・・?」
        ニャンニャン?;




    ミカサ「エレンはアイキャッチや
        途中経過に目を通さないから
        事情が把握できていない(溜息)

        アルミンがここまでどれほどの
        苦労と努力を乗り越えてきたか
        その殆どはそれに目を通して
        いれば理解できるのに」





    エレン「メタな説教はいい!!もっと
        分かり易く説明してくれよ!!」

  82. 86 : : 2015/03/04(水) 01:26:30




    アルミン「はは・・・;じゃあ
      今来たばかりのエレンにも
      分るように3行で説明してみるよ。」



    エレン「、、」




    アルミン「この世界で住処も仕事も失った僕。

      その僕に失った物を与えてくれた・・

      それがこの人達。まあ命の恩人だね」
      カンタンニイッテ。




    エレン「・・・状況は何と無く分かった。


        けどオレが聞きたいのは
        そういう事だけじゃなくてだな
        ・・・なんでお前がその、女物の
        服を着て女しかいない店で
        働いてるんだって事なんだが」
        (;´・ω・)コニーハオトコダケド




    ヨッシー「ワシも男じゃ!!!」
      Σ( ;゚Д゚)



    アッキー「だからコニーって誰だよ!!」
      Σ(;゚Д゚)






    アルミン「そ、その辺は詳しく説明しなきゃ
       いけないか・・・って・・・」
       ヒョイッ





    ハンジ「・・・・ん??」





    アルミン「は、・・ハンジ分隊長!!?!

       分隊長もこの世界に
       来てたんですね!!?

       ・・し、しかし・・ということは
       やっぱり追っ手も一緒に・・?!」
       ブルッ・・




    ミカサ「・・・・・・」




    ハンジ「んん!?い、いや!チョぃ待って!
        なんだ君もまさか・・・この
        “エレン”と一緒で・・・?!」





    アルミン「・・??」





    ハンジ「私やリヴァイの事を知ってるって
       展開なのか!?これは!(ウキウキ)」
       イセカイノ ワタシ?!






    アルミン「は・・・・?いぇ・・・あの。

       ・・・ハンジ・・さん?」
       サァァ...(iii゚Д゚)





    ミカサ「その話が・・まだだった。
        ・・・アルミン、大事な話がある。

        これからの事を考えて一緒に
        決めていく上でも・・・とても
        大事な話・・・。」





    アルミン「大事な話・・・・・?」





    ミカサ「そう・・・。(振り返り)

        私とエレンとアルミン
        だけで・・・少し話をさせて
        欲しい。一つ離れのテーブルを
        借りても宜しいだろうか?」




    フェイリス「はいニャ~!今はそこまで
       混んでないし大丈夫ニャ!

       隅っこがイイのかニャ>?」





    ミカサ「有難う・・とても助かる。」





    ハンジ「・・・?ふむ・・何か
        難しそうな話だな・・・・

        ・・・失礼、ちょっと電話かけに
        表出て来ていいかな?」




    ミカサが何やら難しそうな顔で
    3人だけの相談を始めたのを見たハンジは

    変にこの場に留まって気を遣わせて
    しまうのも悪いと考え・・同時に
    この後合流予定となっている二人に
    状況の変容と予定変更の電話を入れる為
    一時席を外す為の確認を取る。





    フェイリス「全然OKですニャ!」ビッ



    ハンジ「あ・・、あと会計の時は
        払いは全部私でお願いしたい
        んだけどね・・ああと・・

        押しかけるだけ押しかけて
        まだ皆飲み物もなにもとって
        無いでしょ・・
        適当に全員分ミルクティーでも
        だして貰えるかな。多分皆
        飲めるでしょ。

        ・・・あ、勿論あの・・
        金髪くんの分もね」ガタッ・・・
        4ツネ!!




    フェイリス「はいはーい!仰せのままニャ!」
       ミルクティー4~~!

  83. 89 : : 2015/03/07(土) 00:35:13









    ―― 池袋・某ゲームセンター ――






    リヴァイ「・・メガネからまた電話だ・・
        少し出てくるぞ。

        お前もそんな下らん物取る為に
        何回両替に行ってるのか
        数えるのも嫌な位ヒートアップ
        しちまってるようだが・・・
        程々にしろよ。」
        (趣味だから煩く言わないが)



    ペトラ「あっ..ちょ!!?!も、もう少しで
        このゆらゆらへーちょ
        取れそうなんですって!!

        せめてそのゲットの瞬間を
        一緒に・・!!」



    リヴァイ「そんなモン手に入れて一体
        何の役に立てようって言うんだ
        ・・・(本気で理解に苦しむ顔)

        手に入りそうなら入りそうで
        一人で取ってればいいだろ・・。

        LINEとやらで入れてこない辺り
        どうやら口頭伝達するべき
        何かの用って事だ。これはな。

        取り敢えず俺は電話してくる」




    ペトラ「あっ・・アッーー!わた、
        私も一緒にイキますから!!」
        オイテカナイデ!!(ノД`)・゜・。




    リヴァイ「甲高い声を耳元で
        出すんじゃねえ・・・;

        よくゲーセンの中でそこまで
        響く声が出るなお前・・・」



  84. 90 : : 2015/03/07(土) 00:36:43





    ―ゲームセンター入口―





    ピンポロパンポン ピンポロパンポン♪




    リヴァイ「・・・・・(ススッ)

         ・・・・どうした?さっきは
         いきなり切っちまった様だが
         そっちの問題は上手い事 
         片付いたのか」





    ハンズフリー通話・オン





    《あ~~・・うん、ちょっとね。
     色々あってさ。うん、本当色々
     それはそうと・・

     ・・また時間かかったね?》





    リヴァイ「ペトラの奴がな。どうしても
         今日の記念に今流行りの
         全身証明写真を撮りたいと
         言って聞かないから・・・

         ゲーセンに入っていたんだが」




    ペトラ「・・・・!;」





    《・・プリクラ、な。》




    リヴァイ「・・・そうだったな。
        確かお前にもあまり
        良い思い出の無い“あの”
        プリクラだ」





    《・・まだアレを引っ張り出すか・・;
     もう私のライフはゼロだよ・・・;;
     昔話でなじるのは止してくれないか》




    リヴァイ「・・・どうやら本気で気にしてた
        様子だな・・・その凹み具合から
        察するには。・・・悪かったな。

        武士の情けだ。これ以上は
        言わないでおいてやる」





    ペトラ「(建前っぽいとはいえ先輩が
        ハンジさんに素直に謝った!?)」





    《有難う・・リヴァイにはトカゲみたいに
     冷たい血が流れてるとばかり思ってた
     けど・・案外そうじゃないのかもと
     今やっと少しだけ安心したよ。(ホゥ...)》




    リヴァイ「・・・ペトラ、昔
         アイツがゲーセンでどんな
         トラウマを抱えたか教えて
         やろうか?」ミミカセ




    《わーーーーーっ!!!

     ちょっとちょっとちょっとーーー!!

     ストップ!!マジストップ!!
     御免なさいリヴァイ様ぁぁああ!!!》





    ペトラ「(今度はハンジさんが本気で
        謝ってる・・・;)」










    《・・・で、え~っと、あのね・・・
     何の話を・・あ、そうそう!!

     今私達ミカサとエレン同伴行動で
     秋葉原を徘徊してる途中だったん
     だけど・・・なんとね、
     二人の知り合い(?)と物凄い偶然にも
     会えたらしいんだ。》



    リヴァイ「・・・?都内で偶然ってのは
        確かに凄いかもしれねえが・・・

        偶々相手の方もそこに用が
        あっただけだろ・・・・?
        そこまで大仰に言い表す程の
        事か?」



    《いやぁそれがどうもね・・・
     状況はとても複雑みたいなんだよ。

     言っただろ?“二人”の知り合い
     だってさ。・・・つまりその相手の
     再会に喜ぶリアクションが、
     ペトラを見た時の“エレン”の
     それとほぼ同じだったのさ。

     つまり・・例の彼等なりの色々な
     事情って奴だろうね》




    その言葉を聞き届けてから暫く
    考え込むようにして顎に手を添えて
    こう切り出すリヴァイ。



    リヴァイ「成程・・・エレンと・・・か。

        今更と言われるかもしれねえが
        俺は・・どうしてもアイツの面を
        今日初めて見たって気がしねえ。

        何処か・・生活圏内の何処かだ。
        絶対に見覚えがある。」




    《ほっ・・ホントに・・?!私は・・
     まあ何というかエレンの事はちょっと
     そういう思い当たるフシも直感的な
     物も無いんだけど・・
     
     今日二人とかなり久しぶりに
     再会したっていう・・・“金髪の子”
     の顔には・・・なんかすっげー既視感
     あるんだよね・・・》



  85. 91 : : 2015/03/07(土) 00:40:12


    リヴァイ「そいつの名は」





    《まだフルネームは聞いてないなあ。
     二人には“アルミン”って呼ばれてた
     気がするけど》




    リヴァイ「・・バカみてぇな名前だな。
         親に付けて貰った名前なのか
         それは・・・。親の顔が
         見てみてえ」




    《・・・そうかな?私は可愛らしくて
     良い名前だと思うけどな。実際
     顔なんかメイクも何もしてないのに
     ディーラー服着てるだけで女の子
     にしか見えなかったし・・・
     
     名前の響きはともかく、あれは相当
     賢しそうな子だったよ、あの三人の
     中でも特・・に・・・・、?・・ぁ。》




    リヴァイ「・・・?どうした?」




    言いかけながら何かを思い出したのか
    言葉を途切れさせるハンジ。



    《ぁああああ!!!思いだしたァァァ!!!
     ペトラ!!?これハンズフリーでしょ?
     聞こえてる!!?》




    ペトラ「っは!??はひ!!何でしょ」




    急に話を振られた流れに対応が遅れ、
    脊髄反射を伴ったどもり声で
    咄嗟に返答するペトラ。




    《あとで写メとって送るけど!!!
     今日二人と再会したその
     幼馴染のアルミンって子!!
     ニファにそっくりだぞ!!?

     いや、ありゃ髪染めただけって
     言っても通るな!!》





    リヴァイ「ニファ・・・お前らの所の
         反対番のあのおかっぱか」




    ペトラ「まっ・・マジですか・・?
        って、その子男の子なんですよね
        ・・・^^;」




    《・・・ありゃ男の子ってより
     “男の娘”だな・・最早。
     
     見れば納得するだろうけど。しかも
     メイド喫茶で普通に働けてるみたい
     だし・・・・
     あれならウチに連れてくれば
     イメチェンしたニファだって言えば
     販責の目も欺けるぞ・・・;
     ミケには匂いでばれると思うけど》



    ペトラ「そ・・・それは気になりますね
        ・・・ハンジさんがそこまで
        いう程似てるっていう外見は
        ・・・非常に気になります」



    《うん、それについても期待して
     待ってて。・・・と、そうそう、話の
     本題に入らなきゃね。

     それでなんだけどね・・どうも
     その三人。ミカサと・・エレンと
     アルミン、か。本当に互いの縁と
     相互関係っていうのが家族に等しい
     らしくてさ。

     何と言ってもエレンを目にした途端に
     自身の身体をも省みず二階からエレン
     目がけて飛落りて来たくらいだから》





    リヴァイ「そこだけ聞くとそいつは
         自殺志願者か何かにしか
         聞こえないんだが」



    《まあまあ。つまりそれくらい彼らと
     再会できた喜びっていうのは彼の
     アルミン少年にとっては・・
     自分の保身を一瞬失念してしまう位に
     衝撃的だったってことさ。

     現に今も、彼が働いてるメイド喫茶に
     お邪魔してるんだけど、ミカサから彼に
     大事な話があるって事で、
     隅っこの席で幼馴染水入らずで
     難しそうな話をしてる。

     ぶっちゃけ私はここに居ない方が
     彼等にとってこの後の予定が
     スムーズに進むと思うんだ。》

  86. 92 : : 2015/03/07(土) 00:45:51






    リヴァイ「・・・・成程。

         ・・・・で?」




    《当初予定してたままだと、昼飯は
     私達とそっち各々で摂って・・

     夕飯の時間になるまでにリヴァイ達と
     私らがこっちで合流してこっちで
     リヴァイのプレゼントを探すって
     手筈だったけど。。

     それを無しにしてそっちに私が
     合流しようと思う。》



    リヴァイ「・・・・俺は別にそれで
         何も異論はないが。

         合流する時間と場所が精々
         変わったくらいだしな。

         ・・・ペトラはどうだ」
         フイッ





    ペトラ「ぁっ・・・、はい、
        私もそれで全然!!っていうか
        まだ私と先輩お昼食べて
        無いんですよね・・!」
        オスシ・・・(´・ω・`)





    《・・・・あんま高い物ねだるなよ
     ペトラ??リヴァイにとっては
     昼飯のコストパフォーマンスは
     一月の家計に影響を及ぼす死活問題だ。

     ここで空気を読まない贅沢を
     言おうものなら、向う一月の
     リヴァイの夕餉がしなびたおつとめ品の
     めざしに替わってしまうかも....》





    ペトラ「先輩!!マッグに行きましょう!!
        私、チキンクリスプでも
        バーガーでもいいですから!!」
        (;゚Д゚)bグッ





    リヴァイ「遠回しに馬鹿にされてる気が
        しないでもないのは・・・
        俺の気のせいか。

        だがあまり気を遣うな。
        寿司なんてのは絶対無理だが
        ここまで出張って流石に
        マッグは無いだろ(溜息)・・」





    《・・・それがねえ、実を言うと
     リヴァイには言ってなかったんだけど
     ・・・うちらの地元のマッグから
     エルヴィンが異動になった先って
     いうのが・・ひょっとしたら
     池袋東口店のマッグかもしれない
     んだよね》




    リヴァイ「・・・・その情報は
         確かなのか・・・?」



    《いや・・・寧ろなんで元マッグで
     働いてたあんたが知らないんだw;

     イザベルとかファーランから何か
     聞かないの?》







    リヴァイ「俺は今迄ずっと携帯を
         持ってなかったからな

         向う発の連絡など郵送物以外
         一切受け取る機会が無い」




    ペトラ「・・あ、あはは・・・;」


  87. 93 : : 2015/03/07(土) 00:48:20




    《・・・・・成程。納得した。

     ・・・ともかくそういう事だよ。
     折角そこまで来たならさ、
     お昼をどうするかは置いといたと
     しても顔くらい見せていって
     あげるのが元同じ職場に居た者の
     心ってやつなんじゃないかな》




    リヴァイ「顔を見せに行って
        注文取らないなんて無礼を
        はたらける訳がねえだろ・・・

        もし行けばそこで昼飯は
        確定だ・・・・(溜息)・・・
        ペトラ、良いのか?本当に」




    ペトラ「もっ!!勿論ですって!!
        先輩と所縁のある仕事場の
        元上司なんですよね!!?
     
        ならなおのこと行って
        さしあげなければ!!」
        ウンウン




    リヴァイ「・・・分かった。なら
         とりあえず俺達はこのまま
         そのマッグまで直行して
         遅めのランチと行くか・・・

         メガネ。お前はまだこっち
         来るのに少しかかるのか」






    《ウン――!ここで少し飲み物飲んで
     お話聞いたらそっち向かうから・・・

     あと2~3時間見といてよ。
     もうじきに夕方になるだろうけど。》





    リヴァイ「・・・そうか。わかった。

         ミカサとエレンとその
         もう一人にも宜しく伝えて
         おけ。恐らくまた近い内
         顔を合わせる事もあるだろ

         ・・・ぁあ、それとだ・・」



    《うん??》






    リヴァイ「エレンは・・・苗字の方は
         何て言ってたか聞いた事
         あるか?

         記憶にないんだが」



    《イェーガー、だね。なんだか
     カッコイイ名前だよね!
     狩人っぽい感じがして!
     
     ・・たしかそう言ってたはずだよ》





    リヴァイ「イェーガー・・・

         イェーガー・・・・」



    やはり記憶の何処かにその名は
    引っかかるのか、珍しく頭を捻って
    思い出そうとするリヴァイ。





    《じゃあ、そういう事でね!!また
     そっちに着きそうな時間が分かったら
     LINEで連絡するからさ!ペトラにも
     そう伝えとい・・って、これ今
     スピーカーだったかw》




    ペトラ「はい~!了解です!」
        ('◇')ゞビッ





    ――通話終了――



  88. 94 : : 2015/03/07(土) 01:00:42





    ――メイクイーン+ニャン2店内――





    ♪~~~♪~~~



    ハンジ「ぅおっ・・・?」




    店外での通話を終え、店の敷居を
    跨いだハンジの眼前に広がったのは・・


    照明が落とされた店内、その中でも
    一際客席から目につくステージに
    該当するスペースにて・・・


    各処に設置された簡易照明で
    ライトアップされながら先程の少年が
    澄んだ歌声をその店内一杯に
    響き渡らせる光景であった。



    エレン「っ・・・・・!;」




    ミカサ「・・・・!(感嘆)」



    曲調自体はややおっとりとしたテンポで
    ありながら、その歌詞の内容は
    反対に聞く者を徐々に鼓舞させる様な
    唄となっており、紛れも無く元来は女性
    ボーカルの奏でる唄であるのだが・・・



    ハンジ「すっげぇ上手いな・・・・!!」



    その流麗な歌唱力と、夢を諦めさせまいと
    する内容の力強くも優しい歌詞が、
    思わず聞き入る物の心を、聴覚を
    心地良く揺らしていく。


    聞き手の心情を穏やかにさせる
    透き通った喉声。それは
    スピーカーで拡張されていない分の
    声量でさえもBGMに負けじと
    室内に響き渡り、


    聞き手の聴覚に多幸感を伴う音色として
    確かに響いてくる、実に美しい
    歌声であった。







    そして曲の終わりと同時に上がる
    拍手と喝采。


    そもそもカラオケというシステム自体も
    初めて目にしたエレンは、この状況に
    ついて行けずに呆然としながら

    急に始まった幼馴染による歌唱タイムを
    なすがままに見届けていた訳だが・・・


    その歌声が此方に響くころにはその
    あまりに流暢な舌遣いと滑らかで
    耳に馴染む発音に心を奪われていた。





    エレン「・・・あ・・あいつ・・
        男だよな・・・・?;」
        パタパタパタ・・・・




    ミカサ「アルミンは・・・体力面を
        無視すれば大抵の事は
        何でも器用にこなせる明瞭な
        頭脳を持ってるから。

        私は納得だ。流石・・アルミン」
        パチパチ・・・



    エレン「どう聞いても女が歌ってる
       様にしか聞こえなかったんだが・・

       あと、歌ってる言葉の意味は大体
       分かったんだが、題名はどういう
       意味なんだ??
       この言葉の意味が理解できねぇ」
       ゴッデ・・ンン??(;゚Д゚)




    ミカサ「題名はこの世界の中でも
        更に異国の言葉で・・・・
        “勝利の女神”・・という意味に
        なるだろう。この国の言葉で
        直訳するなら。」





    エレン「・・・・勝利の女神・・か。」
        フム・・・



  89. 95 : : 2015/03/07(土) 01:03:01






    フェイリス「ニャー!お見事だったのニャ!
       アルみんニャンニャン!流石は
       我がメイクイーン第4位を誇る
       期待の新人、十八番だニャ!!」
       パチパチ




    まゆり「アル君、本当に歌上手だもんねー。

       この数ヶ月で殆どの仕事も
       覚えちゃったし、まゆしぃニャンニャン
       よりも良くできたメイドさん
       なのです」ニコニコ☆




    アルミン「い、いえ・・メイドって言うか
      何故かいつもこのコスチュームに
      してくれって要望の方が強くて
      僕一人だけいつも賭場の仕切り役
      みたいな衣装になっちゃって
      るんですけど・・・;(しかも女物)」
      ソワソワ






    まゆり「メイド服よりスカート短いね☆」
        ニパ~~☆





    アルミン「からかわないで下さいって
       シーナさん!!//」
       ババッ



    まゆり「ん~ん??からかってなんか
        ないのです♥
        これだけ似合って居ると
        まゆしぃも頑張って作った
        甲斐があるという物なのです」
        (☆御満悦☆)




    ハンジ「ゑッ!!?(;´Д`)

        このディーラー服手作りなの!?」




    まゆり「ぅん~~☆
        アル君は中の人的にもきっと
        これが似合うんじゃないかって
        要望がご主人様達の間でも
        ダントツだったから・・

        まゆしぃがアル君のサイズに
        合わせて採寸して一から仕立て
        上げたのです☆」




    エレン「こ・・このアルミンが着てる服を
        この人が一人で・・・??;

        マジかよおい・・・・;」




    ミカサ「裁縫がここまで出来るのは・・
        羨ましい・・・・」





    エレン「お前も裁縫お袋さんに
        習ったりしてただろ。

        原作じゃ手の甲に墨入れてた
        みてーだけど・・」




    ミカサ「アレは・・地上波で未成年に
        彫をいれるのがマズいから
        ああなっただけ・・・

        それに裁縫とはいっても
        レベルが違い過ぎる。」



    ハンジ「いや・・でもコレかなり
        完成度高いぞ・・・;

        実際のカジノとかいった事
        無いから断言できないけど
        生地だってコスにありがちな
        テカった奴じゃないし、
        胸まわり、腰回り、
        共にピッタリだ・・・ただその
        ・・・・//」




    アルミン「ハイ・・・かなり露出度
       高いんですよね・・」
       スースーシマス;




    エレン「ヘソも丸出しで胸元も
        かなりオープンだな。
        (生暖かい目)
        良かったじゃねえか。これで
        お前が兵団でもドベじゃなく
        中の上の体格だったら・・・

        流石に女物は着られなかった
        んじゃねえのか・・見た目的に。
        アルミンくらいのもやしじゃなきゃ
        流石にジャンがその恰好
        してたらオレだったら吐くな」
        ゥエ..




    アルミン「フォローのつもりだろうけど
       すっごくキズついたよ!!
       久々に会えて嬉しいからそんなの
       全然苦にはならないけどさ!!;;;」



  90. 96 : : 2015/03/07(土) 01:06:55






    フェイリス「ハイハーイ♪アルみんの見事な歌声で
       場の空気が和んだ所で
       もう一曲誰か歌わないかニャ??
       そこの黒髪が美しいご主人様は?
       そちらの眼差し鋭いご主人様は??」
       (*´ω`*)ノシ マイク フリフリ




    ミカサ「私は・・・い、いい・・//」
        カァァ...




    アルミン「フェイリスさん。。悪人面って
      ストレートに言ってしまって
      いいです」




    エレン「お、オレもちょっといいや
        ・・ってオイアルミン!!(;゚Д゚)」




    アルミン「だって事実じゃないか」
       ムスリ



    エレン「ミカサから聞いたぞ!!
        “進撃の巨人”って話は・・・
        オレが主人公なんだろ?!

        本当にオレが悪人面だったら
        そんな人相の悪い奴を主役には
        しねえ筈だ!!!」


    アルミン「キミは巨人化した後の自分の顔を
       鏡で見たりしてないからそういう
       呑気な事が言えるんだ。

       言っては悪いけど巨人に
       なった後のキミなんてどこから
       どう見ても悪役にしか見えないよ。

       いや寧ろ親玉風だよもぅ....」
       ムスムスムス(・̆⍛・̆)ムスムスムス



    エレン「そ・・そんなに凶悪な顔
        してねえだろ!?な、なあ
        ミカサ!!?」ッバッ(;゚Д゚)




    ミカサ「・・・
(;ㅍ_ㅍ)・・・・」
        フィッ・・・




    エレン「黙ってソッポ向くなよ!!!?
        なあ嘘だと言ってくれ!!」






    アルミン「何度も360°哮で見て思ったけど
       間違いないって・・

       あんなのどう見ても
       味方って顔じゃないよ・・・;
       
       ひょっとしたらだけど・・・・
       紫の角が生えた奴と似てるって
       言われるのはそのせいだと思う」





    エレン「そこまでメタな事言われると
        流石に返す言葉がねえよ!!」




    まゆり「そ~そ~!アル君ね~、
        すっごい熱心な進撃ファン
        らしくてねー。。哮、
        5回も見たんだよね。
        一回見てから一週間おきに
        あの長蛇の列に並べるなんて
        まゆしぃもびっくりの忍耐力
        なのです☆」




    エレン「・・・ぁ??『こう』??
        なんだそりゃ・・・?」
        ムム・・・?



    フェイリス「なっ・・・!?
       その話は本当なのかニャ?!
       
       フェイリスは一回でもかなりの
       体力を消耗したというのに
       ・・なんという我慢強さニャ・・!」 




    アルミン「そ・・それは・まぁ・・・
      (まさかこうしてまた逢えるとは
       思ってなかったあの頃では・・

       例えCGと分かっていても目の前に
       ミカサが居てくれる時間が何より
       心の支えになってたなんて・・・
       口が裂けても言えない・・・!)」



    まゆり「一回目に観終わって出て来た
       時なんかね~?アル君、ゴーグル
       着けたまま泣いちゃって...

       綺麗に拭き取るのが大変だった
       んだよー(*´ω`*)

       きっと感受性が人一倍豊かな
       証だとまゆしぃは思うのです」





    アルミン「いっ・・・・・!!!///
       一々言わなくたって・・!!!」
       (真っ赤々)



  91. 97 : : 2015/03/07(土) 01:10:14




    エレン「へぇ・・・?おいミカサ、
        その、『こう』って奴は
        オレらでも見にいけるのか?」




    アルミン「ぁっ・・ちょっ・・!!!
       まっ、待つんだエレっ・・!!!」
       カァァァァ!!!!//////





    ミカサ「確か・・・上野の森美術館の
        展示は既に終了している。

        ・・・ので、残念ながら私達が
        アルミンが行ったのと同じ場所で
        それを見る事は出来ない」




    アルミン「ホッ・・・・(そ・・そうだった・・!
       柄にもなく落ち着きを失って
       慌ててしまった・・・;)」




    ミカサ「しかし・・・今年8月頃からなら
        とても離れた場所ではあるが
        同一の展示が行われる催し物が
        開催予定。

        ・・・一緒に・・行く?エレン///」
        ボソボソ・・φ(・_・//;)





    アルミン「――――ッ・・・・・・!!!!」
       Σ(;;゚Д゚)





    エレン「おう、いいな。

       アルミンのヤツがそこまで
       感極まる内容だってんなら
       一度は見て置かねえとな。

       それに、その『こう』ってヤツを
       みれば・・・オレの巨人化した
       後がどんなのかよく分かるんだろ」



    ミカサ「あ・・・あの・・・・やっぱり
        エレンは見ない方が・・・いい・・・
        かもしれない・・・・;」
        オドオドオド・・・




    エレン「そんなにオレの巨人化後の
        人相って酷いのか!!!?!?」
        ヨケイ キニナル ダロウガ!!!




    アルミン「だから言ってるじゃないか・・
       人相が悪いとかもうそういう
       ソフトな表現じゃ足りないんだ。
       サシャだったら腰を抜かして
       戦意喪失するレベルだと思う..」




    エレン「お・・・!オレは自分で
        見るまで絶対信じねえからな!!

        第一ハンジさんだけは
        オレが巨人化できると知っても
        怖がらないでいてくれた!!」



    アルミン「キミがここに飛ばされたのは
       巨大樹の森でアニにやられる
       前でしょ・・?ならその時点じゃ
       まだハンジさんは巨人化した
       君の顔までは見て無い筈じゃ・・・」



    ミカサ「ぁっ・・・・・アル...!!
    エレン「・・・おい?アルミン。
        今お前なんつった・・・・?」
        ピタ・・・



    アルミン「(っ・・・!!そ、そうか・・!

       エレン的にはあの時点でここへ
       飛ばされたから・・・!!)
       
       ぁ・・はは・・・w(^▽^;)
       え、エレン??今のは無しで..
       僕とした事がちょっと
       久々に君達に会えた悦びで
       頭が混乱してたみたいなんだ」



  92. 98 : : 2015/03/07(土) 01:12:50




    エレン「いいや・・・!
        聞き捨てならねえ・・!!!

        何で“調査兵団”の壁外遠征に
        アニの名前が出て来るんだ・・・!」
        (疑疑....)




    フェイリス「(な・・なんかキマズイ
        空気ニャ・・・?!)

        はっ・・はいはい~~!
        誰か本当に歌わないかニャ!?」




    アルミン「みっ・・ミカサ歌ってよ!!
       ほら、エンディングでミカサ
       フィルター全開の綺麗なエレンが
       出てくるあの歌!!

       僕大好きなんだ///久しぶりに
       聞きたいかなって・・・!」





    ミカサ「悪いけどアルミン....;
        あれを歌っているのは・・・
        私ではない・・・・・;;」



    エレン「オイ!綺麗なオレって
        どういう事だ!!それじゃ
        普段のオレがまるで汚らわしい
        みたいな言い草じゃねえか!!」
        (ꐦ・д・)





    ハンジ「フフ・・・・どうやら此処は
        この私の出番の様だね・・・
        フム・・DOMか・・・・」クイッ
       (メガポジ修正しつつマイク掴み)





    フェイリス「ニャ・・・?!

       ニャんと・・男らしい・・・!
       この窮地に自ら身を投じて
       下さるとは何と勇ましいご主人様
       なのニャ・・・!」キラキラ✧
       (デンモク&マイク手渡し)




    ハンジ「(ぅん・・・私、女だけどね)」
        ズゥン・・・・orz


    ピッ・・ピピ・・・・!(7318-67)




    フェイリス「きょ・・曲番で予約を入れた・・!?
       これはもしやかなりの使い手・・
       ならぬ歌い手ニャ・・・・!?」
       ゴクリ・・・・;!



    ハンジ「そりゃ~番号位覚えるさ!
        なんたってメインテーマ
        なんだからそれ位は
        覚えなきゃね!!!!さぁて
        久々に気合い入れちゃうぞ~!」
        (首ポキポキ)



    ~~♪


    ―――~~~~~♪




    厳かにして徐々に迫りつつある
    激動の幕開けをひしひしと感じさせる
    イントロが・・場の空気を嫌が応にも
    引き締める。





    一同はこの時知る由も無かった・・・・






    数秒後にその場を支配する事になる
    阿鼻叫喚の地獄絵図を。




    目の前の彼女がその音響地獄を紡ぎ出す
    狂乱の歌い手であるという事実を。




    これは所謂メタ発言に当たる訳であるが
    ・・・・



    近々実写化が本格的に
    始動するにあたり・・・彼女に新たな肩書が
    この度追加される事となった。





    その名も・・・・・





    ――――暴走する無邪気――――






    今、その狂気なる叫奇のひと時が
    彼女の咆哮と共に始まる.....







    ハンジ「  (´Д`)  (\杉田先生ぇ~右に家ぇぇがーッ!!!♪/)
  93. 99 : : 2015/03/09(月) 01:47:58




    ―マグロナルド池袋駅東口店前―






    ペトラ
         「っっ・・・・・!?」
    リヴァイ ゾゾッ・・・・!!(;゚Д゚)





    リヴァイ「おい・・ペトラ。」




    ペトラ「えぇ・・何か今・・・
        妙な寒気が・・・

        何でしょう・・・?」




    二人の背筋をほぼ同時に駆け下りて
    いった謎の悪寒。その発端となるものが
    何なのかは、双方あまり深く考えない
    ようにしている様子だ。




    リヴァイ「さぁな・・しかしこうして俺達
        二人に揃って虫の知らせが
        届いたって事は・・・間違いなく
        何処かで何かあったんだろ・・」



    ペトラ「しかし先輩・・お店、
        入らないんですか?」



    リヴァイ「まあ待て。今クーポンを
         探している。昔ほどの恩恵は
         無いとはいえ何もないよりは
         マシだ。」(スマホ操作中...)



    ペトラ「あ、それなら私入れてますよ!
        すぐ出てきますから!」ババッ
        スイスイスイ



    リヴァイ「成程・・・お前の方が
         数倍は早いだろうからな・・
         任せよう。

         ・・・・・そうだ、一つ
         言い忘れていた。探しながらで
         いいから聞けるか?ペトラ」




    ペトラ「・・・はいはい?何でしょうか」
        スイスイ




    リヴァイ「ポテトが入っている
         セットのクーポンは使うな。
         無論ナゲットもな。

         極力パティ系バーガーを
         単品で取れ。ドリンクに
         コーヒーかアイスティーを
         とるなら可能な限り
         フレッシュは入れるな。
         ・・いいな?」



    ペトラ「て・・徹底してますね・・・
        了解です・・・;ってアレ。
        先輩・・??」






    リヴァイ「どうした?」





    ペトラ「いえ・・あの、もし勘違い
        だったら申し訳ないのですが
        ・・前ハンジさん達と一緒に
        マッグ行った時・・・ポテト
        普通に食べてませんでしたっけ」


  94. 100 : : 2015/03/09(月) 01:50:39





    リヴァイ「・・よく覚えてるな。

         しかしそこまで
         覚えているなら・・お前も
         食っていたあの時のポテトが
         何か違うと気が付きは
         しなかったか・・?」




    ペトラ「・・?違い・・・ですか?
        いえ・・・流石にそこまでは」





    リヴァイ「・・だろうな。無理も無い。

         実を言うとな・・・俺達が
         揃ってマッグで働いてた
         時点から・・フライヤーで
         使う油を国内チェーン指定の
         油とは別の物を使っている。

         ・・あの店舗だけ、内密にな」



    ペトラ「ぇっ!!!??・・・・
       そ、そんな・・大丈夫なんですか!?
       グラコロと言い・・普通そんな事
       出来っこないですよね・・??!
       一体先輩・・・」


    リヴァイ「大丈夫なのか・・・と
        聞かれれば返答に困る質問だが。
        チェーンの方針には完全に
        反旗を翻してる事になるが・・・

        油そのものの安全性を鑑みて
        大丈夫なのかと問われれば・・
        大丈夫じゃねえからそうした。
        ソレだけだ。」



    ペトラ「・・そ・・そんなにヤバいん
        ですか・・・?国内全店で
        統一されてる油って・・・;」


    リヴァイ「まあ・・あくまで
        “非・実在店舗”を対象にした
         フィクションだからな。
         ・・・・これは。

         風評被害の助長ととられても
         困りものだ。これ以上は
         特に具体的には説明しないが」



    ペトラ「・・・・しかし先輩、
       何故そこまで危ない橋を・・^;
       バレたらタダじゃ済まないんじゃ」





    リヴァイ「アイツが・・年中グラコロ
         ばっかり喰ってるからな。
         そこへきてポテトも
         それなりに好物だときてる。
         
         あまりにアイツの物覚えが
         悪いのもその所為なんじゃ
         ねえかって、俺も
         ファーランも多少なりとも
         心配はしてたんだ。・・まあ
         そんな所だ」




    ペトラ「ああ・・成程・・・
        って、記憶力とかにまで
        影響あるんですか?!その
        身体に悪い油って!!?」
        イッパイクッチャッテルヨ!




    リヴァイ「体に悪いのは事実だが・・・
         必要以上の摂取を避けるのが
         重要ってだけで、あまり
         過敏に気にするのも
         良い事じゃねえ。その辺も
         心得ておけよ」ミツカッタカ?




    ペトラ「は、はい・・!」
        アリマシタ! キカンゲンテイ 単品デ!





    ペトラが言い放った丁度その時だった




    エルヴィン「おや・・・?今日は女性の方
       同伴ですか・・?これはこれは
       珍しい・・というよりも
       本当にお久しぶりですね・・

       しかし大丈夫なのですか・・?
       ここは池袋駅の目と鼻の先ですよ」
  95. 101 : : 2015/03/09(月) 01:55:32




    不意に真後ろから二人に向けて
    掛けられる声。二人揃って完全に
    ペトラの取り出した携帯画面記載の
    クーポンに目を奪われていた為、

    リヴァイにとっては懐かしさすら感じる
    旧知の仲が発した声であるにも関わらず、
    驚きを隠せず振り返るが・・・





    エルヴィン「・・・・?リ・・リヴァイ・・?!
        その服装・・・というより
        お前・・・・背が・・・?!」マジマジ





    リヴァイ「久々の再会だってのに随分だな
        ・・・それより今お前・・俺を
        誰と勘違いしてやがった・・;」
        (休憩上がりか)




    エルヴィン「それより・・その隣の・・?」




    ペトラ「あ・・、ど、どうも・・!
        前に先輩と同じ職場で
        働いてた・・ペトラ・ラルと
        申します・・・」ペコ



    エルヴィン「ぁ・・ああ・・??そうか・・
        そう言えば何度か顔を見た事が
        あるような・・?いや・・・
        ちょっと待て。リヴァイお前。

        今どこで働いているんだ・・?」



    リヴァイ「此間までミスドで・・
        今は駅中の書店だ」



    エルヴィン「また変えたのか仕事を・・・!

        お前は本当に根っからの
        風来坊気質だな・・一体何が
        不満で一つ所の仕事場に
        落ち着こうとしない?」



    リヴァイ「そいつは聞かれても
         答えようがねえ。

         お前こそ上に聞いてみたら
         どうだ?何故一店舗でずっと
         働かせず

         こうしてウォール・チチブの
         片田舎くんだりから都内まで
         態々自分を異動させるのか?
         ・・・ってな。

         その答えとさして変わりは
         しねえだろうな」





    エルヴィン「(溜息)・・・分かった。深くは
        詮索すまい。・・こんな所で
        立ち話もなんだ・・・・
        注文を取ろう。カウンターに
        並んでくれ」




    リヴァイ「・・・ああ。」
     



    昼時のピークを過ぎたとはいえ、
    そこは流石駅前の通りに店を構える
    ファーストフード店のさだめ。

    今尚そのカウンターの前に並ぶ
    購買客の客足は途絶える気配が無く、
    店内イートインスペースは    
    ごった返していた

  96. 102 : : 2015/03/09(月) 01:59:17




    エルヴィン「・・お召し上がりは店内で?」




    リヴァイ「そうしたいのは山々
         だったんだがな・・・
         (ペトラの携帯眺め)
         たった今上階まで斥候に
         向かわせたペトラの報告じゃ
         ・・・カウンター含め満席(ぜんめつ)・・
         だそうだ。

         持ち帰りで頼む」


    エルヴィン「折角来てもらったのに
        悪いな・・」



    リヴァイ「構う事はねえ。どうせ
        来たのもお前への顔見せだ。

        ハンジもイザベルも・・
        ファーランも元気でやってる。
        世は事も無し・・だ。」     



    エルヴィン「そうか・・・」



    俯きながらも過去の面子+αを
    懐かしむエルヴィン。


    クーポンも利用し、二人分の単品と
    ドリンクの入った紙袋を手渡し、
    又の来店を待つ折を伝える
    段になってから・・エルヴィンは咄嗟に
    最初に気がかりであったことを
    リヴァイに忠告する。



    エルヴィン「そうだ・・リヴァイ。
        お前は・・もうこのまま直ぐ
        池袋を離れるのか?」



    リヴァイ「いいや?これから来る
         ハンジを待たねえと
         ならねえ。とりあえずは
         今買ったコイツを公園なり
         路上なり、座る場所と
         屑籠が確保できる場所を
         見つけて食うだけだが・・」



    エルヴィン「・・・あまり60階通りには
        近づくな。細かくは言わないが
        ・・・今のお前では非常に
        マズイ。60階通りと言わず
        池袋全域が危険地帯だ。

        自販機が降ってきたらすぐに
        110番を・・・・」




    リヴァイ「お前・・・頭は大丈夫か?
        錯乱してるなら先にそう
        言ってくれると助かるんだが」
        

    エルヴィン「違うっ・・・!
        こっちはマジメにお前の
        身を案じて言っているんだぞ・・!

        とにかく、うろつくくらいなら
        まだいい・・・!無事に地元に
        帰りたければ道中極力
        口を開くな・・!それか、
        そのジャケットを今すぐ脱げ」


    ペトラ「ファっ////!!??」
        ((┌(┌^o^)┐




    リヴァイ「・・・悪ィ、受け取るモンも
         貰った事だし退散させて
         もらうぞ・・・」(ドン引き)
         スザッ..;



    エルヴィン「あっ・・!ちょ!!
        待てリヴァ・・・!!!」




  97. 103 : : 2015/03/09(月) 02:01:06





    ――池袋某パチンコ店店外ベンチ――




    リヴァイ「アブねえ・・・。
         見た目が何となくそんな
         雰囲気に見えるって噂は
         あったが・・・まさかマジで
         ソッチだったとはな・・
         (滝汗)」


    ペトラ「でも良かったですね!
        丁度良く近くに座れる場所も
        ゴミ箱もあるベンチがあって!」
        (ホモォ・・・┌(┌^q^)┐)




    リヴァイ「おい・・・ペトラ。
         涎を拭け。きたねえぞ」
         ゴシィ!!



    ペトラ「ムグッ!!???!////」



    余りの不意打ちに回避も間に合わず、
    驚きに硬直しながらも
    リヴァイのぶっきらぼうな手拭での
    拭き取りに口元を拭い去られるペトラ。




    ペトラ「せ、せせせせ先ぱいッッ!!??//」
        ファァァ(☉ω☉//;)ァァアア!?



    リヴァイ「すげえどもり方だな」



    拭き取った大判の手拭を畳み直し、
    自らが取り出した別の手拭と共に
    ベンチの腰かけ部分に敷くリヴァイ。


    ペトラ「きっ・・・汚いですよ!!
        先輩の神聖なハンケチをッ・・!
        こんなっ・・・!」



    リヴァイ「・・・どうせ尻に敷く為に
        持ち歩いてる布だ。

        ぁあ、安心しろ。ちゃんと
        洗ってある。今ここで
        こうして使うから拭き取って
        やっただけだ。

        どうせ洗うんだ…結局同じだろ」
         



    ペトラ「あ・・・は、はい・・・
        ではお言葉に甘えて・・
        し・・失礼いたしまフ....///」




    そうしてリヴァイの間隣に俯きながら
    腰かけるペトラ。その顔はすっかり
    茹で上がったタコの様な朱色に上気
    しきってしまっている...



    紙袋から取り出された
    揃いの単品バーガーに無言で
    齧り付き、一口置きに
    隣のリヴァイをチラ見するペトラ。

    その心拍数もまるで
    短距離走などの無酸素運動での
    高回転の最中にある状態。

    食事を摂るのは非常に危険な状態だ



    リヴァイ「おい・・ペトラ。
         鼻息の荒さといい肩の
         上下と言い、その状態で
         飯を喰い続けるのは
         危険だぞ・・・。少し
         呼吸を落ち着けてゆっくり
         噛んで飲み込め」




    ペトラ「ハイ・・・・///;
        す、すみません・・ご心配を
        お掛けしてしまって・・!」




    リヴァイ「・・・一々謝る事は無い。
         お前がその体質に自分でも
         難儀しているのは俺も
         よく知ってる。

         一人で抱え込む事も・・無い」
         ガパッ・・・


    ホットコーヒーのカップを手渡し、
    そう告げるリヴァイ。



    リヴァイ「そのためにこうして
         場の空気に慣らそうって
         目的もあって一緒に
         歩き回ってるんだからな。」




    ペトラ「ありがトウ・・・ございます//」
        カァァァ・・///



  98. 104 : : 2015/03/09(月) 02:04:09










    そうして路地を眺めながら
    二人で並んで期間限定の
    ハワイアンテイストバーガーを平らげた後

    冷めて温くなったコーヒーを
    流し込んでいた所で・・・ペトラが
    思い出したようにリヴァイに問いかける




    ペトラ「あの・・そう言えば先輩。
        さっきなんですけど」



    リヴァイ「・・?」




    ペトラ「何か・・ゲーセンのプリクラの
        話してたじゃないですか」



    リヴァイ「(´・ω・`)」
         ソレナ



    ペトラ「な・・なんですかその顔は・・」




    リヴァイ「いや・・思い出したらつい、な。
        思わず笑いそうになっちまった
        から堪えただけだ・・。」クッ・・




    ペトラ「!?ぃま先輩笑いそうになって
        たんですか??!」
        ソレハミタカッタ! 




    リヴァイ「・・・で、聞きたい事が
         何かあるんだろ。

         ・・まあ大体質問の趣旨なら
         察しがつくけどな」



    ペトラ「え・・?あ、はい・・じゃ
        ストレートに聞いちゃって 
        いいですか・・・?

        あの・・先輩・・・
        ハンジさんと・・プリクラ
        撮った事あるんですか?」




    リヴァイ「・・・・・」




    問いかけに即答せず、何故か地面を
    数秒間見つめ、某クイズ番組
    大物司会者のような溜めを作って
    ペトラの焦りを誘うリヴァイ。




    ペトラ「な・・・なんで
        即答しないんです先輩!?
        お、怒らないですから
        正直に答えてくださいって!!」



    リヴァイ「・・・いや・・?;何故
         その返答如何によっては
         お前が怒り狂う事に
         なるのか、その図式には未だ
         疑問が残るんだが・・・

         俺がいまこの場でその質問に
         一言で返す言葉が無いのは
         ・・・二つの理由があるからだ」



    ペトラ「・・・・二つ・・?」ドキドキ


  99. 105 : : 2015/03/09(月) 02:05:40




    リヴァイ「・・・その答えは一言で
         言い表せる内容では無いから
         ・・というのが一つ目。

         そして二つ目は・・・
         一応さっきああして黙秘して
         やる事を約束してやった手前

         その口約束を簡単に破って
         しまうのもどうなのかと・・
         この期に及んで思っちまった
         からな・・・

         所謂良心の呵責って奴だ」



    ペトラ「な・・成程・・しかし・・
        と・・いうことは・・」



    ――簡単に言い放てる内容で無いと
    いう事は・・その返答はNOで済ませる
    事の出来ない答えだという事。


    そう直感したペトラは・・・
    その場で手前勝手ながらも様々な
    憶測を自身の妄想の範疇にて
    シミュレーションしてみる。

    しかしそんな脳内演算に没頭するあまり
    視覚が半ばシャットダウンされた
    ペトラの聴覚に、続くリヴァイの言葉が
    響き渡る。




    リヴァイ「・・・とはいえ
         大して面白い話でもない。
         然程勿体ぶる必要も無えだろ」



    あっさりと旧友との口約束を反故にする
    意向を述べ上げるリヴァイ。




    ペトラ「ま、マジっすか!?
        イインデスカ先輩!!?」ババッ




    リヴァイ「アイツが俺との約束を
        ブッチした回数を思えば
        この程度は充分笑って
        済ませられるレベルだぞ。

        問題ない。」




    ペトラ「・・・フム・・・!」
        (真剣そのもの)





    リヴァイ「結論から言おうか」




    ペトラ「(ゴクッ・・・)」




    リヴァイ「撮るには撮った。」




    ペトラ「なっ・・・!!!なん・・
        と・・・・!!!」
        ガーー(;゚Д゚)ーーン


    あまりの衝撃に言葉を失うペトラ。
    先を越されたショックも大きかろうが
    それよりも意外だったのは、

    そんなものに金を消費する事自体
    嫌がりそうなリヴァイがあえてその
    撮影に応じたという事実そのものだった。


  100. 106 : : 2015/03/09(月) 02:07:43



    リヴァイ「だがな・・当初俺とメガネ
         二人で撮影するつもりだった
         らしかったんだが・・」



    ペトラ「・・・・!」
        ドキドキドキ




    リヴァイ「いざ撮ろうとしたら
         ゲーセンの店員に止められた」




    ペトラ「ま・・まさか(;^ω^)」




    リヴァイ「そこまで最近の事じゃ
        ねえんだが・・どうも
        ああいうのは閉塞空間で
        周りからも中で何しているか
        伺い知れない観点から言っても
        野郎連中のみでの撮影が
        禁じられてるらしい。

        盗撮対策だっていう言い分は
        理解できるが・・そんなの
        女でもやる奴はやると思うから
        どうなのか疑問はあるがな。

        ・・・つまりそういう事だ。
        一々説明しなくても分かるな?」






    ペトラ「は・・・ハンジさん・・;」





    リヴァイ「私服に女っ気の欠片もない
         アイツも悪い。相手は
         女性店員だったからな、

         怒り心頭に達したあいつが
         あわやその場で脱衣すると
         言い出す寸前になった所で
         遭遇したのが・・・
         ゲーセンを偶々うろついてた
         イザベルだ。」





    ペトラ「・・・じゃ、じゃあ」





    リヴァイ「ぁあ。その写真には
        各処に見るに堪えない変顔を
        作ったイザベルが映り込んで
        やがる。数種類のフレームで
        撮れるようだったが・・
        
        全部のショットに奴の変顔が
        チラついている上に寸前まで
        そんな事があったお蔭で
        メガネの機嫌はすこぶる
        悪くてな・・とても朗らかな
        印象は感じられないカオスな
        写真になってるぞ。」



    ペトラ「(当然・・先輩はその二人に
        挟まれて無表情を貫いて
        るんだろうから・・そりゃ
        カオスになるわよ・・;)」



  101. 107 : : 2015/03/09(月) 02:16:54




    リヴァイ「・・・真相を聞けて満足か?

         さっきはそのお前のお目当て
         ともいえる“プリクラ”とか
         言うアレを撮る前にメガネの
         電話に出る為に表に
         出ちまったからな。

         どうする?それが気がかりなら
         今からでも60階通りに戻って
         さっきのゲーセンまで戻るか」




    ハンジとの集合予定時刻は程なく
    したら・・という所まで迫っている。

    先程エルヴィンから必死に促された
    注意喚起を完全に忘れていたリヴァイは
    目の前のペトラにそう聞くが・・・



    ペトラ「い、いえ、またの機会に
        しましょうよ!それはまあ・・
        私もその話を聞くまでは是非
        先輩と二人だけの写真を
        残したいって思ってましたけど」



    リヴァイ「・・・・」



    ペトラ「その話を聞いたらなんだか・・
        是非ハンジさんも一緒に
        撮ってあげたい気がして
        しまいましたから(憐)」



    そう言って若干哀愁の漂う笑顔を
    輝かせる後輩の顔を暫く無言で
    見やるリヴァイ。



    リヴァイ「アイツも思慮深い後輩に
        恵まれて幸せ者だな。

        なら・・後で3人で撮りにいくか」
        スッ・・・バサバサ・・



    そう言って立ち上がると丁寧にプラと
    燃えるゴミに分けた残骸を
    屑籠に放り込んでいく。



    ペトラ「ハイ!!是非そうしましょう!」
        ニコニコ





    ――メイクイーン+2ニャンニャン――




    エレン「は・・ ハンジサンは・・」ピクピク




    ミカサ「・・・池袋でリヴァっちと
        待ち合わせてるって。

        さっき出て行った・・・」スポ
        (耳栓解除)



    フェイリス「ニャ・・ニャア・・・;;
       ナイトメアニャ・・・!!!

       ジャイア○リサイタルなんて
       お話を盛る為だけの過剰表現
       だって思ってた時期が・・
       フェイリスにもあったニャ・・・!!
       
       しかしあの破壊力・・・・!!
       アレは最早兵器ニャ・・・!!」
       ガクガク・・ブルブル・・・



    アルミン「歌声が本当に『ボエ~』って
       なる人初めて見たよ僕・・・;;」












    ――そうして数分後、再び場所は戻り..




    ――池袋・某家電量販店裏手の公園――





    ペトラ「っわーーーー!!
        み、見てください先輩!!!
        猫ですよ猫!!!
        1、2、3・・・7匹は居ます!!!

        うぁは~~~!!モフりたい!!」
        ワキワキ




    リヴァイ「野良に限らずそいつらは
         何持ってるか知れたもんじゃ
         ねえぞ・・・。お土産を
         貰いたくなきゃ迂闊に
         手を触れるな・・・・」
         (눈_눈)



    公園各所で佇む色とりどりの
    毛玉達を目前にして極度の興奮状態へと
    シフトし、途端に触り倒したい衝動に
    駆られてその場を駆け出すペトラ。


    しかし相手は仮にも野生生物。
    向うからすれば殺気以外の何物でもない
    危険なオーラを全開に放って迫りくる
    人間を見て散開しない筈も無く・・・


    蜘蛛の子を散らすようにして各々
    その場から退散していく。




    ペトラ「ぁあっ・・・!!
       猫村さんが・・・!!!

       こ・・こんな事ならバーガーの
       欠片でも取っておくんだった・・!」




    非常に素早い去り際である。

  102. 108 : : 2015/03/09(月) 03:36:28




    リヴァイ「(溜息)..。」



    辺りはやや薄暗くなってきており
    ・・夕刻も程近い様子。

    少々の緑地帯もあるとはいえやはり
    地元とは一味違う都会の空気を
    一息吸い・・路地の奥に退散した
    一匹に追い縋る無邪気な後輩の笑顔を
    遠目に見つめるリヴァイ。



    ポロリン♪



    リヴァイ「!」



    正にその時、リヴァイの携帯が
    一つのメッセージ受信を伝え、鳴動した。

    どうやらハンジが駅に着いた連絡を
    送ってきたようだ。恐らくペトラの
    携帯にも同様に連絡は行き届いている
    筈なのだが・・・・



    リヴァイ「ったく・・・どこまで
         ドラ猫を追っかけて
         行っちまったんだ・・

         すっかり声も聞こえねえ
         じゃねえか・・・」
         ムクッ・・・




    リヴァイ「・・・・おい!・・・ペトラ!!
         
         ・・・・・・   ・・・・・     

         ・・・・どこまで行った(舌打ち)」


    腰掛けていた身体を起こし、
    ペトラが猫を追跡する際突入していった
    路地に向け、その名を呼びかける
    リヴァイ。

    しかしその呼びかけに答える
    声は無く・・・それ以上街中で知り合いの
    名を連呼するのも気が引ける為
    すぐさま携帯を取り出す。




    リヴァイ「こういう時にこそ文明の利器
        ってヤツは役立つべきなんだろ
        ・・・普通は・・・・」



    ハンジへの返信を打ち込もうと
    慣れない手つきで夕暮れ時の日差しの
    映り込みの所為で見え辛く反射する
    携帯画面を凝視するリヴァイに・・・


    瞬時、一つの違和感が襲い掛かる。





    画面に映っていた筈の陽が――――





    ―――――消えた。


  103. 109 : : 2015/03/09(月) 03:38:35






    リヴァイ「っっっ!!!????」
         ギッ、、、、、、、!!!!!







    嫌な唸り声を上げたのは・・・
    リヴァイ自身が緊急回避運動の際に
    最大張力で以て稼働させた全身の腱。


    携帯電話の画面越しに夕陽の替わりに
    映り込んだ“何か”を見たリヴァイは・・・


    瞬時、何も考えずに車道に反した
    方向へとその身を躍らせる。



    ――直後





    ドガッッッッ!!!!!!!!

               ガゴン!!!!!!

     ドガガッ!!!!




    凄まじい音と共にインターロッキング
    舗装を破砕しつつもその地に沈み込む
    一つの巨大なコンクリート塊。


    それらは地面への衝突までは一つの
    塊だったが・・着地と同時に
    パーツごとバラバラに分解しながらも
    砕け散る。



    リヴァイ自身は・・今迄様々な職を
    転々としてきた経緯もあり、
    その物体に心当たりと見覚えがあった。


    そして道中“その物体”をどこで
    目にしたかも記憶には残っていた。
    ・・・しかし・・・





    リヴァイ「一号管・・・・マンホール・・・・?!!」




    “ソレ”はここに来るまでの道中、
    路肩に止められていた路駐車の
    2トントラック荷台に積まれていた物だ。



    リヴァイ「(どうしてこんなモンが
         上から降ってきた・・?!?

         トラックの横転事故か・?!?
         いや・・だったら転がって
         くる筈だ・・・・!!!)」
         ババッ!!



    余りの出来事に流石にその両目を
    見開き・・辺りへとその視線を
    泳がせるリヴァイ。

    高鳴る鼓動の音を今尚響かせる
    その耳に届いたのは・・・・


    つい先程聞いた気がするような・・・


    何処かで聞いた事のある・・・


    しかし一度も聞いた事の無い声だった。


  104. 110 : : 2015/03/09(月) 03:40:09





    ???「何だぁ.......???!猫に防波堤
      みてえな名前でも付ける趣味が
      あったのか・・・?っつぅかよ・・・・」





    リヴァイ「・・・・・・!!?」





    ???「池袋にはァ.....!!


      二度とッ・・・・・来るなって・・・・!!

      言わなかったっけかなァ.....?!?」
      ピキピキ..(ꐦ゚皿゚ꐦ)..ピキピキ!!!





    そこに立っていたのは細身の長身に
    バーテン服を身に纏った・・・
    金髪サングラスの一人の青年だった。
    その顔には特殊メイクかと疑う程の
    明確な青筋が浮かび上がっており・・

    何処からどう見ても尋常では無い
    殺気を正に此方に向け、振りまいていた。






    ???「ぃィィイイイザヤ君よォォおおぁあ!!!」




    ーー猛り狂う、獣の咆哮。




    リヴァイの事を親の仇か何かと
    勘違いしているのではないかと
    言うほどの凄まじい怒声である。







        ―『その他の危険』―





     唐突な話だが・・稀有な事にも
     こんな話を目にしている人が居ると
     仮定して、そいつが仮に運転免許を
     取得した経験があるなら・・・

     “その”標識をテキストなどで
     一度は目にした事位あるだろう。

     ・・そう。黄色い菱形の警告標識に
     でかでかとエクスクラメーション
     マーク・・・こっちの国での言い方
     では感嘆符ともいうが・・・・つまり
     “❕”(コイツ)が表示されている
     あの標識の事だ。


     その警告内容は読んで字の如し。


     他に存在する警告表示のどれにも
     該当せず・・若しくはその複合など
     特殊な危険を警告する為存在する
     標識であり・・・


     これ自体は決して警告内容を意味深に
     するための物ではない。


     よく誤解されがちな例をあげるなら
     別に出てはイケないモノや見えては
     イケないモノが見える等と言った
     警告を促す為だけにある標識では無い
     という事だ。



     ・・・しかし今俺が直面した
     この場面に於いてはどうだろうか。

     そのグラサンバーテン服の隣には
     ・・・立っていない筈の
     『その他の危険が』立っていた。

     いや・・・正確にはその手に握られて
     居た訳だ。こんな街中に平然とある
     標識じゃねえし、あったとしても
     そこは歩道だ。


     しかしそんな事は更にどうでもいい。


     問題はその標識が・・・明らかに
     真ん中で不自然な曲がり方をしていて
     施工された際に地中に埋没されて
     標識根元を強固に固めていた筈の
     コンクリが・・その先端に残って
     居た事だ。




    リヴァイ「(標識を武器にするのはもう
        今の不良マンガじゃ流石に
        古いだろ・・・・・・!)」




     どこぞから引っこ抜いて来たのだろう。



     明らかに今目の前に現れたその
     バーテン服は・・・俺にとっての
     『その他の危険』であった。
  105. 111 : : 2015/03/12(木) 03:17:52






    ――同時刻・露西亜寿司・店内――






    池袋のとある路地の一角にある
    その寿司屋は・・一見した
    店の外からの外観はさておき

    一歩その戸口から足を踏み入れてみた
    結果、入店者の目に飛び込んでくる
    店内の独特な内装は・・・日本という
    国の中での寿司屋としてはかなり
    異質な店構えだった。


    清潔感は文句無しに配慮が行き届いて
    いるものの、調度品や垂れ幕など
    その空間を彩る全てが和食趣向と
    全くかみ合っていない為だ。


    板の間や、本来木材が使われるべき
    場所に大理石が使用されていたり、

    形としては最早シャンデリアに近い
    派手な照明が各所にぶら下がっていたり、
    その他さまざまな部分が寿司屋
    らしからぬ煌びやかな印象を
    漂わせており、


    既に寿司屋としての原型が辛うじて
    残っている様に感じられるのは
    カウンター部分と、その椅子位の物で
    しかない。

    そこに一切目を向けなければ
    どこかの国の宮殿を模したかのような
    非常に絢爛な店内に於いて・・・

    未だ夕飯時には大分早いという
    時間であるにも関わらず、
    座敷席に陣取った青年3人と
    女性1人の4人組が注文を取る前に
    開いた携帯を見て和気藹々と
    雑談に興じていた。




  106. 112 : : 2015/03/12(木) 03:20:49




    狩沢「ねぇねぇ!!ダラーズの掲示板
       見た!!?丁度今やってるみたいだよ

       ビッカメ裏手の公園の辺りで・・・
       イザイザとシズちゃんが!!!!
       そりゃもう激しく!!!!!」
       ウキウキ☆ ワクワク☆





    門田「主語がねえと分かんねぇ・・と
       言いたいところだがその二人の
       名前が同じ場所に出てきた時点で
       何をしてるかなんざ聞かなくても
       分る事だしな・・・

       寧ろお前の説明には色々と
       語弊が生じるからそれ以上
       実況しなくてもいいが」




    渡草「・・それがどうしたんだよ。
       あの二人の追走劇は
       天気の挨拶みてーなもんだろ。
       今更珍しくも何とも・・」




    游馬崎「それがっすねぇ・・・
        どうも今日はこれまでに
        類を見ない程の大接戦
        らしいっすよ。」




    門田「接戦・・・だぁ・・?」ピク




    その言葉に引っかかるものを感じ取り
    帽子に隠れた眉根を上げる門田。



    門田「いや・・・アイツの普段の
       立ち回りでそれはねえだろう。

       幾ら静雄の動きに対応できる
       とはいえステゴロで正面切って
       打ち合える訳じゃねえんだ。

       そんな事が出来るのは現状
       池袋じゃ今外でチラシ配ってる
       サイモン位のもんだ」ズズ・・・



    そう言いながらも
    湯呑に湛えられた茶を啜り、帽子を外す。







    遊馬崎「そ~~・・なんっすよねえ・・
       静雄さんは見ての通りの
       パワーチーターで、正に
       “レベルを上げて物理で殴れ”
       を地で行くのに対し・・」



    狩沢「イザイザはすばやさとかしこさ
       に全部ステ振りしたかのような
       一撃離脱戦法がメインだもんね~。

       みのまもりは上がってない分
       流石に紙装甲でシズちゃんの
       いきり立ったモノを喰らう訳にも
       行かないから逃げ回るのが
       定石の筈なんだけど・・・」






  107. 113 : : 2015/03/12(木) 03:22:50





    門田「・・・あんまり意味深な
       言い回しは勘弁してくれ・・;

       これから飯だってのに食欲が
       失せるばかりだろうが(溜息)





    遊馬崎「そして更に!静雄さんの
       基本戦法は・・辺りにある物を
       所構わず千切っては投げ、
       引っこ抜いては投げ、といった・・・
       
       正に無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)又は地形効果・
       千刀巡りもかくやといった大迷惑
       乱闘パーティ仕様っすからね。

       いつも通りだったら追う静雄さん
       ・・そして追われる臨也さんの
       去った後には・・器物損壊的な
       意味で甚大な被害が出るハズ
       なんすけど・・」
       
       


    門田「それが今日は違うってのか」
       



    遊馬崎「ぇえ、まあなんというか。
        まだ目撃者有志のカキコが
        不足してるので何とも
        言えないんすけどね・・

        どうも普段と様子が違う
        みたいなんすよ。・・
        どっちかというと臨也さんの
        方が。。」スス・・(スマホスクロール)




    門田「俺も見てみるか・・・」
       (携帯取り出し)




    狩沢「イザイザは至近距離での絡み(インファイト)
       持ち込まれると流石に不利な
       筈だから・・いつもならもう
       一挿し二挿し反撃を加えながら
       場所を移す頃だと思うんだけど・・

       なんか書き込みどんどん増えてる
       とこ見ると・・そこから全然
       動いてないみたい」




    渡草「どっちにしても物騒な単語
       なんだが・・・“刺す”の字が
       違ってるぞ・・(心底嫌そうな溜息)」





    遊馬崎「狩沢さんの腐女子回路は
       並大抵の事じゃ外れないので
       突っ込んでも無駄っすよww」




    狩沢「・・・あ、!みてみてこのカキコ!
       これ・・・マジかな!?」





    門田「何だ・・・どこだ」ワタワタ




    遊馬崎「・・・・!ええ、そんなw
        あんな人が二人も居たら
        堪んないっすよw悪い冗談にも
        程があるっす!;」



  108. 114 : : 2015/03/12(木) 03:24:38





    門田「おい、だからどの書き込みだ(焦)」




    狩沢「だからほら、この“しゃろ”って
       ハンドルのカキコだって!」
       (スマホ見せつけ)



    門田「あ・・?何々・・」




    そこには野次馬としてなのか、
    偶々なのか、その場に居合わせた人間の
    物と思われる書き込みが、短くこう
    綴られていた



    『しゃろ:ありゃコートの方はいつもの
         情報屋じゃねえな。
         動きと打撃の捌き方がまるで
         違う。普通すぐに気づきそうな
         もんだ。別人だよアレは。』




    門田「・・・・どういう事だ」




    狩沢「だから~~~!!
       とうとう偽イザイザが池袋に
       現れたんだよ!!その本物と
       見紛うほどの甘いマスクで
       シズちゃんを惑わしに来たに
       違いないんだよ!!!✧」キラキラ




    遊馬崎「ヒーローものでは昭和の古なる
        時代から引き継がれてきた
        お約束のテンプレっすけど、
        そこがあえて燃えるっすね!!」
        グッ!!




    門田「(溜息)...たった今お前も
       言ってたばかりなんだが・・・
       ・・・あんな奴が二人も居て堪るか。

       まさか静雄にも実は弟以外に
       性格まで瓜二つな双子が居るとか
       ってオチじゃねえだろうな;」




    狩沢「外見は全然違うけど、声だけなら
       すっごく似てる人知ってるよ私!
       マッグ東口店のヅラヴィン団長
       そっくりな人!!!」マジニテルッテ!!





    門田「まあ・・そっちはどうでも
       いいけどよ・・、しかしアレだ。

       さっきビラ配ってたあいつ(サイモン)
       まだ注文取りに来ないって事は・・
       多分止めに行ってるって事だろ。
       いつも通りな。それまで寿司も
       おあづけだ」




    デニス「悪いな、決まってるなら
        今すぐ大丈夫だが・・どうする_?」




    カウンター越しに板前風の
    険しい目つきをした店主が
    申し訳なさそうに呼びかけてくるが




    門田「いや・・いい。どうせ急いじゃ
       いねえんで。茶だけもう一杯
       頼みます」ズズ・・



    これを寛容にも許容する門田。





    門田「・・・サイモンが到着するまで
       その臨也そっくりさんが無事だと
       いいんだがな。

       ・・まあ見物が出来始めてるのに
       まだやり合ってるって事は
       相当腕は立つんだろうが」




  109. 115 : : 2015/03/12(木) 03:28:25





    ――池袋・某公園――








    リヴァイ「(・・参ったな。)」







    静雄「ォぉおおあぁぁ!!!!」






    ゴゥッ・・・!!     ゴガッ!!!

         ブンッッ!!!!






    リヴァイ「(・・・非常に参った)」
         ヒョイッ 
              ザザッ

    リヴァイ自身は当然知る由もない
    事であるが・・・

    今正に眼前にて器物破損という
    過程を経た上で、自らを殺すことも
    厭わない勢いで殴り掛かって来ている
    その男こそが・・


    池袋で最も喧嘩を売ってはいけない男。


    そして・・・最も怒らせてはいけない男。



    即ち、平和島静雄、その人であった。



    どんな理由があってこうして自分が
    急襲の憂き目に遭わなければ
    ならないのか。全く理解できない
    リヴァイは・・・心の片隅で、"何故か"
    先ほどのエルヴィンの言葉と・・・
    その声を何度も反芻していた。




    リヴァイ「まぁ・・・今更気にしたって
        最早どうしようも無ぇ訳だが
        ・・・・」






    只でさえ自身の身の丈を超える標識を、
    それも空気抵抗がモロにかかる
    振り方でありながらまるでハエ叩きと
    同じくらいの豪速で振り回し、

    怒涛の連撃を繰り出しながらも
    殴りかかってくる静雄に対して・・
    これを必要以上に距離を取ろうとせず

    静雄の足捌きと棒部分を保持している
    軸手から進行方向を読み、尽く
    躱し通すリヴァイ。その動きはさながら
    踊りながら2重の縄跳びを飛んで見せる
    ダンサーのようでもある。





    リヴァイ「(何度も人違いだって
         弁解はしたんだが・・
         頭に血が上りきってて
         全く声が耳に届いてる様子が
         ねえ・・・)」




    静雄「ピョンピョン飛び跳ねてんじゃぁ
       ねぇぇぇええええ!!!

       この蚤虫野郎がァァアアア!!!」




    その場から安易に離れようと
    しないのにはリヴァイなりにも
    理由があった。・・・1つはペトラが
    購入し、先程まで自らが担いでいた
    大量の書籍。流石にアレを放置したまま
    この場を去る訳にはいかない。


    2つ目が、非常に理不尽で理解に苦しむ
    状況であるが、今まさに自らを殴殺
    する事すら躊躇う様子も無く・・

    荒ぶる暴力の旋風を振るって来る
    存在の、その暴れ方である。


    辺りにある物で手頃な物を何でも
    (というか明らかに手頃でない物まで)
    手に取り、これを何の躊躇も無く
    放り投げてくるという非常識さ。


    一発目の急襲に関しては
    直接見た訳ではないが・・今に至るまで
    公園にあった車止めのバリケードを
    容易く石ころを拾うかのように
    引き上げた後に此方に向けて
    投げつけて来たあの背筋力から
    生みだされる投擲力。


    考えたくも無い事だが・・・
    もしも一発目のマンホール管も
    奴が同様にして投げつけて来た物
    なのだとしたら。



    リヴァイ「(流石にむやみやたらと
         逃げ回る訳にいかねえだろ。

         お巡りは一体何やってんだ・・
         普通通報が無くったって
         もう来てもおかしくねえ
         だろ・・・・!)」
  110. 116 : : 2015/03/12(木) 03:33:55




    静雄「余所見とは余裕綽々だなァぁあ!!?

       ぃィイザヤ君ッッ!!!!!よぉぁ!!!」




    リヴァイ「!」





    ゴガッ!!!!!!





    打ち込む程に威力と速度が増していく
    凶器による殴打。最早標識は
    使い物にならない程の変形を遂げていた



    リヴァイ「(大した馬力だ。打ち込んで
         見なくても分かるが・・・

         こういう手合いは先ず
         打撃に対しても馬鹿みてえに
         鈍感な奴が多い。

         よって向うにホールドされる
         リスクを極力下げる意味でも
         組み合いにはあまり持って
         行きたくはない・・・が)」




    静雄「死ねぁあああ!!!

         ゴミ虫がァァァア!!!」
       ギャギャギャギャッ!!!!!





    リヴァイ「まだ、“組み合う”事が
        選択肢にある相手だってのは
        不幸中の幸いだったな。

        相手が“巨人”じゃそうは
        いかねぇ・・・」(ササッ)




    いよいよ使い物にならない程の
    変形度合に達した標識の先端部分で、

    舗装面を抉りながら
    掬い上げるかのような動作で
    リヴァイに対して渾身の
    逆袈裟斬りを見舞おうとする静雄。



    懐に手を伸ばし、その場に立ち止った
    リヴァイには最早そのスイングを
    躱すだけの安全圏が失われたかのように
    見えた。・・しかし






    静雄「今更得意げにナイフ(おもちゃ)なんか
       出してんじゃねぇ―――――ッ!!!」






    リヴァイ「っぁっ!!」ッヒュ...!!!





    静雄「・・・?!!」






    ッッギィャィン.......!!!!


    カラカラ・・・   ッ・・カン!!




    一瞬の事で静雄の目にも殆どその
    全容は把握できなかったが・・・
    その懐から抜き出されたモノは明らかに
    ナイフの刃渡りではなかった。

    その長大な柄からは、自身の見間違えで
    無ければ一瞬で黒っぽい何かが飛び出し、
    金属質な重い打撃で以て自身が
    振りかざした標識は弾き飛ばされていた。



    静雄「っ・・・・な・・・・?!」






    ―――久しく・・否、

    今迄一度として感じた事の無かった
    感触と、自身の常人離れした握力ですら
    保持しきれない程の力加減で得物を
    弾き飛ばされた衝撃に手首にしびれが
    走るのを感じる静雄。

    全く慣れ親しんでいないその痺れと共に
    目の前の仇敵(と、本人は思い込んでいる)
    に若干の違和感を憶えて一気に
    頭に上った血が下がりゆくのを実感する
    バーテン服の喧嘩人形こと平和島静雄。





  111. 117 : : 2015/03/12(木) 03:48:14






    リヴァイ「悪ぃが・・・何度も
         人違いだと言った筈だし
         此処までされれば一撃位は
         反撃しても過剰防衛には
         ならねえだろ・・・」


         ガッ......!!!!


    ・・一時的にハンジのふしぎな薬(コンペイトウ)
    身長が伸びているとはいえ、それでも
    かなりの身長差があるにもかかわらず・・

    一瞬周りで見ていた見物客ですらその
    姿を見失う程の速さで静雄の懐から
    背後へとすり抜けると…

    そのまま指を掛けたバーテン服の
    襟部分を力点として、支点であるひざ裏に足払いを全体重で載せた
    引き倒しに近い背面投げを
    見舞おうとするリヴァイ。


    ・・・しかし。



    静雄「ッッ・・・!!ぬ"ぁあああ!!!」
       ギギギギッ・・・・!!!



    リヴァイ「っ!!!」



    只でさえ常人離れしたリヴァイの
    全身のトルクが完全に対象の
    身体の支えを失わせてから崩す筈の
    投げ技に対して・・・

    それに強引に逆らうかの様な勢いで
    全身を鋼の様に硬直させ、その場で
    踏みとどまる静雄。凄まじいまでの
    粘りである。



    リヴァイ「こいつはたまげたな・・・!」




     いよいよもって人間の筋力じゃねえ。

     こりゃミカサと同類項の生き物だ。



     ・・・さて、打撃も恐らく駄目。
     投げ等の搦め手も試したが駄目。
     ・・こうきたらどうするか。

     俺が、この体勢から逆に
     掴みかかられないよう、素早く
     バックステップを踏みながら逡巡した
     丁度その時だった



    ガッ!!!!!



    静雄「っ・・・・」



    サイモン「ハァイ、シズゥオ捕マエた~~

       本体ガッチリ!!ハートキャッチ違ウ、
       ハードキャッチネ!!

       おイタも今日ハこの位ネー☆」



    ギリッ・・・!!ギギギ・・・!




    静雄「ぁあ”・・・??」ギリギリギリ




    リヴァイ「!?・・コイツは・・
         昼前に60階通りでビラ配り
         してた・・・・!?」




    静雄の背面から、夕刻に差し掛かった
    公園の薄闇に溶け込み・・しかしやはり
    暗闇ではこれ以上なく目立つ
    白い板前服と白い歯を輝かせ、

    かなりの力で羽交い絞めを掛ける男が、
    そこには立っていた。
  112. 120 : : 2015/03/16(月) 04:19:27




    静雄「・・!!!......」




    しかし、拘束される直前まで
    怒髪天の頂に居たであろうそいつの顔が
    ・・・俺の顔をこの距離でマジマジと
    見る段になってようやく落ち着きを
    取り戻していった。


    ・・とはいえ、こちとら相手の顔を
    初対面で認識した時、既にその顔面には
    怒りの感情以外現れていなかったため
    平静な顔をしているのを見るのは
    これが初めての事になるが。


    その面持ちは金髪にサングラスという
    パーツを込みにしても、一見して
    人畜無害そうな表情へと落ち着いていた。
    その変貌っぷりたるや先程までと
    同じ人間とは思えない程だ。



    サイモン「ソレに気付いテないかも知レナイ
       ケド、シズゥオ殴ル相手
       勘違イね~、この人良ク見るイイよ。

       ソックリだけどイザヤ違ウヨ~」 
       




    静雄「あ~~・・いや・・・


       オイ、とりあえず離せサイモン。

       今全部理解した。これは・・・
       マズったな。よく見たら・・・
       
       全っ然違う人じゃねえか・・・」




    リヴァイ「(何度もそう言ったが。

         見た目が違うなら何が原因で
         ああまで間違えられていた
         んだろうな)」




    彼の怒りが沸点から一気に下がったのを
    確認してから、拘束に絡める剛腕を
    解き放つサイモン。



    平和島の噴火は・・・活動の頻度も
    活発だが静まるのも異様に早い。





    静雄「いや・・取りあえずアレだな・・」
       ポリポリ....





    リヴァイ「・・・・・・」




    静雄「すんませんッした。。」
       ペコリ・・・


  113. 121 : : 2015/03/16(月) 04:21:14






    リヴァイ「・・・此処までの事をした
         理由は聞く気にはなれないが。
         よっぽど憎い奴と勘違い
         されてたんだろうしな。

         だが一つだけ覚えておけ。
         頭を下げるなら俺じゃねえ。
         
         あそこで粉々になってる
         マンホールを今日明日にでも
         施工する予定だった
         職人さんらとか、公園の
         インターロッキング施工を
         行った専門職の方々だろ・・」
         (溜息)



     まあ・・・一人の人間が挙手をして
     “俺がやりました”等と言っても
     逆に頭を疑われて終いだろうがな。

     ・・・・この惨状を見たら。



     元あった場所から引き抜かれ、
     別の舗装面に再度突き刺さった標識


     フェンスに風穴を開けて敷地外へ
     飛び出している車止め。


     そして極めつけは舗装ごと粉々に
     破砕している巨大なマンホール管。


     舗装路面に至っては所々が
     解体用重機が引っ掻き回したかの様な
     傷痕だらけという有様・・・


     どう見たって人一人が
     暴れてこうなる筈はねえ




    ざわ・・・
            ざわ・・・・




     今の今迄、猛攻を捌ききることで
     とてもそれどころじゃ無かったが・・

     気づくと周囲のオーディエンスも
     かなりの人数に膨れ上がっていた・・


     ・・・何故誰も通報しようとしねえんだ・・



    リヴァイが心の奥底で嘆息を
    漏らしていると観衆の隙間から



    タッタッタ・・・・




    ペトラ「っあ・・・!先輩ーー!!
        さっき猫ちゃん追っかけてたら
        ハンジさんからライン入って
        来たので・・!先輩とも
        はぐれちゃったから先に
        駅でハンジさんと合流し..
    ...て....って・・・・?!

        なんですかこりゃぁ?!??」
        ッテイウカ スゴイ ヒトゴミ!!




    聞きなれた声を響かせて
    馴染みのある顔が駆け寄ってくる



    ハンジ「ゑ!!?な、なになに!?
        何なのこの状況は!!?
        
        なんか地面が所々ヘッコんで
        るんだけど!?」




    リヴァイ「・・やっと来たのか・・・
         さっき喰ってそう時間も
         経ってないのにもう腹が
         減っちまった・・・

         飯にするぞ・・・・」


    ペトラ「え・・い、いやいや先輩"!?!
        この状況に関しての・・何か
        解説的な物は無いんですか?!

        どう考えたってコレ只事じゃ
        ないって感じなんですけど・・」





    リヴァイ「・・・俺に訊かれても知らん。
         よく分からんが・・・
         単なる人違いだそうだ。」






    ハンジ「ひ・・人違いッったって
       ・・・単なる人違いから
       どんな過程があってこんな
       破壊の限りが尽くされた惨状が
       出来上がるんだ一体・・・」
       ゴクリ・・・



  114. 122 : : 2015/03/16(月) 04:22:15





    リヴァイ「ああ・・それとペトラ。
        お前に謝らないといけない事が
        一つある。」





    ペトラ「ハイ・・?!な、なんですか
        先輩・・?!」



    リヴァイ「とにかく急な出来事だった
        からな・・緊急措置で
        身を翻した際に・・・
        お前の大事な薄い本を
        地面にほっぽっちまった。

        ・・様子を見るに外袋は店員が
        二重にしてくれたお蔭で無事な
        様だが・・・何冊かは
        角が痛んでいるかも知れん」





    ペトラ「っぇ、?!・・あ、イイエ!!
        先輩が無事で済んだのなら
        私はそんな、全然っ!!

        寧ろ私が持ってなきゃいけない
        荷物を先輩に持たせたのが
        いけないんですし!」



    ハンジ「アッ・・・!ペトラお前また
        こんなに山ほど腐った本を・・!
        ちゃんとリヴァイにプレゼント
        買うお金は残して
        あるんだろーね・・・;(溜息)」




    ペトラ「はっ・・・ハンジさんこそ!
        本来すっごく下手な筈の
        クレーンゲームでその、
        ゆらゆら兵長をゲットする為に
        幾ら使ったんですか!!?」
        アセアセ



    ハンジ「これはアレだよその・・・!!
        っほ、ホラ!ミカサが代わって
        くれたお蔭で一発だったんだ!!」
        ユラユラ・・



    ペトラ「今の間は、絶対みかねて
        代わりに取って貰ったって
        オチなんじゃ・・・;

        って・・・イ、一発ですか・・?!」
        (;´・ω・)



    リヴァイ「メガネ・・・テメエまで
         そんな何の役にも立たねえ
         モンを獲得するために
         硬貨何枚分も貢いで
         アミューズメントに貢献
         してやがったのか・・・

         そんなモンを獲る暇が
         あったらお掃除ロボットでも
         ゲットしてくれ・・・マジで」



    ハンジ「ッハハ・・リヴァイは
        おバカさんだなぁ。普通
        何万もするお掃除ロボットが、
        パチモンとはいえゲーセンの
        景品クオリティの物になってる
        時点で・・それは既に別の
        物だよ・・・

        集塵能力だってそれはもう
        タカが知れてるってもんさ!」



    リヴァイ「それはそうか知れねえが・・
         しかし“ソレ”よりは
         どう考えても役に立つ筈だ」


  115. 123 : : 2015/03/16(月) 04:23:54




    田中「おぅい~!静雄お前ッ・・
       っぁあ・・・・まぁた
       やっちまったのか・・・で?
       被害に逢った相手は・・・・」
       キョロキョロ・・・




    静雄「あっ・・・すんませんトムさん。
       ちょっとした人違いって
       奴で・・でも、一応まあ・・
       誤解は解けましたんで・・・」



    田中「ああ・・いや、・・人違い??
       それはイイんだが・・
       どこにも負傷者が見当たらねえ
       んだけど・・;

       ひょっとしてまさかお前・・
       人をどっか遠くに
       放り投げたりなんか・・・」



    静雄「アレ・・・・」スッ





    リヴァイ「・・・・・・」


     気づかない内に金髪バーテンの傍に
     メガネをかけたドレッドヘアに
     若干カジュアルなスーツ姿の男が
     立っていた。バーテン服の先輩か
     上司だろうか。

     その髪型に反して周囲に威圧感を
     与える様な刺々しいオーラは一切
     放っておらず、むしろのらりくらりと
     しながらも常に目の前の人物の
     導火線に火が近付いていないかどうか
     最大限の警戒を怠っていない・・
     そんな気配りが見て取れる。

     これは相当目の前の男の人間性を
     熟知している様子だ。




    田中「アレってお前・・アレ?
       ああ・・・あのコート・・・・・

       ・・・・・それでお前があの
       情報屋と勘違いして・・って、

       しかし顔は全然違うじゃねーか・・
       それに随分暴れた様子みたいだが
       当の本人は奇跡的に無傷だった
       みたいだな・・・・(溜息)」



    静雄「俺の打撃・・・一発も
       通りませんでした。全部
       うまく躱されました。確かに
       今思い返してみれば何度も
       勘違いをしてるって注意を
       されてた気もするのに・・・

       あのヒトの声を聴く度に
       どうしてもあの蚤虫野郎の顔が
       目の前にチラついて・・

       こんな自分に正直腹が立ちます。」
       ザッ・・・ザッ・・・



    田中「おいおい・・・マジか」
       ゾクッ・・・


    目の前の部下が怒り狂った状態が
    どれ程危険な物か良く理解している
    この男にとって・・それに襲われて
    全くの無傷、しかも逃走せずに応戦して
    その快挙を成し遂げたという対象の
    人間は・・それはもう空恐ろしい
    ものに感じた事だろう。

    その額からは一筋の汗が滑り落ちている

  116. 124 : : 2015/03/16(月) 04:26:01




    リヴァイ「・・・!」



     その時、バーテン服が此方に向け
     歩を進めてくる。一応反射的に
     身構えてしまう俺だが・・・
     もう相手からは先程の欠片も怒気を
     感じたりはしない。



    静雄「色々御迷惑をおかけして
       すんませんっした・・(ペコリ)
       コレ・・少ないけど、メシ代か
       さっき落としちゃった荷物・・?
       ・・の本でも買い直すのに
       使って下さい・・・

       後・・・コレも・・・」
       スッ・・・


    田中「(コイツが・・・!金まで
       渡して詫びを入れている・・・?!
       よっぽど悪いと思ったんだな・・;)」



    高額紙幣一枚と・・何かのチラシを
    リヴァイへと差し出す静雄だが



    リヴァイ「いや・・・別に身体の方も
        何とも無いしな・・・
        (樋口一枚・・?!受け取れるか!)」



    これを貧乏人感覚からの忌避感で
    やんわりと拒否するリヴァイ。
    流石に自らにこれといった実害が
    及んでいないにも関わらず
    自身の一月の食費に余裕で相当する
    金額をすんなりと受け取る気には
    なれなかったようだ。



    静雄「いや・・・そういう訳にも
       いかねーんで・・マジで
       受け取っておいてください・・
       あ・・あとその・・・」クシャッ



    リヴァイ「っぉ、おい・・・!」グイッ 



    無理矢理それらをリヴァイの掌へと
    握りこませ、踵を上司の方へ
    返しながら去り際に一言だけ
    気恥ずかしそうに告げる静雄。




    静雄「彼女さん・・・
       可愛い人ですね・・・俺も歳上が
       良いと思ってるんでその・・
       正直羨ましいっす・・」



    リヴァイ「・・・・・」
  117. 127 : : 2015/03/22(日) 00:44:20









    ハンジ「おうぃ リヴァイ~・・
        そっちの話は済んだのかい?」
        ドシタノ ボットシテ




    リヴァイ「おい・・・・・お前ら」




    ハンジ「ん??」
    ペトラ「はい?」





    リヴァイ「俺と見比べてお前らどっちが
         年上に見える??
         俺にはどう見ても・・何方も
         俺より歳をくってる様には
         見えねえんだが・・」




    ハンジ「・・・いきなりなんの話だよ;」




    ペトラ「それは・・・ぅうん、
        失礼な意味では無いですけど
        身長的な事で言っても当然
        ハンジさんじゃないですか・・?

        今は先輩背が伸びてるから
        余計ですけど・・元々だって
        私の方が先輩より背低いですし」



    ハンジ「悪かったな!ノッポの年増で!!」
        プンプン



    ペトラ「だから失礼の無い様に前置き
        したじゃないですか!!(ノД`)
       
        それに別にハンジさんだって
        ノッポって程の長身でも
        ないですよ・・?」



    リヴァイ「・・・だな。女にしては
         標準を若干上回ってるって
         だけで。

         ・・・だがそれだと・・・・
         ハンジの事を言ってたのか
         ・・・?

         いやしかし“可愛い”
         と言っていた・・・それだと
         辻褄が合わねえな・・・・」




    ハンジ「だから一体何をそんなに
        頭抱えて考え込んでるのさ!?」



  118. 128 : : 2015/03/22(日) 00:45:55





    リヴァイ「・・・(溜息)いや、最早何でもいい

        ・・・さて・・・結局一方的に
        飯代及びペトラの本の弁償代と
        銘打ってこんな大金を掴まされ
        ちまった訳だが・・・(チラ)

        おいペトラ。その中身で
        傷んだ奴だけでも買いに行くぞ。
        さっきの女子ばっかいた書店に
        もう一度連れてけ」



    ペトラ「えっ・・?!;いや、
        いいですってそんな!ど・・、
        どうせ私の趣味の一環として
        ついでに買っただけなんですし!
        メインは先輩のプレゼントを
        買いに来ることなんですから!」




    リヴァイ「・・お前さっき人の分まで
         頼まれて買ってるって
         言って無かったか・・・
         聞き違いでなければ(汗)」



    ペトラ「(アッ!)」




    リヴァイ「・・読書家なんだな」





    ペトラ「そっ・・!!!///

        それはアノ、その!!!!」
        アセアセ;




    リヴァイ「・・まあその辺についても
         今更どうでもいい。ペトラが
         読書家なのは今に始まった
         事じゃねえ・・・

         ・・・・・例えそれが
         薄くてヤマとオチが無い
         意味深長な本でもな。
         ・・そんなのはペトラの
         趣味の問題だ。俺が口を挟む
         事じゃない。今確認しとく
         べきなのは・・・本当に
         いいのかペトラお前。」



    ペトラ「・・・・・;」



    リヴァイ「この金の出所は俺じゃねえ。

         ・・まあ自業自得と言えば
         その通りではあるが、
         さっきのバーテンがお前の
         荷物への弁償代として
         置いてった分だ。
         お前が要らないと言うなら
         全員分の夕飯代にでも
         分散させちまうことになるが」


    ペトラ「ええ;!もうそれで
        全然良いですから!!私は
        あまり装丁とか本の傷み
        気にしませんし・・お風呂場で
        読む分以外は重複で買う事も
        あまり無いので;」




    リヴァイ「・・・お前・・・
         風呂でも薄い本読んでるのか」





    ペトラ「(;゚Д゚)」
        (墓穴)



  119. 129 : : 2015/03/22(日) 00:48:07





    ハンジ「いやリヴァイ、リヴァイってば。
        (ツンツン)
     
        ペトラ位になるとかえって
        風呂場で読むくらいの方が
        楽なんだよ。

        ・・後片付け的な意味で」




    ペトラ「ちょっ・・・!!ハンジさん!?
        何とんでもない誤解を先輩に
        植え付けようとしてんですか!!」
        ナンデスカ アトカタヅケ ッテ!!





    リヴァイ「・・・深くは追及しねえから
         そう慌てる事は無い・・・。
         じゃあ、良いんだな。全て
         コイツが飯代に消えても。」
         フイッ




    ペトラ「イヤイヤイヤ!!!追及して誤解を
        解いてくださいって!!!

        ハンジさんは根拠のない
        出まかせで私の印象を不当に
        貶めようとしてます!!!」
        Σ(;゚Д゚)/




    リヴァイ「それよりもコレなんだが・・」
         クシャ...



    ペトラ「先輩ーー~!!!!!(ノД`)・゜・。
        それより“も”って!!
        そんな....・ ・ ・ん??アレ・・・

        ・・・・これって。」



    リヴァイが広げた掌にクシャクシャになって
    載っていたのは・・・・・



    『3名様以上!!
       お会計から3割引き!!』



    ・・・以上の謳い文句がデカデカと
    紙面に踊る・・・・件の寿司屋の
    割引チラシであった。



    ハンジ「ロシ・・あ・・・寿司・・??;

        ・・・なにこれ(;^ω^)」



    ペトラ「おすし・・・・」ジュル




    リヴァイ「・・・・折角だから夕飯は
         寿司にするか?(溜息)

         寿司なんざスーパーの
         半額のを喰ってから実に
         半年ぶりになるが・・・・
         俺は卵だけで充分だ。
         それで行きゃ大した額には
         達しねえだろ。」



    ペトラ「そ、そんな!;先輩が
        そんなネタをモショモショと
        食べてる横で私一人だけ
        バカ食いできるワケ
        無いじゃないですか!!!
        
        当然私の分は私が出しますから
        先輩はその5千円で先輩自身の
        お食事分を・・・!」


    リヴァイ「・・・この5千円は
         その為に握らされたモノだと
         言ったろう。使う場合は
         俺ら全員の食費として使うぞ。

         ・・・・・・・
         メガネ。お前も少しは自分の分
         出せよ。流石の俺も
         “寿司”じゃあ2人分もの
         残額を捻出できる自信がねえ」



    ハンジ「いやリヴァイあのね!!?
        最近なら、5千円も
        持ってりゃ全額カバーは
        無理としてもほぼそれで
        支払い分の7割くらいは
        賄えるぞ??」イクラスシデモ



    リヴァイ「馬鹿を言え。
        寿司がそんなに安く上がる
        食べ物な訳があるか。」



    ハンジ「いやホントだって!!;
        最近じゃ100円の回転も
        増えて来て・・それこそ
        学生だって学校帰りに
        寿司を食べたりなんて事も・・」




    リヴァイ「そんなバカな話があって堪るか」
        オラ、トットトイクゾ

  120. 130 : : 2015/03/22(日) 00:52:50




    ハンジ「あっ、ちょ、リヴァイ~?!
       ご飯はいいけどさ!!リヴァイの
       プレゼントは!?大体今日、そっちが
       メインな筈だろ?!」



    リヴァイ「別にそのプレゼントとやらは
        先を急ぐモンでも無いんだろ。

        大体俺の誕生日なんざとっくの
        昔だしな。・・それよりも
        俺は今、命懸けのスパーリングの
        相手を余儀なくされたお蔭で
        途轍もなく腹が減ってるんだ。

        ・・早く厚焼き卵が喰いてえ」
        ザッ・・ザッ・・



    ペトラ「せめてもっと豪勢なネタ
        行きましょうよ先輩ィ・・;」
        (;'∀')/アッ・・マッテ センパイ!




    リヴァイ「知らねえのかペトラ。
        回転は除外して・・その店の
        本気度が最も分かるネタ・・
        そいつはコハダでも何でもねえ。

        ・・・卵だって話だ。当然だな。
        今迄海を泳いでた奴らの
        コンディションよりも・・・調理の幅で
        味に差が出るネタの方が格段に
        板前の腕が試される筈なんだ」



    ハンジ「あっ、おいおい!
        そんなチラシで場所分るの!?
        ケータイで探そうよ!!」
        バタバタ・・・;





    陽も沈み、昼とはまた違う夜の喧騒を
    街の風に乗せながらも・・常に活気が
    失われる事のないその街を往く三人。


    ハンジの提案通り、携帯の地図アプリを
    使用しなければ到達が困難な程
    チラシ記載の簡易見取り図は
    簡略極まりない内容であり、そこから
    リヴァイ一行が目的地に足を踏み入れる
    までには少々の時間が掛かった・・。



  121. 131 : : 2015/03/22(日) 00:55:11




    ――新宿・とある高級マンションの一室――








    臨也「ねえねえ波江さん。今日夕方頃かな

       ダラーズの掲示板見てた??」
       ギシッ・・



    個人で借りるには贅沢すぎる程の
    広々とした間取りの一室。

    そのスペースには何らかの
    事務仕事をこなす為なのか
    作業用にしても大きめの机が二つと
    幾つかの本棚が並べられている。

    片方の机に備えられた
    座り心地の良さそうな高級チェアに
    身体を逆向きに跨り、背もたれに半身を
    寄り掛からせながらも

    愉快そうな面持ちで
    事務作業真っ最中といった様子の相方に
    遠慮も無く語り掛ける一人の青年。





    波江「・・見てたら何か私に得があるの?

       …それであなたの余命が一秒でも
       縮まると言うのなら今からでも
       喜んで閲覧しに行ってF5キーを
       秒間16連打してあげるけれど」
       カチャカチャ



    その問いかけに、未だキーボード上を
    走らせている作業の手を一切止めもせず
    氷の様に冷え切った表情と目と声色で
    抑揚のない返答を返す、緑セーター着用
    黒髪長髪の女性。




    臨也「そういう詰りプレイは
       今いいからw見てないなら
       ちょっとログを確認してご覧?」
       ニヤニヤ



    波江「あなたの指図は受けないから。
       (キッパリ)
       今日の夕方でしょ・・その時間なら
       見てたわ。あまりに書き込みが
       ひっきりなしで煩かったから」



    臨也「なぁんだ。見てたのか・・・
       つまらないなぁ。・・・しかし
       これ一体どういう事だった
       んだろうねえ!俺の偽物が
       シズちゃんとドンパチやってた
       だなんて・・・!(ワクワク)

       全く神様ってのは残酷だよ。
       こんなに面白い事になってるなら
       こっちで忙しかった仕事手放しに
       して池袋まで野次馬に駆けつけた
       って言うのに・・」




    波江「運び屋への依頼とちょっとした
       トラブルでそれどころじゃ
       無かったんでしょ。日頃の行いが
       見事に現れたわね。神様とやらは
       残酷でも理不尽でもないわ。
       あなたに振り下ろされたのは
       至って適切な鞭よ」カタカタ






    臨也「・・・知ってたんだ。
       いやぁ・・池袋に程近い位置とは
       いえ・・まさかあの白バイ、
       あんな所まで追尾してきてた
       なんてね。お蔭でブツの引き渡し
       現場にバッタリなもんだから
       黒バイク(セルティ)だけじゃ無く
       俺まで飛び火さ。池袋のそっちの
       件もそれなりにシズちゃんの
       やんちゃで散々だったみたい
       だけど・・警察がそっちにまで
       手が回らなかったのはこっちの
       せいもあるかもね。

       嗚呼・・えらい目に逢った」





    波江「そのまま豚箱に放り込まれて
       くれたら私にとっては今年最高の
       吉報になったのだけれど」




    臨也「おや珍しい。弟さん(誠二くん)の近況報告
       の方が波江さんにとっては
       吉報だったと思ってたんだけど・・
       それは俺の勘違いだったのかな」
       ヘラヘラ



  122. 132 : : 2015/03/22(日) 00:59:29



    波江「・・・・誠二に何かあったの・・?」
       (ソワソワ)




    臨也「ぃ~や?別に何も」ニヤニヤ





    波江「・・そう。舌を噛み切って
       のたうち回りながら後頭部を
       机の角に強打して死んで」




    臨也「・・・素直に一言、“死んで”
       じゃダメなの??」




    波江「噛んだ舌が気管を圧迫して
       死にそう・・と、もがいている
       ところで転倒した先にあった
       机の角で頭を強く打って、
       あっけなく死んで貰う事で
       死に際の必死なあなたがまるで
       踏まれた虫けらの様に息絶える
       滑稽な姿が見たいと思って」




    臨也「波江さんってそういうとこ本当に
       妄想力豊かだよね。真面目に
       尊敬するよ。(引)

       弟さんとも何度も結婚して
       そうだよね。夢の中とかだったら。」




    波江「・・・あなたは何を言っているの?

       私と誠二は結婚も何も元々
       “家族”よ。小汚い雌猫が
       割り込んで来ようが何しようが
       決して引き裂かれる事のない
       絶対の絆で繋がっている“家族”
       なの。そこを勘違いしないで頂戴。

       ・・・//まあ夢の中でなら今迄
       100人くらい誠二の子供を
       産んだことならあ(ry
    臨也「うん。その辺にしとこうか;
       ちょっと話がヤバい感じの方向に
       シフトしつつあるからさ(ドン引き)」



    波江「・・何よ。あなただって
       二人いる妹の片方に寝込みを
       襲う形で唇を奪った挙句、

       もう片方の妹とは口内
       愛撫なんていうマニアックな
       プレイを施した上に危なく
       身体の関係を持つ一歩手前まで
       行った癖に....」ギリッ・・
       ウラヤマシイ・・///!!!



    臨也「それ中の人違いだからね!!??
       
       マジやめてくれないかな!!!(;'∀')
       それに片方は中の人被ってるって
       意味でもなんか生々しい誤解を
       生むからホントやめて波江さん!!」



    波江「家族を愛する気持ちが
       理解できないなんてあなたも
       寂しい人間よね。“人間を愛する”
       なんて大仰な事を普段から
       言い散らしてる癖に・・・
       薄っぺらいわね」ハッ・・・・





    臨也「いやいやいや。それとこれとは
       全く問題が別だよ(焦)

       僕は個々の人間の個性を愛しては
       いるしその生活を眺める事に
       無上の喜びを憶えはするけど、

       生首を愛する人間の趣向や
       その逆に首の無い胴体を愛する
       趣味を解ってあげられる理解力や
       近親相姦に身悶える趣向は
       持ってない」キッパリ




    波江「ああ、そう。」





    臨也「しかしもう一人の俺かぁ・・・!

       聞いた話によると世の中には
       自分そっくりな人間が3人。

       つまり今此処に居る俺を除けば
       後2人居るって事だけど・・・
       後の二人ってのは一体どんな
       人なんだろうなぁ。今日のは
       間違いなくその内の1人って
       事だよね。何せシズちゃんが
       俺と間違って攻撃するほどだから」




    波江「そんなどうでも良い事を
       聞かれてもね。・・じゃあ
       何事もネガティブにしか捉える
       事が出来ない高校教諭とか・・
       逆らう奴は親でも殺すと豪語する
       反抗期全開のバスケット部主将
       ・・とかどうかしら。」



    臨也「・・・なんかロクな人間居ないね」




    波江「今ここにいるあなたを含めて、ね」



  123. 133 : : 2015/03/28(土) 12:58:04





    ――露西亜寿司店内――






    サイモン「ハーイ、ウラル巻き2丁、
         クレムリン握り一丁、
         カニ寿司3貫載せ一丁
         ソユーズちらし一丁、
         御薦め盛合せ一丁、
         
         纏めて大変お待ちかねネー!」
         (ガタッ×6)
          



    何時になく人口密度が高まった店内を
    あっちへこっちへとひっきりなしに
    行き来する露西亜寿司専属従業員こと、
    サイモン・ブレジネフ。普段ならば
    最近新たに増えたもう一名の
    女性従業員が居る筈なのだが・・・

    間が悪い事にこれ程のてんてこ舞い
    ともいえる繁忙期において、配膳接客に
    対応できる人員は現在彼一人しか
    店内には居なかった。


    既に注文の品を全て手配済みであった
    座敷の常連組にあっても彼の帰還を
    待ってからの夕食であった為、
    ここへきて怒涛の追加注文が出ていた。

    カウンター席に入った新規の2人組の
    注文と、現在注文分の全てを
    出し終えていない座敷のリヴァイ組
    への配膳作業。


    今日一日の内、最も忙しい大仕事が
    彼に一切休む暇を与えようとは
    しなかった・・・


    ・・が、その顔には相変わらずの
    笑顔のみが輝いている。


    力量的にはともかくとして、
    その図体からは想像できない程安定した
    支持力で通常なら運べない数のゲタを
    一気に運ぶという荒業を見せつける。





    サイモン「さっきハ大変だったネー。
        割増分のガリはこれサービスヨ、
        酸っぱいモノ、ヒーロー回復に
        持って来いネ。酢飯にガリで
        元気一杯ヨ。」





    リヴァイ「(・・まあガリは好物だから
         別にいいんだが・・・)」
         スッ・・





    ハンジ「っひゃーー!美味そう!!!
        何だ何だ、店名とメニュー表記
        から完全に警戒モードに
        入っちゃってたけど、こりゃ
        来てみたら物凄く旨そうだな!
        よしペトラ!おススメ盛り合わせ
        分けようぜ!!」カタカタ




    リヴァイ「・・それがオール時価表記を
         警戒してる奴の頼み方か。。

         しかもこの上まだ茶碗蒸しと
         吸い物を頼みやがっただろ

         もし予算を大幅オーバーでも
         したらお前・・・」




    ハンジ「だぁぃじょぶ、大丈夫!(*´ω`*)

       もしそうなったら私が全部出すし!
       それにさっきの割引券なら頼んだ
       分だけ引かれるんだしここは
       腹一杯に食べておくのが一番だ!」
       カラカラ
  124. 134 : : 2015/03/28(土) 13:02:20





    リヴァイ「・・・豪気なもんだな。
         正規従業員様は稼ぎも俺ら
         とは比較にならねえらしい。

         ・・・俺は卵だけでいいと
         言った筈なんだが・・・

         何だってこんな豪勢な軍艦
         握りの盛り合わせが
         手元に来ることになるんだ。
         
         ・・おまけに何だ・・この3つ目の
         禁忌を犯して邪悪な変貌を
         遂げちまった珍獣みてえな
         ネーミングは」     





    ペトラ「・・・先輩、それだと濁音が
        ついちゃってます;
        SFコメディネタじゃ無くて・・
        これはホラ、宮殿の名前ですよ」
        (;´・ω・)




    リヴァイ「・・・知ってる。
         後一々品名が無理矢理なモンに
         差し替わってる癖にやたらと
         美味そうなのが釈然としない」




    眼前に並べられた寿司達は一貫して
    国内チェーンや、通常の寿司屋で出る、
    所謂“普通のネタ”と呼べるものが
    少なく、精々今この場で寿司として
    最も異彩を放っていないのはハンジが
    注文したカニの握り一式位の物である





    サイモン「お客サン、御目が高いネー。
         ウチのカニ、新鮮ヨー。

         さっき日本の空気初メテ
         吸ったばかりネー」
         カタカタ・・



    ハンジ「何っ・・?!まさか、
        北海で水揚げされて捌いた
        奴を真空パックで空輸・・・・・!!」
        ゴクリ・・・!




    リヴァイ「出てくる直前に缶切りの音が
         したな。お前にはどうやら
         聞こえなかったようだが」
         ピタピタ・・・



    ハンジ「余計な事言うなよもう!!
        折角の気分が台無しだ!!!」
        ウァァ・・・;



    リヴァイ「喰えもしねえ気分なんざに
         こだわってどうする。
         美味けりゃそれで充分だ。
         
        (ムグ・・モグ・・)」



    ペトラ「・・・・先輩・・・・」マジマジ






    リヴァイ「・・・・(ゴクン)・・どうした?
        まるで信じられない様なモノを
        目の当りにした顔になってるが
        そんなに俺が寿司を喰ってる
        光景が珍しいのか」




    ペトラ「いえあの・・・;
        先輩・・おすし食べる時は
        素手でイくんですね・・・。。

        てっきり先輩の潔癖症のレベル
        だと箸でいくものだと思って
        たんですが・・・」



  125. 135 : : 2015/03/28(土) 13:03:44




    リヴァイ「・・・入店直前、当初の予定
        なら・・そうなってただろうな。
        ・・・しかし入ってみて事情が
        変わった。
        
        店名と・・この巫山戯たメニュー
        表記の割に思いの外基本は
        キッチリ寿司屋のそれを
        踏襲してやがる。

        握りもあえて素手で食べないと
        ばらけ易い加減になってる。

        コレを箸で無理矢理行こうと
        してバラけちまったら・・・
        かえって汚え食い方になる」
        ペタペタ



    そう言いつつも次なるネタとして
    選抜されし軍艦に、今度は箸で
    持ち上げたガリで間接的に醤油を
    塗付するリヴァイ。




    ペトラ「な・・・成程・・・!

        て、軍艦ってそういうやり方も
        あったんですね・・!私
        いつもビンから直接いくか、
        ネタの吸着力をあてにして
        倒壊覚悟で直に特攻させて
        しまうから高確率で
        失敗してしまうんですよね・・!

        ・・けど先輩、それって寿司屋の
        マナー的に有なんですか?;」




    リヴァイ「この店構えで今更本式の
        マナーもクソも無いだろ。
        そこまで気にする言われは無い」
        ムグムグ




    ハンジ「・・・因みに調べてみたけど、
       どうやらリヴァイのソレは
       本式でも“アリ”らしい。

       ・・まったく、寿司なんて殆ど
       口にしない癖に何故かそういう
       偏った知識だけは豊富だからな
       リヴァイはさ。」スマホイジリ





    リヴァイ「おいメガネ。食事の真っ最中に
        ケータイを弄るな。さすがに
        そいつは本式云々以前の
        問題だ。・・・見ろ、あの板前の
        眼光の鋭さを。ありゃ明らかに
        堅気の眼じゃねえ・・・・。

        おまけに
        向うの柱にゃ“何故か”比較的
        新しい刺し傷がある。

        それも相当深く・・かなり鋭利な
        光物が突き立った跡だろうな。」
        ジロリ






    ハンジ「っ・・・・・!」ブルッ・・
        ゾクゾク・・・




    リヴァイ「寿司のネタにされるのが
         嫌だったら大人しく食事に
         専念しろって事だ。」
         (モグモグ)





  126. 136 : : 2015/03/28(土) 13:07:22





    ――座敷・門田一行卓――







    そこまで広いとは言えない座敷スペース。
    リヴァイ達一行の直ぐ間隣で彼らが
    入店する前から宅に着いていた門田達は
    一回目の注文分を既に平らげ、
    今は既に追加注文分の到着を待っている
    状態である。


    しかし門田、渡草の両名に関しては
    その理由について窺い知る所では無いが
    ・・・何やら同席の遊馬崎、狩沢の様子が
    先程からおかしい事に気付く。






    門田「おい・・・お前らさっきから
       何なんだ・・?妙にソワソワと
       隣の卓をチラ見しまくりやがって
       ・・・ここがこんなに混んでて
       物珍しく思う気持ちはまあ
       理解できないでもないが・・・
       食事中の方々の迷惑だろ。

       そうチラチラと見るんじゃねえ。
       気が短い奴なら因縁つけられても
       おかしくねえぞ」



    遊馬崎「いや・・門田さん門田さん;
        これが落ち着いていられる
        モンっすか・・!隣で平然と
        寿司喰ってる方々の顔を見たら
        ・・・!もう居てもたっても
        居られないっすよコレは!!」
        ソワソワ ワクワク




    狩沢「そうそう!そうだよドタチン!!!
       こりゃもう完成度高いなんて
       モンじゃないよ!!寧ろ兵長
       その人だよ!!!」(鼻息粗め)






    門田「ぁあ・・・?へいちょ・・?

       何だ・・何かのコスプレか・・?」





    遊馬崎「知らないんすか!?門田さん!!!!
        兵長っすよ!!音速ハリネズミ
        よろしく女型の不意打ちを
        モノともせず、ズバババ~~!!
        っってな感じで切り刻んで
        しまう人類最強こと“あの”
        リヴァイ兵長っすよ!!!

        紅白でしか進撃を見た事が
        なくたってあの人の顔位なら
        コンビニとかで見た事
        あるはずっすよ!!」
        ホラ、ヨクミテ!!!カリアゲノ!!





    門田「ぁあ・・進撃の巨人の
       コスプレなのか・・・・
       済まねえな・・俺はそっちには
       あまり明るくねえんだ。まあ・・
       そうだな、似てるっちゃ
       似てるのか・・・?いや、
       それよりもあの小脇に抱えてる
       コート・・・どっかで見た事
       ある気がするんだが・・・」




    狩沢「イザイザの着てる奴と同一モデル
       だ・・・・!(;゚Д゚)

       てことはまさか・・・!!
       もしかして・・・・・?!!」




    門田「さっきまで公園で静雄相手に
       大立ち回りしてた臨也ソックリさん
       ってのはまさか・・・」
       ズズ・・



    渡草「そういえば・・俺は全然進撃の
       巨人見た事ないけどあの顔は
       ・・・つい最近物凄くどっかで
       見た記憶があるな・・
       どこだったかな・・・」
       ウウム・・・


  127. 137 : : 2015/03/28(土) 13:11:57


    遊馬崎「それはきっとあれっすね!!
       大阪の例のテーマパークで
       THE・リアルやってるから、
       その宣伝かなんかで見た
       リアル兵長と被ってるんすよ!!」



    狩沢「そいや、ゆまっち
       見に行ったんでしょ~!?
       大阪までさ~~!
       どうだったの!?似てる!?」



    遊馬崎「いやぁ~!仰る通り一度この目で
       見た事があるからこの興奮が
       あるんすけどアレは納得の
       クオリティっすよ!!
       
       
       何て言ったって今目の前に居る
       あのお方はまるでそれがそのまま
       動いてるといっても過言じゃ無い
       程に生き写しっすから・・・
       嗚呼・・この興奮をUSJ来場者
       全員と享受したいっす・・!!」
       グォォ・・・!;





    門田「・・・・そんなに似てんのか・・」





    遊馬崎「ただ似てて同じ格好をしてる
        コスプレでは無く、あえて
        ああして普通にカジュアルな
        格好をしているというのが
        高得点っす!

        ・・・しかも両隣に居る方々も
        よく見たら・・・・!」
        ガタガタガタ・・・!(;゚Д゚)





    狩沢「リヴァイ班紅一点のペトラさんと
       奇行種大好きハンジさんだね!!
       ペトラさんは分け方左右逆だけど。

       ・・・ていうかマジで完成度
       高くない・・?私本当に写真
       一緒にお願いしちゃおっかな・・」






    遊馬崎「っあ!!ズルいっすよ狩沢さん!
        それなら俺だって・・・!!」





    門田「おい真面目に止せ。誰だって
       飯食ってる最中に見ず知らずの
       人間にちょっかいを出されて
       良い気がする筈もねえ・・・

       しかし本当にあそこの
       アイツが静雄と・・・・?
       信じられねえな・・・

       おいサイモン。お前確かさっき
       止めに行ったんだろ?本当に
       間違いないのか」




    サイモン「アー、そこの
        イザヤソックリシャチョさんネ。

        そうヨ~。実は昼もチラシ
        配ってる時、間違って
        声カケちゃったネ。喋り声
        なんてイザヤそのものヨ。

        ・・ケド大した物ネ~
        シズオとチャンバラ出来ル人間、
        世界中探シタッテソウソウ
        居ないヨ。

        。鬼ゴッコならイザヤ
        得意だけドその場に留まっテ
        動きを止めておくのは得意
        違うネ」




    門田「静雄と真っ向からの鍔迫り合い・・
       か・・聞けば聞くほど信じられん。

       そんな人間が・・あれ程小柄だと
       余計な。」




    サイモン「・・?さっきまでモット
         背が高かった様な気がスル
         ケド・・気のせいカ?」



    門田「・・・言われてみればそうだな」


  128. 138 : : 2015/03/30(月) 03:47:52







    ――座敷・リヴァイ一行卓――





    ペトラ「あ・・・!先輩・・なんか
       さっきより座高が・・・」
       イッキニ・・・



    リヴァイ「やっと背丈が戻ったか・・」
         (実は少し名残惜しい)




    ペトラ「・・ということは・・・(サワサワ)
       あ――・・やっと元に戻った。。」
       (左分け→右分け)



    リヴァイ「その変化・・どう考えても
         薬の影響が必要な程の物じゃ
         ねえと思うんだがな・・・」






    サイモン「ハーイ横から失礼ネ~、
         コチラ海鮮プルコギ寿司
         一丁(イッチョ)お待ち・・・ジャ
         無いケド、一応お待ちドウネー」


    カタッ×3




    眼前に舞い降りた三人分のネタに
    訝しげに細めた目を向け、間髪入れず
    ハンジに抗議の声明を上げるリヴァイ。





    リヴァイ「・・・?おいメガネ・・・。
         俺の勘違いでなければこんな
         ロシアネタですらないモン
         頼んだ覚えも無いが」
         プルコギ ッテオイ...





    ハンジ「わ、私だって頼んでないよ!! 
        でもまあいんじゃないの??
        うまそ→だしさ!!」ジュルリ...





    ペトラ「あのぅ・・たしかこれ、
        注文してない奴だと
        思うんですが・・・?」
        オズオズ..




    サイモン「ォー、ゴメンね紛らわしくて。
         コレ、あそこのカウンター席の
         シャチョサンからヨ。

         詳しい事聞いテないケド」





    リヴァイ「・・・・あ?」




    そう言ってサイモンが掌で示す先には、
    此方に背を向けカウンター席に腰かける
    2人の女性の姿があった。



    ・・・・・



    ・・・あったのだが・・・






    ハンジ「いやあの・・"あちらのお客様から"
       ってさ・・バーとかそういう
       店でしか発生しないイベントなんじゃ
       ・・・・;」





    リヴァイ「・・・そんな事よりも」





    リヴァイにとってまず気にかかったのは
    その2人組の格好だった。真後ろから
    雰囲気を見ただけで何となく分かる、
    明らかに普通着では無さそうな格好。

    そして自分達が言えた義理ではないが・・
    これまた頭部と体型を見るだけで

    その後姿からは異国の地より来たりし
    者、といったオーラがひしひしと
    伝わってくるようだった。

  129. 139 : : 2015/03/30(月) 03:50:48



    正面から見た訳では無い為まだ
    ハッキリとは断定できないがその
    出で立ちは・・・


    左に座っている女性の方がそこまで
    長くは無い金髪を両側(サイド)
    縛った白人系女性。キツく縛られた
    金髪の切っ先は殺傷能力が宿っていても
    不思議はない位にツンツンと尖出している。



    椅子に座ってはいるものの恐らく
    歳の頃は20代中頃といったところ。

    服装は後ろから見ただけでも
    一目瞭然な程に個性的でどこかの
    国の警察等、治安維持を主な任とした
    組織が身に纏う制服のような服を
    着ている。・・が、何故か季節柄
    似つかわしくない半袖ミニスカートの
    夏服仕様。



    そしてハンジ、ペトラが思わず
    注視する目を丸くして
    同時に凍り付く要素が一点。



    細長く伸びる手足とは
    対照的に・・・背面から見ても
    その凄まじさが一目瞭然である・・・・




    ―――見事な胸部の双丘。



    ・・否。丘と呼ぶには聊か表現に乏しさ
    すら感じるその膨張率は・・・
    まさしく二つの惑星が隣り合って
    いるかのようですらあった。






    ハンジ&ペトラ「―――(;゚Д゚)―――」






    リヴァイ「すげえな・・・。
        メロンが入ってると言われても
        疑いが生まれねえ程だ」




    驚愕にフリーズする2人のオーバー
    アクションを一瞥しつつ、
    流石のリヴァイも今目の当りにした
    ありのままを思った通りに口にする。 


    それほどまでに見事としか
    言いようのない胸周りであった。





    ハンジ「おっ・・おいペトラ・・・!
        この神を呪いたくなるほどの
        驚異(胸囲)的格差・・まさか・・!」





    ペトラ「は・・はい!!間違い無いです!
        あの日ウチに来たお客サンですよ!
        
        って事は・・・!?あの方が“婦警”
        のmeの人で・・・・!?その隣に
        座ってる方が・・・・!!?」
        オソルオソル・・・・





    2人と、リヴァイの視線が、
    その背に集まる。




    そのもう一方の女性の後ろ姿はといえば
    ・・・確かに女性と言えば一応女性では
    あるのだが・・・



    その背格好から察するには間違いなく
    体格からしてもかなりの細身に低身長・・
    つまり端的に言ってしまってどこから
    どう見ても年端も行かぬ少女、若しくは
    幼女のそれであった。



    腰辺りまで余裕で届くかといった長さの
    艶やかな黒髪と、背後から覗いた
    横顔だけでも直ぐに分る程の・・・
    血色が悪いという表現でも言い過ぎでは
    無い位に白い、純白の肌。



    白磁のような・・という表現は
    若干適当では無い。そのあまりにも
    白い肌からは・・生き物の放つ生気と
    いった類の輝きすらも感じられない程に
    白く美しかったからだ。



    そして更に白一色の丈が余るスーツに
    身を包み、壁面のコート掛けハンガーにも
    その身長から考えればまるで純白の
    マントの様なコートが掛けられていた。
    右隣の空席には白い筒状の帽子が
    置かれている。




  130. 140 : : 2015/03/30(月) 03:52:53





    リヴァイ「よくあの服で寿司を喰いに
         来ようなんて思い立ったな

         ・・・いや、お国柄その辺が
         理解できなかったのは分るが
         アレでもし醤油が一滴でも
         飛散したら俺なら泣くぞ・・」
         ゾクゾクッ・・・・・





    リヴァイは素直にその蛮勇を嘆き・・・
    ・・・己が背筋を戦慄に震わせた。



    しかし・・・一行が本気でその
    視線の先に居る組が何か“おかしい”
    事に気付くのは・・対象の奇抜な
    出で立ちにその場の空気が静まり返り・・


    カウンター席のその二人の談笑が此方に
    音声情報として届いた瞬間からであった。





    ハンジ「あれ・・・オイ、ちょっと」




    リヴァイ「・・・・・・・(´・ω・`;)」




    ペトラ「・・・何ですかハンジさ・・って
        先輩まで、何か顔が凄い
        集中した顔に・・・」





    リヴァイ「他人の会話に聞き耳を
        立てるのはあまりいい趣味とは
        言えねえが・・最初に耳に
        入っちまったモンに関しちゃ
        不可抗力だ。

        ・・・だがしかし・・・おい
        メガネ。。お前のその反応・・

        コレは俺だけの聞き間違いじゃ
        無いって事でいいんだな??」





    ハンジ「ああ・・どうやらその様だよ;

        私だって自分の耳だけが
        おかしくなったんだと
        思い込みたかったのに・・・」





    思えばその異変に気が付いたのは当然
    ハンジとリヴァイの二人だけでは無く、

    既に注文をとる際に言葉を交わした
    露西亜寿司の板前にして店主でもある
    デニスはずっと前からその鋭い眼光を
    僅かに泳がせて時折カウンター席の
    片割れへとチラつかせていた。




    ・・・その“違和感”とは・・・




    ペトラ「な・・なんですか二人して
        真っ青な顔して・・・!?
        一体なにが・・・・!」




    リヴァイ「耳を澄ませろとまでは
         言わねえ・・だが静かに
         してりゃ聞こえては
         来るはずだ・・あそこの組の
         会話がな・・・・」




    ペトラ「・・???;」




    思わせぶりなリヴァイの言い草に
    眉根を寄せてカウンター席へとその
    耳を集音モードで傾けるペトラ・・・・


    そしてそこから1秒としない間に
    彼女の脳は、自身の思考回路が
    一瞬フリーズするのを確かに感じ取る。



    カウンター席からその耳に飛び込んで
    来たのは・・中年という年齢層を
    間違いなく超えているであろう、

    最早ハスキーを通り越した
    ダンディズム溢れる渋い
    声色であったからだ。


  131. 141 : : 2015/03/30(月) 03:58:38






    ――カウンター席――









    ???「どうした婦警。折角孤島の島国
      まで脚を運んでからの・・初めて
      口にする“スシ”とやらだ・・・

      ・・・ソレを何故一口も口に
      しようとしない。

      血の時と言い・・食わず嫌いが
      過ぎるんじゃないのか」
      モグ.....




    喋っているのは間違い無く、
    黒髪白面の美しい少女である。

    しかしその口元から紡がれる声は―――
    確かに男性の声であり、その様子を
    傍から見ると凄まじい違和感を
    見る者に与える事だろう。





    婦警「いえ・・あのですねマスター・・
       確かにコレ・・名目上は
       この国を代表する料理・・と
       いう事になってるみたいですけど
       
       ・・何か事前に仕入れてた
       情報とは明らかに使ってる
       素材だとか、店の内装だとかが
       違うって言うか・・・

       ぶっちゃけ思いっきり別の国名が
       店の看板に入ってるというか。

       ・・・あと生魚はイヤだって
       隊長が・・・・(;´・ω・)」




    しかしもう一方の婦警と呼ばれた
    女性に関しては普通の女性の声色。





    マスター「・・・戦争の犬が・・・今となっては
      たかだか婦警の同居人に過ぎぬと
      いうのに、やれ揚げ魚(フリッター)は嫌だ、生の魚も
      嫌だと・・・食事の趣だけは犬のクセに
      一丁前だな。

      ・・・なら、この生姜の酢漬けでも
      死ぬほど喰わせてやれ。コレは
      幾ら食っても代金を支払わずに
      済む仕組みらしい」





    婦警「・・そっちはなんかピクルスと
       同じニオイするから嫌だと・・」
       ゲンナリ・・・





    マスター「好き嫌いせず食ってみるがいい。
       ・・この海鮮プルコギ寿司など
       最高だぞ・・・」モッチャモッチャ....




    婦警「それ・・・名前からして
       私でも分かる位にこの国の
       料理って感じじゃないですよね
       ・・・・;
       っていうか、いつになく
       ご機嫌ですね・・マスター。。」





    マスター「こんな街中であれ程の見世物に
      出会えるとは思いもしてなかった
      からな・・。ちょっとうろつけば
      どの様な街にでも我々同様に
      化物共(ミディアン)など探さずとも普通に居る。


      ・・・しかしあそこまで人智を超えた
      人間に出逢えることなどそうそう
      有りはしない。・・・やはり人間は
      素晴らしい・・・。」ウットリ..






    婦警「ああ・・・さっきの公園で喧嘩してた
       人達の事言ってるんですね。。
       ・・・しかしマスター・・・アレ、
       本当に人間だったんですか?

       あんなの私でも素手では
       戦いたいと思わないってくらい
       滅茶苦茶だったんですが・・・」




    マスター「何を言うかと思えば(笑)

       一切合切なんの混じり気も無い、
       純然たる人間だ。アレは。
       鍛錬によるものか、成長の過程に
       あった周囲の過酷な環境の
       所為かは窺い知れないが・・・
       ともかくアレは、自らの力のみで
       あそこまでの膂力を手にした
       ・・・一個の人間だ。

       私が心から人間を尊敬し、
       敬意を抱き、興味が尽きないのは
       ああいう奴等がいつの時代にも
       何処かに必ず居るからだ」
  132. 142 : : 2015/03/30(月) 15:37:21


    婦警「・・・太鼓判ですね」
       ア・・コノマグロッテノ オイシイ・・



    マスター「オイ・・婦警。お前はソレ口にしない
       方が良さそうだな・・・・それは・・・
       少々お前には早い」



    婦警「え・・・?早いってマスター・・
       何がですか?あ!分りました!!
       この辛いワサビっていうのですね!

       私だってくれくらいのピリピリ
       したモノなら我慢できマ・・・!!」
       シュゥゥウ・・・・・



    婦警「・・・うん?」
       シュゥゥ?


    その口から漏れ出でる一筋の
    煙のようなもの。



    マスター「馬鹿め。人間が口にできる
       調味料で口から煙など出る物か。

       貴様が今口にした魚・・・
       どうやら水銀値が中々に高い。
       私ならどうという事は無いが
       貴様では体内からちょっとばかり
       胃が溶けるかもしれんぞ」




    婦警「ナニソレ怖い!!!は、はやく
       言って下さいよマスター―!!;;」
       イヤァァ・・!




    マスター「儀礼用銃剣で心臓周りを
       しこたま串刺しにされた奴が
       今更何を怖がっているのだ・・・
       愚か者め」モグモグ
  133. 143 : : 2015/04/04(土) 01:29:06







    ――座敷・リヴァイ一行卓――







    リヴァイ「・・・・どこの国の言葉かは
         伺い知れねえが・・・

         間違いなく声はオッサン
         その物・・・だな・・・」





    ハンジ「コラッ!リヴァイ!
       ひょっとしたらあそこのあの子は
       声帯に何か患ってるとか、何かの
       奇病で仕方なくああいう声
       になっちゃってるだけかも
       しれないだろ!

       そういう言い方は良くないぞ!」
       メッ!!





    リヴァイ「・・・それもそうだな。
         ・・浅慮な物言いをして
         悪かった。・・・まあ
         謝るならお前じゃねえが」




    (???「ハハハ・・・・何、詫びる必要など
       有りはしない。六世紀近く生きて
       いれば色々な事がある。・・・そう、
       色々とな。

       それにこれは横着で普段の姿の
       そのままにしているだけだ。
       そのスシとやらについても
       ほんの礼の様な物だ。
       この国の国民性から考えても
       遠慮を憶えるのは分るが・・・

       ・・・気を遣わずに早く食って
       しまってくれ。・・・調理法から
       してこれ以上放っておいても
       冷めるという事はないだろうが・・

       ・・・見た目に反して中々旨いぞ。)」






    リヴァイ
    ハンジ  「!!???」
    ペトラ





    不意に三人の脳裏に直接響き、
    語り掛けてくるその声。



    その声色は・・つい今しがた
    カウンター席から響いて来たものが
    そのままこの国の言語で語っている
    ものだった。




    リヴァイ「いや・・ちょっと待て・・
         突っ込みどころは山程あるが
         ・・・・コレは・・・
     
         こっちの声もあんたに
         届いてるのか?届いてるなら
         一つだけ聞きたい事がある」


  134. 144 : : 2015/04/04(土) 01:30:41




    座敷席より身を乗り出しながら
    声の主が腰かけているであろうと思える
    カウンター席を覗き込み、
    そう尋ねかけるリヴァイ。声量からして
    直接席まで克明に届く音量では無い。



    ・・が





    (???「ああ。声は聞こえぬが・・失礼、
       聞こえても言葉の内容は今一つ
       理解が追いつかないが・・
       思考から読み取ればある程度は
       “こちら”で通じ合う事は可能だ。
       ・・・・このようにな。

       ・・・・して、勇敢なる人間よ。
       聞きたい事とは?私がどんな
       存在であるかは言うまでも
       無いだろうな。それ以外の
       質問が何かあるのかな」) 




    これに、初めてその顔を此方に向けた後
    白く美しい顔に真紅の瞳を歪めさせ、
    小さな掌に装着した白手袋を
    ひらひらと振って応じる白づくめの少女。

    服装、肌色共に白一色であるが髪だけは
    見事なストレートの黒髪ロングヘアで、
    一定の長さに切りそろえられた
    所謂“ぱっつん”と呼ばれる形態の
    前髪がその人間性を著しく乖離させた
    妖艶な見た目と相まって

    見るものに浮世離れした美しさを
    感じさせる外見である



    ・・あくまでも外見年齢は
    年端も行かぬ少女でありながら。



    婦警「~~~」ヒラヒラ



    その左隣に腰かけている金髪
    豊乳の従者もそれに呼応して
    気まずそうに手を振っている。




    リヴァイ「・・・ああ。こんな事を
        平然とやってのけるあたり・・
        そして隣のこいつらの反応から
        しても俺一人の頭がおかしく
        なった訳では無い以上・・・これは
        あんたが普通じゃないって事に
        なるんだろうからな。

        ・・それはまあいい。最近俺も
        色々あったせいで少しくらいの
        トンデモ現象には頭が
        ついて行ける様になっちまった
        からな・・・。俺が聞きたいのは・・」




    (???「???」)





    リヴァイ「その・・礼というのは一体
        何の事だ。ここにいる
        眼鏡と、右分けのコイツは
        どうやら地元であんたと
        その隣の奴に会った事が
        有る様だが・・・どっちにしても
        礼を貰う様な事はしてねぇ筈だ。

        ・・・俺に至っては会った記憶すら
        無いぞ・・・・」




    (???「嗚呼・・・、そうかそうか。成程
       自分が何故私に感謝されているか
       分らないという事だな。


       ・・・・何、簡単な事だ。貴様は・・
       いや、この国風に言えば“貴殿”
       と言えば卑称にはあたらぬか。


       ・・・ともかく貴殿は・・・私に
       “人間”というものの、その
       素晴らしさを見せてくれた。
       その喜びに応じたほんの細やかな
       礼だ。この場に居合わせたならば
       あの“土管と標識を持ち上げた”
       猛々しい者にも感謝の意を
       伝えたかった所だが・・・まあ
       いない物は仕方ない」)





    リヴァイ「・・・・・」
  135. 145 : : 2015/04/04(土) 01:33:29




    (???「・・・要は、先程の貴殿の度胸を、
      その雄姿を、この場を借りて
      称えたいというだけの事だ。

      ・・・この国にだって普通は
      居ないのだろう?素手で平然と
      土管を放り投げる様な人間などは)」





    リヴァイ「・・・当然だ。
        あんなのがそこら中にいたら
        今頃この国の治安がこんな物で
        済むはずもねえ」




    (???「成程。仰る通り。・・ならばこそだ。

      ――そんな人智を超えた素晴らしい
      人間と同時に・・“それ”に
      真っ向から臆さず向かって往ける
      人間などに・・・まさかこの世の中、
      この様な繁栄著しい街の一角で
      御目にかかれようとは思いも
      よらなかった。その喜びに送る
      謝礼がそのような安価な物で
      済まない限りだが・・・まあ、
      美味いのだから問題はあるまい?」)






    リヴァイ「・・・・・・・・」




    暫し白面の少女の物言わぬ怪しげな
    眼差しにいつもの仏頂面を向けて
    返す言葉を探すリヴァイであったが・・・




    リヴァイ「・・・そうだな。美味ければ
         大抵の事はどうでもいい。
         ・・・まだ釈然としねえ所は
         当然あるが・・・こいつは
         努力賞という事で素直に
         頂いておくとしよう。」



    相手の人間性・・、否、主張から鑑みた
    性格を考慮して、これ以上の遠慮は
    双方にとって、そして調理を行った
    この店にとっても何の得にもならないと
    判断したところで素直に相伴に与る
    道を採ることにした。





    リヴァイ「・・これ以上遠慮をした所で
         不毛なだけだからな。
         ・・・ああ、それからな、
         隣のコイツがさっきから
         ツンツンと突いてきてうるせえ
         んだが・・・暇だったら
         話の相手を・・・」



    ハンジ「ねえねえ婦警さん、と、
        アルカードさん!?・・でいいのかな?!
        フレ登録してもいい!?
        今3DS持ってきてるんでしょ?!」
        ネェネェ!(カパッ)





    リヴァイ「オイ!メガネ・・・!!
         寿司屋でピコピコを堂々と
         取り出すんじゃねえ!!
         いい大人がみっともねえと
         思わねえのか...!!」
         ゲキオコ!!!





    ハンジ「ぅわ!;そ、そんな怒るなよ
        もう!だ、だって、折角
        こんな所でまで2回目の
        すれ違いできたんだよ?!
        フレ登録くらいいいじゃん!
        会計済ませてから店の外で
        やるからさ!!」






    (???「・・私は一向に構わないが。
       ・・おい、婦警。貴様は。」)






    (婦警「あ、全然、私はかまいませんよ!
       っていうかですね、お兄サン方、
       あと隣のお姉さんも。私は
       “婦警”ではなくてですね・・、
       実はセラス・ヴィクトリアという
       立派な名前が・・・(ry」)





    (???「煩い。貴様など“婦警”で
       充分だ。成程一皮むけたのは
       認めてやるが・・まだまだ貴様には
       今一個の所で不死の血族(ノーライフ・キング)としての
       自覚が足りん。そんな有様では
       まだ“婦警”を卒業させてやる
       訳にも行かぬな・・?・・のう。

       自称・セラス・ヴィクトリアよ)」




    (婦警「自称って!そんな意地悪
       言わないで下さいよマスター!」)




    ハンジ「今・・どさくさに紛れて
        お兄サン“方”って言われた気が
        するんだけど・・・」( ;∀;)




    ペトラ「あ、でもでもハンジさん!
        お二人とも構わないって
        言ってくれてますよ!」
        ヤリマシタネ!外人サンノフレ!!



    ハンジ「・・・・うん。」
        グス・・・


  136. 146 : : 2015/04/04(土) 01:37:39






    リヴァイ「外人とかより・・・もっと
         根っこの部分から言って
         人間ですら無さそうだぞ。

         言い振る舞いを見る限りでは
         ・・・な。言葉を話さずとも
         他人の心に語り掛けられる
         人間って奴が俺の知らない
         所にどれだけ居るのかは
         知らないが」



    (???「そんなに物珍しい事でもないぞ。

       其方の地元に赴いた時にあっても
       ・・あの小さなビルディングに
       2体。普通に吸血鬼がうろついて
       居たではないか。

       それも呑気に揚げパンなどを
       頬張り、頼りない事この上ない
       眷属を引き連れてな。

       いや…ドラキュリーナの方と
       少年と…何方が主従の関係なのか
       力量的にも分別が付かない程の
       弱い力しか発していなかったが」)






    リヴァイ「あんたら・・吸血鬼・・・
         って設定なのか。」





    (???「いきなりは受け入れ難い
      だろうがな・・・いかにも。」)




    (婦警「あ、でもですね!!別に私達は
       直接人を襲って血を吸ったり
       なんてまずしませんからね!
       そこのところは御安心を!!」)





    リヴァイ「・・・血ィ吸われた奴は
         ゾンビになるってのは伝承
         通りなのか?」   




    (婦警「あ・・えーと・それはその;」)



    (???「吸われた奴が非処女や非童貞で
       あった場合はなwそうでないなら(▪▪▪▪▪▪▪)
       我々の様な自我を持った吸血鬼と
       なる。そこまでも含めて、
       伝承とやらの通りだ」)




    ハンジ「Σσ(`・ω・´)」
        グッ・・・・!!!




    ペトラ「あの・・ハンジさん、
        めっちゃ力こめてガッツポーズ
        しないで下さい。。」



    ハンジ「どうしようペトラ!?今私達、
       不死の命を得られるかもしれない
       チャンスの目の前に居るんだよ!?
       この期を逃したらきっと一生・・!」




    ペトラ「“私達”って!!!確認も取らずに
        仲間にしないで下さい!!!」





    ハンジ「ッ何!!!???ペトラ貴様
        まさかッ・・・・!!!」
        ガタガタ(川゚Д゚)ブルブル





    ペトラ「いっ・・いや、だから、
        確認を取らずに、って事ですよ!
        わ・・私もあの・・当然
        まだですから・・・////;」
        ボソボソ・・・





    ハンジ「っ~~~~;;;
        お、脅かすなよモウ・・・・
        寿命が半分縮んだかと思った。。
        そうだよな、ペトラが私や
        リヴァイを裏切ってまさか・・
        な!」(;'∀')ノシ‐3ポン




    リヴァイ「話が盛り上がってるところ
         悪いが・・メガネ、お前、
         ・・本気でそんなモンが(永遠の命)
         欲しかったのか・・・?」




  137. 147 : : 2015/04/04(土) 01:40:13





    ハンジ「ああ、冗談だって。

        ・・・ただ、普通だったら
        この歳じゃ十中八九世間からは
        馬鹿にされるこの未収得欄が、
        こういう形で陽の目を見る事も
        あるんだな~って、思ったら
        つい嬉しくなっちゃってね。

        ・・・心配しなくたって、
        私は限りある命に今のところ
        何の不満も無く満足してるよ。

        何より・・・・」ジッ・・




    リヴァイ「・・・?」




    ハンジ「もし私だけそんなんなったって
        リヴァイやペトラが私を
        追い越して爺ちゃん婆ちゃんに
        なっていくなんて・・
        悲しすぎるでしょ??

        老ける時も一緒だからな。
        置いてくんじゃないぞ!」





    リヴァイ「誰が置いて行けるか。
         歳なんざ殆ど変らねえんだ。

         そんなこと言って置きながら
         逆に俺より先にボケたり
         するなよ・・マジで・・・」




    ペトラ「(^▽^;)」






  138. 148 : : 2015/04/10(金) 02:34:13


    (婦警「・・・・・」)




    (???「・・・宵闇に足を踏み入れて
       日も浅い貴様には・・やはり
       眩しいか。婦警よ。今の自分に
       ・・・後悔しているか・・?」)



    (婦警「・・・イイエ、マスター。

       私・・後悔なんて・・・これぽっちも
       してません。確かに・・あの人達
       みたいな・・・"世界の隔たり"を
       超えてそれでも尚、切れない
       絆で限られた時間を共に出来る
       人達は・・・何物(どんなもの)より素敵です。
       私にもそんな人が居てくれたら・・・

       ・・・・・そう思わないかと
       言われればそれは嘘になります。
       
       ・・・・・けど・・・・」)



    (???「・・・・・・」)




    (婦警「私にとってのその(▪▪)人なら・・・
       私の中に今こうして生きています。
       流れる血となり・・・魂となって。
       確かにここに生きてます。

       よくテレビやお話の中の人達が
       精神論で言うアレでは無くて・・・
       “隊長”は・・・間違いなく私の
       此処に生きてるんです。」)



    (???「・・・・・・ほう」)




    (婦警「あの時マスターが私の貞操を
       尋ねる気にもなってくれなければ
       私は・・・私はあそこでグールにも
       なれず犬死にする所でした。
       
    初対面での第一声でアレでした
       から・・・そのまま撃ち抜かれた時は
       それは驚きましたし、何なんだ
       この人って、本気で思いました」)





    (???「まあ・・・あの時貴様がもしも見栄を
      張っていれば蘇生を諦めて
      万全を期した上でもう2,3発は
      ブチ込んでいただろうが。

      ・・・正直に応えてよかったな」)






    (婦警「どちらにしても私がこうして
       今も大事な人と共に居られるのは
       マスターのお蔭なんです。


       本当に・・・感謝しています。
       その経緯が無ければ・・・今ここに
       居る私は居ませんから」)



    (???「・・・少しは言うようになったな、
       婦警よ・・・?wしかし真に
       感謝すべきは私では無いな?w
       
       感謝するなら・・・それは、
       そんなバカでかいモノを
       ぶら下げておきながらあの年まで
       色に走らなかった自分自身に
       感謝する事だ(嘲笑)

       単に機会が無かっただけだと
       言うのなら逆に同情してやるが」)




    (婦警「・・・・!・・ハイ!!///
       私、あの歳までとっといて
       本当に良かったです!!!

       有難うございますマスター!!!」)




    (???「・・・・・(弄り甲斐のないヤツめ)
       ・・・フン・・・・まあいい。」)
     



    誰にも見えず、聞こえない世界ですら
    一切屈託のない明るい笑顔を自らに
    向ける元・従僕の娘に対し、

    内心ではたじろぎながらも・・・・
    素直にはその喜びを受け止められない
    様子でソッポを向く、死なずの君(ノーライフキング)




    この上なく愛する者達の喧騒に
    包まれ・・・彼らの夜も、また更けていく。
  139. 149 : : 2015/04/10(金) 02:34:54





    ―― 一時間後・池袋駅改札――







    リヴァイ「ご満悦だな・・・。
        此処まで来てもまだ熱心に
        齧りつきやがって・・そんなに
        ゲーム仲間が増えて嬉しかった
        のか・・・?」キリキリアルケ




    食事を終え、再び寿司屋で予期せず
    まみえる事になった異国より来たりし
    二名とゲームIDの交換を果たし、
    露西亜寿司を後にしてからというものの、
    道中も歩きながらもゲーム画面に
    向かいっぱなしのハンジ。





    ハンジ「いやぁ、だってさ、
        都内の街中っていうだけで
        ちょっと歩いてればすぐ
        すれちがい一杯になっちゃうん
        だもん!こうして常にチェック
        してないとね。(カチカチ)・・ったく、
        リヴァイもペトラも何で
        持ってきて無いんだよもぅ!
        
        お蔭で私しかあんな貴重な
        フレをゲットできなかった
        じゃないか!」キューケツキ ダッテ!




    リヴァイ「俺は別に自発的に楽しんで
         やってる訳じゃねえからな。

         ペトラにしてもお前に文句を
         言われる筋合いは無いと
         思うが。・・・何だかんだ言って
         結構な荷物になるしな・・・
         その大きさと重さになれば」




    ハンジ「そうかなぁ・・ノートパソコンに
        比べればこの位どうって事
        無いんじゃない・・・?;」




    リヴァイ「優先度の認識が違うからな。
         仕方が無い。そもそも今日は
         ピコピコをやりに出掛けてる
         訳じゃねえ。だから仕事の時も
         持ってきてるペトラが今日は
         持ってきてねえだろ。

         ・・・お前もそろそろその辺
         分別を付けねえとな。

         ・・・まあ、
         ソレが趣味だってんなら
         俺は何も言わないが」




    ハンジ「趣味以外無いだろ!!
        流石にマジ切れしながら
      "遊びでやってんじゃないんだよ!"
       ・・・なんて言える程のプロハン様じゃ
       ないもの。・・・っていうか、

       何度でも言うけどさ!
       ゲームを指してピコピコって
       いうなよリヴァイ!!!;

       なんかすっげー世代の壁を
       感じるから!!」





    リヴァイ「間違ってねえだろ。意味が
         通じてりゃそれで充分だ」




    ハンジ「大体リヴァイ最近チェックして
        ないけどちゃんと村クエ
        進めてるの??此間まだ下位
        だったじゃないか!G級とまでは
        言わないけど、せめてそろそろ
        上位位には・・・」



    リヴァイ「もう幾らもしない内に
        その上位とやらの消化は
        終わる。村ってのはオフライン
        モードの事だろ。そっちも
        とっくに終わらせた。」



  140. 150 : : 2015/04/10(金) 02:37:36





    ハンジ「!!?!?い、いつの間に!?
       だってリヴァイ、あんた此間一緒に
       やった時、てんで下手っぴだった
       ハズだよね・・・!?」





    リヴァイ「ペトラに色々と助言を
        寄越して貰ってな。この際
        いかにも初心者向けな装備を
        選ぶのではなく、敢えて
        最初からは誰も選ばない様な
        複雑なのを幾つか試してみた。
        
        結果、刃物より鈍器の方が
        性に合ってた様だ。」




    ハンジ「鈍器ってまさか・・・
        ハンマーにしたの・・??
        地味過ぎんだろ・・・!」





    ペトラ「イイエハンジさん。あの・・・
        ハンマーじゃ無くて、笛です;

        ・・・あと、その言い方は全世界の
        ハンマーユーザーの皆様に
        失礼だと思います」




    ハンジ「ふっ・・・笛ぇ!!?
        よ・・よりによってソッチかよ・・!

        すっげーイメージに合わない!!
        大体旋律とか覚えられるの?!」




    ペトラ「それが・・・ほら、先輩って
        筐体で格ゲーとかはそれなりに
        経験が有るらしいので、
        コマンド入力に関してはほぼ
        完璧なんですよ。すっごい楽
        できますよ。一緒にクエ行くと」




    ハンジ「ってか何気に私抜きで二人で
        こっそりオンラインかどこかで
        やってたんだね?!?

        ヒドい!!ハンジさん一人だけ
        露骨にハブられたよ!!」
        ブーブー!!!(´;ω;`)




    ペトラ「・・・・先輩のレベル上げと
        キークエ消化に途中で飽きて
        僅か3クエ目くらいから単独で
        探索に行っちゃったのは
        どこのハンジさんですか??」
        ジトー・・
     




    ハンジ「ぅっ・・・・!;」






    リヴァイ「おい・・・ピコピコ談議もいいがな

        ・・・時間も時間だし本来の目的を
        一個切り捨ててまで帰宅の路に
        着いたんだ。俺はそろそろ自分の
        切符を買いに行きてえんだが」




    ペトラ「あ、先輩スイカ持ってないん
        ですよね。私、切符買って
        来ましょうか??」





    リヴァイ「いや・・・いい。その位
         自分でやるべきだ。しかし
         ・・・今日は一体何を買いに
         来る予定だったんだ?

         途中まで何やら秋葉原で
         購入する手筈だった様子だが」



  141. 151 : : 2015/04/10(金) 02:38:08




    ペトラ「え・・えっと・・あの・・」





    ハンジ「いや・・言っちゃっても良いんじゃ
       ないかな。良く考えたら言わずに
       サプライズで後日渡すにしても
       それまでにリヴァイが“アレ”を
       購入してダブっちゃったら
       微妙だし。」



    リヴァイ「・・・?ダブる・・?
         ということは普通に俺が
         買ってもおかしくないモノを
         買おうとしてたって事か・・」
         チャリン・・・ ピ・・・・



    ハンジ「・・・そうなるね。いや、
        寧ろ、リヴァイの性格なら
        未だアレを買って手元に置いて
        無いのがおかしい位かな。」





    リヴァイ「・・・ほう」




    ハンジ「ほら、PCカバンだよ。
        リヴァイってさ、綺麗好きな上に
        キズも気にするって言うのに
        何故かいつもPC剥きだしに
        してるじゃない?

        この際ピッタリだと思ってさ」




    リヴァイ「・・ぁあ。・・・そりゃあ
         ・・・この場でネタバレして
         くれて助かったな。」



    ペトラ「ぇっ・・・?!せ、
        先輩、ま、まさか・・?!」



    リヴァイ「そのまさかだ。カバンなら・・・
         既に購入済みだ。まだ
         諸事情があって実装しては
         いないってだけの話でな。

         ・・・モノは押入れに
         厳重保管されてる。」



    ハンジ「え・・??!諸事情って・・・
        それは何でまた・・。

        リヴァイともあろうお方が、
        大事な大事なノートPCを清潔に
        保つ以上の諸事情が何か
        あるのかい?」






    リヴァイ「・・・俺だって早い所、移動
         持ち運び時の装甲として
         活用したい気持ちはある。

         ・・しかしだな、あの鞄のみ
         だと・・平面部の防備が若干
         甘い。加えて少し内部面積に
         余裕が保たせてあるから
         あれだと収納してる中でも
         動く度に内部で可動
         してしまう。よって鞄より
         一段階サイズの小さい衝撃
         吸収素材のケースを買うまで
         温存させてんだ」



    ハンジ「二重防備ってあんた・・・;
        どんだけPC大事なんだよ・・・;」



    リヴァイ「俺の心臓の次の次位には
        大事なデバイスだ。

        またいつ海○蔵のケツに
        敷かれるか分かったもんじゃ
        ねえんだ。装甲は厚ければ
        厚いほど良い」

        



    ハンジ「(海○蔵・・・・・・??;)
        で、でもこれで分かったな
        ペトラ!
        リヴァイ、外側になるカバンは
        もう持ってるってさ!

        アブねえ~~^^;」






    ペトラ「カブっちゃうとこでしたね・・!
        じゃ、じゃあ私達は
        内側のソフトケースを先輩に
        プレゼントですね!」
        ウンウン!





    リヴァイ「どの道一緒に買う所まで
         行くようであれば申告は
         当然してただろうから
         危ないって事も無いが」





    雑談もそこそこに、リヴァイが
    切符を買い終えた事でその足を
    ホームへと向けて歩き出す三人。




    リヴァイ「しかし・・おいメガネ。
         秋葉原に行ったミカサ共とは
         途中から別行動って形で
         こっちに来たそうだが・・・

         向うはそんなに込み入った
         話になってるのか」



    ハンジ「ぅう~ん・・・まあ、ね。

       何だかね、並々ならない程に
       お互いああして逢えた偶然は
       衝撃的だったらしいんだ。

       ・・・何せ二階から躊躇なく
       飛び降りるくらいだしね。

       ・・・今頃、3人で今後について
       色々と話し合ってたりする
       頃合いじゃないかな。
       なんか随分と・・・・家族に近い
       強い絆みたいなのを感じたよ。
       あの三人からはさ。」





    リヴァイ「・・・・家族・・・・か」
  142. 152 : : 2015/04/14(火) 20:05:01



    ~現在公開可能な情報㉝~




         -歌唱力-

    御歌の上手さ。基本的に
    中の人の都合上、だれにしても下手、
    という事は無い筈であるが・・・それは
    物語やキャラの特徴を全て無視した
    場合の話であり、やはり話に花を添える
    為にはその辺り追加設定は必要に
    なってしまうものである。






         ハンジ・ゾエ



    驚異の音痴。声質はご存知の通り非常に
    ハスキー且つ素敵な声であるのに対し、
    音感や音程感覚といった概念が破滅的に
    退化しており、一言で言ってその歌声は
    生類に生命の危機を自覚させる程の
    危険極まりないものである。

    危機の度合いを表すのが非常に
    難しいが、例えの一つとしては
    彼女が全身全霊をかけて浜辺などで
    歌ってしまうと、海面、海中を伝って
    遠く離れた海に泳いでいた哺乳類達の
    伝達器官に異常が来され、百頭近くに
    及ぶ“それら”がどこかしらの
    浜辺に打ち上げられてしまうという
    非常に恐ろしげなものがある。

    (因果関係については確証が無いが、
    漁船の魚探(魚群探知機)には、
    リアルタイムでの干渉が確認されている。
    漁師の話によれば彼女が船上に
    乗った状態で歌唱すると同時に
    周囲10海里以内で漁を行っていた
    漁船全てのレーダーから捉えていた
    イワシの群れ等が忽然と消失した
    との証言が。。)


    朴璐美さん、スミマセン。。




       リヴァイ・アッカーマン




    人前では決して歌わない。・・ので
    その得手、不得手も今のところ不明。
    ハンジ等にカラオケに誘われても
    まず殆ど同伴せず(彼女の声帯が持つ
    殺傷能力を理解している為)

    よしんば珍しく同席したとしても、
    終始静観を貫き、ハンジの番では
    耳栓を装着し、ペトラの番では
    聞き手に徹するのみである。

    中の人の声質からしても、先ず下手と
    いう事はない筈だが・・・・?


    (歌うために金を払うなんて
    奴等どうかしてるだろ(゚Д゚))




         ペトラ・ラル



    歌わない人間、歌うと散々な人間と
    来れば当然来るのは喉自慢・・・・と、
    思いきや、実はそこまで上手でも無い。

    しかしその度合いはあくまで現実的な
    ものであり、歌の種類によっては
    採点機能、及び聞き手の評価に於いても
    高得点を得られる物もある。


    ・・・得意なジャンルは90年代終わり頃から
    5年前後に流行ったJ‐POPと歌謡曲。
    その為ハンジからは自らの歌唱力を
    棚に上げて、懐専と呼ばれている。


    ・・・懐メロの何がいけないのか(;´・ω・)



        アルミン・アルレルト


    話中で触れた様に中の人繋がり、
    その他の理由につき非常に聞き手に
    響く(ハンジとは別の、正規な意味で)

    そんな歌声でギャラリーの大半を
    魅了してしまう。得意な曲はやはり
    女性ボーカル曲全般。



    ・・・・・・・・・だが男だ。




        リコ・ブレツェンスカ


    普通に得意な人間が一人しか居ないのも
    味気ない為ゲスト扱いで御紹介。

    カラオケに誘う仲と言えるほどの
    交友関係をもつ知人も皆無なら、
    逆に誘われる機会も皆無であるが、
    実は歌えばお上手な方。


    得意なジャンルは暑苦しいタイプの
    アニソン。


    THE・ハスキーヴォイス。
  143. 153 : : 2015/04/14(火) 20:06:33






    ――時間は3時間程遡り・・・・・







    ――メイクイーン+ニャン2前――





    アルミン「おっ・・・・お待たせ――!;ゴメンね
      随分待たせちゃって。5時上がりから
      色々と今日はやる事が多くって・・・
      (アタフタ・・)ミ、ミカサは???」





    エレン「んぁ・・・?向うで、
       “デンワ”ってのを使って
       誰かと話してるみてーだぞ。」


    路上の隅で、“進撃の巨人原作1巻”を
    座り読みしているエレン。
    ミカサに渡されたモノだろうか。


    アルミン「あ、原作の一巻だね。そうして
       読み返すと懐かしいよね。
       ウチにも発売分は全巻揃えてあるよ」



    エレン「あぁ・・・ミカサがな。
       少し長くなるからこれでも
       読んでろって...。(パラ・・)

       ・・・本当に人と話をしてるっ
       てんなら大分長話になるけどな。

       ・・・そうだ、なあアルミン、
       ミカサが言ってる事は・・・
       本当なのか?」



    アルミン「・・・?本当なのかって・・何がさ?

       ・・・・ああ、この世界では僕等の
       死に物狂いのあの日々が作り話に
       過ぎないのかって事かい・・?
       それは見ての通りさ。

       そういう事になってる物は
       仕方が無いよ」




    エレン「違えよ!!いや、それもずっと
       気にしてたけどな・・・!
       この街並みを見りゃそんな疑問に
       頭抱えるだけ無駄な気がして
       ならねえよ・・・・!オレが今
       聞きたかったのは・・・あの、
       “デンワ”ってのの事だ!!」






    アルミン「ぁあ・・・成程ね(察し)」







    エレン「アイツの話じゃあ、どんな
       離れた場所に居る奴ともあの
       四角い板一つで連絡を取り合える
       って言うんだぞ・・・?幾ら何でも
       そんなバカげた話があって・・・」





    アルミン「・・・ちょっとまってね・・・」
       (スッ・・ス・・・スス・・・)




    そう言ってエレンを制すると、取り出した
    スマートフォンを慣れた手つきで
    素早くスクロール&タップさせるアルミン。



  144. 154 : : 2015/04/14(火) 20:08:22




    エレン「ぅお・・・ゆ、指先でなぞると
        絵が動くのか・・・!!?す、スゲエ!!


        ・・・っていうか会話なんか
        できなくてもこれで充分凄い
        事になってんじゃねえかコレ・・

        ど、どういう仕組みなんだ
        一体!!?」ォォォォ....!!




    アルミン「ぼ、僕も最初は驚いたよ(^▽^;)
       でも本当に凄いのはここからさ。

       ・・・でも・・・ぁあ、そうだな・・
       今はもう夜だから・・・若干感動
       薄いかなぁ・・・。・・でもまあ、
       ストリートビューに切り替えれば・・・」
       (( ..)φスイスイスイ・・・)




    エレン「ぉぉお・・・・↓↓」





    東京外神田の路地裏。近隣には
    電気用品店やパソコン関連の小規模な
    店舗も点在しているため、多くの人が
    往来する表通り程では無いとはいえ、
    その裏通りにもそれなりに人は大勢
    行き交っている。



    喧騒の中、道端にて
    携帯端末の画面に見入る二人。



    その姿はどこか・・・・
    見た目こそすっかり成長しているが、

    過ぎ去りし幼心の日々、

    祖父の書斎から持ち出した壁外の
    記述に溢れた禁書に釘付けになって
    外界への憧れに想いを馳せる・・・・

    あの日の二人の情景が
    静かに重なるようだった




    アルミン「ホラ、よく見てて・・・ここからだ」




    エレン「・・・?」




    画面に一瞬映し出されたのは黒い背景に
    浮かんでいる・・・丸く、青く、碧い球体。




    立体的に映し出されたその球体は、
    ズームアップと同時にそのピントが
    一カ所へと絞られて、更に詳細な
    球体の表面を写し出していく



    エレン「・・あ??・・・なんだこれ。
        おお。回った。何だ・・・
        何かの果物か???」




    アルミン「・・・・ぷッ・・・ァ・・・・はははっ!!
      あっはっはは・・・」(ˊᗜˋ*)




    写し出されたモノの実際の大きさすらも
    当然瞬時には理解できないエレンに、
    思わず笑いを堪えられずその顔を
    綻ばせるアルミン。
  145. 155 : : 2015/04/14(火) 20:16:07



    しかしその笑顔は、どこまでも優しい
    彼の心情が現れた顔であり、異世界より
    渡来して間もない旧友の無知を
    嘲るような笑顔などでは決してなかった。




    それは彼と――彼を周囲から常に
    見守っていた彼の現職場で働く
    同僚のメイド達にしか理解しえない
    事ではあったが・・・この世界に彼が
    流れ着いてから今迄の生活の中で・・・


    最も眩い笑顔でもあった。





    エレン「なっ・・・なんだよオイ!!
        そんな思いっきり馬鹿にする事
        無いだろうが!オレはこんなの
        今迄見た事無いんだぞ!!

        このデンワって奴にしても
        そうだ!お前らだって
        見慣れる前はどうせ・・・!!///」


    スッ...



    エレン「ッ!?!;」




    アルミン「(シッ..)ほら、少しずつ拡大して
       いくよ?良く見てて??」




    必死に訴えるエレンの口元に人差し指を
    あてがい、静観を促すと・・・そこから
    携帯端末に戻した指先で、表示された
    画面に人差し指、親指でもって拡大の
    画面処理をかけていくアルミン。




    そこに映し出されていたのは先程までの
    球体では無く・・・、無数の四角が
    並び、その合間に微細な溝が幾重にも
    伸び行く・・・・立体的な絵だった。



    それが少しずつ近寄る形で大きく
    表示されるにつれて・・・画面を
    凝視していたエレンの顔がみるみる
    青褪めていく。



    その画面の中に、画像拡大の
    最終段階として写し出された風景は・・・
    つい先程目の前の幼馴染が自らに
    フライングボディプレスをかけて来た
    地点・・・・。


    ・・即ち現在エレンが文明の利器の
    驚異に呆気にとられ、立ち尽くしている
    その場所に他ならなかったからだ。



    ストリートビューによる画像検索の為、
    そこに解像されている景色は
    データベースに登録された、在りし日の
    ままの昼間の風景ではあるが、

    その風景はあまりに衝撃的な
    邂逅の記憶と共に色鮮やかにエレンの
    脳裏に残っていた。


    だからこそ・・・すぐにその画像の意味と、
    そこに至るまでの画像スクロールの
    真意を・・・エレンは脳内だけで
    先に理解した。驚愕のあまり、
    声すら満足に発する事が出来ない
    様子である。




    エレン「・・・・・・・・!!!」


  146. 156 : : 2015/04/14(火) 20:18:48




    小さな画面だけに表示された画像で
    今迄の自分の中にあった"世界"という
    ものに対する基本概念を完全に
    打ち砕かれてしまったエレン。

    『壁の外』という概念くらいなら
    無論エレンにもあった。

    何せそれについて具体的な情報を
    嬉々として彼に語り明かしたのは
    目の前で静かに微笑んでいる
    旧知の友人、つまりアルミン本人である。



    しかし、今、数秒前に自らが目にした
    立体的な絵は・・・その究極の答えを
    この上なく分かり易い形で現していた。




    エレン「オイ・・・つまり・・・なんだよ・・・??

        最初に・・・写ってた・・あの
        緑っぽい球が・・・・・・・・」カタカタ・・




    ようやくおぼつかない口ぶりで
    思った事を言葉に紡ぎ出すエレン。




    アルミン「・・・・そう。僕達が今迄
       知り得なかった・・・壁の外・・・いや、

       僕達が今居る・・・
       この“世界”そのものの姿さ」



    対してあくまでも落ち着いた口振りで
    説明するアルミン。




    エレン「や・・だがちょっと待てよ!!
        今のは・・・あくまでオレ達が
        今居る、“この”世界の話で
        あって・・・今迄オレ達がいた
        世界の話じゃぁ・・・;」



    アルミン「そういう考え方も一理あるかも
       しれない・・・というかその通りでも
       あるんだけど・・・」(ススッ・・・)



    エレン「・・・??;」



    再び画面へと指先を這わせて、
    拡大された画像を球体の姿にまで
    遠ざけるアルミン。


    次に拡大させようとスクロールさせた
    先は、球体の表面単位で見ても、
    相当離れた位置にある場所であったが・・




    アルミン「・・・エレン?

       この、球の大部分を占めてる
       水色の部分は・・・一体何なのか・・
       キミは思い出せる(▪▪▪▪▪)?」




    エレン「・・・・・!!オ・・・おいまさか・・・!!!」



    実際は思い出すも何も、行った事も
    見た事も、座学で学んだ事すらない
    場所についての記憶を尋ねられる
    エレンであったが・・・彼の記憶には確かに
    その答えが既に存在していた。


    ・・・そう、あの日のアルミンが自分に
    教えてくれた・・・お伽話の中の
    夢の様なその場所は・・・






    エレン「それが全部・・・全部塩水の
        溜り場だってのかよ・・・!!

        ウソだろ・・・!?!さっき
        この場所を映し出すまでに・・

        一体どれだけの距離近づいたと
        思って・・・・!!!!」





    改めて、今自分達の居る場所の広大さと、
    “世界”の規模を脳内で造り替える、
    その作業だけで精一杯のエレン。


    そんなエレンを他所に、尚もアルミンは
    追い打ちを止めようとはしなかった。


  147. 157 : : 2015/04/14(火) 20:23:38







    アルミン「・・・・じゃあ、この、白一色の

       部分は・・・・何だと思う・・・?」







    エレン「白・・・・???::まさか

        塩・・・!?いや・・・・白・・・
        雪か・・・・?!!」




    アルミン「・・・・惜しいけど違うよ。
       
       ここが“あの本”にも
       載っていた・・・氷の大陸さ。

       ・・・ほら、氷の大地だっていうのに
       平気でそこを歩ける生き物まで
       生息してるらしいんだ・・・!」
       (ワクワク)





    今度は携帯画面の別窓で開かれる、
    極寒の大地と、そこに暮らす
    鳥類、哺乳類達の画像が・・・驚愕に
    固まるエレンの瞳に映り込み、
    スクロールで上から下へと流れていく。


    衝撃の事実に頭がついて行けなくなる
    事を考慮してなのか、せめて自分だけは
    努めて冷静な体で振る舞おうとしていた
    アルミン自身も・・・今この瞬間を
    “あの日の思い出”と重ねたのか、

    僅かに高揚させた頬を震えさせて
    昂ぶる自分を隠しきれていない
    様子である。




    アルミン「・・・そういう事なんだ。
       今僕達が居る世界と・・・今迄
       僕達が居た世界っていうのは・・・
       本当の意味で“違う世界”
       だったのかもしれない・・・

       ・・・でもね。」




    エレン「・・・・・」




    アルミン「僕達があの日夢に描いた、
       “壁の外”は・・・この世界にも
       確実に存在するんだ・・・・!
       
       僕は・・・僕は何としても
       “そこ”に行きたい・・・・!

       あの本に載っていた場所も・・・!
       載っていなかった場所にも・・・!

       全部・・・・!」






    エレン「・・・・・・!」



  148. 158 : : 2015/04/20(月) 21:14:54



    その掌に包まれた小さな画面に
    所狭しと並べられた、世界各地の
    膨大な画像に見入りながらも
    更にその目を輝かせるアルミン。




    エレン「――――」



     やっぱ・・・すげぇな・・・・アルミンは・・・


     何が凄えって・・・こんな訳の分からない
     世界にある日いきなり飛ばされて・・・

     今まで背負ってきた役目も、目的も、
     使命も何もかもをいきなり
     なくしたって状況から・・・・

     こうして自分が全力で打ち込める
     仕事や目的を見つけちまうんだからな。


     オレは―――・・・オレなんかは・・・






    アルミン「・・・勿論だけど・・・この旅には
       エレンも強制参加だからね。
       エレンが来るならきっとミカサも
       来てくれる。3人で・・・
       この“世界”を旅する。それが・・
       今日まで僕がこうして
       想い続けてきた“夢”なんだ・・」





    エレン「夢・・・か・・」






    アルミン「うん。本当に夢物語
       そのものだった。折角巨人も
       居ない、壁も無い世界に来る事が
       叶ったっていうのにそこには僕が
       知っている人なんて一人も
       居なかったんだからね。

       ・・・それだけなら
       まだしも、やっとの事で
       エレン達の足跡を掴んだと思えば
       ・・・・その通り(▪▪▪▪)だ。」



    エレンが読了ページに指を挟みながらも
    保持している単行本を一瞥し、
    事が此処に至るまでの苦難を反芻する
    アルミン。




    その伏せかけた目には
    彼自身にしか到底知り得ない
    感慨深い想いが宿っていた





    アルミン「まさか・・・・本当に・・・。
       本当にこうして今日二人に
       再会することができるなんて・・」





    エレン「・・・ッハハ。さっきも散々言った
       けどよ・・、何も泣く事は無いだろ。

       アルミンがこの世界にそうして
       飛ばされたみてーに、
       オレ達に同じ事が起きるのは
       ごく当たり前に考えられる
       事なんだからな。

       ここまで自分の居場所や仕事を
       確保できる行動力は持ってる癖に
       変なところですぐに泣くよな。
       お前はよ。」ポンポン



    そう言って薄ら笑いを浮かべながらも
    アルミンの背を撫でるエレン。




    アルミン「キミは僕がどれだけの期間
       こうして未知の世界で奮闘して
       きたか知らないから気軽に
       そんな事が言えるんだ・・・・!
       (潤んだ目)

       最初の数日なんてずっと・・・!」
       ヒック・・・   


        
       

    エレン「・・・・ホラ、泣くな泣くな。
        男だろうが。それもお前は・・
        オレなんかよりよっぽど
        打たれ強い心を持ってんだ。

        それ位でへこたれやしない。
        ・・そうだろ」




    アルミン「そんな・・・僕なんかよりエレン、
       キミの方がよっぽど・・・」グス・・





    エレン「・・・・・いや、これが実際
        そうでもねえんだ・・・この状況・・
        実はオレ自身でもかなり
        参ってる。」







    アルミン「ぇ・・・エレン・・・?;」






    瞬時、それまでよりも
    一層声のトーンが下がり、心なしか
    その目に宿る光もいつものエレン()とは
    思えない程に弱まった事に気付き、
    今度は逆に狼狽えるアルミン。


  149. 159 : : 2015/04/20(月) 21:17:24





    エレン「オレはよ・・・・今迄
        巨人をぶっ殺す、その為だけに
        兵団で自分を磨いて来たし、
        調査兵団に入ってその誓いを
        現実のものにする為だけに
        あそこまで頑張る事が出来た。

        あの錚々たる顔ぶれの中
        上位5人にまで上り詰めてな。


        ・・・だがそれは・・・」





    アルミン「・・・・・・」





    エレン「あくまでその目的が手に
        届く場所にあると思えるから
        こそだった。巨人を片っ端から
        “全部”ぶっ殺す―――

        そんな途方の無い、明らかに
        無茶だと思える事だって・・・
        オレ達を囲い込むあの、
        窮屈な壁を超えてひとたび
        壁外に出ればわんさと巨人が
        居るあの世界でなら・・

        出来ないとは思った事が
        無かった・・・」





    エレン「だからよ・・・、いきなり
        こうして壁も無い、巨人も居ない

        ・・・当然それに対抗する為の
        兵団って概念すら無い・・・

        それどころかそんな
        オレ達にとっての当たり前の
        色々が・・・凡て作り話でした・・・
        なんて世界にこうしていきなり
        放り込まれてみろ。

        ・・・流石に色々と気が滅入って
        来ちまうんだよこれが・・・。」






    アルミン「ぇ、エレン・・・・」オド..オド




    平時の彼の気丈さを良く知るアルミンは
    何時になく弱気をさらけ出す彼の顔に
    掛かる陰を感じ取り、その様子を
    不安そうに見つめる。



    エレン「だから悪い・・さっきアルミンに
        された話は・・・教えて貰った
        この世界の有様については・・・
        正直驚いた。けどよ・・・

        オレはまだ・・・オレにはまだ・・
        この世界を色々見て回ろう
        だとか・・・そういう気持ちに
        なれる心の余裕が・・無いみてぇ
        なんだよ...」






    アルミン「・・・・・ま、まあそう・・・だよね。
      うん、流石に世界を旅するとは
      言ってもね、色々と先立つものも
      必要だし、当然直ぐにとは行かない
      から・・・、落ち着いてからでも、
      全然・・・ね;」




    遠慮がちにそう言ってその場の茶を濁す
    アルミンではあったが・・・




    アルミン「・・・・」




    当然、エレン本人の現在の心境は、
    それ程単純な事では無いと頭の中では
    理解できていた。



    アルミン「・・・・・」



     エレンは・・・エレンが兵士になって
     戦う道を決意するまでの経緯は・・・

     ハッキリ言って僕とは大きく異なる。
     ・・・それは・・・あの日、間隣に居た
     ミカサにしても厳密にはやっぱり
     エレンとは少し違う・・・。



     僕は・・・僕自身の御爺ちゃんや
     父さん、母さんが目の前で巨人に
     喰われるといった様な“経験”が
     エレンと違って無い・・・。



     それは結果として迎えた最期が
     同じだったとしても・・・大切なモノを
     失った際の、その悔恨の心の矛先は
     全く違うという事を意味する・・・



     つまりエレンは目の前で救う事も
     助ける事も敵わずおばさんを
     食べられてしまった事から、
     巨人そのものに対する非常に強い
     憎悪が芽生えた。ミカサは・・・

     話の限りではその際におばさんに
     授けられた今際の際の言葉から・・・
     そして元からあった強い使命感も
     手伝ってエレンを一人にしておけない
     という理由からエレンと同じく
     訓練兵に志願した。
  150. 160 : : 2015/04/20(月) 21:24:23





     ・・しかし僕はどうだろう。


     僕は・・・目の前で“巨人”に家族を
     奪われた訳じゃ無い。・・結果として
     向かった場所は確かに巨人の口の中
     だったのかもしれない。・・・けれど、
     その原因を作ったのは・・・

     つまり僕から家族を奪ったのは
     あの無茶苦茶な奪還作戦を立案した
     王政そのものだ。


     要するに僕にはエレンと違い・・・
     巨人に対する恐怖こそ人並みにあれど、
     この世から全ての巨人を殺しつくして
     やると宣言出来るまでの強い怨嗟が・・・
     存在しない。


     そんなエレンが・・・これまで唯一の
     淘汰目標として睨み続けて来た
     “巨人”を自らの世界から突然
     失いでもしたら。あまつさえ、
     兵団で死に物狂いで身に着けてきた
     巨人を狩るための努力まで全て
     不要な物であるというこの世界に
     放り込まれてしまったら。



    アルミン「(僕ならそんなの・・・
       絶対に耐えきれない。)」



     僕にしてみれば、今のこの状況は――


     巨人に脅かされる事も無い、

     壁に縛られて大勢の恵まれない人々を
     蔑ろに扱う王政の存在すら一見して
     無い様に見えるこの世界に
     半ば安堵している位であり、


     ミカサに関しては放っておけば
     巨人の口の中へでも何処へでも
     平気で飛び込んで行ってしまう
     危なっかしいエレンを“巨人”と言う
     面倒な障害から守る手間が省けて
     心底ほっとしている事だと思う。



     ・・・・・しかし当のエレンにしてみれば。



     自らの生涯をかけて駆逐してやると
     頑なに誓った仇敵の一切合財が・・・
     その存在まで架空の物にされて
     しまったこの世界に放り込まれる
     という事は・・・・


     それは、単純に言ってエレン自身の
     “生きる理由”を奪われることに
     他ならない。そんな心境の中で、


     “さあ、新天地を共に旅しないか”

     
     ・・・等と嬉々として語られたって・・・
     そんなの・・・当然の如く乗り気に
     なれるはずも無い。



  151. 161 : : 2015/04/20(月) 21:26:18





    アルミン「ゴ・・ゴメン・・・僕とした事が・・・
       少し考えが甘かったみたいだ・・

       そうだよね・・・僕はもうこっちへ
       来てから相当な日数を経てるから
       こっちの都合にも慣れたけど・・・

       エレンはそうじゃないのに。
       こんな軽々しく浮かれた話を 
       してしまって・・・本当に・・ゴメン...」
       シュン....




    エレン「い、イヤイヤ!!そんな気にするな
        っつってんだよ!そこまで
        大袈裟な事は言ってねえ!

        ホラ、色々あってオレもまだ
        お前が言うようにこっちの
        風土に慣れてねえんだよ。

        ・・・詳しい事は何も話しちゃ
        くれないんだが・・・どうにも
        ミカサの話じゃオレがこっちに
        来た時の姿は・・・“巨人化”した
        状態だったらしいしな・・・

        精神的だけでなく体力的にも
        昨日やっと動けるように
        なったばかりだったんだ」 



    アルミン「きょ・・・・巨人化だって・・?!」





    エレン「ああ・・・オレ自身全く記憶も
        ないから正直本当なのかどうか
        怪しいがな。・・・ミカサの奴が
        そんなどうでもいい嘘を
        つくとは考えづらい。」




    アルミン「・・・・え!??いや・・・
       だってそんな訳無いよ!

       ・・・というかそんなの、
       どういう状況だったか
       知らないけど絶対に大事になるに
       決まってるじゃないか・・・!

       ・・・エレンにはまだピンと来ない
       かも知れないけど・・・さっき見せた
       電話みたいに、この世界では
       情報共有に関する技術力が
       とんでもなく発達しているんだ。

       ・・・だから、もし、もしもだよ、」





    エレン「・・・・?」





    アルミン「もし、今エレンがこの場で
       いきなり巨人化したりでもすれば

       ・・・そうだな・・・外人さんの
       観光客も大勢いるこの状況じゃ
       報道管制も一切その意味を
       成さないから・・・世界の隅から
       隅までの人間が、巨人化した
       キミの姿を“この、電話機”を
       通して明日には拝むことに
       なるかもしれない・・・・」




    エレン「・・・・!」



    アルミン「そして言うまでも無い事だけど・・・
       この世界にはどの時代の文献を
       漁って見ても・・・“巨人”の公的な
       記録を残した物が存在しないんだ。

       架空の存在や、一部与太話の様な
       形でなら幾つかそういった情報も
       見つかりはしたけれど・・・つまり
       この世界では巨人は“居ない”
       モノでしか無いんだ。

       そうなれば・・・間違いない。
       大騒ぎになるなんてものじゃ
       済まないよ・・・・・!」




  152. 162 : : 2015/04/20(月) 21:32:19





    エレン「マジかよ・・・。それを聞いてみて
        またさっきのアレに話は
        戻るけどよ・・一体全体あの
        “空の上から見た絵”は
        どうなってるんだ・・・?
        夜なのに明るかったし・・

        まるで空の上から地表を
        見下ろしてるような
        鮮明さだった。あんな技術が
        もし・・・・」




    アルミン「そうだね・・・僕もそれは少し考えて
       見た事がある。実はこの世界は・・
       元居た世界と場所そのものは同じ
       なんだけど・・・・“時間”だけが
       ズレてしまってるんじゃないか
       ・・・・って」




    エレン「・・・時間・・・??」




    アルミン「・・・うん。僕等が壁の中に
       閉じ込められていた時分、
       “何故か”誰も行おうとは
       しなかった“上空”からの
       探索・・・それを行う技術が
       異常に発達した結果・・・
       
       遥か昔に巨人を掃討する事に
       成功した結果の世界。

       ・・・その時代までいきなり
       僕達だけ飛ばされちゃった・・・
       とかね。エレンには・・・少し
       難しすぎたかな・・・」





    エレン「いやアルミンお前・・・。
        何故か誰もやろうとしなかった
        ・・・・ってお前よ。空を飛ぶ技術
        なんて・・・・それこそ
        立体機動装置のような物でも
        使わない限り何もない所を飛ぶ
        事なんて、したくても
        できっこないだろ・・・・」




    アルミン「いや・・・実はそうでもないんだ」






    エレン「・・・・・は・・・?」




    アルミン「エレンにはどう説明したら
      分かり易いだろうか・・・そうだな。
      幾つか方法はあるんだけど・・・
      何方にも使われるのは先ず、
      “ガス”だ。

      簡単に言ってしまえば・・・壁の中の
      技術でも、理屈の上ではなんとか
      “ソレ”が出来そうな方法は
      幾つかあったんだ。」






    エレン「オイ・・・・まさかとは思うが、

        装置のワイヤー巻き取り過程で
        出るあの排気の勢いを使うのと
        同じ原理で宙に浮こうって
        んじゃ無いだろうな・・・?

        あんなの、精々牽引の補助と
        空中での姿勢の維持位にしか
        役に立たねえだろ・・・・?

        一体それをするのにどれだけの
        バカデカいガスボンベが必要に
        なると・・・・」






    アルミン「・・・そうだね、それは流石に実際
      装置を使ってるエレンになら
      分ると思った。

      僕が言おうとしたのは・・・ガスの
      “排気”では無く・・・“比重”の
      軽さを使う方法と、燃やした時に
      発生する“熱”を使う方法さ。

      どちらも・・・設備と、それなりの
      規模さえ満たすことが出来れば・・・
      充分人を数人載せた上で空を
      飛ぶことが可能なんだ。理論上は。」






    エレン「難しいことは分んねえけどよ・・
        まあ、お前がそう言うって事は
        間違いなくやろうと思えば
        壁の中の技術でもそれが可能
        だって言うんだろ」

      


    アルミン「あくまで理論上は・・・ね。

      と、言いながらも、僕は既に
      こっちの世界でそれと全く同じ
      原理で飛んでる乗り物をこの目で
      見てもいるよ。“飛行船”って
      いうんだけど・・・アレは凄いよ。
      まず大きさが僕の想像を遥かに
      超えてる。


      ・・!・・・・、今説明したのとは
      原理も全然違うし、そもそも
      噴き出しているのはガスじゃ
      無いんだけど・・・・」



  153. 163 : : 2015/04/20(月) 21:35:11







    ...・・・・・・ゴゴゴゴ・・・・






    タイミングよく遥か上空を通過し、
    夕暮れ空の大気を微かに揺らす音を
    耳にしたアルミンは、音がした方向より
    大分先を先行している光源を指差す。




    アルミン「“アレ”は・・・今エレンが
       想像したのとあまり変わらない
       原理で空を飛んでる乗り物だよ。

       “飛行機”っていうらしい。
       もっともあの形だと・・・“戦闘機”
       っていう軍用の奴かな。

       ほら、物凄い高い所を音より
       ずっと速く飛んでるから、
       音がこんなに後れて聞こえてくる。

       信煙弾の目視から撃発音が
       遅れるアレと同じさ。」





    エレン「マッ・・・ジかよおい・・・!
        アレを・・・人が動かして
        飛んでるのか・・??!」



    アルミン「言ったでしょ、この世界に
      巨人はいないんだって。人間以外に
      アレだけの物を造る生き物が居ない
      以上は・・・皆そうだよ。・・・いや、
      エレンにはここまで言ってしまうと
      到底理解できないかもしれないけど
      ・・・この世界では人の操作すら
      必要としないものも沢山あるんだ。
      にわかには信じ難いかも知れない
      けど・・・・」





    エレン「分かった!つまりアレで撮った
        シャシンか何かを繋ぎ合わせて
        ・・・さっきのあの妙に綺麗な
        地図みたいなのを作ったんだな
        ・・・・!?」





    アルミン「流石に写真くらいはどんなものか
       エレンも教えて貰ったんだ。」




    エレン「こっちにきて先ず一番最初に
        驚かされたのがソレだった
        からな・・・!・・・で、
        どうなんだよアルミン!?
        当たりだろ!!オレの予想は!」
        フフン



    アルミン「・・・残念、ハズレだよエレン。

       さっきの画像はね・・・もっと
       エレンの想像の及びもつかない程
       遠い所から撮影されたモノを
       繋ぎ合わせたものなんだ。

       ・・それについてももっとこの場で
       説明したいところだったけど・・・」




    ミカサ「・・・済まない2人共・・・。随分
        長い事待たせてしまった。

        何か話をしていたようだが・・・
        ・・・やめてしまって大丈夫なの?」



    アルミン「あ・・、うん、途中と言えば
       途中なんだけど・・・続きは別に
       何時でもできるから気にしないで」

  154. 164 : : 2015/04/20(月) 21:37:05





    エレン「お、おいアルミン!!答えが
        外れてるってんならせめて
        正解を教えてくれよ!!!
        気になって仕方がねえだろ!!」



    ミカサ「・・・???」




    アルミン「そうしたいのは山々なんだけどね・・
      きっと今のエレンには、この世界の
      情報が足りなさ過ぎて、漠然と
      説明しても余計訳が分からなく
      なると思うんだ。・・・だから
      この続きはまた今度にしよう。」



    エレン「・・・ったく何なんだよ....
        煮え切らねえな・・・・」
        ブチブチ・・・




    アルミン「・・・・・・」




    会話の最中、一時自らの置かれた境遇に
    普段の気丈さを失ってしまった
    エレンだったが・・・・。再び幾らかの
    明るさがその顔に戻った事に安堵し、
    自身の胸を内心で一撫でするアルミン。




    ミカサ「それで・・・・どうするの?
        アルミン、これからは。
        もし貴方に今後の用事が無い
        というのなら・・・

        時間が丁度いいのもあるし
        かなり久々に3人で夕ご飯を
        食べるというのは・・・」
        オドオド・・・




    アルミン「・・・・あの、なんでそんなに
      オドオドしてるのミカサ・・・?
      僕なら当然、バイトが終わった今、
      今日の予定はフリーなんだし・・・

      折角こうして君達に再会できた
      っていうんだから・・・用事があっても
      それらをすべて蹴っ飛ばすことすら
      吝かじゃないくらい今僕は気分が
      高揚してるんだけど・・・」




    ミカサ「いや・・・アルミンくらい外見が
        整っていて都会に住んでいると
        なると・・・一人二人くらいは、
        遊び相手等がもういるのでは
        ないかと・・・少し心配になって」




    アルミン「居ないよ!?そんな相手
      一人もいないし、そもそも
      僕にはいつだってキ...Σ(;゚Д゚)ハッ」




    ミカサ「・・・・??」




    アルミン「////....;とにかく、そんな人、
       一人もいないからさ・・。
       ぁあ、お店のお客さん3人くらいに
       だったら・・・・冗談半分で
       愛の告白みたいなことを
       された事はあったけど・・・;

       面白いよね。男でもいいから、
       だってさw;」






    ミカサ「アルミン.....!!!!そいつは
        とても危険な人種だ・・・・!

        絶対に今後近寄ってはいけない。

        可能なら・・私にそいつの
        顔と名前を教えて・・・..!」





    アルミン「知ってどうするつもりなの!!?
       その目は明らかに穏やかな目じゃ
       無いよね!!?」ガクガクブルブル




    ミカサ「いいから、おとなしく
        教えて貰えると助かる・・・

        大丈夫、アルミンに迷惑は
        かからない・・・・!偶々人と
        似たような姿をした害虫を
        駆除するだけ・・・・・!」メキメキ・・


  155. 165 : : 2015/04/21(火) 21:00:53




    エレン「どうでもいいけどよ・・・
        そろそろ飯にしねえか・・・。。

        流石に甘い茶だけだと
        腹持ちがな・・・」グゥゥ・・・・↓↓




    アルミン「あ・・・、そうだったね・・!
       ・・・二人とも、どんな物食べたい?
       今日は僕が御馳走しちゃうよ」




    ミカサ「私は・・・エレンが食べたい物なら
        ・・・何でも。出来ればエレンの
        体調を慮って栄養のあるものが
        望ましい・・・」



    エレン「力がつくモノと言ったら
        やっぱ肉だろ・・・・!」ウン、




    ミカサ「それはさっき食べたでしょ」






    エレン「堅い事言いっこ無しだぜ。
        あんなに美味かったんだから
        もう一つくらい余裕で
        イケるって。」





    ミカサ「・・・・そんなに食べたいの、
        ・・・・エレン。」  





    エレン「ああ。そんなに食いたいね」
        イタッテマジメ




    ミカサ「では・・・・今度という今度は
        一切キャベツを零して食べては
        ダメ。。その上でトマトも
        しっかり避けないで食べると
        誓えるなら・・・許可しよう」
        キッ....!





    エレン「グッ・・・!!?」ビクッ。。。





    ミカサ「どうするの・・?
        私はトルコ語、若しくは
        クルド語にも少しは理解がある。

        ・・・ので、次に注文する分は
        間違いなく肉と野菜の比率が
        先程とは大きく変わる事に
        なるが」ゴゴゴ.....
        (※あの目)




    エレン「っ・・・ひっ・・!」
        ガクガク・・ブルブル・・





    アルミン「みっ・・ミカサ(^▽^;)
       
       それ位にしてあげて;」





    ミカサ「・・・・でも・・・アルミン・・・」
       (;´・ω・)




    アルミン「エレンから少し聞いたよ。
       詳しい状況は理解してないけど・・

       何かエレンも大変だったみたい
       じゃないか。何でも・・・巨人化した
       状態でこっちの世界に来て・・・

       つい昨日あたりにやっとこうして
       出歩けるようになったって
       聞いたけど・・・・」





    ミカサ「それは・・・・そうだけど」






    アルミン「勿論、ミカサのそのお節介は
       全てエレンに向けられた優しさと
       体調管理の為の思いやりだって
       事くらいは・・・ちゃんと僕だって
       理解してるさ。

       君は・・・いつも本当にエレンの事を
       第一に考えてくれているからね」




    ミカサ「・・・・・/////」



    エレン「どうだかな・・・(溜息)

        オレの嫌いな物を無理に
        口に詰め込んで楽しむ特異な
        趣味って可能性も全く無いって
        訳じゃ・・・・」



    アルミン「こら、エレン??(#;^ω^)
       君も君だよ・・・全く。そう言う所は
       ホントに人の事言えないくらい
       君も昔のままだ・・・。;

       いい加減君になら誰に
       言われなくたって分るだろ。
       ミカサはもう君にとっては
       この世に2人といない家族同然の
       仲なんだ。お互いに身体の心配を
       するのは当たり前の事じゃないか」




  156. 166 : : 2015/04/21(火) 21:03:26





    エレン「・・・・・」ムス・・・
       



    アルミン「・・・・・(溜息)・・・仕方ないなぁ・・・

       じゃあ・・・そうだな。エレンは
       お肉が食べたくて・・・出来るだけ
       嫌いな野菜をあまり大量に
       食べたくは無い・・・と・・・」



    エレン「嫌いとまでは言ってねえよ!
        ただ・・・アレだけ美味い肉が
        食えるのに一緒に生の野菜まで
        齧らなきゃいけねえってのは
        何か納得いかねえ」




    ミカサ「野菜と一緒に食べるのは
        とても理想的な摂取法だ・・・

        何故納得できないの・・・?」 
        ムシロヤサイダケデモクッテ



    エレン「だってあの野菜何の味も
        ついて無かったじゃねえか!
        青臭くて肉の旨みが半減
        するんだよ!!」




    アルミン「ホラホラ、もうその辺にして2人共。。
       
       じゃあ・・・そうだな、今日は
       エレンの我儘を聞くという形で、
       ミカサに折れて貰うとしようか;

       ・・・ゴメンねミカサ?あまり
       栄養満点とは行かないかも
       しれないけど・・・一応は幾らかの
       野菜もエレンが美味しく
       食べられて、同時に炭水化物も
       摂取できるお肉一杯のあれに
       しようかなと思うんだけど・・・」




    ミカサ「・・・・分かった。
        仕方が無いけれど・・・・今日は 
        アルミンの方針に倣おう。

        私も・・・エレンには何よりも
        気分の良い食事を楽しんで
        貰いたい・・・・ので・・・」スゴスゴ..




    エレン「ん・・?なんだ・・?
        さっきのアレじゃねえのか??
        肉が・・・一杯だと・・?」




    アルミン「少し歩くよ。ついてきて?」



  157. 167 : : 2015/04/21(火) 21:09:55








    ~~十数分前・・ミカサside~~






    秋葉原電気街の某路地裏。
    エレンには時間潰しに一冊の本を
    貸し与え、会話を誰にも聞かれる
    恐れの無い建物上へと音も無く
    単身跳躍し、その身を屋上淵へ
    佇ませるミカサ。



    疎らに道行く人々を眼下に
    見下ろしながら通話状態になっている
    携帯マイクへ向けて平時の声のトーンを
    崩さずに淡々と会話を紡いでいる。






    ミカサ「・・・・単刀直入に聞くけれど・・
        叔父さん・・・・アルミンの事に
        ついては事前に調べた上で・・・

        私とエレンをこの街に
        向かわせた・・・そういう事で
        合っている・・?」



    《ケニー「・・・まあ否定はしても意味が無いし
       する気も無いんだが・・・何故
       そう思った?いや、マジで
       参考までにな」》




    ミカサ「いくら何でもタイミングが
        良すぎる。・・そう思ったから。

        まさか都内に
        辿り着いていたとは盲点だった
        けど・・・叔父さんこそ一体
        どうやってアルミンの手掛かりを?」





    《ケニー「俺様の特定力を嘗めるなよ。
       なんたってあの携帯すら
       持ってない偏屈な甥を
       屋外で特定してここまで
       辿り着いたんだからな。

       ・・・・・まあ、その時の記憶は
       ログにも既に残っちゃ居ねえ
       訳だが・・・。まあ、アレだよ。

       ミカサ、お前からそいつの
       外見的特徴を聞いただけで
       俺の特定捜査網にかける
       情報ソースとしては
       それで十二分に役立つモン
       だった、それだけの事だ。」》





    ミカサ「・・・・・・そう。」





    《ケニー「あ、そうそうそれとなミカサ。
       お前に聞いてた、お前と
       “同じ境遇”でこっちの世界に
       来た奴等・・・とか何とか言ったか。

       とにかくそいつについてだが」》


  158. 168 : : 2015/04/21(火) 21:12:07




    ミカサ「何・・・・・?」






    《ケニー「恐らくだが・・・その二人で終いじゃ
       ねえな・・・・もう一人だ。」》





    ミカサ「待って・・・叔父さん・・・?
        今何を言ったの・・・・?」





    《ケニー「だから・・・お前らと同じようにな、
       元居た世界の記憶とやらか・・・、
       
       そいつが残ってる奴は確かに
       お前らの他にまだもう一人
       居るって、そう言ったんだよ」》




    ミカサ「いや・・・ちょっと
        待ってほしい・・・!

        叔父さん・・・叔父さんは・・
        そうじゃない(▪▪▪▪▪▪)ハズだ・・!

        どうして普通に私とこういった
        話を続けられるの・・?」



    《ケニー「だぁから言ったろw
       俺様をあまり嘗めるな、とな。

       俺ぁ“お前ら”の叔父だぜ。
       ウチの家名に名を連ねる奴等って
       のはよ・・・お前やリヴァイの奴を
       見りゃ一目瞭然だが、どっかに
       必ずフツーの基準から
       ぶっ飛んでる部分が少なからず
       ある。」》



    ミカサ「・・・・・」



    《ケニー「まあ、俺はお前と違って
       そこまであからさまな
       フィジカルお化けじゃねえし、
       あのチビの様に抜群に秀でた
       器用さと汎用性を持ってる訳でも
       無ぇ。・・・・ただな、

       俺は産まれてこの方、
       知りたいと思って分からず仕舞い
       にしたままの事柄が一つも無ぇ。

       興味を持った事柄に途中で
       “飽き”が来ない限り・・・・

       真相を知れたほうが“面白い”
       ・・・そう思って居られる限り・・・
       俺に特定できねえモノなんざ
       この世には存在しねえ。」》



    ミカサ「・・・!」




    《ケニー「まあ・・・それだけ(▪▪)に関してなら・・・
       俺様は多分お前にも引けを
       取る事は無ぇだろうなァ。(ヘッヘ)

       それだけのことだ」》
      
       



    ミカサ「まさか叔父さん・・・
        叔父さんは・・・・
        この“世界”の創り主に...





    《ケニー「・・・・どうした可愛い
       姪っ娘よ。柄にもなく声が
       震えてやがるが。クソでも
       我慢してるってんなら電話は
       切って早めに用足しに
       行ってくると良い」》




    ミカサが恐れ半分に聞こうとした
    話の内容を満足に聞く間も持たせず、
    急に掌を返すかのように下世話な
    冗句で躱すケニー。


    叔父がこうした変り身を見せる際の
    心境をある程度理解しているミカサは・・・





    ミカサ「・・・深くは聞かないでおこう。

        私にとって最も優先されるべき
        存在は・・・エレンであり、

        次いで同じ位に大事な
        家族でもあるアルミンまで・・・
        結果的には今日こうして
        叔父さんの助力があって初めて
        再会を果たす事が出来た。

        ・・・・本当に・・・本当に
        感謝している。」

  159. 169 : : 2015/04/21(火) 21:16:20



    《ケニー「お前ぇはリヴァイ(アイツ)と違って
       そういう素直な所が正直可愛いと
       思う事もあるんだが・・・ちと
       一直線過ぎるきらいがある。
       

       お前..もう少し“エレン”だけで
       なく自分の為の楽しみも見つけて
       見た方が良い。もっとこうよ・・・
       あいつが居なくても一人だけでも
       楽しく打ち込める何かをなァ」》




    ミカサ「それなら・・・心配には及ばない。
        あっちに居る頃から趣味の
        一つではあったが・・・

        今、ようやく借りている
        畑の畝が一通り良い土に
        なってきた。エレンも
        アルミンも身辺が落ち着いたら
        
        ・・・一緒に畑の土をいじるのが・・
        今から私が楽しみにしている
        唯一の趣味だ」ドキドキ・・・・


    《ケニー「テメェやっぱり結局は
       エレンじゃねえかww#

       ・・・まあいいや。おぃちゃんは
       ・・・・そうだな、
       モロコシが食いてえな。
       全身機械になる前に姪が作った
       有機野菜でも喰わせてくれや。

       エレン捜索の見返りはそいつで
       手打ちにしてやるからよ」》



    ミカサ「・・・心得た。一番に着手しよう。
       それと・・・・」




    《ケニー「何だ、まだナンかあんのか?
       もうそろそろ行ってやったら
       どうだ。流石に漫画本一冊で
       エレンの奴も退屈しだす
       頃合いなんじゃぁねぇか。」》




    ミカサ「無理にとは言わないが・・・

        せめて、その、“もう一人”
        に関しての情報は・・・

        気が向いたときにでも
        教えて貰えると・・・とても・・
        助かる」


    《ケニー「何だwそんな事か・・・wイヤイヤ、
       心配には及ばねえさ。

       そっち(▪▪▪)に関しては・・・
       多分俺がどうこうしなくとも・・・
       早晩知ることにならァな。

       そういう風に・・できてるモンだ」》





    ミカサ「・・・・分かった・・・・信じよう」



    肝心の所で多くを語るまいとする
    叔父の性格を理解してか、今度こそ
    スマートフォンの通話アイコンに
    指を伝わせるミカサ。



    ミカサ「今日は・・・本当に有難う。
        叔父さん。エレンとアルミンも
        とても感謝している。

        私から二人を代表して礼を
        言わせて欲しい」



    《ケニー「なに、イイって事よ。
       これが可愛げの欠片も無い
       チビで不愛想な刈り上げの
       可愛くない甥だったら
       どうだったか知れんが、可愛い
       姪の頼みとあっちゃあ
       これを聞かずに居られるか
       ってんだ。」》




    ミカサ「叔父さん・・・、今可愛げのない
        という言葉を2回も使った
        (苦笑)」




    《ケニー「んなッ...!!!こいつぁ珍しいな!!
       テレビ電話にしとくんだったぜ..!
     
       ミカサの笑った顔なんて次に
       見られるのは一体いつだって
       話だよ・・・・!」》




    ミカサ「・・・・・では」





    ケニーのリアクションに対して
    これと言って返す言葉が
    思いつかなかったミカサは・・・


    その口の端を僅かに綻ばせながらも、
    相手口の応対を待たずに通信を遮断する。







    ミカサ「もう一人・・・・一体・・・あと誰が
        ・・・この世界に・・・・?」




    誰に聞かれる事も無い言葉を
    独り言ちて・・・エレンの待つ路上へと
    その身を躍らせて向かうミカサだった。
  160. 170 : : 2015/04/27(月) 04:04:19



    ~~時刻は戻り・・某電気街裏通り~~





    ――牛丼店・サンポ――







    アルミン「着いた。ここだよ・・・・あ、
       ミカサ、携帯はマナーモードにして
       出来るだけ取り出さない様に
       して貰えるかな」




    ミカサ「わかった。」





    エレン「ぎゅう・・どん・・?」





    アルミン「ああ、やっぱり僕の時と同様で
       有る程度こっちに着たばかりの
       エレンにもこの“漢字”が
       読めるんだね。」






    エレン「まあまあな・・・しかしこれは・・
        随分と・・・他に比べると
        小ぢんまりしてるというか・・・
        こっちきて派手な店構えばっか
        見てきたもんだからそれらとの
        落差が激しいな・・・

        まあ、オレはこっちの方が
        落ち着くけどよ。」



    アルミンに夜の電気街裏通りを先導され、
    エレン、ミカサが辿り着いた先。


    ・・・そこは街中で頻繁に見かける
    全国チェーン店に属する物ではない、
    聊か明るさに欠けた個人営業形式の
    牛丼専門店だった。


    店内は此方の世界に目覚めて久しい
    エレンが抱いた感想そのままに・・・実に
    手狭ではあるものの、商品提供と
    食事に最低限必要なスペースは充分に
    確保されており、照明も控えめな
    薄暗いその店内にて、既に提供された
    牛丼を無言で己が胃袋へと掻き込む客が
    数名見受けられた。





    この店舗自体の歴史は思いのほか・・・
    と言うべきか、思った通りと
    言うべきかそれなりに古く、

    その昔、付近の神田界隈に青果市が
    存在した頃から店を構えている所謂
    正真正銘の老舗である。

    長らく空調も満足に機能しておらず、
    夏場には調理場の廃熱がモロに
    客席まで波及する炎熱地獄へと姿を
    変えるにもかかわらず、それでも尚
    客足が遠のく事の無い確かな味を
    今日も提供し続ける店、

    そこは提供される牛丼で腹を満たす、
    ただそれだけの為の場所であり、

    余計なコミュニケーション、
    及び会食などと言った用途には
    一切適さない寡黙な男達の食事処・・・・

    それが此処、サンポという店に対する・・
    常連客たちが一般的に抱いている
    第一イメージであった。
  161. 171 : : 2015/04/27(月) 04:05:35


    ・・・・尚、諸事情から元々多かった客足に
    さらに拍車が掛かる事態となり、
    喜ぶべきか、近代化の波と憂うべきか、
    近年になってとうとう空調設備の増設と
    食券販売機が追加される運びとなった。

    ・・これにより、現在の注文方法は
    口頭伝達ではなく、食券提示である。
    一般的には牛丼が目玉かと思いきや、

    所謂“別のせ”である『お皿』の方が、
    若干ボリュームがあり、
    これには牛肉玉ねぎのみならず
    しらたき、豆腐といった具が付加される。

    リピーターは此方を注文する
    傾向が強いようだ。






    ・・・とここで、アルミンが4人分の食券を
    券売機で購入せんとして、手狭な
    店内へとその脚を踏み入れた時だった。




    岡部「ぉお、奇遇だな少年よ。メイクイーン(バイト)
      帰りか・・・・?と・・・ぉおう?」ヒョイ



    鈴羽「やあ!キミが岡部倫太郎と
      同伴以外でここに来るなんて
      珍しい・・・・んん??」




    アルミン「ああ!どうもですオカリンさん!
       それにアマネさんも!!」



    入店直後には目に入らなかったものの、
    窓際二人掛けテーブル席に腰掛けている
    知人の顔を見つけ、控えめのトーンで
    声量を抑えながらもその顔を綻ばせる
    アルミン。


    一人は二十歳そこそこといった
    年の頃の青年で、チノパン、
    アンダーシャツの上から草臥れた白衣を
    纏っている。身嗜みをそれなりに
    整えれば見栄えもする外見をしていそうな
    ものだが、ぼさぼさに逆立った髪と
    無精髭、そしてそのよれた白衣の
    組み合わせが一見して清々しさとは
    無縁なイメージを見る者に
    抱かせてしまう。

    ・・・・尤も、本人はそれを狙って
    わざわざそうしている様でも有る・・
    というのが最近ようやくアルミンが
    理解した一つの結論である



    岡部「クッ・・・!だから何度言えば分る!!
       “オカリンさん”ではなァい!!!
       (;゚Д゚)ノシババッ
       我が名は鳳凰wIN...
    鈴羽「まあまあ、こっちのコレは
       気にしないで、って・・・、

       後ろの彼氏彼女は??」
       ハジメテミル カオダネ!



    ミカサ「カレッ・・・!!!/////」
        ボフンッ!!!


    エレン「こいつの幼馴染で・・・・
        エレン・イエーガーと、
        ミカサ・アッカーマンです。

        ええと、あの・・・・」




    店員「っ...(咳払い)」




    その場で若干盛り上がりかけた空気に
    掛けられる冷や水。






    アルミン「ア・・・、ホラホラ、し静かにね....!
       (小声)」シッ・・・





    ミカサ「・・・・・///;」


    エレン「あ・・れ、・・」




    そしてもう一方の連れはというと・・・
    “何故か”現在アルミンが上衣として
    纏っている物と同じモデルの
    紺色ジャージ、そして下衣には
    スパッツ、ハイソックス、スニーカーを
    着用した少女だった。
  162. 172 : : 2015/04/27(月) 04:08:42

    少女とはいえその推定年齢は恐らく
    アルミンらよりも3つ4つは上であり、

    相席している白衣の青年よりは
    1つか2つは年下と言った感じであった。

    茶髪の癖っ毛で後ろ髪は短いが
    長い分の髪は両サイドで編んで
    お下げとしてぶら下げている。




    エレン「そういや・・アルミン、お前の
        その服・・あの人のと同じだな。
        そういうピッタリしたのが
        ここじゃ流行りなのか・・?」



    アルミン「ああこれ・・?これは・・・
      アマネさんに貸して貰ってるんだ。

      こっちに来たばかりでいきなり
      住む場所を借りられた時・・僕は
      お店で着る衣装の他は前に
      逃亡してた時着てた普段着一着
      しか手持ちに無かったから・・・

      それもこの世界じゃ大分浮いた
      格好になっちゃうからね。ホラ、
      靴までお古を貰ったんだ」



    以前履いていた革靴の変わりに
    現在履いている、ジャージに見合う
    そのスニーカーをエレンに見せる
    アルミン。



    鈴羽「気にしなくていいって~。

       別に借りるだなんて言わずに、
       一着くらいあげちゃうよ!
       靴だってどうせお古だし。

       共に戦うバイト戦士として、
       キミには他人とは思えない
       何かを感じるからね」ニコニコ



    アルミン「僕はその・・・;
      戦士って言うよりどっちかというと
      兵士なんですけど・・・」



    2人席の隣に位置する4人掛けテーブルに
    腰かけ、既に購入した食券3人分を
    店員に手渡すアルミン。



    岡部「成程・・・先程まゆりからメールが
      入ってたが・・・そうか、その二人が。
      これも・・・運命石の扉(シュタインズ・ゲート)の巡り合わせ・・・
      と言う奴であろうな。つくづく
      運がいい少年だ」フッククク・・・





    エレン「シュタイン・・?ぉ、おいアルミン、
        この人は・・・・」


    アルミン「ああ、うんごめんね、さっきは
       途中で説明しきれなかったけど、
       この人は・・・分かり易く言うと
       
       公園で野宿を続けてた僕を
       ここまで連れて来てくれた人の・・
       知り合いの人で、オカベ・リンタロウさん
       ・・・・
    岡部「ハッフーン(;゚Д゚)⁼3」


    アルミン「・・・・じゃぁなくて;、
       フォーォーイン・・・・キョウマ?さんって人。」


    岡部「分かれば宜しい!!」フッフン


    アルミン「・・・・で、こっちの女の人が
       ・・・」



    鈴羽「近所の“ブラウン管工房”で
       バイトを務めるバイト戦士!!
       阿万音鈴羽!!宜しくね!」
  163. 173 : : 2015/05/01(金) 13:43:11






    ミカサ「(ピク・・・)ブラウン・・管・・・工房?」



    不意にそのワードに眉根を寄せるミカサ



    鈴羽「ンお? (ウチ)を知ってるの???」





    ミカサ「叔父さんからのおつかいは・・・
        一応そこへの届け物だった・・・
        依頼内容は完全なフェイクだと
        思って居たのだけど・・・実在
        していたなら渡しておいた方が
        良いのかもしれない・・・」
        ガサガサ・・・





    鈴羽「??」





    ミカサ「梱包材に包まれてはいるが・・
        中身は恐らく何らかの
        金属質の球体だ。突起も
        ある様なので・・・何かの
        部品であると思われる。」



    鈴羽「~~?ふ~~ん・・・?」
       ガサ・・



    手渡されたのはレターパックよりも
    小さいサイズの茶封筒。その内部には
    気泡梱包材が張ってあり・・・、
    内部にはミカサが言う通りに何やら
    ピンポン玉に近い大きさの
    金属質を感じさせる球体が封入されて
    いる。




    ミカサ「受け渡し相手は・・実は
        正確には指定されて
        居ない。とにかく此方に
        到着したら・・

        “ブラウン管工房”という
        店の人間に、誰でも良いので
        コレを渡すように・・・言われて
        居た。不審な物では無いし、
        コレをどうすればいいのか
        聞いても居ないので・・・

        出来ればこの場で開封
        して貰った方が此方としては
        面倒が無くて助かる・・・」




    エレン「何だよそれ・・・・普通届け物って
        奴は届ける相手が居るから
        頼まれるもんだろうが。

        お前・・・それ、本当に危ない
        類の物じゃないんだろうな」






    ミカサ「誰かしらに・・渡せば分るって・・。
       “叔父”さんはそう言っていた。

        そういう人なんだ・・・。
        万一の場合に備えて中身を
        透析してみたけど・・・真鍮製
        で中空の球体に同素材の突起が
        幾つか付属した上に
        ニッケルメッキが施されて
        いるのみだった・・・。
        
        ・・万に1つも爆発物であるという
        危険性はない」




    アルミン「透析って・・・どうやってしたの?;」
       (^▽^;)




    エレン「難しくて言ってる事さっぱりだ」






    岡部「・・・・という事だぞ。
       開けてみるがいい、バイト戦士よ」





    鈴羽「オーキードーキー♪おじさん、何か
       カギとか持ってない??
       これ、けっこう頑丈にテープで
       閉じてあるみたいなんだよね」
       ガサゴソ




    岡部「オマッ・・・!たまにオジサンって
       呼ぶのはホント勘弁して
       くれないか・・・!?我が真名が
       長すぎて呼び辛いというのは
       まだ妥協点として譲ってやれる
       気にもなるが、この歳でオジサン
       呼ばわりは流石に・・・、流石に
       酷なんだぞ・・・・!;」ヌウ・・・!;




    鈴羽「い~のいいの!!
       細かい事気にしなーい!
       それよりホラ!おじさん!!鍵鍵!!」
  164. 174 : : 2015/05/01(金) 13:46:44




    岡部「だッから・・・オジさん言うな!!
       それ位貴様の腕力ならば簡単に
       真っ二つであろうが!
       バイト戦士の名は飾りか!!」



    鈴羽「だって~・・なんか、
       こういうのって出来るだけ
       綺麗に開けたいって
       思うモンじゃない?・・それに
       渡す相手も告げられてない
       荷物に物だけが入ってるなんて
       どう考えてもおかしいって
       そんなの。
       
       一緒に手紙とかも入ってるよ。」




    ミカサ「恐らくだが・・・封書の類は
        同封されていない。・・・ので、
        別に派手に破いてしまっても
        面倒は無い筈だ・・・・」






    店員「はい牛丼3つ....」
       コト・・・





    エレン「ぉお・・!美味そうだぞ・・・!
        というよりオイアルミン・・!?
        あの器にあんなに肉が盛られて
        んのか・・?!ちょっと量が
        多すぎやしねえか・・・・?!」
        ジュルリ・・・



    器の深さと盛られた牛バラ肉の丘を
    見比べつつ、固唾を飲み込むエレン。




    アルミン「(笑)・・・・やだなぁエレンw
       アレ全部が肉な訳無いじゃないか。
       半分以上はお米が敷き詰められて
       いるんだ。…でも、それがかえって
       肉の味を引き立ててくれるから、
       絶対に食べて不満は無いと思うよ」



    エレン「・・・・全部肉じゃあ無いのか・・」
        (;´・ω・)



    ミカサ「・・・・アルミンが今言った通り・・
        食べてみれば分る。だから、
        落ち込むのはまだ早い・・・」



    エレン「・・・これが全部牛肉じゃないって
        言うのは分かったんだが・・・・
        なあアルミン、今お前が言ってた
        『米』ってのは一体何だ・・?」



    アルミン「ぁあ・・・そっか、エレンはまだ
       こっちへ来てお米を食べた事が
       無いんだね・・?」(ミカサを一瞥)



    ミカサ「・・・・・、(左右に首振り)
        一応食べさせはしたけれど、
        御粥だけだ。」




    エレン「意識が戻ってからは・・・さっき
       ハンジさんに奢ってもらった
       肉が挟まったパン位だしな・・・
       まともに食った飯と言えば。

       後は今ミカサが言ってた・・・
       なんかグチャグチャに煮詰めた
       真っ白い奴くらいだ。
       不味くは無かったが、あまり
       毎日食いたいって程のもんじゃ
       無かったな」



    アルミン「それは御粥と言って、元は
      この米と同じものだよ。

      傷病人の様に食べ物を消化する力が
      弱まっている人の消化を補助する
      目的があって、あえてドロドロに
      煮溶かしてあるんだ。

      君の容体をミカサが如何に気遣って
      くれているか、その表れでも
      あるんだ。そこはミカサに感謝
      してあげないとね」




    エレン「お・・ぉう・・・サンキュなミカサ・・・」
        ボソボソ・・・・




    ミカサ「いい・・・・。私の人生は・・・
        エレン、あなたがくれたものだ。

        ならば私の人生の全ての時間は
        あなたの為に使いたい。
        ・・・私がそう思ったから・・・
        そうしているだけ・・・」




    岡部「・・・・・・・」




    鈴羽「・・・・どうしちゃったのさオジさん?
       じっと見つめちゃって。。

       まるで仲睦まじいアベックを
       嫉妬の眼差しで睨めつける
       モテない中年男性みたいに・・・」

  165. 175 : : 2015/05/01(金) 13:49:21




    岡部「失礼な事を言うな、
       睨んでなどいない!!

       貴様も今時アベック等と..!
       俺より新しい世代には最早
       通じない死語に等しいぞ・・・?」




    鈴羽「おっと、こりゃ失礼。
       気を付けるよ。・・・それより
       おじさん、これなんだけど・・」
       ガサガサ・・コト...



    岡部「オジサン言うな!!(クッ!!)

       ・・・どうした、やっと中身が・・

       ・・・・??これ・・・は・・・・」






    卓上へと載せられたやはりピンポン玉
    よりもやや小ぶりな何かのキャラクター
    の様な意匠を形どられた・・一つの
    金属性の球体。



    鈴羽「これ・・・どっちかというより
       私よりおじ・・・岡部倫太郎が
       “渡した方が”早いかも」



    そう言いつつ指で球体をずらして
    見せる鈴羽。その球体の側面部には・・


       『まゆしぃの』


    油性マジックか何かで以上の一文が
    書き記された跡が。




    岡部「何故だ・・・?!なぜ“今”これが
       このような形で・・・?!

       コレは確かにあの時世界大戦の
       引き金を止めるべく俺が・・・・!」



    その顔に浮かび滴った汗雫は・・
    どう見てもただ事では無かったが・・




    鈴羽「ホラホラ、おじさん。いつものノリは
       いいから、これは私よりも
       おじさんが・・・・」





    岡部「・・済まない、これの渡し主の事を
       ・・・詳しく聞かせては
       貰えないだろうか・・・?

       大切な話だ・・・!これがここに
       有る事、それ自体は然程
       重要では無い・・・!ただ、この
       マーキングが施されている点に
       関しては流石に看過できない・・・!

       これを・・・!これを一体どこで・・
       いや、“いつ”手に入れた・・・!?」



    その目に宿る緊迫感は一切の予断をも
    許されないと言った類の・・・非常に
    切羽詰まった物で有る事は誰の目から
    見ても明らかであった。


    そこが厳粛たる空気を守り抜くべき
    食事処であるという事すら忘れ、
    立ち上がって隣の卓に腰かけるミカサに
    詰めよる岡部。



    ミカサ「・・・・済まない、私もただ
        渡されただけだから・・・・。

        しかし、言伝ならある。

        "きっと渡された先に居る相手は
        驚くなり喜ぶなりする筈だが・・
        心配する事は何もないだろう"
        
        ・・・・と。そう伝えられている。
        本来の持ち主はここが望まれし
        世界であるなら・・・存命である
        筈だとも言っていた。

        私には難しい話なのでさっぱり
        理解できないが」




    岡部「ッ・・・・っ・・・・!!」





    彼が緊張の眼差しで見つめる先に居る
    彼女の眼には・・・“さっぱりわからない”
    と嘯きながらも明らかに自分と同じ
    『世界』を旅してきた者と同じ光が
    宿っていたが・・・・




    岡部「・・・・分かった・・・・細かい詮索は
       お互い無しにしよう・・・。


       それに何より君だったら・・・・」





    エレン「ゥ・・・うまい・・・・!!!これ、
        すっげぇ美味いぞアルミン・・・!!

        おい、ミカサもくっ喋ってないで
        早く食えって!!冷めちまうぞ!!」
        カッ・・・カッ・・・




    アルミン「お、落ち着いて食べなよエレン・・^;
      零しちゃうよ・・・」




    ミカサ「・・・・・?」




    岡部「君の言葉なら・・・信用出来そうだ。

       事情は詳しく知らないが・・・
       共に護りたい者が在る者同士・・・
       世界を敵に回せる者同士・・・
       健闘を祈る・・・・」スッ・・・



    ミカサ「・・・・・・?」



    不意に差し出された右手の真意を
    理解できた訳では無かったが・・・
    とくに拒否する理由も無い為、これを
    自らの右手で以て応じるミカサ。



    ミカサ「・・・・どうも。」

  166. 176 : : 2015/05/01(金) 13:52:06





    岡部「それから・・・うむ・・・
       そこな少年よ。食事中済まないが」



    アルミン「・・・?オカリンさん?
       僕ですか?」ピタ・・




    岡部「そうだが・・オカリンさんではない。
       毎回言っておるだろう。

       せめて本名位覚えて貰えると
       嬉しいのだがな・・・
       アルミン・アルレルト訓練兵よ」
       クック・・・



    アルミン「は、はいスミマセン・・・、
       シーナさんがいつもそう呼んで
       居るのでつい・・・!

       ・・って、あ・・れ・・?」




    岡部「・・・・どうした?少年よ」




    アルミン「今・・・オカベさん、僕の事を・・・・
      訓練兵と・・・そう呼びませんでしたか
      ・・?」



    岡部「ぁあ・・・済まないな。俺はダルや
       まゆりと違って・・・最初の方しか
       “まだ見ていないからな”
       最新の設定では確か・・・調査兵・・団
       への所属・・・というプロフィールで
       あったかな・・・?そこは互いに
       真なる名を未だに憶えられない
       者同士、お互い様だ。」ハハ・・



    アルミン「・・・・?!ミ・・・ミカサ・・・?これって
       ひょっとして・・・?」



    ミカサ「・・・・わからない。

        ・・・・しかし、ここまで“抑止力”
        の影響を受けずにアルミンの
        外見を目にしてその名を呼べる
        という事は・・・・彼は少し特殊な
        身の上なのかも知れない。

        アルミンの事は恐らく本当の
        作中人物だとは思って居ない
        様子だが。」




    岡部「・・・・?ともかくだ。コレは・・・
       少年の手から“まゆり”に
       渡すといい。きっとあいつも
       両手離しで喜ぶ事だろう・・・・」



    アルミン「・・・・これ・・・・」


    手渡された球体を覗き込むアルミン。




    岡部「名入れがしてあるだろう。
       それは・・元々はまゆりの所有物だ。

       世界の命運に関わるため
       俺自らの手で封じてあった
       ハズなのだが・・・何の因果か
       今こうしてここに巡って来た。

       それは少年、貴様からまゆりに
       渡すに相応しい。

       ・・・頼まれてくれるか」




    アルミン「え、ええ・・・まあ、オカベさんの
       頼みなら断る訳には・・・」スッ




    岡部「・・・・では頼んだぞ・・・。

      よし。バイト戦士よ。夕飯時で
      サンポも大分客足が
      混み入ってきた。

      我々はとっとと退場するとしよう」
      ガタ・・・



    鈴羽「オーキードーキ~♪っ、じゃ、
       まったね~!アル君~」ヒラヒラ




    アルミン「はい、また・・・・!」

  167. 177 : : 2015/05/10(日) 02:43:56





    ――電気街裏通り――




    エレン「ぅおお・・喰った喰った・・!
        しかし改めて思った事だが

        流石巨人が居ない世界って事
        だけはあるな・・・!こんなに
        技術も進歩した上に食べ物にも
        困らないんじゃ・・・・

        流石にああいう体型になるまで
        喰い続ける奴もそれだけ居て
        おかしくないんだろうな・・」



    道行く恰幅の良い中年男性を脇目に捉え
    しみじみと語るエレン。



    アルミン「今までの食糧事情があった分、
       きっとエレンもまだ食が細い
       ままだしね。さっきエレンが
       食べた分を2杯分食べる人だって
       ここじゃ珍しく無いんだよ?」



    エレン「そいつは恐れ入るな・・・

        ・・・・で、これは今オレ達
        どこへ向かってる最中なんだ?」



    ミカサ「アルミンの・・・家・・・」



    アルミン「家と言っても多分ミカサと同じで
       借家だけどね。エレンの性格だと
       お約束のリアクションで余計に
       驚かせてしまうと思うから先に
       言って置くけど・・・借りてるのは
       ほんの一部屋だから。

       建物の全景をみて驚かないでね」





    エレン「知ってるよそれくらいは!!
        マンションとかって言う
        方式だろ?!」



    アルミン「うん・・・そうか、なら安心した。
       僕の借りてるマンションは
       アレなんだけど。」スッ・・・



    アルミンの指差す方向には・・・
    現在地からでは首が痛くなるくらい
    傾けなければ最上階を視界に
    収めることが困難な程に高くそびえたつ
    駅寄りのビルであった。位置にして
    目前。



    エレン「っっ!!??デケぇ!!?

        おいアルミン・・・・お前まさか
        オレを騙して楽しんだりなんて
        事は・・・;」



    アルミン「酷い事言うなぁもう。
       僕がそんな事エレンにした試しが
       今迄あったっていうの?」




    エレン「そりゃあ・・・ねえけどよ・・・
        だってお前アレ・・・本当に
        ここがそうなのか・・・?この辺
        一帯でも一際高いじゃねえか」
        タケェ・・・・


    アルミン「だから、wあの中のほんの
       一室だから。そんなに驚かないで
       くれないかな^^;」




    ――エレベーター内――





    エレン「こっちの世界へきて先ず
       衝撃的だったのが・・まだ原理が
       今一理解できていない、“電気”
       って奴だ。・・・・この個室も・・
       そいつで上下に動いてるんだろ?」





    アルミン「まあそうなるだろうね・・・
       僕も一番最初に驚いたのは
       やっぱり“電気”だった。魔法と
       大差無いよ・・・あの動力は。

       原理を本で調べてみたけど、
       なるほど、わからない・・って
       感じだった。どうやったら
       電気と言う物を作れるのか
       簡単な方法を調べてみたんだけど
       ・・・果物や芋に銅板を差し込んで
       作ったりできるらしい・・」





    エレン「何だよそれ・・・(;゚Д゚)

        芋に硬貨をぶッ刺して・・・それで
        この箱が俺達を乗せて
        動いてるのか・・?!

        訳が分からねえぞ・・・・!」




    アルミン「当然一個や二個の芋じゃ
       こんなものが持ち上がるとは
       思えない・・・!きっとこの
       昇降運動の為に何百個もの
       芋を消費してそれでやっと動いて
       いるんだと思うよ・・・・!」





    ミカサ「・・・・プス))」





    アルミン「っっ・・・!何も笑う事
       無いだろミカサ!!!///」




    ミカサ「いや・・あまりにも科学的では
        無かったものだから・・・つい」


  168. 178 : : 2015/05/10(日) 02:47:13


    エレン「難しい事は置いといてよ・・・
        その電気ってヤツでここまで
        易々と人が4~5人余裕で
        乗れるリフトが動かせるなら・・

        これ、立体機動装置に
        応用すれば相当に機動力が
        上がるんじゃねえのか・・?

        芋があればその、電気ってのは
        なんとかなるんだろ」



    ミカサ「(ブフォ)」


    マフラーを避け、平手でその口を抑え、
    笑いを堪えるミカサの姿は・・・

    この場に居るのが幼馴染の二人で
    なければ目を疑う程の貴重な光景でも
    あった。




    アルミン「それは流石に僕でも何とか
       ならないって事くらい分るよ!!

       あのね、エレン、電気とは一言に
       言っても・・・物を動かす規模に
       よってその供給方も大きく
       変わって来るんだ。・・・さっき
       僕が言った芋を使った発電という
       ものは・・・電気を作るための方法の
       一つでしかない。

       果たしてそれで産まれる電気の
       量と言う物に関しても・・
       まだ僕の理解力では難しい所
       なんだけど」

    ガゴン・・・・・



    ――ビル内・廊下――




    エレン「アルミンで難しい事がオレに
        欠片でも理解できるとは到底
        思えねえな」



    アルミン「じゃあ、分かり易い例で挙げて
       みるけれど・・さっき君に見せた
      “電話”コレも今僕達が乗っていた
       エレベーターと同じく、電気で
       動くモノだけど・・この電話と
       さっきの箱。同じ位の力で
       動いてるとは当然思わないよね」




    エレン「そりゃあ当たり前だよな」




    アルミン「その“電気”っていう動力に
       関しては・・そうだな、立体機動の
       ガスボンベを思い出して。

       あれと同じで・・・当然大小異なる
       大きさの入れ物が存在する。
       しかし、“電気”は実体が
       なくて・・直接手で触れる事も
       出来ない、かなり特殊な動力
       なんだ・・・」



    エレン「触る事が出来ないのは・・・
        ガスと同じだろ・・・しかし、
        それじゃ一体・・・・」




    アルミン「だから・・・小さなものに
       働きかける僅かな“電気”なら・・
       例えばさっきみたいな電話
       くらいの機械なら・・・小さな
       金属でできた・・“電池”に
       閉じ込めておくだけで良いんだ。

       しかし、その力が大きくないと
       動かせないモノ・・・つまり
       今僕等が乗ってたモノみたいな
       用途になってくると・・・電池では
       足りないから、発電所、という
       場所から・・・・外の街じゅうに
       張られている“電線”を伝わせて
       ・・・電気を供給する必要がある」 



    エレン「あのワイヤーはその為の
        ものだったのか・・・・!

        しかしそうか・・・すると・・」



    アルミン「立体機動の巻き取り機構、
       そのものを“電力”に置き換える
       事なら・・・難しくは無いと思う。

       ただ・・・その規模だと持ち運びが
       利く電池で済むかどうか・・・」



    ミカサ「巻き取りのみなら難しくは無い
        ・・・しかし別の問題が発生する」




    アルミン「・・・別の問題・・・?」



    ミカサ「そう・・・。ソレをするには」

  169. 179 : : 2015/05/10(日) 02:49:34



    エレン「しっかしアルミンこれよ・・・!
        この並んでるの全部家の戸
        なのか・・?」




    アルミン「今別の話をしてた所なんだけどな
       ・・・・・・(汗)ぁあ、そうだよ。

       さっき君も言ってたじゃないか?
       マンションって言う集合住宅、
       その概念位は理解してるって。

       ミカサの家も・・・後リヴァイ兵長の
       家もそうなんでしょ」




    エレン「それにしちゃ随分ミカサの家より
       兵長の家は小さかったけどな・・・
       部屋も、建物自体も・・・」




    ミカサ「リヴァっちは・・・
        経済的な理由もあるから
        あれ位で充分なんだって・・
        本人が言ってた」




    アルミン「リヴァッ・・ち・・???!」
       (;゚Д゚)




    ミカサ「ああ、ええと・・・」




    エレン「なんかよ、こっちの世界じゃ
        こいつ、兵長とそんなに険悪な
        仲じゃ無いらしいんだとよ。

        ・・・・それどころかどういう
        理屈か知らねえけど親戚って
        ことになってるらしい」





    ミカサ「・・・・そういう事。」





    アルミン「ちょっ・・・・と、まってくれ
       ミカサ・・・!すると君は・・・

       ええと・・・・僕達同様
       あっちの世界から記憶を
       持ったまま来た訳では無く・・?
       イヤ・・・でもそれだとおかしい・・・」
       ブツブツ・・・・



    ミカサ「その辺りも話せば長くなる・・・

        エレンよりはアルミンの方が
        説明してから理解して
        貰えるまで早く済むと思うが・・・
        どの道単純な話では無い」



    エレン「馬鹿にしやがって・・・と
        最初は思ったけどよ、どうにも
        こいつの言ってる事は
        難しすぎてアルミンくらいの
        頭を持ってなきゃまともに
        聞く事すらできやしねえよ」



    ミカサ「つまりとても簡単に言うと・・・
        私が持っているあちらの
        世界での記憶は・・・ほぼ
        アルミンと同程度、そして・・・

        此方の世界での生い立ちも、
        産まれた時点から持っている。
        それが・・・今この世界での私。
        
        それだけ分かっていれば・・・
        今は充分だ」



    アルミン「ンン・・・;まあ、そういう事に
       しておくしかないよね・・・・;」




    エレン「そうだぜ。細かい事をあれこれ
        考えたって仕方ねえよ。」
        



    アルミン「さっきからの様子じゃ・・一番
       その心配がありそうなのは君だと
       思うんだけどね・・・エレン・・・

       僕やミカサは仕事も住む場所も
       あるみたいだからまあ焦る事は
       無いとしても・・・エレンはどっちも
       まだ見つかってないんだろ?」



    エレン「まあ・・意識が戻ったのも
        昨日今日だしな。」




    ミカサ「エレンの面倒は私1人だけでも…」





    アルミン「ミカサなら絶対そう言うと思った。

       ・・・・でも、分るよねミカサ・・?
       ここからどうやって元の世界に
       戻れるか・・・そもそもその手段が
       無いかもしれない現状では
       流石にエレン自身、何もしないで
       何の目的も持たずに生活していく
       って訳にもいかないよ・・・」

  170. 180 : : 2015/05/10(日) 02:52:04



    ミカサ「それは・・そうだけど・・・・」シュン・・




    アルミン「ミカサの考えてる事は僕にだって
       よく分かる。・・けれど、こんな
       便利な世の中にあっては余計に・・
       何でもしてあげるのはエレンの
       為にならないよ・・・・。

       そこまで彼が自堕落な生活に傾倒
       するとは思って居ないけど・・・・
       ひょっとしたら・・・・

      "働いたら負けだと思ってる"

       なんて事を言いながら、
       さっき歩いてた人みたいな体型に
       成り果ててしまうという未来も
       ・・・・・」



     
    ミカサ「それは・・・・ダメだ・・・・・!!!
        絶対に・・・・ダメ・・・・・・!」ガシ・・!





    エレン「うわっ・・・なんだぉぃミカサ!
        いきなり肩を・・・!(メキミシッ)

        イでッっ!!!お、おい!!痛ぇ!」




    ミカサ「エレン・・・・明日から・・一緒に
        仕事を探す・・・・!どんな仕事を
        したいかきちんと決めて置いて
        ・・・・・!」



    エレン「どんなっ・・・ってお前・・・
        いきなりそんな聞かれても
        知るかよッ・・・!!・・・イテ!」




    ミカサ「エレンを“ひも”になんて・・
        絶対にさせない・・・・!!」
        ゴゴゴゴゴ・・・・!!





    エレン「オレが何をどうしたら
        紐状になるって言うんだ!!」
        イテェヨ ハナセ!!!!




    アルミン「エレン・・・・この国では働かないで
       家に住みながら、同居している
       女の人なんかに依存して生きる・・
       そんな人間を“ひも”と呼ぶんだ。

       ・・・・つまり今のままエレンが
       何の仕事に就く気も無いので
       あれば、その状態がそれに
       該当する事に・・・・」




    エレン「それはイヤだな!!!;ミカサに
        おんぶにだっこなんて絶対に
        御免だぜ!!!」ウォォ!;





    ミカサ「エレン・・!その意気・・・!(グッ)
        ・・・・でも少しは私も頼って・・!;」



    アルミン「あの・・・エレン、もう少し
       静かにね。一応もうこの辺全部
       ご近所さんだからさ。

       ・・・・ああ、ここだよ、ここが
       僕の部屋・・・・」ガチャガチャ・・・



    ガチャン・・・・





    辿り着いたそのドアの前で開錠し、
    その足を一歩玄関内に踏み込んだ
    アルミンだったが・・・・・



    アルミン「・・・・・・!!!」ババッ



    エレン「お~・・・・入りっ口までミカサの
        家より・・・・・」



    アルミン「ちょッ・・・・・・!!っといいかな!!」
       ストップ!




    エレン「・・・・・?」

    ミカサ「・・・・・エレン」グイッ



    首を傾げるエレンの襟を掴み、敷居の
    外へと引きずるミカサ。


    エレン「グフ・・・・!!オ、オイ、ミカサ」

    ミカサ「気にしないで、アルミン。
        ・・・・表で待ってるから。」



    アルミン「あ、有難う・・助かるよミカサ・・っ」
       オロオロ・・・


    エレン「何なんだよいきなり・・・」
        イテテ・・・



    安堵の表情を浮かべるアルミンではあったが
    暗に示すまでも無く整頓する前の
    部屋内の状況を一番見られたくない
    ミカサ自身にその惨状を察せられて
    しまった事実に複雑な表情を見せる。

    そそくさと戸を締めた後に
    大急ぎで部屋内へと駆け込んでいく彼の
    足音がドア越しに響くのを聞き、事情を
    欠片も理解できていないエレンは一人
    怪訝そうな顔を作って腕組みしていた。




    エレン「何だ・・・?何かオレ達が
        入るとマズい理由でも・・」



    ミカサ「一人暮らしだと・・・色々ある」



    エレン「・・・・そんなモンか・・・・」
  171. 181 : : 2015/05/17(日) 01:14:53




    ― 急行電車内リヴァイ一向サイド― 






    リヴァイ「なん・・・だと・・・!!!」ザワッ・・




    ハンジ「~~?何々、何見てんの?」
        ヒょイッ




    休日に都市部の終点から乗り込んだ
    電車内という事だけはあって混雑する
    車両内、一本乗り込む電車を見送る
    時間的代償と引き換えに見事3人揃っての
    着席権を得たリヴァイ一行。



    しかしリヴァイに関しては出発駅から
    終点まで立っている事も別に苦には
    ならないという言い分を最初から
    表明しており、断然着席を推す二人の
    意向に対して理解し難い色を示していた
    訳だが・・・

    結局の所はこうして一本分時間を
    遅らせる事で、確実に座席の角地を
    陣取る事に成功した三人。



    位置取りはリヴァイを一番端の
    手摺側とし、その隣にペトラ、ハンジ、
    の席順であり、当然これらの配置も、
    ペトラ、ハンジ両名による布石の一つで
    あることは最早説明するまでも無い。


    すぐに作戦行動を起こしても
    不審がられる恐れがある為、発進から
    数駅分の時間経過を狸寝入りした
    ペトラが待ち構えているその最中の
    事であった。


    リヴァイが何やら手にしたスマホ画面に
    釘付けになりながらも、この世に
    絶望しか見出せなくなった宣教師の様な
    顔を作って目頭を抑えている。


    彼をそこまでさせるほどの何かしらの
    仰天ニュースが手にした携帯端末から
    入手されたのか、その落ち込みぶりは
    相当なモノである。



    眠りこけたフリをしてぐったりと
    背もたれに身体を預けるペトラを乗越え
    リヴァイの手にする携帯画面を覗き込む
    ハンジ。




    ハンジ「何々・・・・コクゾウ・・・ああ、
        米、及び穀物類に発生する
        害虫に関して・・・・ね。

        何だリヴァイ、いまさら
        こんな事気にしてるのかお前!
        (アッハッハ!)私がいくら面白がって
        赤色色素の原材料がなんなのか
        再三ひけらかしてもなんとも
        思わない素振りをしてた
        お前が!?wこんなの、私でも
        知ってたよ!」



    リヴァイ「道理でおかしいと思ってたんだ・・・
       外袋を食い破るほど強靭な
       アゴを持ってる害虫が居やがる
       ってんなら、袋保存じゃいくら
       密閉しても安心できねえって
       理屈は・・・まあ理解できてた。

       しかし今度は完全密封の米びつを
       わざわざホムセンで買ってきても
       常温で湧き出す虫どもが現れる
       じゃねえか・・・・!どういう事かと
       調べてみりゃ元々・・・米ン中に
       居るんじゃ対処のしようが
       ねえぞ・・・・!」ワナワナ・・・




    ハンジ「その辺は農業の悲しきさだめさ・・
       今時どう考えたって無農薬って
       触れ込みの方が明らかに売れるし
       心象もいいのになぜそこまで
       良いと分かってても完全無農薬が
       流行らず、出来ても9割減とか
       そういう中途半端なヤツしか
       出回っていないのか・・・・。

       それは単純に虫害がハンパじゃ
       ないからさ。リヴァイが眉間に皺を
       寄せる程度の虫害で済めば
       いいけど・・・最悪生産量にも
       大きく影響してくるからね・・・」





    リヴァイ「それくらい俺の頭でも何とか
       理解できるが・・・しかしだな・・」
       ウムウ・・・



    柄にも無く本気で頭を抱えて苦悩する
    リヴァイ。食の事とはいえ彼がここまで
    露骨に悩む様を人前に晒すのは珍しい。
  172. 182 : : 2015/05/17(日) 01:20:53



    ハンジ「いやそもそもさ・・・あんた、
        さっきも言ったけど、何で
        エンジムシとかは知ってても
        平気なのにこういうのは駄目
        なんだ・・?同じムシじゃないか

        それどころか、平気で
        アニサキスみたいな寄生虫が
        いるかもしれないスーパーの 
        めざしだって買ってるし、
        な~んかその辺矛♂盾だよなァ」








    リヴァイ「間に“♂”マークを挟むんじゃねぇ。

       姿が見えてるか見えないかの
       差はでけえんだよ・・・・。

       サイ○のエスカルゴは好物だが
       イナゴは姿のままイケる自信が
       ねえ・・・こういえば多少はお前の
       脳味噌でも理解し易いか?」
       (溜息。。。)




    ハンジ「なるほど!!!ありゃ激ウマだよな!
        
        ・・・ま、私は佃煮ライダー
        平気で食えるけど。」シレッ



    リヴァイ「・・・そんなお前には俺のこの
       絶望感は理解できねえだろうな」



    ハンジ「そんな事で絶望ってあんた;」



    リヴァイ「そんな事とは何だ・・・!コレを
       見ろ!!そもそも一口に害虫と
       言っても米だけに限定しても
       4種類は居やがるんだぞ!!

       しかも蛾類に至っては幼虫の
       状態で撒き散らした糞だけで無く
       羽化した後の燐粉まで見た目の
       不衛生さを助長してやがる!

       見た目が汚くなるのが何より
       許せねえ・・・・!」ワナワナ・・!



    ハンジ「(溜息)ハァ・・・・、
        じゃあ一々説明するまでも
        無いけど・・それで調べるまでも
        無く私が今知ってるだけの
        対応策を悩み多きリヴァイに
        授けてあげよう。いいかい?

        そもそも・・・リヴァイが言った様に
        "元々仕掛けられてる"
        時限爆弾の解除を行うのは
        この場合現実的ではない。
        
        ・・・・というか不可能だ。
        米粒の数だけあるかも知れない
        ムシの卵をどうしてもどうにか
        したいってんなら・・・そりゃもう
        食わない以外に対策が無い。」



    リヴァイ「食事の基本は米だ・・・そこを
       譲歩できるなら一々こんな事で
       頭を抱えたりはしねえ」



    ハンジ「その通りだろうね。
        ・・・・なら考え方を変えてみよう。

        解除が無理なら・・・?
        発動する前に食べてしまうのが
        最も現実的且つ何の労力も
        必要とされない当たり前の
        対策だ。

        孵化する卵、という時限爆弾も、
        その前に纏めて栄養素となって
        リヴァイの体内に消えてしまえば・・
        君の衛生意識を侵害する
        危険物には成り得ない。・・だろ?」



    リヴァイ「そう言い切るのは簡単だが・・・
       これからの購入はそのように
       少量ずつに切り替えれば済むかも
       知れねぇが・・・・今ある分は
       どうする。執筆者の季節感覚に
       こっちの季節感も左右されるなら
       折角お前らがこうして
       買ってくれた上着もそろそろ
       お蔵入りの季節が・・・否応無しに
       やってくるんだぞ。
       
       その前に全部喰っちまえと
       いうのか」




    ハンジ「なんだ、温かくなると彼等が
       はやけるっていう習性もちゃんと
       理解できてるんじゃない。

       そこまで分かってるなら
       話は早い。」





    リヴァイ「それ位は知ってて当然だ。
       ・・・・だからこそ、こうして季節の
       変わり目にネットの海から
       見たくも無い奴等の写真付きで
       その生態をくまなく調べてる
       んだろ・・・・」




    ハンジ「それなら・・・、その時限爆弾が、
       そもそも発動しない温度に保管
       してしまえばいい。実際の
       爆発物処理と同じだよ。

       奇しくも君の家にはめざしと
       タクアンしか基本安置される事の無い
       ピッカピカの冷蔵庫という
       ナイスな家電があるじゃぁないか」
  173. 183 : : 2015/05/17(日) 01:26:22





    リヴァイ「爆発物と同じ・・・そうか、
       凍らせちまえばいいんだな!?」
       ガバッ


    ハンジ「虫をどうにかできるってだけで
       そんなにオーバーに喜ぶなよ(汗)

       別に凍らせるまではしなくて
       良いんだ。冷蔵庫の温度なら
       そもそも彼らが目覚める事だって
       無いんだからね。

       ・・・ただ、相応に風味は落ちる事に
       なるから・・・まあ、リヴァイの性格
       なら循環器(エバポレーター)の定期清掃も
       抜かり無さそうだし・・・そこまで
       匂いを気にする事も無さそう
       だけど・・・気になるなら密閉型の
       容器に入れた方が良いかもね」


    リヴァイ「成程・・・その対策も調べれば当然
       出てきたが・・お前に聞かなければ
       最悪悪い知らせだけに脳内を支配
       されてそれどころじゃ無かった
       かも知れん。・・・お前には珍しく
       感謝してる」スィ・・スィ・・(画面スクロール)




    ハンジ「・・・・そうかい、そりゃどうも。」
        チラ・・・




    そう何気なく返しつつも、流し目で
    リヴァイを挟んだ向うのペトラを
    一瞥するハンジ。そのタイミングは・・・
    丁度急行電車が発進してから
    各駅停車駅間に差し掛かったその頃で
    あった・・・・。



    示し合わせて居たのか否か。その瞬間、
    何の声がけも行ってはいなかったのに
    偶然にもアイコンタクトが成立する2人。


    リヴァイ達の会話に加わりたい一心を
    疲労困憊で眠りこけたふりにて
    噛み殺していたペトラの策略が・・・
    遂に活きる時が来たのだ。

    題して・・・・



    ペトラ「(うたた寝肩枕作戦....!)」
       グラ・・・


    車両の停車・発進時に生じる僅かな
    慣性を利用し・・徐々にではあるが
    確実にその肩へと自らの重心を
    落としていくペトラ。


    その傾斜は見る者に決して不信感を
    悟らせる事無く・・・至って自然体の元に
    行われていく・・・・



    ハンジ「(そう・・・その為のこの布陣だ・・!

       この為だけに、無駄な出費を
       労してでも定時清掃の行き届いて
       いる特急《紅蓮の弓矢号》に
       頑なに乗りたがるリヴァイを
       抑え込んだんだ・・・!特急でも
       一応は相席を狙う事は可能だ・・!

       ・・・しかし、あの2人席でこの
       密着作戦を実行するには・・・!
       仕切りにある手摺が邪魔だ・・!)」
       ゴクリ・・・



    ペトラの姿勢傾斜に合わせ、リヴァイの
    二つ隣に居るハンジも、若干その
    座間の距離をペトラ側へと縮める。






    リヴァイ「しかし密閉型の米びつか・・・
       前回虫が湧いた時に耐え切れずに
       丸ごと捨てちまったぞ・・・
       また買いに行かなきゃ
       いけねえのか・・・」ガックリ・・・




    ハンジ「それくらいで捨てんなよ!!!?

        洗えば使えるじゃないか!!」




    リヴァイ「蛾の糞だらけになった米満載の
       容器なんざ洗う気にもなれるか。

       そうなっちまった米びつなんて
       もう米びつじゃぁねえ。

       只の・・・蛾の飼育容器だろうが・・・」
       ギリッ・・・




    ハンジ「ぁ・・・、そだったね・・・・、
        アンタは・・・あんたは確か
        そういう人間だったよ(溜息)」
  174. 184 : : 2015/05/17(日) 01:28:55

    ズズ・・・

           ットン・・・



    ペトラ「....szz。。」




    リヴァイ「・・・・・ぉい、ペト・・・・・・。」




    ハンジ「おやおや。お疲れだったのかな」



    リヴァイ「どちらかと言えば今すぐにでも
       惰眠を貪りたいのは俺の方
       なんだがな・・・。

       割と結構生き死にのかかった
       とんでもない一日だった・・。

       どうしてたまの都内に
       出かけるだけであんな散々な目に
       合わなきゃいけねえんだ・・・」
       (溜息)


    自然にそう指摘するハンジ、
    それに連なる形で今日の一日を振り返り、
    深い溜息と共に肩を落とす
    リヴァイの二人。


    外見は渾身の狸寝入り中であるが、
    その意識はすでに覚醒率120%にまで
    到達しており、超えた分の20%と言うのは
    ペトラ自身の心拍数上昇分に
    加算されている。

    その呼吸の粗さは顔の真ん前に
    ハンカチをぶら下げれば鼻息で優雅に
    たなびく程の突風を発生させており、
    その点だけ鑑みればお世辞にも寝真似が
    上手いとは言えない状況である・・・・が、


    満員に近い乗員数である車内という
    この状況が功を奏したようだ。
    リヴァイには全く感づかれていない。


    リヴァイが己が不幸な一日を嘆いている
    間にも、肩に掛ける荷重を徐々に
    増していくペトラ。



    ハンジ「ぁ~~!そういや何か
        凄い事になってたけど・・
        ありゃ一体何事だったんだい!?

        人違いがどうとかしか聞いて
        無いんだけど・・・そんな単純な
        理由であんな・・・それも人一人が
        暴れるだけであんな惨状に
        成り果てるもんかなぁ・・・?」
        ン・・・?


    ハンジ自身もリヴァイが体勢を
    建て直すなどしたり、若しくはペトラの
    姿勢を正しに行かぬよう出来るだけ
    会話を途切れさせないようにしている。

    完全にリヴァイの肩口が
    彼女の頬杖になるまでは作戦成功とは
    言い難い。・・・むしろそこまで
    したとしてもリヴァイの性格では
    到底その平常心を崩しにかかる公算など
    無に等しいであろう・・・・しかし。



    ハンジ「(例え無に等しくても・・・!!!
        ゼロやマイナスじゃない・・・!!
        どんなに少しずつでも・・・
        必ず意識させてやるんだ・・・!

        大丈夫・・・!あんたなら、
        あんたなら必ずやれる!!!)」
        ググ・・・・!!!

  175. 185 : : 2015/05/17(日) 01:31:10




    リヴァイ「だから言っただろうが、
       本当に何だか訳の分からない
       壮絶な人違いだった。それだけだ。

       イザヤ、だかなんだか、そんな
       名前を連呼しながら・・・
       人違いって行き違いだけで
       叩き殺される寸前だった。

       今日ほど顔も見知らぬ人間を
       恨んだ日は無かった・・・。

       そのイザヤって奴が何事を
       しでかしたのか知らねえが、
       ありゃ尋常な怒りじゃなかった。

       殺されて当たり前ってくらいの
       クソ野郎だったんだろうな・・・
       あのバーテン服からすれば。」



    ハンジ「いや・・、あの、出来事の
       真っ最中を見てた訳じゃ無いから
       良く訳が分かんないんだけど・・・
       あのバーテンさんは車で
       リヴァイを轢き殺そうとでも
       したのかい?園内のバリケードも
       変な壊れ方してたし

       なんかコンクリートのでっかい
       土管みたいなのが粉々になって
       転がってた気がするんだけど。

       標識とか・・・;」





    リヴァイ「公園の車止めに関しては奴が
       俺の目の前で引っこ抜いて
       投げつけて来た一部始終を
       見てるから間違いねえが・・・

       あの襲撃の開幕と同時に
       空から降ってきたあの
       マンホール一号管もアイツが
       投げつけて来たんだとしたら・・・
       あれの総重量は小さい奴でも
       一tを軽く超えてるんだ。

       標識程度は簡単に引っこ抜く
       くらいするだろうな」



    ハンジ「オイオイ・・・アレ・・・・本当に
       人間だったのか・・・・?;」




    リヴァイ「・・・さぁな。しかしお前、
       あの後の寿司屋での衝撃体験を
       忘れた訳じゃねえだろ。

       ありゃ間違いなく両方とも
       人間じゃ無かったぞ・・。あんなのが
       街中に平然と混ざってやがるんだ。

       今更何処に何が居たって
       不思議じゃねえ。俺の住んでる
       アパートにすら地球外生命体が
       何匹居るか分からねえって
       言うのに」



    ハンジ「ハハ・・・そういやぁもうそんな
        季節もやってくるんだね・・」




    リヴァイ「そうか・・・!虫がはやける
       季節と言えば・・・・!!先ず・・・
       奴等の心配をするのが先だった・・」
       ワナワナ・・・・



    ハンジ「またもしホウ酸団子と
        殺虫剤買いに来るなら是非とも
        ウチに来てくれよ。その為に
        今年は去年より充実のラインナップで
        品揃えを強化させてあるんだ。

        ・・・・何より・・・」スッ



    リヴァイ「・・・・・・ぁ?」





    ハンジ「ペトラが喜ぶ。」



    ペトラ「(ピクッ)」


    リヴァイ「・・・・・・・・」




    完全なる肩枕まで後わずかという姿勢で
    仮想睡眠の最中、右に左に首を揺らす
    ライン下りに従事していたペトラ。


    極力隣の話題を思考回路に
    取り込まない様に意識してはいたものの、

    流石に自身の名前を呼ばれてしまっては
    咄嗟の脊髄反射を抑えきる事が
    叶わなかった。



    ペトラ「(し、しまったァァァァアア!(;゚Д゚)
        やらかしたァァァア!!)」


  176. 186 : : 2015/05/17(日) 01:34:21




    リヴァイ「そうだな・・・それなら買いに
       行くしかねえ・・・・バル〇ンの
       特用3個セットを買いに行くからな

       在庫を切らさねえ様にしとけ。」



    ハンジ「・・・あのね、12∼16畳用の
        3個セットなんて広い施設を
        久々に一掃したい法人でも
        来ない限り普通買う人
        いないから。心配しなくても
        前にリヴァイが買ってから
        誰も購入してないから。」



    リヴァイ「馬鹿が。だからこそだろうが。

       普段でない物であればこそ
       誰かがふとしたきっかけに必要と
       した時、あっさり在庫を切らす
       結果を招くんだ。俺みたいな奴が
       居る時に限って・・・同様の
       品を偶々必要とする奴は奇しくも
       現れるもんだ・・・・」グィッ・・・





    ハンジ「それもそうか・・・・って、


        ファッ!!!??Σ(゚ω゚ノ)ノ」



    リヴァイ「ぁ・・・?」ギュ・・・ 




    ハンジが思わず驚愕し、飛び跳ねて
    しまったのも無理は無い・・・・。

    会話の最中リヴァイが何も言わずに
    取ったその行動は・・



    ペトラ「(・・・?!?・・・!???!)」
        ドッキンドッキンドッキン・・・・・!!



    とうとうその側頭部がリヴァイの
    肩口に完全に重量を預ける形となった
    ペトラの後頭部に腕を回し・・・、

    彼女の肩を抱きかかえるというもので
    あったからである。



    リヴァイ「何をそんなに驚いてやがる・・
     
       他の乗客を突然の奇声で
       脅かすんじゃねえ・・・・。

       寝落ちしたコイツが前のめりに
       なってきたから支えてやってる
       だけだろ・・・・・イヤ・・なんだ・・?;
       コイツ・・・・何か震えが凄い事に・・」



    ペトラ「(ガタガタガタブルブルブル・・・!!!)」
       ビクン・・ビクン・・・!!!!


    ハンジ「(シッカリしろ!!気を確かに持て!
        折角のボーナスステージだろ!?
        こんなチャンス滅多に無いぞ!!
        もっと密着するんだペトラッッ!!)」


    ペトラ「フーーーッ...フーーッ....!!!////」
       (♪思考回路はショート寸ze...) 
         カァァァァアァ・・・・・!!!!



    みるみるうちにリンゴ病発症者と
    見紛うほどに明らかな朱色を
    その両頬に発現させるペトラ。

    既にその発熱量は命の危険すら
    危ぶまれる危険域へと突入していた。

  177. 187 : : 2015/05/17(日) 01:36:25


    ・・・・・、とその時、彼女の極限状態を
    幸か不幸か救う救世主が、リヴァイの
    眼前にやってきた。



    リヴァイ「・・・・!」


    まだまだ乗車人数が大きく減る程に
    利用者が多数動く駅まで差し掛かる
    前という事もあり、座席が空かない内に
    リヴァイの前にやってくる、一人の
    禿頭の老人。


    その姿を認めるや否や・・・・



    リヴァイ「オイ・・・・済まねえが起きろペトラ。
       手摺側を譲る。眠ってるとこ
       悪ぃが目をさま(ry..
    ペトラ「ハヒャッ・・!だ、ダイジョブです!?
       わたっ・・・私が席をお譲りッシマっ」
       ビクーンッ!!!!


    ワタワタと手足をバタつかせ、
    バネ人形のようにその身を撥ねさせる
    ペトラ。




    禿頭の老人「いやぁ・・・はっは・・・
          眠りこけとったかと思えば
          元気な娘さんじゃのう・・・

          だが心配ご無用だぞ?
          老体には良い運動になるし
          ・・・どうせ二駅もすれば
          降りねばならん。

          座ってもう一度腰を
          上げにゃならん方が余計
          腰にくるわい」



    リヴァイ「そうは言うがな・・・そういう
       訳にも・・・・」



    しかし一般的な体裁を意外なほどに
    重んじるリヴァイは簡単に引こうとは
    しなかった。跳ね起きたペトラを
    元の位置に抑え込み、あくまでも自らの
    温めた座席を譲らんとする姿勢を
    崩さない。


    しかしその申し出に対して・・・



    ???「いえ、本当に構いませんので。
      次の次の駅で降りなければ
      いけない以上、ここで腰を落として
      落ち着かれてしまうと・・・

      そのまま眠られてしまいかねません」



    その隣に控えていた、老人の同伴者と
    見られる女性がそう言い放つ。
    その口ぶりは若干棘のあるような
    空気もはらんではいたが、
    そんな事は全く気にする事も無く・・・


    禿頭の老人「っはっはは・・・まあ、
          そういう事じゃ。
          程よく毒が回ってしまって
          おってのぅ・・・このまま
          座ってしまっては
          起き上がれなくなって
          しまうわい」




    リヴァイ「(成程・・・酔いどれ状態か)」




    その口からは確かに酒気を帯びた吐息が
    立ち込めていた。
  178. 188 : : 2015/05/19(火) 01:52:38




    そこから2駅間移動した後、
    宣言通り、リヴァイに会釈をして
    電車から降りようとする老人、
    そしてその御付と思しき妙齢の女性。


    リヴァイに向けた視線が流され、
    隣で背筋を固まらせるペトラへと
    定められた瞬間、そのほんの一瞬だけ。


    ・・老人の顔が朗らかな笑顔に輝いたのは
    見間違えでは無かったのだろう。


    何も言わずに酒気に赤らんだ顔を
    車外から吹き込んだ夜風に晒しながら・・
    どこか見覚えの有る敬礼のような
    握り手を胸に当てて・・何も言わずに
    下車していった。




    ペトラ「・・・・・・、、」




    その横顔に・・・物言わぬ微笑に、
    期せずして窮地を救ってもらった
    安堵とは別に、うまくは言い表せない
    ものの、確かなエールを感じ取った
    ペトラ。



    今の今まで全身を支配していた緊張感は
    ・・・すっかりその老人の姿を見送り終えて
    車両が動き出す頃にはなりを潜めていた。





    ハンジ「(・・・・あのじいさん・・・・?)」





    リヴァイ「悪かった・・・・。疲労困憊で熟睡
       してた所を無駄に起こしちまった
       な。まだ先は長ぇ。遠慮せずに
       また船旅に出発して来たらどうだ」




    ペトラ「・・・いいえ。大丈夫です。
        すっかり覚めましたから。

        ・・それに無駄なんて事全然
        ありません。あの状況で
        真っ先に席をお譲りに行こうと
        するなんて。・・素敵です」
        ジィ・・・




    ハンジ「(ん・・・?ンン・・・?!!?)」
        マジマジ




    リヴァイ「・・・・・」







    ――――違和感。





    リヴァイ「・・・過大評価だ。道にクソが
       落ちてたらそれを見つけて
       そのまま踏むヤツが居ないのと
       同じで・・・“年寄りと荷物持ち”
       には椅子を空ける。

       ――これは当然の行いだ。俺は
       健常者で、とりあえずまだ
       老人と呼ばれる括りに入っちゃ
       いねえんだからな。」




    この時点で実のところは・・・
    老人の移動に際して自らがペトラを
    起こそうとする際にそれより僅かながら
    早いタイミングでペトラがその身を
    跳ね起こしていた事、

    そして何より今しがたペトラが口にした
    言葉が、自らの声がけよりも早い段階で
    彼女の意識が明瞭であった事実を
    証明していると・・・薄々
    感づいていたリヴァイであったが





    リヴァイ「・・・・・」



    そちらにのみ気が向いていたあまり、
    真横から上目遣いで微笑みかけてくる
    後輩の纏う雰囲気が・・・いつもと若干
    異なる事に気付いていなかった。





    ――否、全く気が付いていない訳では
    なかったが・・・




    ペトラ「~~~」ニマニマ




    ハンジ「(ぇ・・?あれ・・・・?

        何かペトラ・・・今
        あんた・・・・全然どもって
        なくね・・・・?)」フルエテモイナイ・・?




    このような、彼女にとって
    既に第三種接近遭遇に等しい
    リヴァイとの密着状態を保ちながら。

    ・・・ここまでの落ち着きを維持できる
    ペトラには・・・既に普段の彼女には
    感じられない、明らかな差異(ギャップ)
    生じていた。



  179. 189 : : 2015/05/19(火) 01:59:26




    ペトラ「・・せんぱい?」



    その笑顔から紡がれる、悪意無き追撃に
    思わず我が身を強張らせるリヴァイ。




    リヴァイ「・・・・何だ・・・ペトラ」ギ...




    ハンジ「(ぅおっ・・・!?う、嘘だろ)」 



    ハンジは顔を一切動かさずにその場に
    固まる事しか出来なかった・・・が、
    その心情はこの上なく穏やかでは
    なかった。長年の付き合いがある
    間柄だから直視しなくとも分かる。




    ハンジ「(リヴァイの方が・・・・!!!
        若干押されてるぞ・・・・・!!?)」



    無論、ここまで微細なリヴァイの
    心境を捉えられるのはそこに居たのが
    ハンジだからこそであり、
    現在一切の物怖じを見せずにリヴァイへ
    己の気持ちを向ける事が出来ている
    ペトラ本人には・・・


    そのようなリヴァイの内心に生じる
    "ブレ"に僅かでも気付いているような
    節は一切無かった。 



    だからこそ彼女は・・・・




    ペトラ「さっきの、もう一回・・・・
        いいですか?」ギュッ


    自身の気持ちの一切を隠さずにぶつける
    事ができた。


    若干座高を下げるようにして傾げた
    体側面を、じゃれ付く猫のように
    リヴァイのわき腹に寄り添わせるペトラ。



    ハンジ「!!!!!!!」
        ォォォォォ.....!?;




    某有名画家の、大自然の叫びに脅威と
    恐怖を抱く人のように口を空けながら
    その様を見守る事しか出来ないハンジ。


    それほどまでに彼女の行動には・・・
    今、一寸たりとも迷いを感じさせない
    大胆さが宿っていた。





    リヴァイ「・・・・ペトラ・・・・お前・・・・」





    ペトラ「ハイ?//w」ニッコニコ









    リヴァイ「今日は・・・随分といつもより
       いい顔つきしてるな・・・・」フィッ





    顔を直視するのを避け、ペトラの
    申し出通り先程同様の格好でその首元に
    肩を回すリヴァイだったが・・・・



    ダンッ!!



    ハンジ「ォィ""!!リヴァイ!!!
        そりゃ~~~無いんじゃない!!

        お前、今完全にいつもの
        ペトラと立場逆転されてるの
        気が付いてるよな!!?

        自分でも気が付いちゃってる
        よな!!?!

        それを・・・・!!

        そんなどこぞのイケメン
        魔戒騎士をリスペクトしたかの様な
        苦し紛れの逃げで・・・!!
        おまッ・・・・!!」ワナワナ・・・・!!




    余りに煮え切らない返しに流石に
    髪を掻き毟って怒りの堰を切るハンジ。



    無理も無い。普段あまりのアガリ性が
    祟ってろくな攻勢に転じられない
    可愛い後輩が・・・


    ここまで正気を保ちながら思い人に
    対して明確なアプローチにて
    押しに来ているのにこの対応というのは


    ・・・・若干思慮深さに欠けると思われても
    仕方が無い事である。



    しかしそこはまだ・・・
    乗客溢れる電車内。




    リヴァイ「おい・・変な目で見られるだろうが
       ・・・・!お前は常に騒いでないと
       死ぬ病気でも患ってやがるのか」
       チッ・・・・!




    ハンジ「(ぬぁぁああ~~~!!!
        こんチキショウめがぁぁあ!!此処が
        電車内でなかったら怒りの
        ガゼルパンチを顔面に・・・!!

        こう、メコっと!!叩き込んで
        やんのにィィィイイ!!)」ギリギリギリ
        Σσ(゚皿゚ꐦ)



    ・・・しかし、怒れるハンジ、
    平静を装いながらもほんの僅かだけ
    その均衡に揺らぎを見せるリヴァイを
    尻目に・・・

    ただ一人、ペトラのみは
    今この瞬間に心から満足の行く笑みを
    浮かべていた。



    ペトラ「~~~~❀」



    ・・・首の後ろから回されたリヴァイの
    二の腕をしかりと抱き寄せながら。
  180. 190 : : 2015/05/22(金) 04:10:40



    ~現在公開可能な情報㉞~


        
       アルミンの部屋




    ――高級マンション。―以上。



    一体何がどうなると戸籍の無い、
    つい此間まで公園住まいであった
    人間がこのような住居にありつけるのか
    というほどの、超高級分譲マンション。


    地上40階建て地下一階。


    フェイリス宅が購入していた内の
    一部屋を就業中の通勤手当てならぬ
    宿泊手当て扱いで給与とは別の枠組みで
    彼に貸し与えてくれた訳であるが・・・

    底階層ですら15万を超えるのが
    当たり前という条件へ来て、彼女の
    貸し与えてくれた階層は当然自室付近の
    高階層。その貸料は本来であれば
    月40万はくだらないというもの。




    家具、家電、調理器具など、
    高級マンションの例に漏れず一通り
    生活に困らないレベルで揃っており、
    冷蔵庫まで入居に合わせて出資
    してもらったため正に至れりつくせり。


    その間取りは正に公園のテント住まいで
    生き延びてきたアルミンには
    使い切りたくても使いきれない程の
    広さであり・・・・


    ・・・・・・では何がそこまで
    散らかっていたのかというと・・・・(ry


  181. 191 : : 2015/05/22(金) 04:11:32




    ―秋葉原某高級マンション・アルミンの居室―






    エレン「zzzzzzzz.....」






    アルミン「・・・・相当疲れてたのかな・・・
       板の間で寝ちゃったよエレン・・」
       (溜息)


    辺りには先程までエレンが見入っていた
    コミックス・進撃の巨人数巻分が
    散らばっており、居間に鎮座する
    大画面LEDテレビにはDVD一巻の
    チャプター選択画面が低音量で
    ループし続けている。



    アルミン「エレンにはネタバレに
       なっちゃうから・・・急いで女型編
       以降の原作コミックは隠したけど。
       
       ・・・焦ったなぁ・・・。DVDまで
       見たいって言い出すとは
       思わなかったから・・・」



    ミカサ「アルミンが気を回してくれた
        おかげでエレンに無駄な混乱を
        与えずに済んだ。

        ・・・感謝している」



    アルミン「ミ、ミカサが気にする事ないよ…;」





    ググッ・・


    エレン「ンガ・・・・....」



    アルミン「んんッ・・・・しょっ・・・・」ズズ・・・


    ドスン -3


    ミカサ「大丈夫・・?エレンの寝床を用意
        するのであれば私も手伝う・・」


    アルミン「ああ、いいよいいよ。

       聞いた話じゃエレンが今
       一番病み上がりでしんどい筈
       なんでしょ・・?だったら彼に
       一番寝心地のいいベッドを
       使わせてあげないと。

       ・・・・どうする?シングルだけど
       充分二人寝られるから・・・

       ・・・・・添い寝してあげる??」


    部屋の照明を落としつつ、寝息を立てる
    エレンに一人分の余剰スペースを
    空けて毛布を掛けるアルミン。


    対してこの提案に暫し反応を
    停止し・・真面目な顔をして考えた後




    ミカサ「・・・・魅力的な提案だが、
        ここは自粛しておこうと思う。

        ・・・きっとエレンが目覚めた時に
        余計な事をするなと憤慨
        されてしまう。。」



    俯き加減でそう返すミカサ



    アルミン「・・・・考えすぎだと思うんだけどなぁ
      ・・・・ミカサは充分エレンの為を
      思っていつも身を粉にして頑張って
      あげてるんだから。

      それくらいエレンだって
      分かってくれてる筈だよ」




    ミカサ「・・・・そうだろうか・・・」
        ソワソワ・・・・///



    アルミン「ミカサがそうしたいと思うなら
       そうしてあげなってw

       ほら、
       そうしてくれれば、あと残り
       一つしかないソファには
       僕が寝られるしね。

       ミカサがソファで寝てしまったら
       僕は板張りの上で寝ないと
       いけない事に・・・・」チラチラ





    ミカサ「アルミン・・・...言い方が
       狡い・・・・;いつからそんな
       意地の悪い発想をするように//;」
       ソンナコニ ソダテタ オボエナイ



    アルミン「ひどいな。本当の事だろ?

       ミカサが自分の気持ちに素直に
       ならないからさ。折角
       エレンだってぐっすりなんだよ?
       今の内だって」クスクス
  182. 192 : : 2015/05/22(金) 04:14:16



    ミカサ「やっぱり・・・アルミンは
        都会暮らしが板について
        少し前とは性格が変わって
        しまっているのでは」
        オロオロ・・・




    アルミン「~~そんなことないって」




    ミカサ「いいや・・・きっと
        気のせいなどではない。

        ・・・・!ま、まさかアルミン・・!?」
        ハッ・・・・




    アルミン「な・・・なにかな;」






    ミカサ「ひょっとして・・・本当は既に
        恋人の一人二人・・・!」
        ワナワナ・・・!




    アルミン「?!い、いやちょっと待ってよ!!
       さっきも言ったけど違うよ?!
       そんな人居ないって!!!

       ・・・それに仮に居たとして・・・
       それで何でミカサがショックを
       受ける事になるのさ!?君は・・・
       君はエレンなんだろ・・?!?//」
       イジイジ・・・・




    ミカサ「アルミンが焦って言い訳を・・!?
        ・・まさか本当に図星・・・」
        ガタガタガタ・・・



    アルミン「っ・・・!;ち、違うってば!!
       ミ・・・....っ!、、もういいよ!」


    ダダッッ・・・



    ミカサ「ま、待ってアルミン」


    ガシィ!!

          ..ミシッ  Σグキ



    アルミン「ぁっ痛ッァ!!!!」
       ouch!!



    ミカサ「ぁあっ・・・、す、すまない!
        大丈夫、?アルミン;」
        パッ・・・・



    アルミン「~~~~;相変わらず力加減が
       色々と滅茶苦茶だよ、、
       ミカサっ...;」ヒィ・・・
       サスサス



    ミカサ「それについても・・済まなかった。
        手・・・大丈夫・・?それに・・・
        冗談にしても少し言い過ぎた
        ・・・・・そこまでアルミンを
        怒らせてしまうとは思わなくて」
        ズゥン.....↓↓





    アルミン「(…アレで冗談だったのか…しかし
       あのミカサが冗談を言うなんて)」




    ミカサ「・・・・?あ、アルミン・・・・?!」





    アルミン「・・・・・ん?な、なに・・?」




    ミカサ「手が・・・震えているけれど・・
        (ハッ)・・!な、泣いているの?
        アルミン・・・・!?」ジワ・・・



    アルミン「・・・?!・・・え?」



    部屋の暗さゆえに気付くのが遅れたのか
    ・・・アルミンの目尻から顎に向けて走る
    一筋の光滴。



    自らの制止が暴力的に過ぎた所為か、
    若しくはその前にあそこまで彼を
    憤慨させてしまった自分の非が招いた
    落涙か。いずれにしてもその原因は
    自らにあるとその場で早合点して
    しまったミカサの目からも、つられて
    堤防を乗り越えるような勢いにて
    溢れ出す涙・・・

  183. 193 : : 2015/05/22(金) 04:16:18


    アルミン「え・・・?!いや、
       これは違うんだよ!?た、確かに
       痛かったことは痛かったけど、
       すぐ離してくれたんだし、
       そんな、泣くほどの事じゃ・・!」
       アセアセ・・・・・・



    焦って弁解しようとするも、
    アルミンの瞼からも止め処なく流れ出る、


    涙・・・涙・・・




    ミカサ「では・・・、その前の私の
        冗談が・・・・行き過ぎていたから
        ・・・・?!」ワナワナ・・..・・..



    アルミン「、それも違うって・・!;
       何だろうな・・・えっと・・!;

       ま・・・・参ったな・・・・;とにかく、
       そんなんじゃないんだ!だから
       ミカサ、君までそんな悲しそうな
       顔をしないでくれないか・・?!;」
       オチツイテ、ネ



    ミカサ「ア、アルミンがそう言うなら・・・;
       
       ・・・しかし、一体・・・。本当に
       痛くもなくて、悲しい訳でも
       ないのに涙が・・・?

       私に気を遣って嘘を付いている
       というのでは・・・ない?」



    アルミン「だから違うんだって。
       そんな顔をしてる風に見える?」



    ミカサ「そう言われても・・・・;」
        オズオズ・・



    アルミン「きっと・・・疲れが出たんだろな・・
       参っちゃうな・・・昼間キミや
       エレンにまた逢えた喜びの余り
       アレだけ泣いたのに・・・まだ
       出し切れてない分があった
       みたいだ・・・・」クスクス・・



    ミカサ「・・・・アルミン・・・・」




    そう言って微笑交じりに零した涙を
    拭い去るアルミン。だがミカサには
    背を向けているため、その表情は
    彼女の目には届いていない。



    ・・・・しかし



    アルミン「・・・・でも・・・本当に・・ッ・・・(グズ・・)


       また・・・また逢え゛っ・・・ぅッ・・!!

       ゥァァ...」
       ガクガクッ・・・



    笑いながらそう言いかけたのも束の間、
    堪らず抑え切れぬ嗚咽を漏らすアルミン。


    既に背を向けていても、跳ねる両肩と
    その声色で泣き出しているのは
    明白であり・・・、必死に声を抑えようと
    するアルミンの状態を察したミカサは・・・



    ミカサ「っ・・・!」




    ぎゅぅ・・・・・



    アルミン「・・・・・・ッ・・・・....っ」グス....



    その頼りない背中を力一杯に抱き止めた。


    ・・・・勿論、彼女にとっての力一杯とは・・・
    感情を込めながら抱擁する上で人体を
    破壊しないよう細心の注意を払う必要が
    ある・・・そういった意味での力一杯
    という意味であるが。


    ミカサ「・・・・・・」



    そうして抱きしめる事数十秒・・・



    無言にて後を引き続けていたアルミンの
    嗚咽と、体の震えは徐々に収まってきた。
  184. 194 : : 2015/05/22(金) 04:18:36






    アルミン「ぁ・・・・、有難う・・・大分
       落ち着いたから・・・もういいよ、

       本当、有難うミカサ・・・・」



    気分も大分落ち着きを見せ、ようやく
    現状況に照れ臭さを感じ始めたのか
    それとなく抱擁の解除を促すアルミン。



    ・・・単純に彼も年頃の男子であり、
    それも唐突に放り込まれた異世界にて
    半年以上もの間、永遠に生き別れかと
    思っていた幼馴染に・・・・

    ここまで露骨に密着されてしまっては
    流石に何ともないと言っている
    場合では無く。



    ミカサ「・・・・アルミン。」



    アルミン「・・・・何?・・・かな・・?」



    ミカサ「エレンはあの様子だし、
        今日は二人とも泊めて貰えると
        助かるのだが」


    アルミン「ああ、勿論そのつもりだよ。
       っていうかエレンお風呂入らずに
       寝ちゃったな・・・起きるまでに
       エレンの分のパジャマでも
       買ってこようかな・・・」ソワソワ


    ミカサ「アルミン。」

    ガシッ


    気まずさに追い立てられ、とりあえず
    その場を一時離脱する事を第一として

    右往左往するアルミンの肩に掛けられる
    ミカサの右手。



    アルミン「っな、何?!ああ!!大丈夫!!
       ミカサの分だってちゃんと
       買ってくるから!・・・ただこの辺
       ユニシロとかないから、
       簡易的にトンキのスウェット
       とかになっちゃうけど、
       そこは我慢してくれよ;」
       アセアセ...



    ミカサ「そうじゃない。
        
        それと
        着替えならわざわざ買って
        来なくてもアルミンの普段
        着ているもので全く構わない。

        …それでアルミンが気にすると
        言うなら着替え自体一日くらい
        別に・・・・」



    アルミン「そ、そうもいかないよ・・・!

       女の子なんだからさ・・!//
       僕の着替えを貸すのにしても
       着替えないのにしても・・・
       どっちもまずいと思う。

       いいんだ、どうせ切らしてた
       冷食のから揚げと炭酸も
       買いに行きたいからさ」




    ミカサ「アルミン・・・偏ったものばかり
        食べていない・・・?ちゃんと・・
        野菜を食べているの・・・?;」



    アルミン「ゥ・・・・大丈夫!ほら、レタスとか
       食べてるしね。問題ないよ」



    ミカサ「ハンバーガーに挟まっている
        レタスとかではない・・・?」
        ジト・・・・



    アルミン「・・・うぐ・・・」
       ナゼバレタ・・・・





    ミカサ「急いで片付けていた様子だが
        流石に屑籠を見ればどの様な
        食生活かは想像が付く・・・・」




    アルミン「まあ・・・それはその・・・
       色々と忙しくて・・・中々
       ご飯を作る時間も無いというか・・」



    ミカサ「忙しいのは分る。この世界の
        あまりにも便利な流通事情に
        頼りがちになってしまうのも
        もっと分る・・・・けれど私は・・・

        あなたの身体がとても心配だ。
        ・・・・アルミン。」




    アルミン「、、・・・・」




    ミカサ「少し逸れてしてしまったが・・
        ・・・話を元に戻そう。」

  185. 195 : : 2015/05/22(金) 04:21:14



    アルミン「えっと・・・何の話だったっけ・・?;
       ああ、そうだった!パジャマを
       買いに行かなきゃね!!」





    ミカサ「そうじゃなくて。」




    アルミン「;」





    ミカサ「回りくどい言い方は苦手なので
        率直に言う。・・・アルミン、

        今夜はエレンでは無く・・寧ろ
        あなたにこそ添い寝の効力が
        必要とされて居るはず。

        ・・・あんなに震えていたんだ。

        眠り際に同じ様な気持ちを
        思い出す可能性は大きい。


        ・・・ので。今夜は一緒に・・・・」
        スス...





    アルミン「ま、待った!!!ちょっと待ってよ
       ミカサ!?エレンがあそこに寝て
       居るんだから、もう二人で並んで
       寝られる場所なんて・・・!」




    ミカサ「・・だから、布団が他にあるなら
       それを出してほしい。無いなら
       ソファーで座りながらでも
       私は構わない。・・・とにかく
       アルミン、私はあなたに・・・・」





    アルミン「~~~~~;」






    ミカサ「再びあんな寂しい気持ちを
        思い出させたくはない。

        エレンがこうして見つかるまで、
        私も同じだったから・・・・私には
        誰よりもあなたの気持ちが
        分る。・・・だから。」
        ギュ・・・・





    アルミン「ミカ・・・サ・・・・・」




    ミカサ「お願い・・・遠慮は・・・しないで。
        家族なのだから」



    アルミン「・・・・、・・・・・じゃあ・・・・お言葉に
       甘えようかな。今日だけは。

       いや・・実を言うとあのソファは
       背もたれを倒せばそのまま
       ベッドになるから・・・

       別に、寝ようと思えば全員分の
       寝床はあるんだけどね;

       ・・・・でも、本当にいいの?
       寝間着を用意しなくても」




    ミカサ「・・・構わない。こんな事に
        なると思って肌着だけは
        替えを持ってきている。
        ・・・・勿論エレンの分も。

        シャワーだけでも借りられれば
        それで。」
        スッ・・・・




    アルミン「用意良すぎだよミカサ・・・;」


  186. 196 : : 2015/05/22(金) 04:23:23





    ギシッ・・・

    ズズ・・・




    アルミン「・・・・あれ?」




    エレン「(欠伸)~~っ・・・・ぁ~
        ・・ァルミン....?」ゴシゴシ・・
        ムクッ・・



    アルミン「何だい・・?お目覚めかい?エレン。」





    エレン「トイレ・・・どっちだ・・・?・・・
        あるんだよな、部屋の中に。」
        ウロウロ




    アルミン「ああ。そこの扉を開けて
       廊下に出たら左に曲がって、
       突き当たる前の右側だよ。

       ・・・・・入り方はわかる・・?」



    エレン「...バカに・・・・すんなッって・・
       そんくらいミカサに教わって
       知ってる・・・」ボケ∼・・・




    アルミン「・・・・色々沢山ボタンがあるけど
       流す、って書いてあるボタン以外
       押さないでね。」イッテラッシャイ




    エレン「ぉう。。。。。」フラフラ....




    アルミン「あ、じゃあ僕はその・・・
       シャワーだけじゃ何だしお風呂
       入れてくるよ。布団は僕が
       出すから・・・ミカサは取り敢えず
       ここで待ってて・・・」



    ガコッ.....



    エレン「っ...?!おわっ」



    ボフンッッ・・・・・



    アルミン「っ、ぁ・・・・エレっ・・・..!!!!!!!」
       ギョッ・・・・!!!!!




    振り向いた先にあったその光景は・・・



    寝ぼけたエレンが、部屋の戸口とは
    異なる方向の観音開き形式の扉を
    開け放つまさにその瞬間であった。

    威勢よく開け放った二つの扉の狭間から

    ・・・・先程、期せずして招き入れる事に
    なった幼馴染の来訪に併せて
    急いで仕舞った寝具の一部が飛び出す
    光景が・・・・・・スローモーションになって
    アルミンの視界に踊った。


    エレン「ぁあ・・・・?悪ィ・・こっちは物置か
        ・・・~~なんか落としちまったな
        ・・・・なんだこr...
        ヒョイッ・・・



    ガバッッ!!!

           ボスッ!!!



    アルミン「だ、だッ大丈夫だよ!!!!!!
       片付けとくから、ほら、廊下は
       あっちの扉・・・・!!ね、ホラ!!!」
       グイグイ


    クローゼットの中から
    崩れ落ちてきたのは彼の身長ほどある
    クッション状の物体。暗がりの中で、
    未だ冴えない目を擦りながら・・・自身が
    取り落としてしまった物を良く見ようと
    していた所を・・

    更に横合いから飛び出して来た
    アルミンが物凄い勢いでその脱落物を
    掻っ攫って後ろ手に隠す。




    エレン「~~~?;ぉ、おう・・・・」
        ヨタヨタ・・・・


    ガチャ・・・・



    アルミン「。。。。。(溜息).....」











    ミカサ「・・・アルミン・・・・それは」




    アルミン「・・・・・・っっ!!!!!!!!」
       (;゚Д゚)



    余りの焦りっぷりに、この場に居たのが
    エレンだけでは無いという事すら
    すっかり失念するほど我を失っていた
    アルミンは・・・

    安堵の溜息から一転、
    その表情を・・・再び絞首台の13階段へと
    足を向けなければならない囚人の如く
    暗転させた......




    ミカサ「・・・・・」マジマジ・・・・・

    モフッ・・・・


    彼が後ろ手に抱えた等身大抱き枕・・・・
    その外張りシーツにでかでかとプリント
    された『自らの姿』を、近寄って
    掴み取り、両側面共によく観察するミカサ



  187. 197 : : 2015/05/22(金) 04:27:10


    ・・・どうやら裏と表で違う格好の
    自らが仰向けに寝そべる姿が
    印刷されており、何方も隊服を
    纏っている点では共通であるが、


    片方は立体機動装置を身に纏った姿。
    ・・・そしてもう片方には、武装を解除し、
    代わりに若干肌の露出が増した上に
    恥じらう顔を見せる自身の姿が。



    その絵面を、特に表に押し出す感情も
    無く、繁々と眺めているミカサ。



    一方当のアルミンはと言えば・・・・・



    アルミン「・・・・・・・・・・・」ガタガタガタ・・・・



    余りの衝撃に弁解は疎か動く事すら
    ままならず、その場に固まって
    しまっていた・・・・・



    ミカサ「・・・・アルミン。」




    アルミン「ぁ・・・待って.....!!これはその
       っ・・・これはッ・・/////」




    ミカサ「今すぐは無理だが、家に隊服は
       保管してある。

       ・・・ただ、装置を身に着けた
       ままでは仰向けに寝るのは
       少々難しいが。今度来た時は
       この格好で一緒に・・・・
       ・・・・・寝る?」



    アルミン「ッッ・・・・!!!!////////」
       ボフンッッ




    アルミン「お、ぉ、お風呂洗って来るッッ!!!」



    ダダダッ!!!   バタンっ



    ミカサ「ぁあっ・・・・アルミン・・・!?

        待って・・・!もう一つあなたには
        どうしても聞きたい事が・・!!」
        バタバタ・・・!


    ボテッ・・・



    ダダッ   ガチャっ



    ミカサ「アノダキマクラ・・・・エレンノハナイノ・・・!?」


    アルミン「ァッアルケドサ!!公式デアルケド;!!!
      アレハマニアックスギダヨ!!」


    ミカサ「ドノヨウナモノデモカマワナイ・・!!!
      ドコニウッテイルノカゼヒ・・・・!!...



    アルミン「・・・!!∼∼∼...!!」



    ミカサ「∼∼!..




    それは、
    遠く離れた世界にて運命を分かたれた
    彼らが・・期せずして巡りあわせた
    その日の話。

    歩む足が違うなら・・その足が歩む道も
    それぞれ違うのかもしれない。
    しかし・・・



    ・・・どのような道を辿りながらにしても…
    その行く先はいつか必ず何処かで
    共に繋がっている。




    ・・・彼等がそれを望んでいる限り。




    ――誰かがそれを運命と呼ぶ限り。




    世界は・・・今日もどこかで繋がっている











    ガチャッ・・・・・




    エレン「ぁ~~~ッ・・(スッキリ)

        ・・・・なんだこれ。(モソッ)」






    エレン「・・・・・ッ(欠伸)丁度いいから枕に
        するか。・・・しかし何でミカサ
        なんだ・・・?」ノソノソ・・・・











    ――・・・to be continued !!
  188. 198 : : 2015/05/22(金) 04:28:43




        ~あとがき的ななにか~




    ・・・はい!季節の方もそろそろ
    扇風機が欲しくなってくる今日この頃
    皆さまは如何お過ごしでしょうか!

    此方、年中御脳の排熱を冷却する
    必要のある正真正銘の変態、夢馬は
    今日も元気です。


    長々と後を引く形になってしまったこの
    お話。余りに無差別かつやりたい放題で
    最早カオスの極みといった惨状にございますが

    ・・・しかしまだまだ書きたいネタも
    ブチ込みたい作品も沢山あって、
    それらはまだ殆ど形にしきれて
    いないんですよね・・・;。一体何処へ
    向かおうとしているのか・・・(汗)

    ま、まあ私本位のお楽しみでも
    有りますのでその辺はあまり深く
    考えないようにします。楽しいのが一番。





    しかし周囲の皆様にしても同様ですが・・・
    この時期何かと忙しく(ry
    (何か、いつも忙しい気がする(;´・ω・))


    ~しかし何はともあれ忙しければ
    忙しい程に書きたいネタが湯水のように
    溢れ出でる困った仕様のせいで・・・
    今から書ききっていないものを何とか
    一区切りつけたい位なのに、
    まだ、まだ、まだ次から次へと
    書きたい話が出てきてしまうのはこれは
    本当に考え物。

    ・・・こんな事で頭を抱えられる幸せを
    胸に抱き、今日もこんな駄文に御目を通して
    下さっている慈悲深き閲覧者様方、並びに
    ss note管理者様方にも同様に
    無上の感謝を抱きつつ・・・・

    今日も明日も、楽しく楽しく書かせて頂こうと思います。




    それではまた!!('◇')ゞ

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ne5716

夢馬

@ne5716

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