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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

◆自由の社畜◆⑦~悔いなき選択~

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  1. 1 : : 2015/06/07(日) 23:05:16





       ~前書き的な何か~





    はい、かなりのお久しぶりです!



    色々とやることが山積しすぎて
    最近SS的な何かを書く時間は疎か
    読む時間すら満足に確保できない哀れな
    人間こと夢馬です。

    どの辺が憐れかと言えばこれくらいしか
    日々の楽しみを見いだせる猶予が
    無いという廃人っぷり。THE・High zin

    ・・・あ、こう書くと何かカッコイイ・・・・

    さて、こんなどうでもいい事は
    おいておいて、・・・それでは
    もっとどうでもいい私の趣味全開で
    遠慮なしに書き殴られるSS的なものに
    ついて・・・



    またまた先入先出の理念を無視して
    時間的な理由で立ち往生している
    シリーズを置いといての執筆。


    まあ、どんどん書いてしまいたい続きが
    浮かんでしまう以上仕方ないですね。
    ぇえ、仕方・・・無い・・・( ..)φ


    ・・・流石に後を退きすぎですね・・・
    本シリアスの方も何とかしなければ。


    これまでも、そしてこれからも
    全く以て自分本位な書き方でしか
    これらを楽しむ事が出来ない私ですが、
    曲がりなりにも私自身以外にもコレらの
    駄文に目を通してくれる方が居られる
    事を何よりの喜びとして書かせて
    頂こうと思います。



    以下、簡易注意点です。

  2. 2 : : 2015/06/07(日) 23:05:56








      ※物凄くふざけた内容です※



    もうキャラクター崩壊を通り越し、
    作品キャラ、世界観、ジャンル、
    全ての垣根をお構いなく取り払った
    結果、本当に何が何だか
    分からないものができ始めました。


    色々あってカテゴリ分けの困難な、
    今回混入される進撃以外の雑多な
    他作品要素⤵︎

    DARKER THAN BLACK -黒の契約者-

    TERRA FORMARS

    BCCANO!!

    攻殻機動隊SAC

    あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

    化物語



    ..等々





    ※エログロ描写について※

    若干のそう言ったジョークや表現も
    ありますので何かあっても困るため
    一応タグはついています。


    ・・つまりその程度であって、
    露骨なエロはありません(と、思います)




    ※一応転生現パロという形になります※


    一応です。何だかよく分からないもの
    ですので何とも言えませんが・・



    ※原作ネタバレも思いっきりあります※

    主人公の名前が一応そうなると
    思いますので一応原作全巻
    (但しガセネタ説が有力。現在15まで)
    及び、限定版付属DVD


    TVシリーズ、
    突然の来訪者・困難・悔いなき選択


    それから、リヴァイさんがメインである
    都合上各種スピンオフもその括りに
    入ります。悔いなき選択全巻等ですね。


    見ていない人は留意お願いします。








    ※コメントに関して※

    あまりにふざけた内容ですので、
    一読closeは最早当然の反応と言えます。
    ・・ですが稀有な事にそれでもコメントを
    頂ける事が稀にあります。私はそれは
    非常に嬉しいので必ずそれを確認次第
    レスを返させて頂きますが、
    SSNOTEの方針に基づき、これらの
    コメント、及び自身のレスに至っても
    一定時間で、非表示に切り替えさせて
    頂くと思います。

    何かありましたら、グループの方にも
    是非どうぞm(__)m

    http://www.ssnote.net/groups/541

    ※複雑怪奇かつ難解な世界観※


    ことSSというジャンルに関してあまり
    こういう事を気にしてはいけないのかと
    思いますが・・



    とにかく、何故この配役?!というくらい
    色々なキャラがたまに入り混じって
    しまっています。



    まあ、ここまでのお話を見ていない方にとっては
    どの登場人物もオリキャラ同然に見える程の
    キャラ崩壊を起こしているというのと
    話自体も入り組んだ物語構成になっている為

    非常に分かり辛い惨状になってしまっています。

    ごめんなさい(;´Д`)



    ※行数に関して※


    ここまで見て来て直ぐにお気づきに
    なられると思いますが、私の書くものは
    ほぼ全てにおいてレス時を除き、
    携帯画面幅に合わせた改行を行って
    おります。・・ので、

    パソコンで読んで頂いている方には
    すこぶる不快な改行ペースだと存じますが、
    それもご容赦頂けると助かります。
    (ノД`)・゜・。



    以上で一応思いついた事は全て書いた
    形になりますが・・まだ何か
    かき忘れた事が無い訳でも
    無い気がしますので・・随時書き足して
    行くことになるやもしれません。



    それが誰かの役に立つのかどうか、
    それ自体は度外視するにしても( ;∀;)
  3. 3 : : 2015/06/07(日) 23:07:09





    ~某月曜日:朝10時....






    ~ハンジ居住マンション~





    ハンジ「んーーー・・」





    リヴァイの住まいであるオンボロアパートこと
    海月荘からそう遠くない、とはいえ
    その地点よりも若干駅よりの閑静な
    住宅街の真ん中に・・・・


    ハンジの住まうこの
    グランベール・ソニーは存在する。




    ・・・しかし




    ハンジ「いいね・・・実にイイ。」ズズ・・・




    何故このような平日の朝っぱらに、
    それも平時なら既に仕事場に
    入っている時間帯に自室のリビングで
    グラスに注いだ飲み物を煽って
    優雅なひと時を過ごしているのかと
    いうと・・・




    ハンジ「やっぱり急な休みとなった
        こんな朝っぱらから飲み干す
        ドクペは最高だね。

        この、どう味わっても身体に
        悪そうな表現しか出てこない
        味といい、飲んだそばから
        口が渇いてくる感じといい、
        もうたまらない」フィィィ・・・!!




    実はハンジ一人のみならず、
    リヴァイ達の職場を全て内包している
    駅中テナントは現在、とある理由で
    臨時休業となっている次第だ。



    ・・・とはいえ、当然駅そのものは
    電車の運行があるので普通に
    平時通りの運行業務を行っている。



    ・・・では一体、どのような諸事情があって
    ハンジ達が業務に携わっている
    駅中店舗は悉く休業の憂き目に
    追いやられているのか。それは・・・・




    ハンジ「(しっかし・・・この時期一気に暑く
        なるから事前に室外機の一斉
        点検を行うのは定例だけど・・・
        それが一晩で終わらずに、
        それも機器に深刻な不具合が
        見つかったって・・・

        一体全体何があったのやら。)」



    そう、ハンジが脳内で反芻したとおり、
    駅中テナントの空調を一括して
    統制している屋上の空調設備、その
    室外機群に・・・・何やら一日二日では
    復旧の目処が立たない深刻な不具合が
    見つかった模様である。


    とはいえ、ハンジ、ペトラ両名の
    勤め先は駅中だけでなくその膨大な
    チェーン店舗数を全国に展開している
    天下のドラッグストア、

    "イサヤマハジメ"である。
    (あくまでこの世界では。)



    突然の臨時休業ということもあり、
    社員であるハンジは勿論の事、
    アルバイトのペトラに関しても、
    初日、2日目分に有給が支給される上に、
    それ以上の出勤時間を求める場合
    交通費支給で隣町の同店舗への
    ヘルプという選択肢もあったのだが・・・




    ハンジ「うっへへへ・・・せっかく
       突発で休めるってのに
       これが他店へのヘルプ等という
       事にむざむざ費やそうなんて
       無駄遣いがあろうかぁ・・・・!

       おもっきしグデグデするぞ~!!」
       トポトポ・・・・



    ハンジは見ての通りの理由で。



    また、ペトラについては、
    “夏が近い”という言葉をしきりに
    うわ言のように繰り返し、まるで戦を
    数日後に控えたもののふの様な面持ちで
    休業期間中の休暇を申し出ていた。




    ハンジ「ぁ”~~極楽。。」




    ―――そして現在。



    内容にしても、その姿勢にしても
    非常にだらしない格好で独り言を
    呟き、誰にも見せられないほどの
    締りの無い顔でグラスに残りの炭酸を
    一気に注ぐハンジ。


    コタツテーブルにもたれ掛るその
    だらしない姿は・・・今巷で人気の
    脱力系・生もの系マスコットキャラクターそのもの。
  4. 4 : : 2015/06/07(日) 23:09:11



    ハンジ「(しかし・・・まだ寝に入る訳には
        いかないんだよな・・!奇しくも
        素晴らしい神の偶然か・・、

        この臨時休業を見越して
        いたかの様に・・・実は今日、
        時間指定の出来ない通販の
        荷物が午前中に届く事が追跡で
        分かっている・・・!!)」



    心の中で本日自らに課せられた
    回収任務の内容を反芻し、また、その
    注文している荷物の内容も反芻する。

    そして非常にだらしない・・・というより、
    だらしねぇ笑顔を、誰が見ている
    訳でもない空虚な部屋の壁面に晒す
    ハンジ。


    その笑顔の質から言って・・・おそらく
    受け取るべきブツの内容というのは・・・
    おいそれと他言できるものでは
    ないのだろう。




    ハンジ「(っへへへ・・・♪楽しみだなァ
        何せこんな直球なモンを
        買うのは初めてだからなぁ・・

        ぁ・・?ぁあ、うん!//
        勿論アレは花咲く乙女の
        女子力アップの一環として?

        心身ともにリフレッシュする為の
        器具なのであって・・・?
        別にやましい事に使う訳じゃ
        無いんだし・・・?///

        こんなに緊張しながら待つ
        必要性も無いワケだけどね??)」



    ・・・等と誰に聞こえている訳でも無いのに
    言い訳がましく己が内の世界にて
    うわ言のように呟く。


    相当だらしねぇ事に脳内の演算領域の
    大半を割いている為か外見的にも
    相当その表情はだらしねぇ事に
    なり果ててしまっている。



    ハンジ「(・・・しかし念のためだ・・
        初めて買う事でもあるわけだし
        名義まで偽名で注文したんだ。

        ここは服装もそれっぽく
        野暮な感じに・・・というか・・・
        うん、もっと思い切って
        こう・・・(小声))」ブツブツ・・・・



    やはり心の中で反芻するだけでなく
    独り言としてその内容が部屋の中に
    駄々漏れになってしまっている事に
    自分でも気付いていないハンジ。


    独り言を呟きながらも
    カラーボックスから引っ張り出した
    いくつかの服を姿見で試着し、その
    外観チェックを行っている。


    ・・・もしもこの光景を覗き見なり、
    盗聴なりしている者が居たら・・・
    幾らかの気味悪さを覚えるかもしれない。



    ハンジ「・・・・ぅっし!!コレで決まりだ!!
        いやぁ、流石だね。この容姿に
        感謝する時がこのような形で
        やってくるとは・・・」クル・・


    回れ右。。




    ハンジ「うん!これなら何処から
        どう見てもおと...





    しかし・・・・そんな来るべき
    配送物を待ち焦がれる乙女心を躍らせる
    ハンジを他所に・・・“それ”は着実に
    音も無く迫りつつあった。




    部屋の中に自分以外の生物がいる事は
    もはや第一種戦闘配置を敷く以外に
    対抗措置はないといった人間からすれば
    ・・・・・


    その心を例外なく凍てつかせる
    情け無用の刺客が今・・・・ハンジの部屋に、
    そして浮き足立つハンジの
    感覚器官に無神経にも土足で
    踏み込んできた。

  5. 5 : : 2015/06/07(日) 23:11:24








    ,,,,ッサ・・・






    ――微音。







    ハンジ「ッー――ー」ピクン


    その時、ハンジの内に搭載されている
    生態センサーが不穏な影を僅かな
    瞬間だけ察知する。


    それは本当に僅かな・・一秒の半分程の
    瞬間であったが、その“影”はたしかに
    ハンジのメガネで補強され得ない
    視界内に踊っていた。









    ハンジ「---」ッパン!!



    振り返らずともその領域が十分
    有効探知距離であることを確信し、
    無表情にてアクティブソナーよろしく
    柏手(かしわで)を打ち鳴らすハンジ。





    ――カサッ




    瞬間、それに応じるように音響探知に
    かかる標的の立てる物音がハンジの耳に
    確かに届く。




    ――敵艦、6時方向。






    ふと上げた顔を更に上げ、
    振り返ったその彼方―――




    彼女の視線の先に飛び込んで来たのは・・・






       「――――じょうじ。」





    壁に貼りつき、こちらの索敵ソナーの
    到達を己が触覚にて機敏に察知して
    みせる・・・・・黒き侵略者の姿だった。






    ・・・・しかも3機編隊である。





    ハンジ「―――(蒼白)―――ッ」







        ガガタッ!!!!!!






    ハンジ「おぎゃあぁあああああ!!!

      \hooooo(´゚д゚`)waaaaaoo!!/

        出たァァぁああぁァァァ!!!!」ババ
        (履いていたスリッパ即脱)





    ダダンッ・・。!!





    ハンジ「死ぃぃィねぇぇええいィィ!!!!」

        チリ一ツ残サナイ・I☆CHI☆GE☆KI☆
         ‐==(╬ʘ言ʘ)ノシ




    ブォンッッ




    スッパァァァアアアアン!!!!!





      ヒュオンッ!!!      


              シャシャッ..!!




        「・・・・じょうじょ」




    カサカサカサカサカサカサカサ・・・・・・!!!!!!!!







    ハンジの渾身の一撃をヌルヌルと描く
    s字軌道のクランク走行で躱しきり、



    そこから次なる安全地帯へと
    一気に走破してみせる黒き三連星。



    気付けば何時しか其処にいる隠密性。


    そして見つけてしまえばここまでの
    存在感を放ちながらも決してその身を
    簡単には補足させない脅威の俊足。



    ――そう、ヤツらである。






    ハンジ「コンチキショウめがァァぁあああ!!!
        一体何処から紛れ込んだ!!!!!

        外からの侵入経路は間違いなく
        全て遮断されて居る筈!!!」





    ハンジもリヴァイに負けず劣らずの
    G嫌いであり、その進入経路として最も
    ポピュラーなルートであるとされる
    玄関の開け閉めにすら警戒を
    怠らない程のゴキ対策の徹底ぶり
    だったが・・・

    結果としてこうして賊を
    自らの敷居の内部へと招き入れて
    しまったのは紛れも無い事実である。





  6. 6 : : 2015/06/07(日) 23:13:34



    ササササ・・・・・




    ハンジ「っヌぇいッ!!!!ちょこざいな!!#

        ・・うろちょろと目障りな!!!!!」
        ガタンッ!!  ガタガタ





    家具の脚部の合間を縫って
    滑り抜けるかのような流麗な
    ジェットストリームアタックでもって
    尽くハンジの執拗な追撃をやり過ごす
    不快害虫三連星。その動きは
    互いに意思の疎通が取れているようにも
    見え、若干気味が悪い程。



    ハンジの視力で流石に動体視では
    気付きようもない事だが・・・
    そのG達は明らかに既存のゴキとは
    異なる出で立ちをしていた。


    そう、それはリヴァイの部屋に大挙して
    押し寄せた彼らよりもである。




    ハンジ「必ず粉微塵に殴殺して
       やるからな!!!それまで精々
       この私を楽しませるが良い!!!
       (荒息)

       必ず追い詰め・・・・!例え便所に
       息を潜めようとも見つけ出し
       ・・・・・!!そして一思いにこの
       聖剣・パタパタスリッパで・・・!!」
       ゲボハハハハ・・・・;!



    これまで数多くのGを屠ってきた
    東方不敗たる伝家の宝刀を握り締め、

    まるで悪の大首領のような厳かな
    笑い声を上げるハンジ。・・・どうやら
    部屋に紛れこんだ賊が、通常のGとは
    異なる、リヴァイですら苦戦の限りを
    強いられた超生物である事にいまだ
    気付いていない様子である。



    ハンジ「ゲヘヘヘヘ・・・!楽には死ねんぞ・・・!

        よし・・・折角だから今年新入荷の
        アレを開けるか・・・!!」
        ピリピリ・・・・




    遂には物理兵装だけでなく
    一切の抜かりもないことに
    殺虫剤(BC兵器)の封まで開けるという
    徹底した迎撃体勢を敷き始めるハンジ。



    その爛々と輝く目は既に、
    戦争に恋焦がれる彼の武装親衛隊
    大隊指揮官のようですらある。



    ・・・・通常のGであれば幾ら地の利と
    俊足を駆使しようとも、この凶悪な
    広域殲滅兵器と直接打撃の無情なる
    合わせ技の前には無力にも
    叩き殺されるのみであるが・・・・





    相手は・・・ハンジの知っている
    昆虫類ではない。





    ダンッ!!




    ハンジ「ぜったいにゆるさんぞ
        虫ケラども!!!!じわじわと
        なぶり殺しにしてくれる!!!!」
        カッッ!!!!!!
        


    興奮のあまり階下の住人に対する
    配慮すら失念し、力強く踏み出す
    一歩とともにそう叫ぶ。



    ―――今ここに、大虐殺武力弾圧が
    始まろうという正にその時・・・。





    その呼び鈴は唐突に鳴らされた。








    ピンポ~ン・・・・♪



    ビクッ





    ハンジ「っ!!・・しまったそうか、
        それを待ってたんだ・・!
        (時計確認)

        は、はいはい~~!
        今行きますよ!!(低トーン)」
        ドタドタ・・





  7. 7 : : 2015/06/07(日) 23:15:26





    ―玄関―



    ガッ...チャ・・・




    ハンジ「はーい、すみませんお待たせ
        ・・して・・(低トーン)」ハタ・・




    何故か普段よりも幾らか低めのトーンで
    来訪者の呼び鈴に応じ、戸口を開扉する
    ハンジ。・・それと関係があるのか
    はたまた無いのか・・・服装も普段着よりも
    若干男性趣向の強い衣服を身に
    纏っている。(3/4丈パンツ+ポロシャツ)





    ――直後。

    ハンジはその場に凍りつき・・・

    ドアの覗き穴を事前に確認しなかった
    事を、海よりも深く悔いる事となった





    リヴァイ「・・・・お届け者です。・・・と、
       こちら、『中村・・半・・じ・...?
       ァ・・・?ナンダコレハ  
      (わざとらしく宛先を二度見)


    そこに立っていたのは・・・ハンジ本人が
    心待ちにしていた包みを小脇に抱え・・


    青白ストライプのTシャツを身に纏った
    良く知る馴染みの顔であった。

    訝しげに細められた瞼は大凡
    平時通りであるが、あくまでも業務時は
    客と従業員、というスタンスを
    崩そうとしないリヴァイ。


    それは目の前にいるのが旧知の悪友で
    あろうとも変わらないようだった。





    ハンジ「ぅお”お”ィっ!!!!」
        ガバッ





    リヴァイ「・・・・いきなりなんすか、。
       肩が痛いンですが」オハナシクダセエ





    ハンジ「あんっ・・・アッ・・・!!(;゚Д゚)」 
        (パクパクパク・・・!!)





    リヴァイ「あん・・・・?」
       ナンナンダイッタイ





    ハンジ「あんたは当然休みの殆んどを
        短期バイトにあてるって
        言ってたけど・・・・!!まさか・・
        まさかよりによって
        作川かよ・・・・!!!!」




    リヴァイ「・・・・悪いか。明日から
       二日は中休みだが」






    ハンジ「ホラホラ、敬語はどうした??;
        口調が崩れてるぞ~~」
        ンッン∼?





    リヴァイ「ならとっととお荷物に
       判を押しやがって下さい。
       (ズズイ)

       業務と関係の無い話にまで
       気を遣う道理はクソ程も
       御座いませんので。」チッ



    ハンジ「あぁ・・・はいはい、印鑑ね。
       (ってああ、偽名で頼んじゃった
       んだ・・・)サインでいい?」



    リヴァイ「・・・失礼ですがご本人様を
       お願いします。宛先では・・・
       『中村半次r・・・・
    ハンジ「・・・だから、それはわたし
        だから。」



    リヴァイ「失礼ですが・・・男性の方で?」
       シラジラ


    ハンジ「ぁア、そうだよ!?
        そうだとも!!?何か文句でも!?」



    リヴァイ「・・・いえ。何処からどう見ても
       そうでした。これは失礼を(プス)」



    ハンジ「(イルぁッ(ꐦ`;ω;´))」





    リヴァイの貴重な含み笑いだったが
    生憎今の状況を鑑みるに全く
    ハンジにとってそれは嬉しくない
    笑顔であった様子。 


    苦虫を噛み潰し、握りしめる
    拳と共に下唇を噛みしめて怒りを
    抑え込み、震えるもう一方の手で
    偽名の通りの苗字をサインするハンジ。
  8. 8 : : 2015/06/07(日) 23:17:52



    リヴァイ「・・・・(受け取り紙面を一瞥)
       ハイ・・・。では確かに。
       おっと、御取扱いにご注意を。

       “パソコン部品”だそうですんで」 
       ピクピク




    そう言いつつ踵を返すリヴァイの肩が・・・・
    肉眼で確認するのは困難であるほど
    小刻みに震えていたのは言うまでもない。
    ・・・しかしその表情には全くと言って
    いいほどブレがない。

    ・・・・尤も、リヴァイと長年の付き合いがある
    ハンジにはその変調も手に取るように
    察知できてしまうのであまり意味は
    無いが・・・。




    ハンジ「~~~~~~~~~~!!!」
       (声にならない怒りの慟哭)




    と、そこでハンジがふと
    思い出したかのようにリヴァイを
    呼び止める。




    ハンジ「・・・・そういやリヴァイあんた
        今、明日から二日休みだって
        言ったけど・・何か聞いてる?
        あの予定が早まったバー...


    ・・・・・シャッ



    リヴァイ「ッ・・・・・!?」ヒュッ




    そこまで言いかけた所でハンジの真横を、
    玄関外へ向けて駆け抜ける一陣の
    黒い流星.....

    自らに向かって接近してくるその影を
    視界に収めるなりあまりに唐突な
    敵襲に思わずリヴァイの顔面が蒼白と
    なった瞬間。




    ハンジ「ッシャラァアアアアア!!!!」

    ッパァアアアアン!!!!!ギチッ。。



    しかしそんな不意を突かれる事すら
    織り込み済みであったかの様な超反応の
    神速スリッパが黒き星を確実に仕留める。
    凄まじいまでの反応速度である。





    ハンジ「erst((いっぴきめ))ゥ...(^ω^)

        ッフフフフ・・・言った筈だ・・・
        楽には死ねんとな・・・!!身体が
        ばらけない程度の手加減は
        した・・・・!!さぁ、処刑の時間と
        行こうか・・・・!」スッ・・



    床に押し付けたスリッパを
    持ち上げようとしたハンジの眼に・・・
    そしてその様子を真横で見て居た
    リヴァイの眼に・・・次の瞬間、
    信じられない光景が飛び込んで来た。





        「じょうじっ」



    ババッ!!  ササッーーー!!!!




    ハンジ「!!!???何ぃッ!!!??」
        Σ(;゚Д゚)



    ――無傷。



    なんと事もあろうに、いくらボディが
    四散しない様にと手心を加えたとはいえ
    ハエ叩きを遥かに超えるスリッパによる
    重打撃が、間違いなくその身体の芯を
    捉えたにも拘らず・・・・


    スリッパがどかされたその下から、
    全くの無傷で再びソイツは駆け出したのだ。





    リヴァイ「ッ・・・!おいメガネ!!気を付けろ!!

     
        っそいつは・・・・!!


       ―――そいつは!!!」





    リヴァイの貴重な焦燥シーン。





       「じょうじ」



    続けざまに部屋の奥から現れる
    二匹の増援。




    リヴァイ「みてくれ(▪▪▪▪)が他とは違う奴だ・・・・!」




    リヴァイの脳裏に嫌が応にも
    フラッシュバックする・・在りし日の邂逅。

    早朝の自室に単騎で現れ、まんまと
    戸口解放の隙をついての戦線離脱を
    成し遂げた・・・あの戦 士(オサムシゴキ)との邂逅。
  9. 9 : : 2015/06/07(日) 23:19:51




         「じょうッ!!!!」



          ブァッッ!!!!

       ブババババババ・・・・・!!!!!







    ハンジ「ギャァアアア!!!と、
        翔んだぁあああ!!」ヒィィィ!!!



    人類の本能にインプットされた
    飛行生物からの襲来に思わず身を
    竦めてしまうという条件反射を巧みに
    突いた戦略は見事に功を奏し・・・・


    その場にあ然とする二人を置き去りに、
    まんまと潜入任務を終えた3匹の賊は
    屋外の青空へと消えて行った・・・・





    リヴァイ「一匹だけは走って
       逃げてったな・・・ハンジの
       スリッパで僅かでもダメージが
       あったって事か・・・?それとも・・」
       ハッ・・・・




    リヴァイ「おっと、こうしちゃいられねえ!
       他の部屋の分もあるんだ・・・・

       そういう訳だ・・・・じゃあな」
       ダッ・・・・





    自らの仕事を思い出し足早に
    その場を去るリヴァイ。



    ハンジ「ク・・・・くっそぅ・・・・まんまと
       ・・まんまと三匹とも逃がして
       しまった・・・・!(悔し涙)

       
       って、ああ!!そういや
       リヴァイに聞かなきゃいけない
       事があったんだった・・・!!

       ラインでも入れとこうかな・・」
       コトッ・・・・



    その場に膝を付きながらも  
    傍らに置いた配送物に目をやるハンジ。




    ハンジ「・・・・・・。」



    箱の大きさは大きなサイズの
    ボックスティッシュの箱を更に
    5センチ以上奥行きを伸ばした程度。

    貼り付けられた伝票には、
    内容物として“PC部品”とだけ
    記載されているものの、

    手に取ってみた重さの偏りなどからも、
    ある程度パソコン部品がどのような
    サイズで占められているか
    知っているものならば
    中身がそうでないというのは即座に
    見抜ける。




    ハンジ「折角だからこれ開けてからでも
        いっか・・・・。あいつも仕事
        終わるの夕方とかだろうし・・」
        ニヤァ・・・


  10. 10 : : 2015/06/07(日) 23:22:38



    ~現在公開可能な情報㉟~





       黒い三連星



    ハンジの部屋に突如として
    スリーマンセル編隊で来襲した
    漆黒の尖兵。リヴァイの居城に巣食う
    彼らと同じく、人智を超越した
    不快害虫・テラフォーマーこと、
    じょうじ。



    しかし、非常に厄介な事にこれら
    三体はリヴァイですら白兵戦で
    手を焼いた末、まんまと逃げ果せられた
    あのオサムシじょうじと同じく、

    其々“ある昆虫の特性”を受け継いだ
    特異個体である。通称バグズ型じょうじ。





    マッシュ


    ゲンゴロウベースのテラフォーマー。

    下水管などに設えられている害虫侵入
    防止用のトラップ構造を難無く得意の
    潜水スキルで掻い潜り、随伴する仲間の
    進入を手助けできる、非常に厄介な固体。
    また、その独自の呼吸法が強みとなり、
    石鹸水やられ、それからどのような
    強力な毒性を持つ殺虫剤に対しても
    かなりの耐性を持つ。




    オルテガ


    クロカタゾウムシベースのテラフォーマー。

    何と言っても特徴的なのは、その
    鋼のような外殻と、それに支えられる
    全身の絶対的な防御力であり、
    これがどれほど凄まじい物であるかと
    言えば、スリッパ程度の武装では
    どれ程強烈な打撃を見舞おうとも
    その攻撃は致命傷に成り得ない程。

    また、豊富に蓄えた動物性たんぱく質
    から強靭な最大筋力も手に入れており、
    後述の相方と力を合わせた際の
    最大仕事量は、人間が昆虫類に対して
    抱いている生半可な予想を遥かに
    裏切る驚愕の結果を産みだす。

    受け継いだベース由来の欠点として
    動きが若干鈍いことと、翼を展開しての
    飛翔が行えないというものがあるが、
    それすら気にならない程の圧倒的
    堅牢性を誇る。



    ガイア


    パラポネラベースのテラフォーマー。


    ご存知力持ちの代名詞として名高い
    アリ。それも原作中同様、密林では
    現地人にすら恐れられる軍隊アリを更に
    上回る体躯と凶暴性で知られる、
    通称弾丸アリの名を欲しいままにする
    パラポネラ。その遺伝情報を己が身に
    宿した超怪力のテラフォーマー。

    ハンジの部屋にてその活躍を披露する
    描写こそないが、自重の百倍に匹敵する
    物体を運ぶ歪みねぇ最大筋力は
    じょうじ本来の持つ筋力と相乗効果を
    発揮し、更にとんでもないマンパワー
    ならぬ、バグパワーを発揮するに
    至っている。


    単体でも引き戸程度ならこじ開けて
    しまう膂力。
    更に随伴のクロカタゾウムシじょうじとの
    タッグが成立した場合、なんと
    マンション等の扉に設置されている、
    郵便物ポストの開閉まで虫の体躯で
    ありながら、内外どちらから問わず
    行えるという驚異の怪力を発揮する。


    これにより、3匹、若しくは2匹の
    タッグが組まれてしまえば如何に
    通常ゴキの侵入を阻む対抗措置が
    敷かれて居ようとも、それは全くの
    無意味であるという事になってしまう。
  11. 11 : : 2015/06/09(火) 00:19:09




      ~それより一時間ほど前~





    ―作川急便配送用軽トラック車内―





    リヴァイ「(前回短期で入ったのは
       いつだったか。・・・コネは後々
       役に立つもんだな。ナイルの奴も
       たまには役に立つ。)」



    通常どんなに忙しかろうが、リヴァイが
    いかに多種多様な車両免許を
    所有していようが、

    ・・・そして、以前短期で配送の
    アルバイトを数回手伝っていようが

    このようなアルバイト単独による
    配送業務を任せようなどという冒険を
    会社側がOKする筈はないが・・・

    そこはSSという土俵の自由度と、
    リヴァイ、及びエルヴィンの人脈のなせる業。

    つまり適当な物語のご都合によって
    リヴァイは軽ワゴンサイズの車両のみの
    運転という条件付で、ほぼ通常の
    配送員と同じ業務を単身こなす事が
    出来る許可を受けていた。




    リヴァイ「(一人で運べるのは気負いせずに
        済んで良いんだが・・・・)」



    ガサ・・・   ガコ・・




    自身の配送分の荷物達を一通り一望し
    短い溜息を吐くリヴァイ。





    リヴァイ「(知り合いの所へ送る荷物が4つも
       あんじゃねえか・・・・。

       態々短期バイトの内容を知らせに
       行くみたいで気が引けるな)」
       チッ・・・・




    急な短期バイトの取り付けに対する
    ナイルの意趣返しか、はたまた
    全くの偶然か、その配送物の内
    4つの荷物の送り先には良く知る名前が。
    (一つは偽名らしく、住所のみ一致)




    リヴァイ「(っつぅかオイ・・・・毎回突っ込んでる
       気がするが・・・・何がどぅーなると
       国際指名手配犯の実名義宛の
       配送物がこうして何事も無く
       運ばれる事になるんだ・・?;)」




    ガサ・・・




    リヴァイ「(それで何故あのメガネが偽名を
       使ってやがるんだ・・・?

       何々....
       
       ・・・PC部品だ...?送り主も
       何屋だか特定のし辛ぇ名前だ・・・

       ・・・・何かヤバい薬品類じゃ
       ねえだろうな・・・。(ガコガコ)まあ、
       流石に客の荷物を空けるなんざ
       従業員としてどころか人の道から
       外れてるからな・・・先に
       ミカサの所に行けば・・・凡その
       内容物は空けずに特定できる。

       一応危険なものでないか
       どうか・・・・それだけはそこで
       確認しておくか)」







    リヴァイ「(しかしこっちのミカサ宛の
        荷物の片方は・・・送り主が
        まんまジジィ(ケニー)名義じゃ
        ねーか・・・・・・・!

        国家権力は一体何をやって
        やがるんだ・・・・?!

        この住所に行けば速攻確保
        だろうが・・・・!間違いなく
        俺の二つ隣の部屋番号で
        番地も相違ないものが書かれて
        るってのに・・・!)」





    その場で誰にぶつけたらいいのか
    分からなくなる、やるせない怒りを胸に
    握り拳を震わせてイラつく
    リヴァイであったが・・・・





    リヴァイ「(・・・やめだ。

       そもそも俺は今運び屋の仕事を
       一任されている一つの荷車に
       過ぎねえ・・・ならばやる事は一つ)」



    ガコッ・・・




    [エンジン始動]




    リヴァイ「(与えられた仕事を言われた
        通りにこなすのみだ・・・・。

        相手が指名手配犯だろうが
        毛むくじゃらの巨人だろうが
        何だろうがそんな事は
        どうでもいい・・・・)」




    ブォゥ・・・・




    リヴァイ「(まずは・・・・ミカサのマンション
       ぐるみの荷物だな・・・。少々
       ハンジの荷物の件で時間を
       とる可能性もある。マンション
       別室分は先に全部終わらせるか)」
       



  12. 12 : : 2015/06/09(火) 00:22:40




    ~それから数十分後~





    ―ミカサ部屋―



    ピンポ~ン♪
    ミカサ「はい。」ガチャ





    リヴァイ「ッ;作川急便です。お荷物を
       お届けに参りました」




     今・・早押しクイズみてえなタイミングで
     ドアが開いたぞ・・・・




    ミカサ「嬉しい。心待ちにしていた」
        パアァァ・・・




     しかもどうやら俺が運んでいる事に
     驚いてもいない様子からして・・・

     事前に俺が来る事くらいは予測できて
     いた風だ。・・・まあ今更こいつと
     ジジィに関しては何をやってのけても
     驚きはしねえが



    心の中で嘆息を漏らすリヴァイとは
    対照的に、滅多に人に見せない
    淡い笑顔と同時に両手を胸の前で組み、
    本当にその荷物の到着を待ちわびていた
    様子で喜んでみせるミカサ。


    その笑顔は彼女の物としては別格の
    輝きを放っていた。





    リヴァイ「荷物は・・・二つありますね。
       此方と此方に・・・印鑑を・・・・」




    そう言いながらみかん箱より少々
    大き目のダンボールと、もう一方の
    ケニー名義で送り出されている大き目の
    アタッシュケースを静かに玄関内に
    置くリヴァイ。荷物に関しても、
    余計な詮索を一切しない。

    片方のダンボールに関しては・・・
    送り主の店舗名が某大型アニメグッズ
    チェーンのものになっていたが、
    それについても一切触れないリヴァイ。




    ミカサ「昔から仕事熱心なのは
        リヴァっちの良い所だが・・・

        私は普段通り話して貰えると
        “客として”助かる」
        グッ・・・  グィ・・・



    二つの荷物伝票に捺印をすませながら
    そう言い放つ







    リヴァイ「・・・そういうことなら心置きなく
       普段どおりに聞かせてもらうが・・・

       俺が来るって分かってたのか、
       今。」







    ミカサ「・・・・いかにも。」






    リヴァイ「・・・いかにもってお前・・・;
       ・・・・まあいいか。」



    少し考え込むような間があったあと、
    ふと顔を上げたミカサが





    ミカサ「―――トビコマ。」







    リヴァイ「・・・・・??」



    唐突に何やら謎の固有名詞・・・
    ではなく、口調からして何かの名を
    呼ぶようにその単語を口にするミカサ。



    ――その直後。







    ???「っハーイ♪♪お呼びでしょーかっ?♪」
      ヴブ..ン・・・・






    リヴァイ「っ!!!??」ガバッ!!




    背後から突然響いてきた甲高い子供の
    物と思しき声色に思わず身を竦ませて
    振り返るリヴァイ。




    リヴァイ「ォイ・・・・まさかとは思うがコイツは」



    これに近い擬態効果を彼は既に己の眼で
    何度か確認している。



    マンションの廊下手摺部分に突如
    周囲の風景を切り取るかのように
    姿を現したその物体は・・・・



    今時分、ニュースでよく見かける
    “あの”ラジコンヘリに近いフォルムの
    一つの機械だった。

    正面中心部には常に動き回る
    球状のカメラユニットが備わっており、
    そこが動き回る様子は・・・その部分だけ
    注視すれば、

    あたかも首と複眼をしきりに動かす
    トンボの様に、生物的な動きに
    見えなくもない。
  13. 13 : : 2015/06/09(火) 00:25:21





    ミカサ「察しのいいリヴァっちなら
        もう大体説明しなくても
        分かると思うが・・・。そう。
        “ソレ”も・・・・叔父さんの
        製作物の一つ。

        自律思考行動統制型ドローン
        ・・・・略称・・・トビコマ・・・」





    トビコマ「“ソレ”って!ひどいなもぅ~!

        差別発言反対!!人工知能蔑視
        はんた~い!!!♪」キュル・・キュル




    ミカサの言葉に逐一生き物の様な反応を
    見せ、センサーユニットと
    ロボットアームを交互にうごめかす
    そのドローン。見れば見る程その動きは
    とても機械が見せる反応とは思い難い。





    ミカサ「・・・・すまない。

        ・・・・つまり、“その子”に
        リヴァっちの動向を集配所から
        見守らせていた。・・・流石に
        追跡でみつけてから、その
        配送業務がリヴァっちの
        手に一任されたのは偶然で
        驚いたけれど・・・・

        書店の仕事はどうしたの・・?」




    リヴァイ「成る程・・・・色々ツッコミどころは
       佃煮にしても尚腐って廃棄処分に
       するほど余ってるが・・・・

       とりあえずは理解した。
       書店は・・・というより駅中の
       テナントは全部臨時休業だぞ・・

       空調設備の不具合だってよ・・・」
       ゴソゴソ・・・・





    ミカサ「・・・・なるほど。分かった。
        私もリヴァっちの仕事を
        これ以上邪魔したくは無い。

        エレンが今居なかったのは
        残念というべきか、幸運と
        言うべきか迷う所だが・・・

        とりあえず私はこのあたりで
        リヴァっちの拘束を解くことに
        しよう。・・・お仕事、頑張って」
        ヒラヒラ・・・



    そう言ってうっすらと浮かべる笑顔と
    共に掌を振るミカサに・・・リヴァイは
    先程のハンジ宛と思われる包みを
    差し出してこう切り出す。





    リヴァイ「コイツの中身に・・何かの薬品類だとか、
       ・・・・例えば瓶詰めとかが
       入ってないかどうかだけ確認して
       貰えねえか。・・・・ホラ、あれだ。


       此間ジジイ絡みでやらされた
       あの、黒い球の中に入ってた
       ゴツい鉄砲だ・・アレがあれば
       中に大体どんな形のモノが
       入ってるか察しが付くだろ」

       ハシッ・・・・



    そういって荷物をミカサに渡すリヴァイ。
    Xガンの透視機能を検閲に使えるのでは、
    という趣旨の発言も同時にするが、
    あくまでその確認についてはミカサに
    一任させる姿勢を貫くリヴァイ。




    ミカサ「・・・・なるほど」
        ウケトリ





    リヴァイ「俺は今、あくまで配送員の
       一人でしかねえ。そいつの
       中身がアブねぇモノで無いか
       どうかは・・・・お前が判断して
       くれればそれで良い。

       あのバカが偽名なんざ使わなきゃ
       こんな面倒な事はしなくて
       済んだんだがな・・・・念には念をだ。


       アイツの作り出すヤクは冗談抜きに
       物騒極まりねぇ。もしもソイツが
       その原材料になるとこの場で
       判断できたら・・・

       その荷物は一番最後に、俺が
       私服で届ける。」
        



  14. 14 : : 2015/06/09(火) 00:28:59






    ミカサ「・・・・極めて了解。

        ・・・・トビコマ。叔父さんと
        繋げられる?」







    トビコマ「ハ~イ!!お安いゴヨーで~す!!」
         ジジッ・・・ガザガザ・・





    トビコマ「(隊長――~♪)」





    音声出力が内篭った音声を響かせる。




    トビコマ「《・・・ぁあん?ぉう、?
        ミカサか・・・・!おぅどうした
        どうした!!何か俺に用か???

        っつか荷物は届いたかよ!》」





    そして若干のノイズ交じりにその場に
    響くケニーの声。





    ミカサ「ありがとう。今届いた・・・・。

        私からも叔父さんに送った
        荷物が・・・じきにそちらに
        届く手筈だ。楽しみに
        待っていてほしい。」





    トビコマ「《ぁ~ア♪楽しみに待ってるぜ
        ・・・甥っ子の囚人服姿をなw》」
        ケハハハ・・・





     野郎・・・・ミカサが知ってるくらい
     だから特定厨たるコイツが俺の現状を
     把握している事に今さらなんの驚きも
     有りはしないが・・・





    リヴァイ「囚人服じゃねえ。全国の作川
       配送員を敵に回す発言は程々に
       しておけよジジィ・・・」ギリッ・・・




    ミカサ「・・・早速で悪いのだが・・・
        叔父さん、用件だけを手短に
        伝えたい。」



    トビコマ「《ぁあ、もう送ったぞ。
        トビコマの音声ログを今
        確認した。しっかしリヴァ~イ
        ・・・・おめぇって奴は何時から
        乙女の荷物を盗み見しよう
        なんて腐った人間に
        成り下がっちまったんだ・・・

        オィちゃん悲しくナッチャウ》」




    リヴァイ「お前にだけは言われたくねえ。

       今巷を騒がせてるアレに便乗して
       こんなけったいな空飛ぶ
       出歯亀まで造りやがって。

       衛星に飽き足らず今度は
       ラジコン遊びか。いい歳こいて
       実におめでてぇ事だな。」



    トビコマ「???タイチョー!デバガメとは??」



    トビコマ「《あっコラおめぇ勝手に喋るな!
        今オレが話してんだからよ!!》」


    トビコマ「ぁ∼イ!!スミマセ~ン♪」





    リヴァイ「そもそも何故ラジコンが喋る
       必要がある・・・・(溜息)」




    ミカサ「・・・リヴァっち・・・
        箱の中身の透析は大体終わった」
        キュゥゥン....



    リヴァイ「・・・・ぁあ、態々苦労を掛けたな。     


       ・・・・・で、どうだった」




    ミカサ「ガラス、プラスチック容器
        問わずその様な入れ物が
        入っている気配はない。

        入っていたのは数枚分の
        大容量記憶媒体と・・・・」



    リヴァイ「・・・・・」




    ミカサ「丸くて太くて強そうなもの」




    リヴァイ「・・・・・・それじゃ分からねえな・・・・
       大凡の形状は」



    ミカサ「どこかでこの形を
        目にしたことはあるのだが・・・
        どうしても適切な表現が
        ・・・・出てこない・・・」ムム・・・・
        ココマデキテル..






  15. 15 : : 2015/06/09(火) 00:31:40




    リヴァイ「・・・まぁいい。

       危険な香りがする内容物で
       なければそれ以上子細に
       中身を特定する必要も無い。

       なら俺は次のエリアに移る。
       エレンに宜しく・・・・ぁ..?」



    エレン「・・・・!!」パチクリ




    ばったり・・・・・・





    そこに大きな口を開けて立っていたのは
    たった今外出から戻ってきたエレン
    本人の姿だった。



    リヴァイ「・・・・よぅ。朝も早い内から・・
       何だ・・・・走り込みか?随分と
       汗まみれだが」



    エレン「はっ・・・!ハイ!!その・・・!
       こっちの世界での生活は・・・
       余りにも身体が訛っちまって・・・
       折角兵団で付けた体力を極力
       落とさないようにと・・・山まで
       ひとっ走り・・・・」ビショビショ




    リヴァイ「見上げた心掛けだな・・・
       じゃあなミカサ・・・。荷物の件は
       助かった・・・・」




    ミカサ「お・・・思い出した・・!」
        ッポン・・・!



    喉につかえてたモノが一気に
    とれたかのような澄んだ瞳で
    唐突に手を打つミカサ。




    リヴァイ「・・・・?思い出した・・?何をだ」



    ミカサ「その箱の中身・・・・!
        アレに形が非常に似ている・・・!」








    リヴァイ「・・・・聞かない方が良い気が
       してきたんだが・・・態々思い出して
       貰ったんだ。折角だから
       言ってみろ」





    ミカサ「宮崎県大崎市などで有名な
        あの伝統工げry...
    リヴァイ「よし、大体分かった。

       それ以上は・・・・もういい。
       態々悪かったな・・・。メガネの
       荷物を検閲した事実は全て忘れろ。
       危険物かも知れねえなどと
       本気で警戒してた俺が馬鹿だった」
       ザッ・・・ザッ・・・




    ミカサ「分かった・・・リヴァっちの
      言う通りにしよう・・・・」
      スベテナカッタコトニ...




    エレン「??、??;」





    表情を変えずにハンジ宛の荷物を
    抱えてその場を後にする

    リヴァイだったが・・・前方を飛行する
    トビコマにしか見えない形で・・・
    その表情を一歩一歩進む毎に
    相当気まずそうなトーンにまで
    落とし込んでいった....



  16. 16 : : 2015/06/09(火) 21:20:14

    ~現在公開可能な情報㊱~






     ケニー自作自律行動型ドローン


        “トビコマ”





    明るみに出るもの、出ない物含め、
    様々な問題を引き起こし、また、
    その引き金となり、今やその名称を
    聞かない人は居ないであろうという
    ラジコンヘリ型の自律飛行体。



    通称『ドローン』



    一言にそうはいっても、これを
    操縦者が自らラジコン同様に
    コントロールするタイプと、
    設定された飛行プログラム通りに、
    それから接近した障害物を搭載された
    センサーにて自動で回避するものとで
    様々な形式があり、また、その用途も
    様々であるが・・・・


    ケニー自作の、この“トビコマ”
    に関しては彼の『自立思考戦車』同様
    最新(ケニー視点なので地球外レベル。)
    のAIを搭載している、完全自律思考型の
    ドローンである。


    昼夜、雨天問わずに野外での行動が
    可能であり、、ケニーの使用している
    熱光学迷彩までもそのボディに
    実装されていることから、

    発生する飛行音を除けば恐ろしいまでの
    隠密性を誇る。


    おまけに命令時に受ける
    無線信号、及び機体の現在地をケニーに
    通知する無線信号も通常ドローンに
    使用される電子レンジや無線LANと言った
    雑多な要素と混信を起こす可能性が
    極めて低い独自の通信手段を
    用いている為、探そうとしても第三者が
    視覚的に見つける以外には発見手段が
    無いという物騒仕様である。


    様々な追加改造を行えるだけのボディを
    確保する為、一般的なドローンと
    比較するとその大きさは総じて大柄だが
    むしろ現在のテクノロジーでは
    ここまでの機能をこのサイズで
    実現するのは不可能とされている。




    主に課せられている指令は
    国際指名手配犯であるケニーにとって
    驚異と成り得る外敵(?)の早期発見、
    報告であり、それらと関連しそうな
    対象を発見次第屋外からの追跡を
    自律的に開始。これに関する情報を
    ケニーに送信する事が彼らの仕事である。


    ・・・つまり通常無線、軍用無線の傍受も
    其々の思考にて日常的に行っている。




    特に命令の無い昼間は建物屋上に
    着陸し、ボディ各所に仕込まれた
    陽光パネルに太陽光を受けて充電を
    行っているが、

    太陽光発電のみでこれら様々な
    トンデモ機能を維持し続けるのは
    とても現実的でない為、必要とあらば

    その精密な自立制御を活かし自身の
    ロボットアームによる
    家庭用コンセントジャックからの
    直接充電も行う電気泥棒っぷりをも発揮。


    暗視・望遠兼用の高精細カメラ、
    超小型ガンマイクを搭載し、屋外における
    幅広い情報収集を得意とする。


    また、自律思考型というだけあり、
    ケニーと直接の情報のやり取りを
    する際には何と喋る。
    (CV沢城さん&玉川さん)


    日本円にしておよそ一基500万からする
    程の超高額の生産コストだが、
    ケニーによる自主制作であるため、
    そのコスト計算には材料費しか
    算定の内訳に含まれていない。

    おそらく売りに出されれば
    その売値は1000万は簡単に超える模様。
    (そもそも熱光学迷彩の価格相場が
    現時点では妥当に付けられない。)



    そんな空飛ぶ500万円の札束達は、
    今日もリヴァイ達の生活圏内でもある
    ウォールチチブ界隈上空を十数基単位で
    縦横無尽に飛行し、

    パトロールという名の出歯亀行為を
    普通に行っている。









    ただ、完全自律とは言っても、
    管理者であるケニーから何らかの
    指令、若しくはミカサからの協力要請が
    出されるまでは、殆どが高所にて
    充電をしながら無線傍受に明け暮れる

    ・・・そんな日々である。が、
    本人(人?)達はこれも中々楽しい
    毎日であると語っている。


    あまり微笑ましくない活動内容として
    目に付いた同胞以外のドローンを
    片っ端から混信させて墜落させるように
    との命令も同時に受けている。



  17. 17 : : 2015/06/09(火) 21:30:09




    ――時は戻り・・・

    リヴァイが配送を終えて退却した
    凡そ一時間後・・・





    ―ペトラ部屋―




    ペトラ「お・・終わらぬ・・・!

        こんなの終わる訳が
        ・・ない・・・・!」
        ガタガタガタ・・・・




    机に齧りつき、数多の原稿と
    向かい合い、この世の全てを呪えそうな
    暗い眼を光らせ、壊れた笑い袋のような
    不気味な擦れ笑いを零すペトラ。



    恐らく夏の戦場(いくさば)に討って出る
    為に、同好の士と共に進めている
    “薄い書籍”製作の締め切り期日から
    必死で逃れようと、今尚こうして
    寝る間も惜しんで腐った原稿を相手取り、

    四苦八苦している最中なのであろう。




    しかし、今現在体力と精神の限界に近い
    ペトラにもたった一つだけ、心の支えに
    なる想いが確かにあった。




    ペトラ「(ッヘヘヘ・・・・///あの先輩の
        肩枕だけで私...私あと
        1050年は戦えるわ・・・・!

        地下帝国建造も夢じゃない..!)」
        ゲヘヘヘヘ・・・!




    カリカリカリ・・・・!!



    今迄に無い自信に満ちていた過去の
    自分と、その唯一の機会に得る事が
    出来た意中の人の温もりを何度も
    脳内で再生し、その頬を赤らめるペトラ。



    寝不足と心労で意識が飛びそうになる
    その度にこうして意識を覚醒させる・・・


    この手順を繰り返す事、
    作業開始から実に7回目である。





    もう既にそのような余力は、体力的には
    毛ほども残っていない筈であるが、

    壊れかけのネオンサインのような
    怪しい明滅を繰り返すその双眸を
    見るに・・・今彼女を突き動かしているのは
    唯一、その恐ろしいまでの精神力だけで
    あった・・・。





    ペトラ「(しかし・・・マジしんどいわ・・!

        これはマジでペンタブ導入して
        脱・アナログでいかないと・・・

        マジで死ねる…マジで!(;^ω^))」
        カリカリカリ・・・・シャッシャッシャ・・・・






    未だにデジタルでの画像編集ですらなく
    貼り付けたトーンに効果線を産みだす
    作業にマジマジと全神経を集中させる
    ペトラ。


    ・・・・最早削っているのがトーンなのか
    自らの残り少ない精神力であるのか
    自分でも分からなくなってきている。



    卓上に転がる眠○打破と、
    それが効かなかった為に上乗せに
    煽った驚○打破の空瓶がさらなる
    虚しさを・・・そして彼女の心に走る
    緊張感を演出している....



    ペトラ「I'm a thinker..とぅ~とぅ~
       とぅ~とぅとぅ~~♪♪

        ((( ᐛ )))φイヒッ・・・イヒヒヒ**★」
        ケタケタケタ・・・・


    シャカシャカシャカ・・・・



    ――ペトラの精神は既に限界が近かった。
    このままでは精神汚染も危ぶまれる程の
    危険な状態である。


    しかし、限りなく虚ろな眼と顔色とは
    裏腹に・・・原稿に着手するその両腕は
    まるで別の何かに操られるように
    猛烈な勢いで自らが完遂すべき作業を
    淡々とこなしていく。
  18. 18 : : 2015/06/09(火) 21:34:43


    原稿に着手し始めたのは先日の夜10時。
    今はとっくに陽が昇り、時計の短針は
    じきに正午を指し示そうとしていた。



    ピンポロパンポンピンポロパンポン♪



    ペトラ「!」ガバッ



    その時、突如鳴動する
    ペトラの携帯と・・・その画面に表示される
    一人の職場の上司の名前。





    (通話)
    グッ・・・・

    ハンジ「《やぁ~~ペトぁ~...

        元気してたぁ・・?》」グデェ・・・



    電話口から聞こえるのは何とも脱力感の
    付き纏うハンジのだらしない・・・否、
    だらしねぇ声。



    ペトラ「ハ・・・ハンジさん・・・?;
        どうしたんですか??
        随分声に締りが無いですが・・・
        まさか休みだからって平日の
        真昼間からおさけとか・・・;」
        エヘ・・・エヘヘ・・・




    ハンジ「《いぁ...、久々にね~・・・
        少しばかり激しい運動をして
        しまってぇ・・・いまちょっと
        休憩中なんで(ry..
    ペトラ「人が生き死にの瀬戸際で
        闘ってる最中に何っって状況で
        暇電かましてきてンですか!!
        (;`・ω・´)しかも何か、
        ム”――――って音聞こえる!!

        ハッ・・・・ハンジさんのぉ・・・・!!
        変態!!変態!!!変態!!!!」
        キョェェェェ!!
 (⑅∫°ਊ°)∫






    ハンジ「《ばっか、そりゃぁペトラ、
        アンタもおたがぃ様さぁ...
        何かもこっちみてーな笑い方に
        なってるぞぅ...

        ってか今でんわ大丈ぶぅ..?》」




    ペトラ「ぇえ..今デスかぁ(嫌)

        なんていうか・・・超大丈夫じゃ
        無いんですケド・・・」
        カリカリカリ・・・・!!



    ハンジ「《そかそかぁ、じゃ確認だけ
         手短にすませぅねぇ....》」
        (伸びをする様な呻き声)




    ペトラ「(即通話切っては貰えないのね)」
       シャシャシャシャ・・・・




    ハンジ「《ペトゥら....アンタさ、二日後の
        河原でやるバーベキュぅ~..

        ちゃんとリヴァイのヤツ
        誘ったぁ...?》」





    ペトラ「ェ・・・・?いえ・・・ハンジさんが
        声かけてると思って特に・・・」
        カリカリカリ・・・





    ハンジ「《うっそマジでぇ・・・!
        私も言ってないよ!!此間の
        押しの強さからいって....

        てっきりペトラが誘ってると
        思っててさぁ...》」



    ペトラ「ェッ・・・じゃあナンデスカ...?!

        センパイバーベキュー来てくれない
        んですか!??」ガバッ!!
        Σビリ



    ペトラ「  」




    ぎゃぁぁああああああ......




    ~ハンジサイド~




    ハンジ「んぁっ・・・!?ナンだオイ!!
        どうしたプェトラッ!!!?もひもひ!?」




    プツッ・・・・




    ――  ―――― ――――




    ハンジ「何だよもぅ~・・・切れちったぃ・・

        それじゃあたしが行くしか
        ねーってのかよぅ....」
        (ぐでたま...)




    ハンジ「もう一息してからイく....
        じゃなかった、行くかな...」
        ダリー・・・・,,,,



  19. 19 : : 2015/06/09(火) 21:37:43





    そして数時間後...




    ―海月荘・202号室・リヴァイ部屋―




    バタン・・・・..   ガチャ




    リヴァイ「・・・・長い一日だった・・・・」


    シャッ・・・シャシャ・・・



    帰宅と同時にまずは玄関の掃き掃除から
    始めるリヴァイ。無事一日の
    配送業務を彼はこなし終え、後は
    間に挟んだ二日の中休みに
    充実した趣味の時間を楽しむのみと
    なった訳であるが・・・・


    まずそちらの趣味に意識を向ける前に
    部屋の衛生管理を徹底する事の方が
    リヴァイにとっては先決である。


    長かった一日の中でも最も
    面倒臭かった身内への応対を
    振り返りながら。



    玄関口にいつの間にやら降りていた
    塵芥を敷居の外へと追いやっていく。



    リヴァイ「(まさか短期バイトの配送で
        自分ちの又隣に住まう身内に
        箱詰めされた野菜を届ける
        羽目になるとはな。・・・しかも
        その送り主も身内ときた。)」



    シャッ・・シャッ・・・




    リヴァイ「(ジジィ(ケニー)には制服をさんざ
        バカにされただけでなく運転中、
        配送中所構わずラジコンで
        撮った記念写真を十数枚、
        それも様々なアングルに
        分けたものを・・・・

        いつの間に手に入れたのか
        ラインアカウント経由で
        送りつけてくるしよ・・・・)」
        ピロピロ ウルセエッタラネェ・・・・



    ガタン・・・・



    戸口を閉め、引き続き台所の清掃へと
    移行する。


    ・・・・と、その時。




    ガタン・・・・



    リヴァイ「・・・・・・」




    心の中で噂をすれば、当の叔父の
    部屋の方角と思しき方から鳴り響く
    扉の開閉音。


    台所の窓を換気の為開いているので
    いやが応にもその様子は
    部屋の内側にまで聞こえてくる。





    ケニー「ふ~ふふンっふ~・・・・♪

        丸~々太ったァでっかいク∼マ♪」
        ストッ・・トトッ・・・





    何やら英語で歌詞を記入してしまえば
    JASなんたらどころか、もっと
    強大で恐ろしい物を敵に回して
    しまいそうな歌を口ずさみ・・・・


    スキップ歩調でリヴァイの部屋へと
    接近してくるケニーの気配。






    リヴァイ「・・・・・・」スッ



    無言で洗剤のボトルに手を伸ばすリヴァイ




    ケニー「ちわ~~ッ!!三ぃ河屋で~っ(ry

    ビシュッッッ!!!!!




    何の前置きも無しに台所窓の隙間から
    顔を覗かせたケニーの眼球目がけ、
    一切の躊躇なくボトル中の洗剤を
    噴射させるリヴァイ。



    水道水で原液から水増しされている為
    若干粘度の下がった石鹸水が・・・・
    リヴァイの強靭な握力でボトルより
    放り出される。



    その結果・・・・・・
    情け無用のバブル光線は何物にも
    阻まれる事無く、窓から覗き込んだ
    ケニーの片目へと吸い込まれ、そして
    着弾の勢いで散った泡を四散させる





    ケニー「ぁぁああ”!!!!眼が!!!目が!!!!」
       ゴロン・・・・ゴロン・・・・!!




    リヴァイ「ぉっと・・・悪ぃな・・・いきなり
       窓から顔を出すモンだから
       遂に等身大じょうじ共が
       地球に攻めて来たのかと
       思っちまった・・・・」シラジラ




    ケニー「フッ・・・クフフハハ!;

        話を聞いてくれません...!(涙)」




    リヴァイ「わざとらしい演技は止せ。
       どうせ目潰しなんざ効きも
       しねえ癖に。」





    ケニー「果たして北痘神げんこつ全勝者!!
        よく看破した...!

        しかしそれだけで私の謎を
        握ったことはならない!!」
        グハハハ.....!!




    リヴァイ「ニコニコネタを振って来ても俺には
       サッパリだぞこの壮年ニコ厨が・・・」
            


  20. 20 : : 2015/06/09(火) 21:41:50



    窓越しに顔に吹きかけられた
    石鹸水を拭う叔父を見下ろし、
    いつまでもそうしていても仕方が無い為
    さっさと単刀直入に本題へと
    切り出すリヴァイ。




    リヴァイ「・・・・で、ジジイ。俺に何の用だ。

       俺はこれから飯を作って・・・・
       それを明日の分のクソに
       成り替わる次弾として腹に収めた
       その後に・・・・

       めくるめく趣味の時間を
       堪能しなきゃならねえんだ…。
       二日の休みという素晴らしくも
       甘美なひと時と共にな・・・・・。

       ひいてはお前なんかに構っている
       時間はクソのついで程にも
       存在しない。要件を言え。」




    ケニー「チッキショぅめ・・・マジヤバな甥だな
        ・・・!!幾ら効果が無いとはいえ
        叔父の顔面に躊躇なく
        界面活性剤を浴びせかけるとは
        ・・・親の顔が見てみてぇぜ・・!」





    リヴァイ「・・・・お袋もアンタの変態性を
       嘆いてよく同じ事を言ってたが」





    ケニー「お前マジでクシェルには
        似てねーな・・・・!全ッ然
        可愛くねえ....!!!

        ミカサはあんなに可愛らしい
        姪っ子として毎日俺の
        目の保養に一役買ってくれてる
        ってのによ・・・・!

        あと絶対にお前が乗る事になる
        猫バスは地獄行きだよ。
        断言してやる。」





    リヴァイ「安心しろ。お互いに何を
       間違っても辺獄より手前で
       降ろされる事はねえよ。俺が
       保証してやる」ギリギリ・・・





    ケニー「下らねえ冗句はこの辺にして
        ・・・・おら、喜べ。貧困にあえぐ
        哀れな甥に食糧を恵んで
        やるってンだぞ・・・それも折角
        さっき死にたてのジビエ
        だっていうのに・・・・」ヒョイ・・・




    そう言って窓を少しばかり広めに
    こじ開け、広がった隙間から何やら
    熊笹に包まれた大きな塊をリヴァイへと
    手渡すケニー。


    その口振りから察するには何かの
    鳥獣肉であろうか。・・・しかしデカい。
    一キロは優に超えて居そうだ






    リヴァイ「・・・・・そこは新鮮って言えよ・・・


       食欲が失せる言い回しは止せ。

       それよりも何の肉だ、こりゃ・・」
       ズッシリ...





    ケニー「オレが歌ってた歌で少しは
       察しろよ。鈍チンめが。

       こっから向うの方に
       ず~といった、ほら、ナグリ村って
       とこがあンだろ~?そこに
       源六さんていう昔馴染みで
       知り合いの爺さんが土地の
       税金対策と有効活用っつって
       柿の木を植えてるんだけどよ。」





    リヴァイ「・・・・なんでそこであんたの
       知り合いの柿の木の話になって
       やがるんだ」ハヤクメシヲツクリタイ






    ケニー「まあ聞け。・・・その柿の木が
        ようやっと収穫となった
        こないだの冬ごろよ。

        やっとこさ樹に一杯
        ぶら下がった柿を・・・全部
        一晩で喰っちまった太ぇ
        野郎がいた。怒りに怒った
        源六さんによりソイツには
        チャオミーという名が付けられ・・・

        遂に先日俺にその太ぇ野郎の
        討伐依頼が舞い込んで来た。」




    リヴァイ「・・・・・・・・・」
      (無言で手の上の熊笹包みを静視)




    ケニー「その柿泥棒のなれの果てが

       ・・・今お前の手の平の上に乗ってる
       2㌔カットのロース肉って
       訳だな・・・・ワイルドだろぉ?」
       ゲッヘヘヘ・・・2㌔ダゼ!




  21. 21 : : 2015/06/09(火) 21:45:22




    リヴァイ「・・・・つまりクマ肉か」




    ケニー「んだ。・・・どうせおめぇ
        性懲りも無く地下行きの
        労働者みてえな献立で毎日
        そのちっぽけな腹を満たした
        気になってんだろ・・・・」






    リヴァイ「それで体調が崩れた試しは
       今迄ねえからな。問題は無ぇ」






    ケニー「馬っ鹿。そりゃーオメーの身体が
        普通じゃねーの。   

        …たまには肉でもガッツリ食って
        力つけな。俺もさっき喰って
        みたが・・・まあまあイケたぞ。

        きっとベジタリアンだったか、
        ハチの巣とかをメインに
        狙ってる奴だったんだろうな」




    リヴァイ「・・・一応聞いておくが・・・
       何で仕留めやがった。まさかとは
       思うが・・・・」



    ケニー「熊相手に散弾なんて使うか!!
        アホなの!?バカなの!!?

        ちゃ~んとスラッグで頭部を
        一撃さぁ・・・。真っ赤なバラが
        咲いたぜ」ッフッハハハ




    リヴァイ「・・・・なら鉛中毒の危険性も
       無いな・・・?」ジロリ・・・




    ケニー「しつけえぞ。・・・そもそも
        解体に立ち会ってくれたのは
        “あの”ミカサだ。あいつが
        アイヌ人もびっくりな解体上手
        だってのはオメェだって良く
        知ってんだろが・・・・」
        (舌打ち)






    リヴァイ「・・・それを聞いて安心した。

       まあ・・素直に礼を言っといてやる。
       多すぎるとはいえ一応貴重な
       食糧だしな・・・

       幾ら手癖が過ぎたとはいえ
       コイツは人間のエゴでこうして
       俺の手に食肉として渡る末路を
       迎えちまった訳だ。その辺の
       感謝も・・忘れる訳にゃいかねぇ。」
       ガタゴト・・・



    ケニー「・・・?」



    そう言いつつ、何やら茶箪笥を漁る
    リヴァイを窓から遠目に見つめる
    ケニー。



    リヴァイ「・・・・おら。流石に手ぶらで帰す
       訳にも行かねえだろ・・・。

       行きつけのスーパーで昨日
       半額だった総菜パンだ。

       ...持って失せろ。

       ・・・・俺の気がひょんなことで
       変わらねえうちにな・・・・」





    ケニー「・・・・いや・・・半額の総菜パン人に
       くれるのにそこまで葛藤する
       奴から、とてもじゃねえが受け取れ
       ねえよ・・・;(憐れな物を見る目)」




    リヴァイ「言ってんだろうが・・・!!俺の・・・
       気が・・・・!変わらねえウチにと
       ・・・・・なあ・・・・!オイ?」ギリギリギリ・・・


    みるみる内に悪鬼羅刹に憑りつかれた
    かと見紛う程の凶相に変貌するリヴァイ。


    相当半額の焼きそばパンを手放すことに
    抵抗があるのだろう。

    ・・・しかし、
    仮にも食の恩恵を受けた以上は・・
    その借りを少しでも作ったままに
    しておくのはリヴァイ自身のプライドが
    許しはしなかった様だ。

  22. 22 : : 2015/06/10(水) 20:44:10





    ケニー「意地っ張りめが・・・わぁ~たよ!;
        受け取ってやらぁな!!だから
        そんな怖ぇ~顔すんな!!;」
        パシッ・・ しなっ...





    リヴァイ「・・・そういやジジィ。

       唐突で悪いが昼間ミカサに
       送った荷物・・・あのケースは何だ」
       イマオモイダシタ




    ケニー「何だよオイ、配送員が客の
        お荷物の中身を聞くのか?」
        ニヤニヤ



    リヴァイ「ほざけ。危険物でないかどうか、
       それだけを聞いてるんだ。

       あんなけったいなシースルー仕様の
       ラジコンヘリみて―な物を平気で作って
       お空に浮かべて喜ぶ野郎が、一体
       どんな物騒なものを姪っ子に
       送りつけたのか、
       それだけをな。」





    ケニー「それなら・・・ミカサ本人にでも
       聞けや。そもそもアレぁ・・・
       “ミカサ自身に頼まれて”
       俺が修理・改造してた品だからな。

       危険かどうかは、正直な話
       人それぞれ印象が違うと思うが…
       
       まあ間違いなく持ってる事自体
       マズイ物ではあるだろうな。
       ・・・この国の法律的には。」





    そこはかとなく物騒な物であるという
    事自体は認めた供述であった訳だが・・・


    ミカサ本人からの依頼の品であるという
    事実と・・・珍しく真面目そうに言っている
    叔父の顔を一瞥して、リヴァイは
    それ以上何も追及しなかった。





    リヴァイ「とりあえず食糧の提供には
       一応・・・マジで一応だが礼を
       言っといてやる・・・」



    ケニー「はいはい。まあ、どーせ
        オレだってあんなの一頭分
        をどうやって処分しようか
        困ってただけだから別に
        気にするこたねえがな。

        まだ時間としちゃ早いが、
        オヤスミさん~」ヒラヒラ





    リヴァイ「・・・・・やっと静かに
       飯を作れる・・・・・」





    ハンジ「やぁ。」
        ヒョッコリ




    リヴァイ「ぅおっ !」
       ガタン




    騒がしい叔父の退却にやっと静寂が
    訪れたかと肩を落とすリヴァイだったが・・
    そうは問屋が降ろさなかった。


    安堵の溜息と共に緩んだ緊張感を
    撫でおろすのも束の間、

    先程のケニーと同じポジションで
    台所窓から覗き込んで来るハンジ。


    流石のリヴァイも今度こそは
    突然の訪問者の気配を掴めて
    居なかった為、これには大袈裟にも
    後方に飛びのきながら声を上げて
    驚いてしまう




    ハンジ「っはははwリヴァイったら
        大袈裟だなぁw驚きすぎww」




    リヴァイ「何なら代わって貰いてぇ位だ・・・
       完全に意識の内に無いとその位置、
       大分心臓に悪ぃんだぞ・・・・」
       ドキドキドキ・・・



    ガチャ・・・





    ハンジ・入室。





    ハンジ「よし・・・忙しそうだから用件だけ
        ぱぱっと言って帰るよ。
        お茶とかいいからねソコ。」
        ビッ




    リヴァイ「・・・・そうか(´・ω・)」カポン・・・・
       (茶缶を仕舞いながら)




  23. 23 : : 2015/06/10(水) 20:47:45




    ハンジ「明後日、何も予定入れてない??」



    リヴァイ「ぁあ。言った筈だ。明日明後日と
       続く短期バイトの中休みは・・・
       俺の趣味を充実させる為の
       言わば勤労感謝の(ry...
    ハンジ「よし、皆で河原に行こう!!!」






    リヴァイ「・・・・・(゜-゜)・・・・・・」





    リヴァイ「・・・・河原に何しに行くんだ」



    ハンジ「やだなぁ!河原といったら
        そりゃもうバー(ry
    リヴァイ「見て分かんねぇか。こちとら
       折角空いた、たまの休みに趣味を
       謳歌しようと浮き足立ってる
       真っ最中なんだよ。
       
       さっきはさっきでジジィが
       来やがってあろうことか・・
       (思い出し)ポン =3
       、、丁度良い所に来た
       ・・・おい、メガネ」パタパタ・・



    ハンジ「??」ヒョコ



    バコッ...

    (冷蔵庫開扉)


    リヴァイ「ジジイが唐突に捕り物の
       収穫だとか言って熊肉を
       持ってきやがってな。食料物資の
       舞い込みは結構なんだが総重量が
       2㌔を超えてやがる。

       こんなに肉ばっか喰ってられるか。


       ・・・テメェこれ半分持って帰れ。」
       ガチャ・・・・  チャキッ

       シュ...シュ...



    そう言いながら戸棚から取り出した
    ガンツソードを牛刀規格の刃渡りまで
    展開させ、丁寧にアルコール消毒する
    リヴァイ。



    ハンジ「・・・・?;;は?いや・・・
        何・・・・熊・・?肉?

        それって熊さんの肉って事?;」



    リヴァイ「他に何がある。
       そう言ってるだろ・・・。メガネ、
       テメエの胃袋なら1キロ余裕だな」
       スクッ・・・・




    ハンジ「ちょ、ちょっと待てって!;
        私、プーさんの肉なんて
        調理法知らねーよ!!

        第一乙女に向かって一キロ余裕
        とか平然と言うなよ!
        失礼な奴だな本当に!!」






    リヴァイ「入るかどうかは否定しないんだな」




    ハンジ「ゥムゥ・・・(唸)

        ん!?いや、ちょっと待て!!
        これは・・・・いや、お誂え向きの
        食材じゃないか!!」ハッ!




    リヴァイ「・・・・・・?」ガサガサ・・・




    ハンジ「そうだよ!そうだ!
        リヴァイ、やっぱりお前も
        一緒に河原にバーベキューに
        来るべきなんだ!!
       
        この大量のプーさんの欠片を
        そこで全部火にくべて
        みんなの胃袋に納めてしまえば
        それで万事丸く収まる!!
        
        ・・・・・ね?!我ながら名案
        だとは・・・・」




    リヴァイ「・・・なるほど、そりゃ名案だな。
       じゃあ更に500gほど持ってって
       貰うか。何人で食うんだ?
       それによっちゃ別にコレ
       全部持ってっても・・・・」



    ガッシィ・・・・



    ハンジ「お・ま・え・も・・・!
        来るんだよ....ぇえ?
        
        リヴァイ君・・・・!!!!」ギリギリギリ



    リヴァイ「・・・・・・」





    ハンジ「大体聞いてないのかよ!?
        確か本屋の店長にだって
        懇親会の決行予定が早まった
        折りは伝わってる筈だよ??#」





    リヴァイ「・・・・何をしやがる、首が
       痛ぇだろうが。
       
       ・・・・・
       ザックレーの爺さんは連休前に
       臨時休業と聞いた途端に
       その日の内から早引けして
       パチンコ三昧だ。俺に
       その手のイベントの開催日程
       なんか伝えられてねえよ。




       ・・・それに見て
       分かんねえか、今、極めて危険な
       刃物を扱ってる最中なんだ・・・

       加減を誤るとまな板どころか
       シンクまでバッサリイッちまう
       イカれた切れ味なんだ・・・

       こんな事で美鈴さんに補修代金を
       支払う羽目になってみろ、全部
       お前に弁償させるからな」




  24. 24 : : 2015/06/10(水) 20:50:32


    ハンジ「そんなコトは今どうでもいい!
        返答を聞こうか・・・因みに
        ノーは・・・
    リヴァイ「(溜息)・・・テナントぐるみで
       総動員ってコトは当然ペトラの
       奴も来るんだな・・・・。

       いいだろう。・・・・行ってやる」
      (深い溜息)




    ――歓喜に輝くハンジの顔。




    ハンジ「行くって言ったな!!?
        今確かにそう言ったな!!!?
        約束だぞ!!男の約束は絶対
        だからな!!後から別の用事が
        出来たとかそう言うの
        無しだからな!」ヒャッハーーー!!




    リヴァイ「その理屈だとお前も男じゃねえと
       この場合男の約束とは言わねえ
       んだが・・・」



    ハンジ「細かい事はどうでもいい!!
        
        とにかく明後日8時にうちらだけ
        マッグで待ち合わせな!

        他の従業員殆んどは現地集合
        だけど!」



    リヴァイ「河原でバーベキューするのに
       出掛けに朝マッグ喰ってくのかよ

       ・・・・雰囲気もクソもあった
       モンじゃねえな」




    ハンジ「そう言うもの一番どうでもいい
        って感性を持ってるあんたに
        言われたくないね」ヘッヘ・・・




    リヴァイ「折角の短期バイトの中休みが・・・
       ・・・・まあコイツ(ノートPC)は無論
       持って行くがな。

       河原には行くが、精々手を
       貸すのは肉焼く程度だぞ。

       俺には河原のレジャーなんぞに
       割いている時間は無いんだ」
       フン



    ハンジ「(コイツの性格なら十中八九こう
        言うと思ってたよ・・・!だが、
        概ね問題は無い・・・!問題は
        コイツが来るかどうか、という
        問いに・・・イエスと答えるか
        どうか、それだけだった・・!

        そしてもうその理屈で言って
        しまえばこの段階で作戦は
        殆んど成功したも同然・・!
        ペトラ・・・後はお前の押し
        次第だ・・・!)」ニヘラ・・・





    リヴァイ「(・・・・気味の悪ィ薄ら笑いを
       浮かべやがって・・・。何やら腹に
       一物どころか二物くらい抱えて
       やがる様に見えるが・・・・

       詮索はしないでおいてやる。
       ・・・・俺の趣味を邪魔さえ
       しなければな・・・)」
       ザパ・・・  ガチャ・・・ カタン・・・





    ハンジ「じゃ、明後日の8時な!
        遅れんなよ!!」ノシ





    リヴァイ「お前が言うな m9(・-・)

       俺が今までお前の知る場所で
       一度でも待ち合わせに
       遅れた事があったか・・・・。」




    ハンジ「アッハハハ!それもそうだった」
        




    リヴァイ「・・・・・(溜息)」



        
  25. 25 : : 2015/06/10(水) 20:53:12


    ― 一方その頃、リヴァイ部屋階下―




    ―102号室・リコ部屋―




    リコ「・・・・・・!」



    部屋の中央には何かの呼吸法で
    精神統一でも行っているのか、
    正座にてメガネの奥の双眸を静かに伏し、

    居間の静寂と一体となっているリコの
    姿が。今ならどんな生物も、リコの
    身体を生き物と判別できないであろう、
    という程の・・・。それは余りにも
    静かなる座禅であった。





    リコ「(聞こえる・・・・!!普段から
       大分壁の薄さゆえ音の通りが
       良いとは思ってたが・・・集中
       して精神を統一すればここまで
       はっきりと聞こえるなんて・・!)」




    ~~~・・・・~~~・・・・





    リコ「(何・・・・!?明後日のバーベキューに
       ・・・・202のあのお方も!!!?

       こ、これは聞き捨てならないぞ!?
       咄嗟に不参加にしてしまった!!

       急遽変更で参加の連絡を
       店長に入れなければ・・・・!)」ガバッ
       (携帯高速タップ)






    ――その心は煩悩一色であったが。










    ――数分後。



    リコ「(とりあえず・・・参加申し込みは
       間に合った・・・!(心の溜息)

       しかし・・・やはり近所のよしみとは
       言え、あちらには恐らく此間
       蕎麦を配りに来た時の女性と・・・

       それから今さっき来ていた女性も
       来るのか・・・?;

       これでは流石に参加するだけでは
       今一つ押しというか、印象強さが
       足りないな・・・;


       大体前から気になってはいたが・・・
       一体あの三人は互いにどういった
       関係で・・・・(悶々悶々・・・・))」













    ―――更に数分後



    リコ「ぇえい・・・!細かい事を気にしても
       仕方が無い・・・!まず河原といえば
       ・・・そうだな、

       普段出来ないアプローチとして、
       水着という装備品でもって、
       普段見せることが出来ない姿を
       見てもらえるという利点がある。

       たしか・・・・」ガタッ・・・・ガタガタ
       ブツブツ・・・




    ガコン・・・




    リコ「(あった・・・!)」




    自らの記憶の道標を辿り、転居から
    一度も蓋を開けていなかった
    キャリーケースの一つを取り出すリコ。



    リコ「~~・・・・」


    カチ・カチ・・・  ガパッ・・・




    淀みない手付きで自室の部屋番号を
    3桁ダイアルに合わせ、開錠した
    その中には・・・・



    夏物の余所行きと一緒に
    詰め込まれていた色取り取りの
    水着の数々が。





    どれも丁寧に丸めて折り畳まれているが
    殆ど使用された形跡は無さそうである。


    当然リコ自身にはこれほど
    買い集めた水着を着用する機会は無く、
    その殆んどはアパレルショップの
    季節外セール等で値段が半減した際に
    何となくで買い揃えたコレクションの
    山々である。


    整頓はキッチリしているというのに
    着用の目途が立たない物を買う
    無計画さをも持ち合せているのは・・・
    元居た世界の自身との違いの一つか。




  26. 26 : : 2015/06/10(水) 20:55:33





    リコ「・・・・・しかし・・・・;」




    ピラ・・・・




    リコ「(こんなの買う時・・・
       私は会計を躊躇したりして
       なかったのか・・・?!;)」
       全然キオクニナイゾ・・・;
       つ紐ビキニ



    ・・・・その意匠はどれも今の自分の趣味に
    合っていると軽はずみに言える物では
    なかったが。



    リコ「(ンンン...!!全く思い出せん・・・!!;
         (しゃがみながら頭抱え)

       強いて言うなら駅中の斜向かいの
       店ならよくセールをやってたから
       そこで何となく買ったというなら
       仕事後の疲れで意識が定かで
       無かったというのも頷ける・・・!

       ・・・・でなきゃ・・・・)」ピラッ・・・





    ―――ほぼヒモだけ(\♥WAO♥/).....





    リコ「(・・・・こんな凄まじく守備力が
       低下しそうな装備を、何の躊躇いも
       無く購入する訳がない・・・!!;


       地元じゃ絶対に着けられない・・!


       いや、何処に行っても着けられる
       ものか・・・・;!)」ピラリ・・
       ダイタイ ドコ カクスンダコレ・・;




    ジィ・・・・





    リコ「(いや・・・何処であっても
       着けられないと思うなら・・・
       そもそも私は何でコレを
       買ったんだ・・・?)」
       キオクニハ ナインダガ・・・




    リコ「・・・・・・」





    リコ「・・着けてみるか」
       イチオウ....





    ~試着~



    リコ「(改めてこの装備品は・・・・!;

       コレを本当に私が自身の
       財布の紐を緩めて買ったと
       いうのか・・・・!?な・・・納得が
       行かない・・・・!;

       そもそもこんなの
       つけて表をうろついてたら猥褻物
       陳列罪でお縄になるんじゃ
       ないのか・・・?!売る店も
       どうかしてる!!


       しかしこれッ・・・・


       クッ・・・!!くい込む・・・!!///

    ダメだダメだ・・!何か良からぬものを
       目覚めさせる前にこんな
       呪いの鎧は外さなければ!!)」
       ババッ・・・





    ~武装解除数分後~




    リコ「(改めて・・・無いな。アレは。
       誰も居ない場所でなければ
       赤面もせずに着けられる
       モノじゃ無い・・・・あと少し
       外すのが遅ければ鎧に魂を
       喰われて自我を失ってしまって
       いたかもしれない・・・・。。)」
       (水着畳みつつ)



    リコ「(きっと私自身はあの水着を
       目の前にした時・・・これを
       身に着ける人間の思想というか
       着用している時の気分が
       どうしても気になったんだろう。

       ともかく、貴重な経験にはなった。
       きっとあの装備品が衆目から私の
       恥部を守り通す日が来ることも
       無いだろう・・・

       ・・・・きっとな。)」(遠い目)



  27. 27 : : 2015/06/10(水) 20:57:20





    ゴソ・・・




    リコ「(青のビキニか・・・うむ、
       紐ではあるが割と普通だ。
       防御面積も拡大している。

       普通・・・なんだが・・


       こういうのはどちらかと言えば
       胸部に割と自信がある人が
       着けそうな印象が・・・;)」ポリポリ・・・
       サイズハ アッテルガ....




    リコ「(しかし・・・ほう。胸部に
       衝撃緩衝材(プロテクター)が入っているのか。

       私のような胸元が少し心許ない
       サイズにとっては頼もしい限りだ。
       転倒の際には若干の頼りになる。


       ・・・まあ、腹部が丸出しな時点で
       もっと他に布地を用いて防御を
       充実させる場所はあると思うが)」






    リコ「(取り敢えず着けてみる)」スル・・・





    ~数分後~





    リコ「(まあ・・・悪くは無い。
       悪くは無いんだが・・・しかし
       何か違うな・・・うん。

       何が問題かと言えば・・・

       明後日の会合は言わば・・私には
       明確な連添いが居ないという
       シチュエーションである訳だ。

       (キッツ店長もイアン先輩も
       恐らく参加はしてるが・・・)

       つまり裸単騎も同然・・・

       ・・・・するとこの形状は少し・・・
       ぁあ、本当に少しだが・・・
       勢いがあり過ぎる感が否めない)」
       ゥ∼ム・・・





    ゴソゴソ・・・




    リコ「(瑠璃色に紫の水玉・・・いや、
       ドットか・・・・。・・・しかし・・・・
       この柄は私にはどうなんだ・・?

       そもそも青ビキニとモデルは
       全く一緒だな。何故柄違いで
       買ったし....。(ピラ・・・)

       可愛らしさと何処と無く漂う
       エキゾチック感はいいのだが・・
       人を選ぶだろう・・・私はこの柄に
       選ばれし者では無い・・・・か・・・・)」
       ピラ・・



    リコ「しかし、一応着けてはみるか」





    ~数分後~




    リコ「(やっぱり似合わなかった・・(嘆息)

       そもそもこの柄は確実に人を
       選びそうだ。

       ・・だがまあ、羽織る物や帽子との
       着合せ次第では何とか実用に
       耐えうるかもしれん)」









    ゴソゴソ・・・

  28. 28 : : 2015/06/10(水) 21:00:18



    リコ「(するとやはり・・・・こいつに
       なるか・・・必然的に。・・・というか
       私、結局何故かこれ以外今迄
       生きてきた中で・・・・着けた
       覚えないな・・・水着は・・・。)」
       つスクール水着





    リコ「(・・・・・・ビキニを切ったのだから
       ここはもう普通にスクール水着で
       良いんじゃないか・・・?と、思った
       のは言うまでもないが・・・ここで
       問題になってくるのは・・・・)」
       シゲシゲ・・・・




    リコ「(スク水って一体幾つまでがセーフ
       ラインなんだ・・・?!(滝の様な汗)」
       2X歳....



    しかし一応試着。。




    リコ「(ぅむ・・・・恐ろしいまでに
       しっくりくる。若干の窮屈さも
       感じ得ない。悲しいことに窮屈に
       感じて欲しい場所すらも、今
       誂えたようにピッタリときている)」




    リコ「(しかし中学の時の物だぞ・・・
       これ・・・・;おまけに旧式だから
       分る奴にはこのデザインで年代が

       モロにバレてしまう危険性が
       ある・・・!それでも・・・それでも
       行くか・・・?!――私・・・・・・!!!)」





    ――――葛藤。



    彼女の心をかき乱している感情は、
    只それのみであった・・・・




    一体どの水着を選ぶ事が
    彼女にとっての・・・・





    『悔いなき選択』と成り得るのか。




    その答えは恐らく彼女自身にすら
    分らないのである。



    そして彼女は・・・その選択を
    天命と、住居の傾斜、そして重力に
    一任する道を取ることにした・・・・




    リコ「(…こういうので迷ったら棒倒し(こいつ)
       任せるのが一番だ・・・さぁ・・・
       吉と出るか凶と出るか・・・ぁ、
       勿論紐ビキニ()は抜きだがな。)」
       ソワソワ・・・・


    キュッ・・キュキュ・・・


    コトン・・・




    机の上に置かれたのは
    一枚の藁半紙。水性マーカーで
    裏写りしない様手早く描かれた丸の枠が
    三つに仕切られ、それぞれの空欄に


    “青ビキニ”“瑠璃ドットビキニ”“スク水”


    と書かれている・・・。


    傾斜に偏りが生じぬよう、ここで
    態々先を尖らせた鉛筆を用意したリコは
    精神を統一させ、その鉛筆を
    円の中心へと直立させる・・・・


    そしてリコの指先から放たれた
    鉛筆の行方は・・・・



    >>29
  29. 29 : : 2015/06/10(水) 21:02:03
    ※リコさんは自身の選択を安価に丸投げしたようです※

    >>30の方が天の声となり、鉛筆の行く先を決めてあげてください
  30. 30 : : 2015/06/11(木) 08:32:05
    青ビキニとスク水の間
  31. 31 : : 2015/06/11(木) 17:34:19









    リコ「(真顔)」




    リコ「(・・・・・まあ、こういう事だって
       往々にして起こり得るだろうな。

       コレは所謂・・・選択を自らの
       意思ではなく他の要素に委ねた
       私への・・・一種の天啓なのかも
       しれない。)」マジマジ・・・
      (多角度から鉛筆を凝視...)



    リコ「(ウム・・・。キッチリ真ん中に倒れている。
       恐らくデジタルノギスで計っても
       私が引いたこの線の上ど真ん中に
       収まっている事だろう・・・・さて。)」


    ファサッ・・



    リコ「(こうなったからには流石に
       次なる抽選をコイントスで
       行ったり等という蛮行には
       走らない。・・こういう結果が
       出たという事はだ・・・・

       きっとこの二つのどちらかを
       自らの意思で選択しろと・・・
       そういう事なのだろうからな)」
       ウムム....



    リコ「(まず露出度やデザインの事は
       一旦少々頭からどかして・・
       これら双方の水着の利点から
       見つめ直してみる。)」




    スクール水着=露出度が低い。
         即ち転倒などのケースを
         想定するならこれが最も
         無難な形。良くも悪くも
         他人の眼を一番気に
         しなくて済む。



    ビキニ=露出度は高いが、デザイン性を
        気にしなくて良いのならば
        着脱が比較的容易・・?タオルを
        使って着替えるにしても恐らく
        スク水よりはスムーズに行く
        筈・・・・



    リコ「(む・・?待てよ、そうだ!
       着替えるのはどうする?!行きには
       下に着けて行けばいいと安易に
       考えていたが・・・!スク水では少し
       ・・いや、かなり蒸れるぞ..!
       しかもサポーターも着けねば
       突起が・・・・!(;@Д@)


       対してビキニはどうだ・・?
       此方は服の下に着けても
       露出度の高さが功を奏して、
       普段の肌着と大差はない・・・!

       そしてプロテクターらしき
       このクッション材のお蔭で
       突起の心配も無い・・・!)」



    リコ「(なんだ・・・こんな簡単な事に
       気が付かないとは・・・私もまだまだ
       考えが足り・・・な....(ハタ。。))」



    持ち上げたビキニの胸部パーツを
    眺めながら思考を一旦停止させるリコ。



    リコ「・・・・・・」





    リコ「(今思ったが・・・この・・・この
      衝撃緩衝材(※今更ですが違います)
      ・・・・・!見様によっては・・・・

      まるで胸部の輪郭を偽装する
      用途にも役立つ部品のように
      思えて来たんだが・・・・!;
      (ガタガタガタ・・・・・)」
      



    ――良心の呵責。


  32. 32 : : 2015/06/11(木) 17:38:29



     
    リコ「(・・・・もし・・・・!もしこれが
       そう言った意味でも機能する
       補助部品であるとするなら・・・!!;


       それだけは・・・・!それだけは
       断じてできない・・・・!無い筈の物を
       さもあるかのように見せつけよう
       など・・・!!マンション施工時に
       鉄筋の数を規定より減らして
       設計・施工を行う様な物だ・・・;!

       私は・・・それをするくらいなら
       “まだ”呪われた水着を晒す方を
       選ぶ・・・・!...いや、それは流石に
       言い過ぎか・・・・!しかし)」
       チラッ・・・・






    悩みに悩み抜いた結果・・・結局・・・・






    リコ「(まあ・・・露出が多ければいいと
       いう訳でも無い・・・。ここは
       堅実(?)にスク水で行くか・・・。

       この時期アブも飛んでいるし、
       デング熱にも少しは気を付ける
       意味で・・・加えて虫よけも
       準備して行こう・・・・。
       何だ、普通に考えれば何も
       迷う事はないじゃないか)」



    あっさりと露出という選択肢を
    斬り捨てる事にしたリコ。

    最早何故自分がこうして水着選びに
    躍起になっていたのかすら頭から
    消えかかってしまっている。



    リコ「(いやだがちょっと待て・・・・!!
       露出が少ないのはいいとして・・
        
       今度はこれだとミタビに
       馬鹿にされそうな気が
       してきたぞ・・・・!)」
       ヨウジタイケイ トカッテ;!!



    ――そして募りゆく新たな疑念。






    リコ「~~~~~...!」
       ブツブツブツ・・・・




    彼女の自問自答は結局そこから
    更に一時間は続く事になった・・・・・・・




    ~当日のリコさん予想図~


    http://uproda.2ch-library.com/lib881665.jpg.shtml



    彼女の部屋番号で上記リンクは開錠できるものと思われます。
    但し、閲覧は自己責任で行って下さい(;@Д@)
    何か色々と・・・スミマセン!!


    ※大したモノではありませんがご希望の際に
    リンク切れでした場合は仰っていただければ
    再度お貼り致します。
  33. 33 : : 2015/06/12(金) 23:59:05




    ~その翌日・朝9時~







    ~駅併設ショッピングモール内
     営業店舗合同懇親会前日~







    ―ミカサ居住マンション―








    「---エレン・・・・」



    ユサユサ...



    「zゥ・・・・・」ゴロン・・・





    「-エレン。」



    グイグイ



    「zzぅぅ・・・」ズリズリ・・・




    「・・・・・・」




    「エレン。」ガバッ!!!!!!



    数回にわたる揺さぶりでも一切目を
    覚まそうとしないエレン。



    その姿を暫し静観したのち、
    おもむろにエレンが身を預ける
    布団を鷲掴みにして、テーブルクロスを
    抜き払う一発芸の様な勢いでそれを
    引っ張るミカサ。




    グイッ・・・・ビギヂッ..!!




    「っ。!。?!」ッフォ...




    常識から外れた腕力で引っ張られた
    敷き布団は縫い目で嫌な断裂音を立てて
    空中に踊る。

    同時にそれに身を包んでいた
    エレン自身もまた無重力状態の
    宇宙船内部で仮眠を取っている
    宇宙飛行士のように宙を舞うが・・・・


    滞空時間は当然一秒に満たない
    一瞬であり、その一秒未満の間に
    自身を襲う謎の揚力に寝ぼけ眼を
    瞬きさせて目を覚ますエレン。






    エレン「っーーーおぅわっ”?!!!」






    ドシンッ!!!!







    エレン「ぉぉぉあああああ・・・・!!

        っつッツ、!!っつ!!!!
        っっ痛ぇーじゃねえかミカサ!!

        尾骶骨が引っ込んじまう
        だろうが!!!」ゴロ...ゴロ..!






    ミカサ「・・・それはすまなかった。
       別にお尻から落とすつもりは
       無かった。・・・・しかし安心して
       欲しい。

       私は・・・・たとえエレンの尾骶骨が
       無くなってしまったとしても・・・

       それでエレンを嫌ったりなんて
       事は・・絶対しないから」(真顔)






    エレン「お前のそう言う都合は
        どうでもいいんだよ!!
        くっそ・・・・痛ぇ・・・!!!!

        こんなに痛くてお前・・・今日
        山なんか・・・・」ッツツ・・;





    ミカサ「良かった。目はすっかり覚めて
        いるみたいで。・・・今日の予定を
        しっかり覚えているのなら、
        早く顔を洗ってきて欲しい。

        折角アルミンも私達の誘いに
        乗ってこうして足を運んで
        くれているのだから」





    アルミン「やあ、エレン。おねむだった所を
       悪いね。でもそろそろ起きないと」
       (腕時計確認)






    ミカサ「アルミン。エレンは最近ずっと
        夜更かしが過ぎて朝の起床が
        遅い。アルミンからも何か
        きつめに言って欲しい(困)」
        フゥ・・・


    台所に立ち、珍しく悩ましげな顔をして
    電気ケトルのスイッチを入れ、
    朝食の支度を始めるミカサ。



    アルミン「(新婚さん・・・って感じがするなァ)」
       ボケ~・・・///




    エレン「別にだらだらしてる訳じゃ
        ねえんだからいいだろ!!」
        フンフン!!




  34. 34 : : 2015/06/13(土) 00:06:45



    アルミンの住まいは相変わらず
    都内のままであり、ミカサの借りている
    マンションがリヴァイ達の住んでいる
    町の中でも比較的山間部に近い位置に
    在る事を考えると・・・・



    アルミンはどうやら相当朝早くに都内を
    始発で出発してここに辿り着いた
    様子である。


    ・・・・因みにミカサやエレンがアルミンの
    住居に一泊した日から、作中時間では
    既に半月近く経過している。



    相変わらず季節感に関してはその時々で
    疎らに移ろいゆくいい加減仕様であるが。







    ミカサ「体の一部だけはエレン自身が
       起きるずっと前からも元気に
       起き上がっているというのに」
       ジトリ・・・・





    エレン「そんなの男だったら誰でも
        同じなんだよ!!勿論
        そこにいるアルミンもな!!」    
        ハズカシイコト イウナ!!








    アルミン「ミカサにそこまで言わせるなんて^;
      エレン、君は一体そんな夜遅くまで
      何をやってるんだい?」





    エレン「ミカサが居ない昼の間は
       山で走り込みだ。折角訓練兵団で
       つけた体力がどんどん落ちるだけ
       なんだよ・・・!こっちの世界の
       生活は・・・!



       夜になったら・・・
       ほら、お前に借りた例の
       デーブイデーと漫画本の読み漁りで
       情報を整理してんだよ。」




    アルミン「(Dをああいう風にしか発音できない
       人って・・・・。僕が公園に居た時も
       周りのご年配のごく一部にしか
       いなかったなぁ;)」





    エレン「・・・色々と分からなかった事が
        分かって大助かりだ・・・けどよ、
        ひとつどうしても気になる事が
        あるんだが」





    アルミン「(・・・・)・・・・何かな?
       気になることって」






    エレン「最近ミカサに教わってこっちの
       暦の読み方を覚えたんだが・・・
       お前に渡された漫画の最新刊の
       発行日・・・・・もう大分何年も前の
       日付になってるよな・・・・?

       一番新しいのは本当にあそこ
       までしか出てないのか・・・・?

       イヤ・・・そんな筈はねえよな。
       お前もミカサも・・・何かオレより
       大分話の先を知ってる風に
       してたもんな・・・?;」






    ミカサ「っっ・・・・;!」ガタッ







    アルミン「(やっぱりそうきたか・・・まあ、
       幾らエレンでもそろそろその辺り
       気付いてもおかしく無い頃だとは
       思ってたけどね・・・

       何せ都合よく
       エレンとアニが巨大樹の森で
       どのような結末を迎えたか、
       
       それが分からない所までしか
       渡しては居ないんだから・・・
       それは当然こっちの意図に
       気付いたっておかしく無い筈だ。

       ・・・そして何故それを僕達が
       隠そうとするのか…それに
       ついてだって・・・・・)」
       パッ・・・






    ミカサ「(ッ・・・!しかし、アルミン・・!)」




    瞬時に血相を変えて勇み足で
    台所から歩み寄ろうとするミカサを、
    手振りのみでアルミンが制する。
  35. 35 : : 2015/06/13(土) 00:08:24



    アルミン「――落ち着いて、ミカサ。

      エレンの性格は僕よりずっと
      君の方が知ってるはずだ。

      ここまで気が付いてるって事は・・・
      ここで僕らが適当な事を言ったって

      ・・・それはエレンの探究心を・・
      そして懐疑心をいたずらに
      刺激するだけにしかならないよ。
      何にしても・・・・・

      最初にエレンに迂闊にも
      言わなくて良い事を言って
      変な疑念を与えてしまったのは・・
      他でもない僕だ。・・ならこの問題は」






    エレン「・・・・?;」





    アルミン「僕が今、エレンと向き合って
       解決すべき問題だ。」
       ギシッ..



    未だに臀部強打の痛みが抜けないのか
    フローリングに転がっているエレンが
    傾げた顔と、その場でしゃがみ込む
    アルミンの顔がしっかりと向き合う。


    アルミンの服装は、ミカサの誘いで
    野山へのレジャーと聞いていた為に

    外でも動きやすいよう上には
    仕事後など通勤途中に良く着ている
    紺色のヴィンテージジャージ(貰い物)。

    下はオリーブドラブカラーの
    カーゴパンツ姿である。



    対してエレンはミカサが選定して
    買って来たユニシロのルームウェアを
    上下に着用。
    ここ最近はミカサに用意されるまま、
    コレを着て寝る習慣が既についていた為
    何も疑うことなくその姿のままで
    今も真面目にアルミンの話を聞こうと
    しているのであるが・・・
    問題が一つあった。






    アルミン「・・・・・・。(凝視)」




    エレン「・・・・・・・・・・・」
       (真面目な話モード)





    アルミン「・・・・・あのさ、ミカサこれ・・・
       どう見てもおん(ry...
    ミカサ「アルミン。妙な事を言って
        エレンを混乱させてはいけない

        それはちゃんとエレンの為に
        私が買って来た、この世界では
        当たり前に皆が着て寝ている
        寝間着だ・・・そのはずだ。」
        (目が笑っていない)



    アルミン「(;^ω^)」




    ――エレンがその身に纏っている
    ルームウェアは・・・洋品店をある程度
    見てまわれば直ぐにそうであると
    気が付くくらいにあからさまな・・・・




    エレン「・・・・、おいなんだよ
        真面目な話が始まるんじゃ
        無かったのかよ・・・・・;」
     (ゆったりした胸元+パステルブルーのシャツ)
            &
     (淡いエメラルドグリーンとチェックのショートパンツ)






    ――あからさまなレディースであった…








    アルミン「(意外にマッチしているのが
       不思議だ・・・・・(汗))」
       (;´・ω・)



    アルミン「(僕のディーラー服は女物だって
       直ぐ分ったのにこういうのは
       判別不能なのか・・・。まあアレは
       スカートだったから分るとしても
       ・・・・・・・)」マジマジ・・・・





    ミカサ「…エレンは私の嫁(眼福)。」ドヤァ・・
       ホッコリ....Σd(`・ω・´)





    エレン「ぁあ”!?いきなり
        何言ってんだよミカサ!!!
        嫁ってお前喧嘩売ってんのか!!」
        ムッカァ・・!




    アルミン「(御免エレン・・・・顔を真っ赤にして
       怒ってもその恰好じゃ・・・
       どうあがいても君は
       ミカサのお嫁さんだよ・・・・↓↓)」
       ニアッテテゴメン;


  36. 36 : : 2015/06/13(土) 00:11:14



    気を取り直し、未だにフローリングに
    突っ伏して怒り出しているエレンと
    しゃがんで向き合うアルミン。




    アルミン「す・・・・すまなかった;、エレン。
       それじゃあ真面目な話の続きを
       しようか。・・・とはいっても、
       エレンが僕に何を聞きたいのか
       その予想は簡単につくし、
       僕がこれから話す言葉は君も大体
       予想がついているだろうと思う。

       反面、予想はついているのに
       きっとその答えをそのまま君に
       ストレートにぶつけたって絶対に
       君は僕の言葉を信じようとしない
       だろうけど・・・・ね・・・・。」




    エレン「なんだよ・・・!そんな事・・・
       言ってみなきゃ分かんねえだろ!」




    アルミン「・・・言ってみたから分るんだよ
       (苦笑)・・・どころか、目の前で
       その事実が事象となって
       起こっても・・・・
       まだ君は心の底から残酷な事実を
       受け入れられずに・・・死にかける
       所まで行ってしまったんだ
       (アニメの方ではね。)

       とてもここで僕が説明
       しただけで君がそれを納得して
       くれるとは思えない。」




    エレン「・・・・・」





    アルミン「エレン。・・・僕が不覚にも
      漏らしてしまった名前を聞いた
      あの時の君の反応を見て・・・

      何となく僕は想像がついて
      しまったんだけど」




    エレン「何の想像だよ」フイッ・・・




    アルミン「君が“こっちの世界”
       に飛ばされる本当に直前・・・・
       向うの世界での一番最後の
       記憶の事さ・・・。きっと君は・・・・
       “女型”の一撃を頭に受けて
       敗北してしまった・・・・

       違うかい・・・?」





    エレン「・・・・そこまで分かってるなら
        ・・・話は早いだろ・・・・」




    アルミン「なら・・・僕もその言葉をそのまま
       君に返すよ。それが事実の全てさ。
      
       もっとも何故“彼女”がああした
       一連の犯行に及んだか、
       その真相の全ては、本当に原作でも
       まだ明かされていないんだ。

       ・・・それに今僕等がいるこの世界   
       では・・・その“彼女”もそんな
       記憶なんて最初から持たずに
       別の人間としての生活を
       送っている。・・・そしてそれは」



    アルミン「あの時彼女自身の手によって
       帰らぬ人となったあの人達
       でさえも・・・・。そうだろ?

       ミカサから僕もある程度は聞いた。

       ・・・つまりそういう事さ。此処は・・
       そういう意味でも僕達が元居た
       世界じゃないんだ。それでも・・」




    エレン「・・・・・・」




    アルミン「それでも君は僕に、あの後の
       顛末を一つ一つ説明して
       貰いたいかい・・?エレン。

       別に僕自身はそれについて
       語るのは構わないけれど・・・・」



    ミカサ「・・・・・・」ムゥ・・・





    アルミン「ミカサはどうにもそうは思って
       居ないみたいなんだよね」




    ミカサ「・・・・当然だ。アルミンが
        そうするべきだと判断するなら
        エレンに全ての原作経緯を
        伝えるのも致し方ないと譲歩
        できる。


        ・・・しかしこの世界においては・・
        それはあまりにも無意味な
        情報収集だ。・・・なにより
        エレンに要らない負の感情を
        与えたくはない。」




    エレン「~~(唸り)。。」





    ミカサ「あいつは・・・いや。“彼女”は・・
       此方の世界では至って普通の
       少女として友人をつくり、
       学校に通い、働き、至って普通の
       生活を送っている。」

  37. 37 : : 2015/06/13(土) 00:13:03




    エレン「~~~(大きな溜息)
      
        ~~!分かった!!分かったよ!!
        これ以上のそっちの詮索はもう
        無しだ!!オレだってその辺
        少しくらいは察してるんだ...!」





     ――あんなに楽しそうに普通の生活を
     送っているあの人達を見れば・・・・
     それはもう嫌でも分る。


     オレが誤った選択を行ったせいで
     失われたと思い込んでいた命が・・・
     ああして意中の人と笑顔で
     過ごせているこの世界は・・・・


     明らかにオレ達が元居た世界ではない。


     それくらい――・・それくらいはずっと
     分っていた筈だ。




    エレン「(お前らは・・・凄いよな。
        オレはまだこんな事でうじうじ
        悩みっぱなしだってのに、

        お前らは・・・二人して住む場所も
        働く場所も見つけ出して、
        何とか生活していけてるんだ)」



     オレにはまだ・・・・まだ切り替えが
     効きそうに無いんだよ・・・
     オレは一体何がしたくてこんな・・・



    エレン「・・・・・・・」




    アルミン「・・・・・」
    ミカサ「・・・・・」



    黙り込んでから徐々にその顔を曇らせ
    俯きゆくエレン。“普段”の
    彼らしからぬ事この上ない姿である。



    エレン「・・・だけどよ、一つだけ・・・・!
        たった一つだけ教えて貰いてえ
        事がある・・・・・!結果くらいは
        当然俺にも大体察しが付くし、

        正直な話をすると、オレが
        巨大樹の森で最後に見た景色は
        ・・・・アルミン、お前がさっき
        言った通り・・・・女型の一撃が
        最後に見た景色だった。

        そして・・お前に一々言葉にして
        貰わなくったって・・・」



    ミカサ「・・・・」



    エレン「“女型の繰り出したあの構え”
       を見れば・・・今のオレなら・・・
       『奴』の中身が誰なのか・・・

       ・・・信じたくはねえが理解は
       出来ちまう。お前らが態々
       ああまでして隠そうとしたのが
       その良い証拠だ。」





    アルミン「エレンは天邪鬼だからね・・・

       僕等が事の真相に気が付いて
       団長達に進言をしてる最中も・・・

       僕等が信じ難い事実を疑いもせず
       隠そうともしなかったときは・・
       真っ向から否定しにかかって
       来たし。」

       


    エレン「・・・当たり前だ。幾ら訓練に
        積極的で無かったとはいえ・・・
        “アイツ”はオレの中では
        3年間共に研鑽し合った仲間だ。

        加えてオレの対人格闘成績は
        アイツの技術を盗む事が
        出来なきゃ絶対に得られない
        物だった。オレにとっちゃ
        もう一人の教官みたいな
        存在なんだ・・・・

        言って置くが、理解しちまう
        だけだ。未だに信じたくは
        ねえんだよ」




    アルミン「・・・・・まあ、そうだろうね。
       しかしそこは余り気にしては
       いけないよ・・・・何度も
       言ってるけどもうこの世界は・・・」





    エレン「ぁあ、分かってる。

        もうこの世界は・・・・オレ達が
        仲間をさんざ巨人に喰われてた
        世界でも何でもない。

        言っちまえば・・全て・・・
        “無かった事”になっちまって
        るんだろ・・・・?」




    アルミン「・・・・こうして僕達が覚えている
       以上・・・完全にそうとは
       言い切れない所もあるけどね・・・」




  38. 38 : : 2015/06/13(土) 00:14:46



    エレン「それでも・・・・それでもだ・・・!
        頼む・・・一つだけオレに教えて
        くれ・・・アルミン・・・・・!!

        オレは女型に敗れて・・・その後
        どうなった・・・・?!いや、
        オレだけじゃねえ。兵長は・・?
        ミカサは・・・??!・・・お前は!?

        オレが女型を止められなかった
        あの後・・・・一体作戦の行方は
        どうなっちまったんだ・・・・!?

        それだけ・・・それだけでいいから
        オレに教えて欲しいんだ・・・!」
        ガバッ



    その場に土下座のような格好で
    握りしめた両拳を床に伏せるエレン。





    アルミン
         「・・・・」
    ミカサ





    エレン「その結果を把握できねえと・・・
        オレはどんな顔して兵長達と
        向き合えばいいのか、それすら
        踏ん切りがつかねーんだよ・・・


        ぁあ、例え兵長達にその記憶が
        欠片も残ってなくてもだ・・・・!」
        ギリギリ・・・




    アルミン「・・・・ミカサ、どうする・・・?
       僕は・・・・」



    ミカサ「私はアルミンの判断に全て一任する。

        私は・・・あの時エレンは最善の
        選択をしたと思って居るし、

       “例え命令に背いていたとしても”

        それが結果的に事態を
        好転させていたとも思えない。

        つまりあの状況は急襲を
        掛ける側にとって圧倒的に
        有利だった・・・私はそう思う」



    エレン「・・・・・・!」



    アルミン「・・・・・;」


    此方を見つめる真剣そのものといった
    眼差しのエレンと目を合わせ・・・

    やがて根競べに降参するように
    嘆息を漏らすアルミン。 



    アルミン「・・・・分かったよ。・・・ただ、
       それなら・・・僕が言葉で教えるより
       DVDとかで見て貰った方が
       断然早いと思う・・・。

       相応に血が流れるし、犠牲も
       大きい結末だけど・・・その辺りは
       覚悟して見てね。。」



    エレン「おう・・・・・!」





    アルミン「じゃあ・・・エレンに渡してない分の
       続きはまた僕が来る時にでも・・」




    ミカサ「いや・・・私も全巻持ってるから
        大丈夫・・・。BDで....。」




    台所の上部にある食器収納棚から
    ディスクケースを取り出すミカサ。



    エレン「ッ・・・!!?ミカサ、お前ッ・・!
        そんなとこに隠して
        やがったのか!!!・・・っつか、

        BD(ブルー憂いデスク?)って何だ!?
        デーブイデーとは違うのか!?」




    アルミン「殆ど変らないよ・・・。只少し
       映像が高精細になってるとか、
       その程度の違いかな。・・・後は・・」





    ミカサ「ミーナの胸囲が減らされて
        いたりする程度。」





    エレン「何で奴の胸が減らされなきゃ
        いけねえんだ!!?(;゚Д゚)」





    アルミン「・・・僕に聞かないでよ・・・;

       きっと色々あるんだよ・・・
       ミーナにも・・・(;'人')(合掌)」




    エレン「そ、そんな事より続きが
       あるんなら早く観せてくれ!!

       ここ数日の寝不足はそれが
       気になってたせいでも
       あるんだからよ・・・・!」
       ハヤクハヤク!



  39. 39 : : 2015/06/13(土) 00:17:10



    ミカサ「・・・・エレン。もう忘れて
       しまったの?アルミンが夜に
       綺麗な星を見たいというから
       今日はこうして遠い所から
       足を運んでくれたというのに。

       朝ご飯を食べたらすぐに
       出発する予定だったはず」




    エレン「要は山で星が見れりゃ
        良いんだろ!?・・・・なら別に
        こんな朝っぱらから行く事
        ねーだろうが!!精々一話二話で
        一時間そこらだろうが!!
        早く観せてくれって!!」



    ミカサ「(溜息...)」





    アルミン「・・・、ほ、ホラホラ!ミカサが
       朝ご飯作ってくれてるんでしょ?
       まずは冷めないうちにそっちを
       食べてしまおうよ・・・!BDは
       その後だってみられるんだし・・・」




    エレン「まあ・・・・そうだな・・・・・;まずは
        飯を食ってからでも・・・」
        ソワソワ・・・・




    ミカサ「(安堵の息)..朝食と言っても
       今日は買い置きの材料が
       不足していて少し物足りないかも
       しれないけど・・・我慢して」





    ~本日朝の献立~





    麦ご飯

    モロヘイヤのおひたし

    春菊のおひたし

    大根と胡瓜の浅漬け

    納豆

    キムチ

    ベーコンエッグ

    湯煎加熱ウィンナー

    御味噌汁





    アルミン「じゅ・・・充実し過ぎでしょ・・・
       これで物足りないの・・・?:」




    エレン「うわっ!!出た!!;;また
       シュンギクかよ!!!ミカサ、
       これだけは本当何とか
       ならねーのか・・・・;

       同じ菜っ葉だったらオレは
       まだホウレンソウの方が・・・」
       ウジウジ・・・



    ガパッ・・・



    ミカサ「だめ。ホウレンソウでは
        栄養価的にシュンギクより
        確かに高いかもしれないが
        代わりにはならない。
        (茶碗に麦飯をよそいつつ)

        そこにホウレンソウを
        足してほしいのなら喜んで...」
        ハイ、アルミンノ ブン



    エレン「いやッ!!もうこれで充分だ!!!」
       (;´・ω・)



    アルミン「い、いただきます...//
       (ミカサの作ったご飯・・)」
       カチャカチャ・・




    エレン「ベーコンエッグと腸詰と
        飯だけで充分だろ・・・・・」



        
    ミカサ「エレンにだけは一人暮らしは
       させられない・・・・ごはんだけは
       私が何としても監視していないと
       ・・・一体どれ程の偏食に陥って
       しまうか想像もできない」
       ペッタラペッタラ =3
       (ご飯山盛り)



    エレン「米はてんこ盛りでな!!
        もう少し盛れるだろ!!」



    ミカサ「また納豆を零すからだめ」



    エレン「ッ;一先ずはそれでいいか・・・

        まだ飯は残ってるんだよな?」
        カチャカチャ



    ミカサ「4合焚いてるから。
        まだ充分残っている」



    アルミン「4て・・・・・;

       僕なんて2合焚けば二日間
       朝夜もつよ・・・?;」
       ムギゴハン オイシイ





    エレン「お前一食でどんだけ喰う
       量少ないんだよ!!そんなんだから
       3年間で大して背が伸びなかった
       んじゃねえのか・・・」





    ミカサ「量はそこまで重要ではない・・・

        大事なのは栄養価のバランスだ」
        イタダキマス

  40. 40 : : 2015/06/17(水) 02:15:25






    アルミン「そうそう、そう言えばミカサ、
       話は変わるけど・・・エレンの仕事、
       何にするか決まったの・・・?」





    ミカサ「一先ず・・・・何か固定の仕事を
        見つける前に短期のアルバイトを
        私のつてで一つ見繕ってみた。

        明後日にはエレンも晴れて
        体験就業一日目を経験する事に
        なる」





    アルミン「・・・・へぇ・・・?短期のバイトって・・
       え・・ぁ・・・ちょっとまって、、
       まずそう言えばさ・・・」



    ミカサ「?」





    アルミン「フェイリスさん頼みであらゆる無茶が
      通ってる僕が人の事を言うのも
      なんだけど・・・エレンも・・・ミカサも
      ・・・・・

      戸籍とかってどうしてるの?」
      ソウイエバ;





    ミカサ「私は・・・先に簡単に説明した通り
        この世界での立ち位置が少々
        特殊な身の上だ。私自身
        色々な無茶を通せる知り合いは
        多いが・・・

        戸籍と身分証明書の偽造は・・
        叔父さんの十八番だ。

        アルミンも戸籍が欲しいなら
        この際なので頼みに行くといい。
        後で一緒に行こう」8分デデキル






    アルミン「そんな証明写真並みに
       お手軽に作っちゃうんだ・・・;」




    ミカサ「大丈夫だ。普通に照会する程度で
       引っかかる精度では無い。

       叔父さんは現役のお尋ね者だから
       ・・・その本人が無事でいられるのが
       何より信頼できる根拠。」




    アルミン「限りなくどす黒い安心感だね・・・;
       っていうかミカサ・・・話には
       少し聞いてるけど、この世界での
       君の叔父さんっていうのは・・・」




    ミカサ「原作で最新刊まで読んでいる
        アルミンなら作中で顔を見て
        居なくても知っているかも
        しれないが・・・。
        
        ・・・・・・そう。あの人」ボウシノ

       


    アルミン「・・・・・もうなんだか話が複雑すぎて
       ついていけないよ・・・・・」(溜息)





    エレン「((ムシャコラ ムシャコラ))~~...

       (・・オレはお前らの話題にすら
       置いてきぼりな状況なんだがな)」
       ハヤク ツヅキヲ ミタイ





    ミカサ「仕方・・・ない。」






    アルミン「ああ・・・、で、話は戻って
       そのエレンの仕事の事だけど・・・」














  41. 41 : : 2015/06/17(水) 02:17:37


    場所は移り・・・・





    ―ペトラ宅―






    《ハンジ「やっとつながったー・・・
        おいアンタ大丈夫??ペトラ??
        
        昨日随分と急にブラックアウト 
        したけど・・・。何、ひょっとして
        夏の祭典に向けての前準備が
        今年ももうやってきたの・・?;」》
     



    ペトラ「ェ・・・ぇへw;大体もう私の
        担当する部分は片付いて
        知り合いに引き継いで
        もらえたので。。。
     
        これで後は明日のバーベキューに
        専念するのみ...DEAHT・・・」
        カタカタ・・・・



    ハンジ《「・・・・・あんた、テレビ電話に
         しなくても分るけど・・・
         今、相当危うい状況だろ・・・

         そんな寝不足で大丈夫か?;」》



    ペトラ「ゼロが三つ付く位の(一番イイのを)飲んで
        いきますから・・・・!大丈夫です!!
        問題・・・・無い!!...DEAHT,,」




    《ハンジ「電話越しでもあんたの頭上に
        煌々と輝く死兆星が見えるん
        だけど・・・・・;何言っても
        無駄だろうから、

        せめてこれだけは言って
        置こうか・・・。。

        ・・もう今の内から寝て体力を
        回復した方が良いんじゃ・・・;」》





    ペトラ「な、何をおっしゃいますやら!!

        今寝ちゃったら、夜通し目が
        冴えわたってもう明日には
        バーベキューどころじゃ
        無くなってしまいますよ!!」
        (ノД`)・゜・。




    《ハンジ「・・・・;まあ、その辺はあんたの
        サジ加減に任せるけどさ~・・・
        
        折角アイツ引っ張り出したんだ。
        此間の攻勢を十分に活かして
        攻めてけよ・・・?;ここで
        中途半端に間が空いて熱が
        冷めちゃったら勿体ないったら
        無いよ・・・・」》




    ペトラ「それはもう・・・!餅のロンです!

        あの先輩の腕枕が私に無限の
        エネルギーを与えてくれている
        以上・・・・!私は決して倒れる訳に
        行きませんから・・・!」





    《ハンジ「・・意気込みは認めるけどさ・・・
        本当に、充分休みを摂って
        くれよ~~~;?もしも河原で
        ぶっ倒れられたりしたら
        洒落になんないからね?;」》





    ペトラ「はい!折角ハンジさんが
        センパイの趣味の時間に強引に
        割って入ってまでとりつけて
        くれたこの機会を・・・
        無駄になんて出来ませんから!!」





    《ハンジ「よぅし、その意気だぞペトラ・・!
        後はあんたのその体調だけが
        最大の不安要素だけど・・・
        
        此間のあんたは最高にキてたぞ!
        あれが満員電車の中でなければ
        ・・・下手すりゃ、いや、

        上手く行けばチューくらいノリで
        イケたかもしれない!!」》





    ペトラ「ッ・・・・(//゚Д゚;)!!?!
        ャッ・・・・止めて下さいハンジさん!

        私を捕らぬ狸の皮算用で
        興奮状態に陥れようと
        してるんですか!!?

        それにいきなりっ・・・;
        センパイにキ・・キスなんて求められる
        訳ないじゃないですかッ・・・!

        知らないんですか??!あの
        『ねぇ、知ってる?』のアレ!!!!
        絶対先輩そういう豆知識
        気にするタイプですよ!!!(涙)」
        タシカ 細菌億単位 デスヨ!!

  42. 42 : : 2015/06/17(水) 02:21:27




    《ハンジ「心配すんなって!前も言ったろ?
        あいつはモノに関してはそりゃ
        病的な潔癖症だよ。

        ・・・皿洗い用のスポンジなんて
        毎日ローテーションで煮沸消毒
        した後に完全乾燥させたのしか
        シンクに置いとかない程の
        潔癖主義だ。

        ・・・けど、対人の衛生意識とも
        なると・・・少し違ってくる。
        ホラ、パピコのシェアだって
        平気でするし。間接キッス
        だって・・・・」ハッ・・・(;゚Д゚)》




    ペトラ「・・・そうでした・・・私・・・

        センパイの・・・間接の(そっちの)初めては
        ハンジさんにとっくに先取り
        されてたんでしたよね・・・」
        アハハ..(☍﹏⁰)。ウフフ....





    《ハンジ「ぁぁあ”もう!(;´・ω・)
        面倒くさいな!!だから、アイツは
        そんなの欠片も気にしちゃ
        居ないんだってば!!!;

        ペトラ、あんた結構根深く
        後引くタイプだな!!!

        あんまり粘着質なのは
        よくないぞ!できればそれは
        改善した方がいい!アイツも
        あんまり細かいことは
        気にしない方が楽な筈だ」》





    ペトラ「細かいことは気にしない・・・

        つまりハンジさんの様な
        人柄の方が先輩的には
        理想的・・・と...;」ズゥゥン・・↓↓




    《ハンジ「(溜息)..なぁ、どうしたの
        ペトラ・・。合同懇親会を明日に
        控えて弱気になってるのか?

        ネガティブに走るのはいつもの
        あんたの性分だけど・・・今日は
        なんていうか特にその傾向が
        強い気がする。

        言動も何かさっきから安定
        した内容じゃないし・・。

        もしかして相当身体の具合が
        悪いのか・・・?お見舞いに
        行ってあげようか・・・?;」》    










    ペトラ「・・・・そんなんじゃ・・・
        そんなんじゃないんです。


        いえ、不安かどうかって話なら
        当然かなり不安です。ただ・・・・


        この際ですから・・・今聞いて
        おきたいんですけど・・・
        ハンジさん、」




    《ハンジ「・・・な、何・・?;」》
        ビクッ....




    電話越しにでもペトラの声色に宿った
    気配が真面目一色に変わった事に
    背筋を震わせるハンジ。


    その内心では次に彼女が自分に
    何を問うてくるのか、それすらも
    瞬時に予想できてしまったからだ。




    ペトラ「ハッキリとした記憶が
       無いようなので言って置きますが
       前に先輩と3人で岩盤浴行った時・・

       私、ハンジさんが先輩を
       どう思ってるのか、しっかり
       聞きました。」







    《ハンジ「・・・!??!?////」》






    全くの無言であるが、ペトラには
    電話口の向うで声も無く凍り付く
    ハンジの姿が目に浮かぶようだった。




  43. 43 : : 2015/06/17(水) 02:23:25






    ペトラ「・・・それからあの状態の
       ハンジさんが一切自分の
       思ってる事に嘘をつけない
       という事も・・・・

       先輩から聞きました。」






    ハンジ「《・・・・・・!!?》」




    尤も、そういった時には既に
    正常な思考は泥酔の霧海の只中を
    彷徨っている本人にとって

    自ら酔いの状態を正確に把握できて
    居る訳では無かったが・・・・



    いつも酔いが覚めた後の周囲の人間が
    多くを語らずに気まずそうにしている
    その様子を見るたびに、本人にも
    何となく・・・本当に何となくであるが

    自分が酒に溺れている最中、
    自分の意識にはないだけで・・・・

    実は何かとんでもない事をしでかして
    いるのでは・・・と予測するくらいの
    事はあった。





    《ハンジ「ぇっ・・・と・・・
        ペトラ、今あんた私に
        聞いたって言ったけど・・・

        具体的に・・・、出来るだけ
        正確に聞いても良いかな・・?

        私・・・あんたに・・・一体なんて
        言ったのかな・・・?;」ダラダラ..》




    通話相手のペトラには勿論見えないが、
    その端末を握りしめるハンジの掌は
    異様な程に汗ばんでおり、
    その緊張に強張る顔にまでも脱水症状が
    危ぶまれる程の発汗が起きている。

    本気で自分がペトラに何を白状したのか
    気が気では無いという・・・そんな表情。


    ・・・・そう、例えここまでの流れと
    自らの潜在意識から、自ずとその答えが
    導き出せていようとも。







    ペトラ「ここまで言って自分で
       予測できないなんて・・・・;

       ハンジさんも結構私の事言えない
       というか・・・先輩に鈍いなんて
       言える分際じゃないですよね・・・;」




    《ハンジ「ぅっ・・・うるさぃっ!!;
     
        本当に何も覚えてないんだよ!!
        ビールを数本開けた時はいつも
        こうなんだ・・・・!」》




    ペトラ「・・・そもそも覚えてるかどうか
       とかじゃなくて・・・先輩の事を
       ハンジさん自身がどう思ってるか、
       それを白状してただけですから・・・

       別に思い出すも何もない気が
       するんですが・・・・;」



    《ハンジ「なッ・・・・!!?/////な、
        なんだよっっ!!?Σ(;゚Д゚)

        まさかっ・・・・私がアイツに
        ホの字だとでも言ったって
        いうのかッ!!??」》





    ペトラ「ほ、本気で自覚ないんですか!!

        そうですよ!!それとほぼ
        相違ない供述をしてました!!

        それで、未だに自分には先輩を
        振り向かせられるだけの魅力が
        無いのかって・・・本気で
        落ち込んでたんですよ・・・!
        ハンジさん・・・・・!」





    《ハンジ「~~...;(深い溜息)


         なんっってことだ...;

         ・・・・ごめん、ちょっと表で
         深呼吸して来ていいかな」》
         ガタガタ・・・




    ペトラ「どうぞ・・・幾らでも
       待ってますので・・・・。

       私もこの話の決着が
       ハンジさんと着かない限り
       本気で先輩にぶつかっていける
       自信がありませんから・・・;

       出来るだけ落ち着いて話を出来る
       状態までリカバリーしてきて
       貰えると私も助かります..;」






    《ハンジ「よし、じゃあ少し
        トイレ休憩を挟もう。

        あんまりペトラの睡眠時間を
        奪いたくはないけど・・・
        そういう事なら私も出来るだけ
        真摯に対応しないとな・・・ウン
        ・・・・じゃあ、私から数分後に
        かけ直すから・・・
        まだ寝んなよ??;」》





    ペトラ「分りました。待ってますので・・
        では・・・」





  44. 44 : : 2015/06/17(水) 02:26:28





    ―通話一旦終了―







    ―ハンジ部屋―







    ハンジ「・・・( °- °)・・・」





    ――大きく息を吸って~....





    \ぅわぁぁぁあああああああぁぁぁあ/


          /(;@д@;)\ 


    /ぁぁあああああああっぁぁぁぁああ\






    ・・・――ハンジがその場で
    耐え切れずに頭を抱えて放った絶叫と・・・・






    ナナバ「ォィッ!!!流石に朝っぱらから
       煩いよッッ!!!!何だ!?
       またゴキでも出たのか!?!?」
       ダン!!ダンダン!!!!




    階下の部屋からの職場同僚による痛烈な
    苦情の叫び、ならびにモップの柄で
    天井を突く音が・・・

    朝日の差し込むグランベールソニーに
    虚しく響き渡った・・・・







    =数分後=






    ハンジ「・・・・もしもし、待たせたね・・・」





    《ペトラ「結構かかりましたね・・・;
        なんだか新鮮な気分です。

        いつも先輩の話で正気を
        保てなくなるのは私の方なので
        ・・・・。」》




    ハンジ「フ・・・フフン;私と立場逆転でもした
        つもりかい?;悪いけどそう
        簡単に私がイニシアチブを
        渡すとでも・・・」タジタジ..;





    《ペトラ「・・・・ですから・・・、これから
        するのはそう言う駆け引き
        みたいな話じゃないんですよ・・

        もっと簡単に・・・単純な話を
        したいんです。私は。」》





    ハンジ「・・・・・・」





    《ペトラ「今更こんな事、当たり前過ぎて
        言う必要ありませんけど・・・・

        私は・・・先輩が好きなんです。

        いえ・・・
        大好きでも足り無い位好きです。

        どれくらい好きかって言ったら
        それは・・・・先輩にそういった
        お相手が出来ない限りは
        ・・私、幾つになっても先輩を
        諦める事は出来ないと
        思ってます。」》






    ハンジ「その割にはめっちゃ奥手で
        消極的だけどな(;´・ω・)」






    《ペトラ「ぇえそれは認めます。
         私は・・・そういうの、ホントに
         積極的にいくの難しくて・・・
         そう言う面ではいつも物凄く
         ハンジさんに感謝して
         るんですよ・・・・。

         多分私・・・ハンジさんが
         間に入って先輩との仲を
         今迄みたく取り持って
         くれなければ・・・・バイト
         変わってから殆ど先輩と
         接し合う事が出来なかったと
         思いますから....」》






    ハンジ「可愛い後輩を放っておける訳
        ないじゃんか。そんな事
        あんたが気にしなくていいの。

        見ての通り私はそんなあんたと
        アイツをみて楽しんでる
        だけかもしれないよ?;」




    《ペトラ「・・・・ちょっと真面目モードで
        お願いします・・・もう私は
        ハンジさんの本心を大分前から
        聞いてるんですから、ここで
        茶化されても困るだけ
        なんですってば(困)」》





    ハンジ「ぁぃ・・・・すんません...;」




  45. 45 : : 2015/06/17(水) 02:29:11




    《ペトラ「いいですか・・・?
        今ハンジさん、お酒とか
        入って無いですよね・・・?   

        意識は正常で、質問にも
        正気を持って応えられます
        よね・・・・?;」》




    ハンジ「ぇえ、そりゃあもう・・・・」





    《ペトラ「ストレートに行きますよ?・・・・


         ハンジさん・・・・、先輩の事、
         やっぱりまだ諦めきれて
         無いですよね・・・・?」》




    ハンジ「ァああああぁあ!!!!!;
        そうだよ!!!そうだよ!!!!!

        あんたとアイツのキューピッドを
        気取ったりもしてたけど・・・
       
        今迄私はアイツ以外で異性を
        意識したことなんて無かったさ!

        
        ・・・けど、あんたとアイツを
        応援してるこの気持ちにも嘘
        偽りは何一つないんだ!!!

        何って言えばいいんだこの
        気持ち・・・・・・!!!

        何て言えば伝わる?!なぁ!
        ペトラ!!(;゚Д゚)」ガタガタガタ…






    《ペトラ「落ち着いて下さいってもう・・・;

        それからですね・・・・、
        知ってます・・?ハンジさん・・・
        ()ため()と書いて
        『偽り』って読むですよ・・?

        私の為にここまでしてくれた
        ハンジさんが今更何を
        思ってたんだとしてもそれで
        ハンジさんが私に謝る
        必要なんてこれっぽっちも
        無いんです。・・・ただ・・・・」》




    ハンジ「・・・・?ただ・・・何さ・・?;」





    《ペトラ「私は先輩が大好きであると
        いうのと同時に・・・・

        ハンジ先輩(▪▪▪▪▪)の事だって
        大好きなんです・・・

        私が先輩に自分の想いを
        ストレートに伝える前に・・・
        ハンジさんはハンジさんで
        自分の気持ちを先輩に
        伝えるべきだと思います

        確認もせずにここまで一方的に
        言ってしまってなんですけど・・・
        どうせまだ一度も先輩には
        ハンジさんからアタックした
        こと無いんですよね。」》



    ハンジ「ハ・・・・///ハァァァ!!??(@△@;)
        チョッ・・・・!なんで私が!!!!
     
        確かにそりゃそうだけど・・!

        私より先ずはあんただろ!!!」





    《ペトラ「イイエ!!?どう考えたって
         知り合った順序から言って
         私よりハンジさんが先に
         先輩にその想いを伝える
         べきですってば!!」》





    ハンジ「こういう事・・順序とかそういうの
       関係無いっての!!!!!

       なんていうかな・・・!理由は
       分んないんだけど・・・!!!

       あんたは・・・!あんたは絶対に
       あいつと一緒にならなきゃ
       いけない・・・・!そんな気が・・・

       ホントそんな気がするんだよ・・・・!」






    《ペトラ「そんなんじゃハンジさんが何を
       言いたいのか全然分りません!!」》
        


  46. 46 : : 2015/06/17(水) 02:32:33







    ハンジ「それにペトラ・・!知り合った
       序列でアイツにトーナメント方式で
       ぶつかっていかなきゃって
       いうのなら・・・

       あんたは忘れてるようだけど
       私の前にもう一人イザベルって
       強敵が控えてるんだぞ・・・・!

       その辺も理解しててそんな事
       言ってるのか・・・?;」
       





    《ペトラ「ぁっ・・・あの人は何か、
        そんな感じじゃないって
        事くらい私にだって分りますッ!

        いつも“兄貴兄貴”って言って
        ましたし!!なんていうか、
        “家族”って感じなんじゃ
        ないかと…そう思ってます!!」》




    ハンジ「~~;クフフゥン..(ノ;Д`)(涙)
        
        このっ・・・この分からず屋め..!

        可愛い後輩に、せめて意中の
        相手と共に幸せな生活を
        送らせてやりたいという・・・
        ・・・この・・・この親心的なアレが
        分らんかっ....!!!!」フルフル・・・
        ダカラ キサマハ アホナノダッ・・・!










    《ペトラ「分ります・・・!ハンジさんが
        どれだけ優しい人で、どれだけ
        私の為を想っていままで
        こうして私の背中を押してきて
        くれたかなんて・・・・

        そんなの言われなくたって
        全部分かってます!!」》





    ハンジ「・・・・・」





    《ペトラ「でも、だからって・・・!
        それでハンジさん自身の想いを
        犠牲にするなんてそんなの
        愚の骨頂です!!   

        例えそれで私だけ先輩と仲良く
        なれたとしても・・・
        私、そんなのちっとも嬉しく 
        有りません!」》





    ハンジ「ペトラあんた・・・たまに妙に
        古臭い言葉使うよね...(;'∀')」





    《ペトラ「ハ~ンンジぃさぁん...!?(怒)」》
     ゴゴゴゴゴ・・・・






    ハンジ「ぅおっ!そ、そんなくらいで
       怒るなって!!;さっきからあんた、
       真面目モード全開で正直
       息苦しいったら無いんだよ!!」





    《ペトラ「そんなくらいとは何事ですか!
        私はっ・・!私は本気で
        ハンジさんと先輩の事も
        考えてるのにっ・・・!」》





    ハンジ「ぁ~、あのねペトラ。
        そこなんだけどまずちょっと
        いいかな。」




    《ペトラ「・・・・はい?」ムスっ》




    ハンジ「あんたが私とリヴァイ(アイツ)の事を
       考えてくれてるように・・・私だって
       あんたと同じような事を考えて
       いる訳だよ。つまり私の事を
       慮ってくれているというのなら
       寧ろ・・・・」イジイジ..





    ―THE・いたちごっこ。




  47. 47 : : 2015/06/17(水) 02:34:45



    《ペトラ「~~・・・・・」ムッスン・・・》





    ハンジ「何とか理解しては・・・貰えない
        ものかねぇ・・・・(;´・ω・)」





    《ペトラ「その言葉もハンジさんの
        本心だっていうのは私だって
        理解してます。・・・けど、

        お酒が入って自我を保てなく
        なったハンジさんの本音と、
        一体どちらがハンジさんの
        内面を強く反映している
        言葉なのか・・・・
        
        それが分からないから私も
        こんなに悩んでいるんです」
        ムッスゥゥ。。。。》




    ハンジ「ムググゥ・・・・( ;∀;)」




    キマズイ空気・長めの沈黙...







     ハンジ「・・・・・」
    《ペトラ「・・・・・」》





    ...そしてその永きに渡って続いた
    沈黙をジャスト一分で破ったのは・・・・・





    ハンジ「だぁああッ....もう・・・!!

       分かった分かッた・・・・!!!
       私も・・・私も腹を括ってやるから!」





    《ペトラ「腹を括る・・・とは?具体的に
         言って下さい、ハイ、さんし..」》




    ハンジ「私もッ・・・!!!ぁ、アイツに
       告ればいいんだろ・・・・!?

       そうすりゃあんたもその後に
       ちゃんとアイツに自分の気持ちを
       伝えるんだよな・・??!な・・・?!」







    《ペトラ「やっと言ってくれましたね…」》


     


    ハンジ「時々さぁ・・・あんたが何を
       考えてるのか全く分かんない時が
       あるんだけど…今が正にそうだよ。

       あんた一体何がしたいのさ・・・;
       私はあんたとアイツの並んだ
       笑顔の方が見たいからこうして
       太鼓持ちになる事も厭わずに
       必死にくっつけようと努力
       してきたってのに・・・・!」




    携帯のイヤースピーカー越しでも
    何となく声色の上擦り具合で分る、

    ペトラのニンマリと微笑む表情変化を
    脳内で再生しながら・・・
    負け惜しみを吐き捨てるように
    言い放つハンジだったが・・・・




    《ペトラ「そうですか・・・、それでも
        私は・・・自分の想いが相手に
        伝わって、幸せそうにその人と
        並んで歩く“ハンジ先輩”の
        笑顔の方が・・見てみたいと
        思います。」》



    そんな言葉をいともたやすく受け流す
    柳の構えでもってやんわりといなして
    返すペトラ。



    ハンジ「ゥゥム・・・・・(; ・`д・´)」



    その声色からは・・・・・
    彼女の顔が今も笑顔に綻んでいるのが
    明確に分るが、その顔は決してハンジが
    ペトラをからかっている時のような
    いやらしさの混じった物では無く・・・


    思いやりに満ちた慈愛の塊のような
    表情であった。反発感の欠片もなく
    帰ってくる言葉のカウンターに
    むくれっ面で唸り声を籠らせる
    ハンジも・・・・



    その目には見えない表情を正確に
    把握できているのであろう。







  48. 48 : : 2015/06/17(水) 02:37:04





    《ペトラ「ハンジさんの“その”
        言葉を聞きたかったんです。

        それさえ聞けたなら…私にもう
        怖い物はありませんから」》





    ハンジ「・・・・・?」




    《ペトラ「頼もしい先輩が一緒に(▪▪▪)手を
        引いてくれるなら・・・これ以上
        心強い味方はいませんから・・!」》




    ハンジ「ぅ・・・ウン?;

        言いたい事は何となく
        分かるけど・・・えっと・・?」




    《ペトラ「ハンジさん・・・!私・・・・・・!
        ハンジさんと全くの同時に・・・
        並んで先輩に想いを伝えます・・!


        それが何より・・・この状況を
        解決する一番の方法であると・・
        そう思ったんです・・・!」》




    ハンジ「・・・・?!?(;゚Д゚)!?!」







    《ペトラ「えっと・・?あの・・・ハンジさん?
        驚くのは当然なのかも知れない
        ですけど・・・そ、そんなに
        無言の間が必要ですか・・・?」》





    ハンジ「っ・・・あ、あのなペトラ・・・!?
        そりゃ驚きもするし、開いた口が
        塞がらなくもなるっての・・・!

        なに・・・?今あんたなんて
        言ったの・・・?!今聞き間違えじゃ
        無かったら・・・あんた、私と
        同じタイミングでアイツに
        告白するとか・・・なんかそんな
        言葉が聞こえた気が・・・」



    《ペトラ「何かも何も・・・そのまんまの
        意味で理解してるじゃない
        ですか・・・・同じタイミングで、
        私もハンジさんと横一列に
        並んで先輩に告白します。

        そうすればこの上なく
        イーブンじゃないですか。

        先程、ハンジさん自身が言った、
       『こういうのには年功序列とか
        そういうの関係ない』という
        有難いお言葉をそのまんま
        反映させて辿り着いた一つの
        答えです。どうです?
        我ながら名案だとは・・・・//」》




    ハンジ「いっ・・・、いや・・・あのな!!?//

        あんたの言いたい事はよく
        分るよ?!けどね・・・・!

        少しくらいはアイツの身にも
        なって考えてやれよ・・?!

        流石に同時に異性から
        告白を受けたりしたら・・・
        どんな奴だって返しに困る事は
        必至だろ・・・・!後先の事を
        考えれば余計にだ!!」





    《ペトラ「ぅ~ん・・・・それも・・・そう
         なんですけどね・・・でも
         いいですかハンジさん・・?」》




    ハンジ「な・・・なんだよ・・・?」

        



    《ペトラ「考え様によっては・・・ですよ。

        こんなに身近に、ここまで想いを
        寄せている異性が、それも
        二人です。そんな異性が常に
        傍に居て、一緒にゲームをして、
        街に出かけて、お風呂にまで
        同行して・・・ここまで色々
        していて、その気配を少しも
        察する事が出来ない・・・

        先輩にも・・・非があると・・・
        そうは思いませんか・・・?」》




    ハンジ「・・・・・・・ぁ。」(;゚Д゚)旦 =3ポン




    《ペトラ「そう・・・、もとはと言えば
        先輩が悪いんですよ・・!
        (クヒヒヒヒ・・・・・★)
        私だけならいざ知らず・・!

        ハンジさんなんていつからの
        付合いでしたっけ・・・?
        小学・・?中学・・・?とにかく
        男湯にまで入り込んで
        アタックしてるのに、未だに
        この距離感。」》    
        



    ハンジ「恥ずかしいからその話を
       ぶり返すんじゃぁないッ!!!!//」



    《ペトラ「とにかく・・・そういう事です。

        何か・・・私達って間違った事を
        しようとしてますか?

        ・・・どうでしょう、ハンジさん」》




    ハンジ「・・・・・・・・」


  49. 49 : : 2015/06/17(水) 02:46:13



    依然として電話越しでは相手の表情が
    読めないのは当然であるが・・・


    先程まで優しい輝きに満ちていた
    彼女の笑顔は今や・・・暗黒面に傾倒して
    闇に魅入られてしまった騎士の
    成れの果てのような・・・邪悪な笑みによる
    暗い輝きに満ちていた





    ハンジ「あんたの口からそんな言葉が
       聞けるとは夢にも思わなかった

       ・・・・・・が・・・・・!面白い・・・!
       イイね・・・!実にイイ・・・・・!!!

       面白いってのは大事な事だぞ・・・!
       ...なあ、ペトラよ・・・・!」
       ザワ...ザワ.....



    ※ハンジさんがペトラさんの発言に対し、
     
     いいね! しました。





    どうやら迷えるものの片耳に添えられた
    悪魔の囁きは・・・もう一匹の悪鬼を
    誕生させてしまったようである・・・。


    完全にいつもの状態とは
    力関係が逆転してしまっている様子。





    ~ペトラサイド~





    《ハンジ「よっしィ・・・・!やるぞぉ
        ペトラ・・・!あたしら二人の
        積年の想いを奴に真っ向から
        ぶつけて・・・!たった一瞬でも
        慌てふためくアイツの顔を
        拝めれば、それで私等の
        勝ちだ…!派手にやろうぜ・・!」》
        ゴゴゴゴ・・・・




    ペトラ「(別にそーいうつもりで
        言った訳ではないのですが)
        そ・・・ソウデスネ(; ・`д・´)

        よ、よぅし・・!!
        明日は気合い入れて
        行きましょう・・・・!」




    《ハンジ「フフフ..待ってろよ鈍チン
         リヴァイめ・・・!

         精々後輩と腐れ縁という
         何とも面と向かって
         断りずらい面子に同時告白
         される難解な局面に
         あたふたするがいい・・・!


         ・・・・ってアレ・・・?ぁ、あの、
         そう言えばペトラ。今
         思ったんだけどさ」》




    ペトラ「な、何でしょうか;」





    《ハンジ「コレ・・・、 私が速攻フラれて
        ペトラが選ばれたりしたら・・・


        ・・・・・・・・

        私、すっげー惨めじゃね?」》





    ペトラ「  ..」






    ペトラ「ソンナコトアルワケナイジャナイデスカ」
        ギクシャク...





    《ハンジ「ォい!!!今なんか間があった!!   

        それに何で全文半角カナ?!!;

        すっげー棒読みしてないか?!」》





    ペトラ「あのですね、ハンジさん。
       不安になる気持ちもわかります。

       ・・・ですが相手は“あの”センパイ
       なんですよ・・・・?そう都合よく、
       一から十まで想像通り動いて
       下さると思ってるんですか・・・?:」 

         



  50. 50 : : 2015/06/17(水) 02:51:16

         



    《ハンジ「それは・・・ま、まぁ・・・;

        何てったってアイツの事だ・・・!
        確かにどんな変化球で
        返してくるか想像すら
        出来ない・・・・;

        そう考えると最早、どっちかを
        フってどっちかを選ぶって
        結末自体、何だか想像できなく
        なってきた・・・!」ガタガタ》






    ペトラ「お、落ち着いて下さい
        ハンジさん・・・!;気持ちは
        私だって同じなんです。

        つまりさっき私がつい
        歯切れの悪い答え方を
        してしまった理由に関しても・・

        私自身の中にハンジさんが今
        考えている事と全く同じ
        不安が芽生えていたからに
        他なりません..」カタカタ・・




    《ハンジ「つ・・・つまり・・・」》






    ペトラ「一番おっかないのが・・・!



       “どっちかなんてえらべねーよ”


        ・・・・・のパターンです・・・!」
        (; ・`д・´)






    《ハンジ「ぁ・・・・有り得る――――ッッ!!」
        (落雷トーン)Σ(;゚Д゚)》




    ペトラ「第二に・・・・その応用で、


       “つまんねー冗談で俺を茶化すな”


        ・・・・これはまぁ真摯に当たれば
        まずないと思いますが・・・!
        どの道考え出すとキリが
        無いんですよ・・・・!」




    《ハンジ「ぁ,ああ・・・;もうこうなりゃ
         ヤケだ・・・!当たって砕けて、
         小石にまで砕かれた状態で尚

         最後まで嫌がらせのように
         顔に石礫をぶつけてやる・・!」》







    ペトラ「何だか粘着質な玉砕覚悟ですね;」





    《ハンジ「折角ペトラとの共謀で
        ここまで大冒険するんだ・・・!

        私ゃフラれても嫌がるアイツに
        無理矢理チューしてやるぞ・・!」》
        ウヘヘヘ......ジュルリ・・・
        (何故かテンションが上がって来た人)






    ペトラ「い!?嫌がるなら流石に
        止めましょうよ!!;
       (しまった!悪乗りし過ぎてる!
        流石に煽り過ぎた・・・!?)」





    《ハンジ「いいや!!もう決めたぞ!!
         因みにペトラも当然強制な!

         私がやってあんたがもし
         やんなかったら・・・・
         敵前逃亡の刑罰として・・・・!
         (ゴゴゴゴゴゴ・・・・)」》




    ペトラ「ッ・・;!?・・・?!」
        ビクビク





    《ハンジ「岩盤浴で焼き土下座な!!
         無論マットレス無しの直だ!!

         利根川さんと同じ条件を
         一番熱い石でやらせるから!

         ・・・覚悟しとけよペトラ・・?;」
         フッフフン・・・;》





    ペトラ「アレ結構真面目に熱っついん
        ですけど・・・・;流石に皮膚が
        溶けはしないと思いますが
        それでも12秒はちょっと・・・・
        (;´・ω・)」



    《ハンジ「何故最初から諦めムード!?
        諦めんなよ!!!キス位余裕だろ!?
        お前はリヴァイとではなく
        焼石とキスする方を選ぶって
        言うのか!?」》



    ペトラ「だ、だから!話が飛びすぎ
       なんですハンジさんは!!!

       大体何の話でしたっけ・・!

       そうですよ・・・!バーベキュー
       ですよ・・・!ハンジさん、
       食事の材料調達も確か任されて
       たじゃないですか・・・!そっちは
       大丈夫なんでしょうね・・!?」






  51. 51 : : 2015/06/17(水) 02:52:02


    《ハンジ「大丈夫だ、問題ない!
        
        リヴァイ持参でプーさん肉が
        大量に仕入れられることに
        なったからな・・・・!あとはソイツを
        火に通してサンチュにでも
        適当に巻いて喰わせれば
        皆何も文句言わずに食うだろ」》
        
        


    ペトラ「勿論だとは思いますけど・・・
        ちゃんと他にもお野菜とか
        持ってきてくださいね・・!?

        ぁ、いいや、それはじゃあ
        私が持ってきますから・・・後は・・


    《ハンジ「あ!そうだペトラ、あんた
         水鉄砲持ってな....




    ペトラ「要りませんよね!??!それ!?」
        (; ・`д・´)イラッ☆


  52. 52 : : 2015/06/22(月) 20:05:54





    再び場所は移り・・・





    ―ミカサ居住マンション―






    アルミン「・・・・害虫駆除のアルバイト・・・?」



    カチャカチャ・・・
           ザパ....




    ミカサ「そう・・・・」




    カタカタ・・・・   コトン・・・




    三人で朝食を摂リ終えた後、
    テレビシリーズの続きが見たいあまりに
    居ても立っても居られないエレンのみ
    テレビのある部屋に放置し、


    ミカサの皿洗いを手伝っていた
    アルミンが・・・ミカサの返答に
    小首を傾げる。話の内容は、
    先程食事中に中断されたと思しき、
    エレンの短期バイトについての
    事であったが・・・・



    ミカサ「とはいっても・・・私のつてで
       かなり特殊な経緯によって
       とりつけられた仕事・・・

       なので一般の募集は恐らくされて
       居なかった筈・・・・」



    アルミン「(ミカサの特殊なつてって一体・・;)   
       それにしても・・・また特殊な
       作業内容だね・・・・この世界にも
       色々と仕事の種類は山ほど
       あるみたいだけど・・・・」
       ボクモクツミガキトカヤッテタシ



    ミカサ「どういう仕事がしたいの?
        って・・エレンに聞いたら」


    《エレン「何でもいいから駆逐系の
         仕事とかねえのか・・・?」》


    ミカサ「・・・と言って来たから・・・。

        目を見る限り至って真面目な
        顔をしていたので無下にする
        訳にも行かず・・・・・。

        何とかエレンの
        希望通りの作業内容で私なりに
        見つけた積もり。」




    アルミン「虫の・・・駆除って言ったって
       色々だよね・・・何だろう・・・
       アレかな?ナシにたかるあの
       緑色の臭い虫?」




    ミカサ「それだと梨の妖精と
        ネタが被ってしまう。

        ・・・・それでは無かった。
        もっと特殊な・・・・、、、

        、、!」ガタッ





    アルミン「??」ピク




    ミカサ「っ」



    ドンッ!!!



    アルミン「・・??!えっ・・!?
       ちょっ!ミカサっ!!?」




    何も言わずに突然傍にあった冷蔵庫に
    ローキックを見舞うミカサの挙動に
    面食らうアルミン。・・・・しかし
    その次の瞬間・・・・




    ササッ!!!!

      

        「じょうじっ...」





    アルミン「ァっ!!!うわぁあ!!」バタバタ!!
       デタァアアア!!(;゚Д゚)





    ミカサ「・・・・・・」




    冷蔵庫脇からシャカシャカと這い出て来た
    漆黒の弾丸を睨むミカサ。
    音を立てないすり足で距離を詰めると
    恐ろしく無駄のない動きでもって



    ミカサ「っ!!」ヒュッ・・・・!!タンッ!!!



    手に持っていた耐熱ガラスコップで
    一匹のテラフォーマーサンプル獲取を
    成功させてしまう。




    アルミン「い・・・・いま全然ミカサの動きが
       見えなかったんだけど・・;」
       ガタガタ・・・・
  53. 53 : : 2015/06/22(月) 20:07:37



    ミカサ「この辺りの地域で最近出没する
       この品種だが・・既存の国産種、
       外来種などどの項目にも該当する
       情報の無い、特殊な個体のようだ。

       ・・極めて生命力が強く、
       強固な外殻とずば抜けた
       しぶとさと素早さを身に
       つけている。その速さは
       リヴァっちですら捕捉が
       困難な程。」


    カサカサ・・・・




    しっかり抑えつけたガラスコップの内部。



    その隔壁の内で目まぐるしく動き回る
    人類の仇敵を恐ろしげな目で
    見つめるアルミンと、対照的に
    この上なく冷徹な目で見つめるミカサ。

    一応生け捕りにはしてみせたものの、
    アルミンに対するある程度の説明が
    済み次第、確実に逃さずにトドメとなる
    一撃を浴びせるものと容易に推測できる。

    ・・・そんな目をしている。




    ミカサ「何を隠そうエレンの初の
        職場体験となるその場所での
        討伐目標が・・・『この虫』だ。」
        グイグイ・・・




    アルミン「僕も都内でマンションに
       住む前には何度か遭遇した事が
       あるけど・・・こんなに素早くて
       身体が大きいのは
       見た事がないよ・・・;

       っていうかリヴァイ兵長ですら
       捕まえるのに苦戦するって;」




    ミカサ「何でも宇宙開発の過程で
       産まれた突然変異体だそうだ。

       その内の数匹の脱走を迂闊にも
       許してしまい、それが驚異的な
       繁殖力と環境適応力でこうして
       この近郊で増えてしまった。

       元来即効性を持つ筈の専用
       殺虫薬剤もまるで効果を
       発揮できなくなっているそうだ。」





    アルミン「なんか・・・・ちょっと怖いな・・・
       コレ・・・・・;」ウワァ・・・



    カサカサカサ・・・




    ミカサ「この一体を殺処分にして
       しまっても・・・何も此方にメリットは
       無い・・・・。ので、コレは貴重な
       サンプルとして、エレンが
       初出勤となる時に折角なので
       研究所まで持参してもらおう・・・」
       



    そう言った後に戸棚から小型のタッパーを
    取り出すと、またも眼にも留まらない
    手際の良さでコップに封じ込めたGを
    そちらのタッパーに移すミカサ。



    アルミン「今・・・ミカサ、研究所って
       言ったけど・・・エレンの勤め先って
       ・・・そんなに特殊な場所なの・・?;」



    ミカサ「・・・・特殊と言えば・・・・
        まあまあ特殊だ。

        私が色々と身体データを
        研究材料として提供している
        研究施設の一つだから・・・・・


        こんな場所・・・・」
        (取り出した携帯を手渡し)





    アルミン「国際・・・宇宙..支局・・・って・・・
       何かこれ・・・ものすっごく普通の
       所じゃないよね・・・;

       なんだかその辺も
       ミカサのつてってだけで
       特殊過ぎる気がするけど・・・・まあ
       気にしたら負け・・・・なのかな;」
       ハイ・・アリガト;





    ミカサ「設定とかそういうものは
        色々と投げやりなので
        あまり気にしないで貰えると
        助かる。」




    アルミン「害虫の・・・駆除・・かぁ・・・;

       その姿を見ただけで
       身がすくんでしまう僕には
       土台無理な話だろうけど・・・
       
       エレンみたいな好戦的な性格の
       人には・・・丁度良いのかな」




    ミカサ「研究所でエレンに仕事を
        教える事になる人間の中には
        数人顔見知りがいるが・・・

        皆人柄が良いので心配はない」
  54. 54 : : 2015/06/22(月) 20:11:29



    アルミン「宇宙開発ってあったけど・・・

      ・・・という事は、その研究所の
      人達っていうのはゆくゆくは
      宇宙飛行士か何かになる為に
      そこに居る人たちなのかな」



    ミカサ「・・・詳しくは知らないが・・・
        似たような物だと思う。


        ・・・・興味があるの・・?
        アルミン。」



    アルミン「・・・、そ、そんな顔してた?;」




    ミカサ「・・・・、」コクン・・・




    アルミン「、まあ・・少しだけね。
       この世界の全てに興味は
       あって・・・まずは海の向うに
       行ってみたいって言う気持ちは
       元々あったんだけど・・・

       それよりもっと大きな規模で・・
       今度は“世界”よりも外に・・・

       “宇宙”っていうその括りが
        あると聞いたら・・・勿論興味が
        沸いても来るよ」


    ミカサ「・・・」



    アルミン「けど・・・やっぱり今の僕らにとって
       この話は余りにもスケールが
       大きすぎるよ。・・・まずは
       何処か・・・どこでもいいから
       “海”を見に旅に出たいな。」





    ミカサ「“海”が見たいだけなら・・・
        都会でもそれなりに見られる
        場所くらいある筈では」





    アルミン「それはそうなんだけど・・

       やっぱり、ああいう港というか
       船着き場しか無いみたいな
       感じでは無くて、浜辺があって
       海水浴が出来る様な・・・・
       そんな感じの“海”がいいなぁ」



    ミカサ「・・・・なるほど。」




    アルミン「ミカサも・・・まだエレンとは
       “海”には行ってないんだよね」



    ミカサ「行っていない。」




    アルミン「・・・・じゃあ、いつか近い内に・・・
       僕達三人で行こう?僕も是非
       この目で見てみたいんだ・・・
       塩水だけで見渡す限りの地平が
       埋め尽くされる程だなんて・・・
       実際に現地に赴いて見てみないと
       実感が沸かないよ・・・・」




    ミカサ「承知した・・アルミンが
        そう言うのなら・・・・
        都合のつく日に皆で行こう・・・」





    ガチャ・・・・




    アルミン「・・・・・!」



    その時、一通りの洗い物も終え、
    洗い上がりの食器の水気を布巾で
    拭っている二人の前を無言で通り過ぎ・・・

    流しまで来たところで水道のコックを
    捻り、その場で顔を洗い出すエレン。



    自身の後ろを無言で通り過ぎる際、
    一瞬だけだがエレンのその横顔を
    確認したアルミンは・・・・暫し
    己の眼に飛び込んで来た、
    信じ難い光景に意識を占領された。


  55. 55 : : 2015/06/22(月) 20:18:10








    ミカサ「エレン・・・・顔を洗うなら
        脱衣所の洗面台で洗ってと
        前にも言ったはず」
        フキフキ・・・




    エレン「るっせぇな・・・・どっちも
       出る水は同じ管を通って来てるん
       だろ・・・?なら別にどっちで
       顔洗ったって変わんねーだろ・・」
       グズ・・・





    アルミン「・・・・;!(エレンが・・・泣いてる・・?!)」




    若干啜っているその鼻音と、彼の目元に
    未だ残っているその赤味の差した
    腫れ痕が・・・・彼のBD視聴時、若しくは
    その直後の状態を物語っている。





    ミカサ「・・・・・!エレン・・・?!
        泣いている・・・?!ど、どこか
        痛むの・・?!?」ワタワタ・・・




    エレン「違ぇっ!!そ、そういうのじゃ
        ねえよ!!!ただ・・・ただ・・・・!!」





    アルミン「(そ、そうか・・・エレンに
       見せたのは8巻・・・・!
       テレビシリーズオリジナルの
       加筆で賛否両論あった・・・
       “あの”回だ・・・・・・;!)」




    エレン「あんなの・・・・あんなの・・・・

       あんまりにあんまりだろ・・・・!
       (ズズッ・・・・)

       人類の為に・・・オレなんていう
       役に立つかどうかも分からない
       モノのの為にあそこまで皆が
       必死で闘ってくれた結果皆が
       命を落として・・・・!」




    アルミン「・・・・・」




    エレン「仲間の死を目前にしても一切己を
       見失わずに戦い抜いた兵長には
       あの仕打ちかよ・・・・!

       とてもじゃねえが・・ペトラさんの
       親父さんの下りなんて最後まで
       直視できねえよ・・・・!」ガタガタ・・・
     




    ミカサ「エレン・・・気持ちは痛い程分る。

        ・・・・しかし今は・・・」





    エレン「分かってる・・・!!


        けどよ・・・・流石のオレも・・・
        あの後の顛末を知る事が出来て
        ・・・、思った事がある。」






    アルミン「何・・・・?思った事って・・・・」






    エレン「皆があっちの世界の事を
       例え忘れていたとしても・・・・

      “ふざけた話をしてりゃ思い出す”

       ・・・・確かお前の言う通りなら
       ・・・そうだったよな・・・・ミカサ。」





    ミカサ「・・・・・、。概ね間違ってはいない。
       
       但し少しでも神妙な空気が
       その場に漂っていた場合・・・
       その記憶を思い出すには強力な
       歯止めがかかる。

       まず此方がどんなに必死に言葉で
       訴えて思い出させようとしても・・・
       当の本人達がそれを思い出す事は
       ない・・・・」





    エレン「“思い出す事は無い”・・・
        って事はよ・・・。オレはそこを
        今迄見事に勘違いしていた
        訳だが・・・

        つまり、元居た世界の記憶は・・・
        きれいさっぱり“無かった事”
        になってるって訳じゃ
        ねえんだよな・・・・??」





    ミカサ「それは・・・そうだけど・・・」

       





    エレン「なら・・・それで充分だ・・・・!
       絶対に・・・・絶対にオレは・・・・

       兵長に・・・ペトラさん達に・・・!!
       元居た世界の記憶を思い出させて
       みせるぞ・・・・・・!」


  56. 56 : : 2015/06/22(月) 20:19:46



    アルミン「ェ・・・エレン・・・・」






    エレン「元居た世界とは別の世界だろうが
       ・・・・何であろうが・・・・!

       あんな結末を迎えてから
       この世界で互いに関わり合いを
       持てた事に・・・何の意味も
       無いなんて事がある筈ねぇ・・・・!!」




    アルミン「僕もそこまで試した訳じゃ無い
       けど・・・・、この世界に働いてる
       不可思議な力は・・・・そう単純な
       モノじゃないんだよエレン・・・。

       エレンに見せたようにDVDや
       コミックでは普通に僕等の顔も
       声も、名前もそのままなのに、
       周囲にこの作品の事を知ってる
       人がどれだけいようと・・・誰も
       それについて触れようとは
       しないんだ・・・」



    エレン「・・・・・・」
       



    アルミン「僕が働いてる喫茶店に来る
      お客さんは殆んどそういう
      方面に明るいお客さんだったから・・
      よく分かるんだ・・・・。誰も僕の顔を
      見ても声を聞いても何かに
      気付く気配が無い・・・・・」





    エレン「そりゃ・・・・お前はあの格好
       だからな・・・・;気づかない方が
       自然だろ・・・;」



    アルミン「っも、勿論それだけじゃない!!
       ミカサがそう言うのは一番よく
       分かってる筈だよ・・・・!」



    ミカサ「・・・・アルミンの言う通りだ。

        ・・・・エレン。あなたの気持ちは
        痛いほど理解できる。・・しかし
        理解できるだけで、
        同意は出来ない。」





    エレン「な・・・!?なんでだよ!!」





    ミカサ「確かにあれだけ壮絶な過去を
        経てきているからこそ・・・
        この世界で偶然か必然か、

        その成否はともかくとして
        ああして共に寄り添える
        巡りあわせを大事にして
        貰いたいというのは分かる。

        しかし、悲しすぎる
        思い出だからこそ・・・
        リヴァっちには・・・そして
        あの人達にはそれを思い出して
        欲しくない。」




    エレン「・・・・・」




    アルミン「ミカサに言いたい事は全て
       言われてしまったけど・・・
       僕も同じ意見だよ、エレン。

       まだ僕は・・・君達と一緒に
       お店に来たハンジさんしか
       直接はこの目で見てないけど・・・

       一目見た感じでは・・・本当に
       普通にこの世界での生活を
       謳歌してる感じだった。」




    エレン「あの人のテンションは
        どっちの世界でも・・・そういうの
        あんまり変わらない気がするが」
        ムス・・・



    アルミン「~~・・・;」




    ミカサ「・・・アルミン。エレンの性格では
       これ以上押しても跳ねのけられる
       だけだ。私達の意見をエレンに
       伝えたなら・・・これ以上は
       無理強いしても仕方が無い。

       ・・・・それに」




    アルミン「・・・・うん?;」





    ミカサ「エレンの気持ちが・・・私にだって
       少しも分からない訳では無い。

       元居た世界の記憶を・・・私達は
       “偶々”残していたから
       こうしてエレンに・・アルミンに
       出逢う為に毎日尽力する事が
       出来た。

       もし・・・元居た世界の記憶すら
       私に残って居なかったら・・。

       私は・・エレンを知る事も
       出来ない世界で暮らして
       行かなければならない所だった。」

        
  57. 57 : : 2015/06/22(月) 20:23:44

        



    アルミン「ミカサ・・・・・」





    そう言って項垂れるミカサの眼に
    一瞬だけ宿った悲しい光を見て・・・
    アルミンもそれ以上エレンに何かを言う
    気力を失くしてしまう。



    アルミン「(それも・・・そうだ・・・)」



     僕だって、それを少しも考えなかった
     訳では無い。もし・・・もしもハンジさん
     達のように。元居た世界の記憶を、
     談笑時にのみ無意識下でしか
     思い出せない状態でこの世界に
     来てしまっていたら。


     ・・・・きっと、何を思い出す事も無く
     この世界で公園生活を死ぬまで
     続けていたかもしれない。


     もしそうなっていたらなんて事は・・・



    アルミン「(流石に考えたくも無い・・・。

       僕だってそれはエレンの気持ちが
       少しも分からない訳じゃない・・・
       ・・・・けど・・・・)」




    エレン「分かってるつったろ。

       兵長達の記憶にかかってる
       なんだかよく分からねえ物は・・・
       ちょっとやそっとのきっかけで
       崩せる物だとは思えねえ。

       アルミンに言われるまでも無く
       ミカサに連れられて兵長の家に
       言ったその日に痛い程痛感
       させられた。」




    ミカサ「・・・・話の途中だけれど・・・二人に
        言い忘れていた事がある。

        こんな話をしていたので
        思い出した。この世界での
        私の叔父さんが言っていた事で
        どこまでの信憑性があるのかも
        わからないし、その詳細も
        聞く事は叶わなかったが・・


        どうにもこうして私達のように
        元の世界の記憶を残したまま
        この世界に辿り着いた人が・・・

        私達以外にもあと一人は
        居るかもしれないとの事だ」




    エレン「・・・・何だって・・・?!

        オイ・・・!そりゃ本当かミカサ!??」
        ガバッ!!



    ミカサ「今言ったように・・・
        信憑性については確かな事は
        言えない。・・・ただ、叔父さんは
        ・・・・私には嘘を付かない。

        リヴァっちには平気な顔で
        とんでもないホラを吹くが
        私には吹かない。今迄も
        そうだったから・・・そこは
        信用していい」





    アルミン「けど・・・・肝心のそれが
       誰なのか分らない限りは・・・・;」







    ミカサ「それは私もとても気になるが・・・
        叔父さんが態々私にここまで
        言って肝心の人物について
        伏せたという事は・・・・

        少なくとも私達と関係が薄い
        人間で無い事は確か。

        ・・・・そのような趣旨にあたる
        言葉を仄めかしてもいた。」




    アルミン「そのような趣旨・・・・って・・?」






    エレン「っ・・・・(ゴクッ・・)」






    ミカサ「詳しい事は言えないが・・・
        何れ分ると。

       “そういうふうになっている”

        ・・・と。少なくとも叔父さんが
        把握している上では・・・私達が
        何をせずともいずれ期せずして
        その人とは出逢えると。

        ・・・そんな風に言っていた」




    エレン「~~~~~!!何だよそれ!!
       そんなんでわかりっこねえだろ!!
       
       そいつがこの世界に居るオレ達の
       “元”知り合いであるって事以外
       分らねえんじゃ・・・見つけた奴
       片っ端から確認して行くしか
       ねぇじゃねえか・・・・!!」



    アルミン「・・・・まずどれだけの人が
       この世界に飛ばされているのか、
       それすらも分からない上に・・・

       僕等104期だけでもどれだけの人が
       すぐ会いに行ける距離に居るのか
       解ってないしね・・・」

  58. 58 : : 2015/06/22(月) 20:27:13





    ミカサ「それについてもだけど・・・

        これは流石に推測の域を
        出ないが・・・・多分全員だ。」





    アルミン「え」
       
        




    ミカサ「“進撃の巨人”。この原作に
        登場している人は・・・全員、
        何の例外も無くこの世界に
        そのまま飛ばされている
        可能性が非常に高い。」









    エレン「マジかよ・・・・!・・・というか
        それでその中でも元の記憶を
        まともに残しているのが・・・

        オレ達三人とその誰だか
        わからない一人だけだって
        言うのか・・・・!!?

        訳が分からねえよ・・・・!
        一体何だって・・・・」




    ミカサ「既に・・・先だっての三人を除く
        残りの特別作戦班の全員に
        加え・・・・、

        ライナー、ベルトルト、
        アニ、クリスタ、ユミル、
        マルコ、ハンネスさん、
        ナナバさん、ゲルガーさん、
        ミケさん、ニファさん、
        リコさん、・・・・そして、
        住まいはこの付近だが
        諸事情あって少し遠くを
        彷徨っている・・・
        サシャを確認している。」




    アルミン「も・・・・もうそんなに・・・・!?
       ミカサ・・・君はいったいどんな
       情報収集を行った末に
       そこまでの顔ぶれを見つけ出した
       っていうの・・・?;」








    ミカサ「ユミルとクリスタのような・・
        例え元の世界の記憶が無くても、
     
        生来の強い繋がりが影響している
        者同士なら・・・・この世界でも同じ
        職場で住まいも近い場合が殆ど。

        そういう人を見つけると・・
        片方を見つければもう一方を
        探し出すのは簡単だったりする。

        ハンジさんが勤めている薬局
        などがその最たる例だ。

        あそこだけで調査兵の人達が
        大分特定できた。地域を限定
        しないのならば・・・ミーナと
        コニーの居場所も特定
        できている。少し離れているが」




    エレン「ミーナ・・・?!あいつは
       この世界で無事なのか!!?」





    ミカサ「ペトラさんを思い出して欲しい。
        例え向うの世界で戦死を遂げて
        居た様な人であっても・・・
        此方の世界では存命でいる
        可能性が大きい。

        ・・・・そこがこの世界の
        よく分からない所の一つでも
        ある。・・どの道私一人でも相当
        色んな土地を駆け回って
        見つけられる限りの知り合いを
        探し出したが・・・結局の所は
        私個人というより、叔父さんの
        助力が何より大きかった。」




    エレン「・・・・・お前の・・・叔父さんか・・・」




    ミカサ「勿論、それも向うの世界では
        実際どうなのかは分らないが・・・


        恐らく私とあの人が血縁関係に
        あるのは間違いない・・・はず。」


  59. 59 : : 2015/06/22(月) 20:31:43



    アルミン「ミカサも充分人間業じゃない位の
       働きを見せてくれてるけど・・・

       その、叔父さんって人も
       ちょっと尋常じゃなさそうだよね;
       ・・・・ウン、一応原作読んでるから
       どんな人かは知ってるし、
       原作でもミカサは疎かあの
       リヴァイ兵長と血縁にあるかも
       しれない上に・・・・・・」





    アルミン「大昔、それこそ僕達がまだ
       産まれてくる前に、都を騒がせた
      “あの”連続殺人犯、その人だって
       言うんだからね・・;

       僕も書物でだけは
      “切り裂きケニー”の名前を
       辛うじて識ってはいたけど
       ・・・絶対に大人が子供を脅かす為の
       おとぎ話だと思ってたよ。


       ・・・・何十人もの憲兵の喉を,,,
       まるで道端の雑草を毟るかの様に
       掻っ捌いて歩いてたって話だ」
       ゾゾ.....;

      


    エレン「ミカサ・・・・お前の叔父さんって
        そんなヤバい人なのか・・・?;」






    ミカサ「・・・・その質問に一言で
       応えなければならないとすれば・・・

       ――首を縦に振るほかに無い。


       そう。確かに叔父さんは・・・・
       “大分まともでは無い”。
       それは・・・この世界でも大体
       変わらない。」



    アルミン「・・・元の世界でその人と
       直接近くで顔を合わせた訳じゃ
       ないんだけど・・・・

       一応色々あった末に
       僕等の命を狙って来る人達の
       実質隊長格に居た人だから・・・
       僕は少し会う勇気が無いんだ;

       聞きたい事は沢山あるんだけどね」




    エレン「お前らの“見てきた世界”じゃ
        ・・・・一体何がどうなって
        やがったんだ・・・??;

        同じ壁の中で・・・人間に命を
        狙われてたってのかよ;」





    ミカサ「・・・・それどころでは無い。
        エレン・・・・あなたは・・・・
        その人達に攫われた上に、
        悪ければあと少しの所で・・・・」




    エレン「・・・・・・!?」





    ミカサ「殺されてもおかしくは無かった」




    エレン「おい・・・・さっきから色々と
        話が飛びすぎて頭が・・・
        追いつかねえよ・・・;!
        
        そりゃ・・・・そりゃぁ一体全体
        どういう状況だ・・・・!?

        巨大樹の森で・・オレはアレだけの
        犠牲の上に無様にも
        皆に助け出されたんだろ・・・?!

        この上まだ・・・間抜けにも
        連れ去られるってのかよ・・!?」
        ガタガタ・・・・



    ミカサ「・・・・言ったはず・・・
        知らない方が場合によっては
        良い事もあると。


        それを分かり易くエレンにも
        知って貰うために・・・私は今
        こうしてあなたがしらない
        未来の結果を一つ教えた。
        

        ・・・だがそれについては
        エレンがそこまで気負いする
        必要は無い。・・・そもそも
        〝取引"を画策した時点で
        内通者の存在を考えれば
        上手く行くとも思えな・・・」
    エレン「・・・・・その人は・・・何処に居る」




    ミカサ「・・・・・?」




  60. 60 : : 2015/06/22(月) 20:34:15

    エレン「そいつは・・・!オレを再び
       攫った奴らの頭か何か知らないが

       この世界では・・・お前の
       叔父さんって事になってんだろ・・?

       その叔父さんってのは・・・
       一体何処にいるんだ・・・・?!?

       教えてくれ・・・・・・!」



    ミカサ「・・・・聞くまでも無いけれど・・・
        それを聞いてエレン、あなたは」


    エレン「当然だ・・・・!お前よりもこの
       世界についてなんか知ってそうな
       その人の事を聞いて・・・・何も
       聞かない手はねえだろ・・・・!

       アルミンに苦手意識があろうが
       何だろうが知ったこっちゃねえよ。

       オレは・・・“まだ”その人とは
       初対面だ。」



    ミカサ「・・・・・エレンはその積もりかも
        しれないが・・・叔父さんは
        どうにもエレンの事を前から
        知っていた風な供述も
        見せている。原作描写でも。」





    エレン「この際面倒な事はどうでもいい・・
       
       夜の星を見に行く山登りに
       間に合いさえすりゃ良いんだろ。

       出掛けにその人の家に向かうって
       のは・・・何も問題ないよな」




    ミカサ「・・・・・・(溜息)・・・・アルミン。

        こういう訳だ。悪いけれど・・
        山への道中、寄り道する場所が
        一つ増えた。」




    アルミン「し・・・・仕方ないさ・・・;
       エレンがそう言うなら・・・

       僕がそれに意見する訳にも
       行かないし・・・」




    ミカサ「しかし、奇しくも叔父さんの
        住まいは・・・リヴァっちの
        部屋の又隣だ。

        もしも叔父さんの顔を見るのに
        抵抗があるなら・・・

        そちらにお邪魔して顔を
        見せに行くという手もある。」




    アルミン「僕に兵長と一対一でどんな
       話をしろっていうの・・・;w」







    ミカサ「いや・・・それなら意外と
        驚いてもらえるかも知れない。」




    アルミン「・・・・驚くって・・・・?;」





    ミカサ「ハンジさんの職場には・・・・
        反対番で“あの”ニファさんが
        勤めている。」




    エレン「・・・・あの、お前にすげえ
        そっくりな人か・・・・・」




    アルミン「そんなに・・・・似てるかなぁ・・・」





    ミカサ「・・・・正直に言うが
        似ているなんてものでは無い。

        寧ろなぜ姉妹とかじゃないのか
        不思議な位だ」




    アルミン「姉妹って言った今!!;」
       ウァァ・・・




    エレン「・・・・まだいいじゃねえか。
        兵長の記憶にお前の顔が
        直ぐ出て来なくっても・・・
        そういう話題の種があるならよ


        オレなんか・・・・いきなり
        戦死した筈のペトラさんと
        再会したもんだからつい動転
        しちまって・・・
        
        流石に落ち着いてなんざ
        居られなかった」


  61. 61 : : 2015/06/28(日) 03:40:57




    ミカサ「・・・・・分かった。では叔父さんの
        所まで出向いて、また此処まで
        戻ってくるのも大きな時間的
        ロスになってしまう。・・・ので、

        今から山で野営できるだけの
        荷物を持って出てしまおう。」




    アルミン「・・・・都会は殆ど星が見えなかった
       から。・・・・・綺麗な星が
       見れるといいなぁ...。
       
       ・・・ただ、街中からでも何故か
       不自然に流れ星だけは頻繁に
       見えたんだけど・・・

       この世界は僕等の居た世界とは
       天文学的な何かも・・色々と
       事情が異なるのかな・・・・。。」




    ミカサ「・・・心配ない。今から登る山も・・・
       別に標高から考えても・・・・また、
       大きさから考えても、別に
       泊りがけで攻略するような
       険しい山では無い。・・・正直な話、
       ここから散歩気分で1~2時間の
       内に山頂まで行って帰って
       来られる。」




    アルミン「へぇ・・・、そんなに近い山なんだ」




    エレン「オレなんか体力落としたく
       ねえから毎朝ひとっ走り
       してきてる。登山道じゃなく
       けもの道をな。この世界のあんな
       山程度じゃまず危険を感じる
       ような野生動物は居なさそうだ。

       ・・・・しかしこの世界の森に
       生えてる樹木ってのは・・・みんな
       あんな細々とした頼りない木
       ばかりなのか?

       アレじゃもし立体機動装置が
       あっても相当移動には
       難儀しそうだぜ」
       下手スリャオレルナ アリャ。





    ミカサ「この世界の歴史にはあまり
       詳しくないが・・・材木に利用する
       目的か何かで・・・大昔、大量に
       植樹された“杉”がこの辺りの
       山々には乱立しているが・・・

       数が増えすぎて間伐に手が
       行き届かず、ああして樹木の
       本数だけが増殖していった結果、

       陽の光と養分が不足して、
       痩せ細った木々が増えて行った
       ようだ。


       ―――しかし・・・・
     
       そもそも私達の世界の
       ・・それも壁外に生えていた
       巨大樹の森の木々のような巨大な
       樹木は・・・この世界には存在すら
       しないみたいだけど」

       



    アルミン「・・・なるほどね・・・っと、さて、
       じゃあそろそろ僕も準備しないと
       ・・・っていっても、荷物は既に
       纏めて持ってきてるから僕は
       エレンとミカサが準備出来次第
       すぐに一緒に出られるけどね」




    ミカサ「此方も・・・すでに荷物は
        纏まっている。

        エレンの言う通り・・・あの山で
        一晩星を見る為に一睡しに行く
        程度なら・・・これだけの荷物で
        十分事が足りる」ガチャッ・・・
        ガコン・・・・




    エレン「・・・オイ、ミカサ、お前ひとりで
        そんなに持たねえでオレにも
        もっと持たせろ。

        お前の気遣いに甘んじてると
        身体がなまっちまって嫌なんだ」





    ミカサ「・・・・・そう・・・・・?


        では・・・。このケース以外
        だったらどれを担いで貰っても
        構わない。」ガチャッ


  62. 62 : : 2015/06/28(日) 03:46:01




    アルミン「・・・・・・・(あのケース・・・)」





    そう言うミカサが抱きかかえる様にして
    エレンには持たせまいとしているのは・・・

    つい先日、叔父から宅配便で届けられた
    アタッシュケースであった。




    エレン「・・・・大きさはテントとかの方が
        あるけどよ・・・(ギシッ・・)

        どう見てもこの中で一番
        そいつが重そうだよな・・・・」




    ミカサ「全くそんなことはない。

        寧ろ軽量の限りが尽くされて
        いなければ、それは構造上の
        不備となる。」シラジラ





    エレン「・・・・・まぁ構わねえけどよ。
       (・・・・明らかにウソだな)




    アルミン「(ミカサのこういうウソは
       エレン以上に分かり易いなぁ・・・;

       只でさえ無表情なミカサが
       更に無表情になるから
       直ぐに見破れるよ・・・・)」


            
    しっかりと抱き留めたケースを
    決して持たせたくない事情が何か
    あるのか・・・・その運び手としての
    任だけは頑として譲ろうとしない
    ミカサに対し、それ以上二人はその
    ケースについて追及する事をやめた。




    アルミン「じゃ、、じゃあエレンが
       着替えたら行こうか。
       ミカサは・・・・その格好でいいの?」




    ミカサ「・・・・いい。そこまで重武装で
        臨まなくとも足元に気を付けて
        いれば靴が汚れる事も無い位の
        緩やかな山だ。・・・・・
        トレッキングシューズまで用意
        してくれたアルミンには悪いが」
        レギンスパンツ+カットシャツ





    アルミン「ハハ;いいんだよ別に気にしなくて。

       ほら、秋葉原のお店の近所に・・・
       登山用品店で安売りしてる時が
       あってさ。流石に兵団で
       支給されていたようなロングブーツは
       なかったけれど・・・出来れば一足は
       靴底の厚い靴が欲しかったから。

       この世界で売っている靴は・・・
       どれもお洒落で見栄えはするけど
       耐久性に難があるからね・・・・」





    エレン「お・・・・その靴良いな・・・

        オレも仕事で日銭が稼げたら
        最初にまずは靴だな・・・。流石に
        この格好で山走ると登山してる
        奴等の視線がすげえ突き刺さる
        んだ・・・」(隊服+ブーツ)





    アルミン「エレン・・・・その恰好で山に
       行くの・・・?;」




    エレン「・・・・おかしいか?何だかんだ
        運動するならやっぱりコレが
        一番しっくり来るんだけどな..」




    アルミン「おかしい・・・とまでは
      言わないけれど・・・こっちの世界だと
      その服装は大分ファッショナブルだと思うよ

      ・・・それは視線もそれなりに集まるよ
      ・・・いくら作品知識への意識妨害が
      働くといってもさ・・」



    エレン「・・・・それもそう・・・なのか。じゃ
        まずは靴より服だな。」




    ミカサ「エレン・・・洋服を買う時は私が
        同伴する・・・」ガッ



    エレン「・・・??!;い、いらねえよ!!

        お前のセンスで買って来た
        あの寝間着・・まぁ寝間着だから
        誰に見られる訳でもないし
        そこまで気にする事も
        無いんだが・・・・・

        なんか色合いからして随分
        フワッフワした軽い色でよ・・・;
        なんかまるで女も・・・・」
        グイッ
    エレン「ぁ゛痛ッ!!!!」ィデッ!!
  63. 63 : : 2015/06/28(日) 03:50:24



    ミカサ「全然女物とかそういう事は無い

        ・・・・可愛いからエレンは
        今後もアレを着続けるべき。」
        ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
        (無表情の怒気)    


    エレン「オレは自分が着る洋服に
        可愛さなんざ欠片も求めちゃ
        居ねえよ!!!イタイから離せ!!!
        
        耳が千切れちゃうだろうが!!」
        ド○エモンミタイニナル!!



    アルミン「(ド○えもんは知ってるんだ;)

       ・・・・じゃ、じゃあそろそろ
       行こうか・・・まずは、
       ミカサの叔父さんの家・・・だっけ」



    ミカサ「そういう手筈だ。では
        出発しよう・・・」
        ガスノモトセンヲシメナケレバ



    エレン「畜生・・・・!!;(ヒリヒリ)
        絶対あれ男物じゃねえだろ・・!

        なあ、アルミン・・・!あんなの男が
        着るモンじゃねえんだろ・・?!
        素直に言えって・・・・!(小声)」



    ミカサ「・・・・・・・・」
      (廊下の角からひっそりと)



    アルミン「・・・・ごめん、僕にはミカサの
       怒りを買う勇気はないや・・;

       ほ、ほら、今のエレンはどの道
       ミカサの居候という立場も
       あるんだし、そこはミカサの
       方針に従うしかないんじゃ
       無いのかな・・・・;」



    エレン「クソッ・・・・!!;
        お前が羨ましいぜ・・・・!
        オレもお前みたいな境遇に
        恵まれてれば・・・・!

        オレも絶対に仕事について
        独り立ちしてやる・・・・!」
        オマエ運ヨスギダロ・・・!




    アルミン「・・・;僕の境遇を羨むなら・・・・
       エレン、君も一緒にメイド喫茶で
       給仕さんになる・・・?」





    エレン「勘弁してくれ」





    アルミン「・・けどあながち君の属性だと
       男の娘属性でなくても
       受け入れられると思・・・・」



    ミカサ「エレンの・・・・メイド服・・・」
        (脳内レンダリング中....)




    エレン「っっ・・!バカお前っ・・!!!
        変な事言うんじゃねぇ!!!!」



    ミカサ「・・・・エレン。虫取りのバイトが
        終わったら・・・アルミンの店でも
        職場体験を行うべき・・・・。

        とても興味が沸いた・・・
        (主にエレンの女装に)」



    エレン「ほら見ろ!!!だからやめろって
       言ったんだ!!(泣)どうして
       くれんだよアルミン!!!!」
       ウゎアア・・・・;;;



    アルミン「い・・、いこっか・・・^^;」




    エレン「オイ!!!無視してんじゃねぇー!!」




  64. 64 : : 2015/06/28(日) 03:52:53




    ―海月荘正門―






    エレン「何というか・・・やっぱり改めて
        見るとこう・・・アレだよな・・」
        イイヅライケドヨ・・・;



    アルミン「ぅん・・・・ボロいね・・・・!」
      ウヘァ・・・スゴイ・・・





    エレン「スッ・・・ストレートに
        言い過ぎだろ!!兵長の居る前で
        同じ事言えんのかよお前!!」



    アルミン「そんなの臨機応変に決まってるじゃ
      ないか・・・・;流石に本人が目の前に
      居てそんな・・・・」




    ・・と、そんな事を言っていた矢先






         ヴゥン・・・・・




    ケニー「ぉーーー・・・何だ何だ?
       可愛い姪っ子(ミカサ)がここに
       近づいてきてるのが分かったから
       こうして迷彩で待ち伏せして
       たんだが・・・この娘っ子だか
       小僧だか分らんのがお前さんの
       言ってた・・・もう片っぽの幼馴染
       か・・・・?」



    光学迷彩による擬態を解除し、突如
    アルミンの目と鼻の先に現れた・・・
    完全変態の姿だった。




    アルミン「ぅわっっぁああ!!!?」ビグッ!!!



    エレン「うわっ!!!何だこの人!!??
       今いきなり姿が・・・!!!」




    ケニー「へへっ、、いいねいいね、
        ナイスリアクションだ。
        ハンゾーちゃんと遜色ない
        驚き具合でおじちゃんつい
        楽しくなっちゃうぞ。

        ・・・生憎一番脅かしたかった
        姪っ子には全くウケてなかった
        みたいで少しショックだけどな」



    ミカサ「・・・・すまないが、
        窓から迷彩を起動しながら
        出てくるのが既に見えていたし
        見えてなくても気配も物音も
        するから・・・。

        ・・・・それに・・・」




    チリン・・・・




    ケニー「・・・・おっと、ドラか・・・・

        俺とした事が猫畜生に
        背後を取られるとは迂闊だった。


        ミカサに看破されるのは仕方
        無いとしてもな・・・いや、
        迂闊迂闊。」




    ミカサ「野生動物には熱光学迷彩による
        攪乱効果が薄い。匂いばかりは
        どうにもできないし第一
        彼等には見えている様だ」
        


    アルミン「・・・・・・」ススッ・・




    ケニー「・・?」





    ケニーから身を隠す様にして
    ミカサの背に己が身を寄せるアルミン。




    ミカサ「・・・・気にしないでほしい。

        “原作経緯”で・・・叔父さんに
        多少なりに苦手意識が芽生えて 
        しまっているそうだ。」




    ケニー「ぁあ~~。成程な!!
       イイぜイイぜ!こちとらそれくらいで
       傷つくガラスのハートを
       搭載してる訳じゃねえからな!

       生憎そんなんでショックを受けるのは
       小心者が服を着て刈り上げに
       してるあのチビリヴァイくらいのモンだ」
       ッハッハーー!







    ――ケニーが軽口を叩いた正にその2秒後






      ヒュァッッ!!!



             ゴガッッ!!!






    ケニー「ッグァッ!!!」
        (;`゚Д゚´)oh!!!!!





    突然の凶弾に後頭部を強打され
    転倒しかけるケニー。




    ・・・彼の頭に直撃したモノの正体は・・・






    ・・・・一つの消しゴムの欠片。





    直後その場に鳴り響いたのは
    高速で移動する物体が空気を切り裂き
    飛翔する際、

    その物体が鳴らす風切り音を立て、
    凄まじい速さで飛来した消しゴムの
    切れ端が・・・ケニーの後頭部に
    小気味よくクリーンヒットした音だった。



  65. 65 : : 2015/06/28(日) 03:56:08





    リヴァイ「ォいっ!!!ジジィーーーーッ!!!!

       お前のその電波妨害(ジャミング)のせいで
       ノートのアクセスが重くて
       難儀してると再三苦情を
       寄越してた筈だよな!!!!?とっとと
       そいつを何とかしろ!!!!

       執筆中のSSが変な区切りで
       頓挫しちまったじゃァねえか!!!」
       (ムカ着火ファイアー!!)






    擦り硝子の窓を半開し、手摺に
    肘を乗せた狙撃姿勢で次弾の消しゴムを
    手の上で弄ぶリヴァイが
    消しゴムの欠片を空飛ぶ鈍器へと変える
    程の力を与える投擲器(スリングショット)
    携え・・・・

    片方の腕を天に振りかざし、怒りを
    露わにしている姿がそこにはあった。



    エレン「ッ・・!!兵長のマジギレ・・だと!!?;」

       ゾゾゾッ・・・・     



    未知の光景を目にしてしまった
    あまりの恐怖にその身を竦ませるエレン。





    リヴァイ「聞こえてんのかオイ!!とっとと
       何とかしねえなら追加を
       寄越すぞコラァ!!!(;゚Д゚)」
       ギリギリギリギリ・・・・・!






    彼がこうして隣近所への騒音の苦情を
    省みない暴挙に出るという事は・・・
    相当頭にきているのだろう。

    しかし・・・傍から見る限りはなんとも
    信じられない程に矮小な理由で
    己が脳天に沸騰した血気を滾らせる
    兵長の姿に・・・


    少なからずその場の約二名は大いに
    困惑していた。




    エレン「へ・・・兵長・・・;」
        (苦笑)



    アルミン「・・・・・・:」








    ケニー「おいっ!!!リヴァイテメエ!!!
        人に向けてパチンコぶっ放す
        とか、どういう教育受けて
        やがんだこのクソガっ...




    ビシュッッ!!!!

            ッゥ゚ゥゥン!!!!!





    ケニー「オアッ!!チキショウアブねぇ!!!!」
        ババッ!!!




    キュンッ!!!!    
              バシュバシュッ!!



      チュインンッッ!!!!



    今度は狙撃地点を頭に入れていた為
    なんとかその飛翔体を避けてみせる
    ケニーだが・・・流れ弾となった消しゴムの
    着弾音とその風鳴りは・・・


    もはや本来消しゴムの鳴らす筈の
    それではなかった。


    音だけ聞いていればアクション映画で
    そのまま実弾の発砲音源として
    使えそうな轟音、快音を立てて
    実の叔父に叩き込まれんとする
    ゴム弾のラッシュは・・しかし、只の一発も
    周囲にたじろいでいるエレンや
    アルミンに被弾するような
    コースでは放たれていない。

    無論ミカサに限っては其方に
    飛んだとしても一切何の問題なく
    対処できると予測できるが、それでも
    一応は射線からはしっかり外れている。






  66. 66 : : 2015/06/28(日) 03:58:50




    リヴァイ「いいからとっとと毒電波を切れ!!

       それともアレか!!!その首をもいで
       やらなきゃ止まらない類の
       電波なのか・・・・?!!そうならそうと
       早く言えば今すぐにその首を・・・!」
       ギラッ・・・



    ケニー「!!!;」




    ついに残弾が底をつき、今度は
    近距離兵装(ガンツソード)に持ち替えて窓の柵に
    身を乗りだすリヴァイ。




    ケニー「やべーよやべーよ!!
        あいつ本気で(イカ)れてやがる!!」




    ミカサ「・・・叔父さん、素直に無線傍受と
        電波妨害モードをオフに
        切り替えた方が良い。

        趣味を邪魔されて本気で怒った
        リヴァっちは・・・・

        “某刑事ドラマの特命係長”と
        同じくらい敵に回しては
        いけない生き物だ・・・・。」
        




    ケニー「わーぁった;!!!!分かったから!!
       少し待てってんだよ!!!
       (両手上げ)

       俺自身の方が定期発信してるのは
       今切った!!!後は部屋から発信
       してる方を切るだけだから!!

       大人しくそこで待ってろや!!!」
       ァアモウ・・・;!!!クソッ




    リヴァイ「ッチっ・・・・!!!普段から毒電波
       撒き散らしたり重力遮断して
       みたり・・・・やるなら誰も
       他人様に迷惑を掛けない所で
       やりやがれってンだ・・・!!!」
       イライライラ・・・!!





    すんでのところで怒りの大噴火を免れた
    リヴァイ山脈だったが・・状況の打開を
    確認できるまでその手に携えた怒りの
    刃を完全には仕舞おうとしていない辺り
    本気でご立腹の様子。




    リヴァイ「・・・・・・!ミカサにエレンか・・・

       どうしたおまえ・・・ら・・・
       と・・・・・・・・


       ・・・そこに居んのは・・??」
       ・・?ドコカデ・・




    急いで自室へと退散していくケニーが
    居た場所を窓際から見やり、やっと
    その場に居た3人に意識を向ける
    リヴァイ。エレン、ミカサの後ろに居る
    未だ見た事の無い、しかしどこかで
    見た覚えのある顔にその首を傾げる。



    リヴァイ「・・・・・!お前・・・・ハンジ(メガネ)が言ってた
       例のニファ2号か・・・・

       あの・・・引っこ抜かれて戦って
       食べられる生き物みてぇな名前の」





    アルミン「ぁ・・・アルミン・・・アルレルト
       ・・・です・・・・;初め(?)まして・・;」
       ソレハピク○ンデス・・・・・・;




    リヴァイ「馬鹿みてぇな名前だな・・・親に
       つけて貰ったのか・・?」



    アルミン「よ..よく言われます・・・;
       祖父が付けてくれました・・・」
       ソワソワ・・



    リヴァイ「・・・・・そうか。しかしマジで
       似てやがるな・・本当に影武者
       として役立つレベルだ・・・

       尤もニファ(アイツ)にはそんな影武者(モン)
       必要になる理由も無いが・・・」
       ジロジロ・・・・
  67. 67 : : 2015/06/30(火) 19:33:00





    リヴァイ「・・・で、お前らは今日ここに何を
       しに来たんだ。・・・俺に何か
       用向きでも出来たなら・・・悪いが
       今は趣味の執筆がジジイの
       妨害さえなけりゃ絶好調でな。

       あまりマンツーマンで話に
       応じてられる暇がねえ。」




    ミカサ「・・安心して欲しい。エレンが・・
        叔父さんに聞きたい事があると
        言うので連れてきただけだ。

        ついでにリヴァっちの方にも
        顔を出すつもりでは居たが・・
        そう言う事なら謹んで遠慮
        しておこうと思う。」


    リヴァイ「・・・・成る程。いやしかし・・・

       おい、・・・・エレン。」



    エレン「は、ハイッ!!?何でしょうか
        兵長!!!」
        ビシッ




    リヴァイ「お前・・・あの(、、)ジジィに聞きたい事が
       あるとかって事だが・・・」



    エレン「はい・・・・?」ビクビク




    リヴァイ「・・・確かに奴はワケ分からん位
       "そっち"の情報や知識をミカサと
       共有してる様だが・・・。

       あまり当てにし過ぎると
       ロクな事がねえぞ。俺が保証・・
       ならぬ警告する。

       ・・あいつは心底まともじゃない」



    ケニー「おぅい!!今切ったぞ!!!
        LAN位ならじき繋がンだろ!!!
        これで満足かクソッたれめ!!」



    リヴァイ「何が満足だ・・・“それ”が
       当たり前の状態だ・・!!今度俺の
       投稿を妨害してみろ、

       お前がお空に浮かべて喜んでる
       田代ヘリコプターを一機づつ
       撃墜していくからな・・・!」
       ゴゴゴゴ・・・・




    トビコマ「ヒッ・・・!!ひィ!!!隊長!!僕達
       撃墜されちゃうんですかッ!?!
       
       っあ、でもでも撃墜って事は
       中破以上、当たり所によっては
       大破で行動不能に陥るワケで・・・


       そうなれば・・・・めくるめく
       組み直しと構造解析という
       至れり尽くせりな日々が・・・!」
       ワクワク・・・・♪




    ケニー「・・・言っとくがそう簡単に
       補修しねえぞ;

       いくら元手にまだ余裕が
       あるったってお前ら一基あたりの
       単価が幾らすると思ってンだ。

       遊休設備置き場直行が嫌なら
       必死になって奴からの追撃を
       かわすんだな。」




    リヴァイ「追撃を躱す命令をそいつらに
       下す前に俺の趣味を妨げない様
       何とかする道を考えろよ・・・!」




    ケニー「そうは言われてもな。

        この街は程よく田舎で居心地も
        良いが・・・ちょっと気を抜けば
        サツ共は直ぐにつけこんでくる。

        油断はできねーしなぁ・・・・」




    リヴァイ「・・・とにかく俺の携帯が不通に
       なるような電波を飛ばすのだけは
       何とかしろ。その他の物に
       影響を及ぼさない傍受とかなら
       百万歩譲ってやるが・・・・

       ・・・次インターネット共有が
       上手くアクセス出来なかったら
       ・・・その日から枕を高くして
       眠れると思うなよ」



    ガラララ・・・パタン。





    ――リヴァイ部屋・閉窓――




  68. 68 : : 2015/06/30(火) 19:34:58





    ケニー「ヘイヘイ・・・・・;

        ・・・・・ぁあ、で?ミカサぁ??
        オメーはまた一体何用で
        ここまで来たのよ?それも
        仲の宜しいオトモダチまで
        連れて来ちまって。」ンッン∼∼?





    ミカサ「直接用があるのは・・・私では無い。

       私も少し「荷物」の事で叔父さんに
       聞く事はあるが・・・それについては
       其方が済んでからで構わない。

       ・・・・・・エレン。」





    エレン「・・・・あ、あの・・・・!」





    ケニー「ぉ~う、“エレン”か。
        久しぶりだな。ぁあ、いや

        前回見た時は体長15mを超える
        千○ジュニアみてえなおっかねえ
        面だったが・・・・。ほう、それが
        お前の・・・・いや、我が可愛い
        姪っ子が寝ても覚めても
        忘れられずにいた顔か・・・・

        成程、悪くねえ面構えだ
        並んでみてもサマになる。」
        ケハハハ




    ケニー「・・・・それで?ミカサの口振りじゃ
       どうにも俺様に用があるのは
       お前みたいな感じだったが・・・

       何かオジちゃんに聞きたい事でも
       あったかな」





    エレン「・・・・その時は・・・えっと、世話に
       なりました。何でもミカサと
       一緒になって巨人化したオレを
       元に戻すの手伝ってもらった
       みたいで・・・・!

       先ずはその事についてどうしても
       礼を言っておきたかったって
       いうのと・・・」




    ケニー「ほう。・・だが余計な気遣いは
       不要だぜ?俺は自分の意思で
       姪の力になってやった、
       ・・・ただそれだけだ。

       俺らが"元居た"世界とやらじゃ・・
       俺はお前にとってどういう
       立ち位置に居たか・・・

       思い出せる限り(▪▪▪▪▪▪▪▪)じゃどうにも・・
       そんなにフレンドリーな間柄じゃ
       なかったみてぇだしな。

       ・・・・ああ、お前さんが果たして
       “どの時点”まであちらに
       居たのかという話によっちゃ・・
       俺とは初対面って事にもなるのか」





    ミカサ「叔父さん・・・・ちょっと待って」
        



    アルミン「(この人・・・今確かに・・・・!)」



    ケニー「お?・・・ナンだミカs・・・・と、

        ぉお、!こりゃ珍しい!
        そうそう、その顔だその顔!!
        お前のそんな人間味に溢れた
        顔を見たかったのよ!!

        ぉいッ!!トビコマ!!!!
        シャッターチャンスだ!!!
        はよ撮れ!!!」
        チェキチェキ!!
     


    トビコマ「ラジャッーー!」ピピピピッ
       (高速シャッター)



    ミカサ「叔父さん…今、思い出した(▪▪▪▪▪)と・・
       私の耳には確かにそう聞こえた・・!
       
       私達の他にあちらから来た人を
       特定できただけでなく・・・自分の
       記憶も、戻ったというの・・・?」
       ワナワナ・・・・



    ケニー「ぉお~♪コイツはイイ。我が姪の
       希少な表情変化コレクションに
       また新たな一枚が加わったぞ・・
       (画像データ閲覧中....)

       こいつは保存フォルダ行きだな。
       いやぁ・・日に日に別嬪になって
       いって身内としちゃ鼻が
       高いんだが・・・お前はちょいと
       表情や喋り方に抑揚というか・・・
       メリハリが無いのがな。
       もっと顔作った方がいいぞ・・・

       なぁ?エレンよぅww?」



    エレン「ぇ・・・?ぁあ、ま、まぁ・・;」
        オズオズ・・



  69. 69 : : 2015/06/30(火) 19:42:06

    ミカサ「私の写真の事なんて今は
        正直どうでもいい・・・!

        エレンの質問が途中で
        申し訳ないが・・・!叔父さん、
        正直に答えて欲しい。

        向こうの世界での記憶を・・
        叔父さんは自力で思い出す事が
        できたの・・・・・?!!」


    エレン「そ、そうです・・・!オレも
        ・・・それをどうしても聞きたくて
        ・・・・あなたは・・・ミカサの話じゃ
        兵長とかと同じで・・・
       
        元の記憶を持っていないと
        聞いてました・・!でも確かに
        今・・・?!」







    ケニー「言ったろエレン。変な気遣いは
       不要だと。俺はよ、元の世界
       とやらじゃ・・・話の途中まで
       お前を“喰おう”としてたんだぜ

       こっちの世界じゃ存命だが・・・
       お前のお仲間、つまりリヴァイの
       部下にあたる奴ら数人の脳天も
       ふっ飛ばしてた記憶がある。

       ・・それどころかそこの性別不詳の
       坊ちゃんの脳味噌だって
       ぶちまけた憎き敵だぞ?

       ・・・呼ぶなら気兼ねなく
      “お前”とかでいいんだ。」





    ミカサ「・・・叔父さん、叔父さんが
        頭を吹き飛ばした人と
        ここにいるアルミンは・・・
        別人・・・・;」





    アルミン「・・・・・;」ビクビク・・・




    ケニー「・・・!?マジだ!!!!全然
        気が付かなかったぜ?!!!

        そういや髪色が違うな!!!

        記憶の中じゃ確かに娘ッ子の
        顔半分を削っていたはずだから
        ・・・道理で今おかしいと思った
        ワケだ・・・・!」




    エレン「と・・・・とにかくですね。

       原作とかでオレにとって
       あなたがどういった立ち位置に
       居たとしても・・・

       オレはこの通りあなたの事を
      “知らないところから”来てます。
     
       ミカサにとってあなたが
       叔父さんで・・・、オレを
       助けるのに手を貸してくれた
       協力者だというなら・・・
       オレにとってそれは無礼が
       許される相手じゃないんです。



    ケニー「・・・であるか。まあ、お前が
       そう言うならいちいち呼び方に
       関して注文はつけんがな・・・


       ・・・・で?俺が自力でその
       記憶とやらを取り戻せた事に
       ついて・・何か聞きたい事でも?」




    エレン「聞きたい事でもって・・・!いや、

        何から何までですよ!!!
        一体どういったきっかけで
        思い出せたんですか!!?
      
        兵長達は全く思い出す気配も
        無かったって言うのに・・・!」




    ケニー「どうって・・・・・(唸)
       そう聞かれると答えに迷うんだが
       ・・第一俺は現パロ設定で
       電脳化とか手を出してるから・・・
       だいぶ事情がメタな事に
       なっちまってるしな・・・・

       ゴーストがそう囁いたとしか。」
       ゥウム・・・





    エレン「全くもって理解不能です!!!!」



    アルミン「^^;」




  70. 70 : : 2015/06/30(火) 19:43:49



    ミカサ「私にも・・・流石にそれでは
        分からない・・・もっと具体的な
        手がかりは無いの・・?叔父さん」



    ケニー「そう言うと思ったぜ。しかし
       他に言い様がねーんだもんよ。

       仕方ねーだろって。・・・あ、
       でも待てよ・・・・そういや最近
       この町に越してきた直後・・・
       リヴァイの頭を吹っ飛ばそうと
       してたのがどういうわけか
       第三者に邪魔された痕跡があって
       だな・・・・俺の電脳のメモリー自体
       一旦そこでフリーズしてんだ」





    エレン「・・??・・・??;」





    アルミン「(何気ないことを喋るノリで
       今さらっと兵長を殺そうとしてた
       みたいな事を言ってた…この人;)」






    ミカサ「・・・つまり・・?何か
        叔父さんとしては・・その状況に
        思う所があるの・・・・?」



    ケニー「まあ、確かな事としちゃ
        言えねえけどよ・・・要は記憶を
        擁する部分に何か強い
        揺さぶりをかけりゃ・・・少しは
        何かあンじゃねーのかな・・・。

        あくまで単純なものの考え方
        だが・・・・。」





    エレン「強い・・・揺さぶり・・・・」






    ケニー「・・・まあ大体お前のやらんと
       してる事位察しが付くぜ。

       ・・・大方アレだろ。あのクソ生意気な
       リヴァイ(かりあげ君)の中にある
       昔の記憶とやらを・・・思い出させて
       やりたいとかそんなとこなんだろ」
       ポリポリ・・・


     



    エレン「・・・・・・」





    ケニー「別に俺は止めねえさ。

        ミカサやそこの坊ちゃんは
        反対って顔してるがな。

        それもいいんじゃねーの。」



    エレン「・・・・ありがとうございます」



    ケニー「俺もな・・・あのチビはともかく、
        右分けの嬢ちゃんに関しては
        本気で何とかしてやりたいと
        思ってる。
      
        あの娘っこは・・・マジで
        良く出来た子だよ。
        あんなクソネズミには正直
        勿体無いほどにな。

        ・・・ま、もし原作とやらで
        あの嬢ちゃんが遠征やら何やら
        を生き延びてたら・・・遅かれ
        早かれいつかは必ず俺の部隊が

        ・・・もれなく蜂の巣にせにゃ
        ならんかっただろうから、
        その辺少しは複雑な心境にも
        なるが・・・・な。」



    エレン「そういうのは・・・この際抜きで
       考えていいと思います。

       オレだって原作で自分が
       体験したより先の結末を頭に
       入れてみても・・・まるで実感が
       わかないので。

       あくまで“今此処にいるオレ達”
       にとっては・・・この世界での
       事情以外はあまり重要だとは
       思えませんし・・・・」





    ケニー「ナルホド。まあそれもそうか。

       ・・・・しっかし・・・

       あの嬢ちゃんにリヴァイに・・
       そしてハンゾー・・・ぁあいや、
       お前らに取っちゃ
       “ハンジ分隊長”・・・か、

       まったく、あのハンゾーちゃんが
       隊長を務める分隊って・・・wよく
       そんな部隊が壊滅もせずに
       バケモン犇く地獄から何度も
       生還できてたもんだw

       とにかくその三人だが・・・・」



  71. 71 : : 2015/06/30(火) 19:46:51




    エレン「・・・・はい・・?」




    ケニー「ちらっと耳に入った情報じゃ・・
       どうにもその三人共、モノの
       出所については思い出せねえ
       らしいが、

       ・・・・お前のそれと
       同じジャケットが所有物の中に
       仕舞いこまれていたらしい。
       相当使い込まれた痛み具合でな」




    エレン「・・・!!それって・・・!!
        まさか、ペトラさんのものは」




    ケニー「そこもそのまんまだそうだ。

        嬢ちゃんの分だけ“何故か”
        胸ポッケのワッペンが
        剥がされてる事に・・・首を
        捻ってる様子だった。」




    エレン「やっぱり・・・・・!!!という事は
        ・・・・・!!!!」



    ケニー「その原作とやらの顛末を
       考えるには・・・嬢ちゃんには
       少なくとも(▪▪▪▪▪)今際の際位までの
       記憶は残ってるかもしれねえって       
       事になるな・・・。

       ま、その辺りうまく思い出させる
       事が出来るなら・・・可能性は
       無い事も無いか。」



    エレン「・・・・・・・・・・・・」
      (胸元のワッペンに触れる)




    ケニー「・・・と、そういや
       聞き忘れてたんだが。

       お前ら揃ってその格好・・・ああ、
       ミカサに至ってはなんというか
      “ちょっとコンビニ行ってくる”って
       感じの余所行きだが・・・・

       どこかへ向かう出先なのか?」




    ミカサ「・・・アルミンが都会ではまともな
       星空を拝めないというので・・・

       今夜皆で星を見に行く・・・その
       途中にこうして叔父さんの所へ
       寄った。」



    ケニー「成る程・・・青春しやがって。
        アレガデネブアルタイルベガ♪ってか・・・。

        そういう青臭いのは嫌いじゃ
        ねえぜ・・・・(ヘッヘ)

        ・・・けどよ;、まだ昼前じゃ
        ねえかよ・・・。夜まで何してる
        つもりなの・・・お前ら」




    ミカサ「・・・特に考えては居ない。

        そもそもこうして三人
        水入らずでふらつけるのも
        この世界で再会して以来の
        事だ。」



    ケニー「オイオイオイ・・・気ィつけろぃな・・・
        
        100㌔超級柿泥棒の
        チャオミー君は俺が狩ってきた
        ばかりだが・・・この辺の山、
        最近ウリ坊連れの親猪も
        出るって話だぞ。

        防災放送じゃ首輪の付いてねえ
        ドーベルマンがうろついてた
        とかって物騒な放送も流れて
        るんだ・・・・;」



    ミカサ「・・・・・それは初めて聞いた。」





    ケニー「・・・まあ、お前がついてるんじゃ
        俺が心配するのは寧ろ運悪く
        お前に遭遇しちまった
        野生動物の方なんだけどよ・・・・」
        




    ミカサ「心配しすぎ。私はそのような
       目に付いた生き物をむやみに
       手に掛けようとする残虐且つ
       好戦的な性格ではない」
       ムフー・・・・

  72. 72 : : 2015/06/30(火) 19:49:29






    ケニー「お前自身は別に問題ねえんだ;
       ・・・ただ、奴等側の都合としちゃ
       それも大分違って来る。
       当然獣共の野生の勘は
       人間の比じゃねえからな。

       お前さんが如何に地上の理から
       外れた存在か直感で分かっちまう
       からこそ・・・、一緒に連れてる
       子供でも居た日にゃ、そいつの
       逃げる時間だけでも稼ごうと
       命懸けでかかって来ちまうん
       だろーが・・・;」




    ミカサ「ならそもそも遭遇しないよう
       此方が気をつけていればいい。」




    ケニー「・・・・の割にはお前、昔ッから
       よくリヴァイだのハンゾーちゃん
       だのと一緒に山に遊びいくと・・・
       なんかしら猛獣と遭遇しまくって
       やがったじゃねえか・・・・

       あのエンカウント率はどう考えても
       異常だったぞ・・・・;」
       5カイチュウ3カイ クライカ・・;




    ミカサ「それは・・・ハンジさんの
        体質だから仕方が無い。

        あの人の周りには妙に動物や
        虫が寄ってくるから。

        蚊に刺される頻度もあの人だけ
        他の人とは一線を画している。」





    ケニー「そのスキルも今初めて耳にした
       情報だけどよ・・;


       ま・・・まぁいいや・・・;ぉう?
       エレン??話が脱線して
       悪かったな・・・・。つまりは
       そー言うこった。

       具体的な事は何とも言えんが・・・
       ともかくアイツか嬢ちゃんに、
       そんくらい新鮮なオドロキを
       与えてやりゃあ・・・何とかなんじゃ
       ねえかな。何をすれば奴等の
       眠れる記憶を強く揺さぶれるのか
       ・・・その辺は自分で良っく考えて
       みてくれや」ポンっ




    エレン「い、いえっ・・・こっちこそ、突然
       訪ねて済みませッ・・・、、!」



    ケニーに軽く肩を叩かれた直後、
    自分が聞きたかったもう一つの
    話についてすんでの所で思い出した
    エレンは、その質問を別れ際に
    投げかけようとしたが・・

    自らの右肩を叩いたケニーの義手の
    隙間から・・・・小さな紙切れが突出
    している事に気付く。

    その紙面は・・・丁度角度的にミカサや
    アルミンから見えない瞬間のみ
    エレンの視界に晒されていたが、

    そこに記載されている内容をエレンが
    全て目で追ったのを確認すると同時に
    いかなるギミックが働いたのか、
    そのまま何事も無かったかのように
    義手パーツの稼動部分となっている
    隙間へと吸い込まれていった。





    エレン「・・・・・・!」




    ケニー「ま・・・色々と分からん事だらけで
       どうしていいか分からなくなる
       事もあるだろうが…精々頑張れや」



    ケニーの何気なさそうに放たれた言葉に、
    その意図を汲み取り、無言で頷くエレン。




    ケニー「(どうにもミカサの奴はこいつの
        主張にあまり肯定的じゃねえ
        みてえだしな・・・こうでも
        しなきゃミカサを欺きつつの
        伝言なんぞ無理だと思って
        こうしてみたが・・・

        後はお前次第だな・・・エレンよ)」





    そうして海月荘を後にするエレン一行。



    ミカサ「・・・・・・」



    何も言わずに俯いて歩を進める
    エレンの顔を斜め後ろから注視する
    ミカサだが・・・先程のケニーとの
    やり取りに直接気付いては居ないものの

    彼のその表情に宿る決意に・・・幾らかの
    変調が見て取れるという事に
    気付いていた。


    エレン「・・・・・・・!」


    俯き加減ではあるものの、
    その暗がりの中で静かに輝いていたのは


    ・・・・・・・自分がこれから何を
    するべきか、しっかりと見据えている
    いつも通りの彼の目だった。




  73. 73 : : 2015/06/30(火) 19:54:47





    時刻は大きく進み・・・・




    ―それから数時間後・夕刻―






    ――海月荘・リヴァイ部屋――





    リヴァイ「(・・・・丁度一区切りつくところまで
       進んだな・・・・。最近は慌しさに
       喘いでばっかで・・・折角天恵の如く
       臨時休業という空き時間が確保
       できるかと思った矢先に・・・

       まさか河原のバーベキューに
       強制召集される事になるとは)」
       チラッ・・・



    ノートパソコンの台座ともなっている
    卓袱台サイズの小型テーブルに乗せた
    携帯にその視線を落とすリヴァイ。





    リヴァイ「(ったく・・・執筆の方に
       専念したいから一応既読も
       つけずに放置してたが・・・

       ハンジとペトラ、あわせて
       10件もトークを寄越しやがって)」
       スッ・・・ス・・・  ..ポコン♪




    リヴァイ「(まぁ・・・うち8件はクソメガネ
       だがな・・・~~何々..?


       “明日はゲームも忘れず持って
        来る事”・・・・・何だコレは。

        コイツ・・・バーベキューに
        ピコピコを持ってこいとか
        血迷った事を言ってやがんのか
        ・・・・・(溜息))」




    ピンポロパンポン♪ピンポロパンポン





    リヴァイ「・・・・・メガネか・・・・(舌打ち)」





    直後、リヴァイによるメッセージ既読を
    察知したのか突然鳴動する着信音。

    画面に表示されるのは当然先刻の
    8件を送りつけてきた張本人であった。





    ―通話。



    リヴァイ「・・・・たった今目を通したが・・・

       どういうことだ・・・これは。」




    《ハンジ「どうもこうもないさ!
        河原に行く前にさ、折角
        3人揃って遊べる貴重な
        機会でもあることだし、
        マッグで少しクエを消化する
        のもイイかなと思ってさ!!

        ・・・どうせリヴァイったら
        私がこうして忠告して
        おかなきゃゲームなんて家に
        置いてくるとこだったでしょ」》

        


    リヴァイ「当たり前だ。何で河原で
       バーベキューするのにピコピコを
       持ち出す必要がある。

       熊肉を仕舞う保冷ケースも
       ノートPCもあるんだ。これ以上
       荷物を増やせるか。

       悪いが俺は・・・・・」





    《ハンジ「ぁあ、リヴァイが持ってこないなら
        それでもいいけど・・・

        その場合、一緒にやらなきゃ
        いけないペトラが私しか
        共闘してくれる仲間が居なくて
        苦戦を強いられる事になるから
        ・・・・それでもいいなら別に
        うるさくは言わないからさ」》



    リヴァイ「(野郎・・・人質を取りやがった・・。

        大方こんなこったろうとは
        予測できてたが・・・それにしても
        言い訳が苦しすぎる。)

        共闘する仲間が居なくて
        困ってるのは寧ろお前だろ。」
        (盛大な溜息)


  74. 74 : : 2015/06/30(火) 19:57:25




    《ハンジ「ぇえ~~!いいじゃんケチ!
         一緒に一狩り行こ~ぜ~~!

         何のためにゲーム貸して
         やってると思ってンのさ!」》




    リヴァイ「悪いが俺自身がお前にピコピコを
       貸してくれと頼み込んだ覚えは
       これっぽっちも無ぇ。」



    《ハンジ「ペトラだってお前の助けを
         必要としてんだぞ~~!
         ね~~ぇ~~~!!!」》
         バッタバッタ・・・





    リヴァイ「電話越しでも分かる騒音を
       バタバタと立てんな。

       今どうせ家に居るんだろ・・
       またナナバに怒鳴られるぞ」



    《ハンジ「平気平気。さっき出かけた
        ばっかみたいだしさ。

        な~・・・それよりも~!」》



    リヴァイ「・・・・わかった。分かったから
       それ以上駄々を捏ねるな・・!

       持って来てやる・・・。ただ
       一つ条件がある。」



    《ハンジ「!!やった!!これでイベントの
         小熊さんが・・・・って、、何?
         条件??何だい一体・・?
         条件って・・・・・」》



    リヴァイ「非常に言い辛いんだが・・・お前、
       ピコピコに関しても色々と無駄が
       多すぎんだ。ギルドカードを
       隅から隅まで見させて貰ったが
       ・・・・プレイ時間に5倍も6倍もの
       開きがある俺と比べても・・・

       あまりにも進みが悪すぎる。
       俺のHRは・・もうお前をとっくに
       超えてるぞ。」



    《ハンジ「・・・・ハァ!??そ、そんなナナバ
        ・・・じゃなかった、バナナ!


        ・・・(パカッ・・)

        ・・・・・(カチカチカチ)


        ・・・・うっそマジだ!!!

        リヴァイお前一体・・・
        って、ぁあっ!!!!!
        履歴見たらこれ・・・お前
        ペトラとの狩猟記録で一杯
        じゃないか!!!!」》



    リヴァイ「只でさえお前が足手まといなのに
       俺まで同じような体たらくで
       あいつに甘んじてるワケにも
       行かないからな。悪いがお前と
       ペトラの残業時間が重ならない
       日に少しずつ指導を受けた。

       ・・・今は鈍器2種に加えて虫の
       棍棒もある程度つかめて来た
       所だ・・・・」



    《ハンジ「ずッ・・・!ずるい!!!
        なんで私もその輪の中に
        入れてくれないんだっ!!!

        そういう時にこそ私も・・!
        私も仲間にィ・・・;」》
        メソメソ・・・




    リヴァイ「いい歳こいた大人がそんな事で
       本気でベソかいてんじゃねえよ・・

       言ったろ。“偶々”お前と都合が
       合わない時にやってたんだ。

       それにお前が居ると2回しかない
       リスポーン猶予が一気に目減り
       する事になる。幾ら練習に
       なるとはいえ、クリア報酬が
       手に入らないとなると余りにも
       効率が悪い。」


    《ハンジ「リヴァイ!!!お前まで
        ペトラみたいに効率重視の
        作業マシーンみたいな物言いを
        するのは止してくれっ!!(ガバ)

        ゲームってのは楽しみながら
        やってこそだろ!!」》



    リヴァイ「・・・なら聞くが、貴重な仕事の
       休み時間にクリアを果たせず
       毎度ペトラに頭を下げるのが・・
       お前の言うゲームの・・・
       楽しみ方とやらなのか・・・?」



    《ハンジ「ぅ・・・・・」》
     Σギクリ


  75. 75 : : 2015/06/30(火) 20:00:00

    リヴァイ「・・・・まあそんなところだ。

       俺もな・・・せめてペトラが・・・
       そしてお前が無為な時間を
       過ごさずに趣味を楽しめるなら
       そのほうが俄然いいと思ってる。

       だから、その成功率が少しでも
       上がる様に・・・こうして時間外に
       ペトラに稽古までつけて
       貰ってるってワケだ。
       
       ・・・俺自身の貴重な趣味の時間を
       態々割いてまで。」




    《ハンジ「ウムム・・・;」》




    リヴァイ「・・・・つまり俺の趣味の時間を
       削ってまでやる以上・・無駄な
       失敗は許されない。そう言う事だ
       
       ・・条件として・・・お前、今こうして
       電話掛けてくるくらいだから
       時間空いてるんだろ。
       これから一戦付き合え。
       携帯の共有ならお前の方でも
       問題なく出来るはずだ。」




    《ハンジ「えっ・・??!い、いいの!?
        だって今は・・・リヴァイの何よりも
        優先されるべき自分の趣味に
        向ける時間のはずじゃ・・・!」》



    リヴァイ「今しがたやっとキリのいい所まで
       一区切りつけた所だ。

       ・・・・こういうのは一定の時間で
       休憩をかねた息抜きが必要なんだ。

       そう言う訳だから早くしろ。
       お前の立ち回りと行動パターンを
       頭に入れておきたい。」カパッ



    《ハンジ「や、やった!うん!
         すぐ繋ぐから部屋作って
         待っててよ!!!じゃあね!」》



    ――通話終了。



    リヴァイ「(ッたく・・。やってみれば
       それなりにハマるのも理解
       出来なくは無いが・・・・
       そこまで熱中する気持ちは正直
       理解できねえ・・・・(心の溜息)


       ・・・まあそれは誰の趣味にも
       等しく言える事か・・・。)」
       チラッ・・・




    携帯画面に表示された時刻と、
    通話中にすっかり陽が落ちて暗くなった
    窓の外を交互に眺め、昼間に
    自身の叔父を尋ねてきた面々の顔を
    思い浮かべるリヴァイは・・・




    リヴァイ「アイツら・・・ジジイの話じゃ
       もう山で星を見てる頃か」
       


    既に作成したオンライン部屋にて
    旧友を待ちつつ、そう呟いた。     





  76. 76 : : 2015/07/08(水) 02:14:32






    ―山林・自然歩道・山頂―





    アルミン「お弁当とか用意してなかったから
       夕ご飯どうするのか気になって
       たんだけど・・・まさかここで作る
       予定だったなんて。出発前に
       聞いて少し驚いたよ」





    エレン「なんだよ、すっかり都会暮らしに
       慣れちまってお外じゃメシを
       喰うのに抵抗でもあるってのか?

       訓練中の野営なんかじゃ
       当たり前に外で喰ってただろ」




    ミカサ「理由は説明できないが・・・やはり
        野外の空気を吸いながら摂る
        食事は新鮮な気持ちで美味しく
        感じる。コンロは一つしか
        ないので飯盒だけ先に火に
        かける・・・・」ユウハンハ カレー



    エレン「オイミカサ・・・・カレーなのは
        いいんだけどよ・・・肉は・・
        持ってきてねえのかよ(汗)」



    ミカサ「野菜だけで十分美味しく
        食べられるはず。エレンは
        偏食が過ぎるからたまには
        野菜を沢山食べた方が良い」





    エレン「・・・・マジか・・・。」
        ガックリ・・・・↓↓





    ミカサ「・・・・・・」




    アルミン「(実はエレンが着替えるまでの間に)
       ミカサが密閉袋にお肉入れてるの
       見えてたんだけど・・・・)」




    ミカサ「・・・私とアルミンで既に
        切り崩した野菜と鍋の下準備を
        済ませてしまうのでエレンは
        飯盒を見て居てほしい」




    アルミン「(・・・なるほど、内緒で具に肉を
       紛れ込ませてエレンを
       驚かせようってことかな・・。

       ミカサにしては趣向が随分
       凝ってるというか・・・・;
       こんなサプライズを考えられる
       ようにもなったんだな・・・)」




    エレン「お、おう・・・・・」
        トボトボ・・・




    アルミン「(当のエレンはかなりの
       しょぼくれっぷりだけど・・・)」   







    アルミン「・・・けど本当に最近陽が伸びたよね
       ・・・・寒いうちはもうこの時間には
       外真っ暗だったのに・・・」




    ミカサ「もう季節的な括りで言って
        しまえば夏といっても別に
        言い過ぎではない・・・

        じきセミも鳴きだす季節だ。
        ・・・既にエレンが一足早く
        鳴きだしているのを耳に
        している」





    アルミン「・・・・せみ?」




    エレン「出た!!“せみ”!!!」




    アルミン「・・・?エレンが知ってるのに
       僕が知らないって事は・・・
       この世界限定の単語なの?それ」



    ミカサ「・・・・正確にはそうではない。

        ・・・・恐らく元の世界であっても
        壁の外側には・・・同一の品種が
        相当数居たはずだ。

        しかし“あちら”の世界には
        “セミ”は居ないし、また
        その名を示す単語も存在しない」






  77. 77 : : 2015/07/08(水) 02:16:01


    エレン「あれはマジでビビるぞ!!何たって
       “木が鳴く”んだからな!!;

       イヤ・・・ひょっとしたら最初からあの
       子供が化けて鳴いてたのかも・・」



    アルミン「??;????;ちょっとエレンの
       言いたい事が理解できないん
       だけど・・・ミカサ??」




    ミカサ「私はセミがどういう生き物か
        知ってるし、エレンには説明も
        したのだけれど・・目撃時刻が
        夕方だったせいかその姿を
        見届けられなかった上に、

        “少々奇妙な出来事”が
        あったらしく・・・エレン自身は
        簡単に信じてくれようと
        しない。」




    アルミン「・・・・ググろうとしたんだけど・・
       すごいや・・・ここ圏外なんだね;」
       ホントニソンザイスルンダ・・・ケンガイ。






    エレン「・・・夕方の事だったな。
        此間山で走りこみしてたらよ・・・
        遠くの方から聞いた事もねえ
        変な金切り声が響いて来るんだ
        。・・・すげえ不気味だったぜ。

        どこからどう聞いても獣の
        遠吠えとかじゃない。

        “ギギギ!!”と、いえばいいのか
        “ミミミ!!”と言えばいいのか、
        とにかく聞きなれない音でよ。

        耳をつんざかれそうな音量で
        夕方の薄暗い山の中、
        何処ともなく一本の木からその
        音はずっと響いてた」




    アルミン「・・・・っ;」ゴクリ・・・





    エレン「姿が見えないんだしあまり
        長居するとあの程度の山でも
        日没すると下山が難しく
        なるから・・・とりあえず無視して
        そのまま帰ろうとは思った。

        ・・・・けど、あまりに気味が
        悪いからこそ、分からないままに
        してはおけなかった。」










    ――以下回想――







    ミ"ミ"ミ"ミ"ミ".....!!!!




    エレン「(何だ・・・・?鳴き声・・・・・?
        何か楽器を鳴らす音に聞こえ
        無くも無いが・・・・こんな
        山の中でまさかな。

        ・・・しかし相当デカい音量だ・・・
        聞いた事もねえ音だし正直
        気味悪ィな・・・)」






    辺りを見回すエレンだが、こんな時に
    限って普段良く出くわす登山客も有視界
    範囲内にはその姿が認められない。


    それもそのはず。もう時刻で言えば
    とっくにハイカーの類は下山を済ませ、
    帰りの電車なり車なりに身を揺られて
    いて然るべき時間であった。




    エレン「音がすんのは・・どうやら随分
        上の方だな。行ってみるか
        ・・・・」




    その泣き声がどのような生き物によって
    発せられているのか皆目見当もつかない
    エレンの内に燻る知的好奇心と・・・

    それを諌めるほんの少しの警戒心が
    天秤のように釣り合い・・・程無くして
    探索を強行する決断に傾斜した。




    エレン「(・・もしもヒグマみてえなヤバイ
        猛獣の類だったとしても・・・
        まあ人が居ないなら最悪
        “アレ”をやる手もある。)」
      

     ・・・ただそれは逃げるのも凡そ不可能、
     そして抵抗も無意味な程危険な奴と
     遭遇したら、の話だが・・・・

     下手をすると元に戻れるかどうかも
     かなりの大博打だな・・・




    そのように脳裏の内でのみ自身への
    注意喚起を促し、己の左手を凝視する
    エレン。

  78. 78 : : 2015/07/08(水) 02:18:20





    ―山の斜面を更に30mほど登った地点―








    エレン「・・・・!(しまった・・!人が居る・・!
        ・・・あ、いや、人が普通にその
        音が出てる木を眺めてるって
        事は・・・そりゃ危険な動物の
        類じゃねーってことか・・?)」
        オソルオソル・・・



    彼の見上げる先に居たのは・・・
    暗くて正確には判別できなかったものの
    エレンとそこまで歳の変わらない少年と
    ・・・・そちらよりは大分幼く見える・・・
    白い夏物のワンピースを身に纏った
    少女らしき人影だった。

    遠目からこの暗さでも容易に目に付く
    白一色のワンピース、そして彼女自身の
    色素の薄さがそう見せているのか
    同じように白い肌と銀色がかった長髪が
    渾然一体となり・・・その少女はとても
    浮世離れした存在感を放っていた。



    エレン「(イヤ・・・・飾った言い方しないで
        言うと・・・あっちのだけ一人で
        山の中で遭遇したら、
        たとえ昼間でもデたんじゃ
        ないかって勘違いするな・・・)」



    エレンがそのように遠巻きから見て
    考え込んでいる最中も・・・その二人は
    問題の奇声を発する木に釘付けに
    なっていた。その為騒音の中特に
    耳に付く音も立てずに接近してくる
    エレンの気配に気付いてはいなかった。





    ???「ね~じんたん~~!ホラ!!
      せみだよ!!珍しいねこんな時期に」



    じんたん「セミってか・・・これヒグラシ
        だろ。めんまヒグラシとセミの
        区別もできなかったのか・・?

        ・・・まあどっちにしてもこの時期
        一匹だけフライングしてるのも
        珍しいんだけどな」




    エレン「あ、あの~・・・ちょっと・・いいか?」




    めんま「っ!!!?」 ビックゥゥ!!
    じんたん「おわっ!!!」 ババッ・・!!




    エレン「あ、悪い悪い。そんな脅かす
       つもりはなかったんだけどよ
       ・・・今、あんた()この木に
       向かって・・“せみ”とかなんとか」





    じんたん「(・・?!“あんた・・()!?”)

        お、おいめんまッ・・・・ってうお!」
        イ、イネェ!;



    エレン「!!?なんだ?!アレ・・・
        さっきまで確かにあんたと
        もう一人・・・?!(キョロキョロ)」




    直後、人が騒ぎたてる気配を察知したか
    すぐさま鳴り止むその奇声。



    エレン「・・・・??!音が・・・止んだ・・?」
        キョロキョロ





    じんたん「あ~、飛んでっちゃった
        みたいだな・・・。まあ、
        あっという間にここらも暗く
        なっちまうだろうし、もう
        山下りたほうがいいんじゃ
        ないかな・・・・」オロオロ・・・


  79. 79 : : 2015/07/08(水) 02:20:31






    エレン「・・・っていうかよ、、

        今・・・ここにもう一人、
        なんか・・・白い服着た子供が
        居なかったか・・・?居たよな。
        間違いなく。あんた喋ってたし」




    じんたん「い、、、いやぁ・・・幻覚じゃ
        ないかな・・・;(・・・・・随分
        スタイリッシュな服装で
        山登りしてんだな・・)」
        ジロジロ・・・   





    エレン「いや!だから幻覚とかじゃ
       ねーって!!間違いなく喋ってる
       声も聞こえてたし!」




    じんたん「ホントに・・・?;ほら、
         セミもうるさかったし
         それも幻聴なんじゃ・・・;

         (セミってかヒグラシか・・)」
         ダラダラ・・・;

       



    エレン「絶対に聞こえた!!っていうか
        そもそもその、“せみ”って
        なんなんだ?!」ガバッ



    じんたん「(うわ、ちょっと・・・
         あんまりマジメに関わらない
         方がいいのかコレ・・・?;)
         じゃ、じゃあ俺はこの辺で
         ・・・・・」ギクシャク・・・




    エレン「あ、おいちょっとあんた・・!
        そっちは・・・・!」




    ッダダッ・・・





    エレン「(・・・・日没近いから帰った方が
        いいんじゃ無かったのかよ・・;
        反対に森が深くなる方に
        走ってっちまいやがった・・

        まあ・・・この程度の山で今の
        季節なら・・・一晩そこら
        遭難しても動き回らなきゃ
        何の危険も無いか・・・・)」





    ―――――

    ――――

    ―――








    エレン「・・・・という訳だ。」
       ヨシ、コゲテネエナ・・・



    カンッ・・・カチャカチャ・・・・




    アルミン「・・・という訳でと言われても・・・;

       どういう訳だったの・・・?つまり」




    エレン「・・・だから!!あんだけ大きな声を
        放ちながらその姿は近寄って
        みても何処にも見えなくて・・・
        直後声が止むのと同時にそこに
        居たはずの人間が一人、
        煙のように消えたんだぞ?!

        ありゃ絶対何か化けて出たに
        違いねえ・・・・」



    アルミン「エレン・・・別にお化けとか、
       怪談系は苦手じゃ無かったよね。

       ・・・肯定派でも無かったと思うし」



    エレン「ああ、その通りだが」



    アルミン「その割には随分とあっさり・・;」



    エレン「肯定派じゃないってだけで
       別に居ないと決め付けたワケじゃ
       ねえよ。自分の目で見て信じる
       までは肯定したくなかっただけだ。


       ・・けどオレは間違いなくこの目で
       見たし、その音自体は確かに
       耳をつんざくほどうるさかったが
       ・・・・直前までそこで二人して
       話をしている声はかすかに
       聞こえてた。それがいきなり
       よそ見した瞬間に一人に減って
       たら・・・信じるも何も無いだろ」



  80. 80 : : 2015/07/08(水) 02:22:25





    アルミン「・・・・ちなみに、そのもう片方の
       消えないで残ってた人は
       どんな人だったの?」




    エレン「別に・・・フツーの奴だよ。
       男で・・・オレ達とそんな
       変わらない年恰好で・・・

       何か変なTシャツ着てたな。
       地下市民・・・じゃねえ、なんか
       そんな感じの文字がデカデカと
       刷られた赤いシャツだ。

       それから妙に挙動が不審だった」



    アルミン「・・・ふーん・・・・・;
       話を聞く限りじゃ・・・あんまり
       普通の人じゃなさそうだけど・・」





    エレン「まさか・・・見えたらいけない
       ものが見えたり聞こえたり、
       挙句喋ったりしちまう人種か・・?;」
        


    アルミン「・・・それだと、その空想上の
       女の子が見えてしまったエレンも
       同様ってことになっちゃうよ・・・;」




    エレン「・・・それもそうだな・・・。
        だが問題はそっちだけじゃねえ
        ・・・この話の一番重要な所は・・

        その、“せみ”ってのが一体
        どれだけの大きさの、どんな
        生き物なのかって事だ」





    ミカサ「・・・・だから、何度も私が
        説明したはず。こんな大きさの
        ・・・羽の生えたなんて事の無い
        ただの昆虫・・・・」(小型鍋セット)
        ガチャ・・・




    エレン「嘘付け!!!!あんなデカイ音を
       たかが虫1匹で鳴らせるもんかよ!
       しかもそんな大きさで!!
       
       お前、いくらなんでもそれは
       オレをコケにしすぎだろ!!!」



    ミカサ「(溜息)...」



    エレン「大体音が止むまで少ししか
        時間が無かったとはいえ・・・
        木にはそんな大きさの虫すら
        たかってるようには
        見えなかった!」



    ミカサ「それがもしセミでなくヒグラシ
        であったとするなら・・大きさは
        それよりも小さく、更に樹木に
        紛れる保護色と透けた羽を
        持つのでまず夕方の山の中では
        見えないとおもう・・・」




    エレン「~~~!(全く信じていない顔)」




    アルミン「(山を降りて電波が回復してから
       ググれば動画で見つかると
       思うし・・・きっとミカサは嘘を
       言ってないんだろうな・・・;)

       ほ、ほら、!もう後はカレーが
       煮立つまで待つだけだし、
       テントと横になるシートの
       準備も済ませようよ。
       ・・・・もう大分真っ暗だし・・・

       あ!」





    ミカサ「一番星・・・・・」




    アルミン「本当だ・・・!やっぱり都会で
       見るのと全然輝き方が違うよ
       ・・・・!」






    エレン「大袈裟すぎんだろ・・・・;

        たかが星ひとつでよ・・・・」




    ミカサ「・・・・・・・」
        ズル・・・ズ・・・




    エレン「ァ・・?!おいミカサ!!
        お前こんな所にまでそれ
        持ってきたのかよ!!?;」





    しかめっ面を見せるエレンを
    気にも留めずミカサが己のリュックから
    引きずり出したのは・・・・




    アルミン「・・・本当に買ったんだ・・・ミカサ;」





    ミカサ「当然・・・。正、副、予備の
        三本セットで注文をして・・・
        つい先日届いた。

        これで・・毎日洗濯しても大丈夫」
        ホッコリ・・・




    アルミン「(洗濯するのはカバーだけだから
       枕を3本買う必要は無いと
       思うんだけど・・・;そこは
       言わない方が良さそうだ・・・・)」




    市販の布団圧縮袋で再度圧縮梱包を
    施され、荷物に詰めこまれていた・・・

    エレンの姿がプリントされた
    低反発抱き枕であった。


  81. 81 : : 2015/07/08(水) 02:25:13




    ・・・正確にはエレンの抱き枕カバーが
    装着された、低反発抱き枕・・・だが。




    その質感、及びサイズはどう考えても
    外出に持ち出す類の大きさではなく、

    真空圧縮から解き放たれ、大気を
    吸い込んで本来の姿を取り戻したそれは

    ・・まるでもう一人のエレンがミカサの
    腕に抱きしめられてくの字に
    折れ曲がっているようである。




    ミカサ「デザインもさることながら・・
        抱き心地も申し分ない。
        この長さなら3人で川の字に
        並んでも余裕をもって頭に
        敷けると思い・・・持参した。


        これを教えてくれたアルミンには
        心の底から感謝している」
        ホクホク



    エレン「なあアルミンよ・・・お前の
       部屋にもこれと同じような・・
       ミカサの奴があったけどよ・・

       こっちの世界じゃサンドバッグに
       人の立ち姿を刷るのが流行り
       なのか・・・・?;あまりいい趣味
       してるとは言えねえだろ・・・」




    アルミン「!?!?(そういえばあの日寝ぼけて
       トイレに起きてきたエレンが・・
       部屋に戻ったら・・あの枕を
       敷いて寝てたから慌ててしまった
       けど・・・!まさか覚えてたなんて
       ・・・・・!;)

       お、覚えてたの?!
       エレン!!!っていうか、それは
       サンドバッグじゃないよ!!?

       抱き枕なんだって!!吊革も
       付いてないんだし、どう見たって
       そういう用途には向いて無いじゃ
       ないか!!」




    エレン「なら聞くけどよ、なんでその
        裏っ側のには・・・ボコられた
        オレの姿が写ってんだ・・?;」




    アルミン「ぅ・・・!!そ、それは・・・!!;」ダラダラ
       (公式が病気・・・・)
        


    エレン「お前の持ってたミカサの
       サンドバッグも裏には何故か
       はだけたそいつが写ってた
       もんな・・・・!どう考えてもそれは
       ・・・殴りたい相手を想像する為の
       仕様・・・・・・;(疑心暗鬼の眼)」
       ゴクリ・・・;





    アルミン「ちっ・・・違うってば!!!!」




    ミカサ「アルミンの言う通りだ・・・!
       
       私がエレンを殴りたがる訳なんて
       ある筈がない・・・・!これは・・・・!

       これは・・・・・・!!」ワナワナ・・・





    エレン「・・・・・これは?」





    ミカサ「一緒に居られない時も
        寂しくないように寝床で
        抱き締めるための意匠・・!

        表裏で違う姿が写っている
        理由は・・・時に違った趣を
        楽しむため・・!」




    エレン「つまり・・・オレと一緒に
        寝ている妄想に浸るための
        寝具であると。お前はあくまで
        そう主張するんだな?ミカサ」
        ジト・・・・



    ミカサ「・・・っそ、・・そう・・・!」
       (我が信念に一片の悔い無し!!)





    エレン「・・・成る程。」フム・・・





    ミカサ「大体・・・折角一緒に
        暮らしているのに添い寝して
        くれないエレンが悪い・・・!
        (ヌグゥ・・・・・)」



  82. 82 : : 2015/07/08(水) 02:27:19


    エレン「当たり前だろ!!!お互い
        幾つだと思ってんだ!!!」
       (顔真っ赤&耳はもっと真っ赤)



    ミカサ「そ、それはこっちの台詞だ・・!
        お互いもう幾つだと思って
        いるのエレン・・・!もう
        とっくに一緒に寝てもぃ・・・
    エレン「するとお前よ・・・・その理屈なら
        アルミンが夜眠るときに
        一緒に隣で寝てほしいと
        思ってるのは・・・お前だって
        ことになるよなぁ」ニヤァ・・・




    ――エレンの貴重な意地悪顔。





    アルミン「・・・・・ファッ!!?/////」





    ミカサ「・・・・・・・・?」





    エレン「そうだよ・・・お前なら
       サンドバッグにしそうな疑いも
       確かにかかるけど・・・アルミンなら
       そんな事に体力を使うとも
       考え辛い・・・・!よっぽどその、
       “抱き枕”って発想の方が
       合点がいく・・・・!しかし・・・
       なあアルミン・・・間違いないのか?
       お前は本当にミカサの奴と・・・・」
       ギ.ギ.ギ.ギ・・・・・





    アルミン「ハッ・・・・・Σ((//;゚Д゚))」
       ビクビク・・・





    ミカサ「・・・・・?それが何か
        おかしい事なの・・・・?」
        キョト....




    エレン「・・・・・」




    アルミン「!!?!//////」
      ドキドキドキドキドキ・・・・





    ミカサ「私はそれが別におかしい事だとは
       思わない。私達三人は何処へ
       行っても、幾つになっても・・・
       大事な家族。

       ・・・な、ので、今日も
       こうして抱き枕を持参して・・
       エレンと、アルミン、そして私と
       ・・・・こう、3人で並んで寝る為に・・
       ・・・・」(ムギュ....)



    エレン「・・・・・」




    ボゴボゴボゴ・・・・・


              モワワッ




    エレン「・・・・・・ぅおッ!!なんか焦げ臭く
        ねえか!!?や、やべえ!!!!
        直ぐ火ぃ止めろ!!!!

        折角飯は綺麗に炊けたのに
        肝心のカレーがっっ」
        バタバタバタ;




    ミカサ「大丈夫だ・・・!何とか・・・・
        底の方だけみたい・・(溜息)」




    アルミン「取り敢えず・・ゴハンにしよっか・・;」
      ドキドキ.......

  83. 83 : : 2015/07/26(日) 12:43:30




    ―海月荘・リヴァイ部屋―






    リヴァイ「なるほど・・・ペトラの話で
       通話に金が掛からないという
       話を耳にした時は真偽の程を
       疑ったもんだが・・・これはそもそも
       お前から掛けてきたんだったな。
       ならもしも電話代が掛かって
       たとしても俺の負担にはならない
       訳だ。

       ・・・しかし無料という観点から
       ラインとやらにはこういった
       使い道もあるとは」
       (ハンズフリー通話中)






    《ハンジ「まだ信じてなかったのか・・;
        ああ、そうそう、通話は無料
        なんだけど、当然電力はパない
        位消費するからね、
        ちゃんと電源に繋いどいた方が
        いいよ。」》




    リヴァイ「便利な世の中になったモンだな。

       ・・・しかし遠隔地で繋がった
       ピコピコを・・この歳で会話しながら
       遊ぶためにその技術の粋を
       扱う事になるとは。正直に
       すげえとは思うが、内心複雑な
       心境だ。」カチャカチャ・・





    《ハンジ「はい、部屋作ったよーー。
        今日の獲物はテオ君で!!」」》





    リヴァイ「テオ・・・?ああ、あの赤い
       ライオン丸みてえなヤツか・・・。

       しかし今お前が貼ったこれ・・・
       レベルが天井までいってる
       ギルクエじゃねえか・・・。

       お決まりで悪いが聞かせてもらう。

       ――そんな装備で大丈夫か?」





    《ハンジ「アレ、リヴァイ;
        あんたニコニコネタは知らない
        クチなんじゃなかったっけ;」》





    リヴァイ「何でもは知らないがな・・・
       知ってる事だけだ」カチャカチャ・・





    《ハンジ「お、おう・・;


        ・・・・・ってリヴァイあんたそれ
        ・・・?操虫棍覚えだしたって
        言ってたの本当だったんだ。」》




    リヴァイ「ああ・・・少々強化と虫の育成に
       手間が掛かるがな・・・ちゃんと
       エキス搾取の手順さえ守れば
       手数が確かなダメージに繋がる。

       SAも利便性が高いし乗りも
       お前みたいな奴が居るなら
       多少役立つ。まあ今回は
       安全第一で使い慣れた鈍器を
       担いでいくがな。」
       (笛マイセット装備)
       



    《ハンジ「しっかしリヴァイ・・・
        あんたの性格的にビジュアル面で
        どうなの?w虫棍って。
        肩にでっかい虫
        たからせてるんだよ??

        気持ち悪くないのか?」ウン?w》





    リヴァイ「・・・・?何を言ってやがる・・・?
       たかがピコピコの中の話だろ・・・

       鳥に紫のゲロを吐き付けられようが
       ゴリラにクソをぶつけられようが

       ・・・俺自身に被害が及ぶ訳じゃ
       ねえ・・・・」





    《ハンジ「・・・・の割には清潔感意識の
        現われか、全身白一色だな・・・」》





    リヴァイ「真っ白でいいだろ。何をされても
       シミが出来る心配がないなら
       白が一番だ。」

  84. 84 : : 2015/07/26(日) 12:46:05



    《ハンジ「その素材元のモンスターは
        たしかリヴァイのような人間に
        とっては大変キビしい見た目
        だった気がするけど;」》





    リヴァイ「ああ・・・。洞窟の天井から涎を
       垂らされた時は正直頭に来たが。
       ペトラが飛び道具専門だからな。

       奴が蜂の巣にされるのに
       そう時間は必要なかった」





    《ハンジ「さって、それじゃ猫飯も食った
        事だし、行こうかねー!」
        ド根性、オッケーー!》





    リヴァイ「研ぎ石は持ったか・・・?」





    《ハンジ「…あ、いっけない、忘れてた」》





    リヴァイ「(溜息)・・。開幕の咆哮と龍風圧に
       注意しろよ・・ペトラにお前の
       武勇伝は幾つも聞かされてるが

       ・・その情報通りならお前が
       嬉々として乱舞を繰り返した後に
       深追いし過ぎた挙句、粉で爆殺
       されるのが目に見えてる。

       オマケにこいつはカンストだ。
       一撃でも充分致命的だぞ」





    《ハンジ「分かってる分かってるって!」》
        



    リヴァイ「そもそも前から思ってたんだが
       何で鈍器に切れ味なんて概念が
       存在して、研ぎ石が必要に
       なるんだ・・・・?打撃武器って設定が
       全く役に立ってねえじゃねえか」




    《ハンジ「だから細かい事はどうでも
        いいんだよ!ハンマーや笛だけ
        砥石が要らなかったら不平等
        じゃないか!(怒)」》




    リヴァイ「納得はできねえがな・・・・」
       (極めて不服。)






    《ハンジ「はいじゃ~行くよ~」》






    ――クエスト開始――














    ――時刻は戻り、、





    ―再び、山林・自然歩道・山頂―




    エレン、ミカサ、アルミンの三名は
    既に食事と後片付けを済ませており、
    付近にテントを張り終えた今、
    大判レジャーシートの上に横たえた
    ミカサの宝具(エレン抱き枕)に頭部を預け、
    川の字となって夜空と対面している。


    並びの順は、アルミン・ミカサ・エレン の順。




    エレン「フィ~・・・・食った食った・・・!
        しっかし肉があるのにわざと
        黙ってるなんてお前等性格
        悪いぜ。オレは本気で
        落ち込んでたってのに」
        ジトォ...




    アルミン「ゆ、許してよ;ミカサだって
       エレンに喜んで貰いたいから
       あえて驚かせようと黙って
       たんだよ・・きっと」






    ミカサ「・・・エレン、美味しかった?」





    エレン「美味かった事は美味かった
       けどよ・・・さっきのあれは・・・
       何の肉だったんだ?聞いても
       教えねえし・・・」
        
       


    ミカサ「知りたければ当ててみて。」
        チラチラ




    エレン「当ててみろって言われてもな・・
       そもそもオレ達はそこまで
       肉を食い慣れてねえから
       よく分からねえよ・・

       豚肉って感じじゃなかったから
       ・・・牛肉か?」





    ミカサ「・・ハズレ,,w」プスプス





    アルミン「(珍しいな・・・;ミカサがエレンを
       からかうなんて・・・!

       やっぱりこっちの世界に来て
       ミカサも少し変わって
       きてるのかなぁ・・・・・)」




    エレン「(おいアルミン・・何かミカサが珍しく
        邪険にしてくんだけど・・

        お前はアレが何の肉か
        知ってんだろ??なあ、
        教えろって・・・(小声))」




    アルミン「(え・・?ああ、いや、実は僕もね、
       ミカサが肉を隠し持ってたのは
       気付いてたんだけど・・・それが
       何の肉なのかまでは聞いて
       無かったんだ。(小声))」




    ミカサ「、、そもそも答えを内緒に
        している私を無視した上で
        アルミンに答えを聞くなんて・・・

        エレンの空気の読めない性格は
        相変わらずだ」




    そっけなくそう言い放つミカサだが・・
    その顔をエレンに対する側面から
    眺めていたアルミンからは・・・・
    彼女のその顔がとても充足感に溢れる
    笑顔である事に気が付く。





    エレン「悪かったな。っていうか
       お前に空気がどうとか
       言われたくないけどな・・・(溜息)」

  85. 85 : : 2015/07/26(日) 12:49:02





    ミカサ「気を悪くした訳ではない。

        私は・・・私の記憶の中にいた
        そのままのエレンと、こうして
        未知の世界でも一緒に居られる
        事が出来てとても嬉しい。

        その上アルミンまで無事に
        見つけることが出来た。
        この幸せは・・・とても言葉に
        言い表せない。」




    ギュッ・・・・




    アルミン「っ・・・・///」




    エレン「大袈裟なんだよな・・・お前は
        一々言う事がよ・・・。

        何だかんだ違う世界とか
        言ったってよ・・他のヤツらだって、
        
        ユミルとクリスタみたいによく
        つるんでたようなのは自然と
        近い場所に暮らすように
        なってる訳だろ?・・・なら
        オレ達だってどうせ・・・」



    アルミン「エレン;君はミカサの気持ちを
       これっぽっちも理解できてないよ
       ・・・・それから僕の気持ちもね。

       僕が君達二人との再会をどれだけ
       夢に見てたか・・・君は
       知りもしなければ心境の理解すら
       出来ないんだろうけど」
       ムス・・・





    エレン「な・・・・なんだよ、そこまで
        的外れな事言ったかよ?」





    アルミン「当たり前さ。まず・・・そんな風に
       “元居た世界”・・・まあここでは
       “原作世界”と呼称しようか。

       ・・・ともかくその原作世界での
       繋がりが自然と各々の生活圏内で
       関わるような仕組みになってる
       のは・・・どうやら僕達みたいな、
       記憶が残ってる特殊なケースを
       除いた・・・元の記憶を失って
       しまった人達だけだ。

       現に僕は自然と誰か知り合いに
       出くわした事なんて一度も
       無かったし、ミカサは自力で
       何とか探し出したって言ってた。」





    エレン「・・・・・」




    アルミン「原作世界の記憶を断片的にしか
       思い出せないって事は・・・
       つまりその人と過ごしていた
       元の記憶も思い出せない訳
       なんだから・・・・

       ミカサが安堵しているのは
       そういう意味でだよ。
       此方の世界の記憶しかなかったら
       ・・・ミカサにとってのエレンは
       全く別人ということになって
       しまうんだよ・・・」





    エレン「・・・・悪ぃ、お前が
       言いたいことが丸っきり理解
       できねえよ・・・。アルミン。

       記憶がどうこう言われてもな・・
       その実感を知ってるわけじゃ
       ないし、そもそもオレ達が
       こんなことに巻き込まれてる
       理由が分からねえ・・・」





    アルミン「エレンにはそういう期待は
       してないから大丈夫だよ(溜息)
       一応説明しただけ,..」






    エレン「何だとオイ!!!(; ・`д・´)」



  86. 86 : : 2015/07/26(日) 12:51:00




    ミカサ「・・・・いい。エレンは難しく
       考える必要なんてない。

       ・・・あなたはただこれだけ、
       ・・・・これだけ覚えていてくれれば
       それでいい・・・」グッ・・





    エレン「・・?」





    二人の間に横たわるミカサが両の掌で
    握り繋ぐその指に力が篭る。





    ミカサ「私は・・またあなたに逢えて
       これ以上嬉しい事は無い・・・。

       世界は残酷だけれど・・・
       前を見続けていたから・・・
       生きようという意志を持ち続けて
       いたから・・・そして・・・・」




    エレン「~~~・・・」





    ミカサ「何をしてでもエレンに逢いたいと
       想って止まなかったから・・・
       私はあなたにこうしてまた
       逢う事が出来た。
        
       今まで無事でいてくれて
       本当に有難う」





    エレン「・・・それは分かるけどよ・・

       だからって・・・。オレの
       聞き間違えでなければオレを
       探し出す、その為だけにお前・・・

       こっちの世界で人生一片
       やり直したとかなんとか・・・
       そんな事言ってなかったか・・?;」





    アルミン「え・・・??じ、人生を・・やり直す・・?」





    ミカサ「・・・・?エレンにはその話は
       していない筈・・・唯一それを
       知っていそうな叔父さんにも・・
       意識がある状態では今日初めて
       会ったはずだ・・・・

       何でエレンがそれを・・・?(驚)」
       



    エレン「まだ巨人化が解けてない状態で
       だろうな・・・ミカサと・・・さっきの
       お前の叔父さん・・か、その人の
       会話が、ぼんやりとした意識の中
       少しずつだが聞こえてた。

       ・・・その様子だと・・冗談でも 
       何でもないみたいだな・・・;

       ・・・普通に考えれば自分の耳を
       疑うか、冗談を言ってただけかと
       想う所だが・・・この世界の
       発展具合とお前の行動力なら・・
       何があってももう驚きやしねえよ
       ・・・・」




    ミカサ「・・・・そう。でもどうか
       誤解しないで欲しい。

       エレン・・・あなたは今、
       “その為だけに”と言ったが・・・

       私は“その為だけに”生きている。
       それが全て。エレン、アルミン、
       そして私がこうして並んでいる。

       ・・・これが唯一無二…私の世界だ。」






    エレン「・・・お・・・、ぉう・・・・;」






    エレンに向けられたその顔は・・・


    ミカサの背後となる場に居る彼からは
    当然見えないが、声色と声の抑揚からも

    彼女が作る表情としては非常に希少な
    笑顔が又隣の親友に向けられている事を
    察するアルミン。



    アルミン「(エレン・・・羨ましいなぁ・・・)」




    ミカサ「“此処”に辿りつくまでに本当に
       色々あった。集めれば何でも
       願いが叶うという球を捜しに
       世界を飛び回ったり、

       人語を喋る白い獣に同様の取引を
       ・・・人身売買紛いの交換条件で
       持ち掛けられたり・・・。

       世界を巻き戻せる者に
       出会い、全てを振り出しに戻して
       もらったり…。本当に色々あった。」






    エレン「(滅茶苦茶すぎてとても
        ツッコミが追いつかないんだが
        ・・・・まあこいつは・・・・)」





    ――おそらく何一つ嘘を言っては
    いないのだろう。考えずに分かる。
    目の前の幼馴染は・・・絶対にそういった
    くだらない嘘は吐かない。それも、
    こと自分に関する事については特に。




  87. 87 : : 2015/07/26(日) 12:53:23






    ミカサ「色々あったのは事実で
       果てしなく長い道のりでは
       あったが・・・結果私はこうして
       エレンに辿り付けた。

       これでもう私はどんな末路を
       迎えても思い残す事なんてない。

       ・・・いい人生だったと笑って
       死ぬ事だって出来る」






    エレン「馬鹿言ってんじゃねえよ・・。

        大体、原作とやらでお前一回それ
        やりかけてたじゃねえか・・・(呆)

        折角こうしてオレだけじゃなく
        アルミンにも偶然会えたんだろ?

        ・・・だったら死ぬときの事なんて
        考えんじゃねえ。オレがお前に
        あの日なんて言ったか
        もう忘れちまったのかよ(嘆息)」



    ミカサ「・・・勿論だ。今のは
       物の例えで言ってみただけ・・・。

       折角ここまで生きて来た。
       アルミンにもこうして逢えた」
       クルッ




    アルミン「・・・っ !?ぁ?う、ウン!!
       僕もさ!!!!またミカサに出会う
       事が出来て・・・本当にっ・・その!!」
       //////





    エレン「何せミカサの抱き枕を毎晩
       抱きしめて寝てたんだもんな・・・。

       ホラ、今なら抱き枕じゃ無く真横に
       本物のミカサがいるんだぞ?
       いいのか?抱きしめなくて(ry
    アルミン「ェレンッッ!!!言っていい冗談と
       悪い冗談が・・・!!!///」
       ソワソワソワ




    ミカサ「・・・・、」モゾモゾ





    ミカサ「・・・アルミン、抱きしめてみる?」
       サワッ・・




    アルミン「""!!!?!??」ビクッ!!!!






    エレンと繋いでいた手を突然離し、
    横になった格好のまま・・・

    同様に隣に横たわるアルミンの方へ
    身体の正面を向けて両肩に手を
    載せてくるミカサ。



    ・・・月明かりのみが視界を切り出す
    暗闇の中、目視では殆んど見て
    取る事は出来ないが、


    アルミンの顔は見る見るうちに
    上気して真っ赤に茹で上がってしまう。





    エレン「・・・・何恥ずかしがってんだよ。
        そんなに寂しかったんだろ?

        本人がいいっつってんだから
        そうすりゃいいじゃねえかよ。

        ・・・オレ達しかここには
        居ないんだ。何も気にする事
        ねえぞ・・・・;」




    アルミン「ッ・・・//っ・・・//ミ・・ミ・・・」
       ボソボソ・・・・




    余りの昂りに最早まともな意見を
    吐くことも、恥ずかしがってミカサの
    両腕を跳ね除ける事すらできずに
    硬直するアルミン。



    エレン「・・・・;ったく・・・面倒臭ぇ
        性格だな・・・ほら。。」ぎゅっ





    ミカサ「っ!!?えレン!!??////(裏声)」
        (顔、真っ赤っ化。)





    緊張に硬直するアルミンの横で、
    後ろからミカサを抱きしめるエレン。

    その瞬間。、今度は唐突過ぎる
    その抱擁にミカサ自身がアルミンと
    同じ様な状態に陥ってしまう。




    アルミン「ぁっ・・・・//;」




    咄嗟に吐き出した悲鳴に近い上擦り声が
    示すように・・・ミカサの心拍数は
    エレンの抱擁で一気に跳ね上がる。



  88. 88 : : 2015/07/26(日) 12:55:19






    エレン「ホラ、オレもミカサを
       こうして抱きしめてるんだぞ?
        
       お前をバカにする奴はこれでもう
       何処にも居ない。それでも
       お前はそうして固まったまんまで
       じっとしてんのかよ??」





    アルミン「ぅっ・・・でも、ソノ・・

       流石に心の・・・準備がッ・・!」
       バクバクバクバクバク・・・・




    ミカサ「エレン・・・とても嬉しいけれど
        私も少し血の巡りが良く
        なりすぎて目の前がぐらぐら
        してきた・・・////

        そろそろ腕の力を緩めて
        貰えないだろうか///」
        フ―...フ――ッ...




    暗闇でそこまで子細な表情こそ
    読み取れないが、上気したミカサの
    熱い吐息が自らの鼻先に吹きかけられる
    感覚を察知するアルミン。


    その熱さから察するに彼女がどのような
    状態にあるか、アルミンの思考能力ならば
    容易に想像できた。




    エレン「・・ああ?悪ぃ悪ぃ。

        お・・・っていうかミカサ・・!
        お前この腹筋マジですげえな!!

        ・・・上腕二等筋も鍛え方が違うし
        三角筋なんてお前これ・・・
        プロテクター入れてんじゃ
        ねえかって硬さだぞ!!・・・

        す・・・すげぇ・・・!;」
        (真面目に感嘆)サワサワ・・・





    ミカサ「エッ・・・エレンッ・・・!!!
        駄目だ!!危ない・・・!

        やめてッ・・・欲しい!!」
        ブルブルブル・・・・!!!!


        


    エレン「どんな筋トレメニュー組んだら
        この形に辿りつけんのか是非・・・
        ・・・・。、?

          
        ・・・あ?・・なんだよ危ないって」
        ピタ・・・





    ミカサ「そんなに触られてしまうと流石に
       私も・・・、、発奮が抑えられない・・!」
       ギラリ・・・・!!!(フルフル・・・)




    エレン「っっ・・・!?」ゾグッ





    アルミンに向けられていたその顔が
    ふと此方に向けられた途端・・・
    全身に言い様の無い怖気を感じるエレン



    小刻みに震えるミカサの顔に
    張り付いている引きつった表情は・・・
    暗闇で確認し辛いとはいえ、
    間違いなく憤怒を示すモノではなかった。

    ・・が、その目に燻っていた危険な
    火種の明滅が...嫌が応にもエレンの
    防御本能にとって非常に危険な警告色と
    即断される




    エレン「わっ・・・悪かったって・・・、すぐ
        離すからそうおっかねえ顔で
        睨むなって・・・;」ビクビク






    ミカサ「有難う・・・・そのまま手を引いて
        貰えると・・・とても・・・助かる
        ・・・・・!」ガタガタ・・・




    エレン「(やっ・・・ヤベェ・・・!!;

        何がやばいのか明確には
        言えないが・・このままオレが
        触り続けてたら・・間違いなく
        ミカサがオレに向けてきた
        衝動を・・・・止める手段は
        無かった・・・・!!)」
        ブルブル・・・・




    身体を触る方と、触られる方、
    どちらかが何かを責め立てている訳でも
    無いのに、互いに自分の意思でも
    止められない程の震えに襲われている。


    ・・・得体の知れない恐怖と戦う中、
    ・・しかしエレンの心中に一つだけ、たった
    一つだけ・・・確かな警告が下されていた。



    エレン「・・・・・!!!!!」ブルブル・・・




     ――これに組み伏せられれば最後・・・!
     確実に自分の男としての尊厳が・・・・
     全て失われかねない、一方的にして
     強制的極まりない営みが待っていると。





    そしてエレンと同様の危機感を・・・
    ミカサを挟んで向かい側に居る
    アルミンも同時に感じていた。

     

  89. 89 : : 2015/07/26(日) 13:01:11







    ミカサ「・・・心配させてしまって
        すまない・・・;ちょっと・・・
        興奮しすぎて原初的な欲求が
        暴れそうになっただけだ・・・

        もう・・・大丈夫・・・!(荒い息)」
        ググ・・・!



    まったく大丈夫ではなさそうな息遣いで
    そのように言い聞かせてくるミカサ。





    アルミン「原初的なっ・・・て・・・・////」





    ミカサ「危なくエレンをお嫁に行けない
        身体にしてしまう所だっ(ry
    エレン「誰が嫁だってんだオイ!!!」
        ガッ!!





    ムニュ・・・・×2






    ミカサ「」



    プツン




    アルミン「ぁ・・・・;」





    体の正面をアルミンの方へ向けたまま
    小刻みに震え、自身の欲求を抑え込もうと
    蹲るミカサだったが・・・そんなミカサが
    不意に漏らした唐突な嫁発言に激昂
    してしまうエレン。


    彼が思わず力任せに握り込んだその
    膨らみは言わずもがな・・・・鍛え抜かれた
    ミカサの全身の中でも、数少ない
    皮下脂肪分の集中箇所であった。



    エレン「ぅおッ・・・ここだけはこんなに
        軟いのか・・・っって、うわ!!!」



    ミカサ「フーーーッ・・・

         フーーーッ・・・;(原作顔)」



    月明かり無しの暗闇でもその表情が、
    吐息が目を開かずとも明瞭に
    見て取れるほどの至近距離に・・・
    その顔は迫っていた。


    先程まで反対側を向いていたはずの
    体の向きも、一瞬でエレン側へ
    向き直ったようだ。




    アルミン「エッ・・・エレン!!!君はもう少し
      女子の気持ちを考えたらどうなの!?

      いくら相手が気心知れてる仲だと
      言っても・・!ミカサだって年頃の
      女の子なんだよ!!?それがそんな
      部位をおもむろに触られたら・・!」
      




    ミカサ「・・・・人生のリセットまで含め
        ・・・数十年分に及ぶエレン分
        欠乏の日々を乗り越えてきた
        今の私に・・・

        これは正直我慢が効かない。。
        (血涙)

        アルミン・・・・済まない。

        私がエレンとここで何をしても(▪▪▪▪▪)
        あなたは私を嫌いにならないで
        居てくれる・・・・?」ワナワナ・・・




    アルミン「・・・ぇッ・・!??イヤ、あの・・・・!!
       (ほ、本気の目だ・・・!!)」




    エレン「(恐怖に引きつる顔)」
        ガタガタガタ・・・・




    アルミン「さッ・・・流石に僕もいきなり此処で
      二人がそんなこと始めたら
      落ち着いてなんていられないよ・・!

      それにさ・・・、
      と・・とりあえずそう言うことは、
      外でするのは・・・なんかその、
      ま、まずいんじゃないかな!!(焦)」








    ミカサ「・・アルミンの言葉も、尤も・・・;////」



    スッ・・・



    エレン「・・・ホッ(安堵の溜息)」





    ミカサ「・・・ではせめてテントの中で」
        ガッシィィ!!!!(あの顔)




    エレン「ヒィッ!!!!!!」ビクンッ




    ミカサ「大丈夫だエレン・・・!
        痛いのは最初だけ・・・・!」
        グィ...!!ググ...




    エレン「(なんだこの力・・・・!!)
        アッ・・・アルミン!!手を貸してくれ!!

        このままじゃヤられる!!!(畏)」
        ズル・・・ズルリ・・・・↓↓
        




    アルミン「ぐぐ・・・・ぎッ・・!"み、ミカサァ・・!
      正気に戻って・・・!!君らしくないよ!

      自身の欲求でエレンに乱暴しよう
      なんて・・・!いつもの君じゃない!!

      ほら、!!エレンだって
      こんなに怯えてる!!!分かったら
      手を離してってば・・・!」グヌヌヌ・・・!

  90. 90 : : 2015/07/26(日) 13:05:37





    ミカサ「私をその気(▪▪▪)にさせたのは・・・
       エレンでしょ…?何が違うと言うの?」
       (原作のあの顔)




    アルミン「ぅッ・・・;でもホラ!!いくらタグが
       ついててもこれはそういう路線
       メインの話じゃないから!!
       
       やっぱりこんなの良くないよ!!」







    ミカサ「メタな言い訳をしたってダメ・・!

       私は危ないから
       止めるべきだと言った・・・!
      
       エレンは止めなかった・・・!
       だからこうなる・・・・!アルミン、
       あなたは私の味方・・?それとも・・」










    ゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・!!!



    月夜の山頂、周囲の暗闇より更に暗い
    テント入り口の狭間から・・・異常な腕力で
    男子二人分の必死の抵抗を丸ごと
    引き摺り込もうとする片腕と・・・

    闇より深く吸い込む二つの(まなこ)から
    放たれる・・見る者を凍てつかせて
    しまいそうな視線。


    テントから露出しているのが片腕と
    顔だけという中途半端な姿勢からは・・
    隠れている半身は別の準備に
    取り掛かっているという事実を
    アルミンに直感させる。



    ミカサ「・・・・・」





    ズル・・・パサッ・・・






    アルミン「ッ・・・ううわァアア!!!!」ババッ
      



    エレン「ぁっ・・・!!おいアルミン!!!!;;

        ってミカサ・・・・!!!!おい
        お前マジで言ってんのか!!
        おまっ・・・・!!!」


    スルッ・・・



    エレン「っ・?!?!///」




    ミカサ「アルミンも認めてくれた・・、
        私もこの通り準備が整った・・

        後はエレン・・・・あなたが覚悟を
        決めるだけ・・!」



    アルミン「・・・・ッ!!!・・・///」
       ガタガタ・・・
        


    咄嗟に襲いかかってきた恐怖のあまり、
    差し伸べた手を離してしまうアルミン。


    ・・・しかし、手を離してその場に背を
    向けてしまったのは・・・恐怖心だけが
    理由ではなかった。



    一瞬テントの入り口隙間から
    見えてしまった・・月明かりが
    照らし出したミカサの姿が・・・・




    エレン「お前ッ・・・・・おま・・・!!」




    ミカサ「・・・・・何?」




    エレン「何じゃねえよ!!何でこんな場所で
       素っ裸になってやがるんだ!!!
       早く服を着ろって!!!!」




    ミカサ「・・・そう言われても・・・
       着たままでは汗を全て吸って
       乾かなくなってしまう。エレンも
       これから全て脱ぐのだからこれが
       当たり前の準備だと思って(困)」




    若干困惑したような顔を作っては
    見せるものの、その表情は相変わらず
    原作風の彼女そのままであり、
    当然エレンの片腕を保持する左手は
    そのままに、

    目には一切感情の起伏を表すような
    ハイライトは入っていない。


  91. 91 : : 2015/07/26(日) 13:07:29




    エレン「(ほッ・・・・本気だ・・・・!!!
        コイツ・・・本気で・・!!本当に
        今この場所で・・・!!;)」





    ミカサ「安心して欲しい。
       乱暴には――・・しないから」






    エレン「・・・そりゃ本来男が言うはずの
        台詞なんじゃねえのかよ(涙)」






    ミカサ「・・・問題ない・・・
        何故なら・・・・・

        エレンは私の嫁だから」






    エレン「(終わった・・・・・!(諦))」





    まな板上で止めに等しい
    脊椎線への活け締めの一太刀を
    受け止めた鮮魚のように・・・・

    不意に全身を脱力してそれ以上の抵抗を
    一切止めようとするエレン。





    エレン「(よく考えてみりゃ・・・オレは
       未だかつてこいつのお荷物に
       なってばかりで・・ただの一度も
       こいつを救ってやれてねえ様な
       気がする・・・・)」




    幼少期、途方に暮れかけていた彼女に
    唯一生きる目的を与えた事例と、
    無意識中に巨人から彼女を救っていた
    事実はすっかり忘れ去り・・・
    そのように悔恨するエレン。



    目前にて暗い布張りの中から
    見つめる、彼にとって唯一の人間と
    なってしまった家族同然の少女。




    エレン「(ならオレは・・・どんな事でも
       いいから・・・何度もオレを
       助けてくれたこいつの我儘を・・・

       一つくらい快く受け入れて
       やるべき・・なのか・・・?)」




    ミカサ「覚悟は決まった・・?エレン。」
        スッ・・




    抵抗の意思も素振りもなくしてみせる
    エレンをこれ以上拘束する必要も無いと
    判断したのか、両手を離してそう
    問いかけるミカサ(全裸)。




    エレン「イヤ・・・;覚悟がどうとか
       そういうの以前に・・・こういうの
       ・・場所と場合を考えてする事だろ。
       
       アルミンの言う通りだぜ。
       ・・・それでも・・・我慢できない
       ってんだな?お前は。」




    ミカサ「私も・・・アルミンと同じだ。

       あなたの存在が確信できない
       この世界に来て・・・此処に至るまで
       何度も心が自壊しそうに
       なったりもした。

       ・・・そんな毎日を乗り切って
       きたからか・・今ここまで昂って
       しまった私自身を抑えられる
       確信は・・・全く無い。

       せめて・・・エレンが今こうして
       起きている間に同意を
       得られなければ・・・・」





    アルミン「・・・・・;」 
      ドキドキドキドキ





    ミカサ「私はアルミンが寝ている隣でも
       構わずこのテントの中でエレンに
       乱暴をしてしまうかもしれない」
       シュン・・・・




    エレン「・・・(溜息)。もういいって、
       分かった。お前がそんな風に
       言う程、自分を抑えられなくなる
       ってのは実際かなり珍しい事だし
       
       ・・・・お前にはこの世界に来る前
       からも・・何度も助けられてきた。
       何をしてみたいのか口に出して
       くれりゃオレがその通りに
       するから・・・無理やり何か
       しようって言うのはその・・・

       ・・・な。」



  92. 92 : : 2015/07/26(日) 13:11:23



    ミカサ「!!」




    渋々そう告げるエレンに対し
    これ以上なく顔を綻ばせるミカサ。





    ミカサ「い、いいの?エレン・・??!」
        パァァァ・・・





    エレン「・・・、そんなに嬉しそうな顔
        してんじゃねえよ・・;ここは
        野外で、お前は今風呂に入る
        格好してんだぞ。

        ・・・いくら夜間だって、
        オレ達みたいに野営しにくる
        登山客だって居ないわけじゃ
        ねーんだろ・・?」




    ミカサ「そんなに嬉しい顔にもなる・・!

       エレンが私のこういった要求を
       素直に飲んでくれるなどと
       到底思えなかったから・・!

       他の登山客の心配は要らない・・
       この時間から上ってくる人は
       まず居ないし・・・今は何故か
       単独行動中みたいだけど、
       先程まで此処にいた“トビコマ”の
       人感センサに私達三人以外の
       反応は一切感知が認められ
       なかった」




    エレン「・・・・なんだそりゃ?;」



    アルミン「・・・・と、トビコマ?;」
       




    ミカサ「・・・ようするにエレンがさっき
       アルミンに言ったとおりだ。

       此処には私達以外にことの
       成り行きを見ている人間は居ない。

       ・・・だから何も・・心配は要らない」
       スッ・・



    そう言うと強引に引き込むでもなく
    今度はエレンに対して己の片腕を
    差しのべるミカサ。





    ミカサ「・・・もしアルミンが
       嫌でないのなら・・アルミンも
       一緒に・・・・
       
       ・・・・・・・・する?」






    アルミン「ッッ!!!!?」
       ビクンッ!!!




    先程ミカサから放たれた殺気に近い
    気迫とその一糸纏わぬ姿に恐れをなして
    背を向け、蹲っていたアルミン。


    そのまま此方の様子を極力視界に
    収めないようにといった素振りを
    保ちつつも顔を抑えていたが・・・・

    やはり歳相応に彼の中にも
    燻る性的好奇心が存在しており・・・・
    相変わらずの姿で暗闇に立っている
    ミカサの姿を流石に目で追わずには
    居られなかった様子。


    突然話を振られるとは思っても
    みなかった上に、しかもそれが
    これから行われる幼馴染二人の
    営みに参加するか否かの問いかけだった
    為、ますます正気を保てず
    慌てふためいている。



    エレン「・・・・それもそうだな。
       おい、アルミン。オレ達だけ
       こっちでなんかやるってのも
       流石に気を遣う。お互いにな。

       ・・だからお前も強制参加だ。
       そんなとこでチラ見しながら
       小っちゃくなってねえでとっとと
       こっち来いっ・・・て!」グイッ




    アルミン「はっ・・離して!僕に気を遣う
      なんてしなくていいから!!
      二人でゆっくりやってていいから!!

      抱き付くだけでも心の準備が
      必要なほどなのにそんな・・・!
      僕にできっこないって!!

      二人とも正気に戻ってくれよ//!」
      ブンブン!!




    エレン「あっ・・お前っ・・!!
       駄々っ子みてえに暴れるな!!」
       チキショ・・!



    ミカサ「それは誤解・・・。
        私達は至って正気だ・・・アルミン。」
        スッポンポン




    アルミン「ッ!!ミ、ミカサ!!月明かりで普通に
       見えちゃうよ!!!早くテントに
       入ってってば!!」ババッ




    ミカサ「・・・・別に気にする事なんて
       何も無いのだけれど・・・。(溜息)

       そもそも二人以外に人が居ない
       この場では私には晒して
       恥ずかしい場所なんて存在しない」
       フン。。。。

  93. 93 : : 2015/07/26(日) 13:14:26






    エレン「・・・それにしても暗くてよく
       見えなかったが・・月明かりで
       真上から照らされるとこう・・・

       本当にすげーな、お前の腹筋。
       起伏がモロに浮き出てやがる・・

       ・・・ちょっと触ってもいいか?」
       ドキドキ・・・





    ミカサ「・・・・///別に構わない。
        ・・・好きなだけ。」スッ・・






    エレン「おっ・・わッ・・・すっげぇぞ
        オイアルミン!!!これ直に触ると
        マジですげえ!!!本当に
        何も詰め物してなくて地肌で
        この硬度なのかよ・・・!(グッ・・)

        ミカサ・・お前が巨人化すれば
        硬化無しでも余裕で女型を
        倒せるんじゃねえか・・?!」
        スッゲェ・・・・!!(ペタペタ・・)





    ミカサ「・・・嘘予告でそういう描写は
        あったけれど・・・嘘予告で
        やってしまったからこそ、
        その可能性はかなり薄くなって
        しまったと思う。

        ///心配しなくても私は
        巨人化に頼らずにでもあなたを
        護りきって見せよう」




    エレン「・・・そういうのが若干
        傷つく所でもあんだよ・・・!

        オレがあんだけ必死になって
        15mの身体を振るっても
        勝てなかった相手を・・・

        兵長と組んだお前ならその
        身体で十分互角に戦えちまう
        んだからな。・・・オレの
        立場がねえよ・・・マジで。」





    ミカサ「今はそういう事を気にする必要は
       無い。そろそろ・・・」スッ・・




    エレン「おい、アルミン!!!いつまで
       そうしてるつもりだよお前!!

       お前がいくら渋ったってもう
       コイツは途中で止まれないってよ!

       分かったらお前も観念して
       服脱いでさっさテントに入れよ!
       蚊に刺されちまうぞ!」
       ババッ・・



    そう言い放つと、ミカサ並みに何の
    羞恥心も見せずに着衣を脱ぎ下ろす
    エレン。









    ・・・と、丁度そのときであった。






    ???「《は~い、ハイ、ハイ、ちょいタンマ!!!
       ストップな!OK!?》」パンパン

    ブブブ・・・・・




    アルミン「?!」



    エレン「!!?あれ、この声・・・・」





    暗闇に微かな風切り音と共に響いた
    その声は・・・・




    ミカサ「・・・・叔父さん。」



    小型ドローンより遠隔地から届けられた
    先程の叔父の声であった。



    トビコマ「《オウオウ、悪ぃなミカサよ。
        若気の至りを邪魔ぁする
        つもりは更々無かったんだが。

        一応2、3気を付けるべき事は
        言って置こうと思ってな、
       
        ぁあ、それから安心しな。
        プラバシー保守の観点から
        映像モニターは切ってある。

        お前等三人の姿は某戦闘民族
        視点同様に熱源としてしか
        こっちには見えてねえ。

        まあ色だけでお前が今スッポンポン
        だってのは分かっちまうんだが。


        ・・・しかしミカサ、お前の
        体温・・・今42℃ってこっちの
        モニターに出てるんだが・・・
        ホントに大丈夫か・・・;?》」



    ミカサ「大丈夫だ・・・問題ない。座薬が
       必要になるほどの発熱ではない。

       エレンに身体を触られてすこし
       興奮してしまっただけ」





    トビコマ「《・・・そうか;全然少しじゃねえし
        ・・一応脳までその温度に
        上がりきってると
        “普通の人間なら”かなり
        ヤバいからな・・・熱はしっかり
        冷ましてから事に及べよ》」





    ミカサ「・・・有難う。」





    アルミン「(サラッと“及べよ”って・・・!
       止めに入ってくれたんじゃ
       なかったのか・・・?!;)」



  94. 94 : : 2015/07/26(日) 13:18:27



    トビコマ「《ああ、そうそう、俺は
        一応体面上お前さんに自粛
        方向で呼びかけるつもりで
        連絡を寄越したんだった。》」





    ミカサ「・・・止める?」ピクッ




    トビコマ「《悪ぃ悪ィ!勘違いすんなって!
        折角姪が初めて本気になれる
        相手を目の前にやる気満々に
        なってんだ、それを邪魔しよう
        なんざこちとら本望じゃねえし

        そもそも孫の顔が見たい的な
        意味でも俺だってお前のその
        ヤる気スイッチを止める
        つもりはねえって!!

        やりたいなら存分に予行演習
        くらいするべきなのさ!!

        ・・・・ただな、二つだけ
        気をつけて欲しいコトがある》」


       


    ミカサ「それを聞いて安心した。
        
        ・・・二つ・・・気をつけること?」




    トビコマ「《オウ。さっきエレンも言ってたが

        ・・・お前ら虫除け塗ってねーだろ
        ・・・お前が脱ぎ始めたのを
        トビコマ経由で情報入ったその
        時点でコイツに薬局まで
        買いに行かせてたんだ。

        どうもこの辺でもあの・・ほら
        なんだ、和製妖怪みてえな
        名前の病気が流行ってるみてぇ
        じゃねぇか。用心に越した
        事はねえ》」



    ミカサ「デング熱・・・・?」







    トビコマ「《そうそれな!!・・・・と、、

        おら、そこで縮こまってる坊主。
        この紙袋の中身をミカサに
        渡してやっちゃくれねーか。
        どうせお前さんも一緒になって
        くんずほぐれつお楽しみに
        なるんだろ?

        ・・・もう一つ同封されてる
        荷物の用法もお前さんなら
        分かりそうだしな・・・まあ
        宜しく頼むわ》」





    アルミン「・・・?いえ、あの・・・くんずほぐれつ
       とか・・・そもそも僕はこんな・・!
       表で裸になんて・・・!」ガサガサ・・



    そう言いつつも促されるままに
    トビコマのアームから手渡された
    紙袋個包装の中身を確認するアルミン。


    その中から出てきたのは
    “デングに一番効果あります!”

    のポップシールが目立つ位置に貼り付け
    られたスプレータイプの虫除けと、
    それとは対照的にこれといった商標も
    目に付かない形で包装された・・・

    3段積で纏まった長方形の紙箱であった。




    アルミン「・・・・・・///////」
      (家族計画・・・・)




    トビコマ「《・・・・そのリアクションを
        見るに・・・説明はいらねー
        みてぇだな。ウン。
        オジチャン関心だぞ。

        最近の若いのはこういう
        知識だけは先行してて非常に
        素晴らしい。ムッツリ最高。

        ・・・暗いから表裏の着け間違えに
        気ぃつけろぃな!》」




    アルミン「勝手に知ってるって
       決め付けないで下さい!!///;」




    トビコマ「《ナハハハ!!もう手遅れだぜ坊主!!
        テメェ、可愛い顔して相当な
        ムッツリだな!!?まず真っ先に
        この3段積みを見た途端に

       “こんな量どうやって
        使いきれっていうんだ・・?!”
      
        って顔になってただろお前!!》」




    アルミン「なッ・・・?!??い、いや!!
         そもそも映像かなにかは
         見えないようになってるって
         ・・・・!!!」ワタワタ





    トビコマ「《オウw悪い悪い。それは間違い
        無いんだが・・・熱源感知で
        それ位の心情変化は大体
        分かっちまうのよ。今お前、
        ミカサ並みにすげえ体温だぞ。

        顔なんかもう真っ赤々だろ》」



  95. 95 : : 2015/07/26(日) 13:38:02




    ミカサ「・・・大丈夫だ、叔父さん。

        心配しなくてもちゃんと私は
        “それ”の使い方を知っている。
        アルミンが知らなくても
        説明する必要は無い。こちらも
        すっかりこういった行為に及ぶ
        予定など無かったのでかなり
        助かった。大事に使おう。」
        ビリビリ・・・



    アルミン「(!??知ってるの!?)」
       ババッ!!!!








    トビコマ「《さすがは我が姪っ子。
        勉強熱心なことだ。だが
        その量を見ろって。こっちも
        慌てて買いに行かせたから
        つい特用パックで会計を
        済ませちまった。

        大事に使わずとも簡単に
        使い切る量じゃねえだろ》」
        







    ミカサ「じゃあ・・・・・虫除けと・・
       二つ目は・・・“それ”・・・?」



    トビコマ「《ぉう!・・・まあ、やること
        やりたいだけやればいいとは
        言ってもな!流石に今すぐ
        “何か”あっても困るだろ・・。

        無論お前にはもう既に扶養が
        2,3人増えようがお構いなしに
        一生暮らしていける貯蓄が
        あるんだろうが・・・・

        年齢的な不便さってのだけは
        どうしようもねえ。
        “この世界”でのお前さんの
        生活の安泰のためでもある。

        一応は予防線を意識する位の
        頭は持っててくれってコトさ》」

        

    ミカサ「・・・・・」
        コトッ・・・ガサガサ・・

        シュッ・・シュッ・・




    無言でアルミンから手渡された虫除けを
    使用し、同時に薄暗い中でその箱を
    凝視するミカサ。




    ミカサ「・・・・有難う、叔父さん。

        ・・・・しかしお陰でこれを見て
        大分気持ちが冷静になった。

        衛生的な事を考慮しても・・・
        明日更に隣の山まで歩くのに
        ここで汗だくになるのも
        考えものだし、体力を余計に
        消耗するのもあまり良くない。」



    トビコマ「《フム・・。(ぉぉ、体温がものの
        見事に平温に戻ってくな。流石
        ミカサ・・。)まあ、お外でする
        ってのも気分とか色々な都合で
        若い内しか踏み込めない冒険
        だからな。やるなら止めは
        しないつもりだったが・・・

        まあ、お前がそうしたいなら
        それがいいんだろうよ》」 



  96. 96 : : 2015/07/26(日) 13:39:15


    エレン「(溜息)・・だそうだ。

        安心しろよアルミン・・。
        どうやら心変わりしてくれた
        みてーだぞ・・・・」スル・・・



    すっかり落ち着きを取り戻した
    ミカサを尻目に、自らも脱いだ衣服を
    元通り着始めるエレン。





    アルミン「そ・・・それはいいんだけどさ・・;
       エレン、随分落ち着いてるよね・・
       ミカサがこれから君や僕相手に
       何をしようとしてたか・・・
       君だって理解できなかった訳じゃ
       ないだろ・・・?!」


    エレン「何って・・・まあアレだろ?
        男女で全裸になってやること
        っつったら・・・他にねえもんな。

        しかし虫除けはともかく、
        さっきお前等が言ってた
        “あの”紙箱はなんなんだ?
        何か特殊な用途に用いる
        もんだったのか?」




    アルミン「エレンは・・・まだ知らなくて
      いいんじゃないかな・・・」フイッ





    エレン「ぁッ!?なんだとアルミン!!?」





    ミカサ「折角叔父さんに買って貰った分だ
       此処では一応我慢するけれど、
       家に着いたら遠慮なく使わせて
       もらうとしよう・・・」ウン、。





    アルミン「ファッ!!!??///」




    ミカサ「目標は1箱・・・。。2人いれば
        そう時間はかからない筈。」
        ワクワク...!



    エレン「・・・だとよ。アルミン。
        何だかよく分からねえが・・
        山登りの後にも相当疲れが
        残る仕事が待ってそうだぞ・・・

        精々仕事に疲れを残さねえ
        ようにな・・・;(ソッポ向き)」




    アルミン「イッ!!!嫌だよそんな!!!
       ここから秋葉原までどれだけ
       かかると思ってるの!!?

       そんなの絶対明後日に
       響かない訳無いじゃないか!!!」
       ボクムリ!!!(;゚Д゚)




    ミカサ「(マフラー巻いてくれて有難うの顔)」
       ファァ....!!




    アルミン「そんな満面の笑みを浮かべたって
       無理な物は無理だよ!!!!」

       



    エレン「まあまあ、、もう色々
        燥ぎ過ぎて星どころでも
        ねえだろ・・(欠伸)


        いい加減寝ようぜ・・・・」
        ノソノソ・・・





    ミカサ「私が真ん中で両手に華・・・!
       これだけは譲れない・・・!」
       (`・ω・´)




    エレン「オレが華っておかしいだろ!!
        どう考えてもそれならまだ
        お前とアルミンの方が・・・」





    アルミン「酷いよエレン!!!!!(涙)」
        
  97. 97 : : 2015/07/26(日) 20:36:59






    ―翌朝・マグロナルド―






    ペトラ「・・・・で、ギルカの履歴を
       見るには・・・ハンジさんが2回
       乙ってからの・・・先輩がギリギリ
       取り返す・・の繰り返しですか。

       ・・・それもクエスト成功は
       6回中3回・・;」ウヘァ・・・
       カチャカチャ・・・




    リヴァイ「ぁあ・・・。もう散々だったぞ。

       アレだけ龍風圧には気をつけろと
       口をすっぱくして言ったにも
       関わらず憤怒時に発生する分
       全てに突っ込んでいって
       こかされるし、こっちが態々
       タイマーになってやってるのに
       打ち上げ花火に焼かれやがって。
       お陰で根性が役に立たないわ、
       絶妙なタイミングでカーブ突進に
       自ら突っ込んでいくわ・・・」
       クドクドクド・・・




    ハンジ「さっきからブッチブッチ・・・
        本当にあんたっってヤツは
        女々しい人間だなリヴァイ!!

        ッていうか何で圧倒的に
        鬼人回避で身軽なはずの双剣の
        私より笛担いでるあんたの方が
        被弾率低いんだよ!!こんなの
        ぜったいおかしいよ!!」



    リヴァイ「言うに事欠いて今度は逆ギレか。

       その成功3回分にしても俺が
       タイマーギリギリでヤツの角を
       へし折ってやったから3死を
       免れたってだけの話だけだ。

       ・・・・ペトラお前よくこんなヤツと
       昼休みという限られた時間で
       ここまで戦果を挙げることが
       出来たモンだな。素直に賞賛に
       値するぞ・・・」ズズ・・・





    ペトラ「イエイエ・・・センパイこそ、
        この短期間で笛をマスターした
        だけでなく、しかもその笛で
        “あの”ハンジさんをうまく
        フォローするなんて。

        とてもそっちの方が常人技じゃ
        無いですって。」




    ハンジ「二人して私をボロクソに
        言いやがってぇ・・・・;;!!」
        グズグズ・・・




    リヴァイ「どうでもいい事でしょげてんじゃ
       ねえ・・・おら、頼んでたセットが
       届いたぞ・・・」






    イザベル「~~...~~~」
       ショボショボ・・(カタン・・・)





    ハンジ「どしたのイザベル~。
        今日は随分元気無いじゃない。
        
        記帳でもミスって
        ファーランにおやつを天引き
        されたか???」・・ウン?




    イザベル「ぅッせ~・・・メガネ。

       今日は兄貴とお前等だけで
       河原に行くんだろ・・??俺は
       見ての通り仕事で忙しいんだ。
       気安く話しかけんなよなっ」
       ツ~ン・・・・




    ハンジ「・・・なんだ僻みか・・;私らだって
       今回のこれは空調設備の不具合で
       仕方なくスケジュールが
       ズレちゃっただけで・・・・」


  98. 98 : : 2015/07/26(日) 20:40:30






    イザベル「ハァ?!?ぜんッッ然ひがんでなんて
        ねーから;!!!兄貴とッ・・・

        兄貴と河原で遊べないからって
        ・・それくらいで・・・この俺がッ・・
        フグッ・・・・」
       (ウルウル・・・)
        




    ペトラ「(アレで隠してるつもりなのかしら;
        なんか反応が一々正直過ぎて
        見てるこっちが可哀想に
        なってくるわ・・・)」
        ホントニ先輩ト タメナノ・・・!?;





    リヴァイ「・・・・イザベル。」






    イザベル「・・・・なんだよ兄貴ぃ...。

        兄貴までメガネと一緒になって
        俺をイジめるのか・・?」




    リヴァイ「カッコだけだろうと何であろうと・・・
       今お前はここのクルー・・・それも
       店の頭を張ってる立場だろうが。

       それがそんなシケた面で
       品物を届けに来る奴があるか。」
       SMILE ハ ドウシタ




    イザベル「ぅう・・・悪かったよ・・・・」
        グシグシ・・・




    リヴァイ「・・・そんなに気になるなら
       次にお前の休みで俺と重なる日が
       あったら埋め合わせでも何でも
       してやる。・・・だからそれ以上
       ファーランの悩みの種を増やすな

       ・・・・わかったな」




    イザベル「埋め合わせッ!!?」
       ピョコッ!!





    ペトラ「(!?な、なんか羨ましい響き!)」





    リヴァイ「川でも何でも連れてってやる。

       だがテメェがはぐれる様な
       場所は駄目だ。

       テメェは原理こそ不明だが、
       一旦本隊とはぐれるとマジで
       探し出すのに幾ら時間が
       あっても足りねえ攪乱スキルを
       もってやがる・・・・

       言わば迷子の達人だからな・・・」
       赤色ボーダーデモキテロヨ...;
     




    イザベル「ぇえ~!ヤだよ兄貴ィ!!!
        あのボーダーだッさいじゃん!!
        ベン○ーさんみたいなメガネも
        掛けなきゃいけないんだろ??

        オレあんなダサくて目立つ恰好
        イヤだ!!!」ブゥブゥ!





    リヴァイ「馬鹿。目立つからいいんだろうが」






    ハンジ「ああ。そういやあ修学旅行で
       ニューヨーク行ったときも
       散々だったね。

       ・・・なんだっけ、結局イタリアの
       ヤクザ屋さんの経営してる酒屋で
       保護されてたんだっけ?」




    リヴァイ「イタリア発祥のマフィアとか
       言ってたから・・・カモッラとか
       そんなだな。正確に言うなら。

       職業柄どうにも一癖二癖
       ありそうな連中だったが

       ・・・・まあ悪い奴等じゃなかった
       からああしてコイツも無事に
       いられた訳だろ。」





    ペトラ「えっ・・?!先輩達、修学旅行、
       メリケンだったんですか!?」
       ウラヤマシイ!




    リヴァイ「言い方が古いな・・・;

       まあな。直接の行き先では
       無かったが・・・合衆国最大の
       都市だからな・・・一応って意味で
       立ち寄った訳だが・・・・

       そこでのアイツの迷子が一番
       酷かった。なんせ時間内に
       どうしても見つけられなかった
       もんだから俺達だけ帰国を
       遅らせて探し回る羽目に
       なった訳だ。引率と一緒になって
       必死こいてな」ズズ・・・・

  99. 99 : : 2015/07/26(日) 20:44:10



    イザベル「あンの時はマジ焦ったぜ~・・・;

        なんたって俺アメリカ語なんて
        全然分っかんねーからさ~!!!

        声かけてくれる奴いても
        全く何言ってるのか分かんない
        んだもんな!!」
        イエス、ノー、オッケー!...クライシカ!!
         




    リヴァイ「アメリカ語なんて言語は
       存在しねぇ。」ジャラジャラ・・・




    ハンジ「そもそもあのときの事・・・
        私等よく覚えてないんだけど、

        どんな形で店からあんたの
        身柄確保の連絡来てたんだっけ。

        そこだけなんかどうしても
        思い出せないんだよな。

        リヴァイ覚えてる?」




    リヴァイ「そういやそうだったな。
       いつの間にか引率の先公(サネス)の
       携帯に連絡が入ってたんだ。

       ・・まあ細かい事ぁどうだっていい。
       合衆国の首都でアイツが
       乞食になったりはしなかったんだ
       ・・・・結果万々歳だろ」
       






    イザベル「兄貴の言う通りだぜ!結果が
        良かったんだから何も
        問題ないし・・・・・・

        俺だってそんなの覚えてねー。
        ただ間違いなく覚えてるのは・・

        途方に暮れてた俺に
        妙な格好でヤケにテンション
        高い二人組みが声掛けて
        くれてさ。そのお陰で・・

        あの店にも辿り付けたし、
        店に居た何語でも分かる
        スゲー手品師みたいな
        おッさンに助けて貰えたんだよ。

        あの時店で出してもらった
        蜂蜜味のドリンクはすっげー
        美味かったなぁ・・甘ったるくて」
        ウットリ・・





     「年齢的な事を言えばその国で
      いう所の、所謂“ossan”どころでは
      済まないし・・・俺は手品師でも
      何でもない訳だが。・・・まあいい。」

      

    ―――声。



    リヴァイ「・・・・・・ォイ」




    ペトラ「・・・・あの・・・今・・・;;;;」




    ハンジ「待て待て待て・・・チョっ、
        マッテクダサイヨ(0w0;)まだそういう
        髭のオッサンが大活躍する
        怪談の季節じゃないだろ・・???」



    その場のテーブルに居る4人の脳裏にだけ
    静かに響く声が・・・確かに囁かれた。




    イザベル「覚えてるぞこの声ッ!
       ホラ兄貴!俺が酒場で手品を
       見せてもらったオッサンの声だ!!
       これは一体どういう手品だ!?」
       スッゲーー==!!(キョロキョロ)
        




    リヴァイ「・・・・なんか前もこんな事あったな
       ・・・。池袋で。またこの辺に
       ドラキュラ伯爵でも来てる
       ってのか・・・・;」
           




    ペトラ「何か・・・すっごい状況ですよね
       コレ・・・。改めて考えると。

       私達揃って聞こえる筈の無い
       声が聞こえちゃってるんですよね」
       (;´・ω・)シュウダンサイミン??




     「集団催眠(そういったもの)では無いな。
      …それに俺は吸血鬼でも何でもない。

      少し永く生きすぎた・・お前達と何も
      変わらない人間さ。」





    リヴァイ「どこの誰さんだか与り知らねえが
       ・・・イザベルの言葉を信じるなら
       あんたがあの時イザベルの身柄を
       引き渡してくれた恩人って
       事になる訳だな。

       色々言いたい事はあるが・・・最近
       こういった事が続きすぎて最早
       突っ込もうという気すら起きは
       しない。・・・とりあえずまあ
       感謝の言葉だけを述べておくと
       するか・・・・。

       その節は面倒を掛けたな。
       俺等の連れが。」




  100. 100 : : 2015/07/26(日) 20:47:26


    ハンジ「姿も見せずに人の頭に直接
       語り掛けてくる人なんて・・・
       どう考えても私等と同じ規格に
       当て嵌まる“普通”の人間とは
       言わないんだけどね;」 





      「・・・今は国際電話も札の様な薄さの
      手持ちの端末からかけられる便利な
      時代なのだろう?・・・なら海を挟んで
      離れた大陸からこうして会話を
      飛ばせる人間が一人くらいいても
      何も不思議はないだろう」






    リヴァイ「イヤ・・・;その理屈はどう考えても
       おかしい・・・・。」





      「俺にとっては・・・・・・
       まあ、どうでもいいが」






    リヴァイ「それはそうとあんた・・・また
       どうしてこんな時間が経った今

       こうしてあの日の話題について
       語らっていた俺達の輪の中に
       入って来たんだ?




      「・・・特に意味などは無い。
       俺について少しでも関係のある
       話題を口にする者が居るのを
       察知したからな・・・。野次馬と
       何も変わらない。」




    リヴァイ「その野次馬が・・・他所の国から
       こんなお手軽にやってくるとはな。

       すげェ時代になったもんだ」
       ガタッ・・・



    リヴァイ「さて・・・おいメガネ。
       さっさとそのハッシュドポテトも
       喰っちまえ。今日のメインは
       河原でバーベキューなんだろ。
       そのスケジュール通りなら
       俺にはこれからコイツを
       せかせか焼かなきゃならねえ
       大仕事が待ってるんだ。

       到着は早い方が良い・・・」ガサガサ・・
       (クーラーボックス物色中・・・)




    ハンジ「・・・このトンデモない状況で
        よく落ち着いてられるよな
        リヴァイはさ・・・・;

        時々そのスルースキルが
        恐ろしくなってくるよ・・・」




    リヴァイ「・・・・何事も慣れだろ。
       初めて見る物には相応の驚きと
       疑念が付いてまわる物だが・・・

       それが2回目3回目ともなれば
       次第に驚きもしなくなる。

       ・・・あんたも悪いな。態々遠くから
       来て(?)貰ったのに。・・要件が特に
       無いなら・・・俺達はここいらで
       向かわなきゃいけない場所が
       ある。・・・イザベルの事に関しては
       正直助かった。また暇があったら
       その件についてもっと詳しく
       聞かせてくれ。じゃあな・・・」




      「ああ。悪いな、急いでいる所を。

       しかし一つだけ言って置く事が
       あったのを思い出した・・・。
       どうやら周囲の人間と・・・
       驚くべき事にそこの本人も
       気が付いていないようなので
       言って置いてやるが・・・・」

       


    イザベル「・・・・??」






      「そこの2つに髪を結った少女だが・・
       血液検査でも受けて貰った方が
       良いだろう。俺がここで事実を
       簡単に告げればそれで済む話だが
       ・・・恐らく只の一人もそのような
       事実を受け止めようとはするまい。

       自分達でそうして答えに
       辿り着いて貰った方が遥かに
       手っ取り早い。」




    リヴァイ「血液・・・検査だ・・・??

       オイ・・・!まさかお前、渡米した時に
       一緒になんか土産を持って
       来ちまったとかじゃねえだろうな
       ・・・・・!」




  101. 101 : : 2015/07/26(日) 20:49:43



    イザベル「土産ってなんだよ兄貴!!!
       俺はこの通りすこぶるケンコーだぜ!!

       あれから何の変わりもねーよ!!」
       ヘヘン!




    ハンジ「いや・・本当に何の変わりも
        ねーよ・・・・!;変わりなさ過ぎて
        恐い位だもん・・・・。

        イザベル、あんた本当に私らと
        同じミトコンドリアで生命活動
        維持してんの・・・・?;」









    イザベル「・・・??ミラノ風ドリアなら
       大好物だぜ!!安くてウマいからな!」
       サイゼ大好キ!
       




    ハンジ「いや・・・何かもういいや・・;
        しっかし本当・・・あんたは
        あの時からず~っと変わんない
        よな・・・・なんか私等がどんどん
        老けてくみたいで寂しいよ」






    イザベル「歳寄り臭い事言ってんなよ
        メガネ!!(爆笑)

        それ言ったら兄貴だって
        十分普通に若く見られてると
        思うぜ俺は!!」アッハハ!




    リヴァイ「・・・・いや、どう考えても
       お前の“ソレ”は常軌を逸してる。

       血液検査・・・いや・・・まさかな。

       ・・・・、」ピタ



    リヴァイ「・・・・おい、イザベル。お前・・・」




    イザベル「な、何だよ兄貴・・・滅茶苦茶
        怖い顔して人の手を睨んで・・;
        ちゃんと手は洗ってるぞ??;
        仮にも飯屋なんだから・・
        それくらいは・・・」



    リヴァイ「それは当たり前だ・・・!
       そんな事よりお前・・・、その爪・・!
       俺がココ辞める時に言った
       だろ・・・・、何故そのままにして
       やがる・・・!」ゴゴゴゴ・・・・!!!



    ハンジ「(あ、こりゃヤバいぞ・・・
        逆鱗に触れた・・・・;)」




    イザベル「こっ・・・!!これは!!、、き、切っても
       すぐ生えて来ちまうんだから
       しょうが無いだろって!!」
       ワタワタ・・・;



    リヴァイ「言い訳無用だ・・・!
       当たり前の事だろ。お前が今
       自分で言った通り、人間の
       爪なんざ切ってもその日から
       毎日0.1ミリずつ伸びてんだ。
       直ぐ伸びるなら・・・・その都度切れ。

       飲食業を営む以上それは
       義務だ・・・・!(チャキッ・・)」
       (携帯用爪切り用意..)




    イザベル「はっ・・・!離せって兄貴!!
        兄貴のは深爪過ぎるんだよ!!!
        そんなギリギリまで
        切っちゃったらどうやって
        コーラの蓋開けるんだよ!(涙)」
        ジタバタ!!!





    ペトラ「(ゥウン・・・、確かに微妙なライン
        だわ・・・。そこまで長い内には
        入らないと思うし正直切る
        必要は無いと思うけど・・

        センパイ基準だとそれは関係
        無さそう・・・・・(合掌))」




    リヴァイ「オイ・・・メガネ、コイツを
       羽交い絞めで抑え込め。

       こうも暴れられては手元が狂う。」



    ハンジ「ぁいよぅ~」('◇')ゞ



    ガシィッ



  102. 102 : : 2015/07/26(日) 20:51:45





    イザベル「畜生っ!!メガネ離せっておい!
       兄貴もさあ!!一日で0.1とか・・・
       そう言うのよく分からないけど
       本当にあっという間なんだから
       切っても意味ないって!!!」



    リヴァイ「御託はいい。時間も無い。

       ・・・大人しくしてろ。」



          パチンッ!!




    イザベル「ぁああ......!!!↘↘(;´・ω・)」






    リヴァイ「・・・・・、?




        ・・・・・?!??」




    リヴァイの手元は一切の狂いも無く
    イザベルの親指から順番を定めて
    その爪を切断した訳であるが・・・・




    どういう訳かその手元を止め、
    大きく見開かれた眼から・・・

    動揺のあまり焦点が定まらない
    視線をイザベルの手の甲へと
    落とし続けるリヴァイ。






    ハンジ「ん・・・?どったの・?リヴァ・・・」





    パチンッ・・・




    もう一度。


    既に切断された筈である、イザベルの
    右手親指の爪を切るリヴァイ。



    しかし・・・・





         ヒュッ・・・・



     ・・・実際にはこの様な効果音は
     立つほどの事も無い、本当に微細な
     異変ではあったが・・・二人の目の前で
     巻き起こされた、生物の理に反する
     その事象は・・・目にした者を
     固まらせるだけに充分衝撃的な
     映像であった。





    ハンジ「なッ・・・・!?あっ・・!?」
        Σ(;゚Д゚)





    リヴァイ「おい・・・こりゃぁ・・・・


       一体どういう冗談だ・・・・!?!」





    イザベル「だっから言っただろ兄貴!
        どうせ切ったって“すぐ”
        生えてきちまうんだってさ!!!

        みんなそうだろ!!?だったら
        なんで一々深爪の嫌な感触を
        味わうためにこんな意味ない
        事をしなきゃ・・・・!」グチグチ    




    リヴァイ「いやお前ッ・・・・!!

       今のこれは・・・・!すぐ生えてくる(▪▪▪▪▪▪▪)
       なんて次元の話じゃねえぞ・・・!
       切って落としたはずの爪がッ・・!

       自分勝手に・・・・!!」ガタガタ・・・




     ――そう、それはまるで切られた
     トカゲの尻尾が時間を巻き戻された
     かのようにして・・・・




    ハンジ「繋がったよな・・・!今確かに・・・!」
        ダラダラダラ・・・・





    ペトラ「マジっすか・・・!まさか、
        センパイ・・・この人・・・・!」





    リヴァイ「オイ・・・イザベル・・・・。

       お前、陽の光が苦手だとか
       ニンニクが嫌いだとかそんな
       弱点を持ってたりなんて事は・・・」




    イザベル「人を何だと思ってるんだ兄貴!!
        ニンニクはそんな好きって
        訳でもねえけど、普通に
        ラーメンに入ってても
        へっちゃらだし、
        此間ファーランにプールにも
        連れてってもらったって!!

        ほら、少し日焼けしてんだろ!!
        失敬(シッケー)だな兄貴も!」




    リヴァイ「・・・成程、別段犬歯が
       鋭くなってたりもしねえようだな」
       グィッ・・・




    イザベル「モグァッ・・ヒョァッッ・・?!アニフィ(あにき)!?」
        ジタバタ・・・



    ペトラ「(先輩が・・・躊躇なく人の
        口の中に手を突っ込むなんて・・

        余程気が動転してなきゃこんな
        光景滅多に拝めないわ・・・;)」








  103. 103 : : 2015/08/05(水) 02:06:32







    リヴァイ「・・・・おい、メガネ。」
       フイッ・・・




    ハンジ「いや・・・;普通に考えて
       医者とかは止しといた方が
       いいだろ・・・。どんな騒ぎに
       なるか分かんないよ・・・。
       勿論なるとしても水面下での
       大騒ぎだろうけどね。

       ・・・・イザベルの事だ、
       今の今まで何の病気にもかからず、
       風邪すらひかなかったのも・・・・
       持ち前の疾病耐性から来る
       ものかと思ってたけど・・・

       よく考えりゃ本当に一度も
       体調崩したりしてなかったし・・
       それがまさかこんな・・・;」






    リヴァイ「さっき俺らに語り掛けてきた
       イタリアンマフィア(?)は・・・・当然これを
       知ってたからあんな事言ったと
       考えるのが筋だが」






      「…まあ、そう言う事にもなるな。」




    ハンジ「わっ、また来た、声!!」





    リヴァイ「・・・心臓に悪ぃな・・・

       居るなら居ると、そう言ってくれ」
        






    ???「これは失礼した。ではこうしよう。
      ・・・姿が見えていればいたずらに
      脅かす事も無い。

      ・・・だろう?」





    ハンジ「っっ!!!??????」
        ガタッ!!





    ペトラ「ブゴボッ!!!!!」
       (アイスティー噴出)




    リヴァイ「ッ!!!???」ガバッ!!!




    イザベル「、?」クルッ





    立場上いつまでもリヴァイ達の卓に
    噛り付いて居るわけにも行かない為
    イザベルがその場から踵を返した・・・

    その直後。



    イートインコーナー4人掛けスペースの
    一角、ハンジ、リヴァイが窓際に
    隣り合い、そしてリヴァイの対面に
    ペトラが腰掛けていたため、
    ハンジの対面側の席、つまりペトラの
    左隣は空席となっていた訳であるが・・・



    そこにいきなり。



    ・・・否、


    “いきなり”という表現がまるで
    似つかわしくない程、恐ろしいくらい
    自然に・・・


    その男は“いつの間にか”腰掛けていた。



    そこにその男が“居た”のは本当に
    突然の出来事であり、その前兆として
    何か音がしたり光を発したり、といった
    特殊な効果を伴った物は無かった。


    しかし、だとするならば、その場に居た
    全員にとって、その男が突然現れた
    光景は・・・“急に現れた”ように
    見えていた筈である。しかし、

    その一瞬というのは・・何十分の一秒か、
    それが何かの偶然かも知り得る事は
    最早叶わないが。


    “リヴァイとペトラの瞬きが丁度重なり”、

    “ハンジが視線をイザベルの方へと外した”


    その一瞬の事であった。したがって、
    厳密にはそれだけの人間の視線が
    交差する限定空間に、その男は
    移動の瞬間を一切見られる事無く
    現れた・・・・という事になる。




    ・・・それだけでも充分に常人を
    パニックに陥れる怪奇現象と
    なっていたが・・・・。


    その驚嘆に思わず
    硬直し、同時に口腔に含んでいた
    アイスティーを一気に噴出すペトラ。

    多量の砂糖入り紅茶が店内の
    大気中へと霧状に振り撒かれ、

    その噴射口の先に居た、
    ペトラ的には最も無作法を働きたくない
    相手に対しても、当然のように
    そのままの軌道で放たれた毒霧攻撃は、
    リヴァイの外仕事用ポロシャツに
    ほぼ的中し、染みを作ってしまう・・・・


    筈であった。


    ・・・しかし



  104. 104 : : 2015/08/05(水) 02:10:26




    ???「・・・・驚かせてしまったのは
      悪いと思うが・・大事に飲むといい。
      砂糖の按配が分からないので
      それを入れるところからやり直しと
      なってしまったが・・・

      損をしている訳ではない。
      別に構わないだろう?」



    コトッ・・・

         ジャラッ・・・




    ペトラ「!?!??、、、??・・!!?」
        キョロキョロ




    今の今まで自らの手に握られていた
    アイスティーのコップが何時の間にか
    目の前の男の手に握られている状況を
    すぐに受け止められず、
    思わずパニックに
    顔を右往左往させてしまうペトラ。


    その中身は店頭で渡されたばかりの
    状態となっており、その手には器用に
    未開封の液状シロップがカップと同時に
    保持されていた。

    ・・・事前にペトラが使用した添加物を
    正確に把握していたのか、
    植物性油脂のカップに関しては
    握られていない。






    ハンジ「・・・なにこれ・・;」





    リヴァイ「・・・・一個だけいいか、あんた」




    ???「・・・・?」






    リヴァイ「さっき言ってた、
       てめぇが人間だっていう文言・・・
       ありゃ嘘だろ?」







    ???「いいや。間違いなく人間だぞ。
      ・・・・・俺はな。」





    リヴァイ「俺達の常識では・・・
       何も無いところから突然現れる
       人間は居ないし、古い諺にも
       “覆水盆に還らず”ってのがある
       通りに・・・盛大に零した茶を
       跡形も無く一瞬で片付けるなんて
       芸当も不可能だ。」


      ジジィの熱光学迷彩なんてレベルでも
      無かったしな・・・。今のはその程度の
      起動音すらしなかった。





    ???「・・・・その迷彩とやらの新型・・・
      かもしれないだろう。人間の
      技術力を侮ってはいけないと思うが」





    リヴァイ「・・・・悪い、気付いて無ければ
       申し訳ねえが・・・まだ喋ってねえ」

      


    ???「これは失敬した。盗み聞き等する
      つもりは毛頭無いのだが・・・
      つい“先”に訊いてしまう時がある」





    ハンジ「・・・・えっと、どうしたの?
        リヴァイ・・?;こっちはその人が
        突然出てきただけで驚きの余り
        心臓が止まりそうなんだけど」




    リヴァイ「・・・なんでもいい。とりあえず
       俺もビックリしすぎて話の本筋を
       すっかり忘却の彼方に追いやる所
       だったが・・・・」ジロリ・・・




    男の風貌は・・・先程からリヴァイやイザベルが
    触れていたように、年齢不詳の外国籍の
    成人男性。イザベルの印象呼称では
    “おっさん”とされていたが・・

    しかし実際の所、妙齢ではあるものの
    その外見はそこまで老け込んでいる
    印象は受けない。


    上がベストを着込んだ紺色のスーツ姿で、

    外出先ではなく先述の“酒場”から
    この場へどうやってか移動してきたのか、
    持ち物のソフト帽、マグカップまでも
    テーブル上にいつの間にか無造作に
    置かれていた。





    リヴァイ「先程も言ったとおり俺達にも
       本日の用向きってヤツがある。

       ・・・よければあんたがこうして
       ここに来た理由と・・・イザベルの
       状態について、この場で手早く
       聞かせてくれ」




    ???「構わない。元々こうして姿を
      見せたのも話し易いかと思って
      俺が勝手にこうしただけだ。
      話すことだけ話せばすぐに
      席を退く。」



  105. 105 : : 2015/08/05(水) 02:17:51
    イザベル「おおおおおおぉぉ!??

        オッサン!??あの時の
        手品師のオッサンだよな!!?


        何だ、こっちに来てたのかよ!!
        っていうか今どうやって・・・」



    ???「手品師という職種にとって、
      ネタの種明かしはご法度だと
      訊いている。

      ・・ならば此処で俺がその戒律を
      破る訳にはいかんのでな。
      悪いが察してくれ。」






    イザベル「そっか!!ならしかたねーな!!!

        しっかしマジスゲーなオッサン!!
        もしかして本当にアメリカから 
        此処まで手品で飛んできたとか
        そんなんじゃ・・・」






    ???「想像するだけなら自由だ。
      好きにしてくれればいい。」






    イザベル「ッハハ~・・・・・」モヤモヤ...
        (妄想中)





    ???「いや、流石に電話ボックスで
      あんな際どい衣装に着替えてから
      ここまで握り拳を掲げて飛んできた
      ・・とかではないのだが・・・;

      ・・・・まあいい。」







    イザベル「オッサン俺の心が読めんの!?!?」
        スッゲーーーー!!!







    ???「・・・本題に移らせて貰おうか。・・・と、

      その前に。あっちの店の裏方から
      此方を伺ってる青年は・・・
      君らの知り合いでは無いのか?」






    ハンジ「・・・・お」






    リヴァイ「珍しいな・・・今出勤か・・・?
       いや、時間的にハンパだな」






    ファーラン「よう、久し振りだなリヴァイ。

       ・・・それにハンジさんも。
       いや・・・今はお客様だな、、
       いらっしゃいませ。」





    店のバックヤードから此方に歩を
    進めて来たのは・・・
    イザベル、リヴァイの同期で、ハンジとも
    同い歳であるファーラン・チャーチの
    姿だった。


    途中から接客を意識した慇懃な態度へと
    その身を引き締め、軽く一礼を
    してみせる彼に対して、しかし
    対するリヴァイ一行は・・・・





    ハンジ「ぁっ・・・!またお前
       “さん”って!!言ったろ!
       さん付けすんなってお前!
       なんか私の方が歳くってるみたい
       じゃんか!!」






    リヴァイ「そう堅苦しくする必要もねえぞ。
       どうせもうじきずらかる。」
        



    イザベル「あ!??ちょッ・・!兄貴!!俺が
       兄貴に話しかける時はいっつも
       いっつも客商売なんだから
       店員らしくしろって
       うるさいクセに・・・・!!

       ファーランはいいのかよ!!
       ヒイキじゃねーか!?!?」
       ガウガゥ





    リヴァイ「何事にも節度ってモンがある。
       お前のはフランク過ぎんだよ」




    ペトラ「(やだ・・・!!何このイケメン・・・?!

        っていうか先輩の周囲って
        お隣さんにせよこの人にせよ
        みんなイケメンさんじゃない・・・!!?
        
        このシチュを腐った妄想に
        転化せずになど・・・居られる
        訳が無い・・・・!!!;(血涙))」




    そんな彼の接客対応の事如くを
    無意味な物へと転じさせる反応しか
    見せなかった。・・しかしその中に於いて
    只一人・・・





    ファーラン「・・・それはそうとリヴァイ、
       ・・・そっちの・・・」




    リヴァイ「ああ、コイツか。コイツは・・・

       焼肉屋でバイトしてた時の後輩で
       ・・・ペト
    ハンジ「違うって!!wどう考えても
        この状況でファーランが聞いて
        くるとしたらあの人しか
        いないだろ!!(苦笑)

        ・・・って、あれ、そうだ、
        そういえば・・・名前とか
        聞いてなかったな。よかったら
        簡単に自己紹介とか;・・・

        ・・・してはくれないかな、・・・ぉ

        ・・・いや、手品師さん?」
        アセアセ





  106. 106 : : 2015/08/05(水) 02:19:37


    ???「・・・・(溜息)別に“ossan”でも
      俺は構わないが・・・・まあいい。


      では必要な肩書きだけ名乗って
      おくとしよう。俺の名は・・・
      ロニー・スキアート....だ。

      ・・・・ある組織で頭領の秘書を
      務めている。生まれも育ちも
      人間だったはずだが・・・

      如何せん永く生き過ぎて
      しまっててな。元々俺を知ってて
      “呼ぶ”連中には「悪魔」などと
      呼ばれてしまっている(微笑)」





    ハンジ「ロニー・・なるほどロニーさんか!
       うん!いいよ、呼び方が
       分かるのはとても接しやすくて
       いい!!!ほら、この国じゃ、一応
       その“オッサン”って言葉は
       卑称にも該当するものだからさ!

       いくらそれでいいって言われても、
       実際結構抵抗あるんだよ!

       そもそもロニーさん、そんな
       歳くってる様に見えないし。」





    ロニー「だろうな。・・気遣いは感謝するが
       ・・・・しかし実際の年齢は
       この外見の100倍では納まらない
       かも知れないぞ。」





    ハンジ「・・・・うっそ・・・・;」






    ファーラン「・・名前と職業的なものはそれで
       いいとして・・・その・・・色々と
       状況が混雑してるな;

       そもそもこの人・・・」




    リヴァイ「・・ファーラン。この場の一部始終を
       見ていて、既に一回だけ
       この旦那に会った事がある
       イザベルですら状況の理解に
       頭が追いつかないわけだが・・・

       一応言っとくが今ここで
       起きてる事は色々と常識の埒外だ。

       要点だけ抑えて説明するぞ・・
       簡略にな。細かい突っ込みは
       最後まで無しだ。」







    ファーラン「悪いが是非そうしてもらいたいね
       ・・これじゃ俺1人置いてきぼりだ;」






    ロニー「・・・・説明が面倒なら俺が
        直接頭に聴かせてやろうか・・?
        面倒な時間など掛からない内に
        全て理解できると思うが」




    リヴァイ「・・・・何だって・・?;」




    その僅か数秒の間に....




    ファーラン「・・・・・おいおい・・・・


       本当に・・・これ・・ちょっ・・・、
       ちょっとストップ!待ってくれ、
       そこの・・・ロニーさんか??

       もっとゆっくり聞きたい!!」


    濁流のようにファーラン()の意識に
    流れ込んで来る情報。映像。そして知識。


    その内容は、事ここに至るまでの
    目の前の男と昔馴染みの関係、

    かつて国外で行方不明になった
    昔馴染みを保護した際の様子。


    ・・・目の前の男の簡単な素性。


    そして・・・・



    ロニー「そうか・・・悪いな、

       そっちの一行は今日これから
       出掛ける所だとかで急いでいる
       様子だったからな。つい急かして
       しまった。」   




  107. 107 : : 2015/08/05(水) 02:21:17




    ファーラン「いや、あんたが合衆国在住で
       今こうしてここまで足を運んで
       きたって事と・・・

       修学旅行でイザベルの身柄を
       引き渡してくれた恩人だって事・・

       それからついでに不死身の
       人間だってのは・・・あまりにも
       突飛な話だが一応は分かった・・!

       しかしその次だ・・・その・・・

       イザベルについての話ってのは・・!」






    ロニー「悪いが冗句でも何でもないぞ。

        俺が態々そんな事をする理由も
        意味も無いからな。・・・そもそも
        君に関してはこの場の中で唯一
        彼の少女の異変に感づいて
        居たと思ったのだが」




    ファーラン「そこまで分かってるなら
       一々喋らなくても伝わって
       そうだな・・・もっともイザベルの
       あれは・・“異変”っていうより・・・

       不自然なまでの“不変”だった
       からこそ気が付いた訳だが」
       スッ・・・




    リヴァイ「・・・・何だ・・?」




    ファーランが取り出した自らの携帯に
    撮影した画像群を引き出し、その中の
    一枚をクローズアップさせ、リヴァイの
    視界に差し向ける。




    ファーラン「・・・組合の定期診断と・・・
       こないだ無理やり連れてった
       成分献血の検査結果だ。

       ・・・俺じゃなくイザベルのな」






    リヴァイ「・・・どうして管を差す時間が長い
       成分の方をやらせた?

       注射を嫌うイザベルなら
       全血の方が圧倒的に早いだろ」





    ファーラン「・・・それだと次回やるまでの
       期間が空きすぎる。診断の結果と
       見合わせてから・・余りにも
       目を疑う内容だったから念のため
       もう一度同じ設備で早めに検査を
       しておきたくてそうした。




    リヴァイ「・・・よく分からんが・・・

       ・・・成る程な・・・これは・・・
       少しばかり、いや、大分
       正気の沙汰じゃねえ。
       健康第一とはいうものの・・・この
       検査結果を見た関係者は我が目を
       疑っただろうな」




    リヴァイの眼前に差し出された携帯の画面に
    表示されたのは血中成分が明記された
    紙面。・・・イザベルの検査用に採取された
    血球検査成績など、いくつかの項目が
    前回分と今回分とを分けて
    記載されていたが・・・



    ・・・・驚くべき事にその数値は
    酵素の数値から血小板数まで、軒並み
    殆ど変化の無いものであった。



    ―項目によっては数値上コンマ以下まで
    見た所で寸分たりとも狂いが無いのだ。



    毎日同じ食事を摂り、同じ生活リズムを
    遵守したとしてもこの数値を狙って
    整える事など不可能であろう。






    ―――通常の生物であるならば。





  108. 108 : : 2015/08/05(水) 02:25:41






    ファーラン「・・・けど本当の問題は
       そんな事じゃない。・・・まあ
       この場の状況と、この人から
       教えてもらった大体を
       把握するなら・・・・もう
       皆イザベル絡みで相当驚きの
       展開を目にした後なのかも
       知れない訳だけどな・・・・;」





    ロニー「もう難しい説明はする必要も
       無いだろう。俺にしても同じ様な
       ものだが・・・そこの少女は・・・

       所謂、不死者だ。・・いや、更に
       安っぽい言い方に聞こえるかも
       しれないが、不老不死・・・と
       言った方が伝わり方としては
       聊か手っ取り早いかな」コトッ・・




    そこまで一口に説明すると至って平静に
    持参のマグカップに湛えられた飲み物を
    煽るロニー。相当な量の蜂蜜が
    その中身に含有されている為か、

    周囲で卓を囲む人間にもその香りは
    若干届くほど。  




    リヴァイ「・・・不死身ってのは・・・
      そのまんまの意味か。」




    ロニー「ああ。相違なく。其の侭の意味に。
       何をされようが傷は即塞がり、
       何年経とうが老けもせず髪だの
       爪だのが伸びる事も無い。」





    リヴァイ「・・・首を落とされたり・・
       
       巨大化した人差し指のデコピンを
       喰らって上半身が跡形なく
       消し飛んでもか?」




    ロニー「ああ。無論うなじを削いだとて
       問題なく元通りに戻る」





    ハンジ「・・・・・・!;」
        ゴクリ・・・・






    ロニー「参考までに身体を一瞬で
       大きく欠損するような状態に
       陥れば体積が最も多い部分へと
       欠損部分が帰結するようにして
       元に戻る。物理的な方法で
       不死者の肉体を滅するのは
       不可能だ。

       ・・・・やった事は無いが、恐らく
       溶鉱炉などに身投げしても
       蒸散した際の煙などから
       どうにかして元通りに復元される
       だろうな。」ズズ・・・





    リヴァイ「・・・・全身粉微塵に
       吹っ飛ばされたりした場合
       どうなる?まさか・・・・」




    ロニー「その場合、脳核に近い部分で
        最も原型が残っている所から
        蘇生を開始して細胞が集合する。

        ・・・つまり頭から元に戻る。

        心配せずともナミウズムシのように
        等分した数だけ少女の身体が
        分裂する事は無い」






    イザベル「ちょっッ兄貴!!!?
        
        言ってる事の内容がイマイチ
        理解できねーけどさ!!俺の身に
        そんな被害が降りかかる場面を
        カンタンに想像すんなって!!!;」





    リヴァイ「念の為だろ・・・良かったな。
       これで怪我しても絆創膏
       要らねえらしいぞ、お前・・・」





    イザベル「・・ハァ?なにいってんだ兄貴?
        怪我なんてなツバつけときゃ
        治るもんだろ?昔ファーランに
        そう教わってから・・

        ある時を境にマジですぐ治る
        様になったし。元々あんなの
        いらねーだろ・・・・。」
        (;´・ω・)






    リヴァイ「・・・その、ある時ってのはいつ頃だ。
       憶えてたら言ってみろ」




    イザベル「~~~・・・そんなの一々細かく
       覚えてねーよ・・・・でも
       高校上がってからとかじゃ
       ・・・なかったかな。」




    ロニー「・・・・十中八九だが・・・
        それはウチに保護された
        あの日を境に・・・だろうな」





  109. 109 : : 2015/08/05(水) 02:28:28




    リヴァイ「・・・・ちょっと待て。
       その口振りじゃ・・・まるで
       確かな事は言えない、・・・

       そんな風に聞こえるが。
       イザベルのこの体質・・・・あんたが
       原因じゃねえって言うのか・・?」





    ロニー「・・・そう思われて当然だと
       俺自身も理解してはいるが・・
       直接の原因はと言えば違うな。

       この世に俺が広めてしまった
       知識である以上元を辿れば
       当然その根源は結局俺と
       いう事になるが。」





    リヴァイ「・・・・じゃあ一体何だって・・・・」






    ロニー「先ずこの少女がこうなった
       原因についてだが・・・・

       捻りもせずに事実をそのまま
       伝えるが・・・これは
       “不死の酒”を飲んだものに
       起こる身体変化だ。」





    ハンジ「・・・・不死の・・・酒。」
        マンマジャン..





    ロニー「先だって説明したように・・・
       その酒を飲んだ者は、
       普段通りに生きながらにして
       あらゆる干渉からもその身に
       変化を起こさなくなり・・・・

       寿命的な意味でも、身体的な
       意味でも死ぬことが無くなる。

       ・・・・たった一つの方法を
       除いてな」





    リヴァイ「・・・・・・イザベルの奴がそれを
       いつ、どこで口にしちまったか・・・
       そんなのは既にどうこう出来る
       事でも無く過ぎた事だ・・・
       どうでもいい。

       ・・・・すると・・・それがあんたの
       ここに居る理由か。・・・そう考えて
       ・・・いいんだな?」




    ロニー「察しが早くて助かる。

       何。人間飽きっぽい生き物だ。
       どんなに楽しい事柄を
       見つけようが・・・いずれそれにも
       終わりがやってくる。

       俺はそこの少女にその時が
       来た場合の・・・選択肢を教えに
       来てやっただけさ。


       ・・・不死者が捉われる事になる
       上がりのマスが存在しない
       永遠のボードゲーム・・・、その
       唯一の上がり方という奴をな」





    ハンジ「それってつまり・・・・
        不死身の人間が・・唯一
        どうやったら死ねるか・・
        ・・って事だよね・・・・・」





    ロニー「・・そうなるな。何、そう言った
       テーマを掲げたSFやらミステリーなら
       流石に君らでもその歳なら
       一度は見た事があるだろう。

       ・・・・そして見たことがもし
       無かったとしても・・・容易に想像
       出来る筈だ。」






    リヴァイ「・・・言われるまでもねぇ...

       俺は掃除が趣味の一つでも
       ある人間だが・・・
       
       永遠に掃除に明け暮れたい、
       などとは生まれてこの方一度も
       考えた事が無い。

       ・・・当たり前の事だ。俺は片付けた
       部屋で羽を伸ばしてえから掃除を
       する訳であって・・・、

       それと同様にどんな生き物も
       最後は満足の行く仕事をこなして
       綺麗にくたばる為に毎日を
       生きてるような物だ。

       ・・・・俺は少なくとも
       そういう考え方をしているし・・・

       昔から気心の知れたコイツなら
       必ず俺と同じ事を言う。」


     
  110. 110 : : 2015/08/05(水) 02:32:35





    ロニー「ああ。人間は・・・
       飽きっぽい生き物だ。

       いずれ周囲の知り合いが
       例外なく先立って逝く世界にも
       飽きが来るだろうし、その世界を
       見つめ続ける自分自身に、彼らの
       様な安寧にたどり着く日が決して
       やって来ない事実にも・・・・まあ
       飽き飽きする事だろう。

       俺がそこの少女に今日伝えに
       来たのは・・・それに対する、
       2つの選択だ。」





    ファーラン「・・・・二つ?ちょっと待て。
       あんた今確か“上がり”の方法は
       一つしかないって・・・・」




    ロニー「“不死者が死を迎える”にはな。
       現状一つしか方法は無い。

       ・・・というよりも、俺がその様に
       している。俺の気まぐれで
       その辺はどうにもならない訳では
       無いが・・・不死者は世界中見渡せば
       それなりの数が居るからな。

       暫くこの方針を変える気も無い」





    リヴァイ「あんたやっぱりどう考えても
       人間じゃぁねえだろ・・・。

       七つ球を集めると出てくるトカゲの
       親戚か何かじゃねえのか・・?」


      


    ロニー「ッハハハ・・・・・それもいいな。
       次回からは召喚の儀式には
       七つの玉を集めさせる事にするか」




    リヴァイ「・・・・・(溜息)」




    明らかに冗談で茶化されていることを
    理解しながらも本気でそれが不可能では
    無いという趣旨の冗句を返すロニー。


    ・・・対して
    既に目の前の相手が自身の認識とは
    大きくずれた世界の住人であることに
    目頭を押さえて溜息と同時に背を丸める
    リヴァイ。





    ロニー「・・ともあれ、だ。先ずは・・・・

        “二つの選択”を伝える前に。

        不死者にとって唯一死に
        辿り着く方法だが・・・」




    イザベル「なー、ファーラン。俺一旦
       戻っていいか?まだ終らせないと
       いけないシフト調整のあれこれが
       ・・・・」ウロウロ



    ファーラン「(溜息)・・・・・・・・・
       ・・・・ああ、分かった分かった。
       俺が後で代わりにやっとくから・・
       今はこの人の話をちゃんと
       聞いとけよ・・・;

       お前の人生に関わる重要な
       話なんだぞ・・・これ・・・」





    ペトラ「(本人が全然事の重大さに
        気づいて無い・・・!;)」




    ロニー「・・・・続けていいか。」





    リヴァイ「悪かったな。真面目な話の最中に

       ・・まあ、こういう奴なんだ。
       恐らく言われなきゃ俺らが
       ジジイになってくたばるまで
       自分の身体の異変にゃ気づかない
       ままだったろうな」



    ロニー「気にする事は無い。

       ファミリーの一員ではないが
       近しい者達の内にもこういう
       人間が少なからず居る。

       ・・・そいつらは禁酒法時代に
       不死者になって、それに全く
       気付かないまま過ごしていたが・・

       自分達の身体の異変に
       気付いたのはつい数年前だ。」






    リヴァイ「素でイザベルと馬が合いそうな位の
       適当人間だな・・・・そいつらは」






    ロニー「その様子だった。何せ迷子に
        なっていた少女を保護して
        ウチに連れて来たのもその
        二人組だ。既に出会った時から
        こうなる運命だったのかな」




  111. 111 : : 2015/08/05(水) 02:35:34



    リヴァイ「・・・・その辺のあれこれは
       この際割愛だ。話を戻して
       貰ってもいいか。

       …こいつがこの様子じゃ…どうも
       俺達があんたの話をしっかり
       聞いて置かねーといけねえらしい」
       (イザベルの頭掻き毟り)ワシワシ




    イザベル「あっっちょ・・!兄貴!
        帽子ッ・・・!」







    ペトラ「(何て・・・羨ましい・・・・!!!!)」
        ゴゴゴゴゴゴ・・・・









    ロニー「・・・そのようだな。

       ・・・しかし意外だったな・・・

       まあそもそも“不死の酒”を
       自らの選択に関わらず、
       偶然の内に口にしてしまう者自体
       稀なのだが・・・・真っ先に
       不死者から元の身体に戻る
       方法を訊いてはこないのだな」




    リヴァイ「・・当事者が俺なら真っ先に
       そうしたがな・・・。
       こいつのこの様子を見れば
       分かるだろ。

       自分がゾンビと大して違わない
       身体になっちまった事くらいなら
       ・・・まあ言って聞かせればその内
       理解できるだろう。・・・・しかし、
       自分だけが歳を喰わなくなる・・
       その事実が意味する所まで
       理解するには更に10年近く
       掛かる。」




    ロニー「訊かれても原則
       不死者から元の状態に戻すような
       事は俺の方ではやっていない。

       なのでどの道訊かれても
       応え様が無かったが」
     



    リヴァイ「あんたがそう言う所まで含め..

       ・・・そもそも実を言うと俺には
       何となくあんたの言いそうな
       事にアタリが付いてる。

       きっとそう違わない答えが
       返って来るはずだ。」





    ロニー「・・・・これは驚いた。

       不死者の“殺し方”を・・・
       何の手がかりも無しに導き出した
       人間は初めてかもしれないな。」




    ハンジ「えっ!!?マジで??
        一体どうやって・・・・!」






    リヴァイ「・・・どうやってもクソもあるか。
       只の“勘”だ。・・・しかし今の
       あんたの一言で・・・その“勘”も
       八割確信に変わった。」




    ロニー「・・・俺の一言が?」





    リヴァイ「今・・あんたはここにきて初めて、
       不死者とやらが死ぬ為の方法を・・
       “殺す”方法と形容した。

       ・・・・つまりそいつは・・・一人で
       実行できる方法じゃねえ。

       他人に不死を譲るとか・・・
       若しくは死なない奴同士の・・
       “共食い”とか・・・そんな所じゃ
       ねえのか・・・・」




    ・・・・・・・・・



    ロニー「単なる勘だとした所で・・・
        いや・・正直に感嘆させられた。

        正解だ。 不死者が“死ぬ”
        その為には・・・もう一人の
        不死者がそいつを“喰う”
        必要がある。その際喰われる側が
        有していた記憶や知識・・・経験は
        全て喰った側の脳に蓄積される。

        “喰う”事によって身体能力に
        何らかの影響を来たす事は
        無いが・・・例えば運動能力に
        付随する記憶の蓄積も
        移乗される為、そういった
        技能は他人を喰えば喰う程
        向上していく事になる」
        
          
  112. 112 : : 2015/08/06(木) 03:12:59
          




    全「・・・・・・・」






    ロニー「ああ、一口に喰うとは言っても
       人一人丸ごと腹に収めなければ
       いけない訳ではないぞ。

       喰う側の不死者が、対する
       喰われる側の不死者の頭に右手を
       載せて・・“喰いたい”と強く
       念じる。それだけの手順で忽ち
       そいつは右手に全てを吸い込まれ
       ・・・“一人の不死者”となる。

       ・・・大凡こんなところだな」





    リヴァイ「(溜息)」





    リヴァイの考察が驚くほどストレートに
    的中していた事実と、その具体的解説に
    とても頭がついて行けない一行は
    その場で暫し無言を貫く。


    誰も彼も、その話の余りの重さに
    どのような発言でこの沈黙を打ち破って
    いいのか判断しかねているのだ。




    イザベル「っへ~~・・・ナんだかよく
       分っかんねーけど・・・。


       吸った奴の能力を奪える・・・
       あのピンクの丸っこい奴みたいな
       モンか??」



    ・・・ただ一人、事の当事者であるはずの
    イザベルを除いて、だったが・・・。





    ロニー「ああ。大体それで合ってるな」





    リヴァイ「・・・・おい、仮にも人の生き死にが
       関わる話だ。イザベル、悪いが
       お前は今を以ってこの場から
       席を外せ。」




    イザベル「えぇ~~!何で!!!
        何か知らないけど、これ、
        俺について話してくれて
        るんだろ!!?だったら俺だって
        兄貴と一緒に最後まで聞くべき
        だろ!!」




    リヴァイ「お前が居るとな・・・一々話を
       簡略化しないとお前の頭に
       入っていかねえんだ。

       つまり話が進まねえ。・・それに
       恐らく此処から先にする話は・・・
       お前の頭にはまだ早い。」




    イザベル「~~~」
        グヌヌヌ・・・




    リヴァイ「・・・イザベル。俺を信じろ。


       お前には必ず分かりやすく
       説明しなおしてやる。・・・そもそも
       同い年だったはずの俺達に
       知らぬ間に10年以上の開きが
       出来ちまったこの時点で・・・

       話は単純に済ませるべき内容じゃ
       ねえ・・・・色々と考える時間が要る

       ・・・分かるな。」



    イザベル「・・・・ゥウ・・、わ、分かったよ・・」
        スゴスゴ...




    叱り付けられた忠犬のようにすごすごと
    裏手へ引き返していくイザベル。







    リヴァイ「・・・・さて。色々言いたい事は
       あるんだが・・・まず一言、いいか」




    ロニー「時間を気にするのは此方では無い
       ・・・一言といわずに幾らでも
       言いたい事は言ってくれて
       構わないが」





  113. 113 : : 2015/08/06(木) 03:14:08





    リヴァイ「なら遠慮はしねえ。・・・いや。

       さっきイザベルの頭ン中を平然と
       先読みしてみたり・・・俺の考え事を
       同様に先読みした事例がある。

       もうあんたには俺が今から言う
       言葉が分かっているんだろうが」



    ロニー「会話に歪みが出るのも考え物だ。
       今は意識してなるべくそちらは
       “訊かない”ようにしている。

       ・・・したがって未だ俺には
       そちらの思考を読み取れては
       いない訳だが」




    リヴァイ「・・・なら遠慮なく言わせて貰う。


       ・・・・あんたが悪魔と呼ばれる
       理由が良く分かった。間違いねえ。

       あんたは生物学上では一応
       人間なのかもしれないが・・・
       辞書と照らし合わせていけば
       間違いなく“悪魔”だ。」






    ロニー「言い得て妙だな。それについて
        俺には何も言い返すところが
        見当たらない。」





    リヴァイ「そのシステムを聞いてある程度の
       見当はついたが・・・・今まで
       相当数の不死身となった連中の
       殺し合い・・・ならぬ“喰らい合い”
       を・・・
       あんたはずっと見てきたんだろ」




    ロニー「その通りだ。・・・無論俺は
       詐欺師でもなんでもないからな。

       踏むべき工程を全て踏んで
       俺を“呼び出し”た奴に
       “酒”の製法を伝える際には・・・
       必ず今話した不死者の“殺し方”
       を・・・説明する事を怠っていない。

       その点については誤解の
       無いようにして頂きたい。」




    リヴァイ「・・・・・・」





    ロニー「そのような不死者の特性を一切
       知らずにその運命を背負って
       しまったからこそ・・・今日
       俺がわざわざこうして
       出向いてまで二つ程選択の余地を
       預けにやって来たわけだが」
       コトン・・・・




    リヴァイ「・・・・・おい・・まさか・・・そいつは」




    全員の視線を集めるそのテーブルの
    中央に・・ロニーの手によって置かれた
    一本の遮光ワインボトル。

    ビンには見たことも無い、風化しきった
    銘柄のラベルが巻きついているが、
    恐らく見た目を誤魔化す為だけの
    意味しか持たない簡易包装であろう。






    ロニー「話の流れを考えれば・・・
       察するまでも無いと思うが。

       俺が今ここまでした話が
       全て下らん与太話だと思うなら・・
       この酒を猫でも鼠でもいい。

       人間限定ではないので好きに
       投与して試してみれば良い」




    ハンジ「!!?!」




    リヴァイ「・・・・おいメガネ。食いつきたい
       気持ちは理解してやるが、
       暫く黙ってろよ・・・」





    ハンジ「わ・・・分かってるってもう・・・;」





    ペトラ「(さっきから・・・話の内容マジで
        重すぎじゃない・・・?あのセンパイの
        同級生のお友達さんが・・実は
        不死身のロリで・・・?ぁあもう
        頭が・・・頭が追いつかない・・!)」




  114. 114 : : 2015/08/06(木) 03:15:54





    ロニー「・・・一つ言っておくが間違っても
       コイツを全て下水道に垂れ流したり
       なんて事はしないように忠告
       しておくぞ。

       ・・・永遠の命を手に入れた
       不快害虫や衛生害獣が跋扈する
       伏魔殿に・・・この町を変えたく
       なかったらな。」   
       




    リヴァイ「冗談でもそんなおっかない事を
       言うな。不死身で無くとも充分
       人智を超えた害虫共が最近よく
       この辺や部屋の中をうろついて
       るんだ。

       この上奴等が不滅の肉体でも
       手に入れようものなら俺は
       国外に高跳びする選択肢すら
       視野に入れかねないぞ...」





    ペトラ「は、はは・・・・^;」
        ホントニ ヤナンデスネ;




    リヴァイ「・・・そんな戯言はどうでもいいが

       ・・こいつは一体どういうことだ」
       ゴトッ。。





    目の前に置かれたボトルを掴み、
    遮光瓶の向う側に歪んで映し出される
    男を睨むリヴァイ。




    ロニー「どういう事も何も・・・

       そうだな、ほんのサービスの様な
       物でもあるし・・・もし俺が力に
       成れなかった時の為の・・・
       保険だとでも理解してもらえれば
       それで良い。

       俺が提示しようとした二つの
       選択だが・・・一つに、あの少女が
       “不死身”に飽きた時には
       ・・・何時でも俺を呼べばそこで
       不死を終わらせてやる、
       というのと・・・・」



    リヴァイ「・・・・・」



    ファーラン「・・・・・」




    ロニー「・・・二人揃ってそう怖い顔を
        するな。もう一つだが・・・

        当然幾ら飽きがきた末の
        決断とはいえ・・・自身の末期の
        介錯を、大して馴染みも無い俺に
        一任するというのも・・・中々
        デリカシーに欠けた選択だと
        思うからな。
        
        誰に“喰って”欲しいか、
        少女自身に希望があるなら・・・
       “コイツ”で好きにそれを決めて
        貰えばいい。
        
        ・・・・つまりこれが二つ目の選択
        ・・・・と。そういうことになる。」




    ファーラン「・・・・・・」チラッ・・




    リヴァイ「・・・・・・・」



    傍らにて無言で居ながらもその
    怒りのダムに湛える貯蔵水位を
    みるみる上昇させていくリヴァイ。

    そしてその馴染みの顔を
    一瞥するファーラン。


    彼の直感に誤りが無ければ・・・
    その決壊は程近い。






    ロニー「俺が“儀式”を経て呼びつけ
       られた訳でもなしに此処までの
       大盤振る舞いをした事は
       未だかつて無い。

       ・・何せ時の権力者に限らず
       ありとあらゆる人種共通の
       夢を丸々一本無償でくれて
       やるんだからな」




  115. 115 : : 2015/08/06(木) 03:17:41







    リヴァイ「・・・・間違いねえ。繰り返して
       言わせて貰うが・・・辞書で調べても

       ・・てめぇ以上に“悪魔”って
       概念がしっくりくる奴には
       今迄会った試しが無い・・・・。


       てめぇは本物だ。俺が断言する」





    ペトラ「(アレ・・・なんか・・・センパイ・・・;)」
        ビクビク...




    ロニー「褒めても何も出ないぞ」






    リヴァイ「…褒めてねえ。どちらかと言えば
       人間のクズと形容するに相応しい
       表現だった訳だが・・・・

       ・・・・そう言ってやった方が
       幾分分かり易かったか・・?


       ――――あ・・?」
       ジロッ・・・




    ピキッ・・




    ―――軋轢音。



    ファーラン「オイ止せって・・・!」



    その裂音はおおよそリヴァイの頸部より
    発せられた音であり・・・

    より正確には彼の怒りが隠しきれない
    度合いまで引き上げられた際に、
    過剰な負荷が掛けられた顎関節の
    繋ぎ目から鳴り響いた音であった。





    昔馴染みの怒気が目に見える形で
    薄らと立ち上る様を機敏に察知し、
    制止するファーラン。











    リヴァイ「・・・ファーラン・・こいつの目をよく見ろ。

       この目が・・・手前(テメェ)で知りも
       しない間にゾンビの出来損ないに
       されちまったガキの身の上を
       本気で慮ってる人間の目に
       見えるか・・・・?」





    ファーラン「・・・・・リヴァイ。」






    リヴァイ「俺にはそうは見えねえ。


       こいつの目は・・・今迄自分が
       見た事の無いモノを待ち
       望んでいるだけの・・・自分を
       楽しませる事象を待ってるだけの
       ・・・クソ野郎の目だ。

       こんな奴の提案を素直に鵜呑みに
       する道理が何処にある」
       コンコン





    ロニー「・・・ふむ。」



    目の前の底すら知れない相手に
    微塵も気後れする事無くボトルを
    爪弾きにして怒りを露にするリヴァイと



    その怒りを真っ向から
    差し向けられつつも、どうしたものかと
    顎に手を添えるロニー。





    ファーラン「・・・(溜息)・・リヴァイ..。

      そもそもこの人がわざわざここまで
      出向いてくれなければ俺達には
      イザベルの身に振りかかった異変の
      一端すら知ることもできずに・・・

      ただ、イザベルの奴が“不死身”である
      って事実を否応なしに受け入れる
      だけだったんだ。

      確かにこの人の説明は一方的で
      滅茶苦茶な物言いに聞こえるかも
      しれないが・・・例えそう思ったと
      しても、もっと心を落ち着けて
      広い視野で物事を見ろって。

      ・・・普段のお前らしくもない。
      急にどうしたんだ・・・?」




  116. 116 : : 2015/08/06(木) 03:18:24




    リヴァイ「たった今の俺は普段の俺じゃぁ
       ねえからな。・・・一々口に出すのも
       アホらしい事だが・・・

       相当トサカにキてるぞこれは。

       話の途中までそうは思って
       無かったが・・・なんて事はねえ。
       こいつがどういう類の人間か
       簡単にでも理解できた今・・・
       そいつがどうしても抑えられない
       ・・・・それだけだ。

       怒りの余り裏切り者の名を受けて
       悪魔の力さえ身に付けられそうな

       ・・・・そんな心境ですらある」
       ピキッ・・・ギリギリ・・・・






    ハンジ「(あわわわ・・・・・;)」
        デ○ルマン・・?!・・・・!(;゚Д゚)




    ペトラ「(何々...!?何なの!?いつの間に
        ・・・・・先輩がマジでオコに
        なってるんですけど・・?!?)」
       チョー イズライ!!!(;´・ω・)ッツカコワイ!!





    ファーラン「なあオイ落ち着けって
       言ってるだろ!!!そもそも
       何がお前をそこまでイラつかせて
       るんだ??」





    リヴァイ「言わなきゃ分らねえか。

       ・・・いいか、こいつは明らかにその、
       不死の体を手に入れた奴等が
       共食いに至るまでの道程を観て
       楽しんでやがるんだぞ。

       ・・そうなるさだめを当人共が
       望んだとか・・・不死からの
       抜け道も丁寧に教えたとか・・・
       そんな言い訳はどうでもいい。


       ・・・そもそも、そのシステムを
       説明する事自体が、そいつらの
       心の内に共食いという疑念を
       燃え上がらせる・・・火種みてえな
       ものだろうが・・・!」





    ファーラン「リヴァイ!!!!!」





    ロニー「・・・・結構だ。俺に気を遣う
       必要など微塵もないぞ。

       そいつの言っている事は
       何一つ違ってはいないし・・・
       何より俺自身、無駄に歳ばかり
       喰いすぎたせいで・・・
       
       悪態をつかれた際の怒り方すら
       忘れ去ってしまった。」
       (溜息)    





    リヴァイ「・・・・・(野郎・・・・)」
       ギリッ・・






    ロニー「正直な話をするなら・・・
       変な意味などは含めずに、俺は
       今、少し嬉しいと思っているのかも
       しれん」カタッ・・・




    リヴァイ「・・・・あ?」







    ロニー「こんな存在になってから・・・
       俺がどういった人間か正確に
       把握された上でここまで尖った
       殺意を向けられたのは・・・
       本当に久し振りだったからな。」





    リヴァイ「・・・・・・・」







    ロニー「無論他の(ファミリー)の鉄砲玉や殺し屋に
       同様の感情を向けられる機会も
       無い訳ではないが・・・それも
       精々互いに初対面である内だけだ。

       俺がどんな存在か知ってしまえば
       それまで。誰も彼もその心には
       得体の知れないものに畏れを
       抱く感情しか残りはしなかった。

       だからというわけではないが・・   
       ・・・死ぬ事すら何とも思わない
       存在となってからは・・・
       “殺してやりたい”という
       感情すら存外新鮮に感じてしまう
       ようになってしまった」





    リヴァイ「・・・・俺を陳腐な殺し屋だか
       特攻野郎共と一緒にするな。

       テメェの息の根を止めた位でコレが
       簡単に片付く問題だとは(はな)っから
       思ってねえ。ふざけるのも大概に
       しとけよ・・・・」




  117. 117 : : 2015/08/06(木) 03:21:00




    ファーラン「もういいだろリヴァイ;・・・・
       今はそれよりイザベルの今後に
       関しての方が大事な話だろ・・・」





    ハンジ「つ・・・つまり何かな・・・
        イザベルがずっと不死身で
        ぼっちに成らない様に・・・・

        だれかがこのお酒で
        不死身になって、いつかは
        不死から救ってあげる、
        ・・・・ってこと?言い方を
        少し優しくするならだけど;」







    ファーラン「ああ・・・。だがそれだと結局・・・」





    ペトラ「・・・その、食べる側の人が
        結局一人残されるだけですよね]






    ファーラン「・・・・・なあロニーさん。結局
       その辺はどうなんだ。」





    ロニー「・・・その辺、とは」






    ファーラン「不死者って奴になった先人達の・・
       大体の落ち着き方さ。


       さっきチラッと聞いた話じゃ・・・
       禁酒法の時代からそうなった
       人達も・・・居るには居るんだろ?

       その人達は・・・今日になるまで
       何人くらい喰い合ったんだ・・?」



    ロニー「それは正に人それぞれとしか
        言い様が無いな。

        ――その禁酒法時代、つまり
        俺が今居るファミリーの上層部
        ほぼ全員が祝杯で
        誤って口にした酒で死なない
        身体になった場合については・・

        驚くべき事に今日に至るまで
        身内同士の共食いが一度も無い」




    ファーラン「・・・・なるほど・・・ねぇ」





    ロニー「逆に俺を儀式で呼び出して、
       不死の身体を手に入れた直後に
       ・・・同門の仲間達を片っ端から
       喰おうとした奴も過去には
       居たがな。

       ――詰まるところ信頼と信用の
       問題でもある。不死者になれば
       死にたくても死ねない身体には
       なるが・・・・半面、この条件を
       頭に入れて考えてみれば、

       “右手で頭に触れられる”

       たったコレだけで殺される
       可能性のある生物になって
       しまったという事実と・・・・
       “それ”を全ての不死を
       手にした仲間が等しく知っている
       という事実。」




    リヴァイ「・・・・・・」




    ロニー「この二つの懸念とどう
       折り合いをつけて不死とやって
       いくか・・・。そいつは考える奴
       次第だ。中には相手に完全に
       心を許しているが故に、

       若しくは相手にそれをする
       メリットが何も無い事を
       確信した上で・・・頭部に右手を
       載せられても平気な顔をして
       居られる奴も居るし・・・・」





    ロニー「共喰いの連鎖と、懐疑心の
        螺旋にうんざりした挙句、
        自らの右手を切り落とし・・・
        そのナイフでそのまま板に
        己の右手を打ちつけて
        仲間に手渡した者まで居る。」





    ハンジ「それって・・・その場合
        切った腕は元に戻らないの?」



    その場の空気にそぐわない、
    若干場違いなハンジの素朴な
    質問ではあったが・・・・
  118. 118 : : 2015/08/06(木) 03:24:26





    ロニー「ああ。不死者というものの
       体の仕組みは・・・根本的には
       全く異なるが、群体生物の
       それに近い。つまりクラゲ等の
       様な・・・沢山の固体がまるで
       一個の生物の様相を振舞う・・・
       あの感じに少々似ている。

       故に身体を部分的に切り離せば
       その欠損部分は“元の場所”に
       戻ろうとはするが・・・
       戻っていかない様になんらかの
       手段で繋ぎとめれば・・・その腕も
       切り離されたままになる。」



    その問いにも丁寧に回答するロニー。



    ハンジ「え、、いや・・・じゃあその
       お友達に自分の腕を
       あげちゃった太っ腹な人は・・・
       今どうしてるの・・?

       あ、ってかその人はまだ
       ・・・生きてるの・・・?」





    ロニー「さあな。識ろうとすれば
       今にでも分かるが・・・まあ、
       此間までは問題なく生きていたぞ。

       ・・・ちなみにそのままに
       しておく訳にも行かないからな・・。
       腕には義手をつけて生活を
       送っていた。それも中々に
       無骨な鉤型の義手をな。」




    ハンジ「それじゃまるで・・」




    ロニー「ああ。元々のそいつの
       風貌も相まって、まるで御伽噺に
       出てくる海賊の頭目の
       様な出で立ちだった」(微笑)

       


    ロニー「・・・・ともあれだ・・・話が随分と
        尾を引いた挙句に長くなって
        しまったようだから・・・

        ここらで俺から一旦話の区切りを
        付けさせて貰うとしようか」





    リヴァイ「・・・・・おい、ちょっと待てよ。

       一方的にここまで無茶苦茶な
       話をぶつけてきやがって・・・
       この期に及んでお前..




    ガタッ





    ロニー「・・・第三の選択だ。今まで
        この処置を施してやった事は
        記憶に無いが・・・あの少女の
        ケースに至っては偶然の
        災難ですらある。

        ・・・君等がそれを望むなら、
        別にあの少女を元に戻して
        やってもいい。」
        





  119. 119 : : 2015/08/06(木) 03:28:17
        





    ハンジ「・・・?!」







    ファーラン「で・・・・できるのか!!?」







    ロニー「出来る事は出来るんだがな・・・
        先にこの妥協案をあえて俺が
        提示しなかった理由をまず
        考えてみて貰いたい。」





    リヴァイ「・・・・・どういう事だ。

       プラナリアの化け物みてえな
       体質がめでたく元通りに
       戻るなら・・・

       普段の生活に気を遣うようには
       なってもそっちの方が充分
       人間らしい生き方だろうが。

       この期に及んで何か元に戻る事に
       デメリットがあるとか
       言いだすんじゃねえだろうな・・・」
       ギロッ・・・






    ロニー「元に戻る事に際して
       デメリットがついてくると言う
       よりも・・・その状態で元に戻る
       事そのものがデメリットの様な
       物だ。当たり前だが彼の少女は・・

       外見こそあの通り在りし日の
       ままの姿ではあっても、積まれた
       記憶量は君等と大して変わらない
       訳だ。」





    ハンジ「そりゃそうだよね・・・
        当たり前の事だけど」





    ロニー「俺は少女の体質そのものを元に
       戻すことはできるが・・・此処に
       至るまで彼女の身体に起こる
       筈であった“成長”までは
       元通りにする事は“出来ない”。


       ・・・というよりも“しない”。

       何故ならそれを左右するのは
       当の本人の生き様だからな。
       俺がどうこう出来ることじゃない」




    ファーラン「・・・・ここまで真摯に考えて
       くれてるんだ、少しは肩の力を
       抜いちゃくれないか、

       ・・・なあリヴァイ。」





    リヴァイ「・・・・・・・」




    ハンジ「ホラホラ~!リーヴァ~ぃ!
        ファーランの言う通りだぞ~??;

        いい加減むくれてないで
        いつもの調子に戻れって・・・

        傍から見ててもこの人そんな
        悪い事言ってるように
        見えないぞ?私にとっては・・・」


    ポンポン



    隣で腕組みをしながら、尚も
    斜向かいに座するロニーをねめつける
    リヴァイの両肩を、やっと入り込む
    隙を見つけたような勢いで叩くハンジ。


    リヴァイはリヴァイで・・・未だ完全には
    目の前の謎の不審者を腹の底からは
    信用できないといった面持ちである。



    ・・・しかし・・・昔馴染み(イザベル)に降りかかった
    問題の体質をどうにかできるのも・・・
    目の前の謎の男のみである。


    その助力を頼らず状況を打開するには・・・
    目の前に置かれた酒瓶以外には
    彼女を不死の螺旋から外す手立ても無い。


  120. 120 : : 2015/08/11(火) 03:57:42





    リヴァイ「・・・・・・」




    己の肩に腕を回し、尚も纏わりつく
    ハンジには殆ど意識を向けずに、
    それでも静かに目の前男(ロニー)
    睨みつけるリヴァイ。


    見かねたファーランが更にもう一歩
    渋る昔馴染みに踏み込んだ意見を
    言い放つべきかと逡巡したその僅かな間。




    「言うべきかどうか迷っていた所だが・・
     やはりあの少女の不死に最も
     関係しているお前には言っておいた
     方が良いだろうと思ってな。

     ・・余り印象が良くないかもしれないが
     暫しの間内緒話を大人しく聞いていて
     もらいたいのだが」




    リヴァイ「・・・・・・」



    リヴァイの脳裏にのみ、
    厳かに響いてくるその声。


    対するリヴァイも、声に出さずに
    自らの声が通じるのか、その確信を
    持てぬまま、取り敢えずは相手の
    申し出に応答する意思を思い描く。





    「・・・何故俺だけに語りかけてくる?

     今からテメエがしようとしてるその
     内緒話ってやつは・・・・俺以外の
     この場の人間に聞かれちゃマズい
     内容の話だってのか・・・?

     返答によってはお断りさせて貰うが」





    「・・・・まあ聞け。まず“あの”少女が
     不死者となってしまった経緯は確かに
     偶発的な事故であると言ったが・・・

     彼女の内にその願望が無かったか
     どうかと言えば・・・それはそれで
     途轍もない位の生に対する執着心が
     あった。・・・・つまり“死にたくない”
     という願望が・・・通常の人間の比では
     無かった訳だ」






    「・・・・・何が言いたい。そんなモン、
     限りある命をいつかは全うしなきゃ
     ならねえ人間全員が・・・頻繁に考える
     事だろうが。・・思春期真っ只中の時勢
     ともなりゃ尚更だ。」






    「言っただろう・・・“途轍もない位”で
     あると。彼女の中に、不死身となった
     今でも変わらずに渦を巻いている
     感情が・・・どのような物であるか、
     お前は知っておいた方が良いだろう。

     自分の口から素直に言いそうな
     性格とも思えない事だし・・・・

     何より“お前”にしても“彼女”
     にしても・・・“思い出す”事は
     出来ないんだろうからな。」





    「テメエの言いたい事ってのは一体
     なんなんだ・・?俺にはその辺がさっぱり
     ・・・・・・・・」





    「“どんな事があっても兄貴にだけは
      心配を掛けたくない”


     ・・・・これしか少女の頭の中に
     確固たる欲求らしいものは
     見当たらなかった。顔立ちからは
     親類とも思えないが・・兄貴とは大方
     お前の事だろう?」





    「・・・・・話の軸が大分ズレてやがるが。
     俺のお荷物になりたくないから・・・

     奴が死なないで済む道を選択したと?
     てめえはそう言いたいのか」





    「・・・・言ったろう。不死の酒を少女が
     口にした経緯に関しては・・・全くの
     偶然か・・・若しくは個人の好奇心が
     関わった・・・どちらにしても偶発的な
     “事故”だ。

     俺が言いたいのは・・・・」





    「・・・・・・・」




    「彼女は自身が死なない身体であると
     正しく認識した上でも・・・その事実を
     受け入れて生きていくだろう、と。
     そう言いたいのさ」


  121. 121 : : 2015/08/11(火) 04:01:36






    「・・・つまりさっきテメエが言い出した
     元通りの案って奴を・・・反故にすると」





    「・・・(嘲笑)無論、少女には後ほど
     確認を取って貰って構わない。

     その上でもしも彼女が元に
     戻る事を願おうというのなら・・・

     その際はいつでも呼んでくれて
     構わない。時差なども特に
     気を遣う必用は無い。


     この“酒”は・・・まあ折角だから
     置いていくとしよう。要らないなら
     次に俺を呼び出す時にでもついでに
     返してくれればそれでいい。」






    「・・・・仮にも不老不死のアイテムとやら
     なんだろ・・・随分とおざなりな
     管理体制だが・・そんなのでいいのか」








    ロニー「・・・・まあ、そう言う事だ・・・
        詳しい事は裏手に引き返されて
        からも・・・こちらが気になって
        仕方がないあの少女に言って
        聞かせてやってから・・・
        俺に結論を伝えてくれれば
        その通りにしよう。」





    大方の話にケリの付いた時点にて
    リヴァイの問いかけを煙に巻く形で
    意識間の対話から声を媒介した
    通常の会話形態に移行するロニー。



    互いの意思疎通は普通に会話するよりも
    直接思考のやりとりが成される分、
    かなり早い物ではあったが、


    二人が無言で居た間に違和感を
    持たせぬよう、あえて店の奥より此方を
    覗き込むイザベルに周囲の注意を
    向けさせるロニー。






    イザベル「ヤバッ!!」ササッ





    ファーラン「オイっ!!!イザベル!!!!どこまで
       盗み聞きしてたお前!!?」
       




    リヴァイ「・・・・おい、その前に・・・」





    ロニー「・・・なんだ、流石に念じるだけで
       連絡を取り合おうというこの
       通信手段が信用に於けないのか」






    リヴァイ「・・・当然だ。携帯電話の番号位
       控えさせろ。テメエの身に何時
       何が起きるとも知れねえんだ。

       鉄砲玉なんて時代錯誤な連中にも
       狙われた試しがあるんだろ」





    ロニー「生憎だが・・・携帯電話(そのようなもの)は持ちわせが
       無い。俺がそちらの呼びかけに
       応えられない状況も・・・至極尤もな
       想定の範囲内だが・・・その時は
       諦めてこの酒でどうにかしてくれ」
       トントン




    リヴァイ「・・・・~~・・・結局言う事だけ
       言った挙句それか・・・(溜息)」




    もう既に怒りに燃やす燃料すら
    残っていないとばかりに呆れた様子を
    見せるリヴァイ。








    ハンジ「もう面倒な奴だなリヴァイは!!!
       なんだったらさ!もういっそのこと
       この一本を皆で乾杯して、
       ココに居る全員で不死鳥デビュー
       とかしちゃったり(ry
    リヴァイ「テメエは少し黙ってろ」ガシリ!!





    ハンジ「ムッ・・・・!!!ムグォぁあ!!」




    ハンジの軽弾みな提案を最後まで
    聞き入れる事も無くリヴァイの
    アイアンクローがその口を圧迫する。




    リヴァイ「・・・いいか、もし、もし万が一だ。
       お前の言う通り、この場に居る
       全員でこの明らかにビールよりも
       度数の高い酒を煽ったとする。

       テメエならコップ一杯で
       良くて意識の混濁、悪けりゃ
       泥酔状態に突入する訳だが・・・・」
       ギリギリギリ・・・・




    ハンジ「オ・・・・オフォォォ・・・;;」フガフガ




    ペトラ「(か・・・顔芸・・・www)」
        ピクピク・・・・




        
  122. 122 : : 2015/08/11(火) 04:04:22




    リヴァイ「酔っぱらったテメエが夢心地の
       最中、テメエにしか見えねえ
       美味そうなメロンを鷲掴みにして
       そいつを喰いたいとでも思って
       みろ・・・・。ソレが俺かペトラの
       頭だった日にはその場で俺達の
       一生に幕が落とされるんだぞ・・・

       そんな死に方があって堪るか・・・・

       ・・・・ぁあ・・・??」ギリギリギリ・・・・






    「ッハハハ・・・・w

     それと全く同じ発想をした者が・・
     割と古くに不死を得た錬金術師達の
     中にも居たが・・・中々どうして
     笑わせてくれる。」




    現れた時と同じようにして、いつの間にか
    忽然と姿を消し、やはりその声だけを
    その場に残して遠ざかっていく
    ロニーの気配。






    リヴァイ「・・・・・野郎・・・いつの間に・・・」
       パッ・・・




    ハンジ「ゲッホ・・・ぶへっ・・・
        イッ・・・イッツツぅ・・・!!!

        もう!!軽い冗談だろ!!!?
        乙女の顔面を思いっきり
        握りこむとかアンタ本当に
        ジョーシキって奴が・・・」





    リヴァイ「..ぬかせ。人の生き死にを簡単に
       ペテンに変えちまうような
       とんでもねぇ代物をホイホイ
       あけようとする奴に常識も何も
       言われる筋合いなんざねえ。」




    ペトラ「はぁ....しかし・・・このおサケが
       ・・・・ですかぁ・・;なんか全然普通の
       液体ですね・・・」ヒカッテタリシナイノ・・・・
       チャポン・・・・





    リヴァイ「・・・・言うまでもねぇが・・・
       そいつは俺の部屋で預かる。無論、
       厳重封印をその上に施してな。

       原作新刊でも似たような流れに
       なってるし・・・構わねえな、、」



    ファーラン「この場合リヴァイ以外に保管先は
       どの道無いだろ・・・」




    ハンジ「出たよ。久々のメタが。
       

       まー、リヴァイが預かっても絶対
       自分では使いそうにないけどね。

       ・・そういえばロニーさんがさっき
       言ってた不死の終了条件ってさ
       …なんか・・何かに似てるよねー・・」





    リヴァイ「・・・・偶々だろ。似たような設定位
       幾らでも被り様はある。

       違うのは・・老いにも病にも、
       そしてうなじを削がれても
       問題なく生きてるって事位だ」








    ファーラン「イザベルとは・・・折りを見て俺達で
       話を着けよう。・・・けど・・もし・・・」




    リヴァイ「ファーラン」



    ファーラン「・・・・何だ?」




    リヴァイ「唐突だが・・・お前は・・
       “前世”って奴を信じるか・・」




    ファーラン「いきなりどうしたんだリヴァイ?

       俺はともかく・・・お前なら絶対に
       そんなものの存在を信じたりは
       しなさそうな物だが・・・」





    リヴァイ「これが果たして前世って括りに
       入るのかどうか・・その辺は
       定かじゃねえが・・・どうも
       俺にもお前にも・・・・今、
       この時では無い“別の人生”が
       あったかもしれねえって話だ。

       ・・・お前の言う通りこれまでの
       俺ならそんなモン、信じようとも
       しなかっただろうがな」





    ファーラン「・・別の・・人生・・・か。」





  123. 123 : : 2015/08/11(火) 04:07:24



    リヴァイ「お前は・・・何か思い当たる
       フシでもあるか?何でもいい。

       俺達にも・・・少なからずそう言った
       蟠りがあったからこうして
       気に留めている訳だが」





    ファーラン「いや・・思い当たるって程でも
       無いんだけどな・・・。イザベルが
       余りにも寝つきが悪くて寝不足に
       成る位の悪夢を立て続けに見る
       ことがたまに有るらしいんだが・・

       その夢の内容が、俺が時折
       寝汗をかいて飛び起きる類の
       夢と少々似てるって事くらいか」








    リヴァイ「・・・・・どんなヤツだ」






    ファーラン「・・・・・・・・」




    無言でリヴァイを静止する事数秒..。





    リヴァイ「・・・・、言い辛い類のものなら
       別に無理強いはしねえが」







    ファーラン「俺のもイザベルのも・・・
       間違いなくお前と死別する夢だ。


       夢の中の景色は決まって
       深い霧が出てて・・・良く思い出せは
       しないが、俺もイザベルも最期は
       助けに来てくれたお前の目の前で
       バカデカい怪物に叩き殺される。

       ・・まあ中々に気分が悪くなる夢だ」



    リヴァイ「・・その景色の中に・・“馬”は
       見えたか・・・?」




    ファーラン「“馬”・・・・?」ピクッ





    リヴァイ「・・・ぁあ。」





    ファーラン「・・・・どうだろうな・・・、
       しかしそう言われると自分で
       手綱を引いて乗っていた気が・・・
       ・・・しないでもない。

       死ぬ直前のイメージが強すぎて
       他の部分に気が行かなかったから
       言われてみて初めて思ったが」



    ファーランの言葉を聞き、暫し俯き加減で
    何かを考え込んでいたリヴァイでは
    あったが・・・・・





    リヴァイ「・・・そうか。悪かったな。
       忙しい所を・・・。

       俺達もそろそろ
       行かねえと時間的にマズい。

       店の方も・・二人も人手を
       奪っちまって悪かったな。
       今度俺から何か奢らせろ。」



    自分達のこれから向かうべき場所と、
    これだけの長時間クルーの動きを
    拘束してしまった事を憂慮して
    話を切り上げる。


  124. 124 : : 2015/08/11(火) 04:09:39



    ファーラン「気にするなってwイザベルは
       居ても居なくても客の回転に
       影響が無い位バイトも皆優秀だし
       
       ・・俺も今日は事務仕事だけだ。」






    リヴァイ「そうか・・・・まあ、また後であの
       緑の奴で連絡する・・。イザベルにも
       そう伝えといてくれ」





    ファーラン「分かった。気を付けて
       遊んで来いよ!」





    ――リヴァイ一行・退店――




    ファーラン「・・・・待てよ?

       さっきリヴァイ後で連絡するって
       言ってたが・・・緑のって・・・?
       いつもの公衆電話の事か・・・?;

       いや・・・今迄緑のだなんて
       言ったの聞いた事が・・・」



    イザベル「何言ってんだよ!緑のって言えば
        ラインだろ?!そもそも
        公衆電話なんてウォールチチブ
        近辺のこの辺だってもう殆ど
        見かけねーよ?」




    ファーラン「イザベル・・あいつは携帯
       持って無かった筈だろ」




    イザベル「??アレ、そだったっけ!?」




    ファーラン「大体持ってたとしても
       IDを教えて無いんだ。

       ・・・・まあ、電話番号は知ってる
       事だし普通に電話をかけて
       来ればそれで済む話では
       あるけどな」





    イザベル「な~・・・それよりもファーラン~・・・
        腹減った~...休憩にホットケーキ..」
        (´・ω・)
        




    ファーラン「さっきの長話で休憩は無しだぞ。
       やらなきゃいけない仕事が
       まだまだあるだろ。ほら、戻った」




    イザベル「なっ!!??」
        (;゚Д゚)




    ファーラン「後一時間そこらの辛抱だろ。
       昼飯まで我慢だ我慢。・・・な」




    イザベル「いやぁだぁぁぁ!!!!」
        イヤァアア!!!!(ノД`)・。ブワッ





    ファーラン「お前高校生のままにしたって
       堪え症なさすぎだぞ!!
       アニやマルコを少しは見習えって!」




    ヒッチ「(・・あたしは入ってないのね)」
        ガックシ・・・




    アニ「・・ダブチお願い」




    ヒッチ「あいよ~・・」
  125. 125 : : 2015/08/13(木) 02:25:27








    ~現在公開可能な情報㊲~





    ファーラン・チャーチ





    イザベル、リヴァイと同い年の幼馴染。
    3X歳イケメンアシスタントマネージャー。

    マグロナルドにおける副店長ポジションでは
    あるものの後述する理由等もあって実質
    店長職も彼の仕事の様なものである。



    イザベル程では無いがやはり
    リヴァイ同様に常に実年齢より若く
    見られる傾向がある。

    ・・・外見的な要因もあって女性には
    相当人気がありそうな印象も受けるが、
    イザベルの面倒を見るのにとても
    それどころでは無い、という雰囲気と

    2人がいつも一緒に居る様子を周囲に
    勘違いされる事により
    (リヴァイの様に似ていない兄妹と
    間違われる事もしばしば。)

    言い寄る女性も滅多に現れない。


    健康食品、有機食品に拘っており、
    イザベルが不死身であると発覚する
    ずっと以前から彼女の身を案じて店の
    フライヤーの油を全て秘密裏に
    すり替えると言い出したのも彼の
    発案である。彼の発案力にはリヴァイも
    大人しく準じる位なので、平時は
    理知的かつ用心深い印象が強いものの、

    やる時は結構大胆な事をやろうとする、
    策略家タイプ。








  126. 126 : : 2015/08/13(木) 02:25:53








    ~現在公開可能な情報㊳~





    イザベル・マグノリア・其の弐





    色々あって15歳の時分より一切
    肉体的に歳をとっていなかった
    不老不滅のレギュラーツインロリ。


    その真に驚くべき点は戸籍上年齢が
    齢30歳を超える事になる現在に至るまで、

    他人の意識に留まるような程度の
    負傷を負っていなかった事と、
    この間全く自身が成長していない
    事実を自他共に認識できなかった
    事である。


    元々の成長速度が極めて遅かった
    彼女の事なので
    (彼女が不死身となる前に、中学生時分で
    リヴァイの行きつけの銭湯にて男湯突貫を
    敢行しているが、問題なく10歳以下の
    判定が通っている。)流石におかしいと
    ファーランが訝しむまでにも相応の年月が
    掛かった物と思われる。



    不死の要因とされるのは異国の地へ
    修学旅行で足を運んだ際、偶然口にして
    しまった不死の酒。

    この酒を飲んだ者はその時点から
    読んで字の如く不老不死の存在となり、
    老いにも病にも無縁、且つそこからは
    一切身体的な成長を遂げなくなる。


    物体的な損傷では何をどうしようとも
    不死者を殺すことは出来ないが、
    これはただ“死なないだけ”であり、
    傷みも普通に感じれば、気絶もするので
    不死者=無敵という安易な発想は余り
    適当では無い。

    (余り想像したくない事ではあるが
    この不死性を手に入れた後、とある
    マフィアの怒りを買った不良達が
    ドラム缶にコンクリ詰めにされた上
    川底に沈められた前例があるが、
    そこまでされても“死ねない”ので
    考え方次第では“死ねる”身の上よりも
    色々と面倒はあったりもする)


  127. 127 : : 2015/08/13(木) 02:33:03




    ― 十数分後河原下流 ―




    一行、ハンジの自家用車より降車。




    リヴァイ「目的の場所に着く前に
       かなり重い話があったが・・・
       元々今日のメインはこっちの筈
       だからな・・ことお前らにとっては。
       (クーラーボックス確認...)


       ・・・朝からペトラの足元が妙に
       震えてるのが気がかりだが・・
       そんな体調で大丈夫か?」




    ハンジ「(ッ・・?!?おいおいペトラ!!
        あんた昨日あの後直ぐに
        寝なかったのか!!?あれ程
        大事をとってゆっくりしろって
        ・・・・!!(小声))」



    ペトラ「(全力を尽くしました!!けど
        ダメだったんですよ!!
        何をどうやっても作業中
        服用した驚○打破が全身に
        回ってしまっていて・・・(泣)

        眠るどころじゃ無かった
        んですよぅ...(小声))」






    リヴァイ「(舌打ち)・・・やはり到着が
       少し遅かったな。

       ・・もう始まってやがる。
       おいメガネ。グリルを降ろすぞ、
       手を貸せ。・・・・炭にも火を
       焚きつけねぇ事にはどうにも
       ならん。」ガッチャガチャ・・・




    ハンジ「はいよっ・・・」ガタッ







    ペトラ「ハッ・・・ハイハイ!!私もっ。。
        私も手伝いマスカラ!!!」
        ヨッタラ...ヨッタラ




    ハンジ「馬鹿ペトラっ!!そんな
        フラフラでもし転びでもしたら
        どうすんだ全く!いいから
        あんたは大人しくプーさん
        焼けるまで待ってなさい!そして
        リヴァイが上手に焼いたプーさんを
        喰って体力を回復するんだ!」
        シッシッ!!!




    リヴァイ「・・・・今回ばかりはメガネの
       言う通りだ・・・。気持ちは有難く
       受け取っとくが・・・お前は先に
       木陰まで行って場所取りがてら
       休んでろ。コイツの段取りは
       俺とメガネで済ましておく。」








    ペトラ「す・・・スミマセン・・・何か
        心配かけっぱなしで・・・(シュン..)」




    リヴァイ「・・・お前が気にする事は無い。

       見た所駅中の集まりだけでなく
       レジャー客が相当ごった返してる
       みてーだが・・・ニファだのナナバ
       だのも一塊になってるみてーだ。
       折角の懇親会なんだ、話でも
       して来い」





    ハンジ「(最後の最後に大仕事が
        有るんだからな!お互いそこまで
        英気を養って、最後の最後で
        リヴァイをギャフンと言わす!!
        いいなペトラ!!?(小声))」
       (背中に張り手)パンッ!





    ペトラ「(ぇ、ええ・・・!勿論です!!(小声))」






    ハンジ「よっし、その意気だ・・・!じゃ、
       私達はあっちで肉焼き始めてる
       から、ナナバ達には先に挨拶がてら
       遅れちゃった事情を・・・ああ、
       流石に幼馴染が不死身に
       なっちゃってたとかは説明しても
       どうしようもないから、その辺は
       端折ってね!!一応簡単にはラインで
       連絡してあるけど。」






    ペトラ「と、当然じゃないですか;
        そんな理由で遅れたとか
        言ったら絶対に生暖かい目で
        見られちゃいますよ!!!;」







  128. 128 : : 2015/08/13(木) 02:35:57




    ―河原・ ミケ・ナナバエリア―






    バーベキューに際しては
    ハンジのみならず他数名も担当を
    分担し、其々焼きそば、カレー等を
    準備する手筈であったが、

    肝心の肉、野菜の串焼きを準備提供する
    筈のハンジの到着の遅れもあってか
    一応乾杯の音頭こそとられては
    居ないものの、既にバーベキューそのものは
    始まっている様な様子であった。






    ペトラ「ア・・・お早うゴザイマス..!

       なんかその・・・済みません!
       来る途中ハンジさん達とは
       マッグで待ち合わせてからここに
       来たんですけど、ちょっと・・・
       色々大変な事があって・・・」




    ミケ「ハンジから連絡は来てる。
       詳しくは聞いてないがな。
       ・・・まあ気にするな。

       そんなに時間に煩い人間の
       集まりじゃない」




    ナナバ「時間に煩いのはどちらかと言えば
       むしろ急遽参加が決まった
       リヴァイの方だと思うけどね

       ・・・何があったの一体。」




    ペトラ「いや・・・ハハw;
       その・・・、本当色々ありまして。
          
       うまくは説明できない程
       複雑な事情があるんです。
       ・・・その先輩絡みで。。」




    ナナバ「ふぅん・・・まあ、深くは
        聞かない方が良さそうだね。
        マジメなあんたがそう言うんだ。
        
        ハンジの言葉だったら
        鵜呑みにはしないけど」




    ペトラ「・・・はは;...

        あ、そういえばナナバさんって
        休館日中のヘルプで隣町の
        店舗に行ってるんですよね?
        どうですか??上手く
        行ってます?」




    ニファ「隣町というか隣の駅の最寄・・・
        って感じですけどね。
        特に不便はしてないですよ(朗)」




    ナナバ「・・・ただ駅が近いってとこが
        ウチの店舗と同じだから
        変わった客はちらほら
        来るけどね(引き攣った笑い)」



    そう言うと苦笑いをしながら
    明後日の方向を見つめ、
    肩を小刻みに揺らすナナバ。




    ニファ「そうでしょうかねぇ。
        私はあの子は普通に礼儀正しい
        素直な子だと思うんですけど」





    ペトラ「・・・・あの子?;何です?
        他店舗の店員さんの話ですか?」




    ナナバ「違う違う、客だよ。お客さん。
        それがまた変わった娘でね。
        週一回は間違いなく包帯を
        買いに来るんだけど・・・
        
        風貌にも目を引かれたけど
        もっとぶっ飛んでるのが・・・」




    ニファ「しかも何の偶然か今日偶々 
       その子も彼氏(「コレ」)と2人で川遊びに
       来てたみたいで。さっき
       あの辺で会ったんですよ。」
       スッゴイグウゼン




    ナナバ「いや、だからさっきも
        言ったけど3人連れだったよ。
        話しかけた時も言ったけどさ」




    ニファ「ナナバさん、疲れてますか?
       3日後のシフト、代わりましょうか;」




    ナナバ「本気でそんな目で見るなよ!
        ホラよく見なって!!確かに
        日陰で涼んでるのは二人だけど
        川のど真ん中で遊んでる
        娘は・・・・!!!」アタフタ





    ペトラ「(デ・・デジャヴ・・・・・)
       ・・・まさか・・・・.....」


  129. 129 : : 2015/08/13(木) 02:37:40




    ―河原・ リヴァイ・ハンジエリア―






    リヴァイ「炭は端から火力調節が
       利くように雛壇状に詰め。

       ・・・・それから折角用意して貰って
       なんだが・・・その即燃式の着火剤は
       使わねえ。炭の風味が落ちるし
       汚ぇ煙が出るからな」カチカチカチ





    ハンジ「この期に及んでそんな呑気な事
       言ってる場合かよ!!皆お腹を
       空かして今か今かと私達が焼く
       プーさんを待ち望んでるんだぞ!!!
       着火にもたついてたら
       いつまで経ったって・・・・」




    リヴァイ「下らねえ事ガタガタ喚いてる暇が
       あったら手を動かせ。炭の着火は
       俺がやる。心配せずとも
       お前が思ってるほど掛からねえよ。

       ・・・毎朝めざし焼くのに
       慣れてるからな。」ボウッ・・・パチパチ





    ハンジ「今時毎朝七輪で朝食の焼き魚を
       調理するってリヴァイ..
       あんたそれ普通にガスで焼くより
       贅沢じゃないのか?この練炭
       だってあんたが毎日使ってるヤツ
       なんだろ?どう考えたって
       これ買う金の方が高くつく気が・・」

      



    リヴァイ「持つべき物は友と優秀な部下だ。
       この炭は・・・俺が焼肉屋を辞めた
       後もオルオの奴が態々ロスの分を
       俺に届けに来てくれてるから
       有難く使わせて貰ってるだけだ。

       つまり費用は掛かってねえ」





    ハンジ「・・・どんだけ過去の後輩
        こき使ってんのあんた・・・;」




    リヴァイ「人聞きの悪い言い方は止せ。
       俺から頼み込んだ訳じゃねえし
       礼にとして紅茶華伝も来るたびに
       餌付けしてやってる。」
       オレハ ワルクネエ




    ハンジ「ゴメン・・・原因絶対餌付け(ソレ)だよ・・・
        や、紅茶華伝が欲しいって
        訳じゃ無いんだろうけどさ・・・
        彼の性格考えたら、あんたから
        貰い物なんてしたらそれが例え
        缶紅茶一本と言えど引っ込みも
        付かなくなるって」




    リヴァイ「・・・・深く考え過ぎだと思うがな」
       コイコイコイ......!!!
       パタパタパタ・・・・ パチパチパチ





    ハンジ「うわっ...!!!マジでもう
       焚き付けやがったよこいつ!!
       半端ない放火スキルだな!!!

       あんた錐揉み式でも
       着火できる類の人間だろ!!?」
       ハヤッ!!




    リヴァイ「勝手に他人(ヒト)の修了技能に
       物騒なスキルを追加するな」
      




    ハンジ「このタイプの炭をトーチ
       使わないでここまで早く
       焚き付けられる人間は久しぶりに
       見たよ・・・・」


  130. 130 : : 2015/08/13(木) 02:39:49




    リヴァイ「・・・さあ、仕事はここからだぞ・・
       俺が片っ端から火を通していく。
       お前は焼きあがったヤツを
       あの葉っぱでも添えて皿に
       盛ったのを配っていけ。いいな」
       (マスク・三角巾・ゴム手袋装着)




    ハンジ「葉っぱじゃない!!サンチュだ!!
        プーさんはサンチュに巻いて
        喰うのが本式なの!!!」




    リヴァイ「・・・俺に理解できないネタを
       そんな渾身の力を込めて
       ぶつけられてもな・・・」カチャ・・・・



    そう言いつつ、バーベキューグリルと
    隣り合うように組み立てられた
    テーブルに、アルコール殺菌を済ませた
    まな板、そして牛刀代わりのガンツソード()
    置いたリヴァイを・・・少々遠目から
    見つめる視線があった....








       

    ―河原・ リコ・ミタビ・イアンエリア―





    リコ「・・・・・」ジィィ・・・







    ミタビ「オイオイどうしたリコお前!!
        イアンのカレーで腹でも
        壊したか!?っつうか、
        折角スク水(それ)着て来たのに
        泳がんのかお前??

        折角似合ってるのに(含み笑い)」



    リコ「煩い!!!目に見えて分るぞ、お前が
       私をコケにしたくてウズウズしてる
       その心情くらいはな!!私だって・・!

       私だって散々悩み抜いた結果
       この水着を選んだんだ!!!ちゃんと
       家には上下別れた形のも保管
       されてるんだ!!!」キッ




    ミタビ「・・・にしてもソレは無ぇだろ・・
        それ・・・中学の頃授業で着てた
        ヤツだろ・・・・よく今着れるな・・
       (っていうかよく生地が劣化しない
       状態で取っておけたな・・・;)」




    リコ「それは私が一番気にしてるんだ。
       あまり規格に関しては触れないで
       貰えるか」ムスッ





    ミタビ「ふぅん・・・どうせならあの
        紐だけの奴でも着てくりゃ
        面白かったのにな」




    リコ「!!?????」ガバッ!!!
       (ミタビの襟元掴みあげ)




    ミタビ「・・・ぅおっ」ギリッ




    リコ「何故だ!!!???ちょっと待て!!!
       どうしてあんたが呪いの鎧(アレ)の情報を
       持ってる!!!?はッ・・・吐け!!!!

       あんた一体何故今そんな事を
       口にした!!?紐ビキニ(アレ)の存在は
       私ですら入手元が記憶に無い
       位なんだぞ・・!!

       洗いざらい吐け!!!!」
       (;/゚Д゚)/ウゎアァァア!!!!!



    ギリギリギリ・・・!!!




    ミタビ「ウゴッ・・・ぉおおい!!襟がッ!!

        離せってオイ!!!ってお前・・・
        そうか・・・アレを贈られた時の
        事を覚えて無いのか・・・」
        ヌググ・・





    リコ「・・・・何だと・・?贈られた・・・?」
       パッ・・・




  131. 131 : : 2015/08/13(木) 02:42:55





    ミタビ「ぁあ・・・ありゃ去年の・・・
       アンカさんの送別会、兼、
       転職祝いの席でお前が
       懇意にしてたアンカさんから
       送られた・・・まあその、所謂
       ジョークグッズの一種だろうな。

       お前、昔っから女っ気無かったし
       浮いた話の一つも無かったから。
       せめてコレでも着て海でナンパでも
       しなさいな・・・っていう・・・

       あの人なりの渾身のギャグ・・・
    リコ「嘘を付け!!!!!!」ドゴっ!!!!!!



    ミタビ「うボぁあぁーーーーーッ!!!」




    リコの割と少ない全体重・・・・とはいえ
    足運びと体勢、ミタビにとっての
    足場の悪さを考えると中々に強烈な
    それが遺憾なく載せられたエルボータックルが
    彼のみぞおちに突き刺さる。




    バッシャァアアアアン!!!



    当然川岸にて彼女に叩き込まれた
    チャージングをモロに受けたミタビは
    その運動量の進むべき方向のままに
    水面へとその身を躍らせる事になる。



    リコ「あッ・・・・!!あの人がっ・・!!!
       マジメさの塊ともいうべきあの
       人がそんな冗談言う物か!!!

       それも、ぁ・あんな露出度の
       極めて高い・・・何も着てないのと
       同じ様な水着(?)を私にだと!!??
       
       あんた冗談でも言っていい事と
       悪いことが・・・・!!!////」ワナワナ    




    ミタビ「あっぶねぇぇ・・・・!!(戦慄)
        携帯ポケットに入れて無くて
        良かったぜ・・・・・!!」ウワァ...
        ビチャビチャ・・・





    リコ「答えろ!!!本当はあの水着は
       どのような経緯で私に渡った!!?

       その答えを聞くまでは・・・・・!」





    ミタビ「っつ・・・・;俺は何も
        ウソなんて付いちゃ居ねえよ。

        そう思うんならイアンにでも
        聞いてみろって。お前が
        フラフラに酔ってた事まで
        しっかり覚えてる筈だぞ。

        何せあのオンボロアパートまで
        あの日お前を担いで行ったのは
        イアンの奴だからな」ギュウゥ・・
        ビチャビチャ・・・




    リコ「かっ・・・!?////

       担い・・・担い・・で・・・?!」
       ガクガク((;゚Д゚)))ブルブル




    イアン「何だ何だ、盛り上がってるな。
        カレーは大体皆行き渡ったか・・
        やっと肉焼き部隊も到着した
        みたいだしそろそろ皆で
        乾杯しても良いんじゃないか?

        ・・・・どうです?店長」





    キッツ「・・・・だな・・・。

       ・・・ム?!おいミタビ!!!!貴様
       何水着も着用せずに燥いで
       川にダイビングしてる!!??
       
       あまり声を大にして言いたくは
       無いがここの水質はお世辞にも
       綺麗とは言い難いのだぞ・・・!?」
       バタバタ






    ミタビ「俺が好きでダイビングした
        訳じゃ無いですよもう。

        しかし店長の言う通り携帯と
        財布を預けといたのはマジで
        正解でした・・・本当にどうもあり
    キッツ「折角先程貸してやった
       虫除けスプレーの効果が帳消しに
       なってしまうではないか!!
       乾いたらすぐに言うのだぞ!!!
       デングにでもかかったらコトだ!!!」



    ミタビ「・・・・・・」  




    リコ「あ・・・あの・・・その・・・

       イアン・・・先輩・・・;?」
       ソワソワ・・・




    イアン「ぁあ・・・何だ?そう言えば
        さっきからミタビと水着の話で
        盛り上がってたか。俺に何か
        聞きたい事でも?」


    ・ ・ ・ ・

    ・ ・ ・

    ・ ・






  132. 132 : : 2015/08/13(木) 02:45:54





    ―河原 リヴァイ・ハンジエリア―






    パチパチパチ・・・   ジュゥゥ・・・・





    ペトラ「あ、すごいイイ匂い!!
        もう焼け始めてるんですね!!」
        




    リヴァイ「おう・・・戻って来たか。

       ・・・しかし・・・・・」チラッ




    ペトラ「・・・・?」




    リヴァイの視線の先には・・・
    ご近所付きあいの間柄になって
    久しい階下の住人の姿、そして


    川の中腹にて浮き輪装備で
    川遊びを思うさまエンジョイする
    見知った少女の姿が。





    リヴァイ「旧式のスクール水着とは・・・
       珍しいな。今日日河原でアレを
       着る奴も学生でなければ中々
       いねえだろうが・・・・

       まあ、片方は歳の頃から言って
       妥当か・・・・」








    ペトラ「(・・・?!あの時の雌・・・!!!?)
        (ギリッ・・・・!!!!)

        ぇ・・・・?あ、いえあの、
        ちょっとまって下さい先輩。」






    リヴァイ「・・・どうした。」






    ペトラ「あっちのメガネの人はともかく…
        

       ・・・どうして何処からどう見ても
       現役の小学生にしか見えない
       “あの子”が・・・普通に学年と
       クラスと名前入りの旧スクを
       着てるんでしょうか・・・・?;

       確かアレを採用してる
       学校ってこの辺だけでなく
       もうどこにも・・・・」





    ・・・・・・




    リヴァイ「・・・・さぁな。既にど田舎といって
       差し支えない此処よりも
       更に奥まった土地から
       出て来たのか・・もしくは

       親のおさがりを使ってるって
       可能性も・・・ゼロではねえだろ」





    ハンジ「ね、ねえねえさっきから
        二人とも私を置き去りにして
        何処見てんの?!

        旧スクは確かに旧スクだけど・・
        流石にあの風体で小学生は
        ないでしょ・・;明らかに
        ペトラとかと同年代とか
        じゃぁ・・・・?

      

        ・・・・、
      
        ・・・・・・いや・・・なんかあの髪型
        ・・・・背格好・・どっかで・・・;」
        ウン・・・?;








    リヴァイ「・・・・おい、ペトラ。
       前もこんな事があったみてえだが
       ・・・・一応確認しておくぞ」






    ペトラ「・・・・はい・・・;これ、幻覚でも
        何でもないですよね・・・;

        センパイにも・・・・見えてマスよね
        ・・・・あの子・・・・」




    リヴァイ「駅ビルの迷子案内で放送
       があったろ・・・随分前になるが
       今年迷子の放送なんてのが
       ビル内であったのはそもそも
       あの一回だけだが。

       ・・・・アレがそうだ。
       保護者もあっちに居るしな・・・・
       まず間違いねえ」





    ペトラ「ぇっ・・・!じゃ、じゃああの子が
        その・・・・ハチ・・・?クジ...
        ちゃんとかっていう変わった
        名前の・・・・」デカイリュックノマイゴサン






    リヴァイ「八九寺・・・真宵とか言ったか。
       フルネームは。字で書くとまるで
       小説に出てくる寺みてぇな
       名前だぞ・・・・・」







  133. 133 : : 2015/08/13(木) 02:48:23




    ペトラ「へ、へえ・・・・・・・しかし、
        あの・・・あそこに居る高校生の
        男の子・・?と女の子があの子の
        保護者ですか?兄弟かなにか
        でしょうか・・・?;片方の子は
        見覚えありますけど・・・」




    リヴァイ「・・・?いや。お前も言う通り・・

       アホ毛が逆立ってるアイツは
       俺がミスドに居た時に何度も
       金髪の幼女と同伴で来店して
       来てたが・・・もう片方のあの
       ショートカット女子は見覚えが
       ねえ。
       
       ・・・今日はあの
       ドーナツ人形は居ねぇのか。



       ・・・・しかしあいつは気が付けば
       何かといつも違う女子を
       連れてるんだな・・・・(訝しげな目)」





    ペトラ「そ・・・・そんなに軽い感じにも
        見えませんけど・・・;それに
        あのスク水の子はどう見ても
        妹か何かってくらいの歳ですし
        ・・・・考え過ぎじゃあ(;'∀')」






       
    リヴァイ「・・・どうだかな。しかしあの
       アホ毛はともかくとして・・・
       片割れのあの包帯少女・・・
       断片的にしか聞こえなかったが・・

       相当アレ(▪▪)な性格かも知れねぇ。

       聞き耳を立てていた訳じゃねえが
       ・・・・さっきからものの5分位の間に
       放送禁止用語が既に3つは口から
       飛び出してるぞ」















    ―リヴァイ達のべーべキューエリアより
     十数メートル離れた地点―









    ???「“小五”の“ロリ”によって
       初めて開かれるという・・・
       “悟り”の扉・・・・・!

       なぁ、阿良々木先輩・・・・!
       こんなにまでも天気の良い
       澄み切った青空の下、煌めく
       河原の水面と戯れるスク水幼女の 
       姿といったら・・・・!!

       それはそれは眼福なのであろうな
       ・・・・・!!」グッタリ・・・




    暦「・・・・・」





    河原の畔、適当な木陰となる位置に
    申し訳程度に設置された折り畳み式
    簡易パイプ椅子に腰かけ、


    世界王者に力及ばず燃え尽きた
    挑戦者のような面持ちでぐったりと
    微笑んでいる短髪少女の姿と・・・・

    その隣でパイプ椅子に腰かけながらも
    背を丸め、膝に着いた頬杖で支えた顔を
    無気力にそちらの少女に向ける
    青年の姿が・・・そこにはあった。


    青年の出で立ちはフード付きの
    半袖フルジップパーカーにジーンズと
    スニーカー。外出時には汎用性を
    発揮する無難な格好かも知れないが
    川遊びに限定するなら即水に
    入っていける訳でも無い為あまり
    この場に適した格好とは思えない。




    ・・・実の所本人には遊泳に勤しもうという
    意思も故在って存在しない為、川遊びに
    来ている身の上ではあってもその服装に
    不便さは別段無かったりもする。




    ・・一方隣の少女の格好は白い無地の
    オーソドックスなTシャツにスパッツ、

    そして水陸両用で走破できる
    通気性抜群の五本指シューズ、という
    軽装であるが、怪我でもしているのか、
    左腕は五指全ての指先から肘の上まで

    しっかりと巻かれた包帯に
    覆い隠されている。

    ・・・・が、これと言って動きに何か
    支障が在る様にも見受けられない。





  134. 134 : : 2015/08/13(木) 02:50:20





    暦「・・・・折角ついてきてもらって
      悪いんだけど・・・そういえば
      そうだったな・・・・;

      神原・・・お前には・・・・確か
      八九寺の奴は・・・:」



    ガバッッ!!!!





    神原「まったくだっっ!!!

       先輩がっ・・・!!阿良々木先輩が
       あろうことか、すでに絶滅の
       危惧さえ指摘されている

       旧スク幼女(しかもツインテール)を
       お披露目してくれると鼻息荒く
       この私に言い放ってくれた事で・・

       私がどれだけこの日を心待ちに
       していたか・・・・っ!!!!(悔涙)」
       ブルブルブル・・・!!








    暦「・・・・そ、そこまで糾弾されるとは
      思ってなかった・・・・;って

      イテテて・・・ッ!痛いイタイ!!!
      止めて下さい神原様!!

      っつかマジでストップ!!!

      ふ、・・服がやぶけちゃうだろうが!!」
      ギリギリ。。。。




    神原「何故だ!!?  何故阿良々木先輩に
      見えて私には見えないのだっっ!!!?

      幼女に対する信仰がまだ足りて
      居ないとでも言うのか!!?(血涙)」





    暦「その物言いだと、まるで僕が
      幼女偏愛の極致に到達した
      究極のロリコンみたいに
      聞こえるだろ・・・・誤解を招く
      発言は止してくれ。

      ・・心配しなくても小五ロリに対する
      情熱ならお前の方が遥かなる
      高みにいるよ...;

      お前に見えないのは別の理由だから」








    神原「阿良々木先輩はなんというか・・
      時々自分をこれでもかというくらい
      低く見た言い方をするな。

      私が・・・阿良々木先輩を超える・・?

      笑止っ!!!!私など、まだまだ
      悟↗リの入り口にも到達していない!!

      ・・・・阿良々木先輩と見比べればな!!」





    暦「久しぶりに全然褒められてる
      気がしない褒め殺しがきたな!!」
       





    神原「この昂ぶったスク水への想いを・・・
       私は一体何処へぶつければ
       良いというのだ・・・・(溜息)

       いやもう寧ろ阿良々木先輩が
       私にぶつけてはくれないだろうか。
       思春期に猛り狂う、壮絶な
       情欲をっ・・・・!////

       幸い辺りは何処を見ても山なので
       茂みなど探さずとも幾らでもあ(ry
       (ハァハァ(*´Д`))





    暦「ん・・・・・あ、いや、待てよ!!
      神原、オイあれ・・・・!!」ビッ・・
      カレイニスルー!!





    神原「・・・?...・・・・・・ぁ


       ・・・・アレは・・・!?(;゚Д゚)」





    青年の指差す先には何と・・・歳の頃こそ
    現役小学生ではないものの、紛れもなく
    複製品でも何でもない正規品の旧式
    スクール水着を身に纏い、輝く銀の
    短髪に眼鏡を掛けた女性の姿が。





    神原「何という事だ・・・・!

      か・・・神よ・・・・・・!!!!(ガバッ!)


      スク水の神は私を見放さなかったぞ
      ・・・・阿良々木先輩・・・・・!!!」
      ザシャッ・・・・




    暦「・・・・そんな神様は八百万の
      種類の中にも存在しないと思う」





    既に公の場では殆ど観る事すら叶わない
    絶滅種を拝む事が出来た事で
    余程感銘を受けたのか、河原に散らばる
    玉石の上に何の躊躇いも無く跪き、
    頭を垂れる神原と呼ばれた少女。




    その目には寸分たりともふざけている
    様子など無く、


    更にその顔に輝く希望の光は、さながら
    信念を貫き、全能の独裁者に立ち向かう
    正義の反乱軍の到来を歓喜する
    平民の様ですらあった



  135. 135 : : 2015/08/13(木) 02:52:21




    八「アッハハハハ!!♪阿良々木さぁん~!

      ホラホラ念願の川ですよ!!
    お魚さんも一杯ですよ~~~!

      そんな所で座ってないで
      一緒に此方へ来て例の音頭を
      とってくださいよ!!

      今なら私も一緒になって
      叫んであげますから!!!」キャッキャ☆
      カワダ∼∼∼!!!(´Д`ノ)ノ




    暦「・・・・・・・」




     滅茶苦茶エキサイティングしてるのは
     誠に結構な事なのだが・・・・。

     ――それだとどの道結局は・・僕一人の
     虚しい叫びがこの河原に響き渡る
     のみという、実にいたたまれない結果が
     待ち受けているだけという事になる。






    神原「ぁっ阿良々木先輩・・・!?もしや、
       有難き幼女の御神託が今・・・!!

       阿良々木先輩だけの耳に届いて
       いるというのか・・・!?」ワナワナ・・・・
       ワタシニハキコエナイノニ!!




    暦「・・・いや・・・どうも顔の向きから
      見てもこの場に他にも数人くらい、
      八九寺の姿が見えて声まで
      聞こえてる人は居るみたいだ。

      珍しいな・・・そんなに皆家に
      何か不和を抱えてる人達には
      見えないんだけど・・・・ぁ、
      アレは・・・・。」





    神原「・・・・?;」







    暦「ミスドの店員さんじゃねーか・・・!
      こんなとこで見かけるとは
      思いもしなかったな・・・よし、
      後で挨拶でも行ってくるか・・・」






    神原「そ、そんな事より阿良々木先輩!!
      幼女は!!スク水幼女は一体
      どのような趣旨の発言で
      コミュニケーションを図って
      来ているのだっ!?

      せめて見る事も出来ない、
      聞く事すら出来ないこの私に
      通訳して教えてくれるぐらいしても
      バチは当たらないと思うんだッッ!」
      ハァハァ・・・・/////


    ガシィっ!!



    顔を真っ赤に紅潮させて彼の手を
    握り込み、そう懇願する彼女。

    例えその目に全く姿を認める事が
    出来ずとも、その存在を決して
    疑おうとはしていない。



    暦「どのようなって・・・・;

      いや、すっげーはしゃいでるよ。
      一緒にこっちきて遊ばないかって。

      ・・・ここ来るまではふくれっ面で

     “晴天の真夏日に、海にでも
      連れてってくれるならばまだしも、
      河原で水遊びですか・・・正直
      盛り上がり切れる自身がないです”

      なんてマセた事をのたまってた癖に
      いざ来てみればアレか・・・。
      所詮は小学生だな」ハハ・・・



  136. 136 : : 2015/08/13(木) 02:53:58





    神原「ぁぁぁああヽ(; ゚д゚)ノぁあああ

       ァぁあ良々木先輩!!!!

       もう辛抱堪らない!!!!私もっ・・!
       私も幼女と共に川の流れに
       弄ばれたいっっ!!!!」
       ババッ!!




    暦「ぉっ・・オイオイ神原!!

      お前それ水着とか着てないだろ!!
      一応これだけ人目があるんだから
      少しは気を遣ってくれって!!!」




    神原「ヌグッ・・・ぅう・・・・!!

       あわよくば阿良々木先輩を
       籠絡して河原の茂みでの行為に
       及ばせる作戦の為の布石が
       ・・・!!よもやこのような形で
       自らの足を引っ張る事に
       なろうとはッ・・・!」




    暦「おい・・・・まさかお前それ・・・
      水着どころか下着とかも・・・・」





    神原「無論だ!!!上にも下にも!
       今阿良々木先輩の眼に
       映っている衣服以外私は
       一切何も身に着けていないぞ!!

       その方が開放的で動きやすいし、
       色々と気持ちも昂ぶって
       くるしな!!!!(`・ω・´)
       

       何よりも阿良々木先輩と外出に
       勤しむというのに下着など
       着用していたら非礼の極みだ!!」
     



    暦「お前の中で僕は一体どんな
      礼節を重んじる変人として
      崇拝されてるんだ!!?」
      




    神原「したがってこのシャツで
       ずぶ濡れになどなろうものなら
       例に漏れる事無く私の半身は
       ほぼ何も着ていないのと
       変わらない格好となる訳だが・・

       そうなれば阿良々木先輩は・・
       少しは私に対する気持ちに何か
       変化を見出してくれるのだろうか」
       (チラチラ)フゥ・・・




    暦「それで変わるのは僕の心じゃ無く
      周囲の人目と僕等に対する
      視線の方だろ・・・・寧ろ。

      マニュアル的に言わせて貰えば
      衆目を気にして欲しいという所だし
      そう言うの抜きにして言うなら・・・
      
      戦場ヶ原という存在が居る
      僕にとってここで身を乗りだす
      訳にもいかないんだよ。まぁ、
      察してくれ」








    神原「・・・・真面目にそう言われては
       取り付く島もないな。ウム。

       ・・・で、阿良々木先輩、今
       その幼女は川のどの辺りにて
       水と戯れているのだ??」ゥウン...




    目前の河原に向かい、手でつくった
    庇の下でしかめっ面をして川を睨む少女。





    暦「そっちじゃないな・・・もっと右だ。
      結構真ん中に近い辺りを浮き輪で
      クルーズしてる。

      しかし不思議なもんだな・・・。

      僕の眼からは普通に水を掻き分けて
      時々しぶきも上がってるように
      見えるんだけど・・・」




    神原「・・・・その感覚は、見えもしない、
      気こえもしない私からしたらきっと
      説明されても理解できない
      事なのだろう・・。仕方が無い事だ。

      場所さえわかるなら私もその位置で
      共に空想上の幼女と戯れたい
      位なのだが・・・


      それでは私が一人で河原の中腹にて
      見えない何かと愉しく踊る
      要注意人物となってしまう。

      私個人が奇異の視線を集めるのは
      何の抵抗も感じ得ないが、ひいては
      同伴者である阿良々木先輩に
      迷惑がかかってしまう。

      ・・・それだけは避けねば・・・な。」フッ..




    暦「一応お前にもそういう事を考える
      脳味噌が備わってるんだよな・・
      というより神原・・・お前また髪
      切ったのか・・・・」




    神原「ぁあ。夏も近くなってきた事だし
       これ以上伸ばしても首元が
       風を通し辛くなってしまうからな。

       中々踏ん切りがつかなかったが
       ・・末摘花のような長さになるまで
       放っておくわけにもいかない。
       まあ、毛周期の都合上どんなに
       頑張っても通常そこまで
       伸びる事は無いのだが。

       ・・・そんな訳でこうして
       河原へのお誘いもあった事だし
       思い切って以前と同じ程度の
       短さに切ってしまったのだ。」




    暦「・・成程。」





  137. 137 : : 2015/08/13(木) 02:56:28




    神原「懐かしいかな?確か私と
       阿良々木先輩が初めて知り合った
       時とほぼ同じ位の長さだと
       記憶しているが」




    暦「っていうかお前・・・髪伸びるの
      早ぇーよ・・・・・;下手したらウチの
      月火ちゃんより異常な早さかも
      しれないぞ・・・ソレ・・・」






    神原「私はエロエロだからな!!!!

      
      上の伸びも早ければ下の伸長率も
      物凄いぞッ(屈託の無い全開笑顔)

      ・・・尤も常に刺激を受けていれば
      身体的な防御本能として
      伸び易くなるのは至極当然だが・・・


      毎日処理に気が抜けない!」






    暦「屈託の無い笑顔で色々と
      さらっと流しづらい事実を
      ぶちまけやがって・・・・;

      そんなドヤ顔で言われて僕にどんな
      リアクションを取れって言うんだ」





    神原「そうそう、阿良々木先輩。
       こんな話をしていてとても重要な
       事を思い出したのだ。

       阿良々木先輩が私の事を想って
       何かをしてくれるというのなら、
       リアクション等よりももっと
       重要な頼みごとがあったのを・・」
       ガッ・・・・



    “掌握”




    暦「・・・・何この手。

      ....あの。。。神原さん?
      肩に手を回すだけにしては
      随分と力が加減されていない
      ような・・・というか左腕・・・」ソワソワ・・・




    ギリギリ・・・・・




    神原「・・・・阿良々木先輩、実は・・・
       あまり大きな声で言うのも
       何なのでこうして声を潜めて
       言うのだが・・・・・!」ゴニョゴニョ





    暦「今更ッ!???もう遅いよ!!!!既にお前の
     変態性はこの河原の人達殆どに
     正しく認知されてる事だろうと思う!」





    神原「ムッ・・・そうか・・・!ならば遠慮は
       要らないな!!(爽)

       実は・・・最近一人左手でスるのに
       ハマってしまっていてだな・・!」
       ワキワキ




    暦「っ!!?  イヤ‼落ち着け神原!!
      主語が無い!!お前は一体左手で
      ナニをどうするのに執心していると
      言って・・・・・(ハッ(;゚Д゚))


      や、やっぱいい!!!それ以上
      何も言うな!!!!!」ギリギリギリ・・・!!
      ク・・クビガ・・・!!!





    神原「フッ・・・フフフフ...!!////

       とっくに私の考えていることなど
       一から穣までお見通しのクセに、
       阿良々木先輩も御人が悪い..!

       女子が1人で熱心に致す事と言えば
       アレしかあるまい・・・!アレをアレ
       するアレだ!!!!!」





    暦「全世界で熱意をもって単身作業に
      従事してる女子に謝れ!!

      ・・っていうかお前が口にしている
      その時点でどんなに暈した
      言い方したって所詮“アレ”な
      発言にしか聞こえない!!!

      分かった!!もういいから!!!
      それにハマってるのはもう十分
      分ったから!!」







    神原「ヌフフフ...///どうだ阿良々木先輩・・
       この腕の感触・・・!!こんなに
       まじまじと触れてみた事は
       一度くらいしか無かっただろう
       ・・・?///これがやってみると
       中々病みつきになってしま(ry..

    暦「そんなカミングアウトしながらも、
      夜な夜なアレな用途で大活躍
      してる方の腕で首を絞めつけるのは
      止してしてくれ!!!」グァァ・・!





    神原「何を隠そう私はカ○プヌードル
       の商標を見つめているだけで
       “濡れるッ!!!!”と叫びたくなる
       位には妄想力豊かな情動中枢を
       完備している!!したがって
       阿良々木先輩!!

       ・・・・そんな言葉でこの私に
       恥辱心を与え、あわよくば
       この拘束から脱する機会を
       伺おうと云うのなら・・・それは
       全く以て浅い公算としか
       言い様がない!!
       率直に申し上げて逆効果だ!
       
       私の変態性をあまり見縊らないで
       もらおうか!!」
       ギリギリギリ・・!!

  138. 138 : : 2015/08/13(木) 03:03:01






    暦「いや!僕はお前の変態性(ソレ)について
      不当に低く評価した覚えは
      これっぽっちも無いぞ!!?

      寧ろ後輩でありながらそう言う
      部分に関してなら僕はお前を
      ある意味大先輩として仰いでいると
      言っても過言じゃ無い!!いいから
      とにかくこの左手を・・・!」




    神原「しかし拘束の解除を懇願する
      立場である阿良々木先輩からすると
      非常に残念なお知らせであるが・・!!
      まだ私の話は終わっていないぞ
      ・・・・阿良々木先輩!!

      私は・・・それについて一つ、
      どうしても阿良々木先輩に
      頼み込まなければならない事が
      あるのだ・・・・・!」ズイッ・・・




    暦「無視かよオイッ!!!!っていうか顔が
      近すぎるって!!!!
      (途轍もなく嫌な予感)」








    神原「実はな・・・!最近夏季の訪れに
       伴って解放されていく女子の
       性がそうさせるのか・・・殊更アレが
       過激化していくにあたって、

       どうしてもBL小説のみでは
       起爆剤としての火力に
       欠けるのだ....!(悲しげな瞳)」
       グッ・・・







    暦「おい・・・ちょっと待て・・・!今まで
      活字で十分ハッスルしてた癖に
      今になってBL小説で物足りなさを
      感じるって・・・お前まさか・・!

      それで青少年健全育成条例に
      縛られてるこの僕によもや成人向け
      雑誌でも違法に入手させようと
      いうのか!!?」




    神原「ふふ・・・・流石は阿良々木先輩。
       浅はかな私の考える事など
       既にそこまで見通していたか・・・!
       千里先までお見通しとはまさに
       この事だな・・・!」




    暦「自分の欲求に一直線なお前の
      考えそうな事なんて、見通すも何も
      底が透けて見える程の透明度だから!

      サルガッソ海並の透過率だから!!」




    神原「ぅむ!猿だけにな!」





    暦「誰が上手い事言えと言った!!!」




    神原「・・・・だがしかし!!

       今回私が阿良々木先輩に所望する
       ブツは・・・並大抵な物では無いぞ・・!

       私は遂に究極のエロスを追及する
       あまり・・!種族の壁という垣根をも
       踏破するに至ってしまったのだ!!」
       カカッ!!!(左手ワキワキ)






    暦「種族の・・・壁・・・ってお前まさか・・!」
           (;゚Д゚)





    神原「そう・・・!小学4年からの7年間
       という長きにわたる性生活を
       謳歌してきた私にとって・・!

       只の成人向け雑誌などでは
       最早足りない....!

       “(\バキューン!/)姦 ”モノを!!!

       一心不乱の“獣(\カンッ♪/) ”モノを!!!!」
       (力強い握り拳)






    暦「4年生からのカウントって
      そういう区切りだったの!!!?

      っていうか思ってたより
      遥かに重症だった!!(焦)」



    神原「心配御無用だ阿良々木先輩!!!
      動物園の猿も来園した女性客に対し、
      そのような気分を催す事が
      少なからずあるらしいぞ!!

      催すだけでは飽き足らず何と
      ××××(\ピー☆/)しだす事すらあるらしい!」
      フンフン//!





    暦「その逆は流石にねえよ!!!!」
      イロイロナイミデ!!


  139. 141 : : 2015/09/21(月) 01:24:46





    ―河原・リヴァイエリア―








    ぺトラ「最近の子達って凄いですね・・・!」
       (脂汗...)




    リヴァイ「いや・・・最近の若いのが
       皆ああだとは思いたくねえ俺が
       ここにいる。」




    ハンジ「やぁーーやあやあ!肉の方は
       首尾よく焼けてるかな!?

       いやぁ、お陰さまで大繁盛だよ!
       やっぱり皆これが何の肉だか
       当てられないみたいだね(クックク)」
       モグモグ




    リヴァイ「無償でやってんだ。会費も
       何も発生してねえ以上繁盛は
       してねーがな・・・それよりお前・・・

       コイツが何の肉か公言しないで
       配布してやがんのか・・・・?(汗)」
       ジュゥゥウ・・・・



    ハンジ「ん!まあね!何の肉だか
       当ててみて!当てられたらウチで
       在庫処分に困ってた洗剤を
       プレゼント!!ていう企画だから」
       モッグモッグ




    リヴァイ「ムンバの店長辺りなんか
       そんな得体の知れねえモン絶対
       口にしねぇだろ・・・・;

       飲み水も一箱六千円する富士の
       ミネラルウォーターしか飲まねぇって
       聞いたぞ・・・・」




    ハンジ「ご明察!!(爆笑) 
       さっきなんかさぁー!その、
       ムンバの店員があっちでカニ
       捕まえてさ!!」



    リヴァイ「カニだと・・・?そいつが沢蟹だと
       したなら・・・相当水質が改善されて
       なきゃ奴らは居着かないって話を
       耳にしたことがあるが・・意外にも
       水は綺麗になってやがるのか」





    ハンジ「そそ!それでともかく
       そのカニさ!大きさは小さいけど
       2、3匹見つけたもんだから一人が
       焼くなりして食えないかなって
       言い出したら・・・・↓↓↓




    (以下回想)
    ・・・・

    ・・






    ミタビ「おい見ろリコ!!カニだ!!
       カニだぞ!!!?」ハハハ!チッセーー!





    リコ「・・・結局水着を着てきた私より
      普段着でずぶ濡れになったあいつが
      一番はしゃいで遊んでるって何事..」




    イアン「はは・・・カニか。確か沢蟹は
       素揚げが美味いんだったな。」




    ミタビ「おおお!!そりゃ良い!
       ビールが進みそうだな・・・!

       よし、この調子でもう3~4匹は
       捕獲して帰って酒のお供に
       なって貰おうか・・・!」フハハハ・・
       ジャバジャバ・・






    リコ「楽しそうで何よりだ(生温かい目)」






    キッツ「・・・何をしているのだ貴様ら。
       さっきからどうもこの辺を
       ブンブンとうるさく飛んでいるのが
       いるんだ・・・気をつけろアレは
       きっと・・・・!!!」ガクガク・・・






    ミタビ「あぁ店長!!ホラこいつ!!
        見てくださいって!カニですよ!
        帰って酒のつまみにしようかと
        思って!!!」(ワキワキ...)






    キッツ「・・・・・??!?

        何をしておる貴様―――ッ!!??」
        パシッ!!




    ッッ....ポチョム。






    ミタビ「うぉぁっ!?!!??
       て、店長あなたこそ何をッッ!!?
       折角のつまみが・・・!!」NO!!!
       アァァンマリダァァァ!!;;;





    キッツ「貴様の目は節穴かッ!!?
       あの体躯・・それに暗色斑の甲殻・・!
       "スベスベマンジュウガニ"だったりしたら
       どうするつもりだ!!?(ガタガタ・・!)

       アレ一匹で貴様ら成人3人を
       死に至らしめる猛毒がッッ・・!」
       ブン....





    リコ「アッ・・て店長・・肩にアブが・・・!」
      ウゴカナイデクダサイ・・!(ソロ~~・・・) 





    キッツ「ッッ・・・!!(蒼白)


       ツェ・・・・ツェツェバエだぁぁあ!!!!
       全員虫除けを直ちに吹きかけろ!!!
       トリパノソーマにかかって
       死ぬぞォォオオ!!」ギャァァアア!



    ・・・

    ・・




    (回想・終わり)
       


  140. 142 : : 2015/09/21(月) 01:26:34


    ハンジ「・・・とかいってw!!

        とか言って!!」ギャッハ!!
        バン!バン!





    リヴァイ「スベスベマンジュウガニは
       淡水にゃ居ねぇ筈だし
       ハエの方は確かに怖ぇ昆虫だが
       まだ日本で見つかったって
       話は聞いたことがねえよ」
       ドンダケビビリナンダ。。。




    ぺトラ「っていうかさっきから
       ハンジさん、そのモグモグ
       してるの・・・それ」




    ハンジ「ああ!見りゃ分かるだろ?
        焼きそばだよ!さっきミケに
        渡されたんだ!!」」ンマイゾッ!
        (顎強調)






    リヴァイ「・・焼きそば・・?カレーは
       ムンバで出してて・・焼きそばは
       何処が出してんだ・・?」





    ハンジ「あれ・・・そういやそうだね
        ・・・ってか見たほうが早いや・・

        さっきあっちで鉄板がジュウジュウ
        と・・・」




    ぺトラ「あ、見てきますか?
       火加減見るくらいなら私でも
       いけますから任せてください!」
       ビシッ





    リヴァイ「そうか・・・じゃ少しだけ頼むぞ。
       何だかんだ言ってこっちも
       遅れて参じた身だ。挨拶周りは
       済まさないとな」






    ―中華レストラン従業員エリア―




    ジュゥゥウウ・・・





    ハンジ「うわっ行列すげッ☆」






    リヴァイ「これじゃ金取った方が良いだろ…
       しかしそんなに旨いのか・・・? 」
       ドレ、スコシヨコセ




    ハンジ「ほい。」ハシッ





    リヴァイ「(モグモグ。。。)

       ..成る程、キャベツの火加減が
       絶妙だな。これだけ冷めて
       旨いとなると出来たてはさぞ・・・」
       ピタ・・・





    と、そこまで言いかけてリヴァイの視線が
    一箇所に固定された。





    李「あ・・・・・・お隣さん。

      すみませんね、今なんか行列
      出来ちゃってまして・・・並んで
      頂ければまだまだありますので
      少し待ってもらっても?;」


    ジャッ・・・ジャッ・・・  ジュゥウアアアア・・・・




    ハンジ「アレアレ!??!?ちょっと
       李さんじゃない!!?
       どうして此処に居んの?!」





    リヴァイ「駅ビル勤務だったのかあんた・・!?」


  141. 143 : : 2015/09/21(月) 01:29:10



    李「ええ、まあつい最近はじめた
      ばかりだったんですが・・最上階の
      中華料理レストランで。

      ・・とはいってもウェイターですから
      キッチンじゃないんですけど(笑)」
      ジャッ・・ジャッ・・・  カッ・・カッ




    そう言いながらも非常に慣れた手つきで
    ヘラを打ち鳴らす彼。




    リヴァイ「あんたは普段の自炊で充分
       調理スキルを高めてるからそれで
       充分この味が出せるんだろ・・

       ・・・隣に居てすげぇ良い匂い
       するからな」(ホントニウマイゾ)





    蘇芳「ヘイー!!ヤキソバおかわり!!」
      タカタカ・・・・



    そこに空のプラスチック茶碗を
    掲げて駆けつける長い一つ縛りの
    お下げを揺らす一人の少女が。



    ハンジ「・・・・ん?!」



    蘇芳「あ」




    リヴァイ「・・・なんだ?知り合いかお前ら・・」





    ハンジ「風邪薬買いに来た男の子!!」ビッ
    蘇芳 「薬屋さんのお兄さん!!」  ビッ
       (①黒の侵略者~参照)





    ハンジ「わ、私は実はお姉さんなんだよ!?

       ほら、色々と部分的にも
       平らじゃ無いだろ?!」(涙)
       ナ!?ナ?!!;;;;




    蘇芳「ボクだって男の子じゃないよ!!!」
       ꐦ°᷄д°᷅)イマハ ズボン ハイテルケド!!






    リヴァイ「お前が間違われるのは分かるが
       そいつが男に見えるっってのは
       お前・・・どうなんだ・・・」




    ハンジ「私が間違われるのを
       納得すんなよ!!(涙)最近の原作を
       よくご覧!?!私すっごい美形に
       なってきてンの!!!原作の
       初登場時とは大違いなんだって!!」
       つ17巻  つ月マガ




    リヴァイ「話を逸らすな。今話してたのは
       お前のそのだらしねえ視力に
       関してだろうが・・・いくら一人称が
       "僕"でもこの外見で間違えるか?」





    ハンジ「・・・・いや・・・そう言われてみれば
       ・・・なんかあの時薬を買いに来た
       時より・・なんか髪の毛凄く長く
       なってない・・?お嬢ちゃん・・??」




    蘇芳「・・・・・あ!・・・・・ああ、
      そうか・・・そうだったんだ、
      そういえば・・・ おーい、、、

      どこーーーー?紫苑~~?」




    紫苑「どうしたの・・・蘇芳。」ヌッ・・・




    ハンジ「うぉ・・・・!!」



    リヴァイ「おお・・・・・。」





    蘇芳「弟の紫苑だよ。そういえば
      あの日は一緒に薬買いに
      出かけたんだっけ・・・?」




    紫苑「・・・お姉さんをお兄さんと
      間違えたのは蘇芳だけどね(微笑)」





    ハンジ「まるっきし同じ顔・・・・!?」




    リヴァイ「おさげ以外はほぼ同じ・・・
       いや、本当にソックリそのままだな」





    紫苑「僕らは双子だし・・まあ当たり前と
      いえば当たり前って気もするけどね」



  142. 144 : : 2015/09/21(月) 01:31:59




    李「お待たせしました、どうぞ~」
      つ ヤキソバ



    ハンジ「おっほ~~!!ウマそう!!

        喰っていい??!」




    リヴァイ「悪いな、急がせてしまって。


       ・・・メガネ、テメェはもう既に
       喰ってるだろうが・・・・」
       ダイエットハイイノカ・・・;






    李「あ・・・・そういえばお隣さん、
      ちょっといいですか?よその
      部屋のことで聞きたいことが
      あるんですけど」




    リヴァイ「・・・・・何だ?」




    李「僕、家にいる時間の都合で昼間
     大家さんから連絡とかが来てると
     いつも話聞くの遅れてしまうのですが

     ・・203号室の事って何か聞いてますか?」
     ジュゥァァ・・・!!  カッカッカッカ・・・





    リヴァイ「ああ・・・・俺もそれについては
       兼ねてより気になっちゃ
       居たんだが・・・・・

       どうにも道中トラブルが
       あったらしくてな。その
       203号室の主なんだが・・・。

       ちょっと前の俺の様に携帯電話を
       持って無いって話だ。

       ・・・つまり何かがあったらしいって
       事までは分かってるそうだが・・・・

       依然として連絡が付かないらしい」





    李「それって・・・警察に連絡した方が
      いいんじゃ・・・・;」ジャッジャッ・・・・
      




    リヴァイ「俺もそうは思ったんだがな・・・
       
       何せあそこじゃ俺は二番目の
       新参だ。美鈴さんがそれでいいと
       判断してる以上・・・・その203の
       人って奴は・・・まあ、そういう
       一風変わった人間なのかもしれん」





    李「ああ・・・!そういえば少し前に
      また一人越して来られましたね。

      ・・・・何か詳しくは聞いてませんが
      一人で二部屋借りるとか何とか・・・」






    リヴァイ「・・・・もしソイツについて厄介な点や
       気が付いた事があったら・・・

       俺にすぐ教えて
       貰えないだろうか・・・・;
       (深い溜息)

       奴は・・・不肖の身内でな。
       兎に角何を考えてるか全く
       想像が及ばねえ。」






    李「え!??あの人・・・お隣さんの
      身内さんなんですか?!」
      カチャカチャ・・・




    リヴァイ「ああ・・・・残念な事にな。

       引っ越しの挨拶に随分と
       傍迷惑な贈り物を置いてったと
       思うが・・・・本当に申し訳ない
       事をした。処分しきれなかった
       分がもしまだ残っているなら・・」






    李「そんな!!とんでもないですよ!

     あの生の麺があったおかげで
     一日食費が浮いたんですから・・・!

     親戚のあの子達もそれはもう
     大喜びで。。」








    蘇芳「おソバおいしかったよ!!!」
       ニッコニコ








    リヴァイ「(いや・・・しかし例え子供二人
       が一緒に喰ったからって・・・
       
       "あの量"で・・一食分・・・だと・・!?)」





  143. 145 : : 2015/09/21(月) 01:37:11




    ハンジ「(モグモグ)んやぁ・・・・;

       ラーメン屋の有様を見たときも
       その片鱗は既に垣間見せていた
       けど・・・李さん、ハンパないな」
       カレノイブクロハ・・サルノワクセイダ・・・





    ピンポロパンポン♪ピンポロパンポン♪





    ハンジ「お」





    リヴァイ「・・・・・!誰だ・・・・????

       おまえがここに居て・・・しかも
       ペトラも肉焼きの真っ最中
       だって時に・・・・?」





    ハンジ「あたしら以外に電話かけてくる
       人間いないんかい!!!!;」ビシッ






    リヴァイ「ああ・・これが割とな」
       





    ハンジ「・・・・・・・」






    ・・・不意に鳴動する携帯電話の画面を
    凝視し・・・そこに表示されている番号が
    自分の記憶には無いものであることを
    確認し、しばし逡巡するリヴァイ。




    ・・・・しかし画面を睨んでいても
    仕方が無い。





    リヴァイ「・・・・・・、」PUSH




    <~~~~☆~~★****>






    リヴァイ「・・・・・・・???」




    電話の応対ボタンをタッチし、
    無言でそのスピーカーに耳を澄ませた
    リヴァイの聴覚に届いたのは・・・何やら
    非常に騒々しい快音、雑音、爆音の
    数々。・・・・しかし程なくして・・・・





    <おおう、リヴァイ!!やっと出おったか!!>






    リヴァイ「その声・・・・ザックレーの爺さんか」




    電話の向こうで相当良いことでも
    あったのか上機嫌な様子で大声を
    上げたのは・・・・現在リヴァイがアルバイトを
    務める書店の現店長・・・・


    即ち、ダリス・ザックレー本人であった。



    <ぁあ~~?!よぅ聞こえんわ!!
     もっと大声で喋ってくれ!!!

     今ちょうど上級魔戒騎士へと
     位が上がったところでな!!!!>
     ゥハハハ・・・!!!!(ジャガガガ・・・・)






    リヴァイ「(・・・相当景気が良い事になって
        やがんな・・・・)」





    ハンジ「んなになに??どしたの??

       誰からの電話だったの???」





    リヴァイ「ウチのパチプロ爺さんからだ。

       たった今駅前ロータリーのホールで
       バブル最盛期らしい。・・・相当
       機嫌が良い様子だぞ。


       ・・・・明日以降の崩壊が怖ぇな」




    <~~!~~~っ!>






    ハンジ「ぁあっ?リヴァイ??
       なんか言ってる言ってる!!
       聞いてあげなよ!」






    リヴァイ「それがどうした爺さんよ・・・!

       幸せ自慢なら例のパチ仲間の
       殺傷能力がありそうな位に
       尖ったアゴのお友達だけに
       しといてくれ。

       生憎俺はバイトでしかその
       領域に足を踏み入れた事が
       無いんだ・・・・!・・・・分かったら
       切るぞ・・・・?いいな・・・?!」グッ






    <オイオイオイオイ!!!待て待て!!!w

     こうしてわざわざ連絡した理由が
     自慢話だけな訳がなかろう!!

     今河原じゃ店ぐるみで飲み会
     やってるって話だったろう!?>






    リヴァイ「飲み会でなく・・・バーベキューな。

       …尤もあんたは店同士の親睦会
       より玉遊びを優先したようだが」






  144. 146 : : 2015/09/21(月) 01:39:35




    <ダッハハハ!そう言ってくれるな!!w

     お前とて当初は何の趣味かは知らぬが
     家に塞ぎ込む気満々だったではないか!

     それがどうした心変わりだ!?

     ・・・・まあいい!まずはこうして
     電話をよこした用件を・・・、む!?
     コイツを外すか・・・!(ドガッ)

     ああ、そうそう!用件だな!!>





    リヴァイ「・・・・爺さん、遊戯台に
       正拳突きしてはいけねえって
       但し書きが目に入らねえのか」
       (溜息..) 




    <まあまあ、細かい事を気にするな!!>






    リヴァイ「・・・・で、何なんだ一体・・・。

       収支報告以外に一体何の用事が
       あってこんな時に・・・・(呆)」




    <これだけ出ちまったらな何かに
     使わんと流石に勿体ないだろう!!

     そこに集まってる人数、ザックレ...
     ああいや、ザックリでいいから
     教えろ!!人数分のアイスをクーラーボックスに
     詰めて持ってってやるわ!!!!>




    リヴァイ「・・今不発に終わった痛烈な
       オヤジギャグさえあればこの距離なら
       ギリギリ保冷材も必要なさそうだが」





    ハンジ「??、、???」




    <面倒な事はいい!まあ、大体の
     人数を教えておけ!!何人くらいだ?!
     (ジャララララ・・・・)>





    リヴァイ「・・・(溜息)そんな事一々把握
       仕切れるか・・・従業員だけでなく
       身内を連れて来てるのも居る。

       ・・・・余ってもいいなら40個ありゃ
       足りるんじゃねえか」




    <なんだそれっぽちか!!分かった!!!
     駅一階の51アイスクリームで纏めて買って
     持ってってやるわい!!>





    リヴァイ「・・・・駅中店舗が纏めて休業だから
       こうなってるんだってのを
       忘れちゃいねえか・・・爺さんよ」





    <そうか!!wそれもそうだったな!!
     ・・ならばハゲダッツで40個だ!!!

     (ペカッ♪)ダハハハハッ!!
     また同じプレミアを出しおったな!!?
     他のヤツは無いのか!?(カポッ)>
    /オゥオーーオオオオオー(´Д`)オオオーオーオーオーヲォー\






    リヴァイ「・・・まだ続いてるってんなら
       終わったら即ヤメしとけよ・・・・。
       あんたがアイスを持って来た頃には
       全員引き上げた後ってオチも
       有り得る」




    <ツー・・・ツー・・・ツー・・・>





    リヴァイ「(溜息)...」




    ハンジ「結局何の話だったの?;」




    リヴァイ「馬鹿勝ちで機嫌がいいから
       ここに居る全員分アイスを買ってって
       やるってよ・・・・。
       喜べ、ワンカップ200円以上する
       高ぇ奴を買ってくるぞ」





    ハンジ「ウホッ・・・なんという太っ腹・・・!?;

       というか聞いてて思ったんだけど
       リヴァイあのさぁ・・・、仮にも
       店長なんでしょ>?あの御爺さん。
       ジジイ呼ばわりってどうなの;」
       





    リヴァイ「言わなかったか。ザックレー爺さんは
       ・・・エルヴィンとの繋がりで既に互いに
       面識があんだよ。もう10年来の
       付合いにはなるか。

       俺がパチ屋でバイトしてた時も
       しょっちゅう常連として来てた
       しな。」




    ハンジ「あんた・・・パチンコ屋でも
       バイトしてたっけ・・・??;」





    リヴァイ「一々教えてはいないからな。」





    ハンジ「・・・・ぅうん、まあ、何というか
       細かい事気にしたら負けな気が
       してきた・・・・・。。」ガックリ...





  145. 147 : : 2015/10/20(火) 00:37:39







    ~現在公開可能な情報㊴~






    ―駅構内店舗とその従業員達―




    現在リヴァイの勤務先である書店を
    内包する通称駅中店舗
    (厳密には駅中ではない)に勤務している
    従業員達は、やはり比較的に原作世界で
    近しい者達ほど期せずして同じ店舗に
    落ち着いている率が高い。


    ここではその一部を何となく解説。



    ①ドラッグストア・イサヤマハジメ


    ご存知ハンジ、ぺトラ、ナナバ、
    ミケを初めとし、それら早番メンバーに
    対を成す形で遅番メンバーに、

    ニファ、イルゼ、ミーナ、モブリット..

    等の面子が揃っている。現在は
    駅店舗休業中の為他店舗への
    ヘルプ出張中。


    遅番早番の区切りは本来社員が交代制、
    アルバイトが自由選択性であるが、

    現在常連の遅番メンバーである
    ニファ、イルゼ、ミーナの三人は
    “何故か”非常に馬が合う様子なので、
    ほぼ夜勤の固定メンバーの様な
    扱いとなっている。




    ②ムーンバックスカフェ


    リコ、ミタビ、イアン、キッツといった
    駐屯兵団メンバーの密集地。最近は
    アイスクリーム屋より背伸びをしたい
    お年頃のJK達の屯し場と化しつつある、
    大手喫茶店チェーン。

    店長が極度のビビリである為、発注ミスや
    仕入れの不備が殆どといって良い程無く、

    また、その下についている社員はおろか
    アルバイトも優秀な人材である為、
    改札真横という立地条件も手伝って

    駅中店舗中最も安定した収支を
    キープし続けている。





    ③木陰山荘


    駅ビル4階の隅に存在する登山用品店。
    後述の理由で来客頻度がとても少ない為、
    エルド、キースの2人のみで
    回せてしまっていた・・・

    ・・・・・が、又々後述の理由もあり、近頃は
    店員を急募している。





    割と“ちゃんとした”メーカー品の
    登山用品が取り揃えられて居る為、
    それらの単価も相応に“ちゃんとして”
    おり、一言で言って結構お高い為、

    これまでさして登山ブームがやってくる
    気配も無かった内はそこまで来客数が
    昇り調子に働きかける事もなかった。


    ・・・しかし。最近になって村興しならぬ
    町興しに等しい露骨なまでの
    “某ゆるふわ登山アニメ”との
    タイアップが起爆剤となり、
    登山ブームに雲の切れ間が訪れる。


    ・・・コレにより“微妙”な勢いで
    そっち方面の巡礼を態々こなしに来る
    にわか登山客も何故か急増。



    “どちら”の客層にも対応可能な様に
    登山用品の大幅追加発注、そして
    不本意ながら、当然“そちら”の客も
    確保する為アニメのキャラグッズとして
    ガチャポンをも大量設置。

    ...結果飛ぶように繁盛しているという。


    ...が、やはり来客の急増に伴い、
    近頃2人で店を回すのは流石に
    しんどくなってきた模様。


    故に、空調修理に充てられた連休は
    2人とも丸々休暇に費やしており、


    河原のバーベキューにも不参加である。



  146. 148 : : 2015/10/20(火) 00:39:17







    ④かわだ書店



    駅ビル4階の割と広スペースを占める
    書籍売り場。文房具売り場も内包している
    都合上、その店舗スペースは4階フロアの
    大半にまで及んでいる。

    現在のリヴァイが勤める
    バイト先でもあり、店長は件の
    ギャンブル爺さんこと、ザックレーが
    勤めている。...勤めているが、

    早番、遅番問わず出勤から定時まで
    店に居る事は殆ど無く、更に最寄の
    パチンコホールが新台入れ替えを
    行う日は例外無く欠勤する。


    ・・・そして例え最寄のパチンコホールが
    店休日であったりしても、結局遠出して
    隣町のパチンコホールに勝負しに行く為
    その場合であってもやはり休む。


    リヴァイ以外にも当然店員は居るのだが
    全員女性で、筋金入りの活字中毒者(ビブリオマニア)であり、
    対人コミュニケーション力、つまり
    今風に略して『コミュ力』が
    若干不足している模様。


    彼女達に至っては仕事中でも
    気付けば平気で本を読んでいる。


    店長があまり普通の人間では無い上に
    書籍の発注の大半もやはりそういった
    一風変わった人種に任されている為
    その品揃えは他の書店と一線を画す。
    (棚一つを丸々占拠しての、
    『呪術』&『BL』コーナーという
    カオスの極みとも言えるシマが存在する程)


    何故か書籍より文房具の売れ行きが良く、
    最も最近の売り上げ記録では領収書も
    切られていない“個人の購入”で、
    『ホチキスの替え芯』一ダース分に加え、
    『ステンレス製分度器』が200枚一遍に
    購入されている。



    ・・・どうやら客層も普通ではないらしい。





    ⑤中華レストラン~日比香~




    リヴァイの居室の隣人にして
    リヴァイ並みの転職頻度を誇る、
    李さんこと李舜生(リ・シェンシュン)の現在のバイト先。


    意外な事に当店舗における彼の
    作業内容はキッチンにおける調理....
    ではなく、接客、つまりウェイターである。


    色々と謎の多い彼であるが
    連休の直前にバイト場を移した事に
    何か裏があるのかは不明。






  147. 149 : : 2015/10/21(水) 22:25:35






    ~河原・ぺトラエリア~






    ぺトラ「...~.....」





    串打ちされた熊肉の火加減を見ながら
    周囲を一瞥するぺトラ。

    当然休日の河原というだけあり、
    駅中店舗の従業員以外にも相当な数の
    レジャー客で周囲は充分な賑わいを
    見せていた。




    ・・・・と、そこへ



    蘇芳「お姉さん~そのお肉頂戴~♪」

    紫苑「.....」



    殆ど同じ顔をした双子が現れる。




    ぺトラ「あ、はいはい~、幾つかな?

        (確か・・この子って・・先輩の部屋
        の隣から出てきた・・・・)」
        ガサガサ・・



    蘇芳「ヘイの分もだから,,,3本ね!」




    ぺトラ「うん、じゃ三本でね(..ヘイ?)」

       ガサガサ・・・・



    ピタッ・・・



    ぺトラ「(あれ・・・待って??そういえば
        この子・・・ロシアから来たとか
        何か・・・お隣さん言ってなかった
        っけ・・・・?;)」




    ぺトラ「(あっちって熊食べる習慣とか
        あったっけ・・・・;?

        ま、まあ頼まれた以上
        渡さない訳にもいかないか・・・)
        はい、どうぞ。」





    蘇芳「有難う!ヘイ~~!お肉貰ったよ~」

      パタパタパタ・・・・







    ぺトラ「~~~~(ニコニコ)」
       ヒラヒラ~




    笑顔で手を振って見送るぺトラでは
    あるが・・・




    ぺトラ「(しっかし...先輩の為に迷わず
        火の当番を請け負ってしまった
        けど・・・・!)」ウツラ・・・ウツラ・・・



    既に自身に襲い来る睡魔もかなりの
    猛威を振るっていた・・・・。





    ぺトラ「(これ・・きっともうスリープ以外で
       誤魔化せるアレじゃないわ..
       完全に眠○打破じゃ駄目...)」
       フラフラ・・・・




    リヴァイ「遅くなって悪かったなぺトラ・・
       今戻った。」




    ぺトラ「ッ!!お、お帰りなさい!!
       先輩!!!」ガバッ!!!




    リヴァイ「お前・・・今相当ヤバイだろ・・・。
       もうこっちは大丈夫だ。

       お前は・・・メガネの車の
       後部座席でも使って一眠りしてろ」
       チャラッ・・・・


    彼女に迫る睡魔の凄まじさが
    どれほどのものか容易に想像できる
    らしいリヴァイは・・・有無を言わさず
    ハンジの車の鍵をぺトラに手渡す。




    ぺトラ「あっ・・・・有難うございます・・!

       何かもう・・・さっき肉を取りに
       来た子も2人にぼやけて見える位
       眠気ヤバいんですよ・・・!

       ぁ、、、ありがたく・・そうさせて
       ....。」ヨタヨタ,,,,



    リヴァイ「そいつは・・・多分お前の
       見間違えとかじゃなく普通に双子
       だったと思うが・・・。まあ、
       取り敢えず行って来い・・・・

       大丈夫か?車まで・・・負ぶって
       やったほうがいいか。この通り
       足場が悪いからな」




    ぺトラ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
    (睡魔の影響で脳内処理速度減衰中。)




    ぺトラ「・・・・・・・・お、、......」





    ぺトラ「・・・・....負..ぶ,,,!?!?!?」
       /////////カァァァ....!!




    ぺトラ「イッ・・・!!!_いいぃッ・・!!

        結構です!!平気ですッ!!!!///
        そんな事したら永遠の眠りから
        醒められなくなります!!!??」
        ブンブンブンッ!!!



    リヴァイ「・・・・そうか、まあ・・・気をつけろ。

       転ぶんじゃねえぞ・・・」
       ジュゥゥァァ・・・・・




    ぺトラ「ハイっ!!も、もうお陰さまで
        車までは絶対に大丈夫ですから!

        完全に眼が覚めました!!!」
        ギンギンギン



  148. 150 : : 2015/10/21(水) 22:41:26






    ~そのおよそ一時間後~







    ―リヴァイ達の居る地点より大分上流に
     位置する河原最寄の山林歩道ー







    エレン「おっ・・・川か・・・・・」






    アルミン「僕もこの町に着いた散歩がてら
      下流はちらっと見てきたけど・・・
      大分水の透明度が違う様に見えるね。


      魚がよく見える・・・・」
      ジッ・・・・




    ミカサ「大半のレジャー客は下流の
       広い河原でバーベキューなどを
       行うが・・・当然の事ながら

       そこに行き着くまでに色々と
       排水も合流しているので、
       どうしても水は此方の方が綺麗」




    エレン「こんな事なら釣具でもあればな
       ・・・・ミカサ、お前釣竿とかは
       こっちの世界で持ってないのか?」




    ミカサ「態々釣る必要が無いので・・・
       買っていない。魚は店に行けば
       釣り餌と変わらない値段で
       購入できるし・・・そこに泳いでいる
       魚を捕まえたいなら・・・(スッ)」




    その場で腰を落とし、まるで
    正拳突きを放つ直前の構えの様な
    恰好をしてみせるミカサ。





    アルミン「ちょっ・・・・;何をしようとしてるの
       み・・・・ミカサ・・・?!;」ダラダラダラ・・




    ミカサ「何と言われても・・・魚を試しに
       捕まえて見せようかと」キョトン・・・




    アルミン「捕まえようって…あの、素手で?;」





    ミカサ「・・・・いかにも。」





    エレン「~~~(溜息)分かった分かった;
       別に今すぐ魚が欲しいなんて
       言ってねえよ・・・ただオレは
       てっきり・・・」フイッ・・・




    ミカサが傍らに置いているケースを
    一瞥するエレン。





    エレン「お前が決してオレに
       持たせようとしなかったそれが
       釣具とかそんなもんなんじゃ
       無いのかと・・・勝手に思って
       ただけだ」





    ミカサ「・・・・・・・」

       ガコッ・・・・





    そのエレンの言葉を受けたミカサは・・・
    それまでその存在自体に話題を
    向けようともしなかった
    アタッシュケースの封を開け始める。




    アルミン「っ・・・・!?」




    エレン「おっ・・・?」






    ミカサ「ここに来るまでずっと内緒に
       していたコレだが・・・やっとその
       中身をエレンに見せるべき時が
       やってきた。“ここ”なら・・・

       環境的にも何とか使用に
       耐えるはず」

       ガチャ・・・・カチッ・・・・・

       バカッ・・・・・




    幾つかのロックを解除して、そのケースが
    開かれたその内部、くり貫かれた
    緩衝材にきっちりと収まっていた
    モノとは・・・・





    エレン「・・・・・・ぉお・・・・・?!?
       
       それ・・・壊れてないのか!!!?」




    この世界に飛ばされたエレンが
    巨人体より救出された際に身に着けて
    いた・・・・立体機動装置だった。


    しかし・・・・




    エレン「アレ・・・・ちょっと待て・・・
     
       それ・・・なんか・・・・」

  149. 151 : : 2015/10/21(水) 22:44:44





    ミカサがケースから丁寧に引き出した、
    分解された状態の装置を目にして
    困惑の表情を隠せないエレン。




    ミカサ「察しの通り・・・装置に若干の故障は
       あった。しかしそれだけでは
       なく・・・・。そもそも私達が
       “あちらの世界”で使っていた
       立体機動装置とは・・・本来あちらの
       世界でのみ採掘される特殊な
       鉱石などから作られていて、
       動力にしてもこの世界には
       存在しない特殊なガスのみに
       よって駆動している・・・・。


       なので・・・」





    アルミン「ひょっとしてそれは・・・」





    ミカサ「私が叔父さんに言って直して
       貰った際・・・その動力に従来の
       ガスのみでなく・・・巻取り機構の
       駆動に電力も併用されている。」




    アルミン「なるほど・・・つまり電動アシストの
      自転車みたいなものかな」





    ミカサ「その感覚で殆ど間違いない。

       この世界ではガスの勢いのみの
       巻き取り、及び推進補助だけで
       移動が叶う程の高圧力を
       産み出せるガスは・・・

       あまりに存在自体が特殊なので
       存在すらしない事になっている」




    エレン「・・??、???;」





    ミカサ「勿論全てを電力に換装しようと
       すれば・・叔父さんの技術力なら
       出来ない事も無かったが、

       その場合エレンにとって操作性が
       難になる。・・・ので、おおよそ
       ガスの駆動によるフィーリングが
       残る調整にはなっているはず。

       操作方法も全く同じだ」
       ツケテミテ



    エレン「~~・・・色々難しい事を
       言われてもな・・・・ (カチャカチャ・・)

       おお・・・やっぱ少し何か違うな・・・
       動力部が若干重い...(ギッ・・)

       ・・・・が、代わりにボンベが軽いか。

       不思議な違和感だ。」
       ガッチャガッチャ・・・・





    アルミン「うわぁ・・・懐かしいな・・・

      エレン終わったら僕も・・・って
      言いたい所だったけど・・・

      今の僕じゃ完全になまっちゃってて
      大怪我しそう;」




    エレン「・・・!?!お、おい、ミカサこれ・・

       いいのか??もしかして・・・・

       使ってみても!!!?」ガチャ...
       ソワソワ・・・・




    ミカサ「・・・・勿論。
      
        ここの所・・・・エレン、あなたの
        元気が無かったから・・・
        どうすればあなたがまた
        元の世界に居た時と同じ
        元気な顔を見せてくれるか・・・

        色々考えた結果に私が出した
        答えだ。・・・・この辺りまでくれば
        樹木も大体立体機動の負荷に
        耐えられるものが揃っている。

        ガスの残が半分を切ると音で
        教えてくれる・・・ので、それまで
        思う存分飛んできて...」
        ヒラヒラ







    エレン「ッッ・・・・・!!!!!!

        サンッキューーー!!!!ミカサ!!!
        今オレは・・お前が家族で本当に
        良かったと思ってる!!!!

        じゃあお言葉に甘えて
        ちょっくら行って...

        くるぜっっ!!!」

        ダダッ....!!!!
     

               バシュシュッ!!!!




    キュァァッッ.......,,,,,ッッ   ギュオッ!! 





    パシュンッ     ガガッ!!






    瞬時に輝かせた笑顔を残し、山林奥へと
    吸い込まれていくエレンの姿。



  150. 152 : : 2015/10/21(水) 22:48:31



    アルミン「わぁ・・・・!(眺)やっぱりエレンは
       勢いがすごいや・・・・:

       仮にも内部機構が大分変わってる
       立体機動装置なのに・・・・

       ぶっつけ本番でこんなに
       勝手が違う山林に飛び込んで
       いっちゃった・・・・」ボケ~ッ・・




    ミカサ「エレンが・・・エレンが
       あんなに喜んでくれた・・・///」
       ボソボソ・・・




    アルミン「・・・・・w

       ・・・・ああ、でもミカサ・・・エレン、
       本当に大丈夫かな・・?仮にも
       相当久しぶりの立体機動だし・・・

       もし転落や激突でも起こしたら・・」





    ミカサ「・・・心配ない。

       装置の心臓部には叔父さんに
       頼んでGPSで追えるよう発信端末が
       付けられている。それが不具合を
       起こした場合に備えて
       ショックセンサーも内蔵済みだ。

       激突を起こせば直ぐに此方に
       アラームが届く。(スマホ弄り..)」





    アルミン「ば・・万全だね・・・・;」












    ミカサ「・・・・・(画面凝視)...

        やっぱり・・・エレン(溜息)」





    アルミン「・・・・どうしたの・・・?早速エレンの
       動向をそれで追ってるのかい??」
       ヒョイッ・・・





    ミカサ「山林に入っていくように見せて
       このコースだと・・・川沿いに
       下流へ向って真っ直ぐ下って
       いる・・・」




    アルミン「えっ・・・・?そ、それってつまり・・・」





    ミカサ「・・・・きっと叔父さんがどこかで
       エレンに教えたんだ・・・たった今
       この川のずっと下流では
       リヴァっち達がバーベキューに
       繰り出して来ているという事を」




    アルミン「(っち..)エレンが・・・
       立体機動装置をもって
       兵長の所に行きたい理由って
       ・・・・一体・・・・」




    ミカサ「考えてみてもそれ程難しい事では 
       無い・・・。(溜息)

       きっとリヴァっちの“記憶”を
       呼び起こせないかと考えて
       いるのだろう・・・」マジマジ・・・





    アルミン「・・・・どう・・・するの?

       確かミカサは・・・あんまり
       エレンがそうした方がいいって
       言う考えには反対なんだよね・・

       まあ、僕も概ねキミとは同じ
       考え方だけれど」




    ミカサ「・・・・私もそうだ・・・・けど。
     
       エレンがそれでどうしても、と
       いうなら・・・ここで止めに行くのは
       止そうと思う。

       ・・・けれどどういった方向に事が
       転ぶか分からない以上は・・・

       あまり穏やかな気分では無いが」





    アルミン「・・・・というと・・・・」






    ミカサ「リヴァっちはともかく・・・
       一緒に居るペトラさんは
       あちらでは戦死している..。

       その反動がどの様に作用するか
       等・・・不安要素は幾らでもある。

       一番好ましいのはエレンの格好を
       見てもあの3人が何も思い出さずに
       済むことだけれど」





    アルミン「それは無理そうなのかい?」





    ミカサ「リヴァっちに関しては・・・確実に
       何か思い出すと思われる。

       "巨人の弱点"と"殺し方"を
       本能レベルで覚えていたから。」





    アルミン「どこまでいっても滅茶苦茶な
       人だね・・・・;」






    ミカサ「どの道私達は・・・エレンが無事
       帰ってくるまでここで待つしか
       ない。(携帯画面眺め..)

       ...というわけでアルミン、何か
       私と時間潰しになりそうな話を。」




    アルミン「じっ・・・時間潰し・・・・かい・・??//

       何がいいかな・・・えっと・・・・」







  151. 153 : : 2015/10/21(水) 22:50:45

    ミカサ「もし直ぐになにか話題が
        出てこないなら・・・私に名案の
        準備がある・・・・(ゴソゴソ)・・・」





    アルミン「な・・・・何かな・・・??その荷物の中に
       何か会話の種でも・・・・・」





    ズルリ.....




    ミカサ「この・・・・エレン抱き枕について。

       ・・・・など・・・・/////」ポッ・・・・




    アルミン「(やっぱりそう来た――!!!!(泣))」




    ミカサ「この審議所での問答の後から
       幽閉直後のエレンも良いが・・・

       やはりもう少し別の絵柄も
       欲しくなってしまって・・・・
       これは一体公式以外では
       どういった所で買えば・・・・
    アルミン「ぼッ・・僕に聞かれてもね(泣)!!!?;;」






  152. 154 : : 2015/10/21(水) 22:54:48








    ~現在公開可能な情報㊵~






      立体機動装置(混成動力型)





    異界よりの世界線跳躍を経て
    此方の世界へ現界したエレンがその身に
    装着していた立体機動装置。

    不慣れな巨人化の際に及ぼされた熱と
    衝撃で所々に損傷及び欠損が
    あったものの、ミカサの要請により、



    ケニーがそれらの不全点を全て補修・及び
    改修することで息を吹き返した代物。



    見た目こそ使用者であったエレンですら
    分解状態でなければ以前と見分けが
    つかない程であるが・・・

    その内部機構は、全く異なる物に
    換装されており、原理的に言っても
    それは完全に似て非なるものである。



    巻き取り動力には電気モーターによる
    アシストが組み込まれている。

    ガスに全依存していた従来方式とは
    そこが最も異なる点であり、加えて
    アンカーの固着、解除の機構にも
    動作不良を極限に抑えるため、従来の
    内部伝達ワイヤーではない“何か”が
    採用されている。

    その再現性の恐るべきところは、

    これだけの高性能をもってすれば
    従来性能以上のパフォーマンスを充分に
    発揮できる所を、あえて従来のままの
    挙動に抑えているという点。


    それというのも本来であれば
    一瞬の操作ミス、そして動作ミスが
    いとも簡単に生き死にを分かつ
    命掛けの移動装備・・・もとい、自殺装置と
    呼んでしまっても言い過ぎではないほど

    この“立体機動装置”という機械は
    ピーキー過ぎる代物なのである。
    (今更一々言うほどの事ではないが)


    作品世界補正でその辺の慣性耐性も
    並の人間ではない肉体をもったまま
    現界を果たしたエレンはまだ良いが、

    そうでない人間にとって、僅かでも以前と
    操作のフィーリングが異なる様であれば
    それは即、操作ミスへと繋がり、

    場合によらずとも転落死してしまって
    充分おかしく無い。


    その辺りも踏まえて、既に微かな
    残留記憶だけを頼りに対人立体機動の
    完成にこぎつけていた変態エンジニアこと
    ケニーが試行錯誤の末に完成させたのが
    この再現品である。


    電動アシストのトルクもガス駆動時の
    それに極力近づけ、ガスの排気による
    推進及び揚力の補助もそのままに残し、

    アンカーの反応速度もワイヤー伝達の
    方式に則った遅さに調整されている。


    ケニー曰く、
    『つくづく思う事だが、これだけ
     原始的かつ単純な機構と原理で

     これだけ複雑かつ自在な移動を
     行えるのはとても正気の沙汰とは
     思えない技術力と度胸である』


     ・・・とのこと。


     仕方ないね。
  153. 155 : : 2015/10/21(水) 23:01:41






    ~丁度その頃~






    ―エレンサイド―







    キュッッ・・・!!!    ドシュッ!!



        ギュァッ・・・・・・




    キュィィィィィ.........!!!!




    エレン「ッ・・・・・・・  フッ!!」

       ダンッ    ババッ




    久々に全身に走る懐かしい感覚に・・・・
    常人ならばひと堪りもない慣性負荷と、
    めまぐるしく流動する複雑な重心移動に。


    かつての感覚を確実に取り戻す様にして
    木々を飛び越え、時に第三者が
    見て居れば肝を冷やしてしまいそうな
    振り子運動をその身で繰り返しつつ、

    中距離移動を連続にて行うエレン。








    エレン「(しっかし・・・本当にすげえな・・

        コレ・・・・・・!)」チャッ・・・




    流石に元の挙動に極力近づけていると
    言っても、その手に覚える感覚が以前の
    物と明らかに異なる事に驚嘆するエレン。




    エレン「(こいつは・・・この装置の動力は・・

       恐らくミカサの言う通り、これまで
       オレが使ってたのとは全く違う
       方式に造り変えられてる・・

       筈なんだが・・・・!!)」ギュッ・・・




    バシュッ!!!×2      ドドッ!!!




           ギュオッッ





    エレン「(なのにこんなに・・・こんなに
        元通りの感覚で自在に操る事が
        出来る・・・・・!ミカサの叔父さん
        ・・・・あのケニーって人が・・・
        コイツを造りなおしたってのか
        ・・・・・?内部機構はオレ達兵士に
        公開されてないからどれだけ
        複雑な造りなのか知れないが・・


        どっちにせよまとも(▪▪▪)じゃねぇ)」





     目まぐるしく流れる景色。



     これまで登山に赴いていた山自体
     それほど大した標高ではない為、

     既に木々の間から河の方を覗き込めば
     レジャー客のごった返す光景が
     エレンの目に入り込んでくる。




    エレン「っぃ・・・・よっ」



     ギュン・・・・・    グイッ・・・バサバサ



     適当な樹木にあたりをつけ、
     その一本の頭頂部に掴まって
     河原を一望するエレン。






    エレン「(あの中のどこかに兵長が・・?

        しかし人が多すぎるな・・・・)」
        キョロキョロ・・・




     目を凝らして目当ての上官の姿を
     探し出そうとするエレンの耳に・・・





    <暦「違う!!っていうかそのネタもう
      使ったろ!人の名前を島国風に
      さも美しげに呼ぶのはよせ!!

      僕の名前は阿良々木だ!!!!!」>






    エレン「・・・ッ・・・・!?(ピクッ)」





    ジィィ・・・・・・






    エレン「き・・・・気のせいか・・・・

       そうだよな・・幾ら過ごす世界が
       違うからって兵長が“僕”は
       ねえよな・・・・・;」ホッ・・・
       キョロキョロ・・・





    一瞬、声のトーンが全く異なるとはいえ
    探していた張本人と区別がつかない程
    似通った声を耳にしてその声の主を
    凝視するエレンだったが・・・


    その先に居たのは何故か誰も居ない
    方向に大声で抗議している青年であった。





    エレン「っていうかあの人一体一人で
       何やってんだ・・・・・;」





    <ハンジ「ッええぇ!マジで!!リーさん
        一発で当てちゃったよ!!!」>



    <李「山で遭遇できる動物も・・
      食べられるって聞いたものは殆ど
      口にしてますので;」>



    <ハンジ「イヤイヤ・・某伝説の傭兵じゃ
        ないんだから・・・」>




    <蘇芳「ぇえぇええええ!!???

       これ熊さんの肉なの!!!?!??」>
       ブヘァッ



    <紫苑「・・・・蘇芳、きたないよ」>
      モグモグ・・・




    エレン「(いた・・・!ハンジさんだ・・!

        ・・・という事はあの辺に・・・!)」




    そこから視線を移す事十数秒。





    エレン「(!)」バッ




    とうとうその視界に探していた人物を
    捉え、対岸の樹木に狙いを付けてから
    飛び降りつつ、ワイヤーを
    射出するエレン。


  154. 156 : : 2015/10/21(水) 23:06:19







    ドシュッ・・・・!!  キュィィィッ









    リヴァイ「ッ!!!?」ババッ





    グリル上の熊肉の火加減に全神経を
    集中させていたリヴァイだが・・・突如
    自身の後方に立つ樹木に走る、
    何かが突き立つ刺突音。

    そして視界の端に伸ばされた1本の
    線へ、瞬時にその意識を向ける。



    それと同時に彼の目に踊ったのは・・・
    ワイヤー巻取りの張力にその身を
    しならせて宙を舞うエレンの姿だった。







    リヴァイ「こいつはたまげた・・・・。
       

       しかし面白ぇモンを着けてるな」







    ハンジ「ゑっっッ!????」Σ(0w0;)ビクッ
        ナニゴト!!!???





    エレン「ッ、!兵長ーー!!」




    ギュキギッ!!   ドシュッ!!ババッ



       キュァアアアア...!!!!!




    ザシャッ






    リヴァイ「身のこなしも見事な物だ。

       ・・・こりゃあながち異世界設定
       ってのも鼻で笑えるモンじゃ
       ねぇのかもな・・・。

       まあ、俺は最初から疑っちゃ
       居なかったんだが」





    ハンジ「いやいや!!よくそんな
        落ち着いてられるな!?

        すッげーーじゃん!!アレ!!!

        バヒューンッつって、
        こう、ギューーーッと!!!

        打ち付けて・・・巻き取って

        進むのか・・・??しかし
        メットも被らず、あんなんで・・
        しくったら速攻お陀仏なんじゃ」
        ガクガクブルブル








    エレン「探しました兵長!!」
        ガッチャ ガッチャ





    リヴァイ「まあ・・お前が呼び慣れた呼び方で
       別に構いはしないんだがな・・・」
       チラ・・・




    エレンが腰に装着しているその装置を
    見やるリヴァイ。




    リヴァイ「そいつか・・・・ミカサがケニー(ジジイ)
       修理を頼んでたブツってのは。

       (良く見りゃ・・・アイツも確か
       俺を殺しに来たときコレに似た
       モノを身に着けてやがったが・・
       大分構造が違うようにも見える)」





    エレン「ええ・・・!まあそんな感じ
        らしいのですが」






    リヴァイ「・・・・で?俺を探していたと
       お前は今言ったが・・・何か俺に
       用があったから探してた訳か」





    エレン「・・・・・!いえ・・・その

        ・・・なんというかですね」
        オドオド・・・




    リヴァイ「・・・・・?」




    エレン「お、オレ!!どうしてもその・・・!

       もう一度兵長が・・この、
       立体機動装置で空を翔る姿が
       見たくって・・・!」





    リヴァイ「・・・・・・・・・」






    エレン「オレの中ではあの日駆けつけて
       くれた兵長の背に踊っていた翼が
        ・・・“自由の翼”が・・・・・!

       どうしても忘れられないんです…!
       だから、その・・・・!」ググ・・・・;







    リヴァイ「立体・・・機動っつーのか・・・
       ・・・そいつは。妙なもんだな。

       名前は初めて聞いた筈なんだが
       ・・・動力も原理も何故か大方
       予想が付く。・・・いや、そいつには
       元の状態から何か改良が施されて
       やがるな・・・・?ジジィの梃入れか」



  155. 157 : : 2015/10/21(水) 23:11:31

    エレン「わ、分かるんですか・・・・!?」





    リヴァイ「・・・・あくまで何となくだが。

       その形状・・・元々はガスだけを
       動力に駆動する設計のモノを・・・
       巻取りにモーターでも増設
       されてるんじゃねえのか・・・

       見ればワイヤーの先端にも
       一工夫されてやがる・・・が・・。。

       ・・・本当にトンでもない原理に
       牽引機構を一任してやがる
       機械だな・・・。ジジィが使ってるのを
       見たときも常々思ったが・・・・

       コイツを実用向けに生産しようと
       思い至った奴はとても正気とは
       思えねえ」






    エレン「そ・・・それはまあ・・・
        こっちの世界程物資にも
        技術にも恵まれた世界では
        有りませんでしたので・・・:


        というより兵長・・・そこまでの
        仕様変更に気が付いたんですか
        ・・!?オレでも実際使うまで
        分からなかったのに・・・!」





    リヴァイ「理由は大体分かる。

       そもそもこの世界の物理法則じゃ
       その構造の装置で、ガスのみを
       動力に用いて人間を引っ張り
       回すのは非常に危険だ。

       おまけに・・・・
       それだけの圧を容易く叩き出せて、
       その上そんなサイズのボンベで
       一定以上の移動分充填量を
       確保できる気体なんざ・・・恐らく
       普通には(▪▪▪▪)存在しねえ。

       ジジィが改造しなきゃ
       ならなかったのはそういった
       部分だろうな・・・・」




     つくづく物騒な物を作らせたら
     右に出る者は居ねぇ。・・傍迷惑な
     ジジィだ。・・・・しかし・・・・






    リヴァイ「そいつを・・・・俺が・・・な。」





    エレン「や・・・・やっぱり無茶ですよね、
        いきなりこんな・・・・;

        ミカサの話じゃこの世界の
        兵長は、装置は勿論巨人だって
        見た事が無いって言うのに・・」
        シュン...




    リヴァイ「・・・・その操作用のグリップ・・・・
       今は何も付属していないが、

       本来の用途は・・・刀剣を装着して
       使用する武器の柄にもなるんだろ」




    エレン「・・・・・!」



  156. 158 : : 2015/10/21(水) 23:13:31






    リヴァイ「実を言うとだが・・、エレン。

       ・・・お前を“救い出す”際
       ミカサに手を貸すついでに・・・
       俺はその、『巨人』とやらと一戦
       交えた事がある。そいつを
       使ってではないがな。」





    エレン「・・・・・・・オレ・・・を・・?!」






    リヴァイ「・・・・その時俺は・・・・何故か。

       理由は分からないが“何故か”
       あのくさい息を吐くアホ面を
       どうやったら屠る事ができるのか、
       直ぐに本能で理解できた。

       攻撃するべきただ一点の弱所。
       ・・・適切な切削方法までな。」




    リヴァイ「しかしその時の俺の手元には
       通常では有り得ない程にイカれた
       武器が握られてた。そこまでの
       苦労も無く複数の巨体を
       相手にできたのはその得物に
       依るところが大きかった訳だが・・・


       つまり相手の機動力を一方的に
       奪える程の攻撃力が此方に
       無いならその戦い方をするには
       巨人の"頭の後ろ"までこっちが
       わざわざ移動してやらなきゃ
       ならねえ訳だ。


       そいつは“その為”の装置だな?」








    エレン「・・・・・・・そこまで・・・・・!!


       へ、兵長・・・?
       本当に記憶が無いんですか・・・?

       ひょっとして忘れたフリしてる
       だけなんてことは・・・・;」







    リヴァイ「どうやら殆ど予想していた通り
       って所か・・・。

       いや、これはもう疑いようも無い
       事だが・・・やはりお前の言っていた
       事は全て偽りの無い事実
       だったのかもな・・・・」

       カチャカチャ・・・



    あらかた焼き終えた最後の肉を皿に
    移すと、改めてエレンに向き直って
    語りだすリヴァイ。





    エレン「予想・・・通り・・・・とは・・・・」





    リヴァイ「お前が言っていた・・・俺の・・・
       いや、"俺や、お前"の元居た世界
       って奴の事に決まってるだろうが。

       実を言うとだが・・・・その装置・・・。」





    エレン「・・・・・・・・???」





    リヴァイ「初めて見た筈だがお前が
       動かしているのを今一度見た
       それだけで・・・なぜか俺にも
       操作方法が手に取るように分かる。

       これはもう気のせいとかそういう
       次元の話でも無いだろうな」






    エレン「・・・・!!??という事は兵長・・・!!
        とうとう記憶が・・・・・・!?」






    リヴァイ「・・・・悪いが思い出したのは
       そいつの動かし方だけだ。

       いや・・・思い出したってのはあまり
       適当な言い方じゃねえな。

       元々覚えてたのが・・・モノを
       目の前にして突然下りてきた様な
       ・・・そんな感覚だ。」


  157. 159 : : 2015/10/27(火) 22:50:44







    ハンジ「~~~~、、、しっかしコレ・・

       ワンオフ、、、??スッげー事
       考える人も居たもんだよ・・・!」
       ソワソワ・・・・




    エレンが身に着ける装置を多様な
    角度から嘗め回すように観察するハンジ。





    エレン「ワンオフ…ってどういう意味ですか?」





    リヴァイ「ある目的の為だけに、単一で
       作られた物を指す呼称だ。

       ・・・・そいつは違うんだろ」





    エレン「はッ・・・はい・・!オレ含めて・・・
       当然、ハンジさんも、ぺトラさんも
       、リヴァイ兵長も・・・その他数千人に
       及ぶ兵士ほぼ全員が・・・全員
       身に着けてたはずです」




    ハンジ「数せっっ.....!!!?(絶句)」




    エレン「・・・というかコレが出来ないと
       囮にも使えないと、訓練兵になって
       直ぐに教官に恫喝されます(苦笑;)

       恥ずかしながらオレも・・・、、まあ、
       結局装備の不備ってだけ
       だったんですけど・・・危なくその
       適正判断で兵士にすらなれなく
       なる所だったんですよ・・;」
       ッハハハ・・・・




    ハンジ「“コレ”が必修科目って・・・;

       その“兵団”ってのに入る為には
       まず死ねって言ってる様な
       物じゃないか・・・・それ・・・・;」





    エレン「ぇえ。ですからあの・・・敬礼も
       こう・・・・(トンッ)自らの心臓を
       公にいつでも捧げる、といった
       意味が含まれていて・・・・」





    ハンジ「なにそれこわい!!!!!

       ~~~~(溜息)、、;
       そんな世界に産まれなくてホント
       よかったぁ~~」




    エレン「あの・・・ものすごく言い辛いん
       ですけど・・・その世界では
       ハンジさん・・・オレなんかより
       当然立場も階級も3~4つ上で、
       立体機動の腕前も超一流で・・・


       命知らずっぷりなら兵団の中でも
       間違いなく3本の指に入る
       勢いでしたよ・・・・・;

       周囲の皆が幾ら止めても
       15m級の化け物に喜び勇んで
       突っ込んで行く様な・・・そんな..




    リヴァイ「・・・・だとよ。

       …大して今と変わりなさそうだな

       異世界のアホメガネも、こっちの
       メガネも。」




    ハンジ「うっ・・・・?!?!ウソだろおい!!//

       私はそんな根本から常識に
       欠如した人間じゃ無いって!!!
     
       そう言うところは例え住む世界が
       違っても同じはずだ!!!だろ?!

       なあエレンってば!!?」ガシッ!!




    エレン「ぅっ・・・・!!ざ、、残念..

        ながらッ・・・あのっ・・;」
       ガックンガックン....






    リヴァイ「・・・ウソの証言は出来ねぇってよ。」






    ハンジ「ぅう・・・・;そんなぁ・・・」




  158. 160 : : 2015/10/27(火) 22:53:03




    リヴァイ「・・・・で、どうするか・・・・

       まあ・・・どこからここを目指して
       来たのか知らないが・・・

       折角来て貰ったんだ・・・」

       ジロッ・・・・






    エレン「っ」ピクッ






    リヴァイ「・・・・、そいつを見せてみろ。
       真っ当な考え方なら・・・普通
       そう言った物は個人の丈に
       合わせた造りになってる筈だが・・

       アジャストが効くなら俺でも
       着ける事位はできるかもしれない」






    エレン「は・・・・はいっ!!!是非!!!」
       ガチャガチャ・・・  ガチン





    リヴァイのその言葉を待っていたとばかりに
    手際よく装着していた装置の各部を
    外していくエレン。





    リヴァイ「・・・・・・・・」





    エレンが装置を外す順序から、
    装着の手順を頭に入れようとする
    リヴァイであったが・・・





    リヴァイ「(やはり・・・覚えようとせずとも
       何故か・・・・。そう、“何故か”・・・
       
       直感で全て理解できちまってる。

       ・・・それにこれも“何故”かだが)」





    リヴァイの脳裏に突然浮かびあがる・・
    最も付き合いの長い2人の旧友の顔。




    リヴァイ「(何故かイザベルとファーラン(あいつら)の顔が
       浮かんで来やがる。

       ・・・・しかし・・・そう言えば・・・
       エレンの証言にはあいつ達の
       名前は一度も出ては来なかったな
       ・・・あいつらだけは面識が
       無い間柄なのか・・・?)」





    エレン「~~、、、、っ(カチャン・・・カラッ)

       へ、兵長、全部外せました・・!
       どうぞ・・・・」つ ガチャ・・・


    .

    .

    .





    リヴァイ「・・・・・・・・」





    エレン「ああ、そこをそうして・・・
       そうです・・・、っていうか兵長・・
       これ・・オレが教えなくても全然
       自分で着けられそうですね;」
       カチャカチャ・・・




    リヴァイ「・・・いや、何事も万全を期するのは
       当然だろ・・・。何となくで
       全てやってはいるが・・指摘が
       あったら遠慮なく言えよ。

       何せ命懸けだ。」
       



    エレン「あ・・・あの・・・なんか今更ですが
       スミマセン。。オレの我侭に・・・こんな」
       シュン..




    リヴァイ「・・・気にするな。それに正直・・・

       危険さは考えずとも理解できるが
       やはり興味はある。一応一通り
       各部の操作法を確認するが・・・

       良いか?」チャキッ・・




    エレン「はっ・・・ハイ!!ではまず
       アンカーの射出からですが...






  159. 161 : : 2015/10/27(火) 22:59:24

    ~~~~~~~



    ハンジ「(ははぁ・・・・・何だかな・・・
        このリヴァイの姿を見ていると・・
        何だろうね・・・やっぱり"何故"か
        懐かしい感じがしてくるな..)

        ・・・・ねえ、エレン?








    エレン「、、?何ですか?ハンジさん」




    ハンジ「キミはリヴァイの事をずっと"兵長"
       って呼んでるけど・・・向こうじゃ
       こいつ、どんだけの重役だった訳?
       ああ、えっと・・どれくらい
       偉かったのか、って事ね」




    エレン「どれだけ・・偉いのかとか
       そういうのは細かい階級の区分と
       権限が分かれるのではっきりとは
       言えませんけど・・・少なくとも
       兵団の団長クラスの人達より
       一つ下とか・・・その位じゃ
       ないでしょうか・・・・?

       いえ、その腕前を語らせて貰えば
       文句無しに現存人類中最強と
       評価されていますし、オレは
       正にその通りだと今でも
       思ってます。真面目な話ですよ。
       前言った4000人と拮抗する
       戦闘能力という例えは。」




    ハンジ「・・・・うっそ...マジ。。;

       ・・・・だってさ?
       どうする?リヴァイ、頑張れば
       そんな装置無くてもあんたなら
       舞空術で空飛べんじゃない??」





    リヴァイ「バカ言うな。念じただけで宙に
       浮ける訳が無えだろ。・・・それに
       俺にはちゃんと鼻もついてる。」
       (ガチャ・・・・)





    エレン「大体・・・理解できました?」






    リヴァイ「ああ、コイツを手にして
       頭に浮かんだ操作手順は・・・
       お前の説明と大体一致して
       るんだが・・・・しかし」
       チラッ・・・





    リヴァイが一瞥したのはエレンの説明とは
    接続部側とトリガー側の持ち手を逆に
    して握った方が何故かしっくり来る
    自身の掌握方式。





    エレン「ぁ、ああ!いえ、それは
       間違いじゃ無いと思います!!
       その持ち手でも在る程度操作
       できるのは・・・兵長だけで・・・・;

       流石にそっちに関してはオレでは
       説明しづらいので;」
     






    リヴァイ「・・・・そうか。

       ・・・まあ、用途はともかく
       機構の都合上コイツは・・・

       事実上刺突力抜群の銛が2連発で
       飛び出す危険物だ。

       ・・・・流石に人目のつく場所で
       堂々操作する訳にもいかねぇ。
       ・・・少し山道に入るか・・・

       対岸まで渡らねぇとな」
       ガラ・・・ガチャガチャ・・




    ハンジ「あっちに桟橋あるからそっから
       行こうよ!!」




    エレン「あ、!丁度あちらなんか
       木々の間隔と樹木の太さ共に
       丁度いい感じでした!!」
       タタッ








    ―山林―





    リヴァイ「・・・これはアレだ・・もしもの
       時の為、バンジーみてぇに遺書を
       書いといたほうがいいのか?」 




    エレン「(バ、バンジー??;)いえそんな!
       兵長ならぶっつけでもミスなんて
       あり得ませんし、、!!それに例え
       体勢を崩しても大事に至るとは
       考えられません!!」ェエ、!!





    リヴァイ「そう言うがな・・・・お前の動きを
       見てたが、さっきのは
       明らかに2~30メートルは宙を
       舞ってやがったぞ。

       そもそも良くあれだけ慣性が
       生きてる状態で河原の玉石の上に
       着地して無事だったな。」




    エレン「ええ、まあ・・訓練兵時代に相当
       こかして痛い目みてますし・・・
       ブーツもちゃんと履いてますし」




    リヴァイ「俺は今普通のスニーカーなんだが
       ・・・・」




    ハンジ「あ!リヴァイ!!?私今山登り用の
       厚底だよ!!」ホラホラ!





    リヴァイ「・・・・・・・」





    ハンジ「何だよその目は…!;大丈夫だって
       、何も痒くなりそうな物なんて
       持ってないから!!!」





    リヴァイ「・・・・いや、そもそも靴のサイズが
       合わねえだろ・・・。お前俺より
       足デカいしな....」フイッ




    ハンジ「グヌッ・・・・!!;」




  160. 162 : : 2015/10/27(火) 23:03:29




    リヴァイ「・・・・まあいい、取り敢えずは
       このまま行く。じゃあ・・・少し
       借りるぞ・・・?

       事故って壊しちまったら悪いが。」





    エレン「兵長に限って有り得ません!!」
       (心臓を捧げよ!!!)ドンッ






    リヴァイ「・・・・おい、ハンジ。

       俺の身に何かあった場合は・・・
       冷蔵庫に入ってるめざしはお前が
       食って良い。・・消費期限は
       昨日だが・・・お前なら腹を壊しゃ
       しないだろ・・・・。

       たまには魚食え....」カチャッ・・・





    ハンジ「ぁっ!オイ、なんっって
       遺言だよそれ・・・・・ッ!!」





    バシュッ!!!   ドシュッ!!





      ガガッ!!    ガスッ!!






       ギュィィィッッッ!!!!!!!
       




    ハンジが詰め寄ろうとした瞬間、
    リヴァイの体が10メートル程離れた
    樹木に吸い寄せられるように跳躍する。



    ブオッッ,,,



    ハンジ「ぶはっ!!;;」




    後方に噴出されたガスの煽りで視界を
    奪われるハンジ。




    エレン「おおっ・・・・・!!スゲェ・・・・!!

       最初はアンカーを当てるのすら
       難しいのに・・・!二発とも
       ジャストですよ兵長!!!」
       スゲーー!! 





    ッ・・・・ダンッ・・・・





    リヴァイ「・・・・・・・・・」




    一先ずはアンカー射出確認と全身に
    掛かる負荷の程度を見る目的で一本の
    樹木側部へ張り付くように止るリヴァイ。


    思いの他自身の全身が悲鳴を
    上げていない事実に驚嘆しつつも、

    手元の装置の操作感覚が、まるで
    自らの手足の様に馴染みのあるもので
    ある事に戸惑いを隠しきれない様だ。





    リヴァイ「(・・・・本当に俺にはコイツを
       日常的に使ってた記憶が
       残ってやがるみてえだな・・・・)」




    ――そう・・・・、丁度人が一度覚えた
    自転車の乗り方を忘れないのと同じ様に。




    “その感覚”は・・・リヴァイの記憶の
    中でも最深部に位置する場所に・・・
    確固たる完全感覚として消えずに
    残っていた。どれだけ遠く世界を
    移り往こうとも決して忘れないと
    心に決めた“記憶”と共に。









    リヴァイ「感覚は掴んだ・・・。



       ・・・・・・・・・・・いや・・・・・」




    ガチャ・・・   チキッ




    リヴァイ「“思い出した”。


       ・・・・おい、エレン・・・・?」






    エレン「は、ハイ!??なんでしょうか
       兵長ッ!??」






    リヴァイ「お前の要望じゃ俺がコイツを
       使いまわしてる所を見たいって
       話だったが・・・流石に今少し
       インターバルが必要だ。

       そこらを一回りして小回りの
       感覚を掴んで来る。その間
       少し視界から外れるが・・・・・
       構わないな?」





    エレン「え、ええ!それはもう勿論!!

        あ、あとミカサの話じゃ
        ガスの残が半分切ると音が
        鳴るって話ですが・・・!
     
        ガスじゃない方の動力に
        関しては何も聞いてないので・・
        その辺は気をつけて下さい!!」






  161. 163 : : 2015/10/27(火) 23:06:18





    リヴァイ「・・・・承知した。

       ・・・まあジジィの技術力なら
       その辺はそこまで心配する必要も
       無ぇ・・・。ミカサの要望で改修が
       施された品なら尚更な。

       ・・・じゃあ行ってくるぞ」チャキッ




     ドシュッ!!!   バシュンッ!





    エレン「お気をつけて!!!!」キラキラ
       ノシノシ





    ハンジ「(オヤオヤまぁ・・・。。本当に嬉しそうな
       顔しちゃって...)
       ねぇ、エレン??さっき聞いた話の
       続き・・・いいかな?」





    エレン「!  ええ、、オレもその・・・
       実はハンジさんに聞きたい事が
       結構あったんです。

       …それも、できれば兵長が
       居ない場所であればその方が
       話し易い様な・・そんな話が。。」




    ハンジ「・・・へぇ?それは興味深い。
      

       ...それなら丁度良い。
       何でも言ってごらん??きっと
       力になってあげられるからさ」
       ニッコリ





    エレン「助かります!!!

       ・・・・・あ、後ペトラさんは今
       此処に来てないんですか・・?;

       さっき河原を一望した限りでは
       何処にも見当たらなくて・・・」




    ハンジ「ぁあ・・・、アイツはね
        ちょっとこの所忙しかった
        らしくて・・・此処には来てるけど
        今は私の車の中で寝てるってさ」
        アッハハ・・・




    エレン「!!  そうですか・・・!
       ならそれも丁度いいです・・!

       兵長以上に・・・ペトラさんには・・・

       ・・・あくまで“オレの口から”は
       聞かせたくない話にも成ると
       思います。

       オレの勘違いだったら
       済みませんが・・・・ハンジさん?」





    ハンジ「なんだい?」





    エレン「ハンジさんがオレに聞きたい
       さっきの話の続きって・・・

       きっとオレが・・・いや、
       オレ達の元居た世界の話・・・
       ですよね?」





    ハンジ「当ったり~~♪

       そうそう、それがスッごく気に
       なっちゃってさ~・・・・

       キミはリヴァイをずっと
       へいちょ~へいちょ~って
       呼んでるじゃない?

       それに関してもなんだけど・・・
       実はさ、うちのぺトラも・・・
       “何故”かアイツを呼ぶときに、
       “店長”と呼ぶはずの所を
       よく噛んでたのを思い出してね」





    エレン「て・・・店長?ですか・・・?」




    ハンジ「ああ、店長ってのはその店の
       責任者、みたいな感じの呼び名ね。

       そっちではどんな関係だったか
       知らないけど・・・リヴァイとぺトラが
       初めて知り合ったのは・・・
       あいつが焼肉屋で働いてる時に
       ぺトラがバイトで入ってきた
       時だったんだよね」




  162. 164 : : 2015/10/27(火) 23:09:09






    エレン「~~~???~~??
       え、えっと」ヤキニク??  バイト??




    ハンジ「アッハハァ、;ごめんごめん。

        え~と、そうだね。
        この世界で言うところの・・・
        客が自由に肉を焼いて
        食べられるお店でリヴァイが
        働いてる時に・・・ぺトラが
        その店のお手伝いとして入って
        来たのが2人の初対面って
        事だね・・・。

        正確にはもう一人ぺトラの
        同級生もその時お店の
        お手伝いとして入ってるん
        だけど・・・名前が」




    エレン「それって・・・ひょっとして
        ・・・“オルオ”さんって人じゃ
        無いですか・・・・?;」
        ヨク シタヲ カム・・・;




    ハンジ「そうそう!そうだよ!!なんだい、
       知ってるのかエレン!!?

       ・・・っていうかそっちでも
       舌噛みキャラやってるのか
       あいつは!!!?w;」
       ギャハハ




    エレン「オルオさんが居てペトラさんが
       その同期・・・ってことはまさか
       他の店員で・・・」




    ハンジ「えっとね、後リヴァイの直ぐ下に…
       所謂“準”責任者というか、
       副店長みたいなカンジでグンタって
       のと…後エルドってのがね・・・
       その時は居たんだけど・・・。

       今、エルドはリヴァイやぺトラと
       同様にそこを辞めてうちらと同じ
       建物で別のお店に勤めてるんだ」
       ヤマ アルキ ヨウヒンテン デネ!!






    エレン「全員・・・こっちでも同じ班の
       仲間だった人達です・・・・!!!

       皆・・・皆本当に生きてるんですね
       ・・・・・・・・!!!」ドッ・・・・





    不意に笑い出してしまった膝に、
    不覚にも立ち続けるバランスを
    奪われてしまうエレン。

    ・・・・その両頬には一目でそれと
    分かる光の軌跡が流れ落ちる。





    ハンジ「・・・・最初ぺトラを目にした時の
       キミの反応・・・、それに今のキミを
       見れば聞くまでもない事だろうと
       思うけど・・・・・やっぱりその・・

       キミが居た世界って所では・・・
       あの・・・・」





    エレン「・・・まず話す順序があるとは
       思いますが・・・。ええ。
      
       ペトラさんも含めて・・・今
       ハンジさんが言った人達・・・

       全員亡くなってるんです・・・
       ・・・オレを生き延びさせる
       その為に皆・・・・・ッ!!!
       
       “奴”にっ・・・・!!!!」ギリギリギリ・・・・




    ハンジ「おっ、オイオイオイオイ;;
       だからさ、此処はキミが居た
       世界では無いんだから・・・・!

       そんな風に自分を責めるもんじゃ
       ないよ!!リヴァイだってそう
       言ってただろ??!結果なんて
       結局誰にも分からないんだ・・!

       その班員構成でリヴァイが
       君の記憶の中でもし
       “死んでなかった”のだとしたら
       ・・・・同じ事を言われてる筈だ!
       ・・・違うかい・・・・?」グッ・・・






    エレン「・・・オレ自身の記憶はそこを境に
       途絶えてるのでそこまで確かな
       事は言えませんが・・・、ええ。

       “その少し先の話”では・・・
        そういう事になってます・・。

        ハンジさんの言う通りです・・!
        けど・・・けど幾ら兵長がそう
        言ってくれても・・・オレが
        あの場で独断で動ける人間なら
        間違いなく・・・・」


  163. 165 : : 2015/10/27(火) 23:13:37





    ハンジ「ほらほら、ま~だ言うか,,,

       いいかな?キミはまだそんな歳で…

       どうせ"そっちの世界"とやらでも   
       リヴァイ達の年齢はそのまんま
       な訳でしょ?」






    エレン「は、はぁ・・・おそらく30過ぎ
       という設定が生きてるのであれば
       ・・・・」





    ハンジ「なら尚更だ。キミはもっと
        大人を頼る事を覚えなさい。

        ――仮にキミを護る為、
        その為だけに今言った全員が
        何らかの理由で死んで
        しまったのだとしよう。

        それはつまり・・・
        その状況ではそうする他に
        なかったからこその結果だ。

        私も彼らの事はそれなりに
        リヴァイの職場仲間として
        交流があるけれどね・・・、」





    エレン「・・・・・・(ズズッ・・・)」





    ハンジ「皆優秀で自らの判断を簡単に
       違える様なおっちょこちょいでは
       なかったよ・・・?

       ・・・いや、まあ
       オルオなんかはしょっちゅう
       舌を噛んでは吐血する位だから
       それに関してはおっちょこちょい
       というより寧ろネタに身体を
       張ってるくらいの猛者な訳だけど;

       ・・・・ともかく・・・・。

       彼らは“この世界では”皆
       元気に生きてる。ぺトラの反応を
       見るには・・・きっとキミの顔を
       覚えている奴はその中に一人も
       居ないのかもしれない。・・・けど」






    エレン「・・・・・ッ・・・」






    ハンジ「キミのその涙は・・・彼らが無事に
       生きてたのが嬉しくて流れて
       きてる涙だろ・・・?

       だったら自分を責めてまで
       悲しい思いを強いられた
       世界の事を思い出す必要も無い。
       ・・・違うかい?」




    涙を抑えても微細な震えまではとても
    抑えきれないエレンの両肩を優しく
    握り締め、視線を交わしながら
    そう言い聞かせるハンジ。





    エレン「そう・・・ですよね・・・・..!

        オレ・・・なんで・・・・折角皆
        幸せにやってるってのに・・!
        態々こんな・・・・・」グスッ・・・・




    ハンジ「ウンウン。そういう事も全て
       含めてだ。キミがどういう心境で
       彼らを見てたのかは・・・まあ、
       おおまかには察したよ。

       ちなみにその班の中に・・・私は
       居なかったのかい?
     
       どうやらそっちの世界では私は
       死んでいる扱いでは
       無さそうだけど」




    エレン「ハンジさんは・・・所属班が
       別でしたから・・。因みに第四分隊の
       隊長で・・・細かい事抜きで見れば
       兵団の中では兵長並みに
       偉かったんですよ」


  164. 166 : : 2015/10/27(火) 23:16:53





    ハンジ「権力とかそういうのは割と
        どうでもいいかなぁ・・・;
        
        そっかそっか・・・私はつまり
        その中では仲間はずれだったと
        ・・・・(フッ・・・)」





    エレン「ちょっ・・・!そんな言い方
       無いじゃないですか!!
       
       は、班は違っても結構兵長通して
       皆さん仲良かったんですよ!!

       しょっちゅう拠点には顔を
       出しに来てくれましたし!」
       アタフタ;
       




    ハンジ「ハッハハ、冗談冗談w

        どうせ世界が違ったってさ・・
        "私"は"私"なんだろ?

        なら・・・きっとソイツ(▪▪▪)だって…
        こんな風に落ち着きなくて
        一目見ただけじゃ女か男かも
        分らないって言われるような
        ・・・そんな外観をしてるんだろ?」
        ニッ..





    エレン「・・・そんな、;
       自分で自分の事貶す様な事
       言わないで下さいよハンジさん!!」







    ハンジ「少しは否定してくれよ!!!;
       落ち着きはともかく外見に
       関してはちょっと気にして
       るんだよ!!??」
       ヒッデェ!!w;






    エレン「すっ・・・?!?スミマセン!!;;;;」
        ガバッ!!!



  165. 167 : : 2015/10/28(水) 21:38:14





    ハンジ「あと私がキミに聞きたいことが
       実はもう一個あります。
      
       ・・・さて、それは一体何でしょうか?
       ・・・ヒントはリヴァイの人間関係

       ・・・とでも言えばいいかなぁ」
       ニヤニヤ





    エレン「それだけでは全然見当が
       付かないんですが・・・あの、
       その笑い半分で聞いてくる
       感じから察するに・・・ひょっとして
       ペトラさん絡みとか..ですか,,,?」




    ハンジ「ハイ!!大正解~~!!

        いい勘してるじゃないエレン~??
        (ワシャワシャ)
        ・・・・で、こうしてる間にいつ
        リヴァイが戻ってくるか
        知れたものではないから
        単刀直入に聞くよ??

        そっちの世界でもずばり・・・
        ぺトラはリヴァイ(あいつ)にゾッコン
        だったりしたのかな・・・?」




    エレン「ぇ、ええまあ・・・

       ペトラさん本人はきっと普段から
       表に出さないように上手く
       やってる積りだったと思いますが

       ・・・オレに分かるくらいバレバレ
       でした・・・。いつも後ろから
       兵長の背中ばかり見てましたから

       ・・・イヤでも分かりますよ」






    ハンジ「・・・で、2人の関係も特に
       コレといって何も無かった・・・と。」





    エレン「ハイ。・・・というかオレが最初に
       言ったと思いますが・・・恋人とか
       そういう感じを抜きに見れば
       寧ろハンジさんの方が、兵長とは
       付き合いも長そうで親密な仲に
       見える位だったんですが・・・」






    ハンジ「・・・・・///でも扱いは今と対して
        変わりないんだろ・・・?」






    エレン「ぇえ・・・それも残念ながら;」






    ハンジ「ムッ・・・?!?///何だと!!

       何故だッ!!残念ながらってのは!!」
       カッ!!







    エレン「ぇ・・・・だ、だって、

       ハンジさん・・失礼を承知で
       聞きますが・・・・・、、!(ゴクッ..)


       ハンジさんだって・・少なからず
       兵長を意識して居られるんじゃ
       ・・・・ないんですか・・・?; 」
       (心底真面目な瞳)







    ハンジ「っっ・・・・/////;」






    その曇りなき瞳には・・・正に自身を
    嘲る様な色も、ふざけ半分な色も浮んでは
    居らず・・・、


    ただ真摯に相手の事を慮る彼の
    真っ直ぐな心情しか感じ取ることが
    できなかった。



    ―それ故に



    ハンジ「ぁ~・・・・うむ・・・...くそぅ・・・//」





    咄嗟に照れ隠しの反論を返す事もできず
    静かに項垂れるハンジ。


  166. 168 : : 2015/10/28(水) 21:40:10








    ハンジ「・・・・ぁあ、そうさ・・・?;

       そっちの私があいつにどんな
       接し方をしてたか知らないけれど

       ・・・結構私はマジでアイツを意識
       してる。それは・・・エレン、大体
       キミが思ってる通りだろうよ」






    エレン「・・・・・や・・やっぱり・・・
       
       ・・・そうだったんですか・・・;///」






    ハンジ「・・・しかしだね、そんな私自身の
       願いよりも何故か・・・本当に
       "何故か"なんだが・・・。

       私はぺトラの想いこそ無事に
       あいつに届くべきだと考えて
       るんだ・・・・。

       その想いに奴が果たしてどんな
       答えを返すのか・・・そこまでは
       関知しないよ・・・。けど間違いなく
       言えるのは・・・・」





    エレン「・・・・・・」





    ハンジ「私は・・・ぺトラとリヴァイが
       隣り合ってこの上なく幸せそうに
       してる所が見たい。

       その為なら何だってやる。

       実を言うと今日ここに来る迄に
       上手いことぺトラを捲し立てる
       のにも成功してね・・・・。

       その目的もあともう一歩の所まで
       来ているんだ。」グフフヘヘ・・;




    エレン「・・・・っ!?え、えっと・・・それは
       ・・・一体どういう事ですか・・・?!
       (笑い方ヤベェ・・・・;)

       ペトラさんを・・・捲し立てた・・・
       とは・・・・?あの、具体的には!!」
       ガバッ!!





    ハンジ「・・・っフフ、、、河原での催し物が
       終わって、後片付けを済ませて
       全員解散となった後にだね・・・

       なんとリヴァイに小細工無しの
       愛の告白をしちゃおうぜ!..って
       確約を取り付けることに
       成功したんだ・・・・!


       ...私も一緒になって
       ぶつからないといけない事に
       なっちゃってるけどね...↓↓」





    エレン「なっ・・・・!!?!?!?
       一体何をどうやってそこまで事を
       運んだんですか・・・・??!

       あ、あのペトラさんを・・・・!!」






    ハンジ「ま、まあ女の子には色々あるのさ;

       ・・・ともかく、徹夜明けの疲労さえ
       抜ければぺトラの奴にもこれから
       訪れるその一大イベントに向けて
       並々ならない気力が漲ってくれる
       ・・・ハズなんだ。

       とすると、期せずして整った
       この環境・・・実に好都合だ・・・!!」
       ガッ・・・!!




    エレン「・・・・・??この・・・環境・・ですか」





    ハンジ「ああ!!何の不自然さも無く
       アイツをこうして人目の無い
       森林に引きずり込む事もできたし

       ・・・今アイツは全身に恐ろしく
       多大な負荷が掛かるであろう
       装置で森の中を飛び回ってる
       真っ最中だ。

       ・・・・となれば当然・・・・」





    エレン「・・・・・・????」






    ハンジ「激しい運動に伴って脈も安定して
       いない状態なはず・・・!

       この状態で・・・普段よりも冷静な
       判断による即答ができない状態で
       想いをぶつけられれば流石に
       鈍感さ極まるアイツだって・・・・!!

       少しはぺトラの気持ちに
       なびく位の事はあっても・・・
       おかしくはない・・・・!」




  167. 169 : : 2015/10/28(水) 21:42:34







    エレン「ぇ・・・・いやあの・・・;

       そんな大事な告白なら寧ろ・・・
       そういったどちらかが心身問わず
       不安定な状態に頼るのはちょっと
       ・・・・・・」ドウカト・・・・;





    ハンジ「キミは本当に馬鹿だなエレン!!!」
        ∑m9(;^ω^) ビシッ!!!






    エレン「ハッ!!!よく同期に言われます!!

        何せ座学成績3ですから!!;」ドッ!
        (心臓を捧げよ!!!)






    ハンジ「敬礼しながら力一杯言わない!!
       
       ・・・ともかくだよ、エレン・・・!!
       あいつの・・・リヴァイの鈍くささは
       ・・・・それも恋愛(そっち)絡みのソレ(▪▪)
       明らかに常人の域を超えてるんだ
       ・・・・・・・!

       焼肉屋を突然辞めた時だって
       そうだった・・・・!あン時なんて
       被害妄想に陥って自暴自棄に
       なったぺトラをなだめるのに
       私がどれだけ苦労したか・・・!


       ハラキリだってやりかねない程
       危険な恐慌状態に陥ってたんだぞ
       ・・・!?なのに当のアイツときたら…!」
       ガクガクガク・・・・!!





    エレン「は、はぁ・・・・;

       確かに兵長・・・こっちの世界でも
       多分ペトラさんの気持ちが
       どうとかそういうの関係なく
       同じ班に引き入れた感じでした
       けど・・・・;」





    ハンジ「ともかくアイツはそういう
       奴なんだ・・・・!そういった
       対人関係に必要とされる感を
       全てそれ以外の勘の鋭さと
       引き換えにしてから
       この世に生を受けたような・・・

       そういう人間なんだよ・・・・。。

       昔馴染みとしてもホントに・・・・
       早くなんとか幸せになって
       貰いたいんだ・・・手遅れになる
       その前にね」






    エレン「そ・・・そこまでご心配を・・・;」







    ハンジ「だからコレは私からキミへの
       切実な願いでもある・・・

       エレン・・・・?」





    エレン「は・・・・ハイ・・・・・?」
       ドキッ・・・







    ハンジ「リヴァイとぺトラ(あいつら)の仲を
       引き合わせるこの私の企みに・・・

       今日だけでいい。キミも何とか
       手を貸してくれないだろうか・・?

       私はね・・・本気なんだ。本気で
       あいつらには・・・・」グッ・・・


    ハンジ「っ」




    言い切る前に自らの手を握られる感触に
    思わず眼鏡の奥の双眸を見開くハンジ。





    エレン「も、勿論です・・・・!!
       オレも・・・・・オレだって、
       少しハンジさんの考え方と
       違いますが・・・せめて、
      “この世界では”あのお二人に
       幸せになって欲しいと思って・・

       それもあったから此処まで
       来たんですから・・・!」
       グイッ・・






  168. 170 : : 2015/10/28(水) 21:44:28





    ハンジ「・・・・??・・・これは・・・・」





    力強く握りこまれたその手に、
    何か堅い布切れのようなモノが収まって
    いる事に気が付くハンジ。


    ・・・その布切れをエレンの手から
    受け取り、凝視する....





    ハンジ「これって・・・あ、アレ・・・!!
        エレン、キミのジャケットの
        ・・・・・??!」




    エレン「ペトラさんの保管してる、
       これと同じ兵服には・・・その
       ワッペンが無いって聞きました。

       その“理由”が・・・もし兵長自身の
       記憶の隅にでも・・・

       それが例えほんの僅かでも・・・
       残っているなら・・・・・!!きっと
       全て上手く行く筈です・・・・
       
       ・・確証は有りません・・・!
       根拠も・・道理も無いです・・・!
       けどオレが思いつく方法は・・・
       これしか有りません…!なので
       ハンジさん・・・、オレからも
       お願いします・・・・!」

       グッ・・・・・





    ハンジ「・・・う、うん・・・!」






    エレン「絶対に・・・絶対にお二人の仲を
       進展させましょう!!オレも
       全力を尽くしますので!!」ドンッ!!
       (心臓を捧げよ!!)   



    ハンジ「お、おう!!そうだそうだ!!!
       こうなりゃ絶対に二人を
       くっつけて見せるぞ!!!?

       よぅし・・・そうとなればこうしちゃ
       居られないな・・・・!

       できればアイツがここに戻って
       来る前にぺトラの奴を車から
       引き摺り出してこないと・・・」





  169. 171 : : 2015/10/29(木) 23:56:31






    ~その頃~








    ―リヴァイエリア―






    ....・・・・・・・・キュィィィイイイイイ






    バシュッ!!!×2


              ガシュッ!!!!






    リヴァイ「っ・・・・!  ――--」






    肩で、頬で、鼻先で・・・・



    晒されたその身の全てで木々達の息吹を
    切り裂き、飛翔する。



    森林樹木特有の揮発性物質が入り混じる、
    冷ややかにして澄み切った空気を
    鼻腔から肺へと通し、一際大振りな
    跳躍を行うリヴァイ。




    リヴァイ「・・・・・・悪くねえ・・・・・・」




    宙返りからの自由落下の最中、
    この様な一瞬にも満たない間とはいえ・・


    本来この状態で両瞼を伏したまま
    深呼吸を行おうなど、正に沙汰の外としか
    言い様が無い自殺行為であるが・・・・




    リヴァイにとってそれは一瞬のうちの瞬きに
    等しい動作でしかなかった。






    リヴァイ「(驚く程に・・・全てが"視える"

       この辺りは・・・当然獣道ですらない
       という事もあって一度も足を
       踏み入れた事は無い筈。

       ・・・・・なのに一体どういう事だ・・?
       この・・・、まるで背中にも目が
       付いてるんじゃねえかって程に
       よく見える視界は。)」




    予想していた以上に、この装置に対する
    自らの理解が深かった事、そして

    最初から使いこなせて当たり前と
    言う程に自在なその操作感覚に・・・・



    多少の戸惑いを残しながらも
    自身の中に眠っていた感覚を順に
    紐解いていく。



    ギュァァァァァァ・・・・・!



    打ち付けたアンカーに巻取りを掛ける
    際、当然牽引によって発生する
    全身を引き締める様な負荷も。




    バシュンッ・・・・   ダダッ



    放物線運動の登頂から解き放たれ、
    重力に従って落下する際、

    その一瞬だけ襲い掛かってくる、
    まるで内蔵を真下から持ち上げられる
    かのような浮遊感をも、追憶を辿る
    鍵の一つとして享受して往く。



    彼の全身に次々と降りかかる、
    “この世界”で感じる分には
    未知となる新たな感覚の全てが・・・



    急速に彼の内に眠る深層記憶を
    膨張させていく。



    ・・・まるで枯れかけた水苔に穿たれる
    数多の水滴が、その緑を蘇らせるかの様に




    リヴァイ「(こいつの移動速度なら・・・
       麓から山頂まで数十秒で行ける。

       エレンの奴が上から来たとすれば
       ・・・今そっちにはミカサも来てる
       って事になるな・・・・)」コンコンッ・・・




     ミカサの顔を思い出しながら
     何の気もなしにボンベを小突く
     俺だが・・・・



     その反響感覚から未だその内容量に
     余裕が感じられるのをまたもや直感で
     判断する。この辺の判断も“何故“
     ここまで簡単に行えるものなのか
     自分でも分からない。






    リヴァイ「(・・・・もし居たら・・・挨拶くらい
       していくか・・・)」チャキッ・・・





    既にエレンの行っていた機動とは
    比較にならないほど迅速かつ自在な
    機動を行いつつ、その進路を
    山頂へと見定める。





    リヴァイ「・・・ジジィもごくたまにはマシな
       仕事をする・・・・」



    バシュッ!!   バスンッ!!




    自らが趣味に、若しくは第二の趣味と
    目される掃除に没頭している時にしか
    表に出さない微笑を漏らし・・・、





    吹き抜ける風と一つになるリヴァイ。





  170. 172 : : 2015/10/30(金) 00:00:50







    ~同時刻~





    ―山林歩道・アルミン・ミカサエリア―






    アルミン「えッ・・・・!?じゃ、じゃあ
       ヒスッ・・クリスタも結構直ぐ近くに
       住んでるの??!」




    ミカサ「呼びやすい方の呼称で構わない。
       私は字数が少なくて呼び易いので
       クリスタと呼んでいるが。

       ・・・・・正確には彼女の住まいは
       少し離れているが・・・この世界では
       ユミルが彼女の実の姉という事に
       なっている。・・・ので、バイト場や
       色々な都合上、殆どユミルと
       同居しているような形に
       なっている・・・・のだけれど」



    アルミン「・・・・何・・・?その・・・少し
       気まずそうな間の開け方・・・・;?」
       タラ・・・・





    ミカサ「既にエレンが彼女の実状を
       目の当たりにした際に大きな
       衝撃を受けていたので、
       きっとアルミンも同じ様な
       先入観をクリスタには抱いていると
       思う。・・・なのであなたには先に
       言っておこうと思う。


       この世界では・・・皆、どこか
       “元居た世界”ではできなかった
       生き方を謳歌している人が存外
       多い・・・。彼女もその内の一人」





    アルミン「つまりミカサ、キミが言いたいのは
      ・・・“この世界”のクリスタが、
      僕の知ってるクリスタだと
      思わない方が良いと・・・、


      ・・・・そう言いたいのかな・・・;」






    ミカサ「さすがアルミン。話が早い。
       
       ・・・もっと早い話を求めるなら・・

       そしてアルミンにその覚悟があるなら
       ここに肝心の彼女の姿が
       納められた動画もあるが」
       (スマホ取り出し)





    アルミン「ドッ・・・動画ってアノ・・・;ミカサ・・?

       まさかそれって所謂盗さっ・・・」

    ミカサ「その様な物ではない。

       先日エレンと深夜に牛丼屋へ
       赴いた際、偶然にも彼女を
       目撃したので、店の中で堂々と
       携帯を構えてムービーを
       撮影しただけ,,,,」





    アルミン「へ・・・へぇ・・・;
       (それも充分やり方によっては
       盗撮に区分されると思うけど・・;)

       キミが進んでああいう店に
       行こうなんて言うとは思えないな
       ・・・そんなにエレンは牛丼を
       気に入っちゃったのかい・・・?」






    ミカサ「・・・(溜息)そう、。
       
       幾ら元の世界で殆ど口に
       できなかったからといって
       
       急に肉ばかり食べる生活になると
       胃腸が正常に働かなくなって
       しまう。いつも真面目に言って
       聞かせているのだけど・・・・

       どうしても食べたいと言い出すと
       中々聞いてくれない・・・;↓」




  171. 173 : : 2015/10/30(金) 00:05:03






    アルミン「(なんか・・・子供を甘やかしすぎて
       手を焼いてる普通のお母さんだな
       ・・・まるっきり・・・・;)

      ご、ゴメンよミカサ・・・??;
      僕が考え無しにエレンに餌付けなんて
      しなければ・・・こんな事には
      ならなかったかもしれないのに」




    ミカサ「・・・いい。アルミン、あなたが
       気にする事など何も無い。

       例え牛丼で無かったにしても・・・・
       この世界は私達の居た兵団と
       比べて余りにも・・・・・


       そう、余りにも飽食だ。
       思い当たる節はあなたにだって
       少なからずあるはず・・・」




    アルミン「ウッ・・・・:」Σグサリ
    (Iam the bone of my fast food...(身体はファーストフードで出来ている))








    ミカサ「・・・ただ、あなたの身も
       エレン同様に等しく案じている
       私の言葉として・・・どうか覚えて
       置いて欲しい。

       便利で安いものには必ずそれを
       裏で支える何かがある。

       本来切ったら黄ばんで行くだけの
       ハズなのにそうならない野菜、
     
       半日も経てば普通は美味しく
       感じないハズなのに2~3日は
       変わらない味を保ち続ける食品。

       カビる事も、腐敗することもなく、
       虫が集る事はおろか、ネズミが
       齧ろうとすることも無い・・・・

       食用油と謳われた『何か』。」





    アルミン「ぅ、ううん・・・・・;」





    ミカサ「この世界には・・・割と
       それらが当たり前に盛り込まれた
       食べ物が流通している。

       気にせず食べた感じでは普通に
       美味しく感じるだけだし、何より
       安くて手間が掛からないから・・

       あなたの様に効率を重視する人は
       当然其方を手にとってしまう。

       その気持ちは私にも理解出来ない
       事も無い。・・・・だから、アルミン?」





    アルミン「う・・・・うん・・?;」
       (キマズイ・・・・)


       



    ミカサ「夕食を自分で作るのが大変なら・・
       極力私があなたの分まで見繕う。

       私が家で調理する野菜は・・・全て
       自分で管理している畑の
       完全有機野菜だ。・・・つまり、
       兵団で出されていた食事に
       使われていたものと同じ・・・。
       
       ちゃんと虫もたかっている。」

       ・・・ノデ・・・、、





    ミカサ「これからは出来るだけ毎日
       あなたの住まいに伺っても・・・

       ・・・・・・・構わないだろうか・・・?」




  172. 174 : : 2015/10/30(金) 00:06:39





    アルミン「いっ・・・・?!ま、毎日ってミカサ・・!

      一体ここからあそこまでどれ位の
      距離があると思って・・・!!?」





    ミカサ「・・・問題ない。私には叔父さんの
       つてもあるから"座標"さえ固定
       できれば・・・・一切の所要時間を
       要しない特殊な移動手段もある。

       アルミンの部屋の玄関先まで・・・
       数十秒で自身を“転送”できる。」





    アルミン「(そういう設定もあったのか・・・;
       そういえば・・・・!!)
       
       うっ・・・うん・・・!あのね、ミカサ
       ・・・・!そのキミの申し出はかなり
       僕としても嬉しいんだけど・・・

       ただその前にずっと気になってる
       事が・・・・・!;」




    ミカサ「・・・・・??」
        キニナルコト??





    アルミン「その・・・ほら、クリスタの・・・
      アレがあるんでしょ?動画か何かが。

      僕としては・・・やっぱりミカサに
      前もって釘を刺されてても
      彼女の現在が気にもなる訳で・・・」
      アセアセ・・・・;





    ミカサ「~~・・・・・・?、;」
     (本当にいいの?という感じの目)







    アルミン「何!??そんなに元のイメージと
       反した状態なの??!あの104期の
       女神とまで言われたクリスタが!?」





    ミカサ「・・・・先にもう一度確認して
       おくが・・・、アルミンは本当に
       自分の意思でコレを見たいと、、

       そう言っているので間違いない
       ・・・だろうか。。

       私は・・・正直に言うとあまり
       あなたにコレを見ることを
       おススメしたくない」
       ジトッ・・・・





    アルミン「・・・ゴメン・・・!!

       キミのその反応からして彼女が
       一体どんな変わり果てた
       姿になってしまっているのか・・、

       益々気になっちゃったよ・・・・!」







    ミカサ「・・・・(嘆息)・・・分かった。

       それではこれ以上待ったは無しで
       行く事にしよう・・・・(スッ・・スッ・・・)
       (動画再生....)」 













  173. 175 : : 2015/10/30(金) 00:09:17







    ミカサの手に載せられた携帯画面に
    映し出されたのは、全国展開チェーン店の
    牛丼店、『杉屋』のカウンター席より、
    対面の四人掛けテーブルを堂々と
    撮影しているであろうアングルの
    動画であった。




    録画時刻と画面に収まっている
    店内時計の時刻は一致しており、
    その短針はとっくに日付を跨いでいた。


    ==========




    クリスタ「だぁから――・・・・今のカレはね・・
       重すぎンのよ!!こう・・・なんての!?

       “お前しか俺には無い”・・・!!
       ッ・・・みたいな!!!...ンんなコト
       こっちは言われても。。ッねえ!?」
       ダンッ!!
          カチャン




    ユミル「思う存分遊べとはいつも
       言ってるけどよ・・・お前少しは
       飲み方考えろって・・・酒を飲むと
       豹変するとまではいわねーけど・・

       いつもいつもはっちゃけ
       過ぎじゃね。今日だって
       あたし迎えに来なかったら
       あのままあのバンドメンに
       ぉお持帰りィ↗♪...されてたろ;」
       カチャカチャ








    クリスタ「ンヘヘヘ・・♪そこはもう本当に
      感謝してんのよ!ぃや、
      やぁっぱ持つべきものは良き
      姉ですよ~~!ほんと、本当、、
      ホント~~に!有難うね~~!
      ユミ姉ぇ~~!」ガバッ!!

      ガチャガチャ




    ユミル「うぁあっオイ!!水転がすな!!
       大人しくしとけよこの
       へべれけ姫が!!

       ・・・っつか私来なかったら自分の
       意思では拒否れねーのかよ!!;」
       アッブネ・・・;




    クリスタ「もう本当ユミル大好き!!もう私
      ぉ姉ちゃんと結婚したい。

      ・・・・・ねえ、
      似てないんだしイイよね??

      誰もオカしいなんて思わないよね!?」





    ユミル「ちょっと黙ってろ酔っ払い・・;

       もう暫くもしないうちにお前の
       大好きなネギトロ丼が来るって」





    クリスタ「そうそう!!飲みすぎたら
       これはもうネギトロ丼でしょ!

       ・・・それも牛丼屋のネギトロ丼!!
       コレですよぅ・・・ねぇ、
       ネギトロまだ~///?」ヒック・・・・
       チキチン♪チキチン☆




    ユミル「(溜息)だから黙って待ってろって
       ・・・・そもそも終電乗り過ごした
       後の時間じゃネギトロ丼出す
       飯屋なんて牛丼屋しか
       あり得ないだろ・・・・」
        











    ミカサ「・・・・・・・・」






    アルミン「・・・・・・(;゚Д゚)・・・・・・・」





    余りの衝撃に空いた口が塞がらず、

    動画の内容を咀嚼するのに精一杯な
    様子のアルミン。



    ミカサに言い放ちたい言葉は山ほど在る
    であろう彼も、未だ終わる気配の無い
    タイムバーの長さを再確認して
    無言でその画面に見入っている。






  174. 176 : : 2015/10/30(金) 00:11:16



















    クリスタ「私もね・・?!結婚するなら
       彼しか居ないって、そう思ってる
       ・・・・。でもね?!・・でもだよ!?

       ・・・今はそのトキじゃないって
       思ってるわけ・・・!つまり・・・
       つまり分かる??!」






    ユミル「つまり簡単に言ってしまえば
        まだプラプラしてたい訳だ。

        ・・・私のお姫様は。」ゴクッ・・





    クリスタ「そ!!!!もっともっと遊びたいワケ!!

      もっともっといろんな人に
      逢いたいしもっともっと色んな
      世界を見たいの!それって今しか
      できないわけじゃない!!!?

      ババァになったらそれって
      したくても出来ない事なワケよ!!
      旬を逃しちゃ全部パァなの!!

      美女100人もいずれババァ100人とは
      よく言ったモンよ?!!!

      ホラ大変!だから私はまだ結婚なんて
      してる場合じゃないの!!・・・ね?!」
      カッチャラ カッチャラ



    両腕で二人掛けテーブルの両端を掴み、
    前後に揺すりながらのたまう金髪美女。



    ユミル「いや・・・、“ね”って言われても;」
       ヤメロッツーノ・・・ ユラスナ..



    その動作が始まる寸前にタッチの差で
    卓上の二人分のお冷を自らの手中へと
    退避させる、そばかすの黒髪女性。




    クリスタ「まだかなまだかな~♪
       ネギトロ丼・大盛りまだかな~♪」
       チキチンチン~☆




    ユミル「箸でコップを叩くんじゃねー;
       みっともねーだろーが・・・・(溜息)

       何でこんなに気品あふれる
       顔立ちで、素面の時は何でも
       きちんとこなす才女なのに・・・

       花金にはこんな完全変態(メタモルフォーゼ)
       遂げちまうんだよ・・お前はぁ..;」
       (心底残念なモノを見つめる目)




    完全にできあがってはいるものの
    自身の身の振り方について熱く熱弁して
    みたり、注文した品目を今か今かと
    待ちきれずに騒音を奏でたりしている
    金髪美女。


    オリーブ迷彩のハーフトップに
    黒のミニスカート、そして今は四人掛け
    テーブル席の一つに腰掛けた状態で
    床をしきりに叩いているのみであるが・・


    歩くたびに地を穿つ
    快音が響き渡るヒール。・・その歩に
    合わせて耳元に踊るピアスと、


    一見して遊び人というか、
    すぐさま“チャラい”と判別できる
    外見的な要素を一通り網羅したかの様な
    服装をしているが…


    話を聞いている限り
    相当見た目そのまま、といった
    遊女暮らしを満喫している様子だ。



    化粧をせずとも基礎が充分
    整っている為、非常に美しい顔立ちを
    しているが、身長はかなり低い。



    首から下だけを見れば成人していない
    少女が背伸びをしてこのような服装に
    めかし込んでいる様に…見えなくも無い。
  175. 177 : : 2015/10/30(金) 00:14:07






    ユミル「別にイイけどよ・・・・
       一応その、今の正式な連れとは
       結婚前提のオツキアイなんだろ・・・・。

       あんま心配させんなよ。
       明日たしか二人で都内まで
       プールに行くとかウキウキな様子で
       あたしに言ってたんじゃねーか。

       それがどこをどう間違ったら
       バンドメンに持帰られる寸前まで
       デロデロにされる羽目になる訳よ」




    対する席に腰掛けて時折お冷を
    煽りながらも目の前の金髪美女に
    “姉”と呼ばれている女性は・・・

    上は腕捲くりをしたワイシャツ、
    下はジーンズを着用した、いかにも
    仕事着から履物のみを着替えただけ、
    といった簡素な格好をしており、


    目の前の少女に“姉”と呼ばれて
    居ながらも、後ろ一つに纏めた黒髪に
    切れ長の目、そして頬に点々と
    散らばるそばかすと・・・

    凡そ外見的に言って何一つ、
    酔いつぶれている少女に似通った部分は
    存在しなかった。止めとばかりに
    身長まで全く近しくない。



    その物腰からは若干素直では無さそうな
    性格が伺えるが・・・対する金髪美女と
    対比するなら大分真面目そうな印象も
    感じられる外見だ。





    クリスタ「イヘヘヘ・・//そりゃあおネぃさん、
      魔法のお水の力ですよ・・・(クイッ)

      魔法のお水を飲んじゃうと~~?

      ついつい気分が良くなって思わず
      細かい事とかどうでもイく
      なっちゃう・・・みたいな!!」






    ユミル「・・・もういい。聞いたあたしが
        悪かった。」




    目の前で酔いつぶれている少女を
    迎えに来た帰りにこうして寄り道
    しているのか・・・

    自身の遊び歩き方を力説する金髪美女の
    話を親身になって聞いてやりながらも


    度々大分達観した意見を返している。



    落ち着きぶりと、やや物事を斜に構えて
    迎え撃つ姿勢は何となく“姉”と
    呼ばれる事実に基づいている様に
    見えなくも無い・・・が。



    やはり
    二人はどこまでも似ていなかった。






    <エレン「・・・・嘘だろ・・・あ・・・あの
       クリスタが・・・?!エ・・・!?いや
       だって・・・・・」キョロキョロ>





    <ミカサ「この世界ではクリスタとユミルは
       正式に姉妹という事になっている。
       ・・やっぱりとても似ていないが。

       他の104期生の面々にもその
       傾向は顕著に現れているが・・・・
       皆“元の世界”で出来なかった
       生き方というものに強く惹かれて
       いく法則性が強い。

       だからクリスタはあのように
       夜の街を遊び歩くことを何よりの
       楽しみとしている。」>




    =========




    アルミン「ちょっとまって・・・!さっきから
       クリスタの口からは“彼”って
       単語がしきりに発せられてると
       思うんだけど・・・この世界では
       クリスタに・・・彼氏っていうか、
       付き合ってる人がいるの・・?!」





    ミカサ「いる」





    動画の中で巻き起こっている、
    我が目を疑う他無い位に衝撃の事実を
    受け入れられず・・・、しかし

    その中で疑問に思った事をミカサに
    問いかけずには居られないアルミン。




    動画の中のエレンも同じような事を
    ミカサに聞いており、それに対する
    ミカサの返答も全く同じものが
    重なる。





    ・・・あたかも動画の中の出来事と
    現在の二人のやり取りが重なるかの様な
    錯覚がアルミンに襲い掛かる。




  176. 178 : : 2015/10/30(金) 01:00:36







    アルミン「え・・・その・・・・彼氏がいるのに
       ・・・夜の街を・・・って??」





    ミカサ「彼氏がいながらそうではない
       男性の住まいに転がり込むのは
       この世界の彼女にとって割と
       いつものこと。」




    <エレン「オイ・・・;それってつまり」>




    =========




    アルミン「(止ッ・・・!!!止すんだエレン!!
       そんな聞き方したら・・・・!)」




    =========



    <ミカサ「きっと・・・そう言うこと。
        相手がどうとかは多分関係が
        ないのだ思う。


        ・・・・やりまくり。」
        今月ノテイクアウト・・既ニ5回目・・・>



    =========




    アルミン「ぅぁぁぁ・・・・↓↓;;;;」





    元の世界では辛うじて
    事実であった幻想を打ち砕かれ、
    その場に膝から崩れ落ちるアルミン。





    ミカサ「・・・悲しい事だけれど、

       ・・・アルミン。
       (スマホ収納....)

       クリスタも兵団でその人柄を高く
       評価されていた経緯を抜きにして
       みれば・・・単に一人の人間で、
       
       一人の女性だ。例え世界が
       違わなくなって皆当たり前に
       そういった欲求は持ち合わせて
       いるもの・・・・」ゲンキヲダシテ・・・





    アルミン「言いたい事は分かるよ・・?!?

       でも・・・、それでもよりによって
       

       ・・・あのクリスタがだよ・・・!?
       そんな事実、聞いただけで
       無条件に悲しくなってくるじゃ
       ないか!!」サスガニ コレハ キキタクナカッタ・・!






    ミカサ「・・・だからそう言った・・・・」
        フゥ・・・・・






    アルミン「ぅん・・・;何か結局ミカサの
       言う通りにしてた方が良かったよ。
     
       ・・・・途中で話を逸らしてしまって
       申し訳なかった・・・;その・・・、、」





    ミカサ「・・・・??」





    アルミン「これからは・・・ミカサが言う通り、
       ちゃんと野菜も買って食べる様に
       するよ・・・。

       でも、流石に君の好意は嬉しい
       けど・・・毎日家まで持って来て
       貰うのは悪いよ・・・・。だから・・・」



    ガッ・・・・



    ミカサ「・・・駄目だ、アルミン。
       あなたが野菜を自主的に摂ろうと
       してくれるその姿勢は大変
       喜ばしいこと・・・・

       しかしスーパーに並んでいる様な
       野菜はいずれも虫がたかる
       余地も無い程農薬の散布された
       ものしか・・・・(クドクド・・・






    アルミン「(え、エレンッッ!!早く戻って来て!!)」
       ガクガクガク・・・・


  177. 179 : : 2015/10/31(土) 01:23:03






    [ム"ッム"ッ・・・・・・]





    ミカサ「・・・・・・・・・!」ピクッ




    シャツの胸ポケットに仕舞い込んだ
    スマートフォンの振動を察知し、その画面を
    いち早く確認するミカサ。







    アルミン「・・・!、どうしたの?ミカサ・・・?

       エレンの方に何か・・・?」





    ミカサ「どうやら随分遠くまで反応が
       移動したと思っていたら、もう
       こちらへ向ってきている・・様子。


       思う存分息抜きが出来たなら
       何よりだが・・・・。。


       しかしこの速さは」ジィ・・・・




    アルミン「(た、助かった・・!エレン・・!!)」
      ホッ・・・・・;




    バシュンッ・・・   シュシュッ...

         キュッイッ!.....

                ィィィイイ....!!


     ダダッ・・   ドンッ




    ミカサ「・・・・やっぱり・・・・・」




    アルミン「あ・・・??!あれって・・・・・!」




    装置の駆動音が耳に届いたかと
    思うのも束の間、あっという間に
    彼等の視界に、その影は
    飛び込んできた・・・・



    ――エレンが行っていた機動よりも
    直線的かつ、減速の少ないコースで
    刻まれるその軌跡は正に
    一切の無駄が無く・・・



    慣性の勢いを殺さず、時折完全に
    ワイヤーから解き放たれて空中で
    繋がれざる者となった状態でさえも
    自在に木々を蹴り進むリヴァイの姿が。





    アルミン「・・・・やっぱりアノ人・・・
       絶対なんかおかしいよ・・・!」
       (;´Д`)





    ドザッ・・!!    メキッ...ジャリッ・・




    リヴァイ「・・・・よう。やっぱり来てたのか。

       さっき麓の河原でエレンの奴に
       会ってな・・・・。」






    ミカサ「大体の事情に察しはつく・・・。
        エレンがリヴァっちに
        頼み込んだ・・・・?んでしょ?

        それを目の前で使って見せては
        くれないかと・・・」





    リヴァイ「・・・・俺があいつに向って
       コレを貸してみろと言い出す
       察しはつかなかったのか?」







    ミカサ「・・・それを直接持って運んだ
       リヴァっちなら・・・その荷物の
       送り主が叔父さんだと気付いて
       いるはず。

       ・・・それならリヴァっちが
       率先して叔父さんの作ったり
       直したりしたものを自ら
       使いたがるとは考えづらい」



    リヴァイ「・・・それもそうか・・・。(チャキッ・・・)
       (トリガー部を一瞥しながら)

       ・・・しかしな。コイツは存外
       気に入った。ジジィの造ったモンで
       他人様に一切の迷惑をかけない
       物なんか今まで1つも見た気が
       しねぇが・・・・

       こいつは・・まあ悪くない。」




  178. 180 : : 2015/10/31(土) 01:26:49




    ミカサ「・・・・そう。

       私はエレンが喜んでくれれば
       それだけで良いと思って
       叔父さんにそれの改修を依頼した
       訳だけど・・・・、そのついでに
       リヴァっちまでもそれを
       気に入ってくれたのなら・・・
       それはとても喜ばしい。

       ・・・それはそうと、リヴァっちが
       態々此処まで来た用件は・・・?」




    リヴァイ「・・特に用件と呼べるものはねえ。

       ・・・ただエレンの奴に見せるには
       まだ装置とやらの動かし方に
       自信が持てなかったからな。

       練習がてら・・・こうして
       山頂付近まで上ってみたら
       予想通りお前らがいたから、
       挨拶に降りてきただけだ。」
       チラッ





    アルミン「っっ!!!」ビグッ!!






    リヴァイ「・・・・・おいミカサ。

       “あっちの世界”とやらでは
        兵士って役柄についてる奴、
        全員がコレを身に着けてると
        言ってたが・・・


        そこのそいつでもコレを
        扱う事ができたのか・・?」






    ミカサ「・・・・(頷き)。

        間違いなく・・・。出来なければ
        まず訓練兵に志願する事すら
        適わない」





    リヴァイ「あいつもそう言ってたな・・・・。
       アレは本当だったのか・・・・」チャキッ・・





    ミカサ「・・・ただ、リヴァっちの場合は・・・」





    リヴァイ「・・・・・?」 





    ミカサ「原作では今のところ・・・、
        それの操作方法と感覚は全て
        独学で身に着けたという事に
        なっているけれど・・・・」




    リヴァイ「・・・免許も無えんだ。指導者の
       有無なんざ今となってはどうでも
       良いが・・・

       訓練する奴のマニュアルには
       この持ち手を教官から教わる事は
       決して無いと…エレンも言ってた。


       あながちそうなのかもな。」




    ミカサ「・・・なるほど。状況は把握した。
       
       態々こんなところまで有難う。」




    リヴァイ「気にするな。練習がてら
       飛び回ってりゃ驚くほど
       あっと言う間に到着してた。

       全く手間には感じなかった。

        ・・・じゃあな。


       ・・・・っと、そうだ、すっかり
       忘れてた・・・。おい・・ミカサ」
       スッ・・・スッ・・・





    咄嗟に携帯を取り出したリヴァイは
    画面を素早くタップしながら言った。







    リヴァイ「お前のアレのIDを教えろ。
       ほら・・・緑のヤツだ」





  179. 181 : : 2015/10/31(土) 01:28:51




    ~丁度その頃~





    ―ハンジ自家用車・車内―





    ぺトラ「・・・・・眠れぬ。。」
         ギンギンギン...
      \シャ ( `ºωº´)キィン/




    憐れ、事前に煽った毒酒(眠○打破)が
    今になってそのピークを迎えてしまった
    彼女の全身は・・・溜め込んだ疲労に悲鳴を
    上げながらも、


    経口摂取の形で投与された高濃度の
    カフェインによって僅かな眠気を催す
    事すら許されず、見開かれたその
    両瞼からは剣戟の際に響き渡る
    オノマトペに相応しき擬音すら
    聞こえてきそうな・・・そんな勢いである。




    ぺトラ「・・・・無理も無いわ・・・・

       ハンジさんの勢いにうっかり
       乗せられたというのも、そりゃ
       あるけど・・・今日・・・、、、
       
       今日私はとうとうアノ先輩に・・・!」
       (ドーパミン多量分泌中.....)




    ぺトラ「・・・・駄目だわ・・・・これは・・・。。


       きっとこの勢いのまま先輩に
       当たりに行けという
       天啓に違いない・・・・!」グググ・・




    ガコッ・・・・   バタム・・・





    歩く屍と化しつつも車内より這いずり
    出でるぺトラ・ラル。



    緊張の種類こそ違えど、この程度の
    眠気と鎬を削りあう修羅場は今まで
    幾度も潜り抜けてきた。



    原稿の締め切りという見えない敵との
    追走劇・・・・。そして、
    連日に及ぶ徹夜で既にズタボロに
    成り果てた、そんな身体を引き摺ってでも
    果たさねばならない売り子としての責務。


    自身に課せられた責務を全うしきった
    その後も、今度は自身の趣味の収穫を
    逃さぬ為に他サークルへの巡回強行を
    余儀なくされる地獄の三日目。


    ただ、身体的にこそ極限状態であれ
    いままで彼女が潜り抜けて来た
    それらの修羅場の多くは・・・

    間違いなく右を見ても左を見ても
    彼女が求めて止まなかった
    BL天国(おはなばたけ)であったからこそ
    辛うじて今日まで走破できたのだと・・・

    そうとも言える。




    ――果たして彼女にとって、
    意中の人を前にした状況下にあっても
    同じだけの気力を振り絞る事が
    叶うだろうか・・・?



    不安は、確かに渦巻いていた。



    しかしそんな不安すら瞬時に
    疲労の彼方へ追いやると・・・

    今日この日、ついに積年に渡って
    想い続けてきた相手に伝えるべき想いを
    胸に、――彼女の魂は奮起した。





    ぺトラ「・・・・っし・・・・!!

       意識がある内に・・・行くわよ私・・!」
       パシン・・・・!


  180. 182 : : 2015/11/03(火) 03:03:59



    ―リヴァイエリア―





    ティリリッ♪!!!




    リヴァイ「・・・、!」




    ギュィィィ・・・・!



    ダンッ・・・・・




    リヴァイ「(今のがその通知音とやらか・・

       まあ、エレンの使った分と併せて
       今が半分なら・・・まだ麓から
       頂上まで戻る分は余裕だろ・・
      
       このまま行くか・・・)」グッ・・



    一旦立ち止まった樹上から再び身を
    乗り出そうとしたその時・・・・



    ピンポロパンポン♪ ピンポロパンポン♪




    リヴァイ「・・・??、、誰からの電話だ・・・

       、、コイツは・・・」



    携帯を取り出したリヴァイの目に
    飛び込んできたのは・・・暗転画面に
    通話アイコンを表示させながら、
    画面中央に浮かび上がる、
    1つのラインアカウント画像だった。



    リヴァイ「・・・・ジジィか・・・・
       (通話タップ)

       なんだこんな時に・・・」




    <ケニー「ぁ~・・・ぁ~・・アロー・・?

      聞こえてっかチビッ子君。」>




    リヴァイ「何の用だ・・・。こっちはこれから
       運転に専念しなきゃならねえ。

       イヤホンも持ってきてないから
       流石にお前とお喋りしてる暇は..」




    <ケニー「まあ聞けぃや。ミカサから聞いたぞ。
      今ぁ・・・お前ぇーが“そいつ”を
      動かしてんだろ・・・。

      こっちにemptyの事前通知が来たぜ。
      もう後ガスが残り半分を切ったって
      訳だ。ミカサから聞いてねーのか」>





    リヴァイ「この通知がそっちにも
       届いてんのかよ・・・・。(呆)

       必要か・・?その通知機能は・・・・」





    <ケニー「ああ?必要かどうかは兎も角、
      こうして俺が待機状態で居られる
      内なら・・大いに意味ならあるぜ。

      装置の“座標”入れてあるからな。
      ガスと替えのバッテリーくらいなら
      ・・・モノの数十秒で“転送”による
      “換装”が可能だ」>






    リヴァイ「・・・最早何でもありだな・・・(溜息)」






    <ケニー「っははは、仮にも地球外技術の
       横流しを請け負ってる身なんでな
       相応の相伴には預からせて
       貰ってる。

       分かったら一先ずそこを動くなよ。

       今バッテリー、ガス共々おNEWに
       取り替えてやる」>





    リヴァイ「・・・・・・・」





    ジ・・・・・ ジ ジ.........

    ジ........ ジ.......




    言われた通りにその場に佇むリヴァイの
    腰元から・・・聞き馴染みのあるその音が
    鳴り響く。
  181. 183 : : 2015/11/03(火) 03:06:08





    ・・・見た目には大した変化も無いが・・・
    よく目を凝らすと、ボンベ表面と
    動力部に向って、天から一筋の微細な
    閃光が走っている。

    今正にその換装とやらが行われて
    いるという事なのだろう。





    <ケニー「・・・・で、どうだった。
      お前でもそこそこ扱いやすく
      仕上がってたか。

      生憎俺様が一から組み立てた
      ヤツはそれとは異なる・・・
      特殊バイオメタンのみを
      動力として採用してるからな。

      そいつとは大分挙動が異なる」>





    リヴァイ「・・・手前が仕立てた玩具にしちゃ
       上々だ。久々にいい気晴らしに
       なった。

       ・・・こんなに気分がいいのは
       おぎゃあと生まれた時以来かもな


       ・・・別段それまで眠かった訳でも
       ねえが・・・すっかり目も覚めた・・・」





    <ケニー「そいつはどうも。
       おはようございます。

       ・・・・っと、おい終わったぞ。
       もう動いて平気だ。さぁて・・・
       俺様は俺様で仕事の続きといくか
       ・・・・おう、ミカサによろしくな」>





    リヴァイ「(こいつ・・・そもそも仕事って
        普段何をしてやがるんだ・・・?)」




    用件だけ済ませると、実にそっけなく
    切られた通話の履歴を表示する
    携帯画面を見やり、一瞬だけ思案する
    リヴァイだったが・・・・





    リヴァイ「(・・・やめだ。ことケニー(ジジィ)に関しては…
       常識的な考察の一切が無駄に
       終わるだけだ。

       考えるだけ時間の無駄だな)」
       カチャッ・・・・





    バシュッ!!!    バシュンッ





    リヴァイ「(そういや・・・ザックレー爺さんからの
       連絡が未だ無いが・・・本当に
       人数分のアイスを河原まで届ける
       積りで居やがるのだろうか)」



    ギュァッッ・・・・!!  




    補填されたガスの残量を気にせず
    一気に排気を吹かして我が身を
    加速させた。





  182. 184 : : 2015/11/03(火) 03:09:18







    ―ハンジ・エレンエリア―






    ハンジ「ま、マジかよ!!!
       “あの”ぺトラが!!???」
       ブハッ!!!!





    エレン「ハイ!!グンタさんや
       エルドさんの供述では間違いなく
       ・・・!それもオルオさんと一緒に
       なって・・・、雨天の接敵中に
       居合わせたお二人が気付いた
       くらいですから間違いなく
       空中で派手に撒き散らして(ry,,




    ぺトラ「チョ・・・なんですか・・やけに・・
       盛り上がって・・・居るみたいですが
     
       ・・・一体河原から離れて
       こんな所まで何を・・・・ってアレ」
       ヨロヨロ・・・




    ハンジ「おっ・・・噂をすればなんと
       本人が・・・!////w(プスプス)」




    ぺトラ「はっ..What's!?!?何れすか!?

        人の顔見ていきなり笑い出して
        ・・・・?!」





    エレン「あ、おはようございます
       ペトラさん・・・・・、
       良くここが分かりましたね。」






    ぺトラ「向こうでミケさん達に聞いたら
        桟橋渡ってこっち側の林に
        入るところを見たって言うから
        ・・・

        って、、なんでこんな所に、、
        君が・・・?;そ、それに先輩は・・
        (それに・・あの服・・・!!・・?)」




    ハンジ「リヴァイならちょっくら
       出かけてるよ~。。
       まあそのうち帰ってくると
       思うけど。」ヒョイヒョイ




    ぺトラ「??、?;」





    そう言いながら山頂に向って
    指差しを行うハンジを訝しげに伺う
    ぺトラだったが・・・・




    ハンジ「それより丁度今エレンと
        あんたの話になってさぁ~♪

        なんとエレンの話によるとだね、
        彼がこっちに来る前に居た
        世界のあんたは何と・・」
        ニマニマ






    ぺトラ「な・・・なんですかそのニヤケ面は
       ・・・・!;わ、私が何か・・・」
       オドオド・・・






    ハンジ「いやぁ・・・言っちゃって
        いいのかなぁ・・?w

        でもなぁ・・流石に武士の情けで
        言わないであげた方が・・・」
        ニヤニヤニヤ




    ぺトラ「(これは・・明らかに私への催促を
        煽っていくスタイル・・!!しかし
        ならばこそ敢えて乗って
        差し上げましょう・・・!)グヌヌ・・

        何ですかもう・・・!?そんな
        あからさまな態度取られたら・・・
        結局ハンジさんは話の内容を
        知ってるんですから、知らないで
        やきもきしてる私なんて
        いいサルじゃないですか!!!

        勿体ぶらないで早く教えて
        下さいよ!!」





    エレン「(・・・今更ながら・・・話題に
        詰まった流れとはいえ流石に
        言うべきじゃ無かったか・・;
      
        い、いや・・・元の記憶を思い出す
        その為には・・その手がかりは
        少しでも多い方がいいはず・・!)」





    ハンジ「ンじゃぁお構いなくいっちゃう
       けどね・・!何と・・・!...




    ・・・・・・・・・・.....





    ぺトラ「っ・・・?!  、、あ、あれ」





    二人の耳に微かに届く金属摩擦音。




    ハンジ「お」




    エレン「おっ」



  183. 185 : : 2015/11/03(火) 03:14:02









    ....ィ ィ イイ イイイイイイイイ





    ぺトラ「..おォ..!!??」ビクッ





    彼女の目が捉えたのは言うまでも無く
    たった今まで自身が探していた張本人に
    他ならなかったが・・・



    その目に飛び込んできたのは
    起き抜けの彼女にはあまりにも
    衝撃的な光景であった・・・・





    ギャギギギ,,,,,,,・・・・――ッダン...!





    リヴァイ「おう・・・もう起きてきたのか・・・
       眠気はもういいのか?ぺトラ。」

     


    ――腰に長大な器具を取り付け、
    それによるものと思われる、恐ろしく
    俊敏な移動法でもって木々の隙間を
    自在に跳躍する、意中の人の姿。



    向こうも直ぐに此方に気付き、
    丁度目前に立っていた、他のものより
    大分しっかりとした大木の樹上に止まる。





    ハンジ「(オイ!、オイ!!ペトラ!!?(小声))」




    ぺトラ「(な、何ですかハンジさん!?(小声)」





    ハンジ「(何だじゃないよ!この状況!!
        分かってるな!!お前の準備が
        整ってるかどうか・・それも重要
        だったが・・・それよりも
        優先すべきシチュエーションと
        ロケーションが今この場には
        この上ない好条件で揃ってる!!
        ヤツは激しい運動直後で・・

        此処は周囲に人目の無い
        林の中だ・・・!今ならいけるぞ!!

        …私とエレンは一先ず後に退がる!
        まずは・・・お前から行くんだ!
        (小声))」ビシッ!




    ぺトラ「(チョッ・・ちょっちょマッテクダサイ!!?//

        私・・!ええ、その覚悟だったら
        既にしてきましたけど・・・!

        ハンジさんも同時に来てくれるん
        じゃ無かったんですか!?(小声)」




    ハンジ「(流石にジャスト二人で
        当たるのはどうかと思ったしな!
        一番槍はあんたに譲るって!
        あんたが言いに言ったら
        時間差で私も行くよ!

        ・・・それからこれをお守りに
        持って行け!(小声))」
        ギュッ・・





    ぺトラ「・・・?(これは・・・)」
       ズキッ・・・




    彼女の掌に乗せられた一枚のワッペン。

    その一対の翼を模られた紋章の様な
    ワッペンを凝視した瞬間・・・彼女の脳裏に
    ・・・今彼女が身を置いている場所とは
    全く景色の異なる、木々が群れなす森林の
    風景が去来する・・・・ 




    ぺトラ「・・・・、・・・・・??!」
        ドッ・・ドッ・・ドッ・・・



    徐々に高鳴る心拍に後押しされ、
    安定した思考が保てなくなる
    ぺトラの深層意識。

    このまま渡されたワッペンを凝視し続け、
    集中していれば自身が思い出し掛けて
    いる事を一気に掴み取れそうな予感も
    同時に沸いてくるものの・・・


    それを押さえつけようとする感情も・・
    間違いなく自分の中に感じ取れる。



    ハンジ「(さっ・・!長話は此処までだ!!
       安心しろ!!私も直ぐにお前の
       後を追う!(小声))」
      パシンッ!!



    そう言って未だ完全に手の上の
    ワッペンに意識を向けたままのぺトラの
    臀部を引っ叩き、檄を入れ、
    その勢いで一気に意識を覚醒させた
    ぺトラに肩を回すハンジ。




    ぺトラ「ぴャッ・・・・・?!」





    ハンジ「目標目の前!!敵は人類最強
       鈍感朴念仁リヴァイアッカーマンだ!
       相手に取って不足無し!!!

       兵子ども!!死ぬるは今ぞ!!!

       命、捨てがまるは今ぞ!!!」
       ウォォォ!



    元々彼女が持ち併せている狂奔の本能が
    ・・・・ぺトラの極限まで回転数の高まった
    脳幹へと更なる起爆燃料を送り込む。




    ぺトラ「(何だか分からないけど
        無駄にヤル気漲ってきた・・!)

       お・・・お、応ですッ!!
       ここは一番武者働きせねばッ!!!!」
       パンパン!!




    ハンジ「そうだその意気だぞ!!

       っていうかもういっその事アレだ!
       告ってフられちまったら首を
       奪い取る気持ちで行け!!!!」

  184. 186 : : 2015/11/04(水) 01:14:32





    ぺトラ「いえあの・・勢いづけて下さるのは
       正直助かってるんですが・・・!

       私当たった後、先輩が返事くれる
       前ですからね!!?ハンジさんが
       当たるのは・・・・!


       私玉砕した後じゃあまりにも
       無惨ですからね!!??
       そこんとこお願いしますよ本当!!!」

       ソワソワソワ・・・





    ハンジ「分かってる分かってる~」
       ニヘニヘ・・




    エレン「(あの顔・・絶対ぺトラさんを
        上手くのせる為の口実だろ・・・;

        しかしこれ・・・一体どう
        転ぶ結果になるんだ・・・?!
        全く予想が付かない・・・?!)」






    こと男女間の色恋沙汰、といった事に対し
    殆どその脳の演算能力を使用した
    事のないエレンが・・・現在の状況と、
    その行く先を・・・飲み込んだ固唾と共に
    見守る。




    エレン「(つまりハンジさん、ペトラさん
        共に兵長には想いを寄せている
        感じで・・・今これからその二人が
        兵長に波状攻撃を行う形で
        自分の気持ちを告白する・・・

        って事で良いんだよな・・・?!
        今のこの状況・・・!?)」






    リヴァイ「・・・・・・・・?」





    随分と樹上で静観を続けていた
    リヴァイであったが、ここまで
    長時間に渡って此方に近寄ろうと
    してこない一同から何やら不審な視線が
    寄せられている事に気付き、流石に
    その身を地に降り立たせようとした・・・


    正にそのときであった。





    ぺトラ「せ・・・せせせ、先輩ッっ!!」
       カッ!!!




    リヴァイ「・・・??」




    常日頃の彼女のどもり方を知っている
    者が聞いたとしても特に酷い動揺を
    露にし、自らを精一杯呼び止める
    後輩の声が・・・静かな山林に響き渡る。




    大声を上げたかと思えば、
    何を急ぐ必要があるのか、歩くのでは無く
    足早に自身の立っている木の前へと
    目指して駆け寄ってくるぺトラ。





    ―――しかし








    ぺトラ「先輩ッ・・あの、私ッッ・・・――




    その言葉の先は・・・声に紡がれる事なく、
    続いて周囲に居た全員の声にならない
    叫びを誘発させる結果へと繋がる。





    ぺトラ「ッ――ー―・・・!!!?」

     (バチバチバチッ!!!)




    その瞬間、ぺトラの視界に
    白い稲光のような閃きが走った。


    その感覚は・・・先程ハンジに手渡された
    ワッペンを見つめていた時に最も
    感じていた感覚でもあり・・・


    自らの想いに更なる勢いを付ける為、
    駆け出しながら樹上に待つ想い人を
    見上げた際に・・・その揺さぶりは
    頂点に達する。




    のた打ち回る閃光のあまりの眩さに、
    駆け寄ろうとする勢いはそのままに、
    一瞬だけ完全な前後不覚に陥るぺトラ。



    当然、樹木の根などが縦横無尽に
    敷かれる程足場の悪い山中で、その様な
    事になればそれまでの運動量は
    そのままに・・・・



  185. 187 : : 2015/11/04(水) 01:19:26






    ハンジ「おッ・・・・おいっっ!!!!
        ぺトラ!!!!!!」ガバッ




    エレン「ッ・・・・!!!!!」






    タイミングも悪い事に、リヴァイの居る
    止まり木に最も近い地点で足を
    もつれさせて前傾姿勢に陥った
    ぺトラは・・・・・





    リヴァイ「ッッ・・・・・ペト・・・・・・!!!!!」
       グッ・・・・!!!





    ドゴッッ・・・・!!




    今すぐ樹上から飛び降りてその身と
    樹木の激突を防がんと身を乗り出そうと
    するリヴァイの焦りも空しく、
    駆け寄る勢いそのままに樹皮に顔面から
    突っ込んでしまう。




    リヴァイ「ぺトラッッ!!!!!」




    その場でリヴァイが瞬時、容易に
    飛び降りなかったのは・・・常人の感覚を
    遥かに上回る状況判断力で考えた結果、


    どう足掻いても彼女の激突は免れないと
    理解した上で、この場で咄嗟に
    自らも感情任せにその身を投げれば

    ぺトラの転倒後の姿勢如何によっては
    二次被害発生の恐れも危ぶまれると
    危惧していたからであったが・・・


    その判断の末、顔面から一切加減の
    効かないぶつかり方をしてしまった
    ぺトラの様子を確認し、彼女が
    その勢いのまま転倒しないかを見定めて
    から自身の着地点を決めようとする
    リヴァイ。しかし・・・・




    ぺトラ「っっ・・・・つつつ・・・・!!!!;

       あ、あっっへへ・・・ずみません・・・

       かなり派手にいっちャいました..」
       イツツツツ・・・


    ズル・・・



    本人の口から辛うじて意識の有無を
    伝える言葉が飛び出した事に、
    一瞬だけ張り詰めた緊張を解くその場の
    全員だったが、樹木に密着していた
    顔を離した彼女の鼻腔からは一筋の
    赤色が。





    エレン「鼻血出てますってペトラさん!!

       顔を上に向けた方がッ・・・・!!!」






    ハンジ「・・・・・!!おい、じっとしてなよ
        ぺトラ!??今のかなり強く頭
        打ってるだろ・・・・!!?」






    リヴァイ
        「っ・・・・!!!???」
    ぺトラ






    ババッ・・・・バチィッ・・・・・!!!!!





    リヴァイ「ッ・・・・ッぁ・・・・・・!!!!?」

       グラッ・・・



    ペトラ「ッ―――――」

        フラッ・・・・


    鼻からの流血を防ぐ為、木の根元にて
    真上を向いたぺトラと、今すぐその場へ
    我が身を降り立たせようと直上から
    見下ろしていたリヴァイの視線が交差した
    その瞬間。―――二人の視界に同時に
    強烈な火花が散り・・・、強い眩暈と共に、
    二人の視界に同じ記憶の情景を映し出す。



    “此処ではない何処か”にして・・・・


     しかし、この上なく、今のこの状況に
     近い情景でもある・・・・、


    “今ではないいつかの”記憶を映し出す。


    尋常ではない眩暈と、それぞれの意識に
    押し寄せる記憶の波。その強大さに・・


    ぺトラは直後、全身の支えを失って
    しまったかのように木に倒れこみ、


    リヴァイは咄嗟にバランスを崩して
    樹上から転落しそうになるのを、
    何とか気力で持ち直し、上手く直下の
    ぺトラを避ける位置に着地する。



  186. 188 : : 2015/11/04(水) 01:23:27








    リヴァイ「(何・・なんだ…ッ・・こりゃぁ・・!!)」
       ガクガク・・・・





    ハンジ「リヴァイッ・・??!?!
        ど、どうしたんだあんたまで!!
        大丈夫か!!?気分でも悪いのか!」
        ガバッ




    リヴァイ「馬鹿を言え・・・!気分は・・・
       今までに無い程爽快だ・・・・!

       今まで何をどうしても記憶の
       奥から引っ張り出せなかった
       記憶が・・・一気にあふれ出てきた
       ような・・・そんな感じだからな・・・


       だが今はそんな事はどうでもいい
       ・・・・!!ぺトラは・・・ぺトラの
       意識は無ぇのか・・・?!」バッ・・・





    エレン「駄目です!!完全に気を
       失っています!!」





    ハンジ「きゅッ・・・救急車呼ぶよ!?

       ・・・・・
       ってうおっ!!?ここ圏外だぞ!!!?
       まっじかよっ!!!」




    リヴァイ「おいっ・・・落ち着けメガネ・・・!!!

       そもそも電話が繋がったとして・・
       場所をどう説明するつもりだ・・!

       おまけにここは辛うじて車が
       入ってこれる方の対岸に渡って
       更に奥まで入った山中だ・・・、、

       消防署から車が出てくるなら・・」
       ガチャ・・・・ ・・ググッ
       




    ハンジ「あッ・・・リヴァイお前っ・・・、、
       一体何を・・・・!?!」





    リヴァイ「何を・・・だと?決まってるだろうが
       ・・・ここからなら俺がコイツで
       ぺトラを持ってった方が早い。

       ・・・お前も急いで此処から出ろ。
       
       河原からなら電波もあった。
       もう一回119番を掛けて・・
       こっからなら旧図書館が一番
       分かり易いハズだ。そこに
       救急車を呼べ。俺は・・・そこまで
       “コイツ”でぺトラを担ぐ。」
       グッ・・・






    ハンジ「なッ・・・!馬鹿言うんじゃないよ!!

       ふざけんな!そんな危なっかしい
       モンで人二人を安全になんて
       運べるもんか!!

       それにあんた自身も何か様子が
       おかしいだろ!!貸せって!!
       ぺトラも私が背負って連れて
       言った方が断然早・・・・」ガッ・・






    リヴァイ「っっ・・・・・・!!!」グイッ・・・






    その目に普段の彼女が見せるような
    軽はずみな調子は一切見えず、
    今はただ、極めて論理的に場の状況を
    見定めた上でリヴァイの言い張る
    打開策を一蹴するハンジ。

  187. 189 : : 2015/11/04(水) 01:28:37






    そう、この場において最も正常な
    思考による判断が行えているのは寧ろ
    彼女の方であり、仮にリヴァイの案で
    救急車への搬送が最も早く行えたと
    しても・・・

    それは、結局病院までの到着時刻が
    短縮できるだけの話で、そこに至るまで
    現在意識を失っている彼女の体に掛かる
    負荷はどう考えても大幅に増える筈。



    それも頭を強く打っている以上・・・
    出来うる限りその身を安静に運ぶのは
    最早絶対条件である。





    ハンジ「ほら!!こんなとこでもたくさ
       やってる場合じゃないんだって!!

       早く離せよ!!!あんたも携帯
       持ってんだから、あんたが電話
       かけてくれって!!」





    リヴァイ「・・・・・・!!分かってる・・・・
       分かってるんだよ・・・・!

       テメェの言葉が今この場で一番
       筋が通ってるって事くらいは・・・!


       だがな・・・・・!」グィッ・・




    鬼気迫る表情でぺトラのぐったりとした
    身体を必死に引き剥がそうとする
    ハンジに対して・・・しかし一歩も譲ろうと
    しないリヴァイ。・・・そしてついに彼女の
    怒りの檄鉄は打ち下ろされた。






    ハンジ「っッッ」






    ッ  バゴッ!!!!!





    リヴァイ「・・・・ッ・・・・!!!」




    エレン「へッ・・・兵ちょt・・?!!!?(蒼白)」




    目の前の昔馴染みが、完全に
    正常な思考と落ち着いた判断を
    持ち併せていないと判断したハンジは、
    肩を回して大きく振りかぶった
    その腕で・・・・張り手と見せかけた
    強烈な肘打ちをリヴァイに見舞う。


    原因こそ不明ではあるが、仮にも
    つい先程平衡感覚を失いかけた
    旧知の友に対しての・・・一切容赦の無い、
    予想外の、肘。



    リヴァイの反応速度と強靭な
    首筋をもってすれば通常の張り手など
    来ると分かっていて、回避も防御も
    ままならなかったとして、殆どダメ-ジには
    成り得ないが・・・・それを見越しての
    一撃であろうか。


    辛うじて抱きかかえたぺトラのみは
    決して離そうとせず、自身の体勢も
    頑として崩さずに踏ん張った
    リヴァイだったが・・・勢いの乗った
    強烈な肘鉄砲は、確実に彼女の渇と共に
    彼の心に突き刺さった。





    ハンジ「目は・・・醒めたか・・・??!
       
       ぁあ...?!あんた相手じゃ・・・
       ビンタなんかじゃ屁のつっぱり
       にもなりゃしないだろうからね

       ・・・・どうだぃ?ちょっとは
       普段の冷静なあんたに・・・・戻・・・」





    エレン「っ・・・・・!!! ! ! ! 」





    途中まで、まるで近づく者悉く(みなごろし)
    とでも言いそうな位に鬼気漲る顔で
    リヴァイに差し迫っていたハンジの表情が

    ・・・一瞬でその怒りの業火を鎮火させ、
    そのままの勢いで凍りつく。





    リヴァイ「・・・・頼む。俺に・・・・俺にこいつを
       運ばせてくれ・・・・。


       俺は・・・・!!!


       俺はもう・・・こいつを可能な限り
       離す訳にいかない・・・・


       全て・・・思い出しちまったからな」





    ハンジ「ッ・・・‼?!?」




    その表情を見たハンジが第一に抱いた
    感情はやはり・・・"驚愕"、そして
    "困惑"であった。
  188. 190 : : 2015/11/04(水) 01:36:05





    ・・・言葉にするだけなら難しくも無い、
    ただソレだけの事。・・・しかし

    その驚きの度合いたるや、尋常ではなく、
    それがどれほど凄まじかったかと言えば

    今この瞬間まで怒りの業火に
    煮え滾っていた彼女の激情すらも

    一瞬で委縮させてしまう程に・・・・



    “それ”は衝撃的な光景であった。





    リヴァイ「―――――-・・・・・」





    ハンジ「(何っ、、だよ・・・!!!その・・・

        ・・・・・その目は....!!?)」



     そこに在り、私に真っ直ぐ向けられて
     居たのは・・・十年以上の付き合いを経て
     来て尚、私が一度も目にした事の無い、
     そいつの表情。




     取り返しのつかない物を
     失う事を心の底から恐れている様な・・・
     明らかな“恐怖”の表情。


     部屋の中でゴキブリの行軍を
     目の当りにしてしまった時の様な
     恐怖の色では決してない・・・・。


     正気を保てていない自分を
     正論で叱咤してくる私に対し、


     自身の非を全面的に認めながら・・・
     自らの手放せない物を訴える様な、

     完全な下から目線で自身の主張を
     通そうとするリヴァイの表情。




    ・ 

    エレン「っ・・・・・・  」

     怒り狂ったハンジさんの怖さと、
     それによってのた打ち回る事になる
     紅蓮の業火を消し沈めるのがどれだけ
     大変な事か・・・・

     そんな事は新兵という立場上
     当然兵団での付き合いが短いオレでも
     よく知ってる。

     あの人の特異性はよく話のネタに
     上げられていたから。


     そのハンジさんが・・・
     兵長の“あの顔”を見た瞬間、
     何も言えずに固まった。

     恐らく“こっちの世界では”・・・


     ハンジさんは兵長のあんな顔を
     見たことは一度も無かったんだろう。


     そりゃ無理も無いハズだ。


     オレだって・・・・オレだってもしも
     突然兵長にあんな顔を向けられたら・・・

     
     もしや、兵長にだけ分かる形で・・・
     もうすぐそこに人類滅亡の時が
     差し迫っているんじゃないか・・・

     と思い込むくらいの不安に
     駆られちまうだろう。 







    エレン「(けどオレは・・・オレはあの
        兵長の顔を・・・・・)」




       そう、“識っている”



     オレは・・・この目で直接見た訳じゃ
     ないが・・・兵長のあの顔を知ってる。


     ペトラさんの亡骸すら共に
     連れ帰る事が出来なかった時の・・・




       “あの顔”だ・・・・・・・・




     兵長がどんな気持ちでペトラさんを
     置き去りにしなければならなかったか。




     どんな気持ちで仲間を失い、
     悲しみに暮れる調査兵の面々に・・・

     ペトラさんの形見を手渡したか。



     帰還後の隊列に寄ってきた
     ペトラさんの親父さんが掛けてくる
     言葉を・・・・一体どんな気持ちで
     聞き届けなければならなかったか。


     
     そんな事は到底オレみたいな
     一兵卒には計り知れない事だ。




     ・・・しかしコレだけは確実に言える。




     仲間が死ぬのは特別作戦班内に
     限った事じゃないとか・・・


     最早そういう次元で済む悔恨では
     無かったはずだ。


     特別作戦班だけで見ても・・・


     ペトラさんだけでなく、オルオさん、
     エルドさん、グンタさん・・・。。



     皆が帰らぬ人となった。
     それもたった一度の戦闘で。




  189. 191 : : 2015/11/04(水) 01:39:32





     ――オレが自分だけを信じていれば。




     命令違反の処罰すら恐れず踏み出す
     勇気を持ってさえいれば。




     せめて皆を信じるだけでなく、
    “そうしようとする自分自身”を
     今一度疑える頭さえあれば回避できた
     かもしれない惨劇が・・・・




     ――兵長の中では全て自分の下した
     命令にこそ責任があると考えていた筈。




     そんな事は・・・・・・・・  !!




    エレン「(ミカサが何と言おうと・・

        アルミンにどう諭されようと・・・)」



     絶対に見捨てて置けるはずがない。



     違う世界であろうが何だろうが・・・



     ペトラさんがこうして何事も無く
     生きている世界で・・・兵長もそこに
     居るんだ。   なら・・・・・


     


     ――――――その事実は決して、、



     
    “無かった事”にする訳にはいかない。





     例えこれがオレの勝手な
     お節介であろうと・・・、


     記憶を無くし、平和に暮らしてる
     兵長達に思い出したくも無かった

     最悪の記憶を思い出させる
     結果となろうとも・・・・。



     これが・・・これこそオレが選んだ・・



     “悔いなき選択”だ。



     兵長達に比べれば修羅場の外れすらも
     ロクに通り抜けた事のないオレだが・・



     自分で選んだ道を往かなかった
     場合の後悔は・・・・もう一生分味わった。





    エレン「(もしオレが起こした行動が
        僅かでも兵長達の記憶に
        呼びかける切っ掛けと
        なってくれるなら・・・・・!)」
        グッ・・・・






    ハンジ「っ・・・・ぁ、オイ!!?」





    エレンはその場で未だリヴァイを
    引き留めることを諦めていないハンジの
    肩を制し、首を振りながら無言で訴える。



    ハンジ「ちょっ・・と!・・オイ!!エレン??!

        あんたまで!!!!?」




    エレン「すみません・・・本当に
        すみませんハンジさん・・・・!!

        でも・・・・オレは兵長の心を
        何より尊重すると決めて
        此処に居ます。


        そもそもオレがミカサの
        意見を無視してここに
        来なけりゃペトラさんが
        怪我する事だって・・・きっと
        無かったんです」





    ハンジ「・・・・・・・!?いや・・・ちょと
        待てって・・・・・・」






    エレン「・・・事が落ち着いたら例え
        どんな罰だって受けます。


        ですから・・・・どうか、あの・・・!




  190. 192 : : 2015/11/04(水) 01:50:57





    リヴァイ「・・・・・止せ。それ以上言うな・・・。

       ・・・ただ・・・取り敢えずこの場で
       1つだけ俺からお前に…どうしても
       言いたい事がある。

       
       いいか・・エレン・・・・・?」
       ググッ・・・・・






    ついにその場でぺトラを抱えながら
    立体機動に移る構えをとるリヴァイ。





    リヴァイ「言いたい事は豚のクソほどあるし
       それを全てお前に問い詰める
       為には・・・

       最早馬のクソほど長くて
       キレの悪ぃ話になっちまうのは
       避けようがねぇ。

       仕方ねえから今はこの一言で
       済ませておくが―・・

       まあとりあえず、、、」





    その目は既に一発目のアンカーの行方を
    定めていたが、顔の向きはそのままに

    視線だけを此方に流して、この場で
    思いつく限り最大にして・・・


    他人に送る賛辞としては始めての言葉を
    ・・・・彼は贈った。






    リヴァイ「 ありがとうな 」






    ハンジ「   」



    エレン「   」





    直前までの悲壮感の塊の様な表情から・・
    その陰りも見せない、正真正銘の笑顔を…


    ・・・肩越しに顔半分だけ覗かせて。




    エレン()が原作世界をそのまま
    歩む道を往っていたならば、あと
    二月もしない内に見る事に成るであろう
    その顔は・・・たった一瞬しか
    此方に向けられなかったが、


    その場に残された二人を数秒間
    固まらせるには充分な威力を持っていた。







    ドシュッ・・・!!!!   バシュッッ!!




       ・・・ッキュィィィィッッ!!!!













    跳躍の際に全身に圧し掛かる慣性に
    最も注意を向けながら・・・


    しかしこの上なく俊敏に、
    リヴァイは山林を駆け抜けた。














    ―リヴァイ・ペトラエリア―




    ギュィィィイイイイイイイイ




    リヴァイ「(コイツが人間二人分の負荷にも
       充分ついていける馬力と操作性を
       備えているのは・・・どこと無く
       本能でも理解は出来ていた。

       ・・・しかし確信を持てたのは
       やはりエレンのお陰だな。

       成る程・・・これが・・・“この記憶が
       事実なら”)」





     初めて俺を、ハンジを・・・そして
     ぺトラの顔を前にした時のエレン(あいつ)
     見せた反応も・・・すべて納得が行く。



     確実にアイツは・・・・
     “あれら”の惨状を全て自分の選択に
     依る所の弊害だと思い込んで
     やがるんだろうな・・・・





    リヴァイ「(餓鬼(ガキ)の癖に考え過ぎだ・・・

       咄嗟に礼を言っちまったが
       その説教からだな。次会ったら)」



     だが何より・・・



     その“餓鬼”(ガキ)の計らいが無ければ
     この記憶すら取り戻す事は無かった。




     そこはやはり・・・・・





    リヴァイ「礼を言って正解だったな・・・」フッ・・



    出来うる限り全身に掛かる事になる
    慣性負荷を緩やかな程度に抑えた
    跳躍の最中・・・抱きかかえたその顔に、
    先程エレンに向けたものと同じ顔を
    向けるリヴァイ。


    抱えるその腕からは確かに彼女の
    臓腑が躍動し、全身に血流を届ける
    証拠として起こす微かな振動を感じる。


  191. 193 : : 2015/11/04(水) 01:55:57






    ・・・・・感じるのは良いのだが・・・・





    ぺトラ「・・・・・・・/////////////////」
        カァァァァァァァ・・・・・





    その顔色は、明らかに正常ではなかった。






    リヴァイ「・・・・おい。意識はあるか・・ペトラ」





    ペトラ「・・・・・・・..アリマヒェン....////」プルプル
       ボソッ・・・・・




    リヴァイ「そうか・・・・何者かの声が
       聞こえた気もしたが・・・どうやら
       俺の気のせいか。


       ・・・・息も無さそうだしこれは
       一大事だな・・取り敢えず河原まで
       移動してそこから公道まで出れば
       立体機動(コイツ)は使えねえ。

       そこまで行ったら取り敢えず・・」





    キュィィィイイイイイイイイイイイ。。






    リヴァイ「 口対口人工呼吸だな 」
    ペトラ「ィイェァアア"ア"ア"!!!!∑(;´゚д゚`)
       起きてます起きてます!!!

       しっかり目醒めてます!!!!
       スミマセンへいち・・・っt。s..先輩!!!
       私嘘付いてましたァァア!!!」
       ガバッ・・・・・



    リヴァイ「騒ぐな。乾いてねぇ今のウチに・・
       取り敢えずその鼻血を拭け。」




    ペトラ「っへ・・・・あは、ハヒ・・・」
        ツツー....



    リヴァイ「俺のシャツでも何でも使って
       構わねえ。拭いたらそれ以上
       流れてこねぇ様に上だけ向いて
       おとなしく...
       バシュンッ・・・・!

             ッキュィィ..






    ペトラ「っっ!!!!」
        ガバッッ!!
    リヴァイ「――――――-っ」







    それは、正に何の突拍子も無く
    ・・・・唐突に行われた。

    リヴァイが細心の注意を
    払いながら次なるアンカーを目先の
    樹木に打ち込んだ直後。


    二人の身体が動力部の巻き取りに併せた
    ガスによる浮上を受け、その身を
    宙に漂わせたその瞬間。


    抱きかかえられたままのペトラが
    無理矢理上体を起こし・・・
    前方を見つめたままのリヴァイの口元へと
    自らの唇を重ねに行く。



    つまり・・・何の前触れも無く、
    何の断りも入れずに・・・・・


    ペトラは今しがた自分にぶつけられた
    冗句を実行に移したのだった。




    リヴァイ「・・・・・・・・・・」


    ペトラ「ッ・・・・><;

        ぶはッ・・・・・・!!!!!(;゚Д゚)」




    どさくさ紛れと言う勢いも利用し、
    勇気を出して行った接吻では
    あったものの、状況が状況でもある為、
    早々とその顔を離してしまうペトラ。



    次なるアンカー射出の手順が
    落ち着くまで二人の間に漂う沈黙。。。




    全身を撫でてゆく緩やかな風.....





    ――全身の臓物が浮き上がるかのような
    浮遊感と、そこに続けて襲い来る引力の
    吸い込みに暫しその身を奮わせるペトラ。






    キィィィ・・・・......




    リヴァイ「・・・・いきなり何をする。
       流石に今のは危なかったぞ」
       ゴシゴシ・・



    ペトラ「ぁ、いえ!!!あのッ!!!!!
       冗談半分と言うのは勿論理解は
       してましたがッ・・・・!これはもう
       そのっ・・・・・!やられる前に
       やるしか無いと思い・・・・・!!


       今・・・、するべきだと・・・
       ・・・・・判断しました・・・・・・・!」
       プルプル・・・・・






    リヴァイ「・・・??、お前いっ..
    ペトラ「その・・・・・


          好 き で す。 先輩  」







     言った。遂に言ってしまった。。



     ―――もう、戻りはしない。


     
     この気持ちを伝える前の"あの頃"には。












  192. 194 : : 2015/11/05(木) 00:08:44







    リヴァイ「・・・・・一先ずコイツが使えるのは
       この突き当りまでだな・・・・」
       ガチャ・・・・  ガコッ・・・





    ペトラ「・・・・・・///////」





    ・・・一世一代の告白を完遂し、
    後はリヴァイの返答を待つのみとなっていた
    ハズのペトラだが・・・、

    漸く河原の突き当たりも見えてきた所で、
    一時その返答を保留しているリヴァイに
    無言で抱かかえられる小動物的な存在に
    成り果ててしまっていた。





    ―旧・図書館前―







    リヴァイ「メガネの奴・・・まだ車呼んで
       やがらねえのか・・・・ッ(舌打ち)

       消防署は目と鼻の先なんだ・・・
       向ってりゃここにいたって
       サイレンが聞こえていい筈だが・・
       何も聞こえねえぞ・・・・」   





    ペトラ「あの・・・・センパイ。。,,

       そんな、救急車だなんて
       大袈裟なの要りませんって・・・;
       
       大体私・・・、寝不足で失神して
       ぶっ倒れる事なんてイベントで
       珍しくも無い方ですけど・・

       それで一度もメディックの
       お世話にはなってませんし...」
       スゴスゴ・・





    リヴァイ「・・・それを聞いて尚更お前の
       身体が心配になってきた。

       ・・・今までの分もしっかり
       診てもらって来い・・・・

       これは“命令”だ」




    彼の中に蘇った記憶がそうさせるのか・・
    おとなしく彼女を従わせる為の文言を
    躊躇なく振り下ろすリヴァイだが。





    ペトラ「・・・・・・・・センパイ...あの・・・
       私・・・・・」






    リヴァイ「何だ。」





    ペトラ「私・・・・さっきの言葉は
       おふざけでも冗談でもありません。

       センパイの返事を・・・是非今
       聞かせて下さい」






    リヴァイ「・・・・・・・・」






    ペトラ「その様子だと・・・きっとセンパイも
       私も・・・“エレン”が言っていた、

       “あちらの世界の記憶”
       っていうのを思い出したんだと
       思います・・・・。私も・・・
       木の上に立つ兵長(あなた)を見た
       その瞬間に…全て思い出しました」





    ペトラ「私・・・あっちの世界では・・・
       死んじゃったんですよね・・・・

       それもエレンに、兵長に、
       あんなに辛い想いをさせないと
       いけない形で・・・」








    リヴァイ「・・・・お前がどこまで
       思い出してんのか把握して
       なかったから・・・下手に追求
       しないで居たが・・・。

       なら何故この期に及んで
       俺の呼び方を一つに
       定めようとしない・・・?

       意識が戻ってからもそうだった。

       一々言い直してまで俺を
       その名で呼ぶのは一体・・・・」






  193. 195 : : 2015/11/05(木) 00:11:22








    ペトラ「そんなの・・・決まってるじゃ
       ないですか・・・・。

       それはそれ、
       これはこれだからです・・・・。

       エレンには私も本当に
       感謝してます・・・っていうか
       もう一度ちゃんと会って、
       泣いて謝りたい程です。

       お陰で絶対に無くしては
       いけなかった気持ちをこうして
       思い出す事ができた。」  






    リヴァイ「・・・・・・・・・・」





    ペトラ「・・・・それでも、『それはそれ』、
       『これはこれ』です。

       私・・・、"兵長"を好きだったのと
       同じくらいに・・・"センパイ"の事も
       ・・・・大好きなんです。

       どっちの世界がどうとかでは
       ないんです。

       ・・・兵長も・・・センパイも・・・
       どちらにしても中々
       気難しい人だって認識は
       私の中にも確かにありますから・・
       
       この際もう1度ハッキリ言いますよ・・?」








    ペトラ「私は・・・“貴方”が好きです。

        一緒に・・・ずっと一緒に、

        傍に居ては・・くれませんか?」







    リヴァイ「・・・・・・・――――--」





    無言でペトラの顔を見下ろすのみの
    リヴァイ。その表情はといえば・・・




    非情に一言で言い表すのが難しい位に・・・




    起伏の感じられない顔で固まっていた。



    されど、その顔は無表情、と一口に
    形容できる類のものでも無く、




    恐らく彼にとっての人生中
    始めてであろう直接的な好意の言葉に…






    ――悪い気もしない顔にも見えれば。





    ――自身の質問と若干食い違う言葉の
      応酬に憤っているようにも見え。。



    ――しかし何だかんだ言って見せても
      結局返す言葉に迷いを見せている
      かのような・・・そんな風に
      見えない事も無く。。。



    ――可愛い後輩にして、信頼できる
      部下でもあった存在から
      発せられた言葉が鍵となって・・・

      長年に渡る二人の関係に、
      今漸く一つの区切りを見せようと
      している事に素直に安堵している

      ・・・そんな様子にも見えた。。。。
      




    しかし、全ての覚悟を決め、
    どの様な返答にもその心を揺すられは
    しないだろうと・・・、
    自信に満ち溢れていた彼女の心に。






    ――この後かつて無いほどの激震が走る。







  194. 196 : : 2015/11/05(木) 00:13:36











    リヴァイ「いや・・・・知ってたがな・・・流石に」










    ペトラ「  !(;゚Д゚)?  」







    リヴァイ「驚き過ぎだ・・・・・!

       というより俺をどれだけ間抜けで
       察しの悪い甲斐性無し野郎だと
       思い込んでやがった・・・・?!

       もしやお前もクソメガネも
       俺の対応を分かった上で
       鈍感だのなんだの好き放題
       言ってやがったのかと思えば・・・


       その反応じゃ本気だったな・・・
       さては」チッ・・・





    ペトラ「それはもう!!! 声を大にして
       物申させてもらいますよ!!?!?


       ぁッ…当たり前じゃないですか!!!;



       ただでさえセンパイって普段から
       何考えてるのか全然表情から
       読めませんし・・・・!

       それがまさか私の気持ちに
       気付きながら毎日そっけなく
       かわされてただけだったなんて!!」
       ツツ・・・・・...↓↓





    あまりの気の昂りに再び彼女の
    鼻下に鮮血が滑り落ちる。




    リヴァイ「ッ・・・・おい落ち着け・・・・!!!
       折角収まったってのにまた
       出てきちまったじゃねえか・・!

       大体今すぐにでもお前を
       医者に診せに行く筈が
    ペトラ「これが落ち着いてられますか!!?

       どんな振られ方も覚悟決めて
       きましたけどッ・・・・・・!!!!

       まさかこンな!!…、、こンな
       のって流石に無いですよ!!!

       分かっててスルーしてたって事は
       ソレ、答えを聞くよりある意味..






    リヴァイ「 落ち着けと 言ってるだろうが 」
       ゴゴゴゴ・・・・・・・




    ショックの余り半狂乱へと陥って
    しまったペトラだったが・・・・その動揺と
    混乱の嵐は、リヴァイの鶴の一声によって・・



    ――驚くほど容易く止まされた。



    流石は人類最強の纏う覇気ともなれば・・・



    部下の混乱を諌める事など造作も無い。








    リヴァイ「俺は良い、、・・・・だがな、
       お前は自分の歳をまず考えろ。」







    ペトラ「――( ゚Д゚)――」





  195. 197 : : 2015/11/05(木) 00:15:10





    リヴァイ「お前は二十歳過ぎたばっかで・・・
       
       対して俺は・・・?30過ぎの
       オッサンだろうが・・・・?

       そんなんで親父さんが納得する
       ワケが・・・・・・・・!





    ペトラ「そっちかィイイィィイイイイイイイイイイイィィイイイイイイイイイィィィィイイイイイィィイイイイイイイィィ!!↩」
       ビシィッッッ!!!






    ペトラ・ラル二十余歳。


    流石にその返しには理性が保てなかった
    様子である。



    ・・先程とは全く異なるベクトルに
    吹っ切れる彼女の情動中枢。






    ペトラ「・・・・・・・・・・!!!!」ハァ・・ハァ・・!!!
       (((;´Д`)=3..ンハァ。。。




     これはもう・・・鈍いとか鈍くないとか
     それ以前の大物だったわ・・・・!!!!

     そんな・・・!?そんな(▪▪▪)どぅ⇒でもイイ事を
     理由に私は毎日センパイにぶつかっては
     肩透かしを喰らい、、ぶつかっては
     また肩透かし、ぶつかっては・・・・」
     (ブツブツブツブツ・・・・・・) 






    ペトラ「・・・っ・・・?!」
        (ハッ・・・?!)






    ペトラ「(ちょっと待って・・・・)」
      



     そうだ・・・・・・・・・!




     流石に斜め下すぎるセンパイの言葉に
     思わず脊髄反射で、とあるアイドル
     親衛隊隊長みたいなツッコミを
     入れてしまったけど・・・・・・!




     さっきセンパイ・・・・・




     ――最初に何て言った・・・?





    ペトラ「(過去ログ再生中...(Now loading...))」
                  (少女祈祷中...)




    リヴァイ「・・・・・幾ら田舎の往来とはいえ
       なんて大声出しやがる・・・・
       (キンキン・・・)

       というよりだな・・・
       人の話を聞いてるのかペトラ・・・・。


       "そっちかい"ってお前・・・
       年齢はかなり重要な要素だろ・・・・

       俺が親ならまず.....」
       クドクド・・・・




    しかしリヴァイの言葉のほぼ全てが・・・
    過去の彼の発言を総ざらいしている
    最中の彼女の耳には届いて居なかった。


    ・・・おまけにこうしている間にも
    鼻血は文字通りの大出血放出中である。


    そろそろ止めておかなければ流石に
    危険である。






    ペトラ「(『俺は良い』)」







    リヴァイ「....お前がもしハンジ位の
       歳なら気にする事も無いだろうが
       ・・・(ry」





    ペトラ「(『 俺 は 良 い 』)」






    リヴァイ「後々の事もよく考えて物を考え..







    ペトラ「『俺 は 良 い 』!!!?」
        ガバッ!!!!!!!





    リヴァイ「ッッ!!???」 ビクッッ!!







    ペトラ「センパイ、さっき聞き間違えで
        なければそう言いましたか!!?」
        Reallyッ!!!?




    リヴァイ「聞き間違えでもなんでもなく
       確かにそう言った・・・・!

       ちゃんと聞いてるならその
       続きに俺がいった言葉もよく
       理解しろ・・・・・!いいか、お前は
    ペトラ「んなこと関係ありません!!!!!」






    リヴァイ「(゜-゜)」







    ペトラ「お父さんが・・??

       お父さんが・・・・・、、何ですか?!!


       私がセンパイに自分の想いを
       伝えて・・・、それに対する
       センパイの答えがNOではなかった
       ・・・・、、その事実以上に
       今この場において重要な事は
       他にありません!!!!」





    リヴァイ「いや・・・お前な・・・・・(困)」




  196. 198 : : 2015/11/09(月) 00:56:07






    ピンポロパンポン♪ピンポロパンポン♪






    リヴァイ「ッ・・・何だ・・・・、、メガネか・・・」
       (通話タッチ)





    ―ハンジサイド―





    <リヴァイ「何だ・・・・!どうし...
    ハンジ「何っっだじゃ無いよ!!!

       ペトラは無事なのかい!!??
       ぇえ!!!!!??

       何か此処に居た皆の
       話じゃ・・・いきなり空飛びながら
       林の中から飛び出してきた
       あんた等が何か話してたって
       聞いたから・・・・、ペトラは
       一応意識戻ったのかと思って
       私の方では救急車呼んで
       ないんだけど!??!」
       ゴウッ・・・・・!!!!!!



    <リヴァイ「~~~~!!;
       一寸・・・・待ちやがれ・・・!!
       お前だけじゃなく傍にもう一人
       ギャアギャアと煩いのが居て
       今それどころじゃ(ry...
    ペトラ「(ガササッ)ッハンジさん!!!??
       私ついにやりましたよ!!!!
       センパイに想いをぶつけて・・・・!
       なんとNO以外のお返事が!!!!」>
       ヒャッハァァァァァアアア!!!!






    ハンジ「ッ!!?!?!?それは真かペトラ!!??」
       ガバッ!!!





    <ペトラ「餅の・ロン!!!ですよ!!!!!
        こんなウソを私が付くとでも!?」>





    ハンジ「それでそれで・・・???!!

       NO以外の返事ってあんた・・・!!
       具体的には一体どんな言葉で
       返してきたんだ!?そいつは!!!」
       ワクワクワク♪




    <ペトラ「それはもう・・・・!ハイ!!

        ご本人から直接どうぞ!!」
        (ガササッ!)>


    <リヴァイ「・・・・・何か面倒な事に
       なってやがるが・・・俺はまだ
       コイツの言い分に首を縦に
       振った訳じゃねえからな・・・!
       大体歳を考えろと何度も俺が
       言ってるのをコイツは・・・・」>




    ハンジ「(溜息)...あのなぁ、、リヴァイ。」






    <リヴァイ「。。聞きたくねえ。それ以上
       言わなくて良い」キッパリ>







    ハンジ「ペトラとの約定を反故にする
       つもりは無いから・・・今この場で
       私も言うけど・・・・。

      "私もお前が好きだった"んだけど?」








    <リヴァイ「・・・・・・・・」>











    ハンジ「一緒に言うから、って何度も
       しつこく言い寄ってやっと
       だったからなぁ・・・・。。。 


       フゥ・・・

       だがまあこれでやっと・・・

       約束を果たす事ができた・・・・。
       

       ともかくだ。、
       心の底で・・・そこまで悪いと
       思ってないペトラの事を・・・・
       お前は堂々とフるのかい??

       年齢なんてどうでも良い理由を
       盾にして。

       それなら年齢的に近しい私の
       アタックなら・・・リヴァイが拒む
       理由も無い・・・・のかな?ウン??」





    <リヴァイ「ご大層な事だな・・・・
       ペトラの態度を見てりゃ
       どんなに察しの悪いヤツでも
       流石にその気持ちに気付かない
       ハズも無ぇが・・・・
       
       お前がそこまでする程か・・?
       そんな後ろ盾を用意してまで・・・
       ヤツをその気にさせる理由が
       ・・・お前に?」>





    ハンジ「あららwひっどいなぁ・・・
       ペトラの気持ちには気付いて
       おきながら・・・私の気持ちには
       気付いてなかったのかい?

       コレでも結構本気だったんだけど
       ・・・・なぁw」





  197. 199 : : 2015/11/09(月) 00:56:47







    <リヴァイ「・・・・・おい、突っ込み所は
       腐るほどあるんだが・・・まず」>  





    ハンジ「ああ、、もう、止め止め!!!
       取り敢えずさ!!

       河原の方は・・・さっきどうやら
       私達居ないうちにあんたンとこの
       店長さんが来て・・・此処に居る
       全員分を遥かに超えるアイス
       置いてったから・・・・取り敢えず
       みんなそれ貰ってお開きって
       運びになったんだ。

       とにかく・・・ペトラの容態は
       その様子じゃ一先ず大丈夫
       そうなんだね?」




    <リヴァイ「・・・・あのぶつかり方を見ただろ・・
       鼻の骨でも折ってたら後々
       ツラの形にも影響してくる。

       どう考えたって診せに行くべきだ。
       コイツだけでもタクシーに
       詰込んで医者に行かせる積りだ」>





    ハンジ「何でだよ!!タクシーなら
       何人乗っても同じ値段だろ!!
       
       お前も一緒に病院までついてって
       やれよ!!なんだ・・!?
       今更二人きりになるのが
       怖いってか?!」





    <リヴァイ「・・・慣れない冗句で俺を
       揺さぶろうとして、お前自身
       冷静な判断すら出来ない位に
       動転してるのか?

       ・・・今の俺の格好で普通乗用車に
       乗れる訳が無いだろ・・・・。
       (立体機動装置装備中..)」>





    ハンジ「あッ・・・・そうか・・・・

       って、それ面倒臭いなぁ・・・
       もうソレ、そこに置いてっちゃえば?」





    <リヴァイ「そんなワケに行くか。
       考えようによっちゃピストルより
       落としちゃヤバイもんだろ・・・・」>





    ハンジ「・・・・どうしたもんかな・・・・」
       ポリポリ・・・





    エレン「あ、立体機動装置ですか??!
       それなら、場所を教えてくれれば
       オレが今すぐ取りに・・・」


    ッ・・・・  ッ・・・・・・!! 




    <リヴァイ「・・・・おい、そっち何か
       変な音が入り込んでないか・・」>




    ッン・・・・・!!  ドンッ・・・・!!!!



    ハンジ「アレ・・・・なんだろ・・ホントだ・・・
       (フイッ・・)
       何か上流の方から爆発音みたいな
       ・・・・・っってうわ」




    ドドッ!!!!!・・・・バババババババ!!!!!!!


    ミカサ「・・・・・、、・・・、、、」


    アルミン「ゥワァァアアアアアアア!!!!!!」





    ハンジ
        「!!?!?」
    エレン







    その場に居た二人と、バーベキューの
    後片付けに残っていた数人の目に
    飛び込んできたのは・・・


    川の遥か上流。対岸の林から姿を現した
    ミカサが、河の水面を一直線に縦断して
    此方に駆けてくる姿だった。


    しかもその背には幾つかの荷袋を
    無理矢理括りつけたアルミンが
    必死の形相でしがみ付いているのが
    伺える。



    参考までにそこは一級河川の内の
    一区間である以上、中腹ともなれば
    それなりの水深があり・・・・


    どう考えても水没せずに歩いて
    渡れる様な深さでは無いのだが・・・
    実際彼らの前で、彼女は水面を
    疾走(はし)って”いた。



  198. 200 : : 2015/11/09(月) 01:02:40







    ドバッ・・・・・!!   ガギャギャギャ!!


          ガラガラ・・・・・








    ミカサ「エレン・・・・。帰りが遅いから
       様子を見に来たのだけど。

       立体機動装置はまだリヴァっちが
       身に着けているの・・・?」
       (携帯画面を注視しつつ)





    エレン「お前・・・あそこから走って
       ここまで来たのか・・・・・?」
       ガクガクブルブル・・・・





    ミカサ「・・・いかにも」







    ハンジ「いや・・・何かさ・・・今、
        私・・・相当疲れてるのかな・・・

        ミカサ今、河の上走ってなかった
        ・・・・・?っていうか背中に
        背負ってるその子、大丈夫??;」




    アルミン「~~~~・・・・・・・」
      ブクブク・・・・




    エレン「しがみついたまま
       気絶してんぞ・・・・・・;」
       



    どうやら彼女の背にしがみついて
    此処まで到達する為に彼の全身に
    掛かった負荷は・・・・

    彼が元居た世界で経験した
    どの様な慣性負荷よりも大きなもの
    だったようだ。





    ミカサ「・・問題ない。

       15㍍までなら・・・・水の上でも。。」





    ハンジ「・・ってそれどころじゃなかった
       ・・・!おい、リヴァイ!!?」





    <リヴァイ「・・何だ。結局今の音は・・・
       ・・・・ミカサか。

       …あれだけ山頂に近い位置に
       居たハズだが・・走ってそこまで
       下ったのか・・・。化け物補正に
       磨きがかかってやがるな」>




    ハンジ「ん・・・・まあ、その辺はこの際
       置いといてだね・・!取り敢えず
       私らすぐそこまでソレを取りに
       行くから・・・あんたはソレ
       外して置くだけ置いてペトラと
       一緒に病院行って来なよ!

       私達でこっちの片付けは全部
       やっとくからさ!」




    ミカサ「“装置”に関しては・・・問題ない。

       既に其方にトビコマを一基飛ばした。

       気にせず目に付かない位置の
       地べたに放置してしまって
       構わない。」





    <リヴァイ「・・あのデバガメコプターか・・・」>





    <トビコマ「ハイハーイ!此方現着で~す♪
       装置の隠蔽は大丈夫なので
       ごゆっくり~」>




    <ペトラ「ッッ!?!?!え、あの!?!?
        今なんかいきなりどっかから
        甲高い声が・・・?!」キョロキョロ>




    <リヴァイ「それじゃぁ・・悪いが俺はこのまま
       こいつの付き添いで医者まで
       行ってくるが・・・・」>




    ハンジ「ああ、気兼ねなく~。
       言ってらっしゃい。

       ・・・タクシー代は持ってる?
       病院まで間が持たなかったら
       チューしちゃってもいいんだぞ♪」



  199. 201 : : 2015/11/09(月) 01:04:49







    <リヴァイ「 ・・・もうされた。 」>






    ハンジ「まッじかよ!!!!オイオイやるな
        ペトラ!!!で、どうだった!!
        初めてのキスの味は///!!
        レモン味??しょうゆ味??!

        ああ、さっきまでプーさん
        食ってたから塩コショウ味か..」





    <リヴァイ「乾きかけの血の味だった。

       鼻血を拭けといった傍から
       いきなりの不意打ちだぞ・・・・

       危なく二人とも激突死しても
       おかしくない所だった・・」マッタク..>
       ゴシゴシ・・




    ハンジ「ギャッハハハw ...フフ・・まったく。。

       折角そこまでの領域に到達
       したっていうのに・・・なんて風情が
       無い事だろうね・・・・まあいいや!
       取り敢えずお二人の末永い
       幸せを祈って…、今日は折角だから
       この後リヴァイん家で鍋パを
       予定してるんだが・・・」




    <リヴァイ「・・・・・・・」>

    <ペトラ「あ、兵長兵長!タクシー来ました!」>
        ヘイタクシー!Σb




    ハンジ「・・アレ?いいのかいリヴァイ??
       いつものあんたなら・・・
       “人ん家で勝手な催し物を
        やらかすんじゃねえ”・・・とか
       言うところじゃない?」
       イイノ?ホントニ ヤッチャウヨ??





    <リヴァイ「・・・お前がそういう事を
       言い出すと兎に角人の話を
       聞かない性格だって言うのを・・・

       改めて思い出しちまったからな」>





    ハンジ「っっフフん・・・やっと私の人間性を
        正しく理解したか・・・。

        っていうか、何か今ペトラ・・・
        またあんたの呼び方“店長”に
        戻っちゃってるじゃない・・・」





    <リヴァイ「“店長”じゃねぇ・・・・。
        呼び方はできりゃ1つに絞って
        貰った方が楽なんだがな・・・・

        電話はコレくらいにして切るぞ。

        車も捕まったことだしな」>
        バタン・・・


    <ペトラ「(センパイと隣同士・・//
         センパイと隣同士・・!//)>
        ウキウキ・・・




    <グリシャ「・・・どちらまでで?」>





    <ペトラ「この世の果てまで!!」ヒャッホゥ!>
    <リヴァイ「消防署最寄の病院まで・・・。
       (真顔でスルー)

       ・・・・ぁあ、スイカは使えたか?」>



    <グリシャ「ええ、使えますよ。大丈夫です」>
       (苦笑い)





    ハンジ「何だよリヴァイ!!w結局手持ちじゃ
       ギリなんじゃないか!(爆笑)

       ってか、此間池袋まで行った時
       あんた切符買ってなかったっけ」



    <リヴァイ「あん時は給料日前で
       チャージ残高が53円だったんだ。
     
       ・・そもそも何時使うかも
       分からないようなモノの為に
       そうホイホイチャージできるか」>
       コンカイハ タスカッタ..



    ハンジ「どんだけ普段からタイトな
       資金繰りで生活してんだよ・・;

       ・・まあいいやw、・・・それじゃ
       おっての連絡はラインで送るから・・

       後はごゆっくりね~」





    <リヴァイ「ああ・・・またな」>



  200. 202 : : 2015/11/09(月) 01:07:24




    ~通話終了~






    ハンジ「・・・・ふぅ」





    エレン「…で、どうなりました??」ンマイ…!
       (ハーゲン抹茶食べつつ)




    ミカサ「・・・・・・・・・・・」ムグムグ
       (ハーゲンストロベリー摂食中)





    ハンジ「やったぞエレン!!!

        カップル成立だ!!!これでやっと
        あの、見てるだけでもどかしい
        二人への梃入れでやきもき
        する必要がなくなったんだ!!」
        \ コロンビァーー!!!/




    エレン「!!!ほ、ホントですか!!!?

       そ・・・それは・・・・!まあ・・・!!

       素直に喜びたいというか・・・!
       一大イベントです、、が・・!」
       ツイニ ヘイチョ-ガ・・・・!





    ハンジ「んん・・・・?なんだいエレン。

       何か気がかりな事でも・・・?」





    エレン「い、いえ・・・だって、でも

       それって、同時に兵長に思いを
       寄せてたハンジさんは・・・あの・・」
       (キマズイ・・・;)



    ミカサ「・・・・エレン。」
       (クウキヨンデ・・)




    ハンジ「あっはははwいいのいいの、
       そんな事一々気にする事じゃ
       ないってミカサ!!

       ・・・それに言っただろエレン??

       私にとって・・・リヴァイもペトラも…
       二人共どっちが大事だなんて
       言えない位大事な仲間なんだ。

       ・・・正直これで本当にリヴァイが
       アイツの気持ちを無下に
       するような外道、若しくは
       甲斐性なしだったなら・・・

       今日があいつの命日になって
       ただろうねぇ・・・・」ヌッフフフ...




    エレン「・・・・ッ・・・!!」ゾクッッ





    ハンジ「さってさて!!それじゃあ
        早速だけど早いとこ
        グリル片して一旦それぞれ
        お家に帰るとしよう!!
     
        ・・・それとだね、この度
        リヴァイとペトラのカップル成立
        祝賀記念としてリヴァイのあの
        ショボぃ家で鍋パしようって
        事になったんだけど!

        ・・・どう?あんたらも来ない?」





    エレン「ナベ・・・パ?」






    アルミン「ぅう・・・・、、、鍋ものの料理を
      皆で囲んで行う団欒会、っていう
      意味だよ・・・・」ゥェ・・・
      ヨロヨロ・・




    エレン「やっと目が覚めたか・・・

       おい大丈夫かアルミン・・?

       まだ足が笑ってるぜ」






    アルミン「ぁあ・・・ウン、ちょっと・・・
      人類が体感できるスピードの
      向こう側を垣間見て・・・・・

      身体が拒絶反応を起こしちゃった
      だけだと思う・・・。。。」ウプッ・・




    エレン「オイオイ・・大丈夫か;

       お前・・さっきから訳の分からない
       寝言にうなされ続けてたんだぞ・・・

       “光が逆流”だのなんだの・・・;」




    ミカサ「それはそうと・・・アルミン、
       あなたは大丈夫そう?

       私とエレンは・・折角だから
       ハンジさんやリヴァっちの
       相伴に預かろうかと思って
       いるのだけど」



    アルミン「あ、ああ・・・いいんじゃないかな。

      僕もまだ・・・明日も昼過ぎからの
      出勤だし。きっと大丈夫。

      そういう事なら僕も同席させて
      もらおうかな・・・・」





    ハンジ「よっし!決まりだね!!

        あ・・・・!じゃあさじゃあさ!

        私も今すぐコレを片付けて・・
        キミら含めて荷物ごと車で
        送ってあげるから・・・・!

        そっから買出し一緒に
        付き合ってよ!」ナ?!キマリネ!!


  201. 203 : : 2015/11/09(月) 22:45:52





    ミカサ「心得た。同席する以上

        それ位は助力になりたい。
        リヴァっちのめでたい席でも
        ある訳だし・・・・」




    エレン「そうだな・・・せめて何か一役
       買って置きたいってのはある・・・

       しかしお前・・・大丈夫なのか?
       その、“鍋”ってやつは。
       ネーミングからして大体の
       想像は付くけどよ・・」





    ミカサ「大丈夫だ・・・問題ない。

        そもそもこの世界は食物が
        豊富だから・・・エレンが覚えて
        いる世界のような・・・限定された
        食物に限らず幾らでも選択肢の
        幅はある。」ヨリドリミドリ..





    ハンジ「よし!じゃあ決まり決まり!

        そうと決まればっ・・・・!

        さあ、さっさと積み込んで
        スーパーに行こう!!」
        ヒャッホウ!




    ミカサ「エレン・・・灰を全てバケツに
       集めてしまって。」
       テキパキ・・・





    エレン「・・・どうしてだよ?焼け木杭くらい
       棄ててっちゃえばいいだろ?」
       ガチャガチャ・・・




    アルミン「駄目なんだよエレン・・・
       この世界ではゴミのポイ捨ては
       かなりの厳罰に処されちゃうんだ」
       カチャカチャ・



    エレン「・・・そういやお前の住んでる町で
        鳩に餌やっただけでもミカサに
        煩く言われた気がするな・・・

        あれは本当だったのか・・・」




    ハンジ「うんうん、人手がこれだけ
        あると片付けが楽でいいね!!」






    ミカサ「・・・それと、ハンジさん。

       スーパーに寄って買うのは
       生ものや練り物のみで構わない。

       野菜なら・・・殆ど私の畑から
       もっていっていい。」




    ハンジ「え!!?い、いいの?!

       因みに何植えてんの?
       ミカサの畑って・・・・」






    ミカサ「鍋に使えそうな野菜なら・・・

        取り敢えず何でも良いと
        思うので、キャベツ、白菜、人参、
        小松菜、青梗菜、牛蒡、大根、
        ネギ、里芋、ジャガイモ、
        サツマイモ(etc. ......
    ハンジ「オ、オッケぃ!!!!;

        とりあえず何でもあるんだな!
        じゃ、じゃあ野菜は有り難く
        ミカサファームから
        頂戴するとしてだね・・・
        (殆ど百姓じゃん・・・><;)

        野菜以外の鍋を彩る肉、魚、
        魚介類の買出しを・・・
        この後ミカサとエレンに
        頼もうか・・・・。いいかな?」



    エレン「その任務、喜んで承ります!!!!

       おい、ミカサ!!腸詰入れようぜ!
       ジャガイモもあるんなら絶対
       合うって!!!」




    アルミン「な、鍋にウィンナー入れるの・・?
       なんか子供っぽいなぁ・・・」





    エレン「何だよ!ヤなのかよアルミン!!

        イヤならお前だけ食わなくたって
        オレは構わないんだぜ!?」
        ウマイダロ!!ゼッタイ!!




  202. 204 : : 2015/11/09(月) 22:49:28



    ミカサ「・・・アルミン(溜息)...

       エレンもあなた同様に・・・
       この世界の加工肉の手軽さと
       美味しさに味をしめてしまって
       いる。あまり身体の為にならない
       からと・・週一に摂取を限定しても
       これだけ欲しがるのが良い証拠..」」





    ハンジ「(もうなんかミカサがエレンの
        お母さんみたいだな・・)」


       




    エレン「いいですよね!!!?ハンジさん!!」
       (心の底から切実な眼差し) 
       キラキラキラ・・・✧





    ハンジ「うッ・・・・・・・!;


        ま・・・、まあ私も・・・ね、;
        ウィンナーは好物だし・・・
        い、いいんじゃないかな・・・
        2袋パックくらいなら・・・」
        (この目には・・勝てない..;)





    ミカサ「(嘆息)....」








        ~数分前~





    ―リヴァイ・ペトラサイド・タクシー車内―






    リヴァイ「・・・・・・・」





    ペトラ「あの・・・・センパイ・・・?」






    リヴァイ「・・・・何だ」





    ペトラ「さっきは私・・・あんな風に
       言いましたけど・・・センパイ的には
       どっちの呼び方の方が・・・
       その・・・・いいですか?」
       オズオズ・・






    リヴァイ「・・・・さあな。

       お前の呼び易い方でいい。
       小文字を考えなければ
       どちらも字数は同じようなモンだ。

       ミカサ(▪▪▪)はあの呼び方だし・・
       エレン(▪▪▪)は“あっち”の呼び方で
       継続してるようだ。

       お前も好きな方で呼べば良い。」




    グリシャ「っ・・・・・、、(ピクッ)」




    ペトラ「じゃ、じゃあ・・・間を取って
      “ダーリン”などh....
    グリシャ「あの・・・済みませんお客さん。
       話の途中で。。」




    リヴァイ「・・・・・・・何か?」フイッ
       (どの辺が間なんだ...)





    ペトラ「(ンァアアアアアア!!!!ガッデム!!!!!
        (ʘ言ʘ╬)

       何というジャストタイミング!!!この
       お髭のナイスなタクシードライバーさん、
       私に何か恨みでもッ・・・!!)」




    グリシャ「今・・・聞き間違えでなければ
       なんですが・・・“エレン”、
       それに“ミカサ”という名前が
       ・・・お客さんの口から聞こえた
       気がしまして・・・・

       ああ、本当に済みません。
       聞き耳を立てている訳では
       無いのですが・・・此処の所
       この仕事も何かと物騒なので・・・

       どうしても後方に神経を尖らせて
       しまう事が多くって」

  203. 205 : : 2015/11/09(月) 22:54:29



    リヴァイ「・・・そりゃ致し方ないだろうな・・。

       ああ、確かにその通りの名を
       口にした。・・・同名の知り合いに
       心当たりでも?」





    グリシャ「・・・いえ、とてもおかしな話に
       なってしまうのですが・・・私自身、
       その二つの名前にどうしても
       何処か聞き覚えがあるのは事実
       なのですが・・・・それというのも」




    リヴァイ「・・・・・・?」




    グリシャ「家内が夜な夜な必ず夢枕に
       魘されながら口にするその
       “名前”を耳にしてからなんです。

       私がその名前に僅かな
       引っかかりを覚えたのは。

       家内も家内で・・・どうも
       夢の中だけで無く、しっかりと
       その名前に関しては何か
       思い入れがある様なのですが・・・

       最初にその名前について触れた時
       以来、ずっとその話題には
       触れてくれなくてですね・・・・」





    運転に対する集中は一切途切れさせる
    事なく、それでいて深い悲しみを
    その眉間に刻むグリシャ。



    ・・・その様子に・・・。つい今しがた
    元の世界に関して記憶の一部を
    取り戻しかけた二人の推測は・・・

    彼の境遇をすぐさま理解する。




    しかし・・・ここで真に問題視しなければ
    いけないのは他でもなく――





    ペトラ「・・・・・・(それっ・・・て・・)」

       



    グリシャ「何とかしてその名前の真相を
       知りたいと悩み抜くこと既に
       数年の月日が経ちますが・・・

       家内は一切私にその名前の主に
       ついて・・・自身の口で語っては
       くれないんです。明らかに何か
       隠し事をしている目だと
       分かってはいるのですが・・・・
       とても聞くに聞けなくて」




    リヴァイ「・・・・俺も・・・思い出した事が
       あった・・・・。あんたの・・・

     
       いや、もといかみさんの姓は・・・

       
       もしかしなくても・・・・


       “イエーガー”じゃねえのか・・?」





    ペトラ「っ・・・・・・・・

       ・・・・・・・・ああ、ま、まあ・・・・

       それは・・・仰る通り、といいますか
       あそこにある通り・・ですよね」




    ダッシュボード上に掲げられた
    乗務員証を一瞥し、気まずそうに笑う
    ペトラだったが・・・・




    リヴァイ「それは乗った時から気付いてた
       ・・・・!その時点じゃただ同姓って
       だけで縁のない人間だと考える
       事も充分出来たしな
       (何より顔が全然似てねえ...)

       俺が思い出したのは
       ソッチじゃねえ・・・・・」





    ペトラ「えっ・・・・・」





    リヴァイ「なあ、運転手さん・・・あんたの
       かみさんだがひょっとして・・・・












        
  204. 206 : : 2015/11/09(月) 23:03:47
        






    ~その子一時間後~





    ―ハンジサイド―




    ―ホーキーマート駐車場―





    ハンジ「(買出し部隊に品目を
       一任したのはいいけど・・・

       やっぱ降りるんだったなァ・・・

       暇だなぁ・・・・・)」グデグデ・・・






    ハンジ「(しっかしミカサの畑・・・・
        半端なくガチだったな・・・:

        こんなに貰って使いきれるか
        ・・・・?!;)」クルッ・・↩





    ドッサリ・・・・






    ハンジ「・・・・・・・・」





    ハンジの自家用車の荷台スペースを
    ほぼ全て占拠するようにぎっしりと
    詰め込まれた野菜の数々。

    大根などは姿のまま数本積まされて
    しまったため茎葉でリアウィンドウが
    完全に塞がれてしまっている。

    ルームミラーが完全に死ぬ形と
    なっており、中々に落ち着かない。


    この量を八百屋で全て買い付けようと
    すれば、間違いなく3~4千円では
    足りないであろうという野菜の数々が…
    ハンジの愛車内に圧巻のミニジャングルを
    完成させていた。






    ハンジ「(あんなお化けみたいな人参
        ニュース特番以外で産まれて
        初めて見たよ・・・

        殴って人殺せるだろ・・・;
        あの重さなら・・・・)」






    ハンジ「(ま、まあ折角の完全無農薬
        有機栽培って事だしね!

        この際確実に残るであろう
        おこぼれでたまには
        サラダでも作っちゃうのも
        いいかな・・・・)」



    ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.......




    ・・・しかし・・・この時ハンジは未だ
    気付いていなかった・・・。。

    永くスーパーの野菜くらいしか
    買った事も無く・・・、そもそも、その

    スーパーの野菜すら最近不摂生が
    祟りっぱなしの彼女の生活の中では
    献立に顔を出す機会が激減していく
    最中において・・・


    “無農薬”という、聞くからに
    自然と身体に優しい事この上ない
    キャッチフレーズが・・・


    同時に何を意味するのかを。





        マリ....マ"リ...



           マリ".......


    マリ".......       マリ"......






    ハンジ「・・・・なんだ・・・何か・・・・
        気の・・・せいか・・・・・?」





        マリ"・・・・・・・・―――






    ――その日・・・・ハンジは思い出した





    調理中の野菜を捌く最中、奴らに
    第一種接近遭遇を許したときの恐怖を。






    ハンジ「....!......!.......!!!!」
        ギ・・ギ・・ギ・・・・;°᷄д°᷅)↩




    農薬という防護策に護られていた、
    仮初の安寧、その脆弱さを・・・・・・




    静まり返った車内に嫌な波長で
    染み渡る異音の主は・・・・ハンジが
    恐る恐る首を捻ったその先に“居た”。





    =ハスモンヨトウ(斜紋夜盗)(幼虫)=



    :チョウ目:ヤガ科:スポドプテラ属:



     “れっきとした農業害虫である”








    ハンジ「ッッーーーーー!!!!!!!!!!」
        (顔 面 (@-@) 蒼 白)






    ハンジの魂を削るような慟哭が・・・・
    夕暮れも程近いスーパー駐車場に、
    けたたましく響いた・・・・





  205. 207 : : 2015/12/13(日) 23:18:08








    ―ホーキーマート・店内・加工食品コーナー―








    エレン「うぉぁぁぁ・・・!やっぱ
       いつ見ても凄ぇよな・・・!」

       キラキラキラ・・・





    ミカサ「・・・・エレン、はしゃぐと危ない。
       買い物をしているお客さんは
       他にも相当数いる・・・・」
       メッ・・・



    エレン「だってお前コレ・・・・!!!
       こんだけの食糧があったら
       ちょっとやそっとの食糧難が来ても
       余裕で一月、二月は保つだろ・・・・!

       勿論町の規模によるかもしれないが
       ・・聞けばこんな市場が一つの町に
       3つも4つもあんだろ・・・・・?!

       どんだけ飽食なんだよ・・・・!」




    アルミン「・・・・ハハ・・・w;僕も・・・・
     
       エレンの気持ちは良く分かるよ。
       何といっても、あの、生鮮食品の
       鮮度を保つ、“冷蔵庫”っていう
       戸棚は衝撃的だったなぁ・・・・。

       あっちの世界でも辛うじて川魚が
       市場に並ぶ事はあるにはあったけど…

       足の早さからして、水に浸していても
       半日中に売り捌かないと全て
       売り物に成らなくなっていたのが・・

       この世界では2日くらいは平気で
       鮮度を保っていられるみたいだし
       “冷凍”なんて処理を行えば
       事実上いつまでだって・・・(ry
       ブツブツブツ...




    エレン「それよりホラ!!ミカサ、、
       腸詰買おうぜ!!こんなに鮮度の
       良いヤツなんて初めて見たぜ!!

       出来るだけ色が良いヤツを・・・!」
       ガサガサ・・・・




    ミカサ「見た目に惑わされてはダメ・・・・!

       そもそもどんなに鮮度が良くても
       ひき肉にして袋詰めした時点で
       それだけ鮮やかな色をしている事
       自体がおかしい。(マジマジ)」
       ガサガサ・・
       



    アルミン「え、、こんなウィンナーにもその・・
      添加物っていうのは入ってるの?;」






    エレン「・・・なんだよ、そのテンカブツって」






    ミカサ「食べ物を売る店側にとって、
       品物は日持ちするに越した事は
       ない。そのための“混ぜ物”の事。」






    エレン「混ぜ・・・・物・・・?」





    ミカサ「・・・そう。荷馬車に積む
       輸送物資の内容で・・・・少しなら
       習ったと思うけれど。

       調査兵団の備蓄食糧にもあった、
       “酵母”を思い出して。

       あれと似たようなものだが・・・・
       その"酵母"と俗に言う"添加物"
       では…似て非なる点がある。

       前者は自然由来のものであり・・・
       後者は人為的に造り出された、
       つまり身体へ及ぼされる影響も
       あまり良くない物だ・・・」




    エレン「その・・・身体に良くないモンっ
       てのが・・・この腸詰にも入ってる
       ってのか・・・?」



    ミカサ「全部ではないが・・・そう。特に
       消費期限が冷温保存下とはいえ
       数日跨いでも平気で食べられる
       加工肉などには・・・殆ど入っている。

       細かい名前まで言うなら・・・・
       発色剤・・または亜硝酸ナトリウム。」




    エレン「身体に悪いって分かってて
       売る側は店先に並べてるって
       のかよ・・・・?」ジト・・・




    ミカサ「・・・・・否定はしない。

       店側からすれば・・・利益が全て。

       尤も店そのものと言うより
       この場合は加工肉を生産している
       工場からの問題だけれど・・・・

       ・・・・仕方が無い事だ」




  206. 208 : : 2015/12/13(日) 23:21:05



    エレン「ちょっと待てよ・・・・;

       そりゃお前よ・・・こうして普通に
       店先に並んでる位だから普通に
       そこそこ喰ったっていきなり
       死んだりすることもねえんだろう
       けど・・・、お前がそうまで言うって
       事は・・・・長い目で見りゃ充分
       身体には良くねえって事なんだろ
       ・・?」




    ミカサ「でなければこうして
       エレンが食べたがるものを態々
       取り上げたりしない」






    エレン「・・・だったら・・・普通そんなモン・・
       売っちゃマズイだろ・・・・!」






       

    アルミン「そうも・・・行かないんだよ・・きっと」




    ミカサ「アルミンの言う通り・・・。

       人間・・・一度手に入れた便利さと
       手軽にいつまでも保存が効いて、
       見た目も良く、更には味も良い
       加工肉等というものを・・・

       自分達の生活から切り離す事は
       簡単には出来ない。」

      



    エレン「便利で上っ面さえ良けりゃそれで
       いいのか・・・!?そんなの・・・お前・・」





    ミカサ「仕方ないでしょ・・・

       世界は残酷なんだから・・・・」
       チラチラ・・・・



    アルミン「・・・・・・・・・・」










    加工肉売り場にて、各メーカーの
    真空パック詰めされた製品のその裏側、
    成分表示、及び添加物欄をまじまじと
    見つめながら、その一角のみをまさに
    淀んだ空気へと塗り替える、
    エレン,ミカサ,アルミンの買出し部隊一行。


    その周囲に形成されたあまりにも
    重苦しいムードは・・・・

    思わず周囲にて朝食のハムエッグや
    付け合せ用に加工肉を目当てとしていた
    主婦層の消費者達にも、成分表示を
    吟味するミカサと同様の同調行動を
    波及していく。




    ...と、そんなタイミングで





    ~~~.... ~~~





    エレン「・・・・・・?アレ・・・・あっちの・・・」




    売り場にてなにやら声を上げる
    女性従業員の声に、気を取られるエレン。


    ・・・本来ならば、その違和感に真っ先に
    勘付く筈の聴覚を持ち合わせている
    ミカサは、生憎エレンの身体に少しでも
    食品添加物の少ない商品を探し出す為に
    その神経を集中していた為、真っ先に
    其方に反応することはなかった。




    エレン「おいミカサ・・・・。オレ、この市場に
       来たのは初めてなんだが・・・何か
       あっちからやけに良い匂いが
       すんぞ・・・・??!まさか、コレ
       焼きたてを売ってくれるのか?!」
       ソワソワ・・・・




    ミカサ「惣菜コーナー等の例外もあるので
       商品にもよるが・・・・。基本的に..
       ・・焼き立てを販売すると言う
       サービスを行う店舗は存在しない。

       あれは・・・・試食コーナー。。」



    アルミン「あッ・・・あれくらいなら僕も
       いいよねミカサ・・・!?(ジュルッ・・・)」
       タタッ・・・



    エレン「あッ、おいアルミン!!?
       お前っ・・・・、、っていうかミカサ、
       その、シショクってのは何だ??」




    ミカサ「この国の言葉で読んで字の如く、
        ()しに()べると書いて・・・・
        試食。。・・・・つまり、見ただけで
        美味しさが分からない、
        売れ筋商品を・・・・“摘み喰い”
        させてくれる・・・」ガサガサ・・




    エレン「・・・・・何・・・・だと・・・・?!?

        おいミカサ・・・!!そりゃまさか…
        無料(タダ)でって事じゃ・・・
        無ぇよな・・・・・?!」ガタガタ・・・・





    ミカサ「・・・~??金銭を請求してしまえば
       ・・・それは“試し”にならない。 

       料金は一切発生しない。
       先にアルミンが行っているなら・・・
       普通に食べてるはず・・・・・」スッ..




    エレン「!?!??」


  207. 209 : : 2015/12/13(日) 23:25:35



    そう言って余所見をせず、
    手元に集中しながら袋詰めウィンナーの
    試食コーナーを指差すミカサ。

    その先には確かにミカサの言う通り、
    既に爪楊枝に突き刺さったウィンナーの
    切り欠を携えたアルミンが立っていたが・・・・




    ..何か様子がおかしい。



    既に無償にて譲渡されたはずのそれを
    口に放り込む事も無く、その場に呆然と
    立ち尽くしている。







    エレン「うわッ・・・!マジかよ・・・・!
        タダで食い物を配ってるのか!?
        それも・・・・挽肉の腸詰とはいえ
        “肉”だぞ・・・?!!?

        配給のパンとかってレベルじゃ
        ねえぞ!!」タタッ....






    店員「はい~焼き立てですよ~。。
       アルトファイエルンお徳用パック~
       いかがでしょう....あら。」ハタ




    エレン「おいアルミン!!!冷めちまうだろ!!
       とっとと喰えって!!(バンッ!)

       あ、お姉さん!!オレも一個ソレ
       下さい!!!」



    ポロッ・・・・




    店員「ぁっはは...お姉さん(▪▪▪▪)だなんて、
       口が上手だね・・・・。。悪いけどもう
       いい歳したおばさん...





    アルミン「・・・・・・・・!!!!!!!!」
       ダラダラダラダラ・・・・





    エレン「なッ・・・!!!アルミンお前・・・!!
       肉が勿体ねーだろうが!!!
       ソレ落としてもちゃんと喰えよな!!?
       床綺麗なんだし余裕だろ!!

       あ、すいません!ちゃんとコレは
       食わせますんで!!後オレの・・・分....





    カシャァンッ!!!! ...カラカラ・・・





    エレン「・・・・・・・!!!!」






    その場に響いたのは店員が取り分け用の
    トングを床に落とした音と・・・・・




    店内BGM等を全て彼らの耳から
    忘れさせるのに充分な・・・・






    ――とても懐かしいその人の声だった








    カルラ「 エ レ ン .....!!??」







    エレン「母...さ...ん・・・・・・!?」
       ガタガタガタ・・・・・






    アルミン「(カルラ・・・おばさん・・・?!
       いや・・・それよりも・・・・・!
       そんな事よりも・・・・・!!!!!)」






    カルラ「本当に・・・エレンなの・・!?
        エレンなんだね・・・・?!!!

        それに・・・・その・・その(▪▪)格好・・・・!!」








    驚愕に激震するその両眼に映し出された
    記憶に残る隊服。本来胸元にある筈の
    ワッペンは何故か剥がれて居るが・・・


    目の前にて未だに信じられない
    奇跡のような再会を果たした我が子が、
    果たしてその背に3つある内のどの紋を
    背負っているか、確認するまでも無く
    悟る彼女。 




  208. 210 : : 2015/12/13(日) 23:38:43





    アルミン「(記憶が・・・・!元の世界の記憶が
       ・・・・残ってる・・・・!!?まさか・・・!)」




    エレン「ゴメン・・・・母さん・・・・!オレ・・・
       母さんの言いつけ守れなかった…
       ・・・・!けど・・・けどよ・・・・・!!!

       お陰で・・・今、どういうわけか
       全ッ然意味分からねえけど・・・・!」
       ガタガタ・・・






    カルラ「・・・・・・・・・・!!!!」







    エレン「こうして母さんに逢えたよ・・・!

       今この時ばかりは・・・叱らないで
       居てくれる...かな.....!!!

       なぁ・・・・!母さ....」




    ガバッッ....





    カルラ「良かった・・・・・・!!!!ちゃんと
       生きて街を出られたんだね・・!?

       ミカサも・・・ちゃんと・・・
       無事なんだね・・・・・・??!」
       ボロボロボロ・・・














    ミカサ「  」





    自身の体内時間が止まるほどの錯覚を
    覚えてその場で硬直するのは・・・当然
    エレン・アルミンの両名だけではなかった。


    加工肉売り場から少し離れ、

    通路沿いに設置されたホットプレート
    周囲の試食コーナーに立つ人物を
    目にして・・・脳髄にまで響き渡る
    驚愕にその目を見開くミカサ。



    そんな矢先、完全な意識外の動作で
    その手にしていた袋詰め加工肉を
    棚へと戻す彼女の背に、どこから
    とも無く、“この世界で”彼女が最も
    訊き馴染んだ声は唐突にかけられた。






    ケニー「いやぁ・・・苦労したぜ・・・・
       この時間にご婦人のシフトを
       ズラすのも・・・・ハンゾーちゃんの
       車をこのスーパーに誘導するのも
       ・・・・お前ら全員をここまで
       引っ張ってくるのにもな」




    店内防犯カメラを警戒してか、
    光学迷彩(カモフラージュ)を解かずに姪へと語りかける
    ケニーの気配。姿は見えずとも
    その身を揺すりながらカラカラと笑う姿は
    ミカサには直ぐに理解できた。




    ミカサ「まったく・・・・本当に・・・
      
        本当に趣味が悪い・・・・。。

        流石に・・・・おばさんは・・・・
        盲点だった・・・・・。。しかし・・・」




    ケニー「・・・・・どしたい。お前にしては
        妙に不整脈だな・・・?
        おい大丈....




    ガシッ・・・!





    ミカサ「有難う・・・・・!!!!叔父さんには
        今、私から言える言葉はこんな
        お礼しか思い浮かばない・・・..

        今唯一・・・エレンに元気を
        取り戻せる人を・・・・ここまで
        特定してくれて・・・・本当に・・・!」
        ブルブルブル・・・・



  209. 212 : : 2015/12/13(日) 23:48:37





    ケニー「・・・・!?!?!...."?!? 」
       ジジ・・・ザッ...




    涙を溢しながら、光学迷彩で
    売り場の空気と一体になっている筈の
    自分を寸分も狂い無く的確に
    抱き留めに行くミカサ。



    そんな姪に戸惑いを隠せない
    ケニー。肉薄を許した事で偽装効果に
    揺らぎを見せる迷彩機能。






    ケニー「ぁあっ・・・!???クソっミカサが・・・

       俺の可愛い姪っ子がまさか・・・
       号泣している・・・・!!??

       畜生!!こんな時に限ってトビコマ全基
       お外に待機させちまってる
       じゃねーか!!!」ゥワァァァ!!!




    ミカサ「ッ・・・・ヒグッ・・・・   グス・・・・」






    ケニー「クッ・・・!トビコマ!!!!
       店ン中早く来い!!!こんな激レアな
       表情滅多に収める機会ねぇ――!!!

       ッおい!!!聞いてんのかッ!!

       応答しろ仮設伍号機ッ!!
       何の為にお前らに高精細の眼と
       イメージセンサーを積んだと
       思ってやがる!!!」



    <トビコマ「あ、イエあのスミマセ~ン♪あのデスね、
       隊長?!?」>




    ケニー「ぁあ”!?!応答しろとは言ったが
       命令遂行以外の返事を寄越せとは
       俺ァ一言も・・・・」ジタバタ






    <トビコマ「何か・・・スーパーの周囲に
       ものすンごい勢いでパンダカラーの
       セダンが集結中です~~♪;
       赤提灯真っ赤~です♪

       何か売り場で目立つような事して
       ないッすかね~~;??」>




    ケニー「ぬぁっ・・・・?!?!」
        ザザッ・・・  ジジジッ・・・・




    ざわ・・・・   ざわざわ・・・・・





    買い物客「お、お巡りさん、あそこです!」



    バタバタバタ・・・・・





    ハンネス「ッたく・・・・何なんだ・・・・?!?
       全国指名手配犯の目撃情報に
       ついで・・・・おまけに透明人間が
       出たなんて通報が・・・・・」
       ダダダ・・・・



    葛原「いやしかし・・・通報があった以上
      駆けつけない訳にいかんでしょう・・」
      タタタ・・・・




    ケニー「ッゲッ・・・・・!!!

        仕事速すぎだろ犬のお巡りさん
        どもが・・・・!!!顔変えてんのに
        何故バレた!!??

        おい、ミカサ、とりあえず
        離せっておい!」グイグイッ




    ミカサ「っ・・・・・っ・・・・・」グズ・・・
        バッ





    ケニー「ともかくだ・・!エレンとあの
       ご婦人については・・・うまくやれ!
       俺は久々の鬼ごっこに白熱せにゃ
       ならなくなっちまった!!

       ..おいトビコマッ!!
       俺ァ立体機動で出る!包囲が手薄な
       位置をすぐに送れ!!!

       そいつを送信出来次第、
       全基・固有ECMを最大展開!!
       奴らの通信手段を全て遮断しろ!」




    <トビコマ「あ、あのゥ...宜しいので??;

       最大で展開しちゃうと多分市内
       全域の通信機器に少なからず
       影響が・・・・・(汗)

       またあのおっかない甥っ子さんに
       殺されかけてしまうのでは」>





    ケニー「構わん!!!やれ!!!!!!

        この程度の包囲、豊島区で
        交通機動隊に追い掛け回された
        あの時に比べりゃ10000倍は
        マシだが・・・、、念には念をだ!!」
        ダダダッ・・・・

          


    <トビコマ「イェッサーー!!さぁさぁ、同士諸君♪!
       訊いての通り、お祭り騒ぎ開始の
       許可が下りましたので・・・

       宜しいでしょーーーかっ♪」>





    <トビコマ「了~~解~~♪サ~
       引っ掻き回しちゃうぞ~~!!♪」>
       キャッキャ




    <トビコマ「手始めに各GPSへの干渉から
       イッテみよ~~~~!!!」>
       キャハハハ





    <トビコマ「何処までヤっちゃって
       いいんですかね!!?車両の電子制御
       までヤっちゃってイイですか!?!?」>
       ウキウキ




    ケニー「そっちまでやんなくていい!!!!!

       やっぱ程々にしといてくれ
       このお祭り馬鹿共が!!!!(泣)」

  210. 213 : : 2015/12/31(木) 05:56:00








    ―ホーキーマート店内・試食コーナー周辺―







    カルラ「良かった・・・・本当に・・・・

       本当に無事生きててくれて・・・!!!」
       ギュゥゥゥウ





    エレン「母さん・・・!気持ちはオレも
       同じだけど、いい加減離せって・・・!

       仕事中なんだろ??すっげぇ
       周りから見られてて
       恥ずかしいだろうが・・・・!」グイグイ






    アルミン「エレン・・・・キミは本当に
       事の大きさがよく分かって
       ないんだね・・!

       おばさんは・・・今、君だけでなく
       僕やミカサの身も案じていたんだ。

       つまり・・・おばさんには僕達同様に
       あっちの世界での記憶が・・・

       間違いなく残ってるって
       ことになるだろ・・・?

       それがどこまでの物なのか・・・
       それを確認する方が先だと
       僕は思うんだけど・・・・」




    エレン「お前はお前で冷静すぎるだろ
       その対応・・・・!」





    アルミン「逆だよ・・・・;あまりに唐突すぎた
       ものだから・・・

       僕だって今自分がこの状況に
       どう対応すればいいのか・・・
       正直分からないんだよ・・・!」
       ガタガタ・・・





    カルラ「アルミン・・・あなたも見ない間に
       こんなに大きくなって・・・・。。

       でもやっぱり幾つになっても・・・
       あなたはずっと可愛らしいまんま
       だね・・・(朗)」





    アルミン「割と気にしてるんですけど・・・; 」





    エレン「それより・・・・母さんは・・・・
       どこまで“記憶”が残ってるんだ? 

       俺達も・・・アルミン、ミカサって
       二人して元の世界での記憶が
       バラバラなんだよ・・・・」




    カルラ「・・????;

       どこまでと言われたって・・・
       私は・・・壁が破られたあの日、
       ミカサとエレン、あなた達二人と
       はもう二度と会えない事を
       覚悟したあの日までしか・・・・」





    エレン「それじゃぁ・・・・・!!!」





    アルミン「ほぼおばさんが生きていた頃の
      記憶全てが残ってるって事に
      なる・・・・・訳かな・・・・」




    カルラ「もう巨人の腕に掴まれてしまった
       あの瞬間に意識は途切れて
       しまったから・・・

       すっかりこの世界は死んだ後に
       たどり着く別の世界か何かだと
       思ったよ・・・・

       けれど・・・・この世界で私は・・・・」






    ミカサ「おばさん・・・・!!!急な事で
       頭が追いつかないのは
       分かるけれど・・・私も聞きたい事が
       山のようにある・・・!できれば
       仕事上がりに私達と同行して
       貰いたいのだけれど・・・!!!」




    カルラ「これは・・・驚いたね・・・!!!!

       こんなに・・・こんなに
       美人になっちゃってまぁ・・・・!」






    ハンジ「ぁあああ!!!!ミッ,,,

       ミカサァアァア!!!!!!

       車の中に・・・!!私の車の中に
       大量のカイコ様が・・・・!!(泣崩)
       
       無農薬がどうとか言ってる
       場合じゃ無いよあの数は!!!
       早く、、、早く殺虫剤を・・・!」




    ミカサ「蚕・・・・?そんなはずは・・・・」




    ハンジ「何かはっぱをボリボリ喰ってるのが
       うようよ張り付いてんだよ!!(泣)
       
       アレ何とかして!!!マジで!!!」




    ミカサ「落ち着いて、ハンジさん・・・
        それはヨトウムシだ・・・

        蚕と違って害虫である事には
        変わりないけれど・・・調理の際に
        取り除けば何の問題も無い・・・」
        オチツイテ




  211. 214 : : 2015/12/31(木) 05:57:27




    ハンジ「そんな事悠長に言ってる
       場合かって!!!こうしている間にも
       私の車の中は奴らの温床に・・・!!」
       フォァァアアア!!!
       (恐慌状態)




    ミカサ「・・・・だから落ち着いて欲しい。。

       彼らは葉を齧る事にしか気を
       向けないから別にハンジさんの
       車の中を物色する目的は
       無い筈だ・・・

       放っておいても何の問題も無い..」
       ダイジョウブダ、モンダイナイ








    カルラ「その人は・・誰だい・・・?」





    エレン「調査兵団で・・・俺達の上官に
       あたる人だよ。

       ハンジ・ゾエ・・・第四分隊長..」





    ハンジ「ミカサぁ・・!あんた簡単にそう
       言うけど、あの数だよ!!?あの数の 
       芋虫が車の中に居るっていうその
       ビジュアルだけで私運転なんて
       とてもじゃ無いけど・・・!!」




    カルラ「分隊...長....さん?」ジトォ・・・・






    ハンジ「・・・・!おや、こ、この人は・・・

       えっと・・・アレ・・・まさか・・・(コロッ)」
       キョロキョロ・・・




    エレン「えっと・・・・母です・・・・→」


    カルラ「息子です・・・・←」





    ハンジ「なぁんだ!!そうだったのか!!!

        やっぱり!!なんか顔が
        似てるな~~と思って・・・・!!!


        ッていうかエレン、あんた
        お母さんに顔似すぎだろ!!!

        それはそうとどうも初めまして!
        エレンには色々とあっちの世界で
        世話になってるみたい
        なんですけど、その記憶は
        さっぱりない、ハンジ・ゾエです!
        以後お見知りおきを!!!」ガッッ
        (握手)




    カルラ「ど、どうも・・・・、
       いつも息子がお世話に・・・??;」
       オドオド・・・




    ミカサ「とりあえず・・・私達はおばさんの
       邪魔をしない方がいい・・・

       シフトは・・・何時まで?私達は
       それまで待っているので・・・

       出来ればその後私達の食事に
       同行する頭でいて欲しい..」





    カルラ「仕事の時間は一応五時まで・・・・
       
       なんだけどねぇ・・(困)なんか店も
       その周りも随分騒がしいような..」


  212. 215 : : 2015/12/31(木) 05:59:59







    <<(ザザ・・・ッ)業務放送~(ジジジ)
     業務放送、1番から5番レジ
     (ガガッ・・・)担当を除く全..従業(ジッ)
     ..は至急セルフカウンターまで,,>>






    カルラ「・・・おや。何だろうね・・・

       全員で持ち場を離れろってのは・・・
       ちょっと普通じゃ無いよ」
       イカナキャ





    ミカサ「(間違いなく叔父さん絡みでの
        呼び出しである事だろうけど・・
        
        営業には支障が出ないの
        だろうか・・・・)」




    エレン「おいアルミン、ありゃなんだ!?
       店の外・・・すっげー派手な光り方
       してる車が沢山いるぞ!?!」
     



    アルミン「あれは・・・パトカーって言って、
      この世界では駐屯兵や憲兵にあたる
      ような・・・治安維持に努める組織の
      使用する専用車両だよ。

      他の車と違って一目で
      普通の車と違うのが分かるでしょ?」




    エレン「そりゃ、、まあ・・・・アレだけ派手に
       光ってておまけに白と黒の
       ハッキリしたあの配色じゃな」




    ミカサ「ハンネスさんは・・・私達の
       町の最寄り駅で交番に
       駐在している。」





    アルミン「え?!そうなの??」





    ミカサ「・・・というよりさっきも
       通報を受けてここまで
       駆けつけてきた。」



     

    アルミン「僕も気になってたんだけど・・・

       この騒ぎって一体・・・・:」




    ミカサ「叔父さんの事を誰かが
       通報したんだろう・・。叔父さんは・・
       全国指名手配の有名人だから・・・」



    アルミン「ゆ、有名人って・・・;一体何をしたら
      ここまで警察に騒がれる程
      有名になれるの??;

      何か機動隊が出てきても
      おかしくない位集まってきてる
      気がするんだけど・・・・」




    ミカサ「それは・・・口に出しては
       言えないけれど色々と。
     
       恐らくその色々というのは・・・

       アルミン、あなたが想像できる範疇を
       軽く超えていると思われるが」




    アルミン「涼しい顔で怖いこと言わないでよ
       ミカサ・・・・;」 




    ミカサ「けれど大丈夫。叔父さんが
       その気になればこの程度の包囲は
       無いのと同じだ・・・」シンパイナイ



    アルミン「(寧ろそこまでアブない人が
       身内にいる事に危機感を覚えてよ
       ミカサ・・・!)」




    ハンジ「あ、あれれ・・・・なんだろう(困惑)

       ラインでリヴァイとペトラから
       連絡入ってるのに・・・開いても
       既読になんないぞ・・・?っていうか、
       
       け、圏外・・・・?!ココで?!」ゥムム..?!;




  213. 216 : : 2015/12/31(木) 06:03:01





          ~その数分後~





       ―都市部(※一応。)駅周辺―







    ケニー「ふぃ∼・・・ぁあ焦った焦った。

      光学迷彩と立体機動さえあれば
      捕まる心配なんぞ欠片もない訳だが
      ・・・流石にあの状況で包囲に
      気づかず仕舞いだったら
      危なかったな・・・・

      おい、トビコマ。もうジャミングの方は
      切っちまっていいぞ。これ以上
      長引くと本当に奴の報復が怖ぇ。

      幸い、8号機の情報通りなら奴はまだ
      病院から出てねぇ筈だ・・・

      携帯の不通にも気付くまいて・・・」




    バシュッッ。・・・・   キュァァァ・・・・・




    立体機動装置の移動速度で吹きすさぶ
    強風の最中、顎紐のない帽子を交互に
    お留守になる片手で器用に抑えながら
    市街地上空を移動するケニー。


    忘れてはいけない事だが、
    アンカー刺突の度に少なからず
    支点となる部分の破片が飛散する事に
    なるため、運悪く彼の移動コース直下を
    たまたま通行中であった人々は

    上から不意に落下してくる石礫に
    怪訝そうな顔をして、赤みが差してきた
    空を見上げている。




    トビコマ「あ、あのぅ、、隊長??
       それとはカンケーないんですケド・・・・

       距離にして800先にある・・・アノ、
       屋上の黒い(もや)みたいなの。

       ・・・何デショぅね・・・あれ。。」




    ケニー「ぁあ・・?靄だぁ・・・?(顰ッ面)
      

      ぁあ・・・何だ・・・ありゃ・・・、、、
      リヴァイやハンゾーちゃん勤務の
      駅ビルの天辺あたりか・・・

      何か居やがる(▪▪▪▪)な・・・・

      熱源が感知できるって事は・・・
      あの“靄”は・・・・煙か何かじゃねえ。

      生き物だな・・・十中八九。まあ、
      厄介そうな匂いしかしねぇのは
      見ての通りだ。俺らは普通に
      横を素通りしてお帰りすると
      しようぜ・・・・」




    そう言いつつ鼻先を90度回頭させ、
    無関心を決め込んで遥か下方を
    すれ違おうとしたケニーに
    反応するように・・・“ソレ”は動きを
    見せた。










    ―駅ビル屋上・室外機設置エリア―





    ターニャ「目標発見・・・!容姿は情報と
      異なるが移動方法は事前に入手した
      ものと酷似・・・・、、!
     
      これより総力を以って攻撃を
      開始する・・・・!」ブチィッ・・・





    ブブゥンッ・・・・・   ドババババ・・・・!!


      ザザザザザザザザ・・・・・・・・!!!!!
















    ケニー「!!!?おわっ!!!何だオイ!!!

      オレが一体何した!!!?

      こっち向って来ンぞ!!??っていうか
      ありゃあ・・・・、、おいまさか!!!!」




    トビコマ「ヒェ~~~!!初めて見ました!!隊長!!
     
       あれってムシですよね!!
       虫の大群!!それもデータベースに
       よれば・・・・台所で見かければ
       全国共通でほぼ見つけた人は
       悲鳴を上げて狂喜乱舞するという
       並み居る虫の中で最も知名度の
       高いというあの・・・・」ワクワクワク




    ケニー「ンなぁ、、ゴキブリだ!!!!

      半身以上生身で無くなった俺でも
      奴らに芽生えた苦手意識はまだ
      抜けきってねぇ!!!!


      っつか何だあの数はよ!!!!

      それにどういうカラクリか
      知らねぇが・・・!全部纏めてこっち
      飛んできてるンじゃねえか・・・・?!?

      流石に逃げ切れる数じゃねえぞ!!」





    ギュィィィイイイ!!!,,,,,
       



  214. 217 : : 2015/12/31(木) 06:05:57

    トビコマ「ぁっ、隊長ォー!!♪
       アノですね、後方7時の上空を
       飛んでる4号機からの通信で・・・
      
       さっきまであの靄が漂っていた
       ビル屋上から・・・靄の移動と同時に
       詳細不明の発光体が確認できた
       との報告が~。

       最近各地で目撃例が増えてきてる
       ・・・例の“放射光”だと思われマス」





    ケニー「何だと!!!!あの・・・例の
      『ケイヤクシャ』とかって奴らか・・・?!

      じゃあ間違いなく
      マトは俺って事じゃねぇか!!」





    トビコマ「ぁいそのようで∼∼!!!」





    ケニー「チキショウ!!人違いだっつの!!
      おい、お前ら手が空いてるのが
      一基くらい居んだろ!!!

      だれかこのゴキ共の司令官に
      伝えて来い!!!人違いだってな!!

      さも無きゃお前の可愛いペット共が
      飛んで火に入る夏の虫になると、
      ついでにそう付け加えておけ!!!」

      ジャキッ・・・




    全ガス圧力駆動による彼の
    対人立体機動装置に使われている
    特殊バイオメタンガスにはそれなりの
    可燃性があるのだろう。


    排気口にどこから取りだしたのか
    ターボライターを構えて
    そう叫びを上げるケニー。


    片手で押さえられなくなった帽子は
    いつの間に仕舞ったのか、それとも
    脱落にすら気を向けなかったのか


    既にその頭に載ってはいなかった。





    トビコマ「ぁ、ハイハイ∼∼って隊長・・アノ・・・・」




    ケニー「ぁンだよ?!?早くしろ!!!

      俺もリヴァイ程じゃねえが
      あいつらはムシが好かねぇんだよ!!
      虫だけにな!!!!
     
      とっととしねえと本当に・・・・!」
      チキッ




    トビコマ「コンタクトを取った対象から
       ロシア語で返答が返ってきまして

       ・・・、曰く、“信用出来ないので
       おとなしく虫のエサになって
       貰おう”・・・らしいです!!ハイ!

       攻撃の手を緩める気は更々無い
       そうデス!!」




    トビコマ「ぁっ!!タイチョー!!!道路側溝の
       格子から今度は別の大群が!!!」
       ウッヒャァ~~!!♪





        ブババババッ!!!!!!!!





    ケニー「ふ・ざ・け・ンなァァァァァ!!!!!」
        (;゚Д゚)

      ボウッ!!!!!!!!

              ゴヒュゥゥウウウ!!







    夕暮れも程近い駅前通り・・・



    そこには空を覆いつくさんばかりの
    ゴキブリの群れと、それに降りかかる
    謎の爆炎とが交差する地獄絵図が
    出来上がり・・・



    辺り一体には鼻を劈く悪臭と、
    正体不明の小火騒ぎが巻き起こる事態と
    なった・・・・。。




  215. 218 : : 2016/01/18(月) 09:40:01





         ―駅最寄病院前―





    リヴァイ「ハンジの奴・・・いつもなら
       ラインのレスポンスはお前と
       大差無い位の速度だった筈だが…

       今日は随分と既読が付くまで
       時間が掛かってるみたいだな・・・

       ・・・、準備が整ったらその足で
       そのまま俺のとこまで来いと
       伝えただけだから目に入りさえ
       すればそれで充分なんだが

       ・・・・まあしかし」
       スッ・・・・



    携帯を仕舞いつつ隣に俯くペトラを
    一瞥するリヴァイ。


    一見してまだ具合が優れないように
    見える彼女だが、その顔が持ち上がらない
    理由は恐らく体調的なものでは
    ないのだろう。





    リヴァイ「検査の結果お前がとりあえず
       何ともなかったのは一安心だ。


       ...寧ろ度重なる徹夜によるその
       寝不足の消耗の方がヤバいと
       お叱りを受けたんだ。これからは
       マジで気をつけろよ。

       ニュースでもやってたろ・・・
       やれカフェインの錠剤だの
       栄養ドリンクをチャンポンして
       おっ死んだ奴が出ちまったってな。
       
       いわばお前はその一歩手前を.. 」
       クドクドクド....





    ペトラ「......」






    リヴァイ「・・・・なんだお前・・・さっきより
       一層浮かない顔をしてる様に
       見えるな。何か不満があるなら
       ハッキリと・・・」




    ペトラ「っい、イエ!!!!不満だなんてそんな!

       ただその・・・今日はセンパイ・・・本当に
       良く喋るな・・・って。。」




    リヴァイ「・・・気のせいだろ。俺は元々こうだ。

       ・・・尤も俺もお前も、さっき揃って
       “元の世界”とやらの記憶を
       取り戻した直後なんだ。

       その頃とのギャップで
       そう感じても何ら不思議は無い
       だろうが・・・俺自身は“向こう”
       でもこの程度のお喋りは普通に
       していたぞ」






    ペトラ「ウッ、ウソですぅ・・・!!?
       
       “兵長”は・・・!何ていうかもっと
       無口で、クールというか・・・

       『跪け』とか平然と言いそうな
       皇帝っぽい目つきが似合う、、、
       ソノ...///」ボソボソ





    リヴァイ「ほぅ・・・つまりお前としては
       今、こうして目の前いる俺は
       自分の中では本当の俺では無く・・
       
       記憶の中に残っている、その
       何だか良く分からないが兎も角
       無口で一層目つきが悪くて
       ついでに性格も悪そうな奴こそが
       
       理想系というわけか」





    ペトラ「・・・・・・そっ、そんな事
      言ってません!!!///」




  216. 219 : : 2016/01/18(月) 09:43:31







    リヴァイ「・・・ならその浮かない顔は一体
       何が・・・・」







    ペトラ「私・・・あの・・・・さっきのが自分の
      夢、幻とか幻想でなかったとしたら・・
      

      せ、、先輩に・・その・・・
      告白・・しまッ・・・シ、たんですよね」
      キョドキョド・・・






    リヴァイ「ぁあ。したな。」






    ペトラ「キスも・・・ちゃんと間違いなく
      しましたよね////・・・・・!?!?」
      ガクガクブルブル





    リヴァイ「ぁあ。それも間違いなくした。

       お陰で俺の初めての味は
       レモンでも醤油でもなく・・・・
       O型Rh+の血の味だ。」
       モシクハ クマノ味ナ





    ペトラ「その私の言葉に対する返事って・・・
      私、まだ先輩から聞いて無い・・・
      ですよね・・・・?」





    リヴァイ「・・・・・・・」






    ペトラ「肝心なところで・・・、
      お父さんがどうとか・・・・
      歳の差がどうとか、そんな感じの
      逃げ方をされてますよね・・!?私・・!!」
      ジリジリ・・・





    リヴァイ「お前・・・記憶力良いな。」





    ペトラ「あ、当たり前です!っていうか
       これ以上話を逸らさないで下さい!
       
       何の為に私があそこまで・・・・ッ!」




    リヴァイ「ああ・・・悪かったな・・・・」
       ズイッ・・・




    ペトラ「・・・?!?////」





    急激に詰められた距離に、赤面せずには
    居られず後ずさりするペトラ。






    リヴァイ「こういうのは場所とタイミング
       ってモンもあるからな・・・

       とはいえ口にするのも初めての事
       だから何といえばいいのか未だに
       迷ってる訳だが」




    ペトラ「・・・・は、はヒ・・・・///」ドキドキドキ..!
       (コレハ・・来る??!来ちゃうの!?!!!
       このタイミングで・・・!兵長から!!)



    病院の正面入り口から出て直ぐの壁際。

    距離を詰められて壁に背を持たれかける
    ペトラとそのペトラを見下ろすリヴァイ。


    この状況に、詰め寄る側である
    リヴァイの突き出された腕が加われば
    所謂『壁ドン』と呼ばれるシチュエーションに
    見えなくも無いこの状況で・・・


    充分に引き絞られた弓の様に、その一言は
    言い放たれようとしていた・・・・




    リヴァイ「俺は・・・・―――」




    暦「っ――アレ、店員さん・・・・ですか?」





    リヴァイ
        「・・・!」
    ペトラ




    神原「~~~ぅう...」グデェ・・・・




    病院から出てきたのは、ぐったりとした
    包帯少女に肩を貸して歩く・・・
    先程の河原で目にした顔見知りの少年。



    リヴァイ「ぁあ・・・・・お前は確か・・・・・

       あのドーナツ人形の連れ添いの…」



    過去に自らがバイトを勤める
    ドーナツ店に足しげく通っていた事で
    リヴァイの記憶にも色濃く残っている
    その顔と・・・




    八「ぁ・・・・リヴァラ木さん・・・・」




    駅ビル内で迷子となっていた時と
    全く同じ風貌の、ツインテール幼女だった。




    リヴァイ「それにいつだかの迷子か・・・・

       ・・・悪い。客対店員という観点から
       以前から何も聞かないでいたが・・

       お前ら一体どういう間柄なんだ」



    ペトラ「・・・・(゜-゜)・・・・」




  217. 220 : : 2016/01/18(月) 09:53:42





    暦「ぇ・・・?!あ、そ、そういえば・・・!

      河原でも気になってたんですが・・・!
      店員さん、このツインテール幼女が
      普通に見えるんですか?!??」
      ガバッ





    リヴァイ「まあ・・普通にって言葉の意味が
       よく分からないんだが・・・

       問題なく見えてる。そんな
       馬鹿デカいリュックサックを
       背負ってる女児はあまり普通に
       うろついてはいないがな」





    暦「いえあの・・・・。。
     
      えっとですね・・・ちょっと説明が
      難しいんですが。こいつはその・・・
      ちょっと生い立ちが特殊なので
      普通の人には見えないというか・・・

      …ぁあ、この場合()い立ちって言わないか」







    リヴァイ「・・・・普通じゃ見えない・・・・?
       それは一体どういう意味だ」




    暦「ああ、別に見える人が普通じゃ
      無いって意味じゃないんですけど・・

      端的に言ってしまえば所謂
      “幽霊”って奴でして・・・・」





    リヴァイ「 」

    ペトラ 「 」






    暦「決まって…何か“家に帰りたくない”
     事情がある人にしか・・・
     こいつの姿は見えないし、
     声も聞こえない筈なんです」





    リヴァイ「・・・・・成程・・・。おいペトラ・・・
       この学生が言ってる事が本当なら
       
       ・・最初にお前が言ってた時、
       この幼女はオレの働く店内に
       普通に入ってきてたのかも知れん。

       今になって俺の目に問題なく
       こいつが見える理由には・・・

       若干の心当たりもある。
       ・・・・しかしお前・・・・」





    ペトラ「・・・ナンデセウカ。。。」ギチギチ・・





    リヴァイ「・・・そんなに(▪▪▪▪)(ウチ)が嫌なのか?

       親父さんの心配性がそこまで
       お前を」





    ペトラ「先輩は分かってないんですぅぅ!!?
       あの息苦しさを!息の詰まるような
       狭苦しさを!!肩身の狭さを!!!

       外からもアンカー止めで新設した
       南京錠で施錠しておいたはずの
       部屋に・・・どういうわけか度々
       侵入された形跡があって、その度に

       秘蔵のBLモノの薄い本が
       机の上に綺麗に積まれたり
       するんですよ!??もうノイローゼに
       なっちゃいそうなんですよ!!!!」




    リヴァイ「・・・趣味の事に関してだから
       とやかくは言えないがな・・・

       娘の趣味に、将来性を脅かす
       何かを感じてそうしてるんだろ・・・

       無論部屋に踏み込みまでするのは
       やりすぎな気もするが・・・・
       親父さんの気持ちも汲んでやれ」





    暦「・・・・・・^^;」






    ペトラ「  イ ・ ヤ です!!!!

       あんな事を平気でする父親は
       最早親類縁者の認識すら持ちたく
       ありません!!枕カバー勝手に
       洗濯された時なんか半年は
       口ききませんでしたし!!!」
       イイ~~~ッ!!!

  218. 221 : : 2016/01/18(月) 09:58:40







    リヴァイ「・・・・・(溜息)..ああ、悪いな
       足を留めさせちまって。

       そっちのは大丈夫か・・・?腕に
       相当包帯を使うような傷でも
       あるようだが・・・・」




    暦「ああ・・・;これはそういうアレじゃ
      なくて・・・単に河原ではしゃぎ過ぎて
      熱中症になっちまっただけなので・・
      もう大丈夫なはずです」
      オイ、ダイジョウブカ


    グラグラ





    神原「ぅうん....、、何だ・・・

       ここは・・・あの世の一歩手前の川岸
       ・・・・??なにやら・・・阿良々木先輩の
       声が・・・二人分聞こえるような
       気が・・・・?(グルグル・・)

       ここが噂に聞く阿良々木ハーレム
       なる場所・・なのか・・・?」エヘヘヘ...





    リヴァイ「・・・・どうやらまだあまり
       大丈夫じゃないようだな。

       ・・・・また電車で帰るんだろ・・・
       気をつけろよ。」









    暦「はい!ミスドには行きますんで!
      その時また・・・」






    リヴァイ「・・・・言い忘れてたが・・・

       俺はもうそこ辞めて2階上の
       書店で勤めてる。来るのはいいが
       ドーナツ屋には居ねえぞ。」




    暦「え・・・!あの、書店って・・・
      “かわだ書店”ですか?」





    リヴァイ「・・・そうだな。というより
       1個のビルに2店舗も本屋は
       無いだろ・・・・」




    暦「いえ・・・、そういう意味での
      リアクションじゃなくて・・・そこ、
      知り合いが毎日のように通っている
      場所なので・・・、店員さんも、絶対
      目にした事があると思いますよ」






    リヴァイ「・・・・ほう。知り合いが。
       そんなに本好きな奴なのか」





    暦「はい。外見は・・・眼鏡に
      二つに結ったおさげで・・・・・・
      見るからに委員長の中の委員長
      って感じの・・・・・、」




    リヴァイ「・・・・・!ああ、そういや来るな・・・

       そんな外見の女子高生が…毎日…」







    神原「そして(ココ)に物凄い凶器を
       隠し持っているッ!!!
       砲弾と見紛う程の凄まじい
       双丘をなッ・・・・・!!!」ヌフフフフ




    リヴァイ「・・・・・(゜-゜)・・・・・・」





    リヴァイ「・・・・・いや、

       そこまで物凄くは無かった気が…」




    暦「あっ・・“アレ”でそこまで
      物凄くない・・・だと・・・・・!?」
      グラッ・・・・





    リヴァイ「・・・・なら人違いだろ・・・。

       眼鏡をかけた”セーラー服”
       おさげの文学少女なんざ・・・

       ・・・・作品の垣根を越えれば
       幾らでも居る。

       ・・・・さて・・・・」



    ペトラ「・・・・!」






    暦「―――!」





    リヴァイ「俺等もそろそろ行く。

       まだ今日は終わってない用向きが
       有るからな。気をつけて帰れよ…」






    暦「あ、ハイ!!店員さんも気をつけて!!」













  219. 223 : : 2016/01/18(月) 10:03:46





    ペトラ「・・・・あの、先輩・・・
       さっき言ってたまだ終わってない
       用事って一体・・・・」






    リヴァイ「お前・・・さっきのは覚えてて
       それは忘れてるのか・・・・

       ハンジが勝手に決めやがった
       事だが・・・さっき言っただろ。
       俺の家で鍋をやるんだって話を」
       シッカリシロ





    ペトラ「ぁあ!!!はいはい;!
       
       そうデシタ!!そうですよね!!
       私ったらてっきり・・・・」ショボン...







    リヴァイ「・・・・何なんだそのあからさまに
       残念そうな顔は・・忙しい奴だな・・

       それはそうと・・ペトラ。
       一つお前に言うべき事がある。

       無茶は承知の上だが・・・」





    ペトラ「・・・・はい?言っておきたい・・事?」







    リヴァイ「お前・・・・鍋騒ぎが終わったら
       今日は家に帰るな。

       ハンジの家か・・それが無理なら
       ウチに泊まっていけ」














    ペトラ「        」
    ペトラ・心肺を含め諸々の体機能停止












    リヴァイ「おい・・・・?

       オイ!!!!  立ったまま
       気絶してやがるのか!!!

       おいペトラ!!目を覚ませ!!!!!」
       ペチペチ





    ペトラ「ハッ・・・・!??!

       ここは誰・・?!私は・・何処!!!?
       あ、、て、先輩・・?!

       私は今一体・・・・」キョロキョロ・・・・




    リヴァイ「話の途中だったろうが・・・何
       寝ぼけた事を・・・・!(舌打)

       ・・・まぁいい。今言った通りだ。
       お前今日は・・・・」




    ペトラ「いえあの!!センパイ!!?

        さっき言ったとおりって・・・
        私、、夢の中でセンパイに
        “今夜は帰さない”みたいな事
        言われた記憶しか・・・!」





    リヴァイ「聞き方によっちゃ相当な誤解が
       産まれそうな言葉だが・・・・

       大体趣旨はそれで合ってる。
       分かったなら親父さんに
       連絡しとけ。いいか、これは」
    ペトラ「め、命令ですね・・・!?!
        了解しまし・・・・・」



    リヴァイ「・・・・違う。いいか、、良く聞け」
       グイッ・・・・




    ペトラ「っ////」





    リヴァイ「・・・お前は・・・・もう俺から
       出来るだけ離れるな。これは・・・
       命令じゃねえ。

       俺の・・・個人的な要望に過ぎない。
       

       ・・・つまり・・・・、、だな」ウロウロ




    ペトラ「・・・・・せ、先ぱ・・・」ハッ・・



    ペトラ「兵長・・・それって・・・!?あの!!!」







    リヴァイ「お前が・・・さっきの返答を
       寄越せと自分で言ったんだろ・・・・
       
       口下手で悪いが・・・俺にこれ以上

       何を・・・・」フイッ・・






    至って平静な様を装いつつも、その発言に
    明らかな動揺をチラつかせるリヴァイ。



    その、あまりにも微細でありながら
    普段の彼を良く知る者からすれば
    目と耳を疑う程衝撃的な光景に・・・



    ペトラ「っ」



    ガバッッ!!!!!!






    気付けばその身を先程と同じようにして
    目の前の想い人の懐へと投げ込んでいた。
  220. 224 : : 2016/01/18(月) 10:07:10




    先の状況と違うのは・・・今は互いの足が
    しっかりと地に着いている為、
    ペトラにとっては前回の様に
    危険極まりない不意打ちの末に早々と
    接触を絶たなくても良いという点。






    リヴァイ「――――――-」







    病院から暫く駅前方面に向けて
    歩を進めた一般歩道にて・・・

    本日2度目の衝突を迎える二人の頭部。
    しかし今回のそれは、先述の通り
    空中を高速で移動しているという稀な
    状況でもない為前回と比べて
    少し長く続いた――・・・




    主に仕掛けた方の意向によって。








    ペトラ「・・・・っふぅ・・・・・
       
       どうですか??今度は・・血の味じゃ
       なかったですよね・・・?/////」
       ドキドキドキドキ・・・・






    リヴァイ「・・・・・――ああ。


       いつの間に・・何処で買ったのか
       見当も付かなかったがお前・・・

       この味は明らかに歯磨き粉だな」
       ビョウインノ バイテンカ...





    ペトラ「(;゚Д゚)」
      バレてる...






    リヴァイ「しかし・・・一日に何度も
       する必要のある事か…?コレは・・。

       まさかとは思うがお前・・・
       “キス魔”って言う例のアレ
       なんじゃねえだろうな・・・・」
       (白い目)





    ペトラ「ちッ!!ちがッ!!!違いまス!!??///

       私、先輩が相手でなければ
       こんなッ・・・・こんな....」
       ハッ・・・・






    リヴァイ「・・・・・どうした・・・・・」






    ペトラ「いえ・・・でもそれはそれで・・・

       ―――いいです。。」





    リヴァイ「・・・・・・・・・」





    ペトラ「私・・・こうして死に別れた筈の..
       本来なら二度と逢う事すら
       叶わなかった筈の先ぱ・・・・いえ、
       
       “兵長”とこうして触れ合える
       場所に立って居る事が
       出来るんです・・・・・・,,

       こんな幸せが夢でないならもう..」






    ペトラ「私、変態でもキス魔でも何でも
       構いません。兵長、貴方が
       そう罵ってくれるなら。。
       
       私は何者であっても
       構わないんです」ニコッ...






    リヴァイ「...例の記憶とやらが戻って・・
       随分とオープンになったな、お前」



  221. 225 : : 2016/01/18(月) 10:09:39





    ペトラ「・・・・そうかもしれませんね。

      一度・・・本当の“死”を
      見つめられたのが大きいと思います。

      “自分が消えていく”中、
      兵長とあんな別れ方をした事を
      思えば・・・今私が身を置く
      この世界での苦境なんて
      気にも留まりません」




    リヴァイ「・・・・成程。

       そいつは分った。・・・だが・・・・」
       スッ・・・・







    ペトラ「!」




    その頭に乗せられる掌に
    項垂れていた背筋を正すペトラ。






    リヴァイ「落ち着き払って達観した
       お前というのも、“普段と違って”
       それはそれで新鮮だが・・・・

       出来れば"普段通りのお前"の方が」





    ペトラ「・・・・・―――」






    リヴァイ「俺としては扱い易くて助かるな。

       お前がそうしたいってんなら
       どっちでも構わねえが・・・

       呼び方にしても、変に意識する
       必要は無いからな。特に何方か
       一方で呼べと強制するつもりも
       無い・・・・・。」





    ペトラ「は・・・  ハイっ!!!

       では、あの・・・“先輩”!?
       折角ですから・・・先輩のお家まで
       徒歩で向かう道中、、その、、、
       御手々を・・・・///////」スッ・・・




    リヴァイ「こっちは歩道の幅が狭い。

       反対側に渡れば
       並列しても問題ないが・・・
       生憎俺らが向かってるのは
       あっちとは逆方面だ。
     
       車の邪魔になるからな。
       こんな格好で構わないなら
       そうするが」グッ・・・・




    ペトラ「―――」




    前方を向いたまま後ろ手で
    ペトラの手を握り、その身を
    引く引率者のような格好で歩き出す
    リヴァイ。





    一瞬だけ・・・・



    その背にほんの一瞬だけ、
    記憶の中にのみしっかりと残っている
    翼の紋章を見たペトラは・・・・





    ペトラ「っ。。///」




    朱に染めた顔を綻ばせ、
    静かに微笑みながら頷いた。




  222. 226 : : 2016/04/05(火) 23:31:43









    海月荘(リヴァイの居室)より数キロ外れ―









    ケニー「ハァ・・・・ハァ・・  ゲハッ・・・」
      ゼェ・・  ゼェ・・・・






    トビコマ1「ヒぇーー・・また随分と執拗に
       追い掛け回されちゃいましたね!
       タイチョー!!!♪」




    トビコマ2「っていうかタイチョー!、、
       タイチョー位義体化が進んでるなら
       そこまで食害を恐れて逃げる
       必要も無かったのでは~・・・??」




    ケニー「アホぬかせ!!!!
      
      追いつかれりゃ
      この残り幾らかの生身部分が
      もれなく奴らに食い荒らされる
      トコだったんだぞ!!!・・・それに
      例え全身が擬体に換装済み
      だったとしても根っこの部分に
      残ったトラウマだけは流石に
      拭いきれるか!!!
      最初(ハナ)っからゴーストの無い
      お前らに言ったところで理解なんざ
      出来ねぇだろうがな!」





    トビコマ2「イヤハヤそれはごもっともです~!!
        羨ましい限り♪」






    ケニー「・・・ソレよりおい・・・!
      ちゃんと奴にはマーキング
      しといたんだろうな・・・?

      俺ァもう二度とこんなのはゴメンだぞ」
      ゼェ...ゼェ...





    トビコマ1「あ、それならバッチリです~~!

       やはり依然としてあそこから
       動かない所を見ると・・・
       黒い兵隊さん達はすべて空調の
       室外機内か・・・その周囲に
       待機させてるみたいデスね!」
       ワヒャ~~・・スゴイカズ!




    ケニー「ッ・・・(舌打ち)それだけじゃねえ・・・

      あの大群の中には・・・明らかに
      "動き"がおかしい奴も居た。

      その上ガスによる火炎放射も
      一部の奴らには殆ど効いちゃ
      いなかった・・・」   




    トビコマ2「例の火星からの侵略的外来種
       って奴デショウね~~・・・♪

       ホラ、国連宇宙局でサンプル捕取に
       躍起になってるという,,」





    ケニー「侵略的外来種ってオメーー・・・;

      ありゃどう考えても出生のルーツに
      人為的な要因が絡んでるとしか
      思えねえヤツだろ・・・!そっちに対する
      ツッコミも大いにあるが・・・それより今は
      オレをゴキブリの餌にしようと
      してくれたあのロシア娘だ・・・。」





    トビコマ1「現在例の放射光は完全に
       消失・・あ・何故か分からないデスケド
       自分で自分の髪の毛抜いてます」
       ナンデショウネ、アレ






    ケニー「断定は出来ねえが・・・"ケイヤクシャ"
      って連中は・・・能力行使の後、
      必ずやらにゃならん“儀式”
      ってのか・・・何かそんなのがある
      らしい。ソレを怠るとどうなるのか、
      また能力との因果関係も全く
      分かっちゃいないらしいが・・・・

      衛星から見る限り・・・ぁあ、ずっと
      あの屋上に居座ってるって訳じゃ
      ねえ様だな・・・。大体ゴキ共の
      使役限定範囲はどの位なんだ・・?
      機器を使ったモノとかじゃねえのは
      分かりきってるが・・・・お前らの方で
      何とか算出できねぇか」




    トビコマ2「難しいデスねェ~・・・、、、
        放射光を発見察知するための
        モジュールは搭載済みなんです
        ケド・・・、、昆虫の操縦干渉半径
        まで割り出すのは困難かと。
        ・・そもそも原理がさっぱり
        解明できませんシ。

        ..でも問題ないのでは?
        幸いあの能力、夜間でなければ
        ものすご~く目立ちますし、

        反対に暗闇なら今度は
        熱源探知が活きますし」



  223. 227 : : 2016/04/05(火) 23:33:16







    ケニー「バカめ。室内で出くわしたら幾ら
      見つけ易くともその時点で
      こっちが詰むだろうが!!!
      町の地下に奴らがどれだけ
      の大所帯で息を潜めてるか
      知らねーのか!!!」





    トビコマ2「ヒェェ・・・、火も薬剤もまるで
       効果的な撃退手段にならず、
       その上あれ以上の数と閉所で
       接敵してしまったら・・・・」






    ケニー「そりゃ考えたくも無ぇ事だが・・
      幸いリヴァイの野郎が自分家に
      現れたアイツらと必死こいて
      交戦してくれたお陰で弱点だけは
      当たりがついてる。

      しかし駅ビルの室外機か・・・・
      それも今、丁度奴の話じゃ空調の
      点検だか何かで臨時休業中だって
      話じゃねえか」





    トビコマ1「・・・マ、無関係じゃないデスヨネ。
       どう考えましても。

       あれだけの数を一箇所に集めて
       置こうとでもすれば・・・何かしら
       問題が起きない方が不自然デスし」




    ケニー「何れにせよ・・・やる事ぁ一つだ。

      この俺様を敵に回した事を・・・
      あの娘っ子にはイヤと言うほど
      分からせてやる。個人情報に
      身辺情報をケツの穴まで
      洗い浚い特定し尽し・・・そして」






    トビコマ2「タイチョー!流石にその発言は色々と
       アウトっぽいかと!!」





    ケニー「黙れ!これだけオレに必死こかせた
      小娘に最早情けなんざ要るか!!!
      
      ここまでコケにされたら中の人まで
      特定してやらねー事には収まりが
      つかねえんだよ!!!!」ムカァッ







    トビコマ1「あの、、それはそれで知らない方が
       タイチョーの為かと・・・・」







       ~同刻~





    ―海月荘リヴァイ部屋―








    リヴァイ「・・・・おい。こりゃぁ一体...


       どういう事だ....!?」








    ペトラ「・・・・・^^;」 





    リヴァイが戸惑うのも無理は無い。


    部屋に到達するまでに、既に自室の
    解錠がなされている事に感付いては
    居たものの・・・・


    よもや手狭な1DKの間取りの中に
    コレだけの人数がひしめいているとは
    思いもしていなかったからである。




    ミカサ「おかえりなさい・・・リヴァっち...」
      カチャカチャ・・・・



    アルミン「ぉ、お疲れ様です・・・・;」 




    李「すみません、一足先に
      お邪魔してます...」ペコリ



    蘇芳「おかえり~~」


    紫苑「・・・・・・」






    エレン「ぁっ・・!へ、兵長!!!
      ・・・に、ペトラさん!!!
      大丈夫でしたか!!具合の方は!!」
      ガバッ





    ペトラ「ッ・・・・ぅ、うん、平気よ。
       悪かったわね、余計な心配・・・
       かけちゃったみたいで・・・↓↓」
       ススッ・・・・




    エレン「・・・・?ペトラさ....」




      ぐっ....




    ミカサ「エレン・・・・、、ペトラさんは・・・
      いや、“二人”はもう既に・・・
      どこまでかは分からないが、
      恐らく記憶が“戻って”いる。

      ならば・・・色々と思うところも
      ある筈だ。今は・・・(小声)」





    エレン「ッ・・・・」コクッ・・
      (察し)





    ハンジ「やぁ~やぁやぁ!!!遅かったね
       お二人さん!!!」





  224. 228 : : 2016/04/05(火) 23:35:22









    リヴァイ「“遅かったね”じゃねえ。

       何故家主の俺が到着する前に
       お前らがこの部屋に入ってて・・
       既に鍋パの準備が整ってやがる」







    ハンジ「何だそんな事も分からないのか。
       リヴァイも相当鈍いんだな。

       どうもこうもないよ!!
       何度もラインしたのに全然
       既読つかないからさ、美鈴さんに
       事情説明して鍵あけて
       貰っただけだよ//」





    リヴァイ「だけだよってお前な・・・(溜息)

      ・・・(携帯再度確認・・・)
      ・・・マジか。妙だな・・・
      この送信時刻より後に・・・確かに
      確認したはずだ。」





    ペトラ「通信ラグじゃないですか??
      別に珍しくも無いですよ」ヒョコッ





    リヴァイ「・・・ただでさえクソ狭い
       この部屋にこれだけの大勢が
       スシ詰め状態で・・・それも
       気のせいじゃなければ・・・
       
       何か見覚えの無い卓袱台が
       増えてる気がするんだが」




    ハンジ「そうだよ?ミカサの差し入れの
       お野菜があまりにも大量過ぎてね。

       この鍋パでどんなに消費しても、
       更にその上各自持ち帰る形にでも
       しないと・・・確実に余っちゃう
       量だったからさぁ。

       カセットコンロと・・・卓袱台も
       美鈴さん家で使ってないのを
       借りたんだ//」





    リヴァイ「(オレの気のせいで無いならコイツ...)
    ・・・親しき仲にも何とやらって
       言葉を知らねえのか・・・。

       お前も美鈴さんとは長い付き合い
       だったってのは把握してるが、
       後で頭を下げるのは俺なんだぞ」




    ハンジ「お前は本当に人間が小さいな!!
       せいぜい小さいのは身長だけに
       しといてくれよ!!!」ヒック///




          
    リヴァイ「(舌打ち)ッ・・・・!こいつもう酒を
       あけてやがる・・・・


       ・・・、、それであんたがこの場に
       御呼ばれって訳か・・・済まないな。

       夜は忙しいんじゃなかったのか?
       李さんよ」







    李「ぇ。、ああ、!!;いいんです!!
      むしろ夕飯にお鍋食べ放題の
      御招待だなんて物凄く助かります!
      (主に経済的に)」




    リヴァイ「・・・そうは言ってもな・・・

       こんなんじゃ残飯処理と大して
       扱い的に変らないだろ・・・」
       ドンダケモッテキテンダ





    蘇芳「おふっ!!!!?(モグモグ)

      ちゃんとした野菜で作るとこんなに
      美味しいんだ鍋って!!

      ヘイ!!ボク明日からずっと
      鍋でいいからちゃんとコレ
      野菜で作ろうよ!!
      そこら辺の草じゃなくてさ!」





    紫苑「蘇芳・・・。。“いただきます”
      言ってないよ」





    李「とんでもない!

      昼間自分で焼いてた焼きそばは
      全て残らず完売(?)してしまって、
      自分で食べる分も残らなかったので
      ・・・凄くお腹減ってるんです」
      グォォォォォォォ......!!!!





    リヴァイ「(ラーメン屋で見た光景が
       事実なら・・・この野菜全部
       はけるんじゃねえか・・・・?

       まあ、それならそれで
       こっちは助かるんだが)」





    ペトラ「(な、何・・・・!?今の音・・・?!)」






    ハンジ「(・・・・丁度この上を輸送機が
        通り過ぎる音かと思った・・・)
        ま、まあそういう事だからさ!
        ジャンジャン食べちゃおう!
        まだまだ白菜とか車に
        積んだままの奴が
        あるんだからさ!どんどん
        食べてくれた方が私も助かる!」





    李「じゃあ、遠慮なくいただきます!!」
      ガッ...












  225. 229 : : 2016/04/05(火) 23:37:50






    アルミン「お鍋かぁ・・・・公園に居た頃にも
      何度か招待されて食べに行ったこと
      あるけど・・具の充実感がまるで
      違うなぁ・・・・」シミジミ・・・






    エレン「公園に居た時ってお前・・・

      その頃は宿無しの浮浪者
      やってたんだろ・・・・?;こんな
      豪勢な飯喰えんのかよ・・・」





    アルミン「だから今言ったじゃないか!

       ここまで充実してなかったってさ;
       ・・・それに浮浪者とは言ってもね、
       エレン・・?この世界でそう
       呼ばれてるあの人たちは・・・
       実際思いもよらないくらい
       快適に過ごしているものだよ」





    エレン「・・・・そんなモンなのか・・・・」クルッ・・





    リヴァイ「・・・・・・・」





    エレン「・・・・・・・・」






    リヴァイ「・・・どうした。俺の顔に・・・
       飯粒でもついてる様に見えるか?

       生憎そんな筈は無いんだがな」






    エレン「すみません・・・でもどうしても
      ・・・どうしても兵長の口から
      直接お聞きしておきたくて・・・。
      あの、、、、!」




    リヴァイ「・・・・待て。お前が俺に何を
       聞きたいのかなんざ・・・

       考えるまでも無く解る。
       さっき軽くハンジから聞いた
       だけだが・・・こっちに飛ばされた
       って言うお袋さんとも
       会えたんだろ。

       ソレも何故かお前同様に
       記憶が残ってるだか何だかって
       話だ。・・・・俺らが道中で偶然
       出くわしたお前の親父さんの方は
       残念ながら何も憶えては(▪▪▪▪)
       いなかったみたいだが」



    エレン「?!・・・父さんに・・・、、、
      会ったんですか!!?えっと・・・兵長!!
      それは一体どこで・・・」




    リヴァイ「別に俺の方からお前の親父さんに
       見当がついてて足を運んだり
       した訳じゃねえ。

       道すがら呼び止めたタクシーの
       運ちゃんがたまたま(▪▪▪▪)お前の
       親父さんだったってだけの話だ」






    エレン「タク・・・?ウンチャン・・・????
      
      え・・・・・・?;(困惑)」
      オロオロ・・・






    アルミン「えっとね、エレン・・・?
      "タクシー"っていうのは・・・
      この世界で言う・・・人を乗せて
      御代を取る、所謂馬車の様な物だよ。

      つまりエレンのお父さんは
      この世界では御者さんみたいな
      仕事に就いてるって事になるね」





    エレン「マジかよ!!医者とかじゃねえのか!?」






    ミカサ「元の世界での生活が・・・全く影響して
      居ない訳では無さそうだが、
      総じてこの世界では皆、それとは
      あまり関係の無い暮らしを
      送っている・・・」




    リヴァイ「・・・・つい数時間前にやっと
       お前のお陰でこっち(▪▪▪)の記憶を
       取り戻す事が出来た俺が言うのも
       何だが・・・そういう事だ。

       “この世界”とやらは・・・・
       どこまでも俺達が元居た場所と
       記憶している“あっちの世界”
       とは違う世界だ」


  226. 230 : : 2016/04/05(火) 23:40:26






    エレン「・・・・・・・」





    リヴァイ「それを知った上で・・・俺から
       お前に・・言っておくべき事がある。

       少し・・・(ツラ)を貸せ。

       ・・・おいミカサ。俺とエレンは少々
       席を外すが・・・これ以上呑まれると
       悪い方に(▪▪▪▪)入る。そこのバカが
       四本目の炭酸麦茶を開けない様
       厳重に見張ってろ。いいな」





    ミカサ「・・・・という事だそうだ。

        悪いけれど、ハンジさん・・・
        これはおあずけ・・・・・」ササッ






    ハンジ「くぅぅん,,,,,↓↓↓」パタパタ))
        ションボリ





    ペトラ「っぁ、、、!!へ、へいちょっ!!

       私もっ・・・!あの、その!!!」





    リヴァイ「・・・・・?」ピタッ・・・・




    ペトラ「私も・・・!エレンにはきちんと
       言っておかなければいけない事が
       あります・・・・!い、一緒に・・・
       いいですか・・・・!?」ドキドキドキ・・・・





    リヴァイ「その方が良いだろうな。俺が
       コイツにする話は・・・
       お前にとってもまったく
       無関係な話じゃねえ。」





    ペトラ「・・・・???え、えっと・・・・
      どういう意味でしょうか・・・・;」






    リヴァイ「話せば解る。

       別に大した事でも無いがな」クルッ・・
       ガチャッ・・・





    ペトラ「あっ・・・待って下さいへいちょっ」
       トトッ・・・










    ~202号室・リヴァイ部屋・戸口前~






    未だ夏季の暑さも本番を迎えていない
    というこの季節。すっかり陽が落ちた
    屋外でも若干の生ぬるさが残る風を
    頬に受けながら、二人を引き連れて
    玄関を出たリヴァイは珍しく一日の
    疲れを露にするかのように通路の柵に
    その背を預ける。





    リヴァイ「まだクソ暑い日が続くだろうって
       この時期にあえて鍋か・・・。
       
       別に不満がある訳じゃねえが・・・
       書いてるヤツの都合で季節感も何も
       あったモンじゃねえ。
       野菜の収穫期も何もかもちぐはぐ
       になってるしな。

       ・・・・そう思わねえかお前らも」
       ギシッ・・・






    ペトラ「めっちゃメタですね・・・兵長・・・」
       アッハハ...;









    エレン「・・・・」





    リヴァイ「どうした。さっきから目に見えて
       機嫌が良く無さそうだが。」





    エレン「ッ!!?え!?、、いえ!!!!

      決してその様な事は!!ただ・・・兵長は
      ・・・その・・・・・」





    リヴァイ「まあ待て。さっきも言った
       通りだが・・・お前が言いたそうな
       事なら何となく予想できると、
       そう言った筈だろ。

       俺もコイツも・・・“元居た”
       世界の記憶が戻った事で、元々の
       自分がどんな立場だったかこれで
       一応理解してる訳だが」




  227. 231 : : 2017/01/06(金) 23:57:01






    エレン「なら・・兵長は・・・・!」






    リヴァイ「“このままでいいのか”とか、
       大方そんな所だろう。お前が
       言いたい事があるとすれば。

       それとも・・この生活で満足なのか。
       ・・・・そんな所じゃねえのか」




    エレン「そ・・・そこまで直接的な意見を
      申し上げたい訳では・・・、、、。
                ――ただ..」





    リヴァイ「“ただ?”」





    エレン「ミカサの奴からも・・
      無礼は承知の上で兵長の事、
      色々聞きました。」




    リヴァイ「ほう。

       ・・・別に聞かれて無礼にあたる様な
       事を・・・あいつがベラベラと口に
       するとは思えないが」





    エレン「兵長は・・・

    今・・・いえ、『こっちの世界』では
     日雇い労働者のような身の上で
     日銭を稼いで生活している

      ・・・んですよね」







    リヴァイ「・・・そうだな。

       大体それで合ってる。正確には
       日雇いじゃねぇが・・・今は勤め先が
       臨時休業って事になってる都合上
       それで正解だ」






    ペトラ「・・・・・・」







    エレン「それ以外は特にこれといって
      する事も無く・・・“物書き”を毎日の
      趣味として嗜んでるとか・・・・」






    リヴァイ「そいつは半分正解、半分不正解だ。

      まず"これといってすることも無く"
      というのが誤りだからな。」





    エレン「・・・・・・・!!!?」





    リヴァイ「・・・何故なら、俺は
       “その為”に毎日を
       ただのうのうと生きている。

       お前の感覚を借りて言うなら
       こう言った方が適当だろう。

       ・・・正解としてもう半分、物書きが
       趣味だってのは合ってる。」












    エレン「そんな・・・・
      そんなのっ幾らなんでも・・・!!」
     





    リヴァイ「・・・・俺らしくねぇ、

       とでも言いたいか?

       まあ、そう言われても仕方無い
       だろうな・・・。そこのペトラ(そいつ)にも
       同じ様な事を言われた。」







    エレン「それは言いたくもなりますって!!!

      元の兵長を良く知ってる人間なら
      尚更です!!俺やペトラさんが
      知ってる兵長はっ・・・・もっとこう」





    リヴァイ「人を喰う事しか頭に無い全裸の
       アホ共のうなじを掻っ捌き捲って
       飛び回る、見た目、内面共に
       かなり性格の悪そうな奴・・・

       そう言いたいんだろう。」フン。
       




  228. 232 : : 2017/01/06(金) 23:59:58






    ペトラ「へっ・・兵長!!私、そんな事まで
       言ってません!!;」







    リヴァイ「・・・変だな。それで大体
       合ってると思ったんだが」ジロリ






    エレン「・・・・・!」





    リヴァイ「……そんな目をされてもな。

       …なら逆に聞くが…エレンお前」






    エレン「・・・・、、何でしょうか!」ガバッ








    リヴァイ「“この世界”でここ暫く
       過ごして見て…お前はどう思った」






    エレン「ぇ・・・・?
      ど、どうって・・・・」






    リヴァイ「聞き方が悪かったか。

       この、“巨人も壁もない世界”で
       暫くミカサの世話になってみて・・

       ・・・お前自身は
       “ここでの生活”をどう感じた」







    エレン「どうと・・・・聞かれても・・・・。

     
      とにかく飽食で技術の進歩が
      半端では無くて・・・とことん
      平和ボケした危機感に欠ける
      世界だとしか…」






    リヴァイ「記憶が戻った今だからこそ
       言うが・・正直俺もそう思った。

       ・・・この世界でも俺が居た事に
       なってる地下街と似たり
       寄ったりな国くらいは当然
       有る様だが・・・流石に人間を
       主食とする化け物がウジャウジャ
       彷徨う平原なんざ・・・この世界には
       無いからな」






    エレン「そ、そうですよ・・・・!!
      こんな緊張感の欠片も無くて
      食い物も当たり前のように手に入る
      世界が・・・・!もし何かあったら
      あっという間に・・・、、それこそ
      巨人なんかが現れでもしたら・・・・」







    リヴァイ「だから、そいつらがどこにも
       居ないのが当たり前・・・っつうのが
       この世界の常識なんだろ。

       それ自体は・・・大いに結構な事じゃ
       ねえのか。・・・・お前は素直にそう
       思う事が出来ないのかエレンよ。」






    エレン「ええ・・・・;失礼ながら全く
      そうは思えません。一体俺達が
      奴らに対するどんな感情を糧にして
      あれだけ過酷な訓練を乗り越えて
      来たのか・・・それくらい兵長にだって
      解るはずですよね・・・!?

      母さんは・・・母さんはあの日、
      俺の目の前で・・・巨人に・・・・、、、!!!!」
      ギリギリギリ





    リヴァイ「・・・ミカサの話じゃ・・・
       その、お前のお袋さんもこっちで
       無事生きてたそうじゃねえか。

       ・・・それも、お前達同様・・・
       “あっちの世界”の記憶を
       そのまま残してる形で。

       ここまで解り易いお膳立てが
       揃って尚・・・お前はこの状況に
       何も思うところが無いのか。

       俺がお前に聞きたいのはつまり
       そういう事なんだが・・・・」






    ペトラ「・・・・?!   

      ちょっと待って下さい兵長・・・!
      それは一体どういう・・・・」






    リヴァイ「この状況がどういう理屈の元に
       出来上がってるのか・・・皆目見当も
       付かないのは俺もお前も恐らく
       同じだ。・・・だがな、これだけは
       間違いなく断言して良い。

       この“世界”には・・・明らかな
       “作為”を感じる。」






    ペトラ「・・・・・・!?」





  229. 233 : : 2017/01/07(土) 00:02:57








    リヴァイ「具体的には・・・誰かしらの、
       “こうあって欲しい”という
       願いが形を成した世界。

       ・・そんなとこだろうな。

       “何処の誰様”によるものか・・

       そこまでは流石に
       知った事じゃねえが」






    エレン「・・・・・・・!;」






    ペトラ「・・・・・い、意外です・・・・」
      ポカーン・・・






    リヴァイ「・・・・何がだ」





    ペトラ「何がって・・・・そんな事を兵長が
       口にするのがです。

       兵長ならそんな・・・・」




    エレン「、 、 、」
      (強い頷き)





    リヴァイ「そりゃあくまでお前らの
       “元の記憶”に残ってるオレの
       イメージだろ・・・。


       生憎ここにいるこの俺は。

       仕事より下らねえ物書きを
       楽しみにして毎日過ごしてる、

       そういう人間だ。
       当然そんな考え方もする。」





    ペトラ「・・・・・・・」





    リヴァイ「お前だって人のこと言えた
       立場か・・・ペトラよ。

       『あっち』にいたお前は
       目がキラキラした野郎同士の
       絡みに鼻息を荒くする
       性癖でもあっ...
    ペトラ「ッぁい!!!スイマセンでした!!!

       私が間違ってました!!兵長は、
       いえ!!!センパイはなんも
       間違ってません!!」







    リヴァイ「・・・・だろ。」ギシッ・・・






    そこまで語り終えると、背を預けた
    柵へかける体重を更に増やし、
    溜息とはまた違った吐息を夕刻の大気に
    解き放つリヴァイ。



    必然的に話の流れが途切れた所から、
    暫く無言の間が三人の間に横たわるが・・・




    しかしやはりそのような間に
    堪えかねるのが人一倍早いであろう
    エレンの言によってその沈黙は
    打ち破られる。





    エレン「・・・・では兵長・・・あの・・・・?
      それが分かったところで・・・・

      具体的に兵長はこれから
      どうする積りで・・・・」






    リヴァイ「・・・・・これからどうする・・・か。

       一先ずは・・・・・」






    エレン「・・・・・・!」
      ゴクッ・・・・






    リヴァイ「今の勤め先が臨時休業中だからな
       ・・・運送の仕事も間に入れたが
       それだけじゃ繋ぎにならねえ。

       丁度・・・ミカサの奴のつて(▪▪)
       虫捕りのバイトがあるそうじゃ
       ねえか。枠も何とか空いてる
       そうだから俺もそれで行こうかと」






    エレン「日雇い労働の話じゃないです!!!」
      クワッ!!!!!





    リヴァイ「・・・・おぃエレン。

       ご近所さんに迷惑だ。
       あまり大声を張り上げるな」







  230. 234 : : 2017/01/07(土) 00:07:35






    エレン「失礼しました・・・!けど兵長ッ・・
      あの・・・兵長は本当に心の底から
      この状況をどうにかしようという
      頭は・・・・?」ダラダラ・・・





    リヴァイ「・・・・・(溜息)
       テメェはまだそんな事を
       考えてやがったのか・・・・」








    ペトラ「・・・・無理も無いですよ・・・
       私、あまり深くは事情を
       理解してませんけど、エレンから
       してみれば“あっちの世界”から
       突然“この世界”に飛ばされ
       ちゃった・・・みたいなカンジ
       なんですよね。

       それなら普通・・・」







    リヴァイ「・・・・気持ちだけは理解してやる。


       しかし、
       ならば具体的にどうしろと?」








    エレン
      「(グッ・・・・;)」
    ペトラ






    リヴァイ「・・・・この、なんだか
       よく分からねえ平和ボケした
       世界が・・・どうやら作為的なモノで
       
       そこに本来いる筈の無い俺達が
       こうして据えられてるんだって
       事は・・・“何となく分かった”。

       しかし、その仕掛け人も
       カラクリも分からないこの状況で
       ・・・・俺達に何が出来る?」






    リヴァイ「言うまでも無く
       確実な事は・・・“とりあえず”
       生活の均衡を保つことだけだ。

       ・・・違うか?・・・
       もし他に大事なことがあるなら
       今この場で言って見ろ」







    エレン「・・・・ミ、ミカサとか・・・

      もっと踏み込めばあの、
      “叔父さん”とかは・・・・何か
      兵長が知っている以上の
      情報を知ってるような気がします
      ・・・・!そこからなんとか・・!」







    リヴァイ「・・・・まあ、ミカサはな・・・・。

       アイツは正直・・・・。。アイツに
       不可能な事があるのかどうか、
       それすら俺にとっては本気で
       怪しい位だと思ってるが。


       ・・・だがジジイ(ケニー)は没だ。
       あんな変態爺に頼る位なら
       まだ俺は何も知らずに毎日を
       無気力に過ごす方を選ぶ」






    エレン「それでいいんですか!?!兵長!!

      あの人が何か重要な事を知ってる
      っていうなら・・・この際体裁なんて
      気にしてる場合じゃ・・・!」







    リヴァイ「・・・・・いいかエレン・・・。

       あいつ(▪▪▪)はな、一応こっちの
       世界でも身内である立場の俺と
       十数年ぶりに顔合わせしたその
       瞬間に、目の前に居る身内・・・
       つまり実の甥である俺をアッサリ
       殺そうとしたんだぞ。

       それも何だかよく分からない
       装置で蘇生できるから、
       なんていう実に軽い気持ちでな」







    エレン「・・・・・・・」




  231. 235 : : 2017/01/07(土) 00:11:55







    リヴァイ「あっちはあっちでミカサ、
       それから“お前絡み”で
       色々あったが・・・


       いきなり“死ね”と言われて
       鉛玉の雨ををぶっ放される
       こっちの身にもなってみろ。 

       アイツは・・・持ってる情報量も
       科学力も底が知れねえが・・・

       その変態性に関してはそれ以上に
       イカれてやがる。・・・故に俺は
       自分からあいつの手を
       借りようって気がどうしても
       起きねえ。

       ・・・ここまで理解できたか」







    エレン「・・・・、、、、」






    リヴァイ「(溜息)・・・・なあオイ、エレン...。

       お前は何がそこまで気に入らない?
       俺のこの生き方が・・・そこまで
       お前の癇に障るか」







    エレン「気に入らないとかじゃ・・・

      そういうのじゃ無いです・・・ただ・・」





    ペトラ「(ウン、ウン!)」






    リヴァイ「・・・・・俺にはお前ら二人の
       言い分が全く理解できねえ。

       食人の化け物は居ねえ。

       世界を区切る壁もねえから
       旅費さえ稼いでパスポートを
       作れば何処へだっていける。

       誰にとっても御の字じゃねえか。


       ・・・・お前らは・・・こんな世界の
       何が不満なんだ」





    エレン「・・・・もう一度言いますが・・・・

      不満なんて無いんです。ただ・・

      俺の中での兵長と言ったら
      “あの世界”での兵長が
      全てなんです。

      ・・・だからなんというか、
      少しでもその・・・・」






    リヴァイ「・・・・・????」






    エレン「元の兵長が見せてくれたような
      殺伐とした空気というか・・・」
      ウジウジ・・・





    リヴァイ「エレンお前・・・。

       顔合わせ早々に公衆の面前で
       自分の奥歯を蹴り飛ばすのが
       お前にとって理想の上司・・・

       ・・・なのか?」ソウイウシュミガ。。。
      (極めて無表情だが一応困惑。)







    エレン「そういうのじゃないですって!!!!」






    ペトラ「そうです!!ぁ、あそこまでの
       バイオレンスを兵長に求めてる
       ワケじゃ無いですけど・・・!

       それでもやっぱり少し位元の
       兵長らしく振る舞ってください!!
       なんていうか・・・イメージとの
       齟齬がですね!!!;」





    リヴァイ「・・・・なら丁度良いだろ。

       ミカサの話じゃ・・・
       虫捕りのバイトは、最悪
       生け捕りで無くても良いって
       話だ。俺の居城を土足で
       荒らしてくれた意趣返しに
       何匹かは抹殺してやるつもりだ。

       ・・・なに、家の中でないとなれば
       流石に俺も周りを気にせず
       全力で殺しにいける」ゴキッ・・・
       (首鳴らし)







    エレン「だから日雇いのお仕事の話じゃ・・!」










    ――丁度その時。







    大家「お、おやおや丁度良かった。
       202号室の。ちょっと話して
       おかなきゃならない事が
       あってね・・・今大丈夫???」
       カラン・・・





    階段から上がって来たのは
    リヴァイその他が店子として
    間借りしている此処、海月荘の大家にして
    管理人でもある、大山美鈴の姿だった。



  232. 236 : : 2017/01/07(土) 00:14:51






    リヴァイ「・・・・ああ、問題ない。

       寧ろ話しとかなきゃならねえ
       事ってのは・・・今借りてる
       卓袱台だのガスコンロの
       リース代とかでないのかって・・・
       心配してる位なんだが・・・

       突然ハンジの奴が押しかけた
       みたいで迷惑をかけた」(会釈)





    エレン「(兵長がっ・・・年配者相手とはいえ
       あの兵長が御辞儀を・・・!)」
      (信じられないモノを見る目)






    大家「ぁあ~~、いいのいいの!

       んなこた全然気にしてないからさ!
       元々家で使ってたモンでもなし、
       もってって貰っても構わない
       位だからさ。


       そんな事より・・・アレさ。
       あんたに話しときたい事って
       いうのが・・・あんたの部屋の隣。、

       ほら、出稼ぎ行ったきりずっと
       帰ってこないって話をいつだか
       したじゃない」






    リヴァイ「・・・暫く前にな。

       しかし、聞くところによっちゃ
       問題のそいつが携帯電話を
       持ち歩いてないとかで・・

       連絡がつかねえって話までは
       憶えてるんだが」






    大家「ああ、その通り・・・なんだけどね。

       それからあまりにも音信不通が
       長く続いてるモンだから・・・

       念のため何かあったときのタメに
       聞いといた親御さんの連絡先に
       問い合わせてみたんだけども。」





    リヴァイ「・・・・その様子だと」





    大家「ぅ~ん・・・・今時そんな人も
       居るモンなのかと思える位に
       放任主義な人でねえ。。

       “娘に何かあればそれはそいつが
        自分で乗り越えるべき事だ”
     
       みたいな事言っちゃってさ、
       まあハッキリ言っちゃうと・・・
       心配なんて欠片もしてない
       感じで切られちゃったのよ」





    リヴァイ「・・・・・・・・・」




    大家「で、。幾ら保護者がそんな事
       言っちゃっててもね。

       こっちは一応部屋を貸してる
       身の上だから・・・幾らなんでも
       電気水道代と家賃が滞って
       無いからって知らん顔してる
       訳にもいかないワケだ。

       ・・・そんなこんなで、
       もうお巡りさんに届け出た方が
       早いと思ってね。もう一応大体の
       状況は昼頃電話で説明しちゃった
       んだよ。」





    リヴァイ「・・・・つまりそうなると」






    大家「そうさね。一応お巡りさんの
       方でも親御さんには捜査協力の
       なんちゃらとかで

       連絡をよこすんだろうけど・・・
       それが無事済む済まないに
       関わらず・・・お隣の部屋には
       お巡りさんが入る事になると
       思うんだわさ。


       足取りの手掛かりなんかを
       見つけるためにね。

       ・・・お隣同棟って事を考えれば
       勿論聞き込みにも来るかもねぇ」






    リヴァイ「・・・・成程。」



  233. 237 : : 2017/07/30(日) 05:43:07







    大家「そんな訳だからさ。

       少しの間ここいら騒がしく
       なるかもだけど・・・少し
       我慢しちゃくれないかね、

       って話だったの。
       悪いね、嬢ちゃんも、坊っちゃんも
       話の最中だったろうに」




    エレン「いっ・・いえ!!!そんな、
      お気になさらず・・・・?!」ビクッ




    ペトラ「(右に同じく!!)」ブンブン))





    大家「・・・・・・~~」ジ~~・・・





    ペトラ「・・・・な、何か・・・・?;」
       ドキドキドキ・・・・




    大家「・・・失礼、ちょいとゴメンね?

       リヴァイさん?」チョイチョイ



    リヴァイ「・・・・・?」



    ガシッ・・・





    手招きされるままにリヴァイが近づくと、
    急に短い腕を伸ばし、見た目より
    大分ガッチリとしたリヴァイの首を
    抱え込む大家。





    エレン「ッ!!?!」
    ペトラ「!!!!!!」




    大家「ちょっとあんた。。!

       私ゃてっきりハンジちゃんと
       あんたがそうなのかとばっかり
       思ってたんだけどね・・・・!

       あの子は・・・・?!まさか・・・
       あの子の方があんたの
       コレ(▪▪)なのかぃ!!?」
       ビッ・・・


    リヴァイ「・・・・・・・」






    突然頭をホールドされたかと思えば、
    後方の二人に見えない形で小指を
    突きつけられ、その様に迫られる。

    ほんの一瞬だけ答えに返す言葉を
    探そうとするリヴァイだったが・・・・





    リヴァイ「・・・どういうわけか
       そういう事になった。

       ・・・今日、ついさっきからな」




    いたって感情を表に出さない無表情で、
    肉薄する大家には顔すら向けずに答えた。





    ペトラ「(せ、先輩と・・・!!
       いや、へいちょと・・肩組み・・
       だとッ・・・・!?
      
       ぅ、、裏山・・・!!)」ヌググググ・・・・!!





    大家「あんた、よくそんな事無表情で
       事も無げにいえたモンさね・・・;

       しかし・・・・」フイッ・・・





    ペトラ「(ビクッ)」







    大家「イイ子じゃないか、護っておやりよ?」
       ヒャッヒャッヒャ






    リヴァイ「・・・・・・・・その積りだ。

       “今度”ばかりは・・・・

       あんな思い(▪▪▪▪▪)をさせる訳に
       いかないからな・・・・

       親御さんにも・・あいつ自身にも。」








    大家「???まあ・・・若いの同士にも色々
       あるみたいだけど・・・

       私ゃ正直少しホッとしたよ。」
       





    リヴァイ「・・・?」







    大家「あんたがココ越して来てからさ。

       まあ礼儀もなってて整理整頓も
       きっちりこなせる人が来たなって
       事で・・・李さんと言いあんたと言い
       まともな店子ばっかりで
       安心はしてたけどね・・・・

       ・・・しかし歳のワリに
       あんたらと来たら浮いた話の
       1つも無かったじゃない」





    リヴァイ「・・・・いや。

       引越し早々女を連れ込んで
       掃除を手伝わせたりしていたが」
        




    大家「ハンジちゃんはそういうタマじゃ
       ないだろありゃ!!

       あんたの事は最近知ったけど、
       私ゃあの子とは親御さん通して
       結構長いんだ。

       あの子がどんな性格なのかは
       良く知ってるよ。」カラカラ





  234. 238 : : 2017/07/30(日) 05:44:31





    リヴァイ「・・・・・そのようだな。

       話は大体理解した。

       ・・・そろそろ部屋で酒を
       あけてるそいつの様子が
       心配になってきた・・・」





    大家「ああ、そうだね、そうだ!!!
       いってやんな!!悪かったね。。
       飲み食いの最中だったんだろ?

       李さんや真下のリッちゃんとこに
       響かない位の賑やかさで頼むよ」





    リヴァイ「ぁあ。

           承知した」






    カッ・・・   カッ・・・・   カッ・・・・







    リヴァイ「・・・・・(大きい溜息)」





    エレン「あ・・・あの、兵長・・・」




    リヴァイ「ああ、話の途中だったな。

       ・・・・だがちょっと待て。」





    エレン「は・・・はい・・・・?」









    リヴァイ「・・・・どうしたもんかな・・・・



       ...おい!!そこのゴミ!!!!」







    ペトラ「ッ?!?」




           ∑ガササッ!!




    唐突に静かな怒声を上げるリヴァイに
    思わず肩を跳ねさせるペトラと
    エレンだったが、二人が何事かと
    尋ねる間も空けずに・・・・





    ヴヴッ・・・・・・  ジジジ・・・・・






    ケニー「ぁンだよ・・・・!;(シブシブ)

      取り込み中みてえだったから
      極力関わり合いにならないように
      こっそり通り過ぎようとしてた
      ってのによ・・・!」





    夕闇に溶け込み、普段より格段に
    その効力を発揮した迷彩効果によって
    植え込み付近に潜んでいたケニーの姿が
    露わになる。



    ,,,が、ケニーが息を潜めていた植え込みは
    当然階下であり・・・現在リヴァイ達が
    立ち話を行っている場所はアパートの
    2階通路である。



    リヴァイの索敵能力もここ最近の色々で
    かなり向上しているようだ。









    エレン「うわっ・・・・!!」ビクッ


    ペトラ「ヒッ。。。!!!」ビクッ






    リヴァイ「・・・・・・おいジジィ。」







    ケニー「だから何の用だっつんだよ!!!?
      俺ぁさっきの今で黒い悪魔どもと
      命賭けの追っかけっこを終えた
      ばかりでクタクタなんだ!!!

      用があるならさっさと済ませな」チッ






    リヴァイ「どうせ話は最初っから最後まで
       聞いてやがっただろう・・・・?

       お前の得意分野だ・・・!

       俺のお隣の行方不明者とやらを
       お前のその無駄に洗練された
       無駄の無い無駄な特定スキルで
       探し出して居場所をキッチリ洗い出せ。

       ・・・・龍の七つ玉に比べりゃ
       なんて事ねぇハズだ。

       できねぇとは言わせねぇぞ」






    ケニー「・・・・・気のせいかね。
      
      俺の手を借りるような気は
      さらさら起きねえと・・・誰かさんは
      言ってた気がするんだが」







    リヴァイ「・・・・・・勘違いするな。


       これは依頼でもお願いでもねえ。



       “ 脅 迫 ”だ。(ガッ・・・)

       ハンジに聞いてチラッと
       耳に入ってるだけだが・・・どうも
       ニ、三時間前くらいか。

       原因不明の通信障害が・・・
       ここいらであったそうじゃねえか」
       ギリギリギリ・・・





  235. 239 : : 2017/07/30(日) 05:47:03







    ケニー「(;´Д`).....」






    リヴァイ「俺はお前に向かって・・・

       次に粗相があったらどうすると
       言った・・・?」







    ケニー「痛”っ・・・・!

      イダダダダ・・・!!!!イテェイテェ!!
      耳がチョン切れちまうだろうが!!


      分かった分かった!!!!
      分かりましたよこんチクショウめが!!
      
      お前のお隣さんの今居る場所を
      特定すりゃいいんだろ!!?」ギャァァァ





    リヴァイ「・・・一応言葉の意味は理解
       できてるみてーだな。


       だがまだだ。お前がここで
       適当なホラを吹く可能性も
       十二分に残ってる・・・

       それを実行に移す場合の
       具体的なプランを説明しろ。」




    ケニー「説明しろったってな!!

      どうせお前にゃ説明したって
      チンプンカンプンな用語しか
      出ちゃこねーぞ!!!」




    リヴァイ「構わねぇから続けろ。

       それが可能なのかどうか、
       それは後々ミカサの奴にでも
       言質を取れば済む話だ」





    ケニー「ッけっ・・・そうかよ、、;

      いつものモノ探しの基本と
      さして変わらんさ、衛星を使う。

      ・・・・ただ今回違うのは・・・
      いつも使ってる軍事衛星とは
      一線を画する新鋭機を
      ハッキングして間借りするって
      トコだ。“ソリトンソナー”
      っつってな・・・・まずナノマシン(ry
    リヴァイ「もういい。つまりその
       “ソリトンなんたら”を使えば
       お隣を探し出せるってんだな。

       ミカサに確認を取れれば
       ソレでいい。」 




    ケニー「オイオイオイ・・・・話の途中だぞ。

      焦って話を端折るのは勝手だが・・・
      そいつでモノを探すにも・・・
      結局その“ミカサ”が
      頼みの綱なんだ。俺は衛星と
      リンクしてミカサの奴が撒いた
      ナノマシンを探し出すだけだからな」





    リヴァイ「・・・・撒いた・・・・?

       どういう事だ。意味が分からん」






    ケニー「俺にだって大体分かっちゃいねえ。

      ・・・ただ、記憶違いでなきゃ・・・
      お前のお隣さんてのは

      ミカサにとって“あっちの世界”で
      それなりに縁があった奴だって話だ。
      
      ・・・・それを事前に把握してるアイツが
      今回探そうとしてる当人に
      うまい事ビーコン代わりとなる
      ナノマシンを打ち込んでるか
      どうかで・・・事情は大きく
      変わってくるんだよ」ケッ・・・







    リヴァイ「つまり“発信機”みてえなもんか」








    ケニー「まあ・・・この際それで別に
      間違っちゃいねえ。だから今回は・・」








    ガチャッ・・・・




    リヴァイ

    エレン  「!!!?」

    ペトラ




    ミカサ「・・・・・話は大体聞こえていた。

      安心して欲しい。既にリヴァっちの
      お隣・・・もとい今回行方不明に
      なっている“当事者”の居場所には
      大体の目星が着いている上に
      ソナーで拾うのに必要充分な
      ナノマシンも混入済み・・・・」
      ヌッ・・・・





    ガチャ・・・・パタン。





    外での会話も全て聞こえていたような
    口ぶりでもって、伝える事だけを伝えると
    そのまま外にのぞかせていた首を
    引っ込めて戸を閉めるミカサ。





  236. 240 : : 2017/07/30(日) 05:50:25







    リヴァイ「・・・・・相変わらずどういう
       聴力してやがるんだ・・・(溜息)

       部屋の中で随分とうるさく
       メガネが騒いで居やがる
       気がするが・・・・」




    ペトラ「せっ・・・センパイ・・・;なんか
       すごく嫌な予感が・・・・」






    リヴァイ「そうだな・・・これ以上無用な
       長話をこじらせるとメガネの暴走が
       いよいよ手に負えなくなる。


       ・・・そういうわけだ、オイジジイ。

       その、ミカサと縁のある
       お隣さんとやらの・・・
       現在地を「一応」教えておけ。
       もし探しに行くにしても
       そこが簡単に足の届く程度の
       場所なのかどうか・・それだけでも
       知っておく必要がある。」






    ケニー「ぁあ・・・・そうかよ。ッ。。(舌打ち)


      ぇ~~・・・・何々・・・

     
           あ~・・・・、、、、


      一応教えておいてやるが・・・

      冗談とかじゃねえからな、

      ....俺に文句言うなよ」







    リヴァイ「・・・何だ勿体ぶりやがって・・・・

       まさか国内じゃねえとか
       言うんじゃ・・・・」







    ケニー「~~~・・・  

      何といえば良いのか。。。
      座標で言うと“南シナ海の一角”だ。

      そうとしか説明のしようが..無い;」








    リヴァイ「・・・・つまり何だ・・・そいつは今
       ドザエモン宜しくプカプカ
       洋上を漂ってるって事か・・・・?


       そりゃもう手遅れって事じゃ」






    ペトラ「ちょっ・・・!センパイ!!

       怖い事言わないで下さいよ!!」
       ゾワッ






    ケニー「いや・・・・ソリトンから拾える
      生体反応を見るに・・・至って健在だ。


      ただ当然の如く、凄まじい空腹には
      見舞われてるだろうがな」








    リヴァイ「空腹だと・・・

       まさかとは思うが無人島に
       漂着したとかってんじゃ・・・」






    ケニー「・・・いや・・・この座標だと・・・、、

      ぁあ、、全然無人島なんかじゃ
      無いし、街も人の往来も普通にあって
      治安維持にあたってるポリスメンも
      居るっちゃ居る街・・・・なんだが....」
      ゥゥム・・・







    リヴァイ「・・・・?・・とにかく、。


       話を纏めると・・・

       そいつは無事生きてるが、
       車や電車で簡単に行ける様な
       場所には居ねえって訳だな。」








    ケニー「物分りがお宜しいこって。」






    リヴァイ「・・・そうとなれば・・・・


       正直気は進まねえが
       そこまでの移動手段に関しては
       “例のアレ”しか無いだろうが。


       その“南シナ海近辺”まで・・
       『黒い球』の“転送”は使えるな?

       出来ねえとは言わせねぇぞ」






    ケニー「ヘイヘイ。出来ますよ(ケッ)


      ・・・ただ、送るとき転送先を誤って
      うっかりチョモランマのてっぺんにでも
      送っちまったら・・・

      まっこと申し訳有りませんがね」
      ヘッヘヘ








    リヴァイ「その時は自力で下山してやる。

       ・・同時にそれから先、
       一生安心して眠れない位スリリングな
       生活を約束してやるからそう思え。」








  237. 241 : : 2017/07/30(日) 05:52:55








    ケニー「ざぁんねんでしたぁ~w

      義体の占有率が俺くらいまで
      くると既に睡眠は必要ねんだなぁ

      これが」ベロベロバ~~








    リヴァイ「・・・ッ(舌打ち)



       聞きてえ事はそれだけだ。
       お前はとっとと巣に帰れ。

       そのお隣さんとやらを何時
       迎えに行くか・・・そいつは
       ミカサのヤツと相談して
       俺が決める。

       
       ・・・まあそこまで腹が減ってる
       ってんだ、早いうちに向うに
       越した事は無いがな」   







    ケニー「へいへい。わかりやしたよ。

      ・・・じゃぁな、坊主に嬢ちゃん。」
      ヒラヒラ





    カッ・・カッ・・カッ・・・


         ガチャッ..      バタン=3










    リヴァイ「・・・・話が途中になっちまったな。


       ・・・つまりエレン。俺からお前に
       言いたいのは・・・」







    エレン「・・・・・・?;」






    リヴァイ「この世から全ての巨人を
       根絶やしにする・・・そいつが
       俺にせよお前にせよ共通で
       心に決めていた生涯目標だった。


       『あっちの世界』じゃぁな。

     
       それが間違いで無いなら・・・

       ここは“そいつが叶った世界”だ。
       そう思えばすべてが丸く収まる。


       ..違うかオイ。」







    エレン「・・・・巨人が・・・・

       全て・・・絶滅した世界・・・??;」






    リヴァイ「そう考えた方が断然得だろ。


       ・・・・何でも楽観的に考えないのは
       今時分のお前らみたいな歳の
       若者には大事な才能かも
       しれねえが・・・

       お前の場合、そこを通り過ぎて
       少し自分を追い込みすぎだ。」





    エレン「・・・・・」





    リヴァイ「・・・―まあ、無理も無い事だ。

       審議所でお前の面を
       蹴っ飛ばした時から思っていたが

       エレン。。。お前は・・・


       とにかく『普通じゃねえ』。
       主に精神面での打たれ強さがな。

       ..俺は、お前のそういう所も
       同時に買って、同じ班でやってく
       部下の一人として迎え入れたんだ」


     




    ペトラ「兵長・・・・・」








    リヴァイ「つまり・・・

       目の前で身内が喰われ、
       更にはその五年越しに迎えた
       お礼参りの舞台に於いてまで
       人類(テメェども)の無力さを
       イヤと言うほど思い知らされたにも
       関わらずだ・・・・

       一切心折られることなく、
       奴らの掃滅宣言を復唱できる・・

       それだけ狂気じみたメンタルを
       支える意地の強さは・・・普通なら
       そう簡単に曲げられるモンじゃねえ。

       ・・・だからお前がこの世界の
       居心地の良さに不快感を
       覚えちまうのも、そりゃ至って
       当然の事だ。


       俺はそれを・・・この期に及んで
       一々咎めたりはしねえ。」

     

       


    エレン「兵長・・・あの・・・オレ・・・・、、」






    リヴァイ「それとな・・・、


       色々と話が混み入り過ぎて
       話し出すタイミングを逸しちまった
       みてーだが・・・

       ペトラ(こいつ)もお前に大事な話が
       あるんだとよ。

       ・・・・おい、話があんだろ、、」
       ポンッ=3







    ペトラ「ィヒャッ!!!?」ビクンッ!!  





    リヴァイ「オイオイ・・・


       そのリアクションはデカ過ぎだろ...

       話の流れ的に察しとけ。
       大体お前もエレンの奴に言う事が
       あるって言うから

       メガネの監視役をミカサに
       一任してまでこうして表まで
       ついて来たんだろうが」



  238. 242 : : 2017/08/01(火) 01:07:57







    エレン「ぇ・・・えっと、、あの、

      ペトラさんが・・・オレに・・ですか??」







    ペトラ「・・・・、」コクン





    心底意外そうな顔でそう尋ねる
    エレンの眼を未だに直視出来るほど
    心の準備が済んでいないのか、


    反射的にリヴァイの背後へとその身を
    隠してしまうペトラ。





    エレン「・・・・・(ペトラさん・・・まさか)」





    目の前の上官二名の物腰の変化から
    明らかに見て取れる、


    記憶の同期によって訪れたと思われる
    心境の変化。


    その変わり様から流石に他人の
    心情を察する場面に於いての鈍感さが
    目立つエレンでさえも、

    目の前の彼女がどういった話題を
    切り出そうとして踏みとどまって
    いるのかいち早く察する。







    エレン「オレ・・・何となくですけど、
      ペトラさんが何を言おうと
      してるのか・・・分かる気がします、


      記憶が戻ったって事は・・
      オレに・・・謝ろうとしてる・・とか
      ですよね、、、“あの時のこと”」 






    ペトラ「・・・・・」






    エレンの問いかけに返す言葉を
    一瞬躊躇するペトラ。



    未だにリヴァイの背後から我が身を
    曝け出す心の準備が出来ていない様子だ。







    エレン「その、、、上手く言えないんですけど、
      例えそうだったとしても、
      オレにはペトラさん達に謝られる
      資格もないし、正直謝られても
      困るんです。

      ・・だってそうじゃないですか。
      団長達の作戦で動きを
      封じた筈のあいつが再びオレ達の
      目の前に現れる所までは・・・


      誰にとっても完全に想定外の
      出来事だったんですよ?」









    ペトラ「・・・・っ・・・けど・・;

            もしあの時、」





    エレン「最初に兵長から受けた指示を
      考え直す柔軟ささえあれば、
      もっと違った結果もあったかも
      しれない・・・、、ですか?」






    ペトラ「・・・・・・・」




      
    エレン「オレも同じ事を何度も考えました。



      ・・・でもやっぱり違うと思ったんです
      ・・・オレは。


      何故ならあの作戦で兵長が皆さんに
      伝えていた最重要事項が・・・

      “オレの保護”だったからです。

      女型の捕獲でもなく、
      特別作戦班全員の生還でもなくて。

      あの陣形は・・・“オレを護る為”の
      陣形でした。」







    ペトラ「・・・・エレン・・・・・」







    エレン「だからペトラさん・・・
      オレを守ろうとして最後までオレに
      交戦許可を下さなかった皆さんの
      判断には何の間違いもありません。

      だってほら・・・
      結果として・・・ペトラさん達の
      使命は果たされて・・・オレがこうして
      生きてるじゃないですか・・・・・!

      結果としちゃミカサや兵長の
      助けを借りてやっとでしたけど・・・


      それでもオレは何とか
      助かったんですよ」






    リヴァイ「・・・・・・」








    エレン「だから・・・あの、
      上手く言えませんけど、
      オレに謝らないで下さい。

      オレがこんな事、偉そうに
      言うべきじゃ無いのは分かってます」








    リヴァイ「・・・・だとよ。

       奴はああ言ってるが・・・

       お前からエレン(あいつ)にしておくべき
       大事な話ってのは・・・それについて
       侘びを入れるだけの事だったのか?

       もしそうなら、そろそろ
       背後から離れて貰えると
       動きやすいんだがな」グイグイ







    ペトラ「・・・・・・」






  239. 243 : : 2017/08/01(火) 01:11:31









    リヴァイ「・・・・オイいつまでそうしてる。

       だんまりじゃ何も話が進まな..
    ペトラ「じゃぁッ・・・・あの、一つだけ
      ・・・ひとつだけで良いから

      言わせて...頂戴。。。。

      そのっ・・・ね・・・・・...」







    エレン「ハ・・・はい・・・・?;」







    ペトラ「最後まで護ってあげられなくて
       ごめ,,,じゃ、、なくて・・・!!

       

       最期まで私達を・・・



      “信じてくれて”ありがとう・・・ね」






    エレン「っ・・・・」






    それまで面と向って見せる事のなかった
    ペトラの柔らかい笑みに、暫し
    返答に迷うエレンではあったが・・・・





    エレン「変な事言わないでくださいよ
      ペトラさん・・・・」





    少々のむず痒さを感じさせる微笑で
    言葉を返した。







    ペトラ「変って・・・どこが変なのよ!!?」
       ガバッ





    エレン「だって・・・!最期も何も・・・・
      まだオレもペトラさんも
     『生きて』るじゃないですか・・・

      だから・・・それを言うなら
      これからも宜しく・・・
      とかじゃないですか」










    リヴァイ「っ・・・・  違い無ぇ・・・」
       フハッ・・・






    エレン
       「「ッ!!?!?」」ビクッ×2
    ペトラ 






    ペトラ「まっ・・・また笑いましたねセンパイ!!?

      いっ・・・・!いつもどうしてそう
      私が完全に注意を逸らしてる時に
      限って・・・!」ワナワナ・・・








    リヴァイ「俺が笑いたい時に笑って何が悪い」







    エレン「・・・・・・・、、、」





    リヴァイ「・・そうだな、
       つまりこんな具合にだ。



       笑いたいときに笑っていい。


       それが・・・――今俺達が居る、
       この世界の取り得ってヤツだ。

       
       貰える恩恵は貰っておけ。
       
       ・・・素直にな」







    エレン「兵長・・・・・」






    リヴァイ「・・・・・さて、大方の話はこれで
       済んだな?


       もしそうなら早い所ミカサを
       メガネの監視係という厄介事から
       開放してやりたい。


       ・・・・あいつには何から何まで
       助けられっぱなしだからな。


       ・・・・後日に控えた
       日雇い労働の件に関しても...」









    エレン「っ!?  兵長、!!??

      本当にやるんですか>>??!;」ババッ







    リヴァイ「何をそれほど驚く必要がある」

      




    エレン「だ、だって・・・・ミカサの話じゃ
      何か知らないですけど
      害虫の駆除だか捕獲をする・・・
      ただそれだけの
      仕事とかだって・・・・!」







    リヴァイ「・・・・・それがどうかしたか」







    エレン「だって・・・・“虫”ですよ!!!?
      確かになんでもいいからとにかく
      『駆逐』できる仕事とか・・・先に
       我侭言ったのはオレですよ・・・!

      ・・・・でも正直ミカサに
      仕事の内容を説明されたときは

      幾らなんでも
      “虫の駆除”は無いだろって・・・・!」




  240. 244 : : 2017/08/01(火) 01:13:35






    リヴァイ「・・・・(溜息)、、

       コレで何度目になるか。
       メガネやペトラなんかにも
       今までさんざ言い聞かせてきた
       事だが・・・

       ・・・オイ、エレン。」ギラッ・・・





    エレン「はッ・・・?!!(ビクッ)

      な、なんでしょうか!!!?」ビシッ



      



    リヴァイ「じょうじ(やつら)を嘗めるな。

       物理的にこちらが圧倒的に
       有利だとか・・・たかだか“虫”
       だとか・・・そんな常識は奴らにゃ
       一切通用しねえ。

       俺はそいつをイヤと言うほど
       このアパートで思い知らされ・・・

       その意趣返しも含めて
       お前と同じく虫の駆除なんていう
       けったいな短期バイトに態々
       志願したんだ。」








    エレン「・・・・兵長がそこまで言うなんて・・・


      その、この世界にいる
      ゴキブリって・・・そんなに
      ヤバイ虫なんですか・・・?

      なんか・・・一撃で人も殺しちまう程の
      猛毒を持ってるとか」







    リヴァイ「熱帯や砂漠であくなき生存競争に
       あけくれてるサソリとかじゃ
       ねえんだ。

       ・・ありふれた
       都市部のキッチンに常日頃から
       うろつく虫がそんな
       猛毒持っててたまるか。」








    エレン「“さそり”・・・ですか。。。」







    ペトラ「・・・この世界じゃ割りと有名な
       猛毒生物よ。

       ・・・・ただ、見た目は虫っぽいけど
       一応節足動物だから
       虫じゃないらしいけど・・・」






    リヴァイ「・・・細かいことはどうでもいい。


       ・・・・エレン。
       オレから言っておく事は
       それだけだ。お前にとっては
       “まだ”奴らは・・・取るに足らない
       『たかが虫』程度の認識だろうが

       ・・・俺は命懸けで奴らを
       掃滅しに行く覚悟だ。」








    エレン「・・・・・(ゴクッ)」










    リヴァイ「・・・しかしそれにあたっては・・・

       少々ここの所俺も運動不足が
       気になってた所だ。

       ・・・そこで一つ提案があるんだが
    エレン「・・・ッ訓練とかですか!?!?>>>」
      ガバッ





    リヴァイ「・・・・ヤル気満々だな。

       ・・・まあそんなところだ。
       奴らに対抗しうる“反射神経”
       そして何より閉塞空間で充分な
       敏捷性を維持する為に...
    エレン「やります!!!兵長が一緒なら
      どんな訓練だって・・・・!」






    リヴァイ「・・・・そうか。

       ・・・・ならそいつに関しての話は
       部屋に戻ってからだ。


       ―――言っとくが
       途中で音を上げるんじゃねえぞ」
       ギッ・・・






    エレン「ハッ!!!  
     
      喜んでお受け致します!!」






    リヴァイ「・・・威勢が良い様で何よりだ。

       今日の所は一先ず部屋に戻れば
       夕飯がたらふく喰えるからな・・・
       あまりの野菜も相当量確保できる   
       ことまで頭に入れりゃ・・・

       “そいつ”を始めるのは
        明後日の深夜からだな。


        しかしやるからには
        加減は無しだ・・・最初から
       “激戦区”に攻め込む。

        覚悟は良いな」ギロッ





    エレン「ッ・・・;は、ハイ!!!」ドンッ
      (心臓を捧げよ!)





  241. 245 : : 2017/08/01(火) 01:15:20








    ペトラ「チョッ・・・、、、兵っちょ・・・?;

       激戦区ってまさか・・・
       いえもしかして」







    リヴァイ「・・・・当然、一兵卒の基礎的な
       訓練と言えばまず飯の調達だろ・・」







    ペトラ「やっぱりその・・“特売(アレ)”ですか;」






    エレン「 !! ペトラさんも知ってる
      訓練方法なんですか!」
      (期待に満ちた輝きの眼)






    ペトラ「うッ・・・・・;


       いえ、あのね;知ってるというか
       ・・・なんと言うか・・・」






    リヴァイ「・・・・何を言い淀む必要がある・・・


       やる事は単純で・・・

       至って明快だ。自分の飯は
       自分でブン奪る。

       同じ目的を目指して群がる奴らを
       全てやり過ごしつつ・・・
       どうあっても衝突が避けられない
       等といった“場合によっては”
       ..これを叩きのめして前へ進む。


       どうだ、この上なく簡単だろ」






    エレン「っ・・・は、ハイッ・・・・!
      とても・・分かり易いです!!!
      (な・・・何かスゲェ訓練っぽい・・・!)








    ペトラ「・・・・・;(うわぁ・・・何か・・・
       盛大に誤解させちゃってる
       気がする・・・・。。)」






    リヴァイ「・・・・・決まりだな。

       さて、明日の事はともかく・・・


       今日はまずミカサのヤツが
       持ってきたあの量の野菜を
       どう捌くかが大きな問題だ。

       ・・・当然お前にも頑張って
       貰う事になる」クルッ・・・





    ガチャッ・・・・







    エレン「ハイ!!
      腹が破裂するまで喰います!!!」
      ダダッ・・







    ペトラ「(・・・・なんだかなァ・・・・;

       今日は私的に人生の分岐路って
       言っても言いすぎじゃ無いくらい
       もの凄いイベントだったハズ・・・

       なんだけど・・・・・)」トボトボ







    リヴァイ「↩・・・・おい、これから
       大勢で鍋過囲もうって時に
       なんて面してやがる。

       せめて食事の時くらい嫌な事は
       忘れろ・・・。。。

       餌に食らいつく豚みてぇにな」







    ペトラ「・・・・そうも行きませんって;・・

       不摂生が祟って太っちゃったら・・
       兵長(センパイ)に嫌われちゃいます」
       アッハハ..;







  242. 246 : : 2017/08/01(火) 01:17:13








    リヴァイ「・・・・それくらい多めに見てやる。

       少し太った位で何か問題があるか?   


       食人の化物に追いやられて
       飯の材料すら満足に収穫できねえ
       "何処か"に居る訳じゃあるまいし


       ・・・・何故お前ら女連中が
       揃いも揃って㌔単位の重量変動に

       脂汗を流してまで本意でもない
       食事制限を行うのか・・・・

       俺には到底理解に苦しむ。」
       80アルゾオレハ







    ペトラ「女の子にはどうしても譲れない
       意地ってものがあるんですよ」
       ハハ・・・・;






    リヴァイ「・・・・下らねぇ・・・・。

       幾ら摂取量に制限を設けようが
       生存本能がそれを凌駕するんだ、

       そうなりゃ普段吸収されない分
       限られた食糧の中から余計に
       吸い込まれていくだけだ・・」







    ペトラ「っ・・・!それ聞いたことあります!

       何でしたっけ・・・

       “カロリーオフ”とか
       “砂糖不使用”
       って書いてあるのに何故か
       甘い物食べるのって・・・

       結構危ないんですよね・・・?!」
       オソルオソル・・・・





    リヴァイ「そればっかりじゃねえが・・・

       基本は食いたい時に
       食いたいだけ食うことだ。


       無論、できる事なら今日ミカサが
       山ほど持ってきたような
       草やら菜っ葉やらをな。」





    ッ・・・・


       
          ッ・・・・


       
               バタンッ・・・・・







    エレン、リヴァイ、

    そしてペトラの順番で玄関より部屋へと
    戻っていく一行の足音は止み・・・・




    海月荘周辺に再び静寂が戻った。





    ・・・・



    ・・・・・・



    ・・・・・・・・・・  ガチャッ・・・






    リコ「・・・・~~・・・・↑」






    リヴァイの居室の直下、
    102号室の開扉音が、静まり返った屋外に
    静かに響いた。。






    リコ「(やけに上が賑やかだと
      思っていたが・・ぉ・・・お食事会・・?!

      なんて羨ましい・・!)」ギリッ・・




    開かれた戸の狭間から顔を出し、
    お馴染みのジト目をさらに羨望の炎で
    歪めたような表情で上階を
    ねめつけるのは階下の住人、
    リコ・ブレツェンスカ。



    余談ではあるがこれだけ
    執筆スピードが落ちた作品中に於いて
    元々登場頻度が少なかったのもあり、

    その存在感の希薄さに更なる拍車が
    掛かってきた今日この頃。



    しかしながら偶然(?)にも
    テレビ2ndシーズン放映により再び
    彼女の存在感にも陽が差し込もうかと
    いう希望が見えてきた所でもある。






    リコ「(溜息)=3(いかんな。・・・あまりの
      羨ましさについ負の感情が
      安さ爆発してしまう所だったが・・・


      そもそも近所付き合いがある
      というだけで、然程も接点が無い
      私では・・・・“あの二人”の
      先を行こうと考えること自体が
      欲張りすぎ・・・

      ・・・・なのかもしれないな)」ポリポリ







    そんな彼女の理性回路は寧ろ感情に
    追い込まれる程に感情ベクトルの変換を
    容易に行うことができ、、







    リコ「(そうだな・・・あくまで通常の
      お付き合いは視野に入れず。

      あくまで非常的にして異常な
      付き合いならば・・・ご近所さん、
      という属性が生かされる局面も
      またのぞめるかもしれん。

      ・・・うむ、恋人とか友人ではなく、
      例えるなら愛人とかな。


      ・・・成程、次のSSはそういった
      ドロドロな恋愛モノというのも・・・

      うむ。
      アリと言えばアリかな・・・・)」





    ギッ、、、、、 


                 ...パタン⁼3







    そして“元々の世界”で彼女が
    発揮していたそうした判断力と比べて、
    “この世界”の彼女のそれは・・・


    少しばかりその行方が明後日の方向へと
    傾げている様でもあった。











    ・・・・・・・・・・






    ・・・・・・・





    ・・・・・




    ・・・



    ・・







  243. 247 : : 2017/08/01(火) 01:19:49














       ~同日5時間程前(日本時間)~











      ―某国南部に存在する湾岸都市―









    ザアッ・・・






    チャプ・・・・   ピチャッ・・・・








    ???「ン・・・  ゴバッ・・・  っ!?!?!?

      ガボッ・・・」バシャバシャッ・・・・









    そこは、日本のそれとはまた少し違う
    南国情緒が感じられるビーチの浅瀬。




    状況を見るからには不慮の事故に
    見舞われたか何かしたのか、

    気を失ったままそこまで流されてきたと
    思しき少女が、意識の覚醒と同時に
    飲み込みかけた海水を盛大に吐き出す。



    ???「ばっ・・・ハッ・・・ ハッ・・・!!??」
      バシャバシャ



    身に着けた救命胴衣と、
    しがみ付いていた救命浮輪のおかげで
    そこに漂着するまでの間、
    運よく溺死せずに済んだのだろう。




    胴衣と浮き輪の下に着ているのは
    濃紺色のツナギで、両手には厚手の
    ゴム手袋を着けている。


    その見た目から察するのであれば少女が
    漁業関係者であることは一目瞭然である







    ???「あれっ・・・・!?


      こっ・・・ここは・・・・!?!

      ・・・たしか・・・船が嵐にあって・・


      それから船のGPSが壊れて・・・


      迷い込んだ海域で船が海賊に
      襲われて・・・・」






    ・・・自身の身に降りかかった不測の事態を
    順繰りに整理していく少女。



    その内容から推察するにしても、
    ここまで生きたまま辿り付けた
    幸運を帳消しに出来るほどに
    すさまじいまでの不遇の連続である。






    ???「しかし・・・ここは一体・・・・・」
      キョロキョロ・・





    自身が流れ着いた周囲を見渡す少女だが






    ???「ひょッ・・・ひょっとして私ひとりだけ
      助かった...んでしょうか・・・・?!  


      イっ・・いえいえ、でもいくら
      GPSが壊れたとはいっても
      本土からは相当離れた海域まで
      流されてたはず・・・・」キョロキョロ




  244. 248 : : 2017/08/01(火) 01:21:13









    彼女が流れ着いたその浅瀬は、今現在
    偶々周囲に人が見当たらないだけで
    明らかに人の往来があっておかしくない
    ビーチの様相を漂わせていた。






    ???「ううむ・・・・;まあこうしていても
      始まりません。良く見ると遠くに
      ビルなどといった建物が見える
      訳ですし、人ごみの気配もちゃんと
      感じられますから・・・

      事情を説明すれば誰かしら
      ゴハンを恵んでくれる人くらい
      居たっておかしくない筈です・・・!」
      グギュルルル.....








    ――その身を締め付ける極度の
    空腹感故か若干ズれた状況判断に
    身を任せ、目先に映る雑踏の気配を
    頼りに歩き出す少女だったが・・・





    彼女自身が自らの置かれた境遇を
    正しく窮地と認識できるのは・・・




    その僅か数分後の事である。
























    ――・・・to be continued !!











  245. 249 : : 2017/08/01(火) 01:23:06


















       ~あとがきてきななにか~







    なん.....

    だと......!!?





    ・・・・思わずそんな心の声を口から
    リアルに吐露せずにはいられない程の
    途轍もない超絶亀更新。


    ・・・・いえ、もはや亀は疎か
    ナメクジ以下ですねこれでは・・・(;'∀')




    どうも大半の方ははじめまして、です。


    カウンターを微細に回してくれている
    御方がもしいらっしゃったとしても、
    その方々は間違いなくお揃いで

    更新リストに浮上した理解不能な
    駄文の塊を開いてしまった挙句、
    誰コイツ・・・?

    ・・・状態に陥る事必至だろコレ・・・と、
    貴方の心中を勝手にお察しします。。

    ssnote最大の恥部こと、夢馬と申します。



    本当、、
    産まれて来てスミマセン(;´Д`)



    この言葉以上にここ最近連呼
    したくなる言葉は有りませんでした。


    書きたい続きは書き尽くせない程
    あるのですが、こうして更新に
    出向けたのも半ば奇跡に近い有様。


    仕事が変わってから忙しくなった、

    ..とは言いましてもやはり日々の
    趣味からの分断にも限度がありますね。


    先行きは依然として暗雲立ち込める
    ブラック一色なのですが..


    私自身の自我を崩壊させないためにも
    もっと更新していきたいと思います。。。


    無論私が勝手に愉しむ、その為に...

    それから幾人かでも、こんな駄文を見て


    「なんだこのイミフなモノはww」


    ・・・と、草を生やして緑豊かな地球を
    蘇らせてくれる方々の為に...








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ne5716

夢馬

@ne5716

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