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進撃シェアハウスへようこそ!

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  1. 1 : : 2015/01/09(金) 08:22:22
    進撃シェアハウスへようこそ!

    一周年記念としてもう一作、こちらは現パロで、様々な方面で活躍する進撃キャラの若者たちが、今話題のシェアハウスで共同生活を送るお話です

    1話1話短編形式になります
    ジャンサシャ、エレン、アニ、ミカサ、エルヴィン、ナイルハンジ、モブリット、リコ、ナナバ、リヴァイなどが登場します♪

    感想はこちらにくださいましたらうれしいです♪
    http://www.ssnote.net/groups/553/archives/1
  2. 2 : : 2015/01/09(金) 10:56:11
    『ハイツアルカディア』

    理想郷を冠するこの家は、広い敷地と沢山の部屋数を持つ、丘の上に佇む一軒家

    西洋建築を思わせる白亜の洋館

    都会の喧騒の中でこの家だけは、落ち着いた雰囲気を醸し出していた

    まるでお城の様なこの洋館に住んでいるのは、王族でも皇族でもない

    ごく普通の若者たちだ

    様々な立場の若者たちが、ここで共同生活を送っている

    そう、ここは今話題のシェアハウス

    果たしてどんな住人が過ごしているのであろうか
  3. 3 : : 2015/01/09(金) 11:14:19
    《二号室 エレン・イェーガー》

    ダンダンダーンダダダンダダダンダン♪
    ダンダンダーンダダダンダダダン♪

    エレン「うーん、むにゃむにゃ…まだ眠い……目覚ましうるせえ……」

    目覚ましがわりのスマフォから、けたたましい星間戦争のテーマが流れるのを無視して、布団をしっかり頭から被る

    彼はエレン・イェーガー

    西都体育大学の一年生

    体育の先生を目指している18才だ

    ダンダンダーンダダダンダダダンダン♪
    ダンダンダーンダダダンダダダン♪

    エレン「うるせえなあ……ハイハイわかったよ…ったく」

    エレンは自ら設定したはずのスマフォのアラームに毒づいて、画面をスワイプさせた

    エレン「もうこんな時間かよ……やばい、朝練に間に合わねえ!」

    エレンは慌ててベッドから飛び起きた

    焦りながらパジャマを脱ぎ捨て、上着とジーンズを履き、昨日帰宅した時に放り出したままの鞄をひっつかんだ

    そして勢いよく部屋の扉を開けた
  4. 4 : : 2015/01/09(金) 11:25:30
    ドカッ!

    部屋を飛び出したその瞬間、エレンは何かにぶつかった

    エレン「いってえ………」

    しこたまぶつけたおでこをさすりながら、エレンは呻いた

    「っつ………!おいエレン!急に飛び出してくるなよ!怪我するだろうが!」

    エレン「あっ…ナイルさんおはようございます!」

    ナイル「まずはすみませんだろうが……頭が割れると思ったわ!」

    エレン「ほんとすみません!急いでてつい……あああ、急がないと……行ってきます!!」

    ナイル「待てエレン!お前、ジーンズのチャック、またしまってないぞ!」

    エレン「うああ!いっつも忘れちまう!ありがとうございます、ナイルさん!」

    ナイル「しっかりしろよ、お前!前見て歩けよ?!電柱にぶつからんようにな!」

    エレン「はいっ、気を付けます!」

    エレンはびしっと敬礼すると、ハイツの玄関を飛び出して行った


  5. 5 : : 2015/01/09(金) 11:45:56
    ナイル「ったく、毎朝毎朝慌ただしい奴だ」

    そう言って肩を竦めるのは、ナイル・ドーク

    ハイツアルカディア四号室の住人だ

    彼は西京大学大学院建築学科一年の、23歳

    建築士を目指している

    やや鋭い目付きに、細面の顔

    少々神経質で、真面目を絵に描いた様な男である
  6. 6 : : 2015/01/09(金) 16:36:42
    「やあナイル、朝から騒がしいな」

    がちゃりと三号室の扉が開くと同時に声がした

    ナイル「エルヴィンか。騒がしいのは新入りだ!俺じゃないぞ?」

    エルヴィン「いや、どちらかというと君の声の方が耳障りだったよ。お陰で勉強が手につかなくなった」

    そう言って肩を竦める、三号室の住人エルヴィン・スミス

    西京大学医学部五回生、ナイルと同い年の23才だ

    180センチを越える身長に、きっちり分けて整えられた金の髪

    立派な体格に彫刻の様に彫り深い顔立ち

    イケメンを絵に描いた様な男である

    ナイル「朝から勉強か、ガリ勉は違うな」

    エルヴィン「夜はいろいろ立て込んでいてね、朝しか勉強をする暇がないんだよ、ナイル」

    ナイル「また、合コンかよ!」

    エルヴィン「また?失敬だな。合コンじゃない、婚カツだ、婚活。なかなか将来を共に過ごしたいと思うから女がいなくてなあ」

    ナイル「何が婚活だ!毎回毎回違う女を取っ替え引っ替えしやがって!」

    エルヴィン「なんだナイル、君も婚活したいのか?一人くらいなら分けてやろうか?」

    ナイル「あほか!いらんわおまえと繋がった奴なんか!」

    エルヴィン「俺と君は兄弟みたいなものじゃないか。つれないなあ、ナイルよ」

    ナイル「お前みたいな奴が兄弟なんて有り得んわ!真逆だろうが真逆!」

    エルヴィン「とにかくだ、俺は後一時間集中したい。ので、コーヒーを入れてくれ」

    ナイル「お前、さりげなく新入りの真似しただろ!」

    エルヴィン「ミカサだよ。なかなか美人だよな」

    ナイル「早速目をつけやがった!」

    エルヴィン「仕事は早くがモットーでな。心配するな、まだ、手は出していないよ」

    ナイル「あほか!住人に手を出すな!ややこしくなるだろうが!」

    エルヴィン「忠告感謝するよ。コーヒー頼む」

    エルヴィンはナイルの肩をぽんと叩くと、部屋に戻った
  7. 7 : : 2015/01/09(金) 21:24:25
    ナイル「ふん、人使いの荒い奴だ」

    ナイルは毒づきながらもコーヒーを淹れる

    ついでに四枚切りの食パンを焼いて、皿に盛っる

    薄くバターを塗るのを忘れずに

    それらの支度をしていると、ダイニングスペースから部屋につながる廊下から、ずり…ずり…と何かが這いずるような音が聞こえてきた

    ナイル「奴が来たか……」

    ナイルはぼそっとそう言うと、食パンとコーヒーの乗ったトレイをそっと背中に隠した

  8. 8 : : 2015/01/09(金) 21:35:10
    「お腹……おなかがぁぁぁ………すぅきぃまぁしぃ………」

    ナイル「やはりお前か。今日はやられんぞ!サシャ・ブラウス!」

    サシャ「たぁぁぁぁぁっ!」

    轟くような声と共に、ナイルに何かが襲いかかってきた

    ナイルはひらりとその体当たりをかわした…つもりだった

    だが……

    サシャ「ひょいぱくぅ♪パァン!」

    背に回り込まれ、焼きたての食パンを奪われてしまった

    ナイル「サシャ!貴様また朝食を奪いやがったな!」

    サシャ「だって、お腹空いたんですもん…もぐもぐ、美味しいですう!」

    ナイル「毎朝毎朝たかりに来やがって‼」

    サシャ「だって、今月ピンチなんですよ!もう食費が!」

    ナイル「今月ピンチって……まだ10日だぞ?!何に使ったんだ貴様!」

    サシャ「ナイルさんうるさいですよ…朝から」

    ナイル「誰のせいだと思ってるんだ!」

    ナイルとサシャの朝の攻防は、もはやアルカディアの名物であった
  9. 9 : : 2015/01/09(金) 21:47:34
    サシャ「ナイルさんの焼いたパァンは美味しいですねえ!」

    ナイル「食パンなんざ誰が焼いても味は変わらんわ!」

    サシャ「いえいえ、ナイルさんの焼き加減は絶妙なんですよぉぉ!管理栄養士の私が言うんですから、自信持って下さい!」

    ナイル「大飯食らいが飯好きすぎて、栄養士にまでなりやがって……世も末だ!こんな奴が赴任した施設の食事が気の毒だ」

    サシャ「大丈夫ですよぉ!さすがに肉ばかりとかにはしてませんから!お仕事はしっかりきっちりですよ―」

    ナイル「だといいがな……とにかくだ、パンはやるからさっさと仕事行ってこい!」

    サシャ「後一枚……」

    ナイル「却下だ!」

    ナイルはぴしゃりとそう言い放った
  10. 10 : : 2015/01/10(土) 09:18:20
    サシャ「ナイルさんのパァン……」

    涙目で尚もパンをせがむサシャ

    彼女は五号室の住人

    小学校の管理栄養士をしている、色気より食い気の20才

    とにかく大飯食いで、給料を早々に食事に使い込んでしまうきらいがある

    量の多いブラウンの髪を高い位置でポニーテールに結わえ、髪と同じ色の瞳はいつもきらきらと輝いている、生き生きとした女性

    明朗快活を絵に描いた様な彼女は、アルカディアのムードメーカーだった


  11. 11 : : 2015/01/10(土) 09:29:05
    ナイル「お前本当にしつこいな。彼氏はまだ起きてこないのかよ!さっさと引き取ってもらえんかな!」

    サシャ「彼氏ってなんですか?私はパァンと肉が恋人ですよ!」

    ナイル「ジャンが聞いたら泣くぞ……」

    サシャ「あ、ジャンですか!大丈夫ですよぉ、人間界の彼氏はジャンですから!」

    ナイル「人間界ってお前な!」

    サシャ「食べ物界の女王、サシャ・ブラウス!」

    ナイル「ならお前は勝手に食われてろ!食べ物界の女王ならな!」

    サシャ「食べるのは好きですけど、食べられるのはちょっと………恥ずかしいですよぉ。ナイルさんたら!朝から積極的!」

    ナイル「意味が違うわ意味が!」

    サシャ「私はまだ初物なんですよぉ!新鮮です!」

    ナイル「そんなアピールを俺にするな!」

    ナイルの悲鳴のような声が、アルカディアに響き渡った


  12. 12 : : 2015/01/10(土) 22:09:53
    「サシャ、お前また朝からナイル先輩とバトルかよ」

    サシャ「あっ、ジャンですよ!ナイルさんがけちだからいけないんです!」

    ダイニングに入ってきた呆れたような表情の男の背中に隠れながら、サシャはナイルを指差した

    ジャン「どうせまた、朝飯の取り合いでもしたんだろ、お前」

    ナイル「取り合いじゃない。こいつが盗人なんだよ!自分の女のしつけくらいきちんとしろよ、ジャン」

    ジャン「無理っすよ。サシャの食い気には誰も勝てないっす。それにしつけって……朝から際どい話題ですね、ナイル先輩」

    サシャ「ナイルさんは朝から積極的なんですよー!さっきから」

    ナイル「お前ら揃いも揃って欲求不満だろ!変な方向に話を持っていきやがって!さっさとやっちまえよ!」

    ジャン「やっちまえって……」

    サシャ「まだ早いですよぅ……」

    ナイル「いい年して恥じらい合ってるんじゃない!暑苦しい!リア充はあっちへ行け!」

    ナイルはそう叫ぶと、二人のバカップルをダイニングから追い出したのだった
  13. 13 : : 2015/01/10(土) 22:47:16
    ナイル「いかん、ばかっぷるに付き合っていたらコーヒーが冷めた…ま、エルヴィンに持っていくやつだ、嫌がらせで生ぬるいコーヒーを持っていってやるか」

    トレイに乗せたパンと、生ぬるいコーヒー片手に、三号室に向かうナイル

    三号室の扉をノックをして部屋に入ると、エルヴィンは机に向かっていた

    ナイル「持ってきてやったぞ」

    エルヴィン「ああ、すまないな、ナイル。時間がかかっていた様だが」

    ナイル「例の奴にからまれていてな」

    エルヴィン「サシャか、ははは。なかなか美人でスタイルもいいんだが、どこに食べ物が入るのか不思議なくらい食べるよな」

    ナイル「俺のパンを奪われた…」

    エルヴィン「ん?ここに一枚乗ってるじゃないか」

    ナイル「それはお前のだ」

    エルヴィン「……半分こするか?」

    ナイル「気色悪い!半分こってなんだおぞましい、寒イボがたつわ!」

    エルヴィン「そうか……君はたまに優しいから、もしかしたら俺に惚れてるのかと思ったりな」

    ナイル「な、わけないだろうが!変な事を言うなばかが!さっさと合コンセッティングしろよ!俺のために!」

    エルヴィン「パンの見返りか、わかった。で、どのタイプがいい?西京大の建築学科なら、引く手あまただぞ。まてよ…CAなんかどうだ?それともモデルか……」

    エルヴィンはスマフォの電話帳をナイルに示した

    ナイル「お前、どれだけ女を繋げてんだよ!」

    エルヴィン「ん?数えた事はないが、このスマフォは女性専用機なんだ」

    ナイル「なんだよそれは!ザクみたいな言い方すんな‼シャアかよお前!」

    エルヴィン「すまん、ガンダムはよくわからん。さすがガノタ(ガンダムオタク)だな、ナイル」

    ナイル「俺はガノタじゃないわ!とりあえず、明るくて優しい美人が好みだ!」

    エルヴィン「わかった、まかせておけ」

    エルヴィンはそう言うと、パンを一口ぱくついた
  14. 14 : : 2015/01/11(日) 21:25:58
    ナイル「お前本気で医者になるのかよ。こんな女たらしが医者…しかもお前の実家、産婦人科だろ」

    エルヴィン「まあな、俺も必然的に産婦人科にならざるをえん」

    ナイル「世も末だ、お前が産婦人科医なんぞ。俺はお前の病院にだけは嫁を預けん」

    エルヴィン「ああ、まずはその前に嫁になる相手を見つけてから言えよな、ナイル」

    ナイル「うるさい、女たらしが!下半身で生きる変態め!」

    エルヴィン「ははは、誉められたと受け取っておこう」

    ナイル「けっ、言ってやがれ。さて、俺は大学行ってくる」

    エルヴィン「俺も一緒に行こう。どうせ大学院と敷地は同じだしな」

    ナイル「ついてくるな!」

    エルヴィン「つれない事を言うな。合コンの話し合いでもしながら行こう」

    ナイル「……それなら考えてやってもいい」

    結局ナイルは毎朝、講義の時間が合うときには、エルヴィンと大学へ通うのだった
  15. 15 : : 2015/01/11(日) 23:29:33
    アルカディアの慌ただしい朝は、こうして過ぎていく

    一号室から十号室まである部屋の中で、全ての部屋が埋まってはいない

    ここに入るにはかなりの条件が必要で、誰もが入れるわけではないのだ

    オーナーのお眼鏡にかなう、高学歴の若者のみが住むことを許される理想郷

    彼らはある意味選ばれし者達なのである
  16. 16 : : 2015/01/12(月) 11:53:06
    一転静まりかえったアルカディアに、ブイーンという音だけが鳴り響く

    ダイスンのサイクロン掃除機の音だ

    先ほどまで賑やかだったダイニングキッチンの床を、隅々まで掃除する人影

    銀髪のショートカットがよく似合う、少し気の強そうな眼鏡の小柄な女性だ

    「相変わらず騒がしい…朝からゆっくりできやしない」

    ぼそっと口を開く彼女は、リコ・ブレツェンスカ

    ハイツアルカディアの雇われ管理人だ

    リコ「ここに来て1年、なかなか慣れないな…。住人とも殆ど会話しないし。だってなに不自由なく暮らしてる坊っちゃん嬢ちゃん達だ。私と気が合うはずがない」

    リコ「オーナーは私をここに押し込んだまま何処かへ行って帰ってこないし…恩があるから逃げはしないけど…」

    リコがここで働くのには、理由があった

    リコ「とにかく、与えられた仕事をこなすまで…やろっと」

    リコはそう言うと、床を雑巾でふきはじめた
  17. 17 : : 2015/01/12(月) 12:00:30
    「おはようございます」

    リコが雑巾をしぼっていると、廊下の方からかすかに声が聞こえた

    リコ「おはよう、アニ。もう10時を過ぎているよ。学校は?」

    リコに気乗りのしない挨拶をしたのは、アニ・レオンハート

    8号室の住人だ

    淡い金の髪をきっちり後ろにお団子にしている

    大きなブルーの瞳は、気だるげに揺れている様だ

    形のよい鼻に、薄いが柔らかそうな唇

    透き通る様な色白の肌

    美女といって差し支えない女性だった

    アニ「学校は…今日は気乗りがしなくて」

    リコ「昨日も、だったよ?」

    アニ「そうだったね……」

    アニはため息をついた


  18. 18 : : 2015/01/12(月) 22:08:35
    リコ「折角いい大学に行かせてもらっているんだから、しっかりやらなきゃ」

    アニ「そう、だよね」

    リコ「うん。勿体無いよ。さ、わかったらさっさと行く!」

    アニ「わ、わかったよ。リコさんには敵わないな」

    リコ「あなたのために言ってるからね。夢があるんなら、それに向かわなきゃだめだよ。そのためにも今は頑張りなさい」

    アニ「ああ、わかった。とりあえず行ってくるよ」

    リコ「またスタバでも行こう」

    アニ「ああ、そうだね、おごりでね」

    アニはそう言うと、手を振ってアルカディアを出ていった
  19. 19 : : 2015/01/12(月) 22:19:57
    リコ「アニにも夢があるんだよね。CAになるという夢が。頭もいいし、英語も堪能だからね、夢には限りなく近いと思うんだけど」

    リコは独り言を呟くと、床の拭き掃除を再開させる

    リコ「私の夢は………無いな、何も」

    リコはため息をつくと、心の隙間を埋めるように床を磨き始めた

    掃除の後は洗濯に、食事の下ごしらえ

    管理人の仕事は多忙を極めるのであった
  20. 20 : : 2015/01/12(月) 22:25:01
    いろいろな事情を抱えたハイツアルカディアの住人達

    彼らはどんな日常を送るのであろうか

    波乱に満ちた日常か、はたまたのんびりゆったりとした日常か

    彼らの青春物語が今幕を開ける
  21. 21 : : 2015/01/12(月) 22:42:32
    《第一話 新人歓迎会 in アルカディア》

    ナイル「なあ、リコ。話があるんだが」

    リコ「何?今洗濯の仕分けで忙しいんだけど」

    ナイル「手伝ってやるぞ」

    リコ「じゃあ頼むよ。それ、畳んでくれる?」

    ナイル「おう…ってこれ女性用の下着……」

    リコ「あら?それはエルヴィンの洗濯物から出てきたよ。どうせナンパした女の下着じゃない?」

    ナイル「あいつめ」

    リコ「気持ち悪いな……とりあえずエルヴィンに渡しておく。それより話は何?」

    ナイル「ああ、新人が増えただろ?エレンとミカサ。あいつらの歓迎会を考えているんだが」

    リコ「そうだね、ミカサは殆ど姿をみせないけど」

    ナイル「あいつはおれも殆ど会ったことがないな。どうやら学校が忙しいらしいが」

    リコ「ま、いつもみたいに皆で料理を用意したらいいね」

    ナイル「ああ、また段取りするから、買い物だけ頼む」

    リコ「わかった。ミカサにあったら都合のいい日を聞いておくよ」

    ナイル「ああ、頼む」

    こうして、アルカディアは新人歓迎会に動き始める
  22. 22 : : 2015/01/13(火) 08:34:33
    休日のアルカディアは昼から賑やかだった

    住人ほぼ全員がアルカディアのダイニングにいた

    壁に備え付けられた大型液晶テレビアクアはフル稼働だ

    エレン「いけいけ!ダイナマイト四国!四国が産んだ伝説のレスラー!」

    ジャン「何がしっこくしっこく、だよ!やっぱり勝つのは元祖レスラーあん時の猪木だ!」

    エレン「なにい、関東人に負けてたまるかよ!」

    ジャン「うるせえ田舎者!」

    サシャ「エレンとジャンは仲良しですねえ!」

    ジャン「なわけねえだろ!こんな死に急ぎ野郎!」

    エレン「馬面のくせに偉そうだぞ!ジャジャジャジャーン!」

    ジャン「ベートーベンの運命に俺の名前を乗せるな!」

    ミカサ「そう、ベートーベンに失礼。ベートーベンに謝るべき」

    ジャン「だよな、ミカサ!ってそっちかよ!」

    エレン「ベートーベンすまん!ジャンなんかの名前を曲にのせちまって!ははーっ!」

    ジャン「土下座して謝るな!ばか野郎!」

    サシャ「男子っておもしろいですー、ね、ミカサ」

    ミカサ「そう…?くだらないと思うけど」

    アニ「ああ、くだらないね」

    エレン「なんだアニ、お前まで!」

    アニ「イヤフォンでフランス語を聞いているのに、しっこくしっこくのせいで頭に入らない…」

    サシャ「スリー、ツー、ワン、しっこくしっこく!しっこくしっこく!」

    アニ「やめて、もうしっこくしっこくしか浮かんでこなくなったよ………」
  23. 23 : : 2015/01/13(火) 08:45:08

    ミカサ「アニ、勉強熱心。私と似てる。私も警察庁に勤めたいから、今必死」

    アニ「あんた、あの西京大法学部だろ?キャリア官僚目指すのかい」

    ミカサ「そう。腐りきった警察を牛耳る予定」

    エレン「女で出来る仕事なのかよ?ミカサ」

    ミカサ「………私は西京大学首席。望めばなんでも手にはいる」

    ジャン「そうなんだよな、ミカサは優秀すぎるんだ。そして美人……」

    サシャ「あっジャンが浮気みたいですよー!酷いです!」

    エレン「浮気すんなジャジャジャジャーン!馬!」

    ジャン「またそれかよ!」

    ミカサ「ベートーベンに謝って」

    エレン「ははーっ」

    アニ「ぷ………ぷぷぷ、あっはははは!」

    エレン「アニ、笑いすぎだぞ?!」

    ミカサ「どうやらアニのつぼにはまった様子」

    アニ「だって、土下座…ベートーベン……あっはは!」

    サシャ「アニも美人ですね!笑うとほっぺが赤くなって、色白だからいちご大福みたいですよ!食べちゃいたいです」

    アニ「ちょ、ちょっと!はむはむしないで!」

    サシャ「ほっぺはむはむ」

    ミカサ「確かに美味しそう」

    ジャン「お、お前らハレンチすぎるぞ!」

    エレン「……………」

    ジャン「エレン、がん見すんな‼変態が!」

    エレン「うるっさい!み、見たくなくてもみちまうんだよ!」

    ジャン「童貞だからな、お前」

    エレン「お前もだろうが!彼女がいるくせに!」

    ジャン「ぐさぁっ」

    サシャ「アニのほっぺすりすりちゅっちゅ!」

    ミカサ「ぷに、ぷに、ぷに」

    アニ「や、やめてよ……」

    若者達は若者らしく?親交を深めていた

  24. 24 : : 2015/01/13(火) 11:15:17
    エルヴィン「なかなか健全でいいな」

    ナイル「どこが健全なんだよ!アルカディアの風紀が乱れすぎだ!それもこれも……」

    リコ「エルヴィンのせいだね」

    ナイル「そうに違いない」

    エルヴィン「なっ、何故だリコよ。俺は何もしていないぞ?」

    リコ「毎日違う香りをつけて帰ってくるでしょう?」

    ナイル「そうだそうだ。洗濯物にも女性用の下着が混ざっているしな!」

    エルヴィン「ああ、マーキングか。たまにされるんだ。勝手に俺の着替えに下着を紛れ込ませて、他の女を牽制しているらしい」

    リコ「いい加減一人に絞ったらどう?」

    ナイル「以下同文だ!」

    エルヴィン「まあ、本気になれる相手が見つかったらな」

    リコ「あーやだやだ、こんな性格なのに医者になるし顔もいいし」

    エルヴィン「ほう、リコも俺の嫁候補になるか?君は聡明で美しくて家事もできて完璧だ。ぜひともお願いしたいところだ」

    ナイル「リコ、やめておけ、事実上の一夫多妻制に組み込まれるのがおちだ」

    リコ「わかってる。それに私にはその……」

    エルヴィン「ん?好きなやつでもいるのか?リコ」

    ナイル「ほう、それは初耳だ」

    リコ「い、いないよ!そんなのいない!」

    エルヴィン「ここにはいないだけだろう」

    ナイル「協力してやるぞ、リコ」

    リコ「余計なお世話だってば!それより、歓迎会の事を決めなきゃ!」

    エルヴィン「歓迎会よりリコの想い人が気になるな。俺よりもてるのか?」

    リコ「うるっさいエロヴィン!だまってろ!」

    リコはエルヴィンの頭を思いきり叩いた


  25. 25 : : 2015/01/14(水) 08:28:57
    エレン「俺たちの歓迎会なんかやってくれるんですか!エルヴィンさん!」

    ミカサ「嬉しい」

    エルヴィン「新入りが入ったら恒例なんだ。住人の手料理で祝うのがな」

    ジャン「俺の時もあったなあ。サシャの肉じゃがに胃袋をやられて、付き合いだしたんだよな」

    サシャ「そうでしたそうでした!ほぼ初対面でいきなり付き合ってくれ!ですもん」

    ナイル「胃袋を掴むのはいいアイデアだな。おかげでバカップルが増えて、アルカディアの風紀が乱れたわけだが」

    ジャン「風紀なんて乱す行為はしてないっすよ、ナイルさん!」

    サシャ「ですよー!まだ私は生娘ですよ!」

    アニ「バカにつける薬はないね。バカップルにつける薬もないけど……」

    ミカサ「風紀を乱す行為、許さない。私の目の黒いうちは、アルカディア住人は不純異性交遊を禁じる」

    リコ「それをやられて困るのは、さしあたりエルヴィンだけだよ」

    エルヴィン「心配しなくても連れ込んだりはしないぞ」

    ミカサ「全面的に禁止」

    ジャン「そりゃこまる!こ、これからそ、そういう事だって、お、俺はそのあの……」

    サシャ「ジャンたら、やですよー恥ずかしいです」

    エルヴィン「まあ、ミカサが俺の嫁になってくれるなら、禁止でいいぞ」

    ナイル「やめておけ、一夫多妻制だぞ、エルヴィンは」

    エルヴィン「俺はどこのアラブ人だ」

    ミカサ「私は警視総監になる、のでどこぞのアラブ人とは付き合わない」

    リコ「そうしておくほうがいいよ。それより、話がそれたんだけど……好きな食べ物、いくつかリストアップしておいてね」
  26. 26 : : 2015/01/14(水) 08:39:51
    エレン「俺は何でもいいぜ!」

    サシャ「ミカサは何がいいですか?やっぱり肉!ですよね!」

    ジャン「それはお前の好みだろ、サシャ」

    ミカサ「私は……そう、肉なら松阪牛が飛騨牛。しゃぶしゃぶかすき焼きで。あ、すき焼きなら私が味をつける、ので手出し無用。後はふぐのてっさ、ふぐのからあげ、ふぐ鍋。かに鍋、くえ鍋……」

    エルヴィン「ほう、俺とまったく同じ趣味だ」

    ナイル「贅沢すぎるわ!」

    リコ「まあ、ふぐや蟹やくえはともかく、鍋をつつくのはいいかも」

    ミカサ「鍋ならふぐ、蟹、くえしかいや」

    ジャン「しかもちょっと暖かい季節だしなあ。すき焼きにでもしとくか?」

    ナイル「管理費がかなりたまっているからな。ちょっといい肉ですき焼きパーティーでもするか」

    サシャ「そうしましょう!それしかないです!」

    アニ「サシャ、よだれ飛ばさないで」

    エレン「すき焼き!やったぜ!」

    こうして、アルカディア新人歓迎会はすき焼きパーティーになったのであった
  27. 27 : : 2015/01/14(水) 19:30:11
    《第2話 すき焼きに水は御法度》


    ナイル「アルカディアの新入り、エレンとミカサの歓迎会を始める!まずはエレンとミカサ、挨拶と自己紹介だ」

    エレン「西都体育大一回生、エレン・イェーガー。陸上部で短距離走をやっている。よろしくな!」

    エルヴィン「好きな女性のタイプは?」

    エレン「特にこだわりはないです」

    ジャン「エレンは胸フェチっす」

    エレン「それはお前だろ!ジャン!」

    ミカサ「こんな脂肪の塊の何がいいのか…。私はミカサ。西都大学法学部に首席で入った。将来は警視総監。逮捕してあげるからよろしく」

    サシャ「警視総監のおっぱいつんつん!大きいです」

    ミカサ「ちょ、ちょっと何を?!」

    サシャ「柔らかそうで、餅みたいで美味しそうですよーすりすり」

    ミカサ「やめて、くすぐったい……」

    エレン「……………」

    ジャン「……………」

    リコ「こら、エレン、ジャン、がん見しない!」

    エルヴィン「まざりたいな」

    ナイル「お前は間に合ってるだろうが!アラブ人!マハラジャ!」

    エルヴィン「アラブ人に加えてマハラジャになったのか、俺は」

    ナイル「どっちも一夫多妻だからな」

    アニ「男って…………」
    アニはため息をついた
  28. 28 : : 2015/01/15(木) 10:55:09
    サシャ「さあさあ、肉ぅ食べましょ肉ぅ!」

    ミカサ「サシャ、待って。すき焼きは最初が肝心。私がすき焼き奉行、ので私が執行する」

    エレン「確かにすき焼きは最初の肉が一番旨いよな!」

    ジャン「ほんのり醤油と砂糖が焦げた感じがたまんねぇよな!」

    エレン「うわっ、ジャジャジャジャーンと意見が一致しちまったぜ」

    ジャン「えんがちょ!」

    エレン「それは俺の台詞だ!」

    アニ「似た者同士はほっといて、私が砂糖をぶっかけるから。ミカサ、醤油はよろしく」

    ミカサ「アニ、了解。肉投入!」

    サシャ「肉ぅ美味しそうです!」

    アニ「肉の上に砂糖を投入」

    ミカサ「すかさず醤油を砂糖の上からかけて……」

    エレン「やべえ、うまそう」

    ジャン「腹減った!」

    エルヴィン「おっ、香ばしい香りしてきたな。食欲をそそる」

    ナイル「エルヴィン、お前は卵を割る作業を手伝え!」

    リコ「サボるなマハラジャ」

    エルヴィン「リコ、君までそんな呼び方。仕方ない、こうなったら本気でマハラジャになって、全女性を俺の嫁に……」

    ナイル「産婦人科医はどこに消えたどこに!」

    エルヴィン「御産を手伝える、マハラジャだ」

    リコ「ばかばっかり言ってないで、さっさと卵を割る」

    エルヴィン「了解、俺の一番目の嫁」

    リコ「断る!」

    ナイル「それ正解」

    甘辛いすき焼きの香りが、アルカディアに漂ってきた


  29. 29 : : 2015/01/16(金) 08:22:43
    ミカサ「皆、肉が焼けた。ので食べて」

    その言葉に皆が一斉に色めき立つ

    サシャ「美味しそーですう」

    アニ「サシャは後だよ?まずはエレンとミカサ」

    アニは然り気無く、パーティーの主役であるミカサとエレンを皮切りに、全員の皿に肉を盛って行った

    エレン「アニ、サンキュー!」

    ミカサ「アニはとてもよく気が利く…いい嫁になるはず」

    アニ「こ、こんなの普通だろ…?」

    サシャ「アニは美人だし頭いいし、気が利くし胸大きいし、いいお嫁さんになりますよお!」

    アニ「誉めても肉余分に入れないよ?」

    サシャ「真実を言っただけですよ?あ、肉は大きいのをお願いします!」

    リコ「野菜も食べなきゃだめだよ、皆」

    エレン「水菜旨そう!」

    ジャン「何気に女子のレベルが高いよな、アルカディアは」

    エルヴィン「確かにな。どれにしようか迷うよ」

    ナイル「お前に選ばれたくないわ!迷うな勘違い野郎!」

    エルヴィン「心配するな、君は選ばないよ、ナイル。ああそれとも、俺に選んで欲しいから突っかかってくるのかな?」

    ナイル「んなわけないだろうが!早く合コンセッティングしろ!」

    ジャン「合コン?!エルヴィンさんの知り合いの!レベル高そうな女子が集まりそうな…」

    サシャ「ジャン?浮気ですかぁ?」

    ジャン「いやっ、サシャ以外に興味全くねえよ!ああ、モデルとかCAとか全く興味ないない!」

    アニ「CAになりたい友達なら沢山いるけど…?ジャン」

    サシャ「こらっアニ!ジャンを浮気の道に誘わないで下さいよ!悪い子にはお仕置きですっ!むにむにむに………」

    アニ「ちょっと!胸揉まないで!」

    エレン「………………」

    ジャン「………………」

    リコ「がん見しない!」

    バシッ!

    リコのスリッパが、エレンとジャンの頭に炸裂した

  30. 30 : : 2015/01/16(金) 23:21:43
    ミカサ「そろそろうどんを入れなければ……」

    アニ「水気が足りなくて焦げそうだね。水をいれるかい?」

    サシャ「そうですね、少し………」

    ミカサ「ダメ!すき焼きに水をいれるなんて邪道!料理酒と白菜を入れて蓋をする、それで大丈夫」

    ナイル「確かに水を入れたら水臭くなるしな」

    エルヴィン「つまらないだじゃれだな」

    ナイル「だじゃれのつもりで言ってないわ!マハラジャ!」

    エルヴィン「タージ・マハルにでも産婦人科作るかな…………」

    リコ「ああ、行ってきて。日本の女性が弄ばれずにすむし」

    エルヴィン「なんだか最近俺に当たりがきつくないか?そうか、愛情の裏返しか」

    リコ「おとといきやがれ!」

    ぱこーん

    リコのスリッパがエルヴィンの脳天に炸裂した
  31. 31 : : 2015/01/17(土) 16:49:34
    サシャ「さあさあ、みんなでうどんを食べましょう!とっても美味しそうです!」

    サシャが皆の皿にうどんを取り分けていく

    エレン「旨い!ミカサは頭が良くて、料理もできるんだな!」

    ジャン「うどん旨いな!こんなに旨いすき焼きは初めて食べたぜ!」

    アニ「手際が良かったよね」

    エルヴィン「いい嫁になれそうだな」

    ナイル「確かに、美人だしな」

    ミカサ「ほ、ほめても何も出ないから!」

    サシャ「あっ!ミカサが真っ赤になってますよ!可愛いです!」

    ミカサ「ちょっとサシャ!何を!」

    サシャ「ミカサも胸がおっきいです!つんつん」

    ミカサ「や、止めて!恥ずかしい……」

    アニ「サシャは胸フェチなのかい?困った癖があるみたいだね」

    リコ「私もやられたよ……何度もね」

    エレン「…………」

    ジャン「…………」

    エルヴィン「アルカディアの風紀が乱れる原因は、サシャにあると思うんだがな」

    ナイル「まあ、一理ある」

    リコ「エレン、ジャン!ガン見するな!」

    リコのスリッパが宙を舞う

    アルカディアは今日も平和だ
  32. 32 : : 2015/01/18(日) 11:31:29
    《第三話 謎の一号室》

    エレン「エルヴィンさんて、アルカディアにきて長いんですよね?」

    エルヴィンの部屋に、アルカディアの住人の一部が集まっていた

    エルヴィン「ああ、もう五年になるかな」

    サシャ「だったらきっと知っているはずですよ!」

    ジャン「だよな!」

    エルヴィン「何の話なんだ?」

    勉強の手を休めて、エルヴィンは彼らに問いかけた

    エレン「一号室の事ですよ」

    ジャン「ずっと空いてるじゃないっすか。何か秘密があるのかって。例えば誰かが死んで、開かずの間になったとか……」

    サシャ「こ、怖いですよ、ジャン!」

    サシャはジャンにしがみついた

    ジャン「サシャ、大丈夫だ、お前は俺が守ってやるぜ!ああ、だめだだめだ離れてくれやばい!」

    サシャ「何がやばいんですか?」

    ジャン「それはその、いろいろとだな………」

    エレン「ジャン顔が真っ赤だ。気持ち悪いな」

    エルヴィン「………いちゃつくなら外に行けよ?俺は勉強中だ」

    ジャン「い、いちゃついてないっす!エルヴィンさん、一号室の話!」

    エルヴィン「……まあいいか。一号室はな、一応住人はいるぞ」

    サシャ「でも、ずっといませんよ?見たこともないですし」

    ジャン「一号室だけは間取りが広いんすよ。倍くらい広い。ナイル先輩と設計図面見ててわかったんですが」

    エルヴィン「そうだな、確かに広い」

    サシャ「誰が住んでるんですか?」

    エルヴィン「……そのうちわかるが、今は言えない本人の意向でな」

    エレン「そうか…ならまあ、誰かの部屋って事で、幽霊がでるとかはうそだって事だな」

    ジャン「エレンがびびってたからな」

    エレン「びびってねえよ!」

    サシャ「一号室の住人さんにいつか会えたらいいですねえ♪」

    こうして一号室の謎は解明されないまま、ひとまず会話は終了した
  33. 33 : : 2015/01/19(月) 09:20:28
    《第四話 スタバに行こう》

    リコ「アニ、何ため息ついてるの?」

    アルカディアのリビングで、窓の外を眺めながらため息をつくアニ

    それを見たリコは、アニに歩み寄った

    アニ「あ…別に何もないよ」

    リコ「あなたはいつもそれだね」

    アニ「本当に何も無いから」

    リコ「嘘だ。顔が曇ってるよ?」

    アニ「見間違い」

    リコ「まあアニはいつも不機嫌そうにはしてるけど、やっぱりなんか変だよ、最近特に」

    アニ「そう、かな」

    リコ「うん。そうだ、今から暇なんだけど、いつもの所へ行こう。どうせここでは話したくないんでしょ?」

    アニ「…そうだね、付き合うよ」

    二人は行きつけの店に行った




  34. 34 : : 2015/01/19(月) 09:32:36
    二人の行きつけの店は、スターバックスコーヒー、通称スタバ

    二人はコーヒーと甘い物が大好物だった

    リコ「フラペチーノの新作出てる。私はそれにしよう。アニは?」

    アニ「私も、オランジュホワイトモカフラペチーノ」

    リコ「キャラメルソース付きだって。美味しそう」

    アニ「ああ、そうだね」

    リコ「アニとは何か気が合うよね」

    アニ「そ、そうかい?」

    リコ「うん、そう思う。服の好みも一緒だし。パーカー好き」

    アニ「いや、私のは好きというか、おしゃれがめんどくさいだけ」

    リコ「CAになりたい人が、おしゃれめんどくさいって……あはは」

    アニ「最低限はするよ。講座に行く時はね」

    リコ「アニが本気でおしゃれしたら、超絶にいけてるんだよね」

    アニ「誉めてもなにもでないよ?」

    リコ「私もたまにはおしゃれしたいよ」

    アニ「すればいいじゃない?」

    リコ「なかなか機会がね」

    アニ「あんたの好きな人の前ではおしゃれするのかい?」

    リコ「す、好きな人なんて、いないよ」

    アニ「いるのは知ってる。今日はその話をしたくてここにきた」

    リコ「違うでしょ!アニが元気がないから話をしに来たんじゃないか!」

    アニ「まあ、私の話もするよ。だからあんたも話な」

    リコ「………誰にも内緒にするなら」

    アニ「了解、リコ」

    二人はスタバの隅の席を陣取って、新作フラペチーノに、カフェオレまで飲み干しながら、内緒話に花を咲かせたのだった
  35. 35 : : 2015/01/20(火) 08:32:15
    《第5話 焼き立てパァンを召し上がれ》

    サシャ「今日は、3時にパン・ド・ミールのクルミパァンが焼き上がるんですよ!」

    ジャン「折角のデート中なのに、また食い物の話かよ!さっき餃子専門店でたらふく餃子食べた所だろうが……」

    サシャ「だってですね、パン・ド・ミールのクルミパァンは大人気、すぐに売り切れる上に、毎日作ってないんですよぅ…」

    ジャン「そんなに切ない顔は、食い物の時にしか出さねえよな……はぁ」

    サシャ「ジャン?どうしたんですか?何だか元気がありませんけど…そういう時こそパァンですよ!食べたらほっぺが落っこちますよ!」

    ジャン「………付き合い始めて一年、アレする以前に手も繋いだ事もねえ。デートは食い倒れオンリーで夜景のみえる場所で大人な雰囲気とか、憧れるだけで手が届かねえし……」

    サシャ「ジャン?何をぶつぶつ言ってるんですか?クルミパァン行きましょう!」

    ジャン「……お前一人で行けよ。どうせデートよりパンがいいんだろ」

    サシャ「ジャン?………私はジャンとパァンが食べたいだけなんですよ?それなのに一人で行けって…ぐすっ」

    ジャン「お、お、おい!泣くなよ……サシャ」

    サシャ「ジャンは私の事が嫌いになったんですね…」

    ジャン「そ、そんなわけないだろ?!」

    サシャ「私の肉じゃがだけが目当てだったんですよね」

    ジャン「ち、違う!確かに惚れたのは料理からだけど、見た目もす、す、好きだし、明るい所だって……」

    サシャ「ジャン、ありがとうございます!私もジャンが好きですよ!実はパァンより好きです」

    ジャン「………肉と比べたらどうだよ」

    サシャ「……………………………」

    ジャン「聞いた俺が悪かった………」

    サシャ「ジャンの方が、大事ですよ」

    ジャン「へっ?!」

    サシャ「さ、さあパァン行きましょう!早く、売り切れる前に!」

    ジャン「お、おう」

    サシャはジャンの手をぎゅっと握って、クルミパァンに向かって歩き出したのであった


  36. 36 : : 2015/01/21(水) 00:01:49
    《第6話 家庭教師のドライ》

    ナイルは日本一の難関大学である、西京大学大学院生である

    建築を学びながら、地震工学なども研究している、根っからの理系男子

    そんな彼は苦学生

    奨学金で大学に行きながら、バイトをしていた

    今巷で話題の、家庭教師ドライ

    ここで派遣家庭教師として働いていた

    ナイル「よう、中間試験どうだった?ナナバ」

    今日も家庭教師としてある家に来ていた

    今日の生徒はナナバ

    高校三年、繊細な作りの美しい顔立ちをした、紛れもない美女だ

    ナナバ「うーん、まあまあ、かな」

    ナイル「お前、西京目指してるんだろ?だったらこの点数では無理だ。数学をかなり煮詰めんとな」

    ナナバ「あなたみたいに理系じゃないからなあ、私」

    ナイル「だがやらんと受からん」

    ナナバ「うん、そうだね。まだ間に合うなら頑張ろうかな、あなたの指導力にも期待して」

    ナイル「期待するのはいいが、厳しくいくぞ?」

    ナナバ「いいよ。何?間違えたらお仕置きでもされるわけ?もしかして、エッチな事?」

    ナイル「な、そんなわけないだろうが!」

    ナナバ「顔真っ赤だよ、先生」

    ナイル「うるさい!さっさと課題をやれ!5分だ、いいな!」

    ナナバ「ナイル先生って焦ったら早口言葉みたいに捲し立てるよね」

    ナイル「さっさとしろ!」

    ナイルは家庭教師先でもいじられキャラであった
  37. 37 : : 2015/01/21(水) 15:18:41
    《第7話 家庭教師はつらいよ》

    ナナバ「ふぅ、疲れた。先生出来たよ。出来てないけど」

    ナイル「どっちなんだよ……見せてみろ。お前、ベクトル全く理解してないだろ」

    ナナバ「うん、全然わからない。どうしよう」

    ナイル「始点を揃える所からじっくりやるか。定義と定理は頭に叩き込むしかないぞ」

    ナナバ「ああ、難しくて頭が剥げそうだよ…はっ!だからナイル先生、年のわりに髪の毛少ないんだ!こんな鬼畜な問題ばかりやってたから!」

    ナイル「誰が毛が少ないだ!」

    ナナバ「生え際やばいよ?」

    ナイル「もういい、真面目にやらんなら帰る」

    ナナバ「先生、待ってよ」

    ナイル「お、おい…!」

    ナナバ「怒らないで?ちゃんとやるから教えて?」

    ナイル「手を握るなっ!顔をそれ以上近付けるな!」

    ナナバ「ナイル先生顔真っ赤だよ、ふふ」

    相変わらず生徒に翻弄されるナイル先生であった
  38. 38 : : 2015/01/22(木) 09:11:20
    《第8話 アニの悩み》

    「アニー!今日は合コン行こうよー!」

    大学の講義の後、イヤフォンをお供にフランス語を勉強していたアニに、クラスメイトからいつものように声が掛かる

    アニ「ごめん、フランス語の勉強がしたいから」

    「つれないなぁ…。アニは真面目すぎるんだよね」

    アニ「ごめん」

    「いいよ、また気が向いたら行こうよ!じゃねー」

    友人はそう言うと、アニを残して去っていった

    アニ「はぁ……」

    イヤフォンをつけ直しながらため息をつく

    アニ「余裕があるんだかなんなんだか……」

    アニは西京外国語大学に通う一回生

    夢は航空機の華、キャビンアテンダント

    しかも彼女は国際線のCAを目指していた

    もともと英語は得意で、すでに英検一級取得

    副科のフランス語もやってみれば楽しくて、マスターしようと日々勉強に励んでいた

    だが、クラスメイト達はあまり一生懸命勉強をしない

    この私大はエスカレーター式で、皆呑気なのである

    アニは外部入学だったので、あまりのだらけムードに辟易していた

    そんな真面目なアニだから、どうしてもクラスで浮いてしまうのであった

    一人が嫌いではないのだが、いちいち興味の無い合コンに誘われるのがめんどくさい

    それがアニの悩みだった


  39. 39 : : 2015/01/23(金) 08:34:25
    《第9話 レッツ スイミング!》

    エレンは体育大学で先生になるために学びながら、水泳サークルに入っていた

    他校とも交流のあるこのサークル内で、だんとつでブレスト(平泳ぎ)が得意である

    国内の大会で銅メダルまでなら獲得したことがあるほどだ

    世界大会には手は届かないが、十分な実力者である

    エレン「つっかれたなあ…」

    今日も放課後に三時間みっちり泳いで、夜遅くに帰宅の途についていた

    夜10時を過ぎている

    駅の改札を出だ時、前に見知った人が歩いているのが見えた

    エレン「よう!」

    アニ「あっ!なんだ、エレンか…」

    エレン「なんだってなんだよ、アニ」

    アニ「いや、深い意味はないよ。ちょっと遅くなってしまったからね。不審な奴とかいたら嫌だからさ」

    エレン「そうだな、確かに物騒だぜ。あんまり夜遅くに出歩くなよ。お前美人なんだから、気を付けろよな?」

    アニ「えっ?」

    エレン「ん?なんか変なこと言ったか?それよりお前に、泳げるのか?」

    アニ「あ、ああ。多少はね」

    エレン「じゃあ、夏になったらプール行こうぜ!泳いで泳いで泳ぎまくる!」

    アニ「………ああ、そうだね」

    エレン「アニは海の方が良かったか?皆で行けば何処でも楽しいだろうけどな。あー、夏が待ち遠しいぜ!」

    アニ「………ふふっ」

    エレン「な、なんだよ、笑いやがって」

    アニ「いや、あんたさ、ナンパするのはいいけど、ジーンズのチャック全開だよ?ぷフッ」

    エレン「ナンパなんてつもりじゃ……ってぁぁぁぁまたチャック開けっ放しだった!」

    アニ「ミカサならこう言うだろうね。『ワイセツ物陳列罪で逮捕する!』あはは」

    エレン「確かに言いそうだよな、それ」

    アニ「ま、夏が楽しみだよ」

    エレン「お、おう!」

    鈍感エレンの女心理解率は未だ0%に近い




  40. 40 : : 2015/01/23(金) 20:59:03
    《第10話 ミカサの兄》

    ミカサ「……………」

    電車の中で参考書を食い入るように見つめているミカサ

    大学は日本一の難関大である西京大学法学部

    彼女は首席で入学した

    今も首席である

    だが、天才秀才がひしめく西京大、なかなか気を抜くことが出来ない

    ミカサは常に勉強をしていた

    政治家になるのか、どの省庁に勤めるのか

    何度も回りから問われていたミカサ

    彼女は即答する

    ミカサ「私は警視総監になる」

    ミカサがそれをのぞむのには訳があった

    ミカサの兄が、無実の罪で一度収監された事があるのだ

    ミカサは激怒した

    証拠をでっちあげたのは他ならぬ警察

    確かに兄は素行が良くはない

    若い頃は深夜の山道で、走り屋をしていた

    その延長で今はF3のレーサーになっている兄

    兄は犯罪に手を染めたりはしなかったはずだ

    それなのに…

    ミカサは決めた

    自分が権力を手にして、腐った警察にメスを入れようと考えたのであった
  41. 41 : : 2015/01/24(土) 09:18:51
    《第11話 ミカサさん、警視総監への道のり》

    ミカサ「はぁっ!」

    どーん!

    白い道着を着て、自分より遥かに大きな体の男をばったばったと投げまくるミカサ

    彼女は頭脳明晰な上に、抜群の身体能力を有していた

    キャリアになるのに柔道などさして必要はないと回りは言うが、ミカサは完璧主義

    何でも1位でなければ嫌だった

    「ミカサさんは本当に強いなあ」

    「頭もいいし、憧れるよ」

    「美人だしな。でも…とうてい俺たちには手が届かないよ」

    高嶺の華

    秀才ひしめく西京大の中でも、ミカサはそんな存在になりつつあった

    羨望の眼差しを受けようとも、ミカサの表情は変わらない

    だが、最近少し変わった

    アルカディアに住むようになってからだ

    アルカディアの多才で愉快な住人達

    ミカサは初めは、住むところを間違えたと思っていた

    何事も面白おかしく過ごし、それに自分が多々巻き込まれる

    勉強に支障が生じる

    だが、いつしか絡まれる事が嫌にならなくなってきた自分に気がつく

    何の遊びもファジーな部分もなかった、言うなれば余裕がなかった自分に、余裕を作ってくれたのが、アルカディアの住人

    ミカサは楽しみながらも夢を追う彼らを、信頼し尊敬するようになっていた



  42. 42 : : 2015/01/24(土) 09:29:19
    そんなミカサ、以前なら羨望の眼差しを向けられてもスルー出来ていた

    だが、今日は少し、アルカディア風にしてみようと思った

    ミカサ「そんなにじっと見ないで」

    男達をいちべつしてそう言った

    少々頬を染めて

    「ふぁっ! す、すみませんミカサさん! 」

    「ミカサさんが話しかけて下さった! 」

    「ミカサさん、声も美しい! 」

    ミカサ「………恥ずかしいから、やめて」

    ミカサはぷいっと顔を背けた

    「ミカサさん、超可愛いんですけど! 」

    「やばい、今日のミカサさんはひと味違う! 」

    「ミカサさんを食うなよ! 抜け駆けはご法度だぜ! 」

    ミカサ「……………」

    ミカサはますます頬を染めた

    ここまで反応されるとは夢にも思わなかったのだ

    恥ずかしくて、勉強が手につかなくなっては困る

    やっぱりいつもみたいにだんまりしておこうかな、とミカサは思ったのであった
  43. 43 : : 2015/01/24(土) 23:24:51
    《第12話 エルヴィンとリコの秘密の会話》

    エルヴィン「なあ、リコ。あいつから連絡はあるのか?」

    リコ「何の話?あいつって誰?」

    エルヴィン「あいつの事だよ、とぼけるな。今は俺たちしかいないぞ」

    リコ「あの方から、連絡は無いよ。どこかへ行ったきり、音沙汰も無いし。忙しい方だからね」

    エルヴィン「そうか」

    リコ「なんで急にこんな話を?」

    エルヴィン「あいつがどこで何をやっているのか、知る権利くらいあってもいいと思うが。特にお前には」

    リコ「きっと、連絡が無いのは無事の知らせだよ。私はそう思ってる。あの方の邪魔はしたくない」

    エルヴィン「だが、行ってもうまる四年だぞ?」

    リコ「必ず、帰ってくる。私はそう信じてる」

    エルヴィン「そうか…そうだな」

    エルヴィンの言うあいつ

    リコが言うあの方

    その正体が、いつかは明らかになるのか
  44. 44 : : 2015/01/25(日) 20:39:16
    《第13話 裸の付き合い》

    アルカディアから車で10分ほどの場所に温泉が湧いており、天然温泉の風呂屋がある

    湯ーとぴあと呼ばれる温泉施設は、近隣住民に人気だ

    天然温泉露天風呂はもちろん、ロウリュウサウナ、岩盤浴、温水プールまで併設されている

    アルカディア住人も暇を見つけては湯ーとぴあに通っていた

    エレン「いやあ、めっちゃくちゃ気持ちいいですね!ナイルさん!」

    アルカディアで車を持っているのはエルヴィンだ

    ナイルはエルヴィンの車を拝借して、エレンたちを風呂屋に連れてきてやっていた

    ナイル「月に二回は行っているんだ。いいだろう、ゆったりのんびり。炭酸泉いいだろ?一押しだ」

    ジャン「炭酸泉の風呂は、テレビがついているから、長居出来るんすよね!」

    エレン「疲れがとれるなぁ…」

    何も考えず、テレビを見るともなしに見ながら、のんびり湯につかる

    こんな贅沢な時間は貴重だ

    若者はしばしの間、思い思い風呂を楽しんだ



  45. 45 : : 2015/01/26(月) 11:01:15
    《第14話 女風呂にありがちな風景》

    サシャ「アニって本当にお肌すべすべですよね―羨ましいですよぉ。何か手入れしてるんですか?」

    アニ「そうかい?特に何もやってないけどね」

    ミカサ「はっ、ふっ、ほっ!」

    サシャ「ミカサはなにやってるんですか?ストレッチ?」

    アニ「今日柔道だったらしいからね。体をほぐしてるんだよ」

    ミカサ「風呂につかった後、軽くストレッチしたらいい。代謝がよくなる…はっ!ふっ!」

    サシャ「風呂上がりにストレッチしたら、ミカサみたいに腹筋割れるんですか?」

    ミカサ「そうね。あとはプロテインは欠かせない」

    アニ「私はあそこまで割れたくないかも」

    ミカサ「CAは立ち仕事。体力つけなきゃやっていけない、と思う」

    アニ「言われてみたらそうだね。私も筋力トレーニングしよう」

    サシャ「私もムキムキになって、ジャンを悪の手から守ります!」

    ……女風呂にありがちな会話



    なわけない
  46. 46 : : 2015/01/27(火) 08:46:40
    《第15話 エルヴィン・スミスの日常 》


    エルヴィン「もうこんな時間か」

    あるホテルの一室で、腕にはめているフランク・ミュラーの時計に目をやる

    時計の針は午前1時を指していた

    エルヴィンはベッドから降りて、素早く身支度を整える

    エルヴィン「最近は門限門限とうるさいしな……ミカサが」

    「なぁに?他の女の話?」

    背後から声がする

    エルヴィン「ああ」

    エルヴィンはその声の方をちらりと振り返って頷いた

    「もう行くの?」

    エルヴィン「ああ、予定がつまっていてね」

    身支度を整えたエルヴィンは、部屋の扉に向かう

    それを、素早くベッドから降りた女が止めた

    「待って」

    エルヴィン「ん?」

    「お別れのキスが無いわ」

    その言葉を聞いたエルヴィンは、彼女の唇に軽くついばむように口づけた

    エルヴィン「おやすみ」

    まだ名残惜しそうな彼女を残し、エルヴィンは部屋を後にした

  47. 47 : : 2015/01/28(水) 08:18:42
    《第16話 アルカディアの門番ミカサ 》

    ミカサ「今、何時?」

    アルカディアの玄関に張り詰めた空気が流れる

    ミカサはたった今帰って来たばかりのエルヴィンを睨み付けていた

    エルヴィン「一大事。いやまて落ち着け、冗談だ、ミカサ」

    ミカサ「今何時だと思っているの?貴方はアルカディアの最年長組、規則を守ってもらわないと困る」

    エルヴィン「すまん。だが規則に門限は無かったはずだが……」

    ミカサ「私が作った。日付が変わるまでに帰宅すると明記した規則を。後、過度な不純異性交遊も禁止、ので二つの罪で罰金2万」

    エルヴィン「なんだ、2万でいいのか。安いな」

    エルヴィンは財布から万札を数枚取り出して渡した

    ミカサ「4万ある」

    エルヴィン「ああ、明日も予定がね。だから先に罰金を払っておくよ」

    ミカサ「予定はキャンセル。今後一切ナンパは禁ずる」

    エルヴィン「いや、それは困る………」

    ミカサ「ふん」

    エルヴィン「恐怖政治だな………」

    さすがのエルヴィンも、ミカサの恐怖政治にひれ伏すより他無かった



  48. 48 : : 2015/01/29(木) 08:15:49
    《第17話 開かずの間の一号室 》

    サシャ「き、聞いてくださいよー…………」

    ジャン「なんだよ、サシャ」

    サシャ「今日ですね、たまたま早く家に帰ったんですけど……ぽろんぽろん、て何処からともなく音が聞こえたんですよ……一号室から」

    ジャン「一号室?誰もいねえはずなのに、音が鳴るはずないだろ?腹減りすぎてボケたんじゃないのか、サシャ」

    サシャ「ち、違いますよ………。ぽろんぽろん、に、ガタガタガタン……こんな音もしてました。ちょうど家にはエルヴィンさんしかいなくて、怖いからエルヴィンさんの部屋に行ったんですよ!」

    ジャン「エルヴィンさんの部屋?その方が怖い気がするな」

    サシャ「何でですか?」

    ジャン「サシャがゆ、誘惑されたりして、その、手を出されたりしてあれやこれや………」

    サシャ「ジャンったら!そんな事あるわけないじゃないですかー。ちょっと撫でてもらっただけですよ?」

    ジャン「撫でて……?」

    サシャ「頭撫でてもらっただけですよ、よしよし、ですってば」

    ジャン「そ、そうか、そうだよな!はは」

    サシャ「ジャンのえっちー。想像働かせ過ぎですよー」

    ジャン「す、すまんすまん!」

    サシャ「うふふ♪ジャンよしよししてください」

    ジャン「…………お、おう」

    ジャンはサシャの頭を撫でてやった

    二人のラブラブぶりは目に余るほどだ
  49. 49 : : 2015/01/30(金) 08:45:07
    《第18話 一号室の秘密 》

    ナイル「なあ、リコ。一号室でなにやら起こったらしいな」

    リコ「ああ……うん」

    ナイル「奴が帰ってくるのか?」

    リコ「知らないよ、私は何も聞いてないからね」

    ナイル「帰ってきたらいいな、リコよ」

    リコ「べつに、私には関係ないから。私は与えられた仕事をするだけだから。ほら、さっさと畳んで」

    ナイル「エルヴィンの洗濯物だから、適当でいいな」

    リコ「とか言いながら、結局後で気になってきっちり畳直すくせに」

    ナイル「……………ふん」

    リコ「頭ぼさぼさなのに、几帳面だからね、あなたは。頭皮大事にしなよ?剥げるよ?」

    ナイル「よ、余計なお世話だ!」

    ナイルはリコの洗濯物を手伝うのが日課の、家事男

    いい婿になるだろう

    …………貰い手がいれば
  50. 50 : : 2015/01/31(土) 09:08:23
    《第19話 リコの想い人 》

    アニ「リコ、なんかそわそわしてないかい?最近」

    リコ「そ、そんな事ないよ……」

    アニ「もしかして、好きな人が戻ってくるのかい?」

    リコ「えっ、いや、何の話なんだか……」

    アニ「一号室に荷物が運び込まれたらしいじゃない」

    リコ「そ、そうだけど……私は何も聞いていないし……」

    アニ「管理人に何も伝わってないって、おかしくないかい?」

    リコ「もともとアルカディアの管理はオーナーがしているからね。私はあくまで窓口みたいなものだし」

    アニ「そうかい。でも、戻ってきたらいいね。私も、一号室の人に会ってみたいしね」

    リコ「そ、そう……」

    アニ「リコ、顔真っ赤」

    リコ「う、うるさいっ!」

    リコはスタバのラテをぐいっと飲み干した
  51. 51 : : 2015/02/01(日) 23:41:33
    《第20話 ミカサ、イメチェンするの巻》

    アニ「ミカサってスタイルいいよね」

    サシャ「そうですよねー♪背も高いしスラッとしてて、腹筋バキバキですし! 」

    ミカサ「ほ、誉めても何もでない」

    アニ「ちょっといつも大学に行くのにジャージだからさ、たまにはイメチェンしないかい?実は私も今度面接があるからさ……清楚系の服を買いに行きたいんだ。ミカサも一緒に、どうだい?」

    サシャ「私が見繕いますよー! 」

    ミカサ「な、何で私まで?! 」

    アニ「あんた、美人だから何でも似合うよ」

    サシャ「そうですよー!リコさんも誘って週末ショッピングしましょ!や、く、そ、くですよ!」

    ミカサ「わ、私は勉強が! 警視総監が! 」

    アニ「おしゃれな警視総監、いいじゃないか。ふふっ」

    サシャ「みんなでショッピング楽しみですよー♪」

    何だかんだ、アルカディアの女性たちは仲良しになっていた


  52. 52 : : 2015/02/02(月) 21:50:58
    《第21話 エレンのうるとらそうる》

    エレン「っしゃー!ブレスト200自己新出たぜ! 」

    夕方のスイミングサークルにて、エレンはがんがん泳いでいた

    先輩が興奮ぎみにプールサイドで叫んでいる

    「エレンすげーぞ! 天才じゃんお前! さすが! 」

    エレン「コニー先輩あざぁっす! 」

    コニー「顔もいいし、水泳はすげえし、後は女いればなあ……」

    エレン「なんか言ったっすか?」

    コニー「お前顔いいのに、女いねえなって思ったんだよ」

    エレン「彼女とかつくる暇ないっすよ、コニー先輩。毎日家と学校とプールの往復しかしないんすから」

    コニー「お前の住んでるシェアハウス、美人揃いだって聞いたぜ?紹介しろよ! 」

    エレン「一人は彼氏がいますし、一人は好きな人がいるみたいっすし、あと二人は美人っすね」

    コニー「どんな女なんだ?!」

    エレン「警視総監と、キャビンアテンダントっす」

    コニー「ミニスカポリスで! 」

    エレン「なんすかそれ……」

    先輩のボケ具合に、エレンはがくっと崩折れた
  53. 53 : : 2015/02/03(火) 20:09:35
    《第22話 エルヴィンさんとナイルさん》

    ジャン「エルヴィンさんて、ナイルさんと因縁の仲らしいな」

    エレン「そうなのか?仲良さそうに見えるけどな。ナイルさんはたまにエルヴィンさんに朝食持っていってやってるしな」

    ジャン「なんかな、腐れ縁らしい。だけどな、エルヴィンさんは大人気産婦人科医院の息子、ナイルさんは片親で苦労しながら大学にまで行った、苦学生だってよ。高校が一緒で、二人は首席争いしてたらしいぜ」

    エレン「そうなんだな。気持ち的にはナイルさんに首席でいてもらいたいけどな、どうだったんだろう」

    ジャン「エルヴィンさんはナイルさんに負けたことがなかったらしい。苦学生が、ブルジョワに負けたってことさ」

    エレン「大学は学部が違うし、まだまだこれからどんでん返しが……」

    ジャン「あるといいんだがなぁ……」

    ナイル「お前ら、人の心配する前に自分の心配しろよ。定期試験ばっちりなんだろうな?」

    エレン「うわっ苦学生!」

    ジャン「ナイルさん頑張って下さいよ! エルヴィンさんよりいい女捕まえて大どんでん返し狙いましょうよ! 」

    ナイル「お前ら……泣きそうな顔で詰め寄ってくんな! 俺はまあまあ幸せだ!」

    ナイルは案外幸せらしい
  54. 54 : : 2015/02/04(水) 20:12:16
    《第22話 一号室》

    リコ「ふぅ……朝から今日も騒がしかったな。サシャとエルヴィン、朝食取り合うのはいいけど、あちこちかき回すから掃除が大変……」

    リコはアルカディアのリビングを掃除していた

    住人は皆学校や職場に行っている

    アルカディアにいるのはリコだけだった

    リコ「綺麗にしなくちゃね。いつお戻りになられてもいいように」

    リコは独り言を呟きながら、雑巾をしぼっては床を磨いていた

    一号室の掃除も先程終わらせた

    人は住んでいないが、ほこりはたまる

    数日に一度は一号室に入って掃除をしていた

    リコ「今ごろ何処にいらっしゃるんだろう。居場所はばれてはいけないもんね……誰にも」

    リコはため息をついた

    その時だった

    かちゃり

    アルカディアの玄関からかすかに音がした

    リコ「……………?」

    リコが雑巾片手に玄関に向かうと、そこには人が立っていた

    リコはその姿を確認するや否や、ポロポロと涙をこぼしてその場に崩折れた

    「リコ、ただいま。変わりはないかな?」

    リコはただただ頷いた
  55. 55 : : 2015/02/06(金) 11:28:23
    《第23話 再会》

    リコ「ハンジ会長、よくご無事で……」

    泣き崩れるリコの肩を抱く様に支えたのは、すらりとした体型の、眼鏡の女性だった

    彼女はハンジ・ゾエ

    ゾエ家といえば、世界有数の財閥

    彼女はその財閥の若きトップだった

    ハンジ「リコ、長い間音信不通にしてすまなかったね。何しろあちこちを飛び回ってつけられない様にしなきゃいけなくてさ。やっと基盤が固まったから戻ってこれたよ」

    リコ「もう、お命を狙われたりは……?」

    ハンジ「大丈夫。元はといえば、じいさんがいきなり私だけに実権を握らすって遺言に書くからいけないんだよ。おかげで音楽留学もパァになった……」

    リコ「もう、バイオリンはお弾きにならないのですか?」

    ハンジ「何かを得るためには何かを捨てなきゃいけない。私はバイオリンを捨てて、財閥を選んだ。それだけの事さ」

    リコ「そう、なんですね……あんなにもお好きで、お上手でしたのに」

    ハンジ「リコ、また落ち着いたら再開するから気にしないで?それより、君の大事な人も戻っているよ。裏のヘリポートに」

    リコ「えっ……?!大事な人って、いえそんな、恐れ多いです……」

    ハンジ「弟にも迷惑をかけた。あの子がいなきゃ、私は殺されていたかもしれない。君の大事な人を振り回して、ごめんね」

    リコ「そ、そんな!ハンジ様頭を下げないで下さい! 」

    ハンジ「さ、早く行ってあげて。ご褒美のキスでもしてやってよ」

    リコ「そ、そんな事、できるはずが……」

    ハンジ「リコ、真っ赤でかわいいな。私がもらっちゃおうかな?」

    リコ「だ、だめです! お戯れを! 行ってきます 」

    ハンジ「行ってらっしゃい……ふふっ可愛いな。相変わらず」

    ハンジはそう言うと、リビングのソファに腰をおろした

    懐かしいアルカディアの空気を存分にすいこんで、目を閉じたのであった

  56. 56 : : 2015/02/06(金) 20:01:20
    《第24話 ヘリポートで逢いましょう》

    リコ「はぁはぁ……」

    リコはアルカディアの裏の小高い丘を、駆け足で登った

    走っている姿が美しいと言ってくれた、『あの方』に逢うために

    リコが駆け上がった先には、大きなヘリが停まっていた

    コックピットの戸口が開いていた

    リコはゆっくり、今にも踊り出しそうな心臓を抑えるように歩み寄った

    その時、一人の男がヘリのタラップを降りてきた

    白いシャツに紺のネクタイ、同色の紺のスラックスに身を包み、ヘッドセットを首に下げている

    リコはその姿を見るや否や、ぴたりと足を止めてしまった

    駆け寄りたいのに、駆け寄れない

    ただ心臓だけが激しく脈打っていた

    男の視線がリコを捉える

    「……リコさん」

    全く動けないリコに歩み寄り、彼女の名を呼ぶ男

    リコ「モブリット……様」

    リコは震える声でやっと、言葉を発した

    モブリット「お元気でしたか?リコさん。後、様は止めてくださいとあれほど言ったはずですが」

    モブリットと呼ばれた鳶色の瞳の男は、微笑みを浮かべながら、リコにそう言った

    リコ「で、でも……」

    モブリット「モブリットでいいんですよ。様だなんて柄ではありませんから。さ、アルカディアに戻りましょう」

    モブリットはヘリのタラップをしまって、リコと共に丘を下った

    ハンジの弟モブリット

    彼ら姉弟が、四年ぶりにアルカディアに帰還したのであった
  57. 57 : : 2015/02/06(金) 20:52:44
    《第25話 ハンジとモブリットとリコ》

    ハンジ「いやぁ、やっと戻ってこれた。本当に神経がすり減る毎日だったよ」

    モブリット「確かに、何度も危ない場面がありましたね」

    ハンジ「君のヘリがなきゃ、死んでたよね」

    モブリット「あなたの機転がなきゃ死んでました。姉さん」

    姉弟は武勇伝をリコに話して聞かせていた

    リコは瞳をうるませた

    リコ「本当に、お二人ともよくご無事で……」

    ハンジ「ああ、リコは泣き虫だから、また泣いちゃったよ。ほらモブリット、慰めてやって」

    モブリット「リコさん、泣かないで下さい」

    モブリットはリコの頬にハンカチを当てた

    リコ「ぐすっ……」

    ハンジ「モブリット、違うだろ?女を慰める時には、キスだろ?ぶちゅっと」

    モブリット「な、何を言ってるんですか、姉さん! 」

    リコ「ふぁっ?ハンジ様、何を何を…………」

    ハンジ「リコが茹で蛸の様だ。美味しそう。モブリットがもらわないなら、私がもらっちゃおうかな」

    モブリット「姉さん、いけません! 」

    ハンジ「じゃあしなよ、君が」

    リコ「な、な、な…………」

    モブリット「姉さん! 帰宅早々無茶言わないで下さいよ! 」

    リコ「そ、そうですよ! 私なんかがそんな、モブリット様と…………」

    モブリット「リコさん、それは違う……俺なんかが……」

    ハンジ「いい加減愛を確認しあってきなよ。一号室使っていいからさ」

    モブリット「ね、姉さん?! 」

    リコ「わ、私、お風呂沸かしてきますね! お二人ともさっぱりされたいでしょうし……」

    リコは真っ赤に顔を染めながら、お風呂場に逃げた

    ハンジ「あー、リコと君をからかうのは楽しいな、ははは」

    モブリット「姉さん、いい加減にして下さいよ……」

    ハンジ「モブリット、疲れてるね。長時間ぶっ続けで操縦したからかな」

    モブリット「違いますよ……帰ってからどっと疲れました。ヘリの操縦の方が楽です。あなたの相手をするよりは」

    ハンジ「ははっ、君達がじれったいから背中を押してやってるだけなのにさ」

    ハンジはそう言うと、モブリットの頭をくしゃっと混ぜた

  58. 58 : : 2015/02/08(日) 00:32:06
    《第26話 アルカディアのお風呂》

    アルカディアには風呂が四つある

    そのうち2つは小さな普通の風呂

    後の2つは、男湯と女湯にわかれた少し広目の風呂

    リコは広目の風呂に湯を張った

    長旅で疲れた二人にゆっくり風呂に浸かってもらうために

    ハンジ・ゾエは財閥の今やトップのセレブ中のセレブ

    前会長であった自身の祖父の直系の孫だ

    ハンジの両親が不慮の事故で亡くなった後、跡継ぎでもめた

    そんな後継者争いに嫌けがさした前会長は、一族の中でも一番優秀なハンジを、次期会長に指名した

    ハンジはそれを迷惑に思っていた

    彼女は会長になどなる気はなく、バイオリンで音楽留学が決まっていたのだ

    しかし、そんな折、祖父も不慮の事故で亡くなった

    殺されたのではないかという噂があった

    親族がまたもめた

    だが、祖父の遺言状が残されていた事で事態は急変する

    ハンジは家を守るために、会長を継ぐ以外の選択肢を棄てた

    基盤固めのためにあちこちを駆けずり回った

    祖父の不審な死がある

    自身の命の危険も顧みる必要があった

    そんな時、彼女を助けたのが、弟モブリット・バーナーであった
  59. 59 : : 2015/02/08(日) 10:21:00
    彼モブリットは、ハンジの弟である

    だがハンジとは名字が違う

    彼は、ハンジの父の妾の子だった

    ハンジとは父親が一緒の姉弟だ

    なに不自由なく育ってきたハンジに引きかえ、狭い部屋で母の手一つひっそり暮らしてきたモブリットであったが、彼が10才の時に母に先立たれ一人ぼっちになってしまった

    ある時その事実を知ったハンジが彼に会いに行った

    そして、自分には似ていないモブリットに手を差しのべた

    頼る人がいなかったモブリットは、突如現れた姉の手を握りしめた

    その瞳に包み込むような優しさと温かさを見いだして……


    それから、二人は手を携えて生きてきた

    モブリットは、いずれ来るハンジの財閥継承のために、護身術など役に立ちそうな事を身につけた

    その最たるものが、ヘリの操縦だった

    分刻みのハンジの行動と、道中の安全を一手に担うモブリットは、文字どおりハンジの足になっていた
  60. 60 : : 2015/02/08(日) 10:40:19
    リコ「お二人とも、お風呂の支度が整いました。お荷物は部屋に運んでおきますので、どうぞゆっくり疲れを癒して下さい」

    ソファでうたた寝しかかっている二人に、リコはそう声をかけた

    ハンジ「うーん、寝かかっていたよ……お風呂面倒だな」

    モブリット「姉さん駄目ですよ、ちゃんと入って身体の隅々綺麗にしてから寝てください。妙齢の女性にあるまじき悪臭が漂っていますから」

    ハンジ「人の体臭にけちをつけるなよ、セクハラだ」

    モブリット「あまりにも不潔すぎるんですよ。一日一回シャワーくらい浴びて下さったらいいのに……」

    ハンジ「だって、面倒なんだもん」

    モブリット「もう、一緒にヘリに乗るのを止めます……」

    ハンジ「モブリットは綺麗好きすぎるんだよ。そんな男は嫌われるよ?多少雑な方が男はいいんだよ、ね?リコ」

    リコ「は、はい?!わ、私はその、どちらでも……」

    ハンジ「じゃあ、私とモブリット、どっちを選ぶ?私が男だったら」

    モブリット「ね、姉さん?!」

    リコ「ど、どちらかだなんて……どちらも選ぶなんて出来ません、畏れ多いです」

    ハンジ「……リコは可愛いなあ。モブリットにあげるのが勿体なくなってきた。一緒にお風呂はいろ?」

    リコ「ひゃっ?!ハンジ様?!」

    ハンジはリコの身体をひょい、と抱き上げた

    モブリット「姉さん?!リコさんを無理矢理風呂に連れ込まない!」

    ハンジ「君がもたもたしているからさ。綺麗好きのリコに、身体を隅々まで洗ってもらお」

    リコ「ハンジ様!お戯れを!きゃー!」

    結局リコは、女湯に連行されてしまったのであった

    モブリット「…………風呂入ろう」

    モブリットはため息一つついて、様々な疲れがたまっている身体を癒すべく風呂に向かったのであった
  61. 61 : : 2015/02/08(日) 19:39:33
    《第27話 不審人物発見!?》

    ミカサ「ただいま」

    いつも夜遅くまで学校にいるミカサだが、今日はたまたま早帰りができた

    日が高いうちに帰れるのは珍しい

    彼女は部屋でゆっくり読書でもしようと考えていた

    アルカディアの玄関を抜け、リビングに入ろうとした時、悲鳴が耳に入ってきた

    ミカサ「……ん?リコさんの悲鳴。女湯からだ。こんな時間に風呂って、変」

    ミカサはぼそぼそ呟きながら足早に女湯に向かった

    リコ「きゃぁ! どこ触ってるんですか! 」

    ミカサの耳にはっきり聞こえた、リコの声

    ミカサ「不審人物。早急に排除しなければ」

    ミカサは女湯に駆け込み、風呂の扉をあけた

    ミカサの目の前には、洗い場で泡だらけになっている二人が見えた

    一人はリコ

    一人は……

    ミカサ「不審人物発見。直ちに離れなさい。さもなければ痴漢と住居無断侵入の現行犯で逮捕する」

    顔を紅潮させながら、リコの身体に触れている人物を指差して言い放った

    リコ「ミ、ミカサ、この方は……」

    ミカサ「リコさん、安心して。わたしに任せて」

    ミカサはじりじりと不審人物に近寄った

    ハンジ「君は……ミカサか。ミカサ・アッカーマン。西京大学法学部首席。文武両道、夢は警視総監、だよね」

    ミカサ「……なんで知っている?」

    ハンジ「私はここのオーナーだからね」

    ミカサ「リコさん、本当?」

    リコ「ああ、そうだよ……」

    リコは頷いた
  62. 62 : : 2015/02/10(火) 16:15:33
    ミカサ「あなたがオーナー?」

    ハンジ「ああ、そうだよ。私はハンジ・ゾエ。今日野暮用がすんで帰って来たんだ。今日から宜しくね!っと、リコ、逃げない」

    リコ「ああっ……」

    ミカサと問答している隙をついて、リコは泡を洗い流して逃げようとしたが、素早く腕を掴まれてしまった

    ミカサ「リコさんが嫌がっている、ので、離してやって欲しい、ハンジさん」

    ハンジ「嫌よ嫌よもや好きのうちさ。私は小さい時からリコと一緒に暮らしてきた。風呂にだって一緒に入っていたんだからね」

    ミカサ「でも、セクハラをしている様にしかみえない」

    リコ「……」

    リコはこくこくと頷いた

    ハンジ「そうか……わかった」

    ミカサ「良かった。話がわかるオーナーで。さ、行こう、リコさ……あっ?!」

    バシャッ!

    ハンジはいきなり、ミカサにお湯をぶっかけた

    ハンジ「ミカサも一緒に入ろう?」

    リコ「ハ、ハンジ様!?」

    ミカサ「び、びしょ濡れになってしまった……」

    ハンジ「油断大敵だよ、警視総監殿……ははは」

    ミカサ「この人、侮れない」

    ミカサはただふざけているだけに見えるハンジに、何か特別なものを見た
  63. 63 : : 2015/02/11(水) 08:56:40
    《第28話 お風呂で座談会》

    ミカサ「ハンジさんはセクハラ……あちこち触られてしまった」

    ミカサは結局身体中をハンジに洗われた

    背中を流してあげると言われて油断したせいだった

    ハンジ「ははは。綺麗になっただろ?女はいつも清潔でいなくちゃね! 」

    リコ「ハンジ様はいつも綺麗にされてないじゃないですか……」

    ハンジ「まあ、そうとも言うかな! ははは」

    ミカサ「ハンジさんには気を付けなければ。貞操の危機が」

    ハンジ「貞操の危機?ミカサってもしかして処女かい?」

    リコ「ビクッ! 」

    ミカサ「リコさんが反応した。私はもちろん処女ですがなにか」

    ハンジ「そっかあ! じゃあまだこれからめくるめくラブファンタジーが……」

    ミカサ「なんですか、ラブファンタジーって。要するにただ男女で身体を貪り合うだけでしょう?」

    ハンジ「そうそう、それ! 」

    ミカサ「私は興味がない。ので処女を貫く」

    ハンジ「貫くの?!誰の処女を?!」

    ミカサ「意味が違う! バカなの?ハンジさんは」

    ハンジ「ははは、ま、冗談さ。しかしリコもその様子だと、まだ処女みたいだね。モブリットのためにとっておいてくれたんだ。ありがとう、リコ」

    リコ「ふぁっ?!ち、違……! 」

    ミカサ「リコさんも処女なのか、意外。モブリットって誰?」

    ハンジ「私の弟で、秘書で足で片腕さ。多分隣の風呂に入ってるよ」

    ミカサ「ハンジさんの弟……きっと強烈なセクハラキャラなんだろうな。エルヴィンさんみたいに」

    リコ「モブリット様は、真面目な方だよ! 」

    ハンジ「リコはモブリットの事になると一生懸命なんだ。なんだか妬けるな。ふふっ」

    ミカサ「エルヴィンさんみたいな門限やぶりの不純異性交遊男じゃなければいいけど」

    エルヴィンはきっと、今頃何度もくしゃみを連発しているだろう
  64. 64 : : 2015/02/12(木) 17:25:15
    《第29話 朝帰り》

    エルヴィン「ただいま……っと。もう11時か。朝帰りになってしまった」

    ハンジ達が風呂に入っている時、エルヴィンが帰宅した

    いわゆる朝帰りである

    昨夜は女性とホテルにいたのだ

    玄関を通り抜け、リビングに足を踏み入れようとした時、いつもとは違う異変に気がつく

    エルヴィン「風呂が沸いてるみたいだな。しかも大浴場だ。誰かいるのか?」

    エルヴィンがそう呟いた時だった

    モブリット「エルヴィンさん」

    風呂上がりのモブリットが、エルヴィンに声をかけた

    エルヴィン「ん?おお、モブリットじゃないか! 四年ぶりだな。元気そうでなにより」

    モブリット「御無沙汰していました。やっと一段落つきまして、帰宅できたんですよ」

    エルヴィン「ハンジも一緒か」

    モブリット「はい。姉さんはリコさんと、会話から判断するにミカサさんと風呂に入っています」

    エルヴィン「会話か。女湯の会話丸聞こえだからな」

    モブリット「はい。姉さんは相変わらずセクハラ紛いの行為をしていたようです」

    エルヴィン「気を付けんと、本当にリコを取られるぞ?」

    モブリット「と、取られるとか取るとか……リコさんは物じゃないんですから……」

    エルヴィン「ずっとお前の事を待っていたぞ。健気に処女を守り抜いてな」

    モブリット「し、処?! ちょっとエルヴィンさん何を…………」

    エルヴィン「早いところ貰ってやれよ?よし、俺も汗をかいたし風呂に入ってくる」

    モブリット「学校で汗をかいた……わけではなさそうですね」

    エルヴィン「ああ。いろいろと野暮用がな。じゃあ後でな」

    モブリット「はい、ごゆっくり」

    エルヴィンは朝風呂を堪能すべくその場を離れた
  65. 65 : : 2015/02/14(土) 11:50:15
    《第30話 ジャンとナイル》

    ジャン「ナイル先輩、今帰りっすか?」

    ナイル「ああ。お前もか、ジャン」

    ジャン「そうなんすよ。西洋建築についての研究テーマが楽そうに見えて、実はやっかいでして」

    ナイル「まあ、西洋は幅広いからな。勉強しがいがある。頑張れよ」

    すっかり日が落ちて、夜の闇に町が覆われている時間帯

    ナイルとジャンは偶然同じ帰宅時間になっていた

    彼らは同じ大学の同じ学部の先輩後輩

    ジャンは真面目なナイルを慕っていた

    ジャン「ナイルさんの研究はどんな感じっすか?」

    ナイル「耐震構造については、なかなか新しい案が浮かばなくてなあ。まあ見事に行き詰まってるぞ」

    ジャン「ですが、地震大国ですしこれまたやりがいがありますね」

    ナイル「そうだな。画期的な建築方法を模索しなければな」

    ジャン「俺も手伝いますよ、ナイルさん!」

    ナイル「まずは自分のを終わらせろよ、ジャン」

    ジャン「はい!」

    ナイルにとってもジャンは可愛い後輩であった

  66. 66 : : 2015/02/14(土) 20:26:36
    《第31話 エレン歓喜する》

    エレン「ちょ、ちょ、ちょっと聞いてくださいよ、リコさん! 」

    あるかてアルカディアに着くなり玄関先でそう叫ぶエレン

    リコ「な、何?夕飯の支度で忙しいんだけど……」

    エレン「裏の丘に、ヘリが停まってますが! 」

    リコ「ああ、そうだね」

    エレン「いやいや、何でそんなに冷静なんですか?!ラジコンじゃないんです、本物ですよ! 」

    リコ「うん、本物だね」

    エレン「誰のですか?!もしかしてエルヴィンさんのですか?!」

    リコ「いや、あれはオーナーのヘリだよ」

    エレン「オーナー?ここのですか?」

    リコ「まあ、詳しい話はリビングで。オーナーがいるからね」

    エレン「アルカディアのオーナーですか! 初めて会います! どんなナイスミドルなのか気になっていました!」

    リコ「うーん、まあ会ってみればわかるよ」

    エレン「うわあ、緊張するなあ! ってかヘリ乗りてえ! 」

    リコ「頼めば乗せてくれると思うよ」

    エレン「うおー! 絶対頼もう! 」

    エレンは嬉々としながらリビングに駆け込んでいった
  67. 67 : : 2015/02/15(日) 20:23:07
    《第32話 一号室の謎は全て解けた》

    エレン「はじめまして!オーナー! 」

    エレンはリビングに入るなりそう叫び、きょろきょろ辺りを見回した

    エルヴィン「お、帰ったか、エレン」

    エレン「エルヴィンさん、オーナーは何処ですか?あ、こんばんは、エルヴィンさんの彼女ですか?」

    エルヴィン「ん?彼女?いや、こいつは彼女じゃないぞ」

    ハンジ「君がエレンか。私はハンジ・ゾエ。ここのオーナーだよ」

    エレン「ええっ!あなたがオーナーですか?! もっとおじさんかと! 」

    ハンジ「さすがにおじさんにはまだ早いかな。そのうちなれそうだけど」

    モブリット「姉さん、性別まで変わるおつもりですか?! 」

    ハンジ「だってリコを嫁にしたいし」

    モブリット「性転換してまでですか?!」

    ハンジ「君がもたもたしてるからさ、モブリット」

    エレン「ちょ、ちょっと話が読めないんですが……ハンジさんとモブリットさんは姉弟なんですかね?」

    エルヴィン「ああ、そうだ。父親が同じでな」

    ハンジ「一号室にまた入るから、仲良くしてね、エレン。お隣さんだしね」

    エレン「一号室の住人は、オーナーだったんですか! 」

    ハンジ「ああ、私の部屋だよ」

    エレン「なんだ、そうか。サシャは喜ぶだろうな。一号室にはお化けがいるってびびっていたしな」

    ハンジ「そうだったのか、はは。サシャが帰ってくる時にお化けの真似でもしようかな?」

    モブリット「可哀想ですよ、やめてあげてください! 」

    エルヴィン「サシャが怖がる顔は可愛いだろうな」

    モブリット「エルヴィンさん、相変わらずですね……」

    モブリットの小さな声は、リビングに笑いを誘った
  68. 68 : : 2015/02/16(月) 15:38:54
    《第33話 エレン君のお願い》

    エレン「そ、そうだ! ハンジさん、あの、ヘリが停まっていたのを見たんですが、あれはハンジさんのヘリなんですよね?! 」

    ハンジ「エレン、積極的だね。君みたいなイケメンに顔を近付けられて、さすがのハンジさんも照れちゃうよ」

    エレン「はっ! す、すみません! ついうっかり、その、ヘリコプターとか飛行機大好きなんですよ! 」

    ハンジ「あのヘリは私達の物だよ。操縦するのはモブリットだしね」

    エレン「えええっ! モブリットさん、ヘリのライセンス持ってるんですか?! かっこいい……」

    モブリット「いや、俺はそれくらいしか能がないから……」

    ハンジ「モブリットは頭もいいよ。私の秘書でもあるからね」

    エルヴィン「モブリットにはよくヘリに乗せてもらったよ。カナディアンロッキーの上からスキーは最高だったな」

    エレン「ヘリスキー?! うおお、まじっすか! 」

    モブリット「エレンはスキーやるのかな?」

    エレン「俺はボードなんですけど! ヘリスキー憧れでした! 」

    エルヴィン「今年の冬は楽しくなりそうだな。モブリットがいない間はヘリスキーもできなかったし、夜間飛行もできなかったしなあ」

    モブリット「すみません、楽しみを奪う形になってしまって。冬が楽しみですね。皆で行きましょう」

    エレン「やったぜ! またヘリに乗せて欲しいです! モブリットさん! 」

    モブリット「勿論、いつでもいいよ」

    エレン「うぉー! テンション上がるぜ! 」

    エレンは欲しかったおもちゃを手にいれた子どもの様に喜んでいた

  69. 69 : : 2015/02/17(火) 14:49:48
    《第34話 おばけなんてないさ》

    サシャ「ただいまですー! ってあれ、リビングが真っ暗ですね」

    サシャはいつもならこの時間談笑しながら寛ぐ住人がいるはずのリビングに足を踏み入れて首をかしげた

    人っこ一人いなくて、真っ暗なリビング

    サシャは恐る恐る足を踏み出した

    サシャ「なんだか、いやーな予感がします。私の嫌な予感はかなりの確率で的中するんですよ……もしかして、強盗でも入ったんでしょうか……?」

    リビングを横切り、部屋に続く廊下を出た

    サシャが一号室の前を通りすぎた、その時だった

    キィ……一号室の扉が音をたてた

    サシャ「ひぃっ! 変な音がしましたよ! ふ、振り向いたら最後な気がします……」

    つんつん

    何者かがサシャの髪の毛を引っ張る

    サシャ「ぎゃぁぁぁ!一号室のお化け出たぁぁ! ジャーン助けてくださぁい! 」

    サシャが叫んだその時

    廊下の電気がついた

    サシャ「うっうっ……明かりがついた……」

    ハンジ「やあ、サシャ、はじめまして。私はハンジ・ゾエ」

    サシャ「ぎゃぁぁぁ!ゾンビがいますゾンビが! 」

    モブリット「姉さん、ゾンビマスク外して挨拶して下さいよ……」

    サシャ「お、美味しそうな顔の男の人がいます。きっとまともな人ですよ。芋顔に悪い人はいませんから! 」

    モブリット「もしかして、芋顔って俺の事かな……?」

    ハンジ「ははは、芋男芋男! 」

    サシャ「ゾンビがいます、芋さん! 」

    モブリット「俺はモブリット、芋じゃないよ。姉さんもしつこい! 」

    サシャ「優しそうでイケメンな芋さん、助けてください、ゾンビが! 」

    ハンジ「サシャ、私とデートしよう? なんでも好きなもの食べさせてあげるからさ」

    サシャ「ゾンビさんとデート、嫌だけど、なんでも食べさせてもらえるなら……松阪牛のヒレステーキが食べたい……」

    モブリット「姉さん!ゾンビマスクでナンパしない! 」

    こうして、ハンジによるサシャお化けどっきりは敢行されたのであった

  70. 70 : : 2015/02/18(水) 12:49:32
    《第35話 びっくりしましたよ! 》

    サシャ「もう、皆さん酷いですよー! 怖くてちびりそうになったじゃないですか」

    ハンジ「いやあすまないね。どうしても驚かせたくてさ」

    エルヴィン「サシャの怖がる顔はちゃんとカメラにおさめたからな。ジャンに見せてやろう」

    サシャ「嫌ですよー恥ずかしいです! 」

    モブリット「すまないね、サシャ。姉さんはイタズラ好きでどうしようもないんだ」

    サシャ「いいんですよ、芋さん! おかげでステーキご馳走してもらえますしね! 」

    エレン「モブリットさんに芋だなんていうなよな! すげえ人なんだぜ?! 」

    サシャ「芋は誉め言葉ですよ! 」

    ミカサ「芋が誉め言葉はおかしい、と思う。モブリットさんはイケメンの部類に充分入ると思う」

    エルヴィン「まあ、俺よりは劣るがな」

    ミカサ「品行がいいぶん、モブリットさんに軍配があがる」

    エレン「そうだな、ヘリの操縦もできるしな!」

    モブリット「だからそんなにイケメンでも凄くもないって……芋はやめてほしいけどね」

    モブリットは困ったようにそう言った

    ハンジ「住人が集まったら、皆で食事だね。リコの手伝いしてやって、サシャ」

    サシャ「料理はまかせて下さい! 」

    モブリット「俺も手伝ってきます」

    エレン「モブリットさんがいくなら俺も!」

    ハンジ「はは、エレンはえらくモブリットを気に入ったんだね」

    こうして、アルカディアの住人勢揃いの夕食会にむけて、準備が始まるのであった
  71. 71 : : 2015/02/19(木) 12:20:34
    《第36話 楽しいクッキング 》

    リコ「今日はそんなに用意する事はないんですよ、モブリット様」

    エレン「モブリット様?! リコさんてモブリットさんと一体どんな関係が……」

    モブリット「様だなんて言う必要はないですよ、リコさん」

    サシャ「まあでも、ハンジさんの弟っていう事は、あのゾエ財閥のご子息様ですからねぇ、やっぱり私も様つけますよ! 芋ブリット様」

    リコ「芋だなんて失礼だよ、サシャ」

    モブリット「すっかり芋が定着してしまったよ……」

    エレン「モブリット様、元気だして下さい! あなたにはヘリと俺がついているじゃないですか! 」

    サシャ「私もついているじゃないですか! 」

    リコ「サシャが原因なんでしょ!ばかっ! 」

    モブリット「ま、何でもいいか。それより夕飯の支度をしてしまいましょう。今日はなんですか?リコさん」

    リコ「うーん、すでにおでんを煮たたせているんですよ。ハンジ様とモブリット様が帰ってこられるなら、豪華な食事にしておけばよかった……」

    モブリット「いやいや。おでん、久々に食べたいです。何せ外食ばかりでしたからね」

    サシャ「おでんパーティー、いいですね! 」

    エレン「お酒が足りないんじゃないですか?買い出ししてきましょうか」

    リコ「そうだね、足りないかも。エレン、頼まれてくれる?私たちはおにぎりでも作っておくよ。パーティーだしね」

    サシャ「鮭にたらこにツナの具材用意しますね♪」

    モブリット「では、エレンと一緒に買い出ししてきますね。車、お借りして」

    リコ「すみません、モブリット様、疲れているのに……」

    エレン「エルヴィンさんにキーもらってきます!」

    こうして着々と、おでんパーティーの支度が整っていくのであった
  72. 72 : : 2015/02/20(金) 15:29:31
    《第37話 リコとサシャのおにぎりにぎにぎ 》

    リコ「よっ、よっ」

    ぎゅっぎゅっ

    サシャ「リコさんて、手が小さいですね!おにぎりも必然的に小さいですよ! 私なんて見てください! 」

    リコ「サシャのが大きすぎるんだよ」

    サシャ「ジャンボ握りですよ! いくらをいれてみました! 」

    リコ「いくらいれたの?もっと小さいのつくって、たくさんいくらのおにぎり作ろうと思ったのに……よっよっ」

    サシャ「リコさんて、おにぎりにぎにぎする時、効果音口ずさんでて可愛いですね! 」

    リコ「か、可愛くなんかない! つい口癖で……」

    サシャ「あっ、顔真っ赤ですよ! 可愛いです……おっぱいにぎにぎ」

    リコ「こ、こらぁ! セクハラしないっ! 」

    ミカサ「セクハラの現行犯で逮捕する、サシャ」

    サシャ「うわお、ミカサが突然現れましたよ! 油断も隙もありません!」

    リコ「それはこっちの台詞だよ……」

    リコは力一杯握られてじんじんする胸をさすりながら、息を吐いたのであった
  73. 73 : : 2015/02/22(日) 11:51:32
    《第38話 お疲れアニさん 》

    アニ「(はぁ……今日も疲れたね。接客の講座は苦手だよ。CAに向いてないのかもね、私)」

    アニは足取り重く、帰宅の途についていた

    最寄り駅からアルカディアは自転車で10分程

    だが、アルカディアは小高い丘の上にある

    自転車で行くとなると、行きはよいよい帰りは面倒……登り坂のオンパレード

    なので、駅からは徒歩だった

    今日の出来事を反芻しながら、ゆっくり歩みを進めていると、突如横合いから声がした

    「アニ! アニ!」

    自分の名を呼ぶ声の方向に視線を移すと、見知った車の窓から、見知った人が手を振っていた
  74. 75 : : 2015/02/22(日) 21:27:28
    アニ「エレン」

    エレンは助手席から手を振っていた

    アニが近寄ると、運転席側の扉が開いた

    出てきたのは……アニが知らない男だった

    車を運転していたのは──

    モブリット「初めまして。アニ・レオンハートさん。俺はモブリット・バーナーといいます。お疲れでしょう、詳しい話しは車中でしますね」

    モブリットはそう言うと、後部座席のドアを開けてアニを車に誘った

    アニ「よ、よろしく……お願いします」

    何がなんだか訳がわからなかったアニだったが、エレンがにこにこと嬉しそうにしているのもあって、大人しくエスコートされたのであった
  75. 76 : : 2015/02/23(月) 16:38:10
    《第39話 空のお仕事 》

    アニ「そうかい、一号室がオーナーの部屋だったんだね」

    車の中で、助手席のエレンと雑談をしているアニ

    エレンとモブリットからだいたいの話を聞いて、納得したように頷いた

    エレン「そうなんだ。モブリットさんは、オーナーの弟さんで、ヘリの操縦士なんだぜ! ヘリでアルカディアに帰ってきたんだ。すげーだろ?」

    アニ「へえ、ヘリコプターかい。そういえば航空科にもヘリパイロット目指している子がいるね。でも、凄くお金がかかるらしいよ?」

    エレン「そこはゾエ家だから! 」

    モブリット「そうだね。俺の場合は安くあげるために実習は全て海外だったよ。国内でやろうとすると大変だからね」

    アニ「事業用の免許なんですか?それとも自家用?」

    モブリット「アニは詳しいんだね。俺のは事業用の免許だよ。遊覧ヘリなんかもしたことがあるからね」

    エレン「アニはCA目指してるんですよ。だから空関係詳しいです! 」

    アニ「前途多難だよ。何せ愛想を振り撒くってのが苦手でね」

    エレン「大丈夫さ、アニは美人だし真面目だから、必ずCAになれるぜ」

    モブリット「そうだね、たしかに美人だ。頑張って。応援しているよ」

    アニ「ちょ、ちょっと、やめてよ……恥ずかしい」

    アニは二人の誉め言葉に、白い頬を真っ赤に染めた
  76. 77 : : 2015/02/24(火) 20:39:32
    アニ「オーナーさんとモブリットさんの歓迎会するんだね。だから大量の酒なんだ」

    エレン「そうなんだよ。皆飲むしな。リコさん以外。そういえば、モブリットさんお酒は呑まれますか?」

    モブリット「ああ、よく飲むよ」

    アニ「ひさしぶりに私も飲もうかな。アルカディアでなら酔っても大丈夫だしね」

    エレン「エルヴィンさんに襲われないように見ててやるよ!」

    アニ「あの人はそこまで見境ないのかい?」

    モブリット「エルヴィンさんはもてるからね。見境ないというか、来るもの拒まずというかね」

    エレン「モブリットさん詳しいですね」

    モブリット「ああ、だってエルヴィンさんの彼女……かどうかわからないけど、何人も遊覧ヘリに乗せたことがあるからね」

    アニ「ヘリをデートに使われてたんだね」

    モブリット「まあ、その代わりにバイト代ははずんでもらったよ。これも貰ったんだ」

    モブリットはそう言うと、左腕を二人に見せた

    腕にはフランクミュラーのカラフルな時計がはめられていた

    エレン「これ、高いっすよね。エルヴィンさん半端ねえな」

    アニ「フランクミュラー、可愛いね。私もほしい、かも」

    エレン「アニはブランド好きなのか?」

    アニ「いや、それほどでもないよ。フランクミュラーは可愛いと思うけどね」

    エレン「そうか、欲しいのか……」

    アニ「いや、別に今すぐ欲しい訳じゃないさ。働いて稼いで買う予定」

    モブリット「それがいいね。自分へのご褒美だ」

    三人は他愛ない話をしながら親睦を深めた
  77. 78 : : 2015/02/25(水) 23:05:33
    《第40話 全員集合 》

    ジャン「ただいまー!」

    ナイル「お、何か見慣れない靴があるぞ」

    大学から仲良く帰宅した二人は、すぐさま異変に気が付いた

    ジャン「ほんとっすね。二足多い」

    リコ「おかえり、ナイル、ジャン」

    ジャン「リコさんただいまっす! 今日の飯は!」

    ナイル「飯より聞くことがあるだろ、ジャン。誰かお客か?……いや、リコ、お前のその緩んだ表情から察するに、奴等が帰ってきたか」

    リコ「ゆ、ゆるんでなんかいないよ!?」

    ジャン「何の話っすか?リコさんはいつもかわいいですけど」

    ナイル「まあ、リビングに行けばわかるさ、ジャン」

    リコ「今日はおでんにおにぎりだよ。お酒もたくさんあるから」

    ジャン「おでん!酒!やったぜ!」

    三人は皆が集まるリビングへ足を運んだ
  78. 79 : : 2015/02/27(金) 14:00:03
    ジャン「ただいまー」

    サシャ「あっ、ジャンにナイルさん、おかえりなさい! 」

    ナイル「ただいま。おお、こりゃまた懐かしい顔が。オーナー殿のご帰還か」

    ハンジ「やあ、ナイル。相変わらず年のわりに老けてて苦労してるね」

    モブリット「ね、姉さん?!久々にあった人に何を!」

    ナイル「ふけてないぞ! 相変わらずだな、ハンジ。モブリットに迷惑かけまくったんだろ、お前」

    モブリット「そりゃあもう、ナイルさんのご想像通りですよ」

    ナイル「だよな」

    エルヴィン「苦労人同士か、はは」

    サシャ「ナイルさんもハンジさんとモブリットさんを知ってたんですねー!お化けじゃないって教えて下さいよー」

    ナイル「すまないな、サシャ。この姉弟は神出鬼没でな、いつ戻ってくるかも定かじゃないから教えられなかった」

    ジャン「サシャ、良かったな。お化けじゃなくて!」

    サシャ「はい、本当に良かったですよ!あ、皆さん揃いましたし、おでんパーティー始めましょう!」

    エレン「酒もあるぜ!」

    ジャン「お前にしてはよく気が利くな」

    エレン「俺だってたまにはな!」

    アニ「二人とも、喧嘩しない。パーティー始めよう」

    ミカサ「そう。戦うなら食後に私が相手をしてあげる」

    ジャン「ミカサと……?」

    エレン「だまされるな、ジャン!ミカサは柔道有段者だぞ!殺されるぜ?!」

    ジャン「まじかよ!」

    ミカサ「ちょっと……ごきっと音させるだけ」

    ハンジ「それ、骨折る音だよね!はは!」

    モブリット「くわばらくわばら」

    リコ「さ、皆お皿とお酒配るよ」

    こうして、アルカディアについに住人が揃った
  79. 80 : : 2015/03/01(日) 13:49:27
    《第41話 アルカディアオーナーの秘密 》

    アニ「ハンジさんは、すごいセレブなんだよね?とてもそうは見えないけど」

    ハンジ「いやあ、セレブったってじいさんの遺産受け継いだだけで自分が何かやったわけじゃないからなあ」

    アニ「そういう意味じゃなくて、普通に見た目の話。だってよれよれの服着てるしさ」

    モブリット「アニ、もっと言ってやってくれよ。俺が何回言っても身だしなみに気を使わないんだから」

    ハンジ「いいじゃないか、別に裸で歩いてるわけじゃなし」

    モブリット「裸の方がましかもしれないですよ、姉さん」

    ハンジ「ほう、君は姉の裸に興味があるんだね。まあ健全な男子なら致し方ない」

    モブリット「興味ありませんよ! あなたの裸なんか! ボタン外さないで下さい! 」

    アニ「今度皆で服を買いにいくからさ、ハンジさんも一緒に来るかい?」

    ハンジ「おお、女子会に入れてくれるのぉ?!アニ大好き! んーもみもみ」

    アニ「ちょ、胸もまないでよ?!」

    モブリット「姉さんセクハラです! 」


    ハンジはすっかりアニと仲良くなった
  80. 81 : : 2015/03/01(日) 22:33:23
    《第42話 リコの恋の行方 》

    ナイル「盛り上がってるな」

    リコ「ああ、そうだね。皆楽しそうに打ち解けて」

    ナイルはリコが使い終わった皿を洗っているのを見て、手伝っていた


    ナイル「…………良かったな、リコ」

    リコ「ん?何が?」


    ナイル「奴が戻ってきて」

    リコはその言葉に、しばし皿を洗う手を止めた


    リコ「……ああ、そうだね」

    そう言うと、はぁと息をついてまた皿を洗い始めた


    ナイル「何か引っ掛かる事でもあるのか?」

    リコ「いや、何も無いよ。本当に良かったと思ってる」

    ナイル「そうか、ならいいんだがな」

    リコ「あなたは人の事ばかり気にしないで、自分の事を気にしたら?」

    ナイル「いや、なんというか……お前は素直じゃないから心配してやってるんだ」

    リコ「うるさいよ、ナイル」

    ナイル「図星だろう?現にお前、極力奴と関わるのを避けてるじゃないか。本当はしがみつきたい癖にな」

    リコ「そ、そんな事は……」

    ナイル「奴も無駄に紳士的だからなあ。素直じゃない女と紳士的過ぎる男、どうすれば距離が縮まるかな」

    リコ「そんな事考えなくていいってば!」

    リコの言葉がリビングに響き渡り、皆が注目したのは言うまでもない
  81. 82 : : 2015/03/02(月) 23:25:07
    《第43話 プロレスごっこ》

    ジャン「うらぁそこだそこっ、あんときの猪木!ウエスタンラリアットぉ!」

    エレン「ダイナマイト四国、いけーっ四の地固めっ!」

    ミカサ「プロレスよりも柔道の方が面白いのに」

    ジャン「ミカサ、プロレスは深いんだぜ?格闘技に長けたお前にならわかるはずだ!」

    エレン「ミカサ!四国の方が強いよな?技の切れとかスピードとか! 」

    ジャン「技の重さが違うわ!」

    エレン「瀬戸内海の荒海に揉まれた四国だぞ!?」

    ミカサ「瀬戸内海は静かな海、荒れてない」

    エレン「あっ」

    ジャン「ほらな」

    ミカサ「どっちも一長一短。だから見てて面白い。それでいい。でも柔道の方が面白い」

    エレン「柔道かあ、一回技掛けてみてえなあ。一本背負いとかよ」

    ミカサ「……ふっ!」

    ミカサが突然滑るように動いた

    と思ったら、ジャンの腕をとり脚を引っかけて背負って投げた

    ダーン


    ジャン「いってぇ!」

    ミカサ「これか一本背負い。ジャンはさすが。プロレス見てるだけあって、受け身が完璧だった」

    エレン「ミカサかっこいい……」

    エレンはミカサに一本背負いのレクチャーをせがんだ
  82. 83 : : 2015/03/03(火) 22:02:05
    《第44話 オーナーの特技》

    ハンジ「いやあ、アルカディアも私がいない間に面子は変わって、更に賑やかになったね」

    エルヴィン「ああ。特に今年は若い奴が増えたしな」

    ハンジ「エレンとミカサだね。なかなかの美男美女だ」

    エルヴィン「そういえば、ハンジ、君はバイオリンは辞めたのか?」

    ハンジ「今は休止中かな。なかなか練習時間も、師匠に習いに行く時間もなくてさ。コンクールに出るにしても準備する暇がなくて」

    エルヴィン「あれだけ好きだったのに、勿体ないな」

    ハンジ「まあ、そのうち再開する予定だけどさ。調律、たまにきてるだろ?」

    エルヴィン「ああ、ピアノはいつでも使える状態らしい」

    ハンジ「久々にやろうかな」

    エルヴィン「お、久々に聴くか」

    ハンジ「鈍ってるよ?」

    エルヴィン「構わないさ。聞かせてくれ」

    ハンジはエルヴィンと共にソファから立ち上がった
  83. 84 : : 2015/03/04(水) 13:20:12
    ハンジ「モブリット、久々にやろう」

    モブリット「えっ、今からですか?」

    エルヴィン「久々に聴きたくなってな」


    アニ「何かするのかい?今から」

    モブリットと話していたアニが訊ねた


    ハンジ「私の特技をお聞かせしようと思ってね」

    アニ「特技?」

    モブリット「姉さんはセクハラで変人だけど、凄い特技を持ってるんだよ」

    ミカサ「見たい……かも」

    ジャン「俺もみるぜ!」

    エレン「もちろん俺も!」

    けっきょくアルカディアの住人全員が、ハンジの特技を確かめるべく一号室に集まった
  84. 85 : : 2015/03/05(木) 15:32:38
    開かずの間の一号室の大きな部屋の真ん中に、グランドピアノが置かれていた

    サシャ「一号室って広いですねぇ」

    ハンジ「まあ、オーナーの特権てやつかな?というより、私は音楽をやっていてね、そのためにこの部屋は防音室になってるんだ」

    皆が部屋を興味深く見回す中、モブリットが脇目もふらずにピアノに向かう

    モブリット「うーん、久々すぎて指が動くだろうか……」

    彼はそう独りごちながら、ポロポロとピアノを奏でた

    エレン「モブリットさん、ピアノ弾けるんですか!?」

    モブリット「少しだよ。嗜む程度さ」

    アニ「いや、凄いと思う……私も少しやってたからわかるけどさ……」

    モブリット「大したことないって。姉さんに比べたら……」

    ジャン「ハンジさんは……バンジョーとか似合いそうですけど」

    ミカサ「太鼓だと思う」

    サシャ「ウクレレ!」

    ハンジ「おいおい、人が準備してる間になんの予想だよ」

    そう言いながら奥の部屋から出てきたハンジは……

    アニ「バイオリン?」

    エルヴィン「ああ、ハンジは音楽留学する予定だったくらいの実力をもっている、バイオリニストだ」

    ナイル「こいつがこの性格でバイオリンなんて信じられないだろうが、聞けばわかるだろう」

    ハンジ「待ってよ、もうしばらくまともに練習してないんだから、ハードルあげないでくれ」

    ハンジは困ったように肩を竦めた
  85. 86 : : 2015/03/07(土) 19:48:14
    《第45話 ハンジさんのバイオリン》

    一号室に一種の緊張感が漂う

    ハンジの視線がピアノに座る弟に向けられる

    彼もまた、視線を姉に向けていた

    目配せの後、それは唐突に始まった

    ハンジがバイオリンの弦を引く度に、甘くどこか切ない様な音色が響く

    聴衆が食い入るように見つめる中、緊張感を振り払うかの様なハンジのバイオリン

    それに控えめながら、支える様にピアノを奏でる弟モブリット

    その演奏はまるで、二人の歩んできた道を記しているようだった
  86. 87 : : 2015/03/08(日) 19:16:35
    サシャ「すっごいですー! 二人ともかっこいい! 」

    演奏が終わるや否や、立ち上がり手を叩くサシャ

    皆が一様に顔に感動の色を浮かべていた

    エルヴィン「鈍ってないじゃないか。パガニーニ、さすがだな」

    ハンジ「まあ、暇があれば弾いてたからね。でもやっぱりダメだよ」

    アニ「心を打つ演奏だったね」

    ミカサ「セクハラの常習犯の演奏とは思えない」

    エレン「モブリットさん、ヘリだけじゃなくてピアノまで、まじですげえ」

    モブリット「俺のピアノなんかおまけレベルだよ。姉さんのバイオリンは本物だけどね」

    ジャン「男のピアノってなんかかっこいいな。俺も習おうかな」

    サシャ「ジャンはこれ以上かっこよくなってどうするんですか?!まさか浮気……」

    ジャン「そ、そう言うやましい考えじゃねえよ!」

    ナイル「……」

    ナイルはなぜか、部屋の扉の方に視線を向けていた
  87. 88 : : 2015/03/09(月) 20:01:32
    《第46話 扉の向こう側》

    エルヴィン「やはり君はバイオリンをするべきだ、ハンジ」

    ハンジ「そう、かな」

    ミカサ「感動した。あんまり音楽の事はわからないけど、もっと聴いてみたいと思った」

    ハンジ「わー、ミカサに誉められた!お風呂一緒に入ろ?」

    サシャ「あっ、私も一緒に入ります! 」

    アニ「セクハラ女子が増えた……?」

    ミカサ「自分の身は自分で守らないとね」

    ジャン「女子は一緒に風呂入りたがるよな」

    エルヴィン「ジャンもエレンと風呂はいってきたらどうだ」

    エレン「ジャンと一緒になんか入りたくないっすよ。モブリットさんのお背中なら流しますが!」

    ジャン「俺はナイルさんの背中なら流すぜ!ってナイルさん?」

    ナイルは何やらモブリットに耳打ちしていた

    扉の向こう側に視線をやりながら
  88. 89 : : 2015/03/10(火) 22:58:11
    ナイルに何やら耳打ちされた後

    モブリット「ちょっと、出てきます」

    モブリットはそう言ってピアノの椅子から立ち上がり、部屋を出ていった


    エレン「モブリットさんが行くなら俺も! 」

    アニ「エレン、モブリットさんの邪魔になるから行かない方がいいよ」

    エレン「邪魔になるってなんだよ、アニ」

    ナイル「人の恋路を邪魔する奴はって意味だ」

    ジャン「恋?! 」

    ハンジ「なかなか前に進まない恋路だからねえ。これだから押しの弱い男はだめさ」

    エルヴィン「一理あるな」

    ミカサ「エルヴィンさんは押し倒しすぎる……と思う」

    サシャ「ミカサ上手いこと言いますねえ!」

    ナイル「世話が焼けるな、まったく」

    ナイルは肩を竦めた
  89. 90 : : 2015/03/11(水) 21:39:27
    《第47話 心と心》

    モブリットが部屋を出た時、彼の探し人はリビングから繋がるダイニングキッチンにいた

    モブリット「リコさん、手伝いますよ」

    リコ「あっ、モブリット様……もう終わるので大丈夫です。それより、皆さんと楽しんでいて下さい」

    モブリット「充分楽しみましたよ。久々に姉さんと二重奏もできましたしね」

    リコ「……はい、聴こえていました。とても、素敵な演奏でした」

    モブリット「姉さんに是非言ってやって下さい。喜びますよ……姉さんはずっと、あなたにだけは連絡をとりたいと、そう言っていたんです」

    リコ「ハンジ様……」

    モブリット「それを止めたのは俺です。ですから、あなたに何も知らせずここで待たせたのも、俺なんです」

    リコ「モブリット様……」

    モブリットの辛そうな表情に、リコは目を伏せた
  90. 91 : : 2015/03/11(水) 22:07:03
    リコ「モブリット様が謝る事じゃありません。だって、ハンジ様を守るためなんですから……」

    モブリット「あなたを連れていけば良かったと、何度も後悔しました」

    リコ「お気持ちだけで充分です。だって、ここを守る人が必要だったんです。ハンジ様が愛したこのアルカディアを守る人が」

    モブリット「リコさん……」

    リコ「それに、結構楽しかったんですよ?あなた方が急に姿を消した時は、胸が張り裂けそうになりましたけど、便り無いのは無事の知らせと言いますし、それに……」

    リコはそこまで言って言葉を切った

    彼女はモブリットの顔をちらっと見た

    彼女が心から慕う男の表情は、真摯で、全てを受け止めてくれる様な懐の深さを感じさせた

    リコ「こうして戻ってきて下さっただけで、私は何もいりません」

    リコの言葉に、モブリットの瞳が揺れる

    主人の数々の危機を退けてきたであろう、彼の手が、リコの手を握りしめた

    ただ手を触れあわせただけなのに、二人の間で何かが繋がった

  91. 92 : : 2015/03/12(木) 20:30:27
    《第48話 人の恋路を邪魔する奴は》

    モブリット「リコさん、そういえばあなたをお乗せしたことがありませんでしたね。ヘリに」

    リコ「あ、はい。そういえばそうですね」

    モブリット「もし良かったら、今から乗りませんか?給油がてらなんですが」

    リコ「えっ……でも、あの……」

    リコは手を握られたまま、もじもじした

    モブリット「もしかして、高所恐怖症だったりしますか?」

    リコ「あっ、いえ、そうではなくて、その……」

    リコはただ二人きりでいる事を想像して恥ずかしくなっただけなのだが、モブリットには伝わらない

    モブリット「無理にではないんですが……」

    リコ「モ、モブリット様、そんな顔なさらないで下さい……あの、是非乗せて下さい! 」

    モブリットのなんとも悲しげな表情に、リコは思わず叫んだ



    その時だった


    エレン「俺も乗せて下さい! 」

    リビングと廊下の境目の扉がいきなり開き、エレンが飛び出してきた

    ジャン「ばっばかやろう! なんてタイミングで乱入するんだよこの天然! 」

    ハンジ「あっちゃー聞き耳立ててたのばれた」

    アニ「エレンのどじ」

    サシャ「もう少しで、ラブシーンが見れたかもしれなかったんですよ!」

    エルヴィン「全くだ」

    ナイル「お前らは……馬に蹴られて何処か遠くへ行ってろ」

    ナイルがため息混じりに呟いた
  92. 93 : : 2015/03/12(木) 21:25:37
    リコ「な、な、な……」

    モブリット「姉さんたち……」

    ハンジ「手を握りあって、仲睦まじいね。続きどうぞ?引っ込むから」

    モブリット「続きなんかするはずないでしょう?ここで。リコさん、ヘリポートで待っていますね」

    モブリットはリコの手を離すと、リビングを後にした

    ミカサ「続き……?不純異性交遊にあたる行為は禁止」

    リコ「そ、そんな事……するわけないでしょ」

    ハンジ「ミカサ、許してやってよ。愛し合ってるんだから、そうなって当然だろ?」

    リコ「ハンジ様?!」

    ミカサ「……まあ、今日は特別に。エルヴィンさんみたいに誰彼構わずではなさそうだし」

    エルヴィン「最近ミカサに誤解されているようで悲しいよ」

    ナイル「誤解じゃなくて、真実だろう」

    サシャ「リコさん顔真っ赤ですよ、可愛いです」

    アニ「リコ、大丈夫かい?」

    リコ「皆で覗いてたんだね……?」

    アニ「私は、リコが心配だったからだよ。でも、よかったよ、ほんと」

    リコ「……とにかく恥ずかしい」

    エレン「いいなあ、リコさんヘリに乗せてもらえて……」

    ジャン「今度乗せてもらえよ、頼むから今日はやめとけ」

    エレン「分かってるさ」

    ハンジ「リコ、モブリットの事、よろしく頼むよ」

    エルヴィン「リコ、頑張ってこいよ」

    リコ「な、何を頑張るのよ……」

    リコは両手で顔を覆った


  93. 94 : : 2015/03/14(土) 22:20:20
    《第49話 続きって何》

    リコはアルカディアの玄関を出て、夜の闇の中をヘリポートに向かって歩いていた

    リコ「(が、頑張ってとか……何よ?でも、さっきモブリット様は続きがどうとか言ってたよね……続き、続き……うそでしょ……?)」

    リコは立ち止まり両手で顔を覆った

    続きを想像して、とてつもなく恥ずかしくなったのだ

    リコ「(ど、どうしよう、どうしたらいい?二人きりだよね……恥ずかしいし、どんな顔したらいいのか分からないし……)」

    リコ「(で、でも、待っていますねって言われたし、行かなきゃ待たせてしまうよね、モブリット様を)」

    リコは両手で頬をパン、と張った

    リコ「(行くしかない、そうだよね、勇気出さなきゃ……)」

    リコは意を決して一歩足を踏み出した
  94. 95 : : 2015/03/16(月) 22:03:41
    《第50話 夜間飛行》

    リコがヘリポートに着いた時には、すでにヘリのエンジンがかかっていた

    タラップに足をかけたり下ろしたり、しばしそのまま躊躇して踏み台昇降よろしくしていると、中から声がした

    モブリット「リコさん?どうぞ、上がってきて下さい」

    その声にリコは目を閉じ、深呼吸をした

    平常心平常心……

    そう言い聞かせながら、声の主がいるであろうヘリの操縦席に向かった


    操縦席には、ヘッドセットをつけて機器をいじっているモブリットがいた

    リコ「モブリット様……」

    リコが声をかけると、モブリットは振り返る

    優しげな眼差し

    それは別れた四年前と何ら変わらない、リコが大好きな瞳だった

    モブリット「座って下さい、大丈夫ですから」

    リコがなかなか来なかったのを、怖いからだと勘違いしたのだろうか

    モブリットは安心させるようにゆっくりと、彼女を隣の席に誘った

    リコが座ると、シートベルトを手際よく着けてやった

    リコ「ありがとうございます」

    モブリット「車ほど揺れないとは思いますが……さあ飛ばそうかな」

    モブリットは自らも操縦席のシートベルトをしめ、ポチポチと操作していく

    スロットルを引くと、ヘリがゆっくり浮かんだ

    リコはどんどん小さくなる、眼下に見下ろすアルカディアに、魅入っていた
  95. 96 : : 2015/03/20(金) 09:40:28
    モブリット「大丈夫ですか?」

    ヘリのコンソールを確認しながら、リコにそう声をかけるモブリット

    リコ「大丈夫です、モブリット様。とても綺麗ですね」

    リコは眼下の景色に見入っていた

    夜の闇の中に輝く無数の星は、地上の光

    それは、夜空の星以上に美しく見えた

    モブリット「そうでしょう?とは言っても、俺はそういえば余り景色を楽しむようなフライトはしたことがなかった気がしますが」

    リコ「モブリット様はいつも気を張り詰めていらしたから……ハンジ様のために」

    モブリット「そうですね……ですが、今は楽しめています。久々に、ほっとしているんです。懐かしい顔ぶれに再会できましたし、それに……別れた頃と変わらない貴女に会えたので」

    リコ「…………」

    リコは何も言えなかった

    恥ずかしくてとてもじゃないが、直接顔を見られない

    夜の景色で気を紛らわそうと、ヘリのガラスに視線をうつした時

    ガラス越しに、柔らかな笑顔のモブリットを確認してしまい、心臓がはねあがった
  96. 97 : : 2015/03/22(日) 08:40:46
    《第51話 大人の座談会》

    ハンジ「今ごろよろしくやってるかなぁ」

    エルヴィン「決まっているだろう。真面目紳士はああ見えて状況判断は素早いからな」

    ナイル「いやあわからんぞ。何せリコは素直になれない所があるからな」

    ハンジ「ナイルはいいのかい?リコの事、気になっていたんだろ?」

    ナイル「……何故そうなるんだ?!」

    エルヴィン「確かに。いつもリコをそれとなくフォローしていたし、寄り添ってやっていたよな、ナイル」

    ナイル「うるさい!俺と似ているからほっとけなかっただけだ!」

    ハンジ「ナイルっていいやつだよね」

    エルヴィン「そうだな、いいやつだ」

    ナイル「なんだお前ら、気持ち悪いぞ!」

    ハンジ「わたしはナイルみたいな誠実な男がいいな」

    エルヴィン「そうだな、お前が女なら考えたかもしれん」

    ナイル「き、気持ち悪すぎて吐き気がするわ!」

    ハンジ「顔真っ赤だし」

    エルヴィン「満更でもなさそうだ」

    ナイル「くっ……お前ら……やめてくれ、ぞわぞわする」

    ハンジ「まあ、ナイルはリコの気持ちを知ってるからね、もう随分前から。あなたがいたから、リコをここに置いていけた」

    ナイル「リコの保護者の様な気分だったさ」

    エルヴィン「まだ童貞なのに、保護者とはな」

    ハンジ「まじで?!ナイルいい男なのに!」

    ナイル「うるさい! ……だが正直そろそろ卒業すべきだと自分でも思っていたりする」

    エルヴィン「ようやくその気になったか。早速合コンセッティングしてやろう」

    ハンジ「私も参加する!勿論男装で!」

    ナイル「ばかか!お前に全部持ってかれるわ!」

    ハンジ「やだなに、その誉め言葉!」

    アルカディア大人組はとても仲良しである
  97. 98 : : 2015/03/25(水) 13:24:07
    《第52話 おやすみの時間》

    エレン「ふわぁ……」

    サシャ「エレン、さっきからあくびばっかりしてますねえ。もうおねむなんですか?」

    アニ「まだ10時半だけどね」

    ジャン「エレンは腹一杯になると直ぐに眠たくなるよな。ガキみてえだせ」

    エレン「なっ、なんだと?!まだ、まだ眠たくねえ!」

    アニ「無理しちゃダメだよ。エレンは放課後にも泳いでて体力消耗してるんだからね」

    ミカサ「そう、早寝早起きはいい事」

    ジャン「エレンは早寝遅起きだけどな」

    サシャ「確かに!いつもぎりぎりまで寝てて、遅刻しそうになってますよね!」

    アニ「そして社会の窓開けっぱなし」

    エレン「うわぁぁ、俺いじめられてる!」

    ミカサ「いじめられてるんじゃなく、いじられてる。おいしい立ち位置」

    エレン「芸人じゃねえんだから、美味しいもなにもないだろ?」

    エレンは皆の人気者である
  98. 99 : : 2015/03/28(土) 19:46:22
    《第53話 二人っきり》

    モブリット「リコさん、お疲れ様でした」

    給油を終えて着陸したヘリの中で、心なしハスキーな低い声で同乗者を労うモブリット

    リコ「は、はい! いえ、私は疲れていません。モブリット様こそ、お疲れ様……でした……」

    段々小声になりながら、そう言葉を返したリコ

    彼女は唐突に思い出したのだ

    今までは、空から見る夜景にくぎ付けで意識しなかったのだが、この二人っきりという状況を

    しかも、夜の密室だ

    彼女は自分の心臓が今にも爆発するんじゃないかというほど、挙動がおかしくなっているのを自覚した

    モブリット「リコさん、大丈夫ですか?」

    俯き拳を握り締めているリコの顔を、モブリットは心配そうに覗きこんだ

    リコ「あっ……だ、大丈夫、です……」

    あなたが近いから緊張するんです、なんてリコに言えるはずもない

    リコは辛うじて言葉を発すると、ついに耐えきれずに両の目をぎゅっと閉じた
  99. 100 : : 2015/03/31(火) 17:23:21
    リコが目を閉じて数瞬後、つんと鼻先に何かが触れた

    リコが慌てて目を開けると、モブリットの人指し指が自分の鼻先に触れているのがわかった

    リコ「あ……」

    モブリット「そんなタイミングで目を閉じられると……俺もいろいろ困ります、リコさん」

    そう言うモブリットの顔は、かすかに朱に染まっている様に見えた

    リコ「あっ……す、すみません」

    リコはモブリットの言っている意味を何となく理解して、彼以上に顔を赤く染めた

    モブリット「謝られるのも、何だか寂しい気がしますね」

    リコ「えっ?」

    モブリット「……いえいえ、気になさらないで下さい。言葉のあやですから」

    リコ「モブリット様……」

    リコはいまだに鼻先に触れるモブリットの指ごと、彼の手をぎゅっと握った

    彼女が今できる、最大限の勇気ある行動であった


  100. 101 : : 2015/04/05(日) 20:45:46
    モブリット「リコさん」

    モブリットは、自分の手を握りながら顔を真っ赤に染めるリコの、みずみずしい表情に見入った

    リコ「モブリット様、本当に、無事で良かった……」

    その言葉と共に、リコの頬に涙が伝う

    モブリットはその涙に唇を寄せた

    モブリット「ご心配をお掛けしました……これからは、あなたに寂しい思いをさせたぶん、充分埋め合わせさせていただきますからね」

    リコ「埋め合わせなんて、そんな……」

    モブリット「埋め合わせ、させて欲しいんです、リコさん。いい、ですか?」

    モブリットの真摯な眼差しと、握り返された手の温もりに、リコは顔を紅潮させた

    そして、彼女がゆっくり頷くと、モブリットは彼女の体をふわりと抱いたのであった




  101. 102 : : 2015/04/23(木) 19:03:57
    《第54話 どこまでも》

    ハンジ「おっ、おかえりモブリット、リコ」

    エルヴィン「遅かったな、モブリット」

    リコ「た、ただいま戻りました……」

    モブリット「お二人とも、まだ起きていたんですか……?」

    ハンジ「いやあ、君たちの事が気がかりで居てもたってもいられなくってさぁ! 」

    エルヴィン「リコのその様子だと、やることはやったみたいだな」

    リコ「なっ、何の話?!エルヴィン……」

    エルヴィン「何のって、決まっているだろう?ひさしぶりに会った好きな男と二人きりでやることなんか、あれしかあるまい」

    ハンジ「リコ、顔真っ赤……で、どこまでやったんだい?モブリット」

    リコ「ちょ、ちょっと、ハンジ様?!」

    モブリット「どこまでやったって……そんなもの、どこまでもに決まっているじゃないですか」

    エルヴィン「おお、えらく積極的だな、モブリット!俺と同じ匂いを感じるぞ」

    ハンジ「ま、まじかよ……ヘ、ヘリの中で?!やるなぁモブリット」

    リコ「モ、モブリット様っ?!何を何を……!」

    モブリット「皆さん、これ以上の詮索は不要ですよ。さ、もう休みましょう。姉さんも、明日は早いんですからね」

    ハンジ「そうだね、詳しく聞くのは明日にしよう」

    エルヴィン「ああ、ナイルにも聞かせてやりたいしな」

    モブリット「さ、リコさんも部屋に戻って休みましょう。では、おやすみなさい」

    リコ「は、はい……ハンジ様、エルヴィン、おやすみなさい」

    リコはモブリットに肩を抱かれて、部屋に戻っていった

    ハンジ「えらい、早業だったなあ、モブリット」

    エルヴィン「いや、一発食わされたようだ。リコの様子から察するに、何もしていないぞ、多分」

    ハンジ「いま、リコの部屋に行ったよ……って事は今から……」

    モブリット「今から……なんですか?」

    ハンジ「ぎゃっ、戻ってきたのか……」

    エルヴィン「リコを部屋に送っただけか」

    モブリット「そうですよ。いきなり押し倒したりしません。あなたがたじゃあるまいし」

    ハンジ「エルヴィンと一緒にするなよ!」

    エルヴィン「モブリットは仕事が早いからよもや、と思っていたんだがな」

    モブリット「これからゆっくり、深めていくつもりですよ」

    ハンジ「そうだね、急ぐ必要はないさ」

    エルヴィン「じっくり攻めるのもいいしな」

    こうして、大人の夜も更けていった

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fransowa

88&EreAni☆

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