ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

僕が守れなかった家族の話

    • Good
    • 1

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/12/04(木) 05:46:17
    ねぇ、そこの君。僕、今ちょっと暇なんだ。だから、僕が守れなかった家族の話をちょっと聞いてくれるかい?ちょっとした、小話として、ね。まあ、懺悔…なのかな?
  2. 2 : : 2014/12/04(木) 05:54:42
    僕が初めて会ったイェーガー一家はまだ三人家族だった。エレンは僕には対して興味が無さそうだったけど、カルラさんは僕を見て立派だと笑顔で誉めてくれた。とても、誇らしかったし、嬉しかったなぁ…。
    僕と会った日から暫くはグリシャさんはとても忙しそうだった。前にも少し聞いたことがあるけど、今このまちでは伝染病という恐ろしいものが流行っているらしい。しかもそれを治せるのはグリシャさんだけらしい。だから僕は、とても忙しいグリシャさんの後ろ姿と疲労感漂う姿しか見られなかったんだよな…。あの姿は、今でもちゃんと覚えてるよ。
  3. 3 : : 2014/12/04(木) 13:09:13
    まあ、その伝染病とやらが治まったあとは特に問題もなく過ごせた―――ように表面上はみえたが、少しだけ問題があったんだ。それは、エレンの友達が出来ないこと。エレンは僕が初めてエレンと会ったときと変わらず、自分のペースで物事を進める子だったから、当たり前と言えば当たり前だ。
    エレン自身は特に気にしてもないようだったけど、君が居ないところで、グリシャさんとカルラさんは随分心配してたんだよ、エレン。だから、初めての友達――――あ、そうアルミンが初めて家に来たときは二人とも、スッゴク喜んでいたんだ。

    まあ、もう昔の話だね。
  4. 4 : : 2014/12/04(木) 16:39:34
    アルミンくんもあまり友達は居ないみたいで――あ、悪口じゃないよ勿論。ただ、周りにエレン以外の気の会う友達がいなかったというだけなんだから。
    それはおいといて――二人はいつも一緒にいたよね。しかも、みんながやってるような遊びはほとんどしないでずっと本を読んでいた。いつもは川との野原に行っていたからよくわからないけど、1回だけ聞こえたんだ。
    そう、雨の日、仕方がないから家のなかでよんでいたときに、ね。《ソトノセカイ》の本でしょ?あそこにみえる、あの高いやつの外側のことでしょ?僕、頑張って調べたんだから!!まあ、調べたといってもみんなの話を聞いていただけなんだけどね。
    分かったのは、壁の外には、巨人という人を食べるやつがいるらしいという事だけだ。それいがいのことは、僕が知らないだけなのか、まだわからないのかは分からない。
    僕はエレンには好きなことをしてほしいけど、危ないこともさせたくなくて、悩んだ。けど、どうせ僕が決めることじゃないと思って段々忘れていった。
  5. 5 : : 2014/12/05(金) 23:52:44
    そのあとはまあ平凡に暮らしてたなぁ…。
    グリシャさんはよく《ナイチ》っていうところに長い間行っていた。ナイチって、あのキョジンのいるところの反対の門の向こう側のことだっていうのは知ってるよ。しかもナイチには偉い人たちが一杯いるんでしょ?そんな人たちがいるところに行くなんて、グリシャさんはすごい人なんだって思ったよ!!
  6. 6 : : 2014/12/08(月) 02:27:26
    そのあとの大きな変化っていったらやっぱり家族が増えたことだよね。エレンとグリシャさんが行ったっきり帰ってこないと思っていたら、女の子を連れて帰ってくるんだもん。
    あのときは本当に驚いたよ!!だって女の子もエレンも洋服に血がついてたんだもん……。
    後からあのとき起こっていたことを知ったんだけど、あのときは複雑だったよ。エレンが女の子を守ったのはとても誇らしいことだったんだけど……。人を3人も殺した、僕が知ってるエレンが。さすがにショックを受けたよ……。
    でも、その3人による犠牲者がこれ以上増えなくてよかった……のかな?









    僕にはわからない。僕は所詮人じゃないんだから。
  7. 7 : : 2014/12/08(月) 02:49:34
    そう、僕はただの家だ。人じゃない。僕はこのイェーガー家を守る石の塊だ。イェーガー家を守ることだけが僕の指名だったのに――。









    今日もいつもと変わらなかった。エレンとミカサが薪拾いに行って、カルラさんも家事をやっている。グリシャさんは《ナイチ》に行くらしく、準備をしている。僕はただそこにいるだけ。本当にいつも通りだ。

    暫くしてエレンとミカサが帰ってきた。エレンはまたさぼったらしく、カルラさんに怒られていた。僕は、顔もないのに笑う。




    ――エレンが調査兵団に入りたいって。

    食事中、唐突にミカサが告げた。

    ――お、おいミカサ!!

    エレンが慌てている。調査兵団――あ、そうだ。壁のそとを探検しているっているあれか!!そういえば、今日壁のそとから帰ってきていたはず。エレンたちはきっと見に行ったんだろう。だからこのタイミングでいったんだろう。

    ――エレン!?何を考えているの!?

    カルラさんは怒っている。まあ、そうだろう。壁のそとにはあの巨人がいるんだから…。親として心配なんだろう。でも、僕はエレンがやりたいことをやらせてあげればいいのにとも思っている。
    初めてこの事を考えてから、何回も僕は考えて、この結論になったんだ。でも、届かない。僕の考えは僕の中にとどまるだけだ。

    ――人間の探求心というものは、誰かに言われて押さえられるものではないよ。

    グリシャさんの声が聞こえた。どうやら、カルラさんに対していったようだ。

    ――エレン。帰ってきたらずっと秘密にしていた地下室を見せてあげよう。

    そういって僕は思い出す。そういえば、僕にはずっと使われてない地下室があったことを。引っ越した当初はグリシャさんが色々やっていたけど、今じゃ存在も忘れていた。
    何があるのかは僕にはわからない。グリシャさんはそのまま出掛けていった。

    ――調査兵団なんてバカな真似は止めなさい

    カルラさんはまだ調査兵団にエレンが入ることに反対のようだ。

    ――オレには…家畜でも平気でいられる人間の方が よっぽどマヌケに見えるね!

    エレンはそうさけんでかけていく。きっとアルミンのところだろう。カルラさんはミカサにエレンと協力することを頼んでいた。ミカサはしっかり頷いていた。そしてエレンを追いかけていった。

    ――あの子達なら、大丈夫……

    カルラさんはそう自分に言い聞かせるように言って、また家に戻っていった。
  8. 8 : : 2014/12/08(月) 02:50:46















































    そして、あの事件がおこる――――















  9. 9 : : 2014/12/08(月) 02:54:32
    突如、地面がグラグラとゆれはじめた。僕は体が崩れそうなのを必死で食い止める。そうやく揺れが収まった。そう思った瞬間――――――

    ドォンと、大きな音がしたと思ったらヒューとなにかが跳んでくる音が聞こえた。

    それがなんなのか確認する前に――――








    僕の体はつぶれた。
  10. 10 : : 2014/12/08(月) 03:11:59
    え?なに?僕はどうなったの?

    とにかく僕は混乱した。自分がどうなったのか本当に分からなかった。
    ウウ…。と僕のしたから呻き声が聞こえた。慌てて見てみると、そこにはカルラさんが挟まっていた。僕は悲鳴をあげそうになったけど、そんなことをしてる暇はない。僕は出来ないのはわかっているが、動かないからだを頑張って動かそうとした。でも、無理だった。

    そこへ――
    エレンとミカサが走ってきた。エレンもミカサも潰れている僕を見て驚いている。しかし、すぐにカルラさんの体を潰している柱を動かそうとしている。

    ――二人とも逃げて!

    カルラさんはそういって二人を逃がそうとするが、エレンもミカサも動こうとしない。
    ミカサはもう家族を失いたくないと懇願している。

    カルラさんは本当に困っていた。なにもできない自分が悔しかった。守るだけが僕の能なのに…。逆に僕がじゃまになっている。この状況が本当に苦痛だった。
    そこへ――

    ――お前ら!!

    ハンネスさんがやって来た。そこへ、本物の巨人も―――


    ――御願い、ハンネス!!子供たちを連れて逃げて!!

    ――いいや、俺はこいつをぶったおして三人とも助ける!!

    カルラさんは本当に辛そうだ。はやく、カルラさんを助けてあげて――そう願っていたのに―――

    ハンネスさんはくるりと向きを変え、エレンとミカサを抱えてしまった。

    ――ありがとう、ハンネス…

    カルラさんは僕に挟まれたまま―――そして、あの巨人が近づいてきた――――
    そのままカルラさんに手を伸ばし

    ――……行かないで…

    それは確かにカルラさんの声だった。さっきまでの声とは全く違い、本当に悲壮な声だった。
    このときほど自分の無力を呪ったことはない――――
    そしてそのまま巨人に捕まれ――口に運ばれて―――

    パキッ

    カルラさんの骨が折れる音がして、僕に血が降りかかる。その瞬間から僕の意識が遠退いていった――――
  11. 11 : : 2014/12/08(月) 03:15:49
    僕はそのまま意識がないままで、今までいる。家はヒとがすんでるから生きてるんだよ。だから、住む人がいなくなった僕は死んでしまったというわけさ。じゃあこの僕は何者なんだって?
    さぁ…僕にはよくわからない。でも、これだけは言いたい。



















































    エレン、ミカサ。君達がまたこの家に戻ってくることを、僕はずっとずっと待ってるから。ずっと、ここで。あの日のまま。
  12. 12 : : 2014/12/08(月) 03:16:10
    終わり
  13. 13 : : 2014/12/14(日) 19:19:22
    よかったです!
  14. 14 : : 2014/12/14(日) 23:58:48
    >>13
    はじめて反応が…!!
    ありがとうございます!!
    本当に嬉しいです!

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
UMENOHARUKASU

アップルパイ@元モッフル

@UMENOHARUKASU

「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場