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◆自由の社畜◆❸~狼たちの夜~

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  1. 1 : : 2014/11/27(木) 02:40:16
        ~まえがき~


    はい、非常にお久しぶりです!

    前回の、◆自由の社畜◆
       ~既知とのソウグウ~

    からの続きとなる今回のコレ
    ・・・なのですが、色々と問題が
    あります為、やはりこうして前以て
    前書き的に注意喚起を促しておきたいと
    思います。・・・まず初めに、



    ・当文章群は、ほぼ、

    《ベン・トー》 的な何かになっています。
    なので上記作品を知らない人からしたら
    まるでちんぷんかんぷんな事に。

    一応用語説明は随所に挟みますが、
    それすらも長ったらしく読み辛く
    なると思うので万一読んで頂ける方には
    本当、申し訳ないです^^;






    ・進撃の巨人要素が非常に希薄に




    話の続き的に主人公が社畜な
    リヴァイさんであるのに、お話の場が
    他作品の土俵で有る為、完全な
    アウェー状態となっています。
    もはやどちらのパロと言っていいのか
    分りません。


    ・登場人物がこれまたバラケ放題

    この人選に特に意味はありません。

    しいて言うなら経済状況的に
    この場に吸い寄せられる運命だった
    ・・としか言いようがないです。


    一応進撃以外の
    含有ジャンル内訳としましては


    ベン・トー


    とある魔術の禁書目録


    はたらく魔王さま


    となっています。


    カテゴリ分けを適切に利用できない
    理由はシリーズに纏める為、
    止むを得ずという事で・・

    ・会話や口調、場面設定などに
     並々ならぬ矛盾と違和感が有り。



    そもそも複数作品に手を伸ばしていても
    全ての作品を全巻体勢で確実に
    設定まで把握している訳では無い為、
    各作品を全巻熟知している方が万一
    この稚拙な文章群をまのあたりにした際
    それは非常に不快な思いをさせてしまう
    原因となり兼ねません。前以て
    すみません、とだけ頭を下げておきます。


    ・話が恐らくとてつもなく短い


    この限定された空間の中でのお話に
    限って一区切りしようと考えている為
    きっと短いです。


    ・お話のメインとなる作品のカテゴリが
     存在しない。


    ・・ので、進撃の巨人タグを
    優先してかけています。
    どう見てもベン・トー世界観メイン
    ですのでそっちが優先なのですが。







    ・いつも道理にとてもくだらないお話。


    ―――語るに及ばず!!《cv.若本さん》
  2. 2 : : 2014/11/27(木) 02:41:42










          拳。(こぶし)


          怒号。(どごう)


          跳躍。(ちょうやく)


          掌打。(しょうだ)





       ―――咆哮。(ほうこう)





    「ォオオオオオッ!!!!」





    一切の甘えも施しも許されぬその世界で
    ・・一人、そしてまた一人。

    同じ獲物を狙う獣共は、

    その牙をぶつけ合い、


    駆逐し、そして


    更なる強者によって、



    また駆逐されていく。





    坊主「ッ・・・・!!!やはり
       あいつは手練れだッ!!
       目的は最安ののり弁では
       無かったのか!??このままじゃ
       確実に持ってかれるぞっ!!」
       バキッ!!!!!



    顎鬚「いや、っ!!今日は違ぇ!!
       
       奴の足取りと視線の先から
       読むなら・・今日の月桂冠、
      『冬を待て。味噌たらこサラダ添え
       牛丼屋のばらけた天ぷら盛り弁当』
       ・・こっちが奴の本命だ!!!!」
       クソッ・・相変ワラズナゲェ・・・;
       ヒョイッ




    坊主「まったく、いつもながらの事だが
       何てネーミングセンスだっ・・・
       いや、ネーミングだけじゃねえ。
       そもそも何でばらけてる必要が
       あんだ?!

       不良在庫じゃねえかそりゃ!!」
       ドカッバキィ!!




    顎鬚「だからこその値引きなんだろ!!
       きっと型崩れが気にならない程の
       美味さと、ボリュームが約束
       されてこその月桂冠だ!!
       俺も迷わず奴を叩くぞッ!!!」





    茶髪「散り散りになってても一気に
       押し切られるわっ・・!
       ここは一時共闘と行くわよッ・・!!」
       ググッ・・・!!




    坊主「生憎二日続きでど○兵衛なんでな
       ・・・!悪いがその後はこの俺が
       頂くぞ・・・!!」
       ドッ!!




    顎鬚「そいつは今更公言することじゃ
       ねえだろう!!皆目的は同じだ!
       精々後ろに気を付けろ!!?」






    ―――そして再びその場に響く雄叫び。



  3. 3 : : 2014/11/27(木) 02:43:57




    ・・・此処は・・深夜のスーパーマーケット。



    本来、平時であればそこは


    日々の献立を脳裏に描きつつ、


    その素材となるものを、各々の


    思想の元、和気藹々とした空気の中、


    ・・軽やかな足取りで選び回る。



    ――言わば食の理想郷。




    ・・しかしその理想郷が成り立つのは

    せいぜい“通常価格”にての

    商品提供がなされている時間帯のみ。



    物には等しく寿命があり、それは


    食糧となる前の彼らが一つ目の一生を


    終えた後、こうして加工調理され、


    パック詰めされた更に後、二つ目の一生を


    迎えても尚、当然の如く存在する。



    ――即ち、消費期限。




    その猶予がその日限りと

    店舗側に断じられ、その上で

    店側の損失をより軽微に抑える為・・

    そうした場合に敢行される、苦肉の策



    それが “半額提供”



    この理想郷を、


    瞬く間に血で血を洗う

    弱肉強食の世界へと変貌させる、


    魅惑の販売戦略である。




    ・・そして今宵もその恩恵に与る為、



    ・・若しくは単純に安価で腹を満たす為、



    ・・―――純粋に、生活の糧を得る為。



    ・・・・・・そして己が内に燻るその闘志を、
    空腹とともに屈服させる為に。





    彼らはその牙と牙をぶつけ合う・・・・





  4. 4 : : 2014/11/27(木) 02:45:46



    ―それより10分前―


    ―乾麺コーナーー




    顎鬚「よう、今日は・・・魔女は
       こっちじゃないのか。
       ワン公だけならまだ月桂冠が
       近づくな。」





    坊主「・・・何を言ってる?魔女だけで
       なく奴も今夜は別を当たってる
       ぞ。月桂冠クラスが二つも
       残ってるのは僥倖に違いないが…」




    顎鬚「・・?いや、さっきここに来るまでに
       揚げ物コーナーで先に値引き
       されてるコロッケを睨んでる
       のが横目に入ったぞ・・?アレは
       間違いなく・・・」




    茶髪「・・・アレは別人よ。見た目ワンコに
       そっくりだけどね。奇跡的に
       ワンコと重ならないタイミングで
       この辺に出没するようになった
       ・・まだ二つ名はないけれど
       ワンコに劣らずかなりの強敵よ。
       楽をできると思わない方がいいわ」




    坊主「・・・まさか、あの噂の
       《変態もどき》か・・?(汗)」




    茶髪「そ。戦果が大きいから噂くらい
       耳にしてるでしょ?彼自身が
       大食らいなのか、もう一人分
       必要なのか・・毎回2食は
       勝ち取っていくから・・。」




    坊主「噂だけならな・・しかし
       複数入手?礼儀も知らねえ豚に
       遅きを失するとは。それで
       よく潰されずに残ってるな。」



    茶髪「上限が2個に留まってる上に、
       かなりの打たれ強さと実力を
       持ってるのよ。・・だから誰も
       彼を豚とは呼ばないわ。
       ・・ま、見ればわかるかも」




    坊主「どれ・・揚げ物・・・」チラッ


    ―揚げ物コーナー―




    土「カミや~ん。どんなに睨んでも
      揚げ物の品揃えが増えるわけじゃ
      ないぜよ」



    上「ぬぅ..これに後メンチカツがあれば
      ベストなんだが・・コロッケだけでは
       生贄が足りんとか言い出して
      暴れだしかねねぇ・・!やはり
      あとは本命の弁当にかかっちまうか
      ・・・!」



    金髪「若いねえカミやんも~(笑)
       たかだか弁当半分の値引きの為に
       またぞろ乱闘パーティとは。

        カミやんもそうだけど他の
       弁当狙いの皆様方にも
       心底頭が下がるにゃ~☆」
       エヘラヘラ



    この一言に、一瞬、売り場全域に走る
    張り詰めた殺気の様なモノが展開されるも



    上「たかがとは何事か!!学生にとっちゃ
      大いに死活問題だぞ!?それも
      この苦学生、上条さん一人分だけ
      だって難儀してる所なのに!!

      更にその上あんな健啖の悪魔の分
      まで考えて月毎の支出の限界内に
      納めようなんて事になれば
      バイトに走るかこうするかどっちか
      しかねえんだよ!!」
       


    土「・・しかしそれもうまく
      勝ち抜ければ、の話ぜよ??
      見なさいよ、奴さんらも何か
      カミやんをみて明らかに
      警戒してる感じだぜぃ。

      心なしか待ってる人数も
      多いみたいだしにゃー?」



    そんな空気もどこ吹く風、といった感じで
    その金髪サングラスの青年は飄々と
    辺りの空気を受け流す。




    上「何か妙に視線を感じるんだよな。
      初めてここを使ったときも
      そうだったけど。

      ・・しかしいくら障害が多くとも
      こればかりは引き下がれねえな・・!
      何せこちとら生活と身の安全が
      掛かってますからね・・!

      今夜の上条さんはちょいとばかし
      アグレッシブですよ・・!

      下見は済ませた!一先ずはあの
      妙に名前の長い弁当を狙って
      いきますか!」パキパキ  
  5. 5 : : 2014/11/27(木) 02:52:10




    ―乾麺コーナー―





    坊主「・・風貌も体格もかなり
       似てるな・・;」




    茶髪「勝率も回数こそ及ばないけれど
       ワンコ並よ。十分気をつける事ね。」





    顎鬚「他にも見たことの無い奴が
       居るな・・離れて待っている
       所を見ると最低限の掟を
       守る頭はあるようだが」






    ―鮮魚コーナー―



    芦「・・魔王様。そんな目で幾ら
      見つめようと生鮮物には手を
      出しませんよ。値引率が高いから
      一見お得に見えるかも知れませんが
      その実、買って帰ればそのあまりの
      足の速さが故、どう足掻いても
      その日の内に処理する必要性が
      生じてしまうのです。・・更に
      海洋汚染によるダイオキシンの付着
      、アニサキス等、寄生虫の媒介宿主
      の懸念、果ては(ry...
    クドクドクドクドクド


    真「ああぁるっせぇよもう!!
      そもそもハンバーガーだけじゃ
      栄養が偏るからってたまには
      スーパーを見て回るのはどうか、
      なんて言い出したのはお前だろ芦屋!


      そんなに寄生虫が怖いならいっそ
      フィレオフィッシュでも食うか?!
      どうせ揚げた白身魚に魚としての
      栄養価は皆無だとか言って
      つっ跳ねるんだろ!?」
      ギャース!!



    芦「分かっているのならそれで
      良いではないですか。

      どの道、日持ちの観点から言っても
      明日の朝にも応用が利く
      弁当物しか我々に選択肢は
      ありませんが・・」




    真「なあしかし、またあのドンパチに
      突っ込むのか・・?;なんか
      この辺、半額弁当の競争率ハンパ
      ねぇ気がするんだけど・・。
      
      弁当の奪い合いで流血沙汰って、
      割とこの世界でも地方によっては
      メジャーなのか・・?;」




    芦「・・そんなものでしょう。例え
      人間といえどその命をこの世に
      繋ぎ止めておけるのは安定した
      食糧があってこそです。自らの命が
      掛かっているならああまで獰猛に
      なるのも頷けようというものです。」



    真「シール貼ってる傍から
      取ろうとした時にその場の全員から
      集中攻撃を食らったときは
      流石に何事かと思ったけどな・・;」




    芦「血に飢えた獣にも最低限の
      流儀というものはあります。
      あの場では我々が獣から見て
      異端者だったのです。・・しかし
      勝手さえ理解してしまえば我々にも
      半値の恩恵に手が届く・・!
      今日は何としても最低一食ずつ・・!

      それもできるだけ値の張らない物を
      堅実に狙っていきますよ・・!」


  6. 6 : : 2014/11/27(木) 02:56:10

    真「・・・漆原の分はいいの?」





    芦「ニートの分などカウントに
      入れません。なんの苦労もせずただ
      半額で購入できるならいざ知らず、
      こっちは身体を張って勝ち取りに
      行かねばならないのです。

      あんなのにはど○兵衛で充分です」




    真「・・・半額のから揚げくらい
      買ってってやったら?」




    芦「断じてなりません。餌付けを
      繰り返せばその分図に乗りますから。

      ここに誘ったのに外出を拒んだ
      その時点で奴の命運は絶たれて
      いるのです。そう、奴自身の手で。

      ・・それと、注意することが一つ、
      半額シールの中でも一つ、
      他とは若干異なる意匠のものが
      貼り付けられている物品が棚に
      並ぶ事がありますが・・、これには
      絶対に手を出さないように。」





    真「・・なんでだよ?どれも半額
      なんだろ?だったらせめて
      代わり映えのするものを・・」
      


    芦「・・情報収拾の末分かった事ですが
      ・・・その異なる札が貼られた
      変わり種というのは、この世界で
      通称“月桂冠”と呼ばれる、言わば
      半額弁当の中でも一際高位に
      君臨する弁当であるとか。

      その名が表す通り、札には何かの
      植物の枝葉をあしらったような
      紋様が刻まれており、その位に
      選定される基準はあやふやですが
      何かしら目を引く要素が関わり、
      そうした価値を与えられるのだとか」




    真「ふ、ふ~ん・・;」チラチラ





      
    芦「しかも品数が圧倒的に少なく、
      寧ろ日によっては出ない事の方が
      多いのでこれを視界に認めた場合
      狙う輩は後を絶たないらしいのです。

      ・・・で、あるならば、こんないかにも
      時間的ロスを生み出しそうな標的に
      的を絞る必要性など皆無です。
      ・・・我々の目的はあくまでも
      堅実に一番安い・・・・
    真「お、おい!!見ろよ芦屋!!!
      まだシール貼ってねえからわからん
      けど、あの離れた所にある二つ!!
      明らかにどっちもパックが
      はち切れんばかりのボリュームだぞ!
      さ・・さらに片方の弁当・・!
      あ、あれは・・・・!!」


    芦「ちょっ!話聞いてますか魔王様!!
      今凄く大事な話をですね・・・!」
      チラッ





    『我が体、既にカツ也。我が心、
     既に卵とじ也。小手先無しの真向勝負!
     兵に臨み闘う者達へ贈るカツ丼弁当!!』





    真&芦「・・・・・・・」




    真&芦「カツドゥン!!??」ガバッ



    真「お、おい、どうするよ・・!
      もうコレはアレ一択だろ芦屋・・!?」
      プルプル・・・



    芦「ぬ・・ぐぅ・・しかしあの配置と
      隣り合わせた片割れのあの
      ボリューム・・・!嫌な予感しか
      致しません・・・!アレは間違いなく
      今日の目玉的商品であると・・!
      私の大元帥としての勘がそう伝えて
      います・・・!」ヒシヒシト・・!



    真「しかし量の観点で言ってもあれなら
      申し分ないぞ・・?例え片方が
      しくじっても2人で十分シェアできる
      量だ・・・!」ゴクリ・・



    芦「やるしか・・ないですね・・・!;

      魔王様。露払いはこの私めが。
      その隙に先陣を切る私を盾として
      踏み越え・・・!必ずや栄光の
      カツ・ドゥ‐ンをその御手に・・!!」
      (跪き)



    真「ああ・・・!何としてもアレを
      勝ち取り・・そして山分けする・・!」
      グッ・・・・!!

  7. 7 : : 2014/11/27(木) 02:59:02


    ―再び乾麺コーナー―



    顎鬚「あっちはあっちで随分
       気合いが入ってるな・・
       狙いは恐らくあの二つある
       月桂冠(?)クラスだな。

       ・・さて・・こりゃ久々に
       新参も織り交ぜた熱き三つ巴
       って奴に・・・」



    坊主「いや・・、“五つ巴”だろ・・?
       俺達は其々が互いの牙を以て
       奪い合う《狼》だ・・違うか?」
       ググッ


    顎鬚「・・ハッ、軽いジョークさ。
       んな基本中の基本をこの俺が
       忘れるとでも?」



    茶髪「・・・;二人共、仲良くしてるトコ
       悪いんだけど・・・、そんな
       お気楽なムードでも居られなく
       なっちゃったわよ・・!」



    その場を揺らす、更なる入店者の気配――




    坊主「っ・・・!!なっ・・!
       あ、アイツは・・・・!!!」





    顎鬚「かっ・・!!か○あげクン・・・!!」






    顎鬚はその名を口にした。



    呼ばれた本人には何があろうと決して
    相対して口走ってはならない、



    その禁断の二つ名を・・・・・


    その名の由来は・・・二つあった。
    その者がこの界隈に姿を現すように
    なったのはつい最近の事であったが・・



    その容姿、身長に見合わず、
    極めて小柄な体躯から繰り出されるとは
    到底思えない程の膂力をその身に
    秘めており、その外見的特徴が、

    何処となく“例の4コマ漫画キャラ”に
    似た髪型をしているという点と、




    もう一つはその者が常に率先して
    狙う獲物というのが他でもない、


    どの店舗に於いても大抵最安値級で提供
    されることになる、弁当界の中堅にして
    王者とも呼べる存在。


    メインを張る惣菜の素材となる
    生物の生前の名を“鶏”そして
    …戒名を“唐揚げ”と呼称される・・そう


    その名が表すように“から揚げ弁当”
    だからである。



    因みに狙ったように二つ名の二文字目に
    伏せが成されている事については
    重複している意味でも都合がいいから、
    とのこと。・・・但し、間違っても
    その呼び方を誤ってはいけない。



    この空白に、ラ行一文字目では無く
    うっかり二文字目を詰め込んで当人の
    目の前で呼称してしまおうものなら・・・



    その迂闊な人間は彼が期せずして
    二つ名を得た、その原因となった
    名もなき狼達と同じ末路を迎える
    事となる。



    そうして二つ名の礎と成りし
    名も無き狼の結末を知るその場の三人は
    背筋を凍らせ、戦慄する。


  8. 8 : : 2014/11/27(木) 03:01:50



    坊主「なっ何故だ・・?!から揚げ
       だったらスーパーときわの
       方を狙う筈・・・!今夜
       アブラ神の弁当には・・!」
       ハッ


    その顔が向けられた先、弁当コーナー
    端に若干控えめの大きさのパックに
    詰め込まれたソレが、坊主の視界に留まる




      『ノリにノッて喰え!!ノリに
       乗り上げるフライとおかかと
       きんぴらのハーモニー!見よ!
       これがのり弁だ!!..弁当」




    坊主「あ・・・アレか・・・!!
       あの一番値が張らなそうな・・!」




    顎鬚「・・・のりって4回も言わせる
       かよ・・・」



    茶髪「弁って字も2個入ってるわね」




    顎鬚「だ・・、だがとりあえず
       大方の目星の予想は付いた・・!
       今夜は一筋縄じゃいかねえっ
       てのは良く理解した。・・しかし
       それはいつもと何も変わらねえ」



    茶髪「そうね・・そろそろアブラ神も
       お目見えする頃合いよ。
       っじゃ、戦場で会いましょ。チャオ」
       ヒラヒラ~



    坊主「また三人してここに舞い戻らねえ
       ように祈ってるぜ」ビッ



    顎鬚「ッ・・・縁起でもねえ」


    そう言って、舌打ち交じりに俯いた
    顎鬚の目に・・敗者の象徴たる、
    その緑色パッケージのカップ麺の
    蓋が映り込んだ。




  9. 9 : : 2014/11/27(木) 03:04:01

    ―店内・清掃用品売り場―





    リヴァイ「(・・・騒がしいな。
         いつもなら見ない顔が
         幾らか多く見受けられる。
         ・・とはいえそんなに
         この店の客足を把握仕切れる
         程来店頻度は高くないが・・)」


    その片腕には既に買い物カゴが
    携えられており、《3割引き!》の
    ポップがデカデカと踊る、
    パック入りめざしが確保されていた。


    リヴァイ「(冷凍庫も確保できた今、
         魚を凍らせられるのはデカい。
         後は・・メインの弁当だな。

         まだ今少し半額神が降臨する
         までには間があるか・・)」
         ジッ・・・・



    リヴァイの常人離れしたその
    極細三白眼から、同じく常人離れした
    視力によって、遠く離れた弁当売り場の
    在庫状況が視覚情報として
    取り込まれる。







    リヴァイ「(のり弁・・カツ丼・・カレー・
         ナポリタン・・・助六・・
         麻婆ナス・・ん・・?(ピタ))」





    リヴァイ「(なんだこの妙な名前のは・・
         いや・・アブラ神のネーミングは
         みんなそうだが・・・味噌に・・
         タラコ・・・か・・・・)」フム・・・







    リヴァイ「(・・どうやら俺に相応しい
          獲物は決まったな)」
  10. 10 : : 2014/11/28(金) 00:51:41





    バゴンッ




    一つの音と共に店内は緊迫した静寂に
    包まれた。店内清掃の行き届いた
    床を打ち付ける靴音と、生鮮コーナーより
    ヘビーローテーションで流される
    “某楽曲”がその場の静寂を
    より緊迫感高まる世界へと変えている。


    歌詞ならばいざ知らず、
    タイトルくらいは記載しても平気な
    筈であるが、そこは執筆者のチキンスタイルか。
    ・・今更である。




    精肉コーナー脇の扉から堂々たる
    風格を纏い、獲物に狙いを定める
    狼達の放つ殺気が充満した、その
    店内の息苦しさすら感じる空気を
    肩で切り、己が使命を果たしに
    現れた、屈強な体躯、力強い
    眼差しを携えた短髪の中年男。
    この者こそ、

    此処、ホーキーマートにて
    半額神を務める、通称“アブラ神”
    である。



    油「・・・・」
      カサッ・・



    一通りのエリアを回り、遂にその
    足を最終地点である弁当売り場へと
    向けると、ポケットから半額ラベルの
    羅列されたシートを取り出し、
    粛々と作業を進めていくアブラ神。


    各売り場にて他商品を手に
    取りながらも、その様子を伺っている
    狼達の息遣いが聞こえそうな緊張感の中

    決して焦り手元を乱したりする事も無く、
    ラベリングを済ませていく。


    身も縛りつけられるほどの
    緊張の中、辺りに響き渡るのは、

    “某生鮮天国的楽曲”のメロディのみ。


    曲調は明るくポップな歌声で
    一聞して愉快な印象を与える様だが、

    歌詞をよく咀嚼して考えれば、
    まるで、“この種を喰い殺せ”という
    刷り込みを与える為の目的でも
    あるかのように、ただひたすらに

    捕食によって人類が得られる糧と、
    その捕食対象の名を何度も何度も

    狂ったように謳い上げる死の旋律。



    その曲もそろそろ佳境に入り、
    そろそろループラインに達するかという
    段になったその時、一通りの弁当に
    ラベル貼り付けを済ませた油神が、
    三つの貼り残し弁当を前に、もう一方の
    ポケットより異なるラベルを取り出す・・




    「・・・!!」




    辺りの静寂は相変わらずだが、
    その時、やはりその場の空気は一変した。



    ・・・月桂冠・・・・!



    その場に居る殆どの狼の視線は
    “ソレ”に釘付けとなり、同時に
    商品を手に取って居た者は皆一様に
    それを棚へと音も立てずに戻す。
  11. 11 : : 2014/11/28(金) 01:00:32



    戦いのゴングが鳴り響く刻は、近い。





    そしてBGMも最後の節へとさしかかり、
    まるで、曲の最後、
    捕食される側が生殺与奪権を
    全て人類に委ねている、と決めつける
    ような歌詞に合わせるかのようにして

    己の職務を全うしたアブラ神は・・


    不敵な笑みを戦いに赴く者達に
    向けながらも、その背を
    スタッフオンリー扉の狭間に残し、


    売り場を後にした。



         バコンッ。。。
         

         「♪OH!」




    ッ!!!!!!!!!!




    ―――曲の終りと、戸が閉まる音が、



    正に戦いの始まりを告げる合図であった。



    それまでの緊張の堰を


    一気に切り落とすかのごとく、


    爆発的な勢いでもって4方から殺到する
    狼達の闘気で弾ける弁当売り場の空気。



    その総数は例え全員が残った弁当を半分
    ずつに分け合ったとしても到底足りない
    程の数であった。


    顎鬚「っっらぁああああ!!!!」



    坊主「フンッっ!!!!」



    茶髪「さあ・・踊るわよ・・・!!」



    土「ばいにー☆カミやん。頑張って~」
      フリフリ


    上「やぁぁってやるぜ!!」パシン!!!
      ダダッ



    芦「クッ!!迅い・・!!魔王様ッ!!
      私の後にっ!!!」ババッ!!



    真「おうっ!!何としてもカツ・ドゥン!を
      魔王城に持ち帰るぞっ!!!!」
      ダッ




    リヴァイ「籠は持ったままで十分だな。
         ・・・この数なら・・
         ・・・いける」
         ドッ







    ―――狼達の夜が、始まった。
  12. 12 : : 2014/11/28(金) 01:15:43
    ~現在公開可能な情報⑲~





    半 値 印 証 時刻(ハーフプライスラベリングタイム)




    ご存知、スーパーとかで惣菜や、お弁当等
    足の速い商品に対し、店舗側がその
    ロスを極力少なくする為に行う例のアレ。


    元々客足を考慮した上で、
    徹底した在庫管理を行えば
    このロスも減らすところまで減らせる
    のであるが、それは店舗側のみの視点で
    考えた場合の話。



    商いというのは結局


    “買い手あって”のものである為、

    それが例え一握りの客であったとしても、


    “ここって品揃え悪いな”等と思われて
    しまった日には、それは客足に対する
    牽制へとなりかねない。

    そうした損失をも減らす為、あえて
    損失を覚悟の上多めの陳列分を確保し、

    そうして残ったものがこの時刻に
    捌かれるという、一種の販売戦略の
    縮図でもある。


    ・・ともすれば、当然、こうした
    値下がり品のみを狙う人種も現れようと
    いうもの。

    力と食を求める心が全てを決めるその
    世界に於いて、それでも尚最低限の
    戒律を守り、幾夜もその戦いに
    身を投じる者達・・・


    ・・そんな彼らを、人は《狼》と呼ぶ。



    半 値 印 証 (ハーフプライスラベル)


    上記でご存知の、所謂“おつとめ品”
    に張り付けられる事になる例のアレ。

    場所や、品物、時間によって
    半額だったり3割引きだったり
    2割引きだったりもする。


    一般的なモノは黄色に赤の
    ツートンカラー。丸型のシールで
    黄色いギザギザの枠内に赤文字で
    《レジにて半額》等と印字されている
    デザインが多い。ない物もあるが
    中央及び全周末端部分に*状の切込み
    等が入っているのは値引き対象外の
    商品への違法な再貼り付けを
    防ぐための処置でもある。



    半額神(はんがくしん)



    その日値引かれるべき商品に、
    各々の店舗に決められた時刻の到来と
    同時に半額シールを貼りに来る
    店員の事。《狼》達の間に敷かれている
    絶対にして最低限の掟は、

    この《半額神》がその日その時の仕事を
    完全にこなし、裏手へ戻る時。その戸口が
    閉じるまでが絶対待機時間であり、

    それよりも早くに、既にラベルの
    貼られた商品を手に取ろうとする行為
    を行う者は、例えどんな理由があろうと
    卑下される対象となり、
    絶対にして疑いようのない最悪の称号、
    《豚》の名で呼ばれる事となる。

    そればかりか、周囲の他商品置き場にて
    半額神の退却を待つ全狼達の怒りを買う
    事になり、たちまち集中砲火に
    晒されるという顛末が待ち受けている

    ・・・が、後述する2者の例外は、
    その限りではない。

  13. 13 : : 2014/11/28(金) 01:18:32


    大猪(タンク)



    大地を踏みしめる丸太の如き脚、

    その強脚でカートを押し、スーパー内を
    のしのしと徘徊する壮年の専業主婦。
    生活力を糧にしている上、狼達の戒律など
    まるで意に介していないばかりか、

    カート満載に片っ端から他人の
    興味を集めている商品を掻っ攫う
    ことも平気で行い、

    半値印証時刻ギリギリに到来し、
    作業中の半額神に、目当ての弁当に
    早くシールを貼るよう催促しただけでなく

    作業が遅いなどといった悪態まで突く
    不貞不貞しさ極まる性格、と、

    まさしく全狼に煙たがられる存在である。


    ・・が、《豚》と呼ばれない最大の
    要因。それは純粋に、強大だからである。


    体躯にしてもそうであるし、その
    獲物を狩り取る牙もまた、強大なのだ。



    実際の自然界における狼 対 猪の
    図がそうなるように、狼数人がかりで
    止めにかかろうとも生半な力では
    その猪突猛進ともいえるカートの推力を
    阻むことなどできはしない。
    故に、この大猪(タンク)と後述するもう一方の
    無法者に関しての狼達の対応は、
    天災同様に、出くわした事、
    それ自体がツいて居なかったもの
    として早々に匙を投げられてしまう
    場合が殆ど。





    《アラシ》



    スーパーを蹂躙するもう一つの天災。

    季節大会前のごく限られた季節にのみ
    出没する、ラグビー部の軍勢。

    言うまでも無く筋骨隆々とした
    歪み無ぇ体躯に、だらし無えなどと
    言うには表現として足らない程の
    食欲、そして、その場に居ない分の
    仲間の弁当も調達する任を負っている為

    彼らが去った後の弁当売り場には、
    仕方ないね、と肩を落とす狼達の
    悲哀に満ちた群れが連なるのみである。


    1店舗毎に1個小隊ずつ派兵され、

    各店舗から来店人数以上の個数の
    弁当を片っ端から攫って行ってしまう
    その性質からある意味大猪よりも
    タチが悪く、数も多い為、
    徒党を組んで狩りを行う狼ならぬ、
    《猟犬》と呼ばれる者達であっても
    ようやく勝負になるかどうか、
    と言った所。
  14. 14 : : 2014/11/28(金) 01:28:36
    《アブラ神》


    ホーキーマートの半額神を務める
    筋骨隆々な中年男。職業柄
    《狼》達から向けられる畏敬の念は
    非常に深く、あまり多くを語らないが、
    狩場の流儀すらも知らずに
    偶々紛れ込んで負傷してしまった者を
    店員スペースまで搬送して介抱する等、
    思いやりのある性格ではある。

    ・・一方、自身を
    しがないスーパーの一店員であるとして
    余計な事を言うつもりは無いと
    言いながらも、弁当争奪に冗談半分の
    考えで首を突っ込もうとする者には
    容赦の無い警笛を鳴らす事もある。


    彼が作り、売り場を飾る事になる弁当は
    どれも非常にユニークというか、
    若干文字数が長すぎたり、
    アレなネーミングの物が大半を占める。


    ・・・が、味は確かであり、
    料理の系統としては、質や栄養構成等
    堅苦しい事などは置き去りにした

    美味さとボリュームを優先した趣向の
    物が多い。その為にはカロリーが多少
    規定値をオーバーする事も厭わない。
    簡単に言ってしまうと、
    THE・B級グルメと言った感じでもある。





    ※ベン・トー?“ベン・ハ‐”じゃなくて?※


    ・・・・的な、つまり
    「ちっともそんなマイナー作品は
    しりまへんえ。」・・な人達に向ける
    簡易的な説明。



    夜のスーパーで、半額弁当を賭け、
    比喩表現でもなんだも無く正真正銘
    掛け値なしの大乱闘を
    公共の売り場で展開しつつ、

    買い物客同士が10数メートル
    近く吹っ飛びまくる高機動徒手格闘を
    一心不乱に行い、その末に弁当を
    勝ち取る、・・といった、

    実に御馬鹿な内容の話であります。
    (・・だが、それがいい)



    言うまでも有りませんがお巡りさんの
    仕事が増えるだけですので実際には
    やってはいけない事だそうです。
  15. 15 : : 2014/11/29(土) 15:43:17






    ―そして時は戻る―



    顎鬚、坊主、茶髪の三人が現時点で
    互いの背を預けるようにして、


    周囲から群がる者達を牽制する最中、


    月桂冠の鎮座する領域へと、足早に
    接近する二つの影があった。



    上「ほっ・・・!!うぉっ!!」
      バシッ!!
           ドカッ


    リヴァイ「・・・・っ」ヒョイッ
         ダダッ・・・



    ツンツンの黒髪に半袖ワイシャツの学生と
    低身長の眼光鋭き三白眼。


    無尽のタフネス、立ち塞がり挑み来る
    者には女子にすら容赦のない渾身の
    顔面パンチを叩き込むと噂される…



    ――《変態もどき》こと、上条当麻、


    そして

    異例の早期二つ名取得者、
    未だその戦闘能力に底の見えぬ
    不気味な狼、《か○あげクン》こと・・


    ―――リヴァイ・アッカーマンである。



    坊主「(何せアイツによく似た外見で、
       オマケに強さまで並の狼以上と
       されているから噂位は聞いた事が
       ある・・!が・・!)」
       ドン!!!



    顎鬚「(何だあの打たれ強さは・・?!)」




    周囲から襲いくる狼の攻撃を、
    恐ろしく効率のいい立ち回りで
    ほぼ全て躱しつつもこちらに向かう
    リヴァイと対照的に、当麻の足運びは
    実に実直であり、正直、身体の動き
    自体は相当喧嘩慣れもしているし、

    最低限のクリーンヒットをそらす
    打撃捌きも心得てはいるが・・・


    それでも雨あられのように周囲から
    浴びせられる打撃をものともせず、
    さらに組みかかってその躍進を
    止めようとする者には必殺の右ブローが
    叩き込まれる。





    茶髪「(やっぱり。あのソックリワンコの
       最も警戒すべき技は・・情報通り
       “右”・・。アレを喰らった奴は
       皆一撃で墜ちてる。・・これは
       細腕だからって舐めて
       かかれないわね・・)」


  16. 16 : : 2014/11/29(土) 15:45:18




    リヴァイ「・・・・っ」





    ―――――そしてこの男





    恐らく今宵、この場で最も
    ホーキーマートという狩場に於いて、
    経験豊富なベテラン狼3人、つまり

    顎鬚、茶髪、坊主が警戒している狼・・


    それがこの男であった。



    「その一撃は、《魔導士》(ウィザード)をも凌駕する」


     とか


    「《アラシ》と真っ向から平然と
     やり合い、そして何事も無く
     から揚げ弁当を勝ち取っていった」

     とか


    「本気で怒らせると自販機を片手で
     投げつけてくる」



    …などという根も葉もないデマと、
    先行した恐怖心による都市伝説は
    今尚後を絶たずに数多の狼の肝を
    震え上がらせているが・・・つまり
    今、この戦場に於いて。

    その化け物が自分達の狙う獲物と
    同じ物を狙い、そして着実に
    その領域へと歩を進めて来ているのだ。



    顎鬚「・・・・っ!!;」



    坊主「・・・・・ッ!!!!」



    茶髪「・・・・・・・!」



    ――面白い・・・!!



    しかし三頭の狼は一様にして・・
    恐怖ではなく、その滾る闘争心に
    身を震わせていた。


    今は奇しくもこの場に居ないが・・
    本来最もこの領域に於いてその力を
    発揮する、
    《氷結の魔女》、そしてその連れとして
    最初は狼達の世界を知らずにこの場に
    足を踏み入れながらも、初の
    白星を《月桂冠》で飾り、今尚
    狼としてその力を伸ばし続けている
    馴染みの顔を思い浮かべ・・・

    三者はその化け物を前にして
    やはり嗤っていた。


    顎鬚「(あの二人が居ねえとはいえ
       それでもこの場で・・
       このスーパー(せんじょう)で・・!)」


    坊主「(俺ら全員を相手取ってまで
       そうやすやすと・・・・!!)」


    茶髪「(月桂冠を奪れるだなんて
       思わない事ねッ・・・!!!)」





    ――駆け抜ける、3頭の牙。




    その闘志には、最早一点の曇りも、
    慄きも無く、そして恐怖も無かった。

  17. 17 : : 2014/11/29(土) 15:49:15




    ・・・しかし、この時リヴァイとは全く
    違う形でもって・・・三人に、いや、
    その場の全狼にとって望まない
    絶望が足音を響かせ、そしてゆっくりと
    売り場に接近しつつあった・・・・






    最前線よりやや外寄り、
    月桂冠陳列スペースを目指しながらも
    あまりの競争率の激しさに、もう後一歩
    目標領域に届かず地に膝をつく
    二人がそこに居た



    真「くっ・・・!!相変わらずなんて
      獰猛さだ・・こいつらホントに人間なのか
      ・・・!?」


    芦「申し訳ありません魔王様・・!!
      せめて・・、せめてちくわ以上の
      栄養源さえあれば例え魔力など
      使えずともこのような・・・!」
      ヌグゥ・・・;!




    真「諦めるのはまだ早い!未だカツドゥンが
      先んじて誰かの手に渡っている
      様子は無い・・!」
      アキラメンナヨ!



    芦「つまりそれは我々が狙うものと同じ
      獲物を求めて、相応の人数が
      今も苛烈な戦いを続けていると
      言うことですが・・!今の我々では
      その戦場にすら辿り着く事も
      敵わぬというのか・・・!!」



    ・・と、そこへ



    リヴァイ「・・・!何やら聞いたことのある
         声がすると思えば・・・これは
         どういった事情だ・・?」
         ピタッ・・・


    周囲からの巻き添えを警戒しつつ、
    その場に足を止めたのはリヴァイだった。



    真「あ・・・、り、リヴァイさん!?」




    芦「おっ・・御知り合いですか魔王様!?
      この御仁とは一体どのような・・?」



    真「あ、いや。知り合いって言うか・・
      、まあそうなんだが、前に
      木崎さんの頼みでこっちのマグロ
      ナルドのヘルプに来た時、
      手伝い先の時間帯責任者だったのが
      この人なんだ」




    リヴァイ「まあ・・、もう俺はそこ辞めて
        今はミスド勤務だけどな。」
        サッ・・・  ガシッ




    周囲から遠慮なく襲い来る追撃を
    柳の枝葉のような柔軟さで躱し、
    組みかかろうと飛び掛ってくるものには
    足払いを掛け、淡々と話を続ける
    リヴァイ。

      


    真「え”!!!やめちゃったんですか!?
      もったいない!折角時間帯責任者まで
      上り詰めたのに!?」




    リヴァイ「エルヴィンにもさんざ
         言われたがな。しかし
         こればかりはどうしようも
         ない。一身上の都合って奴だ」




    真「そりゃ~・・止めますよ店長だって
      ・・・!、リヴァイさん居なくなったら
      一体誰があの店舗引っ張って・・
      あ・・そういえば・・!アニちゃんや
      マルコの奴は…」



    リヴァイ「その、“そういえば”、が
         せめてもの償いになってると
         思うぞ。俺の後釜は奴だ。
         俺が辞めるまでに十分役目を
         こなせるようになったし、
         こないだ行った時にはもう
         時間帯責任者に就任していた」




    真「そうですか・・・!良かった・・。
      (溜息)」




    リヴァイ「一緒に働いた時間こそ
         短かったがお前ら気持ち悪い
         くらい行動パターンが
         そっくりだったからな。
         ・・そういう器なのかも
         しれねえ。が、・・・・・さて」
         ヒュッ・・・ドゴッ




    リヴァイ「これ以上の長話はマズイな。
         そろそろ取り巻きも減って
         来た。じき前線で張ってる
         奴ら同士でも決着が
         付く頃合かもしれねえ・・

         目当ては何だった?」



    真「カ・・カツドゥン・・・」ガクッ




    リヴァイ「(初めて聞く発音だな)
         ・・なら目的は被ってねえな。
         ひとまず一緒になって前まで
         行って見るか・・?

         あの見るからに戦い慣れ
         してる奴らの所までは
         何とか連れて行けるかも
         しれん。その先は俺も
         自分のを勝ち取らなきゃ
         ならねえからな。そこまでは
         面倒見切れねえが・・」

  18. 18 : : 2014/11/29(土) 15:52:19

    真「いえ・・・!お言葉は嬉しいですが
      ここはやはり粘ってみます!!
      ・・・リヴァイさんの援軍もそりゃ
      頼もしいですけど・・・、俺には
      いつも一体となって支えてくれる
      臣下がいますから・・・!」グッ




    芦「ま・・魔王様・・・・!!」




    リヴァイ「そうか・・。まあ、大怪我
         しない程度に頑張ってくれ。
         都内に赴く機会でもあったら
         幡ヶ谷店にでも寄らせて
         貰おう。・・・またな」




    真「はい!・・ってうおっ危ねっ!!!」
      ババッ
          ブンッ

    芦「魔王様!!!後ろ後ろ!!!」













    リヴァイ「・・・さて・・俺の狙う
         天ぷら盛りは・・・」





    顎鬚「ッづぁっ!!!」

      ドッ!!



    上「おおオァ!!!!」
      
      ガッ!!!!



    瞬間、互いに同時にして顔面を狙った
    渾身の右フックを、鏡写しの
    様に同時にすれ違いざまに躱す二人。


    姿勢を低くし、拳を交えた二人の
    腕が、噛みあった歯車の様に
    がっしりと組み合う



    顎鬚「(・・強い・・!!
       こりゃワン公以上かも
       しれねえな・・・・!!)」
       ググググ・・・・!!


    上「(魔力だの術式だの回りくどい
      連中よりずっとやりやすいぜ・・!
      右手だけでキメに行かないと
      ならねえ闘いとは違って・・・な!!)」


    上「っるァ!!!!!」


    グンッ!!!!



    顎鬚「っ!!」


    組んだ腕はそのままに、
    大外刈りの要領で顎鬚に
    足払いを掛け、投げ飛ばさんとする
    当麻。



    顎鬚「(だが・・!!!)」
       
       グンッ!!


    上「っ・・!?」


    ダンッ!!

    足払いに崩される体勢を維持しようと
    するでもなく、堪えようともせず、
    脚の踏ん張りが効くまでのその僅かな
    時間の判断でバク転のようにして
    自ら足払い以上の勢いをつけ、
    後方に身を投げる顎鬚。



    顎鬚「(単純なド突き合いだけなら
       いざ知らず・・、こっちにゃ
       地の利がある・・・・!!)」



    その背後には・・丁度、弁当陳列棚が
    腰の高さにあり、そのまま空中で
    半回転すると、狙いすまして
    いたかのようにその棚上に着地する。



    顎髭「アブねえ・・弁当を踏み潰し
       ちまっちゃ危なく豚以下だ・・
       ・・ッぜ!!」ヒュオッ
       ズガッ!!



    棚から低く飛びながら、
    当麻の側頭部を狙った鋭い
    足刀が撃ち込まれる。

    ・・が、これを辛うじてガードする当麻。



    上「・・こいつは結構な強敵だな・・」


    睨みあう最中、その真横を音も無く
    過ぎ去る気配に気づいたのは・・
    一瞬遅れての事であった


    リヴァイ「悪いがそいつは俺も
         狙ってるんでな。手早く
         行かせてもらう」
         ヒュッ・・・・




    顎鬚「なっ・・・!!いつの間に・・!!」 


  19. 19 : : 2014/11/29(土) 15:54:39


    驚愕する顎鬚の目に、更なる信じ難い
    情報として舞い込んできたのは・・
    リヴァイの右手に下げている物だった。


    顎鬚「籠っ・・!!?ここまで
       ・・この乱戦の中アレを
       手放さずここまで来たのか・・!!
       何て奴だ・・・!」




    ・・しかも、良く見ればその中には既に
    値引き品のめざしが、リヴァイの歩調に
    合わせ、踊っているではないか。


    基本的に、狼同士による戦いは
    相手が籠に弁当を収めてしまったり
    した場合にその場で勝利が確定
    されてしまう。・・が、しかし、
    それは、別に籠に入れるまでしなくとも、
    掴み取ってさえしまえば決まる勝負でも
    有る。

    籠を持ったままこの乱戦を制するのは
    至難の業であるし、動きの邪魔をする
    拘束具としかその用具は役に立たない為、


    特殊な戦法を操ることにより、
    “籠”を無敵の武器として扱う
    《オルトロス》等、一部の例外を
    除いては、戦闘中にまで籠を手放さない
    狼は稀である。

    その為、大抵の場合は
    相手に弁当を“掴ませない事”
    が前提の戦いとなり、その為には
    身軽であることが第一とされている。


    ・・それを目の前の男は・・



    顎鬚「だが、黙って見過ごすわけにも
       いかねえな!!!!」


    上「右に同じく!!!」



    相手の底知れなさに嫌な汗を
    かきながらも、即席の共闘者と
    同時に放つ、下段足払い。
    とにかく相手の歩みを止めることが
    第一と放ったその布石は、


    リヴァイ「っ」ヒョイッ



    難なく飛んで躱されるが、
    そこへ



    上「へいっ・・・らっしゃい!!!」


    ゴウッ!!!!!

    ガッ!!!!


    上条当麻、渾身の右ストレートが
    躱す場のない空中で、籠を抱える腕を
    器用に交差させて受けの体勢に入った
    リヴァイを捉える


    上「・・・・!!っ・・・」


    グググググ・・・!




    リヴァイ「・・・・」



    防御に組んだ腕に、渾身の右を
    阻まれた当麻。しかし、その
    拳を未だ退かずにリヴァイに
    押し込もうとする最中、己の
    背筋に何か嫌な感覚が走るのを感じ取る。
  20. 20 : : 2014/11/29(土) 15:56:57



    リヴァイ「・・風呂上がりなんでな。
         本当ならもっと大いに身体を
         動かして運動不足解消に
         努めたいんだが・・。生憎
         着替えたばかりの服を
         汗臭くもしたくねえ」



    ゾクッ・・・

    上「・・・・!」



    ある程度喧嘩に慣れている者ならば、
    肌を合わせずとも、相手の力量や技量、
    自分と比べた場合そのポテンシャルは
    どの程度のものなのか、それくらいは
    何となく分かる物だ。


    ・・しかしそれは、実際に相手の
    身体と組み合う事により、更に
    正確な情報を自身に伝える精度へと
    向上する。





    上「こいつ・・・・・」



    ――土御門よりヤバい。




    上「っ・・・」ババッ



    己の命や、他人の命、そして
    何より自分にとって大事な何かや、
    目の前で蹂躙される者を救おうとする
    その際には、自分でも往生際が
    悪すぎると思うくらいに決して
    退く事をしない上条当麻であるが・・
    この場、この状況ではその勝手が違った。



    上「(あのボリュームは捨てがたいが
      ・・!まだ他に弁当が残って
      無い訳じゃねえ・・!あんな
      化け物とぶつかって行動不能に
      陥るくらいなら・・!)」


    潔い程に利口な判断を自らに下し、
    返した踵を、もう一方の月桂冠へと
    向ける上条当麻。

    その視線が捉えたのは・・・



    上「カツ丼も・・捨てがたいな・・!」




    その視線の先では、先にカツ丼へと
    狙いを定め、そしてその領域に
    何人も寄せ付けぬとばかりに
    奮闘する坊主と茶髪によって、
    今まさに何度目かのダウンを
    取られた二人組の姿があった。


    真「ぐぅ・・・!!た・・
      体力が・・・・!!こんな事なら
      休憩時間に昼寝しとくんだった
      ・・・・!」



    芦「ま・・魔王様・・!!お気を
      確かに・・・!!」





    茶髪「(まともな狼でもない犬にしては
       随分頑張ってる方じゃない。
       後は・・・・!)」クルッ



    坊主「はっ!!!!」
       バシィッ!!




    茶髪「あらぁ・・、あなたも
       カツ丼狙い・・?」



    坊主「カツ丼に拘らず月桂冠
       だな・・!しかしあっちには
       奴が向かってしまった・・!
       もう一つの月桂冠は
       カレーだったが・・今日は
       昼飯がカツカレーだった
       からな・・・!」



    茶髪「じゃ、やっぱりカツ丼狙い
       なんじゃないw」



    坊主「そういう事だ・・・!
       悪く思うなっ・・!」



    茶髪「謝るのは早いわよっ!」



  21. 21 : : 2014/11/29(土) 15:58:36



    ―――その時、どよめきが走った。






    「ぐあっ」

           「マズイっ!!
            来やがった!!!」


     「一気に当たれ!!押し切られるぞ」




    「ヤバイヤバイヤバイ!!!」


           「と、止まらねえッ!!」





    周囲から聞こえる焦燥と、戦慄を
    織り交ぜた、悲鳴交じりの叫び声。





    茶髪「ま・・まさか・・・!!」




    坊主「クソっ!!!こんな時にッ・・」






    ――――大猪(タンク)



    並み居る狼を薙ぎ払い、そして
    蹂躙制覇する貪欲の戦車が、弁当売り場
    へとその進路をとっていたのだ。



    乱戦の熱気から一瞬にして、
    先程までとは違った怒号と雄叫びが
    響く、決死の防衛線へとその戦場は
    姿を変えた。



    茶髪「ダメよ・・・!奴は力じゃ
       止められない・・!!」





    坊主「しかし場所がマズい・・!!
       まっすぐにこっちに
       向かってくるぞ・・!!」




    上「へっ・・・!面白ェ・・・!!
      上等だよ・・!あいつが
      何でも思い通りに値引き品を
      独占できると思ってやがるなら・・!
      
      ・・・まずはそのふざけた幻想を、
          ブチ壊すッっ!!!!」
      ダダッ





    坊主「いかん!!そいつには
       手を出すな!!」


  22. 22 : : 2014/12/03(水) 03:08:05






    上「ぉぉぉおおおお!!!」ガシッ!!




    芦「魔王様ッ!!カツ・ドゥンの棚は
      すぐそこです!!!このまま指を
      咥えて見ていては根こそぎ
      攫っていかれてしまいます!
      
      一先ずはあの毬栗のような
      頭の学生に加勢するのが先決
      かと・・!!!」


    真「いや・・、俺らでアレ
      足止めしてる間に後ろで
      持ってかれたりしちまわねえか?;」

       

    茶髪「単純な力で敵わないのは
       承知の上だけどッ・・・・!;」


    坊主「果敢にアレに挑んでく奴を差置いて
       ネコババはできねえだろ・・・!」


    ガシッ×2



    真「どうやらそんな事を言ってる
      場合じゃ無いみてーだな・・」


     


    リヴァイ「奴が来ちまった様だな。
         ・・だが俺は目当てを
         手に入れた。奴と無意味に
         ぶつかって消耗するのも
         本位じゃねえからな・・
         適当に頑張れよ」



    真「うわっ・・!?い、いつの間に・・!?」



    棚を見れば、3つあった月桂冠の内、
    一つがリヴァイの手から下げた籠へと
    その居場所を移し、

    月桂冠スペースを陣取って接近する者を
    積極的に牽制していた顎鬚が床に
    倒れ伏していた。


    顎鬚「(け・・結局打撃技を一撃も
       使われずに投げだけで軽く
       あしらわれた・・・・!!(汗))」



    しかし、その籠に収まっていたのは当初
    リヴァイが狙っていた天ぷら弁当では
    なかった。



    坊主「くっ・・やっぱり奴を食い止める
       事だけは敵わなかったか・・・!!
       ・・・って、うおっ!!!」
       ガッ!!


    茶髪「キャッ・・・・!!」
       ドンッ


    上「ぬわっ・・・・!!!」
      バガッ


    纏めて大猪の駆るカートに
    弾き飛ばされる5人。


    芦「な、なんて膂力だッッ・・・!!!」


    真「まさに戦車(チャリオット)・・・・!!!!
      こんな・・5人がかりでも
      食い止められない怪物(クリーチャー)相手に
      一体どうすれば・・・!!!」
     

  23. 23 : : 2014/12/03(水) 03:10:19


    ・・・・・・・・・・・!





    しかし、その時、自身に訪れる
    一つの異変に気付く真奥。

    いや・・、彼にとって“ソレ”は
    本来異変と呼ぶ程奇異な物ではなく、

    寧ろ彼の出自に関わる世界では
    極一般的な、それこそ空気と同じように
    そこら中に漂っていておかしくない
    ものであった。



    ――――即ち、   魔力。


    その源となるモノが、彼の今居る
    空間には満ち満ちていたのだ。

    それらの発生源は、既に乱戦によって
    強者に退けられ、横たわる敗者であったり
    未だ争奪戦を繰り広げて居る者達で
    あったり、または、大猪の略奪を
    阻まんと果敢に挑む者達であったり
    様々であったが、


    それらの者の心を支配していたのは、
    一様に、“恐怖”“悔恨”そして
    “憤り”の感情であった。


    ・・そしてそれらの感情は・・


    “魔力”という概念が非常に稀有な
    この世界において・・彼が・・


    ・・・真奥貞夫が失った魔力、
    その糧として吸収変換できる人間の
    感情エネルギーである。



    芦「魔王様・・!こ、これは・・!」



    真「ああ・・気づいたか・・・
      
      よっぽどあの戦車(チャリオット)にはここに
      いる全員、苦汁を舐めさせられてる
      ようだな・・・・!」


    芦「・・いつだってそうです。
      力で勝ち取るのは何時、どの世界に
      於いても当たり前の事ですが・・
      その節度を弁える事のできない
      矮小な強者というのは・・
      どうやっても絶える事はありません。
      
      そうした世界を変えるために
      魔王軍を引っ張ってきた魔王様の
      臣下の中ですら・・・・」



    真「・・・長話は無しだ。
      折角手元に集まった魔力だが・・
      こそこそ残高チャージしてると
      また恵美にブチブチ文句を
      言われちまうからな・・この際だ、
      一気に結界にぶち込んじまおう。

      まあ・・、正直かなり
      もったいねえけどな・・・!微々たる物
      とはいえこれだけ集まれば
      それなりの蓄えになるんだが
      ・・・!ま・・・・カツドゥンの
      為とあっちゃ仕方ないよな・・・!」
      ググ・・・!





    ―レトルトコーナー―


    その時、その場に充満し、一気に
    展開されたその力場に自身の動きを
    制限されながらも、いち早く異常に
    気付く者が居た。


    土「(!?この感じは・・魔力結界・・?!
      いや、しかし今まで感じた事の無い
      類の物だ・・あまり強力なもの
      でも無いが・・魔術師か・・?!

      だとしたら、一体何処のどいつが…。


      どんな目的があってここにいるのか
      定かじゃぁないが・・まあ

      ・・・カミやんが居るなら何も
      問題は無いだろう。・・しかし
      弁当の購買合戦に結界まで展開
      するとは・・いやはや、
      どんだけ経済状況が逼迫して
      いるのやら・・)」






  24. 24 : : 2014/12/03(水) 03:14:05


    その場は一転して、

    静寂に包まれていた。


    先程まで店内を支配していた喧騒も、
    混乱も、全てが嘘のように、
    空間そのものが――静まり返っていた。



    真「えー・・アノですね。ご家庭の
      事も分かります。まあ、半額だし?
      買える時に買っておかなきゃって
      発想はそりゃもっともですけど、
      やっぱり限度とか、そういった
      ものをですね・・・」



    芦「・・・って、魔王様!角!角ちょっと
      出ちゃってますよ!!」シマッテ!



    真「あ、いけね。ああと・・、
      そ、そうですほら、他にも
      これだけ半額弁当を求めて
      この売り場に来る人たちが居るわけ
      ですから・・、それを一人で
      籠一杯に持ってこうってのは
      流石にですね・・」


    芦「・・・魔王様。これ、身体の自由だけで
      なく固有時間まで止まっちゃって
      ませんか。思いの外集まった魔力が
      大きかったようで・・つまり、
      ご婦人はおろかその他の方々も、
      これ、意識まで停止してますよ;」



    真「マジか・・・!;あ、あれ、
      おっかしいな・・・!ちゃんと
      加減した筈・・あれ、結界貼んの
      久しぶり過ぎて自分で貼った結界の
      解き方思い出せねえ・・・」



    芦「まったく、しっかりして下さい
      魔王様・・;これくらいなら
      私にでも容易く・・・」ピタッ・・



    芦「いえ・・待ってください魔王様・・」



    真「・・何だ?」

      

    芦「これ・・、結界を解除した途端、
      また乱闘が始まるだけなのでは・・」



    真「・・・それは・・そうなるだろうな・・」



    芦「どうでしょう、この際ですから
      今の内に安全にカツドゥンだけでも
      確保しておくというのは」



    真「んんむ・・・;流石に気が引けるな
      ・・しかしこのまま解除しても
      元通りになるだけだしな・・
      弁当だけでも確保しておくか・・」
      ポリポリ


    芦「・・では・・」



    真「あ、当然だけど金は払わないと
      窃盗罪になっちまうからな。
      モノを確保したら解除して
      レジまで持っていくぞ

      あと、ポイントカードも
      出しとけな。レジで慌てるから」


    芦「無論、その積も・・・
      、・・・・!!!!」

  25. 25 : : 2014/12/03(水) 03:17:43





    そこまで言いかけた芦屋が真奥の
    後方を凝視し、信じられない物を
    見るような眼差しで絶句する


    真「お・・・?どうした芦・・」



    上「・・・なんだこりゃ・・
      さっきから随分静かだと
      思ってたけど・・身体が暫く
      動かなかったところを見ると
      ・・魔術の類か・・?人払いの
      ルーンって奴とは少し違うみたい
      だが・・」



    芦「な・・なぜこの場で動いて口を
      利ける・・・?!!この学生・・
      一体・・・?!!」



    真「おい!それより今コイツ、“魔術”
      つってたぞ!!ひょっとして
      エンテ・イスラ絡みなんじゃ・・」



    上「・・成る程、この場で自由に動いてる
      ッて事はあんたらが術者か何か
      って訳だ。そして・・・」



    真「・・・・!!」カサッ



    上「この場に乗じて弁当を
      掻っ攫おうって魂胆か・・!
      いや、実際恐れ入るぜ・・・!
      色んな奴を見てきたけどよ・・、
      
      半額弁当を確保する為だけに
      公共の場で魔術を惜しげなく
      使う奴なんて上条さん初めて
      見ちゃった気がしますよ・・・!」
      パキ・・・ポキ・・!!


    真「アレ・・なんか盛大に誤解されてる
      感じ。」


    芦「いえ・・・、時間まで停止してしまった
      のはたまたまとはいえ、この機に
      乗じて弁当を確保しようとしたのは
      紛れも無い事実ですし、
      誤解という事でもないのでは」


    真「そ、それもそうだな。よ・・、よし
      、何か分からんが、この場で動ける
      のはどうも君だけの様だし、
      ここはお互い指定した弁当を
      一つずつ譲歩し会うというのは・・!
      変り種はこれと後一つしか
      残っていないが、後は十分他にも・・」


    上「カツ丼一択だ・・・!!そいつは
      絶対に渡せない・・!何故なら、
      一番量が多いのがそれだからな・・!
      そいつを持って帰れれば
      彼の腹ペコシスターも満足して
      床についてくれるはず・・・!
      間違っても食糧不足で暴れられる
      様な事は避けたいんでね」



    真「ヌぐゥ・・・・!よりによって
      カツドゥンか・・・・!::」



    芦「・・やはりこうなってしまいますか」
      (溜息)
      


    真「・・どうあっても退けぬか?(汗)」
      ググ・・・;

    上「苦学生のさだめ・・!退けぬ・・・!!」
      パシン!!




    刹那、全てが静まり返った空間で
    上条当麻は床を蹴った。

    今夜の晩餐を勝ち取る為――

    その障害となる全てをなぎ倒さんと

    己が右腕を、これ以上無い程に
    大きく振りかぶりながら。




    真「チッ!!仕方ねえ。芦屋!!

      こっちは使い切っちまったが
      そっちには少し残ってるだろ!
      この際荒事は避けたい!!
      もう一度こいつ単体で何か
      束縛系の奴軽くかけちまってくれ!」




    芦「かしこまりました!!」ババッ



    芦屋の翳した両掌の直前に、
    幾何学模様のような円陣が浮かび上がり、

    それが一際強い光を放ったかと思うと
    その直後――、



    バキュッッ......ィィィン!!




    芦「!?」





    その円陣はまるで投石を受けた
    ステンドグラスの様に砕け散り、
    大気の塵と還った。

  26. 26 : : 2014/12/03(水) 03:19:37

    つまり、術式は発動せず、
    “打ち消された”のだ。目の前の学生に。





    芦「何ッ・・??!一体なにがッ・・」
      アタフタ;


    真「なっ・・!?ちょっおい!!?
      意味がわか・・・」



    上「おおおおおお!!
      (もら)ったぁぁぁあああ!!」



    ドガッ!!!  ゴスっ!!!



    真「ぶっ・・・!!!!」


    芦「ゴハッ・・・!!!?」



    その場で瞬時に殴り飛ばされた二人は
    状況を理解するのにも頭が全く
    追い付かなかった。幾ら即席の
    かき集めで張った簡易的な魔力結界とは
    いえ、それを打ち消される際・・・

    目の前に迫ってきた学生からは、
    “欠片”も魔力を感じなかったからだ。

    魔力だけではない。勇者の扱う
    聖法気のような破邪の力は勿論・・
    それすら打ち消す堕天の邪眼光
    といった様な力も、何も感じない。

    “只の人間”に、まるで薄氷を
    砕くかの如く、いとも簡単に結界を
    突破されたのだ。



    その場の結界を張っていた術者である
    真奥貞夫にその拳が叩き込まれた
    事により、売り場を支配していた
    魔力は一瞬で霧散する。
  27. 27 : : 2014/12/06(土) 07:31:18




    辺りには術式が展開される前の
    乱戦が今まで通りに巻き起こり、


    大猪を食い止めんと奮闘する2人は、
    先程までその場にいたはずの当麻が
    忽然と姿を消した事に驚きを
    隠せないでいた。  が、

    動揺している暇などは無い。
    大猪の駆動力も魔力結界解除の影響で
    落ちている今、先手を打って残る一つの
    月桂冠を手に入れるのは今しかないと
    同時にその場を飛び退った。



    真「・・・・」


    芦「・・・・」


    その場に大の字になり、
    天井を眺める二人。



    真「カツ・ドゥン・・取り逃しちまったな・・」


    芦「・・そうですね・・(溜息)

      申し訳ありません。きっと
      私の手元が狂ってしまったばかりに
      あんな簡単な術式の展開に失敗
      してしまうなど・・・大元帥の
      名が聞いて呆れます...」


    仰向けになりながら更に
    肩を落とす芦屋。


    真「いや・・お前があの程度でしくじる
      なんて逆立ちしてもあり得ねーよ。
      術自体は間違いなく発動してた。

      ・・ただ・・・」


    芦「やはり・・・魔王様の目からも
      そう見えましたか・・・」



    真「・・・何だったんだろうな・・
      ありゃ・・・。」


    芦「我等に仇なす人間など勇者一行
      くらいが関の山かと侮って
      いましたが・・・」


    真「何の武装もしてねえ、しかも
      魔力も持たない学生に一泡
      吹かされてちゃ・・・
      世界征服も簡単な話じゃねえな(笑)」


    芦「仰る通りです」



    真「さて・・そんなこんなで
      世界を支配するのは
      今すぐは無理だとして・・
      やっぱり手痛くやられた時こそ
      腹ごなしだろ。・・・まだ騒がしさが
      残ってるということはだ・・」
      


    芦「目玉は既に全て購入されてしまった
      様子ですが・・そうでない通常枠の
      半額品ならば棚に・・・」ムクリ




    真「どうする・・?俺達は大人しく
      侵攻に失敗した負け犬よろしく
      ど○兵衛でも買ってくか?」





    芦「・・・そうですね・・ポットも
      スーパーに設置されていると
      あっては魔王城にて熱湯煮沸に
      費やすガス代を節約する意味でも
      この施設を有効活用しない手は
      無いでしょう・・・・が、」




    真「が?」





    芦「折角ならレンジを使って
      もっと英気を養える晩餐を勝ち取る
      道を往きましょう。まだ魔王様の
      臣下は心を折られてはおりません。
      
      魔力などに頼らずとも・・!
      この大元帥の一角にして
      不肖アルシエル。如何なる生き恥を
      晒そうとも、魔王様の夕餉位は
      確保して御覧に入れましょう」



    真「・・・決まりだな・・!」
      ムクッ









    ―――狼達の夜は、終わらない。

  28. 28 : : 2014/12/06(土) 07:34:38





    ― ホーキーマート駐車場 ―





    ミ"ッ ミ"ッ!!

    OPEN!


    ガチャ..




    ハンジ「んぁぅ゛~・・・オァエリ リヴァイ...」
        グデェ....





    リヴァイ「少しは酔いは落ち着いたか・・
         と聞くまでも無かったな。
         持ってきて正解だった。」ホラヨ
         (いろ○すボトル手渡し)

    ベコッ




    ハンジ「ん~~?..あ、ありがと!!
       流石気が利いてるねリヴァイは!」
       キュッ・・ゴクゴク



    酔いに項垂れる我が身に浄化の
    聖水を流し込まんという勢いで

    本来鉱水であるそれを煽るハンジで
    あったが・・、若干処理能力に遅れが
    生じたその頭で、今自分が飲み始める
    前に手渡された物品の違和感について
    気が付いた事を口にする。



    ハンジ「あれっ・・これ開封済み
        だったけどこれはもしや
        ひょっとして関節キッスって
        奴じゃないのか♪リヴァ
    リヴァイ「ボトルに貼ってあるシールを
         よく見ろ。」



    〔ドラッグストア イサヤマハジメ〕



    ハンジ「・・・・・・」
       (こないだ私が仕事上がりに
        買ったボトルじゃん・・・↓)



    リヴァイ「車内に空のボトルをゴロゴロ
         放置するな。後は全部
         リサイクルボックスに
         放り込んできてやった。
         
         ・・中身は給水器から
         汲み取ったばかりの純度
         100%水道水だ。美味いか」




    ハンジ「ぅん・・・程よいカルキの味が
        何とも言えない塩梅だ。
        リヴァイもイくかい?」スッ





    リヴァイ「ああ。頂こう。」グイっ
         ゴク





    ハンジ「!!??!そこは普通に
        飲むのかよ!!!!!?」





    リヴァイ「何だお前はいきなり・・;
         狭い車内で突然大声を出すな。
         びっくりするだろうが」




    ハンジ「こっちはお前の行動に
        ビックリだよ!」


  29. 29 : : 2014/12/06(土) 07:39:24



    リヴァイ「間接がどうとかって話か・・?
         ・・・それは流石に今更
         過ぎるだろ・・学生時代
         何十本パピ○をシェアしたか、
         お前正確な本数を
         覚えてるのか・・?」
         (字も間違ってるしな)



    ハンジ「・・そ・それはそうだけどさ・・
        そもそもちゃんとその為に
        等分できる形状に造られてる
        パピ○を・・どうして私ら
        ああいう風に啜ってたんだっけ;
        ・・・」




    リヴァイ「俺は、アレを丸ごと一本
         行くとたまに腹が緩くなる
         事があったからな。お零れを
         お前が吸い尽くしてたって
         いうのと・・後は、

         逆にお前が、あの頃学年の
         女子間で流行ってた
         ダイエットとかいう訳の分からん
         女子力稼ぎに躍起になってた
         時に、残されるパピ○を
         見るに見かねて腹を下すのも
         お構いなしに俺が処理してた
         ・・・って成り行きだな。」




    ハンジ「・・・よく覚えてるなリヴァイ・・」

        


    リヴァイ「人間忘れようと思わない様な
         記憶は大事にするもんだ・・
         それよりも・・・」ガサガサ




    ハンジ「そういやコレと、弁当買いに
        行くだけとはいええらく
        時間かかってたじゃん。
        一体・・・」



    リヴァイ「今日は中々難敵が多かった
         のもあってか弁当を
         手に入れるまでもかなり
         手こずったが・・」




    ハンジ「難敵ってお前・・;」
         





    リヴァイ「お前が車内に溜め込んでた
         空ボトルを全て洗って潰す
         時間と、引っ越し蕎麦、及び
         素麺のギフト手配も同時に
         この際済ませちまった。
         ・・何だかんだ車で移動
         できるこの期を逃す手も無い」






    ハンジ「お前、本ッ当に生活と行動理念に
        無駄が無い奴だよね。趣味の
        事となるとその時間効率は
        全部そっちに傾く癖にさぁ」




    リヴァイ「人間だれしも欠点の3つや
         4つはある。それくらい
         目を瞑れ。」


    ハンジ「・・・貶してんじゃなくて
        褒めてるんだよ・・・って
        それよかさ・・・///」スンスン





    リヴァイ「・・・何だ?」




    ハンジ「・・・なんか・・・カロリーの
        匂いがする・・・(*‘∀‘)♥︎ 」





    リヴァイ「ああ・・そうだったな、
         折角レンチンしたばかりだ。
         ・・食うか?」ガサガサっ




    そう言いながら袋よりリヴァイが
    取り出したのは・・・丼物ケースにしては
    半ば長方形とも小判型ともいえる形状
    にして、その深さからしてかなりの
    ボリュームと見られるカレー弁当で
    あった。
  30. 30 : : 2014/12/06(土) 07:42:46



    ハンジ「!!?ぅ・・!!美味(うま)そう・・・!!(;//゚Д゚)
        ・・・っていやいや、リヴァイ?!
       それは確か本来なら・・そう簡単に
       手に入れられないのを、
       お前が頑張って手に入れたんだろ?
       そんなモノを・・・」



    リヴァイ「勿論俺も食うが・・この
         ボリュームを見ろ。流石に
         単独で全てイったら胸やけを
         起こすだろ。それに風呂で
         サッパリした後にこの系統のを
         がっつりいくってのも
         アレだからな。半分くれて
         やる。お前、好きだったろ?
         カレーは」



    ハンジ「好き好き!!めっちゃ好きだよ!!
        っつか今凄く食べたかったんだ!
        い、生きてて良かったぁぁ!!」
        (*´ω`*)ノシ 



    リヴァイ「大袈裟な奴だ。・・まあいい。
         匂いが車内に残るからな・・
         表で喰うぞ」

         ガコッ


    ハンジ「えぇ~??いいよぅ別に・・」
       (;´・ω・)(意訳:ゴロゴロしてたい)
         



    リヴァイ「その姿勢のまま食い
         散らかしてカーコロンを
         上書きするカレー匂で
         車内を汚染してみろ、
         俺は二度とこの車には
         乗らないぞ」



    ハンジ「・・・;ハイハイ、わかりましたよ
        もう・・・」ヨッコイショウイチ・・
        ガチャリ



    車脇の空車スペースにて、
    輪留めの縁石に胡坐をかいて座る
    ハンジにリヴァイの今夜の戦利品が
    手渡される。



    リヴァイ「器もねえから先に喰っていい」
        


    ハンジ「おっほぉ・・!!///」ズシリ・・



    そのサイズと重量は最早半額に値引き
    された表示価格ではどう考えても
    採算のつかない程の外見であり、
    また、カレー弁当と銘打たれて
    おきながらその付け合わせと盛り合わせ
    たるや実に豪勢なものであった。




    敢えて白米でなく、カレー、ハヤシ系と
    相性のいい麦飯を使用されたライスの
    ベースに、当然メインとなる
    カレールウが万遍なく覆いかぶさり、

    その表層へ山肌に積もる残雪の様に
    散りばめられた溶けるチーズ、
    そして蓋の綴じ込みに支障を来さぬよう
    敢えて小ぶりな物を選び抜き、
    埋没された数々のから揚げと・・

    中央に鎮座し、その
    切り口を此方に覗かせる一刀両断された
    スコッチエッグ。そして弁当外周を彩る
    モロキューと福神漬けのサークル。


    ハンジ「(*´Д`)ジュルリ・・」


    見るだけでその含有総カロリー数値が
    通常のコンビニ弁当の倍はありそうな
    堂々たるビジュアルに、ハンジの
    摂食中枢は視覚、そして嗅覚とで
    同時に刺激される。

    熱量の誘惑に耐えかねると遂に
    その蓋へと指を掛ける・・が



    『支●を●●吊るしてギリギリ
     太る大人向けカレー弁当』
       


      
    ハンジ「・・・・・・」



    その蓋に張り付けられた商品名ラベルに
    一気に意識を奪われ、垂れかけた
    唾液も瞬時にその口腔へと退却する。

    ●の部分はリヴァイがレンジで加熱
    する際、感熱紙が部分焼けを起こし、
    部分的に解読不能になっている様子。
  31. 31 : : 2014/12/06(土) 08:03:24




    ハンジ「なんだ・・・このネーミング
        センスは・・・」



    リヴァイ「・・ここの半額神はたまに
         そういう目も疑う様なものも
         作る事はあるが・・まあ、
         味も食い応えも決して
         消費者を裏切らない。
         そこは保証できる」




    ハンジ「味やボリュームはまだいいかも
        しれないけどさ・・これ・・
        ●の部分にどんな言葉を当て
        はめても理解不能な名称にしか
        成り得ないんだけど・・・;


        しかもギリギリアウトなのか・・・」
        (支配?支給?支店?支点?;)



    リヴァイ「冷めない内に喰え。俺はその間
        もう少し執筆途中のを詰めて
        おく。」パカッ・・(PC開)




    ハンジ「お前は何処でも趣味に
        没頭できるんだな・・いや、
        感心するよ。そこまで徹底
        してると逆に。」パキッ・・




    気を取り直し、蓋側面を固定する
    セロテープもろとも封印を解除し、
    その内より放たれるのはその弁当に
    内包されし熱量の体現ともいえる蒸煙



    酔い醒めの空腹に際し、その匂いを
    嗅がずにはいられない程活性化された
    鼻孔をくぐらせるハンジ。




    ハンジ「(深呼吸)」
       スハァ・・・///(≧ω≦)




    ハンジ「い・・いただきまぁす・・!」
        ゴクリ・・




    プラスチックスプーンで以て一口、二口と


    アルコール以外の物を待ちわびていた
    ハンジの口内へと運び込まれる、
    チーズとルウが絡んだ麦飯、

    そしてから揚げの与える
    たしかな満足が・・・



    ハンジ「~~~~」ニヘラ~・・
        (*´ω`*)



    ハンジの顔面をこれ以上無い程に
    締まりのない笑顔へと変貌させる




    リヴァイ「・・・・」カタカタ・・・



    その様子を隣の縁石に腰かけつつ
    ノートPCのキーを叩きながらも
    一瞥したリヴァイは





    リヴァイ「どうだ・・美味いか」




    そう、一言だけ問いかけた。





    ハンジ「・・それをこの期に及んで
        聞くかね・・。美味くない
        訳がないッ・・!!//」ハフハフ





    リヴァイ「そいつは重畳だ」



  32. 32 : : 2014/12/06(土) 08:09:18


    空腹の最中に於いて、今正に怒涛の勢いで
    雪崩れ込んで来る熱量源にその身を
    捩らせながらも、咀嚼する顎を
    高く上げ、雲のかかっていない
    夜空を仰ぐハンジ。




    ハンジ「~~~(ムグムグ・・)」



    ――星が綺麗だ。


    しかしこうして暗い中
    表で飲み食いなんてしていると・・
    やっぱりなんというか・・



    ハンジ「(ゴクッ・・)昔を思い出すな・・
        よく学生時代は表で買い食い
        してたっけ」



    リヴァイ「・・・・ああ」




    私もこいつも・・それから全く違う
    職場について、私はバイトから今の
    所へそのまま、こいつは両手の指で
    足りない程の職場を移りかわりながらも
    ・・今もこうして私の隣に居る。


    こんな、なんて事のない毎日と、
    当たり前にする様な会話を続けられる
    日々を・・これからあとどれだけ
    生き続けられるのか。


    そんな、考えてみても
    どうしようもない事を思い浮かべた
    時点で・・私は考えるのをやめた。




    ・・・・なにも難しい事なんてない。




    ―――単純な事だ。




    食べる飯がこれだけ美味しい。



    隣には一緒にいて楽しいと
    想える奴が居てくれる。 





    これ以上の幸せを・・






    今迄知ろうとした事も無かったし
    知った事も無いからだ。






    無論これ以上に幸せだと思える
    時がもし私に来るのなら・・それは
    一体どんな状況なのかとても気になる
    所ではある。・・・けれど






    それは多分“今ではない”








    ――そう、思った。













    ―To be continued― 





  33. 33 : : 2014/12/06(土) 08:22:59


      ~あとがき的ななにか~


    はい、思い付きで何とも適当~に書いてしまった
    短い繋ぎでしたが、ここで幕引きとなります。
    いやあ、実際に言える事ですが・・
    流血沙汰にまで発展するその是非はともかくと
    して、半額弁当購買合戦。実際には結構
    時間との勝負だったりします。

    おまけに、現実にも結構、シール貼ってるのを
    早く貼り終えないかなと“その場”で待機
    する程の猛者も居られる様子。


    原作の作中にて、裏方にしてその
    半額シールを貼っているアブラ神は、

    “中途半端な気持ちで首突っ込むと死ぬぞ”

    的な警鐘を主人公に促した直後、半額如きで
    何を大袈裟なと一笑に伏せようとする
    その顔面に寸止めパンチをお見舞いします。
    そしてその後に仰ったのがこんなニュアンスを込めた一言。

    “もし普通に弁当を買いたいなら半額じゃない時に買え。”


    ・・作品の設定自体はめちゃくちゃではありますが、
    この一言だけは何をどうしても正論なので、
    奇妙な説得力もあります。



    ・・さて、半額弁当はともかく、
    そんな感じでこのシリーズはまだまだだらだらと
    続けさせていただく所存であります。

    こんなところまでこんなしょうもない物をお読みいただき、
    誠にありがとうございました!!m(__)m


    また会いませう!



    ファミマのクルミパンとブレンド。最近の定番!('◇')ゞ

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著者情報
ne5716

夢馬

@ne5716

この作品はシリーズ作品です

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