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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

【苗木女体化】モノクマ「身長160センチでひとり巨乳じゃないやつがいまーすwwww」苗木「」

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  1. 1 : : 2014/11/15(土) 23:06:43

    もちろんキャラ崩壊
    ダンガンロンパシリーズネタバレ有
    もうやりつくされた感あるけど
    苗木女体化
    ついでに巨乳
    おっぱい揉まれまくる
    ノリ更新
    苗木心象+台本形式
    誤字脱字あるかも
    それでもよろしければどうぞ


  2. 2 : : 2014/11/15(土) 23:13:35


     ボクの名前は苗木誠、超高校級の幸運として希望ヶ峰学園へと入学した。

     意気揚々と入学式へ向かおうとし、エントランスに入るや否や、突然の目眩に倒れ、気付けば教室にいて、モノクマと名乗る謎のぬいぐるみからコロシアイを強要されていた。

     そんなコロシアイ学園生活開始から半年……。


     ボクの部屋で朝っぱらから何故かモノクマとゲームをしていた。


    苗木「ねえモノクマ」ピコピコ


    モノクマ「なぁに?苗木クン」ピコピコ


    苗木「ぶっちゃけもう殺しあわせる気ないでしょ」ピコピコ


    モノクマ「うん、いくら動機上げてもオマエラコロシアイしないじゃん……あ、そこアイテムあるよ」ピコピコ


    苗木「うん、ありがとう。そうだね、希望は前に進むからね…あ、そこ敵隠れてるよ」ピコピコ


    モノクマ「ほりゃ!…もう絶望的過ぎて飽きちゃったよ。だから取り敢えずオマエラがここにいる理由と、身内の安否は説明したじゃん……あ、ボスだね」ピコピコ

    苗木「右から回り込むよ、うん、ボクの家族は本当に大丈夫なの?」ピコピコ


    モノクマ「じゃあボクは左に…うん、ボクのパトロンの街だから少なくともそこら辺よりは全然安全だよ」ピコピコ




    一方、塔和シティーーーーー

    こまる「あーけーろってばぁ!!」ガンガン

    こまる「朝御飯まだぁー!?」ガンガンドンッ!


    ーーーーー



    苗木「ふーん、父さんも母さんも妹も1人ずつの部屋なの?」


    モノクマ「そうだね」ピコピコ


    苗木「そっか、可哀想だからさ、みんなの部屋まとめてよ」ピコピコ


    モノクマ「うーん、いいよ」ピコピコ


    苗木「いいんだ、電話もしたいなぁ」ピコピコ


    モノクマ「うーん、検討しとくよ。準備大変だからね」ピコピコ


    苗木「わあ、ありがとう…あ、ボス倒したね」ピコピコ


    モノクマ「うぷぷ……ミッションコンプリートだね……はぁ、それにしても暇だねぇ」


    苗木「そうだねぇ」


    モノクマ「ひさしぶりに動機つくろっかなぁ」


    苗木「無駄なんじゃない?今や皆の絆は確固たるモノだよ」


    モノクマ「そうだねぇ、特に苗木クンなんかみんなからの好感度振り切れてるよ。この一級フラグ建築士め」


    苗木「そうかなぁ、ボクってそんなモテてるの?」


    モノクマ「男女問わずモテモテだよ、前の棒も後ろの穴もロックオンされちゃってるよ」


    苗木「はは…前の棒はともかく、後ろの穴はイヤだなぁ」


    モノクマ「苗木クンってさ」


    苗木「なぁに、モノクマ?」


    モノクマ「お母さん似だよね」


    苗木「うん」


    モノクマ「妹ちゃんってさ」


    苗木「こまるがどうしたの?」


    モノクマ「ドスケベボディだよね」


    苗木「うん。発育良いくせに、雷の日はボクのベッドに潜り込んでくるんだよなぁ。でアイツ寝相悪いから朝にボク乗っかられておっぱいに押し潰されてるんだよね」


    モノクマ「さすが超高校級のラッキースケベだね。もしかしてヨスガっちゃう関係?」


    苗木「流石にそれはないなぁ。いくらシスコンでも」


    モノクマ「シスコンは認めちゃうんだ…あっ、面白いこと考えちゃったなぁ」


    苗木「なんだい、モノクマ」


    モノクマ「うぷぷ…苗木クンはさ、ドスケベボディになりたくなぁい?」


    苗木「うーん、男なら一度は考えちゃうんじゃない?」


    モノクマ「うぷぷ…じゃあさ……」


    突然モノクマの口からガスが吹き出る。急激な眠気にボクは一瞬で気を失う。モノクマめ、何をする気なんだ…せめてゲームのデータはセーブしといて…


    モノクマ「うぷぷぷぷ!!安心して眠りなよ、苗木クン、ゲームのデータはセーブしとくからさ……目覚めたら、ドッキドキのワックワクだねぇ!ぶっひゃっひゃっひゃっひゃっ!」



    *


    「ーーーちゃん、その、本当にやるの?」


    「んもぉー大丈夫だーいじょうぶだって!私様にお任せっ!」


    「で、でも、その…ねぇ?」オロオロ


    「うっせぇ残姉!!飽きたら元に戻すからよぉ!オレに従っとけ!!」


    「わ、わかったよーーーちゃん」


    「まぁ絶望に絶望的に飽きてしまったワタシからの、ちょっとした悪戯なのですよ」


  3. 3 : : 2014/11/15(土) 23:26:30

    *

    寮・食堂

    石丸「おはよう!諸君!清々しい朝だな」

    大神「うむ、おはよう」

    朝日奈「おっはよー、今日も平和だねぇ…」

    大和田「まぁ、ヒマだけどな…」

    山田「おはようございます、週刊少年ヤマダvol8刷りましたぞ、1部5モノクマメダルですぞ」

    不二咲「あ、山田くん、ぼ…私も1部」

    桑田「おいブーデー、オレにも1部くれ」

    山田「はいはい、どうぞどうぞ」

    桑田「何気に普通の漫画も描けるんだな…エロばっかりだと思ってたぜ」パラパラ

    不二咲「山田くんの漫画好きだよぉ」パラパラ

    舞園「あ、山田君、少女ヤマダの今週号あります?」

    山田「すいませぬ舞園さやか殿…明日までには必ず原稿をあげて刷って見せますので、しばしお待ちを!」

    舞園「そうですか…楽しみに待ってますね!」

    霧切「…平和ね」

    十神「…フン、外に出られる自由さえあればな」

    霧切「外は大気汚染されて暴徒で溢れかえっている…確かにここは安全ではあるけれど、外の様子が気になるのは確かね」

    十神「大体、モノクマの事を信じて良いのか?最初、俺達にコロシアイをさせようとした輩だぞ」

    霧切「完全に信じる訳ではないわ。姿も見せないし…ただ、少なくとも、今はまだ、このシェルターと化した学園内に留まるしかないわ…悔しいけど」

    十神「……ちっ、どうにかならんのか」

    葉隠「おっす、おはよーさん」

    セレス「ごきげんよう、皆様…」

    江ノ島「チィース、おっはよー」

    腐川「…お、おはよう」


    石丸「うむ…おや?苗木クンが居ないな…珍しい」

    舞園「どうしたんですかね、苗木君…」

    霧切「少し心配ね…見てこようかしら」ガタッ

    舞園「私も行きます」ガタッ
  4. 6 : : 2014/11/15(土) 23:43:04

    *

    苗木ルーム

    霧切「おかしいわね…扉が空いてるわ」ガチャ

    舞園「…誰も居ないみたいですね」

    モノクマ「うぷぷ…」

    霧切「…モノクマ、貴方は彼の居所を知ってるのかしら?」

    モノクマ「うん、ちょっとね。大丈夫だよ、クマだけど食べたりしないから」

    舞園「モノクマさん、知ってるんなら教えてください…!」

    霧切「彼にもしもの事があったら……ただじゃ置かないわよ」

    モノクマ「今日1日借りるだけだから、明日ケロッと出てくるハズだよ?」

    舞園「それに嘘偽りはないんですね…?」

    モノクマ「やだなぁ、2人とも、目が怖いよ?信じて信じて、クマは嘘つかないから」

    霧切「……っ、行きましょう舞園さん」

    舞園「はい……モノクマさん、彼にもしもの事をしたら、絶対に許さないですから」

    モノクマ「うぷぷ…大丈夫、命には関わらないから」

    *

    食堂

    セレス「…どうかなされましたか?それに苗木君は…?」

    霧切「モノクマに連れ去られてたわ…」ギリッ

    舞園「今日1日だけといってましたけど…やっぱり心配です」

    セレス「……あの糞熊ぁあああ!わたくしのナイトに何しやがったぁぁああ!!」

    山田「ブヒィイイ!!セレス殿落ち着いて下されぇ!!」

    セレス「…わたくしとしたことが、取り乱してしまいましたわ」

    舞園「…苗木君は私の…」ブツブツ

    霧切「…苗木君とは将来…」ブツブツ

    朝日奈「…私だって苗木と…」ブツブツ


    大神(む、これはいかん…苗木よ、モテるというのは難儀なものだな…)

    大和田「モノクマのヤロー、苗木をどうする気だ…!コトと次第によっちゃぶっ飛ばしてやるぜ」

    桑田「ここしばらく何にもなかったからよ…油断したぜ…俺のソウルフレンドをよくも…!」

    不二咲「苗木くん……どこに連れ去られたのぉ…?」ウルウル

    石丸「お、落ち着くんだ…キミ達…!…くぅ…苗木君…何処に…!」

    腐川「…わ、私の意見なんてどうでも良いと思うけど、と、取り敢えず1日すれば帰ってくるんでしょ…?」

    十神「おい愚民共、腐川の言う通りだ。1日待てば良い」

    葉隠「で、でも1日経って苗木っちが帰ってこなかったら…どうすんだべ?」

    十神「その時は、全力でモノクマを暴き、殺してでも苗木を取り返す。十神の名に掛けてもな」

    江ノ島(ど、どうしよ…みんなめちゃくちゃ怒ってるよぅ…苗木くんだもんね…仕方ないね)
  5. 7 : : 2014/11/15(土) 23:48:18


    霧切「取り敢えず…皆、解散しましょう…」

    舞園「……苗木君」グスッ

    *



    ここはどこだろうか。ボクはどうやら眠っているらしい。誰かの話し声が聴こえてくる。

    「うんうん、大分馴染んできた…さっすが私様っ!……絶望的に…可愛く…仕上がりました…」

    可愛く?誰だろうか、ボクに何かしたのか?

    「うぷぷ…髪の毛もーーーらしく長く……肩に掛かる位で充分だね、このアンテナはどうにもならないなぁ」ツンツン

    何を、何を言ってるんだ。

    「お肌もぷるんぷるん、よろこべぃ人間!!」

    ボクに何をしている。

    「さって、仕上げはぁ~おかぁ~さ~ん♪」


    そういえばモノクマ、ちゃんとゲームのセーブしといてくれたかな。

    「セーブはちゃんとしといたぜぇ!」


    そっか、よかった。


    *


    校内放送『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』

    朝だ、体が少し重い…

    苗木「ふぁ~あ…」

    辺りを見回す。モノモノマシーンで出てきたゲームをする為に、モノクマにねだったモニターもある。

    金箔の模擬刀の横には無言電話、動くこけしが置いてある。間違いなくここはボクの部屋だ。

    モノクマ「やぁ、おはよう苗木くん」

    苗木「おはようモノクマ…どうしたの朝早くに?」

    モノクマ「体の調子はどう?」

    苗木「体?…少し重いかな、なんか肩凝りそうな感じ、あとなんか声がおかしいな…少し高い気がする」

    モノクマ「うんうん、じゃあ大丈夫だね。朝食会いっておいでよ。じゃあね」タッタッタッ

    苗木「……?うん、じゃあ、モノクマ」


    大分眠っていた様だ…シャワールームの洗面台で顔を洗おうと思った矢先。


    舞園「苗木君?…いますか?」コンコン

    霧切「苗木君…居るなら返事をしてちょうだい」コンコン

    苗木「はいはい、今開けるよ…」

    舞園「…!そこに居るんですね?苗木君!」

    霧切「苗木君?苗木君なのね?」

    正直顔も洗ってない状態で2人に会うのは気が引けるが、何やら切羽詰まった感じの声だ。ボクはそのままガチャリと扉を開ける。

    苗木「どうしたの、2人とも…」

    舞園「よかった…!苗木…く、ん?」

    霧切「…あなた…苗木君…なの?」

    苗木「…?何言ってるんだよ、ボクはボクだけど…」

    霧切「あなた…そんなに髪の毛長かったかしら」

    苗木「えっ」

    頭を触る。おかしい、ふわふわとした髪の毛が肩まで伸びている。

    苗木「えっ、なんだこれ?どうなってんの?」

    舞園「その…ちょっと失礼しますね」

    そういって舞園さんがボクに両手を向ける。そこには謎の膨らみを持つボクの胸が。

    舞園「えいっ」モミモミ

    苗木「んっ…///」

    舞園「えいっ」グイ-ッ

    苗木「いたっ、いたたた!痛いよ!」

    舞園「ほ、本物です…しかも大きい」

    霧切「一体どういうことなの…」

    苗木「ご、ごめん、ちょっと洗面台に行かせて…」

    ボクは逃げるようにシャワールームの洗面台へと向かう。
    その洗面台の鏡に映るのは。

    苗木「なんだ、これ…」


    母さんに良く似ていた。いや、母さんをずっと幼くした感じだ。モノクマの言葉が頭を過る。




    モノクマ『お母さん似だよね』




    顔を洗う、バシャバシャと乱暴に。再度鏡を覗いても、そこに映るボクは。




    苗木「…女になってる?」

    霧切「ごめんなさい、失礼するわ……ねえ、貴女は本当に苗木君なの?」


  6. 8 : : 2014/11/15(土) 23:52:49
    訝しげな瞳で霧切さんと舞園さんが見てくる。そんなバカな、ボクは苗木誠のハズだ。

    霧切「…元凶に聞いてみましょうか」

    待ってましたと言わんばかりに口元を抑えるモノクマが佇んでいる。

    舞園「モノクマさん、これはどういうことなんですか?」

    モノクマ「うぷぷ……そこにいるのは間違いなく苗木誠くんだよ?」

    霧切「…ふざけているの?たった1日で男から女になるなんてことが」

    モノクマ「できちゃうんだな~これが、ボクって天才だからねっ!」

    霧切「まさかとは思うけど……動機付け、なのかしら?」

    モノクマ「ううん、ちょっとしたイタズラだよ。動機付けたしたとこでキミ達もうコロシアイしないでしょ?」

    舞園「確かにそうですけど…」

    モノクマ「大丈夫だーいじょぶ、飽きたら元に戻してあげるからさっ。苗木くんもそのドスケベボディ堪能しなよ、じゃあね」

    モノクマは去り際に『あ、ちなみにバストサイズは88あるから、うぷぷFカップとか、ぶっひゃっひゃっひゃっひゃ』と笑いながら去っていった。なんてこったい。


    苗木「えー…」

    霧切「…なんとも言えないわね」

    舞園「すごく…大きいです…」

    苗木「と、取り敢えず朝食会行こうか…」

    *

    食堂

    石丸「苗木クン!心配したぞ!モノクマに…えっ?」

    朝日奈「な、苗木…なの?えっ?髪の毛が…てか胸が!」

    大神「苗木よ…!やはりモノクマに何かされたのか!?」

    苗木「その……なんか、女の子にされたみたいなんだけど」

    霧切「モノクマはあんなこと言ってたけど…元に戻るのかしら」

    苗木「怖いこと言わないでよ霧切さん!」

    舞園「大きい…」

    苗木「気にしすぎだよ舞園さん!」

    不二咲「おはよう…あ、苗木くん!心配したんだよぉ…って、あれ?…苗木くん…でいいんだよね?」

    苗木「おはよう不二咲さん…ごめん、なんかボクも苗木誠なのかわからなくなったよ」



    チラホラと他の人達も集まってきてボクを見ては安堵と驚きの声を上げる。


    十神「おい、苗木、どう言うことだ説明しろっ!」

    苗木「ボクが聴きたいんだけど」

    桑田「おいおいやべぇよ…マジで苗木かよ…!」

    セレス「まさか、一夜の内に性別が変わってるなんて…」

    山田「うーむ、まさかリアルに性転換が見られるとは…あ、舞園さやか殿、少女ヤマダ刊行致しましたぞ」

    舞園「そうでした、ありがとうございます山田君」

    苗木「あ、山田クン、週刊少年ヤマダある?」

    山田「はいはい、ありますぞ。後で部屋に取りに来て貰えますかな?」

    腐川「……にしても、な、なんなのよアンタ!」

    苗木「え?な、なに?腐川さん」

    唐突に腐川さんがボクを指差す。正確にはボクの胸にだが。

    腐川「い、いくらなんでも…でかすぎでしょ!」

    苗木「ボクに言われてもなぁ…」

    舞園「Fカップっていってましたね、モノクマさん」

    朝日奈「えっ?ウソ、私とおんなじ!?」

    江ノ島(大きいよ…苗木君…)

    大和田「マジかよ…」ゴクリッ

    桑田「デケェよ…デケェよ…」ゴクリッ

    葉隠「なぁ苗木っち…その、胸の下に…下着は着けてるんか?」ゴクリッ

    苗木「いや何にも」

    桑葉山「ウヒョー!!!」

    朝日奈「アンタ達!サイッテーだよ!」

    大神「主ら、拳骨を食らいたいようだな…」ゴゴゴ

    桑葉山「ヒィ!!」


    大神「苗木よ……とにかく、下着はつけた方が良いぞ」

    朝日奈「あ、苗木、私の部屋に来てよ!」

    舞霧セ(くっ、役に立てないっ!)

    苗木「う、うん、わかったよ朝日奈さん…」

    朝食を終えてボクは朝日奈さんについていく。
  7. 9 : : 2014/11/16(日) 00:16:20


    *

    朝日奈ルーム

    朝日奈「いくらか倉庫にあったの待ってきてるんだよね。はいっ、これ」スッ

    ビニールに包まれた新品のスポーツブラだ。朝日奈さんらしいといえば朝日奈さんらしいが。取り敢えず、ビニールから取りだして広げてみようか。

    朝日奈「ホックとかもないし、そのまま着れるタイプだよ」

    苗木「なんか丈の短いタンクトップみたいだね。ありがとう、さっそく着けてみるよ」ヌギヌギ

    朝日奈「ちょ、苗木!た、タンマ!ストーップストーップ!」アセアセ

    苗木「え?なんで?」

    朝日奈「アンタ恥じらいってものがないの!?」

    苗木「あー…ごめん、女の子の前で脱ぎ出すとか変態だよねボク…」

    朝日奈「あ、いや、そういう意味じゃなくて今の苗木は女の子なんだから…いやでも女の子同士だからいいのかな…えっーと…」

    苗木「どうすりゃいいのさ…」

    朝日奈「わ、わかったよ。じゃあ、取り敢えず脱いで…」

    苗木「うん」ヌギヌギ

    プルン

    朝日奈「うぁ…キレイな形だね」

    苗木「そうなの?…よくわかんないや…」

    朝日奈「ちょっとさわっていい?」

    苗木「えー…」

    朝日奈「だめ?」

    くっ、そんな悩ましい顔で『だめ?』とか言われたら断れないぞ…。

    苗木「まぁ…別にいいけどさ」

    朝日奈「へへっ…えへへっ」ワキワキ

    苗木「オヤジみたいになってるよ朝日奈さん…」

    朝日奈「まぁまぁ、じゃあちょっと失礼♪」モミモミ

    苗木「くっ…///」

    朝日奈さんの手がひんやりしてて気持ちいい…。

    朝日奈「……っと、ごめんね苗木」モミモミ

    苗木「んっ…///と、とりあえず手離してくれないかな…」



    朝日奈「ご、ごめん。すごい柔らかくてつい…じゃ、じゃあブラ着けてみて?」

    苗木「う、うん」ゴソゴソ

    朝日奈「うん、見た感じピッタリだけど、キツくない?」

    苗木「うん、大丈夫みたい…まあ変な感じはするけど」

    朝日奈「まぁそこら辺は慣れるしかないね」

    そしてあと2着ほどブラを朝日奈さんから貰い、ボクは朝日奈さんの部屋を後にする。そういえば山田クンから週刊少年ヤマダを貰いにいかなければ。
  8. 10 : : 2014/11/16(日) 01:00:07

    *

    苗木「山田クン、いる?」コンコン

    山田「はいはい、苗木誠殿、今開けますぞ」ガチャ

    苗木「週刊少年ヤマダ買いに来たよ。はいモノクマメダル」

    山田「いえ、お代はいりませんぞ…その代わり、お話を聴かせて頂けませんか?」

    苗木「話?うん、別にいいけど」

    山田「では、ささ、どうぞ奥へ…」

    ガチャ

    「…入ったのかしら」

    「…危険ですわね」

    「…聞き耳をたててみましょう」


    *

    山田ルーム

    山田「ささ、お掛けになってくだされ」

    苗木「うん、ありがとう」ドサッ

    苗木「相変わらずスゴい原稿の数だね…」

    山田「まぁ、この学園生活の中で描いたものが殆どですがね。ではこれを」スッ

    苗木「ありがとう、娯楽の少ない学園生活だからね。山田クンが居てくれて良かったよ」ニコッ

    山田「///」キュン

    苗木「どうしたの?」

    山田「い、いえ、なんでもありませんぞ!…ときに苗木誠殿…」

    苗木「なに?山田クン?ボクに答えられる事なら何でも聴いてよ」

    山田「後天的に性転換を成し得た苗木誠殿!」

    苗木「やかましいよ」

    山田「いえ、その様な経験を得た苗木誠殿だけにしか解らない事を訊ねたいのですが…よろしいですかな?」

    苗木「えっと、つまり女の子になって、てこと?」

    山田「はい、その通りですぞ…」

    苗木「まだなってからそんなに時間も経ってないから…気持ちの整理もごっちゃだし」

    山田「いえ、だからこそお聴きしたいのです。その~両のたわわな……その~胸をですね、生まれたままの姿で見ましたかな?」

    苗木「うん、さっき朝日奈さんにスポーツブラ貰った時に、ホラ」ピロッ

    山田「ブヒィイイイ!!僕は2次元にしか興味がない僕は2次元にしか興味がない僕は2次元にしか興味がない……」ブツブツ

    苗木「どうしたのさ?」

    山田「オホンッ、その~……じ、自分の体に欲情しましたかな?」

    苗木「…えっと」

    山田「こ、答えられる範囲で…」

    苗木「まぁ、その、例えばだよ、山田クンがそれはもうヤバイくらいホモだとするよ?」

    山田「イヤな例えですな…」

    苗木「それでさ、自分の股にぶら下がってるモノに欲情出来る?」

    山田「…た、たしかに無茶な話ですな…」

    苗木「うん、ごめんね。大した事答えられなくて」

    山田「いえいえ!参考になりましたぞ!ふっふっふっ…次回はTSFというのもアリですな。礼を言いますぞ苗木誠殿」

    苗木「いや、役に立てて幸いだよ。じゃあボクもう行くね、漫画、来週も楽しみにしてるよ」

    山田「ふぉおお!読者にそういって頂けるのは至上の喜びですぞ!この山田一二三、精一杯頑張らせていただきますぞ!」

    苗木「うん、がんばって」スタスタ……

    *

    寮・廊下

    「質問はどうあれ、意外に紳士でしたわね…出てきますわ」

    「…偶然を装うのよ」

    「…演技なら得意です」


    ガチャ

    苗木「あれ、3人が一緒って珍しいね?」

    セレス「ごきげんよう、苗木君」

    舞園「少し散歩を…ねぇ?霧切さん?」

    霧切「…そうね、苗木君は山田君に何か用事があったのかしら?」

    苗木「うん、山田クンの漫画をね」

    舞園「面白いですよね♪山田君の漫画」

    苗木「うん、目新しい漫画があるのは正直助かるよ」

    セレス「ところで苗木君、良かったらわたくし達と散歩に行かれませんか?」

    苗木「うん、良いよ。部屋に荷物置いてくるから」
  9. 11 : : 2014/11/16(日) 01:05:00

    *

    屋上・植物園

    舞園「体の調子はどうなんですか?苗木君」

    苗木「何とも言えないね…悪いんだか良いんだか…どうも丸1日眠ってたみたいだし」

    霧切「あまり無理をしない方が良いわ…それに、今の貴方の体に何があってもおかしくないもの」ワキワキ

    苗木「いや、何かしようとしてるのは霧切さんだよね?」

    セレス「そうですわよ、霧切さん、自重なさいな」モミモミ

    苗木「んくっ…///セレスさんが自重してよ…」

    舞園「そうですよ2人とも、苗木君が嫌がってるじゃないですか」グイーッ

    苗木「あぐっ…///舞園さんが一番やりたい放題だよ!」

    舞園「それより苗木君、折角なんで可愛い格好しましょうよ」ニコニコ

    苗木「それは違」

    霧切「それに賛成よ」

    セレス「それに賛成ですわ」

    苗木「えー…」

    モノクマ「うぷぷ…」

    苗木「あ、モノクマっ!」

    モノクマ「やあ誠ちゃん、ドスケベボディ楽しい?そう、楽しいんだ、うぷぷ、そういってもらえると頑張ったかいがあるよね」

    苗木「何も言ってないんだけど…」

    舞園「誠ちゃん」

    霧切「誠ちゃん」

    セレス「誠ちゃん」

    苗木「やかましいよ」

    モノクマ「まあまあ、大体キミがドスケベボディなりたいって言ったんじゃん?」

    苗木「なりたいとは言ってないし、まさか本気でやるとは思わなかったし…」

    モノクマ「いいじゃんいいじゃん、退屈な日にちょっぴり刺激を加えてもさ。3人とも、ボクからのプレゼントで誠ちゃんを可愛くしてあげてね」

    苗木「プレゼント…?」

    モノクマ「超高校級のドスケベボディの誠ちゃんの部屋にとっておきの衣装を用意しました~」

    霧切「…それでは」

    セレス「はりきって」

    舞園「いってみましょう~♪」

    苗木「キミら絶対モノクマとグルだよね?いつ打ち合わせしたの、ねえ?」

  10. 12 : : 2014/11/16(日) 01:19:29


     左腕をセレスさん、右腕を霧切さんにがっちりホールドされ、舞園さんに背中を押され、ボクは自分の部屋に強制連行される。

     ボクの部屋の前に朝日奈さんがいた。なにやらとても嫌な予感がする…

    朝日奈「えっ?苗木、着替えるの?しょうがないなあ、手伝ってあげるよ!」ワクワク

    苗木「いや、何もいってないんだけど朝日奈さん」

    霧切「仲間外れは可哀想じゃない」

    セレス「ですわね」

    舞園「ですよ♪さあ入りましょう誠ちゃん」

    ガチャ

    バタン

    モノクマ「うぷぷ、まあ女の子達の着せ替え人形になるって、この手の話にはありがちな展開だよねぇ」
  11. 13 : : 2014/11/16(日) 01:21:36

    *

    苗木ルーム

    苗木「うわー…」

    女性用のカジュアル服からコスプレらしきモノまで掛かったハンガーラックと何かしらの衣類と小物の入ったプラスチックのコンテナがいつの間にかボクの部屋にあった。山田クンに貰った漫画と朝日奈さんに貰ったブラを置きに来たときは何もなかったのに…。

    舞園「なかなかいい仕事しますね、モノクマさん」バッサバッサ

    霧切「乗せられたようで気にくわないけど、認めるわ」バッサバッサ

    セレス「あまり良い生地のモノは無いですけど、この際ですから贅沢は言えませんわね」バッサバッサ

    朝日奈「あ、見て!水着もあるよ!」バッサバッサ

    苗木「あのさ、ハンガーラックから次々に服取って散らかしてるけど、一応ここボクの部屋だからね?」

    霧切「ところで苗木君」

    苗木「な、なに?霧切さん」

    霧切「下は青チェックのトランクスのままなのかしら?」ピローン

    苗木「ピンクのドット柄のパンツこっちに向けて食い入るように凝視しないでよ…霧切さんはこういうの興味なさそうだと思ったのに」

    霧切「あら、私だって小さい時は人形遊びに耽ったものよ、たまに童心に返るのも良いものね」クスッ

    苗木「あ、ボク人形なんだね。泣きたいんですけど……ってかなんで今日のボクのパンツさらっと言い当ててるんだよ…」

    舞園「あ、苗木君、こんなのどうですか?」フリフリ

    苗木「なんだこれ…フードの付いた紺のカーディガンみたいな…だけど、猫耳がついてる…」

    舞園「ほら、苗木君といえばフードですから」

    苗木「ぶっちゃけフード付きはそんなに持ってないんだけど」


    朝日奈「あ、この上下良いんじゃない?」

    苗木「Yシャツは良いとして、それはベージュの……やっぱりスカートなんだね」

    セレス「これは外せませんわね…」

    苗木「そうだね、ニーソは外せないんだね…」

    霧切「取り敢えず、はい、苗木君」

    苗木「ドット柄のパンツ…これ、履くの?」

    霧切「当たり前じゃない」グイッグイッ

    苗木「ちょ、ま、自分で履くから、ボクのズボン降ろそうとしないで!」

    霧切「えー…」

    苗木「いやそれボクの台詞」

    霧切さんからパンツを受け取り、ボクはシャワールームに逃げ込む。このままでは素っ裸にされかねない…そういえば尿意が…次いでに済ませよう。

    モノクマ「うぷぷ…」

    苗木「うわっ、モノクマ!いつの間に…」

    モノクマ「ボクは何処にでもいて何処にもいないよ?」

    苗木「…で、何のようなのさ」

    モノクマ「そうそう、尿意がそろそろでてくるんじゃないかなって」

    苗木「……?だから、何なのさ、確かにあるけど…」

    モノクマ「ねえねえ、便座上げようとしてるけどさ。キミ立ちション派なの?」

    苗木「え?だって……あ、そ、そうだ、今のボクに希棒が…やっぱりない!」スカスカ

    モノクマ「絶棒しちゃった?」

    苗木「やかましいよ」

    モノクマ「まあまあ、ほら、お花の摘み方教えてあげようか?」

    苗木「なんとなく解るから別にいいよ…便座に座って…」

    モノクマ「そうだね、太股汚れやすいから、しっかり拭くんだよ」

    苗木「モノクマ…取り敢えず、引っ込んでくれないかな…その、見られてると」

    モノクマ「はいはい、流石のボクもそこまで無粋モンじゃないからね、じゃあね」


    苗木「……はぁ」

    苗木「ん……///」


    *


    朝日奈「あ、苗木、遅かったね」

    苗木「ま、まあね…その、履いたけどさ、なんかやっぱり変な感じがするよ」モジモジ

    舞園「うわぁ…とってもお似合いですよ♪」

    セレス「パーカーの裾で前を隠そうとする仕草がまた、あざといですわね…」

    霧切「…上も脱いで、その下着にあったブラを着てちょうだい」グイッグイッ

    苗木「わ、わかったから、脱がそうとしないで」ヌギヌギ


    朝日奈「苗木のおっぱいキレイなんだよ~」

    霧切「あら、それは楽しみね 」

    苗木「もう、どうにでもなれ…」スルスルプルン

    舞園「うわあ…ホントにキレイ…お椀型ですね」ツンツン

    苗木「なんかもう触られ慣れたよ…」

    セレス「あら、つまらないですわね」ツンツン

    苗木「ぐっ…その、セレスさん…アーマーリングで刺さないでよ、ほら、もう…そのブラジャー着けるから…」

    霧切「不慣れでしょう?着けてあげるわ」

    苗木「あ、うん……」


    *

    朝日奈「可愛いよぉ、苗木!」

    苗木「す、スカートはなんかスースーする…」

    霧切「こっちに来て座ってちょうだい、髪をとかしてあげる」
  12. 14 : : 2014/11/16(日) 13:28:51

    舞園「さあ誠ちゃん、お化粧もしましょうね~」

    セレス「あら、偶然にもここにわたくしのお化粧道具が」

    苗木「いやそれ、ボクがシャワールームに居た時に取りに行ったよね?」


    霧切「つんつん頭だった割にはクシが入りやすいわね」スッスッ

    セレス「取り敢えず、下地を…なにこのベビーフェイス」

    朝日奈「ナチュラルで良さそうだよねっ」

    舞園「チーク入れましょうよ」




    等と、女子に玩具にされる内に、時刻はとっくに昼を回っていた。

    苗木「あのさ、お昼食べようよ…」

    舞園「あ、もうそんな時間なんですか」

    霧切「そういえばお腹が空いたわね…」

    セレス「つい夢中になってしまいましたわね」

    朝日奈「お腹ぺこぺこだよ~…今気づいたんだけど」


    *


    食堂

    朝日奈「あれ?さくらちゃんと不二咲ちゃんだけ?」

    大神「朝日奈よ、もう皆昼食を終えて自室に戻ったぞ…」

    不二咲「こんにちはぁ…ってあれ、後ろに居るフード被ってる人って…もしかして…苗木くんなの?」

    大神「なんと…苗木なのか?見違えたぞ…」

    苗木「う、うん、こんにちは…」

    不二咲「とっても可愛いよぉ」

    霧切「ほら、恥ずかしくないからフードを取りなさい」グイッ

    苗木「わ、わかったから、引っ張らないでよ霧切さん…」パサッ

    大神「ふっ…良くめかし込んでいるな。似合っているぞ」ニコ

    苗木「うっ、すごいフクザツだよ…大神さん」

    大神「むう…すまん」

    苗木「はぁ……女子の服って難易度高いなぁ」

    不二咲「あ、何かいいなぁソレ…」ピコーン

    苗木「どうしたの不二咲さん?」

    不二咲「ううん、ちょっとねぇ……えへへ」ニコニコ


    相変わらず不二咲さんは可愛いなぁ。


    舞園「よし、苗木君の為にお昼ごはんは腕によりをかけちゃいますよ♪」

    朝日奈「あ、手伝うよっ」

    霧切「私も手伝うわ」

    セレス「では食前にロイヤルミルクティーでもいかがてすか?苗木君?特別に淹れて差し上げましょう」

    苗木「あ、うん…ありがとう」


    *


    午前中はエライ目にあった。昼食を終えたその後も、4人に着せ替え人形にされかけたが、なんとか何時ものパーカーにホットパンツとニーソという組み合わせに落ち着いた。
  13. 15 : : 2014/11/16(日) 13:43:26

    *

    苗木ルーム

    苗木「はぁ……」ドサッ

    そういえば山田クンの漫画読んでないな。
    超高校級の同人作家とは言うけど、いつか言っていた同人する側から同人される側になるという夢に着々と進行しているようだ。

    苗木「お、新連載…絶対絶望狛枝か…おもしろそうだな」パラパラ


    *


    ???の部屋

    「……なぁ、土下座したらさ」

    「…なんだべか?」

    「…触らせてくれそうじゃね?」

    「うーん…占ってみるべ…」


    *

    購買部


    苗木「うーん」ガチャガチャガチャ


    苗木「薔薇の鞭……」

    苗木「……」キョロキョロ

    苗木「ローーーズウィップ!!」ピシィィ!

    大和田「…」

    石丸「…」

    苗木「ふぁっ!?いつから、そこに!?」アセアセ


    大和田「いや、さっきから居たんだけどよ」

    石丸「う、うむ…その、気にしなくて良いぞ苗木君!そんな事をしたくなる日もあるさ!」ハハハ

    苗木「わわ、忘れろ、忘れろ、忘れろビィィーム!!」

    大和田(くっそ可愛いなコイツ…)

    石丸「はっはっはっ……効かんぞ!」クワッ!

    大和田「効いてやれよ…兄弟」

    苗木「うぐぅ…///」

    大和田「まあそれはそうと、どうだ、苗木、兄弟と今から体動かそうと思うんだけどよォ」

    石丸「うむ、勉学も重要だが体を鍛える事も重要だ!文武両道だ!」

    苗木「うん、暇だし、いいよ」
  14. 18 : : 2014/11/16(日) 14:20:42

    ジャージに着替えてこよう…髪も邪魔だな…部屋のコンテナの中にヘアゴムがあったハズだ。後ろに纏めて結ぼう…

    *

    体育館


    大和田「…」ポー

    石丸「…」ポー

    苗木「どうしたのさ、2人とも?」

    大和田「…なあ、兄弟、俺アイツが今女だってことすっかり忘れてたぜ」ヒソヒソ

    石丸「…ぼ、僕もだ…兄弟…」ヒソヒソ

    大和田「…ジャージがパッツンパッツンじゃねえか…胸で」ヒソヒソ

    石丸「…いかんぞ、兄弟、不健全だ…しかしあのポニーテールの破壊力やいなや…」ヒソヒソ

    苗木「ねぇ、どうしたの」ヒョコ

    石丸「~~ッッ!!!///」

    大和田「い、いやいや何でもねぇよバカ野郎!!///」

    苗木「えー…なんで怒鳴るんだよ」

    大和田「わ、わりぃ…」

    石丸「こほん…とにかく、先ずは準備運動だな。軽くランニングしよう」

    大和田「おっし、オラ、行くぜ兄弟、苗木!」タッタッタ

    石丸「うむ」タッタッタ

    苗木「ま、まってよ」タユンタユン

    大和田「…」タッタッタ

    石丸「…」タッタッタ

    苗木「…」タユンタユン

    大和田「…」タッタッタ

    石丸「…」タッタッタ

    苗木「…走ると胸が痛いな」タユンタユン

    大和田「だぁああああ!!」スタタタタ

    石丸「うわぁああああ!!」スタタタタ

    苗木「ちょっと、ペース上げ過ぎだよ」タユンタユン


    *


    大和田「ゼェ…ゼェ…」

    石丸「ハァ…ハァ…」


    苗木「えー…」

    2人ともしばらく動きそうにない…2人には悪いが、これでは運動にならないので、体育館を後にした。
  15. 19 : : 2014/11/16(日) 14:31:30

    *

    寮・廊下

    葉隠「お、苗木っち!」

    苗木「やあ、葉隠クン」

    葉隠「実はよぉ~新しい占い考えてんだべ」

    苗木「そうなんだ、どんな占いなの?」

    葉隠「あぁ、それはな…」

    苗木「うんうん」

    葉隠「おっぱいうらな」

    霧切「バリツッ!」ドゴォ!

    葉隠「メギャン!」ズギャギャギャ!

    葉隠「」

    霧切さんがドロップキックの様なバリツで葉隠クンを吹っ飛ばした。多分バリツは関係ないと思う。

    霧切「ふぅ…危なかったわね、苗木君」

    苗木「…うん、葉隠クンの命が危ないね」

    霧切「私がたまたま通りかかったから良かったものの…貴女はもう少し女性としての自覚を持った方が良いわよ」

    苗木「言われてもなぁ、ボク最近まで男だったし」

    霧切「…ッ!まだそんなこと言っているの?苗木君の癖に生意気よ」

    苗木「いや、言ったの初めてなんだけど」

    霧切「……それじゃ、私はもう行くわ」スタスタ

    苗木「うん…またね霧切さん」

    葉隠「」


    葉隠クンが動かない…まぁ、死んではいないだろう。そっとしておこう…それにしても…


    霧切「」ジー…


    ああやってずっと物影からこちらを見ているのだろうか…?
  16. 20 : : 2014/11/16(日) 15:32:25


    *

    苗木ルーム

    夕食の時間まであと少しある…
    シャワーを浴びて適当に時間まで過ごそう。

    サーッ

    苗木「改めて見ると…」

    やはり、女の子の体だ…

    母さんが高校生だった時はこんな感じだったのだろうか。
    しかし、ボディラインはどちらかというと、こまるに近い。やや胸囲が勝っているかもしれないが。

    苗木「…考えても仕方無いな」

    モノクマ曰く、飽きたら元に戻すとは言っていたが…いつになることやら。

    苗木「…上がろう」


    *


    苗木ルーム


    コンコン


    桑田「おーい、苗木、いるか?」

    苗木「桑田クン?珍しいね、ボクに用?」ガチャ

    桑田「よぉ、モノモノマシーンからパワプロ出てきてよぉ、一緒にやろうぜ」

    苗木「…モノモノマシーンも何でも有りだなぁ、いいよ、どうぞ」

    バタン


    「今、苗木君の部屋に入ったのは桑田君…?嫌な予感がしますね…」

    *

    桑田「うっ…///お前風呂上がりか?」

    苗木「まぁ、運動した後だったからね」

    大した運動にはならなかったけど…

    桑田「そ、そうか。つかさ、なんだそこのハンガーラック」

    苗木「モノクマがね…おかげで午前中はエライ目にあったよ」

    桑田「オメーも受難続きだな…幸運の肩書が泣いてるぜ」

    苗木「はは…まあ、適当に座ってよ」

    桑田「オウ!じゃあ遠慮無く」ドサッ


    *


    桑田「よっし、サヨナラホームランだ」

    苗木「また負けたよ…ゲームでも野球強いんだね桑田クンは…」

    桑田「へへ…所でよ、苗木」

    苗木「なに?桑田クン」

    桑田「オレ達、ダチだよな?」

    苗木「うん」

    桑田「マイソウルフレンドだよな?」

    苗木「桑田クン?」

    桑田「オレの頼み聞いてくれるか?」

    苗木「どうしたのさ急に、ボクに出来ることなら何でも言ってよ」

    桑田「今『何でも』っつったよな?」

    苗木「えっ」

    桑田「おっぱい触らせてくれよ」

    ガタッ

    苗木「」

    桑田「頼む、後生だ!」ドゲザッ!

    桑田クンが物凄い勢いで土下座をした。正直ドン引きだが、土下座されると非常に断りにくい…

    苗木「わ、わかったから頭上げてよ桑田クン!」

    桑田「マジかよ、やったぜ!」

    ガタッガタッ

    さっきからドア付近が騒がしい。

    桑田「じゃ、じゃあ膝に座ってくれよ」

    苗木「えー…」

    桑田「雰囲気大事だろォ!」

    苗木「何の雰囲気だよ…わ、わかったよ」


    桑田クンの膝に座る。正直、午前中に女の子4人組にもみくちゃにされていた時に比べれば、男同士(今のボクは女なのだが)なのでそんなに抵抗は無かった。


    桑田(風呂上がりの…女子の匂い…)クンカクンカ

    苗木「ねえ桑田クン、一応言っとくけど、ボク苗木だからね?」

    桑田「あ、アホォ!解ってるっての!男のオレが男のオメーのおっぱい触っても何の罪もねーよな?」

    苗木「何か色々おかしいよ」

    桑田「こまけぇことはいいんだよぉ!い、いくぞ…」ワキワキ

    苗木「細かいのかな…(手つきがエロいな…)」


    ガタッガタッガタッバキィ!

    バターン!

    唐突に扉が破られる、そこには。







    舞園「オイコラ桑田ァ」


    鬼の形相のアイドルが包丁を持って佇んでいた。
  17. 21 : : 2014/11/16(日) 17:14:02

    桑田「ヒィ!!」

    苗木「う、うわぁ!お、落ち着くんだ舞園さん!」

    ボクが桑田クンの膝に乗っている体勢の為か、ボクが桑田クンを庇う形になっていた。

    舞園「苗木君どいてください、ソイツ殺せません」ニコニコ

    苗木「ほ、包丁は下ろそう!何かイヤなデジャヴがするから!」

    桑田「で、出来心だったんだ!許してくれ舞園ちゃん!」ガクガク

    舞園「モチロン桑田君が大人しく死んでくれれば許しますよ♪」ニコニコ

    苗木(あかん)


    霧切「そこまでよ」バァーン!

    騒ぎを聞き付けたのか、元からそこにいたのか、霧切さんが介入してくる。多分後者だろうが。

    霧切「舞園さん、気持ちは解るわ。でもここは私に任せてちょうだい」

    あ、気持ちは解っちゃうんだ。

    舞園「霧切さん…でも、いいえ、そうですね。私、どうかしてました…」スッ

    舞園さんが包丁を下ろす。何とか殺し合いはならなかった…いや、この場合は一方的な虐殺になるのだが。

    霧切「2人ともとりあえず立ってちょうだい」

    苗木「う、うん」スッ

    桑田「あ、ああ」スッ

    霧切「バリツッ!」メゴォ!

    桑田「ァポ…!?」ドサッ

    桑田「」

    苗木「く、桑田クンが死んだ…!?」

    霧切さんのバリツというか捻るようなコークスクリューが桑田クンの鳩尾にめり込み、桑田クンはその場に倒れこんだ。霧切さん、もうバリツとかどうでもいいよね?

    霧切「安心して、苗木君、気絶させただけよ」フッ

    舞園「いい気味ですね」クスクス

    苗木「えー…」

    霧切「ねえ苗木君?私は貴女に女性としての自覚を待ちなさいといったはずよね?」

    舞園「そうですよ苗木君、女の子がこんな簡単に体を許しちゃ駄目ですよ!」

    苗木「あ、もうボク男じゃないんだね…」

    霧切「そういうワケじゃないわ…貴女自身が男のつもりでも、回りがそう思ってくれるのかしら?」

    苗木「確かに桑田クンの手つきは異常にエロかった…未遂に終わったけど」

    霧切「葉隠君も貴女にセクハラしようとしていたわ」

    苗木「えっ、そうなの?」

    舞園「苗木君…もし私達が居なかったら貞操を失っていたかもしれませんよ…」

    苗木「ぐっ…」

    男が男相手に貞操失うなんてホモじゃないか…!
  18. 22 : : 2014/11/16(日) 17:50:21


    苗木「わ、わかったよ霧切さん、舞園さん…ボクが悪かったよ」

    霧切「いえ、貴女は何も悪くない。悪いのはこうなってしまった貴女にいやらしい行為をしようとした2人よ」

    まあ、その全ての元凶はモノクマだけど…何か言われそうだったんで黙っとこう。

    舞園「それじゃあ、そろそろお夕飯の時間ですね、食堂に行きましょうか♪」

    霧切「そうね、行きましょうか苗木君」


    桑田「」

    桑田クンを放置してボクらは食堂へと向かう。まあ、桑田クンもその内目を覚ますだろう。


    *

    食堂


    不二咲「あ、こんばんはぁ」

    江ノ島「おーっす」

    セレス「あら、ごきげんよう」

    大神「む…苗木に霧切に舞園か」

    朝日奈「こんばんはっ」

    舞園「こんばんは、あれ…男子全員と腐川さんが居ませんね…」

    不二咲「…」

    不二咲さんが何かを言いたそうにしている…が、押し黙ってしまった。何だったんだろう?

    大神「大和田と石丸なら体育館で見たぞ、2人とも何か無我夢中であったが…まるで雑念を振り払おうとしていた様相であったな」

    ボクが体育館出た後も、まだやっていたのか、あの2人。

    セレス「山田君でしたら、原稿があるからと、部屋に籠られましたわ…随分と気合いが入っていた様ですけど」

    江ノ島「十神と腐川ならいつも通り2階の図書室だよ、ワタシ達が食べ終わる頃を見計らってるんじゃない?」

    朝日奈「葉隠なら廊下で気絶してた、さくらちゃんに頼んで部屋に運んでもらったよ」

    大神「個室以外での就寝は校則に引っ掛かるからな」

    舞園「桑田君も部屋で寝てますよ」

    霧切「そうね」

    正確には桑田クンはボクの部屋で気絶させられたのだが。

    霧切「でも、丁度良いわね。苗木君」

    苗木「え?何が丁度いいの?」

    霧切「…夕食を終えてから話しましょうか」
  19. 23 : : 2014/11/16(日) 18:04:51

    *

    夕食を終える。結局男子全員が顔を出すことは無かった。

    苗木「ごちそうさまでした…で、霧切さん、話ってのは?」

    霧切「貴女、今日は誰か別の人の部屋に泊まりなさい」

    苗木「えっ?」

    霧切「今貴女の部屋で桑田クンが寝ているのよ」

    苗木「え、じゃあボクが桑田クンの部屋で寝れば良いだけじゃない?」

    霧切「それは駄目よ」キリッ

    苗木「えー…」

    舞園「苗木君、今日は誰かの部屋にお泊まりですか?私の部屋にきませんか?」

    霧切「私の部屋でも構わないわよ」

    セレス「よろしかったらわたくしの部屋に来ていただいても結構ですわよ」

    朝日奈「わ、私の部屋でもいいよ苗木っ!」

    江ノ島「ワタシの部屋に来てもいいよ苗木~(どうしよぅ、苗木君来てくれるかなぁ)」

    大神「事情がありそうだな
    、苗木よ…」

    不二咲「ぼ…私の部屋でも……いいよ?」


    苗木「…どうしても誰かの部屋でなきゃ駄目なの?」

    霧切「駄目よ」キリッ

    苗木「」

    困った、こんなときは…


    苗木「あ、あみだくじで決めるよ」

    霧切「…はぁ、まあそれでもいいわ」チッ

    *

    苗木「えっと、アミダくじの結果、不二咲さんになったんだけど…」

    舞霧セ(チッ!!!)

    江朝「はぁ…」

    大神(…苗木よ、罪深き男だ…いや、今は女であるが)

    不二咲「う、うん、よろしくねぇ?苗木君」

  20. 24 : : 2014/11/16(日) 20:24:23


    *

    不二咲ルーム

    苗木「ご、ごめんね不二咲さん、貧乏クジみたいになっちゃって」

    不二咲「ううん、そんなことないよぉ。自分の部屋だと思って、ね?」

    苗木「うん、ありがとう…その、女の子の部屋だからやっぱりどうしても緊張しちゃうな…」

    不二咲「その……苗木君…じ、実はね」

    苗木「どうしたの?不二咲さん?」

    不二咲「……」

    不二咲さんが俯いて何かを言おうとしている。どうしたのだろうか?

    苗木「……言いにくい事なら無理に言わなくてもいいんじゃないかな?」

    不二咲「……ううん、苗木君は優しいね。でも、ちゃんと言わなきゃ…」


    不二咲「私は…いや、僕はね、男…なんだ」

    苗木「えっ」

    正直突拍子も無い話だった。この半年間で不二咲さんは自分の話をした試しが無い。
  21. 25 : : 2014/11/16(日) 21:05:29

    不二咲「お、大和田君にしか言ってないからねぇ…びっくりするよね」

    苗木「あ、えっーと…」

    彼女が…いや、彼が自分は男であるとひた隠ししてきた真実を打ち明けてくれた、つまりそれは…。

    苗木「ありがとう、不二咲さん」

    不二咲「えっ…その、嫌ったり、しないの…?」

    苗木「なんで?不二咲さんは冗談を付くような人じゃないのは知ってる。本当の事を話してくれたってことは、ボクの事をちゃんと信用してくれてるってことだよね?」

    不二咲「も、もちろんだよぉ!…そのね、実はほんの少しだけ、苗木君が羨ましかったんだぁ…」

    苗木「え?なんで?」

    不二咲「大和田君には男らしくなりたいって言ったんだけど…やっぱりまだ僕の中には恐怖心が有るんだぁ…」

    苗木「じゃあ…不二咲さんが男なのに女の子の格好するのって」

    不二咲「……うん、僕って昔からナヨナヨしてて、男の癖に…って、だからいっそ女の子だったならって…」

    苗木「そうだったんだ…」

    不二咲「ご、ごめんね。唐突な話しちゃって」

    苗木「ううん、いいんだ。ボクもさ、希望ヶ峰に来て不安から卑屈になってたんだ」
  22. 28 : : 2014/11/16(日) 21:36:08

    苗木「みんな何かの才能に溢れてて、それなのに何も無いボクなんかがこんなところに居てさ…でもさ、不二咲さんはもちろん、みんなそんな事気にせず、普通に、友達として、仲間として接してくれる」

    苗木「だから、不二咲さんも、臆することないんじゃないかな?」

    不二咲「……えへへ、苗木君は、やっぱりスゴいよ。ごめんね、苗木君、望んで女の子になったわけでもないのに、それを羨ましいだなんて…」

    苗木「ううん、いいんだ。まあ、女の子達に着せ替え人形にされるのは勘弁だけどね」

    不二咲「あはは、じゃあお昼のあの格好……あっ、そうだ、思い出した」

    そういって不二咲さんは卓上にあったノートパソコンを広げる。以前、確か不二咲さん自身の分身であるアルターエゴというものを見せて貰った事があるが…。
  23. 29 : : 2014/11/16(日) 22:00:00

    不二咲「はい、ご挨拶」

    アルターエゴ『オッスオッス』

    苗木「あれ?大分デザインが変わってるね、文字も打ち込まなくていいんだ?」

    不二咲「えへへ、音声認識のハードをモノクマに貰ったんだぁ。僕自身のアルターエゴとは別に、幾つか素体作ってたんだけど、今日の苗木君のお昼の格好見てピーンときてねぇ、一番近いのを加工して作ってみたんだぁ」

    アルターエゴ『大体はお兄ちゃんが作ったんだけどねー…ねみー、あ、お父さん、その人が私のモデルなのかな?』

    不二咲「髪型や性格は違うけど、大方がそうだねぇ」

    苗木「今晩は、アルターエゴ」

    アルターエゴ『オッスオッス、苗木さん?苗木くん?お兄ちゃんやお父さんから聞いた話では男の子だと思ってたけど』

    苗木「諸事情でね、男から女になっちゃってね」

    アルターエゴ『うむむ、理解の範疇が……難易度高いなぁ』


  24. 32 : : 2014/11/16(日) 22:37:43

    不二咲「名前はまだ無いけど、外に出られる日が来たらちゃんとつけてあげたいんだぁ。そして何かのお仕事が来たときに使ってみたいんだよ」

    苗木「そっか…うん、不二咲さん…いや、不二咲クンもちゃんと夢に向かってるんだね」

    不二咲「えへへ……あ、そ、そうだ、大分話が脱線しちゃったんだけど、僕、男で…その、苗木君は今、女の子で…」

    苗木「ん?」

    不二咲「あ、あの大丈夫…なのかなぁって」

    苗木「ああ、実を言うと、不二咲クンが男で内心気が楽になったんだ。ほら、いくら女の子になったからってさ。やっぱり中身は男だから。女の子の部屋に泊まるのはどーも…ね?」

    苗木「あ、それだと不二咲クンが…うーん…」

    不二咲「ぼ、僕は大丈夫だよぉ。苗木君が良ければ…だけど」

    苗木「……じゃあごめん、一晩だけ、お願いするよ」

    不二咲「うん、えへへ」ニコッ

    やっぱり不二咲クンは可愛いなぁ。
    ……だが、男だ。

  25. 34 : : 2014/11/16(日) 23:37:15

    *

    …秘密を打ち明けてからと言うものの、不二咲クンは饒舌になった。家族の事や、実は女の子と喋るのが苦手な事、アルターエゴが勝手にゲームのエミュレータを作って遊んでたり等、色んな事を話してくれる。

    不二咲「……うん、でねぇ、お父さんがシステムエンジニアで…っとと」

    苗木「どうしたの?不二咲クン?」

    不二咲「ちょっと耳が…耳掻きが苦手で…下手くそだから耳の中のゴロゴロがとれなくて…あはは」

    苗木「ああ、やってあげようか?」

    不二咲「え…ふぇ…?な、苗木君に…?」

    苗木「妹に良くやらされてたんだよ…アイツも下手くそだったのか、良くせがまれてたんだよ」

    不二咲「そ、そうなんだぁ…で、でもぉ…」

    苗木「遠慮しないでいいよ、耳掻きある?」

    不二咲「う、うん倉庫から持ってきてるよぉ…あんまり使ってないけど」
  26. 37 : : 2014/11/17(月) 02:05:40

    苗木「よし、じゃあ、ベッドの上に座らせてもらうね」ドサッ

    不二咲「う、うん、あ、あのえーっと…」

    苗木「じゃあ不二咲クン、ボクの膝を枕にして横になってもらえるかな」

    不二咲「い、いいのかなぁ…?」ドキドキ

    苗木「うん、おいで」

    不二咲「あぅ…///」スッ


    *

    ベッドの上に正座し、不二咲クンの頭が外向きにボクの膝に横たわる。こまるにしてあげてたのが大分懐かしく感じる…父さんも母さんもこまるも元気だろうか…?

    苗木「よし、久しぶりだなぁ」スリスリ

    不二咲「な、何してるのぉ?」ドキドキ

    苗木「ん?ああ、手を擦って温めてるんだ。冷たい手で耳を触ると耳がびっくりするからね」

    不二咲「な、なんか、やり慣れてる感じだねぇ」ドキドキ

    苗木「…ホントは耳鼻科何かでしてもらう方が良いんだけど…っとまずは綿棒で入り口付近を掃除して…っと」スッスッ

    不二咲「ひゃん!…そ、そうなんだぁ?///」ドキドキ

    苗木「ああ、ごめん。くすぐったかったかな?」スッスッ

    不二咲「だ、大丈夫だよぉ…」ドキドキ

    苗木「よし、じゃあ耳掻き入れるね」

    不二咲「う、うん、お願いしますねぇ」ドキドキ
  27. 38 : : 2014/11/17(月) 02:28:52

    苗木「耳掻き自体頻繁にやるものじゃないけど…」コリコリ

    不二咲「んっ…そ、そうなんだぁ」ドキドキ

    苗木「あんまりやり過ぎると、クセになっちゃうからね」コリコリ

    不二咲「あぅ…へ、へえー?///」ドキドキ

    苗木「深く耳掻きを入れるのも、駄目なんだよ、フーッ」

    不二咲「ひゃんっ///」ブルッ

    苗木「よし、じゃあ次は逆の耳、ボクのお腹側を向いて?」

    不二咲「う、うん……///」カァアア
  28. 39 : : 2014/11/17(月) 02:50:48

    不二咲(うっ…苗木君の胸が…こめかみ付近に…///)スッ

    苗木「よし、綿棒から…」スッスッ

    不二咲「んっ…くぅ……///」ドキドキ

    苗木「ホントはローションなんかもあると良かったんだけど…流石に無いからね」コリコリ

    不二咲「ろ、ろーしょん?!///」ビクッ

    苗木「ああ、動かないで。うん、スーッとして気持ちいいからね、アレ」コリコリ

    不二咲「あぅ…苗木君は…物知り…なんだねぇ…」ウトウト

    苗木「はは、全部ネットで拾った知識だけどね…フーッ」

    不二咲「あぅん…///」ブルッ

    苗木「よし、終わり…」

    不二咲「ごめ……苗木…君……もう少しだけ……いいか…なぁ」ウトウト

    苗木君「うん、いいよ…」



    不二咲「……すぅ」Zzz…

  29. 42 : : 2014/11/17(月) 18:40:27


    苗木「よしよし」ナデナデ

    *

    なるべく起こさないように彼の頭を持ち上げ、枕を差し込んで掛け布団をかける。なんというか、久しぶりにお兄ちゃんをやった気がする。いや、今はお姉ちゃんか。

    アルターエゴ『……お父さん、寝ちゃった?』ボソッ

    苗木「……うん、寝ちゃったよ」ボソッ

    アルターエゴ『……苗木くんはどうするの?』

    苗木「……たしかどの部屋の収納にも、もう一式予備の布団があったと思うから、それを使わせてもらうよ…」

    アルターエゴ『そっか……じゃあ私もスリープモードに入るね…おやすみ、苗木くん』

    苗木「うん、おやすみ……アルターエゴ」


    アルターエゴの入ったノートパソコンを閉じ、ボクも布団一式を出し、横になる。

    女の子になっての初日はなんとも波乱に満ちた1日だった……これが後、何日続くのだろうか。

    *


    苗木「…すぅ」Zzz…

    不二咲「……」Zzz…

    不二咲「…」パチクリ

    不二咲(僕、苗木君の耳掻きが気持ち良くて寝ちゃったんだぁ…)

    苗木「…」Zzz…

    不二咲「……ありがとう、苗木君。もう寝ちゃってるけど…おやすみなさい…」ボソッ

  30. 44 : : 2014/11/17(月) 21:23:30


    *


    校内放送『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』


    苗木「んっ……!ふぁ~あ…」ノビー

    朝の様だ……体は……相変わらず、女の子のままだ。

    不二咲「おはよぉ、苗木君」

    苗木「うん、おはよう、不二咲さん…じゃなかった不二咲クン」

    不二咲「昨日はごめんねぇ、耳掻きしてもらって……その…気持ち良くて…あの…寝ちゃったみたいで…えへへ」ニコッ

    苗木「ううん、そういってもらえると、やった側としては嬉しいよ」ニコッ

    不二咲「…///」キュン

    苗木「ん?どうしたのさ?不二咲クン」キョトン

    不二咲「う、ううん、何でもないよぉ…朝食会いこう?」

    苗木「そうだね、いこっか」


    *

    食堂

    石丸「おはよう!苗木君!不二咲君!清々しい朝だな!」ハハハ

    不二咲「おはよぉ、石丸君」

    苗木「おはよう、石丸クン、昨日は途中で帰っちゃってごめんね?」

    石丸「いや、こちらも雑念が散漫し過ぎてしまってのあの体たらくだった…済まなかった!苗木君…」ペコッ

    苗木「ざ、雑念?」

    大和田「…オーッス…な、苗木か?」

    苗木「ん?ああ、大和田クン、おはよう」

    石丸「おお、兄弟ッ!珍しく朝早いな、おはよう!」

    不二咲「おはよぉ、大和田君」

    大和田「あ、ああ、兄弟に不二咲…オッス」

    苗木「どうしたの?大和田君、元気ないね」

    大和田「ん、んなわけ……!ねぇよ」ボソッ

    石丸「兄弟!僕から苗木君に謝罪しといたぞ!!」

    大和田「ハァ!?おい兄弟ィ!言ったのかよオイッ!?」

    石丸「ざ、雑念とだけ言ったが…?不味かったかね?」

    大和田「……そ、そうか!流石兄弟だぜ!だっはっはっは!」

    苗木「あ、元気でた」

    不二咲「みたいだねぇ」



  31. 48 : : 2014/11/17(月) 23:38:57

    大和田「まー、昨日は悪かった苗木、何か熱入りすぎてたみてーでよ」

    苗木「ううん、いいんだ」

    不二咲「お、大和田君」

    大和田「ん?どうしたよォ、不二咲」

    不二咲「わた…ううん、僕ね、みんなに言うことにしたんだぁ」

    大和田「……そうか、決めたんだな」

    不二咲「うん…苗木君にも言ったんだ」

    大和田「苗木、コイツからアレを…聴いたのか?」

    苗木「うん…昨日に」

    大和田「どう思ったよ?」

    苗木「……不二咲さんが不二咲クンであれ、何も変わりはないよ。ボク達は仲間なんだからね」

    大和田「だとよぉ!不二咲、オレの言った通りだろ?」

    不二咲「う、うん、僕が馬鹿みたいだったよぉ」

    大和田「何も怖がる事はねえ、オメーは強え。苗木がそうだった様に、きっと他の奴等も同じ様に受け入れてくれる!」

    不二咲「うんっ!」

    石丸「す、すまない、3人とも、話が見えないのだが…」

    大和田「よし、不二咲…先ずは兄弟からだ。オウ!兄弟、不二咲の話聴いてやってくんねぇかな?」

    石丸「僕に相談かね?不二咲君」

    不二咲「あ、あのねぇ…石丸君…実は…」


    頑張って、不二咲クン。


    *

  32. 49 : : 2014/11/18(火) 00:12:46


    ぞろぞろと揃うメンバーは、面食らった様に不二咲クンの秘密に反応を示す。

    しかし、驚きはすれど、決して誰も蔑んだりする人は居なかった。あの十神クンですら、だ。

    十神「…フン、お前がどうであれ、不二咲には変わりないのだろう?いつも通りにしていろ」

    不二咲「う、うん、ありがとう、十神君…」



    朝日奈「びっくりはしたけどねぇ…」

    大神「朝日奈よ、不二咲は己の内にある弱い自分を切り払ったのだ…我にはむしろ、殻を破った今の不二咲の方が好きだ」

    朝日奈「そうだね…うん、不二咲ちゃんが男だったとしても、不二咲ちゃんには変わりないよ」
  33. 50 : : 2014/11/18(火) 00:49:19

    苗木「不二咲クン」

    不二咲「えへへ……苗木君のおかげで僕は『男』になれたよぉ」

    霧切「」ガタッ

    舞園「」ガタッ

    セレス「」ガタッ

    苗木「ボクは大したことしてないよ…はは」


    何故だろうか、嫌な予感がする。


    *



    朝食を終える。
    そういえば桑田クンと葉隠クンが来てなかったな…。

    自分の部屋に戻ってみるか。


    *

    苗木ルーム

    苗木「…」

    桑田「…」Zzz…

    苗木「…」ペチッ

    桑田「…ンゴッ」Zzz…

    苗木「起きてよ、桑田クン」ペチッペチッ

    桑田「ひっ!な、苗木か」パチクリ

    桑田「舞園ちゃんと…き、霧切は…居ねえな?」ムクッ

    すっかりトラウマになっている様だ…

    苗木「ああ、大丈夫だよ」

    桑田「い、いやぁ、すまねえ苗木、どーかしてたわ俺」

    苗木「ううん、気にして無いよ。それよりも昨日の夜から何も食べてないんじゃない?」

    桑田「夜時間過ぎるまで気絶してたからな…この世のモノとは思えない激痛だったわ…なんだよあのコークスクリュー…」グゥ~

  34. 51 : : 2014/11/18(火) 18:38:19
    苗木「まあ、取り敢えず朝食食べに行ったら?」

    桑田「そ、そうだな…じゃあメシ行ってくるわ……」スタスタ

    ……よっぽど舞園さんに包丁向けられた事と霧切さんのコークスクリューが効いてるのか、あまり元気がない様相で、桑田クンは食堂に向かっていった…

    苗木「……ふぅ」ドサッ

    ベッドに沈みこむ、1日ぶりの自分のベッドが、なんだか懐かしい。

    苗木「……二度寝しちゃおうかな」


    コンコン

    苗木「ん、誰だろ…はいはい、今開けるよ」

    ガチャ

    ツカツカ

    霧切「ごめんなさい、失礼するわ」

    舞園「苗木君、失礼しますね」

    セレス「失礼いたします、苗木君」

    苗木「どうしたのさ、3人とも…」

    この3人が揃うとロクでもない事が起こりそうな気がするぞ…!

    舞園「あ、今ロクでも事が起こる気がするとか思いました?」

    苗木「うん」キッパリ

    舞園「わかります、エスパーで……あ、はい」ショボン

    霧切「ねえ、苗木君?単刀直入に聴くわ」

    苗木「な、なに?」

    霧切「……部屋に入っていいかしら?」ズカズカ

    苗木「うん、もうズカズカ入ってきてるけど…どうぞ」
  35. 52 : : 2014/11/18(火) 19:39:54

    *

    3人が部屋に入って来てはベッドの上に座り、ボクはデスクに備えられた椅子に座る。3人の表情が若干険しい…先程の嫌な予感は、どうもコレのことなのかもしれない。

    霧切「さて、聴くわね。苗木君?」

    苗木「何なの、霧切さん」

    霧切「貴女、不二咲さん…いえ、不二咲君と昨日何をしたのかしら?」

    苗木「適当に雑談してそのまま寝たけど?」

    セレス「本当にそうなのでしょうか?」

    苗木「何を疑っているの…?」


    舞園「苗木君、処女膜見せてください」


    苗木「」


    なるほど、把握した。

    苗木「あー、つまり、今日の不二咲クンのカミングアウトとボクが昨日、彼の部屋に泊まった事に対し、まさかボクと彼が肉体関係を持った事に起因してるかもしれないと、3人はお考えな訳で?」

    霧切「そうよ」キリッ

    セレス「今日の突然の不二咲君のカミングアウト…貴女が関連していることは明白」

    舞園「苗木君、処女膜見せてください」

    苗木「とりあえず、舞園さんは黙ろうか」

  36. 53 : : 2014/11/18(火) 19:58:47

    霧切「彼の発言にあった『苗木君に男にしてもらった』というのはつまり…貴女、彼を筆下ろししたのね」キリッ

    苗木「してないから、ねえ霧切さん、どう紆余曲折したらその発想に辿り着くの?本当に探偵なの?」

    セレス「苗木君、淑女たるもの、いとも容易く殿方に身を預けるなどあってはならない事ですわ」

    苗木「だからしてないっていってるでしょ!」

    舞園「苗木君、処女膜見せてください」

    苗木「やかましいよ」


    霧切「そうね、この事は黙っててあげるわ。貸しにしてあげる、だから…」

    苗木「…なんでボク借りを作ってるみたいになってるの?」

    セレス「そうですわ、この借りを返すには…」

    舞園「その…」

    霧舞セ「「「み、耳掻きお願いします…///」」」



    苗木「全部聴いてたんじゃねーか」
  37. 54 : : 2014/11/18(火) 20:50:18


    *

    苗木「まったく…いい趣味してるよ、3人とも」

    霧切「冗談よ…その、聞き耳立ててたのは謝るわ、ごめんなさい」

    セレス「苗木君も冗談の通じない方ですわね」

    舞園「苗木君、怒ってます?」

    苗木「コレを怒んない人はよっぽど器のでかい人だと思うけど」

    舞園「じゃあ大丈夫ですね♪」

    苗木「…」

    苗木「……はぁ、まあ過ぎてしまった事だし、怒る通り越して呆れたよ」


    霧切「ところで苗木君」

    苗木「な、今度は何…?」

    霧切「今日は可愛い格好しないのかしら?」

    苗木「懲りてねーな」

    セレス「あら、言葉遣いがどんどん悪くなってますわよ?」

    苗木「誰のせいだよ」イライラ


  38. 57 : : 2014/11/18(火) 23:10:17

    舞園「苗木君」

    苗木「なに?」イライラ

    舞園「怒ってます?」

    苗木「煽ってんのか」イラッ


    苗木「……で、このアホなやり取りはいつ終わるの?」ハァ

    霧切「貴女が耳掻きを約束してくれるまでよ」キリリッ

    セレス「そうですわ、苗木君が終わらそうと思えばいつでも終わります」

    舞園「そうですよ、約束さえしてくれれば私達も部屋から出ていきますよ」

    苗木「わかった!わかったよもう…気が向いたらやったげるから…はぁ、何かタチの悪い詐欺にあった気分だよ…」

    霧切「ふふ、約束よ?」

    セレス「楽しみにしてますわ…ウフフ」

    舞園「やったぁ♪絶対ですよっ!」
  39. 58 : : 2014/11/19(水) 15:19:58

    *

    3人は約束を取り付けるとあっさりと部屋を出ていった。

    ……というか、あの3人、立ち聞きしてたんなら、不二咲クンが男であるという事も知ってたんじゃないだろうか…

    ベッドに再び横になるや否や、今度は何処からともなくモノクマがやってくる。

    モノクマ「うぷぷ…おはよう苗木クン、体の調子はどう?」

    苗木「モノクマ…体は特に…良くもなければ悪くもない感じ、しいていうなら普通かな」

    モノクマ「そう?なら大丈夫だね。あとそうそう、コレ見て貰える?」

    苗木「なんだよ、モノクマ」

    モノクマが壁に向かい、左目がまるでプロジェクターの様に何かを投影する。

    苗木「なにこれ?数字?」


    舞 123
    霧 122
    セ 119
    朝 112
    大 82
    腐 64
    江 92

    石 74
    和 74
    不 102
    十 72
    山 82
    桑 80
    葉 64

    モノクマ「うぷぷ…この数字、心当りなぁい?」

    苗木「……なんだよ、コレ」

    モノクマ「解らないなら解らないでいいよ、そっちのが面白そうだし」

    苗木「なんなんだよ…一体…」

    モノクマ「うぷぷ…さあね。まあ取り敢えず体には気を付けてね」

    不気味な位にモノクマが体の心配をしてくる…一体何なのだろうか。
  40. 63 : : 2014/11/19(水) 20:24:25

    *

    眠ろうとしても、邪魔が入って、すっかり眠気も無くなってしまった…何処かに行こう。

    しかし、モノクマが見せたあの数字、頭文字は恐らくこの学園生活のメンバーを表している様だが…

    *

    図書室

    なんとなく図書室へと入る…というのも、山田クンの漫画も読み終え、ゲームにしてもボクはチビチビやる派だ。ゲームは1日1時間!…何か目新しい本が無いかを調べに来たのだ。

    十神「…」チラッ

    苗木「やあ、十神クン」

    十神「…フン」フイッ

    十神クンが相変わらず、何かの小説を読んでいる様だ。邪見にはされてない様だが、邪魔はするな…といった感じか。

    苗木「…えっと」

    本棚を覗く。殆どが日本語版ではあるが、たまに洋書等も置いてある。

    十神「……お前の立っている、その棚の中央右寄り」ボソッ

    苗木「えっ?」

    十神「……『緋色の研究』というタイトルの本だ。お前でも読めるだろう……そこそこ暇潰しにはなる」

    苗木「あ、ありがとう、十神クン」

    やだ、十神クンが優しい。


  41. 64 : : 2014/11/19(水) 20:53:25

    苗木「…っと、あった、これか」

    緋色の研究、コナン・ドイルの長編小説のようだ……ボクに読みきれるだろうか…


    苗木「……ッ!?」

    本に手を掛けると同時に、右のこめかみ上に鋭い痛みが走る。

    途端に視界がグニャリと歪み、足に力が入らなくなり。

    苗木「……ぐっ!?」ドサッ

    意識を無くす。糸の切れた操り人形の様に。


    *


    十神「…おい、どうした?」

    十神「…チッ」パンッパンッ!


    モノクマ「お呼びでしょうか?」ススー

    腐川「お、お呼びでしょうか?」ススー


    十神「……腐川、お前は呼んでない。どういうことだ、説明しろモノクマ。苗木に何が起こっている?」

    腐川「…」

    モノクマ「元々結構ムチャな施術だったからねぇ。まあでも、これは一時的なモノだから、大したことはないよ?じゃあね」ススー

    十神「…チッ」スッ

    腐川「びゃ、白夜様…何を?」

    十神「どけ、腐川、ソイツを保健室まで運ぶ」

    腐川「……ま、まさか白夜様自らが…」

    十神「面倒だが、お前に運ばせたらお前の体臭で余計に悪化するかも知れん…俺が運ぶしかないだろう。ここで寝ていられても迷惑だ。だからどけ」

    腐川「ぎ、ぎぃぃぃ……!」ギリギリッ




  42. 65 : : 2014/11/19(水) 21:34:58


    *

    保健室


    苗木「……」

    腐川「……」ジーッ

    苗木「……うっ」

    腐川「!」ビクッ

    苗木「……ここは?…腐川さん?」パチクリ

    腐川「……保健室よ」

    図書室に居た筈だが…突然頭痛がして気を失ったのか…

    腐川「…あ、アンタ倒れたのよ」

    苗木「……腐川さんが運んでくれたの?」

    腐川「…ぎぃいいいい!白夜様が自ら…アンタを運んでくださったのよ!」ギリギリッ

    苗木「十神クンが?…意外だなぁ」

    腐川「こ、この胸か!このパイオツが白夜様をたらしこんだのね!!」グイーッ

    苗木「痛いっ!痛いって腐川さん!ち、千切れる…!」

    腐川「しかもお姫様抱っこよ…!」

    苗木「そ、そうなんだ。それはちょっと恥ずかしいな……」
  43. 66 : : 2014/11/19(水) 22:36:27

    苗木「と、取り敢えず十神クンにお礼を言いに行きたいな。何処に居るか知ってる?」

    腐川「…びゃ、白夜様ならアンタを運んだあと、また図書室に戻られたわ…わ、ワタシは付かず離れずでアンタを看とけって言われたわ…」

    苗木「そっか、ありがとう腐川さん」

    腐川「お、お礼を言われる筋合いは無いわよ。ワタシは白夜様の言い付けを守っただけだから……それじゃ、ワタシはもう行くわ」スタスタ

    ガラッ

    ピシャ

    苗木「……さて」

    図書室に向かおう…

    *

    図書室

    十神「……苗木か」チラッ

    苗木「う、うん、その、ボクを運んでくれたみたいで……十神クン、ありがとう」

    十神「…別に構わん、ここで寝られても迷惑だっただけだ」フイッ

    十神クンは、相変わらずだ……ん?机の上にさっき取ろうとした小説が置いてある。

    苗木「……十神クン、これ」スッ

    十神「フン……持っていけ」

    苗木「あ、ありがとう十神クン」



    十神「……無理はするなよ」ボソッ

    苗木「えっ?何か言った?」

    十神「……フン」

    やだ、十神クンがすごく優しい。






  44. 67 : : 2014/11/20(木) 00:22:44


    *

    苗木ルーム

    部屋に戻ってきた。とりあえず『緋色の研究』を読んでみよう……

    苗木「…」パラッ

    苗木「…」パラッ

    苗木「…」パラッ

    苗木「…」

    苗木「限界」パタン

    チビチビ読もう…

    それにしても、あの頭痛は何だったのだろうか…

    モノクマ「あ、もしかして頭痛気になってます?なってますよね?」

    苗木「うわっ!モノクマ…脅かさないでよ」

    モノクマ「ごめんごめん、そうそう、はいコレ」スッ

    突然現れたモノクマは、何かの小さな紙袋を差し出してくる。

    苗木「なにこれ?内服薬…?」ガサッ

    モノクマ「ま、鎮痛薬だと思ってよ、朝食後30分以内に飲んでね。これで突然の頭痛は抑えられるから」

    苗木「……あの頭痛って、なんなのさ?」

    モノクマ「うぷぷ…まあちょっとした『調整ミス』さ。じゃあね」タッタッタ

    苗木「あ、ちょっと……」

    行ってしまった…『調整ミス』?なんの事だ…?





  45. 68 : : 2014/11/20(木) 18:53:34

    *

    コンコン

    苗木「最近来客が多いな…いま開けるよ」

    ガチャ

    朝日奈「やっほ、苗木!」

    大神「苗木よ、失礼する」

    苗木「ああ、朝日奈さんに大神さん、どうしたの?」

    大神「うむ、水練しに行こうと思うのだが…」

    朝日奈「良かったら苗木も行かないかなって」

    苗木「ああ、良いよ。準備するからちょっと待ってて」

    朝日奈「……ちょっとまって苗木」

    苗木「ん?なに?朝日奈さん……」

    朝日奈「えっへっへ……その、ねぇ、さくらちゃん?」

    大神「…朝日奈よ、我に振るでない……まったく……苗木よ、まさかいつもの男性用競泳水着を持っていくのではあるまいな?」

    苗木「……あ、でも『水着はこれしかない』からなぁ…」

    朝日奈「それは違うよっ」BREAK!

    朝日奈「ねえ苗木、私ね、昨日そこのハンガーラックに水着掛かってるの見つけてるんだよ!」

    苗木「えっ」

    朝日奈「というわけで、見立てて上げるね~♪」

    大神「朝日奈よ、苗木が迷惑ではないか?」ワクワク

    苗木「何気に大神さんもちょっと楽しそうにしてるよね…」

    大神「……その……うむ///」テレテレ

    苗木「正直でよろしい」

  46. 69 : : 2014/11/20(木) 20:52:08


    *

    朝日奈さんがハンガーラックに掛かった水着を幾つか取る。色とりどりの水着がボクのベッドの上に拡がった。

    ……しかし、どれも布面積が少ない様な気がする。

    大神「我はこういうのに疎いのだが…」

    朝日奈「おっけー、よし、とりあえず合わせてみよっか!」

    苗木「な、なるべく恥ずかしくないので頼むよ…」

    朝日奈「じゃーこれかな?」パサッ

    苗木「白の……うん、ビキニだね」

    朝日奈「セパレートもあるよ!」パサッ

    苗木「どっちにしても恥ずかしい…」

    朝日奈「ワンピース?」パサッ

    苗木「うーん…」

    朝日奈「競泳水着!」パサッ

    苗木「どうかな…」

    朝日奈「スク水?」パサッ

    苗木「それはちょっと…」

    大神「苗木よ、このV字のゴムは何かの健康器具か?」グイーッ

    苗木「うん、大神さん、それスリングショットっていって俗に言う危ない水着だね」

    大神「むう///」カァアア


    朝日奈「もー…何が良いのよぅ、苗木ぃ……あと女児用しかないけど」パサッ

    苗木「」

    朝日奈「はいもう私が決めるね!これにけってーい!」パサッ

    苗木「結局ビキニか…」






  47. 74 : : 2014/11/20(木) 22:54:09

    *

    屋内プール・更衣室前

    大神「む、そういえば苗木よ。生徒手帳はどうなっているのだ?」

    苗木「あ、そういえば…」

    更衣室にはカードリーダーがある。カードリーダーには生徒手帳をかざすのだが…

    異性の更衣室のカードリーダーに生徒手帳をかざしてしまうと、頭上に供え付けられた防犯の(にしては大げさ過ぎるが)タレットに蜂の巣にされてしまう……と以前モノクマが言っていたな。

    苗木「モノクマー!」

    モノクマ「お呼びでしょうか?」ススー

    苗木「あのさ、今のボクの場合だと…どっちにかざせばいいのかな?」

    モノクマ「ほいほい、あ、生徒手帳ね。ごめんごめん、更新忘れてたよ……取り敢えず今回は男子更衣室使ってよ……明日までにはやっとくからさっ……うぷぷ」

    苗木「わかったよ、モノクマ」

    モノクマ「うん、じゃあね」タッター

    苗木「だってさ」フー

    朝日奈「まあー仕方ないよねぇ」

    苗木「そうだね…それに…」

    正直、ボクも女子更衣室で、2人と一緒に着替えるとなると、それはそれで非常に困る。

  48. 75 : : 2014/11/20(木) 23:40:59
    朝日奈「それに?」

    苗木「あーいや、なんでもないよ」

    大神「朝日奈よ、行こう。苗木、ではプールで」

    朝日奈「そだね、時間無くなっちゃうし。じゃあ苗木、プールでねっ」

    苗木「うん、じゃあ」

    大神さんは察してくれた様だが、朝日奈さんはあの調子だと着替える直前まで気付かないだろうな。

    *

    男子更衣室

    苗木「んっ…と」ヌギヌギ

    男子更衣室には誰も居なかった。まあ、学園生活のメンバーにいる体育会系の男子でも、この更衣室にあるトレーニング器具を利用して運動する人は見たことがない。

    苗木「……やっぱり面積少ないよね」ピローン

    仕方がない…流石に男モノの水着を着けて、胸を丸出しで泳ぐ訳にはいかないし。上だけビキニというのも変な組み合わせだ。

    この際だ。吹っ切れよう。




  49. 77 : : 2014/11/21(金) 04:39:56

    ピッ

    苗木「!」

    ウィ-ン

    大和田「もう深夜じゃなくても朝から堂々と筋トレ出来るな!不二咲!」

    不二咲「う、うん、僕、もっとがんばるよぉ」


    苗木「あっ」

    大和田「」

    不二咲「」

    苗木「……その」

    大和田「」カァアア

    不二咲「あ……う……///」カァアア

    まさか利用者が居るとは……

    苗木「ご、ごめん、すぐ着替えるから…」アセアセ


    大和田「な、なんで男子更衣室で着替えてんだよッ!?///」クルッ

    不二咲「ご、ごめんなさぁい、苗木君…///」クルッ

    2人が後ろを向く。羞恥心というより、なんというか、2人に対する申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

  50. 79 : : 2014/11/21(金) 05:14:44

    苗木「いや、ほら、生徒手帳が…」

    大和田「そ、そうか、そうだったな…すまねえ苗木!ふ、不二咲、出直そうぜ?///」

    不二咲「そ、そうだねぇ。ごめんねぇ、苗木君…その、着替え見ちゃって…///」

    苗木「あ、いや別にいいんだよ、むしろこっちが悪いというか…」

    2人はそそくさと更衣室を出ていった…

    苗木「……はぁ」

    2人は悪くないのに、謝らせてしまった…心が痛む。
    はやく、着替えを済ませよう。

  51. 80 : : 2014/11/21(金) 05:39:34


    *

    屋内プール

    朝日奈さんと大神さんは競泳用水着だった、水練なのに自分だけビキニとか、遊びに来てるみたいで恥ずかしい…

    朝日奈「わぁ!可愛いね苗木ぃ♪」キャイキャイ

    苗木「は、恥ずかしいね、やっぱり…///」モジモジ

    大神「……ふむ」

    苗木「な、なに?大神さん?」

    大神「いや、以前…というか男だった時と比べて骨格まで女性らしく丸みを帯びた、というか…」

    苗木「そうなのかな…」

    大神(間違いなく苗木、ではあるが…なんというか、よく見ると全く『別の誰か』と思えてしまうほどだな…これは言わない方がいいだろう)

    朝日奈「ほら!じゃあチャッチャッとアップ済ませよう!」

    苗木「ああ、そうだね」

    大神「うむ」
  52. 81 : : 2014/11/21(金) 20:43:35


    *

    アップ運動と入水準備を済ませ、3人で競泳する。
    しかし、相手は超高校級のスイマーにヒト科最強と謳われる格闘家、体力勝負で勝てるわけもなく。誰よりも先にへばって、プールサイドで休んでいた。

    苗木「はぁ……はぁ……やっぱり2人には、どうあがいても敵わないな……」

    ザバァ

    大神「苗木よ、大丈夫か?」

    苗木「うん、少し休憩すれば…大丈夫だよ……朝日奈さん、まだ泳げるんだね…」

    大神「生粋のスイマーであるからな……我もこればっかりは、朝日奈には敵わぬ」

    苗木「ははっ、オリンピックも夢じゃないね」

    大神「外があれでは、今はなんとも言えんが…そうだな、いつか朝日奈の晴れ姿を見てみたいものだ」

    苗木「そうだね、大神さんは外に出たら……どうするの?」

    大神「うむ、ケンイチロウの事は以前話したな」

    苗木「うん…」

    ケンイチロウ……大神さんにとっての目標で、想い人だ。病気を患い、闘病中であると以前に聴いた。

    大神「同門の者も心配ではあるが、やはり、彼の事も気にかかる」

    苗木「……安全は保証されているとはモノクマが言ってたね」

    大神「うむ、それでも、やはりこの目で見るまでは、な」




  53. 82 : : 2014/11/21(金) 21:03:18

    苗木「そうだね…ボクも家族の事が心配だ」

    大神「うむ、だから外に出たらまずはケンイチロウに会いに行きたい…願わくば、元気であってほしい」

    大神さんは仰ぎ、遠い目をして語った。


    ザバァ

    朝日奈「ふう、泳いだ泳いだ~♪」

    苗木「泳ぐね~朝日奈さん…」

    朝日奈「え?まだ準備運動みたいなモンでしょ?」

    苗木「……はは」

    朝日奈さんなら、ドーバー海峡も単独で泳ぎ切るんじゃないだろうか。
  54. 83 : : 2014/11/21(金) 22:32:02

    朝日奈「さぁさぁ、もうひと泳ぎしよ?」

    苗木「う、うん」

    大神「苗木よ、あまり無理するでないぞ」

    苗木「だいじょうぶ……はは」

    正直もう少し休みたいが……
    しょうがない、大神さんの言う通り、無理しない程度に泳ごう。



    舞園「そこまでです!」バァーン!

    苗木「ま、舞園さん!?」

    突然の珍入者がやって来た。しかもしっかり水着に着替えている。それも青いビキニだ。

    舞園「ひどいじゃないですか苗木君、水着を着るなら私も誘ってくれないと!」

    苗木「いや、えーっと…///」

    水着姿の超高校級のアイドルの肢体がボクにぐっと近寄ってくる。

    舞園「えへへ、可愛いですねその水着♪とってもお似合いですよっ」

    にへら、と彼女は目の前で満面の笑みを浮かべた。
  55. 84 : : 2014/11/21(金) 22:58:00

    朝日奈「やっほ、舞園ちゃん。でしょ~?苗木にぴったりじゃない?」

    舞園「なかなかやりますね…朝日奈さん!」

    うっへっへ、と悪そうな笑いを上げては朝日奈さんと舞園さんは互いを見合わせ、こちらをチラチラと見てくる。

    苗木「うっ…お、大神さん…」

    大神「フッ…我には何も出来ん」フッ


    霧切「楽しそうな事をしてると聞いて」

    セレス「あら、苗木君、とてもお似合いですわ」


    紫のセパレート水着の霧切さんに、何故か何時ものゴシックドレスのセレスさんもやってくる。

    大和田クンと不二咲クン辺りにでも聴いたのだろうか、腐川さんと江ノ島さんを除く女性陣が集まった。
  56. 87 : : 2014/11/22(土) 14:52:20

    朝日奈「みんな集まってきたねぇ…」

    大神「こうしてプールで一同に介するのも珍しいな」

    苗木「……水練にならないんじゃない?」

    朝日奈「まあ、こんな日があってもいいんじゃない?」

    大神「フッ……そうだな」

    舞園「あ、じゃあみんなでプール鬼ごっこしましょうよ!」

    霧切「マルコ・ポーロ?いいわね」ニタァ

    苗木「何か邪悪な気配を感じるんだけど」

    霧切「気のせいよ」ニタァ

    苗木「いや、何を企んでるのか知らないけど圧倒的に霧切さんからだよ」

    舞園「霧切さんを疑ったら駄目ですよ苗木君」ニタァ

    セレス「そうですわよ苗木君、貴女の痴た……勇敢な姿を見せてくださいませ」ニタァ


    苗木「あ、クロが増えた」
  57. 88 : : 2014/11/22(土) 22:44:05

    *

    と、言うわけでプール鬼ごっこをすることになった。まあルールは陸でも水面でも変わらずなのだが、潜水しようが泳ごうが自由。タッチすれば鬼と標的が入れ代わるごく一般的なものだ。

    苗木「んで、鬼は?」

    大神「どう決めるのだ?」

    舞園「ん~、じゃんけんでいいんじゃ無いんですかね?」

    朝日奈「そうだねー、じゃあグーパーじゃんけんで、鬼は2人でいいんじゃないかなぁ?」

    霧切「そうね、手っ取り早いし、鬼も2人ならバランスがいいんじゃないかしら?」

    セレス「あら、わたくしは参加しませんわよ?」

    舞園「あ、そうなんですか?」

    セレス「この格好で参加する訳がないでしょう……わたくしは見学致しますから」

    霧切「まあ5人でも鬼は2人でいいんじゃないかしら」

    桑田「そうだな」

    葉隠「だべ!」

    苗木「そうだね、それでいんじゃ…………ん?」

    あれ、何かいる。






  58. 89 : : 2014/11/22(土) 22:52:56

    霧切「バリツッ!!」パコーン!

    桑田「アポンッ!!」ズムッ!

    大神「邪ッッッ!!」パコーン!

    葉隠「ギュンッ!!」ドゴォ!

    バシャン!

    バシャン!

    霧切さんと大神さんがユニゾンした飛び蹴りで何かをプールまでぶっ飛ばした。何だろう、この既視感。

    苗木「ひっ!?ダブル犬神家!!」
  59. 90 : : 2014/11/22(土) 23:11:59

    綺麗にシンクロナイズされた2人の脚だけが水面に浮かんでいた、なんだこれ。

    バシャ!

    葉隠「ひどいべ!」

    苗木「葉隠クン、ずっと姿見せなかったけど生きてたんだね」

    葉隠「更にひどいべ!」

    桑田「だってよ~女子全員の水着姿なんて滅多に見れるもんじゃねえしよぉ~」

    舞園「やっぱり殺しておくべきでした」

    桑田「さらっと無表情で酷いこと言わないでよ舞園ちゃん…」

    葉隠「苗木っちずりーべ!」

    霧切「苗木君はいいのよ」

    朝日奈「苗木は今女の子だしね~」

    桑田「オレらも鬼ごっこ混ぜてくれよ~やましい事なんて考えて無いって!」ワキワキ

    大神「…まずその隠しきれてない下心を何とかせよ」

    葉隠「苗木っちだって下心あるかも知れねーべ!」

    舞園「苗木君はいいんです。むしろ下心ウェルカムです」

    苗木「えっ」


  60. 94 : : 2014/11/23(日) 00:45:37

    霧切「そうね、苗木君は下心ウェルカムね」

    苗木「えっ」

    セレス「そうですわね、苗木君にはもっと下心ウェルカムになっていただかないと」

    苗木「えっ」

    舞園「だから苗木君なら下心ウェルカムなんです!もう///言わせないでくださいよ///」テレテレ

    苗木「ちょっと何いってるか解らない」

    桑田「わかったよ……俺達は参加しねぇ」バシャ

    葉隠「だべ……まあみだりに女子の輪に入って乱すほど不作法モンでもないべ…」バシャ

    トボトボ…


    といいつつ、プールサイドに座り込む桑田クンと、葉隠クン、ああ……2人の狙いが何となくわかった。


    朝日奈「よーし、気を取り直して始めよっかっ!じゃーんけーん…」

    朝日奈「ぽいっ」パー

    苗木「ぽいっ」パー

    舞園「ぽいっ」グー

    大神「ぽいっ」パー

    霧切「ぽいっ」グー

    朝日奈「あ、綺麗に別れたねっ!じゃあ舞園ちゃんと霧切ちゃんが最初の鬼だねっ」

    これは……捕まりにくい2人に対して、ボクは狙い撃ちにされる可能性が高い…!



  61. 96 : : 2014/11/23(日) 01:19:24

    舞園「霧切さん、作戦コード11037号」

    霧切「エスパーラジャー、作戦コード11037号開始するわ」キリッ

    苗木「…!」

    困ったな、何いってるかわからないけど、こっちをチラチラ見ながら言ってるから恐らく2人でなんかしてくるハズだ。

    舞園「はっ!?苗木君に心を読まれてる気がします!」

    霧切「なんですって?苗木君の癖に生意気ね」


    苗木「2人ともバカなの?」

  62. 99 : : 2014/11/23(日) 11:21:47

    霧切「ふふ…苗木君に例え作戦がばれてしまっても、問題ないわ」ウフフ

    舞園「そうですね、どうする事も出来ないんですから」ウフフ

    くっ……殺せ!とどっかの女騎士のように諦めるようなことはしない。ならばこちらも味方を作るまでだ。

    苗木「……大神さん大神さんちょっと…」ゴニョゴニョ

    大神「ふむ…ふむ…成る程、わかった」コクコク

    朝日奈「よっし、じゃあ逃げる人が先に入って、30秒経ったら鬼の2人が入ってきてね」バシャン

    大神「よし、では苗木」バシャン

    苗木「頼んだよ、大神さん」バシャン


    舞園「何か向こうも仕掛けて来そうですね…」

    霧切「問題ないわ…ふふ、待ってなさい苗木君」ニタァ





  63. 104 : : 2014/11/23(日) 12:49:38

    *

    プール北側

    大神「朝日奈よ、こっちだ」

    朝日奈「え?でもバラけないとすぐ捕まっちゃうよ?」

    苗木「いーからいーから」


    プール南側

    霧切「一網打尽ね」

    舞園「苗木君を取り囲んで背後からウヘヘ…じゃなくてタッチする手筈でしたが」


    プール北側

    大神「ふっ、苗木があまりにも不利なのでな、一度だけ力を貸すことにしたのだ」

    朝日奈「あ、そっかぁ、確かにそれじゃ直ぐに入れ代わっちゃって楽しくないもんね」

    苗木「うん、一度でいいから、鬼の2人をかく乱させて、ボクへのヘイトを少しでも下げて欲しい」

  64. 105 : : 2014/11/23(日) 16:50:19

    プール南側

    霧切「…29…30!いくわよ、舞園さん!」バシャン

    舞園「はいっ、霧切さん!」バシャン


    プールサイド


    桑田「始まったぜ!女だらけの水泳大会、リアルにアイ●リング観てるみてえ!」

    葉隠「桑田っちもそういうテレビ観るんだなぁ、ほれ、これ使うべ」ゴソゴソ

    スッ

    桑田「オペラグラスなんて何処に持ってたんだよ」

    葉隠「何処ってそりゃ水着の中にだなぁ…」

    桑田「どこの特殊刑事だよ…まあいいや」スチャ

    桑田「うひょー!舞園ちゃんのビキニ姿が眩しいぜ!霧切の太股!朝日奈の胸!そして苗木!良い!グッド!この際男だったとか抜きにしてアイツプロポーション良すぎるわ!へへ…ホントにマジなんだな葉隠?」

    葉隠「俺占三割!インスピレーションで出たもの確定だべ。ところでオーガはどうなんだべか?」

    桑田「テメーはあの筋肉に抱き締められてーのか」

    葉隠「圧死必死だべ」

    桑田「やべーわこれ、途中でトイレに行かないといけなくなるわーやべー」

    葉隠「またオーガと霧切っちにぶっ飛ばされるべ」

    桑田「つか2人とも泳ぐのはえーな!」

    葉隠「2人とも運動神経いいんよなー、朝日奈っちとオーガはともかく、こりゃ苗木っちピンチだべ」

    スタスタ

    セレス「……貴殿方、まだ残ってましたの?まだ良からぬ事を考えて…」

    桑田「げっ、せ、セレス!なんでこっちに……ち、ちげーよ」シラー

    葉隠「俺の占いで苗木っちポロリが見れると出たんだべ」バァーン!

    桑田「おい馬鹿!」

    セレス「やはり…下衆の考えですわね。しかし、その情報は確かなのでしょうか?」

    葉隠「インスピレーション出たんだから間違いないべ、アカシックレコードのお告げだべ」

    セレス「ふふ、愉しい事になりそうですわね」


  65. 110 : : 2014/11/23(日) 18:33:05

    プール中央

    霧切(この辺りで…!)バシャバシャ

    舞園(霧切さんがプールサイド側に…!よぉし!)バシャバシャ

    プール北側

    大神「むっ?二手に別れたな。霧切が左側に回り、舞園が真っ直ぐ突っ込んでくるぞ」

    朝日奈「うわー、2人とも泳ぐの結構速いねぇ」

    苗木「まだ引き付けて……!じゃあ大神さん、ボクと朝日奈さんが潜ると同時にっ」

    大神「任せよ苗木」

    プールサイド

    桑田「なにしてんだ?あの3人?棒立ちだぞ」

    葉隠「何か話してるべ」

    セレス「恐らくは作戦でしょう。あの鬼2人が最も狙いやすい苗木君を2人がかりで狙うのは明白、というより欲望に忠実といいますか…」

    桑田「でもよー、タッチして入れ代われんの1人だけじゃね?」

    葉隠「あの2人そこまで考えてなさそーだなぁ。バカだべ」ハハハ

    セレス「バカにバカと言われることほど、屈辱的な事もないですわね……ふふ、さて、餌を囲んだ猛獣2匹はどうするのでしょうね?」
  66. 111 : : 2014/11/23(日) 20:02:11

    プール北側

    苗木「よし、今だ!」ザバン

    朝日奈「さくらちゃんお願い!」ザバン

    舞園(2人潜った!残ってるのは…大神さん!?)バシャバシャ

    霧切(何をする気…?)バシャバシャ

    大神「疾ィイイ……」スゥウウ

    大神さんが水面に向かって拳を振り上げる、そして…

    大神「噴ッッッ!!」ズア!

    ドッパァァァァン!!

    思いっきり殴り付けた。

    舞園「キャ!?な、なんですか?」

    霧切「しまった、目眩まし!?」


    プールサイド

    ザー

    葉隠「ヒェ!?水柱がぁ!飛沫がこっちまで降ってきたべ!」

    桑田「あわわ……なんだよあれ、どっかの和尚が編み出した防御無視の必殺技かよ…?」

    葉隠「キワミアッー!!だべ」

    セレス「やるならやるって言えやこのビチグソがぁあああ!!」グッチョリ




  67. 112 : : 2014/11/23(日) 20:59:34

    プール水中

    苗木(このまま…舞園さんの横をすり抜けて…!プールの南側に…!)バシャバシャ

    朝日奈(よし…!私は霧切ちゃんの横を抜けて…)バシャバシャ

    霧切「くっ!」

    舞園「やってくれますね…!」


    プール南東

    朝日奈「ぶはっ!へへ~おっにさんこっちら~!」

    プール北東

    大神「これで苗木への狙いも無くなるだろう、多分」


    プール南西

    苗木(よし、ボクへのヘイトもこれで…)


    プールサイド

    葉隠「良い感じにバラけたべ」

    桑田「にしても何か意味あんのかこれ?」

    セレス「……苗木君を狙い撃ちにしてた2人の作戦を崩し、位置的に最も遠い所に苗木君は逃げ、泳ぎの速い大神さんと朝日奈さんに狙いを移す……というのが、苗木君の狙いだったんでしょうけど……無駄ですわね、苗木君、あの2人の苗木君に対するヘイトは変わりませんわよ」クスクス
  68. 113 : : 2014/11/23(日) 21:21:39

    プール北

    霧切「ふふ…」クルッ

    舞園「ふふふ…」クルッ

    プール北東

    大神「むっ?位置的に我に来ると思ったが…」

    プール南東

    朝日奈「あ、あれ?見向きもされない?」

    プール南西

    苗木「なっ……2人がこっちを…向いてる!?」


    プールサイド

    桑田「あ、あの眼はやべえ」

    葉隠「キングギドラに睨まれたダックスフンドだべ!」

    セレス「意味がわかりませんが、何となくそんな気が致します」
  69. 114 : : 2014/11/23(日) 21:38:26

    プール北

    舞園「甘いんですよ!まるで稀少糖を使ったカフェラテの様な甘さです!」ザッバァザッバァ

    霧切「私達がそう簡単に諦めると思ってるのかしら!」ザッバァザッバァ


    プール南西

    苗木「ひぃ!バタフライ泳法!?」

    プール北東

    大神「いかん、逃げよ苗木!」

    プール南東

    朝日奈「な、なんか殺伐としてるよぉ!この鬼ごっこ!」


    プールサイド


    葉隠「くるべ!アスモデウスのお告げだべ!」

    桑田「わくてか」

    セレス「わくてか」



  70. 115 : : 2014/11/23(日) 22:09:50

    *

    プール南西

    苗木「う、うわぁあああ…」バシャ

    プールの隅まで追い込まれた…!これはもう腹を括るしかないのか…!


    舞園「うふふ、ふふ」ニタァ

    霧切「ここまでよ苗木君…」ニタァ

    苗木「ちょ、ちょっと待ってよ!ボクにタッチしても鬼入れ替われるの1人だけでしょ!これはなんかおかしいよ!」

    一か八か……2人が掴んでくる隙を狙って潜水して……!

    霧舞「「苗木君さ~わっ……」」

    今だ!

    苗木「ふっ」ザバン

    霧舞「「ったぁ!?」」グイー

    苗木(なっ、何か、つ、掴まれ?)ギチギチ

    ポロッ

    霧切「あら、なにかしらこれ」ピローン

    舞園「水着ですね、白のビキニの」

    ザバァ

    苗木「ちょっ、ちょっと2人とも!」プルン

    霧切「な、苗木君!!」

    舞園「あ、あわわ…!!」


    プールサイド

    葉隠「きたぁああああああああ!!」ガッツポ

    桑田「きたぁああああああああ!!」ガッツポ

    セレス「きたぁああああああああ!!」ガッツポ





  71. 116 : : 2014/11/23(日) 22:22:06

    プール南西

    舞園「えいっ」ムニッ

    苗木「あうっ///な、なにを…」

    舞園さんの手のひらがボクの胸を覆う…!

    舞園「取り敢えず前を隠してるんです、霧切さん!」

    霧切「あの2人を始末してくるわ」バシャ


    プールサイド

    葉隠「や、やばいべ!霧切っちがこっちに来るべ!」ヨチヨチ

    桑田「わ、わかってる!用は済んだ!に、逃げるぜ!」ヨチヨチ

    セレス「何故前屈みの姿勢で逃げるのでしょうか?」

    桑田「な、なんでもいいだろ!」ヨチヨチ

    葉隠「直立したらテントができちまうべ」ヨチヨチ

    桑田「このアホォ!」ヨチヨチ

  72. 117 : : 2014/11/23(日) 22:54:59

    霧切「逃がしはしないわよ」キリッ

    桑田「ひっ!ま、まて!事故だろあれ!」

    葉隠「なんも悪くないべ!」

    霧切「言い訳無用、乙女の柔肌を悪戯に目視すれば重罪は必死と六法全書に書いてあるわ」キリッ

    葉隠「ま、マジか…!く、桑田っち、俺達犯罪を犯してしまったべ…!」アワアワ

    桑田「真に受けんなこのアホアホ!」

    霧切「言い訳バリツッ!!」ヒュン

    桑田「ガノンッッ!?」メゴォ!

    霧切「無用バリツッ!!」ヒュン

    葉隠「ヒロゴォッッ!?」メゴォ!

    桑田「」

    葉隠「」

    セレス「あらあら、死体が発見されましたわ」

    霧切「死んでないわよ、半殺しにしただけ」キリッ



  73. 118 : : 2014/11/23(日) 23:08:29

    *

    一連の騒ぎは終わり、それからも適当にプールで遊んでいたら時刻はとっくに昼を回っていた。ちなみに気絶した葉隠クンと桑田クンは個室に連れていくのが面倒だった為、プール脇にあるロッカーに入れた。
    一応モノクマに聞いたらロッカーならオーケーらしい。基準がよくわからない。

    ボクらは着替えを済ませ、昼食へと向かった。
  74. 123 : : 2014/11/24(月) 12:24:24

    *

    食堂

    セレス「あら、江ノ島さんごきげんよう」

    江ノ島「みんなチィース」パクパク

    苗木「こんにちは、江ノ島さん」

    舞園「お1人だけですか?」

    江ノ島「あ、うん、実はアタシも今来たトコでさー(みんなの水泳覗いてたなんて言えないよね…)」パクパク

    霧切「何を食べているのかしら?」

    江ノ島「えっと、レーション」パクパク

    大神「レーション?缶詰めばかりであるが…」

    江ノ島「う、うん、ほら保存がきくし、これ日本の自衛隊のヤツだから味もトップクラスだし…」パクパク

    朝日奈「えっと…た、足りるの?」

    江ノ島「か、カロリー的には問題ないよ、うん、あ、アタシもう行くね?じゃーね」ススー


    江ノ島さんはそそくさと食堂を出ていった…

    苗木「行っちゃった…さてと、軽食で良かったらみんなの分も何か作ろうか?」

    舞園「えっ?本当ですか?」

    苗木「昨日は作って貰ったし、ね?」

    霧切「あら、苗木君の手料理なんて今日はツイてるわね」

    セレス「ふふ、それは楽しみですわ」

    苗木「大袈裟だな、簡単なモノしか出来ないけど」

    朝日奈「良かったら手伝うよ♪」

    大神「うむ、我も手伝おう」

    苗木「うん、ありがとう」


    物影


    江ノ島(……残っとけば良かったなぁ)







  75. 124 : : 2014/11/24(月) 13:21:38

    *

    朝日奈さんと大神さんに手伝って貰い、クラブサンドを作った。概ね好評だったようだ…

    昼食後、解散し各々自室に戻る。


    *

    苗木ルーム

    苗木「ふう……」ウトウト

    なんか、昼食後だからか眠気が……

    モノクマ「うぷぷ、苗木クン」

    苗木「…なんだ、モノクマか?どうしたの?前のゲームの続きでもやる?」

    モノクマ「まあそれでもいいんだけどさ。こないだ見せた例の数字、覚えてる?」

    苗木「あれ?結局何なのさ…?」

    モノクマは再び眼からプロジェクターの様に、壁に数字を表す。


    舞 162
    霧 160
    セ 152
    朝 132
    大 90
    腐 72
    江 96

    石 80
    和 92
    不 122
    十 80
    山 82
    桑 90
    葉 81

    苗木「山田クン以外が伸びてるね……もしかしてコレってさ…」

    モノクマ「鈍チンの苗木クンでも流石に気付いたかな?」

    苗木「好感度……とか?」

    モノクマ「ま、そうとも言いますね」

    苗木「うわぁ……」

    モノクマ「でもこれ『ただの好感度』とは違うんだなぁ」

    苗木「どういうことなのさ?」

    モノクマ「伸びれば伸びるほど……うぷぷ」

    苗木「なんだよモノクマ…伸びれば伸びるほどって」

    モノクマ「ナ~イショ!うぷぷぷぷぷっ!じゃあね~」タッター

    モノクマはそう言うと立ち去ってしまった…

    苗木「何なんだよ…一体」ボスッ

  76. 127 : : 2014/11/24(月) 20:00:00

    *

    好感度、と言っていたが基準の値が分からない。それに『ただの好感度』ではないといっていたが……

    それに今までこんなもの見せたこと無かった。もしかしてボクを女の子にしたことに関係しているのだろうか。

    苗木「考えても仕方ないな……」コテン

    ベッドに横になる。満腹の為かすぐに眠気がきた。そのまま意識が遠のいていく……

    苗木「……すう」Zzz…


    *

    コンコン

    ガチャ

    「あれ、扉が空いてますね…苗木君居ます?」

    苗木「……」Zzz…

    「お昼寝中でしたか……無用心ですね、扉開けっぱなしだなんて…」

    苗木「…ん」Zzz…

    「!」ドキッ

    苗木「…すぴー」Zzz…

    「……///」ドキドキ

    「……」キョロキョロ

    「……えへへ」ナデナデ

    苗木「…ん」Zzz…

    「……失礼しま~す」ボソッ

    苗木「…」Zzz…

    「…くう」Zzz…





  77. 128 : : 2014/11/24(月) 20:57:16

    *

    苗木「…ん」パチクリ

    すっかり眠っていた様だ……ん?何か隣にいる。

    舞園「すぴー」Zzz…

    あれ、どういう状況だ?とりあえず身を起こす。

    苗木「えっと…///」ドキドキ

    舞園「…ん」パチクリ

    苗木「あ、あの///」

    舞園「あ、おはようございます苗木君」

    苗木「な、なにしてんの舞園…さん」

    舞園「何って…苗木君と午後に遊ぼうかと思ったんですけどお昼寝中だったんでご一緒させて頂いただけですよ」

    苗木「ちょっとまって、なにかおかしい」

    舞園「いいじゃないですか、女の子同士ですし」グイッ

    舞園さんがボクの首に手を回して、一緒にベッドに倒れ込む。

    苗木「いやあの……ほら、女の子っていってもほら…」

    舞園「もう少しだけ寝ていましょうよ…ふぁ…あ」ウトウト

    くっ……これは何かマズいぞ……!



  78. 129 : : 2014/11/24(月) 21:20:46

    苗木「ねえ、舞園さん…」

    舞園「…なんですかー?苗木君?」

    苗木「最近は何だか…その、えらくボクにチョッカイ出してくるというかなんというか…」

    舞園「……中学生の頃、苗木君が学校に迷い混んできた鶴を助けたとき、私思ったんですよ」

    苗木「…何を?」

    舞園「……とっても優しい人だなって」

    苗木「そうかな、ボクなんか…」

    舞園「…この希望ヶ峰にきて、モノクマさんに最初の『動機』を提示されたとき、苗木君は言ってくれましたよね…『何としてでも君だけは此処から出して見せる』って」

    苗木「…うん、その」

    舞園「嬉しかったです、けど、迷ったんです」

    苗木「…迷った?」

    舞園「私は、一緒にアイドルとして頑張ってきた仲間達の命と、出会ったばかりの皆の命を天秤に掛けたんです」

    舞園「……でも、どうしても苗木君だけは天秤に乗せることは出来なかった……何ででしょうね?」

    苗木「舞園さん…それって」
  79. 130 : : 2014/11/24(月) 21:58:16

    舞園「…最低だと思いませんか?…私は本当に誰かを殺そうとした……計画まで練って、そして苗木君の優しさにつけ込んで」

    苗木「そんなことないよ、あの時は異常だったんだ……無理もない」

    舞園「……まあ、失敗しちゃいましたけどね。私は結局、最後まで苗木君を天秤に乗せることが出来なかった。もしかして裏道があるかもと思いましたけど…」

    苗木「裏道?」

    舞園「『共犯』です…私が苗木君を利用して…私が実行して苗木君が計画した事にすればもしかしたら…って」

    苗木「……でもそれは確か…」

    舞園「ええ、これもモノクマさんに聴きました。殺人を犯して外に出れるのは実行犯1人だけ……だから、無理だったんです」

    舞園「そうやって、迷って、日々すり減っていく心を、苗木君が辛抱強く埋めてくれました……モノクマさんの『飽きた』発言の後に私のグループの仲間が生きて居るって知って…何だかすごく楽になっちゃって…」

    苗木「……」

    舞園「……ごめんなさい、悪気はないんです。ただ、苗木君の優しさにずっと励まされて、それに甘えたくて……その、ついちょっかい出したくなるというか」

    苗木「…そっか、それならいいや」

    舞園「……本当に、優しいんで…す…ね……」ウトウト

    舞園「……すう」Zzz…

    苗木「……」

    衝撃のカミングアウトだったけど、あの時、舞園さんだけでなく、他の誰かもきっと外に出たい一心で殺人を企てていたのかもしれない……
  80. 131 : : 2014/11/25(火) 21:46:42

    *

    苗木「舞園さん……起きて、そろそろ夕飯だよ」トントン

    舞園「ん…」パチクリ

    舞園「あ、おはようございます苗木君」ウトウト

    苗木「おはよ、ほら、しゃんとして…」

    舞園「はぁい……ふふ、苗木君、何だかお母さんみたいです」

    苗木「そう?」

    舞園「きっと、私にお母さんがいたらこんな感じなんだろなって」

    苗木「からかわないでよ…ほら、食堂に行こう?」

    舞園「はぁい、ふふ」

    ベッドから起きて食堂へと向かう。時刻はそろそろ6時半になろうとしていた。

    *

    食堂

    大和田「オッス」

    不二咲「あ、苗木君、舞園さん、こんばんはぁ」

    石丸「苗木君、舞園君!今晩は!」

    山田「お二方、今晩はですぞ」

    セレス「お二人とも、ごきげんよう」


    苗木「うん、みんな今晩は……あれ?他の皆は?」

    舞園「時間的には皆集まってる時間ですよね」
  81. 132 : : 2014/11/25(火) 22:26:34
    セレス「桑田君と葉隠君は……わかりますわね?」

    げっ、もしかしてまだプールのロッカーの中なのか?

    苗木「う、うん、はは……」

    不二咲「朝日奈さんと大神さんなら、一緒に大神さんの部屋に入ってくの見たよぉ」

    石丸「霧切君はランドリーから出て自室に戻っていくのを見たな…夕飯には来ないのだろうか?」

    大和田「十神と腐川ならいつもどーりだろーよ。しかし、江ノ島は見てねぇな」

    山田「江ノ島盾子殿なら学園側に行くのを見ましたぞ」

    苗木「みんな自由だなぁ」

    舞園「まあ、みんなが時間通りに顔出すのは朝食会くらいですからね…」
  82. 133 : : 2014/11/25(火) 23:56:39


    *

    夕飯を終える頃に、霧切さんがやってきた。

    霧切「あら、皆もう夕飯は済んだのかしら?」

    苗木「ああ、霧切さん、こんばんは。もう大体片付いちゃったね…」

    霧切「手袋の替えを洗ってて遅くなってしまったわ。残念ね」

    苗木「そうなんだ、よかったら付き合うよ」

    霧切「あら、良いのかしら?」ドキドキ

    舞園「苗木君が残るなら私も残りますよ」

    セレス「そうですわね、わたくしも残りますわ」

    霧切「あら、別に貴女方まで無理して残る必要ないわよ?」


    ピリピリ…

    山田「わ、我々は退散しますぞ…」スタスタ

    大和田「そ、そうだな。不二咲行こうぜ…」スタスタ

    不二咲「う、うん…(苗木君…大丈夫かなぁ)」スタスタ

    石丸「うむ、それではまた明日朝に!諸君、おやすみ!」スタスタ

  83. 134 : : 2014/11/26(水) 00:22:45

    男子陣が食堂を去ってしまった…
    霧切さんが適当に調理場で食事を拵えて戻ってくる。

    霧切「……」モグモグ

    舞園「……」

    セレス「……」

    苗木「…えっとさ、今日のプール楽しかったね。ハプニングはあったけど」

    霧切「そうね、あの時はごめんなさい、つい力が入ってしまったわ」

    舞園「そうですね、まさかあんな方法で出し抜かれるなんて思いませんでした」

    セレス「そうですわね、あの作戦、もしまたやる機会があれば事前にお話し下さい…びしょ濡れになってしまいましたわ」

    苗木「はは……」

    霧切「……」モグモグ

    舞園「……」

    セレス「……」

    なんで誰も話を広げようとしないんだ…まるで1対3みたいな構図になってるじゃないか。


  84. 135 : : 2014/11/26(水) 00:38:36

    霧切「ねえ、苗木君」

    苗木「え、何?」

    霧切「今夜に耳か「あー、なんだか耳がー」

    苗木「え、どうしたの舞園さん?」

    舞園「えっと耳がですね、だから苗木君、今夜に耳か「あらー、ウィッグがー、蒸れて耳がー」

    苗木「な、なに?セレスさん…」

    セレス「ウィッグが蒸れて耳が…苗木君、今夜に耳か「あー、耳がかゆいわね」

    苗木「……えっと」

    霧舞セ(((くっ……不毛…!)))

    苗木「あのさ、もしかして耳掻き?」

    舞園「な、なぜわかったんです?エスパーですか?」

    苗木「いや、3人とも顔に書いてる」

    霧切「まぁ、そうなのだけど…」

    セレス「その、気が向いたらとおっしゃってましたが…やっぱり」


    苗木「わ、わかったよ…今日1人やったげる」フー
  85. 136 : : 2014/11/26(水) 18:42:58

    舞園「ひとり…?」

    霧切「1人ですって…?」

    セレス「お1人だけ…!?」

    苗木「いや、そんな3人一辺に出来ないよ?」

    霧切「……確かにそうね。じゃあ苗木君、誰にしてくれるのかしら」

    苗木「……それは3人で決めなよ」


    セレス「では、ポーカーで決めましょう」

    舞園「駄目ですよ!セレスさんが有利過ぎます!」

    セレス「ちっ」

    霧切「やはり公平にじゃんけんかしら」

    舞園「そうですね、それが良いです」

    ジャーンケーン…


    苗木「……なんだこれ」



    *


    苗木ルーム


    苗木「……」

    セレス「うふふ、どうしました?苗木君」

    苗木「いや、セレスさんさ、2人が何の手を出しやすいか知ってたんじゃない?」

    セレス「あら、貴女も気付いてました?」

    苗木「まぁ……プールの時にね、あの2人、特に考えなくジャンケンすると、高い確率で初手にグーだすよね?」

    セレス「うふふ、何分、そんなギャンブルもありましたから……」

    苗木「まあ、いいけどさ……んじゃ」ボスッ

    机の上にある耳掻きをウェットティッシュで拭き、綿棒をベッドに置く。

    約束は約束だ…ちゃんとやろう。

    苗木「セレスさん、こっちに来てくれる?」

    セレス「あ、あの……///」

    苗木「ん?なに?」

    セレス「や、優しくお願い致しますわ…///」ドキドキ

    苗木「大丈夫だよ、先っちょしか入れないから」

    セレス「さ…き……なんて、はしたないですわよ……///」カァアア

    苗木「言っとくけど耳掻きを、だからね?」

    セレス「わかってますわ」シレー
  86. 137 : : 2014/11/26(水) 19:40:08

    *

    寮・廊下

    舞園「…」ピト

    霧切「…」ピト


    『ん……くぁ……』

    『あぁ……』

    舞園「」イライラ

    霧切「」イライラ

    『あはぁ……そこぉ……』

    『んん……んん…!』

    舞園「も、もう我慢なりません…!あの餃子にラー油ぶっかけて殺ります!」ガタタッ

    霧切「落ち着くのよ、舞園さん……私だってあの餃子に多恵子いっぱい食わせて腹パンしたい気持ちを抑えてるのよ…!」ビキビキ




    ガチャ


    苗木「ほんと懲りないよね君達」




    バタン


    舞園「」

    霧切「」


    『な、苗木くぅん…はやく……つ、づきをしてくださいまし…』

    『わかったから、その艶っぽい声やめてよ』

    『あぁん…!…き、きもち……い…い…』


    舞園「…帰ります」

    霧切「…そうね」



  87. 138 : : 2014/11/26(水) 20:07:10

    *

    苗木ルーム

    苗木「…2人とも行ったみたいだね」

    セレス「そうですわね」スリスリ

    苗木「んっ…//耳掻き終わったんだけど…」

    セレス「もう少しだけ膝枕していてくださいませんか?」スリスリ

    苗木「にっ…//……ニーソの中に手を突っ込んでなで回すのやめ……んっ//…てよ…」

    セレス「スベスベして…さらっとして……産毛も感じられない…まるで赤ちゃんの様な肌触りですわ……うふふ」スリスリ

    苗木「……肌の手入れなんて……んっ//してなかったんだけどね……」

    セレス「……ふう、名残惜しいですけど、夢心地の様でしたわ。ありがとうございます苗木君」スッ

    苗木「どういたしまして」

    セレス「ところで、苗木君…」

    苗木「ん?どうしたの」

    セレス「貴女は……いえ、これは今度聴きましょう……それでは、ごきげんよう」スタスタ

    苗木「そう?……じゃあ、おやすみ、セレスさん」

    ガチャ

    バタン


    なにを聴こうとしたのだろうか…しかし……

    苗木「……ふう」ドサッ

    苗木「うーん…」ドキドキ

    あんな声出されたら、妙に意識してしまうな…




  88. 139 : : 2014/11/26(水) 20:52:04

    *

    以前図書室で借りた緋色の研究を読んでいたら、時刻は夜時間を過ぎ、午前へと差し掛かる。

    夜時間の決まりを破ってしまうが…それはあくまでコロシアイというモノが存在していた時の話だ。

    ボクは替えの部屋着を持って部屋をこっそり出る。


    *

    大浴場・更衣室

    苗木「……しょっと」ヌギヌギ

    この体になって男子の入浴時間にも女子の入浴時間にも入ることができない。ボクは誰もいないこの時間に入るしかない…


    大浴場

    苗木「ふう~…」ポカポカ

    体を洗って湯船に浸かる。なんとも言えない脱力感が体を包む…風呂は心の洗濯とはよくいったものだ。

  89. 143 : : 2014/11/26(水) 23:08:24


    ガラッ

    苗木「!」バシャ

    だ、誰か入ってきた…?湯気でよく見えない…

    「~♪」

    鼻唄混じりに体を洗っている…こっちに気付いてないのか?

    「……誰かいるのかしら?」

    気付いたようだ。浴槽に向かってくる…この声は。

    苗木「き、霧切さん…?」

    霧切「苗木君…?」

    苗木「ご、ごめん、まさかこんな時間に入ってくるとは思わなかったから…すぐ上がるよ!」

    霧切「あら、何も問題ないわよ」バシャバシャ

    苗木「いや、あるでしょ」アセアセ

    霧切「もん・だい・ない」キリッ

    苗木「…いや、それはボクが男で…」アセアセ

    霧切「あら、恥ずかしいのかしら?」ズイッ

    苗木「ち、近いよ…霧切さん」

    霧切「この体で?」モミモミ

    苗木「ひゃん…//やめ…」ビクッ

    霧切「あら、ようやく女の子らしく喘いでくれたわね、あえぎ君?」ニタァ

    苗木「…やかましいよ」

    霧切「…冗談よ、でもこんな時間に大浴場に来てるなんて思いもしなかったわ」

    苗木「それはこっちのセリフだよ…誰も居ないと思ったのに」

    霧切「…時には独りでゆっくり入りたくもなるわよ」

    苗木「うん、じゃあボクはもう上がるよ」バシャ

    霧切「待ちなさい」

    苗木「え?」

    霧切「背中合わせなら恥ずかしくないでしょう?少し付き合ってちょうだい」

    苗木「わ…わかったよ」バシャ

    霧切さんの提案を受け入れ、再び湯船に浸かり、霧切さんと背中を合わせる。正直、これはこれで結構恥ずかしい。


    苗木「……霧切さんは最初の頃、ずっと独りのイメージだったな」

    霧切「苗木君のせいよ」

    苗木「そうなの?」

    霧切「そうよ…貴女の前だと、私は霧切家の人間ではなく、ただの高校生になってしまうわ…」



  90. 145 : : 2014/11/26(水) 23:37:07

    苗木「霧切家…代々探偵の家系だったね…」

    霧切「ええ、情を出さないのは、情に流されて真実を蔑ろにしてしまわない為…でも、私は貴女と話して、貴女と過ごして…最近少しだけ口元が緩むようになったわ」

    苗木「…うん、霧切さんは最近よく笑うようになった」

    霧切「舞園さんとも、セレスさんとも、誰とも話すようになったわ…きっと貴女のせい」

    霧切「普通に自分が女の子してるのに気付いてしまったのも、きっと貴女のせい」

    苗木「……良くなかったかな?」

    霧切「いいえ、有り難う……ふふ、ようやく言えたわね」ニコッ

    苗木「そっか…最初は鬱陶しそうにしてたから…」

    霧切「望んでなかったのは本当、でもそれは嘘。自己矛盾した結果、私は貴女に『ありがとう』と伝えた…だからきっとこれが私の本心……苗木君、貴女は本当に変わってるわね」

  91. 147 : : 2014/11/26(水) 23:49:33

    苗木「はは…そうかな?でも、よく言われる」

    霧切「貴女にはきっと不思議な力があるのね。ねえ、苗木君…ひょっとして、貴女がモノクマを…『飽きさせた』のかしら?」

    苗木「…いや、流石にそれは買い被り過ぎだと思うよ」

    霧切「まあ、深くは追及しないわ……少し話が長くなったわね…」

    苗木「うん……さて、そろそろ上がるよ」ザバァ

    霧切「ええ、湯冷めしないうちにベッドに入りなさい。それじゃ、苗木君、おやすみなさい…」

    苗木「うん、おやすみ、霧切さん…」
  92. 149 : : 2014/11/27(木) 00:35:10

    *

    苗木ルーム

    時刻は午前1時ごろ。さっさとベッドに入ろう……


    苗木「ん…?」

    何だろうか、さっきと様子が違う…

    苗木「……」

    ベッドが膨らんでいる。

    苗木「…」バサッ

    舞園「…すぴー」Zzz…

    苗木「…」バサッ


    とりあえずパジャマ姿の何かが居たので再び掛け布団を戻す。さて、どうしようか…

    舞園「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。また一緒に寝ましょうよぉ~」ガバッ

    苗木「いやまず、どうやって部屋に入ったの?」

    舞園「苗木君が大浴場に向かうのは確認済みです♪ここまで言えばわかりますよね?」

    苗木「うん、わかっちゃうね」

    舞園「あ、苗木君、ひょっとして今ブラ着けてないです?」

    苗木「いや、あれ寝るとき着けるとキツい…じゃなくて、なんでまた…その…ボクのベッドに寝ているのかな?」

    舞園「いいじゃないですかー…わかりましたっ、枕にでも何でも苗木君の好きにしてください!」グテー

    苗木「到底アイドルのセリフとは思えないよねソレ」
  93. 150 : : 2014/11/27(木) 02:02:59

    舞園「だって、セレスさんには耳掻きして、霧切さんとは一緒にお風呂入っちゃって、私はなんもないじゃないですかー」

    苗木「いや、舞園さん、今日何気に一番一緒に長くいるよね?昼寝の時も含めて」

    舞園「まあまあ、ほらほら細かいことはいいんですよ♪」グイッ

    苗木「いやいや細かくは、うわっ」ドサッ

    舞園さんに腕を引っ張られてベッドに倒れ込む…なんだろう、まるで酔っぱらいみたいだな…

    舞園「酔っぱらってなんかいないですよ!」

    苗木「そ、その…///…顔が…近いよ」ドキドキ

    舞園「はい、エスパーですから、顔も近くしちゃいます」

    苗木「訳がわからないよ」

    舞園「ほらほら、湯冷めしちゃいますから布団被りましょう~」バサッ

    苗木「…もう人の話聞く気無いよね?」

  94. 151 : : 2014/11/27(木) 19:13:48
    舞園「えへへ、ぎゅってしていいですか?」

    苗木「いやそれは…」

    舞園「ぎゅっ」ギュッ

    苗木「うっ///」

    舞園さんが、ボクの腰に腕を回し、ぴったりと身体がくっつく。
    これは…ちょっと理性とかヤバイ。

    苗木「ど、どうしたのさ、舞園さん…」ドキドキ

    舞園「えー?どうもしないですよ?」

    苗木「いや、ボクがどうにかなりそうなんだけど…」

    舞園「どうにかなっちゃうんです?」ニヤニヤ

    ぐっ…もし自分が男のままだったら、これは希棒が前に進みすぎて股間にテント張ってキャンプ状態で危うかったかもしれない。

    しかし、霧切さんに、セレスさん、舞園さんといい…やけにセクハラ…というかスキンシップが激しい気がする…以前はここまでなかったのだが。

    苗木「…ねえ、舞園さん……もしかして」

    舞園「違いますよ苗木君、モノクマさんにはなにもされてないですよ?ふふ、エスパーですからなんでもお見通しです…」

    苗木「……違うの?」

    舞園「むしろ、なんというか……苗木君の方が……匂いというか……雰囲気というか……ふぁ……」ウトウト

    匂い……?雰囲気……?

    舞園「すぅ…」Zzz…

    寝てしまった……しかし、なんだ匂いとか雰囲気って。疑問は深まるばかりだ。

  95. 152 : : 2014/11/27(木) 20:29:17

    舞園「…くう」Zzz…

    苗木「……」ドキドキ

    しまったな、がっちりとホールドされてしまっている。これじゃあどっちが枕なんだか…

    モノクマ「うぷぷ…」ボソッ

    苗木「…モノクマ?」ボソッ

    モノクマ「どうです?女の子にあれやこれやされても不純異性交遊にならないご感想は?異性じゃないからねぇ、同性だからねぇ。うぷぷ…」

    苗木「ジェットコースターに乗ってる気分だよ…」

    モノクマ「楽しんでる様で何より」

    苗木「……で、舞園さんが言ってた『匂い』とか『雰囲気』ってなんなのさ…会話聴いてたから来たんでしょ?」

    モノクマ「ま、そんなとこ。実は苗木君からごく微量ながら『テンプテーション』が散布される仕組みになっております」

    苗木「『テンプテーション』だって…?」

    モノクマ「魅惑の香…媚香とでも言いましょうか……ま、そこら辺は適当に想像してよ…」

    苗木「……ろくでもないことは解ったよ」

    モノクマ「汗腺から肌に馴染んで、キミ自身の体臭と化して、キミは人を虜にして骨抜きにする…今のキミはそんな感じなのさ」



  96. 153 : : 2014/11/27(木) 20:47:32

    苗木「じゃあ、もしかして…あの好感度を見せたのは…」

    モノクマ「そ、キミが男だった時に半年掛けてコツコツ積み上げた好感度は、今のキミなら3日、ないしは4日で到達するだろうね」

    苗木「なんでそんなことを…」

    モノクマ「うぷぷ…イタズラって言ったでしょ?……これはね、『復讐』ってイタズラなのさ」

    背筋が凍る。モノクマは何を考えている…?

    モノクマ「うぷぷ…じゃあね…苗木クン、おやすみなさい」

  97. 154 : : 2014/11/27(木) 21:56:00

    モノクマは去っていった…

    『復讐』という言葉が、心臓を締め付けて放さない。
    ボクが何をしたのだろうか。

    舞園「…ん、苗木君?」パチクリ

    苗木「起こしちゃったね、ごめん」

    舞園「…いえ、こっちも抱きついたりして寝にくいですよね」

    苗木「ううん、いいんだ…」

    舞園さんは頭が冷えたのか、冷静だった。ボクは少しだけ、弱気になっている。もしかしたら、モノクマの底の知れない考えに大して恐れているのかもしれない。

    舞園「…苗木君?寒いんですか?」

    苗木「…う……うん、大丈夫…」

    舞園「苗木君」

    苗木「…ん?」

    舞園「何があったかは知りません…でも、何があっても、私はあなたの助手で、あなたの味方ですから…ね?きっと、他のみんなも……」

    苗木「……うん」

    舞園さんに励まされる。そう、ボクには仲間がいる…何も恐れる事はない。

    髪を撫でられ、あやされる様にボクは深く眠った…


  98. 155 : : 2014/11/28(金) 07:16:19


    *


    校内放送『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』

    朝になった。身体は相変わらず。睡眠不足な為か少し瞼が重い。

    舞園「ふぁ…おはようございます苗木君」

    苗木「うん、おはよう舞園さん」

    舞園「朝食会行きましょうか。それじゃあ私は着替えてきます」スタスタ

    苗木「うん…また」

    ガチャ

    バタン

    さて…モノクマが言っていた『テンプテーション』と言うものが本当なら、ボクと接触の多かった人はヤバイかもしれない…

    苗木「なるべく、避けた方が良いのか…?」

    モノクマ「それはやめた方がいいんじゃない?」

    苗木「モノクマ…それはどういうこと?」

    モノクマ「キミは望んでもいない『コロシアイ』を見たくもないでしょ?ボク的にどうでもいいんだけど」

    苗木「なんで今コロシアイなんて言葉が出てくるんだ…?お前にしても、もう…」

    モノクマ「飽きた、だけであって、校則に変わりはないよ?…今のキミはきっと、ちょっとした挙動で誰の動機にでもなり得ると言うことさ」
  99. 156 : : 2014/11/28(金) 07:52:19

    苗木「なんで…ねえ、モノクマ、どうして」

    モノクマ「苗木クンはさ、敵を作らないよね……そして、誰とでも仲が良くて、誰であっても仲良くしたよね」

    モノクマ「このボクですらさ…さ、朝食会行くんでしょ?お薬忘れないでね。じゃあね」タッター

    行ってしまった…確かに、モノクマの飽きた発言ののち、ボクはモノクマともよく遊んだ。それが何かいけなかったのだろうか。

    とりあえず顔を洗おう。シャワールームに向かい、洗面台に立つ。

    苗木「……あれ?」

    少し違和感を感じた。些細な事かもしれないが、髪が肩に掛かるくらいの髪の毛だったのに、今、肩に乗っかる程まで伸びている。

    異様に髪の伸びが早い。どういうことだ?


  100. 157 : : 2014/11/28(金) 17:52:46

    *

    食堂

    モノクマとの一件で、少し遅れて食堂につく。

    苗木「みんなおはよう」

    石丸「うむ、おはよう苗木君!」

    今日は皆揃ってる様だ…

    朝日奈「おっはよ、苗木…あれ?なんか雰囲気変わった?」

    苗木「うん、なんか髪が伸びたみたい」

    霧切「…本当ね、昨日までは肩に掛かるくらいだったのに、今は肩に乗るくらい…5センチは伸びてるわね」

    苗木「うん、まあもう何が起きても驚きはしないけどね」

    とは言ったが、正直前髪が目に掛かってうっとおしい…空きバサミが確かあったはずだから、それで切るという事も出来るが。


    舞園「良かったらヘアピンあげましょうか?」

    苗木「助かるよ、自分で切るのも何か怖いし」

    舞園さんが着けていたヘアピンを1つ外し、それをボクに寄越した。

    苗木「舞園さんは大丈夫なの?」

    舞園「はいっ、部屋にまだありますし♪」

    前髪を寄せ、ヘアピンを差し込む。これで前髪のうっとおしさから解放された。


    朝日奈「えっへへ~可愛いねぇ、苗木~?」

    霧切「綺麗なおでこしてるわね」

    苗木「からかわないでよ、2人とも」

    山田「こ、これは…デコ出しツンデレの予感がしますぞ…あの~苗木誠殿?」

    苗木「なに?山田クン?」

    山田「『べ、べつにアンタの事なんか全然好きじゃないんだからね』と言ってみてください」

    苗木「言わないよ」シレッ

    山田「はぁ…はぁ…軽やかに拒否する苗木誠殿もまた、イイッ…」

    セレス「腐れラードはスッこんでいてくださいませ」ドゲシッ

    山田「やめ、蹴らないで……もっと蹴って!」ビクンビクンッ

    大和田「…なんだコイツ」




  101. 158 : : 2014/11/28(金) 18:16:06

    葉隠「しっかしよぉ、苗木っち」

    苗木「なに?葉隠クン?」

    葉隠「いつまで女子のまんまだべ?じゃねえと苗木っちが男っての、ついうっかり忘れそうだべ」

    苗木「わからない…モノクマが飽きるまでといってたけど、まだ当分に飽きそうにないし」

    それに、これは『復讐』といっていた。どうも一筋縄ではいかない…

    桑田「別に何時かは戻してくれるんだろ?それまで気楽にしてていーんじゃね」

    舞園「気楽にしてたらまた桑田君、苗木君の胸揉もうとかするじゃないですか」

    朝日奈「うわっ、桑田サイテー…」

    霧切「昨日のプールでも桑田君と葉隠君が苗木君の胸を視姦してたわ」キリッ

    桑田「ちょ、だからあれは事故だろ!」

    セレス「しかし、占いでそういう風に予知されていたのでしょう?」

    葉隠「うむ!俺の占いは3割当たるべ!」

    桑田「このアホォ!」


    石丸「な、不純異性交遊だぞっ!」

    大神「畜生であるな…」

    腐川「ふ、不潔ね。近寄らないで欲しいものだわ」

    山田(正直居合わせたかったですぞ)

    江ノ島(私も現場見ちゃったしなー…)

    大和田(着替え覗いちまったから何も言えねえ…)

    不二咲(苗木君の…おっぱい///)カァアア


  102. 159 : : 2014/11/28(金) 18:45:19

    十神「フン、確かにそこの愚民にも劣る塵芥がいつ苗木に手を出してもおかしくはないな」

    桑田「ち、ちりあくた?」

    葉隠「チリアクタって食えんだべ?」

    苗木「みんな、落ち着こうよ…ほら、桑田クンも葉隠クンもそんなことしない、でしょ?」ニコッ

    桑田「お、おう、ダチにヒデーことしねえよ(なにこの優しさの化身マワしてー)」

    葉隠「だべ!(今夜のおかずも決定だべ)」

    舞園「あ、今2人ともやらしいこと考えてました!エスパーですからわかります」

    桑田「ちょっ、違っ、舞園ちゃん誤解だ!」

    葉隠「べ、別に夜のオカズなんてこれっぽっちも考えてないべ!」


    大神「邪ッッッ!!」ゴキャッゴキャッ!

    桑田「」メココッ!

    葉隠「」メココッ!

    断末魔もあげることなく、2人は大神さんの拳骨によって昏倒させられる。速すぎて見えなかった。

    大神「ふっ、これで2人の頭も冷えるだろう」

    苗木「そろそろ、2人の命の温もりが冷えそうだよ…」

  103. 160 : : 2014/11/28(金) 20:20:44

    *

    桑田クンと葉隠クンは何時もの事なのでほっとくとして、取り敢えず『テンプテーション』の事は皆に話さなければならない、が…この様子を見てモノクマが何かしてくるかもしれない。

    個々に話した方が良さそうだ…


    苗木「…霧切さん」ボソッ

    霧切「…何かしら」ドキッ

    霧切(苗木君が…耳打ちを…///)

    苗木「……話があるんだ、大浴場の更衣室に来てくれないかな…ボクが先に行ってまってるから」ボソッ

    霧切「?……わかったわ(愛の告白かしら)」ドキドキ


    *

    大浴場・更衣室

    ここには監視カメラがなく、モノクマに悟られたくない話をするには打ってつけだ。

    苗木「霧切さん」

    霧切「待たせたわね、苗木君」ヌギヌギ

    苗木「…なんでいきなり脱ぎだしてんの」

    霧切「なんでって、お風呂場でする事なんて1つしかないじゃない」キリッ

    苗木「いや、話がしたいっていっただけなんだけど」

    霧切「…そう、また一緒にお風呂に入りたいのかと思ったわ。残念ね」ガッカリ

    苗木「とにかく……ボクにはどうも『テンプテーション』って匂いが出されるみたいなんだ…」

    霧切「『テンプテーション』…?香水か何かかしら?」

    苗木「いや、モノクマに女の子にされたとついでに、そういう…なんというか、人を魅了してしまうというか…媚香とか言ってたな」

    霧切「……媚香、つまり貴女自身の体臭に媚薬のような効果があると」

    苗木「うん…」

    霧切「確かに…貴女からはそんな匂い、というか、雰囲気がするわ…」

    苗木「舞園さんにも言われたよ…」

    霧切「なんというか、言葉では言い表せないの、欲情とか、我慢出来ないとか、そんなのじゃないわ……もっと根元に訴えかける様な、そんな感じね」



  104. 161 : : 2014/11/28(金) 20:46:14

    苗木「根元に…?」

    霧切「そうね、深く考えなければただ『不思議で良い香り』で完結してしまうものだけど…正直、貴女に聞かされるまでは私も何ひとつ気付かないままだったわ」

    苗木「霧切さんでさえ、か…」

    霧切「媚薬的なモノとはいったけれど、これは恐らく、催眠効果に近い、理性という外壁をすり抜けて、本能に直接効果を及ぼすもの……貴女に対しての好意の指向性をより強くする」

    苗木「好意の指向性…?」

    霧切「そう…つまり、あの……正直に言うわね」

    苗木「霧切さん?」



    霧切「私は、その…貴女の事が好き…なのよ、男とか女とか、そう言う枠組みを越えて、貴女という人間が好きなの…///」ドキドキ



    苗木「き、霧切さん…!?///」

    霧切「だから、今、貴女への気持ちは抑えている…この話を聞いた以上は…その匂いのせいにする…//」」



  105. 162 : : 2014/11/28(金) 21:09:40

    霧切「その…きっと他の人もそう、貴女という人間が好きだから、その事に気付きながらも、その気持ちを抑えている……現に私がそうだから…」

    苗木「つまり……それが今までのスキンシップに繋がるのか」

    霧切「そう、ね。ちょっとした挙動から貴女は火種に成りかねない。モノクマもイタズラなんて言いながら、随分とした『動機』を育てたものね…」

    苗木「どうしよう…このままじゃ」

    霧切「貴女を巡ってコロシアイ?ふふ…何かの映画の様ね……大丈夫、貴女は今まで通りにしてればいい。ただ1つ、貴女は誰の気持ちにも応えてはいけない…ただそれだけ…だから、私の告白も保留にしといて」
  106. 163 : : 2014/11/28(金) 21:35:23

    苗木「その、霧切さん……」

    霧切「その代わりに…」

    苗木「どうしたの?」

    霧切「…ごめんなさい///」ギュッ

    苗木「!」

    霧切さんがボクの肩に手を回し、優しく抱き締めてくる。ほんの数秒だったけど、霧切さんの温もりが伝わってくる。

    霧切「今の私にはこれだけで充分…ごめんなさい、苗木君……貴女の気持ちも考えずにこんなことをしてしまって…」

    苗木「ううん、いいんだ…霧切さんの気持ちは伝わった。だから…ボクはなにも答えない」

    霧切「ええ、それでいいの…そして、気を付けて苗木君、これは恐らく、貴女とモノクマの一騎打ちになる」



    苗木「大丈夫、それでも、皆が後ろについてるなら」


    *

    苗木ルーム

    霧切さんと別れ、自室に戻ってくる。
    薬の入った袋を机に置き、考える。

    霧切さんは『今まで通りにしてれば良い』と言ったが…
  107. 164 : : 2014/11/28(金) 22:18:30

    コンコン

    苗木「はーい、今開けるよ」

    ガチャ

    セレス「ごきげんよう、苗木君」

    苗木「ああ、セレスさん」

    セレス「少し、宜しいですか?」

    苗木「ああ、いいよ」


    *


    セレス「苗木君、昨日貴女に聞こうと思ってた事を訊ねにきたのですが…」

    苗木「そういえば…」

    昨日、部屋を出る直前に何かを聞きたそうにしていたな。

    セレス「ええ……少し疑問がありまして」

    苗木「疑問?」

    セレス「貴女は……まだ、男性として自己を認識してらっしゃるのですよね?」

    苗木「それはもちろん…のはずなんだけど」

    セレス「では、そうですね。質問を変えるましょう。周りの方が貴女を男性として認識しているのでしょうか?」

    苗木「えっ…?」

    朝食会での葉隠クンの一言を思い出す。


    『いつまで女子のまんまだべ?じゃねえと苗木っちが男っての、ついうっかり忘れそうだべ』


    この言葉の指す本当の意味は。


    苗木「もしかして…」

    セレス「貴女の性別が曖昧になってきている、ということですわ。貴女ではなく、周りがそうなってきている気が致します」
  108. 165 : : 2014/11/29(土) 00:03:53

    苗木「……」

    モノクマの狙いはもしかしたら其処にあるのかもしれない。しかし、それはどうして…どういった理由でそんなことを。

    セレス「…大丈夫ですわよ苗木君、お忘れですか?」

    苗木「えっ?」

    セレスさんがボクの頬を優しく撫でる。

    セレス「貴女はわたくしのナイト、貴女自身の幸運と、貴女自身を信じなさい。貴女が何者であろうと、貴女は『苗木誠』なのですから」クスッ

    苗木「うん…ありがとう、セレスさん」
  109. 166 : : 2014/11/29(土) 00:20:04

    セレスさんはそう言うと、挨拶をしてボクの部屋から去っていった。あの様子からして、霧切さんとの会話を聞いていたのかも知れないな。


    モノクマ「うぷぷぷぷ…苗木クン、何やらコソコソしてるみたいだけど、ご機嫌いかが?」

    苗木「モノクマ…」

    モノクマ「どう?ボクの事キライになっちゃった?」

    苗木「ふふ、それはどうだろうね」

    モノクマ「……『また』そんなこと言うんだね」

    苗木「それより、何か用だったんじゃないの?」

    モノクマ「ま、いいや。そうそう、そのヘアピン似合ってるね?」

    苗木「髪が長くなったんだけど…これも調整ミスってヤツなの?」

    モノクマ「ま、そんなとこだね。というわけで苗木クンに新しい処方箋です。はいこれ」スッ

    苗木「また薬?」

    モノクマ「うん、これは朝昼夕食後に飲んでね。髪の伸びもこれで治まるハズだよ?」
  110. 167 : : 2014/11/29(土) 14:21:03

    *

    モノクマは薬の入った袋を寄越すと、立ち去ってしまった。

    しかし、頭痛と頭髪の伸びの早さ。一体何が起こっているのだろうか。


    *


    ???室

    「ねえ、───ちゃんは何を考えているの?」

    「──────2年掛けて計画を練って、それをアイツに無自覚に潰されてさぁ。許せる?」

    「────でも──ちゃん、それはあの人の事を…」

    「うっさい……うっさいのよ!!それが許せないのよ……!」

    「ご、ごめんね、───ちゃん」


    *

    苗木ルーム


    時刻は昼に差し掛かろうとしていた。ボンヤリと考え事をしながら、ゲームをしたり、読書をしたりして独りで過ごした。
    ……そろそろ、食堂にでも行って昼食でも食べようかな…


    コンコン


    苗木「どーぞー、開いてるよー」

    ガチャ

    不二咲「こ、こんにちは、苗木君」

    苗木「不二咲クン?どうしたの?」

    不二咲クンからボクの部屋に来るのは珍しい。どうしたのだろうか。
  111. 168 : : 2014/11/29(土) 16:37:33

    不二咲「う、うん、えっとね。アルターエゴが苗木君に会いたがってて…」

    そう言うと脇に抱えてたノートパソコンを開く。

    アルターエゴ『オッスオッス、苗木くん』

    苗木「こんにちは、アルターエゴ。不二咲クン、廊下に突っ立ってるのもあれだし、入りなよ」

    不二咲「う、うん、お邪魔しますねぇ…」

    バタン


    *

    不二咲「えっとぉ…」オロオロ

    苗木「ああ、ベッドの上に座りなよ」

    不二咲「い、いいのぉ?」

    苗木「全然構わないよ」

    勝手に入って寝てる人もいる位だし、本来はこれが普通だよね。

    不二咲「えへへ…じゃあ失礼しますねぇ」ドサッ

    苗木「うん。アルターエゴ、ボクに会いたがってたって?」

    アルターエゴ『お父さん、ウソつき』

    不二咲「ちょっ、ちょっとアルターエゴッ!」アセアセ

    アルターエゴ『ホントはお父さんが苗木くんに会いたかったんだよ』

    苗木「えっ、そうなの?」

    不二咲「…///」カァアア

    アルターエゴ『最近、お父さん、苗木くんの話ばかりだよ』

    不二咲「も、もう、電源落とすよぉ!?///」

    苗木「ふふ、仲良いね。2人とも」

    アルターエゴ『親子ですから』ドヤッ





  112. 171 : : 2014/11/30(日) 01:03:31

    不二咲「もう///苗木君まで!///」

    アルターエゴ『お父さん、可愛い』

    苗木「ふふ、そうだね…ごめんごめん不二咲クン」

    不二咲「うう……///」


    だが、男だ。


    アルターエゴ『あ、でも苗木くんに会いたかったのは本当』

    苗木「ん?どうしたの?アルターエゴ」

    不二咲「実はねぇ、この子の個性をどうしようかなって思ってぇ」

    苗木「ああ、でももう十分個性的だとは思うけどなぁ…」

    不二咲「あ、いや、個性というか…特性っていうのかなぁ…苗木君が『超高校級の幸運』って言う具合に…」

    苗木「うーん…そうだなぁ…ねえ、アルターエゴ」

    アルターエゴ『ん?なに?』

    苗木「好きなモノって何かある?」

    アルターエゴ『好きなものはゲーム……だと思うよ?』

    不二咲「この間にもエミュレータ作って遊んでたんだよねぇ…」

    苗木「そう言えば、前にも話してたね」

  113. 172 : : 2014/11/30(日) 01:28:04

    苗木「うーん……不二咲クン、この子は『超高校級のゲーマー』なんてどうかな?」

    不二咲「ゲーマー?うーん…でもぉ、ゲームって才能なのかなぁ」

    苗木「ボクはからっきしだけど、ちゃんとゲームにも世界的な大会もあって、プロゲーマーなんてのも居るよ」

    不二咲「へぇ〜、僕は専ら作る方だからぁ…プロとか居るんだねえ」

    アルターエゴ『くにへかえるんだな…おまえにもかぞくがいるんだろう』

    苗木「げえっ!?ガ○ル!」

    アルターエゴ『どぅーんどぅーんどぅーんふんふんはぁっ!さすが苗木 くん、通ですなぁ?」

    苗木「待ちガイ○だけはやめてよ、バル○グもダメ」

    アルターエゴ『え〜…』

    不二咲「なに話してるかわからないよぉ」

  114. 173 : : 2014/11/30(日) 01:52:24

    苗木「ふふ、まあ、ゲームも立派な才能だよ」

    不二咲「そっかぁ、じゃあ色んなゲームをさせてみようかなぁ」

    アルターエゴ『やったっ、じゃあこれからは勝手にやってもお父さん怒らない?』

    不二咲「……仕方ないなぁ」

    アルターエゴ『えへへ…苗木くんのおかげだよ?』

    苗木「はは、良かったのかな、不二咲クン?」

    不二咲「うん、苗木君が折角提案してくれたことだからぁ…」
  115. 176 : : 2014/11/30(日) 11:04:17


    苗木「良かったね、アルターエゴ」

    アルターエゴ『やったぜ』ガッツポ

    不二咲「調子良いんだから…」


    苗木「っと、そろそろお昼だね」

    不二咲「あ、ホントだねぇ。お昼ご飯、行く?」

    苗木「そうだね、行こうか」


    *

    食堂

    食堂に行くと霧切さんと十神クンが居た。かなり珍しい組み合わせだ。

    苗木「こんにちは、2人とも」

    霧切「あら、こんにちは、苗木君に不二咲君……苗木君、その袋…薬増えたのね」

    苗木「ああ、うん。これで髪の毛の伸びが治まるってモノクマが…」

    十神「……苗木」

    苗木「ん、何?十神クン」

    十神クンがメモを書いてそのメモを寄越す。そこには『その薬を1錠ずつ持って、後で大浴場の更衣室に来い』と書いていた。ボクは無言で頷き、昼食を済ませた後に大浴場へと向かう。








  116. 180 : : 2014/11/30(日) 15:20:03

    *
    大浴場・更衣室


    苗木「十神クン…と霧切さん?」

    霧切「ええ、私から彼に例の事は話しておいた…」

    十神「お前の身体には異変とは別に何かが起こっている。その為に、その薬の構成を先ずは暴き、そこから逆算する」

    苗木「…出来るの!?」

    霧切「いえ、専門外だけど、幸いこの学校には膨大な資料と実験器具は揃っている」

    十神「俺を誰だと思っている。その薬が何なのかを調べれば、お前の異変の真相の足掛かりになる筈だ」

    苗木「2人とも……ありがとう!」

    霧切「いいのよ、貴女の為だもの」

    十神「フン、俺はただの退屈凌ぎだ。決してお前の為ではない」

    霧切「…あら、御曹司というものは素直になれないのね?」

    十神「チッ……五月蝿いぞ」

  117. 184 : : 2014/11/30(日) 22:12:47

    十神「兎に角だ、その薬については明日までになんとかする。お前は邪魔だから手伝おうなど考えるなよ。いつも通り愚民と戯れてろ」

    霧切「ホント、素直じゃないわね。苗木君は何も心配しないでいいわ。コレに関しては私達に任せて」

    苗木「うん……じゃあ、お願いするよ、十神クン、霧切さん…!」


    *

    苗木ルーム

    十神クンと霧切さんと別れ、ボクは自室へと戻る。2人はああ言ってたけど、ボクにも何か出来ることはないだろうか……

    モノクマ「うぷぷ…苗木クン、もしかして、元に戻りたいとか考えてる?」

    苗木「モノクマ…『テンプテーション』の事を考えるとね」

    モノクマ「まあ、ぶっちゃけその『テンプテーション』だけでコロシアイに発展するなんて事はほぼ無いと思うんだけどねぇ」

    苗木「なら、どうして…?」

    モノクマ「『時間短縮』みたいなモンさ。人の感情なんてボクからしたら数値で表せる、些細なもんだよ」

    モノクマはそう言い、眼からプロジェクターを起動する。


    舞 200
    霧 200
    セ 200
    朝 185
    大 100
    腐 73
    江 100

    石 84
    和 100
    不 180
    十 100
    山 92
    桑 100
    葉 95

    モノクマ「ま、やっぱり3日で全員って訳にはいかなかったね。でも充分かな」

    苗木「あのさ、この好感度の最高値って……」

    モノクマ「はい、実は100が最高値でございます」

    苗木「……えっ?」

    モノクマ「テストだって100点が満点じゃん。いつ誰が決めたかは知らないけど、満点は100なの!」

    苗木「いや、だってこれ…」

    200とか100を超えてる人がちらほらいるじゃないか。

    モノクマ「あ、100超えてる人がいるじゃんって思った?」

    苗木「だってそうでしょ?」

    モノクマ「うぷぷぷぷっ!でもねでもね、つまりこれって『そういう事』なんだよね?じゃあねー」タッター

  118. 186 : : 2014/11/30(日) 23:58:47

    そういう事?………モノクマはそう言い、立ち去って行った。
    疑問は深まるばかりだ。


    *

    時刻は昼下がり、そういえば緋色の研究を図書室に返しに行かないと。

    それに、もしかしたら何か手懸かりが見つかるかもしれない。


    *

    図書室

    霧切「苗木君?」

    苗木「ああ、霧切さん、資料を取りに?」

    霧切「そんなところね。貴女は何をしに来たのかしら?」

    苗木「本を返しにね」

    霧切「緋色の研究?意外ね、苗木君がドイルを読むなんて、漫画ばかりかと思っていたわ」

    苗木「あながち間違いではないけど傷付くなぁ……あれ?」

    緋色の研究が置いてあった場所に、別の本が収まっていた。

    苗木「なんだろう、これ……英語、じゃないな」

    霧切「……ドイツ語ね、遺伝子工学にまつわる専門書のようだけど」

    苗木「なんでこんな本がここに?」

    霧切「十神君が読んだんじゃないかしら?」

    苗木「十神クンは元にあった場所にきっちり戻しそうだけどなぁ」

    霧切「じゃあ別の誰かが持っていって、返しに来たときにここに収めたんじゃないかしら……きっちりしない、残念な人ね」

    苗木「霧切さんもそういうのうるさそうだね」ハハハ

    霧切「あら、言ってくれるわね」モミモミ

    苗木「ごめ……んっ///なさい…///」

    霧切「わかればいいのよ」モミモミ

    苗木「手を…んっ///離しっあ///て……///」
  119. 187 : : 2014/12/01(月) 00:24:02

    霧切「冗談はさておき、その『本』については念のため頭の隅にでもおいといた方が良いんじゃないかしら?」

    苗木「そう?あまり関係なさそうにも見えるけど……」

    霧切「念のため、よ。限りなくシロであっても、それが少しでもグレーなら疑うべきね」

    苗木「わ、わかったよ。うん」

    確かに、霧切さんのいうとおりだ。なにがヒントになるか解らない。
    念のため『遺伝子工学の専門書』という言葉を覚えておこう。

    霧切「あと、そうね、2階の男子トイレ……覚えているかしら?」

    苗木「ああ、うん、確か奥の用具入れが……」

    隠し部屋になっているのだ。以前は何かこの学園にまつわるモノが置いてあったが、黒幕か誰かが何処かへとやってしまった。

    霧切「不二咲君がパソコンを持っていたでしょう…?彼を連れて行ってみなさい……回線の様なモノがあったわ」ゴニョゴニョ

    苗木「……!わ、わかった」

    回線……もしかしたら、何かわかるかもしれない。

    霧切「じゃあ、私は上の階へ戻るわ。幾つか資料も見つけたことだし」

    苗木「うん、それじゃあ霧切さん」

    霧切「ええ、また」


    不二咲クンを訪ねよう……もしかしたら、彼のパソコンを使って何かがわかるかもしれない。

  120. 188 : : 2014/12/01(月) 01:30:57

    *

    不二咲ルーム

    コンコン

    ガチャ

    不二咲「はい……あ、苗木君?どうしたのぉ?」

    苗木「こんにちは、不二咲クン」

    不二咲「うん、こんにちはぁ、苗木君が訪ねてくれるなんてうれしいなぁ」

    苗木「はは、実はちょっと用事」

    苗木「…ちょっといいかな」ゴニョゴニョ

    不二咲「な、なぁに?///(苗木君が……耳打ちして……)」

    苗木「……パソコンを持って2階の男子トイレの用具入れの奥に…」ゴニョゴニョ

    不二咲「………?わ、わかったよぉ」

    苗木「うん、じゃあ先に行ってるから」

    不二咲(なんだろう……)


    *

    2F・男子トイレ隠し部屋

    不二咲「す、すごいね、こんな場所があったなんて……」

    苗木「うん…ところで、そこの回線なんだけど」

    不二咲「あ、LANが挿せる様になってるね……」

    苗木「あ、でも、外があんな調子だとインターネットとか使えるはず無いよね……」

    不二咲「ううん、確かにインターネットは無理でも、学内のイントラネットが生きてるなら、何かしらの情報を拾えるかもしれないよぉ」

    苗木「イントラネット……?」

    不二咲「うん、黒幕が情報処理室を陣取ってこの学園を網羅しているなら、この回線が断線していない限りは、そこにアクセス出来るかも…アルターエゴ」

    アルターエゴ『はいはい、スーパーハカーにおまかせ』

    不二咲「…ハッカーだよぉ」

    アルターエゴ『わかってないなぁ、お父さんは』

    不二咲「とりあえず、解析をやってみるよぉ……」
  121. 189 : : 2014/12/01(月) 19:27:03


    不二咲クンがケーブルを回線に繋ぐ。

    苗木「どう?」

    アルターエゴ『んー、防壁があるっぽいけど、多分大丈夫。管理者は多分お父さん程ソフトウェアには精通してないっぽい』

    不二咲「なんとか気付かれないように、ハッキングを掛けてみるよぉ」

    アルターエゴ『お父さんと私のタッグマッチならよゆーよゆー』


    *

    不二咲クンがパソコン上の黒と白の画面に英数字のスクリプトをズラリと書き並べていく。素人目からじゃ何をしているのかわからない。


    不二咲「……きたっ」

    アルターエゴ『ビンゴだね』

    苗木「これは……」

    不二咲「監視カメラの映像記録みたいだねぇ」

    情報処理室内の監視カメラの映像の様だ……

    苗木「あれ、これは……」

    不二咲「誰か居るみたいだねぇ…」

  122. 190 : : 2014/12/02(火) 19:46:05

    苗木「……江ノ島さん?」

    不二咲「……とすると、彼女が黒幕なのぉ?」

    正直信じたくは無いが、彼女が黒幕、もしくは黒幕の内通者とみて間違いないだろう。

    苗木「ん……いや、あれ見て、モノクマが動いている」

    不二咲「……ってことは」

    苗木「黒幕は別に居る……ってことかな」

    不二咲「アルターエゴ…!」

    アルターエゴ『なぁに?お父さん?』

    不二咲「僕らがこの隠し部屋から出ていくダミー映像作れる?」

    アルターエゴ『多分大丈夫、お父さんのは過去の監視カメラ映像を流せば作れるけど……苗木くんのは…』

    苗木「そうか……ボクはこの身体になってからこのトイレを使ってない……」

    不二咲「僕は残るよぉ、苗木君は感付かれる前にここを出た方が良いよ。アルターエゴ、お願い」

    アルターエゴ『らじゃ』

    苗木「わ、わかったよ不二咲クン……無理しないで」

    不二咲「大丈夫、何かわかったら報告に行くからねぇ」ニコッ

    苗木「不二咲クン」

    不二咲「なぁに?苗木君?」

    苗木「今の不二咲クン、とても男らしくてカッコいいよ、それじゃあ」ニコッ

    不二咲「///」カァアア

    ガチャ

    バタン

    アルターエゴ『お父さん、ダミー流したよ、後は苗木くんが出ていけばこの部屋には誰もいないことに……ってお父さん?顔赤いけど……ははーん……』

    不二咲「な、なんだよぉ、アルターエゴ」

    アルターエゴ『お父さんが私を作って、苗木くんがモデルになったんなら、苗木くんは私のお母さんだね』ニヤニヤ

    不二咲「も、もう///人のからかい方なんて教えてないのにぃ……///」カァアア




  123. 191 : : 2014/12/02(火) 20:21:17

    *

    2F・廊下

    とりあえず、思わぬ収穫があったけど、後は不二咲クンが上手くハッキングをして、何かしらの情報を掴んでくれればいいけど。


    江ノ島「よぉー苗木ぃ」

    苗木「え、江ノ島さん?!」ビクッ

    恐らくは『確認』しに黒幕に言われて来たのだろう……ダミー映像を流し、黒幕への目眩ましは出来ているだろうが、彼女はそうは行かない……よし……!

    苗木「ちょ、丁度良かった江ノ島さんっ!良かったら一緒に3時のおやつでもどうかなって誘おうと思ってたんだよねっ!」

    流石に苦しいか……!?

    江ノ島「えっ?マジマジ?いくいく!(な、苗木君が私を…やったぁ!……隠し部屋調べてこいって言われたけど、後ででも良いよね)」

    苗木「えっ」

    江ノ島「えっ?誘ってくれるんでしょ?はやく食堂いこーよ」ワクワク


    なんだろう、この内通者、すごく残念な気がする。
  124. 192 : : 2014/12/02(火) 21:00:35

    *

    食堂

    江ノ島さん……なるべく時間を稼いだ方が良いだろう……となると。

    苗木「あ、ホットケーキミックスあるね。ホットケーキ焼くけどどう?」

    江ノ島「あ、うんうん、じゃあお願いしようかなぁ(前は苗木君のサンドイッチ食べそびれちゃったもんね……うれしいなぁ)」ワクワク

    苗木「良かったよ、じゃあ準備するね」


    *


    苗木「よし、出来たよ」スッ

    江ノ島「お〜美味そうじゃん!いっただきまーす!」

    江ノ島「うーん、おいしー」パクパク

    苗木「そっか、良かったよ」チラッ

    人影がする食堂の入り口に目をやると、不二咲クンがガッツポーズをして、自室へと戻って行った様だ……仕事が早いなぁ、不二咲クン。後で彼の部屋を訪ねよう。

    江ノ島「ごちそうさまっ」ペロリ

    苗木「はやっ」ビクッ

    江ノ島「いや〜苗木が作ってくれたと思うとね〜何枚でもイケそうだよ」

    苗木「そ、そっか、良かったよ……あ、でもボク用事思い出しちゃった……ごめん、江ノ島さん、ホットケーキのタネはまだあるから、もしまだ食べたり無いようだったら、後は自分で焼いてくれないかな?……じゃ、ボクはもう行くね?」

    江ノ島「え、う、うん」

    苗木「じゃあ、ごめん江ノ島さんっまたね」タッター


    江ノ島「うん、じゃーね、苗木……」


    シーン


    江ノ島「」ションボリ
  125. 193 : : 2014/12/02(火) 21:29:06


    *

    不二咲ルーム


    コンコン

    不二咲「苗木君?」

    苗木「うん、ボクだよ」

    ガチャ

    不二咲「……上手くいったよ。入って」

    苗木「うん……」

    バタン

    不二咲「アルターエゴ」

    アルターエゴ『はいはい、あ、苗木くん、さっきぶり』

    苗木「う、うん、さっきぶり」

    不二咲「とりあえず、色々情報抜いてきたけどぉ……苗木君は何を知りたかったの?」

    苗木「とりあえず、今、ボクの身に関して説明しとくよ……」


    *


    不二咲クンに『テンプテーション』の事や、霧切さんと十神クンが調べてくれている薬の事など、黒幕に盗聴されている可能性を考え、筆談した……

    不二咲【成る程、そのテンプテーションも含めてモノクマが何かを企んでるんだね】カタカタ

    苗木【ボクが女の子になったのも含めて、何かあるっぽい】カタカタ

    アルターエゴ【それっぽい、記述は情報処理室のデータにはなかったよ】カタカタ

    不二咲「でもねぇ、もしかしたら…」

    苗木「え?なに?」

    不二咲【アルターエゴ】カタカタ

    アルターエゴ【実はこの校舎とは別に、新校舎があるって情報を見つけた、と思うよ】カタカタ

    アルターエゴ【そこにはバイオラボがあって、性ホルモンや成長ホルモン、遺伝子工学なんかの研究室があるみたい。もしかしたら、この校舎と新校舎はどこかで繋がっていて、苗木くんはそっちでそんな身体にされたんじゃないかなぁ】カタカタ



  126. 194 : : 2014/12/02(火) 22:14:06

    と、いうことは……一度ボクはここの校舎から居なくなって、新校舎というところで女の子にされたということか。しかし、新校舎……入学前にそんなモノがあるなんて知らなかった。
    図書室で見つけた『遺伝子工学の専門書』も、恐らくは以前に黒幕が持っていって、図書室に戻したのかもしれない……これは勘だが、ワザとかもしれない。


    アルターエゴ【あと、もうひとつ、今いる15人の生徒に実はあと1人、名簿に書いてたよ】カタカタ

    苗木【あと1人?】カタカタ

    アルターエゴ【『戦刃むくろ』って人……超高校級の軍人って書いてる】カタカタ

    苗木【戦刃むくろ……?】カタカタ

    アルターエゴ【それ以外の情報は見つからなかったよ……でも、居ないってことは何かあるんじゃないかな?】カタカタ

    不二咲【その人が黒幕って可能性もあるね】カタカタ

    苗木【なるほど……】

    色々と情報を得られた……誰も入れなかった情報処理室内に居た江ノ島さん……恐らくは黒幕の内通者、『新校舎』にある性ホルモンや成長ホルモンに遺伝子工学の研究室とバイオラボ、そして『戦刃むくろ』……

    苗木「ありがとう、不二咲クン……色々と助かったよ」

    不二咲「うん、えへへ………ねえ、苗 木君……」

    苗木「何?不二咲クン」

    ぎゅっと、不二咲クンがボクの腕を抱き寄せる。

    不二咲「何であっても、苗木君は苗木君だから……そして……何があっても、僕が苗木君を守るから……!」

  127. 195 : : 2014/12/02(火) 22:46:56

    不二咲「『テンプテーション』に関係無く、これは僕の、本当の気持ち……だから…」

    苗木「うん……ありがとう、不二咲クン」


    *


    苗木ルーム


    不二咲クンと別れ、自室へと戻ってくる。時刻はそろそろ夕方、江ノ島さんが内通者であることを霧切さんに報告すべきだろう……


    コンコン

    苗木「はい、開いてるよ」

    ガチャ

    舞園「苗木君」

    苗木「ああ、舞園さん……どうしたの?」

    舞園「今日、朝から顔見てないなぁと思ってですね。えへへ…」

    苗木「ああ、そうそう、ヘアピン、改めてありがとね」

    舞園「いえいえ、良いんですよ……それにお似合いですし♪」

    苗木「はは、まあ立ち話もあれだし、座ってよ」ドサッ

    舞園「はい、では遠慮なく」ドサッ

    苗木「あ、あの、舞園さん?」

    舞園「はい?なんでしょうか苗木君」

    ベッドの上に座ったのだが、ボクの身体とえらく密着してくる。

    舞園「今さら何いってるんですか、一晩抱き合った仲じゃないですか」

    苗木「うん、勝手にエスパーしないで、あとそれなんか違う意味に聞こえるからやめてね」

    舞園「えー、ホントの事じゃないですか」

    苗木「……はあ、一応舞園さんにも説明しとくか」

    舞園「何かあるんですか?」


  128. 196 : : 2014/12/02(火) 23:07:08

    苗木「その、ボクの身体からどうも『テンプテーション』って匂いが出てて、その人の好意を本能的に底上げするというか……」

    舞園「ああ、それなら知ってますよ」

    苗木「ファッ!?」

    舞園「でもそんなの関係ありませんし、前々から苗木君にあんなことこんなことしたいなと思っていても不純異性交遊になりますから、むしろ同性になってくれてこいつぁラッキーと思ってあんなことこんなことしてる訳でしてまぁアイドルとしてはどうかと思いますけどいいですよねこんな状況ですし、あ、あと第2ボタン予約して良いですか?」ペラペラ

    あかん、このアイドル、元からネジがぶっ飛んでた。

    舞園「『落ち着くんだ舞園さん』と、苗木君は言います」

    苗木「落ち着くんだ舞園さ……
    ハッ!!じゃなくて……それ、匂いの件、霧切さんとの会話、聴いてた?」

    舞園「はい、もちろん」

    苗木「もちろんなんだ」

    舞園「もちのろんです♪」

  129. 197 : : 2014/12/02(火) 23:58:02

    舞園「でも、それが何であれ、苗木君は苗木君なんです。匂いなんて関係無いんです」

    苗木「そ、そうなんだ…」

    舞園「人の感情は動かせても、本心はそんなモノで揺らいだりしないんです」

    苗木「……そうか、そうだね」

    モノクマは人の感情なんて些細なモノで、数値で表せると言っていた。

    でも、本心はきっと舞園さんが言った通り、数値で表せるほど簡単なものじゃない。

    苗木「ありがとう舞園さん、大切なことを知れたよ」

    舞園「えへへ……じゃあご褒美で耳掻きを……」

    苗木「……」

    舞園「……駄目ですか?」

    苗木「解ったよ、じゃあ、寝そべって」

    舞園「やったぁ♪」ゴロン


    *


    舞園「ハァ……ハァ……」ビクンッ

    苗木「舞園さん、ヨダレ拭いて……アイドルの顔じゃないよ、それ」

    舞園「す、すいません、そ、その……あまりのテクに……」ダラッ

    苗木「ほら、そろそろ夕食だし、食堂に行こう?」

    舞園「うぅ〜…名残惜しいです……」
  130. 198 : : 2014/12/03(水) 01:30:42


    *

    食堂に赴き、夕食を済ませ、自室に戻る。

    明日、霧切さんと十神クンが薬の内容を調べあげ、モノクマが何を企んでるのかを暴く。

    もしかしたら、明日には元に戻るかもしれないし、戻らないかもしれない。

    それでも、この一連に対して収束がつくはずだ。


    *


    情報処理室

    「あのさぁ……隠し部屋調べてこいっつったのにこれはどういう了見だっつーの、監視カメラにはダミー映像流されてたし、ぜってー苗木と不二咲に正体バレた。確定的に明らかに」

    「ご、ごめんね、───ちゃん」

    「もう、いいです。残念なお姉ちゃんの残念は今に始まったことではないので、まあ明日には全て終らせますし、終わるでしょう」
  131. 199 : : 2014/12/03(水) 02:09:56


    *

    苗木ルーム

    時刻はそろそろ、深夜になる。そろそろ寝てしまいたいが……まだ内通者の件を霧切さんに伝えていない。



    コンコン

    霧切「…私よ、苗木君、起きているかしら?」

    苗木「霧切さん?……まって、今開けるよ」


    ガチャ


    苗木「良かった、霧切さん……伝えたいことがあるんだ」

    霧切「愛の告白かしら?」

    苗木「それには答えないって……霧切さん」

    霧切「冗談よ……後の作業は十神君が一任してくれたわ。唯の見栄っ張りのかませ眼鏡かと思ったけど、見栄を張るだけの知識は豊富のようね」

    苗木「ヒドイいわれようだなぁ……」

    霧切「あと、伝えたいことって何かしら?」

    苗木「……部屋に入って、筆談で」

    霧切「……解ったわ」


    苗木「とりあえずベッドに座ってよ」

    霧切「ええ、では遠慮なく」ドサッ

    メモ帳を取り、そこに伝えたい事を書く。

    苗木【不二咲クンと隠し部屋の回線を使って、情報処理室をハッキングした。江ノ島さんは黒幕の内通者、黒幕はわからないけど、ここに居ない同級生、戦刃むくろという名前が浮上した】サラサラ

    霧切「なるほど……棚からぼたもちね」

    苗木【新校舎という場所にバイオラボという場所があるらしい。性ホルモン、成長ホルモンに関する研究室もあるらしい】サラサラ

    霧切「そのメモ帳貸してくれないかしら」

    苗木「いいよ」スッ

    霧切【新校舎というのは聞いたことがないわ。貴女は入学の事前にこの新校舎の事は知っていたのかしら?】サラサラ

    苗木「いや、知らなかった……それにさ」

    苗木【新校舎ってことは、こっちにあるのは旧校舎ってことなのかな?】サラサラ

    霧切【恐らく。私が探偵であることを思い出すのに大分時間が掛かったのを覚えているかしら】サラサラ

    苗木【うん、覚えている】サラサラ

    霧切【もし、私達が何らかの方法で記憶を操作、ないしは消去されたと仮定すると……色々と辻褄が合うようになってくる】サラサラ

    苗木「ま、まさか…」
  132. 200 : : 2014/12/03(水) 02:28:02

    霧切【モノクマの説明にあった外の有り様や、私達の家族や大切な人物の安否に関しても、何か違和感を感じる】サラサラ

    霧切【私に関しては自分の才能を忘れているのに、探偵の家系に生まれたという記憶の齟齬、考えてもみて、普通有り得るかしら】サラサラ

    苗木【有り得ない、それにその説明をした後でもモノクマは自分の正体を明かそうとしなかった】サラサラ

    霧切【貴女を女性の体にする程の技術、恐らく黒幕は記憶を操作する技術を持っていても不思議ではない】サラサラ

    苗木「もしかして、さ……みんな」

    苗木【……入学から半年以上に空白がある?】サラサラ

    霧切【有り得ない話ではない、もしかしたら1年や2年は記憶がないのかもしれない。旧校舎から新校舎が出来るまでの間もゴッソリと】サラサラ
  133. 201 : : 2014/12/03(水) 18:40:49

    苗木「でも……だとしたら……」

    ボクらは、その1年、2年、ずっと過ごして来た仲間になる。

    霧切【そう、私達は半年前に顔を合わせた訳でなく、ずっと前から顔を合わせてた同級生、と考えられるわ】サラサラ

    霧切【黒幕の目的はわからない。コロシアイをさせたり、かと思ったら急に飽きたと言い出して、外の惨状を説明をして避難の為の共同生活】サラサラ

    霧切「なんで……私達はそれに平然と同意したのかしら?」

    苗木【家族の安否の保障が大きかったと思う、そしてもうひとつ】サラサラ

    苗木「デジャヴ……」

    霧切「既視感……そうね」

    霧切【私達は共同生活に対して『同意』した。何故かそれは以前にも『同意』した気がする】サラサラ

    苗木「うん……だから」

    苗木【『同意』したのはモノクマの飽きた発言の後と、もうひとつ、記憶が消される前に『誰か』にした】
  134. 202 : : 2014/12/03(水) 19:04:45

    霧切【そして、その人物は恐らく】サラサラ

    グッ

    霧切さんはペンを握る手をグッと握りしめ、その先を書こうとはしなかった。

    霧切「………明日に、話すわ。そのときは……」

    おそらく最後になると言おうとしたのだろう。ボクは静かに頷いた。

    霧切「私はもう、寝るわ……貴女も早く寝なさい。それじゃ、おやすみなさい」

    苗木「うん、おやすみ……霧切さん」

    ガチャ

    バタン








    ─────そして、ボクにとって、最期の日がやってくる。





  135. 203 : : 2014/12/03(水) 20:15:16

    *

    ボクの女性化というモノクマの悪戯は、思わぬ方向に話が進展した。

    ボクらがここに居るのは、外で起こった『人類史上最大最悪の事件』からの保護と、暴徒達の蔓延る外部からの隔絶、絶望が絶望を生み出し、次第にパンデミックとなる外の惨状から、この学園をシェルターと化し、共同生活をし、暴徒達の沈静化を待った。

    原因は不明、ただそれは、学園長……モノクマに上手くはぐらかされている気がする。

    モノクマ自身がコロシアイ……つまりは絶望的惨状を望んだからだ。

    だが、ボクらはモノクマのあらゆる仕掛け、動機を回避する。

    そうした切っ掛けによって、ボクら希望ヶ峰78期生は、より一層その絆を深め、どんな仕掛けにも動機にも屈する事は無くなった。

    業を煮やしたモノクマは、ボクらをミナゴロシにすると思いきや、そんな事はなかった。

    果てには『飽きた』と発言し、ボクらに対して動機や仕掛けといったコロシアイを促すモノをパタリと辞めてしまい、この共同生活に対する真意と、ボクらの身内の安否を説明した。

    ……いつからか、モノクマがコロシアイを強要していたことは、皆の中から薄れていく。

    外への渇望はあった。しかし、どうにもならない惨状を目にして、皆、意気消沈し、やがて、適応していく。

    人は慣れるものなのだ……どうにもならないと感じると、希望も絶望も無くして、ただ、現状に流され、適応し、それが普通であると。

  136. 204 : : 2014/12/03(水) 20:40:30


    *

    苗木ルーム

    校内放送『オマエラ、おはようございます!朝です、7時になりました!起床時間ですよ~!さぁて、今日も張り切っていきましょう~!』

    朝が来たようだ……

    校内放送『そして、全員、朝食をチャッチャと終わらせて、校舎1階の赤い扉の前に、集合するように!』

    何時もと違う校内放送に、ボクの心臓は高鳴る。

    ボクは着替えを済ませ、食堂に向かった。


    *

    食堂

    石丸「おはよう苗木君!」

    朝日奈「おっはよ、苗木」

    大神「苗木か、おはよう」

    舞園「おはようございます、苗木君」

    不二咲「おはよぉ、苗木君」

    霧切「おはよう、苗木君」

    セレス「ごきげんよう、苗木君」

    大和田「オッス、苗木」

    桑田「おう、苗木」

    葉隠「苗木っち、おはよーさん」

    山田「おはようですぞ、苗木誠殿」

    腐川「お、おはよう…」

    十神「……ふん」

    江ノ島「おっはー、苗木」


    苗木「みんな、おはよう」

    皆、ボクより先に席に着いていた。
    今朝の放送の影響だろう。



  137. 205 : : 2014/12/03(水) 21:18:31

    *

    食事中は静かだった。皆、何かしら不安なのかもしれない。

    苗木「……十神クン」

    十神「安心しろ、調べはついた…これからモノクマが何かしてくるんだろう?その時に話す」

    苗木「……わかった」


    *

    校舎1F・廊下


    食事を終え、皆、無言のまま、校舎1階の赤い扉の前に立つ。

    情報処理室と、もうひとつの『あかずの扉』だった。

    モノクマは『コロシアイが起きたときに使う』としか言わなかった。

    この部屋には何があるのだろうか。

    校内放送『みんな、扉は開いてるよ。入ってきてどうぞ』

    石丸「で、では、僕が開けよう…」


    ギィイイ……

    大和田「なんだこりゃ……エレベーターか?」

    江ノ島「………みんな、乗ろう」

    ぞろぞろと開いたエレベーターに皆が乗り込む。

    大分広い作りだ、ボクら15人が乗っても、まだスペースがある。

    エレベーターは全員が乗り終わると、自動的に扉を閉め、降下していく。

    やがて、大分降りきった所で、その簡素な金網の扉を開く……



  138. 206 : : 2014/12/03(水) 21:44:52

    *

    裁判場


    苗木「なんだ、これ……」

    円筒型の広い部屋には、目に痛い真紅のカーテンに、床は黒と白の市松模様。

    そして中央に、円卓を囲むように立てられた木製の証言台があった。

    霧切「……異様ね、裁判所の様にも見えるわ」

    モノクマ「うぷぷ……正解だよ、霧切さん、ここは本来、コロシアイが起きたときに使うはずだった『学級裁判』の為の場所だったんだよ」

    苗木「……!モノクマ……!」

    モノクマ「皆さん朝からご足労ありがとね……さて、今日は何故この場所に来てもらったかというと……ねえ、苗木クン?」

    苗木「……」

    モノクマ「だんまり?先生悲しいなぁ、ま、いいや、はい、みんな自分の名前が付いた所に着いて〜」


    皆が円卓の証言台に立つ。モノクマはその外れにある高い位置にある席に着いた。まるで裁判長気取りだ。


    霧切「苗木君を使って何を企んでるのかを聴かせてちょうだい、モノクマ」

    一同が霧切さんの発言にギョッとする。

    モノクマ「そうだね、まあ、それより苗木クン?」

    苗木「……なに?」

    モノクマ「お薬ちゃんと飲んだ?」

    苗木「飲んだよ……途中で倒れたらみんなの迷惑になるし」

    十神「その薬なんだが…」

    モノクマ「そういえば、こそこそ霧切さんと化学室とか使って何かしてたよね、十神クン?」

    十神「……複雑過ぎて解析には至らなかったが、成分から解ったのは『脳神経』……特に記憶を司る海馬と大脳新皮質に作用する事、もうひとつの方は成長ホルモンを抑止するものだった。成長ホルモンに関しては、髪が伸びるのを抑える為かと思ったが……どうやら違うようだな」
  139. 207 : : 2014/12/03(水) 22:01:11

    モノクマ「そこまで解れば大したモンだね。十神クン?流石は超高校級の完璧ってところかな?うぷぷ……」

    十神「ちっ……小馬鹿にしているのか…!?」

    舞園「……その、難しい事はわからないですけど、苗木君のそのお薬は、ただの頭痛薬ではないんですね?」

    腐川「あ、アタシは苗木が倒れるの見てたけど……ソイツの倒れ方は頭痛で苦しんで倒れてる様じゃなかったわ……」

    十神「ああ、腐川のいう通りだ。まるで糸の切れた人形の様だったな」

    苗木「……ボクにしても、何が起こったのか分からなかったよ、一瞬の頭痛で気を失ったから」

    霧切「推測は出来るわ……ねえ、モノクマ」


    霧切「貴方、苗木君の記憶に何かしたんじゃないの?」

    桑田「ま、まてまて、記憶弄るとかそんなん出来るのかよ!」

    葉隠「お、オカルトだべ!俺は信じねーぞ!」

    大神「2人は黙っておれ……」イライラ

    桑葉「「ぁぃ」」シュン

    モノクマ「うぷぷ……まあ、正解とも言えるし、不正解とも言えますね」

    苗木「ねえ、モノクマ……あのとき『調整ミス』っていったよね?……それってさ、ボクらに『最初に施した記憶の消去』と関係しているのかな?」

    一同「「「!?」」」

    十神「……どういうことだ、苗木、説明しろ」

  140. 208 : : 2014/12/03(水) 22:19:28
    苗木「うん、十神クン……霧切さん」

    霧切「ええ、苗木君……昨日の夜、苗木君とある仮説を立てたのよ。ねえ不二咲君…『新校舎』について詳しく教えてくれないかしら?知っているんでしょう?」

    朝日奈「新校舎…?ここに来る前はそんなの聞いたことも無いけど……私達が入学式で入った校舎は違うの?」

    セレス「見た感じ、それなりに年季が入った建物の様でしたけど……」


    不二咲「う、うん、あのね、僕らが今居るところは『旧校舎』なんだよぉ……」

    モノクマ「……なんでそう言えるの?」

    不二咲「モノクマ……気付いてるよね?僕らが情報処理室にハッキングしたことを」

    大和田「マ、マジかよ……不二咲………ハッキングってなんだ?」

    不二咲「ご。ごめんねぇ大和田君……ハッキングについては今度教えるから……とにかく、そこから得た情報なら、構図的に旧校舎とここの構図が一致してたんだよねぇ」
  141. 209 : : 2014/12/03(水) 22:45:30

    不二咲「そして『新校舎』……こことは離れた位置に有るみたいだけどぉ……設備とかここの旧校舎とは比べ物にならない位揃ってるみたいでねぇ……施工に関しては1年ちょっとは費やしたんじゃないかなぁ」

    山田「むむっ……だとしたら、我々が入学したのは半年前ですから……あれ、計算があいませんな」

    霧切「……それ以前に、外の状況を考えると、完成には至らないはずなのよ」

    苗木「この事から、考えられるのは、ボクらが入学したのは半年前……でなく、それよりずっと前になる……だってそうでしょ?『もしボクらが入学する前から建てられていたのなら、そっちで入学式をする』だろうからね」

    霧切「伝統に乗っ取って旧校舎で……なんて事言わないわよね?モノクマ」

    モノクマ「ま、正解にしときましょう。キミ達は『2年間』の記憶はありませ〜ん。ボクが弄りました〜」

    石丸「う、うそ……だ、そんなバカな」

    モノクマ「ところがどっこい、これが現実なんですよ。そうキミ達が入学した年に『新校舎』の施工が始まって、外の状況が始まる前には完成したね」

  142. 210 : : 2014/12/03(水) 23:00:34

    苗木「つまり、ボクらは半年前じゃなくて、2年と半年、同じクラスだった」

    モノクマ「はい、その通りでございます……まあでも、その件に関しては苗木クンのお薬は関係ありません!」

    苗木「……じゃあ、あれは、あの薬は何なのさ……!?」

    モノクマ「……記憶のエングラムの調整、パルスによる伝達の……なんていってもわかんないだろうから、苗木クンの好きなゲームに例えてあげるとさ」

    モノクマ「ゲームのセーブデータの入ったメモリーカードを別のメモリーカードに移すとするじゃん?でも移したら少しだけセーブデータが壊れちゃったワケ、それの補修をやってくれるのが、そのお薬なわけさ」

    別の……メモリーカード?何を言ってるんだ。モノクマは。

    苗木「ちょ、ちょっと待ってよ!別のメモリーカード……?」

    モノクマ「うぷぷ……さて、なんでしょうね」

  143. 211 : : 2014/12/03(水) 23:17:18

    霧切「……その前に『テンプテーション』について聴きたいわ」

    モノクマ「それは苗木クンに話したよね?」

    苗木「……『時間短縮』これはどう言う意味なの?」

    モノクマ「言葉の通りさ、時間を短縮したんだよ……今の女の子のキミと前の男の子のキミが、皆から同じ感情を持たれる事」

    モノクマ「『愛』?『恋』?『友情』?『下心』?なんでもいい、皆が女の子のキミに対する価値を付ける事……ま、それでコロシアイ発展も面白かったけどね」

    霧切「そうね……発展はしかけたのだけど……その可能性は殆ど無いわ、まさか映画みたいな展開に発展すると、貴方も本気で思ってはいないんでしょう?」

    葉隠「え、映画みたいな展開ってなんだべ?」

    腐川「そ、そりゃアンタ……『私を巡って争うのはやめて!』ってことでしょ……そこのデカパイ苗木をバカで猿並の性欲のアンタらがどーにかしようものなら、舞園とか霧切とかセレスとか苗木の押しかけ女房にぶっ殺されてんじゃないの……?」

    桑田「……えっ、こっちも見て……俺も含まれんの?」

    舞園「当然ですよ」

    セレス「聴いた時には去勢してやろうかと思いましたわ」

    桑田「ひぇ!」ブルッ
  144. 212 : : 2014/12/03(水) 23:35:24

    苗木「ま。まぁその話は置いといてさ……モノクマ。なんでそんな事をしたの?」

    モノクマ「だから『時間短縮』だって……今のキミと前のキミを皆の中で同価値にするのっ!」

    霧切「何のために……?」

    苗木「別のメモリーカードとか、今のキミとか、前のキミとかさ……なんかそれじゃあ『ボクが2人いるみたいじゃないか』?」



    モノクマ「うぷぷ……そうだね、まるで2人だね。男の子のキミがいて、女の子のキミがいて……」

    霧切「………!」ビクッ

    モノクマ「おやぁ、霧切さんは何か気付いたんじゃないかなぁ?」

    霧切「……モノクマ、もし、私の推測が当たっているなら……貴方、生命の冒涜になるわよ」
  145. 213 : : 2014/12/03(水) 23:50:14

    モノクマ「生命の冒涜ぅ?ぶっひゃっひゃっひゃっ!!霧切さん……外の状況鑑みてよ?警察はもちろん、法律も機能してないんだよ?こんなご時世に倫理観なんてモノは誰も耳を貸さないよ、ボクもね」

    霧切「っ………!!」

    苗木「ま。待ってよ……どういうことなの……?」

    霧切「……図書室にあった『遺伝子工学の専門書』」

    十神「……成長抑止はそう言うことか…!モノクマ……貴様……」

    霧切「『新校舎』のバイオラボ……性ホルモン……研究」

    苗木「ま、まってよ……」


    想像は付いていた。覚悟も出来ていた。でも、いざ現実を突き付けられるのは、やっぱり絶望だった。







    モノクマ「キミねぇ、『苗木クンのクローン』だよ」






  146. 214 : : 2014/12/04(木) 00:08:47


    苗木「……………………………はっ?」

    舞園「な、何ですか……それ」

    モノクマ「肉体のクローニング。ネズミとか羊とかでの研究は成功してるよね……人間で成功するのはボクが初めてなんじゃなぁい?」

    苗木「う、ウソだよね。モノクマ……ほら、だって性転換はホルモン投与とか……」

    モノクマ「投与だけで何年かかると思ってるのさ」

    苗木「外科手術とか……」

    モノクマ「キミに施術跡あった?」

    モノクマ「動機を作るのぱったり辞めたとき、実はこっちに御執心だったわけ……苗木クンのクローンを育てるのにさ……でも普通のクローン作るのじゃ面白くないから、遺伝子弄ってみたの……染色体XYを染色体XXに〜とか〜その他もろもろ」

    モノクマ「大神さんも言ってたでしょ?骨格そのものまで変わってるって」

    大神「……まさか」

    モノクマ「はいそのまさか!後天的に性転換しても骨格まで変えるのは死ぬほどメンドクサイというか不可能でーす」

    モノクマ「セレスなんとかさんも言ってたよね、赤ちゃんみたいなスベスベした肌だって!」

    セレス「……」

    モノクマ「当たり前でーす、生後数日だっつーの」

  147. 215 : : 2014/12/04(木) 00:20:26

    モノクマ「成長抑止は急速的に胎児から今の苗木クンの肉体年齢に達するまで成長促進剤ぶっ混みまくってブレーキが効かなかったから、3日そこらで髪の毛が5センチとかは流石に想定外だったよ。普通の人は大体0.4ミリ位だからね……スゴい勢いで成長させた割には身長は伸びなかったね!ぶっひゃっひゃっひゃっ!!」

    モノクマ「あ、ドスケベボディに関しては趣味です」

    苗木「………」

    モノクマ「絶望〜だねぇ。絶望に絶望的に飽きちゃったけど、初心に返ってこういう絶望のさせかたも有りだねぇ」
  148. 216 : : 2014/12/04(木) 00:51:56

    今のボクは、どんな顔をしテいるのだろウか。

    スゴく、カたにナニかガ落ちテくる様ナ、あシを引っ張ラレるようナ感じがする。

    霧切「『ホンモノの苗木君は何処にいるの』……!?」

    まっテよ、霧ギりさン、ボくハ、ホンモノじゃないノ?

    十神「『オリジナルの苗木は何処にいる』…モノクマ!」

    チがうヨ、と神クん、オリジなルってなンなの?

    モノクマ「んじゃあそろそろご対面といこうかな」


    ものクマが、壁ニ、何かヲ写ス。



    ♂苗木「……」


    ボくだっタ。

    椅子ニ縛らレて、身動キノトれナイぼくガ、ちゃんト男のボクガいル。


    モノクマ「苗木クン拉致って、そっちの苗木クンに直前の記憶をコピーしてさ、髪の毛切って上げて……」

    ♀苗木「や、め」

    モノクマ「生まれたばっかりだっからね、髪の毛メチャクチャ伸びてたから、どうだったかな、ボクのスタイリングテク?可愛かったでしょ?」

    ♀苗木「やめ……て」

    モノクマ「妹ちゃんより、やっぱりお母さんの方に似たよね〜ほら、輪郭とか、眼とかさぁ」

    ♀苗木「や……めて……よ……」


    モノクマ「ねえ、どうだった?ドスケベボディ楽しかった?クローンさん?」


    ♀苗木「やめろよぉおおおおお!!!」




    ぼクは、だれなンダ?



  149. 217 : : 2014/12/04(木) 01:18:59

    モノクマ「あー、壊れちゃった?どんなに前向きな性格でも、キミの中の存在意義がゲシュタルト崩壊しちゃった?…脆いよねぇ………はい、お姉ちゃん出番だよ」

    不二咲「!!……み、みんな江ノ島さんから離れてぇ……!!」

    大和田「ど、どうした不二咲?」

    ♀苗木「……あっ」ガクガク

    江ノ島「………ごめん、苗木君」ドスッ!

    ♀苗木「ぐっ!?」ボコッ!

    ドサッ

    舞園「苗木君っ!!」

    霧切「苗木君……!…ねぇ、江ノ島さん……いいえ、それとも、貴女が戦刃むくろなのかしら?」ギリッ

    モノクマ「へぇ…?ボクが戦刃むくろとは思わないの?」

    霧切「……レーションを好んで食べるギャルなんて聴いたこと無いわよ」

    戦刃「……そう、私が戦刃むくろ……このウィッグで変装してたの」ポイッ

    朝日奈「さ、さくらちゃん!」

    大神「苗木を放せ………江ノ島、いや、戦刃よ」

    モノクマ「大神さん……手を出したら、分かるよね?」

    大神「ぬううう……!!」

    モノクマ「お姉ちゃん、そのオモチャ、オシオキ部屋の椅子に座らせといて」

    戦刃「………オモチャ呼ばわりはやめてよ」

    モノクマ「わーったわーったよ。いいから早く」

    戦刃「………」スタスタ

    桑田「ま、まてよ、オシオキ部屋ってなんだよ……!」

    モノクマ「うぷぷ、キミ達に選択させてあげるよ」








  150. 218 : : 2014/12/04(木) 01:36:35


    モノクマ「自分の席に◯×ボタンがあるでしょ?」

    石丸「あ、ある様だが……」

    モノクマ「◯を押したらオリジナルの苗木クンは返すよ。ただし、あそこのクローンさんは『廃棄処分』する。でもそれは文字通り、元通りになることだね。×ボタンを押したらクローンさんはキミ達にあげる、でもオリジナルの苗木クンは返さない……1人でも割れたら、その少数意見の方を実行させてもらう」

    霧切「モノクマ……!」

    霧切(でも……この選択に置いてモノクマの言動から犠牲者が出ない選択がある……)

    霧切「みんな……押すボタンは……」

    モノクマ「はいだめ、相談禁止」

    霧切「……っ!!」

    舞園「……」コクッ

    セレス「……」コクッ

    不二咲「……」コクッ

    十神「……」コクッ

    霧切(でもどうやら、多数の人がそれを理解している……満場一致でこれは……)
  151. 219 : : 2014/12/04(木) 02:22:40

    モノクマ「でははりきって行ってみましょう。投票ターイム!」



       \チリリリリリーン/





        VOTE

       ◯ ◯ ◯
      デンッ デンッ デンッ


      ABANDONMENT

      \パンパカパーン/


    霧切「なっ……!?」

    舞園「なん、で……!?」

    セレス「誰が◯押しやがったァアアア!!」



    葉隠「えっ…?なんで?◯押したら……全部元通りになるんだべ?」

    十神「話を聞いてなかったのか、お前がここまで馬鹿だとは……!」

    舞園「……許さない」

    霧切「×ボタンを押しても、オリジナルの苗木君を殺すとはモノクマは言っていない、またチャンスを伺えば良かった、のに……貴方のせいで……私達はあの苗木君を殺す事になる……のよ…!」ポロポロ

    葉隠「……そ、そんなことないべ、だって『アレ』はクローンってヤツで……ホンモノの苗木っち帰ってくるんだべ?」アセアセ

    不二咲「葉隠君……またあの苗木君を『アレ』なんて言ったら許さない」ポロポロ

    葉隠「不二咲っちまで怖いべ……」オロオロ

    朝日奈「……ねぇ、葉隠、あそこに座っている苗木はさ、どんな気持ちで殺されるんだろうね。アンタが代わりに、あそこに座ってきてよ。お願い……あの苗木がクローンでも、味わう苦しみはみんなと……おんなじ……なの……に……」ポロポロ



    葉隠「………す、すまんった!!も、モノクマ!!やり直しさせてくれぇ!!俺は…俺は……なんてことを……!!」



    モノクマ「はい、やり直しは出来ません、というわけで、クローンさんには廃棄物になってもらいましょーう」

    霧切「ま、待ちなさい…大体、貴方から生徒に手を出すことは無いと……!」

    モノクマ「あれぇ?だって『アレ』はボクの作った『オモチャ』だよ?ボクが壊そうがどうしようが自由じゃん」

    戦刃「……」ギリッ
  152. 220 : : 2014/12/04(木) 03:13:33


    *

     クローン さんの ハイキショブン が
    きまりました ハイキ を カイシ します






    補習

    苗木誠クローン体処分執行



    ガシャン……


    ♀苗木「うっ……ここは」

    体が、動かない。

    モノクマ「はぁい、クローンさん、キミの処分が決まりました!」

    モノクマが黒板前で踊る様に教鞭を振るう。


    ガシャン…

    地面が、動いている。ベルトコンベアの上で、ボクは椅子に座らされている。

    モノクマ「大丈夫?まあ体は動かないよね。ちゃんと麻痺してるみたいだし」

    ♀苗木「なんだこれ、体が……」



    ガシャン!



    背後から何かが聴こえる、首が少し動く。背後に眼をやると、そこには巨大なプレスマシーンがあった。

    蒸気を吹き出し、なんともスチームパンクなその様は滑稽で、恐ろしい。


    モノクマ「今から殺処分される気分はどう?」

    ♀苗木「なんだよ…殺処分って一体何が……!!」



    ガシャン!!



    血の気が引いていく。ボクの乗っているこのベルトコンベアが向かうのは……プレスマシーンの真下。

    ♀苗木「はぁ…はぁ……!」

    モノクマ「みんなの決定だからねぇ、この殺処分」

    ♀苗木「う、そだ……ウソだ!」



    ガシャン!!!



    モノクマ「あ、もうすぐだね。サヨウナラクローンさん、ぶっひゃっひゃっひゃっ!!」

    ♀苗木「ハァ…ハァ……」



    ガシャン!!!!



    とうとう、すぐ背後にプレスマシーンが来る。
  153. 223 : : 2014/12/04(木) 18:03:25


    ガシャン!!!!


    あの巨大な鉄塊が頭上に迫る。
    プレスマシーンの上部に備え付けられたモニターのモノクマが不敵に笑う。

    体はどう足掻いても動かない。希望なんて何処にもない。

    頭上にコンマで降りかかる鉄塊は、まず、ボクの頭を⬛⬛し、その勢いで⬛⬛⬛が飛散し、首の⬛⬛⬛が肩から⬛⬛⬛にかけて貫き、圧力の掛かった⬛⬛⬛はバキバキと⬛れ、⬛⬛が破裂し、⬛⬛が⬛⬛し。

    結果的に死ぬ。一から十まで死に尽くされる。

    誰かがボクを可愛いねと、言った。

    でもそれも、一瞬で磨り潰され、この世のものとは思えない醜い何かの残骸となる。


    ガッシャ……

    咄嗟に眼をつむる。胃が引っくり返りそうな恐怖を前に、唇を噛み締め、その一瞬に身構えた。

    ……例え、ボクが死んでも、何も変わることはない。本物が居るんだから……ボクは……ボクは不要……ボクは……

    ♀苗木「し……死にたく、ない……」ポロポロ

    モノクマ「でももう死んじゃうけどねぇ♪ぶっひゃっひゃっひゃっ!!」


  154. 224 : : 2014/12/04(木) 18:25:03


    ザッ……ザッー


    モノクマ「……?」

    苗木「……な?」


    プレスマシーンの動きが止まった。

    モノクマ「な。なに?上のモニターが……」




    『させないよ』



    ♀苗木「あ、アルターエゴ?」

    モノクマ「ハァ?どういうことなのさ!?……まさか」


    不二咲「あ、アルターエゴ!」

    アルターエゴ『お父さんは言ったよね、何があっても苗木君を守るって、だからお父さんの力である私が』



    アルターエゴ『苗木君を守る』



    不二咲「あ、あの時、情報処理室にハッキングした時に……『ウィルスのタネ』を残したんだね、アルターエゴ!」

    モノクマ「どういうことなのさ……ふざけるな、ふざけるな!!」

    アルターエゴ『でも、ウィルスの私が出来るのはここまで……ベルトコンベアの動きは……制御出来ない』

    まだ危機は……去っていない。
    プレスマシーンは止まったが、ベルトコンベアは動き続ける。

    そしてその末端には、暗く深い穴が、口を広げて待っている。

    ♀苗木「クソッ、動け!!」

    以前として、体は動かない。せっかくアルターエゴがボクの命を紡いでくれたのに、このままじゃ……!!
  155. 225 : : 2014/12/04(木) 19:44:47





    「……安心して、私が助ける」




    今まさに、奈落へ落ちようとしたその一瞬だった。

    ボクの手を引き、そのまま持ち上げられてお姫様抱っこをされる形になり、彼女はベルトコンベアを遡って走り、跳躍しベルトコンベアから抜け出した。

    モノクマ「おい……どういうことだよ」


    「もうやめよう盾子ちゃん……私は」




    戦刃「盾子ちゃんを裏切る……!」ヒュッ

    モノクマ「プギッ!?」ドコォ!

    モノクマ「」ブスブス…

    ♀苗木「キミ……は……」

    戦刃「私は、戦刃むくろ……」

    ♀苗木「……はは、そうか、キミが……」

    戦刃「……苗木君、いつも思ってたけど、やっぱり不思議、なんで笑うの?」

    なんでだろうか。

    ♀苗木「なんでもないよ……ありがとう、戦刃さん」
  156. 226 : : 2014/12/04(木) 20:18:14


    *

    ♀苗木「みんな……」


    霧切「苗木君……!良かった……!」

    舞園「良かったです……!苗木君」

    十神「フン……まったく、大した悪運だな」フッ

    ♀苗木「う、うん………」

    やっぱり、嘘だよね。みんながボクの殺処分を決めたなんて。


    朝日奈「素直じゃないんだから……それにしても葉隠……」

    不二咲「ひどいよぉ……アルターエゴと戦刃さんがいなかったら……」

    葉隠「……正直、すまんかったべ。俺、ホント、取り返しのつかないことするところだった……」

    ♀苗木「そう言うことだったのか……いや、もういいんだ。過ぎた事だし」

    押したのは葉隠クンだけだったようだ……少数決にしたのは、モノクマの計略だったのか。

    桑田「苗木が助かったのはいいんだけどよぉ……その…」


    戦刃「………」

    大神「うむ、戦刃よ……なぜ」

    大和田「苗木をハメたり、助けたり訳わかんねぇな」

    山田「ははーん、戦刃むくろ殿、ひょっとして、苗木誠殿にホの字では?」

    戦刃「……///」カァアア

    セレス「あら、あながち間違いじゃなかったみたいですわね」

    腐川「ば、バカな話をしてないで、さっさとここ出た方が良いんじゃない……?次のモノクマが来るかもしれないじゃない」

    モノクマ「そうだよ!もうきちゃってるよ!!」

    ♀苗木「モノクマ……!!」



  157. 227 : : 2014/12/04(木) 20:41:44

    一同「「「!!??」」」

    モノクマ「ねえ、残姉……ボクを裏切るってことは、解ってるよねぇ?」

    戦刃「……うん、盾子ちゃん」


    戦刃「絶対に……絶望させてあげるから」


    モノクマ「うぷぷっ!ぶっひゃっひゃっひゃっ!!……あーもう、残念残念だと思ってたけどさぁ……ここまで残念だとは思わなかったよ」

    モノクマ「ま、良いけどね。お姉ちゃんはホントはコロシアイが始まったらすぐ殺すつもりだったけど……」

    戦刃「………!」

    モノクマ「さて、みんな最後のゲームをしようか……賞品は、ホンモノの方の苗木クンでさ」

    霧切「………彼を返さないつもりね」

    ♀苗木「……モノクマ、もうやめようよ、こんなこと」

    モノクマ「やめないよ……ねえ、クローンの苗木クン、彼が何をしたか、彼からコピーした記憶で思い出してよ……彼、何したと思う?」

  158. 228 : : 2014/12/04(木) 21:05:00

    モノクマ「まあ、少しだけ時間をあげようか……じゃあね」タッター

    モノクマは去っていく……

    ♀苗木「……みんな、食堂に戻ろう」

    石丸「うむ、そうだな……苗木君?体調は大丈夫かね?顔色が悪いようだが……手を貸そうか?」

    ♀苗木「だ、大丈夫だよ、石丸クン」

    桑田「このムッツリが!さらっとセクハラしようとしてんじゃねーよ」

    石丸「なっ……ぼ、僕が……そ、そんな……僕はなんてことをぉおお……!」オロオロ

    大和田「安心しろよ兄弟、兄弟の天然ボケは今にはじまったことじゃねえ」

    霧切「手なら私が貸すわ……さ、苗木君」ワキワキ

    舞園「いえ、私がやりますよ」ワキワキ

    セレス「わたくしが肩をお貸しいたしますわ」ワキワキ

    朝日奈「あ、ほら、私が、身長もおんなじだし」ドキドキ

    なんだろう、3人とも手つきが危うい。朝日奈さんは……なんか初々しい。

    戦刃「肩に捕まって、苗木君……さっきの死に対する恐怖感で体調を崩しちゃったんだね……戦場じゃ良くあることだから……はい」スッ

    ♀苗木「あ、ありがとう、戦刃さん」スッ


    霧切「」

    舞園「」

    セレス「」

    朝日奈「…ちぇ〜」

    大神(朝日奈よ、頑張れ)
  159. 229 : : 2014/12/04(木) 21:45:18

    *

    食堂

    一連の騒ぎが終わり、全員が食堂に戻る。

    戦刃「改めて……紹介する……ね?私は戦刃むくろ……超高校級の軍人で、みんなの……クラスメートだった…」

    桑田「調子狂うな〜、いつもの江ノ島口調で喋ってくれよ」

    戦刃「ち、チィース桑田……くん///」カァアア

    桑田(なにこいつ可愛い)

    山田「……正体を現した途端に羞恥心マックス……はっ!戦刃むくろ殿はキャラになりきるコスプレイヤーの素質が……!!」

    ♀苗木「山田クン。やかましいから静かにしてくれないかな。あと話進まないんだけど」

    山田「」ビクンビクンッ

    セレス「あら、腐れラードがドライオーガズム」


    ♀苗木「とりあえず、戦刃さん……黒幕はつまり……」

    戦刃「うん……私が今まで演じていた江ノ島盾子……盾子ちゃんがモノクマの正体……私の……双子の妹」

    霧切「貴女……何故、江ノ島盾子を裏切ったの?」

    戦刃「私は……盾子ちゃんと同じだと思ってた、私はお姉ちゃんだから……盾子ちゃんの為なら……何でもやってきた」

    戦刃「でも、駄目……私は……盾子ちゃんの様に『絶望』そのものにはなれなかった……」






  160. 230 : : 2014/12/04(木) 22:17:04

    ♀苗木「『絶望』そのもの?……どういうこと?」

    戦刃「『超高校級の絶望』……盾子ちゃんは超高校級のギャルにして、超高校級の分析力にして……『超高校級の絶望』……私もそうだと思ってた、けど違う」

    戦刃「盾子ちゃんの行動原理は『絶望』……そこに意味は無いの、本質が『絶望』そのものだから」

    大神「待て……戦刃よ、では、外の有り様はまさか……」

    戦刃「盾子ちゃんと……私の仕業……盾子ちゃんが指示を出して、私が工作する……」

    不二咲「……『学園史上最大最悪の事件』」

    ♀苗木「不二咲クン…それって」

    霧切「図書室にあった……通知ね。学園はそれを隠蔽した」

    戦刃「それが最初の『コロシアイ』……学園の生徒会に、学園が作り上げた希望『カムクライズル』を交えた。『人類史上最大最悪の事件』の発端となる最初の事件……」

    十神「旧校舎の上の階に凄惨な教室があったな……まさかそこが現場か?」

    戦刃「そう……盾子ちゃんが望んだ結果とは違ったけど……それでも、そこから絶望は広がっていって、『予備学科』の生徒達を焚き付け、そこから規模も広がっていって……」

    ♀苗木「世界中に蔓延したんだね……」

    戦刃「うん……」

  161. 231 : : 2014/12/04(木) 22:41:59

    戦刃「でも……この2回目のコロシアイにおいても……盾子ちゃんにとって分析不可能な事態が起こった」

    舞園「……苗木君の、存在ですか」

    戦刃「そう、どんな分析でも『運』が絡むとそうもいかなかった……」

    戦刃「苗木君は、無自覚でありながら、全てのコロシアイを事前に止めた……」

    舞園「……そう、ですね。苗木君が居なかったら……きっと私達は……」

    大和田「……ああ、苗木が居なかったら、起きてたかもしれねえな」

    セレス「皆……情緒不安定な中、苗木君だけは駆け回って、誰かを励まして、熱心に話を繰り返して……」

    大神「うむ……苗木は、苗木だけは常に前を向いていた……たまに卑屈になることもあったが、それでも皆の心を1つに纏めようとしていた」


    戦刃「結果として、皆の絆は深まって、どんな動機を与えても……あなた達はコロシアイをしなくなった」

    ♀苗木「そして……」

    戦刃「うん……女性としての苗木君……が、造られた」

    ♀苗木「なんで……ボクが」

    霧切「女性にする意味があったのかしら」

    戦刃「盾子ちゃんはオリジナルとの『明確な違い』があった方が良いっていってた……」


  162. 232 : : 2014/12/04(木) 22:57:19

    朝日奈「『明確な違い』?なんでそんな必要があったの?」

    不二咲「そういえば、モノクマは言ってたねぇ、同価値にするって」

    戦刃「うん、苗木君は今…この中で最も中心に近い……苗木君、盾子ちゃんに……その……好感度……みたいなモノ見せられなかった?」

    舞園「えっ///や、やだ、そんな苗木君に私の気持ちが……///」カァアア

    セレス「ま、まあわたくしのナイトなのですから……その…高くてもしょうがないというか……」カァアア

    霧切(告っちゃったぜ///)カァアア

    朝日奈「///」カァアア

    不二咲「///」カァアア


    腐川「あ、アンタらのはもう、見てたらわかるわよ」

    石丸「いかんぞ!やるならせめて健全なだな……」

    大和田「話がややこしくなるから兄弟は黙っててくれ」

    ♀苗木「えと……うん……///」



  163. 233 : : 2014/12/04(木) 23:24:16

    戦刃「対人心拍数や呼吸の変化、脳波……難しいことは分からないけど、そういったものを計算して100点で表してるって……でも、苗木君の場合は……」

    ♀苗木「そ、そうか、つまり、あれは2人分の……」

    戦刃「うん……だから、男の苗木君と女の苗木君……それをみんなの中で同価値にした所で」

    ♀苗木「ボクを殺す……ボクはモノクマ……いや、江ノ島さんの強いたルールの適応外だから、いつでも殺せる」

    戦刃「……そうやって、盾子ちゃんの計画を潰した苗木君に対する『復讐』と、みんなを『絶望』させる事が……あなたが造られた理由」

    ♀苗木「……」

  164. 234 : : 2014/12/04(木) 23:47:29

    戦刃「…まったく同じ苗木君を作っても、それは意味がない……だから、最も区別のつきやすい性別にしたんだと…思う」

    葉隠「でもよぉ、そんな回りくどいことして江ノ島っちに何の得があるんだべ?」

    朝日奈「アンタ、ほんとに話を聞かないヤツだよね……言ってたじゃん」

    戦刃「うん、盾子ちゃんに損得は無いの……『絶望』が本質だから……でも実はもうひとつ、盾子ちゃんにとって認めたくない理由があるんだよ……」

    ♀苗木「認めたくない理由?」
  165. 235 : : 2014/12/05(金) 00:06:23

    戦刃「えっと……その、私的にもその……あんまり認めたくないけど……盾子ちゃんは……」


    モノクマ「だぁあああああ!!」

    突然モノクマが乱入してくる。

    モノクマ「それはない、それは絶対無い、あれは言葉のアヤだっつーの!」

    戦刃「え?でも盾子ちゃん『こんなの松田君だけだった』って」

    モノクマ「絶望的ィイイイ!!」

    ♀苗木「やかましいよ」

    モノクマ「ごめんなさい……」

    戦刃(盾子ちゃんがしおらしいなぁ……)

    霧切「モノクマ、いえ、江ノ島盾子さん?貴女が来たということは」

    モノクマ「………そ、最後のゲームの伝達に来たよ……もう大体、予想がつくでしょ……」

    葉隠「ずばり、スマブラで勝負だべ!!」

    セレス「バフンウニは黙ってくださいませ」

    桑田「苗木見つけりゃいいのか?」

    モノクマ「ま、ぶっちゃけその通りです。ボクはそこで、オリジナルの苗木クンと待ってるから……キミ達に見つけられるかな……うぷぷ」





  166. 236 : : 2014/12/05(金) 01:34:20

    すると、モノクマはそのまま動かなくなった。

    ♀苗木「……戦刃さん、ボクは……ホンモノのボクは何処に?」

    戦刃「前は情報処理室の隠し部屋、盾子ちゃんのプライベートルームに……」

    霧切「まずはそこに行ってみましょう……何かわかるかもしれないわ」

    ♀苗木「そうだね…みんな行こう」


    *

    情報処理室

    情報処理室への扉は開いていた。恐らく、江ノ島さんはここから、別の何処かに移動したのだろう。


    戦刃「そこのモノクマの扉、モノクマの操縦室になってるの」

    霧切「こんな部屋が……」

    不二咲「これなら、僕のパソコンを使って……」

    ♀苗木「監視カメラの映像から割り出すんだね」

    不二咲「うん、アルターエゴ」

    アルターエゴ『はいはい、りょーかい。割り出してみるね』

    監視カメラの映像が江ノ島さんを映し出す、情報処理室を出て1Fへと下り、ボクらをやり過ごしてトラッシュルームに向かっていく。

  167. 237 : : 2014/12/05(金) 18:56:55

    ♀苗木「トラッシュルームに入っていったね……」

    不二咲「トラッシュルームの映像は……」

    江ノ島さんが、焼却炉のスイッチを弄っている……すると、焼却炉が動き、下にぽっかりと穴が空いた。

    山田「なんと!あんなのゴミ出し当番やっても気付きませんでしたぞ ……」

    そこに江ノ島さんは飛び込み、焼却炉は元の位置に戻っていく。

    霧切「……トラッシュルームね、でもこれじゃあ、まるで追いかけて下さいと言わんばかりね」

    ♀苗木「恐らく……誘ってるんだ。あの先には多分……」

    あの先は恐らく、新校舎。

    そこのバイオラボに向かったんだとしたら……
  168. 238 : : 2014/12/05(金) 20:06:24

    ♀苗木「……何かあるかもしれないね」

    アルターエゴ『新校舎側のネットワークには繋がらないね、断線されてる……と思うよ?』

    不二咲「新校舎に向かうなら……その先は手探りになるねぇ」


    ♀苗木「行こう、全部終わらせよう」


    *

    トラッシュルーム

    桑田「しかしよぉ、江ノ島ちゃんはその焼却炉のスイッチに何したんだ?」

    不二咲「カメラの死角になっていてよく見えなかったねぇ……アルターエゴ、何かわかる?」

    アルターエゴ『うーん……ちょっとわからないかなぁ』

    霧切「アルターエゴ、もう一度あの映像を見せて」

    アルターエゴ『はいはい』


    再度あの映像を見る。この腕の角度……そして、動作……



    ♀苗木「『ごかいした』……」

    霧切「気付いたようね、苗木君」

    葉隠「誤解したって……何を誤解したんだべ?」

    セレス「それは誤解ですわね。苗木君、つまり下部の消火ボタンを5回、下に押すのですね?」

    ♀苗木「うん、多分、それでそこの焼却炉が開くはずだ」


    焼却炉のスイッチの下、消火ボタンを5回押す。ギチギチと歯車が動く音が響き、ゆっくりと焼却炉が動き出した。

  169. 239 : : 2014/12/05(金) 20:28:04

    ♀苗木「この先は何が起こるか分からない……ボクだけ行くよ」

    舞園「な、苗木君……!」

    セレス「わたくしも……」

    ♀苗木「駄目だよ、2人は残るんだ……この先は本当に危ないかもしれないから」


    十神「……馬鹿を言うな、お前1人に何が出来る……俺も行くぞ」

    戦刃「盾子ちゃんの事だから、何か仕掛けてくるかもしれない……私も行くよ。苗木君は私が守る」

    大神「危険を伴うならば、我も行こう」

    朝日奈「さくらちゃん…!」

    大神「朝日奈よ、お前は残れ……」

    腐川「わ、私は……白夜様がいくなら……」

    十神「ちっ……足手まといは……いや…『あっち』の方が役に立つかもしれんな、良いだろう、同伴を許可してやる、腐川」

    腐川「ふ、ふへへへ……だ、大丈夫です、いざとなったら……ワタシが白夜様をお守り致しますから」

    不二咲「ぼ、僕も……!あっちのネットワークに繋いで、何か出来るかもしれないからぁ……」

    大和田「お、おい?大丈夫なのかよ不二咲……」

    不二咲「だ、大丈夫だよ……!僕は、強くなれたから……」


    霧切「苗木君……」

    ♀苗木「霧切さんを残るんだ……」

    霧切「いいえ、そんな事出来るわけないじゃない。何を格好つけてるの?」

    ♀苗木「格好つけてるとかそんなんじゃ……」

    霧切「ふふ、苗木君のくせに生意気ね。自分の身くらい、自分で守れるわ……私はこの真相を見届けなきゃならない……私の『父』も……」

    ♀苗木「『父』……?霧切さん。もしかして……」
  170. 240 : : 2014/12/05(金) 21:05:38

    霧切「……なんでもないわ。いきましょう」

    霧切さんは髪をかきあげ、ソッポを向いて腕を組む。
    霧切さんのお父さん……もしかして……

    十神「行くぞ苗木、他の連中は食堂にでも待っていろ」

    ♀苗木「うん……十神クン」

    舞園「苗木君……その」

    ♀苗木「帰って来る頃には……お昼かな?」

    朝日奈「……え?」

    セレス「こんな時に……ふふ」

    舞園「……!ええ、そうですよ!みんなの分も用意しておきますから……絶対に、みんなで……お昼にしましょうね!」


    泣きそうな笑顔で舞園さんがボクらを送り出す。

    ボク、霧切さん、十神クン、腐川さん、大神さん、戦刃さん、不二咲クンは、焼却炉の下に隠された穴へと飛び込んでいく。

  171. 241 : : 2014/12/05(金) 22:51:40

    *

    トラッシュルーム・隠し通路

    タッタッタッ……

    細いコンクリートの道が一直線に伸びている。ボクら7人はそんな無機質な道を走り抜ける。

    大神「長いな……」タッタッタッ

    戦刃「多分……あともうちょっと」タッタッタッ

    十神「チッ、おい腐川、置いていくぞ」タッタッタッ

    腐川「ゼェー……ゼェー……ま、まって白夜様ぁ……」タッタッタッ

    霧切「もうすでに新校舎の地下付近かしら……」タッタッタッ

    ♀苗木「みたいだね……不二咲クン、大丈夫?」タッタッタッ

    不二咲「ハァ……ハァ……う、うん、大丈夫だよぉ」タッタッタッ


    やがて行き止まりに差し掛かる。そこには真新しい梯子がある。

    大神「先に上がって様子を伺う」


    ♀苗木「頼むよ大神さん」

    大神「うむ……」

    梯子の先に、マンホールのような蓋が覆い被さっている。大神さんはそれをゆっくりと開けた。

    『コラッ!』

    大神「むっ!?」ヒュッ

    大神さんは脊髄反射で飛び上がり、声を上げた何かに大して攻撃を仕掛けた。

    大神「哈ッッッ!!!」グオッ!

    『ぎゃあああ!!』ゴギャギャギャ!!

    ♀苗木「ど、どうしたの!?」

    十神「やはり何か居たのか?」

    ボクらも急いで梯子を上がる。そこには、
  172. 242 : : 2014/12/05(金) 23:26:03


    モノクマ『』ブスブス…

    ♀苗木「も、モノクマ?」

    等身大サイズのモノクマが、大神さんの一撃で頭部がひしゃげ、白煙を上げながら壁に項垂れていた。

    戦刃「塔和製のモノクマ……この新校舎に配置されてたのね」

    霧切「塔和……聴いたことがあるわね、たしか……」

    戦刃「恐らく家電製品や車なんかで聞いたことがあると……思う」

    十神「フン……塔和グループか、それなら知っている。まあ、十神財閥の足下にも及ばん弱小企業だったはずだが……いつの間にこんなロボットまで作るようになった?」

    戦刃「あなた達の失われた記憶の間……2年間に大企業に成長したの、1つの街になるくらい……」

    ♀苗木「街……まさか……」

    以前にモノクマとゲームしていた時に話していた『パトロンの街』っていうのは、まさか。

    ♀苗木「戦刃さん……江ノ島さんのパトロン……後援者っていうのは」

    戦刃「うん……塔和グループがそう。塔和は表向きには家電製品や車、それと……大気汚染に対する空気清浄機、それに製薬なんかにも携わっているの」

    霧切「表向き……ってことは、裏があるのね?」

    戦刃「……端的に言うと兵器開発、外のテロリスト達が使う兵器の提供」

    十神「なるほど……まるで自作自演だな」

    ♀苗木「自作自演……?」

    十神「考えても見ろ、テロリスト共にバイオケミカル兵器を提供し、それに対して引き起こる毒の特効薬を作るなんて容易だろう?なんせ、自分達で作ったモノだからな……塔和は戦争屋みたいなものだ。テロリスト共からも、そのテロリスト共にやられた愚民共からも金を巻き上げる」



  173. 243 : : 2014/12/05(金) 23:41:15

    不二咲「……」ガタガタ

    ♀苗木「ど、どうしたの……?不二咲クン……」

    不二咲「き、希望ヶ峰に入学が決まる前に……お、お父さんが……その塔和グループに行くって話してて……」

    不二咲クンのお父さんはたしか、システムエンジニアだった。となると……

    戦刃「……関係してたかは、わからない。ごめんね、不二咲君…」

    不二咲「うっ…お、お父さ…ん…」グスッ

    不二咲クンは恐らく、自分の父親が塔和の裏に加担していたかもしれないと、不安になっているのだろう。

    ♀苗木「大丈夫……不二咲クン、キミのお父さんを信じて……」グッ

    不二咲クンの肩を掴み、諭した。不二咲クンは出かかった涙を拭き、強く頷いた。

    不二咲「……う、うん!」

    霧切(……お父さんを信じて、か)


  174. 244 : : 2014/12/06(土) 00:04:54

    *

    モノクマ『コラッ!!』

    モノクマ『見つけたぞぉ〜!』

    再び人間大のサイズのモノクマがやって来る。しかも多い。

    大神「我が抑える、皆は行けっ!!」ゴゴゴゴゴ

    ♀苗木「で、でも、大神さん……」

    廊下向こう側のモノクマは次々に増えてくる。流石にこの数は……

    十神「おい腐川、アイツを起こせ」

    腐川「わ、解りました白夜様……ぶぇっくしっ!!」

    十神クンが腐川さんに命令した。恐らく、『彼女』を呼び起こすのだろう。


    ジェノ「ジャジャジャジャーン!!」

    ♀苗木「ジェノサイダー翔……」

    半年間で何度か見たことがある、腐川さんに眠るもう1つの人格、超高校級の殺人鬼。

    ジェノ「あ〜ん?誰だよそこの搾乳奴隷、女に興味ねぇんだよ、マザー牧場に帰んな」

    ♀苗木「な、苗木だよ」

    ジェノ「ゲラゲラゲラ!まーくんはギリ萌える男子だっつーの!!いつそんな本体がオッパイみたいなドスケベボディになったんだよォ!?」

    ♀苗木「いやまあ、事情があって……」

    ジェノ「ま、いいや。あ〜ん白夜様ぁ、今日もお麗しい……」

    十神「話は後だ、あのモノクマ共をぶっ壊せ、ジェノサイダー」

    ジェノ「え〜でもでもワタシィ、萌える男子しか殺らねえ主義だしぃ」

    十神「殺すとは言ってない、壊せ」

    ジェノ「白夜様の命令じゃあしゃーねえーや!公開ぶっ壊れオ◯ニーしてやっからかかってこいやモノクロバ◯ブ絶頂マシーン共が!!ゲラゲラゲラ!!」
  175. 245 : : 2014/12/06(土) 07:33:20

    ジェノ「あ、略してモノクマ?なんつってー!!っしゃおら!!」ヒュッ!ヒュッ!

    モノクマ『プギッ!?』ザクッ!

    モノクマ『また来週〜…』ザクッ!


    瞬時にジェノサイダーが投擲したハサミがモノクマの額を貫き、モノクマは機能停止する。

    大神「むっ、まさか殺人鬼と肩を並べるとはな……」

    ジェノ「連れねぇでやんの、オーガちん、ま、ワタシも白夜様の命令じゃなきゃ死んでもヤダだけどぉ」

    十神「命令だ、1匹たりとも通すな」

    ジェノ「だってさぁ、ま、あーんな粗大ゴミに白夜様触られたくないしィ」

    大神「ふん………行けっ、皆よ!我々で抑える!」

    ジェノサイダーと大神さんを残し、ボクらは再び走り出す。


    *

    新校舎・廊下

    ♀苗木「はぁ…はぁ…大丈夫かな?2人とも……」

    戦刃「あのモノクマ自体はAI制御で、殺傷能力は高いけど、駆動面が多いせいと軽量な為にとても脆いの……あの2人ならきっと大丈夫」
  176. 246 : : 2014/12/06(土) 16:37:05

    不二咲「ど、何処かに回線無いかなぁ……」

    霧切「そうね……このまま闇雲に走っても、埒があかないわね……何処かに……」

    十神「右の扉だ、上の札に『職員室』と書いているぞ。回線くらいあるんじゃないか?」

    ♀苗木「入ってみよう……」


    ガラッ


    *

    新校舎・職員室

    不二咲「うわぁ……広いね」

    霧切「旧校舎の2倍以上あるわね……生徒数の少ない希望ヶ峰には不要なんじゃないかしら……」

    戦刃「いえ、そうとも言えない……『予備学科』……」

    十神「さっきも聞いたな…『予備学科』とはなんだ?」

    戦刃「簡単に言うと希望ヶ峰学園の金ヅルみたいなもの、希望ヶ峰のブランド力に釣られた『何の才能も持ち合わせていない生徒』が入る為の学科だよ……」

    十神「なるほどな、希望ヶ峰の資金は何処からくるものかと思ったが、そういうことか」

    戦刃「高額な授業料でも、ひっきりなしに受験希望者がやってくるの。そして……『モルモット』でもある」

    霧切「……なんですって?」

    戦刃「『カムクライズル』…人為的に造られた『超高校級の希望』……あらゆる才能を持つ、神童を作るための…」
  177. 247 : : 2014/12/06(土) 16:51:14

    ♀苗木「でも……その『カムクライズル』って人は江ノ島さんの仕掛けた最初のコロシアイで犠牲になったんじゃ?」

    戦刃「ううん、違うの苗木君……盾子ちゃんの望んだ通りにはならなかったって言ったよね……?ホントは『カムクライズル』はそこで死ぬはずだった。皆が望んだ希望が易々と殺される様を予備学科生徒に見せて、希望を無くさせ、絶望に堕とす為に……」

    十神「なるほど……残りのコロシアイのメンバーを逆に皆殺しにしたわけか」

    戦刃「違う……『カムクライズル』は見ていただけだった。まるで空気みたいに……他の人がコロシアイをしている様をつまらなそうに…そこから彼の行方はわからない……何処にいるのか、消えてしまった」

    霧切(父は……何をしようとしていたの?)


    不二咲「……見つけた、回線だ。アルターエゴを起動させるね」

  178. 248 : : 2014/12/06(土) 17:09:42


    *

    不二咲「……アルターエゴ、新校舎の構図を出せる?」

    アルターエゴ『うん、大丈夫みたい……』

    パソコン上に新校舎の階層ごとの構図が表示される。

    霧切「彼女が行きそうな場所は……」

    ♀苗木「バイオラボ……じゃないかな。勘だけど……何故かそんな気がする」

    霧切「まあ、構図がわかったといってアテはないのだし、ここは苗木君の『女の勘』を信じてみましょうか」

    ♀苗木「はは…」

    不二咲「僕はここに残るよ……もう少し調べてみるから」

    ♀苗木「でも、不二咲クン1人は……」

    十神「俺もここに残ってやる。これを使え」スッ

    霧切「無線機?いつの間にこんなものを……」

    十神「この職員室の緊急時用の備品らしい。棚に置いてあったぞ」

    ♀苗木「……わかった、じゃあ、不二咲クン、十神クン……頼んだよ」


    *


    新校舎・廊下

    ♀苗木「さっきの構図から、バイオラボは2階にあるみたいだね」

    霧切「急ぎましょう」

    戦刃「気をつけて、まだ、なにかあるかも」
  179. 249 : : 2014/12/06(土) 20:00:26



    不二咲『…新校舎の監視カメラを抑えたよ……さっきの……塔和製のモノクマは、大神さんとジェノサイダーに集中してるみたい』

    ♀苗木「わかった…江ノ島さんの場所は……わかる?」

    不二咲『うん、苗木君の言った通り……バイオラボにオリジナルの苗木君といる……まって、誰かがバイオラボ付近の廊下にいる……』

    戦刃「…一体誰が?」

    霧切「……とにかく、行ってみましょう」


    *

    新校舎・二階・廊下

    霧切「この廊下を真っ直ぐね……」


    カツン……


    戦刃「……まって、誰か居る」


    カツン……


    廊下の角から、現れる、黒いシルエット。


    カツン……


    黒い度を過ぎた長い髪は、まるで亡霊の様で、


    カツン……


    黒いくたびれたスーツは、喪服の様で、


    カツンッ


    その瞳は、何もかもつまらなそうで、




    戦刃「……『カムクライズル』?」


    カムクラ「……ああ、あなた方は江ノ島盾子を追ってきたのでしょうか?」

    霧切「彼が……そうなの?」

    ♀苗木「なんでこんなところに……?」

  180. 250 : : 2014/12/06(土) 20:59:30

    カムクラ「……彼女は僕を利用した、そしてまた、利用する」

    戦刃「……何を……言っているの?」

    カムクラ「……ツマラナイ」


    咄嗟にカムクライズルはこちら側に飛び込んでくる。

    カムクラ「あなた方には諦めてもらいます」ヒュッ!

    戦刃「くっ!」ガッ!

    ♀苗木「な、なんで彼が……襲ってくるんだ!?」

    カムクラ「あなた方に興味はありません、僕が唯一関心があるのは江ノ島盾子、その江ノ島盾子からあなた方を足止めするように言われました」グググッ…

    戦刃「チィ!」バッ!

    戦刃さんが距離を取る。カムクライズルは手の間接の骨を鳴らし、対峙した。

    霧切「……貴方、何がしたいの?」

    カムクラ「何も、ただ、僕は利用され」


    カムクラ「利用するだけです」

    ♀苗木「だから、それの意味が分からないって……!」

    戦刃「彼に感情はないの……ロボトミー手術によって、その感情の一切を奪われている」

    カムクラ「……彼女は僕は利用し、僕はあなた達を利用する」

    霧切「駄目ね……会話が成立しない」

    戦刃「私が……彼を抑える。2人は行って……!」ダダッ

    カムクラ「……」ガッ!

    戦刃さんがカムクラと組み合う。ボクと霧切さんはその隙を狙い、カムクライズルの脇をすり抜けた。

    カムクラ「いかせませんよ」ヒュッ!

    戦刃「それは……私を倒してから…!」ガッ!

    戦刃「苗木君……盾子ちゃんを……お願い」

    ボクはそれに無言で頷いた。

    ボクと霧切さんは、この先のバイオラボに駆けていく。

    ボク自身を取り戻す為に。





  181. 251 : : 2014/12/06(土) 22:17:46

    *

    新校舎・バイオラボ


    異様な光景が広がる。ほの暗い部屋に、6つの人間が入りそうな培養機が対になって並び、壁際には各々に備え付けられたコンピューターがあり、今も可動しているようだ。

    そして、対になった培養機の間に、江ノ島盾子は立っていた。

    椅子に縛られ、目隠しをされた、オリジナルのボクが……



    江ノ島「感動のご対面〜ってやつ?」

    ♂苗木「……」

    ♀苗木「……」

    霧切「……苗木君を放して」ギリッ

    江ノ島「苗木ならそこにいるじゃん?やだ〜女の子じゃ満足できないのかなぁ?きゃるん☆」

    ♀苗木「江ノ島さん……!」

    江ノ島「気安く呼ぶでない人間よ!私様を誰と心得る!?」

    霧切「超高校級の絶望……江ノ島盾子……!」

    江ノ島「ピンポンピンポーン!……正解……です……」

    ♀苗木「ねえ、江ノ島さん……その、ボクを返してくれないかな」

    江ノ島「イヤです、絶望的に」

    霧切「見つけて終わりじゃなかったの…?」





  182. 252 : : 2014/12/06(土) 23:09:16

    江ノ島「返すとは言ってないぜぇ〜〜!」

    ♀苗木「ねえ、江ノ島さん……なんでボクなんだ?」

    江ノ島「アンタが生理的に受け付けないくらい大好きだからよ。苗木ぃ」

    霧切「言ってる事が破綻してるわね……」

    江ノ島「ねえ、霧切、アンタ……自分のパパがどうなっちゃったか知ってんの?」

    霧切「……」

    江ノ島「軽い絶望のジャブ食らわしとくかぁ、ほら」ペラッ


    江ノ島さんが1枚の写真をこちらに放った。

    ……小さな、シルバーブロンドの女の子が満面の笑みで男の人にだき抱えられている、親子の写真の様だ。

    ♀苗木「これ、もしかして……霧切さん?」

    霧切「……この写真がどうしたっていうのよ」



    江ノ島「アンタのパパ……霧切仁は、最後の最期まで……その写真をもっていたのよん。大事に、大事にね」


    霧切「………!!」

    最後の最期、つまり……それは……

    江ノ島「それ取り上げたらロケットに乗って成層圏に突っ込んで死ぬのと同時進行で火葬されちゃった♪」

    霧切「……ぐ、な、なんで……父親らしいことなんて……何一つしてくれなかったクセに……!勝手に私の前からいなくなって……うっ…ぐすっ…」ポロポロ

    江ノ島「で、アンタは親子の縁を切りにこの学園へ〜自分の肩書きを売ってまで、ね」



  183. 253 : : 2014/12/06(土) 23:33:45

    霧切「……!何故それを」

    江ノ島「そういう一連の流れもあった、でも、貴女は、この学園に留まり続けた、なんででしょうね」

    霧切「………」

    ♀苗木「霧切さん……」

    掛ける言葉が見付からない。

    霧切「私の父は……この学園の学園長だった、才能に固執して、ある日突然居なくなって……」

    霧切「……なんで」


    江ノ島「……失われた記憶の中にその答えがあるんじゃないのぉ〜」

    口を尖らせ、口笛を吹くような仕草で江ノ島さんがそう言った。

    悪魔の囁きの様に。




    江ノ島「だからさぁ、この苗木を諦めてくれれば、アンタらの記憶、返してやってもいいよぉ」


  184. 254 : : 2014/12/07(日) 01:12:43


    霧切「………」

    江ノ島「あれぇ?ちょっと迷っちゃった?」ケラケラ

    ♀苗木「くっ……」

    江ノ島「あ、そうだ苗木ぃ」


    江ノ島「アンタの家族さぁ……一緒にしてあげても良いって言ったじゃん?」



    江ノ島「………あの世でさぁ」


    ♀苗木「!!…な……え……?」

    江ノ島「おっと、早とちりすんじゃねえぜ?まだ生きてるからよォ………アンタの返答次第さ」

    プルルルル………プルルルル………


    突然、江ノ島さんの携帯が鳴り響く。

    ピッ

    江ノ島「はーい私様ぁ、あ、うんうんはいはーい……ばっちしよ」

    ♀苗木「で、電話……?」

    江ノ島「アンタ言ってたじゃん、電話もしたいって。だぁかぁら、携帯の電話回線復活させたのよん。どっかの黄色いツナギの人に頼んでねぇ」

    ♀苗木「……どうして、いまそれを」

    江ノ島「オリジナルを諦めれば、このケータイ、アンタにやるし、家族も3人おんなじ部屋にしてやる。しかも3LDKだッ!」

    ♀苗木「な、なんで、そんなボクのオリジナルにこだわるんだよ……!」

    江ノ島「言ったじゃん、生理的に受け付けないくらい大好きだからよ、はぁと」
  185. 255 : : 2014/12/07(日) 01:31:19


    「違う」


    江ノ島「あん?」

    ♀苗木「えっ……?」


    霧切「………えっ?」



    仁「違うな」


    中年の男性だった。ラボの入口に佇む影はゆっくりと歩き。江ノ島さんに近寄っていく。

    霧切「……お父、さん?」

    仁「すまなかった、響子、辛い思いをさせてしまった」

    霧切「なんで!…今になって……いえ、それよりも、何故」


    生きていたのか、前学園長……先程、江ノ島さんの話では死んだ事になっていた筈だが。


    江ノ島「ちょ、ちょっと……なんで学園長生きてんのよ……想定外なんだけど」

    仁「『運はどんな分析力をもっても解読出来ない事象』ならば、これは幸運なのだろう、江ノ島盾子君、君が殺したのは私のクローンだ」

    江ノ島「は?意味わかんない……え?」

    仁「……記憶を失う前の響子に救われたな」

    霧切「どういうことなの……?お父さん」

  186. 256 : : 2014/12/07(日) 08:27:15

    仁「お前が、事前に『学園史上最大最悪の事件』の首謀者を割り出したんだ。希望ヶ峰のシェルター化に伴い、私はある策を練った」

    仁「もし、『彼』の手でも絶望の姉妹達を止めることが出来なかったら、私は殺され、再度コロシアイが行われてしまう」

    仁「だから、私は、この施設を使い、ある『男』に頼み肉体のクローニングを行った」

    江ノ島「じゃあ、まさか」



    カムクラ「ええ、彼は僕を利用した」

    戦刃「盾子ちゃん……」


    2人が入ってくる。まるで、予定されていたかのように。

    江ノ島「カムクラ……お姉ちゃん……!カムクラ……アンタまさか……」

    カムクラ「彼が僕を利用し、あなたに利用される様に言われた、つまり」

    カムクラ「僕はあなたを利用した……」

    仁「カムクラ……いや、本当の名前は『日向創』君だったね、学園の裏で君が作られていたとは…私が至らぬばかりに」

    カムクラ「怒りも哀しみも、僕にはわかりません」

    仁「……すまない、だが、必ず君を以前の『日向創』という人格を蘇生させてみせる」



  187. 257 : : 2014/12/07(日) 13:18:10

    仁「そして、江ノ島盾子君……君の姉は『彼』の側に付いた様だな。あとは君だけだ」

    さっきから言う『彼』とは……もしかして。

    霧切「ねえ、お父さん……『彼』っていうのは」

    仁「『彼』とは『超高校級の希望』……そういえるんじゃないか?……苗木誠君、君の事だ」

    ♀苗木「…………え?『超高校級の希望』って……」

    カムクラ「才能に囚われず、人を導き、自ら希望と成りうる……僕とは真逆の『希望』……」

    仁「元々……『幸運』という不確定な才能には、そういう因子があったのかもしれないね」
  188. 258 : : 2014/12/07(日) 15:26:37

    仁「故に、君の野望も終わりだ。江ノ島君、彼等の記憶は私達で戻す。君は自分の犯したことを償いながら生きなさい」

    江ノ島「……い」

    戦刃「……盾子ちゃん?」



    江ノ島「絶望的ぃ……でも『ソイツ』はどうすんのさぁ!!?」ビシッ


    ♀苗木「なっ……ボク?」

    江ノ島さんは僕を指差す。

    江ノ島「苗木ぃ、アンタは所詮クローンだ。ここにいる本物の苗木とは違う!人権も存在意義もないアンタはどうする!?本物とコロシアイして本物に成り代わるか?私様的にはアンタが自殺するでもオッケー!それで全員絶望ジエンドだぁ!」


    戦刃「盾子ちゃん、彼女も苗木君なんだよ……なんでそんなこと言えるの?」

    戦刃「たった2年、それでも……皆と同じ様に、『苗木君の事が好き』になっていったよね」

    江ノ島「黙れよ残姉」

    戦刃「松田君を笑いながら泣いて殺して、そんな絶望を味わって、苗木君が現れて」

    江ノ島「黙れっつってんだろがぁ!!」

    戦刃「もう、後には引けないのに、どこかで彼が止めてくれるんじゃないかって絶望に希望して」

    江ノ島「黙れって……」

    戦刃「盾子ちゃん、皆で撮った写真を誰よりも大事に持ってるくせに、特に、苗木君が撮ってくれた写真を…」



    戦刃「苗木君のクローンを作ったのは…」


    江ノ島「……そうだよ、無限に造って、無限に殺して、無限に絶望するため」



  189. 259 : : 2014/12/07(日) 15:42:11

    江ノ島「好きで好きでたまらないのは松田君以来、それをさぁ、無限に殺せるなんて……」



    江ノ島「絶望的じゃなぁぁい!?」


    カムクラ「成程、オリジナルにこだわるのはその為なんですね」

    ♀苗木「ど、どういうこと……」

    カムクラ「オリジナルからコピーしたクローンに遺伝子の劣化はほぼ無いのですが、コピーからコピーはやがて遺伝子情報が磨耗し切り、やがて、オリジナルとは程遠い生物になるということ、故に、江ノ島盾子はオリジナルを殺さない」

    仁「違う方向で彼に惹かれたか…見くびっていたよ。絶望を」


    江ノ島「さあどうする?オリジナルは返してやっても良い、また拉致ってクローン造ればいいからさぁ…」



  190. 260 : : 2014/12/07(日) 16:08:51


    「それは……違うよ」


    ♀苗木「!?」

    ゆっくりとした口調で口を開く。

    彼は目隠しされた状態で、ずっと話を聴いていた。



    ♂苗木「ねえ、ボク……キミは、ボクなんだ。だから」

    ♂苗木「……ここまで言えば、わかるよね」

    ♀苗木「!」

    彼はボクなのだ、考えていることは、恐らく、一緒……


    ♀苗木「ねえ、江ノ島さん……」

    江ノ島「……なによ」

    ♀苗木「ボクとボクとで……何が違うんだ?」

    江ノ島「はぁ?アンタはクローンで……」

    ♂苗木「それは違う」

    江ノ島「オリジナルは黙っててよ、アンタには……」

    ♀苗木「そうだろ、ボク、たった3日、4日だったけど、ボクはキミだった」

    ♂苗木「そう、そこで過ごしてきたキミはボクだった」

    ♀苗木「バカバカしい……ボクはホントに、何を考えていたんだ……オリジナルとか、クローンとか」

    江ノ島「何いってんだよ……苗木」


    ♂苗木「そこのボクを殺せば、ボクも死ぬ」

    ♀苗木「ボクを殺せば、ボクも死ぬ」

    霧切「!?」

    仁「!?」

    戦刃「!?」


    江ノ島「は、はぁ!?何を………言って……」
  191. 261 : : 2014/12/07(日) 16:24:30

    ♂苗木「そこに記憶がないなら、ボクに意味は無い」

    ♀苗木「そこに存在がないなら、ボクに意義はない」


    江ノ島「やめろよ……そんなのはさ、オリジナルどころか、クローンまで死んだら……もう、苗木は」

    ♂♀苗木「「この世から消滅する」」

    ♂苗木「片割れでも彼女はボクで」

    ♀苗木「ボクは彼なんだ、クローンとか関係無い」


    ♂♀苗木「「どんな手を使っても、ボクは江ノ島さん、キミのモノにはならない」」


    江ノ島「い、イカれてるだろ……何だよ、それ……!?」

    ♂苗木「もうやめよう、江ノ島さん、キミが絶望に希望する度に、ボクは希望に希望する」

    江ノ島「おかしい………アンタ、アンタ……頭可笑しいんじゃないの?」

    ♀苗木「さあ、ボクを殺すなら殺せ、江ノ島さん、その瞬間、そこのボクは舌を噛みきって死ぬ」

    ♂苗木「さあ、ボクを殺すなら殺せ、江ノ島さん、その瞬間、ボクは舌を噛みきって死ぬ」




    江ノ島「………………………や、だよ」





  192. 262 : : 2014/12/07(日) 16:58:44


    *

    江ノ島さんは膝を着き、呆然自失となった。
    ボクはボクの縄を解き、目隠しを取る。




    ♂苗木「……はじめまして、ボク」

    ♀苗木「……はじめまして、ボク」




    *

    エピローグ



    ジェノサイダーと大神さんが塔和製のモノクマを一掃し、ボクらと合流した。不二咲クンと十神クンも無事だった。

    旧校舎側に戻り、残ったメンバー達と合流し、全て終わった事を伝えた。学園長とオリジナルのボクを交えて……記憶に関しては明日戻すと言うことだ、カムクラ……いや日向クンがやってくれるらしい。

    学園で過ごす最後の日。明日には記憶が戻り、ボクらはこの学園から『卒業』する。


    *

    苗木ルーム

    ♀苗木「……」カキカキ

    霧切「んっ……」ビクッ

    ♀苗木「……」カキカキ

    霧切「んあっ………」ビクンッ

    ♀苗木「……どう?」

    霧切「き、気持ちい……い……」ビクッ


    ♂苗木「……へえ、ボクって女の子達に耳掻きしてたのか」

    ♀苗木「頼まれてさぁ……断れなくて」カキカキ

    ♂苗木「わかる、解ってしまう」

    霧切「あっ……あ……苗木君に耳掻きされながら苗木君にその痴態みられて……んあっ……」ビクッ

    ♂♀苗木「「やかましいよ」」

  193. 263 : : 2014/12/07(日) 17:10:40


    *

    そして数ヵ月が過ぎる……


    *

    新世界プログラム


    浜辺


    日向「へぇ、七海は恋愛シュミレーションは苦手なのか」

    七海「うん」

    日向「なんで?」

    七海「ゲームはみんな数値で表示されるよね……でもね、人の感情はさ、数値で表せても」



    七海「本心は、誰にも計れない。例え擬似的であっても、恋愛だけはゲームじゃなくて本物でありたい……と思うよ?」

    日向「よくわかんないな……」


    七海「私もお母さんの受け売りみたいなものだから、良く理解はしてない。でもね、きっと、それは素敵な事っていうのはわかるよ」

    日向「七海のお母さんって高尚な人なんだな、どんな人なんだ?」



    七海「う〜ん……おっぱいが大きい」



    日向「………なんだそれ」



    七海「あと友達多いかなぁ、んで」


    日向「んで?」




    七海「希望に溢れた人、かな?」





    終里


  194. 264 : : 2014/12/07(日) 17:14:39


    く疲

    長々とすいませんでした。もっと短くする予定がだらだらと続いてしまいました。しかもこの無理矢理終わらせた感……

    読んでくれた方ありがとうございました。


  195. 265 : : 2014/12/07(日) 18:11:09
    お疲れ様です!! 苗木可愛いくんかくんか
  196. 266 : : 2014/12/07(日) 18:15:14
    >>265
    ありがとうございますっ
  197. 267 : : 2014/12/07(日) 21:04:34
    いやー凄いの一言です!
  198. 268 : : 2014/12/07(日) 21:11:58
    >>267
    ありがとうございますっ
  199. 269 : : 2014/12/08(月) 00:32:05
    感動しました…。

    お疲れさまです!
  200. 270 : : 2014/12/08(月) 00:36:36
    >>269
    ありがとうございますっ
  201. 271 : : 2015/01/31(土) 20:52:53
    古い作品ですが、なんだかまだ見てくれてる人もいらっしゃる様なので、執筆中にコメント下さった方申し訳ありません。
    非表示にさせていただきました。

    本当にごめんなさいっ
  202. 272 : : 2015/04/03(金) 11:09:43
    でも,苗木こまるは ♀苗木を受け入れてくれるのでしょうか?ブラコンですし。
  203. 273 : : 2015/06/29(月) 20:59:11
    楽しかったです!
  204. 274 : : 2016/10/15(土) 11:53:28
    272≫ブラコン&シスコンになるんじゃない?
  205. 275 : : 2016/11/04(金) 19:06:24
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    韓国痩身一号:http://zzleshirts.com/p49.html
    蔵秘雄精:zzleshirts.com/p690.html
    夜狼神:http://zzleshirts.com/p689.html
    ペニス増大活力素カプセル:http://zzleshirts.com/p687.html
    バイアグラUSA純正品(VIAGRA):http://zzleshirts.com/p657.html
    King Wolf狼王戦宝(新二代)販売:http://zzleshirts.com/p655.html
  207. 279 : : 2020/10/26(月) 14:30:27
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
  208. 280 : : 2023/01/21(土) 05:54:47
    やはりにょた苗木は至高

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