ssnote

x

新規登録する

作品にスターを付けるにはユーザー登録が必要です! 今ならすぐに登録可能!

このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

エルヴィン「いざ万聖節!!」ナイル「おい、天竺はどうした!?」―ハロウィン&ミケ生誕記念

    • Good
    • 8

loupe をクリックすると、その人の書き込みとそれに関連した書き込みだけが表示されます。

▼一番下へ

表示を元に戻す

  1. 1 : : 2014/10/29(水) 23:18:47
    ハロウィンなので、以前ご好評いただいた進撃の西遊記の番外編です。
    前作知らなくても楽しめると思います。

    キャラ崩壊注意。
    多分ギャグ。

    前作はこちらからどうぞ。
    http://www.ssnote.net/archives/17897



    例によってのんびり更新なので、多分ハロウィン過ぎまでだらだらやります。

    読みやすさを優先し、執筆終了までコメント制限をさせていただきます…が、執筆中作品へのコメント用グループがございます。
    http://www.ssnote.net/groups/749
    研究日誌に応援いただけますと、大変励みになります。



    11/1追記:ミケ・ザカリアスさんのお誕生日が本日だと判明しました!おめでとうございます!
    ので、たまたまですが、この進撃の西遊記にミケさん出演いただいているので、ミケさん生誕記念も兼ねようと思います(単独でなくてごめんなさい!急すぎてなすたまのキャパこえました~(T_T))。

    よろしくお願いします!
  2. 2 : : 2014/10/29(水) 23:46:36
    エルヴィン「もうそこまで迫っているらしいじゃないか!」

    ナイル「…何がだ…?」

    エルヴィン「万聖節に決まっている!」

    ミケ「…ハロウィン…」スン

    ナイル「いや、それはそうなんだが…」

    エルヴィン「何を躊躇うことがあるというんだ?」

    ナイル「…お前、自分の立場判ってるか?」


    エルヴィン「いざ、万聖節!」

    ナイル「おいおい、天竺はどうした」


    エルヴィン「さぁ、行くぞ!」

    ナイル「人の話を聞け!!お前、今は坊主だろうが!!!」


    エルヴィン「そうとも、私はエルヴィン三蔵!何か問題か?」

    胸を張ったエルヴィン三蔵は、目映い白さの法衣に袈裟、白い頭巾を身に付けていた。
  3. 3 : : 2014/10/29(水) 23:59:01
    ナイル「旅してるのに随分真っ白だな、お前の法衣」

    エルヴィン三蔵「太子ちゃんから貰ったボー○ドで洗っている!」ドヤ!

    ハンジ「リヴァイは綺麗好きだからね~」プカプカ

    エルヴィン三蔵「おお!ハンジ悟空よ、オアエリ!」

    ジャン「…なんでコニーの母ちゃんになってんだ、あんた…」

    エルヴィン三蔵「モノマネは趣味の1つだ…馬は黙って歩くのだ!ジャン玉龍」

    ジャン玉龍「どっち行くか決めるのにハンジさんが金斗雲で偵察に行ったんじゃないですか!」

    エルヴィン三蔵「じゃあ馬は黙ってニンジンでも食べてろ」

    ジャン玉龍「俺、生の人参得意じゃないンすよ!」

    ナイル「生のキュウリは最高だぞ?」ポリポリ

    ジャン玉龍「河童は黙ってて下さいよ!」
  4. 4 : : 2014/10/30(木) 00:35:18
    ナイル悟浄「…うまいのになぁ…キュウリ…」ショボン(´・ω・`)

    ハンジ悟空「じゃあ一口!」

    ナイル悟浄「い、いいぞ!」パアァ(*´ω`*)


    エルヴィン三蔵「で、首尾は?ハンジ?」


    ハンジ悟空「うま!味噌マヨキュウリ旨い!」ポリポリ

    ナイル悟浄「だろ!?…ようやく理解者が…!」キラキラ

    ミケ「…そんなに旨いなら俺も一口…」ポリ…

    ナイル悟浄「豚にキュウリ…そんな諺ありそうだな…」

    ミケ八戒「ねぇよ!それから俺は泥浴びをする偶蹄目の生き物とも関係ない…!」ススン!

    ハンジ悟空「どうあってもブタって言わないつもりなんだね、ミケは」

    ミケ八戒「…味噌マヨがウマイのかキュウリがウマイのか…」ポリポリ

    ナイル悟浄「キュウリが旨いに決まっとろうが!」


    エルヴィン三蔵「…あの…報告…」ポツン



  5. 5 : : 2014/10/30(木) 00:55:37
    ハンジ悟空「ニンジンでも美味しいよ!」ポリポリ

    ミケ八戒「やはり味噌マヨがウマイんだな」ポリポリ

    ジャン玉龍「あ、ホントだ。味噌マヨなら食える!」ポリポリ

    ナイル悟浄「…お前らはキュウリの奥深さを何もわかってないな…」フッ


    エルヴィン三蔵「いいからさっさと報告しろよ!泣くぞ!?」

    ジャン玉龍「どんな脅し文句ですか…」ポリポリ



    ハンジ悟空「やぁ、悪い悪い!ほら!エルヴィンも味噌マヨ食べて機嫌なおして!」つ味噌マヨ

    エルヴィン三蔵「…付けるものは…」

    ハンジ悟空「食べちゃった!」テヘペロ


    ナイル悟浄「…キュウリを認めるなら少し分けてやらんでもないぞ…」

    エルヴィン三蔵「いや…遠慮しておこう…」

    ナイル悟浄「」ガーン


    ミケ八戒「味噌マヨディップが旨すぎて、つける野菜が無いっていう男がいたんですよ~!」

    エルヴィン三蔵「なぁにぃ~!?」

    ミケ八戒「男は黙って!」

    エルヴィン三蔵「直なめ!」ペロリ

    ミケ八戒「男は黙って!」

    エルヴィン三蔵「直なめ!」ペロリ


    ミケ八戒「さすがはエルヴィン…」

    エルヴィン三蔵「味噌マヨ、ウマイ!」



    ジャン玉龍「…報告聞くんじゃなかったんですか?」オーイ
  6. 6 : : 2014/10/30(木) 22:56:31
    ハンジ悟空「ここから南にしばらく行ったところに町があったよ!」

    エルヴィン三蔵「ほう…それで?」ペロペロ ←残りの味噌マヨ舐めとり中

    ハンジ悟空「それがさ、なんかちょっと変わっててさ~」

    ナイル悟浄「奇行種ハンジに変わってると言われると、180度回ってマトモなんじゃないかと思えるのはなんだろう」

    ハンジ悟空「酷くない!?」プゥッ

    ミケ八戒「…珍しく河童に同意だ」

    ハンジ悟空「酷いなぁ、もう!」

    ジャン玉龍「それで?どんな町だったんですか?」

    ハンジ悟空「オバケだらけ」

    ジャン玉龍「は!?」

    ハンジ悟空「だから、オバケだらけ!あとカボチャだらけ!」

    ナイル悟浄「オバケにカボチャとは、それは…」



    エルヴィン三蔵「まさしく万聖節に興じる町に違いない!!遅れを取るな!進めえぇぇぇぇ!!!」


    エルヴィン三蔵は道なき道の中心で前進を叫んだ。







    ナイル悟浄「…世界の中心で愛を叫ぶ、みたいなナレーションするなよ」

    ジャン玉龍「そんないいもんじゃないっすよね…」


    ナイル悟浄とジャン玉龍は、閧の声を上げるエルヴィン三蔵の後ろ姿にため息をついた。
  7. 7 : : 2014/10/31(金) 00:38:14
    ジャン玉龍「てか、何なんですか万聖節って」パカパカ

    ミケ八戒「…む…」

    ナイル悟浄「おいバカ、やめろって!」

    ハンジ悟空「あれぇ?聞きたい!?そうだよねぇ…聞きたそうな顔してると思ったよ…!」キラーン


    ジャン玉龍「…あ…なんか、ヤバい雰囲…気…」タラ…



    ハンジ悟空「ハロウィンは、元々は諸聖人の祝日の前夜って意味なんだよね。
    古代ケルト人の秋の収穫感謝祭に起源があるといわれているんだ。

    古代ケルトでは、1年の終わりは10月31日と定められていた。この日の夜には死者の霊が親族を訪ねたり、悪霊が降りて作物を荒らすと信じられていたそうだよ。

    そこから、秋の収穫を祝い悪霊を追い出す祭りが行われるようになり、やがてキリスト教に取り入れられて、現在のハロウィンの行事にいたるんだ。

    収穫祭の意味もあるハロウィンには、「Jack-o'-lantern(ジャック・オー・ランタン)」と呼ばれる、カボチャをくり抜いて顔を作った中に蝋燭を立てた提灯が飾られる。
    これは死者の霊を導いたり、悪霊を追い払ったりするための焚き火に由来するといわれているんだよ。

    そして、ハロウィンでは仮装した子供たちが「Trick or treat!(お菓子をくれないといたずらするぞ)」と言って、近所の家からお菓子を貰うんだ。

    なんだか、とても楽しそうな行事だよね!そう言えば、カボチャにも色々種類があってさ…」ベラベラベライキイキルンルン♪


    ジャン玉龍「…はぁ…そう…ですか…」ゲッソリ


    ミケ八戒「ハンジの変なスイッチ入れたな、ジャンよ…」スン!

    ナイル悟浄「ある意味通過儀礼だ。洗礼を受けてくるがいい」


    エルヴィン三蔵「ジャン(馬)に乗ってるばかりにとばっちり食らってる私はどうしたら」

    ナイル悟浄「…お前の場合は自業自得だ。てか、降りればいいだろうが」

    エルヴィン三蔵「えー!エルヴィン三蔵、そんな長く歩けないぃ~だって疲れちゃったもん」プゥ

    ミケ八戒「…JKかっ!?…おっさんの匂いしかしないがな」スン

    エルヴィン三蔵「違うぞ、私からおっさんの匂いがするのではない!枕が悪いのだ!」

    ナイル悟浄「…何?」

    エルヴィン三蔵「最近になって、枕からおっさんの匂いがするようになった…」

    ナイル悟浄「そうか…実は私も…」

    エルヴィン三蔵「枕も年を取るものなのだな!この年にしてはじめて知ったぞ!」


    呵呵大笑するエルヴィンを横目に、ナイル悟浄は再びため息をついた。


    ナイル悟浄「…つくづく、お前の思考回路って幸せだよな…」


    その口調には若干羨望の色が混じっていた。

  8. 8 : : 2014/10/31(金) 01:11:19
    ハンジ悟空「…というわけで、ハロウィンの歴史は古いんだけど、東洋の島国で大人が仮想して楽しむイベントとして認知されるようになったのはここ数年のことかな~」


    ジャン玉龍「…やっと…終わりに…」シロメ


    ハンジ悟空「けど、さっきの町の人達は仮装を楽しむとか、そういう感じには見えなかったんだけどなぁ」

    ナイル悟浄「どういった感じだ?」

    ハンジ悟空「だから、普通にオバケとカボチャ」

    ミケ八戒「…」スン


    エルヴィン三蔵「それだけ仮装のレベルが高いってことだろう!真剣に取り組んでいる民衆なのだろう!」

    ミケ八戒「…そういう…もの…か…?」


    エルヴィン三蔵「こうしてはおれん!その真摯に取り組むハロウィン町に、礼を尽くして仮装をしなければ…!!」

  9. 9 : : 2014/11/01(土) 09:52:05
    ジャン玉龍「仮装…って…俺たち既に仮装してるようなものじゃあ…」

    ナイル悟浄「まったくだな」


    玄奘・エルヴィン・三蔵…世間的には一応、高僧。白い法衣に袈裟姿。釈迦如来より命じられ、天竺に取経の旅に出る。


    斉天大聖・孫・ハンジ・悟空…石から産まれた猿の妖怪。頭に金の輪をはめており、意のままに伸び縮みする如意棒を携え、金斗雲を操る。


    天蓬元帥・猪・ミケ・八戒…ブtミケ「言わせねぇよ!?」ゴゴゴ…の妖怪。くすんだ藍の作務衣姿に馬鍬を携える。

    捲簾大将・沙・ナイル・悟浄…河童の妖怪。河童ゆえ、頭に水の入った皿が乗っている。黒の法衣に錫杖を携える。


    ジャン玉龍…天竜が姿を変えた神馬。人の姿にも変化する。…が、馬面ゆえにエルヴィン三蔵他からは人化しても気づかれないことしばし。
  10. 10 : : 2014/11/01(土) 09:58:06

    ジャン玉龍「…なんか俺の説明だけ余計な情報が入ってませんか!?」

    ミケ八戒「お前には仮装も変化も必要ないということがわかればいい…」

    ハンジ悟空「いつも仮装してるようなもんだね!いいなあ、ジャンは!」

    ジャン玉龍「誉められてる気がしません」

    ナイル悟浄「実際、誉めてないからな」

    ジャン玉龍「やっぱり…!!うわぁぁん(泣)」

    エルヴィン三蔵「馬の目にも涙」

    ジャン玉龍「ここは慰めるところでしょ!もう!」

    エルヴィン三蔵「ジャン、君にひとつ言っておく事がある」マガオ

    ジャン玉龍「…!(なんだろう、いつになく真面目な法師様…これは本気の慰めが来るの…か…!?)」




    エルヴィン三蔵「馬の鳴き声はモウじゃない。モウは牛の鳴き声で、君は牛ではない!」ドーン!



    ジャン玉龍「…あんたにちょっとでも期待した俺が馬鹿でした」ガックリ


    ジャン玉龍は項垂れた。

  11. 11 : : 2014/11/01(土) 10:36:27
    ハンジ悟空「じゃあまぁ、普段がコスプレみたいな私たちは仮装は不用ってことで!」

    エルヴィン三蔵「なんだと…!?しないのか、仮装…!」

    ナイル悟浄「…したかったんだな、仮装…」

    エルヴィン三蔵「…」コクリ

    ミケ八戒「一応聞いておこうか…」

    ハンジ悟空「どんな仮装をしようと思ったの、エルヴィン?」


    エルヴィン三蔵「スパンコールのスーツに白い手袋、背には扇状に広がる大きな羽を背負い、きらびやかなスワロフスキーを使用し繊細な細工とペイントを施した美しいヴェネチア製の仮面を身に付け、颯爽と登場する私にカボチャ頭どもは皆ひれ伏すだろう!!!」バーン!


    ジャン玉龍「どこがハロウィンだよ!?」

    ミケ八戒「ただのコスプレ好きか」

    ナイル悟浄「つか、宝塚好きか」

    ハンジ悟空「すみれのはーなの~咲くころ~♪」

    ミケ八戒「そしてヅカ姿でカボチャを制圧する気でもいるらしいな…」スン

    ナイル悟浄「エルヴィン、お前ハロウィンわかってないだろ!?ハンジの長講釈、いっこも入ってないんだろ!?」


    エルヴィン三蔵「ハンジの長講釈にまともに付き合えるわけなどないだろう!!!」

    ハンジ悟空「あ、ひどい。あんなに分かりやすく説明したのに…」ムゥ

    ミケ八戒「さすがのハンジも気を悪くしてるぞ」

    ハンジ悟空「仕方ないなぁ、じゃあエルヴィンにも分かるようにもっと詳しく話してあげなきゃね?」


    ジャン玉龍「き、聞いてる間にハロウィン終わっちゃうから止めましょう!」アセ

    ナイル悟浄「そ、そうだな、止めよう!」

    ミケ八戒「うむ!」コクリ

    エルヴィン三蔵「そうだ!今はハロウィン町に向けて一刻も早く…進めぇ!!!」


    全員が、珍しくジャン玉龍の提案に頷いて同意した。



    ハンジ悟空「ちぇっ。遠慮しなくていいのにさ…!」

    ハンジ悟空を除いて。



  12. 12 : : 2014/11/01(土) 12:40:52
    ミケ八戒「あれがハロウィン町の入り口か…」

    ナイル悟浄「なるほど、カボチャがゴロゴロだ」

    ジャン玉龍「普通のカボチャも、目と口の所をくりぬいたカボチャも並べてありますね」

    ハンジ悟空「くり貫いてあるのがジャック・オー・ランタンだね!夜には蝋燭を灯すんだよ!」


    エルヴィン三蔵「いよいよだな!レッツ!ハロウィン!!」スチャッ

    ジャン玉龍「…やっぱり仮面は付けるんですね…」

    ナイル悟浄「法衣にそのきらびやかなヴェネチアン仮面はどうかと思うが…」

    ミケ八戒「ダチョウの羽扇を背負わないだけよしとしよう…」

    エルヴィン三蔵「私は原作でさんざん自由の翼を背負っているからな!これ以上羽は必要ないと気づいた!!」

    ハンジ悟空「なんかちょっと深い話っぽい」

    エルヴィン三蔵「ああ、深いとも!浅いところでじりじり焦らすのも捨てがたいが、深く奥まで貫くように突き続ける!」

    ミケ八戒「なんの話だ」

    エルヴィン三蔵「激しい突きに耐えきれず崩れ落ちそうになるのをしっかり抱えて、後ろからさらに突くのがたまらない!」

    ジャン玉龍「別な意味の深い話…」


    ナイル悟浄「…ここでのお前は自由の翼ではなく、自由そのものな気がするぞ、エルヴィンよ…」ハァ
  13. 13 : : 2014/11/01(土) 16:57:25
    エルヴィン三蔵「そうとも、私は自由だ!行くぞ、ハロウィン町!Trick and Treat !!」

    ジャン玉龍「いや、そこはTrick 『or』 Treatでしょ?」

    ハンジ悟空「『イタズラ?それともお菓子?』で、お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!』ってことだもんねぇ?」

    エルヴィン三蔵「いや!andで合ってる!」

    ナイル悟浄「…イヤな予感がするんだが」

    エルヴィン三蔵「お菓子も欲しいし、いたずらもしたいに決まっているじゃないか!!!」バーン!

    ナイル悟浄「やっぱり…」

    エルヴィン三蔵「ふ…ふはははは!身分を明かさずお菓子をもらって、いたずら公認とは…太っ腹だな!ハロウィンよ!」ハハハハハ!

    ミケ八戒「身分を明かさずイタズラ…」

    ナイル悟浄「ありがたいお経をもらう旅の途中にある坊主の台詞ではないよな…」

    ジャン玉龍「欲望全開の悪役まっしぐらッスよね…」


    妄想に高笑いの止まらないエルヴィン三蔵の背後で、旅のお供達はドン引きしていた。

  14. 14 : : 2014/11/01(土) 17:37:00
    高笑いの止まらないエルヴィン三蔵一行が町の入り口に差し掛かかると、道の脇から小柄な人影が現れた。

    人影は、カボチャを被ったカボチャ頭だった。



    カボチャ頭「おい…お前達…ここを通りたければ…Trick or Treat だ」トコトコ

    ミケ八戒「さっそくおでましか」

    ナイル悟浄「さすがはハロウィン町」

    エルヴィン三蔵「やぁ!これはなかなか小さくて可愛いカボチャ頭くんじゃないか!」

    カボチャ頭「チッ…誰が小さくて可愛いだと…?」イラッ

    ハンジ悟空「あれ?この色っぽさと凶悪さが同居したような声…聞き覚えがあるような…?」

    カボチャ頭「いいからサッサと出すもん出せよ!」


    エルヴィン三蔵「…なかなか積極的だな…そんなに求められては仕方ない…」ヌギヌギ

    ジャン玉龍「ちょ…!?ほ、法師様、何脱いでんですか!?」

    エルヴィン三蔵「出すものと言えばナニに決まっているだろう?」バサッ


    エルヴィン三蔵は袈裟を持ち上げ、法衣の裾をはだけた。


    ジャン玉龍「ちょい待ち、変態法師!それアウト!アウト!」


    人化したジャン玉龍は、はだけた裾からもぞもぞとナニを出そうとしているエルヴィン三蔵の行動に慌てた。
  15. 15 : : 2014/11/01(土) 18:33:06
    エルヴィン三蔵「おい、ジャン!なぜ邪魔をする!?カボチャ頭くんが求めているというのに!?」

    ジャン玉龍「いやいや、公道でンなモン出したら捕まりますよ!?」

    エルヴィン三蔵「…何を勘違いしている…」

    ジャン玉龍「へ?」


    エルヴィン三蔵は、はだけた裾の下から身に付けていた袋を取り出し、中からさらに小さく小分けされた包みを出してカボチャ頭に差し出した。


    エルヴィン三蔵「君にはこれを。ハッピーハロウィン、カボチャ頭くん!」ハイ

    カボチャ頭「…ほう…悪くない…」


    カボチャ頭は、エルヴィン三蔵の差し出した包みを受けとると、中を確認し、呟いた。


    カボチャ頭「いい焼き加減のクッキーだ」サクサク


    ジャン玉龍「…え…?クッキー?」アゼン


    エルヴィン三蔵「当たり前だろう?ハロウィンにTrick or Treatと言われて出すものと言ったらお菓子に決まっているだろうが?
    一体何を想像したんだ?ジャンよ」

    ジャン玉龍「ま…紛らわしいとこに入れてんじゃねーよ!?」///

    ジャン玉龍は己の穢れた想像が勘違いだったと知って赤面した。


    カボチャ頭「人肌に温められたクッキー…意外と悪くない…」サクサク

    エルヴィン三蔵「だろう?」


    ナイル悟浄「ぬるいクッキーがウマいという感覚がまったくわからないんだが」

    ミケ八戒「同じく…」スン
  16. 16 : : 2014/11/01(土) 22:24:27
    エルヴィン三蔵「ところで、いつまでカボチャ頭でいるつもりなんだ?太子ちゃんよ」

    カボチャ頭「…チッ…。やはりバレていたか…」

    カボチャ頭は、顔を隠すように被っていたカボチャを持ち上げ、三白眼の眉間に深いシワを刻んだ不機嫌な表情を露にした。

    エルヴィン三蔵の言う通り、カボチャ頭の正体は天界の住人、哪吒・リヴァイ・太子であった。


    ジャン玉龍「えぇっ!リヴァイ太子!?」

    ナイル悟浄「やはりな…」

    ミケ八戒「匂いで判ってはいた」

    ハンジ悟空「あ、やっぱり!リヴァイの声だと思った!」

    ジャン玉龍「わかってなかったの俺だけですか!?」

    ミケ八戒「付き合いの長さが違うからな」スン


    エルヴィン三蔵「愛の深さも違うぞ!太子ちゃん!お菓子だけと言わず、いたずらもしていいんだぞ!?
    このエルヴィン三蔵、太子ちゃんにあーんなことやこーんなことをされていたぶられるなら本望!!」

    ナイル悟浄「あーんなことやこーんなこと…」

    リヴァイ太子「…やけに嬉しそうじゃないか…お前…エルヴィンよ…」

    エルヴィン三蔵「太子ちゃんにいたずらされるなど!寧ろご褒美!」

    リヴァイ太子「何で俺がてめぇにご褒美なんざやるってんだ、あぁ!?」

    ハンジ悟空「エルヴィンはMなの?」

    エルヴィン三蔵「ハンジ、私はSだとかMだとか、そんな狭量な分類の枠になどおさまるものではないのだよ!」

    ミケ八戒「つまりは、なんでもアリだと」

    ナイル悟浄「男も女も見境ないしな」

    エルヴィン三蔵「より多くの人に愛を届けようとしていると言ってくれて構わない」

    ジャン玉龍「独自の美的感覚に適った人限定ですけどね、愛を届ける対象」

    エルヴィン三蔵「私は生身の人間だからな、残念ながら限界がある…」フリフリ


    エルヴィン三蔵は、力が及ばない無念さを心から表すように頭を振った。
  17. 17 : : 2014/11/03(月) 00:16:00
    エルヴィン三蔵「さぁ!限りある私の愛を受けとるのだ!太子ちゃんよ!おいで!」サァコイ!

    リヴァイ太子「…そこの路地裏から2度と出てこれないくらい痛めつけてやろうか…」チッ

    エルヴィン三蔵「ほぅ、路地裏で…つまり人前では出来ないような恥ずかしくて淫らな行いをしたいのか…なかなか大胆な申し出だな…悪くない…」フム///

    リヴァイ太子「てめぇの耳はどんな構造してんだ、コラ」

    エルヴィン三蔵「耳か!耳を攻めたいとはまたマニアックな…!」ポッ//

    リヴァイ太子「…もういい…話すだけ無駄だ…」ハァ

    エルヴィン三蔵「おお!放置プレイできたか!!」


    リヴァイ太子「おい、お前ら!このくそ坊主放し飼いにすんじゃねえよ!」イラッ


    会話が成立しない自称高僧の変態法師に苛立つリヴァイ太子は、お付きの妖怪達に噛みついた。



  18. 18 : : 2014/11/03(月) 00:36:09
    ハンジ悟空「まぁ、エルヴィンがこんななのは前からだし。どうにかなるものじゃないのはリヴァイも知ってるでしょ?」ハハ

    ナイル悟浄「それより、天界から降りてきたってことは何か用事があるんじゃないのか?」


    エルヴィン三蔵「そうだ、太子ちゃん!私は今さらどうにもならんぞ!用件を聞こうじゃないか!」

    ジャン玉龍「居直りましたね、法師…」


    リヴァイ太子「チッ…鬱陶しい…」

    ミケ八戒「で?」


    リヴァイ太子「このハロウィン町は、お前らが思ってるほど能天気なパーティ感覚の町じゃねえってことを伝えに来た」

    ナイル悟浄「ほう…ではどんな町だというんだ?」

    リヴァイ太子「…進めばわかる」

    ミケ八戒「…歯切れが悪いな…」スン

    リヴァイ太子「とにかく、気をつけて進め」

    ハンジ悟空「ん~。なんかわかんないけど、わかった。で、リヴァイはどうするの?」

    リヴァイ太子「…俺は…」

    エルヴィン三蔵「もちろん一緒に行くんだろう?太子ちゃん」

    リヴァイ太子「…ウザいんだよ、てめぇ…」

    眉間のしわを倍増させて、嫌悪を露にするリヴァイ太子だった。
    が、エルヴィン三蔵は一向に意に介する様子はなかった。


    エルヴィン三蔵「一緒に行くなら新作の飴ちゃんをあげよう!」ジャジャーン!


    白い法衣の美丈夫は、テンション高めのまま、白とピンクとパープルのストライプが螺旋を描いた大振りのペロペロキャンディを取り出した。



  19. 19 : : 2014/11/03(月) 00:56:33
    リヴァイ太子「…俺は別に…うずまきにほだされた訳じゃないからな」ペロペロ

    ジャン玉龍「思っきし旨そうにキャンディ舐めながら言われても…説得力ありませんけどね」

    リヴァイ太子「ほう…ジャンよ…お前も言うようになったじゃねえか…」ギロ

    ジャン玉龍「うっ…」コワイ

    リヴァイ太子「せいぜい足元にでも気をつけるんだな…」

    ジャン玉龍「えっ!?足元?」…ベチャ


    ハンジ悟空「うわっ!ウ○コ踏んだ!えーんがちょ!」

    ミケ八戒「えーんがちょ!」

    ナイル悟浄「悪いが…えーんがちょ!」

    エルヴィン三蔵「ハハハ!ジャン玉龍よ!普段君も道で時々垂れ流しているしな!えーんがちょ!」


    ジャン玉龍「えっ!ちょっ…ちょっと!助けてくださいよ!大体、馬変化の時に出ちゃうのは仕方ないじゃないですか!生理現象なんだし!」アセッ


    リヴァイ太子「きったねえなあ…。まぁ、お前の踏んだのは臭いはクソだが、クソじゃねえ。銀杏だ」

    ジャン玉龍「そっか…良かったあ…じゃなくて!臭いのは一緒じゃないですか!!」

    リヴァイ太子「てことで、俺も…えーんがちょ!」


    ジャン玉龍「うわああぁ!!ハブられたあぁぁぁ!!」


    秋の深まりを感じる芳しい香りのついた足底を、地面のヘリに擦り付けるジャン玉龍だった。
  20. 20 : : 2014/11/03(月) 01:11:39
    ???「なんだか賑やかな団体だな…Trick or Treat ?」


    銀杏を踏んだジャン玉龍をからかいながら町の中心をめざす一行の前に現れたのは…。


    エルヴィン三蔵「おお!シルバーブロンドに太眉眼鏡っ子魔女とは!どんだけ萌え要素満載!」ゴオォ


    ナイル悟浄「君!悪いことは言わない、この派手な月光仮面はアブナイから半径2メートル以内に近づくな!」

    ミケ八戒「派手な月光仮面…」

    ハンジ悟空「ぶっ…たしかに…!仮面が派手な月光仮面そっくりだよ!全身白いし!」

    エルヴィン三蔵「…いくらなんでも月光仮面はわからない人が多すぎるんじゃないか…せめてタキシード仮面とか…」

    ナイル悟浄「気障っぽいところは似ていなくはないが…」

    ハンジ悟空「却下!まもちゃんは破戒僧発言はしないよぅ!女子の憧れだもん!!」



    ???「何仮面でも構わないが…あんたたちは何者だ」


    シルバーブロンドの眼鏡っ子魔女は、冷淡に誰何した。

  21. 21 : : 2014/11/03(月) 02:04:18
    エルヴィン三蔵「私は…ハロヴィン!ハロヴィン三蔵だ!」

    ジャン玉龍「はぁ!?法師様、何言って…」

    ハンジ悟空「しー!…相手の素性がわからないうちは下手に名乗らないほうがいい…なんだかリヴァイが気をつけろっていってるしさ」ヒソヒソ

    ジャン玉龍「…なるほど…」コソコソ


    ???「ハロヴィン…?ふざけているのか?何をしに来た!?」

    エルヴィン三蔵「もちろん、私の名に似たハロウィン町のハロウィンに興味を持って来たんだよ、眼鏡の美魔女さん」ニッコリ

    ミケ八戒「出たな、エルヴィンスマイル」

    ナイル悟浄「あいつ顔だけは良いからな…」

    リヴァイ太子「あの胡散臭い笑顔で大概の女は騙される」


    ???「…私の名はリコ。リコ・ブレツェンスカだ」ツーン


    ハンジ悟空「おや…必殺のエルヴィンスマイルなのに意外にクールな反応」

    エルヴィン三蔵「容易に陥落出来ないところがまたぞくぞくするな」ニヤリ

    ナイル悟浄「変なやる気だした」

  22. 22 : : 2014/11/03(月) 02:27:27
    リコ「あんた達…見たところ、妖怪や動物の仮装をしているようだが…魔術や魔力を少しでも使える人はいないか?」


    エルヴィン三蔵「魔力…?どうしてそんなことを?」

    リコ「まだ必要な魔力に達していなくてね。このままじゃ今年のハロウィンが出来ないんだ」

    ナイル悟浄「…ハロウィンに魔力って必要なのか…?」

    リコ「ここ、ハロウィン町のハロウィンは、他所のとは違う」

    ハンジ悟空「どう違うの?詳しく教えて貰えないかなあ?」

    リコ「ハロウィン町のハロウィンは…魔力を集めて中央広場の大カボチャ…キング・ジャック・オー・ランタンに灯を点さないと始まらないんだ」

    ミケ八戒「…はじめて聞く風習だな…」

    リコ「このままじゃあ、この町のハロウィンを楽しみにやって来る人達に申し訳なくて…」

    エルヴィン三蔵「…なるほど」

    リコ「だから、もし魔力や妖力を少しでも持っていたら手伝って欲しいと思ったんだ…けど、そうそういないよね、そんな人…」ハァ


    エルヴィン三蔵「…妖力でもいいんだな?」


    リコ「えっ!?」


    エルヴィン三蔵「ちなみに法力は?」


    リヴァイ太子「…天界の力もまぁ、あるぞ…」


    リコ「この世の物理属性外の力なら、何でも魔力に変換できるけど…ええっ!」


    エルヴィン三蔵「失礼!先ほど名乗った仮面のハロヴィンとは世を忍ぶ仮の姿!」

    ミケ八戒「しかしてその実体は…!!」



    エルヴィン三蔵「イケメン高僧エルヴィンと愉快な仲間達だ!!!」ドーン!!



    ナイル悟浄「…俺たちはいつからそんな恥ずかしい名称に…」

    ハンジ悟空「妖力の説明になってないしねぇ…」


    エルヴィン三蔵の発言に痛々しさを感じながらも、生ぬるく見守る愉快な仲間達であった。





  23. 23 : : 2014/11/03(月) 03:55:15
    ナイル悟浄「…とまぁ、そういうわけで、有りがたいお経をいただく旅の途中の我々は、困っている皆さんのお役に立つことで徳を積む必要がある」


    ハンジ悟空「私たちは妖怪と天龍と天界の使者と坊主の一行だから、全員なんらかの超常的な力を持っているから、お役に立てると思うんだ」


    ミケ八戒「役に立つぞ?」


    リコ「この胡散臭い笑顔の仮面が…お坊さん…」イブカシゲ

    エルヴィン三蔵「なんだね、リコ。私が信じられないのかい?」ニッコリ

    リコ「くっ…この人手(魔力)不足…背に腹は代えられん…!」

    ハンジ悟空「相変わらずエルヴィンスマイルが効かないねぇ」

    リヴァイ太子「むしろ逆効果なんじゃないか」


    リコ「皆さんの、お力をお貸しください…!」


    エルヴィン三蔵「いいとも~♪」


    リコ「軽い…軽すぎる…大丈夫なのかな、この人…本当に…」


    リヴァイ太子「…まぁ、なんだ…いろいろ難はあるかもしれないが、腐っても三蔵だ。試しに頼ってみるのも悪くないと思うぞ?」


    ジャン玉龍「腐っても三蔵って…」( ̄▽ ̄;)



  24. 24 : : 2014/11/03(月) 04:30:47
    エルヴィン三蔵「どうも~お腐れ系男子、略して腐男子のエルヴィン三蔵でぇす!」

    ナイル悟浄「腐男子ってなんだ」

    ハンジ悟空「腐女子がBLを愛する女子のことだから…腐男子は…あれか、レズを愛する男子のことかな?」

    エルヴィン三蔵「レズか…」ムス

    ジャン玉龍「この手の話題にしては珍しく芳しくない反応」

    エルヴィン三蔵「うむ…何故ならば、レズでは私の出る幕はないじゃないか?」

    ミケ八戒「男女は問わないが、自分が絡みたいんだな」

    エルヴィン三蔵「当たり前だ。他人の絡みなど見て何が楽しいんだ?まぁ、観ながらこちらも別に絡むというならアリだが」

    ジャン玉龍「なんか大分生々しいんですけど」



    エルヴィン三蔵「というわけで、レズは趣味ではないから私は腐男子ではない!腐ってはいない三蔵だ!」


    ナイル悟浄「なんの宣言だ、おい」

  25. 25 : : 2014/11/03(月) 12:08:32
    リコ「腐っていないならその方がありがたいのはそうなんだが、どっちだって私には関係ないな」


    ジャン玉龍「…ということで、中央広場までやってきましたね」

    ハンジ悟空「ん~。町の真ん中だというのに、やっぱり人は少ない目だね~」

    ミケ八戒「集まっているのは、カボチャか魔女か、ってところだな」

    ハンジ悟空「さっき見に来た時には、オバケも結構いたんだけどなぁ…」


    リコ「さっき…?」

    ハンジ悟空「あ、そうそう二時間くらい前かな?偵察で先に観に来たんだ、私だけ」

    リコ「それは…またすごいタイミングに」

    ハンジ悟空「え?」

    リコ「いや…なんでもない」


    ナイル悟浄「しかし、すごい魔方陣だな、この広場」

    ミケ八戒「そして中心のオバケカボチャ…」


    リコ「これが、今日のハロウィンの要、キング・ジャック・オー・ランタンだ。
    先ほどから魔方陣を囲んで魔力を送っているが、まだ灯りを点けられないでいる」

    ジャン玉龍「たしかに、魔女や魔法使いの格好の人がぐるりと囲んでんな、魔方陣」


    中央広場の魔方陣は、巨大なジャック・オー・ランタンを中心に円形に描かれており、周囲を黒装束の一群が囲んでいた。
  26. 26 : : 2014/11/03(月) 12:37:00
    リコ「先ほどまでは、毎年リーダーシップを取っている強力な魔女がいて、あと少し、と言うところまでいったのだが…」

    ナイル悟浄「ダメだったんだな」

    リコ「心ない人間の男の裏切りによって、翼を切り落とされた彼女の魔力はかなり衰えてしまってね…」

    ミケ八戒「どこかで聞いたような話だな」スン

    リコ「心優しい魔女だった彼女は、今年もハロウィンに力を貸してくれようと最大限に頑張ってくれたのだけど…力尽きて、今は休んでいるよ」

    エルヴィン三蔵「…その翼を切り落とされ傷ついた魔女というのは…美人か…?」

    リコ「裏切られた悲しみのあまり、男の娘に解けない呪いをかけてしまったと、後悔で憔悴しているけれど…超のつく美女だな、マレフィセントは」


    エルヴィン三蔵「よし、わかった!魔方陣はお前達に任せた。私は傷ついた魔女の心を癒してこよう!」クルッスタスタ

    ナイル悟浄「待てぃ!この破戒僧がっ!!」ガシッ


    ナイル悟浄は、美魔女のもとへと踵を返したエルヴィン三蔵の首根っこをしっかりとつかんだ。
  27. 27 : : 2014/11/03(月) 16:15:17
    リヴァイ太子「…で。俺たちにどうしてほしいんだ、言ってみろ」

    エルヴィン三蔵「おお!太子ちゃんが言葉攻めをしているぞ!可愛くおねだりするがいい、リコよ!?」


    リコ「…この坊主いなきゃダメなの?」ギロ


    リヴァイ太子「おねだりしてみりゃいい話だろうが、ああん?」

    ナイル悟浄「わりと本気で言葉攻めしてるな」

    ミケ八戒「…リコはリヴァイより小柄だしな…タイプなんじゃないか、実は」

    リヴァイ太子「どうしてほしいか言ってみろ、ほら」

    リコ「睨まれながら言われても脅迫にしか聞こえないんだが…」

    リヴァイ太子「バカ言え、俺はけっこう女に優しい」


    ハンジ悟空「ねーねー!魔方陣すごいねぇ!細かいデザイン!何々?皆で囲めばいいのぉ?そんで、次は?呪文でも唱えるのぉ!?」

    ナイル悟浄「とかいいつつ、あいつちゃっかり魔方陣の円陣に入ってるぞ」

    ミケ八戒「呪文…エロイムエッサイム、とかか?」

    ジャン玉龍「なんかヤバい儀式っぽくなってきましたね…」

    ナイル悟浄「非常事態に備えておくか…」ジョロロ


    ナイル悟浄は、頭の皿に水を補給した。






  28. 28 : : 2014/11/03(月) 23:26:12
    リコ「魔方陣を囲んだ後は、呪文…というか、皆で歌いながら踊るんだ」

    ナイル悟浄「う!歌いながら」

    ミケ八戒「踊る…だと!?」


    ハンジ悟空「うっひゃあ!楽しそう!たぎるぅ!」


    リコの言葉にあからさまに狼狽える二人を尻目に、ハンジ悟空はひとり狂喜した


    リヴァイ太子「…踊る…?」

    ジャン玉龍「リヴァイ太子はダンス苦手ですか?」

    リヴァイ太子「バカ言え、俺はもともと結構踊る…EXILEからの勧誘を断るのが大変だった…」

    ジャン玉龍「EXILE…!?」

    ミケ八戒「世が世なら、リヴァイのチューチュートレインが拝めたかもしれないな」

    エルヴィン三蔵「世が世なら、などまだるっこしいことしなくていいぞ!我々でやればいいのだ!チューチュートレイン!!!」

    ジャン玉龍「マジすか!?」


    リコ「魔方陣にはチューチュートレイン関係ないんだが」
  29. 29 : : 2014/11/04(火) 00:40:36
    エルヴィン三蔵「チューチュートレインでなければ何をやったらいいんだ!?ライジング・サンか!?サビしか知らんぞ?」

    リヴァイ太子「なんでお前が歌うの前提になってる」

    ナイル悟浄「EXILEから離れろよ…」

    リコ「魔方陣の皆で1度見本を見せよう…おーい!皆!助っ人が来たから一回やってくれ!」

    魔女達はリコの号令に頷き、円陣を組むと、歌いながら踊り始めた。


    ♪ハロウィン体操第1~!
    ♪ウィッ~チ!


    ジャン玉龍「…ん?」

    ミケ八戒「これは…もしかして…」


    ♪ヨーでるヨーでるヨーでるヨーでる
    ♪ようせいでるけん でられんけん
    ♪ヨーでるヨーでるヨーでるヨーでる
    ♪ようせいでるけん でられんけん

    ♪ローいれローいれ仲間にローいれ
    ♪友達大事!
    ♪妖精妖精妖精
    ♪ウィッチっち!

    ♪来い来い妖精
    ♪ウィッチっち!

    ♪どうしてカボチャは黄色いの
    ♪どうしてカボチャは黄色いの
    ♪どわっはっはっはー!
    ♪ハ・ロ・ウィ・ンのせいなのね、そうなのね!
    ♪ウィッチ!今何時?
    ♪一大事~!
    ♪ウィッス



    リヴァイ太子「なんだ、妖怪ウォッ○のパクりか」

    リコ「何を言っている?これは『ハロウィンウィッチ』の『ハロウィン体操』だ。歌詞が全然違うだろう。耳が悪いのか、気の毒に」

    リヴァイ太子「あぁん?んだと、コラ?」

    リコ「ああ、耳だけでなく目付きも口も悪いのだったな。天界人は不自由なものだな」


    ナイル悟浄「まさかのエルヴィン並みのごり押し」

    ハンジ悟空「リヴァイに負けてない!やるぅ!」ヒュウ

    ミケ八戒「可愛い顔してなかなか…」スン


    リヴァイ太子と魔女リコは、小柄な者同士火花を散らせていた。
  30. 30 : : 2014/11/04(火) 00:59:46
    エルヴィン三蔵「ヨーでるヨーでるヨーでるヨーでる♪」ダンシン♪

    ミケ八戒「妖精でるけん でられんけん♪」ダンシン♪

    ハンジ悟空「ローいれローいれ仲間にローいれ♪」ダンシン♪

    ジャン玉龍「友達大事♪っと」ダンシン♪

    リコ「さすが、皆飲み込みが早いな」

    ナイル悟浄「妖精妖精妖精…?」カクカクアレ?

    リコ「…まぁ、何となくでも形になれば問題ない」


    リヴァイ太子「来い来い妖精 ウィッチっち♪」ビシッ!

    リコ「ひとりキレッキレで踊ってるな…」

    リヴァイ太子「俺が踊るからには中途半端なマネなどしない」フン!

    ナイル悟浄「ダンス甲子園か!?」

    ハンジ悟空「リヴァイは凝り性だからねぇ」


    エルヴィン三蔵「お前には何が見える?…額に汗して妖○体操踊る太子ちゃんなぞ、激レアだぞ!
    ああっ!カメラ持ってないのが悔やまれる!!!」クッ

    ジャン玉龍「親バカかよ!?」


  31. 31 : : 2014/11/04(火) 21:30:34
    リコ「では、リハーサルは終了だ。法師一行よ、魔方陣に入ってくれ」


    ハンジ悟空「うひゃああ!いよいよハロウィンの儀式本番だね!何がでるかな、何がでるかな♪」


    ナイル悟浄「カズキ・小堺ばりに歌ってるが、サイコロは振らないぞ、ハンジ」

    ミケ八戒「『水曜どうでしょう』かもしれんぞ」

    リヴァイ太子「ヨウ・大泉のもじゃもじゃは少し憧れる…」

    ハンジ悟空「リヴァイは極直ストレートだもんね!」

    エルヴィン三蔵「太子ちゃんはこのツヤツヤストレートが一番だ!!」カイグリカイグリ

    リヴァイ太子「ばっ…!エルヴィン、止めろ!セットが乱れんだろうが!」イラッ


    ミケ八戒「セット…」

    ナイル悟浄「本番に備えてEXILE気取りでセットしてたぞ」ポリポリ←こちらも気合いのキュウリタイム



    リコ「黙って行動することは出来ないのか、あんたらは」←眉間にシワ


  32. 32 : : 2014/11/04(火) 21:51:16
    エルヴィン三蔵「では、本番行くぞ!シーン、ハロウィン魔方陣、テイク1!スタートおおぉぉ!!!」カチンコ!


    リコ「なぜ貴様がしきるうぅぅぅぅぅ!?」


    ♪♪ハロウィン体操第1~
    ♪ウィッ~チ!


    ナイル悟浄「エルヴィンしきりでも問題なく始まったな…」

    ミケ八戒「誰のしきりだろうが構わんしな、実際」

    リヴァイ太子「了解だ、エルヴィン。お前の判断に従おう」スチャッ


    ♪ヨーでるヨーでるヨーでるヨーでる
    ♪ようせいでるけん でられんけん
    ♪ヨーでるヨーでるヨーでるヨーでる
    ♪ようせいでるけん でられんけん

    ♪ローいれローいれ仲間にローいれ
    ♪友達大事!
    ♪妖精妖精妖精
    ♪ウィッチっち!


    魔方陣をぐるぐると周りながら、ハロウィン体操を口ずさみながら一糸乱れぬマジカルダンスが始まった。



    エルヴィン三蔵「おい河童!ワンテンポ遅れてるぞ!」

    ナイル悟浄「くっ…これが限界だ…!!」ヨロ…

    ミケ八戒「リヴァイは逆に動きがキレすぎてるが」

    リヴァイ太子「手は抜かんと言ったはずだ」キレッキレ!


    …二糸ほど乱れながらも、魔方陣を囲んだマジカルダンスは始まった。


  33. 33 : : 2014/11/04(火) 22:07:48

    ♪来い来い妖精
    ♪ウィッチっち!


    ジャン玉龍「…あれ…?なんか…急に霧が濃くなりましたね…?」ダンシン♪

    ハンジ悟空「ほんとだ!ドライアイスでも焚いてるみたい!急に視界が悪くなってきたよ!」ダンシン♪

    ナイル悟浄「…!」←踊るのに必死

    リヴァイ太子「…おい、エルヴィン…」キレッキレ♪

    エルヴィン三蔵「ああ、気づいている」ダンシン♪

    ミケ八戒「…」スンスン


    ♪どうしてカボチャは黄色いの
    ♪どうしてカボチャは黄色いの



    ハンジ悟空「なんか、霧でよく見えないけどカボチャ頭の人が増えてきてない!?」ダンシン♪

    ジャン玉龍「いや、カボチャ頭だけでなく…なんていうか、これは…」ダンシン♪

    ミケ八戒「…死臭…」ダンシン♪

    リヴァイ太子「…チッ…ゾンビどもか…」キレッキレ♪

    エルヴィン三蔵「白い布を被ったオバケみたいのもいるな」ダンシン♪



    ハンジ悟空「あー!!!私が見たのこれかも!?カボチャとオバケ!!!」ダンシン♪

  34. 34 : : 2014/11/04(火) 22:19:44
    ♪どわっはっはっはー!



    リヴァイ太子「魔方陣の中に、大量にハロウィンが発生してるぞ」キレッキレ♪

    エルヴィン三蔵「まさにTrick & Trick だな!面白いじゃないか!ハロウィン体操!!!」ダンシン♪


    ジャン玉龍「面白がってていいんですか!!オバケ召喚しちゃってますけど!!」ダンシン♪


    ミケ八戒「悪戯&悪戯…の域は越えているな」


    エルヴィン三蔵「ハロウィンだ!カボチャやゾン
    ビやオバケの少しくらい、構わんだろう。むしろ居ないと盛り上がらん!!!」ダンシン♪



    ジャン玉龍「カボチャはともかく、ゾンビやオバケが盛り上げ役ってなんですかあぁぁぁ!!」ダンシン♪


    ハンジ悟空「少しでもないしねぇ!たぁくさんいるよ!!」ヤッフゥ♪


    ミケ八戒「それでも踊り続ける辺り、満更でもないんだろう?」ダンシン♪スンスン♪




    ナイル悟浄「も…限界…」ハァハァ…ダンシン♪
  35. 35 : : 2014/11/04(火) 22:36:19
    ♪ハ・ロ・ウィ・ンのせいなのね、そうなのね!
    ♪ウィッチ!今何時?
    ♪一大事~!


    全員「♪ウィッ~ス!!」



    ジャン玉龍「…霧で視界はきかないけど、さっきよりずっと人…かオバケかわからないのが増えましたよね…」

    ミケ八戒「人ならぬものが大半だな…」スンスン

    ハンジ悟空「うっひゃあああああ!これぞハロウィン!!カボチャとオバケが芋洗い並みに溢れてきたよ!!」

    ナイル悟浄「はあ、はあ…お、襲っては来ない…ようだ…な」ハァハァ


    エルヴィン三蔵「河童、リズム感無さすぎだぞ!無駄な動きが多すぎだ!」

    ナイル悟浄「ええい、うるさいな…人には得て不得手があってだな…」ジョロロ←皿の水補給


    リヴァイ太子「なんにしろ、危害を加えないなら問題ない」



    リコ「あんた達…どんだけ魔力強いんだ…こんなに盛況なのは初めてだ…」ボーゼン



    魔方陣からあふれるカボチャやゾンビを見回しながら、リコは呆気に取られていた。

    霧の魔方陣の中央には、キング・ジャック・オー・ランタンが、燃え盛る炎を口の中に宿していた。
  36. 36 : : 2014/11/04(火) 23:03:57
    ナイル悟浄「まぁなあ…。そこらの魔法使いなんざ相手にならんリヴァイ太子に始まり、普段は単なる馬だが人化できるような天龍に、妖怪のなかでもそこそこ強い俺たちが3人もいるからなぁ…」


    ミケ八戒「ナイル、エルヴィン入ってないが」


    エルヴィン三蔵「精力なら強いぞ!試してみるがいいぞ、リコよ!!」


    リコ「自慢するなら法力のほうにしろ、エロ法師!」


    エルヴィン三蔵「二人でしっぽり、エロウィンナイトを過ごそうじゃないか!」


    リコ「やかましい!」


    エルヴィン三蔵「つれないな………。む!」

    リコ「…なに?」


    エルヴィン三蔵「」ガシッ

    リコ「え!?ちょっ…な、なに!?」


    エルヴィン三蔵「いいじゃあ、ないのぉ↑」ナデナデ


    エルヴィン三蔵は、魔女リコの白く小さな手を取ると、さわさわと撫でさすりながら、迫った。





  37. 37 : : 2014/11/04(火) 23:25:58
    リコ「え…えぇ…!!」


    エルヴィン三蔵「だからさぁ、いいじゃあ、ないのぉ↑」サスサス


    ナイル悟浄「まさかの日本エレキテル連合」

    リヴァイ太子「エルヴィンの野郎は地でいってるが」



    エルヴィン三蔵「ね?いいじゃあ、ないのぉ↑」


    リコ「…っ…」///


    エルヴィン三蔵「…」ジッ←サワサワ






    リコ「だ…ダメよぅ、ダメダメ!!」///






    ジャン玉龍「!!!」


    ナイル悟浄「ほぅ…」


    ミケ八戒「これは…」スン


    リヴァイ太子「…悪くない…」フム



    エルヴィン三蔵「よしよし、いい子だ、リコ」ニヤリ


    リコ「ち…違っ…こ、これはっ///」カアァッ//


    黒尽くめの魔女リコは、黒いフードの中の白い肌を完熟の林檎のように真っ赤に染めた。
  38. 38 : : 2014/11/05(水) 00:28:12
    エルヴィン三蔵「おやおや、ハロウィンにはカボチャ頭だけでなく、リンゴほっぺの魔女も現れるらしいな」クス


    リコ「だ…誰がリンゴだ!!失敬な!///」


    エルヴィン三蔵「そうしてふくれるとますますリンゴになるぞ」


    リコ「…っ!」///


    エルヴィン三蔵「リンゴ魔女は可愛いな。食べてしまいたいくらいだ」


    リコ「や…やめっ…///」



    ナイル悟浄「ツンツン魔女のデレを引き出すとは…」

    ミケ八戒「だてにエロ坊主やってないな、エルヴィンよ」

    リヴァイ太子「…チッ…ヅラが浮かない分だけ余計に歯の浮く台詞並べやがって…ハゲが…!」


    エルヴィン三蔵「(ピクッ)…なんだ、リヴァイ。焼きもちか?私の美しい剃髪にいわれのない暴言が聞こえた気がするが…」



    頭髪に関する話には、どんなに小声でも反応するデビルイヤーの持ち主、それがエルヴィン三蔵であった。




    ジャン玉龍「いや、坊主がデビルイヤーってまずいんじゃね?普通に地獄耳って言っとけよ…」


    ナレーションにも突っ込むことを覚えた馬面のジャン玉龍であった。


    ジャン玉龍「…馬面は余計だろっ!!」





  39. 39 : : 2014/11/06(木) 01:48:30
    ハンジ悟空「ねぇねぇ!!これすっげぇ!!」


    法師の頭髪の真相など我関せずのハンジ悟空は、素っ頓狂な声をあげた。


    ナイル悟浄「なんだハンジ…お前…何連れてきたんだ」


    ミケ八戒「ピンクの…オバケ…?」


    リヴァイ太子「こいつは…バ…バーバパピー!?」


    ハンジ悟空「リヴァイ惜しい!!意味はあってる!バーバパパだよ!!」


    ハンジ悟空の背を越えるほどのピンクの巨大な粘体は、ぱっちりとした瞳をぱちくりさせながら頷いた。


    エルヴィン三蔵「婆なのかパパなのか、よくわからんが細かいことなどどうでもいい!Trick & Treat !だ、バーバパパよ!!」


    エルヴィン三蔵が握手を求めるように右手を差し出すと、バーバパパは触手のように伸びるピンクの腕を差し出して、握手した。


    すると、どこからか歌が流れてきた。


    ♪Trick Trick バーバトリック

    ♪でっかいな~
    ♪ちっちゃいな~


    エルヴィン三蔵「でっかいとは私か…ミケのことか?」

    リヴァイ太子「…ちっちゃいってのは、俺に向かって喧嘩売ってるわけじゃあ、ないよな?」


    ♪怒ってる~
    ♪笑ってる~


    ハンジ悟空「ちょっ…リヴァイ、歌詞そのまんま!面白すぎ!」ヒャハハハハ!


    ♪ゆーらゆらゆら
    ♪ぴーひょろぶかぶか
    ♪仲よしこよし、仲よしこよし
    ♪バーバ バーバ トリッ~ク


    ピンクのオバケに促されるまま、ハンジ悟空達は輪になって仲良く踊っていた。

    ナイル悟浄も、ワンテンポ遅れながらもピンクのオバケのキュートでハッピーな表情に、思いがけず楽しくステップを踏んでいた。


    ナイル悟浄「なんだか楽しいオバケだな!」
  40. 40 : : 2014/11/06(木) 01:57:58
    ナイル悟浄の声に、ぱっちりとした瞳に愛らしい笑みをたたえながら、バーバパパは呪文を唱えた。


    バーバパパ「バーバぁ、トリック♪」


    バーバパパは粘土のような柔軟性で己が姿を変形させ、一瞬のうちに、ピンクのナイル悟浄になっていた。


    ナイル悟浄「おお!俺がいる!すごいな、そっくりじゃないか!!」

    ナイル悟浄は、ピンクの自分の頭の皿に触れて確かめた。

    ナイル悟浄「…さすがに、水はなくとも大丈夫なんだな」

    ハンジ悟空「変身しても、バーバパパだからねぇ。そこまでのリアリティーは追求できなかったみたいだね」アハ


    ナイル悟浄「それでもかまわん。お近づきの印に、おひとつどーぞ」つ【キュウリ with 味噌マヨ】


    バーバパパはナイル悟浄からキュウリを受けとると、一口で丸呑みした。

  41. 41 : : 2014/11/06(木) 02:10:10
    エルヴィン三蔵「味噌マヨ!!!俺にも!Trick & Treat !」

    ミケ八戒「あくまで両方にこだわるんだな」


    ジャン玉龍「味噌マヨはTreat扱いなんですか」



    キュウリを丸呑みしたピンクのナイル悟浄は、今度はエルヴィン三蔵に向き合い、再度呪文を唱えた。


    バーバパパ「バーバあ、トリック!!」


    リヴァイ太子「…ピンクのエルヴィン…本質を表してはいるな」


    ハンジ悟空「てか、これ外に置いておいて大丈夫かなってくらい卑猥」


    ナイル悟浄「ピンクのエルヴィンだからな…わいせつ物陳列罪でしょっぴかれるから早く元に戻った方がいいぞ、バーバパパ」


    エルヴィン三蔵「お前らは俺を何だと思ってるんだ…」

    エルヴィン三蔵は、眉根を寄せた。



  42. 42 : : 2014/11/06(木) 17:46:18
    その後もバーバパパは、ミケ八戒になったりジャン玉龍になったりと変化の技を見せてくれた。

    そして、ハンジ悟空に変化すると…


    ハンジ悟空「うわあぁぁぁぁぁ!私が!二人いるよ~!!!すごいすごい♪わぁ~い!!」


    子供のようにはしゃぐハンジに手をとられ、ひとしきり踊ったあとで、


    ハンジ悟空「ちょっとだけドライブに行ってくるね♪」

    と言うが早いか金斗雲を呼ぶと、ピンクのハンジ悟空と共に空高く消えていった。


    リヴァイ太子「…俺も…バーバパパ…」クスン


    一人バーバパパに変身してもらえなかったリヴァイ太子は、恨みがましく金斗雲の消えた天空を睨んだ。



    ジャン玉龍「リヴァイ太子って、ドラえもんとかバーバパパとか、愛嬌のあるキャラ好きっすよね、意外と」

    ミケ八戒「単にミーハーなんだろ」

    エルヴィン三蔵「…元気出せ、太子ちゃんよ!」ポン

    リヴァイ太子「…俺の心の傷はちょっとやそっとでは埋められん…てことで、ぎぶみーちょこれいと!」


    リヴァイ太子は、傷心を癒すスイーツを所望した。






  43. 43 : : 2014/11/06(木) 17:56:06
    リヴァイ太子「もぐもぐ」♪


    エルヴィン三蔵「太子ちゃんがおねだりした上に、口の端にチョコつけながらチョコパイ食っとるとは!!萌え殺す気か!?」ハァハァ


    リヴァイ太子「む…口の端に付いてたか…」ペロッ


    エルヴィン三蔵「あああああ!ベロで舐めとるとか!ペコちゃんみたいで可愛すぎるぅ!言わないで私が舐め取ってやれば良かったあぁぁぁぁ!!」



    リコ「…なんだ、あれ…」


    ナイル悟浄「病気だ。目を合わせちゃいかんぞ」

    ミケ八戒「遠くから生ぬるく見守るのが正しい身の守り方だ」

    ジャン玉龍「あの人のアレにあんまり驚かなくなった自分がちょっと怖いですよ、俺は」


    リヴァイ太子にちょっかいを出すエルヴィン三蔵を遠巻きに生ぬるく見守る一行であった。
  44. 44 : : 2014/11/06(木) 18:03:05
    ナイル悟浄「それにしても、本当にいろんなオバケがいるな」


    ミケ八戒「中には有名オバケも混じっているようだが…」


    ジャン玉龍「あっちに飛んでるのはキャスパーですよね?」


    ナイル悟浄「その向こうにはQ太郎もいるな…」


    ミケ八戒「…『ヒミコさま~!!!』」オサゲ


    ナイル悟浄「そっちじゃない」


    ミケ八戒「わかっているさ。ボケただけだ。オバQだろ」


    ナイル悟浄「普段やらん奴が急にボケると心臓に悪い…」

  45. 45 : : 2014/11/06(木) 18:48:02
    ミケ八戒「…おい、あそこに首なし集団がいるぞ」

    ナイル悟浄「自分の頭放り投げて遊んでるように見えるんだが…」

    ジャン玉龍「…悪趣味…」


    リコ「首なし狩りクラブがいるって!?」


    魔女リコは目の色を変えて首なし集団を探し、カボチャ頭やゾンビでごった返す広場を首なし集団に向かって走り出した。


    エルヴィン三蔵「おい、急にどうしたんだ、リコ?」


    リヴァイ太子「急に便秘が解消されてクソに急いでるんじゃないか」モグモグゴックン

    ミケ八戒「リヴァイ、食べながらする話じゃないぞ」


    ジャン玉龍「それ以前に、トイレに向かった訳じゃないのわかってるでしょーが!」


  46. 46 : : 2014/11/06(木) 19:14:53
    エルヴィン三蔵一行は、駆け出したリコを追って有象無象にわいているカボチャ頭やゾンビや魔法使いをすり抜けながら広場を移動した。


    ようやく追い付いた時には、銀髪の小柄な眼鏡魔女は、ひだ襟服にタイツを着用したゴシック感漂うゴーストにつかまっていた。


    ???「これはこれは、レディ・リコ、ごきげんよう。今宵はまた大変賑やかでけっこうな夜ですな」


    リコ「やぁ、今年も会ったね、サー・ニコラス。悪いけど、ちょっとばかり急いでるんだ」


    サー・ニコラスと呼ばれたゴーストは、半透明な体をぷかぷかと宙に浮かせながら、残念そうに頭をふった。


    サー・ニコラス「レディ・リコ、貴女もやっぱりお目当ては首なし狩りクラブなのですかな?
    今日は私の絶命日でもあるというのに、お祝いの一言もくださらないほどお急ぎで?」


    リコ「ああ、そうだったね、サー・ニコラス。ごめんね。絶命日おめでとう」


    サー・ニコラス「祝辞を強制したようで恐縮です…が、ありがとうございます。今日は私が切れ味の鈍い斧で45回も切りつけられて処刑された記念の日です…。
    …あの斧さえ切れ味の良いものであったなら、今頃私も首なし狩りクラブでさぞかし活躍をして人気者だったでしょうに…」


    サー・ニコラスはくどくどと話続ける。
    魔女リコは、困ったような苦笑を浮かべる。


    リコ「貴方は今でも、寮つきゴーストとして人気者だよ、ニック」


    ジャン玉龍「ああっ!あれ、『ほとんど首なしニック』だ!!!」


    魔女リコとの会話を黙って聞いていた一行のなかで、突然ジャン玉龍は叫んだ。
  47. 47 : : 2014/11/06(木) 22:51:52
    サー・ニコラス「ほとんど首なしニック…!その名は…忌まわしい名前えぇぇぇ!」

    サー・ニコラスはそう叫ぶと、ひだ襟に隠れた首の切り口からカックリと生きてるものにはあり得ない角度に頭をもたげ、辛うじて1センチだけくっついた首をぶらぶらとさせながら、ジャン玉龍めがけて翔んできた。


    ジャン玉龍「うわあぁぁぁぁぁ!!!」ビクッ


    スピードを落とすことなく襲いくるゴーストに、ジャン玉龍はなす術もなく、両手で頭を守るのが精一杯だった。


    するり

    ぞくり

    ひやり


    半透明のゴーストは、ジャン玉龍の体をすり抜けた。



    ジャン玉龍「ゴーストに通り抜けられるの、寒気がして気持ち悪い…」グッタリ



    リコ「サー・ニコラスを怒らせるからだよ…」


    腰を抜かしたジャン玉龍に手を差しのべながら、魔女リコはつぶやいた。
  48. 48 : : 2014/11/06(木) 23:11:03
    リコ「サー・ニコラス…ニックは、某有名魔法魔術学校の寮つきゴーストで、神父で椅子職人でもある器用なゴーストだ」


    ニック「うむ。神聖な壁に手をかけることは許されない冒涜だ!」

    ミケ八戒「椅子職人…」

    ニック「世を忍ぶ仮の姿だ」


    ナイル悟浄「で、今日が絶命日で、首が離れきっていないことに不満があるのだな…」


    ニック「首なし狩りクラブの連中は、自分達こそが真の騎士道にあるものとして、これ見よがしに首を放り投げる…!
    首が離れていないゴーストは気の毒だと言わんばかりに…」グヌヌヌヌ


    ミケ八戒「ゴーストの世界も大変そうだな」スン


    ニック「ここ数年は、特に凄腕の新入りが入ってパフォーマンスのレベルが格段に上がったとパトリック卿は鼻高々だ」


    リヴァイ太子「ほぅ…凄腕の新入り…」


    ニック「あそこで首なし馬術競技のデモンストレーションをしている」


    ニックは大勢のハロウィン仮装集団が集まっている一角を顎で示した。
  49. 49 : : 2014/11/06(木) 23:27:26
    ナイル悟浄「おお!あれは…空高くたくさんの首が舞っているぞ!」

    リヴァイ太子「首が離れてる間に、体の方は馬上でアクロバティックな動きをして、なおかつ正確に自分の首をキャッチしてやがる…なかなかやるな…」


    ジャン玉龍「子供が見たらトラウマもののグロさですけどね」


    エルヴィン三蔵一行が首なし馬術競技を遠巻きに観るのを尻目に、魔女リコは馬術競技を取り巻くカボチャ達をかき分けて競技場に近づいていた。

    その頬は、少女のように紅潮していた。


    エルヴィン三蔵「またしてもリンゴのほっぺのリコは何を探しているのかな?リコには何が見える?」ヌッ


    背後から音もなく近づいた法師に、急に両肩に手をかけられ、艶のある低音で耳元で囁かれた銀髪の魔女は、飛び上がるほど驚いた。


    リコ「きゃあああ!!!」
  50. 50 : : 2014/11/06(木) 23:47:12
    リコの叫び声に、首なし馬術競技は一瞬動きを止めた。


    エルヴィン三蔵「驚きすぎじゃないか?リコ。それとも耳が弱かったか?」クス

    リコ「いきなりあんな声のかけられ方されたら誰でも驚くわ!エロ法師!!」


    魔女リコとエルヴィン三蔵のやり取りに気づいたのか、首なし馬術を率いていたリーダーが、他のメンバーに競技の継続を指示すると、二人のもとに馬を向けた。


    観客達は馬の進行を妨げないよう、道を開ける。

    馬上の人物は、器の大きさを感じさせる暖かく落ち着いた声で語りかけた。

    ???「やぁ、リコ。今年も来てくれたんだね」


    そういって、馬を降りた。

    そして、リコに近寄ると彼女が目深に被っているフードを下ろしながら言った。


    ???「一年ぶりなのだから、もっとよくその可愛い顔を見せてくれ」


    魔女リコの頬は、ますます赤みを深くした。
  51. 51 : : 2014/11/07(金) 00:51:50
    フードを下ろした魔女の銀髪には、大きな真っ赤なリボンが付いていた。


    エルヴィン三蔵「ほう…魔女の宅急便コスプレだったか」

    リコ「違っ…これは…今年はイアンが…箒を用意するって…いうから…///」

    ミケ八戒「リクエストに応えたってことか」

    リコ「そ、そんなんじゃあ…そ、そうだ!ハロウィンだしな…少しくらい仮装してみた…だけだ…」//


    リボンと同じくらいに顔を赤らめたリコの歯切れは明らかに悪く、あからさまに照れていた。


    イアンと呼ばれた青年は、鍛練で引き締まった長身細身で年のわりにどっしりとした物腰に、渋いマスクの金髪であった。


    イアン「ああ、教えてくれリコ。どうしたらそんなに可愛らしくなれる?」

    リコ「なっ…何を言っている!イアン…!」///

    イアン「俺のために赤いリボンを付けてきてくれたのだろう?よく似合っている」

    リコ「…約束…だからな…//」

    イアン「俺のためにリコを宅急便で届けてくれ」

    リコ「…また!そんな…!ふざけたことを…///」

    イアン「箒なら用意した。競技用ではないが、業務用で安定した飛行がウリだ」

    リコ「イアン…あ、ありがとう…///」

    イアン「どういたしまして。ハッピーハロウィン、リコ」


    渋い金髪の騎士は、魔女の銀髪を掬うようにかきあげると、愛おしそうに頭を撫でた。
  52. 52 : : 2014/11/07(金) 01:08:51

    エルヴィン三蔵「くっ…歯が浮くような台詞をすらすらと喋りやがって…!」


    ジャン玉龍「あんたも似たような台詞いってんでしょうが」

    エルヴィン三蔵「私が言ってもどこ吹く風というリコが、嬉しそうにしているのが気に食わん!!!」ゴゴゴ


    ナイル悟浄「一人の女性に誠実なイケメン度では向こうに軍配が上がるのは当然だろう」


    ミケ八戒「魔女リコは、こいつに会いたい一心で俺達を魔方陣に協力させたということか…」


    エルヴィン三蔵「くっ…首なし野郎のクセに…クッソムカつく!!!」


    リヴァイ太子「同感だ、エルヴィン。どうする?お前の判断を信じよう」


    エルヴィン三蔵「あいつの首を蹴り飛ばしてしまえ!!」


    ジャン玉龍「えっ!ちょっ…!待っ…!!」


    リヴァイ太子「了解だ、エルヴィン」


    言い終わるのが早いか地面を蹴ったのが先か、エルヴィン三蔵の指示に反応したリヴァイ太子は、小柄な体で俊敏な動きを見せた。
    バネのように勢いよく地面を蹴って跳び上がると、くるくると体を回転させて、遠心力を利用して通常の数倍の強さの蹴りを首なし馬術の渋いリーダーの頭部に見舞った。


    リヴァイ太子「君よ!星になれ!!!」


    返答するまもなく、イアンの頭部は銀髪をなびかせて天高く飛んでいった。


    リコ「ああああああああ!!!何しやがる!このクソ坊主ども!いい気になりやがって!!」ガシッ


    リヴァイ太子「…早く追わないと見失うぞ…?」


    怒りのあまりエルヴィン三蔵につかみかかるリコに、リヴァイ太子は冷静に告げた。


    リコ「っ…!!イアンの体!私の箒に乗って!!!」


    まさに首を失った首なしの体の手を引いて、今しがた受け取ったばかりの箒に跨がらせ、自分もその前に跨がると、リコは砂ぼこりを撒きちらしながら、高速でイアンの頭部を追いかけて飛び立った。


  53. 53 : : 2014/11/07(金) 01:26:17
    ジャン玉龍「今のはいくらなんでも酷すぎます!!」


    ジャン玉龍は、義憤にかられて法師に抗議した。


    ジャン玉龍「一年に一度しか会えないのに、あんなことされて…頭探して終わっちゃうかもしれないじゃないですか!!!」


    エルヴィン三蔵「ふん…。そんなこと、私の知ったことではない」


    ジャン玉龍「…っ!あんたって人は…心底クズだ!!」

    リヴァイ太子「ハッ…これだからガキは困る」


    激昂するジャン玉龍に、リヴァイ太子は反駁した。


    リヴァイ太子「首なし狩りクラブのやつらは、自分の頭なんかはすぐに見つけるだろうが。
    だが、リコはこの雑踏のハロウィン広場では、あの非の打ち所のないのが勘に障るイケメンと二人きりになどなれないだろうが」

    ジャン玉龍「えっ…?」

    ミケ八戒「エルヴィンなりの、二人へのハロウィンの贈り物、ということか…」スン

    ナイル悟浄「素直にお膳立てしてやらない辺りがエルヴィンだな」

    ジャン玉龍「…何すか…それ…超カッコいい…」


    エルヴィン三蔵「黙れ、河童め。河童はキュウリでも食ってろ。私はただ、首なしだとプレイに幅が出そうだから、後で感想を聞いてやろうと思っただけだ」フン


    エルヴィン三蔵は、得意の含み笑いで応じた。


  54. 54 : : 2014/11/07(金) 01:51:12
    エルヴィン三蔵「さて、リコもいなくなったし、私はTrick & Treat のハロウィンを楽しみに行ってくるぞ!」

    リヴァイ太子「…一人で行くのか…?」

    エルヴィン三蔵「…このハロウィン町のハロウィンは、古代ケルトの儀式色が濃いようだ…皆それぞれ縁のある死者との時間を過ごすがいい…」


    ナイル悟浄「…そうか…お前にも…一人で会う必要のあるものが…いるのだな…」


    エルヴィン三蔵は、ナイル悟浄の問いかけには答えず、振り返らずに後ろ手に手を振った。



    リヴァイ太子「…死者との交流を、1日だけ可能にする秘法、か…」

    ナイル悟浄「東洋では、お盆と行って、先祖が現世に戻ってくる日があるそうだ。ハロウィンとは、そうしたお盆のような意味があるのかも…しれないな…」

    ジャン玉龍「死者との…交流…」

    ミケ八戒「ふ…む…」スン


    広場に残ったメンバーは、ハロウィン町のハロウィンについて至極真面目な論議をしていたその時、
    一際目立つゾンビの1群が横を通りがかった。

    ???「ジャン…?ジャンじゃないか?」

    中の一人から声をかけられ、ジャン玉龍は振り向いた。
    そこには、顔面を半分失った姿で微笑むそばかすの少年の姿があった。

    ジャン玉龍「マルコ…お前…マルコ…なのか…」

    愕然とするジャン玉龍に、微笑みを破顔の笑顔に変えた少年は応えた。

    マルコ「そうだよ!ハッピーハロウィン、ジャン!!これ、なかなかドッキリする姿だろ!?僕、今年のベストホラー賞を狙ってるんだ!!」

    少年は屈託のない笑顔を見せた。





  55. 55 : : 2014/11/07(金) 02:02:02
    ジャンが旧友の変わり果てた姿に再開していると同時に、リヴァイ太子にもこっそりと接触を図るものたちがいた。

    ???「…長…兵長…!!!」

    リヴァイ太子「…!…お前たち…なぜ…」

    ???「ハッピーハロウィンだからですよ!兵長!」

    ???「美味しいお菓子と紅茶を用意していますから!」

    ???「ふっ…兵長、あの言葉を言ってくださいよ。Trick or Tr…ガリィッ」

    ???「ちょっと!相変わらず何舌噛んでるのよ!?もう!そのまま死ねばいいのに!!」

    ???「いや、俺たちもう死んでるから」

    ???「兵長、俺たちのお茶会に、来ていただけますか? 」


    リヴァイ太子「…ああ…、もちろんだ…」


    3人の男たちと、1人の小柄な女性で構成された4人組とともに、リヴァイ太子はそっと広場を後にした。

  56. 56 : : 2014/11/07(金) 02:12:33
    ナイル悟浄「さて、俺たちだけになってしまったな…」

    ミケ八戒「ああ…そのようだな…」


    ニック「おやおや…。お仲間は如何したのでしょうか?」

    ナイル悟浄「皆、この町のハロウィンで思いがけない再開を果たしているよ」


    ニック「それはそれは…この町のハロウィンは特別ですからな。日付が替わるその時まで、じっくり語り合うと良いです」


    ナイル悟浄「語り合う相手がいれば、な」


    ナイル悟浄の言葉に、ニックの瞳がキラリ、と光った。ニック「先程もお話ししましたが、今日は私の絶命日でもあるわけです。よろしければ、私の絶命日パーティにご参加いただけませんでしょうか!?」(☆∀☆)


    ナイル悟浄「…まあ、他にやることがある宛もないし…行ってみるか、ミケよ」






    ナイル悟浄は、返事がないことにようやく気づいて振り返ると、そこにミケ八戒の姿はなく、オバケのQ太郎がどんぐり眼でじっと見上げていた。



    ナイル悟浄「いなくなるならいなくなるって言ってくれ…」シクシク


    嘆き始めたナイル悟浄を、オバケのQ太郎はよしよし、と慰めた。
  57. 57 : : 2014/11/07(金) 22:26:58
    ナイル悟浄がほとんど首なしニックと話している間に、ミケ八戒は記憶の奥底に眠る懐かしい香りが微かに鼻腔を刺激するのを感じていた。


    いつどこで嗅いだのか思い出せないけれど、特別な感情を伴う香り。
    ひどく胸を焦がすような、それでいてなぜか落ち着くような…。


    目が隠れるほど重めに整えた金髪の前髪の隙間から、意外なほど優しげな瞳を、今は鋭く光らせ、髭の上の大ぶりの鼻をひくつかせて、途切れてしまいそうなほどわずかな香りを追い始める。


    190センチを越える大柄なミケ八戒の前には、夜が更けていくと共にますます勢いを増すたくさんのカボチャやゾンビで溢れていた。


    ミケ八戒は、狂乱のハロウィンナイトなど視界に入らないかのごとく、嗅覚だけを頼りに進み続ける。


    軽やかで柔らかく、ほんのりと上品でありながら刺激的な、上質のフランキンセンス…古代では黄金に匹敵するとされた乳香に良く似た香りのもとへと…。

    喧騒の広場を抜け、魔法使いやカボチャ頭が葡萄酒を酌み交わす石造りの町並みを通りすぎ、家々がまばらになるとともに、ハロウィンを楽しむ人影もほとんどなくなった。

    周りには月明かりと秋の虫の声だけになったかと思われたが、ミケ八戒は求める香りが強く濃く感じられるようになっていることを確信していた。





    ???「…よく…見つけたね。流石、と言うべきかな?」




    町外れの小高い丘の上で、月明かりに照らされた金糸のように繊細に揺れる髪の主…即ち香りの主は、ミケ八戒に向けて言葉を発した。
  58. 58 : : 2014/11/07(金) 22:49:44
    ミケ八戒「ああ…。記憶は失われても、俺の鼻は忘れていなかったようだ…」


    もともと表情豊かとはいえないミケ八戒ではあるが、月明かりに照らされた髪の影で、更に表情が読めなくなっていた。


    顔に影を落としながらも、歩みを止めずに近づいてくるミケ八戒を見上げ、香りの主は同じくかすかにしか変化させない口元にふわりと笑みを浮かべて、眩しそうに目を細めた。


    ???「それは光栄だな。貴方の自慢の鼻が私を覚えていてくれたなんてね」


    ミケ八戒「…姿を見るまで、記憶は失われていた…すまない、ナナバ」


    ナナバと呼ばれた人物は、ミケ八戒の口から己の名を聞くと困ったような嬉しいような、曖昧な笑みで応える。


    金糸のような髪だけではなく、姿そのものが月明かりに透けて溶けてしまいそうな繊細な雰囲気を醸すナナバは、信仰の対象となる美術品のような中性的で神秘的な輝きを放っていた。



    ナナバ「貴方の口から私の名を聞けただけで十分だよ、ミケ」


    落ち着いたトーンの声もまた、天上の音楽のように響いた。
  59. 59 : : 2014/11/07(金) 23:02:58
    ナナバ「まぁ、座りなよ」

    丘の上の岩に腰かけたナナバは、ミケ八戒に自分のすぐ隣に並ぶ岩を示した。


    ミケ八戒は黙ってナナバの示した岩に腰を下ろした。


    ナナバ「…久しぶりだね、貴方とこうして空を眺めるなんて」

    明るく光る月を見上げ、ナナバはその美しい金の髪を無造作にかきあげ、シャープな輪郭をあらわにする。


    ナナバの美しい横顔を眺めるミケ八戒の瞳は一瞬複雑な色を浮かべ、何か言おうと口を開きかけたが、すぐにフッと口の端で微笑すると、ナナバと同じ月を見上げた。


    ミケ八戒「ああ…良い月だ…」


    ハロウィンで沸く町の喧騒とは違う時間軸にいるかのように、穏やかで静かな時の流れを二人は共有していた。
  60. 60 : : 2014/11/07(金) 23:25:41
    ナナバ「…それで?貴方はまたエルヴィンといるんだ?」


    月夜と同化してしまいそうに繊細な印象のナナバは、落ち着いた穏やかな声でミケ八戒の耳元をくすぐるように問いかける。


    ミケ八戒「…ああ…。だが、ここでのエルヴィンは一層自由で破天荒だ。何しろあいつが坊主などやってる辺りがふざけている…」


    ナナバ「へぇ、エルヴィンがお坊さんねえ…。まあ、破天荒はもともとだけどね」


    ミケ八戒「リヴァイも付かず離れずで、なんだかんだと、エルヴィンの近くで動いている」


    ナナバ「付かず離れずか…リヴァイらしいな…」


    ミケ八戒「あのリヴァイが、甘いものには目がなくてな。よくいじられている」


    ナナバ「リヴァイが…?それは私も見てみたいな…」


    ミケ八戒「そんなリヴァイを猫可愛がりしたり、好き放題しているエルヴィンは、ハンジの奇行が目立たないほど吹っ切れてるぞ」


    ナナバ「ハンジも一緒なんだね。…なんだかんだと、貴方たちは皆腐れ縁なんだなぁ」


    フフ、と苦笑するナナバ。
    その横顔を見つめるミケ八戒の視線は、限りない優しさを湛えていた。




    ナナバ「…貴方たちはまだ、戦い続けているんだね…」



    優しく自分を見つめるミケ八戒の視線に気づいているのかいないのか、月よりも遠くを見つめるような瞳でナナバは呟いた。
  61. 61 : : 2014/11/08(土) 00:45:27
    ナナバ「…あの日…貴方の鼻がウォール・ローゼ内の巨人を捉えた日…」


    ナナバは天を仰いだが、その瞳が見ているのは、はるか過去の記憶。



    ――――――
    ―――――
    ―――


    ミケ「前方だ。鼻でわかる限り、あの一帯に9体いる」


    ナナバ「再び…壁は破壊されたと…そう…捉えるべきなのかな」


    瞳を見開いたまま、ミケは言葉を発さなかった。


    ナナバ「事実上…ウォール・ローゼは突破されてしまった…」


    いつもは冷静なはずのナナバも、事態の深刻さに動揺を抑えきれず、見張り台にしていた屋根の上で膝を折り、崩れるように座りこんだ。


    ナナバ「私たち…人類は…………負けた………」


    愕然として青ざめたまま動き出せずにいるナナバ。
    その背中に、沈黙を破ったミケは毅然として言った。



    ミケ「いいや、まだだ」



    ナナバは今にも折れそうな心が、ミケの温かみのある低音の声に力強く支えられるのを感じた。


    ミケ「人は戦うことを止めたとき初めて敗北する」


    眼下を、馬を出す命を受けた新兵たちが丸腰のまま慌ただしくかけずっている。
    すぐそこまで巨人が迫る中で、彼らに戦闘服を与えている余裕はなかった。

    そうだ、あの子達のためにも―



    ミケ「戦い続ける限りは、まだ負けてない」



    ここで私たちが弱音を吐いているわけにはいかないんだ。


    ミケの言葉はナナバの心深くに染み入り、細胞に刻まれた闘争本能を刺激した。


    ナナバ「…情けないところは、見せられない…」


    ミケの言葉に戦意を取り戻したナナバは、ゆっくりと立ち上がる。その瞳には、悲壮なまでの決意が滲んでいた。


    ミケ「さぁ…戦うぞ」


    情報が圧倒的に不足し混乱した状況下で、ナナバはミケと肩を並べて戦闘体制に入った。


    ―――
    ――――
    ―――――




    ナナバ「あの日、貴方の言葉があったから、私は最期まで戦えたんだよ、ミケ」


    ミケ八戒「…」


    ナナバ「そして貴方はまだ、戦い続けているんだね」


    ナナバは憂いを含んだ眼差しで、ミケ八戒を見つめた。
  62. 62 : : 2014/11/08(土) 01:11:41
    ミケ八戒「…あの頃の戦いとは、全く違う…」

    ミケ八戒は、寡黙な口を開いた。


    ミケ八戒「…俺はお前が思うほど立派な男ではない…」


    月明かりに照らされながら、ナナバは黙ってミケ八戒を見つめている。


    ミケ八戒「カッコつけてお前を焚き付けた割に、最期には戦意を失ってしまった…情けない男だ…」


    立ち上がり、月を仰ぐミケ八戒の表情は月影に隠れて見えなかったが、金の髪は体の動きに合わせてさらりと流れた。


    ミケ八戒「…俺がまだ戦っているというなら、おそらくは戦うことを止めてしまった過去があるからなのだろう」


    ナナバは訥々と話すミケ八戒を見上げたが、やはり表情は確認できなかった。


    ナナバ「そうか…。たとえそうだったとしても、今でも貴方は私の誇りだよ、ミケ」


    ナナバは岩の上に立ち上がり、表情の見えないミケ八戒と目線を合わせた。


    ナナバ「…叶うことなら、私はまた貴方の隣で戦いたいと思っているよ」


    そういって、両手でミケ八戒の両頬をふんわりと包んだ。


    ナナバ「もうすぐ日付が変わる…だから、貴方に言っておかなきゃいけないことがある」


    ナナバは愛しいものを愛でるように優しく微笑むと、包み込んだミケ八戒の頬を軽く前に倒し、その額に自分の額を重ねた。


    ナナバ「ハッピーハロウィン…そして…ハッピーバースデー、ミケ…」


    遠く町の広場の方から、ハロウィンの終演を告げる鐘の音が響いてきた。



  63. 63 : : 2014/11/08(土) 01:26:53
    コツン、と重ねた額は鐘の音と共に透けていく…。


    ハロウィンの魔方陣の効果は、当日限定だ。
    日付が変わると、魔方陣から現れた死者は姿を維持することができない。


    ハロウィンで一夜限りの再開を果たしたミケ八戒とナナバも、日付が変わりミケ八戒の誕生日を迎えると共に、再び別れの時を迎えたのだった。



    薄れゆくナナバの姿は神々しいまでに美しかった。
    口下手のため、こんなときになんと言うべきか言葉がみつからず、ミケ八戒は瞬間的に混乱した。

    急に舌がもつれたような感覚に陥りながらも、なんとか口を開く。


    ミケ八戒「ま…待て!ナナバ!…俺は…俺はお前の…」


    光に包まれながら微笑むナナバに、続けてミケ八戒が放った言葉は…






    ミケ八戒「…お前の性別が気になって仕方ない!どっちなんだ!?」





    ナナバ「…そこ…!?」


    全身に光を浴びるナナバが、軽くずっこけた。
  64. 64 : : 2014/11/08(土) 01:36:48
    ナナバ「仕方がないなぁ…ミケ…私はね、お…」


    ナナバの返答は、途中で光に飲み込まれた。


    町外れの丘の上には、岩場に佇む巨漢のミケ八戒と、月明かりだけが残されていた。

    遠く町の灯りもほとんどが消えて、日付の変わった一瞬で、狂乱のハロウィンの一夜の終わりを示していた。


    ミケ八戒はナナバに触れられた頬をなぞり、確かにそこに感じたぬくもりを確かめると―




    ミケ八戒「…やぁだあああぁぁぁぁ!テンパってしようもないこと聞いた上に、結局性別不明のままとか!!いやあぁぁぁぁぁぁ!!」


    己の愚かな言動に、軽く発狂した。
  65. 65 : : 2014/11/08(土) 01:57:24
    ミケ八戒が放心状態で広場に戻ると、カボチャ頭や魔女の類は生きてる人間だけになり、ゾンビやゴーストは全て姿を消していた。


    ナイル悟浄とジャン玉龍、それにいつ戻ったのかハンジ悟空はへべれけになってゴキゲンであった。


    ハンジ悟空「ありぇ~!ミケだあ!もー、どこ行ってたんだよぉ~。バーバパパ帰っちゃったよぉ!!」ウィ~


    ナイル悟浄「ほとんど首なしニックも、寮の門限だと言って帰ってしまったぞ~」ヒック


    ジャン玉龍「今年のベストホラー賞、俺のダチ同士がすごい接戦だったんですよ!あれ見逃したのは勿体ないなぁ~」←素面だけど興奮状態



    そのすぐ脇では、目をハートマークにした魔女リコが赤面したまま放心していた。


    リコ「あぁ…イアン…。そんな…そんなこと…だ…ダメよ…ダメダメっ///」


    リヴァイ太子「…全く抗ってるように聞こえねぇんだが…」チッ


    何故かサンタのような大きな袋に大量のお菓子を持ったリヴァイ太子が、魔女リコの様子に舌打ちをした。


    ハンジ悟空「リ~ヴァイ!!何それ!?サンタさん!?ハロウィン終わったばっかだよ!気が早すぎない!?」ヒック

    リヴァイ太子「寄るな、酒くせぇ!これは…あいつらが、どうしても持っていけって…言うから…仕方なく…
    」ガシッ


    ミケ八戒「…仕方なく、と言うわりに死守する構えなんだが」

    いつものメンバーのいつものペースに、やや拍子抜けしたミケ八戒であった。


  66. 66 : : 2014/11/08(土) 02:36:16
    ミケ八戒「おい、約1名足りないようだが」


    ナイル悟浄「あー?あれか、オバQか…あいつ、キューリのキューちゃんと名前似てるから可愛くて良いよな」ウイック


    ジャン玉龍「ナイルさん、酔っぱらいすぎっすよ~!そんでキュウリ食い過ぎ!そんなにキュウリばっか食ってると、河童になっちゃいますよ~」


    ナイル悟浄「なっちゃう~って、もう河童だっつーの!!」ヒャハハハハ


    リヴァイ太子「笑い上戸…」


    ハンジ悟空「ナイルはあれだね、常に飲ませとけば面白くて楽しいんじゃない!?これからは朝食に酒仕込んどこうか!?」


    酔っぱらいと通常モードでテンションの高い一行は、わいわいがやがやとハロウィンの余韻を楽しんでいた。

    そんな和やかな中に忍び寄る白い影。




    エルヴィン三蔵「…おい、教えてくれ。君たちはいつまでバカ騒ぎを続けるつもりなんだ?」


    珍しくまっとうなエルヴィン三蔵が広場に帰還した。





  67. 67 : : 2014/11/09(日) 20:37:36
    ハンジ悟空「エルヴィ~ン!どこ行ってたんだよぉ!ハロウィン終わっちゃったよ~!?…って、あれ…?」


    旅の中心人物である法師の姿に駆け寄ろうとしたハンジ悟空は、法師の異変に気づき歩みを止めた。


    ミケ八戒「…おい、エルヴィンよ。誰だ、それ」


    ナイル悟浄「…随分エキセントリックな角付き帽子の女性だな…」


    リヴァイ太子「白尽くめのてめぇに黒尽くめの角女か…似合いの二人じゃねぇか、ハッ」


    白い法衣に袈裟姿のエルヴィン三蔵にしなだれかかり、黒衣の女はうっとりと碧眼の法師の端整な横顔を見つめていた。




    ジャン玉龍「色っぽい熟女とハロウィンにイチャイチャしてる坊主…」


    ジャン玉龍は祭りのテンションから一気に覚めた。
  68. 68 : : 2014/11/09(日) 20:56:47
    リコ「…!マレフィセント!!」


    魔女リコは、エルヴィン三蔵にべったりとくっついた黒衣の女性を見て、叫んだ。


    マレフィセントと呼ばれた女性は、リコの呼びかけにハッと気づくと、名残惜しそうにエルヴィン三蔵のもとを離れた。


    マレフィセント「リコ、私が倒れたあとに魔方陣を完成させてくれたのですってね。ありがとう」


    リコ「いえ…それは…こちらの皆さんのお力をお借りできたおかげ…です…」


    マレフィセント「えぇ、エルヴィンから聞いたわ。彼が力を貸してくれたこと」


    マレフィセントは、やや熱を帯びた視線でエルヴィン三蔵を見つめた。
    その視線に気づいた魔女リコは、危惧していたことを口にする。


    リコ「…マレフィセント、まさか彼に…彼に何かされませんでしたか…!?」


    マレフィセントは、魔女リコの言葉に頬を染めた。


    マレフィセント「…彼は…彼は、魔方陣だけでなく、傷つき疲れた私を癒してくれました…///」


    リコ「…それは…!!」


    魔女リコは、マレフィセントの言葉に絶望の表情を隠せなかった。


    マレフィセント「彼は…エルヴィンは、翼を切り取られて心折れた私に、新しい翼を授けてくれました…」ウットリ///



    リヴァイ太子「これは…ヤったな」

    ナイル悟浄「間違いないな…」

    ハンジ悟空「えっ!?何を!?何をやったの、エルヴィン!?」キョトン

    ジャン玉龍「何って、ナニに決まってんでしょうが!?まじエロ法師のやることなんて!!」カアッ///



    呆れ顔の仲間たちに、エルヴィン三蔵は意味ありげな笑みを向けると、こう言った。



    エルヴィン三蔵「ノーコメントだ。好きに想像するがいい」フッ
  69. 69 : : 2014/11/09(日) 21:11:59

    リコ「この…破戒僧がっ!」

    ジャン玉龍「ほんとにあんたって人は…」

    ハンジ悟空「だから、ナニってなんだよ!?」

    ナイル悟浄「ハンジ…わからないならわからないままの方がいい
    …」

    ハンジ悟空「嫌だよ!わからないものはとことんまで追求するのが私なんだ!」

    リヴァイ太子「…知ってもなんのメリットもないぞ、ハンジ」

    ハンジ悟空「なんだよ!?皆だけわかっちゃってさ、ケチ!!!」



    わぁわぁとエキサイトする仲間を横目に、ミケ八戒はそっとエルヴィン三蔵に耳打ちした。


    ミケ八戒「…エルヴィン、お前…あの女に手ぇ出してないだろう」スン


    エルヴィン三蔵「…!…お前の鼻は誤魔化せないな、ミケ…」



    エルヴィン三蔵は、ミケ八戒の指摘に苦笑した。



    エルヴィン三蔵「あわよくば…と下心があったのは否めないが、ぐったりとしていたマレフィセントに私を満足させるだけの余裕はなかったよ」


    ミケ八戒「フン…それで?」


    エルヴィン三蔵「あんまりぐったりしているから、これを飲ませた」


    エルヴィン三蔵の手には、エナジードリンク『レッド・プル』が握られていた。


    ミケ八戒「『レッド・プル』…翼を授ける…」


    エルヴィン三蔵「マレフィセントにピッタリだったな」


    エルヴィン三蔵は、ミケ八戒に向かってイタズラっぽくウィンクをした。



  70. 70 : : 2014/11/09(日) 21:32:32
    翌日。

    マレフィセントの厚意で、ハロウィン町の彼女の別荘に泊めてもらったエルヴィン三蔵一行は、再び旅立ちのときを迎えていた。


    マレフィセント「昨夜は本当にありがとうございました。私の魔力も戻りましたし、次のハロウィンはなんとか自分達の手でやれそうです」


    リコ「力を貸してくれたこと、本当に感謝している…」


    エルヴィン三蔵「リコは、イケメン隊長に再会できたしな」ニヤリ


    リコ「そっ…それはっ…///」


    ジャン玉龍「すっかりいじられ役ですね」


    リヴァイ太子「お楽しみだったんだから、このくらい当然だ」


    マレフィセント「また今度、ぜひハロウィンを楽しみにいらしてくださいな」


    マレフィセントは、エルヴィン三蔵だけに聞こえるように、こっそり耳元で続けた。


    マレフィセント「今度こそ、貴方を満足させる夜にしてあげますわ」コソッ


    エルヴィン三蔵「私の要求はかなり高いから、魔力も体力も鍛えておいてくれ」ヒソッ



    ジャン玉龍「大人の会話だ…」ブフン


    ナイル悟浄「鼻息荒いぞ、馬」


    エロい会話にだけ反応する地獄耳…馬イヤーで盗み聞きして興奮する青年を、河童がいさめた。

  71. 71 : : 2014/11/09(日) 21:43:21
    ハンジ悟空「さて!お土産たくさんもらったし!皆さん本当にありがとう!!」


    リヴァイ太子「おい、エルヴィン。指揮をとれ」


    エルヴィン三蔵「うむ。では…ハロウィンから一夜明け、本来の目的地を目指す旅に戻るぞ!

    いざ、天竺へ!!!進めぇ!!!」



    「「おー!!」」




    そうして一行は、ハロウィン町を後にした。





    ミケ八戒「…また今度、か…」



    ハロウィン町を振り返り、昨夜の再会の丘を遠くに眺めるミケ八戒に、エルヴィン三蔵は静かに告げた。



    エルヴィン三蔵「その今度、は1年後とは限らんぞ」


    ミケ八戒「…?」


    エルヴィン三蔵「こちらの世界で役割をもって、やって来るかもしれないぞ…私たちのようにな…」


    ミケ八戒「…お前…どこまで見てた…?」



    エルヴィン三蔵はニヤリと口の端を上げると、ミケ八戒の質問には答えずに、ジャン玉龍の速度を上げた。


    秋の風が、ミケ八戒の頬を撫でた。





    【完】
  72. 72 : : 2014/11/09(日) 21:50:07
    ハロウィン&ミケお誕生日記念、これにて終了です。
    ハロウィンから一週間以上かかってしまいましたね、すみません~。

    そして、ミケお誕生日記念…シリアスにラブくやろうかとも思ったのですが…いかんせん、この西遊記シリーズはギャグでした(笑)
    ミケすん、ごめんなさい。


    ここまでお付き合い&応援くださった皆様、執筆中にお星さまやグループへのコメントくださった皆様、本当にありがとうございます!

    執筆終了に伴い、コメント解禁いたしますので、よろしければ感想お願いします~♪
  73. 73 : : 2014/11/09(日) 22:05:56
    執筆、お疲れ様でした。
    いやあ、ミケさんの誕生日、数珠繋ぎが知ったのは、11月1日終了まで、あと30分足らず、という状況だったので

    もう…無理w

    …と、断念したクチです。なすたまさん、流石ですm(__)m

    あの、ナイル羨まし過ぎですよー、Qちゃんによしよししてもらえて…。

    あのシーンを何度も脳内再生し、毎日きゅんきゅんしてます(//∀//)

    三蔵一行の今後の活躍、楽しみです(^O^)
  74. 74 : : 2014/11/09(日) 22:06:35
    執筆お疲れさまです。

    ミケとナナバの再会に感動していたら、やっぱりミケはミケでした…。

    大事なところで決まんないなあ、ミケさん。

    ちなみに私はナナバさんは女性だと思ってます。

    素敵な作品ありがとうございます。
  75. 75 : : 2014/11/09(日) 22:28:42
    このシリーズずっとみてます!
    面白いです!
    続編楽しみです
  76. 76 : : 2014/11/10(月) 09:37:30
    執筆お疲れ様でした!

    今年の流行ネタはやりつくしたかの如く小ネタ満載で面白かったです。
    もちろん懐かしネタもたくさんあってニヤニヤしてしまいましたが。

    原作と微妙にリンクしてたんですね!
    魔女のリコさん可愛い。
    ミケすんも…最後の最後でやってくれましたね(笑)。
    原作のナナバさんはどちらなんでしょうかねー?
  77. 77 : : 2014/11/10(月) 21:50:02
    >>73
    数珠繋ぎさん

    いつもコメント&お星さまありがとうございます!
    ミケさんのお誕生日、私も心折れかけました…が、ミケさん出てんじゃん、ハロウィン!!と思い直して練り直した末の…コレかよ!?…でした。あは。


    Qちゃん、ナイルと何気に仲良くなってそうですよね!

    数珠繋ぎさんにも、よしよし (‥)ヾ(^◎^ ) ←あれ、Qちゃんじゃなくてタコちゅうに(爆)


    >>74
    ありゃりゃぎさん

    いつも応援&お星さまありがとうございます♪

    決めそうなのに決まんないキャラ、それがミケすん…。(ごめんなさい、ミケすん)


    ナナバさん、やっぱり女性なんでしょうかね~。
    私のなかでは、ナナバさんもハンジさんも性別不詳、なんなら中性って感じなのですが…原作のハンジさん、大分胸ハッキリしてきてますしね~。

    こちらこそ、最後までお付き合いいただいてありがとうございました!
  78. 78 : : 2014/11/10(月) 22:22:33
    >>75
    にゃらびいさん

    おお!
    コメントありがとうございます!
    前作からの応援、嬉しいです♪
    続きは…しばらくお待ちください(笑)


    >>76
    キミドリさん

    いつもコメント&お星さまありがとうございます!

    小ネタ出し尽くしてもうしばらく何も言えねぇ!です(笑)
    魔女リコは、キキのかっこうさせたらさぞかし可愛らしかろ…と妄想で鼻血吹きました。
    黒猫ジジを出し損ねたのが残念ですが、なすたまのイカれ脳からは、ジジ=爺=ピクシスとかにしか変換されず、可愛らしさから遠ざかったので諦めました…(´д`|||)

    しようもない妄想に最後までお付き合いいただいてありがとうございました!
  79. 79 : : 2014/11/10(月) 23:11:26

    ミケさんお誕生日おめでとうございます(。-_-。)
    みんなもう会えないはずの大切な人達に会えて、良かったですねぇ(/ _ ; )
    今回もチョコパイを食べる太子ちゃんの姿に、法師様以上に錯乱しました(汗
    太子ちゃんにおばけのホーリーを見せて、歓喜する姿を鑑賞したい…(笑)
    素敵なハロウィン&お誕生日楽しませて頂きました(^-^)
    執筆お疲れ様でした♪
  80. 80 : : 2014/11/10(月) 23:11:51
  81. 81 : : 2014/11/10(月) 23:52:40
    >>79
    月子さん

    いつもコメント&お星さまありがとうございます♪

    それぞれの再開後の過ごし方も書こうかとも思ったのですが、ミケすんお誕生日を際立たせるために止めてしまいました…。


    チョコパイ、反則ですよねぇ…。錯乱坊・エルヴィン以上の錯乱頂きました♪
    ありがとうございます!

    おばけのホーリー!!そう言えば…!!

    最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
  82. 82 : : 2014/11/10(月) 23:53:49
    >>80

    アサシンさん

    甲! (違)

    コメントありがとうございます♪
  83. 83 : : 2020/10/06(火) 13:30:17
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986
  84. 84 : : 2020/10/27(火) 14:01:32
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

▲一番上へ

名前
#

名前は最大20文字までで、記号は([]_+-)が使えます。また、トリップを使用することができます。詳しくはガイドをご確認ください。
トリップを付けておくと、あなたの書き込みのみ表示などのオプションが有効になります。
執筆者の方は、偽防止のためにトリップを付けておくことを強くおすすめします。

本文

2000文字以内で投稿できます。

0

投稿時に確認ウィンドウを表示する

著者情報
miyatama55

なすたま@梅雨も夏も苦手

@miyatama55

この作品はシリーズ作品です

進撃の西遊記 シリーズ

「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
「進撃の巨人」SSの交流広場
進撃の巨人 交流広場