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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

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ハンジ「大富豪ならぬ大酒豪のモブリットの秘密を暴く!!」モブリット「秘密などありません!!」<9.5ハンジ生誕企画>

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  1. 1 : : 2014/08/13(水) 07:12:13
    ハンジ「大富豪ならぬ大酒豪のモブリットの秘密を暴く!!」モブリット「秘密などありません!!」<9.5ハンジ生誕企画>

    http://www.ssnote.net/groups/257/archives/13にて開催されている、ハンジさん誕生日企画に参加しています

    モブリットが顔に似合わず?酒豪だと雑誌で読んで、この話を書きました
    ハンジ視点です

    ギャグ…ではないと信じています…

    読んで頂けたらうれしいです!!
    感想は↓まで~(*´∀`)
    http://www.ssnote.net/groups/553/archives/1
  2. 2 : : 2014/08/13(水) 07:16:16
    やあやあ皆さんおはこんばんちは!!

    ん?のっけから質問かい?
    おはこんばんちはっていうのはね、ある村に伝わる挨拶さ

    おはよう
    こんにちは
    こんばんは

    これらをひっくるめた、超万能な挨拶さ!!
    君たちも使いこなすといいよ!!


    …さて、言い忘れていたね

    私は調査兵団の幹部、ハンジ・ゾエ
    通称ゾエちゃんさ

    …ん?嘘つくな?
    そんな呼び方されたことねぇだろうが?

    ははぁん、誰かリヴァイの物真似してるね?

    最近巷で流行っているらしいよ、リヴァイ物真似

    『人類最強に、俺はなる!!』
    なんて言う文言と合わせて流行っているんだ

    君たちも言ってみたらどうかな?

    …さて、そんなお茶目な私は、最近すっごく気になる事があるんだ

    その事を君たちにも少し聞いてもらいたいなと思ってね…

    ちょっと…刺激的な話もしちゃうかもしれないから、覚悟しておいてね?
  3. 3 : : 2014/08/13(水) 07:16:34
    数日前の事

    「あれえ、モブリット、今日は珍しい物持ってるねえ…」
    私は、部屋を訪れた副官にそう声を掛けた

    何故なら、彼はいかにも高級そうな酒瓶を手にしていたからだ

    彼は私の前ではあまり酒を飲まない

    同僚達とは飲むらしいのだが…それもどうやらざる…で、いくら飲んでも酔っぱらわない上に、底無しらしい

    真面目な人となりの彼からは想像がつかないんだが、皆が口を揃えて言う限り、それが真実なのだろう

    私の前では猫を被っているのか…
    その辺りも聞いてみたかったから、彼が酒を手にしているこの状況は、丁度いい

    私が彼に椅子を進めると、彼は机に酒瓶を置いて、座った

    「珍しいですか?ああ、このお酒、かなり高いらしいですよ。実は先程エルヴィン団長から頂きまして。ハンジ分隊長にとの言付けです」

    「…ふうん。もしかして、給料代わりなのかなあ…」
    調査兵団は、財政が厳しい

    エルヴィンは、財政難の場合、幹部の給料からカットしていくのが常…だから現物支給であっても間違いではなかった

    「いえ、多分違うと思われますが…トロスト区の廃業した酒屋から捨て値で買い取ったとか…」

    「なるほど。ねえモブリット、一緒に飲まない?」

    モブリットは私の問いに、びくっと身体を震わせた

    「…い、いえ。俺は遠慮しておきます」
    モブリットはそう言うと、椅子から立ち上がり、後ずさる様に部屋の扉へ向かった

    私はひらりと身を翻し、扉の前に立つ

    「モブリット、一緒に飲もう。これは命令だよ」

    モブリットは私の言葉に、渋々と言った体で頷いた
  4. 4 : : 2014/08/13(水) 07:16:54
    「ほらほら、飲んで、モブリット」

    私は自分は喉を濡らす位しか飲まず、モブリットにどんどん飲ませた

    確かに全く変化がない

    アルコール度数の強いお酒のはずなのだが、まるで水を飲むかの如く、グラスを傾ける

    「分隊長、そろそろ自分限界なんですが…」

    モブリットの言葉に、私は首を振る

    「嘘だろ?君は私以外の人の前では、もっともっと飲むと聞いた。酒飲みゲルガーすら、君との飲み比べには勝てなかったとね」

    私は頬を膨らませながらそう言った

    なんで私の前では飲まないのか、何だか腹が立ってきた

    「確かに、分隊長の前ではそこまで飲まないですが、それはあなたを見守るという役割があるからで…」

    「ふうん、私には気を使って飲まないわけだ。君は副官として長い間私の側にいたのに、全てを分かち合う事は出来ないんだね…」

    私が俯きながら、悲しげな口調でそう言うと、モブリットは意を決した様に、酒瓶を手にした

    「そ、そこまでおっしゃるのなら、飲みますよ…どうなっても、知りませんからね!!」
    そう言うと、モブリットはなんと、酒瓶から直接酒を煽った

    普段見た事の無い彼の行動に、私は面食らった

    彼はあれよあれよという間に、酒瓶を空にしてしまったのだった
  5. 5 : : 2014/08/13(水) 07:17:22
    「モブリット…すっごいね…全部飲んじゃった。もっと、飲む?」

    私はそう言って立ち上がり、壁際にある棚から、数本ある酒瓶を取り出そうとした、その時だった

    突然、私の身体が宙に浮いた

    「ふぇっ!?」
    突然の異変に、思考がついていかない

    私が抱き抱えられているのだと気がついた時

    何か柔らかい物が、私の唇を塞いだ

    抱き抱えられながらの、キス…初めての体験だった…というか、凄い力だ、素直に感心…している場合じゃない

    唇が離れるや否や、私は声を上げる
    「モブリット、何するんだよ!!」

    じたばたと手足を動かしてみるが、なんたることか…彼は微動だにしない

    私は身体の自由一つ、彼から勝ち取る事ができない

    何時もなら、あり得ない事だ

    「あんたが悪いんですよ…大人しくしていて下さい。怪我をしたくなかったら…」

    モブリットはそう言うと、私を乱暴にベッドに投げて、その身体の上に覆い被さる

    またしても、完璧に動作を遮るように、腰の辺りを固められてしまう

    手足は動かせても、身体が動かせない

    モブリットは私の上で、自らのシャツをはだけさせる

    彼のいつもの穏やかな表情は変わらない…だが、その瞳だけはいつもとは違う

    まるで獲物を追い詰めた狼のように、静かに、だが熱い焔を滾らせている様だった

    そんな瞳に射抜かれれば、反抗する事すら諦めてしまう

    それほどに強い『男』の部分を垣間見た私は―

    肉食獣に狙われた草食動物の如く、彼の一挙手一投足に声を上げ、身体を震わせる事しか出来なかった

    そのままモブリットに蹂躙された私は、いつまで続くかわからない快楽の海に、いつの間にか溺れていたのだった
  6. 6 : : 2014/08/13(水) 07:18:20
    翌朝目を覚ますと、モブリットがベッドの下で土下座をしていた

    「分隊長、すみません、すみません!!」

    どうやら彼には、夜の記憶があるらしい

    ひたすら平謝りの彼に、私はどうしようかと思案を燻らせた

    「いいよ、モブリット。君は酔わないと聞いていたのに…酔うんだね」

    私がそう言うと、モブリットは首を振った

    「ある意味…酔ったのかもしれません。自分でも、良く分からないのです」

    モブリットは土下座をしながら、震える声でそう言った

    「そっかあ…ちょっと、気になるね。いろいろと…調べてみる価値は有りそうだよ」

    私は顎に手を当ててそう言った

    「し、調べるって何をですか?」

    「ん?君の夜の行動について、だよ。協力してね?でなきゃ、無理矢理やられたってい…」

    「わ、わ、わ!!分かりました!!協力します、なんでもしますから!!」

    慌てたモブリットの耳元で、私は大きな声で叫ぶ
    「大富豪ならぬ大酒豪のモブリットの秘密を暴く!!」

    「わっ!!耳がつぶれますよ!というか、秘密などありません!!」

    モブリットは耳を塞ぎながら、負けじと叫んだのだった
  7. 7 : : 2014/08/13(水) 07:45:10
    「でもさあ…君、本当に全部覚えているのかい?…その…昨日の夜の事」

    私がそう言うと、モブリットはまた綺麗な姿勢で土下座をした

    「はい、覚えています…分隊長すみません!!かくなる上は、どんな処分も受ける所存で…」

    「いや、いいよ。処分と言われても、私は君に居なくなられては困るしね。それより、まずは状況整理をしなきゃ…顔を上げて、モブリット」

    モブリットは言われた通り顔を上げた

    私の真剣な表情を見ると、顔を赤く染めた

    「状況整理…本当に研究、するんですね…」

    世にも情けない顔で、モブリットは項垂れた

    「当たり前だろ!?お芋さんみたいな顔して、いつも穏やかな君が、あんな風に…ひ、豹変するなんてさ…。研究せずにはいられないさ」

    私はそう言って、昨夜の事を思い出し、顔をほんのり朱に染めた

    私自身、かなり乱れた…からだ

    恥ずかしい…目の前の真面目で誠実で穏やかな…いや、穏やかだった部下に、まるで開発されたようで…

    「ぶ、分隊長…?あの、顔が真っ赤になっているのですが…お、お怒りですか…?」

    私の顔色を気遣い、不安げで心配そうな眼差しを送る彼からは、昨夜のあの行動は、全く想像出来なかった
  8. 13 : : 2014/08/13(水) 10:40:27
    「まずはさあ…あんな感じに、以前もなったことがあるんだよね?君は頑なに飲むのを嫌がっていただろ?」

    「はい、一度だけありまして…その時は女性と二人きりで飲んでいたのですが…」

    モブリットは土下座をしたまま、泣きそうな顔をした

    椅子に座れと言ったのに、自分が許せないからずっと正座をし続けるらしい

    まあ、真面目な彼らしいけど…

    「その女性は…当時付き合っていた人?」

    「はい、訓練兵時代の彼女です。ずっと片想いだったのですが、死ぬ気で告白して、やっと付き合う事が出来たんです…」

    モブリットはそう言って項垂れた

    「そうなったのは、付き合ってすぐ?」

    「…いいえ、半年程経った頃だったと思います」

    モブリットは視線を上に向けながら、思い出すかの様に呟いた

    「ねえ…もしかしてその一件で、二人の仲は…」

    「あ、いえ、それが原因で別れたりは無かったですね。ただ、自分が自分ではなくなる感覚があって、恐ろしかったんです」

    モブリットはそう言いながら、肩を落とした
  9. 24 : : 2014/08/13(水) 16:52:43
    確かに、昨夜のモブリットは普段と180度違う性質だった様に思う

    それに、あの力だ

    私とモブリットが丸腰で相対したとしても、ほぼ互角だろう

    従って、抱き上げられた状態で抵抗出来ない筈はないのだ

    腰を固められたとしても、普段の彼なら、跳ね除ける事は可能なはずだった

    原因がわからずずっと過ごしてきたとするならば、確かに自分を恐ろしいと思って当然だ

    「あ、あの、分隊長…」

    思考を巡らせる私を、モブリットがか細い声で呼んだ

    「ん、どうしたの?モブリット」

    「…あ、あの…御手洗いに行っても宜しいですか?」
    モブリットはもじもじしながらそう言った

    「え、好きに行ってきたらいいんだよ。もう土下座も正座もいいから。早く行っておいで?」

    私はそう言って、モブリットに手をさしのべた

    「あ、ありがとうございます…」

    モブリットは私の手を握り、立ち上がろうとした、その時

    「うわわ!!」

    「わっ!?ちょっ…」

    立ち上がろうとしたモブリットが、何故かつまずいたようになって、二人で後ろに倒れた

    後ろには私のベッド

    私の身体に覆い被さる彼の身体

    お互い握りあった手

    昨夜のアレを思い出し、私は顔が紅潮した

    「あっ…分隊長、す、す、すみません…足が、痺れて…」

    モブリットはたこの様に顔を染めながら言った

    うん、昨日の夜とは全然違う
    いつもの可愛らしいモブリットだ

    少し安心したような、残念なような

    ……………って、残念なとか言うな私

    「大丈夫?だから正座はいいって言ったのに…あはは」

    私は笑いながら、彼の足に触れた

    「わ、わっ…だめです、今は…ああああ!!」

    モブリットは痺れた足をつつかれて、のたうちまわった

    「モブリット、早くトイレ行っておいで?」

    「は、はい…」

    私の言葉に、モブリットはこくりと頷いて、よろめきながら部屋を出ていった

  10. 30 : : 2014/08/13(水) 18:08:18
    さあて、モブリットがいない間に、今までの情報を整理するかな

    先ず状況は…
    ①酒を沢山飲んだ時
    ②二人きりの時?
    ③性別は関係あるのか?

    ①の、酒の大量飲酒は関係があるだろう

    ②の、二人きりの時だけしかならないのかは、まだわからない

    たまたま二回の状況がそうだっただけかもしれない

    ③の性別は…これも今の所女性に対してだけだが、それも調べてみなきゃわからない

    とりあえず、誰かに協力を依頼して、実験をしてみよう

    差し当たっては、責任者であるエルヴィンに話を通さなければならない

    ただ普通に「モブリットが酒を沢山飲んだら狼になって、皆をおそっちゃうんだぜ!!」

    なんて言っても、鼻で笑われるだけだろう

    だが私には考えがある

    多分、実験は許可されるはずだ

    モブリットがトイレから戻り次第、私はエルヴィンに直談判しに行く事にした


  11. 33 : : 2014/08/14(木) 09:58:00
    そうこうしている内に、扉がノックされた

    律儀なモブリットの、何時ものノック
    回数はトントントンと、三回だ

    「どうぞ、入って」

    背中越しに聞こえてくるガチャ…と言う音に振り返ると、不安そうな表情のモブリットがいた

    「分隊長、お待たせ致しました」

    「間に合った?君、そんな顔して…もしかしてお漏らしでもしたんじゃないの?」

    私がイタズラっぽくそう言うと、モブリットは顔を朱に染める

    「分隊長、セ、セクハラですよっ…失敗なんてするわけないじゃないですか…」

    穏和を絵に描いた様な顔をしたモブリットは、ますます顔を赤らめた

    可愛い反応だ…年下の男の子の反応

    だがこんなに可愛い彼も、声は案外低くて少し鼻に掛かって、セクシーなんだ

    そのギャップがますます私を、彼をからかう事に執着させてしまうんだが、昨夜は…

    そのセクシーな耳をくすぐる声色は、私に卑猥な言葉を浴びせかけ、服従を強要させた…言葉攻めだ

    思い出すだけで顔が火照る

    だめだ、忘れろ、冷静になれ、ハンジ・ゾエ

    私は目を閉じ、唇をかんで、脳内で再生されようとしていた昨夜の出来事を止める努力をした

    「ぶ、分隊長…まだ、怒っていらっしゃいますか?それは、そうですよね。すみません…」
    モブリットのセクシーな声が、か細く聞こえてきた

    どうやら私の態度を怒りからだと思っているらしい

    怒ってなどいないと、何度も言っているのに…

    昨夜の事はむしろ…いや、何でもない

    「怒ってないよ、モブリット。考え事をしていたんだ。心配したかい?」
    私はそう言って、今にも泣きそうなモブリットの頬をそっと撫でた

    そうすると、彼は身体をびくっと震わせた

    そしてこくんと息を飲む音がする

    「ぶ、分隊長…」

    すでに真っ赤な顔を更に赤くして、緊張しているのか、ぎゅっと拳を握りしめたモブリット

    「今から、エルヴィンの所へ行こう?実験の許可を貰いにね…ほら、これに目を通しておいて?」
    彼の、兵服の懐の内ポケットに、先程記したメモ書きを差し入れる

    そんな動作でさえも、モブリットはびくっと反応した

    「は、はい…」
    モブリットは私が入れた書をポケットから探りだし、目を通し始めた

    顔がみるみる内に、赤から青に変わる

    「これ…本当に、やるんですか…」

    「ああ、やるよ。嫌かい?協力してくれたら…嬉しいんだけどな」
    私は彼の顔を覗きながら言葉を発した

    私がやるといえば、彼が否は言わないのを分かっているのに、それでもそう、彼をからかってしまう

    「き、協力します…分隊長」

    「ありがとう、モブリット」

    私は可愛い副官の頭を、わしゃっと撫でた
  12. 35 : : 2014/08/14(木) 10:16:58
    「分隊長は、やっぱり凄いです…短期間でこれだけ、まとめるなんて…」

    エルヴィンの部屋へ向かう道すがら。モブリットは書を手にしながら、私に感嘆の意を表した

    「そうかい?ざっと書いただけなんだけどな」
    私はぽりっと鼻の頭を掻いた

    モブリットはいつも、私を誉めてくれる
    些細な事でもちゃんと見ていて認めてくれる

    恥ずかしいけど嬉しい

    私が誉めて伸びるタイプだと、自然に理解しているのか、元々の性格なのか

    ただわかる事は、彼はいつも半歩後ろから、付かず離れずついてきてくれる

    私の隣に並ぶことは、一度もない

    ちらりと隣を伺うと、やはり半歩後ろにいるモブリットと、目があった

    彼が私を見ていた証拠だ

    「素晴らしいです、分隊長」
    モブリットはそう言って、頬を赤らめながら微笑んだ

    「そんなに誉めても、何も出ないよ?」
    私はそう言って、モブリットの肩を抱く

    そうして、無理矢理隣を歩かせたのだった
  13. 38 : : 2014/08/14(木) 11:39:59
    「ハンジ、却下だ」

    エルヴィンの呆れたような声が、しんと静まり返る団長室に放たれた

    何時もの事だ
    私の提案は、いつもまずはこうして却下される

    そこからの反論…自分をどう言いくるめてくれるのか、それを楽しむのがこの金髪碧眼の、食えないおっさん、エルヴィンだ

    変人だ、全く

    ほら、言葉とは裏腹、顔が不敵な笑みを浮かべている

    ちらりと隣を伺うと、また半歩後ろで自らの気配を消すかの様に、息を殺し、身動きひとつしないモブリットがいた

    真っ青な顔色で、今にも泣きそうだった

    自分のあの行動を、上官の上官、兵団のトップに事細かに説明されたのだ、致し方ない

    「エルヴィン、聞いてくれ。モブリットのあの行動を研究する事には、訳があるんだ。言ったと思うけど、モブリットは普段ではあり得ない力を出していた…私が、全く抵抗出来ない程だよ。しかも、余力すら感じられた」

    私は執務机に歩み寄って、考察を書いたメモ書きを提示した

    エルヴィンはそれに目を通す

    「ふむ、火事場の馬鹿力の様な物かな?普段の対人格闘訓練なら、君とモブリットなら…ほぼ互角、むしろ君が上か」

    「ああ、そうだね。もしかしたら…あの時のモブリットなら、リヴァイと張るかもしれない」

    私は真剣な眼差しをエルヴィンに向けた

    エルヴィンは顎に手を当てる

    「なるほどな。で、仮にそうだとして、どうすると言うんだ。そんな眉唾物の話を実験して」

    「エルヴィン、もしこの力を解明出来たら、意図的にこの力を出せるようになったなら、最強の兵士が沢山生まれるかもしれない。最低でも、モブリットがリヴァイに次ぐ…最強の兵士になる。そのメカニズムさえ解明出来れば…」

    私の言葉に、エルヴィンが頷く

    「わかった。許可しよう。普段の任務に差し支えない程度にな。酒は…払い下げられた物を使うといい」

    「ありがとう、エルヴィン。あなたも是非協力してくれよ?」

    私の言葉に、エルヴィンは笑みを浮かべた

    「ああ、面白そうだしな…。で、まずは第一段階として、数人でモブリットと飲んでみようか。俺も付き合うよ」

    「じゃあ、エルヴィンと、私と、ミケと、リヴァイと、モブリットで!」

    「いいな、そうしよう」

    私たちは意気投合した

    そして、ふと気になってモブリットの様子を伺うと、今にも死にそうな土のような顔色をしていた

    「モブリット、そんな顔をしなくていいぞ。無礼講だ」
    エルヴィンはモブリットに笑いかけた
    だが、その笑みは、不敵ないつものそれで…

    「ひゃ、は、はいっ…」
    モブリットは思わず声を裏返したのだった

    ああ、可愛いね…ふふ

  14. 47 : : 2014/08/14(木) 15:51:22
    夜、いつもは閑散とした娯楽室が、今日は賑やかな笑いに包まれていた

    「君にまさかそんな特技があったとはな。是非この目で確認したいものだ…さあ飲め、モブリット」
    エルヴィンが空になったモブリットのグラスに、酒をなみなみと注ぐ

    「団長…特技などという良いものではありません」
    モブリットはグラスを握りしめて、首を振った

    「まあしかし、相手がハンジで良かったな。他の女性だったら騒ぎになるところだったぞ、モブリット…スン」
    ミケは鼻を鳴らした

    「私が相手でも良くはないだろ…?」
    私は口を尖らせた
    すると、モブリットがまた、泣きそうな顔になる

    「うう、確かに良くありません、本当に、申し訳ありません…」

    モブリットは項垂れ、肩を落とした

    そんなモブリットの肩をガシッと抱いたのは、リヴァイだ

    「モブリット、気にするな。お前は悪くねえ。何せいつもハンジにからかわれて、遊ばれまくっているんだからな。そのつけを返したとでも思っておけばいい。とりあえず、飲め」

    リヴァイの言葉に、モブリットは瞳を潤ませる

    「兵長…ありがとうございます、慰めて下さって…」

    モブリットはそう言うと、グラスの中の酒を飲み干した

    ちびちびと、長い間かけて飲むような酒を、まさに水のように飲む

    「凄いな…もう二本は一人で空けたはずだが、全く変化が見られん。むしろ俺が眠たくなってきたかもしれん」

    結構な酒豪のエルヴィンでさえ、すでに限界値を越えている様子だった

    「正直俺も限界だ。後はモブリットに飲ませてみるか」

    ミケの言葉に一同は頷き、どんどん酒をモブリットに飲ませたのであった

    結果、それから一時間しても二時間しても、モブリットは飲み続け、態度が豹変することもなく…

    一回目の実験は、何の結果も得られず、幕を下ろしたのだった



  15. 55 : : 2014/08/14(木) 18:15:22
    翌朝
    コンコンコン…

    扉をノックする音が聞こえてくる
    モブリットだ

    「開いてるよ、どうぞ」

    私はガンガン痛む頭を抱えながら、ベッドから身を起こした

    「おはようございます、分隊長…あ、具合が悪いんですか?」

    モブリットは私の顔を見るなり心配そうな表情を浮かべた

    私は苦笑する
    「君は、なんともないの?その…二日酔い」

    モブリットは目をぱちくりした

    「あ、はい、特になんともありません」

    彼はそう言うと、棚からグラスを取り、水差しの水を入れた

    その水を私に手渡す

    「ありがとう、モブリット。しかし君はお酒にほんと強いね」
    私はそう言って、水をぐいっと飲み干した

    「こんな感じでお酒飲んでたのにね…付き合ってた私たちの数倍は飲んでるのに…多分ミケもエルヴィンも、二日酔いだよ。リヴァイは、途中で切り上げて賢い選択したけどさ…」

    私の言葉に、モブリットははぁとため息をつく
    「俺は、酔っていい気分になっている皆さんが羨ましかったですよ。どれだけ飲んでも酔わないなんて、つまらないです。しかも…」

    「一度箍が外れたら、ああなっちゃうもんね…はは」

    私は彼の言葉を繋いで、笑った

    「本当です、正直もうお酒なんか飲みたくないです…」

    モブリットは俯きながらそう言った

    私は立ち上がり、俯く彼の顔を下から覗き込んだ

    目が合うと、モブリットは顔をぱっと赤く染めた

    「でもさ、ある意味最強のボディーガードだよ。酒場で万が一何かあっても、モブリットは酔わないんだから助けてくれるだろうしね」

    私が慰めるためにそう言うと、モブリットは首を振った

    「ボディーガードになんかならないですよ…一番危ないのが俺じゃないですか…」

    モブリットは悲しげに瞳を揺らした

    私はそんなモブリットの頬をそっと撫でる

    「だから、ちゃんと解明しよう?君の秘密、解き明かそう」
    真摯な眼差しをモブリットに向けると、彼は力強く頷いたのだった

  16. 61 : : 2014/08/14(木) 21:02:55
    夕方まではきっちりいつも通り任務をこなした

    二日酔いも、モブリットが貰ってきてくれた薬を飲んで、かなり楽になった

    夕食後、モブリットと実験について話をした

    「大量の飲酒だけでは豹変しないんだね。昨日は、私に襲いかかってきた時より、飲酒量はかなり多かったし」

    私はベッドに腰かけて、考えを巡らせた

    モブリットはメモを取りながら、頷く
    「はい、そうですね。昨夜はかなり、飲まされました…皆さんお酒をよく嗜まれる方でしたしね」

    モブリットの言葉に、私は苦笑した

    「そうだね、皆モブリットを甘く見てたよね。酔い潰してやろうとして、逆に返り討ちにあってしまっていたね。はは」

    「兵長だけは、あまり飲まれませんでしたけどね。お前に勝てる奴がいないのは知ってると言われました…」

    モブリットはそう言って、ふぅと息をついた

    「そうだ、次は二人きりというシチュでいこうか。皆で飲んでいても、ならないのがわかったし」

    私の言葉に、モブリットはぎょっとする
    「ふ、二人きりですか!?危ないです…相手が…」

    モブリットはぶんぶん首を振った

    私はモブリットの肩にぽんと手を置く

    「でも、やらなきゃ真相は掴めないよ。大丈夫。何かあってもいいように、ちゃんと見張りは立てるからね…リヴァイを」

    「兵長、ですか…」

    モブリットは半泣きの顔になった

    「仕方ないだろ、覚醒した君を抑えられるのは、リヴァイしかいないしね」

    「…は、はい。わかりました。善処します」
    そう言って、モブリットは目を伏せたのだった
  17. 63 : : 2014/08/14(木) 21:24:47
    「で、相手だけど…今回は男同士でやってみよう。二人きりで飲んだ事がある人っているかい?」

    私の言葉に、モブリットは視線を上にして考える素振りを見せる

    「…そうですね…ケイジとはよく、飲みに行きますね」

    「てことは、ケイジ以外でいこう。うーん、よし、決めた!!」

    私はぽんと手を叩いた

    「だ、誰ですか?」

    「オルオ。君結構悩み相談に乗ってやってるだろ?恩を恩で返す時が来た!」

    私はにっこり笑った

    すると、モブリットは目を見開いて、じっと私の顔を凝視した

    「モブリット…?私の顔、何かついてる?」

    私がそう尋ねると、モブリットはびくっとし、恥ずかしそうに顔を赤らめた

    「あ、いえ。何もついていません、分隊長。すみません…」

    「いや、別にいいけどね。オルオとの飲み会は、明日決行するから、よろしくね!!」

    私は立ち上がり、モブリットの頭をよしよしと撫でた

  18. 66 : : 2014/08/14(木) 22:42:40
    翌日夜

    モブリットは、オルオと二人で娯楽室へ入って行った

    私とリヴァイは、その部屋の天井の裏の隙間から、様子を伺う事にした

    いざとなれば…いや、男同士、しかもオルオ相手に『いざという時』が来ないと信じたいが、こればかりはわからない

    私たちは息を殺しながら、眼下の様子を窺っていた


    「やあ、オルオ。悪いね…変な事に巻き込んでしまって…」

    モブリットは、自分より明らかに老けて見える、かなり年下の男に、申し訳なさそうに声をかけた

    「いやいや、いいっスよ、モブリットさん!!いつも話聞いてもらってるんスから」

    オルオはそう言って、一応上司であるモブリットの肩をぽんぽんと叩いた

    「良かった。そう言ってもらえると助かるよ…」
    モブリットはホッと胸を撫で下ろした

    「ところでモブリットさん!!ついにヤったんスね!?分隊長を!!ど、ど、どうでしたか!?」
    オルオは目を血走らせて、モブリットに詰め寄った

    モブリットは慌てふためく

    「ま、待てよ、オルオ…本人が多分何処かから様子を窺っているから…」

    「大丈夫っすよ!!気にしちゃいけねえ!!さあ詳しく!!お願しやす!!」

    オルオはバチっとウインクをした
    両目を瞑ったが…

    「いや、でも本当に…その…普通に…」

    「話によると、分隊長をベッドに投げたとかなんとか…ハードなプレイだったんスよね!?あー知りてえっス…」

    モブリットは肩を竦めて、徐に酒をグラスに注いだ

    そしてそれをオルオの前に置く

    「まあオルオ、先に飲もう。そう言う話は、酒が入った方がしやすいからな」

    そう言って、自分のグラスにも酒を注いだ

    「うおっ…さーせんした!!酒飲みに来たっつーのに俺様とした事が!!モブリットさん飲みましょう!!」

    「ああ、乾杯」

    二人はやっと、酒を飲み始めたのであった

    モブリットが内心ホッとしたのは、言うまでもない
  19. 68 : : 2014/08/14(木) 22:57:09
    「俺ぁね…ペトラが可愛くてしゃーないんス。ツンデレっつーかなんつーか…守ってやりてえっつーか…」

    「ああ、わかるよ、オルオ。確かにペトラは可愛いね」

    「だ、だめっすよ!?モブリットさんまでライバルになったら俺は…うっうっ」

    泣きべそをかくオルオの背中を、とんとんと叩いてやるモブリット

    「大丈夫だよ。俺は一般論を言っただけだからな。オルオを応援しているよ、頑張れ」

    「モブリットさん…優しいっス。俺女だったらモブリットさんみてえな男を選ぶっス…グスグス」

    オルオは泣き上戸らしい
    先程からずっと泣いていた

    オルオの10倍は飲んでいるモブリットに、酔う気配は見受けられない

    オルオの涙を拭いてやったり、なぐさめてやったり、いつもの優しいモブリットであった

    「女だったら、自分みたいな男を選ぶって言いそうなのに、違うんだな、オルオ」

    「モブリットさんには勝てねえっすよ。あと、兵長と団長とミケさんとエルドには勝てねえっす」

    オルオは指折り数えながら、自分より上と認識している男の名を挙げた

    「はは、俺は大したことないよ。オルオの方が素敵だと思う。討伐数も俺より上だろ、君は。もっと自信を持てよ?」

    「も、モブリットさん…まじで優しいっすね…俺、惚れそ…ぐーぐー…」

    オルオは突然机に突っ伏した

    「寝たのか…」

    モブリットは立ち上がると、そっと自分の兵服のジャケットをオルオに掛けて、酒を片付けたのだった

  20. 71 : : 2014/08/14(木) 23:19:16
    「やあ、モブリット、お疲れ様!!」
    私とリヴァイは、天井裏からひらりと床に舞い降りた

    「わっ…上にいらしていたんですか。あ、兵長、すみません。ご苦労様です」
    モブリットはリヴァイに頭を下げた

    「いやいい。それよりオルオの話を聞いてやってくれて、助かった」

    「いえ、寝てしまいましたが…」

    モブリットは、がーがーと寝息を立てているオルオに、くすりと笑みを浮かべてそう言った

    「モブリット、やっぱり全然酔わないね。勿論覚醒もなし。てことは、男と二人は因果関係なし、だね。次は…女と二人きりだ。早速部屋へ帰って、人選しよう」

    「女性と二人…」
    モブリットは自分の肩を抱いて震えた

    「大丈夫、リヴァイ、また見張りよろしくね!?」

    「ああ、明日だな。わかった。オルオはあとで回収するから置いとけ。じゃあな」

    リヴァイはそう言うと、部屋を後にした

    「さて、私たちも部屋に戻ろう」
    私がモブリットに手をさしのべると、モブリットはハンカチで手を拭いた

    そして、しばし躊躇った後、私の手に自分の手を重ねたのであった
  21. 72 : : 2014/08/14(木) 23:30:48
    名無しさん☆
    モブリット大好きさん☆

    コメントありがとう♪
  22. 73 : : 2014/08/15(金) 09:48:02
    「さて、明日の相手は誰にしようかな…ちなみにモブリット、女性と二人きりで飲んだ事は…」

    「訓練兵時代は何度も行きましたが…例の、当時の彼女との一件以来、先日のあなたと二人で飲んだ時までは一度もありませんでした」
    モブリットは項垂れた

    「そっかあ…モブリットは結構もてるのに、勿体ないねえ…」

    私の言葉に、ぶんぶん首を振る

    「も、モテないですよ!!断じてモテないです!」

    「そんな事ないよ?気が付いてないだけだと思うけどな」
    モブリットの何故か必死な形相に、苦笑しながら言葉を発した

    「は、はぁ…ですが、俺は…いいんです、もてなくても。勿体なくもありません…」
    モブリットはそう言うと、ぎゅっと拳を握りしめて俯いた

    「モブリット…?」
    私がモブリットの顔を覗き込むと、彼は弾かれた様に顔を上げた

    モブリットの顔が、ぱっと赤く染まった

    「あ、いえ、何でもありません。分隊長…」

    彼は私からまるで距離を取るかの様に、後ろに軽くのげぞった…その瞬間

    「わ、わっ!!」
    モブリットは椅子ごと後ろにひっくり返った

    「……………あはは。背もたれの無い椅子で、急にそんな事をすれば、そうなるに決まってるだろ。君はほんとに…」

    可愛いなあ、と心の中で呟いて、モブリットに手を差しのべた

    「はい、すみません、分隊長…」
    モブリットは小さな声でそう言うと、私の手をぎゅっと握った

    私は分かってる

    モブリットの気持ち、モブリットの想い

    私の手をしっかり握る、私よりも大きな手の感触と温もりを感じながら、顔を赤らめたモブリットに、微笑みかけた

  23. 74 : : 2014/08/15(金) 10:54:02
    「さて、明日の相手だけどさ…君と年が近い人にするつもりだ。だって、君は同期と付き合っててそうなったんだろ?」

    「はい、そうですね」

    モブリットは私の言葉に頷いた

    「で、調査兵団で君と同年代といえは…女性は限られちゃうんだよね。なので、選択肢は無い。ナナバでいくよ」

    私の言葉に、モブリットは目を見開いて、その後で首をぶんぶん振った

    「だ、だ、だめですだめです!!ナナバはだめです!!」

    「どうしてだい?あっ、まさか君、ナナバが好きなの?」
    私はにやりと笑みを浮かべてそう言った

    「す、好き?!そういうのではなくて…いえ、嫌いではないですよ!!ですが、ナナバはミケ分隊長の…何かあったら俺、殺されます…」

    モブリットは今にも泣きそうな顔をして、いやいやと言いたげに、首を振った

    「心配するなよ。リヴァイもわたしもまた何処かから見てるし、ミケもくるかもしれないしね」

    「は、はぁ…わ、わかりました」
    モブリットは肩を落として息を吐いた

    「さて、明日の夜のためにも、今日は早めに寝よう!!おやすみ、モブリット」
    私は立ち上がり、モブリットの頭にぽんと手を置いた

    「はい。おやすみなさい、分隊長」
    モブリットは、頭の上に置かれた手を気にするかの様に、視線を一瞬上にしてから、ぺこりと頭を下げたのだった

  24. 75 : : 2014/08/15(金) 11:10:41
    翌日、モブリットはかなり疲れている様子で、目の下に隈が出来ていた

    やはり連日の飲み会は堪えるのだろうか

    本人いわく、毎日飲んでも何ともないからと言っていたが…

    その時の笑顔に、何だか憂いの様な物を感じたのは気のせいか

    夜になると、また実験のため、彼は娯楽室へ足を運んだ

    モブリットが部屋に入った時には、ナナバが既に椅子に座ってリラックスしていた

    私とリヴァイは、また屋根裏から様子を窺っていた

    「やあ、モブリット。あなたと飲むのは久々だね。二人きりだなんて、少し照れるな」

    ナナバはそう言って、はにかんだような笑みを浮かべた

    モブリットはその言葉に、顔を赤らめた

    「ナナバ、付き合わせてすまないね。よろしく頼むよ」

    「ああ、こちらこそよろしくね。さ、早速飲もう!!」
    ナナバはそう言うと、手際よくグラスに酒を注いで、流れるような動作でモブリットに手渡した

    「あ、ありがとう、ナナバ」
    モブリットは頬を染めたまま、微笑んだ

  25. 79 : : 2014/08/15(金) 11:53:00
    「モブリット、何だか大変な事になってるみたいだね。あなた…かなり疲れてない?目の下にくっきり隈があるよ」

    ナナバはそう言いながら、モブリットの目尻を指でなぞった

    「う、いや、大丈夫だよ。大変なのも、疲れているのも何時もの事だしね」
    モブリットはくすぐったそうに顔をしかめて、言葉を発した

    「ハンジに振り回されて大変だね…今も、上から覗いてるんだよね?」
    ナナバはモブリットの耳元で、囁くように言った

    モブリットは、ナナバのその行動に面食らう

    「ちょ、ちょっとナナバ。近いよ…!」

    だがナナバは更にモブリットとの距離を縮める…

    モブリットのすぐ隣…肩と肩が触れ合う程の距離まで

    「しっ…なるべく小さな声で話して。上に聞こえない様に、ね?」
    ナナバはそう言って、モブリットにウインクをした

    何かを企んでいる様な、不適で艶やかな笑みを浮かべながら…

  26. 80 : : 2014/08/15(金) 12:02:41
    「モブリット、さあさあ飲んで。ほら…」
    ナナバはモブリットの口に、グラスを宛がった

    「ちょっと…自分で飲めるから…」

    「いいから、黙って言う通りにして、モブリット。あと、小さな声」

    ナナバは机の下で、モブリットの足をつん、と軽く踏んだ

    「う、わかったよ、ナナバ」

    モブリットはされるがままに、ナナバに酒を飲まされたのであった

    「美味しい?飲ませてもらって飲んだお酒は」
    いたずらっぽい笑みを浮かべながらそう言うナナバに、モブリットはただコクコクと頷く事しか出来なかった

    そのまま三時間ほど、モブリットはナナバに沢山お酒を飲まされた

    ナナバはたまに喉を濡らす程度しか飲んでいなかった
    その代わりに、始終モブリットに身体を寄せて、耳元で話しかけていた

    モブリットはその度に恥ずかしそうにしていたが、やがてその状態にも慣れ、談笑する様になった


  27. 81 : : 2014/08/15(金) 12:20:44
    そしてそれから暫く経っても、モブリットの様子に変化は見られず、飲み会はお開きになった

    部屋を去り際に、ナナバはモブリットの耳元で、こう囁いた

    「ハンジは多分、機嫌が悪いと思うけど、頑張って宥めなさいよ?あんまり煩いようなら、唇でふさいであげたらいいよ…ふふ」

    自分の頬をさらりと撫でて、退出したナナバの後ろ姿を見送って、モブリットはふぅと息を吐いた

    すると、天井からパシュ…と音をさせて、ハンジとリヴァイが降りてきた

    「モブリット、お疲れ様。やっぱり酔わないね、覚醒もなし…か」
    ハンジはふぅとため息をついた

    リヴァイが口を開く

    「モブリット、お前の昔の彼女の特徴と、ハンジの特徴、似ている部分はあるか?」

    「兵長、そうですね…彼女は小柄で大人しくて、きれい好きで…」

    モブリットがそう言うと、リヴァイが肩を竦めた

    「まるっきり接点ねえな」

    「あっ…ありました。彼女は眼鏡をかけていました。分隊長と同じです」

    その言葉に、ハンジが頷く

    「眼鏡か…じゃあ次の人選は眼鏡っこで考えるかな」

    ハンジはそう言うと、手をひらひらさせて娯楽室を出ていった

    「分隊長?!」
    モブリットがあわてて後を追うべく駆け出す

    だが、扉の前でくるりと踵を返す

    「兵長、今日もありがとうございました!!またよろしくお願いいたします!!」
    そう言って敬礼をし、部屋を飛び出したのだった
  28. 85 : : 2014/08/15(金) 13:20:01
    「分隊長、待って下さい!」
    モブリットが私の後ろを追い掛けてきているのに、気が付いていた

    だが何となく、今は一人になりたかった

    だから、追ってくる彼を待つことなく、更に足早に部屋に向かった

    暫くすると、走るモブリットは私に追いついて、また定位置の半歩後ろを付いて歩き始めた

    何となく虫の居所が悪い

    原因はすべて自分が撒いた種にある

    だから、彼に当たりたくはなかった

    だが、いつも私の影のように付き従う彼には、私との距離を縮めるつもりは無さそうだった

    部屋の前に着くと、私はちらりとモブリットを振り返った

    彼は、心配そうな、不安そうな顔をして自分を見つめていた

    「じゃあ、人選は任せて。おやすみ」
    そう言って、部屋の扉を開けようとすると、モブリットが口を開く

    「分隊長、あの…」

    「なんだい、モブリット」

    私の問いかけに、モブリットは何かを言いたそうに口を開くが、その口はまた閉じられた

    「用が無いなら、もう寝るから」

    私がそう言って扉を開けた瞬間、モブリットは悲しげに瞳を揺らして、目を伏せた

    それを視界に捉えながら、私は彼を廊下に残して部屋に入った
  29. 86 : : 2014/08/15(金) 13:43:44
    部屋に入ってすぐに、大人げない自分の態度に後悔の波が押し寄せる

    「はぁ…モブリットは何も悪くないのになあ…」

    虫の居所が悪いのは、ナナバとモブリットの様子を見たせいだ

    仲が良さそうだった

    いつの間にかあんな関係になってたんだろうな、とかいろいろ考えていたら、だんだん苛立ってきた

    モブリットの気持ちを分かっているつもりでいたが、勘違いだったのか

    だが、モブリットの別れ際のあの表情

    やっぱり…

    明日からちゃんと普通にしよう

    私はそう思いながら、ベッドに身体を横たえた
  30. 87 : : 2014/08/15(金) 13:54:57
    翌朝

    いつもなら、呼びに来るであろう時間になっても現れないモブリットが心配になって、私は扉を開けた

    「ん…?重い…」

    外開きの扉は、何故かいつもより重かった

    ゆっくり扉を開けると…

    「モブリット、どうして…」
    兵服のまま、扉を背に眠っていたモブリットがいた

    穏やかに寝息をたてるモブリットの目尻には、くっきりと疲れが染み込んでいた

    「酷い顔だね…」
    私は苦笑しながら、モブリットを抱き上げて、自分のベッドに寝かせてやったのだった


  31. 89 : : 2014/08/15(金) 14:08:46
    午前中は、部屋でずっと事務処理をしていた

    モブリットは一度も目を覚まさなかった

    たまにはゆっくり休むのも必要だ

    彼はずっと、私に付きっきりで何から何までこなしてくれていたのだから

    顔にも疲れが染み込んでいる

    頑張らない日を、作ってあげたかった

    それに…モブリットは、昨夜は扉を背に眠っていた

    私の態度が心配だったんだろう

    そんな私に、声をかけたいのに、掛けられなかったんだろう…モブリットはそんな性格だ

    呑気に寝息をたてる彼を見ていると、何だか穏やかな気持ちになれた
  32. 94 : : 2014/08/15(金) 20:35:47
    「う…ん…」

    事務処理を終え、休憩をしようと立ち上がった時、ベッドから声がした

    掠れたような声

    私がベッドに歩み寄ると、モブリットが目を擦っていた

    「モブリット、おはよう」

    「…ハ、ハンジさん…あっ…分隊長…あれ…?」

    モブリットは身体を起こしてきょろきょろした

    「私の部屋だよ。今は昼。君は私の部屋の扉を背に眠っていた。だから、私がここに寝かせたんだよ」

    状況を把握できていないモブリットに、説明をしてやると、彼は決まりが悪そうに、顔を赤らめた

    「す、す、すみません…お手数をおかけしました…。ベッドも、使わせて頂いて…しかも、仕事も…」

    「いいよ。君がかなり疲れていたみたいだから、ゆっくり休んで貰いたかったんだ。目の下の隈、酷いよ?」

    申し訳なさそうなモブリットに、私は微笑みかけた

    「は、はあ…分隊長、すみません…」
    モブリットは頭を下げた

    「今日は差し当たり急ぎの仕事もない。一日ゆっくり休むといいよ。ここで。今日は実験も止めておくからね」

    「あっ、いえいえ、もう大丈夫ですから。仕事もさせて下さい。実験も…参加します」
    モブリットはそう言うと、ベッドから降りた

    「無理はしてほしくないんだ、モブリット」
    私はそんな彼に、真摯な眼差しを向けて言葉を発した

    「分隊長…大丈夫です。お気遣い痛み入ります…」
    モブリットははにかんだような笑みを浮かべて、いつもの低い声でそう言った

    「じゃあ、根詰めすぎないように仕事をしようか…一緒に。とりあえず、昼食食べに行こう」

    私がモブリットに手を差しのべると、モブリットは一瞬だけ目を細めて、そして私の手を握ったのだった
  33. 95 : : 2014/08/15(金) 21:07:05
    夜になった

    今日は眼鏡っ子と二人きりの飲み会だ

    モブリットはいつに無く緊張していた

    今日の相手が、調査兵団の兵士でなく、更に、ほぼ話した事がないからだ

    そんな、まるでお見合いの様な状況に、モブリットは顔を青くしていた

    「分隊長…相手方はどういう実験なのかご存じなのでしょうか…」

    「ああ、ちゃんと話してあるよ。彼女と彼女の上司にね」

    モブリットは泣きそうな顔をする

    「…と言うことは、駐屯兵団にまで俺の醜態が…」

    「大丈夫、内密にって話してあるからね。ピクシス司令とリコに」

    私がぽんとモブリットの肩を叩くと、彼ははぁ、と盛大にため息をついた


    お見合いの様な酒宴が、ついに始まった

    私とリヴァイは、天井裏だ
    息をのみ、状況を見守る

    「リコさん、わざわざご足労頂いてすみません…」

    眼鏡をかけた、ショートカットの快活そうな女性に、モブリットは丁寧に頭を下げた

    「こんにちは、モブリット副長。司令の命でお邪魔しました。よろしくお願いいたします」
    リコは、当たり障りのない挨拶をし、頭を下げた

    どうやら二人とも緊張している様だ

    「あ、どうぞ、座って下さい。今日は特別いいお酒があるんですよ」
    モブリットは表情が堅いリコに椅子をすすめ、自分は向かい側に座った

    そして、グラスに酒を注ごうとすると、リコの手がそれを止めた

    「私がやりますから」
    そう言って、モブリットのグラスに酒を注いだ

    「あ、ありがとう、リコさん」
    モブリットははにかんだような笑顔をリコに見せた

    そして、ほんのり頬を染めたリコのグラスに、酒を、注ぎ返すのであった
  34. 96 : : 2014/08/15(金) 21:28:07
    「モブリットさんって…顔が柔らかそうで、優しそうで、きっと調査兵団ではあまり目立たないかもしれないけど…普通にイケメンですよねぇ~」

    リコは半分机に突っ伏しながら、モブリットを誉めちぎっていた

    「イケメン…いや、それはないよ、リコさん」
    モブリットは顔を真っ赤にしていた

    「いいえ、イケメンです。駐屯兵団にきたら、すっごくもてますよ~何せ地味な男しかいませんからねえ…モブリットさんって、真面目に見えるけど、きっと中身はかなり危険でしょ?ミステリアスでしょ?」

    「リ、リコさん、俺は見たまま地味なんだけど…」

    「またまたぁぁ~ご謙遜を~。本とにモブリットさんって素敵…」

    どうやらリコは、酔うと相手を誉めちぎる、誉め上戸らしい

    モブリットはたじたじだった

    しかし、酒に酔う様子は無く、態度の豹変も見られなかった

    やがてリコがすやすやと眠りについた所で、酒宴は幕を下ろした
  35. 98 : : 2014/08/15(金) 22:45:58
    夜のトロスト区

    私とモブリットとリコは、駐屯兵団の兵舎に向かっていた

    とは言え、リコはモブリットの背の上ですやすや眠っているのだが

    「可愛い寝顔だね、モブリット」
    私は、男の背中で呑気に寝息をたてている、駐屯兵団のエリートの頬を、つんつんつつきながら言った

    「…俺からは寝顔の確認は出来ませんが、リコさんは可愛い方ですからね」

    「ふうん、沢山誉められて、鼻の下伸びてたしねえ」
    私は不敵な笑みを浮かべて、モブリットを見た

    「伸ばしていたつもりはありませんよ。恥ずかしかったですが…普段誉められ慣れていませんので」

    そういえば、私はよくモブリットに誉められるけど、彼を誉める事ってあまり無いな、と今更ながらに気が付いた

    とはいえ、いきなり誉めるのも気恥ずかしい

    気がつかない振りをしておく事にした

    「今日も沢山飲んだのに、酔わなかったね」

    「はい、結局真相は分かりませんでしたね、分隊長」

    モブリットは肩を落とした

    だが、私にはあと一つ、確かめたい実験があった


  36. 99 : : 2014/08/15(金) 23:32:48
    駐屯兵団兵舎に、リコをちゃんと送り届けた後、モブリットと二人で帰路についた

    「ねえモブリット。私、もう一度試してみようと思うんだけど…」

    私は、やはり半歩後ろを歩くモブリットに、そう声をかけた

    「何をですか?」

    「実験だよ。何通りか、答えが浮かんでるんだ。確認するためにもう一度…私と飲もう」

    私がそう言うと、モブリットは立ち止まった

    振り返ると、恐怖と絶望が一度に来たような、そんな例えようのない表情をしていた

    「それは…嫌、です…」
    モブリットは震える声で拒絶した

    「どうして?私とそうなるのが、嫌だから?」

    私は体ごと振り向いて、モブリットを見つめた

    モブリットは私の言葉に、ゆるゆると首を振った

    「そ、そうです…いや、そうではなくて…」

    しどろもどろに言葉を発するモブリットに、私は肩を竦める

    「どっちなんだよ…。わかったよ、私とそうなるのが、嫌だっていうのは、わかった」

    私はそう言って、踵を返そうとしたその瞬間

    「違いますっ!!俺は…あんな風にあなたを抱くのが嫌なだけです!!あなたにあんな風に、無理矢理…二度とごめんです!」

    モブリットはそう叫んだ後、俯いた

    「モブリット…」
    私は呟く様に、彼の名を呼んだ

    モブリットは、俯いたまま拳を握りしめ、微かに肩を震わせていた

    「俺は…自分の大切な人に、もう二度と、あんな風にしたくないんです…」

    私は彼の言葉に、目を見開いた

    モブリットは、傷付いていたんだ
    私をあんな風に抱いてしまった事を

    私があまり気にしなかっただけで、モブリットは…

    ずっと気にして、辛い思いをしていたのか

    私は顔を上げようとせず、肩を震わせるモブリットに、そっと手を伸ばした
  37. 100 : : 2014/08/15(金) 23:43:04
    「ごめん、モブリット。考えが至らなかったよ。君はずっと、思い悩んでいたんだね…」

    私は彼の頭を優しく撫でてやりながら、そう言った

    モブリットは顔を上げようとはしなかった

    「私は、確かに君に無理矢理…やられちゃったけど…びっくりしただけで、嫌じゃなかったよ。それは、伝わってると思ってたんだけどな…」

    私の言葉に、モブリットは俯いたまま、口を開いた

    「分隊長は、そう言って下さっているのは、分かっていました…ですが、俺自身が嫌だったんです…だって…」

    モブリットはそこで言葉を切った

    そして、恐る恐るといった体で、顔を上げた

    瞳が涙で今にも決壊しそうだった

    「俺は…あなたの事をずっと、好きだったから…。それなのに、あんな風に…自分が守ろうと決めたその人に…」

    私はその言葉を聞いた瞬間、モブリットの身体を抱き締めた

    モブリットを抱き締めた時、私の頬が濡れた

    彼が流した、涙のせいで

  38. 101 : : 2014/08/15(金) 23:51:37
    私はモブリットを抱き締めながら、ゆっくり言葉を発した

    「ありがとう、モブリット。君が私をそんなに大切に思ってくれていて、本当に、嬉しいよ…。だからさ、泣くのはやめて?」

    モブリットは私に抱かれたまま、うんうんと頷いた

    「君の事は…ごめん、可愛いなあって思っていたんだけど…。でもやっぱり可愛いだけではなくて、いろんな面があって…私、君の声も凄く好きだしさ、後、たまにあんた、って言われたりするのも好きだし…いっぱい、好きだよ」

    モブリットは私の身体に、自分の腕を回した

    「ありがとうございます…」
    私の好きなセクシーな低い声で、モブリットはそう言ったのであった


  39. 102 : : 2014/08/16(土) 00:06:20
    私とモブリットは、二人で部屋にいた

    お互いのグラスには、お酒が入っている

    二人で飲みながら、談笑した

    穏やかな時間…モブリットはいつも通りの穏やかな表情で、時おり私の飲みすぎを気にしながら、酒を飲んでいた

    しばらくたったある時…モブリットが突然、私の手をとった

    私は目を見開いた

    モブリットは何も言わずに私の手を握るような事はない…と言うことは、覚醒か?

    私がじっとしていると、ぐいっと手を引かれて、私は彼の胸にすっぽり収まった

    「モブリット…?」

    私が彼の顔を伺うと、いつもの穏やかな表情の中に、何処か野性的な何かを感じた

    「ハンジさん…」
    彼はそう呟くと、私の顔に、自らの顔を近づける

    そして…唇を密着させた

    酒の味の大人のキス

    モブリットの唇は、巧みに私の唇と歯をこじ開け、彼の舌が、私の口の中を蹂躙する

    私の舌を探り当てると、まるでそれ自身が生き物の様に、自らの舌を絡ませた

    濃厚なやり取りに、私の体が燃えるように熱くなった気がした
  40. 103 : : 2014/08/16(土) 00:15:38
    唇が離されると、モブリットは無言で私を抱き上げる

    軽々と…だが、手を突っぱねれば逃げられない事はない

    先日とは少し違う…そこまでバカ力は感じなかった

    ベッドに落とされ、組み敷かれる
    手を握られるが、振り払えない程の力ではない

    覚醒、していないのか
    いや、だが何の断りもなくこういう風にする事はやはり考えられない

    力としては、普段より少し強い程度だ

    いろいろ思考しようとしたが、彼の舌が、私の首筋をざらりとなめた瞬間、私の正常な思考感覚がとんだ

    あとは、ただ女として、器として、彼の事を受け入れる

    迫り来る快楽に、身を委ねながら…
  41. 104 : : 2014/08/16(土) 00:55:13
    翌朝

    「分隊長、またやってしまいました…すみません!!」

    モブリットは案の定、ベッドの下で土下座をしていた

    「モブリット、おはよう…。土下座はいらないからさあ…こっちに来てよ」
    私はベッドの上で、布団をまくって隣を指差した

    「で、ですが…分隊長…」

    「折角の熱い夜だったのに…起きたら相手が土下座って、何だか寂しいんだけど…」

    私が上目使いでそう言うと、モブリットは飛び上がる様に隣に身を滑らせた

    「寂しい…ですか、すみません分隊長…」

    「ああ、そうだよモブリット。ちゃんと隣にいてくれなきゃやだよ。特に、抱いた後はね」

    私がそう言うと、モブリットはまた泣きそうな顔になった

    「はい、分隊長…」

    「素直でよろしい!!」
    私はそう言って、モブリットをぎゅっと抱き寄せたのだった
  42. 105 : : 2014/08/16(土) 10:27:15
    「分隊長…」

    「ん?なんだいモブリット」
    私はモブリットに腕枕をしてもらいながら、気だるげに返事をした

    また眠たくなってきたのだ

    だが、彼の質問でまた目がさえた

    「分隊長は昨夜、何通りか答えが浮かんでいるとおっしゃっていましたが、結論は導き出されましたか?」

    「おっ、モブリット、流石だね。確かに私は昨夜ね、一つの答えにたどり着いたんだけど…」

    モブリットの頭をよしよしと撫でてあげながら、私は呟く様に言った

    「昨夜のアレの最中にも、頑張って考えてたんだけど…途中から集中出来なくなっちゃって…君のせいで」

    私はそう言って、モブリットの額を指で弾いた

    モブリットは顔をぱあっと赤く染めた

    「す、すみません分隊長…」

    「ふふ、謝らなくてもいいよ。昨日のは私が誘った様な物だしね。それより…私が出した答えに、補足が欲しい。だからね、この事態を知っている皆に聞いてもらおうと思っているんだ。私の結論を」

    私がそう言うと、モブリットは頷いた

    「いろいろな方の意見や考えを聞くのは賛成です。は、恥ずかしいですが…」

    「偉いよ、モブリット。大好き…」

    ますます顔を真っ赤にするモブリットに、私は唇を寄せたのだった
  43. 108 : : 2014/08/16(土) 11:16:36
    夜、私とモブリットは、娯楽室に足を運んだ

    私達が部屋に入った時には既に、実験に関わった皆が集まって、酒宴が始まっていた

    「お、ご両人さんの登場っスよー皆さん!!」

    私たちにいち早く気がついたオルオが、グラスを掲げて言った

    「ハンジ、遅かったな。もう皆出来上がりかかっているぞ。ほら、君たちも飲め」

    エルヴィンがこいこいと手招きをしたので、私達はエルヴィンの横に座ろうとした、その時

    「モブリットはこっち、私の隣ね?」
    ナナバがモブリットの手を引いた

    「ちょっ、ナナバ…」
    モブリットは顔を真っ赤に染めた

    「だめだよ、モブリットは私の隣」
    私は負けじとモブリットの手を引く

    「えー、けちけちしないで貸してよ。モブリットだって私の隣の方がいいよね?ハンジみたいに異臭させてないし…ほら、今日は薔薇の香りだよ」
    ナナバはそう言って、髪を手でふわりと掬った

    「私は加齢臭なんかさせてないし!!」

    「加齢臭だなんて、一言もいってないし!!…ぷぷ」

    「お二人とも、喧嘩はやめて下さい!後、手を離して下さい…痛いです!!」

    モブリットの悲鳴が、娯楽室に響き渡った
  44. 109 : : 2014/08/16(土) 11:35:04
    「皆聞いてくれる?私の導き出した結論を。その上で、意見が欲しいんだ」

    私の言葉に、皆が酒を飲む手を止めた

    「ああ、聞こう。皆もしっかり聞いてくれ」

    エルヴィンが静かにそう言った

    私は口を開く

    「私が出した結論なんだけど…モブリットの豹変と力の覚醒は、自分が大切に思っている人に対してしか、発動しないって事なんだ」

    「大切に…というか、好きな相手という事だな」
    エルヴィンの言葉に私は頷いた

    「ただ、昨夜なんだけど…態度の豹変はあったものの、力の覚醒は、あまり感じられなかったんだ。抵抗が出来ない程では無かったしね」

    「ハンジが抵抗しなかったからじゃないの?」
    ナナバの問いに、私は首を振る

    「抵抗してみたんだ。でも簡単に…逃れられそうだったんだ」

    「どうして逃げなかったんですか、なんて聞きませんよ。野暮ですし」
    リコの言葉に、私は頬に血が上ったのを感じた

    モブリットに至っては、まるで少女のように両手で顔を覆って、恥ずかしがっていた

    「抵抗が出来ない程ではないにしろ、普段よりは力は強かったと…俺はなんと無くだが、わかってきた気がする」

    「私も、わかった気がするよ」
    エルヴィンとナナバが顔を見合わせて頷いた

    「その見解、聞かせて」

    私は二人に真摯な眼差しを向けた
  45. 110 : : 2014/08/16(土) 11:51:19
    「要するに…モブリットは、我慢をしてきたからじゃないのかな。ハンジを好きな気持ち、ハンジを抱きたい気持ち、その他もろもろ。それが、酒の大量飲酒によって、爆発したんじゃないの?」

    ナナバは不敵な笑みを浮かべてそう言った

    「訓練兵時代も、長い片想いを経て、やっと付き合って、半年間何も無かったんじゃないのか、モブリット。そんな状況で大量飲酒…そして爆発…辻褄が合うと思うんだが」

    エルヴィンの言葉に、モブリットは顔を上げて頷く

    「確かに…その通りです、団長」

    「そうか、だから昨夜は態度の豹変に留まったのか。数日前に、本懐を…遂げてるから…」
    私は顎に手をやって頷いた

    「そうっスね!!やった後だったから、たまってなかったんスよ!!なるほど!!」

    「オルオの言は正しいと俺は思う」

    エルヴィンはオルオに目をやって、頷いた

    「あれか、力を覚醒させるには…モブリットをまた限界まで我慢させて、力を覚醒させたい時に、酒を与え、目の前にハンジを転がしておけばいいんだな」

    今まで黙っていたリヴァイが、急に言葉を発した

    「なるほど、ならば次の壁外遠征までは禁欲で頼むぞモブリット」
    エルヴィンはモブリットの肩にぽんと手を置いた

    「より一層力を覚醒させるために、ハンジ分隊長には、スラックスじゃなくてミニスカートで、素足で立体機動ベルトを着用してですね…」

    「あっ、なるほど。挑発して、力を誘発させるんですね」
    オルオの発言に、リコがぽんと手を叩いた

    「その案採用だ。早速モブリットの禁欲を使った作戦の立案をしよう。参謀を呼んでくれ」

    「エルヴィン!!嫌だよ!!ミニスカートで壁外なんて!!」

    「団長、俺の性欲を作戦に盛り込むのはお止めください!!」

    私とモブリットの涙ながらの訴えが、娯楽室に笑いを呼んだのだった
  46. 111 : : 2014/08/16(土) 12:20:18
    「ふう、しっかしえらい目にあったね…モブリット」

    私の部屋のベッドの上で、私とモブリットはぐったりしていた

    「まさか、あんな作戦…実行されるはずはないと信じたいですが…」
    モブリットはこめかみを指で押さえて、呻くように言葉を発した

    「大丈夫だとは思うけどねえ…私だって嫌だよ…ミニスカートなんて。スカートすら普段はきたくないのに…」

    私の言葉に、モブリットがぼそっと呟く

    「ミニスカートは、見たい…かもしれません」

    「え!?何?聞こえないからね、モブリット!!」
    私は耳をふさいだ

    すると、私の手を耳から離して、モブリットは口を私の耳元に寄せる

    「分隊長のミニスカート、見たい、です」

    「やだよ!!酔ってるだろ、モブリット」

    私の言葉に、モブリットは頷く

    「はい、少し…俺は、分隊長と飲んだら酔えるんです。他の人と飲んでも酔えないですが…」

    モブリットは嬉しそうに顔を綻ばせた

    私はそんなモブリットの頬を、優しく撫でた

    「そっか。良かったね、モブリット。でもたまには…素面で抱いて欲しいな…」

    私の言葉に、モブリットは顔を真っ赤に染めた

    「………はい、分隊長」
  47. 112 : : 2014/08/16(土) 12:20:42
    そして私たちは、また一つになる

    やっと繋がる事が出来た、この上なく可愛くて愛しくて、そしてセクシーなモブリットを目の前に、禁欲なんて守れるはずが無い

    結局エルヴィンの命令は右耳から左耳へ通り抜け、私たちは禁欲と言う言葉を頭の辞書から追い出して…

    お互いの体温を上げるべく、行動を開始するのであった



    それから一月後の壁外遠征

    禁欲を守らなかった私たちに、エルヴィンが機嫌を悪くしたのは、言うまでもない


    ―完―
  48. 113 : : 2014/08/16(土) 12:58:38
    なんか凄くホーンワーーカしてて良かったです!(*´∀`)

    ハンジのミニスカ姿みたいな・・・・(((変態

    モブリットのポジション変わってほしいくらいでした!!(((変t((ry

    執筆お疲れさまでした!
  49. 114 : : 2014/08/16(土) 13:12:52
    モブリットの大酒豪の秘密が分かりました!!!
    二人ともいつまでもお幸せに、、
    執筆お疲れ様でした꒰*´∀`*꒱
  50. 115 : : 2014/08/16(土) 13:21:52
    ハンジのミニスカ姿……………

    分隊長!!生き殺し過ぎです!!

    とても面白かったです!
  51. 116 : : 2014/08/16(土) 13:39:37
    >ハンジもどきさん☆
    読んで頂きありがとうございます♪
    私もハンジさんのミニスカート立体機動がみたいですw
    私はハンジさんに場所を変わってもらいたいw
  52. 117 : : 2014/08/16(土) 13:40:53
    >はんちゃん☆
    読んで頂きありがとうございます♪
    大酒豪モブリット、きっと幸せになる事でしょう(*´ω`*)
  53. 118 : : 2014/08/16(土) 13:45:14
    >Mさん☆
    ハンジさんのミニスカート!!
    はぁはぁ♪
    見たいですよね!!
    読んで頂きありがとう♪
  54. 119 : : 2014/08/16(土) 17:29:29
    執筆お疲れ様でした!
    モブリットも男の子なんだなあ…って微笑ましい気分になりながら読ませて頂きました(*´∀`*)ノ
    最後のオチがw仕方ないじゃないかエルヴィン!愛し合うものに禁欲は試練だよ!どんまいどんまい!ハンジさんのミニスカに私まで食いついてしまいました!
    あ、違うんだよハニー!僕はハニーのミニスカが…!げふんげふん!面白かったです!お疲れ様でした!
  55. 120 : : 2014/08/16(土) 18:17:10
    >卿さん☆
    だぁりん♪
    読んでくださってありがとう(*´ω`*)
    エルヴィンは無茶だよねw鬼畜だよねw
    でも、ハンジさんが一言「モブリット、一年我慢してはぁと♪」って言ったら、きっと我慢するはずw

    ほう、ハンジのミニスカ立体機動、皆好きなんやなあw
    私はミニスカはきましぇん(;・∀・)
    コメントありがとう(*´ω`*)
  56. 121 : : 2014/08/16(土) 22:04:21
    執筆お疲れ様でした!

    なんかとんでもないことなのに調査兵団が全力をあげて謎解明に乗り出しているのが面白いですねw
    解ってよかったね、二人とも。

    あと、88さんのモブさんっていっつも土下座してるイメージがあるんですけど…w。可愛いからもっとやってもいいんですが。

    相変わらずのモブハンラブラブでにやけっぱなしでした!
    次回も期待してます。

    最後に……ハンジさんのミニスカは私も全面的に支持致します!!

  57. 122 : : 2014/08/16(土) 22:34:13
    >キミドリさん☆
    読んで下さってありがとうございます♪
    凄い事を探求してますよねw
    駐屯や憲兵団では、こうはならないでしょうw
    調査兵団ならではですw
    今回は可愛いモブリットおしです♪イケメンは成りを潜めて頂きました!!
    やっぱりモブハンだけは…やめられない止まらない!!

    皆ハンジさんのミニスカ生足期待しすぎだぞww
  58. 123 : : 2014/08/17(日) 18:27:19
    シリアスに拘らず読んだ。
    モブリットの開発と、多キャラの使い分けは見事だと思う。良かった。

    お疲れ様
  59. 124 : : 2014/08/17(日) 19:56:10
    >gjさん☆
    読んで頂きありがとうございます♪
    キャラの書き分け、誉めて頂けて嬉しいです!!
    また頑張りますので、遊びにきてください♪
  60. 125 : : 2014/08/17(日) 22:30:18
    ハンジさんのミニスカ…
    見てみたいなぁ~(^^*)
    そしてモブリット可愛かったW
    お疲れ様でした!
  61. 126 : : 2014/08/17(日) 22:32:29
    >pora-ryuu@東方projectさん☆
    読んで頂きありがとうございます♪
    もう一人、ハンジのミニスカ期待入りましたぁぁ!!
    モブリット、可愛く書いちゃいました♪
    また遊びにきてください♪
  62. 127 : : 2014/09/05(金) 21:24:40
    ご参加ありがとうございます!
    とても、面白い作品でした!


    話は飛びますが、今日はハンジさんの誕生日ですね!ハンジさん、ハピバー!

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fransowa

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