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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

進撃のウォーキングデッド season2 ep3 愛が壊れたとき

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  1. 1 : : 2014/08/08(金) 01:56:17
    season2 ep2の続きです。

    http://ssnote.net/archives/18423
  2. 2 : : 2014/08/08(金) 10:51:55
    楽しみにしてました。
    期待です。
  3. 3 : : 2014/08/17(日) 01:36:27
    まだかなぁー
  4. 4 : : 2014/08/17(日) 15:02:09
    期待!!
  5. 5 : : 2014/08/20(水) 22:02:10
    お待たせしています。明日夜更新します。
  6. 6 : : 2014/08/22(金) 00:57:31
    ジャン「これで全部だ。ウサギでもかかってくれりゃあいいが…みんなが心配するし、早く帰ろうぜ。」

    ミカサ「そうね。」

    踵を返したミカサだったが、あるものに気づきそれに駆け寄った。

    ジャン「おいミカサ!どこへ…」

    ミカサを追うと、そこには鹿がいた。その空間だけ異質な空気が漂う。

    それもそのはず、生きている動物を久しぶりに見たからだ。

    ジャン「…!」

    銃を向けるジャンをミカサが制す。

    ミカサ「やめて!殺さないで!」

    ジャン「気持ちはわかるが、俺たちだって飢える一方だぞ。」

    ミカサが鹿に近づく。鹿は気配に気付き、警戒して後ずさりする。

    ミカサ「大丈夫…恐くないよ…」

    ジャン(ミカサ…)

    ミカサは言語障害を抱えているが、こうして素に戻ることがある。その時の精神状態が大きく影響するらしい。

    ミカサ「!…よしよし、いい子ね。」

    鹿はミカサに敵意がないことを悟ったのか、自らすり寄った。

    ジャン(すげぇ…人には懐かない動物が…)

    ジャンは目の前の光景に見とれてしまっていた。スローモーションにすら感じられる。







    パンッ!



    ジャン「…はっ!?」

    ミカサが血飛沫を上げて倒れたことを認識するのに数秒かかった。返り血を浴び、我にかえる。

    ジャン「ミカサっ!!」

    ライフルだろうか、ミカサの腹部がみるみる赤に染まっていく。

    「くそっ、なんてこった!」

    左手でミカサの腹部を押さえながらも、声の主に銃を向ける。

    ジャン「止まりやがれ!よくもミカサを!」

    「すまん!鹿を狙ったんだが、死角で人がいたのが見えんかったんだ!」
  7. 7 : : 2014/08/25(月) 12:56:07
    「とにかく銃を下ろしてくれ!早くしないと、その子も危ない!」

    ジャンは迷ったが、結果銃を下ろした。

    「この子の血液型は?」

    ジャン「…ABだ。」

    「よりによってABか…輸血が必要なんだが、仲間に同じ血液型はいるか?」

    エレンの顔が浮かぶ。

    ジャン「駅まで戻れば…」

    「よし、そいつを連れてきてくれ。長くは待てん。」

    ジャン「ふざけんな!見ず知らずの奴に任せろってのか!」

    中年の男は必死に自分の上着でミカサの腹部を押さえつけていた。

    ジャン(ふざけてんのは俺だ。こうしている間にもミカサは…)

    ジャン「すぐ戻る!死なせるんじゃねーぞ!」

    ーーーーーーーーーーーーー

    ジャン「輸血が必要なんだ!エレンは…!」

    ベルトルトが視線をそらした。

    ジャン「…おい、何か隠してねぇか?エレンは水汲みじゃなかったか?!」

    ライナー「エレンはコニーと俺達を助けてくれたんだ。あと10分もすれば戻るだろう。」

    ライナーとクリスタの姿を確認して、一瞬驚いたようだったが、すぐさまベルトルトに噛みついた。

    ジャン「ふざけんな!ベルトルトてめぇ!」

    アルミン「…待てジャン。君はミカサを撃った張本人と二人にさせてきたのか?!」

    アルミンがジャンに詰め寄る。

    ジャン「うるせぇ!時間がねぇんだ!…ちくしょう!」

    ジャン(エレンかいないなら、俺がやるしか…!)
  8. 8 : : 2014/09/05(金) 23:09:17
    まだかな?
  9. 9 : : 2014/09/14(日) 00:00:18
    執筆やめちゃったのかな?
  10. 10 : : 2014/09/15(月) 01:38:32
    すんません書き溜めはかなりあるんですが、打ち込む暇がなく…
    明日から再開します。お待たせしてすみませんm(_ _)m
  11. 11 : : 2014/09/15(月) 06:20:28
    いつまでも待ってますよ〜!
    催促なんて気にせず、あなたのペースで頑張ってください!
  12. 12 : : 2014/09/15(月) 16:17:24
    たまなしさん

    ありがとうございます!!がんばります
  13. 13 : : 2014/09/15(月) 16:27:47
    ジャンは再び森へと戻って行った。

    ライナー「待て、ジャン!俺らはどうしたら…」

    アルミン「とりあえずエレン達の帰りを待とう。今の状況で動くのは良くない。」




    「戻ったか!…お前一人か?」

    ジャン「A型だがおれの血を使ってくれ!!」

    「正気か?とりあえずここじゃ何もできない、車に乗れ移動するぞ!」

    ライトバンにミカサを抱え、乗り込む。

    ジャン(ミカサ、頑張ってくれよ…!)

    ーーーーーーーーーーーーーーーー

    「あんたらか?ジャンってやつの仲間は?」

    馬に乗った長身の女性が言った。

    アルミン「君は?」

    「私はユミルってもんだ。あんたらを迎えにきた。先導するからついてこい。」

    エレン「待ってくれ!!ミカサは無事なのか?!」

    ユミル「運ばれてすぐに馬を走らせたからな。わからん。」

    一行は各々車に乗り込み、ユミルの後を追った。






    コニー「ライナーとクリスタも次はミカサかよ…」

    アルミン「よすんだコニー。」

    二人と同乗したエレンはナーバスになっていた。

    エレン「…ミカサ…。」

  14. 14 : : 2014/09/15(月) 16:39:55
    ライナー「自分を責めるなベルトルト。お前のせいじゃない。」

    こちらではベルトルトが膝を抱え込んで塞いでいた。

    アニ「しっかりしな…まだミカサは死んだわけじゃないんだ。」

    慰めるアニもどこか虚ろであった。





    コニー「漁村か?よくも今までこんな…」

    ユミルに案内された先は、海岸沿いの小さな漁村であった。
    使用されている家は二階建ての一軒のみで、あとは封鎖されているようであった。ウォーカーに襲われた形跡は見られない。

    ユミル「親父!連れてきたぞ!」

    家の戸を開けるとミカサがベッドに横たわり、ジャンもぐったりしていた。

    エレン「よくも…よくもミカサを!!」

    発砲した主を見つけると飛びかかった。

    アルミン「待てエレン!!」

    ガッ!!

    しかし立ち上がったジャンがエレンを壁に押さえつけた。

    ジャン「…てめぇ、どこに行ってやがった…?」

    エレン「ジャン!お前…」

    明らかな疲労の色が顔に浮かんでいる上に、眼は血走っていた。

    ジャン「お前がそばにいれば…ミカサはこんな目には…」

    言い終えるとジャンは膝から崩れ落ちた。

    「彼が多量の輸血を施してくれたんだ。さあ、君も横になって。」

  15. 15 : : 2014/09/15(月) 17:00:43
    家の側の大木の下にキャンプを宛がった一行。

    エレン「…朝か。」

    いつの間にか寝てしまったようだ。結局あの後、処置の邪魔になるからといってミカサの傍にいることはかなわなかった。

    二人は無事だろうか?

    「早起きだな。悪いが手伝ってくれんか?魚を取りにいく。」

    エレン「あんた。ミカサはどうなったんだ?」

    「峠は越した。安心しろ。今は娘が見てくれている。」

    他にやることもなかったエレンは男とともに目の前に広がる海に出た。

    ウォーカーの気配すらしないその場所は、ATLL以来の平穏を感じさせてくれた。

    「そういえば名乗っていなかったな。ハンネスだ。改めて昨日のことを謝罪する。」

    エレン「いや、故意ではないことはわかってる。こっちこそミカサを助けてくれてありがとう。俺はエレンだ。」

    会話をかわしながら、自動式のボートを動かし網を引き揚げる。

    エレン「すごいな。久しぶりに魚介を見たよ。」

    ハンネス「言っておくが、ほかの湖や池では汚染がすすんでいるから気をつけろ。あっという間に転移するぞ。」

    エレン「ここは大丈夫なのか?」

    ハンネス「不思議なことにな、奴らは海辺には一切近寄ろうとせん。」

    マルコの仮説は正しかった。

    エレン「ずっとこの生活を?」

    ハンネス「質問攻めか?」

    エレン「…すまん、気に障ったなら謝る。俺たちは仲間を失ったばかりで息をつけるのは久々なんだ。」

    エレンが引いた網を回収しながらハンネスは言った。

    ハンネス「父の代からな。少し前まで住人もいたんだが、みんな出て行った。」

    エレン「出て行った?こんな好環境がありながら?」

    ハンネス「…その話はよしてくれ。」

    口をつぐむハンネスに違和感を覚えたが、追及はやめた。
    誰にも触れられたくない過去はあるものだ。

    ハンネス「よし。一週間分は確保できたな。戻ってメシにしよう。」

  16. 16 : : 2014/09/15(月) 17:18:44
    ライナー「まさか魚にありつけるとはな。」

    クリスタ「生ものは久しぶりに食べたね。」

    ハンネス家のリビングで一行は食事をとっていた。

    コニー「早くミカサたちにも食わせてやりてぇな。」

    ハンネス「安心しろ。そろそろ意識が戻るはずだ。」

    ベルトルト「…エレン、ごめん。」

    エレン「もう気にするな。」

    アルミン「これからのことを考えよう。ここにいれば当面は安全だしね。」

    ハンネスの表情が露骨に曇ったをエレンは見逃さなかった。
    やはり何か隠し事があるのだろうか。

    ユミル「食事が終わったら誰か町までついてきてくれねぇか。あの二人に包帯やら使い切ったんでな。」

    ライナー「よし、出番だぞ。」

    コニーの頭をピシャリと叩いた。

    コニー「おい?!何で俺が!」

    アニ「暇そうな面してるし、あの子とも歳が近いだろ。」

    ユミル「決まりだな。頼むぞ坊主頭。」

    コニーはまだ納得がいかずブツブツ言っていたが何も言えなかった。」

    ライナー「アニ、どうだ。久々に組み手でもやらんか?」

    アニ「はっ。また転がされたいの?」






    ハンネス「…ユミル、ちょっといいか?」

    各々の会話を尻目にユミルを部屋の外に呼び出した。

    ハンネス「彼らに必要以上に優しくするな。嬢ちゃんが回復すれば、出ていかせる。」

    ユミル「親父はまた見殺しにする気か?…私は好きにさせてもらう。」

    ハンネス「ユミル!」

    ユミル「坊主頭!そろそろ行くぞ!」

    うるせー!俺はコニーだ!





    ハンネス(よそ者は受け付けん。…関わってはいけないんだ。)

  17. 17 : : 2014/09/15(月) 17:22:14
    超期待!
    ハンネスにいったい何があったんだ?
  18. 18 : : 2014/09/15(月) 18:23:45
    かきくさん

    フォローありがとうございます!よろしくお願いします。
  19. 19 : : 2014/09/15(月) 18:40:39
    はい!よろしくお願いします!
    僕もウォーキング・デッドとは違うゾンビものを書いているので、見ていただけると嬉しいです!
  20. 20 : : 2014/10/07(火) 17:19:32
    ユミル「まさか馬に乗れないなんてことはないよな?」

    コニー「ケンタッキーで一回だけ。よく馬なんて残ってたな。」

    馬に跨り、漁村を後にする。

    コニー「ユミルは学生だったのか?」

    ユミル「あぁ、中退だがな。お前、私と同い年なんだってな。」

    コニー「俺は大学卒業してるぜ。その後の人生が良くなかったけど。」

    ユミル「良くなかったって?」

    コニーは空を見上げた。

    コニー「ケチな窃盗に詐欺。頼まれると断れきれなくてさ、気づいたら抜け出せなくなってた。」

    コニー「良心は残ってたから、エレン達と生き残ってこれたんだけどな。」

    ユミル「…私もな、決して真っ当な生き方じゃなかった。ドラッグにセックス。毎日明け方に帰るような生活だった。」

    コニー「今のユミルからは想像つかないけどな。」

    ユミル「母親が死んだショックと刺激を求めた結果がそれだった。今思うと、どこか壊れてたよ。」

    二人は森を抜け、街道に出た。

    ユミル「だが親父は私を見捨てなかった。馬で車を追っかけてきた時は流石にビビったね。」

    コニー「それは想像したくねぇな。」

    ユミル「で、今に至るという訳だ。悪友も刺激のある生活も全てなくなったが、私は自分を取り戻した。」

    ユミル「世界はメチャクチャになったが、私らの生活は変わらない。今もこれからも…」

    ユミルの目はどこか虚ろであった。

    コニー「安らぎを得たという訳か。」

    ユミル「あぁ…と、ここから拝借するぞ。」

    どこにでもあるような片田舎の小さいドラッグストアの前で馬を下りた。

    ユミル「これが必要なもんのリストだ。手分けして探すぞ。」

    渡されたメモを片手に棚を漁る。

    コニー(包帯…消毒液…ん?)

    コニーが手にしたもの、それはコンドームであった。
    無理もない彼も思春期の青年なのだから。

    コニー「あー…馬鹿ばかしい。」

    ユミル「何が馬鹿馬鹿しいんだ?」

    突然現れたユミルに驚き、そそくさとコンドームを背後に隠す。

    ユミル「はぁはぁっーん。今後ろに隠したもんは…さてはお前童貞だな?」

    コニー「う、うるせー!」

    コニーはみるみる赤くなり、何も言い返せなかった。

    ユミル「一回だけなら相手してやってもいいぜ。」

    コニー「…はぁ?!」

    ユミル「私も寂しいんだ。それとも恐いのか?」

    コニー「…恐くなんかねぇよ。」

    ぎゅっと拳を握りしめた。

    ユミル「はっ。強がりやがって。…まぁ私に任せな。」

    二人は床へと倒れこんだ。
  21. 21 : : 2014/10/11(土) 17:45:29
    ライナー「うおっ…!!」

    ドシーン!!

    アニ「はっ、相変わらずだね。」

    アニの豪快な投げにライナーの巨体が宙を舞った。

    エレン「なんか滑稽だな。お前の倍近いやつを簡単に投げ飛ばすなんて。」

    ライナー「いててて…こいつは昔っから加減を知らないんだ。俺を投げ飛ばすのがいいストレス発散らしくてな。」

    エレン「仲がいいんだな。」

    アニ「寝言は寝てから良いな。次はアンタの番だね。」

    アニがエレンに歩み寄る。

    エレン「ちょっ…お、俺は遠慮する!!」

    アニ「遠慮なんてしなくていいって。」





    アルミン「エレン!!ミカサが、ミカサが目を覚ました!」

    エレン「!!」

    ------------------------------

    はやる気持ちを抑えハンネスの家に一歩一歩近づく。

    だがエレンは門の前で足を止めた。




    ジャン「…よう。」

    エレン「ジャン…。」

    ジャン「…早く行けよ。ミカサが待ってる。」

    ジャンの目元にはひどい隈ができていた。大量に輸血したことを除いても、ひどい顔つきだった。

    エレン「…あぁ。」

    ザッ、ザッ。




    ジャン「なぁエレン。俺にはもうわからない。個人か全体どっちを優先すべきなのかが。」

    ジャン「俺はもう、疲れた。」

    ジャンは腰を上げ、フラフラとキャンプの方へ向かっていった。

    エレン「…何だって?おい、ジャン!!」







    ジャン「…何かが、とても大切な何かが、壊れた音がしたんだ。」

    ------------------------------

    寝室に入ると目を覚ましたミカサと、壁際に寄りかかるアルミンがいた。

    アルミン「…2人だけで話した方がいいね。僕はこれで失礼するよ。」

    アルミン「そうそう。今晩にでも話したいことがあるんだ。夕食を済ませた後にリビングで。ハンネスには僕から話しておく。」

    アルミンが気を利かせたのか退出した。しかし、今の彼の声にはどこか暗さがあった。




    ミカサ「…ジャンとは話した?」

    エレン「…あぁ。」

    ミカサは深呼吸をすると続けた。

    ミカサ「…私はエレンが死んだと思っていた。そんな時に助けにきてくれたジャンがいつしか愛情の対象になっていた。…あのね、あのねエレン。私はジャンと…」

    エレン「知っていたよ。」

    ミカサ「…え?」

    エレン「俺は鈍感かもしれんが馬鹿じゃない。2人の間に何か後ろめたいことがあるのは知っていた。」

    ATLLでのジャンとミカサの雰囲気がエレンにそれを気づかせた。

    エレン「気づいていたけど言い出せなかった。お前だけじゃなく、ジャンとの関係も壊れてしまいそうで。」

    エレン「今までのぎこちない態度がそれだ。」

    ミカサ「…ジャンは私との関係をなかったことにすると言ってくれた。厚かましいとは思うけど、私は今はエレンの側にいあたいと思っている。」

    エレンとミカサはお互い目を合わせないまま続けた。

    エレン「今、か。…これからはお互いわからないな。」

    ミカサ「…えぇ。残酷なこの世界では、私もエレンもずっと一緒だとは言えない。」






    何かが、壊れた音がした。ずっと守ってきた、ずっと触れずにいた、何かが。

    ミカサ「待って。エレン。もう一言だけ。」

    退室しようとしていたエレンに呼びかけた。

    エレン「…何だ?」

    ミカサ「あなたはこの壊れた世界では正しいし、救いにもなる。でもね、エレン。それが他の人にとっても同じとは限らないんだよ。」
  22. 22 : : 2014/10/19(日) 20:26:28
    更新まってるよ
  23. 23 : : 2014/10/23(木) 04:16:35
    今日更新しまーす。最近過疎ってる気がするんでコメントほんと嬉しいです。
  24. 24 : : 2014/10/23(木) 17:06:49
    ひとまず安全は確保できた一行だったが、アニは銃やナイフの手入れに余念がなかった。

    アルミン「少し休んだら?」

    アニ「いざとなってから整備不良じゃ意味がない。朝起きて顔を洗うのと同じようなもんだよ、これは。」

    アルミン「確かに君は軍人だし、腕も立つ。でもね、君には銃を持ってほしくないんだ。いや、持つべきじゃない。」

    アニは訝しげな目でアルミンを見た。

    アニ「何様のつもり?」

    アルミン「銃を持つことはそれだけの危険が伴う。エレンやライナー達に任せればいいじゃないか。」

    アニ「…話にならないね。」

    ホルスターに銃をしまおうとした一瞬の隙をついて、アルミンが取り上げた。

    アニ「…はっ?あんた、返すなら今のうちだよ。」

    アルミン「…蹴られるのはごめんだからね。はい。でも覚えておいて、僕はアニに銃を持って欲しくないんだ。」

    アニ「勝手にすれば。」

    アニ(銃がなければ誰も守れない。)

    いても立ってもいられなくなり、キャンピングカーを降りた。






    アニ(私がもっと強ければミーナは死なずに済んだ。)

    アニ「…ジャン?」

    ジープの窓から足を放り投げてジャンが横になっていた。
    まだ本調子ではないのだろう、すっかり寝入ってしまっていた。

    アニ(こいつも、不器用で気持ちを伝えられない奴だ。)

    持っていたバンダナを水で濡らすとジャンの額に当てた。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    夕食前、アルミンはエレンを呼び出した。

    エレン「何だ?それにこの後話があるんだろ。」

    アルミン「その前に君と一対一で話がしたくてね。単刀直入に言う。君はこの先みんなを率いていく覚悟があるかい?」

    エレン「…いきなりどうした?最近のお前変だぞ。」

    一行の中でもアルミンの変貌ぶりは心配されてにいた。

    アルミン「僕は君をリーダーに推薦したい。この後話したいことっていうのがそれだ。」

    エレン「リーダーって…決めなきゃいけないことか?今までもうまくやってきて…」

    アルミン「果たして本当にそうかな?フランツもミーナも死んだ。このままだと、ミカサも死ぬよ?」

    エレン「!!」

    ガッ!

    エレン「…おい。冗談がすぎるんじゃないか?」

    胸倉をつかまれたアルミンはそのまま続けた。

    アルミン「君がどっちつかずの態度をとっているから、ミカサはジャンに靡く。そしてその結果があれだろ?」

    エレン「アルミン、お前…!」

    バキッ!

    アルミン「…くっ!何度でも言ってやるよ、ジャンは危険だ!あの男は信じられない!」

    エレン「…俺に一体どうしろってんだ!」

    アルミン「僕は君にリーダーをやってほしいだけなんだ。指導者が決まれば、勝手なことをする人間も減る。何もジャンを追い出そうとしている訳じゃない。ほんとうにそれだけだよ。」

    エレン「……みんなの意見をちゃんと聞いてからだ。」

    アルミン「もちろんさ。これは私利私欲ではない。みんなの為なんだ。」



    アルミン(最も、ジャンもあの状態だ。エレンを支持しない人間は一人もいないだろうさ。))
  25. 25 : : 2014/10/23(木) 17:49:10
    ミカサを除く一行全員がリビングに集まった。

    アルミン「わざわざ集まってもらって済まない。ミカサは大事をとってまだ休んでもらっている。」

    ベルトルト「話って一体なんだい?」

    アルミン「僕たちは今まで明確な方向性を持って行動してこなかった。リーダーがいなかったからだ。」

    アルミン「方針や指導者なしでは、いざという時の決断ができない。その決断の遅れが誰かを死なせる。これは避けたい。」

    アルミンの真剣な表情に誰もが口をつぐんだ。
    ジャンとアニを除いて。

    ジャン「何を優先し、何を犠牲にするか。そういうことだろ?」

    アルミン「そのとおりだジャン。」

    アニ「周りくどい説明はいいから本題に入ってよ。」

    アルミン「全員が納得するまで話し合おう。一人でも異論がでたら、それは認められない。」


    アルミン(異論が出るはずがないんだけどね…)

    ----------------------------------

    ライナー「やはりエレンが妥当だろ。俺たちはこれまでも彼に従ってきたし、助けられてきた。」

    コニー「そうだな、安心して命を預けられる。」

    アルミンの思惑通りに事が運んで、ほとんどの者がエレンを支持した。残りはジャンとアニとなった。

    アルミン「さあ、後は君たちだけだ。」

    アルミン(と言っても、もう答えは決まっているだろうけど。)


    ジャン「…俺は…」









    アニ「私はジャンを支持する。」

    アルミン(なっ…?!)

    ジャン「…」

    コニー「おい、こういう場合はどうなるんだ?」

    クリスタ「アルミンの提示したルールだと、全員の意見が一致するまで決まらないってことだよね?」

    某裁判映画の方針をとったアルミンだったが、目論見ははずれた。

    ライナー「まぁ待て。ジャンの意見も聞こう。」

    ジャン「…俺は誰だろうが構わない。エレンならそれに従う。俺を推してくれるってんだったら、それでもいい。」

    コニー「おい…どうすんだこれ。」

    心の中で歯軋りをしながらアニに問いかけた。

    アルミン「アニ、君がジャンを支持する理由は?」

    アニ「危機的状況下で、より全員の命を優先するのがジャンだと思ったから。その時々の感情で振り回されるのはごめんだ。」

    エレン(…)

    ライナー「それはこの間のことを言っているのか?」

    アニ「そうじゃない。例えば目の前に人が出払っているキャンプがある。物資を奪うか奪わないか。どっちの選択をしても構わないけど、生きるか死ぬかの瀬戸際だったら私は生き残る方を選ぶ。正義なんて人それぞれなんだ。」

    この変わり果てた世界では、あり得るシチュエーションだった。

    ベルトルト「…意思を変えるつもりはないのか?」

    アニ「ジャン、あんた自身はどうしたいの?本心は?」

    ジャン「…全体の決定事項はエレンに委ねる。全体に影響が出ない個々の問題については干渉しない。どうだ、アニ?」

    アニ「…まぁ悪くないか。それならエレンを支持してもいい。」

    アルミン「馬鹿な!そんなふざけた条件があってたまるか・・・!!」

    エレンがアルミンの肩を強く握った。

    エレン「もういいアルミン。これでいいだろ?その条件でジャンやアニが支持してくれるなら、俺はそれでいい。」

    ライナー「決まりだな。」






    あー一安心だな。

    君は気楽すぎるんだよ。

    まぁまぁ、喧嘩にならなくて良かったじゃない。













    各々が解散していく中、アルミンは一人立ち尽くしていた。


    アルミン(…ふざけるな…ふざけるな!!何のための秩序だ!)

    アルミン「あっはっは…あはははは!!」





    何かが、壊れた音がした。


    seaon2 ep3 end







    次回予告

    『偵察と待機、2つに分かれて行動するってことか?』

    『私も寂しいんだ』

    『後をつけられたのか?!なんてザマだ!』


    season2 ep4 かすかな希望

  26. 26 : : 2014/10/23(木) 17:54:23
    毎回スムーズに行かずすいません。
    今回はこれで終わりです。心理描写が多めでしたが、次回から話が動き出します。
    エレン、ミカサ、ジャン、アルミン。それぞれ何かを無くしました。


    感想等ありましたらよろしくお願いします。
    次回への励みになります。
  27. 27 : : 2014/10/23(木) 22:20:17
    更新待ってました!
    最初から見てますよー(ΦωΦ)フフフ…
    日本でもseason5放送はじまったし、これから楽しみです!
    続き待ってます!!
  28. 28 : : 2014/10/26(日) 05:42:42
    ありがとうございます。season3まで本家を踏襲するつもりですが、今も大分オリジナル入れてます。
    これからもよろしくお願いします。
  29. 29 : : 2014/10/26(日) 13:43:29
    オリジナルもまた楽しです。これからも読ませていただきますm(__)m
  30. 30 : : 2014/10/28(火) 02:16:11
    ハマフエフキさん

    いつもご購読ありがとうございます。これからも頑張ります。

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kazumax

ジョン@四聖剣とは虚名にあらず

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