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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

‐サシャ・ブラウスの生態-

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  1. 1 : : 2014/07/02(水) 23:55:52
    さて、非常にお久しぶりです!
    お仕事が多忙の極みで、もう既に放置と
    とられてしまっても仕方ないほど此方には
    来られず仕舞いでしたのでもう
    フラストレーション溜りまくりです。
    そんなこんなでまだ一つ前のもの
    がひと段落ついていない段階なのですが、
    書いておきたいものが一つ増えて
    しまったので、頭の中から薄れる前に
    投稿だけちまちましていこうと思い、
    もう一つ並行で書いていこうと
    思いましてございます。なるだけ
    掛け持ちはしたくなかったんですがね
    ・・!まとまった時間が無いと最早
    思いついたことさえ流れてしまいそうで
    いやはや、歳はとるものではないデス(涙)

    以下、簡易、ならぬ非常に長ったらしくて
    申し訳ないですが結構読んどいた方が
    いいかも・・な、注意点です。

    ・原作全巻読了の方は問題ないと思いますが
     そうでない方はネタバレ要注意です。


    ・アルミン×サシャ です。
     他にも当然ちらほらいますが、
     ジャンル分けとしてはこの方が断然
     分かり易いと存じますので、
     タグにはこの二人のみで絞って
     おくことにします。


    ・原作13巻限定版付属OADこと、
     ”突然の来訪者”の流れを少々汲んだ
     話の内容になっています。
     未視聴の方にはネタバレ的な
     意味で要、注意お願いいたします。
     
     (限定版?なにそれ?ネタバレは
      どうでもいいけど、それって
      大方どんな内容?な方は、注意点
      終了後、>>3にて簡易的に概要を
      説明致します)

    ・その他世界観などはこれまで通り、
     訓練兵団シリーズのものの地続きです。


    ・アルミンのキャラが相変わらず
     変態に片足突っ込んでいます。
     歳相応と言っていいのか、とにかく
     性に多感な御年頃なのでどんな女性も
     即時即興性的な目で見られる勢いです。
     まさに性欲をもてあます。


    ・サシャの食欲が異常かもです。
     凄まじいまでのカテゴリ幅で好き嫌いが
     無い女子となっておりますので、
     既に欧州圏の食文化の枠に収まって
     いないであろう悪食です。
     (ワニムの様なドイツ人が居て堪るか!!)
     率直に申し上げてグロ注意です。

    ・お話の都合上仕方ない事ですが
     色々と話の上での矛盾は散見される
     事となります。

    ・性的描写、有りの方向で一応は
     考えています。というか当方の
     アルミンでは無しでは書けません。


    ・時折メタなネタに走ります。ですが、
     いわゆる現パロ?というものに
     区分されるものではないと思います。

    ・“ある意味”で非常に強い性描写があります。


    ・テーマ性がまるでありません。


    ・話が無駄に長引きます。
     これは毎度のことですが、とにかく
     頭を下げるほか有りません。
     執筆開始段階で収集の着け方まで
     完全にまとまっては
     居ませんので、もし万が一
     閲覧してくれている方が居られたら
     本当、済みません。

    ※追加項目(最重要)
    私は、基本的にこんな駄文群を
    読んで頂けた上に態々コメントを
    頂ける事にこの上ない喜びを
    感じる人間でもあり、それらは
    間違いなく日々私が自身に蓄積
    している疲れを吹き飛ばす元気の
    源でもあります。

    しかしながら此度の
    ssNOTE のモデルチェンジ、
    そして諸々の新機能追加は、
    そういったSSに直接関連しない
    書き込みというものを良しとしない
    、そういった意図の元にこそ
    充実された機能であると、
    ガイドラインのお願いから
    理解しました。

    こんな長くて読むのも面倒な駄文を
    果たして通しで全て読んでくれる
    方など非常に稀有なのでは・・
    と、いぶかしげに思いつつも私は、
    このSSNOTEにあらゆる意味で
    感謝の念を抱いており、また、
    ガイドライン、管理者様方からの
    要望があるのならば、それに
    出来るだけ誠意を以て
    お応えしたい、そう思って
    おります。ので、

    当作品からは、作中頂けた
    レスに関して、一旦は必ず返信
    致しますが、数日経過後、
    予告なく非表示に切り替える
    事もあるかもです!
    繰り返しますが、皆様からの
    レスはこの上ない元気の源
    ですので、迷惑という訳では
    ありませんので!

    もしも何か別途ございましたら
    グループの方で仰って頂ければ
    、どんな雑談も大歓迎です!
  2. 3 : : 2014/07/03(木) 00:05:24
      ※ネタバレ注意※

    ※13巻付属DVDについて。
    恐らく大体の方は何らかの形で(動画とか)
    目にしているものと思われますが、
    基本的に、ジャン、サシャのお料理バトルを
    メインに据えて、その合間にお馴染み
    巻末嘘予告ネタをふんだんに盛り込んだ
    一本のお話です。話中でサシャは肉に
    勝る食物は存在しないとして、
    森に出没するオッコトヌシ・・・ならぬ
    大イノシシを仕留めています。
    他にもサシャの意外と貴重な
    私服(胸元がセクシー)等の
    お披露目シーンがあったりして中々に
    見所あるものとなっています。
  3. 5 : : 2014/07/03(木) 00:10:17






    ジャン・キルシュタインの証言

    ジャン「サシャ?・・ああ、
        あの芋女の事か。アイツが
        どうしたって?あ?
        ・・・・知らねえよ!
        気にしたこともねえ。
        俺はもっと慎みのある黒髪の
        綺麗な・・そう例え(ry





    コニー・スプリンガーの証言

    コニー「サシャ??ああ!割と
        一緒に訓練はするけど、
        悪い奴じゃねえな。バカだけど。
        ・・なんだよその目は・・?
        ん・・?まさか顔に
        なんかついてるのか!?
        あっ!なあ、待てっておい!」


    マルコ・ボットの証言

    マルコ「・・サシャ?うーん・・
        そうだな。女子の割に
        立体機動も体捌きも素質に
        恵まれてるんだから
        あんなんじゃ勿体ないな
        ・・って気はするね。
        あんなに体力に恵まれてるのは
        故郷の風習とかも影響
        してるのかな。野山でウサギ
        を密猟してるって
        噂があるけど・・」

    ベルトルト・フーバーの証言

    ベルトルト「サシャ・・?いや・・
          特にこれと言って何も。
          ごめん・・力になれなくて」
  4. 6 : : 2014/07/03(木) 00:11:19
    ライナー・ブラウンの証言

    ライナー「?なんだアルミン。・・
         ・・サシャ?ああ、
         アイツ、見た目だけは
         まともだな。立ち居振る舞いは
         アレだが。そういやアイツ、
         こないだ炊事場に現れた
         チャバネゴキブリを
         踊り喰いしたらしいぞ。
         虫も貴重なタンパク源とか
         いってな。共同で調理してた
         クリスタは当然卒倒だ。
         全く・・包丁でも
         使ってたら危ない
         ところだぞ」

    エレン・イェーガーの証言

    エレン「は?サシャ?いや・・
        オレにそれを聞いて
        どうするんだよ・・まあ、
        食に対する執念だけなら
        訓練兵団でアイツより上は
        いないだろうな。何せ食糧の
        窃盗に対する懲罰を怖いとも
        思っちゃいねえ。ありゃ
        本物のバカだぞ」

    ミカサ・アッカーマンの証言

    ミカサ「・・・サシャ?・・・
        彼女は少し兵士としての自覚が
        足りない。いや、全然足りない。
        食べ物がかかると身のこなしは
        全くの別物になるが、あれでは
        巨人と対峙した際には役に
        立たない可能性がある。
        立体機動訓練中に素手で
        飛んでいるカルガモを捕まえた
        時は皆に驚かれていたけれど、
        教官に逃がすよう命令された
        時にはこの世の終わりのような
        顔をしていたし、その後は
        訓練どころではないくらい
        憔悴していた。もうすこし
        訓練に集中を・・(ry」

    クリスタ・レンズの証言

    クリスタ「あ、お疲れ。大丈夫?今日は
         結構兵站行進キツかったよね。
         え・・?サシャ・・?とっても
         いい子だよ。ただ・・やっぱり
         誰にでも欠点はあるよね・・
         うん、ちょっと食べ物に
         関してだけは普通じゃない
         というか・・平気で兵団の
         規則に反する事もしちゃうから
         心配というか・・」

  5. 7 : : 2014/07/03(木) 00:13:17




    僕の名前はアルミン・アルレルト。
    訓練兵団104期生のほぼ最底辺に座学の
    成績と意地と努力だけでかじりついて
    今この兵団でなんとかやっている。

    そんな現状の僕だけど、最近一人気になる
    女子ができた。こんな事を言うと
    誤解されてしまうと思うので一応
    言っておくけれど、別に初恋とか、所謂
    始めて女子に”そういった”気持ちを
    抱いた、とかいう事ではない。どうせ
    僕一人の独白という形だし、この際
    言ってしまうと、性欲処理を一人で
    行う方法を知ってそれからというもの、
    兵団の中でもう誰も僕が妄想の中で
    手伝って貰った事のない女子はいない。
    こういうのもなんだけれど、
    結構104期生は綺麗どころが
    揃っているんじゃないかと思う。

    ともあれ、
    自分でも毎日こんなことするのは
    行き過ぎてると思うけれど、
    気持ちの良い事なんだから、やっぱり
    無理するのはおかしいと思う。
  6. 8 : : 2014/07/03(木) 00:15:00
    ・・話を戻そう。その、最近気に
    なっている一人という所まで。
    彼女の名はサシャ・ブラウス。
    外見は、僕より4~5㎝高い背と
    すらっとした体型、顔も整っていて
    後ろ髪を一つにまとめたポニーテールの
    、いわゆる健康的で明るい印象の
    非常にとっつきやすそうな女子だ。

    ・・唯一、その入団式の最中に
    やらかした、104期生の中で忘れる
    者など一人もいない、
    彼の”芋喰い”事件の首謀者にして
    実行犯であり、その事件からも
    伺えるほどの常軌を逸した貪食性を
    除いては。教官の恫喝をモノともしない
    ばかりか、怒り方すら忘れて戸惑い、
    叱責の手を緩める教官を前にして
    ”人はなぜ芋を食すのか?”という
    謎の哲学展開を逆質問の形で
    ぶつけてみたり、果てには
    半分と言いながらどう見ても3分の1程の
    芋を毟り取り、教官に差しのべた挙句
    憐みと懐の深さを誇るかのような
    満面の笑みをして見せたりと、
    なんかもう色々と物凄い女子だ。
  7. 9 : : 2014/07/03(木) 00:16:01
    そんな事件もあってか彼女の兵団での
    立ち位置は間違いなく道化のポジション
    にあると見えて、上に挙げた証言が
    表すように、容姿が中々良いにも
    関わらず一貫してそういった目を向ける
    男子は少ない。

    只、その食への飽くなき執着に目を
    付けてか、元々食欲以外の欲求が存在
    しないんじゃないかという頭の弱さに
    つけ込んでか、最近は配給の食糧と
    引き換えに他の女子には頼めない
    交換条件を持ちかける男子も一部、
    存在していたみたいだ。

    具体的には身体の一部を、好きに触らせる
    といった物らしいけど、当人には
    食糧が手に入ることに比べれば
    そんな事に付きまとう恥じらいなんて
    無いに等しい様なのでサシャ本人は全く
    意に介さず、その条件で配給の干し肉の
    貯蔵を積み上げていったみたいだ。
  8. 10 : : 2014/07/03(木) 00:17:44
    しかし、”存在していた、みたいだ”
    と、過去形で綴っているところから
    分かるように現在ではその取引ルートは
    第三者の制裁によって差し押さえ済みだ。


    取り締まりにあたったのはどうやらユミル
    のようで、そもそもこの取引ルートには
    途中で気が付いた同室のクリスタが
    サシャの身を案じてやめるように再三
    警告を促してたらしいんだけど、
    当然食べ物に目の眩んだ(しかも肉)
    サシャにそんな制止はまるで効果なんて
    無く、仕方なくクリスタの意も汲んで、
    実質部屋の内部では完全にサシャの
    手綱を握っているに等しいユミルが
    内々に手を下したという事だ。

    尚、その際情報提供という形で僕が
    加担してしまっているが、あの場合は
    仕方ない犠牲だったと思っている。
    急所を押えた格好で医務室に搬送された
    ミリウスとサムエルには済まない事を
    したけれど、そんな素晴らしい
    交換条件を事前に僕にリーク
    してくれなかったことに対する
    私怨なんてものでは全然。全く、、

    ・・これっっぽっっちも無い。

    とにかくタイミングが悪かったんだ。
  9. 11 : : 2014/07/03(木) 00:19:34
    そんなこんなで、あまり兵団でも表立って
    誰が見ても可憐なクリスタや、
    一部成長著しいアニなどと違ってそこまで
    男子からの脚光を浴びることは少ない
    彼女だけど、僕個人としてはとても
    女性的で惹かれる外見だと素直に
    思っている。

    これは彼女に限った事では
    無いと思うけれど、この間とある
    催し物(?)が行われた際に披露した
    ディアンドル姿はとても魅力的だったし
    あの姿だけで1週間は自己処理に
    困らなかった。共に調理にあたっていた
    ライナーですら近くで見ていた結果、

    ”危うく結婚したいと
     思ってしまう一歩手前だった”

    と語っている。
  10. 12 : : 2014/07/03(木) 00:52:30

    さて、彼女の事について、簡単に語る
    とすればこの辺りでいいとして、
    そうして元々特に気になっていた
    サシャと更に、密接な関係を
    持てるかもしれない機会がつい先日
    到来した。その概要は以下の通りだ。



    あれは今から一週間前。
    訓練兵団にはいわゆる非番にあたる
    休日というものが一応あるには
    あるけれど、それが訓練のスケジュール
    の合間を縫って一週間前には報告される
    事になっているため、その発表日に
    まで遡る。
  11. 13 : : 2014/07/03(木) 00:53:04




    サシャ「あ、アルミン!丁度良かった!
        探してたんですよ~!♪」
        バタバタ

    アルミン「!やあ、サシャ。って・・
         僕を探してた・・?
         何か用向きかな?
         (僕にサシャが・・?何だろう
          物凄く気になるぞ・・)」

    サシャ「そーなんです!っと、えと
        ですねぇ・・」
        キョロキョロ

    その場で身を竦めて辺りを見渡すと、

    サシャ「・・・ヨシ、ユミルは居ませんね?
        少しこちらへ!」
        ッガシィ!!

    アルミン「!!!!!」ビクッ
  12. 14 : : 2014/07/03(木) 00:54:10
    何と、いきなり僕の右手を掴んで
    引っ張り出すサシャ。何処かへ
    連れて行こうというのか、どうも
    ユミルには聞かれたくない話の様だ。
    ・・というかサシャはいきなりこういう事
    があるから心臓に悪い。身嗜みに関しても
    ズボラとまではいかないが、肌着無しで
    シャツを着用した挙句それによって
    透過して目撃されたサシャの乳房が
    男子部屋の夜を盛り上げるのは
    この時期定例のイベントでもあるし・・

    アルミン「(それでも殆ど恋愛対象と
          しては見られてないんだ
          もんなぁ・・・)」

  13. 15 : : 2014/07/03(木) 00:54:40


    ―宿舎裏水汲み場―

    サシャ「よし・・!ここまでくれば
        万全です・・!さて、アルミン
        本題に入りますが」

    アルミン「な・・なんだい?
         あらたまって」

    サシャ「アルミンにお願いがあるのです!
        次の非番の日は空いてますか?」
        キラキラ

    アルミン「うん・・・?お願い?
         あ・・空いているけど・・
         それって、どれくらいの
         時間帯でかな」

         
    サシャ「出来れば丸一日を希望します!」

    アルミン「いっ・・一日??!
         いや、あの・・ちょっと、
         まずお願いの内容から
         聞いておいた方がいいような
         ・・・一体何事なの?」
         ダラダラ
  14. 16 : : 2014/07/03(木) 00:55:46

    サシャ「探し物に付き合っていただきたい
        のです!!離れのお山まで
        二人でデェトしましょう!!」
        (bグッ)イェイ!!


    アルミン「ブッッッ・・・!!!」


    サシャ「????」


    アルミン「で、ででで、デート!?
         って・・?え!?ちょっと
         サシャ!?」

    サシャ「あっ・・と、ピクニック??
        ええと、済みません、二人で
        人目を憚って出かける事に
        関してはそれで合ってると
        思ってたので・・ええと、
        変なこと言っちゃいました?
        ワタシ・・?//」
        
    アルミン「あ・・、うん、そうか、
         間違っちゃいないと思うけど
         ・・一応ピクニックだったに
         してもそれは誰の耳にも
         入れない方が得策だろうね
         ・・・!(あー・・焦った
         ・・・ちょっと残念な気も
         したけど逆にいつものサシャで
         安心はした・・・)」
  15. 17 : : 2014/07/03(木) 01:17:49

    だがしかし問題はその行き先だ。
    離れの・・山・・?しかも二人で??
    いくら僕だからって男子と二人で
    山に向かおうだなんて。そもそも
    何で僕なんだ・・?いや・・まだ探し物の
    内容も聞いてないうちから考えるのは
    無意味か・・

    アルミン「離れの山って、サシャ・・
         一番近くてもここから歩きじゃ
         相当あるよ・・?いくら非番と
         はいっても休み明けに満身創痍
         は勘弁してほしいよ・・」

    サシャ「それについては既に手を
        打ってあります!」
        エヘン!

    アルミン「・・・?」

    サシャ「前回にも一人で同じことを
        しましたが、馬術の練習に
        と申請したら案外すんなり
        貸し出しの許可が
        下りましたから!馬なら
        あっという間ですよ!」
        ワクワク

    アルミン「(深い溜息)・・・・・
         じゃあ・・その探しものって
         言うのは・・まさかとは思う
         けど・・動物の密猟とかじゃ
         ないよね・・?」
         ジトリ

    サシャ「ウッ・・・!こ、今回は
        違いますヨ!?あくまでそういった
        物では!!」
        ダラダラ
  16. 18 : : 2014/07/03(木) 01:18:24

    アルミン「声が上ずってるよサシャ・・・
         (しかも今回はって言った)」


    サシャ「それについてはアレですね!
        此間の大イノシシ!
        覚えてますよねアルミン!」
        フフン!

    アルミン「ああ・・あの化け物じみた
         大きさの・・(出る作品を
         間違えたような・・)」

    アルミン「・・あのイノシシが
         どうかしたの?確かあの
         巨体だから可食部の殆どが
         貴重な備蓄食料として
         王都に送られたって話だけど
         ・・仕留めたサシャ本人には
         残酷な仕打ちだったね・・」

    サシャ「それについては・・もう
        気持ちの整理を付けましたから
        ・・(涙,一筋)人類、皆兄弟
        です・・あれだけの大物を
        仕留めたのならそれを皆で
        分け合うのはある意味当然です」

    アルミン「(これは相当な葛藤が
          あったんだな・・)
         流石狩猟民の出だね。そんな
         考え方もできるなんて、少し
         見直したよ」


    サシャ「当然調理の際に生じた試作を
        ライナー、コニーと共犯になって
        3キロ程試食しましたけどね!
        それから当然備蓄用に2キロ
        程かすめ取らせて
        いただきましたので!」bグッ

    アルミン「・・・うん。前言撤回だね。」
  17. 19 : : 2014/07/03(木) 23:24:49

    まあ・・・あれだけの巨体だ。
    別にそれくらいなら発覚しても目を瞑って
    貰えるか・・・ん・・・・?いや待てよ

    アルミン「サシャ・・、備蓄に・・2キロ
         って・・?それもう結構前の
         話だよね?保存は一体
         どうしてるの?!
         (普通に考えて腐るよ!)」

    サシャ「流石アルミンです!そこに
        気づくとは流石に座学の成績が
        違います!私の目に狂いは
        ありませんでしたね!」
        フッフー

    アルミン「いや、普通に気づくよ!
         それより2キロって・・
         普通にサシャみたいな村の
         出ならわかるよね?畜肉の
         保存がどれだけの手間なのか」

    サシャ「心配ご無用です!当然おと・・
        エフン!父から叩き込まれた一族の
        知恵がありますので!既に
        全量、薄切りにしたのち
        燻製の前段階として薫液に
        漬け込んで宿舎床下の冷暗所
        にて大事に保管中です!」
  18. 20 : : 2014/07/03(木) 23:27:33

    アルミン「簡単に言うけどサシャ・・
         そのソミュール液に大量に
         要る塩はどうしたの??
         それに黒胡椒もあったほうが
         いいはずだ。どちらも
         とても手に入る値段じゃないよ
         ・・・?っ・・まさか」

    サシャ「・・フフ、そうです、指令に献上
        するお肉を調理する際に
        提供された調理場にあった塩を
        遠慮なく使わせて頂きました!
        胡椒についても同様です!」

    アルミン「バレたときの心配とか
         君は一切しないんだね・・
         僕は正直君が少し怖いよ・・」
         ブルッ・・・

    サシャ「その時はその時です!
        しかし問題はその薫液なんです
        よねぇ・・。」
  19. 21 : : 2014/07/03(木) 23:29:07
    アルミン「どうしたの?塩と胡椒を
         手に入れたのなら・・
         あとは天日に晒して
         燻すだけでしょ?
         見つからないようにやらなきゃ
         いけないっていうのが大変そう
         だけど・・木材の入手なら
         塩や胡椒に比べれば・・」

    サシャ「早々にそうしてしまいたいのは
        山々なのですが・・・
        私の知っているやり方では
        少し臭みがまだ残ってしまうん
        ですよねー・・猪肉というのが
        まずかったです。・・あ、味は
        美味しいんですよ?」

    アルミン「くさいって・・君なら
         別にそんなの気にしないだろ?
         美味しければ平気だとか
         言うと思ってたけど・・」

    サシャ「それではユミルに簡単に匂いで
        バレます!正直床下に隠している
        今でもいつばれるか戦々恐々
        なんですよ・・?!」
        ガクガクブルブル

    アルミン「あ・・でもだって、猪の肉って
         ・・本で見たけどさっぱり
         しててあんまり臭みも
         無いとかって・・」


    サシャ「フフン・・そこはやはり御本でしか
        学べない所ですね。甘いです!」
        ビシィ!

    アルミン「え・・・」
  20. 22 : : 2014/07/03(木) 23:32:12
    サシャ「きっとその本を書いた人が
        食べたのは・・特に美味しいと
        される雌や、肉の柔らかい
        まだ子供の猪のものであるか、
        若しくはドングリやお芋
        ばかりを食べて育った猪の
        肉だったんでしょうね・・」

    アルミン「それくらいでそんなに
         味って違うものなの?」

    サシャ「全然違いますよ!とくに
        此間の猪は大型も大型。
        いうなれば超大型猪です。
        あれだけのサイズでは
        ドングリなどでお腹を満たせる
        筈もないでしょう。きっと
        大量のザリガニや、蛇、小動物
        等にも手を出している
        可能性が高いです。
        そうなると肉の臭みは
        段違いなんです。此間の
        大イノシシは明らかに
        こっちですね。フンにも
        殻が混じってましたし
        間違いないです」

    アルミン「まあ・・肉自体僕らが
         口にすることはもう滅多に
         ないから・・貴重な情報だね」
  21. 23 : : 2014/07/04(金) 06:26:58

      
    サシャ「燻製の香り自体は・・そうですね
        お芋焼くのにたまたま余ってた
        クルミの廃材が匂ってるんですよ
        って言って誤魔化せるのですが、
        猪肉の臭みはどうしようも
        無いです・・・」

    アルミン「(普段まったく頭を使わない
          サシャが・・!?凄まじい
          程の策略だ・・!これが
          食べものへの執着・・!?)」

    サシャ「さてそこで本題なのです!
        こちらの書物の情報と
        燻製を扱っている店の話では
        どうも私たちのやり方では
        使わない香草というものも
        共に漬け込んでいるそうで!」
        ホラ、ミテミテ!

    アルミン「!?(サシャが本を自らの
         意思で開いて情報収集を!?)」
         マンマルオメメ

    サシャ「・・アルミーン?なんですか
        その未知の生き物を目にした
        ヤマネコの様な目は・・・」


    アルミン「まあ・・そうだね、
         燻製の干し肉なんて僕らも
         貴重な配給でしか食べた事
         ないけど、言われてみれば
         臭み消しに何かしらの
         香草の香りは効いてる
         気がする」

    サシャ「私の故郷では最低限塩などの
        調味料を商人から手に入れる
        のみの交流しか外部との
        ふれあいはなかったので
        そうした差が出てしまった
        んですね。」

  22. 24 : : 2014/07/04(金) 06:27:56
    サシャ「ともかくですね!、私の大事な
        干し肉を無事完成させるには
        その香草が必要不可欠
        なんですよ!」
       
    アルミン「たしかに・・何も入れないのに
         比べれば数段香りもよくなるし
         虫も付きづらくなる・・
         筈だけど・・・」

    サシャ「ですよねー!!?もー
        アルミン頭がいいのでこういう
        話は進みが早くて
        助かっちゃいます!」
        ヤッホホーイ!

    アルミン「っで、でもあの!
         一ついいかな!?」


    サシャ「・・ん?なんです?」
        

    アルミン「その・・どうして僕なんだい?」


    サシャ「え・・・」

    アルミン「だってそうだよ。山に探しに
         行くんだろ?そこまで馬で
         行けるのはいいけれど、
         そこから先は当然自力で
         散策しなきゃいけないんだから
         ・・僕より体力のある人の
         方が・・」
  23. 25 : : 2014/07/04(金) 06:28:49
    サシャ「いやぁ、そんなにキツい
        山道じゃありませんよぅ。
        それにアルミンには書物から
        読み解く優秀な頭が備わって
        いますから。私ではその本の
        情報は知ることができても
        そんな適当な挿絵では
        目標のお宝には辿りつけません。
        それに・・・」


    アルミン「・・?」


    サシャ「アルミンなら、私、
        信用できます!」
        抱きっ


    アルミン「っっ!!???」
         ビクンッ!!!!


    ギュゥウウウゥ


    アルミン「さ、さささ、サシャ!!
         ちょっと!心臓に悪いよ
         いきなり何するの!」
         カァァアア////

    ジタバタジタバタ
  24. 26 : : 2014/07/04(金) 06:29:20


    サシャ「よくユミルがクリスタに
        やってる愛情表現っていう
        やつです!あハ?w
        アルミン、顔がクリスタより
        真っ赤々です!!」
        ケタケタ

    アルミン「あっ・・?!あいじょ・・!」
         ドキドキドキ

    ムニュムニュ

    アルミン「~~~~!!!
         (胸が物凄い勢いで
          背中にグイグイくる
          ・・・・!!)」

    サシャ「・・っていうのはですね、
        まあなんとなくなんですが。
        それとは別に最近どうも
        アルミンの視線を
        感じていたので・・私の
        気のせいでなければ
        なんですが。ひょっとして
        アルミンは・・・・」

    アルミン「(ばっ・・・バレてたの!?)」


    ドキドキドキドキ
  25. 27 : : 2014/07/04(金) 06:30:13

    サシャ「私の干し肉製造計画に
        感づいているのでは・・と!
        それなら敵に回すのではなく
        仲間に引き込む方が
        口封じもしなくて済みますし、
        一石二鳥ですから!」
        ヘヘヘ・・・

    ガクン

    アルミン「・・やっぱりサシャだ・・」
         アハハ・・ 

    サシャ「・・?なんです・?アルミン・・
        急に脱力してしまって・・
        ほらほら、男子の喜ぶお胸ですよ
        --!背中に当たってますよー!」
         
    グイグイ

    アルミン「ひゃわっ!!ちょっ、
         やめっ、やめて!
         (やめないで!)」

    アルミン「さ、サシャ!こんなとこ誰かに
         ・・とりわけユミルにでも
         見られた日には
         僕の命が危ないよ!
         ほどほどにしてくれないか!
         (はー・・もっと感触を//)」

    サシャ「はっ・・!そ、そうですね!
        折角諸々の事情までお伝え
        したのに計画がパァになるところ
        でした・・・!・・、それで
        アルミン・・その、」
    パッ・・

    アルミン「うん?」
         フウ・・
     

    サシャ「お返事の方は・・・?」
        モジモジ
  26. 28 : : 2014/07/04(金) 19:59:48
    アルミン「何言ってるのw。
         乗りかかった船だし、
         僕も手伝うよ。日はそれで
         いいとして・・出発は
         どれくらいだい?」


    サシャ「・・・!!」
        パァアアア

    サシャ「アルミーン!!!!
        有難うございますぅううう!!」
    ガシィ

    アルミン「そんな大げさだよ・・」
     
    オテテニギニギ

    サシャ「時間は・・夜明け前に
        お忍びで出ますよ!
        ユミルは朝方に深い眠りに
        入る傾向があります!
        その時刻にここ、水汲み場に
        集合で!」

    アルミン「分かった。僕も極力誰にも
         気づかれないよう努めるよ。
         その、香草の本だけ貸して
         もらっていいかな」

    サシャ「それでは決まりですね!」
        ビシッ
    心臓を捧げよ!

    アルミン「うん、宜しくね。サシャ」
         トン
    心臓を捧げよ!
  27. 29 : : 2014/07/04(金) 20:00:59





    こうして僕とサシャの密会ならぬ、
    採集ピクニックが行われる運びとなった。
    普段こんなに二人で話す機会
    なんてほとんどなかったから、僕は
    サシャの事はあまり詳しく知らなかった
    けれど・・なんというか、本当にサシャは
    食べ物にしか興味が向かないというだけで
    それさえ抜きにしたら、いたって普通の、
    笑いたい時に精一杯笑い、泣きたいときに
    泣く、本当に普通の女子だ。
    まあ・・虫まで口にするというのは
    正直どうかと思うけど・・・

    あとサシャの胸・・柔らかかったな・・・
    これを機にサシャと色々と仲良くなって、
    出来ることなら何か・・まあちょっと
    くらい・・男子女子の間柄でもあるし
    少しでもいいから心躍るイベントでも
    発生しないかと期待をしてしまうのが
    男子の正直な心情だけど・・・・



    アルミン「サシャの性格じゃそれは
         まずないか・・」
         ハァ・・・
  28. 30 : : 2014/07/04(金) 20:02:00

    大体先ほどもどさくさに紛れて
    胸を押し付けてきたけれど、
    男子がそれを喜ぶと知ってて
    あのテンションということは・・・
    触られることに殆ど抵抗も恥じらいも
    無いって事だし・・


    まあ、考えても仕方ない・・まずは
    この本からせめてこの辺りの山で
    自生していそうな物があるか
    調べよう・・ええと・・何々・・・


    そうして一週後、ついにその日は
    やってきた。


    休日早朝


    ―水汲み場―


    サシャ「おは・よ~・ござい・ます!」
       (超小声)
       ビシッ

    アルミン「なにそれ」
        (苦笑)

    サシャ「いえ、一度やって
        みたかったのです。」
        イソイソ

    アルミン「?・・それでサシャ・・馬は?」

    サシャ「ええ、離れた場所に既に二頭
        つないであります!
        あまり近場から馬で出ますと
        誰かに蹄の音で気づかれる
        恐れもありますので」

    アルミン「本当こういうときの機転は
         とてつもなく効くねキミは
         ・・・」

    サシャ「ふふん」
  29. 31 : : 2014/07/04(金) 20:03:36
    アルミン「それよりその・・
         サシャのそのリュック・・
         なんか弓みたいなものが
         括り付けてあるように
         見えるんだけど」

    サシャ「弓みたいもなにも、弓ですよ。
        まあ、私の自作ですけど。
        一応山に行くのですし、
        休日に武装を持ち出せない
        以上当然の備えですよ」

    アルミン「そんなにキツい山じゃないって
         言ってたじゃないか!?」
         ェェェェ

    サシャ「あのですねー、アルミン。
        普段訓練で入山する際には
        全員立体機動装置も付けてますし
        大勢で移動しますから当然
        野生動物と出くわすことなんて
        滅多にありませんけど・・今日は
        武装も仲間もないんですよ?」

    アルミン「うっ・・・」


    サシャ「寧ろこれでも足りないくらいで
       ・・・あ!まさかアルミン!
       ナイフを忘れてないでしょうね!?
       持ってきてないならダッシュで
       取りに帰って下さい!」

    アルミン「ええっ・・・!?
         ちょっと、聞いてないよ!
         なんで?!草を取りに行く
         だけなんだろ!?」
  30. 32 : : 2014/07/04(金) 20:04:45


    サシャ「山に入る際に最も忘れては
        いけないものが二つあります!
        一つは、自分がいつどのような
        事がきっかけで死んでも
        おかしくないほどこの場所では
        弱い生き物であるという心、
        そして第二にナイフです!」
        ドヤァ!

    アルミン「かっこいい事言ったつもり
         かもしれないけど、一つ目と
         二つ目の差が激しすぎるよ!
         そんなに危ない山なの!?
         これから行くのって」

    サシャ「そうではありません。
        何かあってからでは遅いのです。
        そしてかならずこれを持っていて
        命拾いしたと感じる時は
        来るんですよ」

    アルミン「・・・・」


    サシャ「強い毒をもった生き物に
        刺されたり噛まれたりした時の
        血抜きの際の切開用にも
        使いますし、手で引き抜くのが
        面倒な植物の採集に使えるのは
        当然として迷いそうになった際
        樹に目印をつけるのにも
        役立ちます。後はまあ・・
        お考えの通りの使い方を
        するときもたまにあるでしょう」
  31. 33 : : 2014/07/04(金) 20:05:56

    アルミン「たまに!?そんな軽いノリで
         襲われても・・・」

    サシャ「私たちがこれから香草を
        取りに行こうとするのと同じ
        様に・・いえ、その地に住んでいる
        野生動物にとってはそこは
        自分達の庭なんです。そこへ
        いきなりよそ者が来れば
        当然思わしくない事も
        起きるんですから、
        用心に越した事はないんです」

    アルミン「でも・・、今から戻っていたら
         誰か起きちゃうかも
         しれないよ」

    サシャ「仕方ないですね・・それでは
        私のを一つお貸しします。
        ですが、解体用なので、
        あくまで緊急の時だけ抜く様に
        してくださいね。」
        ハイ

    ズシリ

    見たこともない形のナイフ・・?いや
    鉈・・?とにかく重い。先端に重量が
    偏っている造りで、刃全体がくの字に
    屈折していて、先端の肉厚な刀身は
    半月状に研ぎ揃えられている。

    ・・なによりその、デカい。
  32. 34 : : 2014/07/04(金) 20:07:18

    アルミン「ねえ・・これナイフっていうか
         ・・・鉈に近くない?変な
         形だし・・重いし・・・」

    サシャ「だから、緊急用ですってば!
        もし私の援護が間に合わない
        場合はそれでアルミンが急襲
        してきた山の住人の脳天を
        かち割るんですよ!」
        ヤラナキャヤラレマスカラネ!


    アルミン「もう僕帰っていいかな・・」
         ハァ・・


    サシャ「男の子でしょ!しっかり
        してくださいアルミン!」
        メッ!!


    そして馬の繋がれている木が視界に
    入った所で・・なんとその向こうから
    ジョギングしてくる人影が見えた。
    身を竦め、早くも作戦失敗の色が
    見え始めたのかサシャの顔色が
    みるみる悪くなるのが容易に伺える。
    その人影というのは・・・・
  33. 35 : : 2014/07/05(土) 01:35:47

    アルミン「やあ、ミカサおはよう。」

    サシャ「・・ああ・・お、はよう
        ございます!イイテンキデスネ」
        ダラダラ


    ミカサ「・・おはよう。アルミン・・
        と、サシャ。珍しい組み合わせ。
        それに大荷物だ。非番のこんな
        早い時間から、なにかあったの?」

    サシャ「あと・・ええと、これはですね」
        アノ・ソノ・・

    僕は軽くサシャに目配せして
    至って自然に切り出した。

    アルミン「サシャが非番の貴重な時間を
         割いて僕に馬術を教えてくれる
         って事になって。僕はその
         お返しに一緒に山まで出向いて
         食べられる山菜を探しにいこう
         って予定なんだ。ほら、
         サシャってばこんな本まで
         借りてきて、今から楽しみに
         して浮き足立ってるんだよ
         (笑)」

    サシャ「あ、アハハwそ、そうなんですよ、
        もう早く草が食べたくて
        食べたくて!」
        

    ミカサ「・・・・・・」


    サシャ「・・・・・」
  34. 36 : : 2014/07/05(土) 01:36:24

    ミカサ「そう・・それは・・いい事だ。
        アルミン、サシャにしっかり
        教えて貰うといい。サシャは
        村での経験もあるから馬の扱いに
        長けている。山まで行くなら・・
        気を付けて。」
        イッテラッシャイ ノシ


    アルミン「うん・・・、ありがとう!
         あと、ミカサ!できれば
         このことは誰にも・・
         特にユミル何かには言わないで
         もらえると助かるんだけど。」

    サシャ「!・!」
        コクコク

    ミカサ「・・分かった・・。アルミンが
        そう言うのならそうしよう。
        ただし、有事の際には当然
        証言しないといけないから、
        なるべく遅くなる前に
        帰ってきて・・・」

    アルミン「ありがとうミカサ!
         恩に着るよ!」

    サシャ「(助かった!)」
        ホッ・・
  35. 37 : : 2014/07/05(土) 01:37:20



    サシャ「助かりました~!アルミン~・・」
        ~ヨレヨレ

    アルミン「大丈夫、事実しか口にして
         ないし、ミカサはきちんと説明
         さえすれば理解してくれる
         性格だからね・・さて・・」
         ヨッ・・
    ブルル・・

    サシャ「したらば・・」
        ヨッコイショ
    パカパカ


    アルミン「行こうか。先をお願いね」

    サシャ「ラジャっ!('◇')ゞ」

    パシンッ!

    サシャ「はいよっ!」

    パカラッ パカッ

  36. 38 : : 2014/07/05(土) 01:38:11






    周囲は朝もやが立ち込めているが
    日の出寸前で輝度を増し始める
    彼方は、暗紺、コバルトブルー、
    オレンジの色相を創り出している。

    次第に顔を出し始めた陽光の中で
    手綱を引き、前傾の乗馬姿勢で
    後ろ髪を跳ねさせるサシャの姿は・・
    まあ、こんな景色と重ねて見る
    ものだから・・当然だけど、
    とても綺麗で凛々しく感じられた。


    サシャ「そーでした!言い忘れてましたが
        アルミン!」

    ズドドッ ズドドッ

    アルミン「!、なんだい!?」

    サシャ「お昼は現地調達ですよ!
        気合いを入れてくださいね!
        お昼抜きが嫌でしたら!」

    ズドドッ ズドッ

    アルミン「えぇえ!!?聞いてないよ!?
         それに現地調達って・・!
         野草以外になにか食べると
         したら・・まさか!!!」

    サシャ「(ニヤニヤ)」
  37. 39 : : 2014/07/05(土) 01:39:12
    アルミン「やっぱり!密猟ダメ!
         絶対!!」

    ズドドッ  ズドドッ

    サシャ「だーいじょうぶです!
        ちゃんとその辺も考慮
        したんですから!密猟に
        あたらない、なおかつ
        比較的難易度の低い獲物を
        想定してます!」

    アルミン「絶対ロクな事
         考えてないぞ・・!」








    ―山林―


    サシャ「うぃーー!到★着ですっ」バッ
        スタッ

    アルミン「そんなにかからなかったね、
         本当に。半刻も走らなかった
         かな?」

    サシャ「ええ!非番でないときには
        私、走ってここまで来てますし!
        お馬さんさえいるならすぐです!」

    アルミン「えぇっ!いや・・あの訓練の
         あとここまで来るの・・?」

    サシャ「あ、ええ、もちろん毎日じゃない
        ですよ?たまにです」

    アルミン「それでも十分すごいと
         思うけど・・本当に体力
         オバケだなサシャは・・」
         
  38. 40 : : 2014/07/05(土) 03:29:38
         

    サシャ「して、アルミン!香草の
        目星の方ですが、どうですか?
        来てしまってからでなんですが
        何とかなりそうですか?」


    アルミン「ああ・・まあいずれにしても
         このあたりの気候と土地柄
         じゃあ自生の可能性は
         難しいものばかりだけど・・
         これ、悲しいけどSSだからね
         そのくらいは筆者のエゴで
         どうとでもしてくれるよ。」

    サシャ「??えすえす?えご?
        なんです?やぶからぼうに。」

    アルミン「何でもないよ。こっちの話。」

    サシャ「ふーん・・そうですか」


    アルミン「うん・・そう。」

  39. 41 : : 2014/07/05(土) 03:30:03

    サシャ「・・・・」

    アルミン「・・・・」

    サシャ「何か言ってくださいよもう!
        (笑)」

    アルミン「ああ、ゴメンよ!それで
         目当てのものだけど・・
         とりあえずこの二つなんて
         どうだろうかなと思って。」
         シオリハサンデオイタ

    サシャ「ふむ!どれですか・・
        えと・・これは。あ、
        このネルケンってやつ!
        私この釘みたいな形の蕾なら
        見た事あります!」

    アルミン「それは蕾を乾燥させて、
         肉料理なんかの場合には
         肉に刺して香りづけして
         使えるみたいなんだ。
         ゴキブリなんかの虫が
         嫌う匂いを放つから
         虫よけにも良いって。
         見た目も特徴的で探すのに
         丁度いいかなと思って」
  40. 42 : : 2014/07/05(土) 03:30:31

    サシャ「ですけど・・こっちの・・
        えっと・・ローベァー
        ・・ですか?これじゃあ
        挿絵でみてもただの葉っぱ
        じゃないですか!どれが
        そうなのか分かりませんよ
        これは!」

    アルミン「ああ・・それね」

    サシャ「もっとこう・・ホラ!
        このお星さまみたいな
        インパクトある形の
        物でないと探すのもままならない
        んじゃ・・」

    アルミン「それについては心配
         しないで。その、葉っぱの
         部分を使う樹だけど
         僕がまだ開拓地に居た頃
         見たことがあるんだ。
         シチューの香りづけなんかにも
         割と使ってたし、そんなに
         珍しい樹でもない。香りも
         独特で見つければすぐに
         分かるよ」

    サシャ「ほー・・・ナルホド!」


    アルミン「とりあえずはその二つかな。
         それじゃあ・・いってみようか」

    サシャ「はいー!宜しくお願いします!」
  41. 43 : : 2014/07/05(土) 03:31:57

    ―山林中腹―


    アルミン「まあ、当たり前といえば
         そうだけど・・簡単には
         見つけさせてくれそうに
         ないね・・」

    サシャ「当然です!山をナメてると
        死にますよ!」
        キッ


    アルミン「いや・・そうじゃなくてね・・
         まあ、いいんだけど。」
         フゥ
         
    サシャ「?変なアルミンですね!(笑)」



    ・・・―それにしても。
    ピクニック・・かぁ・・考えてみたら・・
    こんな風に女子と二人で歩くなんて、
    初めてなんじゃ・・うん、デート、って
    感じじゃないけどね。いつも思ってた
    事だけど・・本当にサシャにはその
    ・・好きな男子とか、恋愛感情とか
    そういったものって無いのだろうか

    サシャ「フンフーン♪」
  42. 44 : : 2014/07/05(土) 03:32:36

    他の女子には・・少なからず
    そういうのあると思うんだよね・・
    アニみたいにいつもおっかない顔
    してたらそれもどうか怪しいけど
    ・・これだけ感情豊かなんだから
    サシャにもきっと好きな人くらい

    サシャ「帰りたくても~
        帰れへんねん♪」
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    いっそストレートに聞いてしまおうか?
    よくよく考えてみれば、他の女子なら
    こういった質問は後の人間関係に何とも
    言えない軋轢を生む恐れがあるけれど、
    逆にサシャくらい悪く言って能天気な
    女子なら何の気もなしにさらっと教えて
    くれそうだし・・・

    サシャ「両~手にはゴ~リラ~♪」

  43. 45 : : 2014/07/05(土) 03:33:05

    ・・・・・・・

    アルミン「(何の歌だ・・?);」


    サシャ「おっ、丁度いい棒はっけん!
        これは後で使いますよ。
        はい、アルミン。大事に
        持っといて下さいな」
        ハシッ


    アルミン「・・・・?」


    渡されたのは長さこそそこそこある
    先が二つに割れたカブトムシの
    角のような格好の木の棒だ。
    しかし、武器には到底役立ちそうにない


    アルミン「いや・・これで何を・・?
         多分こんな棒じゃ猪も
         追い払えないんじゃ・・」


    サシャ「考え方が乱暴ですねぇ
        アルミンは。まあ、そのうち
        わかります♪」

    アルミン「まあいいけど・・」

  44. 46 : : 2014/07/05(土) 12:52:13

    サシャ「そうだ・・アルミン、
        ちょっと改まってその、
        いいですか?」

    アルミン「・・?なんだい?」


    サシャ「こんな機会ですので折角
        だし聞いておきたいと思いまして
        ・・アルミンは・・なぜ訓練兵に
        志願したんですか?」

    アルミン「・・・僕かい?」

    サシャ「ええ。だって、過酷さは
        最初の一日で脱落した人たちの
        数でも分かったはずですし、
        アルミンはその・・失礼な
        言い方をしてしまいますけど
        身体もそんなに頑丈な印象が
        ないものですから・・・」

    サシャ「それに私ですら初日から
        ぶっつけで死ぬまで走らされて
        一日目から挫折しかけた程の
        荒行だったのに・・・」
  45. 47 : : 2014/07/05(土) 12:53:12

    アルミン「うん・・サシャはワケあって
         僕らとは一日目から待遇
         違ってたからね?;(恐)
         まさか理由をもう覚えてない
         なんてことは・・・」


    サシャ「そんな昔の事はもう忘れました!
        (すっかり忘れてると思った
         のに・・・!うぐぐ)」

    アルミン「・・話をもどそうか。
         うん・・・まあ、そんなに
         深い理由は無いんだ。身内
         同然に仲の良かったエレンと
         ミカサがそうだったというのも
         当然大きいけれど・・・」

    サシャ「ふむ」


    アルミン「何より困窮していく壁の
         内側で何をするでもなく
         ただ毎日開拓地で過ごす
         日々にそれなりの意義が
         感じられなかっただけさ。
         何もせずにはいられなかった
         ・・っていうところかな。
         ほら・・知ってるかな?」

    サシャ「?」
  46. 48 : : 2014/07/05(土) 12:53:37
    アルミン「サシャは内地や壁の事情から
         割と距離をおいた地の出身
         だから知らないかもしれない
         けど・・壁が壊されたことで
         内地に人が溢れかえった翌年
         ・・食糧不足に業を煮やした
         王府によって人減らし同然の
         領土奪還作戦が行われた。
         僕の両親は・・その作戦に
         従軍させられたんだ。
         巨人相手に立体機動装置も、
         馬も扱えない民間人に農具を
         持たせて死にに行かせる・・
         無理・無茶・無謀の三拍子
         しかない、そんな作戦だ。
         いや・・そもそも作戦なんて
         口上でしかない。実際は
         食糧難を逃れるための・・
         間引きみたいなものさ・・」

    サシャ「・・・・」


    アルミン「そんな誰が見ても沙汰の外
         としか思えない政策を
         平然と行う世の中が
         許せなくて・・そしてそんな
         残酷な世界の中でも幼馴染
         二人の助けすらなければ
         いじめを行う町の子供たちの
         暴力から自らの身を守ること
         さえできない自分をどうしても
         変えたかった・・」
  47. 49 : : 2014/07/05(土) 12:54:10

    サシャ「・・なんか済みません、
        思い出させたくないような話を
        させてしまって・・」
        シュン・・

    アルミン「いや、いいんだ。こっちこそ
         重い話しちゃって悪いね」

    サシャ「そんな事ないです!私なんか・・
        私なんか外の世界にはもっと
        もっとおいしいものがあると
        ・・それだけを夢見てこうして
        村を飛び出してきたような物で
        ・・不謹慎な理由この上ない
        んですよ?!」

    アルミン「・・・ずっと思って
         たんだけどさ、それって
         本当にそうなのかな?」

    サシャ「へ・・?」
  48. 50 : : 2014/07/05(土) 12:55:10

    アルミン「その、サシャが言っている
         兵団志願の動機さ。
         ダウパー村って言ったら・・
         年配者の訛りはこっちの
         標準語とあまりに差があって
         意思疎通も難しいっていう
         くらい言葉遣いにも壁が
         あったはずだけど・・
         君はその・・あまりにも
         形式を意識した口調で、
         言葉遣いだけはかなり
         丁寧だよね」

    サシャ「(ビクッ)」

               
    アルミン「ああ、気にしないで!
         僕はそういうの恥ずかしいとか
         可笑しいことだなんて思って
         ないから。ただ・・それだけ
         の丁寧語を自然に話せるように
         なるには並大抵の努力じゃ
         足りなかった筈だ。」
  49. 51 : : 2014/07/05(土) 12:56:27

    それも彼女の頭で・・・・・
    血のにじむような努力であった事は
    想像に難くない。何が彼女をそうまで
    させたのか・・僕にはもっと他の理由が
    あったように感じてならなかった。

    サシャ「い・・いいえ・・結局
        同じことですよ・・壁を一つ
        失ったことで狭まった領地の
        しわ寄せは当然私の故郷にまで
        及びましたから・・それで
        なぜ今まで私達のように内地と
        殆ど関わりなく先祖様たちの
        教えに則って生きてきた
        村々まで政策に圧迫されなければ
        いけないのかと思ったからです
        し・・」

    アルミン「・・・」


    サシャ「兵士として領土奪還に貢献できる
        のなら、いつか食糧事情も解決
        して・・村も本来の姿を
        取り戻せると信じて・・・
        結局私が考えてるのは
        食べ物のことしか・・」

    アルミン「立派な事さ。それに食糧が
         無ければ人間は生きていけない
         ものさ。嫌で嫌で堪らなかった
         開拓地での日々は今でも
         思い出すだけで苦痛だけど・・
         今の僕たちは開拓地からの
         食糧流通で生きていけてる
         んだ・・君の考え方は十分
         立派なものだ。僕は少なくとも
         そう思うよ。」
  50. 52 : : 2014/07/05(土) 23:01:42
    サシャ「アルミン・・・」
        グスッ


    アルミン「あっ、ちょっと!
         ごめん、泣かないでよ!
         湿っぽい話をしすぎた!
         ほらすっかり足も止まってる!
         探そう探そう!!」

    サシャ「そっ、そうですね!あまり
        時間はかけられません!」
        グシグシ




    そうして探すこと小一時間。

    一方の目標は割と簡単に見つけられた。





    アルミン「あった、この葉っぱで
         間違いないよ!」ブチッ
         クンクン


    サシャ「ふむ・・!挿絵ではわかりません
        けど、葉っぱもつるつるして
        ますから一度見ればすぐ外見でも
        判別できますね。なるほど、
        これは香りが強い・・・!」
        ジカニハイケマセン・・     

    アルミン「燻製以外にもこれは
         用途が幅広いんだ。
         臭み消しにはもってこい
         だから・・沢山持って帰ろう」

    サシャ「了解しました!」
  51. 53 : : 2014/07/05(土) 23:03:06

    アルミン「しかしサシャ・・
         そのリュック何が詰まってるの
         ・・?なんか大分かさばってる
         ようにみえるけど」

    サシャ「ええ・・お昼を加熱するのに
        薪をと思いまして。木は
        確かに山ほどありますけど、
        乾燥していなければ火も
        起こせませんしね」

    アルミン「加熱の必要があるものを
         これから探して取って食う
         つもりなの・・・?;」

    サシャ「フフン、アルミンが
        いままで食べた事のない
        御馳走を約束します!」
        ドン
        
        心臓をささげよ!

    アルミン「・・・?;」


    サシャ「・・まあ、見た目はちょっと
        アレかもですが。」フイッ


    アルミン「ちょっとまって!今何か
         言った!?」

    サシャ「いーえ?何も?あ、私の
        放屁の音じゃないですかね」
        シラジラ    

    アルミン「そんな爆音じゃなかった!」


    サシャ「ムッ!失礼な!!誰の
        放屁が榴弾の砲声並だと!?」


    アルミン「そこまで言ってないよ!!」


  52. 54 : : 2014/07/08(火) 01:59:53
     
     
     
    ・・・ここまでの道のりは良かった。
    しかしここからが長かった。
    まず、サシャが見たことがあるという
    釘型の蕾の香草が中々見つからない。
    蕾をつける時期から外れてしまった
    のでは・・と早くも諦めムードに
    陥るまでの探索時間はおよそ半日近く
    かかってしまっていた。もう日の傾き
    から見てもお昼をとる予定の時間は
    とっくに過ぎていた。



    ―小山中腹・獣道―


    サシャ「うむー・・・」
        チューチュー

    ガサガサ・・・


    アルミン「・・・・」

    ガサガサ・・・


    何やら先ほど毟り取った草を
    あまりの空腹に耐えかねてか
    口に咥えたまま、行く先と周囲の
    地面を注意深く見まわし
    続けているサシャだが・・
  53. 55 : : 2014/07/08(火) 02:00:54
    サシャ「んむぅぅー・・・・
        嗚呼・・・なぜ・・
        なぜ人はこんなにも・・・」
        ググゥ・・


    アルミン「・・・?;」


    サシャ「お腹が減るのでしょうか・・・」
        ムシャムシャ

    アルミン「僕だって我慢してるさ・・
         それよりサシャ、さっきから
         くわえてるその草は・・?
         大丈夫なの?口に入れて。
         なんか適当に毟って口に
         もってってるように見えた
         んだけど・・」

    サシャ「これはですねー、吸うと甘い蜜が
        出てくる草なんです。村の食糧庫
        から食料を頂戴できない時は
        良くこうして飢えを凌いだもの
        ですよ・・・」チューチュー



    アルミン「うわっ!それなつかしい!
         エレンも昔よく道に生えてるの
         むしって吸ってたよ!本当に
         吸っても大丈夫な蜜なんだ!?
         (盗み出すか、草を拾い食い
          ならぬ拾い吸いするかの
          二択しかないのか・・・)」


    サシャ「いえ・・、まあ何も今のところ
        身体には影響ありませんけど、
        誰かに教えて貰った訳では
        無いですよ。独学です。
        因みにこの蜜の草を見つける
        までに数十回の挫折を
        味わっています。」ニガイノバッカリ

  54. 56 : : 2014/07/08(火) 02:02:21


    アルミン「・・・・・・;」
         グゥゥ



    サシャ「・・あ、アルミンも吸いますか?
        中々イけますよ。」チュパッ
        ハイ 



    アルミン「っ!!!!!い、いいよ僕は! 
         (いやいや間接キス!!)」
         

    サシャ「?そうですか・・遠慮深いですね
        アルミンは・・食糧の類は、基本
        どんな時でも食える時に食え!
        ・・というのが第一ですよ」
        チューチュー




    一瞬かなり揺れてしまったが、
    気を落ち着けてリュックの水袋を
    取り出し、水分補給をしつつ、
    サシャに小休止を申し出る僕。


    サシャ「ホラー、しっかり食べないと
        こうしてバテてしまうんですよ!
        落ち着いたらまたすぐ探索
        開始ですからね!・・・・
        むっ・・あっちの切株に
        何やらキノコが!」ダダッ
     
    アルミン「うん、ゴメンよ・・・
        (サシャのああいった不意打ち
         が僕の心肺を急稼働させている
         のだと・・説明してもきっと
         サシャの頭には?マークが
         浮かぶだけだろう・・いや
         待てよ・・?)」

    サシャ「んふんふんふ~♪んふんふ♪」
        ブチブチ
        ナメコハッケンデス♪

  55. 57 : : 2014/07/08(火) 02:05:08
     
     
     
    サシャは・・恋愛はともかく・・
    そういった男女間の性的な話には
    どういった考え方を持ってるんだ・・・?

    此間はかなり突飛な状況だったけど、
    ユミルの口からは間違いなく女子にも
    そういった事に関心を持っている人が
    少なからずいると言っていた…!

    そして一人でそうした欲を処理する事も
    あれば、同性で相手を作ってしまう場合も
    有りとの事も・・・!


    多分後者はどう考えてもユミル自身の
    事だと思うけど、ユミルの部屋に
    サシャもいることを考慮したら・・
    もしかして・・??!

    サシャも実はこんなふうに
    してても一人でそういった事を
    している・・なんて事は・・・?


    どうする・・?ストレートに聞いて
    しまうか!?流石に此間のユミルのような
    特殊な状況でもない以上今一歩踏み出す
    勇気が起きなかったけど・・相手があの
    サシャで・・・今のこの状況なら・・!

  56. 58 : : 2014/07/08(火) 02:07:39

    アルミン「////;」
         ドキドキドキ


    サシャ「・・・?アルミン?アルミーン?
        ダイジョブですか??
        何か汗凄いですよ・・?」


    アルミン「なっ!なんでもない!
         大丈夫っっ・・!」
         ビクッ


    サシャ「、そうですか。もう少し
        休んだ方がよさそうですね」
        ヤレヤレ


    ドスン


    そう言うと手近な樹に背を預け、座り込む
    サシャ。普段より薄手の服なので
    身体のラインが若干強調されてて
    見ているとどうしても興奮してしまう・・
    ・・・じゃなくって。
  57. 59 : : 2014/07/08(火) 02:08:51
    この状況で何も話かけないのは明らかに
    損だ・・今なら何の邪魔も無く通常
    女子に聞けないことも聞き放題なのに・・
    しかしサシャもこれで一応女子部屋の
    一員で、あのユミルの舎弟に近い
    立ち位置。迂闊な切り出し方は流石に
    危険だ。・・・となれば・・・


    この時アルミンに、電流、走る―・・!

    (行き過ぎた例の顔)

    アルミン「ねえサシャ・・、男子の間で
         一部、話題になってるんだけど
         ・・、配給の干し肉と引き換え
         に男子のお願いを聞いてくれる
         女子が居るって噂があるんだ。
         キミは、何かしらない?」


    サシャ「ドキッ・・!・・い、いえ、何も!!
        干し肉ですか・・それはー・・
        また随分と面白い事を考える
        人ですね・・-??それで・・
        その噂というのはどのような
        人達が流していたのですか?」
        (滝のような汗)


    ドキッて今、口で言ってた・・
  58. 60 : : 2014/07/08(火) 02:10:32
     
     
    アルミン「・・・へー・・何だぁ・・
         サシャじゃ無かったのか・・
         食べ物に関わる事だから
         僕はてっきりサシャなんだと
         勘違いしてたよ・・・もし
         話が本当なら僕もお願いした
         かったなぁー・・」
         ガッカリ・・


    サシャ「やっ、やですねえアルミン!
        私がそんな、食べ物と引き換えに
        身体に触れるのを許すような
        人間に見えますか?!」
        アハ、アハハハ!;  

        
    サシャ「(い、いえ・・、それが常識的に
         おかしい事だと学んだのは
         ユミルとクリスタにあの後
         懇々と叱られてからでしたが
         ・・・!であればこそ、アルミン
         までに常識を問われるような
         事は何としても避けなければ
         ・・・!・・・ん?)」


    アルミン「・・・・・」



    サシャ「(今・・・最後アルミン
         なんて言ってました?)」
        オネガイシタカッタ?  ガッカリ??
  59. 61 : : 2014/07/08(火) 02:12:05

     
     
     
    アルミン「・・・なんちゃってね」
         ニタリ




    サシャ「ッッ!!!!!ひぃええ!!?」
        ギャーーーー!!!!


    アルミン「そ、そんな驚く事ないだろ!!
         ちょっとおどけただけなのに!」


    サシャ「あ、アルミン!!あなたのその
        ちょっとおどけた顔で私、今
        余命が3年ほど縮みました!!
        その顔は絶対みんなの前では
        やめた方がいいです!!」

    アルミン「まったく酷い言い草だよもう
         ・・・。じゃなくて・・・・。
         サシャ・・?」


    サシャ「は・・、はひ?」
        ビクビク


    アルミン「僕は別に、噂について
         複数の人から仕入れた情報
         だなんて一言も言ってないよ。
         なのに君は・・噂の出どころに
         ついて言及した時、人“達”
         って言ったよね・・・」


    サシャ「・・・?はい・・?それが
        なにか・・?」
        ン・・・?エエト・・?     
  60. 62 : : 2014/07/08(火) 02:12:59

    アルミン「もっと分かり易いとこじゃ
         ないとサシャには無理か・・
         (ヤレヤレ;調子が狂うなぁ)」


    アルミン「じゃあ、それともう一つ・・
         干し肉と引き換えにその女子
         がしてあげることについて、
         僕はまだお願いとしか
         言ってないんだけど・・
         キミはさっきたしか―・・」

    サシャ「(あっ)!!!!!」


    アルミン「体がどうとか・・・・」




    サシャ「すっ・・!!!
        済みませんでしたーー!!
        私ウソついてました!!!!
        どうか!どうかユミルにだけは
        この事はァっ!!!」
       (うぁわぁぁあ;)※泣き崩れ
        

    アルミン「変わり身早っっ!!!」


    サシャ「アルミンと騙し会いをして
        私なんかに勝てっこ
        ありませんよぅ・・」
        ウゥ・・シクシク
  61. 63 : : 2014/07/08(火) 02:54:51
        

    アルミン「それで・・話の続き
         なんだけど・・・」

    サシャ「あっ!アルミン!!!;
        貴方に人の心はありますか!!?
        こんなに勘弁してほしいと
        謝罪しているのに・・!
        これがユミルに知れたら
        私は・・!私はー!!」


    アルミン「っちょっと、落ち着いてよ
         サシャ!僕はキミに聞きたい
         事があるだけで、別にその
         事について何か脅すつもり
         なんてないんだって!
         たださっきはキミがあくまで
         シラを切ろうとしたから
         話を聞いてもらいたくて
         誘導しただけだって!」

    サシャ「・・黙っててくれますか?」
        ウウウ・・・


    アルミン「勿論だよ。というよりサシャ
         ・・多分、その調子じゃ
         ユミルからは何も聞いてないん
         だろうけど・・もう暫くその
         取引はキミ達の間で成立して
         無いんじゃないかな?」
  62. 64 : : 2014/07/08(火) 02:56:05
    サシャ「あ・・え・?はい、そう・・・
        なんです。私から一時休止
        の申し出を出しては居ないはず
        なのですがすっかりあれ以来
        サムエルとミリウスからは
        取引の気配が・・・ハッ」


    アルミン「やっぱりあの二人か・・」


    サシャ「ひっ!!ひぃ!!!!
        それも、内緒にしてくださいよ!?
        ユミルに知れたら・・!」
        ビクビク


    アルミン「いや、もう手遅れだと思うよ」


    サシャ「ぇ・・?」


    アルミン「この間その二人が宿舎裏で
         何者かに急襲を受けて
         気絶した状態で医務室に
         運ばれたんだ。二人とも
         前回配られた干し肉を
         隊服に隠してたって話だよ。
         きっと・・どこからか
         情報を仕入れたユミルが・・」



    サシャ「・・と・・いう事は・・!?」


    アルミン「サシャが構築した流通ルートは
         残念だけれど・・もう・・・
         機能してくれないんじゃ
    ないかな・・・何を
    されたのか知らないけど、
    二人とも、意識が回復
         してから何も話そうと
         しないんだ・・・残念だけど」


    サシャ「そ・・そんなぁァァァ!!!」
        ※号泣
  63. 67 : : 2014/07/08(火) 23:44:30
     
     
     
     
     
    アルミン「ホラ、泣かないで!
         それにまだいいじゃないか
         今回猪の肉がそんなに
         手に入ったんだろ?
         それなら暫くは飢えに
         困ることだって・・!」

    サシャ「それはそれ、これはこれ
        です!!!ぁぁぁ!私の・・
        私の干し肉が・・!ユミルには
        血も涙も通ってないんですよ
        ----!!」
        ウワァァァ



    間違いなくユミルは、クリスタと一緒に
    なって心配してくれてたからこそ
    そうして実力行使に打って出てまで
    サシャの取引ルートを絶つ行動に
    出たんだと思う・・。それについての
    質問がまだ終わってないけど・・まずは
    サシャを落ち着かせない事には話も
    できないな・・これじゃあ。


    アルミン「泣かないで、サシャ。じゃあ、
         ユミルには内緒。僕と君だけの
         約束だ。僕は別に配給の度に
         配られる干し肉については、
         君程楽しみにしてる訳じゃ
         ないから・・」

    サシャ「・・・?」
        ぐすん・・


    アルミン「僕がこれからする質問に
         答えてくれるなら、次からの
         配給分は全部君に譲るよ。
         重ねて言うけど、ユミルには
         絶対内緒にする。勿論・・
         クリスタにもね。―どう?」
  64. 68 : : 2014/07/08(火) 23:46:55
    サシャ「えっ・・・!!?い、
        いいんですかアルミン!!?」
        パァァァアア!!


    アルミン「あ、ああ、約束するよ」
        (泣き止むのも物凄く早い・・)
         

    でもそこがかわいい・・のかも


    サシャ「(ヒック・・)し、しかしその・・
        肝心の質問というのは何です?
        本当に答えるだけでそのような
        恩恵を受けていいんですか?」
        オドオド


    アルミン「男に二言はないよ。その前に
         ほら・・、泣いて水分失った
         分水でも飲んで落ち着いたら」


    サシャ「そ、そうですね。お気遣い
        有難うございます・・!」


    そうして二人して水袋を片手に
    落ち着いたところで、僕の質問が
    始まった。
  65. 69 : : 2014/07/08(火) 23:51:55
    相手がサシャだからこんな
    事を聞く決意もできたけど、それでも
    やっぱり見た目も中身も一応れっきとした
    女子であるサシャ相手に、僕は限りなく
    アウトに近い質問を順序立てて徐々に
    ハードルをあげてぶつけていく
    事にした。ここまで状況を整えたからには
    手ぶらでは帰れない。



    アルミン「まず率直にだけど・・、
         その取引を持ち掛けたのは
         そもそもどっちだったの?」

    サシャ「それは・・どちらかというと
        あの二人ですかね・・・
        だいたい私にとってはたった
        それだけの事で、お肉を貰える
        なんて夢物語のような取引
        条件でしたから・・」


    アルミン「たったそれだけっていうのは
         ・・最初からその、胸を
         触らせてとかいう事を
         持ち掛けられたの?」


    サシャ「そ・・そこまで情報を掴んで
        居たんですか・・アルミン、
        恐るべしです・・・。ああ、
        すみません。いえ、実は・・
        最初は違ったんですよ。」

    アルミン「??」



    サシャ「最初は胸を見せてくれ、と
        そうお願いされま
    アルミン「見せたの!?」

    ガバッ


    サシャ「ひっ・・!は、はい、
        それはもう何の躊躇もなく。
        だって、見せるだけですよ?」
       (どう考えたってお得じゃぁ・・)     


    アルミン「(羨ましすぎる・・)」

    サシャ「え、えーと、それから、服の
        上からでもいいから触らせて
        と言い出しまして、そして次には
        服の下へと手が伸びていきまして
        ・・・」


    アルミン「・・・・・・!!」
          (絶句)
  66. 70 : : 2014/07/09(水) 00:16:41

    サシャ「い、いえ・・・私も、なんで
        そんな必死こいて触るんですか!
        って突っ込みを入れたんですよ!
        ぇえ、何度も。でも全然耳を
        貸してくれなくてですね・・・
        不思議ですよねー・・男子って」
        ンー・・・リカイフノウデス
           

    アルミン「(そこまでされて何の羞恥も
          芽生えない君の方がよっぽど
          不思議だよ・・!)」



    サシャ「牛さんみたいに揉んで何か
        出てくるなら、まだ分かります
        けど、私は見ての通りまだその
        ・・人でいうところのそういった
        条件を満たしていませんし」
        モミゾンデスヨ

    アルミン「・・っブフォッ!!!!」
         ビチャビチャ
        (盛大に水噴出し)


    サシャ「ああ!、アルミン!?」
        キチョウナオミズガ!!



    アルミン「あれ・・・なんか今・・
         凄い事をさらっと言った気が」
  67. 71 : : 2014/07/09(水) 00:18:04


     
     
     
    サシャ「私は牛さんじゃありませんよ!
        失礼な!!」プンプン



    アルミン「そっちじゃないよ!サシャ・・
         “今そういった条件”って
         言ったよね??」
         ウン、ゼッタイイイッタ!!

    サシャ「・・言いましたけど?」


    アルミン「女子最下位の座学成績を
         誇る君が、それを知ってる
         っていうの!?あの・・、
         コウノトリとかキャベツ畑
         ・・とか!そんな教え方を
         されてそのままその歳まで
         育ったんじゃないの・・!?」


    サシャ「それ、誇るっていいませんよ!
        全然誇れてないじゃないですか!
        それになんですかキャベツ畑
        とは!?私をバカにしすぎです
        アルミン!」ムッカァァァ##


    アルミン「じゃあ聞くけど・・・
         さっき君が言ってた、人で
         いう所の条件って一体・・
         何?」

    サシャ「それは―、もちろん基本的には
        牛さんと同じです。お腹に
        赤ちゃんができてから一年
        かそこらの間でしょう。」
        サラッ
  68. 72 : : 2014/07/09(水) 00:20:34

     
     
     
     

    アルミン「・・・・・・・・・・・
         じゃあ、その赤ちゃん
         はどうやったらできるの?」
         オソルオソル


    サシャ「それも牛さんお馬さんと同じ
        ですよ!交尾したらできる
        に決まってるじゃないですか!
        アルミンこそ座学では習って
        ないんですか!?そんな
        私でも知っている事を!?」
        ホントウニ!?    



    アルミン「(真っ白)」





    サシャ「あれ・・?ちょっと、
        アルミン?聞こえてますかー?」
        フリフリ


    アルミン「・・ハッ・・!!!
         あ・・あまりにも衝撃的すぎて
         意識を持ってかれそうになった
         ・・・(サシャの口からこんな
         直球過ぎる用語が次々と・・)」


    アルミン「だ・・、男子と女子の座学は
         内容が違うんだよ!だからっ
         その・・・!僕らはまだ
         そういうの習って無いというか
         ・・・だから・・・!」




    サシャ「なんだー!!そうなんですか!!
        それでは仕方ないですね・・
        でも不思議な感じですね。
        私が知識でアルミンに勝てる
        科目があるなんて」




    アルミン「(いや、教わってないって
          だけで、当然何するかくらい
          知ってるけどさ・・・!)」


  69. 73 : : 2014/07/09(水) 00:21:56

    サシャ「何でしたら、牛さん、お馬さんが
        どのようにして交尾を始めて
        終わらせるかここでやって
        見せましょうか?」
        ワタシモノマネトクイデス!
        
        ※四つん這い



    アルミン「ちょっ・・!その辺で
         ストップ!!も、もうこの
         話題はよそう?!ね?!」
         

    サシャ「ぇー・・私、小さい頃から
        牛さん馬さんのお産を手伝ったり
        納屋で交尾している様子を
        ずっと見てきてますから
        子細に再現できますよ?」
        イインデスカ?キニナルンデショ?


    アルミン「(そうきたか・・・・!
          その歳からこういった話に
          耐性ができているだけでなく
          まさかの模範解答・・・!
          そしてそれが自分にとっての
          日常だったから恥ずかしさの
          かけらもない・・!)」




    サシャ「もう、気になるって聞いてき
        たのはアルミンの方じゃ
        ないですか!」
        ムスゥ
  70. 74 : : 2014/07/09(水) 00:24:40


    アルミン「いや、だって恥ずかしく
         ないの!?いくら牛や馬と
         同じって言っても・・実際
         そうは割り切れないでしょ?
         それにサシャも僕らと同じ
         年頃ならさ・・!少しは
         そういう事考えて興奮とか
         ・・・しないの!?」



    サシャのまさかの返答に完全に
    僕は自分のペースを失いつつも、
    此処でようやくサシャについてもっとも
    聞いてみたかった質問を勢いでして
    しまったことに気が付いた。



    アルミン「(あっ・・つい勢いで
          言ってしまった・・!
          だけど言ってしまった
          物はもうどうにもならない
          ・・サシャは一体この質問
          に・・どう・・)」


    サシャ「ンー・・・正直言ってしまうと
        ・・あまり私自身に興味は
        無いですねー・・」
        アッサリ


    アルミン「え」


    サシャ「男子がなぜあんなにまでして
        必死になるのかは・・まあ
        発情期を迎えた雄の馬もそんな
        感じですから分かりますけど、
        馬はそもそも雌にも発情の
        様子が見られなければ交尾には
        至りませんから。」




    アルミン「・・・・・」
  71. 75 : : 2014/07/09(水) 00:26:13

     
     
    サシャ「それと同じで私にもまだそういう
        時期が来てないだけなのかも
        しれませんねw」ハハハ






    なんだろう・・この気持ちは・・別に、
    サシャの口からこのような類の返答が
    返ってきた事にショックを受けてる
    訳じゃない・・・むしろその逆・・


    とても納得できる。この答えは・・僕の
    中のサシャ、そのものの人間性を驚くほど
    そのまま表している答えでもある・・・


    けれどなんだろう・・なにかとても
    ひっかかる。言葉に矛盾があったとかじゃ
    無い・・もっと極々単純な・・それでいて
    直感的なものだ・・・サシャ・・・
    キミはひょっとして・・・・

  72. 76 : : 2014/07/09(水) 00:28:39

    アルミン「サシャ、君は小さい頃から
         そんな感じで育ってきたから
         特に何とも思わないって
         言ってた、よね。」


    サシャ「?ええ。」


    アルミン「それはまあ、確かに僕にも
         なんとなく分かるけど・・
         それでも少しくらい・・その、
         これが自分たちもいつかはする
         かもしれない事だって・・
         考えたら・・その、」


    サシャ「うん?」




    アルミン「それでも何も思わない?
         そう、例えば・・・僕が
         君に対してもし・・もしも、
         その時期を迎えた雄の馬や牛と
         同じ目を向けているとしたら」
             






    サシャ「・・・へ」





    アルミン「・・どう?」



    サシャ「あ、いや・・、その////
        あ・・・、そういう事ですか!?」
        カァ//・・
  73. 77 : : 2014/07/09(水) 00:29:52

    サシャの顔が僅かに紅潮した瞬間を僕は
    見逃さなかった、本当に僅かではある
    けれど彼女にも確かにそういった
    恥じらいと呼べるものはあると確信を
    持てた、その瞬間でもあった。

    しかし、すぐにいつもの明るい
    笑顔を取り戻した彼女は、こう続けた


    サシャ「いっ・・、いえでも・・昔から
        ずっと見てきたから・・こそ
        そういう気が起きないというか
        ・・ですねえ・・・」


    アルミン「?」



    サシャ「あの・・本当に、単純な事
        で申し訳ないですけどね・・?」


    アルミン「うん?」




    サシャ「なんか、苦しそうだなーって。
        昔から彼らが子を残そうと
        必死になっている姿を近くで
        見てきましたけど、その姿には
        “ソレ”は大変で辛い事っていう
        印象しか持てなくて・・・」




    アルミン「―――!」
  74. 78 : : 2014/07/09(水) 00:32:34

    サシャ「それで・・まあ、そんな感じです
        ・・かね。私にはまだそういうの
        きっと早いんだと思います(笑)
        美味しい物の方がもっと
        ずっと輝いて見えて
        しまいますから・・;w」



    今まで読んだ本の中で・・・動物の
    生態を記した本で見たことがある・・・


    それが本当かどうかは僕には確かめる術も
    無いけれど・・人間以外の動物は・・

    基本的に、自慰を行わない。つまり、
    一人で性欲を発散しようという概念が
    そもそも無いのだ。



    理由の一つとして考えられているのは
    やはり人間とその他の生き物との
    決定的な違い、つまり発情期の有無だ。
    先ほどサシャが馬の例で挙げたように、
    どの動物もそれぞれ発情する季節があり、
    お互いその時期が重なった時こそが
    一年を通して唯一そういった営みに
    身を委ねる時となる。
  75. 79 : : 2014/07/09(水) 00:35:46

    しかし人間の場合はどうか。いつから
    そうなっていたのか定かではないが
    人間は一年中いつでも発情している。

    “場合によっては”それを一人でもなんとかしようとする。


    話は飛んでしまったが、つまりは
    それだけの事。



    きっとサシャは・・・長くそうした
    納屋での家畜達の営みを間近で
    見ているうちにその生態はそっくり
    そのまま自分にも当てはまるものなのだと
    思い込んでしまったのかもしれない。

    人間きっと誰しも、性欲という機能に
    不備が無い以上、いつかはそういった事に
    興味を持つ日は来るものだと思う。

    そしてそれはまず段階的に、いきなり
    交尾へと向けられる前に
    一年を通して燻っている欲求を
    一人でなんとかするという所から
    始めていく物だと僕は考える。

    僕の場合もそうだった訳だし。
    ―そう、人間の目線で考えるなら。
  76. 80 : : 2014/07/09(水) 00:36:24
    しかし馬や、牛は、人と違って
    自慰というものを行わない。
    そこからのみ知識を吸い上げている
    サシャも当然それを知らないのだ。
    知りもしない事を・・したいとは
    思わないのは当然の事だ。


    そして馬や牛などの動物にとって・・

    交尾という行いが、一年の限られた
    季節に行われる、義務的なものでしか
    ないという認識が心の中で産まれて
    しまえば・・

    当然、僕らが普通に抱いているような、
    気持ちよさそうな事、何だかよく
    分からないが、してみたい事。

    そういった感情が芽生えない可能性
    だって充分ある。


    こんな簡単な事に気付かなかったなんて。


  77. 81 : : 2014/07/09(水) 02:27:09

    ―小山・頂上付近―


    そんな話をした後でも相変わらず
    サシャのテンションは普段と相違なく、
    やっぱりサシャはサシャなんだなと、
    一方で彼女の意外な一面を知りながらも
    いつも通りの彼女に安堵し、共に
    残る一つの目標を探し続けた。
    そんな最中、サシャの方からこう
    切り出してきた


    サシャ「さっきのアルミンの
        お話の続きですけどね?」


    アルミン「・・ん?」


    サシャ「私も・・何となく、ホント
        何となーくなんですけど、
        部屋のみんなと私の考え方が、
        違うんじゃないかなーって・・
        気が付いてはいたのです。」


    アルミン「・・・・」
  78. 82 : : 2014/07/09(水) 02:28:26
    サシャ「ほら・・私って、村の
        しきたりや父親の教育の
        方針もあったので若干というか
        大分こちらの常識が
        通用しない時があるというか」


    アルミン「(多分サシャの故郷であっても
          備蓄食料から盗み食いを
          したら流石におこられると
          思うんだけど・・)」


    サシャ「私の父親は・・あの、
        あまり多くを語らない人でして
        、別に無口という訳では
        無いのですが、生活の上で
        大事なものの殆どは自然から
        学べるので、お前自身も
        その自然の一部であると
        いう事を常に忘れるな・・って
        教えを昔から受け続けて
        たんです。」


    サシャの驚異的なまでの野生の勘や
    機動力、体捌きや、無尽蔵のスタミナは
    つまりそうした教えと大自然という
    条件下における狩猟を主に生計を
    立て続けてきたという生い立ちが
    実現させたものであり、それと
    引き替えに・・いや、この場合引き替え
    という表現はどうなのかと思うけれど

    つまりその反面、今のような、
    年頃の少女らしからぬ性への認識を
    当たり前のものにしてしまったのだろう。


    サシャ「先ほどアルミンに申し上げた
        事以外にも私にとっては動物の
        交尾というものにはまた
        違った認識があるんです。」
  79. 83 : : 2014/07/09(水) 23:12:02
    アルミン「???」


    サシャ「私が最も多くこの目で
        見てきたそれは、主に村の納屋で
        ・・つまり囲いのされた人間の
        作った絶対安全な場所での営みで
        しかありませんでしたが・・
        自然界の動物達にとって、
        交尾というものはまさに命がけ
        です。」

    アルミン「それは・・流石に僕でも
         分かるよ。いつ外敵が
         襲ってくるかもしれない
         状況下で二体の動物が
         わずかな時間とはいえ
         組み合ったまましばらくは
         身動きが取れなくなって
         しまうっていうんだから」

    サシャ「はい。アルミンの言う通りです
        ・・・実際私たちの様な、
        狩りで生活の大半を過ごす
        人種にとってもそれは最大の
        チャンスであり、見つけられれば
        、目当ての獲物を同時に二体、
        それもほぼ無抵抗なので
        確実かつ安全に仕留められる
        絶好の機会に他なりません」
  80. 84 : : 2014/07/09(水) 23:13:56

    アルミン「・・でもやっぱり
         そういうのってなんか・・」


    サシャ「ええ、言われなくても
        私にはアルミンが何を今
        仰いたいのか分りますよ。
        私にも流石にそれは非常に
        抵抗のある事でした。
        
        自分の命を危険に晒してまで
        子を残そうとしているつがいを
        この手で双方討ち取ろうと
        いうのです。流石の私でも
        最初にその状況を狩りの最中に
        目の当たりにしたときは
        父親に反抗心を覚えましたね」


    サシャ「しかし、当然私がそう感じる位
        なので、村にはそれに関しても
        しっかりしきたりがあります。
        まず第一に、その日、その月
        の獲物が安定しているなら、
        若しくは既に成果を得ている
        場合、これを見逃すこと、」

    アルミン「、、」


    サシャ「そしてそうでない場合は・・
        困窮があまりに深刻ならば
        自身の判断に基づいて、
        交尾を行う二頭総取りか
        、事の終わりを見届けてから
        雄のみを仕留めるか、
        その判断を自身で下すのです。」
  81. 85 : : 2014/07/10(木) 00:43:19

    アルミン「まあ・・狩りは獲物あっての
         物だから・・自然界での持ちつ
         持たれつという関係の上では
         それが妥当なのかもしれないね
         ・・・」

    サシャ「まあ、そんなところです。
        そういう事情もあってですかね
        ・・私にはその、やっぱり
        座学に於いて、生理学を
        受講した後の女子の浮き足立った
        雰囲気というのは全く以て
        理解できませんでした。
        別に悪い事だとも思ってはいない
        のですが・・」


    何も考えていないように見えて
    彼女には彼女の事情があって、それらの
    奇行と独自の考え方には全て彼女自身の
    生態に基づく理由がある・・・
    僕が、まさに彼女の・・
    サシャ・ブラウスの生態について
    深く理解し、また更なる探求心が
    芽生えたその時だった
  82. 86 : : 2014/07/10(木) 00:44:01

     
     

    サシャ「―――!」ピク


    アルミン「・・・?」



    明らかにサシャの纏う雰囲気が、
    周囲の空気もろとも塗り替わった。
    その一瞬の仕草はまさに物音を
    とらえた猫のそれであり、
    そしてガラリと雰囲気を変えた
    当の本人はこう呟いた。


    サシャ「まずいですね・・・・
        あぁ・・・・すごく
        マズいです・・・・!」

    アルミン「・・・?何・・え・・?
         どうしたのサシャ」
  83. 87 : : 2014/07/10(木) 00:45:32
     
    サシャ「見えないんですかアルミン!
        すぐそこですよ・・・」



    アルミン「・・・?
         ・・・・・、
         ・・・・・・・・!」
         ゾッ


    サシャ「何がまずいって・・
        お子様連れというのが
        非常にマズイです」


    ヒグマだ。それもサシャが言うように
    子連れの・・恐らく母親熊だろう。

    ・・・デカい。


    それも特に神経質で獰猛であると
    される、子連れ・・

    なんとなくだけど一瞬、
    あ、ここで死ぬのか僕は・・・と
    いう考えと、所謂走馬灯というような、
    白い光が頭をよぎったが・・


    ぐっ・・

    アルミン「っ」
  84. 88 : : 2014/07/10(木) 00:46:24

    不意に、汗が滲んで不快な湿り気を
    帯びる僕の手を、力強く握りこむ感触と
    その体温が僕の中に即座に正常な
    思考を引きもどしてくれた。


    サシャ「大丈夫ですよ・・・!
        私にお任せ下さい・・!
        私もアルミンも、死んだり
        しませんから」


    震えている。震えているけど・・

    とても凛々しい、まっすぐな目だった。


    アルミン「サシャ・・・」



    しかし状況は未だ好転の気配を見せない。
    当のヒグマは此処から見てあと十歩か
    そこらという距離からじっと
    此方を伺っている。僕も本で読んだ事が
    あるので流石に知っているが、
    こういう状況ではまず静止がベストだ。

    喚く、騒ぐ、逃げ惑う、これらは最も
    してはならない事であり、
    もし実行すれば、逆に野生動物の緊張
    した本能を激発する火打石となりかねない
  85. 89 : : 2014/07/10(木) 00:49:10
     
     
     
    サシャ「流石ですアルミン。
        普通は黙っていることなんて
        出来ないと思いますが、
        少しあなたを見直しましたよ」

    アルミン「いや・・、怖くて動けない
         だけかもよ?」ガタガタ


    サシャ「そ、そうですか((;'∀')」


    アルミン「・・・それで・・サシャ、
         ど・・どうするの?」


    サシャ「・・・・取りあえずですね。」


    アルミン「-?」


    サシャ「何もしません」



    アルミン「・・・・・・・・・・
         向うがどこかに行くまで
         待つ作戦?」



    サシャ「そうなりますね」
  86. 90 : : 2014/07/10(木) 01:31:57

    アルミン「もしも今すぐアレがこっちに
         走って向かってきたら?」


    サシャ「その時は半分諦めて下さい。」


    アルミン「なっ・・!サシャ、
         さっきと言ってる事が
         ・・・(涙)!」

    サシャ「落ち着いてくださいよもう!
        半分って言ったでしょ!」

    アルミン「?」


    サシャ「良いですか?走って逃げるのは
       最後の手段です。彼らは
       森の中、私たちにとって
       障害物となる草木をほぼ
       無視しながら・・鹿などと
       同等の速さで走れます。」

    アルミン「っ・・・!」


    サシャ「加えて木登りも大の得意です」

  87. 91 : : 2014/07/10(木) 01:32:50

    サシャ「ですので・・もし一目散に
        逃げなければいけない状況が
        出来上がってしまったら、
        そっちの斜面から駆け降りる
        形で全力疾走してください」

    アルミン「あの・・サシャ・・簡単に
         言うけどあれ・・・」


    そこは、斜面というより、ほぼ崖だ。
    まあ、一応駆け抜けようと思えば
    出来ない事はなさそうだけど・・
    しかし・・・

    アルミン「あんな斜面じゃ走って行っても
         絶対に止まれないでしょ・・
         勢い付いた先でどんな転び方
         するか・・更に樹にでも
         ぶつかったら」
         ゾゾゾゾ

    サシャ「それは向うも同じです。」

    アルミン「!」

    サシャ「いえ・・、基本が四足といえど
        あのように前方に重心が
        偏りやすく、尚且つ前足の
        短い動物というのは・・
        登りには強くとも下りの
        斜面には弱いのです。」



    アルミン「な・・なるほど・・!」

  88. 92 : : 2014/07/10(木) 01:34:01


    サシャ「無論私達もただでは済まない
        でしょうが、平坦な場所で彼らに
        徒競争を挑むよりずっと利口な
        判断です」


    アルミン「・・・(ゴクッ)」


    僕はサシャに出発前に渡された
    鉈の様なナイフが収まるシースが
    腰のベルトに収まっているのを見やり、
    留め具の外し方を再度手で確認した

    本当にサシャに言われた通りこれが
    最後のお守りになる時がやってきて
    しまったのだ。これならむしろ
    僕が兵団で作業用に用いるナイフを
    持って来なくて正解だったかもしれない

  89. 93 : : 2014/07/10(木) 01:35:15

    サシャ「アルミン、それを抜くのは
        本当に最後の最後ですよ。
        先に言っておきますが、あの
        体格では運が無ければ撃退は
        不可能です。」

    アルミン「分かってる・・多分僕が
         使っても役には立たないと
         思うよ・・」


    サシャ「大型のヒグマと至近距離で
        遭遇した場合。猟銃を持った
        猟師ですら返り討ちに合う事は
        少なくありません。」


    アルミン「鉄砲でも歯が立たないの?」


    サシャ「込めている弾が鳥獣向けに
        散弾などを入れている場合は
        勿論ですが、鹿、熊用に単発の
        鉛玉を用いても、頭の骨が
        固すぎて頭部を狙い撃ち
        したにも拘わらず

        弾が頭を滑るようにして
        致命打を与えられなかった
        という話は実際にあります」
  90. 94 : : 2014/07/10(木) 01:36:29


    アルミン「じゃあこれで頭を狙っても
         ・・」


    サシャ「かなり厳しいでしょうね・・
        チャンスはまず一太刀のみです」



    ここまで長々と話していた僕とサシャだが
    ここにきてとうとう事態が動いてしまった
    ・・そう、良くない方向へと。



    ブゴッ・・ブコッ・・・

    ブフッ


    おもむろに、一歩踏み出し、
    突き出した鼻を上下させて
    独特な咆哮を響かせるヒグマ
  91. 95 : : 2014/07/10(木) 01:37:39
    アルミン「な、何・何!アレ!!
         ・・さ、サシャ!?」


    サシャ「い・・威嚇だ・・!威嚇ですよ!
        アルミン、覚悟の準備を・・!」

        
    アルミン「っ・・・!!!あ、サシャ!
         それをする前にやっぱり
         やるだけの事はやって
         おきたい・・!そのリュック
         は、当然置いて行くんだよね
         ・・!?」


    サシャ「当たり前じゃないですか!
        どうせ薪と・・あ・・!しかし
        この中には・・・!くっ・・!」

    アルミン「何!?何が入ってるの?!
         その中に!」

    サシャ「今役に立つ類の物なんて何も
        ありませんよ!私が用意して
        持ってきたのは昼食の調理
        の為の準備だけです!マッチと
        薪と、鉄櫛と付け合わせの
        玉ねぎと・・・・!
        その・・少し捨てたくない
        物と言いますか・・私の大事な
        宝物が・・」ゥゥ・・


    アルミン「完全にバーベキュー気分の
         備えしかしてないじゃない!」
         ウワァ;:
  92. 96 : : 2014/07/10(木) 01:38:58

    それよりも・・・


    アルミン「、じゃあその宝ものって
         いうのは?!何か役に・・」


    サシャ「立ちません!立ちま・・・
        ああっ・・!!」




    とうとうしびれを切らしたか
    のしのしとこちらにヒグマが向かってくる
    のが視界の端に入り、僕らは一様に
    身を強張らせた。

    もう駆け降りるしかない。身体を崖の
    方へと向かせたその時だった。
  93. 97 : : 2014/07/10(木) 01:40:26

     
     
     

    サシャ「ま、待ってくださいアルミン!
        ひょっとしたら私達!」

    ゴソゴソっ・・


    サシャ「二人とも助かるかもしれません!」
    ブンッ



    アルミン「!!?!」


    そう叫ぶと、向かってきたヒグマの進路
    から飛び退くようにして、同時に
    リュックから取り出した巾着状の小さな
    布袋を襲撃者に向かって思い切り
    投げつけるサシャ。巾着の口はヒグマの
    頭に到達する前に開き、空中に何かを
    霧散させた。その袋の中身は・・・


    アルミン「灰・・?砂・・・?」


    サシャ「ぁあ・・・!貴重なお宝がっ・・
        飛び散って風と一つにィ・・!
       (涙)」メソメソ・・
  94. 98 : : 2014/07/10(木) 01:41:29

    アルミン「サシャ・・?!アレは一体
         ・・・!あ・・・」


    ブシュッ、ブシュッという咳込というか
    クシャミにしか見えない動作を繰り返し
    その場で堪らず前足で顔を擦り続ける
    ヒグマ。まさか・・でもあの量は・・


    アルミン「・・・サシャ・・」


    サシャ「厨房からくすねたコショウ
        です・・・;」


    アルミン「と、とにかく今は逃げよう!
         今のうちに離れないと!!!」



    サシャ「そ、そうですよ!早くこの場を
        ・・・!」




    ―小山・山麓ー


    サシャ「こ・・ここまでくれば・・!
        もう平気でしょう・・!」
        ゼイ・・ゼィ・・


    アルミン「はあ・・ハァ・・う・・・、
         うん・・」

  95. 99 : : 2014/07/10(木) 01:42:19

    サシャはきちんとご丁寧に
    荷物を全て持参している。
    僕も荷物は全て持ってきたが、
    薪なども入っている分、当然サシャの
    リュックは段違いに大きい。
    つくづくその体力には頭が下がる。


    サシャ「久々の・・・!ハァ・・!
        全力疾走・・!ゼぇ・・!
        ですゥ・・・・し・・
        死ぬかと・・」ハッ


    直後、サシャが僕の方を見てまるで
    時がとまったかのような仕草で顔を
    強張らせたまま動かなくなった。


    アルミン「何・・?どうしたの今度は!?
         ねえサ・・・・」


    サシャ「ダメっ、あっ!動いちゃっ・・!
        あ、いえ!動いて下さい
        アルミンーーーー!!!」



    アルミン「えっ・・・」
  96. 100 : : 2014/07/10(木) 01:42:48
    直後、ブブブ、という耳障りな羽音が
    僕の耳元を掠めーーー

    ズキンッ
    アルミン「っっッツーーー!!!」


    首元に突き刺すような痛みが走ったーー
    いや、文字通り突き刺されたようだ。
    痛みにうずくまる僕の視界を空高く
    飛翔して行ったのは・・・


    アルミン「スズメバチ・・・・!?
         アッ・・痛っぅ・・!」

    丁度僕のいる場所の頭上から同様の
    羽音と、かすかなキチキチという音が
    不気味に鳴り響いている。間違いない、
    樹の中に巣があるのだ。


    ガバッ
  97. 101 : : 2014/07/10(木) 01:54:42
    アルミン「っ!!??」





    サシャ「アルミィイイイン!!;;」
        ウワァァァ!!

    首元を抑える僕の傍へ駆け寄ると、
    すぐさま僕を別の離れた樹の
    元へと担ぎ込むサシャ。

    半狂乱になって泣き叫びながらも、
    突然僕の両肩を正面から押さえつけ
    両掌を目の前で合わせると

    サシャ「しっ!失礼しますよ!!
        ですが一刻を争いますから
        ちょっとだけ・・・!
        我慢してください!!」

    アルミン「へ・・?我慢ってな・・・!」

    ガシッ

    痛みに朦朧とする頭を更に肩と
    首元を押さえつけるサシャの力が
    揺さぶる。視界が大きく揺らいだ
    直後、感じたのは首元に何かが
    貼りつき、覆いかぶさる熱い感触と
    ・・わずかに視界に映り込む、サシャの
    一つ縛りにした後ろ髪だった。
  98. 102 : : 2014/07/10(木) 01:56:19

    サシャ「ムッ・・!!ンムフッ・・!」
    チュゥウウウウウ


    僕の首元に吸い付いて、スズメバチの
    毒を必死に吸い出そうとしてくれて
    いるのだろう。それはいいのだが・・・

    この体勢、この密着具合、それから言う
    までも無いけど・・この状況。
    女子とキスすらしたことが無い
    僕には・・・非常に厳しい事に
    なっていた。心臓は先程
    まで走っていたせいもあって破裂
    しそうなまでに弾み続けているし、

    今なお首元に吸い付いているその姿は
    まるで伝承にある吸血鬼のような
    喰らいつき方であり、僕の首筋に
    あてがう唇で強く毒を吸い出そうと
    する度に、首元をその柔らかな舌が
    這いまわるような感触が襲い来るので、

    冗談抜きに、これはもうしんどい。
    頭は朦朧としているけれど、間違いなく
    今の僕の口からは力が抜けきった
    間抜けな悲鳴が吐き出され続けている
    事だろう。
  99. 103 : : 2014/07/10(木) 01:56:55

    アルミン「ふぁっ・・あっ・・・!
         ////」


    サシャ「ムググ・・!!」
        チュパチュパ


    誤解されても何しても構わない。
    男子にとってこれはもう拷問でしかない。
    おまけにサシャの右膝が僕の足の
    付け根に食い込んでいるのだ。
    ああ、あえて足の付け根といった。
    それも大腿部内側だ。


    こんな状況で何も反応しなかったら
    それこそ何かを疑われてしまう


    サシャ「ぷっ!!・・・(ガバッ)」


    しきりに吸い出して吐き出し・・
    という一連の動作を暫く続けると
    、もう流石に大丈夫だろうと判断したか
    すっかりサシャの体温と密着し続けて
    いたことで汗ばんだ僕の首筋から
    顔を離し・・・・・

    サシャ「ふぅ・・フゥ・・・失礼しました
        ・・・いきなりで驚かせて・・
        おどろ・・・」
  100. 104 : : 2014/07/10(木) 01:59:02
    グイグイ

    アルミン・アルレルト、立体起働に(ry



    サシャ「お・・・・オゥ・・////」
        オキアガッテマス・・

    アルミン「////;・・その、・・ゴメン」



    サシャ「い、いい、いいんですよ!
        ほら、こげん状況じゃ
        し、仕方なかばい!!」





    アルミン「あっ・・・・」




    サシャ「(!!!)」あっ!!
        サァァァ↓↓


    しまった・・!という表情で
    一気に青ざめ、両手で口を覆うサシャ


    アルミン「(初めてサシャが口調を
          崩したの聞いた・・!!)」

  101. 105 : : 2014/07/10(木) 01:59:53
     
     
     


    サシャ「き・・・、聞いてない・・
        ですよね・・!うん、アルミンは
        何も聞いてませんよね!」
        ダラダラ


    アルミン「いや・・間違いなく聞こえ・・」


    サシャ「ギャァアアアア!!!
        忘れてください!今すぐに!
        今すぐに忘却の彼方へ追いやって
        くださァい!!でないと・・・!
        ここでアルミンに何か新たな
        トラウマを植えつけますよ!!」
        ムシトカクワセマス!!


    アルミン「やり方が陰惨すぎるよ!!
         それにそこまで気にする事!?
         喋り方くらいみんな得意不得意
         あって当たり前じゃない・・!」



    サシャ「そこまで気にする事です!
        えぇ!少なくとも私にとっては!」

  102. 106 : : 2014/07/11(金) 02:27:33

    涙を溜めてまで必死に訴える所を見るに
    どうやら本気で気にしている様子だ

    サシャ「ユミルやクリスタにも聞かれない
        ように用心してたのに・・!」
        メソメソ・・


    それはいいんだけど



    アルミン「・・・・;」

    ギュウウウ・・



    そろそろどいてくれないかな・・
    この至近距離でとんでもない事に
    気が付いてしまったけれど、
    汗で張り付いたシャツに、サシャの
    胸部のラインが思い切り出ている。

    率直に言って、肌着も着けてないみたいで
    その形が丸見えだ。かといって、
    サシャが相手ではそんな事を指摘しても
    間違いなく焦って離れたりはしない・・
    さて・・・どうしようこの状況・・

  103. 107 : : 2014/07/11(金) 02:28:57

    アルミン「・・・?」


    サシャ「・・・・・」
        ジィーーー・・

    アルミン「アレ・・?」

    サシャ「・・・///」


    サシャの双眸が今まで見た事のない
    類の色で潤んでいくような気がした



    アルミン「ど、どうしたの、サシャ??
         少し痛みは残ってるけど、
         僕なら大丈夫だから、その・、
         そろそろどいてくれな」
    サシャ「なんか・・ドキドキします」


    アルミン「えっ・・・!?」
         ドキドキ??!
  104. 108 : : 2014/07/11(金) 02:42:37


    サシャ「アルミン・・・、これはもしや
        ・・私にも来てしまったという
        のでしょうか・・・その・・」


    アルミン「何、!?何の話をしてるんだ
         一体!?^^;」


    サシャ「春が!!!」
        ドーン



    マズい。何かに突っ走ろうとしている。
    正直な話、サシャがその気なら僕は多分、
    勢いに身を任せて喜んで!と言ってしまう
    だろうけど・・何せ状況が状況だ。



    先程熊に追いかけられてその直後には
    こうして泣き面に蜂の一撃を浴びせられ
    今もってそんな危険一杯な山中から
    脱してもいないというのに、流石に
    こんなところでその・・なにか始める
    わけにはいかないと思った。
  105. 109 : : 2014/07/11(金) 02:43:56

    アルミン「ちょっ・・!サシャ!!?
         落ち着いてよ!?まだここは
         キミが最もよく危険さを理解
         する山の中だろ!?とてもそんな
         事してる場合じゃ・・!」
         グイグイ


    サシャ「だって、こんな感じ初めて
        なんですよ!!なんかこう・・
        アルミンの目を見ていたら・・
        ドキドキが止まらないというか
        ・・・!蒸かしたばかりの
        お芋を目の前にした時の
        ような・・・!そんな感情が!」


    アルミン「(芋と等価値!?)」


    サシャ「自分でも分かりませんよ!
        確かにこんな・・こんな事
        してる場合じゃないですけど」
        フー・・フー・・//


    サシャ「ここでこの気持ちの正体を
        掴んでおかないと・・!
        私、この先もずっとユミルや
        クリスタ達の輪に混ざれない
        気がして・・・!」


    アルミン「サシャ・・??!」



    これはまさかー・・・
  106. 110 : : 2014/07/11(金) 02:44:23
    ―吊り橋効果。

    そう、恋愛絡みのお話では
    よく起こりうる事象で、恋愛に全く
    関係のない要因で心拍が上がったり、
    極限の緊張状態に陥っている最中に異性と
    接触することで、その動悸の原因が
    その異性に対する自身の恋心やそういった
    性的好奇心に起因するものとして
    誤認してしまう例のアレだ。



    アルミン「ま、まずは落ち着こう!?
         呼吸も荒い!そのままだと
         過呼吸に陥っちゃうよ!」


    元々そういった方面に興味がないと
    言っていたサシャだが・・今の口ぶりから
    察するに周囲と明らかに違う自分の
    性への無頓着ぶりに少しは焦りを
    覚えていたのか・・きっとこうした
    形でそのきっかけを掴めるのではと
    思ってしまったんだろう。
  107. 111 : : 2014/07/11(金) 02:45:23

    サシャ「でも・・折角なにか掴めそう
        なんですよ!今までサムエルや
        ミリウスが目の前でこんな風に
        なっても何とも思わなかった
        この私が・・!!」ギュゥゥウ



    アルミン「イタイ イタイ 痛い!
         違うモノ掴んでる!!
         そこは掴まなくていいから!!
         は、離してってば!!」
         イヤァアア!!


    サシャ「ハッ・・!し、失礼しました!
        大丈夫ですか!?そんなに
        痛い物とは知らず・・!」
        パッ


    アルミン「(こんな感じで良く今まで
         何もなかったな・・!
         ユミル達の心配は全く間違って
         いないというのが今、やっと
         分かった気がするよ)」

    サシャ「でも・・なんかちょっと
        安心しました。」


    アルミン「安心・・・?」
         ハァハァ
  108. 112 : : 2014/07/11(金) 17:40:42



    サシャ「ええ・・、牛さんお馬さんの
        ソレらを見ていると、うわぁ、
        あんな大きいのが捩じ込まれて
        ・・といった感じで、とても
        想像を絶する苦痛を伴うんだ
        ろうな・・私はそんな目には
        出来れば会いたくない・・・
        そう思ってましたが」

    サシャ「今の握った感じですと私でも
        アルミンなら・・!何か
        いけそうな気がします!」
        グッb


    アルミン「牛や馬とは違うんだから!!
         キミより小柄な僕にそんなモノ
         ぶら下がってるわけないだろ!」
  109. 113 : : 2014/07/11(金) 17:41:31

    サシャ「私、はじめては是非アルミンに
        お願いしたいです!最初が
        一番痛いんだってユミル
        言ってましたし」
        ハイ!ハイ!


    アルミン「負傷兵を足蹴にするような
         追い打ちは止してよ!
         キミの言ってる事は、
         どちらかというと全男子が
         自信を失う類の言葉だよ!?」


    サシャ「な、なんでですか!?
        私はアルミンのその、人を
        傷つけない良さを評価している
        というのに!?」
        テゴロデガッチリ!


    アルミン「君の評価は現在進行形で
         僕の心に深い傷を与えてる
         けどね・・」ハハハ・・


    勢いに乗った話の流れで、とはいえ、
    何か物凄い話をしてしまったのは
    気のせいではないだろう。結果として
    僕は今、サシャに肉体関係の構築を志願
    された訳だし。やっぱりいつも通りの
    サシャとはいえ、それがこうした方向に
    ストレートに向いてしまうと
    危なっかしくてみていられない。
    ユミルとクリスタの気持ちが分かったよ・・
  110. 114 : : 2014/07/13(日) 02:07:49


    僕個人としてはこれは当初の目的を
    大きく上回る戦果だけれど、今はそれに
    歓喜している場合じゃない。空腹の焦りも
    あるし・・、何よりもう一方の
    目当てのものがまだ見つかって・・・
    うん・・・・?




    サシャ「・・?どうしました?
        アルミン――?」


    アルミン「サシャ・・あのさ、君、
         僕より大分目がいいよね?」


    サシャ「え・・さあ、アルミンと
        そういった見比べで競った事
        なんてありませんからどれ程かは
        分かりませんが」


    アルミン「あそこのさ・・5メートル位の
         樹・・あれの所々についてる
         あのピンク色・・」


    サシャ「ア――――!!アレですあれ!
        挿絵と同じ形です!」


    アルミン「ここから形まで見えるの?!!」

  111. 115 : : 2014/07/13(日) 16:47:53

    サシャ「ええ!固くなったお馬さんの
        ××××ピーーーー
        みたいな形のアレですよね!!!」
        
    アルミン「(ブフォ!!!!!)」
         ゲホゴホ!!!!


    アルミン「ちょっ・・サシャ!!!
         不意打ちすぎ・・・!!」


    サシャ「なんですかもう―一アルミンは。
        一々リアクション大きいですね。
        だって、似てるじゃない
        ですかホラ!!?」
        アルミンが開いた本の挿絵を
        指差し

    アルミン「いや・・馬の××××とか・・
         まじまじと見た事ないよ僕は
         ・・・・///」
  112. 116 : : 2014/07/13(日) 16:48:55

    サシャ「何言ってるんですかアルミンw
        どうせアルミンのもたいして
        変わらない形なのでは?
        さっきの感触ではまるで形の
        方だけは・・・牛さん馬さんと」
    アルミン「そ!!そこまで子細に分析
         しながら触ってたの!!?」
         ガバッ


    サシャ「いえ・・、あの、固さは大分
        アルミンの方が凄かったので、
        すぐ形まで理解できただけ
        ですよ、ほら、お馬さんとか
        のは、だらーんとしてますし。
        行為に及ぶ時でも。」

    アルミン「しかもそっちのも
         触り比べてるの!!?」
         イャーンナカンジ!!!


    サシャ「そんな事よりアルミン・・・
        目当てのモノはやっと見つかった
        のですから・・さっさとアレを
        収集してですね・・、
        早いところ遅めのランチと
        しましょう・・!もう
        我が胃袋が・・・生贄なしでは
        黙っていてくれそうにありません
        ・・・・!!」
        グリュリュルルrrrr
  113. 117 : : 2014/07/13(日) 16:51:20



    アルミン「早いところ遅めってなんか変な
         言葉だよね」



    サシャ「細かい事はいいんです!
        とにかく一刻も早く・・
        あ。そういえば、アルミン、
        私が渡しておいた棒・・ちゃんと
        持ってきましたよね・・?」

    アルミン「熊から逃げる時に捨てようと
         思ったけど、一応持って
         来たよ・・ほら、樹に立て
         かけてある。」


    サシャ「上出来です!」



    アルミン「それよりサシャ・・簡単に
         収集ってさっき言ったけど・・
         あんな高い所になってるの
         どうやって採るのさ?
         立体機動装置も無いし、
         僕らが肩車してもあれは
         届かないと思うけど・・・」




    サシャ「こうするんです・・よっと!」
        パシュッ!!
  114. 118 : : 2014/07/13(日) 16:55:31


    サシャは、リュックから取り出した
    弓を引き搾り、早々と一本の矢を
    放つ。遠くの方でバチッと、掠めた音が
    して、一端の枝が舞い降りてきた。


    木の根元まで移動したところで

    サシャ「なかなかいいところに
        当たってるでしょう!
        どうです、アルミン!」

    そう言って誇らしげに胸を張るサシャ。


    アルミン「どういう視力してるの・・」

    その欠け落ちた枝には挿絵と同じ
    釘上の蕾が、一房まとまっていた」


    サシャ「更にこうすれば」キュキッ・・

    ビシュシュンッ


    引き絞った矢弓をあえて真っ直ぐ飛ばない
    飛ばし方をすることで矢は円を描きながら
    風を切り裂き飛翔し・・・

    バサバサバサッ!!

    ボトボトボト
  115. 119 : : 2014/07/13(日) 16:58:44


    サシャ「やったーー!こんなにいっぱい
        ですよ!アルミーン!」
        ハイタッチー!

    アルミン「は、はは。凄いね・・これだけ
         あればもう大丈夫だ・・!」
         ハイ、タッチ。


    こうして目的としていた二つ目の品目を
    無事手中に収めた僕達は、サシャが
    待ちに待っていた昼食の食材収集へと
    作業段階を移行した・・・・

    ―沢周辺―

    サシャ「さて・・それではアルミン、
        棒はしっかり持ちましたか」


    アルミン「う・・、うん、一応
         こうして持ったけど・・
         まさか、サシャ、君は・・」
  116. 120 : : 2014/07/13(日) 17:00:14


    サシャ「魚でもとると思いました?」
        ニヤニヤ

    アルミン「うっ・・」

    サシャに心を読まれたようで
    一瞬何とも言えない感情が僕の
    中に芽生える。

    サシャ「答えは、ノー!です。
        そんなものでは面白くありません
        し・・それに釣りなんて運に頼る
        やり方はこの場では適当では
        ありません!私は一刻も早くこの
        空腹を満たしたいのですから」
        グルルルルルr


    そんな事を話しながらキョロキョロしている
    サシャだが、当のターゲットについては
    まだ何も教えられていない。
    先ず十中八九植物やキノコではなく、
    生き物だと思うのだけど、

    サシャ「見つかったら呼びかけますから、
        その時はその棒で手伝って
        下さいね!!」
  117. 121 : : 2014/07/13(日) 20:48:10



    ・・としか言ってくれない。
    正直に言おう・・・・


    猛烈に嫌な予感がする。



    そうして草むらの景色が視界に
    焼き付く程にまでそのあたりを
    徘徊して暫くしたころ・・

    サシャ「いたいた!!いましたよ
        ぁあアルミィン!!!」アチョゥ!!

    ズドッ!!グリグリ

    歓喜の雄叫びと共に謎の奇声を上げ、
    足元にストンプキックを放ち、
    そのまま足をぐりぐりと押し付ける
    サシャ。動きや表情は無邪気そのもの
    だが、その身にまとう捕食者としての
    オーラは、完全に獲物を屠る
    イェーガーと化していた。


    その足元に蠢いていたモノは・・・
    僕の嫌な予感を体中で体現し、
    自身への拘束を続けるサシャに必死に
    反撃と抵抗を試みていた・・
  118. 122 : : 2014/07/13(日) 20:50:12


    アルミン「あのー・・サシャ・・・
         もう一度聞くけど・・
         あの・・これ・・?」

    サシャ「何してんです!さあ
        その棒の先の別れた方で
        首根っこを押さえてください!
        一応ブーツを履いてますから
        大丈夫ですけど、毒持って
        んですからね!!」

    アルミン「え・・だって・・これが・・
         あの・・お昼ご飯って・・?」
         ダラダラ


    サシャ「ぁあーもう!逃げられちゃう
        じゃないですか!貸して!」
        バシッ


    そう言うが早いか、僕から奪った棒で
    凄まじいほどの早業でもってその
    獲物を絡め取り、首根っこを掴み、
    そして、高々と空に掲げると


    サシャ「とったどーーー!」
        ウワァァァァ!!


    嬉しさのあまりか雄叫びを上げる
    サシャ。もう言葉遣いとか気にしない
    位獲物を討ち取った喜びに
    飛び跳ねている。言うまでも無いその
    獲物の呼称は・・・・
  119. 123 : : 2014/07/13(日) 20:51:14

    アルミン「そ・・それが今日のお昼・・」
         ゲンナリ↓↓↓



    サシャ「そう・・・!へべ!!」
        ドヤァァァ・・・!




    アルミン「・・・・」



    サシャ「・・・・・」





    アルミン「・・・・へび?」

    サシャ「一文字くらい間違ってても
        いいじゃないですか!!!」
        クワッ



    アルミン「一文字も何も構わないけど・・
         それ・・食べても平気なの・・
         ・・?だって、毒持ってる
         んでしょ?さっきサシャ、
         自分でそう言って・・・」



  120. 124 : : 2014/07/13(日) 20:52:13




    サシャ「アルミン・・・あなた何も
        知らないんですか・・?
        私より全然頭いいクセに・・」 
        ムムム


    アルミン「そりゃ・・蛇を食べようなんて
         この歳になるまで思わなかった
         んだし・・思いもしないものを
         一々食べられるかどうかなんて
         調べないよ・・・」
         ぅ・・オエ・・


    サシャ「・・ふむ。さいですか。では
        簡単に安全性のご説明を。
        まずその毒ですが・・これは
        その毒が集中する箇所、つまり
        毒腺をはねれば食べてしまう
        危険はありません。・・また、」
        ウニウニウニ



    アルミン「・・・;」
         ウヘァ・・ニョロニョロシテル・・
        

    サシャ「その蛇の毒にも種類があります。
        博学なアルミンなら・・
        それくらいはさすがに
        知っているのでは?」

    アルミン「し・・、知ってるけど・・」

  121. 125 : : 2014/07/13(日) 20:54:33


    サシャ「これは毒そのものとしては
        別に口の中に入ってしまっても
        大丈夫な方の毒をもった蛇です。
        更に火であぶりますから、
        毒腺も取り除いている以上
        何の問題もないのです!」


    サシャ「そしてですよ。毒をもつ生き物
        って・・どうして毒を持ってる
        と思います?アルミンは」


    アルミン「それは勿論・・自分の身を守る
         為でしょ・・それ以外に何も
         ないし・・」



    サシャ「まあ・・八割正解という
        ところですか。中には自身で
        捕食する餌を仕留めるために
        毒をふるう生き物だっています
        からね。さて、ではなぜ
        身を守る必要があるか?」


    アルミン「・・・」


    サシャ「食べたらおいしいから、
        食べられたくないから
        毒を獲得したんですよ!
        至って簡単な理由です」
        グフフフ♪


    アルミン「(簡単にいうけどね・・)」

  122. 126 : : 2014/07/13(日) 21:02:08

    サシャ「まあ・・味の方は保証します。
        私が身をもって既に
        このあたりのへべを・・
        これともう一種類食べ比べて
        みましたが・・今のところ何も
        問題ありません」
        メチャウマデスヨ


    アルミン「その情報が一番僕にとって
         衝撃的だよ・・・!」
         ヒィ・・


    サシャ「いえ、ですから美味しいから
        大丈夫ですって!」
        ゴアンシンヲ!;



    そういうと、リュックから手ぬぐいを
    取り出し、蛇に噛ませるサシャ

  123. 127 : : 2014/07/13(日) 21:04:45



    アルミン「それは・・?」


    サシャ「こうして牙を布で絡めて・・」

    直後勢いよく引き抜くサシャ。
    嫌な音をたてて毒蛇の牙が抜歯された


    サシャ「毒腺ごと首の後ろ側から
        バッサリ、イってしまうのも
        手ですが・・それだと貴重な
        身が減ってしまいます。
        食べる以上は勿体ない事は
        できません」


    アルミン「ぅわぁ・・」ドン引き



    サシャ「そう残念そうな顔をしないで
        下さい!絶対に美味しいと
        言わせて見せますから・・!
        アルミンはそっちで待ってて
        下さい!ここから先は・・」
        チラ

    サシャ「多分アルミンのその反応では
        荷が重いでしょう」クス


    アルミン「・・・?!」



    サシャ「ではしばしお待ちをー・・あ、
        もう一匹いたぁ!!!」
        ガサガサ!!

  124. 128 : : 2014/07/13(日) 21:06:14


    そうしてサシャがもう一方の獲物を
    草むらからかすめ取り、足早に
    沢の方へと調理に取り掛かるため
    走っていってから・・僕は深く考えを
    改めた。


    サシャは、蛇に嫌悪感を示す僕の事を
    馬鹿にして笑っていたのではない。
    只純粋に気遣ってくれていたのだ。

    そして仮にも噛まれた場合を考えれば
    相応の危険を伴う生き物を
    自分で率先して捕まえてまで・・

    確実に美味しいと思えるものを
    作るのに必死になってくれている。

    サシャは、僕にただ、その一言を
    言わせたいだけなのだ。決して、
    決して嫌がらせようなんて欠片も
    思ってはいない。

    そう考えたら・・・



    アルミン「本当に・・僕は大馬鹿だ・・」

    とてつもない後悔の念が押し寄せてきた。


  125. 129 : : 2014/07/13(日) 21:08:57
     
     

    昔・・町で暮らしていた頃、
    エレンやミカサともこんな話を
    していたのを・・不意に思い出した。






    ――
    ―――

    エレン「・・・」


    その日は朝からエレンがずっと
    ぶーたれていて、ミカサともロクに
    口を聞いていない状況だった。


    アルミン「エレン・・何があったか
         話してくれない?
         朝からそんな感じで、僕も
         さすがに気になるよ・・」


    少し間を置いて・・


    ミカサ「エレンがニンジンを好き嫌いして
        食べたがらないから私が叱った」

    エレン「好き嫌いじゃねーよ!!
        きょ、今日はたまたま腹の
        調子が悪くて・・あそこまで
        食べたらお腹いっぱいに
        なっちまっただけで・・!」
  126. 130 : : 2014/07/13(日) 21:09:44

    まずこの時分の僕でも、お腹の調子が
    悪いならそもそもお腹いっぱいになる
    まで食べられないだろうし、こうして
    外に遊びに出てくるのも変なんじゃ
    ないかなと思いはしたが、あえて
    空気を読む頭も備わっていたので
    黙っていた。


    ミカサ「パンもスープもたいらげて
        いたのに?ニンジンだけは
        入らなかったの?」
        ズズイ


    ミカサはお構いなしだったけど。


    エレン「うっ・・・うるせぇな!
        大体なんであんなマズイ
        かたい、変な味のする、
        まずい物を食べないと
        いけないんだよ!?」 

    もう先ほどの言い訳はまったく意味を
    失っていた。おまけに まずいって
    2回言った・・・・
  127. 131 : : 2014/07/13(日) 21:11:18

    エレン「あんなもの食べないでいたって
        オレは普通に元気だっつの!
        なんでお前も母さんも
        無理矢理オレの嫌がるものを
        口にねじ入れようとするんだ!」


    ミカサ「それもあるけれど・・・
        そうじゃない・・エレン。」


    エレン「っな・・何だよ・・睨むなよ。
        本当の事だろ」


    ミカサ「まず・・、おばさんがエレンの
        嫌がると知っているニンジンを
        それでも料理して出すのは・・
        あなたの身体のため。
        色の濃い野菜は・・・
        体調を整える力が大きい・・」

    エレン「そんなの知るかよ!全然
        必要ないだろ!食べても
        食べなくてもかわらない!」
  128. 132 : : 2014/07/13(日) 21:12:47

     
     
    ミカサ「じゃあ・・エレン、お口を
        開けて。大きく」



    エレン「んなっ・・・!なんでだよ!
        まさかお前・・分かったぞ!
        !後ろにニンジンでも
        隠してて、オレの口に
        入れようってんだな!?
        誰がそんな見え見えのわなに
        かかるかよ!」ィィイ


    ミカサ「違う、ほら、手には何も持って
        いない。だからエレン、口を」
        ァーン


    エレン「訳わかんねーよ!だったら
        開ける必用なんてないだろ!
        ぜったいにいやだね!」フン!!


    ミカサ「いいから」ガシィ


    エレン「むぐぇ!!お、っおふぃっ!!
        みひゃふぁっ・・!??」
        モガガ

    アルミン「・・?;」

  129. 133 : : 2014/07/13(日) 21:14:16

    ミカサ「・・やっぱり。ほら」
        チョン



    エレンの口を強引にこじ開け、
    その中を注意深く眺めると、
    見つけた何かを指先でつつくミカサ。
    次の瞬間

    エレン「ムがっ!!っ!!いひゃっ!!
        いへぇ!!いひゃい!!」
        
        (訳※うわっ、痛っ!痛ぇ!
         イタイ!)

    苦痛にもがくエレン。ちょっと
    おかしくて噴き出してしまったが
    ばれないように笑いを噛み殺した。


    ミカサ「できものが増えている。
        この間までこんなに多
        くなかった。」
        パッ


    エレン「そうだよ!口が痛いんだって!
        だからただでさえ食欲も
        なくなるからあんなもの
        食べたいとも思わないんだよ!」
  130. 134 : : 2014/07/13(日) 21:15:50

    ミカサ「まだ我慢してもう少し
        食べてた先月まではできもの
        なんてできてなかったでしょ
        ・・?歯でよく噛んでいた
        からそれくらいわかる。」

    アルミン「・・・・」


    ミカサ「しかし、今月に入ってから
        ・・エレンは食べ物を
        飲み込むまでに噛む回数
        が大きく減っていたし、
        何かに怯えるような食べ方を
        していた。」

    エレン「・・だったらなんだって
        いうんだよ!弱みでも
        握ったつもりかよ!」


    ミカサ「おばさんが先月につくった
        野菜の煮物にはエレンが
        苦手とする野菜3種が
        たくさん入っていた。あなたが
        前よりもっと好き嫌いが
        はげしくなったのはあの時から
        だ・・そしてできものが
        増えたのも。」

    エレン「・・オレがニンジン喰わなかった
        からこうなったって
        言いたいのかよ!」

    ミカサ「・・・そう。」


    エレン「ふざけんなよ!だったらオレは
        苦くてマズイ野菜を食べて
        苦しむか、口が痛くなって
        苦しむか、どっちにしても
        苦痛を味わう事になるのかよ!」

    アルミン「(四重苦・・・)」
  131. 135 : : 2014/07/13(日) 21:17:26


    ミカサ「苦しいのはエレンだけじゃない。
        エレンの健康の為に、野菜だけ
        ではない、その料理の材料と
        なった生き物、すべてが
        結果としては、エレンや、私たち
        家族のいのちをつなぐため、
        その命を刈り取られている・・
        
        私達は・・・生き物を殺さずに
        生きていくことができない」

    とても当たり前の事であり、
    子供でも理解しようとすれば
    簡単に分かる事。しかし、ミカサの
    言葉にはそれだけでは説き伏せられない
    程の重みが確かに含まれていた



    ミカサ「それなら・・どうしても
        殺さないといけないのなら・・
        せめてその犠牲を無駄にしては
        いけないって・・どうして
        思えないの・・?エレンは・・!」



    ―涙。




    アルミン「あ、み、ミカサ!」


    エレン「なっ・・なんだよ!
        お、オレは悪くねえぞ!
        何勝手に泣き出して・・・!」
        ウッ。。

  132. 136 : : 2014/07/13(日) 21:18:55

     
     
    アルミン「え、エレン!ほら、ミカサに
         謝るんだ!」


    エレン「嫌だ!オレは何も悪い事
        してない!」


    アルミン「・・お願いだよエレン。
         そして約束してあげて
         くれ。どんなにマズくても
         これからはできるだけ
         残さないようにするって」

    エレン「どっ・・どうしてオレが!」
        オロオロ



    アルミン「キミが泣かせたんだよ・・?
         あのミカサを・・」
         ジトリ

    エレン「ぅっ・・・・!」ズキ
  133. 137 : : 2014/07/13(日) 21:19:53
    アルミン「このままお家に帰るところ
         まで想像してみようよ・・?
         キミの頭でもわかるはずだ。」


    エレン「・・・・」


    アルミン「ふてくされたキミのとなりで
         泣きじゃくるミカサを見れば
         ・・・おばさんはすぐにエレン
         がなにかミカサを泣かせる
         ことをしたんだって気が付く」
         チクチク

    エレン「ぁ・・ああ・・!うゎ・・;」
        ガタガタ

    アルミン「そんな事になればキミは
         間違いなく・・・」
         ヌッ



    エレン「わ、悪かったって!!もう止せ!!
       やめろって!!」
       ビクビク


    エレン「ごめん!ミカサ!!!」ババッ


    ミカサ「・・・」ヒック




    エレン「これからは・・マズくっても
        その・・!無駄にならない様に
        オレだってがんばるから・・!
        だからもう泣かないでくれ!
        悪かった!このとうりだ!」

        
    ―――
    ――
  134. 138 : : 2014/07/13(日) 21:22:12




    あの時に好き嫌いをしていたのは
    エレンだったけど・・今の僕だって
    何も変わらない。見た目がアレだと
    いうだけで・・サシャがあんなにも
    自信をもって勧めてくれる美味しい
    らしい食べものを・・口に入れる事さえ
    したくないと思ってしまっている。

    菜食主義者という自覚があるわけでも
    なく、普通に鶏肉や牛の肉だって、
    貴重だという事実を抜きにしても
    美味しいと思って食べているくせに。


    冗談じゃない。

    それじゃあ子供の頃のエレンが
    言っていた我儘と何も変わらない・・
    この時点で僕は腹に決めた。

    たとえ、どんな見てくれで、

    どんな悪臭が漂い、

    口に入れてなおサシャの味覚が
    自分とはかけ離れていたという
    オチに絶望を味わう事になろうとも・・


    出された料理を食べきって見せると。
  135. 139 : : 2014/07/13(日) 21:31:29
    そうして僕が自己の世界で
    どうでもいい心の準備を済ませ、
    まさに覚悟完了といった境地に
    辿り着いたその時―、

    ついにサシャの呼び声が
    沢のほとりから響き渡った
         

    サシャ「おーーい!できましたよー!
        アルミーン!食事の用意が
        整いましたので、こっち
        来て大丈夫です!」
        コッチコッチ!



    サシャの急ごしらえの
    調理場兼食事場は、以前立ち寄った
    木こりが残していったものか、丁度いい
    具合に切り株が点在しており、
    おまけに水の確保できる沢も隣接
    しているとあって、何か食事を
    作ったりするには絶好の場所だった。

    鮮血で赤く染め上げられた切り株と、
    その隣のまっさらな状態の切株には
    調理用に使ったと思しき鋭利な
    ナイフ、予備の鉄串が、既に沢の
    水によって洗われて並んでいた。
  136. 140 : : 2014/07/13(日) 21:38:36
    アルミン「っ・・!」ゴクリ

    この程度の情景で僕の覚悟は揺るがない。
    ・・と、そこへつかつかと
    歩み寄ってきたサシャが

    サシャ「はい、アルミン。一気に
        ぐいっといっちゃって下さい。
        あ、ご安心を。私はさっき
        直にイきましたから
        これはちゃんと等分した
        アルミンの一匹分です!」
        ムフゥ・・・

    “ソレ”を僕にそっと手渡した。
    ショットグラスのような大きさの
    木彫りのコップ・・・


    ゴゴゴゴゴゴゴ



    擬音は僕の鼓動だ。あまりに心臓が嫌な
    高鳴りをしているためか、濁流の如き
    勢いで全身を駆け巡る血液は・・



    僕の脳内物質の異常分泌と共に唸りを
    上げて僕の体のみならず心も大きく
    ・・・震わせる。

    コップの中に覗く、暗くて鮮やかな原色
    は・・・サシャの口元にもぬぐいきれずに
    確かに残っている・・・・

    磨き上げられたルビーのような
    見事な・・・・・

    ・・・(あか)

    ・・(あか)

    (あか)

  137. 141 : : 2014/07/13(日) 21:40:17

     
     
     



    アルミン「ちょっと待ってよ!流石に
         覚悟は決めてたけど!
         これはいくら何でも!!
         あんまりにあんまりだろ!!」
         (マジ泣き)


    サシャ「すっ・・・!?すみません!!?
        でもなんで分かったんですか
        奥に入ってるかもしれないし
        ・・!木のコップだから
        外からは見えないはずなのに!」
        ヒィ!!;


    アルミン「ちょっと何を言ってるのか
         分からない!(泣笑)何で
         分かるもなにも・・・!
         コップの口からみても分かる
         よ!これどう見ても・・!
         その・・血でしょ!!?」

    何の血かなんて言うまでもない


    サシャ「???・・ぇえ・・、はい、
        生き血ですけど・・え・・?」
        キョトン


    アルミン「いや・・なんでキョトーン?と
         してるの!?身とかそう
         いうのなら何とか初挑戦でも
         ・・って思ったけどさ!!
         ちょっといきなりこれは
         ハードル高すぎでしょ!?」
         ウワァアアアァ


    サシャ「??、???え、ええ、
        ですから!初心者のアルミンには
        苦くてキツイかなと思い!
        私が気遣ってアルミンの方の
        生肝は抜いておいてあげたんじゃ
        無いですか!!?
        
        ・・・え!?肝が入って
        ないから怒っていた訳では
        無いんですか?!」
        ヘベノイキギモ!!
        
  138. 142 : : 2014/07/13(日) 21:42:21


    アルミン「もう、どこから突っ込んで
         いいのか分かんないよ!」
         (涙)


    アルミン「大体サシャ・・それは好き嫌い
         しないのは立派な事さ。でも
         こうして生の状態で血まで
         すする必要ってなんかあるのか
         ・・なあ・・?」ジロリ・・
         ウッ・・↓↓

    サシャ「・・む、それは大ありですよ
        アルミン。普段の訓練からそう
        ですけど・・アルミンは、
        今一つという所で血が足りない
        のか、栄養が足りないのか、
        すぐに貧血気味になる
        じゃないですか・・これは
        とてもそういった症状に
        効きますよ?私も、体調の
        都合で血が外に出ていくときは
        ・・・失礼。これが飲みたく
        なるときだってあるくらい
        ですから」


    アルミン「?」

    サシャの言う体調の都合というのは・・
    今の僕には少し解せない物言いだったが
    それはそれとして、そうして語るサシャの
    目には一切の偽りが感じられなかった。


    そしてまた盛大に勘違いをしてしまう
    一歩手前だったが・・サシャにとっては
    これすらも、僕の身体を気遣って
    こしらえてくれた貴重な食料なのだ。

  139. 143 : : 2014/07/13(日) 21:44:43

    僕は覚悟を決め、そして一気に―・・・・


    アルミン「んぐっっ!!」

    ゴグン

    ・・・
    ・・


    冷たいそれを飲み下した。
    味を感じないようにできるだけ
    一気にイッたつもりだったが・・

    やはり舌の上に若干残る後味に加え
    鼻で息をした際に舞い込んでくる
    鉄血そのものといった風味ばかりは
    どうしようもなく、僕の味覚を
    、嗅覚を刺激した。しかし、

    アルミン「意外と・・生臭くは
         ない・・のかな」

    自分の口を切った時などに感じる
    鉄錆を思い出させるあの味とは、
    若干違った口当たりだった。
  140. 144 : : 2014/07/13(日) 21:47:03

    サシャ「美味しいかどうかはそれぞれだと
        思いますが!飲んだ後は体に
        みなぎる力が全然違いますから!
        おまけにこれだけしかとれない
        貴重な血ですから・・命を頂いて
        いる以上飲むに越したことは
        ないですよ!」


    サシャ「ささ、先付はそれくらいで。
        待ちかねた御馳走ですよ!」


    先程からパチパチと音を立てて
    残りわずかとなった薪から立ち上る
    炎に晒され、鉄の串に刺さった
    輪切りの玉ねぎと、その間に刺し
    挟まった、蛇の肉と思しき欠片が
    僕の視界に飛び込んだ。

    アルミン「・・・!」
  141. 145 : : 2014/07/13(日) 22:49:15
    アルミン「・・・!」


    サシャがこんなものを食べると
    言い出した手前、僕の想像の中では
    間違いなく、最小限に皮を剥がれ、

    姿を維持したままの蛇を波状に鉄串に
    豪快に突き刺し、香ばしく焼き上げた
    それを、何の気も無しに

    「はい、どうぞ」

    と満面の笑みでもって差しのべる・・
    そんなサシャの笑顔が浮かんでいたが・・・


    とんでもなかった。
    本当に、とんでもなかった。


    サシャは・・そこまで考えた上で
    見た目も悪くならないように、
    味が一方に偏らないようにと玉ねぎまで
    持参してくれたのだ。
    そして何よりこの匂い・・


    アルミン「すっごい・・いい匂いする
         ・・・」ゴクリ・・


    サシャ「フフン、実はですね・・先ほど
        プーさんに浴びせて全部
        使ってしまった分とは別に・・
        湿気を吸い過ぎないよう、
        あえて挽く前の姿の残った
        胡椒も少しストックが
        あったのです!」エヘン

    アルミン「(・・プーさん??;)」


    サシャ「それをナイフの石突で砕いて、
        塩もまぶせた上で焼いてます
        から・・味は私がいつも食べて
        いるものより絶対にイけます!」
        グッb

    アルミン「・・・・!」
  142. 146 : : 2014/07/13(日) 22:51:32

    食べるまでも無く・・口に
    運ぶまでも無く僕は泣いてしまいそう
    だった。空腹には堪えられないほど
    魅惑的な肉と玉ねぎの炙られる香り・・

    それを立ち上らせる、
    目の前のサシャ御自慢の
    御馳走には勿論の事。

    そこまで気をまわしてくれていた
    サシャの気遣いにもだ。

    アルミン「・・・」ジワ・・


    サシャ「あ・・、変ですね!;
        玉ねぎがしみますか!?
        もう十分火が通ったかと
        ・・!」アセアセ

    アルミン「そう・・、じゃないよ!
         うん!そうじゃない!
         ちょっとほこりが・・
         目に入っちゃって」ハハ

    サシャ「そ、そうでしたか!」ホッ



    アルミン「ごめんね、心配させちゃって」


    サシャ「い、いいんですいいんです!
        私の方こそ今日はいっぱい
        アルミンにお手伝いして
        もらって!助けて貰ったのは
        私なんですから・・ささ!
        食べましょ食べましょ!」
        アッタカイウチニ!


    アルミン「そうだね。ありがとう」

  143. 147 : : 2014/07/13(日) 22:54:18

    サシャの手により串が僕へと
    手渡され、しゅうしゅうと
    湯気を上げながらこうばしい
    香りを放つそれが目の前に
    やってくる頃には・・僕の中にあった
    元の食材に対する忌避感すらも
    完全に失われていた。


    ゴクリ

    アルミン「・・・!」


    美味しくないわけが・・ない。
    もう何年も嗅いでいない気さえする、
    新鮮な肉を直に火で炙り、調理する
    時に放たれる匂い。

    見蕩れるのもそこそこに、僕と
    サシャは、その一串に、顔を見合わせ、
    同時にかぶりついた。―同時だ。

  144. 148 : : 2014/07/13(日) 22:54:42


    アルミン「っ・・・!!」
         ムグ・・

    アルミン「―・・・」
         モグモグ・・

    アルミン「・・・・;;」


    ポロポロ


    そんな擬音が相応しいくらいの勢いか・・
    僕は確かに・・泣いていた。

    涙を流していた。食べる前でさえ感動して
    泣いてしまいそうだと思っていたけれど
    ・・今流している涙はそんな感情の
    比では、全くなかった。

    涙が出るほど美味しいとはまさに
    この事だった。

    アルミン「・・ぉいしい・・・本当に
         美味しいよ・・サシャ・・!」
         (涙、未だ止まず)


    サシャ「あっ!!?え!!?
        だ、大丈夫ですかアルミン!!?
        しまった!言い忘れてましたが
        小骨が痛かったですか!??!
        大変失礼を・・!一応取り除ける
        だけとったのですが・・!」
        タイヘンタイヘン!;

    アルミン「違うよ・・あまりに美味しくて
         ・・涙が止まらないんだ・・!
         骨なんてまるで気にならないよ
         ・・・!」ムグムグ
  145. 149 : : 2014/07/13(日) 23:04:00

    あっさり淡泊と言われるかもしれないが
    肉自体殆ど口にする機会のない僕にとって
    何とも言えない柔らかさと、鳥のささみに
    近いようなふわっとした触感、

    そしてサシャの宝物であるという盗品の
    粗びきコショウと適度にふられた塩が・・
    時折顔をのぞかせる小骨の刺突感など
    気にもさせない程の素晴らしい味わいを
    引き立てていた。

    そして肉の味わいを倍増させる、
    玉ねぎの甘い香り。たったこれだけの
    食べ物だけど・・僕は・・何かを食べる
    のに・・美味しかったという理由で
    涙したのはひょっとしてこれが
    始めてではないかという気すらした。

    アルミン「っ・・・!」モグモグ


    普段のサシャをバカにはできない程の
    食欲が・・僕の身体を突き動かしていた。

    サシャ「よかった・・!美味しいですか?
        アルミン??」
  146. 150 : : 2014/07/13(日) 23:04:42

    調理した張本人であるサシャが
    とても嬉しそうに、
    串にかぶりつく僕の顔を覗き込む。

    傾げた顔と共に揺れる、サシャの
    束ねられた後ろ髪が彼女の心情を
    表しているようで少し
    いじらしくも感じた。

    アルミン「何度だっていうよ。
         本当に美味しい!こんなに
         美味しいものを今まで
         食べないで生きてきたなんて
         バカみたいだよ!」

    サシャ「・・・・!」パァァァ
        ウワァ


    その言葉に僕以上の感動を露わにした
    サシャだったが、はっと我に返ると、


    サシャ「はっ!アルミンの感想に
        聞き入っている場合では
        有りません!私も熱いうちに
        出来立てホヤホヤを・・・!」
        アムッ!!ムシャムシャ


    サシャ「ふぉぉぉ!お肉!久々の
        お肉ですーー!!力が
        漲りまふ!!」マグマグ



  147. 151 : : 2014/07/14(月) 19:31:27


    ―食後―


    サシャ「フィー・・限られた数でしたので
        大御馳走とはいきませんでしたが
        ・・久々の肉は・・美味でした」
        ケフッ

    アルミン「ごちそうさま。凄く・・
         美味しかったよサシャ」
         フゥ

    サシャ「い~え~・・どういたしまして」
        ニッコニコ


    アルミン「さて・・それじゃあ日も
         暮れてしまうし、急いで
         戻ろう?後片付けくらいは
         僕にもやらせてよ」


    サシャ「あ、いえいえー、どうせ片付け
        とはいっても串洗うくらいです
        けどね?」ウップス


    アルミン「それでも手伝うよ」

  148. 152 : : 2014/07/14(月) 19:32:06

    ―沢・水辺―


    アルミン「それで、サシャ。今日
         手に入れたあの二つの香草
         だけど、」
         カシャカシャ
         
    サシャ「はい?」

    アルミン「そのままではなく一度天日に
         干してカラカラにしてから
         使うみたいだから。・・
         薫液に浸すのはその後ね。」


    サシャ「了解ですー!」
        ザパッ


    サシャ「あ、そーだ、アルミン!
        これなんですけど、」
        ベロン


    サシャが何かを取り出す


    アルミン「それは・・・;」

    サシャ「へべの抜け殻って、幸運の
        お守りになるって私の故郷では
        古くから伝えられてるんですよ。
        お腹が膨れる訳ではない
        ですからそういうのもどうかと
        思いますけど・・
        香草と一緒にこれも干した暁には
        アルミンに進呈いたしましょう!」
        バーン

    アルミン「いっ・・!いらないよ!;
         第一それ、抜け殻の話でしょ?!
         君が今ぶら下げてるのは
         生皮だからね!?」

    サシャ「ぇー・・折角面白い模様ですのに」
       ムゥ
  149. 153 : : 2014/07/14(月) 19:33:26








    ―帰路・平野―


    ドドッドドッドドッ


    今日一日で本当に色々あった。
    サシャの意外な一面も知れたし、
    山の恐ろしさも色々な意味で理解できたし
    ・・普通にしていたら一生口にする事が
    無かったであろう食べ物も知ることが
    できた。今、僕はこうしてサシャの
    後について馬を走らせてるけど・・

    2人ともあそこで熊の襲撃によって
    命を落としていてもおかしくはなかった。
    こうして無事に、しかも目当てのものまで
    手に入れて帰路に着けるなんて奇跡だ。


    だが、何よりも僕が新鮮に思ったのは・・


    サシャとこうして一日共に野山を
    駆け回るという事自体が、殊の外
    面白かった。ということ。

    町でエレンやミカサと共に過ごして
    いた時もそれは楽しかったけれど、
    ミカサもああいう性格だし、ちょっと
    女の子と楽しく遊ぶ、という感じでは
    無かったのだ。
  150. 154 : : 2014/07/14(月) 19:36:36

    しかしサシャは見ての通りの性格だ。
    難しい事なんて何も考えてないし、
    何かを主張する場合の大半は食欲に
    突き動かされている。いい意味でも
    悪い意味でも自分を着飾ることをしない。


    いや・・そんな風に言ってしまうと少し
    大げさかな。言葉遣いに関してだけは
    着飾るどころか完全に鉄仮面を外そうとは
    しないという意外な一面も知れたし。

    まあー・・・・


    サシャ「そうだ!!言い忘れ、もとい、
        聞き忘れてました!!」
       
        パカッパカッ


    アルミン「どうしたんだい?!
         いきなり!?」

         パッカパッカ

    サシャ「今日一日手伝ってもらった
        そのお礼ですよ!最初お願い
        するときに言うつもりだった
        んですが・・、すっかり忘れて
        しまいまして!」


    アルミン「・・・?お願い・・?
         いや!別に気にしないで
         いいよ!?あんなご馳走を
         して貰ったんだし、それで
         充分さ!」


    サシャ「NO!ザ・NO!です!アルミン!!」
        ×バッテン×

    アルミン「っ!?な、何て>?」

    ドドッドドッ


    サシャ「あれは、O・MO・TE・NA・SI!!
        アレはアレ!お返しはお返し
        ですから!!アルミンの願いを
        私が叶えられる範囲で
        かなえて差し上げましょう!」

    アルミン「~~~・・願いとか言われても
         ・・・ね。」ンー

    お願い・・お願いね。そうは言われても
    別に僕はサムエルやミリウス達みたいに
    直接物理的な報酬を望んでいたって
    訳でもない。



    その申し出はとても・・とりわけ
    禁欲生活に等しい日々を送っている
    僕達男子からしたら受け取り様に
    よっては魅力的でもあり、
    危なっかしい物言いでもあるけれど――







    僕は間を置いてこう申し出た

    アルミン「そうだね・・じゃあ――――






    ―end―
  151. 155 : : 2014/07/14(月) 19:41:29

    ―なかがき―
     
     

    はい、もっともっと短くまとめようと
    思っていましたが、こちらにて一旦幕引き
    とさせて頂きます。

    ―うん、長ァい!

    何でこんな長引いてしまったんでしょう。
    ・・それはともかく・・

    このお話は一旦この辺りの安全圏にて
    幕を閉じ、一応の形として、次の


    −RAN!RAN!RAN!– へと続きます。


    何故こんな変な区切り方にしようと
    思い至ったか。特に意味など無いのかも
    しれません。

    ただ、私個人の話の中では大本のシリーズ
    のカップリングを固定した上で
    諸々のお話を作っていくという、
    ssの醍醐味をまったく理解できていない
    無粋な楽しみ方(or縛り)がある、という
    事がまず一つと、

    ここから先、
    きつめの性描写が入る事が懸念される
    ・・という事で暖簾分けを
    意識しました。描写の上手な方なら
    まだしも、何せ私の描写ですので。

    THE・嘔吐物
    NOセンキューな方々もここで誤読せずに
    フェードアウトできるという仕組みです
    (マァステキ)


    ということで、この先に続くお話は、
    パラレル扱いルートとして新しく
    作ることにした、自由形のシリーズ
    (シリーズ名はまだ決めてません)
    に移します。

    ハンジさんとエレンのお話の方で
    アルミンは違う方とニャンニャン
    していますので。

    別に―・・ssという自由度の高い
    表現の場では必用のない分別だとは
    思いますが・・まあ、ご容赦頂ければ
    ・・というのと、特に困る人間も
    (何のこっちゃ、的なw)
    いないと思いますので^^;


    それではまた次なるお話で/~
    こんな駄文をここまでお目通し
    頂けた事をこの上なく
    感謝しています!!('◇')ゞ
  152. 156 : : 2015/01/07(水) 23:08:05
    乙。とても良かった。






    サシャの[バキュンバキュン]シーンが見たかった…
  153. 157 : : 2015/01/07(水) 23:22:58
    くわっ・・さん!wもとい、アニャっぷるさん!
    こんな方にまでコメントどうも
    有難うございますm(__;)m

    感無量です。これほど昔の物に感想を頂けるなど・・;;


    あ、タイトルで非常に分かり辛いのですが、
    この後の

    ―RUN!RUN!RUN!―

    が、そのままこのお話の続きとなっています。
    ・・・ですが、“バキュン”で済まない危険度
    かも知れませんので、一応いつでも閉じられるようにして
    みてくださいね。PCを閲覧中にあまりの
    気分の悪さに吐き気を催してしまうかもしれませんので;;
  154. 158 : : 2015/01/07(水) 23:51:31
    見つけた…お騒がせした



    さあさあ可愛いサシャちゃんを見に行って参ります・*・:≡( ε:)
  155. 159 : : 2015/01/08(木) 00:25:20
    >>158
    ご報告ご丁寧にどうもです(*´ω`*)そして
    まさかの続読報告までΣ(・ω・ノ)ノ!いえ、あの、
    本当に気を付けてくださいね・・って時間的に
    もう手遅れかもしれませんね・・・。かなーり
    内容的にも破壊力大きいので・・気分が悪く
    成らない様にだけ、重ねてお祈りさせて頂きます故;;


    因みに・・話の中で香草の名前などが出てきますが、
    それらは、単純に月桂樹・クローブを独国表記に
    変えただけで有り、空想上の香料ではありませんが、
    その固有名詞だけではあまりこちらの国では浸透性が
    感じられないかもしれません。どうでもいい話ですが^^;
    サシャが、蛇を正しく発音できないのも、
    サシャの故郷であるダウパー村の方言のルーツとなっている
    日田弁での発音からとっています。
    作者さんの故郷に近いんだそうで。・・おもしろいですよね。
  156. 160 : : 2015/01/08(木) 07:10:41
    成る程、それは知らなかった
    ぱるぷんてシリーズ見てます
    頑張って下さい
  157. 161 : : 2015/01/08(木) 18:45:09
    >>160
    あ、ありがとうございます( ; ; )!
    シリーズとはいっても行き当たりばったりの二つしかまだ書いていませんが´д` ;

    読んでくださる方がいると言う幸せを
    胸に楽しく書かせてもらいます!

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著者情報
ne5716

夢馬

@ne5716

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