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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

進撃のウォーキングデッド season1 ep5 逃れられない真実

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  1. 1 : : 2014/04/24(木) 05:34:14
    season1 ep4 優先すべきは の続きです。
    http://www.ssnote.net/archives/14280
  2. 2 : : 2014/04/24(木) 06:57:43
    期待‼︎
  3. 3 : : 2014/04/24(木) 17:17:53
    期待です(`・ω・´)
  4. 4 : : 2014/04/24(木) 17:25:53
    期待ダヨ!
  5. 5 : : 2014/04/24(木) 22:35:46
    期待!待ってます!!
  6. 6 : : 2014/04/25(金) 15:25:59
    皆様、期待ありがとうございます。本日24時以降に投下します。
  7. 7 : : 2014/04/26(土) 02:29:10
    「2013年6月16日、記録を始める。サンプル再採取の際に誤ってT-45を注入してしまう。化学反応により、炎上。サンプルを失う。」

    「新鮮度が高い貴重なサンプルだった。他とは比べものにならない。」

    「これで可能性の模索も露と消えた訳だ。…糞くらえ。」

    「誰か…誰か一人でもこれを見ているのか?今夜は飲みまくってやる。最後のパーティーの始まりだ。」




    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    ATLLは当初こそ軍による警備が敷かれたが、それもウォーカーによって壊滅した。

    ウォーカーと死体の腐敗臭が漂い、まさに地獄絵図となっていた。

    エレン「…いいか?離れるな、隊形を維持しろ。」

    エレン、ジャン、ライナーを先頭に、アルミン、ミーナ、クリスタ、コニー、ミカサが続く。アニとベルトルトが最後尾につき、周囲を警戒しながら建物へと近づく。

    ジャン「ベルトルトの言うことはあながち間違っちゃいなかったな。こりゃ昨日今日に壊滅した訳じゃなさそうだ。」

    ミーナ「…うっ。酷い臭い…」

    アニ「ミーナ。あんまり見ない方がいい。」

    ライナー「おい、入口はここだけか?閉まってやがるぞ。」

    入口は頑丈なシャッターが降りていて、他に出入り口は見当たらなかった。

    アルミン「…このタイプは中からしか開けられない。外からじゃどうすることもできないよ。」

    アニ「行こう。無駄足だった。もうこれ以上ここに留まる理由はないよ。」

    エレン「おい?!誰かいないのか!開けてくれ、こっちはもう行く宛もないんだ!」

    エレンは最後の希望と言わんばかりにシャッターを叩く。

    ライナー「よせエレン!ウォーカーが集まってくるぞ!」

    アルミン「エレン!もうよすんだ!」



    ーーーーーーーーーーーー
    「生存者だと?…くそ、頼む。むから帰ってくれ…!」

    男はウィスキーのボトルを片手に顔を覆う。

    ーーーーーーーーーーーーーーー



    監視カメラが一瞬動いたのをエレンは見逃さなかった。

    エレン「!今カメラが動いた!誰かいるんだろ!?見殺しにする気か!俺達は仲間を一人見捨ててきたんだ!外じゃもう1日も保たない…入れてくれ!」

    ジャン「いい加減にしろエレン!」




    ガシャン!

    ジャンがエレンに掴みかかった瞬間、シャッターが上がった。


    「早く入れ!全員入ったらすぐ右手のボタンを押せ!」

    スピーカーから男が指示した。

    エレン「みんな急げ!」


    全員が入り、ジャンがボタンを押すとシャッターが再び閉まった。

    「ローゼ、ロックを。」

    「かしこまりました。」

    アサルトライフルを持った男が現れ、音声認識コンピューターに命じた。

    ベルトルト「な、何をしたんだ?」

    「ドアをロックした。もう二度と開かない。噛まれているものは?」

    エレン「一人もいない。銃を下げてくれないか?」

    「念の為全員の血液をとらせてもらう。こちらへ。」

    男はやっと銃を下げると一行をエレベーターまで案内した。




    「ようこそATLLへ。僕はマルコ。マルコ・ボットだ。」
  8. 8 : : 2014/04/26(土) 03:53:58
    マルコ「検査の結果が出るまで、各自部屋で休んでてくれ。シャワーも出るが節約してくれよ。」

    マルコは全員分の血液を採取し終わると奥の部屋に消えていった。

    コニー「お、おい!今マルコが何て言ったかわかんねぇのは、俺が馬鹿だからじゃねぇよな?!」

    ライナー「ああ…確かに聞いたぞ。久々のシャワーだ!」

    各自が駆け足に部屋に入り、シャワーに駆け込む。怪異が起きて二週間以上、ろくに水浴びすらしていなかったのだ。




    アニ(あぁ…。暖かい。ずっとこうしていたい…。)

    クリスタ(まだ…まだ生きてる。)

    ミーナ(汗をかいたらシャワーを浴びる。これが日常なんだよね…)





    エレン「なぁ…ミカサ。」

    エレンはミカサと一瞬の部屋にいた。既に二人共シャワーを浴び終え、ベッドでくつろいでいた。

    エレン「なかなか話す時間がとれなくて、その…一人にしてすまなかった。」

    ミカサ「こうやって帰ってきてくれたからそれでいい。もうどこにもいかないで。」

    エレンがミカサの髪をそっと撫でる。

    エレン「お前が無事で、ジャンも生きてて…この世界は変わっちまったけど、これだけは俺の中で変わらない真実だ。」


    ジャンと寂しさから行為に及んでしまったのがミカサの頭をよぎる。
    本気でジャンを愛したのか?


    エレン「ミカサ?」

    ミカサ「ごめん…。ちょっと休みたい。」

    エレン「あぁ。色々あったからな。ちょっと寝とけよ。」

    エレンはシャツを羽織ると部屋から出た。







    ミカサ(ジャンとのあれは過ち。そう、きっと間違いだったの)


    ーーーーーーーーーーーーーーー

    ジャン「あぁ。エレンとはハイスクールからの友人でな。もう12年の付き合いになるよ。」

    ライナー「それでか。妙に息があってると思ったんだ。…正直お前ら抜きではもっと悲惨なことになってたかもしれん。」

    ジャン「よせよ。俺もあんたらに助けられてんだ。」

    シャワーを浴び終えた男性陣は共用リビングで備え付けのコーラを飲みながら談笑していた。
    流れで生死を共にすることになったとは言え、お互いをよく知らなかった。

    アルミン「ピザ屋の配達員で窃盗の常連。免許もちゃんと持ってないんだろコニーは?」

    コニー「窃盗のコツだって?感じろとしか言えん。」

    ベルトルト「…答えになってないよ。」

    エレン「あれ?なんだ集まってたのか。」

    エレンが部屋に入ってくるなり、ジャンがコーラ瓶を投げ渡す。

    ジャン「次はいつ味わえるかわからねぇ。いまのうちに吟味しとけ。」

    エレン「全くだな。どうせなら一杯やりたい。」

    アルミン「いいね、久々にバーボンを煽りたいもんだ。」

    ベルトルト「アルミンは強そうだね。アニとライナーも底無しでね…僕はいつも二人の後処理担当さ。」



    マルコ「バーボンね…スコッチならあるよ。あとボルドーワインに、ジン。ラムも少しあるかな。」

    コニー「うげー…俺は酒苦手だ。」

    ダンボールを抱えて部屋に入ってきたマルコがおもむろに酒瓶を取り出す。

    ライナー「おいマルコ。そいつの中身は水じゃないだろうな?」

    コニー以外が喉を鳴らして酒瓶を凝視する。

    マルコ「水なもんか。食事にしよう。簡単なものしか作れないけどね。」

    ジャン「おいおい…まじかよ!ベルトルト、アルミン!女共を呼んでこい!」
  9. 9 : : 2014/04/26(土) 11:54:21
    超絶期待!
  10. 10 : : 2014/04/26(土) 18:48:15
    期待です!
  11. 11 : : 2014/04/27(日) 16:16:34
    リビングに集合した一行は久々の酒とまともな料理で盛り上がっていた。
    出された食事はジャーキーに野菜スティック、それに卵とベーコンを炒めた簡単なものであったが、この世界ではもはやご馳走であった。


    ジャン「おい坊主頭!もっと飲め!」

    コニー「なんかふわふわするー…」

    ライナー「ああ、同感だ。真っ赤になるのか見てみたい。」

    酒が苦手というコニーをからかいながら、ジャンとライナーはラムをロックで勧める。

    クリスタ「ちょっとだけワインも飲んでみようかな…?」

    クリスタがジントニックを飲み干したところに、アニがワインを注ぐ。

    アニ「どんどんやりな。ワインは女の嗜みだよ。」

    ベルトルト「アニ、行儀が悪いからテーブルに座るのはやめてくれ…」

    ミカサ「エレンとジャンはいつも見栄を張ってテキーラのショットで飲み比べをする。それで潰れて、二人共私が担いで帰るのが日常。」

    ミーナ「ミカサったら全く顔色変わらないのね!もう5杯目だよ。」

    アルミン「全くだよ…それウィスキーだからね、水みたく飲んでるけど。」

    誰もが顔に笑みを浮かべ、思い思いに楽しみ、まるで世界が戻ったようであった。そう、日常で会っていれば、みんないい友人になっていたはずだ。

    エレン「おいみんな。この酒も食事も、全部マルコのおかげだ。マルコに感謝しよう。」

    ライナー「ああ、間違いない。マルコに!」

    皆がグラスをマルコの方に掲げる。

    マルコ「はは…」

    当のマルコはどこか乗り気ではなかった。というより、食事が始まって何か思いつめている様子だった。

    アルミン「ところであのモニターのタイマーはなんだろう?」

    画面に表示される12:32:42と数字。アルミンの言葉を聞いてマルコの表情が険しくなった。

    アニ「そんなもの、目覚まし時計に決まってる。」

    ベルトルト「アニ大分酔ってるね…もう部屋に戻ろう。」

    アニ「私はまだ飲むんだからっ。」

    ベルトルト「わかったわかった。部屋でお酌するよ。」

    酒瓶を片手にアニがベルトルトに肩を借り、フラフラと部屋に戻る。
  12. 12 : : 2014/04/27(日) 21:10:52
    期待です!!
  13. 13 : : 2014/04/29(火) 00:40:10
    アルミン「さぁ僕らもそろそろお開きにしようか。」

    いつまでも終わらない宴にアルミンが声をかけた。

    ライナー「あー…明日は確実に二日酔いだな。」

    クリスタ「私も飲みすぎて気持ち悪い…」

    ミーナ「コニー潰れちゃったね。もう、ライナー達が無理やり飲ますから。」

    エレン「こりゃコニーは駄目だな。部屋まで運ぶしかないか。」



    各々が部屋に帰っていく中、ジャンはミカサに声をかけた。

    ジャン「な、なぁミカサ。」

    エレンが戻ってからずっと避けていた会話。
    もどかしさか、酔いからかジャンを掻き立てる。

    ミカサ「何?」

    ジャン「…あの夜のことは忘れたらいいのか?何もなかったことにすればいいのか?」

    ミカサはバツが悪そうに俯いた。

    ミカサ「仮にそうしたら…ジャンは納得できるの?」

    ジャン「ミカサの為なら。」

    ジャンは即答した。

    ミカサ「私は…私はわからない。エレンがいなくなって、ジャンが一番になって、また戻って。」

    ジャンが突然ミカサに詰め寄り、いわゆる壁ドンの形になる。

    ジャン「そうするしか…そうするしかねぇだろ?俺はエレンもお前も裏切れない。それとも、感情のままにこうすりゃいいのか?」

    ミカサ「…?!」

    ジャンがミカサに口づける。それは愛の行為ではなく、荒々しいものだった。

    ミカサ「…っ!やめて!もうあなたとは…!」

    ミカサが驚きのあまりジャンの頬を叩く。

    ジャン「何でだ…何でミカサはいつもエレンしか見てないんだ?俺はこの気持ちをどうすりゃいいんだ!?」

    ミカサ「ジャン…私は…」

    ジャン「…もう部屋に戻れ。エレンが心配する。」

    そう言うとミカサはジャンを叩いてしまったことに罪悪感を覚えつつ、足早に去っていた。





    ジャン「こうなるってわかってたじゃねぇか…どうしようもねぇんだよ…もう…」
  14. 14 : : 2014/04/30(水) 00:16:22
    このジャンとミカサのやりとりがこのepの山場でした。描写難しかった…
  15. 15 : : 2014/04/30(水) 01:24:55
    アニメのキャラとあってて絡みもうまいと思いますよ(`・ω・´)
  16. 16 : : 2014/05/01(木) 00:35:57
    ドラマでも疎かにできないシーンでしたね。描写お上手だと思います。続きに期待!!
  17. 17 : : 2014/05/02(金) 02:22:51
    一方先に部屋に戻ったベルトルトはアニにまだ付き合わされていた。

    アニ「あんたさ…酒こんなに強かったんだね。」

    ベルトルト「あはは…いつも飲みに行くとアニもライナーも潰れるまで飲むじゃないか。後処理するのは僕だしね。」

    アニ「ああ、そういえばマルセルやベリックとバーに行った時も酔いすぎて他の客と喧嘩になったんだっけ。」

    ベルトルト「あの時は困ったよ。アニはハイキックで、ライナーはラリアットで相手をボコボコにして…」

    アニ「マルセルもベリックも加わって大乱闘になって…結局全部止めてくれたのはベルトルトだった。」

    アニが自分のグラスにワインを満たす。

    アニ「今思えばあんたには見えない所で随分助けられてきたんだなって。独りになったとき実感した。」

    ベルトルト「どうしたの?アニらしくない…」

    アニ「ずっと、ずっと怖かった。私の判断がみんなの運命を左右する。でも誰か一人が冷静に振る舞わなくてはいけない。身内が死のうが、ウォーカーになろうが…」

    ワイングラスを持つ手が震える。

    アニ「好きで冷たくする訳じゃない、嫌われたい訳じゃない!私は…!」



    ベルトルトがアニの手を握る。

    ベルトルト「誰も、誰もアニを責めてはいない。よく頑張ったね。でも、これからは一人で抱えこむ必要はない。」

    ベルトルト「僕やライナーがいるから。」

    アニ「…ありがとう。」

    ベルトルト「どういたしまして。さぁそろそろお休み。」





    ドアを閉めたベルトルトは壁に寄り落ちるようにして、体育座りになった。


    彼女を抱きしめる勇気がなかった。「僕が」いると言い切る自信がなかった。


    ベルトルト「怖いのは、みんな同じなんだ。」



    君に嫌われるのが、君を失うのが、怖い。
  18. 18 : : 2014/05/03(土) 03:49:52
    ライナー「ふわぁぁ…まだアルコールが残ってるな。気持ち悪ぃ。」

    クリスタ「おはようライナー。二日酔い?」

    ライナー「あぁ、昨日は飲みすぎた。」

    起きてきた面々が次々にリビングに集まる。

    コニー「うぇぇ…もう絶対飲まん…。」

    ミーナ「ほらコニー。ブラックコーヒー効くよ。」

    エレン「なぁジャン、頬が腫れてねぇか?」

    ジャン「…酔いすぎてな、顔から転んだ。」

    ジャンがミカサを目の端で見やる。

    エレン「そうか。珍しい事もあるもんだな。」

    ミカサはそのやりとりを聞きながら目を逸らした。

    アニ「ところで、私達は酒を飲みにここにきた訳じゃないよね?」

    アルミン「そうだったね。マルコ、君はこの怪異について何か知っているかい?」

    マルコ「知ってるも何も、僕は君達が来る前から研究をしていたんだ。…食事が終わったら、
    場所を変えよう。」

    クリスタ「そういえばベルトルトは?」

    ライナー「大分深酒したみたいでな、まだ横になってる。」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    一行は多数のコンピューターが立ち並ぶ一室へと移動していた。

    マルコ「ローゼ、皆さんに挨拶を。」

    「おはようございます。」

    コニー「何だ?そういや入ってきた時も…」

    マルコ「音声認識コンピューターさ。尤も今や僕しか使わないけどね。」

    ジャン「どういうことだ?」

    マルコ「この施設には僕以外の研究員は残っていない。」

    マルコの声が虚しく響いた。

    エレン「ど、どういうことだ?さっきずっと研究をしていたって…」

    マルコ「あぁ間違いない。怪異が起こってすぐさ。ほとんどの研究員は家族の元に帰ってしまった。残った少数派もウォーカーに襲われた。」

    ミカサ「今まで…たった一人で…」

    マルコ「ローゼ、アメリカ全土のマップを。」

    マルコはミカサの言葉を無視し、スクリーンにマップを映し出した。どこか目が据わっているように見える。

    マルコ「君達は感染の原因は何だと思う?」

    ジャン「そりゃあ…なにかのウィルスが川にでも漏れ出して…水が媒体かと思っていたが。」

    アルミン「これだけの感染スピードと人数を考えると、空気感染を疑うね。」

    マルコ「そう、二人ともいい推測だ。しかし水にしても空気にしてもいずれ効力は弱まる。それでは死者が転移する理由がつかない。」

    マルコは皆を見渡すと一呼吸置いて言い放った。








    マルコ「少なくともアメリカ国民全員が感染している。もちろん君達もだ。」
  19. 19 : : 2014/05/04(日) 05:05:34
    このepの書き貯めが終わりました。

    修正しつつ、今夜12時に一気に投下します。

  20. 20 : : 2014/05/05(月) 03:00:26
    ジャン「はは…冗談はよせよマルコ。全員感染しててるって?そんな夢みてぇなことが…」

    マルコは小さい試験管のようなものを9つ取り出した。

    マルコ「君達の血液検査の結果だ。全員陽性の反応。ちなみにこっちが正常の人間のものだ。…どうだい?全く違うだろ?」

    マルコが取り出したベースは9つとも赤紫に変色していた。

    ライナー「おいおい…どういうことだコイツは…俺達は全員バケモノだってのか!?」

    マルコ「いいや。みんな立派な人間さ。…今はね。このベースはウォーカーの唾液から分泌されたウィルスをみんなの血液に混ぜたものだ。この症状は瞬く間に高熱を引き起こし、ほとんどの器官や生命維持に必要な部位を死に至らしめる。」

    マルコ「つまりこの結果から示されるものは、噛まれたから感染するんじゃない。噛まれたことによって体内のウィルスが本格化し、死に至るんだ。」

  21. 21 : : 2014/05/05(月) 03:17:38
    あまりの唐突さに皆が言葉を失う中、エレンが口を開く。

    エレン「一度噛まれたら、防ぐ方法はないのか?」

    マルコ「体内の変異のスピードが早すぎる。ウィルスが能に至る前に部位を切断するしか…まぁこれは無理だろうね。」

    マルコはあぁ、と漏らすと背を向け続けた。

    マルコ「ウォーカーによる接触以外で死に至った場合は、体内のウィルスが急激に成長し、脳を支配する。」

    クリスタ「そんな…何も為す術がないの…?」

    マルコ「…以前僕が研究していたものは、怪異のかなり初期の段階で転移したウォーカーのサンプルだった。あれが残っていれば策もあったかもしれない。」

    アルミン「その…サンプルというのは?」

    マルコ「跡形もなく消失したよ。遺伝子操作を間違えて発火してしまってね。あんな初歩的なミスをするなんて。」

    自分を嘲笑うかのようなマルコにエレンが詰め寄った。

    エレン「…で?諦めて何になるって?」

    マルコ「は?聞こえてなかったのかい、僕は…」

    エレン「サンプルを失ってどうしようもないって所まで聞いた。…なぁ諦めていいことあるのか?この状況を打開できるのはアンタだけだろう?

    マルコが苦い顔で返した。

    マルコ「君は…君達はこの世界に希望があると思うのか?」

    ライナー「そいつは俺達次第だろう。少なくともここにいる9人はまだ諦めていない。」

    マルコ「…とんでもない馬鹿だね、君達は。」

    コニー「おう!俺は馬鹿だからな、細かいことはわかんねぇ!ただ、今の世界が地獄なのは俺でもわかる。」

    アニ「だからこの地獄で生き抜くために、私達はここに来た。」

    マルコは椅子に座り頭を抱えた。

    マルコ「…少し、一人にしてくれ。」
  22. 22 : : 2014/05/05(月) 03:36:25

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    ベルトルト「あれ?みんなどこに行っていたんだい?」

    一行がリビングに戻ると、眠そうな顔をしたベルトルトがコーヒーを飲んでいた。

    ライナー「全くお前というやつは…。実はな…」

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    ベルトルト「そうか…僕達も既に感染しているのか…」

    ミカサ「まるで実感が湧かない。でも確かなのは、私達もウォーカーになり得るということ。」

    ミーナ「こんな話を聞くくらいなら、いっそここに来なかった方が…」

    エレンがミーナの肩を叩いた。

    エレン「いいや。そいつは違うぞミーナ。今の自分達が置かれている立場を把握できただけでも、大きな進歩だ。」

    アニ「私も今回ばかりはエレンに同意するよ。大事なのはこれからどうするかだ。」

    アルミン「このままシカゴ方面に北上するか、海岸を目指してマイアミに南下するか…ジャン、君はどう思う?」

    コニー「あれ、ジャンの奴は?」

    ーーーーーーーーーーー

    「ようマルコ研究員。」

    マルコは声の方に顔を向けた。

    マルコ「君は…ジャンといったか?一人にしてくれと言っただろう。」

    ジャン「すまんな、俺は正直者なんでね。思ったことは口に出さないとすまんタチなんだ。」

    ジャンが机に腰掛ける。

    ジャン「俺はこう見えても昔、LA市警の突入部隊で指揮官をやっていたんだ。困難な現場に何度も立ち会ってきた。突入部隊ってのは殉職率がえらい高いとこでな。周りからは死に急ぎ隊って呼ばれていた。」

    マルコ「…」

    ジャン「同期や部下達は次々に死んでいった。いつ自分の番が来るか…怯える毎日だったよ。」



    ジャン「そして俺の番が来た。」
  23. 23 : : 2014/05/05(月) 05:10:57
    ジャン「至近距離から胸に3発撃ち込まれた。防弾チョッキは貫通、出血多量で今にも死にそうな状態だ。」

    マルコ「…至近距離で胸を撃たれたなら、助かる見込みは少ないね。」

    ジャン「ああ。だが俺の相棒は、そいつは隊の中では一番の死に急ぎ野郎なんだがな、瀕死の俺を見捨てなかった。可能性を捨てるんじゃねぇ!って必死に励まし続けてくれてな。処置が早かったのもあって、俺は奇跡的に助かった。」

    ジャンがマルコの胸ぐらを掴む。

    ジャン「今からお前にも同じことを言ってやる。…現実から逃げるな!可能性を捨てるんじゃねぇ!!」

    マルコ「…僕は、僕自身はもう諦めた。生きていくことにも、可能性を模索することにも。だけど君なら、君達なら。」

    マルコは夕食時にアルミンが気にかけていたタイマーを指差した。

    マルコ「ここはあと15分足らずで爆発する。僕がそうシステムした。」

    ジャン「!!」

    マルコ「これは僕が死ぬ時に使おうと思っていたんだけど…これなら入口の強化ガラスを破壊できる。」

    マルコはジャンに投擲グレネードを差し出した。

    マルコ「南へ行くんだ。中心部より奴らの数が少ない。」

    ジャン「マルコ…お前…」

    マルコ「僕の可能性、君達に託したよ。」

    ジャン「マルコ!お前も一緒に…!」

    マルコはジャンを突き飛ばすと、ドアに電子ロックをかけた。



    マルコ「さよならだ、ジャン。」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    アルミン「な、なんだ?この音は!」

    辺り一帯のライトは真っ赤に染まり、アラームが忙しなく鳴っている。

    ジャン「お前ら!!早くここから出るぞ!あと10分で爆発する!」

    ジャンがリビングに駆け込んできた。

    エレン「爆発するってお前…マルコは!?」

    ジャン「マルコは…ここに残るそうだ。」

    ライナー「急げ!必要な荷物だけまとめろ!」

    エレン達がエレベーターに滑り込む。

    アニ「どうやって出るんだい?入口はもう二度と開かないってマルコが…」

    ジャン「マルコの…可能性を預かった…!」

    ジャンはグレネードを握り締めた。
  24. 24 : : 2014/05/05(月) 05:18:19

    ジャン「いいか!道が開けたら真っ直ぐ車まで走れ!…エレン、ライナー!先導は任せたぞ!」

    ジャンが強化ガラスに向かって山なりにグレネードを投げる。





    バァァァーン!!!

    轟音と共に強化ガラスが飛び散る。




    エレン「ハァ…ハァ…!急げみんな!」



    マルコ「可能性を捨てるな、か。僕ももっと早くに気付いていたら。」










    一行が道に出ると同時に、ATLLは爆発した。

    跡形など、何も残さないように。



    season1 ep5 end






    次回予告

    「今の状況じゃもう長距離の移動は無理だ!」

    「お前ら…またフランツのように見捨てるつもりか?」

  25. 25 : : 2014/05/05(月) 05:20:18
    「今わかったよ。最後にはこうなるんだって…」


    season2 ep1 限界点
  26. 26 : : 2014/05/05(月) 05:23:46
    やっと終わりました。

    このepは会話や心理描写、感情などをテーマにして書きました。

    ウォーキングファンの皆様は既におわかりだと思いますが、
    マルコ→ジェンナー
    です。

    感想お待ちしています。
  27. 27 : : 2014/05/05(月) 08:11:10
    なんか、悲しいですね。ウォーキングデッド見た事ないけど。続編期待です。
  28. 28 : : 2014/05/05(月) 16:11:52
    面白い
  29. 29 : : 2014/05/06(火) 01:53:24
    ヅラヴィン団長

    ありがとうございます!!!
  30. 30 : : 2014/05/06(火) 13:26:32

    細かく書かれてあって、
    ごちゃごちゃとさせなかったのがすごいですね。次回にも期待してます!
  31. 31 : : 2014/05/07(水) 01:11:17
    絆慈@ジャンLOVEさん

    ありがとうございます!新参者なので、よろしくお願いしますm(_ _)m

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著者情報
kazumax

ジョン@四聖剣とは虚名にあらず

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