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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

勇者ハンジ「ドラゴンクエスト3 ―そして壁外へ―」②

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  1. 1 : : 2014/04/07(月) 00:58:07

    勇者ハンジ「ドラゴンクエスト3 ―そして壁外へ―」②

    以下の続きになります
    勇者ハンジ「ドラゴンクエスト3 ―そして壁外へ―」
    http://www.ssnote.net/archives/10317
    先に↑をお読みになってから、②を読んで下さい

    自称17才の勇者の末裔、小娘ハンジが仲間と繰り広げる、冒険の旅

    DQ3の世界で暴れます
    捏造設定ありです

    DQ3を知らない人のために、説明をいれつつ進める予定です
  2. 2 : : 2014/04/18(金) 23:14:55
    期待です!頑張って下さい!!
  3. 3 : : 2014/04/18(金) 23:42:33
    ロマリアを出てまずは東へ
    勇者一行は歩みを進める

    アリアハンを出てから短い間だったが、ハンジは勇者として確実に力をつけ始めていた

    仲間との連携も、徐々にスムーズになってきていた

    四人の間にも仲間としての絆が生まれつつあり、その役割も決まりつつあった

    ミケは持ち前の鋭い感覚から、策敵を

    エルヴィンは常識と落ち着きのある行動で仲間のまとめ役

    リヴァイはよくものを知る、歩く百科事典

    ハンジはそんな仲間に支えられて、ここまで歩んできたのだった

    偶然酒場で出会った、運命の仲間
    この出会いこそが、果たして世界を救う鍵となるのか…

    まだまだ旅は、続く…

  4. 4 : : 2014/04/19(土) 00:15:10
    東に進むと、やがて南に向かって伸びる長い橋が見えてきた

    橋を南に渡ると、ロマリア地方からアッサラーム地方になる

    ハンジ「アッサラームかあ、どんな街かなあ」

    橋を渡りながら、ハンジはにこにこと笑顔を見せながらスキップをしていた

    リヴァイ「アッサラームの街は、バザーをやっているみてえだな。いろんな屋台が出ていたり…珍しい武器、宝石…様々な物が集まる、貿易の拠点だ」

    リヴァイは頭を巡らせながら言った

    エルヴィン「それは楽しみだな」

    ミケ「異文化に触れあう、絶好の機会だな」

    ハンジ「宝石!!」
    ハンジは目を輝かせた
  5. 5 : : 2014/04/19(土) 00:16:39

    ミケ「処女は宝石が好きなのか」

    ハンジ「また、処女って言ったな…宝石は、見るのが好きなんだ。きらきらと、不思議だろ?」

    エルヴィン「宝石よりも、お前の瞳の方がきらきらして綺麗だよ、ハンジ」

    エルヴィンは突然笑みを浮かべて静かにそう言った

    そのブルーの瞳は、ハンジの大きな瞳を見つめていた

    ハンジ「エ、エルヴィン…?な、何だよ急に…」
    ハンジは顔を赤らめた

    リヴァイ「…」

    リヴァイはちらりとエルヴィンを見たが、何も言葉を発しなかった

    ミケ「…エルヴィン…お前」
    ミケがすん、と鼻を鳴らした

    エルヴィン「…こんな感じで言ってやれば、落とせるぞ、リヴァイ」

    エルヴィンはにやりと不敵な笑みを浮かべた

    ハンジ「エルヴィン!!」
    ハンジは真っ赤になった

    リヴァイ「…そんなくせぇ言葉、言えるかよ!」

    リヴァイはふん、とそっぽを向いた
  6. 6 : : 2014/04/19(土) 00:39:45
    >名無しさん☆
    ありがとうございます♪
    がんばりますよ!!
  7. 7 : : 2014/04/19(土) 07:06:55
    ピラミッドは要り組みすぎて
    思いっきり迷った記憶が・・・ww
  8. 8 : : 2014/04/19(土) 07:08:50
    >ダリウスさん☆
    ややこしい造りですよねw
  9. 9 : : 2014/04/19(土) 07:09:37
    ↑は私です、すみません!!
  10. 10 : : 2014/04/19(土) 08:19:33
    エルヴィン「ふっ…やっ!!」
    エルヴィンは剣でエイプの攻撃を全て受ける

    僧侶ではあるが、全く力負けする事はなかった

    リヴァイがその戦いの間隙を縫うように、背後から身を踊らせる

    リヴァイ「…」
    無言でエイプの体に背後からとりつき…持っていた毒針を首筋につきさした

    エイプ「ががが…」

    エイプの体が震え始める
    しばらくすると、地面に倒れた

    ミケもエイプを倒して、戦いは幕をおろした
  11. 11 : : 2014/04/19(土) 08:20:28
    ↑投稿ミスです…
    あげなおします(;_;)
  12. 12 : : 2014/04/19(土) 08:20:49
    橋を渡り終え、ついにアッサラーム地方に上陸した

    ここから更に南下し、砂漠の玄関口、貿易の拠点の街アッサラームに向かう

    一行が歩みを進めていると、突然体長二メートルはある、紫色の…猿…が襲ってきた

    猿にしては体つきががっしりしており、さながらゴリラに近い

    体に見合わぬ敏捷性で、先頭にいたミケに、素早いパンチを繰り出してきた

    ミケ「フッ…タッ…」
    ミケはそのパンチを避けながら、伸びるような腕の動きで拳を叩きつける

    リヴァイ「キラーエイプだ。群で生活しているはずだから、まだ近くに…いた!!」

    ミケとエイプの戦いの背後から、更に二匹の猿が躍り出る

    ハンジ「たぁっ!!」
    ハンジは素早い動きで、一瞬でキラーエイプに詰め寄り、剣を一閃させる

    キラーエイプ「うごご!!」
    エイプは変な呻き声をあげてハンジに襲いかかるが、返す剣で切り込まれ、絶命した

    エルヴィン「ふっ…やっ!!」
    エルヴィンは剣でエイプの攻撃を全て受ける

    僧侶ではあるが、全く力負けする事はなかった

    リヴァイがその戦いの間隙を縫うように、背後から身を踊らせる

    リヴァイ「…」
    無言でエイプの体に背後からとりつき…持っていた毒針を首筋につきさした

    エイプ「ががが…」

    エイプの体が震え始める
    しばらくすると、地面に倒れた

    ミケもエイプを倒して、戦いは幕をおろした
  13. 13 : : 2014/04/19(土) 12:16:07
    おう…。Σ(・□・;)
    ロメ姉もハンジさんも頑張れ!^_^
  14. 14 : : 2014/04/19(土) 16:16:25
    期待だぜ!ハニー頑張って!o(^-^)o
  15. 15 : : 2014/04/19(土) 16:56:53
    ロマリアを出て日中いっぱい歩き、やっとたどり着いたアッサラームの街

    バザーが開催されており、沢山の商人で賑わいを見せていた

    ハンジ「ターバンを頭に巻いた人が多いね。それと、白い装束着てる人も多いね」
    ハンジは辺りをきょろきょろ見回しながら言った

    リヴァイ「白い装束は、砂漠地方特有の…謂わば民族衣装の様なもんだな」

    エルヴィン「ターバンは、商人だな」

    ミケ「珍しい酒もありそうだ。今日は夜通し楽しむかな…ハンジも行くか?」
    ミケはそう言って、ちらりとハンジに目をやった

    ハンジ「行こうかな!!ミケと一緒にお散歩したこと無いしね!!」

    ミケ「…お前はいつもリヴァイといるからな、遠慮している」
    ミケはぼそっと呟いた

    リヴァイ「別にいつも一緒じゃねえ」
    プイッと顔を背けるリヴァイ

    エルヴィン「今日はハンジに大人の嗜みについて教えてやるかな」
    エルヴィンは不敵な笑みを浮かべた

    ハンジ「何それ、やらしいなあ!!」
    顔を真っ赤にするハンジに、ミケは

    ミケ「処女は想像力だけは豊からしい。酒の飲み方を教えてやると言っているだけなのにな…」
    そう言って、ふっと鼻で笑うのだった
  16. 16 : : 2014/04/20(日) 15:36:19
    アッサラームの街を四人でぶらつく

    街は活況を呈していた
    人々は商人相手に品物の値段を値切ったり、沢山の食べ物に舌鼓を打ったり…

    今までのどの街よりも賑やかであった

    ハンジ「すっごいね~賑やかで楽しい!」
    ハンジは楽しそうに辺りをきょろきょろと見回していた

    エルヴィン「ハンジはアリアハンから出たことが無いしな。色んな場所があって、新鮮だろう?」

    ハンジ「うん!!って、あれ?あの人私たちを呼んでない?」

    ハンジの指差す方向には、露出の多い服を着た女性…とはいえ、ハンジと同じくらいの年齢に見えるのだが…が、一行を手招きしていた

    ミケ「まだ小娘だが、ハンジよりは豊満だな…っいて!!」
    ぼそっと呟くミケに、ハンジはすかさず腰に蹴りをいれた

    ハンジ「悪かったね!!胸が小さくて!!」
    ハンジは不貞腐れつつも、小娘の元へ歩み寄った

    小娘「あなたたち…ぱふぱふしていかない?」

    小娘はしなをつくって、こちらに言い寄ってきた

  17. 17 : : 2014/04/20(日) 15:42:50
    ハンジ「ぱふぱふってなに?」
    ハンジはきょとんとした

    リヴァイ「間に合ってる。結構だ」
    リヴァイが鋭い目線を小娘に向けた

    エルヴィン「ぱふぱふって言うのはな…」

    リヴァイ「説明するな」

    リヴァイは機嫌が悪そうに吐き捨てた

    ミケ「ハンジにはまだ無理かもしれんなあ…」
    ハンジをちらりと見て言うミケに、ハンジは詰め寄る

    ハンジ「無理ってなんだよ!?出来るし!!」

    エルヴィン「出来ないことはないと思うがなあ…」

    リヴァイ「やらんでいい」
    ますます不機嫌になるリヴァイの腕をとる、小娘

    小娘「あなた、気に入っちゃった…サービスしてあげるから、ただで、どうぞ」

    リヴァイ「…っておいまて離せ!!」

    ハンジ「行ってらっしゃい」

    リヴァイは一軒の家に引きずられる様に連れていかれた
  18. 18 : : 2014/04/20(日) 15:48:46
    ハンジ「リヴァイ、連れていかれたね?」
    ハンジはあどけない表情を、エルヴィンとミケにむけた

    エルヴィン「ハンジ、ぱふぱふって言うのはな…」

    エルヴィンが、ハンジの耳元でささやくように説明した

    ハンジ「…え、え、え、え、えー!!」

    ハンジの顔がみるみるうちに真っ赤になった

    ミケ「だから、ハンジにはまだ無理だと言ったんだ」

    ミケは勝ち誇ったような笑みを浮かべて、すんと笑った

    ハンジ「じゃあリヴァイは…いかがわしいことをしに…行ったんだ…」
    ハンジは何だが急に、胸が苦しくなった気がした

    ミケ「男はたまには羽目をはずさんとな」

    ハンジ「そ、そうなんだね…」
    ハンジは俯きため息をついた
  19. 19 : : 2014/04/20(日) 15:59:11
    小娘の家の二階

    リヴァイ「…おい、てめえ離せ」

    二階まで引きずられる様に連れてこられたリヴァイは、心底迷惑そうな顔をしていた

    まだ昼間であるに関わらず、カーテンがしまった薄暗い部屋

    簡素なベッドと簡素なテーブルに椅子があるだけの部屋だった

    小娘「私はリーネって言うの…お兄さん、名前は…?」
    リーネはリヴァイの腕をとり、ベッドに誘った

    リヴァイ「…俺にはこんなサービスは必要ねえんだ。手荒な真似はしたくね…うっ…」

    リーネはリヴァイの肩をぐいっと指で掴んだ

    リーネ「お兄さん、すっごく凝ってるね…肩…ばきばきよ?」

    リヴァイ「…」

    結局リヴァイはリーネの言う通りにベッドに横になり、全身指圧を受けたのであった
  20. 20 : : 2014/04/20(日) 16:09:57
    リーネ「本当はね、男は父さんにマッサージしてもらうの…でも、今日は父さんいないから…」

    リーネはリヴァイの背中を丁寧に揉みほぐしながら、耳元でささやいた

    リヴァイ「…そうか」

    リーネ「お兄さん、素敵だったからつい誘っちゃった…いい体してるよね、ふふ」

    リーネの声色がよりいっそう艶めく

    リーネの手が、明らかにマッサージと違う動きをし出した事に気がつき、体を起こすリヴァイ

    リヴァイ「おい、そのサービスはいらねえと…っ」

    そのリヴァイの口を、リーネは自らの口で塞いだ

    リーネ「お兄さん…ほんとに、しない?」
    リーネの上目使いを、さらりとかわすように、視線を遠くにやる、リヴァイ

    リヴァイ「しねえ…」

    リーネ「私、結構楽しませる自信、あるよ?もしかして、一緒にいた女の子と…そういう関係?」

    リヴァイ「うるせえ。関係ねえだろうが」
    リヴァイは吐き捨てるように言った
  21. 21 : : 2014/04/20(日) 16:20:31
    リーネ「そっか…私になびかない男なんて初めてだよ…大抵はがっついてくるのにさ…」

    リーネは、唇を尖らせた

    リヴァイ「お前はもう少し自分の体を大事にしろ」

    リヴァイはリーネをちらりと見て言った

    リーネ「大事に…か。ねえ、あの子の事は大事なの?まだ、手を出していないの?」

    リーネはリヴァイの顔を覗きこんだ

    リヴァイ「…そういう関係じゃねえ」

    リーネ「…ふぅん。じゃあ私にも付け入る隙はあるかな?」

    リヴァイ「…それは、ねえな」

    リヴァイはふん、と鼻で笑った

    リーネ「あの子が羨ましいな。大事にしてもらってるんだ…よく見たら目が大きくて可愛らしい子だもんね…」

    リヴァイ「…マッサージありがとう。代金置いていく」

    リヴァイは少し多目にお金をテーブルに置いた

    リーネ「いらないのに…」

    リヴァイ「あっても困らん。もう少し露出の少ない服でも買えよ」

    リーネはリヴァイのその言葉に
    「本気で惚れちゃいそう」
    と言って、また唇を寄せるのだった
  22. 22 : : 2014/04/20(日) 17:45:09
    リヴァイが家から出てくると、エルヴィンとミケが歩み寄った

    エルヴィン「どうだった?」

    リヴァイ「…まあ、良かったぞ。体がすっきりした」

    ミケ「ほう…そうか」

    男三人の話を聞くともなしに聞いていたハンジは、苦虫を噛み潰した様な顔をしていた

    ハンジ「…すっきりしたんなら、良かったね!」
    そう言い捨てて、一人街の奥に消えた

    リヴァイ「…あいつ…」
    リヴァイは顔をしかめた

    エルヴィン「ぱふぱふが何なのかを教えてやったら、物凄く機嫌が悪くなってな…はは」
    エルヴィンは苦笑いした

    ミケ「処女には刺激が強すぎたか」

    リヴァイ「あのなあ…俺はマッサージを受けただけだ。指圧とな…やましいことは何も…」

    リヴァイはそこで、言葉の歯切れを悪くした

    エルヴィン「ん?何かあったのか…?」

    エルヴィンの問いには答えず、踵を返すリヴァイ

    リヴァイ「ハンジを探してくる」
    そう言い残して、二人の元を去った
  23. 23 : : 2014/04/20(日) 17:58:24
    小娘がぱふぱふだと!?
    小娘には早い早い!
    出直してこい!!
  24. 24 : : 2014/04/20(日) 17:58:56
    ……と言ってやりたい!!
  25. 25 : : 2014/04/20(日) 17:59:32
    小娘(多分17)にね!
  26. 26 : : 2014/04/20(日) 18:08:42
    リヴァイ「おい、ハンジ」

    街の端にある公園の噴水の縁に、腰を下ろしているハンジを見つけて、リヴァイは歩み寄った

    ハンジ「…リヴァイ」
    ハンジは一瞬リヴァイに視線をやったが、すぐに反らした

    リヴァイ「何か…怒ってるのか?」

    ハンジ「…いや、いいよ、別に。男ってそういうものなんだろ?好きでなくても、何でも、誰でも、いいんだろ」

    ハンジは俯きため息をついた

    リヴァイ「…確かに、そうかもしれん。否定はしねえ」

    リヴァイはハンジの隣に腰を掛けてそう言った

    ハンジ「私は、そういうのは、嫌いだ…誰でもいいなんて…」
    ハンジは頭を振った

    リヴァイ「俺は…誰でも構わず抱かねぇ。気持ちわりぃだろうが…知らないとやつなんか」

    リヴァイは眉間にシワを寄せた

    ハンジ「でも…さっきはしたんだろ?ぱふぱふ…すっきりしたらしいじゃない」
    ハンジはジト目でリヴァイを見た
  27. 27 : : 2014/04/20(日) 18:11:43
    >Mさん☆
    コメントありがとう♪
    ぱふぱふww
    ハンジさんの勘違いがかわいいw
  28. 28 : : 2014/04/20(日) 19:04:08
    リヴァイ「いや、あのな…」

    ハンジ「いいってば…リヴァイの好きにすればいいんだから。私は、関係ないんだから…」

    ハンジは消え去りそうな声で言った

    リヴァイ「いや、だからな…?」

    ハンジ「それに、リヴァイの口に、口紅がついてるよ?…私、もう、嫌だ!!」

    ハンジはそう叫ぶと、瞳に涙を貯めながら、一人駆け出して行ってしまった

    リヴァイ「…ちっ」

    拭いたつもりが不十分だったのか…隠そうとするのが悪いのか…

    誤解をされているのは間違いはなくとも、全く何もなかったわけではなく…

    何を言っても言い訳にしかならない

    それ以前に、元々二人の関係が何なのかを、もう一度考える必要があるかもしれない…と思うリヴァイであった
  29. 29 : : 2014/04/20(日) 20:03:19
    おおおお!2人の関係にも何か変化が!!?
    しかし、誤解して怒ってるハンちゃんクッソかわ!!
    続きに期待だぜ!ハニー☆
  30. 30 : : 2014/04/20(日) 20:51:32
    >ダーリン☆
    コメントありがとうございます♪
    ハンジちゃん初すぎて辛いw
    また頑張ります!!
  31. 31 : : 2014/04/22(火) 16:16:48
    ハンジさんめ…どんだけ可愛いんだ…
  32. 32 : : 2014/04/22(火) 16:52:41
    >杞憂さん☆
    ハンジさんのピュアさは異常w
    ここでは17才ですw
  33. 33 : : 2014/04/22(火) 18:45:41
    ハンジさん可愛い!ロメ姉頑張れ!
    ヾ(@⌒ー⌒@)ノ
  34. 34 : : 2014/04/23(水) 00:22:01
    >コハクくん☆
    コメントありがとう!!
    がんばるからねっ!!
  35. 35 : : 2014/04/23(水) 20:29:33
    エルヴィン「まったく、あの二人は困ったものだな」
    エルヴィンはリヴァイが去ったあと、一人ごちた

    ミケ「お前が変な事をハンジに吹き込むからだろう」
    ミケがあきれた顔でエルヴィンを見やった

    エルヴィンは肩をすくめる
    エルヴィン「男とはそういうものだという事を、そろそろ知っておかなければならない年齢だと思わんか?ミケ」

    ミケ「・・・まあ、そうだがな・・・何もあのタイミングで・・・」

    エルヴィン「雨降って地固まるというだろう」
    エルヴィンは不敵な笑みを浮かべた

    ミケ「エルヴィン…お前またその笑い方をしているぞ・・・普通に笑えないのか。女を口説く時のようなスマイルは普段はでないのか」

    エルヴィン「俺はいつも同じように笑っているつもりだがなぁ・・・」
    エルヴィンは困ったように苦笑いした

    ミケ「ま、いつも何か企んでいるようなお前だから、仕方ないか」
    ミケはスン、と鼻を鳴らした

    二人はそのまま、宿に向かったのだった
  36. 36 : : 2014/04/23(水) 20:37:57
    ハンジは一人、にぎやかなアッサラームの町を歩いていた

    どうしてリヴァイがそういう事をしたからってこんなに腹が立つのか
    どうしてリヴァイの口に口紅がついているからって、こんなに悲しいのか

    ハンジにはわからなかった
    わかりたく、なかったのかもしれない

    エルヴィンがパフパフのことを教えてくれた
    何となくは、いくら処女の自分でもわかってはいたし、男がそういうものだというのも、何となくはわかっていたつもりだった

    じゃあなんでリヴァイにこんなに腹を立てているのか・・・
    リヴァイは背は小さいけど立派な『男』だ
    だから、そんな事があったっておかしくない

    それに、目つきは鋭くて怖いけど、実は優しいし、綺麗な顔立ちをしている
    だから、そういう誘いだってあって当然だ

    自分はどうだろう
    何も知らない初心なガキだ

    ガキだから、きっと腹が立つんだ
    大人なら・・・腹が立たないのかもしれない

    自分が情けなくて、また涙があふれてきた

    誰に頼ればいいのかもわからなくて・・・ただ、人通りの少ない道を選んで、涙を隠して歩くしかなかった
  37. 37 : : 2014/04/23(水) 20:44:55
    ハンジがとぼとぼと歩いていると、先ほどリヴァイが誘われていた、あの家の前に来ていた

    ハンジ「・・・・・・」
    ハンジはちらっとその家に目をやったが、すぐに踵を返した

    その時だった

    「あ、さっきの女の子だ」
    背後から声をかけられた

    振り返ると、先ほどリヴァイを部屋に連れ込んだ・・・ぱふぱふ相手の少女が立っていた

    少女はぱたぱたとハンジに歩み寄る
    「さっきの女の子だよね?あら・・・もしかして、泣いてるの?」

    少女に涙の後を見抜かれ、思わず目をこするハンジ

    ハンジ「あ・・・ううん、泣いてない、目に、ごみが入っただけ」

    「・・・ふうん・・・そっか。家に寄っていかない?あなたと話がしてみたかったんだー」
    少女はきらきらと目を輝かせながら、ハンジの顔を覗いた

    身長が170センチ近くある自分に比べて、少女は150センチほどしかなく小柄だ
    ほっそり華奢なのに、付くところにはしっかりついている・・・胸も豊満だ

    露出の高い服装が、さらに少女の美しい身体を際立たせていた

    それに引き替え自分は・・・
    全然魅力的じゃない

    ハンジはそう確信して、またため息を漏らした

    「さ、どうぞどうぞ」
    結局半ば無理やり、家の中に入れられた



  38. 38 : : 2014/04/23(水) 20:55:05
    部屋に通されて、簡素な椅子に座るようすすめられたハンジは、おとなしく腰をかけた

    「あなた、名前なんていうの?私はリーネ」
    リーネはハンジの前にいい匂いの紅茶を出しながら、話しかけてきた

    ハンジ「私は、ハンジ」
    ハンジはぼそっと呟く様に言った

    リーネ「ハンジいい名前ね・・・ところで、ねえ、どうして泣いていたの?」
    リーネが単刀直入に訪ねてきて、ハンジは紅茶を吹きそうになった

    ハンジ「な、泣いてなんかいないから」
    ハンジは首を横に振った

    リーネ「泣いていたよ、すぐにわかるよ。その顔についている涙の跡。よかったら話してくれない?」
    リーネは心配そうにハンジの顔を覗いた

    ハンジ「どうして、あなたに話さないといけないの・・・?」

    リーネ「どうしてだろ、あなたが誰かに話を聞いてほしそうにしているなって、何となく思ったからだけど。だって、あなた旅をしているんだよね?仲間はみんな男でしょ?その人たちに相談できないことって絶対あるじゃない?だから・・・」
    ハンジははっとした

    リーネは本当に自分のことを心配してくれている様で、自分を見つめる瞳はどことなく憂いを秘めて、だが限りなく優しいまなざしだった

    ハンジ「・・・私は最低なんだ。うん・・・」
    ハンジはぽつりぽつりと、洗いざらい話始めた


  39. 39 : : 2014/04/23(水) 20:58:35
    ふおおおおお!!!ついにリーネとハンジさんが出会ってしまった!
    可愛い二人の会話に期待しかないぜハニー☆
  40. 40 : : 2014/04/23(水) 21:07:58
    リーネ「・・・そっか、ハンジ。ごめんね」
    リーネはすべて語り終えたハンジの顔を、じっと見つめながら、申し訳なさそうに言った

    ハンジ「ううん、私が、悪いんだから・・・みっともなくて、ごめんなさい」
    ハンジはまた、涙を一筋こぼした

    リーネ「まずさ、どうしてそんなにリヴァイのやることが気に入らなかったのかだけど・・・それは、自分でもわかっているんじゃないの?ハンジ」

    ハンジ「え・・・?」
    ハンジはきょとんとした

    リーネ「うーん、はっきり言うと、ハンジは私に嫉妬してたわけ。で、それはどうしてかというと・・・」

    ハンジ「・・・」

    リーネ「言わなくてもわかるよね?それくらいは」
    リーネはいたずらっぽい笑みを浮かべた

    ハンジは項垂れた
    ハンジ「そうなのかな・・・やっぱり・・・」

    リーネ「そうだよ、そうとしか思えないよ、ハンジ」
    リーネはハンジの頬に手をのばし、涙をすくった

    ハンジ「でも・・・私は綺麗じゃないし・・・あなたみたいに、魅力的じゃないし・・・」

    リーネ「ハンジ・・・あなたは十分魅力的だよ。自分ではわからないのかもしれないけど・・・ぶっちゃけ、私リヴァイの事一目ぼれしちゃってさ。だから、キスしちゃったわけだけど・・・」

    ハンジ「・・・うん」
    ハンジは頷いた

    リーネ「でもね、それも無理やりだったの。すごく嫌がられたし・・・その先をしよっていっても拒絶されたよ。大事な人が、いるみたいだったね」
    リーネはふふっと笑みを浮かべた

    ハンジ「・・・そうだったのか」

    リーネ「しかもさぁ聞いてよハンジ・・私は男を誘って、そうならなかった事、一度もないのが自慢だったの!それなのにリヴァイはなびかなかった・・・すっごく悔しい」

    ハンジ「・・・うん」
  41. 41 : : 2014/04/23(水) 21:08:27
    リーネ「でもね・・・その理由が今わかった気がするよ。ハンジ、あなたを見ていたらね」
    リーネはそういうと、ハンジの頬にそっと唇を落とした

    ハンジ「ひゃっ・・・」

    リーネ「あなたはとっても可愛いし、魅力的。私男だったら、絶対あなたを好きになると思う。だって、純粋でまっすぐで、しかも戦っても強いんだよ?最高の女じゃない!」
    リーネはそう言って、今度はハンジを抱きしめた

    ハンジ「リーネ・・・」
    ハンジは顔を赤らめた

    リーネ「さ、話はおしまい!さっさとリヴァイに誤解していたことをあやまっておいで?わかった?世話のやける勇者様」

    リーネはそう言って、ハンジを立たせて玄関に連れて行った

    ハンジ「リーネ、紅茶ごちそう様、話を聞いてくれて、ありがとう」

    リーネ「ハンジ、旅が終わったら、また遊びに来てくれる?私、あなたと友達になりたいんだ」
    リーネのその申し出に、ハンジは輝くような笑顔で応えた

    ハンジ「うん、喜んで!!」

    ハンジは一路、リヴァイを探すべく町へ繰り出した
  42. 42 : : 2014/04/25(金) 17:04:21
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  43. 43 : : 2014/04/25(金) 17:06:42
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  44. 44 : : 2014/04/25(金) 17:07:06
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  45. 45 : : 2014/04/25(金) 17:07:34
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  46. 46 : : 2014/04/25(金) 17:08:18
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  47. 47 : : 2014/04/25(金) 17:08:56
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  48. 48 : : 2014/04/25(金) 17:09:15
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  49. 49 : : 2014/04/25(金) 17:09:47
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  50. 50 : : 2014/04/25(金) 17:10:51
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  51. 51 : : 2014/04/25(金) 17:12:00
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  52. 52 : : 2014/04/25(金) 17:44:58
    コメント機能をオフにしたほうがいいと思いますよ?
  53. 53 : : 2014/04/25(金) 17:45:55
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  54. 54 : : 2014/04/25(金) 17:46:28
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  55. 55 : : 2014/04/25(金) 17:47:14
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  56. 56 : : 2014/04/25(金) 17:47:53
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  57. 57 : : 2014/04/25(金) 17:57:20
    期待してます!頑張ってください!
  58. 58 : : 2014/04/25(金) 18:02:06
    荒らしさん、意見やアドバイスは良いと思うのですが、荒らしは書き手に失礼だと思います。
    やめてください。

    ハニー☆
    続きに期待です♪リーネ姉さんがカッコよすぎて惚れるぜ(^_^)ゞ
  59. 59 : : 2014/04/26(土) 11:12:06
    ハンジは町をうろうろしながら、リヴァイになんて謝ろう・・・と考えていた
    上手く言える自信が全くない

    ハンジ「どうしよう・・・」

    当てもなく町を歩きながら、あーでもない、こーでもないと考えていると、いつの間にか先ほどリヴァイがいた噴水に来ていた
    そして、その噴水の周りに設えてあるベンチに、腰をおろして読書をしているリヴァイが目に入った

    ハンジはしばらくためらった末、ゆっくりとリヴァイに歩み寄った

    目の前に立つと、本から顔を上げたリヴァイと目があった
    リヴァイ「ハンジ」

    自分の名を呼ぶリヴァイの声
    ハンジは何故か、その声を聴くだけで背中が震えて、胸の鼓動が怪しい動きをした・・・気がした

    ハンジ「リヴァイ、あのね、私・・・」
    そこまで言った所で、リヴァイは自分の横に置いていたとんがり帽子を頭に被り、ハンジにその場を指し示した

    リヴァイ「ハンジ、座れよ」

    ハンジ「う、うん」
    ハンジは弾かれたように、リヴァイの隣に座った

    リヴァイ「何か、言いかけていたが」
    本を閉じ、自分の顔をまっすぐ見てくるリヴァイに、顔の紅潮が隠せないほどになってきたハンジ

    ハンジ「あっ・・・あのね、謝らなきゃいけなくて・・・その、リーネの事なんだけど・・・誤解、していたみたいで、その、ごめんなさい」
    しどろもどろに話すハンジを、まっすぐな目でじっと見つめているリヴァイ
    その瞳はいつもは鋭い眼光が見えているが、今は穏やかな光を灯していた

    リヴァイ「・・・そうか」
    リヴァイはそう言うと、また本を開き、本に視線を移した
  60. 60 : : 2014/04/26(土) 11:38:16
    ハンジ「リーネと、話をしたんだ・・・。とっても、いい子だった。綺麗だし、優しいし」
    ハンジはリーネとの会話を思い出しながら、話をし始めた

    リヴァイ「ああ」
    リヴァイはちらっとハンジに視線をやったが、またすぐに本に視線を戻した

    ハンジ「あの子がきれいでうらやましいと思ったんだ、けど、それを言ったら・・・あの子は私がうらやましいと言ったんだ」

    リヴァイ「・・・そうか」

    ハンジ「それでね、友達になってって言われたんだよ。私、同年代の女の友達っていないから、うれしくて」
    ハンジは顔を綻ばせながら、話をした

    リヴァイ「良かったな」

    ハンジ「うん」

    そこからしばらく、沈黙が二人を包んだ
    リヴァイは本にずっと視線を送り、ハンジはその横顔に、視線を送っていた

    突然、リヴァイが本を閉じた
    リヴァイ「・・・じっと見られてりゃ読書にならねえ・・・」
    リヴァイは眉をひそめてそう言った

    ハンジ「あっ、ごめん、ついつい・・・」
    ハンジは顔を真っ赤にした
  61. 61 : : 2014/04/26(土) 11:42:20
    リヴァイ「お前は、おっちょこちょいでガキでバカだ」

    ハンジ「ええっいきなり何だよそれ!」
    ハンジは今度は怒りで顔を真っ赤にした

    リヴァイ「勝手に怒ってどこかへ行きやがるし、突然いい雰囲気にしたと思えば自分からぶちこわしていきやがるし・・・」

    ハンジ「あ・・・」
    ハンジは急に恥ずかしくなって、俯いた

    リヴァイ「だがな、お前はまっすぐで純粋だ。天然で、何しでかすかわからねえ奴だがな」

    ハンジ「う・・・否定できない・・・」

    リヴァイ「そうだ、そんなどうしようもない奴を、俺は・・・」
    俯いたままのハンジの頬に、手を伸ばすリヴァイ

    ハンジは恐る恐る顔を上げた
    真摯な表情で自分を見つめるリヴァイの顔が、目の前にあった

    ハンジ「リ、リヴァイ・・・?」

    リヴァイ「お前は・・・勇者だ。特別な存在だ。バカで天然なのにな・・・」
    リヴァイはそう言いながら、ハンジの頬をそっと撫でた

    その表情は、どことなく憂いを秘めているように見えた

    ハンジ「リヴァイ・・・私は、勇者だけど・・・でも・・・普通のちょっとバカな、女の子だよ」
    ハンジはそう言いながら、何となく悲しくなって、瞳に涙をあふれさせた

    リヴァイ「ああ、バカだなお前・・・また泣きやがった。まあ、おれも・・・バカだがな」
    そう言って、ハンジの涙を指ですくってやるリヴァイ

    その手をハンジの頬に添えて、自分の顔をハンジに近づける
    まつ毛とまつ毛が触れ合うくらいの距離で、ハンジは恥ずかしさのあまり、たまらず目を閉じた

    そして、二人の唇は一瞬重なり合った




  62. 62 : : 2014/04/26(土) 11:44:46
    >牛乳さん☆
    ありがとうございます!
    がんばりますね♪

    >ダーリン☆
    毎回コメントありがとうございます♪
    そして、ありがたいお言葉、感謝です

    またちょこちょこ書いていきますので、よろしくお願いいたします♪
  63. 63 : : 2014/04/28(月) 11:02:15
    ハンジ「リヴァイ・・・」
    唇が離れてしばらく、二人は見つめあっていたが、やがてハンジがおそるおそるといった口調でリヴァイの名を呼んだ

    リヴァイはハンジの頬に触れながらそれを撫でた
    リヴァイ「ハンジ、なんて面だ」

    ハンジ「え、変な顔してるかな・・・」
    ハンジはうろたえた

    リヴァイ「顔がゆでだこみてぇに真っ赤だな」

    ハンジ「だ、だって・・・仕方ないじゃないか・・・その・・・」
    ハンジはしどろもどろに言葉を発した

    リヴァイ「その、何だ?」

    ハンジ「何だって・・・な、何もないよ!バカ!」
    ハンジはぷいっとそっぽを向いた

    リヴァイ「そうか・・・何もないか」

    ハンジ「う、うるさい、リヴァイのばか!」
    ハンジはぶんぶんと首を振った

    リヴァイ「お前にバカと言われたくはないがな」

    ハンジ「だって、デリカシーがなさすぎなんだもん、リヴァイは!」
    ハンジは顔を限界まで紅潮させながら、リヴァイに詰め寄った

    リヴァイはそんなハンジの頭を、優しく撫でてやるのだった
  64. 64 : : 2014/04/28(月) 11:12:54
    リヴァイ「そういえばハンジ、町は見て回ったか?おもしれぇ店がたくさんあった。一緒に行くか?」

    リヴァイのその言葉に、ハンジは目を輝かせた
    ハンジ「うんうん、行く!」

    二人はベンチから立ち上がり、歩き始めた


    リヴァイ「ミケとエルヴィン一緒に夜は酒場に行くんだったよな?それまで時間をつぶすか」

    リヴァイの言葉を聞いたハンジは、リヴァイの緑の装束の裾をぴんぴんと引っ張った
    ハンジ「リヴァイも一緒にきてよ・・・何言われるかわかったもんじゃないよ・・・ミケとエルヴィンとなんてさ・・・」

    リヴァイ「まあ、言われる事といえば、決まっているだろうがな」

    ハンジ「な、何だろ・・・」

    リヴァイ「処女処女と・・・」

    肩をすくめながらそう言うリヴァイに、ハンジは後ろから背中をどんと叩く
    ハンジ「リヴァイまでそんな事言うかな!」

    リヴァイ「ばかいえ、たまには俺だって言う」
    ハンジ「ばかっ」

    二人の恋は、こうして一歩踏み出したのであった
  65. 65 : : 2014/05/01(木) 13:42:52
    リヴァイとハンジは二人肩を並べて、活況を呈するアッサラームの商店街を歩く
    あちこちから、客引きの声が飛び交う

    そんな中、ある店の前でリヴァイが男に声をかけられた
    男「かわいい彼女だね、お兄さん」

    身なりのいい服装をした中年男性
    口髭を生やしていて、いかにも上流階級そうな雰囲気だ

    リヴァイ「・・・ああ」
    リヴァイはちらっとハンジをみて小さな声で言った

    ハンジ「か、か、か、彼女?!」
    ハンジは急に恥ずかしくなって、顔を真っ赤にしてあわて始めた

    リヴァイ「落ち着け、恥ずかしい」
    リヴァイはその様子に眉をひそめた

    男「いやあういういしいカップルだね。どうだい、綺麗なネックレスがあるんだが」
    男の後ろには宝石屋があった
    どうやら男はここの主人らしかった

    リヴァイがちらりとハンジを見ると、目をきらきらと輝かせていた
    リヴァイ「ハンジ、見てみるか?」
    ハンジ「えっ、あ、ああ!」

    二人は店主に導かれて、店に入った
  66. 66 : : 2014/05/02(金) 15:31:32
    店の中には、アクセサリーから、宝石のままの物、岩についている宝石など、さまざまな美しい物が置いてあった
    ハンジ「うわーーこれすっごく綺麗だねぇ」

    リヴァイ「ああ、家が3軒くらい立てられる金額だな」

    ハンジ「たかーい!」
    店内に輝く青や赤や黄色や緑、さまざまな自然の輝きが目の保養をさせてくれていた

    店主「ここにあるものはどうかな?君たちはお似合いだから、安くしておくよ」
    店主が誘ったショーケースの中には、小さな石のついたネックレスがたくさん置いてあった
    それをしばらく見ていたハンジが、一つのネックレスに目を奪われる

    ハンジ「これ、綺麗」
    ハンジが指をさしたのは、本当に小さな石のはまったシンプルな一粒石ネックレスだった
    色が不思議で、ブルーなのだが、蛍光感があり、その石自体に光がともっているような、そんな感覚を思わせる石だった

    店主「それに目をつけたか・・・それはな、アウイナイトという宝石だ。不思議な光方をする。小粒でも存在感があるだろう」

    ハンジ「うん、不思議だね、なんだか吸い込まれそうになるよ」

    リヴァイ「それが、いいのか?」
    リヴァイは静かにそう言った

    ハンジ「え?いやいいよ!見るだけで十分。それに結構高い・・・」
    ハンジはあわてて首を振った

    リヴァイ「いい、それを買うから、包んでくれ」
    ハンジ「えええええちょっと!リヴァイ?!」

    結局その宝石のペンダントを手に、店を後にした
  67. 67 : : 2014/05/02(金) 15:48:46
    リヴァイ「ほらよ」
    リヴァイは買ったばかりの包みをハンジに手渡した

    ハンジ「あ、あのさ、でも・・・」

    リヴァイ「いらねぇのか?」

    ハンジ「いや、そうじゃないけど・・・高かったのに」
    ハンジはそう言うと、包みをそっと握った

    リヴァイ「気にするな。俺だって多少の金くらい持ってる」
    リヴァイはちらりとハンジを見て言った

    ハンジ「あ、ありがとう、リヴァイ」
    ハンジは顔を赤らめた

    リヴァイ「まだ少し時間があるな・・・酒場の周辺で時間でもつぶすか」

    ハンジ「う、うん・・・あのさ」

    リヴァイ「なんだ?」

    ハンジ「これ、なくしたらやだから、開けてつけちゃってもいいかな?」
    顔を赤く染めながらそう言うハンジに、リヴァイが頷く

    リヴァイ「ああ、そうだな。お前すぐになくしそうだしな。そうしとけ」
    リヴァイはそう言うと、手際よく包みを開けて、ハンジにネックレスをつけてやるのだった
  68. 68 : : 2014/05/08(木) 18:42:09
    続きはよ(・∀・)!!  
  69. 69 : : 2014/05/08(木) 18:44:41
    応援してます!がんばってくださいね(^ω^)♪
  70. 70 : : 2014/05/09(金) 10:06:13
    >明日はないさん☆
    はいっ今日から書いていきます♪

    >ザ☆特攻隊さん☆
    はいっありがとうございます♪
  71. 71 : : 2014/05/09(金) 11:15:50
    エルヴィン「なあミケ、あいつらは仲直りしただろうか?」
    エルヴィンは酒場のカウンターに腰を下ろして、酒をちびちびやっていた

    ミケ「大丈夫じゃないか?リヴァイの事だ、あいつはやるときにはやる男だしな」
    ミケはかなり早いペースで酒を飲んでいた

    エルヴィン「まあ、まだかわいらしい恋愛で懐かしいな」
    エルヴィンは遠い目をした

    ミケ「お前にあんな可愛らしい時代なんてあったのか?信じられんな」

    エルヴィン「あったさ・・・10歳くらい・・・かな」

    ミケ「早すぎやしないか、それ・・・」
    ミケはスンと鼻を鳴らした

    エルヴィン「あいつらがもたもたしすぎなんだと俺は思うがな」

    ミケ「まあ、ハンジはともかく、リヴァイにはいろいろと思うところもあるだろう。あそこまで手を出さない理由がな」

    エルヴィン「・・・なるほどな。確かにリヴァイはいろいろ考えていそうだ」
    エルヴィンはふうと息を吐いた

    ミケ「あいつは考えすぎるくらいに考える。身長の割に脳みそが大きすぎるんじゃないかと心配するくらいにな」
    ミケは肩をすくめた

    エルヴィン「とりあえず、見守ってやる事しかできないが・・・応援はしてやりたいな」

    ミケ「ああ、そうだな。そうしておこう」
    二人の会話は酒を飲みながら、他愛もない話へと移行していった


  72. 72 : : 2014/05/09(金) 11:27:24
    ハンジとリヴァイは二人で夕焼けから夜に移り変わろうとしているアッサラームの町を散策した

    色とりどりの服、おいしそうな料理の匂い、美しい女性のダンサーだろうか・・・腰に綺麗な宝飾品をしゃらりと身につけた集団がいたり、町はとても賑やかだった

    アッサラームの町は夜こそ盛り上がる

    夜にはダンサーがダンスホールで美しく魅惑的なダンスを披露し、店もたくさん開店するのが夜だ

    そんな町は見た事がなかったハンジは、目を輝かせていた

    ハンジ「ねえねえリヴァイ、すごいね、夜なのにまぶしいよ!」

    リヴァイ「ああ、そうだな。この町は夜の街と呼ばれているからな」
    リヴァイはきょろきょろと落ち着きのないハンジにちらりと目をやってそう答えた

    ハンジ「夜の街・・・かあ!なんだか響きが魅惑的だよねぇ」
    スキップをしながらそんな事をいうハンジ

    リヴァイ「お前はほんと、落ち着きがねぇな・・・」
    そんな様子にリヴァイはため息をついた

    ハンジはそれを聞いてぴたっとスキップをやめる
    ハンジ「えっ・・・スキップはだめだった?ごめんねリヴァイ」
    突然謝るハンジに、リヴァイがまた眉をひそめる

    リヴァイ「駄目じゃねえんだがな・・・」
    リヴァイは肩をすくめた
  73. 73 : : 2014/05/09(金) 19:19:56
    最近疲れてSS読んでなかったんですが、
    いいですね~このお話!
    一気に読んじゃいましたw
    続きもがんばってください!




    リヴァイ!G(ゴールド)は大事にしろよ!!
  74. 74 : : 2014/05/09(金) 19:27:16
    続きありがとうございます!応援してますよ~(・∀・)
  75. 75 : : 2014/05/09(金) 19:29:04
    お体には気をつけて頑張ってくださいね!
  76. 76 : : 2014/05/09(金) 19:41:21
    キーターイーーーー!
  77. 77 : : 2014/05/09(金) 19:47:26
    この場をお借りして皆さんに謝りたいことがあります。今までさまざまなSSで迷惑をかけた死神G、および荒しは僕の友人G氏(15さい)です。なぜ僕が謝るのかというと、G氏は親に荒していることがばれて、PCを没収されたので僕が代わりに謝ります。すいませんでした。長文すいません。期待してます!
  78. 78 : : 2014/05/10(土) 12:57:32
    期待やで!
  79. 79 : : 2014/05/11(日) 16:12:16
    >明日はないさん☆
    はい、がんばります!

    >特攻隊さん☆
    少しづつ書いていきますので、応援よろしくお願いします♪

    >パソコンしますさん☆
    ありがとうございます♪

    >特攻隊 死神sさん☆
    了解いたしました!ご苦労様でございました!

    >ハンジもどきさん☆
    ありがとう^^
  80. 80 : : 2014/05/11(日) 18:15:17
    ハンジ「やっぱりわたしってガキなのかなぁ」
    ハンジは俯き視線を地面に落とした

    リヴァイ「まあ、それは否定はできねぇかもな」
    リヴァイは肩をすくめた

    ハンジ「うーん、大人ってなんだろうね、私にはわかんないよ」
    ハンジは頬を膨らませた

    リヴァイ「エルヴィンに聞いてみたらどうだ?」

    ハンジ「・・・どうせやらしい答えしか返ってこないよ・・・」
    ハンジはため息をついた

    リヴァイ「だろうな」

    ハンジ「知っててエルヴィンに聞けって言ったね、リヴァイ!」
    ハンジはリヴァイに詰め寄った

    が、リヴァイはひらりとその身を躱す

    リヴァイ「まあ、もう少し落ち着いてみるとかじゃねえか?俺にもよくわからん」

    ハンジ「落ち着いておとなしいのって・・・私?」

    リヴァイ「・・・気持ちわりぃ」

    ハンジ「だよね?まあいいか!私は私らしくが一番!」
    ハンジはそう言ってまたスキップを始めたのだった
  81. 81 : : 2014/05/11(日) 18:28:53
    ハンジとリヴァイが酒場に行くと、すでにミケは酒を数本あけており、エルヴィンは少し頬を赤らめていた

    ハンジ「お待たせー二人ともすでにできあがってるの?もしかして」
    ハンジはエルヴィンの顔と、ミケの顔を交互に見てそう言った

    リヴァイ「・・・昼間から飲み過ぎだろ、お前ら」
    リヴァイはこめかみに手をあてて呟く様に言った

    エルヴィン「さあ、座れ。いやあさすが交易の町といったところかな、珍しくて旨い酒がたくさんあってな、ついつい」

    ミケ「ああ、リヴァイも飲めよ。旨いぞ」
    ミケは新しいグラスに酒を注いでリヴァイに手渡した

    リヴァイ「・・・ああ、確かに旨いな」
    リヴァイはそれを一口ふくんでそう言った

    ハンジはその様子をじっと見ていたが、やがて口を開く
    ハンジ「リヴァイもお酒飲めるんだね」

    ミケ「ああ、リヴァイは実は酒が強いぞ。普段はあまり飲まないがな。自制しているらしい」

    リヴァイ「はかりまちがってよっぱらいでもしたらいけねえからな。夜の読書もままならなくなる」
    リヴァイはふんと鼻を鳴らした

    エルヴィン「お前たち、仲直りをしたみたいで良かったよ」
    エルヴィンの言葉に、ハンジが顔を真っ赤にした

    ハンジ「う、うん」
    ハンジはそう言って俯いた
  82. 82 : : 2014/05/11(日) 18:33:39
    ミケが突然ハンジの方に顔を寄せる

    ミケ「スンスン・・・お、処女は変わりなしか・・・だがなんだ、いつもよりリヴァイの匂いが濃い気がするな。何があった?」

    ハンジ「ちょっと、ミケ?!何もない何もない何もない!」
    ハンジはますます顔を赤らめて首を横に何度も振った

    エルヴィン「その態度が何かがあったことを物語っているよ。ハンジ」
    エルヴィンは不敵な笑みを浮かべた

    リヴァイ「ばかが・・・」
    リヴァイはハンジの様子にため息を一つついた

    ミケ「何があったのか、まあ想像に難くはないな。処女喪失も時間の問題か」
    ミケはスンと鼻で笑った

    ハンジ「ミケは処女処女うるさいんだよ!放っておいてよね?!もう!」
    ハンジは顔を真っ赤にしながら、頬を膨らませた

    エルヴィン「大きな声で、自ら処女処女と叫ぶあたりがハンジらしいな」
    ははは、とエルヴィンは高らかに笑った

    ハンジ「ああああ・・・しまった・・・」
    ハンジはがっくりとうなだれた

    リヴァイ「・・・バカだなお前」
    リヴァイは肩をすくめた
  83. 83 : : 2014/05/13(火) 11:39:18
    ハンジはそのまま少しだけ酒を飲んだのだが、一口飲んだだけで顔を真っ赤にしてしまっていた
    そして酒場のテーブルに突っ伏して、眠りに落ちてしまっていた

    エルヴィン「ふむ、なかなか可愛らしい寝顔だな」
    エルヴィンがハンジの頭をそっと撫でてやりながらつぶやいた

    ミケ「確かに、磨けば光ると俺は思う」
    ミケは頷いた

    エルヴィン「しかし酒に弱すぎだろう・・・一人で絶対に酒場に来させたらだめだな。飲まされたらアウトだ」

    ミケ「ああ、お前みたいな狼にすぐに食べられちまうからな」

    エルヴィン「誰が狼なんだ、誰が」

    リヴァイ「・・・お前だろうが、エルヴィン」
    リヴァイはふん、と鼻を鳴らした

    エルヴィン「人聞きが悪いな。意識のない女を襲ったりしないよ。そこまで不自由していないしな」

    ミケ「どうだかな・・・」

    リヴァイ「信用ならねえな」

    エルヴィン「おいまて、俺がなんだかすけこましの様に扱われているじゃないか」

    リヴァイ「そう扱っている」

    ミケ「ああ、そうだ」

    エルヴィン「・・・まあすけこましならすけこましなりに、ハンジを部屋に送り届けてくるよ」
    エルヴィンはそう言って立ち上がり、ハンジを抱きかかえようとした

    リヴァイ「・・・」
    リヴァイの視線がエルヴィンに絡み付く

    エルヴィン「リヴァイ・・・にらむくらいなら自分で連れて行けよ・・・こわいこわい」
    ミケ「リヴァイはついに一線を越えるか・・・明日の匂いを楽しみにしているとしよう」

    リヴァイ「ばか共が」
    リヴァイはそう言い捨てて、ハンジを担いで酒場を後にした
  84. 84 : : 2014/05/13(火) 15:33:09
    リヴァイ「っち…重てぇ…」
    リヴァイは独りごちながら、ハンジを部屋に運び入れた

    真っ暗な部屋だが、カーテン越しにかすかに外灯の明かりが射し込む

    その明かりを頼りに、ハンジを部屋の隅のベッドに寝かせた

    スースーと規則正しい寝息をたてるハンジ
    その呼吸の度に、否が応にも女、と認識せざるを得ない胸の双丘が上下する

    リヴァイは呑気なハンジに、苦虫を噛み潰したような顔を向ける

    リヴァイ「隙だらけなんだよ、お前は…」
    そう言いながら、そっと身体に布団を掛けてやった

    側にあった椅子に腰を下ろし、その寝顔に目をやる

    あどけない寝顔
    起きていればよく笑い、よく泣き、よく怒る

    そのどの表情にも、いつしか惹かれている自分に気が付いた

    だから、キスをした…ごく自然な成り行きだ
    だがリヴァイには、それを喜ぶ事は出来なかった

    ハンジは勇者である
    魔王を倒せば、たちまち一国の王よりも名高い存在になるだろう

    そうなれば、自分の様な存在は、邪魔でしかない
    自分はただの、魔法使いなのだから

    だがもし、名高さでは勇者に劣らぬあの職につけたのなら…
    リヴァイはそこまで考えて、首を横に振った

    大それた事を考えすぎた…現実を見据えるのが自分の仕事だと言うのに

    リヴァイは、呑気に眠るハンジの頬をそっと撫でて、自室に戻った

  85. 85 : : 2014/05/18(日) 03:21:02
    次の日

    ハンジ「う…ん」
    ハンジが目を覚ますと、見慣れない天井が目に入った

    ハンジ「あれ…」
    ベッドから体を起こすと、服を着替えずそのまま寝てしまっていたのがわかった

    ただ、マントだけは脱いで、椅子の上に綺麗にたたんであった

    ハンジ「昨日の夜…そっか、酒場でお酒を飲んでから、記憶がないや…」
    ハンジは頭を振った

    誰かが運んでくれて、寝かせてくれたんだろう
    リヴァイかな…

    ハンジはそんな事を考えながら、マントを羽織り、部屋を後にした

    リヴァイと言えば…昨日はキスをした
    両親以外と初めてするキスだった

    思い出すだけで、顔が紅潮していくのがわかった…リヴァイに会うのが気恥ずかしい…だが、会いたい

    ハンジはそんな想いを抱えながら、早朝のアッサラームの町へ足を踏み出した
  86. 86 : : 2014/05/18(日) 03:35:42
    宿を出てすぐ側にあるベンチに、本を広げるリヴァイの姿があった

    ハンジは一瞬躊躇った後、リヴァイにそっと歩み寄った

    ハンジ「リヴァイ、おはよう」
    そう声をかけると、リヴァイは本から目を離し、ハンジを見た

    リヴァイ「よう…昨日はよく眠れたか?」
    そう言って、自分の隣を指し示す
    ハンジはリヴァイの隣に座った

    ハンジ「あ、うん。ねえ、リヴァイが部屋に運んでくれたの?」

    リヴァイ「ああ、そうだ。お前酒に弱すぎだろう、一杯だけでねちまいやがって…一人で絶対に酒飲むなよ?」

    ハンジ「うん、ごめんね、リヴァイ。昨日はいろいろあって疲れてたのもあるかもしれない、お酒も初めてだし…」
    そこまで言って、ハンジはまた顔を赤く染めた
    昨日のキスを思い出したのだ

    リヴァイ「…まあ確かにいろいろあったかもな」
    リヴァイはそんなハンジの様子にちらりと目をやり、また本に視線を移動した

    ハンジはそんなリヴァイの横顔を、じっと見つめる
    本を読む、真剣な眼差し…ハンジが好きな顔の一つだ

    思えばあまり笑ったり、砕けた表情をしないリヴァイ
    リヴァイの笑った顔はまだ見たことがない

    いつか、見せてくれるんだろうか…ハンジはそんな事を考えながら、リヴァイの横顔から目を離せずにいた
  87. 87 : : 2014/05/18(日) 05:14:38
    あちらでレスしようと思ったのですが折角なのでこちらで…
    88さんの書かれるハンちゃん本当に可愛くて大好きです
    これからの展開も楽しみにしてます!
  88. 88 : : 2014/05/18(日) 08:46:39
    >NonNameさん☆
    あちらにコメント下さっていたのですね♪ありがとうございます♪
    ここのハンちゃんは可愛くをモットーに頑張ります!!
    よろしくお願いいたします♪(*-ω-)
  89. 89 : : 2014/05/21(水) 13:30:20
    リヴァイ「朝飯食ったか?」
    本を閉じ、自分の方を見てそういうリヴァイに、ハンジは首を横に振った

    ハンジ「ううん、まだ。起きたところだから・・・」
    リヴァイはハンジのその言葉を聞いて、傍らに置いていた包みをぽんとハンジの手に乗せる

    リヴァイ「握り飯食っとけ」
    ぼそっとそう言うと、また本に視線を戻した

    ハンジ「リヴァイが作ったの?ありがとう!」
    ハンジは包み紙を開けて、さっそくぱくぱくと口に運び出した

    リヴァイ「・・・」
    その様子をちらりと横目でみて、また読書に励むリヴァイ

    ハンジ「んーおいしい!外で食べるとさらにおいしいよねえ!ピクニックみたいでさ!そう思わない?」

    リヴァイ「・・・どこで食っても同じ味しかしねえよ」
    リヴァイは嬉しそうなハンジを後目に、いつもどおり不機嫌そうな表情でぼそっと呟いた

    ハンジ「リヴァイは朝から不機嫌そうだねえ・・・爽やかスマイルとかできないの?」
    ハンジはそう言うと、リヴァイの頬を指でつついた

    リヴァイ「・・・んなもんできるわけねえだろうが」

    ハンジ「リヴァイはあまり笑わないもんね。笑わないどころか、あまり表情を変えないよね。怒る所は何回か見てるけど」
    ハンジは今度はおもむろに、リヴァイの頬を片手でつまんでのばした

    リヴァイ「・・痛・・なにしやがる」
    ハンジ「顔変わらないかなーと思って」
    リヴァイ「やめろ、ばかが。痛えだろうが」
    リヴァイは自分の頬をつねって伸ばすハンジの手をつかみ、代わりにハンジの頬をつねって伸ばした
  90. 90 : : 2014/05/23(金) 15:15:24
    リヴァイ「…今日は砂漠の旅になる。キツいぞ?まだ時間はある、休んでおいた方がいい」
    リヴァイは本を閉じ、自分の横顔をじっと見つめるハンジに、そう言葉をかけた

    ハンジ「大丈夫、たくさん寝たし、体調ばっちりだよ。リヴァイこそ、休まなくていいの?」

    リヴァイ「俺はいつも同じ時間に起きてるからな、平気だ」
    リヴァイはそう言いながら、ハンジの顔に手を伸ばす…ハンジはその手が顔に触れた瞬間、びくりと背中を震わせた

    ハンジ「あ…」
    一瞬のその感覚に、ハンジは思わず声を出した
    リヴァイはその様子に肩をすくめて、ハンジの眼鏡を外した

    リヴァイ「…眼鏡がきたねえ…ちゃんとみがいておけよな」
    そう言って、徐に眼鏡を拭き始めた

    ハンジ「あ、なんだ…眼鏡か…」
    ハンジは顔を真っ赤にした

    リヴァイ「…何を期待したんだろうな…変な声、出しやがって」
    リヴァイはそう言って、ふんと鼻を鳴らした

    ハンジ「なっ、何も期待してないよ!?変な声なんて出してない!!」

    リヴァイ「どうだかな…」
    ハンジ「リ…リヴァイのばか!!」
    ハンジは顔を真っ赤にして、そっぽを向いた

    リヴァイ「お前にばかと言われたくねえよ」
    リヴァイはそう言って眼鏡をハンジの顔に戻してやるのだった
  91. 91 : : 2014/05/26(月) 12:19:29
    早朝アッサラームを出て一路西へ

    砂漠の真ん中にあるオアシスを中心に栄えている国、イシスへと向かう

    本来ならば砂漠の横断は比較的過ごしやすい夜に行う事が多いが、この付近には夜、かなり強いモンスターが沢山現れるため、早朝に出発していた

    途中にあった小さな池の畔にある祠で休息をとり、情報を集めて、またイシスへと足を踏み出す

    ハンジ「イシスは美しい女王様が治めているらしいね♪お会いするのが楽しみだよ!!」
    ハンジは目を輝かせていた

    エルヴィン「確かに非常に気になるな」
    エルヴィンはニヤリと笑った

    ミケ「エルヴィンの最近の生臭坊主ぶりが酷いな」
    ミケはスンと鼻を鳴らした

    ハンジ「そうだよねえ…はじめてあった時には、凄くイケメンで落ち着いた、正統派だと思ったのに…」

    リヴァイ「言っただろうが。見た目に騙されるなと」
    リヴァイの言葉に、ハンジは素直に頷いた

    ハンジ「本当そうだよねえ」

    エルヴィン「お前達…酷いな…傷ついたよ」
    エルヴィンは項垂れた

    ハンジ「うわ、ごめんエルヴィン、言い過ぎた」
    エルヴィン「…デートしてくれるなら許すぞ」
    ハンジ「ばかっ!!」
    ハンジの肘鉄がエルヴィンの脇腹を捉えたのだった
  92. 92 : : 2014/05/26(月) 16:24:42
    太陽が一番高く上る時間を祠で過ごしたため、イシスに到着したのは夕方だった

    途中数回の魔物と対峙したが、危なげなく撃退した

    イシスの城下町に足を踏み入れると、まず目に入ったのは町に流れる小川だった

    ハンジ「砂漠とはいえ、水が豊富なんだね」

    リヴァイ「南の山岳地帯の貯水が、少しずつ砂漠の地下水となっているらしいな」

    噴水こそ無いものの、砂漠の真ん中とは思えない程の水量があった

    ミケ「今日は疲れたな。宿に向かうか」

    ハンジ「ああ、そうだね、そうしよう。少し休憩したら、夜のイシスを散歩しよう!」

    リヴァイ「俺は読みたい本がある。今日はミケとエルヴィンと回れ」
    リヴァイはそう言うと、踵を返した

    ハンジ「勉強かあ…わかった!!なら今日はミケに…」

    エルヴィン「俺は?」

    ハンジ「あ、じゃあ、仕方ないから一緒に…」

    エルヴィン「仕方ないからってなんだ!!処女喪失手伝ってやろうか!?」
    ハンジ「じょ…冗談だよ!!エルヴィン怖いよ…」
    ハンジはぶるっと身を震わせた

  93. 93 : : 2014/05/27(火) 21:32:52
    しばらく宿で休憩した後、イシスの城下町に繰り出した3人

    イシスの町の住民は、独特の白い布を体に巻き付けたような装束を着ていた

    ハンジ「肌の色が濃い人が多いね。顔立ちは堀深くて、端正で…美男美女が多い気がする」
    ハンジは道行く人を眺めながら感嘆の吐息をもらした

    エルヴィン「確かに、エキゾチックな美女が多いな。選り取りみどりだ」

    ミケ「また狙っているのか…懲りないやつだな」

    エルヴィン「狙ってはいないさ、目の保養させてもらうだけだ」

    ハンジ「エルヴィン僧侶辞めるべきだよ…」
    ハンジの言葉に、ミケが頷く

    ミケ「その通りだ…ってあれは…」
    ミケが突然駆け出した

    その先には…男に無理矢理担ぎ上げられる女性らしき姿があった
    回りには、数人の男女が倒れていた
  94. 94 : : 2014/06/05(木) 13:04:55
    ミケに続いて、ハンジとエルヴィンもその場に急ぐ

    野党の様な恰好の男たちが、数人の白装束の人達と戦っていたが、その力の差は歴然

    白装束の人達は次々と倒されていった

    女性を担いでいる男はその場を立ち去ろうとして失敗する

    ミケ「フッ!」
    ミケは女性を担いでいる男に体当たりをかますと同時に、脚を掛ける

    男がもんどりうって倒れる隙に、その腕から女性を奪い返した


    ハンジ「私たちも、加勢しよう」
    事情はよく飲めないものの、武器を持たない丸腰の白装束を相手に、野盗の連中はシミターを閃かせて無残に切って捨てている

    ハンジの判断は迅速だった

    エルヴィンが野盗に向かって剣で切り付ける
    もう刃こぼれがして、買い替え時の銅の剣なのだが・・・

    野盗相手には十分だったのか、エルヴィンの剣の腕前がいつの間にかあがったのか

    数人相手に一歩も引かずに、むしろ優勢に戦いを進めていた


    そしてほどなく・・・
    野盗はちりじりに逃げ、白装束の人たちと、ハンジ一行、そして女性がその場に残った
  95. 95 : : 2014/06/05(木) 13:14:08
    エルヴィンは倒れている白装束の人たちの介抱を始めていた
    ハンジも同様に、ホイミをかけて回る
    幸いにも死者はいなかった

    ミケ「ふう・・・」
    ミケは息をつき、抱いていた女性をそっと地面に下ろした

    「・・・ありがとうございます。旅のお方」
    凛とした美しい声

    イシスの住人と同じような白い布の装束を身にまとい、まったく飾り気のない衣装であるのだが、何故か住人とは違う雰囲気・・・気品を感じた

    そしてその顔は例えようもなく美しく、細くしなやかな身体は女性らしいふくらみはしっかりおさえつつも、くびれるところはしっかりとくびれていた

    黒くまっすぐな髪は腰の長さほどだろうか
    前髪は眉のあたりでまっすぐに切りそろえられていた
    その下で優しげな光を宿す瞳は、青く輝いていた

    ミケ「いや、俺は何も」
    ミケは思わずその姿に見惚れた

    「じょ、女王様・・・このような下賤の者と口をきいてはなりませぬ」
    白装束の一人があわてて間に割って入るが、女王…と呼ばれた美しい女性はそれを拒む

    女王「いいのです、この方々は命の恩人。城にお迎えしなさい」
    女王はきっぱりとそう言い、ミケの手を取って歩きはじめた
  96. 96 : : 2014/06/05(木) 13:49:15
    城の中は、砂漠の中の城とは思えない雰囲気だった
    地下の庭園には、水と緑があふれている

    そんな庭園の真ん中に設えてある白い椅子に、4人・・・
    ハンジ達と女王だ

    ハンジ「とても美しいお庭だねえ」
    ハンジはうっとりしながらきょろきょろあたりを見回した

    女王「気に入りましたか?勇者ハンジ。どうぞご自由に散策なさってくださいね」

    ハンジ「いいんですか?やったあ!エルヴィン一緒に来てよ!」
    ハンジはそう言って立ち上がると、エルヴィンの手を取った

    エルヴィン「・・・?ああ、デートのお誘いか。勿論フルコースだよな?」
    ハンジ「ち、違うよ!そんなんじゃないよ!もうバカエロヴィン!」
    エルヴィン「なんだ、その新しいあだ名、やめてくれないかな」

    ハンジとエルヴィンはそんなことを言いながら、庭園内の橋を渡って行った

    女王「うふふ、にぎやかな勇者様なんですね」
    女王は笑みをこぼした

    ミケ「まあ・・・いつもあんな感じ・・・です、女王陛下」
    ミケは頷いた

    女王「いつも、貴方は敬語をお使いになるの?そうでなければ、普通に話して欲しいのですけれど」
    少しさびしそうな顔を見せる女王に、ミケは首を傾げた

    ミケ「だがあなたは女王・・・」

    女王「今は、命を助けられた者と、その恩人です」
    女王はそう言って、ミケの手をテーブルの下で握りしめた
  97. 97 : : 2014/06/05(木) 13:55:51
    女王「とってもお強いのですね・・・先ほどは本当に危ないところを、ありがとうございました、ミケ」
    女王はミケの手を握りながら静かにそう言った

    ミケ「いや、きな臭いとおもって加勢しただけだ、俺は何もしていないし・・・」

    女王「街中で襲われるとはまさか思っておらず、兵にも武器を持たせていなかったので・・・うかつでした」

    ミケ「さすがにいくら街中でも、旅の者たちがいる、ピラミッドのお宝目当ての野盗もいるだろう、気を付けた方がいい」

    女王「そうですね・・・今後は気を付けなければなりません、ですが・・・」
    女王はそこで言葉を切った

    そして、ミケの顔をじっと見つめる

    ミケ「?」
    ミケは首を傾げた

    女王「ですが・・・おかげで貴方と出会えました」
    女王はそう言うと、テーブルの下で握った手に力を込めた

    ミケ「・・・」
    ミケはその言葉の真意をはかりかねて、自分の手を握りしめるその美しい女性の顔をじっと見つめた

    その頬は、ほんのり朱に染まっている様に見えた
  98. 98 : : 2014/06/05(木) 14:52:57

    それから、二人でしばらく話をした
    美しいと言われる事にどんな価値も見いだせないという事
    自由に恋愛すらできず、旅にでたいのにでられないという事

    女王・・・イシスはミケに思いのたけを打ち明けた

    その話を、ただ頷いて聞いているだけのミケ
    女王はそんなミケの手を、話の間離す事はなかった

    そして、夕食を4人で共にし、イシスの城を出た時にはすでに日が暮れ、夜になっていた


    ハンジはリヴァイの部屋を訪れた
    イシスの女王の計らいで、またしても部屋を人数分確保してくれたのだった

    ノックをすると、返事が返ってきた
    リヴァイ「今、本で忙しい・・・」
    そう一言だけ

    ハンジ「そっか・・・お城でもらってきた食べ物の折詰、美味しいから食べてね、リヴァイ」
    ハンジは扉の向こうにそう呼びかけると、部屋の扉の前に食べ物を置いて、自室へ戻った


    夜のイシス城
    その裏手の城壁を器用に上る人影

    身体の大きさのわりに身軽なその人物にとって、これくらいの壁は難なくよじ登る事ができた

    その人物は、城の主に請われてこうして夜の城にこっそり忍び込んでいるわけだが、いまだにその理由が把握できずにいた
  99. 99 : : 2014/06/05(木) 18:32:32
    城のある一室に、窓から身体を滑り込ませる

    その部屋の位置は、城の主女王イシスから聞いていた

    微かな灯りが部屋を照らしていた
    部屋の中央辺りに人影が見える

    その人影は、窓から侵入してきた者に歩み寄る

    イシス「わざわざご足労頂いて…すみません、ミケ」
    侵入者に向かってそう声をかけた

    ミケはスン、と鼻を鳴らす
    ミケ「いや、対して苦もなく登れた…部屋の位置や警備ももっと厚くした方がいい」
    ミケは肩を竦めた

    イシス「…ふふ、そうですね、貴方みたいな方が、他にいるとは思えませんけど」
    イシスは愉しげに微笑んだ

    そして、目の前に立つ長身の男にその身を投げ出す

    ミケはイシスのその行動にいささか面食らいながらも、その身体を抱き止めた
    鼻先を首筋に近付け、何時ものように匂いをかぐ

    ミケ「いい匂いだ…だが、俺の鼻も鈍ったか、処女の匂いがする」
    ミケのその言葉に、イシスは顔を上げた

  100. 100 : : 2014/06/05(木) 18:50:46
    イシス「私が処女では、変ですか…?」

    ミケ「いや、変ではない、意外ではあるが、な」

    イシスは女盛りだ
    醸し出す色気は隠しようもないくらいに溢れている

    顔は勿論、その身体はまさに咲き誇らんばかりの美しさと瑞々しさ

    まだ誰にも抱かれた事が無いと言うのが不思議に思えた

    自分の側にいるもう一人の、元祖処女とはまた違う…

    あっちの処女はまだ初々しく可愛らしい…けっして女らしく無い訳ではないのだが

    イシス「本当は、勇者様にこの身を捧げるつもりでした…ですが、勇者様は可愛らしい女性でした」

    ミケ「だからと言って…何故…」
    ミケは首を傾げた

    イシス「貴方は易々と私を助け、易々と城の壁を登り、こうしてここに来てくださいました…貴方は勇者も同然です…それに…」
    女王は、そこまで言って言葉をきった

    イシス「それに…貴方を一目見た時から…運命を感じました」
    イシスはふう、と息を吐いた…その吐息は、熱を帯びていた
  101. 101 : : 2014/06/05(木) 19:17:10
    ミケ「一目惚れか…?ただの旅人に女王が、その身を投げ出すか…」
    ミケは女王の肩に手を置き、その顔を覗いた

    頬を朱に染めたイシスは、得も言われぬ美しさを醸し出していた

    ミケがその頬に触れると、イシスはくすぐったそうに目を閉じた

    花開いた美しい唇に、ミケは少しためらった後、自分の唇を重ねた

    イシス「あ…」
    唇が離れると、イシスはまるで名残を惜しむかのように声を出した

    ミケ「…キスが気に入ったか?」
    ミケはそう言って、スンと鼻を鳴らした

    イシス「ま…貴方はいじわるです、ミケ…」
    イシスはますます顔を赤く染めた

    ミケ「すまん、あまりに残念そうな顔をするし、変な声は出すしな…」

    イシス「ま…ミケのいじわ…」
    イシスの言葉は途中で途切れた

    今度はイシスの望み通り、ミケは彼女の唇に、自分のそれをしっかり密着させた

    かすかに開いた唇の隙間を逃さず、ミケの舌はそれをこじ開ける

    イシスの口内を這い、奥に逃げる彼女の舌に、自分のそれを絡ませた



  102. 102 : : 2014/06/05(木) 20:26:34
    こっちも読んでます☆
    期待です!
  103. 103 : : 2014/06/05(木) 21:00:34
    >甘夏さん☆
    こちらも読んでくださって、ありがとうございます♪
    頑張りますね!!
  104. 104 : : 2014/06/05(木) 22:13:57
    ミケ・・・ッ テ、テメェ!!!

    よく、あのドット絵+同じことしか言わない住人+喋らない主人公から
    お話を膨らませられますね~!

    最近気づいたこと
    88さんの小説がイキイキしてるのは、情景描写の豊富さも一因(だと思ふ)
  105. 105 : : 2014/06/05(木) 23:11:19
    >かっくんさん☆
    ミケww
    あまり主張しない主人公だからこそやりやすいのかもw
    イキイキしてますか!?嬉しいです!!頑張ります♪
  106. 106 : : 2014/06/08(日) 13:05:41
    期待だぜハニー♪ミケの旦那がイケメンすぎて辛いww
    エルヴィンの扱いがエロヴィンに…あの大人の余裕がええわあ。
    続きが気になる(*^▽^*)
  107. 107 : : 2014/06/09(月) 11:08:08
    ダーリン☆
    ミケにもちょっとくらいねwww
    エルヴィンはもうエロヴィン状態w
    続きがんばります!
  108. 108 : : 2014/06/09(月) 18:33:56
    月明かりにだけ照らされた二人の影は、やがて一つになる

    二人の忍んだ逢瀬は、窓から射す月明かりだけが知っていた


    イシス「ミケ…もう行ってしまうのですか…?」
    事を終え、しばしそのままイシスの身体を抱いていたミケだが、やがてベッドから降り、衣服を羽織始めた

    ミケ「ああ、明日はピラミッドだ。朝も早い」

    イシス「そうですよね、あなたは勇者の一行…ここで夜を明かすなど出来ませんよね…」
    イシスは少し寂しそうに俯き呟いた

    ミケ「すまない…」
    ミケはもう一度ベッドに腰を掛け、イシスの頬に手で触れた

    イシス「いいえ…私のわがままを聞いてくださって、ありがとうございます、ミケ」
    イシスは微笑みを浮かべた

    ミケは首をふり、立ち上がった

    イシスは自らの手首に着けていた腕飾りを外し、ミケに手渡した
    ミケ「これは?」

    イシス「星降る腕輪…です。身が軽くなる様です。あなたの旅のお役に立てたら…」

    ミケ「ありがたく頂戴しておくよ…俺の腕には小さそうだ。勇者に渡しておこう」

    イシス「勇者様にもよろしくお伝え下さいね…そして、また来てください…待っています、ミケ」

    ミケ「ああ、旅が終わったらな…」
    ミケはそう言って、イシスの部屋の窓から身を踊らせた
  109. 109 : : 2014/06/09(月) 18:49:45
    ハンジ「ピラミッドにはさ、不思議な仕掛けがたくさんあるらしいね…何かさ、通路の真ん中を歩いていたら落とし穴があったりさぁ…」

    エルヴィン「そうらしいな、秘宝も眠っているらしいぞ?ピラミッドの地下にな」

    ハンジ「すっごい高価なお宝なのかなあ!?あとはさ、魔法の鍵もあるらしいよ」

    ハンジはリヴァイの部屋を訪れた後、一人で部屋で今日仕入れた情報を整理していた

    そこに飲み物を持ったエルヴィンが来たので、一緒に明日行くピラミッドの話をしていたのだ

    エルヴィン「魔法の鍵か…ハンジの部屋に入りたい放題になるな」
    エルヴィンはにやりと笑った

    ハンジ「な、何やましいことに使おうとしてるんだよ!?エルヴィンたら!!」

    エルヴィン「やはり駄目か」

    ハンジ「当たり前だろ… もう、エルヴィンは本当にエロヴィンだよ!!」

    エルヴィン「自らの欲に忠実なだけだよ。男なんてみんなそんなものだ、ははは」

    ハンジ「ははは、じゃないよ!!もう少し自重した方がいいんじゃないの?エルヴィンは!!」
    顔を真っ赤にして怒るハンジに、エルヴィンは微笑みを浮かべる

    エルヴィン「まあ、冗談だよ、ハンジ。処女の部屋を覗いてもあまり特は無さそうだしな」

    ハンジ「エルヴィンは一言多いよ!!」
    ハンジはそう言って、ふんと顔を背けたのだった
  110. 110 : : 2014/06/25(水) 09:23:07
    翌朝、一行は早朝からピラミッドに向けてイシスから北上した

    一時間ほど進むと、目の前に巨大なピラミッドが見えてきた

    ハンジ「うわあ…おっきいねえ!!」
    ハンジはピラミッドを見上げて感嘆の声をあげた

    エルヴィン「落とし穴にいきなりはまるなよ、ハンジ」
    エルヴィンはにやりと笑った

    ハンジ「だ、大丈夫だよ…ミケに先頭行ってもらうもん」

    ミケ「なんだ、俺を犠牲にするつもりか?」
    ミケは肩をすくめた

    エルヴィン「ミケを踏み台に前に進むとは、鬼畜勇者だな、ハンジ」

    ハンジ「ち、違うよ!!ミケは鼻が効くからさ、罠っぽいのもわかるんじゃないかと…」

    ミケ「まあ、先頭は任せておけ」
    ミケはふんと鼻を鳴らした

    リヴァイ「行くぞ、何が起こるかわからん、気を付けろ」
    リヴァイの静かな言葉に、一行は頷いた
  111. 111 : : 2014/06/25(水) 09:23:23
    ピラミッド内部は、なぜだろうか・・・砂漠のど真ん中にあるにもかかわらず、じんわりと湿った様な空気が内部に充満していた
    風が通る隙間など見当たらないほどに緻密に組み上げられた石の建造物なのだが、どこからか、肌を撫でる風が吹いていた

    ハンジ「なんだか…へんな模様の壁画だねえ」
    ハンジはミケの背中にへばりつく様に歩みながら、ものめずらしげに視線をきょろきょろさせていた

    エルヴィン「ハンジは怖がりなのに、いろんな事に興味深々だよな」
    エルヴィンがその様子をみて笑みを浮かべた

    リヴァイは後方から抜け目なく、周囲の様子に気を配っていた

    ミケ「いろんな事・・・なあ。確かに、昨日の夜どこに行っていたのか、しつこく聞かれて参った」
    ミケは肩をすくめた

    ハンジ「だって、心配するじゃないか・・・急にいなくなるんだもん」
    ハンジはぷぅと頬を膨らませた

    エルヴィン「夜いなくなるなんて、アレしかないだろう?いい加減に察する事を学べ、ハンジ」
    エルヴィンはハンジのふくれっ面を指でぶしっと潰しながらそう言った

    リヴァイ「おい、無駄口はその辺にしておけ・・・あたりからいやな空気を感じる・・・気がする」
    リヴァイが静かにそう口を開いた

    ミケ「気が付いたか、リヴァイ。右前方、曲がり角の所になにか、いる」

    ミケの声に、ハンジはびくっとしたが、すらりと剣を抜く
    ハンジ「ピラミッドって、王家の墓なんだよね?ってことは、お化け…な可能性も。もしお化けならよろしくね、リヴァイ」

    お化けに剣が効かない事は、ハンジも学んだのであった

    リヴァイ「ああ」
    リヴァイは頷いた
  112. 112 : : 2014/06/25(水) 09:23:34
    曲がり角の手前で全員が臨戦態勢と整えていたその時・・・予想通り、曲がり角から何かがぴょこんと飛び出してきた
    ハンジ「・・・うわあ、きれい!!!」
    ハンジは飛び出してきた物を見て目を輝かせ、思わず歩み寄った

    それは宝石をたくさん入れた袋・・・の様な形をしていた
    ぴょこんと飛び出したまま、袋は動かない
    ハンジはその宝石にそっと手を伸ばした、その時

    ハンジ「きゃっ!痛っ!」
    突然宝石袋が隠していた大きな口をあけ、ハンジの手を噛んだ

    ミケ「ハンジ!」
    ミケがあわててハンジの手を噛んでいる袋に、拳を食らわせた

    エルヴィン「ハンジ・・・おっちょこちょいだな、君は」
    リヴァイ「・・・ちっ、ちょっとは怪しめクソメガネ」
    リヴァイは限界まで眉を引き絞った

    ハンジ「ご、ごめん!ついうっかり」
    ハンジはぺろりと舌を出した

    ミケ「あれを倒せば一財産になりそうだ・・・やるか」
    ハンジ「よし、倒そう!」
    エルヴィン「いい酒が飲めそうだ」
    リヴァイ「本がたくさん買える・・・」

    全員目を血走らせ、宝石の魔物に押しかけた
    すると、宝石袋は出てきた時よりずいぶん早いスピードで、逃げ去ってしまった

    ハンジ「逃がしちゃったよ・・・手を噛まれ損だ」
    ハンジは項垂れた
  113. 113 : : 2014/06/25(水) 09:23:44
    宝石袋という名の一財産を逃して意気消沈している一行は、地道に稼ごうという思いを新たにピラミッドの奥へと進んだ
    ハンジ「まんまるボタンは おひさま ボタン♪ ちいさなボタンで とびらが ひらく♪はじめは ひがし つぎは にし♪」
    ハンジは先ほどから思い出したかの様に、独特な音階で歌を口ずさんでいた

    エルヴィンが耳をふさぐ
    エルヴィン「なあハンジ、歌の内容はともかく、その音程はどうにかならんのか?」

    ミケ「たまに出す高音が、叫び声にしか聞こえん」
    リヴァイ「夢に出てきそうなほどの歌声だ・・・悪い意味でな」

    ハンジ「ちょっと、ひっどいなあ。これがピラミッドで役に立つかもしれない歌だって、お城の人が教えてくれたんだよ?子どもが歌っていたわらべ歌なんだ」
    エルヴィン「そういえば、城にいた時に子どもがずっと歌ってたな・・・メロディーが似ても似つかなくて、おなじ歌だと気が付かなかった」
    エルヴィンは肩をすくめた

    ハンジ「さらっと私が音痴だと言いたい訳だね、エルヴィン」
    エルヴィン「ああ、そうだ」
    ハンジ「・・・ふんだ!」
    ハンジはまた頬を膨らませた

    ミケ「最近お前ら仲良いよな」
    ミケがその様子を見てそう言った

    ハンジ「仲良くない!!冗談!こんな変態と仲良くないよ!」
    エルヴィン「いやあ、やはりそう思うか、ミケよ」
    ハンジ「見た目はともかく性格が嫌だ!女癖悪いし!浮気ばっかりされそうだし!」
    ハンジはぶんぶん首を振った

    リヴァイ「・・・まて、ハンジ。もう一回、歌を歌え」
    リヴァイが突然ハンジの肩をつかんでそう言った
  114. 114 : : 2014/06/25(水) 09:23:56
    ハンジ「へっ?!」
    突然肩をつかまれて見つめられ、ハンジは顔を真っ赤にした

    リヴァイ「早くしろ」
    ハンジ「う、うん。ハンジ「まんまるボタンは おひさま ボタン♪ ちいさなボタンで とびらが ひらく♪はじめは ひがし つぎは にし♪」

    エルヴィン「何か隠されたヒントでもあるのか?リヴァイ」
    エルヴィンは首を傾げた

    リヴァイは目の前にある壁を指さした
    リヴァイ「あの壁の向こう、行き止まりのようだが、建物の構造的にその先がある様に思う。で、そこに太陽の模様が描かれている」

    ミケ「・・・おひさまぼたん?」

    リヴァイ「ああ、始めは東、次は西。順にボタンを押していけば、あの太陽の模様の壁が動くような仕掛けがあるかもしれん」

    ハンジ「なるほど!そっか!だからピラミッドで役立つって言ってたのか!」
    ハンジはぽんと手を叩いた

    エルヴィン「そうと決まれば善は急げだ、早速やってみよう」
    一行はわらべ歌の通り、まずは東へ向かい、行き止まりにあったちいさな丸いボタンを押した
    そして、次は西へ向かい、同じようにボタンを押した、その時・・・

    ゴゴゴゴと音が、ピラミッド中に響き渡った
    太陽の模様の壁の前に戻ると・・・その壁は両側に開いて降り、行き止まりと思われていた先には宝箱と・・・奥には階段が見えた

    ハンジ「ビンゴだ!さすがリヴァイ」
    ハンジは嬉しそうに微笑んだ
  115. 115 : : 2014/06/25(水) 09:24:08
    進んだ先の宝箱には・・・
    リヴァイ「魔法の鍵だ。盗賊の鍵では開かない扉も、開けられる様になる。旅の助けになるだろう」
    リヴァイはその鍵をハンジに手渡しながらそう言った

    ハンジ「綺麗な鍵だなあ・・・なくさない様にしなきゃ!」
    ハンジは鍵を鞄に大切にしまい込んだ

    エルヴィン「さて、奥へ行くか?それとも戻るか?とりあえず鍵入手が目的だったよな?」
    ミケ「少し頼みがあるんだが」
    ミケがぼそっと言葉を発した

    ハンジ「何だい、ミケ?」
    ミケ「実は、このピラミッドの地下に、黄金の爪とやらがあるらしい。ピラミッドの外にでるまで呪われるらしいが、外に持ち出しさえすれば、かなり強力な武器になるらしい」

    リヴァイ「・・・呪いか、どういった類かが問題だな」
    エルヴィン「その話は俺も城で聞いた。どうやらまだ持ち去る事に成功した奴はいないらしいな、どうする?ハンジ」

    ハンジ「ミケの頼みなら・・・行こう!お化け、出るかもしれないけど!」
    ハンジはにっこり笑って、拳を天に突き上げた

    ピラミッドの地下は、より一層じめっとしていた・・・あたりには人骨が散乱していて、黄金の爪を狙った人の運命を如実に示していた
    ハンジ「こわ・・・」
    ハンジは身を震わせたが、それでも前に進んだ
    そして、難なく奥に到達した・・・そこには棺が置いてあった
    ミケがそれをそっと開けると・・・

    ミケ「ほう・・・これか」
    中には噂通り、黄金に輝く爪が入っていた
  116. 116 : : 2014/06/25(水) 09:24:38
    ハンジ「はめてみて・・・念のため、マヌーサの用意、しておいて、エルヴィン」
    エルヴィン「ああ、呪いでミケに暴れられてはかなわんからな」
    ハンジは頷いた

    ミケ「じゃあはめるぞ?」
    ミケは黄金の爪を装着した

    リヴァイ「・・・何も起きねえな」
    ハンジ「ほっ、ミケ大丈夫?」
    ミケ「ああ、何ともない・・・む、匂う、全方向から、多数・・・!」

    ミケは突然そう叫んだ
    そしてその嗅覚通り・・・

    沢山の包帯を巻いた人間の様な魔物が、全方向から湧き出るように現れた
    ハンジ「ぎゃあああ!おばけええ!」
    ハンジはそう言いながらも剣を抜き去り、退路を確保すべく、入口の方向にいる包帯人間に切り付けた

    剣は包帯人間を確実にとらえる・・・おばけではない様だ
    リヴァイ「あれはマミーだ。強いぞ、退路を確保しながら、背後にも警戒を怠るな」
    リヴァイはそう言いながら用意していた呪文と解き放つ

    リヴァイ「ベギラマ!」
    リヴァイの力ある言葉は・・・だが、周囲になんの変化ももたらさなかった

    エルヴィン「何?!ニフラム!」
    エルヴィンも、神聖魔法を唱えたが、そちらも発動しなかった

    リヴァイ「ここでは魔法が使えねぇのか・・・ちっ」
    リヴァイは舌打ちをした
  117. 117 : : 2014/06/25(水) 09:24:50
    ハンジ「ここは何とか魔法なしで乗り切ろう!」
    ハンジの言葉に、一行は頷いた

    そこからは激しい死闘・・・だった
    ハンジ次々に湧き出るマミーを際限なく切りまくる
    エルヴィンもミケも、リヴァイも、各々の武器で応戦した

    新しく買ったはずの鉄の剣が、刃こぼれをするほどに何度も何度も、何匹も倒し続けて・・・
    やっとピラミッドを出る事が出来た

    ハンジ「はあ・・・はあ・・・やった、出られたよ」

    ミケ「済まない、まさかこんなに大変だとは」
    ミケは頭を下げた

    エルヴィン「魔法が使えないとは、厄介だったよな。しかし・・・その爪、あれだけ敵を屠ってきたにもかかわらず、輝き一つ鈍らないな」
    エルヴィンはミケの手にはまっている爪を見て言った

    ハンジ「私の剣なんて、買ったばかりなのにもうこんなんだよ?」
    刃こぼれして使えなくなった鉄の剣をかざして、ため息をついた

    リヴァイ「呪いも解けたようだな。とりあえず、イシスへ戻るぞ・・・ハンジ」

    ハンジ「あ、うん、皆つかまって」
    ハンジは皆が体をつかんだのを確認してから、ルーラを唱えてイシスに戻った
  118. 118 : : 2014/06/26(木) 17:55:21
    イシスの城下町に戻った一行は、宿に引き上げた

    その後、情報収集と夕食のために、宿から外に繰り出した

    辺りは夕暮れ時
    家々には明かりが灯され、窓からは家族の団らん風景が垣間見える

    ハンジはそれを、少しだけ羨ましげに見つめた

    エルヴィン「どうした、ハンジ。家が恋しくなったか?」

    エルヴィンはそんなハンジを見とがめて、顔を覗いた

    ハンジ「う、うん、少しだけね」
    ハンジは少し寂しげに微笑んだ

    エルヴィン「少しだけ…か、その割りには、捨てられた子犬の様な目をしていたぞ」

    ハンジ「そんな顔してないよ!!大丈夫だってば!!」
    ハンジは頬を膨らませた

    エルヴィン「そうか、気のせいか。まあ寂しいのも、お腹がいっぱいになれば治る治る」
    エルヴィンはそう言って、ハンジの頭を撫でた

    ハンジ「ちょっとエルヴィン!!子供扱いしないでよね!!まったくもう!!」

    エルヴィン「身体は大人に片足突っ込んでいるが、心はこども…」

    ハンジ「もう!!違うよ!!私は…どっちも、大人だもん…」
    ハンジはそう言って、俯いた
  119. 119 : : 2014/06/27(金) 09:59:17
    ハンジ「ねえエルヴィン、ミケって、イシスのお城に行くって行ってたんだよね。綺麗な、女王様に会いに行ったのかな」
    小さな食堂で夕飯にありつきながら、向いに座っているエルヴィンに問いかけた

    エルヴィン「ああ、そうだろうな。あの女王は、ミケを気に入っていたしな」
    エルヴィンは頷いた

    ハンジ「ミケは背が高くて、強くて、それに実は優しいし・・・いい男、だと思う。うん。ちょっと変なくせはあるけど」

    エルヴィン「ああ、そうだな。ミケに惚れたのか?ハンジ」
    エルヴィンはいたずらっぽい笑みを浮かべた

    ハンジ「そんなわけないだろ、いや、嫌いじゃないけど、仲間として好きだけどね」
    ハンジはそう言って、夕食をつついた
    だが、先ほどから食はほとんど進んでいなかった

    エルヴィン「・・・ハンジ、お前大丈夫か?しんどいのか?さっきから全然食べていないじゃないか」
    その様子を見咎めたエルヴィンが、心配そうな面持ちで言葉を発した

    ハンジ「ん?ううん、しんどくないよ、平気。ちょっと考え事をしていただけ」
    ハンジはそう言ってにこっと笑うと、食べ物を口に運び始めた

    エルヴィン「ハンジ、お前そう言えば最近、あまりリヴァイと絡んでないな」

    エルヴィンの言葉に、ハンジはびくっと身体を震わせた
    ハンジ「あ、そうかな?そんな事ないよ」
    ハンジはそう言うと、俯いてまた食事を口に運んだ

    エルヴィン「何か、あったのか?」
    エルヴィンのその言葉に、ハンジは首を振る

    ハンジ「何も・・・無いよ」
    ハンジは顔を上げて微笑んだ、だがその表情はどことなく哀しげに見えた
  120. 120 : : 2014/08/03(日) 22:02:42
    エルヴィン「何も無いなら、いいんだがな。しっかり食べないと、身体がもたんぞ、ハンジ」

    ハンジ「うん、そうだよね」
    ハンジは素直に頷いた

    エルヴィンは、訝しげな表情をハンジに向けた

    リヴァイの態度が最近おかしいのは、エルヴィンにもわかっていた

    かと言って、理由まではわからない

    一度あいつに聞いてみるべきなのかな、と思うのだが、何故かその行動に積極的に出ない自分がいた

    エルヴィン「ハンジ、ほら、ちゃんと食え。あーん」
    エルヴィンは、肉の切り身をフォークに突き刺して、ハンジの口元に押しやった

    ハンジ「恥ずかしいよ…あーんとか…」
    ハンジは頬を染めながら後ずさりした

    エルヴィン「俺の肉が食えんと言うのか!?女ならみんな喜んで食べるんだがなあ…」
    エルヴィンは寂しげな表情をハンジに見せた

    するとハンジは慌てて肉を口に入れた

    ハンジ「そ、そんな顔しないでよ、エルヴィン…」

    エルヴィン「ハンジ、食べてくれたか…嬉しいよ」
    エルヴィンの微笑みに、ハンジは照れたような笑みを浮かべた


  121. 121 : : 2014/08/11(月) 09:07:17
    ハンジ「エルヴィンはずるいよねえ…生臭坊主のくせに、なまじ顔がいいから、ちょっと笑うだけで許されちゃうもん…」

    ハンジはそう言いながら、頬を膨らませた

    エルヴィン「生臭坊主とはなんだ、人聞きの悪い。この旅の間、お前にも他の女にも手を出していないだろうが」

    ハンジ「そうなの?行く先々でナンパしてるのかと…って冗談だよ冗談!」
    エルヴィンが鋭い視線を向けている事に気がつき、ハンジは慌てて言葉の矛先を納めた

    エルヴィン「俺は真面目なんだよ」

    ハンジ「自分で言ってるのって、信用できないなあ…エルヴィンは頭の中でなに考えてるのかわかんないし」

    エルヴィン「わかってくれよ、ハンジ」
    エルヴィンはハンジの手を握り、真摯な眼差しを向けた

    ハンジは顔を真っ赤にした
    ハンジ「ちょ、ちょっと!!エルヴィン?!」

    エルヴィン「手を握っただけで顔が茹でたこの様になったな。興味深い。本番はどうなるのか気になるところだ」

    ハンジ「エルヴィン!!本番って何だよ!?やっぱり生臭坊主だ、エルヴィンは!!」
    ハンジはなんとか握られた手を離そうとしながら、叫んだのだった
  122. 129 : : 2014/08/25(月) 08:35:19
    情報を集めながら、エルヴィンと町を歩くハンジ

    リヴァイの様子がおかしいのは分かってはいたものの、自分が何をしでかしたのか、見当もつかなかった

    旅も進めなければならない
    立ち止まっている暇はないのだ

    父の行方、魔王の討伐…
    いろいろ成さねばならない事がある

    自分の色恋沙汰に、うつつをぬかしている暇はない…ハンジはそう思いながらも、やはりリヴァイの態度の豹変が気になってしまうのであった

    エルヴィン「明日は、東の地方へ行ってみるか。アッサラームの東の山脈を越えた先だ。洞窟を越えなければならないらしいが…」

    ハンジ「番人に通せんぼ、されているらしいねえ。話を聞きに行ってみようか…全く通れない訳では無いみたいだし」

    エルヴィン「そうだな、勇者ご一行なら通してもらえるかもしれんしな…勇者らしくしておけよ、ハンジ」

    エルヴィンはハンジの頬をびょんと指で引っ張りながら言った

    ハンジ「痛っ!!止めてくれよ、エルヴィン!!」

    エルヴィン「変な顔をしているからだよ。元気出せ、ハンジ」

    エルヴィンはそう言って、ハンジの頭を優しく撫でたのだった

  123. 130 : : 2014/08/26(火) 20:49:22
    イシスの夜が明けた

    ハンジは早朝一人、外で剣の稽古をしていた

    前にリヴァイにアドバイスをされた、シールドを使っての戦い…これをマスターするためだ

    身軽なハンジには一見盾の使用は本人の力を殺ぐ様に思えるが、これからの戦いは、盾無しではやっていけないと、自分で結論付けたのだ

    ハンジ「ヤッ!!ハァッ!!セイッ!!」

    気合いの掛け声と共に、剣を振りながら盾を構える
    攻撃の際に一瞬出来る隙を、盾で補う練習も兼ねていた

    ハンジ「はあ、はあ…やっぱり盾使うと左手が疲れる…当たり前だけど」
    盾を地面に置いて、ハンジは息を切らせた

    ハンジ「でも慣れなきゃだもんね…うん、頑張らなきゃ!!」
    ハンジはそう言って、自らの頬をぱちんと両手で叩くと、また稽古を再開させた

    ハンジのその姿を、リヴァイが宿の窓から見ていた事に、勿論ハンジは気がついていない

    リヴァイ「ハンジ…」
    リヴァイはぐっと拳を握り締め、そして目を伏せた
    …まるで何かに、堪える様に
  124. 132 : : 2014/08/27(水) 13:25:29
    ルーラというワープ呪文で、一行は目的地である東の洞窟に近い、アッサラームの町へ戻ってきた

    砂漠であるイシスに比べれば、この付近は格段に過ごしやすい

    ハンジ「イシスは暑かったねえ…顔が日にすっかり焼けちゃったかもしれない…何だかひりひりするんだ」
    ハンジは頬の辺りを押さえながら言葉を発した

    エルヴィン「確かに日焼けしたみたいだな。リヴァイにヒャドでもかけてもらえば冷えるぞ?」

    ハンジ「そんなの、冷えるだけじゃ済まないよ!!凍っちゃうって!」
    ハンジは頬を膨らませた

    すると、リヴァイがハンジの頬に手を伸ばして触れた

    ぬるっとした感触が、ハンジの頬に伝わる

    リヴァイ「それでも付けとけば治る」
    リヴァイはぼそっと呟くと、そっぽを向いた

    ハンジ「リ、リヴァイ…ありがとう…」
    リヴァイがハンジの頬に触れたのは、軟膏を塗るためだった

    それでもハンジは、久々にリヴァイに触れて貰えたことに、心を震わせるのだった

    ミケ「スン…仲直りしたのか」
    エルヴィン「元々喧嘩はしていないと思うんだがな」
    内心二人の仲を心配していた年長者二人は、目を見合わせた
  125. 134 : : 2014/08/28(木) 09:10:10
    ハンジ「通して貰えないの?!」
    ハンジは背の小さなひげ面の男に聞き返した

    ここはアッサラーム東の洞窟…アッサラームと、東の地域を結ぶ、陸路唯一の道だ

    だが、この小さな男は一行の願いを一蹴した
    男「ここはロマリアの西にある、ポルトガ王国の管轄、わしはここの守りを任されておる。王が許可せねば、勇者といえど通すわけにはいかん。それに、お前みたいなちんくしゃな女が勇者だとは信じられんしな。一昨日来やがれ!」

    ハンジ「ちんくしゃ!?」
    エルヴィン「ははは!!」
    ハンジ「エルヴィン、笑い事じゃないだろ…」
    情けない顔をするハンジに、エルヴィンはぽんぽんと頭を叩いた

    ミケ「まあ、ポルトガとやらに行ってみるしかないか」

    リヴァイ「そうだな。ポルトガの王と言えば、これまた変わり者らしいが…」

    ハンジ「ロマリアといい、王ってなんで変わった人が多いのかなあ…アリアハンの王様は普通だけどさ…」

    エルヴィン「イシスの女王はいい女だったがな、ミケよ」

    ミケ「まあな」
    エルヴィンのしたり顔に、ミケはスンと鼻を鳴らした

    ハンジ「じゃあ、さっそくロマリアにルーラしよう!!」
    一行はポルトガを目指すべく、旅を再開させた
  126. 135 : : 2014/08/29(金) 09:16:53
    ロマリアの北西に位置する、旅のほこらから、西の国ポルトガへ渡る

    そこを通り抜けると、海の香りが漂う街道筋に出る
    海沿いの街道を南下し、やがて岬の先端に、立派な城が見えてきた

    ハンジ「うわあ~どんな所なのかなあ!!楽しみだ!!見て?沢山船がとまっているよ!!」

    リヴァイ「ポルトガは貿易の要地だからな。世界中の貿易船がここに集まってくる」

    エルヴィン「この国になら、大陸を渡る船があるんじゃないか?」

    エルヴィンの言葉に、ミケがすん、と鼻をならす
    ミケ「ま、ただでは貸してもらえんだろうがな」

    ハンジ「とにかく行ってみるしかないね!!小さいおっさんに、洞窟通して貰わなきゃだし」

    エルヴィン「話のわかる王ならいいんだがなあ…」

    一行は一抹の不安を抱えながら、ポルトガの町に足を運んだ

  127. 136 : : 2014/08/29(金) 17:47:35
    ポルトガに入ると、沢山の商人や船乗り達が、船着き場と市場を往き来していた

    ハンジ「凄く活気がある町だねえ」
    ハンジは目を細めながら、行き交う人々を眺めていた

    エルヴィン「そうだな、魔物が出る海域が多いからか、戦士や魔法使いの姿もよく見かける…用心棒といった所だな」

    リヴァイ「とりあえず、城へ行ってみるか?船を貸してもらえるかもしれない。船があれば、更に遠くへ旅を進められる」
    リヴァイの言葉に、ハンジが頷く

    ハンジ「うん、そうだね、そうしよう!!」
    一行はポルトガの城に足を運んだ


    王「小さいおっさん…洞窟守のホビットの事やな。あの洞窟は、わがポルトガの管轄なんや。ダーマ地方へ陸路で渡る唯一の道なんや。せやけどあそこは通せんのや。あの先の魔物は強い、ダーマを目指して、皆が命を落として行ったからな。ほんま厄介やで…転職希望者は後をたたんちゅうのに、通してやれんのや」

    ハンジ「………話ながっ」
    エルヴィン「ああ…」
    ミケ「…」

    リヴァイ「…ダーマ…に是非行きたい。通してくれ。何でもする。金が必要なら用意する」
    王に詰め寄ったのは、意外にもリヴァイだった

    王はリヴァイの顔をじっと見つめた
  128. 137 : : 2014/08/29(金) 17:56:19
    王「兄ちゃんええ目しとるな。よっしゃ、その目に免じて通したろ。ただな、一つお願いがあるんや。洞窟の先を南下した所にバハラタっちゅう町があるんや。そこの名物黒こしょうを手に入れて欲しいんや…わしは黒こしょうを振り掛けたカルボナーラや、鶏肉が大好物での…もし持ってきてくれたら、兄ちゃんらに船を一艘くれてやろう」

    ハンジ「………船!わかりました!!やりますやらせてください!!」

    エルヴィン「やはり話は長かった…だが、船を手に入れられるなら一石二鳥だな」

    ミケ「ああ、リヴァイはダーマに行きたがっているみたいだし、ついでにバハラタに寄ればいいだろう」

    リヴァイ「すまない、頼む」
    リヴァイは三人に頭を下げた

    ハンジ「リヴァイが頭を下げるなんて…いいよ!!皆でダーマに行こう!」

    エルヴィン「リヴァイ、お前…」
    ミケ「スン」

    一行はこうして、ポルトガ王の親書を携え、ホビットの洞窟へ戻るのであった
  129. 138 : : 2014/08/30(土) 08:14:21
    東の洞窟に舞い戻り、小さいおっさん…ホビットに、ポルトガ王の親書を見せる

    ホビット「確かに王の筆跡。わかった、通ってもいいぞ。しかし…王は話が長い上に、変わった話し方だっただろう…?」

    ハンジ「確かに!!でも何か好きです、あの話し方!」

    エルヴィン「そうだな、なんとなく愛着があるなあとは思ったよ」

    ホビット「さあ、通るがいい。魔物は劇的に強い奴らが出没する。気を付けるんだな」

    リヴァイ「行くぞ」

    一行はついに、ダーマ地方へ足を踏み入れたのであった


    ハンジ「ダーマってさ、神殿だっけ?」
    ミケ「そうだ、転職ができるらしいがな」

    エルヴィン「転職なあ…ハンジも転職したらどうだ。遊び人に…」

    ハンジ「そのままそっくり君に返すよ!!エルヴィン!!」
    ハンジは頬を膨らませた
  130. 140 : : 2014/09/07(日) 17:20:34
    洞窟を抜けた先は、確かに今までとは段違いに強い魔物が群れをなして襲ってきた

    だが、一行も旅の中でかなり力をつけており、それらを危なげなく退けていた

    ハンジ「南の街バハラタはもうすぐかなあ…」
    ハンジは荒野を歩きながら、遠くに目を凝らした

    リヴァイ「後数時間でつくと思う」
    リヴァイが静かにそう言った

    ハンジ「黒胡椒あるといいな」

    ミケ「王が欲しがるほどだ。高価かもな…」

    エルヴィン「ハンジが一肌脱いで稼ぐしかないかもな…」

    ハンジ「さりげなくセクハラ発言するなよ、エロヴィンめ!!」

    ハンジを中心に、旅は順調に進んでいる様に見えていた
  131. 145 : : 2015/01/23(金) 08:44:21
    みなさんありがとうございます(=^ェ^=)
    今日からこちら、執筆再開いたします!
    最後までおつきあい頂けたらうれしいです♪
  132. 146 : : 2015/01/23(金) 09:25:39
    ハンジ達勇者一行は、夕暮れ時にバハラタに到着した

    海に繋がる大河の畔にある小さな街の商店街に、黒胡椒を生産販売する店を探して足を踏み入れた

    ハンジ「わ、見て見て!強そうな武器が沢山あるよ!」

    ハンジが武器屋を覗いて歓声をあげた

    武器屋「おっ、可愛い姉ちゃん!ずいぶん使い古した鉄の剣だな。そろそろ買い替えの時期だぜ!」

    エルヴィン「確かに、所々歯こぼれしているからな」

    ハンジ「じゃあ、買っちゃおうかな!」

    武器屋「よしきた!鉄の剣は買い取ってやるよ!ほらこれだ」

    ハンジの手に渡った鋼の剣は、鉄の剣よりも薄く長かったが、柄を握るとしっくりきた

    エルヴィン「ハンジもだんだん勇者らしくなっていくな」

    エルヴィンは眩しいものを見るような目で、ハンジを見た

    ミケ「処女だがな」

    ミケは無表情で全く口を開かないリヴァイをちらりと見ながら呟いた

    ハンジ「皆行こっか!黒胡椒の店!」

    ハンジはそう言うと、一人駆け出した

    エルヴィン「ハンジ、一人で行くな!って全く」

    ミケ「やっぱりハンジはハンジだな。スン。落ち着きがない」

    リヴァイ「……俺たちも行くぞ」

    リヴァイは小さな声でそう言うと、ハンジの後を追った



  133. 147 : : 2015/01/23(金) 09:33:24
    ハンジ「えええっ!黒胡椒の店、やってないの?!」

    念願の黒胡椒の店は、扉が固く閉ざされていた

    ミケ「急用のためってあるな」

    リヴァイ「……ちっ」

    ハンジ「ど、どうしよう。黒胡椒はこの店にしかないらしいし……」

    ハンジがおろおろした矢先、エルヴィンが駆けてきた

    エルヴィン「街の人によると、どうやらここの主人の娘が何者かに拐かされたらしい。北東のダンジョンをねぐらにしている、盗賊達の仕業だという話だ」

    ハンジ「えっ!女の子が誘拐?!大変じゃないか!」

    ミケ「とりあえずもう少し情報がほしいな」

    エルヴィン「主人が川の畔にいるらしい。行ってみよう」

    一行は急いで川の畔に向かった
  134. 148 : : 2015/01/23(金) 09:47:31
    一行が川の畔につくと、確かに一人の壮年の男がいた

    だが、もう一人、その男に腕を掴まれている若い男もいた

    若い男「行かせて下さい!彼女を助けなきゃ!」

    壮年の男「お前には無理だ。一緒に捕らわれるのがおちだ……」

    若い男「でもっ、彼女は俺の大切な、大切な!」

    若い男は壮年の男の腕を振り払うと、駆け出して行ってしまった

    壮年の男「おいっ!待て!……………行ってしまった……」

    壮年の男…店の主人はがっくりその場に崩れた

    ハンジ「あっ………大丈夫ですか?」

    ハンジがあわてて駆け寄り、主人の体を支える

    主人「…すみませんな……お嬢さん」

    エルヴィン「主人、詳しく話を聞かせて頂けませんか。我々は黒胡椒を求めてここに来たのですが……」

    主人「黒胡椒か……店をしばらく開けておらんかったからな…。在庫があるにはあるんだが…」

    ハンジ「娘さん、拐かされたって本当なんですね?私達、助けに行きます!だから、話を聞かせて下さい」

    主人「いや、拐かした連中はかなりの手練れ、普通の戦士たちでは及ばなかった。お主達では……」

    ハンジ「私はアリアハンの勇者です。必ずや娘さんを助けますから!」

    ハンジは主人の手を取り、力強くそう言った

    主人「アリアハンの、勇者……オルテガ殿のお子か」

    ハンジ「はい。父を探しながら、魔王討伐の旅に出ています。この人達は私より手練れです。だから、必ず助け出せますから」

    主人「よろしくお願いいたします、勇者殿」

    こうして詳しい話を聞いた一行は、夕暮れの中、北東のダンジョンへ向かった

  135. 149 : : 2015/01/23(金) 10:01:18
    ダンジョン内は賽の目のように四角い部屋がならんでいる迷路だった

    何度も行き止まりながら、やっと下りの階段を見つけた

    階段を降りると、こじんまりした部屋に、牢屋があった

    中には……

    若い男「だっ、誰だ!彼女にはもう、指一本触れさせない!」

    ハンジ達が牢屋に歩み寄ると、先程街を飛び出して行った男が、女を庇うように背に隠し、ハンジ達に向かって叫んだ

    ハンジ「私達はバハラタから、あなた達を助けに来たの。無事ですか?」

    ハンジの言葉に、女は啜り泣いた

    エルヴィンがレバーを引くと、牢が軋む音を鳴らしてあいた

    ハンジは女を見て、後ろを振り返った

    ハンジ「エルヴィン、ミケ、リヴァイ、向こう向いてて」

    ハンジはそう言うと、女の方に歩み寄った

    そして男の背に庇われている女に、自分の背丈弱の長さのマントを掛けてやる

    女「あ…………」

    ハンジ「辛かったね。もう大丈夫。さ、早く逃げて」

    ハンジがそう言って女の頭を撫でると、男は彼女の手を取りたたせた

    若い男「ありがとうございます!なんとお礼を言ったらいいか……」

    ハンジ「急いで。いつ悪いやつらが戻ってくるかわからないから」

    ハンジがそう言った、まさにその時

    「てめぇら何してやがる!」

    「なんだお前ら!」

    怒号が室内に響き渡った
  136. 150 : : 2015/01/23(金) 10:22:01
    ハンジが声のする方を見ると、男が数人部屋に入ってきたところであった

    その中で見知った顔を発見し、ハンジは体をびくっと震わせた

    ハンジ「カン………ダタ」

    ハンジは震える声でそう言った

    鋼の剣の柄に手を伸ばしたが、その手まで震えていた

    エルヴィン「ハンジ、気を付けろ!油断はするなよ!スクルト!」

    エルヴィンの力の声は、青い光となって一行を包み込んだ

    防御力上昇の呪文だった

    ミケ「スン………はぁっ!」

    ミケはすでにカンダタ子分と戦闘を開始していた

    カンダタはハンジとのじりじりと距離を縮める

    カンダタ「いいけつした姉ちゃんじゃねえか。やっぱり俺が忘れられなかったんだろ、なあ…へへへ……」

    ハンジ「う………」

    ハンジのトラウマがまた甦ったのか、体が思うように動かない

    カンダタ「ほれ、また触ってほしいんだろ?じっとして動かねえしなぁ」

    カンダタがその太い腕をハンジに伸ばした

    ハンジ「い、嫌……」

    ハンジは後ずさった

    目には涙がたまって、今にも溢れそうになっていた

    まさにカンダタの手が、ハンジの尻を掴もうとしたその時

    リヴァイ「メラミッ!」

    リヴァイの力の声と同時に、彼の指先から人の頭大の火の玉が出現し、凄い勢いでカンダタの尻に炸裂した

    カンダタ「あっちちちちち!けつが燃える!」

    カンダタは慌てて尻を壁に擦り付けた

    ハンジはがくりと膝を折った

    リヴァイは側に駆け寄る

    パシッ……無言でハンジの頬を平手打ちした

    ハンジ「あっ…」

    リヴァイ「しっかりしろハンジ。お前のトラウマは、お前が裁ち切れ。サポートしてやる」

    リヴァイはそう言うと、ハンジの手を握った

    ハンジ「リヴァイ……あっ」

    リヴァイ「バイキルト!」

    握った手から、暖かい何かが流れ込む

    体が軽い

    手に力がこもる

    バイキルトは、攻撃力をあげる呪文

    リヴァイはハンジに、それを掛けてやったのである

    ハンジ「……ありがとう、リヴァイ!」

    ハンジの瞳に力が戻る

    鋼の剣の柄を握り、スラッと抜き去る

    片手で構えながら、カンダタを睨み付ける

    ハンジ「あんたはもう、許さない!」

    そう言って、やっと尻の消火を終えたカンダタに容赦なく襲いかかった
  137. 151 : : 2015/01/23(金) 14:51:05
    ハンジ「はぁっ!」

    ハンジの剣が閃く

    その鋭い一閃は脳天を狙ったが、辛うじてカンダタは斧を頭上にかざして退けた

    ガキィン!

    金属と金属が激しくぶつかり合う音

    ハンジ「はっ!やぁっ!」

    ハンジの剣は目まぐるしいまでの動きでカンダタを襲う

    カンダタは斧で弾き返すのが精一杯で、防戦一方になっていた

    その時

    エルヴィン「ハンジ、避けろ!」

    エルヴィンと対峙していたカンダタの子分が、隙をついて吹き矢をハンジに向かって吹き付けた

    ハンジ「えっ?!」

    ハンジが声の方を振り向いた時、リヴァイがその身を翻してハンジを庇った

    キンッ

    鋭い針がリヴァイのひのきの棒に叩き落とされた

    リヴァイ「さしの勝負、邪魔すんじゃねえ!ヒャド!」

    リヴァイは吐き捨てる様に呪文を放つ

    カンダタ子分「ぐあぁぁ、足が凍った!」

    エルヴィン「もらった!」

    エルヴィンの銅の剣の一閃が、カンダタ子分の脇腹を裂いた

    同じ頃に、ミケがもう一人の子分を倒して縛り上げたのであった
  138. 152 : : 2015/01/23(金) 15:00:36
    残りは親玉のみ

    ハンジは肩で息をしながら、カンダタと対峙していた

    彼女は剣の速度や扱いはカンダタのそれを上回っていたが、体力ではかなり劣っていた

    カンダタ「そろそろ疲れてきたみてえだなあ。剣先が鈍ってきたぞ…げへへっ」

    エルヴィン「ハンジに援護を」

    ミケ「ああ」

    リヴァイ「まて、お前ら。こいつはハンジに任せるべきだ」

    ミケ「だが、ハンジは疲れてきている」

    リヴァイ「大丈夫だ。まだやれる」

    リヴァイの言葉に、エルヴィンは頷く

    エルヴィン「そうだな、大丈夫だ、ハンジなら」

    ハンジはすぅと目を閉じ息を吸った

    ゆっくり呼吸を整える

    カンダタ「目をつぶるか!よしよし、待ってろ、今キスしてやるから……………なぁぁ!」

    ハンジはかっと目を開ける

    そして、盾を前に押し出して体当たりをかました

    ハンジ「カンダタ、覚悟!」
    盾の一打で後ろに倒れたカンダタに、ハンジの剣が閃く

    カンダタの胸を切り裂いた後、返す刀で右腕の腱を切り裂いた
  139. 153 : : 2015/01/23(金) 15:07:47
    ハンジ「カンダタ、焼きが回ったね。私だけじゃなくて、彼女にもいたずらをして、許さない」

    ハンジの怒りの焔が、瞳から溢れ出す

    カンダタ「す、少し触ったくらいだ!やっちゃいねえ!品物に手はつけねえよ!」

    ハンジ「品物だって……………?許さない」

    ハンジはカンダタの首に剣を突き立てた

    カンダタ「じ、嬢ちゃん待ってくれ!頼む!もう二度としませんからぁ!」

    エルヴィン「シャンパーニュで同じ台詞をきいたな」

    ミケ「ハンジ、やってしまえ」

    リヴァイ「賛成だ」

    ハンジ「カンダタ、死ねっ!」

    ハンジは剣を一閃させた

    カンダタ「いてぇぇぇ!」

    ハンジ「手足の腱を切った。しばらくは動けないよ。捕まって牢屋に入ればいいさ。さ、皆帰ろう、バハラタへ」

    ハンジは座り込む若いカップルに笑いかけた
  140. 154 : : 2015/01/23(金) 15:22:40
    主人「本当に、ありがとうございました!なんとお礼を言ったらいいか!」

    女「ありがとうございます、勇者様、皆様」

    若い男「ありがとう、本当に…。勇者様おつよい。驚きましたよ!」

    バハラタの街に戻るなり、街の人々の大歓迎をうけたハンジ達

    主人も、若い男も、女も嬉しそうに手を取り合って、無事を喜んでいた

    ハンジ「良かったね、へへっ」

    ハンジは照れ臭そうに笑った

    エルヴィン「主人、黒胡椒は……」

    主人「在庫、あるだけ持っていって下さい!おい、黒胡椒を持ってきてくれ!後、泊まって行かれませんかな?もう夜ですし」

    リヴァイ「いや、すぐにポルトガに戻りたい」

    ハンジ「お気遣いだけ受けとります!ありがとう」

    女「勇者様、黒胡椒ですわ」

    女はハンジに黒胡椒を手渡した

    ハンジ「ありがとう。お幸せにね。羨ましいな、仲良しで」

    ハンジがそう言うと、女は微笑んだ

    女「勇者様なら、どんな男でも選り取りみどりですよ!ふふっ」

    ハンジ「それはないない!………さ、行こうか」

    ハンジは真っ赤になった顔を隠すように、首を振ると、両手を広げた

    リヴァイ、ミケ、エルヴィンが手につかまる

    ハンジ「では、さようなら!………ルーラ!」

    ハンジの力の声は、四人を次元の先に移動させた
  141. 155 : : 2015/01/23(金) 15:31:54
    ポルトガについた一行は、その足で城に向かった

    門は閉まっていたが、ハンジ達が黒胡椒を見せると、城にすんなり入れてくれた

    ポルトガ王「おおっ!これが黒胡椒!!これで料理が一段と旨味を増すぞ!でかしたお主ら。約束どおり、船をやるさかいに。大海を渡る事ができる船やで。桟橋に出てみりゃわかる」

    ハンジ「ありがとうございます、王様」

    ポルトガ王「飯、食っていくか?」

    ハンジ「いえ、宿に泊まらせてもらいますので」

    ポルトガ王「ならば、一番いい部屋をリザーブしておいちゃるぞ。任せとき!」

    ハンジ達は王に頭を下げると、早速桟橋に向かった
  142. 156 : : 2015/01/23(金) 15:49:07
    ハンジ「でっけえ……………」

    ハンジは予想以上に大きな船に、目を丸くした

    エルヴィン「アリアハンでは見た事がないスケールの船だな」

    ミケ「王、気前よすぎやしないか」

    リヴァイ「いや、この地方では黒胡椒は高価だ。あれだけありゃあ、家が一軒たつぞ」

    ハンジ「へぇ、そうなんだね!ね、乗ってみようか!」

    ハンジはそう言うなり、船にわたっていった

    エルヴィン「本当に、落ち着きないな」

    ミケ「まあ、そこが放っておけないんだろ、お前」

    エルヴィン「ん?何の話だ、ミケ」

    リヴァイ「…………行くぞ」

    リヴァイは二人を置いて、さっさと船に渡って行った

    エルヴィン「…………ミケ、お前な」

    ミケ「なんだ」

    エルヴィン「そうでなくても最近あいつらはギクシャクしているのに、俺を持ち出すな、ややこしい」

    ミケ「俺は本当の事を言っただけだが」

    エルヴィン「だから、何なんだ」

    ミケ「お前はハンジに惚れている」

    エルヴィン「…………まさか、あり得ない」

    ミケ「お前なら、勇者であるハンジと釣り合うぞ。何故ならお前は……」

    エルヴィン「ミケ、言うな」

    ミケ「これ以上は言わん。エルヴィンが怖いからな、スン」

    ミケはエルヴィンを置いて、船に向かった

    エルヴィン「…………」

    エルヴィンは一人、海を見つめた

    南の方角を、食い入るように
  143. 157 : : 2015/01/23(金) 18:32:49
    ハンジ「こんにちは!」

    ハンジが船乗り達に声をかけていくと、皆が集まってきた

    船乗り「おお、勇者というからどんな男なんだと思ったら、可愛い嬢ちゃんだったのか!」

    船乗り「こりゃあいいや!勇者ご一行様の船に、紅一点!それも勇者様本人ときた!」

    ハンジ「いやあ、紅一点なんて程でも」

    ハンジは頬を染めた

    「何を騒いでいる、お前達」

    どすの効いた声に、船乗り達が背筋を正す

    船乗り「キャプテン!」

    船乗り「キャプテン!勇者様がいらしたのでご挨拶をしていました!」

    ハンジ「あなたが船長さん?はじめまして。アリアハンから来た勇者ハンジです。よろしくお願いします」

    ハンジはキャプテンと呼ばれた人物に頭を下げた

    浅黒い肌に、筋肉に覆われた大きく立派な体躯

    まさに海の男といったところだ

    キャプテン「俺の事はキャプテンと呼んでくれ。勇者ハンジ」

    ハンジ「はいっ!キャプテン!」

    ハンジはビシッと敬礼をした

    キャプテン「はははは、なかなかに面白い勇者だな。気に入った。海の事ならなんでも任せろ。早速だが、明日からの航路を練りたいのだが…」

    リヴァイ「俺も同席する…………キャプテン」

    キャプテン「お前は、魔法使いか。にしちゃあいいがたいしてるな」

    ハンジ「リヴァイは魔法使いだけど、剣も使おうと思えば使えて、強いんだ!」

    キャプテン「そうか!リヴァイもよろしくな!」

    ハンジ「あと二人いるんだけど………あっきたきた。おっそいよ!ミケ、エルヴィン!」

    船に乗り込んできた二人に、ハンジは叫んだ

    ミケ「すまん。俺はミケ。船長よろしく頼む」

    キャプテン「こりゃまた強そうな武道家だな。よろしくな。あと、俺の事はキャプテンと呼んでくれ」

    エルヴィン「キャプテン、エルヴィンといいます。しがない僧侶です。よろしくお願いいたします」

    キャプテン「おお、これまた美形の坊さんだな。よろしくな!」

    こうして一行は、キャプテンと共に船長室で今後の旅の進路を練るのだった

  144. 158 : : 2015/01/23(金) 21:51:51
    船を降りた一行は、宿屋に向かいながら街を散策した

    海辺のこの城下町は、潮の香りが漂う

    海沿いを歩いていると、小さな公園があった

    そこに設えてある白いベンチに、一人の男性が座っていた

    彼は膝に白い猫をおいていた

    ハンジ「わ、猫ちゃん可愛い!」

    ハンジは猫の可愛らしさに思わず駆け寄った

    男性がハンジを見つめた

    その瞳は何処と無く寂しげであった

    「こんばんは、旅の方。僕はカルロス、彼女はサブリナ。僕たちは付き合っています」

    ハンジ「付き合ってるの?確かにペットって家族とか恋人同然になるっていうしね」

    カルロス「いいえ、違うんです。サブリナは、人間なんです」

    ハンジ「えっ?」

    エルヴィン「どういう事ですか?」

    カルロス「実は、日が落ちるまではサブリナは人間の姿に戻ります。日が落ち夜になれば、猫になるんです」

    リヴァイ「………呪いか」

    カルロス「はい。僕は反対に、日中は馬に、夜はこうして人間に戻ります。僕らは一緒にいますが……語り合う事も愛し合うことも、出来ないんです」

    カルロスの悲痛な言葉に、ハンジは目に涙を浮かべた
  145. 159 : : 2015/01/23(金) 21:59:49
    カルロス「バラモスにかけられた呪いです。あいつがいる限りは、僕たちはこうしてすれ違い続けるんです」

    ハンジ「私たちが、必ずバラモスを倒すから………」

    カルロス「あなた方が……。もしよければ、朝にまたここに来て下さい。サブリナも、あなた方と話をしたいと思います」

    ハンジ「わかったよ。必ず行くから」

    ハンジはそう言うと、その場を後にした



    ハンジ「バラモス……あちこちで悪さばかりしてるね」

    ミケ「魔王だからな。そんなものだろう」

    リヴァイ「どのみち倒すんだ。あいつらもそのうち戻れるはずだ」

    エルヴィン「……………」

    ハンジ「エルヴィン?どうしたの?顔色が良くないけど」

    ハンジはエルヴィンの顔を覗き込んだ

    エルヴィン「いや、何でもない。魔王バラモス、必ず仕留めなければな、と思っていたんだ」

    ハンジ「うん、頑張ろうね、皆で!」

    ミケ「処女と一緒に頑張るか」

    ハンジ「処女は余計だよ!」

    ハンジはミケに飛び蹴りをくらわせようとして、避けられた

    二人はおいかけっこよろしく、先に走り去った
  146. 160 : : 2015/01/23(金) 22:06:14
    期待です
  147. 161 : : 2015/01/23(金) 22:08:14
    リヴァイ「エルヴィン、お前、何か隠してやがるな」

    エルヴィン「いや、何も隠してはいないぞ、人聞き悪いな、リヴァイ」

    リヴァイ「そうかよ」

    エルヴィン「君も、隠してやがるだろう?」

    リヴァイ「ちっ、真似すんな。何も隠してねえよ」

    エルヴィン「ならばなぜ、ハンジに冷たく当たる。君たちは上手くいったと思っていたんだがな」

    リヴァイ「………うるせえ。上手くいくもなにも、最初から何もねえんだよ」

    エルヴィン「いいのか?隙を見せるなら、俺が貰うぞ?ハンジを」

    リヴァイ「………勝手にしやがれ」

    リヴァイは吐き捨てる様に言うと、足早に去っていった

    残されたエルヴィンは、肩で息をした

    エルヴィン「素直じゃないな。本当に、貰ってしまうぞ?」

    そう呟いたのであった
  148. 162 : : 2015/01/23(金) 22:08:42
    とあちゃんありがとう♪
  149. 163 : : 2015/01/24(土) 17:58:56
    翌朝、ハンジは早朝の稽古の後、一人海辺に行った

    昨日男と猫がいたベンチには、一人の女性が座っていた

    隣で馬が、女性に鼻先を寄せていた

    ハンジ「あなたがサブリナさん?私はハンジ」

    ハンジの言葉に、女性が頷く

    サブリナ「はい。あなたの様な可愛らしい方が、まさか魔王討伐の旅に出ているなんで、驚きました」

    ハンジ「まだまだ、力不足なんですけど、必ず魔王は倒しますから」

    サブリナ「無理は、なさらないで。魔王はとてつもない魔力を持っています。部下にもおそろしい化け物がいると聞いています。くれぐれも、お気をつけ下さい」

    ハンジ「サブリナさん、ありがとう。頑張りますから! 」

    ハンジは強い決意を秘めた目をサブリナに見せた

    サブリナ「ここポルトガから南の大陸に沿っていくと、大河の河口に当たります。そこを北上すれば、魔王に滅ぼされた村、テドンがあります」

    ハンジ「魔王の住むネクロゴンドの足元ですね」

    サブリナ「はい。もし行かれるのであれば、力をつけてからの方がよろしいかと。何しろ魔物が強いらしいです」

    ハンジ「うん、わかりました!覚えておくね!」

    サブリナ「私はあなたの旅の何の役にも立ちませんが…あなたに希望を頂けました。ありがとう、ハンジさん」

    ハンジ「カルロスさんもサブリナさんも、今はお話しできないかもしれないけど、こうしていつも寄り添い合ってる。だから、寂しくないよね。私は羨ましいよ」

    サブリナ「ハンジさん……」

    ハンジ「あっ、何でもない!気にしないで!あはは」

    サブリナ「ハンジさんには想っている方がいらっしゃるのですね。その方と今一通じ会えていないのでしょうか」

    ハンジ「な、なんでわかるの?!」

    サブリナ「ふふっ、なんとなく。私も以前同じ様な気持ちでいたので…もし、バラモスを倒した暁には、また顔を出して下さいませんか。良いものをプレゼントいたしますから」

    ハンジ「プレゼントなんかいらないけど、二人がもとに戻った事を確認しに、必ず顔を出すよ!」

    サブリナ「ふふっ、お待ちしています」

    サブリナの意味ありげな笑いに首をかしげながらも、ハンジはその場を後にした
  150. 164 : : 2015/02/07(土) 07:04:03
    期待します
  151. 165 : : 2015/02/07(土) 07:55:33
    >たいちょさん☆
    ありがとうございます♪
    がんばります!
  152. 166 : : 2015/02/16(月) 16:34:33
    潮風を受けて、ハンジの髪がなびく

    ハンジ「いよいよ海を渡るんだね。アリアハンを出た頃が懐かしいな」

    ハンジは大海原を見ながら一人ごちた

    エルヴィン「すごいスケールだな。海は」

    ハンジ「ああ、そうだね。っていつの間に来てたの?エルヴィン」

    エルヴィン「ん?今来た所だよ。さっきまで船員たちから話を聞いていてな。ここから南にある大陸に、バラモス城があるらしい。それと……オーブと言う宝を6つ集めたら、船がいらなくなる伝承も聞いた」

    ハンジ「船がいらなくなるって、なんだろうね?」

    エルヴィン「よくわからんが、空でも飛べるようになるのかな?バラモス城には船でも、徒歩でも渡れないらしいしな……」

    ハンジ「まだまだ、謎がたくさんあるね。頑張らなきゃ」

    エルヴィン「ああ、そうだな。処女喪失も大事だが、やはりまずは勇者として魔王を討伐して、オルテガ殿を探し出さなければな」

    ハンジ「処女喪失って、もう君たちいい加減しつこいよ?! 」

    エルヴィン「いつでももらってやるぞ、ハンジ」

    ハンジ「結構だよ! 」

    エルヴィン「俺は自慢じゃないが、振られたことがないんだがな……」

    ハンジ「私はだまされないもんねー! 生臭坊主のエロヴィン! 」

    ハンジはエルヴィンにあっかんべーをして、足早に立ち去った

    エルヴィン「生臭坊主か……ある意味あっているな。しかし……」

    エルヴィンは南の大陸を鋭く睨み付けた

    彼の拳に力が入る

    エルヴィン「待っていろよ……魔王軍」

    冷たい視線を南に向けながら低い声でそう言った

  153. 167 : : 2015/02/18(水) 13:58:24
    ミケ「リヴァイ」

    リヴァイ「なんだ?」

    船室で一人読書に励んでいたリヴァイに、ミケが声をかけた

    ミケ「お前、ダーマ神殿に行きたいと行っていたな」

    リヴァイ「……ああ」

    ミケ「ダーマといえば転職が出来る場所だが、お前戦士になるのか?」

    リヴァイ「俺が戦士になりゃ、誰が魔法を使うんだ」

    ミケ「スン……確かにな。お前は戦士としても一流でやっていけそうだが、やはり魔法は必須だしな」

    リヴァイ「ああ」

    ミケ「ならばなぜダーマに?」

    リヴァイ「野暮用がな」

    ミケ「ハンジのためか?」

    リヴァイ「……いや、自分のためだ。今はこれ以上は言わねえ」

    ミケ「スン……」

    リヴァイ「でけえ図体縮こまらせても無駄だ。言わねえもんは言わねえ。それより……」

    リヴァイが本から目を離してミケをちらりと見た

    ミケ「ん?」

    リヴァイ「エルヴィンこそ何か隠してやがる。ミケ、お前知ってるだろ?」

    ミケ「スン……知らん事にしておいてくれ」

    リヴァイ「ちっ、まあいい。追々わかるだろうしな」

    ミケ「ああ、その時まで待ってやってくれ」

    リヴァイ「……本を読みてえ。あっちいけよ、ミケ」

    ミケ「つれないな……スン」

    ミケは肩を竦めると、その場を後にした

    リヴァイ「……誰にでも一つや二つ、隠し事はあるさ」

    リヴァイは一人ごちた


  154. 168 : : 2015/02/18(水) 23:41:22
    期待です。
  155. 169 : : 2015/02/19(木) 17:06:01
    >名無しさん☆
    ありがとうございます♪
  156. 170 : : 2015/02/19(木) 17:21:19
    ポルトガから南の大陸沿いに南下していく船

    時おり現れる海の魔物は、ハンジ達が容易くかたをつけた

    甲板の上で見張りと称して寛ぐハンジに、船長が歩み寄ってきた

    キャプテン「なあ、勇者殿」

    ハンジ「なんだい?ハンジでいいよ、勇者殿だなんて恥ずかしいし」

    キャプテン「ハンジ、西に見える大陸だがな、イシスの砂漠地帯なんだが、その南、これから見えてくる場所が、ネクロゴンド大陸。魔王軍の本拠地だ」

    ハンジ「バラモス城があるんだね」

    キャプテン「ああ。かつては山岳地帯に囲まれながらも風光明媚な場所だったんだがな。今や人を寄せ付けない禍々しい場所になってしまった」

    ハンジ「そうなんだね……」

    キャプテン「お前さんが生まれる少し前かな。魔王が現れて、そこにいた人間を死に追いやった。そこで立ち上がったのがオルテガ様だ」

    ハンジ「お父様……」

    キャプテン「オルテガ様が行方知れずになってから10年、希望の光は潰えたように見えたが……ハンジ、お前ならやれそうな気がするぞ」

    ハンジ「……ありがとう、キャプテン」

    キャプテン「海での事なら何でもサポートするからな」

    ハンジ「うん、頑張るよ!」

    ハンジは力強く頷いた
  157. 171 : : 2015/02/19(木) 17:37:20
    船は快調に海を滑るように進む

    夜の静けさに、船が水を掻き分けて進む音のみが響いている

    ハンジは船室で仮眠をとっていたが、ふと目が覚めて甲板に出た

    船のまん中、大きなマストがかかる柱を背に座る人影を見つけて、一瞬足を止めた

    その人影は熱心に本に見いっていた

    傍らには数冊の本が積まれていた

    邪魔をしてはいけない

    ハンジは心の中でそう思い、引きかえそうとしたのだが、足がそれを拒絶するかの様に固まって動かなかった

    突然、訳もわからぬまま距離を置かれた事が気になっていた

    旅の邪魔になってはならないと、普段は明るく振る舞ってはいたが、そろそろ限界に近かった

    ただリヴァイと話がしたい

    前みたいに、本を読んだり、稽古をしたりしたい

    ハンジはふぅと息を吐いた
  158. 172 : : 2015/02/19(木) 22:35:54
    ハンジさん、かっこいい!そして可愛い!
    ロメ姉さん、期待です(*^^*)
  159. 173 : : 2015/02/19(木) 23:02:53
    >姫☆
    ありがとう!がんばるよ♪
  160. 174 : : 2015/02/20(金) 17:40:08
    神作期待!
  161. 175 : : 2015/02/20(金) 17:44:33
    >名無しさん☆
    ありがとうございます!頑張ります♪
  162. 176 : : 2015/02/22(日) 22:22:40
    凄く面白いです期待!
  163. 177 : : 2015/02/22(日) 22:26:36
    ありがとうございます!
    また書きますので、ぜひ遊びに来てください♪
  164. 178 : : 2015/02/27(金) 16:05:05
    ハンジ「リヴァイ、なに読んでるんだい?」
    ハンジはリヴァイに歩み寄って話し掛けた

    リヴァイはちらりと上を見上げた

    そしてハンジの顔を一瞬みた後、ついと視線を外した

    リヴァイ「魔法の書だ」

    ハンジ「へー、横、座っていい?」

    リヴァイ「……いや、今から部屋に戻るつもりだった」
    リヴァイはそう言うと、立ち上がって服の埃をはたいた

    ハンジ「そっかあ、ねえリヴァイ、あのさ」

    リヴァイ「ちょっと、考え事してえんだ」
    リヴァイはハンジの言葉を遮るように口を開いた


    ハンジ「…………うん、わかった。邪魔してごめんね」

    ハンジはにへらと笑うと、踵を返して船室へ消えた


    その後ろ姿を見送りながら、リヴァイは目を伏せた
  165. 179 : : 2015/02/28(土) 09:29:23
    ハンジは自分に与えられた船室で、一人うなだれていた

    やっぱりリヴァイに避けられている──

    そんな考えが、先程確信に変わった

    ハンジ「私、何かリヴァイに嫌な事したのかな……」
    ハンジは小さな声で呟いた

    首に書けている小さな青いペンダント

    リヴァイが買ってくれたそれを無意識のうちに指で弄びながら、物思いに耽る


    これを貰ってからそんなに時は経っていない気がする

    アッサラームで一気に縮まった二人の距離

    それがまるで夢だったかの様に、また遠ざかった

    一日だけの、夢だったんだろうか


    唇に触れても、すでにそこには彼の何の感触も温かさも残されてはいない

    ハンジ「リヴァイ、何で……」

    ハンジは目を伏せた
  166. 180 : : 2015/02/28(土) 19:24:22
    トントンと扉を叩く音で、ハンジは目覚めた

    物思いに耽っているうちにうたた寝していたらしい

    エルヴィン「ハンジ、いるか?夕食の時間だぞ」

    ハンジ「あ、今行くね」
    エルヴィンの言葉に、ハンジは目を擦りながら返事をした

    扉を開けると、いつものゆったりしたブルーの僧侶服を脱いで、シャツにスラックス姿のエルヴィンが立っていた

    170に届くハンジの背丈より、まだ高い位置にある顔は、いつも通りどこ吹く風といった感じで涼やかだ

    思えばエルヴィンが焦る顔は今まで一度も見たことがないハンジ

    それどころか、悲しい表情も、苦しい表情も見たことがない

    エルヴィンでも顔色が変わることってあるんだろうか……

    ハンジがそんな事を考えていると

    エルヴィン「なんだハンジ。人の顔をじろじろ見て。そうか、やっと俺の顔の良さに気がついたか。遅いぞ?」

    ハンジ「ちっ、違うよ! そんなんじゃない! ……もちろん君は顔はいいと思うけどさ……」

    エルヴィン「顔はって、限定か。他にもいいところはあるだろう?」
    エルヴィンは首をかしげた

    ハンジ「胡散臭いし、女たらしだし」

    エルヴィン「俺は胡散臭いかどうかは知らんが、女たらしではないだろう?この旅では真面目に神への教えを説く旅をだな」

    ハンジ「生臭坊主のくせに!」

    エルヴィン「はは、まあ生臭坊主らしく今夜はハンジの寝込みでも襲うかな」

    ハンジ「ちょ、ちょっと?!やめてくれよ、斬るよ?!」

    エルヴィン「まあ、心配するな。優しくしてやるからな」

    ハンジ「ぎゃぁぁ!遠慮しとく!」

    ハンジは慌てて部屋を飛び出していった

    エルヴィン「……あんな顔でじっと見てくるからだろう、全くあいつは」

    エルヴィンは肩を竦めた

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fransowa

88&EreAni☆

@fransowa

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勇者ハンジ「ドラゴンクエスト3」 シリーズ

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