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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

エルヴィン・リコ「ユトピア区☆湯~トピア温泉物語」モブリット・ハンジ

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  1. 1 : : 2014/03/27(木) 01:26:13
    エルヴィン・リコ「ユトピア区☆湯~トピア温泉物語」ハンジ・モブリット

    http://www.ssnote.net/archives/9810
    で、エルヴィンとリコのカップリングSSを書きました

    http://www.ssnote.net/archives/9912
    こちらではモブリットとハンジのカップリングSSを書きました

    その繋がりで、四人で極北ユトピア区にある有名温泉施設に行きます

    エルリコ、モブハンだけではなく、他のカップルや人物も登場予定です♪

    カップリングに拒否反応のある方はご遠慮下さい

    ネタバレは基本単行本です♪

  2. 12 : : 2014/03/27(木) 08:10:17
    ―トロスト区 外壁上―

    「よし、今日の任務はこれでおしまい。皆お疲れ様!」

    夕暮れ時のトロスト区
    人類の防衛戦の最前線であるこの突出区間である壁上に、凛とした声が響いた

    その声の主は、リコ・ブレツェンスカ
    駐屯兵団の精鋭班第一師団班長という肩書きをもつ、小柄で少し気の強そうな、眼鏡の女性だ

    「お疲れ様でした!!」

    「今日もとりあえず無事にすんで良かったよね?」

    「兵舎に帰って飯だ!!」

    彼女の部下が敬礼をし、口々に任務完了の感想を言ってのけた

    「女の子をちゃんと兵舎まで送り届けてから、飲みに行くなり何なりしてね?では解散!!」

    リコの言の通り、班員の中の紅一点…リコを除いて…だが…を囲んで、班員達は壁を降りて、駐屯兵団の兵舎に向かって行った

    リコはそれを見送ると、息をつき大きく伸びをする

    「ふぅ、今日も無事に終わったね…疲れたなあ…お腹も空いちゃった」
  3. 13 : : 2014/03/27(木) 08:10:51
    グウ…と音を出す、自分の羞恥心の欠片もない腹をさすって、リコは呟くように言った

    「ああ、嫌になっちゃうな…このお腹はすぐに音を出すんだから…」

    リコがぼそっと独り言を呟いたその時

    「…ふむ、リコのお腹はオーケストラの様に、色んな音を奏でるんだな」

    リコは、背後から掛かった甘く澄んだ声に、身体をびくっと震わせた

    そこはかとなくセクシーなその声の持ち主を、リコはよく知っていた

    だが、何度この声を耳にしても、耳朶が熱くなる事を避けられなかった

    「エルヴィン団長…」

    リコが振り向くと、金髪の偉丈夫がにっこりと笑みを浮かべて立っていた

    エルヴィンはおもむろに跪(ひざまず)くと、リコのお腹に耳を当てた

    「…どれどれ、どんなお腹の音なのかな…?」

    「ちょ、ちょっと…エルヴィン団長…」
    リコは真っ赤になって慌てた

    「…ん?どうした、リコ」
    尚もお腹に耳を当てているエルヴィンは、そのままの状態で言った

    「…端からみれば、お腹の中に赤ちゃんがいる人みたいに見えてしまいますよ!?」

    「…ん?赤ちゃんがいるのか?リコ」

    エルヴィンはやっと耳をリコの腹から離し、今度は澄んだブルーの瞳を、リコの顔に目を向けた

    「いっ…いませんよ!?もう!!」
    リコは頭を振った

    「…何だ、そうか…残念だな」

    エルヴィンの殊更残念そうな声に、リコはちょうど跪いていて叩きやすい位置にある、金髪の頭をピシャッと叩く

    「何が残念ですか!!私はまだまだ働きたいんです!!もう!!」

    「また、リコに叩かれた…俺は泣く子も黙る調査兵団の団長だと言うのに…」

    エルヴィンは立ち上がり、頭をさすりながら、恨めしげな目をリコに向けた

    「ならば、私の前でもそれらしくなさって下さい!!エルヴィン団長」

    そう言って頬を膨らませるリコの頭を撫でて

    「…それは出来ない相談だな」
    とエルヴィンは笑みを浮かべるのであった
  4. 29 : : 2014/03/27(木) 23:27:43
    「なあリコ、話があるんだが…今日はこれから予定はあるか?」

    エルヴィンの問いに首を横に振るリコ

    「いいえ、何もありませんよ。兵舎に帰って夕食を食べて、寝るだけですから」

    「そうか、ならば一緒に夕食でも食べに行こうか。食べながら話をするよ」

    嬉しそうに目を細めるエルヴィンに、リコは自分も自然にほほえみを浮かべていた

    二人はリフトで壁の下に降り、いつもの行きつけの酒場兼食堂に向かった


    酒場兼食堂は大にぎわいで、食事に舌鼓をうつもの、酒を飲む者、歌う者など様々であった

    酒場のマスターは、エルヴィンの姿を見るなり、奥の個室に二人を通した

    いつも同じ部屋に通されるほど、馴染みの店であった

    部屋にに入ると、すでに先客がいた

    「やあ、エルヴィン、リコちゃん」
    酒の入ったグラスを片手に、すでに顔が赤い眼鏡の女性と…

    「エルヴィン団長、リコさん、こんばんは…ハンジさん、飲みすぎですよっ!?」

    エルヴィンとリコに挨拶をしながら、ハンジの酒を奪おうとする、ハンジの副官モブリットであった
  5. 35 : : 2014/03/28(金) 13:40:37
    「ハンジさん、モブリットさん、こんばんは」

    リコはぺこりと頭を下げた

    「リコちゃんは今日も可愛いなあ~こっちおいで?」
    自分の隣を指さすハンジに、エルヴィンがきっぱり言い放つ

    「リコは俺の膝の上だ。おいで?」
    金髪の偉丈夫は、ぽんぽんと膝を叩いた

    「ちょ、ちょっと!?エルヴィン団長!!」
    真っ赤になるリコ

    「何それ何それ何それ?!いつもそんな感じなわけ?信じられない…あのエルヴィンが…」

    ハンジは驚愕のあまり後ずさった

    「まあ、団長も愛しい人の前では態度が変わるでしょうね」

    モブリットは案外そんなエルヴィンを、すんなり受け入れているようだった

    「人前では止めてください!!」

    そう怒るリコに、ハンジがぷぷっと笑った

    「…やっぱりそれが普通なんだね、アハハ。言いふらしちゃおっと…エルヴィンの醜態」

    「いいぞ、別に言われても。誰がそれを信じるかだろうがな」

    外見は完璧なエルヴィンに対し、いつも暴走気味のハンジ

    そんなハンジが、エルヴィンのあらぬ噂を言いふらしても、誰も信じない事は、エルヴィンはすでに織り込み済みだった
  6. 45 : : 2014/03/29(土) 18:47:23
    「で、話って何?エルヴィン」

    ハンジが手を酒のグラスに伸ばしながら言葉を発した

    「ハンジさん、もうお酒はだめですよ!?」
    …寸前の所でモブリットに奪われた

    「実は、お前たちにいい知らせがあってな」

    エルヴィンは笑みを浮かべて言った
    …のだが、何故か後ずさるハンジ

    「な、何だよ…変な笑い方してさ…何企んでるんだよ…エルヴィン」

    「変な笑い方かな…なあリコ、そんなに変か?」

    エルヴィンの問いに、今まで大人しく黙って座っていたリコが、眼鏡をくいっと上に上げて…

    「はい、何か企んでいるようにしか、見えない笑顔です」

    …と、きっぱり言い放った

    「なんと、心外だな…普通に笑っているだけなのに…」

    こめかみを指で押さえて、呻くように言葉を発したエルヴィン

    「団長は笑顔でいろいろな爆弾を投下されますからね。皆警戒しているんですよ」
    真顔でフォローになっていないフォローをする、真面目なモブリットであった
  7. 52 : : 2014/03/31(月) 09:09:26
    「でさ、良い話って何?何だか怖いけど、一応聞いておくよ」

    そう言って、取り分け皿に盛られたスモークチキンと、トマトのスライスをパクりと口に運んだハンジ

    「実はな、ほら、俺は腕に怪我をしているじゃないか」

    エルヴィンは、先の壁外遠征で右腕を失っていた

    その時からのリコの献身的な介護のお陰で、今では身の回りの事はほぼ、自力で出来るまでに回復していた

    「そうだね。右腕を失ったとはいえ、相変わらず貫禄はあるし、何考えてるかわかんないけどね」

    「団長がここまで回復されて、本当に良かったですよ。一時期はどうなる事かと…」

    モブリットが万感の思いを込めた瞳を、敬愛する団長に向けた

    「本当に心配をかけたな。で、話の続きだが、実は、こういう物が俺に支給された」

    エルヴィンは、モブリットに兵服の内ポケットから封筒を取り出し、手渡した

    「…傷病恩給…ですね。湯治のチケットが沢山…」

    パラパラと紙束を捲りながら、モブリットは言葉を発した

    「ああ、そうだ。ユトピア区の温泉施設のチケットだ」

    エルヴィンのその言葉に、ハンジが目を輝かせる

    「今話題の天然温泉施設の、湯~トピア温泉か!!」

    「湯~トピア温泉…ですか」
    リコがモブリットの持つチケットを覗きながらそう言った

    「ああ、で、たまたま時間が空いたからな、明日から行こうかなと思うんだが、君たちももし良ければいかないか?」

    エルヴィンの問いに、ガッツポーズをするハンジ

    「行く行く行きます!!一生ついていきまぶ!!…舌かんだ…」

    「ハンジさん、興奮しすぎですよ…?」

    モブリットが水を差し出しながら、咎める様な口調で言葉を発した

  8. 58 : : 2014/04/01(火) 17:14:36
    「ですが団長、お仕事の方は大丈夫でしょうか…」

    そうやって現実問題を心配するのも、真面目なモブリットの役割だ

    「ああ、大方終わらせてな、後はリヴァイに任せてあるから大丈夫だ」

    「リヴァイも誘えば良かったのに…」

    ハンジがそう言うと、エルヴィンは肩を竦めた

    「誘ったんだが、あほか馬鹿がって罵声を浴びせられたぞ…」

    「…どうせ、リコも連れて行くって言ったんだろ?」

    ハンジがじと目でエルヴィンを見た

    「ああ、そうだが、何か問題でもあったかな?」

    首を傾げるエルヴィンの頭をぱしっと叩いたのは…

    「あなたはもう少し、人の気持ちに敏感になるべきです!!」
    そう言って目を据わらせているリコであった

    「…俺はな、幼い頃から最近まで、頭をはたかれる、など経験した事が無かったんだがな…」

    エルヴィンは、頭を擦りながら、恨めしげな表情をした

    「正直凄いと思います、リコさんは。私の中では最強ですね」
    真面目に批評するモブリットに、ぶんぶんと首を振るリコであった

  9. 69 : : 2014/04/02(水) 15:19:28
    「じゃあ、明日から温泉行けるんだね!楽しみだな♪リコちゃん一緒に温泉パチャパチャしようね!?」

    ハンジは嬉しそうに顔を綻ばせながら、リコの頭を撫でた

    「はい、ハンジさん。パチャパチャしましょうね」

    リコもなんだか嬉しそうである

    そんな嬉しそうな顔を見たからか、エルヴィンはにこやかに微笑みながら口を開く
    「モブリット、俺たちもパチャパチャしよう」

    モブリットは、内心思いきり引いたが、顔には一切出さず…
    「…はい、パチャパチャ…しましょうね、団長」

    と、苦笑ぎみに言ったのであった
  10. 82 : : 2014/04/05(土) 23:40:37
    ―極北ユトピア区 湯~トピア温泉郷―

    「うわっ!!これが温泉街かあ!!至るところに蒸気が立ち上っているね!!」

    酒場で飲み食いをした翌日、四人は予定通りユトピア区の更に北に位置する、湯~トピア温泉郷に来ていた

    ハンジは落ち着きなく辺りをうろうろしては、その都度歓声をあげていた

    落ち着いた雰囲気の温泉街であるが、観光客は多く、活況を呈していた

    「あれは、何でしょうね…?」
    リコが指を指したのは、大きな石で出来た釜のようなものであった

    「ザルに何か入れて、それを更に釜に入れている様ですが…」
    モブリットがそう言うや否や、ハンジは駆け出して行ってしまった

    「あれは、地獄釜だな。温泉の熱を利用して、野菜や魚を蒸すんだ」
    エルヴィンがそう説明したその時…

    「あっつい!!くそあっつい!!」
    釜を素手で開けようとしたハンジが、手をひらひらさせてのたうち回っていた

    「…ハ、ハンジさん慌てすぎですよ!!」
    慌てて駆け寄るモブリットを尻目に…

    「モブリットさん、大変そう…」

    「いや、あれを好き好んで相手しているからな、大変だとは思っていなさそうだ。きっとMなんだろうな」

    「…私はSです」

    「…ああ、わかっているよ、リコ」

    リコとエルヴィンは離れて様子を伺いながら、そんな会話をしていた


  11. 92 : : 2014/04/11(金) 14:06:47
    「さ、これで冷やして下さいね」

    モブリットが、冷たく冷やしたおしぼりを、ハンジの手のひらにあてた

    「モブリットぉ、冷たくて痛い…」

    泣きべそをかくハンジに、肩を竦めるモブリット

    「それは当たり前ですよ、ハンジさん。素手で触るな危険…って書いてありますよ?中は80度を超えるそうですよ」

    「ハンジは慌てん坊だな、本当に仕方のない奴だ」
    エルヴィンが呆れ顔で言った

    「だってさあ、湯気がたってたから、ものすごーく中が気になって、そう思った瞬間には体が動いてたんだもん」

    ブスッと膨れっ面をするハンジに、モブリットが苦言を呈する

    「分隊長、その前に一瞬でも考えるなり、躊躇なりして下さいよ!?人間らしく生きて下さいよ!?」
    その苦言は、悲鳴じみていた

    「人間らしくってなんだよ!?私は立派な人間じゃないか!!モブリットのばか!!」

    ハンジはモブリットに対して、吐き捨てるように言った

    「ばかで結構ですよ。もう私は貴女の相手をするのに疲れました…帰らせて頂きます!!」

    そう言ってくるりと踵を返すモブリットに、ハンジは追い討ちをかける様な事を言う

    「ふん、好きにすればいいよ、私だって小言言われるのに疲れちゃったよ!!」

    「おいおい、今来たばかりなのに、もう喧嘩か…?」
    エルヴィンが肩を竦めた

    「ふ、ふふふ…あはははは!!」
    その時、リコが突然大笑いを始めた

    楽しそうに、体をくの字に曲げて、お腹を抱えて…

    「リ、リコちゃんどうしたの…?」

    ハンジもエルヴィンも、踵を返したモブリットさえも、そんなリコの状態に首を傾げた

    「だ、だって…ハンジさんもモブリットさんも、とっても仲良しなんですもん!喧嘩、しているみたいですけど、何処からどう見ても、痴話喧嘩にしか見えませんし…う、羨ましいです!!あはは」

    リコは、ついに目に涙までためはじめた

    笑いすぎて涙が出たのだ

    「羨ましいのか!?リコ」

    エルヴィンの問いに、頷くリコ

    「はい、あんな風に打算計算のない喧嘩、してみたいです」

    リコはまだ、くすくすと笑っていた

    「まるで俺が打算計算しかしない男のように聞こえるんだが…」

    「実際そうだろ?エルヴィン」

    ハンジがエルヴィンの肩をぽんと叩いて言った

  12. 95 : : 2014/04/11(金) 22:49:58
    「もー、リコちゃんが笑うから、喧嘩するのもばからしくなっちゃったよ」

    ハンジはそう言って、まだクスクス笑っているリコの頭をぐしゃっと混ぜた

    「す、すみませんハンジさん。でも仲良くしてくださいね!?まあ、仲良しなんですけど…あはは」

    そう言って、リコはまた笑った

    「リコさんって、そんなに笑うイメージが無かったのですが…」

    モブリットが不思議なものを見るような目で、リコを見た

    「リコは仕事とプライベートをしっかりと使い分ける様になった。だから今日は何時もよりはテンションが高いぞ」

    エルヴィンが、リコの様子に目を細めながら言った

    「リコちゃんは可愛いなあ!!」
    ハンジはリコの肩をガシッと抱いた

    「さ、温泉行こう!!パチャパチャだ~!」

    「はい、パチャパチャしましょう!!ハンジさん♪」

    ハンジとリコは、スキップで旅館目掛けて進みだした

  13. 97 : : 2014/04/11(金) 23:37:07
    一行はとりあえず、旅館にチェックインする事にした

    チェックインを済ませ、早速各部屋に案内された

    和風の外観通り、内装も落ち着いた和風の雰囲気で、トロスト区のどの家にも見たことが無いようなデザインだった

    ―ハンジ・モブリットの部屋―

    「うわ~見てみてモブリット!!露天風呂が付いてるよ!!」

    部屋は離れの様になっており、静かな空間であった

    そして部屋は露天風呂付きだった

    モブリットは、早速自分とハンジの荷物を整理し始めていた

    「ハンジさん、少し待って下さいね、荷物を整理して、お風呂の支度をまとめて、寝間着を準備して…っと…」

    テキパキ手際よく、二人分の着替えを並べていく

    「そんなの、着るときに出せばいいんじゃないの?」

    ハンジはその様子を、首を傾げて眺めた

    「駄目です、私はちゃんと前もってキッチリ準備したいタイプなんです」

    「露天風呂、入ってきていい?」
    ハンジはモブリットの顔を伺う様に、覗き込んだ

    「…構いませんよ、あっ…待った」

    モブリットは、いきなりハンジの手を引いて、座らせた

    「な、何?モブリット」
    ハンジの顔が赤く染まった

    「手を、見せてください。さっきの火傷です」

    「あっ、うん…」

    ハンジが左手を開くと、まだ少し赤かったが、爛れるまでには至らなかった

    モブリットはそれを見ると、荷物から応急セットを取りだし、軟膏を患部に塗った

    そして、包帯でカバーした

    「さ、これは今日は濡らさないようにしてくださいね」

    「えっ?でも、これじゃあ体洗えないじゃないか」
    ハンジは困ったように眉をひそめた

    「片手でも洗えますよ。それに…御背中くらい流しますから」

    そのモブリットの発言に目を見開くハンジ

    「…えっ!?さりげなく大胆発言したよね、モブリット!?」

    「別に…何か言いましたっけ?」

    とぼけるモブリットの顔も、そこはかとなく赤かった
  14. 105 : : 2014/04/16(水) 17:02:37
    ―エルヴィンとリコの部屋―

    「エルヴィン団長、お体は大丈夫ですか?」

    リコは労るように優しく声をかけながら、備え付けのお茶を差し出す

    任務中の彼女には無い口調だ

    言ってる本人すら、自分がこんな口調で話せる事を最近知った程だ

    「ありがとう、リコ。大丈夫だよ。このお茶は変わっているな…緑色だ。少し苦くて旨い」

    エルヴィンのその微笑みに、つい吸い込まれそうになるリコ

    「緑茶というそうですよ。東洋のお茶ですね」

    リコはそう言いながら、荷物整理をしようと部屋の角に移動する

    「リコ、君も一緒に、どうだ?」
    そう言ってお茶をいれたエルヴィンに、リコは頷く

    「折角淹れて下さったんですから、頂きます」

    「…ここで…どうかな」

    いつもの様に膝をぽんぽんと叩くエルヴィンに、首を振るリコ

    「嫌です」

    きっぱり断るリコ

    「最近つれないなあ、リコは」
    ため息をつくエルヴィンに、リコは歩みより、そっと頭を撫でる

    「そんなことはないですよ、膝に乗るのは恥ずかしいだけです」

    リコはそう言って頬を染めた
  15. 106 : : 2014/04/16(水) 17:09:30
    「まあ、何時までも恥じらっている位の方が可愛いから、由としようか」

    そう言って頷くエルヴィンに、リコは更に顔を赤らめた

    「エルヴィン団長みたいに、恥じらわないのも困りものですが…」

    「…俺がくねくね恥じらっているのを見たいならそうする努力は惜しまないが…」

    「…見たくないので、努力しないで下さいね」

    リコはきっぱり言い放った

    「そうか、わかったよ、リコ」
    また笑顔を見せるエルヴィンに、リコはまたまた顔を真っ赤にしたのだった
  16. 111 : : 2014/05/07(水) 13:10:16
    「うーん、美味しいですねこのお茶…緑茶。苦味がありますが、のど越しがとてもいいです」
    リコはお茶を飲みながら頬を緩めていた

    「気に入ったなら良かった。司令への土産に買って行くといいかもな。酒はアンカに嫌がられるだろう」
    リコのリラックスした表情に、さすがの調査兵団団長も頬が緩んだ

    「そうですね、アンカが酒だけは見せないで!!っていつも言ってますから・・・」
    リコはふふっと笑った

    「なあリコ・・・」
    エルヴィンはそう言って、リコを自分のそばへと引き寄せた

    「は、はい?何ですか、エルヴィン団長」
    突然のエルヴィンの行動に面食らい、顔を真っ赤にするリコ

    「その緩んだ顔、勤務中にもするのか?」

    「・・・まさか。こんな顔できるわけ、ないじゃないですか。部下に示しがつきませんよ?」
    リコは心外だというような表情を見せた

    「そうか、ならいい・・・他のやつには見せるなよ?」
    エルヴィンはそう言うと、リコの頬をそっと撫でた

    「・・・やきもちですか?」
    リコのその言葉にエルヴィンは頷く

    「ああそうだ。やきもちだ」

    「では、勤務中にも見せてしまいましょうか、ふふ」
    リコはふわりと笑った

    「なぜ君はそう俺に意地の悪い事ばかり言うんだ」

    ふてくされたような顔をするエルヴィンの膝の上にぴょんと飛び乗ったリコは、任務中・・・というか自分以外には決して見せない表情をするエルヴィンの頬に手を伸ばす

    「さあ、どうしてでしょうか?」
    そう言って、エルヴィンの唇に自分のそれを重ね合わせた



  17. 112 : : 2014/05/07(水) 14:56:22
    ―ハンジたちのお部屋―

    「モブリットー!!」

    部屋に備え付けの露天風呂から大きな声で呼ぶハンジに、モブリットは、荷物整理の手を止める

    「ハンジさん・・・何だろう」

    何となく嫌な予感はしたものの、呼ばれれば行くのが副官の使命

    モブリットは気が進まないながらもハンジの待つ露天風呂へ向かった


    露天風呂への入り口のドアをコンコンとノックする
    「ハンジさん、来ましたが、なにか御用ですか?」
    扉の外から声を掛けると、中から返事が返ってくる

    「モブリット、ちょっと来て」

    その上官の言葉に指でこめかみを押さえたが、おそるおそる扉をあけた

    露天風呂はヒノキでできており、その風呂場には寝転べる椅子が備え付けられており、ほてった体をリラックスするのに最適な空間になっていた

    外の景色は東洋の庭園風で、これまた見るものを何故か落ち着かせる様な雰囲気を持っていた

    「すごいだろ?東洋の風呂・・・なんだよねこれ」

    そう言葉を発するのはもちろんハンジだ
    ひのきの風呂にゆったり体を浸けていた

    「ええ、そうですね。ところでお呼びだったと思いますが、何か御用でしたか?」

    モブリットの問いに、ハンジはふっと笑みを浮かべた

    「一人で入るのはもったいない。一緒に入ろう?モブリット」

    包帯が巻かれた方の手をひらひらとさせながら、副官を誘うハンジ

    「えっ・・・いやどうぞおひとりでごゆっくり。私はまだ荷物の整理が・・・」

    後ずさるモブリット

    「荷物の整理は後でいいから、さあ早くおいで?それともなに?今更まさか恥ずかしいとか、ないよね?」

    「は、は、恥ずかしいに決まってるじゃないですか・・・」

    「そんな恥じらうような年でも、関係でもないはずなんだけどなぁ・・・」
    ハンジは肩をすくめた

    「少しくらい恥じらいっていうものを持っていただきたいですよ・・・貴女には・・・」
    モブリットは盛大にため息をついた





  18. 121 : : 2014/05/23(金) 10:42:24
    「モブリット、あのさあ」
    ハンジは憮然とした表情で口を開いた

    「はい、なんでしょうか」

    「さっき君、お背中くらい流しますからって言ってたよね?それって一緒に風呂に入ってくれるってことなんだろ?」

    「・・・そ、そんな事言いましたっけ」
    モブリットは首を傾げた
    だが、明らかに動揺しているのが見てとれた

    「言ったよ。私の手が使えないから・・・それにさ、君たちいつもリヴァイと共謀して、私を気絶させて風呂にいれてるじゃないか?だったら平気だろ?」

    ハンジの言葉にモブリットは首をぶんぶん振った

    「いえいえ、確かに無理やりお風呂にお入れする事はありますが、私は一緒に入ってはいませんよ?ニファやペトラが洗浄係なんです。私は服を準備したり、それくらいですよ」

    「・・・ふーん。でもさあ、一回くらい、一緒に入って洗ってそうだけどな」
    ハンジは疑いの眼差しを副官に向けた

    「は、入っていませんよ?!いくらなんでもそれは・・・」

    「リヴァイは、お前のは見飽きてるから何とも思わねえって、そう言ったよ?」

    「・・・へ、兵長・・・!」
    モブリットは頭を抱えた

    「だから、君も一緒に入って絶対見てると思ったんだけど、違う?」
    ハンジの言葉に、モブリットはまた首を振る

    「いえ、自分は断じて、一緒に中に入って洗浄・・・を手伝ったことはありません。兵長は・・・ありますが」

    「ふうん、リヴァイに見せても良かったんだ。ふうん」

    「いえ、その時はまだ私と分隊長は上司と部下の関係だけでしたから、その・・・」

    俯きしどろもどろに言葉を発するモブリットを見て、ハンジは両手で顔を覆う
    「ははは・・・いいよ、モブリット。君は本当に可愛いな」
    そう言って、笑い始めた

    「ハンジさん・・・ひどいです」
    モブリットが今度は憮然とした表情を見せた

  19. 122 : : 2014/05/23(金) 10:54:43
    「ああ、のぼせちゃった、ふらふらするよ。モブリット、こっちに来て?」
    ハンジが艶やかな声で副官を呼んだ

    「・・・大丈夫ですか?ハンジさん。そろそろ上がった方がいいですよ」
    モブリットは忠実な副官らしく、言われた通りにハンジの浸かるヒノキ風呂に歩み寄り、跪いた

    「大丈夫じゃない・・・よっと」
    ハンジは突然腕を伸ばし、モブリットを風呂に引きずり込んだ

    ばっしゃーんと音と飛沫をたてて、モブリットの体は温泉の中に沈んだ

    「ちょ、ちょっとハンジさん・・・!私は服をきたまま・・・ですよ?!」
    モブリットの抗議の声を聞いているのか聞いていないのか、ハンジは手際よく副官のシャツのボタンをはずしていく

    「ん、今から脱がせてあげる」

    「服がびしょびしょになってしまったじゃないですか・・・!」

    「だってさ、君が悪いんだよ。私が一緒に入ろうって折角誘ってるのに、無下に断るからさ」
    ハンジはぺろりと舌を出してそう言った

    「ああ、もう・・・そうですね、私が悪うございました。まったく・・・」
    モブリットはそう言って、服を脱がしているハンジにされるがままになった
  20. 123 : : 2014/05/23(金) 11:13:54
    「なんかさー、こうしてると本当に平和に感じるよねー」
    ハンジは風呂にゆったりつかりながら、リラックスした表情を浮かべてそう言った

    「そうですね・・・そういえば、このお湯は不思議ですね・・・透明なんですけど、なんだかぬるぬるとしていて・・・」

    「あーうん、そうだね。お肌がすべすべになってるよ、ほら」
    ハンジはそう言うと、モブリットに自分の腕を差し出した

    「本当ですね、これが持続すればいう事ないんですけどね」

    「・・・何そのお肌の年齢気にする発言」

    「いえ別に深い意味はないですよ」
    モブリットは頭を振った

    「いいですよーどうせ年増ですよーだ」
    ふん、とハンジは鼻を鳴らした

    「そんな事は一言も言ってませんが・・・被害妄想がひどすぎやしませんか?」

    「ちょっと気にしているんだよ!」

    「うそおっしゃい。そんな事を気にする人が、風呂を無理やりいれなきゃならない状況を作ると思えませんよ」
    モブリットは肩をすくめた

    「・・・ばれたか」
    ハンジはいたずらっぽい表情を浮かべた

    「少しは美しさというものに気を使っていただけたらと思いますよ、折角元は良いのですから」

    「元が良い?何その身内びいき!」
    ははは、とハンジは笑った

    「いいえ、ひいきではありませんよ。本当にそう思います、ですからもう少し綺麗にですね・・・」
    そう諭すように言うモブリットの言葉を遮る様に、ハンジは口を開く

    「やーだね、私は変わらないよ。もしすんごく毎日綺麗になって、もてもてになったら君だって心配だろ?」
    そう言って、ハンジはモブリットの頬を撫でた

    「大丈夫ですよ、あなたみたいな変人は、もてもてになんかなりませんから」

    「・・・自分の女に向かって変人っていうのはどうかと思うけどなあ・・・」

    「その言葉通りなんですから、仕方がありませんよ、ハンジさん」
    モブリットはそう言うと、風呂につかってすべすべになっているハンジの身体を抱き寄せて、キスをした

  21. 126 : : 2014/05/25(日) 14:22:33
    「なあリコ」
    エルヴィンはぼそっと呟いた

    「フンフンフーン♪さ、お背中お流ししますからね、エルヴィン団長・・・あ、何か御用ですか?」
    リコは鼻歌交じりにエルヴィンの背中を泡だらけにしてこすってやりながら、返事をした

    「あのな、俺を裸に剥いておいて」

    「はい。あ、ちゃんと前はタオルで隠しているので大丈夫ですけど」
    リコは気にせず背中をこすっていた

    「君は服を着たままだな?何か不公平な気がするんだが」
    エルヴィンは不服そうに言葉を発した

    「・・・何がですか?いつもこうしてるじゃないですか。変なエルヴィン。フンフンフーン♪」
    リコはふふっと笑うと、また鼻歌交じりに背中をこすり始めた

    「たまには一緒に背中の流し合いとかな」

    「え、いやですよ。私はおふろには一人ではいるって決めているんです。一生一人で入るんです」

    「いや、でもな、君だって小さな頃は父親や母親と入っていただろう?ならば一生一人ではいるというのはもう無理じゃないか」

    「そんな屁理屈は聞きません」
    リコはふん、と鼻を鳴らすと、泡だらけの背中をシャワーで綺麗に洗い流した

    「リコがいじわるをするとハンジに相談しようかな」
    エルヴィンは心底傷ついた様な顔をしてぼそっと呟いた

    「・・・どうぞご自由に。ハンジさんならわかってくださるはずですから、何せメガネつながりの姉妹ですからね」

    「ならばモブリットに相談しよう」

    「モブリットさんはきっと私と同じ考えですよ!一緒に異性とおふろにはいったりしませんて!」
    リコはきっぱりそう言い放った
  22. 127 : : 2014/05/25(日) 14:32:17


    「くしゃんくしゃん!・・・・うー、こんなに温まったのに、何故かくしゃみが出た・・・」
    風呂から上がって、座布団に座ってくつろいでいたモブリットは、突然くしゃみを連発した

    「うーん、誰かが噂してるんじゃない?君の事」
    ハンジは部屋に備え付けてあった首コリをほぐす器具を試しながらそう言った

    「噂・・ですか。嫌な予感しかしませんねえ」
    モブリットはぶるっと身を震わせた

    「きっと、モブリットはむっつりすけべだって噂されているに違いないよ。ははは」

    「・・・なんですか、むっつりスケベって!」

    「だって、あんなに一緒に風呂に入りたがらなかったくせに、いざ入ったら浴場で欲情して・・・むぐぐ」

    「うるさいです、ハンジさん。くだらないダジャレ言うのやめてください」
    モブリットはあわてて上官の口を手でふさいだ

    「むーむー」
    ハンジの縋るような目を見て、モブリットは口をふさいでいた手を離した

    「はぁはぁ・・・浴場で欲情してあんなことまでしちゃってまあ大変」

    「あなた、まだいいますか!くしゃん!」
    モブリットは抗議の声をあげたが、またしてもくしゃみに阻まれた

    「あ、また噂されてる。さすがはむっつりスケベ!!」

    「もう、いいです・・・どうせむっつりスケベです」

    「ああ、認めちゃったよ」
    ハンジはそう言うとはははと笑って、副官の肩にこつんと自分の頭を乗せたのだった
  23. 132 : : 2014/06/03(火) 20:04:19
    「さ、エルヴィン団長は部屋で待っていて下さいね♪私はゆっくり入ってきますので」

    エルヴィンの着替えまで手伝ったリコは、にこにこしながら自分の着替えを抱えてそう言った

    「本当に一人で入るのか…折角の個室露天風呂の意味が無いじゃないか」

    「一人ゆっくり、誰にも邪魔される事なく温泉に浸かれるなんて、とっても贅沢で素敵!!連れてきてくれてありがとうございます、エルヴィン」

    リコはそう言うと、エルヴィンにぱたぱたと歩みより、背伸びしてその頬に口づけをした

    「…ああ、ゆっくり入っておいで」
    エルヴィンは何か言いたげな目をリコに向けたが、やがて頷いた

  24. 133 : : 2014/06/03(火) 20:08:53
    一人露天風呂に消えたリコの背中を見送ったエルヴィンは、なんとなく手持ちぶさたになったため、隣の離れに行く事にした

    ハンジ達の部屋だ

    まさか真っ昼間から最中とかはないだろう

    そう思いながら部屋の扉をノックすると、すぐにどうぞ、とモブリットの声がした

    「やあお前たち、露天風呂はもう入ったか?」

    エルヴィンは座布団に座ってお茶をすすっている二人に、そう声を掛けながら部屋に入った
  25. 134 : : 2014/06/03(火) 20:15:36
    「団長、先ほど頂きました。なかなか風情のある心地よい空間でした」

    心なしか顔を赤くしながら、言葉を発したモブリット

    「とっても気持ちよかったよ♪いろんな意味で」
    ハンジはニヤニヤ笑いながらそう言った

    「いろんな意味?」
    エルヴィンは目ざとく聞き返す

    「ハンジさん、余計な事を言わない!!」

    「うん、いろんな意味」
    ハンジは副官の言は無視して、ハンジはふふっと笑いながら頷いた

    「ま、まさか、一緒に入ったのか?」

    「当たり前だろ!?何のために個室露天風呂のある部屋にしたんだよ」

    「当たり前じゃありませんよ!!そんな事を考えるのはハンジさんだけです!!」
    モブリットが悲鳴をあげた
  26. 135 : : 2014/06/03(火) 20:22:31
    「やはり一緒に入ったのか」
    エルヴィンは頷いた

    「ああ、一緒に入っただけじゃないよ、一通り…ほらモブリットは若いからすぐに理性がとんじゃうの、あはは」

    「は、は、ハンジさん!!なんて事を…」
    モブリットは頭を抱えた

    「やはり、そうだよな、一緒に入るべきだ、うむ」

    エルヴィンはゆっくり頷いた

    「エルヴィン、リコちゃんは?」

    「一人で風呂に入っているよ、どうしても一人がいいらしい。モブリットも一緒に入らないに決まってる!!と言い張っていたが…」

    エルヴィンはちらりとモブリットを見た

    「私だって好き一緒に入ったわけでは…無理矢理ですよ、団長!!」

    「そのわりには、やることはやったんだろう?モブリット」
    エルヴィンはにやりと笑った
  27. 140 : : 2014/06/06(金) 09:28:52
    「や、やることやったって・・・団長・・・」
    モブリットは頭を抱えた

    「やーいむっつりすけべ!」

    「ハンジそれはちがう、がっつりスケベだ」

    「なるほどそうだね、そうに違いない!」
    上司二人のやり取りに、モブリットはわなわなと身体を震わせ


    「あ、あ、あなたたち・・・いい加減にしてください!」
    モブリットは机をばんと叩いた

    「あ、モブリットが怒った!」
    ハンジがぺろっと舌を出した

    「いやいや、モブリット、男なんて皆同じことを考えているんだから気にするな」
    エルヴィンは諭す様にそう言った

    だが、モブリットは首を横に振る

    「いいえ、私はそんな事ばかり考えていません、断じてです!」
    そう言うと、部屋を出て行ってしまった

    「あーあ、モブリット出て行っちゃったよ」
    ハンジは肩をすくめた

    「モブリットは真面目だからなあ・・・たまにははめをはずさせてやりたいと思ってるんだが、はめを外すまえに理性のタガが外れたな・・・ハンジのせいで」

    「私のせい・・・、まあそうだけどさ。エルヴィンてさらっとHな発言するよねー」
    ハンジは苦笑した

    「まあ、そのうち機嫌も直るだろう。しばらく好きにさせてやろう」

    「多分リコちゃんの部屋に行ってるよ?いいの?」

    「構わんよ、モブリットならあらぬ間違いは犯さんだろう」
    エルヴィンのその言葉に、ハンジはうんうんと頷いた
  28. 143 : : 2014/06/08(日) 22:09:49
    「あら、それは酷いですね…」
    ハンジの予想通り、モブリットはエルヴィンとリコの部屋に来ていた

    愚痴るモブリットに、リコは相づちを打ちながらお茶を出していた

    「はぁ、そうなんだよね…一緒に入ろうなんて、そんな気無かったのに…」

    「モブリットさん…」
    リコはモブリットの頭を優しく撫でてやった

    「まあね、結果的に一緒に入って…まあいろいろやらかした自分も悪いんだけどね…」
    モブリットはため息をついた

    「…でも、お風呂に引きずり込んだのはハンジさんですし、服を脱がせたのもハンジさんですし…どう考えても被害者はモブリットさんですよ」

    「…そんな事を言ってくれるのはあなただけだよ、リコさん」

    モブリットはそう言うと、お茶をすすった

    「それ、美味しいでしょう?少し苦味があるんですけど、喉ごしが良いというか…緑茶と言うんですよ♪」
    リコは笑顔でそう言った
  29. 144 : : 2014/06/23(月) 22:46:41
    「モブリットさんは悪くないですよ…あっこの菓子美味しい。モブリットさんもどうぞ」
    リコは部屋に置いてあったお土産の試供品を、モブリットに差し出した

    「ああ、これ部屋にあったね…全部分隊長に食べられて、私には当たらなかったけど…」

    モブリットはそういいながら、差し出されたお菓子を手に取った

    「あら、モブリットさんの分まで食べちゃったの…」

    「そうだよ…酷い扱いだと思わないか…?」

    モブリットは俯いた
  30. 145 : : 2014/06/23(月) 22:55:15
    「確かに…酷い扱いだと思います。モブリットさんが優しいから、きっと甘えてるんですよ」

    リコは眉を潜めた

    「そう見える…か、やっぱり」
    モブリットはため息をついた

    「…モブリットさん、ハンジさんを少し焦らせましょう!!」

    リコはそう言って、目を輝かせた

    「ハンジさんをあせらせる?」

    「はい、ハンジさんは安心しきってます。モブリットさんはどんな仕打ちをしようと、自分から離れて行かないって…だから…」

    リコはそこまで言って、耳打ちした

    「…本気かい?リコさん」

    モブリットは驚き目を見開いた

    「はい、本気ですよ!!」

    リコはそう言って微笑んだ
  31. 148 : : 2014/07/02(水) 23:55:09
    「焦らせるか、そんな事考えた事も無かったよ」
    モブリットはそう言って、お茶菓子をパクリと口に入れた

    「私が協力しますから!!ね!!」
    リコはモブリットにバチッとウインクした

    モブリットはその様子を見て、面食らう

    「ちょ、ちょっと待ってくれ、リコさん。それじゃあ私は団長に恨みを買いそうじゃないか…ハンジさんに無下にされるより、そっちの方が嫌だよ…」

    「あら、モブリットさん、大丈夫よ、心配しないで!!エルヴィンにはちゃんと話を通しておくから問題無し!!さあ、早速作戦会議よっ!!」

    リコは目をきらきらと輝かせた

    まるでいたずらを思い付いた子供の様な目に、モブリットは少々不安を感じた

  32. 149 : : 2014/07/08(火) 10:10:33
    リコの作戦を聞きながら、モブリットは目を白黒させていた

    「リコさん・・・本当にやるのかい?」
    モブリットは今にも痛くなりだしそうなこめかみを押さえて、呟くような声で言った

    「やりますよ!頑張りましょう!」
    リコはモブリットの手を取り、力強く頷いた

    二人は作戦会議を終えて、エルヴィンとハンジがいるであろう部屋に行った

    「エルヴィン、ちょっとちょっと」
    リコは部屋に入るなり、エルヴィンを手招きして外に連れ出した

    「お帰り、むっつりすけべのモブリット君」
    ハンジはにやりと笑ってそう言ったが、モブリットは神妙な顔つきで返事をしなかった

    それどころか、ぷいっと顔をそむけた

    「まだで怒ってるの?しつこいなあ」
    ハンジは口を尖らせたが、それ以上機嫌を取る様なことも何も言わなかった

    モブリットはいつも怒っても、しばらくすればまた元通り接してくれる事が常だったからだ

    自分が好き勝手やらかしても、いつも許してくれていたからだった

    しばらくすると、部屋にエルヴィンとリコが戻ってきた

    エルヴィンはなんだか嬉しそうにしていた

    「・・・?」
    エルヴィンのいつにない目じりの下がり様に、ハンジもモブリットも目を丸くした

    「エルヴィン・・・なにかいい事でもあったの?」
    ハンジは恐る恐るにこにこしているエルヴィンに問いかけた

    モブリットに至っては、少しずつ後ずさるのであった




  33. 150 : : 2014/07/08(火) 10:26:30
    「いい事?いや特にないがなぜだ?」
    にこにこ笑顔でそう言うエルヴィンに、ハンジは背中を震わせた

    「なんかやましい事考えてる顔してるよ・・・こわ」

    「…確かに、怪しい顔ですね、でもこれいつもの笑顔ですよ」
    リコはそう言って頷いた

    「確かに、そう言う顔たまにみるけど・・・いつもより数段目じりがさがってあやしいよ・・・」
    ハンジはまたぶるっと背中を震わせた

    「モブリットさん!前お話していた件、相談したいんですけど・・・いいですか?」
    リコはそう言うと、お茶を用意しようとしていたモブリットに歩み寄って手をとった

    「はっ!あ、ああ、構わないよ、リコさん」
    モブリットは一瞬体をびくっとさせたが、こくりと頷いた

    「では、二人で出かけてきますね♪わーモブリットさんとデート楽しみー♪」
    リコは嬉しそうに頬をそめて、モブリットを引っ張り立たせて部屋を後にした


  34. 151 : : 2014/07/08(火) 10:30:19
    「・・・エルヴィン、いいの?リコちゃんデートだっていってたけど」

    ハンジは二人がいなくなってからぼそっとエルヴィンに問いかけた

    エルヴィンの目じりはずっと下がったままで、うんうんと頷く
    「ああ、たまにはいいんじゃないか、うむ」

    「リコちゃん、デートって言ってたけど」

    「ああ、モブリットはああ見えていい男だし、仕事もできる。リコもいつも相談に乗ってもらいたいと話していたからな。たまにはいいだろう」
    エルヴィンは顎に手をやりながら、ハンジに微笑みかけた

    「な、なんでそんなに機嫌がいいんだよ・・・ほんとこわいよ、エルヴィン」

    ハンジは背中をぶるっと震わせた

    「ん?こわいか?人聞きのわるい。あどけない笑顔だろう?」

    「どこがあどけないんだよ、エロヴィンめ!」
    ハンジはそういって毒づいた
  35. 152 : : 2014/07/08(火) 10:34:12
    「まあ俺たちもこうしていても仕方がない、ハンジ、デートでもするか」

    エルヴィンはそう言うと、ハンジに手を差し伸べた

    「じょ、冗談、エルヴィンとデートなんて生きた心地しないよ!!!」
    ハンジは後ずさった

    「・・・何だその言い草は。俺が相手だと不服だとでもいいたいのか?」
    エルヴィンはぎろりと睨みをきかせた

    ハンジはあわてて首を振る
    「いや、不服なんかないない!エルヴィンとデートたのしいなあ!!!」

    「ふむ、まあいいか。では行こう」
    エルヴィンはハンジの手をぐっとつかみ、外へと連れ出した
  36. 153 : : 2014/07/08(火) 10:46:29
    外にでると、温泉特有の硫黄の匂いの中、異国情緒あふれる建物も相まって、大人の街といった風情があった

    大人のデートにうってつけの場所と言える

    そんな中、モブリットとリコは手をつないで歩いていた

    「・・・リ、リコさん」
    モブリットは所在なさげに視線を泳がせながら、頬を染めていた

    「なんですか?モブリットさん」
    リコはモブリットの手をつかんだまま、下から顔を覗いた

    「あのね、本当にいいんだろうか、ほら、いくら団長に許可をもらったからといって、手をつないだりなんかして・・・」
    モブリットは心配そうな表情をリコに向けていた

    「大丈夫ですよ!エルヴィンは大喜びでしたし!」
    リコはニコニコと笑って、握った手を離すと、今度は腕を絡ませた

    そして体をより密着させる

    「リ、リコさん?!」
    モブリットは顔を真っ赤にそめた

    「あ、モブリットさん照れてる照れてる!!ふふ」
    リコはいたずらっぽい笑みを浮かべた




  37. 154 : : 2014/07/08(火) 10:50:02
    「・・・すんごくくっついてるけど、いいの?エルヴィン」
    ハンジはエルヴィンと外に出ていたが、川の向こう側にいるリコとモブリットの姿を見咎めて、思わず目をまるくした

    エルヴィンはというと、やはりずっと機嫌がよさそうであった

    「ん?ああ、らぶらぶだなあ。そうか、でも案外似合いだとおもわんか?モブリットは、ハンジよりも、リコとのほうが似合っていると思うぞ俺は」

    エルヴィンの言葉に、ハンジはびくっとした

    「え、あ・・・ああ。そうかも、しれないね」
    ハンジは俯き、小さな声でつぶやいた

  38. 155 : : 2014/07/08(火) 11:00:52
    「向こう岸に、ハンジさんたちがいますよ。うふふ」
    リコはモブリットの腕をとったまま、スキップをはじめた

    「ちょ、ちょっとリコさん?!」
    モブリットはリコに引きずられる様に速足で歩いた

    「モブリットさん、楽しまなきゃ損ですよ?あっ温泉まんじゅう!食べましょ食べましょ♪」
    自分の腕をとり、楽しげにはしゃぐリコの姿に、モブリットは思わず目じりを下げたのだった



    ハンジはその様子をじっと見つめていた
    「うん、確かに、リコちゃんとモブリットはお似合いだと思う」
    そう言って頷いた

    「だろうな。何せ二人ともよく気が利いて、真面目で、似たもの同士だ。息も合うだろうし、考え方も似ているしな」
    エルヴィンも頷いた

    「エルヴィンは、それでいいの?」
    ハンジはちらりとエルヴィンを横目で見ながら言った

    「そうだな、俺はなによりリコの笑顔が見られたらそれでいいと思っているよ。ほかの男の所でその笑顔が見られて、自分の所で見られないなら、それはそれで致し方あるまい」
    エルヴィンは真摯な眼差しをハンジにむけた

    「・・・そっか。そうだよね」
    ハンジは項垂れた

    確かにモブリットは、とても楽しそうにしていると様に見える

    リコに腕を組まれて頬を染めて、温泉まんじゅうを食べさせてもらっている

    それは、お似合いのカップルのやりとりにしか見えなかった

    自分と居る時のモブリットはどうだろう

    自分の世話ばかりして、モブリットはわがままひとつ言ったことがない

    いつも自分の思い通りにしてくれていた

    合わせてくれていたのだ

    自分はモブリットに一度でも合わせようとしただろうか

    否・・・

    ハンジは首を振った
  39. 156 : : 2014/07/08(火) 11:13:08
    それからしばらく二組のカップルは別行動をとった

    モブリット、リコ組はカップルらしい楽しみ方で、温泉街を満喫していた

    温泉まんじゅうのあとは、地獄釜で芋を蒸かして食べたり、足湯に入ってみたり、二人はどこからどう見ても似合いのカップルだった

    「はーー!楽しかったですねえ♪モブリットさん!」
    リコは一通り温泉街を満喫した後の帰り道に、嬉しそうな顔をモブリットに見せた

    「そうだね、楽しかったよ、本当に」

    リコは半ば強引にモブリットを連れ歩いていたのだが、その心遣いは実に細部にわたっており、モブリットもいつしかその入れ違いデートを楽しんでいたのだった

    「エルヴィンは楽しんでいるかしら。まあエルヴィンはともかく、ハンジさんは楽しんでいないでしょうね」
    リコはちらりとモブリットの顔をうかがいながら言った

    「・・・ハンジさんも、楽しんでいるはずだよ」
    モブリットは何か言いたげな表情をリコに見せた

    「そう思いますか?」

    「ああ、あの人はどんな時でもどんな事でも楽しみを見出す事に長けているからね」
    モブリットはそう言いながら、遠くに視線を移した

    「たしかにハンジさんにはそう言うところがありますけど・・・でもそれって・・・モブリットさんがそばにいたからだと思いますよ、私。いなかったら、どうでしょうね?」
    リコはそう言うと、いたずらっぽい笑みをモブリットに見せた

    「ど、どうでしょうねって・・・どうもしないよ」
    モブリットは首を横に振った

    「やきもちをやいていると、思いますけどね」
    リコは不敵な笑みを浮かべた

    「まさか、それはないさ」

    「あると思います!きっとさびしい思いをしていると思います!」

    「ないない、絶対にないよそれは」
    モブリットは肩をすくめた
  40. 157 : : 2014/07/08(火) 11:17:18
    ハンジとエルヴィンは、一足先に部屋に戻っていた

    「じゃあハンジ、俺は部屋に戻っているからな。ちょっと処理しなきゃならない書類を持ってきた。宿題を持たされたからな・・リヴァイに」

    エルヴィンはそう言うと、ハンジの部屋を後にしていった

    残されたハンジは、窓から外を眺めた

    ふと視線を移動させると、川にかかる橋の上で談笑しているようなリコと、モブリットの姿が確認できた

    リコもモブリットも、とても楽しそうにしているように見えた

    「確かに、お似合いだよね、あの二人は」
    ハンジはため息をついた
  41. 158 : : 2014/07/08(火) 11:23:50
    しばらくすると、部屋にモブリットが戻ってきた

    「ただ今戻りました」
    いつも執務室に入ってくる時と同じような口調でそう言うモブリットに、ハンジはちらりと視線を向ける

    「ああ、おかえり」
    窓際の椅子に座りながら、小さな声でそう言った

    ハンジはしばらく窓の外を見るともなしに見ていた

    すると、がさっとする音がしたかと思うと、温かい何かが手のひらに置かれた

    「温泉まんじゅうですよ。美味しかったので、買ってきました。お茶も、お入れしましたから」

    モブリットはそう言うと、テーブルの上にお茶をそっと置いた

    ハンジはちらりと手の平の上のまんじゅうに目をやった

    「・・・いらないよ。食べたくない」
    小さな声で、ぼそっと呟いた
  42. 159 : : 2014/07/08(火) 11:31:07
    「嫌いでしたか?とても美味しいので、好き嫌いなさらずに食べてみてください」
    モブリットは諭すような口調でハンジに言った

    ハンジは首を振る
    「今は、食べたくない」

    そう言ってちらりとモブリットに視線を向けると、何とも言えない、寂しげな表情をしていた

    「そうですか、温かいうちに食べた方が美味しいと思ったのですが・・・引いておきますね」
    モブリットはそう言うと、ハンジの手から温泉まんじゅうを取り、紙袋に収めた

    「食欲がないんですか?どこか、具合でも悪いんでしょうか」
    顔色をうかがう様に、顔を覗くモブリットに、ハンジは思わず顔をそらす

    「どこも、悪くないから。ちょっと考え事をしているだけだよ」
    ぼそっと呟くと、また窓の外に視線をやった

    モブリットはその様子に、はぁとため息をついた

    「わかりました。私はちょっと汗をかいたので、風呂に入ってきますね」
    モブリットはそう言い残して、一人露天風呂に足を運んだ
  43. 160 : : 2014/07/08(火) 11:40:40
    風呂に行った副官の後ろ姿を目で追いながら、ため息をつくハンジ

    私はいつもわがままばかり彼に言ってきた

    側にいてくれるのは当然だと、いつの間にかそう思っていた

    いつも慈しんでくれる彼に対して自分は、何を返しているだろうか

    「何も、返していない」

    ハンジはぼそっと呟いた

    俯き視線を下にすると、自然と涙が零れ落ちた
  44. 161 : : 2014/07/08(火) 11:53:48
    「元気がなかったな・・・」
    モブリットは一人湯に浸かりながら呟いた

    ハンジの様子がおかしいのは目に見えてわかった

    そんな様子を見て、やり過ぎただろうか、と少し後悔の念を抱いていたのだった

    確かにいつも、振り回されてばかりだった

    先ほどのリコの様に、ハンジと二人でいた時に細やかな気配りをしてもらったという経験は皆無

    そういう気配りをするのは自分の役目だったというのもある

    だが自分はそういう気配りをしてほしいと、あの人に対して思っていただろうか

    否・・・

    自分はただ、あの人の笑顔が見たい、それだけを望んでいた

    そのためなら何でもできたというのに

    不満などなかったはずなのに

    いつしかそんな気持ちすら薄れていたのか

    一緒にいる時間が長ければ長いほど、近ければ近いほど、当たり前の事を忘れてしまうのか

    モブリットは首を振った

    そして、浸かったばかりの湯から上がり、風呂を出た


  45. 162 : : 2014/07/08(火) 11:59:44
    風呂を出ると、ハンジはまだ窓際の椅子に座っていた

    俯いている様だった

    モブリットは歩み寄りながら、極力優しげな声で話しかける

    「ハンジさんも入ってきてはいかがですか?夕飯前に、さっぱりしますよ」

    だが、ハンジから返答はなかった

    「ハンジさん?」
    モブリットは怪訝そうな表情を浮かべて、俯いているハンジの顔を覗く様に、跪いた

    そして、その顔を見て絶句する

    涙を流していたからだった
  46. 163 : : 2014/07/08(火) 12:11:52
    「ハ、ハンジさん?!大丈夫ですか?!」
    モブリットは慌ててハンジの肩をつかんだ

    「・・・モブリット」
    ハンジは目に涙をためながら、顔をゆがませた

    「ど、どこか痛いところでもあるんですか?!」
    モブリットの問いに、ハンジは頷く

    「・・・胸が・・・痛いよ、モブリット」
    そう言って、またぽたぽたと大粒の涙をこぼした

    「胸?!」

    「ああ、やっとわかったんだ。私は間違ってた・・・」
    とどまる事を知らない泪は、洪水となってハンジの目からあふれ出していた
  47. 164 : : 2014/07/08(火) 13:49:02
    「ま、間違っていた?!何がです?」

    モブリットはハンカチで涙を拭うが、後から後からこぼれ落ちる涙は、留まることを知らなかった

    「君が…いつも側にいてくれるとは、限ら無いんだ…当たり前の事じゃなかったんだ」
    ハンジはそう言うと、両手で顔を覆って泣き崩れた

    モブリットは首を振って言葉を発する
    「何を言ってるんです、ハンジさん。私は何時も貴女の側にいますよ。この命有る限り」

    「当たり前ではないんだよ、君だって他にいい人が出来るかもしれない、そう、リコみたいにかわいくて気が利いて、優しい、女らしい人とかさ…」

    ハンジは顔を覆っていた手を離して、上目使いでモブリットを見た

    「私は…ずっと貴女しか見えませんよ!!それは約束します」

    「そんなの、分かんないじゃないか…だって、とても似合っていたし、楽しそうだったし…」
    ハンジは口を尖らせた

    「ハンジさん…もしや、焼きもちを妬いて下さっているんですか…?」
    モブリットは小さな声で言うと、ハンジの頬に手で触れた

    「…そうだよ、焼きもちを妬いてる」
    ハンジはボソッと呟いた

    モブリットはその瞬間、ハンジの身体を抱き寄せた

    「…ハンジさん、すみません…」
    そう言って、強く抱き締めるのであった
  48. 165 : : 2014/07/08(火) 14:13:46
    泣けます((#・。 。)ウウッ
    期待ですよっっっっ
  49. 166 : : 2014/07/08(火) 14:24:36
    「モブリット…」
    ハンジは副官の胸に顔を埋めて、目を閉じ、彼の名を呼んだ

    息を吸うと、石鹸の香りと共に、そこはかとなく漂う男の香りが鼻腔をついた

    「はい、何です?ハンジさん」
    モブリットはハンジの背中を、優しく撫でてやりながら、耳元でささやいた

    ハンジは耳に掛かる息がくすぐったくて、思わず身体を震わせた

    「大好きだよ…本当に。だから何処へも行かないで…」
    体の芯を震わせる感覚に何とか耐えながら、ハンジは言葉を発した

    「…何処へも、行くわけないじゃないですか」
    モブリットがもう一度、耳元でささやくと、ハンジはもう我慢の限界、と言った感じで顔を上げ、彼の唇に自分のそれを押し付けた
  50. 167 : : 2014/07/08(火) 15:02:05
    唇を離すと、モブリットは頬を赤く染めていた

    唇と唇の濃厚なやり取りは、彼を興奮させるのに充分だった

    そのままハンジの着ているシャツの下に手を入れて、この上なく柔らかく、そして敏感な部分を探る

    「モブリット…ちょっと、待って」
    ハンジは熱っぽい息を吐いてそう言った

    「嫌です。待ちません」
    モブリットは胸を探る手を止めない

    「あっ……待ってよ、モブリット…」

    再三のハンジの制止に、モブリットはやっと手を止めた

    「何です?ハンジさん」

    「…あのね、お風呂…一緒に入ろ?」

    モブリットはそれを聞いて目を見開き、そして首を振る

    「今は無理です…」
    モブリットは何故か頬をますます赤く染めて、そう言った

    「どうして…?あっ…そっか…」
    ハンジはモブリットの様子に、自らも顔を赤くした

    そして、徐に彼の男の部分に手で触れる

    「ハ、ハンジさん?!」

    服の上からもはっきりわかる、その部分の変化

    ハンジはそれを手で撫でながら、艶やかに微笑む
    「お風呂で、してあげるからね?」

    モブリットはともかく、言ったハンジも一緒に、顔を真っ赤に染めたのであった

  51. 168 : : 2014/07/08(火) 15:11:23
    「あー、二人とも、上手くラブラブになれたかなあ♪」
    リコは湯槽に浸かりながら、楽しげに言った

    「…まあ、子どもじゃないし、上手くやっているだろう」
    エルヴィンも一緒に湯槽に浸かりながら、満足そうに頷いた

    そう、エルヴィンは、リコとモブリットの作戦を許すかわりに、リコと風呂に入る権利を取得したのだった

    だからこそ、エルヴィンはリコの行動にも怒らず焦らず、むしろ機嫌を良くしていたのだった

    「まあ、私が一肌脱いだと言っても過言じゃないですよね、エルヴィン」

    リコはそう言うと、エルヴィンの肩にこつんと頭を置いた

    「本当に脱いだらさすがにモブリットを殺ってたかもしれんな」
    エルヴィンは不敵な笑みを浮かべた

    「大丈夫ですよ、モブリットさんは本当に一途ですもん♪私も一途ですし!!」

    リコの言葉にエルヴィンは、彼女の身体を抱き寄せて、その唇を奪ったのだった

  52. 169 : : 2014/07/08(火) 15:15:29
    調査兵団幹部…一人駐屯兵団だが…の温泉旅行は、こうして二人の仲をよりいっそう強固なものにしたのだった

    輝ける未来のために、たまにはこうして休息することも必要だろう

    例えどんなに暗く厳しい世界にあっても

    ―完―
  53. 170 : : 2014/07/08(火) 23:38:20
    師匠の大人組は本当に凄いです!!
    読んでてホンワカするし!格好いいし!
    最高ですよ!!!輝ける未来のために、休息も必要!!本当にそうだと思います!!
    素敵な作品をありがとうございます!!
  54. 171 : : 2014/07/09(水) 15:44:14
    ホンワカポフ いい話でした ホンワカポフ
    モブリット羨ましいや♪
  55. 172 : : 2014/07/09(水) 15:48:58
    >EreAni師匠☆
    ありがとうございます゜゜(´O`)°゜
    師匠に誉めてもらえて、ハッスルハッスル!!です♪
    素敵なコメントありがとう!!

    >ハンジもどきさん☆
    ポフポフ♪
    コメントありがとうございます♪
    私はハンジさんが羨ましいよ…(*´∀`)
  56. 173 : : 2014/07/11(金) 01:11:47
    出遅れましたが、すごくすごく素敵なお話で読んでてときめきました…!
    88さんの書かれるキャラクター同士のやり取りは理想的で、自分もこういう風に書けたらいいのになぁととても憧れます。
    素晴らしい作品をありがとうございました!
  57. 174 : : 2014/07/11(金) 07:48:55
    >NoNameさん☆
    読んで頂きありがとうございます♪
    うああ、憧れの作家さんに素敵なコメント頂いてしまった…
    嬉しいです♪
    またこりずにw遊びに来て下さい(*´∀`)
    コメントありがとうございました!!
  58. 175 : : 2014/08/28(木) 11:28:16
    面白かったです!EreAniさんと88さんってどっちが師匠なんですか?でもお二人共とても面白いss書きますよね!尊敬します!
  59. 176 : : 2014/08/28(木) 11:46:33
    >死に急ぎ野郎さん☆
    読んで頂きありがとうございます♪
    EreAni師匠とは、お互い敬意を評しあううちに、師匠と呼び合うようになりましたw
    尊敬だなんて…照れてしまいます(*´ω`*)
    私なんか…でも、ありがとうございます(*^^*)

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fransowa

88&EreAni☆

@fransowa

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