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穴の、中に、石があるッ! 拾いにいくぉ!!

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  1. 1 : : 2017/08/22(火) 22:18:54
    こんにちは蒼電と言います。
    夏花杯という企画での作品となります。
    短めのお話ですので気軽に読んでいただければなと

    やっぱネタは新鮮な内に提供ですね……

    夏花杯のURL
    http://www.ssnote.net/groups/835

    今回はたくさんの方々が参加してらっしゃるので是非とも見てみてはいかがでしょう。
  2. 2 : : 2017/08/22(火) 22:21:16

    昔、小さな村があった。
    その村は田舎で大して大きくもないが、奇妙な言い伝えがあった。


    村の中心、そこにある穴の中心には御霊の石という綺麗な丸石がありそれには土地神様が宿っている、と。
    事実その穴の中には灰色に淡く光るとてもきれいな丸石があり、穴の前には鳥居があった為、村の人間は穀物を供えたり、祭りの際には穴の前で神事を行ったりと、その石に対し信仰があった。


    少年――坊は、そんな言い伝えのある穴の手入れをしていた。


    穴の手入れは村の寺子屋で持ち回りで行っていて今日は坊たちの番、掃除の為に中に入ると穴の周りは少し薄暗いが光の反射の為か不思議と明るく足元には困らなかった。


    先生の指示で坊を含めた数人の寺子屋の子ども達は手入れを始める。


  3. 3 : : 2017/08/22(火) 22:23:46

    穴の壁を綺麗にしたり、穴の外の鳥居の汚れを落としたりと手入れをする中で、坊はそこで言い伝えの石をみる。


    穴の中でも一段低くなっている中心部、その真ん中の一番低い所に石が落ちていた。


    その石は自分が今まで作ったどの泥団子よりも完璧なまん丸で、淡く光る灰色がそれが石であることを主張しているが、反射する光は淡くとも高価な金や水晶と何ら変わらないほど上品なものであった。


    石に魅入られ掃除用の布が右手から滑り落ちる。


    石の輝きに吸い込まれるように一歩、また一歩と坊の足は石に近づく。






    穴の、中に、「石」があるッ!!








    拾いにいくぉ!!











    そう差し伸べた手は先生のコラという叱る声に行く手を阻まれ行き場を無くす。


    坊は反省しつつ落とした布を拾い、掃除に戻る。穴の中の石は先程と変わらずに淡い光で坊を魅せていた。


  4. 4 : : 2017/08/22(火) 22:27:14


    ――月の光る暗夜、提灯も全て消えて星が煌めく中、坊はひっそりと家を出て、地面に一つ小さな影を落とす。


    夕食を食べた坊はすぐに眠ることで夜中起きることに備えていた。


    両親や村の人たちは皆寝ており坊の影を追うものはいない。


    坊は家の前から歩み始める。それにつられて小さな影も動き出す。


    向かう先は村の中心、その穴の中にある石。
     

    昼間見たあの輝きを坊は忘れられなかった。








    穴の、中に、「石」があるッ!!









    拾いに行くぉ!!








    進める歩は魅入られた「意思」の表れ、しかし足取りはあまりにも力強く確かな「意志」が背中を押していた。


  5. 5 : : 2017/08/22(火) 22:28:12


    掃除が済んだ鳥居をくぐり穴の中に。


    穴の中には自ら光っているようにも見える丸石……御霊の石が昼間よりも強く坊を魅せていた。


    昼間のように右手を伸ばし石に触れようと試みる。


    昼間と異なりその右手阻まれる事なく石に触れる。


    中指から石に触れ、滑るように人差し指、薬指、小指と石に当たりながら指先から指の腹へと触れる部分が増えて掴みにかかり――


    石は坊の手に収まり、掴み上げる。


    石の肌触りを堪能していた次の瞬間、石は自ら強く光り坊の視界を奪った。


    その最中、石は右手から滑り落ちる。

  6. 6 : : 2017/08/22(火) 22:28:56


    目を開けると視界に現れたのは麗しい若い女性。


    上質だと一目で分かる煌びやかな白基調の着物を着て、そこから見える肌は真珠よりも白い。金粉で出来たような輝きを放つ髪は腰ほどまで伸びており、端正な顔はそれらに負けない美しさを誇っていた。


    はっきり言ってこの世のものとは思えないその光景に坊はただ見てることしかできなかいまま固まる。


    目の前の女性が少年、と坊に石をつかんだのはお前かと尋ねる。


    坊は茫然としたまま答えるとその女性は後ろに九つの狐の尻尾があるのに気づく。


    驚いて二歩後ずさると女性は口元を袖で隠しながらくすくす笑う。


    彼女は折角の機会ということ自身について説明し始めた。


    聞くところによると、彼女は御霊の石に祀られている土地神そのものらしく何千年も生きた狐が神霊となったそう。


    坊はその話を聞きながら土地神様の美しさに見惚れていると彼女は悪い笑顔を見せて坊に詰め寄った。


    彼女は御霊の石に祀られている土地神様。祀られてる神聖な石を断り無く掴み、さらには落とした坊に対してどんな神罰が落とされるか――


    狐の神様は少し考えた後油揚げを持って来いと言い出した。


    坊はぽかんと口を開けながらパクパクしていると彼女は続ける。


    明日から毎週、甘い油揚げをここに一つ供える事。それが要求だった。


    坊は笑いながら持ってくる事を誓った。

  7. 7 : : 2017/08/22(火) 22:29:33


    十年後――。


    二十歳になった坊は、今日も鳥居へ歩く。


    豆腐屋を開いた坊は運が味方し若いながらも有名になり開いた店の名は近くの城下町でも人気を博すほどであった。


    目玉の商品は油揚げ。とても甘い油揚げで一つ食べると病みつきになってしまう。


    可愛らしい狐の印の袋を片手に鳥居をくぐり穴の中に。


    穴の中は以前とは異なり石は落ちてなく神棚の中に大切に仕舞われていた。


    坊はそこにある皿に油揚げを一つ、袋から出して供えると神棚の隣に座りもう一つを口に入れる。


    甘さが優しく広がり満足そうな顔をする坊。そして石の方を向く。


    穴の中の石は満足そうに淡く灰色の輝きを光らせた。




  8. 8 : : 2017/08/22(火) 22:31:39





    おしまい。




  9. 9 : : 2017/08/22(火) 22:44:43
    あとがきみたいな(長いです)

    初めに、読んでくださりありがとうございます!!

    これにて終わりです。

    企画に参加する作品がどうしても短くなるのを直そうとしたのですがとんでもなく短い作品が出来てしまいました……次こそは長編を……

    今回初めてファンタジーに挑戦しました。
    ファンタジーで何書こうと思って結果和風にしようとなりましてツイッターでボーちゃんが話題になっているのでという流れで今回の作品が出来ていきました。

    今回はセリフ無しで構成してみたりとやってみたいことをやってみました。

    神様の呼称をそろえなかったのは、彼女は元は野良の狐であり結局のところ決まった名は持たないからバラバラ呼ばせました、分かりづらかったら申し訳ありません。

    本当は別な作品を投稿してましたが文が紡げなかった為こちらの作品になりました。

    今回完成しなかった作品もどこかで完成させたいですね。

    他にも言いたいことがあった気がしますがその内話しそうなので今回のところはここらで終えます。


    最後に改めて、読んでくださった方ありがとうございます!

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oudentt

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