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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

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  1. 1 : : 2019/08/30(金) 05:46:42
    またもや未完のものがかさ張る中、数年前に書きかけで
    隅へと追いやられていたものに手を付けてしまった結果、
    再び始動することとなったEVAもののSSのようなもので・・・

    タイトルから分かる人もいるかもしれませんが、いわゆる
    アヤナミssとなります。お話のメインとなるのは
    彼女の存在であり、彼女に関わっていく各々とのやり取りを
    ただただ掘り下げていくというような・・なんか中途半端な
    シリアスになると思われます。


    以下、当ssのようなものに関しての注意点的なものを
    簡易的に挙げさせてもらおうかと思います。




         ~~~原作メディア設定・混在しています~~~

    まず、EVAモノという事で気になる世界観設定ですが・・・
    ぶっちゃけ滅茶苦茶です。基本的にはアスカの名義から
    分かるように、テレビシリーズ(旧作)準拠ですが、
    新劇場版要素を汲んだ描写もいくらかあります。
    (発言及び、登場人物に関しても同様です)
    似たような注意点として、時系列に関してもあまり
    深く考えていません;



    ~~~詳細描写の相違や解釈の誤り(時系列もメチャクチャ!)~~~


    EVAといえば、公に説明されることはなくとも深く作りこまれた
    裏設定などが魅力の一つでもあり、それらの要素はできるだけ
    原作準拠で描けないかと尽力していますが、何せ
    本家の作り手ですら完全な一枚岩ではないので、深層描写や
    構成の矛盾などに関してもおおらかな目で見てもらえると
    有難い限りです。


            ~~~キャラ崩壊~~~


    はい、これに関しては所詮私の駄文ですので説明の必要皆無ですね。
      当SSの様なものに存在するのは・・・凡そ皆様の知っている
       アヤナミではない可能性が99.9999(シックスナイン)%の割合と予想されます。



          ~~~性的&グロ描写について~~~

    正直悩んでいますが、元来のEVA準拠であれば避けられないとの
    結論に達しましたので、現時点ではタグをつけてあります。
    私にとって思い出とトラウマは表裏一体ですので、その際には
    どのようにおぞましくも稚拙な表現に頼るか、想像もつきません。嘔吐注意です。


     ~~~~壮絶なネタバレ~~~


    言うまでもなく、出来うる限り原作の設定に寄せようと
    している以上、かなりのネタバレを含んでいますので・・・
    “新世紀エヴァンゲリオン”テレビシリーズを未視聴であり、
    尚且つこれから一気見するぞ!!って感じの方々はくれぐれも
    御目通しされないことを強く勧めます。

    また、同作品を“ロボットアニメ”だと思って居る方に関しても
    同様に御座います<m(__)m>



     ~~~テレビシリーズ・新劇場版の双方に詳しい人向け~~~
               簡易説明事項

    取りあえず何も説明がないのではあまりにも???だと
    思いますので、ネタバレも交えつつ、アバウトながらも
    大体の時系列、原作との齟齬を箇条書きで纏めますと・・


    ・テレビシリーズで大体20話以降の段階です。



    ・第14・15使徒には快勝を収めたのか、その他なんやかんやで
     アスカはお話し的にも重くなってません。寧ろ絶好調。


    ・でも、マダオはレイに槍を投げさせた様なので、現在
     ゼーレの説教部屋にて軟禁中です。


    ・第12使徒に関してもどのようにしてかは定かではありませんが
     問題なく殲滅できたようで、初号機も現状では
     凍結されていないようです。つまりS2機関未実装です。
     (F型装備実装の疑い有)


    ・2人目です。


    ・一部新劇場版描写・・というか漫画版(通称・貞本EVA)
     要素、混入します。


    ・3号機起動実験はダミーで行ったようです。
     したがって関智一さんも元気にやってるようです。



  2. 2 : : 2019/08/30(金) 05:50:24












        ―――NERV本部地下施設第4層・試験エリア―――









    「――――・・・・この波形は今迄のデータに無かったけれど・・・・

     一つだけ言える事があるとすれば間違いなく。。

     目に見えて良くない傾向ね。これは」






    そこは、旧箱根町・現第3新東京市の地底部分に地下都市(ジオフロント)の一部として
    建造されている特務機関NERV本部の更に深部に存在する、実験施設。

    同機関の有する主力兵器として運用される人型汎用決戦兵器
    「人造人間エヴァンゲリオン」に関係する様々な実験データを
    日々模索し続けるといった意味では・・・・

    恐らく有事の際を除いては最も施設内で多くの人員が
    多忙に働き続ける場所でもあるのかもしれない。




    その中でも特に機密性の高い情報を扱う区画(ブロック)の一室。
    率直に言ってしまえばその決戦兵器の全容を計り知る為に
    設えられた一室にて、一人の女性が冷めた目付きで、
    冷めた溜息を漏らす。





    〝人類の英知を結集させて創り上げられた神の雛形"



    ・・・と豪語しながらも、所詮は〝復元"に成功しただけで、
    その全容は殆ど何も明らかになっていない・・・

    そんな謎多き操縦兵器と、その操縦者の同調(シンクロ)率の規則性を
    計る為、幾度にも渡る接続試験(シミュレーション)を行っている施設の
    コンピュータールーム内。



    女性の名は赤木リツコ。
    特務機関NERV技術開発部の技術局第一課に所属する技術者にして

    E計画・エヴァンゲリオン開発責任者である・・・だけでなく
    本部中枢のシステムを掌握しているコンピューターシステムの
    管理・運用の担当者でもある同組織内の首脳とっても差し支えない
    立場の人間である。



    そんな彼女が防弾ガラス張りの遥か遠くに並ぶ
    3本の疑似エントリー設備を、あまり感情のこもっていない目で
    一瞥した後、再びその冷ややかな視線を目下のモニターへと落とすと、

    自身の懐でコンソールを素早く叩く部下の返答を、モニターに流れる
    無機質な数値の羅列を目で追いながら聞く。




    「・・・そう・・・でしょうか。

     確かにレイにしては一貫して安定していませんが・・・

     寧ろシンジ君やアスカのバイオリズムに比べれば

     この位は充分許容の範囲内・・・なんじゃないかと」




    部下の女性の名は伊吹マヤ。
    リツコ同様に技術局に所属していながら、
    彼女に強い憧れと信頼の念を抱いており、
    オペレーターとしての手腕も、リツコによる直々の
    指導を受けている事もあり、かなりの腕前と洞察力を有している。




    「あまり大きな声で言いたくはないけれど。

     "あの二人"と『レイ』では比較対象にならないのよ。


     ・・・・数値の上では大した誤差じゃない。
     ・・しかしこのシンクログラフの僅かな歪み。


     ・・・・『レイ』の固有波形パターンとして見ると相当異常だわ」





    ・・・そんな彼女の見立てを一刀のもとに伏すかのように
    更に声の感情トーンを落としたリツコの辛辣な言葉が紡がれる。




    「そんなに・・・異常なんですか、レイのこの状態は」





    そこまで疑いの余地がある綻びと言えるのか・・・
    そんな目を彼女が落とす先に表示されるのは、

    LCLに満たされた疑似プラグ内にて、静かに伏せた両瞼を
    微動もさせずに俯く、蒼髪白肌の整った顔立ちの少女。



    1人目の適格者(ファーストチルドレン)にして、EVA零号機専属パイロットである少女・・・


    ――綾波レイ。





    過去行われたEVAの起動実験に基づいて分かった明らかな事実として
    肉体的に〝14歳の少年少女"でしか起動・操縦が行えないという
    非常に不可解な条件を実証した1人目の被験者でもありながら――


    〝EVAに同調(シンクロ)できるという事実からどうやら年齢は14~5歳である"
    という事以外、素性や出自に関しての情報が一切記録に残っていない、
    謎の塊のような少女である。
  3. 3 : : 2019/08/30(金) 06:01:15




    他者と比較して明らかなまでの全身の色素の薄さと
    虹彩の赤さという身体的特徴に現れる見た目の異質さを除いても、
    普段からあまりにも感情の波を表に出さず、口数も非常に少ない・・・





    そんな彼女ではあるが




    「(でも・・・幾ら〝あのレイが"とはいっても・・・)



    そんな彼女を一瞥し、
    感情パターンにブレがあるとはいえ歳頃を考えても見れば
    15歳のうら若き少女。


    この程度の実験上の誤差にそこまで神経を使うリツコの心境を
    果たしてどのように受け止めるべきかと逡巡する彼女の
    思考を他所に、案ずるよりもという位の早さで実験終了の合図を
    ブロック内全域に向けて呼びかけるリツコ。







    「――――お疲れ様。今日の計測はここまでよ。

     シンジ君、アスカの二人はそのまま戻って着替えて頂戴。


     ――レイ。少し残って貰えるかしら」








    『―――はい。』
     






    『(なんだろう・・・綾波だけ…?)』



    『(・・・フンッ。エコヒイキには個別の指導でもあるのかしらね。。
     まあ私には全ッ然カンケ―ない事だけど。)
     ほらっバカシンジ!!
     ボケーっとしてないでとっとと出て帰るわよ!!!

     今日は特にお腹減ったから夕飯は肉で決まり!
     帰りに買ってくの!!い・い・わ・ね!!』






    『にっ・・肉って・・・

     人工のやつならいいけど本物は高いから無理だよッ・・;

     ミサトさんに渡された分じゃとても・・・・』




    『それくらいケチらないでよ!!
     こっちは人類護るために命懸けで戦ってんのよ!?

     金寄越せとは言わないからせめて食べ物くらい好きなものを・・・!』






    「二人とも、口論はそこを出てからにして頂戴。」




    有線通信回路を介してコンピュータールームに響く
    少年少女の・・稚拙であり・・微笑ましくもあるやり取りを耳にして、
    技術局スタッフの面々に静かな苦笑が伝播して行く中、

    一人だけ殆ど表情を崩さずに冷たい声で言い放つリツコの声を受け、
    その場の空気と2人の調子は、一瞬で元の状態へと引き戻された




    『ぁっ・・・す、すいませんリツコさん!』


    『は~い、了ぉ↑解。』








    「――――・・・。。」




    深い深い溜息と同時に、再びモニターへと目を落とすリツコ。



    そこに表示されていたのは様々な感情の起伏をグラフ化したような
    映像であり、知識が無い者が見ただけでは色鮮やかな
    不定形の幾何学模様が風を受けて優美にはためくような、
    一昔前のスクリーンセイバーのようなもの...




    ・・・・くらいにしかみえない。







    「・・・・この辺りでしょうか?

     いつものレイと比べて違いが顕著なのは」




    「そうね・・・他も大分普段と比べて安定してないけれど、
     特に挙げるならこの辺り。

     今迄殆ど雑念というものがないからなのか、
     全くシンクロにブレが無かったあのレイが・・・
     〝この部分の葛藤"で少しでも平静を保てないというのは
     俄かに信じ固いわ。

     本人に聞いてみるのが一番手っ取り早いけど・・・
     これは多分一番レイに似つかわしくない感性からくる
     シンクロの乱れよ」




    画面操作を行いながらの会話である為
    非常に面倒な問題に直面してしまったというリツコの顔を
    直接見ることができる訳では無いものの、

    明らかに『やれやれ』という感情を隠そうともしない彼女を
    背に、やはり納得が行かないと、内心だけで首を傾げるマヤ。




  4. 4 : : 2019/08/30(金) 06:05:23







    ―――そしてそれから数分としない内に




    バシュッ





    「赤木博士」





    問題の渦中とされる当人がやってきた。




    「実験後で悪いけど・・・レイ。少しいいかしら

     幾つか調べたい事があるから別室まで来て頂戴」






    「・・・はい。



     ですが・・・赤木博士。次回の"検査と調整"までは
     大分あるはずだと思います・・・調べたい事とは」







    「「「「    !!!?!?    」」」」

            ザワッ・・・・






    室内に、無言の緊張が一瞬で広がった。

    きっとその場に居たスタッフの中で
    声を大にして驚きの声を上げたい気持ちを咄嗟に抑えたのは
    1人や2人では無かった筈だ。


    その場の全員が驚愕するのも無理はない。


    ――何故なら普段のレイ(彼女)なら・・・・



    他人の言葉、その中でも〝命令"ととってもおかしくはない
    先のリツコの口から放たれたような言葉に対して、
    『YES』以外の言葉を紡ぐようなことは殆ど無いからである。





    ―――その場の全員が知る『綾波レイ』という少女は・・・




    ・・・正しくそういう人間である。






    「・・・驚いたわ。

     ・・・・レイ、あなたやっぱり相当"乱れて"るわね」





    言葉とは裏腹にまったくその表情を変えることはなく
    冷たく言い放つリツコだったが、言葉で促す必要も無いとばかりに
    踵を返し、コンピュータールームのさらに奥、普段は一時的な
    休憩などを取るための一室へとレイを従えてゆく。




    バスッ・・・




    当然扉の向こうとは遮音壁で隔たれている為、
    以降二人の会話を聞く事も出来ない訳であるが・・・




    「(先輩・・・先輩もあの3人の前ではあまり感情を出さない
     ようにしてるけど・・・特にレイに関してはなんていうか・・・)」



    最も信頼を寄せる師の読み取りにくい心中模様の内でも
    特に触れ辛い疑惑の部分を払拭できず、
    その扉を見つめる事しかできないマヤは、心の中だけで
    寂しそうに呟いた。





    「(すごく・・・冷たい感じがする・・・・・)」








    EVAの専属パイロットの中でも最初の適格者であり、
    また身体的に相当コンディションが安定しない体質なのか、

    定期的かつ頻繁に常人とは異なる回数の投薬や、
    〝調整"を行われている『レイ』と、その現場に常に居合わせて
    健康管理に関しても密接に関わっているリツコ。


    2人の間にもし何らかの確執や軋轢があるとして、
    そんな理由が全く思い当たらない彼女には、ただただ目の前の
    実験データに現れている普段の彼女との相違点を
    見比べるくらいしか出来ることが無かった。






    「(この辺りの突出した部分って・・・確か・・・

     異性への興味・・・とか・・・・。。
     そもそも漠然と捉えればA10神経接続で見ている部分といえば・・・
     人間の...快楽を司る部位・・・?だったわよね・・・・・;

     確かにデータをそのまま解釈するなら・・・驚きだけど)」





    レイ(彼女)が以前から唯一対話というシーンに於いて
    表情を崩していた相手を思い浮かべて非常に難しい顔をするマヤ。









    「(まさか・・・・とうとう司令に・・・・?;)」










  5. 5 : : 2019/08/30(金) 06:09:33





               ―――休憩室―――










              「――――シンジ君ね」





               「・・・・・・・・・」






    入室後、数秒間の沈黙を挟み、急にリツコの口から放たれたのは
    そんな脈絡のない一言。

    その問いかけの様な一言には主語も無い為、
    流石のレイもどう返答するべきか、

    そういった無表情で一瞬だけ押し黙ると




    「・・・それは質問ですか。

     碇君の名前だけでは・・・それがどういう質問なのか分か
    「とぼける必要はないわ。碇君が気になるのね?
     ここ最近・・―――数ヶ月の間かしら」




    「・・・・・・・」

    「・・・・・・・」







    「・・・・・・・・・はい。」






    余計な問答は不要とばかりに切り込むリツコの言葉に
    暫く無言で彼女の目を見続けるレイだったが、
    やがて特に躊躇するような様子もなく、しかし




    「・・・・自分でも・・・具体的に言い表せないんです。

     ・・・赤木博士。私は・・・この感じは"異常"・・・ですか?」





    本当に自分の内面でさえもよく分かっていない様子で
    無機質にそう返答するレイ。






    「いいえ。・・・・異常でも何でもないわよ




     あなたが自分でもよく分からないと言うソレは・・・・
     恋愛感情とかそういった非論理的な"何か"ではなく・・・

     単なる〝性的な興味"に過ぎない。・・・15歳思春期真っ只中
     という歳の頃を考えれば・・・・何もおかしな事ではないわ。」




    そんなレイの感情の薄さに引けを取らない位体温を感じさせない
    声色で。ただただ冷酷にリツコは告げる。





    「―――ただ、それはあくまで・・・・・・

     あなたに"そういった機能"が無い事実を考慮に入れなければ・・・

     という話だけれど」





    「・・・・・・・・」






    その一言を口にした瞬間のリツコの顔は、
    相対するレイと比べてみても、それに対して引けを取らない程に
    感情を感じさせない無表情であった。








    「私の身体が・・・普通と違うのは知っています。それなら」





    「―――だから、そんなあなたが何故来るはずもない発情期を迎えていて、
     その対象がよりにもよってあの〝シンジ君"なのか、それが
     問題なんでしょう。」






    「・・・発情。。」





    「そうよ」











             [    違う    ]







    「・・・・変調・・・・ですか」





    「そう。それもシンクログラフに留まらずバイタルにまで
     影響が及ぶほどの・・・一目瞭然な変調。一体何があなたを
     そこまで興奮させているのか、まるで理解できないわ」





           [―――違う。 そうじゃないわ]




    声には出さず、しかし胸の内のみで・・・レイの心がそう復唱する。




      [私は――碇君にそういう物を(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)求めているんじゃない]




    「赤木博士は・・・どうして私の状態をそこまで正確に」






    「当然だわ。いつも行ってる検査であなたの身体に起こる
     身体的な異変・・・例えばホルモンバランスの乱れにしてもそう、

     今さっき行ったシンクロ率の計測実験の最中にも
     その傾向は顕著に表れているから。

     此方と全パイロットの通話回線は互いに全て通常時には
     共有されている訳だけれど・・・・

     シンジ君と此方のやり取りが行われている間だけ・・・

     レイ。あなたのシンクログラフにあからさまな変調があった」











  6. 6 : : 2019/08/30(金) 06:19:26






    「理解は到底及ばないけれど・・・それでもあなたの深層に
     現在進行形で湧き出ている欲求なら・・・簡単に説明出来るわ。


     ・・・・あなた・・・・。シンジ君を"欲しがっている"のよ」
     シボッ・・・  キンッ




    それだけの言葉を、冷たく言い放つと、その場に置かれていた
    灰皿を手元に寄せ、紅脣に挟み込んだ紙巻き煙草へと
    ガスライターで着火し、紫煙を薫らせるリツコ。



    今まで以上に明確な・・・苛立ち、或いは苦悩の現れとして、
    眉間に刻まれた微細な渓谷と....
    一息に部屋中の酸素を吸い尽くしてしまうのでは
    ないかと見紛う程の・・・、、それは見事な深呼吸と共に。



    彼女の不快指数がそのまま具現化された煙霧が、
    部屋の中を静かに対流する空気の流れに乗り....



    やがて彼女の顔にまでうっすらと靄をかける.....




    当然ながら彼女(レイ)の外見年齢と・・・・
    実際の、その姿になるまでの(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)年数を考えれば、
    自身の半身を覆う副流煙は、彼女の呼吸器官に即時拒絶反応を
    引き起こす程の有害物質のカーテンに等しかったが・・・


    リツコが“第三者”の前で喫煙を行うと言う行為が、
    どういった心情の現れであるかという事を、
    何となく理解しているのか・・・はたまたそうでないのか。



    「・・・・・・・・・・・・」




    彼女(レイ)は表情を一切崩さずに、心の中だけで―――――


    決して誰かに対するものでは無い、自らへの否定を投げ続ける―――





         違う   そう(▪ ▪)じゃない。





          私は・・・碇君と一つになりたい。



           碇君にもっとポカポカしてほしい。



         もっと・・・彼自身の望む人生を生きてほしい。。




         EVAに繋がれる柵とは無関係な人生を・・・・




            ―――――そう、せめて




       “あの人の約束が果たされるまでの間だけでいい”




     そんな風に考えることは最近になって・・・時々あった。
     それがとてもおかしな事だと自分でも理解できていたのに。



          私の願望には・・・どこか矛盾がある。



     私には・・・EVAと繋がる人々との絆しかないーー
     全ての使徒を殲滅した後の存在意義も・・・望む人生も
     何も持っていない、そんな私なのに。



    “そんな私が”彼自身に
    “そんな欲求”を覚えた事も・・・そんな理由も無かったはず




     赤木博士はどうしてそう思ったのか。




     ――――――私が碇君をそんな風に求めていると。




     理由が気になる。
     このひとは何となくで思ったことを口にはしない。
     その言葉にはすべて根拠がある。

     半端な憶測や、「なんとなく」という動機に
     動かされる事が“殆ど”ない




     ・・・・・・・そういうひと




  7. 7 : : 2019/08/30(金) 06:32:19






    「赤木博士————」





    「あなたの言いたいことは大体わかるわ。
     何故私がそう思ったのか――――理由が知りたいのね。

     普通の人間とも違う、、人の形を模したモノでしかないと
     自ら自分の事をそう理解しているあなたが、どうしてそんな
     人間沁みた感情に動かされているのか―――」



    そう言い放つ彼女の物腰には・・・ある程度馴染みのある
    間柄に対しての、心情を看破できる位の友好度合の様な物は
    一切感じられず・・・、

    まるで目の前の不具合を起こした家電用品は、
    どこを叩けば元に戻るか、経験則で知っている。


    ・・・とでも言いかねないくらいの温度しか感じられない表情だった。



    尤も、人の放つ言葉に、"心"という不確定な要素を鑑みた上で
    「それ」を数値化できる熱量があればの話だが・・・・・。




    そう言った論理(ロジック)で推し量れない物を徹底して、
    悉く
    排斥しないと物事を考えることが出来ない彼女・・・
    "赤木リツコ"という女性の事は、理解できなくとも、
    そういう(▪ ▪ ▪ ▪)人間であると言うことくらいは・・・・



    彼女(レイ)には分かり切っていた。




    「・・・・・・」




    「説明なら幾らでもできるけれど・・・今、この場であなたに
     それをしたところであまり納得の行く答えを返せそうにないの。

     どうしてもあなたのその感情の答えが知りたいなら・・・
     次の『調整』まで待ちなさい。ただーー

     次回はいつもの調整槽とは別の場所に行くわ。
     第七層の入り口手前で待機していて頂戴」




    「————はい。
           ありがとうございます」




    「ーーーー、、」





    会釈をするレイを脇目で捉えるや、
    ほんの一瞬だけ...彼女の表情変化としては滅多に他人に
    見せることがない感情の表れとして眉根をひそめる。





    「————。。。礼は要らないの、
     これはあなたにとって・・・

     いえ、あなたがもし"普通の人間だったなら、間違いなく
     あなたの"タメ"になる事じゃない。

     知らないで居た方がむしろいいような事よ。

     ・・・けれどこうなってしまった以上あなたには知っておいて貰う
     必要がある。何故ならあなたは   」



    「・・・・あなたは・・・"あとの二人"とは違うのよ。

     何度も言うようだけど・・・自分が何故ここにいるのか・・・

     どうして必要とされているのか・・・・・・

     その存在意義だけは常に忘れないでおきなさい

     あなたが・・・もし、自分の事を、身の回りの人間と
     同じ場所で生きている存在だと自覚しているのなら...ね」




    「・・・・・・・・・」






    第1適格者(ファーストチルドレン)・・・綾波レイ。

     あなたが何故(▪ ▪)―――・・・他の二人と違い、僅かなズレも赦されず、
     使命を全うする必要があるのか・・・、、
     必要以上にシンジ君()に平常心を乱されるのか。


     そして―――――・・・・


     何故"パーソナルデータ”の書き換え程度であなたが、
     リリスの雛形(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)同調(シンクロ)できるのか・・・・・・・、、。


     あなたの疑問の答えとあなたの“出自”は・・・・



     全て同じところにある。」






    「・・・・分かりました。

              ・・・次の"調整日"・・・お願いします」」







  8. 8 : : 2019/08/30(金) 06:41:27







    ##########################






     ――分かっている――





     ――私が此処に居る理由――





     ――私がつくられた理由――





     ―――私が生かされている理由―――




     ―――私が必要とされる理由―――





     ――私の命は・・"あの人"の目的の先には存在しない事――





     ――それがどういう目的なのか・・・詳しくは知らない――




     ―――知らなくても確かに言える事・・・―――




     ―――私の役目が果たされたその時―――






     ―――・・・きっと・・・"何もかもが終わる"―――






     ―――こんな風に誰か他人の事を想い、悩む事も





     ―――他人との接し方を考える必要のある世界も




     ―――みんなみんな、全てが終わる。





     [世界をあるべき姿に―――・・一つにもどす]




     [全ての隔たりを無くして・・・皆をひとつに]




     [そこには他人と自身という考え方もなく・・・
     未来や過去、天と地という区別もない]




     [本当の意味で"自由"という概念しか無い世界]




     [個々を縛るモノが何一つないからこそ何処までも自由で]




     [然しそれ故に空虚な世界]





       [何も出来ない――――――――(いえ)。何もする必要がない世界(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)。]






     ―――あの人は一度だけそう言った―――





     ―――でも―――




     ―――あの人が"そんなもの"の為だけにここまで
     歩んで来たわけではないと・・・私は知っている―――
       



     ―――だから私は....













    「っ・・・あの、ぁ、綾波!!?」パタパタ




    「・・・・、、」




     考え事をしながらここまで歩いてきて・・全く気づかなかった。




     目の前に碇君が居る。驚いた顔をして、
     私の顔の前で・・手を振っている。





    「なに」



    「いや・・・なにっ。。て言うかさ、随分ぼーっとしながら
     歩いてたし・・・話しかけても聞こえてなかったみたいで

     ・・・少し心配したって言うか・・・」



    「・・・心配?」



    「・・・ぅ、うん・・・」



    「碇君が・・・・私のこと.....、?」



    「・・・そう・・・だけど・・・・っ、ぁのごめん、余計な・・
     お世話だったかな・・・・やっぱり」



    「そうじゃない・・・。ただ・・・心配をかけるほど
     普通じゃ・・・なかった・・・・?私が」



    「・・・、う、うん・・・気がついて無かったみたいだけど・・・

     綾波ここのところずっと調子良くなさそうだったし・・・


     、、、っぁ、ほら!今日のシンクロ率の測定だって・・・

     何かリツコさんに言われたんじゃ..」




    「・・・・・・・」



    「・・・・・ぁ~~・・・;ごめん、こんな事で呼び止めちゃって。。」



    「―――、、 余計なお世話じゃない。

     ――――碇君こそ...(ボソッ)」



    「うん?」



    「気にしてくれてありがとう

                     ・・・私のこと」



  9. 11 : : 2019/08/31(土) 06:22:15














    「っ―――ぇ、あ、う、うん!?御礼なんてそんな」




    「・・・それじゃ、」




    「そ、そうだった、綾波!あと一つ、
     ちょっと、、いいかな!?」オドオド



    「・・・・なに?」



    「綾波って・・・・いつもご飯とかどうしてるの?」




     「・・・・・・・」




     ——————この時私は・・・いつもと同じ会話の受け答えを少しだけ..


     ——————少しだけためらった。いつもの私なら


     ——————『赤木博士に渡された栄養剤と錠剤でほとんど済ませる』


     ——————と、ありのままを答えれば済むのに




     ——————このときの私は何故か・・  

                        そう、何故か。



    「インスタント・・・・・
     
     お湯だけ沸かせば簡単に・・・・できるから」



     ——————何故か・・・心配を掛けたくないと。そう考えた。




    「い・・・インスタントって・・ラーメンとかそういうの・・?
     綾波が・・・・?」



             ——————碇君に。




    「・・・そう。」




    「そう・・か・・・・いや、そうだよね・・・」
     (確かに綾波なら・・・学校に来てるのはどこか
     建前だけって感じのところあるし・・・
     本部でシンクロテストとか訓練してる時間は
     おいといてそれ以外の時間に自分の食事を
     作ってるところとか・・想像できないし・・・)
     



    「・・・・話はそれだけ・・・?」クルッ



    「ぁあっ・・・!!じゃあ、あの、、その話の続きがまだあるんだ!!」




    「・・・・・???」



    「(あれ....?なんだろう・・・綾波・・・今何か)」



     続く僕の言葉に、目で見ただけでは限りなく
     静止に近い状態で、首を傾げる綾波に、、

     僕は、今まで感じたことのない空気を察知した


     ―――・・・気がした。


     気がしたというのは・・・そうとしか言いようがないくらい、
     今の一瞬だけ気に掛かった程度の違和感だったから、

     これが単なる僕の気のせいなんじゃないか...と、
     そう思ってしまう気持ちもそこには確かにあるからだ。



     本当・・・・綾波って全然顔に出ないから・・・
  10. 12 : : 2019/08/31(土) 06:30:51







    「(・・・・私は・・・今・・・・・)」



     自分でも自分の心の中が穏やかでないと気がついた。



     どうしてかと言えば、当然・・・


     私がさっき普段通りの返事を碇君に返さなかったのは・・・



     何となく。  本当に何となく。



     ―――彼が私の事を心配してくれてると、


     ・・・そんな風に感じたから。



     "普通の子達"だったら・・・錠剤や点滴・・・
     調整槽に浸かる事で日々の生命維持を図るのは・・・


     健常を保つのは難しいから・・・。。。せめて


     インスタント食品でもなんでもいいから・・・


     普通に人が食べれば熱量になるモノ、元気になるモノを
     食べていると・・・そう伝えれば


     彼に不要な心配をかける事もないはず・・・


     そんな風に考えてしまったから。




     ・・・だから、とっさに"嘘"をついてしまった。



     今まで、"命令"以外で返事を偽った事なんてなかったのに・・・



     それを、よりによって―――碇君(かれ)に対して・・・・・。


     ―――だから私は・・・彼が、話のつなぎを促そうとして、
     一瞬動揺してしまった。



     このまま話が続いても・・・・、、、と。


     碇君に心配を掛けさせたくなかった私と・・・


     そんな事の為に碇君に嘘を伝えた私―――・・・


     その両方の心が揺れるのを感じる。



    「流石にインスタント食品とか・・・
     カップラーメンだけじゃ・・・その、良く・・・ないと思うんだ・・!
     だから・・・さ、、、」










     やっぱりそうだった・・・不穏な流れを感じた私は
     苦し紛れとわかっていても



    「・・・・・葛城三佐は・・・
     殆ど毎日そんな食生活だって・・・赤木博士が・・・」
     ボソッ


     そんな言葉を返さずにはいられなかった。。。


     こういうのが・・・きっと屁理屈というもの。


     屁理屈・・・私は初めてこんな答えにならない反論を、
     それも自分に気遣ってくれている人に対して口にした。




    「・・・・・・そっ、、それはっ・・・そうだけど・・・さ??」



     あれ・・・・??何だ・・・・・・


     僕の意識に、強烈に何か、引っかかった。

     今の違和感は・・・さっきの綾波に感じた・・・ほんの些細な
     見間違えともとれるレベルのそれじゃない。




    「・・・・・・・・・・」
     ジ―――・・・・


    「・・・・・なに?」




     今・・・気のせいじゃなかったら・・・



     綾波が・・・"文句"を言った・・・・・・?



     普段私生活じゃ殆ど必要以上の言葉のやり取りもしないし、
     惣流にあんなに辛辣で理不尽で、オマケに酷い言われ方をしても
     表情一つ変えない―――あの綾波が・・・・?






  11. 13 : : 2019/08/31(土) 06:38:16








    「ぁ・・・あのさ、間違ってたらごめん・・・・!!

     綾波ってさ...意外とその・・・インスタントラーメンとか、

     そういうの・・・好きだったりするの?」

    「別に」




     ―――ッはやぃ!!!!!今の返事は・・・
     今まで綾波から帰ってきた返事の中で一番早押しの
     即答だったんじゃないか・・・・!??


    「・・・・・・・」



     言ってしまってから少しだけ後悔はした。


     ・・・けれど、これ以上ありもしない事を碇君に伝えて
     それ以上の後悔をするより・・・ずっと良いと思った。



     ・・・もう、碇君に気遣って偽るのはやめて、
     彼の思っている通りに話を進めた方が・・・



     そのほうが良い気がした。



     ―――だから



    「それじゃあ・・・さ、、、!

     綾波さえ嫌じゃなかったら・・・!僕が・・・その、たまに

     家まで夕飯を作りに行くよ・・・!」



     ――・・・だから、、、



    「・・・・・・・」



     彼の唐突すぎる提案に対しても、正直・・・

     何を答えればいいのか、直ぐには頭の中に答えが
     出てはこなかった・・・・



    「・・・・・どうかな?
     (や・・・やっぱりこれはいきなり過ぎるかな・・;)」




    「・・・・どうと・・・聞かれても(俯)....」




    「ああ・・・そうだよね・・・、;
     (確かに綾波の性格なら・・・)
     じゃあ、綾波にとって・・・それって迷惑じゃない?

     僕が家にお邪魔したり・・・その、料理作ったりとか。
     ・・・そういうの」




    「・・・迷惑じゃない。・・・平気」




    「本当!?じゃ、じゃあ是非そうさせてよ!」
    (よ・・・、良かったぁ・・、、断られなくて・・・!

     それに何か二つ返事で返ってきたのが嬉しい・・)」




    「・・・・・家に居ないときの方が多いと思うから・・・

     今日みたいに赤木博士との用事が済んでからじゃないと

     ・・・難しいと・・・・・思うけど」



     何故か・・・碇君の顔はとても安心した顔というか
     ・・・嬉しそう、な顔に見えた。



     私にとって・・・あまりなじみのない感情。



     どうして・・・彼は今・・・



    「じゃあ、今から行ってもいい??
     途中で買い物も寄って行こうよ!」グッ・・・




    「ぁっ・・・」



     こんなに・・・"嬉しそう"なんだろう。


     彼自身が言い出した事とはいえ・・・自分の仕事を・・

     用事を増やしてしまっただけなのに。


     学校での様子を見る限り・・・・
     碇君は「何故」か同居している葛城三佐と、
     二号機パイロットの子の分を含めて、自炊している様子。




    「・・・・・・」




     ・・・そして私の片手を握って先を急ごうとする彼を見て・・・


     どうして・・・私は今・・・・・司令(あのひと)の事を思い出したんだろう。




    「(わからない・・・・・・・

                ・・・――――――――わからない。)」




  12. 14 : : 2019/08/31(土) 06:49:56





    「簡単に作れるものだったら幾つか考えてあるんだ・・・、、

     フライパンとか・・あ、そもそもコンロはある・・・?」



    「ある」




    「えっと・・じゃあ、包丁とまな板!」




    「それもある」




    「良かった・・・、、それがなかったら
     どうしようかと思ったよ・・・・でも、それだけあれば
     何とかなるかな・・・・!」





    「最初に部屋をあてがわれた時備え付けられてた物だから。

     ・・・・使ったこと無いけど」




    「(ぅぅん・・・、、
     綾波がエプロンして台所に立つ姿って・・・
     間違いなく画になると思うんだけど・・・)」



     そんな想いがふと頭をよぎり・・・
     それに続く形で、本当に唐突に・・・

     僕の中で漠然とした・・・それでいて
     自分にする自問自答としてはかなりおかしな問いが・・・



     脳裏に克明に浮かび上がった。




     ―――真っ黒の背景にドデカく、メリハリのある字体・・・・
     どこかで見たことのあるような某極太明朝体風の書き出しで、、、、、




       "僕は  、、ひょっとして綾波の事が好きなんだろうか?"



    「・・・・・・・・」




     こうした方が、綾波相手なら話が早いと思い、
     つい勢いで手を握ってしまってから・・・


     その体温を感じ取った僕の中に蘇ったのは・・・・


     いや、


     蘇ってしまった(▪ ▪ ▪ ▪)のは・・・、、、



     今その手に握るのとは逆の手に今でもはっきり残る・・・・



     今まで生きてきてその一度しか触れたことがなかった感触と・・・





              [どいてくれる?]





     これっぽっちの感情も感じられない彼女の瞳から響く、
     とても無機質なその一言。


     怒っているわけでも、突き放すでもなく、かといって
     狼狽えるわけでもない。ただ純粋に
     今思っただけのことを、何処までも真っ直ぐな瞳にのせて
     言い放つ彼女のその声は―――・・・・今、思い出してしまっただけの
     僕の全身を、容赦なく縛りつける。。。



     ババッ

    「あっ・・・これはそのっ・・・、、」ワタワタ



    「・・・・??、」




     そんな気まずい過去を思い起こしたことで、
     つい反射的に結んだ手を離してしまったけど・・・


     我ながらもったいないことをしてしまったと思った。
     折角勇気を出したついでに、妙な空気にならないくらいの
     勢いに乗って綾波の手を掴むことが出来たって言うのに。。。。




     ・・・そんなやり取りを終えてからも今こうして
     帰りのスーパーマーケットに向けて一緒に歩いている
     僕と綾波だけど・・・もう一度、ここで思い出してみる。



    「(・・・まじまじと考えた事が無かったけど・・・
     僕って本当に・・・・?)」




     こんな事を言ってしまうのは身も蓋もないけれど・・・



     そんな自問自答に、特に意味はないと思ってしまった。



     ・・・そもそも、綾波も、こないだからミサトさんと一緒に
     暮らしている惣流も・・・僕の身の回りには・・・


     トウジ達があんな風に騒ぎ立てるのもしょうがないくらい
     ・・・その、見た目が・・・可愛いっていうのかな。




     そういう女子が多い。




     ・・・多いと言っても僕が転校生である以上、現状最も
     近くで一緒にいる女子と言えばアスカ、レイの二人と・・・
     精々洞木さんくらいしかいないけど・・・



     それは、あくまで・・・・



     同級生として、付き合いたいとか、
     気持ちを伝えるとかって話を意識したらの話だ。



     この場合僕が考えているのは・・・・



     現状、僕が綾波に向けているこの感情って言うのは・・・



     多分、トウジとかをどうこう言えるほどの物じゃないって事。


     いや・・・もういっそ同レベルといってしまっていいんじゃないかな。




  13. 15 : : 2019/08/31(土) 06:57:08





     ―――そういう意味では・・・これは誰にも言える類の
     独白じゃないけど・・・きっと僕は・・・身の回りの“女性”これに
     限定するなら・・・・



     委員長やその他の、話をしたことも無いクラスメートや・・・
     たぶん、ずっと年上のミサトさんやリツコさんが相手でも・・・



     こういう心境に陥る事は十分あると思っている。



     多分・・・そういう時期なんだと思う。



     誰にも言いたくないけれど・・・訓練なんかが立て続けで
     家に帰るのもくたくたになっているときとかに限って・・・・



     最近覚えた“新しい日課”・・・その回数は急激に伸びたりする。



     他言できるような日課じゃないけど・・・



     多分みんなやってる、普通のことだ。



     そこまで考えると改めて・・



     本当に改めてそう思う・・・・・



     「(僕自身・・・綾波のことを・・・

     そういう見方(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)抜きではどう思ってるんだろう)」



     あんな事があってから、当然意識しない訳もなかったけど・・・



     逆に言ってしまえば、“それさえ”なければ・・・




     お世辞にも僕と綾波の会話頻度は決して多くない。



     そんな―――・・・自分自身が頭を捻るのは随分おかしな
     自問自答を繰り返すうちに、僕は綾波をつれて、
     彼女の部屋がある団地跡にほど近い、一件の寂れたスーパーに
     足を踏み入れた









           ~~~スーパーマーケット店内~~~




               「・・・・・・・・・」



     以前ミサトさんがラーメン屋でご馳走してくれたときの
     貴重な一度だけ・・・僕は綾波が食事を口にする場面を目にしている。



     その時に、チャーシューくらいの薄っぺらい物であっても
     “肉が嫌い”と彼女が言っていたのをしっかり覚えていたから・・・



     疑似的な人工肉の中でも、本当に大豆や米粉しか使っていないような・・


     それらしい食感だけでも味わえそうな加工食品コーナーで
     品定めをする僕を背にして。


     その隣の生鮮コーナーで、いつ冷凍庫からこうして
     冷蔵スペースに移されたか定かじゃない青魚の目を
     見つめる綾波......



     まるで美術館に展示されている一枚の絵画に、
     自分の意識をすべて奪われてしまった人のように・・・・



     眼下で命の輝きを失った光り物達を、
     ただじっと眺めてる・・・・



     よく考えてみると赤い目をした人って・・・




     外国の人でも殆どいなかった筈だ・・・




  14. 16 : : 2019/08/31(土) 07:02:34





    「・・・・・・」ゴクッ




     こういう身体的な事ってあんまり無神経に聞かない方が
     いいのかもしれないけど・・・


     もしもって事がある。綾波が実は髪も脱色していて、
     カラーコンタクトを僕達の目の前では一切はずさないだけ・・・


     なんていう可能性だって・・・・
    「  ――なに?」



    「ッ!!!!???」ビクッ
     ザザッ



     炒め物に混ぜる加工疑似肉をかごに入れたあと、
     魚を見つめていた綾波に見入ったまま、つい考え事をしていた
     ・・・・次の瞬間、真横から凝視していた僕の視線と・・・

     深紅の真球が、完全にシンクロする形で視線を重ねてくる。



     突然僕の目を真正面から捉えた綾波の瞳に僕の心が
     縛られたようにぎょっとした瞬間―――――・・・


     僕の心の中に、一つだけ・・・・



     たった一つだけ、綾波に対して抱いている"苦手意識"が
     思い起こされた―――・・・・



     僕が彼女に対して持っている気持ちというのは・・・
     何もそういった(▪ ▪ ▪ ▪ ▪)興味ばかりではなく・・・・


     初対面の頃から彼女の第一印象につきまとう、


     ある強烈なイメージからくる・・・たった一つだけの
     苦手な"印象"という物がある。



     それは別に、表情にまったく現れない感情表現の希薄さとか・・・


     それとは間逆に父さんの事柄について意見が割れたり
     不当に貶められると信じられないくらいストレートな
     感情表現を見せる意外な一面とかでも...ない。。


     ・・・まあ突然ビンタされたり、怒った顔で
     メガネを奪われそうになったときは正直スゴくびっくりしたけど。



     それらと一切関係なく・・・僕が綾波(彼女)に抱く、最も苦手な
     第一印象―――・・・・・それは・・・・・・




    「・・・・・・碇君?」ツイッ






                  [血]だ。






     僕の中で綾波と言われると・・・真っ先に出てくるのは
     [血]のイメージ。これは僕に限った事じゃなくて、だいたい
     どの人もそうだと思うんだけど


     ・・・自分の血も、他人の血も、
     あまり見ていて気分が良いものじゃない気がするんだ。


     人によっては、それをちょっと見ただけで気を失ってしまったり
     ・・・なんてこともあるらしいし。


     それが僕の場合・・・彼女との初対面で、
     向こうはいきなり重篤状態でベッドに乗っかったまま
     現れた直後に・・・



     あのファーストコンタクトだった。



     今まで生きてきて・・・覚えている限りの怪我を
     思い出したって。



     自分の血ですらあんなに腕にべったりついたことは
     無かったのに・・・出会って数秒くらいの女の子の血で
     自分の手が真っ赤になっているのを見たら・・・これはもう
     簡単に拭えるトラウマじゃないと思うんだ。・・・僕は。



     それから・・・彼女の部屋を初めて見たときも、真っ先に
     目に飛び込んできたのも血で染まった枕。



     それまでは、怪我で血を流しているイメージしか無かったのが、
     どうやら身体があまり丈夫じゃないというのと・・・思ったよりも
     自分の身の回りに対して気を向けない性格でもあるんだなと
     理解は出来た・・・・・



     できたけど・・・・



     これは、生理的にと言うより、正直な話、
     衛生的にもあんまり良い気分がしなかったし。



  15. 17 : : 2019/08/31(土) 07:07:20





     極めつけは・・・彼女の瞳の色の事がどうしても気になって・・・
     図書館で人種による瞳の色の違いを調べた時の事だった。


     結論から言うと、元々色素異常の関係で全身のメラニンとか
     ・・・なんか、そんなかんじのモノが足りてない人が、
     写真のフラッシュを浴びたりしたときに一時的に
     目が赤く見えることはあるそうだけど・・・・



     ―――端的に言って、普段からウサギのように目が
     紅く見える人っていうのは・・・・"あんまりいない”らしい。



            「・・・碇君。」ットン



     無言のまま綾波を見つめる僕を、流石に異常だと感じたんだろう、
     綾波にしては珍しい・・・言葉ではなく肩に手を乗せるという
     異例なアプローチで問いかけてきた・・・・。。


     ・・・何て書いてあったかな・・・本には・・・・


     確か・・・先天的、、色素・・・異常・・?欠乏・・・?そんな感じの、
     字にしたままの・・・個人の出生の時点でついてくる、
     生まれつきの"個性"の一つらしい。



     人間だけでなく、様々な生き物でも同じような事例は
     発見されているようだったけど・・・残念なことに、
     本に載ってたその殆どはセカンドインパクト発生前に
     かろうじて絶滅してなかった・・・というレベルの生き物ばかり
     だったので、僕には実感が薄かった。






     しかし、あまりいないというだけで、世界規模で見れば、
     綾波のように全身真っ白で髪の毛も殆ど色素がなく、
     オマケに寝不足でなくても眼が真っ赤な人が、
     全く居ないわけではなく・・・・その比率は・・・



     調べた時に本に載っていた数字でおよそ・・・




                0.001%。




     もっともこれを調べた時に読んだ本が出版されたのが
     セカンドインパクト前だから・・・当時70億人くらいは
     いたかもしれない人口も、今ではだいぶ減ってるはずで・・・



     実際にはもっと少ないって事になる。





    「ぁ・・・・ああ、ごめんッ!!つい考え事しててさ・・・!」




    「考え事・・・?」



     そう言いながらも、首を傾げて更に僕の目を不思議そうに・・・


     それでいて感情の起伏がとても薄い目で注視する綾波、、。




    「間違ってたら・・・ごめんなさい。

                  ・・・・私の顔・・・何かついてる?」




     流石に顔ばかりじっと見つめたまま固まってたら
     そう思われて仕方ないか。


  16. 18 : : 2019/08/31(土) 07:13:03





     ともかく・・・、、この・・・眼、、綾波の、、瞳。



     “全身の色素が生まれつき少ないか、または殆ど無い”



     ・・・そんな人に現れることがあるこの、人種の都合だけで
     もって産まれることはないと言われる珍しい、瞳の縁・・
     虹彩(こうさい)と言われるらしいけど・・・この鮮やかで
     とても同じ国で産まれた人とは思えないほど綺麗な
     紅色は・・・・何の色なのか。


     答えは勿論・・・色素がどうであっても、
     生きている人間にはみんな等しく同じように全身を巡っている・・・




            ―――――――――つまり『血の色』だ。





     それを知ってしまってから僕は・・・・



     最初の使徒が街を襲ってきた時からしばらく
     彼女が包帯姿だった事と・・・



     その"眼"をみる度に、真っ白な肌に並ぶ二つの紅点が・・・
     初めて彼女を抱き止めた時に腕に塗れた時の"赤"と同じ・・・


     彼女の血潮そのものの色なんだと・・・


     そう言う風にしか考えられなくなってしまっていた。



     ただ、そんな風に露骨なイメージが頭の中を
     駆けめぐってしまっていたのも、精々最初の内だけで・・・



    「うっ・・・ううん!!!そうじゃっ、、なくて・・・・
     ほら、綾波の眼ってさ・・・すごく変わってるなって・・・。

     その・・・、綺麗・・・だよね」




    「・・・・・・・・綺麗?」




    「うん・・・そう。。」



     今では、正面から綾波と目が合うような事があったとしても・・・
     素直にそう思えるようになっていた。
     実際・・・注視していると、それが僕の苦手に感じている
     “あの赤”と同じ色とはとても思えない程に・・・

     “その紅”は綺麗で・・・艶やかな宝石のような印象を
     もってしまうことすらあったから・・・



     僕は本心から出た正直な本音を・・・
     少しだけ綾波に伝える事ができた。










    「・・・・・そう、、、でも・・・・」



     しかし、そんな僕の言葉があまり好印象でなかったのか・・・
     返しに困る内容だったのか、少しの間をおいてうつむく
     綾波・・・・、、、


     や、やっぱりまずかったかな・・・?


     身体的なコンプレックスとかだって実際あるだろうし・・!



     「・・・ごめんなさい。

     ・・・説明するのが・・・難しいけれど。
     

     あんまり・・・碇君や、
     他の人達みたいに・・・"普通には見えていないから"」




    「・・・・・・・え??それって・・・」



    「普通に学校に通ってる間とか・・・
     部屋の外に居る間は・・・・眩しくて(・・・・)あまり・・・・」



     そういえば・・・本で調べた時にそんなことも・・・
     書いてあったかもしれない・・・。

     僕達みたいに当たり前のように目の網膜にも
     色素がある人はともかく・・・・・それが無い人にとっては・・・
     僕らにとってなんて事無い曇りの日でも・・・
     とても日差しが強い日にサングラスを外したのと
     かわらないくらい眩しさを感じるらしい・・・。


     "羞明"・・・とか書いてあったかな。。




  17. 19 : : 2019/08/31(土) 07:18:52





    「よく・・・・・わからない」







    「じゃあ・・ひょっとして綾波・・・・

     普段あまり目が見えて無い・・・ってこと?

     ・・・じゃないよね、流石に・・・・」


     そうだ・・・現に今だって、スーパーの中にいるから
     照明の数も多いしそこそこ明るい。




    「コンタクト。・・・いつもじゃないけど」



    「そう・・・なんだ」



    「もししていなくても・・・・
     赤木博士の説明なら・・・視力に問題はないって。」


     ・・・碇君の・・・少しほっとしたような顔。


     その顔を見て私が感じる事があるとすれば・・・



     一体この感情は・・・・何・・・・?



     私・・・また嘘を・・・?



     いいえ・・嘘ではないわ。



     嘘ではない・・・けれど、事実を口にしてもいない。



     赤木博士には・・・日常生活で何か補助を受ける事はない。



     私が健常な操縦者として・・・
     EVAの一部として重要なのは・・・



     ・・・・・・―――――必要とされるのは。



     与えられた役目を果たすまで、"私が私"でいること・・・・・



     きっと、今碇君が考えているような・・・



     EVAに関わりのない日常での事や・・・



     "在りもしない"先々の事は・・・・私にとって全く必要とされていない。




     身体的な不都合はあっても・・・それらは全て、



     定期的に行う"調整"で事足りる。それが・・・・



     私という"EVAの一部”を管理している赤木博士の認識。



     ―――――私は、彼や彼女(あとの2人)とは、違うから。







    「・・・・・・・買い物は、それで全部?」チャリッ..



    「ぁっ・・・・!う、うぅん!!?あと野菜をいくつか・・・って、
     何で綾波が財布だしてるの!!?」
     イイヨ!ボクガダスカラ!!!



    「・・・・、、私の食事を賄う位は渡されているわ・・・。

     こんな時でもないと使い道、ないもの」ジッ・・・・



    「ッ・・・・・!;」ピクッ



     ・・・また、この眼だ・・・、、。あの時と同じ、"この眼"。


     僕は・・・綾波の、真っ直ぐすぎて"心の壁"すら
     開け放して考えたことを口にしているような・・・この眼に弱い。



    「わ・・分かったよ・・・・。。じゃあ、はい。
     今入れたこのカゴの中身だけで足りると思うから・・・

     お願いして良い・・?」



    「、、(頷)」コクッ




     言葉の返事は返さず、無言で頷いて僕が手渡したカゴを片手で
     担ぎ、レジに向かう綾波。



     多分・・・きっとあんな風に料理に使う材料を綾波が
     一人で買いに来ることなんて無かったんだろう。



    「・・・・・・。」ムンズッ・・・

              ガサガサ・・・

                   メシィッ。。。。



    「ぁっ・・・、綾波!!ちょっ・・・待って!!!;」




     レジ袋に買った食材を詰め込む様子が意外と
     ぶっきらぼうな・・・そんな綾波に助け船を出そうとしていた
     僕の頭の中に・・・、、



    「(なんか・・・・買い物って・・・『お母さん』て感じがするな。。。)」



     そのまま入れようとするとどうしてもはみ出してしまう
     長ネギが、くの字にヘシ折れるのもお構いなしに
     力ずくで袋に詰め込もうとした綾波の無表情に、そんな言葉が重なった。。。。



     彼女の行動には、そんなイメージは一切無かったのに。




     ・・・・不思議だ・・・・・。。。
  18. 20 : : 2019/09/01(日) 04:44:56






      ―――レイの居室前(仙石原高原町営住宅跡402号室)―――









    「(プリント渡しに来たときは昼だったからそこまで露骨に
     感じなかったけど・・・夜で真っ暗だと雰囲気あるどころじゃなくて
     何も出ないのがおかしいくらいだよね・・・この団地・・・)」ブルッ・・・




     全部の部屋を見て回った訳じゃないからわからないけど・・・
     なんか綾波以外の入居者もいなさそうだし・・・・
     疎開の影響かもしれないけど、この辺りは生活感も
     あまり感じられない区画だ。



     ・・・っていうかそもそも所々半壊してる棟とかとかあるし・・・・;
     本当に電気来てるのかな・・・・;



    ガチャッ・・・ガッ・・・ガチャ・・・・  ガコッ



     油でも挿さないとなかなか回らないような・・・
     かなり年季の入った・・・というより下手をしたら
     錆びてるんじゃないかと思えるような掠れた金属音。


     慣れない手つきで自室の部屋の鍵をぎこちなく
     開錠させ、やっとのことで戸を開ける綾波を見て、
     そんな事を考えていた僕は・・・



    「あれ・・・・そういえば綾波・・・・」



     ここへ来たときの事を思い出し、
     次の瞬間に固まる事になる思考と繋がる違和感を察知する。



    「・・・・・なに。」




    「あっ・・・!ああ、ゴメンなんでもないや!!!
     ほら・・・!こんな暗くていかにもでそうな(▪ ▪ ▪ ▪)場所で一人で
     平気なのかなって・・・・!(そ・・・そうだよね。流石に・・・
     いくら綾波でも、部屋を出るとき位鍵は閉めるか・・・・・)」





    「・・・・・?(出そう?)

     ・・・・、、、そう。水が出れば(▪ ▪ ▪)他に困る事、ないわ」


     ガコンッ・・・・







    「っ・・・・・^^;出そうっていうのは・・・
     そうじゃなくってさ・・・・」




     苦笑混じりに綾波が開けた戸に足を踏み入れて・・・




     僕は少し、固まった。




    「・・・・・・・・・・・・・?(あれ)」



    「・・・・靴、そのままで構わないから・・・」スッ・・・



     自分ではそう言いながら・・・屈んでスニーカーを脱ぐ綾波。



     僕が一瞬の間とはいえそうして思考停止してしまったのは・・・


     そこに、何かしらの・・・普段の綾波の外見印象からは予測できない、
     “下手をするとミサトさん位の”意外なガサツさを感じさせる
     新しい発見があった訳じゃなかった。



     寧ろそこに予測していた前回の来訪時と同じ綾波の
     部屋は・・・・既に存在していなかった。






    「(前まで明らかに土足だったのに、床が綺麗になって・・・
     スリッパまで置かれてる・・・。)」



     更によく見ればそれだけじゃない。



     血だらけだった枕も違うのに変わってるし・・・



     包帯が散乱してた段ボールゴミ箱も・・・



     空き缶も・・・・片づいてる。。。



  19. 21 : : 2019/09/01(日) 04:50:59





    「・・・あ、綾波・・・・?あのさ・・・・」



    「なに」ガタンッ・・ガサゴソ



     殆ど使うことがないのか、台所の戸棚を開けて、引っ張り出した
     フライパンの表面を、マジマジと凝視する綾波。


     流石に綾波視点で見てもそのままの状態で使えそうなほど綺麗な
     フライパンじゃなかった。



    「前来たとき・・・・スリッパとか・・・無かったよね・・・。

     自分で買ってきたの・・・・?」




    「そう。」






    「・・・・(意外すぎる・・・・・)」





    「生活をする上で最低限必要な分は渡されてるから。


     ・・・今まで殆ど使い道・・・無かった。」




    「・・・そう・・・なんだ・・・。でも使い道が他にないって・・・;」


     リアクションに困りながらも、玄関には綾波自身の
     分だけでなく・・・もう一つスリッパがあったことに気がつく。



    「・・・・、、↩これで良かった。

     こんなに早くなると思わなかったけど・・・・

     碇君が来るまでに片づけておいて・・・・」




    「・・・・・・・・・・・・・・・!???!」



     そんな事を言いながら首を振る綾波を見て・・・僕は次第に
     不思議な感覚に陥っていくばかりだった。。



     相変わらずの無表情ではあるけど・・・


     その綾波の口に出す言葉や・・・素振りには。
     明らかに以前には無かった、
     “自分の周り”を意識している感情・・・のようなものが
     見えるように(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)なっている・・・・・。。


     誤解しやすいけど・・・綾波にはちゃんと感情も普通にあるし、
     表情に出ることだってある。それは・・・勿論父さんの件で
     確定的に分かった事でしかないけど。



     ただ・・・怒った時や・・・
     使徒との命懸けの戦いの中で焦った時なんかを除いて・・・



     綾波は、その他の穏やかな感情を表に出すことが殆どない。
     ひょっとすると・・・怒りや驚きみたいな・・・突飛な感情以外は
     殆ど沸いてこないのかと思えるくらい。
     けれど実際は・・・確認できないだけで、確かにある。



     あるハズなんだ。綾波だって・・・僕らと同じ、人間なんだから。



     だから・・・今僕が直面している彼女は、
     きっと綾波を知る他の誰が見ても驚きを隠せないはずだ。











     しかしそうは言っても・・・今さっきから立て続けに
     驚かされっぱなしでもある、この綾波の変わりようは・・・。



     これは・・・ひょっとしてさっきのシンクロテストが
     予想以上に疲れの原因になっていて・・・それで家に帰ってから、
     アスカがお風呂に入っている内に手早く"日課をすませてしまった"
     僕が、うっかりそのまま寝てしまった流れで見ている・・・



     夢の中か何かなんじゃないかって・・・



     今こうしている瞬間にも、風呂を出たアスカが、
     まだ夕飯が出来てないとがなり立てて僕を叩き起こしに―――






  20. 22 : : 2019/09/01(日) 04:53:18







    「・・・・碇君。」ヌッ
    「わッ・・・・うわあアア三 ;゚Д゚)!!!!!!」ビグッ!!!!!





     ・・・もう、今日何度目だろう。そろそろわざと
     やってるんじゃないかと疑われてもおかしくない。
     




    「・・・碇君、疲れてる。 もう・・・帰った方が」






     あの(▪ ▪)綾波が今度は人の心配を・・・・・?!、というのも素直に驚いたけど、今はそんな事で固まってる場合じゃない・・・





    「だ・・・大丈夫!!
     言い出したのは僕だし・・・!
     それに綾波の分の夕飯をって言っても・・・


     こう言っちゃうと申し訳ないけど、実はたいしたものじゃ
     無いんだ・・・・;10分かそれくらいで出来ちゃうから、、、!」

     ガチャガチャ・・ チチッ...   ボッ



     それだけ言うと、あわてて台所を借り、
     コンロにガスが来ているか確認する。


     意外にもすんなりついてくれた。


     電気も通ってるから換気扇も・・・大丈夫だ。




    「・・・碇君は葛城三佐と弐号機パイロットの分も
     食事を用意してるって・・・・」





    「それも大丈夫!昨日はたまたま作り過ぎちゃって・・・
     冷蔵庫に冷やしてあるんだ・・・、だから、
     空腹に耐えかねたアスカなら、多分それレンチンして
     食べると思うから・・・・!」ザバッ・・・

     ダタンッ・・・  トントントントン・・・・  



    「・・・・・・そう。」ギシッ



     僕の返答からこれ以上の進言は互いにとって無益と理解したのか
     部屋に一つしかない背もたれの無い椅子に腰掛けてこちらを
     静観する事にしたらしい綾波・・・・。



    「(お・・・驚きの連続だ・・・けど間違いなくいえるのは・・・)」



     今・・これはどうやら僕が見ている夢では無いらしい。
     夢じゃないなら・・・昨日余分に作ってしまったカレーの残りと
     冷めたご飯が冷蔵庫に仕舞ってあるのは事実なハズだし・・・


     以前やらかしてしまった、ペンペン部屋に保管して
     残飯を食い散らかされてしまったというミスも・・・
     今回は対策済みだ。


     もしも量が足りないとアスカにどやされる事になっても・・・、
     幸い綾波の部屋(ここ)からミサトさん家までは、一キロくらいだ。
     走って帰れば・・・そんなにかかりっこない。




     考え事をしながら慣れた手順で細切れにしたのは・・・・


     さっきスーパーで適当に選んだ、人参、タマネギ、小松菜・・・


     ・・・・・と、皮を剥いたニンニク二欠片程。




     あんな事を言っておいて・・・まるで僕が綾波の代わりに
     自炊するみたいに申し出ておいて、今僕が作っているのは・・・



     なんて事がない、冷凍食品のチャーハンだ。





  21. 23 : : 2019/09/01(日) 04:57:13






     最近は・・・・といっても、これはセカンドインパクト世代の
     ミサトさんが言ってた事だけど・・・

     セカンドインパクト(それそのもの)の被害は、史実でも"一応は"
     「南極への隕石の衝突」と言うことになってるからそこまで直接的に
     こっちまであった訳じゃないらしいんだけど・・・
     (でも、溶けだした氷による海面水位上昇とか津波の影響で、
     世界規模で見て20億人くらい犠牲になってる・・・らしい)

     問題はその二日後くらいから、流石に北半球の国々も
     その煽りで多大な被害があったはずだから・・・
     その煽りはまず紛争地域での軍事衝突を招き、

     そこに成り行きで巻き込まれるような形で・・結果的には
     ここ、日本の首都・・・僕らが居る場所がそう呼ばれるようになる前まで
     "東京"と呼ばれて居た場所に何故か新型爆弾が落とされて・・・・



     50万人の命が失われた・・・らしい。



     ・・・なんだか、どれもこれも授業で習ったり、人に
     教わったりする内容にしても突拍子がなさ過ぎたり、
     規模が大きすぎる話だから、すべて・・
     "そうらしい"という聞き方になってしまうから結局他人事の様に
     感じてしまう。


     漠然と、何万、何億の人が、見えないところで、知らないときに
     犠牲になった・・とか言われても、やっぱり今一ピンとこない。



     ・・・えっと、何でチャーハンからこんな話になってるんだったけ・・・・



     ぁあ、そうそう。
     ・・・ともかく、国と国の間で色々あったから
     そんな物流の変化とかもあって・・・


     昔は色々な国から入ってた輸入品も随分制限されて・・・・
     今ではミサトさん世代の人達からすると随分食料流通事情も
     厳しくなったとか。


     ・・・その反面と言っては何だけど、こういう保存の効く
     冷凍食品とか・・・即席食品(インスタント)に関しては大分力が入っているらしく、
     最近のレトルトは"凄く美味しい"・・・らしい。


     ・・・ミサトさんの場合は食事としてよりも・・・
     "お酒が美味しくなるかどうか"が一番重要みたいだから、
     完全につまみ感覚だけど・・


     ともかく、そんなレンジでお手軽に食べられる
     冷凍のチャーハンも、買ってきた野菜を炒めてから、
     それらと一緒にフライパンで炒めれば、たったそれだけの事で
     そのままを加熱した状態より、かなり身体に良さそうな
     食べ物になるし・・・・何より美味しい。


     最初から最後まで強火で炒めるだけだし・・・
     難しいことは特にない。


     気をつける点とかは特にないけど・・・刻んだ長ネギだけは
     火を止める少し前に入れて、あまり火を通しすぎないようにする、
     薬味も兼ねてるから、あまり火が通りすぎるとせっかくの風味と
     食感がへたってしまうから。

     ごま油も、入れるならそのタイミングで入れて、
     少し香ばしくしたかったら醤油を直接チャーハンにかけず、
     フライパンの鍋肌に垂らす。


     ただ・・・大事なのはこれが、あくまで
     "冷凍食品のチャーハン"という、八割型完成したモノを
     ベースにした場合の調理法だと言うことで・・・
     実際に余ったご飯などと具材を炒めて味付けするとなると・・・
     大分勝手が違ってくる。冷食のチャーハンなら油を足す必要が
     無いくらい炒めやすくなっているけど・・・


     自前の材料でチャーハンを作る場合、まず炒め油に
     動物性の油をつかうか、植物性の油を使うかで完成に大分
     差が出る。
     前者ならパラっとイイ感じになるけど
     後者だと・・・グチャっとなってしまって、凡そチャーハンとは
     言い難いモノが出来上がってしまうから要注意だ。




     ・・・・なんていうどうでもいい一口コラムは置いといて・・・。




     ・・・・・ぅん、いい感じ。10分かからなかった。



     ・・・たったこれだけで


  22. 24 : : 2019/09/01(日) 05:14:21








    「・・・・・いい・・・・匂い。」
     スゥゥゥ・・(´_`)・・・・






     いつの間にか椅子から立ち上がり、
     僕の背後で様子を伺っていた綾波が・・・・


     目を伏せて深呼吸してる。


     うん・・・・。一番大事なのは味なんだけど・・・・



     食べる前に綾波のこんな反応が見られるのは凄く新鮮だ。



     油で炒める事で刻んだ玉葱や長ネギもそうだけど・・・
     以前綾波がラーメン屋台で注文していたことで
     唯一僕が知っている、彼女の好むトッピングとして、追加した
     ニンニクが・・・相当良い香りを部屋中に充満させてる。




     ・・・・しまった。僕自身もそれなりにお腹は空いてるから・・・





     普通に美味しそうに見えてきた・・・。




     慌てて作り出したものだからこれじゃ・・・一人前しかないや。





    「・・・・・碇君」ガサガサ




    「・・・・な、何かな?;」




     何も言わない綾波だけど・・・戸棚からコンビニか何かで
     貰ったような、プラスチックの先割れスプーンを
     2本取り出す綾波を見て、2秒先の未来が僕にも見えた....;




    「碇君の分は」


    「 ・・・・・;」



     流石に綾波の感覚でも・・・今フライパンにのっている分で
     2人分は無いだろうという見解に至ったらしい。




    「それで全部・・・・?」



    「う・・・、うん?!いやほら・・・!僕は綾波の分の
     食事を作りに来たんだし・・・・^^;」



    「碇君の分も分けて・・・。 私は半分より少なくていい」



    「(えええぇぇ....)
     ぃやっ・・・・・ミサトさん()に戻れば僕の分は
     ちゃんと 残ってるしさ・・・!これは是非綾波に
     一人で食べて欲しいっ・・・・・・・ていうか」オドオド







    「・・・・・・・・・・・・


            ・・・・こんなに食べられない」





    「・・・・・・・;」



     ・・・・・・嘘だ・・・・・・!いや、決め付けはよくないよ。それは分かる。
     けど・・・こないだ綾波が平らげてたニンニクラーメンは・・・
     汁物でもあるのにスープまで完食してた事を考えれば
     このチャーハンより圧倒的に量が多かった・・・・・!


     え・・・・??あれ・・・・・・・??!じゃあ・・・・・これってもしかして・・・





         ―――――綾波の・・・貴重な嘘・・・・・???





     なんで・・・・?"あの"綾波が・・・本音を隠してまで・・・

     僕と・・・・一緒にこれを食べたい・・・って事・・・・?





              「・・・・・・・・・・・・・・・」ジッ・・・




     ジャスト一分間の無言の間。
     薄暗い部屋で先割れスプーンを二つ、握りしめる綾波と・・・
     僕の視線は一瞬も外れることは無く・・・




     意外にも先に音を上げたのは・・・・





    「 ごめんなさい・・・・・食べられないというのは
                         
              ・・・嘘。

      こんな時・・・・なんて言えばいいのか分からなくて」







     僕じゃなくて綾波の方だった・・・・・





  23. 25 : : 2019/09/01(日) 05:20:19





     当然驚くには驚いたけど・・・ここまでそれが続くと、
     むしろこんな状況に慣れ始めている僕がいるのも確かだ。




     ・・・だから、そこまで言葉にしてもらえたなら、
     その先を口にするのは綾波じゃなく・・・・






    「うん・・・・、いいよ;お互い少なくなっちゃうけど・・・
     綾波がそれで良いなら・・・・」






     僕の方からで良いはずだ。





    「一緒に食べよう。」





        ~~~~~~~~~実食~~~~~~~~~~






     さて・・・いざこれを2人で食べるという段階になって・・・
     実は二つほど問題があることに気づく僕。


     問題その1。


     ・・・・食器がない。スプーンに関しては・・・
     多分コンビニ弁当か、カップラーメンを買うときに幾つか
     綾波自身が持ち出したのか・・・先に言ったとおりちゃんと
     2本あったから。それは良いんだけど・・・・


     皿や、茶碗といったものが・・・無いんだ;


     鍋やおたまは備え付けられてるのに・・・・。。



    「(・・・・いや、まてよ・・・・)」


     ふと目をやった先に、既に中身が綺麗に空になっている
     インスタントラーメンの容器が・・・袋に一つだけ
     入っているのが見える。


     ・・・なるほど、集配日にゴミを出すんじゃなくて・・・

     ゴミが出た側からコンビニか何処かで捨てる方式に変えたのか・・・

     でも助かった。これなら・・・・


     キュッ・・・  ザザッ・・・・ ポタポタ



    「僕の分は・・・これ洗って使うから・・・綾波は・・・えっと、
     何か食器代わりになるものとか他に・・・ある?;」

     カンカンッ・・・



     部屋を見渡した限りだと何も代替になりそうなモノはない・・・と
     分かっていながら、フライパンの中身を

     半分より少し少ないくらい容器に移しながら聞く僕に・・・
     半分予想できていた、実に手段を選ばない綾波らしい、
     返答が返ってくる・・。




    「・・・・いい。そのまま食べるから」



     スプーンを握ったまま両手を差し伸べる綾波。


     豪快なスタイルだ・・・・。しかし片手でフライパンの柄を握り、
     利き手でスプーンを握る綾波が立ったままなのを見て・・・




     二つ目の問題が、僕の脳裏に浮上する。。。


     2人で囲えるような・・・食卓の代わりになるモノが・・・
     何もない;;;


     徹底的に人を招き入れることなんか考慮されていない様で・・・
     綾波の部屋には本当に椅子とベッドくらいしか
     腰掛ける事ができるインテリアが置かれていない。






     ・・・となればこれはもう必然的に・・・



    「碇君・・・・座って・・・・、、」ガタッ



     片手にフライパンとスプーンを。もう片方の手で
     一人掛けの簡素な椅子を引っ張り出す・・・・綾波。




    「・・・綾波はどうするのさ;」




     まさか・・・・立ち食いとか・・・・・;




    「私はこっち(ベッド)でいい」ギシッ



     そう言って、引っ張り出した椅子の正面に
     位置する格好でベッドに腰を落とすと、そのまま
     姿勢良く顔の側まで寄せたフライパンから漂う
     匂いを吸い込む綾波・・・。。



     もう、なんか色々と僕には意見する余地は無い感じだ。



     ここは・・・おとなしく家主の方針に従うしかない。。






  24. 26 : : 2019/09/01(日) 05:25:19







    「っ・・・・・、、・・・・・」カシャッ・・・カサッ




     先程まで直接火にかけていたフライパンだから、
     当然膝に乗せれば熱いし、寝床にこぼすのもあまりよくないと
     分かっていてなのか・・・顔の側まで持ち上げたフライパンに
     プラスチックのスプーンを滑らせ、ただもくもくと
     咀嚼を続ける綾波・・・・。


     姿勢良く・・・静かに食事を摂っているのに、
     その姿は鍋で作ったインスタントラーメンを
     そのままかっ喰らうミサトさんと同じ方式なので・・・・・


     真正面からその様子を見ながら食事するしかない
     僕からすれば・・・少し複雑な心境だ・・・。けどまあ・・・





    「  ・・・・美味しい。 

             本当に・・・焼くだけでこんなに」




     その一言が聞けただけで、今日、僕が果たすべき仕事は・・・
     任務は全て達成できた・・。そんな気分だ。





    「炒めてあえる為の野菜も幾つかね。これは別に・・・
     何でも良いんだ。ニンニクは、意外と高いから入れようかどうか
     迷ったけど・・・前に綾波が、ラーメン食べてた時・・・あんなに
     しっかりニンニクだったのに結構箸が進んでたから・・・」






    「・・・・迷惑じゃ・・・・なかった?」




    「め・・・迷惑ってなにが・・・・;」



     まさか・・・綾波の感性なら・・・むしろ
     ニンニクの匂いを気にするなんて事も無いんじゃ・・・



    「弐号機の子には・・・

        "臭いから寄らないでくれる"
                      って・・・そう言われた。


         だから・・・ひょっとして碇君にも臭いが」





    「あっ・・・アスカは綾波にツンケンしすぎなんだよ!!
     僕はそれくらい全然気にしないから安心して!!;」





    「・・・・そう」








    「・・・・・=3;」



     そう言って、食事を再開する綾波の顔は・・・
     何となくだけど・・・、、どこか、ほっとしているような・・・


     そんな顔に見えた。


     実を言うと・・・今部屋の明かりはついていなくて、


     カーテンの間から差し込む月明かりだけで
     照らされている室内に居るので、肝心の綾波の表情が
     よく見えないから・・あくまで。



     そんな風に見えた・・・感じがしただけで、
     僕の気のせいかもしれない。



     けれど・・・・



    「今日は・・・ありがとう。碇君。」



     突然綾波からかけられたこの感謝の言葉は・・・間違いなく、
     僕の気のせいなんかじゃなかった。


     最近では全く無い訳じゃないけど・・・


     かなり珍しい。綾波から感謝を言葉で伝えられるっていうのは。



  25. 27 : : 2019/09/01(日) 05:30:27




    「いいよいいよ!!お礼なんてそんな!
     この材料を買うお金だってそもそも綾波持ちなんだし・・・
     僕は本当に何も大したこと・・・・」


    「・・・・・違う。そうじゃない(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)

     いえ。・・・「これも」凄く美味しかった・・・・・けど、そうじゃなくて」




    「・・・・・・?」



     そう口篭もる綾波が言おうとしてすんなり口に出来ないで
     いたのは・・・




    「実は・・・今日赤木博士に呼ばれていたのは・・・

            シンジ君(▪ ▪ ▪ ▪)についての話を聞かれてたから・・・」






    「            」






              ―――――うん?





    「だから・・・私自身が・・・碇君とどんな(ry...
    「ちょっ・・・あぁっ、綾波ッ!???




    「・・・どうしたの・・・碇君・・・?」



    「っ・・・・???;

     今・・一回だけ・・・僕の事なんて呼んでた・・・・?」


     聞き間違えじゃなかったハズだ・・・・今・・・間違いなく




    「・・・・?碇君???」ハテ





    「違うよ!今絶対名前で呼んでた!」




    「・・・ごめんなさい。気がつかなかった。」
     キヲツケル



    「いや、いいんだ!気をつける必要とか・・・そういうのは
     特にないんだけど・・・!!何だろう・・・・何か・・・・!」




     僕の中にその瞬間に芽生えた説明しづらい
     その感情の正体・・・・・それは・・・・


     今この時点では決して何故かは知ることも叶わない・・・、、


     それは無自覚で口にした彼女(アヤナミ)ですら同じはずである・・・
     



     何処か遠い記憶にだけ遺っている・・・

                       "懐かしさ"だった・・・・・・。






  26. 30 : : 2019/09/06(金) 08:32:57








    「(何て・・・言えばいいんだろう・・・この感じは・・・・?;)」





     今このときばかりは、自分の気持ちをどう伝えたらいいか
     分からないという事もよくある綾波の気持ちが
     僕にでも良く分かった。



     ・・・しかし、その気持ちの答えになんとかして辿り着こうと
     必死に頭を抱える僕の思考を一刀両断したのは



     ~~~~♪



    「・・・・碇君、電話 」



    「~~~~、、、;??
               ・・・・ぁ、アスカだ・・・・;」





     どんな用件の電話か、出なくても分かるし・・・・
     正直出たくない・・・・;けど、そうも言ってられないか・・・




    「ぁ~~~.....ンめんどくさぃなぁぁ....;;;!!!!」P!
     ブチブチ



    {{ちょっっと!!!どこほっつき歩いてるワケ!!!???
     このBAKAシンジ!!!!!こっちはくたびれて
     帰ってきてるっていうのに、途中からどこで道草食ったら
     こんなに遅くなんのよ!!!??""}}



    「ッ・・・・!!(キンキン)

     ぁっ・・・綾波ん()だよっ・・・!
     学校のプリント以外にも少し届け物があって・・・、それでッ・・・」」



    {{ハァァァ!!!!??ファーストの・・・って、
                     アンタらまさか・・・・・(ハッ

     そぉ→ぃうカンケーだったワケね!!!??

              こんの、、エッチ!!変態!!!エロスケベ!!!!!!!}}




    「ちッ・・・・!???違うよッ・・・・!!!///

     僕と綾波は全然ッ・・・そんなんじゃ、、ないしっ・・・
     だ、第一意味が分かんないよ!!!!

     どうして僕が届け物をしにきただけでそんな言われ方
     しなきゃならないんだよ・・・っ!!」



    {{っはぁ~~~ン???イ・ミ・ガ、ワカラナイぃ???
     すっとぼけてんじゃないわよッ このスットコドッコイが!!!
     こんな時間に年頃の男が女の家に上がり込んでする事なんて
     幾つもありゃしないでしょーが!!!!
     届け物一つにこんな時間が掛かるのも変!!!!!!

     それに分からないとかいいながらアンタ、自分で
     開口一番否定してんじゃない!!

     つ・ま・り!!!あんたとエコヒイキはそぉいうカンケーって
     結論に自然と行き着くワケ!!はい論破~~~。。}}フフゥン?




    「~~~~~・・・・!!、、、(溜息)

     ぃいよもうッ・・・勝手に言ってれば・・・!」ムググ・・・




    {{ん、まっ・・・・エコヒイキ×()ナナヒカリ・・・(つがい)になれば"エコヒカリ"ってな具合で・・・
     なんか環境に良さそうでイイ感じなんじゃな~ぃ}}アッハ







    「・・・・アスカのギャグセンスとドイツ語って時々
     言葉にし辛いくらい強烈なコレジャナイ感を感じるんだけど・・・・・・。

     ・・・・・・・・本当に帰国子女なの??;」



    {{ う っ さ い わ ね!!!!!(ꐦ°᷄д°᷅)

     アンタの意見なんて誰も聞いてない!!!!
     とっとと戻って来なさいっつってんのよ!!!!!(※大咆哮)}}





    「~~~~~ッ・・・;!!
     電話越しでも分かるような大声出さないでよ・・・!!!;
     そもそも何で僕がアスカに門限急かされなきゃいけないんだよ!!

     心配しなくたってアスカが考えてる様な事なんて無いから、
     夕飯食べ終わったらすぐ帰るよもう・・・・!」



  27. 31 : : 2019/09/06(金) 08:36:51




    {{っ・・・?!?はぁぁぁぁ!!!!???
     バカシンジあんた・・・?!!私の夕飯の用意を後回しにして
     エコヒイキとしっぽりディナータイム突入してるわけ!!???

     っ・・・・!!!
     ど~やらお互いの序列って奴が分かって無いらしいわね!!!
     (ガタッ・・バタバタ)}}




    「ゆっ・・・夕飯って・・!それだったら
     昨日作り置きしてたカレーが冷蔵庫にあるだろ!!?
     それ暖めて食べればいいじゃないか!!!!:」





    {{ あンたバカぁ~~~~~➚!!????

     お・み・お・つ・けが無いっつってんの!!!!!ここは
     日本でしょ!!!?だったらメインに箸つける前に汁物いかないと
     マナーに反するじゃないの!!!とっととしなさい!!!
     62秒以内ッ!!!(ガタンッ・・・ドタドタ)

     さもないと・・・・・!!!}}



    「無茶言わないでよッ・・・!!1キロはあるんだから、
     EVAにでも乗ってなきゃそんなの無理に決まって...
     (ハッ・・・・!?).

     ぃ、いや・・・ちょっと・・・アスカ・・・??何の音・・・・
     今何をしてっ・・・・」ブルッ・・・・



     瞬間・・・僕の鼓動は、家に向かってダッシュする
     前だと言うのに異常なほど早まり・・・

     同時に生ぬるい汗が全身を伝った...


     僕自身が他人に大っぴらに出来ない隠し事を
     "当たり前のように"自室に秘匿していることと・・・


     鍵もついていない同じ部屋の中に
     アスカみたいな独裁者がいた場合どんな事態を
     招くことになるか・・・・その答えなんてわざわざ本人に
     確認を取らなくたって明白だから・・・・


     ・・・折角綾波から分けて貰ったチャーハンを一気にかき込み、
     空容器を元入っていたレジ袋に戻すまで・・・3秒・・・

     電話の内容を、僕のリアクションと電話先の相手を察することで
     既に僕に残されたタイムリミットが少ないと察したのか、
     特に何か呼び止めたり、問いかけてくるようなこともせず・・・
     淡々とまだ中身の残っているフライパンをコンロに乗せて
     こちらを伺う綾波・・・,,,,に、流し目と会釈だけで
     挨拶を済ませ、玄関にキチンとそろえたスニーカーを
     履き直すのに・・・・7秒・・・・。


     EVAにさえ乗ってる状況だったら立ち幅跳び数回で
     辿りつけるかもしれない距離だけど・・・当然今はそんなこと
     考えてる心の余裕すら・・・・・ない....!




    {{今すぐ戻ってこないとあんたのベッドの下を暴き立てて
     ファースト含め、クラスの全員の晒し者にしてやるんだから!!!}}



    「・・・・・・」ノシノシ



    「うわぁぁぁぁぁ;゚Д゚)ああああああああ!!!!!!!」
     バンッ!!!



     ダダダッ!!!   ダンッダンッ・・・  ドドドド



            ~~~~シンジ・帰宅~~~~



              「・・・・・・・・・・・・・・」



    一応は不意の来訪者でもあった(シンジ)が去ったことで、
    一転していつも通りの静寂が帰ってきた自室にて・・・

    食べかけだった残りを平らげる為か、再びフライパンを持ち上げて
    元居たベッドへと腰掛けようとして―――――・・・・


    「、、、」


    ふと、その視線をベッドから対面に置かれていた椅子へと
    落とした彼女は・・・・・




    「・・・・・・・・・・・。。」ストン=3




    何を考える暇もなくそこへ腰掛け・・・・そして




    「・・・・・まだ残ってる・・・・碇君の体温(ぬくもり)・・・・・」




    当たり前の事を・・・、他の誰でもない自分に向けて、
    確認するかのように・・・一人で静かに呟いた。




             「・・・・ぽかぽかする・・・・」



  28. 32 : : 2019/09/06(金) 08:45:49







           =====数日後・放課後=====










    「っぁあ~~ぃ、終わった終わった~~~っと、、
     先生ぃ~~、、帰りどこか寄ってかへんか!!!?

     こ~も年中無休で真夏日やと飲みもんアイス、何でもぇ~から
     ひっかけてかんとやってけへんわ!!なァ!?」ガッ



    「っーー~~!!ぅあっ?!・・・いや、
     あのッ・・・申し訳ないけど・・今日はちょっと
     寄り道してる暇なくって・・・・;」ワタワタ




    数日前の強制帰還命令に関しては、無事事なきを得たのか・・・



    しかしどういった理由があってかはさておき、
    少々の寝不足に苛まれる事にはなってしまった様で
    自らに友好のヘッドロックをお見舞いしてくる友人を
    弱々しくやんわりといなすシンジ・・・。



    「っ・・・・お、なんやなんや、また訓練とかって奴か??
     学校終わってからも仕事あるみたいで大変やな~・・・
     ホンマに頭下がるで・・・」




    「~~いいなぁ・・・・僕もそんな忙しさだったら
     全然ウェルカムなのになぁ」




    「・・・そこまで気楽なカンジじゃないよ(苦笑)
     僕やアスカだって・・・詳しくは言えないけど
     非常招集抜きでも測定とか訓練とかひっきりなしだし・・

     綾波なんてもっとずっと拘束時間長いよ」



    「仕方がないさ。第三新東京市・・・いや、
     世界、人類の平和が碇の肩に掛かってんだからさ」
     アッハハ



    「そこが意外っちゃ意外やなぁ・・・
     なあ先生(センセー)。前から気になっとったんけど」




    「・・・・・うん?」




    「惣流はまあ・・・あれや、ドイツ(お国)でなんや色々それなりの環境に揉まれたからっ・・
     ちゅうのもあるのか、性格だけ除きゃ(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)、あの通り
     文武両道なんでもござれの完璧超人やし・・・

     先生(センセー)にしたって、こんだけ訳アリで早引けする事ばっかなんに、
     成績はワシらより全然良いとこからして・・・
     育ちの良さと要領の良さが分かろうっちゅうモンや。」




    「・・・いや、そんな・・・大したものじゃないと思う。」
     (そうだ・・・現に僕は最初、EVAを動かすことさえ・・
     いや、立つことだけに必死だっただけで・・・
     詳しく聞いていないけれどあの時使徒を倒したのは・・・
     間違いなく「僕じゃない」。そしてその時町に
     及ぼした被害の影響でトウジの妹にケガを・・・)



    「ぃ~や、大したモンやで実際。
     ワシは勿論・・・ケンスケでも人の生き死に左右する
     殺し合い(ドンパチ)いきなりやれ言われたら普通ビビってでけへんわ。」バンバン



    「げふっ・・」



    「そーそー。
     ・・・ま、僕がもしパイロットに任命されたら、
     自分の命を掛ける覚悟くらいは当然できてるけどね」
     ニヘッ



    「アホ!!!自分(ジブン)だけのハナシちゃうわ!!
     相手は町ぃド真ン中とかそんなんお構いなしに、
     アポ無しでカチ込みかましてくる上に目からごっつぃ
     ビーム出したりするエゲツないバケモンやで!??

     足下にウジャウジャいるアリンコ踏みつぶさずに、
     んな襲いかかってくるバケモンどうにかせい言われて・・・

     少しもビビらんでシバき倒せる自信あるんか、おんどれは!!!」
     ォオウ?!




    「そ・・・それは正直チョット無理かなァ~・・・;」
     ゴメンゴメン




  29. 33 : : 2019/09/06(金) 08:54:46




    「(ゴホンッ)・・・と、もかくや。先生(センセー)も勿論、
     惣流や綾波やらのおかげでワシらは今こうして地獄の一等地で
     無事暮らしていけとる訳やけど」



    「・・・そういやさ・・・なんで・・・あの、"使徒"って言ったっけ?
     あのデッカいの・・・第三新東京市(ここ)にばっか攻めてくるんだろうな。
     空自の戦闘機や自走砲台、それに戦車も、基本手を出した端から
     迎撃されてるだけらしいし・・・。。」




    「それも・・・詳しくはいえないって言うか・・・正直僕らも
     よく分かって無いんだけど・・・とにかく使徒をジオフロントより
     下の層に行かせちゃ絶対にだめだっていつも言われてるよ」




    「迎撃要塞都市の・・・下の・・・更に下って。。
     そりゃつまりNERVの本部より下って事だよな・・・」
     ムム...




    「アホ。今そんなんどうでもええわ、センセ、
     今ワシが聞きたいんはな・・・ずばり、アヤナミの事や。」




    「・・・・え?」



    「あ~・・・そうそう、トウジに言われて思い出したよ。
     僕らもずっ~~っと気になってていつか聞こうと思ってたんだ。
     アヤナミの事」



    「ケンスケまで・・・・、、って、
     その感じだと・・・ひょっとして真面目な話・・・?;」



    「ま~~、ワリとね。碇はさ、
     転校生って流れでこのクラスに来て・・・それで
     最初からあんな感じでEVAのパイロットだってみんな知ってた
     感じじゃん。

     ・・・・けど綾波に関しては・・・・」



    「エヴァのパイロットがなんやかんやどころか・・・・・
     住んでる場所以外、誰も、な~んも知らへんかった。
     ただ早引けの数がハンパないし、話しかけてもあんなんやから・・・

     普段から相当身体しんどいんやろ言うて、皆下手に
     近づかんようにしとったんや。」




    「まあ・・・綾波のあの無口じゃ仕方ないよ。パイロット同士で
     一番喋る機会ある僕だって基地の外じゃ殆ど・・・・」



    「そのアヤナミってのが一体何者なんか・・・
     それが皆どう~~しても気になっとんねやけど・・
     その調子じゃ先生(センセ)もよう知らんやろな」
     シャーナシ



    「うん・・・・。ゴメン、悪いけど・・・」







    「本人に聞いた訳じゃないけど・・・
     多分唯一家族構成で間違いないのは・・・

     綾波も片親か・・・もしくはご両親とも他界されてるか
     どっちかだろうって話。それだけは間違いないね」



    「・・・・どうしてそんな事が・・・・・?」




    「・・・・?あれ、言わなかったっけ。
     ウチのクラス・・・なぜか全員漏れなく両親共居ないか
     片親かのどっちかなんだよ。 
     

     クラス分けの段階で偶然そうなっただけかと思いもしたけど・・・
     碇だってそうなんだろ?そうとなればこれはもう
     偶然とは考えにくい」ホラ、ハハオヤガ





    「・・・・・・・・・・!
     ってことは・・・アスカも・・・・・・?;」




    「さぁねぇ。
     ・・・でも、親の愛情を十分に受けずに競争激しい海外の
     エリートコースを、混血の立場で生き抜いてきたとなれば・・・」



    「あのキっつい性格もまー、頷けるってハナシや」ウンウン




    「はぁ・・・・・;」




    「ちょっと!!!聞こえたわよ!そこの3バカトリオ!!!!!!
     眼鏡カチ割ってジャージの袖ちぎってノースリーブにしてやるわ!!!!」
     ムキィィィィイイイイイイイ!!!



  30. 34 : : 2019/09/06(金) 09:03:20









    「ひぃい!!!!デビルイヤーー!!!!」ババッ



    「くわばらくわばらっ;;」ダッ






    「ッ・・・!??ぼ、僕は何も言ってないよ!??」

     ガシッ!!!!




    「うるさいッ!!!連帯責任よ!!
     いいからちょっとあんただけでもこっち来なさい」
     ズルズル・・・・・




    「っ?・・!???!ちょっ・・・アスカ、耳引っ張らな....

     痛だだだだッ・・・!!!でっ・・・!!!

     ちょっ・・・本気でいたいって!」ドタドタ=3






           ~~~~~階段踊り場~~~~~




    ダンッ



    「っッ~~~~~~!!!!!」ジンジン



    「アンタに聞いとく事あったのよ。
     もしもって事もあるからこーして誰もいないとこまで
     引っ張ってきたワケだけど」




    「ンなんだよもう。。。。;;;なに??聞いとく事って・・・」




    「・・・・あんた、ホントにこないだエコヒイキのとこ行って・・・

     なんも無かったワケ??」ズズイッ




    「っ・・・!;しつこいなぁアスカは・・・・!!!
     "なんも無かった"って・・・何が言いたいんだよ・・・!

     仮にアスカが考えるようなことが起こるとしても・・・
     僕や綾波が自分からそういう雰囲気にもってけると本気で
     思ってるの・・・・・?;」





    「・・・・あんたやっぱりバカね。

     割と真面目に聞いてんの私は。私一人に迎撃を任せてくれる
     体で訓練のプログラムも組んでるなら何も言わないけど・・・

     最近ファーストの反応が悪すぎてイライラしっぱなしなのよ・・・!
     私じゃ・・・エコヒイキと会話なんて二言以上絶対無理だから、
     アンタが直接聞いて何とかしなさいよ。

     それかもしくは・・・これ以上私の足を引っ張るようなら
     家でおとなしく寝てなさいって伝えて。

     それと・・・アンタ(▪ ▪ ▪)もよ、ナナヒカリ。
     本気であいつと何かあったなんて思っちゃいないけど・・・
     もしそうなら2人共調子出るまで訓練とか自粛したほうが
     いいんじゃない」グッ・・・・



  31. 35 : : 2019/09/06(金) 09:06:27






    「あっ・・・??!いや、あの・・・っアスカ・・・・!」ワタワタ






    それだけ言って背を向ける彼女の後ろ姿からは・・・
    いつもの彼女に見られるような快活さが
    少しも感じられなかった。




    「・・・・・、・・・・・・・・・。」




    その為、何か声をかけて引き留めようとした
    彼も・・・ついにはその心の声を言葉に出来ずに立ち尽くすのみだった。



    「(そういえば・・・あの日から一週間近く経つけど・・・)」



    数日前に彼女の住まいまで訪れて食事を共にしている
    最中に交わしていた会話が・・・、
    というよりも、不本意にも途中で腰を折られてしまったその
    話の行く末が気になりすぎて・・・

    まるで渦を巻くようにして思考にまとわりついてくる雑念は、
    もはや彼の睡眠時間を妨げるだけにはとどまらず・・・




    「(あの時・・・綾波は・・・一体何て言い掛けてたんだろう・・・・)」
     ボーーーー・・・・・



    最近時に於けるEVA搭乗に際して最も重要と目される
    シンクロ率計測試験にさえも、その影響は少なからず波及していた。



    「(僕の名前を呼ばれたのについ驚いて、その時は
     うやむやにしちゃったけど・・・リツコさんに・・・綾波が・・・
     何か聞かれた・・・?って言ってたかな・・・何だろう・・・

     何を聞かれたんだ・・・・?もの凄く気になるし・・・
     僕だって、その話の続きがどうしても聞きたい・・・けど・・・)」



    しかし、そんな彼が簡単に彼女に会話を持ちかけられないほどに・・・
    現在、当の彼女は自分以上のスランプに陥っていると
    知っているからこそ・・・・



    「(綾波のシンクロ率・・・・最近どんどん落ちていってるし・・・
     とてもじゃないけどそんな話をフリにいける雰囲気じゃないよ。

     ・・・第一アスカの言う通りで、僕だって綾波のこと言えない状況だ)」



    帰宅の路に着くため再び教室まで戻り・・・自身の身支度を整えつつ
    視線の先に机から引き出されたままの、
    "彼女"の椅子を見やり、不安しかないといった表情で呟いた――





    「(・・・・今日は訓練も何も無いはずなのに、相変わらず
     リツコさんに用があるって早退したらしいけど・・・。。。)



         ―――――大丈夫かな・・・・・・・綾波。。」ボソッ・・・



  32. 36 : : 2019/09/06(金) 09:13:10








     ===セントラルドグマ第六層最深部・第七層ゲート前===







    「・・・・驚いたわ。夢でも見ているのかしら・・・・

     2分以内とはいえ、よりにもよってまさか―――――
     あなたが遅刻だなんてね・・・・   レイ。。」



    それだけ言って手首の腕時計を一瞥すると、それについて
    特に何も苛立つそぶりも、彼女にあたるような態度も見せず、
    頑強なオートロックの扉に向かって踵を返すリツコ。



    「すみません・・・・。


     地上から向かう時点で時間的に難しいのは分かっていたので
     連絡は試みましたが。」




    「いいわ。この階層まで来れば当然外部との連絡も
     一切遮断される事になるし・・・そもそもあなたをここに
     呼びつけたのは・・・"上"や司令の命令によるものじゃないの。
     私が少し待たされた位であなたに何か
     不満を抱く理由もないし・・・それを踏まえても、
     あなたは今、ここにいる筈がない(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)事になってるわ。


     今こうしている間に使徒がやってこないことを
     祈るばかりだけれど・・・有事の際には、あなたの権限で
     うろつける最下層エリアで油を売ってたとでも言って頂戴。


     ・・・つまり・・・・分かるわね」




    「・・・・・・・・・」コクッ




    具体的な言葉を用いられずとも、彼女の物腰と、
    振り返らずに確認を促すその態度が・・・


    無言で頷くレイの脳裏に、



                [口外一切厳禁]



    という命令内容を浮上(ポップアップ)させた。




    レイ自身が少し思案するだけでも、自身のIDでは開錠出来ない
    下層エリアへの呼び出し、更にはそれについて
    詰問の恐れがある場合に際しては、相手が例え
    "あの"総司令であったとしてもそれに対して欺瞞を行うように
    ・・・・との示唆・・・・ならぬ命令。



    「・・・どの道そうなった時には発令所に私も居ない状態だから
     二人揃ってどこで油売ってたって話にもなりかねないけれど」




    ・・・これだけの箝口令が彼女自身に対して敷かれるとなると・・・




    「(赤木博士は・・・私をここへ連れてくる為だけに・・・
     余程危ない橋を・・・・渡っている・・・?)」




    その程度の可能性に気づいても不思議ではなかった。










    ・・・しかしそれは





    「(・・・何のために・・・?)」



            ピピッ・・・・
                     バシュンッ・・・



    新たな疑問の始まりに過ぎなかった。



    2人が今歩を進めているのは―――――まさしくNERVという組織が
    設立されるよりも更に前、その主力決戦兵器とされる
    EVAですらも建造、研究の初期段階にあったとされる頃に
    稼働していたという・・・今では静寂と暗闇が支配するだけとなった
    半ば投棄施設と言って良い程に人員の往来が限られている場所。



    「(私に・・・何かを説明するためだというのは・・
     先日赤木博士に言われた事を考えれば予想が出来る・・・

     ・・・・でも)」



           何故―――・・・そんなことだけの為に???

  33. 37 : : 2019/09/06(金) 09:20:30





    彼女も客観的に見て、大概彼女(リツコ)の事は言えない立場だが―――――





    「(赤木博士は・・・誰かの命令やこれと言った理由もなく
     自身の身が脅かされる様な危険な事に自ら身を投じたりしない)」




    ガゴン・・・・   



                 ギュゥゥウウウウ.............




    幾つかの扉を潜った後、更なる下層に向けて
    降るエレベーターを経由し、自分達がどこまで地下深く
    潜っているのか分からないほどの暗闇と・・・・、

    過去多くの研究所員の往来があったか、今ではまるで定かではない・・
    広大な廃墟となり果てたそこを淡々と進んでいく二人。



               [人工進化研究所]




    カッ・・・・  カッ・・・    カッ・・・・・・・・



    分厚い自動開閉式の隔壁を、二枚ほど開いた後、
    暫くの間、明かりも充分でない仄暗い連絡通路を
    歩き続ける事・・・―――――数分。




    上記の様な看板を横目に捉えながらも無言でリツコの後に続くレイ。



    双方、このような間があっても理由や動機も無しに
    話を持ちかけるような性格ではない為、リツコが履いている
    ヒールの音だけが、低く、重苦しい設備環境音と、
    空調音が響きわたる暗所に、反響する....



    僅かしか視界の確保できない暗所では
    相当そこに足を運ぶ頻度が多くなければ前に進むだけでも
    難儀しそうな程であるが・・・リツコの足取りには
    全くと言って良いほど迷いはない。



    尤も、彼女(レイ)にとっては、自らの
    身体的な都合上、日中の屋外などですら、僅かな環境光でも
    偏光コンタクトなどの措置がなければ目が眩む程なので、
    今、この時程の薄暗さは最もストレスを感じ得ない程度である。




    ―――その、懐かしささえ感じさせる仄暗さと埃の臭いに・・・・
    少しだけ、彼女に自らが地下階層で生活していた頃の
    記憶を想起させた。



    ・・・実際の所、そのような確信をもって思い起こされた
    ものでなく、それは全くの偶然ではあったが・・・・



    しかし、その場所は間違いなく彼女が"彼女では無かった頃”、
    幼少期を過ごしていた一室とも繋がっている通路であった。




    「覚えて無いかもしれないけれど・・・・
     この先はあなたの・・そうね、育ち故郷(▪ ▪ ▪ ▪)と言ってもいいのかしら。
     ・・・・そんな場所なのよ。」




    「・・・・・・・・・・・・」




    「・・・・それとは“直接”の関係こそないけれど・・・
     これからあなたに"説明"する事を踏まえて・・・・


                  先に聞いておきたい事があるわ」




    「・・・・・・はい」




    そんな最中、唐突に自らに向けられた問いに、
    俯き加減であった面を起こす。。





  34. 38 : : 2019/09/06(金) 09:37:49








    「・・・・・あなたは・・・・ "家族" というものを、
     どういう風に認識しているのかしら」






    「・・・・・赤木博士・・・それは・・  私が・・・・、、」




    「ああ・・・・御免なさいね。
     勿論"それ"がどう足掻いてもあなたに縁の無いモノだと
     知ってはいるけれど・・・

     だからこそ、よ。
     "それ"について、何の実感も、理解も及ばないのであれば・・・
     今日こうしてあなたをここまで引っ張ってきたのは、
     全くの無駄足になってしまうから」

     ッ・・カツン・・・・、、、



    そこまで言うと、暗い通路の中程で歩みを止めるリツコ。



    恐らく・・・、彼女(レイ)の返答次第では、
    この場で蜻蛉返りに踏み切る事も辞さない・・・という意志の現れか。



    それ程までに、彼女がこれからレイを連れて行こうとしている
    場所は・・・あまり軽々しく向かいたい場所では無いと言う事にもなる。






    「・・・・正直に言えば・・・うまく理解できません。

     ただ・・・・。。。碇君と、司令の関係性がそうだと考えると・・・・」




    「・・・あの二人は今回除外して。
     ・・・・少し関係が複雑だし・・・・、
     私の質問の趣旨からは外れているから。

     この場合私が知りたいのは・・・そうね。

     "母親と子供”という間に、あなたが何をイメージするか・・・・

     端的に言えばそういう事よ」




    「・・・・・・・・・・母親。 。 。」



     そう言われてまず考えた事―――――




    「(碇君・・・・・・)」





         碇君の・・・母親は・・・・一体どんな・・・・











    「・・・・それについて深く考えた事はないです・・・。

     本で学習した内容などが正しければ・・・
     人に限らず、動物などに於いても・・・

     "母親は我が子を命に代えても守る"という意志を
     見せる事が度々あると・・・・


     それは・・・・つまり」




    「・・・・・・・・」





    「母親にとって、子供とはそれだけ、
     自分の命以上に大事なもの・・・・と認識しているのでは
     ・・・ないかと・・・・考えています」




    「・・・・・・・そうでしょうね・・・・(溜息)

     悪かったわ。聞いた私がそもそも愚かだった。
     あなたが"そんな事に"まじまじと思い耽るきっかけも
     無いでしょうし・・・・それに・・・・」





    「・・・・・、、しかし赤木博士。」





    「っ・・・・・な、何かしら・・・???」ピタッ



    これには流石のリツコも少々面食らってしまった。
    何せ彼女はまだ言葉を繋いでいる最中だったのだが・・・
    これを意外なことにも"あの"レイに若干遮られるような形で
    話の隙間に割り込まれたのだから。




    「・・・・博士にそう聞かれて・・・直ぐには思い出せなかったこと・・・

     今思い出しました。

     私・・・・以前碇君に一度だけ、そんな風に言われて、
     とても複雑な気持ちに・・・・なったことが。


     自分でもなぜだか分かりませんが」



  35. 39 : : 2019/09/06(金) 09:40:43





    「・・・・・?シンジ君が・・・・?ちょっと待って頂戴;
     順を追って説明して。あなたとシンジ君で・・・

     どんな状況に陥った時の話・・・・?それは」





    軽く眉間を爪先で押さえ、順序立てて説明するようにと
    促すリツコ。その姿は・・・


    暗闇でも直ぐにそうと分かるほど、口調だけでそうであると
    判断できる程に・・・平時の彼女とは程遠い困惑の色が
    その声には現れていた。



    「学校で・・・・清掃の時間に・・・床の拭き掃除をしている最中に。


     ・・・・・彼が私に言ったんです・・・突然。


           "お母さんみたい”って・・・・・」





    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




    「突然の事だったので・・・とても困りました。

     なんて答えたらいいか分からなくて。

     ・・・でも、今思い出せば、疑問はあります」





    「碇君の"母親"というのは・・・司令に聞いたことも
     無いので憶測でしか言えませんが、

     多分、もう居ない・・・、、そうだったと思います」





    「・・・・・・・・・・・」





    「そう仮定すると・・・・・碇君がどれくらいの年齢で
     母親を失ったのか・・・というのと、
     もっと気になるのが」
    「・・・・結構。そこまで聞ければそれ以上・・・言葉は要らないわ。
     ここに連れてきた意味が充分あるのは私の中で理解できたし・・・


     何より、」



    「・・・・・・・」



    「あなたが異常を見せた理由にも、その異常に
     輪をかけて最近のシンクロ率の計測値が惨憺たる
     結果になっているのにも・・・


     ・・・・・納得がいったわ。



     ・・・・先に言っておくけれど・・・レイ」







    「・・・・・はい。」






    「あなた・・・・ここでの用事が済んだら、
     緊急発進の呼び出しが掛かる場合等を除いて、一両日の
     休息をとりなさい・・・言うまでもないと思うけれど
     これは命令よ。

     ・・・まあ、そうであるなしに関わらず・・・」




    「・・・・・・・」




    「幾らあなたでも・・・・・この先を見た後に
     シンクロテストでの数値になにも
     響かないとは考えられないもの。

     悪くすれば・・・起動にすら漕ぎ着けないでしょうね。


     けれどこれは・・・"こうなってしまったあなた"には
     最早避けて通れない・・・言うなれば一つの
     ショック療法よ。相応の負担は覚悟して頂戴」






    「・・・・・分かりました・・・・。

     
     それと・・・あの
     赤木博士。こんな時でなければ聞けないと思うこと・・・・

     一つ聞いても・・・良いでしょうか」






    「・・・・あら何かしら。
     それ・・・あなたにしては(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)珍しい会話の切り出し方ね。


     何を聞きたいのかしら・・・・」フッ・・・





  36. 40 : : 2019/09/08(日) 06:51:59






    その場で進行方向に再び歩を進め始めて、そう言い放つ
    リツコの表情は・・・この後、彼女(レイ)に待ち受けるであろう
    少々の驚きではすまない事実と・・・、それに対する葛藤が
    果たしてどの程度表層に形骸化して現れることになるのか・・・
    そんな思惑が隠そうともせずその顔に現れており・・・

    ・・・それはある種の趣味の悪い嘲笑的な笑みに彩られていたが・・・


    しかし。


    次なる彼女(レイ)の一言が、彼女の感情の一切合切を感じさせぬ程の・・・・
    絶対零度へと叩き落とす―――――



    「・・・赤木博士は・・・自身の母親に....
    「・・・・・・・レイ。」



     ピタリ



    「・・・・・・・・・・・・・・・・・はい。」




    そんな擬音が似つかわしいほどに、彼女の短く放った言葉には
    確固たる"制止"の意が現れていた。



    「あなたが"一人目から一通り引き継いで”いるのを私が知らないと
     思ってるのかどうか・・・そこはどうでも良いけれど。


     その話を―――二度とその面でしないで頂戴(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)


     あなたの"管理"が碇司令の元だけで行われているものでは
     ないと言うことを・・・肝に銘じておきなさい。

     ・・・これに関しては脅迫と受け取ってもらって良いわ」




    「・・・・・・分かりました。」








     私は・・・・時々不思議な感覚に陥ることがある。



     自分という存在が・・・今ここにいる私以外にも、
     過去どこかにあったような・・・・



     自らがこの目で、耳で見たのか聞いたのかも定かではない・・・



     とても形容し難い、過去の追憶と・・・そんな感覚。




     普通に考えればおかしな事。



     私が自分で見たことでなければ思い出せる筈もない・・・



     こんな事を考える(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)動機も理解できないのに・・・




     何故か私は今、直感的に・・・・ごく当たり前のように・・・




     こう思った。






      "――これ以上刺激すれば・・・たぶん私は今ここで殺される。"




             "―――あの時と同じように"




    「(・・・・あの時と同じように(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)?)」








     分からない・・・・私が何を思い出しているのか。




     全く何も・・・理解できない。




     そもそも思いだそうとして一番古く思い出せる、
     私の中の、"この人の記憶”は・・・・



     今では考えられないような表情で、私の名前を呼んで・・・
     挨拶する・・・・、、"隣に知らない人"が立っている様子。





     この記憶が・・・本当に自分のものだと思い難い。




  37. 41 : : 2019/09/08(日) 06:54:18







    「・・・・でも、きっと"おあいこ"ね。

     私がこれからあなたに伝える事実は、実を言うと
     前もってあなたに伝えてあるけれど・・・

     多分、あなたには違った意味で受け取られていただろうから・・・。

     これでやっとありのままをあなたに伝えるのに

     気負いせずに済むわ。」





    「・・・・・・」




     赤木博士の表情が・・・先程までの、憤りを隠さないものから
     落ち着いた表情に変わった。しかしそれでも・・・


     その顔の奥底にあるのは・・・多分・・・・、、恐らく・・・。



    「"あなたの代わりは幾らでも居る”と、いつだか言ったわね・・・
     あれはね・・・彼や彼女(▪ ▪ ▪ ▪)を指して言ったんじゃなくて・・・・
    [そのままの意味]なのよ」

     カシュッ・・・    ピピッ




                 バシュンッ



     その扉が開かれた先・・・視界一杯に広がる、
     部屋を囲い込むような形状の、見たこともない規模の
     調整槽の中でLCLに揺られるモノが何なのか(▪ ▪ ▪ ▪)は、分からない。

     理由は明白で、設置されていると思う照明が落とされているから。

     けれど、その中心部に一つだけ。一本だけ、
     天蓋部から大小様々な配管を集約させた先にある、
     見慣れた調整槽の中に揺られているモノにだけは・・・

     既に照明が当てられていて、直ぐに私の意識はその
     調整槽に奪われることになる。





           「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





                  私。




     見慣れた調整槽に浮いていた一人の人影は・・・間違いなく、
     鏡で見たものと同じ・・・・・その顔と、身体だった。



    「思ってたよりリアクション薄いのね。。

     ・・・・でも"そっち"だけじゃないのよ。あなたに見せたかったのは」


        ピッ・・・            ヴォンッ....



    彼女が手元に取り出したコンソールを指で操作すると同時に、
    中心の調整槽のみを煌々と照らしていた照明が、
    そのフロア全周にも及ぶ大規模なLCLプラント全域を露わにする。




            「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」




              瞬間・・・・目と目が合う。


                私の目。。。。


               私・・・・・私・・・・・私・・・・・


          私私私私私私....数え切れない程沢山の私。。。。。。





              ―――――私の意識に・・・


            無数の閃光が走る・・・・走り抜ける・・・・



     視界を明滅させては、時に遮る形で。




     あの人の声が     あの人の表情が   知らない人の声が

        この人の若い頃の姿が  四つ足歩きで私に縋る彼が

        初めて会ったこの人が笑顔で呼びかける声が

     首筋に食い込むあの人の両手が 副司令の顔が あの人の顔が




     碇君の顔が 碇君の顔が碇君の顔が碇君の碇君の碇君の
     シンジの碇君のシンジ碇君シンジシンジシンジシンジシンジ,,,,,,,





  38. 42 : : 2019/09/08(日) 06:56:50








    「これを見せれば・・・もう、あなたが何者で、
     何のために存在するのか・・・一から説明する必要は無いわね。」





    「・・・・・・っ・・・・・」ヨロッ・・・




     理解が出来ない。理解できるのに・・・理解できない。




     何故私は今、何の支えもなければ立っていられないほど
     足が震えているの




    「・・・・・端的な事実だけ教えてあげる。、

     あなたがシンジ君にそんな言葉を掛けられたのは・・・

     幼少期、ごく僅かな記憶に残っていたその面影が・・・・

     あなたに在ったからよ。アダム再生計画・・・
     通称E計画担当研究者・・・碇ユイ。


     それが・・・・・あなたの身体半分(▪ ▪ ▪ ▪)を構成する情報。



     そして・・・・・・・・・・・」





    「あなたの身体もう半分を形作る存在の"雛形"に・・・・
     その魂と呼べるモノを宿してしまったまま、ついにはこちらに
     還ってこなかった存在・・・・・。。。。」





    「・・・・・・・・うっ・・・・」グラッ・・・





    「今ここで人間らしくふらついてるあなたと、
     ここに漂ってるモノの違いが・・・・・・・何だかわかる?」




    「ちがっ・・・・ぃ・・・?」フルフル




    「・・・そう。簡単な違いだけれど・・・

     あれら(▪ ▪ ▪)は、精々・・・碇ユイ・・・

     つまりシンジ君の母親にあたるわね。初号機の起動実験に
     失敗した際にその存在自体を消失させ、
     それっきり還ってこなかった彼女の痕跡として
     当時エントリープラグから採取されたLCLに残っていた
     遺伝子と・・・初号機の元になったモノの遺伝子を掛け合わせて
     出来ただけの・・・ただの肉の塊。


     対して何がそこまで堪えているのか分からないけれど、
     そこでそうして苦しそうにしているあなたには・・・」
     グイッ・・・



    「っ・・・・??;」ガクガク・・・



    一切何の温度も感じない表情と声色で言い放ち・・・
    同時に、気の動転を抑えきれない彼女(レイ)の顎を
    持ち上げる―――――・・・・・



    状況が状況であるため、この場に一切そのような空気は
    漂っていないものの・・・・



    もしこれが男性が女性に対して行っている仕草の一つであると
    するならば・・・恋愛ドラマなどでは口付けに及ぶ一歩手前にしか
    見えない位の距離感である。








    「一人目が得てきた"記憶"と――――

     アダムの対になるモノの"魂"が入っているのよ


     ・・・・・だから・・・・そこに浮かんでる諸々より人間沁みて見える
     ・・・・けれどそれは裏を返せば・・・それだけの話・・・」
     グッ・・・



    「あぐッ・・・・」ググッ・・・



    それさえ(▪ ▪ ▪ ▪)なければ・・・・あなたなんてね・・・・,,,!

     そこいらに浮かんでるアレらと何も変わりはしない(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)のよ・・・・!」
     ギリギリ・・・・


    持ち上げた彼女の顎に掛ける力を徐々に増しながら、
    徐々に駆り上げる激情に比例して強まる語気をぶつけるリツコ。


  39. 43 : : 2019/09/08(日) 06:59:14







    ・・・・しかし、その激情も一端の登頂へと到達したところで・・・・




                  パッ・・・・




    「ッ・・・・はッ・・・」ガクン




    急激に落ち着きを取り戻し、その手を降ろす。




    「・・・・分かったかしら。それが・・・

     父母の間で交雑して産まれてきた私達人間という生き物と・・・

     E計画の不確定要素(イレギュラー)、、、その穴埋めとして、
     この世に産み出さざるを得なかった・・・


     "綾波レイ(あなた)"という存在の違い。


      ―――・・・そして」






    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
     フーッ・・・   フゥッ・・・・・・・





    「あなたが(シンジ君)に・・・


     もしくは彼があなたに特別な感情を抱く単純な理由よ。


     ・・・・けれど・・・まあ私もここまで言っておきながら
     理解が追いつかない部分も確かにあるわ。

     百歩譲ってあなたと言う存在に、遺伝子レベルで言った場合の
     "生前の要素"が遺っているというのなら・・・

     まだ(▪ ▪)シンジ君に特別な感情を抱く・・・
     その程度なら分かる。けれどあなた・・・・・・」ハッ





    瞬時、彼女の表情には今までレイが見たことの無い類のモノに
    豹変する。それは一切何の混じりけもない、

    怒りも・・・・憎しみも感じられない・・・・・




    「A10神経接続の波形パターンから読みとる限り・・・

     あなたが彼に対して抱いている潜在欲求は・・・・!
     これ以上口に出すのも憚かられる類のモノよ・・・・・?

     これが"オリジナル”から引き継がれた性癖か、

     人でない何かが引き金になって呼び起こされてる欲求かは
     知らないけれど・・・、、あなたもそんな顔をして

     なかなかの変態的思想の持ち主だわ・・・・////!!」




    「・・・・・ッ・・・・----」
     フゥッ・・  フウ・・・・・・



    「あなたもあなただけれど・・・(シンジ)くんもかしらね....!
     ・・・どこまで無意識下で感じているか知らないし、どうでもいい
     事だけれど・・・彼・・・・・

     “母親の身体で発散”してるわよ、間違いなくね。。。」フッ・・




    ただ・・・ただ、明らかな、嘲笑。




    「っ・・・・・違う・・・わ・・・・!」




                  「!」




    もはや、彼女が他人の言葉に頑として意を唱える事に対する
    純粋な驚きすらなりを潜め、とかくその主張を一笑に付すリツコ。




    「違う・・・・?!何が違うというの・・・??

     元々「製造する過程」で準備してやってすらいない(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)
     生殖機能について回る欲求を・・・・・

     よりにもよって生物学的に母子関係か・・・
     或いは一親等内の異性にあたる存在に向けて
     勝手に日々強く膨らませてるあなたが何を弁解しようと
     言うのかしら・・・・?」




    折角一旦は緩やかな下降を見せたかと思える激昂度合いに
    再び水を差され、
    再びその焔を眼の内に揺らすリツコ。




    こうなっては・・・・普段の平静な彼女の面影などはどこにも無い。





  40. 44 : : 2019/09/08(日) 07:02:18





    しかし彼女の人間らしさを隠しもしない剛炎の如き激情は・・・
    そこから数秒も待つことなく、






    一気に消沈する事になった





    「・・・・・・!何が。。。。何が違うのよ・・・・!


     ここまで言われて・・・・怒りもしないで・・・・


     泣きもしないクセして・・・・・・何が・・・・・違うというの・・・・・!」
     ガクン・・・




    詰め寄られた彼女の顔に浮かぶ、
    ただ困惑するだけの・・それだけの表情を見て・・・。。。



    その顔は、正しく自身の心情を表す言葉を発せずとも、


    [こんな時にどんな顔をすれば良いかが分からない]とでも、


    言いたい顔にしか見えなかった・・・・・




    それ故彼女も・・・・もう何も言えなくなってしまう。。



    少なくとも、彼女(レイ)を糾弾するような趣旨の言葉に
    関しては・・・・。






     ・・・・・・・――――――――――






    長い・・・とても長い溜息が二人の間に横たわる。




    それは言うまでもなく、リツコの放つ感情のテンションが
    一気に抜け落ちていく音でもあった。





    「・・・・悪かったわね。

     私・・・・言い過ぎたわ。  あなたに"人"と同じ受け取り方が
     出来るはず無いと知っていながら・・・。。


     これじゃ一人で勝手に思い通りに動かない設備相手に
     癇癪起こしてるだけの・・・大馬鹿者も良いところだわ・・・」フッ・・・



    スッ・・・



    「・・・・・?」





    「いつまでそうしているつもり?

     一人で立てないのなら・・・掴まりなさい。」



     グッ・・・・




    「っ・・・・、、はい・・・・・すみません」






    「忘れているようだけれど、
     この後あなたの生命維持に不可欠な"調整"も控えてるのよ。
     ―――尤も、そこの調整槽には見ての通り
     "入れ物"が入っているから・・・


     いつもあなた専用で使用している場所までの移動も考えれば・・・


     あまりゆっくりしている時間はないわ。具体的には
     2分30秒以内にはここを出る必要がある」




    既に、そこにいたのは、誰もが知る平時のままの
    赤木リツコという存在に他ならなかった。








    「時間を取らせたわね――――


        ここで私が言ったことは・・・全て忘れなさい」





              「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」







     何も返事が出来なかった。



     それを命令と取ることも充分出来たけれど。



     忘れようとして、忘れられるはずも無いから。



     もう、そんなことは私自身がどう頑張ろうと、



     出来るはずがない事だから。




    「けれど・・・・これだけは覚えておきなさい。

        貴女が“何処から来たモノ”で・・・・・

        “何の為に此処に()るのか”。

         そして・・・あなたの中に生じたその“(ひずみ)”が、一体彼に・・・
         何を齎すことになるのか・・・・・ね。」






  41. 45 : : 2019/09/10(火) 07:27:03









            「(私と・・・・碇君は・・・・・)」










         月並みな、最も理解しやすい括りで言うなら。




                私と・・・彼は・・・




                "家族"だった。




             そう言ってしまっても
             何も間違いがなかったと・・・・




          そんな事実を知ってしまったのだから。





              「(私が・・・・碇君の)」







                 ・・・・母親。







              違う。そうじゃない・・・・





                 そうじゃない・・・





                けれど、事実。




           赤木博士の言った事と・・・LCLの中で
         揺られていた無数の私・・・・あれが全て私で・・・・



               全てが事実なら。




       初号機の起動実験でこの世から消えてしまったとされる・・・




          碇君の母親だったもの(▪ ▪ ▪ ▪ ▪)複製(レプリカ)




                それが私(▪ ▪ ▪ ▪)





     そう・・・・私が司令と一緒にいると自分でも理解できないくらい
     会話が続くのも・・・・・・・・・・・・・・




     碇君を考えてこんなにも心が落ち着かなくなるのも・・・・・・




     EVAに乗っている時こそ一番"自分"を感じるのも・・・・・・





                ―――――全部。





     全部・・・・―――――故人(オリジナル)から引き継いだもの・・・・・?





     だとすれば・・・・・「私」は。






     今ここにいる・・・・そう思いこんでいるこの「私」は。





     何者でもない・・・・?私には・・・


                       私には・・・・・・・・



                 私には。










                「何もない」










  42. 46 : : 2019/09/10(火) 07:30:08








     そんな事を考えていたら・・・・・私は既に赤木博士と共に
     元来た路を地上まで遡るまでの間・・・・一切の記憶を喪失して
     しまったかのような錯覚を覚えた。





     何を考えても・・・どこを歩いても・・・・何に触れても。





         いつもなら何を考えずとも、心穏やかに居られる





            調整液(LCL)で満たされた調整槽(このなか)であっても・・・・





        ―――――ここに「私」を感じる事が出来ない。




               ・・・・何。この感じは





           私は・・・・一体・・・・何の為に此処に居るの





         使命を果たすため。言葉だけなら簡単に言える。




               でもそれは―――――・・・・・




              「誰から課せられた使命?」





           少なくとも・・・「私」の意志ではないわ。




            そう・・・・私に意志なんてないから。





             ――――必要がないもの。だから。





            "意志"がないなら・・・私は"私"じゃない・・・・





                私・・・・?私・・・・?





                  私は私。








                 あなただれ。








                   私よ




                   私は私
                   私は
                   私
            私は私・・・・・・・・私は・・・私は・・・私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私



    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私

    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
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    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
  43. 47 : : 2019/09/10(火) 07:32:47
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私



    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私

    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私


    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私

    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私



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    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
         (っちょっと・・)
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
         (ねえっ)
    私私私私私私私私私私私私私私私私私私私私
    ちょっと、君っ








               「ねえったら!!!!」
                  ガバッ




                「ッ・・・・!??」
                  ビグッ






        私の世界と――・・・私の意識が、瞼が、、唐突に、、開かれる。





           私は・・・・いつからこうして此処にいたの





          此処は・・・・部屋に一番近いバス停。その景色。




          私は・・・自分の足で何処か別のバス停から・・・
          此処までバスに乗ってきた・・・・?




        けれど、今・・・空の色は朝方か夕方のどちらか。




           この辺りのバスの本数から考えて。



         明らかに赤木博士の「説明」を受けてから
          24時間以上の時が経っている・・・



       私は・・・どれだけの時間部屋に戻らずこうしていたの・・・・?





               思い出せない。





  44. 48 : : 2019/09/10(火) 07:34:46





    思いだそうとしても・・・記憶に残っているのは断片的な景色だけ・・・





           ――――雨に濡れた廃線。



            ・・・・・煤けた病棟―――――



           ――――並んだ送電塔。。。。



            ――夕暮れのバス停――



           ・・・・止まったままの・・・・観覧車・・・・





       いえ・・・・。おかしい。"この辺りに”観覧車なんて
      どこにもなかったはず。私は一人でどこまで・・・・





             いえ・・・・・それ以前に





            "それは本当に私の記憶?"



          "あなたの記憶じゃないかもしれないわ"






          ――――違う・・・静かにして。。



                "あなただれ"



          ・・・・また・・・声が・・・私じゃない・・・



                私の声が・・・・・











    「うぉおおおいッ!!!!!ちょっとちょっと、大丈夫なの!!??
     ひょっとしてマジで119番呼んだ方がいい感じ??!!」ガバァッ




    「っ・・・・・・!!!」ガクンッ








    「っ・・・・・あ・・・・、、、ぇ・・・・・???  


                    ちょ、、・・・・・・!!!!???????」






               「・・・・・・・・・」




     私の意識を呼び戻してくれた"その人"と・・・私の目が、今
     初めて合った。眼鏡をかけて髪を二つに結っている。



     見たことがない学生服を着ている。きっと・・・
     私の"設定されている"年齢と同じか・・・もしくはそれより年上。



     そんな少女(ひと)が私の顔を見て驚きに言葉を失っている。。。


     そう。最近は身の回りの環境が変わらなかったから。


     "この反応”は・・・久しぶりだけれど・・・


     私は・・・"この反応”に慣れている。


     初めて教室に入ったとき・・・初めて教職の人に自己紹介をした時。


     皆。   皆この反応だったから。




           「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あなた、誰」




     そう・・・きっと私の外見があまりに"普通"とかけ離れているから。


     だから、目の前の彼女も言葉を失・・・・・




         「・・・・・ゴメン、ちょ~~っといいかな?」スッ



                  「?」




     唐突にそんなことを言った彼女は。




     私の記憶の中に無い・・・・未だ例のない行動をとる。







    「ほいっ!」スチャッ



    「・・・・・・???」カクン




     一瞬だけ・・・私の視界が揺れる。



    「ぉおお~~~~~やっっっっば!!!
                    超~~~似合ってンじゃん!!!」
     ワハァァ~~~~!!!!



    「・・・・・(一体・・これは・・・?)」オロオロ



     理解が出来ない―――――理解はできないけれど・・・




     彼女がとったのは、とても単純な行動



     今、自分がかけていた眼鏡を・・・・・なぜか"私にかけてきた”。





  45. 49 : : 2019/09/10(火) 07:37:08





     そのままだと見えないから、少し眼鏡をずらし、
     その行動の意味を聞こうとする私に―――――



     "彼女"は更に不可解な行動に出た上で、
     もっと理解に苦しむ事を提案してきた。




    「ぅわぁああ・・・(๑˃̵ᴗ˂̵)وうわぁあああ・・・・・!

       こんなの見せられちゃったらさぁ・・・・!もう
     何にもするなってのが無理ジャ~~ん!!!////」イソイソ
     ググッ・・・パサッ





    「・・・・何を・・・しているの」






    「ん~~?何って・・・見ての通りだよ」ググイッ





     見ての・・・通り彼女は、自分の髪を留めていたゴムを・・・
     その場で外し始めた。


     それは見れば分かる。私が知りたいのは・・・・その理由。






                 しかし






    「ねッ!!!1つだけ、、、ど~~~ーーーしてもお願い!!!

     イヤっつってもやっちゃうけど・・・ここで、ぎゅ~~って

     抱きしめても・・・・いいかニャ~~~!????(灬ºωº灬)」ワキワキワキ




               「・・・・・・!!!!!」クイッ




     私が驚きに言葉を失ったのは・・・今彼女が言った言葉の内容には
     何も関係がなかった。・・・・なぜなら、私に、今彼女の言葉は・・・



             殆ど聞こえて居なかったから"





           「あなた・・・・・・・
                        あなた誰。」




     視界を歪めていた眼鏡をずらし・・・髪をほどいた彼女の表情を
     しっかり捉えた私の中に・・・・いえ。



           "私の中の、何処か遠いところ”に。




            確かにその(かお)はあったから。





        「私・・・・あなたを知っている・・?あなた・・・・だr。。。。
        「んにゃ~~~~!!!もう辛抱堪らん~~~!!!

               ・:(〃Д〃人):・

         抱きつかせろ~~~~~!!!!!!」


             ムギュッウウウウウウウウ



    「っ・・・・( ˃̣̣̥᷄⌓˂̣̣̥᷅ )」=3ケフッ





    「なんだよなんだよ"ゲンドウ君"~~~~!!!
     失意のどん底で自分探しの旅とか出たって聞いてたから
     めちゃくちゃ心配してたってのに、こんなにそっくりな
     かぁイイ娘がもう一人居たンじゃん~~~~~!!」ウリウリウリ



    「!?」ハッ




    「・・・・・・今・・・・なんて・・・・・」




    「ん~^^?いやだっっ、、てこんな似てたら(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)さ~~!!!
     間違いよう無いじゃんかぁ~~って・・・いやいやいや・・・

     それもそうなんだけどちょっと・・・」ババッ
     キョロキョロ



     ・・・・・驚くことが沢山すぎてどんな顔をすればいいか・・・




     何を言ったらいいのかさえ分からない私を前に・・・・




     唐突にその眼に鋭さを戻した彼女は、私にかけた眼鏡を
     自分の顔にかけ直し――・・・




     周囲を機敏に伺う。





  46. 50 : : 2019/09/10(火) 07:39:57





    「キミさぁ・・・・・聞かなくても何となくで分かるけど・・・
     絶対特務機関NERVの関係者でしょ?(クンクン)

    (それも・・・その年齢で・・・更にこの匂い。
     こんなにハッキリ分かんだね・・・・;いや、
     それにしても露骨過ぎでしょ・・・

     もうなんか・・・・“THE★LCL!!”って香りがプンプンするゾ。。。

     "訓練後"シャワーも浴びてないんかしら)


     ・・・・こんなところで・・・お外の人気のない様な場所で
     気を失ったか寝てたのか知らないけど・・・

     監察官(ガード)はどうしたの・・・・・??普通スッ飛んでくるはずだけど」






              ・・・・・この人・・・・・・・





     間違いない。恐らく・・・・多分。。NERVを知っていてこの反応。





    「んま~~・・・・・今私にとってはその方が・・・ぶっちゃけ
     都合はイイんだけどね~・・・・。

     え~~っと・・・・」ゴソゴソ




    「・・・・・?なにをしているの」




    「ぁあ~~、メンゴメンゴ///!他意はないのよ!
     ただ、ちょ~~っとね、"確認"を・・・」





    「・・・・・・・・・、、?」フム





    「~~~~ん~~~・・・・・っと、
               ヨッ・・・ほっ・・・・・・」ゴソゴソ・・・
     ムニュムニュ



     私の肩から首もとにかけて・・・そこから襟元、
     脇の下、胸元と・・・くまなく両手を這わせていく・・・・



    「ッ・・・・お、発見ハッケン~~♪」
     PPPッ・・・・ 



     私のポケットから、携帯端末を取り出す彼女。。


     勿論他人に手渡していいものではないけれど・・・・


     先日・・・いえ、“恐らく先日”、私は地下に降りる前に、



     端末の電源を落としている。
     その状態では復帰直後の起動には生体認証が必要になる・・・




     だから。




     私以外の人がもし手にしたところで―――――




    「・・・・ん~~、ヨシ!!何も異常なし!!(pp...)
     いや~~、一応私が今此処にいるのって・・・・
     キミん組織(ところ)に悟られないようにしないと
     まずいんだってさ~~。だから、レコーダーとか持ってたら
     困っちゃうからさ~~。うんうん、電源も入ってなかったみたいだし
     一安心一安心・・・・


               って・・・・うん??」ハテ





    「・・・・え」


  47. 51 : : 2019/09/10(火) 07:43:46




         「・・・・・r,,レィ・・???  アヤナミ・・・・・???」クイッ





    「・・・・嘘。・・・・私は・・・確かに・・・・!」


     端末の電源を切っておいたはず・・・


     しかし今、この人にその名前を読み上げられたということは





    「・・・・・・これ・・・・、、これが、キミの"本名"なの?;」ツウッ・・・




    「(この人・・・、明らかに"私よりも"NERVの内情に・・・
     通じている。私の端末情報にこれほど容易にアクセスできて、
     こんな質問をしてくる人が・・・“そうでない”筈がない)」





    「質問の意味が・・・・理解できないわ。私には・・・
     "本名"も・・"偽りの名前”だって与えられていない。


     私は・・・・・私は・・・・・・・・・・・・」フルフル...



              また・・・・・まただわ




    「・・・・・!・・・・・ンなるほどにゃ...

       そういう事ね・・・・ゲンドウ君・・・・!!!キミって奴は・・・
      本当につくづく・・・・・」キッ・・・





            私の中の・・・・私じゃない声・・・・





    「っ・・・・ホラっ!しゃんとしな ッて!!折角の美人が台無しだぞ!!」
     グニッ






            「ふゃフッ・・・??Σ(;⁰︻⁰)」ビクッ





    「っニャッハハハハ!!!♪そうそう、それそれ、その顔だよ!!」
     ꉂ (˃̶᷄‧̫ॢ ˂̶᷅๑ )ハスハス=3





     彼女が何を言いたいのか分からない・・・・





     何をしたいのかも・・・・・・分からない。





     ・・・・・・分からないけれど






     何故か・・・何故か彼女は私の両頬を抓り、外側に引っ張って
     笑い声をあげている....





     あと・・・気のせいか、しきりに"私の匂い"を嗅いでいる?






                ―――痛い。





    「・・・・・・・やめてくれる?///」ヒリヒリ










    「~~~ンン~~???;ちょっとちょっと、またその仏頂面!!!
     今一瞬だけすッごくイ~イ顔になってたのにィ!!!!」ギュムムッ
     スンスン//


    ぁふァファ、ふぁふぃヲヒヒふぁいふぁ...(あなたがなにをいいたいのか)
             ふぇンふぇんふぃふぁヒフェひふぁいファ(ぜんぜんりかいできないわ)」キッ・・・・




            流石に、ここまで痛くするんだもの。



            腕をほどくくらいしてもいいはず




    「おっ・・・・おっ、おおっ・・・??!(ググッ・・・ググ)


     その顔もすっっごくイイじゃん!!!怒った顔は私も
     殆ど"見た事無かった"から・・・すっごい新鮮だよ!!!」イイネΣb!!
     モットミセテミセテ





    「あなたは・・・・???;・・・・何を・・・言っているの・・・;」




     他人の言いたい事が分からないのは・・・




     私にとって普通の事   ・・・・でも。




     この人の言う事は・・・他の人の比じゃない。





     それくらいに・・・・支離滅裂。





     もしかすると。重度の精神汚染・・・?




     私や・・・碇君と同世代の容姿。




     NERV支給の個人用端末を・・・その個人認証すら
     簡単にパス出来る人。




     気のせいでも思い過ごしでもなく、確かに
     私の“匂い”をしきりに嗅いでいる――・・・この行為の意味・・・





     LCLの匂い・・・・・??





     もし私が、"調整"の後、部屋に戻ってもいないなら・・・




     その匂いは、無視できる範囲を超えているかもしれない。




     ・・・けれどこの匂いが何の匂いか・・・すぐに分かる人・・・




     ・・・・まさか




     この人も・・・・"搭乗者(パイロット)"・・・・・・?






  48. 52 : : 2019/09/10(火) 07:58:43









    「っっ~~~・・・・ってぇ、、そっかそっか・・・
     私もこんな事して時間潰してる暇なかったんだ」パッ...
     イケネイケネ






    「~~~・・・・・///」ジンジン///






    「ほい、これは返すよ」ヒョイッ





     
     ―――――やっと放してくれた。




     そんな事をいいながら
     私の端末を手渡した後、外した髪留めで、また
     髪を結い始める彼女。。




     どこかへ急いでいる様子に見える。





    「・・・・待って。あなたにどうしても聞きたい事が」





    「ん~~???どうしても聞きたい事って..
     そりゃ何だろうネ?私がどこのどちら様・・・とか?

     そんなカンジかにゃ?でもそれ聞いてもしょうがないと思うなぁ。
     立場的にもカミングアウトはマズイし・・・多分名前聞いても
     解んないだろうし・・・」フ~ム





    「それは・・・分かる。よく・・・分からないけれど・・
     きっと、あなたと会うのは・・・初めてだと思うから。

     ・・・私が聞きたいことは・・・そうじゃない」





    「ほうほう。んじゃ一体何を聞きたいと申すかにゃ?」
     ニヤニヤ








           「あなたは・・・・私を知っているの?」





           「・・・・・・・・・・・・・・・」ピタッ






     今に至るまでクラスに居る皆と同じように
     多彩な変化を見せていた彼女の表情が・・・
     何故だか全くの別人のように。



     ・・・・止まって見えた。答えを訊かなくても・・・
     私は理解した。彼女の表情が止まったその瞬間・・・同時に



     ―――彼女のATフィールド(心の壁)までもが薄れたのを感じたから。






    「あなたは・・・私の姿をした人に(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)会った事があるの?」









    「ちなみにキミは・・・どうしてそんな事を聞くの?

     キミが私の事を知らないンならさ・・・・大抵その逆も然りって
     わかりそうなものだろうけどにゃぁ」ポリポリ






    「ごめんなさい。うまく・・・説明できない。

     でも・・・私の中に・・・確かに、あなたが居たから(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)。」





    「・・・・・・・、、うん?」






    「その姿では分からなかった。

     ・・・でも、何も着けていない顔のあなたを・・・
     私は知っていた(▪ ▪ ▪ ▪ ▪)。私は・・・自分の事を説明出来るほど 自分の事も理解できていない。だから・・・
     せめて"あなたが私を知っているのかどうかだけでも”」








  49. 53 : : 2019/09/10(火) 08:01:21









    「~~~ふ~~ん・・・。」ホケェ・・・







    「・・・・・・・・」




     私は、何も彼女を落胆させるような事を
     言ったつもりは無かった。けれど、その顔は・・・



     弐号機パイロットの子が時折見せるような、
     無気力なものに変わっている。



     目の前の会話をしている相手に、
     一切の興味が沸いてこない・・・そんな表情。




    「期待に応えられないのは悪いんだけどさ~、
     私はキミの事は"識らない"し"会う"のもこれが初めてだよ。」
     スーン・・・







    「・・・・・・そう。」







     私は・・・今、自分がどんな顔をすればいいのか
     理解するまでもなく・・・そんな顔をしていたんだと、
     彼女の次の言葉を待たなくても分かった。




     ―――――落胆。




     私は・・・間違いなく自分を知る手がかりを得られないことに、
     落胆していた。




             「ぁあ、でも――――
             「っ・・・・・・ッ..







               ―――――衝突。








     真正面から全身に彼女を受け止める衝撃と・・・。
     私と、彼女の顔が重なる音でーーー・・・




     一瞬だけ、私の視界は塞がれる。




     視界だけでなく・・・呼吸の半分と、一切の発言も。




     そこには"彼女と私”という境界はなく―――――






          ――――つまり心の壁(ATフィールド)すら無かった。





     口腔を通じて私と彼女はその時一つになり・・・
     そのまま驚きで固まる私の中に彼女の舌が―――――・・・・





    「っ~~♪」レロッ
    「っっ・・・??!??!?////」ガバッ





    「んおっ???」プハッ





    「なっ・・・何をするの・・・?!!!///」ゴシッ





    「うん!!!!百点満点!その顔だったら・・・・
     逢ったこと(▪ ▪ ▪ ▪ ▪)あるかな!」






    「(その顔だったら・・?)
     あなたが何を言いたいのか・・分からない。

     あなたは私と初めて会うと言ってたわ」













    「そだよ~~、ほら、人の印象って
     表情とか格好で全然違って見えるもんジャン。

     ・・・キミだって似たような事、今自分でいってたニゃ~?」スサッ
     ニヤニヤ





    「・・・・・!」





     眼鏡をずらし、私に当てつけのように言う彼女。






    「可愛さ余って憎さ百倍!!って言葉は知ってる?」





    「・・・・知ってるわ。
                いえ。・・・・・知っては・・・いるけれど」




     本で読んで知っていたのは事実・・・けれど・・・
     私には識ることができなかった(▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪ ▪)言葉―――――・・・

     言葉の意味が・・・矛盾している気がするもの。




     "可愛さ”という表現が、どうして一定量を越えると
     "憎しみ"という負の感情を増大させるのか・・・





     私には理解できないから。




  50. 54 : : 2019/09/10(火) 08:07:43





    「んな難しい顔しなくていいんだよ~。

     言葉の意味なんてさ、簡単にひっくり返るものだよ?
     何せニンゲンが勝手に作っただけのものなんだからw

     つまりさ~、可愛さが憎さにひっくり返る事もあるなら、
     その逆もアリなんじゃないかな~~って、私は思うんだなァ」







    「・・・・そう・・・・」





                 羨ましい





     私は・・・今まで考えたことも無かったような感情を、
     その時自分の中に感じることが出来た。


     これが・・・きっと他人を羨む、
     自分にない何かを求める時に抱く「羨望」という気持ち。


     私は・・・きっと、彼女のような”人間らしさ”に憧れをもって・・・
     今、"羨ましい”と思ったのかもしれない。





    「ほらほらほら~~~何度も言わすな!!
     その顔がダメなんだって!!」





    「・・・・・?駄目と言われても・・・」





    「ダメと言われても・・・・何?困る????」







    「そう・・・、、困る・・・??」





    「んじゃ、、困った時は、、こう!!!」グニィ


    「Σむグッ」



     また・・。私の目尻と口元を強引に歪める彼女の両手が迫る。







    「っ・・・;」ババッ





    「オッ・・・?!そうそう、そうだよ、今自分で出来てたじゃん!
     イヤだと思ったらその顔!!やれば出来るんじゃん~~♪

     つまりさ~~、ニンゲン、言葉なんて使わなくたって、
     身振り手振り、表情だけで気持ちを伝えることは、
     出来る生き物なんだって」




    「・・・・・・・・・・」





     彼女の言葉を受けて・・・私が思い出したのは。

     まだこの手にハッキリと残っている・・・"あの感覚"。


     "あの人"を蔑ろにした言い方をする"彼"の頬を、
     何を考える暇もなく、咄嗟に張ってしまった時の感覚。






    「(大事なことを思い出せた・・。私・・・

                     まだ彼に謝っていないわ)」






    「・・・・今、キミが何を思い出してそうしたのか分からないけどさ・・・

     その顔。すっごくイイ顔だったよ。私なんかよりも・・・
     もっとその顔見せてあげたら喜ぶ人、居ると思うなァ~~。」チラチラ






    「・・・・・・・。」





    「どうせさ・・・"私ら"いつ死んだっておかしくない毎日な
     ワケじゃん?・・まあ、私はそれ楽しんでるフシも
     若干あるからうまいこと言えないんだけどさ~~。

     もっと・・・なんかこう、色々と楽しめる事があると思うんだよね
     年相応な事がさ。」






    「私とあなたは・・・同じだけれど、"きっと違う"わ。

     私が死んでも・・・"代わりはいるもの"」





    「ぁ~もう、簡単に死ぬな死ぬなw
     生きろ!!そなたは美しい!!!」
     クシャックシャ





    「~~~~・・・」ボサッ・・・






    「"生きてさえ"いりゃさ、どうにかなるよ。

     キミが望む"人生"ってやつを手に入れるチャンスは
     何処にだってある・・・・。。。

     だって、生きてるんだもん。」









    「・・・・・・・・・、、、生きて・・・いれば・・・?」







  51. 55 : : 2019/09/10(火) 08:11:40








    「そ。・・・まあ、肝心の私にそう教えてくれたヒトは・・・
     居なくなったきり帰って来てくれなかったらしい(▪ ▪ ▪)んだけどね。
     ・・・でも、キミを見て全部が繋がった。。
     あの人は・・・・"まだ生きてる"ってね。
     キミが・・・そう教えてくれた。

     私がここに来たのはさ・・・その為だったんだ」ガシガシ




     それだけ言うと私の頭を強引に揺らした後、
     踵を返した彼女は―――――




    「んじゃっ、この事は他言無用でっ!!!
                   .....ぇ~~っと、、」タッタッ..






    「・・・・・・・・・?」







    「ん~~~・・・・     じゃあ、、ネルフの"先輩"!!!」ンジャッ!!
     ノシノシ



     ダダッ・・・





                「・・・・・・・」





     最後まで支離滅裂な言葉を残して・・・
     どこかへ行ってしまった。









    「生きて・・・・生きてさえいれば・・・・・」フッ・・・




     何故・・・私は今・・・・笑っていた・・・?何がおかしいと思って
     笑ったの・・・・?   ―――違う・・・?可笑しかったのではなく・・・



     彼女の言葉を否定して・・・笑っていた・・・・?



     ―――――だってそうだもの。



     私には・・・彼女のような・・・・"普通"に笑ったり泣いたり
     できるような・・・”普通の一生"は用意されていない。



     調整槽に揺られていた・・・"あの(▪ ▪)全てが・・・
     私の代わり。私という存在は・・・・
     あの人の"約束"を果たすためだけに、存在する。
     EVAを駆り、全ての使徒を殲滅するというのは・・・


     ・・・・そのついで(▪ ▪ ▪)に過ぎない。
     


     生きてさえ・・・。。。。そう、私には生きる(▪ ▪ ▪)事さえ―――――





     夕暮れのバス停・・・・・



     そんな事を考えて座っている事しかできなかった私の
     不毛な時間は―――――







     すぐに終わりを迎える。





  52. 58 : : 2019/09/12(木) 07:02:33





















         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~










    「――――――――――――――!!   
                       緊急警報・・・・・」







      {{{{第三新東京市を中心とする,半径50キロ㍍圏内に
        緊急避難警報が発令されました。

        市民の皆様は、慌てず、迅速に所定の避難所、
        または最寄りのシェルターへの待避をお願いします。

        ・・・・・・現時刻をもちまして、当該地区は
        日本国政府管理下に於ける、特例宣言"C17"の
        指定領域範囲内となります―――――

        繰り返しお伝えします
        ―――第三新東京市を中心とする....








              「・・・・・使徒・・・・。」グッ・・・








    夕陽が沈みゆく彼方の山肌を眺め、携帯端末を握りしめる
    彼女の、夕陽よりも赤い肉眼が捉えたのは・・・・








          遠目にはそうとしか表現のしようがない・・・・


          ・・・・・・・夕暮れに浮かぶ巨大な"光の輪"だった。








        ==NERV本部中央作戦司令室内・第一発令所==







    「ちょっとリツコ、今何処に居るわけ!!!?逆ならともかく
     あんたが今この場に居ないってのは流石に洒落になんないわよ!」



     相も変わらず、唐突な来訪を一切自重することがない
     未知の襲撃者・・・則ち"使徒"の出現・及びその観測に
     慌ただしさを増す第一発令所内にて・・・



     その場に居ない人間に向けられた檄が飛ぶ。







    {{・・・・言い訳は後でするわ。
     今やっと"連絡がつく階層"まで上がってきたところなの。

     ・・・・被害状況と対象の様子だけでもいいから説明して頂戴}}





    「~~~~~私よりオペレーターに訊いた方が早いわ。
     伊吹二尉、通話回線、繋げられる?」ヌグググ...





    「ぁっ、では・・・・。

     失礼します―――――・・・先輩、代わりました。」





    {{悪いわねマヤ。先ず状況を教えて頂戴}}




    「―――――ハイ。目標は・・・・凡そ12分前、
     上強羅上空にて突如出現。付近住民がその様子を
     "肉眼で捉えた"ことにより存在が確認され・・・・

     先だって発令された待避勧告後に、国連軍直下の
     航空自衛隊戦力により・・・威嚇射撃を挟まずの
     直接攻撃が行われましたが・・・・

     例に漏れず対象のATフィールドによるものと見られる
     対空迎撃により、一切通常兵器が有効でない事が確認された為・・・
     特例宣言の発令権限と対象の殲滅要請が国連より...
    {{待って頂戴。。
     ATフィールドに・・・"よるものとみられる"???
     目標がそこまで接近しているならその程度の観測は
     発令所からでも十分可能な筈よ}}






  53. 59 : : 2019/09/12(木) 07:05:03










    「(カタタッ)・・・横から済みません。それなんですが・・・・
     目標の識別パターンが今までに無く妙なんです。

     パターンオレンジから青へ、周期的に変化していて・・・
     これに対しMAGIは回答不能を提示しています」





    「形状もハッキリ言ってこれまでに輪をかけて異様です。

     およそ生物らしい様相を呈していないのはまだ前例があるとして・・・

     まるで固定形態に見えない姿をしている上、(コア)が・・・
     何処にも見あたりません」




    「奴さん方が今まで同じ格好で出てきた事がないのと一緒よ。
     常識の通用しない相手である、って事以外、現状何も分かって
     ないんだから・・・先に手は出せないわよ」チッ




    {{成る程・・・大凡把握できたわ。。マヤ。}}




    「っ、ハイ!!なんでしょうか先輩!!」




    {{私があなたの後ろに辿り着くまで・・・後7分30秒
     かかりそうなのだけれど。それまで何とか
     葛城三佐の作戦指揮のもと持ち堪えて頂戴。

     それで問題はないわね・・・・・・?}}



    「現状膠着状態が続いていますので・・・、、目標の出方次第ですね・・・
     、、でも、任せて下さい!!!。。。ですがその、一つだけ・・・
    {{分かってるわ。  レイと・・・連絡が取れない。
     ・・・違うかしら}}
    「はっ・・・・!?はい・・・そう・・・・なんですが・・・」チラッ
     ビクビク




    「・・・・リツコ。あなた、何を知っているの?
     レイが端末に対する非常呼集に応じられないのは
     "まだ"弁解の余地があるとして・・・・専属で彼女を囲ってる筈の
     ガードは・・・"あなたの命令で"一時的に持ち場を離れていると・・・
     そう口を揃えているわよ」




    {{・・・・・・・・・・・・・}}




    {{言ったでしょう。言い訳は後でするわ。
     目標に動きが見られない場合は・・・零号機を"除く"、
     初号機、弐号機の両機をB型装備で待機させておいて頂戴。

     あと6分51秒で其方に着くわ}} ブツッ.....




    「・・・・・・・・・・・・・・・・・」




    知るべき事だけ知った以上、到着を遅れさせる原因にも
    なりかねない不毛な言い合いに興じるつもりはないとばかりに・・・
    一方的に切断される通話回線。



    このような非常時に於いても実に彼女らしい立ち居振る舞いを
    崩さぬ姿勢と・・・しかしその気丈な態度の裏に、
    旧友にしか感じとれない僅かな違和感を察するミサトだったが・・・



    「・・・・疑わしきをなんとやら・・・とはいっても
     今ここで文句を言っても仕方がないわね。

     ・・・・シンジ君、アスカ、聞いてる通りだけれど・・・
     相手が海のモノとも山のモノともつかない以上、
     此方から下手に撃って出るワケにも行かないわ。


     2人はそのままいつでも出撃可能な状態で、両機共に
     32番射出口、第8ゲートにて待機。



     目標が何の行動(アクション)も起こさなかった場合についても・・・
     所定の防衛線の侵攻が確認でき次第、即時出撃・・・
     これを迎撃してもらうわ。・・・・・・いいわね。」




    {{OK(オッケー)!~了ぉ解。。んで、まだ作戦のプランを
     聞いてないけどそれについてはどうするわけ?}}





  54. 60 : : 2019/09/12(木) 07:07:57






    「今回の前衛はアスカ、あなたよ。出撃と同時に
     ATフィールドを展開。射出地点側部のビルに
     パレットライフルを上げるから、プログナイフとライフルで
     武装したら・・・・目標のフィールド中和を計りつつ、
     相手の"出方に合わせて"攻撃を開始。」





    {{待ってました!!!!!}}ウッキウキ






    「ただこれはあくまでも、相手の挙動を見るための攻撃よ。
     向こうの攻撃方法が分からない上にコアが
     何処にも見当たらない以上・・・・まぐれでも勝てるとは
     思わない方が良いわ。

     全ての使徒に対し・・・現状間違い無く言える事は・・・・・
     “得体が知れない”事と“コアの破壊でのみ撃破が可能”
     であるという事だけよ。」






    {{了ォ~解。。}}







    {{あ、あの・・・・僕は・・・・}}






    「・・・今回シンジ君はアスカのバックアップに回ってもらうわ。

     直近のシンクロテストから鑑みた結果ではあるけれど、
     起動指数ギリギリの数値で出撃する事になる初号機に
     近接戦闘を命じるのは・・・・司令の許可も無い以上不可能なの。。。」








    {{(ですよね~・・・・。。。)}}







    「(ま・・・実際のトコは司令から釘刺されてるだけなんだけどね。
     ここ数体で続いてきてる傾向から見ても・・・
     どうも“搦め手”で攻めてくる奴が多いから・・・。
     直接的な制圧をウリにしてるような奴以外では一切
     初号機には先陣切らせるなって・・・・ね。

     或いは・・・既に倒すべき使徒の番付け・・・
     シナリオの終結が近づいてるのかしら・・・
     どちらにせよ初号機に関してだけは腫物を触るが如しね)」








    「出撃直後、アスカ同様に汎用ポジトロンライフルを
     送るわ。標的のATフィールドに干渉できるギリギリの距離から
     初号機もフィールドを展開。インダクションモードによる
     照準補正で狙いをつけて、アスカの援護をお願い」





    {{あっらぁ~~~?????

     残念だったわね~~~ナナヒカリ!!!まあ??
     そんな辛気くさい面して援護とかされても私としては
     ショージキ迷惑しかないって言うか・・・

     ぶっちゃけ邪魔だから。今のウチに起動できないなら
     起動できませんって言っちゃえばぁ(▪ ▪ ▪)~~?(小声※EVAだけに)}}
     プ~クスクス






          「「「「「「「「「「「(寒ッッッッ!!!!!!)」」」」」」」」」」」」

          「「「「「「「「「「「(寒ッッッッ!!!!!!)」」」」」」」」」」」」

          「「「「「「「「「「「(寒ッッッッ!!!!!!)」」」」」」」」」」」」






    「・・・・・アスカ、作戦中よ(寒ッ!!!!!!)」
     プルプル





    「目標!!!強羅絶対防衛線を通過!!(寒ッ!!!!)」
     ブルッ







    「・・・・おいでなすったわね・・・・・・!EVA両機、出撃準備!」





  55. 61 : : 2019/09/12(木) 07:14:13






    バシュッ・・・・







    「遅くなって御免なさいね・・・。と、言いたいところだけれど、
     発令所の空調システムは正常なのかしら・・・?;

     なんだか非常識なくらい冷えてるわよ」ブルッ
     ァア、、サムイワッ...





    「先輩!!(寒っ・・・!!!)」ガタッ





    「ちょっとリツコ!!この非常時にふざけてんじゃないわよ!!
     今丁度目標が作戦領域に入ったから両機共出撃させた所・・・・!!」
     プンスコ=3





    「目標をモニターに回して頂戴」キリッ
     ★ガン無視★
    「は、ハイ・・・」ソソクサ






    「目標、主モニターへまわします」






               ((((ビュィンッ))))




      ドヨ・・・   ドヨドヨ・・・・・・・    ざわ....





    「大涌谷上空の映像です。」





    そこに映し出されたのは―――
    ―――夕焼けの空に浮かぶ、長大な光の環。





    発光しながら空中で回転を続けている・・・二重螺旋形状を繋げた
    1つの輪のような形の“モノ”だった。






    「・・・・・・・・・(溜息)これはまた芸術的な形状ね。

           っていうか昔こんな形の、首に巻くやつ
           流行らなかったかしら。・・・ねえミサト」







    「ぁあ"ん・・・・・!??」ギヌロッ


    「わ・・・悪かったわ、そう睨まないで頂戴;」フイッ






    「エヴァ弐号機・地上直接迎撃地点へ!!初号機、追って
     第8ゲートより地上へ射出!」





    「・・・この作戦が終わったら、罰としてサラシ巻いて
     太鼓叩きながら意味深なポエム読み上げて貰うから・・・・・
     覚えてなさいよ...」ギリッ




    「っ・・・(ゾクッ);
     ・・・マヤ、目標から何か新たに得らえたデータは」





    「・・・・イェ、これといって・・・;(た・・・太鼓??)
     相変わらず定点回転を続けている事と・・・先程の
     弐号機パイロットの発言と同時に、表面温度が0.3低下したのが
     サーモグラフで確認された以外は・・・」






    「・・・使徒にも精神攻撃が有効だという
     データの裏付けになるかもしれないわ。

     どんな些細な事でもいいわ。目標に動きが無い以上は、
     各計器による観測結果を全てMAGIにまわして・・・・








             {{ 来るわ!!!! }}








    緊迫した発令所に響きわたり、長く続いた膠着状態の終りを
    伝えたのは―――コミュニケーション回線を介したアスカの声。






    ついに状況は動きを見せた。







    「―――目標、弐号機を補足!!」





    「迎撃よ!!!アスカ!!!!!!」




    {{言われなくても手前からッ!!!}}





                ギョンッ!!!!!!




    ―――まるで意志を持った鞭の如く、先端を弐号機へと向け、
    急激に距離を詰める使徒。




    {{売ってやりんす上等よッ!!!!!!}}






    ズンッ!!!    ドガッ!!!!
                      バガガガガッッ!!!!!!




    初撃を紙一重で躱す流れから、流麗に身を翻すと
    機体の安定を待たずにパレットライフルの斉射を行い、
    照準が安定する頃には姿勢を立て直す弐号機。


    EVAの運動性能には搭乗者の良好な精神状態と高度な同調(シンクロ)
    何より求められるが・・・今、彼女を鼓舞しているそれは、
    この上なく好調な様だ。






       {{オルァアアアアア゛!!!!!!こ.れ.で.も喰らえェェエええ!!!!}}


              
            ドガンッ!!!ドドドドドドドド!!!!







  56. 62 : : 2019/09/12(木) 07:18:15








    「目標のATフィールド、依然健在!!!」





    「弐号機は!?」





    「弐号機もフィールドを展開中、、...!ですが、
     目標の侵蝕性が強く、直接接触を避ける為の
     防壁としては機能していません!!!」





    「・・・・・寄生型・・・?いえ、侵蝕・・・・!!?
     使途が・・・EVAに対して、攻撃ではなく“接触”を試みている・・?」


    「いずれにしても・・一筋縄ではいかない相手ですね。
     松代の参号機の時と近いタイプかもしれません」






    「相手の目的がどうであれ、こっちからすれば
     攻撃であることに変わりはないわ!!!


     アスカ!!そいつに直接触れるのは絶対にNGよ!!!
     生体部品で特殊装甲を固めているEVAでは接触と同時に
     侵される危険性大だわ!!

     もしも使徒の侵蝕を一旦受けてしまえば・・・・
     容易に格納庫にも収容できなくなる!!」






    {{んな事分かってるし、出来る限りそうするつもりだけど!!!

     そうは言っても限度ってモンがあるわ!!!あのリーチじゃ
     完全にノータッチで避け続けろとか無理ゲーよ!!!!}}




       ッガガガガガッ!!!!    


               キィンッ!! ギャギンッ!!!! バギ"ッ!!!!!




    絶え間なく明滅する閃光を四散させ、
    パレットライフルの照準を外さず、フィールドに全て弾かれるのも
    お構いなしに攻めの手を緩めないアスカ。
    装填された劣化ウラン弾の残弾が底を尽きる直前になって・・・





                ギュオッッ....!!!!



               {{っっ!!!!!}}





    再び突進を仕掛けてくる使徒の先端。





    {{もうっ!!!鬱陶しいわね!!!!!}}ヒュオンッ!!




    バガンッ!!! ドガッッ!!!
                      バヅンッ!!!




    「パレットガン損失!!!弐号機・アンビリカルケーブル断線!!!!」



    「内部電源に切り替わります!!!」









                 ギュンッ..!!!!!


                 {{っ!!}}





    「アスカ!!!避けっ――――





               ドガッ!!!バギンッッ!!!!!!!!





    二手、三手と不規則に軌道を変え、ついに弐号機接触寸前
    というところまで伸びきった使徒の横っ腹に、叩きつけられる
    加粒子ビームの弾着による衝撃。。



    命中ヶ所が有機、無機物であるに関わらず、ただ巨大なだけの
    物体であったならひと堪りもない破壊力を有するハズの
    加粒子砲による狙撃だったが、体表に展開された
    強力なATフィールドにより、推進軌道を阻害される程度に留めた。





    「ナイスよシンジ君!!!!でも目標のフィールド強度と
     荷電粒子の減衰距離を考えても、間合いが遠いわ!!

     あと300接近しながら目標のATフィールドを中和しつつ
     第二射、いけるわね!?」






              {{ぅッ、了解!!!!}}







  57. 63 : : 2019/09/12(木) 07:23:23





    「アスカ!一旦シンジ君に殿を任せて
     そこから200後退したビルから電源を確保して!
     丸腰だと流石に分が悪いわ、予備のライフルもそこで―――





           {{んな悠長な事言ってるヒマ無いわよ!!!
              ・・・・・バカシンジ!!!ッ!!    }}





    「!!!目標、初号機のフィールド展開と同時に回頭!!!
     攻撃対象を初号機へ切り替えた模様です!!!!」







             {{っッッ――!!ぅわッ...}}



         {{フィールド無展開(▪ ▪ ▪)で転がりなさいッ!!!早く!!!!}}




              {{ッ!???アスカ_!_?な・・・何を}}





    「っ・・・・!?????」





             {{い~~から早く!!!!!!}}



                {{っぁッ!!!!!}}





       グンンッ...!!!           ヅガンッ!! 




            
              ゴロゴロゴロ・・・・・・・!!!!!







    「シンジ君!!!!大丈夫?!??」






    「初号機、ATフィールド出力を一桁台までカット!
     ・・・・・これは.......!!目標の運動性が極端に低下!!

     EVA初号機をロストしています!」






    「弐号機パイロットも同様に、ATフィールド出力ミニマムで
     静止!目標は――――やはりATフィールド感知で、
     受動的に攻撃を仕掛けるタイプの様です!」






    「よく看破したわ、アスカ。
     とりあえずは・・・・奴さんへの対処をどうするか
     考えるまで・・・睨めっこを続けるほか無いけれど・・・」





    「しかし・・・このままでは・・・
     残り時間3分40秒で弐号機の内部電源が底を尽きるわ」





    「シンジ君!!取りあえず急な動きを見せれば
     流石に相手にも気取られる危険性があるわ!
     よって弐号機は今直ぐその場を離脱できないから・・・

     現状、兵装ビルに近い位置に居るシンジ君が
     アスカに代わり予備バッテリーを回収して・・・・
     それを弐号機へ渡して頂戴!
     
     それで少しは時間を稼げるはずよ!!」





    {{リョッ・・・了解・・・・なん、、です。。。け、、、っど..っと・・・
     コレ・・・ケーブルが絡まって・・・身動きが////;}}ギリギリ・・・





    「・・・・・無様ね。」ボソッ





    {{ちょっと、アホシンジ!!!誰がドジっ子アピールしろつったのよ!!
     アンタまで断線したら洒落になんないんだから、
     そんな所で遊んでないで早く解きなさいよ!!ꐦ}}





    「シンジ君は慌てず急いでケーブルをほどいて!
     外部電源ソケットを破損しないように!!!
     このままじゃ餌食よ!」





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ne5716

夢馬

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