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八幡「俺と付き合ってください」

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  1. 1 : : 2014/01/03(金) 16:59:49
    今回で二作目になります。

    原作7巻からのifストーリーになります。
    色々キャラがブレてるかもしれませんがご容赦下さい。

    色々至らない部分が多いと思いますが、
    生温かい目で暇を潰していただけると幸いです。
  2. 2 : : 2014/01/03(金) 17:00:55
    八幡「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください」

    海老名さんは戸惑っていたが、すぐに正しい答えを……

    海老名「はい……よろしくお願いします」

    八幡「……あれ?」

    あれれ~、おっかしいぞ~?思わず体が縮んでしまうかと思った。

    戸部「……」( ゚д゚)ポカーン

    八幡「って、戸部が言いたかったんだってよ!なぁ、戸部!」

    やばい、作戦をプランBに移行!…………プランB?……んなもんねぇよ!!

    戸部「あ……あ~、そうなんだわ!ヒキタニ君マジないわ~、海老名さんもノリノリとか、ナニコレ、アレだ!どっきりってヤツっしょ!?」

    あ……ああ、そうゆうことか!海老名さんはドッキリ風に仕立てて告白をうやむやに……

    海老名「戸部くんごめんね……」

    戸部「いや~、おかげでキンチョーほぐれたっていうか、おちゃらけてる場合じゃないっしょ!俺!海老名さんのこと……」

    馬鹿、とどまれ戸部!こんな空気で真面目に仕切り直すな!由比ヶ浜!こいつにエアマスターのスキルを分けてやってくれ!

    海老名「ヒキタニくん……ううん、比企谷くん!」

    やばい、海老名さんが今にも泣き出しそうな笑顔でこっちを見ている・・・仲間にしますか?……じゃねぇから!

    八幡「お、おう、戸部……とりあえず落ち着いて……」

    海老名さんが限界を超える前に早く逃げろ!俺が殿をつとめるから早く!

    海老名「私も比企谷くんのことが好きです。私と付き合ってください」



    いや……

    いやいや……

    いやいやいやいや……



    戸部企谷「「……」」



    海老名さんが真っ直ぐに俺の瞳を見つめてくる……


    目線が逸らせない……


    俺の趣味は人間観察、長年の経験で培った眼力は顔色を窺い、思いを汲むことに長けている……と思う。


    数々の修羅場(自爆多数)をくぐり抜けてきた(惨敗)俺の経験が言っている……





    彼女の目は嘘を言っていない……。





    戸部「マジないわー!」

    陸上選手顔負けのスピードで戸部が竹林を駆けてエスケープしていった。もう少し早くこの場から去って欲しかった……

    海老名「比企谷くん、その……よろしく///」

    八幡「……」

    「こうして俺の彼女いない歴は唐突に終わりを告げる」~完~

    終われよ……マジで……。
  3. 3 : : 2014/01/03(金) 17:03:37

    修学旅行最終日。新幹線を待つ僅かな時間、彼女が俺の前に姿を現した。

    海老名「はろはろ~、お待たせしちゃった?」

    比企谷「いや……別に」



    おそらく、昨日未明より今日にかけて、俺のケータイはメカ生で一番の激務を担ったに違いない。
    そりゃもう迷惑メールかってほど知らない人からのお問い合わせメール乱舞に加えて、謎の番号からの着信アリ多数……。

    由比ヶ浜のアドレス以外全部知らないアドレスからだったマジ怖い。
    というか、皆パニくってるのか、名前すら名乗りやがらないもので、解読と答え合わせに睡眠時間を奪われたのは言うまでもない。

    そんなメールの中に海老名さんからのメールも含まれていた。

    海老メール「海老名です。明日時間取れないかな?色々話したいことあるよね、お互いに(//ロωロ//)」

    名乗るだけ他の連中よりまだマシだ、でも今日の対応が実によろしくなかったので非常に気が重いです。

    ……というか、皆なんで俺のアドレスとかケー番知ってんの?一体何ガハマさんの仕業なの?
  4. 4 : : 2014/01/03(金) 17:04:18

    とにかく改めて、真意を問いたださなければならない。

    八幡「俺、メールとか打つの苦手だし、直接聞いたほうが絶対早いからな」

    海老名「そうだね、メールって便利だけど、相手の姿は想像でしか見えないもんね」

    八幡「……」

    改めて対面した上で尚……俺は昨日の彼女の行動が理解できないでいる……。

    海老名「改めて、これからよろしくね、比企谷くん」

    八幡「いや、だからそれだよ、どういうことなんだ一体……」

    (腐ω腐)<……わけがわからないよ

    海老名「何度も言わせないでよ、私だって恥ずかしいんだよ…///」

    可愛く照れんな、惚れちゃうだろうが……。

    比企谷「お前は今を変えたくないって言ったよな?気に入っているとも言った。なのにどうして……」

    どうしてその全てを壊してしまうような選択肢を選んでしまったんだ?

    海老名「……」

    八幡「俺はお前の依頼を解決できる方法を提示したつもりだったんだけどな……」

    たしかに決定権は彼女に委ねた……。でも、こんなことになるなんて夢にも思っていなかった……。

    海老名「本当はね……断って、誰とも付き合う気はないって言おうとしたんだ……。」

    そうだ、そうすれば戸部は玉砕できなくなる。故に振られることもない、今まで通りの関係だ。

    海老名「でもね、比企谷くんの告白を聞いて……目を見て……気づいちゃったんだ。」



    海老名「比企谷くんはきっと私のこと好きとかそういうのじゃなかったんだと思う……でも真剣で……優しかった」

    おかしいな……俺の目、自負できるくらい腐ってるはずなんだけど……。

    海老名「この人になら……理解されるのもいいかな……って」

    海老名「理解されたらいいな……って」

    海老名「理解したいな……って」

    彼女は俺に似ているようで……その実は……

    海老名「感情をね……押し止められなかったのって初めてだったんだ……こうゆうことで」

    本当は気づいていたのかもしれない……泣きそうだった笑顔の正体に……

    海老名「だから……感情の激流に身を任せてみちゃったのかな」

    でも、勘違いはしたくなかったから……気づかない振りをしたかったのかも知れない……

    海老名「比企谷くんは私のこと嫌いかな?」

    比企谷「……大嫌いだ、とでも言えば全部冗談で済ませられるのか?」

    海老名「それは……難しいかな」

    なかったことにできないなら、せめて誠実に答えよう……。

    比企谷「けっこうキツイこと言うかもしれないけど……いいか?」

    海老名「……」

    海老名は声を上げずに小さくコクリと頷いた。

    比企谷「……ハッキリいって、俺は海老名姫菜という人間に対して無関心だった」

    比企谷「クラスメイトでBL好きの眼鏡っ子」

    顔が可愛い……ってのは今言う必要ないよな……。

    比企谷「それだけだ……他には何も知らない」

    海老名「私も同じだよ……」

    海老名「ヒキタニくんはクラスでも目立たない方だけど悪評だけは一人前だし、キョドってる姿がちょっと面白い」

    あれ?これけっこう心にくるな……。

    海老名「でも、比企谷くんはけっこうカッコ良くて優しい」

    その眼鏡曇ってるんじゃないか?あるいは色眼鏡なんでないの?別の意味で心にくるんだけど……。

    比企谷「買いかぶり過ぎだろ……」

    海老名「だから、比企谷くんを知りたいの……」

    海老名「だから、私を知って欲しいの……」

    海老名「ダメ……かな?」

    男は(一匹)狼なのよ、気をつけなさい、赤メガネちゃんや……

    八幡「それは奉仕部員個人への依頼と受け取ってもいいか?」

    海老名「厳密には違うかな?比企谷くんへのお願い……かな?」

    願えば叶うなんて現実はそんなに優しくないんだよ……。

    海老名「多分、これが……私の初めての……だから……」

    八幡「そうか……いいよ、出来る範囲なら力になる」

    せいぜい理想を抱いて幻滅しろ……そうすれば悪い夢も覚めるだろう。

  5. 5 : : 2014/01/03(金) 17:05:03

    八幡「よし、とりあえず……作戦会議だな」

    海老名「議題は比企谷くんは攻めか受けか、だっけ?」モウコタエハデテルンダケド……

    オウ腐……そこは自重しないのかよ……

    八幡「違うから、驚く程違うから」

    衛生兵ー(ミウラー)!衛生兵ー(ミウラー)!ティッシュ持ってきてー!

    八幡「俺はこれから各方面への釈明会見を開かなければいけないのです」

    海老名「へー……」

    いや、あなた思いっきり渦中の人ですからね?台風の目みたいな静けさいりませんから。

    八幡「奉仕部連中への報告もそうだけど、まずは葉山組と話さないと色々ヤバイだろ?」

    海老名「そうだね……やらかしちゃった私がこんなこというのも虫のいい話だけど、やっぱり今までの関係が壊れちゃうのは嫌だな……」

    八幡「……まずは三浦、葉山、由比ヶ浜と俺だけで話してくる」

    海老名「……」

    海老名は真剣な面持ちで俺の話に耳を傾ける。

    八幡「他の男子連中は……戸部を励ましてやりたい、とさ」

    海老名「……」

    八幡「別に隠すことじゃないから言うが、まずは海老名抜きで話がしたいって葉山と三浦に言われたんでな」

    海老名「……そうだね、葉山くんはともかく、今私が優美子や結衣と話したら、また感情が抑えられなくなりそうだし……」

    八幡「……」

    海老名「ごめんね、お願いできるかな」

    八幡「……おう」

    余計なことするなって三浦に釘を刺されたのに、結局余計なことをやらかしたワケだからな……。
    まずは俺に怒りの矛先を向けさせる。そこからはアドリブでどうにかするしかないな。

    海老名「ありがとう、比企谷くん」

    礼を言われても困る、全ては俺の日常を元に戻すために行う行為なんだから……

  6. 6 : : 2014/01/03(金) 17:06:01

    修学旅行最終日翌日、翌日が週末で良かった、近くのサイゼで葉山連合軍との決戦が幕を開ける。

    葉山「やぁ……せっかくの休みに悪いな」

    由比ヶ浜「ヒッキー……」

    三浦「……」

    三者三様ではあるが各々の表情は複雑だ。

    葉山は申し訳なさそうな、同情するような薄い笑みをたずさえて……

    由比ヶ浜は悲しいのに無理やり作ったような笑いをたずさえて……

    三浦は無表情のようでいて、氷の女王すら凌駕するような静かな憤怒を内に秘めて……

    怖い、怖いよ、怖いでしょ?

    心が折れそうだ逃げたい……。



    葉山「……まさか姫菜がヒキタニくんのことを……全く気付かなかったな……」

    俺なんかより遥かに、海老名に近かったお前が気付かなかったことを俺が気付けるはずがないだろうが……。
    というか、昨日の話が本当なら素振りなんてなかったはずだ。

    由比ヶ浜「あはは……おめでとう……なのかな?」

    無理して空気を読もうとするなよ、その顔で祝われても全く嬉しくないんだよ……。

    三浦「……」

    目は口ほどにものを言う……読み取るに、マジで10ぺん死ねば?ってところだろうか?



    葉山「あの告白の後……姫菜とは?」

    八幡「新幹線に乗る前に少し話した……そのくらいだ」

    由比ヶ浜「どんなことを話したの?」

    八幡「別に、大したことじゃない、戸部に告白されないために海老名と示し合わせて一芝居打ったつもりだったのに、思ったより戸部の気持ちがずっと大きかった。だから海老名も引けなくなったんだとさ」

    勝手な思い込みかもしれないが、海老名は強い。ここまでもつれても、戸部と普段通り接するくらいの面の皮は持ち合わせていると信じる。問題は戸部の方か、戸部……マジめんご。

  7. 7 : : 2014/01/03(金) 17:07:13


    さて、はじめるか……。

    八幡「正直に言えば、俺はお前たちの交友関係がどうなろうと知ったことじゃない」

    葉山「比企谷……」

    八幡「元々依頼内容自体気に食わなかったんだ……」

    由比ヶ浜「ヒッキー……」

    八幡「あれだ、ドラマとかでよくあるシーン、高級レストランで全く知らない他人の誕生日を祝わされるみたいなことだよ」

    皮肉たっぷりに嫌な笑いを浮かべる・・・。

    八幡「葉山、お前と違って海老名は本当の関係が欲しかったみたいだ」

    上辺だけの付き合い……でも心地よい居場所……それを壊そうとしたのはあいつじゃない……俺だ。

    八幡「雨降って地固まるってやつを信じたんだろ、海老名は……」

    八幡「海老名は言ったよ、戸部はいい奴だと、一緒にいると楽しいと」

    八幡「でも、今は誰とも付き合う気はない……とも言った」

    八幡「三浦、お前もそこは知ってただろ?」

    三浦「……」

    三浦は何も言わない。冷めた目でこちらを見つめている。それでいい。

    八幡「本当は俺の告白を海老名が振って、誰とも付き合う気がないことをカミングアウトする……そうゆうつもりだったんだろうが・・・」

    八幡「どうして俺が一方的に振られて傷つく役割を背負う必要があるんだ?」

    八幡「ないよな?……だから戸部が告白出来ず、俺の彼女いない歴を終わらせる一石二鳥の策を提案したってワケだ」

    誰も何も言わない……表情は見てやらない、勝手にぶちまけさせてもらう。

    八幡「別に、お前らの関係に茶々を入れたいワケじゃないんだ、今回の出来事を経たうえで、元通りに収まるか、ぶっ壊れるか……」
    八幡「どちらにしても落ち着いたら上辺だけのカップルは自然消滅する……彼女いない歴さえ更新できりゃ、そんな面倒くさい関係続けるなんて疲れるだけだからな……」

    葉山「比企谷……」

    もどかしいだろう葉山……。でもお前は大した付き合いもない俺を信頼しすぎたんだよ。

    俺は場を整えるなんて分不相応なことは絶対にしない。

    八幡「実は海老名からも、戸部の依頼の後、依頼を受けていたんだ。ほぼ個人的にだけどな」

    八幡「今の関係を壊してでも、ひと皮向けた関係を築きたいと……まぁ、俺には荷が重すぎる依頼だ」

    壊すのが俺、直すのも治すのもお前達の仕事だ。

    八幡「成り行きで請け負った以上、最低限の役は演じさせてもらう」

    依頼内容はだいぶ改ざんさせてもらったが、まぁいいだろう。

    八幡「あとはお前たちがどうしたいかって事だ」

    葉山「俺は……」
  8. 8 : : 2014/01/03(金) 17:09:02


    由比ヶ浜「そんなに簡単なことじゃないよ……」

    俯いたまま由比ヶ浜が口を開いた。

    由比ヶ浜「男女の……そうゆうのってさ……すごい強いんだよ……」

    由比ヶ浜「それは姫菜とだって今まで通り仲良くしたいし、戸部っちとも気にしないで仲良くして欲しい」

    由比ヶ浜「でも……皆簡単に割り切れるほど強くないよ……」

    由比ヶ浜「ヒッキーは強いから……だけど」

    八幡「勘違いするな、由比ヶ浜」

    由比ヶ浜「え……?」

    八幡「俺はお前たちが元以上に仲良くなれる方に賭けたわけじゃない」

    八幡「前に言ったな、俺は内輪もめが好きだ……俺は内輪にいないからな」

    八幡「外注だよ、丸投げだ……失敗した責任なんて知ったことじゃない」

    葉山「比企谷…」

    そろそろ2ターンくらい立つんじゃないか?我慢しないでぶちまけろよ、葉山。



    三浦「……あんさぁ」

    こっちが動いたか……。

    三浦「あーしあんたの言ってることワケわかんないんだけどさぁ……」

    三浦「結局あんたは姫菜のことどー思ってるワケ?」

    八幡「……は?」

    え?何?こいつ今まで寝てたの?

    急かすことなく三浦はただこっちを見つめてくる……。

    八幡「別に……何とも」

    仕切りなおすか……

    八幡「お前が言ったとおり、黙ってればそこそこ可愛いんじゃないか?」

    八幡「だもんで、一時でも彼女になったって事実があれば、俺の評価にも箔がつくってもんだろ?」

    我ながら実にいいゲス顔をしていると思う、腹パンされても文句は言えまい。

    三浦「ふーん……そう……」

    あれ?のれんに腕押し?縦ロールをアフロにするくらい火に油注いだつもりだったんだけど……。

    三浦「つまり、別に嫌いじゃないってことっしょ」

    八幡「……」

    やばい、人間観察スキルが仕事しない……やっぱり真のリア充の考えは理解できねぇ……。

    三浦「ならさぁ?別にいいんじゃない?姫菜が誰と付き合おうが姫菜はあーしの友達だし」

    八幡「……」

    ……そうか、三浦優美子はブレない。いつぞやの忠告は海老名から離れていくことが嫌だと……

    三浦「修学旅行の時あんたと話した後さ、よくよく考えたら気にする必要なかったって気づいたワケ」

    三浦「もし、うまくいかなくて姫菜があーし達から離れてもさ、あーし達が姫菜に近づけば距離感変わらないじゃん?」



    ……俺が女だったら三浦に惚れてたかも知れない、マジ男前だわ、実はオカン属性だけど。

  9. 9 : : 2014/01/03(金) 17:09:45


    やばくね?あーし超頭イイんだけど!みたいなこといってドヤ顔する三浦を見て、ようやく由比ヶ浜に本当の笑顔が戻ってきた。

    由比ヶ浜「……うん!私も姫菜から離れないから!」

    八幡「……そうなると俺は賭けには負けるな……まぁ依頼は解決しそうでなによりだ」

    三浦「つーかヒキオさぁ、何他人事みたいに言ってるワケ?」



    ……ぱーどぅん?



    三浦「姫菜のカレシやる以上、今までみたいにキョドったりキモったりしたら姫菜が可哀想だっていってんの」

    キョドるはともかくキモるってなんだよ、対俺専用の造語を作るんじゃねぇ。

    八幡「別に……つーか海老名も大概ヒドイだろ……」

    由比ヶ浜「あはは……そうか、すっかり忘れてたけどヒッキーと姫菜が……」

    また由比ヶ浜の笑顔力が下がった。

    というか、なんで彼氏としての俺の存在容認されてんの?俺の悪評知らないの?

    八幡「つーか戸部の件どーすんだよ」

    三浦の守りたい関係の中に戸部が入っていることを信じたい。

    三浦「は?それは大丈夫ってあんたがいったんじゃん」

    ……なんか言いましたっけ?

    三浦「隼人が何とかしてくれるんでしょ?」

    おう……普段、空気は読んでも絶対に空気になる筈のない超絶イケメンがここにいた。比企谷菌伝染った?

    一瞬だけ驚いた顔をした葉山も決意を固めた表情だ。

    葉山「ああ、戸部のことは俺が絶対になんとかする!」

    三浦「隼人かっこいい……」

    なにこの青春ドラマ、人という字は片方が楽をしているんです、押しつぶされた方は腐ったミカンになるんです。


  10. 10 : : 2014/01/03(金) 17:10:29


    八幡「せいぜい頑張れ、俺も形だけでも彼女持ちライフを満喫してやるさ」

    三浦「はぁ?……あんた全然わかってないじゃん」

    八幡「……何がだよ?」

    三浦「ヒキオは姫菜に告った。姫菜はOKした」

    八幡「いや、だからそれは作戦で……」

    三浦「あーし話したよね?今まで姫菜と付き合おうとした男子がいたって話」

    八幡「……」

    三浦「細かいことは知んないけどあんたはOKされたワケ」

    三浦「そこんとこよーく考えろっつってんの」

    八幡「前提条件が違うな、割り切ってんだよ、そういう作戦だったんだから」

    三浦「告白するのもされるのも、そこに冗談とか、嘘なんてなくない?」

    三浦、お前は愛される側の人間だから知らないんだよ……。

    八幡「そうだな、自慢じゃないが俺も過去に2回ほど女子に告白されたことがある」

    三浦ヶ浜「「!?」」

    わかっててもそのリアクション傷つくんですけど……。

    八幡「嬉しいよな、対して気にしてなかった子でもなんかすごく愛おしく見えるんだ」

    八幡「それが気になってる子だったりしたらもうどうにかなっちまいそうになる」

    三浦「だしょ!さっきの話は信じられないけど、なんだ!わかってんじゃん!」

    女子ってホント恋バナ好きだよな、最近はメガ恋バナとかに進化するらしい。

    八幡「ああ、全く最高だ……。」



    八幡「……返事の後に、ごめ~ん、罰ゲームでした~♪……なんて言われなければな……」



    三浦ヶ山「「「…………」」」

    どこまでも嘘っぱちで残酷なこの世界……

    俺は三度目の正直なんてことわざ信じない。人生は七転八倒だ、なんなら永転八幡と言い換えてもいい。

    八幡「じゃ、俺は帰る。代金置いとくから……」

    サイゼならドリバはおろか、百円刻みでメニューを注文できる俺に隙はなかった。お金を置いて席を立つ。



    三浦「……あんたには姫菜がそいつらと同じに見えるワケ?」

    一瞬足がもつれそうになったが俺は振り向かない。溺れても、俺にはすがりつく藁すらないのだから…。

  11. 11 : : 2014/01/03(金) 17:11:50


    なんてかっこいい捨てゼリフを考えながら出てきたはいいが、面倒なことになったものだ……。

    正直なことを言えば、海老名の好意が嘘だとは思っていない。

    ただ、それが一時の流された感情であることが否定できないでいる……。

    三浦の話を聞いた限りでは、少なくとも三浦と海老名が知り合った後は、彼女は男女のまともなつき合いをしてないことになる。

    俺も人の事を言えた義理ではないが恋をしたことくらいはある。

    その度に黒歴史が増えたのは言うまでもないが、海老名も同じだったのだろうか……。

    いや……言い分からするに、自分から他人への好意を受け入れ、表に出したことがなかったのではないか?

    ……考えていても仕方がない。形式上付き合う形になってしまった以上、2人で話す時間も取れるだろう。

    その時に紐解いていこう、悲しい誤解が出ないように……。


     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


    八幡「ただいま……」

    サイゼでは特に何も食べていないし、なれない事をしてえらい疲れた。

    夕飯前に適当に何かつまもうとリビングに行くと小町ではない人物がカマクラとじゃれ合っていた。

    八幡「よう……奇遇だな」

    雪ノ下「あら、比企谷くん、偶然ね、こんなところで会うなんて」

    なんだろうなこのデジャヴ感、前世の記憶か何かだろうか?

    八幡「意外そうに言ってるけど、ここ俺の自宅だからな?……で、何の用だ?」

    雪ノ下「知れたことでしょう?修学旅行の件よ」

    八幡「そうだな……部活の時に報告をしようとは思っていたんだが……」

    結果的に戸部の依頼を不意にしてしまった形になった訳だし、部長としての責任も感じているのかも知れない。

    八幡「悪かったな、結果が色々と予想外だったから考えが追いつかなかった」

    雪ノ下のことだ、いち早く状況を知りたかったんだろう……。

    雪ノ下「幸いなことに、私はあなたの連絡先を知らないものだからこうして直接出向かせてもらったわ」

    そりゃ幸いだな……全くもって。

    雪ノ下「……」

    さて、どう切り出したらいいものか……。

    八幡「あ~……俺に彼女ができました」

    雪ノ下「そうね……おめでとう」

    八幡「……」

    雪ノ下「……」

    八幡「ごめんなさい」

    蔑まれたり、嫌がられたり……そういった表情よりもその能面みたいな笑顔の方が遥かに恐ろしい。

    雪ノ下「謝らなければいけないようなことをあなたはしたのかしら?」

    八幡「いや……そうゆうわけじゃないけど……」

    雪ノ下「……」

    八幡「……いや、したな、結果的には……相談なしに俺の独断で動いた結果がコレだ。」

    雪ノ下「……」

    八幡「予想では……海老名がキレイに俺を振って付き合う気のない意思を示してくれれば、釘を刺された戸部は告白できず、誰も傷つかずに済んだ」

    一日に何度も説明して気分のいい文言じゃないな……これは。

    雪ノ下「……」

    八幡「まぁ、結果はご覧の有様だ」

    人の行動を予想して、思い通りにできるなんて舞い上がってたのかも知れない……。

    雪ノ下「仮に予想通りの結果になったとしても傷つく人はいたじゃない……」

    八幡「……」

    俺は、その「誰も」の輪の中にカウントしてないからな。

    雪ノ下「察せなかった私にも責任はあるけれど、とにかくあなたのやり方……嫌いだわ」

    八幡「……」
  12. 12 : : 2014/01/03(金) 17:12:32

    雪ノ下「済んでしまったことは仕方がないわ、それで……あなたはどうするつもりなの?」

    八幡「……やらかした事へのケジメはつけるつもりだ……」

    雪ノ下「それは……その……彼女と?」

    呆れるような、悔しがるような……寂しそうな瞳が俺を捉えている。

    雪ノ下、お前がそんな顔をする必要はない。これは俺の……俺だけの依頼だ。

    八幡「ああ、誠心誠意向き合って、幻滅されて、振られてやるさ」

    恋は盲目とは言い得て妙、周りが見えなくなってしまったなら……

    まずはその近眼をレーシック手術してやる!……なにこのフレーズ、超しまらねぇ……。

    雪ノ下「悔しいけれど、私に出来ることは少ないかもしれないわね」

    おう、たまには部長もお暇をいただく、というのははいかがでしょうかね?

    雪ノ下「でも、力が必要な時は遠慮なく頼りなさい」

    八幡「……」

    雪ノ下「あなたのせいで奉仕部の評判が下がるのはいただけないわ」

    頼もしいけど、今回ばかりは難しいな……。

    雪ノ下「それと……」

    雪ノ下「由比ヶ浜さんとも、しっかり話をつけなさい」

    八幡「あー……実はさっきあいつとは会ってきたんだ」

    八幡「由比ヶ浜も、葉山も三浦も……関係の再構築に全力を尽くしてくれそうだ」

    あとは、割とガチで戸部に謝りたい。もし、俺が戸部と同じ立場だったら俺は絶対に許さないリストに未来永劫残り続けるレベル。

    雪ノ下「そう……なら、改めて1対1で由比ヶ浜さんと話しなさい」

    八幡「……わかった」

    雪ノ下「珍しく素直なのね……」

    八幡「今回は全面的に俺が先走ったのが原因だ、埋め合わせはしないとな……」

    八幡「さて、わざわざ出向かせて悪かったな」

    もう日が傾いている。夜道の一人歩きは望むところではないだろう。

    八幡「暗くなる前に帰ったほうがいい」

    雪ノ下「……そうね」

    玄関まで雪ノ下を見送った……が、雪の下は家の前から動かない。

    八幡「どうした、まだ何か用か?」

    雪ノ下「いえ…そうではなくて」

    八幡「?」

    雪ノ下「私、どっちから来たのだったかしら……」

    修学旅行の件といい、こいつ、もしかして……

    八幡「……引越ししたわけじゃねーよな?」

    雪ノ下「ば、馬鹿にしないで頂戴、私はただ……道を覚えるのが少し苦手なだけよ!」

    それを世間一般には方向音痴って言うような気がするんだが……。

    八幡「天下の雪ノ下雪乃にも弱点があったんだな」

    というかどうやってここまで来たの?リムジン?

    雪ノ下「くっ……屈辱だわ……この借りは100倍にしてお返しさせてもらうわよ」

    なんだ、そのくらいなら普段の俺への暴言と折り合わせて差し引き0くらいじゃないか?

    八幡「あー、多分道覚えてるから送ってくわ」

    雪ノ下「え?……」

    八幡「ウチから帰る途中でお前に何かあってみろ、俺は第一容疑者になりかねない」

    こいつの家の場合、バックボーンがごんぶと過ぎてそのまま犯人にされかねない。

    雪ノ下「その場合、私を送ったとしても、あなたが犯人扱いされることに変わりはないと思うのだけれど……」

    何?俺送迎しただけで通報されるの?というか、その場合の通報者ってあなたですよね?

    八幡「いいから行くぞ、暗くなっちまう」

    最悪迷ってもスマホの地図があるし大丈夫だろう。

  13. 13 : : 2014/01/03(金) 17:13:46



    八幡「ここで間違ってないよな?」

    雪ノ下「ええ、世話を掛けたわね」

    八幡「おう、じゃあな」

    雪ノ下「……ありがとう」

    よせ、素直に感謝されるとなんかむず痒くなる。

    しかし、そんなに遠くはないけど、チャリで来れば良かったな。
    雪ノ下を後ろに乗せるっていう選択肢がなかったからしょうがないが……。

    どうやら雪ノ下に留守を任せて買い物に行っていたらしい小町も流石に帰ってるだろう、腹減った。





    もう声の届かない距離と知って彼女は呟く……。

    雪ノ下「……お互いに理解していると思っていても……声にしなければ届かない思いもあるのね……」

  14. 14 : : 2014/01/03(金) 17:15:06

    翌日、メールで由比ヶ浜と会う約束をした。

    いろいろな理由があって合う場所が我が家になってしまったが、面倒なので省略。


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    由比ヶ浜「やっはろー……じゃないや、おじゃましま~す……」

    おずおずと遠慮がちに入ってくる由比ヶ浜。別にとって食いやしねぇよ。

    八幡「そんなに気を使わなくても、誰もいないから安心してくつろげよ」

    由比ヶ浜「そ、そうなんだ……二人きり……」

    小町はいてもいなくても変わらないが、余計な茶々とか入れられると面倒だしちょうど良かったかもしれない。

    八幡「紅茶でいいか?」

    由比ヶ浜「あ、お、お構いなくっ!」

    八幡「いいんだな、ちょっと待っててくれ」

    雪ノ下が入れる紅茶ほどではないが、インスタントの力をあまり舐めないほうがいい。お手軽だしな。

    とりあえず一息ついてから話を進める。

    由比ヶ浜「ふぅ……」

    八幡「昨日はなんだかんだで助かった、葉山と三浦だけだったら気まずくて話どころじゃなかったかもしれねぇ」

    由比ヶ浜「いやーあはは……あたしは何もしてないと思うけど」

    八幡「多少でも気心の知れた奴がいるだけで安心するもんだ、とにかくありがとうな」

    由比ヶ浜「ううん、てゆーかなんかヒッキーが素直だ!」

    その言い方だと普段の俺が捻くれてるみたいじゃねーか……捻くれてますね。

    八幡「悪かったな、流石に俺も責任は感じてるんだよ……」

    由比ヶ浜「やっぱりヒッキーは優しいね、昨日のアレは何か考えがあって言ったんだよね」

    一緒に奉仕部で活動してた由比ヶ浜はあんな煽りじゃ騙せないか……結果的に騙すとかそういう話じゃなくなったわけだが。

    八幡「そういえば、昨日俺が帰ったあと何か話したか?」

    由比ヶ浜「とりあえず、明日学校で姫菜と話そうってことになったよ。戸部っちの方は、今日隼人くんが話をしてると思う」

    八幡「そうか……まぁ、頑張ってくれ」
  15. 15 : : 2014/01/03(金) 17:15:58

    由比ヶ浜「……ヒッキーは……その……本当に姫菜と……」

    八幡「……やらかしたことへのケジメはつけなきゃな」

    八幡「誠心誠意向き合って、幻滅されて、振られてやるさ」

    昨日も同じセリフを吐いたが、部員として尽力してくれた二人には平等に誠意を示さないといけない。

    由比ヶ浜「……ならないと思う」

    八幡「え?……」

    由比ヶ浜「その……ヒッキーが思ってるようなことにはならないんじゃないかな~……って」

    八幡「……」

    由比ヶ浜「ヒッキーはさ……自分で思ってるより、ずっとすごいと思う」

    やめろ……。

    由比ヶ浜「依頼でさ、ヒッキーに助けられた人、たくさんいるよね」

    由比ヶ浜「皆が皆そうじゃないと思うけど、きっと思われてる」

    八幡「買いかぶり過ぎだっての……」

    由比ヶ浜「そうでもないよ……」

    俺の価値を勝手に決めつけんな……。

    由比ヶ浜「だって、あたしがそうだったもん」

    八幡「……」

    柔らかくて暖かい、由比ヶ浜の笑顔がそこに咲いていた。

    由比ヶ浜「だから……きっとヒッキーは姫菜も救っちゃうんだ……」

    救うってなんだよ……。

    由比ヶ浜「姫菜と……しっかり向き合ってあげてね」

    八幡「……」

    由比ヶ浜「紅茶、ありがと、私もう行くね」

    八幡「そうか……」



    由比ヶ浜「じゃあ、お邪魔しました」

    八幡「おう、気をつけてな」

    由比ヶ浜「……」

    八幡「……どうした?もしかして帰り道がわからなくなったか?」

    由比ヶ浜ならありえる……。

    由比ヶ浜「そんなんじゃないし!バカにし過ぎだからぁ!」

    八幡「だよなぁ、悪い悪い」

    だよね!どっかの雪ノ下さんじゃあるまいし……。

    由比ヶ浜「もう!じゃーね!また明日!」バタン!





    足音が遠ざかる。扉を隔てた声はもう届かない。

    由比ヶ浜「違う、やっぱりあたしバカだ……」

    由比ヶ浜「自分から……行くって……決めたのに……」
  16. 16 : : 2014/01/03(金) 17:17:12


    その日の夕方、俺は連日でサイゼのお世話になっている。

    昨日今日を経て、改めて彼女と作戦会議を開かなければならない。
    断じて、作戦会議にデートなどというルビをふってはいけない。

    昔、小町とデートごっこした時に食事処にサイゼを提案したら失笑された。
    然るに、サイゼで一緒にお話するのはデートではないということが証明されたな。


    海老名「はろはろ~比企谷くん、お疲れ様……かな?」

    八幡「よっす。んー、まぁそうな」

    自業自得とはいえ、この二日間は全く俺らしくない休日だ。

    海老名「いろいろ聞きたいけど、まずはお礼を言わせてほしいな、ありがとう」

    控えめに口元に手を添えて微笑む彼女はなるほど確かに魅力的だ。戸部の気持ちがわかる。

    八幡「まぁ、俺が自分のためにした事だ、気にすんな」

    海老名「そっか、うん、それでもありがとうだよ」

    八幡「へいへい、どういたしまして」

    海老名「ふふ……///」

    なにこのやりとり……くすぐったい。



    八幡「そ、それでだな」

    ほ、報告するであります!

    八幡「結論から言うとな、お前の友達いい奴らばっかで反吐が出る」

    海老名「うん……そっか……って卑屈過ぎない!?」

    海老名の安心した表情からの笑顔でツッコミ。大丈夫そうだから続けよう。

    八幡「もしお前があいつらを遠ざけようとしても三浦や由比ヶ浜は距離を詰めるそうだ」

    魔王(カースト最上位的な意味で)からは逃げられない。RPGの鉄則だな。

    八幡「戸部の件は……まぁ海老名次第だが、葉山が動いてくれている」

    戸部の軽薄さがいい方向に働いてくれるといいんだが……。

    海老名「そうだね……うん……大丈夫だと思う」

    よし、とりあえず戸部の出方次第だが、面倒なことにはならなそうで良かった。
    じゃないな、全く内輪もめが見れなくて残念だ、残念。

    海老名「飲み物とってくるけど、比企谷くんは何がいい?」

    八幡「あ、自分で行くからいいって」

    海老名「何がいい?」

    八幡「……コーヒーお願いします」

    海老名「うん、了解♪」

    飲み物取りに行くのってそんなに嬉しいのか?全くもってよくわからん。
  17. 17 : : 2014/01/03(金) 17:18:14

    そんな折、ちょっと前まで暇つぶし機能付き目覚まし時計だった俺のスマホさんが振動しはじめた。

    ……知らない番号だが、最近の状況的に間違い電話ではなさそうな予感がする。

    八幡「……もしもし」

    ???「あ、繋がった……えー、ヒキタニくん……でいいよな」

    ヒキガヤですけど?なんだよ間違い電話かよ……。

    八幡「……戸部か?」

    戸部「おー、うん、俺っす」

    八幡「……」

    いい機会だ、メールで言うよりいいだろう。

    八幡「あー、戸部……その、なんだ……すまん!」

    戸部「おお?あー、なんだ、いきなり謝られるとかマジべーわ」

    語り口は軽いが、なんかしっかりしてるというか、改まっているように聞こえる。

    戸部「うん、別にヒキタニくんが謝る必要ないっしょ、つーか謝るの俺のほうっつーか?」

    八幡「は?いや、それこそお前が謝る必要ないだろ」

    戸部「いや、だってよ、同じ女の子好きになってたヤツに告白手伝ってもらうってマジ残酷過ぎっしょ」

    ……あ、戸部フィルターを挟むと、そうゆうことになるのね。

    戸部「まー、そのなんつーか?そりゃショックじゃないわけじゃないんけどさ」

    戸部「海老名さんが選んだんだから俺がどうこう言うのは何か違うっしょ」

    ……やっぱコイツ根はいいやつだな……ちょっとウザいけど。

    戸部「だからおめでと、ってやつ?」

    八幡「戸部……」

    戸部「あ、ゆっとくけど、もしヒキタニくんが海老名さんとうまくいかないとかそんなんあったら俺、マジ容赦なくいくから!」

    未練断ち切れてねーじゃねぇか……気持ちはすげーよくわかるけどよ……。

    あれ?というかこれ自然消滅とかしたらヤバイ流れなんでない?

    八幡「お、おう」

    まいったな、綺麗にフェードアウトする作戦はやはり難しいか……。

    海老名「おまたせー、あ、ごめんね、電話中だった?」

    戸部企谷「「……」」

    戸部「わり、空気読めてなかったわ、とにかくアレだ!海老名さんもヒキタニくんもトモダチってことで!」ブツッ

    八幡「切りやがった……」

    なんか思いがけず友達が増えた気がするが気のせいだろう。
    一応この番号は戸部の名前で登録しておいてやろう。

  18. 18 : : 2014/01/03(金) 17:19:23


    海老名「?」

    八幡「戸部から……だった」

    海老名「ごめん、まずかったかな?」

    八幡「いや……出来ればこれからもトモダチってことでどうかひとつ……だとさ」

    俺からは薄くて浅いように見えていた葉山グループの関係はどうやら思っていたよりも厚くて深かったようである。

    海老名「……うん」

    海老名は安堵の表情を浮かべて持ってきたホットココアを口に運ぶ。

    俺も海老名が持ってきてくれたコーヒーを整える。ガムシロとミルクと……さすがに練乳はないか……。

    海老名「そっか……これぞ正に、昨日の敵は今日のホモ!ってやつだね!ぐ腐腐……」

    おい、いつの間にかポイントが海老名⇔戸部から、俺⇔戸部に切り替わった?

    八幡「すいません、店員さん、ティッシュボックスひとつ」

    紙ナプキンじゃ鼻血の処理は難しい……。

    どうにか落ち着かせて仕切り直す。

    八幡「で……とりあえず当面の問題はクリアできた気がするんだが……」

    海老名「うん、ホント良かったよ」

    八幡「で……その、さ」

    なんか言い出しづらいな……

    海老名「私たちの身の置き方……かな?」

    腐った者同士のシンパシーだろうか?多くを語らなくともなんとなく考えがわかる。

    海老名「そ、その……比企谷くんはこれまでお付き合いってしたことあるの?」

    八幡「自慢じゃないが、ノーだな」

    海老名「じゃあお突き合いは?」

    八幡「だからないって……おい、今なんかすっごい寒気がしたぞ」

    海老名「あはは……私もさ、初めてなんだ……」

    八幡「そうか……」

    海老名「とりあえず、無理して生活スタイルを変えるとかはしなくていいと思うよ」

    八幡「ん……」

    海老名「お互い、あんまり表立つようなキャラでもないし」

    八幡「そうな」

    海老名「でも……お休みの日とかは……その……」

    八幡「家でゴロゴロする」

    理想的だ。今までと変わらない生活が送れそう!

    海老名「一緒に?」

    八幡「!?」

    危なくコーヒー吹きそうになったぞおい。

    家で彼女とごろごろ……なんだろう、すっごい魅力的……じゃないんだからね!

    八幡「まぁそれは置いといて、お互いを知る為にも時間を作るくらいはするさ」

    平常運転な日常を取り戻すために俺の残念っぷりをアッピルしないといけないからな。

    海老名「そっか、えへへ……なんか新鮮だね!」

    ……守りたい、この笑顔……ハッ!俺は一体何を……。

    海老名「そうだ、比企谷くん本読むの好きって聞いたから、今度私の秘蔵コレクションを……うへへ」

    ……殴りたい、この笑顔……うーむ、この腐った部分だけ取り除くことは……ムリダナ。



  19. 19 : : 2014/01/03(金) 17:21:18


    翌日、学校で顔を合わせるとなれば緊張するかと思ったが、案外普通にいけそうな気がしている。
    なんだかんだで気を使わずに自然体で話せる雰囲気がそうさせるのだろうか?



    教室に入ると目が合った……戸部と。

    戸部「おー、ヒキタニくん、おはよっす」

    八幡「お、おう」

    戸部はいつも通りの様子……だと思う。普段あいさつなんてしないけどな。

    とはいえ流石に気まずい……とりあえずいつも通りに席へ……

    席について耳を傾けると、普段と変わらない少し騒々しいやり取りが聞こえてくる。

    由比ヶ浜「でさ、家の分のお土産だけすっかり忘れてて、とりあえず乗り換える時にひよこ買ったの」

    おい、そこはせめて京都らしいものにしろよ。

    思わずツッコミたくなってそっちを向いたら海老名と目が合った。

    一瞬目を逸らされたが、彼女は改めて向き直り、こちらを見て微笑んだ。
    思わず目を逸らして頬をかいてしまう。

    あ、三浦がニヤニヤしてる、海老名の顔がちょっと赤い。あと、戸部の笑顔が若干引きつった。戸部……無理すんな。
    あと、大岡・・・で合ってるよな?お前だけ嫉妬オーラが全開すぎる。こっち見んな。



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     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



    昼休み、本日は晴天なのでいつもの場所で一人昼食をとる。
    まぁ、流石に一緒にご飯を食べるってシチュエーションに憧れない訳ではない。
    ただ、海老名がせっかく周りの環境を修復できた矢先に不安材料を混ぜ込みたくない。

    多分、海老名はそういうところをわかってくれている……

    海老名「はろはろ~」

    ……んじゃなかったんですかねぇ……。
  20. 20 : : 2014/01/03(金) 17:23:21

    八幡「……」

    よくよく考えれば、告白を受けた時点で海老名姫菜らしからぬ行動をとっているのだから、
    タガが外れるのも十分にありえる話だったな。

    海老名「昨日言った通り、学校では普段通りでいこうって思ったんだけどね……」

    八幡「……三浦達か」

    大した接点もないのでなんとなくだが、三浦は身内に対しては世話焼きなんだろう。
    さすがオカン属性、余計な気を回してくれおるわい。

    八幡「……座るか?」

    海老名「うん、よいしょっと」

    小階段を横に寄って隣をあけると、そこに海老名がちょこんと腰を下ろす。

    海老名「優美子が言うには、最初が肝心なんだってさ」

    八幡「そうゆうもんかねぇ……」

    付き合ったことがないので、うっかりそうゆう距離感?を測り間違えるのが恐ろしい。

    八幡「というか、大丈夫か?」

    海老名「ん?なんのことかな?」

    検討がつかない様子で海老名は首をかしげる。

    八幡「いや、まぁ、風化してきたとはいえ、俺は校内でも群を抜いて嫌われ者だ。そんな奴と付き合ってるって知れ渡ってみろ、いろいろとマズイことになるだろうが……」

    海老名「なーんだ、そんなことかぁ」

    八幡「いや、結構大変なことだと思うぞ。お前、けっこう男子に人気ありそうだし」

    海老名「ありがと……んー……でもさ、大事な人に事実がしっかり伝わってれば、別に気にする必要はないんじゃないかなぁ」

    八幡「……」

    伊達にオープン腐女子やってるわけじゃないってことか……。

    八幡「強いな……」

    海老名「そんなんじゃないよ、ただ、全部を全部真摯に受け止めるって大変でしょ?」

    八幡「まぁ、そうだな」

    海老名「だから、優先すべきところとそうでないところをはっきり分けるって決めたんだ」

    海老名仕分けの結果、今まで海老名に思いを寄せた男子諸君はそうでないフォルダにぶち込まれてしまったらしい。
    なぜか他人事とは思えず、そいつらが不憫に思えてしまった。

    海老名「だから、比企谷くんも自分に自信をもっていいと思うよ」

    八幡「なんでそうなる?」

    海老名「だって、私の友達で比企谷くんを嫌ってる人っていない気がするから」

    八幡「……」

    今日ってエイプリルフールだったかしら?

    海老名「まぁ、冗談でいじったりする人はいるけど、本当に嫌ってるって人はいないんじゃないかなぁ」

    八幡「……そいつは嬉しい話だな」

    悪者になることは別に気にしない。好き勝手やって、自己満足を得られれば、俺はそれで十分だ。

    ……そう思っていたのに、区切られた世界の中では悪者になることすらできないようである。
  21. 21 : : 2014/01/03(金) 17:25:17

    八幡「というか、俺の場合、認知されてないだけだったりしないか、それ?」

    海老名「でも私はこうして比企谷くんを認識してるよ」

    真っ直ぐに見つめられるとどうしても目を逸らしてしまう……

    海老名「結局、知ろうとしなければ知らないまま、何も変わらない……っていうこともあるからね」

    海老名「なんか、比企谷くんを利用してるみたいでずるいけど……いい意味できっかけになればいいかなって」

    彼女が、決して恋に恋する少女ではなく、意思をもってこの関係を続けたいと思っているならば、付き合ってやってもバチはあたらないだろうか?

    八幡「利用できるものは何でも使え、だから人は群れを形成するんだ」

    アダムとかはどうだったか知らないが、俺達は本当の意味で一人で生きていくことなんてできないわけだしな。

    海老名「色気もなにもないねぇ……」

    八幡「無色透明がシンボルカラーなんでな」

    海老名「ふふ」

    コテンと、海老名の頭が俺の肩に乗せられる……

    おい、いつの間に間合いを詰めた、おい、おい……。

    突然のシチュエーションにあわあわしてると、なにやら視線を感じた。殺気!?

    材木座「相棒が……次元を超えてしまった……」

    いや、別に俺二次元も三次元も等しく好きだぞ、というか、お隣さんもどっちもいける口なんじゃないか?



    海老名「じゃ、私は先に教室戻るね」

    八幡「……おう」



    彼女を見送ったあと、冷めたコーヒーをすすり、まだ微かに温もりの残る左肩をさする。

    男って単純な生き物だよな……。

    別に事を致した訳でないが黄昏の賢者タイムを満喫しているとまた視線を感じた。
    そろそろニュータイプも夢じゃないかもしれない。


    振り返ると…………誰だっけ?

    ???「あ、その……」

    え~っと、川……沙希!

    川沙希「その……別に話とかじゃなくて」

    八幡「お、おう」

    もしかして見られたんだろうか?

    川沙希「ちょっと姫菜に用事があって探してたんだけど……」

    八幡「あー、海老名なら教室に戻……」

    あ……

    川沙希「あ、そう……」

    感づかれたか?

    川沙希「……」

    八幡「用事があるなら早くしないと時間なくなるぞ」

    川沙希「その……いつから姫菜と?」

    うん、バッチリ見られてました。川崎さんじゃなくて三田さんだったかな。

    ……茶化す雰囲気じゃないな。

    八幡「修学旅行の時だ」

    川崎「……全然気付かなかった」

    同じ班とはいっても三日目は行動バラバラだったし無理もない。

    八幡「あんまり言いふらさないでくれよ」

    こいつなら問題ないとは思うけどな。

    川崎「姫菜もそうだけど……あんたの方が意外」

    川崎「そうゆうの……絶対断りそうな感じだったから」

    川崎の中では海老名から俺に告白したみたいなことになってるらしい。
    はは……そんな馬鹿な……きっかけはともかくだいたい間違ってねぇな……。

    八幡「ま、色々あんだよ」

    川崎「あんたのことだからまた余計な世話でも焼いたんだと思うけど……」

    あ、やっべ、よく考えたらこいつの大切な友達を奪ったゴミクズ野郎という烙印が押されかねない。

    八幡「まぁ、俺のことは空気だと思ってくれて構わん。今まで通り海老名と接してやれ」

    八幡「海老名もTPOはわきまえてくれているからな」

    川崎「そっちじゃないっつうの……」

    八幡「は?」

    川崎「なんでもない……姫菜のこと、大切にしてあげな」

    八幡「……」

    着々と逃げ場が失われている気がする……。

    川崎「……じゃ」

    八幡「……おう」





    川崎「愛してるぜ……か、あたしには答える暇もくれなかったくせに……」


  22. 22 : : 2014/01/03(金) 17:26:09


    放課後、本来ならすぐに部室に向かうところだが……

    海老名を見ると向こうもこちらに気がついて手を振った。
    OK、とりあえずいつも通りに動いていいようだ。

    席を立った時、三浦がイラっとした表情でこっちを見た気がする。
    勘弁してくれ、今日のリア充力は昼休みに使い切ったんだよ……。


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     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


    ガラガラ

    雪ノ下「あら?どうしてあなたがここに来るのかしら?」

    八幡「……」

    なんか普段以上に言葉のエッジが効いている気がする。

    由比ヶ浜「やっはろー……ってヒッキーなんでいんの?」

    おい、二人してそれか、泣いちゃうぞ。

    八幡「一応俺も部員なんですけどね……」

    雪ノ下「そう……あなたは個人的な依頼にかまけているから忙しいと思っていたわ」

    八幡「……海老名のことを言ってるなら、本人も了承済みだ」

    由比ヶ浜「そーなんだ……」

    八幡「だいたい、俺には一日中あまあまで、ベッタリな関係なんてどう考えても無理だ」

    八幡「お互いに無理しないという理想的な関係、なんならこのまま、周りから忘れ去られてしまえるくらいある」

    そうなんないかなぁ……。

    雪ノ下「そういう割には随分と楽しそうに見えるのだけれど……」

    窓を鏡にして自分の顔を確認する、うん、いつもどおりの生気のない濁った瞳、雰囲気はイケメンだ。

    八幡「いつも通りのハンサム顔だが?」

    雪ノ下「冗談が上手くなったわね」

    由比ヶ浜「あはは……」

    おい、乾いた笑いやめろ。

    八幡「なんにしても、部活を疎かにするつもりはねーよ。で、どうだった?由比ヶ浜」

    由比ヶ浜「ほぇ?」

    八幡「いや、だから、海老名とグループの雰囲気諸々だよ」

    由比ヶ浜「うん……パッと見はいつも通りだったと思う」

    俺の目から見ても違和感なく普段通りだったと思う。とりあえず、その件はうまくいったと見ていいな。

    雪ノ下「結果的に戸部くんの依頼は終了、ということでいいのね」

    八幡「だな、なんつーか、アレだが……」

    今度飲み物くらいはおごってやろうと思うが、下手に同情するのも傷をえぐるだけだろうか……。

  23. 23 : : 2014/01/03(金) 17:27:03


    比企ノヶ浜「「「……」」」

    いつも通りの部活に見えるが、なんとなく空気が重い。

    そんな折、ノックもなしに扉が開いた。

    三浦「あ、いた」

    由比ヶ浜「あれ?優美子?どしたの?」

    三浦「うん、ちょっと依頼?みたいな」

    雪ノ下「……」

    こいつら絶望的にそりが合わないからなぁ……面倒なことにならないといいんだけど……。

    三浦「いやーね、あーし今日姫菜と遊びに行く約束してたんだけどさぁ、ちょっと用事できちゃってさー」

    おのれ三浦、余計なことを……。

    三浦「だから、ちょっと小物過ぎるけど、ヒキオに代わりやってもらいたいって話なんだけど」

    お前に比べたらだいたいの奴が小物だよ、悪かったな。

    雪ノ下「三浦さん、奉仕部は何でも屋というわけではないのだけど」

    三浦「は?あーしは雪ノ下さんじゃなくてヒキオに言ってんだけど?」

    雪ノ下「ソレは不本意ながら奉仕部の部員なの、部長として活動を管理する義務があるのよ」

    なんだよ、ここ会社の一部門? 部活動で社会の縮図を見せられるとか拷問なんですけど。

    三浦「だから、依頼としてヒキオを指名するっていってんの。本人にやる気があればいいじゃん?」

    雪ノ下「だからそれは……」

    珍しく雪ノ下が狼狽している。まぁ……三浦の本心が見えすぎてるから、これを依頼と捉えるのも癪なんだろうな。

    由比ヶ浜「ま、まぁまぁ、ゆきのんも優美子も落ち着いて……」

    三浦「だいたい、雪ノ下さんも知らないワケじゃないっしょ?ここはそういうことで空気を読むところだと思うんだけど?」

    雪ノ下「……」

    やれやれだ、これ以上この場の空気を悪くするのもあれだな。

    八幡「俺は別にいいぞ、特に他に依頼もこないみたいだしな」

    三浦「やった!ヒキオ話わかんじゃん!」

    三浦が背中をバシバシ叩いてくる。なんかえらい馴れ馴れしくなったなこいつ。

    三浦がアイコンタクトを飛ばしてくる。
    わかってるよね?って意味だろうか……。なるほど、よくわからん。

    八幡「ま、依頼ならしょうがないな、雪ノ下、由比ヶ浜、悪いけどよろしく頼む」

    由比ヶ浜「うん、任せて~」

    雪ノ下「……」

    雪ノ下は納得いかない表情だが、由比ヶ浜は空気を読んでくれたようだ。助かる。





    三浦「姫菜、教室で待ってるから早くいったげて」

    八幡「お前なぁ……」

    三浦「あんね、あんた達の付き合い方とか、そーゆーのあんだろーけど……」

    三浦「付き合いたてって一番ホットな時期なんだからさぁ」

    三浦「ちょっとはらしくないことしてみるのもアリだから!」

    くそ、リア充先輩まじぱねぇ、言ってることが全然わからん。

    八幡「俺は別にいいが、海老名に迷惑が……」

    三浦「それはないから」

    断言したなこいつ。

    三浦「まぁ、あーしもしつこかったかな~ってちょっとは思ったけどさぁ」

    三浦「あの反応ならだいじょうぶっしょ!」

    いや、俺はその反応を見てねぇから。

    三浦「だから?あーしが姫菜に恥欠かせない程度にあんたの腐った根性矯正してやろう、みたいな?」

    なんか三浦のイメージがだいぶ変わった気がする。オカンまじオカン。……いい意味でってことにしておく。

    八幡「……どうせなら俺じゃなくて海老名の趣味の方をだな」

    三浦「無理」

    即答だよ、多分どうにかしようと思ったけど匙投げたんだな。

    八幡「ハァ……それよりお前用事いいのかよ?」

    三浦「用事?」

    一応その設定貫き通せよ……。

    三浦「それより、姫菜のこと、楽しませてやんなかったら、あーしがシメるから!」

    思わず敬礼してイエスアイマム!とか言いそうになる。炎の女王マジ怖い。



    俺の命がかかっているならしょうがない。せいぜい踊らされてやろうじゃないか。

  24. 24 : : 2014/01/03(金) 17:30:31

    八幡「よっす、待たせたな」

    海老名「ううん、なんかごめんね」

    八幡「気にすんな、俺も自分の命は惜しい」

    海老名「脅されたんだ……」

    お互い苦笑いである。

    八幡「んじゃ行くか」

    海老名「うん、よろしく!」



    しかし……どうしたものか、いきなり過ぎてどうしたらいいかわかんねぇ。

    八幡「なぁ、今日は三浦とどこに行く予定だったんだ?」

    海老名「んー、適当にモールでお店見て、お茶でもって感じかな?」

    八幡「じゃ、それに乗っかるか」

    とりあえずまずは友達から、的な無難な線でいこう。

    決して、デートコースとかそうゆうのを妄想したがいろいろヤバイので提案出来なかったわけではない。
    ……思春期男子なんてそんなもんだよね?





    海老名「比企谷くんは何か見たいものとかある?」

    八幡「いや、特にはないな」

    海老名「そっか……」

    八幡「そもそもこうゆうところでの買い物経験がほとんどないからなぁ」

    海老名「じゃあ、案内も兼ねていろいろ見てまわろう。付き合ってくれる?」

    八幡「はいよ」

    女子って本当に買い物好きだよな、俺は人ごみ自体が苦手だからあまり共感できない。

    海老名「あ、これ可愛い!」

    最近はネット通販という万能デリバリーサービスがあるおかげで引きこもりに拍車がかかりそうで困る。

    海老名「どうかな、これ、似合うかな?」

    八幡「おう、いいんじゃないか?」

    迷うだけ迷って買わないってのもなかなかすごい選択だと思う、俺だったらちゃっちゃと選んで買っちゃうもんな。

    海老名「あ、この眼鏡、比企谷くんに似合うんじゃないかな?」

    八幡「あー、悪くないけど、視力はいいんだよなぁ」

    海老名「見た目も変わって見えるから伊達眼鏡ってものアリだよ。やさぐれ系眼鏡男子……いいかも」

    無言でメガネを取り、元に戻す。これ以上余計な属性付けられたら困る。

    海老名「それに、目立たない感じでペアルック……みたいな///」

    八幡「……すまん、俺にはハードルが高い」

    高すぎてもはやハードルでなく壁である。

    しかし、自然体で接することができる中にこう……ドキッとする瞬間を挟まれるから怖い。

  25. 25 : : 2014/01/03(金) 17:31:23

    海老名「ふぅ、色々回ったから少し疲れたかも」

    八幡「同感だ、どっか店入るか?」

    海老名「そうだねぇ……」

    相模「あれ?海老名さん?」

    相模と……誰だっけ?面倒だから取り巻きAとBでいいか。

    ……面倒な奴に会っちまったなぁ……。

    どうにか視界に入らないようにフェードアウトしようと思ったが、バッチリ見られた。

    相模「……今日は三浦さんと一緒じゃないんだねー……もしかして、ヒキタニくんと?」

    あー、いつだったかの花火の時と同じ感じだな、俺はMじゃないからその蔑むような目は好かん。
    そうゆう目で見られるのは雪ノ下だけでお腹いっぱいだ。

    相模「へー、なんだか意外ー。海老名さんとヒキタニくんが……ねぇ」

    というか、仮にも文実一緒にやったのに名前覚えられてねぇのかよ……。

    海老名「そうかな?」

    相模「ひ、否定しないってことは本当なんだ……」

    海老名「うん」

    嘘は言ってないが、あんまり刺激しない方がいいと思うぞ……。

    相模「へ、へぇ……でも、ヒキタニくん、こー見えてプレイボーイだから気をつけた方がいいよ~」

    おい、事実無根にも程があるだろ。俺今まで女子と付き合ったことないし、そもそもお前にそんな話した覚えないぞ。

    海老名「……」

    相模「だってー、花火の会場で由比ヶ浜さんとイチャイチャしてたしー」

    いや、イチャイチャはしてないだろ。

    相模「文実の時だって雪ノ下さんとさぁ……」

    少し話をしたくらいでそういう関係になるなら誰も彼女いない歴なんて数えるほど長くはならんぞ。

    相模「だから~、海老名さんも気をつけた方がいいかなーって」

    私怨が入ってるからか、随分言いようがトゲトゲしいな。
    まぁ、これも俺が撒いた種な訳だから申し開きは逆効果だろう。

    海老名「話は終わりかな?」

    相模「え?……あ……」

    海老名「じゃあもう行くね……ごめんね比企谷くん、おまたせー」

    八幡「おう……いや、別にいいけど……」

    相模達( ゚д゚)ポカーンって顔してるんだけど……ま、いいか。
  26. 26 : : 2014/01/03(金) 17:32:24

    その場を後にして、近くの喫茶店に入った。

    海老名「……」

    八幡「……」

    うーん……さっきの件、やっぱり申し開きするべきなんだろうか……。

    八幡「……あのさ」

    海老名「……うん」

    八幡「さっきのことだけど、相模の言ってたこと……さ」

    海老名「……」

    頭の中に言い訳が浮かんでは消え、浮かんでは消え……。

    嘘だとは言えない……俺は彼女には真摯な態度で望むと奉仕部に誓った。

    八幡「大体その通りだ……」

    だいぶ大袈裟な言われようだったけどな。

    八幡「その……悪かったな」

    海老名「どうして比企谷くんが謝るの?」

    八幡「あ……いや……」

    海老名「……肝心なことには言い訳しないんだね、どうでもいい言い訳は得意そうなのに」

    負の感情の一切ない笑顔で海老名は続けた。

    海老名「結衣との花火の件は本人から聞いてるし、雪ノ下さんの件も奉仕部なんだから仲良くて当然だよ」

    八幡「海老名……」

    海老名「というよりも、その時点で私たちが付き合ってた訳じゃないんだし、そもそもなんの問題もないよね」

    八幡「……まぁ、そうだな」

    海老名「それより、私の方がごめんなさい、だよ」

    八幡「……」

    海老名「なんかさ……相模さんが、比企谷くんのこと……知ってるような口振りで話すから、つい……ね」

    海老名「ムキになっちゃったというか……あはは」

    俺と付き合っているということ……海老名はそれを表に出すことに抵抗はないのだろう。

    でも、俺が周りを気にすると言ったから、合わせてくれたのだろう。

    さっき、それを破ったということで謝るというなら、それこそ筋違いだ。

    八幡「気にすんな、お前が気にしないなら、俺も気にしないことにする」

    海老名「……そっか」

    三浦の言うように、俺が海老名に相応しい男になるのは無理でも……

    八幡「おー、季節のデザートか、美味しそうだな」

    海老名「ほんとだ、2種類あるんだね」

    せめて隣にいて、迷惑にならないくらいには振舞おう……。

    八幡「……」

    海老名「……半分こ、する?」

    八幡「そ、そうだな、どっちも美味しそうだし……」

    ああ、慣れないことなんてするもんじゃないな……。



    海老名「で!比企谷くんはケーキのスポンジとクリーム、どっちが受けだと思う!?……って簡単すぎるよねぇ……(□∀□*)ウフフ」

    比企谷「すいません、わかりません……」

    ……さっきの雰囲気返してくれませんかね?台無しにも程があるんですけど……。

  27. 27 : : 2014/01/03(金) 17:35:51


    げっそりした俺とツヤツヤな彼女、2人で店を出る。いろんな意味で疲れた……。

    比企谷「けっこう遅くなっちまったな……」

    海老名「そうだねぇ」

    比企谷「駅でいいんだよな?」

    家まで送るよ、とか言えたらカッコいいのかもしれないが、チャリで送るには海老名の家は遠いらしい。

    海老名「うん」

    とは言っても、十分に俺らしくないな……。


     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


    海老名を駅に送って、今日の依頼は終了だ。なかなかハードな依頼だった。

    比企谷「じゃぁ、またな」

    海老名「うん……ねぇ、比企谷くん」

    比企谷「ん?」

    海老名「今日は楽しかった?」

    比企谷「……三浦に感謝する程度にはな」

    海老名「そっか、良かった……ねぇ!」

    比企谷「お、おう?」

    海老名「私たち、恋人なんだよね?」

    不意打ちの事実確認に心が揺さぶられる。

    比企谷「そうだな、一歩間違えると変人だけどな」

    海老名「一歩じゃなくて一文字だよね、それは」

    ある意味、人としては変人の部類にカテゴライズされてもおかしくはない。お互いに腐ってるからな。

    海老名「で、でね、せっかくなのでその……」

    比企谷「お……おう」

    海老名「恋人らしいお別れがしたいなって!」

    最後の最後で爆弾発言かましてくれちゃったよ……。

    比企谷「い、いや……その……俺そういうのよくわからないっつーか……」

    海老名「……ギュっとして欲しいな」

    比企谷「はぐ!?」

    思わずポケモンのサカキぐらいしか言わなそうな声が出た。


    海老名「……」


    顔を赤くした海老名が両手を広げてこちらを見ている……。

    無理!この状況で断るのは人としてどうかと思う!断じてやましい意味はない!


    比企谷「……い、いくます」ギュ…

    海老名「ん……」ギュ…


    色々小難しいことを考えていたが、海老名をギュっとした瞬間全部吹っ飛んだ。柔らかくくていい匂い……。

    男って本当に単純だなと、改めて思う比企谷八幡であった マル

  28. 28 : : 2014/01/03(金) 17:36:48


    物語ならこの辺りでめでたくハッピーエンドを迎えるところだが……

    先にも言った通り世の中は思っているよりちょっとだけ残酷だ。

    大体、往々にして生きやすい世の中なら、俺みたいな人間もそう多くは生まれまい……。


     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


    翌日、学校の教室で事件は起こった……。

    珍しくそこそこ早い時間に目が覚めてしまい、なんとなく早い時間に学校に来てしまった。
    これといってやることもないのに殊勝なことである。

    教室に入ったところで普段と違う空気を感じた。いやなざわつきだ……。

    八幡「……海老名?」

    海老名が俺の席で何かをしている。
    よく見ると俺の机に何か写真のようなものが貼り付けられている。あれは……。

    海老名「あ、その……何でもないから!」

    海老名はそれを剥がそうとしていたようだ。

    八幡「なんでもなくはないだろ……」

    俺をブロックする海老名を制して覗き込むと、昨日の駅前でのお別れのシーンが見事に写真に収められていた。

    ……どこの誰だか知らないがやってくれる……。

    なんだよ、わざわざラミネート加工した上に、接着剤的なものでがっつり貼り付けられてるじゃねぇか。
    現像、加工、バラ撒きまで一晩でやってくれましたとか、どこのジェバンニだよ……。

    「……なんか意外……。」

    「海老名さん、趣味悪くない?」

    「つーかあいつより絶対俺のほうがいいだろ」

    聞こえてるぞ……ああ、わざとか。なら仕方ないな。

    周りを見渡すと、目があった奴らは押し黙る。ビビるくらいなら最初からそういう態度とるなよ。

    まぁ……中には楽しんでそうな奴らもいる。他人の不幸はなんとやらね。全く同意だ。虫唾が走る。

    どうやら、被害にあったのは俺の机だけではないらしい。

    海老名の机と後ろの壁の連絡用ボードに同じ写真が貼り付けられている。

  29. 29 : : 2014/01/03(金) 17:38:05

    さて……うちの学校って校内恋愛禁止とかそういう校則あったっけか?

    HR開始まで20分……優先順位を付けて処理しよう。

    八幡「海老名……奉仕部部室に行って待ってろ、すぐ行く」

    海老名「え……でも……」

    八幡「いいから」

    海老名「……うん」



    海老名を見届けてから改めて周りを一瞥する。さっきよりも随分と攻撃的な目でしっかりと見定める。
    こいつらも経験はあるだろう、普段影の薄い奴ほど、キレるとやばいって法則をな……。
    安心しろ、今は何もしねーよ……。

    とりあえず、先生の目に付く後ろ壁のやつだけはどうにかしないとな。
    ったく、どんだけ職人技だよ、爪を入れ込む隙間もなく接着剤で埋まってやがる……。

    それなりに人も増えてきたし、これ以上露骨なことはされないだろう。適当なプリントを上から貼って応急処置を
    施す。後は……

    あいつが遅刻じゃないといいんだが……。

    携帯を取り出し、番号を呼び出す。

    八幡「……」

    由比ヶ浜「や、やっはろー。どしたの、朝から」

    八幡「由比ヶ浜、今どこだ?」

    由比ヶ浜「え……今校門入ったとこだけど」

    ちょうどいいな。

    八幡「時間がないから手短に話す。教室で起こってることに対して、余計な行動起こすなって三浦とかに伝えてくれ」

    由比ヶ浜「え、あの?」

    八幡「頼む」

    由比ヶ浜「……わかった」

    携帯をしまい、奉仕部部室まで急ぐ。



    部室に入ると、海老名が安心したような複雑な表情で俺を迎える。

    海老名「……ごめんね」

    八幡「謝られるようなことされた覚えはないぞ」

    安心しろ、俺はこういうのには慣れてるからな。

    八幡「机、ひとつ持てるか?」

    海老名「あ、うん」

    八幡「犯人も教室に人が増えれば露骨なことはできないだろ」

    とりあえず、ここの机と教室の机を交換して……あとは要相談だな。

    1人で戻るよりは2人で戻ったほうが視線も分散するだろう。
    写真を見られた以上、バラバラにいっても意味がないしな。

  30. 30 : : 2014/01/03(金) 17:41:05
    机を抱えて教室に入ると、皆の視線が……集まって来ない。



    なんだこの、取調室か、裁判の傍聴席みたいな構図は?

    三浦「黙ってないでなんとか言ったらどうなん?」

    相模「だから、私は……」

    おいおい、目星はついてたとはいえ、なんでお前自主聴取する警官役やってんだよ。

    相模「だから関係ないって……」

    三浦「あーし、そんときの写メ撮ってんだけど、見せたらいいん?」

    証拠揃ってんのかよ……突っ込みどころは色々あるがとりあえず時間がねぇ。

    八幡「海老名、とりあえず机入れ替えるぞ」

    海老名「う、うん」

    八幡「はいはい、ちょっと前ごめんなさいよ」

    ついでに事も収めておこう。

    このまま放置してたら三浦が物理的に解決しそうでこちらとしても望むところじゃない。

    三浦「ヒキオ……姫菜も」

    姫菜「私たちは大丈夫だからとりあえず落ち着いて……ね」

    机をどかして中身を入れ替えていると横から袖を引かれる。

    由比ヶ浜「ごめん、止められなかった……」

    八幡「ああ、まぁ仕方ないだろ、あれは」

    葉山がいれば抑止力としてはそちらの方が良かったんだろうが、学校来るとき朝練してるの見えたからな。

    なにより、俺も同じ立場だったら三浦を止められた気がしない。だって怖いもん。



    とりあえず、机を入れ替え、奉仕部部室に特大プリクラ付きデスクを収納して何食わぬ顔でHRを受ける。

    ……キレイに剥がせたら一枚もらってもいいかなあの写真。



    平塚「以上……あと、比企谷、海老名は休み時間に職員室にくるように」

    ……なぜバレたし……。

  31. 31 : : 2014/01/03(金) 17:42:18


    平塚「今朝、匿名の電話でお前たちが不純異性交遊に及んでいるという触れ込みがあってな」

    犯人さん、そこまで根回しができるのに、どうしてもっといい方向に生かさないんですかね?

    八幡「不純ではありません。純異性交遊です」

    間違ってはいない、ちょっとハグしただけで手すら繋いでないからな。

    平塚「そ、そうか……否定されるものと思っていたが……まぁいい、海老名もそれでいいんだな」

    海老名も照れながらうなずいた。

    平塚「うむ、健全な付き合いをしているならこちらとしてもいうことはない」

    ええ、腐純異性交遊です。腐っているだけで特に問題はありません。

    平塚「時間を取らせたな、もういってよろしい」

    海老企谷「「失礼しました」」





    平塚「…………爆ぜろ」

    先生、聴こえてます。ほんともう誰かもらってやれよ……。


  32. 32 : : 2014/01/03(金) 17:45:15

    昼休みに部室にて作戦会議を開くことになった。
    といっても、なんかもう解決してる気がするけどな。



    三浦「で、どうやってシメる?」

    炎の女王さん、シメる前提で話すんのやめてあげてくれません?

    雪ノ下「証拠も揃ってるようだし、社会的に抹殺するのは難しくないとは思うのだけれど」

    氷の女王さんもさらっと恐ろしいこと言わないください。

    なにこの夢のコラボレーション、フレイザードなの?

    葉山「まぁまぁ、二人共落ち着いて」

    さしもの葉山も苦笑い。こいつと意見が合うのは癪だが、この場は事なかれ主義に賛成だ。

    八幡「朝、三浦がやらかしてくれたから多分、もう大丈夫だと思うぞ」

    三浦「べ、別にヒキオのためじゃねーし!姫菜に迷惑かかるのが嫌だっただけだっつーの!」

    ああ、そもそも褒めてないから照れなくてもいいぞ。

    雪ノ下「それより、三浦さん、あなた昨日は用事があるからと言っていたわよね?」

    雪ノ下「なのになぜ、2人の身近に起きていた出来事を写真に収めることが出来たのかしら?」

    三浦「それは……用事が終わったから、ヒキオが姫菜に変なことしないか心配で……」

    八幡「おい、依頼しておいてそれはないだろ」

    雪ノ下「セクハラ谷くんは黙っていてくれないかしら」

    やっぱり俺が悪いのかよ、いや、たしかにそうだが、思春期男子にそこまでの自制心求めないで欲しい。

    雪ノ下「だいたい、あんな人の往来の多い場所で抱き合うなんて羨ま……破廉恥な行為を行うなんて理解できないわ」

    八幡「……さも、その場で見ていたような言い分だな」

    雪ノ下「勘違いしないでちょうだい。三浦さんやあなたの言い分から夕方の駅前で事に及んだと聞いたから、あの時間帯の駅前の状態を鑑みて客観的に判断しただけよ、全く……本当に猿以下ね、猿谷くん」

    由比ヶ浜「だよね~、見てるこっちがちょっと照れちゃうっていうか、落ち込むっていうか……あ」

    由比ヶ浜、お前もか……。

    なんか相模以外からも視線を感じるとは思っていたんだが、まさかエージェントが3人もいたとは思わなかった。

    八幡「とにかく、犯人がまだ何かするようなら、俺も黙っちゃいないし、お前たちを遠慮なく頼らせてもらう」

    八幡「……それでいいか?」

    海老名の方を向いて宣言する。

    海老名「うん、皆もありがとうね」

  33. 33 : : 2014/01/03(金) 17:48:02


    皆を見送ってから、海老名と2人っきりになる。

    すると突然、海老名がその場に座り込んだ。

    八幡「お、おい!大丈夫か?」

    海老名「あはは……なんか安心したら気が抜けちゃって」



    そうだ、俺は歴戦の勇士(ただの一度の勝利もない)だから免疫ができているが……

    海老名姫菜はこういう形で人の悪意を一身に受けたことはそう多くないはずだ。

    強いと言っても無敵ではないのだ。傷つきもするし、悲しみもする……。



    だから俺は……



    八幡「言ったろ、俺をあまり舐めないほうがいいって」

    海老名「……」

    八幡「これからも、俺と付き合っていれば、こういうことも少なからず起こる」

    海老名「……」

    八幡「だから俺と……」



    終わらせよう。そして元通りの関係に……



    海老名「一緒なら辛いのも半分こだよね」

    正面から海老名に抱きつかれる。

    海老名「偉そうなこと言ってたのに、本当はけっこう……きてたんだ……」

    八幡「……」

    海老名「比企谷くんは強いね……」

    強いんじゃない、人は慣れる生き物だからな。良かれ悪かれ、そうゆうものだ。



    海老名「その強さ、私に分けて欲しいな」



    海老名「だから、私の[好き]も少しだけ受け取って欲しい」



    海老名が目を瞑る……。



    その上気した顔が近づき、薄桃色の唇が俺に触れる。



    やっぱり女はずるい。



    せっかくの決心も粉々に打ち砕かれてしまうほどに、強力だった。



    海老名「えへへ///……これからも、よろしくね!」



    ああ、わかった……。



    まだまだ俺は海老名姫菜を知らないし彼女は比企谷八幡を知らない。

    なら、この先いくらでも、チャンスはある。

    汚名を挽回し、名誉を返上する機会が。

    それまで、せいぜい満喫してやろう。



    俺にはもったいない彼氏彼女の関係という奴を。



    俺の青春ラブコメはほどほどに腐っているが間違ってはいないのかもしれない ~Fin~

  34. 51 : : 2014/08/30(土) 19:10:17
    乙、良かった
  35. 52 : : 2014/09/01(月) 22:17:08
    素晴らしい
  36. 53 : : 2014/09/01(月) 22:17:19
    素晴らしい
  37. 54 : : 2014/10/10(金) 14:47:32
    俺ガイルss全然読んでないけど一番良かった。
  38. 55 : : 2014/10/26(日) 18:27:13
    これは素晴らしい
  39. 56 : : 2014/10/29(水) 18:53:27
    す、素晴らしい!いいものをありがとうございます!
  40. 57 : : 2014/10/29(水) 21:32:27
    素晴らしいです。 今まで読んできた八姫ssでいちばん面白かったです!
  41. 58 : : 2015/04/18(土) 13:18:12
    このルートをアニメでみたいわww
  42. 59 : : 2015/08/07(金) 08:36:00
    乙です
  43. 60 : : 2015/08/08(土) 13:45:34
    いい感じでした。
    これくらいの書きたいなぁ……。
  44. 61 : : 2015/09/20(日) 01:07:00
    素晴らしい!
  45. 62 : : 2015/09/20(日) 01:07:55
    素晴らしい!海老名をはじめて可愛いと思った
  46. 63 : : 2015/11/16(月) 00:53:55
    バランス感覚がいいな。
    こういったSSが増えると嬉しい
  47. 64 : : 2015/12/21(月) 19:06:01
    33の「名誉を返上する」は「不名誉を返上する」か「名誉を回復する」だな。最後の詰めだけに惜しまれるぞ。
  48. 65 : : 2016/02/11(木) 08:08:02
    64は読解力がないな
    話の流れ的にわかるだろ
  49. 66 : : 2016/02/18(木) 09:40:13
    65 ブーメランじゃね?
  50. 67 : : 2016/04/23(土) 10:32:15
    八幡は、汚名を元に戻して名誉をなくす意味で使ってるから。八幡らしい言い回しでしょ。

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inudog

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