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穂乃果「いつかまたね」

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  1. 1 : : 2017/04/01(土) 00:27:22
    あれから一年ですね。
    的なssです。よろしくお願いします。
  2. 2 : : 2017/04/01(土) 00:27:42






























  3. 3 : : 2017/04/01(土) 00:28:11



    思い立ったのは最後のライブをあと少しに控えた頃。


    いつもの唐突な思いつきにまたみんなを巻き込むことは申し訳なかったけど、絶対に実現させたかった。



    絵里「お別れの歌…?」


    穂乃果「うん!急に思いついちゃった」


    絵里「でも確かにそうね…
    みんなに " これで最後です " って一方的に告げるだけでおしまいにするのはどうなのか、って実は私も考えてたのよ」


    穂乃果「本当!?よかったー!」


    海未「その提案自体はいいと思います…
    ですが、ここでまた新曲というのは残された時間を考えると不可能です」


    穂乃果「それはそうなんだけど…」


    真姫「…一応言っておくけど、曲のストックはあるわよ」


    穂乃果「真姫ちゃんそれ本当!?」


    ことり「衣装は新しく作る必要もないし、あとは歌詞と振り付けだけかな?」


    海未「真姫…それにことりまで…」


    凛「今まで結構無茶やってきたし、凛はみんなにちゃんとお別れ言いたいにゃ」


    海未「はぁ…全く……
    …真姫、曲のストック全て聴かせてもらえますか?」


    穂乃果「海未ちゃん!」


    海未「作詞は任せてください…
    実はそういった風な歌詞の構想をノートに書き連ねてますから」


    花陽「やっぱりみんな気になってたんだね…お別れ言わないままだったこと」


    にこ「気になってたっていうか…
    なーんか急に気になり始めたのよね…」


    希「あれ?にこっちも?
    うちもそれ。最後のライブが近づくにつれてそれが頭から離れんくなってって…」


    ことり「え、本当?
    ことりもそうなんだよね…」


    穂乃果「そうなんだ…?
    すごい偶然もあるんだねー」


    絵里「ふふ、そうね…
    まあ、こんな不思議な現象を『偶然』の一言で片付けるのは少し勿体無い気もするけど」


    穂乃果「とにかくみんなありがとう!
    お別れの歌、絶対に間に合わせよう!」


    8人「うん!」


    海未「……間に合わせるために穂乃果には色々とやってもらいましょう」ニコッ


    穂乃果「ひっ…!
    ……は、はい…」



    こ、怖いよ海未ちゃん…!


  4. 4 : : 2017/04/01(土) 00:28:31


    ーーーーー


    で、海未ちゃんに言われるまま穂乃果の家に来たんだけど…


    …ん?あれ?帰って来たのか。



    海未「さて…」



    と、いつものように座布団に正座するとすぐに、海未ちゃんはカバンを漁り始めた。



    穂乃果「何探してるの?」


    海未「作詞用のノートです。穂乃果には今回作詞を手伝ってもらおうと思いまして」


    穂乃果「えぇ!?私が!?
    海未ちゃんさっきは『作詞は任せて』とか言ってたくせに!」


    海未「…まあまあ」


    穂乃果「あ、とぼけた!海未ちゃん今とぼけたでしょ!」


    海未「ああ、ありましたありました」



    目当てのノートをカバンから見つけ出した海未ちゃんは、パラパラとページをめくると途中で手を止めて、机の上に置いた。



    海未「これが今回の作詞に使用したいと考えている構想たちです」


    穂乃果「うわあ、ノートにこんなにびっちり?」


    海未「本当はこんなに書き留めるつもりはなかったのですが、書き始めたら何故か止まらなくなってしまい…」


    穂乃果「そうなんだ…」



    『旅立ち』『別離』『巣立ち』『未知』『さよなら』『またね』『寂しい』…


    ホントだ、今回の曲にぴったりな表現ばっかり…



    穂乃果「…そうだよね、お別れは寂しいよね」


    海未「そうですね…」


    穂乃果「…」


    海未「…穂乃果?」


    穂乃果「だけど、お別れしなきゃいけないんだよ…私たちは」


    海未「…はい、だから頑張りましょう穂乃果」



    そう言って海未ちゃんは音楽プレイヤーに繋がれたイヤホンの左耳側を差し出した。



    穂乃果「そっか、歌詞の前に曲を選ばなきゃなんだっけ?」


    海未「真姫も随分と曲をストックしているようですし、根気よくいきましょう」


    穂乃果「うん!」



    私はイヤホンを耳に装着した。


    ピアノの旋律が静かに、しっとりと流れ始める。

  5. 5 : : 2017/04/01(土) 00:28:50



    穂乃果「これは…うーん…」


    海未「ちょっと寂しすぎる気もしますね…」


    穂乃果「そうだね…
    お別れって言っても、だからって寂しくする必要はないんだし」


    海未「むしろ明るくお別れするほうがμ'sらしいです」


    穂乃果「うん、だよね!」


  6. 6 : : 2017/04/01(土) 00:29:25



    穂乃果「だからってこれは明るすぎない!?」


    海未「少し極端すぎな気もしますね…」


    穂乃果「いやだいぶ極端すぎるよ!
    『No brand girls』じゃないんだから!」


    海未「ではこれもボツということで…」


    穂乃果「次いこう次!」

  7. 7 : : 2017/04/01(土) 00:29:54




    海未「…これは……」


    穂乃果「真姫ちゃんこんなのも作ってたんだね」


    海未「ジャズですか…スクールアイドル向けではないですが…」


    穂乃果「うん、穂乃果もこれ好きだな」


    海未「私もすごく好みです。ですが求めてる曲といった風ではないですね」


    穂乃果「うん、残念だけど」


  8. 8 : : 2017/04/01(土) 00:30:18



    海未「では次の……
    …!?」


    穂乃果「えぇ!?これヘビメタ!?」


    海未「そう言えば奮発してキーボード買ったって前に話してた気がします…」


    穂乃果「ああ、だからエレキギターが…」



    あれ?でも…



    穂乃果「いっつも真姫ちゃんがサンプル聴かせてくれる時はピアノの音だけだよね?」


    海未「恐らくキーボードでピアノ意外の音を打ち込む練習として作曲していたのでしょうね…」


    穂乃果「ああ、なるほど!
    でもこれは…」


    海未「ええ、言うまでもなく却下ですね」


    穂乃果「うん、言うまでもなく」


  9. 9 : : 2017/04/01(土) 00:30:41



    〜〜〜


    海未「じゃあ、次の曲に行きますね」


    穂乃果「うん」


    海未「…!
    へぇ、これは…」


    穂乃果「…」


    海未「決して暗くはないですが、明るすぎるわけでもない…
    歌詞次第ではどのような風な曲にも仕上がりそうですね」


    穂乃果「…」


    海未「というかさっきのヘビメタもでしたがドラムの音までなんて…真姫はいつの間にここまでの作曲技術を…」


    穂乃果「…」


    海未「…穂乃果?」


    穂乃果「これにしよう、海未ちゃん」


    海未「え?いいのですか?
    まだ候補は数曲残っていますが…」


    穂乃果「ううん、これにしよう。これにしなきゃいけない気がする」


    海未「穂乃果がそこまで言うのでしたら…」



    運命の出会いがあるとすれば、それは今なのかもしれない。


    そのぐらい、この曲は私の心を揺さぶった。


    絶対にこの曲を使ってあげなきゃ…



  10. 10 : : 2017/04/01(土) 00:31:03



    海未「…さて、曲は決まりましたね」


    穂乃果「じゃあいよいよ作詞だね!」


    海未「では作詞を始める前に曲のテーマを決めましょうか」


    穂乃果「テーマ?」


    海未「そうですね…有り体に言えば『こんな風な歌詞にしたい!』という指針めいたものでしょうか?
    定めたテーマを目指して歌詞を練っていく…と言えば伝わりませんか?」


    穂乃果「うーん、分かるような分からないような…」


    海未「今回で言えば『別れ』…ですかね」


    穂乃果「別れ…
    まあそうだよね、そういう曲を作るって話から始まったんだし…」


    海未「?
    『別れ』では不満ですか?」


    穂乃果「ううん、不満じゃないんだけど…
    何となくしっくりこないっていうか…」


    海未「そうでしょうか?
    テーマとしてはこれ以上ないというほどぴったりだと思うのですが…」


    穂乃果「なんだろう、穂乃果もよく分かんないんだけど…
    モヤモヤするっていうか…うーん…」


    海未「モヤモヤですか…?
    『別れ』では味気ない印章を与えてしまうからでしょうか?」


    穂乃果「うん、なんかそんな感じ…」



    そういう単語じゃなくって、もっと親近感が湧く感じのやつ。


    『別れ』っていうテーマだと、応援してくれてたみんなをスパッ!っと切り捨てた感じがしてすごく嫌。


    うーん、でも…


    …?




    穂乃果「…そうだ」


    海未「?」


    穂乃果「『さようなら』だよ海未ちゃん!」


    海未「さ、さようなら…ですか?」


    穂乃果「みんなにお別れするための曲じゃなくて、みんなにさよならを言うための曲だよ!
    『今までありがとう、さようなら』って!
    お別れをテーマにしちゃうのは違うよ!」


    海未「さよならを言うため…
    …そうですね、ではテーマは『さようなら』にしましょう」


    穂乃果「うん!」


    海未「それで、肝心の歌詞を『さようなら』というテーマの元作っていくわけですが…」


    穂乃果「うーん…」


    海未「…穂乃果、私から提案があります」


    穂乃果「え?なになに?」


    海未「『さようなら』という言葉について、みんなからの意見を聞きたいのです」


    穂乃果「みんなって…μ'sの?」


    海未「はい。そうすることで歌詞の構想も更に膨らみますし、私たちなりの『さようなら』を届けられると思うのです」


    穂乃果「うんうんうんうんいいねそれ!
    じゃあ今から早速聞いてみよう!」


    海未「はい!」



  11. 11 : : 2017/04/01(土) 00:31:28

    prrrr…


    絵里『もしもし?穂乃果?』


    穂乃果「ああ、絵里ちゃん!
    今大丈夫?」


    絵里『ええ、大丈夫よ』


    穂乃果「あのねあのね、今海未ちゃんと新曲の歌詞を作ってるんだけど、絵里ちゃんにとって " さよなら " ってどういうイメージがある?」


    絵里『さよなら?
    そうね…』



    絵里ちゃんはしばらく考え込んで



    絵里『…ありふれてる』



    と言った。



    穂乃果「え?」


    絵里『さよならって、形を変えただけで結局言ってることは " バイバイ " でしょ?
    バイバイって日常で当たり前のように交わすから何だかありふれてるなって』


    穂乃果「ありふれてる…」


    絵里『そうね、ありふれた言葉…その1つ。
    私はその言葉を特別視しない
    …だって特別視しちゃったらたまらなく悲しくなっちゃうもの』


    穂乃果「そうだね…さよならは悲しいよね」



    会えなくなるわけじゃないけど、私たちはもうすぐ絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃんとさよならしなきゃならない。


    高校生なんだから、このお別れは必然で。


    だけどそれを意識しちゃうと、やっぱり湧き上がってくる感情は『寂しさ』。


    絵里ちゃんが言うように、特別視しちゃいけないんだ。きっと。


    ありふれてるって思わなきゃ。私も。



    絵里『ああ、ごめんなさい!
    別に意識させたかったわけじゃないの!」


    穂乃果「あ…ううん、大丈夫!
    ありがとね絵里ちゃん!それじゃあ!」


    絵里『ええ、作詞頑張ってね?
    無理しちゃダメよ?』


    穂乃果「うん、ありがとう!じゃあね!」



    プツッ…



    海未「…絵里は何と?」


    穂乃果「『ありふれた言葉』…だって」


    海未「そうですか…
    …何だか絵里らしいです」


    穂乃果「うん、私もそう思う」



  12. 12 : : 2017/04/01(土) 00:31:57


    穂乃果「じゃあ次は…」



    prrrrr…



    希『はーい、穂乃果ちゃん!うちだよー』


    穂乃果「あれ?にこちゃんにかけたつもりだったんだけど…かけ間違えちゃったかな?」


    希『ううん合ってる合ってる!
    さっきスーパーで偶然にこっちに会ってな、夕飯ご馳走してもらうことになったんよ』


    穂乃果「ああそういうこと!
    じゃあにこちゃんは今取り込み中?」


    希『お夕飯作ってるよー。用があるならうちから伝えるけど?』


    穂乃果「ううん大丈夫!
    希ちゃんにもどうせ聞かなきゃだったし」


    希『ん?うちにも?』


    穂乃果「希ちゃんはさ、" さよなら " っていう言葉にどういうイメージ持ってる?」


    希『さよなら?うーん、そうやなあ…』


    穂乃果「深く考えないでパッ!と思いついたやつがいいな、できればだけど」


    希『直感的いうことか…
    じゃあ出会いやね』


    穂乃果「え?出会い?」


    希『そんなに驚かなくてもいいやん…』


    穂乃果「いやだって " さよなら " だよ!?
    出会いなんてイメージあるかな?」


    希『ほら、お別れの後って絶対に新しい出会いがあるやん?
    うちは多分みんなよりもお別れを経験してるから、昔から " さよなら " って言葉からマイナスのイメージを見出さんようにしてるんよ』



    そっか…希ちゃんはいっぱい転校してるからお別れには慣れてるのかな…?


    ううん、お別れに慣れるなんて絶対にないだろうけど。



    希『でね、マイナスのイメージを見出さんようにしても特にプラスに思考が働くなんてことはなかったんよ』


    穂乃果「あれ?そうなの…?」


    希『うん、なかった。うちはどこに行っても溶け込めんかったからな…いやあホント、こんなこと話すのは恥ずかしいけど』


    穂乃果「希ちゃん…」


    希『でもね、うちはμ'sと出会った』


    穂乃果「…」


    希『μ'sとの出会いは、私が経験したたくさんの別れを帳消しにしてくれた。ううん、もっと価値あるものを与えてくれた』


    希『うちはたくさんのお別れした分、素敵な出会いに恵まれた』


    希『だから " さよなら " は別れの言葉やないんよ、きっと。新しい出会いのための言葉』


    穂乃果「出会いのための…」


    にこ『あ!希!何勝手に人のケータイで電話してんのよ!』


    希『うわあにこっち違うの!これ穂乃果ちゃん!相手穂乃果ちゃんやから!』


    にこ『あ、そうなの?なに?かわる?』


    希『そうやね、かわった方がええな』

  13. 13 : : 2017/04/01(土) 00:32:20


    にこ『もしもし穂乃果?
    どうしたのいきなり?』


    穂乃果「ああ、にこちゃん!
    いきなりだけど、" さよなら " ってにこちゃんの中でどんなイメージがある?」


    にこ『さよなら?
    それ聞いて回ってるってことは作詞?』


    穂乃果「うん、そうなんだ!
    海未ちゃんと話し合って、みんなの意見を取り入れようってなって」


    にこ『そうね…さよなら…』


    穂乃果「…」


    にこ『……今から変なこと言うわよ』


    穂乃果「え?うん…』


    にこ『"さようなら" って、"またね"って言ってる気がするの』


    穂乃果「またね?」


    にこ『もちろんお別れの言葉なんだからホントはそういう意味なんてないわよ?
    けど、私はそう思ってる』


    にこ『ほら、私って穂乃果たちに会う前にスクールアイドルやってた時期あるでしょ?
    でも結局失敗しちゃったから…
    …その時私は、スクールアイドルである私とお別れしたつもりだった』


    にこ『でも今、こうやってまたスクールアイドルをやってる。
    さよならって言葉で捨てたはずの物をこうしてまた拾い上げてる』


    にこ『だから多分、"さよなら" はイコールで "またね" なのよ。
    少なくとも、私がそうだったから』



    またね…か。



    穂乃果「ありがと、にこちゃん。
    μ'sでいてくれて」


    にこ『は、はぁ!?
    な、ななななによいきなり!』


    穂乃果「だって、にこちゃんがいなかったら…
    にこちゃんがスクールアイドルじゃなかったら、私たちは活動できてなかった』


    にこ『…』


    穂乃果「"さよなら" って言葉を "またね" っていう意味に解釈してくれて…
    またスクールアイドルを始めてくれて、本当にありがとう」


    にこ『………ばーか』




    プツッ



    穂乃果「…あはは、切れちゃった」


    海未「……絵里たちは強いですね。
    さようならって言葉を微塵にも悲しいものと捉えてなくて」


    穂乃果「そうだね、強いね…
    …私たちも強くならなきゃね」


    海未「ふふ、そうですね…強くならなくてはいけませんね」


  14. 14 : : 2017/04/01(土) 00:32:44



    prrrr…



    花陽『もしもし?』


    穂乃果「ああ花陽ちゃん!
    って、なんだか騒がしいような…?」


    花陽『えへへ…あのね、今凛ちゃんと一緒に真姫ちゃんのお家にお邪魔してるんだ』


    穂乃果「おお、1年生組が勢ぞろいしてるってわけだね!」


    凛『まきりんぱなとも言うにゃ』


    穂乃果「あれ?凛ちゃん穂乃果の声聞こえてるの?」


    凛『穂乃果ちゃんはスピーカーって便利機能を知らないの!?』


    穂乃果「ああなんだそういうこと…」



    って…



    穂乃果「そうだ…これスピーカーにしておけば海未ちゃんも会話に参加できたんだ…」


    海未「あ…」


    穂乃果「…」


    海未「…」


    花陽『あれ?もしもーし?』



    私は無言でケータイを耳から離すと、スピーカーモードに切り替えた…


    それはもう静かに、それでいて速く…


    そして海未ちゃんに謝るジェスチャーをして、話を再開。



    穂乃果「ごめんごめん聞こえてるよ…あはは…」


    海未「コホンッ…
    それで、用件は作詞のことについてです」


    真姫『今日話してた新曲のこと?』


    海未「そうです。
    3人は "さよなら" という言葉にどのようなイメージを抱きますか?
    深く考えずに、直感的なイメージをできれば伝えてほしいです」


    穂乃果「うーん…」


    海未「穂乃果まで考えてどうするんですか…」


    真姫『…ほら2人とも、そんな顔しないの』


    花陽『だって…』


    凛『……寂しいにゃ』


    花陽『…』


    真姫『…まあ、分からないでもないけど』


    穂乃果「…」


    海未「…寂しい、ですか」


    凛『そうに決まってるよ!
    にこちゃんとも希ちゃんとも絵里ちゃんともずっとずっと一緒にいたいもん!』


    穂乃果「それは…穂乃果もそうだけど…」


    真姫『にこちゃんたちは強いからきっと寂しさなんて微塵にも出さないでしょうけど…
    凛と花陽はそんなに強くないから』


    花陽『うん…やっぱり寂しいものは寂しいし、お別れなんてホントはしたくない』


    海未「…そうですよね」


    穂乃果「さよならってやっぱり寂しいよね…
    なのに絵里ちゃんたちは寂しさを心のどっかに押し込んでる」


    真姫『送られる側と見送る側とじゃ視点が違いすぎる…
    私たちじゃ送られる側の気持ちなんて分からないわよ?』


    穂乃果「そうだよね…だからこそ、寂しいって素直に言うのも間違いじゃないよね…」


    海未「お別れなんてしたくない。さよならは寂しいから…ですか」


    凛『…だけど』

  15. 15 : : 2017/04/01(土) 00:33:08

    穂乃果「?」


    凛『だけど…さよならって言わないのは違う』


    凛『確かに寂しいし、さよならなんてしたくないけど…
    だけどちゃんとさよならって言わないままにお別れしちゃうのはダメだよ』


    真姫『…そうね』


    花陽『そうだね…
    ちゃんとお別れしないと、きっといつか後悔しちゃうよね』


    穂乃果「後悔…」



    ことりちゃんが留学しようとしたあの日、もし私が空港に行かなかったらどうなってただろう?


    喧嘩別れしたみたいになって、お別れの言葉も何も伝えられずに…どころか見送りすらもせずにことりちゃんと離れ離れになってたとしたら。


    どうかな?


    ……あはは、泣きそうになっちゃうぐらいつらいや。


    ちゃんとお別れできずに離れ離れになっちゃうのって、こんなにもモヤモヤしちゃうのか。


    もし本当にこうなってたとしたら…


    …さよならを伝えなれなかったら。




    花陽『寂しいからって "さよなら" を言わずにいたら、きっと私すごく後悔しちゃう…
    だから、穂乃果ちゃんが新曲を作ろうって言ってくれた時すごく嬉しかったの』


    凛『そうだね…
    凛もすっごく嬉しかったにゃ!応援してきてくれたみんなに "さよなら" って言えるってことがすごくすごく嬉しいの!』


    穂乃果「2人とも…
    …ありがとう」


    花陽『ううん、こちらこそ!』


    真姫『でもホント急に言いだすんだから…
    私が曲のストックなかったらどうしてたつもりなの?』


    凛『あれあれあれあれ〜?
    真姫ちゃん電話かかってくる前に "まあストックがなかったら新曲作ってたけど" って言ってたよね〜?』


    真姫『ヴェエッ!?
    ちょ!凛!それは言わないで言ったでしょ!?』


    凛『あああああちょっと真姫ちゃん痛いにゃ!ギブギブギブギブ!!!』


    花陽『り、凛ちゃん!真姫ちゃん!
    喧嘩はダメだよぉ!』


    真姫『なによ花陽!凛の肩持つって言うの!?
    元はと言えば凛が余計なこと言うから!』


    凛『真姫ちゃんが素直にならないのがいけないんだよ!
    このひねくれ毛先クリクリ!』


    真姫『ひ、ひねくれ毛先クリクリ!?
    言ったわねニャンニャンスポーツバカ!』


    凛『にゃー!!?!?
    馬鹿って言った方が馬鹿なんだよこのトマト馬鹿!』


    真姫『ト!トマトですって!?
    もう許さないわよ凛!』


    凛『望むところにゃ!
    今ここで決着をつけようか!』


    花陽『ダ、ダレカタステー!!!』


    穂乃果「…切っていいかな?」


    海未「切りましょうか…」



    プツッ

  16. 16 : : 2017/04/01(土) 00:33:33




    ことり『……で、最後にことりなんだね?』


    穂乃果「えーと…ことりちゃんなんか怒ってる…?」


    ことり『ううん怒ってないよ!
    ただことりも穂乃果ちゃんの家に呼んでほしかったなーっていうか、2人と楽しく作詞したかったなーっていうか…』


    海未「すみません…反省してます…」


    ことり『…ふふふっ
    2人とも可愛いからついいじめたくなっちゃう♪』


    穂乃果「もうっ!ことりちゃんのイジワル!」


    ことり『えへへ、ごめんね穂乃果ちゃん?』


    海未「ことりを呼ばなかったのは衣装作りで多忙だろうから、という配慮からですからね!
    断じて仲間はずれにしようなどということは…!」


    ことり『わわ、大丈夫だよ海未ちゃん!
    分かってるから!ありがとね、心配してくれて!』


    海未「つ…伝わったならよかったです…」


    ことり『ちょっといたずらしすぎちゃったかな…?』


    穂乃果「海未ちゃんが真面目に捉えることぐらい分かってるくせにー」


    ことり『すごく反省してます』


    海未「反省してませんね…もう…」


    穂乃果「話戻すけど、ことりちゃんにとって "さよなら" ってどんなイメージがある?」


    ことり『さよなら…そうだなぁ…』


    海未「…」


    穂乃果「…」


    ことり『…1度きり、かな』


    穂乃果「え?1度きり?
    さよならが?」


    ことり『うん、1度きりだとことりは思う』


    海未「それはどうしてでしょう?
    聞かせてもらえませんか?」


    ことり『あのね、ことりは "さようなら" っていう言葉を使ったお別れって、今までみたいな関係でいられなくなっちゃう時に使うんだと思うの』


    海未「今まで通りの関係でいられなくなる、ですか?」


    ことり『例えば…
    …そうだ、ことりが留学しそうになった時があったでしょ?』


    穂乃果「うん…」


    ことり『あの時、もしも穂乃果ちゃんがことりのことを見送りに来てたんだとしたら…
    その時は "さよなら" ってお互い言ってたんじゃないかな?』


    穂乃果「どうして?
    そりゃあ簡単に会えなくなってたけど…でももう2度と会えないってわけじゃなかったよね?」


    ことり『うん、そうだね。
    でもきっと、また会っても今まで通りに楽しくお喋りしたりできなくなってたもん』


    穂乃果「…」


    ことり『ことりが海外で少しでも性格が変わっちゃったりしたと思うの。
    ことりだけじゃない。穂乃果ちゃんも海未ちゃんもやっぱり今とは変わっちゃうよ』


    ことり『すぐに会える距離にいるなら、些細な変化なら違和感なく受け入れられる。
    でもね、たまにしか会えない…遠くに遠くに行っちゃってたらきっと、少しの変化でも全然違って見えちゃうと思う』


    穂乃果「そっか…」


    ことり『だから楽しくお喋りしてても、頭の中から "ああ、変わっちゃったな" "昔とは違うんだな" っていう気持ちが出て行ってくれないの。
    今みたいに、ただ楽しくお喋りすることすらできなくなっちゃう』


    ことり『それってお互いの心が離れちゃったってことなんじゃないかな?
    心が離れちゃう時に、さよならって言うのかなって』


    海未「……」

  17. 17 : : 2017/04/01(土) 00:33:57

    ことり『…えへへ、言っててよく分かんなくなっちゃった』


    穂乃果「ううん、大丈夫。伝わったから」


    海未「そうですね、伝わりました」


    ことり『本当!?よかったー…』


    穂乃果「そっか…
    さよならは1度きり、か…」


    ことり『だからもしもの時までとっておかなきゃいけない、ってことりは思ってるよ』


    海未「なるほど…」


    穂乃果「…こんな話してたらことりちゃんに会いたくなっちゃった」


    海未「それは……まあそうですけど」


    ことり『ことりも会いたいな〜?』


    海未「ですがもう夜遅いですし…」


    ことり『じゃあ今日はお泊まりする?』


    穂乃果「しよう」


    海未「即答ですね…」


    ことり『じゃあお母さんに聞いてくるね!
    2人はお泊まりする準備してて!』


    穂乃果「わかった!じゃあまた後でねー」


    ことり『はーい!』



    プツッ



    海未「……親御さんの許可が下りる前に泊まる準備をさせるなんて…全くことりには頭が上がりませんね…」


    穂乃果「まあまあ、ことりちゃんらしいからいいんじゃない?」


    海未「こういう時は頑固ですもんね、ことりは」


    穂乃果「そうだね…」



    海未ちゃんに返事しながら、私はみんなの "さよなら" へのイメージをメモした紙を眺める。



    ありふれてる。


    出会い。


    またね。


    寂しい。…だけど言わないのはダメ。


    1度きり。だからもしもの時までとっておかなきゃならない。



    …さよならって、こんなに沢山の顔を持ってたんだ。


    私はどうだろう?


    "さよなら" って言葉から何を考えるだろう?


    うーん…


    うーーーん……


    ……あ。



    海未「ところで穂乃果はどうなのですか?
    "さよなら" に対するイメージ」


    穂乃果「今ちょうどそのことを考えてた!
    で、イメージとは違うんだけどね!」


    海未「はい?」


    穂乃果「曲のタイトル!思いついたの!」


    海未「え、今ですか?」


    穂乃果「今!ねえ言っていい!?」


    海未「まあ言ってもいいですけど…
    …そんなに息巻くほどということは、とてもいい案なのでしょうね?」


    穂乃果「きっと海未ちゃんも気にいるよ!
    あのね───」


  18. 18 : : 2017/04/01(土) 00:34:21


    〜〜〜



    そしてことりちゃんの家でお泊まりした翌日、私たちは3人で作り上げた歌詞をみんなに披露した。


    みんな納得してくれたみたいで、とてもスムーズに最後のライブに向けての曲の1つとして練習メニューに組み込まれた。


    ホントはさよならを伝える曲のはずだったんだけど…


    まあこれもμ'sらしいということで。


    そして、1日が過ぎ、1週間が過ぎ、2週間が過ぎ…


    …最後のライブを次の日に迎えた日。


    私は───ううん。


    私たちは夢を見た。


    とてもとても大切な夢を。


  19. 19 : : 2017/04/01(土) 00:34:43







    ────μ's!μ's!μ's!μ's!μ's!μ's!






  20. 20 : : 2017/04/01(土) 00:36:12



    気がついた時、すぐに夢だと分かった。


    薄暗い場所。知らない人たち。


    舞台裏かな?何だかアキバドームに似てる気がするけど…


    なんて考えながら辺りを見回していると、私と同じようにしている人が1、2、3……8人。


    そう、みんなここにいた。



    穂乃果「あれ?みんな?
    おーい!海未ちゃーん!ことりちゃーん!」



    2人の元へ駆け寄ろうとする。


    ───したけど。


    声が聞こえた。


    μ's!μ's!μ's!μ's!って。


    繰り返し私たちのことを呼ぶ声が。


    それは観客席の方から聞こえているみたいで、私たちは一斉にその方向を向く。


    ……。


    そこにね、いたの。


    円陣みたいに肩を組んで泣いてる人たちが。



    穂乃果「あっ…」



    私は観客席じゃなくて、その人たちがいる方向へと歩いてゆく。


    私だけじゃない、みんなも。


    示し合わせたわけでもないのに、みんな自分が誰の後ろに立つべきなのか分かってて。


    見てきたはずでもないのに、この人たちが今まで何をしてきたかが分かってて。


    そして、今私たちがかけるべき言葉も分かってた。



    穂乃果「…」



    背中をトントン、と2回叩いた。


    肩を組んで泣いていた人がこっちを向く。


    …うん、やっぱり。



    「……!」



    その人は…ううん、その人たちは。


    私たちを見て余計に泣いちゃって。


    見てるこっちも泣きそうになって。


    それでも私の目の前にいる人は、言ったの。



    「穂乃果、私たち輝けてたかな?
    あなたたちみたいになれてた?」



    泣きながら、嗚咽交じりに。


    だから私も。



    穂乃果「うん…!
    すっっっっごく輝いてた!」



    泣きながら彼女を抱きしめた。


    ああ、あの曲って。


    そっか、応援してくれたみんなのため…


    応援してくれた、この人たちのために作った曲だったのかな?


    だからみんな「お別れの歌を作ろう」って意気込んでたんだ。


    私たちが彼女たちにお別れしなきゃいけなかったから。


    ……………。


    お別れしなきゃいけないんだね。




  21. 21 : : 2017/04/01(土) 00:36:37





    ─────────。




  22. 22 : : 2017/04/01(土) 00:37:02



    夢から覚めた。


    私たちは、1番大切な誰かとお別れした。


    かけがえのない何かと、お別れをした。



    穂乃果「…」


    時間を見る。アラーム設定時刻よりも9分前。


    私は大きく伸びをして、最後のライブのための支度を始めた。


  23. 23 : : 2017/04/01(土) 00:37:35


    〜〜〜


    穂乃果「…そろそろだね」


    海未「そうですね…
    少し、いいえ…すごく緊張しています」


    絵里「リラックスしましょ?
    泣いても笑っても、これがμ's最後のライブなんだから」


    凛「あー!
    絵里ちゃんそういうこと言わないでよ!」


    絵里「うふふ、ごめんなさい?」


    にこ「湿っぽくするのは無しって話だったでしょ?
    笑ってお別れするんだから」


    真姫「……ねえ、みんな」


    にこ「? どうしたの?」


    真姫「夢…見なかった?」


    希「…大丈夫、みんなちゃんと分かってる」


    真姫「……そうね」


    花陽「うん!分かってるよ真姫ちゃん!
    見ててね!ちゃーんと笑顔でやりきるから!」


    ことり「うんっ!
    今度は私たちの番だもんね!」


    絵里「そうね…
    …じゃあ、そろそろ行きましょう!」


    穂乃果「みんな!」



    いつものように手をピースにしてそれを中心に集める。


    そうして指で大きな星をつくった。


    …ひとつの光を、形作った。



    穂乃果「よーし、いくよっ!」





    穂乃果「1!」


    ことり「2!」


    海未「3!」


    真姫「4!」


    凛「5!」


    真姫「6!」


    にこ「7!」


    希「8!」


    絵里「9!」




    そして夢で見たあの人たちのように、私たちは肩を組んで。


    そこからはいつものように。


    ううん、いつも以上に!


    どこかで見てる、あの人たちにも聴こえるように大きな声で!




    穂乃果「μ's!」




    「μ'sic……スタート!!!」





  24. 24 : : 2017/04/01(土) 00:37:56






























  25. 25 : : 2017/04/01(土) 00:40:35
    おしまいです。
    ここまで読んで下さった皆様、ありがとうございます。

    皆さんはあの日、何を感じましたでしょうか?あの光景を思い出して、今何を感じますか?
  26. 26 : : 2017/04/01(土) 02:24:10
    お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
    眩しすぎる輝きの残光、その表現。感服いたしました。

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donguri

たけのこまんじゅう

@donguri

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