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護衛艦あおば、出港! 第一期番外編その一

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  1. 1 : : 2016/10/28(金) 19:08:24
    注意点

    ・この作品はハーメルンで連載中の物を改稿したもの。
    ・すでに投稿済みの第一期をご覧になってからだとより楽しめます。
    ・スタートは第一期最終スレから

    以上を注意して任務を遂行してください。
  2. 2 : : 2016/10/28(金) 19:11:48
    当たってる…

    何がとは言わないが当たってる



    平常心を保て…


    フォースで感じるのだ…



    感じちゃうのかよ


    現時刻マルゴーマルマル…

    マンゴー丸々ではないイイネ?



    そして現状を伝えよう。


    左舷に被弾ッ!(左腕に当たってる)

    二つのお山さんが…青葉山がが

    服の上から分かる自己主張の激しいけしからんものが当たってる!


    これでは昨日の二の舞になってしまう…



    パイオツ…鼻血…ウッ頭が…


    取りあえず平常心だ!


    うーん…高校の時彼女に誘惑され続けても、童貞を守り通してきた俺にさえ鼻血を出させるなんて…

    あおば…恐ろしい子ッ!

    あぁ、これではMr.ママに怒られてしまう。(説明しよう!Mr.ママとは遼河の学生時代の恩師であり、一生童貞を貫く童貞の神なのであーる!)




    ……………




    チュンチュン…

    雀の声が聞こえる。

    朝チュンではないが、曲がりなりにも同衾してしまった…


    「おはようございますぅ。」

    あおばの眠そうな声が聞こえてくる。




    まぁ、とりあえずは

    「おはよう、あおば。」




    「とりあえず、離れてくんねぇかな?」
    「色々と当たってるから…」

    「当ててるんですよ!」

    「このビッチめ…」

    「ビッチって何ですか!ビッチって!」

    「最近のお前の行動の事だよ!」
    「朝から騒ぐな…頭に響く。」

    「食堂行きましょ!」

    「着替えてこいよ…」

    「着替えならこの部屋に置いてありますよ?」

    「さも当然かの様に俺の服を着ようとするな!サイズが違うだろ!」

    「え〜…」

    「え〜じゃありません。自分の部屋に行って着替えてきなさい。」
    「そもそも、誰もお前と飯食うとは言ってねぇし…」

    「休日ぐらいゆっくりしましょうよ〜」

    「お前のゆっくりってのはうるさいって意味とおんなじなんだな…」

    可哀想な物を見る目であおばを睨む

    可哀想に…この子も明日には店先に並んでしまうのね…

    「そんな豚を見る目で見ないでくださいって!…コウフンシチャウジャナイデスカ」

    「何か言ったか?」

    「何でも無いですよ〜だ!」

    あらら…拗ねちゃった。
  3. 3 : : 2016/10/28(金) 19:13:00
    「着替えてきましたよ〜司令官!」

    外からあおばの声が聞こえてくる。

    あまり騒いで欲しくない。まだ朝の8時…いくら軍人と言えど休日の奴もいるし朝っぱらから騒いで欲しくない。

    急いでズボンをはき、シャツのボタンを閉めて、松葉杖を持ち鍵を開ける。

    「朝から騒ぐな馬鹿…周りを考えろ」

    「りょーかいです!

    「分かってねぇだろ…」

    あおばの服装はいつものセーラー服調の物ではなく、白いブラウスに青いフレアスカートという美しい姿だった。

    「その…なんだ…その格好可愛いな」

    「突然どうしましたぁ?」

    にやけ顏であおばがこちらを覗いてくる。

    クッソ…前褒めなくて拗ねたから、褒めたらこれだよ⁈もうひどいって!

    「よし、行くか。」

    「はい!」

    こうして、あおばのいう事は大概聞いてしまう俺もダメだと思うが…

    「あれ〜和成さん?食堂いかないんですかぁ?」

    あおば…依田夏希はプライベートになると下の名前で呼び始める。

    「依田ぁ食堂が良かったのか?なら、そうするが…」

    「なつき…夏希って読んでください!」

    「嫌だよ。で、どうすんだ?」

    「和成さんの行きたいところでお願いします…」

    まぁ、松葉杖だからそう遠くまで行けないので鎮守府のすぐ近くの喫茶店に入った。

    「ほぉー時代を感じる内装ですねぇ?和成さん。」

    「そうだな…」

    こんな感じの昭和チックな内装は嫌いじゃないな。

    マスターは寡黙そうで。店内はジャズが流れていた。

    「ご注文は?」

    「ピザトーストとブラックをくれ。」

    「私はフレンチトーストとカフェオレで!」

    「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ。」



  4. 4 : : 2016/10/28(金) 19:14:32
    「今日って何時出発だっけか?」

    「1030ですね。」

    「本当についてくる気かよ…」

    「一人で車椅子動かせますか?今日は新幹線で行くんですよ?無理ですよね?」

    ググっと顔を近づけてきた依田に対し、冷静に

    「それでも、これは任務の片手間とは言え、上層部から命令された里帰りなんだぞ?」

    「いいじゃないですか!私も和成さんのご両親にはご挨拶したいと思ってるんですよ!」

    「付き合ってもいない人間同士で何を挨拶するんだよ…」

    「婚約?」

    「アホかよ…」

    そんなアホの子な旗艦を放って置いて、焼き立てのトーストをいただく。

    チーズがよく溶けていて口の中でふんわりと広がる感じがとても美味しい。

    「ん〜美味しい!あっ、和成さんのも一口下さい!」

    一切れちぎり、依田の口の中にねじ込む。

    「アムッ…美味しいです!」

    「今何事もなく俺の指をしゃぶったのは突っ込んでいいか?」

    「い、言わないで下さい///」

    可愛らしいお顔が真っ赤になっていた。





    コーヒーを飲み干し、そろそろ行こうと声をかけようとすると、依田が新聞を見て難しい顔をしていた。

    「何の記事だ?」

    「この海軍の記事書いた人が私の父なんですよ!」

    知らんがな…

    「で、それがどうした?」

    「あんな飲んだくれの父がこんなまともな文章かける事に驚いてます。」

    「そうか。そろそろ行くか?」

    「はい!」

    代金を支払い、店を出る。




    夏の朝の良い涼しさを感じた。







    ……………………………………




    [次は〜名古屋、名古屋です。】
    【東海道線、中央線はお乗り換えです。】

    「降りるかぁ〜」

    「はい…」

    「眠いのか…寝てたんじゃねぇのかよ」

    ドアが開き、ホームに降りる…

    エレベーターに乗って、移動通路を通ってそのままJR東海道線の大垣方面のホームに向かった。

    ホームには313系の大垣行き快速が止まっていた。

    車椅子のスペースのある車両まで移動して乗る。

    ドアが閉まり、列車が動き出す。

    「依田ー今日の講演会って何時から?」

    「6時ですね。その前に夕食をすませちゃいましょう。」

    「o亀でいいか?」

    自衛隊では出張時の食費が一人当たり500円しか出ない。

    後は自腹だ。

    「○亀って今日のお昼もじゃないですかぁ⁈」

    「なんだよ!自腹をきれってのか⁈」

    無理だ!自腹をきるなど断固として拒否願いたい。

    ………………………………………


    結局自腹をきり、駅のすぐ横にある百貨店の7階のとんかつ屋で食事を済ませた。

    百貨店から駅を挟み、ちょうど反対側にある駅ビルに入りエレベーターに乗る。

    これまた7階に着くと控え室に案内され、軍服に着替える様に言われた。

    軍服と言っても、海上自衛隊の白い制服である。

    制服に着替えると、依田が女性用制服に着替えていた。

    「どうです?和成中将…似合ってますか?」

    「人並みにはな…」

    「朝は褒めてくれたのにィ…」

    「まぁWAVEの制服姿を何度も見たことあるから別に可愛いとかおもわねぇんだよ…」

    「ほぉ…では朝は本気で可愛いと思ったとぉ?」

    顔をグワァーと近づけてきた依田を無視して車椅子の車輪を回し始める。





    …最近顔を近づけてくる事多くないか?

    「待ってくださいよぉ!」




    ………………………………………





    講演会を終え、バスターミナルに向かった。

    「十年も前なのに、よく道が分かりますね?」

    「ちょうどな…横浜のホームと同じ番号のバスターミナルって覚えてて…」

    「横須賀方面の奴ですか?」

    「違う違う…よく遊びに行く時に乗ってた電車が2番ホームから出てたんだよ…」

    こうやって俺は変な風に物を覚える事がたくさんある。

    「変ですねぇ!」

    「そこ力込めて言うところでないだろ…」

    バスの運転手に声をかけ、車椅子を固定してもらう。







    【次は〜繊維センター前、繊維センター前です。お降りの方はお近くの降車ボタンにてお知らせ下さい。】

    降車ボタンを依田に押してもらい、運転手に固定を外してもらって降りる。

    こんな身体になってから依田やら部下達なんかの他人に世話になる事がたくさんあって申し訳なくなってくる。






    閑静な住宅街を少し歩くと、我が家があった…

    十年近く使っていなかった鍵を使ってドアを開ける。




    「ここなんですねぇ?」

    「そうだぞ。」





    さぁ、十何年ぶりの我が家だ!

    「ただいまぁ」
  5. 5 : : 2016/10/28(金) 19:15:24

    「あら!あんたほんとに帰ってきたの?」

    「よう、お袋…つか連絡しただろ。」

    「いやー、あんたの事やから冗談やと思ってなぁ」

    「おー和成!元気やったか?」

    「親父も元気そうで良かったわ」

    「「ほら、入れ入れ!」」

    「随分と仲が良いんですね、和成さんのご両親」

    「だけど…」

    「「わたし(依田)のこと気づいてない(んか)?」」






    「で、その女の子は誰なんや?」

    と、母

    「まさか誘拐か?」

    と、父

    「バッカそんなんじゃ無いって!連絡したろ、例の艦娘って奴だ」

    「「どうみても普通の女の子じゃない(か)!」」

    「あんたらは艦娘のことをなんだと思ってんだ…」

    「お義父さんもお義母さんも私達のことをよくご存知ないのですか?」

    「知らんわぁ」

    「知らんなぁ」

    そう口を揃えて言う親を尻目に依田を睨む

    (なぁ依田?お父さんの字が違うと感じるのは俺だけか?)

    (キノセイデスネーキノセイキノセイ、気にしたら禿げますよー。)

    (そうか、なら良い)

    「お袋、風呂入っていいか?」

    「あんた、そんなんではいれるの?」

    「大丈夫大丈夫、いつも一人で入れるようにしてるから!」

    「良し、俺が背中を洗ってやろう!」

    「そう言うのはいらん、マジで」

    「まぁそう言わずな?」

    「わかったよ」
    「お袋、俺の部屋の中にまだジャージってあったよな?」

    「あるわ、あと夏希ちゃんにはさっちゃんのやつ着せるわよー」

    さっちゃんってのは俺の姉だ。

    「サイズは大丈夫なん?」

    「大丈夫やよ!」

    「んじゃ依田!大人しく座っとけよ〜」

    「了解です和成さん!」






    ………………………………………

    始めまして!私は依田夏希、護衛艦あおばの艦の魂が具現化した艦娘っていう仕事?をしています。

    私には思い人がいます。

    彼の名前は遼河和成、私の艦長さんです。

    私が深海棲艦に誘拐されて、変な改造を施されて、人間を攻撃してしまった時に手を差し伸べてくれた人です。

    助けてくれた時は、自分よりも私を優先して助けてくれました。

    まぁ、そんな事はおいといて今日は泊まりがけの出張みたいなものです。

    たまたま、和成さんのご実家があるということでとまらせていただけることになりました。

    今、和成さんはお義父さんとお風呂に入っています。

    それで、私はというと和成さんのお母さんとお話をしています。

    「で、夏希ちゃんはうちの馬鹿息子の何処が気に入ったの?」

    「え…いや…えっと」

    「あんたがうちの息子に想いを寄せている事なんて、誰にもわかるよ。正直に話しなさい?」

    そんな風に優しく話しかけてくれるお母さんは良い人だと思いました。

    「私、深海棲艦だったんです。でも和成さんの艦、今の私の艦が私を救ってくれたんです。

    その後私は沈没していく船の中で気が付きました。

    でもそのあとすぐに気が遠くなって、死ぬ事を自覚しました。

    でも次に気がついた時は護衛艦の艦上にいたんです。

    あの時和成さんに助けてもらわなかったら…

    私はもう一度深海棲艦になるか、海の藻屑となっていました。」

    「そう…



    あ〜もうこんな湿ったい話はやめにしよう!」

    「でも、和成さんと出会ってから色々な経験をする事ができましたし、今の艦隊には誇りも持てます!」

    「それ、本人に言いな…あいつそういうのに弱いから」
    「良し、私らも一緒にはいるか!」

    「えっ…ちょっと待ってください!」


  6. 6 : : 2016/10/28(金) 19:16:50
    久しぶりの母校である。

    確か最後に来たのは、防衛大に受かった時の報告以来だ、もうすぐで20年経つか?

    海自の白制服を身に纏い、あおばと共に学校を訪れた。

    車椅子に乗ってバスを乗り、駅からバスを乗り継いで学校前で降りた。

    車椅子を押していくと

    玄関には俺の時代にも宗教(要するに私立の学校の道徳)を教えていた学校長先生がいた。

    「お久しぶりです学校長先生」

    「遼河君も元気そうで何よりだ。

    しかし、あんな学校始まって以来のやんちゃな学生が国を守っているとは思えないね。」

    「ははは…確かに学生の頃はやんちゃしましたからねぇ。」

    確かに成績は良かったが、生徒指導の回数もハンパじゃなかった。

    「私の授業を全部寝ていた学生はあとにも先にも君一人だよ。」

    「そうですねぇ…まぁ本題に戻りましょう。こちらが依田少尉です。」

    「依田夏希、少尉です。」

    「君が例の艦娘っていう奴なのかい?」

    「そうですね。」

    「では、二人ともを歓迎します。中に来なさい。」

    校内は段差も無く、車椅子にはありがたい状況だ。

    すれ違う学生達は訝しむ様な顔で見ながらも挨拶をしてくる。

    「少将、この学校すごいですね。みんな挨拶をしてきます。」

    「まぁ、この学校の特徴でもあるしな。」

    「そうなんですか。」







    「お久しぶりですッ!マ…中田先生!」

    「お前今ママっte」

    「言ってないですよ!」

    「でも今マm」

    「気のせいですねー!」

    「マm」

    「空耳じゃないですか⁈」

    「まぁ、いいや。ニュース見たぞ、あの記者会見。」

    「なっ、あれ見たんすか?」




    「「ハハハ!」」

    「あの…お二人とも?私はどうすれば」

    「あぁーすまん少尉。先生、俺らの時間って何時ぐらいっすか?」

    「あと30分ぐらいだな。それまでは校内を見にいくぞ。」







    スピーチは無事におえ、質疑応答に変わった。

    【では、お二人に質問のある生徒は挙手しなさい。】

    まばらだが、何人か手が上がった。

    「中学五年、中村智です。遼河さんが車椅子なのは、深海棲艦との戦闘によってですか。」

    「そうですね。私は護衛艦あおばに航海長として勤務していましたが、深海棲艦に砲撃されその時に左足にこれぐらいの」

    両手でいつの日か左足に刺さった破片の大きさを表す

    「ガラスの破片がささって神経がブチ切れたんですよ。そのせいですね。」

    「…ありがとうございます。」

    「四年の佐々木です。本土が戦場になる事はあるんですか?」

    「君達は、戦場を知っているか?

    私たち軍人は、敵を殺す事が仕事だ。

    命令があれば、どんな手段であれ、奴らを殺さなければならない。




    私たちだって、奴らが生きている事は分かる。

    でも、私たちは守るために殺さなきゃならない。

    君達や、君達の家族を、

    そんな思いをした奴が軍人で、

    軍人が集まるのが戦場だ。

    もしも、本土が戦場になった時…
    恐らくその頃は、私はこの世にいない。

    けど、私は死ぬ気はない。

    この国の美しい風景、優しい人達をなくす気も全くない。

    軍人にはたらればやもしもなんかは認められない。

    私達は本土が落ちる事はないと考えている。

    以上です。」

    ………




    この後は、そこまで踏み込んだ質問も無く、つつがなく進んだ。

    「今日は良かったぞ…」

    「中田先生も教頭まで上がったんですね?」

    「すごいだろう!」

    「結婚は?」

    「アハハ…言うな」

    「アッハイ」

    「少尉、行くぞ」

    「はい!」

    「「では。」」

    「またこいよ!」




    歩きだす。また、くそったれな戦場に。

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著者情報
ddh196aoba

護衛艦あおば

@ddh196aoba

この作品はシリーズ作品です

もしも2023年に深海棲艦が現れたら。 シリーズ

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