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仮面ライダーぼっち8

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  1. 1 : : 2013/12/13(金) 22:57:35
    VSかおり(シザース)編 完結!

    「Trick Vent」
    「Coppy Vent」
    分身した雪ノ下と、その分身技をコピーした由比ケ浜、計十二人の彼女たちが、かおりを攻撃していた。
    「はぁぁぁっっっ!!」
    「とうっっ!!」
    「グゥッッ……」
    休むことなくかおりに攻撃を浴びせる。
    「これで……」
    「させないっ!由比ケ浜さん、耳をふさいで!」
    「Nasky Vent」
    「キィィィィィッッ!!」
    「ウウゥゥッッ……。」
    カードをスキャンしようとしたかおりを、超音波攻撃で雪ノ下が遮る。
    「Advent」
    「いけぇっっ!!」
    「クァァァッッ!!」
    由比ケ浜のエイのモンスターが、突進を仕掛ける。
    「ああ…あ……。」
    かおりはもう死亡寸前だ。
    ……。
    「やめろ……。」
    それは、お前たちがやることじゃない。
    俺がこの手で、やらなきゃいけなかったんだ。
    だから……。
    「Strike Vent」
    「やめろぉぉぉっっっ!!!」
    俺の放った炎が三人に襲いかかる。
    雪ノ下も由比ケ浜もほとんどダメージを受けていなかったので、この攻撃でどうということはないはずだ。
    「え!?」
    「ヒッキー!?」
    二人はとっさに攻撃を避ける。
    俺はかおりのもとへと駆け寄る。
    庇うようにしてその前に立つ。
    「比企谷君……、どういうつもり?まさか、その女をかばうというの?」
    「ヒッキー……。」
    「ひ、比企谷……。ありがと。私、ほんとはね、あなたのこと……好き…。」
    「黙れ。」
    「え?」
    「勘違いするなよ折本。俺はお前を助けたんじゃない。ただ、お前は俺自身の手で倒したかった。他の誰かに手を汚させたくなかった。それだけだ。……雪ノ下、由比ケ浜、すまない。そういうわけなんだ。悪いが、手を引いてくれないか?」
    「……そう、この件に関してはあなたの問題よね。いいわ。由比ケ浜さんも、それでいいかしら。」
    「うん。ねぇ、ヒッキー、無理、しないでね?」
    「わかってる。ありがとう。……折本、一週間後、この場所に来い。一対一で、決着をつけよう。三対一で狙われるよりは、ずいぶんいい条件だろ。」
    「……わかった。」
    「それじゃぁな。」
    そして俺達は、鏡の世界を去った。
  2. 2 : : 2013/12/13(金) 23:02:51
    「雪ノ下、由比ケ浜、今日は、ありがとな。その、さ……すげぇ、うれしかった。」
    こんなに自分を肯定してもらったことは今まで一度もなかった。
    本当に、本当にうれしかった。涙が出そうになった。
    まったく、これでもぼっちの道を突き進んできたつもりだったんだがな。
    「別に。私はやりたいようにやっただけよ。……それでも、あなたが私たちに恩を感じているというのなら、絶対に勝ってきなさい。」
    「そうだよ!また三人で部活やるんだからね!……応援してるから。」
    「ありがとう。」
    今までにない満たされた気持ちで、俺は帰路についた。
    折本、あの時俺を振ってくれてありがとな。おかげで俺は、最高の仲間に出会えたよ。
    しないなあ。ああ、しない。
    「負ける気が……しない。」


  3. 3 : : 2013/12/14(土) 17:10:16
    約束の一週間後は、あっという間に来た。
    「よう、折本。」
    俺の呼び掛けに彼女は答えない。まぁ、今から殺し合いをするというのだから当然だろう。
    「……あの二人は、来てないんでしょうね?」
    「ああ、約束は守る。」
    「そう……。なら、もう始めましょう。」
    「そうだな。」
    「「変身っ!!」」
    黄土色の蟹のライダーと対峙する。
    「そうだ、名前を、聞いていなかったな。教えてくれよ。」
    なんとなくだが、ふと気になった。雪ノ下は仮面ライダーナイト、由比ケ浜は仮面ライダーライア。彼女にもきっと名があるのだろう。戦うための名が。
    「シザース、仮面ライダーシザース。」
    「そうか、シザースか、俺は、龍騎。仮面ライダー龍騎だ。」
    「いくぞ!」
    「Sword Vent」
    「Strike Vent」
    俺は剣を、シザースはハサミの武器を装備する。
    「はぁっっ!!」
    ガァン、キィン、キィィンッ!
    激しい衝突。
    純粋な力のぶつかり合いが20合ほど続く。
    少しマンネリ化してきたので、俺は少し戦法を変えることにした。
    「Trick Vent」
    雪ノ下が使ったのと同様の分身技だ。5体の分身体とともに彼女に波状攻撃を繰り出す。
    「はぁっ!」
    「うっっ!」
    6対1では多勢に無勢。分身体は、一撃でも攻撃を与えれれば消えるのだが、なかなかそれができない。
    「やぁぁっっ!」
    6人を円の形で囲み、いっせいに剣を振り下ろす。
    「ぐうっ!」
    彼女はその場に倒れ伏す。
    それと同時に、役目を終えた分身体が消滅した。
    「だぁぁっっ!」
    無防備なその背に、剣で追撃する。
    「ま、待ちなさい!」
    「そう言われてやめると思うかっ!」
    キィン!キィン!キィィンッッ!
    「ぐはっっ…こ…れで……。」
    「Advent」
    突如、蟹のモンスターが出現する。
    「お、おまえ……。」
    蟹の両手に、一人の女性が捕われていた。
    「こ、攻撃をやめないと、あの女がどうなっても知らないわよ?」
    「お前……卑怯な真似をっっ!」
    気を失っているその女性は、間違いなく俺の妹、比企谷小町だった。
    「命がかかってんのよ。このくらい、当然よ!」
    「……抵抗するんじゃないわよ。」
    まずい、これは……どうしたものか。これじゃぁ俺は攻撃できない。
    「ハァッッ!」
    ザッ!ガッ!ガキィッッ!
    鋭利な蟹のはさみが俺の体を抉る。
    「がはぅぅっ!」
    「ふんっ!マヌケね!あの時三人がかりでかかってくればよかったのに。」
    どうする?一か八か反撃するか?どうせこいつは俺を倒した後で小町も始末するだろう。なにせモンスター強化のために一般人を襲わせているような人物だ。どう考えても小町を開放するとは思えない。
    しかし、しかしだ。今俺が攻撃すれば、まず間違いなく小町はやられる。
    そんなことは……
    「ほら!ボサッとするなッ!」
    ガキィィィッ!
    攻撃は止まない。どうしようも、ないのか……。
    「キィィィィィィッッ!!」
    突如聞こえた、聞きなれた超音波。
    「ううっっ……図ったな……。」
    シザースが頭を押さえる。
    「まったく、心配して来てみれば……。やはりあの時確実に始末するべきだったようね。」
    「大丈夫!?」
    雪ノ下が蟹のモンスターをおさえ、由比ケ浜が小町を救出する。
    「由比ケ浜さん、この子を連れてもとの世界に戻って。」
    「わかった!すぐ戻るからね!」
    「ええ。でももう、その心配もないと思うわ。」
    そして由比ケ浜は消えた。これでもう、俺を縛るものはない。
    「ハァァッッ!」
    強く剣を握り、シザースの胴を斬りつける。
    「比企谷君、いえ、龍騎。助太刀するわ。」
    「いや、俺にやらせてくれ。」
    「でも、卑怯な手を取ったのは相手の方よ?」
    「それでもさ。こいつは、俺だけの力で倒さないと。」
    「…そう。わかったわ。まったく、以外と頑固なのね。」
    雪ノ下はそう言って、後方に下がる。
    「これで……終わりだ。折本かおり。」
    「Final Vent」
  4. 4 : : 2013/12/14(土) 17:29:49
    「クッッ……」
    「Final Vent」
    シザース、いや、折本も覚悟を決めたらしく、必殺のカードをスキャンする。
    高くジャンプし、ドラグレッダーの炎を浴びて急降下からのキック攻撃、「ドラゴンライダーキック」を繰り出す。
    対して折本は、契約モンスターの蟹のハサミに持ち上げられ、クルクルと回りながら上昇しながらの攻撃、シザースアタックを放つ。
    「ダァァアアアアアァァァァッッ!!」
    「ハアアァァァァァァッッ!!」
    「ドガッッッ!ガァァァンッッッ!!」
    激しく衝突し、爆発が起きる。
    「グオッッ……。」
    着地するも、受けたダメージに耐え切れずその場に倒れる。
    「フッッ……勝った。」
    振り向くと、折本は着地し、その場にしっかりと立っていた。
    その、次の瞬間。
    パリィィィィィィインッッ!!
    「え?何よ、何よこれっっ!」
    彼女のバックルが、こなごなに砕け散った。
    そう、これこそが俺の狙い。雪ノ下から聞いたのだ。このバックルとベルトがライダーの生命線、つまりこれを失えばライダーの力を失うと。
    まぐれ?偶然?奇跡?違う、最初から狙ってた。
    最初から、彼女のバックル、それだけを。
    「アアアアアアァァッッ!」
    ライダーの力を失った彼女が、もとの人間の姿に戻る。
    「そんな……」
    「ガァァァァッッ!」
    すると、折本のすぐそばにいた蟹のモンスターが、彼女に襲いかかった。
    「や、やめなさい!私よ!私がわからないの!?あっ、あっ、あああああああああああああああああっ!!」
    断末魔を挙げて、彼女は捕食された。
    「おおよそ、人間を見境なく襲うように命令していたのでしょう。自業自得ね。」
    「グルアアアァァッッ!」
    契約が解除され、野良モンスターとなった蟹が雪ノ下に襲いかかる。
    「ボルキャンサー、ね。比企谷君。このモンスターは私が始末してもいいかしら?」
    「あ、ああ。」
    「ありがとう。それじゃ、早速決めましょうか。」
    「Nasky Vent」
    「キィィィッッッ!!」
    「ガァァッッ!」
    「Final Vent」
    超音波によりまともに相手が動けないうちに、雪ノ下は必殺技を繰り出す。
    「飛翔斬っっ!!」
    ドリル状になった雪ノ下とダークウイングが、ボルキャンサーとかいう蟹のモンスターの堅い甲羅を突き破った。
    ドガァンっ!というけたたましい爆発を残して、蟹のモンスターも消滅した。
    そのエネルギーをダークウイングが吸収した。
    ドラグレッダーには申し訳ないが、えさは少しの間がまんしてもらおう。
    「……終わったわね。」
    「そうだな。あいつを殺したのは、俺だ。だけどなんだか、すっきりした気分だよ。」
    「そう。彼女も、命をかけて、そのリスクをわかった上でこの戦いに望んでいた。だからあなたが気に病むことは何もないわ。」
    これが彼女なりのフォローなのだろう。
    「ありがとな、雪ノ下。」
    「……。戻るわよ。由比ケ浜さんが待ってるわ。」
    「ああ。」
  5. 5 : : 2013/12/14(土) 17:46:18
    「ゆきのん!ヒッキー!そっか、終わったん、だね。」
    「ああ、いろいろと心配かけたみたいで悪かったな。」
    「ううん、気にしないで。」
    「今日は、少し疲れた。俺、帰るわ。また、部活でな。」
    「ええ、さようなら。」
    「……ちょっと、待って。」
    「どうした?」
    「ヒッキーは、昔に、決着をつけたんだよね。」
    「ん?あ、ああ。そうだな。そうなるんだろうな。」
    「そう、だよね。……私も。」
    「は?」
    「私も、けじめをつけるよ。」
    なに言ってんだ、こいつ。さっぱり話が読めない。けじめって何だ。指でも切るつもりかよ。
    「私、ヒッキーに言わなきゃいけないことがあるの。」
    「なんだ?」
    「ねぇ、ヒッキー、入学式の日のこと、覚えてる?」
    入学式……だと?
    「キャン!キャンキャン!」
    その日俺は、新たな生活に胸を躍らせ、本来よりも一時間早く家を出た。
    それが運のつきだったのかもしれない。
    どこかのバカな飼い主が犬のリードを放し、その犬が道に出た。
    そこに運悪くいかにも金持ちが乗ってそうな黒いリムジンが襲来。その犬の窮地を、俺がその身を呈して守ったのだ。
    そして俺はしょっぱなから三週間の入院。入学ぼっちが確定した瞬間である。
    「いや、俺入学式でてねぇんだわ。その日は交通事故にあってな。」
    「ごめんなさい。」
    「は?」
    「ヒッキーが助けた犬の飼い主って、私なの。」
    「……。」


  6. 6 : : 2013/12/14(土) 20:29:56
    「ごめんなさい。本当は、もっと早く言わなきゃいけなかったのに、どんどん言いづらくなって……。」
    彼女の眼に涙が浮かぶ。
    「いいんだ。もう。あの事故がなくても俺はどうせぼっちだったしな。それに……いまは、お前らがいるから。」
    恥ずかしい。なんて恥ずかしいセリフだろう。言ったあとで後悔する。こんなの俺じゃねぇぞ。
    「ヒッキー……。」
    だがまぁ、その笑顔が見れたんならよしとするか。
    「ま、気にすんなよ。」
    「ありがと。」
    「……比企谷君、由比ケ浜さん。私もあなたたちに、言っておきたいことがあるの。」
    「ん?なんだ?」
    「由比ケ浜さんの犬、比企谷君を轢いてしまったのは、私の家の車なの。」
    「雪ノ下……。」
    そうだ、こいつのおやじ、建設会社の社長で、県議会の議員だったっけ。
    「でも、それはゆきのんのせいじゃないよ!車道に走って行ったサブレが、、そのリードを放した私が悪いんだし。」
    「だけど……。やっぱり、加害者は私よ。」
    「それに、ゆきのんは乗ってただけで、運転してなかったんでしょ。なら、ゆきのんは悪くないよ。」
    ああ、何という光景だろうか。普通に考えれば加害者と被害者の関係の二人が、互いをかばいあう。その光景は、これ以上になく美しくて。
    「ねぇ、ヒッキーはどう思う?」
    「雪ノ下も由比ケ浜も自分が悪いっていう。俺も、自分に悪いところがあると思ってる。なら、全員が同じように悪いってことでいいじゃねぇか。それで、これからやり直していけばいいだろ。これから過ごす時間の方が長いんだから。」
    「ヒッキー……。」
    「比企谷君……。」
    「そういうことで、いいんじゃねぇか?」
    「あなたが、そういうなら。」
    「うん、わかった。」
    「よし、んじゃぁそういうことで。さて、んじゃぁこれからどうする?三人でどっかいくか?」
    「うん!そうしよう!」
    「私、そういうのは経験がないのだけれど……。あなたたちとなら、楽しく過ごせそうでわ。」
    「じゃぁ、決まり!」
    なんだ、以外と俺の青春ラブコメも間違ってねぇじゃねぇか。

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kusutti

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