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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

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もうひとつの物語

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  1. 1 : : 2015/07/15(水) 14:36:26

    どうも、おはこんばんちは。作者咲紗です。
    今回はシリアスな物語を書いていこうと思います。なんとあのチート野郎がいません。やったね!
    その代わりに、謎の登場人物がいます。人物かどうかすら怪しいですが。

    ・誤字脱字、理解不能で読みづらいかもしれないです。悪しからず。
    ・妄想、中二病炸裂のお話です。
    ・キャラクターの口調、一人称等、原作と違ってしまっている場合があります。
    ・更新は例のごとく遅いです。


    では、次レスから開始といたします。
  2. 2 : : 2015/07/15(水) 14:44:39

    希望ヶ峰学園。

    都市の中心に校舎を構える大規模な学園。

    この学園は、将来の希望のために超高校級と言われる才能を持つ生徒をスカウト、教育する政府公認の学園である。

    入学の条件は二つ。

    「ある分野において超高校級の才能を持つこと」
    「現役の高校生であること」

    入試や面接などは無く、学校側のスカウトのみにおいて入学が許される(例外もあるが、それはまた別の話)。

    ゆえに、希望ヶ峰学園を卒業すれば、人生は成功したも同じであると言われている。いわば、人々の希望の象徴である。




    そんな学園が舞台の、絶望と希望の物語。

  3. 3 : : 2015/07/15(水) 15:00:03


    希望ヶ峰学園が設立される何百年も前の話。

    かつて学園の敷地であったところは、鬱蒼とした森林で、自殺の名所だった。


    周囲の人々から迫害され、生きることに絶望した者。

    借金に借金を重ね、生活ができなくなった者。

    許されぬ恋に落ち、絶望した者。

    生まれたことを歓迎されなかった者……。


    心中する者が絶えなかったにも関わらず、為政者たちは目もくれなかった。

    そんな森林で、霊がでるという噂が広まった。

    十にも満たない幼い少女の霊が突っ立っているという噂。
    かつて親に見放され、彷徨っているうちに森林で息絶えた少女と語られた。

    やがて、霊の噂の所為で、その森林には誰も立ち入らなくなり、自殺の名所ということも忘れ去られてしまった。



    そして、その森林の哀しい記憶は消え、希望ヶ峰学園が創設された。


    もし、この噂が現代に残っていれば、迷信と一蹴されてしまうだろう。


    しかし、その少女の噂は、真実だった。
  4. 4 : : 2015/07/15(水) 15:10:36

    少女は森林が無くなった後も、希望ヶ峰学園を彷徨っている。現に今、賑わう学校で一人寂しげにしている。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    私は、ずっと、ここにいる。


    何度も春が来て、夏が来て、秋が来て、冬が来た。


    ここが森だった頃から、ずっと。


    どうしてここにいるのかは理解できない。


    分かるのは、私はとっくの昔に死んでいるということ。


    俗にいう、幽霊。


    生前の記憶はあんまりない。十に満たないうちに死んだのは憶えてる。


    でも、ほかは分からない。長い時を過ごす内に、忘れてしまった。


    どうやらここは、自殺の名所だったらしい。だから、ここで亡くなった人々の記憶や知識、未練なんかが私に蓄積している。

  5. 5 : : 2015/07/15(水) 15:23:09

    幽霊とかに詳しい人の知識が教えてくれた。


    私は地縛霊で、ここに縛られる。この地を離れられない。


    だから、ずっと退屈だった。最初は色々試してみた。


    幽霊だから、空は飛べる?物は触れる?


    わかったことは、森林から出なければ宙を舞える。物は触れない。人や壁は通り抜けることができる。


    でも、わかりたくなかったことがひとつ。


    私は、かなりの霊力を持っているということ。沢山の人の命を蓄積してきたせいで、ちょっとした霊能力が使えるようになってしまった。


    意識しなければ発動しないからいいけど、人目に触れてしまうのが厄介だった。


    でも、噂が広まって、ついには誰にも覚えてもらえなくなった。


    気持ちは軽くなった。けど、寂しかった。


    することがないから、ずっと、ぼーっとしていた。


    何回も四季が巡って、いつしか大きな建物ができて、森が無くなった。


  6. 6 : : 2015/07/15(水) 15:32:28


    建物には、何人もの人が出入りしていた。


    皆同じ服を着て、大きい部屋で何かやっている。


    面白そうで、ちょっと見てみた。


    どうやら、視認されなくなった。忘れ去られたお蔭らしい。


    建物の工事中に亡くなってしまった人の記憶に聞くと、ここは学校で、しかも特別な学校らしい。


    ふうん、それは面白い。きっと、才能のなかには、私の相手が見つかるかもしれなかった。


    だから、一生懸命探した。私を見ることが出来る人を。







    でも、





    見つからなくて。




    70年間、ずっと探したのに。




    いない。





    誰も、見えない。





    誰も、相手をしてくれない。





    寂しい。





    寂しい。




    寂しい。



    寂しい。

    寂しい。

    寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい寂しい
  7. 9 : : 2015/07/15(水) 17:59:38

    ?「ねえ、君、どうしたの?」

    ?「学園の人じゃないですよね……子供ですし」


    声をかけてもらった。二人組の男女。この学園の生徒かな。


    「誰?」


    幽霊になって初めて、声を発した。


    苗木「僕は苗木誠」

    舞園「舞園さやかです。あなたの名前は何ですか?」


    「名前……」


    名前なんて、ない。覚えてないのに。



    「名前は、ないの。だって私……」


    ?「苗木ー!さやかちゃーん!どうしたの?」

    舞園「朝日奈さん、大神さん」

    苗木「学園に子供がね……」

    大神「…………!」

    朝日奈「あ、可愛いじゃん!どうしたのかなー?」スッ


    朝日奈と呼ばれた活発な印象の子が触れようとする。


    けど、触れることはかなわず、空を切る。


    苗木「え?」

    大神「その者は……もう……」

    「…………?どうして怖がらないの?どうして逃げないの?」

    舞園「怖がってほしいんですか?」


    舞園という、不思議な少女が首をかしげる。

  8. 10 : : 2015/07/15(水) 18:07:33

    「だって、私、幽霊なんだよ?」

    朝日奈「でも、ねえ、皆」

    大神「こうして困っている者を放っておくわけにはいかないからな」

    苗木「きっと、他の人にも見えるんじゃないかな?僕たちにも見えるんだし」

    舞園「えっと、幽霊さん……お話を聞かせてもらえませんか?」

    朝日奈「ここじゃなんだし、食堂行こ!」

    「え?え?」


    戸惑う私を他所に、四人は話を進める。朝日奈が立つよう指示して、どんどん歩いていく。


    ついた先は、寄宿舎の食堂。ずっとふらふらしていたから間取りは全て覚えていた。

  9. 11 : : 2015/07/15(水) 18:35:19

    苗木「あ、石丸君、皆ーー」

    石丸「君たち!遅いじゃないか!」

    舞園「そういえば、もう夕食の時間でしたね」

    朝日奈「ちょっと立て込んでたんだよ。仕方ないじゃん」

    大神「遅れてしまったことはあやまる……すまない」

    ?「ところで……その子は?」

    ?「迷子?」

    ?「は?学園で?」


    皆の視線が、私に集まる。


    「どうして、皆見えてるの?」


    私の質問に、困惑する皆。


    苗木「この子はね……幽霊なんだよ」

    ?「オ、オカルトは信じねーんだ!」

    ?「ちょ、ちょっとは黙ってなさいよこのウニ頭!」

    「…………怖くないんだ」


    呟きは、1人の少女に届く。


    ?「貴女は、怖がられる為にいるんですか?」

    「違う……私は、びっくりしているだけ。だって、ずっと見てもらえなかったから」

    ?「………っは、幽霊も所詮はその程度か。お前らと何ら変わりない」

    ?「お前は相変わらずだな……」

    「…………………………………私は……」



    今までのことを全て話した。


    何故だろう。


    何だか、この人達には心を許してもいい気がする。

  10. 12 : : 2015/07/15(水) 19:13:45

    ついでに、自己紹介もしてもらった。


    霧切「……信じ難いけど、信じる仕方ないわね」

    大和田「ま、実際に目の前にいて生々しい話聞かされちまったら、信じるしかねーよな」

    「それでも、怖くないの?」

    朝日奈「怖いっていうより、可愛いよ!」

    「可愛い……?」


    その言葉に耳を疑う。


    可愛いだって?


    私でさえ、姿はわからないのに。


    江ノ島「鏡で見てみる?写るかわかんねーけど」

    戦刃「盾子ちゃん……」


    江ノ島が出した鏡に身を写す。


    初めて見る自分の姿……。

  11. 13 : : 2015/07/15(水) 19:26:28

    「これが、私?」

    朝日奈「どうどう?可愛いでしょ?」

    舞園「同じアイドルだったら、ライバルになりそうですね!」


    鏡には、私。


    黒いおカッパ。


    丸い瞳。


    血色の悪い白い肌(逆によかったら逆に怖いが)。


    細い手足。


    薄蒼のワンピース。


    「可愛いとか……わからないんだけど」

    大神「乙女らしい姿だ……」

    山田「清楚系幽霊少女!ありですな!」

    セレス「ダーッてろビチグソが!……でも、妬ける位可愛らしいですわ」

    「そうなの?」

    桑田「舞園ちゃんに負けない位可愛いぜ!」


    皆が私を取り囲んで口を揃えて『可愛い』という。


    朝日奈「うんうん!じゃ、皆、この子、どうする?」

    「え?」

    霧切「大丈夫よ。追い払ったりはしないわ」

    苗木「うん。そうだね。皆もいいよね」

    十神「っは!好きにすればいい」

    不二咲「僕も、いいよ」

    「何が?」


    戸惑う私をにこやかに見つめる皆。

  12. 14 : : 2015/07/15(水) 20:42:23

    石丸「では、多数決を取ろう!」

    腐川「な、なんでアンタが仕切っているのよ……暑苦しい……」

    石丸「腐川君!君には協調性というものがないのかね!」

    腐川「ううう、うるさいわね!アンタみたいなどっかのテニスプレイヤーのように暑苦しい奴に言われたくないわ!」

    苗木「と、とにかく、彼女と一緒にいるのに賛成だよね?」



    一緒にいる?こいつ等は何を言っている?


    しかも、なんで頷いているの?


    朝日奈「よかったね!」

    「あの、状況がわからないんだけど」

    霧切「だって、貴女ずっと見ていたじゃない」

    「気付いてたの?」

    江ノ島「フツー気付くっての!残姉ちゃん並に天然?」

    戦刃「え、酷い……」


    確かに、この16人のことは入学してきた数週間前からずっと見ていた。


    何だか、楽しそうで、羨ましかったから。


  13. 15 : : 2015/07/15(水) 22:07:50

    舞園「だから、皆で話し合ったんです」

    葉隠「祟られても怖いからな!仲良くして損はないべ?」

    桑田「お前本当にアレだな……。でもよ、いいんじゃね?」

    朝日奈「そうだよ!」

    山田「決まりですな」

    セレス「では、これから貴女は17人目の78期生ですわ」


    とんとん拍子で話が進む。怖いくらいに。


    朝日奈「じゃあ、やっぱりここは、超高校級の幽霊?」

    大和田「おいおい、それはどうなんだ?」

    「ふふっ」


    つい、笑ってしまった。


    笑うのなんて、何時ぶりだろう。


    不二咲「あれ?どうしたの?大丈夫?」

    「え?」


    大丈夫と聞かれて、気付く。


    泣いている。


    どうして?涙が出るの?


    嬉しくて、嬉しくて、涙が止まらない。


  14. 16 : : 2015/07/16(木) 13:42:30

    苗木「大丈夫?えーっと……」

    舞園「名前がないと不便ですよね」

    不二咲「皆で考えてあげたらどうかな?」


    名前?そんなの、皆に悪い。別に幽霊って呼んでくれても構わない。


    舞園「遠慮はいらないですよ?」

    「え!?」


    考えを読まれた?何で?


    舞園はやっぱり不思議だ。


    舞園「エスパーですから」


    確かこの子は、超高校級のアイドルだったはずなのに…………。


    舞園「ふふ、冗談ですよ」

    苗木「舞園さんのその冗談、本当に当たってるんだよな」

    葉隠「じゃあエスパーなんだべ!」

    山田「クドいですぞ」

    桑田「舞園ちゃんの言う通り、名前がないってのも不便だよなぁ」

    大神「何かいい名前はないか……」

    腐川「ゆ、幽霊なんだし、無難に魅霊(みたま)とかでいいんじゃない?」

    朝日奈「お、いいんじゃない?魅霊ちゃん!」

    魅霊「魅霊?」

    十神「及第点ってとこだな……」

    腐川「お褒め頂き光栄です!」


    御霊っていうのは本来、荒霊や和霊などを示す神道用語なのだけれど。


    まあいいか。


    私は魅霊。


    うん。いい響き。


    舞園「よかったですね。魅霊さん」

    苗木「流石腐川さん。ネーミングセンスがいいよ!」

    腐川「お世辞なんていらないわよ」

    霧切「では、本題に入るけれど、魅霊さん、どうして貴女は私たちに見えるのかしら?」


    確かに、霧切の言うことは一理ある。


    どうして今まで誰にも見てもらえなかった私が、この人たちに見えるのだろう?


    私の中に聞いても答えは返ってこない。


  15. 17 : : 2015/07/16(木) 14:01:43

    ?「おい。もう夜時間だぞ」

    石丸「豚神(とがみ)先輩!すいません。すぐ出ていきます」

    ?「そんな急かさなくたっていいじゃないっすかー!」

    苗木「あれ、先輩方揃っていたんですね」

    ?「そうですぅ。ちょっと集まって話を……」

    ?「おいゲロブタ!アンタには聞いてないってわかんないの!?」

    ?「ふぇええ!すみませぇん!体の好きなところに落書きしていいので許してくださぁい!」

    ?「日寄子ちゃん、そのくらいにしてあげて……」


    一個上の学年と思しき人たちがやってきた。


    やっぱり、この学年にしか見えてないのかな?


    豚神「しかし、さっき俺たちが話していた事と、お前たちに関係があるな」


    豚神という人が、私に目をやる。


    どういうことか、さっぱりだった。


    朝日奈「もしかして、見えてたんですか!?」

    ?「うん。勿論だよ。凄いよね!僕みたいな最悪で劣悪で愚かな人間が、彼女が見えるだなんてね!」

    ?「てめえは本当に通常運転だな……」


    見えている?


    私が?


    もしかして、


    私ってば、有名?


    そんなはずないか。我ながら馬鹿馬鹿しい。


    魅霊「見えてたんだ」

    ?「ぎにゃああああああああああ!!!!!喋ったぁああああああああああ!!!!!」

    ?「黙れ雑種!……まあしかし、非常に愉快だ!この制圧せし氷の覇王と同等のレベルの人間がこんなにも存在するとはな!この世に生まれ落ちたのも、ある意味奇跡という名の運命だったのかも知れんな……クク、フハハハハハハハハ!!!!」


    賑やかな人たちだなぁ。


    こんなに楽しいって思えたのは初めてだ。


    霧切「なんにせよ、私たち78期生と、先輩方77期生にしか見えてないようね」

  16. 18 : : 2015/07/16(木) 14:10:12

    豚神「そうだ。まあ、お前たちが仲間として迎えたなら、俺たちもそういう風に扱おう」

    苗木「そうしてくれるならありがたい限りです」

    ?「うんうん!じゃあ早速、どんなものなら食べられるのか一緒に探そう!ンフフ!」

    ?「お前は……」

    魅霊「……本当にいいの?」

    朝日奈「そうだよ魅霊ちゃん!私たちは友達!仲間なんだよ!」

    ?「幽霊の友達とか痺れるっすー!」

    ?「これそジャパニーズ幽霊ですね!」

    仲間。


    この人たちと触れ合ってから、驚きの連続だ。


    実は二学年には見えていて、


    受け入れてくれることを選んでくれて、


    名前を考えてくれて、


    仲間だと言ってくれた。


    これが、幸福?


    いや、まさしく希望。


    死んでも、希望が見えるなんて。


    ずっと、彷徨うだけの、


    絶望が、


    希望に変わった。

  17. 19 : : 2015/07/16(木) 14:17:24

    豚神「とにかく、もう夜時間だから皆休め。明日もあるんだからな」

    石丸「皆!早く寝たまえ!」

    セレス「夜更かしはお肌に悪いですものね。では、また明日」


    そう言って、各々部屋に戻り、皆眠りについた。


    私だけが、眠れないけど。


    それでも、夜明けが楽しみだった。






    翌日から、私たちは充実した日々を送った。


    皆が私に挨拶をしてくれて、


    いろんな話をしてくれた。


    私も、今までのことを話したりした。


    個人の催し物にも参加させてくれた。


    これがずっと続けばいいと願った時もあった。


    全てが新しくて、毎日が楽しかった。




    少なくとも、一年前は。


  18. 20 : : 2015/07/16(木) 14:24:18

    起こってしまった。


    絶望的な事件が。


    多くの人が、死んだ。


    78期生と、学園長のみが生き残った。


    その一縷の希望でさえ、踏みにじられた。


    あの16人の中に、紛れていたんだ。


    超高校級の絶望が。


    どうして気付けなかったんだろう。


    どうして止められなかったんだろう。


    皆は許してくれたけど、その皆さえ---------


    ねえ、****、何をしているの。


    やめて。


    それをしたら、ダメ。


    死んじゃう。彼女の*****が。


    それを押さないで。


    なんでやめないの。




    やがて、轟音が聞こえて、


    誰かの死に絶えた声が聞こえて、


    目の前の****の笑い声を聞いて、


    絶望した。


  19. 21 : : 2015/07/16(木) 14:29:21

    始まってしまう。


    見たくない、皆の絶望が。


    ?「これは盛り上がってきたね!そう思うでしょう?」


    声の主を睨む。


    でも、意味は無くて。


    ?「怖い怖い!でもね、逃がしはしないよ。全てを絶望させるんだから」


    自分の無力さに絶望して、ただ泣いた。


    そんな私とは裏腹に、****は笑っている。


    楽しくて仕方がないとでもいうように。


    ?「うぷぷ、うぷぷぷぷぷぷぷ!ぶひゃひゃ、ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!」


  20. 22 : : 2015/07/16(木) 16:14:45


    また、1人。


    皆、忘れた。


    また、忘れ去られた。


    皆、見えてない。


    また、見てもらえなくなった。





    石丸「君!遅いではないか!」


    聞き覚えのある声。


    石丸だ。


    他の15人も揃っている


    あと1人は…………。




    忘れているから、皆初対面みたいな反応。


    自己紹介をして、


    あの忌まわしい声が聞こえる。


    体育館に集まれだって?


    私も行くか…………。

  21. 23 : : 2015/07/16(木) 16:56:34

    体育館に集まってすぐ。


    白と黒のクマが現れる。


    クマは、憎たらしいだみ声で語る。


    「やあ!僕はモノクマ!この学園の学園長です!」

    山田「ぬいぐるみが喋ったぁぁぁぁっぁあ!?」

    モノクマ「ぬいぐるみじゃないよ。僕はモノクマだよ」


    モノクマは、体育館の15人を見る。


    何故か、目があった。


    モノクマ「さて、オマエラには希望ヶ峰学園に入学してもらったわけですが、学園生活の期限は、ありません!」


    空気がざわつく。


    真実を知っているから、辛い。


    こんな茶番、さっさと終わらせて、アイツの元へ行かないと。


    モノクマ「まあ、何も方法がないってわけじゃあないんだよ」

    桑田「どうでもいいから早く出せ!」

    モノクマ「学園の卒業条件、それは、他人を殺すこと!」


    なんだ、その条件は。


    ぎりり、と自らの歯ぎしりの音がする。


    皆困惑していて、皆お互いを疑って。


    そんな状況に胸が苦しくて、


    モノクマの話は耳に入って来なかった。


    爆音で気を取り戻した。


    大和田か、彼も力任せだからなあ。





    あれ、皆探索するの?


    私はどうしよう。


    十神「そこを退け、プランクトン」

    大和田「なんだと!?」


    十神も、最初の時と同じように、重圧的な態度になっている。


    苗木「ちょ、ちょっと、やめようよ!」

    大和田「あんだと!?この俺に教えを説くってのか?」

    苗木「いや、そういうわけじゃなくて……」

    大和田「うるせぇ!」


    人を殴る鈍い音が響いて。


    苗木は気絶していた。


    どうやら大神らが運んでくれるみたいだ。


    皆も散り散りに探索を開始する。

  22. 24 : : 2015/07/17(金) 13:49:29


    何度も思う。


    どうしてこうなってしまったのだろうと。


    考えると、彼女への恨みが募る。


    そうだ、彼女を探そう。


    いや、探さなくちゃならない。


    思い立ったが吉日、早速行動にかかった。


    姉に聞こうと思ったが、どうやら彼女にも見えていないらしい。


    こうなったら虱潰しに探すしかない。


    不気味な校舎の廊下の真ん中、


    私は意識を巡らせる。


    かつて嫌悪したこの力。


    今では本当に感謝している。


    だって私は地縛霊。


    この土地のことは誰よりも知っている。


    いわばこの土地が私の体。


    そして、捉える。体のある一点に、絶望の姿。


    私は即座にそこへ向かう。


    こんなこと、私が終わらせる。


  23. 25 : : 2015/07/18(土) 06:37:52
    XXX「困るんだよね。進行を無視して来られちゃ」


    私に背を向けて喋るXXX。


    XXX「大体、アンタに何ができるの?」

    XXX「どうせ、何の準備もなしにきたんでしょ?」

    魅霊「いいから、こんなことやめて」

    XXX「あー、やだやだ。そういう正義感強い奴って」

    魅霊「せめて、皆の記憶を返して」

    XXX「それって、誰のため?」


    ようやく、こちらを向く。


    但し、モノクマの人形を顔に近づけて。


    XXX「本当にそれが皆の為なの?」

    魅霊「そうだ。だから返して」

    XXX「単純に、見てもらいたいだけなんじゃないの?」

    魅霊「ばっ……、そんなわけ、ない」

    XXX「そうだよね。数百年待ってやっとできた友達だもんね。守りたいよね」

    魅霊「…………うるさい」

    XXX「でもさ、それって、見てもらいがための都合のいい言い訳じゃないの?」
  24. 26 : : 2015/07/18(土) 06:39:06
    XXX「絶望的だよね。大切な友人が、記憶を奪われてコロシアイを強制される。肝心のお前は覚えているのに誰にも見えない。真実を知っているのに、伝えられない。友人が殺されても、見ているだけしかできない」

    魅霊「うるさい。黙れ」

    XXX「結局、お前は何にもできない。つ、ま、り」


    XXX「約立たず!」


    魅霊「違う」

    XXX「違わないよ。でもいいね。その絶望」

    魅霊「違う」

    XXX「まだ言ってんの?」

    XXX「いいけどね。だって、進行にはアンタは必要不可欠」

    魅霊「…………」

    XXX「最後まで見ていてもらうよ。この絶望を」

    魅霊「……………………………………………」

    XXX「あーっはっはっはっはっはっ!!!」


    あいつの忌まわしい嘲笑が木霊して。


    私は、抵抗出来なくて、戻るだけだった。

  25. 27 : : 2015/07/18(土) 12:58:49
    魅霊「…………………………………………………………………」


    皆、楽しそうだなぁ。


    魅霊「……………………………………………………………………」


    コロシアイをする素振りがないから、いいのかな。


    そうやって、無意味に数日を過ごして、


    また、奴が現れる。


    動機が必要だとか言って。


    視聴覚室


    動機は、皆の家族や友人など、大切な人についてだった。


    舞園「な、何で、こんな…………嫌ぁああああ!」


    舞園は何処かへ駆け出す。


    苗木が後を追いかけ、数名もそれに続く。


    舞園が、泣いている。


    でも、その心の内が見えて…


    ゾッとした。


    今晩、きっとーー。


    わかっても、何もできない。


    むず痒くて、虚しくて、


    自分がイヤになるそして、夜。


    舞園と苗木は部屋の交換をした。


    舞園の意図が嫌でも理解できてしまって。


    桑田が、殺される。


    止めたい。でも止められない。


    ただ見ていることしか出来なくて。


    気がついたら、舞園が、死んでいた。


    私は、やっぱり見ていることしかできなくて。


    朝になって、


    苗木が様子を見に来た。


    やっぱり私は見えてない。


    舞園の亡骸をみて、


    叫び声を上げて、気を失った。


    その後、異常を感じてやって来た皆に、モノクマのアナウンスが流れる。


    モノクマ「死体が発見されました!一定の捜査時間の後、学級裁判を行います!」

    十神「ついに始まったな……」

    モノクマ「とは言っても初めてだからね。体育館に集合!」
  26. 28 : : 2015/07/18(土) 23:12:47
    霧切「大和田君、苗木君を運んで頂戴」

    大和田「おう。……にしても、コイツはよく気を失うな」


    大和田が苗木を担いで体育館に向かう。


    私には、何にもできない。


    それが一番辛かった。


    とにかく、捜査の様子を伺うしかない。


    まずは体育館だ。


    体育館


    苗木「う、うう……」

    朝日奈「苗木!起きたんだね!」

    苗木「あれ、僕は、僕は、舞園さんを…………、あ、ああ、行かなきゃ……舞園さん」

    十神「行ってどうする。舞園さやかは死んだ。今更どうしようもない」

    苗木「だったら……!」

    大神「我等もそうしたい所だが……モノクマに集められたのだ」

    モノクマ「そうです!」


    ステージに、あの忌々しい白黒のクマが惚けた声で言う。


    十神「ただ殺人が起きればいいわけじゃない……そうなんだろう?」

    モノクマ「だって、誰にもクロであることをバレてはいけない……でも、それって分かりにくいじゃん?だから、学級裁判をするんだよ」


    モノクマによると、学級裁判では、誰かを殺した犯人、クロを議論で決める、というもの。


    議論の結果がでたら、クロに投票。多数決で決まるらしい。


    見事クロを当てることができたら、クロをおしおき、つまりは処刑。


    クロを外した場合、クロ以外をおしおき、クロのみの卒業となる。


    何とも外道な、彼女らしいルール。


    モノクマはそれだけ言って、モノクマファイルという捜査の手がかりを提示して消えた。


    部屋の交換をしたのだから、苗木の部屋が現場。それだけで苗木が疑われた。


    仲間どうしで疑うだなんて、嫌だ。


    でもやるしかない。

  27. 30 : : 2015/07/19(日) 19:18:12
    霧切「とにかく、手分けして捜査をしましょう。現場の保全には…………」

    大和田「俺がやるよ。はっきり言って、捜査とか分かんねーし」

    十神「貴様だけでは心許ないな。貴様が犯人、という可能性もある」

    大和田「んだとぉ!?」

    大神「では、我がやろう」

    葉隠「2人が見張っていれば大丈夫だべ!」

    霧切「それでは、捜査を始めましょう」


    霧切の言葉を皮切りに、捜査が始まる。


    苗木はひたすら暗かった。


    そりゃあそうだ。だって、自分がクロだと疑われているから。


    ああ、皆に真実を伝えられれば。


    こんな事にはならなかったのかも知れない。


    例の事件も、止められたかも知れない。


    でももう、起きてしまったものは仕方ないのかも。


    だったら、私は何かできることをやろう。


  28. 31 : : 2015/07/19(日) 19:22:17


    幽霊だって、何かできることはあるはず。


    でも、一体何ができるだろう。


    必死に考えて、考えて、考えたけど、


    思いつかない。


    こうなったら、どうしよう。


    自分には何が出来るだろう?


    結局は、何にもできないんじゃないか。


    やっぱり私は無力だ。


    見ていることしかできない。


    そう思っていたとき。


    モノクマ「それじゃ、もう始めちゃっていいよね?学級裁判。では、一階の赤い扉の先で集合です!」


    もうそんな時間が経っていたのか。


    私も行くとしようかな。


    もしかしたら、何か出来ることがあるか知れないし。


    エレベーター内


    葉隠「な、何か肌寒いべ」

    朝日奈「確かに……」

    それってきっと私のことだと思われる。


    幽霊は基本冷たいもの……って誰かの知識が言っていた。


    苗木「…………」


    無言の内に、ゴウン、とエレベーターが止まり、静かに扉が、開く。

  29. 32 : : 2015/07/21(火) 13:34:42
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    学級裁判が、始まった。


    舞園さんが僕の部屋で殺されたらしく、おかげで僕が疑われてしまっている。


    このままだと、僕がクロにされて、皆がおしおきされてしまう。


    それだけは何とかして阻止しないと。


    まずは凶器の話、そこから現場の話。


    そして霧切さんの提出した新たな証拠……。


    舞園さんが書いたメモ。


    そして朝日奈さんが教えてくれた、包丁を取り出した人物。


    舞園さんは、僕を利用していた。


    その事実に、背筋が凍りつく。


    そこで一瞬、議論は止まってしまった。


    証拠…………。


    霧切「ダイイングメッセージ……」

    桑田「ダニ……なんつった?」

    霧切「舞園さんの背後に残された血文字……」

    苗木「確か、11037と書かれていたんだよね」

    大和田「数字ならそこの女が詳しいんじゃねえの?」

    不二咲「それが、全然見覚えがなくて……」

    霧切「じゃあ、それが数字じゃなかったとしたら、どうかしら」

    セレス「11の間が、掠れていてンNに見えますわね」

    山田「しかし、N037になんの意味が……?」

    霧切「時計周りにひっくり返すのよ……」

    十神「成程、そういうことか」

    苗木「……!」

    霧切「苗木君、わかったようね」

    苗木「うん」

  30. 33 : : 2015/07/21(火) 13:49:12

    桑田「あ?何がだ?」

    苗木「これは数字じゃなくて、犯人の名前だったんだ」

    朝日奈「え!?もう!?」

    苗木「7はⅬ、3はE、0はО、11がNだったんだ。つまり、犯人の名前はレオン……桑田くん、君なんだ!」

    桑田「た、偶々だって!何でそんな!?」

    苗木「証拠隠滅のトリックの説明をするよ。犯人は、血の付いたシャツを焼却炉に捨てようとした。でも、焼却炉の前にはシャッターが下りていた。そこで犯人は、ランドリーに置いてあった葉隠君のガラス玉を使ったんだ」

    葉隠「本当は水晶玉なんだけどよ……」

    苗木「犯人は、シャッターの隙間からガラス球を投げ、焼却炉のスイッチを押したんだ。そして、もう一度同じ方法でシャツを投げ入れたんだ。証拠に、焼却炉の傍にシャツの燃えカスが落ちていた」

    桑田「それがどうしたんだっての!」

    苗木「そんな方法が使えるのはただ一人……。超高校級の野球選手である桑田クン、君しかいない!!」

    桑田「そ、そんなのだって、証拠がねーだろ証拠がよぉ!!」

    苗木「……」

    桑田「んだよ黙り込んで!やっぱおめえが犯人なんだろ!?」

    苗木「工具セットのドライバー……」

    桑田「あ?そんなもんがどうしたってんだ!!」

    苗木「皆、工具セットの使い道がないって言ってたんだ。だから、僕の推理が正しければ、君のドライバーには使用された痕跡があるはずだよ」

    桑田「!!」

    霧切「言っておくけど、無くしたっていう言い訳はなしよ」

    桑田「……アポ?」

  31. 34 : : 2015/07/22(水) 13:22:16

    モノクマ「議論の結果が出たみたいですね!では、投票タイム!」


    桑田「はい?」

    モノクマ「大正解!舞園さやかさんを殺したクロは、桑田怜恩クンでした!」

    桑田「仕方、なかったんだ……俺だって、殺されそうになったんだ……」

    セレス「ですが、思い止まるチャンスはあったはずですわ」

    モノクマ「では、行きましょう!おしおきターイム!」ピコン

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    桑田が、おしおきされた。


    あんなにも惨たらしい方法で。


    いくら報いとはいえ、あれはやりすぎだ。


    XXX「そんなこと言われてもねえ」


    もう一度、私は彼女の元にいた。


    XXX「邪魔しないでもらえる?ま、どうで何もできないんだからこうして放っておいてるんだけど」

    魅霊「私だって……」

    XXX「あーあー、なんか、残姉ちゃんにそっくり」

    魅霊「くっ……」

    XXX「お、いいこと思いついた。だから、お前には最後までここにいてもらうよ」

    魅霊「は?」


    彼女は、そういって不敵な笑みを浮かべる。


    考えが読めないから、わからないけど。


    絶対ロクなことじゃない。


    XXX「いーい?私と一緒にこの様子を見てもらうから」

    魅霊「誰がそんなk」

    XXX「逆らったら、彼らの身に何をするかわからないよ」


    私の言葉を遮って脅迫する。


    悔しい。


    自分の無力さが恨めしい。


    仕方なく、私はここでずっと突っ立っていた。

  32. 35 : : 2015/07/22(水) 13:31:26

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    舞園さんが桑田クンに殺されて、江ノ島さんがモノクマに殺されて、桑田クンがおしおきされて死んだ。


    次殺されるのは僕かもしれない。


    それよりも先に、これを完成させなくては。


    僕は、弱いから。皆の役に立ちたいから。


    僕に出来ることをしよう。






    舞園さんが亡くなった翌日、裁判を終えた朝。


    モノクマが、学校の二階を解放したといった。


    僕たちは早速二階を探索した。


    二階には、プールと図書館があった。


    それから、寄宿舎の倉庫、大浴場がも解放されていた。


    それから、朝日奈さんに、プールに誘われた。


    大浴場にも誘われてしまった。


    気分が重かった。


    断るのが辛くて、申し訳なかった。


    部屋で作業に没頭して、雑念を振り払う。


    こうしていれば、少しは楽。


    そうやって数日間を過ごして、また現れる。


    体育館に集まれ……と。

  33. 36 : : 2015/07/22(水) 13:37:03


    体育館に向かうと、モノクマが封筒を差し出した。


    みんなの知られたくない秘密や過去を、24時間以内に殺人が起きなければ世間に公開すると。


    僕の秘密は………。


    他の人も似たような表情だった。


    誰にだって絶対に知られたくないことだってあるのに。


    逆らえない僕は、弱い。


    弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い。


    だから、強くなるんだ。


    変わるんだ。


    僕は、完成したそれを大浴場のロッカーに隠して、彼の部屋を訪ねた。

  34. 37 : : 2015/07/22(水) 17:48:50

    ピンポ-ン


    彼の部屋のインターホンを押す。


    程なくして、彼が出てくる。


    大和田「不二咲……どうしたんだ?」

    不二咲「あの、大和田君……話があるんだ」

    大和田「お、おう。あがれよ」

    不二咲「うん……」

    大和田「…………で、話ってなんだ?」

    不二咲「驚かないでっていうのは無理な話かもしれないけれど……」


    一呼吸おいて話す。


    不二咲「あのね、僕、男なんだ」

    大和田「ま、マジかよ……」

    不二咲「気持ち、悪いよね?男なのにこんな格好してさ」

    大和田「い、いや、それより、なんで俺に?」

    不二咲「トレーニングに付き合って欲しいんだ」

    大和田「別に構わねえけどよ」

    不二咲「わぁ、よかったぁ……じゃあ、早速今晩、よろしくね」

    大和田「おう!」

    不二咲「それじゃあね……」


    相当驚いていたみたい。


    そうだよね……。


    ああ、うじうじしてちゃ駄目だ。


    強くなるって決めたんだから。

  35. 38 : : 2015/07/23(木) 13:11:00


    夜になって、僕は倉庫にジャージを取りに行った。


    青いジャージをバッグに押し込んで出ていこうとしたとき、セレスさんがいた。


    セレス「こんな時間にどうされたんですか?」

    不二咲「寝る前に軽く運動を、ね……セレスさんは?」

    セレス「お茶菓子のストックが切れてしまったので、補充ですわ」

    不二咲「そっか。じゃあ、僕は行くね」

    セレス「お待ちなさい」

    不二咲「な、なに?」

    セレス「鞄の隙間から袖が出ていますわよ」

    不二咲「え!?あ、本当だ。ありがとう。セレスさん」

    セレス「どういたしまして」


    ……もしかして、バレた?


    まさか、でも、もしかしたら……。


    不安で胸がいっぱいになる。


    大丈夫なんだろうけど、心配。


    急いで更衣室に向かった。

  36. 39 : : 2015/07/23(木) 13:22:11


    更衣室前。


    青いトビラが男子更衣室。だから、電子生徒手帳をかざせば開くはず。


    ピッ、と認証されたらしき音の後、更衣室のトビラが開いた。


    中では、すでに大和田君がベンチに座って待っていた。


    大和田「本当だったんだな」

    不二咲「うん……待った?」

    大和田「いや、全然……」


    大和田君は驚きを隠せていないみたいで、困惑顔をのぞかせていた。


    大和田「でも、何で俺にそんな大事なこと……」

    不二咲「モノクマの動機……。あれにはこのことが書いてあったんだ」

    不二咲「だから僕、決めたんだ。もう、うじうじするはやめるんだって。強くなるんだって」

    不二咲「だから、大和田君に頼んだんだ。だって、君は強いでしょ?」

    不二咲「僕は、大和田君みたいに強くなりたいんだ」

    不二咲「大和田君?」


    返事が、ない。


    おかしいと思って、振り向く。


    そしたら、目の前にダンベルを持った大和田君。


    大和田「そうだ、俺は強い。お前なんかより、兄貴なんかよりもだぁっ!!」


    鈍い音が響いて、気が付く。


    ああ、僕が殴られたんだ。


    遠のく意識の中で、


    僕は、


    何かを、


    思い出した。


    僕たちは…………ずっと、前から…………。


  37. 40 : : 2015/07/23(木) 13:35:01

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    大和田が、死んだ。


    あんなにも残酷な方法で。


    XXX「ぎゃははははははは!!死んだ!死んだ!」

    魅霊「……クッ」

    XXX「つーかなにこれ、マズそ!」


    XXXは腹を抱えて笑っている。


    XXX「石丸もウゼーぐらいに泣き叫んでやんの」

    魅霊「さいってー……」

    XXX「あー?だってそれが私様よ?アンタ馬鹿なの?」

    魅霊「アンタなんか死んでしまえばいい」

    XXX「死……ね。そういう絶望もいいわね、でも、まだよまだまだ」


    XXXは、目の前のバターの容器を見据えて言った。


    XXX「ねえねえ、今、どんな気持ち?悔しい?哀しい?それとも、大好きなお兄さんの元へ逝けて嬉しい?」


    ゆっくりと、容器の蓋を開ける。


    中には、普通のバター。でも、原材料は……。


    考えるだけで、するはずのない吐き気がする。


    XXX「絶望的につまんない中身だなぁ。ねえ、一緒に食べようよ……って、食べらんねえんだっけ?ぎゃははははははは!!」

    魅霊「…………」


    逃げ出したい。


    けど、それをしたら皆の命はない。


    悔しさに思わす歯ぎしりをして、


    バターで焼きトウモロコシを食べるXXXを眺めていた。

  38. 41 : : 2015/07/23(木) 17:26:59
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    ワタクシは、幼い頃から賭け事に精通していました。


    始まりは家族とポーカーをやって。


    そこでトランプに嵌って、ギャンブルに詳しくなったのでした。


    この夢のために、多くのものを犠牲にしてきました。


    その犠牲を無駄にしないためにも、一刻も早くここから出なければなりません。


    それなのに、コイツらときたら!


    何をのほほんとしているのでしょう?


    理解できないですわ。


    でも、朝日奈とかいう水泳好きがアルターエゴという不二咲君の遺したものを見つけてくれました。


    山田の腐れラードは熱中していますね……。


    それにあの風紀委員も石田とか自称し始めましたし……。


    これは使えるかもしれません。


    百億円も欲しいですし。














    山田「石丸清多夏殿が!?」

    セレス「そうですわ」


    まずは山田を味方につけましょう。いくらか使い物にはなるはずですわ。


    セレス「彼は、アルターエゴを独り占めする為に盗んだのですわ」

    山田「ぐぬぬ……そんなの許せませんぞぉ!」

    セレス「ですから、手を組みましょう。いいですか?」


    こうやって吹き込んでおけば、腐れラードはホイホイ付いてくる。


    ちょろいですね。

  39. 42 : : 2015/07/24(金) 15:53:23


    そして、次の日になって。


    わたくしたちは変質者に襲われたフリをしました。


    こうやって他の人たちを信用させれば、後は簡単ですわ。


    美術準備室では、ちゃんと山田が石丸君の死体を運んだようですね。


    実際、目の前で調子に乗っていますし。


    わたくしは、ハンマーを手に取りました。


    そして、勢いよく山田の頭を殴りました。


    セレス「騙されたようですわね。山田君」


    血で汚れたハンマーを急いで洗って、元の場所に戻して、直ぐに皆と合流をしました。


    こうすれば、大丈夫でしょう。


    さて、もう一度、今度は大勢ですが、美術準備室にやってきました。


    どうして朝日奈は山田を気に掛けるのでしょう?


    本当にこいつらの思考回路は理解しがたいです。


    山田「思い、出したんだ」


    まさか、まだ死んでいなかったというのですか?


    山田「僕たちは、ずっと前から会って、いたんだね……」

    十神「記憶が混濁しているのか」

    山田「犯人は、やす……」


    吃驚しました。どうして、わたくしの名前を?


    朝日奈のコトバは頭に入ってきませんでした。


    まあでも、これはこれで使えますわ。


    モノクマの死体発見アナウンスが響き、捜査が始まりました。


  40. 43 : : 2015/07/24(金) 16:01:13



    そして、学級裁判で………。


    わたくしは、負けました。


    わたくしは、最後の最後でミスを犯し、クロであることがばれてしまいました。


    セレス「わたくしの名前は、安広多恵子」


    何故でしょう?明かさなくていい本名を明かしたのは。


    それはよくわかりません。


    安広「それではみなさん。また来世で、お会いしましょう」


    それが、わたくしの、最後の言葉でした。


    おしおき場に、わたくしは立っています。


    西洋の雰囲気で、とてもわたくしらしい。


    流石はモノクマさん。


    足元がだんだん熱くなっていきます。


    火炙り。なんて素敵なんでしょう。


    中世ヨーロッパの魔女狩りのよう。


    ですが、そんな望み通りにいかないのが世の常。


    消防車が突っ込んできました。


    その、本当に本当に一瞬。


    わたくしには何かが見えました。


    ああ、山田君の言っていたことが、ようやく理解できました。

  41. 44 : : 2015/07/24(金) 16:09:41
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    XXX「アイツのゴシック好きもウンザリだわ」

    魅霊「あんたのことが、なんとなくわかってきた」

    XXX「まあ、お前のわかってることなんて、私様の魅力の一億分の一にも満たないだろうけど」


    相変わらずの自信過剰っぷりには感銘さえうける。


    XXX「さて、そろそろ来るころかな」


    そう言った途端、情報処理室のトビラが開く音がした。


    入ってきたのは、大神。


    XXX「…………」


    すごい小声で話していて、聞こえない。


    どうして大神が?


    もしかして、十神の言っていた、内通者?


    まさか、いやそんな。


    でも、やっぱり信じられなくて。


    逡巡しているうちに、大神は出ていったらしい。


    XXX「残姉ちゃんより使えるんだよ。オーガ」

    魅霊「どうして大神が?」

    XXX「簡単簡単。ちょっと道場をね」

    魅霊「!」


    やっぱり。最低だ。


    今回もどうしようもなくて、

    見ているしかできなかった。

  42. 45 : : 2015/07/24(金) 17:38:19
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    さくらちゃんと出会って、この学園生活に希望を感じていた。


    さくらちゃんは気が効くし、優しくて、とてもいい子だ。


    だから私たちは、出会ってすぐに仲良くなった。


    でも、コロシアイ学園生活が始まってしまった。


    だけど、さくらちゃんがいるから。大丈夫!


    おまけに、ここにはドーナツもある!


    だから、大丈夫!


    そう思っていた。


    けど、最初に舞園ちゃんが殺され、江ノ島ちゃんもモノクマに殺され、舞園ちゃんを殺した桑田は、あんなにも惨い方法で殺された。


    それを皮切りに、不二咲……君が殺され、大和田がバターにされ、石丸と山田が殺され、セレスちゃんも死んだ。


    もう、嫌だ。


    そうやって泣いていると、さくらちゃんが慰めてくれた。


    さくらちゃんがいれば、大丈夫。


    だから、心配いらない。


    きっと、外に出られる。


    モノクマが、裏切り者の存在を明かすまで。


    裏切り者は、さくらちゃんだった。


    きっと、理由があったに違いない。


    だから、内通者なんてやらされてたんだ。


    それなのに、十神と腐川ちゃんに葉隠は……。


    どうしてさくらちゃんを信じてあげられないの?


    さくらちゃんだって、こんなにも哀しい目をしている。


    だったら、私がさくらちゃんを支えてあげる。


    誰もさくらちゃんを信じてあげられなくても、私が信じてあげるんだ。


    それが、さくらちゃんに対して私ができることだから。

  43. 46 : : 2015/07/27(月) 13:13:29

    でも、どうして?


    どうして、死んじゃったの?


    ねえ、さくらちゃん。


    こんなことって、ないよ。


    見つけた遺書には、けじめをつけるって、書いてあった。


    きっと、あの三人に絶望させられたんだ。


    だったら、皆で死ねばいい。


    私がクロの演技をして、全員がおしおきされればいい。


    それでいいんだ。


    それが、さくらちゃんのため。




    だと、思っていた。


    さくらちゃんが自殺であることがわかってしまった。


    全員、さくらちゃんに投票をした。


    しかも、あの遺書は、偽物?


    さくらちゃんは、私なんかより、深く物事を考えていた。


    そうだ。彼女はそういう子だった。


    せめて、さくらちゃんが遺した遺書だけでももらえないかと、一縷の望みを持っていたけど、モノクマが持ったままになっている。


    きっと、そこには重要なことが書かれていたんだろう。


    この裁判は、それで終わりだと思っていた。


    けど。


    アルターエゴが、おしおきされた。


    皆の目の前で、ショベルカーに無残に砕かれ、悪趣味な金属塊になってしまった。


    モノクマ「まったく、パソコンの中のデータだけならまだしも、ネットに繋ぐのはやりすぎだよ!」


    そういって。


    それでやっと、裁判が終わった。

  44. 47 : : 2015/07/27(月) 13:23:01
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    XXX「もう、全く以って興ざめだよね!」


    ビリビリと大神の遺書を破り捨てて吐き捨てる。


    XXX「まあでも、ネットに繋がれるより先に処分できてよかったよ」

    XXX「そう考えると、最期にはいい働きしてくれたよ!オーガ」


    XXXは、いったいどこまで人の気持ちを踏みにじれば気が済むのだろう。


    考えるだけ無駄だろうが。


    魅霊「残っているのは6人。どうするつもりなの」

    XXX「あれ、アンタにもまだ考える余裕ってのが………あーっ!!」


    XXXが、モニタを見つめて叫ぶ。画面には、学園長室で何かを探している霧切。


    XXX「あーもう!オーガのヤツ、一矢報いるってこのことだったか……!」


    あるファイルを手に取った霧切は、一枚を破って部屋から出ていった。


    しかも、もう片方の手には、光輝く何かが握られていた。


    XXX「しかもアイツ、マスターキーまで!あーもう!絶望的!」


    悶えながらもどこか楽しそう。


    絶望は変わらないのか。


  45. 48 : : 2015/07/27(月) 13:42:25
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    昨日の晩に僕を襲った者と思しき人物、戦刃むくろが、植物園で死体として発見された。


    いつものように裁判を行っているのだけれど、霧切さんの様子がおかしい。


    いつものような、霊性さが感じられない。


    なんだか、大分焦っているというか。


    それで、いつものように裁判を進めていたら……。


    疑問を感じた。


    霧切「私は部屋には入れなかったのよ?」


    本当に、そうだっけ?


    霧切「だから、私に犯行は不可能だった。だとしたら、苗木君。貴方にしか犯行はできないはずよ」


    でも、彼女が必死になるのには理由があるんじゃ……?


    そうこうしているうちに、


    モノクマ「はい、タイムアップでーす!」

    霧切「どういうこと?タイムアップなんて聞いていないわ」

    モノクマ「そうでね、言ってないもんねでも、待ちません!投票ターイム!」


    このままだと、僕がクロにされてしまう。


    そんなこと考えるまもなく、


    僕がクロで、正解だった。


    なんで?僕は殺してない!


    もしかして、嵌められた?


    ああ、僕は終わるんだ。


    ここで。

  46. 49 : : 2015/07/27(月) 14:20:39

    おしおき場で、僕は、椅子に座っている。


    教室にあるような普通の椅子。


    目の前では、モノクマが授業をしている。


    黒板には、プレス機について書かれている。


    プレス機は、後ろでドスンドスンと轟音を響かせている物のことだろうか。


    徐々に音が近くなっていく。


    僕は、アレに押しつぶされて死ぬんだ。


    逃げ出したい。


    だけど、縛られているわけでもないのに動くことができない。


    やがて、プレス機の真下に到着する。


    しかし、一向に僕を潰しに来ない。


    そういうおしおきかと思っていたら、


    椅子が後退し始めた。


    そして、僕は落下する。


    深い深い穴に。

  47. 50 : : 2015/07/27(月) 14:25:42

    運よく僕は、柔らかいところに着地した。


    起き上がると、


    鼻をつく異臭、異物の山……。


    どうやらここは、ゴミ捨て場のようだ。


    前方に大きなトビラがあるが、鍵が閉まっているのがなんとなくうかがえる。


    食糧も、飲み物もない。


    まさに絶望的だけど、


    僕は、希望をあきらめない。


    他人よりちょっと前向きなのが取り柄なんだから。


    とりあえず、助けを待ち望んで、体力を温存するために、適当な新聞紙を手に取り、何故か落ちていたベンチに寝そべった。

  48. 51 : : 2015/07/27(月) 14:38:10
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    XXX「アルターエゴ!アイツ、ネットに入った瞬間にウイルスをばら撒きおってからに……!」


    XXXはアルターエゴが残したウイルスの駆除に追われていた。


    XXX「でもさ、これって絶望じゃない?信じていた霧切に裏切られて、折角命は助かっても、脱出不可能なゴミ山に落ちてきてさ。食糧も水もなく、ただただ飢え死ぬのを待つ……ある意味羨ましいわ!」


    しかし、モニタに映る、霧切と苗木。


    XXX「うっそ……」


    流石のXXXも唖然としている。


    XXX「しかも、超高校級の探偵も思い出しやがって……」



    XXX「うわ!しかも体育館に向かってきやがる!モノクマモノクマっと」


    マイク越しに、霧切と対話するXXX。


    その姿はどこか活き活きとしていた。


    絶望。


    絶望が活き活きする姿に、ゾッとするどころか、まぶしさを感じた。


    XXX「ふう。さて、これが最後になるんだよ!どおころぶんだろうね!?」

    魅霊「そんなの、知ったこっちゃない」

    XXX「うぷぷ!つれないね。でも、最後の裁判ではアンタにもいてもらうから」

    魅霊「は?」

    XXX「ほら、行くよ。あとは、モノクマを命令通りに動かすだけだから監視もいらないし」

    魅霊「は、どこに!?」

    XXX「裁判場だよ」


    そういわれて、歩み始めたXXXに、私はついていかざるを得なかった。

  49. 52 : : 2015/07/28(火) 14:19:29

    XXXが言うには、これが最後の裁判らしい。


    戦刃むくろ殺しの犯人、学園の謎、全てを解く裁判。


    それはつまり、皆が絶望的な真実を知ることになる……そういうことだ。


    真実を知ったら、絶望するのだろう。


    それだけはダメ。


    だけど、きっとこのままではいけない。


    だから、真実を、見るべき?


    逡巡する。


    何が正しいのか、何が不正解なのか。


    ぐるぐると頭の中で廻り続ける。


    結局は希望と絶望がぐちゃぐちゃに混ざって、どろどろに溶けて、灰色になって、曖昧になってしまうのだろう。


    XXX「アンタさ、アイツらのこと考えてるんだろうけど、自分の心配したら?」

    魅霊「は」

    XXX「たとえ謎が解けても、その中にお前の存在はない」

    魅霊「そんなの」

    XXX「本当にどうだっていいの?」


    先読みされた?


    そうか、それが絶望なのか。


    XXX「嗚呼、それにしたって、ドキドキするわ!久々に皆の前に現れることができるかもしれないなんて!」

    XXX「ねえねえ、私様って、どんなキャラしてたっけ?」


    目の前の絶望は、これからの絶望に絶望してきらきらと輝いている。


    XXX「こういうキャラはどうでしょう」

    XXX「いや、飽きちった、こーゆーのもいーよなぁ!!」

    XXX「もーう、私ってば、絶望的に飽きっぽーい!」

    XXX「ああ、こういうのにも飽き飽きなんだよ……」

    XXX「それもワタシの魅力、でしょうか。絶望的に呆れちゃいますよ……それもまた快感、です」


    目の前でコロコロと表情を変える絶望。


    やっぱり、楽しいのかな。


    この先にあr、愛した人々の絶望した姿に絶望して。

  50. 53 : : 2015/07/28(火) 14:26:13

    XXX「さて、もういい頃合いだな!」

    XXX「最期の裁判、開こうか。終わりの始まり……開幕だね」

    XXX「そうそう、裁判場に行っていいよ。久々に皆の顔を生でみたいでしょ?」


    そう言って、絶望は、裁判場の方を指さす。


    私は催眠術にかけられたように、フラフラと裁判場の方へ歩いた。


    画面越しではなく、実際に、皆の顔を見る。


    しかしその面々の表情は、引きつっていた。


    それぞれの顔を伺うような眼差し。


    もしかして、絶望が彼らに何かをしたのだろうか?


    相も変わらす、どろどろと灰色に溶けた希望と絶望がせめぎ合う。


    私がこうやって考えているうちにも、裁判は進行していく。

  51. 54 : : 2015/07/29(水) 13:20:52

    戦刃むくろの死因……それが、序盤で殺された江ノ島盾子と酷似していること。


    そして、霧切以外の全員がもらった写真や、寄宿舎二階のロッカールームから出てきた物や、緊急面談DVDからして出された結論。


    記憶喪失。


    さらに、コロシアイ学園生活の首謀者が、


    江ノ島盾子であること。


    全ての議論の結論は、苗木と霧切の先導により、的確に弾き出された。


    モノクマが消え、江ノ島が現れる。


  52. 55 : : 2015/07/29(水) 19:56:15

    絶望。


    今までより最もにこやかに。


    絶望に絶望する絶望。


    そんな偉大な絶望が、今目の前に君臨している。


    江ノ島「久しぶりに人前に出るから、どんなキャラだったか覚えてないや」

    江ノ島「私様ってば、絶望的に飽きっぽいからさー、自分のキャラにも飽きちゃうんだよね」

    江ノ島「だから、裏でモノクマやってるのは絶望的に自殺行為でした……」

    苗木「お前が、超高校級の絶望?」

  53. 56 : : 2015/07/30(木) 14:21:01

    江ノ島「そうよ!」


    相も変わらずコロコロと表情を変える。


    苗木「なんで、実のお姉さんを殺して平気なんだ!?」

    江ノ島「平気なわけないじゃないですか。大好きなお姉ちゃんを自分の手で殺して……超超超超超超超絶望的で……カイ、カン、です」

    十神「どうやら、筋金入りの変態ってことだな」

    江ノ島「というよりもですね、飽きてしまったのです」

    霧切「どうして、入れ替わったのかしら」

    江ノ島「ほら、お姉ちゃんって超高校級の軍人じゃないですか。でも、需要なんてないですよね。いわゆる3Zです。絶望的に汚い、絶望的に臭い、絶望的に気持ち悪い……」

    江ノ島「そこで、超高校級のギャルである私に変装させましたが、絶望的に似てませんでしたね」

    江ノ島「ほんっとうに残念な姉ちゃんだよな!略して残姉!」

    江ノ島「そんなことよりー、まだ終わってないよね!」

    霧切「そうね……」

    江ノ島「では質問です!オマエラが出たい出たいと喚いた外の世界、実はこうなっちゃってます!」


    江ノ島がそう言うと、裁判場のモニタに、外の風景が映し出される。


    その光景に、胸が痛む。


    苗木「そんな、これって……」

    江ノ島「そこで!この外の世界、どうしてこうなっちゃったんでしょう!!」

    葉隠「そんなの、わからないべ!」

    朝日奈「そうだよ!皆覚えていないんだからさ」

    苗木「ちょっと待って。腐川さん、彼女なら覚えているかもしれないよ」

    腐川「彼女って、もしかして、アイツのこと!?」

    苗木「そうだよ」

    腐川「い、いやよ!そんなことしたら私のアイデンティティが……!」

    十神「腐川、命令だ、代われ」

    ジェノ「邪邪邪邪ーん!意外と家庭的な殺人鬼です!」

    葉隠「アイデンティティを簡単に捨てたべ」

    十神「おい、ジェノサイダー。あれを覚えているか」

    腐川「はいはい。って、アンタだれ!?」

    江ノ島「あ、どうも黒幕です」

    腐川「どうも、殺人鬼です!」

    十神「いいからアレを見ろ!どういうことだ、説明しろ!」

    ジェノ「え!?白夜様忘れてしまったの!?」

    十神「いいから答えろ!」

    ジェノ「何って、人類史上最大最悪の絶望的事件ですけど」

    十神「なんで今それが出る!」

    ジェノ「今から一年前、あの悲劇が起きたのです!あれは人災というよりも、天災だったのでしょう!とにかく、一年前にあの事件がおきて……世界は、あんなんになっちゃいました!以上です!」

    十神「具体的なことが一切わかっていないじゃないか」

    ジェノ「詳しいことは根暗の方が知ってるんだから、そっちに聞いて」

    十神「それがわからないから聞いてるんだ」

    ジェノ「白夜様のお役に立てないなんて無念!」



  54. 57 : : 2015/07/30(木) 14:30:57

    苗木「で、でも待って!一年前にそんな事件起きてないよね!?」

    朝日奈「そうだよ!そんなこと、テレビや新聞にも載ってなかったよ!」

    江ノ島「そう。それが、オマエラの記憶と関わっているんだよ!」

    霧切「!もしかして……」

    江ノ島「もう一個ヒントをあげちゃう!てめーらの記憶の接合点ってどこなんだろうなぁ!?」

    苗木「もしかして、玄関を潜ったとき?」

    江ノ島「ピンポンピンポン、大正解。簡単だったよね」

    苗木「それに、あの写真とかから考えると、最低でも二年間は記憶を失っていることになる」

    江ノ島「これまた大正解!」

    江ノ島「でもね、これだけじゃないんだよ……オマエラはまだ知らない、17人目の生徒の存在を……」

    十神「戦刃むくろの他にまだいたのか!?」

    江ノ島「そうなんですよ!なんと、今回最後ということで、スペシャルゲストとしてこの場にいます!」



    江ノ島の言葉が、理解できなかった。


    17人目?


    もしかして、私のこと?


    江ノ島が指をパチンと鳴らす。


    すると、皆の視線が、江ノ島の背後、私に注がれる。

  55. 58 : : 2015/07/31(金) 14:12:43

    葉隠「ぎゃああ!幽霊だべぇ!」

    十神「はっ、そんな非現実的なもの……」

    江ノ島「はい!葉隠君だーいせーいかーい!」

    朝日奈「その子が17人目の生徒なの?」

    魅霊「江ノ島、いったいどうやって?」

    江ノ島「方法なんてどうでもいいんだよ!こいつがいったい何なのか、気になるだろ?おい、説明しろ!」

    魅霊「……あのね、皆が希望ヶ峰で過ごした仲間ってのは分かったでしょ?その生活の中で、私は君たちに出会った」


    そして、そこでの生活を述べた。


    霧切「要するに、あなたは、超高校級の幽霊として、私たちの仲間だった……と」

    魅霊「そうだ。皆覚えてないから実感わかないだろうけど」

    江ノ島「それは便宜上ですよね?」

    魅霊「え!?」


    江ノ島の言葉が理解できなかった。


    江ノ島「貴女は、この世界を乗っ取ろうとしてるんですよね?」


    目の前の絶望は何を言っているの?


    江ノ島「実は気付いてんだろ!?お前の体のうちの変化に!!」

    魅霊「へん、か?」

    江ノ島「今、全世界の注目はここに集まっています」

    苗木「そうか、この様子は世界中に配信されているんだったよね?」

    江ノ島「そうです。今、貴女がここの6人に見られたことによて、画面の向こうの視聴者にも見られるようになりました」

    魅霊「え」


    ドクン。


    体の内側が熱くなるのを感じた。


    江ノ島「貴女は今までこの地で死んだ人の魂を吸い取ってここまで成長しました」

    江ノ島「ここまで言えばわかるよなぁ!!」


    そうか。


    今、外では多くの人が亡くなっている。


    その魂が、画面越しに、


    私に集中しているんだ。

  56. 59 : : 2015/07/31(金) 14:26:27

    魂は、空間や物理法則を無視して、私の元へ集まっている。


    江ノ島「今や魅霊、てめえは絶対的な霊力を持っている!それを使って世界を死者の世界にしようって魂胆だろ!!」


    そんなの、嘘。


    こいつの策略だ。


    大丈夫。


    私に沢山の思いが募っても、暴走することはない。


    私はそこまでの霊。


    自分の制御ぐらい自分でできる。


    だけど


    葉隠「そうだったのか……」


    全員が江ノ島の言葉を鵜呑みにしている。


    江ノ島「こいつの目論見を防ぐ方法は一つ……」

    江ノ島「ここで永遠と暮らすこと!」

    苗木「そんな!」

    江ノ島「ここのトビラさえ開けなければこいつは外に出ることはできない。世界の命運は君たちにかかってんだよ!」

    江ノ島「そうそう、全員一致しなければ全員おしおきね」

    霧切「そんな……」

    葉隠「こんな怖え幽霊と暮らしたくないべ!世界とかどうでもいいから外に出たいべぇ!」

    朝日奈「そんなわけにいかないよ!ここに残ろう!」

    ジェノ「ゲラゲラ!これってピンチじゃね?」

    十神「くそっ……」

    魅霊「皆!江ノ島の言うことなんて嘘だ!信じちゃダメ!」

    江ノ島「みんなー、こいつの話術に嵌まっちゃだめだよー?」


    ダメだ、皆絶望している。


    ここから出れば世界は滅亡する。


    ここに残れば、私と永遠に暮らさなくてはならない。


    そんな、嘘塗れの究極の絶望的な選択に。

  57. 60 : : 2015/07/31(金) 15:13:18

    魅霊「ちょっと、信じてよ!嘘ついてるのは江ノ島だって!」

    ジェノ「ンナこと言っても証拠がねーだろ!刻むぞ!」

    葉隠「そうだべ!悪霊退散だべ!」

    江ノ島「あ、そうだ!ただ永遠に暮らすのはつまんねーな?だから、永遠に暮らすを選択した場合、苗木をおしおきしましょう!」

    苗木「何で!?」

    江ノ島「だってぇー、私苗木君ってきらーい!希望希望うるさいんだもーん!」

    苗木「そ、そんな」

    霧切「……くっ」

    魅霊「ダメだよ!」

    十神「犠牲を払うしかないのか……?」


    そう言って、皆が絶望しかけた時。

  58. 61 : : 2015/08/18(火) 22:35:13

    「それは違います!」


    突如、私の口が勝手に動き出した。


    しかも、聞き覚えのある声。


    苗木「まい、ぞのさん?」

    舞園「ええ。そうです。お久しぶりです」

    霧切「どうして?」

    舞園「今私は、魅霊さんの中にいます。桑田君に殺されてしまった後、私は気がついたらこの中にいたんです。そして、思い出しました」


    そうか。私はすっかり忘れていた。


    この地で亡くなった人の思いや、記憶、知識が積もったのが私。


    でも、それだけじゃない。


    思いだけでなく、その人の魂自身が積もるんだ。


    思いの弱い人は、私に消化されてしまう。


    でも、反対に強い人は、そのまま奥底で生きている。


    驚いた。


    まさか、私の意識に乗って話し出すなんて。


    舞園「私たち17人は、二年間の時を過ごしていたんです」

    朝日奈「だ、だけど!この魅霊っていうのは!」

    桑田「おいおいおいおい!舞園ちゃんばっか喋るなんて、そりゃぁねーぜ。な!」


    あ、また1人。


    不二咲「僕もいるよぉ」


    更に1人。


    大和田「俺を忘れんなよてめーら!」

    石丸「皆!久しぶりじゃないか!」

    山田「キタコレー!ってやつですな!」

    セレス「うふふ、お久しぶりですわ」

    大神「朝日奈よ……もう大丈夫だ」

    戦刃「……私は何も言えないけど……もう、大丈夫だから」


    今までに死んだ、仲間たちが、現れた。


    それだけ、皆の力が強いんだろう。


    苗木「皆ぁ……!」

    江ノ島「は?なにこれ」

    十神「どういうことなんだ!」

    舞園「端的に説明しますと……魅霊さんはイイ人です!」

    桑田「人って言っていいのかわかんねーけどよ」

    江ノ島「そいつらだって魅霊の作った虚像なんじゃねーの!?騙されねーよ!」

    ジェノ「それも一理あるわね〜」

  59. 62 : : 2015/08/18(火) 22:38:26

    舞園「じゃあ、私にしかわからないことを言えばいいんですよね」

    江ノ島「いや、それもこの霊は知っているのでしょう。だから、無意味です」

    桑田「チクショー!皆信じてくれよー!」

    舞園「魅霊さん!その……」


    私の意識に直接話しかけてきた。


    それを読み取って、驚愕する。


    舞園(知らないですよね?)

    魅霊(もちろんだよ!でも、本当に言うの)

    舞園「これは流石に魅霊さんでも知らないでしょう」


    本当に言うんだ……。


    舞園「え、えっと、私の下着の色は、白です」

    桑田「舞園ちゃん!?」

    不二咲「いきなりどうしたの?」

    舞園「これが証拠です。これが、私が私であることの証明です」

    苗木「舞園さん……よし。皆!彼等を信じよう!」

    舞園「苗木君!」

    大和田「さっすが苗木!話がわかるじゃねーか」

    十神「しかしだな、こいつの言うことはまだ……」

    霧切「信じましょう」

    葉隠「信じられないべ!」

    朝日奈「さくらちゃん。さくらちゃんは本当にさくらちゃんなんだよね?」

    大神「朝日奈よ……信じてくれるのか」

    朝日奈「もちろんだよ!親友が信じられないわけないじゃん!」

    魅霊「皆ぁ‥‥‥‥」

    舞園「さあ苗木君」

    苗木「え!?僕!?」

    舞園「だって、苗木君は誰よりも前向きでしょう?それに、私たちを最初に信じてくれたんです!」ニコッ

    霧切「そうね‥‥‥‥あなたは、幸運というよりも超高校級の希望‥‥‥‥そういった方が正しいんじゃないかしら」


    希望‥‥‥‥まさに、その通りだ。


    彼は諦めていなかった。


    希望を捨てていなかった。


    だから、今。


    この絶望的状況は、好転している!


    江ノ島「あーあ、つまんないの。っていうかなに?臭いんですけど」

    霧切「江ノ島盾子。諦めなさい」

    江ノ島「はぁーあ、ほんっと、オマエラってウザイんだよ」

    江ノ島「ま、いいや」

    江ノ島「それでは行きましょう!投票ターイム!」


    素に戻ってなにか呟くも束の間、投票タイムへ進行する。


    スロットには江ノ島盾子の顔。


    黄金のGUILTYの文字。


    私たちが、絶望に勝った瞬間だった。


    葉隠「何かわかんねーけどよ、俺、更生した気がするべ!」

    江ノ島「はぁー、つまんない!けど、絶望的にイイ!」

    ジェノ「白夜様に一生着いていきます!」

    十神「やめろ」

    江ノ島「それじゃ、おしおき、逝っちゃっていいよね?」

    苗木「待ってよ!僕たちは別にお前に死んで欲しいわけじゃ‥‥‥‥!」

    江ノ島「やめてよ!私様は今、人生最大の絶望的瞬間に立ち会ってるの!嗚呼、画面の向こうの皆にこの絶望を感じさせてあげたい!」

    魅霊「江ノ島。アイツらはどうするんだ」

    江ノ島「知らねーよ!それでは行きましょう!おしおきターイム!」


    江ノ島が手元のボタンを押す。


    ピコンとコミカルな音が鳴り、お仕置き場への扉が開く。


    江ノ島は軽々とした足取りで歩む。


    そして、絶望は、絶命した。


    おしおきに飽きて、先程までの笑顔を消し。


    プレス機に、潰された。


    カランカラン、と、硬いものが床に当たる音。
    スイッチだ。

  60. 63 : : 2015/08/24(月) 08:21:17





    今、6人は昇降口に立っている。


    魅霊「みんな、信じてくれてありがとう」

    苗木「そんな改まって……」

    舞園「でも、苗木君たちが信じてくれたからこその今なんですよ?」

    魅霊「舞園!いきなり喋んないでよ」

    セレス「そう細かいと、老けますわよ」

    魅霊「老けるって……おい」

    朝日奈「なんだか、楽しそう!」

    葉隠「やっぱり怖いべ……」

    十神「苗木。早くスイッチを押せ」

    苗木「うん。わかったよ」


    そう言って、ボタンを押す。


    警告音、そしてごごごごご……と大きな音が鳴り響き、扉が開く。


    ああ、これで皆とお別れか。


    ついていけないむず痒さを感じ、外に目をやる。


    6人が、コチラを向いている。


    霧切「魅霊さん、来ないの?」


    魅霊「だけど、私……」


    桑田「消えるわけじゃねーんだしよぉ、行こうぜ!」

    不二咲「そうだよぉ」

    舞園「私、皆さんについていきたいです!」

    魅霊「……わかったよ」


    渋々、1歩を踏み出す。


    ここから出たら、どうなるんだろ。


    消えない、とは思う。


    なんかしらの影響は出る筈だ。


    希望ヶ峰学園から体を出した時。


    なにも変化がない。


    魅霊「あれ」

    苗木「大丈夫?」

    魅霊「うん……。でもどうして何も起きないんだろう」

    霧切「これは憶測でしかないんだけど」


    霧切は呟くように言う。


    霧切「貴女は学級裁判で、世界中の意識を集めたじゃない」

    江ノ島「そーそー。私様こうゆう状況も見越してたのよ」

    魅霊「江ノ島!!」


    そうか、死んだから私の中で生きてるんだ。


    葉隠「じょ、成仏してくれぇ!!」

    江ノ島「言われなくてもそのつもりだっつーの!死んでもなおこの退屈な世界に留まるとか」

    江ノ島「絶望しても嫌、です……」


    その言葉を最後に、江ノ島盾子は私の中から消えた。


    腐川「ね、ねえ、アレ、何?」


    前方から、黒いスーツを着た集団がやって来た。


    「君たち!大丈夫かい?」


    「どうやら無事に脱出できたみたい」


    十神「おい、貴様等は何者だ」


    十神が問う。


    一人の男がそれに答える。


    「ああ、僕達は……未来機関だよ」


  61. 64 : : 2015/08/24(月) 08:38:42





    それから____




    私達は未来機関に保護された。


    生き残った6人と私は、未来機関の一員として、日々復興に励んでいる。


    私の中の9人も、時々お手伝いをしてくれる。








    そして今。


    目の前には仰々しい機械。


    15個のカプセルに横たわる15人。


    苗木「それじゃ、頼んでいいかな」

    魅霊「任せてよ」

    十神「いいか、絶対にヘマをするなよ」

    魅霊「大丈夫だって」

    霧切「絶対にむちゃはしないで」


    これからやるのは、不完全な計画。成功の確証はない。


    でも、やるしかない。


    あの時のように。


    私は、予備のカプセルに入る。


    プログラム内の私の役目は、バックアップ。


    15人全員が絶望に堕ちる前のデータのバックアップを私の中に収容すること。


    それが私のアバターの役目。


    前は何の役にも立てなかったけど、今は違う。






    こんどこそ、私が守るから。




  62. 65 : : 2015/08/24(月) 08:46:18

    超高校級の駄目作者のどうでもいい話


    はい、完結です。
    え?中途半端?いいえ、完結です。
    続編もありません。
    疲れました。
    シリアス本当に難しいです。
    しかも書き溜めとか殆どなしに見切り発車で始めたんで凄い大変でした。
    最初から最後までご都合展開でしたね。
    私の技量ではこれが限界です。
    間に執筆休んでたせいで遅筆に磨きがかかるという……本当に申し訳ございません。
    またいつかシリアス書きたいと思います。
    もちろん書き溜めはします。
    それではまたいつか。

    終わり?むしろ終われ。
  63. 66 : : 2016/01/10(日) 19:14:41
    感動しました!スーダンVer.もお願いします!

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imozuki

作者咲紗

@imozuki

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