可能世界論、というものを知っているだろうか。


この世界は大樹の枝のように無数に枝分かれした可能性の内の一つであるという考え方であり、世俗的に言えばパラレルワールド理論が一番近いところにあると思われる。


これは、そんな可能世界の話。


無機質なコンクリートの床は、有機質な木の床に。


こちらを見下ろす鉄の摩天楼は、こちらを包み込む聳え立つ木々に。


そして何より……生態系の頂点に立つものが、人間から他の動物に。


そんな世界の、ほんの一片。