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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

モンスターハンターワールド・新大陸の蒼い星

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  1. 1 : : 2018/08/05(日) 12:27:48
    ある港町に巨大な帆船が来航した。それはモンスターを狩るハンターと、彼らの相棒となる受付嬢、オトモアイルーのみを乗せる特別な船。

    「5期団の推薦組、乗り込め!30分後に新大陸へ向けて出航する!」

    船の上から男達が声をあげた。

    筋骨隆々な者もいれば、そこまで頼もしくはない体型でも鋭い眼光を放つ者もいる。

    そんな中、船の特別個室にやって来たのは20歳くらいの若い女ハンターだった。

    「私しか女性のハンターいないなんて…」

    彼女の名前はアリス、ユクモ村出身の女性ハンターだ。

    「男臭い部屋にいるよりかはマシだけど…」

    アリスはこの船の出航先に興味を持ち、ユクモ村を飛び出して推薦試験を受け、見事一発合格を果たした秀才だ。

    アリスは胸ポケットから写真を取り出した。そこにはアリスの横に立つ小さな男の子が写っていた。

    「ケイ……お姉ちゃん頑張るからね」

    すると船が汽笛を鳴らした。

    「出航だーーーーーーー!!!」

    窓から外を見るとたくさんの人が手を振っていた。恐らくこの景色を見ることはもう出来ないかもしれない。

    アリスの心に不安が募る。

    「新大陸……ね」













    遡ること1年前、アリスがユクモ村のハンターとして活躍していた頃、ある情報がユクモ村にやってきた。

    それはユクモ村から西へ5万2000キロ離れた先にある「新大陸」と呼ばれる未開の地へ行きたいと望むハンター100人を募集するという知らせだった。

    新大陸という名前なのだから、未知のモンスターがいるという恐怖もあったが、アリスはそれにとても興味を持った。

    試験はハンターとしての基礎的な知識の筆記試験、実際のモンスターを相手に自分の武器で戦い、討伐する速さと技術、モンスターの弱点を正確に狙う知識を見る実践試験があり、アリスは500人中3位という好成績を残して合格した。
















    そして今に至る。

    「新大陸……一体どんな所なのかしら…」

    するとドアをノックする音がした。

    「どうぞ?」

    ドアを開けて入ってきたのはこの船専属のオトモアイルー。

    「アリス殿、新大陸推薦組へこご参加誠にありがとうですニャ。早速防具と武器をお持ちしましたニャ」

    「ありがとね」

    「ここから3日間の船旅ですがごゆっくりして下さいニャ」

    アイルーが部屋を出るとアリスは防具を手に取った。

    「軽いけどしっかりした生地ね…ケルビの毛皮なのかしら…?」

    アリスは防具の匂いを嗅ぐと早速着替え始めた。

    新大陸への冒険が、遂に始まる。
  2. 2 : : 2018/08/05(日) 12:36:13
    プロローグ・古龍渡り
  3. 3 : : 2018/08/05(日) 13:21:13
    その日の夜、アリスは夕食を食べた後、船の女湯へ入っていた。

    ユクモ村は上質な温泉とお茶が有名で湯治をしにやって来る手負いのハンターも多い。そんな最高級温泉に毎日浸かっていたアリスは少し物足りなさそうな顔をしつつも風呂を堪能した。

    そしてインナーに着替えて海風を浴びていた。

    ジョッキに注がれた塩ミルクを飲みつつアリスは深呼吸した。

    濃厚な潮の香りを肺いっぱいに吸い込むと眠気が少し消えた。

    「そういえば推薦組って二人一組なんだっけ…誰か空いてるかしら」

    そんな事を呟いていた時だった。

    「あなたもハンターですかニャ?」

    不意に後ろから声をかけられた。

    振り返るとそこには黒色のオトモアイルーがいた。

    「貴方オトモアイルー?誰か探してるの?」

    「僕はフブキ、推薦組のパートナーを探しているんですニャ」

    「あら、じゃあ私とペア組まない?」アリスはフブキの前でしゃがんで頭を撫でた。

    「僕でいいのニャ!?」

    「ええ、私も丁度探していてた所だったし話して相手が欲しかった所なの!」

    「じゃあ僕がアリス殿の相棒になった事を伝えに行きますニャ」

    「行ってくれるの?」

    「勿論ですニャ、そういえばあと1人のパートナーはどこですかニャ?」

    「えっ?あと1人?」

    「確か相棒となる「受付嬢」をパートナーにする必要があるそうですニャ」

    「そうなの!?まだ受付嬢さんなんかと話してないのよね…」

    「じゃあ明日探してみるのがいいですニャ」

    「そうねぇ…じゃあそうしましょ」

    アリスとフブキは自分の部屋に戻り、眠りについた。
  4. 4 : : 2018/08/05(日) 19:50:51
    次の日の朝、ハンター達は全員船の会議室に収集された。

    「今から新大陸での基本装備となる剥ぎ取りナイフ、導蟲、スリンガーを各自に配る。使い方は出港前に確認済みのはずだ。新大陸では重要な鍵になるから絶対に無くさないように!」

    スリンガーとは、新大陸に生きるハンターや調査団の基本装備で、左腕に付ける小さな弩で、先端はフックのように尖って返しがついていて、それを壁や「楔蟲」に引っかける事によって移動することができる。ただの弩とは性能の次元が違い、大きな特徴は石ころやその辺に落ちている硬い木の実などを装填して発射できる為、剣士でもガンナー並みの遠距離攻撃が可能になったのだ。スリンガーを極めた者はスリンガー弾だけでモンスターの自由を奪ったり討伐する者もいるそうだ。

    そして2つ目は導蟲と呼ばれる小さな蛍のように蛍光色を放つ虫で、相手の匂いを覚えると相手がいる場所まで導くという不思議な性質があり、本来普通のモンスターなら蛍光色だが、古龍などの強大な相手になると青白い色になるという。

    そして剥ぎ取りナイフは……語らなくてもいいだろう。

    「そして今夜には新大陸に到着し、朝には足を踏み出す予定だ。明日までに全員装備と覚悟を整えておけ!!」













    そして夜10時、アリスは船の食事馬でキングターキーのモモ肉を食べていた。周りはみんな二人一組のペアばかりで、アリスだけが一人だった。

    「もう私一人なのかしら…」

    と、そんな時だった。

    「おっ、なぁあんた」

    大きな声をあげながらアリスの前に座ってきたのはモヒカンのような髪型の若いハンターだった。

    「あんたも推薦組か?」

    「ええ、私も推薦組の1人よ、貴方もそうなの?」

    「勿論さ、あんた緊張してる?

    「私は……ちょっと緊張してるかな」

    「そうだよな、俺もちょっと不安だけどな。長かった……国を出てからここまで来るの…なあ、あんた名前はなんていうんだ?」

    「私はアリス、貴方は?」

    「俺はエリック、こっちは相棒のソニアだ」

    「エリック、あなたガツガツ行かないで」

    ソニアがエリックを制するとアリスに頭を下げた。

    「そういえば推薦組は二人一組が原則らしいけどあなたは?」

    「私はまだいないの、明日の朝空いてる人と組むわ」

    「そうなの?でも早くしないと」

    「まぁいいじゃねぇか、推薦組同士頑張ろうぜ!!」

    エリックがジョッキを向けたのでアリスもジョッキを合わせた。

    するとビールを飲み干すエリックの後ろに他の受付嬢とは少し違う色の服を着た受付嬢が目に入った。

    「ちょっといいかしら」

    アリスは立ち上がると窓の外を見つめる受付嬢へと向かった。

    「ごめんなさい、あなたペアが……」

    「気が付きました?」

    アリスが言い終わる前に受付嬢が声をかけた。

    「今、少しだけ波の音が変わったんです。陸が近いからかな……?」

    望遠スコープを限界まで伸ばして波の波紋を見つめる。

    「あなた、推薦組でしょ」

    「え、ええ……」

    「さっきの話、ちょっとだけ聞こえたんです。私も丁度空いてるんです♪」

    「え、じゃあ私と組まない?」

    「勿論ですよ!よろしくお願いします相棒!」

    「私アリス、あなたは?」

    「私はセラ」

    「僕はフブキですニャ」

    「よろしくねフブキちゃん♪」

    セラはフブキを抱き上げると喉をくすぐった。

    と、その時だった。




    ズゥンッ………!

    船が大きく揺れた。

    「な、何!?」

    「まさか…来てください相棒!」

    甲板へ走るセラの後をアリスは慌てて追いかけた。
  5. 5 : : 2018/08/06(月) 10:43:45
    MHWが元ネタですか?
    期待です!
  6. 6 : : 2018/08/06(月) 18:08:34
    甲板に続く階段を駆け上がり、扉を開けるとそこは大混乱になっていた。

    床にはバリスタの弾や木箱が転がり、船員たちは縄梯子を登って必死に帆を畳んでいる。

    「何があったんですか!?座礁ですか!?」

    アリスは倒れている船員に駆け寄って声をかけた。

    「わ、分からない……突然海底が盛り上がって……!」

    すると船が再び大きく揺れ、傾いた。

    「きゃっ!!」

    アリスは慌てて船の柵に捕まるが、アリスの右足にしがみ付いていたフブキが手を滑らせて落ちてしまった。

    「フブキちゃん!」

    船はさらに大きく揺れ、アリスは船から投げ出された。

    投げ出される寸前にアリスの目に入ったのは赤い溶岩の様なものだった…………















    「痛ったい……」

    アリスは強く打った右腕を押さえながら目を覚ました。

    だが、そこは明らかに地面ではなく、まるで岩山の様な硬い地面だった。

    「ここは一体……?」

    すると目の前の穴から赤いマグマが溢れ出てきた。

    「まさかここ……火山!?」

    耐火性に優れていないレザーシリーズで火山を歩くなど危険極まりない。アリスは慌てて溶岩から距離をとった。

    「どうすれば……フブキちゃんもいなくなっちゃったし…」

    とその時、微かに人の声が聞こえた。

    「誰かいるの!?いたら返事ちょうだい!?」

    アリスが岩を乗り越えるとそこにはセラが辺りを見渡していた。

    「セラ!?」

    「あ、アリス!来てください!」

    アリスはセラに駆け寄った。

    「他の人達は?」

    「分かりません…でもきっと大丈夫なはずです」

    「とりあえずこの山を出ましょう、ここにいるのは危険よ」

    「でも恐らくここは……付いてきてください!」

    セラは山の方へ向かい、アリスはセラの背中を追いかけた。

    しばらく走るとセラが立ち止まった。

    「見てください、私たちの船が……!」

    上を見上げるとそこには今まで乗っていた船が岩山の隙間に挟まり、完全に身動きが取れなくなっていた。

    「中の人たちは無事かしら……?」

    アリスが心配そうに見つめるが、まずは自分達の安全確保が優先とし、アリスは先へと進んだ。

    更に進むと目の前に大きな壁が現れた。

    「ここは登れそうですね……スリンガーをうまく使って登りましょう」

    セラは器用にスリンガーを使って壁を登っていく。

    「私も早く慣れなきゃね……!」

    アリスは崖に手をかけて登ると左手に装着しているスリンガーを発射した。

    先端に返しが付いた小型の刃が岩に引っかかり、更にロープが中に収納される勢いを使って素早く壁を登りきった。

    「すごい便利な装置」

    アリスは更に火山の奥へと走る。

    するとその時、セラの頭上の壁から溶岩が噴き出したが見えた。

    溶岩が噴き出した事に気付かないセラは更に奥へと走っていく。

    「セラ!!」

    アリスは全力で走り、アリスの背中を押しながら倒れた。

    真後ろに溶岩が流れ落ち、凄まじい熱を放った。

    「あ、危なかった……ありがとうございます相棒」

    「無茶はしないで、自分の命は自分で守らないと」

    アリスはセラを立たせると壁を見上げた。

    すると数十メートル上の上空を翼竜が飛んでいるのが見えた。

    「あれは…相棒、この上に登りましょう!この上ならきっと……!」

    セラは更に上へとスリンガーを使って登っていく。

    アリスも必死で崖を登り、あと少しでてっぺんに辿り着く寸前で再び大きな揺れが2人を襲った。

    「相棒!こっちです!この先から飛び降りてください!!」

    「な、何ですって!?」

    「飛び降りたら翼竜の足に向かってスリンガーを撃ってください!」

    「でも失敗したら私たちは…!」

    「相棒ならきっと大丈夫です!!」

    「もう……どうなっても知らないわよ!!」

    アリスは崖を走り、一気に尖った足場から飛び出した。



  7. 7 : : 2018/08/06(月) 18:34:10
    崖を飛び出すと同時にアリスは体をひねり、翼竜の足に狙いを定めてスリンガーを発射した。

    スリンガーは翼竜の足に上手く引っかかり、アリスは更にあのジ○リ映画の名シーンの様に崖から飛び降りたアリスの手をしっかりと掴んだ。

    翼竜は2人の重さにバランスを崩しつつも何とか立て直し、火山の横を通り過ぎる事に成功した。

    「セラ、大丈夫?」

    「はい!あっ、あれは………」

    2人が見つめる先は巨大な樹の横から出てくる美しい朝日だった。

    朝日は優しい光と共にこの大地にやってきた2人を照らした。

    「これが……新大陸」

    緑の木々が生い茂る美しい大自然にアリスは言葉を失った。

    クァーウ……!

    だが、翼竜も流石に2人をぶら下げたままの飛行は辛かったのか、大きく体勢を崩した。

    「きゃっ!?」

    2人は木々を突き破りながら新大陸へと足を踏み出した。












    「相棒、大丈夫ですか?」

    「え、ええ……何とか」

    アリスは振り返ると火山が海岸に埋まる様に地面に消えていくのを目撃した。

    「ん?あれは……キャンプ?」

    セラが見つけたのは黄色い小さなテントで、その横には本のようなものが落ちている。

    「相棒!地図を見つけました!」

    地図には恐らく自分たちがいるであろうベースキャンプ地点に赤い丸が付いている。その先の場所にもう一つ赤い丸が書かれており、そこには「アステラ」と書かれている。

    「アステラか私達が到着するはずだった場所ですね、ここからだと少し距離がありますが大丈夫でしょう!」

    「本当に大丈夫かしら、私武器持ってないわよ?」

    「その時は逃げるしかありません、でもここで待っているより向かった方が地形も確認出来ますしいい事ずくめです!」

    セラはまるで冒険に行く少年のように拠点の外へ続く木のトンネルをくぐっていく。

    「怖いもの知らずというか……それともただの命知らずというやつかしら?」

    アリスもその少年のような心に笑みを浮かべながら後を追った。




    木のトンネルを抜けると開けた場所に出た。

    「うわぁ〜、何てすごい所!」

    小川がそばを流れており、さらにその先は海に続いている。

    青々しい植物がたくさん生え、それらを食む草食モンスター、アプトノスがいた。

    「新大陸にもアプトノスはいるんですね、姿形は変わってなくても食性が違うとか…?」

    アプトノスは草食モンスターで、かなり巨大な個体もいるが性格は大人しく、こちら側から危害を加えない限り攻撃することはほぼ無い。家畜としても飼われることもあり、その体から剥ぎ取れる肉は美味で栄養価も高く、こんがり肉の材料にされる代表的なモンスターだ。

    「かなり数がいるわね……ユクモ村の近くとは全然違う…」

    アリスはのびのびと生きるアプトノスに思わず見入ってしまう所だった。

    「相棒、川に沿って行きましょう。この先からは森ですよ!」

    アリスとセラはアステラに続く道を地図で確認しながら森へと進んでいった。
  8. 8 : : 2018/08/06(月) 18:43:24
    モンスターハンターワールドが元ネタです!
    コメントなどは気軽に書いてくれると励みになります!
    まだまだ若い女ですけどよろしくお願い致します。
  9. 9 : : 2018/08/06(月) 19:50:57
    アリスとセラは森に続く川に沿って歩いていると、耳の長いウサギのような生き物に出会った。

    「あれは……ヨリミチウサギですね。環境生物も豊富ですね」

    「あなた知ってるの?」

    「ええ、ここに来るまで船の中で環境生物の図鑑をずっと見てましたから!」

    環境生物とは、新大陸で独自の進化を遂げた生き物の総称で、ユクモ村などの地方ではまず見られない生き物がほとんど。ヨリミチウサギの発見例は新大陸以外無いという。

    「ここから森ですね、この木々を掻き分けて行きましょう」

    アリスは絡みついたツタや木の根を掻き分けて森の奥へと入った。

    そこは木の幹の周りが開けた場所で、木々の葉に光を遮られて少し薄暗い。

    「さっきとは雰囲気が違いますね…」

    その時、背後で何かの気配を感じたり、アリスが振り返るとそこには黄色い鱗に覆われた小型モンスターがいた。

    グァァァーーーー!

    爬虫類特有の鋭い眼で2人を睨むと雄叫びをあげた。

    すると木の幹を器用に3匹が降りてくると更に奥から2匹が現れ、合計6匹のモンスターに2人は囲まれた。

    「確か彼らは…ジャグラスです!小柄ですが肉食で素早い動きが得意なモンスターです!」

    「肉食モンスター……ジャギィみたいな存在ね…!」

    ジャグラスは唸り声をあげてアリス達を威嚇する。いくら小型モンスターであっても相手は肉食、更にアリスは武器がない為絶体絶命だ。

    「あっ、相棒!あの茂みに隠れましょう!

    セラが指差す先にはしゃがめば隠れられそうなほどの葉が生えた植物がある。

    アリスはジャグラスの上を飛び越えると素早くその茂みに滑り込んだ。

    突然相手が消え、ジャグラス達は辺りを見渡す。

    「いい感じですね……このまま彼らが去るのを待ちましょう」

    セラが小声でアリスに声をかけた。

    そして1分後、ジャグラス達は完全にいなくなった。

    「もう大丈夫みたいですね、ここは素早く抜けましょう」

    2人はジャグラス達の縄張りを急いで後にした。












    そして森の出口のツタの壁を降りると今度は浜辺のエリアに出た。

    「恐らくもう少しで目的地のはずです、急いで……ってあれ?」

    するとセラの導蟲が何かに反応し、蛍光色を放ちながら何かに群がった。

    それは何か重いものが引きずられたように地面がえぐられている。

    「これは……痕跡?」

    セラが痕跡に手を伸ばした時だった。

    グァァァゥッ!!

    突然大きな塊がセラを突き飛ばした。

    「ひゃっ!?」

    それは先程見たジャグラス……の倍はあるモンスター、間違いなく大型モンスターだ。

    モンスターはセラを前足で押さえ込み、鋭い牙が生えた口を開ける。このままでは彼女が朝食にされてしまう。

    「セラ!!」

    アリスは本能的にモンスターに走り寄った時だった。

    「おらよっと!」

    モンスターの背中に骨の大剣を収めたハンターが飛び乗った。

    「邪魔するぞ!ほら暴れるなっ!」

    ハンターはモンスターのたてがみを掴むと乗馬のようにモンスターを操る。

    その隙にセラはなんとか抜け出した。

    「この先に調査拠点がある、急いで向かえ!!」

    ハンターはモンスターの背中から飛び降りるとセラの後を追って走っていく。

    更にその2人を追ってモンスターが細い道を走っていく。

    「ちょっと私置いていかれるの!?」

    アリスも慌てて後を追い、そして2人が門の前で立っている。

    「お前も急げ!!」

    アリスがモンスターの横を通り抜けようとした時だった。

    グォォォォォォッ!!!

    モンスターの目の前に今度はティラノサウルスのようなモンスターが現れた。

    「マズいな……早くしろ!!」

    ハンターの叫ぶ方にアリスは走るが、大型モンスター同士の争いに巻き込まれて中々抜け出せない。

    「相棒!!」

    アリスは最後の力を振り絞り、地面を蹴るとモンスターの尻尾に薙ぎ払われる寸前で門に飛び込んだ。

    アリスが飛び込むと同時にハンターはナイフで門を支えているロープを切断した。

    門が強制的に閉められ、何とか無事(?)に目的地アステラに到着した。

    「大丈夫か?」

    ハンターがアリスに声をかけた。

    「え、ええ」

    アリスはセラの手を借りて何とか立ち上がった。
  10. 10 : : 2018/08/06(月) 21:45:27
    3人は2頭のモンスターの襲撃を何とか無事にやり過ごし、アステラに続く道を歩いていた。

    「紹介が遅れたな、俺は調査班リーダーのスティーブ。お前らは5期団の奴らだろ?」

    「は、はい、他の皆さんは……」

    「安心しな、少し怪我人は出てるが全員の無事が確認済みだ。死者は出てない」

    「良かったぁ……」

    セラはほっと胸をなでおろした。

    「まさかあそこに溶山龍が現れるとはな、とりあえずお前らが最後だ」

    そして遂に巨大な骨の門が姿を見せた。

    「ここが新大陸の調査拠点、アステラだ」

    「調査拠点・アステラ!」

    セラは思わずアステラの周りを見渡した。

    あちこちで魚などを運んだり物資を運ぶ人、そして今から調査に行くであろう人達がたくさんいた。

    「すごい賑やかな所ですね!」

    「アステラは新大陸の調査と古龍渡りの謎を解明するのを中心に研究が進められているいわば新大陸情報の心臓部だ」

    すると前方で2人の怪我の治療をしていたエリックとソニアが2人に気がついた。

    「おーい、あんた達ー!」

    エリックがアリスに駆け寄ってきた。

    「無事だったか!俺たちも幸い無傷だぜ!」

    「見つかってよかった…今から探しに行こうと思ってた所だったのよ」

    「心配かけてごめんなさい、お互い怪我がなくて良かった」

    ソニアとアリスは笑顔で抱き合った。

    「おーい、手伝ってくれ!」

    エリックとソニアが別のハンターに呼ばれた。

    「じゃあ今夜ね」

    2人が怪我人に向かって行くとスティーブがアリスに声をかけた。

    「お前らちょっと待ってろ」

    スティーブはアステラの奥にある白毛の男に声をかけた。

    「じいちゃん、連れて来たぞ!」

    白毛の男は古いアオアシラのような防具をして頰に大きな傷跡がある。

    「君たちが5期団の代表か、私は1期団の団長だ。これから作戦会議を行う、その時には合図となる笛を鳴らす。よろしくな」

    そう言うと団長は別の場所に歩いて行った。

    「じいちゃんは昔にモンスターの攻撃を受けて走れなくなってるから代わりに俺が調査班リーダーなんだ。じいちゃんが現役の頃は大団長がいたんだけどな」

    スティーブは懐かしそうに空を見上げた。

    「そういえばお前のオトモが探してたぞ、探しに行くと同時にアステラを案内してやるよ」

    まず最初にやって来たのは大きな箱になった男がいる場所。

    「ここは物資補給所だ、回復薬、弾、瓶、基本的なアイテムは全てここにある。お手頃価格だから安心しろ、次は加工屋だ」

    アステラは基本的に木造建築と骨を利用しており、あまり近代的な所はないがそういう所が好奇心をくすぐられる。

    階段を登るとたくさんの煙突がある建物が姿を見せた。

    「ここは加工屋だ。腕利きの職人がいるから素材が集まったら来るといい。武器、防具、装飾品などが生産できる。この左側は武器屋だ、好きな武器を買うといい。次は食事場だ」

    「すごい熱ですね……さすが加工屋さんですね!」

    セラは興味津々に加工屋を覗き込む。

    すると食事場の所に黒い毛並みのオトモアイルーがいた。

    「フブキちゃん!」

    アリスが叫ぶとオトモアイルーは振り返った。間違いなくフブキだ。

    「旦那さんだニャ!やっと見つけたニャ!」

    フブキはアリスに飛び込んだ。

    「旦那さん無事だったのニャ、オトモなのに一緒にいれなくてごめんなさいニャ」

    フブキはアリスに抱き抱えられながら謝った。

    「大丈夫よ、フブキちゃんも無事でよかった」

    アリスはフブキの頭を優しく撫でた。

    「良かったなすぐ見つかって」

    すると笛の音がアステラに響き渡った。

    「作戦会議が始まる合図だ、行こう」
  11. 11 : : 2018/08/07(火) 09:28:24
    「一同、揃っているな。これより作戦会議を開始する」

    団長を中心に加工屋、生態研究所、物資補給班リーダーなどの重要な人達が集まった。

    「海を渡るゾラ・マグダラオスを船で追い…遂に5期団が新大陸に到着した。大きな戦力だ、この長きに渡る調査の決着に期待される。ひとまず代表として彼らに出席してもらった」

    「5期団のアリスです。よろしくお願いします」

    アリスは丁寧に自己紹介をすると深々と頭を下げた。

    「ここにいるのは調査団の要の連中だ。よく覚えておいてくれ」

    「よろしくね」

    物資補給班リーダーがアリスに声をかけた。

    「本題に入ろう。今回渡りを行なったのはゾラ・マグダラオス、火の山を背負う巨大な古龍だ。我々調査団の最大の目的はこの「古龍渡りの解明」だ」

    「およそ10年に一度新大陸を目指して海を渡る古龍達…道すがらに生態系を変え、地形を変え、時には災害を巻き起こす……遥か昔から古龍とはそういうものとして在るんや」

    生態研究所の所長が分厚い本を睨みながら古龍渡りの謎を読んだ。

    「奴らが一体何を目指して新大陸に渡り来るのか……今こそ解明しよう!」

    団長の声に’周りが大きく頷いた。

    「今後しばらくだが、5期団のハンター達は調査拠点の周りにいる小型モンスターの調査と拠点の安全確保を頼む。まずはジャグラスの生息域を詳しく調べてほしい、状況によっては討伐も頼む」

    「はい、頑張ります!」

    セラは力強く頷いた。

    「他のみんなはいつも通りだ。ハンター達を手厚く補佐してやってくれ」

    「任せな」

    料理長が腕を大きく回した。

    「5期団はここのやり方にしばらく慣れるまで指南役を頼るといい」

    「だとさ、一緒に行こう」

    スティーブはアリスの肩をぽんぽんと叩いた。

    「期待しているよ。その旗印と同じように調査団の追い風になってくれるように…………以上、解散!」












    作戦会議が終わり、アリスはマイルームの部屋で武器を選んでいた。アリスはユクモ村の時からずっと片手剣を愛用しており、新大陸での片手剣をずっと楽しみにしていたのだ。

    「やっぱり私は片手剣が一番好きね」

    アリスはハンターナイフを腰に収めるとアイテムボックスの中から回復薬、携帯食料、双眼鏡を取り出した。

    新大陸からは砥石が一味違い、かなり強靭な砥石になっており、一度研ぐと使えなくなるユクモ村の砥石とは違い、こちらの砥石は何度でも使う事が出来る優れ物になっていた。

    「これでOKね、スティーブの所に行かないと」

    アリスが向かう際、香ばしい匂いが漂ってくるのに気がついた。

    見ると看板に「山猫亭」と書かれている。

    「あそこの料理長は見た目はイカツいけど料理の腕前は確かですニャ。僕もさっき食べたけどとっても美味しかったのニャ」

    フブキが山猫亭を指差しながら語った。確かにハンターにとって狩りに行く前の食事は当たり前の事、アリスは山猫亭に向かった。

    「おう来たな5期団」

    山猫亭の料理長はオトモアイルーだが、筋骨隆々で背中には先端が欠けたアイアンネコソードを付けている。

    「オレの弟子達の料理は美味いから食っていけよ」

    数十分後、アリスは食事を終えてスティーブの元に向かった。

    「よし、まずは拠点の周りにいるジャグラスの生息域を調査すると同時に討伐だ、今回は8頭討伐すればクエスト完了だ、よろしく頼むぞ」

    こうしてアリスは新大陸の最初のクエストを受注し、最初のフィールド「古代樹の森」に向かった。
  12. 12 : : 2018/08/07(火) 15:50:32
    古代樹の森は、アステラの東側に位置する広大な森で、豊富な水で育った巨大な古代樹の周りを囲む森の中にはたくさんのモンスターが見られる。

    アリスに課せられた課題は2つ。1つはジャグラスの8頭討伐、そして生息域の調査。

    そして2つ目は痕跡の採取。

    アリスはベースキャンプの支給品ボックスを開けて応急薬と携帯食料を取り出してアイテムポーチに入れた。

    「とりあえずジャグラスを討伐してこのフィールドの地形を知りたいわ。地図だけじゃ限界があるし」

    「そういえば旦那さん、さっきクエストに行く前に調査班のリーダーさんからこれを貰ったニャ」

    フブキが取り出したのはボールのように丸められたネットのようなもの。

    「これは?」

    「これはスリンガーの捕獲用ネットですニャ。調査団やハンターの標準装備ニャ」

    「そうなの?まぁ使い道はまだ分からないけどありがとう」

    アリスはベースキャンプを出て開けた場所に出るとアプトノスが草を食んでいた。

    「少し生肉を頂きましょう」

    アリスはハンターナイフを構えるとアプトノスの頭部に盾を振り下ろした。

    鈍い音が響き、アプトノスが大きく怯む。

    さらにアリスは素早くハンターナイフをアプトノスの喉元に一閃させた。

    急所を突かれたアプトノスは力無く大地に崩れた。

    仲間がやられたことにより、アプトノスは大慌てで逃げ出した。

    「あなたの命は無駄にはしないわ」

    アリスは剥ぎ取り用ナイフでアプトノスから生肉を剥ぎ取った。

    生肉は焼いてこんがり肉にしたり、毒テングダケやマヒダケ、ネムリ草から抽出したエキスに漬けて罠肉にすることもできる。

    アリスはそのまま肉焼きセットを取り出し、生肉を火で炙る。

    新大陸の肉焼きセットの火力は意外と強く、目を離すとすぐに焦げてしまいそうだ。

    アリスは肉の表面がこんがりと焼ける瞬間を見逃さずに見事にこんがり肉を焼き上げた。

    「まだ食べないけど一応持っておきましょう」

    すると目の前にアリスとほぼ同じ背丈の植物に気がついた。

    これは回復ツユクサと呼ばれる植物で、花の中に体力を回復させる特殊なツユを溜めている不思議な性質がある。回復薬よりも高い回復性能があり、ナイフなどで切りつけるとツユが辺りに散布される。

    「そろそろジャグラスの住処に行きましょう。フブキちゃんも準備はいい?」

    「もちろんですニャ」

    フブキはドングリネコスコップを構えた。

    アリスは最初に草の中に隠れてジャグラスをやり過ごしたエリアにやってきた。

    すると早速アリス達の前に3頭のジャグラスがやって来た。

    「武器を持った私は前とは違うわよ!」

    アリスは素早くハンターナイフを振り下ろし、ジャグラスにダメージを与える。1匹が怯む声に反応した仲間のジャグラスが更に2匹現れる。

    「フブキちゃんはそっちお願い!私はこの2匹をやるわ!」

    「了解ですニャ!」

    ジャグラスの噛み付き攻撃をガードで防ぎ、そのまま盾殴りでカウンターを仕掛ける。

    片手剣は片手に盾、もう片方に剣を持つ武器で、高い機動力と使いやすさを併せ持つ。更に大きな特徴があり、片手剣は武器を構えたままアイテムを使うことができるのだ。回復薬や携帯食料などのアイテムは納刀しなくても使える利点がある。更に盾を使う事で打撃系のダメージを与えることができる。

    盾を振り下ろし、そのままジャグラスの顎下から盾を振り上げて気絶させ、背後のジャグラスには振り返ると同時にハンターナイフをジャグラスの頭部にクリティカルヒットさせた。

    フブキは少し押されつつもドングリネコスコップを振り下ろして確実にダメージを稼ぐ。

    アリスは後ろに飛び、ジャグラス達から距離を取る。だが、これは回避行動ではなかった。

    前方に飛ぶと同時に渾身の力でハンターナイフをジャグラスの頭部に振り下ろした。

    会心の一撃を受け、ジャグラスはついに力尽きた。さらにその隣にいたジャグラスを踏み台に高く飛び上がり、そのまま全体重をかけた盾をジャグラスに叩きつけた。これはフォールバッシュという技で身体能力が高いハンターだけしか使うことのできない強力な技だ。

    「フブキちゃん、そっちは!?」

    アリスが振り返るとそこには倒れたジャグラス達からいた。

    「なんとかこっちも討伐完了ですニャ」

    「なら剥ぎ取りましょう。このモンスターの素材は使えるはず」

    アリスはジャグラス達の剥ぎ取りを終えると巣窟であろう洞窟へと入っていった。
  13. 13 : : 2018/08/09(木) 12:44:57
    アリスとフブキが洞窟を進んでいると、洞窟の隅に赤い結晶が剥き出しになっている所を発見した。

    「これは……鉱脈?」

    「これは鉱脈ですニャ、新大陸の鉱脈の鉱石は角が尖っているのが特徴ですニャ」

    アリスはピッケルを取り出すと、勢いよく剥き出しになった鉱脈にピッケルを振り下ろした。ガツンという音ともに鉱石が転がり落ちてくる。

    「鉄鉱石ね、今のうちにたくさん採掘しておかないとね」

    鉄鉱石は全ての武器、防具の基盤となる鉱石で、高値では売れないが下位装備の強化に必要となるだろう。

    アリスは鉄鉱石2つとマカライト鉱石を入手すると更に洞窟の奥へと進んでいく。

    するとその時だった。

    グァァァァァゥッ……!

    洞窟の奥から聞き覚えのある鳴き声が聞こえた。

    「……今の声って…」

    「気を付けるニャ」

    アリスはゆっくり奥を覗き込むと、数十匹のジャグラス達がいた。

    「すごい数ですニャ」

    「何とか彼らの意識を逸らせれば……」

    するとアリスは洞窟の奥に大量に群がる光る虫を見つけた。

    「あれは……閃光羽虫」

    アリスはツブテの実を装填したスリンガーを構えて閃光羽虫の群れにツブテの実を発射した。

    ツブテの実が命中すると、驚いた閃光羽虫は強烈な閃光を放った。

    アリス達は隠れて閃光を回避したが、直視したジャグラス達は大パニックに陥った。

    アリスはその隙を逃さずにハンターナイフをジャグラス達に振り下ろす。

    1撃、2撃、3撃、4撃、5撃。

    会心の一撃を浴びたジャグラスは力尽き、遂にクエストを達成した。

    ジャグラス達は完全にアリス達を倒せない敵と認識したのか、そそくさと逃げて行った。

    「剥ぎ取りをして帰りましょう」

    アリスはジャグラスの鱗、ジャグラスの皮ん剥ぎ取るとアステラへと帰還した。














    「お見事だアリス、怪我はないか?」

    「お疲れ様です相棒!」

    「大丈夫です」

    スティーブとセラは無傷で帰還したアリスを褒めた。

    「明日は「ケストドン」の討伐だ、最近生息域が変わったらしいから調査してほしいとのことだ」

    「分かりました、明日用意しておきます」

    アリスは少しふらつきながらもマイルームに戻って行った。













    「はぁ〜今日は疲れた」

    アリスは防具を全て脱ぐとインナーに着替えた。

    「フブキちゃん一緒にお風呂入る?」

    「僕は水があまり好きじゃないから今日は毛づくろいするから平気ニャ」

    やはりオトモアイルーは女ハンターの妖艶な体には興味は無いようだ。

    アリスは着替えとバスタオルを持って風呂へと向かった。
  14. 14 : : 2018/08/10(金) 19:58:18
    1章・緊急クエスト
  15. 15 : : 2018/08/18(土) 09:28:29
    次の日の朝5時、アリスは1人でトレーニングエリアで体を動かしていた。

    元々ハンターは男がなる職種で、女は受付嬢やサポート役などをするが、厳しいハンターとしての訓練や戦闘技術が完璧に極められた女性しかハンターになれない。

    アリスはいつもレザー装備で隠れているが、腹筋は綺麗に割れ、腕は女性の中でもかなり筋肉質である。

    アリスは腕立て伏せを終えると水筒に口を付けた。

    「とりあえずこれくらいにしようかしら……今日はまたクエストあるし」

    アリスは汗を拭くとマイルームへと戻っていった。













    部屋に入ると、フブキが何かをせっせとこねていた。

    「旦那さんおはようですニャ」

    「フブキちゃんおはよう、よく眠れた?」

    「僕はしっかり寝れましたニャ、こんな時間に何していたのニャ?」

    「さっきトレーニングエリアで体を動かしてたのよ。朝は体動かさないと体が鈍っちゃう気がして」

    アリスは冷たく冷やした塩ミルクを飲んだ。

    「今日はケストドンの指定数討伐のクエストを受けるのニャ?」

    「ええ、フブキちゃん悪いんだけど着替えるからちょっと出てもらえる?」

    「はいですニャ」

    アリスはフブキが部屋を出るのを確認すると汗で濡れたインナーを脱いだ……













    アリスはレザー装備に着替えるとアステラに出た。

    「相変わらずの賑わいねぇ……」

    アリスは濃厚な潮をの香りを肺いっぱいに吸い込むと体を大きく伸ばした。

    「クエストを受けに行くニャ?」

    「その前にちょっとだけ用事があるのよねぇ、多分もう出来てると思うけど…」

    2人は加工屋に向かうと3期団の加工屋がアリスに声をかけた。

    「おい5期団のハンター、頼みの品が出来上がったぜ!」

    「本当ですか?」

    「おうよ、ほら見ろ」

    3期団の加工屋が布で包まれた片手剣をアリスに差し出した。

    昨日のハンターナイフを鉄鉱石3つで強化してもらったのだ。昨日より僅かに重くなっているが、切っ先が鋭くなり、刃の部分も美しい銀色に輝いている。

    「料金は300ゼニーだ」

    「はい、ありがとうございます」

    アリスは300ゼニーが入った袋を渡すと加工屋を後にした。

    「防具はまだ強化しないのニャ?」

    「そうねぇ……とりあえずまずは素材とゼニーを貯めなきゃね」

    アリスはセラの元に向かった。





    「相棒、おはようございます!」

    セラはアリスに声をかけた。

    「おはようセラ。今日はケストドンの指定数討伐クエストを受けたいんだけど……」

    「ありますよ、調査班のリーダーさんからです」

    「じゃあそれを受けるわ」

    アリスはクエストを受けると古代樹の森へと向かった。

    だが、このクエストで大きく目的が変わる事になるとは誰も分からなかった。
  16. 16 : : 2018/08/27(月) 22:07:53
    古代樹の森のベースキャンプに到着すると、アリスは支給品ボックスを開けて応急薬、携帯食料を取り出した。

    「確かケストドンの7頭討伐でしょフブキちゃん?」

    「そうですニャ、調査班リーダーさんからの依頼ニャ」

    アリスは携帯食料を齧りながらエリア1に出た。

    「アプトノスがやけに少ないわね…」

    携帯食料をごくりと飲み込むと、双眼鏡でエリア1を見渡した。

    「親子のアプトノスが3頭だけ…ん?」

    アリスがふと左側に双眼鏡を向けると、そこには2足歩行の小型モンスターがいた。

    「あれがケストドン……」

    ケストドンはオスとメスで体の大きさがかなり違い、雌は小柄で、雄は体ががっしりしており、甲殻もほんのり赤茶色になっている。頭部は頭突きに特化した頭蓋骨をしており、突進には注意すべきとの事。

    「フブキちゃん準備はいいかしら?」

    「はいですニャ」

    アリスはハンターナイフⅡを構えるとケストドンに向かった。

    アリスは足音に気付き、振り返ったケストドン♂の頭部にに盾を振り下ろした。

    ガツンという鈍い音ともにケストドンが大きく怯む。更に怯んだ所に今度は顎下から盾をかち上げるようにアッパーを浴びせる。

    フブキもドングリネコスコップでケストドン♀の脚にダメージを与えていく。

    ケストドンも負けじと突進の構えをするが、アリスにとって突進の構えは隙を晒すようなもの、アリスは素早く背後に回り込んで肉質の柔らかい胴体へハンターナイフⅡを振り下ろした。鍛えられた刃が易々とケストドンの鱗を切り裂いてダメージを稼ぐ。

    フブキもブーメランでアリスを援護する。












    数分後、アリスとフブキは3頭のケストドンの討伐を終えて武器を研いでいた。

    「意外とタフねこのモンスター…」

    アリスはハンターナイフⅡを研ぎ終えると、額の汗を拭った。

    「結構汚れたニャ……」

    フブキは汚れた腕をぺろぺろと舐めて毛づくろいをする。

    「流石に今日はお風呂入らないとね、体汚れちゃってるし」

    「うぅん…水は嫌いだけどしょうがないニャ」

    「残りのケストドンは海岸近くのエリアに群れがあるみたいね…そこで決着をつけましょう」

    2人は用意を整えると海岸に続く道を進んでいった。
















    その頃、古代樹の森の奥で2頭のジャグラスが何かに向かって吠えていた。

    それは、凄い高熱を放つ巨大な火山弾のようなもの。

    ジャグラス達は威嚇しても怯まない火山弾に諦めたのか、そそくさと元来た道を帰って行った。
  17. 17 : : 2018/09/30(日) 18:07:06
    「痛たた…」

    アリスはケストドンの突進を食らった太ももを押さえてなんとか立ち上がった。

    「旦那さん大丈夫ですニャ…?」

    フブキが心配そうに覗き込むが、アリスは笑顔でフブキの頭を撫でた。

    「大丈夫よ、しっかりご飯食べて休めば治るはず」

    アリスはケストドンの剝ぎ取りを終えると、元来た道に帰ろうとした時だった。

    「おーいお前ら!」

    そこにはスティーブが2人を見つめていた。

    「よくやったなお前ら、これでクエスト完了だ」

    「ありがとう、もうすっかり夜になりそうね」

    「ああ、早く帰って……ん?」

    すると、スティーブの導蟲が何かに反応した。明らかに採取ポイントの反応ではない。

    導蟲は、小さく凹んだ地面に群がる。

    「これは………痕跡か?」

    それは、アリスのハンターナイフⅡの盾程の大きさの足跡のようなもの。

    「こんな所に痕跡があったのね…全然気が付かなかった…」

    「ここに来るモンスターは……」

    すると、海岸沿いの草むらが大きく揺れる。

    「お前ら隠れろ!」

    アリス達は岩の陰に身を隠し、草むらから出てきたケストドン達を見た。

    「さっきのとは別の群れか…様子がおかしいぞ……」

    ケストドン達は何かから逃げているように慌てて海岸から森の方へ向かう……その時だった。












    グォルルルルルルルルッ!!!

    そこに現れたのは、ケストドンを超える大きさの黄色いモンスター。

    「あれは確かアステラに来た時の…!」

    「ドスジャグラス、ジャグラス達のリーダーだ」

    ドスジャグラスは鋭い牙が生えた口を開いてケストドンに噛み付いた。

    ケストドンはドスジャグラスの噛みつきに一撃で倒された。

    ドスジャグラスは雄叫びをあげると、巨大な口を開いてケストドンに食らい付き、そのまま頭から丸呑みにした。

    「け、ケストドンを一気に…!?」

    ドスジャグラスは腹部を大きく膨らませて森の中へと戻っていった。

    「おかしいぞ…この時間にドスジャグラスがここに来るなんて…」

    スティーブが武器を構えてドスジャグラスを追いかけようとした時だった。

    「待って」

    アリスがスティーブを遮った。

    「あのモンスターを討伐するの?」

    「ああ…明らかに様子がおかしいからな」

    「なら私がやるわ、最近小型モンスターばっかりで体が鈍っちゃうわ」

    「でもお前この時間だぞ?」

    「大丈夫よ、私は夜に強いのっ!」

    アリスはケストドンを追って森の奥へと進んでいった。

    「リーダーさん、僕も行くニャ」

    フブキはスティーブに告げた。

    「ならこれをアリスに渡せ」

    スティーブが差し出したのは、小さな黄色い袋だった。

    「危なくなった時に使えって言っておけ」

    「了解ですニャ」

    フブキはポーチに黄色い袋を入れるとアリスを追いかけた。
  18. 18 : : 2018/09/30(日) 18:08:50
    投稿ペース遅れてごめんなさい、就職試験の勉強などで投稿できませんでした…(汗)
    何とか試験は落ち着いたので今後は毎日1ページの間隔でいきます〜
  19. 19 : : 2018/10/01(月) 19:03:04
    アリスはドスジャグラスを追って古代樹の根元の道を進んでいた。

    導蟲がドスジャグラスの匂いを覚え、アリスを誘導していた。

    「はぁ…やっぱりモンスターの歩幅は大きいわね…疲れる…」

    アリスは携帯食料に噛り付いた。質素な味だが、しっかりした硬さがあるため腹持ちが現大陸よりある。

    すると、導蟲が滝の右側のツタの奥に入っていった。

    よく見ると、ツタに隠れて小さな道があった。

    「やっぱり新大陸って凄い…」

    アリスはツタをかき分けて道を進むと、今度は足元が川になった。

    レザーシリースは防水性だが、女性のレザーシリースは男性用より少し露出があり、太もも用ホルスターも付いている。そのため意外と足が濡れる。

    「意外と冷たいわね…」

    アリスは冷たさに耐えながら川を上る。

    木の根をくぐると、開けた場所に出た。その奥に、ドスジャグラスがいた。

    「いた!」

    アリスは本能的にハンターナイフⅡを引き抜いた。

    ドスジャグラスもアリスに気が付いて大きく口を開けて威嚇する。

    だが、アリスは怯まずにドスジャグラスの鼻先にハンターナイフⅡを振り下ろした。

    鍛え上げられた刃がドスジャグラスの鱗を切り裂いてダメージを与える。

    ドスジャグラスは前脚でアリスを引っ掻こうとしたが、その攻撃は読まれていた。

    アリスは盾でガードし、そのままドスジャグラスの顎下から盾を振り上げた。

    ガツンという打撃音と共に火花が散る。さらに怯んだところをアリスは1撃、2撃と重い斬撃を与えるが、やはり大型モンスターは耐久力がある。

    ケストドンを丸呑みにして膨らんだ腹でアリスを押し潰そうとしてきた。

    「くっ!」

    アリスは横っ飛びに緊急回避して何とか助かったが、あれほど全体重をかけた攻撃はかなり危険だ。

    アリスが再び攻撃に移ろうとした時、ドスジャグラスは横に転がってきた。

    「それ反則でしょ!?」

    アリスはドスジャグラスの横転がりに巻き込まれ、大きく地面を転がった。

    「痛った……」

    たまらずアリスは応急薬に口を付けた。何とか飲み干すと痛みが和らいだ。

    「油断してると危ない…!」

    アリスは気を引き締めて再びドスジャグラスに向かう。ドスジャグラスの前脚引っ掻きをスライディングして避け、そのまま膨らんだ腹部に刃を振り下ろした。

    すうっと刃が柔らかい腹部に食い込み、ドスジャグラスは苦痛の声を上げる。やはり丸呑みで膨らむ腹部は伸縮性があり、肉質もかなり柔らかい。

    そのまま連続斬りでダメージを稼いでいた時だった。

    ゲボッ!

    不意にドスジャグラスの口から粘液にまみれた肉塊が吐き出された。

    ドスジャグラスは苦しそうに口周りの胃液を舐めとるが、吐き出した影響か口からよだれを出して呼吸が荒くなる。疲労状態だ。

    どうやら何度も腹部に攻撃を受け、消化していた獲物が衝撃で逆流してしまったようだ。

    棒立ちになったドスジャグラスはまさに大きな的、アリスは連続斬りから頭部を踏み台にして飛び上がり、ドスジャグラスの脳天にフォールバッシュを叩き込んだ。

    ドスジャグラスは会心の一撃を受け転倒した。これは頭部に打撃攻撃を当てる事で起こる気絶状態で、主に大剣のタックル、ハンマー、狩猟笛、操虫棍の狩虫などですることができ、ボウガンの弾も数種類打撃系の弾があるらしい。

    アリスは縦斬りから横斬り、そのままバックジャンプで距離を取ると同時に力を溜め、そのまま渾身の力でハンターナイフⅡをドスジャグラスの頭部に叩きつけた。鱗が剥がれ、中の皮が露わになった。

    そして、その柔らかくなった頭部に再びフォールバッシュを叩き込んだ。

    ドスジャグラスは起き上がると、弱々しい声を出しながら足を引きずりながら逃げていく。

    「あ、足引きずるの早くない!?」

    思わずアリスは声に出してしまった時、あるものに気が付いた。それは、頭上のツタに絡みとられた大小様々な岩。ツタはかなり細く、些細な衝撃で切れかねない。

    アリスは足元に落ちていた石ころをスリンガーに装填し、ツタに向かって発射した。

    発射されたツタが2本切れると重さに耐え切れず、ドスジャグラスの前進に岩の雨が降り注いだ。

    月夜の中、ドスジャグラスの悲鳴が古代樹の森に響き渡った……

















  20. 20 : : 2018/11/25(日) 20:28:19
    アリスが新大陸にやってきて丁度一週間が経ち、アリスはドスジャグラスを討伐し、ジャグラスシリーズの防具を手に入れた。アリスは今まで防具は被弾率を下げる為に回避性能を上げる防具が多かったが、このジャグラスシリーズには「早食い」のスキルがある為、改めて物を食べる速さのありがたみを知った。

    「今日の任務クエストはかなり楽そうね」

    今日のクエストはスティーブの依頼で「古代樹の森の調査を楽にする為にもう一つキャンプを作る場所を探す」というもの。

    「ていうかこのくらいならスティーブ1人で出来そうだけど…」

    アリスがブツブツと呟きながらエリア1を進んでいると、南側に小さな道がある事に気が付いた。

    「こんな所に道があったのね…」

    アリスは茂みをかき分けて進むと、少し開けた場所に出た。

    そこはエリア1に比べるとかなり狭いが、海が一望できる場所でもあった。

    「…………ん?」

    すると、アリスの腰にいた導蟲達が何かに反応した。黄緑色の光を放ちながら導蟲が群がったのは、壁に描かれた猫のような姿の壁画。

    「壁画…?でもずいぶん新しい感じね…」

    アリスは慎重にナイフで壁画の一部を削り取り、採取した。

    「何かの痕跡っぽいけど……」

    ふと立ち上がった時、アリスの視界に七色の光が映った。

    「え……?」

    光の先を見ると、木の幹に七色の光を放つ何かがある。

    アリスは恐る恐る近寄ると、それは光り輝くカブトムシだった。

    「これって環境生物よね?」












    環境生物。それは新大陸に存在する様々な動物達で、全てのフィールドにいる生き物もいれば、限られた場所にしかいない環境生物もいる。これらはスリンガーの捕獲用ネットで捕獲することで貴重な研究資料となり、研究が終われば手練れのハンターは飼育する事も出来るらしい。


    「とりあえず捕獲しないと…」

    アリスは捕獲用ネットを構えると、慎重に狙いを定めてカブトムシに発射した。ネットが大きく開き、カブトムシを包み込んだ。

    「すごい大きい…こんなに綺麗なカブトムシ初めて見たかも…」

    光の角度で輝く色が変化する甲虫の美しさに見惚れつつもアリスは古代樹の森の奥へと進んだ。












    そんな中、エリア1に残されたアリスの足跡の上に深緑色の羽がハラリと空から降ってきた……
  21. 21 : : 2018/11/25(日) 20:49:58
    「おーいアリス!こっちだ!」

    スティーブが森の奥でアリスを待っていた。

    「随分遅かったな、道草してたのか?」

    「え、ええ、ちょっとだけ」

    「ふふ、まあいいさ、この上がキャンプ予定地だ」

    ツタの壁の上がキャンプ予定地らしく、アリスとスティーブはツタを登って上へと進んだ。










    「ここだ、ここなら大型モンスターも簡単には来れないはず……ん?」

    スティーブの先には、なにやら肌色の鱗に覆われた小型の恐竜のようなモンスターがいた。

    「本当にこの場所安全なの…?」

    するとモンスターは器用に前足を使って地面を掘り、古い壺のような物を掘り出した。

    ゆっくりとモンスターは振り返り、アリスとスティーブは身構えた。緑色の瞳が2人を写し、モンスターは動いた……が。

    「クォォォォォォォォッ!!」

    モンスターは大きく驚き、バタついた勢いで前足から壺が離れて地面に落ちて砕け散った。

    「えっ……」

    モンスターは2人から逃げるように木と木の隙間を抜けて逃げていった。モンスターが去ったキャンプ予定地は静寂に包まれた。

    「な、なに今の…?」

    「全く……面倒なヤツの縄張りだったか」

    スティーブは頭を抱えた。

    「あのモンスターは何?」

    「あいつは掻鳥「クルルヤック」だ。鳥竜種のモンスターで飛竜の卵を餌にしているモンスターで、臆病な性格だから俺達を襲う事は滅多に無いが地面を掘って石や土器を掘り起こして自分の武器にするからよく地面やキャンプが荒らされる。意外と面倒くさいヤツさ」

    「見た目可愛いけど…」

    「仕方ない、ここは奴を「捕獲」しよう。なぜか最近この辺りでクルルヤックを見かけなくなったから研究に丁度いいだろう。罠と麻酔玉を俺がやる」

    スティーブはアリスにシビレ罠と捕獲用麻酔玉を差し出した。

    「使い方は分かるよな?」

    「ええ」

    「奴の物を持った攻撃は気をつけろよ、当たると痛いぞ」

    「分かったわ、気を付けて捕獲するわ」

    アリスはグッと表情を引き締めた。

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