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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

ジグ左ウパズル

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  1. 1 : : 2014/12/29(月) 21:52:22
    ※グロいよっ
    ※ダンロンシリーズネタバレ含
    ※絶対絶望少女ネタバレ含


    前作"罪キアソビ"
    http://www.ssnote.net/archives/29269








    ─────原油の匂いは落ち着く。



    「あぁああああああ!!!」


     鉄錆の薫りが鼻腔をくすぐる。


    「ぎゃぎぃ!?」


     それは、


    「やめろぉおおお!!」


    「……殺されたくなかったら、自殺()ねよ」


     人も機械も同じだ。


     燃料タンク(内臓)に穴を空けて、


     抜けてく()は気分を高揚させ、



     解体(バラ)して楽しい(かなしい)のは人も機械も同じだ。


     MP7A1(サブマシンガン)が次々と人間を撃ち抜いていく。



    ─────ジグソウパズルヲ壊ス様ニ。


     




     
  2. 2 : : 2014/12/29(月) 22:30:43



    Chapter.1




     未来機関第14支部、とある一室、"未来"と銘打たれたスーツの、眼鏡を掛けた、ブロンドヘアーの整った容姿を持つ少年は、眉をひそめ、腕を組んでイラついていた。


    「……何度言えば解る?」


    「……グヒッ……す、すみません、白夜様」


     その白夜と呼ばれた少年をイラつかせる、もう1人の長い黒髪の、酷く傷んだ学生制服を着る丸眼鏡の少女は床に座らされ、反省を促されていた。


    「お前は何時まで研究生でいるつもりだ?」


    「……すみません」


     少女は言い訳せず、少年にただ謝る。十神白夜、超高校級の御曹司と呼ばれた彼は、丸眼鏡の少女、腐川冬子が何時までも機関員になれずに研究生止まりな事に辟易としていた。


     問題は、彼女の解離性同一性障害にある、クシャミや気絶といった些細な事で、とある危険な人格と入れ換わってしまうのだ。
  3. 3 : : 2014/12/29(月) 22:53:10


    「な、なんとか"アイツ"を制御出来る様に努めます……」


    「全く、あの葉隠でさえ既に研究生から機関員に昇格したというのに、お前ときたら……」

     腐川はショックを隠しきれない、あの"葉隠"に、という言葉が腐川を青ざめさせるには充分だったのだ。


    「……」


    「とにかく、"ヤツ"をちゃんと制御しろ、わかったな?」


     十神はそういうと、腐川に見向きもせずに部屋から出ていった。腐川は
    ショックから立ち直れなかった。



    *


    「十神クン」


     十神は同じスーツを着たアンテナの様な特徴の癖毛を持つ、小柄な少年に話し掛けられる。


    「苗木か、どうした?」


    「ああ、うん。ちょっとね」


     苗木は片手に持ったファイルを、十神に渡す。それは"希望ヶ峰学園行方不明者リスト"だった。
  4. 4 : : 2014/12/29(月) 23:36:17


    「……うん、機関員が都内の監視カメラにハッキングした時、そこのリストによく似た人を見たって」


    「ふん……何故そんな事を俺に話す?」


     苗木は頭を掻き、困ったような表情で応える。


    「本部側に収集受けてね。なんでも、拘束した絶望の聴取を14支部で行う事が決まったらしいんだ。ボクや霧切さん、朝日奈さんと葉隠クンも行かなきゃならない……」


     絶望、人類史上最大最悪の絶望的事件の後、モノクマの頭部の様な洗脳装置を被る事によって、破壊を繰り返す暴徒以外にも、あの元凶の少女と同じく、絶望を本質とし、絶望を繰り返す人間が存在した。


    「……ちっ、本部め、面倒を押し付けてくれるな」


     十神は舌を打ち、本部の決定に愚痴を溢す。
     未来機関における本部の方針に不満があるのは十神だけでなく、14支部のほぼ全員にあった。

  5. 5 : : 2014/12/30(火) 00:17:14


    「……仕方ないよ、それに」

     それに、に続く言葉を苗木は出さなかった。

     もしかしたら、なんて事は容易に使うべきではない。希望も絶望も味わったからこそ、軽く用いるべきではないのだ。

     苗木は言葉を呑み込んで、十神にファイルを見るように促した。


    「ほら、この……」


    「このフザけた格好のヤツか?」


     黄色い派手なツナギにニット帽を被った、ショッキングピンクとでも言うのか、妙な髪の色している。兎に角、珍妙で派手な格好をした男の写真を、苗木は指差す。



    「……左右田和一、超高校級のメカニック」

    「真っ先に死にそうなツラをしているが、生きている以上は放ってはおけんな。何を仕出かすかわからん」


     十神は面倒臭そうに溜め息をつく、苗木はそれを見て、クスリと笑った。


    「……何がおかしい?」


    「いや? 十神クンも丸くなったなぁって」


    「……ちっ」


     舌打ちを鳴らし、眉を潜める。だが十神はこのやり取りが嫌いではない、ただ、苦手なだけだ。
  6. 6 : : 2014/12/30(火) 01:02:52


    *

     ヘリポートへと向かった苗木を尻目に、十神は装備を整える。
     装備といっても、テイザー銃と、催涙弾といった殺傷性の低い暴徒鎮圧用のモノだけだ。
     行方不明者リストには、左右田の情報に都心の北部とメモの走り書きが貼られていた。

     十神は車庫に向かい、ジープ車両に乗り込み、車を発進させる。



    「……ふ、ふふ」


     車両に既に乗り込み、隠れていた腐川冬子に気づかぬままに。

  7. 7 : : 2014/12/30(火) 01:32:06



    Chapter.2




    ─────組み立てる。


     ジグソウパズルみたいに、


     1つのピースでも欠けたら、


     それは美しくない。



    ─────造る。



     バイク、ロケット、何でも良い、無骨で格好いい機械を造りたい。


     乗るのは苦手だけど、


     組み立てるのは大好きだから。




    ─────創る。



     贄を。




    ─────ツクル。



     絶望。




     彼はただ、探していただけ、そうじゃないから、殺しただけ。

     殺して、殺して、自殺させて、射殺した。



     そして、絶望する。



     自殺したいのに、死にたくない。



    ─────二律背反(アンチノミー)する思考の螺旋。



     結局それを他者に向け、強要させる。



     左右田和一は、"ただの"臆病者だ。





     
  8. 8 : : 2014/12/30(火) 07:11:42

    「……誰も信じらんねえ」


     それは、心の弱さの裏返し。

     切欠は本当に些細で、

     それでも彼には重要で、


    「うっせ……うっせえんだよ」


     短機関銃を乱射する。

     ぱららららら、


     "助けて"


    「オレが言いてえ」


     ぱららららら、


     "命だけは"


    「オレの命を取る気だろ」


     ぱららららら、


     "やめて"


    「止めてくれよ」



     臆病な彼は、誰も信じない。



    *


     都心の北部、荒んだ街並みにジープ車両が止まる。
     ここにあった監視カメラに、例の少年が見切れていた。
     十神は辺りを見回す。上は大気汚染によって淀んだ空、下は砕けたまま、補修もされぬ放置されたアスファルトの道路、左右には荒廃したビル郡。

     そして、そのビル郡の至るところに、銃痕が目につく。
     
  9. 9 : : 2014/12/30(火) 10:07:44


    「……なんだ、これは」


      銃を持っている暴徒は少なからず居るが、それにしても"銃痕"の跡が多すぎる。

     この国に存在した法律で、拳銃の類いの所持は基本的に認めてられていない。

     もし、持っていたとしたら法的機関であった警察、許可証を持つ猟師、そして非合法的に所持していた反社会的組織、即ち暴力団といったものだけだ。


    「……暴力団関係の暴徒か?」


     だとしても、事件当初、この付近は阿鼻叫喚の地獄であっただろう。
     逃げ惑う民衆に凶弾が放たれ、絶望が跋扈し、蹂躙される。

     あの絶望の少女が望んだ光景。


    「……」


     僅かに人の気配がする。

     静寂の中に聴こえる息遣い。

     それは、


    「……何故ここにいる? 腐川」

    「ギクッ!」


     最早、姿を隠す気も無いのか、ジープ車両の中から、ジッと十神を見ていた。
  10. 10 : : 2014/12/30(火) 10:31:40

    「びゃ、白夜様が心配で……その……」

    「……ちっ」


     未だ研究生として、未来機関の正規メンバーでない彼女は、元来ならこうして救助活動といった仕事に出向く事は出来ない。

     これもまた、彼女の問題の1つであり、勝手な行動が絶えない事だ。


    「……まあいい、この辺の暴徒は機関銃を使う様だしな、"盾"が欲しいと思っていた所だ」

    「い、いざというときは身を呈してお守り致します……」


     十神は、"盾"と言ったが、いざという時、彼女は強力な"矛"に成り得る事を十神は知っている。

     彼女に眠るもう1つの人格は危険であるが、恐らく、あの学園で殺し合った中でも、トップクラスで殺人に特化した才能を持ち合わせているのだ。
  11. 11 : : 2014/12/30(火) 19:21:30

     周囲を探る。弾痕は、ビル内部1階にあるカフェテラスに集中している。

     何か手懸かりがあるかもしれないと、十神と腐川は、そのカフェテラス内部に足を踏み入れた。

     窓ガラスが周辺に割れ散らかり、歩く毎にガラスを砕く音がする。

     そして、狂気の痕。

     至る所の血痕が生々しい。少なくとも、ここで何人もの人間が断末魔を上げて射殺されたのだろう。

     足下に、半身が血に染まったウサギのぬいぐるみが落ちていた。
     十神はそれを、徐に拾い上げると、ウサギのぬいぐるみの首が取れて崩れた。
     良く見ると、ぬいぐるみの首に撃ち抜かれたらしき焦げ目がある。

    「……」

     言葉には出さなかったが、十神は心底この凶行を起こした人間を侮蔑した。
     男も、女も、大人も、子供も、例外無く乱射し、死に至らしめたのだ。


  12. 12 : : 2014/12/30(火) 22:13:07


    「ち、血ぃいい……!」

    「気絶するなよ、気絶したら一生俺の半径100メートル以内に近付く事を禁ずる」

     無言で二度頷き、腐川は唇を噛み締めて、血痕から目を背ける。

     カフェテラス内に遺体は1つとして無かった。生き残った人間が片付けたのか、それとも、乱射した人間が回収したのか。


     不可解な点は多い。


     モノクマヘッズの1人くらい居てもいいのだが、気配すら無い。


    「びゃ、白夜様……」


     腐川がカフェテラスの奥を震えながら指差す。バックヤードに繋がる金属の扉の様だが、酷く焦げていた。

     十神は無言のまま、その扉に近付き、煤けた扉を開く。


    「……」

    「びゃ、白夜様?」

    「来るな」




     焼死体。



     山のように積み上がったそれは、皮膚が融解してか、まるで1つの生き物の残骸にも見える。

     半端に焦げ、臭いはほぼ無い、中には熱によって萎縮しただけかもしれないが、助けを求める様に掌を拡げ、叫んでいるかのような形をしている亡骸もあった。


  13. 13 : : 2014/12/31(水) 00:15:54


    (焼き殺した……いや、恐らくは"火葬"したのか)


     射殺し尽くし、奥に死体を集め、燃やし、そうやって手でも合わせたのか。つくづく"絶望"というのは異常だ。十神はそう思い、嫌悪した。


     くしゃり、と何かを踏む。


    「……メモ、か?」


     少し焦げているが、走り書きがされている。


    『黄色いツナギの男が銃を乱射した』


     僅かに血痕も伺える。書いた本人はきっと、この焼けた死体の山の1人なのだろう。

     きっと、裁いてくれる誰かが現れるのを信じて。





    *


     2人はカフェテラスを出る。
     これ以上の手懸かりは無い。ただ、解ったのは、左右田和一という男もまた"絶望"と化し、この惨劇を行ったということ。

     救助に来て、その救助対象が絶望と化していたなんて事は良くある事だ。

     ジープ車両に積まれた無線機から、救援信号を送り、十神と腐川は更に探査を続けた。


  14. 14 : : 2014/12/31(水) 09:34:46


    Chapter.3






    ─────少女は笑う(絶望は死ぬ)


     少女は夢の中で(絶望は死して尚)


     花を咲かせる(世界に感染していく)


     笑顔が絶えない(悲鳴は止まない)


    ─────少女は少年に微笑んだ(江ノ島盾子に左右田和一は恐怖した)



    *



    「びゃ、白夜様、そ、そのこんな所でその……うへ、うへへへ、あ、アタシは構わな」


    「……何を言っている、気持ちが悪い」


     上着を脱ぐ十神に、腐川は妙な勘違いをしているが、それはあくまでも、ジープに積まれたボディアーマーを着込む為だ。

     アラミド繊維と超高分子量ポリエチレンを用いた、小銃の弾を防ぐ高性能なモノだ。
  15. 15 : : 2014/12/31(水) 11:39:17


     しかし、これは飽くまでも気休め。対人殺傷能力の高い銃に対して効果は薄い。

     ボディアーマーを着込み再び上着を着て、銃痕を頼りに再び探査を始める。


    「ここで、銃痕は途切れているな」


     通りにいくつも見られた銃痕は、歩いて50メートル付近で途切れていた。

     持っていた弾が尽きたのか、それとも、人か逃げ尽くしたのか。

     どちらにせよ、この先は他の手懸かりを探さなくてはならない。


    「こ、この辺に人は居ないのでしょうか?」

    「知らん、居てもモノクマヘッズだろう」


     だが、モノクマヘッズすら気配を見せない。
     弾痕の消えた場所からしばらく真っ直ぐ歩き、突き当たりに出る。


    「びゃ、白夜様……あれ」



     突き当たりの西側、遠方約200メートル先に、ぽつんと人影が立っていた。

     十神は内ポケットに忍ばせたテイザー銃を手にかける。


     黄色い、派手なツナギとニット帽、ショッキングピンクの妙な髪の色をした男。

     条件に一致するその男の右手には、黒いモノが見える。


    「腐川、物陰に隠れろ」


     そう言うと同時に、十神は走り、ビルの1階の窓ガラスを破りながら飛び込み、テイザー銃を手に取る。


     そして聴こえる機関銃の音と、燈色の軌跡が建物や障害物を掠める音が、辺りに木霊した。


     

     
  16. 16 : : 2014/12/31(水) 14:53:23


    「ひっ、ひぃいいいいい!!」


     腐川は道路脇にあった自販機の影に隠れ、頭を抱えてしゃがみこんでいた。

     十神の位置から丁度向かいにあたる場所だ。


    「ちっ!」


     銃弾の雨が止む。隙を突き、十神は身を乗り出して乱射してくる男の様子を覗いた。

     200メートルという距離は微妙に長い。相手の顔も良く見えない。どうやらガスマスクらしいモノを着けているのは解る。

     顔が割れない為か、それとも、また違う意図があるのか。

     弾倉(マガジン)を入れ換え、再び銃を十神らの居る方向へと向けた。

     撃っては来ない。膠着状態が続く。


    (……打開出来るものは)


     テイザー銃の射程は実銃ほど長くはない。催涙弾にしても、200メートル先まで投げる事は出来ないし、あの男がガスマスクらしきものを着けている為、おそらくは無効だろう。


     だとしたら、あと1つの"矛"を使わざるを得ない。




     
  17. 17 : : 2014/12/31(水) 15:17:32


    「おい腐川!! "代われ"!!」


    「ひっ、で、で、でもぉ………!!」


     腐川は腰が抜けているのか、立ち上がろうとはしなかった。
     クシャミをするにも、頭を抱え、ガタガタと自販機の影で半べそをかいている。


    「ちっ! 役立たずが……!」


     そして、十神はある妙案を思い付く。
     腐川のクシャミだけが、人格の入れ代わるスイッチじゃない。
     もう1つ、ある。そして、導きだされる答えは。


    「ひっ!? 白夜様……! な、なにを!?」


     テイザー銃を腐川へと向ける。殺傷性はほぼ皆無、しかし、腐川を気絶させる程度の事は出来るかもしれない。

     テイザー銃とは、ワイヤーと結び付いた電極である鉄針を、ガスの力で飛ばし、対象に刺さった鉄針から電流を流し、無力化させる、云わば、実銃の様に使えるスタンガンだ。


    「悪く思うな腐川」


     バシュッ! というガス音と共に、針は腐川の頭部に命中する。


    「ぎゃん!?」


     可愛くない声を上げる。


    「あばばばばばっ!?!?」


     そして、技とらしい、いかにも感電してますという叫び声。だがその声はやがて。


    「ぎゃはははははは!!!!」


     下品な高笑いへと変貌していった。
  18. 18 : : 2014/12/31(水) 16:09:32


    「呼ばれて飛び出てジェノサイダー!!」


     ジェノサイダー翔、腐川に眠るもう1つの人格、腐川の根暗な性格とはうってかわって、底抜けに狂気染みた性格をしており、そして、"超高校級の殺人鬼"である。

     その異常とも言われる殺害現場は、都市伝説として囁かれる程その犯行には美学が込められており、被害者は数十人に上る。


    「あぁん! 廃墟で銃を構える白夜様、超絵になるんですけどぉー!!  ゲラゲラゲラ!!」


     長い、妖怪染みた舌を巻き、腹を抱えて笑うジェノサイダー。

     十神は舌打ちをしつつも、ジェノサイダーに指示を送る。


    「ジェノサイダー! ヤツを拘束しろ!」

    「えっ? どいつどいつ〜?」


     ヒョコッ、と大きく自販機の裏から身を乗り出し、黄色いツナギの男の方向を仰いだ。

     無論、黄色いツナギの男は、ジェノサイダーに対して発砲してくる。


    「ひゃいん! ぎゃはははははは!! 銃で射たれた〜死ぬかも〜!! 白夜様ぁ抱き締めてぇ〜」

     等とジェノサイダーは腹を抱えて笑う姿は、余裕が伺える。

  19. 19 : : 2014/12/31(水) 20:33:12


    「早くしろ、ジェノサイダー」


    「ちぇ〜、白夜様の命令なら仕方ねーや、じゃあチョチョイっと、あの糞野郎を素っ裸にしてやっかぁ! ゲラゲラゲラ!!」


     ジェノサイダーは、裂かれてスリットの様になったスカートを翻して、太股に巻いたホルスターから瞬時にハサミを取り出す。

     金の装飾が施された手製の、蝶の様にも見えるそのハサミは、ジェノサイダーの象徴でもあり、意図も容易く人体を刺し穿つ事が出来る逸品だ。


    「っしゃ!! 行くぜぇ〜童貞野郎がァ!!」


     ジェノサイダーは黄色いツナギの男へと走り出す。


    「!!」


     黄色いツナギの男は一瞬怯む。だが、距離にして200メートル、到達まで約30秒程は掛かるだろう。

     黄色いツナギの男は短機関銃の引き金を引き、ジェノサイダーに弾雨の嵐が襲い掛かる。


    「ゲラゲラゲラゲラゲラ!!」


     だが、その弾雨をジェノサイダーは柔軟かつ、トリッキーにかわしていく。

     人間離れしたその腱力(バネ)から、獣の様に相手を翻弄する。

     壁側に飛び、壁を蹴って三角に飛び、放置された車のボンネットを蹴り、舞い上がっては半月飛び。

     まるで狭い廊下にスーパーボールを放った様に、稲妻の軌跡が黄色いツナギの男を穿ちに掛かる。
  20. 20 : : 2014/12/31(水) 22:59:16


    「オラオラオラ!! そんなんじゃ当たらねーぞぉ!? ぎゃはははははは!!」


     距離にして100、90、80メートルと、段々と距離を詰めるジェノサイダー、しかし、黄色いツナギの男は次の一手をポケットから出していた。

     空き缶をくりぬき、何かを詰めてテープで防ぎ、導火線を覗かせるそれを、ジェノサイダーへと放り投げた。


    「しゃらくせえんだよ!!」


     放られたその空き缶に、ジェノサイダーはハサミを投擲する。ハサミは見事、空き缶を貫いたが、それがいけなかった。


    「ぐっ!?」


     瞬時に眩い光が辺りに拡散する。黄色いツナギの男が手製した閃光手榴弾が、破裂し、視界を遮った。


    「……ちっ、あの野郎」



     その一瞬の隙から黄色いツナギの男は姿を消した。



    「……あのマスク、その為だったか」



     恐らくは遮光性のグラスを用いたマスクだったのだと、十神は予測する。


    「ジェノサイダー、ヤツは何処にいった?」


     佇むジェノサイダーに十神は近付き、訊ねる。ジェノサイダーはハサミをホルスターに仕舞い、腕を組んで十神に振り返った。


    「ん〜、あの糞童貞野郎ならぁ、たぶん其処に逃げ込んだんじゃなぁい?」


     ジェノサイダーが指差したのは、ビル郡の隙間の路地裏だった。


    「追うぞ」


    「ぶぶー、時間切れー! 続きはウェブでね。ぎゃはははははは!」


     ジェノサイダーはそう言うと、ガクン、と肩を落とし、目を閉じて、再び目を開いた時には。


    「……ハッ!」


     腐川冬子に戻っていた。
  21. 21 : : 2015/01/01(木) 01:07:24



    Chapter.4





    ─────誰を信じれば良いのか解らない。



     友人は我が身可愛さに、暴徒に少年を突きだして逃げた。



     白髪の少年はその様子を見て、嘲笑して、去っていた。



     殴られる、叩かれる自分を救ってくれる者は居ない。




     目の前に、何故か凶器が見えた。



     この中で誰が持っているものより強いMP7A1(チートアイテム)


     少年はそれを手にし、自分を虐げる者を皆殺しにした。



     もう、誰も信じない。



    「……精々、キミの希望を見させてもらうよ」


     白髪の少年は後ろ向きでそう呟く。




    ─────痩せた(イヌ)は、(キボウ)を求め、彷徨き歩く。


  22. 22 : : 2015/01/01(木) 01:51:05


    *



     路地裏に妙な扉が、あった。


     有刺鉄線が巻かれた、誰も寄せ付けぬ様な雰囲気を醸し出す扉。


     慌てていたのか、南京錠が外れ、半開きになっている。


     十神はゆっくりと扉を開く、暗く細い下り階段がそこにあった。


    「びゃ、白夜様ぁ……」


    「……黙れ」


     不安そうな腐川を尻目に、十神は警戒しつつ、降りていく。
     やがて降りきった所に、再び扉があった。
     扉を開けると、縦に長い空間が広がっていた。元々はバーか何かだったのか、床は白と黒の市松模様で統一され、ボンヤリとだけ、消火栓のランプが辺りを照らす。


    「……僅かだが、臭うな」


     鉄の様な臭い、否、血の臭いだ。鉄の様に臭うのは、血中の鉄分が要因だとされる。

     暗がりの中、この縦に長い部屋を進む。
  23. 23 : : 2015/01/01(木) 03:22:18


     長い部屋の最奥、そこに1人、いや、1体のモノクマヘッズが壁に寄りかかるようにして息絶えていた。


     何発もの銃創から、ここで撃ち殺されて死んだのは明白、そして、手に何かを持っている。

    「拳銃か」


     モノクマヘッズが持っていたのは、ベレッタM92F(自動拳銃)、日本の警察官の一部が用いていた拳銃だ。恐らくは、その警察を殺して奪ったものだろう。

     弾倉を覗くと、9発ほど装填されている。

     十神はそれを手に取り、腰のベルトに差し込む。


    「じゅ、銃……使えるんですか?」


    「当たり前だ、俺を誰だと思っている」


     海外の射撃場で一通りの使い方は学んでいる。

     人に向けた事は無いが、それでも、彼は容赦なく撃てる自信がある。

     



  24. 24 : : 2015/01/01(木) 05:23:13

     最奥に再び扉がある。

     その扉もまた、半開きだ。十神はゆっくりとその扉を開けた。



     異質、そこには何もなく、円筒に広がる広い空間が広がっている。

     床の市松模様といい、あの"場所"を彷彿とさせた。

     絶望の学園にあった、学級裁判の場、そして、殺人犯(クロ)を容赦なく処刑(オシオキ)した、あの場所を。


    「腐川、お前はこれを持ってろ」


    「わ、解りました……」


    「俺の命令で、ソイツで自分の頭を打て、他の部位だと半端になるかもしれないからな」


     十神は腐川にテイザー銃を渡し、自分は腰に差した拳銃を抜く。

     腐川は息を呑みながらも頷く。
     十神は薄々感づいている。あのジェノサイダーの制御方法を。



     車輪の様な音が聴こえる。
     ゴロゴロと、何かを押してくるかの様な、そんな音が。


     
  25. 25 : : 2015/01/01(木) 11:12:35


    「……なんの音だ」


    「……! 白夜様、あ、あれ……!」


     円筒の部屋の壁は幕で覆われており、十神らの向かいの幕が開き、何か無骨なモノがそこから現れる。


    「……腐川、俺達はアレを見たことあるな」


    「は、はい……あれは」


     無骨なマシンガンを彷彿させるデザインをしたそれは、あの絶望の学園生活で、処刑道具として使われたモノだ。

     分速で1000球を打ち出す破格のピッチングマシーン、ある野球選手の少年が、これによって撲り殺された。


    「桑田怜恩を殺した機械だ……撃ってくるぞ」


     確かに1発では致命的にはなりにくい。

     だが、数発の内に皮膚を破り、肉を裂き、骨を砕き、脾臓は破裂し、そして、その生命を粉砕する。

     拷問と処刑を兼ね揃えた、桑田怜恩に対する皮肉と、そして苦しみを与えた殺人機械。

     それが今、ここにあって、十神らにその送球口を向ける。

     
  26. 26 : : 2015/01/01(木) 11:59:41


     そしてモーター音が響く。


    「!!」


    「ひっ!?」


     鼓膜を突き破るような破裂音が連続して轟く。
     十神は壁際に飛び込み、直ぐ様体勢を立て直す。
     腐川はその場に踞り、頭を抱えて再び震えていた。


    「ちっ!」


     構えた拳銃を、ピッチングマシーンに向ける。だが、どこを狙えばこれは止まるのか。

     ピッチングマシーンは銃を構えた十神に振り向き、(あられ)の様にボールを撃つ。

     十神は再び反対の壁側に飛び込み、思考を巡らす。

     自動銃座(タレット)の様に標的を執拗に狙うピッチングマシーンは、再び十神へと向き、球を撃ち込んでくる。


    (……妙だな)


     あのピッチングマシーンは、十神ばかりを狙ってくる。
     遠隔操作、ではないだろう、機械的なラグがある、恐らくはセンサーの類いで標的を選別する為のラグだ。

     熱源センサーであれば、腐川も標的となる筈、だが、腐川へと標的が変わらない。

     つまりは、


    (……動体センサーか)


     動くものに対して攻撃を仕掛けてくる、と十神は予測した。
  27. 27 : : 2015/01/01(木) 16:33:44

     ラグの時間は、動体の感知とピッチングマシーンの旋回に、およそ2秒、その間、完全に隙が生まれる。


    「腐川!」


    「ひっ!? な、なんでしょう?」


    「右端に飛び込め」


    「む、む、む、む、無理でで」


    「やれ」


     腐川は覚悟を決め、歯を食い縛り、


    「ぎぃええええええぃいい!!」


     奇声を放ちながら右端に飛び込んだ。
     ピッチングマシーンの首が旋回する。そして腐川へと向き、


     ダンッ! ダンッ! と、2発の弾丸を十神は放った。

     モーター音が作動し、腐川は恐怖する、が。


     ガシュン! と、球は1球だけ放ち、詰まりを起こす。


     十神が狙ったのは、ボールの入った篭と、ピッチングマシーンを繋ぐフレーム。

     フレームがひしゃげ、球が滞ったのだ。


     モーター音だけが空回り、ピッチングマシーンは無力と化した。


    「……行くぞ」


    「はぁ……はぁ……さ、流石です、白夜様」


    「ふんっ……」


     十神は鼻を鳴らす。


    「行くぞ、左右田和一は恐らく、この奥だ」


  28. 28 : : 2015/01/01(木) 17:05:21


    *


     通ってきた道の最奥の部屋、そこはまさに工房の様だった。
     手動のチェーンクレーンに、工具が散乱し、バイクか何かの解体されたものやエンジンの残骸と、いかにもメカニックの部屋とでもいうのか。


     黄色いツナギの男は、部屋の奥のソファに座り、机の上のジグソーパズルを見つめていた。

     どこの国とも知れない洋城の絵が完成するパズル、城の城門前の2ピースだけが足りない。


    「……足りねえんだよ」


     聴いても居ないのに、左右田はそう呟く。
     まるで、自分の心中でも語るように。


    「左右田和一、絶望に堕ちていたとはな」


     十神は銃を左右田に向け、威嚇する。


    「……足りねえ、足りねえんだよ」


     十神の言葉を無視し、左右田は震える声で同じ言葉を繰り返す。

  29. 29 : : 2015/01/01(木) 21:55:40


    「何を言っている……?」


     倒錯者の考えなど、理解出来る筈もない。


    「………何もかも」


     ゆっくりと機関銃を取り、左右田は立ち上がる。


    「動くな、撃つぞ」


    「うっせえ!! うっせえんだよぉおおおおおおお!!!!」


     雄叫びを上げ、短機関銃を振り回すように乱射する。十神は突っ立っている腐川を突き飛ばして、自身も側に飛び込んだ。


    「クソッ!」


     直ぐ様体勢を立て直し、威嚇で1発、射ち返した。これで、弾は残り6発、慎重に使わなければならない。


    (MP7A1か……)


     日本の警察の特殊部隊に導入予定されていたドイツ製の短機関銃だ。
     サブマシンガンの利点は、屋内でも振り回しやすく、近中距離でも充分対応が出来るという点、しかもサイトを着けることで遠距離も対応出来るというもの。

     つまり、この状況では圧倒的に不利、何よりも、アレはケブラー素材の防弾ベストを易々と貫通する力を持っている。
  30. 30 : : 2015/01/01(木) 23:24:52


    「なんなんだよ、なんなんだよ、なんなんだよ、なんなんだよぉお!?」


     左右田は滅茶苦茶に乱射する。頭を上げる事は出来ないが、思考を巡らす事は出来る。


    「腐川、代われ!」


    「は、はひぃ!?」


     自己の頭にテイザー銃を押し付け、針が刺さり、腐川はジェノサイダーへと変貌し、お決まりのセリフを高らかに、立ち上がった。


    「ジャジャジャジャーン!!」


     ジェノサイダーと化した腐川は、左右田に対してハサミを投擲する。


    「がっ!?」


     左右田のマスクにハサミがヒットし、その素顔が露になった。


    「……はっ! やっぱり童貞臭えツラじゃねえか。ゼッンゼン、萌えないんですけどぉー!? ゲラゲラゲラ!!」


     顔を押さえ、ジェノサイダーに向けて銃を撃つ、だが、ジェノサイダーはそれを超人的な跳躍で側面に避け、下卑た笑い声を上げながら、左右田に迫る。
  31. 31 : : 2015/01/01(木) 23:50:39


    「ぎゃはははははは!! 当たらねえよキャラ付け失敗童貞地味クソヤローが!!」


    「糞がぁ!!」


     そして至近、左右田の目の前にジェノサイダー。


    「殺しゃしねえよ、美学に反するからなぁ」


     ハサミを左右田の首に押し付け、勝ち誇るジェノサイダー、しかし、左右田の表情は変わらない。


    「信じねえ、だから」


    「……!! ジェノサイダー! 離れろ!」


     十神が叫ぶが、それは既に遅い。


    「がっ……!?」


     ジェノサイダーは昏倒する。何が起こったのか解らないと言った表情で。


    「……何をした?」


     十神が訊ねる。左右田が取り出したのは、黒い箱の様なものだった。


     
  32. 32 : : 2015/01/02(金) 00:29:40


    「この箱から常に電磁波を出して、集積回路を使ったモノを暴発させる」


    「……成る程な」


     テイザー銃にも、集積回路が使われている。左右田の持っているものは、そうしたものを電磁波上のプログラムによって、集積回路上のプログラムを狂わせるというもの。

     左右田はソフトウェアに関して詳しい訳ではない。しかし、狂わせる程度の事ならば、造作ない。


     もし、もっとソフトウェアに詳しい者がこれを作れば、更に事細かな事が出来るだろう。


    「モノクマヘッズらが居ないのもそういうことか」


    「……あ、アイツらが悪いんだ、俺は何も悪くねえ、悪くねえんだ。放っておいてくれよ……」


     モノクマヘッズの洗脳装置にも集積回路が存在する。左右田が持つ装置によって正常に戻ったとしたなら。


    「……!」


     可笑しな点に、十神は気づいてしまった。




  33. 33 : : 2015/01/02(金) 00:42:08


    「……そうか、成る程な」


     左右田は無闇に民間人を射殺した訳ではない。左右田が撃ち殺したのは、彼を虐げた暴徒達、左右田は"誰かにゲームをさせられている"様なモノだ。


     つまり、彼を掌で転がす第三者がいる。


     左右田が持つ装置にしても"それを作るように誘導された"のかもしれない。


     まるで、あの絶望の少女の様だと、十神は寒気を覚える。

     しかし、一体誰がこんなことを。

     
  34. 34 : : 2015/01/02(金) 02:18:17


     元々、あの走り書きにしても何か可笑しい。


    「……お前は、死体を集めて焼いたのか?」


    「……知らねえ」


     となると、アレは第三者の仕業。


    「お前はその銃をどうやって、手に入れた」


    「……知らねえ、落ちてた」


     それも第三者の仕業。


    「……お前はその装置をなぜ作った」


    「……ここにその設計図があった」


     導き出せる答えは1つ。
     
     左右田は誰かに利用された。


    「……なあ、お前も俺を殺すのか」


     左右田はそんな事を言う。


    「拘束する。お前は大量に人を殺した事実は変わらん」


    「……ウソだ」


     頭を抱え、左右田は銃を十神に向ける。
     疑心に満ちた少年は絶望に変わりはない。だが、相対的に、自身の過ちに"俺は悪くねえ"と応えている辺り、深層意識では罪の意識で一杯なのだ。
  35. 35 : : 2015/01/02(金) 04:55:22


     だからこそ、臆病な彼はその罪の意識から逃げ、この孤立したエリアにただ独り、佇んでいる。


    「嘘じゃない、お前が一番よく知っているだろ。お前は虐殺した。何人も、何十人も」


    「違う、違う、違う……!!」


     左右田は否定を続ける。殺したのではない。己を守ったのだと、結果的に、相手は死んだだけであり、己は殺してないと。

     現実から逃げ、罪悪から逃げ、こうした今も現実である十神らから逃げようと、銃を振るう。


    「いい加減、逃げるのはよせ」


     尚も冷徹に突き放つ現実というコトダマを、払うかのように。


    「ああああああ!!!」


     左右田は狂気を侍らせる。銃弾にそれを載せて。


    「……ガキが!」


     十神は拳銃を左右田に向け、3発放つ。


    「ぐっ!?」


     それは見事、左右田の短機関銃に命中し、吹っ飛ばした。


    「く、くそ!」


     今度はポケットに入れていた空き缶の、手製の手榴弾を取り出す。


    「!!」


     だが、十神はそれを容赦なく2発で撃ち抜く。


    「う、嘘だろ!? 正気か?」


     撃ち抜いたのは導火線、その衝撃により左右田は、手榴弾を落とす。

  36. 36 : : 2015/01/02(金) 07:40:40

    「その手の陳腐な手榴弾など、恐れるに足りん。諦めろ」


     残り1発、十神は拳銃を向けたまま、手を上げる様に勧告する。


    「くそっ……くそっ! 死にたくねえ……!」


    「殺しはしないと何度言えば……」


     と、


    「そこまでだよ」


     ガァン! という、銃の声は、


    「がはっ……!?」


    十神を貫いた。


     ずっと、この様子を伺っていた白髪の少年は、落胆した表情を見せる。


    「……ガッカリだよ」


    「お前は……」


     虐げられる左右田を見捨て、何かを呟いて去っていったその少年は、ニューナンブ(リボルバー拳銃)を左右田に向け、ぼやく。


    「折角色々してあげたのにさ、見苦しいよね」




  37. 37 : : 2015/01/02(金) 10:27:38


    「……なんだと? なんでソイツを撃った?」


     左右田は白髪の少年を睨み付ける。
     少年は何の為に動くのか。


    「キミは"超高校級のメカニック"の左右田和一クンだろ? ボクみたいなゴミクズとは違って希望に成りうる存在だ……"彼"の様に、絶望が跋扈する中で輝く希望の光を……」


     左右田はその白髪の少年が、何を言っているのか理解出来なかった。


    「意味が解らねえ……」


    「ああ、もう、解らなくて結構さ。キミにはガッカリだからね」


     何を、どうガッカリしたのかそれは白髪の少年にしか理解出来ない。
     ただ、白髪の少年は、左右田和一に"絶望"したのだ。


    「……これなら、希望ヶ峰付属病院の"彼女"の方に希望を持った方が良かったかな」


  38. 38 : : 2015/01/02(金) 11:13:45



    「……ほう、希望ヶ峰付属病院か、興味深いな」


     撃たれた筈の十神は俯せの状態から、仰向けになり、白髪の少年に対して銃を構え、そして。


     最後の1発を撃つ。


    「!」


     白髪の少年の拳銃は弾かれた。


    「……へえ、まだ立てたんだ。十神白夜……クン?」


     ふざけたような態度で手を上げ、十神へと振り返る白髪の少年、濁りきった瞳は黒く渦巻いている様にも見える。


    「心なしか、その声が"どこかの誰か"に似ている様に聴こえるせいか、虫酸が走る」


     そう、その"何処かの誰か"に成れなかった果てを見ている様で、十神は許せなかった。

     絶望に身を置きながらも、それでも希望を諦められないような、あの少年の様で、全く異質のモノ。

     
  39. 39 : : 2015/01/02(金) 11:45:21


    「ふふっ……何処かの誰か……そう、彼は希望そのものだ……その存在が! 本質が! あの絶大で絶対で絶望的なあの女を打ち破った、あのちっぽけな彼がだよ?」


     自分の肩を抱き、まるで陶酔するかの様に、白髪の少年は語りを止めない。


    「彼のような、希望を見たい……! その為ならボクは踏み台になっても構わない、この命を絶望に身を捧げてもいい」


     白髪の少年もまた、壊れていた。その点、あの絶望の少女との差異は、自己の絶望と、希望の誕生の当事者という、些細なモノ。


    「……ふふ、十神クン、キミが起き上がってくるのは想定外だったよ。ボディアーマーを着けてるなんてさ」


     
    「常に最悪を想定して行動しているからな」


     それは、あの学園で学んだこと。自己の力の限界の想定、最悪のケースは何時だって隣でほくそ笑んでいる。
  40. 40 : : 2015/01/02(金) 12:04:59


    「……まあ、いいや。左右田和一は希望とは程遠い、絶望にも成りきれない、失望したよ。キミはただの人殺しだよ」


    「……!」


     左右田は震える。自己の過ちに、もはや反論も逃避もない。


    「それじゃあね、十神クン、拳銃をボクに向けても無駄だよ……?」


    「ちっ……数えていた……いや、これはお前が用意したものか」


     十神は空になった拳銃を投げ捨てる。白髪の少年は、余裕を見せながら、この部屋から去っていった。


     そして、残されたのは十神と左右田、そして気絶した、腐川のみ。


    「……オレは、どうすればいい?」


    「知らん、自分で考えろ」


     人を殺めた罪は、自己の命を以て償うのが罰だ。
     だが、今はそんな法律はこの国では機能していない。


    「……」


     左右田は再びソファに座り込む。


     未完成のパズルの、最後の2ピース。


    「……ホントに足りねえのは、オレの」


     言葉はそれ以上出なかった。
     ただ、黙って、パズルの最後のピースを埋める。


     何処のものとも知れない城の、何処の誰とも知れない王女の1枚絵が完成する。


    「……ホント、情けねえよな」


     左右田はそれっきり、動かなくなった。
  41. 41 : : 2015/01/02(金) 12:32:50



    Epilogue



     そして、未来機関の救援が到着し、左右田和一は拘束された。
     特に暴れる様子もなく。彼は脱け殻の様に連行されていった。


    「……左右田和一が残したこの黒い箱は、何かの役に立つかもな」


     モノクマヘッズを無力化するという点、これは何かの対抗策になるだろうと、十神は考え、それを持ち帰る。


    「びゃ、白夜様ぁ! ご無事で……」


     気絶から覚めたジェノサイダーは腐川冬子へと戻っていた。


    「……近寄るな、うっとおしい」


     それと、と十神は付け加え、


    「人格の制御、スタンガンが役に立つかもしれん、今後はスタンガンを使って制御する方法を見つけろ」


    「は、はい」


     乗り気ではない腐川を一瞥し、十神はジープ車両へと戻り、帰還する。



    *



     数日が過ぎた、未来機関のある日。十神は休憩室でコーヒーを啜っていた。


    「十神クン」


     苗木が休憩室へと入ってくる。


    「どうした」


    「例の左右田クンの事なんだけど……」


     聴取を行ったのは苗木であった。苗木は左右田から聴いた話を十神に報告しに来たのだ。


    「……焼死体も、機関銃も、あの電磁波にプログラムを載せる装置も、全部、彼は知らなかった……偶然にしては可笑しい」


    「……ああ、やはりあの白髪の男の仕業の様だな」


    「うん、そしてその十神クンの言う白髪の男は行方不明者リストに載っていたんだ……」


    「……なんだと? どう言うことだ、説明しろ、苗木」


     苗木は抱えた行方不明者リストを開く。
  42. 42 : : 2015/01/02(金) 13:03:47


    「狛枝凪斗……ボクと同じ、希望ヶ峰学園の抽選枠」


     リストに写る写真のその顔は、確かに、あの男であった。


    「……成る程な、さて」


     十神は立ち上がり、飲み干した紙コップをゴミ箱に捨てる。


    「行くの? 十神クン」


    「ああ、少し調べなければならん事がある」


     狛枝の動向も気になるが、その男が言っていた希望ヶ峰付属病院の"彼女"についても気になるのだ。



    *



     都心から遠い廃墟の中、瓦礫を退け、ベットに座る白髪の少年は、虚ろな瞳で思考する。


     希望ヶ峰病院の"少女"は、左右田と違い、狂信の果てに壊れきってしまっている。

     元々、本当は行くつもりなど無かった。


     十神に此方を追わせない為の、時間稼ぎの様なモノだ。


    「……塔和」


     "彼女"の遺したものがある街へ、彼女の左腕を持って。



    「どんな希望がみられるんだろうね……」


     彼は身震いしながら、塔和の方向へと向く。




    ─────餓えた狛狼(ハクロウ)は、


     絶望の枝が差し示す道を往き、


     絶望(きば)を研いで、


     希望(えさ)を求める。



    To be "罪キアソビ"
    and "絶対絶望少女"
  43. 43 : : 2015/01/02(金) 13:15:12

    前回と同じく解釈挟んでのフル妄想で書かせて頂きました。構想としてはあと二つ程予定してます。

    それではお目汚し失礼致しました。
  44. 44 : : 2020/10/26(月) 14:28:26
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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