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アヤノ「私を忘れないで」

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  1. 1 : : 2014/11/04(火) 22:49:09
    この小説はシンアヤ要素が含まれています。苦手な方は見ないで下さい。

    色々と文に拙いところがありますが、良ければ読んでいって下さい。
  2. 2 : : 2014/11/04(火) 23:01:16
    アヤノ「うええ……56点…」

    楯山文乃の手には中間考査の解答用紙が握られている。

    今回も結局60点以上を1つも取れておらず、隣にいる如月伸太郎に呆れた眼で見られている。

    シンタロー「お前そんなんで卒業出来るのか?」

    彼の机の上には100点の解答用紙が置かれている。

    そりゃあIQ168の彼からしたら私は頭が悪い。でも流石にそこまではっきり言われると傷ついてしまう。

    アヤノ「……あのさ」

    シンタロー「ん?」

    アヤノ「もし私が次の期末で100点取ったら、1つお願いを聞いてくれる?」

    これが、事の始まりだった。
  3. 3 : : 2014/11/04(火) 23:14:06





    アヤノ「………」

    あの発言の後、伸太郎はお前には無理だろ、と笑っていた。

    自分でも随分無理があると思った。だが、やってみなければ分からないのだ。

    アヤノ「……やる価値は、絶対にあるよね」

    100点さえ取れれば、お願いが聞いてもらえる。

    もしかしたら、いけるかもしれない。

    文乃は大丈夫、と口にし、軽くスキップをしながら家に帰った。










    それから、文乃は父親や伸太郎に付き合ってもらいながら、死ぬ気で勉強に励んだ。

    アヤノ「やった!」

    小テストでも100点を取れるようになっていき、今までとの変わりようには周囲の人間全員が驚いた。

    『楯山、よく頑張ったな』

    『文乃!100点取るなんて、今まで本当に頑張ってきたね!』

    『姉ちゃん、すごいよ!』

    『ん、まあ上出来だろ』

    アヤノ「…えへへ」

    期末考査まであと5日。もっともっと頑張ろう。
  4. 4 : : 2014/11/04(火) 23:24:09







    期末考査当日

    アヤノ「………」

    今まで味わったことのない緊張感。

    100点なんて無理があっただろうか。

    気分が悪くなって、吐き気がしてきた。

    シンタロー「アヤノ」

    アヤノ「?」

    シンタロー「頑張れよ」

    アヤノ「…!うん……!!」

    伸太郎のその言葉は、妙に安心感があり、なんとかテストを終えることが出来た。










    1週間後、回答用紙が返された。

    国語、数学、社会、理科、音楽、家庭科、美術、体育はもう返されており、勿論全て100点だった。

    シンタロー「……」

    俺は、喜びもしない。悲しみもしない。

    …………それが、当たり前だったから。

    「じゃあ、英語のテスト返すぞー」

    教師の声が聞こえる。自分の名前が呼ばれたら取りに行き、点数を見る。

    どうせ、同じ点数だろう。








    そう、思っていた。



    でも実際は?



    如月伸太郎は、人生で初めて99点というものを体感した。

  5. 5 : : 2014/11/04(火) 23:33:20




    現実を受け入れられなかった。

    99点。

    しっかりそう記入されている。

    大文字にするところを小文字で書いていたようだ。

    シンタロー「…あ」

    アヤノ「シンタロー!聞いて、あのね「悪い」…え?」

    シンタロー「少し、静かにしてくれ」

    アヤノ「…え、でも……」

    シンタロー「静かにしろって言ってんだろ!」

    教室中に響き渡る声が出た。

    クラスメイトは何事かと俺の方を見る。

    シンタロー「…あ……」

    流石に言い過ぎたかもしれない。

    謝ろうと文乃に視線を移すと、

    アヤノ「………ごめんね…?」

    今にも泣きそうな顔をした、文乃が立っていた。












    帰りの会終了後すぐに、文乃は教室を出ていった。

    俺は文乃の居場所をクラスメイトに聞いて回ったが、誰も知らない、と言う。

    「屋上とかは?楯山さん、好きだったもの」

    一人の女子がそう言う。

    それを聞き終わる前に、俺は走っていた。屋上へ、急いで行かないと。その思いでいっぱいだった。
  6. 6 : : 2014/11/04(火) 23:43:16





    屋上の扉を乱雑に開ける。

    シンタロー「アヤノ!」








    その時、俺の目の前には99点のテストよりも信じがたい光景が広がっていた。

    柵にかかった赤いマフラー。

    その近くに落ちている紙切れ。

    シンタロー「……まさか」

    急いで紙切れを広げる。中にはこう書かれていた。













    『あなたのことが、ずっと好きでした。』











    裏返すと、100という数字の書かれた答案用紙に楯山文乃と記されている。

    シンタロー「………?」

    マフラーから何かが落ちてきた。花だ。

    勿忘草。





    『シンタロー!勿忘草の花言葉、知ってる?』

    『は?何だそりゃ?』

    『それはね…』








    アヤノ「私を忘れないで」


    シンタロー「っ…!」

    文乃の声がして振り返っても、もう誰もいない。







    柵に引っ掛かったままのマフラーが、風で揺れていただけだった。
  7. 7 : : 2014/11/07(金) 04:04:14
    期待!
  8. 8 : : 2014/11/08(土) 09:54:50
    期待!なんか悲しい話っぽい…
  9. 9 : : 2015/01/29(木) 16:51:09
    良い話です・・・
  10. 10 : : 2015/12/03(木) 06:50:31
    期待!
    いい話たなー

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