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思い出のヒーローは夢の中で。

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  1. 1 : : 2014/08/12(火) 12:01:12
    またまたこんにちは、アヤノちゃんが好き過ぎる人です。


    前作、読んで頂けると嬉しいか、かなぁ…

    http://www.ssnote.net/archives/21549


    まぁ見てやって下さい。


    ちなみに今回はシンタローです。
  2. 2 : : 2014/08/12(火) 18:55:31
    「ん…此処…」



    重い躰を無理矢理起こす。


    下には固い地面。寒くもなければ、暑くもなかった。



    「…!?此処って…」



    見覚えのある…いや、見飽きた、少しチョークの跡が残る黒板。


    規則正しく並べられた机と椅子。


    そう、教室の中に居た。


    夕方なのか、教室の中は柔らかなオレンジ色に染められていた。


    俺は何故か、足が震えた。


    驚きと動揺で息が荒れる。


    黒板の上の壁に掛けてあるアナログ時計は、5時34分を指して止まったまま、動く気配は無かった。


    俺は、俺の本能は確信した。


    今この場で、俺一人しかいない。


    俺は、無性に虚しくなって、立ち上がって、ドアへ走った。



    「っ!?クソ…開かない……っ!?」



    いくらドアを引いても、叩いても、ドアは動く事はなく、まるで壁のように叩いてもドンドンの音すら無かった。
  3. 3 : : 2014/08/12(火) 23:56:32
    期待です
  4. 4 : : 2014/08/13(水) 01:18:15
    エレアニ・ジャンミカ・アルクリ大好きさん、初めまして!

    進撃のssは良く書いてたんですけどね…カゲプロは初めてなのでグダグダですよ…(笑)

    ありがとうございます!
  5. 5 : : 2014/08/13(水) 01:36:27
    俺はその場で座り込んだ。


    どうしようもない孤独感と、やり場のない不安が胸に募っていく。


    場所が場所だけに。


    不意に、窓際の一番後ろの席を見つめる。


    まるで、その部分だけが切り取られたかのように、夕日に綺麗に染まるあの席は、俺の心を妖しくなぞる。


    あの日から、募る後悔で、自分を壊してきた。


    もう、写真の中にしか存在しない君。


    俺が、彼奴の涙の意味に気付いてやれてたら…って、


    毎日後悔に溺れて、むしゃくしゃして、やるせなかった。


    彼奴の背負ってるものは、計り知れない。


    俺だったら直ぐに、へこたれるだろう。


    頭が悪くても、鬱陶しくても、何だか良く解らないけど、ただ単に、


    彼奴と居た日々が当たり前で、当たり前だったからこそ、愛しくて、大切で、忘れられなくて、悲しくて…



    「なぁ…何処に居るんだよ…アヤノ…」



    天井を仰ぎながら俺は呟く。


    怖い位に静かな部屋に、俺の独り言だけが谺する。
  6. 6 : : 2014/08/13(水) 20:03:53
    えっと、元エレアニ・ジャンミカ・アルクリ大好きです。

    このシリーズ好きです!
    頑張ってください!
  7. 7 : : 2014/08/14(木) 02:33:58
    …………何て、


    何て、俺はいつからこんな綺麗事を言うようなクサイ奴になったんだ。


    本当は、そんなんじゃ無かった。


    俺は、アヤノを無くした後悔から逃げたくて、見えない責任から、何もかもから逃げたくて、逃げたくて、


    もう逸そ、忘れたい何て…。


    そんな事、思ってた癖に。


    アヤノを見ると、戻りたくなるから、自分を消したくなるから、思い出すのすら拒んできた。


    現実から逃げて、独りぼっちで、独りぼっちになったからまた、君を思い出す。


    とんだ馬鹿だ、俺は。


    何がIQ168だ、何がテスト100点だ、何が天才だ。


    俺は弱い。


    貧弱で、思ってる事もまともに伝えられないヘタレで、綺麗事並べる最低な奴だ。


    君が怖い。


    アヤノ…。


    俺は、お前が思うような奴じゃない。


    ただ、ただの引きこもりで、ニートで、コミュ障で、いつも怖い事から目を背けていた奴なんだよ。


    流す資格なんて、俺に無いのに。


    流れる涙。



    「泣かないで。」
  8. 8 : : 2014/08/14(木) 02:36:27
    エンドさん、こ、このシリーズが好き!?な、ななな何言ってるんですか、照れますよ///
    ありがとうございます!はい、出来る限りを尽くして、頑張ります!!
  9. 9 : : 2014/08/14(木) 06:47:09
    おお…やはり凄い…
    期待\(^o^)/
  10. 10 : : 2014/08/14(木) 10:34:47
    うん、うん、やっぱりアヤノさんだなあ。
    読んでると、安心できるっすよ。一時期めっちゃはまってたんすよね、アヤノさんの作品。

    前作に続き期待してます。ゆっくり更新でも、大丈夫ですからね。
  11. 11 : : 2014/08/14(木) 21:14:57
    kidsさん、期待ありがとう!
    嫌々、私が凄かったら皆様はもう神の上を行く神ですよ。(意味分からない何て言わないで)

    毎回皆様のお言葉に救われます。ありがとうございます。


    セトさん……もう何ですか、貴方は神様ですか?(真顔)

    安心だなんて…///やっぱり癖ですかね(笑)こう腰が低いと言うか…(あれ?そこじゃない?作品だった?)。
    読んでくださってからこそ、私を解ってくれるというのは、もう天にも昇る気持ちです。一回昇天してきます。←(ぇ)

    はい、皆様が快く作品が読めるよう努力しますので、これからも宜しくお願いします。ありがとうございます!!
  12. 12 : : 2014/08/14(木) 21:26:07
    不意に、頭に掛かる優しい声。


    ……………は…?


    俺は驚きで顔が上げられなかった。


    いや、厳密に言うと、驚きと恐怖でだが。


    全身が震える。


    信じられないという気持ちと、何故っていう疑問と、色んな何かが交差して訳が分からなくなる。


    ただ1つ、1つだけ解る事がある。


    この声は紛れもなく、俺の後悔の原因となる、


    アヤノの声だった。


    忘れようとした。忘れないと、理性が保てなくなるから。


    自分を、壊したくて、狂ってしまうから。


    でも、何をやったって、どうしたって、


    忘れる事は出来なかった、


    君の声。


    俺が逃げて逃げて逃げまくった、


    君の声、だったんだ。


    でも俺は、目の前の光景に目を疑った。


    それは、アヤノの足が無いのだ。


    座り込んでるから、俺の前にはアヤノの足がある筈だけど、無かった。


    あるのは、まるでプログラムされた画面上にあるようなゆらゆらとした実体のない足。


    つまり、本物の足じゃない、足。


    生きている足じゃなかった。


    その足は動く事は無かった。


    俺は恐る恐る顔を上げた。


    そこには、あの日と変わらない笑顔で、マフラーを掛けた、


    君の笑顔だった。
  13. 13 : : 2014/08/14(木) 21:28:58
    >>11長くなってすみません、読みにくかったら飛ばして下さい。

    取り敢えず私の感謝の気持ちです。はい、早く投稿します。
  14. 14 : : 2014/08/14(木) 22:09:47
    声が掠れて、出てこない。


    ただ、見つめる事しか出来なかった。


    マフラーの先が鼻をかすった。


    懐かしい、思い出の中の君の香り。


    優しくて、何故か心地好くて、でもそれは、もう俺の記憶の中でしかなくなった。


    出来る事なら、あの頃に戻って、君の辛さを、苦悩を、不安を、解ってやれたら、取り除けてやれたら…って、


    思ったのは、1度や2度だけじゃない。


    また、涙が溢れそうだった。


    必死に我慢する。


    やっぱり俺は馬鹿だ。


    こんな時に強がって、アヤノに馬鹿にされたくないからなんて…。


    俺にそんな余裕無いくせに。


    アヤノはまたにっこり笑って、



    「シンタロー。」


    とだけ言った。


    懐かしくて、柔らかくて、俺の大好きな、大好きな、


    声。


    ごめんすら、ありがとうすら、出てこない。


    言葉が喉に貼り付いて、出てこない。


    ただ俺は、


    涙を流すだけだった。


    アヤノは俺の頬にそっと触れて、俺の涙を拭った。


    その手は、感触なんか無かった。


    それが妙に哀しくて、寂しくて、虚しくなって…。


    いつの間にか、俺は思わず立ち上がって、アヤノを抱き締めていた。


    勿論、この躰も感触は無い。


    心が締め付けられる。


    この感触がない躰を強く抱き締める度、


    君はもう居ないんだと言う現実がつきつけられる。


    けど、この無能な俺には、ただ抱き締める事位しかしてやれなかった。


    温度なんて感じない。


    ただ、ただ、


    君の香りを、


    君の存在を、


    それだけは、無くしたくなかった。


    信じたかった。


    感触何て、無くて良いから、前みたいな温かいマフラーじゃなくて良いから、温度何て、無くて良いから、


    だから………


    君が今此処に居る。


    それだけで十分だ。


    それだけは、嘘にしないでくれ。


    夢に思っても、無駄な事。 


    アヤノはゆっくり、俺を抱き返してくれた。



    「大丈夫、大丈夫だよ。皆、シンタローの味方だから。」



    そう、耳元で俺に呟いた。


    留めどなく流れ出る君の涙が、君を消しませんように。
  15. 15 : : 2014/08/14(木) 22:27:42
    「アヤッ………ノ………ッ…」



    やっと、涙を堪えながら出た言葉がコレ。


    気の利いた言葉も、優しい言葉も、ありがとうも、ごめんも言えない俺。


    弱虫で、ヘタレで、どうしようもない俺を受け止めてくれた君に、


    届けなくちゃいけない言葉。



    「好き………だっ…」



    君が困るのは解ってる。


    俺は思わずアヤノを抱き締める力を強めた。


    アヤノの首に顔を埋める。


    怖い。また、君が居なくなる気がして。


    怖い。また、君の笑顔の裏側に気付けない気がして。


    怖い。怖い。怖い。


    君が、もう、


    戻って来ない気がして。


    それが確信に変わる時、


    俺はソレを、


    その現実を、


    受け止められるのだろうか。


    君を見失わないように、強く、強く、
    抱き締めた。



    「ありがとう……」



    今にも消え入りそうな涙声が聴こえた。


    瞬間、


    君は俺と、君の涙で、 


    消えていった。 


    残ったのは、あの頃のままの、


    君の温かい、ヒーローの証の


    赤いマフラーだけだった。
  16. 16 : : 2014/08/14(木) 22:35:09
    「ごっ主人~~!!」



    元気で威勢の良い聞き慣れた声が俺の耳を貫く。



    「何だよエネ………。」


    「何だよじゃないですよ!いつまで寝てるんですか!?だから夜更かしは駄目だって…」



    そこで、エネの話は途切れた。


    エネは目を見開いて、そして納得したような顔で優しく笑った。



    「ご主人も、見たんですね。」



    何となく、その言葉の意味が解った気がしたから、俺は何も言わなかった。



    「そう言えばご主人、何ですか?その赤いマフラー。」


    「は?俺マフラー何て…」



    そう言いかけた時、俺の手にはマフラーが握られている事に気が付いた。


    夢、じゃなかった。


    君は今、存在していないけど、


    存在していた。


    俺の思い出の中にただ1つ、光輝く、


    ヒーローの存在が居た。
  17. 17 : : 2014/08/14(木) 22:38:13
    はい、今回も夢オチです。
    てか次もですけどね。(私の特技ネタバレです)

    まぁendですが、次回もありますからね。


    次回は本当需要無いです。もう驚く位需要無いです。

    しかし作者の好きなcp何で…すみません…。
  18. 18 : : 2014/08/14(木) 22:57:03
    次回です
    http://www.ssnote.net/archives/21764


    お許しください、皆様。私は変人でも良いです、許してください。
    ただ、私の大好きな、好きで堪らないcpなので…すみません。
  19. 19 : : 2014/08/15(金) 05:46:14
    シンアヤ好きなので今回シンアヤと言うだけでもワクワクしていたのに、
    アヤノさんが筆を取ればこんな素晴らしいシンアヤが出来上がるのですね!!

    もう、夢のようです。色んな意味で感動致しました。
  20. 20 : : 2014/08/15(金) 06:07:09
    セトさん!もう何ですか貴方は、神様越えましたか、神様越えたら何になるんですか。(真顔)

    私もヒビヒヨ大好物ですが、セトさんのヒビヒヨは大好物の領域を越えました。もう言葉では表せない位好きッス。はい。 

    あれが初投稿とは羨ましい。文才ちょっと分けてくれませんか?私にお恵み下さい。神様。

    “感動”、私の中で一番の誉め言葉です。もっともシリアスしか書けない者で(笑)

    もうありがとうございます!!
    感動と言う言葉が勿体無いです。

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