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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

ミカサ「続・魔王嬢?」

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  1. 1 : : 2014/07/04(金) 13:23:16
    ・ご都合主義設定
    ・ご都合主義展開
    ・Vocaloid楽曲パロ
    ・地の文有り
    ・ヤンデレ注意
    ・流血、キャラの死、グロ注意

    『想いは重く 愛は深く そして強い』

    『ミカサ「魔王嬢?」』http://www.ssnote.net/archives/18929 の続編
  2. 2 : : 2014/07/04(金) 13:25:04
    ヤンデレ成分は前回と同程度ですが、一部悪趣味に走りすぎた部分があります。
    ご注意下さい。
  3. 3 : : 2014/07/04(金) 13:25:36
    ずぷり

    ぐちゃり

    その金髪を真っ赤に染めて、彼は倒れた。

    私の、幼馴染みだったはずの少年は、

    アルミンは何が起こったのかも分からないまま事切れていた。
  4. 4 : : 2014/07/04(金) 13:28:25
    両手が真っ赤だ。

    赤。

    赤は好きな色。

    エレンがくれたマフラーの色。

    でも、これはエレンの色じゃない。

    足下に倒れているアルミンと、

    地下で串刺しにした馬面の少年と、

    バルコニーで磔にした鷲鼻の少女の色。

    私の元に辿り着くのはエレンだけでいい。

    だから、四人が魔王城に着いてすぐ、私は罠を発動させ彼らをバラバラにした。

    エレンは遠回りだけど、確実に王の間に辿り着けるように。

    他の三人はそれぞれ別々の場所で私が手を下せるように。
  5. 5 : : 2014/07/04(金) 13:51:58
    魔王城は高い山の深い森の中にある。

    黒を基調としたゴテゴテとしたデザインは、先代の趣味だろうか。

    山育ちの私にとって、森の中での暮らしは決して不快ではないのだけれど、

    木が生い茂り、日の光がほとんど当たらないジメジメとした空気と

    薄暗い空間には辟易気味だった。

    ので、せめてもの彩りにと、正門と城を繋ぐ小道と塀の周りに花を植えた。

    私の好きな赤い花と、

    ワタシ
    魔王の好きな黒い花を。
  6. 6 : : 2014/07/04(金) 14:27:51
    もっとも、実際に植えたのは臣下たちで、

    私はそう指示しただけだ。

    ここでも優秀な臣下たちは、センスよく小道と塀を飾ってくれた。

    暗い森に赤い花はよく映えたし、

    暗い森に黒い花はよく似合った。

    幾億の花で飾り付けられ、

    華やかになった城庭を王の間の窓から眺めながら、

    私は微笑む。

    これで、一つ、エレンを出迎える準備が整った。
  7. 7 : : 2014/07/04(金) 14:45:42
    王の間を出ると一本の長い廊下に出る。

    城の外観や他の部屋、他の通路に比べると驚くほど簡素な廊下と王の間。

    だけれど、魔王を倒すためやってくる勇者を迎えるには、十分な威厳があった。

    冷たい空気、響きわたる靴音。

    石造りの廊下の中で、正面に立ちはだかる王の間の扉だけが、豪奢な装飾をされている。

    もうじき、ここにエレンがやってくるのだと思うと、それだけで高揚した。

    どんな顔でここにやってくるのだろう?

    どんな顔でここに立つのだろう?

    憤怒か、高揚か、期待か、はたまた絶望か。
  8. 8 : : 2014/07/04(金) 15:37:40
    ふと、その光景を思い浮かべて、顔をしかめる。

    エレン以外がここにいるのは美しくない。

    ここにやってくるのはエレンだけでなくてはならない。

    私に会えるのはエレンだけでなくてはならない。

    私を倒すのはエレンだけでなくてはならない。

    でも、エレンが強くなったのと同様にアルミンも、

    他の二人も強くなっている。

    臣下をぶつけて彼らを再起不能にするのは難しいだろうし、

    何よりそれだとエレンを傷つけてしまうかもしれない。

    それは、駄目だ。

    エレンを無傷のまま、一人で王の間へ連れてくることが至上命題。
  9. 9 : : 2014/07/04(金) 15:52:45
    考えながら廊下を渡り、

    階下へと繋がる大階段に足を踏み出す。

    この階段は、私が先代を倒すため王の間へやってきた時にも通った階段で、

    魔王城の裏口から一本道で繋がっている。

    本来は逃走用で、城の外壁の内部を通る廊下とはいえないような隠し通路だけど、

    一度入ってしまえば、あとはひたすら走り続けるだけでこの階段の下へ出られる寸法だ。

    城内に幾つかある大階段までの通路の中で最も安全で最も確実と言える。

    入口が分かりにくいのが難点ではあるけど、そこだけ上手く誘導すれば、あるいは…。
  10. 10 : : 2014/07/04(金) 21:52:22
    「善は急げ」

    昔、お母さんに教えてもらった東の国の言葉を呟いて、私はそのまま階下へ向かった。

    誰でもいい、最初に目についた臣下に言いつけて罠を仕掛けよう。

    エレンたち四人がバラバラになるように。

    エレンが隠し通路の入口を見つけられるように。

    城の外周を何周もする隠し通路をエレンが走り抜けて王の間へ辿り着くまでの間、

    他の三人を足止めしておけるように。
  11. 11 : : 2014/07/04(金) 21:56:57
    「さて」

    一通り臣下に言いつけた私は、すぐに王の間は戻った。

    いつものように水晶玉に想いを込めて、手を翳す。

    相変わらず特にすることのない私は、一日の大半をこうしてエレンの姿を確認して過ごしている。

    エレンの姿が見えてくる。

    山の、まだ中腹にも届かない場所を歩いている。

    ほんの数日前には怒りに燃えていた瞳も、

    今は随分落ち着いたらしく、

    アルミンたちと雑談する余裕も出てきたようだ。

    昨日はまだちょっとご機嫌斜めだったのにね。

    エレンが元気になってくれて嬉しいよ。
  12. 12 : : 2014/07/04(金) 22:32:38
    でも…

    アルミンたちと笑ってる間に、私のことを忘れちゃわないか心配だな。

    それに、あの女の子と話をしているのは少しだけ嫌だな。

    馬面の少年にしたって喧嘩ばかりしているけど、

    時折、彼だけに見せる顔がある。

    私の知らない大人の男の人みたいな顔。

    それだけじゃない。

    アルミンにも、少女にも、

    それぞれにしか見せない顔がある。

    たった一年の間に、ずいぶんと私の知らないエレンが増えてしまった。

    そんなの、嫌だよ。

    エレン…、

    エレン…。
  13. 13 : : 2014/07/04(金) 22:36:47
    ーーーーーーーーー
    ーーーーーーー
    ーーーーー
    ーーー


    エレンたちが魔王城にやって来たのは、その五日後。

    罠が完成してから三日後のことだった。

    正門に並ぶ四人を、

    先日庭を眺めたのと同じ王の間の大窓から見つめた。

    当然、エレンたちからこちらは見えていないだろう。

    でも、私からははっきりと見える。

    一年ぶりに見た、水晶越しじゃないエレン。

    大きくなったね。

    すっかり大人だね。

    あの頃からは、

    ううん、村が焼け落ちたあの夜からだって想像もつかないほどの精悍な表情。

    でも、変わってない。

    私の大好きなまっすぐで強い瞳。

    ずっと会いたかった、大好きなエレン。
  14. 14 : : 2014/07/04(金) 22:46:04
    やっと、やっとこの時がきた。

    待ち焦がれていたこの時が。

    今日は格別。

    特別。

    だって、もうすぐ水晶越しでも想像でもないエレンに会えるのだから。

    こちらに向かっているエレンの瞳に映っているのは魔王だけ。

    エレンの心にいるのは魔王だけ。

    世界のことも、村のことも、アルミンたちのことですら考えていないはず。

    だって、そんなもの魔王の前ではちっぽけな些事にすぎないのだから。

    ね、そうでしょ、エレン?
  15. 17 : : 2014/07/04(金) 23:24:31
    エレンたちが魔王城に辿り着いた。

    正面扉を勢いよく開けて、一歩、二歩踏み出す。

    と、罠が発動した。

    一人は突如床に開いた穴から階下へ落ち、

    一人はどこかから飛来した鎖に絡め取られ、

    一人は巨大な石像に叩き飛ばされ、

    そしてエレンは両側を壁に阻まれた。

    壁は細い通路を作るように、城の裏側へと伸びていて、

    もちろん、隠し通路の入口まで続いている。

    エレンはしばらく他の三人の名前を呼んでいたけど、諦めたのか通路の先をキッと睨み付けた。

    「誘われてる、みたいだな…」

    そう、その通り。

    その先に魔王が、私がいるから。

    早く来て、エレン。
  16. 18 : : 2014/07/04(金) 23:29:59
    エレンが隠し通路へ入るのを見届けて、私は王の間を後にした。

    最初の予定では他の三人は臣下たちに足止めさせておくつもりだったけど、気が変わった。

    あの三人がいると、エレンは私だけを見てはくれない。

    私とずっと一緒にいてはくれない。

    だから、仕方ないよね?
  17. 19 : : 2014/07/04(金) 23:30:57
    私はまず地下室へ向かった。

    一階まで直通の隠し通路はもちろん使えないから別のルートで。

    地下室にある隠し扉からこっそりと中へ入ると、少年の背中があった。

    隠し扉を除いた、唯一の出入口である石扉を調べているらしい。

    叩いたり耳をあてたりしている様子からは、あまりダメージが感じられない。

    一階の床、つまり低く見積もっても4メートルはあるだろう地下室の天井から落ちたにも関わらずだ。

    受け身でもとったのだろうか?

    軽薄そうな印象だったけど、魔王討伐に出るくらいだから運動神経はいいのかもしれない。
  18. 22 : : 2014/07/06(日) 22:42:15
    気配を消して、そっと背後に近付く。

    持参した剣でその背中を一突き、

    しようとしたけど、ギリギリで気付かれてしまった。

    でも、負った傷はギリギリ致命傷ではないくらいのもの。

    むしろちょうどいいかもしれない。

    呻きながらも剣を構える少年は、私を見てはっと目を見張った。

    まるで何か自分の想像を越えるものでも見たかのように。

    「誰だ、お前…?」

    息は荒く、声も途切れとぎれ。

    なのに、そんな分かりきったことを聞く少年に私は少しだけ首を傾げて答えた。

    「あなたたちは、私を倒しに来たんでしょう?」
  19. 23 : : 2014/07/06(日) 22:46:36
    少年が目を見開く。

    「じゃあ、お前が…魔王…?」

    「そう、私が魔王」

    私の答えに動揺したらしい少年は何やら呟きながら立ち上がろうとした。

    こんな…綺麗な…とかなんとか聞こえた気もするけど、気にすることではない。

    少年が体勢を立て直す前に、一気に間合いを詰める。

    少年の目が再度見開かれた。

    その腹を一突きにされれば当然だ。

    私は少年を串刺したままの剣を、体ごと半回転させる。

    ちょうど反対を向いたところで回転を止めると、少年の体だけが慣性で飛んでいった。

    その先にあったものは、女性の顔の彫刻が施された縦置きの棺桶のようなもの。

    少年の体はその内部に綺麗に収まった。

    その棘だらけの内部に。

    その名も高き拷問器具、《鉄の処女(アイアン・メイデン)》である。
  20. 24 : : 2014/07/06(日) 23:10:40
    ここは、おそらく先代の趣味で集められたのであろう拷問器具や処刑器具の倉庫だった。

    周りを見渡せば、棘だらけの椅子や人間サイズの鳥かご、指締め器なんかが無造作に置かれていた。

    趣味が悪いから使うつもりはなかったけど、一突きで死ななかったし、

    せっかくだから一度くらい使ってみようかと思ったのだ。

    もちろん、拷問のために使うのではないけれど。

    そんな部屋に、少年の絶叫が響きわたる。

    「あがあああああああ!?」

    投げ飛ばしただけなので、当然アイアンメイデンの蓋は閉められていないけれど、

    それでも十分な威力があることは誰の目にも明らか。

    むしろ、声をあげることができる少年に感心してしまうほどだ。

    でも、だからといって、助けてあげる理由にはならないし義理もない。

    私はアイアンメイデンに近付いて、その蓋に手をかける。

    少年が飛び出しそうな目をこちらに向けたけど、やっぱり気にすることではない。

    そのまま、蓋を閉めた。
  21. 25 : : 2014/07/07(月) 18:17:23
    蓋の隙間から鮮血が流れて床を汚した。

    まあいいか。

    二度と使うことのない部屋と器具たちだ。

    部屋の外に控えさせていた臣下に後の処理を任せ、私は部屋を出た。

    拷問器具倉庫の隣の部屋は武器庫だ。

    先程、少年を刺したものを投げ捨て、新しい武器を手に取る。

    どう始末するかは特に決めてなかったので少し迷ったけど、ちょうどいいものを見つけた。

    次に向かうのは三階バルコニー。

    待っているのは…。
  22. 26 : : 2014/07/07(月) 22:11:37
    「何者だい、アンタ?」

    ようやく鎖から逃れたばかりのはずの少女は、

    突然現れた私に対して隙なく構えてみせた。

    「あなたたちの敵」

    「敵?」

    「あなたたちは私を倒すためにここに来たはず」

    「じゃあ、アンタが…?」

    少年に答えたのと同じように答えると、少女も少年とよく似た反応をした。

    私は、特に感情も込めず答える。

    「そう、魔王」
  23. 27 : : 2014/07/07(月) 22:19:57
    「っ…!」

    それを聞いた少女の反応は早かった。

    一足飛びに私のところまで間合いを詰め、その勢いのまま上段回し蹴りを仕掛けてきた。

    私はそれをヒラリとかわす。

    小柄な女の子にしては大したものだけど、魔王たる私の敵ではない。

    「無駄」

    目の前で無防備に揺れる左足を掴む。

    そこへ、

    武器庫から持ってきた剣を突き刺した。

    全長約30センチ。

    先端が尖った細身の刀身と、

    十字架のような形が特徴的な短剣。

    スティレット。
  24. 28 : : 2014/07/07(月) 22:34:01
    刺突用のそれは、

    皮を裂き、肉を切り、筋を絶ち、骨と骨の間を通り抜け、

    太股側から再び切っ先を現した。

    「ぐっ…!?」

    少女の表情が苦悶に歪む。

    その程度で済む痛みではないはずなのに。

    強い意思のこもる瞳で睨み付けてきた。

    無事だった右足で地面を蹴り、

    突き刺さったスティレットを支点に、

    空中で回し蹴りを仕掛けてくる。

    痛みを感じさせない動きで正確に私の頭部を狙ってきたその蹴りは、

    私にかすることすらなかった。
  25. 29 : : 2014/07/08(火) 14:48:06
    「不毛」

    新たなスティレットを懐から取り出して、今度はその右足を狙う。

    ゴリッ

    固いものと固いものがぶつかり合う音がしたと思ったら、

    カキン、とあっけなくスティレットが折れてしまった。

    一撃目と違い足を固定しなかったせいで狙いが逸れ、骨に当たってしまったらしい。

    その隙に少女は私の手から逃れ、距離を取る。

    とはいえ、両足に傷を負った少女は既に立つこともできないようで、その場で膝をついてしまった。
  26. 30 : : 2014/07/08(火) 18:34:18
    「相手の力量も知らずに手を出すなんて愚かなこと」

    荒い息で睨み付けてくる少女を静かに見下ろして、私は諭すように言った。

    「何よりそれはあなたの戦い方ではないはず」

    「?」

    少女の目に、初めて敵意以外の何かが写った。

    疑問だ。

    「相手の力を利用して、相手に返す」

    「それがあなたの戦い方だったはず」

    「知ってる、ずっと見てたから」

    水晶玉で。

    エレンを。

    あなたと楽しそうにしてるエレンを。

    頭の中で何かが爆発したようだった。

    あるいは、心の中か。
  27. 31 : : 2014/07/09(水) 15:06:09
    気付いた時には、少女は事切れていた。

    三本目のスティレットは、その喉笛を貫いたらしい。

    最期の瞬間は、助けを乞うことも、誰かの名前を呼ぶことも、悲鳴を上げることすらできなかっただろう。

    「どうでもいいけど」

    決着がついたのを見て、臣下がバルコニーに集まってくる。

    事前に私が指示していた通りに後始末をするためなのだけど、

    他ならぬ私がそれを制した。

    「エレンには、会わせない」

    それを聞いて、臣下たちは何も言わずバルコニーを後にした。

    残された私は、少女に向き直る。
  28. 32 : : 2014/07/09(水) 15:31:33
    「あなたはここで見ていればいい」

    抱き上げたその体は小柄な割には重くて、

    日頃の鍛練の程が窺えた。

    バルコニーの壁に背を預けるような形で立てかける。

    もちろん自立なんてするわけないから、その頭を握ってぶら下げるように。

    喉に刺さったままだったのスティレットを抜いて、左の掌に刺し直す。

    スティレットごと少女の左手を肩の高さまで持ち上げて、

    「ふんっ」

    手の甲から突き出たスティレットを壁に突き刺して固定した。

    頭を右手に持ちかえて、今度は右手。

    同じように掌を刺して、持ち上げて、壁に固定。

    頭から手を離すと少しだけ自重でずり下がったけれど、そのまま床まで落ちるようなことはなかった。
  29. 33 : : 2014/07/09(水) 16:10:37
    今度は両足を重ねて、壁まで一突き。

    少女の体で、歪んだ十字架が出来上がった。

    その出来に、少し笑いそうになった時、

    ブチブチッ、と繊維がちぎれるような音がして、少女の左手が落ちた。

    どうやら、スティレットを刺した掌が重さに耐えきれず、裂けてしまったらしい。

    これは困った。

    このままでは、残る右手もすぐに落ちてしまうだろう。

    策を探すべく少女の左手をあちこち触っていると、

    手首、ちょうど脈を計る辺りに、固い骨で囲まれた部分を見つけた。

    ここなら、骨がストッパーになって上手く固定できるかもしれない。

    私は躊躇せず、左手首を貫いた。
  30. 34 : : 2014/07/09(水) 18:57:30
    推測は当たっていた。

    手首を突き刺したスティレットは、今度は少女の身を裂くことなくきちんと固定してくれた。

    右手も、掌から手首に場所をかえる。

    今度こそ、歪んだ十字架が完成した。

    途中で肩がはずれてしまったようで、少女の体は重そうに沈んでいる。

    今度こそ、その出来に笑いかけて、

    視線をバルコニーの外、美しく彩られた城庭へ向ける。

    少女がこれからその身が朽ちるまで、見つめ続ける景色だ。

    「あ」

    ここで見てればいい、とは言ったものの

    「あなたはもう、エレンを見ることもできないね」
  31. 35 : : 2014/07/09(水) 20:40:32


    私が、最上階の、王の間前の廊下に辿り着いた時、

    彼は既にそこにいた。

    切り揃えた金髪、

    男の子にしては小柄な体躯、

    それに似合わない剣と小脇に抱えた大きな本。

    アルミンは、エレンと共に旅立ったあの日のままの格好で立っていた。

    あの日。

    エレンが私を置いて、アルミンと一緒に旅立ったあの日。

    あの日のままの、

    いいえ、あの日のアルミンが確かにそこにいた。

    小さくなっていく二人の背中が脳裏に浮かんだ。

    -私はその光景を見ていないはずなのに-

    今なら、間に合うかもしれない。

    今なら、エレンは私も連れて行ってくれるかもしれない。

    今なら、エレンはアルミンではなく私を選んでくれるかもしれない。

    今なら、

    今なら、

    今なら…

  32. 36 : : 2014/07/09(水) 20:42:19
    ずぷり

    ぐちゃり

    その金髪を真っ赤に染めて、彼は倒れた。

    私の、幼馴染みだったはずの少年は、

    アルミンは何が起こったのかも分からないまま事切れていた。

    両手が真っ赤だ。

    赤。

    赤は好きな色。

    エレンがくれたマフラーの色。

    でも、これはエレンの色じゃない。

    地下で串刺しにした馬面の少年と、

    バルコニーで磔にした鷲鼻の少女と、

    足下に倒れているアルミンの色。

    足下に倒れているアルミンの色。
  33. 37 : : 2014/07/09(水) 20:43:06



    ポタリと何かが頬を伝った。

    涙だった。

    「泣いている?どうして?」

    ぼんやりと両手を見て、

    足下のアルミンを見て、

    王の間の扉を見て、

    大階段を見て、

    気付いた。

    「もうすぐエレンに会えるから」

    そう。

    「だから、嬉しくて泣いてるのね」

    そう。

    「エレンを迎える準備をしなきゃ」

    そう。

    だって、私は魔王なのだから。

    誰かの死が悲しくて泣いてるなんてこと、あるはずがない。

    だって、私は、魔王なのだから。
  34. 38 : : 2014/07/09(水) 21:44:04
    私は王の間の横の小部屋に入る。

    ここは、普段私が寝起きしたり着替えたりしている部屋。

    豪華な装飾のクローゼットを開けると、派手ではないけど質のいい衣装がいくつかかかっている。

    臣下たちがどこからか強奪してきたものだ。

    あまり興味はないけど、着の身着のままで出てきた私には必要不可欠なものでもあった。

    それに、せっかくエレンを出迎えるのだから、綺麗な格好をしていたい。

    似合ってるよ、ミカサ。

    なんて、エレンが言ってくれるとは思わないけど、それでも。

    ワードローブから取り出した、一着の黒い衣装。

    一番気に入っている黒のドレス。

    大きく広がった袖口、フリルがあしらわれた裾。

    喉元まで覆う襟に、スカーフ代わりのマフラーを巻く。

    マフラーは毎日巻いてるけど、その度にエレンへの想いがこみ上げてくる。

    愛しさで胸がいっぱいになる。
  35. 39 : : 2014/07/10(木) 14:30:13
    着替え終わって廊下に出ると、ちょうど地下から少年の遺体が運ばれてくるところだった

    大階段を登ってやってきたエレンの目に留まるように。

    廊下の右側に馬面の少年、左側にアルミン。

    どちらも、赤黒く輝いて、

    まるで王の間への道標。

    手にした水晶玉の中で、

    何も知らないエレンが必死に走り続けている。

    アルミンも、

    あの子も、

    少年も、

    誰もいない理想の道を。

    私だけを目指す理想の道を。

    憎々しげに私を呼ぶ、あなたの声が。

    恨めしく私を想う、あなたの心が。

    今、私だけを。
  36. 40 : : 2014/07/10(木) 14:39:27
    大階段を登りきったエレンが見たのは、

    黒く深く輝いて道を示すオブジェの如き二人の少年。

    エレンはまずアルミンに駆け寄って、その亡骸を抱き上げる。

    声が枯れるほどアルミンの名前を呼んで、驚きで見開かれた目を反対側の少年に向けた。

    ひきつった顔は涙で濡れそぼち、力なく少年の名前を呟く。

    「アニ!」

    アルミンを抱き抱えたまま呼んだ名前。

    それがあの子の名前だということは知っていた。

    ここまで来て、

    私の目前まできてあの子の名前を呼ぶなんて。

    再び爆発しそうになった塊を必死で押さえつける。

    当然、返事はない。

    救いを求めるように周りを見渡した後、エレンは一度項垂れて、

    そして顔をあげた。

    その見据える先は、

    豪華な装飾がなされた王の間の扉。

    私のいる場所。
  37. 41 : : 2014/07/10(木) 18:58:43
    開いたそのドアの向こうから、

    あなたの姿が見えてくる。

    その目は、私だけに向けられる。

    血染めの瞳で。

    あなたを迎える満面の笑顔。

    両手広げて、

    再会の時。
  38. 42 : : 2014/07/10(木) 19:04:57
    「エレン!」

    扉の向こうから現れるエレン。

    一年ぶりのエレン。

    水晶玉越しではないエレン。

    ここにいるエレン。

    大好きなエレン。

    私だけのエレン。

    ワタシ
    魔王を睨み付けるエレン。

    剣を構え、一歩踏み出すエレン。

    何かに気付いたように足を止めるエレン。

    目を見開くエレン。

    顔を青くするエレン。

    エレン。

    エレン。

    エレン。

    私はそれをただ満面の笑みで迎えた。
  39. 43 : : 2014/07/11(金) 15:47:36
    「ミ、カサ…?」

    エレンの声。

    溶けてしまいそうな声。

    痺れてしまいそうな声。

    その声が、他の誰でもない私の名前を呼んだ。

    「エレン…」

    私もエレンの名前を呼び返す。

    すると、エレンがいきなりその場にへたりこんでしまった。

    どうしたんだろう?

    どこか痛めたんだろうか?

    心配して近付こうとした時、

    エレンが急に立ち上がり、こちらへ走り寄ってきた。
  40. 44 : : 2014/07/11(金) 15:55:18
    「この…」

    踏み切り、ジャンプ。

    空中で剣を大上段に構える。

    「偽物がぁっ!!!」

    私に向かって一直線に降り下ろされた剣は、

    大きな玉座を砕いて、床すら叩き割った。

    私は勿論、それをかわしている。

    エレンは再会の抱擁のしかたを忘れてしまったのだろうか?

    「エレン」

    回避の動作のまま、エレンの背後に回り込み、もう一度名前を呼んだ。

    「私は偽物ではない」

    今度は横薙ぎの剣が私を狙ってきた。

    それも最小限の動作でかわすと、次の一手、そしてまた次の一手が繰り出される。

    私の右手には先代も使っていた大きな宝剣が握られていて、

    時折エレンの剣とぶつかり火花を散らし、

    時折エレンの肌にぶつかり血を流す。

    剣が煌めき、血飛沫が舞い、ドレスとマフラーが揺れる、揺れる。

    まるでエレンと踊っているみたい。
  41. 45 : : 2014/07/11(金) 16:05:10
    でも何故だろう?

    エレンの両目は涙をいっぱいに貯めて、今にも零れ落ちそうだ。

    今、この場にいるのはエレンと私の二人だけ。

    お互いのことだけを見て、

    お互いのことだけを想って、

    こうして踊っているというのに、

    どうしてそんな悲しそうな顔をしているの?

    どうしてそんな辛そうな顔をしているの?

    ねえ、エレン、泣かないで。

    私がいるから。

    「この手を握って」

    微笑み、手を差し出す。

    あの時、伝えられなかった言葉を口にした時、

    想いは胸を貫き、

    温かいものが零れ落ちた。
  42. 46 : : 2014/07/11(金) 16:18:46
    ーーーーーーーーー
    ーーーーーーー
    ーーーーー
    ーーー


    「どうしても行くの?」

    それは、あの日。

    村を出た日の記憶。

    心配そうな青い瞳。

    頑固そうな口元。

    「誰かが、やらなきゃいけないんだ」

    答えた自分の声が震えていたのは、高揚か、恐怖か。

    「ミカサ、泣いてたよ」

    知ってるさ。

    魔王討伐に出ることを告げた時のミカサの顔は忘れられない。

    「…でも、決めたんだ」

    「気持ちは変わらないんだね…なら、僕も連れて行って」
  43. 47 : : 2014/07/11(金) 16:37:55
    予想もしていなかった幼馴染みの言葉。

    もちろん承諾できるはずもなく

    「それは…!」

    「勘違いしないでよね、別にエレンのためじゃないんだから」

    冗談めかして言ったアルミンは、照れたように笑って続けた。

    「僕だって守りたいんだ、この村を、世界を、ミカサを」

    三人が育った村は、魔王の森のすぐ傍。

    歴史を振り返れば何度も強襲されていたし、

    今だって、いつ魔王軍が攻めてきてもおかしくなかった。

    魔王討伐の意思は、そんな環境で自然に育まれていた。

    エレンの中で。

    そしてきっとアルミンの中でも。
  44. 51 : : 2014/07/11(金) 17:02:52
    「…分かった。でも、必ず帰ってくるんだ。二人で、この村に」

    力強く微笑むと、優しくでも少しだけ悪戯っぽく微笑み返された。

    「ミカサのために、ね。彼女、寂しがりやだから」

    「昔っからな。昔から変わらないのはこっちも同じだけど」

    その時、自分がどんな顔をしていたのか、エレンには分からない。

    ただ、対するアルミンの顔はこの上なく優しかった。

    「気付いてたんだね、ミカサの気持ち」

    「まあ、でも、俺たちは家族だから。だから…」

    「エレン」

    そうやって短く名前を呼ぶアルミンの頑固そうな表情もやっぱり昔から変わらない。

    「分かってるよ、家族って関係を言い訳にして逃げてることは」

    「分かってるならいいんだ」

    こんな時、この小柄で泣き虫なはずの幼馴染みに、敵わないと思い知らされる。
  45. 52 : : 2014/07/11(金) 17:11:58
    「でも、帰ってきたら、ちゃんと話をしようと思う」

    「そっか」

    「答えてやれるかは、分からない…けど…」

    「うん」

    「けど、帰ってきたら…」

    この想いが、気持ちがなんなのか、それはまだ分からない。

    ミカサが想ってくれているように自分もミカサを想っているのか、それはまだ分からない。

    でも、ミカサを大切に想っていることは確かだから。

    「彼女に想いを伝えるよ」


    ーーー
    ーーーーー
    ーーーーーーー
    ーーーーーーーーー
  46. 53 : : 2014/07/12(土) 13:39:47
    ーーーーーーーーー
    ーーーーーーー
    ーーーーー
    ーーー


    この胸を貫く剣に乗せて、

    想いがあなたに届く。

    想いは温かく、

    赤い色をしていた。

    赤。

    赤は好きな色。

    エレンがくれたマフラーの色。

    でも、これはエレンの色じゃない。

    私の色。

    大好きな赤色は、こんな近くにあったんだね。

    エレンの瞳から涙が零れていた。

    ねえ、エレン、泣かないで。

    私がいるから。

    微笑み、手を差し出す。

    あの時、伝えられなかった言葉を口にした時、

    想いは胸を貫き、

    温かいものが零れ落ちた。
  47. 54 : : 2014/07/12(土) 13:40:11








    「一人にしないで」








  48. 55 : : 2014/07/12(土) 13:42:09
    『魔王城制圧報告』

    夜の帳が落ち、良い子も悪い子も寝る時間、

    町民たちが提供してくれた宿の中で、私は報告書を書いていた。

    未明から始まった、国軍による魔王討伐作戦。

    結果、魔王討伐は成らなかった。

    しかし、魔王城制圧には成功した。

    何故か。

    城内に魔王の姿がなかったからである。
  49. 56 : : 2014/07/12(土) 16:16:26
    決行日の数日前から、国軍正規兵と作戦のための民兵、合わせて13,000名は、

    魔王の森近くの町に滞在していた。

    森近くとは言っても、永く魔王城直近だった村は先日魔王軍の強襲を受け焼け落ちていたため、

    そこから程近い、この辺の集落群の中心ともいうべき町にだ。

    その村の住民も、ここに避難している。

    古来より魔王のすぐ傍で生活してきた彼らは、

    魔王に関する多くの情報を提供してくれた。
  50. 57 : : 2014/07/12(土) 21:23:55
    曰く、魔王は人と変わらぬ姿形をしている。

    曰く、しかし満月の夜には、翼と角の映えた魔物の如き姿に変わる。

    曰く、魔王の血を浴びることで、その力を継承し新たな魔王となる。

    曰く、魔王の血は身体能力や治癒能力を向上させるが、対象の悪意も増長させる。

    曰く、魔王とはそもそも、建国の際に僻地へ幽閉された先住民族の王である。

    曰く、魔王城に多く残る拷問器具は、実は魔王ではなく当時の国王の嗜好であった。

    曰く、魔王城には触れるだけで死に至る青い宝石と永遠の命を与える赤い宝石がある。

    等々。

    一般的に、魔王とは2000年前、王家を裏切った錬金術師が永遠の命を得た姿だと言われている。

    恨めしい王家と王国に復讐をしているのだと。

    そのような一般論と齟齬があるのは、やはり辺境の地ということか。

    そして、最近の情報として曰く、

    四人の少年少女が魔王討伐のため、数日前にこの町を出発した、と。
  51. 58 : : 2014/07/12(土) 21:39:08
    決行日早朝、我々は夜明けと共に進軍を開始した。

    魔王の森で出没した魔王軍は、予想されていた規模の半数を下回り、

    数日をかける予定だった道程をわずか数時間で踏破した。

    街道の至るところに真新しい戦闘の跡が残っており、

    町で聞いた少年たちが残したものだろうと推測できた。

    では、魔物や魔王の臣下たちも、彼らがその多くを既に討伐していたから小数だったのかというと疑問が残る。

    残党兵が仕掛けてきている、というより指揮系統が上手く機能していないような印象を受けたからだ。
  52. 59 : : 2014/07/12(土) 21:44:34
    正午、城門を突破。

    森の木々は黒々と茂り、花も実もつけていなかったが、

    城壁と城庭には無数の花が咲き誇っていた。

    毒々しいまでの赤い花と黒い花。

    魔王の趣味の悪さが窺える。

    庭内及び城内においても、魔王軍の抵抗はほぼなかったと言える。

    地下室を探っていた兵が血塗れの拷問器具を発見。

    しかもその血は、ごく新しいものであるようだった。

    その場を数名の正規兵と軍医に任せ、

    我々は王の間があると言われている最上階を目指した。
  53. 60 : : 2014/07/12(土) 21:46:45
    三階を探索している時だった。

    一人の少年兵が声をあげたのは。

    庭に面したバルコニーの壁に一人の少女が無惨な姿で磔にされていた。

    声をあげた少年兵は、同じように少女に駆け寄ったもう一人の少年兵と共に、

    その亡骸をゆっくりと壁から外し、力なく抱き寄せた。

    二人は王都からこの辺境までやってくる間に志願した民兵で、

    数ヶ月前に魔王討伐へ出た幼馴染みを探しているとのことだった。

    出身はこの王の森がある山のほぼ真北に位置する山間の村だという。

    二人の様子を見る限り、この金髪の少女がその幼馴染みであり、

    魔王討伐に出た四人の少年少女の内の一人なのだろう。

    歳の割に長身な二人だったが、少女を抱きかかえる姿は、

    年齢以上に小さく見えた。
  54. 61 : : 2014/07/12(土) 21:50:20
    さて、この二人とよく似た境遇の少年民兵がもう一人いた。

    事前に話を聞いたところ、彼の友人も件の四人組の内の一人のようだった。

    彼の友人が彼らの故郷を出た時はまだ三人しかいなかっということだから、

    少女はその後、あの山間部の村で仲間になったのだろう。

    彼は声をあげることはなかったが、最上階の王の間直前の廊下で、はっきりと声を失った。
  55. 62 : : 2014/07/12(土) 21:56:19
    二人の少年が倒れていた。

    一人は小柄で背中から腹部にかけて抉られたような傷がある金髪の少年。

    一人は全身に無数の風穴を開けた茶髪の少年だった。

    少年民兵の友人がどちらかなのかは、彼の反応でわかった。

    「ジャン…」

    彼は茶髪の少年に近づくと、静かに静かに涙を流し、何度も名前を呼んだ。

    もう一人、金髪の少年の方は、あの村の出身だという二人の少年の内の一人だろう。

    これで三人。

    残すは王の間のみ。

    きっと最後の一人はそこにいるのだろう。

    おそらく、三人と同じように無惨な姿で。
  56. 63 : : 2014/07/14(月) 15:55:42
    王の間に入った時、正面にある窓から真っ赤に染まった空が見えた。

    時刻は日の入り。

    広く豪奢な王の間で、砕けた玉座が、最も輝く時刻の日の光を浴びて赤く輝いている。

    いや、赤いのは日の光の影響だけではないようだ。

    玉座周辺には、大量の血痕が残されていた。

    血溜まりの真ん中に、一振りの宝剣が突き刺さっている。

    自ら光を発しているようにも、周囲の光を吸収しているようにも見えるその剣は、

    おそらく人間の刀匠が鍛えたものではないだろう。

    神代の遺物。

    魔王の愛刀か。

    持ち主の偉容を表すかのように

    美しく、そして禍々しく鎮座していた。

    だが、それだけ。

    予想していた少年の遺体も無ければ、

    魔王の姿もない。

    「おい、こりゃ一体どういうことだ?」

    チビの兵士長に訊かれたが、そんなことはこっちが訊きたかった。

    これは一体どういうことだい?

    脳裏に浮かんだ金髪の男、

    十年前に単身で魔王討伐に出たかつての上官は、

    当然何も答えてはくれなかった。
  57. 64 : : 2014/07/14(月) 16:03:51
    ―――――――――
    ―――――――
    ―――――
    ―――

    『よって魔王は既に逃亡、もしくは討伐されたものと考えられる。

    現在のところ討伐者として 名乗りを上げる者はおらず、

    魔王逃亡の可能性を危惧し、 その捜索部隊の編成を要請する。

    報告者:討伐軍第四分隊 分隊長 ハンジ・ゾエ』

    報告書を書き終え、椅子をカタカタといわせながら伸びをした時には、

    既に日付が変わってしまっていた。

    あの後、兵士総出で城内を探索した。

    捜索対象は魔王と最後の少年。

    名をエレン・イェーガーというらしい。

    いくつか隠し部屋や隠し通路は見つかったものの、二人の姿は発見できなかった。

    さらなる探索調査は明日以降とし、一度この町まで戻ってきたのだが、

    そこで興味深い話を聞いた。
  58. 65 : : 2014/07/14(月) 16:22:13
    曰く、エレンたちが最初に村を出た直後、つまり一年ほど前になるが、

    彼らの幼馴染みの少女が一人、行方不明になっている。

    恐ろしく強い少女で、流行りの戦闘遊戯風にいうとレベル99なのだとか。

    その話を聞いた時に私が思い出したのは、

    王の間の隣、魔王が生活していたと思われる小部屋でのことだ。

    ベッドとデスクとクローゼットだけの小さな部屋だったが、

    そのクローゼットの中を見たとき、背筋が凍り付いた。

    その中身は全て豪奢な黒いドレスだったからだ。

    一般論でも、ここの村人たちの話でも、魔王は男だと思われていたにも関わらず、だ。

    魔王に女装趣味がない限り、少なくとも現魔王は女性ということになる。

    もしかすると、その女性とは…。
  59. 66 : : 2014/07/14(月) 20:36:30
    「はっ、下らないな」

    こんな妄想で浪費する時間はないのだ。

    明日も-日付としては既に今日だが-早朝から魔王城と山中の探索、

    そして魔王とエレン・イェーガーの捜索である。

    さっさと寝て、少しでも体力を回復しなければいけない。

    中央憲兵のお偉いさんである今作戦の総大将は既に夢の中だろうから、報告書の提出は夜が明けてからでいい。

    もう一度考えて必要があると判断すれば、

    行方不明の少女と小部屋のクローゼットの中身について報告書に追加すればいい。

    今夜はもう寝よう。

    寝巻きに着替えるべく、開けていた窓を閉めようと手を伸ばした時だった。
  60. 67 : : 2014/07/14(月) 20:38:16
    町の外壁に面したこの宿の外、

    すぐ傍の森の中を、何か赤いものが横切った気がしたのだ。

    「え…?」

    が、そこには何もない。

    気のせいかと思って、目を凝らすと、そこには。

    魔王城の城壁や城庭を飾っていたのと同じ赤い花が、

    一輪落ちていた。

    「…」

    大して珍しい花でもないし、その辺に落ちていても不思議ではないか。
  61. 68 : : 2014/07/14(月) 20:41:48
    改めて、きちんと窓を閉め寝巻きに着替える。

    疲れのためか、ベッドに入ってすくに眠ってしまった。

    魔王に関してはまだ分からないことだらけだが、

    ただ一つ分かることがある。

    それは、

    夜が明けても、報告書に少女とクローゼットについて書き足すことはない、

    ということだけだ。

    それでは、おやすみ。


    Fin.
  62. 69 : : 2014/07/14(月) 20:42:22
    ボカロパロ、ヤンデレ、拷問器具、刺突剣、磔、ドレス等々。趣味100%で書きました。ジャンかやられる場面が一番筆がのりました。

    この後仲良くなったライベルマルが消えた魔王とエレンを探して旅に出る続編を妄想しました。書きたいけど花がないにも程がありますね。精進します。
  63. 72 : : 2014/07/27(日) 21:41:26
    面白かったです!
  64. 73 : : 2014/08/08(金) 13:18:54
    その後エレンとミカサについても気になりますね!
    おもしろかったです
  65. 74 : : 2020/10/28(水) 14:03:22
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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