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エルヴィン「第四の…壁…?」◇後編◇

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  1. 1 : : 2014/05/25(日) 22:40:24

    ご覧頂き、有難う御座います!


    このSSは、『エルヴィン「第四の…壁…?」シリーズ』の後編です!


    前編⬇︎
    http://www.ssnote.net/archives/16432


    中編⬇︎
    http://www.ssnote.net/archives/16733#top




    では、お楽しみ下さい!
  2. 36 : : 2014/05/27(火) 20:14:24


    ーある街の ある地下ー



    ピキ…ピキピキ…















    その部屋には光が射さない。



    だが部屋の中央にある『それ』は、宝石などとは比べものにならない程、大きく、力強い光を発していた。



    そう、その輝きは、水晶の中にいる少女の人生には無い物だ。



    少女は多くの命を奪った『加害者』だが、強制的に命令をきかされた『被害者』でもある。



    だが彼女は自分の罪に耐えきれず、水晶の中に逃げ込んだ。自分も『被害者』だという事を忘れて。



    彼女は…この水晶から出たら…




    少しずつ…







    ピキ……ピキ…









    少しずつ…









    ピキピキピキ…!!



















    自分を変えていけるだろうか。

















  3. 37 : : 2014/05/27(火) 20:15:28
    -
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    -------

    ーウォール・シーナー

    〜三兵団本部 総統部屋〜



    調査兵団団長、エルヴィン・スミスは壁外調査終了後、事情聴取の為シーナに召喚されていた。






    ザックレー「…エルヴィン。まず理由を聞かせてくれ。壁外調査を中止させた理由を…。」



    ダリス・ザックレー。老眼鏡を常にかけている老人で、三兵団を統べている総統。兵団については、この人物がいなければ始まらない。



    エルヴィン「…えぇ。分かりました。まず言うと、死者が数名でました。駐屯兵団の者達です。」

    ピクシス「…姿を見んからもしやと思っておったが……そうか…。」

    エルヴィン「……はい…調査兵団からは…死者は一人も出ていません。これは本当に幸いだった。」

    ナイル「…それで…何故駐屯兵達は死ぬことになったんだ?ディオスの外の巨人にやられたのか?」

    エルヴィン「いや、違う。まず我々調査兵団はディオスの外にすら出ていない。」

    ナイル「何!? じゃあなんで…」

    エルヴィン「『獣の巨人』…そいつにやられたんだ。いや、正確にはそいつが『操っていた』巨人に…か。」

    ザックレー「獣の巨人…ウトガルド城で現れたという巨人か!」

    エルヴィン「はい。全身に獣の様な体毛が生えているのが特徴で、知能もあります…そして…」










    「『座標』を持っています。」




    ザックレー&ピクシス&ナイル「!!」




  4. 59 : : 2014/05/30(金) 21:06:26


    ザックレー「座標だと?」

    ナイル「その力はエレン・イェーガーだけが使用出来る能力じゃないのか!?」

    エルヴィン「あぁ。俺も今までそう思ってきた。だが…『奴』がその力の発信源なんだ。エレンはその能力のコピーに過ぎない。」

    ピクシス「…どういう意味じゃ?」

    エルヴィン「はい。奴は言っていました…『私の細胞がエレン君の中にある。』『その力を返してもらう。』と。」

    ピクシス「同じ細胞…?何故エレンがそいつと同じ細胞を持っているんじゃ…?」

    エルヴィン「…これらの発言から奴は意図的にエレン・イェーガーに自分の『力』を渡したわけじゃない筈です。力を与えたなら『返してもらう』なんて言わないでしょう。」

    ザックレー「じゃあ一体誰が…?」

    エルヴィン「それについても…獣の発言から大体の目星はついています。その人物は恐らく…」












    「『グリシャ・イェーガー』です。」





    ピクシス「な、何と…!」

    ザックレー「あの『はやり病』の危機を救った人物だ…。そして…」

    エルヴィン「えぇ。『エレン・イェーガー』の父親です。」

  5. 60 : : 2014/05/30(金) 21:06:49

    ナイル「な、何故そいつが獣の巨人の細胞を持っている!?」

    エルヴィン「それについてだが…恐らくグリシャ・イェーガーは『壁内』の人物じゃない。『壁外』の人物だ。そして壁外で獣の巨人に一度は遭遇している。」

    ザックレー「なっ…」

    エルヴィン「グリシャ・イェーガーはライナー・ブラウンやベルトルト・フーバー、アニ・レオンハートと同じ故郷に住んでいた。」

    エルヴィン「そしてライナー達から以前聞いた情報によると、故郷の住民が何故か『人類を絶滅させる』と言い出した。理由は未だに不明な様です。」

    エルヴィン「…そしてそれにグリシャ・イェーガーは賛成しなかった。」

    エルヴィン「そこへ悪の元凶である『獣の巨人』が現れた。やつは興味本位で故郷の住民に『座標』で『巨人の力』を与えた。」

    エルヴィン「それに焦りを覚えたグリシャ・イェーガーは故郷を捨て、この壁内にやってきた と、いうのが獣の発言を元にした私の仮説です。」

    ナイル「あ、あり得ん話だ…。」

    ザックレー「…だが、何故グリシャは壁内にやってきてエレンに力を与えたのだ?」

    エルヴィン「…恐らくグリシャ・イェーガーは壁内の人類を守る為に、巨人の王である獣の細胞を奪ってエレンにそれを与えたのだと思われます。言わば『座標』を移す為です。」

    エルヴィン「だが、エレンには座標の力の全ては移らなかった。獣の巨人が『座標』を使用できるのがその証拠です。」

    ピクシス「…なるほど…にわかには信じられん話だのう…。」

    ザックレー「あぁ。だが信じる他なかろう…。」

    ナイル「…ですね。獣の巨人に遭遇したのは、調査兵団だけですから。」

    エルヴィン「…感謝します。」


    エルヴィンはそう言うと、固い決意を示した、心臓を捧げる事を示した敬礼を深々とした。

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  6. 93 : : 2014/06/01(日) 21:31:03
    ー三兵団本部ー

    〜廊下〜


    男は一人歩きながら、思考を巡らせていた。








    エルヴィン(…一つ気がかりな事がある…。)

    エルヴィン(何故…?何故『アニ・レオンハート』は『あの時』に巨人を操れたんだ…?)





    ****






    リヴァイ『そうだ…一つ聞きたいことがあった。』

    リヴァイ『お前の手足は切断しても大丈夫か?また生えてくるんだろ?』

    リヴァイ『お前自身の本体の方だ。死なれたら困るからな。』


    スゥゥゥゥゥ……


    リヴァイ『!』


    きぃゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!


    ハンジ『……』

    モブリット『断末魔…ってヤツですか?迷惑な…』

    リヴァイ『……てめぇ…びっくりしたじゃねぇか…。』

    ミケ『…!』スンスン

    エルヴィン(感情的な発声か?だとすると こうピタリとやめるものだろうか?)

    エルヴィン(何かの意図が?)

    ミケ『エルヴィン!』

    ミケ『匂うぞ!』

    エルヴィン『方角は?』

    ミケ『全方向から多数!』

    ミケ『同時に!』



    ****


  7. 94 : : 2014/06/01(日) 21:32:06


    エルヴィン(獣の発言によると…『座標』は巨人の王の細胞を持つものしか使用出来ない筈…アニも細胞を無理矢理入れられたのか?『座標』以外にもその類の能力があるのか?)

    エルヴィン(それとも…元々細胞を持っていた…?)

    エルヴィン(…やめよう…今日は疲労が溜まり過ぎている…。頭が回らないな…。)

    エルヴィン「…フッ…。」



    男はそう苦笑すると静かに仲間のもとへ戻って行った。





    -
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    ー調査兵団本部ー


    リヴァイ「悪くない。お前も随分紅茶を淹れるのが得意になったもんだな…まぁ前はクソみてぇな味だったが。」

    ミカサ「…クソって酷い。…です。…兵長は紅茶にはうるさいですね。」

    リヴァイ「ふん…まぁ良い。エレン、お前も飲め。まぁまぁの味だぞ。」

    エレン「…いえ…ご遠慮…します……。」

    リヴァイ「…そうか。」

    ミカサ(エレン…まだ自分を責めてる…。)

    リヴァイ「…エレン。落ち込むのも自分を責めるのも決めるのはお前だ。好きにしろ。だが…一つ言えるのは…」

    リヴァイ「あいつらを信じろ。そう簡単には死なねぇよ。」

    エレン「……前は…そうやって仲間を信じましたよ…でも…全員死んだ。兵長。貴方も良く知っているでしょう。」

    リヴァイ「…。」

    エレン「あの時…!俺が選択を間違えなければ…!!ペトラさん達は死なずにすんだ筈だ!!!」

    リヴァイ「エレン…。それとこれとは話が別だ。」

    エレン「一緒ですよ。俺は仲間を信じるのが怖くなった…!!だから今まで自分の力で解決してきた…。」

    エレン「だけど今回…オレは何も出来なかった!ただただライナーとベルトルトに戦いを任せただけだ!!」

    ミカサ「…。」

  8. 103 : : 2014/06/02(月) 23:02:08



    エレン「だから…だから!!もっと俺は強くなって!!皆を守ってみせる!!もう俺のせいで犠牲は出さない!そして!!」












    エレン「駆逐してやる!この世から…一匹残らず!」



    ミカサ「! エレン…!」

    エレン「リヴァイ兵長!俺を一から鍛え直して下さい!貴方の様な力を手に入れたいんです!」

    リヴァイ「…俺と訓練を共にして…大怪我をした奴もいる。それでもお前はやるのか?」

    エレン「えぇ!やらせて下さい!!そんなんにビビってたら何も変えられない!」

    リヴァイ「……ほう…その心意気……悪くない。分かった。訓練は明日からだ。手は抜かんぞ。本気でかかる。」

    エレン「有難う御座います!」

    ミカサ「…兵長。」

    リヴァイ「何だ。」

    ミカサ「私にも…訓練をお願いします。調査兵団副長として、エレンに負けてられない!」

    リヴァイ「…フッ。良いだろう。てめぇら二人、躾直してやるよ。」





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    その日から…人類最強の男による訓練が始まった。







    コニー「な、なぁ?兵長達なにやってんだ?」

    サシャ「さ、さぁ?」

    エルヴィン(フッ…リヴァイの奴…)






    〜対人格闘〜

    リヴァイ「どうした!!二人がかりでこれじゃあ、俺が見るまでもねぇぞ!」

    エレン「クッ!!」

    エレン(あ、当たらねぇ!!対人格闘術、訓練兵団では俺ら一位と二位だぞ!?)

    ミカサ「…クソ!」

    ミカサ(全部さばかれてる!に、人間の動きじゃない…!!)

    リヴァイ「まだまだだな!!」グイ ブン!!!

    エレン「うぉ!?」グルン

    エレン「いって!!」バン!

    リヴァイ「はっ!」ガシッ バン

    ミカサ「くっ!」ドン!

    エレン「さ、流石です…手も足も出ない。」

    ミカサ「…悔しい!」


  9. 104 : : 2014/06/02(月) 23:02:44


    〜立体機動〜



    リヴァイ「遅い!!もっとスピード上げろっ!!」ギュイーン

    エレン「ガ、ガス最大までふかしてんのに追いつけねぇ…!」ギュイーン

    ミカサ「…もう少し!」ギュイーン

    エレン「あ!」

    エレン(ミカサのやつ…!兵長程じゃないが徐々に追いついてる!)

    リヴァイ「ほう。だが…甘いな!」ギュイイイーン!

    ミカサ「なっ!?」

    ミカサ(まだガスを最大までふかしてなかったの!?は、速い!!)












    エレン「えっ!?ちょっ…!待てェェェェ!」




    -
    --
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    エレン「や、やっと着いた…!二人共!速過ぎですよ!?」ハァハァ

    リヴァイ「エレン。全然なってない。遅過ぎる。」

    ミカサ「そんな事はない。エレンも十分速かった。兵長が異常なだけです。」

    エレン「お、お前が言うと嫌味にしかきこえねぇよ…。」



    -
    --
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    -------



  10. 127 : : 2014/06/04(水) 22:12:54


    リヴァイ「あ?俺らも訓練に参加したいだと?」

    コニー「はい!!俺らももう仲間の足引っ張るのはゴメンです!」

    サシャ「私達も訓練して立派な兵士になりたいんです!お願いします!」

    ジャン「俺からも宜しく頼みます!」

    ユミル「私からも頼みます。ヒストリアにもう危険を及ばせない!」

    ヒストリア「私は平気だよユミル!力をつける為にこうしてリヴァイ兵長に頼んでるんだから!」

    ユミル「…そうか!だが私はお前を守り続けるぞ!」

    アルミン「兵長。僕も分隊長としての責任を果たす為に、訓練を希望します!お願いします!」

    リヴァイ「……部下の願いを蹴る程、俺は腐ってねぇ。認めてやるよ。お前らの訓練の参加をな。」

    「!! 有難う御座います!」ケイレイ

    ジャン「じゃあ俺らはこれで!!有難う御座いました!!」

    「「有難う御座いました!!」」ガチャ…


    アーヨカッタ

    リヴァイへイチョウアンガイヤサシイ
    ナ!

    オイオイキカレルゾ!?

    ハハハハハハ…















    リヴァイ「俺もすげぇキツくなるぞ…これ…。」











    そして時は流れ…







    ー二ヶ月後ー


    〜対人格闘〜



    リヴァイ「はぁッ!!!」ブン

    エレン「!? クッ!!」ヒラリ

    リヴァイ「ほう、やるな。」

    エレン「えぇ…!いつまでも負けてられません…よッ!」ズオ

    リヴァイ「!!」

    リヴァイ「…いい蹴りだ。悪くない。だが…」スッ

    エレン「!?」ガン

    エレン「うッ!!」ドン

    エレン「あ…ああ…いってェぇぇええ…」

    リヴァイ「お前は一つの行動に気を取られ過ぎだ。だから足元の注意が緩くなる。そこさえ直せば少しはマシになるだろう。」

    エレン「は、はい……あーあ…今度こそいけると思ったんだけどなー…」

  11. 128 : : 2014/06/04(水) 22:13:37

    リヴァイ「ふん。まだガキには負けねぇよ。…じゃあ次の奴!前に出ろ!」


    ハイ!

    ッテ イッテェ!

    オイオイジャンイッシュンデヤラレタゾ!?

    マジカヨ!!




    -
    --
    ----
    -------





    コニー「だぁ!!今日も疲れたー!!」

    サシャ「疲れましたねー…。」

    ユミル「芋女が疲れてるとこあんま見ないのにな…。リヴァイ兵長容赦ねぇからなー。」

    ヒストリア「確かに…それは認めるね…。」ハハハ

    ジャン「クッソ!!また兵長に負けた!悔し過ぎる!」

    アルミン「しょ、しょうがないよジャン!まだミカサでさえ一度も勝ったことないんだよ!?」

    ミカサ「あのチビは強過ぎる。なんでチビなのに強いのかな、チビなのに。」

    エレン「チ、チビ強調し過ぎだろ…てかお前兵長に聞かれたら殺されるぞ…!」

    ミカサ「大丈夫。今度こそ勝つから。」

    エレン「こいつ分かってねぇ!」












    コンコン…





    八人「!!」

    ジャン「? 誰だ?こんな夜遅くに…今起きてんの俺らぐらいだろ?」

    エレン「俺開けに行って来るぜ!多分調査兵団の先輩か後輩だろ!」タッタッ

    エレン「遅れてすいません!今開けまーーー













    エレン「!?」













    「久しぶりだね…。」















    エレン「お、お前…!」









  12. 149 : : 2014/06/05(木) 22:05:07



    「そんなに驚かないでよ。乙女心が傷つくからさ。」

    アルミン「き、君…は…」














    アルミン「アニ…?」












    アニ「あんたら、相変わらず変わらないね。」

    ミカサ「ッ! エレンッ!その女から離れて!!危険だ!」ダッ チャキ

    ジャン「クッ!!」ダッ チャキ

    アニ「同期の仲間に容赦無しかい?二人共。」

    エレン「ミカサ、ジャン!!待て!!」

    ミカサ&ジャン「!?」ピタッ

    エレン「よう…アニ…。ずっと石ころの中にこもってた様だが…調子どうだよ…。」

    アニ「今かい?そうだね…」




















    「最悪かな。」







    -
    --
    ----
    -------






    「「「…………。」」」

    エレン「…皆…アニに今敵意は無い。安心しろ…。」

    ミカサ「とは言っても…いつこいつが巨人化して私達を殺しに来るか分からない。」

    アニ「そんな事しないよ…やっても勝てないだろうしね。それに…」

    アニ「私が此処に来た理由は、あんたらに協力したいからだ。」

    ジャン「はぁ!?そんな事信じられるか!」

    アルミン「ジャン!大きい声出さないで!上官達にバレちゃうよ!」

    ジャン「! …ちっ…。」


  13. 150 : : 2014/06/05(木) 22:05:52


    ミカサ「アニ…貴女は今の状況を知らないからそんな事がーー

    アニ「知ってるよ…今の状況。夢で全部見てた…。」

    ミカサ「!」

    アニ「ディオスの事も…ライナーとベルトルトの事も…そして…」











    アニ「獣の巨人の事も。」







    「「「…!!…」」」

    アニ「私は…あいつらと同じ選択をしたいんだ。人類の栄光の為に…自分達の償いの為に…。」

    アニ「だけど…今こんな都合の良い事言って許されるとは思ってない。あんたらが嫌なら一人であいつらを助けに行く。」

    アニ「その時になったら、あんたらの上官達には内緒にしておいてくれよ。」

    ヒストリア「ア…アニ…。」

    ユミル「…。」

    アニ「頼れるのはあんたらだけ何だよ…まぁ…人殺しの頼み事なんて聞きたくはないだろうけどさ…。」

    エレン「アニ…調査兵団に入れ。俺は入って良いと思う。」

    アニ「…え?」

    コニー「…お、俺も良いと思うぞ!アニもライナー達と同じで命令を聞かされただけなんだろ?」

    サシャ「私も…私も良いと思います!アニ実は、凄い優しいですもん!そんな人が二度も裏切るとは思えません!」

    ヒストリア「うん!そうだよ皆!アニを信じようよ!」

    ユミル「…ふん、ヒストリアが信じるんなら私も信じてやるぜ。感謝しろよ!」

    ジャン「あー…そうだったな…お前らはそういうやつだった…。」

    ジャン「…アニ!調査兵団に入れ!」

    アルミン「…分隊長も…入団を許可するよアニ!」

    ミカサ「…皆が良いと言うなら…でも…アニ。何か怪しい行動したらただじゃおかない。すぐさま私が削ぐ。」

    アニ「ーー!! そんなの…分かってるよ…!」

    アニ「断られるかと思った…『人殺しを仲間になんか入れるか』って…。なのにあんたら…本当にバカだね…!」

    エレン「馬鹿で結構!改心した『仲間』を裏切る行為に比べればマシだ!」

    七人「そうだぜ!(そうだよ!!)」

    アニ「あ…有難う…!有難う!」



    -
    --
    ----
    -------
  14. 193 : : 2014/06/11(水) 21:34:12
    ー調査兵団本部ー

    〜団長室前〜




    エレン「さて…アニ。覚悟は出来てるな?」

    アニ「うん…。とっくに出来てるよ。」

    アルミン「僕達が入団を許したからといって…エルヴィン団長自身が入団を許可しないと駄目なんだ。分かってくれ。」

    エレン「まぁ…駄目と言われても俺は半ば強引に説得するつもりだ。アニは調査兵団に必要な人材だからな。」

    アニ「!! 有難う…!」

    エレン「さぁ…じゃあ…行くぞ!!」スッ

    アニ「…。」ゴクン










    コンコン…ガチャ…










    エルヴィン「! エレンと…アルミンか…どうした?」








    部屋に入るとその男は、膨大な数の書類とにらめっこしている最中だった。明らかに疲れ切っている様だ。










    エレン「夜遅くにすいません。団長。少し話がありまして。」

    エルヴィン「話?まぁとりあえず座れ。」

    アルミン「はっ。失礼します。」スッ

    エレン「…。」スッ

    エルヴィン「丁度良かった。俺も君達分隊長を集めて話をしたいと思っていたよ。まぁ今ハンジとモブリットはいないがな。」

    エルヴィン「…おっと、話すのは君達だったな。すまなかった。それで、どんな話だ?」

    エレン「はい。じゃあ…アニ。入って来てくれ。」

    アニ「…。」スッ

    エルヴィン「 !」

    エルヴィン「アニ・レオンハート…!!」

    アニ「はい…。」

    エルヴィン「…驚いたな。君は水晶の中に眠っている筈だが…。」

    アルミン「団長。話というのは…アニの調査兵団への入団を許可して欲しいのです。」


  15. 194 : : 2014/06/11(水) 21:34:52



    エルヴィン「…調査兵団への入団…か…。」

    エレン「こいつは…アニは…人類のーーー

    アニ「エレン。それは自分から言わせてくれないかい?」

    エレン「…分かった。」

    アニ「有難う。」

    アニ「…エルヴィン団長。私は貴方の仲間達を沢山殺しました。無惨に残酷に。」

    エルヴィン「…。」

    アニ「それを…その事実を許してくれとは言いません。ですが…私はライナーとベルトルトと同じ選択を望みたいんです。調査兵団に入って、あの二人を助けたいんです。」

    エルヴィン「…何故そう思うんだ?」

    アニ「何故…ですか…調査兵団に入って…今まで死んでいった人達の意思を継ぎ、人類の栄光の為に心臓を捧げる為です。」

    アニ「……綺麗事に聞こえるとは思いますが…。」

    エレン「エルヴィン団長。ライナーやベルトルトと同じ気持ちをアニは持っています。分隊長として、俺達はアニを認めました。」

    アルミン「どうか…どうかアニに許しを与えて下さい。お願いします…!」

    エルヴィン「…君達。」

    「「「…?…」」」

    エルヴィン「勿論許可するさ。団長としても。一人の人間としてもな。」

    エレン「! 本当ですか!?」

    エルヴィン「あぁ。だが…君がやったことは許されることじゃない。相応の罰は、ライナーやベルトルトの時と同じ様に受けてもらうことになるが…良いな?」

    アニ「…構いません!いくらでも受けます!」

    アルミン「やった…やったよアニ!!!君はもう僕らの仲間だ!」

    アニ「有難う御座います…!有難う…御座います!」

    エルヴィン「良いさ。この瞬間もって、君を正式に団員として迎え入れる。活躍を期待しているぞ!」


    -
    --
    ----
    --------

  16. 222 : : 2014/06/17(火) 22:25:08


    コニー「良かったじゃねぇか!アニ!!」

    サシャ「はいぃ〜良かったです!!また『あの頃』みたいにパンくれますよね!?」

    ジャン「フゥ…拒否されると思ってヒヤヒヤしたが…ほっとしたぜ!!」

    ヒストリア「良かったよぉ〜アニ〜!!!またこれで仲間だね!」

    ユミル「ふんっ!まぁしょうがねぇ!認めてやるよ!」

    アニ「皆有難う!!あんたらには感謝してもしきれないよ…あとサシャ。パンはいくらでもくれてやるよ。」

    サシャ「ホントですか!?やったー!!!」

    ハハッ!アイカワラズダナオマエハ!

    イイジャナイデスカ!カワラナイノガイチバンデス!

    イヤソウイウコトジャナクテ!!

    ハハハ!!




    アニ「…。」ニコ



    スタ



    アニ「…ん…?あぁ…あんたかいミカサ。」

    ミカサ「…隣、失礼する。」

    アニ「どうぞ。」スッ

    ミカサ「有難う。」スッ

    アニ「…。」

    ミカサ「…。」

  17. 223 : : 2014/06/17(火) 22:25:50


    アニ「…まだエレンの事を親みたいにみてるのかい?」

    ミカサ「…いえ。もうそんな風にはみてない。エレンは成長した。皆を守りたいっていう一心で。それに…見てみて。」

    アニ「…ん?」





    ッテ、オイ!コニー!!イキナリミズブッカケテクンナヨ!

    スマンエレン!!ワザトジャ…フッ…ネェヨ…

    オマエー!!

    ワーワーギャーギャー!





    アニ「フッ…何やってんだいあいつらは…。」

    ミカサ「エレンには、心から信頼出来る仲間がたくさんいる。私やアルミンだけじゃなく。」

    ミカサ「調査兵団に入団して、一緒に死線をくぐり抜けてきたから。」

    ミカサ「そして、これからは…」







    ミカサ「アニ。あなたも。」






    アニ「…!」

    ミカサ「エレンはもう一人じゃない。仲間がいる。そしてこの調査兵団の分隊長でもある。」

    ミカサ「そんな人物をまだ親みたいにみてたら気持ち悪いでしょ?」

    アニ「…フッ…確かにね。あいつは随分、前とオーラが違うよ。何だか遠い存在になっちまったね。」

    ミカサ「そんな事はない。さっきも言った通り貴女も、これからは私達の大切な仲間。遠い存在なんて物じゃないよ。」

    アニ「…なら良いな」ニコ

    エレン「おいぃー!アニぃー!ミカサぁー!お前らも来いよ〜!一緒に飲もうぜぇ〜!!」

    アルミン「エレン!君酔ってるね!?」

    アニ「そっか…もう酒も飲める歳か。時間が流れるのは速いね。」

    エレン「んー?酔ってねぇよぉ?てゆうか二人共〜!早く来いって!!」

    ミカサ「フフッ…今行くよ、エレン。ほら、アニも。」

    アニ「仕方ないね…!」



    オ!フタリトモキタナ!アニーヒサビサニタイジンカクトウシヨウゼー

    チョットエレン!?ココハシツナイダヨ!?アブナイッテ!!

    アー?ヘイキダロー!ジャイクゾ!ウオォォォォ!! タッタッタッ

    ウルサイ。 ゲシ グルン

    イッテェェェ!?!?

    サ、サスガアニダナ…エレンボコボコダ…フッ…ハハハ!

    ハハハハハハハハハ!!!!

    ナッ!?ワラウナオマエラー!










    アニ・レオンハートの調査兵団入団を許可された夜、104期調査兵達は朝まで飲み明かした。















  18. 252 : : 2014/06/27(金) 21:41:55


    ー翌日ー


    〜調査兵団本部〜




    その日、調査兵団の分隊長、リヴァイ兵士長、そしてアニ・レオンハートが団長室に招集されていた。






    エルヴィン「全員いるな。」

    リヴァイ「だな。全員…揃ったみてぇだ。」チラ

    アニ「…。」

    リヴァイ「…。」

    アルミン「そ、それで団長。話とは?」

    エルヴィン「ああ。その事だが…30日後…」









    「壁外調査を決行する。」





    「「「「「「!」」」」」」




    エレン「やはりですか。」

    エルヴィン「ああ。そして…ライナーとベルトルトの事だが…もう二ヶ月、帰還していない。普通に考えれば…分かるな?」

    エレン「…えぇ。でもあいつらはーーー

    エルヴィン「エレン。分かっている。あの二人はそう簡単には死なないさ。そして…今回の壁外調査の目的は『ライナーとベルトルトの捜索』だ。」

    ハンジ「そ、捜索って言ったってディオス付近についてはまだ何も分かってないんだよ?それをどうやっーー

    エルヴィン「仮説だが!」

    ハンジ「…て…」

    エルヴィン「…ライナーとベルトルトはあの戦いに負けた。普通ならそこで二人を殺すだろう。」

    エルヴィン「だが…ヤツはエレンから自分の力を奪う事に異常に執着している。」

    「だから、獣の巨人はこう考えている筈だ。『こいつらを生かしておけば必ずあいつらが助けにくる』と。」

    エルヴィン「そしてもう一つ。エレンの『座標』についてだ。エレンの座標については未知な事が多過ぎる。だが、分かっている事もある。」

    エルヴィン「一つ目。エレンが座標を発動した事のある状況がどれも『危機的状況』だったという事。」

    エルヴィン「二つ目。座標の力は巨人を操るだけじゃなかった事。」

    エルヴィン「そして三つ目…いや三つ目という表現は正しくないな…正確には、アニ。君が我々の味方になった事だ。」

    アニ「…え?」





  19. 253 : : 2014/06/27(金) 21:42:19


    エルヴィン「君は以前、女型の姿で我々に捕まっただろう?巨大樹の森で。その時君は何をしてその状況から抜け出した?」

    アニ「!!」

    リヴァイ「…! 巨人に自分を喰わせて…!」

    エルヴィン「そう、その通りだ。アニは巨人に叫び声で『命令』をして、巨人のターゲットを『人間』から『自分』に差し替えた。」

    エルヴィン「何故そんな事が出来るのか?それは『座標』やそれに近い能力を持ってるという理由以外ありえない。」

    モブリット「なるほど…そういう意味ことですか。」

    エルヴィン「アニ。君はあの時にどうやってその能力を発動させた?ただ叫んだだけじゃないだろう?」

    アニ「…ど、どうやって…?どうやって…だろう……私はあの時…必死で…」

    エレン「…アニ?」

    アニ「…うっ…!うぅ!」















    ドクン!













    『アニ。お前はこれを持って壁の中に逃げなさい。これはお前には必要な物だ…。』

    『? お父さんは?』

    『私も後からグリシャと一緒に壁に向かう…全く…自分が信じられない…娘まで使って目的を達成させようとしていたとは…。』

    『?』


    ガシッ


    『アニ…俺が間違っていた…。』

    『今さら俺を許してくれとは言わない けど…。』

    『一つだけ……一つだけでいい。』

    『頼みがある…。』

    『この世のすべてを敵に回したっていい。』

    『この世のすべてからお前が恨まれることになっても…父さんだけはお前の味方だ。』

    『…だから約束してくれ。』










    『帰ってくるって…。』
















    少女の意識は、瞬く間に無くなっていった。










  20. 279 : : 2014/07/03(木) 21:41:18



    -
    --
    ----
    ---------




    「……ん…」パチ キョロ

    「そうそう!それでコイツ、『遠慮なんかしなくて良いって。』とか言って俺をぶっ倒したんだぜ。」

    「ははっ。それは災難だったね。」

    「あぁ。全くだよ。」

    「……エレン…アルミン…?」

    エレン&アルミン「!!」

    エレン「アニ!起きたのか!身体大丈夫か!?」

    アニ「大丈夫…だよ。」ムク

    アルミン「無理しないでね!?アニ!!」

    アニ「うん。平気さ。それで…ここはどこなんだい?」

    エレン「調査兵団本部の医務室だ。お前、会議中にいきなり意識失って倒れたんだぞ?」

    アニ「え…!」

    アルミン「やっぱり覚えてないんだね…。酷く混乱してたみたいだったから…。」

    アニ「…あ…あぁ。そうみたいだね…。」

    エレン「まぁお前は安静にしてろ。今、皆呼んでくるからよ。」

    アニ「ありがとう。あと…さっきの話、聞いたからね。明日対人格闘の訓練、手伝ってね…。」

    エレン「…え…。」

    アルミン(ご愁傷様…。)

    アニ「フッ…冗談だよ。恩人をボコボコには出来ないからね。」

    エレン「た、助かった…。」




    -
    --
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  21. 281 : : 2014/07/03(木) 21:41:39


    エルヴィン「やぁ、アニ。具合は…良さそうだな。」

    アニ「はい。おかげさまで。」

    リヴァイ「…てめぇの事だからまた都合良く全てを投げ出して、永遠に昼寝しちまうかと思ったがな…。」

    エルヴィン「…リヴァイ。アニの過去の事はもう忘れろ。今は我々の仲間だ。そんな言い方はやめるんだ。」

    リヴァイ「…。」















    グンタ『』

    リヴァイ『…。』ヒュン



    エルド『』

    リヴァイ『…。』ヒュン



    オルオ『』

    リヴァイ『…。』ヒュン












    ペトラ『』

    リヴァイ『…。』












    『俺がヤツを削る…お前はヤツの注意を引け…!』









    『リヴァイ兵士長殿!!』

    『娘が世話になってます!ペトラの父です!娘に見つかる前に話してぇことがーーーー』
















    リヴァイ「…そう簡単には消えねぇんだよ。このクソみてぇな記憶は。」ガチャ バタン

    エレン「あ…。」

    エルヴィン「……! す、すまなかったなアニ。あいつも気が立ってるんだ。大目にみてやってくれ。」

    アニ「…はい…なんて言える立場じゃありませんが…わかりました。」

  22. 299 : : 2014/07/18(金) 20:14:51


    エルヴィン「あぁ…助かる。それでアニ。君の意識がなくなった時の事を、覚えているか?」

    アニ「…あの『叫び声』について質問された所までは覚えているんですが、気を失った事自体はあまり覚えていません…。」

    エルヴィン「そうか…。」

    アニ「……だけど…」

    エルヴィン「何だ?」

    アニ「唯一、覚えてる事があります。」

    エルヴィン「どんな事だ?」
















    アニ「お父さんがいた。お父さんと、話してた。」
















    エレン「…は…?お父さん?」

    アルミン「な、何で急にお父さんの事を…?」

    アニ「分からない…どういう会話をしていたかも記憶が曖昧だよ。」

    エルヴィン「…自分の父親を…か…。」

    アニ「はい…あと…言いづらいのですが、自分がどうやってあの『能力』を発動させたのかも分かりません…本当…すみません。」

    エルヴィン「…そうか。分かった。すまないな。体調が優れていないのに質問攻めで。」

    アニ「いえ…大丈夫です。」

    エルヴィン「有難う。じゃあアニは体調が治るまで充分に休養をとってくれ。」

    エルヴィン「エレン、アルミンも早いうちに睡眠をとる様にな。じゃあ、またな。」ガチャ バタン


  23. 300 : : 2014/07/18(金) 20:15:54



    エレン「エルヴィン団長も行っちまったな。」

    アルミン「そうだね。じゃあ僕らも部屋に戻る?」

    エレン「うーん…俺はいいわ!アニの身体も心配だし、今日は医務室で寝る事にする!」

    アルミン「そう?じゃあ僕もそうしようかな!」

    アニ「ちょ、ちょっと?私は平気だよ、そんなに身体に異常はないしさ?それにそんな事したら、今度はそっちが風邪引いちまうよ。」

    アルミン「いやいや平気だよ!今エレンが布団と毛布持ってくるから!」

    アニ「…し、仕事早…。」



    -
    --
    ----
    ---------




    エレン「待たせた!布団と毛布持って来たぞ!あとついでに『コイツら』も!」

    アニ「は、はぁ?コイツら?」



    ガチャ



    コニー「よう!アニ!身体大丈夫か?」

    サシャ「こんにちはー!アニ!来ちゃいましたよ〜!」

    ジャン「アニ!来てやったぜ!」

    ヒストリア「アニー!!大丈夫!?心配だったよ!」

    ユミル「皆が行くって行ったから来てやった!感謝しろよ!」

    ミカサ「右に同じく。」

    アニ「……え…。」

    アルミン「わ、わぁ…これまた賑やかで…。」

    エレン「あ、あれ?駄目だったか?」

    アニ「い、いや!来てくれるのは嬉しいけど…この人数入りきるかな?」

    アルミン「う、うん。そこだよね。」

    エレン「ん?まぁ平気だろ!よし皆!布団敷く敷く!!」

    「「「「了解!!」」」」

    アルミン(ダメだこの人達止まらない…。)

    サシャ「私アニの近くがいいです!」

    コニー「いやいや!そこは俺だろ!?」

    ミカサ「違う、私がアニの隣。ので、私に譲るべき。」

    エレン「はぁ!?何勝手に話進めてんだ!アニの隣は俺だろうが!」

    ヒストリア「いやいやエレン!アニの隣は私だよ!」

    ユミル「私はヒストリアの隣がいい!」

    サシャ「私です!」

    コニー「俺だ!」

    ミカサ「いいえ、私!」

    エレン「引かねぇぞ!俺だ!」

    ヒストリア「私だよー!」

    ユミル「私はヒストリアの隣!!」




    ワーワーギャーギャー




    ジャン「な、何やってんだあいつらは…てかなにげにミカサも参加してんじゃねーか…。」

    アルミン「う、うん。アニの隣って言ったってアニはベットに寝てるからね…。」

    アニ「はは…。」

























    リヴァイ「…。」





































  24. 301 : : 2014/09/03(水) 22:57:34



    あの時。








    本気の殺意ーーー










    当然か。あの人の大切な仲間を沢山殺したんだから。














    「はっ…」

    エレン「ん〜…ふぁ〜…」

    アニ「…夢か。」

    アニ「…。」

    皆「zzz…」






    スタスタスタ…バタン








    アニ「…。」スタスタ





    ブォォ…





    アニ「ふぅ…。」

    アニ(やっぱり外の空気は美味しいね。)

    「よう、アニ。」

    アニ「!」クル

    アニ「あ、あなたは…」



















    アニ「リヴァイ兵長…。」
























    リヴァイ「ここにも少しは慣れたみたいだな。」

    アニ「え、えぇ。まぁ…。」

    アニ「…どうしたんですか?貴方から私に話しかけて来るなんて。」

    リヴァイ「そのことだが…。」

    リヴァイ「…アニ。おれはまだお前を仲間だとは認めてない。なんせ俺の部下達を殺してくれたんだからな。」

    アニ「! …本当に…すみませんでした…。」

    リヴァイ「違う。俺が求めてるのはそんなことじゃない。」

    アニ「…え?」

    リヴァイ「俺が求めているのはあいつらの命に対する『敬意』だ。謝罪なんかじゃない。」

    リヴァイ「お前はあいつらの意思や力を受け継ぎ、この調査兵団に生かさなければならない義務がある。そして、それ相応の力をお前はつけなければならない。」

    アニ「と…言うと…?」

    リヴァイ「俺を倒してみろ。そしてその力を証明してみせろ。」

    アニ「え…!?」

    リヴァイ「俺一人倒せないようじゃあいつらの意思や力を継いだことにはならない。倒せなかったらお前はその程度のやつだったとみなし、俺はお前を永遠に仲間だと思わない。部下達を殺した敵とみなす。」

    アニ「そういうことですか…!」

    リヴァイ「時間は今日の18時。お前が得意だと聞いた対人格闘でケリをつける。異論はあるか。」

    アニ「…ありません!」

    リヴァイ「ならいい。」スタスタ

    アニ「…。」グッ!




    -
    --
    ----
    --------








  25. 302 : : 2014/09/28(日) 13:47:08


    エレン「マ、マジかよアニ…リヴァイ兵長と戦うってのか?」

    アニ「ああ、そうだよ。それしか兵長に認めてもらうすべが無いからね。それに条件は『対人格闘』。絶対勝ってみせる…!」

    ミカサ「…確かに貴方は対人格闘で訓練兵団では敵無しだった。」

    ミカサ「でもここは、人類の未来を切り開いた調査兵団。その上、その組織、いや人類の中で一番強い兵長が相手。そう簡単には勝てない。」

    アニ「ミカサ。弱気になってちゃ絶対兵長には勝てない。だから強気で頑張るのさ。」

    ミカサ「…ふふっ。確かにそうかもしれない。」

    ジャン「じゃあ俺らも協力させて貰うぜ!兵長の対人格闘のことなら訓練を通して少しは知ってるからな!」

    ヒストリア「アニ!頑張って兵長を倒してね!」

    アニ「あんたら…ありがとう!」

    ジャン「礼はいらねーよ。よしじゃあ、まず兵長はーーー






    -
    --
    ----
    --------







    ー18時ー


    〜調査兵団本部 中庭〜




    ザッ




    リヴァイ「…来たみてぇだな。」

    アニ「…。」





  26. 303 : : 2014/10/25(土) 22:19:31


    アニ「そりゃあ…約束は守りますよ…!貴方のためにも、私のためにも!」

    リヴァイ「ふん…。」







    アルミン「エレン、どうなると思う?あの二人…。」

    エレン「…さぁな。全く見当つかねぇ。だけど…」

    エレン「アニは勝つ!そう信じてる!」

    アルミン「…うん!」









    リヴァイ「先に『参った』と言った方が負け。ルールはそれだけだ。他は何をしてもいい。対人格闘ならな。」

    アニ「了解です。」

    リヴァイ「観客も…いるみてぇだな。まぁ構わないが。」チラ

    アニ「! あいつら…いつの間にあそこに…フッ。」

    アニ(まぁ嬉しいけどさ…!見ててよ!勝ってみせるから!)

    リヴァイ「よし…じゃあ…」









    リヴァイ「来いッ!!」









  27. 304 : : 2014/11/03(月) 19:37:00



    ****

    ジャン「良いかアニ、兵長には弱点…っていうか癖みたいなモンがある。」

    アニ「癖?なんだいそれは?」

    エレン「『左足』だ。」

    アニ「! 左…足…?」

    エレン「あぁ。アニ、お前が…その…女型の巨人の姿で兵長と戦ったことがあっただろう?」

    アニ「…! そうか、あの時の…!」

    エレン「そうだ、兵長はミカサを庇ってお前の攻撃を『左足』で防いだ。その時、兵長は怪我をしたんだ。」

    アルミン「それから兵長は左足が治るまで立体機動や対人格闘を左足を庇いながらする様になってね。」

    アルミン「その時の癖が今も僅かながら残っているんだ。本人も気づいてないほど、僅かにね。」

    ミカサ「でもあなたの実力なら、その僅かな癖も十分な狙い所になるはず。分かった?」

    アニ「なるほど。でも…自分で怪我させた所を自分で狙うなんて…皮肉なもんだね…。」

    ジャン「確かにそうだがこれは勝負だ。相手が不得意な場所を狙ってもなんら卑怯じゃねぇ。応援してるぜ。お前なら勝てる!」






    ****




  28. 305 : : 2014/11/30(日) 22:59:27


    アニ(とは言っても…やっぱり桁違いに強い…!!)

    リヴァイ「どうした!そんなもんか!避けてばっかじゃ俺に勝てねぇぞ!」ブン

    アニ「うっ!」ヒュ

    アニ「……そんな事分かってます……よ!!」グオッ

    リヴァイ「甘ぇ!!」スッ ズオ!







    リヴァイはアニの攻撃を躱しながら、鋭い蹴りを放った。







    アニ「!? くっ……うぅ……」

    アニ(ほ、本当に左足が弱点なんだろうね…?今の蹴りは相当効いたよ…)

    アニ(ん…?)

    リヴァイ「どうした、来ねぇのか…。」スッ

    アニ(左足を浮かしてる…!そうか、右足に重心を傾けて、左足の負担を減らし尚且つ右足で初動することによって、瞬発力や反射神経に長ける事が出来るのか。アレが兵長の癖…でも…)

    (いくら自分の天性の瞬発力や反射神経に頼っても、片足だけじゃ両足の動きには勝てない。そしてその癖は私にとって…)






    (都合が良い!)ダッ








    リヴァイ(! 急に来たな…何か狙いがあるのか?)スッ

    アニ(油断してる…今だ!)




    ブオッ!!!!!




    リヴァイ「 速…!」

    アニ「ふっ!」ガッ

    リヴァイ「!」

    アニ「はぁっ!!」バシッ

    リヴァイ「ぐっ!」グルン バタン



    アニはリヴァイの隙をつき、持ち前の脚力で瞬時に最高速度に達し、訓練兵時代にエレンやライナーを華麗に宙返りさせた技をリヴァイにかけた。




    リヴァイ「っ……」

    アニ(この技は相手が片足で立っている時には相手を倒しやすいし技の威力が上がる。)

    アニ(…まぁそんなこと滅多にないんだけど、今回ばっかりはその癖が仇になった。)

    アニ(けど…まだ立ってくるか。流石と言ったところだね。)」

    リヴァイ「…フッ。」

    アニ「…?」












    リヴァイ「参った。降参だ。」















  29. 306 : : 2014/12/23(火) 19:03:04










    アニ「……え?」








    エレン「は……?おい…今兵長…降参だって言ったか…?言ったよな!?」

    ミカサ「確かに言った…でも何故?兵長はまだまだ体力的にも余裕があるはず。頭を打って遂におかしくなったの?」

    アルミン「あ、あの人に限ってそれはないよ、受け身もちゃんと取っていた…どういうつもりなんだ兵長は…」









    アニ「な、何故ですか!?あなたはまだまだ戦えるはずです!」

    リヴァイ「あぁ。そりゃあそうだ、今から本気を出してお前をひねり潰すぐらいは出来る。でもな…」

    アニ「……?」

    リヴァイ「俺が見たかったのはお前のこの勝負に対する『真剣さ』だ。馬鹿みてぇに聞こえるかもしれんがな。」

    アニ「『真剣さ』……?」

    リヴァイ「勝敗をつける条件を『参ったと言った方が負け』というのにしたのもそのためだ。」

    リヴァイ「そうすればいくら痛めつけられても、自分の意志をハッキリさせ降参しなければ負けるはずがねぇ。」

    リヴァイ「そしてお前は俺の攻撃を何回くらっても、『参った』と言わなかった。」

    アニ「そ、そういう意味だったんですか…。」

    リヴァイ「…まぁ、俺が本気で対人格闘をすれば条件は、『半殺しにした方が勝ち』だったと思うがな。」

    リヴァイ「お前は俺に『あいつらに対する敬意』をしかと見せてくれた。降参なんてしたら、本当に殺すとこだったぞ。」

    リヴァイ「さて…俺は戻ってゆっくり紅茶でも飲んでくる。」スタスタ

    アニ「待って下さい!では、私は!?」

    リヴァイ「…」ピタ











    リヴァイ「合格だ。せいぜいこの変人の巣窟で巨人に食われねーように努力しやがれ。」スタスタ…

    アニ「あ、ありがとうございます!!」

    ジャン「…は…はは……はははは!やった!やったじゃねーか!アニ!」

    ミカサ「アニ、信じてた。絶対勝つって!!」

    アルミン「良かったね!!アニ!!」

    コニー「ああ〜!どうなるかと思ったぜ!!良かったな!」

    アニ「あ、あんたら……ありがとう!!」

    104期「いえいえ!!」

    エレン「ってゆうかアレだよなー、アニって最近素直になったよな!訓練兵団の時なんか『どうでもいい…』とか言ってたくせに!」

    アニ「…エレン。」

    エレン「ん?どうしたアニ?」

    アニ「やっぱり対人格闘の訓練手伝ってね……」

    エレン「え…」





    グルン、バタン!!


    イッテェェエエ!ナニスンダヨアニ!

    ウルサイ。

    チョ…ヤメロォォオオ!!

    ハハハハハ!ナニシテンダオマエラ!

    ガヤガヤ……








    リヴァイ「フッ…。」


    その男は、皮肉なのか嬉しさなのか、はたまたその他の感情なのか分からない笑みを顔に浮かべながら、静かに自室へ戻っていった。







  30. 307 : : 2015/03/07(土) 20:22:42




    -
    --
    ----
    ----------



    エルヴィン「全く…相変わらずだなお前は。」

    リヴァイ「あ?何がだ。」

    エルヴィン「アニの事だ。もう少しやり方があっただろう。」

    リヴァイ「そうかもしれんが…あぁやるのが一番効果的と思ったからな。俺は俺の『選択』をしたまでだ。」

    エルヴィン「ふっ。そうか…。」

    リヴァイ「それで、エルヴィン。壁外調査は29日後の予定だが、どうするんだ?」

    エルヴィン「ああ、変更なく決行する予定だ。アニの体調も、その頃には完全に回復しているだろう。」

    リヴァイ「了解だ、エルヴィン。」





  31. 308 : : 2015/03/07(土) 20:23:15


    -
    --
    ----
    ---------



    その日の晩、調査兵団の兵士達にエルヴィンから壁外調査のことが告げられた。


    戸惑う者、恐怖に怯える者、黙ってただ話を聞く者など様々な反応があったが、結果的には全兵士が決意を決め、壁外調査に備えたーーー。





  32. 309 : : 2015/05/16(土) 21:00:52



    壁外調査が団員全員に知らされた日の翌日、団長室で上層部とアニだけの最終作戦確認がされていた。






    〜団長室〜

    エレン「団長。今回の壁外調査の目的は、『ライナーとベルトルトの捜索、そして救出』…ですね?」

    エルヴィン「その通りだ、エレン。今回の目的はライナーとベルトルトの捜索と救出だ。巨人を討伐したり、壁外を調査するのが目的ではない。」

    エルヴィン「故に、無駄な戦闘は今まで通り、長距離索敵陣形を使用し出来るだけ回避する。」

    リヴァイ「『長距離索敵陣形』か…いくら叩き込んでおいたとはいえ、新兵が心配だな。だが、何度も予行練習をしておけば少しはマシになるだろう。」

    アルミン「兵長の言う通りです。今日から壁外調査当日まで、毎日予行練習をしていけば長距離索敵陣形のスムーズさや、効率が格段に上がるはずです。どうですか?団長。」

    エルヴィン「私も同感だ。ウォール・マリアの壁外は空き地が山ほどある。そこで練習をしてみるとしよう。」

    モブリット「では私が指揮をしますよ。私に出来ることはこれぐらいですからね。」

    エルヴィン「そうか。では宜しく頼む。すまないな、モブリット。」

    モブリット「いえいえ、このくらい分隊長の世話に比べれば朝飯前ですよ。」

    ハンジ「はははは〜…正論かも!」

    エルヴィン「そして…ライナーとベルトルトを発見出来たら、それはつまり『ヤツ』ともう一度対峙する事になる。分かっているな?」

    リヴァイ「獣の巨人…あの気色悪りぃ野郎か…」

  33. 310 : : 2015/05/16(土) 21:01:10


    エルヴィン「あぁ…ヤツを倒さない限りあの二人は救出出来ないだろう。」

    エルヴィン「そしてヤツを倒すには、エレン、アニ。君達の『座標』がカギになっているんだ。まぁアニの能力はまだ『座標』とは限らないがな。」

    エレン「…正直言って…不安です…まだあの力の発動の仕方すら分かっていない。」

    アニ「私も同じくです…はたして役に立てるかどうか…」

    リヴァイ「…そんな弱音吐いてる場合じゃねぇんだ。『役に立てるか』じゃねぇ。『役に立つ』んだよ。『力』を使いこなせ。」

    アニ&エレン「…!!」

    エルヴィン「リヴァイの言う通りだ。君達には重荷かもしれないが、希望は君達しかいない。君達に全てが懸かっているんだ。」

    エルヴィン「調査兵団だけではない。人類の存続が君達に懸かっている。だから…分かってくれ。」

    アニ&エレン「わ、分かりました…。」




    -
    --
    ----
    ----------






    〜廊下〜

    エレン「アニ。どうだ?自信あるか…?」

    アニ「正直に言って、ほとんどないよ…」

    エレン「そうか……まぁそうだよな。あと、アニは自分の意志で力を使ったけど俺は無意識なんだよな。」

    エレン「でもアニは使った時の記憶が無いんだろ?」

    アニ「うん…どうやったんだろう…あの時…」

    エレン「うーん…アニと俺の力は何か違うのか…?」

    アニ「いや、そこまで違わないとは思うけど……」

    エレン「だよなぁ…あ、俺の部屋見えてきた。アニの部屋はあっちだよな。」

    アニ「そうだよ、じゃあここでさよならだね。」

    エレン「おう、明日な!」

  34. 311 : : 2015/05/16(土) 21:01:31



    -
    --
    ----
    -------












    『お前も故郷からの命令でここに来たのか?』

    『え…え…?命令?違うよ、私がここに来たのは、えっとえっと…』

    『? どうしたの?』

    『……分かんない、思い出せない。』

    『思い出せないのか?』

    『うん。』

    『でもこの子は僕達と同じ目的でここに来たはずだ。でなければこんな所に来るわけ無いし…』

    『だな。それ以外考えられねぇ。よし!お前は今から俺達の仲間だ。お前の名前は?』

    『アニ。アニ・レオンハート。』

    『アニか。良い名前だな。じゃ、俺らも名前教えなきゃな。』

    『うん。そうだね。』


    俺達の名前はーーーー



















    アニ「はっ…」

    アニ「夢か…」

    アニ「でも…どんな夢見てたっけ…?」













  35. 312 : : 2015/05/16(土) 21:02:42



    -
    --
    ----
    --------



    エレン「お!おはようアニ!よく眠れたか?」

    アニ「おはよう。うん、よく寝れたよ。エレンは?」

    エレン「おう、俺もよく眠れたぜ。さて、今日から長距離索敵陣形の予行練習だな。」

    エレン「確か、7時に調査兵団本部の入り口前集合だっけ?今は…げっ!もう6時50分じゃねーか!急ぐぞアニ!」

    アニ「う、うん。」



    タッタッタッ…













    ミカサ「あ、やっと来た!アニ、エレン!こっちだよ。」

    エレン「わ、悪りぃミカサ!ふぅ…間に合ったな。」

    アニ「危なかったね。」

    ジャン「アニは百歩譲っていいとして、分隊長が普通遅刻ギリギリで来るかよ…まぁさっさと並んじまえ!」

    エレン「お、おう。」

    ユミル「ん、来たな。エルヴィン団長だ。さっ、集中して話きけよヒストリア!」

    ヒストリア「わ、分かってるよ〜…」






    そして、エルヴィンから今回の壁外調査の目的と長距離索敵陣形の予行練習をする事が告げられた。団員達はこの話を聞いて、さらに気合いがはいったようだ。












  36. 313 : : 2015/07/05(日) 20:30:53



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    --
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    その日から予定通り、長距離索敵陣形の予行練習が行われていた。





    リヴァイ「ほう…新兵達、中々のセンスだな。」

    エルヴィン「あぁ、この間の壁外調査は壁から出て陣形を成すことすら叶わなかったが、この様子ならすぐに慣れていくだろう。」

    リヴァイ「いい調子だ。このままバンバン叩き込むぞ!」

    エルヴィン「あぁ。」










    そして3週間後…





    エルヴィン(右に進路を変えるか…) パシュ!



    ズラァ…



    エルヴィン(よし、皆の動きが完全に一致している。完璧だ!)

    エルヴィン「全体止まれ!!!」


    ピタッ


    エルヴィン「素晴らしい出来だ!壁外調査を今すぐ行っても問題ない程になっている!そして今日で予行練習は終了にする!」

    エルヴィン「壁外調査の決行日は4日後だ!各自十分な休息を取るように!では解散!」

    「「「「「ハッ!」」」」」











    アニ「しっかし…凄い人だねエルヴィン団長は…この大掛かりな陣形も一人で考えたんだろう?」

    エレン「あぁ、この陣形とリヴァイ兵長のお陰で巨人絶滅以前の調査兵団は持ってたようなもんだ。」

    アニ「…それ程かい。」

    アニ(確かに、私が女型の姿で調査兵団を襲った時、その二つに邪魔されたね…。)

    ジャン「おいお前ら、本部に戻るぞ!これから朝食だ!」

    エレン「おう!悪りぃ悪りぃ今行く!行くぞアニ!」タッタッタッ

    アニ「うん!」タッタッタッ


  37. 314 : : 2015/07/05(日) 20:31:20


    -
    --
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    ー調査兵団本部ー


    〜食堂〜



    アニ「隣、いいかい?」

    エレン「ん?あぁ、アニか。勿論いいぞ!」

    アニ「ありがとう。」

    アルミン「いよいよ4日後だね…。壁外調査。」

    ユミル「そうだな、恥ずかしい話、今から緊張してるぜ。」

    ヒストリア「わ、私も…」

    ジャン「誰だってそうだ。4日後には巨人の腹の中にいるかもしれねぇんだからな。」

    コニー「お、おい!あんまり物騒なこと言うなよジャン!」

    サシャ「より怖くなっちゃうじゃないですか!」

    ジャン「わ、悪りぃ悪りぃ。」

    ミカサ「でも、ジャンの言うことは『事実』。いつ巨人に喰われるか分からないよ。」

    エレン「確かにな。だが絶対あいつらを救ってみせる…!その為に今まで訓練してきた。」

    ジャン「あぁ、それも『事実』だぜ!だったら…」

















    ジャン「やるしかねぇだろ!」















    アニ「!」ピクン

    アニ「う…うぅ…あぁああ!」

    エレン「!? アニ!どうした!?大丈夫か!?」

    アニ「わ、分かんない…!頭が!!」

    アニ「うっ!」ビリッ!














    『嫌だよ!!何であの人達を殺さなきゃならないの!?』

    『これが使命なんだ!黙って言うことをきけ!』

    『ラ、ライナー!いくらなんでもその言い方は…』

    『こいつも俺達と同じ使命を持ってここにきたはずだ!それに従わなくてどうする!!』

    『そ、それは……』

    『………アニ…。』

    『…?』

    『これは使命なんだ。絶対的な…。』

    『し、使命って何!?そんなの知らないよ!』

    『アニッ!!!』

    『!』ビク







    『やるしかねぇだろ…!』ポロ…

















  38. 316 : : 2015/08/17(月) 21:35:53



    「………ニ……アニ……アニ…!」









    「アニ!!」





    「!」パチ







    エレン「起きたかアニ!大丈夫か!?」

    アニ「あ……あぁ…大丈夫だよ…。」

    エレン「そうか、良かった…。」

    ジャン「それより、一体何で急にぶっ倒れたんだ、アニ?」

    アニ「わ、分からないよ…。何故か急に頭が痛くなって…。」

    アルミン「取り敢えず今日はもう部屋にいって休みなよ、アニ。疲れが溜まってたんじゃないかな?」

    ジャン「安心しろ、お前の分の書類とかはサシャに任せるからよ。」

    サシャ「えっ!?なんで私なんですか!?」

    ジャン「……なんとなくだ。」

    サシャ「な、なんですってー!?」

    アニ「フフ…ありがとう、アルミン、ジャン。でも平気だよ。みんなに迷惑かける訳にはいかないし、こんなんで休んでたら壁外調査なんて出来やしないからね。」

    ジャン「そ、そうか。でも無理はすんなよ?」

    アニ「うん、有難う。ジャン、訓練兵団の頃とは見違える程優しくなったね。」

    ジャン「べ、別に優しくなんかねーよ…。」

    ヒストリア「あ、ジャンが照れてる!」

    ユミル「だっはっはっは!これは珍しいな!あとでゆするネタになりそうだ!」

    ジャン「て、てめぇふざけんなよ!?」

    ヒストリア「そうだよユミル!そんなことしたらダメだからね!あと笑わない!」

    ユミル「ちっ…惜しいなぁ。」

    ミカサ「でも、ジャンは優しい。これは事実。」

    ジャン「なっ!?」カアァ

    ユミル「……ッ…ははははは!!こりゃ笑わない方が無理だぜヒストリア!」

    コニー「なぁ?なんでミカサに言われるとそんなに照れんだジャン?」

    ジャン「!! コニー…そんなにぶちのめされてぇのか!?」

    コニー「はっ!?」

    ジャン「問答無用だ!!」ガシッ

    コニー「ちょ、危ねーって!」


    ワーワーギャーギャー!!


    アニ「アルミン。あいつ……まだミカサの事が好きだったのかい?」

    アルミン「う、うん。あの様子じゃそうみたいだ。」

    ミカサ「…?」

    -
    --
    ----
    --------







  39. 317 : : 2015/08/17(月) 21:36:11



    ー調査兵団本部ー

    〜団長室〜


    リヴァイ「エルヴィン。」

    エルヴィン「どうした、リヴァイ?」

    リヴァイ「ひとつ疑問なんだが、ディオスをどうやって超えるんだ?またリフトか?」

    エルヴィン「いや、既にディオスには門が設置されている。それを使うんだ。」

    エルヴィン「…まぁ、マリア壁外でライナー達を発見出来たらそれが一番なんだが…」

    エルヴィン「ディオスの外には巨人がいる。団員が犠牲になる可能性が出る上、獣の巨人との戦闘にも向いていないからな。」

    リヴァイ「……しかも獣の巨人は例の『座標』とやらを持っていやがる。そいつで巨人を操られたら…」

    エルヴィン「…厳しい状況になる。だからリヴァイ。今回もお前の活躍に期待しているぞ。」

    リヴァイ「…今回ばかりは命がいくつあっても足りねぇ気がするがな。善処する。」

    エルヴィン「あぁ、頼む。」

    -
    --
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  40. 318 : : 2015/08/17(月) 21:36:27



    そして時は流れ……





    ー壁外調査当日ー

    〜シガンシナ区 開閉門前〜





    エレン「アニ、初めての壁外調査だが……大丈夫か?」

    アニ「あぁ、平気さ。それより、あんたは自分の心配をしなよ?」

    エレン「ハハ。確かにそうかもな。」




    駐屯兵「開門 三十秒前!!」




    エレン「おっと、もう門が開くな。アニ、気抜くなよ!」

    アニ「うん!」

    アルミン「待っててね…!ライナー、ベルトルト!」

    ジャン「てめぇらを絶対助けてやるよ!」




    駐屯兵「十五秒前!」




    ハンジ「エルヴィン!」

    エルヴィン「なんだ?ハンジ?」

    ハンジ「…武運を祈るよ。」

    エルヴィン「…あぁ、お互いにな。」




    駐屯兵「五!四!三!二!一!」

    駐屯兵「開門開始!!」




    エルヴィン「これより第128回、壁外調査を開始する!!前進せよ!!」


    「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」



    -
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    --------





  41. 319 : : 2015/08/17(月) 21:36:42


    ーウォール・マリアー

    〜壁外〜


    エルヴィン(今回の壁外調査…今までの壁外調査と比べ、格段に危険が増している…。ディオス、獣の巨人、ライナー達の居場所、座標……情報が不足しているものが多すぎる。)

    エルヴィン(はたしてどれほどスムーズに進めるものか……。)









    「ウオオオオォォォォォ!!!」









    「「「「「「!!??」」」」」」



    ジャン「は…は……?巨人の鳴き声…!?」

    ミカサ「まさか…もう獣の巨人が!?」

    アルミン「そ、それはないと思うよ!まだシガンシナ区を出て二十分も経ってない…壁外調査のことを獣の巨人が事前に知っていない限り、こんなにウォール・マリアの近くまで来るはずがない!」

    ジャン「じゃ、じゃあ!!さっきのはなんだってんだ!?」

    アルミン「分からない…一体何が起こってる…。」

    エレン「くっ……!」




    リヴァイ「エルヴィン!どうするんだ?」

    エルヴィン「…………総員聞け!!今、巨人の声が聞こえた方向に向かう!!何が起こるかわからない!ガス、刃の確認、そして何より………油断するな!」

    「「「「「「ハッ!!」」」」」」

    -
    --
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    -------


  42. 320 : : 2015/08/18(火) 23:28:19



    エルヴィン「場所はこのあたり一帯だな……。」

    リヴァイ「だが…特に変わったところはねぇぞ?」

    ハンジ「おかしいね…確かにここら辺から聞こえーーー






    「君達が、調査兵団だな?」






    「「「「「「!!」」」」」」








    エルヴィン「に……人間…か…?」

    リヴァイ「……なんでこんな所に調査兵団でもねぇ人間が……!?」

    「……惜しいな…。人間だが、人間ではない。」







    アルミン「ね……ねぇ……エレン……ミカサ………あの人って…!!」

    ミカサ「!! …な………な……んで…?」

    エレン「……あ、あれ…は…………」



















    「……親父………?」


















    ジャン「な、何だと!?あいつがお前の親父だってのか!?」

    エレン「……ッ! 親父!!」タッタッタッ

    エルヴィン「!! 親父だと…?なら、あの人物が……」

    リヴァイ「……『グリシャ・イェーガー』か…!」

    グリシャ「あぁ……エレンか。待っていたぞ、お前を…」

    エレン「ま、待っていたってなんだよ!?今まで何してた!?母さんが死んだとわかっていて、何で帰ってこなかったんだ!何故俺に『巨人の力』の注射を打ったんだ!」

    グリシャ「…その時の記憶がやはり戻ったらしいな。すまなかった…。あの時はお前達の為にもああするしかなかったんだ。」

    エレン「はぁ!?何言ってんだ!?」

    エルヴィン「エレン、気持ちは分かるが落ち着け。」

    エレン「し、しかし!」

    リヴァイ「聞こえなかったかクソガキ。団長が落ち着けと言ってんだよ。人類自体がこの壁外調査に懸かってんだ。てめぇの感情だけで動くんじゃねぇ。」

    エレン「!! す、すみません……兵長、団長…。」

    エルヴィン「いや、分かってくれたらそれでいい。ではグリシャ・イェーガーさん。あなたが私達の前に姿を現した理由は?」

    グリシャ「……話に来たんだ。今までに起こった全てのことを……」


    -
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    --------

  43. 321 : : 2015/08/22(土) 21:18:12



    ー民家跡ー


    コニー「な、なぁ?ジャン。エルヴィン団長達はわざわざ壁外調査を一時中止させてまで一体何やってんだ?」

    ジャン「さぁな。それは分からねぇ。だが……」

    ジャン「『普通じゃない』話をしてんのは確かだ……。」


    -
    --
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    --------


    アニ「あの…なんで私をこの場に呼んだのですか?私は調査兵団の幹部でもないのに…」

    グリシャ「私が君を呼べと頼んだんだ。君は『真実』を知る権利がある。君の父親、『イサナ・レオンハート』と関係がある話だからな。」

    アニ「!! お父さんと関係が……!」

    グリシャ「そうだ。」

    エルヴィン「…それで、グリシャさん。そろそろ話を聞かせてもらいませんか?」

    グリシャ「……あぁ、話そう。『あの日』のことと、『あの日』からのことを……」


    -
    --
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    --------
  44. 322 : : 2015/08/22(土) 21:18:31



    ー844年ー

    〜故郷〜


    グリシャ「クッソ!何であいつらは分かってくれないんだ!壁の中の人類を滅ぼすなんて…どうかしてる!」

    イサナ「あぁ…全くだ…人類を絶滅させる理由すら分からん…!なのに…反対する者が俺達二人だけとはな…。」

    グリシャ「やはり…反乱を起こすしか…」

    イサナ「あぁ…もうその手しか思いつかん…。幸い、あの『猿』はこの地の者全員に『巨人の力』を与えたからな。まぁ子供を除いてだが…」

    グリシャ「……お前の娘は…どうするんだ?反乱に参加させるのか?名前は確か…アニとかいったな。」

    イサナ「あぁ、参加させるつもりだ。幸か不幸か、アニには格闘術を教え込んでいたからな。大きな戦力になる筈だ。」

    グリシャ「そうか……だが、『人工巨人化薬』は完成したのか?アレがない事にはアニは巨人になれないぞ。」

    イサナ「心配するな、すでに完成済みだ。今日、アニに投与するつもりだ。…副作用で記憶は少し飛ぶが…問題ないだろう。まぁ他にも副作用があるかもしれないがな…。」









    「あ〜あ。聞いちゃった聞いちゃった。」









    グリシャ&イサナ「!?!?」

    獣の巨人「君らの好きにはさせないよ。私の暇潰しがなくなるだろ。なぁ、お前ら?」


    故郷の住民達「「「はい。」」」ゾロゾロゾロ…


    グリシャ「クソ!バレた…!!」

    イサナ「クッ……!!」

    獣の巨人「さぁて、皆。こいつらを殺しちゃえ!」

    故郷の住民達「「「はっ!」」」




    ガリッ!!!!



    ズドォォォォン!!!!




    知性巨人達「「「グォォォ!!」」」



    グリシャ「…! イサナ…今、ここで決めるぞっ!」ガリッ!

    イサナ「…了解…!!」ガリッ!




    ズドォォォォン!!






    グリシャ巨人「グォォォォォォ!」

    イサナ巨人「ウォォォォォォ!」


    獣の巨人「おっ!面白くなってきたー!!」


    -
    --
    ----
    --------
  45. 323 : : 2015/08/22(土) 21:18:52



    グリシャ巨人「」シュー…

    グリシャ「クッ…!(さすがにこの数は…無理だ…!私達はこいつらに反乱を起こそうとしていたのか…なんて愚策だったんだ…!)」

    獣の巨人「おいおい、もう虫の息じゃないか、グリシャ!もう少しこいつらを楽しませてやれよ!」

    知性巨人達「「「…」」」ゾロゾロ…

    イサナ巨人(ど、どうせ死ぬのなら…!)ダッ!

    獣の巨人「ん…諦めが悪いねぇ!最後の最後に悪あがきで私を狙おうってのか!」

    イサナ巨人「グアッ!」ブン

    獣の巨人「おっと!」スカ

    獣の巨人「ってああ!私の『体毛』が!イサナ!生意気だぞ!」ブン

    イサナ巨人「!? 」グシャ!

    イサナ巨人「」シュー…

    イサナ「……ぷはッ!く、くそ!」

    知性巨人達「「「」」」ゾロゾロ…

    イサナ「あ…あぁ…(ま、まずい……)」









    イサナ(死ぬ……!!!!)









    グリシャ「! イサナ!」ガリッ!


    ズドォォォォン!


    グリシャ巨人「アアアアア!」ダッダッダッ!

    グリシャ巨人「」ガシッ

    イサナ「!?」

    獣の巨人「あ!(グリシャのやつ、まだ巨人化出来たのか!イサナを連れて逃げるぞ!)」

    獣の巨人「おい!お前ら追え!絶対に逃がすな!」

    知性巨人達「「「」」」ダッダッダッ!


    -
    --
    ----
    --------
  46. 324 : : 2015/08/23(日) 21:37:31



    ー故郷ー

    〜隠れ家〜


    グリシャ「……ハァ…ハァ…ハァ…」

    イサナ「す、すまない…グリシャ…足を引っ張ってしまった…。」

    グリシャ「気にするな、お前が私でもきっとああしてたさ。それより…」

    イサナ「…なんだ?」

    グリシャ「ここもすぐバレる。お前はアニのところへ行け。たった一人の家族だろう?それに……話したいことも出来ただろうしな…。」

    イサナ「し、しかし!お前一人をここに置いて行くわけには!」

    グリシャ「いいんだ、イサナ。幸い今この辺りに敵はいないはずだ。行くなら今しかない!行け!」

    イサナ「……ッ!すまない!!」タッタッタッ


    -
    --
    ----
    --------
  47. 325 : : 2015/08/23(日) 21:38:01



    〜レオンハート家〜


    イサナ「アニ!」

    アニ「! お父さんおかえーーー

    アニ「お父さん!?その傷は何!?どうしたの!?」

    イサナ「心配するな、傷は『巨人の力』でいずれ治る。それより…」

    イサナ「アニ。お前はこれを持って壁の中に逃げなさい。これはお前には必要な物だ…。」

    アニ「? お父さんは?」

    イサナ「俺も後からグリシャと一緒に壁に向かう…全く…自分が信じられない…娘まで使って目的を達成させようとしていたとは…。」




    ----------------------------------------







    知性巨人達「「「」」」ゾロゾロ…


    イサナ「あ…あぁ…(ま、まずい……)」









    イサナ(死ぬ……!!!!)









    ----------------------------------------




    イサナ(あの恐怖を……この子にあじあわせようとしていたとは…!自分が憎い…!)

    アニ「?」


    ガシッ


    イサナ「アニ…俺が間違っていた…。」

    イサナ「今さら俺を許してくれとは言わない。けど…」

    イサナ「一つだけ……一つだけでいい。」

    イサナ「頼みがある…。」

    イサナ「この世のすべてを敵に回したっていい。」

    イサナ「この世のすべてからお前が恨まれることになっても…父さんだけはお前の味方だ。」

    イサナ「…だから約束してくれ。」









    イサナ「帰ってくるって…。」









    獣の巨人「見つけたぞ!イサナ!逃がしはしないぞ!お?そのチビはお前の娘だな!そいつも逃がさない!」ドシンドシンドシン!

    知性巨人達「「「」」」ドシンドシンドシン!

    アニ「!? お父さん!?追われてるの!?」

    イサナ「……ッ!アニ!!早く壁に向かえ!!」

    アニ「で、でもこのままじゃお父さんが!」

    イサナ「アニッ!」

    イサナ「……頑固なお前だったが…俺の最後の願いくらい聞いてくれ…!」

    アニ「…………ッ!!」

    アニ「うわあぁぁぁぁ!!」タッタッタッ




    イサナ(有難う…アニ…。)

    イサナ「さて…お前らの相手は俺だ!!」ガリッ!

    ズドォォォォン!

    イサナ巨人「ウォォォォォ!」ダンダンダン!














    イサナ(アニ…元気でいろよ……。)














    -
    --
    ----
    --------
  48. 326 : : 2015/12/20(日) 21:52:51



    グリシャ「イサナ!!」タッタッタッ

    グリシャ「イサナ!大丈夫か!?」

    イサナ「…グ…グリシャか…。」

    グリシャ「その怪我…!すまない…!私が一緒に付いていれば!」

    イサナ「気に…するな…それより…グリシャよ…。この『薬』を持って壁まで行ってくれ…そして、アニを見つけて匿ってくれ…!」

    グリシャ「これは…『人工巨人化薬』か!?何故俺に…」

    イサナ「あぁ…そうだ。だが、その薬は…少し特別だ。あの『猿』の『体毛』を調合しておいた。アニにも同じものを渡した…。」

    イサナ「お前はそれをいざという時に使え。アイツらは俺をもう殺したと思い込んでアニを追っている…。頼む…!もうお前しかいないんだ…!」

    グリシャ「分かった!もう喋るな!すぐに応急処置を…」

    イサナ「いや…俺はもうダメだ…そんな事よりアニを…!」

    グリシャ「だが!!」

    イサナ「グリシャ!!」

    グリシャ「!!」

    イサナ「良いんだ…お前と過ごした時間は…悪くなかった…。お前だけはなんとしても…生きろ…それが俺の…望み…だ…じゃあ…な…。」

    イサナ「」

    グリシャ「!…イサナ…!!イサナ!!おい!イサナ!!起きろ!くそ!くそくそくそ!くそがあああ!!」


    -
    --
    ----
    -------
  49. 328 : : 2015/12/20(日) 21:54:39



    グリシャ「そして私は壁へと辿り着き…カルラと出会った。そしてエレンよ…。言いにくいのだが…お前は私の実の息子ではない。カルラの元夫だった男の息子だ。」

    エレン「え…!?」

    グリシャ「すまなかった。お前が物心ついた時からカルラはお前を傷つけないように、『お父さんは仕事に行っている』と嘘をついていた。」

    エレン「そんな…」

    グリシャ「…だがそんなお前をよそに、私はマリア陥落時にお前の元を去った…だが、アレはお前達を思ってのことなんだ。」

    グリシャ「壁が破壊された時、私は瞬時に犯人を故郷の人間と予想し、このままでは私が狙われ、お前達…エレン、アルミン、ミカサに危害が加わるかもしれない、そう思ったんだ。
    だから私はお前に『人工巨人化薬』を与え、いざという時に自分の身を自分で守れるようにしたんだ。言い訳に聞こえると思うが…すまなかった。」

    エレン「…平気だよ、親父。親父は俺たちのことを思ったからこそ俺たちの元から去った。それが分かれば十分だ。そして、そんな『グリシャ・イェーガー』こそが、俺の本当の親父だ!」

    グリシャ「! 有難う、エレン。」

    エレン「ああ!」

    リヴァイ「水を差して悪いが、話を戻そう。あんたはアニを追ってここに来たらしいが、アニは見つけられたのか?」

    グリシャ「いや、それが見つけられなかったのだ。壁内をくまなく探し回ったが、アニの姿はなかった。アニ、あの時君はどこにいたんだ?」

    アニ「…」

    リヴァイ「…? おい、アニ。聞いてんのか?」

    アニ「…今…思い出したんです。」

    リヴァイ「あ?」

    エルヴィン「何を思い出したんだ?アニ?」

    アニ「『あの日』の…事です…『あの日』私はーーー


    -
    --
    ----
    -------


  50. 329 : : 2015/12/20(日) 21:55:04



    ー844年ー

    〜故郷付近 草原〜


    アニ「はぁ…はぁ…はぁ…」

    アニ「…お父さん…壁はどこにあるの…?教えてよ…お父さん…!」グス

    アニ「もう…限界ーーー


    ドシン!ドシン!


    アニ「え…」









    巨人「」ニタァ…

    アニ「あ、ああ…」

    巨人「」スッ

    ガシッ!

    アニ「! 離して!離せ!」

    アニ(し、死んじゃう…!!)


    ポロ…


    アニ「!」



    -------------------------

    イサナ「アニ。お前はこれを持って壁の中に逃げなさい。これはお前には必要な物だ…。」

    -------------------------



    アニ(これだ!)ガシッ!




    ブスッ!






    カッッッッッッッッ!!!








    女型の巨人「ウアアアアアア!!」


    -
    --
    ----
    --------



  51. 330 : : 2016/05/20(金) 21:11:10



    〜ウォール・マリア 開閉門前(壁外)〜




    アニ「こ、ここが…お父さんが言ってた壁…か…(途中で巨人にあって死んじゃいそうになったけど、なんとか辿り着け…あれ……?)」









    アニ「なんで私ってここに来たんだっけ…?」





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  52. 331 : : 2016/05/20(金) 21:11:30



    アニ「うぅ…寒い〜…。」

    アニ(ここに来てもう2日経つけど、壁に入る方法も分からないし、ここに来た理由も分からない。このままじゃ……)









    「おい、何でここにちっこい子供がいるんだ?」











    アニ「えっ?」クル

    「確かに、何でだろうね?」

    アニ(何だろう…この人達…)

    「お前も故郷からの命令でここに来たのか?」

    「え…え…?命令?違うよ、私がここに来たのは、えっとえっと…」

    「? どうしたの?」

    「……分かんない、思い出せない。」

    「思い出せないのか?」

    「うん。」

    「でもこの子は僕達と同じ目的でここに来たはずだ。でなければこんな所に来るわけ無いし…」

    「だな。それ以外考えられねぇ。よし!お前は今から俺達の仲間だ。お前の名前は?」

    「アニ。アニ・レオンハート。」

    「アニか。良い名前だな。じゃ、俺らも名前教えなきゃな。」

    「うん。そうだね。」

    「俺達の名前は、俺がライナーで、こっちのでかいのがベルトルトだ。」

    ベルトルト「宜しくね、アニ!」

    ライナー「俺からも、宜しく頼むぜ。」

    アニ「うん、よ、宜しく。(悪い人達じゃなさそう…。)」


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  53. 332 : : 2016/05/20(金) 21:12:02



    アニ「そこから先は二人の、ライナーとベルトルトの協力によって壁の中へ入りました。」

    アニ「壁外で大声で嘘泣きして、それに気付いた駐屯兵の人に『いたずらで外に出たら入れなくなった』と。こっぴどく怒られましたがね。」

    アニ「その後は、3人で食べ物や飲み物を集めて廃墟になった家で、何事もなく平穏に過ごしていました。約一年ほど。」

    アニ「ですが…あの時…」


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  54. 333 : : 2016/05/20(金) 21:12:22



    ライナー「明日…壁を壊すぞ。」

    アニ「え?」

    ベルトルト「つ、遂にかライナー…」

    ライナー「あぁ。そうだ。」

    アニ「ち、ちょっと待ってよ二人共。壁を壊すって、何?どの壁?」

    ライナー「…そんなの1つしかないだろう…。お前も分かっているはずだ。」

    アニ「…あ、あぁ!い、家の外のあの壁のことだね!あれ、結構ボロいし!わ、私もそろそろそうしようかなーって思ってて!ははは」

    ベルトルト「…っ…。」

    ライナー「……。」

    アニ「……ねぇ…何で何も話してくれないの…?ねぇ!?何で!?」

    ライナー「…お前が能天気に馬鹿なこと言っているからだ…。なにをそんなに必死になってる…。」

    ベルトルト「ア、アニは気持ちが沈まないように僕らを笑わせようとしてくれてるんだよ!ね、ねぇアニ?そうだよね!誰でも人を殺す前は………」

    ライナー「…。」ギロ

    ベルトルト「な、何でもない。ごめん……。」

    アニ「何…?人を殺すって…?人ってまさか、この壁の中に住んでる住民の人達!?」

    ライナー「あぁ、そうだ。」

    アニ「嫌だよ!!何であの人達を殺さなきゃならないの!?」

    ライナー「これが使命なんだ!黙って言うことをきけ!」

    ベルトルト「ラ、ライナー!いくらなんでもその言い方は…」

    ライナー「こいつも俺達と同じ使命を持ってここにきたはずだ!それに従わなくてどうする!!」

    ベルトルト「そ、それは……」

    ライナー「………アニ…。」

    アニ「…?」

    ライナー「これは使命なんだ。絶対的な…。」

    アニ「し、使命って何!?そんなの知らないよ!」

    ライナー「アニッ!!!」

    アニ「!」ビク









    ライナー「やるしかねぇだろ…!」ポロ…









    アニ「……。」

    アニ「ほ、ホントに……やるの……?」

    ライナー「…あぁ、本当だ。」

    アニ「ホントに…あの人達を……」








    アニ「うぅ…うわぁん…わぁぁ…」ポロポロ









    ベルトルト「うっ……うぅ…」ポロポロ

    ライナー「すまん…二人とも…すまん……!」


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  55. 334 : : 2016/05/20(金) 21:12:51



    アニ「それから私達は、今から十年前、壁を壊した。皆さんもよく知ってる通り、845年のウォール・マリア陥落の時に…。」

    グリシャ「なるほど…そんな事が…。」

    エルヴィン「…ライナー達が一年間何もことを起こさずに過ごしたのは、壁の中の状況を知るためだろう…。
    どこで、どのタイミングで壁を壊すかをずっと伺っていたんだ。」

    アニ「はい…恐らくそうだと思います…。」

    グリシャ「そして、先程話したが『人工巨人化薬』は『巨人の力』が手に入る代償に、記憶が一部なくなってしまう。アニはその影響で記憶が消えてしまったんだろう。」

    アニ「やっぱり、そうでしたか。」

    グリシャ「あぁ。だが、アニ、そしてエレン。君達の『人工巨人化薬』は、これも先程話したが特別製だ。『獣の巨人』の『体毛』が調合されている。」

    エレン「そう言っていたな…。」

    アニ「話を聞いた時からずっと気になっていました。一体何の意味があって父はそれを…?」

    グリシャ「簡単なことだ。イサナは『獣の巨人』の力を奪いたかった。つまり、『座標』だ。君達が『座標』を使えるのは、ヤツの細胞が君達の身体の中に宿っているからだ。」

    リヴァイ「なるほど。だから俺達調査兵団がヤツとディオスで出会った時、エレンに『力を返してもらう』なんて言ってやがったのか。」

    グリシャ「あぁ、その通りだと思うよ。」

    エルヴィン(やはり俺の仮説は合っていたか…)

    エルヴィン「それで、グリシャさん。これからどうするのです?ここで別れますか?」

    グリシャ「いや、私も君達に着いて行くよ。こうなってしまった原因は、元を辿れば私だ。私が終わらせなければならない。」

    エルヴィン「…分かりました。では、ついてきてください。」


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  56. 335 : : 2016/06/26(日) 13:01:17



    〜ウォール・ディオス〜

    ー壁前ー


    エルヴィン「止まれ!」



    ピタッ…



    エルヴィン「…ディオス。ようやくたどり着いた。」

    リヴァイ「予定通り、開閉門も設置済みか。だが…ここに獣の巨人はいねぇみたいだな。」

    エルヴィン「…出来ればこの場所で出会いたかった。ディオスの壁外は”巨人”の巣窟だからな…だが…」

    ハンジ「…門をくぐるしかないみたいだね。いったいどれだけの被害が…新兵なんてまるで戦闘経験がないのに…。」

    エルヴィン「…ヤツもそれを分かっていてやっているんだろう。自分一人だけ残って戦うなんてバカな真似はしない。」

    グリシャ「激戦は必至…やるしかなさそうだ。」

    エルヴィン「! グリシャさん。」

    グリシャ「迅速に、素早く門をくぐろう。可能性は低いが、ヤツは我々が門をくぐる所を狙い撃ちしてくるかもしれない。ちんたらしていたら、最悪全滅だ。」

    エルヴィン「…ですね。」クルッ

    エルヴィン「総員、聞け!今から門をくぐる!だが!その隙だらけの瞬間を獣の巨人に狙い撃ちされる可能性がないわけではない!素早く移動を済ませ、壁外に出たら、周囲を警戒、必要ならば交戦せよ!」



    「「「「「「ハッ!」」」」」」



    エルヴィン「サシャ。」

    サシャ「なんでしょうか?」

    エルヴィン「君はディオスに立体機動で登り、壁外を見張っていてくれ。君は耳もいい。開閉門周辺に巨人がいないタイミングを、我々に合図してくれ。」

    サシャ「はい、分かりました!」

    エルヴィン「あぁ、頼んだ。」


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  57. 336 : : 2016/06/26(日) 13:01:53


    サシャ「周辺に敵影なし!今なら行けます!」

    調査兵「了解だ!」

    調査兵「開門…開始!!」


    ゴゴゴ…


    エルヴィン「総員!速やかに移動せよ!!」


    -
    --
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    --------

  58. 337 : : 2016/06/26(日) 13:02:25


    調査兵「全員、移動完了!閉門!」


    ゴゴゴ…


    エルヴィン「移動できたからといって、もたもたしてる暇はない!!目視できなくとも、巨人が潜んでいる可能性がある!」

    リヴァイ「エルヴィン!!陣形を!」

    エルヴィン「あぁ!」




    エルヴィン「長距離索敵陣形、展開!!」




    ズラァァァァア…




    エルヴィン「進めェェェェェェェェエエ!!」


    「「「「「「オオォォォォォおおお!!」」」」」」
  59. 338 : : 2016/06/26(日) 13:02:52



    ***


    ー調査兵団本部ー

    〜会議室〜


    エルヴィン「作戦はこうだ。ディオス壁外に出たら、直ちに長距離索敵陣形を展開、索敵を開始する。」

    エルヴィン「通常種を見つけたら赤、奇行種は黒の煙弾を上げてくれ。それを見た者はその色に続き発砲、知らせを見た私が、緑の煙弾を使い進行方向を指示する。ここまでは巨人絶滅前と同じだ。経験者なら慣れたものだろう。」

    エルヴィン「だが、今回の場合は勝手が異なる。調査兵団員全員が未経験のディオス壁外。何が起こるかわからない。」

    エルヴィン「なので、未知の巨人や生物、物を発見した場合は青の煙弾を上げてくれ。その方向には細心の注意を払い、進行方向を決定する。」

    エルヴィン「そして、最重要駆逐対象の”獣の巨人”。奴を見つけた場合は紫の煙弾だ。その煙弾を確認できた瞬間、私がその方向に緑の煙弾を放つ。ライナーとベルトルトがいる可能性が極めて高いからな。」

    エルヴィン「…だが、その二人を救出しようとしても、必ずヤツが邪魔をしてくるだろう。激戦は必至だ。みな、心してかかってくれ。」


    ***
  60. 339 : : 2016/06/26(日) 13:03:10


    シ…シュ…パシュ…パシュ!


    エルヴィン「! (赤の煙弾…予想以上に早いな…。)」

    エルヴィン(戦闘はなるべく避ける!)パシュ!



    ズラァァ…



    エルヴィン「撒いたようだな。」

    エルヴィン「ん…?」

    エルヴィン「! あれは!」














    エルヴィン「青の…煙弾…!!」














    -
    --
    ----
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  61. 340 : : 2016/06/26(日) 22:46:31


    ***


    ー同時刻ー

    〜左翼・索敵〜

    調査兵「ぎゃああぁ!ぐっ…あああああ!」スパン

    調査兵2「うっ……また仲間が…!」

    調査兵3「ボサッとすんなッ!煙弾は撃ったが…今ここで食い止めなかったら陣形の奥深くま…で……?」グチャ

    調査兵3「」バタ

    『なんだよ、弱いなぁ。ジークさんが過大評価してただけかなぁ…。』

    調査兵2「な、なんなんだよ…!!この”巨人”…!!」

    調査兵2「…うぁぁぁぁぁ!!」チャキ

    『あはは、特攻かい?』

    調査兵2「ああッ!」ブン!

    『おっと。』スカ

    『ちょっと太刀筋が単調かなぁ。あと…』スッ



    ズバッ!



    調査兵2「ぐはっ!!」スパン!

    調査兵2「あ…ァァ…」ドサ

    『反応が悪い。』ニヤ

    調査兵2「や…”刃の巨人”…。」ガク

    『さーて、”予定”通り動いてくれるかな?調査兵団。』


    ***

  62. 341 : : 2016/07/10(日) 12:44:54



    エルヴィン(青の煙弾…左翼に”何か”がいる…!)

    調査兵「団長!」

    エルヴィン「! どうした?」

    調査兵「報告です!左翼側の脅威、”刃の巨人”!とてつもないスピードでこちらに接近してきています!」

    エルヴィン「刃の…巨人…?」

    調査兵「はい!腕部を刃状の鋭利なものに変形させ、攻撃を行う模様!その威力も凄まじく…左翼側はほぼ壊滅状態!」

    エルヴィン「…!」

    エルヴィン(左翼は、巨人絶滅以前から調査兵団で活躍したベテランを多数配置したはず…。その猛者達が、壊滅か…!)

    エルヴィン「…了解だ、ご苦労だったな。配置に戻れ!」

    調査兵「ハッ!」ダッダッダッ…










    エルヴィン「そういう目的か…”獣”。」


    -
    --
    ----
    -------


  63. 343 : : 2016/07/10(日) 12:46:34



    〜五列・待機〜


    リヴァイ「何やら物騒になってきやがったな…。」

    アニ「えぇ。いよいよ始まりそうですね…。」

    エレン「”刃の巨人”…。獣の巨人の仲間…?」

    リヴァイ「その可能性が高いだろうな。そして俺らは、『漁』をされている。」

    エレン「? はい?」

    リヴァイ「どう考えてもこれは罠だ。あのクソ獣は”刃”を使い、俺達を自分のところまで追い込んでいるんだろう。エルヴィンの野郎もわかっているはずだ。」

    エレン「なっ…!だったら何故進行方向を変更しないのです!?このまま刃の巨人から逃げていたら、敵に突っ込んでいくようなものじゃ…」

    ミカサ「『しない』んじゃない。『出来ない』の。今ここでそれを恐れて、刃の巨人の方やその他の方向に向かっても、被害が大きくなって、兵が無駄死にするだけ。」

    ミカサ「同じ被害なら、獣の巨人を見つけて、交戦できるようにする方がよっぽど価値がある。ライナーとベルトルトもそこにいるはずだから。」

    エレン「な、なるほど…。」

    リヴァイ「そんな事も分からないでどうする。お前はもう分隊長なんだ。今回は獣の目的がお前だから、こうして調査兵団の精鋭達が集まりお前を守っている。だがいつもならこうはいかねぇぞ。無ぇ頭を必死に回して、生き抜く術を考えろ。」

    エレン「は、はい…すみません。」

    リヴァイ「アニ、お前もだ。お前の力は獣を仕留めるのに必要不可欠。期待している。」

    アニ「! はい!」

    リヴァイ「 ! 煙弾が上がった。緑の煙弾…。エルヴィンだ。エレン、お前が撃て。」

    エレン「了解!」パシュ!

    リヴァイ「相手は手強い、気を引き締めてかかるぞ。」

    「「「「「ハッ!」」」」」


    -
    --
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    ---------
  64. 344 : : 2016/07/10(日) 12:48:42



    エルヴィン(刃からはもう十分距離をとった。あとはいつ奴が姿を現すーーーー



    ドン!!!


    エルヴィン「!!」

    「ふぅ…。いらっしゃい。待ちくたびれたよ。」

    エルヴィン「…空から登場とは。派手好きか?」







    エルヴィン「獣の巨人。」





    獣の巨人「いやぁ〜カッコいいかなぁと思ってね〜。なかなか良かったでしょ?歓迎してよ。君達の”お友達”も連れてきたし。」スッ…

    エルヴィン「!」

    ライナー「団長!」

    ベルトルト「すみません、僕達の力不足であの時…こいつを殺る事ができませんでした…」

    エルヴィン「…ライナー、ベルトルト。いいんだ。君達がいたから、我々調査兵団は救われた。それに…安心しろ。」スッ…









    エルヴィン「こいつは俺達が叩き潰す。」パシュ!














    -
    --
    ----
    ---------
  65. 345 : : 2016/07/10(日) 12:54:55



    ー次列五・伝達ー


    ジャン「なっ!?あれは、紫の煙弾じゃねぇか!獣の巨人が見つかったのか!?」

    アルミン「しかもあの位置は…次列中央!エルヴィン団長のいる場所じゃないか!」

    ヒストリア「な、なんで団長の位置に!?」

    ユミル「そんな事はどうでもいい!さっさと向かうぞ、ヒストリア!!」

    ヒストリア「あ、う、うん!」

    -
    --
    ----
    ---------
  66. 346 : : 2016/07/10(日) 12:56:44



    ダダダダダダダ!!



    獣の巨人「おぉぉ…さすがは調査兵団。煙弾を撃ってものの1分程度でほぼ全員集まっちゃったよ。」

    エレ「ライナー!ベルトルト!」

    ライナー「エレン!すまねぇ、捕まっちまった…。」

    エレン「気にするな。今助けてやるからよ。」

    獣の巨人「おーエレン君!待ってたよ!ん…?んんんん?んん!?君は!グリシャ君じゃないか!何故ここにいるのかな?!」

    グリシャ「貴様に教える義理などない…!!この屑が!」

    獣の巨人「…おいおいおいおい。やけにデカイ態度取るねお前。お前に『巨人の力』を渡してやったの、誰だと思ってんの?あんまりにも生意気だと…」





    獣の巨人「殺すぞ?あ?」




    調査兵「ひっ…!!」ゾク

    グリシャ「今更、私は死など恐れやしない。だが、イサナに拾ってもらったこの命、そうやすやすと渡すわけにはいかない。」

    獣の巨人「そうかいそうかい。しかし…イサナかぁ。あのゴミは何も出来ずに死んでいったなぁ、はは。ただの犬死だね。馬鹿みたいだったよ。」

    グリシャ「貴様…!!イサナをーーー


    「オイ…。」


    グリシャ「!」

    アニ「父さんの意思、覚悟…何にも知らないくせして、いきがってるんじゃないよ…!!クソ野郎!」

    ベルトルト「アニ!?水晶から出たのかい!?」

    ライナー「良かった…!本当に!」

    アニ「あぁ、ベルトルト、ライナー。心配かけたね。悪い。」

    獣の巨人「って…アニ…?アニじゃないか!君、壁にたどり着いていたんだね!いやぁあの時はまだ子供だったのに、やるなぁ。どっかでくたばって巨人の餌になってると思ってたよ。」

    アニ「あんたに褒められても、吐き気しかしないね…!」

    獣の巨人「うわ、酷いなぁ…ん…?」

    獣の巨人「…!? はぁ!?」

    獣の巨人「君…なんで僕の細胞を持っているんだ…?」

    アニ「何故って…あんたの体毛入りの『人工巨人化薬』を打ったからだよ。あんたと同じ細胞だなんて虫唾が走るけどね。」

    獣の巨人「…はぁ、なるほど。君も注射を打たれていたのか。しかも私入り…。『座標』が3つもあると不愉快だ。王は私だけで十分だ。」

    獣の巨人「でも…エレン君食べれば私の座標は元通りになると思うし、エレン君の方が『巨人の練度』が低いよね。だから、君を最初に狙うよ、エレン君。君を逃さない為にディオスを創ったんだ。それで逃したら唯の馬鹿だからね。」

    エルヴィン「! エレンを逃さないために…?そのためだけに、また我々人類を鳥籠で囲んだというのか!」

    獣の巨人「そうだよ?なにか文句でも?」

    エルヴィン「貴様…」

    獣の巨人「さて、話は終わり。さっさとエレン君を…」

    リヴァイ「おっと。させねぇよ、クソ野郎。」チャキ

    ミカサ「…」チャキ

    獣の巨人「んー…だよねぇ…でも、私の”お友達”も着いたみたいだね。」

    リヴァイ「あ?」






    刃の巨人『お待たっ……』ピキピキ…!

    リヴァイ「!」

    刃の巨人『せッ!!!』ブン!

    リヴァイ「チィ!」ダン

    刃の巨人『おっと!躱されちゃったな!でも…この勢いのまま…』ダンダンダン

    刃の巨人『君だ!』ブン!

    エレン「はっーーー



    ドシッ!



    エレン「ぐぁっ!!」ビュン

    ミカサ「!! エレンが!」

    リヴァイ「チッ!あの野郎、吹っ飛ばしやがった!このままじゃエレンが…」

    刃の巨人『おっと!進ませないよ!しかし、凄いな!さっきの躱すとは!どんな動体視力してるんだい?』

    獣の巨人「おいおいおい!ちゃんと決めろよ!」

    刃の巨人『いやぁすみません、ジークさん。でもこの人、やり手じゃないですか?それに、エレン君を一人にさせたんですから褒めて下さいよ。』

    獣の巨人「ふん、まぁそれは良くやった。だが、油断するなよ。こいつ、『人類最強』のリヴァイだぞ!」

    刃の巨人『え、この人があのリヴァイ?…へぇ、思ったより小さいなぁ。』

    リヴァイ「…てめぇらからみたら全員小せぇだろうが…。(体長は…15m程か。)」

    刃の巨人『まぁ、そうだけど…』

    獣の巨人「おい。無駄話はいい。お前は邪魔なこいつらを殺してくれ。あ、もちろん応援はつけるよ!」スッ


    ボコボコ…


    知性巨人達「うぅ…う…。」

    刃の巨人『お、有難いなぁ!あざっす!』

    リヴァイ「チッ…なんて量だ…。」

    ミカサ「100…いや、200は下らない。これだけの量…倒せるだろうか…。」

    リヴァイ「…エレンをこのままにしておく訳にはいかねぇ。さっさと片付けるぞ。いまこそ俺との訓練の成果を出す時だろう?お前ら。」

    アルミン「無茶を言いますね…。ですが、的を射ています。」






    アルミン「やりましょう…!」チャキ!










  67. 347 : : 2016/07/10(日) 12:57:23
    リヴァイ「行くぞ、てめぇら!!」

    ジャン・ユミル・ヒストリア・アルミン・コニー・サシャ・ミカサ「はい!」チャキ!

    調査兵達「「「「「ハッ!」」」」」

    エルヴィン「総員、交戦せよ!必ずライナー、ベルトルトを救出し、巨人を駆逐するぞ!!」

    「「「「「おぉぉぉぉぉ!!」」」」」

    エルヴィン「アニ!グリシャさん!」

    アニ「はい!」

    グリシャ「なんだね?」

    エルヴィン「あなた達二人はエレンの元へ向かってください。我々が巨人を抑えている間に!巨人化能力を持つあなた達なら、エレンを助けられるはずだ!」

    アニ「…了解!」

    グリシャ「承った!」



    -
    --
    ----
    -------
  68. 348 : : 2016/07/10(日) 12:58:10



    獣の巨人「さーてと、エレン君!これで二人っきりだね!大人しく私に喰われてくれれば、何も痛いことはしないよ!」

    エレン「は、はぁ?ふざけんな。誰がてめぇなんかに喰われるかよ!」

    獣の巨人「誰が?君がだよ、はは。」

    エレン「くっ、ほざけ!!」パシュ




    エレンは獣の巨人に向かって、アンカーを突き刺した。




    獣の巨人「むっ!」

    エレン「はぁぁぁあああ!!」ギュイイーン

    獣の巨人「おいおい、まさかそのまま突っ込んでくるとは!!そんなんじゃ唯の的になるだけだ……」

    獣の巨人「よッ!!!」ブン

    エレン「そう来てくれると思ったぜ。」カチ


    ポロ



    獣の巨人「!! アンカーを抜い…」

    エレン「おらよ!!」キュルキュル




    エレンは時計回りに自身の体を高速で回転させ、怪物の右腕の上を切り刻んでいく。




    獣の巨人「おおおお!!」ザクザクザク

    エレン(リヴァイ兵長、あなたの技だ…!!そして…)

    エレン「ハァッ!」グルン

    獣の巨人(こいつ、うなじに…!このままじゃ、殺られ…)

    エレン(よし、これで!)チャキ

    エレン「殺っーーーーー

    獣の巨人「る訳ないだろ。」ブン

    エレン「!?」ガン

    エレン「うぁっ!」ドシッ

    エレン「が…がはっ…くそが…」

    獣の巨人「確かに、動きは良いよ。”人間にしては”ね。そんなんじゃ、まだまだ私は殺れないなぁ。」

    エレン「そ…そうかよ…。なら…」ガブ

    獣の巨人「ん?」




    カッッッッッッッ!




    エレン巨人「ウォォォォォ!!」

    獣の巨人「巨人化かぁ!いやぁそれも元を辿れば私が作ったような力だ。そんなものが通用すると思ってるの?笑えるね。」

    エレン巨人「ウァッ!」ブン

    獣の巨人「おっと。いきなりかい?はは。」スカ

    エレン巨人「グオッ!」ズオ

    獣の巨人「はっはは。なんだその蹴り?遅すぎやしないかい?」カスッ

    エレン巨人「ウ…ウォォォォォ!!」ブンブンブン

    獣の巨人「お、パンチ連打ー!ってかい?わー、怖い怖い!はは。」スカスカスカ

    エレン(こ、こいつ…強ぇってレベル超えてるぞ…!!このままじゃ…やばい!)

    獣の巨人「はぁ…お手本を見せてあげるよッ!!」ブン!

    エレン巨人「ガアッ!」グシャ!

    獣の巨人「おおっと。やり過ぎた。顔がなくなってしまったね!」

    エレン(ふざけてる…なんだこの強さ…!!)

    獣の巨人「さて、そろそろ遊ぶのも飽きたし、いただいちゃおうかな!」ガシッ


    グシャ!



    エレン「プハッ!く、くそ!離せ!!おい!!」ゲシゲシ

    獣の巨人「離したら逃げちゃうだろ。馬鹿かい君?」

    エレン(もう…ここまでなのか?リヴァイ兵長と訓練した日々は…強大な力の前では無になるのか…?)

    獣の巨人「いやぁ〜今まで長かった…。私史上一番疲れたね!だけど、これでやっと、”王”に戻れる。今からワクワクが止まらないよ。」

    獣の巨人「じゃあ、無駄話は置いといて…」カパ

    エレン(ごめん…皆…!!)

    獣の巨人「いただきまーーーー


    「させん!!」


    獣の巨人「はっ?」

    グリシャ「はぁぁぁあああ!」ガブ


    カッッッッッッッッ!


    グリシャ巨人「アア!」ブン

    獣の巨人「ぐっはっ!!」バシ

    エレン「親父!?」

    「私もいるよ!」

    エレン「! アニまで!」

    アニ「すまないね、遅くなった。」

    エレン「…いや、全然遅くないぜ。助かった、ありがとう!」








    獣の巨人「……。」ムク

    グリシャ(案の定ダメージ無しか…。本気で殴ったんだがな。)

    獣の巨人「…私さぁ、嫌いなことが二つあってね。一つは、力を奪われること。そしてもう一つは…」

    獣の巨人「自分の邪魔をされることだよォォォォォ!!」ダッ

    グリシャ(!? 速…)

    獣の巨人「死ねくそがぁぁあああ!!」ブン

    グリシャ巨人「が…ハッ!!」グシャ

    エレン「! 親父ッ!!」

    獣の巨人「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」ブンブンブンブン

    グリシャ巨人「ア…アア…」グシャグシャグシャグシャ

    グリシャ「プハッ!」

    エレン「てめぇ!!親父から離れろ!」タッタッ

    獣の巨人「あぁ?なんだクソガキ?」

    グリシャ「来るな!!エレン!!」

    エレン「!?」

    獣の巨人「おぉ?」

    グリシャ「今ここで…死ぬな!生きろ!お前は人類の希望だ…!壁の中の人々を救い、必ず平和な世の中をーーーー
















    グシャ














    獣の巨人「ピーピーうるさい。ゴミが。」



  69. 349 : : 2016/07/10(日) 12:58:41


    アニ「ああ…あ…」

    エレン「………」

    獣の巨人「さて!エレン君!これで邪魔者は居ないね…って、そこにも一人いるなぁ。アニか。まぁそんな小娘一人いたところでどうにもならないけどね。」

    アニ「くっ…」

    エレン「………」

    獣の巨人「あれ?悲しんでる?あ、悲しんでるねぇ!まぁ父親が死んじゃったからね!しょうがないか!あ、じゃあ”これ”あげようか?なんかグシャグシャで何が何だか分かんないけどね、はは。」




    獣のはそういい、グリシャ”だったもの”を持ち上げた。




    アニ「…このクズ…が…」

    獣の巨人「いやいや、邪魔したのはそっちだし。このくらい当たり前ーーー














    「……さねぇ…」














    アニ「!」

    エレン「…るさねぇ!」

    獣の巨人「ん?なになに?聞こえないからもっと大きな声でーーー




    エレン「許さねぇ!!!てめぇだけは!!」ギロ

    獣の巨人「!」ゾク

    エレン「うォォォォォ!!!!」














    バチバチバチバチ!!















    獣の巨人「!?」

    アニ「!?」

    獣の巨人(これは…『座標』…!!しかも…なんだこの大きさは!?)




    エレン「ぶっ飛ばす…」

    エレン「獣の巨人!!!」




    獣の巨人「あっはははは…ははははは!君は最高だ、エレン君!!まさか『怒り』で座標が開花するとは!!」

    エレン「これが…『座標』か…。身体から力が湧き出てくる…!」

    獣の巨人「その力…試してみるかい?」

    エレン「あぁ…てめぇが実験台でな!」ガブ

    エレン巨人「ウォォォォォ!!」

    獣の巨人「かかって来い。エレン・イェーガー。」キュイイーン…

    エレン巨人「」キュイイーン…




    二体の巨人は、手に太陽のような光を溜め込み…




    獣の巨人「ハァッ!!」バシュン!

    エレン巨人「ガアッ!」バシュン!





    放つ。

    その二つの太陽はぶつかり合い、激しい衝突が起こった。




    獣の巨人「むう!中々にやるねぇ…!エレン君!!」

    エレン(ぐぉおおお……!!!)

    獣の巨人「はっはは!まだ僕の『座標』の方が上みたいだね!このまま押し切ってやるよ!」

    エレン(負けるわけには…いかねぇ!!)

    獣の巨人「おお!?耐えるなぁ!君!でも、無駄だよ!」

    エレン巨人「グッ…アァァァァァァァ!」









    アニ(エレンが押されてる…!けれど、私なんか…なんの役にも立たない。それほどの…戦い。)

    アニ(私はこのまま無力なのか?何も出来ず、エレンが押されるのをただ見てるだけか?)

    アニ「…だ…やだ…嫌だ!そんなの嫌だ!」タッタッタッ

    アニ(私は、仲間を失いたくない…!!)

    アニ「エレン!!」

    エレン(! アニ!?)


    カパァ


    エレン「プハッ!アニ!お前は危ねぇから下がってろ!!」

    アニ「下がっても変わらない!今のままではあんたは奴に負ける!!」

    エレン「負けるもんか!!必ず勝ってみせる!」

    アニ「いや、負けるよ。さっきも言ったけど、”今のまま”じゃね。だから勝つためには、”今のまま”を壊せばいい。」

    エレン「どういう事だ!?」














    アニ「私を喰え、エレン。」














    エレン「!? はぁ!?何言ってんだお前!?そんな事できるわけねぇだろ!!」

    アニ「これが一番最善の選択なんだ!私にはあんたと同じ『座標』の力が眠ってる。だからわたしを喰えば、あんたの『座標』の力がアップする!」

    エレン「だからと言って!!お前を喰える訳ねぇだろ!お前は仲間だ!俺は仲間を守るためにこうやって…」

    アニ「だから!!今のままじゃその仲間が全員死ぬ事になるって言ってんの!!だったら私一人が死んで、皆が助かる方がよっぽど良い!」

    エレン「そんな訳ねぇだろ!!俺がお前を喰うなんて…そんなこと…」












    ***


    『エレン。全然なってない。』

    『なんだよ?どこがダメなんだ?』

    『全部。』

    『っておい!酷くねぇか!?』

    『ふふ。』


    ***








  70. 350 : : 2016/07/10(日) 12:59:09


    エレン「そんなこと…出来る訳ねぇだろ…!」

    アニ「…エレン。」

    アニ「私なんかの為に…涙を流してくれてありがとう。私を仲間と認めてくれてありがとう。私と…」




    アニ「出逢ってくれてありがとう。」




    エレン「…!」

    アニ「けど…出会いに別れはつきものなんだ。私達の場合、その別れは最悪のものになるけど…」

    アニ「皆が死ぬことは、私にとってその”別れ”よりも最悪なんだ。私のわがままになっちゃうけど…皆には生きてほしい。生きて、幸せになってほしい。」

    アニ「その為になら、たとえどんな死に方になっても、私は死ねる。だからエレン。あんたには辛い選択になるけど…許してくれないかい?頼む。」

    エレン「……本気なのか…?」

    アニ「あぁ、本気さ。あんた達が死んだら、自分が死ぬより辛い。」

    エレン「…………」

    エレン「…分かった……俺はお前を喰う…。」

    アニ「…ありがとう…。」

    獣の巨人「無駄話は済んだか!?そろそろ終わりにするぞッ!!」

    エレン「くっ…押され…」

    アニ「! エレン、早く!私を喰え!」

    エレン「…ッ!」

    エレン「仲間を…犠牲にする事でしか…勝利を掴めない俺を…許してくれ…!」

    エレン巨人「」カパ

    アニ「…そんな事ないよ。あんたは…」


















    「英雄だ。」



















    バクッ









    獣の巨人「!? あの野郎、アニを…!?」

    エレン巨人「ウォォォォォ!!!」

    獣の巨人「!? ヤツの『座標』の力が…上がった!?これは…まずいッ!!」

    エレン(アニ……)
















    エレン「ありがとう。」













    エレン巨人「アアアアアア!」ブオッ

    獣の巨人「押され…!!」


    -
    --
    ----
    ------------
  71. 351 : : 2016/07/10(日) 12:59:29




    刃の巨人『君達の仲間はあと3分の1…程かな?もう万事休すだよねぇ。』

    ジャン「この野郎、なんて強さだ…。」

    エルヴィン「…おまけにまだ他の知性巨人が50体程残っている…。」

    エルヴィン(まさか…これほどまでとは…!)

    刃の巨人『でも、こいつら(知性巨人達)がここまで殺られるとは思わなかった。さすがは調査兵団ってとこかな?まぁ、その調査兵団ももう終わりだけどね。』

    刃の巨人『さ、無駄話は終わりにして、そろそろ殺されてーーー


    リヴァイ「まだ終わってねぇぞ、クソ巨人…!」


    刃の巨人『…ん〜?何を言ってるの君は?この状況を見れば赤子でもどっちが優勢かわかると思うけどなぁ…?』

    リヴァイ「ただ”優勢”なだけだろ。誰がもう負けた、と決めた?」

    刃の巨人『屁理屈だね。馬鹿じゃないの?』

    リヴァイ「ほざいてろ。そいつらもてめぇも、俺が必ず殺す…!」チャキ

    刃の巨人『懲りないねぇ…』スッ…














    刃の巨人『ア……ガ……?』

    リヴァイ「…?」

    エルヴィン「なんだ?様子が…」

    刃の巨人『アアアアアア!』ダンダンダン

    ミカサ「!? どこに行くの!?」

    アルミン「あっちの方角は…エレンが飛ばされた方だ!!」

    コニー「っておい!他の巨人達もあっちに向かって行くぞ!」

    ハンジ「何が起きてる!?」

    ジャン「いや、今がチャンスだ!ライナー、ベルトルト!待ってろ!今外してやる!」

    ライナー「すまない!ジャン!」

    ベルトルト「ごめん!」

    エルヴィン「…総員!!やつらが向かった方角へ向かうぞ!ついて来い!」



    -
    --
    ----
    ----------



  72. 352 : : 2016/07/10(日) 12:59:50



    獣の巨人「アレは!?お前…私の巨人達を『座標』で…!!」

    エレン「私の巨人達?もう俺の巨人達だ!!」

    エレン「目標、獣の巨人!!全員で突っ込め!!」

    知性巨人達「アアアアアア!」ダンダンダン

    刃の巨人『グアアアアアアア!』ダンダンダン

    獣の巨人「ひっ!やめろお前ら!!敵はあいつだ!!あいつを狙え!」

    獣の巨人「うっ…うあああああああああああああああああああああ!!!」

    -
    --
    ----
    ----------

  73. 353 : : 2016/07/10(日) 13:00:08



    獣の巨人「」シュー…

    知性巨人達「」シュー…

    刃の巨人『』シュー…



    エレン「親父、アニ…。」

    エレン「仇は取ったぞ。」







    エルヴィン「エレン!無事か!?」

    エレン「エルヴィン団長…はい、大丈夫です。」

    エルヴィン「そうか、なら良かった…!」

    エルヴィン「 …! あれは、獣の巨人か…?エレン、君が倒したのか!?」

    エレン「いえ…俺が倒したのではありません。『座標』を使い、他の巨人達に倒させました。そしてその巨人達も同じ手段で。」

    リヴァイ「『座標』だと?そりゃあつまり、遂に『座標』を操ったってことか?」

    エレン「…はい。」

    アルミン「凄い…凄いよエレン、君ってやつは!」

    エルヴィン「あぁ、君は俺達の救世主だ。」

    ジャン「って、それにしても、グリシャのおっさんとアニはどうしたんだ?どっかで休んでんのか?」

    エレン「!」

    エレン「………っ…」

    ミカサ「? エレン?」

    エレン「二人は…」









    エレン「死にました…」









    ベルトルト「!?」

    ライナー「死ん…だ…?アニが…?」

    エレン「すまねぇ…!親父は…俺をかばって獣に……アニは……俺の『座標』を強化させる為に……俺に…自分を喰わせて…!」

    ベルトルト「………そん…な……うぁあああ…アニ…ああぁ……。」

    ライナー「…ッ…!」

    アルミン「くっ……」

    ミカサ「うっ…」

    エレン「すまねぇ…すまねぇ…すまねぇ…皆…!!」


    -
    --
    ----
    ----------



  74. 354 : : 2016/07/10(日) 13:00:25



    ____その後、調査兵団はウォール・マリアへ帰還。
    目的であった、『ライナー、ベルトルトの救出』と『獣の巨人の駆逐』を達成する。




    しかし、調査兵団が受けた損害も大きく、再び自由を取り戻した喜びを、純粋に味わう者は少なかった。




    後日、兵団政府によって参加人数5万人以上という大規模な葬儀が行われ、死者が弔われた。




    ウォール・ディオスは”獣の巨人”が死亡するとともに、『蒸発』を始め、今では跡形もなく消え去っている____。
  75. 355 : : 2016/07/10(日) 13:00:43



    ____1年後。


    ー856年ー

    〜ある町の ある墓地〜


    エレン「親父!今日は天気が良いなぁ。雲一つないぜ?こんな日は久々だよ。」

    エレン「…あれから色々あったけど、親父はなんにも心配しなくていい。ゆっくり眠っててくれ。あんたの”息子”はこの通りピンピンだぜ?はは。」









    タッタッタッ…









    エレン「アニ。久しぶり。ごめんな!ちょっと用事が色々あってよ。これでも俺、調査兵団の分隊長だからさ。」

    エレン「…今じゃ、『自由を取り戻した英雄』だの言われてるよ…。でも俺、全然嬉しくねぇんだ。だって、英雄はお前だからさ。」

    エレン「皆…お前がいなくなって悲しんでいた。だけど…誰も俺を責めようとしなかった…。本っ当にいい奴らばっかりだよ。お前が命を懸けて守った奴らは…。」

    エレン「あの時のこと…怒ってるか?悲しんでるか?それとも…なんにも思ってないか?お前はポーカーフェイスだったからなぁ。感情がよくわかんなかった。はは。」

    エレン「…でもよ…。ひとつだけ言えることがある。お前は……」




























    エレン「誰よりも優しい。そんなお前の事、誇りに思うよ。」




















    アルミン「エレン!早く行くよ!もうすぐ会議が始まっちゃう!」

    エレン「ん!悪りぃアルミン!すぐ行く!」

    エレン「親父、アニ、すまん!もう行かなきゃだ!」

    エレン「いつ来れるかはまだ分かんねぇけど…」


























    エレン「必ずまた会いに来るよ!」




























    ー fin ー


  76. 356 : : 2016/07/10(日) 13:09:10


    〜あとがき〜

    どうも、Tatsuです!



    僕の事情で、2年も完結まで引っ張ってしまい、申し訳ありません!



    ですが、それにもかかわらず、コメントなどをして下さった読者様に感謝です!ありがとう御座いました!



    これからは受験シーズンなので、書けないことが増えると思いますが、どうぞ応援、よろしくお願いします!



    コメントも書けるように解除しておきましたので、是非お願いいたします!



    では!





    追記

    このシリーズの後日談を執筆しました!
    ⬇︎です!是非、ご覧下さい!
    http://www.ssnote.net/archives/50371

  77. 357 : : 2016/07/10(日) 20:49:20
    完結おめでとうございます!&お疲れ様です!
    やー、アニの仲間を助けるためにエレンに喰われるところ、泣けました
    墓地でのアニに向けてのエレンの言葉は、Tatsuさんの思いも重ねられているのかな?とも思いました、違ったらごめんなさーい
    全編すごく楽しく読ませていただきました、ありがとうございました!
    Tatsuさんの書くSSが大好きなので、次回作に期待しています!忙しいと思いますが、出来たら書いてください♪
    本当にお疲れ様でした!
  78. 358 : : 2016/07/10(日) 21:00:37
    >>357
    ごーるでんこーんさん!
    ありがとう御座います!ずっと応援して下さってましたよね!本当に感謝です!


    泣いてくれてありがとう御座います笑
    そうですね、僕アニが好きなので重ねた部分はあるかもしれないですね!


    はい!次回作、書けたら書きますね!
    応援、ありがとう御座いました!

  79. 359 : : 2020/10/28(水) 13:48:10
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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Tatsu0604

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