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ミーナ『こんな言葉、笑われるかな』マルコ『君への愛の文【あいのうた】』 〜恋文《ラブレター》〜 後編
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- 1 : 2015/08/23(日) 08:10:58 :
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このSSはGReeeeNさんの『恋文《ラブレター》』を聞いて思いついたものです。
GReeeeNさんの曲に対する誹謗中傷はご遠慮ください。
自分なりの解釈が含まれますが、おつきあいいただければ幸いです。
マルミー。
感想はこちらまで↓
http://www.ssnote.net/link?q=http://www.ssnote.net/groups/1306/archives/1
なおこちらは後編となっております、前編は以下のリンクよりお願いします↓
http://www.ssnote.net/archives/38624
更新カメさんですがよろしくお願いいたします!
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- 2 : 2015/08/23(日) 23:58:41 :
Chapter6 : あれから
あれから僕らは、毎日変わらない日々を過ごした。
いや、記念日のデートの日から変わったことが1つある。
2人でいる時間を増やしたことだ。
理由は簡単で、解散式まで残された時間が少ないから。
月日は流れ、今では卒業まであと1ヶ月となってしまった。
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- 3 : 2015/08/23(日) 23:59:02 :
ミーナ『マルコ、どうしたの?ぼーっとしてるけど…』
マルコ『…なんでもないよ。ただ、幸せだなって』
ミーナ『いつもと同じことしてるだけだよ…?変なの』クスクス
マルコ『いや、こんなご時世だしさ…それに』
ミーナ『あと1ヶ月で解散式、でしょ?早いなあ…』
2人の間に沈黙が流れる。
ミーナ『マルコは、憲兵団に行くんだよね』
マルコ『…うん、そのつもりだよ。子供の頃からの夢だしね…』
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- 4 : 2015/08/24(月) 00:00:02 :
そう、憲兵団に入るのは僕の子供の頃からの夢だった。
でも…少し躊躇いもある。
成績を考えると、おそらく彼女とは別の道を辿ることになるから…
ミーナ『…』
マルコ『…ミーナ、やっぱり僕』
ミーナ『子供の頃からの夢なんでしょ?叶えなかったら怒るよ』
どうやら僕の考えは彼女にお見通しみだいだ。
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- 5 : 2015/08/24(月) 00:00:28 :
彼女の目は真っ直ぐに僕を見つめていて
ミーナ『そりゃ寂しくないと言えば嘘になるし、一緒に来て欲しいかと言われたら来て欲しいよ』
少し潤んでいて、でも笑顔で
ミーナ『でもそれはダメ、あなたにはあなたの夢があるんだから…離れてたって私たちは私たちで、ずっと変わらないでしょ?私たち2人ならどんな選択肢でも大丈夫だって!』
聞いてて少し辛くなって
気がついたら抱きしめていた。
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- 6 : 2015/08/24(月) 00:00:50 :
マルコ『…ありがとう、そんなに考えてくれてたなんて』
ミーナ『…浮気したら怒るからね』
マルコ『君より素敵な人はいないよ…本当にありがとう』
ミーナ『うん…よかった、思ってたことちゃんと言えて…いつかは言おうと思ってたんだけどなかなか言えなくて…。今更だけど手紙にすればよかったかなあ…言うのって結構恥ずかしい…』
マルコ『…手紙………!?』
まずい!
まずいよどうしよう、すっかり忘れてた!!
まだ彼女への手紙を書き終わってない!!!!
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- 7 : 2015/08/24(月) 19:51:18 :
カーン…カーン…
ミーナ『あ、鐘だね…帰ろっか…マルコ?』
マルコ『…ああ、そうだね。帰ろうか』
解散式まで、残り1ヶ月。
書き終わるかな…
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- 8 : 2015/08/24(月) 19:51:44 :
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マルコ『あった…よかったぐしゃぐしゃになってなくて…』
部屋に戻った僕は真っ先に机の引き出しを開けて書きかけの手紙を探した。
あのデートの日から、夜寝る前に手紙を書くのが習慣になっていた。
でもいざ机に向かうと、何を書けばいいかわからなくなり
書くに書けないまま、訓練が卒業演習に向けて厳しいものになり
いつしか書く時間はなくなっていって、手紙も机の中にしまわれたままになってしまっていた。
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- 9 : 2015/08/24(月) 19:51:58 :
マルコ『…あああもう、なんで忘れてたんだよ僕の馬鹿…!』
残りは1ヶ月、以前書いていた時は1ヶ月以上時間があったはずなのに書ききれなかった。
今度こそ間に合う気がしない…!
ジャン『…お前まさか、まだ書き終わってねえのか』
後ろから親友の呆れた声が聞こえる。
マルコ『…間に合う気がしないよ』
ジャン『じゃあ諦めるか?』
マルコ『やるよ、諦めるもんか』
あと1ヶ月しかない
でも渡すと決めたんだ、今度こそ彼女に想いを伝えるんだ。
こうして僕は、数ヶ月ぶりに彼女へのラブレターを書き始めた。
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- 10 : 2015/08/24(月) 20:57:47 :
Chapter7 : こんな言葉笑われるかな
あの日から…僕が手紙を書くのを再開してから早1ヶ月。先日の卒業演習も無事に突破し、ついに今日、僕らは訓練兵団を卒業する。今日は解散式だ。
それは同時に、彼女と一緒に過ごす時間が激減することを意味する…
今日は丸1日休みの日。僕らは最後のデートの約束を交わしていた。
場所はあの市場、だったのだが…
ミーナ『本当にごめん…まさか熱出すなんて…』
マルコ『しょうがないさ、昨日風邪っぽかったし…今日はなしにしてまた今度にしよう、ね?』
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- 11 : 2015/08/24(月) 21:02:41 :
そう、ミーナが熱を出したのだ。
体調不良のまま卒業演習に出たのが原因だ。
まあ出なければ卒業できなかったから仕方ないのだが…少し残念だな…
ミーナ『本当にごめんね…うつしちゃいそうだし、今日は私についてないでゆっくりしてて?』
マルコ『いや、ここにいるよ。心配だし…』
本来女子寮は男子禁制だ。
今回僕は、普段なら絶対にやらない、人生で初めての規則違反を犯す(女子寮に忍び込む)という行動に出た。今日が休暇でよかった、朝から人が少なくて助かる。
ミーナ『ダメ、うつしたくない』
こういう時の彼女は一歩も譲らない
仕方ない、出ようか…。
マルコ『…安静にね?あとでご飯持ってくるから』
ミーナ『うん、ありがとね』
さて…
手紙、書かなきゃ…
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- 12 : 2015/08/24(月) 21:10:57 :
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マルコ『ああああ違うこうじゃない…』グシャッ
何枚目だろうか、こうして紙を丸めるのは…
あの日手紙を書くのを再開した僕はずっとこうやって書いては丸め書いては丸めを繰り返している。
当然手紙は完成していないわけで…
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- 13 : 2015/08/24(月) 21:11:28 :
マルコ『ジャンに知られたら怒られそう…』
ジャン『…というか呆れるだろうな……マルコ、お前…』
マルコ『だよね…』
ジャン『…』
マルコ『…』
ジャン『…』
マルコ『…最近ミカサとはどうなの?』
ジャン『話をそらすな…だから早く書けといったのに…』
ジャンがため息をつく
ごもっともすぎてぐうの音も出ない…。
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- 14 : 2015/08/24(月) 21:12:28 :
ジャン『解散式今日の夜だろ、お前のそのペースじゃ間に合いそうにねえな…どうするんだ?』
マルコ『…所属兵科を決める日にする。その日までは一緒にいれるわけだし…今度は絶対に間に合わせてみせる』
そう、今度こそ間に合わせる。間に合わせないと、もうチャンスが巡ってこないかもしれないから。
ジャン『本当に今度こそ間に合わせろよ…。俺は昼飯食うけどお前どうする?』
マルコ『僕はミーナにご飯持って行くから、先に行って席取っててくれるかな。たぶん一緒には食べさせてくれないから』
ジャン『…サラッと忍び込むつもりなのを暴露してんじゃねえよ、ていうか実はもう忍び込んだなお前?』
マルコ『今日が最初で最後だから!』
ジャンにそう告げ食堂へと向かう。
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- 15 : 2015/08/24(月) 21:12:55 :
ジャンにそう告げ食堂へと向かう。
マルコ『うわ、雨降ってる…いつの間に?』
さっきまで降ってなかったから、通り雨かな?
とにかく、行くしかない。
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- 16 : 2015/08/25(火) 18:57:41 :
- 期待‼
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- 17 : 2015/08/26(水) 22:30:34 :
- >16.京月さん
ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
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- 18 : 2015/08/26(水) 22:30:38 :
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コンコン
マルコ『ミーナ、僕だよ。ご飯持ってきたよ』
ミーナ『マルコ、ごめんねありがとう』
そういう彼女の額に手を当てる。
マルコ『うん、朝よりは下がってると思うよ。しっかり食べて体力つけてね』
ミーナ『うん、いただきまーす…の前に!』
マルコ『まだ風邪治ってないから出て、だろ?言うと思った』クスクス
ミーナ『な、笑わないでよー!こっちは気を遣ってるつもりなのに…』
マルコ『…ミーナ、僕は君の彼氏だよ。そんなに気を遣わなくてもいいんだからね?』
頭をぽんぽんと撫でる。
…耳まで真っ赤だ、僕までつられて赤くなりそう。
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- 19 : 2015/08/26(水) 22:31:04 :
ミーナ『ありがとう、でも、本当にうつしたくないから…』
マルコ『…わかった、じゃあ治ったらまた、ね?』
ミーナ『うん!またね!』
部屋から出ようとした僕はふと窓を見た。
雨が上がっている、やはり通り雨だったようだ。
そして目に映ったのは
マルコ『ミーナ、外見て!』
ミーナ『…わあ!すごい綺麗…!』
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- 20 : 2015/08/26(水) 22:31:22 :
大きな虹
こんな綺麗な虹を見たのはいつぶりだろうか。
ミーナ『…なんかさ』
マルコ『うん』
ミーナ『これはこれで素敵なデートだね?』
マルコ『1人は風邪ひいてるけどね』クスクス
ミーナ『な、治すってば!』
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- 21 : 2015/08/26(水) 22:33:36 :
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食堂へ戻り、ジャンの元へ向かう。
彼はもう半分ほど食べ終わっていたので慌てて正面へ座った。
ジャン『…マルコ、所属兵科はどうするんだ?成績考えるとミーナとは…』
マルコ『僕は憲兵団に行くよ。彼女も応援してくれてる、というか夢を叶えなかったら怒るって言われた…』
ジャン『ああ、じゃあ卒業後も俺と同じか』
マルコ『君も憲兵団なのか』
ジャン『おう…まあ…本当のところはあいつを1人にしていいのかって思ったんだけどさ…』
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- 22 : 2015/08/26(水) 22:33:57 :
その言葉にちょっと驚く。
マルコ『…君がそんなこと言うなんてちょっとびっくりだよ。やっぱりミカサのことが?』
ジャン『おう…まあ実際あいつの方が強いから、同じところに入ったら間違いなく俺が先に死ぬだろうな…でもそれだけはごめんだ、死にたくないってのもそうだがあいつを置いて…って何を言わせる』
マルコ『どうぞ続けて』
ジャン『…結局ミカサに言ったら無理をする必要はない、私は強いから。ってさ…だから憲兵団へ行くつもりだ。俺は俺なりのやり方であいつを支える』
そう言ったジャンの目は真っ直ぐだった。
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- 23 : 2015/08/26(水) 22:34:40 :
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マルコ『一応できたぞ…!』
部屋に帰った僕は、3時間かけて手紙の下書きを完成させた。あちらこちらにある校正の跡で紙は真っ黒だけど。
よし、これなら間に合いそうだ…とりあえず読み返して変なところがないか確認しなきゃ…
【ーーーー晴れの日も雨の日もあなたといることができて僕は幸せです。これから巡る季節も、あなたと一緒に見ていたいですーーーーーー】
…こんな言葉笑われるかな
笑われるよな……
マルコ『ああああダメだ、こんなんでいいのか?!というか何が良くて何がダメなんだ?!』
叫びながら紙をぐしゃぐしゃに丸める。
前言撤回、これもボツだ。こんな調子で間に合うのか…?
マルコ『…ええい書くしかないか!』
そういえば手紙を書き始めてから、独り言が増えたなあ…
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- 24 : 2015/09/01(火) 23:52:03 :
Chapter8 : 君への愛の文
キース『これを以って、第104期訓練兵団を解散する!!!』
キース教官の掛け声と共に、僕ら104期訓練兵団は解散した。
僕は無事に7位で卒業となり、憲兵団へ行けることになった。ようやく子供の頃からの夢が叶うのだ。
ミーナ『マルコ!7位おめでとう!』
マルコ『ミーナ!もう動いて平気なのか?まだ休んでたほうが…』
ミーナ『全然大丈夫よ!それよりね、渡したいものがあるんだ。消灯前にいつもの場所に来れる?』
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- 25 : 2015/09/01(火) 23:52:22 :
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思えば消灯前のこの時間は僕の唯一の楽しみだった。
厳しい訓練の後に彼女と過ごすことが本当に幸せだった。
ミーナ『で、渡したいものっていうのは…これです!』
そう言って差し出したのは…封筒?
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- 26 : 2015/09/01(火) 23:53:12 :
マルコ『もしかして、手紙?』
ミーナ『うん!ほら、去年の記念日に約束したでしょ?2年分のプレゼントを用意するから楽しみにしててって。本当は今日市場に行った時に買うつもりだったんだけど、ダメになっちゃったから…』
ってことは彼女は今日1日でこれを書いたのか…その文才が僕にもあればいいのに。
マルコ『読んでいい?』
ミーナ『え、今?!恥ずかしい…!けど…どうぞ?』
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- 27 : 2015/09/01(火) 23:53:43 :
【マルコへ
今日は本当にごめんね、プレゼントの代わりと言ってはなんですが手紙を書きました。
マルコはたまにちょっと意地悪で、でも優しくて。こんな素敵な人に好きになってもらえて、私は幸せ者だなって思います。
初めて会った時のこと覚えてる?
あの時はからかってごめんね笑
今では私の方がいじられてるからおあいこということにしてくれると嬉しいです。
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- 28 : 2015/09/01(火) 23:53:59 :
えと、変なこと言うとね…あなたといることで、ただの明日が世界で1番素敵な明日に感じるんだ。世界にたった1人のマルコと私で作る明日。
手を繋ぐだけで、喋るだけで、本当に幸せ。うん、なんかまとまってないね笑
だから兵科が別れても大丈夫!だって私たちだもの…憲兵団に行ってもしっかりね!
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- 29 : 2015/09/01(火) 23:54:09 :
最後に、私の『これまで』と『これから』はあなたとの幸せです。
今まで一緒にいてくれてありがとうございました、そして、これからも末永くよろしくお願いします。
ミーナ】
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- 30 : 2015/09/01(火) 23:54:38 :
マルコ『…すごいね、なんていうか』
ミーナ『そんなことないよ、文章力ないし、本当に申し訳ない…』
どうやら人間は、本当に感動すると何を言えばいいのかわからなくなるらしい。
ひとつひとつ言葉を紡ぎながら彼女を抱きしめる。
マルコ『ありがとう、ミーナ。最高のプレゼントだよ。これからも…その、ずっとよろしくね』
ミーナ『うん、こちらこそよろしくね!』
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- 31 : 2015/09/01(火) 23:54:52 :
ああ、幸せだな
彼女を抱きしめながらいつもそう思う。
こんな幸せな日々が、いつまでも続けばいい
いや
いつまでも続くに違いない、そう、終わるわけがないのだ…。
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- 32 : 2015/09/02(水) 23:24:46 :
Chapter9 : その日
響く轟音
混じって聞こえる悲鳴
昨日までの平穏は、一瞬にして崩れた。
超大型巨人が、再び壁を破壊したのだ。
もちろん僕ら訓練兵にも出撃命令が出ている。つまり、命を投げ打つ覚悟であの場へ向かわなければならないのだ。
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- 33 : 2015/09/02(水) 23:25:08 :
マルコ『ミーナ!やっと見つけた!』
ミーナ『マルコ!…ついに初陣ね…』
マルコ『ああ…本当は君には安全な場所にいて欲しいけど…』
ミーナ『みんな戦ってるんだもの、行くしかないわ…大丈夫よ!死んだりなんかするもんですか!』
マルコ『ああ、僕だって…』
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- 34 : 2015/09/02(水) 23:25:29 :
その続きは言えなかった。
胸騒ぎがしたからだ。
なんだ?この胸騒ぎは…
これじゃまるで…
まるでこれから死…
ミーナ『マルコ…?どうしたの?』
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- 35 : 2015/09/02(水) 23:26:02 :
彼女を物陰に引っ張り込み、その言葉にかぶせるように唇を塞ぐ。
もちろん周りには他の訓練兵もいる。しかし僕らに気づかないのか、彼らはこちらを見向きもしない。
ミーナ『…っちょ!マルコ?!見られたらどうす…マルコ?』
マルコ『…頼むから、絶対に、絶対に死なないでくれ…』
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- 36 : 2015/09/02(水) 23:26:23 :
手が震える
声も細くなる
僕らは兵士だ、死を覚悟していないわけではない。
だけどもちろん死ぬ気もないし、彼女だってそうだろう。
なのになんで
なんで、今こんな胸騒ぎがするんだ…!!!
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- 37 : 2015/09/02(水) 23:27:10 :
ミーナ『…私も怖いの、あなたと離れるのが…だから、マルコ。あなたも死んじゃいやよ』
温かい手が頬に触れる
その手も微かに震えていた
たまらず彼女を抱きしめる
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- 38 : 2015/09/02(水) 23:27:40 :
『19班!出撃準備に入れ!』
遠くで教官の呼ぶ声がする。
僕は19班、彼女は34班だ。
マルコ『…じゃあ僕は行くよ』
ミーナ『ええ、気をつけて…』
最後まで触れていた手が離れる。
『30班から35班は待機場所へ移れ!』
彼女にも号令がかかった。
たまらずもう一度振り返ると、走り去る彼女の姿が見えた。
マルコ『…必ず、生きて帰るから』
彼女の姿を目に焼き付け、僕も持ち場へと走り出した。
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- 39 : 2015/09/20(日) 00:18:10 :
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それからは地獄だった。
前線に向かってまず目にしたのは同期の変わり果てた姿だった。
座学をいつも教えてあげた子や
立体機動が速かった子
まさかこいつが、っていうやつも
僕の班員も1人死んだ。
前方の巨人に気を取られ、下からの攻撃に気付けなかった。
僕の責任でもある。
もっと周りを見れていたら…。
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- 40 : 2015/09/20(日) 00:18:33 :
そして、今
ジャン『どうもこうもねえよ…やっと撤退命令が出たってのに、ガス切れで壁を登れねえ…そんで死ぬんだろうな全員…あの腰抜けどものせいで…』
コニー『補給班の連中か!あいつらどうしたんだよ!…全滅したのか?』
ジャン『戦意喪失したんだとよ…気持ちはわかるけどよ、俺たちへの補給任務を放棄して本部に籠城はねえだろ…案の定、巨人が群がってガスを補給しに行けねえ…』
コニー『だったら!そこに群がる巨人を一か八かやるしかねえだろ!』
生き残った僕らは、絶望的な状況にあった。
そう、ガスがないのだ。
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- 41 : 2015/09/20(日) 00:18:51 :
僕らにとって立体機動装置のガスは命だ
それが切れるということは死を意味する…
サシャが周りの兵士を必死に鼓舞する声が聞こえる。
でもその声は、きっと聞こえていない。
いや、聞こえているけど、心には届いていない。
当然だ。こんな地獄、見たら誰だって戦意を失う。
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- 42 : 2015/09/20(日) 00:19:11 :
アニ『ライナー、どうする?』
ライナー『まだだ、やるなら集まってからだ』
マルコ『…ダメだよ…どう考えても、僕らはこの街から出られずに全滅だ。死を覚悟してなかったわけじゃない...でも...一体何のために死ぬんだ...』
それは僕だって例外じゃない。
ここにきて口から出てくるのは弱音ばかり
考えるのは彼女のこと
今この場に彼女はいない
…無事だろうか。
いや、無事に決まっている。きっとまだ来ていないのだ。
今すぐに会いたい
会って、抱きしめたい…
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- 43 : 2015/09/20(日) 00:19:33 :
『ーーー!お前後衛のはずじゃ』
『アニ!』
聞き覚えのある声に振り返る。
『なんとなく状況はわかってる。その上で、私情を挟んで申し訳ないけど、エレンの班を見なかった?』
ミカサだった。
その答えは僕も知りたい。
なぜならエレンは34班、ミーナの班の班長だからだ。
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- 44 : 2015/09/20(日) 00:20:01 :
アニ『私は、見てないけど。壁を登れたかも』
ライナー『そういやあっちにアルミンがいたぞ』
ハッとしたミカサがアルミンの元へ向かう。
確か彼も34班だったはず…アルミンはいるのか、じゃあ彼女は?どこにいるんだ?
2.3言葉を交わし、ホッとしたように息を吐くミカサ。内容はあまり聞こえない。
ミカサが立ち上がったあと、アルミンがずっと伏せていた顔を上げた。
…泣いているのか?
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- 45 : 2015/09/20(日) 00:21:03 :
その口がゆっくり動く。
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- 46 : 2015/09/20(日) 00:23:25 :
アルミン『僕達…訓練兵34班…』
『トーマス・ワグナー』
『ナック・ティアス』
『ミリウス・ゼルムスキー』
『ミーナ・カロライナ』
『エレン・イェーガー』
『以上5名は、自分の使命を全うし』
『壮絶な戦死を遂げました…!』
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- 47 : 2015/09/20(日) 00:23:55 :
その瞬間、僕の世界から色が消えた
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- 48 : 2015/09/20(日) 00:24:24 :
ジャンの表情が固まった。
アニが反射的にこちらを振り返ったのが見えた。
そんな事どうでもいい
彼女が
ミーナが
死んだ…?
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- 49 : 2015/10/09(金) 23:32:38 :
どうして、どうしてなんだ
なんで彼女が…?
どうして
どうして
どうして
ミカサ『落ち着いて…今は感傷的になっている場合ではない』
もう…どうでもいい
早く僕も…彼女のところへ…
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- 50 : 2015/10/09(金) 23:33:28 :
“マルコ”
…え?
“マルコ”
この声は…
“お願い、生きて”
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- 51 : 2015/10/09(金) 23:33:58 :
ミーナ…?
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- 52 : 2015/10/09(金) 23:34:31 :
『マルコ』
ミカサの呼ぶ声が、一瞬で僕を現実へ引き戻す。
今のは、今の声はいったい何だったんだ…?
ミカサ『ーーー違わない?』
彼女曰く、本部の周りの巨人を全て倒す、それをミカサが引き受けるというとのことだった。
いや、どう考えてもそんなの無茶だ。
マルコ『いくらお前がいたとしても…』
ミカサ『できる』
こちらをキッと見る彼女
その目に光はない
ああ
そうだ、彼女だってエレンを…
ミカサ『戦わなければ勝てない…!』
そうだ…今は生きるか死ぬかがかかっているのだ。
何を考えていたんだ、僕は
生きなきゃ…!
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- 53 : 2015/10/09(金) 23:35:20 :
Chapter10 : 声が聴こえる
あれからどのくらい時間が経っただろうか。
僕は通常ならばありえない光景を目にしている。そしてそのありえない状況の中必死に戦っている。人類の勝利を目指して…。
まず、僕らは何人かの犠牲を払い無事に本部にたどり着くことができた。ガスも補給できた。
そしてエレンは生きていた…巨人化できる身となって。
司令曰く、巨人化生体実験の成功者らしいが…絶対に嘘だと思う。
だけど今はそんなことどうでもいい。
今戦いは局面を迎えている。
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- 54 : 2015/10/09(金) 23:35:32 :
エレンが破壊された扉を塞ぐために、巨人となってあの大岩を運んでいるのだ。
僕ら訓練兵はエレンに巨人が向かわないよう囮をしているのだが、数が多すぎる。
さっきまで指揮を取っていた駐屯兵団の人たちもあっという間に食われた。
…頭に浮かぶのは彼女の最期
遺体を見ることすら叶っていない
頼む。
これ以上犠牲者が出ないうちに…!
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- 55 : 2015/10/09(金) 23:35:57 :
エレンを見やると、門まであと少しといったところか。とにかくもうすぐ終わりそうだ。
ふと気配を感じ、後ろを振り返ると数十メートル後ろに巨人が見えた。
その前を、立体機動で飛んでいる金髪の少女は…
それが誰だかわかった瞬間、僕は走り出していた。彼女にスピードを上げる素振りは見当たらない。まさか、気づいてないのか?!
頼む、間に合ってくれ…!
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- 56 : 2015/10/11(日) 23:46:18 :
マルコ『アニ!後ろだ!!』
『グガアアアアアアア』
僕の声と同時に彼女を追いかけていた巨人が咆哮した。ようやく彼女も気づいたらしく、後ろを振り返り、そのままいとも簡単に奴のうなじを削いだ。
アニ『マルコ!…助かった、ありがとう』
マルコ『お礼はいいよ、無事で良かっ…』
ドォォォォォォン
マルコ『!?いっ、今のは?!』
アニ『…あの馬鹿、やっと終わったらしいね』
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- 57 : 2015/10/11(日) 23:47:00 :
"終わった"
その言葉の意味を理解するのに数秒かかった。
門の方角を見ると、あの大きな穴が完全に塞がれていた。
マルコ『あ…やった……!』
ミーナ…約束守れたよ。
僕、ちゃんと生き残れた…。
アニ『とりあえず撤退しよう…ほら、泣くのはあと』
アニに指摘され、ようやく自分が泣いていることに気づいた。
…あとでちゃんと彼女の遺体を探さないと。
そう思いながら飛び立つ
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- 58 : 2015/10/11(日) 23:47:53 :
アニ『…ミーナのこと、残念だったね』
マルコ『うん…でも今はまだ悲しむときじゃない。まずは生きなきゃ、彼女の分も』
アニが体の向きを変えた。
その瞳は驚きに満ちている
アニ『あんた、あの時あんなに酷い顔してたのに、よく…』
マルコ『うん、あの時は死んでしまいたくなったよ。でもね…』
彼女の声を聞いたから。
その言葉を発することはできなかった。
だって横から、巨人が
マルコ『アニ!!!』
スピードを上げ、咄嗟に彼女を抱えて屋根の上に転がり込む。
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- 59 : 2015/10/11(日) 23:50:24 :
顔を上げるとそこには
マルコ『2体だと…!?』
アニ『最悪だね…やれる?』
マルコ『やるしかないだろ…僕が囮になる!』
彼女との連携はほとんど初めてだ、訓練でも2回くらいしか組んだことがない。
なのに驚くくらい息が合う。これが4位の実力か…!
彼女が空を舞い、鮮やかに奴らのうなじを削いで行く。
さあ、あと1体だ。
そう思った瞬間、視界が歪んで180度回転し、そのまま地面に落ちた。
…なんで落ちたんだ?
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- 60 : 2015/10/16(金) 23:29:59 :
マルコ『っ…』
なんとか体を起こし状況を確認する。
十数メートル先に何か落ちている。
あれは、僕の立体機動装置だ。
マルコ『なっ…なんで装置が外れてるんだ?!』
落ち着け思い出せそうだ万が一大怪我をするような負荷や衝撃がかかった場合例えばワイヤーがやられた時は立体機動装置は外れるような仕組みだったはずああじゃあ今あの仕組みは正しく機能したんだな落ち着け落ち着け落ち着け
落ち着け!
マルコ『あれがないと…くそ…っ!!なんで今外れるんだ!!』
そう叫び、走り出そうとした瞬間だった。
-
- 61 : 2015/10/16(金) 23:30:29 :
体が勝手に浮いた。
奴に体を掴まれたらしい。
-
- 62 : 2015/10/16(金) 23:30:57 :
アニ『マルコ!!!』
彼女が助けに来るのが見えるが、後ろから新たな巨人が迫っていて思うように動けない。
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- 63 : 2015/10/16(金) 23:33:40 :
-
嫌な音とともに全身に痛みが走る
目の前には奴の口
全てがスローモーションに見える
今、自分でも驚くぐらい冷静だ
甦るのは彼女の笑顔、声、共に過ごした日々
最期に交わしたあの言葉、後ろ姿
痛い
ごめんミーナ、約束守れそうにない
痛い
怒るかな、いやむしろ彼女なら泣きそうだな
痛い
いたい
イタイ
イタイいたいイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイ痛いイタイイタイイタイいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ痛いイタイイタイ痛いいたいイタイ
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- 64 : 2015/10/16(金) 23:35:53 :
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ついに視界が真っ暗になった
もう何も見えない
イタイのかすらわからなくなった
薄れゆく意識の中
誰かの悲鳴に混ざって彼女の声が聞こえた気がした
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- 65 : 2015/10/16(金) 23:39:03 :
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- 66 : 2015/11/04(水) 23:57:59 :
Chapter11 : 終わらないラブレター
トロスト区奪還作戦から1週間経った。
俺は作戦で死んだ親友の遺品整理を命じられ、1人あいつの机の前に立っていた。
本当に信じられない、あいつが死んだなんて…
『…手伝おうか』
突然声をかけられ驚いた。
なぜってここは男子寮で、本来女子は立ち入り禁止のはずだからだ。
…そういえばあいつも最後の日に、女子寮に忍び込んでたっけ。
-
- 67 : 2015/11/04(水) 23:58:35 :
『お前、ミーナの方は』
『もう済ませた。教官に許可はもらってる』
『…じゃあ頼むわ』
彼女もまた、攻防戦で友人失っている。
その子は、俺の親友と付き合っていた。
なんで、2人とも……
『ねえ、これ…全部あの子宛の手紙だよ』
ゴミ箱を片付けていた彼女が何枚か紙を持ってきた。
もしかして…
『ああ…所属兵科決める時に渡すって言ってたやつだと思う』
『何回も書き直したんだね…訂正だらけだ』
結局その手紙が、彼女へ渡ることはなかった。
-
- 68 : 2015/11/04(水) 23:58:59 :
『…クソっ』
なんとも言えない思いで机の引き出しを開ける。
中は綺麗に整頓されていて、如何にもあいつらしい。
だがそこには雑に折られた紙が1枚入っていた。
まるで慌ててしまいこんだかのように。
『それも手紙かい?』
『そうかもしれない』
-
- 69 : 2015/11/23(月) 22:49:09 :
少し躊躇ったが今更だと思い直し、その紙をひらく
……。
『…は、ははっ……』
『ジャン…?』
『あいつ……っ…結局…書き終わって、ねえじゃねえか……だから、早く書けって…言ったのによ…はは…っ…く……はは、は…』
-
- 70 : 2015/11/23(月) 22:49:56 :
なあ、マルコ
お前が死んだのが、未だに信じられねえよ
-
- 71 : 2015/11/23(月) 22:52:25 :
_____________________
ミーナ・カロライナ様
あなたに手紙を書くのは初めてですね。
伝えたいことがたくさんあって何から書けばいいのかわからないので、とりあえず最初に一番言いたいことを書きます。
僕はあなたが大好きです。
_____________________
-
- 72 : 2015/11/23(月) 22:53:35 :
〜完〜
-
- 73 : 2015/11/23(月) 23:25:16 :
- 進撃GReeeeNシリーズ、最後までお付き合いいただきありがとうございました!
これにてシリーズ完結となります。
シリーズを通して投稿が遅く、本当にすみません…応援してくださった方々、心から感謝しています_(⌒(_;ω; )_
私事ですが、これから多忙になるためこちらへの投稿が難しくなります。また投稿する機会があればそのときはよろしくお願いいたします!
コメントはこちらまで
http://www.ssnote.net/link?q=http://www.ssnote.net/link?q=http://www.ssnote.net/groups/1306/archives/1
ジャン↑
-
- 74 : 2015/11/23(月) 23:25:34 :
- もしよければ過去の作品もよろしくお願いします!
1作目
ミカサ『部分記憶障害』
http://www.ssnote.net/archives/3445
2作目
『待つ人の話』
http://www.ssnote.net/archives/4701
3作目
『泣いた巨人』
http://www.ssnote.net/archives/7726
4作目
ヒッチ『マルロが女になった』 マルロ?『だーかーら!マルロじゃなくてマロルですって!』
http://www.ssnote.net/archives/10351
5作目(進撃GReeeeNシリーズ)
ジャン『どうしようもないくらい』ミカサ『君が好きなんだ』 〜オレンジ〜 前編
http://www.ssnote.net/archives/12209
6作目(進撃GReeeeNシリーズ)
ジャン『どうしようもないくらい』ミカサ『君が好きなんだ』 〜オレンジ〜 後編
http://www.ssnote.net/archives/12689
7作目(進撃GReeeeNシリーズ)
エレン『君に捧ぐ』クリスタ『この愛の唄』 〜愛唄〜
http://www.ssnote.net/archives/15123
8作目(制限付きSS投稿企画)
アルミン『大好きな君へ』
http://www.ssnote.net/archives/16774
9作目(進撃GReeeeNシリーズ)
ミーナ『こんな言葉、笑われるかな』マルコ『君への愛の文【あいのうた】』 〜恋文《ラブレター》〜 前編
http://www.ssnote.net/archives/38624
-
- 75 : 2023/07/09(日) 16:02:14 :
- http://www.ssnote.net/archives/90995
●トロのフリーアカウント(^ω^)●
http://www.ssnote.net/archives/90991
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
sex_shitai
toyama3190
oppai_jirou
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sukebe_erotarou
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cherryboy
momoyamanaoki
16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
ちょっと時間あったから3つだけ作った
unko_chinchin
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mikasatosex
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unko
http://www.ssnote.net/archives/90992
アカウントの譲渡について
http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654
36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな
22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。
46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね
52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑
89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ
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