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ミーナ『こんな言葉、笑われるかな』マルコ『君への愛の文【あいのうた】』 〜恋文《ラブレター》〜 前編

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  1. 1 : : 2015/08/17(月) 21:53:39
    みなさんお久しぶりです、彩華です。
    大変長らくお待たせいたしました、進撃GReeeeNシリーズ最終章になります。

    このSSはGReeeeNさんの『恋文《ラブレター》』を聞いて思いついたものです。
    GReeeeNさんの曲に対する誹謗中傷はご遠慮ください。

    自分なりの解釈が含まれますが、おつきあいいただければ幸いです。
    マルミー。

    感想はこちらまで↓
    http://www.ssnote.net/link?q=http://www.ssnote.net/groups/1306/archives/1

    更新が今まで以上にカメさんですが、よろしくお願いします!
  2. 2 : : 2015/08/18(火) 00:30:10


    Chapter1 : 増えていく気持ち



    3月の暖かい風が、鐘の音を運んでくる。


    カーン…カーン…


    『あ…消灯の鐘だね』


    見るからに落ち込んだ顔でその音を聞く彼女

    それもそうだ。僕らがこうやって落ち着いて話せるのも、この時間だけなのだから。


    『うん…じゃあ続きは明日か。教官に怒られる前に、ほら。おやすみ』

    『うん、おやすみ!……あ』
  3. 3 : : 2015/08/18(火) 00:30:39


    立ち上がり、2.3歩進んだところで彼女は歩みを止めると


    『…』スッ


    『?』


    僕に顔を寄せ


    『…』チュ


    頬にキスをしてきた。


    『!』

    『えへへ…いつもたくさんもらってばっかりだから、お返し!もうすぐ記念日だしね』


    頬を赤く染め、満面の笑みを浮かべる彼女

    僕の頬もつられて赤くなっているのを感じる。

    …ああ、可愛いな。
  4. 4 : : 2015/08/18(火) 00:31:03


    『僕そんなに何かあげたっけ…?』

    『うん!いっぱいもらってるよ、あなたが気づいてないだけ』


    そうかな

    そう言おうとしたら


    『じゃあまた明日ね、マルコ!』


    彼女は女子寮へと歩き始めてしまった。


    『また明日!ミーナ!』


    そう声をあげ、僕も寮へと走り出す。
  5. 5 : : 2015/08/18(火) 00:31:41


    僕は第104期訓練兵団、19班班長マルコ・ボット。来月で訓練兵団3年目を迎える。

    さっきまで一緒にいた彼女はミーナ・カロライナ。同じく第104期訓練兵団、34班所属だ。


    まるで接点が見当たらない僕たちが付き合い始めてもうすぐ1年が経つ。


    僕らのこの関係、知っているのはごく少数。

    男子はジャンだけ、ミーナ曰く女子はアニだけだそうだ。


    なぜ少数か、理由は簡単だ。


    僕らが周りに喋らないから。


    一緒の時を静かに過ごしたいというお互いの意見が一致した、それだけ。


    訓練を終えて、消灯時間までの1時間が僕らの時間。

    その時間しか落ち着いて話せないけれど、そばにいれるだけで幸せで、会うたびに好きという気持ちが増えていく。


    付き合い始めた日から


    いや、初めてあったあの日から…


    マルコ『記念日か…』


    初めての記念日、なにをすればいいのかさっぱりわからない。

    何かプレゼントを送ればいいのかな、フランツもハンナにネックレスをあげてたっけ…誰かに相談するとなると…


    マルコ『…怒られそうだけど、ジャンに聞いてみるか』


    寮についた僕は、真っ先に親友の元へ向かった。
  6. 6 : : 2015/08/18(火) 21:26:04


    Chapter2 : 初めて出会ったあの日



    彼女と初めて会ったのは1年前の入団式だ。


    キース『違うぞ!貴様は豚小屋出身家畜以下だ!』

    『ハッ!自分は家畜以下であります!』


    額に汗を浮かべながらそう叫ぶ女の子

    …家畜以下だなんてひどい。


    キース『貴様は何者だ!』


    ぼーっとしてて一瞬反応が遅れた。


    マルコ『ウォール・ローゼ南区、ジナエ街出身!マルコ・ボットです!』


    まあこのあと僕もだいぶキツイこと言われたんだけど、それよりもさっきの彼女の方が気になった。

    無事通過儀礼を終えて、彼女の姿を探すが周りには見当たらない。

    まさかいるわけないと思って覗いた兵舎裏に


    マルコ(いた…)


    彼女は膝を抱え座り込んでいた。

    どうやらそこに咲く花を見ているようだ。
  7. 7 : : 2015/08/18(火) 21:27:30

    マルコ『…あの、大丈夫?』

    『きゃっ!?』


    驚いて立ち上がる彼女

    近くで見ると、他の女子と比べて身長が少し高いことがわかる。


    マルコ『あ、驚かせてごめん…!』

    『大丈夫…こちらこそごめんなさい、大げさな反応で…えと、どちら様?』

    マルコ『僕はマルコ・ボットだ、君は確か…』

    『豚小屋出身、家畜以下です』

    マルコ『え!?』


    突然真顔でそう言われたので面食らったが


    『なーんてね!』


    彼女はぺろっと舌を出してウインクした。

    不覚にもドキッとしたな…


    マルコ『び、びっくりした…』

    『ごめんごめん笑 そういえば大丈夫ってどういうこと?』

    マルコ『ああ、君が通過儀礼で酷いこと言わされてたのが気になってたんだけど…大丈夫そうだね』

    『大丈夫に決まってるでしょ!あれくらいでへこたれてたらこの先やっていけなさそうだし…』
  8. 8 : : 2015/08/18(火) 21:34:50

    カーン…カーン…


    彼女との会話は鐘によって遮られた。
    しまった、もう集合の時間だ。


    『やばっ早く行かなきゃ』

    マルコ『そうだね…あ!』


    そう、一番大事なことを聞いていない。


    マルコ『君の名前は?』

    『あ、自己紹介まだだったね!』


    ミーナ『ミーナよ、ミーナ・カロライナ!よろしくね!』


    溢れんばかりの笑顔でそういう彼女


    その笑顔から目が離せなくて、しばらく何も言えなかったのを覚えてる。


    たぶん、この時から僕は彼女が好きだったんだ。


    ーーーーーーーーーーーーーーーー
  9. 9 : : 2015/08/18(火) 21:55:50

    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    マルコ『…ということでジャンに相談しようと思って言ったんだけど…』


    部屋に帰った僕は、すぐに事のあらましを彼に話した。


    ジャン『…』


    彼は顔を上げ、無言でこちらを見ると


    ジャン『だぁあぁあああ爆発しろよ羨ましいッ!!!!!』


    頭を抱えながら転げ回った。

    …予想通りの反応といえばそうなのだが、彼しか相談相手はいないのだ。


    マルコ『ごめんって…!でも君にしか相談できないし!』

    ジャン『フランツにしろよ!あいつの方が適任だろ!』

    マルコ『僕が言ったこと忘れたの!?君しか知らないんだよ僕らのこと!頼むよ…!』

    ジャン『忘れちゃねえけどさ…はあ…めんどくせえ』


    ジャンがため息を吐きながらそう言う。

    でも僕は知ってる、彼はこう言いつつも真剣に考えてくれているということを。
  10. 10 : : 2015/08/18(火) 21:56:18


    ジャン『…恋人いねえやつの単純な思考でアドバイスしていいなら』

    マルコ『うん』

    ジャン『手紙とかどうだ…?何か物あげるよりは心がこもってる気がするんだが…』

    マルコ『手紙か…』


    なるほどその手があった

    物だと相手の趣味に合わない可能性もある、それに何より訓練生はそんなにお金を持っていない。


    ジャン『あとは少ない金で買えて普段使える物とかさ。ま、1番はお前の気持ちがこもってるかじゃねえか?俺はもう寝るわ』

    マルコ『うん、ありがとう…!』


    マルコ『あ…ジャンは最近どうなの?』

    ジャン『んー?何が』

    マルコ『ほら、ミカサ…前に告白してからもうじき2ヶ月じゃないか。返事は…』

    ジャン『そうだ!ミカサだ!』


    ガバッと彼が布団を剥いで出てきた、目がキラキラしているので何か良いことでもあったのだろう。


    ジャン『明日夜に兵舎の裏で会えないかって』

    マルコ『本当か…!?よかったじゃないか!』


    ジャンは2ヶ月ほど前に、想い人ミカサへ告白していた。

    返事は『少し時間が欲しい』だった。本人は即玉砕すると思っていたらしく、その返答に相当驚いていた。


    ジャン『おう…!まあそういうことだから寝るわ…おやすみ』

    マルコ『うん、おやすみ』
  11. 11 : : 2015/08/18(火) 23:02:27


    Chapter3 : 君に会うため



    今日もキツイ訓練が終わり、僕と彼女の時間がやってくる。


    ミーナ『やっほ、今日もお疲れ様』

    マルコ『やあ、お疲れ様』


    そう言って隣へ座ると、彼女がもたれかかってきた。


    マルコ『…どうしたの、珍しいじゃないか』

    ミーナ『いいじゃない…たまには甘えさせてよ!』


    そういう彼女の頬は真っ赤だ。


    マルコ『まあいっか…こんなこと普段できないしね』

    ミーナ『うん…』


    2人の間に静寂が訪れる


    ミーナ『ねえ。今度の休日さ、記念日に近いじゃん?一緒に出かけない…?』

    マルコ『それいいね、どこに行きたい?』

    ミーナ『うーん……』


    しばらく考えた後、彼女が告げたのは


    ミーナ『トロスト区の市場かな』

    マルコ『…そこは確か初めて一緒に出かけた場所だね、2回目だけどいいの?』

    ミーナ『うん、原点回帰みたいな!』

    マルコ『じゃあそうしようか』

    ミーナ『うん!懐かしいな…』


    彼女が目をつぶる、きっと初めてのデートのことを思い出してるんだろう。
  12. 12 : : 2015/08/18(火) 23:02:59


    ミーナ『…覚えてる?初めて並んで歩いた時のこと』

    マルコ『もちろん。…君の歩く歩幅が思った以上に小さくてさ、追い越さないようにしなきゃって思って…思わず手を』

    ミーナ『そんなこと思ってたんだ?繋いだ後下向くからただ繋ぎたかっただけかと思ってた』クスクス

    マルコ『笑うなよ…恥ずかしかったんだってば』


    彼女の笑顔に僕もつられて笑う。


    そこへ鳴り響く、鐘の音


    ミーナ『…もう時間か』

    マルコ『そうだね…ほら教官がきちゃうよ』

    ミーナ『はーい…おやすみ!』

    マルコ『あ、今日は送って行くよ』

    ミーナ『珍しいじゃない?でもありがとう!』


    なんとなく、今日はもう少し一緒にいたいと思った。

    少し早歩きで寮へむかう。


    ミーナ『にしても後1年で卒業かあ…』

    マルコ『早いもんだな……!?』


    兵舎の近くまで来た時、僕はあるものを見てとっさに彼女を建物の影に引っ張り込んだ。


    ミーナ『ちょ、マルコ…!?』

    マルコ『静かに!』ヒソッ
  13. 13 : : 2015/08/19(水) 22:45:09

    そう、ここを曲がると兵舎の裏

    ジャンとミカサがいたのだ。


    ミーナ『…ジャンと…ミカサ?』

    マルコ『うん…今日の夜とは言ってたけどまさかこの時間とは…』


    ここから寮へ帰る時は必然的に兵舎の裏を通らなければならない。参ったな、彼らが終わるまで帰れないってことだ…。


    ミーナ『…待ってよっか』

    マルコ『そうだね…どうなるか気になるし』


    こっそりと覗く

    どうやら散歩の途中のようだ。


    ミカサ『今日も、疲れた』

    ジャン『そうだな、相変わらず速えなお前は。今日もぶっちぎりでトップじゃねえか』

    ミカサ『いえ、あなたも速かった。ので、そうでもな…』


    ミカサの言葉が止まる、視線はある一点を捉えたままだ。


    ジャン『…ミカサ、どうした?』
  14. 14 : : 2015/08/19(水) 22:45:57

    ミカサ『あそこに、星が見える』


    ミーナがその方向を見る、僕もそっちを見ると1つ光る星が


    ジャン『…あれか?』

    ミカサ『そう、教官室がある棟の上にある…』

    ジャン『あれはフォーマルハウトだ。南の魚座の一等星』


    ミーナと2人、目を見合わせて彼のほうを見る。

    正直、ジャンが星を知っているとは驚きだ。


    ミカサ『…』


    ミカサも同じことを考えているらしく黙っている。


    ジャン『…どうした?』

    ミカサ『いえ、物知りなのね…意外だと思って』

    ジャン『俺だって星ぐらい見るさ』

    ミカサ『そうね、ごめんなさい』

    ジャン『いや…』

    ミカサ『…』

    ジャン『…』


    訪れる静寂


    沈黙を破ったのは彼女のほうだった。


    ミカサ『…ねえ、ジャン。この前の話のことなのだけど…』


    ミーナがゴクリと息を飲むのが伝わる。


    ミカサ『私は…』


    ーーーーーーーーーーーーーーーー
  15. 15 : : 2015/08/19(水) 22:46:46
    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    寮に戻った僕を待っていたのは、目をキラキラさせたジャンだった。


    ジャン『マルコ!ミカサと付き合うことになった!!』


    見ていたので当然それは知っているが、彼には黙っておこう。


    マルコ『よかったじゃないか…!おめでとう!』

    ジャン『おう!もうわけわかんねえくらい嬉しいよ…!』


    そう言う彼の顔は、出会ってから見た中で一番の笑顔だと言っても過言ではないほど。いやむしろそうなのかもしれない。
  16. 16 : : 2015/08/19(水) 23:04:44


    ジャン『そうだ、お前結局どうするんだよ。記念日が云々の話』

    マルコ『ああ、手紙にすることに決めたよ』

    ジャン『じゃあ早く書けよ、なんなら今から書き始めてもいいくらいだ』


    彼の言葉に首をかしげる。記念日まではまだ時間があるし、彼だってそれを知っているはずだ。


    ジャン『…お前今、まだ時間あるとか思ったろ』

    マルコ『え』


    図星だった、思わずギクッとする。


    ジャン『お前は書く内容が決まってる報告書やら座学のレポートですら時間かかるだろ。そんなお前が、もう少し後に手紙を、ましてやラブレターを書き始めて記念日に間に合うと思ってんのか?』


    …ごもっともすぎてぐうの音も出ない。


    マルコ『わかった…風呂入ったら書き始めるよ。ありがとう』

    ジャン『おう』


    そう言って僕は浴場へと向かった。


    ーーーーーーーーーーーーーーーー
  17. 17 : : 2015/08/19(水) 23:05:20

    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    マルコ『さて…書くか』


    親以外に手紙を書くのは初めてだ。ましてや相手は恋人だなんて…


    マルコ『…』


    何から書けばいいんだろう…


    マルコ『……』


    思いつかない、一回ペンを置いて考えようか……


    ジャン『…な、詰まるって言ったろ。あんまり遅くならねえようにしろよ…明日も訓練なんだし。じゃ、おやすみ』

    マルコ『うん…ありがとう、おやすみ』


    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    マルコ『…そうか!!』


    あれから数十分考え続けていたが、何を書けばいいかようやくわかった。

    再びペンを取る。

    この時代は決して平和じゃない。なぜこんな時代に生まれたのかと思った日もあった。

    大げさな話をすると、この瞬間に生まれたのはきっと彼女に逢うためなんだ。

    他の人が聞いたら、きっと笑うだろう。
    でもそんなこと関係ない。

    僕ら二人なら、きっと幸せに生きていける。

    何年先も一緒にいようって

    そんな思いを伝えたい

    彼女に感謝を伝えたい


    マルコ『ミーナ・カロライナ様…今日は…』


    少し固すぎる書き出しだろうか。

    そう思いつつ僕はペンを進めた。
  18. 18 : : 2015/08/20(木) 23:11:26


    Chapter4 : いつか渡そう



    1ヶ月後、僕らはあっという間に訓練兵団3年目の春を迎えた。そして明日は久しぶりの休暇だ。彼女とデートの約束した、あの日だ。


    ジャン『はああああああ!?まだ終わってねえのか!?』

    マルコ『だって…!書きたいことはいっぱいあるのに言葉にできないんだよ…!』

    ジャン『だってじゃねえ!例の休暇は明日だろうが!!!!』


    そう、僕はまだ手紙を書き終えていなかった。
    あの日、あんなに意気込んで書き始めたのに…結局伝えたいことが言葉にできず、最初の数行で止まっていた。


    ジャン『だから言ったのによ…』

    マルコ『…まあいいよ、手紙は完成したその時に渡すよ。いつか、ね』
  19. 19 : : 2015/08/20(木) 23:13:37


    実は昨日くらいから書き終わらないのではないかと思い始め、いっそ解散式の時に渡そうと新たに決意した。

    それよりも、手紙の代替案を考えなきゃ…


    マルコ『ごめんね、ジャン。わざわざ忠告してくれたのに』

    ジャン『…んあ?ああ…いいって。とにかく今は手紙の代わり考えろよ。それから早く寝ろよ』


    そう言いながら彼は背を向け、手を振りながら部屋から出て行った。


    マルコ『ああああ解散式までに完成するかなこれ…』


    ジャンが出て行った後、いつかの彼のように頭を抱える。


    ふと思い立って、書きかけの手紙を読んだ。


    マルコ『…何年先も、一緒にいようね。…なんだかプロポーズみたい』


    自分で書いた文章なのに笑ってしまった。

    うん、いつかちゃんと渡そう…

  20. 20 : : 2015/08/20(木) 23:15:33


    Chapter5 : 原点回帰



    『マルコ、おいマルコ!!早く起きろ何時だと思ってんだ!?』


    寝ぼけ眼の僕の耳に入ってくる親友の声

    何時…?今日は休日じゃないか…


    ジャン『もう9:15だぞ、遅刻していいのかよ!ああああああミスったな、遅刻ほぼ確定だな!だから早く寝ろって言ったのに!』


    遅刻…?今日は休日…


    ジャン『お前今日はデートだろうが!ミーナとの待ち合わせは9:30じゃなかったのか?!』


    デート…


    デートだ!!まずい!!


    マルコ『ジャン!今何時!?』

    ジャン『あと15分で待ち合わせの時間だ!とりあえずメシはあとででいいだろ、顔洗ってこい!』

    マルコ『う、うん…』


    ジャンの指示に従い、慌てて井戸まで走る。
    なんでこんな、大事な日に寝坊なんて…!


    ーーーーーーーーーーーーーーーー
  21. 21 : : 2015/08/20(木) 23:16:16
    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    すでに彼女は待ち合わせの場所で待っていた。


    ミーナ『はーい2分遅刻ー、その様子だと寝坊かな?』

    マルコ『ご、ごめん…』

    ミーナ『いいっていいって!毎日訓練で忙しいもん。疲れて寝坊したってしょうがないよ』


    笑顔でそういう彼女

    実のところ、疲れて寝坊ではなく夜更かしによる寝坊なのだが…訳を聞かれるとよくないのでここは黙ることにした。


    マルコ『とりあえず、行こうか』

    ミーナ『うん!』


    並んで歩き出す
  22. 22 : : 2015/08/20(木) 23:17:14


    ミーナ『んーぽかぽか陽気で気持ちいい!』

    マルコ『そうだね、天気が良くてよかった』


    他愛もない会話だと思う人もいるだろう。
    でも僕らにとっては、こんな会話1つ1つが大切なんだ。

    それはこんな時代に生きてるからこそとも言えるけれど…。


    マルコ『そういえば今日の服、いつもと雰囲気が違うね。よく似合ってるよ』

    ミーナ『ありがとう!久しぶりのデートだから、はりきっておしゃれしちゃった』


    今日の彼女の服は、普段の服と違い明るい色…薄いピンク色だ。


    マルコ『…うん、すごく可愛いよ。ありがとうミーナ』


    素直に思ったことを口にする…というよりは思ったことがそのまま口から出てしまった。
  23. 23 : : 2015/08/20(木) 23:17:45


    ミーナ『…』


    立ち止まる彼女、その目は驚いたように僕を見つめたままだ。


    マルコ『ご、ごめん、僕何言ってるんだろう…』


    慌てて謝る。僕だって無意識のうちにそんなことを言ってしまって驚いている。

    しかし彼女は


    ミーナ『ばか、反則だよ…』


    顔を真っ赤にして伏せた。


    マルコ『え…えっ…と』


    僕までつられて赤くなったのは言うまでもない…。


    ーーーーーーーーーーーーーーーー
  24. 24 : : 2015/08/21(金) 22:44:05

    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    ミーナ『本当に、もう。絶対許さないんだから』


    彼女はまだほんのりと赤い顔のまま、頬を膨らませた。


    マルコ『んーなんのこと?』


    そんな彼女が可愛くて、少しからかい気味に言葉を返す。


    ミーナ『もう、マルコのばか!』


    今度は耳まで真っ赤だよ?

    まあ、僕も真っ赤になったことに変わりはないんだけど…。


    そんなことを考えているうちに市場が見えてきた、が…。


    ミーナ『あー…すごい混み方してるね』

    マルコ『前来た時よりもすごいんじゃないかな…はぐれないように気をつけてね』

    ミーナ『うん!行こう!』


    そう言って彼女は駆け出した。


    …駆け出した?
  25. 25 : : 2015/08/21(金) 22:44:32


    マルコ『え、あ、ちょっと!それじゃ本当にはぐれるよ?!』


    僕も慌てて彼女を追いかける。
    元気なのはいいことだけどね…今回はちょっと大変だ。

    かろうじて数m先に彼女の後ろ姿が見えるが、間に何人もの人がいるためなかなか追いつけない。


    マルコ『まずいな…っと』


    視線の先に、ある出店が目に留まった。

    そういえばミーナへのプレゼント、用意できなかったんだよな…少し見ていこうかな。

    大丈夫だよね、幾ら何でも迷子にはならないよね…?


    『兄ちゃん見ていくかい?この前新商品が入荷したばかりでいろんなもんがあるぜ!』


    そう言って店員がいくつか品を見せてきた。

    その中で1つ、特に目を引いた色があった。


    マルコ『この色は…』

    『お、兄ちゃんなかなかセンスあるね。そいつぁ1番人気だぜ、特に女の子にさあ』

    マルコ『…綺麗ですもんね、この色。これ買います、ラッピングとかってできますか?』


    ーーーーーーーーーーーーーーーー
  26. 26 : : 2015/08/22(土) 00:12:33

    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    買い物を終え、再び彼女を探し始める。

    ダメだ、彼女本当に迷子になってる。

    しかし今日は本当に人が多いな…


    マルコ『はぐれた時の待ち合わせ場所くらい決めておけばよかった…』


    思わず漏れる独り言

    その時


    『マ、ルコ…!』


    後ろから名前を呼ばれた。

    この声は間違いない、彼女だ!


    マルコ『ミーナ!探したんだぞ…』

    ミーナ『わ、私だって…!』


    走り回ったのか、彼女の息は切れていた。


    マルコ『大丈夫?ほら落ち着いて、深呼吸』

    ミーナ『…怒ってる?』

    マルコ『まさか、怒るわけないだろう?』

    ミーナ『…うん、ありがとう』


    ほっとした表情を浮かべる彼女。

    とにかく、見つかってよかった…。
  27. 27 : : 2015/08/22(土) 00:12:53

    ミーナ『よし、もう大丈夫!行こう!』

    マルコ『今度ははぐれるなよ?』クスクス

    ミーナ『はーぐーれーまーせーんー!』


    そう言いながら2人で並んで歩き出そうとした時、後ろから左袖を掴まれた。


    何かあったのかな?


    マルコ『…どうした、大丈夫?』

    ミーナ『…またはぐれるの嫌だから』

    マルコ『…ならこうしよう』


    そう言って素早く指を絡める。

    恋人つなぎ、というやつだ。


    マルコ『さあ、行こうか』


    繋いだ手から伝わってくる彼女のぬくもり


    …ああ、なんて幸せなんだろう。


    ーーーーーーーーーーーーーーーー
  28. 28 : : 2015/08/22(土) 23:19:08

    ーーーーーーーーーーーーーーーー


    ミーナ『楽しかったー!あっという間だったなあ…』

    マルコ『そうだね…僕も楽しかったよ』

    ミーナ『たくさん奢ってもらっちゃったし…ごめんね』

    マルコ『いいんだって、こういうのは男に任せてよ』


    楽しい時はあっという間に過ぎるものだ。すでに日は沈みかけていて、辺りは夕焼けのオレンジ色と夜の青が混ざった不思議な色に染まっている。

    結果から言うとデートは大成功だった。前回と同じ場所なはずなのに、また違った面白さがあって新鮮だった。

    …また来年もここに行きたいな。


    ミーナ『疲れたでしょ。明日も朝は早いし、今日はここでお開きにしよっか』

    マルコ『君がそう言うなら構わないけど…僕は平気だよ?』

    ミーナ『そう言って、前回風邪をひいたのは誰かな?』


    意地悪そうにクスクスと笑う彼女

    そう、前回のデートの後いつものように消灯時刻まで話していたら、翌日僕は風邪をひいたのだ。

    ぐうの音も出ない…
  29. 29 : : 2015/08/22(土) 23:19:41

    マルコ『わかったって…ちょっと、いつまで笑ってるんだ…?』

    ミーナ『え?昼間の仕返しよ!』


    そう言ってペロッと舌を出した。


    マルコ『…仕返しになってないぞ』

    ミーナ『え!まだダメなの?!』

    マルコ『うん、ダメ』


    だって、今の君、すごく可愛いから。

    なんて言えるわけもない…。

    …あ


    マルコ『そうだ』

    ミーナ『何?またからかうつもり?』

    マルコ『違うって…はいこれ。記念日のプレゼント』

    ミーナ『…えっ!』


    用意していた包みを渡す。


    ミーナ『開けていい?』

    マルコ『もちろん』


  30. 30 : : 2015/08/23(日) 07:35:05

    ミーナ『…わあ、これすごく綺麗な色…ハンカチ?』

    マルコ『今朝市場で買ったんだ。女の子の好きなものとか詳しくないけど、君に似合うと思って…』

    ミーナ『あ、今日の私の服の色とお揃いなんだね』

    マルコ『うん、どうかな…?』


    彼女は嬉しそうにハンカチを広げると

    ミーナ『ありがとうマルコ、すっごく嬉しい!』


    僕に抱きついてきた…って、ええっ!?


    マルコ『ちょ、ミーナ!もう夕方といえど、誰か人が通ったらどうするんだ?!バレるぞ?!』

    ミーナ『…嫌だった?』

    マルコ『…まさか』


    その言葉と共に彼女の体を抱き寄せる。

    上目遣いでそんなこと聞かれたらダメと言えないじゃないか…。


    ミーナ『ごめんね、私の方は何も用意できてないんだ…。だからさ、来年を楽しみにしてて?2年分用意するから!』

    マルコ『2年分って…うん、楽しみにしてるよ』
  31. 31 : : 2015/08/23(日) 07:37:11












    『…あのさあ』












  32. 32 : : 2015/08/23(日) 07:37:49


    突然の外部からの声に、反射的に体を離す。


    『いくらこの時間といえど、誰か人が通ったらどうするつもりでいたんだい?まったく…通ったのが私でよかったね』

  33. 33 : : 2015/08/23(日) 08:00:36

    ミーナ『…びっくりしたぁ、アニかぁ…』


    どうやら声の主はミーナの親友のようだ。


    アニ『びっくりしたじゃないよ…あんたら、というか主にミーナ。隠す気あるの?』

    ミーナ『…ごめんなさーい』

    アニ『反省してないだろ…悪いねマルコ』

    マルコ『ああ、僕は全然平気…アニの方こそありがとね』

    アニ『別に…それじゃ、バレないように気をつけなよ』


    そう言うとくるりと背を向けて歩き出した。

    びっくりした…通ったのがアニで本当によかった…


    ミーナ『…気が早いんだけどさ、私来年もあそこに行きたいな』

    マルコ『奇遇だね、僕もさっき同じこと考えてた』


    顔を見合わせて笑う

    この先も、2人の幸せな時間がいつまでも続けばいいな…。


    マルコ『…ミーナ、君話逸らしただろ。アニの言うとおりだよ、次は気をつけようね?』

    ミーナ『はーい…』

  34. 34 : : 2015/08/23(日) 08:01:15



    後編へ続く



  35. 35 : : 2015/08/23(日) 08:03:22


    というわけでここで前編終了となります

    本当は1番の歌詞で切ろうと思ったのですが長さの関係上ここまで前編とさせていただきました

    後編のリンクはスレを立て次第こちらに貼りますのでぜひよろしくお願いします!

  36. 36 : : 2015/08/23(日) 08:05:04
    感想はこちらまで↓
    http://www.ssnote.net/link?q=http://www.ssnote.net/link?q=http://www.ssnote.net/groups/1306/archives/1



    もしよければ過去の作品もよろしくお願いします!

    1作目
    ミカサ『部分記憶障害』
    http://www.ssnote.net/archives/3445

    2作目
    『待つ人の話』
    http://www.ssnote.net/archives/4701

    3作目
    『泣いた巨人』
    http://www.ssnote.net/archives/7726

    4作目
    ヒッチ『マルロが女になった』 マルロ?『だーかーら!マルロじゃなくてマロルですって!』
    http://www.ssnote.net/archives/10351

    5作目(進撃GReeeeNシリーズ)
    ジャン『どうしようもないくらい』ミカサ『君が好きなんだ』 〜オレンジ〜 前編
    http://www.ssnote.net/archives/12209

    6作目(進撃GReeeeNシリーズ)
    ジャン『どうしようもないくらい』ミカサ『君が好きなんだ』 〜オレンジ〜 後編
    http://www.ssnote.net/archives/12689

    7作目(進撃GReeeeNシリーズ)
    エレン『君に捧ぐ』クリスタ『この愛の唄』 〜愛唄〜
    http://www.ssnote.net/archives/15123

    8作目(制限付きSS投稿企画)
    アルミン『大好きな君へ』
    http://www.ssnote.net/archives/16774


    ジャン↑
  37. 37 : : 2015/08/23(日) 08:14:25


    後編スレ↓
    http://www.ssnote.net/archives/38821


  38. 38 : : 2015/08/30(日) 14:35:19
    乙です。
  39. 39 : : 2015/09/01(火) 23:32:12
    >38.とあさん

    ありがとうございます^ ^
  40. 40 : : 2023/07/05(水) 19:32:50
    http://www.ssnote.net/archives/90995
    ●トロのフリーアカウント(^ω^)●
    http://www.ssnote.net/archives/90991
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3655
    http://www.ssnote.net/users/mikasaanti
    2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
    sex_shitai
    toyama3190

    oppai_jirou
    catlinlove

    sukebe_erotarou
    errenlove

    cherryboy
    momoyamanaoki
    16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ちょっと時間あったから3つだけ作った

    unko_chinchin
    shoheikingdom

    mikasatosex
    unko

    pantie_ero_sex
    unko

    http://www.ssnote.net/archives/90992
    アカウントの譲渡について
    http://www.ssnote.net/groups/633/archives/3654

    36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
    理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな

    22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
    以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。

    46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
    ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね

    52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
    一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑

    89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
    noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ

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banana8asui

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