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〈短編〉鬼滅の刃 〜梅雨が始まる季節に〜【カナヲ外伝】

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  1. 1 : : 2021/02/14(日) 16:07:55

    とりあえず思いつきなんだが、かつての執筆時代思い出して書いてみようと思う。仕事と平行だからいつ終わるかは知らん。
    できる限り短編で終わらせようと思う。良かったら楽しんでくれ。

    カナヲ視点での最終選別周辺の話だ。

    ついでに今、「哀傷ノ刄」っていう鬼滅の刃合作におれも一応意見役として参加してるから良かったらそっちも見てくれ。
    そっちに繋がるような話を描きたいなーとか思う。よろしく。



    ついでにこのSSに付いた感想の返答、解説はここでしとく。

    >>5
    筋力もありがとな読んでくれて。

    >>7
    読んでくれてありがとさん。まあ期待してくれよ。



    【解説】

    ※ 物打(ものうち)… 刃の切先から一〇センチメートルほどのところで、刀身が広がりはじめる部分。
  2. 2 : : 2021/02/14(日) 16:27:58



    空に、シャボン玉がぷかぷかと浮いていく。ひとつひとつ、浮いていく。

    「………」

    そして、それをただただボーッと縁側に座り込んで、眺める。

    次に何をするか、何をしたいかなんて考えないし、考える必要も無い。ただ空の色を映す宙を舞う球体の向こうを見つめるだけ。

    「あ、いたいた! カナヲ!」

    そしたら、洗濯物か何かの入ったカゴを抱えたアオイが向かってきた。

    「ねぇ、今日の洗濯物は少し量があるの。手伝ってもらってい?」

    「………」

    どう、しよう。カゴを見ると、確かにアオイひとりでは骨が折れそうな量のシーツと洗濯物が溢れていた。手伝うべきなのか。手伝ってもいいのか、判断が付かない。

    ……違う。判断しても許されるのか、分からない。

    ……どうでもいい。そう、こういう時は、投げればいい。左ポケットからいつもの硬貨を取り出す。

    「……カナヲ、大丈夫…?」

    アオイはどこか気を遣う様に、私を見つめてくる。大丈夫、とは何が大丈夫なのか分からないからともかく硬貨を投げる。投げなければならない。

  3. 3 : : 2021/02/14(日) 16:40:16

    右手の親指と、人差し指。親指の爪と、その人差し指の合間で挟むようにして硬貨を用意。あとはいつもの通りだ。宙を切るようにそれを親指で飛ばす。

    甲高い爪と硬貨が擦れ合う音が耳に届く。

    そして、何十回転かして真上に高く上がった硬貨は、私の左手の甲に落ちてきた。右手で、落ちた瞬間に左手の甲を包み込む。

    「………」

    アオイは静かに私を見つめている。そして、包んだ右手をそっと開く。___そこには、「裏」がその身を覗かせていた。

    「あちゃー裏か〜」とアオイは困った様に笑う。

    「ごめんなさい。裏が出たから、手伝わないでおく」

    「そうだよね、ごめんね。カナヲ」

    そういってアオイは眉は八の字にしながらも微笑み、縁側奥の物干し竿まで歩いていく。やがて、ひとりで静かにシーツを叩き、シワを伸ばして干し始めた。

    「…………………」

    何故かは、分からない。
    どうしてかは分からないけど、胸の奥が何か不思議な感覚になった。私の体の中が急に霧がかかったような気持ちになる。

    これは、なんなのだろう。身を屈ませて、思わず胸に両手を添えてしまう。でもその気持ちの正体は分からない。いや、どうでもいい。

    別にそんなものに感心なんてありはしない。考える必要は無い。硬貨で裏が出た。裏が出たから私はただそれに従っただけ。

    そこに何も不信など無いし、別に悪い事なんかありはしない。


    そう思い込む。


    でも、

    何故か、その胸の霞んだ何かは拭えなかった。
  4. 4 : : 2021/02/14(日) 17:03:23
    期待
  5. 5 : : 2021/02/14(日) 20:52:46



    それは、今から四年前。
    ガシャン、とけたたましく砕き割れる音が台所に響く。

    「………あ」

    「カナヲ!? ちょっと、大丈夫!?」

    皿を手布で拭き、棚に仕舞おうとしたかった。でも、上手く拭くことが出来ずについ手を滑らせてしまったみたいだ。ガラスを、拾わなきゃ。台所に来た人が怪我をする。

    隣で洗い物をしていた師範は、しゃがみこんでガラスを拾おうとすると「待ちなさいよカナヲ、危ないでしょ!」と腕を掴んできた。

    「………でも、危ない、と思います」

    「そういう時は箒やちりとりを使えばいいの。もう、怪我したらどうするのよ。大人しくしてなさい」

    「………」

    それを知らなかった私は、大人しく言われた通りに動きを止める。胡蝶しのぶ師範は、台所の脇に置いてある掃除道具入れから小ぶりな箒とちりとりを取り出してきた。

    すると、台所の出口の暖簾から華奢な手が覗く。

    「あらあら、大丈夫? カナヲ、しのぶ」

    任務から戻ったもう一人の師範__しのぶ師範の姉、胡蝶カナエ師範。なだらかな黒髪を揺らし「怪我はないかしら?」と静かに微笑みを讃える。

    「……私は、大丈夫、です」

    「私も平気……でも姉さん! この子、本当に困ったわよ。前に比べたら硬貨を使って自分で考えるようになったけど……洗い物や洗濯物、掃除、何をさせても何かしらやらかすのよ?」

    「………」

    実際のところ、しのぶ師範の言う通りだった。その時は私が拾われて、もうすぐ半年近く経っていた。でも、私は一行に上手く家事をこなす事ができない。いつも何かしら失敗を重ねる。

    「ふふっ、しのぶ。誰にでも向き不向きはあるものなのよ? ねぇ〜カナヲ!」

    その度にしのぶ師範には怒られる。それを、カナエ師範がなだめていく。その繰り返しだった。

    前ならば。

    前なら、きっと私はまた沢山殴られていたと思う。いつからか、ぷつん(・・・)と感覚がなくなったあの日のように。

    もう痛みすらどうでもよかった。悲しいと感じる事さえも疲れた、あの日のように。

    でも師範は違った。
    そうして、やがてカナエ師範はいつものように私を優しく撫でた。

    「ふふっ、カナヲも一生懸命頑張ってるのは知ってるわよ。ゆっくり、ひとつずつ出来るようになっていけばいいの。焦らないでいいのよ」と、ゆっくりと音もなくこんな私の髪を撫で回す。

    「…………」

    その様子を見たしのぶ師範はどこかバツが悪そうな表情を浮かべると、頬を少し赤らめる。

    「…………わ、私だってカナヲが頑張ってることくらい分かってるわよ姉さん……私は、もう少しカナヲに成長して欲しいだけなの……」

    腕を組み、私の方をやがて師範はチラリと見つめるとやがて「…………ごめんね、言い過ぎたわよね、カナヲ」と恥ずかしそうに目を閉じた。

    「………………」

    くすくす、と私を撫でながら微笑むカナエ師範を横目に困惑していた。どうして、この人達は家族でもない私をこんなに大切にしてくれるのだろう。

    どうしたらいいのか分からなくて、ただただ撫でてくれる手に甘えることしかできない。

  6. 6 : : 2021/02/14(日) 21:13:31

    カナエ師範も、しのぶ師範も、私にはいつも優しかった。

    しのぶ師範は怒りはしても最後には必ず頭を撫でたり抱き締めたりしてくれた。カナエ師範は言わずもがなだった。

    撫でられたり、抱き締められたり、手を繋がれたり、そういった事は未だかつて一度も経験なんてしたことは無かった。

    いつからだったろう。

    ある冬が近付いてきた日。
    カナエ師範は縁側でじっと空を見つめていた時に私に「シャボン玉」を教えてくれた。楽しいし、綺麗なのよと満面の笑顔で私に小さな管と容器を渡してくれたことを今でも思い出す。

    冬の空は太陽が高く上がり、露骨なまでの執拗な暑さは無い。だから、冬は嫌いじゃない。

    その時から、暇な時はシャボン玉を吹き、空をただ眺めるのがすることが何もないときに自然と行う癖か何かのようになっていった。

    ____いや、それだけじゃ、ない。

    私が管を吹く時は大概、師範が二人とも近くにいて、縁側で打ち込みの訓練を行っていた。

    「カナヲ! 脇が甘いわ、もう少し斜め前に視界を広げて! 行くわよ!」

    何故だろうか。

    「花の呼吸_____陸ノ型」

    「“渦桃“!!」

    目が、離せなかった。

    いつもはシャボン玉と一緒に空の水色と白色を眺めていたというのに、師範___特にカナエ師範___の「剣技」からは目が離せそうになかった。

    師範がしのぶ師範が脇を締め、受けの構えをとったその時。

    両手に握り締めた木刀を前方に向け、凄まじい勢いと共に飛び上がった。そして次の瞬間、宙で身体を捻らせ楕円形の軌道を描くようにして木の一撃を繰り出してみせる。

    それを木刀を横向きにして受けたしのぶ師範は「ッッ!!」と背中から吹き飛ぶ。尻もちをつき、その反動とともに横向きに何回転か勢い良く転がり込んだ。

    「立ちなさい、しのぶ。今度はあなたの番よ」

    宙で舞を踊るみたいな様を見せながらも、凛々しく着地した師範は、やがて片手に握られた木刀を振るい、しのぶ師範を見つめる。
  7. 7 : : 2021/02/14(日) 21:21:56
    おもろ、期待
  8. 8 : : 2021/02/16(火) 19:09:34

    「……姉さん、行くわよ。___蟲の呼吸」

    地面に手を着いていた師範は、やがてその左手をそっと伸ばす。そして、一息。小さな呼吸と共に、目を見開く。

    「___蜂牙ノ舞 “真靡き“!!」

    それもまた、咄嗟のことと言ってもいいと思う。

    瞬きの間に、師範はカナエ師範の懐寸前にまで距離を詰めていた。

    そして、不意打ちを狙うかの様に、カナヲ師範の為に調整された細身の木刀が穿たれる。

    「良いじゃない、しのぶ……その反射速度、悪くないわ!」

    だけど、と呟く声が密かに私は耳に届く。束の間に左脇を締め、カナエ師範は両手に握り締めた木刀を斜めに構えた。

    「ッ!?」

    しのぶ師範の突きは、カナエ師範の木刃の「しのぎ」から「物打(※>>1)」に掛けて受け流されていく。

    そう、確かカナエ師範に教えてもらった木刀の部位はそんな名前だったはずだ。その受け流しは、あまりにも自然に、あまりにも静かに行われる。

    「まだ、甘いわ」

    そして、流しを終えたその間際。

    カナエ師範は右回りにくるりと素早く回転し、素早く屈みこむ_____その二秒後、勝負は着いた。

    「…………」

    「ふふっ、勝負ありね。しのぶ」

    カナエ師範の片手で握られた木刀の切先は、しのぶ師範の喉元へ向けられている。

    勝負が着くまでも、そう時間は掛からなかった。

    だけど、その限られた時の中で私が瞬きをした数は両手で足りる程しか無い。

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Raiz

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