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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

リヴァイが始める異世界生活 第2話 「Re:ゼロから始める異世界生活」

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  1. 1 : : 2017/02/22(水) 21:51:46
    第1話⇒http://www.ssnote.net/archives/51283

    今回はゆっくり更新します。
  2. 2 : : 2017/02/22(水) 21:53:15



    カドモン「――おい、何呆けてやがんだ兄ちゃん」

    リヴァイ「――あ?」

    カドモン「だから、このリンガを買うのか買わないのか、さっさと決めてくれってんだよ」

    リヴァイ「――買わん」

    カドモン「ああそうかい。だったらどっか行っちまいな。店の前にいつまでも立たれると、迷惑なんだよ」

    鋭い剣幕でそう言われ、リヴァイは店の前から立ち去った。



    リヴァイ「――……これは一体、どういう状況だ?」

    さしもの人類最強でも、疑問の言葉を発することしかできなかった。

    リヴァイ「(俺はあの盗品蔵で、あの女に殺された。間違いないはずだ。だがどういうわけか、俺は王都に戻ってきた……)」

    自分の記憶を辿りながら、その記憶にある出来事が全て夢であった可能性が頭をちらつく。しかし、その可能性を採用して、自分の死を無かったことにはできなかった。

    それ程に、死は重かった。

    リヴァイ「(何かしらの手掛かりがあるとすれば、盗品蔵か。サテラ、パック、フェルト、ロムジジイ……誰か一人にでも会うことができれば、それが最善だが――)」

    彼女達を探すにしても、盗品蔵以外に宛はない。そう判断して、リヴァイは再び盗品蔵に赴くことに決めた。が――、

    リヴァイ「な……?」

    人波の中に、白いローブを羽織った銀髪の少女の姿を見た。
  3. 3 : : 2017/02/25(土) 18:22:42
    リヴァイ「――サテラ!」

    タッタッタッタッ

    サテラを見つけたリヴァイは、咄嗟に彼女の名前を呼びながら走り出す。

    彼女はリヴァイにとって、この地で初めて関わりを持った人物だ。
    そして、目の前で命の灯火を吹き消された人物だ。

    様々な感情が押し寄せる中、リヴァイは一向に振り向いてはくれない彼女を必死に追い掛ける。

    リヴァイ「おい! サテラ! お前に聞かなきゃいけないことが山程ある!」

    タッタッタッタッ

    リヴァイ「おい! 無視してんじゃ――」

    サテラ「――どういうつもり?」

    リヴァイ「……は? どういうつもりもこういうつもりも――」

    サテラ「誰だか知らないけど、人を『嫉妬の魔女』の名前で呼んで、どういうつもりなの!?」

    リヴァイ「てめぇ……、ふざけてんのか!? その名前で呼べって言ったのはてめぇの方だろうが!」

    サテラ?「そんなこと言うわけないでしょ!? いい加減にしなさい!」

    リヴァイ「一体、どうなってやがる」

    サテラ?「それで、用はなに?」

    リヴァイ「……お前に、聞きたいことが――」

    タッタッタッタッ

    瞬間、一筋の風が二人の間を吹き抜ける。否、それは風などではなく――。

    リヴァイ「フェルト?」

    サテラ?「え、あ……」

    風の吹き抜けた先に目を向ければ、そこには赤い宝石を埋め込まれた徽章を手にした金髪の少女の姿があった。

    サテラ?「まさか、このための足止め!?」

    リヴァイ「違う! 俺は――」

    サテラ?「まぁいいわ。今はあなたに関わっている場合じゃないから」

    タッタッタッタッ

    偽サテラはそう言ってリヴァイを突き放し、フェルトの消えていった先へと走っていった。
  4. 4 : : 2017/02/26(日) 23:23:10



    リヴァイ「くそ! 訳が分からねぇ!」

    苛立ちが募り、リヴァイは壁に拳をぶつける。

    リヴァイ「(この短い期間で俺のことを忘れやがったのか? 或いは、俺を騙して――いや、あいつの面は俺のことを本当に知らない顔だった。そもそも、俺のことを知らないフリをしたところで得られるものなんてねぇ……)」

    リヴァイ「……考えたところで答えに辿り着けるような問題じゃねぇ。盗品蔵に向かおう」

    リヴァイは、記憶を頼りに貧民街へと向かっていった。



    向かっていったのだが……。

    チン「おい兄ちゃん。痛い目に遭いたくなかったら、有り金全部よこしな」

    カン「素直に渡した方が身のためだぜ、チビ野郎」

    トン「平和的に済ますのが、お互いのためだ」

    リヴァイ「はぁ、またお前達か。どうやら一度痛い目に遭っただけじゃあ学習しないらしい」

    チン「また? 意味分かんねぇこと言ってんじゃねぇぞ!」

    リヴァイ「今ので思い出せないようなら、お前らの脳みそのサイズは蟻以下だな」

    カン「なんだと!? なめた口きいてっと、ぶっ殺すぞ!」

    リヴァイ「本当に覚えてないのか?」

    トン「御託はもう良い。従うか死ぬか決めろ」

    リヴァイ「――死ぬとしたらてめぇらだ」

    ザッ

    ドゴオッ

    トン「がふっ」

    バキィッ

    カン「ぎゃっ」

    ドガッ

    チン「うげっ」

    リヴァイ「まぁ、てめぇらごとき殺す価値も無いがな」

    トン、チン、カンの三人をそれぞれ一撃でKOしたリヴァイ。しかし、彼の表情は晴れない。

    リヴァイ「(こいつらも、俺のことを覚えていなかった。この国の奴等の記憶力がゴミレベルだっていうなら話は早いんだが……)」

    自身に想像を大きく超える現象が起こっている予感を、リヴァイは感じ始めていた。
  5. 5 : : 2017/03/02(木) 18:40:57
    続きはまだ出さないのですか?
  6. 6 : : 2017/03/02(木) 22:45:53
    >>5
    すみません。最近は以前にも増して遅筆なので……。
    気長にお読みいただけるとありがたいです。
  7. 7 : : 2017/03/03(金) 18:32:29



    リヴァイ「――さて、盗品蔵には無事着けたな」

    リヴァイの記憶は正確で、彼は一切迷うことなく盗品蔵の前まで辿り着いた。

    リヴァイ「それじゃあ、壊して入るか」

    そう言ってリヴァイは扉の近くまで歩み寄り――、

    ドガッ!

    強烈な蹴りを扉へと浴びせた。固く閉ざされた扉は辛うじてその役割を全うし、破られることなく佇む。が、既に死力を尽くしており、もう一度同じ攻撃を受ければどうなるかは明白だった。

    リヴァイ「よし、もう一度」

    バンッ!

    ロム「――いい加減にせぇ! 合図と合言葉も知らんで、扉を壊すじゃとぉ!? 常識が無いにも程があるわい!」

    勢いよく扉が開かれ、怒声の主が姿を現す。その姿は見紛うことなく――ロム爺だ。

    リヴァイ「今回は避けさせてもらったぜ、ロムジジイ」

    ロム「ジが一個多いわ! ロム爺と呼――何故儂の名を知っておる?」

    リヴァイ「はぁ、お前もか……」

    リヴァイは大きな溜め息を吐いた。



    ロム「――何? フェルトに会いたい?」

    熟考の末、リヴァイはフェルトと面会することを選択した。

    最初は、今の自身の状況を説明することを考えた。だが、この複雑怪奇な状況を説明したとしても、理解してもらえる気がしない。実際、自分が説明される側であった場合、説明主がどんなに雄弁な人間であっても、完全に理解し信用することはできないだろう。そもそも、自分自身もこの状況を欠片程しか把握できていない。
    だからリヴァイは、自分自身が現状をより多く把握するための一手を選んだ。

    ロム「目的は何じゃ?」

    リヴァイ「会いたいって言ったじゃねぇか」

    本当にそれだけだ。会って、自分のことを覚えているかどうかが分かれば良い。
    もし覚えていなければ――、その時は、王都からここに来るまでの道中で導き出した有り得ない仮説が僅かに現実味を帯びてくるだけだ。

    リヴァイ「別に何かしようって訳じゃねぇ。だから、フェルトの居場所を教えろ」

    ロム「そうは言われてものぉ。お主のような輩においそれとは教えられんわい」

    リヴァイ「はぁ。使えねぇ」

    ロム「何じゃとぉ!? ん、いや待てよ……」

    リヴァイ「どうした?」

    ロム「夕方まで待てるなら、フェルトと面会させてやっても良いぞ」

    リヴァイ「夕方……? どういうことだ?」

    ロム「今日の夕方、フェルトがこの盗品蔵に来る予定があるのじゃ。盗品の取り引きの為にのぉ」

    リヴァイ「!? ――取り引き……だと……? 分かった。夕方、またここに来る」

    ロム「ぬおっ!? もう行くのか」

    リヴァイ「ああ、夕方までにやっておきたいことがあるんでな。情報、感謝する」

    ロム「お、おう……。気をつけてな」
  8. 8 : : 2017/03/09(木) 18:22:09



    盗品蔵を後にしたリヴァイは、王都に戻っていた。

    リヴァイ「この店にするか」

    リヴァイの言う「この店」とは、王都の端の方に位置している武具店のことである。リヴァイは店内の様子を一通り眺めてから、店の中へと足を踏み入れ商品の一つである鋼鉄製の剣を手に取る。そして――、

    ダッ

    走り出した。

    武具店店主「ま、万引きだぁ! 誰か捕まえてくれぇ!」

    リヴァイ「(誰が捕まるかよ)」

    店主の声を聞きつけ、数人がリヴァイを捕縛しに掛かるが、そのことごとくが容易く躱される。

    リヴァイが王都に戻った目的、それは得物の獲得である。だが、無一文の彼には武器を購入することなどできるわけがなく、今回の蛮行に至った。

    では、そうまでして得物を獲得する目的は何なのか。それは、盗品蔵を訪れるであろう黒い外套の女殺人鬼の殺害である。リヴァイの記憶上では自身を殺した女殺人鬼――彼女の来訪は、彼の中で有り得ないとされながらも徐々に真とされつつある仮説に予知されるもので、確証は無い。だがそれでも、彼が思い切った行動に出たのは、女殺人鬼の尋常ならざる脅威度と、意味不明な事態の解明への焦りによるものであろう。

    そしてリヴァイは、この蛮行を成功させるに足る経験と能力を所持していた。

    リヴァイ「ふぅ……(無事に逃げ切れそうだな)」

    ただし――、

    青年「そこまでだ」

    それは、元の世界での話である。

    青年「騎士として、君の行いを見過ごすわけにはいかない」

    リヴァイ「――――」

    眼前に立ちはだかった、騎士を名乗る燃えるような赤髪の美丈夫。彼の出現に、リヴァイは足を止めた。その理由は、このまま駆け抜けようとしても、彼に阻まれる未来しかないことを直感したからに他ならない。
    現に――、

    リヴァイ「(目の前に現れるまで、全く気配に気付けなかった)」

    武具店店主「『剣聖』――ラインハルト・ヴァン・アストレアが何故こんな王都の端っこに」

    ラインハルト「店主殿の助けを求める声が聞こえたので、急ぎ駆けつけたまでです」

    リヴァイ「……ラインハルトと言ったか」

    ラインハルト「ええ。何でしょうか?」

    リヴァイ「どうあっても逃がすつもりはないか?」

    ラインハルト「――いえ。貴方が盗んだ品を店主殿に返却し、誠心誠意謝罪をしたならば、この件を咎める気はありませんよ」

    リヴァイ「ほう、寛大だな」

    ラインハルト「何か、事情がおありのようですから」

    リヴァイ「何で知ってるんだよ。気持ち悪ぃ」

    ラインハルト「それは素直に傷付きますよ。それで、貴方はどちらを選びますか? ――僕は、貴方が正しい選択をしてくれる方だと信じていますが」

    リヴァイ「買い被りすぎだよ……」
  9. 9 : : 2017/03/15(水) 23:00:13

    ダッ!

    リヴァイがラインハルトへ向かって一直線に走り出す。それが即ち、ラインハルトの質問への回答だ。

    リヴァイ「おおおおお!!!」

    ――刹那、

    ガシッ バタン

    勝負は決した。

    ラインハルト「貴方の負けです。動かないでください」

    瞬きの間に、リヴァイはラインハルトによって拘束され、地面に倒されていた。

    ラインハルトはリヴァイの首元に手刀を突き付け、降伏を促す。その手刀が、どんな業物にも引けをとらない殺傷力を秘めていることを、リヴァイは悟っている。尤も、ラインハルトの性格上その手刀がそのまま喉笛を切り裂くことはないだろうが、そんなことをせずともリヴァイを殺さずに制止する方法など、ラインハルトは無限に有している。

    それ程の、実力差だ。

    リヴァイは抵抗の無意味さを悟り、刀を握る手の力を緩める。

    ラインハルト「……では、僕と一緒に騎士団の駐屯所まで来て貰います。悪いようには致しませんから、引き続き大人しくしていてください」

    リヴァイ「大人しく……いつまで?」

    ラインハルト「それは貴方の態度次第ですよ」

    リヴァイ「今日中には?」

    ラインハルト「それはさすがにありませんよ。反省はしてもらいます」

    リヴァイ「そうか――」

    それを聞いて、リヴァイは決断した。

    何故こんな選択をしたのか、自分でも分かりかねる点が多い。
    現状把握の手段として――と言えば合理的に聞こえるかもしれないが、その為だけに冒すリスクが余りに大きすぎる。リターンと見合っていない。第一、こんな手段は最終手段、本当に打つ手が無くなった時に選ぶものだ。
    だからきっと、この選択に至った理由はきっと別にあるのだろう。
    そしてその理由は、出会ったばかりの人間を見捨てられないという酷く愚かしい理由なのだろう。

    ――元いた世界で、大義の為に何人も犠牲にしてきた自分の選択とは思えない。

    実のところ、こんな形で終わってしまうのだけは御免だ。だから、自身の考えた馬鹿げた仮説が正しいことを願って――、

    リヴァイ「じゃあな」

    ザシュッ

    一度抵抗の意志を捨てたことを確認し、油断していたラインハルトには、リヴァイの行動を阻止することができなかった。ラインハルト自身へ向けられた殺意であれば、それを見逃すことも無かっただろうが……。

    ラインハルト「自殺――!?」



    また、死んだ。



  10. 10 : : 2017/03/18(土) 22:29:38



    カドモン「――おい、何呆けてやがんだ兄ちゃん」

    リヴァイ「――――」

    カドモン「買うのか、買わないのか、さっさと決めてくれよ。迷惑なんだ」

    リヴァイ「……一応聞いておくが、俺と会うのは初めてだよな?」

    カドモン「ああ。兄ちゃんみたいな変な髪型、初めて見たよ」

    リヴァイ「変な髪!? ……まぁ良い。分かった」

    カドモン「それで、リンガは?」

    リヴァイ「買わねぇよ。無一文なんでな」

    カドモン「そうかい。それなら帰った帰った」

    リヴァイは素直に、店の前から立ち去った。



    リヴァイ「――ははっ。ははははっ。どうやら、俺の仮説は正しかったようだな。全く――」

    ガンッ

    リヴァイ「馬鹿げてやがる! まさか、死んで時間が巻き戻るとはな!」

    苛立ちとはまた違った感情を拳に込め、それを壁へと叩き付けるリヴァイ。彼は見つけ出したのだ、不可解な現象の真相を。

    リヴァイ「死に恐らく条件はねぇ。日時、死因に関わらず、死ねばあのリンガ屋の前に居た時まで時間が巻き戻される。それが、今の俺が陥っている状況……。自分で言ってて、いかれちまったんじゃないかと思いたくなるような話だが、残念ながら間違いないだろう」

    兎にも角にも、現状把握というリヴァイの目的は成った。となれば、これからすべきことは一つ。

    リヴァイ「――向かうは路地裏。そこで……けりを付ける!」
  11. 11 : : 2017/03/22(水) 19:18:39



    路地裏に入ったリヴァイ。そこに、三つの足音が迫ってきた。

    チン「おい兄ちゃん。痛い目に遭いたくなかったら、有り金全部よこしな」

    カン「素直に渡した方が身のためだぜ、チビ野郎」

    リヴァイ「(これで三回目か。なぞるべきは一回目――)」

    トン「平和的に済ますのが、お互いのためだ」

    リヴァイ「そうか? 俺は――」

    ザッ

    リヴァイ「暴力大歓迎だ」

    リヴァイ「(こいつらを瞬殺する)」

    ドゴオッ!

    リヴァイは瞬時にトンを一蹴。

    リヴァイ「次はてめぇだドチビ」

    バキッ

    続いてカンをパンチ一発でノックアウト。

    チン「なっ!? そっちがその気ならこっちだって――」

    チンは懐に忍ばせていた短刀を取り出そうと――

    ドガッ

    チン「ぎゃっ!」

    した瞬間に、トンとカンと同様に一撃で地に沈んだ。

    ――ここからが本番だ。

    タッタッタッタッ

    リヴァイの耳に響く、新たな足音。彼はその足音の主を、既に知っている。

    フェルト「ちょっとどけどけぇ! 悪いけどジャマ!」

    セミロングの金髪の少女――フェルトがこちらへ近付いてきて……、

    タッタッタッタッ

    リヴァイ「逃がすか!」

    ガシッ

    リヴァイがフェルトの腕を掴み取った。
  12. 12 : : 2017/03/28(火) 19:37:06
    フェルト「――あっ、てめぇ! 放しやがれ!」

    リヴァイ「放さねぇよ。これで、全部片が付くんだからな!」

    謎の女殺人鬼による襲撃。それ自体を起こさない方法――それがこれ、フェルトの捕縛である。
    最初の周回で女殺人鬼が凶行に走ったのは、徽章の持ち主の少女が居たからだ。だから、彼女が盗品蔵に足を踏み入れなければ、あの惨劇は生じない可能性が高い。
    だが、徽章の盗難を見逃すわけにもいかない。となれば、全ての問題を解決できる方法は一つ……。フェルトが王都に居る間に、少女に徽章を返す。

    リヴァイ「このまま待ってりゃあいつが来る。それまで、大人しくしていろ」

    フェルト「そういうわけにはいかねぇんだよ! くそっ! このっ!」

    フェルトは何とかしてリヴァイによる拘束を解こうとするが、敵わない。そうしている間に――、

    偽サテラ「見つけた!」

    最初の周回ではサテラを名乗っていた、名前の知らない銀髪の少女が姿を現した。

    偽サテラ「さぁ、盗んだ物を返しなさい!」

    フェルト「――ちくしょー……」

    観念したフェルトは、手に握られた徽章を偽サテラへと放り投げた。

    フェルト「もう返すもんは返した。だから、さっさと放しやがれ!」

    リヴァイ「ああ? お前、盗人の自覚はあるのか? このまま騎士団の駐屯所まで連れて行くに決まっているだろ」

    フェルト「げっ、マジかよ!」

    偽サテラ「待って。その子のことは、もう放してあげて」
  13. 13 : : 2017/04/23(日) 21:59:18
    リヴァイ「……何言ってやがる。こいつはお前の大事な物を盗んだんだぞ」

    偽サテラ「うん、それは分かってる。だけど、この子はもう私にそれを返してくれた。だったら、それ以上のことは望まないわ」

    リヴァイ「俺がいなかったら、返ってこなかったかも知れないんだぞ?」

    偽サテラ「それも分かってるわ。それでも……、いえ、やっぱり一つだけ――」

    フェルト「な、何だよ……」

    偽サテラ「謝りなさい」

    フェルト「え――」

    リヴァイ「……はぁ」

    偽サテラ「悪いことをしたら、迷惑を掛けた人に謝らないと。だから、ごめんなさいってしっかり言いなさい」

    フェルト「わ、分かったよ。ごめんなさい……」

    偽サテラ「ダメよ! 目を見て言いなさい」

    フェルト「うっ……。ごめんなさい!」

    偽サテラ「うん。もう悪いことはしちゃダメよ。さっ、その子を放してあげて」

    リヴァイ「分かったよ」

    リヴァイがフェルトの腕を握る手の力を緩める。すると、フェルトはすぐさま腕を抜き取り二人の下から離れていった。

    リヴァイ「あれが悪事を止めることはないぞ。なんせ、生活がかかっているからな」

    偽サテラ「そうかもしれないわ。でも、私は信じてる」

    リヴァイ「そうかよ。ここまで脳天気な奴は初めてだ」

    偽サテラ「それはどうも。でも、素直にあの子を放してあげたあなたも大概じゃないかしら?」

    リヴァイ「まぁ……な」

    リヴァイ「(初めから、こいつがあの小娘を放すよう言ってくることは読めていたからな……。そんなことを言ったところで、信じて貰える訳がないが。なんせ――)」

    初対面なのだから。
  14. 14 : : 2017/07/05(水) 23:26:23
    続きお願いします!
  15. 15 : : 2017/07/06(木) 15:02:37
    >>14
    すみません、夏休みになったら頑張ります!
  16. 16 : : 2017/07/26(水) 18:48:58



    ロム「――今度の仕事は失敗、というわけじゃな」

    フェルト「くっそー! あんなおいしい報酬、そうそうないってんのに……。あの野郎! 覚えてろよ!」

    ロム「近衛騎士団に突き出されなかっただけ感謝すべきじゃろう」

    フェルト「それは……そうなんだけどよぉ……」

    コンコン

    フェルト「やべっ、依頼人がもう来ちまった」

    ロム「正直に失敗したと答えるんじゃぞ」

    フェルト「わかってるって」

    タッタッタッタッ

    ギィィ

    フェルトによって開かれた扉から姿を現したのは、黒い外套を羽織った女性――彼の殺人鬼だ。しかし、フェルトとロム爺はそのことを知らない。知っているのは、この世界でリヴァイ一人だけ。

    女「こんにちは。依頼していた品の方は用意できたからしら?」

    フェルト「それがその……失敗しちまった。悪ぃ!」

    女「――あら、そうだったのね。それなら仕方が無いわ。少し、残念ではあるのだけれど……」

    素直に引き下がるかのような素振りを見せる女。しかし、彼女の手には――。

    女「貴方達を消さなければならなくなってしまったわ」

    シュッ 

    ガキィッ!
  17. 17 : : 2017/08/08(火) 00:23:08
    フェルト目掛けて振り下ろされたククリナイフ。その軌道上に、何者かが割り込み斬撃を受け止めた。

    フェルト「な、何で……」

    リヴァイ「やっぱりこうなるか。殺人狂が」

    女「おやおや。貴方一体、何処に隠れていたのかしら。全く気配を感じなかったのだけれど」

    リヴァイ「気配を消す術なんざ、地下街で取得済みなんだよ」

    女「地下街……? まあ、そのことは良いわ。問題なのは、貴方の目的よ。貴方、何をするつもり?」

    リヴァイ「決まってんだろ。お前を倒すつもりだ」

    女「――そう。徽章の持ち主に雇われでもしたのか、それとも私の昔の標的の仇でも取りに来たのか……。とにかく、それはとても素晴らしい話だわ。貴方、とても楽しませてくれそうだもの」

    リヴァイ「言っておくがそれは過大評価ってもんだ。俺はてめぇの見立て程強くねぇよ。いかんせん、この世界での戦い方をまだちゃんとは分かっていないんでな。だから――」

    リヴァイは、人差し指を立てて天井を指す。

    リヴァイ「お前を倒すのは、こいつだ」

    次の瞬間――、

    ドゴオオオン!!!

    盗品蔵の天井に風穴が開く。それと共に姿を現したのは、燃えるような赤髪の美丈夫。

    ラインハルト「初めましてお嬢さん。ここからはこの僕、『剣聖の家系』ラインハルト・ヴァン・アストレアが御相手しよう」
  18. 18 : : 2017/08/31(木) 16:56:23

    リヴァイ「――敵は手練れ。怪物みたいに強い女だが、任せても良いか?」

    ラインハルト「もちろん。怪物退治は僕の得意とするところでね」

    女「剣聖……剣聖! ああ、今宵は何て楽しい夜なのかしら」

    二人の間に割って入った男――ラインハルトを前にし、女は光悦の表情を浮かべる。

    ラインハルト「僕のことをご存知のようですね。でしたら、投降をしていただけませんか?」

    女「大した自信なのね」

    ラインハルト「可能ならば貴女と刃を交えたくないというだけですよ。しかし、僕の方に僅かに分があるのも事実。お互い、ここは退くのが吉かと」

    女「――獣が血の滴る肉を前にして、踵を返すとでも?」

    ラインハルト「……そうですか。それでは、仕方ありませんね」

    そう言うと、ラインハルトは足下に転がっていた剣を手に取り構える。

    女「あら? 腰の竜剣は使わないのかしら?」

    ラインハルト「生憎、この剣は抜くべき時にしか抜けないようになっていましてね。こちらの剣で相手をさせていただきます」

    女「なめられたものね」

    ラインハルト「僕としては、困らされる判断ですよ。では、参りましょうか」

    開戦宣言とも取れるラインハルトの発言で、二人の間の空気が一気に様相を変える。

    ラインハルト「『剣聖の家系』ラインハルト・ヴァン・アストレア」

    女「『腸狩り』エルザ・グランヒルデ」

    ダッ!

    二人は名乗り、剣舞の時が始まる。そして――、

    ドオオオオオオン!

    勝負は一瞬にして決した。
  19. 19 : : 2017/09/01(金) 16:55:07



    リヴァイ「――これじゃあ、ラインハルトの方がよっぽど怪物だな」

    決着の後、リヴァイの視界に広がっていたのは倒壊した盗品蔵の残骸だ。

    ――ラインハルトが剣を振るった瞬間、その刀身から強烈な蒼白い閃光が放たれた。閃光は瞬く間にリヴァイの視界を覆い、次の瞬間には爆風が襲い掛かった。爆風は、剣に込められたラインハルトの力の余波に過ぎないのだろう。だがその余波は、盗品蔵の壁や天井を吹き飛ばし、崩落させた。

    ロム「フェルト、大丈夫か?」

    フェルト「ああ。すまねぇな、庇ってもらって」

    リヴァイ「(あの二人も無事か)」

    ラインハルト「すまない、少し力の調節を誤ってしまった」

    リヴァイ「いや、倒し損ねるよりはよっぽど良い」

    フェルト「良くねぇよ! ロム爺の蔵がぶっ壊れちまったじゃねぇか!」

    ロム「まあまあ、命を拾ったんじゃ。良しとしよう」

    フェルト「ロム爺……」

    リヴァイ「あの女――エルザの姿が無いが?」

    ラインハルト「瓦礫の下敷きになっているか、吹き飛んでしまったのか。どの道、無事ではいないと思うよ」

    リヴァイ「そうか。なら、一件落――」

    ガラッ ダッ!

    リヴァイ「――!?」

    瓦礫の動く音。そして飛び出す、漆黒の影。
    ククリナイフを握りしめたエルザの急襲――。その矛先はリヴァイへと向いている。

    ラインハルト「しま――」

    リヴァイ「狙いは……腹!」

    ガィン!
  20. 20 : : 2017/09/02(土) 19:08:19

    エルザ「あら、残念」

    エルザの急襲を、リヴァイは紙一重で防いでみせた。

    リヴァイ「こちとら一回お前に殺されてるんだ。同じ相手に、二回も死ぬわけにはいかねぇ」

    エルザ「何を言っているのか分からないのだけれど。まあ、良いわ……」

    ダッ

    後方へと飛び、リヴァイとラインハルトの両者から距離を取るエルザ。

    エルザ「この辺でお暇させてもらうとするわ。また会うその時まで、精々腸を可愛がっておく事ね」

    そう言い残し、エルザは貧民街の街並みへと消えていった。



    リヴァイ「一先ずは礼を言わせてくれ。助かった、ラインハルト」

    ラインハルト「力になれたようで、こちらも嬉しい限りだよ。気になることがたくさんあるのも事実だけど……」

    リヴァイ「詮索するか?」

    ラインハルト「いや。生憎今日の僕は非番でね。これ以上無闇矢鱈に他人の事情に首を突っ込むのは止めにしておくよ。そちらの二人の事も含めてね」

    ロム「ありがたい」

    フェルト「……おい、兄ちゃん!」

    ラインハルト「何だい?」

    フェルト「お前じゃねぇよ! 目つきの悪いチビの方だ!」

    リヴァイ「あぁ? 仮にも命の恩人に向かってなんて口の利き方だ。教育が必要だな」

    ラインハルト「まあまあ、子供のいうことだから」

    フェルト「何で……何で私達を助けた!? お前はあの姉ちゃんの味方! 要は私達の敵だろ!」
  21. 21 : : 2017/09/05(火) 22:06:19

    リヴァイ「……別に俺は、お前らの敵じゃないからな。助けた理由は……、自分で考えろ」

    フェルト「はぁ!?」

    リヴァイ「さて、俺は行くとする。達者でな、ラインハルト」

    ラインハルト「さよならには早いんじゃないのかな。王都へ行くのなら、どうせ行き先は同じ訳なんだし」

    リヴァイ「一緒に帰れってか」

    ラインハルト「少なくとも、お互い損はないと思うけど」

    リヴァイ「チッ……、勝手にしろ」

    テクテクテク

    フェルト「ちょっ、お前ら、勝手に行くんじゃねぇええええ!!!」

    フェルトの叫び声が、貧民街にこだました。



    ラインハルト「ところでリヴァイ、君はなかなか腕が立つようだね」

    リヴァイ「お前に言われると、皮肉にしか聞こえないんだが」

    ラインハルト「そんなつもりは毛頭無いよ。もちろん、お世辞の類でもない。そこで提案なんだけど……、王都を護る衛兵になってみる気はないかい?」

    リヴァイ「兵士――か。そいつは、食うに困らねえ職業なんだろうな?」

    ラインハルト「もちろんだとも」

    リヴァイ「そうか。なら……なってやるとしよう」



    そして始まる、リヴァイの異世界生活――。

    -完-
  22. 22 : : 2017/09/05(火) 22:07:56
    【あとがき】
    思い付きで始めると苦労するなあ……
    続きませぬ。読んでくださった方、ありがとうございました。白鯨戦とか期待してた人はすみません。
  23. 23 : : 2017/09/19(火) 19:58:20
    これで終わり?
  24. 24 : : 2017/09/19(火) 20:38:52
    >>23
    終わりです……
  25. 25 : : 2017/10/08(日) 15:59:23
    面白かったです!お疲れ様でした!
  26. 26 : : 2017/10/09(月) 22:46:33
    >>26
    ありがとうございます(*^_^*)
  27. 27 : : 2020/10/26(月) 14:56:26
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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